1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:11:30.39 ID:V5NhzLuN0
杏子「何だテメェ…… さやかに何をした!」

オクタヴィア「……!!」ブンッ

杏子「うわぁっ!」

 カチッ

ほむら「今のうちに逃げるわよ!」

杏子「ほむらか、これやったの? 魔女の動きが止まった……」

ほむら「つかまってて。手を放すと、あなたの時間も止まってしまう」

杏子「なるほど、今までもこうやってたんだな」




4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:14:37.05 ID:V5NhzLuN0
——脱出成功——

まどか「ウソ… だよね……」

ほむら「本当よ。美樹さやかの魂は、グリーフシードとなり、魔女を生み出したわ」

杏子「あたしも見たよ。ほむらが時間を止める魔法で助けてくれたんだ」

まどか「……時間を?」

まどか(あれ……?)

杏子「ったく、いくら魔法少女ったって、あんな便利なのがアリかよ」

ほむら「本来の使い道ではないのだけど」

ほむら「とにかく。まどか、これがあなたの憧れてた魔法少女の末路よ」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:19:34.55 ID:V5NhzLuN0
まどか「そんなのって……」

杏子『あんた魔法少女じゃないよね? テレパシー聞こえるんだっけ?』

まどか『うん、聞こえてるよ』

ほむら「遺体を持って来たからには、扱いには気をつけて」

杏子『今言っても無理かもしれないけどさ、あんまり気を落とさないでくれよ』

まどか『でも……』

杏子『さやかはあたしが連れて帰るから、また後で会いに来てよ』

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:24:00.49 ID:V5NhzLuN0
ほむら「聞いてるの? 二人とも」

まどか「う、うん! 聞いてるよ!」

杏子「聞いてる聞いてる! 何の話だっけ?」

杏子『あたしはまだ諦めてないからさ』

ほむら「やっぱり聞いてないじゃない……」

まどか『うん。そうだ、携帯の番号教えとくね』

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:27:57.31 ID:V5NhzLuN0
マミ「……時間を?」

まどか「やっぱり気になりますよね!」

杏子「なにがよ?」

まどか「何だろう…… どこかおかしい気がするんだよね…」

マミ「時間がとまるって、どういう状態なのかしら?」

杏子「どうって、あたしとほむら以外のものは全部止まっちゃうんだよ」

マミ「何かしら…… うまく言えないけど、気になるわ……」

まどか「歯がゆいよね……」

杏子「じゃ実演してもらおうか?」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:31:48.09 ID:V5NhzLuN0
ほむら「……そんなことのために呼ばれたのね」

杏子「だってコイツらがスッキリしないみたいだからさ」

ほむら「なら三人とも私につかまりなさい」

マミ「どこでもいいのかしら」

ほむら「体に触れていれば大丈夫よ」

・ 実演中

まどか「すごいよ、ほむらちゃん!」

杏子「だろ?」

ほむら「あなたが得意になる事ないでしょう」

マミ「でも、おかげでわかったわ!」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:37:34.44 ID:V5NhzLuN0
マミ「私たちに触れていない物が止まっているのに、見えるのがおかしいのよ!」

まどか「あ~……」

杏子「何が見えるって?」

マミ「暁美さんに触れていないものは止まってしまう。これはいいわね?」

杏子「そうだね。放すと止まっちゃうって言ってたし」

マミ「だったら私たちの目に光が届くのはおかしいと思わない?」

まどか「それだよね!」

杏子「ん……? 暗くなっちゃうはず、なのかな」

まどか「暗くなるどころか、見えなくなるはずなんだよ」

マミ「今までそういうことはなかったのかしら」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:40:40.46 ID:V5NhzLuN0
ほむら「あの…… その前に一つ、聞いてもいい?」

まどか「どうしたの?」

ほむら「さっきから光がどうとか、何の話をしているの?」

杏子「うん。もう一回りわかりやすく言ってよ」

マミ「あなたたち、まさか……」

まどか「時間が止まってる間って、ほむらちゃんに触ってない物は止まっちゃうんだよね?」

ほむら「そうよ。あなたも見たでしょう」

杏子「それで逃げてこられたんだしな」

まどか「光はほむらちゃんに届くまで触れてないよね?」

ほむら「だからどうして突然光の話になるのよ?」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:48:25.28 ID:V5NhzLuN0
マミ「待って鹿目さん。まず大前提から話をしておきましょう」

マミ「私たちが目で物を見る事ができるのは、どうしてかわかるかしら」

杏子「だってそれは…… 目って見るようにできてるから……」

ほむら「正直言って、考えた事もなかったわね」

マミ「なら、今この部屋の明かりを消したらどうなると思う?」

杏子「暗くて何も見えなくなっちゃうよ」

マミ「そう。つまり光源から出てくる光がいろんなものに反射して、私たちの目に入ってくるから『見える』というわけなの」

ほむら「痛そうね」

まどか「ほむらちゃんふざけてるの?」

ほむら「だって光の速さで目に何かが入ってくるなんて、きっと痛いに決まってるわ」

杏子「だよな」

まどか「きっと、じゃなくて実際にそうやって見てるんだってば」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:50:20.86 ID:V5NhzLuN0
ほむら「とにかく、これでマミとまどかの疑問に思っていた事がわかったわ」

ほむら「確かに時間が止まってても物が見えるのはおかしいような」

杏子「魔法少女が言うかそれを」

まどか「今までよくちゃんと見られてたね」

ほむら「言われてみると、自分でもわからなくなってきたわ……」

マミ「それが当たり前だと思ってたから、特に何も考えなくてもできてたのね」

ほむら「どうやってたのかしら……」

杏子「実際やればわかるだろ、そんなの」

ほむら「そうね。ちょっとやってみましょう」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:53:29.39 ID:V5NhzLuN0
 カチッ


ほむら「」ガクガクプルプル

まどか「どうしたのほむらちゃん!? え、泣いてるの?」

ほむら「だって……」

マミ「まずは涙を拭きましょうか」スッ

ほむら「ありがとう……」コシコシ

杏子「あと、鼻かみなよ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:56:32.44 ID:V5NhzLuN0



まどか(そろそろ泣き止んだかな)ポムポム

まどか「ほむらちゃん、時間を止めてみて何があったの?」

ほむら「急に真っ暗になったから、怖くって……」

杏子「もしかして、普段通りできなくなっちゃった?」

マミ「ごめんなさい、もしかして、私たちが余計なこと言ったから?」

杏子「だろうなぁ」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 20:59:36.75 ID:V5NhzLuN0
まどか「でも、おかげでとても大事な事がわかったよ!」

まどか「ほむらちゃんって暗いところ怖いの?」

ほむら「だって、いきなりだったから、気が動転して……」

まどか「それにしても異様にプルプルしてたよね」

マミ「暁美さんにも怖い物があったなんて」

ほむら「入院生活長かったから、今でも暗闇って苦手なのよ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:02:53.21 ID:V5NhzLuN0
ほむら「とにかくこのままじゃ戦う時に不便だわ」

杏子「相手の姿も見えないんじゃなぁ」

マミ「まずは暁美さんが暗闇になれる所からじゃないかしら」

ほむら「無理よ」キリッ

まどか「できたとしても許さないよ」キリッ

マミ「あ、はい……」

 

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:07:59.76 ID:V5NhzLuN0
—— それから数日 ——

ほむら「どうにか克服したわ!」

まどか「じゃ電気消すよ~」

マミ「カーテン閉めましょうか」

ほむら「やめて! そっちじゃないから!」

杏子「時間止めても見えるようになったの?」

ほむら「ずいぶん苦労したわ。でもその成果をみんなにも見てほしいの」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:12:48.18 ID:V5NhzLuN0
——近所の河原 ——

ほむら「全員手をつないだわね」

まどか「いつでもいいよ~」

ほむら「では行くわよ!」

 カチッ

杏子「おお~ 止まってる! しかも見える!」

まどか「すごいね。川の水も止まってるよ」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:17:24.82 ID:V5NhzLuN0
まどか「」スゥー ハァー

まどか「ねぇほむらちゃ…」

マミ「待って鹿目さん!」

ほむら「どうしたの?」

マミ「言いたい事はわかるけどダメよ! これ以上厄介な事にしないで!」

まどか「そうだね……」

杏子「川の水触りに行こうよ」

マミ「気になるの?」

杏子「こんなの写真でしか見られないからさ、触ってみたいじゃない」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:20:37.58 ID:V5NhzLuN0
マミ「よく見るときれいね。ガラス細工みたい」

 パシャパシャ

杏子「ほぉ~ 触った所だけ流れて行っちゃうのか」

まどか「でも離れたらすぐ止まっちゃうんだね」

杏子「水に『触れてるもの』と『触れてないもの』の境目なんてあるのか……?」

ほむら「それもよくわからないけど、暑い日に使うと額に汗がつたっていくこともあって」

ほむら「でも垂れると地面に落ちる前に固まったりするわね」

マミ「水滴だとどうなってるかわかりづらいわね」

杏子「ならさぁ」

杏子「おしっこしてもいい?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:24:14.79 ID:V5NhzLuN0
ほむら「……いくら誰も見てないとはいえ、そこまで」

杏子「え、いやぁ… ちょうど今したかったしさ、止まってみたらどうかなって」

マミ「女の子が外でそういうことしちゃいけないわ」

まどか「マミさん何言ってるの? 杏子ちゃんだよ」

杏子「うん、まぁ… 女の子なんだけどね」

まどか「ホントに?」

杏子「……たぶん」

まどか「じゃあ誰も見てない今のうちにしないと!」

マミ「そういう解釈もアリなの……?」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:29:13.95 ID:V5NhzLuN0
杏子「じゃあするから、手を放して」

マミ「本当にやるの…」パッ

杏子「まどかも」

まどか「えぇ~ 放さなきゃダメ?」

杏子「ほむらは仕方ないにしても、見られるの恥ずかしいし……」

まどか「またそういう女の子みたいなこと言って」

杏子「女の子なの!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:39:57.54 ID:V5NhzLuN0
杏子「あとはほむらだけか」

ほむら「むこう向いてるから、早くしなさい」

杏子「あんまりこっち見ないでよ」

ほむら「あんまりどころか、全然見たくもないわ……」

杏子「安心したよ」スルリ スルリ

杏子(……う~ん、誰も見てないというのはわかってるけど……)

杏子(外で   脱ぐって、これは…… どうなんだろう……   ん?)

マミ「」

杏子「うおおおあああ!! マミこっち見んなよ!」

ほむら「マミならもう放したでしょう」

杏子「そっか、きっと手を放す時こっちをむいてたんだな」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:44:10.49 ID:V5NhzLuN0
 グイッ

ほむら「引っ張らないでくれる?」

杏子「しゃがまないと」

ほむら「地面に落ちる前に止まる光景を見てみたいんだから、立ったまますればいいでしょう」

杏子「それもそうか。じゃあいくよ~」

ほむら「言わなくていいから!」

 ショロショロショロ……

杏子(やっぱり外でするのは恥ずかしいなこれ……)

 フシュゥ~~~……

杏子(あ、でも意外と)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:49:55.43 ID:V5NhzLuN0



まどか「うまくいったの?」

杏子「大成功だよ! けっこうきれいだったな」

マミ「おしっこが?」

杏子「うん。ほむらにも見てもらったよね?」

ほむら「変な事言うようだけど、半透明で金色の飛沫が確かにいいものだったわ」

杏子「見る角度変えると、陽にあたってキラキラするんだよね。写真に撮っておけばよかった」

まどか「今度する時、パパのデジカメ借りて来てあげようか?」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:52:43.06 ID:V5NhzLuN0
杏子「次は皆でしようよ」

まどか「わたしたちもするの……?」

マミ「そんなに言うなら見てみたいけど、するのはね…」

杏子「大丈夫! 皆ですれば恥ずかしくないって!」

杏子「それに、けっこう気持ちいいんだよ」

まどか「……うわぁ」

杏子「いや違うんだって! 変な意味じゃなくて、普段しないから解放感っていうか、安全だけどドキドキするのがさぁ」

まどか「大して違ってないよ!」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:55:16.22 ID:V5NhzLuN0
杏子「一度やってみればわかるよ! あたしだって、やるまでけっこう抵抗あったんだから!」

まどか「ホントかなぁ…… でも、そんなにいいなら、さやかちゃんも誘わないと」

マミ「そういえば美樹さん近頃見かけないわね。どこへ行っちゃったのかしら」

杏子「傷心旅行ってヤツ? そろそろ帰って来るんじゃないの?」

ほむら「いない間のノート見せて! って言われそうね」

まどか「あんまり長くなると、教えるのも大変だよ~ でもなんで急にいなく…」

杏子「……」

ほむら「……」

杏子「あたしもだけど、みんなさ、大事な事忘れてない?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 21:58:52.62 ID:V5NhzLuN0



さやか「ん~っ!」

マミ「おはよう美樹さん」

さやか「おはよう… 何だかすっごいよく寝たような」

まどか「あれから何日か経ってるからね」

杏子「さやかの復帰祝いの準備もしといたよ! 飲もう!」

さやか「え、何これ? 烏龍茶?」

マミ「たくさんあるから、どんどん飲みましょうね!」

さやか「は、はぁ…… その前にトイレ行ってきていいかな」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/25(日) 22:01:00.41 ID:V5NhzLuN0
ほむら「行かせないわよ!」プルプル

まどか「さやかちゃん、抜け駆けは良くないよ」ソワソワ

さやか「何言ってるの? トイレ行きたいだけだって」

杏子「さやかが目覚めたらみんなでおしっこしようって」

マミ「さっきから四人で我慢してるのよ!」モジモジ

さやか「……あんたら、バカじゃないの?」

   おわり

引用元: 杏子「時間が止まってるのに見える」