初月「提督め……この執務室を掃除すればするほど」
初月「青年雑誌が埃のように出てくるじゃないかっ」
初月「あのバカ……」カァー…
初月「三日も家を空けるなら、せめて隠して行けばいいだろっ」
初月「こんなものを目にする僕の気持ちにもなれ!」
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4: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 20:36:44.09 ID:ypEbwZ0/0
初月「はぁ……」
初月(……一人ごちても、仕方ない……か)
初月(……しかし……)
初月(こんなものを読んでるくらいだから)
初月(“興味”は……あるんだよな)
初月(…………)
初月(僕にそんなを気配を見せたことはないのに)
5: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 20:42:25.92 ID:ypEbwZ0/0
初月(奴の秘書となって一週間)
初月(分かっていたことだが、僕にはやはり……)
初月(女の魅力はないらしいな)シュン
6: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 20:50:53.94 ID:ypEbwZ0/0
初月(奴は内地に出張だと言ったな)
初月(行先は教えてくれなかったが……)
初月(…………)
初月「なんだかもやもやしてきた」
初月「休憩しよう……」
7: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 20:52:37.09 ID:ypEbwZ0/0
あぁん、リアルに少し休憩することになってしまいました
すこしだけぬけます
すこしだけぬけます
10: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:16:14.34 ID:ypEbwZ0/0
ガラッ
初月「もう夜だったのか……気付かなかった」
初月「…………」
初月「……“月”が見えはじめたな……」
初月「……秋月姉さん、照月姉さん」
初月「……今も元気にやっているか?」
14: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:24:43.31 ID:ypEbwZ0/0
ブォォォォォォォォン……
初月「!」
初月「輸送機……帰ってきた」ニコッ
15: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:33:07.01 ID:ypEbwZ0/0
「ただいま……」
初月「提督、ご苦労様」スクッ
ガチャ
初月「今回の出張は、一体何を……」
初月「……っ!」
提督「やあやぁ、初月君」ハハハ
初月「おい、顔がものすごく腫れてるぞっ」
初月「どうしたんだ!」
16: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:39:13.21 ID:ypEbwZ0/0
提督「転んだ……」
初月「……転んだ?」
提督「輸送機の揺れのせいでね」
提督「ゴッ……て音がした」
提督「乗組員の皆に一斉に見られてもうやだ」シュン
初月「そ、そうか……」
初月「待っていろ、今氷嚢を作るからな」
タタタッ……
提督「……」
提督「“中佐ごときが”……か」
提督「……ちくしょう……」グッ
17: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:46:27.27 ID:ypEbwZ0/0
………………
…………
……
初月「提督、新しい艦だ……よかったな」
提督「うん、艤装との馴染みもいいらしいね」
提督「少し、顔を出してくるよ」
初月「あぁ」
バタン
初月(…………)
18: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:53:02.93 ID:ypEbwZ0/0
バンッバンッ
ガッ!
初月「チィッ、当ててくるな……っ!」
瑞鶴「初月!」
初月「心配するな、僕はまだ戦える」フフッ
初月「瑞鶴、そのまま流星を四時の方角へ飛ばし続けてくれ」
初月「この演習、勝てるぞっ」
……
…………
………………
19: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:57:02.79 ID:ypEbwZ0/0
初月「いつもすまないな……五十鈴」
五十鈴「お安い御用よ、初月っ」
五十鈴「で?その提督の余裕がどうとかだけど……」
初月「あぁ……」
初月「実はあの日から、提督の様子が少しおかしいんだ」
20: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 21:59:26.66 ID:ypEbwZ0/0
五十鈴「おかしいのは前からよ?」
初月「そ、そんなことを平気で言うんじゃないっ」
21: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:07:11.93 ID:ypEbwZ0/0
初月「今日、新しい艦娘が着任しただろ?」
五十鈴「えぇ、たしかあの“千代田”って子ね」
初月「あぁ」
初月「あれから艦娘を“建造”したのはこれで10回目だ」
五十鈴「へぇ……」
初月「それに、演習の回数も明らかに増えている」
五十鈴「そう?よそじゃあのくらい、普通にやってるわよ?」
初月「あぁ……実際、僕たちはそれで構わないのだが……」
初月「提督の方に、いつもの余裕がないように見えるんだ」
22: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:18:26.40 ID:ypEbwZ0/0
五十鈴「なるほどね……」
初月「僕の杞憂なら、それでいい」
初月「だが……もし、僕の手腕に問題があるなら改善したい」
五十鈴「ふふっ、あなたはよくやってるわ」
初月「だ、だが……」オロオロ
五十鈴「……ぷっ」
初月「……なんで笑うんだっ」
五十鈴「……べっつにー?」
五十鈴(……幸せな人ね、提督も)
23: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:27:52.35 ID:ypEbwZ0/0
五十鈴「五十鈴にも、具体的なことは分からないわ」
初月「そうか……」
五十鈴「でも……今は提督にとって」
五十鈴「きっと、とても大事な時なのよ」
初月「大事な時?」
五十鈴「そうよ……」
五十鈴「だから、あなたは彼を信じて……」
五十鈴「隣で支えてあげなさい」ニコッ
……
…………
………………
24: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:38:36.50 ID:ypEbwZ0/0
初月(支える……か)
提督「…………」ジー…
提督「…………」カキカキ
提督「……よしっ」
提督「ご飯作る!」
初月「!」
初月「ま、待てっ」
初月「今日は僕が作ろう!」
提督「え、だって君まだ……」
25: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:51:48.39 ID:ypEbwZ0/0
初月「…………」ジワ…
提督(焦げて歪な玉子焼きの下に、麦飯を炒めたもの……)
提督(……“オムライス”を作りたかったのかな)クスッ
26: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 22:54:32.21 ID:ypEbwZ0/0
初月(提督が好きな洋食……)
初月(これなら作れると思ったのに……)
初月(碌な食事をしていなかった僕じゃ……だめなんだ)
初月(……僕なんかが、提督の支えになんか……)グスッ
提督「いただきます!」
27: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:02:03.73 ID:ypEbwZ0/0
パクッ
提督「うんまァイ!!」
初月「!」
28: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:06:38.27 ID:ypEbwZ0/0
初月「お、おい……そんなの食べたら……!」
提督「形はよく分からないけど……」
提督「味付けはバッチリだよ!」
初月「……っ」
初月「そう……なのか?」
提督「うん!これ、簡単そうに見えてもね」
提督「オムレツを綺麗に作るの、難しいんだよ」
提督「初月ならできると思うし、今度一緒に作ろうよ!」
初月「……ていとく……」
29: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:12:26.17 ID:ypEbwZ0/0
「「ごちそうさま」」
提督「なんか、疲れが吹っ飛んだよ!」
提督「ありがとう!」ニコッ
初月「……あぁ」
初月「お安い御用だっ」ニコッ
……
…………
………………
30: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:21:02.61 ID:ypEbwZ0/0
提督「ふぅ……」
初月「今日もご苦労様、提督」
初月「茶を入れた……好きな時に飲んでくれ」
提督「ありがと、じゃあ早速」ズズッ…
提督「……ウマイ」
初月「そうか」フフッ
31: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:25:12.80 ID:ypEbwZ0/0
提督「受け持つ作戦が、少しづつ大規模になってきたなぁ……」
提督「皆には無理させて、申し訳ないね」
初月「何を言う……」
初月「最近は、お前も海に出てきているじゃないか」
提督「旧式のミサイル巡洋艦“近江”に乗ってね」
提督「でも、深海棲艦相手にミサイルは通用しないから」
提督「皆の邪魔にならないように後ろの方で指揮してるだけだよ……」
32: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:31:29.01 ID:ypEbwZ0/0
初月「いや……それでもお前は立派にやっているよ」
初月「近江に食料や燃料を載せてきてくれるし」
初月「なによりお前の指揮は一流だ」
初月「すぐ近くで共に戦ってくれるのは……とても頼もしいぞ」
提督「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」フフン
初月(以前の艦隊では、考えられなかった……)
33: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:36:06.31 ID:ypEbwZ0/0
初月「お前に何かあったら、僕が守ろう」
提督「ははは、そうなる前に一目散に逃げることにするよ」
提督「それより、ここに……3本のアイスキャンデーが」サッ
初月「!」
提督「ほしい?」
初月「…………」コクッ
提督「じゃあ長たんも呼んどいで」ニコッ
……
…………
………………
34: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:46:30.50 ID:ypEbwZ0/0
提督『……やっこさん、なんて言ってる?』ザーッ
駆逐棲姫「……」
初月「あぁ、降伏に応じるそうだ」
提督『ん、了解』ザザッ
提督「皆、よく聞け」
提督「現時刻を以て、捷四号作戦は終了だ」
提督「……よくやった」
……
…………
………………
35: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:50:07.82 ID:ypEbwZ0/0
ゴロン
提督「お疲れ様、初月!」
初月「あぁ……」ドキドキ
提督「ん?どしたの」
初月「……仕方ないだろう」ドキドキ
初月「……僕は今」
初月「お前に“腕枕”をされている……」カァー…
36: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:53:18.48 ID:ypEbwZ0/0
提督「いーのいーの」
提督「前のお返しだってー」ハハハ
初月(また布団に一緒に入ることになるなんて……)ドキドキ
提督「そうだ初月、聞いてよ」
初月「な、なんだ」
提督「今回の作戦の成功で……」
提督「僕はついに、晴れて中将となった」
初月「あぁ、おめでとう!」ニコッ
37: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/15(月) 23:55:53.16 ID:ypEbwZ0/0
初月「……だが、それはさっきも聞いたぞ」クスッ
提督「あはは、そっか」
提督「でも、これでようやく……」
初月「ん?」
提督「……なんでもない」クスッ
38: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:06:39.19 ID:IOHh01sc0
提督「それより、また提督命令なんだけど」
提督「いいかな」
初月「ん、なんだ?」
初月(また、僕の腕枕だろうか)クスッ
39: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:07:22.01 ID:IOHh01sc0
提督「ケッコン指輪を受け取ってほしいんだ」
初月「……」
初月「!」
40: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:11:58.02 ID:IOHh01sc0
初月「お、お前っ!?」オロオロ
提督「はじめはなんだか」
提督「ほっとけない子だなって思ってた」
提督「……でも、君は僕にきっかけをくれた」
提督「小さな島の泊地に収まる器だった僕が」
提督「初めて人のために大きなことをしようと思えた」
41: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:16:37.21 ID:IOHh01sc0
提督「だから僕はこれを、君に渡したい」
提督「きっかけをくれた素敵な女性にね」
初月「す、すてきな……じょせい?」カァー…
42: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:23:56.29 ID:IOHh01sc0
初月「そ、そう、いうことは!」
初月「こうい、いう時にっ」
初月「い、言うものなのかっ!」
提督「…………」
初月「……なんてバカなんだ、お前はっ」
初月「バカモノ、バカバカバカっ」
初月「そ、そこはム、ムードという、ものをだな!」
初月「それがないと、ぼ、僕だって……」ドキドキドキドキ
初月「……こ、心の準備が……」カァー…
43: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:29:32.21 ID:IOHh01sc0
初月「…………」ドキドキドキ
提督「……受け取ってくれるか?」
初月「…………」
ギュ
初月「…………喜んで」
44: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:33:36.59 ID:IOHh01sc0
………………
…………
……
ガチャッ
提督「たっだいま~」
初月「出張ご苦労様、提督……」
提督「今すぐ引っ越しだよ!」
初月「…………は?」
45: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:37:25.32 ID:IOHh01sc0
提督「引っ越しだよ引っ越し!」
提督「ひっこーし!ひっこーしっ!」ピョン
提督「さっさとひっこーし!」ピョン
初月「ち、ちょっと待てっ」
初月「引っ越すって……どこにだ!」
提督「……内地の鎮守府さ」
初月「!」
46: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:40:56.22 ID:IOHh01sc0
提督「軍令部総長直々に、指示を頂いた」ピラッ
初月「指示?」
提督「えーっと、帝国本土の関東方面二個歩兵師団と高射砲部隊」
提督「工兵隊、新鋭航空機群、艦艇部隊」
提督「そして、“艦娘部隊”からなる総勢三万の兵力を貴官の麾下に置く」
提督「……だってさ」
47: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:46:13.72 ID:IOHh01sc0
提督「叩き上げの中将だからね、仕方ないね」キリッ
初月「お、おぉ……」
初月「なんだか、すごい出世だな……」
提督「あぁ、君のおかげだね」ニコ
提督「で、この泊地ではそれを運用できないから」
提督「今から内地の鎮守府に僕たちの拠点を移します」
48: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:46:52.16 ID:IOHh01sc0
提督「それは……」
提督「君の姉さん達がいる鎮守府だ」
初月「っ!」
49: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:49:03.65 ID:IOHh01sc0
提督「これで彼女達も、僕の指揮下だね」
提督「今までそこで偉そうにしてた連中も、早速僕にペコペコしてきたよ」
提督「実に愉快だねぇ……」ニタニタ
提督「はっはっは!」
初月「…………なぁ」
初月「まさか……お前、はじめから……」
初月「僕の……姉さん達のために……」
50: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:52:07.57 ID:IOHh01sc0
提督「ははは、かいかぶっちゃいけないよ(棒読み)」
提督「ぼくのしゅっせかいどうに(棒読み)」
提督「かのじょたちをりようさせてもらったd」
ギュ
提督「!!」
初月「…………」ポロ…ポロ…
51: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:53:10.48 ID:IOHh01sc0
提督「……はは」
提督「初月はかっこいいくせに、泣き虫だな」
初月「……すまな……い……」グスッ
提督「……さ、行こ」
提督「これから、初月の姉さん達に……」
提督「たくさん御馳走を腹いっぱい食べさせてあげようよ!」
初月「……あぁ」
52: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/16(火) 00:53:51.70 ID:IOHh01sc0
初月「……姉さん達は」
初月「喜んでくれるかな……オムライス」ニコッ
―――――――――――fin――――――――――――
引用元: ・【艦これ】初月「なんて不埒な……っ」
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