1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:20:38.22 ID:L/r2MZnC0

-ガヴリールの実家-


ゼルエル「……そう言えば、ハニエル」

ハニエル「なに? ゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「この前ガヴリールの着ていた服、あれは何という服なのか知っているか?」

ハニエル「えっと、この前……?」

ゼルエル「ガヴリールを更生させる為に、あいつを連れ帰ったときに着ていた服だ」

ハニエル「うーん……あ! もしかして、メイド服のこと?」

ゼルエル「メイド服?」

ハニエル「白と黒の、フリフリしたお洋服のことでしょ?」

ゼルエル「ああ、うん。それだ。……なるほど、あれはメイド服と言うのか」

ハニエル「可愛かったよねー、ガヴお姉ちゃんのメイド服! ネコ耳も似合っててー……」

ゼルエル「しかし、変じゃないか?」

ハニエル「え?」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500196837

引用元: ゼルエル「メイド服か……ふむ」 


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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:21:46.60 ID:L/r2MZnC0

ゼルエル「メイド服と言うからには、あれは給仕や清掃を行う女性の為の服なのだろう」

ゼルエル「だがそれにしては、少し装飾が華美すぎると言うか……」

ハニエル「あー、違うよゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「違う? 何がだ」

ハニエル「あれはそう言うメイド服じゃなくて、『可愛いメイド服』なの」

ゼルエル「可愛い……?」

ハニエル「そう。あれは、着て楽しむ為のメイド服なんだよ」

ゼルエル「つまり、メイドの服ではない……と?」

ハニエル「いや、メイドの服ではあるんだけど……」

ゼルエル「?」

ハニエル「……そう、コスプレ! あれはメイドのコスプレなの!」

ゼルエル「コスプレ?」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:22:34.24 ID:L/r2MZnC0

ハニエル「他の人の服を着てなりきることだよ」

ゼルエル「なりきる……なるほど」

ハニエル「……もしかしてゼルお姉ちゃん、メイド服に興味あるの?」

ゼルエル「ん? いや、そう言う訳ではないぞ。ただ少し気になっただけだ」

ハニエル「そうなんだ」

ゼルエル「しかし、ハニエルは物知りだな」ナデナデ

ハニエル「えへへー。学校で下界のことをいっぱい勉強したんだー」

ゼルエル「そうか。偉いぞ」ナデナデ

ハニエル「♪」

ゼルエル「……」ナデナデ



ゼルエル(メイド服か……ふむ)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:23:14.09 ID:L/r2MZnC0


-ゼルエルの部屋-


ゼルエル「……」ジーッ



ガヴのメイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(以前ガヴリールから没収したこのメイド服)

ゼルエル(少しサイズが小さいが、これを着れば私も……?)



ゼルエル「……」



ゼルエル(いや、いくら没収したとはいえ、他人の服を勝手に着るのは良くないだろう)

ゼルエル(だからこうして、身体の前に重ねてみるだけで……)


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:23:53.38 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」ピラッ



ゼルエル(……それと、被り物も)



ゼルエル「……」スッ


ゼルエル「……!」


ゼルエル「これは……」



ゼルエル(似合っているとは言い難い……しかし、今までにない自分を見ているようで……)



ゼルエル「……」チラッ


ゼルエル「……」



ゼルエル(……1回だけ、1回着るだけなら……)


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:24:29.82 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」パサッ


ゼルエル「……」シュルル…


ゼルエル「……」ヌギヌギ



ゼルエル(まずは着物を脱いで、次にこのメイド服を……)



ゼルエル「……」



ゼルエル(……どうやって着ればいいんだ?)





ガチャッ





ハニエル「ゼルおね……」

ゼルエル「神足通ッッッ!!!」パァァ

ハニエル「えっ?」





7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:25:04.58 ID:L/r2MZnC0

ゼルエル「ふーっ……ふーっ……」

ハニエル「ゼ、ゼルお姉ちゃん……?」

ゼルエル(あ、危なかった……! あと一歩神足通が遅れていたら確実に見られていた!)



ゼルエル「どうしたんだハニエル。何か用か?」ニコッ

ハニエル「えっと、学校の宿題で分からない所があるから聞きたくて……」

ゼルエル「そうか、宿題か。ハニエルは勉強熱心で偉いな」

ハニエル「うん……あの、ゼルお姉ちゃん、今なんで神足通を……」

ゼルエル「何となく」

ハニエル「え?」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:25:47.51 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「何となく、神足通を使いたくなったんだ」

ハニエル「何となく……?」

ゼルエル「特に理由はないが、何となく神足通をしてみたい。そういう時って、ハニエルにもあるだろう?」

ハニエル「ううん。ない」フルフル

ゼルエル「そうか。私にはあるんだよ、それが」

ハニエル「そうなんだ……」



ゼルエル「……さ、宿題をやるんだろう? ここでは少し狭いから、下のリビングで教えてあげよう」

ハニエル「ありがとう、ゼルお姉ちゃん。……でもその前に」

ゼルエル「なんだ?」

ハニエル「服、着よう?」

ゼルエル「……あ」カァァ



9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:26:19.61 ID:L/r2MZnC0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数日後-


ハニエル「それじゃあゼルお姉ちゃん、いってきます!」

ゼルエル「いってらっしゃい、ハニエル」



ガチャッ



バタン



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日は、ハニエルは友人の誕生日会へ行って、夕方まで帰ってこない)

ゼルエル(お父さんもお母さんも、仕事で夜まで帰ってこない)

ゼルエル(……いける!)


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:27:06.59 ID:L/r2MZnC0



ガサガサ…



ゼルエル「……」スッ



メイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(私の為に用意した特注のメイド服。柔らかな白いフリルに、小さな黒いリボンがアクセントの素晴らしい一品だ)


ゼルエル(やはり、ガヴリールのものを勝手に着るのは良くないからな……それに、これならサイズの心配もない)


ゼルエル(そしてもちろん、メイド服の着方もちゃんと調べてある。抜かりはない)


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:39:18.76 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」



ゼルエル(ではさっそく)



ゼルエル「……」パサッ


ゼルエル「……」シュルル…


ゼルエル「……」ヌギヌギ


ゼルエル「……」スッ



ゼルエル(えーっと、確かここを開けて……)











12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:40:03.29 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」キュッ



ゼルエル(よし、着れたぞ。やり方が分かっていれば大したことはないな)



ゼルエル「!」



ゼルエル(おっと、忘れる所だった)



ゼルエル「……」スッ



ゼルエル(白いフリルのブリム。これもちゃんと身に付けなくてはな)



ゼルエル「……」スチャッ



ゼルエル(姿見は……あそこだな)


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:40:35.19 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」スタスタ



ゼルエル(さて、どんな感じだろうか……)



ゼルエル「……」チラッ


ゼルエル「……!」



ゼルエル(おお……!)



ゼルエル「……」クルクル


ゼルエル「……」フワッ



ゼルエル(素晴らしい……見違えるようだ。これがメイド服……!)


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:41:31.69 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……♪」ヒラヒラ



ゼルエル(スカートを長めにして正解だったな。これなら私にも十分似合う)

ゼルエル(正直、こんな可愛らしい服には縁がないと思っていたが……こういうのも存外、悪くはないな)



ゼルエル「……」クルクル


ゼルエル「……」フワッ


ゼルエル「♪」



ゼルエル(それにこの、身体を回したときにスカートが軽く持ち上がる感覚……)

ゼルエル(これが中々に楽しい)



ゼルエル「ふふふ……♪」クルクルフワフワ



ゼルエル(ああ、心が軽くなったようだ……)

ゼルエル(もう少し、このままで……)


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:42:13.65 ID:L/r2MZnC0




ガチャッ





ハニエル「ただい……」

ゼルエル「神足通ァァッッッ!!!!」パァァ

ハニエル「うぇっ!?」ビクッ





16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:43:14.85 ID:L/r2MZnC0

ゼルエル「ハァーッ……ハァーッ……!」

ハニエル「ど、どうしたの? ゼルお姉ちゃん……」

ゼルエル(あ、危なかった! 完全に油断していた! あと一瞬でも反応が遅れていたら最悪の事態になっていた……!!)



ゼルエル「ハ、ハニエルこそどうしたんだ。まさか、もう誕生日会が終わったのか?」

ハニエル「ううん。そうじゃなくて、私のプレゼントを部屋に置き忘れちゃってて……」

ゼルエル「そうか、忘れ物か……」

ハニエル「うん……それで、ゼルお姉ちゃん、今なんで神足通を……」

ゼルエル「うっかり」

ハニエル「え?」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:44:01.45 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「うっかり、神足通を使ってしまったんだ」

ハニエル「うっかり……?」

ゼルエル「くしゃみをした拍子に、うっかり神足通をしてしまった。そういう経験って、ハニエルにもあるだろう?」

ハニエル「ううん。ない」フルフル

ゼルエル「そうか。私にはあるんだよ、それが」

ハニエル「そうなんだ……」



ゼルエル「……さ、友人を待たせているんだろう? 忘れ物を取って、早く戻った方が良いんじゃないか?」

ハニエル「うん……それとゼルお姉ちゃん」

ゼルエル「ん? 何だ?」

ハニエル「風邪ひいちゃうから、早く服を着た方が良いよ」

ゼルエル「……そ、そうだな」カァァ



18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:44:38.64 ID:L/r2MZnC0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-更に数日後-


ゼルエル「ハニエル、忘れ物はないか?」

ハニエル「うん、大丈夫だよ! いってきます、ゼルお姉ちゃん!」

ゼルエル「いってらっしゃい、ハニエル」



ガチャッ



バタン



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日は創立記念日で大学は休み。ハニエルは学校。お父さんとお母さんはもちろん仕事)

ゼルエル(そして、今日のハニエルは忘れ物をしていない。これは千里眼で何度も確認した)

ゼルエル(……いける! 今度こそ!)


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:45:42.43 ID:L/r2MZnC0



ガサガサ…



ゼルエル「……」スッ



メイド服「……」ヒラヒラ



ゼルエル「……」



ゼルエル(今日着るのは前回よりもスカートの丈が短いメイド服。聞けば、下界の『メイド喫茶』の制服として使われている物だとか)


ゼルエル(背中に大きな白いリボンがあしらってある、可愛らしい一品。素足がかなり見える為、黒のニーハイも履く予定だ)


ゼルエル(少々派手で、私に似合うか不安ではあるが……物は試しだ。着てみるとしよう)



ゼルエル「……」パサッ











20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:46:34.54 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」スチャッ



ゼルエル(うむ。2回目ともなれば、小慣れたものだな)

ゼルエル(しかし……)



ゼルエル「……」ヒラヒラ



ゼルエル(この丈の短さ、やはり少し落ち着かないな。普段、これほど素足を出す事がないからか)

ゼルエル(これはこれで可愛らしくはあるが……やはり、私は丈の長いメイド服の方が好みかもしれないな)



ゼルエル「……」クルクル



ゼルエル(そういえば、下界のメイド喫茶では、これを着た従業員が言う決まり文句があったな)

ゼルエル(確か……『お帰りなさいませ、ご主人様』だったか)

ゼルエル(せっかくだ。これも試してみよう)


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:47:37.03 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「んっん……」





ゼルエル「お帰りなさいませ、ご主人様」キリッ





ゼルエル「……」



ゼルエル(いや、違うな。これは違う)

ゼルエル(これではメイドと言うより、執事か秘書のようだ)

ゼルエル(そうではなく、以前私が聞いたのはもっとこう、可愛いらしい声で……)



ゼルエル「……」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:49:21.34 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……お」





ゼルエル「お帰りなさいませ、ご主人様♪(裏声)」ニコッ





ゼルエル「……」



ゼルエル「……」ボッ



ゼルエル(な、なんだこれは! とてつもなく恥ずかしいぞ……!)



ゼルエル「……」カァァ



ゼルエル(い、いやしかし、先程よりはメイド喫茶のそれに近付いているはず)

ゼルエル(だが未だ少しぎこちなさが残る。何がいけないのか……)

ゼルエル(……そうだな、変に恥じらいを持って中途半端にやるのは良くない。もっと恥を捨て、思い切りやればきっと……)


23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:50:58.05 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……」



ゼルエル「……」スゥッ





ゼルエル「お帰りなさいませっ♪ ご主人さ……」





ガヴ「何してんの姉さん」

ゼルエル「ま〝ッ……!?」ピシッ





24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:51:57.88 ID:L/r2MZnC0


ガヴ「……」

ゼルエル「なっ……ガ、ガヴ……リール?」

ガヴ「うん」



ゼルエル「な、何故、ここに……下界に居るはずでは……」

ガヴ「あー、えっと、ヴィーネたちと話してたら、みんなの昔の写真を見せ合おうって流れになってさ」

ガヴ「それで、私の昔のアルバムとかを取りに」

ゼルエル「ア、アルバム……?」

ガヴ「そーそー。……で」



ガヴ「ゼルエル姉さん、メイド服なんて着て何してたの?」

ゼルエル「……」


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:53:04.72 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「もしかして、ゼルエル姉さんもコスプレに興味があるとか……」

ゼルエル「……」

ガヴ「姉さん?」



ゼルエル「……主よ」

ガヴ「え?」





ゼルエル「愚かな私をお許しください……」スッ

ガヴ「わーー!! 待て待て待て!!! ラッパはやめろーーー!!!」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:53:55.71 ID:L/r2MZnC0


-数分後-


ガヴ「……つまり」

ゼルエル「……」

ガヴ「私のメイド服が羨ましくなって、自分でも着たくなったと」

ゼルエル「はい」

ガヴ「それで一度着てみたら思いの外楽しくて、ついついテンションが上がってしまったと」

ゼルエル「はい」

ガヴ「で、私に見つかったと」

ゼルエル「……はい」

ガヴ「……」

ゼルエル「……」カァァ


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:54:42.03 ID:L/r2MZnC0


ガヴ「……いや、まあ、気持ちは分かるよ?」

ゼルエル「……」

ガヴ「可愛いコスプレをしたいって気持ちも分かるし、それがバレて恥ずかしいって言うのも分かる」

ゼルエル「……」

ガヴ「けどさ」



ガヴ「流石にラッパはないでしょ。ラッパは」

ゼルエル「申し訳ない……」シュン




28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:55:47.35 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「恥ずかしさのあまり世界滅ぼすとか、そんなアホなこと私でもやらないよ?」←やりかけた天使

ゼルエル「いや、本当に……先程の私は気が動転していたようだ。すまない」

ガヴ「まったく……」

ゼルエル「……」



ガヴ「それで」

ゼルエル「え?」

ガヴ「さっきゼルエル姉さんがやってたやつ、あれ、メイド喫茶のマネ?」

ゼルエル「えっ、いや、あれはその……なんと言うか……!」カァァ

ガヴ「違うの?」

ゼルエル「……いや、違……わないが」

ガヴ「やっぱり」

ゼルエル「……」


29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:57:56.73 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「……幻滅しただろう?」

ガヴ「え?」

ゼルエル「実の姉が、メイドのコスプレをして、メイドの真似事をするのが好きな天使だったなんて……」

ガヴ「……」

ゼルエル「神の腕だなんだと持て囃されておきながら、この体たらく……まったく、これではガヴリールを叱る事など出来んな。ははは……」

ガヴ「……」

ゼルエル「……本当に、ダメな姉だな。私は」

ガヴ「姉さん……」

ゼルエル「……」

ガヴ「……」



ガヴ「良いんじゃない」

ゼルエル「え?」



30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 18:58:57.08 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「似合ってると思うよ。メイド服」

ゼルエル「な、何を……」

ガヴ「正直、ゼルエル姉さんがそういう服を着るのは少し意外だったけど」


ガヴ「でも……うん。良いと思うよ。リボンとかカチューシャとか、結構似合ってて可愛いし」

ゼルエル「お、お世辞はやめてくれ。これが私に似合っていない事くらい、自分でも分かって……」

ガヴ「お世辞じゃないって。……大体、幻滅なんて言ったら私なんてどうなるんだよ」

ゼルエル「……」

ガヴ「元天使学校主席が、今や半引きこもりだよ? 幻滅どころの話じゃないって」

ゼルエル「……それはそうだな」ゴゴゴ…

ガヴ「うっ……」



31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:00:28.44 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「と、とにかく! 私は姉さんがコスプレしたくらいで幻滅したりしないから!」アセアセ

ゼルエル「……」

ガヴ「むしろそう言うゼルエル姉さんの方が自然体で、私は好きというか……」

ゼルエル「本当か?」

ガヴ「え?」



ゼルエル「……」ジッ

ガヴ「えっと……」





ガヴ「……うん。私は今の姉さんの方が……」

ゼルエル「本当に私は可愛いか?」

ガヴ「ん!? そっち!?」



32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:01:24.97 ID:L/r2MZnC0

ゼルエル「どうなんだガヴリール」ズイッ

ガヴ「い、いや、その……」

ゼルエル「可愛いのか?」ズズイッ

ガヴ「う、うん。可愛いよ。姉さんってほら、美人だし……」

ゼルエル「……そうか」

ガヴ「だーもー! 近いって! 離れろ!」グイッ

ゼルエル「あ、ああ。すまん」



ゼルエル「……」

ガヴ「ったく、何なんだよもう……」

ゼルエル「……」

ガヴ「なんでそんなに必死に……」

ゼルエル「……い」

ガヴ「え?」


33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:02:46.72 ID:L/r2MZnC0


ゼルエル「可愛い……私が……そうか……ふふふ……」ブツブツ

ガヴ「……」

ゼルエル「……♪」

ガヴ「……」

ガヴ(これは、もしかして……)



ガヴ「ゼルエル姉さん」

ゼルエル「な、なんだ? ガヴリール」ビクッ

ガヴ「メイドの振る舞い方、教えてあげようか?」

ゼルエル「え?」

ガヴ「やりたいんでしょ? そういうの」

ゼルエル「……い、いいのか?」

ガヴ「もちろん」

ゼルエル「し、しかし、こんなコスプレのためにガヴリールの手を煩わせる訳には……」

ガヴ「もー、だから言ったでしょ。私はコスプレがどうとか、そう言うことは気にしないって」


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:03:36.43 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「それに、姉さんが困っているなら、私は力になってあげたいんだ」

ゼルエル「ガヴリール……」

ガヴ「だって、ゼルエル姉さんは私の……」ギュッ

ゼルエル「!」





ガヴ「たった1人の、大切なお姉ちゃんだから……!」キラキラ

ゼルエル「ガヴリール……!」ジーン





35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:04:58.05 ID:L/r2MZnC0

ガヴ(クックック……こうやってゼルエル姉さんをコスプレにハマらせて、しかも恩を売っておけば当分は私に甘くなるはず!)


ガヴ(所詮は世間知らずの天使……ちょろいもんだね!)



ゼルエル「本当にありがとうガヴリール……何とお礼を言ったらいいか」

ガヴ「いいのいいの。私とゼルエルお姉ちゃんの仲じゃない」

ゼルエル「こんなに姉思いの妹を持てて、私は幸せ者だな……」

ガヴ「もう、お姉ちゃんったら」クスッ



ガヴ(そして駄目押しの萌え萌え妹モードも発動!)

ガヴ(さあ、メイド色に染まるがいい……ゼルエル姉さん!)



ガヴ「……それじゃあ、早速教えていくね」

ゼルエル「ああ、頼む!」

ガヴ「いくよ! 天真流メイド術その1……『おもてなしの心』!」



36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:05:55.66 ID:L/r2MZnC0

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-ヴィーネ宅-


ガヴ「……ってな感じで、ゼルエル姉さんに私の萌え萌えメイド術を色々教えてあげたんだ」

ヴィーネ「いや、何教えてんのよあんた」



ガヴ「仕方ないだろ。私の駄天を認めさせるには、こうするしかなかったんだよ」

ヴィーネ「それ、ガヴが元に戻れば済む話なんじゃ……」

ガヴ「やだ。絶対に嫌だ」

ヴィーネ「はぁ……まあいいけど」



ヴィーネ「……それで、ゼルエルさんは前より優しくなったの?」

ガヴ「ああ、うん……確かに、前よりは駄天を大目に見てくれるようにはなったんだけど……」

ヴィーネ「けど?」


37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:06:47.13 ID:L/r2MZnC0




ガヴ『ただいまー』ガチャッ



メイドゼルエル『お帰りなさいませ、ガヴリール♪』ニコッ

メイドハニエル『お帰りなさいませ、ガヴお姉ちゃん♪』ニコッ



ガヴ『……お、おう』





ガヴ「完全に吹っ切れた姉さんが、家でずっとメイドのコスプレをするようになったんだ……しかもハニエルまで巻き込んで」ズーン

ヴィーネ「良いじゃない。可愛らしくて」



38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:07:53.36 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「良いわけあるか! 実の姉がずっとメイドコスしてるんだぞ! 色々と精神的にキツいわ!」

ヴィーネ「でも、ゼルエルさんのメイド服、似合ってるんでしょ?」

ガヴ「いや、まあ、似合ってはいるんだけど……」

ヴィーネ「ゼルエルさん美人だものね。羨ましいなー」

ガヴ「だからって四六時中メイド服はないだろ……」

ヴィーネ「そうなるように仕向けたのはガヴでしょ。自業自得じゃない」

ガヴ「いや、確かにハメようとしたのは私だけどさ、まさかここまでハマるとは思わなかったんだよ……」ズーン

ヴィーネ「贅沢な悩みねー」



ガヴ「……というかヴィーネ、驚かないんだな」

ヴィーネ「え、なにが?」


39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:09:59.13 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「ゼルエル姉さんがコスプレしてるって話」

ヴィーネ「……あー」

ガヴ「だって、神の腕で堅物なあの姉さんだぞ? もっと驚くと思ってたんだけど……」

ヴィーネ「えーっと……確かに今日初めて聞いたならびっくりしたと思うけど……」

ガヴ「……へ?」

ヴィーネ「私はその話、先に知ってたから……」

ガヴ「いやいやいや、ちょっと待って」

ヴィーネ「なに?」



ガヴ「なんで知ってるの?」

ヴィーネ「え?」


40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/16(日) 19:11:03.47 ID:L/r2MZnC0

ガヴ「私ヴィーネにこの話したの初めてだよね?」

ヴィーネ「うん。初めてだけど……」

ガヴ「なのにゼルエル姉さんのことは先に知ってたの?」

ヴィーネ「う、うん」

ガヴ「え、なんで? どういうこと?」

ヴィーネ「あー、えっとね、実は……」




ヴィーネ「ゼルエルさんのメイド服を用意してあげたの、私なのよ」

ガヴ「え?」




ヴィーネ「……」

ガヴ「……」




ガヴ「……え、マジで?」

ヴィーネ「マジよ」


-おしまい-