1回戦終了後 スボミーイン

リーグスタッフ「それではごゆっくりお休みください」

ガチャン

凛「……ふう」

凛(まずは無事に1回戦突破。藍子も苦戦していたけど、ちゃんと勝ち上がってこれたみたいだね)

凛(2回戦に進出したのは、私と藍子、聖來さん、そして奏)

凛(組み合わせはまだ発表されてないけど、もしかしたらここで藍子と戦うことになるかもしれない)

凛(トリックルーム……どうやって攻略しようか)

凛「………………」

凛「なんだか、落ち着かないな……」

458: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 22:31:36.94 ID:F10evzFV0

ロビー

凛「……あ」

藍子「! 凛さんっ!」

藍子「あの、ええと……久しぶり、ですね」

凛「そうだね。……」

藍子「…………」

凛「な、なんか恥ずかしいな。前はずっと一緒にいたはずなのに」

藍子「実は私も、です……」

459: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 22:32:28.95 ID:F10evzFV0

??「どーしたの、二人ともっ!」

藍子「あ……」

凛「聖來さん。どうしたの?」

聖來「いやー、ちょっと身体を動かしたくなっちゃってさ」

聖來「それより、なんでそんなに気まずそうにしてるの? もしかしてケンカした?」

凛「いや、そうじゃないけど」

藍子「そっか、聖來さんは知らないんですね」

藍子「実は私たち、今までずっと別々に行動していまして」

カクカクシカジカ

460: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 22:32:54.82 ID:F10evzFV0

聖來「そうだったんだ。早とちりしちゃってゴメンね」

聖來「でも、久しぶりに会った友達と何から話せばいいのかってなる気持ちは、あたしもわかるなー……」

藍子「……何から話せばいいのか」

藍子「そうだ、そういうことだったんですね」

聖來「?」

藍子「うまく言葉が出てこないのは、話したいことがたくさんあるから。だから、この戸惑いのような気持ちは……嬉しいって意味だったんですね」

藍子「凛さん。久しぶりに会えて、私、すごく嬉しいですっ」

461: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 22:34:07.69 ID:F10evzFV0

凛「そう面と向かって言わないでよ……照れるじゃん」

凛「でも、私も嬉しいよ」

凛(……気のせいかな。藍子、なんだか目つきが変わった気がする)

聖來「あははっ。本当に仲良しだなあ」

聖來「ところで、どうして二人はロビーにいたの?」

凛「部屋に一人でいると落ち着かなくてさ。それで気晴らしにロビーまで降りてきたんだ。藍子は?」

藍子「私はホテルの前で、亜季さん……凛さんと別れた後に知り合った人なんですけど。その人と電話しながら、ポケモンの調子を見てもらっていました」

462: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 22:35:34.45 ID:F10evzFV0

藍子「このポケモンのことなんですけど」ポンッ

ウーラオス「ベアッ」

聖來「わ、初めて見るポケモン!」

藍子「ウーラオスです。2つの「かた」を持つポケモンなんですけど、この子は>>463のかた、といいまして」

>>463
コンマ
奇数でいちげきのかた、偶数でれんげきのかた

463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/09/04(土) 22:39:12.38 ID:p7c5yigI0
ベア

464: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 23:43:46.86 ID:F10evzFV0

藍子「亜季さんも同じポケモンを持っているので、何かあればと思って連絡していたんです」

凛「れんげきのかた……そういうポケモンもいるんだ」

聖來「強そうなポケモンだね。戦えるのが楽しみだよ!」

藍子「そういえば凛さん。奏さんも、トーナメントに出場していましたね」

凛「ああ、そうだね。しかもここまで勝ち上がってきているし」

聖來「奏ちゃんって、エンジンリバーサイドで会った?」

凛「そう。あれ以来、なぜか気に入られちゃったみたいでさ」

藍子「キルクスタウンでも一度バトルしたんです」

465: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 23:44:36.48 ID:F10evzFV0

聖來「そうなんだ。アタシはあんまりいいイメージは持っていないけど……実力は確かだよね」

藍子「第1ラウンドも圧勝していましたね」

聖來「もし当たったら厄介なことになりそうだなあ。まあ、ここまで来たらもう楽な道なんて残されていないけどね」

聖來「っと、アタシはちょっと外を歩いてくるよ。それじゃ二人とも、また明日ね!」

藍子「はい!」

凛「うん、また明日」

タタタッ

466: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 23:45:09.51 ID:F10evzFV0

藍子「私もそろそろ部屋に戻ります。凛さんはどうしますか?」

凛「そうだね……みんなと話もできたし、私も遅くなる前に戻ろうかな」

凛「藍子。私と戦えるまで、負けないでよね」

藍子「……!」

凛「じゃあね、おやすみ」

467: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/04(土) 23:46:33.60 ID:F10evzFV0

というわけでウーラオスのかた決めも兼ねた幕間でした
またらいしゅう

469: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:16:31.17 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『さあ、ガラルスタートーナメントは早くも1回戦が終了! ここからは2回戦のスタートとなります!』

瑞樹『ここまで既にハイレベルなバトルばかりだっただけに、期待も高まるわね』

恵磨『さっそく第1ラウンドにいってみましょう! まず登場するのは……』

ドンッ

聖來「よーし、やってやるっ!」

恵磨『聖來選手だ!!』

瑞樹『危なげなく1回戦を突破してきた実力者ね。この勢いを維持できるかしら』

恵磨『対するは――』

ドンッ

470: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:17:22.45 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『藍子選手だっ!!』

瑞樹『トリッキーかつ正統派。面白いトレーナーよね。どんなバトルを見せてくれるのかしら』

聖來「藍子ちゃん、やっと会えたね!」

藍子「はい、聖來さん!」

聖來「前に戦った時は、途中で色々あったもんね……でもさ」

聖來「あのまま戦っていても、きっとアタシたちは負けてた。力の差はハッキリしていたから」

471: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:18:15.47 ID:qCE+Ie/B0

聖來「だけど、今なら勝てるって思える。そう思えるぐらい、たくさん努力してきたから。藍子ちゃん驚いちゃうかもっ」

藍子「私だって、あれからいろんなトレーナーやポケモンと戦って強くなりました。だからちょっとのことじゃ驚かないかも? なんて……ふふっ」

聖來「あはは、言うじゃん! ……ねえ藍子ちゃん。藍子ちゃんが戦う理由は、なに?」

藍子「理由……私は、自分を変えたいと思って旅に出ました。その旅で、凛さんという大事な人と出会えて、ここまで来ることができました」

藍子「だからこそ、この舞台で、凛さんを倒したい。そして私は変われたって、私自身にも、凛さんにも証明したいんです」

聖來「うん、最高! 藍子ちゃんの気持ち、すごく伝わってきた!」

472: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:18:52.14 ID:qCE+Ie/B0

聖來「じゃあ次はアタシの番。アタシはね、犬ポケモンが大好きなの」

聖來「アタシのポケモンたちは、いつもワクワクやドキドキをくれる。自分自身よりも大切な存在なんだ」

聖來「だからこそ、そんな大好きなポケモンたちを、勝たせてやりたい。ガラルのトップに立って、最高の景色を見せてやりたい!」

聖來「藍子ちゃん。アタシたちの最高のパフォーマンス……見せてあげる!」

藍子「はい。……よろしくお願いします、聖來さん!」


ポケモントレーナーの聖來が勝負をしかけてきた!

473: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:19:32.22 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『それではバトル・スタートッ!!』

聖來「いくよ、パルスワン!」ポンッ

パルスワン「ワオンッ!」

パルスワン いぬポケモン でんきタイプ
電気の力で脚力が増し、三日三晩休まず走れる
フォクスライには天敵と見なされているようだ

恵磨『おっと!? 聖來選手、いきなりエースのパルスワンが先発だ!』

恵磨『対する藍子選手は――』

藍子「ウーラオス、いくよ!」ポンッ

ウーラオス「……ベアッ!」ダンッ

474: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:20:11.72 ID:qCE+Ie/B0

瑞樹『ヤドキングではなくウーラオスを繰り出したわね』

瑞樹『あの構え方は……たしかれんげきのかたと呼ばれているウーラオスかしら』

ウーラオス ♂ Lv.?? ふかしのこぶし
すいりゅうれんだ/いわくだき/ストーンエッジ/ビルドアップ
やんちゃな性格 好奇心が強い

卯月「藍子ちゃん、今回はトリックルームは使わないのかな」

未央「相手のトレーナー、前の試合で『ちょうはつ』とか使っていたよね。警戒してたのかも」

聖來「出たな、ウーラオス……相手にとって不足なし!」

聖來「フルスロットルでいくよ、パルスワン! エレキフィールド!」

475: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:21:07.07 ID:qCE+Ie/B0

パルスワン「ワオンッ!」バリリリリ

恵磨『パルスワン、まずはエレキフィールドを展開! 藍子選手はまたしてもこのフィールドを相手にすることになりました!』

藍子「ビルドアップ!」

瑞樹『ウーラオスは堅実に能力を上げてきたわね。足元が痺れちゃうし、たしかにあまり動かずにいるのは正解かも』

聖來「受けてみてよ、パルスワンの本気を!」

聖來「ライジングボルト、いっけえ!」

パルスワン「ワオオオンッ!!」

ズババババ

476: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:21:53.69 ID:qCE+Ie/B0

藍子「っ……!」

恵磨『クリーンヒットォ!! まずはパルスワンが先制です!!』

瑞樹『エレキフィールドだとさらに威力が上がる技のようね。相性もいいし、これはかなりのダメージを与えたんじゃないかしら』

聖來「どう……!?」

藍子「……たしかにすごい攻撃です。でも」

聖來「え!?」

藍子「私のウーラオスは、簡単には倒れません!」

ウーラオス「ベアア!」ズンッ

恵磨『なんとウーラオス、まだピンピンしているぞ!?』

藍子「お返しです。いわくだき!」

ウーラオス「ベアア!!」

ズドドドド

477: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:22:40.60 ID:qCE+Ie/B0

聖來「ひゃー、すごいラッシュ! これホントにいわくだきなの!?」

藍子「これがウーラオスのパワーです。防御力も下がりましたし、次で決めます!」

聖來「そうはいかないね。ワンサイドゲームになんてさせないんだから!」

パルスワン「ワオンッ!」パァァ

藍子「能力が上がった……?」

聖來「そう、特攻が上がったの。いわくだきのおかげでね」

聖來「アタシのパルスワン、『かちき』だからさ!」

かちき
能力を下げられると特攻が上がる

聖來「今度のはもっと痛いよ! ライジングボルトッ!!」

パルスワン「ワオオオンッ!!」バリリリリ

ズババババ

478: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:23:30.16 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『さらに威力の増したライジングボルトが直撃! ウーラオス、これはさすがに耐えられないかあー!?』

藍子「ウーラオスっ!」

ウーラオス「ベ、ベア……!」ググッ

聖來「ウソ、あのライジングボルトを耐えるなんて!」

藍子「ウーラオス、すいりゅうれんだです!」

ウーラオス「……ベアア!!」

ズダダダダァン!!

パルスワン「ワォン」バタンキュー

恵磨『ウーラオス、流れるような三連撃を決めた!! パルスワン、ダウンです!!』

ワアアァァァ

479: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:24:26.31 ID:qCE+Ie/B0

聖來「パルスワン……ゴメンッ!」

恵磨『まずは藍子選手が先制!! 早くもエースを失ってしまった聖來選手、ここから巻き返せるか!?』

聖來「……エース、ね」

聖來「実況の人、一つだけ訂正させてよ。アタシの手持ちで、エースはパルスワンじゃない」

聖來「正しくは、全員がエース! 誰もが主人公になれる戦い方が、アタシのモットーなの!」

聖來「というわけで藍子ちゃん、まだまだいくよ! ムーランド!」ポンッ

ムーランド「ムーラン!」

ムーランド かんだいポケモン ノーマルタイプ
賢く温厚な性格で人を襲うことがない
体毛は長くて厚手なので、寒い地方で重宝されている

480: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:25:07.65 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『続いてはムーランドの登場です!』

藍子「交代です、マホイップ!」ポンッ

マホイップ「マホ~」

マホイップ ♀ Lv.?? スイートベール
マジカルシャイン/てんしのキッス/デコレーション/あまいかおり
おだやかなせいかく のんびりするのがすき

瑞樹『藍子ちゃん、あえて相性のいいウーラオスを温存してきたわね』

聖來「よし、今がチャンス! ふるいたてる!」

ムーランド「ムーラン!」ブルルッ

481: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:25:46.03 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『その隙にムーランドは能力アップです!』

藍子「デコレーション!」

マホイップ「マホ!」シャキン

聖來「へえ、デコレーションを自分にかけるとはね! ならこっちも、もう一度ふるいたてる!」

ムーランド「ムーラン!」

瑞樹『お互いに力を溜め込んでいるわ。どのタイミングで動き出すのかしら』

マホイップ「……」

ムーランド「…………」

482: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:26:17.34 ID:qCE+Ie/B0

藍子(……まだ試合は始まったばかり。落ち着いてムーランドの攻撃をしのぎつつ、攻撃していけば……)

藍子「マホイップ――」

聖來「戻って、ムーランド!」シュゥゥ

藍子「!?」

恵磨『おっと聖來選手、ここでムーランドをボールに戻した!?』

瑞樹『ということは……!』

聖來「へへ、アタシもコレ、ゲットしたんだよね!」

聖來「いくよムーランド、ダイマックスっ!」ブゥン

ムーランド「ムウウウゥゥゥ」ズズゥン

483: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:26:56.79 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『聖來選手、ここで早くもダイマックスを選択だぁ!?』

藍子「そんな、このタイミングで……!?」

聖來「出し惜しみしてちゃ勿体ないもんね、こういうのは!」

聖來「ムーランド、ダイロッーク!」

ムーランド「ムウウウゥゥゥ!!」ゴゴゴゴ

マホイップ「マホ……!」パァァ

恵磨『マホイップもマジカルシャインで対抗しますが――』

ズドォォン

恵磨『間に合わずーー! ダイロックが命中だ!!』

ゴォォォォ

瑞樹『砂嵐が巻き起こったわ。マホイップはもちろん、ムーランドもダメージを受けるはずだけど……』

484: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:27:28.37 ID:qCE+Ie/B0

マホイップ「マホ……!」バシィ

ムーランド「ムウウウゥゥゥ」ケロリ

卯月「ダメージを受けているのは、マホイップだけ……?」

未央「そっか、『すなかき』……しぶりんのドリュウズと同じ特性だからだ!」

すなかき
砂嵐の中で素早さが上がる。また、砂嵐のダメージを受けない

藍子(っ……これが聖來さんの狙い……!)

藍子(こんなに早くダイマックスしてくるなんて。ウーラオスに交代したら止められるかもしれないけど)

藍子(ウーラオスも万全な状態じゃない。今交代したら、何もできずに倒れちゃう)

485: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:28:09.36 ID:qCE+Ie/B0

藍子(ウーラオスの力を借りずに、なんとかしないといけないなら……)

藍子「……マホイップ、戻って!」シュゥゥ

恵磨『藍子選手もここでダイマックスを選択だ!!』

藍子「キョダイマックス!」ブゥン

カッッ

マホイップ「マァァァァーーホッ」ズズゥン

恵磨『出たああ!! これはキョダイマックスか!? マホイップが要塞のような姿になって立ちはだかる!!』

瑞樹『ただ藍子ちゃんとしては、予定外のタイミングでのダイマックスになったようね。前の試合と違って、ちょっとペースを乱されている感じがするわ』

486: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:28:48.95 ID:qCE+Ie/B0

聖來「へへっ、そうこなくちゃ!」

聖來「ムーランド、ダイアタック!」

ムーランド「ムウウウゥゥゥ!!」

藍子「キョダイダンエン!」

マホイップ「マァァァァーーーホッ」

ズドゴォォォン

聖來「威力は五分……!」

藍子「でも、マホイップは!」

パァァ

聖來「回復した!?」

藍子「キョダイダンエンは体力を回復する技です。もし威力が互角だとしたら、有利なのは私たちです!」

487: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:29:23.02 ID:qCE+Ie/B0

聖來「確かにそうかも。だけど今のアタシたちは天候を味方につけてる!」

マホイップ「マァァホ……!」バシィ

聖來「こうなったら、小細工はいらないね。全力でぶつかり合おう!」

藍子「……はい!」

聖來「ダイアタック!」
藍子「キョダイダンエン!」

ズドゴォォォン

聖來「まだまだっ!」

藍子「マホイップ、頑張って!」

ズドゴォォォン

488: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:29:57.02 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『とにかく技の応酬が続いていますが、瑞樹さん、どうでしょう!?』

瑞樹『少しずつだけど、戦況が傾きつつあるわね。マホイップの攻撃スピードがだんだん落ちてきているわ。ダイアタックの効果なのかしら』

瑞樹『このままだと手数でムーランドに押し切られるかも』

恵磨『ということは、ムーランドが優勢と!?』

瑞樹『いえ、そうとも限らないわ』

バシュウッ

ムーランド「……!?」

聖來「うーん、時間切れか……!」

489: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:30:28.55 ID:qCE+Ie/B0

恵磨『ムーランドのダイマックスが切れた! そうでした、聖來選手の方が1ターンほど早くダイマックスしていました!』

藍子「これで……キョダイダンエン!」

マホイップ「マァァァァーーーホッ」グワッ

聖來「負けるか! ムーランド、全身全霊の、ギガインパクトっ!!」

ムーランド「……ムーランッ」グラッ

ズドォォン

ムーランド「ムー」バタンキュー

恵磨『ムーランド戦闘不能ー!! ダイマックスバトルを制したのはマホイップだ!!』

瑞樹『反撃が一歩及ばなかったわね』

490: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:31:22.39 ID:qCE+Ie/B0

バシュウ

マホイップ「マ、マホ~ッ」

藍子「よしっ……頑張ったね、マホイップ!」

聖來「くそー、負けちゃった……ムーランド、ご苦労さま!」

聖來「まだ砂嵐は続いてる。ムーランドの頑張り、無駄にはしないよ!」

聖來「ルガルガン、いっけー!」ポンッ

ルガルガン「ルガッ!」

ルガルガン オオカミポケモン いわタイプ
まひるのすがた
イワンコが太陽のエネルギーを受けて進化した姿
ツメやキバのほか、タテガミの岩も鋭く危険な武器だ

491: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/11(土) 23:35:14.59 ID:qCE+Ie/B0

2回戦第1ラウンド 試合経過
藍子…ウーラオス マホイップ ??? ???
聖來…×パルスワン ×ムーランド ルガルガン ???

聖來は格闘に一貫性あるパーティでよくここまで勝ち上がってきたな…

またらいしゅ

493: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:47:06.45 ID:SjTD5kuJ0

藍子「マホイップ、マジカ――」

聖來「残念だけどこれで終わり! ストーンエッジ!」

ルガルガン「ルガ!!」

ズドドドド

マホイップ「マホ~」バタンキュー

恵磨『あーっとマホイップ、ここでダウンです!』

聖來「よしっ、やっと1匹目!」

藍子「うう、マホイップ、戻って……!」

藍子(あのスピード……きっとルガルガンの特性も『すなかき』だ)

藍子(ダイマックスなしで対抗するなら)

藍子「ウーラオス、お願い!」ポンッ

ウーラオス「……ベア!」

494: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:47:39.14 ID:SjTD5kuJ0

恵磨『藍子選手、ここはウーラオスで勝負に出ます!』

聖來「かくとうタイプ対策ならバッチリだよ! ルガルガン、じゃれつけー!」

ルガルガン「ルガッ!!」ボコスカ

恵磨『ルガルガン、目にも止まらぬスピードでウーラオスにじゃれついていく!!』

瑞樹『じゃれつくという技名とは程遠い勢いね』

ウーラオス「ベアア……!」

藍子「頑張って、ウーラオス! いわくだき!」

ウーラオス「ベ……ベアッ!!」ドゴォ

恵磨『なんとかルガルガンを振り払ったウーラオス! しかし既に息は絶え絶えだ!』

495: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:48:15.32 ID:SjTD5kuJ0

藍子「ビルドアップ!」

ウーラオス「ベア!」グググ

聖來「押し切れルガルガンっ!」

ルガルガン「ルガ!!」ダッ

藍子「させません……すいりゅうれんだ!」

ウーラオス「……ベアッ!!」

ズダダダダァン!!

恵磨『お互いに痛い一撃を受けてしまったルガルガンとウーラオス! 壮絶な叩き合いを制したのは――』

ルガルガン「……ルガッ!!」

ウーラオス「ベア……」

ドサッ

496: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:48:47.34 ID:SjTD5kuJ0

恵磨『ルガルガンだァ!!』

藍子「ウーラオス……!」

聖來「よしっ、これでトントンだね!」

卯月「砂嵐のダメージが大きかったね……」

未央「うん。きっと相手は砂嵐を起こした時から、ムーランドとルガルガンを起点に攻めていくつもりだった」

未央「そのために、ムーランドに『さらさらいわ』……砂嵐を持続させられる道具を持たせていたんだ」

藍子(……これで残った手持ちは2匹。聖來さんはルガルガンと、おそらくもう1匹は……)

497: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:49:13.38 ID:SjTD5kuJ0

藍子「……サニーゴ、いくよ!」ポンッ

サニーゴ「サニッ!」

サニーゴ ♀ Lv.?? はりきり
アクアブレイク/パワージェム/いのちのしずく/ミラーコート
わんぱくなせいかく うたれづよい

聖來「サニーゴ……だったら!」

聖來「ルガルガン、戻って!」

藍子「やっぱり、最後の手持ちは……」

498: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:49:41.99 ID:SjTD5kuJ0

聖來「ヘルガー、いっくよ!」ポンッ

ヘルガー「ヘルガアアー!」

ヘルガー ダークポケモン あく・ほのおタイプ
口から噴き出す炎には毒素も混じっている
不気味な遠吠えは相手を恐れ慄かせるという

恵磨『聖來選手、ここで交代! サニーゴに対しヘルガーを繰り出しました!』

恵磨『が、相性は最悪だぞ!? 聖來選手、なにか考えがあるのか!?』

聖來「ないよ、考えなんて! アタシたちはただ、今度こそサニーゴに勝ちたいだけ。そうだよね?」

ヘルガー「ヘルガアア!」

499: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:50:08.94 ID:SjTD5kuJ0

藍子「キルクスタウンで戦った時以来ですね……!」

聖來「うん。あの時は胸を借りるつもりだったけど……」

聖來「今度はアタシが貸す番だよ! ヘルガー、あくのはどう!」

ヘルガー「ヘルガア!」バババ

藍子「ミラーコートで跳ね返して!」

サニーゴ「サニ!」バシィ

聖來「わわ、躱してヘルガー!」

ヘルガー「ヘルガッ!?」ヒョイッ

聖來「ひゅー、危なかった。うーん、あの技は厄介だなあ」

藍子「アクアブレイク!」

サニーゴ「サニ!」バシュゥ

500: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:50:41.75 ID:SjTD5kuJ0

聖來「そうだ、サニーゴは物理攻撃が強かったんだ」

聖來「それを乗り切るためにアタシたちが選んだ技は……これ!」

聖來「ヘルガー、れんごく!」

ヘルガー「ガアア!!」グォォォ

サニーゴ「サ、サニ!?」

ボォォォォォ

恵磨『ああっとサニーゴ! れんごくをモロに食らってしまったぞ!!』

瑞樹『ダメージ自体はそれほどでもないけれど、それ以上に痛いのが……』

サニーゴ「サニ……!」ズキン

501: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:51:07.65 ID:SjTD5kuJ0

藍子「!」

卯月「ああっ、やけどしちゃった!」

聖來「普通のやけどじゃないよ! ヘルガーの炎には毒素も混じっているんだ。けっこうズキズキするんじゃないかな?」

聖來「これでサニーゴは本来の力を出せない。畳みかけるよ、ヘルガー!」

ヘルガー「ヘルガアア!」ダッ

藍子「サニーゴが使えるのは物理技だけじゃありません! パワージェム!」

サニーゴ「サニ!」ズバババ

ヘルガー「ガッ……!」

502: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:51:40.29 ID:SjTD5kuJ0

聖來「やるね……かみなりのキバ!」

ヘルガー「ガアア!」ガブゥ

藍子「うっ……サニーゴ、いのちのしずく!」

サニーゴ「サニッ」パァァ

恵磨『なんと! 藍子選手が有利かと思われたこの対面、やけどとかみなりのキバを駆使するヘルガーがサニーゴを翻弄しているぞ!』

瑞樹『とはいえ……状況としては依然、聖來ちゃんが不利ね』

瑞樹『藍子ちゃんはまだ顔を見せていない4匹目がいるわ。対して聖來ちゃんは、ルガルガンもヘルガーも消耗気味。なるべく受けるダメージは最小限に抑えたいところね』

聖來「くっ……回復までしてくるなんて、本当に粘り強いんだから」

503: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:52:08.98 ID:SjTD5kuJ0

聖來「だけどまだまだ、勝負はここから! ヘルガー、かみなりのキバっ!」

ヘルガー「ヘルガアア!!」ダッ

藍子「聖來さん……」

藍子「正直、私の方が聖來さんより強いって思ったことも、胸を貸そうなんて思ったことも、一度もありません。だけど」

藍子「私を慕ってくれているのなら……簡単には負けられません!」

藍子「サニーゴ、パワージェム!」

サニーゴ「サニ!」

聖來「来るよ、ヘルガー!」

藍子「……を纏わせて、アクアブレイク!」

聖來「え!?」

504: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:52:40.65 ID:SjTD5kuJ0

サニーゴ「サニーッ!」バシュウ

恵磨『なんとサニーゴ、パワージェムと同時にヘルガーに突撃ー!!』

ヘルガー「ヘルガッ……!」

未央「やった、あーちゃんお得意のコンビネーション技だ!」

聖來「まさかサニーゴ本体も一緒だなんてね……! ヘルガー大丈夫!?」

ヘルガー「ヘル、ガ、ア……!」

聖來(っ! この体力じゃ、ヘルガーはもう……)

聖來「……いや、アタシは最後まで諦めない。みんなで一緒に、チャンピオンになるんだ!」

聖來「藍子ちゃん、受け取って! これがアタシたちの……」

聖來「きしかいせいの一撃だあっ!!」

505: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:53:10.82 ID:SjTD5kuJ0

ヘルガー「ヘルガアア!!!」

藍子「アクアブレイクっ!」

サニーゴ「サニーッ!!」

ズドォォン

恵磨『またしても両者、激しく衝突! どうなった……!?』

サニーゴ「……サニ」バタンキュー

ヘルガー「ガア……」バタンキュー

恵磨『サニーゴ、ヘルガー、同時にダウーン!!』

瑞樹『ヘルガー、不利な相性でよく相討ちに持ち込んだわね。大健闘だったわ』

506: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:53:42.72 ID:SjTD5kuJ0

聖來「うーん……リベンジならず、か」

藍子「頑張ったね、サニーゴ」シュゥゥ

恵磨『さあ、お互いに残っているのはあと1匹ですが……』

瑞樹『結果は歴然、といったところかしら』

藍子「……聖來さん」

聖來「……ルガルガン!」ポンッ

ルガルガン「ルガッ……」ヨロッ

聖來「……まだ勝負はついてないよ、藍子ちゃん。だってルガルガンは、まだやる気マンマンなんだから」

ルガルガン「……ルガ! ルガルガッ!」

507: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:54:11.01 ID:SjTD5kuJ0

藍子「……そうですよね」

藍子「ドラパルト!」ポンッ

ドラパルト「ドラパ!」

ドラパルト ♂ Lv.?? すりぬけ
ドラゴンアロー/ゴーストダイブ/でんじは/みがわり
さみしがりなせいかく すこしおちょうしもの

藍子「ドラゴンアロー!」

ドラパルト「ドラパ!!」バビュン

聖來「アクセルロック!」

508: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:54:53.34 ID:SjTD5kuJ0

ルガルガン「……ルガッ!」ビュン

ドラメシヤA「ドラッ……!」チッ

恵磨『ルガルガン、懸命に応戦しますが……』

ドラメシヤB「メシャー!!」

恵磨『勢いは止まらなーーい!!』

ズドォォン

ルガルガン「……ルガッ」

バタンキュー

聖來「……!」

509: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:56:05.82 ID:SjTD5kuJ0

恵磨『聖來選手最後の一匹、ルガルガン戦闘不能!!』

恵磨『天を仰いだ聖來選手! 決勝へコマを進めたのは……藍子選手だあー!!』

ワァァァァァ

聖來「……ここまで、か」

藍子「……勝った……!」

藍子(だけど、なんだろう……この気持ちは)

聖來「あーあ。やっぱり藍子ちゃんは強いや。もっといい勝負ができると思ったんだけどな」

聖來「ごめんね、ルガルガン、ヘルガー、ムーランド、パルスワン。アタシ、全然みんなの力を引き出せなかったよ」

聖來「……あー……」

聖來「思っていたよりずっと、悔しいなあ……!」ポロッ

510: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:56:39.77 ID:SjTD5kuJ0

藍子「聖來さん……」

藍子「……あの、聖來さん」

聖來「……?」

藍子「聖來さんと戦ったのは一度だけだったのに、私、今までで一番、負けたくないって思えたバトルでした」

藍子「キルクスタウンで戦った時、聖來さんは私の胸を借りるって言ってくれましたよね」

藍子「あの時は、ちゃんと言葉通りに受け取れなくて……ただ恥ずかしいって気持ちばかりでした。もしかしたら、期待されるのが怖かったのかもしれません」

藍子「でも、今ならわかります」

511: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:57:22.46 ID:SjTD5kuJ0

藍子「私が負けたくないって思った理由。それはあの時の聖來さんの言葉があったからなんです」

聖來「……!」

藍子「自分を慕ってくれる人、尊敬してくれる人。その期待に応えようとすること……」

藍子「……それが、強さになっていくんですね」

藍子(……凛さんは、ずっとそうやって、私の前を歩いて……)

藍子「聖來さん。これからは聖來さんの分まで、私も頑張ります。だから……決勝戦も、応援していて下さい」

藍子「そして、また私とバトルしてください!」

512: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:58:11.58 ID:SjTD5kuJ0

聖來「……!」

聖來「あはは、やっぱり藍子ちゃんには敵わないや」

聖來「クヨクヨしてたって仕方ないもんね。うん、次は絶対にアタシが勝つ。だから藍子ちゃんも、アタシのカッコいい先輩であり続けてよねっ!」

藍子「せ、先輩はちょっと……聖來さんの方が年上だから、余計に複雑です~」

聖來「あはは、いいじゃん別に!」

グッ

513: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/19(日) 20:58:53.26 ID:SjTD5kuJ0

未央「あーちゃん、いよいよ決勝に進出だね!」

卯月「うん! あとは――」

恵磨『さあ続いては2回戦! 藍子選手の相手はいったい誰になるのか!?』



2回戦第1ラウンド 試合終了

藍子…×ウーラオス ×マホイップ ×サニーゴ ドラパルト
聖來…×パルスワン ×ムーランド ×ルガルガン ×ヘルガー

515: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:19:16.03 ID:U/ESAA4n0

恵磨『さあ、こちらも注目のマッチとなりました。決勝で藍子選手と戦うのはどちらなのか……第2ラウンドの始まりです!』

恵磨『まず登場するのは――』

ドンッ

恵磨『奏選手だっ!!』

恵磨『対するは――』

ドンッ

奏「……来たわね」

凛「……」

恵磨『凛選手だっ!!』

瑞樹『変則的な戦い方の奏ちゃんと、直球勝負が得意な凛ちゃん……果たしてどうなるのかしら』

516: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:19:56.38 ID:U/ESAA4n0

未央「な、なんか相手からすごいオーラを感じるんだけど……」

卯月「あの2人、なにかあったのかな……? スパイクタウンでは助けてあげて、って言ってたけど」

凛「奏……久しぶりだね」

凛「ジムチャレンジ、やってたんだ。そんなの興味がないって、前は言ってたじゃない?」

奏「ふふ、覚えていたのね。それに信じてもいたなんて」

奏「……自分が見聞きしたことだけが真実とは思わないことね。女は誰だって、ウソや秘密を抱えている。それも一つや二つじゃなく」

奏「貴方だってそうじゃない、凛?」

凛「どうだろう。私は不器用だからね。ウソはあまりつけないんだ」

517: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:20:33.35 ID:U/ESAA4n0

奏「……言うと思った。そういう真っ直ぐな貴方のことが、私は……」

奏「憎くて、賤しくて、仕方なかった」

凛「……!」

奏「ガラル地方の人々は、ポケモンバトルを競技として捉えているわ。じゃあ彼らは、競技に何を求めているのかしら?」

奏「答えは迫力や熱狂、そしてドラマ。良く言えば王道、悪く言えばテンプレート通りの戦い方なの」

518: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:21:39.58 ID:U/ESAA4n0

奏「心が昂る瞬間を夢見て、観客はスタジアムに集まる。その有象無象を見た時、ジムチャレンジャーはこう考えてしまうの。どうやって勝つか、よりも、どうやって盛り上げようか、とね」

奏「ジムチャレンジの歴史はそうやって続いてきたわ。それを否定するつもりはもちろんないんだけど……私は同じ流れに囚われたくなかった」

凛「ジムチャレンジに興味がないって、そういうことだったんだ」

奏「ええ。それにジムチャレンジャーって、戦ってみると案外強くないのよね」

奏「例えるならそう、マッスグマかしら。直線は進めるけど、曲がれない。だからちょっと手を捻ってやるだけで、簡単に出し抜けちゃうの」

519: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:22:27.02 ID:U/ESAA4n0

奏「それに気づいてからは……退屈になった。私は誰よりも自由で、孤独になった」

奏「そんな時、あるトレーナーが目の前に現れたの」

凛「それが……私」

奏「貴方は2度も私を下した。かつて自分が見くびっていたスタイルのトレーナーに負けるなんて、とてもシニカルで……屈辱だったわ」

奏「だからジムチャレンジに参加したの。ガラル最高峰と呼ばれる場で、大勢の聴衆が見ている前で、貴方だけを本気で打ち負かすために」

凛「私だけを……?」

奏「ここではっきりと宣言させてもらうわ、凛。今の私は、チャンピオンなんて微塵も興味がない」

520: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:23:22.66 ID:U/ESAA4n0

奏「ただ貴方を倒す。倒して、私が上に立つ。そのためだけに、私はここまで来たのよ」

奏「……前に共闘したことで、手癖も研究できた。新しい武器も手に入れた」チャキッ

凛「ダイマックスバンド……」

奏「凛。私が受けた屈辱、今度こそ味わわせてあげるわ」

凛「……上等だよ」

凛「私はこんな所で立ち止まっていられない。藍子が待っているんだ」

凛「……いや、藍子だけじゃない。その先には――」

凛「いくよ、奏っ!」


ポケモントレーナーの奏が勝負をしかけてきた!

521: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:24:03.64 ID:U/ESAA4n0

恵磨『バトルスタートッ!!』

凛「ムクホーク!」ポンッ

奏「クレッフィ、よろしく」ポンッ

ムクホーク「ムクホー!」

クレッフィ「クレッ」

ムクホーク ♂ Lv.83 いかく 持ち物:??
ブレイブバード/インファイト/はがねのつばさ/がむしゃら
いじっぱりなせいかく うたれづよい

奏「まきびしよ」

クレッフィ「クレッ!」バラバラ

522: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:24:38.22 ID:U/ESAA4n0

恵磨『まずはクレッフィが先制! ムクホークの足元にまきびしをバラ撒いた!』

凛「はがねのつばさ!」

ムクホーク「ムクホ!」ガキンッ

クレッフィ「クレッ……」

奏「このダメージなら、まだ大丈夫そうね。もう一度まきびし!」

クレッフィ「クレッ!」

恵磨『クレッフィ、まきびしの数をどんどん増やしていきます!』

瑞樹『これ以上は危険ね。凛ちゃんとしては早めにクレッフィを倒したいところだけど』

瑞樹『ムクホークはリスキーな技が多いポケモン。下手をすれば後続に響いてくるわ』

523: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:25:09.90 ID:U/ESAA4n0

凛(……奏のことだ。いきなり『すりかえ』してくるかと思ったけど、ハズレだったか)

凛(けど、はがねのつばさのおかげで防御力も上がった)

凛「そろそろ本気でいくよ。ムクホーク、インファイト!」

ムクホーク「ムクホー!!」

ドガガガ

恵磨『ムクホーク、ここでようやく大技だ! クレッフィに大ダメージ!!』

奏「なるほど……これで能力が下がる分は帳消しってわけ」

奏「私もそろそろ仕掛け時ね。クレッフィ、すりかえ!」

524: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:25:39.67 ID:U/ESAA4n0

クレッフィ「クレッ!」ヒョイ

恵磨『クレッフィ、お互いの道具を入れ替えた! ムクホークに渡ったのは……』

ムクホーク「ムクホ……!」ドクン

恵磨『どくどくだまだ! 凛選手、これは痛い!!』

凛「やっぱりね……そう来ると思った」

奏「ふふっ。これでクレッフィの役目は終わりね」

奏「次のターンで倒されるはずだし、最後にもう一度、まきびしをサービスして――」

奏「――!!」

525: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:26:07.26 ID:U/ESAA4n0

凛「かかったね! ムクホーク、インファイト!」

ムクホーク「ムクホー!!」ドガガガガ

クレッフィ「クレッ……」

バタンキュー

恵磨『クレッフィ、ダウーン!! まずは凛選手が先制だ!!』

卯月「やったっ!」

未央「最後、まきびしを打たせなかったね! やるじゃんしぶりん!」

凛「私が何も対策していないと思った?」

奏「……やってくれたわね。『とつげきチョッキ』なんて」

とつげきチョッキ
持たせると特防が上がるが、変化技を出せなくする

526: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:26:52.16 ID:U/ESAA4n0

奏「まあいいわ。先にすりかえをしておいたら、もっと悲惨なことになっていただろうし」

奏「まずはムクホークから、きっちり仕留めさせてもらうわ。……いくわよ、ヨノワール」ポンッ

ヨノワール「ヨノ」ズンッ

ヨノワール てづかみポケモン ゴーストタイプ
霊界からの指示を受け、現世とあの世を行き来する
腹部の巨大な口で迷える魂を丸飲みしてしまうという

凛(なんだかおどろおどろしいポケモンだな……)

凛「このままいくよ、ムクホーク!」

527: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:27:20.84 ID:U/ESAA4n0

奏「そうはさせないわ」

ヨノワール「ヨノ」ブゥン

奏「じゅうりょく!」

ヨノワール「……ヨノワッ」

ムクホーク「ムクホ!?」グンッッ

恵磨『ああっと、ムクホークを重力が襲う!』

凛「しまった、地面には……!」

グサァァァァ

恵磨『これは……重力とまきびしの挟み撃ちだぁー!!』

凛「ムクホークッ!!」

528: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:27:49.41 ID:U/ESAA4n0

キャアアアア

恵磨『客席からも思わず悲鳴が上がっています!』

瑞樹『大ダメージ……なんて場合じゃないわね。奏ちゃん、こんなにバイオレンスな戦い方をするトレーナーだったかしら?」

ムクホーク「ム、ムク、ホ……」

奏「これでトドメね。ヨノワール、がんせきふうじ」

ヨノワール「ヨノワ」

ゴゴゴゴゴ

ムクホーク「ムクホ……」

ガクッ

529: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:29:12.93 ID:U/ESAA4n0

恵磨『……な、なんということでしょうか』

恵磨『身動きができないムクホークをがんせきふうじで追い打ち! ヨノワール恐るべしッ!!』

『お……おい! いくらなんでもそこまでする必要ねえだろ!』

『そうよ! ムクホークが可哀想じゃない!』

ワーワー

未央「み、みんな、落ち着いて……!」

奏「可哀想? これも勝負のうちよ」

『なんだそれ、性格悪……』

『強いからファンだったのに、ショックだわー……』

530: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:29:52.95 ID:U/ESAA4n0

奏「……誰に嫌われたって関係ないわ。好かれようと思って生きているわけじゃないし」

奏「それにここでは強さこそが絶対。そうよね、凛?」

凛「っ……」

凛(……いや、煽動されちゃダメだ)

凛(奏はまきびしが少ない所にムクホークを突き落としていた。今のはあくまでも勝負としてやっただけ……)

凛(ごめん、ムクホーク。ゆっくり休んでて……!)

凛「いくよ、ドリュウズ!」ポンッ

ドリュウズ「ドリュ!」

531: ◆7P/ioTJZG. 2021/09/26(日) 20:32:57.56 ID:U/ESAA4n0

2回戦第2ラウンド 試合経過
凛…×ムクホーク ドリュウズ ??? ???
奏…×クレッフィ ヨノワール ??? ???

先週はなぜか投下した後に力尽きてた
奏もそうですが、聖來にしゅがは、あきらとトーナメント編ではライバルの背景もしっかり描写するようにしています
この辺はウマ娘に影響されたのかもしれない

ではまたらいしゅう

533: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:22:59.00 ID:0q+oFdSs0

ドリュウズ ♀ Lv.82 すなかき
ドリルライナー/アイアンヘッド/いわなだれ/みがわり
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

凛「ドリュウズ、地面に潜って!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

奏「地面の中だったらじゅうりょくも通じない……って魂胆ね」

奏「だけど、そううまくいくかしら」

凛「……どういうこと?」

奏「気になるなら試してみれば?」

凛「ふうん。……だったら乗ってあげるよ」

凛「ドリュウズ!」

ボゴッ

534: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:23:54.04 ID:0q+oFdSs0

ドリュウズ「ドリュ!!」ギュルルル

恵磨『ドリュウズ、勢いよく飛び出し――』

奏「じゅうりょくで抑えつけて」

ヨノワール「ヨノワ」

グンッッ

ドリュウズ「!?」

恵磨『あーっと! じゅうりょくで抑え込んだ!!』

ドリュウズ「ドリュ……!」ドサッ

奏「トリックよ」

ヨノワール「ヨノワ」ヒョイ

535: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:24:38.69 ID:0q+oFdSs0

凛「トリック……? せっかくの攻撃の機会だったのに」

奏「ええ。その心は……こういうこと」

ヨノワール「ヨノワ……!」グググ

恵磨『ヨノワールからドリュウズに、謎の力が送り込まれているぞ! 瑞樹さん、この技は……』

瑞樹『どうやら、ドリュウズの道具に霊力が集まっているようね』

奏「ポルターガイスト」

ズバァァァン

凛「うっ……!」

恵磨『ドリュウズの懐から爆発が起きた!?』

奏「あれは相手の道具を利用して攻撃する、ゴーストタイプ最強クラスの技よ」

536: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:25:47.20 ID:0q+oFdSs0

凛「そのためにトリックを……」

奏「ついでに、道具の方もサービスしちゃった」

ドリュウズ「ドリュ……!」チクリ

恵磨『しかもドリュウズに渡していた道具は『くっつきバリ』です!!』

くっつきバリ
相手から直接攻撃を食らわない限り、毎ターンダメージを受け続ける

瑞樹『まきびしに加えてくっつきバリ……ダメージは小さいけど、決して軽んじることはできないわね』

凛「ドリュウズ、大丈夫!?」

ドリュウズ「……ドリュッ!」

537: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:26:17.38 ID:0q+oFdSs0

凛「よし……いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ!」

ヨノワール「ヨノワッ……」ゴゴゴゴゴ

奏「この程度、痛くも痒くもないわね。……あら?」

ドリュウズ「ドリュ!!」ギュルルル

恵磨『ドリュウズ、いわなだれの隙間を縫って突撃してきたぞ!』

奏「それが狙いだったのね」

奏「だけど」

ズバァァァン

恵磨『しかし一歩届かず! ポルターガイストに遮られました!!』

凛「くっ……」

538: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:26:57.84 ID:0q+oFdSs0

奏「がんせきふうじ」

ヨノワール「ヨノワ!」ゴゴゴゴ

凛「みがわり!」

ズシャァン

身代わり人形「」ボトッ

奏「それで私を欺けたとでも?」

ドリュウズ「ドリュ!」フッ

奏「道具を持っているのは本体だけだというのに」

ズバァァァン

539: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:27:45.78 ID:0q+oFdSs0

恵磨『ドリュウズ、みがわりを使って背後に回り込みましたが、またしても反撃できず!!』

瑞樹『これは厄介ね。道具に働きかけて攻撃する技である以上、ドリュウズは躱しようがないわ』

瑞樹『それにくっつきバリも、文字通り所有者に密着する道具。簡単に手放せないのも痛いところね』

凛(……たしかにそうだ。みがわりを使おうが、地面に潜ろうが、どこにいてもあの大技を受けてしまう)

凛(くっつきバリを相手に返す手段もない……)

奏「満足に攻撃できない今の気分はどうかしら、凛」

凛「たしかにいい気分じゃないよ。だけど……」

凛「見つけたよ。ヨノワールを倒す方法」

540: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:28:31.39 ID:0q+oFdSs0

奏「……へえ」

奏「貴方のことだもの。きっと虚勢でもないんでしょう。……だったら見せてちょうだい」

凛「ドリュウズ、いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

ヨノワール「ヨノワッ……」

凛「今だ、地面に潜って!」

ドリュウズ「ドリュ!」

奏「また地面から接近する気? こっちはどこからでも攻撃できるのよ」

541: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:29:04.83 ID:0q+oFdSs0

凛「わかってるよ。だけど、そううまくいくかな」

奏「どういうこと?」

凛「気になるなら試してみれば?」

奏「……そんな安っぽい挑発には乗らないわよ」

凛「だったら……ドリュウズ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ドゴオッ

恵磨『ドリュウズ、地面からヨノワールを突き上げたー!!』

奏「っ……けど、ヨノワールならまだ堪えられるわ」

奏「ポルタ――」

542: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:29:38.86 ID:0q+oFdSs0

凛「ドリュウズ、ヨノワールにしがみついて!」

ドリュウズ「ドリュ!」ガシッ

ヨノワール「ヨノワ!?」

奏「なっ……?」

凛「たしかにヨノワールはしぶといポケモンだよ。ドリュウズの攻撃も一発程度なら持ちこたえるかもしれない」

凛「ポルターガイストじゃなきゃ、ね!」

ヨノワール「ヨ、ヨノワ……!」

恵磨『こ、これは!!』

ズバァァァン

543: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:30:32.82 ID:0q+oFdSs0

恵磨『なんとドリュウズだけでなく、ヨノワールにもポルターガイストが命中ーー!!』

ドリュウズ「ドリュ……」バタンキュー

恵磨『ドリュウズは当然ダウン、そして……』

ヨノワール「ヨノ、ワ……」バタンキュー

恵磨『ヨノワールも耐えられなかったー!!』

ワァァァァァ

瑞樹『見事ね。絶対に躱せないというデメリットを活かして、自分ごと技を当てにいったんだわ』

瑞樹『ヨノワールはゴースト技が弱点。加えてムクホークの時からくっつきバリを持っていた影響で、ダメージも蓄積していたんでしょう』

544: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:31:02.94 ID:0q+oFdSs0

恵磨『これでお互いに残るポケモンは2体!!』

凛「ドリュウズ、お疲れ様」

凛「どう? あそこで安い挑発に乗っていたら、こうはならなかっただろうね」

奏「……貴方も大概、意地悪な性格しているのね」

奏「いくわよ、ブラッキー」ポンッ

ブラッキー「ブラッ!」

凛「いくよ、サンダース!」ポンッ

サンダース「ダース!」

恵磨『続いてはサンダースVSブラッキー! 奇しくもイーブイの進化系同士の対決となりました!』

545: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/01(金) 23:34:09.93 ID:0q+oFdSs0

2回戦第2ラウンド 試合経過
凛…×ムクホーク ×ドリュウズ ??? ???
奏…×クレッフィ ×ヨノワール ??? ???

ストックがなさすぎるのでまた刻み刻みの投下になります。これ年内に終えれるかしら…
そんなことより明日から福岡ですね、楽しみ

ではおやすみなさい

548: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 21:57:45.82 ID:eR7msfb40

サンダース ♀ Lv.82 はやあし
かみなり/シャドーボール/じゅうでん/でんじは
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

サンダース「ダース……!」グサァ

凛(……同じイーブイの進化系として、負けられないね)

凛「サンダース、じゅうでん!」

サンダース「ダース」バリリリ

奏「バークアウトよ」

ブラッキー「ブラッ!」ォォォン

恵磨『サンダースのじゅうでんに対し、ブラッキーはバークアウト! お互いにまだ様子見といったところでしょうか?』

凛「サンダース、距離を詰めて!」

サンダース「ダースッ!」ダッ

549: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 21:58:54.62 ID:eR7msfb40

凛「いくよ……かみなり!!」

サンダース「……ダース!!」バリバリバリ

恵磨『かみなりが直撃だ! 能力を下げられたとはいえ、これはかなりの威力だぞ!』

瑞樹『けどブラッキーもさすがの堅牢っぷりね』

奏「つきのひかり」

ブラッキー「ブラ」パァァ

恵磨『ブラッキーすかさず回復! かみなりの傷がみるみるうちに癒えていくぞ!!』

奏「あら、思ったよりも被害が少なかったわね。かみなりがその程度の威力なのか、それとも私のブラッキーがしぶといのか」

凛「っ……」

550: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 21:59:44.73 ID:eR7msfb40

凛(最大威力のかみなりでこのダメージ……これじゃいつになってもブラッキーは倒せない)

凛(バークアウトも使ってくるし、ターンが長引くほどこっちが不利になる)

凛(じゅうでんを使わず、常にかみなりと同等の大技を打つには――)

凛「サンダース!」シュゥゥ

奏「ま、そう来るわよね」

凛「いくよ……ダイマックス!!」ブンッ

サンダース「ダァァァァァァス」ドンッ

恵磨『凛選手、ここでサンダースをダイマックスさせました!!』

551: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:00:26.93 ID:eR7msfb40

凛「これならどう? ダイサンダー!」

サンダース「ダァァァァァァス!!」バリリリリ

ズバァァァン

奏「っ……さすがの威力ね。ブラッキー、つきのひかりよ」

ブラッキー「ブラッ」パァァ

凛「また回復された……だけど今度はエレキフィールドもある。次のダイサンダーで!」

凛「サンダース!」

サンダース「ダァァァァァァス!!」バリリリリリ

奏「まもる!」

ブラッキー「ブラ」カッ

ズバァァァン

552: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:01:29.62 ID:eR7msfb40

恵磨『ああっとブラッキー、まもるを使うも完全には防ぎきれていなーい!!』

瑞樹『とはいえ、ダメージは最小限に抑えたわね』

凛「これでも倒れないか……まだまだいくよ、サンダース!」

サンダース「ダァァァァァァス!!」

ズバァァァン

卯月「やった、さすがにこれだけダイマックス技を当てれたら――」

ブラッキー「…………ブラッ!」

未央「ウ、ウソ!?」

奏「つきのひかりよ」

パァァ

恵磨『なんと!? ブラッキー、凄まじい耐久力で3発のダイサンダーを凌いでしまったー!!』

553: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:02:35.22 ID:eR7msfb40

バシュゥ

サンダース「ダ、ダース……!」ヨロッ

奏「ダイマックスしても倒せなかった。これで勝負あったわね」

凛「…………」

凛「戻って、サンダース!」シュゥゥ

恵磨『凛選手、ここでサンダースを引っ込めます! 瑞樹さん、これはどういうことでしょうか?』

瑞樹『凛ちゃんのサンダースは、かみなりがメインウェポンのポケモンだわ。だけど逆を言えば、それ以外で強力な攻撃手段を持っていない』

瑞樹『奏ちゃんはそこに着目した。かみなりに必ず耐えられる試合運びをすることで、相手を倒すのではなく、倒せない状況にさせたのよ』

554: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:03:16.46 ID:eR7msfb40

瑞樹『このまま闇雲に戦っても、何も変わらない。そう考えて、凛ちゃんは交代を選んだのでしょう』

恵磨『ということは、この勝負は実質……』

瑞樹『ええ。ブラッキーの粘り勝ちね』

恵磨『な……なんと、イーブイの進化系同士の対決は、意外な決着となりました!!』

ワァァァァァ

奏「まきびしの被害を抑えるために、サンダースに拘った結果がこれ。ダイマックスまで使ったというのにね」

凛「くっ……」

555: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:04:12.29 ID:eR7msfb40

奏「実質、残りのポケモンは1匹だけ。だけど私には、誰が出てくるのか見当がつくわ」

凛「……ゲッコウガ、いくよ!」ポンッ

ゲッコウガ「ゲコ」

ゲッコウガ ♂ Lv.85 げきりゅう
みずしゅりけん/ハイドロカノン/つばめがえし/みがわり
やんちゃなせいかく まけずぎらい

奏「……予想通り、ここまで温存していたのね」

凛(あの要塞のようなブラッキーを倒すには……)

凛(とにかく、回復させちゃいけない!)

凛「ゲッコウガ、まずはブラッキーに近づくよ! みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」シュババババ

556: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:04:44.44 ID:eR7msfb40

ブラッキー「ブラッ!」ォォォン

恵磨『ブラッキー、バークアウトで連続攻撃を打ち消していきますが……』

ブラッキー「……ブ、ブラッ」ズバッ ズバッ

奏「さすがに素早いわね。けどこの程度の怯みなら――」

凛「ゲッコウガには十分だよ!」

ゲッコウガ「ゲコ!」フッ

卯月「一気に目の前まで来た!」

凛「つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!!」ズバッッ

未央「やった、決まったっ!」

557: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:05:18.89 ID:eR7msfb40

凛「まだまだ!」

奏「させないわ、あやしいひかり!」

ブラッキー「ブラ!」パッッ

恵磨『おっとゲッコウガ、至近距離であやしいひかりを受けてしまった! 混乱は免れないか!?』

凛「もう一度つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

恵磨『いや、混乱していません!!』

凛「忘れたの? 見ちゃいけないなら、見なければいいだけだよ」

558: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:05:45.33 ID:eR7msfb40

凛「斬り上げて!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

ブラッキー「ブラッ……」

凛「みずしゅりけん!!」

ズバババババ

ブラッキー「ブ、ブラッ……」

バタンキュー

恵磨『ブラッキー、怒涛の攻めに耐えきれずダウーン!!』

ワァァァァァ

559: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:06:29.38 ID:eR7msfb40

瑞樹『ブラッキーもつきのひかりを連発して疲れていたのでしょうね』

恵磨『奏選手、いよいよ追い詰められてしまった!!』

『いいぞ凛! 頑張れー!』

『やっぱ凛の方が見てて気持ちいいわ。奏なんて蹴散らしてやれー!』

奏「あらら……すっかりヒール役ね、私」

奏「まあ、こうなるのも妥当か」

凛(……奏の顔が強張っている。そうだよね。これだけ非難の声を浴びるのは、誰だって辛い……)

凛「たしかにガラル流の戦い方とはズレてるかもしれないけどさ。私は奏のやり方だって、立派な作戦の一つだと思うよ」

560: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:07:31.70 ID:eR7msfb40

奏「……もしかして、慰めようとしてる?」

凛「平気なふりしたって、顔に出てるよ」

奏「……そう。私もまだまだね」

奏「だけど、安易な共感なんていらないわ。私はガラルという場所で、こういう生き方を選んでしまった。元からマジョリティに迎えられる資格なんて、なかったのよ」

奏「私は私のやり方で、貴方を倒す。そこにしか道は残っていないのよ」

凛「……本当に、そうかな」

奏「お喋りが過ぎたわ。いくわよ、ブリムオン」ポンッ

ブリムオン「ブリム」

恵磨『奏選手、最後はやはりエースのブリムオンだ!』

561: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:08:03.31 ID:eR7msfb40

凛「交代! いくよ、サンダース!」ポンッ

サンダース「ダース!」

グサァ

奏「マジカルフレイム!」

ブリムオン「ブリム!」ボォォ

恵磨『交代で出てきたサンダースですが、さっそく特攻を下げられてしまいました!』

瑞樹『それにまきびしのダメージも効いているわね』

凛「かみなりは使えなくても、ブリムオン相手ならシャドーボールで戦える!」

サンダース「ダース!」ボッ

ブリムオン「ブリム……!」バシィ

562: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:08:39.38 ID:eR7msfb40

奏「叩き潰してあげるわ」

ブリムオン「ブリム!」ブゥン

凛「パワーウィップが来るよ、サンダース!」

サンダース「ダース!」ヒョイッ

凛「もう一度シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ズドンッ

ブリムオン「ブリム……!!」

ブゥン

凛「連続攻撃……これも躱すよ!」

サンダース「ダース!」ヒョイッ

563: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:09:22.17 ID:eR7msfb40

ブゥン

凛「もう一発!」

奏「かかったわね」

サンダース「……ダース!?」ボコッ

恵磨『おっと!? サンダース、なにかに引っかかったようだ!』

凛「! あれはドリュウズが開けた穴……!」

奏「墓穴を掘ったわね。ブリムオン、じゃれつく!」

ブリムオン「ブリム!」ダッ

凛(くそ、これは避けれない!)

凛「でんじは!」

564: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:10:39.16 ID:eR7msfb40
サンダース「ダース!」バリリ

ブリムオン「ブリム!」ケロリ

凛「効いてない!?」

ボコスカ

サンダース「ダース」バタンキュー

恵磨『サンダース、ダウーン! 奏選手、先程までとは打って変わって猛攻を見せます!!』

瑞樹『これまでの鬱憤を晴らすかのような勢いね』

凛「っ……戻って、サンダース」

奏「残念ね。せめてマヒだけでも撒こうとしたんでしょうけど、ブリムオンは『マジックミラー』が守ってくれているの」

マジックミラー
常にマジックコートを張り、変化技を受け付けない

565: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:11:44.21 ID:eR7msfb40

凛「なるほどね……ずっとゲッコウガでしか戦ってなかったから、気づかないわけだよ」

奏「さ、あとは三度目の正直を果たすだけ……今度こそ、ゲッコウガを跪かせるわ」

奏「このキョダイマックスで、ね」シュゥゥ

凛「……!」

奏「『荒ぶる女神』の天罰を受けなさい。キョダイマックス」ブゥン

ブリムオン「ムオオオォォォン」ズンッッ

恵磨『出た、キョダイマックスだっ!! 奏選手、最後の仕上げにかかります!!』

瑞樹『凛ちゃんはダイマックスなしで立ち向かわなきゃいけないのね。……この勝負、どちらに転ぶか最後までわからないわね』

566: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/09(土) 22:15:23.93 ID:eR7msfb40

2回戦第2ラウンド 試合終了
凛…×ムクホーク ×ドリュウズ ×サンダース ゲッコウガ
奏…×クレッフィ ×ヨノワール ×ブラッキー ブリムオン

キョダイマックスブリムオンをゲットするためにどれだけベロバーやギモーと戦ったことか…
次回で奏とのバトルもおしまい ではまた

569: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:09:44.52 ID:Mqn406mA0

凛「くっ……ゲッコウガ!」ポンッ

ゲッコウガ「ゲコ」

グサァ

卯月「まきびしのダメージもあるから、体力は五分五分って感じだね」

未央「でもあんなに大きな相手に、ダイマックスなしでどうやって戦うんだろ……?」

奏「ブリムオン、ダイバーン!」

ブリムオン「ムオオオォォォン」ゴォォォォ

恵磨『おっとブリムオン、相性の悪いダイバーンを使ったぞ!? これはどういうことだ!?』

カッッ

瑞樹『なるほど。あえて日差しを強くすることで、ゲッコウガのみず技を弱体化させたのね』

570: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:10:33.31 ID:Mqn406mA0

凛「ゲッコウガ、つばめがえし!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ズバッ

恵磨『先程は連続攻撃でブラッキーを翻弄したつばめがえしですが……これは!』

瑞樹『うーん、擦り傷程度のダメージね……』

奏「いくわよ、ブリムオン。キョダイテンバツ!」

ブリムオン「ムオオオォォォン」カッッ

恵磨『こ、これは……! ブリムオンから稲妻のようなビームが放たれて――』

凛「……!」

チュドォォォォォン

恵磨『ゲッコウガを襲うーー!!』

571: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:11:11.75 ID:Mqn406mA0

凛「うわああっ!!」

卯月「り、凛ちゃんっ!」

未央「しぶりん!!」

凛「ぐ……」

恵磨『な、なんということでしょう。フィールドの半分が一気に焼け焦げてしまいました!』

瑞樹『ゲッコウガは無事かしら?』

シュゥゥ……

身代わり人形「」ボサッ

凛「けほっ、けほっ……ゲッコウガ、大丈夫――」

572: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:12:27.78 ID:Mqn406mA0

ゲッコウガ「ゲコ……」ピヨピヨ

凛「混乱してる……!?」

奏「キョダイテンバツの追加効果よ。こういうのって、みがわりでは防ぎきれないものね」

奏「さて、勝敗は決したといってもいいかしら」

恵磨『追い詰められた凛選手、これは万事休すか!?』

凛(っ……ここから何ができる?)

凛(天候は晴れ、混乱状態、相性の悪いキョダイマックス技……何をすれば、この状況を打破できる?)

奏「そうよ、そういう表情が見たかったのよ、凛」

奏「貴方がここで倒れたら、大勢の人が失望するでしょうね。そう、先に決勝に進んだあのトレーナーも」

凛(藍子……)

573: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:13:59.59 ID:Mqn406mA0

凛(そうだ。まだ立ち止まるわけにはいかない。この状況を乗り越えなきゃいけないんだ)

凛(考えろ……どうすればいい?)

凛(普通に攻撃しても、キョダイマックスで増えた体力は削りきれない――)

凛「……!」

凛「…………そうか」

奏「?」

凛「いや、まだだ。まだできることは、ある」

574: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:15:17.95 ID:Mqn406mA0

奏「……ふうん」

奏「妙に説得力があるのは、本心からそう思っているからなのね」

奏「貴方はこれまでも、そうやって……」

凛「いや……今回ばかりは、勝算がないよ。けど賭けてみる価値はある」

凛「ゲッコウガ! 全力で走れる!?」

凛「フラフラしながらでもいい……なるべくブリムオンに接近するんだ!」

ゲッコウガ「ゲ、ゲコ……!」ダッ

凛(ごめん……でもあと少しだけ、踏ん張って……!)

奏「なるほど。足元まで来ればたしかにキョダイテンバツは食らわない。その通りだわ」

奏「そうはさせないわ」

575: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:15:47.78 ID:Mqn406mA0

ブリムオン「ムオオオォォォン!!」ブゥン

ゲッコウガ「ゲコッ!?」ガシィ

恵磨『ゲッコウガ、ブリムオンの触手に捕まってしまった!!』

ブリムオン「ムオォォン……ムオォォン……!」ギリギリ

ゲッコウガ「ゲ……コ……!」

奏「ここまで締め上げれば、もう逃げられないわね」

コォォォォ

卯月「キョダイテンバツが……!」

未央「そんな……」

奏「これで本当に、終わりよ」

576: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:17:09.18 ID:Mqn406mA0

凛「まだだ!」

ゲッコウガ「!」パチクリ

凛「ブリムオンの本体は、小さな身体」

凛「そこを目がけて……ゲッコウガ! ハイドロカノン!!」

ゲッコウガ「ゲコ……!」ゴポォ

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ズドォォォン

恵磨『な……なんと! ゲッコウガ、見事なカウンターが決まった!!』

ブリムオン「ムオオォン……ッ」

奏「至近距離でのハイドロカノン……いえ、これだけじゃ――」

577: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:17:49.40 ID:Mqn406mA0

ズズゥゥン

恵磨『ブリムオン、思わぬダメージに倒れ込んでしまった!』

瑞樹『それだけじゃないわ! あの場所は……!』

グサァァァァ

奏「……!?」

恵磨『ま……まきびしだああーー!!』

ブリムオン「ムオオオォォォン……!!」

ドカァァァァァァン

ブリムオン「……ブリ……ム……」

バタンキュー

578: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:18:55.24 ID:Mqn406mA0

恵磨『き、決まったーー!! ブリムオン、戦闘不能っ!!』

恵磨『凛選手、まきびしを逆利用して大逆転!! 決勝戦に進出だぁぁぁ!!!』

ワァァァァァ

恵磨『瑞樹さん、物凄い試合でした!』

瑞樹『ええ。ブリムオンがあそこまで締め上げなければ、ゲッコウガの混乱は解けなかったかもしれない』

瑞樹『奏ちゃんの思考を完全に読み切って、逆境をチャンスに変えたんだわ……お見事ね』

凛「お疲れ様、ゲッコウガ。何度も苦しい場面を任せてごめん」

凛「でも……よく頑張ってくれたね」

579: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:20:07.40 ID:Mqn406mA0

奏「…………」

凛「奏。いい勝負だったよ。ありがとう」

奏「……はぁ」

凛「……奏?」

奏「徹底的にヒールを演じて、こんな所までやって来たのに、肝心な所で醜態を晒して。愚者に相応しい結末だと思わない?」

凛「……思わないね」

凛「たしかに苦しいバトルだった。けど前にレジエレキやレジドラゴと戦った時は、ただそれだけだった」

凛「相手が奏だったからこそ、倒しがいのあるバトルができたんだ。……楽しかったよ」

580: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:21:21.94 ID:Mqn406mA0

奏「これだけの仕打ちを受けておいて、楽しかっただなんて」

奏「……バカね。貴方も私も」

奏「……もし違う道を選んで、違う生き方をしていたら、私も貴方のようになれたのかな」

奏「……なんてね」

奏「敗者に口なし。私はさっさと立ち去るわ」

奏「凛。次に会う時は、私は――」

チュッ

凛「!」

奏「それじゃあね」ザッ

凛「…………」

581: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:22:24.85 ID:Mqn406mA0

凛(奏。アンタのこと、ちょっとはわかった気がする)

凛(負けず嫌いで、寂しがりで、器用に見えて本当は不器用で)

凛(そういうところ、私と似ているのかもしれない)

凛(……アンタにどれだけ憎まれようと、私はキライになれないな)

恵磨『さあ、明日はいよいよ決勝戦です!!』

582: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/16(土) 20:28:15.27 ID:Mqn406mA0

2回戦第2ラウンド 試合終了
凛…×ムクホーク ×ドリュウズ ×サンダース ゲッコウガ
奏…×クレッフィ ×ヨノワール ×ブラッキー ×ブリムオン 
586: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/23(土) 22:19:22.05 ID:kSnqMWeH0

試合前

恵磨『――! ――――!!!』

ドワァァァァ

凛(……さて)

凛(この先のスタジアムに、藍子が待ち構えている)

凛(藍子は必ず、ダイマックスを使ってくるだろう。ゴリランダーだけじゃなくて、マホイップもキョダイマックスすることができるようになったみたいだし)

凛(私は……どうしよう)

587: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/23(土) 22:21:07.96 ID:kSnqMWeH0

チャキッ

凛(メガシンカとダイマックス。ルール上では、使えるのはどちらか一つだけ)

凛(藍子は、私がメガシンカを使えることも知っている。どちらを取っても対策は練られているだろう)

凛(その上で……私はどっちで戦おうか)

安価 メガシンカorダイマックス
多数決 期限は明日、同時刻まで

590: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:42:45.68 ID:wMKZCJhm0

凛(……決めた、メガシンカでいこう。チャーレム、よろしくね)

凛(よし……行こう)

恵磨『お待たせいたしました! ただ今より、ガラルスタートーナメント・決勝戦を行います!!』

ワアアアァァァ

瑞樹『チャレンジャー同士の頂点を決める戦い。ここで勝った方が、明日のチャンピオン決定戦に進めるわ。挑戦権を得られるのはどちらかしら?』

591: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:44:01.65 ID:wMKZCJhm0

恵磨『まず登場するのはこのトレーナー!』

ドンッ

恵磨『王道かつ大胆なスタイルで、堅実に勝利を重ねてきた、ガラル地方生え抜きのホープ!』

恵磨『藍子選手だっ!!』

藍子「……!」

ウワアアアァァァ

藍子「すごい熱量……これが決勝戦……!」

未央「あーちゃん頑張れー!」

592: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:44:34.76 ID:wMKZCJhm0

恵磨『そして、対するは――』

恵磨『苦しい戦いが続く中で、その底力を改めて証明してきた、アイマス地方最強のトレーナー!』

恵磨『凛選手ゥゥ!!』

ウワアアアァァァ

卯月「凛ちゃーん!」

凛「…………」ザッザッ

593: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:45:08.70 ID:wMKZCJhm0

藍子「……凛さん」

凛「……不思議だね」

凛「ずっと隣にいた藍子が、目の前に立っているなんてさ」

藍子「……あの」

藍子「ナックルシティで、私、凛さんに勝ちたいって言いましたよね」

藍子「そう思うようになったのは、マーメイドバッジをゲットした頃でした」

594: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:45:38.29 ID:wMKZCJhm0

藍子「ずっと、凛さんを追いかけて旅を続けてきて。凛さんの背中はとても大きくて、私なんかが届く距離にはいなくて……」

藍子「それでも……もし凛さんのようにはなれなくても、ずっと二人で旅ができたら幸せだろうなあって、ぼんやりと考えていたんです」

藍子「でも凛さんには、アイマス地方という帰る場所がありますよね」

凛「!」

藍子「いつかは凛さんと離れなくちゃいけない。それはトーナメントが終わったらすぐなのかも。もしそうなったら……」

藍子「きっと私はまた、前までの弱気な私に戻ってしてしまうって思ってしまいました」

595: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:46:14.38 ID:wMKZCJhm0

藍子「だから変わらなくちゃって決めたんです。もしも凛さんがいなくなっても、一人で頑張っていけるようにって」

凛「……そういうことだったんだね」

藍子「私は凛さんと一緒だったから強くなれました。凛さんと離れたから、もっと強くなれました」

藍子「今なら、追いつけないと思っていた背中に、手が届くかもしれない……」

藍子「だから、凛さん……いえ」

藍子「凛ちゃん!」

596: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:46:44.77 ID:wMKZCJhm0

凛「……!!」

藍子「私と……バトル、して下さい!」

凛「……うん。わかった」

チャキッ

凛「私にだってプライドがあるんだ。まだ負けるわけにはいかない」

凛「強くなれたって、変われたって証明してみせてよ! 藍子!」

藍子「いきます!」

597: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:47:25.93 ID:wMKZCJhm0

凛 手持ちポケモン

ゲッコウガ Lv.86 げきりゅう
やんちゃなせいかく まけずぎらい

ムクホーク Lv.83 いかく
いじっぱりなせいかく うたれづよい

ドリュウズ Lv.83 すなかき
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

サンダース Lv.83 はやあし
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

サザンドラ Lv.82 ふゆう
なまいきなせいかく ちのけがおおい

チャーレム Lv82 ヨガパワー
おだやかなせいかく しんぼうづよい


藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー Lv.?? グラスメイカー
むじゃきなせいかく ちのけがおおい

マホイップ Lv.?? スイートベール
おだやかなせいかく のんびりするのがすき

サニーゴ Lv.?? はりきり
わんぱくなせいかく うたれづよい

ドラパルト Lv.?? すりぬけ
さみしがりなせいかく すこしおちょうしもの

ヤドキング Lv.?? きみょうなくすり
おっとりしたせいかく ぬけめがない

ウーラオス Lv.?? ふかしのこぶし
やんちゃなせいかく こうきしんがつよい

598: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:48:13.49 ID:wMKZCJhm0

恵磨『バトルスタート!! さあ、注目の一番手は――』

凛「ムクホーク、いくよ!」ポンッ

藍子「ヤドキング!」ポンッ

ムクホーク「ムクホー!」

ヤドキング「ヤドキン」

瑞樹『凛ちゃんはムクホーク、藍子ちゃんは予想通りヤドキングね』

恵磨『やはりカギを握るのはトリックルームでしょうか!?』

瑞樹『でしょうね。二人の読み合いに注目だわ』

599: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:49:01.75 ID:wMKZCJhm0

凛(一度トリックルーム状態に入ってしまえば、対応できる術がほとんどない)

凛(まずは……何としても阻止しないと)

藍子「ヤドキング、トリックル――」

凛「させないよ、ふきとばし!」

ムクホーク「ムクホー!」ブワッ

藍子「わっ!?」

ヤドキング「!?」シュン

恵磨『おおっとお!? 凛選手、早くもヤドキングを退けた!』

600: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:49:33.45 ID:wMKZCJhm0

ドラパルト「ドラパッ?」ポンッ

藍子「ふきとばし……トリックルームより先に繰り出せるんですね」

凛「そう。ムクホークがいる限り、あの技はもう使えないよ」

凛「さあ、どうする? 藍子」

藍子「このまま戦います。ドラパルトなら、ムクホークにも対抗できるはず……!」

藍子「ドラゴンアロー!」

ドラパルト「ドラパ!」ズギュン

凛「躱して!」

ムクホーク「ムクホ!」ヒラッ

601: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:50:02.56 ID:wMKZCJhm0

ドラメシヤB「メシャーッ!」ギュン

凛「ふきとばし!」

ムクホーク「ムクホ!」ブワッ

ドラメシヤB「メシャ~」

藍子「今だよドラパルト、一気に近づいて!」

ドラパルト「ドラパ!」ギュン

藍子「おにび!」

ドラパルト「ドラパ!」

ムクホーク「ッ!」ボッ

602: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:50:43.39 ID:wMKZCJhm0

恵磨『ムクホーク、やけどを負ってしまった!』

瑞樹『これは……凛ちゃんにはかなりの痛手ね』

凛「ムクホーク、距離を取るよ!」

ムクホーク「ムクホ!」バサッ

藍子「させません! とんぼがえり!」

ドラパルト「ドラパ!」バシィ

ムクホーク「ムクホッ……」

シュゥゥ

603: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:51:47.86 ID:wMKZCJhm0

恵磨『とんぼがえりが決まった! ということは――』

藍子「いくよ、ヤドキング!」ポンッ

恵磨『やはり再びヤドキングだ!!』

凛(っ……まずい)

凛(トリックルームを封じれるムクホークは貴重だ。なるべく温存しておきたいけど、ここで交代を選んだらトリックルームが発動されてしまう)

凛(もう一度ふきとばせれば回避できるけど……)

凛(ここは……賭けてみようか?)

凛「ならもう一度――」

604: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:52:39.94 ID:wMKZCJhm0

藍子「ふしぎなじゅもん!」

凛「!?」

ヤドキング「ヤドッ!」

ムクホーク「ムクホ……!」ズバン

ムクホーク「――ムクホッ!!」ブワッ

ヤドキング「!」シュン

恵磨『ああっと! トリックルームは免れましたが、ムクホーク、大ダメージだ!!』

瑞樹『読みが外れたわね、凛ちゃん』

凛「くっ……」

605: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:53:33.33 ID:wMKZCJhm0

藍子「凛ちゃんならもう一度ふきとばしを使うだろうと思っていました。次でムクホークを倒します!」ポンッ

サニーゴ「サニ!」

未央「あーちゃん、やるじゃん!」

卯月「ムクホークはやけどで攻撃力が下がっているし、ダメージも受けちゃった……凛ちゃん、ここからどうするんだろう?」

藍子「いくよ、サニーゴ!」

サニーゴ「サニー!」

凛「やるじゃん、藍子。だけどタダでは倒れないよ……!」

606: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:54:07.31 ID:wMKZCJhm0

凛「ムクホーク、おいかぜ!」

ムクホーク「ムクホー!」バサッッ

藍子「パワージェム!」

サニーゴ「サニー!」バババ

ムクホーク「ムクホッ……」

凛「ムクホーク、まだいけるよね!?」

ムクホーク「ムクホッ!」

凛「それだけ元気があれば充分……いくよ藍子!」

凛「がむしゃら!」

607: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:54:38.72 ID:wMKZCJhm0

ムクホーク「ムクホー!」ズドドド

恵磨『決まったァ!! 凛選手、土壇場のがむしゃらでサニーゴも追い詰めたぞ!!』

藍子「っ……サニーゴ、いのちのしずく!」

サニーゴ「サ、サニッ!」パァァ

凛「交代!」シュゥゥ

恵磨『回復の隙をつき、凛選手はムクホークを引っ込めました! 解説の瑞樹さん!』

瑞樹『藍子ちゃんのサニーゴは特性『はりきり』。トリックルーム下では頼もしい戦力になるから、ここは温存させたかったのでしょう』

瑞樹『それを見越して凛ちゃんは交代を選んだ。ただ安全に行動できるからじゃなく、もう一度がむしゃらを打つタイミングを狙うためにね』

608: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/24(日) 22:55:25.15 ID:wMKZCJhm0

瑞樹『裏を読み合い、先を見据えた慎重な采配。この緊張感がたまらないわね。先に突破口を開けるのはどちらかしら?』

凛(……この勝負、今まで戦ってきた相手と決定的に違うところがある)

凛(藍子ならこうするだろうな、っていうのがある程度読める。ずっと一緒に過ごしてきて、お互いのバトルも間近で見てきたんだ)

凛(そしてそれは、藍子も同じ……きっと、私ならこうするだろうって計算しながら動いている)

凛(だからこそ、先入観に頼り切っているだけじゃ絶対に勝てない。裏を読んで、読まれていることも読んで、相手の想定を超えていかないと)

612: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:37:23.04 ID:5KEEmfbV0

藍子(ムクホークを倒しきれなかった……けど仕方ない。今はとにかく、目の前に集中しなきゃ)

藍子(次に凛ちゃんが出してくるのは――)

凛「サザンドラ!」ポンッ

サザンドラ「サザ!」

恵磨『凛選手、2体目はサザンドラが登場です!』

藍子(サザンドラ……あくタイプのポケモン)

藍子(たとえヤドキングにトリックルームを使われても、何もさせない算段ですね……)

613: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:38:06.49 ID:5KEEmfbV0

凛「あくのはどう!」

サザンドラ「サザ!」バババ

藍子「躱して、サニーゴ!」

サニーゴ「サニッ」

凛「外れたか……でも次で決めるよ」

藍子「サニーゴのしぶとさなら、凛ちゃんも知っているはずです。簡単には倒れませんよ!」

凛「わかってるよ……サザンドラ!」

藍子(来る……大技だ!)

藍子「サニーゴ、ミラーコ――」

凛「かえんほうしゃ!」

614: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:38:40.48 ID:5KEEmfbV0

藍子「っ!?」

サザンドラ「サザ!」ボォォ

恵磨『なんとサザンドラ、相性の悪いかえんほうしゃを、しかも腕から繰り出したぞ!? どういうことだ!?』

サニーゴ「サニ!」カキィン

恵磨『対するサニーゴはミラーコートを張っていた! 攻撃を跳ね返しましたが、解説の瑞樹さん!?』

瑞樹『ま、見ていればわかるわ』

凛「予想通り……!」

凛「サザンドラ、あくのはどうで打ち消して!」

サザンドラ「サザァ!!」バババ

ズバァン

615: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:39:19.96 ID:5KEEmfbV0

凛「ミラーコートはたしかに強力な技だよ。でもその分、隙も大きくなる」

藍子「だからわざと大ぶりな動きで、技を使わせた……」

凛「気づくのが遅かったね。これで仕留める……!」

サザンドラ「サザッ!」コォォォ

凛「きあいだま!!」

ズバァァァン

恵磨『決まったアアー!! サニーゴ、これは耐えられないか!?』

サニーゴ「サ、サニー」バタンキュー

616: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:39:56.43 ID:5KEEmfbV0

恵磨『サニーゴダウン! ようやく試合が動きました、先制したのは凛選手!!』

ワァァァァ

藍子「サニーゴ、お疲れさま……ゆっくり休んで」シュゥゥ

凛「きあいのハチマキ、持ってたんだね」

藍子「はい。けど、そう都合よくは助けてくれませんよね」

藍子「……まだまだここからです。いくよ、ドラパルト!」ポンッ

ドラパルト「ドラパ!」

凛「ドラゴンタイプ同士の対決ね……受けて立とうじゃない」

617: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:40:22.14 ID:5KEEmfbV0

藍子(サザンドラは2つの腕からも攻撃できるポケモン……)

藍子(それなら、攻撃できなくすれば!)

藍子「ドラゴンアロー!」

ドラパルト「ドラパ!」ズギュン

凛「……狙いは両腕か! あくのはどうで打ち消して!」

サザンドラ「サザ!」バババ

ドラメシヤA「ドラ~」

ドラメシヤB「メシャー!」ズギュン

凛「! 両腕じゃない、片腕ずつ……!?」

618: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:41:00.26 ID:5KEEmfbV0

ズバァン

藍子「やった……!」

凛「……そういうことか」

藍子「ドラメシヤ、頑張って! もう1発、いくよ!」

ドラパルト「ドラパー!」ズギュン

凛「躱して!」

サザンドラ「サザッ」ヒョイ

ドラメシヤB「メシャー!」

凛「っ、生きてる銃弾だもんね……!」

サザンドラ「サザ!」ズバァン

619: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:41:52.61 ID:5KEEmfbV0

恵磨『サザンドラ、片腕でドラメシヤをブロックしました!』

瑞樹『だけどその片腕がやられてしまったようね』

凛「アイツもサザンドラと同じ……本体を倒すしかないみたいだね」

藍子「ドラパルト、ゴーストダイブ!」

ドラパルト「ドラパ!」フッ

恵磨『ドラパルト、姿を消した!』

藍子「さあ、どこから攻撃しましょうか?」

凛「身を隠したんだね。だけどドラメシヤの気配までは、消せてないんじゃないかな?」

藍子「……!」

620: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:42:21.22 ID:5KEEmfbV0

凛「そこ!」

サザンドラ「サザ!!」バババ

ズドォン

恵磨『なんとサザンドラ、姿を消していたはずのドラパルトを見破った!!』

ドラパルト「ドラパッ……」

凛「今だ、あくのはどう!」

藍子「ドラパルト、立ち直って!」

ドラパルト「……ドラパッ!」

藍子「もう片腕……もらいます!」

ドラパルト「ドラパ!」ズギュン

621: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:43:05.11 ID:5KEEmfbV0

凛「っ、速い……!」

ズドォン

恵磨『サザンドラ、両腕を痛めてしまった!!』

藍子「あとは本体だけ……ドラパルト、いくよ!」

ドラパルト「ドラパ!」ズギュン

ドラメシヤA・B「ドラメシャー!!」

凛「挟み撃ち……!」

ズドォン

恵磨『決まった!! 遂にドラゴンアローがサザンドラに命中ー!!』

藍子「よし――」

622: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:43:33.46 ID:5KEEmfbV0

凛「――どうしてサザンドラが避けなかったか、わかる?」

藍子「えっ?」

パァァ

恵磨『これは、まさか……』

凛「サザンドラの最後の足掻きだよ!」

凛「――りゅうせいぐん!!」

カッ

ズドドドドドド

ドラパルト「ドラパッ……」

サザンドラ「サザッ……」

ズシャァァン

623: ◆7P/ioTJZG. 2021/10/30(土) 21:43:59.24 ID:5KEEmfbV0

恵磨『ドラパルトとサザンドラ、同時にフィールドに打ちつけられたー!!』

ドラパルト「ドラパ……」バタンキュー

サザンドラ「サザ……」バタンキュー

瑞樹『……同時KOね』

ワァァァァ

凛「頑張ったね、サザンドラ」

藍子「お疲れさま……ドラパルト」

藍子(トリックルームが解けた時のために、ドラパルトは残しておきたかった……)

藍子(これでやっと一匹。やっぱり、凛ちゃんは強い……!)

626: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:32:09.54 ID:TwEsG7EG0

凛(……次だ。次の藍子の出方次第では、一気に不利になる……)

恵磨『さあお互いに仕切り直しの一手。ここが勝負の分かれ目になるか!?』

凛「いくよ、ムクホーク!」

藍子「ヤドキング、いくよ!」

ムクホーク「ムクホー……!」

ヤドキング「ヤドキン」

藍子「……っ」

凛(よし……ここで一気に叩く!)

627: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:32:41.84 ID:TwEsG7EG0

凛「ムクホーク、がむしゃら!」

ムクホーク「ムクホー!!」ズドドド

恵磨『ここでがむしゃらが決まりました!!』

瑞樹『ムクホークを温存していたのは正解だったわね』

瑞樹『だけどがむしゃらだけでは、倒すには至らないわ。これで藍子ちゃんは――』

藍子「この時を待っていました……トリックルーム!」

ヤドキング「……ヤドキンッ!」カッ

628: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:33:16.13 ID:TwEsG7EG0

卯月「ついにトリックルームが張られちゃった……!」

未央「……いや、しぶりんのことだ。まだ考えがあるはず!」

藍子「ここからは私のペースです、凛ちゃん!」

ヤドキング「ヤドキン!」カッッ

凛「っ――」

ズバァン

ムクホーク「ムクホー」バタンキュー

629: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:33:53.12 ID:TwEsG7EG0

恵磨『ムクホーク、藍子選手を翻弄しまくりましたが……ここで力尽きました!』

瑞樹『今回のムクホークは完全に対トリックルーム用の技構成だったわね』

瑞樹『それを失った凛ちゃん、ここから巻き返せるかしら?』

凛「上等だよ……いくよチャーレム!」ポンッ

チャーレム「チャー!」

藍子「ヤドキング、この調子でどんどん攻めるよ!」

藍子「ふしぎなじゅもん!」

ヤドキング「ヤドキン!」パァァ

630: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:34:28.05 ID:TwEsG7EG0

凛「躱して!」

チャーレム「チャー!」ヒョイッ

藍子「無駄のない動き……トリックルームの中でもそんなに動けるんですね」

凛「たとえ時空が歪んでいても、技の威力や出方を予測すれば躱すのは不可能じゃない」

凛「そして、私たちのトリックルーム対策は……一つじゃない!」

凛「ひかりのかべ!」

チャーレム「チャー!」パァァ

恵磨『チャーレム、ここでひかりのかべを展開! 特殊攻撃の威力を半減させます!』

藍子「……!」

631: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:35:32.73 ID:TwEsG7EG0

凛「藍子の手持ちの中で、トリックルームが最大限活きるのはサニーゴ、マホイップ、そしてヤドキング」

凛「つまりサニーゴが倒された今、藍子は特殊攻撃で――いや、特殊攻撃しか使ってこないはず」

凛「これで凌がせてもらうよ……!」

藍子「っ……やっぱりそう簡単には、いきませんよね……!」

藍子「ヤドキング、ヘドロウェーブ!」

ヤドキング「ヤドキン!」ドババ

恵磨『ヤドキング、最後に状態異常を狙いましたが――』

632: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:36:22.59 ID:TwEsG7EG0

凛「残念だったね! しねんのずつき!」

チャーレム「チャー!」ドゴオッ

ヤドキング「ヤド、キン……」バタンキュー

恵磨『ヤドキングダウーン!!』

藍子「ありがとう、ヤドキング」

藍子「いくよ、マホイップ!」ポンッ

マホイップ「マホ~ッッ」

633: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:37:17.25 ID:TwEsG7EG0

恵磨『さあ続いてはマホイップ! 気合が入っていますね、瑞樹さん!』

瑞樹『ええ。藍子ちゃんにとってはここが正念場だもの』

凛(マホイップか……相性も悪いし、ここは引いておくべきか)

凛「戻って! いくよドリュウズ!」ポンッ

ドリュウズ「ドリュ!」

藍子「そう来ると思いました! マホイップ、デコレーション!」

マホイップ「マホ~!」シャキーン

凛(なるほどね。いくらひかりのかべがあるとはいえ、あの火力は侮れない……)

凛「ドリュウズ、みがわり!」

ドリュウズ「ドリュ!」

634: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:37:54.04 ID:TwEsG7EG0

藍子「マジカルフレイム!」

マホイップ「マホ~!」ゴオオッ

恵磨『マホイップ、弱点のほのお技をヒットさせましたが――』

身代わり人形「」ボサッ

藍子「みがわり……ドリュウズは?」

藍子「……潜ったんですね」

凛「地面の中なら、トリックルームの影響は受けない。どうする、藍子?」

藍子「なら、こうさせてもらいます」

藍子「デコレーション!」

マホイップ「マホ~」シャキーン

瑞樹『ドリュウズが出てくるまで、能力を上積みし続けるつもりね』

635: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:38:31.58 ID:TwEsG7EG0

藍子「このままドリュウズが出てこなかったら、試合は膠着したままです。それは凛ちゃんらしくないんじゃないですか?」

凛「言うじゃん。……けど、その誘いには乗らないよ」

藍子「でしたらこうするだけです。デコレーション!」

シャキーン

凛(……これでマホイップの能力は限界まで引き上げられた。ひかりのかべも、もう気休めでしかない)

凛「だけど、これで……!」

凛「ドリュウズ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ボコオッ

恵磨『遂にドリュウズが飛び出した!』

636: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:38:59.84 ID:TwEsG7EG0

凛「アイアンヘッド!!」

藍子「マジカルフレイム!」

ゴオオッ

恵磨『超火力のマジカルフレイムが炸裂! これはドリュウズ、ひとたまりもないか――』

ウニュニュ……

身代わり人形「」ボサッ

恵磨『な、なにっ!? 今のはみがわりだった!?』

凛「本物は――」

藍子「後ろですね!」

ボコオッ

637: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:39:33.42 ID:TwEsG7EG0

凛「アイアンヘッド!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ドゴォッ

マホイップ「マホッ……」

凛「決まった――」

藍子「――いえ!」

凛「なっ……!?」

藍子「マジカルフレイムっ!」

マホイップ「マホ~ッ!!」

ゴオオォォ

恵磨『マホイップのマジカルフレイム、今度こそ本物のドリュウズにクリーンヒットだあーっ!!』

638: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:40:16.72 ID:TwEsG7EG0

ドリュウズ「ド、ドリュ……」

バタンキュー

恵磨『ドリュウズダウン! 互いに攻めの一手でしたが、わずかにマホイップが上回りました!』

恵磨『瑞樹さん、ドリュウズもいい位置から攻められましたね!』

瑞樹『ええ、でも……あれを見て』

恵磨『! なるほど、クリームの壁でドリュウズの勢いを抑えていたんですね!』

フッ

未央「トリックルームが消えた!」

卯月「もう藍子ちゃんの戦法は通じないね……」

639: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/01(月) 00:44:55.81 ID:TwEsG7EG0

決勝戦 試合経過
凛…×ムクホーク ×ドリュウズ ×サザンドラ チャーレム サンダース ゲッコウガ
藍子…×ヤドキング ×サニーゴ ×ドラパルト マホイップ ウーラオス ゴリランダー

つづきはらいしゅう

641: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:26:33.46 ID:Y2NsnUJK0

凛「お疲れ、ドリュウズ」

藍子「トリックルームは消えちゃいましたけど、まだまだ勝負はこれからです」

藍子「今のマホイップは、怖いですよ?」

凛「そういう怖さがあるから、バトルは面白いんだよね……!」

凛「チャーレム!」ポンッ

チャーレム「チャー」

藍子(いくら凛ちゃんのポケモンでも、今のマホイップが与えるダメージは怖いはず……!)


642: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:27:31.16 ID:Y2NsnUJK0

藍子「一撃で倒します! マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ~ッ!」カッッ

凛「もう一度ひかりのかべ!」

チャーレム「チャー!」

恵磨『なんとチャーレム、二重で壁を張った!?』

ズバァァァン

未央「うわわっ、すごい威力……雷が落ちたみたい!」

卯月「チャーレム、大丈夫かな……!?」

643: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:28:05.62 ID:Y2NsnUJK0

チャーレム「……チャー」ググッ

藍子「……!」

凛「よし、いくよチャーレム」

凛「じこあんじ!」

チャーレム「……チャー!」

恵磨『おっと!? じこあんじは相手の能力変化をコピーする技だ!』

藍子「能力変化をコピー……!?」

凛「いくよ藍子。お返しの――」

644: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:28:34.85 ID:Y2NsnUJK0

凛「しねんのずつき!!」

ドゴォォォン

藍子「マホイップっ!」

マホイップ「マ……マホ~ッ」

バタンキュー

恵磨『決まったああー!! これは大ダメージ、たまらずダウンですっ!!』

藍子「そんな……凛ちゃん、最初からこれを狙って……!?」

645: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:29:00.32 ID:Y2NsnUJK0

凛「もちろん。ドリュウズが時間を稼いでくれたおかげで、トリックルームも解けたしデコレーションも重ねてくれた」

凛「本当はドリュウズでマホイップを倒せた方がよかったんだけどね。それでも計算通りの動きだったよ、藍子」

藍子「……っ」

恵磨『さあ、目の前に立っているのは攻撃の鬼と化したチャーレム。手持ちの数以上の差があるように思えますが、瑞樹さん!?』

瑞樹『藍子ちゃんは大ピンチね。とにかくあのチャーレムを何とか止めなきゃ』

646: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:29:32.73 ID:Y2NsnUJK0

藍子「……止めてみせます! ウーラオス、お願い!」ポンッ

ウーラオス「ベアッ!」

恵磨『続いてはウーラオスの登場! ドラゴン対決の次はかくとう対決となりました!』

凛「一気に蹴散らす……チャーレム!」

チャーレム「チャー!」

藍子(たしかに今のチャーレムは強力です。でも)

ウーラオス「……!」

藍子「ウーラオス、みきり!」

ウーラオス「ベア!」

クルッ

647: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:30:04.44 ID:Y2NsnUJK0

チャーレム「チャー……!?」

恵磨『か、躱した! ウーラオス、滑らかな動きでチャーレムの横をすり抜けました!!』

藍子「いくら強力な攻撃でも、当たらなければ意味がありません」

藍子「ウーラオス、すいりゅうれんだ!」

ウーラオス「ベアッ……!」

ドドドドド

恵磨『そしてすいりゅうれんだによるカウンターが決まった!!』

648: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:30:35.16 ID:Y2NsnUJK0

凛「やるじゃん。けど、その手は何度も使えないよね?」

凛「チャーレム、もう一度!」

チャーレム「チャー!」ダッ

恵磨『再びしねんのずつきが迫る! ウーラオスどうする!?』

藍子「躱します!」

藍子「ウーラオス、相手をよく見て――」

ウーラオス「ベア――」

649: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:31:19.43 ID:Y2NsnUJK0

藍子「――今だよ!」

パシッ

恵磨『ウーラオス、チャーレムを受け止めて――』

恵磨『受け流したァ!?』

凛「へえ……!」

藍子「ウーラオスは水のようにしなやかな体術を持っています。直接攻撃ならこうして受け流すことも簡単です」

藍子「みきりはその補助でしかありません」

凛「なるほど、肉弾戦ではこっちが不利ってことか」

凛「だったら……ここで奥の手、使おうかな」チャキッ

650: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:31:50.82 ID:Y2NsnUJK0

藍子「それは……」

凛「前にも話したと思うけど、私はメガシンカも使えるんだよね」

凛「ここからは本気でいかせてもらうよ……!」

チャーレム「チャー……!」

凛「メガシンカ!!」

カッッ

メガチャーレム「チャーッ!!」ドンッ

651: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:32:20.88 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『で、出たあああ!! 凛選手、ダイマックスではなくメガシンカを選択!!』

ドワアアア

『なんだありゃあ!?』

『メガシンカを使えるトレーナーって珠美以外にもいたのかよ!!』

藍子「メガ……チャーレム……!」

凛「いくよ藍子!」

メガチャーレム「チャー!!」ダッ

恵磨『チャーレム、目にも止まらぬ速さで――』

藍子「懐に……!?」

652: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:32:53.87 ID:Y2NsnUJK0

凛「しねんのずつき!」

ドゴォッ

ウーラオス「ベアッ……」

スドォォォン

藍子「ウーラオスっ!」

ウーラオス「ベ、ベア……!」

恵磨『ウーラオス、豪快にふっ飛ばされた!!』

凛「追撃!!」

チャーレム「チャーッ!!」ダッ

653: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:33:48.04 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『さらに休む間もなくチャーレムが襲いかかるー!!』

瑞樹『威力もスピードも申し分なし。凄まじい強さね』

藍子「ウーラオス――」

凛「とびひざげり!!」

スドォォォン

恵磨『決まったー!!』

ウーラオス「…………ベア」

ググッ

654: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:34:25.50 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『……いやウーラオス、まだ余力を残している!?』

藍子「ありがとう、ウーラオス……!」

藍子「これがウーラオスの奥の手です。いきます!」

藍子「カウンター!」

ウーラオス「ベアアア!!」ダッ

瑞樹『カウンター……まさに起死回生の一手ね! これはさすがのメガチャーレムも――』

655: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:35:02.30 ID:Y2NsnUJK0

ヒョイッ

恵磨『……なっ!?』

藍子「っ……!?」

凛「当たらなければ意味がない。だよね、藍子?」

ズドォォォン

ウーラオス「……ベア」

バタンキュー

656: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:35:32.60 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『渾身のカウンターは届かずー!! ウーラオス、ダウンですッ!!』

恵磨『藍子選手、残すはあと1匹。バトルはいよいよ大詰めを迎えています!!』

藍子「――っ」

藍子「ウーラオス、戻って!」

藍子(……これで、残ったのは――)

凛「藍子」

藍子「は、はい」

657: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:36:15.05 ID:Y2NsnUJK0

凛「……強くなったね」

凛「トレーナーを始めたのは、私の方がずっと先だったのに」

藍子「凛ちゃん……」

藍子「……っ」

藍子「私は凛ちゃんがいたから、ここまで来ることができました。一人で旅をしていたら、きっとここまで辿り着くことはできなかったと思います」

凛「……うん」

藍子「そして、凛ちゃんのおかげで――」

藍子「憧れるだけじゃダメなんだって、気づくことができました」

658: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:37:34.12 ID:Y2NsnUJK0

藍子「誰かの真似をして、後を追いかけているだけじゃ……本当に変われたとはいえないんです。きっと」

藍子「だから凛ちゃんを超えることで、私は私に証明したいんです。強くなれたよって。これからは、迷わず自分の足で進んでいけるよって、そう――」

凛「……うん」

藍子「……だから凛ちゃん。私は――」

藍子「絶対に、最後の最後まで、諦めません!」

藍子「ゴリランダー……」チャキッ

藍子「一緒に、勝とう!」ポンッ

ゴリランダー「……ゴリッ」

659: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:38:50.31 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『さあ、絶体絶命の藍子選手だが――』

藍子「いきます!」シュゥゥ

恵磨『これだこれだ! まだとっておきが残っている!』

瑞樹『メガシンカとキョダイマックスの対決……これは見物ね』

藍子「キョダイマックス!」

ズドォォォォォン

ゴリランダー「ゴリイイイイイイ!!!」

660: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:39:23.80 ID:Y2NsnUJK0

恵磨『藍子選手、ついにキョダイマックスを発動! まさしく最後の切り札! ゴリランダーの咆哮がスタジアムに響き渡ります!!』

ドワアアアアアア

未央「ここまで来たら……私たちも全力で応援するだけだね!」

卯月「うん! 頑張れ、藍子ちゃーん!」

未央「負けるなしぶりーん!」

凛「相手にとって不足なし、だね……いくよチャーレム!」

661: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/06(土) 23:40:06.34 ID:Y2NsnUJK0
明日、決着

663: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:11:09.54 ID:Gnl8J/bO0

凛「とびひざげり!」

メガチャーレム「チャーッ!!」

藍子「通しません!」

ゴリランダー「ゴリイイイイ!!」ドドドンッ

恵磨『ゴリランダーのドラミングに合わせ、巨大なツタがせり上がってきた!』

ガキィィィン

恵磨『封じた、封じたぞ! さすがのチャーレムもこの防壁は破れないのか!?』

瑞樹『……いえ!』

664: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:11:45.88 ID:Gnl8J/bO0

ミシッッ

凛(よし、いける……!)
藍子(ダメ、守りきれない……!)

ドゴォォォン

瑞樹『ツタが粉々に……!』

凛「いけっ!!」

ズドォォォン

恵磨『とびひざげりがヒットォ!! これは痛烈な一撃!!』

665: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:12:14.57 ID:Gnl8J/bO0

ゴリランダー「ゴリイ……!」

凛「どう? これは痛いでしょ?」

藍子「いいえ、全然です!」

バクッ

恵磨『――しかしゴリランダー、すかさず回復! オボンの実を持っていましたようです!!』

藍子「覚えていますか? 初めてジムチャレンジに勝った時、凛ちゃんのアドバイス通りに持たせていたオボンです」

凛「もちろん覚えてるよ……にくいことするじゃん」

666: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:12:52.42 ID:Gnl8J/bO0

藍子「お返しです! ダイジェットで吹き飛ばして!」

ゴリランダー「……ゴリイイイイ!!」

恵磨『ゴリランダーもすかさず反撃! しかもこれは――!』

メガチャーレム「チャー……!?」

ズドドドドド

卯月「わわっ、砕けたツタの破片が飛んできてる!?」

未央「嵐みたいでフィールドが全然見えないよ!」

メガチャーレム「……チャーッ!」ズザァ

667: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:13:20.48 ID:Gnl8J/bO0

恵磨『ダイジェットと共にふっ飛ばされたチャーレム、しかしまだまだ血気盛んです!』

凛(あのツタの壁……とびひざげりならギリギリ壊せるみたい。だとしたらしねんのずつきじゃ厳しいかも)

凛(なら)

凛「もう一発、とびひざげり!」

メガチャーレム「チャー!!」バビュン

藍子(あの技を封じるには……!)

藍子「ダイウォールです!」

ゴリランダー「ゴリイ!!」バッ

凛「まずい――」

668: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:13:52.32 ID:Gnl8J/bO0

ガキィィィン

恵磨『ゴリランダー、今度はダイウォールだ! チャーレムの猛攻を完全に防いだ!!』

瑞樹『それだけじゃないわ。とびひざげりは、技が外れたり防がれたりした時――』

ズドォォォン

メガチャーレム「チャー……!」

藍子「これで追い詰めましたよ、凛ちゃん!」

藍子「次の一撃で……メガチャーレムを倒します!」

ゴリランダー「ゴリイイイイ!!」ドドドンドンッ

669: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:14:19.33 ID:Gnl8J/bO0

恵磨『ゴリランダーの4本の腕が唸る! 重厚なドラミングに合わせて、地響きが伝わってきています!』

瑞樹『スタジアム、壊れちゃわないかしら……?』

ビキッッ

恵磨『藍子選手、ここでメガチャーレム突破なるか!?』

凛(……4本の腕、か)

凛「……まだだ、チャーレム!」

メガチャーレム「チャーッ!」ガシッ

670: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:16:14.16 ID:Gnl8J/bO0

恵磨『な、なんだ!? チャーレム、地面に突っ伏して何をするつもりだ!?』

瑞樹『このままだとキョダイコランダの餌食になるわよ……!』

藍子「ま、まだって……どういうことですか、凛ちゃん……!」

凛「メガチャーレムにもあるんだよ、4本の腕。サイコパワーを実体化させて作ることができるんだ」

凛「藍子が私を目指して駆け上がって来るのなら――」

凛「私はそれよりもっと上、届かないほど高みへ登っていくだけ!」

671: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:16:46.04 ID:Gnl8J/bO0

凛「いくよチャーレム。キョダイコランダが追いつけないくらい、限界まで――」

ビキッッ

凛「跳べっ!!」

ズドォォォォォォン

恵磨『巨大なツタがフィールドを侵食する! しかしチャーレムの姿が見当たらない! どこへ行ってしまったんだ!?』

………………

…………

……

キランッ

672: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:17:20.23 ID:Gnl8J/bO0

藍子「……!!」

凛「いっ……けええええ!!」

ズドォォォォォォォン!!!

ゴリランダー「ゴッ…………」

ゴリランダー「ゴリイイイイイイ!!!」

ドカァァァァァァン

673: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:17:46.19 ID:Gnl8J/bO0

卯月「っ――」

未央「……!」

バシュウッ

ゴリランダー「………………」

ドサッ

恵磨『…………き』

恵磨『決まったーーー!!!』

674: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:18:19.28 ID:Gnl8J/bO0

恵磨『大迫力の決勝戦、見事チャンピオンへの挑戦権を掴んだのは――』

恵磨『凛選手ゥゥゥ!!!』

ドワアアアアアア

卯月「り、凛ちゃんが……勝った……!」

未央「あーちゃんが……負けちゃった……」

瑞樹『……終わってみれば、手持ち2匹を残しての完勝。強かったわね、凛ちゃん』

675: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:18:50.27 ID:Gnl8J/bO0

藍子「…………」

藍子「…………ふうっ」

藍子「ゴリランダー、ありがとう……本当に、ありがとう」

凛「チャーレム……よく頑張ったね」

凛「………………」

藍子「………………」

凛・藍子「「……ふふっ」」

676: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:19:17.87 ID:Gnl8J/bO0

凛「どうしたの、急に」

藍子「いえ……凛ちゃん、顔も服もすごく汚れてるなあって」

凛「誰のせいだと思ってるの。フィールドもめちゃくちゃだし……」

藍子「……本当に、終わったんですね」

藍子「なんだか、いろんな思いがこみ上げてきて……不思議な気持ちです」

藍子「……凛ちゃん」

藍子「おめでとうございます」

凛「……うん」

ドワアアアアアア

677: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:19:50.17 ID:Gnl8J/bO0

『いやー凛選手、最高だったわー!』

『藍子ちゃんもすごかった! メガシンカVSキョダイマックスは激アツだったぜー!』

パチパチパチパチ

藍子「わあ……!」

凛「……藍子」

凛「私をここまで連れてきてくれて、ありがとう」

藍子「……えっ?」

678: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:20:57.54 ID:Gnl8J/bO0

凛「藍子と同じ理由だよ」

凛「藍子がいたから、背中を見せられるように頑張りたいって思えた。憧れでい続けたいって思いが、励みになった」

凛「誰かに期待されてるって、すごく心強いことだからね」

凛「このガラル地方は……あまりにも広すぎる。一人で旅していたら、きっとここまで来れなかった」

凛「私からもお礼を言わせて。本当にありがとう、藍子」

679: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:21:31.70 ID:Gnl8J/bO0

藍子「………………」

凛「……藍子?」

藍子「……あれっ」

藍子「ご、ごめんなさい……泣かないって、決めていたのに……」

藍子「泣いたら、昔の私に戻っちゃうって思っていたのに……」

凛「藍子……」

藍子「……凛ちゃん」

藍子「少しだけ、肩を、貸してください……っ」

凛「…………うん」

680: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:22:04.34 ID:Gnl8J/bO0

(大歓声に包まれるスタジアムの中心で、藍子は声を震わせていた)

(だけどその涙は、弱いから流れたんじゃない)

(……だから言ったじゃない)

(藍子はもうとっくに、強くて優しいんだって……)

681: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/07(日) 23:22:59.78 ID:Gnl8J/bO0

藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー ♂ Lv.72 グラスメイカー オボンのみ
むじゃきなせいかく ちのけがおおい
グラススライダー/ドラムアタック/アクロバット/ちょうはつ

マホイップ ♀ Lv.70 スイートベール
おだやかなせいかく のんびりするのがすき
マジカルシャイン/マジカルフレイム/あまいかおり/デコレーション

サニーゴ ♀ Lv.70 はりきり きあいのハチマキ
わんぱくなせいかく うたれづよい
アクアブレイク/パワージェム/いのちのしずく/ミラーコート

ドラパルト ♂ Lv.69 すりぬけ
さみしがりなせいかく すこしおちょうしもの
ドラゴンアロー/ゴーストダイブ/とんぼがえり/おにび

ヤドキング ♂ Lv.68 きみょうなくすり
おっとりしたせいかく ぬけめがない
ぶきみなじゅもん/ヘドロウェーブ/トリックルーム/わるだくみ

ウーラオス ♂ Lv.68 ふかしのこぶし
やんちゃなせいかく こうきしんがつよい
すいりゅうれんだ/いわくだき/カウンター/みきり

685: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:28:10.33 ID:/Z0KcoTH0

ビュオオオォォォ

卯月「………………」

未央「………………」

ビュオオオォォォ

未央「ねぇしまむー」

未央「ここどこ?」



サブストーリー『卯月と未央のグレートジャーニー! Vol.2』

686: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:28:54.12 ID:/Z0KcoTH0

未央(あれはそう、1ヶ月前のことだった)

未央(私としまむーは、突然、アイマス地方にいないはずのある人からメッセージを受け取ったのだ!)


晶葉『卯月! 未央! 頼む、至急ガラルに来てくれないか!』

晶葉『凛と……連絡が取れないんだ!』

晶葉『ガラルは今大変なことになっている。おそらく凛も、なにか厄介ごとに巻き込まれているのかもしれない』

晶葉『凛を助けてくれないか!』

687: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:29:21.98 ID:/Z0KcoTH0

未央(私はすぐにしまむーと会って、準備を整えた。P,C,Sの二人も、しまむーを快く送り出してくれた)

未央(だけど、ガラル地方までどうやって行けばいいんだろう? どんなに速い船や飛行機を使っても、1日で行くことはできないし)

未央(早くしないとしぶりんが。……そんな時、一つの考えが浮かんだんだ)


シジョウシティ バトルライブ会場

受付「いらっしゃいま――」

688: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:29:57.67 ID:/Z0KcoTH0

卯月「お願いです! 今すぐライブアイドルに会わせてくれませんか!?」

受付「な……ライブアイドルですか? いえ、彼女たちにはバトルライブを勝ち抜いた先でのみ、会うことが許されております」

受付「いくらゴールドメダルを持つお二方でも、それは……」

未央「どうしてもお願いしたいことがあるんだ! あの二人にしか頼めないんだよ!」

受付「……ままなりません。ルールですので。どうしてもと言うのなら、再度バトルライブを勝ち上がっていただいて――」

未央「そんな時間はないっ!!」

受付「……!」

689: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:30:27.17 ID:/Z0KcoTH0

未央「お願い、お願いだよ。早くしないと、私たちの親友がっ……!」

??「なーに騒いでんの?」

卯月「! 美嘉さん、莉嘉ちゃん……」

受付「……すみません、少々トラブルが」

美嘉「みたいだね。だいぶ切羽詰まってるようだけど」

莉嘉「事情、詳しく聞かせてもらえないかな?」

未央「……!」

…………………………

690: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:30:59.23 ID:/Z0KcoTH0

美嘉「……そういうことね」

莉嘉「お姉ちゃん」

美嘉「うん、わかってる」

ヒョイッ

美嘉「はいこれ。ラティオスのモンスターボール」

莉嘉「こっちはラティアスね!」

未央「それじゃあ……!」

莉嘉「2匹ともすっごく速く飛べちゃうから、ビックリするよ、きっとっ♪」

691: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:31:37.07 ID:/Z0KcoTH0

美嘉「向こうに着いて、ひと段落したら教えて。転送システムで、アイマス地方まで送ってもらえるようにするから」

卯月「……! 二人とも、本当にありがとうございますっ!」

美嘉「それと、一つだけ、約束」

美嘉「友だちのこと、絶対に助けてあげてね」

未央「……うん。本当にありがとう、美嘉ねえ」

卯月(そうして私たちは、ラティアスとラティオスの力を借りて、ガラル地方までやって来たんです)

卯月(向こうはやっぱり大変なことになっていたけど、未央ちゃんや凛ちゃん……それに藍子ちゃんの力も合わせて、なんとか乗り越えることができました)

卯月(ライブアイドルの二人には、感謝してもしきれません)

692: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:32:17.86 ID:/Z0KcoTH0

卯月(落ち着いた後、私たちは、久しぶりに会えた凛ちゃんと色んな話をしました)

卯月(そして、凛ちゃんと藍子ちゃんがガラル地方のチャンピオンを目指していると聞きました)

未央(しぶりんったら、アイマスだけに飽き足らず、ガラルの頂点まで目指しててさ。相変わらずだな~って思ったよ)

未央(で、せっかくだから私たちも少し残って、しぶりんのために何かできることをしたいなって思ったんだけど)


凛「ごめん。予選が終わるまで、しばらく一人にしてもらえないかな?」


卯月(もう一度時間をかけて、自分としっかり向き合いたい。そう言った凛ちゃんの意思を、私たちは尊重することにしました)

未央(とはいえ、やっぱ寂しいもんは寂しくてさ……)

693: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:32:53.25 ID:/Z0KcoTH0

シュートシティ ポケモンセンター

卯月「あっ、未央ちゃーん!」

未央「おおしまむー! ずいぶん遅かったね!」

未央「ってその両手にぶら下げてるのは……」

卯月「えへへ。ブティックに寄ったんだけど、素敵な服がいっぱいあって……コンテストの衣装で使いたいなあって思ったから、つい」

未央「しまむーのことだから、美穂ちゃんと響子ちゃんの分も選んでたんでしょ」

卯月「うっ……そ、その通りです……」

未央「あはは、いいよもう」

694: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:33:26.12 ID:/Z0KcoTH0

卯月「未央ちゃんはどこに行ってたの?」

未央「ワイルドエリア体験ツアーっていうのがあってさ、そこに行ってたんだ」

未央「すごかったよ、ワイルドエリア! もう全部が桁違いって感じで。見たことないポケモンもたくさん!」

未央「これがガラル地方なんだって、ワクワクした! しぶりんはこんな世界を冒険してたんだなあって」

未央「……できればしぶりんとも、共有したかったな。この気持ち」

卯月「……そうだね。凛ちゃんともショッピング、したかったなあ」

695: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:34:09.36 ID:/Z0KcoTH0

未央「まあ、悲しんでちゃダメだけどさ」

未央「しぶりんは今、夢に向かって頑張ってるんだから」

卯月「……うん」

未央「…………」

卯月「…………」

未央・卯月「はあーっ…………」

696: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:34:55.14 ID:/Z0KcoTH0

??「ごめんなさい、そこのお二人さん」

未央「ん? 私たちのこと?」

卯月「あの、どなたですか?」

??「ワタシ? ワタシはね……」ポンッ

ガラルギャロップ「ギャロ!」

??「馬ポケモンだいすきクラブ会長の!」ポンッ

バンバドロ「バンバー」

愛結奈「愛結奈よっ☆」

697: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:35:35.52 ID:/Z0KcoTH0

未央「う、馬ポケモン……!?」

卯月「だいすきクラブ会長……!?」

愛結奈「ええ! アタシは馬ポケモンをこよなく愛し、その魅力を世に広めようと活動しているの」

愛結奈「この子たちはアタシの同志よ。不眠不休でガラルを縦断できる、バンバドロのマサルと」

バンバドロ「バンバー」

愛結奈「ツノに癒しの力を秘めているポケモン、ギャロップのダイナよ」

ガラルギャロップ「ギャロ」

698: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:36:46.21 ID:/Z0KcoTH0

未央「え、ギャロップ!? 私たちが知ってるギャロップじゃないんだけど!?」

愛結奈「そうよ。このギャロップはリージョンフォームだもの」

卯月「リージョンフォーム……ガラル地方のギャロップは、そんな姿なんですね」

愛結奈「アナタたち、もしかしてガラルの人じゃないわね?」

未央「うん。私たち、アイマス地方ってところから来たんだ」

愛結奈「それはジムチャレンジのため?」

卯月「いいえ。友だちがそれにチャレンジしていますけど、私たちは」

愛結奈「なら今はフリーってこと!?」グイッッ

未央「ま、まあ、そうだけど」

699: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:37:38.24 ID:/Z0KcoTH0

愛結奈「グッドタイミング! アナタたちを見込んで、ぜひお願いしたいことがあるの!」

愛結奈「さっきも紹介した通り、アタシは馬ポケモンをこよなく愛しているわ。だけど、まだまだ知らない馬ポケモンも世界中にたくさんいる」

愛結奈「アナタたち、ブリザポスとレイスポスってポケモンは聞いたことがあるかしら?」

卯月「ブリザポス? レイスポス?」

愛結奈「ガラル地方の南にある、カンムリ雪原っていう地域に生息しているといわれるポケモンよ」

愛結奈「今までは名前だけが伝承の中で語られていて、大昔に存在したポケモンという認識だったんだけど」

愛結奈「先日、マクロコスモスの調査隊が、ついにその姿を写真に捉えたのよ!」ピラッ

700: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:38:22.01 ID:/Z0KcoTH0

卯月「これが、その写真ですか?」

未央「うーん、ブレすぎててよくわかんないけど……」

愛結奈「いいえ。この風の切り方、全身のシルエット……ワタシにはわかるわ」

愛結奈「ブリザポスとレイスポスは、今も生きている。しかも、馬ポケモンなのよっ!!」

未央「言われてみれば、たしかに?」

愛結奈「ワタシはさっそくカンムリ雪原に乗り込もうと考えたわ。……だけど、あそこはかなり厳しい自然環境でね」

愛結奈「万全の装備を整えたマクロコスモスの調査隊でも、3日の滞在が限界だったらしいの」

愛結奈「愛さえあればなんでもできるってわけじゃない。だけどなんとかブリザポスとレイスポスのことをもっと知りたい……そこで!」

701: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:39:08.08 ID:/Z0KcoTH0

愛結奈「アナタたちに、この子たちを見つけて、ゲットしてきてほしいの!」

愛結奈「お礼なら弾むわ。どうかお願いできないかしら?」

卯月「うーん……未央ちゃん、どうしよう?」

未央「行こう!」

卯月「即決!?」

未央「私たちも、色々あってこの先どうしようかって悩んでいたところだったんだよね。せっかくならさ、冒険しに行ってみようよ!」

未央「カンムリ雪原だっけ? 名前からして寒そうな場所だけど、レオン島も大概だったし、たぶん大丈夫!」

未央「なにより、しまむーと一緒なら、きっとどんなことも楽しめるよ!」

卯月「未央ちゃん……!」

702: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:39:43.71 ID:/Z0KcoTH0

愛結奈「交渉成立かしら?」

未央「うん。私たちでよければ、任せてよ!」

愛結奈「ふふっ、いい返事を聞けて嬉しいわ。ありがとう♪」

愛結奈「じゃあ早速だけど、ワタシの知り合いにキャンプグッズを作っている人がいるの」

愛結奈「今からその人に掛けあって、最高の防寒ウェアを用意してもらうわ。それを受け取ってから調査に向かってちょうだい」

愛結奈「雪原は山を越えた先にあるみたいだけど、鉄道とかは通じていないわ。そらとぶタクシーを使えば行けるんじゃないかしら」

愛結奈「ま、そんな感じでお願いするわ。何かあったら、いつでもサポートするからよろしくね!」

703: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:40:16.53 ID:/Z0KcoTH0

卯月「はい!」

未央「わかった!」

未央「カンムリ雪原……しまむー、楽しみだねっ!」

卯月「うん!」

卯月(そして私たちはカンムリ雪原に降り立ちました)

未央(……降り立った、まではよかったんだけどなあ)

704: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:40:42.57 ID:/Z0KcoTH0

滑り出し雪原 天気:吹雪

ビュオオオォォォ

卯月「………………」

未央「………………」

ビュオオオォォォ

未央「ねぇしまむー」

未央「ここどこ?」

705: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:41:14.91 ID:/Z0KcoTH0

卯月「う、うーん? 地図によると、もう少し南に行けば村があるみたいなんだけど……」

未央「南って、どっち?」

卯月「うーん、あっち、かな?」

卯月「って、あやふやに進んじゃいけないよねっ……!」

ビュオオオォォォ

未央「うう、こんなに吹雪が強いなんて聞いてないよ……」

卯月「全然前が見えないね――」

卯月「うひゃあ!?」

スッテンコロリン

706: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:41:41.31 ID:/Z0KcoTH0

卯月「あいたっ」ボコッ

未央「だ、大丈夫!?」

卯月「あ、あはは……頭もぶつけちゃった」

卯月「こんな所に木があったなんて――」

ズズズ……

ドドドドッ

卯月「わっ」

未央「木の上に積もってた雪が落ちたんだ」

??「イノッ!?」ビクゥ

707: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:42:11.61 ID:/Z0KcoTH0

卯月「あれは……イノムー?」

イノムー「イノッ、イノッ……!」アタフタ

イノムー「イノーッ」ピューッ

ゴッツゥゥン

イノムー「イノ……」バタンキュー

未央「あはは、驚かせちゃったみたいだね」

ズズズ……

卯月「あれ、でもイノムーがぶつかった場所って」

708: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:42:42.04 ID:/Z0KcoTH0

ズズズ……ズズズ……!

未央「なにこの音!?」

未央「……はっ」

ズドドドドドド

卯月「なだれだ――」


卯月・未央「うわああああーーーっ!!」

709: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/12(金) 23:45:23.23 ID:/Z0KcoTH0
to be continued...

余談ですがバンバドロとギャロップのニックネームはちゃんと由来があります
競馬ファンならわかってくれるはず

また明日

711: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:54:48.44 ID:au1Gbil30

未央「……うう」

パチッ パチッ パチッ

未央「……ここは……」

未央「……家?」

ゲンガー「! ゲンゲー!」

トドゼルガ「トド……?」

トドゼルガ「! トドッ!!」ガバッ

未央「わっ、トドゼルガにゲンガー!?」

712: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:55:26.97 ID:au1Gbil30

トドゼルガ「トド~ッ」スリスリ

ゲンガー「ゲンゲー!」ピョンピョン

未央「……そうだ、私たち、雪崩に巻き込まれて」

老人「その2匹が、お前さんを村まで運んできたんだよ」ガチャリ

未央「そうだったんだ。トドゼルガ、ゲンガー、ありがとう……!」

未央「あなたは……この家の人?」

老人「左様。どうじゃ、身体はもう動くかの?」

713: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:56:14.25 ID:au1Gbil30

未央「うん、もうバッチリ。おじいちゃん、助けてくれてありがとう!」

未央「そうだ、もう一人女の子がいなかった!?」

老人「マリルリとチラチーノが連れてきた子のことかな。もう起きて、居間でスープを飲ませているよ」

未央「しまむー……よかった、無事だったんだ!」



卯月「本当に、助けてもらってありがとうございます!」ペコリ

未央「ありがとうっ!」ペコリ

老人「いいんじゃよ。お礼なら自分のポケモンたちに言っておきなされ」

714: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:56:55.46 ID:au1Gbil30

??「あの……スープ、熱くなかったですか?」

卯月「はい、とてもおいしかったです! おかげで身体がポカポカになりました!」

未央「ところで、この子は?」

??「あ……すみません、まだ名乗っていませんでしたね」

聖「聖といいます。この人は私のおじいちゃん。フリーズ村の村長をつとめています」

未央「フリーズ村……地図に書いてある通りだ」

村長「まあ、村といってもここにしか家はないのじゃがな」

村長「お前さんたち、いったい何用があってカンムリ雪原まで来たんじゃ?」

卯月「実は私たち、ブリザポスとレイスポスってポケモンを探しに来たんです」

村長「……ほう」

715: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:57:44.16 ID:au1Gbil30

未央「知っているの?」

村長「無論。少し前にこの村を訪れた、マクロコスモスの者たちも、お前さんたちと似たようなことを言っておったな」

村長「……このカンムリ雪原には、豊穣の王と呼ばれるポケモンの言い伝えがある」

村長「ブリザポスとレイスポスは、その王が愛馬として乗りこなしていた、伝説のポケモンなのじゃ」

未央「!」

卯月「そのお話、詳しく聞かせてもらえませんか」

村長「ああ、よかろう。まずは豊穣の王から話すとするかの」

716: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:58:32.81 ID:au1Gbil30

村長「……今でこそこの土地は深い雪に覆われておるが、かつては緑あふれ、豊かな自然に包まれていた」

村長「それは豊穣の王のおかげだったんじゃ」

村長「王は、人間の信仰心を力の糧としていた。人々と王の間に結ばれた絆が、美しい大地を作っていたのじゃよ」

村長「……しかし、時が経つにつれ、人間は自然と生きるよりも、技術や文明が発展した都会に移り住むことを選んでいった。同時に王の力も失われていき……」

村長「今となっては、作物が育つのもこの村の小さな畑のみ。すっかり不毛な土地に成れ果ててしまったというわけじゃ」

卯月「……そうだったんですね」

村長「ワシはここに人が生きていたという証を残すために、言い伝えの語り部として細々と住んでいるんじゃよ」

717: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 00:59:23.91 ID:au1Gbil30

聖「私の両親も、おじいちゃんと同じ語り部でした。去年までは一緒に暮らしていたんですが、ある日突然――」

未央「ううん。……話さなくても、いいよ」

聖「……はい」

村長「……話を戻そう。ブリザポスとレイスポスは、そんな豊穣の王が従えるポケモンじゃった」

村長「かなりの気性難だったようじゃが、王は忠実な僕として手懐けていた。王を背に乗せ、常に行動を共にしていたという」

村長「そうそう、彼らはとあるにんじんが好物でな。これなんじゃが」

ピキーン

卯月「こ、凍っているにんじん……!?」

ズゥン

未央「こっちは……真っ黒だね」

718: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:00:13.05 ID:au1Gbil30

村長「珍しいじゃろ。つめたいにんじん、くろいにんじんといってな。どうもこれらには目がなかったらしい」

村長「実は村のビニールハウスでも、これらを育てているんじゃが――」

ズドゴォォォン

卯月「な、なんの音ですか!?」

聖「これは……まさか」

村長「いかん! 聖は家の奥に逃げなさい。ワシが相手をする!」ダッ

卯月「あっ、村長さん!」

未央「しまむー、ひじりんをお願い! 私は村長さんを追いかける!」

卯月「うん!」

719: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:00:45.03 ID:au1Gbil30

ダッ

未央「村長さ――」

村長「ぐわあっ……!」ドサッ

フォクスライ「フォク……」バタンキュー

未央「だ、大丈夫!?」

??「ブリザアアー!!」ズンズン

村長「ぐ……やはりにんじんを狙ってきたのか……!」

未央「あのポケモンは!?」

720: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:01:22.26 ID:au1Gbil30

村長「あれが……王のかつての僕、ブリザポスじゃ」

村長「気をつけなされ。ワシのフォクスライを倒した影響で、攻撃力が上がっておる……!」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

しろのいななき
自分の攻撃で相手を倒すと攻撃力が上がる

未央「アイツ、もしかしてビニールハウスを壊すつもり!?」

未央「止めるよ、カポエラー!」ポンッ

カポエラー「カポ!」

未央「トリプルキーック!」

カポエラー「カポー!!」

ドンッ ドンッ ドンッッ

721: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:01:56.25 ID:au1Gbil30

ブリザポス「ブリザ……!」

ブリザポス「ブリザアアー!!」ズドドドド

カポエラー「カポッ……!」

未央「うわ、すごい威力のゆきなだれだ」

カポエラー「カポッ!」シュタッ

未央「まだまだ! カポエラー、カウンター!」

カポエラー「カポー!!」バシィ

ブリザポス「ッ……!」

ブリザポス「ブリ……ザアアー!!」

ズドゴォォン

722: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:02:27.41 ID:au1Gbil30

未央「ううっ、すごい蹴り……! カポエラー、大丈夫?」

カポエラー「」カチコーン

未央「ええ!? 凍ってる!?」

村長「ブリザポスは蹄から冷気を放つんじゃ。しかし蹴り飛ばした相手を凍らせる程とは……」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

「……バシャッ!!」

ダッ

バシャーモ「バシャアアー!!」ドガッ

723: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:03:32.74 ID:au1Gbil30

ブリザポス「ブリザ……!」

ブリザポス「ッ……ブリザ!」

ドドドドッ

未央「お、追い払えた……」

未央「バシャーモ、助太刀ありがと!」

バシャーモ「バシャ!」

未央「村長さん、大丈夫!?」

村長「ああ、ワシのことなら気にするな。それよりビニールハウスは……無事のようじゃな」

村長「あのにんじんたちは、ワシらの命綱なんじゃ。守ることができて本当によかったよ」

未央「とりあえず、家に戻ろう! 傷をなんとかしないと!」

724: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:04:06.27 ID:au1Gbil30


聖「……おじいちゃん、だいじょうぶ?」

村長「ああ、なんとかな」

村長「……逆に助けられてしまったな。ありがとう、旅人さん」

卯月「いいんです。困った時はお互い様ですから」

未央「あの、村長さん」

村長「なんじゃ?」

未央「ブリザポスが襲ってきた時、村長さん、全然焦らずに追い返そうとしてたよね」

未央「もしかして、何回もこうやって襲われたことがあるの?」

725: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:05:04.22 ID:au1Gbil30

村長「……左様」

村長「さっきも話した通り、彼奴らは村で栽培しているにんじんが好物でな」

村長「それを狙って村に入り込んでくる時が、時たまあるのじゃ」

卯月「そうなんですか……」

村長「にんじんの栽培をやめれば、こうして襲われることはなくなるかもしれん。じゃが、それはできないんじゃよ」

未央「どうして?」

村長「つめたいにんじんもくろいにんじんも、この土地でしか育たない貴重な作物。ゆえに街へ持っていけば、高値で売ることができる」

村長「そうしてお金を貯めて、ゆくゆくは……聖を、街へ送り出そうと思っているんじゃ」

聖「……おじいちゃん」

726: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:05:42.10 ID:au1Gbil30

村長「ワシは聖に、この村だけで人生を終えてほしくないんじゃ。もっと広い世界を知って、普通の女の子の暮らしをしてほしい」

卯月「そのために、危険を伴ってまでにんじんを育てているんですね……」

未央「…………」

未央「村長さん」

村長「旅人さんたち。くれぐれも、彼奴らに無用な手出しはしないことじゃ」

村長「あれは比類なき力を持つ暴れ馬。この雪原で返り討ちにあってしまえば、今度は助からないかもしれんぞ」

未央「ううん。私たち、本当はブリザポスたちをゲットするためにこの土地に来たんだ」

727: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:06:15.87 ID:au1Gbil30

村長「な……戦うばかりでなく、ゲットじゃと!? いかん、あまりに無謀すぎる!」

未央「でもこのままじゃ、ずっと村が危ない状況のままだよ!」

未央「村長さんだって、このままじゃいけないって思っているんでしょ!?」

村長「それは……そうじゃが」

卯月「助けてもらったお礼をさせて下さい、村長さん」

卯月「私たちがブリザポスたちをゲットします。そうすれば、村は安全になるはずです!」

村長「…………」

聖「おじいちゃん。あの……この人たちのこと……私は信じてみたい」

聖「どう、かな……?」

728: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:06:48.21 ID:au1Gbil30

村長「………………わかった」

村長「これを持っていきなさい」

卯月はつめたいにんじんを手に入れた!
未央はくろいにんじんを手に入れた!

村長「それがあれば、いずれ奴らは姿を現すであろう」

村長「……くれぐれも、無理はしないでおくれよ」

未央「わかった」

未央「明日、村の外へ出発しよう。しまむー!」

卯月「うん!」

729: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:07:28.69 ID:au1Gbil30


翌日 巨人の寝床

卯月「だいぶ村から歩いたね」

未央「うん。周りも雪景色じゃなくなったし、待ち伏せはこの辺にしよっか」

卯月「このにんじんを持っていれば、ブリザポスが来るかもしれないんだよね」

未央「ブリザポスだけじゃないよ。くろいにんじんもあるし、レイスポスが先に来るかも」

未央「もしかしたら、同時ってことも――」

シャランシャランシャラン

未央「なに、この音?」

未央「鈴が鳴っているみたいな――」

730: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:08:00.04 ID:au1Gbil30

卯月「未央ちゃん、危ないっ!」

ガバッ

未央「わあっ!」

??「レイ……ス」

バクバクッ

卯月「くろいにんじんが食べられちゃった!」

未央「ってことは……あれがレイスポス!」

レイスポス「……」ギロリ

レイスポス「レイ……ス……!」

731: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:08:25.37 ID:au1Gbil30

未央「くるよ、しまむー!」

卯月「うん! トゲデマル、お願い!」ポンッ

トゲデマル「トゲー!」

未央「ゲンガー!」ポンッ

ゲンガー「ゲンゲー」

卯月「トゲデマル、でんじは!」

未央「ゲンガー、シャドーボール!」

732: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:08:52.23 ID:au1Gbil30

レイスポス「……!」ヒョイ

レイスポス「レイ……ス!」ギラッ

トゲデマル「!?」

卯月「か、かなしばり!?」

レイスポス「レイス……!」

ドガッ ドガッ

卯月「トゲデマル!」

未央「にどげりも使えるんだね。ゲンガー、フォローよろしく!」

ゲンガー「ゲンゲー!」

733: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:09:21.51 ID:au1Gbil30

レイスポス「レイス……!」ボッ

未央「わわ、シャドーボールは危ない! 避けて!」

ゲンガー「ゲンゲ……!」ヒョイ

未央「よし、うらみだー!」

ゲンガー「ゲンゲー」ウラミツラミ

卯月「トゲデマル、ミサイルばり!」

トゲデマル「トゲッ」バシュゥ

レイスポス「レイス……!」ズドド

未央「いい調子! ゲンガー、追撃するよ!」

734: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:10:01.28 ID:au1Gbil30

レイスポス「レイス……!」

ブワアアア

未央「くろいきり!? アイツ、退散するつもりだ!」

卯月「トゲデマル、霧の中を照らして!」

トゲデマル「トゲ!」ピカーッ

未央「ナイスしまむー! あっちに逃げたよ、追いかけよう!」

タタタッ

735: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:10:28.70 ID:au1Gbil30

卯月「あ、あれ? レイスポス、どこに行ったんだろう」

未央「というより、なんかさっきより肌寒くなった気が――」

ビュォォォォォ

未央「この冷気……もしかして」

「ブリザアアー!!」

卯月「わっ!?」

未央「ブリザポス!」

ブリザポス「ブリザアア!!」ビュォォォォォ

736: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:10:58.32 ID:au1Gbil30

卯月「わわっ……ふぶきだ!」

未央「さ、寒いい……! みんな、いったん距離を取ろう!」

卯月「うんっ――」

ザッ

レイスポス「レイス……!」

卯月「は、挟まれちゃった!?」

フッ

卯月「霧が――」

未央「――しまった! 私たち、雪原に誘導されてたんだ!」

巨人の寝床→氷点雪原

737: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:11:34.93 ID:au1Gbil30

レイスポス「レイス……!」ボッ

ゲンガー「ゲンゲ――」

ズドンッ

ゲンガー「ゲーン」バタンキュー

未央「ゲンガー! 寒さで回避が遅れたんだ……!」

卯月「アイアンヘッド!」

トゲデマル「トゲッ!」ガキィン

ブリザポス「ブリザ……アア!!」

卯月「あんまり効いてない……!」

未央「気をつけて、しまむー! ソイツに蹴られたら凍りついちゃうよ!」

738: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:12:17.13 ID:au1Gbil30

ブリザポス「ブリザアア!!」グワッ

未央「え、わ、私!?」

卯月「未央ちゃん危ない! トゲデマル!」

トゲデマル「トゲ!」シャキン

ズドゴォン

トゲデマル「」ピキーン

未央「しまむーありがとう……けどトゲデマルが!」

レイスポス「レイス……!!」

ズバァァン

739: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:12:46.43 ID:au1Gbil30

卯月「うわあっ!?」

トゲデマル「トゲー」バタンキュー

未央(凍りついたところにたたりめ……!)

未央(この2匹、すごいコンビネーションだ。ただでさえ強いのに、このままじゃ……!)

ブリザポス「ブリザ……」ジリ

レイスポス「レイス……」ジリ

未央「しまむー……!」

卯月「未央ちゃん……!」

740: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:13:12.68 ID:au1Gbil30


「パッチルドン、でんげきくちばし! ウオノラゴン、エラがみ!」


ズドォォン

ブリザポス「ブリザ!?」

ドドドドド

レイスポス「……レイス……!」

シュタッ

??「ふう。二人とも、大丈夫でしたか?」

未央「う、うん。ありがとう、助かったよ」

卯月「あなたは?」

741: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:13:54.46 ID:au1Gbil30

むつみ「私はむつみです。この辺りに生息している化石ポケモンを調査していたのですが」

むつみ「たまたま野生のポケモンに襲われているトレーナーを見かけたので、助けずにはいられなかったんです」

卯月「そうだったんですね。助けていただいて、本当にありがとうございます!」

未央「ありがとう!」

未央「ところで、このポケモンって……ていうか、ホントにポケモン?」

むつみ「はい! 古代のガラルに生きていた、れっきとした化石ポケモンですよ!」

パッチルドン「パチチ」ズビーッ

ウオノラゴン「ウオー」ドスドス

742: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:14:38.76 ID:au1Gbil30

未央「へ、へえ……世界って広いんだね……」

むつみ「とにかく、無事なのであれば安心です。ところで……」

むつみ「このポケモンたちに見覚えはありませんか?」ピラッ

卯月「カブトにアノプス、プロトーガ……これって、化石ポケモンたち?」

むつみ「ええ。最近、ガラルにはいないはずの化石ポケモンが、カンムリ雪原に現れ始めたという噂が流れているんです」

未央「あ、このポケモン……アマルスなら知ってる!」

むつみ「本当ですか!?」

未央「うん。フリーズ村に来る前に姿を見た気がするよ」

743: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:15:30.75 ID:au1Gbil30

むつみ「ということは滑り出し雪原の辺りでしょうか!?」

卯月「けどあの辺りは吹雪が強いですし、行くのはきけ――」

むつみ「わかりました、すぐに向かいます! 情報提供、ありがとうございましたーっ!」

むつみ「アマルス、待っててねー!!」ピューンッ

卯月「行っちゃった」

未央「あはは……それより、くろいにんじん、食べられちゃったね」

未央「私たちもポケモンたちも疲れたし、一度村まで戻って作戦を考え直そう」

卯月「そうだね」

744: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:16:12.22 ID:au1Gbil30



卯月「……というわけで、ブリザポス、レイスポスには逃げられちゃいました」

村長「そうか。……いやはや、ケガがなくて本当によかった」

聖「そうですね……あ、にんじんのことは、どうか気に病まないで下さい」

未央「……あのさ、村長さん」

村長「うん?」

未央「ブリザポスもレイスポスも、どうしてあんなに荒々しい性格なんだろう?」

未央「さっきバトルしたとき……ブリザポスが、ポケモンじゃなくて私自身を蹴っ飛ばそうとしてきたんだ」

未央「あんな状態の野生ポケモン、見たことがなくてさ。なんかこう、尋常じゃないぐらい怒っていたっていうか」

卯月「たしかに……ブリザポスはわかりやすく怒っていて、レイスポスは静かに怒っているみたいでした」

745: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:16:57.03 ID:au1Gbil30

村長「…………」

村長「それはきっと、あのポケモンたちの過去に関係があるのじゃろう」

卯月「過去?」

村長「……まだこの土地が、豊穣の王との絆で結ばれる前の出来事じゃ」

村長「ブリザポスとレイスポスは、この辺り一体の王者として君臨しておった。圧倒的な力の前に、逆らえるポケモンはいなかったそうじゃ」

村長「が、そこへ人間たちがやって来た。人間たちは、二匹にとって初めて現れた脅威じゃった」

村長「次々と土地を開拓し、自分たちの縄張りを奪っていった人間に、彼奴らは激しく抵抗した。人間たちが土地を広げた分、人間とその仲間のポケモンを傷つけることを繰り返していたんじゃ」

746: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:17:45.89 ID:au1Gbil30

村長「そんな負の連鎖を止めたのが、豊穣の王じゃった」

未央「そうだったんだ。王様は土地を豊かにしただけじゃなくて、人とポケモンの争いも鎮めてくれたんだね」

村長「しかし、王の力が衰えた今、彼奴らを止められるものはもういない」

村長「……思えば、二匹が再び活発に姿を見せるようになったのは、マクロコスモスの連中が訪れた頃じゃったか。きっとまた、自分たちの居場所が奪われると危惧しておるのじゃろう」

村長「それも致し方ない。今までワシらに手を出さなかったのは、王の監視があったから。心の底では、ずっと人間を許してくれていなかったんじゃ」

村長「だからこの行いは……未だこの地に固執し続けるワシのような人間に課された、贖罪なんじゃろう」

747: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:18:15.72 ID:au1Gbil30

卯月「贖罪って、そんな!」

未央「そんなの昔のことでしょ!? 村長さんはブリザポスたちの居場所をなくすつもりはないじゃん!」

聖「……おじいちゃん。私、そんな話、初めて聞いた」

聖「どうして、今まで教えてくれなかったの?」

村長「すまん。知らなくていいことだと思っていたんじゃ。この罪を被るのは、ワシ一人で――」

聖「そんな悲しいこと、言わないで」

村長「……聖」

748: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:19:26.07 ID:au1Gbil30

聖「……憎しみからは、何も生まれません」

聖「卯月さん、未央さん。お願いがあります」

聖「この村の東に、巨大な雪山があるんです。そこを登った先に……かつて豊穣の王を祀った神殿がある、と聞いたことがあります」

聖「そうだよね、おじいちゃん」

村長「……まさか、おぬし」

聖「王が……もし今も生きているのだとしたら、そこにいるはずです」

聖「あの強大な力を止められるのが、王だけなら……今一度、力をお借りしたいんです」

聖「私と一緒に、神殿まで来てくれませんか?」

未央「ひじりん……」

749: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:19:56.91 ID:au1Gbil30

卯月「未央ちゃん、行こう」

未央「……そうだね。行ってみる価値はあるよね」

村長「じゃが……」

未央「村長さんは村にいて。エレザード!」ポンッ

エレザード「エレ!」

未央「エレザード。もし村が襲われそうになったら、村長さんのボディガードをしてほしいんだ」

卯月「それなら私も! マリルリ、お願い!」ポンッ

マリルリ「マリ!」

村長「お、おい……!」

750: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:20:46.82 ID:au1Gbil30

未央「じゃあひじりん、案内をお願い。野生のポケモンは私たちが相手するよ!」

聖「お二人とも……本当に、ありがとうございます」

村長「ま、待ってくれ!」

ガサゴソ

村長「……もうお前さんたちを止めはせん。聖のこと、くれぐれもよろしく頼む」

村長「それから、これを持っていってくれ」

卯月と未央は古びた手綱を手に入れた!

村長「王の所持品と伝えられている手綱じゃ。なにかの役に立つかも知れん」

未央「ありがとう、村長さん。ひじりんは絶対、私たちが守るよ」

村長「わかった。……くれぐれも、気をつけなされよ」

751: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 01:21:28.31 ID:au1Gbil30
to be continued...

続きは明日…ってもう日付変わってた

753: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:05:00.41 ID:au1Gbil30

未央「ジュカイン、リーフブレードっ!」

卯月「バシャーモ、スカイアッパー!」

ズドォォン

聖「す、すごい。卯月さんも未央さんも、強い……!」

聖「あっ、この洞窟を抜けたら、もうすぐ頂上です……!」

頂への雪道

卯月「神殿が見えてきたね」

未央「この神秘的な空気……オトナシ遺跡みたいだね」

??「……」ジーッ

754: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:06:19.82 ID:au1Gbil30

未央「あれ? あのポケモンって」

アブソル「……ソルル」

卯月「アブソル!」

聖「聞いたことがあります。現れると災いを呼び起こすポケモンだと」

未央「違うよ、ひじりん。アブソルは、本当は危険が迫っていることを知らせてくれるポケモンなんだ」

聖「……! ということは、この先になにかあるのでしょうか?」

アブソル「……ソルッ」ザッザッ

未央「行っちゃった……とにかく、気をつけて進もう」

755: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:06:51.42 ID:au1Gbil30


カンムリ神殿

卯月「ここが神殿……」

未央「古い、というより……寂れてる感じ?」

未央「ひじりん、本当にここに豊穣の王がいるの?」

聖「はい。伝承ではこの場所を住処にしていたそうですが――」

ビュォォォォォ

聖「きゃっ……!」

卯月「この吹雪、まさか!」

未央「隠れてひじりん!」

ザザザッ!!

756: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:07:30.39 ID:au1Gbil30

ブリザポス「ブリザアアー!!」

未央「ブリザポス――」

未央「――しまむー、後ろっ!!」

卯月「!!」

バシャーモ「バシャ!!」

ズガァン

レイスポス「……レイス……!!」

聖「どうしてこの場所に、ブリザポスとレイスポスが……!?」

未央「もしかしたら、私たちが何をしようとしているか、先読みしてきたのかも」

757: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:08:17.52 ID:au1Gbil30

ブリザポス「ブリザアアー!!」

レイスポス「レイ……ス……!!」

未央「ブリザポス、レイスポス……ゴメンっ!」

未央「元はと言えば、人間がみんなの縄張りに入って、刺激したことが原因なんだよね。それに私たちも、最初はゲットしようとしていたし……」

未央 「けどさ、もうやめよう! 争ったって何の意味もないよ!」

卯月「もう二度と、みなさんに危害は加えないと約束します! だから村を荒らすのをやめてくれませんか!?」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

レイスポス「レイス……!!」

聖「私たちの声は、聞こえないのですか……?」

758: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:08:48.90 ID:au1Gbil30

未央「都合がいいお願いだってのはわかってるよ。でも――」

ブリザポス「ブリザァ!!」グワッ

未央「わっ――」

ジュカイン「ジュカ!!」

ズバッ

ジュカイン「ジュカ……!!」

未央「ジュカイン……うん、そうだよね」

未央「これは一度頭を冷やしてもらう必要があるみたいだね、しまむー!」

卯月「うん! 聖ちゃん、下がっていてください!」

759: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:09:20.19 ID:au1Gbil30

未央「相手がめちゃくちゃ強いのはわかってるんだ、だから先手必勝!」

スチャッ

未央「ジュカイン、メガシンカ!」

ズバンッ

メガジュカイン「ジュカアア!!」

卯月「私たちもいくよ、バシャーモ! メガシンカ!」

ズバンッ

メガバシャーモ「バシャアアッ!!」

卯月「未央ちゃん、今度こそ勝とうね!」

未央「もちろん! ブリザポスにレイスポス、覚悟ーっ!」

760: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:09:51.70 ID:au1Gbil30

レイスポス「レイ……!」ボッ

卯月「またあの黒い霧……!」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

未央「突進してきた! みんな避けて!」

ズドォン

未央「うう、霧がどんどん深くなってる……!」

??(……!)

未央「そこか! ジュカイン、リーフブレード!」

メガジュカイン「ジュカ――」

フッ

761: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:10:27.65 ID:au1Gbil30

未央「しまった、かげぶんしん!?」

メガジュカイン「ジュカ……!」ズドンッ

未央「ジュカイン!」

メガバシャーモ「バシャ……!」ズドンッ

卯月「一方的に攻撃されてる……! まずいよ、未央ちゃん!」

未央「アイツ、この霧の中なのに、私たちの位置を把握している……?」

??「ブリザアアー!!」ズドドド

未央「こっちはわかりやすいね! ジュカイン、躱して!」

ヒョイッ

762: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:11:07.99 ID:au1Gbil30

未央(あのレイスポスってポケモン……)

未央(きっと五感がすごく発達しているんだ。だから霧の中でも、有利に立ち回れる)

未央(それに、前に会った時もそうだけど足音が全くしなかった。音もなく攻撃してくるってこと……つまり)

未央「しまむー、まずはレイスポスから倒そう!」

卯月「そうだね! でもどうやって?」

未央「それは――うわっと!」ズドンッ

レイスポス「レイス……!」

未央「いったん距離を取るよ、ジュカイン!」

メガジュカイン「ジュカ!!」ダッ

763: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:11:36.35 ID:au1Gbil30

未央「しまむーはブリザポスの足止め、お願い!」

卯月「わかった! バシャーモ、おにび!」

メガバシャーモ「バシャ!」ボオオ

ブリザポス「ブリザ……!」

未央「足元を鬼火で囲う作戦、ナイス! よーしジュカイン!」

レイスポス「レイス……!」

ズドォン

レイスポス「……?」

ピチピチ

レイスポス「!?」

764: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:12:05.58 ID:au1Gbil30

未央「残念、それはジュカインのシッポだよ!」

卯月「バシャーモ、レイスポスにブレイズキック!」

メガバシャーモ「バシャアア!!」ズドンッ

レイスポス「レイッ……」

卯月「未央ちゃん!」

未央「オッケー! ジュカイン、リーフブレードだーっ!」

メガジュカイン「ジュカアア!!」

ズバッッ

レイスポス「レイ……ス……」

765: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:12:36.07 ID:au1Gbil30

未央「まだまだ! メガシンカしたジュカインは、シッポが切れてもすぐに元通りになるんだよ!」

未央「いっけー、リーフストーム!」

メガジュカイン「ジュカアア!!」

ズドォォォン

レイスポス「レ、レイ……ス」

ガクッ

卯月「やった!」

聖「す、すごい……あのレイスポスを、倒した……!」

766: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:13:06.21 ID:au1Gbil30

ブリザポス「……!!」

ブリザポス「ブリザアアアア!!!」ビュォォォォォ

未央「わわっ、霧が吹き飛ばされた! 何あのパワー!?」

卯月「もしかしたら、レイスポスが倒されてさらに怒ったのかも……!」

ブリザポス「ブリザ! ブリザ!! ブリザアアー!!!」

カキーン

卯月「ああ、おにびが!」

ブリザポス「ブリザアアー!!」ビュォォォォォ

未央「やば――」

767: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:13:45.16 ID:au1Gbil30

卯月「バシャーモ、かえんほうしゃ!」

メガバシャーモ「バシャ!!」ゴオオオッ

未央「助かったよしまむー! メガジュカインはドラゴンタイプがついて、さらに氷に弱くなってるんだ」

卯月「絶対に攻撃を受けられないね。バシャーモ、気をつけていこう!」

メガバシャーモ「バシャ!」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

卯月「バシャーモ、受け止めて!」

メガバシャーモ「バシャ――」

ズシィィィン

メガバシャーモ「バ、バシャ!?」

768: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:14:19.24 ID:au1Gbil30

未央「あの蹴り……ダメだバシャーモ、すぐに離れて!」

卯月「えっ?」

ズドゴォォン

卯月「バ、バシャーモ!?」

聖「あれは10まんばりき……じめん技です、卯月さん!」

未央「バシャーモの弱点も突いてくるのか……!」

メガバシャーモ「バ……シャ……」

ブリザポス「ブリザアアー!!」

未央「危ない、ジュカイン!」

769: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:14:49.55 ID:au1Gbil30

メガジュカイン「ジュカア!」

ガキィン

ブリザポス「ブリザ……!」

ピキピキ

未央「うわわ、このままじゃジュカインが凍っちゃう……!」

ズドォン

メガバシャーモ「バシャアアッ!!」

未央「ありがと! ……それにしても、バシャーモ」

メガバシャーモ「バシャッ、バシャッ」タッタッ

770: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:15:28.96 ID:au1Gbil30

未央「さっきより身のこなしが軽くなってない?」

卯月「メガバシャーモの特性は『かそく』なんだよ」

未央「なるほど! じゃあそのスピードは……せっかくだし、攻撃に応用してもらおっかな!」

メガジュカイン「ジュカ!!」ダッ

未央「痛いのいくよ! ジュカイン、アイアンテール!」

メガジュカイン「ジュカアア!!」シャキーン

ズドォン

ブリザポス「ブリザ……!」

771: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:15:55.92 ID:au1Gbil30

未央「しまむー!」

卯月「バシャーモ、限界まで助走をつけて!」

メガバシャーモ「バシャッ!」ダダダダ

卯月「ブレイズキック!!」

ズドォォォン

ブリザポス「ブリ、ザ、アア……!!」

ブリザポス「………………」

ドスゥン

未央「やった――」

772: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:16:27.03 ID:au1Gbil30

メガジュカイン「ジュカッ!?」ビリリ

メガバシャーモ「バシャっ!?」ビリリ

未央「ジュカイン!? バシャーモ!?」

卯月「かなしばり……もしかして!」

レイスポス「レイス……!」グググ

卯月「レイスポス……!」

未央「レイスポス……もういいよ。戦うのは、もう――」

レイスポス「レイ、ス……!」ギリリ

ブリザポス「ブリザァ……!」グググ

773: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:16:53.46 ID:au1Gbil30

未央「もうやめよう! これ以上は傷つけられないよ!」

卯月「わかって下さい! 私たちは、敵じゃないんです……!」

聖「…………」スッ

卯月「ひ、聖ちゃん?」

ブリザポス「ブリザ……!!」

レイスポス「レイス……!!」

未央「ひじりん、危ないよ! 下がってて!」

聖「……いいえ」

聖「……」スゥ

774: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:17:27.83 ID:au1Gbil30

~~~~~♪

卯月「……!」

~~♪ ~~~♪

未央「ひじりんの声、きれい……」

~~~♪ ~~~~~♪♪

ブリザポス「…………」

レイスポス「…………」

775: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:17:57.62 ID:au1Gbil30

卯月「……戻って、バシャーモ!」シュゥゥ

未央「ジュカインも、お疲れ様!」シュゥゥ

ザッ

聖「……?」

卯月「この通りです。私たちは、もう戦いません」

未央「みんなからも、何も奪わない。約束するよ」

ブリザポス「…………」

レイスポス「…………」

776: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:18:27.92 ID:au1Gbil30

聖「……!」

聖「この気配――」クルッ

未央「えっ?」

未央「……!!」

謎のポケモンA「……カムゥ」

卯月「ポ、ポケモン……いつの間に二匹も!?」

謎のポケモンB「……カム、カムカム」

聖「えっ? わ、私ですか……?」

謎のポケモンB「カムカムカムゥ、カムカム」

777: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:18:54.58 ID:au1Gbil30

聖「……そういうことでしたら」

未央「ひじりん、言葉がわかるの!?」

聖「いえ……ただなんとなく、そう感じとっただけなんですけど」

聖「私でよければ……お願いします」

謎のポケモンB「……」コクン

謎のポケモンA「……カムゥ!」

聖「っ!!」

聖?「…………」

卯月「ひ、聖ちゃん?」

778: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:19:46.58 ID:au1Gbil30

聖?「……聞こえるか、人の子よ」

未央「うわっ!? ひじりんのキャラが変わっちゃった!?」

聖?「案ずるでない。わずかな間、意識と肉体を借りているだけだ」

バドレックス「……ヨはバドレックス。かつてこの地で、豊穣の王と呼ばれしものなり」

卯月「豊穣の王……!」

未央「私たちと会話できるんだ……!」

バドレックス「……ようやく汝らの前に現れることができた」

バドレックス「人の子らよ。先ずは我らを救ってくれたことに、深く感謝したい」

未央「え? ど、どういうこと?」

779: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:21:13.86 ID:au1Gbil30

バドレックス「この地方に蔓延っていた悪しき心の持ち主が、ヨの兄……隣のバドレックスを狙っていたのだ」

バドレックスB「……」コクン

バドレックス「それを祓ってくれたのが汝らであろう?」

卯月「悪しき心の持ち主……もしかして、スパイクタウンで戦った、あの?」

未央「かもね。ってことは、街が崩れたのに私たちが無事だったのは……」

バドレックス「うむ。だが久方ぶりに大きな力を使った代償として、我らのチカラは大きく衰えた。その隙をつき、馬どもに逃げられてしまっていたのだ」

780: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:22:03.22 ID:au1Gbil30

未央「そうだったんだ。……もしかしてそれって、マクロコスモスが調査に来たのと関係なかったってこと?」

バドレックス「偶然ともとれるし、そうでないともとれる。いずれにせよ、我らの力不足が招いた結果であることに変わりはない」

卯月「力不足なんてそんな……! 私たちこそ、あの時は助けてくれて、本当にありがとうございます!」

未央「そうだね、まさかこんな場所で会えるとは思っていなかったけど……あの時は本当にありがとう!」

未央「それにしても……豊穣の王って、兄弟だったんだね」

バドレックス「いかにも。我ら兄弟はそれぞれ、そこにいる駿馬と奔馬を使役し、この一帯を肥沃の地としていた」

バドレックス「チカラを取り戻し次第、もう一度神殿まで誘き寄せて捕縛する算段だったのだが……どうやら手間が省けたようだ」

781: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:22:33.80 ID:au1Gbil30

バドレックス「少しは頭が冷えたか?」

ブリザポス「…………ブリザ」

レイスポス「…………レイス」

バドレックス「……この地で逞しく生きる人の子らよ」

バドレックス「その敬虔なる祈りに応えて、我らは今一度、駿馬と奔馬を従えることにしよう」

パアッ

未央「わわ……手綱が!」

カッッ

782: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:23:20.19 ID:au1Gbil30

卯月「わっ――」

卯月「――!」

白馬バドレックス「……カム、カムゥ」

黒馬バドレックス「カムカム」

卯月「豊穣の王と……」

未央「その愛馬……」

聖「……私たちは、いつまでも見守っています。あなたたち人間の、行く末を」

未央「ひじりん、元に戻ったんだね!」

聖「はい。……バドレックス、本当に、ありがとうございます」

783: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:23:53.94 ID:au1Gbil30

…………………………

後日

愛結奈「……なるほど。そんなことがあったのね」

未央「というわけで、ブリザポスもレイスポスもゲットしてくることはできなかったよ。ごめんね」

未央「で、調査というより、何回か戦ってみてわかった生態なんだけど」

未央「まずブリザポスからいくね。高さは……2メートルくらい?」

未央「身体中が凍っていたし、倒れる時に大きい音がしたから、体重もけっこうあるんじゃないかな」

未央「すごい脚力を持っていたし、蹴られたポケモンは凍りついてた。村長さんも言ってたけど、蹄から冷気を噴き出せるみたいだね」

784: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:24:35.47 ID:au1Gbil30

愛結奈「ということは氷タイプね?」

未央「うん。性格はけっこうワイルドっていうか……荒々しい? って感じだったかな」

愛結奈「ふむふむ」

卯月「次はレイスポスですね。身長はブリザポスと同じくらいでしたけど、体重は逆に軽いんじゃないかなって思いました」

卯月「走っているときに足音が全然しなくて、鈴のような音だったので」

卯月「それと、五感がすごく発達しているのか、霧の中でも相手の場所が正確に見えているようでした」

785: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:25:30.59 ID:au1Gbil30

愛結奈「なるほど……その生態から判断するに、こっちはゴーストタイプってところかしら」

未央「二匹とも、昔のカンムリ雪原では絶対的な強さだったんだって。縄張りに入ってきた人間たちともたくさん争っていたみたい」

卯月「それを止めたのが――」

愛結奈「伝承にある、豊穣の王だった、と」

卯月「はい」

未央「豊穣の王は兄弟で、手綱を使ってブリザポスとレイスポスを乗りこなしていたんだって」

未央「……って、ぐらいかな。調査でわかったことは」

愛結奈「………………さ」

未央「さ?」

786: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:26:03.37 ID:au1Gbil30

愛結奈「さいっこうの調査結果ね!!!」

卯月「わわっ」

愛結奈「二人ともありがとう! これでまた一歩、ブリザポスとレイスポスへの理解が深まったわ!」

愛結奈「簡単に人と共存できなさそうなポケモンだってことはわかったけど……それもまた、人とポケモンの生き方の一つよね」

愛結奈「それでも、いつか私も、この目で彼らを見てみたいと思えたわ!」

未央「あはは……その時は蹴っ飛ばされない様にね」

787: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:26:29.46 ID:au1Gbil30

愛結奈「二人とも、本当にお疲れ様。これ、ささやかだけど受け取って!」

卯月「これは……わあっ!」

未央「い、いいの!? こんなのもらっちゃって!?」

愛結奈「いいのいいの! それだけ大変な思いをしてくれたんだもの」

愛結奈「これからも、いい馬ポケモンライフを送ってね☆」

788: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:26:55.38 ID:au1Gbil30

卯月「ふう……終わったね、未央ちゃん」

未央「愛結奈さん、喜んでくれてよかったね。それに、いいものももらえたし!」

卯月「ガラルトーナメントのスーパーVIP席……すごく貴重なものだよね、これ」

未央「ガラル地方の人ならみんなノドから手が出るほど欲しいんじゃない? これでしぶりんとあーちゃんを、もっと間近で応援できるね!」

未央「まあ、それもそれで嬉しいんだけどさ……私としては」

卯月「?」

789: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:27:30.37 ID:au1Gbil30

未央「しまむーと一緒に冒険できたことが、なにより楽しかったな!」

卯月「……! うん、私も!」

未央「まだまだ私たちの知らない世界はたくさんあって、知らないポケモンもたくさんいるんだ」

未央「それってすごくワクワクするよね、しまむー!」

卯月「うんっ! 私ももっと、いろんな世界を見てみたい!」

卯月「みんなとなら、どんな景色だって楽しめるはずだから!」

未央「よーししまむー、今度はワイルドエリアに行ってみようよ!」

未央「許可証さえゲットできれば自由に行き来できるみたいだし。たくさん冒険して、しぶりんに羨ましがってもらおうよ!」

卯月「そうだね、未央ちゃん!」

790: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/14(日) 22:27:57.92 ID:au1Gbil30


Our Journey will Continue!

サブストーリー『卯月と未央のグレートジャーニー! Vol.2』Fin.


796: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:13:07.80 ID:jAOjNYPN0

翌日


あかり「むむむ……本当にどっちが勝ってもおかしくない対決になっちゃったんご」

りあむ「そだなー。にしても」

りあむ「ホントによかったの? あきらちゃん家にお邪魔しちゃって」

あきら「誰かさんがスタジアム出禁になっちゃいましたからね」

りあむ「うぐっ」

あきら「それに、ウチのテレビが一番大きいし、画質もいいし。どうせ3人で見るなら、ここが一番でしょ?」

りあむ「たしかに音も映像もめっちゃキレーだけどさ、2人は現地でも見れたわけじゃん? わざわざボクに合わせてくれなくったって……」

797: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:13:57.29 ID:jAOjNYPN0

あきら「そんな寂しいこと言わないでくださいよ」

あかり「うんうん。今の時代、楽しいものはどこでどう楽しんでも楽しいと思うし」

あかり「友達がいたら、さらに楽しくなれるんごね!」

りあむ「お、おまえらぁ……」

りあむ「うわああん!! りあむちゃんは幸せ者だああああ!!」

あきら「ちょ、抱きついてこないで……鼻水つくからっ」

あかり「あはは……あ、そろそろだね!」

798: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:14:36.60 ID:jAOjNYPN0


『凛選手、いよいよ入場ですっ!!』


さくら「……凛さん、勝てるんでしょうか~」

都「ううむ……楓殿は現在、5年連続でチャンピオンに座し続ける、正真正銘、ガラル地方最強のトレーナーです」

泉「私も夏美さんに聞かされたことがあるな。ジムリーダーたちが束になってもかかっても敵わないって」

都「そんな相手に勝つということは、すなわちガラルの歴史が変わるということ……」

さくら「わあ~。私たち、そんなすごい瞬間を見れちゃうかもしれないんですね~」

泉「歴史が変わる、か。それはきっと簡単なことじゃないけど」

泉「……彼女なら、やってくれるかも。そう思わせられるよね」

都「ええ。この勝負……瞬き厳禁ですね!」

799: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:15:15.01 ID:jAOjNYPN0

聖來「凛ちゃん……同じ犬ポケモン愛好家として、藍子ちゃんの先輩として」

聖來「最高のバトル、期待してるよ」

はぁと「んんー、はぁとドキドキ……無敵のチャンピオンが、ついに今日、倒されちゃうのっ?」

はぁと「とびきりスウィーティーなバトルになりそうなヨ・カ・ン……☆」


『続いて入場するのは……チャンピオン・楓ッ!!』


800: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:15:40.74 ID:jAOjNYPN0

亜季(……凛殿はたしかに強い。全てにおいて高水準で、隙が無い。藍子殿が師と仰ぐのもわかる)

亜季(……本当に今日、楓殿が倒されてしまうかもしれない)

亜季(……いや)

笑美「……ぷっ!」

亜季「え、笑美殿?」

笑美「いや、ごめんごめん。ししょー、緊張しすぎやろって思って」

801: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:16:27.10 ID:jAOjNYPN0

笑美「自分が戦うわけちゃうんやし、もっとリラックスしーや」

亜季「……そういうわけにもいきません」

亜季「何かに肩入れしすぎると、やがてその何かは他人事ではなくなってしまうんですよ」

笑美「ん……そっか」

亜季(私は楓殿の顛末に、何を望んでいるだろう)

亜季(再び覇者として君臨する姿か、それとも玉座を明け渡す姿か――)

802: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:17:02.49 ID:jAOjNYPN0

つかさ「……今年もいろんなドラマがあった。そんな祭典も、今日で終わり」

つかさ「だけど楓さんは……ただ勝とうとして勝てる相手じゃない」

つかさ「凛。ここまで来たら、楽しんだもん勝ちだぜ」


『絶対無敵のチャンピオンと、史上最強のチャレンジャー。間違いなく、間違いなく今日は歴史に残る一日となるでしょう!!』


803: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:17:33.49 ID:jAOjNYPN0

未央「……元はと言えばさ」

未央「しぶりんが旅立つきっかけになったのって、あの人なんだよね」

藍子「そうなんですか?」

卯月「うん。あの人……楓さんは、アイマス地方のチャンピオンになったばかりの凛ちゃんと、バトルしたことがあるんだ」

卯月「凛ちゃん、歯が立たなかったって言ってたっけ」

藍子「あ、その話なら凛ちゃんから聞いたことがあります」

未央「よっぽど悔しかったんだろうね。しぶりんは世界一の負けず嫌いだし」

804: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:18:14.75 ID:jAOjNYPN0

未央「でもまさか向こうもチャンピオンだったとはねえ……」

藍子「知らないうちに、別の地方のチャンピオン同士がバトルしていた……不思議なこともあるんですね」

未央「……とにかく、しぶりんとしては、ここでリベンジを果たしてようやくアイマスに凱旋できるってわけ」

卯月「うん。全力で応援しなきゃね!」

藍子「はいっ!」

805: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:18:56.90 ID:jAOjNYPN0

ザッ

凛「……楓さん。ようやくここまで来れたよ」

楓「お待ちしていました、凛ちゃん」

楓「……これまで何度も、チャンピオンとしてこのスタジアムに立ってきました」

楓「ですが、これほどの歓声は聞いたことがありません」

ドワアアアアアア

楓「それだけ、みんなが凛ちゃんに夢を託しているんですね」

凛「ふふっ、ありがたい重みだね」

806: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:19:34.28 ID:jAOjNYPN0

凛「私はアイマス地方のチャンピオンとして、楓さんにリベンジしたかった。だからガラル地方へ来た」

凛「そう、自分のため……最初は、そうだった」

楓「……」

凛「でも旅をする中で、このリベンジに一つ、新しい意味が加わった」

凛「私を慕って追いかけてくれる人に出会えたんだ。私が勝つことで、その人にまた、背中を見せ続けることができる」

凛「私は……かっこいい存在でいたい。誰かの憧れで、自慢であり続けたい。そのためには、一番に輝く星にならなきゃ」

凛「……それが、私がここに立っている理由」

807: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/20(土) 21:20:28.70 ID:jAOjNYPN0

楓「……凛ちゃんの気持ち、ひしひしと伝わりました」

楓「その熱意に応えられるよう、私も全力でお相手しなければなりませんね」

チャキッ

楓「ジムチャレンジを通して得たもの、大切にしてきたこと。その全てを引き出してみせます。だから安心して、ぶつかってきて下さい」

楓「さあ。このガラルに、新しい風を吹かせましょう……!」

凛「……いくよ!!」


チャンピオンの楓が勝負をしかけてきた!


810: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:21:46.29 ID:y/LKuIUj0

恵磨『チャンピオン決定戦、開幕ですッ!!』

凛「サンダース!」ポンッ

サンダース「ダース!」

サンダース Lv.84 はやあし
おくびょうなせいかく ひるねをよくする

楓「ワタシラガ、出番です」ポンッ

ワタシラガ「ワター」

ワタシラガ わたかざりポケモン くさタイプ
栄養豊富な種を綿毛とともに風に乗せ、見知らぬ土地へ運ぶ
自身もよく風の吹くままに生きているようだ

811: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:22:23.09 ID:y/LKuIUj0

恵磨『互いに先発として選んだのはサンダースとワタシラガだ!』

楓「よく懐いているサンダースですね。イーブイの頃から大切に育ててきたのでしょう」

凛「な、なんでわかるの?」

楓「私にもわかりません♪」

凛「はあ……」

凛(相変わらずマイペースな人だ。調子が狂うな……)

凛「サンダース、でんじは!」

812: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:22:57.63 ID:y/LKuIUj0

サンダース「ダース!」バリリリ

楓「マジカルリーフです」

ワタシラガ「ワタ!」ズババッ

楓「さて、先に風に乗るのは……楓とワタシラガ」

楓「つまり私らが、です♪」

ワタシラガ「ワタ!」ビュンッ

恵磨『これはグラスミキサーでしょうか!?』

瑞樹『そのようね。ただ、攻撃技というより……』

ワタシラガ「ワタ~」ヒューン

恵磨『ワタシラガ、グラスミキサーに巻き上げられて宙に飛び出たぞ!?』

813: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:23:31.78 ID:y/LKuIUj0

凛「ならサンダース、シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

ワタシラガ「ワタ~」スカッ

未央「ううーん、惜しい!」

藍子「ゆらゆらとしていて、狙いを定めにくいんですね……」

楓「……こうして風の向くままに漂っている姿が、どこか私と重なるポケモンなんです。ワタシラガは」

凛「サンダース、もう一度!」

サンダース「ダース!」ボッ

814: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:23:59.77 ID:y/LKuIUj0

ワタシラガ「ワタ~」ヒラリ

卯月「また避けられた……!」

凛「距離を詰めつつでんじは!」

サンダース「ダース!」ビリリ

ワタシラガ「ワタ~♪」クルリン

恵磨『サンダース、技がなかなか決まらない!』

瑞樹『まるで躍っているかのような軽やかさね』

サンダース「ダース……!」

815: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:24:40.11 ID:y/LKuIUj0

楓「あら、かなり気が立っていますね。わたほうしで包んであげてください」

ワタシラガ「ワタ!」ポポポ

恵磨『サンダース、素早さを下げられてしまった!』

凛「今だ……シャドーボール!」

サンダース「ダース!」ボッ

ワタシラガ「ワタ……!」ズドン

凛「よし……! やっぱり攻撃のタイミングでは動きが止まって狙いやすい!」

楓「それはこちらも同じですよ♪」

凛「なっ――」

816: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:25:23.24 ID:y/LKuIUj0

楓「お返しのリーフストームです!」

ワタシラガ「ワタ~!」グワッ

凛「サンダース、躱せる!?」

サンダース「ダース――」

凛(くっ、わたほうしが絡みついて……!)

ワタシラガ「ワタ!」

ゴオオオォォ‼︎

恵磨『リーフストームが直撃ー!!』

817: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:26:21.41 ID:y/LKuIUj0

サンダース「ダ、ダース……!」

瑞樹『持ちこたえたみたいだけど、これは相当なダメージね』

凛(っ……なんて威力だ)

凛(だけど今なら!)

凛「サンダース、でんじ――」

楓「すみませんが、ワタシラガとはここでお別れです」

シュゥゥ

恵磨『ワタシラガがボールに戻った!?』

瑞樹『どうやら『だっしゅつパック』を持たせていたようね』

818: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:27:17.62 ID:y/LKuIUj0

楓「次はサーナイトでお相手しますね♪」ポンッ

サーナイト「サーナ」

サーナイト ほうようポケモン エスパー・フェアリータイプ
信頼する相手のためにサイコパワーを発揮して戦う
なぜか野生の個体はほとんど発見されていない

恵磨『チャンピオン、早くも2番手にバトンタッチ! サーナイトが登場です!』

凛(サーナイトか……サンダースはもう長くは粘れないし、せめて少しでもダメージを与えておきたい)

819: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:28:34.73 ID:y/LKuIUj0

凛「サンダース、じゅうでん!」

サンダース「ダース!」バリリリ

凛「――は、もう済んでるみたいだね」

凛「受けてみてよ……フルパワーのかみなり!!」

サンダース「……ダース!!」バリリリリ

恵磨『最大パワーの電撃がサーナイトに襲いかかる!!』

楓「もう体力が僅かなのに、この威力。素晴らしいですね」

楓「ですが……サーナイト、ひかりのかべ!」

サーナイト「……サーナ!」カッ

ズバァン

820: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:29:24.47 ID:y/LKuIUj0

凛「……なっ!?」

恵磨『な……なんと、かみなりが抑え込まれた!?』

楓「……彼女とはラルトスの頃からの付き合いなんです。酸いも甘いも、たくさんの感情を共有してきました」

楓「サーナイトはトレーナーとの絆が深まるほど、より強力なサイコパワーを発揮するといわれています」

凛「それが、このひかりのかべ……」

凛(いや、これは壁なんかじゃない。全方位をカバーしている、まるでバリア……!)

サンダース「……ダ」

サンダース「ダースッ……」

バタンキュー

821: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:29:55.38 ID:y/LKuIUj0

恵磨『サンダース、決死の攻撃も届かず! ここでダウーン!!』

恵磨『やはりチャンピオン、圧倒的強さでまずは先制だ!!』

ドワアアアアアア

卯月「そんな……」

未央「あのサンダースのかみなりを、正面から受け切るなんて……」

藍子「……これが、チャンピオンの実力なんですね」

凛(……強い。レベルが違いすぎる)

凛(こんな相手に、本当に勝てるの?)

凛(……いいや、そんなことを考えても仕方ない)

822: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:30:48.21 ID:y/LKuIUj0

凛「まだまだ! いくよドリュウズ!」ポンッ

ドリュウズ「ドリュ!」

ドリュウズ Lv.85 すなかき
せっかちなせいかく ものおとにびんかん

楓「ドリュウズですか。相性も良くないですし、これは侮れませんね」

凛「あのバリアは物理で突き破る……!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ギュルルルル

楓「最大パワーで対抗しますよ」

サーナイト「サーナ!」カッ

凛「構わず突っ込んで、ドリュウズ!」

ドリュウズ「ドリュッ!!」

ズバァン

823: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:31:18.99 ID:y/LKuIUj0

恵磨『ドリュウズ、ムーンフォースと真正面から激突しましたが――』

シュゥゥ……

楓「ブラフだったんですね」

凛「その通り!」

ドリュウズ「ドリュ!」ボコッ

凛「下からならバリアの影響は受けない……受けてみてよ、楓さん!」

凛「アイアンヘッド!!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ズドォォン

恵磨『決まったー!! 足元からの急襲! 渾身のアイアンヘッドがサーナイトに命中だァ!!』

824: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:31:45.14 ID:y/LKuIUj0

サーナイト「サーナ……!」

凛「よし、怯ませた! ドリュウズ、追撃!」

ドリュウズ「ドリュ!!」ギュルルルル

恵磨『続けざまにドリルライナー! 凛選手の一転攻勢、サーナイトもさすがに苦しいか!?』

凛「どう――」

楓「くろいまなざしです」

サーナイト「……サーナ!」クワッ

ドリュウズ「!?」

825: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:32:16.94 ID:y/LKuIUj0

凛「な……くろいまなざし?」

楓「サーナイト、バリアを解除。距離をとってください」

サーナイト「サーナ」シュタッ

サーナイト「……サーナ」ヨロッ

楓「これでドリュウズは動けなくなりましたね」

凛「そうして身動きを取れなくして、遠距離から攻めていく作戦だったんでしょ」

凛「だけど残念だね……ドリュウズにはこの技がある」

凛「いわなだれ!」

ドリュウズ「……ドリュッ!!」ゴゴゴゴゴ

826: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:32:53.62 ID:y/LKuIUj0

恵磨『よろめいたサーナイトにいわなだれがクリーンヒット! これはサーナイト、耐えられるか……!?』

サーナイト「……サーナ」

ガクッ

恵磨『ダウーン!! 凛選手、反撃の狼煙を上げます!!!』

ドワアアアアアア

未央「いい調子だよ、しぶりん!」

卯月「頑張ってー!」

楓「サーナイト、ありがとうございました」シュゥゥ

楓「どれだけ強力なバリアでも、足元からの攻撃は防げません。しゃーないと割り切らなきゃ、ですね」

827: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:33:27.16 ID:y/LKuIUj0

楓「ですが、ドリュウズをその場に押し留めたのには、もう一つ理由があるんですよ?」

凛「どういうこと?」

楓「♪」ピン

凛「上?」

凛「――!!」

ズドォォォォン

恵磨『な、なんだ!? 突然ドリュウズの頭上に、光弾が降ってきたぞ!?』

瑞樹『みらいよちだわ。いつの間に仕込んであったのね……!』

828: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:34:05.91 ID:y/LKuIUj0

凛「これを当てるために……!」

楓「ただでは退かない、ということです♪」

楓「それではボルケニオン、よろしくお願いします」ポンッ

ボルケニオン「ボル!!」ズドン

恵磨『続いてボルケニオンが登場! 見たことないポケモンですが……瑞樹さんはどうでしょう!?』

瑞樹『私も初見ね。文献でしか見たことがなくて……いわゆる幻のポケモンという情報しか知らないわ』

凛(ボルケニオン……前にラテラルタウンで見た時も、ものすごい威圧感だったけど)

データ不明

829: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:34:43.19 ID:y/LKuIUj0

凛「図鑑情報が載ってないんだ。もしかしてすごく珍しいポケモン?」

楓「そのようですね。以前、とある地方の秘湯を訪れたときに出会いまして」

楓「お互いに温泉好きということもあって、すぐに打ち解けることができました♪」

凛「そ、そうなんだ……」

楓「以前も見たことがあると思いますが、ボルケニオンは蒸気を作り出すことのできるポケモンです。水タイプは水タイプでも、扱うのは熱い水というわけですね」

凛「熱い水……なるほどね」

凛「よし、くろいまなざしも解けた。ドリュウズ、攻めるよ!」

830: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:35:35.22 ID:y/LKuIUj0

凛「いわなだれ!」

ドリュウズ「ドリュ!」ゴゴゴゴ

ボルケニオン「ボルッ……!」

ドリュウズ「ドリュ!」ボコッ

楓「行き先は地面ですね。ですが逃がしませんよ」

楓「ボルケニオン、穴に向かって放水です」

ボルケニオン「ボル!」ガチャン

恵磨『なんと、頭上のあれはホースだったのか!?』

楓「ホースから放水……ふふっ♪」

831: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:36:28.41 ID:y/LKuIUj0

ボルケニオン「ボルッ!!」ズドドドド

瑞樹『ドリュウズが潜った穴に水を送り込んでいるわ!』

未央「まずい、あのままじゃ……!」

ボコッ!!

ドリュウズ「――!」

卯月「ドリュウズが飛び出てきちゃった!」

楓「ねっぷうです!」

ボルケニオン「ボルッ!!」ブワッッ

832: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:37:24.63 ID:y/LKuIUj0

ドリュウズ「――!」ズバァン

恵磨『ドリュウズ、ねっぷうをモロに受けてしまったー!!』

ウニュニュニュ

楓「あら」

凛「残念……今のはみがわりだよ」

凛「本体は――」

楓「足元、ですね?」

楓「ボルケニオン、ジャンプしましょう」

ボルケニオン「ボルッ!」

バシュウッ!!

833: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:38:07.44 ID:y/LKuIUj0

凛「なっ……ドリュウズより高く跳び上がるなんて……!」

ボコッ

ドリュウズ「ドリュ!?」スカッ

楓「先ほどのみがわり、かなり精巧な姿でしたね。でもあそこまでやると、かなり体力を消耗するのではありませんか?」

楓「ボルケニオン、そのまま地面に帰してあげましょう。スチームバーストです」

ボルケニオン「……ボル!!」コォォォ

恵磨『ボルケニオン、ドリュウズに狙いをつけ――』

ズドォォォォン

恵磨『決まったー!!』

ドリュウズ「ドリュ……」バタンキュー

834: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:38:43.61 ID:y/LKuIUj0

凛「……!」

藍子「そんな……みがわりを使っても、攻撃が届かないなんて」

未央「しぶりんの全力がどれも通じない。このままじゃ……!」

卯月「凛ちゃん……!」

凛「……サザンドラ!」ポンッ

サザンドラ「サザ!」

凛(まだ逆転のチャンスは残ってる。楓さんの立ち回りだって完璧じゃない、どこかに一瞬でも隙があるはず)

凛(まだまだ勝負はここからだよ……!)

835: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:39:15.42 ID:y/LKuIUj0

楓「あの凶暴といわれるサザンドラと共謀しているなんて、凛ちゃんも大胆ですね」

凛「まあ……色々あったけどね」

楓「その色々があったからこそ、今がある。それはとても尊いことだと思います」

楓「ボルケニオン、まずは出方を窺いましょうか」

ボルケニオン「ボル」

凛「サザンドラ、かえんほうしゃ!」

サザンドラ「サザ!」ゴオッ

836: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:39:42.53 ID:y/LKuIUj0

楓「目には目を、炎には炎です」

ボルケニオン「ボル!!」ゴォォォォ

恵磨『かえんほうしゃとねっぷうが激しくぶつかり合う!』

凛「今のうちに……サザンドラ、わるだくみ!」

サザンドラ「サザ!」ピコーン

楓「攻撃は両腕に任せて、本体で能力を上げる。非常に効率的ですね」

凛「それはどうも。さあいくよ!」

凛「あくのはどう!」

サザンドラ「サザ!!」ババッッ

837: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:40:10.28 ID:y/LKuIUj0

楓「ここは迎撃しましょうか。スチームバースト!」

ボルケニオン「ボォォル!!」ズドンッ

恵磨『ボルケニオンもフルパワーで対抗! 打ち勝ったのは――』

ボルケニオン「……ボルッ」

ズドォォン

瑞樹『わずかにサザンドラだったようね』

凛「よし、これなら……!」

楓「では、こういうのはどうでしょう?」

ボルケニオン「……ボル!!」

バビュン!!

838: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:40:40.29 ID:y/LKuIUj0

恵磨『ボルケニオン、噴射の勢いでまたしても飛び上がった!?』

瑞樹『すごい跳躍力ね。サザンドラ以上の高度まで行くなんて』

楓「ボディプレスという技です。地に突き落としてあげましょう……!」

凛「まずい、サザンドラ――」

ズドォォォォン

恵磨『しかしサザンドラ、躱しきれなーい!』

恵磨『ボディプレスが炸裂! サザンドラ、叩き落とされてしまいました!!』

サザンドラ「サザ……!」ググ

ジャキッ

839: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:41:13.59 ID:y/LKuIUj0

凛「アームが……まずい、この至近距離じゃ……!」

楓「スチームバーストです」

ズドォォォォン

瑞樹『零距離であの技を受けたら、ひとたまりもなさそうね』

サザンドラ「――サザ!!」

凛「よし、受け切った……!」

凛「サザンドラ、もう一度飛び上がって!」

サザンドラ「サザ!!」バサッ

恵磨『しかしボルケニオン、仕留めきれず!!』

840: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:41:39.90 ID:y/LKuIUj0

卯月「でも、ボルケニオンにはボディプレスが……」

藍子「! 見てください、あれ!」

シュゥゥ……

未央「アームの水が尽きてる! もうボルケニオンは跳べないんだ!」

凛「いくよ……サザンドラ!」

凛「りゅうせいぐん!!」

サザンドラ「……サザァァ!!」カッ

恵磨『出たァ!! ボルケニオンに向かって、りゅうせいぐんが降り注ぐー!!』

841: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:42:25.21 ID:y/LKuIUj0

楓「全て焼き払って、塵にしてみせましょう……!」

ボルケニオン「ボル!!」ゴォォォォ

瑞樹『武器である水が切れても、ボルケニオンには充分すぎるパワーがあるのね』

瑞樹『けど、さすがにこの状態のりゅうせいぐんには……』

ズドドドド

ボルケニオン「ボル……!!」

ボルケニオン「……ボルッ」

ズシャアン

842: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:42:55.69 ID:y/LKuIUj0

恵磨『サザンドラ競り勝ったー!! ボルケニオン、倒れました!!』

ドワアアアアアア

凛「……ふう」

凛(これで、ようやく2匹目)

凛(まだまだ先は長い……一瞬でも気は抜けないな)

楓「ボルケニオン、あとでゆっくり温泉に浸かりましょうね」シュゥゥ

楓「……ふふっ」

凛「?」

843: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:43:34.19 ID:y/LKuIUj0

楓「ああ、すみません。今、すごく楽しくて……」

楓「もちろん、今まで手合わせしてきたトレーナーやポケモンたちも、それぞれの色が出ていてとても魅力的でした」

楓「凛ちゃんの色は――そうですね」

楓「クールなようで、その内側は誰よりも燃えている。青い炎のような佇まいです」

楓「そして、触れた人にその熱量を伝播させる力を持っている」

楓「私もその熱に当てられて……年甲斐もなく、胸が昂っているのを感じています。それがとても楽しいんです」

凛「ふふっ。チャンピオンをそんな風にさせてるなんて。実感はないけど、嬉しいよ」

844: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:44:00.73 ID:y/LKuIUj0

楓「……さて。一口に風といっても、やさしい風もあれば乱暴な風もあります」

楓「彼女は例えるとしたら……暴風、でしょうか。簡単に止められはしませんよ」

楓「いきましょう、ガブリアス」ポンッ

ガブリアス「ガブ~」

ガブリアス マッハポケモン ドラゴン・じめんタイプ
温かい洞窟や火山が主な棲み家
音速で空を飛び、空気の刃を撒き散らして獲物を狩りつくす

凛(図鑑説明が嘘みたいに、ふわっとした鳴き声だけど……)

凛(ゼクロムとレシラムの攻撃を同時に受け止めていたポケモンだ。きっと一筋縄ではいかないはず)

845: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:44:40.49 ID:y/LKuIUj0

凛「サザンドラ、あくのはどう!」

サザンドラ「サザ!」バババ

ガブリアス「ガブ」ビュン

楓「私たちも凛ちゃんのいいところ、真似しちゃいましょう♪」

ガブリアス「ガブ~」シャキン

凛「な……飛び回りながらつるぎのまい!?」

サザンドラ「サ、サザ!」バババ

ガブリアス「ガブ」ヒョイヒョイ

846: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:45:12.80 ID:y/LKuIUj0

恵磨『ガブリアス、攻撃を次々と躱していく! まさにマッハポケモン、速すぎる!!』

凛「だったらこれはどう!?」

サザンドラ「サザ!!」バッ

凛「両腕と本体から同時に……3連あくのはどう!」

サザンドラ「サザ!!」バババ

楓「さすがに範囲が広いですね」

楓「でもすべて直線的な軌道なので、こうすればいいだけです」

ガブリアス「ガブッ!」

凛「……!」

瑞樹『悠々と回潜られたわね』

847: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:45:46.47 ID:y/LKuIUj0

楓「ドラゴンダイブです」

ガブリアス「ガブゥ!!」ギュン

サザンドラ「サザ――」

ズドォォォォン

恵磨『まるで弾丸のような一撃! サザンドラ、これは――』

サザンドラ「……サザ」バタンキュー

恵磨『サザンドラ、ダウーン!!』

ドワアアアアアア

848: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:46:17.61 ID:y/LKuIUj0

楓「まずは1匹♪」

凛「く……戻って、サザンドラ!」

凛「ムクホーク、いくよ!」ポンッ

ムクホーク「ムクホー!」

ムクホーク Lv.85 いかく
いじっぱりなせいかく うたれづよい

卯月「ムクホーク……いかくで能力を下げるつもりかな」

未央「がむしゃらもあるし、頑張ったら倒せるかもしれないね」

藍子「どちらにせよ、あの強さ……総力戦で挑まないといけない相手ですね」

849: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:47:44.66 ID:y/LKuIUj0

サザンドラの情報入れ忘れてた、失礼
サザンドラ Lv.85 ふゆう
なまいきなせいかく ちのけがおおい



恵磨『自慢のパワーがさらに上乗せされたガブリアス、はたして凛選手は止めることができるのか!?』

凛「かげぶんしん!」

ムクホーク「ムクホ!」ヒュンヒュン

楓「そんな時にはこれ、スケイルショットです」

ガブリアス「ガブ!」バババ

恵磨『次々とかげぶんしんが消えていく! 本体はどこだ!?』

楓「本体は――」

フッ

恵磨『最後の分身が消えた……が!?』

850: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:48:20.25 ID:y/LKuIUj0

楓「いないんですよね?」

ガブリアス「ガブ!」バッ

瑞樹『上昇した……ということは』

凛「バレてたか……!」

楓「ドラゴンダイブです」

ムクホーク「ムクホ――」

ズドォォォォン

恵磨『直撃だ!! ムクホーク、これは大ダメージ!!』

851: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:48:49.87 ID:y/LKuIUj0

凛「ムクホーク……!」

凛「さっきよりスピードが上がってる……スケイルショットの効果?」

楓「ご名答です。守りが犠牲になってしまうんですけどね」

凛「なるほどね……だったらムクホーク、インファイト!」

ムクホーク「ムクホ!!」ドガガガ

恵磨『すかさずムクホークも反撃に転じます!』

瑞樹『……けど、反動を受けているわね。『さめはだ』の影響かしら』

852: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:49:16.60 ID:y/LKuIUj0

凛(かげぶんしんも見抜かれるなんて……これはもう、正攻法じゃ勝てないかもしれない)

凛(ギリギリのタイミングを見計らって、がむしゃらを当てるしか……)

凛(それすらもお見通しな気がするけど……だからといって、日和ってちゃダメだよね)

ムクホーク「ムクホー」バサッ

楓「ムクホーク……以前よりも格段にレベルアップしていますね」

凛「それだけ、私もムクホークも負けたのが悔しかったんだよ」

楓「悔しさをバネにできるなんて、凛ちゃんは強い人ですね」

楓「私は色々と割り切って、諦めながら生きてきた節があるので、ちょっぴり羨ましいです」

853: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:49:55.95 ID:y/LKuIUj0

楓「……もしかしたら、凛ちゃんのような人こそが、ガラル地方のチャンピオンに相応しいのかも」

凛「えっ?」

楓「だからといって、簡単に譲る気はありませんけどね♪」

ガブリアス「ガブ!」ギュン

凛「来るよ、ムクホーク! ブレイブバード!」

ムクホーク「ムクホー!!」ズギュン

恵磨『おおっとムクホーク、真っ正面から勝負に出たぞ!?』

854: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:50:26.43 ID:y/LKuIUj0

凛「大丈夫だよ……ムクホークにはこれがある!」

ムクホーク「ムクホー」パクッ

恵磨『あれはオボンの実だ! ムクホーク、どうやら体勢はバッチリの様子!』

ズドォォォォン

ムクホーク「ムクホッ……!」グラッ

卯月「ムクホークはあと一撃で――」

未央「けど、ここからがしぶりんの真骨頂!」

凛「受け取って、私たちの捨て身の一撃!」

凛「ムクホーク、がむしゃら!!」

ムクホーク「ムクホー!!」

855: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:50:52.69 ID:y/LKuIUj0

楓「ガブリアス、すなじごくです」

ガブリアス「ガブ!」ゴォォォ

凛「なっ……!?」

恵磨『これはっ……砂の渦がムクホークを襲う!』

恵磨『当然、効果はありませんが……』

瑞樹『足止めには充分だわ!』

ムクホーク「ムクホッ……」

バッ

856: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:51:18.28 ID:y/LKuIUj0

ムクホーク「!!」

凛「渦の中を突っ切って――」

楓「2匹目、いただきました♪」

ズドォォォォン

凛「うわあっ!!」

ムクホーク「ムクホ……!」

バタンキュー

恵磨『ムクホークダウーン!! 決死のがむしゃらでしたが、まさかの攻撃に阻まれてしまったー!!』

凛「そんな……」

857: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:51:46.47 ID:y/LKuIUj0

恵磨『強い、強すぎる! チャンピオン、ここまで凛選手を圧倒し続けているぞ!』

恵磨『凛選手、早くも残る手持ちは2体だ!!』

凛「戻って、ムクホーク!」

凛(……っ。いくらなんでも強すぎる)

凛(諦めがチラつく……勝てないかもって思っている自分を、認められない自分がいる)

凛(でも、どうすれば……)

楓「凛ちゃん」

凛「!」

858: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:52:22.11 ID:y/LKuIUj0

楓「未来を迎えられるのは、いつだって笑顔でいる人、ですよ」

凛「……!」

凛「……そうだね。わかってたはずだったのに、忘れていたよ」

凛(負けることは怖い。諦めがチラつくのは悔しい。けど)

凛(今私にできることは、全力で立ち向かうことだけ!)

凛「チャーレム、いくよ!」ポンッ

チャーレム「チャー!」

859: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:52:54.17 ID:y/LKuIUj0

凛「メガシンカ!!」

カッッ

メガチャーレム「チャーッ!!」

恵磨『さあいきなりのメガシンカ! 凛選手、今度こそガブリアスの壁を越えられるのか!?』

凛「チャーレム、じこあんじ!」

メガチャーレム「チャーッ」カッ

楓「なるほど、それがメガチャーレム……進化を超えて、真価を発揮した姿」

楓「メガシンカはエネルギーの増加と共に苦痛を伴うポケモンもいるようですが、チャーレムはそうじゃないみたいですね。よかった」

860: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:53:25.70 ID:y/LKuIUj0

凛「いくよ、チャーレム!」

メガチャーレム「チャーッ!!」

楓「スケイルショットです!」

ガブリアス「ガブ!」バババ

凛「ジャンプで躱して!」

メガチャーレム「チャーッ!!」バッ

未央「おおっ、前の試合でも使った特大ジャンプ!」

凛「とびひざげり!!」

861: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:53:56.66 ID:y/LKuIUj0

楓「受け止めてみましょうか」

ガブリアス「ガブ!」

ズドォォォン

瑞樹『これはさすがのガブリアスも苦しいかしらね』

ガブリアス「ガブッ!」バシィ

楓「なるほど。それでは……すなじごく!」

ガブリアス「ガブ!!」ゴォォォォ

メガチャーレム「チャ、チャー……!」

862: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:54:58.60 ID:y/LKuIUj0

恵磨『チャーレム、すなじごくに呑まれてしまった!』

卯月「このままじゃ身動きが取れない……!」

楓「先ほどチャーレムはじこあんじを使ったようですが、あれは全ての能力変化をコピーする技です」

楓「つまりスケイルショットで下がった防御力も引き継がれていることになりますね」

凛「……!」

楓「ガブリアス、ドラゴンダイブです」

ガブリアス「ガブッ!!」ギュン

ズドォォォン

863: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:55:53.45 ID:y/LKuIUj0

またチャーレムの情報入れ忘れてた
チャーレム Lv84 ヨガパワー
おだやかなせいかく しんぼうづよい



凛「チャーレム!!」

メガチャーレム「チ、チャーッ……」ヨロッ

藍子「そんな、メガチャーレムが一撃で……」

凛「まだだ! チャーレム、じこさいせい!」

メガチャーレム「……チャーッ」パァァ

楓「粘り強いですね。ガブリアス、もう一度すなじごくです」

ガブリアス「ガブ!」ゴォォォォ

恵磨『再び巨大な竜巻が迫る! 捕まってしまったら一巻の終わりだが、チャーレムどうするのか!?』

864: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:56:20.34 ID:y/LKuIUj0

凛(……やっぱり。あのすなじごく、たしかに大きくて拘束力も高い)

凛(けど攻撃技としてはそれなりだ。あくまでも目的は、次の攻撃への繋ぎ)

凛(だからこっちが利用してやればいい!)

凛「チャーレム、サイコキネシス!」

メガチャーレム「チャーッ!」カッッ

恵磨『チャーレム、サイコキネシスを繰り出した! 対象は――』

瑞樹『すなじごくだわ!』

865: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:56:46.28 ID:y/LKuIUj0

ビタッ

凛「この竜巻、そのままお返しするよ!」

メガチャーレム「チャー!!」カッッ

ゴォォォォッ

恵磨『なっなんと、すなじごくが逆流して……』

ガブリアス「ガブ……!」

恵磨『ガブリアスを呑み込んだァァ!!』

楓「あら……」

866: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:57:12.44 ID:y/LKuIUj0

凛「決めるよ、チャーレム! とびひざげり!!」

メガチャーレム「チャーッ!!」

ズドォォォン

恵磨『チャーレムの重たい一撃が炸裂だ! ガブリアス、これはどうだ!?』

ガブリアス「ガ、ガブ……!」

ヨロッ

凛「追い詰めたよ、ガブリアス……!」

バクッ

867: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:57:48.94 ID:y/LKuIUj0

凛(……なんだ? なにかきのみを食べた……?)

ガブリアス「……!!」

ガブリアス「ガブウウウ!!!」

恵磨『ど、どうした!? ガブリアス、空に向かって大きく吠えたぞ!?』

瑞樹『あの仕草……まるで『きあいだめ』を使ったような……』

楓「……今ガブリアスが食べたのは、『サンの実』というきのみです」

凛「サンの実……? そんなきのみ、初めて聞いたけど」

868: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:58:23.79 ID:y/LKuIUj0

楓「それもそうでしょう。伝説のきのみと呼ばれているらしいので」

楓「サンの実にはまだまだ謎が多いのですが、一説によると急所が見えやすくなる、という効果が現れるそうです」

凛「急所が……」

楓「逆鱗に触れられたドラゴンは、怖いですよ?」

ガブリアス「ガブウウウ!!」ダッ

凛「速い……どこにそんな体力が――」

楓「ドラゴンダイブです!」

869: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:59:02.76 ID:y/LKuIUj0

ガブリアス「ガブウウウ!!」

ズドォォォン

凛「うわあっ……!」

メガチャーレム「チャーッ……!」

バシュウ

チャーレム「チャー」バタンキュー

恵磨『チャ……チャーレム、戦闘不能! これが、これがチャンピオンの本気なのかーーッ!?』

楓「……これで3匹。追い詰めましたよ、凛ちゃん」

870: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 21:59:40.29 ID:y/LKuIUj0

凛「っ……ゲッコウガ!」ポンッ

ゲッコウガ「ゲコ!」

ゲッコウガ Lv.88 げきりゅう
やんちゃなせいかく まけずぎらい

卯月「ゲッコウガだけになっちゃった。メガチャーレムまで倒されるなんて……」

未央「……ガブリアス、すごい気迫だ。客席にいる私たちまで圧倒されそうになるよ」

藍子「はい。こんなの、勝てる気が……」

凛「……っ」

871: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:00:09.13 ID:y/LKuIUj0

つかさ「楓さん……一昨年や去年よりさらに進化している。もう誰も手がつけられねえって雰囲気だ」

つかさ「凛もたしかに強い。ガブリアスの本気を引き出せただけでも、今までのチャレンジャーと比べたら充分すぎるくらいだ」

つかさ「けどまさか、ここまでワンサイドゲームになるなんてな。ホント、末恐ろしい人だよ……」

872: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:00:34.60 ID:y/LKuIUj0

恵磨『凛選手、いよいよ最後の1匹! このままチャンピオンに押し切られてしまうのか!!』

ガブリアス「ガブ!!」

ズドォォォン

恵磨『まずは出会い頭のドラゴンダイブが直撃ー!!』

ガブリアス「……ガブ!?」

ビタンッ

ゲッコウガ「ゲコ」

瑞樹『あれは『たたみがえし』ね』

873: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:01:27.54 ID:y/LKuIUj0

凛「ゲッコウガ、かげぶんしん!」

ゲッコウガ「ゲコ!」ヒュンヒュンヒュン

恵磨『ゲッコウガ、分身でガブリアスを囲んだぞ!!』

分身たち「ゲコ!!」シュババ

楓「すなじごくです!」

ガブリアス「ガブ!!」ゴォォォォ

恵磨『分身の放ったみずしゅりけんが、次々と竜巻に呑まれていく!』

874: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:01:55.40 ID:y/LKuIUj0

ゲッコウガ「ゲコッ!!」

恵磨『しかし上空からは本物のゲッコウガが飛び込んできているぞ!!』

楓「!」

凛「みずしゅりけん!」

ゲッコウガ「ゲコ……!」シュバババ

ガブリアス「ガブ……!」

ズドン

ガブリアス「……ガ、ガブ……!!」ググッ

卯月「ま、まだ立ち上がるの……!?」

凛(っ……持てる全てを尽くしても、倒しきれないのか……!)

875: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:02:49.10 ID:y/LKuIUj0

楓「スケイルショットです!」

ガブリアス「ガブ!!」バババババ

凛「くっ、みがわり!」

ズバババ

未央「ダメだ、ぜんぜん近寄れないよ……!」

藍子「たたみがえしも二度は使えないですし……」

凛(っ――)

凛(……おそらく、ガブリアスを仕留められる手段は一つだけ)

凛(だけどそのチャンスが作れない……)

876: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:03:15.85 ID:y/LKuIUj0

ガブリアス「ガブ!!」ズギュン

ゲッコウガ「ゲコ……!」

凛(また速くなった……! もたもたしていたら、本当に手に負えなくなる)

凛(だけど焦ってもダメ。冷静に、戦況を見極めて――)

楓「…………」

楓「そう、その眼です。凛ちゃん」

楓「そんな眼を見ることができるから――」

ガブリアス「ガブ!!」ズギュン

恵磨『ドラゴンダイブが飛んでくる! これは躱せないか!?』

877: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:03:45.30 ID:y/LKuIUj0

凛「今だ!」

ズドォォォン

ガブリアス「……ガブ?」

ウニュニュ……

身代わり人形「」ボサッ

恵磨『いや、ガブリアスが突っ込んだのは……本物ソックリのみがわり!?』

凛「藍子、しっかり見ていてよね……!」

878: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:04:25.30 ID:y/LKuIUj0

凛「ゲッコウガ――!!」

ゲッコウガ「ゲコ――!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

瑞樹『特大のみずしゅりけん……!』

瑞樹『……まるで、あの時みたいね』

凛「いっ……けえええぇぇぇ!!!」

ゲッコウガ「ゲコォォォ!!」

ブゥンッッ

楓「そんな眼を見ることができるから――」

楓「私は、チャンピオンをやめられないんです♪」

879: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:04:53.43 ID:y/LKuIUj0

ズドォォォォォン

『…………………!!!』

凛「……!!」

凛「…………」

凛「……ここまで、か」

880: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/21(日) 22:05:29.95 ID:y/LKuIUj0





楓『――今回のガラルスタートーナメントで、私はたしかに感じることができました』

楓『風……新しい、風を』

『――ありがとうございました!』

『以上、6年連続のチャンピオンに輝いた、楓さんのインタビューをお届けしました!!』

883: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:43:13.10 ID:nMa24+0I0

ガラルスタートーナメントから一か月後…


藍子「私はミルクティーにします。凛ちゃんはどうしますか?」

凛「じゃあ、カフェラテで」

凛「はい、シロップは1つで。あとは……なにか頼む?」

藍子「それじゃあ……このチーズケーキにしようかな♪」

凛「以上で。……はい」

凛「それにしても、けっこう明るい雰囲気のお店だね」

藍子「そうですね。ナックルシティ全体が落ち着いた街並みだから、かえってそう感じるのかも」

藍子「…………ふふっ」

凛「?」

884: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:43:57.75 ID:nMa24+0I0

藍子「見てください、あのペロッパフ」

ペロッパフ「ペロ……ロ……」ウトウト

凛「睡魔と戦っているみたいだね」

藍子「気持ちのいい天気ですから……ポケモンにとっても、お昼寝の時間なのかもしれませんね」

藍子「なんだか私も眠くなってきそう……」

凛「本当に寝ちゃったら起こさないからね」

藍子「ど、どうしてですか~」

凛「藍子は幸せそうな顔で眠るんだもん。起こす方が躊躇しちゃうよ」

藍子「そ、そうなんですか……?」

885: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:44:45.07 ID:nMa24+0I0

凛「そうだよ。たぶん私だけが知ってる、藍子のチャームポイント」

藍子「それなら私にだってありますよっ。私しか知らない、凛ちゃんのチャームポイント」

凛「へえ、どんな?」

藍子「前に2人でハロン牧場を見学したことがあったじゃないですか」

凛「ああ、あったね」

藍子「あの時の凛ちゃん、周りに人がいないことを確認してから、ウールーの毛に思いっきり顔を――」

凛「見てたの?」

藍子「はい、ばっちり♪」

886: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:45:26.99 ID:nMa24+0I0

凛「……まさか」

藍子「証拠写真もあります♪」

凛「ちょっとカメラ貸してくれる? 藍子とミルクティーのツーショットを撮りたいからさ」

藍子「ダメです♪」

凛「こ、この……」

藍子「凛ちゃん、ここはカフェですよ。くれぐれも暴れたり、声を荒げたりしないで下さいね」

凛「一度もそんなことしたことないでしょ。いいからカメラ貸してよ」

藍子「ふふっ、嫌でーす♪」

887: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:46:40.91 ID:nMa24+0I0


………………………………………………


都「……そうですか。ついに帰られるんですね」

都「わざわざ事務所まで顔を見せてくれて、ありがとうございます」

凛「ううん。短かったとはいえ、一緒に旅をした仲だからね」

都「思えば凛さんたちは、私の独断と偏見であのような事件に巻き込まれたんですよね……その節はどうも、すみませんでした」

凛「気にしないでよ。たしかに大変な事件だったけど」

凛「あの事件があったからこそ、藍子は自立する覚悟を持てたのかな……って今では思ってるし」

都「な、なんというポジティブシンキング……」

凛「そうでもしないと、いつまでもクヨクヨすることになるからね」

888: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:47:18.62 ID:nMa24+0I0

都「ジムリーダーの皆さんには、もう挨拶されたんですか?」

凛「うん。手短にしか話せなかったけど、色々とお土産ももらえたんだ」

都「その手提げ袋の中身がそうなんですね!」

凛「これの中身は、ほとんどあかりからもらったリンゴだけどね……」

凛「『アイマス地方でもターフタウン産のリンゴを広めて下さい!』って口酸っぱく言われたよ」

都「あはは……その強かさ、あかりさんらしいです」

都「……藍子さんには」

889: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:47:59.15 ID:nMa24+0I0

凛「もう伝えたよ。けっこう寂しがっていたけど……」

凛「でも、もう一人でも大丈夫そうかな」

都「……そうですか」

凛「そうそう。都、3日後って空いてる?」

凛「私の送別会を開くみたいでさ。私は断ったんだけど……当日、見送りに行けない人も多いからって」

都「み、3日後! すみません、その日はすでに先客が……!」

凛「え、そうなの?」

890: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:48:52.69 ID:nMa24+0I0

都「はい。あの事件以降、ガラル全体がなんというか、より危機意識が高まったといいますか……」

都「最近は鰻登りに、私たちへの依頼が増えているんです」

凛「そうなんだ。それは仕方ないね」

都「すみません、なのでおそらく、今日が最後に会える日になるかと……」

凛「そっか。まあ、今日会えただけでもよかったよ」

都「はい。凛さん、遠く離れてもどうかお元気で!」

都「なにかありましたら、ぜひ都探偵事務所をよろしくお願いします!」

891: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:49:24.14 ID:nMa24+0I0

凛「アイマス地方で何か起きても対処してくれるわけ?」

都「ま、まあ……できる限りは」

凛「なんか頼りないなあ。でも……うん」

凛「何かあったら相談させてもらうよ」

892: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:50:37.60 ID:nMa24+0I0


………………………………………………


夏美「と、いうわけで!」

「灯織ちゃん、ジムリーダー就任おめでとーっ!」

パンパカパーン

灯織「わっ……みなさん、ありがとうございます」

かな子「来年からよろしくね、灯織ちゃん!」

あかり「いやあ、こんなに早く後輩ができるなんて、なんだか実感が湧かないんご……」

李衣菜「たしかにねー」

涼「李衣菜はこう見えてベテランの方だろ」

893: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:51:26.96 ID:nMa24+0I0

李衣菜「一言余計だな……まあそうだけどさ、なんかこう、いつまでたっても慣れてる感じがしないというか」

泉「気持ちは少しわかるな。みんなレベルが高いし、向上心もあるからね」

李衣菜「そうそう。まあでも、悩みとかあったらいつでも相談に乗るよ!」

珠美「ええ。珠美たちは共にガラルを盛り上げていく仲間なのですから、どうぞ遠慮なく」

灯織「ありがとうございます。不安は全くないわけではありませんが……私なりに、精一杯やっていくつもりです」

夏美「もう、その真面目さは美波ちゃん譲りね」

894: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:52:09.64 ID:nMa24+0I0

かな子「そういえば灯織ちゃんって、ツバサ諸島の出身なんだよね。向こうではどんな食べ物がおいしいの?」

涼「はは、隙あらば食べ物の話だな。でもアタシも興味があるし、聞かせてくれよ」

灯織「わかりました。ええと、まず――」

灯織(……美波さん。私のことなら、心配はいりません)

灯織(皆さんに支えてもらいながら、たくさん学んで、たくさん迷って、立派なジムリーダーになっていきます)

灯織(譲っていただいたポケモンも、大切にします)

灯織(なので……アローラのお土産話、楽しみにしていますね)

895: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:55:21.07 ID:nMa24+0I0


………………………………………………


つかさ「……へー」

つかさ「そいつがアイマス地方に試験導入されるのか」

つかさ「で、そのリザルト次第ではガラル導入も視野に入れている、とね」

つかさ「たしかにテクノロジーの最先端って感じだな。興味深いし、今すぐ試してみたい……が」

つかさ「この名前……数年前までは無名の企業だったのに、今じゃ立派なリーディングカンパニーなんだな。水面下でコツコツ力をつけてたのか、ヘッドハントでもしたのか?」

つかさ「…………」

つかさ「……暫くは様子見かな」

896: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:56:05.05 ID:nMa24+0I0


………………………………………………


凛「……うん。ガラルで発見されているポケモンは全部調査し終えたよ」

凛「本当はヨロイ島やカンムリ雪原にも行きたかったんだけど、卯月や未央、それに藍子……向こうで親しくなった人たちにも手伝ってもらって、データはほとんど完成させた」

凛「しっかり持って帰ってくるね」

凛「……それにしても」

凛「リージョンフォームにキョダイマックスもあったり……ほんとに、ガラルには見たことないポケモンばかりだった」

897: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:56:51.13 ID:nMa24+0I0

凛「やっぱり、ガラルへ来てよかったよ。世界は想像以上に広くて、まだ知らない人やポケモンがたくさんいるんだって思えたから」

凛「……今度は、3人で冒険したいな」

凛「まあでも今は……とりあえず、アイマス地方でゆっくりしようかな。みんなも待っていることだし」

凛「じゃあね、」

898: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:58:08.94 ID:nMa24+0I0

4日後 シュートシティ

詩織「お待たせしました」

凛「ありがとう、詩織さん」

凛(……今日、来年度のジムチャレンジの応募者受付が始まった)

凛(季節は新しく巡り始めている。できれば、その移ろいを見ていたかったけど)

凛(……私も、前へ進まなきゃ)

「凛ちゃん!」

タタタッ

899: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:58:48.51 ID:nMa24+0I0

凛「……藍子。来てくれたんだ」

藍子「よかった、間に合った……!」

藍子「凛ちゃん。これ、受け取ってください」

凛「これは……」

ピラッ

凛「アルバム……」

藍子「私と過ごした思い出、どうかアイマス地方に行っても、ずっと覚えていてくださいね」

凛「……!」

900: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 22:59:23.74 ID:nMa24+0I0

凛「……当たり前じゃん。ずっと忘れないよ」

凛「……だから」

藍子「……」

凛「最後は笑っていようよ」

藍子「……はいっ!」

藍子「凛ちゃん。今度は私が、アイマス地方へ行きます! いつか必ず、会いに行きますから!」

凛「うん。待ってる」

藍子「どうか……どうか、お元気で!」

901: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:00:11.68 ID:nMa24+0I0



拝啓 凛ちゃんへ

凛ちゃんからは、本当にたくさんのものをもらいました。その全てが宝物です。本当に、なんとお礼を言ったらいいか……。

……実は。

ガラルスタートーナメントが終わって、私は寂しい気持ちでいっぱいでした。これから何をしようかって、ずっと思い悩んでいて……。

けれど最近、そんな私に、新しい夢ができたんです!

902: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:01:16.13 ID:nMa24+0I0

「あ、あのっ!」

藍子「……?」

「あ、藍子ちゃんですか!? 今年のトーナメントで、準優勝だった……!」

藍子「そうですけど……あなたは?」

「よかった、人違いじゃなくて……あ、わ、わたしっ、新人トレーナーの歌鈴っていいます!」

歌鈴「実はずっと、藍子ちゃんのファンで……ターフタウンでのジムチャレンジを初めて見た時から、ずっと憧れていたんですっ!」

藍子「……!」

903: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:01:42.00 ID:nMa24+0I0

ワァァァァァァ

『いい勝負だったぞー!!』

『ブラボー!!』

パチパチパチ

歌鈴「……!」

歌鈴「わあ……わあっ……!!」

904: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:02:21.87 ID:nMa24+0I0

歌鈴「あの時の藍子ちゃんのバトル……すっごく感動しました。それで私も、トレーナーになろうって決意できたんです」

歌鈴「私、今年のジムチャレンジに参加します。絶対に優勝して、藍子ちゃんみたいな強くてステキなトレーナーになります!」

歌鈴「そうなれたら――」

歌鈴「私と、バトルしてくれましぇんかっっ!?」

藍子「……!」

905: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:02:52.91 ID:nMa24+0I0

歌鈴「あうぅ、また噛んじゃった……」

藍子「……うん」

藍子「喜んで♪」

歌鈴「……!」

藍子「勇気を出して伝えてくれてありがとう、歌鈴ちゃん」

藍子「ジムチャレンジ……頑張ってね!」

906: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:03:53.37 ID:nMa24+0I0

その時、私は気付きました。

夢は叶えて終わりじゃない。夢を叶えたら、次の夢が生まれる。

そして夢は、また新しい誰かに受け継がれて、ずっと繋がっていくんです。

私はガラル地方で、これからも最前線に立ち続けます。歌鈴ちゃんの憧れとして、誇らしいトレーナーであり続けていきます。

だから、凛ちゃんも――



凛「……うん」

凛「これからも――」

907: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:04:23.97 ID:nMa24+0I0





凛・藍子「ガールズ・イン・ザ・フロンティア!!」 


THE END






908: ◆7P/ioTJZG. 2021/11/26(金) 23:10:20.97 ID:nMa24+0I0

お知らせ。
来週の土曜か日曜、完結記念のラジオを放送します。ここで語れなかった小ネタや裏話等のアレコレを話します。
詳細はツイッター(@idontlikeYANKEE)をチェックしてください。配信はツイキャスを予定しています

全てのポケモン達とアイドル達に感謝を。
これにておしまい!完結!!お元気で!!!


引用元: 【モバマス×ポケモン】凛・藍子「ガールズ・イン・ザ・フロンティア!!」