視点選択

1、怪人『スマイル』
2、エミリー

安価↓1を採用

509: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 21:09:01.44 ID:FB81PsD+o
2

510: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 21:24:09.42 ID:QQMoz1Wco

>>509採用:2、エミリー






エミリーはずっと同じ場所に固まったように動かなかった

ずっとずっと、あの男が現れるのを待ち構えていた

そして遂に、その男は現れた

悠々とした足取りで鼻歌でも歌っているようにも見えるほど陽気な表情で街に足を踏み入れた



エミリー(…目標観測。戦闘開始だ、準備できてるだろうな)

トシヒサ(問題ない)


エミリーは隣に居ない男に言葉を飛ばした

電話のような便利な道具がこの世界にあるわけでもない、文書を飛ばしたわけでもジェスチャーで伝えたわけでもない


二人は既に契約状態であった

だが、エミリーは少し変わった契約状態を取ることが出来た

『生贄にした肉体の一部』だけがトシヒサから転移され、お互いが別の個体として行動が出来るのだ

そして通常の契約執行状態と同じように、離れていても精神が繋がりあっている

それを生かした嵌め殺しを二人は実行しようとしていた


エミリー(確実に殺す。何が起こっているのかも理解させずにお前の四肢を吹き飛ばしてやる)

エミリー(そしてとどめだけはこの私が…!)



※特殊戦闘に移行します

511: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 21:26:47.55 ID:QQMoz1Wco

【ルール】
五回の判定中、3回相手の判定を上回れば勝利





直下コンマ:エミリー&トシヒサ戦闘判定
不意打ち +3


↓2コンマ:スマイル&『狂乱の破壊者』戦闘判定
契約 +1

512: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 21:42:33.62 ID:+6K7+K4zo
へい

513: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 21:44:05.46 ID:j9e5hFblo
d

514: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 21:45:57.26 ID:QQMoz1Wco

コンマ判定:2+3

コンマ判定:6+1



成功:0

失敗:1

515: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 21:54:57.66 ID:QQMoz1Wco

エミリー(…A地点まで残り3…2…1…今!)

エミリーが合図を送ったその瞬間、スマイルの足元が弾け飛ぶ

スマイルは驚いたように飛び跳ね、一度近くの屋根まで昇り突然弾けた地面を訝しげに観察している


エミリー(クッソ!お前!大事な一発目を外してんじゃねー!!)

トシヒサ(悪かった。だが、雨の所為か思ったより狙いがずれる)

エミリー(急いで次の準備。タイミングは良い、もう少し上を狙え)


スマイルはキョロキョロと辺りを見回している

どうやらエミリーたちの攻撃のカラクリにまだ気づいていないようだった

エミリーはその遥か遠くで、スマイルの様子を瞬きもせずにとらえ続けていた




直下コンマ:エミリー&トシヒサ戦闘判定
不意打ち +2


↓2コンマ:スマイル&『狂乱の破壊者』戦闘判定
契約 +1





516: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 21:55:21.77 ID:HPKK2V/Jo

517: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 21:55:42.53 ID:yXIKdQK4O
テロ

518: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 21:58:57.90 ID:QQMoz1Wco

コンマ判定:7+2

コンマ判定:3+1


成功:1

失敗:1

519: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 22:07:15.43 ID:QQMoz1Wco

エミリー(………目標は地面を警戒して屋根伝いに移動中)

エミリー(好都合。そっちから見えるか?)

トシヒサ(……見えた)

エミリー(好きなタイミングで好きな数使っていい。確実に一発当てろ)

トシヒサ(了解)


エミリーが指示を出して数秒後、強烈な破裂音が鳴り響く

破裂音とほぼ同時に遠くで土煙が上がった

スマイルは足を止める

そう、止めてしまったのだ

顔を土煙の方角へと向けた瞬間、スマイルの脇腹が弾けとぶ


エミリー(……着弾観測。まずは一発だ)



直下コンマ:エミリー&トシヒサ戦闘判定
不意打ち +1


↓2コンマ:スマイル&『狂乱の破壊者』戦闘判定
契約 +1
負傷 -1

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:10:36.45 ID:MzfnrqG3O
へい

521: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:15:53.67 ID:+6K7+K4zo
ハァイ

522: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 22:20:09.79 ID:QQMoz1Wco

コンマ判定:5+1

コンマ判定:7


成功:1

失敗:2

523: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 22:21:05.88 ID:QQMoz1Wco

この世界に兵器と呼べるものは存在していない

特に、銃や砲と言った火器兵装は一つとして存在しない

観測世界であるため書物に知識として存在してはいる、本気で鍛冶職人が作ろうとすれば作れないわけでもない

何故、この世界に存在していないのか

その理由は『強すぎる』からだ

銃があればただの一般人がいともたやすく人を殺せる

『導師』こそが力であると示し続けるために、そのような兵器の作成方法は重要機密として『命樹』に保管されている


時間差の少ない超遠距離攻撃

強烈な破裂音

これら二つの特性を併せ持つ物と言えば銃が真っ先に思い浮かぶだろう

だが、この世界には存在していない

それならば、今エミリーとトシヒサが行っている行動はといえば……

524: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 22:31:07.66 ID:QQMoz1Wco

トシヒサは時計塔の屋根の上に立っていた

その足元には多種多様な大きさの『石』が転がっていた

その石を握り込み、大きく振りかぶった


そう、トシヒサの行っていた行動は超原始的かつ自らの特性を最大限に生かした『投擲』であった


人間を超えた超視力を持ったトシヒサとエミリーの二つの観測地点から場所を把握

小さな石は音速を超えて空気を叩き強烈な破裂音を鳴らす

大きな石は速度は劣るが音が少なく威力は申し分ない

この脅威の身体能力を生かす投擲を使うために、町の探索を徹底的に行って来ていたのだ


一つ目の石が直撃する。しかしスマイルは動揺しなかった

即座に体を反転させて真っ直ぐに駆けだしたのだった



エミリー(多分気づかれた、そっちに向かってる)

エミリー(次からは体ではなく場所を利用する。上手く誘い出せ)

トシヒサ(了解)


トシヒサは大きく振りかぶった石をある場所に向けて投げた




直下コンマ:エミリー&トシヒサ戦闘判定
不意打ち +1


↓2コンマ:スマイル&『狂乱の破壊者』戦闘判定
契約 +1
負傷 -1

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:57:24.92 ID:MzfnrqG3O

527: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 22:58:26.26 ID:QQMoz1Wco

コンマ判定:4

コンマ判定:2


成功:2

失敗:2


528: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:01:16.73 ID:QQMoz1Wco


強烈な破裂音と共に再び土煙が上がる

しかし、スマイルは一直線にトシヒサの居る時計塔の方角へと一目散に走っていた


トシヒサ(…結構速いな。俺くらいは出てる)

トシヒサ(だがこれなら…!)

時計塔の屋根を破壊し、一部分を持ち上げる

一部分とは言っても人の大きさほどの巨大な瓦礫

それを弧を描くようにスマイルの前方へと投げた

スマイルは当然迂回しようとしたが、迂回した方向にあった建物が崩壊を始め倒れようとしていた

その建物は空き家であり、既にエミリーたちの手によっていつ倒壊してもおかしくない状態にされていたのだ

そこでこの巨大な瓦礫が降り注いだ衝撃によって倒壊を始めたのだ


スマイルはブレーキをかけ、踵を返そうとした

その瞬間をエミリーの目は捕えていた


エミリー(生贄追加だ!右腕!!)


その言葉と共に、トシヒサの右腕が無くなる

エミリーは超人の力を得た右腕に力を乗せ、既に振りかぶっていた腕を振り抜いた

エミリーの狙いはスマイルの体の中心、腹であった…






直下コンマ:エミリー&トシヒサ戦闘判定
最後の一発 +2
慣れない感覚 -1


↓2コンマ:スマイル&『狂乱の破壊者』戦闘判定
契約 +1
負傷 -2

529: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 23:10:21.95 ID:HPKK2V/Jo

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 23:13:16.36 ID:+6K7+K4zo
コンマ

531: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:18:17.63 ID:QQMoz1Wco

コンマ判定:5+1

コンマ判定:6-1



成功:3

失敗:2


エミリー勝利

532: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:23:59.26 ID:QQMoz1Wco

エミリーの放った弾丸の様な投石は見事にスマイルの腹を貫いた

風穴の開いた腹からは大量の血が溢れ、スマイルはその場に倒れ伏した


エミリー「……!」

興奮で拳を握りしめ叫びだしそうになるのを堪える


エミリー(アイツの倒れた場所に来い。契約解除)


契約解除によって重くなった体など気にもせず、走り出す

エミリーはスマイルの倒れた場所へと向かったのだった


しかしこの時エミリーは気付いてはいなかった

スマイルは最後の一撃に気が付いていたことに……



533: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:31:49.67 ID:QQMoz1Wco

視点変更:スマイル







スマイルは熱く、そして冷めていこうとしている自らの体を横たわらせる


スマイル(…完全に穴が開いているな。ふふっ…ふふふ……これでは助かりそうもない)

スマイル「ふ…ふふふ……ふふふふふ…」

エミリー「こんな時まで笑ってやがんのか、クズ野郎」


目の前に影がかかり、エミリーはスマイルを覗き込むように見下していた


スマイル「ふふ…ふふふ…笑顔がいつでも一番だよ。スマ~イルスマ~イル♪」

エミリー「ッ!」


苛立ちのままにスマイルの体を蹴るが、スマイルはそれを手で受け止める


スマイル「そう慌てるモノじゃないよお若いレディー。どうせ私は死ぬんだ、私の戯れに付き合ってくれたまえ」

エミリー「……」


エミリーは無言でスマイルを睨みつける

534: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:44:45.93 ID:QQMoz1Wco

スマイル「いやあ驚いたね、こんなに詰まらない方法で私が殺されるなんて思ってもみなかったよ」

スマイル「導師も騎士も殺してきた私には呆気なさすぎる最後だよ」

エミリー「…一方的な嬲り殺しでお前を殺してこそ意味がある」

スマイル「おお、怖い怖い♪それはどうしてかな?どうして君はこんなことをしてまで私を殺そうとしているのかな?」

エミリー「復讐のために決まってるだろ!!」

怒りをあらわにし、目を血走らせ吠える


エミリー「お前に殺された私の両親の無念は、こんなことをしても晴れやしない!!」

エミリー「だが!私の両親を殺したお前がのうのうと生きている事実こそが何よりも許しがたかった!!」

エミリー「お前に私の両親が味わった屈辱をほんの少しでも味あわせてやりたかった!」

エミリー「お前を私の両親と同じように首を刎ねて殺す。それで私の復讐が完成するんだ」


スマイル「ふふふ…良い目だエミリー。私に殺してやると言ったあの時と全く同じ顔をしているよ♪」

スマイルはエミリーの怒りに愛おしそうに微笑みを返した


535: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:53:22.19 ID:QQMoz1Wco

エミリー「……お前はこれからどうあがいても死ぬ。なのに何故そんなにも笑っていられる」

スマイル「それは勿論楽しいからさ!楽しければ笑うべきだ!嬉しければ笑うべきだ!愉快であれば大声で笑うのが礼儀というのモノさ!!」

血をダラダラと零しながら、体を起こして両手を広げる

化粧の上からでも分かるほどの満面の笑みでスマイルは語りはじめる


スマイル「死ぬのは怖いさ。私だってやりたいことがいくつかある」

スマイル「今死ぬと思えば悔しさでで胸が張り裂けそうになる…」

スマイル「しかし、人はいつか死ぬ。いつかは死に納得できなければ永遠に死を受け入れられない」

スマイル「私はいつも考えていた『心残りの無い人生を送りたい』とね」

スマイル「だから私は毎日欲望の赴くままに生き続け、したい事だけをし続けた」

スマイル「そうして漸く死ぬ時が来た……だからね――」



スマイル「私は今日を死に納得できる日にする!!」



スマイル「ショータイムだ!!これよりとっておきの絶望を君に送ろう!!!」


軽い音を立て、スマイルは指を鳴らした

536: ◆7m3grp2dM2 2015/05/15(金) 23:59:11.67 ID:QQMoz1Wco

誰も居ないはずの廃屋の扉が独りでに開いた

いや、開けたのだ

その扉を開いたのは年端もいかぬ少女であった

血まみれで笑うスマイル、少女を見て驚くエミリー

少女はその光景を見て吐き出すように声が漏れた


「……スマイル?」


スマイル「紹介しよう!スペッッッシャルゲスト、無垢なる少女『シャルロット』だ。シャリーと呼んであげてくれ♪」

シャリー「スマイル!スマイル!!」


シャリーは泣きながらスマイルに駆け寄り、血まみれの体を抱きしめる

スマイルは愛おしそうに駆け寄るシャリーの頭を撫でる

エミリーはその光景に呆然とするしかなかった

537: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 00:07:07.54 ID:AoIOJovKo

エミリー「…な、なんで…なんでこんなところに子供が居るんだよ!」

スマイル「私の指先には魔法が宿っているのさ。今日この日の為のとっておきの『転移魔法』!!驚いてもらえたかな?」

エミリー「……その子供は何だ…」

スマイル「私の娘……と本当はしたかったんだけどね。私と同居しているただの少女さ」

スマイル「今日この日の為に、私はこの少女に自分の全てを隠し続けた。シャリーは私の事を本当の親のように思っているよ」

スマイル「そろそろ分かって来たんじゃないかな?私のしたい事が」

エミリー「…………お前…まさか!」

スマイル「そのまさかだッ!!」


スマイル「シャリーはお前だ!8年前のお前自身だ!!」

スマイル「ふふっ…くきくうくくく……アハハハハハハハハ!!!!!!」


喜びの涙を流しながら体の空気の全てを吐きだすようにスマイルは笑い転げる

狂った笑顔で狂った笑い声をあげる

538: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 00:16:56.36 ID:AoIOJovKo

スマイル「ふふふっ…あはっ☆」

スマイル「なあエミリー…どんな気分だい?悔しいか?腹立たしいか?悲しいか?それとももしや同情したか?」

エミリー「お前…!」

スマイル「怒った怒った!アハハハハハハ!!!笑えエミリー!笑えよ!!」

スマイル「これがお前の望んだ光景だ!!!」

スマイル「お前が8年間を無駄にして切望した眺めだぞ!!」

スマイル「お前は今から私の首を刎ねて復讐を遂げるのだろう!?」



スマイル「お前は私を殺して今から『私に』なるんだろうが!!!!」



導化師の狂った笑い声と、少女の泣き声だけが空気を震わせる

雨の音色と混ざり、エミリーの耳にはノイズのかかったように聞えていた

どこか遠い世界の様な、夢の世界であるような錯覚を受け入ていた

エミリーの体が震える

それが怒りから来るものか、悲しさからくるものなのか本人にすら定かではない

自然と目の奥から涙があふれ視界が歪む

堪えようと必死に唇をかみしめると血が溢れてきた


539: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 00:31:26.32 ID:AoIOJovKo

スマイル「いい…顔だぁ…」

スマイル「可愛い…可愛いよエミリー…自らの望みを目の前にして、願いを叶えられない君の顔はとっても素敵だ」

スマイル「怒りと憎しみと悲しみが綯交ぜになり、どうしようもない現実の光景に震え、理性を必死に取り繕う君の今の顔は『絶望』という言葉が相応しい!」

スマイル「嫌だよなぁ私になるのは。だってお前はどうしようもなく私を憎んでいるのだから」

スマイル「思い出してしまうよなぁ…死んだ両親の体を抱いて涙を流す自分の姿をさ」

エミリー「…私は……私は………」


スマイル「どうすればいいんだろうな、なあエミリー?」

スマイル「全てを受け入れて目的を達成するか?」

スマイル「それもいいなぁ!!第二のお前と第二の私の誕生日になる!」


スマイル「それとも心を鬼にしてシャリーを殺すか?」

スマイル「それもいいな。そうすれば全てが綺麗に収まる」

スマイル「だが、お前にそれが出来るか?」

スマイル「お前に罪のない子供を殺せるのか?」

スマイル「もし殺せるのなら、私に負けないくらいの殺人鬼だ」


スマイル「ふふふふ…ああ…楽しいなぁ!とっても楽しい!人生はやはりこうでなくてはな!!」

540: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 00:40:41.08 ID:AoIOJovKo

エミリー「………私…は…」


エミリーの頭の中で同じ言葉だけがグルグルと周っている

『殺せ、殺せ、殺せ』と叫ぶ

前を向き、目に入るのは少女の姿だった

泣きわめき『スマイル、スマイル』とずっと同じ言葉を吐き続ける少女

その姿を見れば、心の熱が冷めていくのを感じた

ただ、立ち尽くす


エミリー(私は…どうすればいいんだ……)

エミリー(ここまで来て…何もできずにここで立っているだけか?)

エミリー(……私はあの少女の前であの男を殺せるのか?)

エミリー(………私は、あの少女を殺せるのか?)

エミリー(殺してどうなる?ただ虚しいだけだ……)

エミリー(復讐なんてそんなものだろうと思っていたじゃないか)

エミリー(でも、私の父さんと母さんの無念はどうなる?)

エミリー(8年間、復讐の為に生き続けた私の時間はどうなる?)

エミリー(私は…何をするべきなんだ…?)


エミリー「……私は…」


1、何もできずに立ち尽くす
2、スマイルを殺す
3、目の前の二人を殺す
4、自由安価

安価↓3の中で最も2桁コンマの数値が高いものを採用


541: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/16(土) 00:48:04.19 ID:/Ms92m0V0
シャリーを引き取る

544: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:00:32.91 ID:AoIOJovKo

>>541採用:4、シャリーを引き取る



エミリー「……私は、お前を殺す」

スマイル「ふふふふっ、嬉しいよエミリー。私になって私のように生きてくれ」

スマイル「きっとシャリーは君のように育ってくれる。君を殺しに来てくれるさ」

エミリー「そうはさせない」

スマイル「ふぅん?もしやシャリーも殺すのかい?」

エミリー「……私には…殺せない。だからまだ……ちゃんと決まらないけど…」


エミリー「私の傍に置いておく」


エミリー「私を殺すかもしれないけど、それでもいい」

エミリー「そいつを見てて思ったんだ……一人ぼっちになるには早すぎるなって」

エミリー「お前には分からないだろう。一人残された子供の孤独が」

エミリー「だから私が、そいつを引き取るよ」


スマイル「……………」

スマイルは笑うことを止め、驚いたような顔で目を見開いた

545: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:07:37.17 ID:AoIOJovKo

スマイル「……ぷっ…くくく…ハハッ……勝手を言ってくれる」

スマイル「だが、私には反論できないな。一人残された子供の気持ちなど考えたことも無かった」

スマイル「ふふふふふ、面白いなぁ…予想外の事が起きるから人は笑ってしまうんだ」


スマイル「悪くないな。…シャリーは素直で優しい子だ、どうか大切に扱ってくれ」


スマイルは泣き縋るシャリーの体を引き離し、向かい合った


スマイル「シャリー…どんな気分だ?悔しいか?腹立たしいのか?悲しいか?」

シャリー「スマイル…死んじゃやだぁ…!」

スマイル「悲しいか。悲しみに歪む君の顔もとっても素敵だ」

スマイル「だからね笑ってくれ。とても苦しくって辛いかもしれないけど、笑うんだ」

スマイル「ほら、スマ~イルスマ~イル♪」


人さし指で頬を釣り上げ、笑顔を作って見せる


546: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:14:55.22 ID:AoIOJovKo

シャリーは泣きながらも不細工に頬を釣り上げ笑って見せた


スマイル「………ああ…これで漸く納得できた」

スマイル「ずっとずっと考えていた、君を殺さずにその顔にすることを」

スマイル「私の死に絶望しながらも、無理をしてでも作った君の笑顔は……私の見た笑顔の中で一番素敵だ」


スマイル「はぁ……これで全てに納得がいった」

スマイル「本当はエミリーにこう言われたときは目の前でシャリーを殺してやろうと決めていたんだけどなぁ…」

スマイル「『絶望させた笑顔』が好きだった…」

スマイル「だけど、シャリーにだけは心の底から泣いてほしくないと、今の笑顔を見て改めて思った」

スマイル「今日この日を用意してよかった。漸く自分の気持ちに気が付けた」

スマイル「シャリー…私は君に恋をしていたんだね」



スマイル「アハハハハハハハハ!!楽しい!楽しいなぁ!!」

スマイル「思い残すことのない人生とは実に素晴らしい光景だ!!!」


547: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:27:56.66 ID:AoIOJovKo

スマイル「……契約解除」

契約状態が解け、スマイルの隣にはエリックが並び立つ


エリック「良かったのですか?予想外に事が運んでしまっていますが」

スマイル「私の顔を見ろ!笑っているだろう?だからいいんだ、世の中上手くいかないことばかりだからな」

スマイル「お前もそうだったんだろう?」

エリック「……そう…ですね」

スマイル「契約破棄だ。今まで付き合わせて悪かったな」

エリック「………いえ、そんなに悪くは…無かったですよ。特にシャリーと共に3人で居る時は」

スマイル「10年以上殺人鬼に付き合って来た男の言葉がそれか?お前に人の心は無いのか?」


クックックと楽しそうに笑いながら、覚束無い手つきで生贄であった手袋を脱いだ


スマイル「契約破棄のついでに最後のお願いだ」

スマイル「どうかシャリーを見守ってやってくれ。シャリーにはお前が必要だからな」


そう言ってスマイルは契約刻印の刻まれた手袋をシャリーに向かって差し出した

次の瞬間、血飛沫が舞いスマイルの上半身が消し飛んだ


飾らない笑顔を見せた最悪の殺人鬼怪人『スマイル』は、最後の最後まで予想外の出来事に巻き込まれその生を終えた

548: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:35:23.42 ID:AoIOJovKo

視点変更:エミリー


エミリー「…何が…起こってんだよ…おい……」


突然の出来事だった

スマイルが契約者と話しているかと思えば、次の瞬間には腰から上の無い男の体が転がっていた

そして見覚えの無い男が、スマイルの手袋を我が物顔ではめていた


エミリー「お、お前…!!」

男「…………なんだ?」

エミリー「なんだじゃない!何をしやがった!!そいつは…その男は私が!!」

男「お前たちの下らない話に付き合う義理は無いのでな、邪魔だったので消しただけだ」

エミリー「ふ…ざけんなよテメー!!!」

男「勝手に吠えてろ、俺にはお前と違って大事な目的があるんだ」


男はエミリーに背を向け、呆然と立ちすくむシャリーに跪く



男「お迎えに上がりました。『シンデレラ』」



男……フレアはそう言ってシャリーの手を取った

549: ◆7m3grp2dM2 2015/05/16(土) 01:37:51.93 ID:AoIOJovKo


今日の更新はここまでです

夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました


殺人鬼の極悪人が満足に死ねるなんて許せませんよね?(ゲス顔)



それではまた、次回更新は早くて明日遅くて明後日の予定です

551: ◆7m3grp2dM2 2015/05/17(日) 23:39:55.04 ID:C1H6jl9bo
名前:『怪蟲』(樒―シキミ―)
性別:♀
種族:毒蟲?



強さ:5  大人の男が3人集まれば退治されるレベル



年齢は10歳
身長は2mくらい
甲虫の様な艶のある黒い外骨格を持ち、無数にある足の付け根に赤の斑点がある
百足の様に胴が長く足が無数にある巨大な蟲の姿をしている
強い毒を持つ樒を好んで食べることから『シキミ』と呼ばれるようになった
性格は酷く臆病で謙虚な性格であり、人間恐怖症である
見た目に反してお淑やかな大和撫子
人畜無害で穏やかで平和的な性格なのだが、その異様な容姿から人々から忌み嫌われてしまっている
元は人間であったように記憶しているが人間であった時の記憶は薄い

元はただの人間であり、魔物に捧げられた人身御供であった
9歳の時に人身御供として捧げられその時に魔物の呪いを受けて今の醜い姿となった
その姿から人々から避けられるようになり、10歳の時に退治された

契約相手である『ロフ・グリン』のことに惚れており、彼の為なら何でも受け入れられる覚悟がある
ロフに惚れている理由は『見た目で判断せずに、心が美しいと褒めてくれたから』

好きなものはロフ様と静かな場所
嫌いなものは人間(特に声が大きい人)






【特殊能力】


『怪物:毒蟲』
肉体に備わる高度な解毒能力と強力な壊死毒を持つ

552: ◆7m3grp2dM2 2015/05/17(日) 23:40:22.60 ID:C1H6jl9bo
名前:シャルロット
性別:女性
職業:なし



適応能力:15(異常)どんな者とも契約を結べる過剰適応者  
身体能力:2     年相応の子供の身体能力 
精神力:2      年相応に不安定
家系階級:2     変哲のない一般家系




年齢8歳
身長117cm
金色の柔らかい髪、緋色の瞳を持つ
素直で優しい性格で、年相応の無邪気さも見せる
スマイルの手によって過保護に育てられたため、人見知りな一面もある
しかし子供特有の強い好奇心もあり、人見知りの割に懐きやすい
2歳の時にスマイルに誘拐され、それ以降はスマイルの手によって育てられた
昔の事は何も覚えておらず、両親はいないと思っている
自らの事を育ててくれたスマイルの事を信頼しており、とても大事に思っている
スマイルと共に暮らしてきたため、笑顔と花が何よりも大好き

その実、突然変異の過剰適応者である
その適応能力はどんな異世界の者であろうと力をモノにし、何人と契約を結んでも体に支障はきたさない

好きなものはスマイルとエリック
嫌いなものはまだ知らない









【特殊能力】


『過剰適応者』
普通ではありえない適応能力を有する

554: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 20:42:14.14 ID:Jt9FM1zQo

シャルロットは目の前の現実を受け入れられず、焦点の合わない目でただスマイルの死骸を見つめていた

抵抗も無くシャルロットはフレアに抱き上げられた


エミリー「ちょっと待てお前!!そいつをどこに連れていく気だ!!」

フレア「お前にもいずれ分かるさ」

エミリー「今聞いてるんだろうが!!おいそこの執事!お前はそれでいいのかよ!!」

エリック「……シャルロット様に危害を与えるつもりはありますか?」

フレア「無い。丁重にもてなすつもりだ」

エリック「それならば構いません」

フレア「だ、そうだ。満足したか?」

エミリー「するわけねえだろ!!そいつを返せ!!」

フレア「なら、力づくで黙らせるしかないなッ!」


フレアはシャルロットをその場に立たせ、エミリーに殴りかかった

エリックの魔法とグランの筋力を得たフレアの一撃に、エミリーは身構えることも出来ずに……



イベント判定
偶数で???奇数で???

直下コンマ

555: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 20:47:34.23 ID:Jt9FM1zQ0

556: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 20:55:52.95 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:奇数 通りすがりの図書館騎士



リメロン「やらせるかッ!!」

エミリーンフレアの拳が届くその直前にリメロンのタックルがフレアを弾き飛ばす


リメロン「大丈夫エミリー!?」

トシヒサ「すまないエミリー遅れたな」


リメロンの後ろからやってきたトシヒサがエミリーを庇うようにフレアの前に立ちはだかる


フレア「またお前か……だが、都合がいい。リベンジマッチと行こうか」

リメロン「性懲りも無くまたアンタなのね、いいわよ身のほどって奴を教えてやるわ」


リメロンとフレアが睨み合い今にも戦いが始まりそうになるが、その空気を断ち切る乱入者が現れた

557: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:04:36.44 ID:Jt9FM1zQo

上空からオルトが二人の間に割って入る


フレア「邪魔するな!俺一人でも十分だ!!」

オルト「そう言う問題じゃないんスよ!兄貴はシンデレラを連れてあっちに向かってください!!」

フレア「何があった?」

オルト「なんかわけ分かんない男がアジトに来て…、今はクーが応戦してるんすけど結構ヤバい奴で大変なんスよ!!」

フレア「…分かった。時間稼ぎを頼む」

オルト「当然そのつもりっスよ!」

リメロン「勝手に決めんな!!逃がすわけないだろ!!『永遠のきせ―」

オルト「ウッシャアア!!」

リメロンに何もさせまいと我武者羅に距離を詰めてピッタリと張り付く

フレアはその間にシャルロットを抱えてどこかに向かおうとしている


リメロン「クッソ!鬱陶しい!!」

剣を振るい引き離そうとするも刃を恐れず至近距離を攻めるオルトに上手く対応しきれていない


エミリー「…………」



1、リメロンに行かせる
2、エミリーがフレアを追う

安価↓3の中で最も2桁コンマの数値が高いものを採用

558: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:05:20.75 ID:mOU+g9Mvo

561: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:18:21.70 ID:Jt9FM1zQo

>>558採用:2、エミリーがフレアを追う


エミリー「…契約執行!我が身に人の身に余る力を!!」

エミリー「私がアイツを追う!行くぞトシヒサ!!」

トシヒサ「どうか無事でな」

リメロン「それはこっちのセリフよ!頑張んなさいよ!!」

オルト「あっ!まっ――」

リメロン「よそ見してんなッ!!」

リメロンから意識を逸らしたオルトを今度はリメロンが逃さない

無事にエミリーをフレアを追わせることに成功した


オルト「クッソ…一人見逃しちまった……」

リメロン「今回は1対1よ。絶対に負けやしないわ」

オルト「……んなこた解ってるすよ。だから!死んでもお前を食い止める!!」



※戦闘が開始されます

562: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:19:09.57 ID:Jt9FM1zQo


名前:リメロン・アスバール&ナキ=カンナギ

適応能力:7  並大抵の契約相手では体調に異常をきたさない
身体能力:8  人間レベルでトップクラスの身体能力を持つ
精神力: 9  決して屈しない強靭な心を持つ

強さ:9 永遠を司る奇跡を引き起こす


総合評価:9


1-3  失敗
4-9  成功
0    クリティカル

のコンマ表を使用



特殊能力


『契約:神(龍神)』
耐久値2倍
-補正を受け付けない
戦闘補正+2


『神通力』
相手に-3の戦闘補正
相手の戦闘判定に勝ったとき、相手の-補正の数だけ追加ダメージ
クリティカルで相手は次の判定から常に2桁コンマ判定で低い方を使用する
毎ターン相手に-補正を追加する(最大-3)
相手の戦闘判定下限突破(-の数値になる、この場合失敗扱いとする)
相手との戦闘判定差が11以上の時、勝利する


『神器:鱗』
耐久値が0の時に発動

563: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:20:07.53 ID:Jt9FM1zQo

名前:オルト&ミネア


強さ:6


1    ファンブル
2-4 失敗
5-8 成功
9   成功大
0   クリティカル

のコンマ表を使用する


【特殊能力】


『契約:獣人』
耐久値+5
戦闘補正+1、成功以上で更に+1
3回連続成功以上で相手に負傷判定を追加
有利時に更に+1
相手の逃走判定に-3


『ラストワン』
不利時に戦闘補正+2
負傷時に戦闘補正+2
判定差が5以上でなければ敗北しない
戦闘判定以外の耐久値減少では敗北しない


564: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:23:07.11 ID:Jt9FM1zQo

耐久値『リメロン』:12×2=24

耐久値『オルト』:11+5=16




直下コンマ:リメロン&ナキ戦闘判定
契約 +2


↓2コンマ:オルト&ミネア戦闘判定
契約  +1
神通力 -3

565: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:24:01.96 ID:gQSkB9yho
きいいええええ

566: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:25:22.67 ID:NlhlXJb4o
ろろろ

567: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:28:07.87 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:6+2  成功

コンマ判定:7-2  成功


オルト成功で+1


8-(5+1)=2


16-2=14



『オルト』耐久値:14

568: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:35:34.41 ID:Jt9FM1zQo

リメロン「永遠の奇跡…『神留め』!」

言葉と共に奇跡が巻き起こる

周囲が一瞬で動きを鈍らせる

オルトの動きも落ちる雨粒さえも容易に目で捉えられる


リメロン「延滞現象…あんま得意じゃないんだよね」

ナキ「無駄口を叩いてる暇はない。主人の技量では6秒が精いっぱいだぞ」

リメロン「分かってる!」


話ながらも懐に潜り込みオルトの胸に剣を突き立てる…が

延滞の時間が想像以上に短く体を捻られ肌を切る程度に避けられた



直下コンマ:リメロン&ナキ戦闘判定
契約 +2


↓2コンマ:オルト&ミネア戦闘判定
契約  +1
神通力 -4

570: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:36:20.89 ID:mOU+g9Mvo
ていっ

572: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:40:42.74 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:9+2  疑似クリティカル


コンマ判定:9-3  成功


オルト成功で更に+1


10-(6-1)=3


戦闘判定勝利で追加ダメージ


14-3-4=7



『オルト』耐久値:7



『神通力』により、次回以降のフレアとオルトの戦闘判定が2桁コンマで数値が低い方を採用する

573: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:51:47.65 ID:Jt9FM1zQo

リメロン「一気に仕留めるッ!!『神風』!!」

強烈な突風が吹きあれオルトの体を建物の壁に叩きつける

リメロン「『神糸』…『神結い』…」

叩きつけられた建物壁から奇跡によって糸の様な材質に変わりオルトの体をまるで意思があるように雁字搦めに縛り上げる


リメロン「もういっちょ『神留め』!」

拘束を引きちぎられる前に時間延滞現象を引き起こす


リメロン「『神糸』の繭よ、今より神の怒りを受け入れよ!」


リメロンの持つ剣に無数の蛇が蜷局を巻き、強大な渦を巻き自らの尾を噛み一つの輪となり重なっていく

その剣を持つ右腕はいつしか白濁の巨槍と形を変える



リメロン「いざ貫け―――『神啼き』!!」



直下コンマ:リメロン&ナキ戦闘判定
契約 +2
有利 +1


↓2コンマ:オルト&ミネア戦闘判定
契約   +1
神通力  -5
不利   -1
ラストワン+2

2桁コンマで低い方を採用
 

574: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:52:21.35 ID:PYtQ10c7O
よる

575: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 21:55:19.86 ID:gQSkB9yho
まだまだ

576: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 21:59:36.45 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:5+3 成功

コンマ判定:6-3 失敗


オルト失敗により更に-1

8-(3-1)=6


7-6=1


神通力により-補正分の追加ダメージ


1-6=-5


しかしラストワンにより戦闘判定以外の耐久値減少では敗北しない

オルト負傷(大)付与

577: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:09:24.84 ID:Jt9FM1zQo

リメロンの渾身の『神啼き』は『神留め』による時間延滞が切れる直前にオルトの肉体へと突き刺さる

オルトの腹には巨大な風穴があき真後ろの建物ごと吹き飛ばされている

更に『神啼き』による奇跡の力によってその肉体は永遠に修復できない呪いがかけられた

誰の目から見てもオルトの死は確かなものである


リメロン「……はずなんだけど…!」

オルト「…………」


足取りに力は無い

目の焦点もあっていない

血が零れ続け、決して動ける肉体ではない

体を支えることすら容易ではない状態であるはずにも拘らず、オルトは血を吹きながらも言葉を発する


オルト「……死んでも…兄貴の邪魔はさせない…!」

リメロン「あ、アンタ…どうして生きてんのよ!?」

オルト「言ったっスよね……死んでもアンタを食い止めるって……」

オルト「僕はたとえ首だけになろうとも…アンタの首に食いついてやるッ!!!」


オルトの目に熱が戻り、獣の殺意をむき出しにリメロンへと襲い掛かった





直下コンマ:リメロン&ナキ戦闘判定
契約 +2
有利 +1


↓2コンマ:オルト&ミネア戦闘判定
契約   +1
神通力  -6
不利   -1
ラストワン+4
負傷   -2

2桁コンマで低い方を採用

578: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 22:12:31.10 ID:mOU+g9Mvo
そらっ

579: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 22:16:10.24 ID:Jt9FM1zQ0
a

580: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:21:13.85 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:0  クリティカル

コンマ判定:2-4 失敗(特殊)


リメロンクリティカルによって更に+3、オルト失敗によって-3



10+3-(-4-3)=20



判定差11以上によって神通力でリメロン強制勝利









581: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:29:15.55 ID:Jt9FM1zQo

リメロン「……ッ…!」


迫りくるオルトの爪を避け、体を突き飛ばす

オルトの体は肉体の半分以上を失っており異常なほど軽く、簡単に横たわった


オルト「…ハァッ…!ハァッ…!…まだ、まだ僕はやれるっスよ!」

リメロン「……『神絞め』」

起き上がろうとするオルトの四肢に地面から湧いた蛇が絡みつき、再び地面に戻って鋼鉄以上の硬度の拘束具となる


リメロン「……ねえナキ」

ナキ「余計な感傷は無用だぞ主人、この男に治療を施せば確実に我々を食い殺そうと立ち上がる」

リメロン「………そうだね。急ごうナキ、エミリーが心配」


オルトに伸ばした手を降ろし、後ろ髪を引かれながらもその場を後にした

 

583: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:35:36.92 ID:Jt9FM1zQo

視点変更:オルト



オルト「くっ…くっ!………はぁ…!」

ミネア「…もう止めろ。それ以上は無駄だ」

いつの間にかオルトの契約者であるミネアが、オルトの隣に立っていた


オルト「か、勝手に契約状態を解くなよ!」

ミネア「そんなこと出来るわけないだろう。導師であるお前が一番理解しているはずだ」

オルト「それじゃあどうし…て……」


言葉を言い切る前に理解した

何が起こっているのかを理解してしまった


オルト「うわあああああああああ!!!クソッ!!クソが!!!」

オルト「外れろ外れろ外れろおおおおおおおおおおおお!!!」


狂ったように叫びだし、暴れまわる

しかし奇跡の拘束は腕力などでは決して壊れやしない

584: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:43:23.88 ID:Jt9FM1zQo

ミネア「止めろ、血の無駄だ。せめて楽に死ね」

オルト「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だああああ!!!お前!見てないでこれを外せよ!!」

ミネア「見苦しいぞ。素直に死を受け入れるんだな」

オルト「嫌だ…!……いや……僕はまだ…生きていたい…!」

ミネア「ふん…結局お前には死ぬ気などなかったのではないか。その程度の覚悟で他の命を奪い続けたのか」

オルト「……僕はまだ兄貴と一緒に居たい…」

オルト「嫌だ……嫌だよ……置いて行かないで…!」


オルト「寒いよ……あにきぃ………僕を…一人にしないで…」


オルト「言ったじゃないっすか……もうあんな思いはしなくていいって…」


オルト「……折角…力を手に入れたのに…僕は………兄貴に何の恩も返せずに…」


ミネア「…………」

涙を流す気力すらも無く泣くオルトの姿を見て、ミネアは……





コンマ判定
5以上で………

直下コンマ


585: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 22:45:29.92 ID:mOU+g9Mvo
でやっ

586: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:52:13.23 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:2 見ていられない



ミネア「せめて最後くらいはと思っていたが、やはり駄目だな。私はお前が嫌いだ」

ミネア「戦士としての誇りも無く、命を掛ける覚悟も無く、死の間際まで現実を受け入れられない」

ミネア「貴様のような屑が何かを成しえられるはずが無かろう!!」


オルト「……兄貴…」


ミネア「ふんっ…貴様はあの男が居なければ生きていけないのか」

ミネア「もうこれ以上そんな醜い姿を私に見せるな!不愉快だ!!」


ミネアはオルトの首に手を掛け、骨を圧し折った

契約相手の導師の死によりミネアも消えていく


ミネア「………なんともつまらない場所だった。どこまでも…下らない」

ミネア「やはり人間と私は相容れない…か」


そう、最後に呟きミネアは観測世界から姿を消した

587: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 22:59:57.79 ID:Jt9FM1zQo

視点変更:エミリー



エミリー「見つけたぞッ!」

エミリーはトシヒサに担がれながらも、なんとかフレアに追いついていた

身体強化の魔法をかけていたが荷物を背負うトシヒサよりも早くなかった

トシヒサと同等以上の速度を出せていたスマイルほど、使いこなせていないのだとエミリーは予測していた

そこで勘違いしていたのだ『この男はスマイルより弱い』と


フレアはアッサリと立ち止り、エミリーと正面から向かい合う


フレア「…一人か?」

エミリー「そいつを返してもらうぞ」

フレア「……舐められたもんだな。が、丁度いい…新しい契約者の性能テストをさせてもらおう」




※戦闘が開始されます

588: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 23:08:34.64 ID:Jt9FM1zQo

名前:エミリー&ミナカミ・トシヒサ



強さ:7



1    ファンブル
2-4 失敗
6-8 成功
9   成功・大
0   クリティカル


【特殊能力】


『契約』
『導師』と『契約者』の耐久値を別々に換算する
契約者の耐久値+5
戦闘判定+2、成功以上で更に+1
負傷判定の-補正を受けない
逃走判定+3
二人分の人数補正が付く


『生贄』
捧げた生贄によって性能が変化する
現在の状態『分離契約』
これにより左目と右腕の生贄の-補正を追加
戦闘判定-1、失敗で更に-1


589: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 23:14:10.97 ID:Jt9FM1zQo
名前:フレア&グラン・レイ・キングダム&『狂乱の破壊者』


強さ:7


1    ファンブル
2-4  失敗
5-7  成功
8,9  成功大
0    クリティカル

のコンマ表を使用する


【特殊能力】


『契約:英雄』
耐久値+8
戦闘補正+1、成功以上で更に+2
-補正を2まで無効とする
有利判定時更に+1の補正
不利時、一度だけもう一度判定ができる
逃走判定+2


『アマサカノホコ』
成功大以上で戦闘判定勝利時、コンマ判定÷3の追加ダメージ



『契約(不完全):怪物』
耐久値+3
戦闘判定での失敗の-補正を消滅
成功大以上の+補正を更に+1
ファンブルを一度だけ降り直し
次回クリティカル時、次回相手の判定にだけ-5の補正



『二重契約』
3ターン毎に戦闘判定-2の補正がかかる



590: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 23:21:57.42 ID:Jt9FM1zQo
※エミリー&トシヒサは常にトシヒサがダメージを受けます





耐久値『トシヒサ』:15+5=20
耐久値『エミリー』:10


耐久値『フレア』:11+8+3=22



5ターン経過でエミリー到着




直下コンマ:エミリー&トシヒサ
戦闘判定 +2
人数補正 +1
生贄   -1


↓2コンマ:フレア&グラン&エリック
戦闘判定 +1
人数補正 -1(無効)


591: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 23:22:51.19 ID:NlhlXJb4o

592: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/18(月) 23:27:40.39 ID:Jt9FM1zQ0
a

593: ◆7m3grp2dM2 2015/05/18(月) 23:29:36.11 ID:Jt9FM1zQo

コンマ判定:9+2  疑似クリティカル

コンマ判定:9+1  疑似クリティカル



同コンマ判定


6以上でエミリー有利
5以下でフレア有利

直下コンマ




594: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/19(火) 00:22:33.55 ID:4NEy61DKO

595: ◆7m3grp2dM2 2015/05/19(火) 00:24:47.87 ID:x6ochIpLo

コンマ判定:5 フレア有利


今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました

598: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:08:45.65 ID:ZBkEWfXao

案の定風邪をひいて熱を出してしまうという大失態

しか~し!!更新再開です!!

熱なんて知るか馬鹿!!私は更新がしたいんだ!!!

体調次第でいつもより短い更新時間かもしれませんがご容赦ください


599: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:24:43.10 ID:ZBkEWfXao

フレア「分離状態での契約か、随分と手間のかかることをしてるんだな」

フレア「そんなことをして意味があるのか?」

トシヒサ「俺の体でエミリーを守れるという意味がある」

トシヒサはエミリーの前に立ち一歩も引かずにフレアの攻撃を受け切る

しかし、新たに右腕を生贄にした影響でトシヒサは動きに粗が出来ている

その一方でフレアもまた二重契約の影響で本来なら圧倒できるはずのトシヒサに攻めあぐねていた


フレア「チッ……やはり簡易契約では駄目だな」

フレア「生贄を追加だ!両目を持って行け!!」


一度目を閉じて再び開いたフレアの目にはエリックの緑色の瞳が宿っていた




【特殊能力変化】


『契約(不完全):怪物』
耐久値+3
戦闘判定での失敗の-補正を消滅
成功大以上の+補正を更に+1
ファンブルを一度だけ降り直し
自力クリティカル時、次回相手の判定にだけ-5の補正
コンマ値の上限突破

600: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:26:25.43 ID:ZBkEWfXao

直下コンマ:エミリー&トシヒサ
戦闘判定 +2
人数補正 +1
生贄   -1
不利   -1


↓2コンマ:フレア&グラン&エリック
戦闘判定 +1
人数補正 -1(無効)
有利    +2

601: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 21:28:49.53 ID:sVSurm5DO
こいこい

602: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 21:40:55.03 ID:cc1MdkA/o
低く

603: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:44:22.06 ID:ZBkEWfXao

コンマ判定:3+1 失敗

コンマ判定:3+3 成功


トシヒサ失敗で更に-1フレア成功で+2


4-1-(6+2)=-5


20-5=15


『トシヒサ』耐久値:15

604: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:52:09.66 ID:ZBkEWfXao

フレア「…おお!…これが魔力って奴か…!」

全身からエリックの青色の魔力が迸る

感覚の赴くままに魔力を込めて暴力を振るう


トシヒサ「…ッ!」

フレア「初めて汗をかいたな?魔法って奴を初めて使ってみたがコイツはすげえ」

フレア「ほら、いつまでそこの小娘に気を使ってやがる。勝つ気はないのか?」

エミリー「言わせておけばッ!」

トシヒサ「来るなッ!!」


大粒の汗をかきながらトシヒサはエミリーの行動を制止する


トシヒサ「そこで見ていろ、直ぐに終わる」




直下コンマ:エミリー&トシヒサ
戦闘判定 +2
人数補正 +1
生贄   -1
不利   -1


↓2コンマ:フレア&グラン&エリック
戦闘判定 +1
人数補正 -1(無効)
有利    +2

605: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 21:52:37.73 ID:sVSurm5DO

606: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 21:54:39.85 ID:cEfUBrq8O

607: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 21:57:04.56 ID:ZBkEWfXao

コンマ判定:3+1  失敗


コンマ判定:5+3 成功大



トシヒサ失敗で更に-1、フレア成功大で更に+5


4-1-(8+5)=10


15-10=5



トシヒサ『耐久値』:5



608: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 22:03:38.65 ID:ZBkEWfXao

フレア「直ぐに終わるってーのはこういう事かッ!!」

魔力を纏った拳の一撃がトシヒサのガードの上から叩きつぶす

身長190はあろうかという筋骨隆々の大男の太い腕が粉々に砕け、潰れたトマトのように中身を噴き出す


エミリー「トシヒサッ!!」

トシヒサ「そこで見ていろと言っただろう…問題ない…あと少しだ」

フレア「お前が死ぬまでの時間か?」

トシヒサ「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

トシヒサ「俺ではお前には勝てない、だが俺の死が俺の敗北ではない」

フレア「面白ぇじゃねえか!なら、守り切ってみろよその腕で!!」





直下コンマ:エミリー&トシヒサ
戦闘判定 +2
人数補正 +1
生贄   -1
不利   -1


↓2コンマ:フレア&グラン&エリック
戦闘判定 +1
人数補正 -1(無効)
有利    +2

609: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 22:07:49.27 ID:mMx+YOzg0
ほいう

610: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 22:08:46.05 ID:VTJ8Yw1yo
いよっ

611: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 22:12:09.51 ID:ZBkEWfXao

コンマ判定:7+1 成功


コンマ判定:5+3 成功大


トシヒサ成功で+1、フレア成功大で+5


8+1-(8+5)=4


5-4=1


『トシヒサ』耐久値:1



612: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 22:21:11.05 ID:ZBkEWfXao


フレア「……それでそいつを守っているつもりか?」

トシヒサは全身の骨を砕かれ、肉体の欠損箇所を増やしながらも仁王立ちでフレアの前に立ちはだかっていた


トシヒサ「…お前は一つ…勘違いをしているな」

トシヒサ「俺はエミリーを守るためにここに立っている。だが、俺ではエミリーを守れない」

トシヒサ「俺は善良な一般人だからな…殴られれば痛いし、骨が折れて血が出れば泣きたくなる」

トシヒサ「導師のように能力も力も持っていない」

トシヒサ「だから……俺に出来るのはここまでだ…」

トシヒサ「真のヒーローは、少し遅れてやってくるのさ」

そう呟き、トシヒサはその巨体を倒す

前のめりに倒れるその体にフレアはとどめを刺そうとしたその瞬間


足元から白い鱗の蛇が無数に出現する

間一髪でフレアはとび上がり大きく後ろに退いた


白い無数の蛇は倒れるトシヒサの体を支え、優しく地面に降ろした


613: ◆7m3grp2dM2 2015/05/21(木) 22:29:04.80 ID:ZBkEWfXao

「あ~あ~寝れば治るからって無茶しちゃって……どんだけ我慢強いのよトッシーは」

「でも、そのおかげで間に合ったんだけどね」


フレアは舌打ちをしながら憎々しげに上を見上げる

屋根の上から飛び降りた人影はマントを翻しエミリーとフレアの前に降り立つ


その右腕には永遠の神

左右で色の違う髪の毛は神と同化をした証

その姿は少し歪、しかし誰よりも頼りになる騎士の姿であった


リメロン「少し遅れたわね。決着をつけに来たよ『ギルド』のフレア」

フレア「……オルトはどうした?」

リメロン「…片付けたわ。私の手でね」

フレア「そうか………一つ、話をしないか?」


そう言ったフレアはリメロンと向き合いながら煙草に火をつけた

617: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 20:45:28.61 ID:RwLfpBPEo
視点変更:ロフ・グリン






とある町の外れの潰れた酒場の前

二つの人影がロフの前に立ちはだかった

一つは姿のつかめぬ不気味な仮面

一つは大きな布で体系を隠す暗殺者


クー「…ここから先にはいかせない」

ロフ「なら、殺すまでだ。昨日の俺と思うなよ」

クー「…随分怖い顔、その奇妙な蟲……もしかして二重契約?」

クー「あの女神と満足な契約も結べていないのに死ぬ気なの?」

ロフ「とうに命など俺の女神に捧げている。身を裂く苦痛などエールの傍に居られない恐怖に比べれば苦痛の内に入らない」

クー「狂ってるわ」

ロフ「人は皆どこかしら狂っている、ただそれを異常と認めたくないだけだ」

クー「……クスッ…その通りかもしれない」


暗殺者の少女は自分でも驚くほど、自然な笑みが零れた

618: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 20:56:11.17 ID:RwLfpBPEo

クー「…来る途中にシュウとオルトと会わなかった?」

ロフ「一人は殺した。一人は逃げられた。仲間を呼んでくると言っていたな」

ロフ「何人来ようが関係ない、俺は俺の女神を取り戻すためなら何でもする」

クー「……そう、殺したの」

クー「………ねえ人を殺すってどんな気分?」

ロフ「何とも思わない、俺にとっては『美』こそが全てだ。それ以外は滅んでもいい」

クー「…私も同じ。私もお父様意外は全て滅んでもいいと思ってる」

クー「ねえマスク、アナタはどう?」


暗殺者の質問に仮面はくつくつ喉を鳴らして笑う


マスク「死も殺人も眼中にない」

マスク「誰もがそうだ、『殺す』という結果を望んで人を殺すことはない」

マスク「『殺したその先』に欲しい物があっただけ」

マスク「青年は『自分の意味』が、少女は『自分の意義』が殺したその先に待っていた」


マスク「ならばそう、人を殺したその時の想いは――」


マスク「『歓喜の涙』であるべきだ」


619: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:04:29.53 ID:RwLfpBPEo

仮面はくつくつくつと肩を震わせて大いに笑う


マスク「今宵二人は死を分かち生を分かつ」

マスク「どちらが死んでも結果は同じ」


マスク「ここはまだ道の途中だ」



クー「…珍しく、意味の分かる事を言うのね」

クー「そうね、その通り。私が望むのはお父様の悲願の達成」

クー「それを邪魔する石ころを私が掃除しておくだけ」


クー「契約執行……貴方の顔、この奇人マスクが頂いていく」


ロフ「待たせたなシキミ、さあ踊ろうか」




※戦闘が開始されます

620: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:12:03.05 ID:RwLfpBPEo

名前:ロフ・グリン


強さ:8



1-4  失敗
6-9  成功
0    クリティカル



【特殊能力】



『契約:神』
今回は使用できない


『契約:怪物』
判定差に勝つ度に相手に負傷付与
相手の負傷による-判定が合計7以上で勝利


『身体能力』
耐久値+5
戦闘判定+2、成功以上で更に+1
負傷の-補正を受け付けない
逃走及び追撃判定+3
戦闘終了後、一日経過で負傷を回復


622: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:13:06.11 ID:RwLfpBPEo

名前:クー&マスク



強さ:6



1    ファンブル
2-4  失敗
5-9  成功
0    クリティカル

のコンマ表を使用



【特殊能力】


『契約:人間(特殊)』
耐久値+4
戦闘判定+1
合計2までの-補正を無効
戦闘判定+1
状況不利にならない
敗北を一度だけ無効にして逃走判定に移行できる



『暗殺術』
クリティカル時+3の追加補正
クリティカルで判定に勝ったとき、相手に確定で負傷を追加
ゾロ目で毎回暗殺判定を追加

623: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:17:28.32 ID:RwLfpBPEo

耐久値『ロフ』:15+5=20

耐久値『クー』:12+4=16




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1

624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:17:45.52 ID:khf+V9GqO
はん

625: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:17:58.75 ID:+IKSEb1Co
kっこ

626: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:21:22.63 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:2+2 失敗


コンマ判定:5+1 成功


ロフ失敗により更に-1


4-1-6=-3



20-3=17


『ロフ』耐久値:17

627: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:26:45.43 ID:RwLfpBPEo

先手を打ったのはクーの方であった

二重契約によって姿の変わっている相手を警戒しての牽制の一撃

ナイフを投げ、様子を見た


ロフ「………」


紙一重でナイフを避けたかのように見えたロフ、しかしナイフは深く頬を抉り血を滲ませる


クー(どういうこと?これくらいなら昨日は避けられた)

クー(昨日の毒が残っているのか…それとも……)


クー「その二重契約が想像以上に重荷?」

ロフ「かもしれないな、シキミはか弱い乙女なのだから」

ロフの言葉に顔を顰めながらも間合いを深くとって違う暗器に手を掛けた




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1

628: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:27:30.05 ID:V8g1C+dmo
でやっ

629: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:41:16.95 ID:uViAo1Mio
低く

630: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:45:20.22 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:5+2  成功


コンマ判定:5+1  成功


ロフ成功以上で更に+1



7+1-6=2


16-2=14


『クー』耐久値:14


クー負傷

631: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:51:58.33 ID:RwLfpBPEo

クーが手に握ったのは昨日ロフを屠った毒ナイフ

呼吸を読み、息を合わせてナイフを放つ

が――


ロフ「ふっ!」


一息で間を詰めナイフを放とうとした腕を掴んで握り折る

激痛でナイフを手放しながらも肉体を変形させ、甲殻類のように折られた腕を放棄する

それとほぼ同時に腰の辺りから新たな腕を創りだし自然落下するナイフを掴み、ロフの脇腹に向けて差し込む

肉を突き破る感覚、しかしそこで勝利を確信していたのはクーではなくロフであった


ロフ「そう来ると思っていた」

腹筋に力を込めナイフを引き抜けないように固定する

そのナイフを抜こうとして無理だと判断できるまでのコンマ数秒

そのほんの数秒の瞬間にロフの全身に蜷局を巻いていたシキミがクーの喉元に食いついた




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1
負傷 -1(無効)

632: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:53:31.71 ID:AvL401h8o
どりゃ

633: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 21:54:21.26 ID:uViAo1Mio
ヘーイ

634: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 21:57:58.52 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:1+2 失敗


コンマ判定:6+1 成功


ロフ失敗で更に-1


3-1-7=5


17-5=12


『ロフ』耐久値:12


635: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:05:57.20 ID:RwLfpBPEo

クー「くぅっ!」


そのシキミの行動に気付けたクーはシキミの牙を喉に掠めながらも、首を180℃仰け反らせ回避する

その仰け反った勢いで大きく飛びのき体勢を整える

クーがシキミの牙に触れた個所に触れる、その場所は黒く変色し感覚が死んでいた


クー「…毒か。昨日の仕返し?」

ロフ「勘違いするな、もともとこれが俺の戦い方だった」

ロフは歯を剥き出しにし笑いながらも、大粒の汗をかいていた
震える手で毒のナイフを引き抜く

シキミ「ロフ様!大丈夫ですか!?」

ロフ「平気だシキミ。解毒に専念してくれ」

シキミ「ですが二重契約の影響でロフ様の体が強烈な拒否反応を!」

ロフ「平気だと言っている。こんな痛みたいした問題じゃない」


クーはロフとシキミの会話で状況を冷静に分析する


クー(…毒対策も万全のつもりだったけど、どうやら予想外に二重契約の苦痛が激しい様子)

クー(……ならそれを利用しない手はない。時間をかけて甚振り殺す)


クーはまだ気づいていない、自らの体内に巡る『壊死毒』の恐ろしさを




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1
負傷 -2(無効)

636: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:06:27.23 ID:V8g1C+dmo

637: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:07:05.80 ID:AvL401h8o

639: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:11:13.41 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:3+2 成功


コンマ判定:0  クリティカル


ロフ成功以上で更に+1、クークリティカルで+6



5+1-(10+6)=-10


12-10=2


『ロフ』耐久値:2



ロフ状況不利

640: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:18:27.31 ID:RwLfpBPEo

ロフ「…くぅ…はぁ……ハァ…!」


ロフの視界が歪む

体を芯から溶かそうとする毒と、それに対抗しようとする抗毒素による身を引き裂く激痛

体温はゆうに40を超え、脳を沸騰させ思考を破壊していた


ロフ(…クソッ…視界が定まらない……)

ロフ(あともう少し耐えられれば相手にも毒が回る…)

ロフ(だが……その前に俺が堕ちてしまいそうだ…)


ふらつく足元、ふと上を見上げる

頭上には今にも振り下ろされようとしている死神の鎌を視界にとらえた




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2
不利   -1


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1
負傷 -3
有利 +1

641: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:20:02.06 ID:AvL401h8o
いよっ

642: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:24:52.76 ID:fD/No3biO

643: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:27:34.84 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:6+1 成功

コンマ判定:6-1 成功


ロフ成功以上で更に+1


7+1-5=3


14-3=11


『クー』耐久値:11

644: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:34:06.12 ID:RwLfpBPEo

苦し紛れの体当たり

普段のクーならば造作も無く捌けた筈の攻撃

しかし、クーの体は油を差し忘れたカラクリ人形のように体が思うように動かなかった


受け身すらも上手く取れず困惑しながら距離をとる

幸いながらこれを好機に責め立てるほどの余裕はロフの側には無かった


クーは衣服を脱ぎ、体を変形させて体内を開く


クー「…ッ!?」


体内は異常な変化を遂げていた

喉元から入り込んだ少量の毒の滴が体内を巡り、体内の節々を『錆』のように浸食していた

何より恐ろしいのは痛みが無かったことだった




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2
不利   -1


↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1
負傷 -4
有利 +1

645: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:34:51.02 ID:AvL401h8o
やあっ

646: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:37:35.31 ID:X1E1uN/i0
はあ!

647: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:39:49.81 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:2+1 失敗

コンマ判定:1   ファンブル

両者失敗により耐久値変動なし


ロフの判定がクーの判定を上回ったため、クーの負傷進行


状況リセット

648: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 22:45:52.21 ID:RwLfpBPEo

クー「…くっ!」


クーは慌てて肉体をそぎ落とし新たに生成していく

しかし、その浸食範囲はあまりにも大きくそぎ落とす端から新たに毒に侵されていく

その間にロフは何とか解毒を終え、体を少し休ませていた


ロフ「毒というのは恐ろしいな」

ロフ「生物であるなら種族の境目など関係なく破壊する」

ロフ「お前のような奇人であれ、毒は致命傷になりうるのだな」


ロフ「待たせたな、第2ラウンドだ。ここから先は相手の攻撃を先に受けた方が負ける」

クー「…ッ!…お前を殺してから後で体を精密に入れ替える、だから早く死ね!」


クーは肉体を閉じ解毒を後回しにしロフを殺すことを優先した




直下コンマ:ロフ&シキミ戦闘判定
身体能力 +2



↓2コンマ:クー&マスク戦闘判定
契約 +1
負傷 -5

649: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:56:17.78 ID:Lw8PiAXJO

650: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 22:57:44.64 ID:9+ZN2jt7O

651: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:01:57.58 ID:RwLfpBPEo

コンマ判定:8+2  疑似クリティカル


コンマ判定:4-4  失敗


ロフ疑似クリティカルにより更に+3、クー失敗により更に-1


10+3-(1-1)=13


11-13=-2



ロフ勝利

652: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:11:46.64 ID:RwLfpBPEo

ロフ「焦ったな暗殺者。俺の勝ちだ」

変幻自在に体を変化させ軌道を読ませないようでいて、確実に一撃で仕留めようとする意志

つまりは殺意をロフは感じ取っていた

クーの狙った場所は喉

そしてクーの狙っていたロフの喉には怪蟲の体が巻き付いていた

シキミの外骨格がナイフを弾きそれにカウンター気味に合わせた掌底がクーの鳩尾を叩いた


紙屑のように宙を舞いクーの体は吹き飛ぶ

肉体を変形させるまでも無く体内をぶちまけたその姿は、もう助からないと確信させるには十分であった


ひゅうひゅうと擦れた風を通す音がする

仰向けに倒れるクーの体が痙攣している

長年シキミと契約していたロフには、クーが何をしているのかが分かった


必死に体を起こそうとしていたのだ


しかし、シキミの壊死毒により痛みも感覚さえも消えていた

クーはやけにハッキリとした視界の中、ただ意識だけが遠のいていく



ロフ「……思ったより苦戦したな……だが…ここで立ち止まってはいられない」

ロフ「急ごうか、シキミ」

シキミ「……そう…ですね。そろそろお別れも近いのでございまするか?」

ロフ「………そうなるな」


寂しげに二人は言葉を交わし、エールの居る先へと進んだ

653: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:19:23.30 ID:RwLfpBPEo

視点変更:クー



ひゅうひゅうと喉が鳴る

こふっこふっと小さく咽た


クー「あ……あー……あー…」


何とか声も出るようになった

ただ、指一本も動かせなかった

ピクリともしない瞼

本来それに隠される眼球がずっと世界を見つめている

その世界に笑う道化の仮面がポツリと浮かんでいた

契約状態が解除され、もうすぐ死ぬんだと理解した

654: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:26:22.77 ID:RwLfpBPEo

クー「……アナタは誰?」


私は何時かの様に目の前に仮面に問うた



マスク「僕は僕。貌の無い仮面。笑う顔無し」

マスク「そう言う君は誰?」

クー「私は……私は……」


誰だっけ?

小さいころからお父さんらしき人やお母さんらしき人から『クー』と呼ばれていた

それが居なくなってから、ギルドに来てからも『クー』と呼ばれていた

パウエルお父様に引き取られてから、フレアさんに人の殺し方と導師としての知識と技術を貰った

そして初めての契約でこの仮面を異世界から招いた

名前が無いと面倒だからと、私が『マスク』と呼び始めたんだ


655: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:33:10.30 ID:RwLfpBPEo

今から振り返れば私は流されるままに生きてきた

生まれた家は、貧しい農家だった

皆が頑張っているから、私も頑張って農作業を手伝った

村が飢饉に襲われたとき、家族みんなが自分たちの分も食べてと私だけに食べ物をくれた

だから、私だけがあの村で生き残った

それからパウエルお父様に拾われて、養子に迎え入れられた

『もうこんな悲劇を繰り返させない』とお父様が言うからそれに協力してあげようと思った

お父様が必要だというから暗殺術と導師の技術を学んだ

ずっとずっと、周りに流されてそれを受け入れて生きてきた


だからかな、今にも死が迫ってきているのに『ああ、そうか』と納得してしまうのは


眼球を乾かすまいと涙腺から涙があふれた

気とこれはただの生理現象で、感情の高ぶりなんかじゃないだろう


656: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:37:29.21 ID:RwLfpBPEo

ずっとずっと、流されるままに生きてきた

どうせ今から死ぬんだから、自分から何かをしてみようか?


クー「…ねえ……マスク……私、何をすればいいかな?」


その自分の言葉にハッとする

自分から何かをするために何をすればいいのか人に聞いてしまった

滑稽すぎて笑えてきた

上手く笑えないけれど


マスク「クスクスクス……何でもすればいい、出来る限り協力してあげる」

クー「………それじゃあ…」



1、「アナタの素顔を見せて」
2、「生きたい」
3、「……キス…とか?」
4、自由安価

安価↓3の中で最も2桁コンマの数値が高いものを採用

657: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 23:47:56.21 ID:V8g1C+dmo
1

658: ◆7m3grp2dM2 2015/05/24(日) 23:56:38.24 ID:RwLfpBPEo

>>657採用:1



色々としてみたいと考えていたことはあったような気がする

暗殺のターゲットの下調べで街を歩いたときに、美味しそうな食べ物はいっぱいあった気がする

本で見たような綺麗な服を着てみたいと思ったこともある気がする

恋愛?なるものを経験してみたいと思ったこともあった気がする

でも、どれもこれもまあいいかで片付けてきたものばかりだ

どれもこれもお父様に頼まれた仕事の方が大事だったように思う

だけど、そんな仕事の中でもずっと思っていたことがあった



クー「…アナタの素顔を見せて」

マスク「………」

クー「最後くらい、見せても罰は当たらないんじゃない?」

マスク「…クスクスクス……誰にも言っちゃダメだよ?」


そう言って、マスクは仮面を取った

659: ◆7m3grp2dM2 2015/05/25(月) 00:04:51.23 ID:ZdGDRGkso

マスクの仮面の下の素顔は、自分のよく知る顔だった


クー「……私の顔じゃなくて、アナタの素顔を見せて」

マスク「クスクスクス……君には君の顔に見える」

マスク「私は君。僕は僕。俺は顔の無い仮面。仮面の下には無貌の仮面が張り付いている」


まただ、また意味の分からない言葉で逃げられそうになる

それは嫌だ

ここまで来たら、なんとしてでもその素顔を暴いてやりたい気持ちになった


クー「……仮面……顔の無い仮面……仮面の下もまた仮面」

自分で羅列してみてもサッパリわからない

その私の様子を見てマスクは楽しそうに肩を震わせる


マスク「クスクスクス……たくさんの顔を奪ってきた、アナタも君もお前も貴様も」

マスク「僕には君は君に見える。君には僕が君に見える」

クー「…………」



コンマ判定
5以上で閃き

直下コンマ

660: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/25(月) 00:06:46.57 ID:+bs4P1lYo

661: ◆7m3grp2dM2 2015/05/25(月) 00:16:57.92 ID:ZdGDRGkso

コンマ判定:7  閃く


クー「………『鏡』」

ポツリと口をついた言葉

『鏡』には私は私にしか見えないし、私には『鏡』は私にしか見えない

自分でも驚きそうになるくらいの閃きだった

…でも顔を奪うだけが良く分からない


マスク「クスクスクス……半分当たりで半分不正解」

クー「……そう、でもなんだかスッキリした」


心に爽やかな風が通り抜けるのを感じた

視界が白んでいき、風景が霞んでいく

音も感覚も何もかもが希薄になっていく

薄れゆく意識の中、視界の顔が自分に近づく


マスク「……だから、これで最後だ」

マスク「さようなら、クー。お疲れ様」


聞いたことのないけれど、どこか安心する男の人の声が耳元で囁く


マスク「僕の名前は――――――」

耳元で小さく囁かれる

なんだ、名前があるのならさっさと名乗れば楽だったのに

最後の最後、そう思いながらも自然に口の端が歪んだ


マスク「君の顔、頂いていくよ」


マスクの両の掌が自分の頬を包み込み

そこで意識を手放した


666: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 21:35:57.30 ID:sBsWtSURo

視点変更:リメロン・アスバール



目の前の男、フレアが戦闘の構えを解き突然煙草に火をつけ始めた

雨が降っているせいか何本かマッチを無駄にしてしまっていた

深く長い煙を吐き、漸く二言目を発した


フレア「言い忘れてた、俺が話したいのはそこの騎士様だけだ。お前はもう帰っていいぞ」

エミリー「…は、はあ!?そこのガキを返してもらうまで帰れるわけないだろ!!」

フレア「お前一人で何ができる。ただでさえ相方の枷にしかなっていない、なりそこないの導師だろうが」

リメロン「……悪いけど私からもお願いするわ。戦いになった時足手まといが居ると困るから」

エミリー「あ、アンタまで……!」


エミリーは悔しそうに唇を噛みきつく目を瞑ると、やがて決心をしたように倒れるトシヒサを担ぎ起こす

右手にしか契約の力が及んでいないせいか、トシヒサを引きずる形になっている


リメロン「キツイ事言ってごめんね。心配しないでこの私が責任を以てこの事件を終わらせて、そこで寝てる女の子も連れて帰るから」

エミリー「………私は…どこまでも…クソッ……」


遅い足取りで背中を見せて歩いていくエミリーにフレアは何かをする様子はなかった

どうやら本当に話をつもりのようだ

667: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 21:52:43.23 ID:sBsWtSURo

リメロン「……アンタ、エミリーを逃がしてもよかったの?」

フレア「別に構わない。アイツではどうせ何もできないだろうからな。それに、これからする話には貴族以外の人間が居るとちと不公平だと思ってな」

リメロン「……で、話って何?」

フレア「一言でいえば『和平』の願い出だ」

リメロン「はあ!?こ、ここまで来てアンタ何言ってるの!?」

フレア「真面目な話だ。正直に言ってお前は強い、下手をすればお前だけで俺達組織が潰されかねない」

フレア「だからこその『和平』だ。勿論タダでとは言わねーよ」


フレア「お前には俺達がこれから起こそうとしていることについて話しておきたい。その上で判断するといい」



リメロン「………どうしようナキ?」


リメロンは怪訝な顔つきで眉を顰め、ナキに小さな声で相談を始めた



668: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 22:01:47.57 ID:sBsWtSURo

ナキ「今までと打って変わって嫌に理性的な態度だ。が、しかし奴らの起こそうとしていることに興味はある」

リメロン「でもこれただの時間稼ぎかも」

ナキ「あるやもしれん。だが、結局はそこで気絶している『シンデレラ』なる少女が居なければ奴らの目的は果たせないのだろう?」

ナキ「実は良い奴らという戦も0ではない、聞いてみてはどうだ?」

リメロン「良い奴らってことはあり得ないと思うけど……でも、そうだね聞くだけ聞いてみようかな」


フレア「話は纏まったかよ?」

リメロン「…ええ、聞くだけ聞いてあげる。さっさと話しなさい」

フレア「ありがとよ騎士様。それじゃあ話そう、我々の目的を」


フレア「俺達ギルド…正確には『パウエル・ヴィエッタ』を中心としたギルドメンバーはある目的を以て行動をしてきた」

フレア「元々『ギルド』って組織は図書館襲って知識を得て、『神』と契約をしようって言う集団だ。その理由は……」

リメロン「もう知っているわ。複数の神の奇跡を用いての『世界改変』及び『世界征服』なんかが望みなんでしょ?」

フレア「そうか、そんだけ知ってるなら前置きはいらねーな」




フレア「我々パウエル派のギルドは『平等』の世界を作ることが目的だ」



669: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 22:18:42.76 ID:sBsWtSURo

リメロン「平等の世界…ねえ、随分胡散臭いこと言うじゃない。悪徳宗教の常套文句ね」

フレア「では聞くが、お前はこの家系至上主義の超格差社会をいいと思っているのか?」

リメロン「……それは……う~ん……悪くもあるし良くもある気がするけど」


フレア「この世界は本来『観測者世界』と呼ばれる情報中心の社会だ」

フレア「だというのに情報という情報を図書館に押し込め、それらの知識を貴族にしか与えない」

リメロン「べ、別に一般人だって図書館の立ち入りは禁止されていないじゃない」

フレア「この町もそうだが、多くの場所で一般市民には算術以外の学問を教えていない。そもそも文字をまともに読めない一般人ばかりだ」

フレア「それは何故か、全てその土地を治政する貴族がそう決めたからだ。教養を得るには多額の財が必要となる」

フレア「禁止していないと言いながら、貴族以外の多くの市民から情報を取り上げている」

フレア「それ以外にもこの『観測者世界』特有の力『契約』に関してもそうだ」

フレア「本当は少しの素養と、知識と技術を学べば誰にでも扱える契約の力を貴族だけが独占している」

リメロン「…それは『契約』の力は強力すぎるから、どこかで制限を掛けて置かなければ大きな混乱を生むはず」

フレア「ふん、貴族は皆そう建前を言うな。本音はこうだ『自分が優位に立ちたい』ただそれだけだ」


フレア「それだけではない、市民には武器の開発さらには兵器の開発すら固く禁じられている」

フレア「それも当然貴族だけが強くありたいからだ」

フレア「お前はおかしいと思わないのか?間違っているとは思わないか?」


フレア「俺は思った、間違っていると。だから貴族という自分の地位を投げ捨てこのギルドに身を置いた」



670: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 22:35:09.30 ID:sBsWtSURo

フレア「俺は……我々はこの世界の本来あるべき姿を取り戻すことが目的だ」

フレア「革命を起こす。この貴族中心の腐った制度の全てを破壊し、世界の真実を白日の下に晒す」

フレア「そして、貴族だから平民だからではなく誰でも契約の力を使える世界に書き換える」

フレア「異世界の力に溢れたこの世界は、もっともっと遥か高みへと上り詰められるだろうさ」

フレア「どうだ、お前もそんな世界が良いとは思わないか?」

リメロン「………」


リメロンは頭の中でフレアの言葉を反復し吟味する



リメロン(アイツの言っていることのほぼ全てが本当の事だ)

リメロン(貴族が知識を独占するために『教養を得ること』に制限を設け、貴族が力を示すために『契約の力』を独占している)

リメロン(この世界中に住む1割ほどしかいない貴族だけが『観測者世界』の恩恵を受けている)

リメロン(貴族も平民も誰もが皆『そういうものだから』と目を逸らし続けてきた問題)

リメロン(貴族は今の自分の地位を手放したくないから、平民は自分では無理だと納得しておきたいから、お互いが自分を守るために目を逸らし続けてきた問題)

リメロン(それをアイツらは破壊しようとしている)


671: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 22:51:06.65 ID:sBsWtSURo

リメロン(一見、アイツのいう事は人々を想う正義の思想のようにも思える)

リメロン(けれど、本当にそれが正しいのかな?)

リメロン(世界は平和だ、何処を見渡してもちょっとした諍いはあっても戦争はここ100年ほど起きていない)

リメロン(それは一重に私達貴族の治政のおかげに他ならない)

リメロン(私達貴族にだってルールはある、導師による犯罪行為は厳罰に処断されるし、そんな悪から人々を守るために騎士が居る)

リメロン(誰もが同じ力を持っているから誰もが平等、そんな単純な話じゃない)

リメロン(私みたいに貧乏貴族が居るように、貴族の間にも導師の間にすら『格差』はあるんだ)

リメロン(それをこの男は理解しているのだろうか?)


リメロン「…質問があるわ」

フレア「なんだ?」

リメロン「これから話すことは多分、貴族贔屓の考え方と捉え方だと思う」

リメロン「私は生まれてからずっと貴族で導師だったからね、それ以外の視点で考えろという方が無理な話」

リメロン「だけど、アナタは平等を以てそれを成そうとしているんだから、こっちの話にも耳を傾けてくれるわよね?」

フレア「貴族の詭弁なんか聞き飽きたんだが……今は和平交渉中、平等にそっちの意見も聞こうか」


フレアは二本目の煙草に火をつけ、リメロンの話に耳を傾けた

672: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 23:18:31.54 ID:sBsWtSURo

リメロン「現在の格差の世界。不平等ではあるけど公平ではあると思っているわ」

リメロン「貴族はありとあらゆる異世界の情報を経て、長い年月をかけて規律を作り秩序を以てこの世界を平和に治めることに成功している」

リメロン「今の階級の制度を廃止して、世界はどうなると思っているの?」

フレア「大混乱が起こるだろうな」

リメロン「…それは、分かっているのね。それで、どうやってこの世界を平和に治めるつもりなの?」

フレア「『シンデレラ』……と言うべきなんだろうが、そんなことに興味はない」

リメロン「は?」

フレア「この世界に革命を起こす張本人であり、神と契約をした『シンデレラ』こそ新たな世界の頂点に相応しいとは思うが、俺自身はそんなもの必要ないと思っている」

フレア「大混乱が起き、契約の力を以て誰かが律しようと躍起になるだろう。この革命は多くの争いの火種となる」

フレア「そんで、その争いに勝った者達がなんとか新たに国でも作って頑張るだろうさ」

リメロン「……あ、アンタ…自分の言ってること分かってる?平等とは程遠い今以上の格差の世界の実力至上主義の世界になるって事じゃない」

フレア「俺はそう言ってんだよ」

リメロン「あ、アンタねぇ…さっきまで平等の世界にするって言ってたでしょーが!」

フレア「言ったさ。不当な格差を破壊して平等の世界にするんだよ。誰もが力を得られ、本当に強き者だけが生き残れる世界だ」

リメロン「……それが、アンタの言う平等の世界って事?」

フレア「…………俺はそう思っている。いや、そうなることを願ってるって感じだ」

フレア「うちの御大のパウエル・ヴィエッタは今の平和のまま、異世界の力に溢れる素晴らしい世界になると本気で信じているがな」

リメロン「……アンタんとこも、一枚岩じゃないって事か」


673: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 23:36:05.04 ID:sBsWtSURo

ナキ「……しかし解せぬな、先ほどまでの建前の平等を語ればよかったモノを何故和平交渉の場でそのようなことを話しはじめた?」

フレア「そこの騎士様は頭が良い。俺達が起こそうとしている革命の裏に大きな歪みが生じることを一発で見破りやがった」

フレア「だから俺にその矛盾と歪みを突きつけるためにそっちから話を振って来たんだろう?質問の内容もそのまんま誘ってるのが見え見えだ」

フレア「だから……有体に言えば面倒くさくなったんだよ」

フレア「嘘をつくのは疲れるからな、真に平和で平等な世界なんてお花畑な思想…反吐が出る」

フレア「そんなアホな事を俺が思っていると思われる方が耐えられなかった」

フレア「俺は導師でもねーくせに権力を立てに持つ偉そうな雑魚の無能が、人々の上に立っているという事実がこの世の何より許せないからこの革命の計画に乗ったんだ」

フレア「……それと、そうだな…その騎士様は強い。多分俺よりも」

フレア「だからこそ、パウエル・ヴィエッタの平和思想じゃなく俺の実力主義の思想の方が説得しやすそうだと希望を持って話したんだが……どちらにせよ無駄だったようだな」

はぁ…と額に手を当て疲れたようにリメロンがため息を吐く

リメロン「…アンタが本当にアレで平等が成り立つなんて考えてるようだから根こそぎ論破してやろーと思ったのに、全部無駄になっちゃったわね」

フレア「そいつは良かった。俺は我慢弱いからな、和平なんか忘れて食って掛かってただろうさ」


フレアは先ほどまでの取り繕っていた雰囲気が取り払われ、皮肉っぽく自然に笑った


674: ◆7m3grp2dM2 2015/05/27(水) 23:48:34.94 ID:sBsWtSURo

いつ契約状態を解除したのかフレアの隣には契約者と思われる髭面の大男が立っていた


グラン「おいおいお前さん、折角の交渉の場だろうが。勿体ない事をするな」

フレア「知ってんだろ、俺はこういう手回しとか回りくどいのは嫌いなんだよ」

グラン「やれやれ……お前さんの様な中途半端に忠実で中途半端に頭が良い行動力のある部下が一番困るわ!」

グラン「もしもお前さんが俺の部下だったら即殺しておったわ!!」

グラン「ククククク…だがしかし、お前さんはやはり面白いな。三下小悪党の癖に行動が真っ直ぐで憎み切れん」

フレア「だ~れが三下だ」

グラン「小悪党であることは否定せんのだな」

フレア「事実だから否定できないんだよ」

グラン「クハハハハ!そうだろうさ、お前さんは色々考えてるようでいてその実何も考えていない」

グラン「知略を巡らせる悪党ではなく、他人を利用し蜜を吸う小悪党の名が相応しいわ!」

フレア「俺はただ平和に飽き飽きしてんだよ。この世界でグズグズに腐っていくくらいなら暴力を以て死に望みたい」

グラン「そのようなことを口にするな、生粋の武人でもあるまいに。折角の小悪党が台無しだぞ?」

フレア「…ったく…言いたい放題言ってくれるぜ…」


そう言ってフレアは二本目の煙草を地面に落とし、踏みつぶした


675: ◆7m3grp2dM2 2015/05/28(木) 00:01:36.55 ID:CzugdRk7o

フレア「そんで?こんなんなっちまったが、一応返答を聞いておくぜ」

フレア「俺達の革命に手を貸す気はないか?」

リメロン「……その前に、もう一つ質問よ」

フレア「なんだ?」

リメロン「ここ最近起きていた一般人が契約の力を使ってしまって暴走をする事件。貴方達が主犯なのよね?」

フレア「その通りだ」

リメロン「………アナタとそのパウエルとかいう奴は、その行為に迷いはなかったの?」

フレア「無いな。俺達は狂人だ、俺は馬鹿な人間がどう死のうが興味はねぇ」

フレア「御大は目的の為なら手段を選ばねー。例え自分の望む理想と相反する犯罪を犯していようとな」

リメロン「それを聞いて安心したわ…これで何の愁いも無くお前らを完膚なきまでに叩きのめせる!」

リメロンは牙を剥き出しにし獲物を前にした獣のように笑った


フレア「ハハッ…その顔、女の子がしていい顔じゃねぇぜ」

フレアは頬をひきつらせつつも、好戦的なまなざしを返す

676: ◆7m3grp2dM2 2015/05/28(木) 00:05:43.69 ID:CzugdRk7o

フレア「和平交渉は失敗……だが、別に構いはしねえ」

フレア「俺だってなぁ…同じ奴に二度も負けてやるわけにはいかねーんだよ!!」



フレア「……俺だって…二度も負けてやるわけにはいかねーんだどんな代償を払ってでもお前を殺すぜ!!」

フレア「追加生贄だ!グラン!好きなもんなんでも持ってけ!!」

グラン「この俺になんでもとは命知らずだな!それならば、契約中のお前の体の主導権を頂いてゆこう!!」

フレア「契約成立だ!くれてやるぜ、俺の体の主導権全部」

フレア「更に追加だ。手袋に宿る怪物よ、俺の心臓も持って行け!!」



フレア「契約執行!!我が身を滅ぼす異世界の智勇よ、この俺に勝利をもたらせ!!」



手袋をした腕を掲げると同時に、強烈な魔力の奔流がオーラのように溢れだす

その瞳にはギラついた闘志が宿る、戦いに身を置く武人の眼差しが強烈な威圧感を放っていた

677: ◆7m3grp2dM2 2015/05/28(木) 00:10:50.17 ID:CzugdRk7o
※書き直したの消してなくて同じことに回言ってますが気にしないで下さい。キメのシーンなのにメッチャ恥ずかしい…



ナキ「…随分やる気のようだな。しかもかなりの力を引き出している」

ナキ「火事場の馬鹿力という奴か。……お主はどうする?」

リメロン「う~ん…このままじゃあ負けそうかな?」

ナキ「拮抗している、と言ったところか。恐らくは我々の方が強い」

ナキ「だが、宣言通り完膚なきまでに倒すのはちと苦労するな」

リメロン「………」



1、追加生贄
2、このまま戦闘開始

安価↓1

678: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/28(木) 00:12:01.99 ID:7xC1Pu5Fo
1

679: ◆7m3grp2dM2 2015/05/28(木) 00:24:53.67 ID:CzugdRk7o

>>678採用:1、追加生贄



リメロン「ま、こういうのは勢いだよね!」

リメロン「ナキなら何を生贄にしても大丈夫って気がするし」

ナキ「おいおい、本当に良いのか?」

リメロン「いいのいいの、昔ナキが言ってたじゃない『私の味方は一人だけだ』って」

リメロン「今ならそれが誰だか分かるよ。きっと私がナキと初めて契約を結んだ時もこんな気持ちだったんだろうなって気がするんだ」


リメロン「私の全身を生贄と捧げる!!」

ナキ「…やれやれ……お主は本当に愚か者だな…」

リメロン「それに付き合ってくれるのはナキだけだよ♪」


リメロン「契約執行!我が身に永遠を纏いし龍神の奇跡を!!」


右半分だけが白く染まっていた体が、もう半分を白に染める

純白の髪をたなびかせ、陶器の様な白い肌に纏う神秘は降り注ぐ雨粒すらも通さない



リメロン「永遠に超えられない壁があるって事、教えてやるよ」



※戦闘が開始されます

682: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 20:33:01.77 ID:LcNGBbGBo

【戦闘能力】

名前:リメロン・アスバール&ナキ=カンナギ

適応能力:7  並大抵の契約相手では体調に異常をきたさない
身体能力:8  人間レベルでトップクラスの身体能力を持つ
精神力: 9  決して屈しない強靭な心を持つ

強さ:9 永遠を司る奇跡を引き起こす


総合評価:9


1-3  失敗
4-8  成功
9、0  クリティカル

のコンマ表を使用



特殊能力


『契約:神(龍神)』
耐久値2倍
-補正を受け付けない
自分より強さが下の相手の能力を受け付けない
戦闘補正+3



『神通力』
相手に-3の戦闘補正
相手の戦闘判定に勝ったとき、相手の-補正の数だけ追加ダメージ
クリティカルで相手は次の判定から常に2桁コンマ判定で低い方を使用する
毎ターン相手に-補正を追加する(最大-3)
相手の戦闘判定下限突破(-の数値になる、この場合失敗扱いとする)
相手との戦闘判定差が11以上の時、勝利する


『神器:鱗』
耐久値が0の時に発動

683: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 20:38:10.08 ID:LcNGBbGBo

名前:フレア&グラン・レイ・キングダム&『狂乱の破壊者』


強さ:8


1    ファンブル
2-4  失敗
5-9  成功大
0    クリティカル

のコンマ表を使用する



【特殊能力】


『契約:英雄&怪物』
耐久値+10
戦闘補正+2、成功以上で更に+2
-3以下の-補正を受けない
負傷状態にならない
戦闘判定以外のダメージを3まで軽減
自力クリティカルで次回の自分のコンマを2桁コンマを足した数値にする



『二重契約』
3ターン毎に戦闘判定-3の補正がかかる

684: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 20:41:26.62 ID:LcNGBbGBo

『リメロン』耐久値:12×2=24

『フレア』耐久値:11+10=21





直下コンマ:リメロン戦闘判定
契約 +3


↓2コンマ:フレア戦闘判定
契約 +2
神通力 -3(無効)

685: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 20:41:54.78 ID:nHqrLF/2o
いよっ

686: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 20:42:24.83 ID:XP7LwFpSO

687: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 20:46:22.49 ID:LcNGBbGBo

コンマ判定:8+3 疑似クリティカル


コンマ判定:3+2 成功大


リメロン疑似クリティカルで更に+2、フレア成功大で更に+4


11+2-(5+4)=4


21-4=17


神通力により更に-3


『フレア』耐久値:14



リメロンの神通力により次回以降のフレアのコンマ判定を2桁コンマで低い方を採用させる

688: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 20:58:23.90 ID:LcNGBbGBo

フレア「クハハハハ!!いいぞ!血が滾る!!俺の生身より遥かに体が軽いぞ!!」

先ほどまでとは全く違うフレアの口調

肉体の全ての支配権をグランに渡したため、今は言葉を話す権利もグランの物だからだ


フレア「どおれ、まずは試運転だッ!!」

一歩の踏み込みで地面を陥没させ、舗装された道を踏み砕く

瞬間移動とも思えるほどの異常な速度を以てリメロンの背後を取る

普通の人であればあまりの速さに行動が追い付かないであろう

しかし―――


リメロン「へえ、まあまあ早いね。なら先ずはそれを縛る」

リメロン「『神能・纏い』。これより先は超低速の世界に変化した」

リメロン「結果へとたどり着けない永遠の『停滞』だ」




直下コンマ:リメロン戦闘判定
契約 +3


↓2コンマ:フレア戦闘判定
契約 +2
神通力 -4

689: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 20:59:11.69 ID:nHqrLF/2o
おりゃ

690: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 21:00:51.74 ID:b+sB47Ojo
ppp

691: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:05:04.01 ID:LcNGBbGBo

コンマ判定:9+3 クリティカル

コンマ判定:4-2 失敗


リメロンクリティカルで更に+3、フレア失敗で更に-1


10+3-(2-1)=12


判定差11以上の為リメロン勝利



695: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:16:33.26 ID:LcNGBbGBo

雨粒が静止しその一つ一つに風景が映し出される

音すら届かない静止の世界でたった二つ動く影

ゆっくりとリメロンに向かって放たれた拳、目にも止まらぬその拳は冗談のようなスローモーションでリメロンに受け止められる


リメロン「凄いなあ、人間の底力って奴かな?それとも魔法が凄いのかな?」

リメロン「雨すら動いていないように見えるこの『停滞』の世界でこんなに動けるなんて」

リメロン「ねえ、アンタにはこの世界がどんな風に見えてるの?」

ナキ「主よ、音すらも届かないと説明したばかりだろう?」

リメロン「ああ、そっかそっか…それじゃあ質問しても意味ないのか」

深く息を吐き、辺りを見渡す


リメロン「『神能』か、これがナキ本来の神通力なんだね」

ナキ「そういうことだ。ただの時間延滞とはわけが違う。この世全ての『進行』を遅らせている」

ナキ「これを乗り越えられる速度など存在しない」

リメロン「動作自体の進行と時間の進みを遅らせる二重の縛りってわけか。それであれだけ動けたなら褒めてあげるべきかな」


696: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:32:01.20 ID:LcNGBbGBo

リメロン「ただちょっと残念なのは、思ったよりも強すぎて戦いにならないね」

ナキ「これが本来の神の奇跡だということだ。私程度の格の低い神ですらこれだ、もっと格上の神はこんな程度ではない」

リメロン「ふ~ん…アイツらはその格上の神と契約しようって言ってるんだし、ここで終わらせておこうか」


リメロン「『神能・縛り』」

巨大な白い二対の蛇が空中で制したままのフレアの体に絡みつき拘束する

拘束が完了したことを確認し、『停滞』の世界の進行を元に戻す


フレア「なっ!?い、何時のまに!?」

リメロン「こっちからすれば、もう数十秒も経った気分なんだけどね」


リメロン「終わらせようか、フレア。神の奇跡をその身に刻め」


リメロンが振り上げた剣に雷が落ちる

ナキの鱗によってリメロンの体には触れずに剣だけに雷が集中する

雷を纏った剣に白い蛇が蜷局を撒いていく

その間にも雷は降り続け、まるで空が泣き叫んでいるかのような光景だった



リメロン「変化を求め続けるのは悪くない思想だと思うよ」

リメロン「でも、それで関係ない人を巻き込み過ぎるのは頂けない」

リメロン「お前は悪だ、故に騎士である私が裁かなければならない」


リメロン「『神能・慟哭』」



リメロン「『永遠』に終わり続ける地獄こそ、お前にはふさわしい」



強烈な光と神の怒りを体現したかのような轟音がフレアの体を貫く

その肉体からは声を発する事すら許さず、白濁とした光の渦に飲み込まれ消滅した


697: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:35:23.10 ID:LcNGBbGBo

リメロン「さて、下っ端も片付けたことだし大将を片付けに行きますか」

ナキ「まて主よ、一つ忘れてはいまいか?」

そう言ってナキが顔を向けた先には倒れた雨に濡れる少女


リメロン「ああヤバいヤバい!先にエミリーに届けに行かないと!!」

少女を優しく抱き上げ、記憶を頼りにエミリーの住む場所へと向かった


698: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:43:38.85 ID:LcNGBbGBo

視点変更:ロフ・グリン


とある潰れた酒場

その地下には巨大な空洞が存在した

暗い暗い階段を降りると、その先には巨大な祭壇の様なものが作り上げられていた


その祭壇の上には杖を持った老人とロフの探し求めた女神が居た


ロフ「迎えに来たよ、俺の女神」

エール「ロフ様!!」

涙目で叫ぶ女神は鎖で繋がれ、十字架のようなモノに磔にされていた


エール「ご、ごめんなさい!本来の力が出せないことを忘れててこんな有り様に!!」

ロフ「いいんだ、君は悪くない。全ては俺の責任だ」

エール「ロフ様…!………ところでなんだか顔色が?それに何やら蟲のような姿が見えるのですが?」

ロフ「これは俺の契約相手の『シキミ』だ」

エール「ええ!?わ、私は捨てられてしまったのですか!?」

ロフ「違う、そうじゃない」

エール「それでは浮気ですか!?」

ロフ「勘違いしないでくれ、俺はいつも君一筋だ」

シキミ「…………あのう、ロフ様。話はそこまでにしておいた方が良いのではありませぬか?」

怖々とシキミがロフに耳打ちする

シキミの視線の先には豪快に咳払いをして注意を向けようとする老人の姿があった


699: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 21:58:41.63 ID:LcNGBbGBo

ロフ「…チッ…そうだったね。醜いものはなるべく視界に入れたくなかったんだが…避けては通れないか」

パウエル「ゴホンゴホン!…そこのお前、クーはどうした?」

ロフ「クー?誰だか分からないが邪魔する奴らはすべて排除した」

パウエル「そうか、やられたか。あ奴らにも私の理想郷を見せてやりたかったのだがな……」

ロフ「理想郷…か。俺の女神を侍らすことが出来るのならそれは確かに理想郷だろう」

パウエル「ロフ…ロフ・グリン。愚かだな、我々の目的はその程度のモノではないのだ」


パウエル「このエールの奇跡を使えば世界は思うが儘だ!」

パウエル「私は基本世界の神々の力を統合した『シンデレラ』をこの世の頂点とし、腐りきったこの世界を生まれ変わらせる!!」

パウエル「生まれによっての差別の無い『真に平等の世界』を作り上げる!!」

パウエル「誰もが契約の力を使え、誰もが知識を得る権利を持った豊かな世界に生まれ変わる」

パウエル「何の差別も無い、互いが切磋琢磨し合える美しい世界だ!!」

パウエル「異世界の力に溢れるこの世界は新たなステージへと上り詰める…」

パウエル「どうだ、君もそんな世界が良いとは思わないか?君も生まれが原因で苦労しただろう?」


ロフ「………」

700: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:10:52.44 ID:LcNGBbGBo

シキミ「ロフ様…」

ロフの過去を知っているが故に、黙りこむロフを心配そうな瞳で見つめるシキミ

そのシキミの頭をロフは優しく撫でた


ロフ「確かに…な。誰もが平等に平等の力が使える世界ならば、導師としての素質が無かった俺も落ちこぼれと冷たい視線にさらされることも無かっただろう」

ロフ「上流階級ゆえに俺は差別を受け続けた。家族は皆、心の中では俺を家族と認めていなかっただろう」

ロフ「俺は昔から変わり者だった、兄や弟の様に導師として優れた才能も無く、経営の才能も無かった。交渉術すら身につかなかった」

ロフ「家族が求めたもの全て、俺は持ってはいなかった」

ロフ「ずっと友だと思っていた男にも裏切られた。お前たちが俺の似顔絵を持っていたのもそれが理由だろう?」

パウエル「そうだ、ユーリ君はあっさり君を売ってくれたよ」

ロフ「…そうか、そうだろうな。きっとアイツも内心では俺の事を友だと思ってはいなかったんだろうな」

パウエル「どれもこれも、全て君の身分の所為だとは思わないか?格差が存在するから、君は謂れなき差別を受けてきたのだ」

ロフ「そうだろうな」



ロフ「だが、そんなことはどうだっていい」



701: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:18:59.21 ID:LcNGBbGBo

ロフ「格差だとか、俺が落ちこぼれだとか、家族の誰からも認められていなかろうが」

ロフ「そんなものどうだっていい」

ロフ「俺の人生に何の影響も及ぼさない些事だ」

パウエル「ほ、本気でそう思っているのか!?強がらなくてもいい、君は――」

ロフ「勘違いするな、これが俺の本心だ」


力強く、ロフは言葉をつづけた


ロフ「俺はもう満たされた」

ロフ「エールという俺が探し求めた究極の『美』と出会えたんだ。だからもう、それ以外の出来事はオマケに過ぎない」


ロフ「地位も身分もとうに捨てた。エールだけが俺の全てだ」

ロフ「エールという存在が俺の生きる意味だ」


ロフの狂っているともとれるエールへの想いにパウエルは愕然とした表情を晒す

702: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:30:19.97 ID:LcNGBbGBo

パウエル「な、何故だ…何故そう思える?狂っているぞ…」

ロフ「あの暗殺者もそんなことを言っていたな」

ロフ「なぜ気づかない?人は皆どこかしら狂っている。それに気づいていないだけだ」

ロフ「お前だってそうだ、俺からすればお前も十分狂っている」

パウエル「そ、そんなことは無い!私は正しい!私は誰もが胸中に秘めていた大義を成そうとしているのだ!!」


ロフ「俺のさっきの言葉を聞いて尚、そう思っているのなら好きにするといい」

ロフ「だがな俺の女神を利用する事だけは何があろうと赦しはしない…!」

ロフは静かな闘志の炎を燃やす


ロフ「返してもらうぞ俺の女神を。そこに居るエールは俺の物だ、俺だけのものだ。絶対に誰にも渡したりはしない」

パウエル「…私にも譲れないものがあるのだ。理解されないのは悲しいが…私の邪魔をするのならば、死ぬしかないなロフ・グリン!!」


パウエル「世界を変えるその前に、お前に神の奇跡を思い知ってもらおう」

パウエル「契約執行…規律を定めし番龍『トキナミ』、その奇跡を以て邪を律せよ!!」


巨大な黄金色の鱗の龍が、パウエルの体に宿り神秘の輝きを放つ


703: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:45:06.60 ID:LcNGBbGBo

そんなパウエルの言葉も聞き流し、ロフはシキミに語り掛ける


ロフ「これで2度目のお別れだな」

シキミ「…そうでございまするな。でも、一度目は言葉すら話す暇なく生贄にされたので、少し嬉しゅうございます」

シキミ「………あの、ロフ様。このまま2重契約ではいけませぬか?」

ロフ「駄目だな。きっとここから更にエールの力まで借りれば俺の体と言えども耐えられない」

シキミ「………それならば、仕方がありませぬ。さようなら、ロフ様…貴方様に出会うことが出来てシキミは幸せでございました」

ロフ「…さようなら、シキミ。美しき君……縁があったらまた会おう」




ロフ「契約執行」

その言葉と共にロフの体からシキミが離れ、光となって消えていった

ロフ「我が身に女神エールの奇跡よ宿れ」

エールの体が拘束をすり抜けロフの体へと入り込む

ロフの体が真っ白の百合の花に包まれて、やがて花が開かれた

エールの純白の衣は、ロフの燃え上がる想いのように赤く染まった



※戦闘が開始されます

704: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:51:30.85 ID:LcNGBbGBo

名前:ロフ・グリン&エール・イニティウム



強さ:10



1-3  失敗
4-9  成功
0    クリティカル



【特殊能力】



『契約:神』
強さが10以下の相手の効果を受け付けない
-補正を受け付けない
耐久値が毎ターンすべて回復する
2桁コンマ判定で常に高い方を採用する
クリティカル以上で、次回判定時の相手の能力を無効にし相手のコンマを1とする
自力クリティカルで次回の自分の判定を3倍にする



『身体能力』
耐久値+5
戦闘判定+2、成功以上で更に+1
戦闘終了後、一日経過で負傷を回復

705: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 22:58:34.29 ID:LcNGBbGBo

名前:パウエル・ヴィエッタ&トキナミ



強さ:10



1      ファンブル
2-7    成功
8,9,0  クリティカル

のコンマ表を使用する



【特殊能力】


『契約:神』
耐久値+15
戦闘補正+3
相手は常に2桁コンマで低い方を採用し、自分は2桁コンマ判定で高い方を採用する
自力クリティカルで相手の能力を一つ無効とする


『神器:瞳』
相手に-5の補正
コンマ値の上限突破
ファンブルを出したとき敗北する

706: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 23:02:43.91 ID:LcNGBbGBo
※能力修正


『神器:瞳』
相手に-5の補正
コンマ値の上限突破
ファンブルを出したとき敗北する


    ↓

『神器:瞳』
相手に-5の補正
コンマ値の上限突破
ファンブルを出したキャラはその時点で強制敗北する




※ロフの能力に追加


『神器:白百合』
耐久値が1以下になった時、3度まで1から減らない

707: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 23:06:11.37 ID:LcNGBbGBo

『ロフ』耐久値:15+5=20


『パウエル』耐久値:9+15=24





直下コンマ:ロフ戦闘判定
身体能力 +2

2桁コンマ判定で高い方を採用


↓2コンマ:パウエル戦闘判定
契約 +3

2桁コンマ判定で高い方を採用

708: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 23:06:59.27 ID:b+sB47Ojo
おう

709: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/30(土) 23:12:49.77 ID:mfi1XcaFo

710: ◆7m3grp2dM2 2015/05/30(土) 23:18:19.85 ID:LcNGBbGBo

コンマ判定:7+2 成功

コンマ判定:7+3 クリティカル


ロフ成功以上で更に+1、パウエルクリティカルで更に+3


9+1-(10+3)=-3


20-3=17

契約により耐久値回復

『ロフ』耐久値:20



今日の更新はここまでです

恐らく明日も更新します
明日が最後になる……と思います

712: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 21:08:05.40 ID:Sx3QxASpo

ロフ「これが…君の力なんだね」

エール「ええ、私の『純潔』の白百合。これが私の神器です」

エール「本当は純白なのですが、ロフ様の色に染められてしまっていますね」

ロフ「……これが俺の色なのか…俺は情熱的な男だったのか?」

エール「ロフ様以上に情熱的な方は私は見たことありませんよ!」

ロフ「ふふ…それは嬉しい褒めこt…」

パウエル「いつまで雑談をしているつもりだッ!!」

パウエルの黄金色の瞳から光が放たれ辺りを包み込む


パウエル「これより戒律を定める!!己が信念を貫き続けたものがこの戦いの勝利者だ!!」

パウエル「規律を定めるこのトキナミの奇跡、私こそがルールであり絶対の存在だ!!」

ロフ「勝手に言っていろ。俺にとってエールこそが俺の絶対の意味であり続ける。お前如きで揺らがせやしない!!」





直下コンマ:ロフ戦闘判定
身体能力 +2



↓2コンマ:パウエル戦闘判定
契約 +3

713: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/31(日) 21:09:30.33 ID:ZQYBtuGno
はあっ

714: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/31(日) 21:15:17.66 ID:F415Qh2CO

715: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 21:17:52.80 ID:Sx3QxASpo

コンマ判定:3+2 成功

コンマ判定:6+3 疑似クリティカル


ロフ成功以上で更に+1、パウエル疑似クリティカルで更に+2


6+1-(9+2)=4


20-4=16

ロフ、契約によって耐久値回復


『ロフ』耐久値:20

716: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 21:27:45.03 ID:Sx3QxASpo

パウエル「…くぅ!その忌々しい衣、いくら牙を立てようとも壊れる気配すらないな…!」

ロフ「……」


パウエルの濁流の様な神通力による攻撃を全てエールの神器が弾いていく


ロフ(基本世界の守護神たるエールの奇跡、その復元能力と改変耐性は比類なき程の力だ)

ロフ(このエールがついていなければ俺は何度死んでいただろう?)

ロフ(だが…しかし……)


ロフ「ゴホッゴホッ…!」

血の混じった咳を吐く

エール「ロフ様!?大丈夫ですか!?」

ロフ「心配しないでくれ、何も問題ない」

ロフ(普通ならば負ける要素などない戦い。エールの奇跡は無敵だ…だが俺が先に耐えられそうもない)

ロフ(……素養のない身で無茶をしすぎたか。……だが、せめてこの戦いに勝つまでは持ってくれ…!)



※『神器:白百合』の効果が変化
耐久値が1以下になった時、3度まで1から減らない
5ターン後、強制敗北







直下コンマ:ロフ戦闘判定
身体能力 +2

2桁コンマ判定で高い方を採用


↓2コンマ:パウエル戦闘判定
契約 +3

2桁コンマ判定で高い方を採用

717: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/31(日) 21:34:19.27 ID:FTLsmuo2o
たかいたかい

718: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/31(日) 21:35:04.21 ID:NwJxqnhSo
ひこーい

719: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 21:37:07.32 ID:Sx3QxASpo

コンマ判定:7+2 成功


コンマ判定:1  ファンブル



『神器:瞳』によりパウエル敗北

720: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 21:48:15.99 ID:Sx3QxASpo

パウエル「クソッ!クソゥッ!!トキナミ!奴を殺せないのか!!この役立たずが!!」

ロフ「ハァ…ハァッ…!」


二人の戦闘は苛烈を極めた

導師としての素養では完全にパウエルが上回っていた

ロフは本来の身体能力を生かすことも出来ず、更には二重契約の後遺症によって体には限界が来ていた

その圧倒的な差を契約者であるエールの奇跡だけで拮抗以上に引き上げる

どれだけの傷を負おうともロフは前へ前へと進み続けた

そしてその手はパウエルの腕を掴む


ロフ「お前は言ったな『己が信念を貫き通し続けられた者の勝利』だと」

ロフ「漸く辿り着いたぞ、俺は曲げない。俺にはエールへの想いしか残されていない」

ロフ「俺はエールの為に全てを捨ててきた。お前はどうだ?お前には…どんな苦境に立たされようとも退かない覚悟があるか?」

パウエル「ひ、ヒィ…!」


鬼のような表情のロフの気迫、振り払う事など分けないはずの腕をパウエルは振り払うことが出来なかった

鬼気迫るロフの言葉にパウエルは一歩足を退いてしまった

722: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:07:15.46 ID:Sx3QxASpo

黄金の輝きを放っていたパウエルの体からトキナミが現れ出る

パウエル「は、はぁ!?待て!何故勝手に契約を解いた!!お前は契約者だろう!私は導師だぞ!!私に従え!!」

トキナミ「戒律は破られた。汝は己が信念を曲げた、これはルールだ。退いた者が敗者である」

パウエル「ち、違う!そんなことは無い!私は一度たりとも己を曲げてはいない!!取り消せ!!」

トキナミ「汝、自らを偽ることなかれ。受け入れよ、己が弱さをな」


トキナミ「このトキナミが見守りし戦場、我が終わらせよう」

トキナミ「我が目を見よ。汝の罪、我が裁こう」

トキナミの双眸にパウエルの姿が映し出される

パウエル「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


断末魔の叫びをあげながらパウエル・ヴィエッタは黄金色の炎に焼かれ灰となった

それと同時に、トキナミ体もまた光となって消えていく



723: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:13:14.37 ID:Sx3QxASpo

トキナミ「……愚かなり、汝の心には誠の仁愛が宿っていると信じておったのだが」

エール「あの、トキナミさん態々こんなところまでお疲れさまです。天界に帰ったら美味しいお茶でもご馳走しますよ」

パウエルが消えると同時にロフも倒れ、契約状態が強制的に解除されていたエールが消えゆくトキナミに話しかけた



トキナミ「ふむエール殿。気遣いは無用である。我は我の意思であの者を信じていたのだ。故に、エール殿が我を労う必要はない」

トキナミ「だが…しかし、残念だ。『真の平等』を願うかの者の心は本物であったが、誠の仁愛の意思は宿っていなかった」

トキナミ「いつ出会えるのだろうな、己が意思を曲げず全てを受け入れる器を持った者は」

エール「あはは、トキナミさん心配しなくてもいつか出会えますよ。私達にはいくらでも機会があるのですから」

エール「そうだ、これを機に色々な世界を覗いてみては如何ですか?基本世界の御守だけでは退屈でしょう?」

トキナミ「ご配慮痛み入る。しかし、我はあまりあの世界を開けてはいられない。エール殿が居ないのだ、誰かが居てやらねば不満を垂れる輩も現れる」

エール「あ、あ~…そうでしたね…こっちの生活に慣れてすっかりあっちの管理の事を忘れていました」

トキナミ「エール殿はいつ彼方に帰られるおつもりだ?」

エール「……それは…うふふっ…♪」

倒れているロフの顔を見つめ、年頃の少女のような甘い笑顔を見せる

その姿だけでトキナミも納得したように柔らかく笑みをこぼした


トキナミ「そこな青年に随分と入れ込んでいるようだな」

エール「はい!ロフ様、とってもカッコよくて可愛いんですよ!!私の事が大好きなところとか!!意外にもお酒に弱いところとか!!」

エール「だからせめて…最後までずっと傍に居てあげたいんです」

トキナミ「ならば、我から言う言葉は無い。エール殿が満足するまで我が基本世界を治めておこう。では、な」


その言葉を最後にトキナミは消えた

神々の居城たる天界へと帰ったのだった

724: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:24:19.70 ID:Sx3QxASpo

エールは倒れているロフを何とか抱き起そうとする

しかし、非力なエールでは体を持ち上げることすら叶わない

仕方なく頭を浮かし膝の上にのせる


ロフの顔を覗き込み、その頬を優しく撫でた


エール「ロフ様、早く起きてください。じゃないと私…一人ではなにも出来ません」

気絶していたはずのロフがその言葉を聞き届けたのか、覗きこむエールの頬に優しく手を添えた

ロフ「…俺が…なんでもしよう。だから…俺の傍を離れないでくれ」

エール「………はい、勿論です!」


エールがロフの顔に顔を近づけ、唇と唇が触れ合おうと―――



リメロン「おっしゃー!!出てこいや―!!ギルドの大将め!!この図書館騎士リメロン・アスバールが成敗してくれる!!!」

リメロン「……ってアレ?うわ人が居る!なんか印象と違うけどお前がパウエルとかいう奴か!!」

エール「………あ、あのう?」


あまりに突然の事態にエールは大きく目を開き瞬きを繰り返す


リメロン「じ、人畜無害そうな顔をしやがって!!私は騙されないぞ!!」

ナキ「ま、待て主よ!!」

リメロン「なに?珍しく焦ってるみたいだけど」

ナキ「あ、あそこに居るお方はも、もしや……エール殿では!?」

エール「……んん?…ああっ!ナキちゃん、貴方もこっちに来ていたんですね~」


柔和な笑みでフリフリとナキに向かって手を振っているエール

今度はリメロンが訳も分からず混乱してしまう

リメロン「……………どうゆうこと?」


リメロンはまだ気づいていなかった、自分が手を下すまでも無くこのギルド騒動は収束してしまっていることに



※エピローグへと移行します

725: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:34:20.26 ID:Sx3QxASpo

エピローグ
視点:リメロン・アスバール



あの時、私がギルドに足を踏み入れた時には全てが終わっていた

あの場で倒れていたロフという男がギルドの大将を倒してしまったらしい

このままではエドに自慢できない、と思っているとなんと相手は私にその手柄を受け取って欲しいと言いだした

どうやらその男は理由あって『身分を証明できない』らしい

非常に怪しい男だったが、これ以上詮索しないという条件付きで私はその提案受け入れた

相手が誰であろうとこの事件を終わらせてくれたことには違いない

それにナキが『エール様が悪事を働くわけがない!!この者は善人に違いない!!』

と珍しく感情を露わにして私を説得しようとする姿がおかしくて了承してあげた

8000歳の新参の神であるナキにとっても基本世界の最高神エールは殿上人らしい

あのぽやっとしたお姉ちゃんがナキの何倍も年上だと言われるとなんだか不思議な気分になってくる


閑話休題



この事件の収束を私は任務の依頼主である『エルグラート家』に報告を終えた

きっと大量の報酬と共に明日の新聞を飾るに違いない

インタビューとかされるんだろうかとウキウキとした心持で次の日を待った

しかし、次の日に新聞の一面を飾ったのは『図書館騎士大活躍!!』の文字ではあったのだが

私の名前ではなく、あのエドの名前であった


726: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:42:04.53 ID:Sx3QxASpo

八日目(裏)


視点:シュウ


シュウ「ヒヒっ!…ヒィ!…ヒィ!こ、ここまでくりゃあ大丈夫だろ!!」

とある町の外れ

中年の男がだらしのない巨体を揺らし、息を切らして走っていた

その両手には大きな袋

その中身は金であった


シュウ「どうだよヒンセイ!今回も最高にクールだっただろう!」

ヒンセイ「クールって言うか…グールって言うか……僕たちただの火事場泥棒じゃない?」

シュウ「ヒヒヒッ!いいじゃあねえかこうして楽に金が手に入ったんだしよ!!」


シュウはギルドへと向かうロフの手によって殺された―――フリをしていた

神の心臓によってどんな姿になっても生命を維持できるシュウは、ロフにワザとバラバラに八つ裂きにされた

そしてロフが去ったことを見計らった後、『連結』の異能で自らの体を繋ぎ合わせて元通りにした

その後、全ての騒動が終わったギルドのアジトへと立ち寄り金庫の中身を全て拝借したのだった

727: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 22:55:25.15 ID:Sx3QxASpo

シュウ「ヒヒヒッ!どいつもこいつも馬鹿だねぇ。おれっちがギルドの幹部だと言えば簡単に信じてくれる」

シュウ「理由は分かるか?」

ヒンセイ「知ってるよ、それで僕たちがどれだけ儲けてきたと思ってるのさ」


ヒンセイ「ギルドなんて組織は本当は存在しない」

ヒンセイ「あるのは嘘と噂だけ。だろ?」

シュウ「その通りッ!ギルドなんて巨大組織は嘘っぱち!皆その巨大組織の名を借りてるだけなのさ!!」

シュウ「当然おれっちもその一人。アイツらをギルドに誘ったのはおれっちだからなあ…いやあ楽しかった」

シュウ「なあヒンセイ!今度は何処に行こうか?」

ヒンセイ「…はぁ…別にどこでもいいよ。……ねえ僕はいつまでこの犯罪の片棒を担がないといけないの?」

シュウ「そりゃおめえおれっちが死ぬまでに決まってんだろ!!」

大量の金を手に入れた昂揚感か楽しげに笑いながらシュウはヒンセイの方を小突く


突然、目の前の道が赤々と照らし出されていることに気が付いた


シュウは目を細めながら前を見るとそこにはいつかに見た悪魔が立っていた


エンラ「よお、おっさん。また会ったな」

シュウ「げ、げぇ!?お、お前は!!」

エンラ「あの時アンタにマーキングしといてよかったぜ、や~っぱり悪い奴だったんだな」

シュウ「く、クソがっ!!こんなところで死ねるかよ!!逃げるぞヒンセイ!!」

エンラ「逃げれるわけないだろう…」



エンラ「小悪党め。お前の罪…俺が裁こう」



町の外れの寒空に小悪党の甲高い断末魔が鳴り響いた

728: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:02:25.45 ID:Sx3QxASpo
八日目(裏)
視点:ゼル・デルモルーテ



ゼル「……そっかそっか、分かったよ。報告お疲れ」

ゼルは部下の報告によってパウエルたちの死を知った


ゼル「………ふぅ…良かった良かった。これで一安心だねぇ」

シーザー「ハハハッ、そうだな。そうだろうさ。誰もが皆一安心だろうぜ」

シーザー「お手柄だな、騎士隊長様」

ゼル「そう褒めるなよ、僕は別に何もしていないさ」


「あの騎士隊長殿!」


報告を終えたはずの部下が戻って来た

少し不審に思いながらも、どんな厄介な急用が入ったのかと頭の中で起こり得る可能性を羅列していった


ゼル「どうしたの?何があったの?」



729: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:11:05.39 ID:Sx3QxASpo

「……漸く捕まってくれたな」

ゼル「ッ!」

声色の変化に気づきゼルは即座に剣を抜き振り下ろす

しかし、剣先は相手に触れることなく氷の壁に阻まれる


ゼル「……誰?」

「ハハッ!アンタにも分かんないことがあるんだな。…いいや、分かんないからこそ意味がある。僕の手回しは完璧だったという証明にな」

顔を覆う甲冑を脱ぎ捨てる

その顔は小憎たらしい笑みを浮かべた名の知れた図書館騎士の顔であった


エド「騎士隊長ゼル・デルモルーテ。詐欺、恐喝、賄賂、その他諸々の罪でお前を逮捕する」

ゼル「……僕が?何言ってんの?僕がそんなことするわけないでしょう?一応騎士団長なのよ?」

エド「悪いけどさぁ、もう全部裏が取れてるんだよね。そうだろう?超巨大盗賊団『ギルド』の創設者さん」

ゼル「…………」


730: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:22:38.49 ID:Sx3QxASpo

エド「いやあアンタ凄いよ、悪巧みに関しちゃあ僕より優れてるんじゃないか?褒めてあげるよアンタの手腕」

ゼル「……一体僕が何をしてきたって言うのさ?」

エド「それはもうたくさんさ」

エド「まず一つ。『ギルド』の創設、この誰にも本拠地も正体も掴めなかった組織の本元はお前の流した『噂』なんだろう?」

エド「このギルドという『導師信仰派』の過激派の組織という存在を利用し、お前は報酬を得ていた」

エド「例えば今回の『暴走導師事件』。お前はギルドを名乗っている奴らに協力をしてこの事件に手を貸していたな?」

エド「全ての事件の発生時間の近くで、お前の姿が目撃されている」

ゼル「僕は騎士だからね。混乱を治めるために真っ先に事件現場に向かうのは当然の事だよ」

エド「悪いがそれも通らない。騎士隊長の見周り警備の時間は『朝~夕方』、事件の発生時間は全て深夜だ」

エド「深夜を担当している騎士からは誰もお前の目撃証言は無い。理由は当然『お前の部下』だからだ」

エド「本当に見ていない奴もいるだろうけど、お前直属の部下にちょっと痛い目を見てもらってね『僕がここに居たことを内緒にしてて』と命令されたと吐いてくれたよ」

ゼル「……だとしても僕がそのギルドに協力をしていた証明にはならないんじゃないか?」

エド「まだ他にもあるに決まってるだろ」


731: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:35:45.22 ID:Sx3QxASpo

エド「ついさっき話していた部下。『基本世界信仰派』らしいじゃないか」

エド「おかしいなあ、お前は『導師信仰派』の組織に手を貸していたはずなんだけど……」

エド「その答えは、お前はその部下にはギルドに手を貸していることを伝えていた」

エド「そう、お前はあの部下には『スパイをしている』と説明をした。『事件を起こさせて組織を根っこから叩き潰すためなんだ』と理由を添えてね」

エド「悪いけどアイツ、僕の友人なんだ。快く全て話してくれたよ」

エド「まだまだある。少し遡って司書家系『アルフォード家』の話をしようか」

エド「あの家はどういう理由か家主が失踪し、若い息子である『ロイヤル』が跡を継いだ」

エド「あの家の家主が失踪した原因は息子である『ロイヤル・アルフォード』……だが、根本の原因は別にあった」

エド「お前、あの家と親しかったらしいじゃないか?正確に言えば前家主『フィン・コルドレック・アルフォード』に全幅の信頼を寄せられていた」

エド「お前はよくフィンに頼み事をされていた、基本的にはこの町の情勢を教えていたそうだな」

エド「そこからフィンにギルドの情報が渡り、ギルドの真意が伝わった。ここまで言えばわかるだろう?お前があの家を潰したんだ」

エド「フィンの性格をよく知るお前だったからこそ、あの話を伝え狂行へと走らせた」

エド「お前はそのフィンの悪事を裁いて大手柄といこうとしていたんだろうが、予定が狂ってしまった。それが『ロイヤル』による『アルフォード家』粛清だ」

エド「アイツはあの事でひどく心を痛めていたが結果的に自分の家を守ることに繋がっていた、大した奴だよ。少しやり過ぎだけどな」


732: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:42:57.65 ID:Sx3QxASpo

エド「お前は焦った。フィンの行動に自分が一枚噛んでいる事を知られたくなくてお前はロイヤルを謀殺することを決めた」

エド「お前は運もよかった、ロイヤルは情報収集を頼む信頼できる相手としてお前を選んだ」

エド「そこでお前はこの町に残留していたギルドを名乗る組織を利用し、その情報を流した」

エド「その上で、反乱因子であるロイヤルを排除する手回しをしているとその組織には説明をしていた」

エド「だからこそ、万全の状態で迎撃に会ったロイヤルは致命傷を負った。実際死んでいてもおかしくなかった」

エド「だが、それを予期していた僕が何とか見つけ出し救命した」

エド「ロイヤル本人からの言葉で、全ての確信が得られた」

エド「奴らは戦っている時に言ったそうだ『あの騎士の言っていたことは本当だったな』とね」

エド「他にもある―――」

ゼル「もういいよ」

ゼルは抑揚のない言葉で楽しげに話すエドを止める

深く深く溜息を吐くその表情には焦りを感じられない

ただ死んだ目でエドを見た

733: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:49:43.64 ID:Sx3QxASpo

ガシガシとイラつきを感じさせる仕草で強く頭をかく


ゼル「完敗だ。僕の完全敗北」

ゼル「さすがはエリート様だ。こんな小さな僕の事は何でも御見通しってわけか」

エド「ほう?負けを認めるかい?賢明な判断だね」

ゼル「ああ、負けは認めるよ。情報戦では君の圧勝だ」

ゼル「だけどね、どうして僕が今の今までこれほどの謀略を巡らせていながら誰にも悟られなかった理由は分かるかい?」

ゼル「今まで僕の事に気づき僕を裁こうとした騎士なんていくらでもいた。でも、僕は今でもこうして騎士隊長であり続けている。理由が分かるかい?」


ゼル「僕が強いからだ」


剣を構えるその姿からは強い生気が発していた

何をしてでも生き残るという強い執念のようなモノすら感じられた


ゼル「僕は負けない、君程度の石ころいくらでも踏み砕いてきた」

734: ◆7m3grp2dM2 2015/05/31(日) 23:59:33.54 ID:Sx3QxASpo

エド「死んだ魚みたいな男だと聞いてたけど、そんな顔も出来るんだな」

エド「だが、取り消してもらうぞ。僕はそんじょそこらの石ころとはわけが違う」

エド「僕は騎士だ。お前という悪を裁く正義の剣だ!!」


エドもまた剣を抜きゼルと向かい合った



エド「僕は約束をしたんでね。『僕にしか出来ないことを成し遂げる』ってね」

エド「僕じゃなければお前をここまで追い詰めることはできなかった」

エド「だから、僕を信じるアイツの為にも僕がお前を裁く」


シーザー「ククク……アハハハハ!!言われてるぜ悪党さんよ」

シーザー「言っただろ?悪は打たれる運命にある。どれだけ足掻こうとも抗おうとも正義の刃からは逃れられはしないってさ」

ゼル「……君はどっちの味方なんだ?」

シーザー「当然!正義の味方だぜ。ま、お前という悪党が死ぬまでの短い道のりもここまでだっつーわけだ」

ゼル「僕は負けないよ。僕は強い。僕は勝つ。最後に笑うのは僕だ」

シーザー「ハハハッ!そうだ、それでいい。醜く抗え、必死に生きろ」

シーザー「それこそが俺達人間の底力だ。やってやれ、クズの本気を見せてやれよ」

ゼル「……はぁ……本当君は誰の味方なんだよ…」




「「契約執行」」



張りつめた夜の空気に、二人の男の声がこだました

735: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:05:11.57 ID:rcPmGQFVo

エピローグ
視点:リメロン・アスバール



リメロン「……まさかねえ、あの騎士隊長が汚職をしてただなんて…」

エド「ま、これでどちらが優秀か判明してしまったね」

エド「賭けの勝負は僕の勝ちだ。新聞の一面は僕が貰ったよ!!」

リメロン「ぐ、ぐぬぬ……私だって頑張ったのになぁ…」

エド「君には永遠に二番手がお似合いさ。さぁてどんな要望を聞いてもらおうか…」

リメロン「ま、待った待ったまったぁ!勝負はまだ決まってないわ!!」

エド「はぁ?勝負はどちらが新聞の一面を飾るかだっただろう?」

リメロン「これを見なさい!!」


そう言ってリメロンが拡げた新聞の一面には、『ギルド壊滅の立役者リメロン・アスバール』とデカデカとした文字が飾られていた


736: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:17:09.81 ID:rcPmGQFVo

リメロン「どう!どうよ!?私だって一面飾ってるわよ!!」

エド「新聞社5社の内の一つだろう?あとは全部僕の暴いた汚職事件を一面に載せている。話にならないな」

リメロン「はあ?か、数で勝負なんてしてないし!どっちが一面を飾るかだし!!」

リメロン「だからこの勝負は引き分け!!」

エド「やれやれ…見苦しいねぇリメロン」


得意げに鼻を鳴らすエドに必死で反論をするリメロン


キュベレ「……少しよろしいですか?」

従者のキュベレが何かに気付いたようにリメロンが広げていた新聞を手に取る


リメロン「どうかした?」

キュベレ「……いえ、この新聞ですが昨夜坊ちゃんが連絡を取っていた新聞社だとおもいまして」

リメロン「へ?」

エド「あ!馬鹿!言うな!!」

キュベレ「確か『何処の新聞社も僕を取り上げるだろうからお前らはリメロンたちの事を取り上げろ』と仰っていませんでしたか?」

リメロン「ど、どういう事?」

キュベレ「きっと坊ちゃんなりにリメロン様にも花を持たせてあげたかったんだと思います」

リメロン「え!?それってこ、コイツが私に気を使ったって事!?」


リメロン「き、気持ちわるっ!!」


エド「だああ!!!やめろおおおおお!!そんなんじゃない!!!」

エド「くそうお前!!何時聞いてやがった!!!」

キュベレ「ふふふ…悪魔でメイドですので」

エド「答えになってなあああああああい!!!!」



その日のカフェではエドの嘆きの叫び声が鳴り響いた

今回の事件で得た教訓と言えば、『キュベレさんには逆らえないな』ということだろう

737: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:25:11.49 ID:rcPmGQFVo

エピローグ
視点:エミリー



エミリー「……ここが、お前の家か」

エミリーはトシヒサと共にシャルロットが住むという家に案内されていた

トシヒサは一日寝ただけで怪我が全て治っていた。相変わらず出鱈目な体だ


シャルロットに連れてこられた家は美しい花畑に囲まれた家であった


エミリー「……ここであのスマイルと暮らしていたんだな」

シャリー「……うん…」

何をしてやるべきか分からず、寂しげに頷くシャリーの頭を乱暴に撫でる


エミリー(……あんなクソ野郎だったが、コイツにとっては良い保護者だったんだろうな)

エミリー(……それを目の前で殺されて、訳も分からず誘拐までされて……きっと気が気じゃないだろうに)

エミリー(良く落ち着いて居られるな……いや、我慢してるんだろう。私だけはコイツの事を分かってやらないとな……)


戸惑いながらもシャルロットの人差し指を握り、手を引いて花畑の中心に立つ小屋の前に立った

738: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:32:58.05 ID:rcPmGQFVo

呼吸を整え、玄関の扉を開いた


エミリー(この先にあの男が暮らした跡が――)


しかし、眼前に広がっていた光景は予想をはるかに超えたものだった


エリック「お帰りなさいませお嬢様」

シャリー「エリック…!!」

目を輝かせてシャリーはあの奪われたはずの執事に抱き付く

エミリー(これはいい、これはまだいいだろう。だが――)


エール「ああ!お帰りなさいシャリーちゃ~ん!!」

シャリー「エールお姉ちゃんも居たんだね」

ロフ「……フフフ…」


エミリー(この銀髪の女と、コーヒーを飲みながらそれを恍惚とした顔で見つめるこの男は誰だッ!?)

エミリー(というか私にも反応しろよ!!)

739: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:37:37.80 ID:rcPmGQFVo

エール「………ハッ!!貴方達何者ですか!?」

エミリー「気付くのが遅いしそれは私のセリフだ」

ロフ「そこのお前、怪しいな」

トシヒサ「…………」


トシヒサに食って掛かろうとするロフと、エミリーを庇うように前に出るトシヒサ

一触即発……となりそうな空気を執事が間に割って入って止める


エリック「皆さま、混乱しているでしょうが私が全ての経緯をお話しいたします」

エリック「どうぞ席について、お茶を淹れますので」


迅速なエリックの行動によってどうにか剣呑とした雰囲気は払われた

そこからエリックによる状況説明が始まった

740: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:45:13.19 ID:rcPmGQFVo

エミリー「………成程な、お前たちとシャルロットは元々知り合いだったのか」

エール「はい!帰り途中で拾った手袋がたまたま仮契約状態で取り残されていて、ロフ様が拾ったときに簡易契約が結ばれたようです」

エール「そこでエリックさんと出会って全ての説明を受けました」

エール「シャリーちゃんを一人キリには出来ない!!と思いましてここに居る次第です」

エリック「ご納得いただけましたか?」


エミリー「……まあな」

エミリー「…この執事はあのスマイルがシャルロットに残した最後の物だ、それを取り戻してくれたことにはとても感謝している」

エール「いえいえ、偶々ですよぉ」


エミリー「だが、これからはここには私たちが住むことにした。出て行って貰う」

エール「………え?」

エミリー「私はスマイルに約束したんだ、シャルロットを責任をもって育てると」

エール「え…えええええええ!!!」

エミリー「悪いな、諦めてくれ」

エール「い、嫌です!私だってシャリーちゃんと一緒に居たいです!!」

エミリー「諦めてくれ」

エール「やだやだ!ロフ様とシャリーちゃんと一緒に家族ごっこをするんです!!」

エミリー「ごっこだと!教育を何だと思ってやがる!!」

741: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 00:54:18.33 ID:rcPmGQFVo

エミリーとエールが言い合っている間に、こっそりとロフはシャリーを連れてシャリーの部屋へと来ていた


ロフ「……これは君の物だ。君が大事に持っていてくれ」

そう言ってロフはシャリーの小さな手に、契約刻印が刻まれた手袋を握らせる

ロフ「今はまだ大きさが合わないだろうが、その手袋をちゃんとつけられるほどに成長する時が来るだろう」

ロフ「それまでに、俺が君を立派な導師にして見せる」

シャリー「……導師って?」

ロフ「それは……」

少し視線を外し言葉を吟味する


ロフ「それはね、この手袋が似合う人の事だよ」

シャリーは困ったように眉を八の字にし頭を捻るが、やがてパァッと顔を輝かせる

シャリー「スマイルの事!?」

ロフ「……ああ、人を笑顔に導いてくれる人の事だよ」

シャリー「私もスマイルみたいのなれるの?」

ロフ「その手袋が似合うようになったら、きっとなれるさ」

ロフ「………『契約』の力は出会いの力だ。きっと運命がめぐり合わせてくれる」


ロフ「―――――君の望んだ人とね」



優しくシャリーの頭を撫でた

シャリーは太陽の様な明るい満面の笑みで手袋を強く握りしめた

742: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 01:00:59.41 ID:rcPmGQFVo

エピローグ
視点:リメロン・アスバール



リメロンは屋敷の屋根に上って星空を眺めていた



リメロン「ねえねえナキ」

ナキ「…どうした?」

蜷局を撒いた大きな体をベッドの代わりにしてリメロンは寝そべっていた


リメロン「…昔の私ってどんな私だった?」

ナキ「……突然どうした?」

リメロン「なんか気になってね」

ナキ「珍しいな前向きな主が昔を振り返るなど」

リメロン「そーいう気分の時もあるの。で、どんな感じだったの?」

ナキ「どう…と言われてもな、主が知りたいのは契約をする前の『リメロン・アスバール』であって、私が知る『リメロン・アスバール』は契約をしてからの主だけだぞ?」


743: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 01:07:16.37 ID:rcPmGQFVo

リメロン「…だよねえ……」

リメロン「……あのさ、『思い出』ってとっても大事な物じゃない?」

リメロン「それを生贄に捧げてまでして、どうして契約したかったのかなってさ」

ナキ「……なんだ、私では思い出の対価に釣り合わんか?」

リメロン「そうじゃないって。……ふふっな~に?もしかしてちょっと怒った?」

ナキ「怒ってなどいない。神である私の格を貶めるような発言をされた気がしたのでな」

リメロン「そうやって厭味ったらしく言うときは怒ってる証拠。ナキって冷静なようでいて結構分かりやすいよね」

リメロン「そう言う可愛げもあるとこも好きだよ」

ナキ「そう言う口説き文句は意中の男に言ってやれ」

リメロン「もう、照れてくれてもいいじゃない……」


ごめんごめんと少しお道化たようにリメロンはナキを撫でた

744: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 01:17:13.37 ID:rcPmGQFVo

ナキ「……そうだな、私と契約を結ぼうとしていたお主は『泣いていた』」

リメロン「そう…なんだ。どうして?」

ナキ「大事な物を守ろうとして、怖いと叫ぶ感情を押し殺して主は立っていたぞ」

リメロン「………そっか……昔から、あんまし変わらないね」

ナキ「……今でも主人は恐怖で涙を流すことがあるか?」

リメロン「………怖い怖いって思うことは今でもあるよ」

リメロン「犯罪者と対峙した時はいつも怖いし、痛いのも怖い、お化けだって怖い」


リメロン「でも、涙を流すことは無いかも」

リメロン「ナキのおかげだね」

優しく深い深愛を感じさせる微笑みをナキに見せた


ナキ「…私の…おかげ?」

リメロン「うん、そうだよ。一人じゃ怖くて立っていられない時もあるけどナキが居るから立ち上がれるんだ」

リメロン「ナキが私の傍で、私に声をかけてくれるから私はこんなに頑張れてるんだ」


リメロン「私ね…契約を結んだのがナキでよかった」

リメロン「ナキじゃないと、私…こんなに立派に成れて無かったと思う」

リメロン「思い出よりも…もっとも~っと大切な私の宝物」


リメロン「改めて、ありがとうナキ」


ナキ「……その言葉、有り難く受け取っておこう」


二人は顔を合わせ柔らかく微笑み合った

745: ◆7m3grp2dM2 2015/06/01(月) 01:23:34.46 ID:rcPmGQFVo

エピローグ



この観測者世界では無限の可能性に溢れている

あり得ないがあり得るこの不思議な世界


そこでまた新たな『導師』が誕生する


『契約』を結び、己のナニカを生贄とし一蓮托生の絆を結ぶ


今日もまた人々は『異世界』と出会う


それは運命の出会いだ



そう『私』にとって、誰よりも身近な味方である『ナキ』であったり

『俺』にとっての自分を自分たらしめる『エール』であったり



それはとっても不思議な出会い


きっと君も『運命』と出会うだろう


まるで引き寄せられたかのように、君達は惹かれあう





『運命の出会い』HappyEND

  ~fin~

引用元: 【オリジナル】安価とコンマで異世界を繋ぐ契約を結ぶ その2