ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」 前編 
 
ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル!俺はプロレス団体に就職して頑張るぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル!俺はプロレス団体に就職して頑張るぞ!」 後編

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体でやっていくのは難しいぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体でやっていくのは難しいぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で少し上手くやれてきたぞ!」  前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で少し上手くやれてきたぞ!」 後編

ヤムチャ『プーアル! プロレス団体で少し上手くやれてきたぞ!』 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で人間関係も良くしていくぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で人間関係も良くしていくぞ!」 後編 

ヤムチャ『プーアル! プロレス団体で人間関係も良くしていくぞ!』 前編 

ヤムチャ『プーアル! プロレス団体で人間関係も良くしていくぞ!』 後編 

ヤムチャ[プーアル! プロレス団体で人間関係も良くしていくぞ!]

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体がピンチだぞ!」

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体がピンチだぞ!!」 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体がピンチだぞ!!!」

ヴァイパー「春麗! PVの第一弾が完成したわよ!」 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で悪者と戦うぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で悪者と戦うぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で悪者と戦うぞ!!」 

プーアル「ヤムチャ様! 一週間を振り返ってみましょうか!」 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体を盛り上げていくぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体を盛り上げていくぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体を盛り上げていくぞ!!」

プーアル「ヤムチャ様! 一週間を振り返ってみましょうか!!」 

ヴァイパー「春麗! PVの第三弾が完成したわよ!」 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で女子選手がメインだぞ!」 前編

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で女子選手がメインだぞ!」 後編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で女子選手がメインだぞ!!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体で女子選手がメインだぞ!!」 後編

ヤムチャ「プーアル! メトロシティのお祭りでプロレスをするぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! メトロシティのお祭りでプロレスをするぞ!」 後編

ヤムチャ「プーアル! メトロシティのお祭りでプロレスをするぞ!!」

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体でリベンジ戦だぞ!」 前編 

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体でリベンジ戦だぞ!」 後編

ヤムチャ「プーアル! プロレス団体でリベンジ戦だぞ!!」

ヴァイパー「春麗! PVの第五弾が完成したわよ!」

1: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:09:00 ID:lG.ebPPU

--それは、ある日の出来事


バゥン…………バゥン…………


バゥン……バゥン……バゥン……バゥン……


バゥン、バゥン、バゥン、バゥン、バゥン、バゥン、バゥン、バゥン……


バゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥンバゥン



餃子「天さん。バイクの音がする」チラッ

天津飯「あぁ、わかってる。だいたいこの時間だな」チラッ

2: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:13:31 ID:lG.ebPPU
ランチ「うおぉ~いっ! 天津飯~、天津飯~!」バゥンバゥン


天津飯「餃子、農作業は少し中断だ」

餃子「はい」


ランチ「天津飯~! 天津飯ってば~! うおぉ~いっ!」バゥンバゥン


天津飯「ところで、餃子……『アレ』は持ってるか……?」

餃子「勿論」

天津飯「……そうか」

7: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:23:58 ID:lG.ebPPU
ランチ「うぉ~い、天津飯っ! 聞こえてるんだったら返事ぐらいしろよっ! 折角、来てやったのに……!」キキーッ

天津飯「また来たのか」

ランチ「毎日毎日、農作業農作業で……それ、一日ぐらいサボったって大丈夫じゃないのか!?」

天津飯「……そういうワケにはいかん」

ランチ「たまにはさ……街にパーっと繰り出して、一緒に銀行強盗とかしようぜっ!?」

天津飯「……銀行強盗?」ギロリ

ランチ「相変わらず、硬いお方……冗談だよ、冗談冗談……」

天津飯「まだ農作業が残っている。そして午後からは餃子と共に鍛練の予定だ。悪いが、帰ってくれないか……?」

8: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:27:11 ID:lG.ebPPU
ランチ「冷てぇ事言ってんじゃねぇよ。今日はいいもん、持ってきてやったんだからさ……? え~っと、何処だ何処だ……」ガサゴソ

天津飯(やはりこちらでは話にならんな……よしっ、いけっ……! 餃子っ……!)チラッ

餃子「はいっ!」シュタッ

ランチ「んっ……!? なんだぁ……!? なんだなんだ、チビ助っ……!」

餃子「……とう!」パラパラ

ランチ「ふが……ふが……なんだ、なんだっ……!? コショウか……!? これ、コショウかっ……!? オイ、何すんだっ……!? やめろ、やめ……ふが……ふが……へ、へ、へ……」

天津飯「……」ジーッ

ランチ「……へっくしっ!」ポロッ

天津飯「……よし」

9: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:31:46 ID:lG.ebPPU
ランチ「……あら?」キョロ

天津飯「……」

ランチ「あらあら……?」キョロキョロ

餃子「……」

ランチ「あら~? 私はいったいどうしてここに……あっ、天津飯さん、餃子さん、どうもごきげんよう」ペコッ

天津飯「……あぁ」ペコッ

餃子「……」ペコッ

ランチ「あらあら、どうやら私また天津飯さん達の所に来ていたみたいですね。あらあらあら」

11: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:35:33 ID:lG.ebPPU
天津飯「農作業が終わったら、また街へと送り返してやる。それまでは家でくつろいでるといい」

ランチ「いつもいつも、お手数をかけます」ペコッ

天津飯「腹が減ったのなら、俺達が作った野菜がある。適当に食うがいい」

ランチ「あら、お昼……もうこんな時間ですわね。お二人はもうお食事はなされたんですか?」

天津飯「いや、農作業を終えてからにするつもりだ」

ランチ「あっ、それじゃあ私、お二人の分のお食事も作らせて頂きますわ」

天津飯「自分の分だけで構わないぞ。俺達の分は……」

ランチ「いえいえ。いつもいつも街に送り届けてもらっているお礼ですわ。それに、お食事は大勢で食べた方が楽しいですわ」

天津飯「ん~、ああ、そうか……」

ランチ「それじゃあ、早速皆さんの分も……んっ……? あら、これなんでしょう?」

天津飯「……んっ?」

餃子「さっき、何か落としてた」

12: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:39:32 ID:lG.ebPPU
ランチ「え~、これは……格闘技大会のチケットでしょうか……? あっ、そうだそうだ。思い出しましたわ。天津飯さん、聞いて下さい」

天津飯「どうした?」

ランチ「この間、私が宅配のアルバイトをして頂いたお給料袋の中に……ある日、突然これが入ってたのです。頂いたお給料も少し減ってたような気もしますし……不思議な事ってあるものなんですね~」マジマジ

天津飯(……どうやら、もう一人の方が勝手に使ったんだろうな)

ランチ「不思議ですわね~。アレ……? 天津飯さん……? これ、見て下さい」

天津飯「どうした?」

ランチ「これ、ヤムチャさんの名前が書いてありますわ!」

天津飯「何、ヤムチャだと……? 見せてくれ」

餃子「……ヤムチャ」

13: 名無しさん 2016/09/10(土) 23:43:20 ID:lG.ebPPU
天津飯「ストリートプロレス、キ○ンビバレッジ特別興行……リュウ・ケン・ヤムチャ VS ガイル・ユン・ホーク……確かにヤムチャだな。ヤムチャの名前が書いてある」

ランチ「……ヤムチャさんって、あのヤムチャさんですわよね?」

天津飯「という事はなんだ……? アイツ、この大会に出るつもりなのか」

ランチ「あっ、わかりましたわ」

天津飯「……んっ?」

ランチ「きっと、このチケットはヤムチャさんが出る事を知った私が、いつもいつも街へと送り届けてもらっている天津飯さん達にお詫びの品として、購入したのでしょう!」ポンッ

天津飯(んっ……? このチケット買ったのはあちらのランチで……銀行強盗などではないが、こちらのランチの宅配のアルバイトの給料を勝手に拝借して、購入した……)

ランチ「ほら、だってチケットは三枚ありますわ」

天津飯(しかし俺達がいつも街へと送り返しているのは、あちらのランチではなくこちらのランチであり、あちらのランチは何故これを……それにこちらのランチも、ヤムチャが出てる事は今知ったような素振りではなかったか……?)

ランチ「きっとそうに違いありませんわ。天津飯さん、餃子さん、受け取って下さい。これは私からのお礼とお詫びの品ですわ」

天津飯(あちらのランチ……こちらのランチ……こちらのランチ……あちらのランチ……あぁ、ダメだ。頭がこんがらがってきた)

25: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:00:50 ID:9iIAG6S6
餃子「天さん」

天津飯「ああ、わかってる。全く、何をしているかと思いきや、今度はこんな事に手を出したのか、アイツは……」

ランチ「でも凄いじゃありませんか。格闘技大会に出場だなんて」

天津飯「大方、優勝賞金で暫く食い繋ごうと言った所か……相変わらず、そういった不真面目な所は変わってないな」

餃子「……ヤムチャ、変わってない」

ランチ「でも、ヤムチャさんが天津飯さん達のような農業や、私のような宅配業をしてるイメージって……ふふ、あまりイメージ沸きませんわね」

天津飯「一般人相手に戦った所で……相変わらず楽な事ばかりを考える奴と言うか……」

餃子「ヤムチャ、こずるい」

天津飯「……まぁ、少し様子を見に行ってみるのもよさそうだな」

ランチ「折角出場されるんですから、そんな事言わずに皆でヤムチャさんを応援してあげましょうよ。ねっ?」ニコッ

27: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:06:58 ID:9iIAG6S6
--その数日前の出来事


さくら「はい、皆さんおはようございます。休日の中、わざわざ申し訳ありません」ペコッ

リュウ「はい、おはようございます」

ケン「おはようございます」

ヤムチャ「おはようございま~す。あ~、さくらちゃん、今日はスーツなんだ?」

さくら「言っても今日はKI○INさんとの打ち合わせですからね。自分だけでも失礼のない格好をと思いまして」

ヤムチャ「なるほどなるほど。いいじゃない。そっちも可愛いと思うよ?」

さくら「……あっ、そうっすか?」

ケン「いや、待てっ……! 失礼のない格好をじゃねぇよっ……! そっちは失礼がなくても、こっちこっちっ……! こっちは失礼三人組っ……!」

さくら「……んっ?」

28: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:13:48 ID:9iIAG6S6
リュウ「……俺達もスーツ着用ってのが、マナーと言うか常識ってもんじゃないのか?」

ケン「そうそうそうっ! 俺達は試合着で……おい、これでいいのか? いいのかっ!?」

ヤムチャ「あっ、俺もスーツは持ってるよ?」

さくら「いや~、皆さんにはその格好……試合着で来てくれってKI○INさんからの申し出なので、そこは大丈夫です。失礼は一切ありません」

ケン「……そういう事は先に伝えておいてくれ。俺、今日スーツ持ってきたんだから。試合着に着替えてくれなんて言われてびっくりしたんだからな」

さくら「あ~、あ~、すいませんすいません……昨日の間に伝えておいておくべきでしたね。ちょっと、昨日ごちゃごちゃしちゃって……申し訳ありません」

ケン「……ったくよ」

さくら「とにかく、これからKI○INさんとの打ち合わせですが……これから長~い関係を築いていきたいのでね……? 決して、失礼のないようによろしくお願いします」

リュウ「ああ」

ケン「わかりました」

ヤムチャ「うん」

30: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:22:09 ID:9iIAG6S6
ーーー


さくら「どうも。お待たせ致しました」ガチャ

リュウ「んっ……? あっ、結構いるな……」ボソッ

ケン「いち、にー、さん、しー……四人もいるのか……」ボソッ

ヤムチャ「んっ、あの人……」ジーッ


ファイア「おはようございます、お待ちしておりました。私、広報担当のファイアと申します。よろしくお願いします」

さくら「本日はよろしくお願いします」

ファイア「こちら、名刺になります。えー、皆さん、我々キ○ングループの会社概要というものは……ご存知でしょうか?」

31: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:30:09 ID:9iIAG6S6
リュウ「勿論ですよ。総合飲料事業ですよね」

ファイア「そうです。総合飲料事業です。コーヒーなど……いわゆるソフトドリンク」

ケン「自分はよくビールの方でお世話になってます」

ファイア「あっ、ビールは皆さんにとっては身近な存在かもしれませんね」

ラガー「クラシック=ラガーです。よろしくお願いします」ペコッ

ファイア「後……発泡酒なども!」

ラベル「今回CMディレクターを担当させて頂く、グリーン=ラベルです。よろしくお願いします」ペコッ

ヤムチャ「コーヒーに、ビールに発泡酒……改めて考えると、飲み物ってだけでも凄く種類があるんですね。え~、ファイアさんに……クラシック=ラガーさんに……グリーン=ラベルさん……よろしくお願いします」

32: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:35:34 ID:9iIAG6S6
さくら「え~っと、ファイアさん……こちらの水着の方は……?」

ファイア「あ~、こちらはですね……」

エレナ「ハーイ。エレナよ~。よろしくね~」ニコニコ

ファイア「今回、皆さんにCMでダンスの方を行っていただくという事で、我々の方でダンス講師の方をご用意させていただきました」

さくら「あっ、ダンスの先生ですか。はいはいはい……」


ヤムチャ「あ~、だからスーツじゃなくて水着なんだ……いや~、入った時からちょっと気になってたんだよ……」

ケン「……俺も俺も」

リュウ「……言ってる俺達も人の事言えない格好だけどな」

33: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:46:18 ID:9iIAG6S6
ファイア「それでは、自己紹介も終わった所で早速本題の方なのですが……今回、リュウさん、ケンさん、そしてヤムチャさんの三名にはコラボCMという事でM○T'Sのダンスを踊って頂きたいのですが……」

リュウ「はい」

ラガー「ソレをそちらの団体の方で、公開収録という形で行いたいと言う事ですよね?」

さくら「そうですね。そういった形で行っていただくと、こちらとしてもありがたいですね」

ファイア「……どうです?」チラッ

ラベル「でも、プロレス会場って観客の方も盛り上がる、一種のLIVE会場みたいな感じですよね?」

さくら「そうですね。結構、そんな感じです。はい、はい」

ラベル「だから、そういった中で収録を行っていくというのは、画的には凄くありだと思います」

ファイア「はいはいはい」

34: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:52:22 ID:9iIAG6S6
エレナ「よーし! それじゃあ、早速ダンスレッスンを始めよう!」

リュウ「……えっ?」

ケン「……んっ?」

ヤムチャ「……あれ?」

エレナ「ねぇねぇ、え~っと、え~っと……」キョロキョロ

さくら「あっ、さくらです」

エレナ「何かダンスレッスンに使えそうな大きな場所とかない?」

さくら「あっ、それは道場使っていただければ……」

エレナ「道場は何処?」

さくら「え~、道場は……あっち……あっちです……」

35: 名無しさん 2016/09/11(日) 22:56:49 ID:9iIAG6S6
エレナ「それじゃあ、早速練習ね! 行こ行こ!」グイグイ

リュウ「えっ、もうっ……!? もう、練習っ……!?」

エレナ「だって公開収録なんだよね? 大勢のお客さんの前で踊るんでしょ? だったら沢山沢山練習しなきゃ!」グイグイ

リュウ「まぁ、そうですけど……そ、そうですけど……」

エレナ「ほら、そっちの二人も早く早くっ……! 沢山沢山、練習しなきゃ、ちゃんと踊れないよ!」

ケン「え~……あ~……ん~……あ~……は、はい……お、おいっ……! ヤムチャっ……! ヤムチャ……!」

ヤムチャ「あっ、あっ、あっ……は、はい!」

エレナ「それじゃあ、皆に早速ダンスを教えてくるねー!」バタン

36: 名無しさん 2016/09/11(日) 23:02:16 ID:9iIAG6S6
さくら「あ~、あららら。行っちゃった……い、いいんですかね、これで……?」

ファイア「まぁ、リュウさん達にはダンスの方を覚えて頂かないといけませんし……」

ラガー「失敗の出来ない公開収録という形ですからね」

ラベル「……時間も限られてますし」

さくら「……」

ファイア「……」

ラガー「……」

ラベル「……」

ファイア「まぁ、残された我々の方だけでね。続けましょうか?」

さくら「あっ……あ~、あ~……はい……」

37: 名無しさん 2016/09/11(日) 23:09:03 ID:9iIAG6S6
--ダンスレッスン初日


エレナ「それじゃあ、早速練習開始だよ!」

リュウ「はい」

ケン「……あ~、あ~、はい」

ヤムチャ「よ、よろしくお願いします」

エレナ「それじゃあ、早速BGMに合わせて踊ってみようね! 準備オーケー?」

リュウ「えっ……!?」

ケン「ちょっと待ったちょっと待ったっ……! まだ、俺達何も習ってないっ……!」

ヤムチャ「そ、そうそうそうそうっ……!」

エレナ「大丈夫、大丈夫。これは皆がどれくらいダンス出来るかを見るだけだから、それじゃあ……スタートっ!」ポチッ

38: 名無しさん 2016/09/11(日) 23:15:58 ID:9iIAG6S6
~♪ ~♪


リュウ「……」モジモジ

ケン「え~……え~……」モジモジ

ヤムチャ「いやいやいやいや-……」モジモジ

エレナ「ほら、もう始まってるよ? ワン、ツー、ワン、ツー」

リュウ「そんな事言ったって……ケン……ケン、いけっ……!」モジモジ

ケン「俺だってよぉ……? よし、ヤムチャっ……! お前だ、お前だっ……! お前が一番下っぱだ!」モジモジ

ヤムチャ「あ~っ、ズルいっ……! こういう時に、そういう事言うのってズルいですよっ……! ズルいですよっ……!」モジモジ

ケン「やかましいっ……! お前が一番下っぱだっ……! いけいけいけっ……!」

エレナ「頭じゃなくて心で感じるの! ほら、ワン、ツー、ワン、ツー!」

リュウ「先生も言っているっ……! 頭じゃなくて心で感じるだっ! 見せてやれ、ヤムチャっ!」

ヤムチャ「ズルいなぁ、ズルいなぁ……二人共ズルいなぁ……だぁ~っ! もう、いきますよっ! 二人も続いて下さいよ~!?」

39: 名無しさん 2016/09/11(日) 23:22:11 ID:9iIAG6S6
ヤムチャ「ん~っ……! チョン、チョン、パッ……!チョン、チョン、パッ……!」クネクネ

エレナ「そうそう! 素敵素敵っ!」

ヤムチャ「え~……チョン、チョン、パッ……! チョン、チョン、パッ……!」クネクネ

リュウ「……ははははははっ!」

ケン「お前、それ盆踊りじゃねぇかっ……!?」ゲラゲラ

ヤムチャ「笑わないで下さいよっ……! 俺、一生懸命やってるんですからっ……!」ピタッ

エレナ「どうしたのどうしたの? ほらほら続けて。ワン、ツー、ワン、ツー!」

リュウ「ははは、悪い悪い……続けろ続けろ……いけいけいけっ……!」

ヤムチャ「ん~っ! も~うっ……! チョン、チョン、パッ……! チョン、チョン、パッ……!」クネクネ

ケン「はははははっ……! 変なお~じさん、だか~ら、変なお~じさんっ……! ははははっ……!」ゲラゲラ

53: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:00:48 ID:ONMlbjNI
ヤムチャ「二人共っ……! なんですかっ……! なんなんですか、も~うっ……! 俺、真剣にやってるのにっ……!」ピタッ

エレナ「あっ、ダメダメ。続けて続けて。怒っちゃダメだよ、もっと楽しくリズムを感じなきゃ!」

ケン「ははは、わかったわかった。そう怒るな怒るな。これ、結構ハードル下がったなぁ。俺はもっとマシだぜ?」

ヤムチャ「じゃあ、ケンさんもやって下さいよっ!」

エレナ「そうそうケン君も、ケン君も! 楽しく楽しく、リズムを感じて! あっ、ヤムチャ君も続けて!」

ヤムチャ「えっ、えっ……? 俺、まだ続けるの……?」

ケン「え~っと、それじゃあね……ランニングマン見せてやるよ。ランニングマン。俺、見た事あるんだよ、これ」

54: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:07:42 ID:ONMlbjNI
ケン「よっ……よっ……よっ……よっ……」ドタドタ

エレナ「あっ、素敵素敵。今話題のランニングマンだよね。そうそう! ワン、ツー、ワン、ツー!」

ヤムチャ「えっ、ケンさん……ソレ、何やってるんですか……?」

ケン「お前、知らねぇのかっ!? 先生も言ってる今話題のランニングマンだろうがっ! よっ……よっ……よっ……よっ……」ドタドタ

リュウ「いや~……俺、見た事あるけど、それ何か違うぞ……?」

ケン「テレビで見た時はこんな感じだったよっ! よっ……よっ……よっ……よっ……」ドタドタ

リュウ「お前のはなんか大型犬が自分で出した糞に砂かけてるみたいな……そんな感じだよ」ニヤニヤ

ヤムチャ「あ~、あ~っ……! 言われてみれば確かにっ……!」

ケン「なっ……! なっ……! あぁ~っ!?」ピタッ

エレナ「んーんー、怒っちゃダメダメ。ほらほら、楽しくワン、ツー、ワン、ツー!」

55: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:13:55 ID:ONMlbjNI
ケン「おめぇも人の事ばかり言ってねぇで、踊ってみやがれっ! 恥も外聞も捨てて、踊り狂えよオイっ!」

エレナ「そうそう。リュウ君もリュウ君も。楽しく楽しく、ほらワン、ツー。あっ、ケン君とヤムチャ君は続けててね?」

リュウ「わかったわかった。でも今のケンのヤツを見て、俺にも踊れるのがあったよ。思い出したよ。え~っと……確か、こんな感じじゃなかったかな……?」クイクイ

ヤムチャ「んっ……? んっ……?」

ケン「おい、おめぇソレ……肘を上げ下げ上げ下げ……何やってんだよ、おい……?」

リュウ「MCハマーって知らねぇか、おめぇら……? アレに確か、こういう感じのがあっただろ……?」クイクイ

エレナ「あっ、MCハマー! いい所ついてくるね! そうそうそう!」スーッ

ケン「お前、MCハマーって言ったら今、先生のやってるあの蟹歩きみたいなヤツだろ……? お前は恥捨ててねぇなぁ……? 当てにきやがったなぁ」

リュウ「……あれは出来ない」

エレナ「ほらほら、とにかく楽しく楽しく! リズムを感じて!」クルッ

ヤムチャ「……おっ、ターン」

56: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:19:10 ID:ONMlbjNI
エレナ「ほらほら、楽しく楽しく! 皆も一緒に!」ルンルン

ケン「お~、お~……先生が乗ってきた。乗ってきた」

エレナ「ん~、ん~、んん~」ルンルン

リュウ「あっ、ランニングマン」

ヤムチャ「あっ、ケンさんのヤツと全然違いますね」

ケン「そんな事ねぇだろ……? 一緒だよ一緒……ほれ、見てみろ。ほれほれほれ……」ドタドタ

リュウ「いや~、全然違う……違う、違う……」

エレナ「ん~、んん~、ん~、んん~、チョンチョン、パッ」ルンルン

ケン「あれっ……!? 今、一瞬盆踊りみたいなの入れなかったかっ!?」

ヤムチャ「いや~、アレは俺のと全然違いますよ!? アレは俺でも流石にわかりますっ!」

57: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:28:37 ID:ONMlbjNI
エレナ「んーと……とりあえず、こんな感じかなーっと……」ポチッ

リュウ「……おっ」

エレナ「皆のリズムはとっても魅力的だわ。だけど、もーっともーっと楽しく踊らないとダメかなー?」

ケン「はい」

エレナ「だいたい皆のレベルはわかったわ。んー、殆ど経験のない初心者さんって感じかな?」

ヤムチャ「す、すいません……!」

エレナ「でも、皆運動神経はいいんでしょ?」

リュウ「あっ、そっちは勿論」

ケン「ダンスはアレですけど、そっちの方には自信があります」

ヤムチャ「運動神経なら任せて下さい!」

エレナ「それならすぐに覚えられるわ! んー、それじゃあ先ずは基礎ステップから始めようか?」

58: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:35:43 ID:ONMlbjNI
エレナ「先ず最初に教えるのは『ツイスト』。えーっと、右足を前に出して踵をつけるの。つま先は浮かせてね? 左足は逆だね……? 踵を浮かせて、つま先を地面につけるの」

リュウ「え~」

ケン「こうか」

ヤムチャ「……よいしょ」

エレナ「そうしたら、その地面につけた足を地面に擦りつけるように……捻って……戻して……捻って……戻して……」クイクイ

リュウ「え~っ……こ、こうか……」クイクイ

ケン「よっ……よっ……」クイクイ

ヤムチャ「おっ……おっ……」クイクイ

エレナ「ちょっと早くしてみるね。はい、ワン、ツー、ワン、ツー。こうやって下半身を捻っていくの。お腹のシェイプアップにも効果的なんだよー」クイクイ

リュウ「ワン……ツー……ワン……ツー……」

ケン「ほっ……ほっ……ほっ……ほっ……」

ヤムチャ「おっ……おおっ……おっ……」

59: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:44:26 ID:ONMlbjNI
ーー数時間後


コンコン


さくら「あ~っと、お疲れ様です。こっち順調ですか?」

エレナ「あっ、さくらさんでしたね? はーい、順調です」

ヤムチャ「あっ、さくらちゃん!」


リュウ「ワン……ツー……ワン……ツー……」

ケン「これ、本番はもっと早いんだろ……? あ~、くそっ……!」


さくら「んっ、これ今どういう状況なんすかね?」

60: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:48:49 ID:ONMlbjNI
リュウ「今、俺達は『キックス』とかいうのの練習中」

ケン「ほら、こういうヤツだよ。見た事ねぇか……?」クイクイ

さくら「あ~、あ~、そういうの見た事ありますよ。ちょっと不恰好ですが、そういうの見た事ありますよ」

ケン「うるせっ! 今は練習中なんだから仕方ねぇだろっ!?」


エレナ「上半身を動かしちゃったら、身体全体が捻れちゃうから……肩は動かさずに、下半身だけで……はい、ワン、ツー、ワン、ツー……」

ヤムチャ「はい……! はいっ……! はいっ……! はいっ……!」クイクイ

エレナ「……んー、肩が動いちゃってる」


さくら「あはははは。すいませんすいません。あれ……? ヤムチャさんは違うのやってるみたいっすけど……」チラッ

リュウ「アイツは今、ツイスト中だ」

ケン「こういうヤツ、こういうヤツ……」クイクイ

さくら「あ~、あ~、はいはい」

61: 名無しさん 2016/09/12(月) 22:57:00 ID:ONMlbjNI
エレナ「ほらほら、ヤムチャ君……ケン君が……ほらほら、アレアレ」

ヤムチャ「んん~っ! んん~っ! んあっ……!?」チラッ

ケン「こうだよ、こうっ……! あ~っ、もうイライラするなぁっ……!?」クイクイ

ヤムチャ「んん~っ……! わかってるんですけど……わかってるんですけどねぇ……んん~っ……!」クネクネ


さくら「んっ、あれ……? ケンさんは出来るんですか……? そのツイストってヤツは」

リュウ「いや、俺ももう覚えたぞ。ほら……」クイクイ

さくら「……あっ」

リュウ「……ちょっと、ヤムチャのヤツが時間掛かってるみたいだな」

さくら「あ~……あらららら……」

62: 名無しさん 2016/09/12(月) 23:02:49 ID:ONMlbjNI
ケン「先生一人占めしてるんじゃねぇぞ、オイっ!」

エレナ「ごめんごめん。五分したらまたそっち見に行くよー。それじゃあヤムチャ君……」

ヤムチャ「う~……あ~っ、はい……」クネクネ


リュウ「上半身を固定したまま、下半身だけを捻るんだけど……アイツ、どうしても上半身も一緒に捻っちまうんだよ……」

さくら「あ~、あ~、確かにちょっと違いますねぇ」

リュウ「おい、ヤムチャっ! 多分、こっちのキックスってヤツの方が楽だぞ! これは簡単だ、これは簡単っ! お前でもパパっと出来るよ!」

さくら「……あらら」

リュウ「さっきから、ずっと先生とマンツーだけど……う~ん、ちょっとなぁ……」

さくら「あ~、そうっすか……とりあえず打ち合わせの方は終わったのでね、自分はここで様子を見させてもらいますよ」

リュウ「おう、わかった。おぉ~い、ケンっ! お前はこっちだろ。ツイストはもういいだろ。キックスだキックス」

ケン「はいはいはい。ちくしょうっ……! あの野郎、水着美人を一人占めしやがって、ちくしょう……」

さくら「……んっ?」チラッ

63: 名無しさん 2016/09/12(月) 23:06:54 ID:ONMlbjNI
エレナ「あっ、じゃあ先生がヤムチャ君の肩を押さえて固定しておいてあげようか?」

ヤムチャ「あ~、それじゃあ、そうしてもらってもいいですかね……?」

さくら「……」ジーッ

エレナ「はい。じゃあ、押さえておいてあげる。それじゃあ、もう一回……はいっ!」ガシッ

ヤムチャ「え~っと、それじゃあいきますよ……いち、にー、いち、にー……」クネクネ

さくら「……」ジーッ

エレナ「んー、ヤムチャ君は、ずーっと自分の足ばかり見てるのー」

ヤムチャ「だって、それは足を見ないと出来てるかどうか……」

さくら「……」ジーッ

エレナ「ダンスは頭で考えるんじゃなくて……身体で感じないと! だから、顔を上げて……はいっ! 先生の顔を見るっ!」

ヤムチャ「あ~っ……! はいっ……!」クイッ

さくら「……ん~」ジーッ

エレナ「は~い。それじゃあ、そのまま……はい、ワン、ツー……ワン、ツー……こうだよ。こうこう」クイクイ

ヤムチャ「いち……にー……いち……にー……」クネクネ

さくら「……」イラッ

77: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:01:40 ID:1eDl7xvM
さくら(むぅ~、なんだかなぁ……)ムスッ


エレナ「はいはい。ワン、ツー、ワンー、ツー」クイクイ

ヤムチャ「ん~っ……! いち……に~……いち……に~……」クネクネ


さくら(先生も先生だよ。あ~んな格好で来る必要あるのかなぁ? ジャージとかでもいいんじゃないの……? な~んで、あんな水着みたいな格好でさぁ)


エレナ「ほらほら。ワン、ツー、ワン、ツー……何処見てるの? 先生の顔見なきゃダメだよ~?」クイクイ

ヤムチャ「あ~っ、いやいやっ……! べ、別に変な所見てるってワケじゃないですよっ……!?」


さくら(う~わ。何あれ……う~わ、う~わ……)

78: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:07:58 ID:1eDl7xvM
エレナ「んー、なかなか上手く出来ないねー。んー、どうしようかなー?」

ヤムチャ「い、いやぁ……すいません……」

エレナ「えーっと、ちょっとリュウ君達の所に行ってきてもいいかな? ほら、ヤムチャ君の事ばかりレッスンしてたら……ねっ……?」

ヤムチャ「あ~、はい……はいっ……! すいません、すいません。あっち行ってきて下さい。俺は大丈夫です!」

エレナ「うん、うん。すぐ戻って来るから。じゃあ、ヤムチャ君は……えーっと、ちょっと休憩! でもすぐ再開するからね」

ヤムチャ「……は~い、お願いします。いや~、本当すいません」

エレナ「えーっと、それじゃあ……リュウ君、ケン君! あっ、凄い凄いっ! そうそうそうそうっ! 出来てる出来てる! え~っと、じゃあ一回音楽に合わせてやってみようか?」


さくら(な~んか、ムカつくなぁ……嫌味の一つでも言ってやろ~っと……)ササッ

79: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:14:18 ID:1eDl7xvM
さくら「ヤムチャさん」

ヤムチャ「あ~、ちくしょうっ……! ムカつくなぁ、ムカつくなぁ……くそぉ~、ムカつくなぁ~!」イライラ

さくら(……んっ?)

ヤムチャ「なぁ~んで出来ねぇんだろう……あ~、ちくしょう。ムカつく……ムカつくなぁ……」

さくら「……」ジーッ

ヤムチャ「さくらちゃん、ヤバいよ……実にマズい事になってる……俺、今回下手したら間に合わないかもしれないっ……! ちょっと、マズいよコレ……」

さくら(う、うわぁ……何考えてたんだろ、自分は……最悪だ、最悪だよ……)

82: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:25:16 ID:1eDl7xvM
リュウ「音楽に合わせてか……よし、わかりました……!」

ケン「実際に音楽が流れると、ついていくので精一杯になっちまうからな」

エレナ「大丈夫、大丈夫っ! ツイストの時にみたいに、身体でリズムを感じれば大丈夫! 次は音楽に合わせて……ステップアップだよ!」


ヤムチャ「嘘だろ、マジかよ……? も~う、二人共音楽に合わせてやるの……? 俺、まだこっちでも音楽に合わせる所までいってないのに……」

さくら(一番、ムカついてるのはこの人だよ……出来ない自分に腹立てて……ムカついて……)

ヤムチャ「俺は一人、こっちで身体クネクネ動かして……あ~、もうっ……! あぁ~、もうっ……!」

さくら(突然ダンスやれだなんて言われても……文句の一つも言わずにやってくれてるこんな人に、なんで自分が……あ~、もう最悪……)

ヤムチャ「……やっべぇなぁ」

さくら(嫌味じゃないよ、嫌味じゃ……え、え~っと……げ、元気にしてあげなきゃ!)

83: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:33:22 ID:1eDl7xvM
~ ♪ ~ ♪

エレナ「はい。ワン、ツー、ワン、ツー!」

リュウ「ほっ……ほっ……ほっ……ほっ……」

ケン「よっ……よっ……よっ……よっ……」


さくら「え、え~っと……なんか、苦戦してるみたいっすね」

ヤムチャ「苦戦中ですよ、苦戦中……さっきから、ず~っとあの先生が俺の事見てるのよ……」

さくら(ん~っ……! モヤモヤするけど……う~ん、悪意はないっ……!それより、もっと何か……何かっ……!)

ヤムチャ「……けど、出来ねぇんだなぁ」

さくら「少し見てましたけど、何か腰を動かすダンスなんですか? こんな感じに……」クイッ

ヤムチャ「……そうそうそう」

さくら「それで……こうやって戻すと……」クイッ

84: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:41:49 ID:1eDl7xvM
ヤムチャ「あ~、ダメダメダメ。それ出来てない、出来てない……それは俺と同じミスだよ」

さくら「……えっ?」

ヤムチャ「肩を動かしちゃダメなんだってさ。ほら、さくらちゃんも一緒に肩が動いてるよ。捻るのは下半身だけだそうです」

さくら「下半身だけ……下半身だけって事は……え~、え~っと……アレ……? アレ……?」クネクネ

ヤムチャ「ナハハ、ほらね……!? ほらねっ……!? 難しいでしょ!?」

さくら「……ん~、難しいっすね」

ヤムチャ「さくらちゃんの場合は、足が違うんだよ。足をつま先立ちと踵立ちにして……こうだよ、こうこう」

さくら「あ~」

85: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:46:32 ID:1eDl7xvM
ヤムチャ「それで……こ~う、クッ……クッ……クッっと……」クネクネ

さくら「いやいやいやっ……! 滅茶苦茶肩、動いてますよソレっ!」

ヤムチャ「じゃあ、持ってて持ってて! 俺の肩、押さえておいて!」

さくら「……えっ?」

ヤムチャ「さっき、先生がやっててたでしょ? 俺の肩をガシッっと押さえておいてよ!」

さくら「あ~、はい。わかりました……え~っと、じゃあ失礼しま~す」ガシッ

ヤムチャ「それで……こ~う……よっ……よっ……!」クネクネ

さくら「あははははっ!」

ヤムチャ「なんで笑うのっ!? ねぇ、なんで笑うのっ!?」

さくら「あはは、ごめんなさい、ごめんなさい。続けて下さい……」

ヤムチャ「え~っと……いち、にー、いち、にー……」クネクネ

86: 名無しさん 2016/09/13(火) 22:53:24 ID:1eDl7xvM
エレナ「え~っと……リュウ君のステップが気になったんだけど……」

リュウ「はい。どういった点が……」


さくら「……先生、言ってませんでしたっけ? 顔を上げて相手の顔を見なさいって」

ヤムチャ「こんな状況……恥ずかしくて見れるワケないでしょ……? も~う……」クネクネ

さくら「……あっ、胸とか見てたワケじゃないんすね」

ヤムチャ「見てないから……も~う、そういう事言うのやめて……」


エレナ「えーっと、でもヤムチャ君の方も……んー、あっ、さくらさんが手伝ってくれてるのかなー?」チラッ

ケン「……アイツはいつまでツイストやる気なんだよ。プレスリーもびっくりだよ」

エレナ「えーっと、それじゃあ、ちょっとこっちのレッスンしたいんで、さくらさんちょっと手伝ってもらってもいいですかー? そうやって肩を押さえておいて頂けるだけでいいですから。ヤムチャ君、わかるよね? 大丈夫だよねー?」

87: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:00:48 ID:1eDl7xvM
さくら「え~、自分っすか……? あ~、自分っすか……?」

ヤムチャ「お願い、お願いっ……! さくらちゃんお願い、お願いっ! 俺も先生よりさくらちゃんがいいよ。お願い、お願い……!」

さくら「あはは、はいはい。わかりましたよ。わかりました……」ニコニコ

ヤムチャ「じゃあさ、じゃあさ……? もうちょっと、ググっと肩押さえておいてくれない……? もっと、強く強くっ……! 目一杯っ……!」

さくら「えっ、強くっすか……? え~っと……はい」ググッ

ヤムチャ「そうそうそう……それじゃあ、それじゃあ……え~、いち、にー、いち、にー……」クネクネ

さくら「……肩動いてますよ~」

ヤムチャ「わかってるっ……! わかってるからっ……! ん~、いち、にー、いち、にー……」クネクネ

さくら「はいはい。元気よく! 元気よく、いち、にー、いち、にー……」

88: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:11:24 ID:1eDl7xvM
ーー更に数時間後


エレナ「はい。それじゃあ本日のダンスレッスンはここまでとします」

さくら「ありがとうございます」

リュウ「お疲れ様です。ありがとうございます」

ケン「また、よろしくお願いします」

ヤムチャ「……ご迷惑おかけしました」

エレナ「でも、本番まで時間がないので、先生はまた明日も来ます。また明日もダンスレッスンがあるから、本番に向けて楽しく楽しく頑張ろうね!」

さくら「よろしくお願いします」

エレナ「三人共、凄く上達が早いので先生助かります。それじゃあ、また明日です。お疲れ様でしたー」ペコッ

さくら「お疲れ様です。また明日もよろしくお願いします」

89: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:19:40 ID:1eDl7xvM
ケン「明日もレッスン……明後日もレッスン……多分、本番までずっとレッスンは続くぞ、これ」

リュウ「まさか、プロレス団体でダンスレッスンを事になるとは思わなかったなぁ……」

さくら「でもね、エレナ先生……あの人のレッスン受けにいくと、結構かかるらしいっすよ? そういう意味ではただでレッスンが受けれるのはお得じゃないですか?」

ケン「そういう問題じゃねぇだろ、オイ」ゲラゲラ

さくら「……CM出演っ!」

ケン「そっちは魅力的かもな!?」

さくら「とにかく、皆さんには本番までに何とか会場で披露出来るだけのダンスを……後、それと本業の事も勿論ありますからね? え~、そこを平行しつつ、上手い具合に……」

リュウ「はいはい」

ケン「あい。了解です」

90: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:30:41 ID:1eDl7xvM
さくら「まぁ、今日の所はこれで……また明日、よろしくお願いします。それじゃあ、お疲れ様でした」

リュウ「今日、何時間踊ったんだろうな」

ケン「いやいや、まだまだ続くぜ、続くぜ……おい、ヤムチャ。明日はしっかりしてくれよ?」

ヤムチャ「はい、わかってます。わかってます! 明日こそは俺も……」

さくら「……」チョンチョン

ヤムチャ「……ん、何?」

さくら「……」ポンポン

ヤムチャ「んっ、何……? 時計……? 時計……?」

さくら「……」シーッ

ヤムチャ「……あっ、はい」

91: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:39:48 ID:1eDl7xvM
さくら「……」クイクイ

ヤムチャ「んっ、お酒……? あ~、はいはい……! はいはいっ……!」

さくら「……だ~から」シーッ

ヤムチャ「ごめんごめんごめんっ……! オッケー、オッケー。大丈夫、大丈夫っ!」ボソッ

さくら「……」コクコク

ヤムチャ「わかったわかった。それじゃあ、また後で……後でね……!?」ボソボソ


ケン「んっ、あっ、オイ……? おい、ヤムチャ。何モタモタ……」

ヤムチャ「あ~、いやっ……! なんでもないですっ! なんでもないですよ~、ケンさんっ!」

92: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:49:32 ID:1eDl7xvM
そしてーー


ヤムチャ「いや~、何だか久しぶりじゃないかな? さくらちゃんと飲むのって」

さくら「そうっすね。最近は女子部の方でなんやかんややってますしね。そっちに参加出来てないっすよね」

ヤムチャ「ダンさんが、いつも寂しそうにしてる。ナハハ」

さくら「あぁ、そうっすか。まぁ、とにかく今日はお疲れ様でした」

ヤムチャ「はい、乾~杯」

さくら「……どうでした? 今日のダンスレッスン」

ヤムチャ「いや~、難しい……難しいよ。ちょ~っと、俺には難しいかもしれない」

さくら「あぁ、そうっすか」

ヤムチャ「途中からさくらちゃんが来てくれたから、よかったけど……ず~っと先生が俺につきっきりでね……先生、リュウさん達の方に行けないんだよ」

さくら「あはは、それは深刻な悩みっすね。自分としてもその状況だけは、何とかしてもらいたいっすよ」

ヤムチャ「……いや~、わかってるけどさぁ?」

93: 名無しさん 2016/09/13(火) 23:55:39 ID:1eDl7xvM
さくら「だって、自分は嫌でしたもん。イラってしましたもん」

ヤムチャ「……えっ、何が?」

さくら「だって、あんな水着の先生と……マンツーマンで……見つめあってレッスンしてましたら……」ニヤニヤ

ヤムチャ「いやいや、待って待って待ってっ……! アレはレッスンだよ。指導だよ。レッスンだよっ!」アセアセ

さくら「あはは」

ヤムチャ「その、何……? えっ……!? 違うよっ! 確かにエレナ先生は……まぁ、セクシーな格好をしてたけど……そういう事は考えていないよ! 考えてない、考えてないっ!」

さくら「いや~、勿論それはわかってますけど……反射的にこう、イラってしちゃうんすよ、こっちは。ちょっと嫌みの一つでも言ってやろうかな、なんて実は思ってたんすよ」

ヤムチャ「あの人、先生だからっ……! 一番出来ない生徒……俺の事っ……! 集中的に見てるだけだよ! 違う違う」

さくら「だからね、こっちとしましては、先生の指導が必要ないぐらいに、スマートにこなしてほしいっすね」ニヤニヤ

ヤムチャ「参ったなぁ、参ったなぁ……ナハハ、そうかそうか。ナハハ」

さくら(ほ~ら、笑い話に出来る事なんだから……ねっ……!)

107: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:00:44 ID:PHkH9GxA
ヤムチャ「と、とにかくねっ……!? わかったわかった。先生とそういう感じに、あまりならないように俺も頑張るから……ちょっとだけ長い目で見てくれない? お願い、お願い」

さくら「はいはいはい。わかりました、わかりました」ニコニコ

ヤムチャ「あ~、でもさぁ……? 今日はさくらちゃんが途中から手伝ってくれたじゃない……? だから、明日も手伝ってくれたら……俺とさくらちゃんで……ねっ……?」

さくら「まぁ、それも悪くないんすけど……あの~、明日からは自分じゃないんすよ。ダンスレッスンのお目付け役と言いますか……明日から自分じゃなくなります」

ヤムチャ「えっ、明日は来ないの……? えっ、じゃあ誰になるの……?」

さくら「ジミーさんっす」

ヤムチャ「えっ、ジミーさんって……ブランカさん!?」

さくら「そうそうそう。ブランカさん」

108: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:05:39 ID:PHkH9GxA
ヤムチャ「え~、俺ブランカさん嫌だなぁ……さくらちゃんがいいなぁ……さくらちゃんがいいなぁ……」

さくら「ごめんなさいね。女子部の事の方の事とかもありますから。な~んで、ジミーさんにそんなに拒絶反応示すんですよ?」

ヤムチャ「だってさぁ……? ブランカさんが俺の肩押さえて……俺が腰振って……嫌だよ、嫌だよ。今日みたいになるんでしょ?」

さくら「あははは」

ヤムチャ「かと言って、先生とやるのも……アレだし……」

さくら「あはは。尻叩くワケじゃないっすけど……それが嫌なら、こ~う……ねっ……?」

ヤムチャ「いや~、こりゃいよいよ秘策を使う時が来たのかもしれないなぁ……」

さくら「……んっ、秘策?」

ヤムチャ「あ~、いやいや……なんでもない、なんでもない。うん、飲もう飲もう。今日は折角二人っきりなんだから」

109: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:10:44 ID:PHkH9GxA
ーーー


ヤムチャ「おぉ~い、プーアル。ただいま~」

プーアル「あっ、ヤムチャ様遅かったですねぇ? 打ち合わせってこんなに時間がかかるものなんですね。それなら僕も一緒に行った方がよかったかな……?」

ヤムチャ「今日、ダンスレッスンしてきたから、こんなに遅くなっちゃったんだよ」

プーアル「えっ、ダンスレッスンってもう始まってるんですか?」

ヤムチャ「うん。水着のセクシーな先生が来て……なんか、こうやって腰振るダンス教えてもらってきたよ」クネクネ

プーアル「はぁ~」

ヤムチャ「え~っと、それでだなぁ……プーアル君……いや、プーアルちゃん……プーアルさん……?」

プーアル「……んっ?」

ヤムチャ「お話があるんだ」ニコッ

110: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:21:40 ID:PHkH9GxA
プーアル「……まぁ、とりあえず聞きましょうか」

ヤムチャ「今日、俺……ダンスレッスン、あまり上手くいかなったっ!」

プーアル「……はぁ」

ヤムチャ「俺が出来ないという事は、先生が俺に付きっきりで指導する事になり、リュウさんケンさんを放ったらかしにしてしまう事になるっ……!」

プーアル「……あ~」

ヤムチャ「更にはさくらちゃんも、そんな俺を見て……あ~、うんっ! こりゃ、大変だ。現在大問題が起こっているんですよ」

プーアル「はぁ、そうですか」

ヤムチャ「そこでプーアル……いや、プーアルさん。ここは一つ、我々が封印してきた最終手段を使う時が来たのではないでしょうか」

プーアル「……」ジーッ

ヤムチャ「なぁ、プーアルさん……? ここだよなぁ……? 多分、使うのはこの場面だよな……? え~、つまりだ……」

プーアル「……」

ヤムチャ「プーアル……俺に変身して、ダンスレッスン受けてくれない……? お願い、お願い……」

111: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:27:08 ID:PHkH9GxA
プーアル「まぁ、プーアルさんって呼び出した時から予想はついていましたが……バーカっ!」

ヤムチャ「プーアル、これはあくまで最終手段だっ! これっきり、これっきり……一生のお願いっ……! この最終奥義は金輪際使わないから……」ペコペコ

プーアル「あのね、ヤムチャ様……? 最終手段、最終奥義、一生のお願い……使う箇所がショボいんですよっ!」

ヤムチャ「……そ~んな事、言ったってよぉ」

プーアル「なんだかんだで、苦手なインタビューとかはご自身で頑張られていたというのに……よりにもよってダンスですかっ!? ダンスですかっ!?」

ヤムチャ「だって、さくらちゃんがさぁ……?」

プーアル「大体、僕だってダンスは出来ませんよ! 僕がヤムチャ様に変身した所で、何も変わらないと思いますよ?」

ヤムチャ「あ~、そうかそうか……やっぱりダメか……」

112: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:34:25 ID:PHkH9GxA
プーアル「まだ時間はあるんですから……そこまで切羽詰まってるワケじゃないでしょ?」

ヤムチャ「あぁ、そうだな。暫くはダンスレッスンはあるらしい」

プーアル「それならヤムチャ様自身の力で頑張りましょうよ」

ヤムチャ「……は~い」

プーアル「もうヴァイパーさんのPVで宣伝されてるから、後には引けません。だから、ここはもう一踏ん張りです」

ヤムチャ「あっ、もうPV出来てるんだ? 出来てるんだったら見たいけど……おい、今見れるのか……?」

プーアル「見ますか。ヤムチャ様のシーンもありますよ。どうぞ」

ヤムチャ「うん」マジマジ

プーアル「ねっ……? ねっ……?」マジマジ


ヤムチャ「あ~、本当だ。宣伝されてるな~。というか、次の対戦相手ガイルさん以外経験ないぞ……? そっちも大丈夫かなぁ?」

プーアル「ユンさんとホークさんですね」

ヤムチャ「そうそう。それとさ……? 俺、インタビューでもっと喋ってたよな? やっぱり短くなってるよな、コレ……?」

プーアル「編集の力です。でもこれは一発オッケーでしたよね? ほら、やっぱり出来るようになってるじゃないですか。自身持って下さい」

113: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:42:17 ID:PHkH9GxA
--ダンスレッスン二日目


リュウ「……再び、よろしくお願いしま~す」ガチャ

ケン「さぁ、ダンスレッスン午後の部だ……おい、ヤムチャ。しっかり頼むぞ……?」

ヤムチャ「はいっ……! はいっ……! 勿論、わかってます……」


エレナ「あっ、来た来た来たっ!」

ブランカ「おっ、どうやら戻って来たようですね」

エレナ「皆の試合、楽しかったよー! ケン君、格好よかったー。凄かったー!」

ケン「……あっ、試合見て頂けたんですか?」

エレナ「うんっ! ジミーさんが誘ってくれたから、皆の試合見させてもらったよ!」

ブランカ「楽しんで頂けて幸いですね」

114: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:48:12 ID:PHkH9GxA
エレナ「でもちょっと意外だったなー。まさか、リュウ君があんなに怖い人だとは思わなかった」

リュウ「……えっ?」

エレナ「ほら、あのー。ベガさんって人に……あまり乱暴な言葉使いはよくないよ? 皆、優しいリズムを持ってるんだから!」

リュウ「あ~、いや……アレは違います。今日の対戦相手のベガとサガットとバルログと……それに、もう一人バイソンって奴がいるんですけど……」

エレナ「うんうん」

リュウ「まぁ、とにかくそいつらが……悪い奴なんですよ! だからそういう奴らには、ああやってガツーンと言ってやらなきゃいけないんです」

ブランカ「そうなんですよ、エレナ先生。彼らの戦ったシャドルーは極悪人なんです。世界征服を企んでいる闇の組織なんです」

エレナ「うわー、凄ーい! リュウ君達ってそんな人達と戦ってたんだ」

リュウ「ははは、まぁそうなりますね」

115: 名無しさん 2016/09/14(水) 22:53:00 ID:PHkH9GxA
エレナ「やっぱり試合中の皆は凄かったわ! 心と身体が一致してる……そんな感じがしたかな? 皆の言葉で言うと、心・技・体ってところね!」

リュウ「あ~、ありがとうございます」

エレナ「だからダンスも同じように、心で感じて……身体を動かすっ!」

リュウ「それで、ここで技を学ぶと」

ケン「確かにこっちの方は、音楽に合わせるってなると……難しいよな……?」

エレナ「そんな事ない、そんな事ない。凄くよくなってきてるんだから! えーっと、試合が今終わったばかりだから、そうね……? 30分ぐらいしてから練習再開しましょうか?」

リュウ「はい」

ケン「わかりました」

116: 名無しさん 2016/09/14(水) 23:00:42 ID:PHkH9GxA
エレナ「それじゃあ、リュウ君とケン君は、またBGMに合わせながら。今度はちょっとテンポアップするよー。でも、これが出来ないと本番ではついていけなくなるからね?」

リュウ「はい」

ケン「わかりました」

エレナ「えーっと、それでヤムチャ君は……うん。ジミーさんにちょっと見ててもらってて」

ヤムチャ「え~、いやいやっ……! 俺ももう大丈夫ですっ……! そっちの練習でも、大丈夫です。もういけますっ……!」アセアセ

エレナ「……うーん」

ヤムチャ「いやっ……! 何ですか、その反応っ……! ねぇ、ねぇっ……!?」

エレナ「……うーん」

ブランカ「ヤムチャ君、焦ってもいい事はありません。君はこっちです……こっちこっち……」グイグイ

ヤムチャ「んあ~っ……! もう、なんだよっ……! なんなんだよ、も~うっ……!」

ブランカ「上達はしてますっ……! はい、一回深呼吸深呼吸。スーハースーハー」


リュウ「……」

ケン「……先生、アイツは間に合いますか?」

エレナ「うん! 大丈夫だよ、大丈夫大丈夫! 間に合う間に合う!」

117: 名無しさん 2016/09/14(水) 23:10:42 ID:PHkH9GxA
ーー数時間後


ヤムチャ「あ~、ちくしょう……くそっ……! 何がどうなってんだよ、も~うっ……!」

リュウ「……苛々するんじゃねぇ」

ケン「俺達の昨日のレベルぐらいまでには来てるんじゃねぇか?」


エレナ「えーっと、ヤムチャ君なんですけど……」ヒソヒソ

ブランカ「あぁ、はい……はいはい……はいはい……」ヒソヒソ


ヤムチャ「……昨日のレベルじゃ、間に合ってないじゃないですか!?」イライラ

リュウ「……だから、苛々するんじゃねぇよ」

ケン「上達はしてるって言ってるんだよ、この野郎っ……! 昨日のお前、阿波踊りみたいだったんだぞ……? それが、マシになってるって話だよ」

ヤムチャ「あ~っ! もうっ……!」

118: 名無しさん 2016/09/14(水) 23:16:25 ID:PHkH9GxA
エレナ「それじゃあ、本日のダンスレッスンはここまでにしまーす。先生、また明日も来るからねー。また明日も頑張ろうねー」

リュウ「ありがとうございました」

ケン「またよろしくお願いします」

ヤムチャ「あ~、もうっ……! お疲れ様でした」


ブランカ「はい。では、本日はここまでにしておきたいのですが……う~ん、私が見るに当たって、やはりヤムチャ君が遅れてるように思えます」

ヤムチャ「……わかってますよ」

ブランカ「ですから、ヤムチャ君……? ちょっと居残り練習していきましょうか?」

ヤムチャ「……えっ?」

ブランカ「うん。それがいいでしょう。私の判断でヤムチャ君にはリュウ君達に追いつくために、居残り練習をしてもらいましょう。私も見るだけなら出来ます」

129: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:00:59 ID:lh/JYtaU
ブランカ「さぁさぁ、それではヤムチャ君……あっ、それではリュウ君、ケン君は、お疲れ様です」

リュウ「……付き合いましょうか?」

ブランカ「いえいえ。明日も試合はあるんですから。二人は順調に進んでいるようなので」

ケン「……あ~、そうっすか」

ブランカ「それでは、ヤムチャ君。もう少し踊っていきましょう。ねっ?」

ヤムチャ「……は~い」

リュウ「お、おい。ヤムチャ……頑張れよ……?」

ケン「先にいつもの所行ってるから……パパっと終わらせて、合流しろ」

ヤムチャ「……は~い」

130: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:04:38 ID:lh/JYtaU
--翌日


ランチ「くっそぉ、天津飯の奴は本当に連れない奴だよなぁ。ちょ~っと固すぎるんだよ……まぁ、そこがいいって言えばいいんだけどね……へへ……」

ランチ「ん~、なんとか気を引く為には……う~ん……やっぱり、格闘技関係か……? ちょっくら調べて見るかな……なぁ~んかないかな~?」

ランチ「う~ん、う~ん……んっ……? おっ、これはどうかな……?」カタカタ

ランチ「お~、お~……なんだこりゃなんだこりゃ……!? 座布団が辺り一面飛び交ってるぞ……!? なんだこりゃ……?」

ランチ「案外、これいいんじゃないか!? う~ん……でも太っちょだなぁ……? どうだろうなぁ……?」

ランチ「う~ん……もうちょっと、他のも探してみるか……なぁ~んかねぇかなぁ……」カタカタ

ランチ「う~ん……プロレス……プロレス……ちょっと見てみるか……」

131: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:09:39 ID:lh/JYtaU
ランチ「あっ、これは女も出てるんだ」

ランチ「ふ~ん……ふ~ん……う~ん……んっ……!?」

ランチ「あれ……? あれ……? んっ……!? あっ……!」

ランチ「……ヤムチャじゃんっ!?」

ランチ「あいつ……あっ、へぇ~! へぇ~、へぇ~!」

ランチ「なんだよなんだよ……あっ、そうだっ! これ、口実にしたら……いけるんじゃね!?」

ランチ「流石に、ヤムチャの奴が出てるんだったら……天津飯も来るだろ、来るだろ……よ~し、よしよしっ! これにしよう、これにしようっ!」

ランチ「チケットは二枚……といきたい所だが、やっぱりチビ助も誘わないと天津飯は来てくれねぇだろうからな……三枚、三枚だ……よ~しっ!」

133: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:26:26 ID:lh/JYtaU
--ダンスレッスン三日目


エレナ「えーっと、それじゃあジミーさん。今日も……」ヒソヒソ

ブランカ「はいはい。わかりました」ヒソヒソ


リュウ「昨日の補習の成果、出てたぞ。多分……」

ケン「うんうんうんっ! よくなってきた、よくなってきた! 多分……」

ヤムチャ「……本当っすかねぇ?」


エレナ「はい、それじゃあ本日のレッスンはここまでになりまーす。また明日も頑張ろうねー。お疲れ様でしたー」

ブランカ「はい。皆さん、お疲れ様です。え~っと、今日もヤムチャ君は居残り練習をしていきましょうか。私の判断です」

134: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:36:58 ID:lh/JYtaU
ヤムチャ「……ちっくしょう。またかよ~」

ケン「それはこっちの台詞でもあるっての……お前だけ別練習になってんだからよぉ……」

リュウ「う~ん……」

ブランカ「え~、それじゃあリュウ君とケン君は……本日の所は以上という事で。また明日もよろしくお願いします」

リュウ「……はい。お疲れ様です」

ケン「……待ってるからな~。今日は来いよ?」

ブランカ「さぁさぁ、それではヤムチャ君……練習しましょうか?」

ヤムチャ「……は~い」

135: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:41:06 ID:lh/JYtaU
ーー数十分後


ヤムチャ「いち、にー、いち、にー……」ヒョコヒョコ

ブランカ「はい。いち、にー、いち、にー……」

ヤムチャ「ねぇ、ブランカさん……? これ、俺出来てますよねぇ……?」

ブランカ「う~ん、出来てる事は出来てるんですけど……人前でゼニーを貰えるダンスかと考えれば……う~ん、少し厳しい部分もあるのではないでしょうか?」

ヤムチャ「あ~あ、ちくしょう……」ヒョコヒョコ

ブランカ「う~ん……こちらに関しては私もなかなかどうのこうの言う事は出来ませんが……とにかく、付き合いますから、なんとかね。はい、いち、にー、いち、にー……」

ヤムチャ「あ~、もう……どうせだったら、さくらちゃんと二人がよかったなぁ……」ボソッ

ブランカ「……何か言いました?」

ヤムチャ「あ~、いえ……何でもないです。はい、いち、にー、いち、にー……」

136: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:50:33 ID:lh/JYtaU
ディージェイ「ヘーイっ! Mr.ブランカっ……!」ガチャ

ダルシム「ディージェイ君、落ち着きなさい。いいからいいから、落ち着きなさい……」


ブランカ「……んっ?」

ヤムチャ「……ああっ?」


ディージェイ「ヘーイ、Mr.ブランカっ! 何してるんだよ、ミーの稽古をするんじゃないのかい!? Mr.ブランカがサボってど~うするのっ!? Mr.ブランカはミーを超一流にする義務があるんだよっ!」

ダルシム「だから、ジミー君は暫くヤムチャ君のダンスレッスンの方があるって言ってるじゃないか……稽古なら私が付き合うよ……」

ディージェイ「……ダンスレッスンだって?」

ダルシム「あ~、すまんなすまんな。すぐ連れて帰るから……さぁさぁ、ディージェイ君……戻ろう戻ろう……」

138: 名無しさん 2016/09/15(木) 22:58:17 ID:lh/JYtaU
ヤムチャ「……おい、ディージェイ、帰ってくれ」

ブランカ「はい、その通りです。時間がありませんからね。はい、いち、にー、いち、にー……」

ヤムチャ「いち、にー、いち、にー……」ヒョコヒョコ


ディージェイ「オーマイガー……オーマイガー……アレがダンスレッスンだって……? アレがダンスレッスンだって……!?」

ダルシム「……ダンスレッスンだよ」

ディージェイ「あ~んなの全然ダンスレッスンじゃないよっ! ファンキーさの欠片もないじゃないかっ!?」


ヤムチャ「うるせぇっ……! だから、今練習中なんだよっ……!」ヒョコヒョコ

ブランカ「ダルシムさん……ちょっとディージェイ君、邪魔なので……」


ダルシム「あぁ、すまんすまん。さぁさぁ、ディージェイ君、ディージェイ君……稽古に戻ろう、稽古に戻ろう……」

ディージェイ「そもそもMr.ブランカはレスラーとしては1.5流ぐらいだけど……ミュージックファイターとしては3流……いやっ、5流っ……! そ~んな人がダンスなんて教えれるワケないじゃないかっ!」ササッ

ダルシム「おい……お~い、ディージェイ君っ……!」

139: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:09:59 ID:lh/JYtaU
ディージェイ「もうちょっとファンキーに練習しなくちゃね。おっ、ラジカセもあるし……ミュージックかけちゃえ。スイッチオーン!」ポチッ

ダルシム「……コラっ!」


~ ♪ ~ ♪

ヤムチャ「ちょっとちょっと、ブランカさん……ディージェイがっ……!」

ブランカ「気にせず、気にせず……時間がありません。はい、いち、にー、いち、、にー……」


ディージェイ「オーウっ! なかなかファンキーなミュージックじゃないかっ! ミーもこれ聴いた事あるよ~。いいねいいね、ボリューム上げちゃえっ!」ググッ

ダルシム「コラっ……! コラコラっ……!」


~ ♪ ~ ♪ ~ ♪ ~ ♪

ブランカ「いち、にー、いち……あ~っ! ちょっと、ダルシムさんっ……! ダルシムさんっ……!」

ヤムチャ「おい、うるせぇぞ、ディージェイっ……! こっちは集中してやってるんだから、その音楽止めろっ!」

140: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:14:51 ID:lh/JYtaU
ディージェイ「ミュージックがやかましいって、どういう事だっ! ファッキン、糞ったれっ!」

ヤムチャ「……あぁっ!?」

ダルシム「コラコラコラっ……! あ~、とりあえず音楽は止めよう……」ポチッ

ディージェイ「Mr.ヤムチャっ……! 君のミュージックファイターとしての誇りは何処にいっちゃったんだよ。あぁっ!?」

ヤムチャ「俺はミュージックファイターじゃねぇよっ!」

ディージェイ「もっと、ミュージックを心で感じて……身体を動かさないとっ!」

ヤムチャ「……あぁっ?」

ディージェイ「頭でっかちに考えてるから、そ~んな生まれたての子馬のようなステップなんだよっ! ダメダメダメダメ、ダメダメダ~メっ!」

ブランカ「あのね、ディージェイ君……君は人に言えるだけの実力が……んっ、待てよ……?」

141: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:18:57 ID:lh/JYtaU
ダルシム「あぁ、そうか。ディージェイ君は……ダンス……出来るなっ!?」

ディージェイ「ヘーイ、ミーは踊れるよ~! イエーイっ!」ルンダルンダ

ヤムチャ「あっ、そっかっ……! じゃあ、丁度いいじゃんっ……! おい、ディージェイ……俺にダンスを教えてくれよ。ダンスをよぉ」

ディージェイ「……ん~」

ヤムチャ「おい、ディージェイ……俺の何処がいけないんだ……? 教えてくれよ、なぁなぁ……?」

ディージェイ「ミュージックファイターのしての誇りがない所だよ」

ヤムチャ「いやいや、そういう事じゃなくて……」

ディージェイ「ん~、だからMr.ヤムチャには先ずミュージックファイターとしての誇りを取り戻して貰わないといけないね。オーケー、オーケー、ちょっと待ってなさい……」

ヤムチャ「お~い、お~いっ……! 何処行くんだよ、お前……」

ディージェイ「……ちょっと、ギター取ってくるよ」

ヤムチャ「……あぁっ?」

144: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:24:04 ID:lh/JYtaU
ーー数分後


ディージェイ「はい。それじゃあ、そこに並びなよ。横一列」

ダルシム「……うむ」

ブランカ「……こうですかね?」

ヤムチャ「おい、ディージェイ……何する気だ……? 俺はダンスレッスンを……」

ディージェイ「今からミーが、皆の為に特別にギターを弾いてあげるよ!」

ダルシム「……んっ?」

ブランカ「あの、ディージェイ君……?」

ヤムチャ「おい、ディージェイ。違うよ、違うよ……俺はダンスレッスンを……」

ディージェイ「イエーイ。それじゃあ、いくよ~!」ギュイーン

ヤムチャ「……聞いてねぇ」

145: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:28:37 ID:lh/JYtaU
ディージェイ「イエーイっ……!」テレテレ

ダルシム「うん……あぁ、うん……」

ブランカ「ディージェイ君、ギターは上手いんですよ。ねっ、ヤムチャ君……」

ヤムチャ「いや、それは知ってますけど……俺の入場曲も作って貰ったし……」

ディージェイ「イヤッホオオゥゥ!」ギュイーン

ダルシム「うん、うん……」

ブランカ「……いや~、凄いですね」

ヤムチャ「凄いですけど……これは、ダンスレッスンとは、関係ないじゃ……」

ディージェイ「ヘーイっ……! 何やってんのっ……! そんな反応じゃ、こっちが白けちゃうよっ!」ピタッ

ヤムチャ「……おっ、終わったか?」

146: 名無しさん 2016/09/15(木) 23:32:49 ID:lh/JYtaU
ディージェイ「そういう所がダメダメ人間だよ。ダメダメ人間っ……! Mr.ヤムチャも、Mr.ブランカも、Mr.ダルシムもっ……! 皆、ダメダメ人間だっ……!」

ヤムチャ「ディージェイ、あのさ……?」

ディージェイ「君達の僅か30cmの距離で……ミーがギターを弾いてるんだよっ!? これ、どういう事かわかるかいっ……!?」

ヤムチャ「……えっ?」

ディージェイ「スーパースーパーアリーナ席っ……! 超・超・超・超・特等席っ……! なのに、無反応っ……! ハッキリ言って、ノリが悪すぎるんだよ!?」

ヤムチャ「お、おう……」

ディージェイ「ミー達の試合を見に来てる最前列のファンはそんな反応してる……? してないでしょ!? 声がガラガラになるまで叫んで……エキサイティングしてるでしょ!? ミーのLiveでもそうだったよ。皆ヘロヘロになって帰るんだからっ!」

ヤムチャ「あ、ああっ……」

ディージェイ「もっと身体で感じなきゃっ……! 頭で考えるんじゃなくて、身体で感じなきゃっ!」

160: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:01:14 ID:uNMnepok
ディージェイ「ワンモアっ! ワンモア、アゲインっ! もっともっと、ミュージックを身体で感じなよ! じゃないと、ミーは止めちゃうよっ!?」

ヤムチャ「わ、わかったわかった……! 確かに今のはこっちのノリが悪かったな。それに先生にもそういう事を言われてた様な気がするよ。でもそれってどういう風に……」

ディージェイ「んん~っ、も~うっ……! じゃあ、手拍子でもしてなさいっ!」

ヤムチャ「あっ、手拍子ね……? 手拍子か。いいぞいいぞ、わかったわかった」

ディージェイ「Mr.ブランカとMr.ダルシムもだよ。アーユー、オーケー!?」

ダルシム「確かに我々の入場の時に手拍子をしているファンの姿はよく見かける。そう考えると今の私達はディージェイ君の言う通り、ノリが悪かったな……」

ブランカ「……はいはい、わかりました。手拍子ですね」

ディージェイ「オーケー、それじゃあ気を取り直してもう一回っ……! イエーイっ!」ギュイーン

162: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:07:23 ID:uNMnepok
ディージェイ「イエーイっ! 超一流のミュージックファイターの生演奏だよ~! 盛り上がっていこ~うっ!」テレテレ

ヤムチャ「はいっ……! はいっ……! はいっ……! はいっ……!」パンパン

ダルシム「ほっ……! ほっ……! ほっ……! ほっ……!」パンパン

ブランカ「んっ……! んっ……! んっ……! んっ……!」パンパン

ディージェイ「オーケー、オーケーっ! さっきよりはよくなってきたよっ……! だけど、まだまだ足りない。まだまだ足りてないっ……! オーケー、スタンダーップっ!」ギュイーン

ヤムチャ「なんだなんだ、立てばいいのか……? わかったわかった、はいはいはい……」

ダルシム「……それじゃあ、私達も」

ブランカ「……そうですね」

163: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:14:51 ID:uNMnepok
ディージェイ「オーケーっ! 次は身体を上下に振ってみよ~う。ヘーイ、ミーの真似をして~!」グイグイ

ヤムチャ「あ~、、上下に……? あ~、はいはいはいっ……! はいっ……! はいっ……! はいっ……! はいっ……!」グイグイ

ダルシム「ほっ……! ほっ……! ほっ……! ほっ……!」グイグイ

ブランカ「おおっ……おおっ……おおっ……おおっ……」グイグイ

ディージェイ「手拍子止めていいとは言ってないよっ! 手拍子も続けてっ!」

ヤムチャ「わ~かった、わかったっ……! 怒るなよっ……!」

ダルシム「いや~、注文が多い……」

ブランカ「ははは。そうですね」

ディージェイ「オーケー、オーケー。乗ってきた乗ってきたっ! そう! ビートは体の中から生まるものさ! ヘイヘイ、楽しくなってきただろ~う!?」

164: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:23:09 ID:uNMnepok
ディージェイ「オーケー、オーケー。それじゃあ、Mr.ヤムチャっ……! 次はミーの隣だ。カモン、カモン、カモン」

ヤムチャ「んんっ、何……? そっち行けばいいの……?」

ディージェイ「ヘーイっ! 身体を振ってビートを感じてっ! 手拍子も忘れちゃダメっ!」

ヤムチャ「はい、はいっ……! わかったよっ……! はいっ……! はいっ……!」

ディージェイ「……Mr.ブランカとMr.ダルシムの方を向くっ!」

ヤムチャ「……んんっ?」クルッ

ディージェイ「オーケー。それじゃあ、身体も乗ってきた所で……さっきの、へなちょこステップもう一度やってみようか……?」

165: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:30:32 ID:uNMnepok
ディージェイ「ミーのギターがストップしたら、Mr.ヤムチャのターンだ……最前列アリーナ席にいるMr.ブランカとMr.ダルシムに、ファンキーなダンスを見せつけてやれっ!」テレテレ

ヤムチャ「ああっ……? ああっ……!?」

ディージェイ「オーケー、いくよ~? ヘイ、ワン……トゥー……ワン、トゥー、スリー、フォーっ……!」ピタッ

ヤムチャ「おっ、おおっ……! おっ、え~っと……いち、にー、いち、にー……」ヒョコヒョコ

ディージェイ「……んん~っ」ピタッ

ヤムチャ「いち……にー……いち……にー……」ヒョコヒョコ

ディージェイ「……んん~っ! トゥ、バァーッドっ!」ギュイーン

ヤムチャ「……ああっ!?」

166: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:36:35 ID:uNMnepok
ディージェイ「だから、そういう所がダメなんだよ、Mr.ヤムチャは……ヘイ、手拍子っ! 身体を振ってリズムを刻んでっ!」テレテレ

ヤムチャ「お、お、お、おう……」

ディージェイ「こうやってミーが演奏してる時には、そうやってビートを刻めるのに……ミーが演奏を止めたら、Mr.ヤムチャのビートも止まっちゃうっ! ダメだよ、ビートを感じ続けなきゃ!」

ヤムチャ「あ~、なるほどなるほど……こうやって身体を振るリズムと同じように……踊っていけと……!? なるほどね!」

ディージェイ「ヘイ、最前列のお客さんっ……! ノーファンキーなダンスを見せてくれたMr.ヤムチャに……物投げても構わないよっ!?」


ダルシム「投げる物は今この場にはないが……とりあえず、ブーイングでもしておくか……?」

ブランカ「そうですね。ディージェイ君に任せる形で……ブー、ブー……」


ヤムチャ「……ナハハハハ」

ディージェイ「ヘイヘーイっ! ミーのギターサウンドでリズムを刻み直してあげるよ~!」ギュイーン

167: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:40:54 ID:uNMnepok
ディージェイ「オーケー、それじゃあMr.ヤムチャっ……! もう一度チャンスをあげようっ! ミーのリズムが止まったら、ファンキーなステップ! アーユーオーケー……?」

ヤムチャ「わかったわかった。よしよし……次こそは……次はこそは……」

ディージェイ「身体で感じてっ……! ビートを刻んでっ……! ヘイ、ワン……トゥー……ワン、トゥー、スリー、フォーっ……!」ピタッ

ヤムチャ「ほっ……! ほっ……! ほっ……! ほっ……!」


ダルシム「おっ……!? さっきのより、よくなったんじゃないか?」

ブランカ「あ~、確かに……不格好な事に変わりはありませんが……うん、そうですね」


ヤムチャ「ほっ……! ほっ……! ほっ……! ほっ……!」

ディージェイ「イエーイっ!」ギュイーン

168: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:46:23 ID:uNMnepok
ディージェイ「……トゥ、バァーッドっ!」

ヤムチャ「あぁっ、くそっ……! またダメなのかっ!?」

ディージェイ「まだまだまだまだ頭で考えてるねっ! もっと身体で感じなきゃっ! ミーなんて、ギター弾きながらこうやって喋ったり出来るんだよっ!? ギターと身体が一体化してるっ!」

ヤムチャ「頭で考えずに……身体で……身体で……よしよしよし……」

ディージェイ「更にダンスまで出来ちゃうっ! オーウっ! なんてミーはファンキーなんだっ!」ルンダルンダ

ヤムチャ「お前は踊らなくていいんだよっ! ギター弾いてろっ!」

ディージェイ「オーケー、オーケー。それじゃあ、もう一回いくよ~? アーユーオーケー!?」

ヤムチャ「よしよしよし、少しコツは掴めてきたのかもしれない……よ~しよし。来い来い、ディージェイ、来いっ……!」


ダルシム「餅は餅屋って所かな。ブランカ君」

ブランカ「ええ、そうですね。ここは彼に任せましょうか」

169: 名無しさん 2016/09/16(金) 22:52:18 ID:uNMnepok
ーー数時間後


ヤムチャ「はぁっ、はぁっ……よぉ~しっ! どうだ、見たかっ! これでちょっとはリュウさん達に追い付いたんじゃないか!?」バタッ

ブランカ「いや~、よかったですよかったです。今日は効率のいい練習が出来たのではないでしょうか」パチパチ

ダルシム「いや~、ディージェイ君、感謝するよ。ナマステ」

ディージェイ「あまりに酷すぎて見ちゃいられなかったからねっ! Mr.ヤムチャは本当にミーの曲を聞いてるのっ!? 信じられないよっ!」

ヤムチャ(あっ、そういや一回聞いたっきり聞いてねぇや……)

ディージェイ「もっともっと普段からミュージックを感じなきゃっ! ミーの頭にはいつでもファンキーなミュージックが流れているよっ!」

ブランカ「……それはそれである意味問題ですけどね」

ダルシム「……試合中ぐらいは、ミュージック流すのは止めてもいいんじゃないかな?」

ディージェイ「そ~んなのあり得ないよっ!」

ヤムチャ(まぁ、正直に言うとディージェイの奴、また怒りそうだからな……ここは黙っておくか……え~っと、タオルタオルっと……ちょっと汗拭くか。ダンスも疲れるもんなんだな……大変だ、こりゃ……)

170: 名無しさん 2016/09/16(金) 23:01:41 ID:uNMnepok
ディージェイ「ヘーイ、Mr.ヤムチャっ! その鞄の中に入ってる……それなんだい!?」

ヤムチャ「……んっ?」

ディージェイ「カセットテープかい……? 今時、カセットテープってっ!」

ヤムチャ「あれ、カセットテープ……なんだろ、俺こんなの持ってたっけなぁ……?」

ディージェイ「ヘイヘイ、ミュージックはちゃ~んと聞いてるみたいだね。普段Mr.ヤムチャはどんなの聞いてるの……? ちょっと貸してよ」ヒョイ

ヤムチャ「あっ、お前っ……! 取るんじゃねぇよっ……!」

ディージェイ「え~っと、え~っと……ラジカセにセットして……ミュージックスタートっ!」ポチッ

171: 名無しさん 2016/09/16(金) 23:06:53 ID:uNMnepok
コンナキモチ、ハジメテイマ、カンジテルー


ディージェイ「ワオ。女性ヴォーカルかい?」

ヤムチャ「あ~、思い出したっ! これさくらちゃんの後輩から貰ったヤツだ。そうだそうだ、こっちも聞いてなかったなぁ……鞄の中に入れっぱなしだったのか」


ココロノナカ、ズット、トオリスギテター


ブランカ「……ほ~う」

ダルシム「ヤムチャ君はこういうのが好きなのか?」

ヤムチャ「あ~、いや。これはメトロシティに俺達行ったじゃないですか。そこでバンド演奏みたいのがあったじゃないですか?」

ダルシム「あぁ、あったな。あったあった」

ヤムチャ「それで、そのバンドの子達に貰ったんですよ」

173: 名無しさん 2016/09/16(金) 23:13:14 ID:uNMnepok
ディージェイ「Mr.ヤムチャ……! こぉ~んな曲ばかり聞いてるからファンキーなビートが刻めないんじゃないのかい!?」

ヤムチャ「……あぁっ?」

ディージェイ「ミーの曲を聞きなさいっ! ミーの曲をっ……! こんな曲よりもミーのファンキーな曲を聞きなさいっ!」

ヤムチャ「あのさぁ、ディージェイ……? ダンス教えてくれたお前に、こんな事は言いたくはねぇけどよぉ……? そういうダメな曲みたいな言い方するんじゃねぇよ。この子達も頑張ってやってんだぞ!?」

ディージェイ「ダメな曲って言ってるワケじゃないよ~。ただ、ダンスミュージックとしてはダメだなって話だよ!」

ヤムチャ「……あぁ?」

ディージェイ「Mr.ヤムチャはクラシックで踊れる……? ウエディングソングで踊れる……? 踊れないでしょ……!? この曲がダメダメソングだなんて言ってるワケじゃないよ~。ミーはダンスソングとしては不向きだって言ってるのっ!」

176: 名無しさん 2016/09/16(金) 23:18:31 ID:uNMnepok
ディージェイ「そもそもミュージックってのは、形のないものだっ! 正解がないんだっ! それぞれに個性があるんだっ! この曲はミーの曲とは全然全然ジャンルは違うけど……ミーはそこを否定したりはしないっ!」


ブランカ「あ~っ……! この考えっ……! この考えを、ディージェイ君にはプロレスのファイトスタイルの方にも持って欲しいっ! 個性はそれぞれなんですからっ……!」

ダルシム「いや、最近のディージェイ君……本田くんのファイトスタイルを認め始めてるぞ?」

ブランカ「あっ、そうなんですか?」


ディージェイ「ダンスミュージックとしてはダメだけど、悪いけど曲じゃないよ。悪い曲じゃ。でも、今Mr.ヤムチャに必要なのは、この曲よりミーの曲のはずだっ!」

ヤムチャ「わかったわかった。じゃあ、帰ってお前の曲聞くよ……わかったわかった……」

ディージェイ「あ~、でもどうだろ? アレンジ次第ではダンスミュージックにもなるかな~? う~ん……うん。出来るねっ! 出来る、出来るっ!」

192: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:00:46 ID:ziHcdsQk
ヤムチャ「えっ、何……? アレンジって、お前何か出来るの……?」

ディージェイ「元が悪い曲じゃないからね。ミーの腕にかかれば、ちょちょいのちょいでアッと言う間にスーパーファンキーな曲に変身さ!」

ヤムチャ「へぇ~」

ディージェイ「ん~、それじゃあこのテープ、一日ミーに貸してくれない?」

ヤムチャ「……えっ?」

ディージェイ「ミーがアレンジして、スーパーファンキーな曲にしてあげるからっ! ヘイヘイヘイ、ミーに任せて任せてっ!」

ヤムチャ「……別に頼んでないんだけどなぁ」

ディージェイ「いいからいいから。また明日も練習してるんだろ? ミーも稽古あるから……ん~、また明日この時間に持ってくるよ~」

ヤムチャ「おいおいおい……なんだよ、アイツ……」

193: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:07:42 ID:ziHcdsQk
ーー翌日


ベガ「ダルシム君。空手軍団のダンスレッスンの方はどうだ……? 間に合いそうなのか?」

ダルシム「はい、大丈夫だと思われます」

ベガ「おう、そうかそうか。わかったわかった……ん~、あ~、それとな……別件になるんだが、ちょっと来てくれ……」チョイチョイ

ダルシム「……どうされました?」

ベガ「来場者アンケートあるだろ……? それに目を通してたんだが……」

ダルシム「……あ~、はい」

ベガ「ちょっと、これ見てくれ……」

ダルシム「んっ……? あ~、あ~、あ~……はいはい……」マジマジ

194: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:14:55 ID:ziHcdsQk
ベガ「まぁ、大袈裟に言うと興行に対する不満と言った所だな」

ダルシム「……厳しいですね」

ベガ「いい目を持っているんだ。これは私にも責任はあるが……改善していかなければいけないな。同じ事を繰り返すのはよくない」

ダルシム「そうですね」

ベガ「だから、勉強会を開いてみるというのはどうだろう……?」

ダルシム「……勉強会ですか?」

ベガ「そうだそうだ。プロレス脳というものも鍛えていかねばならんからな……特に、私と防衛戦を行うガイ……対抗戦の最中のキャミィと、
かりん……まぁ、春麗とローズはベテランだから大丈夫だろう」

ダルシム「はいはい」

ベガ「ケンはわかってるだろうから……後はヤムチャだな。こっちも新王者になりたてだからな。この辺にとってはいいテーマだとは思うんだよ」

ダルシム「確かにいいテーマではありますね。では、時間作って軽い勉強会でも行いましょうか?」

ベガ「うむ。頼む」

195: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:26:30 ID:ziHcdsQk
ーーダンスレッスン四日目


ヤムチャ「ほっ……ほっ……ほっ……ほっ……」

エレナ「凄い凄い、ヤムチャ君っ! 見違える程良くなってるー!」パチパチ

リュウ「お~、お~」

ケン「居残り練習の成果が出てるじゃねぇか。お~、お~、いいぞいいぞ」

ヤムチャ「よしよし……よしっ……! やったっ! やっと追い付いたかな……?」

エレナ「これなら本番もきっと大丈夫だねー! はい、それじゃあ今日はここまでー! いよいよ明日からは本番で踊ってもらうダンスを覚えてもらうよー! また明日も頑張ろうねー!」

ブランカ「はい。それではお疲れ様でした。ありがとうございます」

196: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:34:47 ID:ziHcdsQk
ケン「ジミーさん。今日のコイツの居残り練習は……」

ブランカ「まぁ、今日は居残り練習は必要ないんじゃないですかね?」

ヤムチャ「あ~、でもケンさんごめんなさい。今日、俺この後別件があるんですよ……」

ケン「あぁ、別件……? なんだ、ソレ……?」

ヤムチャ「いや、でも今日のはすぐに終わると思います。あの~、終わったらすぐそっちに向かうんで……先行っておいて下さい」

ケン「あぁ、そう。まぁ、わかったけど……お前、今日は顔出せよ~? バイソンがうるせぇんだぞ!?」

ヤムチャ「わかってますわかってます。ただ、こっちもうるさい奴がいるんですよ。終わったらすぐ向かいますから!」

197: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:44:10 ID:ziHcdsQk
ーーー


ディージェイ「ヘーイ、Mr.ヤムチャっ! 遅くなっちゃったかな!? ソーリー、ソーリー」ガラッ

ヤムチャ「遅いぞこの野郎っ……! お前、昨日ダンスレッスンが終わったら来るって言ってたじゃねぇかっ!」

ダルシム「いや~、申し訳ない申し訳ない。こっちも稽古が長引いてしまった。私のせいなんだよ」

ディージェイ「ヘイヘイ、Mr.ヤムチャっ! イライラして、ストレス溜め込むのはよくないよっ! もっともっと人生はエンジョイしないとっ!」

ヤムチャ「お前が時間通りに来たら、こっちはイライラしないんだよ、おいっ……!」

ディージェイ「ヘイヘイ、怒っちゃダメダ~メっ! オーケー、そういう時は楽しく踊ろうじゃないか、イエーイっ!」ルンダルンダ

ヤムチャ「踊るんじゃねぇっ……! 今日のダンスレッスンは終わったよっ……! もういい、もういいっ……!」

ディージェイ「イヤッホオオゥゥ!」ルンダルンダ

ヤムチャ「だから、も~うっ……! もう、いいからディージェイっ……! その作ってきた曲を聞かせてみろっ!」

198: 名無しさん 2016/09/17(土) 22:53:27 ID:ziHcdsQk
ディージェイ「ヘイヘイ、オーケーオーケー。それじゃあ、ミーが最高にファンキーにしてきた曲を聞かせてあげるよっ! なんならMr.ヤムチャ、入場曲をこっちに変更してもいいよ~!」

ブランカ「……入場曲は変更したばかりでしょ、ねぇ?」

ダルシム「あまりコロコロ帰るのは節操がない。ようやくファンの耳に馴染んできたというのに」

ディージェイ「それじゃあ、セットして……オーケー。スイッチオーンっ!」ポチッ


~ ♪ ~ ♪


ヤムチャ「……んっ?」

ブランカ「あれ、これ昨日の曲ですか……? 違いますよね、これ……?」

ディージェイ「まだイントロだよ~! 耳を澄ませてよく聞いてみてよ~! イエーイっ!」ルンダルンダ

199: 名無しさん 2016/09/17(土) 23:06:47 ID:ziHcdsQk
~ ♪ ~ ♪


ダルシム「あ~、あ~、確かに昨日の曲だな。昨日の曲だ」

ブランカ「あれ、ディージェイ君……? でも、昨日のには歌入ってませんでした?」

ディージェイ「ボーカロイド使うって方法もあったけどねっ! 思いきってインストゥルメンタルにしちゃったよっ! ヴァイオリンを使ってるから女性はヴォーカルの雰囲気が出てるだろ!? ヘイヘイ、この辺りはミーのセンスが光る所だねっ!」

ダルシム「君、色々楽器出来ると聞いていたがバイオリンも出来るのか?」

ディージェイ「ヴァイオリンは流石に出来ないっ! これはね、キーボードの音色をヴァイオリンにしたんだ。最近のキーボードってのは、便利でヴァイオリン・ホルン・サックス・トランペット……様々な楽器の音色を出す事が出来るんだよっ!」

ダルシム「……へぇ~」

ディージェイ「そういった様々な楽器の中から……こ~う、ベストなチョイスをしていくんだね! ヴァイオリンが果たしてベストなチョイスなのかっ……!? 本当に本当にヴァイオリンがベストなチョイスなのかっ……!? ミーが考えに考え抜いて出した結論だよ、これはっ!」

ブランカ「ディージェイ君、ダブルローリングソバット出す前に、そういう事考えたら絶対によくなりますよ。考えましょう……ねっ、ディージェイ君、考えましょう!」


ヤムチャ「お~、お~、お~……ディージェイ、お前凄いな~」

200: 名無しさん 2016/09/17(土) 23:13:19 ID:ziHcdsQk
ディージェイ「ヘイヘイヘイヘーイっ! ファンキーに踊れる曲になっただろうっ!? イエーイっ!」ルンダルンダ

ブランカ「確かに踊るのなら、こっちのディージェイ君のアレンジした曲の方がいいかもしれませんね」

ダルシム「これは入場曲にも使えるんじゃないか?」

ヤムチャ「……あっ!」ガタッ

ディージェイ「ヘーイ、どうしたんだいMr.ヤムチャ。踊りたくなっててきたのか~いっ!?」

ヤムチャ「いや、踊らないよ、踊らないけど……え~っと、ブランカさんっ……!? さくらちゃんって、まだ残ってますかね!?」

ブランカ「あ~、さくらさん……ん~、まだ残ってると思いますけど……」

ヤムチャ「あ~、それじゃあ……ちょっとちょっと、俺さくらちゃん呼んできますよっ……! ちょっと、ここで待ってて下さいっ!」

ブランカ「さくらさん……? なんで……?」

ダルシム「あ~、そうだそうだ。多分コレ、さくら君の後輩の曲だ」

201: 名無しさん 2016/09/17(土) 23:23:22 ID:ziHcdsQk
ーーー


ベガ「だから明日は……」

さくら「はいはい。そういう事なら自分も参加します」


ドンドン、ドンドン


ベガ「なんだなんだ……? どうぞ~」

ヤムチャ「さくらちゃ……さん……いますかっ!? あ~、いたいたっ!」ガラッ

さくら「ちょっとちょっと、ヤムチャさんどうしたんですか……? そんな大原部長が両津勘吉を殺しにくるみたいに血相変えて……どうしたんすか……?」

ベガ「……おいおい、なんだなんだ、騒がしいぞ?」

202: 名無しさん 2016/09/17(土) 23:27:28 ID:ziHcdsQk
ヤムチャ「ちょっと、さくらちゃんいい……? 今、いい……? 来て来て来て来て……」

さくら「何、何、何……? ヤムチャさん、どうしたの……?」

ベガ「……どうした。ダンスレッスンでトラブルでもあったのか?」

ヤムチャ「あ~、いえっ……! そうじゃないんですけど……ちょっとの間だけさくらちゃ……さんの事、借りてもいいですか?」

ベガ「まぁいい。丁度こっちも用があったんだ。おい、さくら」

さくら「あっ、はいっ……!」

ベガ「明日の勉強会の事、頼むぞ……?」

さくら「あ~、はいっ……! はいっ……! わかりました……!」

ヤムチャ「ちょっとちょっと……さくらちゃん、来て来て来て来て……」グイグイ

さくら「わかった、わかったから……引っ張らなくてもいいっす。ねっ……?」


ベガ「……アイツら仲良いなぁ」

215: 名無しさん 2016/09/18(日) 22:00:55 ID:dnwIU4R2
ーーー


ダルシム「しかし、ディージェイ君。これだけの物を作るだなんて、苦労したんじゃないのか?」

ディージェイ「そ~んな事ないよっ! ミーの手にかかれば、ちょちょいのちょいちょいさ!」

ダルシム「あぁ、そうか」

ディージェイ「確かにミーはこの曲を1から100の物にしたっ! だけど、1から100を作り出す事と……0から1を生み出す事……これはね、確実に後者の方が難しいし、労力のかかる事なんだよっ!」

ダルシム「あぁ、なるほどなるほど」

ディージェイ「この曲に関しては、その一番難しい0から1を生み出す作業が終わってるんだから……後はちょちょいのちょいちょいちょいさっ! 楽勝だよっ!」

ブランカ「何故、音楽に関してはそこまで視野が広いのに、プロレスになったら君は……あ~あ~……」

ダルシム「だから、アレだろ……? ディージェイ君はプロレスの中でも、他人の作り出した物を使うのではなく……こ~う、0から新しく自分が生み出した物を出していきたいわけなんだな」

ディージェイ「そうそうそうそうっ! Mr.ダルシム、それそれそれっ!」

ブランカ「でも、必ず基礎が必要になってくる時もあるんですよ。ねっ、音楽だってそうでしょ?」

ディージェイ「わかってるよ~! だから、Mr.ダルシムと今日もちゃんと稽古したよ! Mr.ブランカっ……! Mr.本田っ……! 二人も手伝ってくれなきゃダメだよっ!」

ダルシム「本田君はガイ君の方を見てるからな。少し我慢してくれ」

216: 名無しさん 2016/09/18(日) 22:09:05 ID:dnwIU4R2
ヤムチャ「さくらちゃん、こっちこっちこっち……」

さくら「も~う、なんなんすか……」


ダルシム「あっ、連れてきたようだな」チラッ

ブランカ「はい、戻ってきました」

ディージェイ「ヘーイっ! Mr.ヤムチャ、何してたんだっ!?」


さくら「あっ、ジミーさん、ダルシムさん……それにディージェイさん……お疲れ様です。何かトラブルでもあったんですか……?」

ヤムチャ「あ~っと、さくらちゃん。まぁ、いいやっ! とりあえず、これ聞いてよっ! これこれこれっ!」ポチッ

さくら「……んっ?」

217: 名無しさん 2016/09/18(日) 22:19:36 ID:dnwIU4R2
~ ♪ ~ ♪


ダルシム「いや、ダンスレッスンの方は順調だ。今はディージェイ君が何やら曲を作ってきたようなので、皆で聞き入ってたんだよ」

さくら「あっ、そうなんだ。これ、ディージェイさんが作ってきた曲なんっすね。んっ……?」

ディージェイ「なるほどね、Mr.ヤムチャっ! ミーの曲の素晴らしさをMs.さくらにも教えてあげようという事かっ! ヘイヘイ、少しは気が利くじゃない」

さくら「あれ、これって……ひなたの曲っ!?」

ヤムチャ「そうなんだよ、ディージェイが何かやって……なんか、こんな感じになってるんだよっ! 凄いよね、コレっ……!?」

さくら「うわ~、凄い凄い……うわ~、凄~いっ!」

ヤムチャ「それで、ちょっと入場曲に使えるかもしれないって話になって……俺は、この前作ってもらった曲があるからさぁ……? それじゃあ、さくらちゃんにコレどうかな~って思ってさ!」

さくら「……あ~、あ~っ!」

ヤムチャ「だってこの曲って……さくらちゃんの持ち物でもあるんでしょ!? それなら、さくらちゃんが使えばいいじゃない。俺はもう持ってるし」

219: 名無しさん 2016/09/18(日) 22:55:41 ID:dnwIU4R2
さくら「確かにこれは今の自分の入場曲よりも格好いいっすね」

ヤムチャ「でしょでしょ!? おい、ディージェイいいよなぁ!? これ、さくらちゃんの入場曲に使ってもいいよなぁ!?」

ディージェイ「ヘーイ、な~んでMs.さくらにあげなきゃいけないんだよっ! ミーはそんなつもりで作ったんじゃないよ!」

ヤムチャ「そんなケチ臭い事言うんじゃねぇよ……頼むよ、頼むよっ!」ペコッ

ダルシム「……ディージェイ君、こんないい曲を我々だけの物にしておくのは勿体ない。これは是非、ファンにも聞かせるべきだよ」

ディージェイ「わかったわかったっ! そこまで言うなら、Ms.さくらにプレゼント・フォー・ユーだっ! その代わり、大事に使わないとミーは怒っちゃうよ~!」

さくら「いや~、勿論っ! ありがとうございますっ! あの~、ちょっとちょっと、ヤムチャさんいいっすか……?」クイクイ

ヤムチャ「……んっ?」

さくら「ちょっとちょっと……こっちこっち……」クイクイ

ヤムチャ「あれ、あれ……? さくらちゃん、どうしたの……?」

さくら「いいからいいから、こっちこっち……」

ヤムチャ「……はい」

220: 名無しさん 2016/09/18(日) 23:09:32 ID:dnwIU4R2
ーーー


さくら「……ふう」バタン

ヤムチャ「あれ、さくらちゃんどうしたの……?」

さくら「……コレ、ヤムチャさんが頼んだんすか?」

ヤムチャ「……えっ?」

さくら「だから……ディージェイさんに、入場曲をまた作ってくれって……」

ヤムチャ「いや、違うよ違うよ。ディージェイの奴が勝手……ってワケじゃないけど、自分で作って持ってきたんだけど……」

さくら「あっ、そうっすか。それで、盛り上がって……その流れのまま……みたいな感じで……?」

ヤムチャ「そうそうそう。え~っと、それがどうかしたの?」

221: 名無しさん 2016/09/18(日) 23:17:18 ID:dnwIU4R2
さくら「勿論いい曲なんですが、うん。絶対ひなたも喜んでくれるだろうし……自分の入場曲にしたい……そんな曲っす……これはそんな曲っす……」

ヤムチャ「……うん」

さくら「ただ、ディージェイさんってそういう入場曲を作る人として、ウチに雇ったワケじゃなくて……レスラーとして雇ってるんですよ。ねっ……? ディージェイさんも、それを望んでここにやってきたんですよ」

ヤムチャ「あぁ。うん、うん……」

さくら「こういう事をするんだったら、ディージェイさんって絶対に音楽の世界にいたままの方が……幸せだったと思うんですよ。多分、これ作るのも、高いゼニーを払わなきゃ、出来なかったでしょうからね……?」

ヤムチャ「……う、うん」

さくら「それはレスラーとしてのディージェイさんを上手く使えていないこっちにも、多くの責任はあるんすけど……う~ん……だからと言って、ヤムチャさんの入場曲もだし、これも……こういった形で貢献してもらうって言うのは……」

ヤムチャ「……あぁ」

さくら「いい出来なだけに、ちょっと複雑っすねぇ……多分、ジミーさんも同じ事を思ってるんじゃないでしょうか……?」

238: 1 2016/09/20(火) 22:00:30 ID:V/OkIvG2
ヤムチャ「う~ん、なんかゴメンね……? 盛り上がってたのは俺だけだったのかな……」

さくら「あ~、いえいえ。そんな事はないっす。だってコレはそもそも上手く使えてないこっちに原因があるんすから」

ヤムチャ「だったらさ……? 俺、もう一回ディージェイと戦ってもいいよ?」

さくら「……んっ?」

ヤムチャ「なんか、アイツ最近熱心に練習してるんでしょ? 良くなってきたんじゃないの?」

さくら「あ~、そうっすねぇ。ダルシムさんがよく誉めてます」

ヤムチャ「だから、もう一回俺と試合して、それがキッカケになればば……うん。俺は構わないよ」

239: 名無しさん 2016/09/20(火) 22:06:33 ID:V/OkIvG2
さくら「う~ん……でも、今ヤムチャさんってタッグベルト持ってるし、王者じゃないですか?」

ヤムチャ「あっ、うん」

さくら「前回ディージェイさんと戦った時は第二試合の方に修行に行くって設定だったけど……じゃあ、今回はその部分どうするかって話になってくるんすよね」

ヤムチャ「あ~、そうか」

さくら「まぁまぁ、でもディージェイさんについては、もう一回ベガさんと話しますよ。どうすればいい方向に持っていけるかってね?」

ヤムチャ「うん、わかった。お願いね」

240: 名無しさん 2016/09/20(火) 22:13:07 ID:V/OkIvG2
さくら「あっ、それと話は変わるんすけど、ヤムチャさん」

ヤムチャ「んっ、どうしたの?」

さくら「明日、勉強会が開かれるんすよ。それに参加してもらいたいんすよ」

ヤムチャ「えっ、勉強会……?」

さくら「ヤムチャさんだけじゃなくてキャミィさんとか、かりんも参加しますよ。30分ぐらいかな?」

ヤムチャ「あっ、よかったよかった。俺だけじゃないんだね」

さくら「だから明日のヤムチャさんは、30分程勉強会に参加してもらってから、ダンスレッスンという事で……」

ヤムチャ「わかったわかった、勉強会ね。了解、了解」

さくら「よろしくお願いします」ペコッ

ヤムチャ「うん。あの~……ディージェイの事も……よろしくね……?」

さくら「はい。折角こっちの世界に来てくれたんっすから……リングの上でも魅力的な人にしていかないといけないっすよね。ベガさんと話していきます」

250: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:00:50 ID:mb/Y1ua2
ーー翌日


天津飯「餃子、勉強会だ。例えばクリリン……クリリンの気円斬は、威力よりも貫通力を重視している。それに放出した後、ある程度ならコントロールする事が出来る。いい技だ」

餃子「うん」

天津飯「ヤムチャの練気弾もそうだな。放出した後のコントロールに重点を置いている。その性能は気円斬以上だが……しかし、威力は気円斬に劣る部分があるな」

餃子「うん」

天津飯「ピッコロの魔貫光殺砲……貫通力は気円斬以上だが、しかしこちらはコントロールが効かない。ただ、直線上に放出されるだけだ」

餃子「うん」

天津飯「……餃子のどどん波はこのタイプになるな」

餃子「うん」

天津飯「クリリンやヤムチャのようなコントロールがない分、確実に相手に当てないといけない。動き回る相手を一撃で仕留める……言わば、狩りのようなものだ」

251: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:06:59 ID:mb/Y1ua2
天津飯「俺の場合なら太陽拳がある。一瞬だが相手の目を眩まし、動きを止める事が出来る。その一瞬のチャンスに気功砲をぶつけると言う事だ」

餃子「うん」

天津飯「餃子の場合ならそれは……」

餃子「金縛りの術」

天津飯「そうだ。餃子は金縛りの術で相手の動きを止める事が出来る。動きを止めた後は、どどん波をぶつけてもいいし……俺やピッコロが代わって、コントロールの効かない気功砲や魔貫光殺砲をぶつける事だって出来る」

餃子「うん」

天津飯「しかし、その金縛りの術が俺にも通用しないとなってくると……もうこれは博打に出るしかないと言う事だ。動き回る戦闘中の相手に……一か八かのどどん波を撃っていく事しか手段は残されていないな」

餃子「……うん」

天津飯「逆を言えば、金縛りの術で相手の動きを止める事が出来れば、俺やピッコロのサポートが出来ると言う事だ。餃子は両手を使っていてもいい。仕留めるのは、俺やピッコロになるんだからな」

餃子「うん」

天津飯「先ずは目の前の俺を、金縛りの術で1秒でもいい。2秒でもいい。動きを止めれるようになるまで力をつけないとな。そうでないと、この先……ついてこれないぞ?」

餃子「わかった」

253: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:16:12 ID:mb/Y1ua2
天津飯「よし、それじゃあそろそろ頭の鍛練だけではなく、身体の鍛練の方も始めようか」

餃子「次は置いていかれないように頑張る」

天津飯「餃子っ……! それではいくぞっ……!」シュバッ

餃子「……はいっ!」シュバッ

天津飯「だあああぁぁっ……!」

餃子「はっ……!」

天津飯「甘い甘いっ……! もっと集中だっ……! 集中するんだ、餃子っ……!」

餃子「……くっ!」

天津飯(日々、身体を動かしていないと戦闘勘は薄れ、そしてすぐに力は衰えてしまう……俺も餃子もこうやって、毎日身体を動かしているる……)

餃子「……はっ!」

天津飯(ヤムチャ……お前は身体を動かしているのか……? 一般人相手に楽な事を考えているようでは……餃子にさえ抜かれてしまう事になるぞ……)

254: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:24:54 ID:mb/Y1ua2
--ダンスレッスン五日目


エレナ「今日からは本番用のダンスを覚えてもらうよー。ここまで学んできた事の総集編だね。また難しくなっていくけど、皆なら大丈夫! さぁ、頑張ろうね!」

ヤムチャ「ま~た、難しくなるのか~。ナハハ、困ったなぁ」

ケン「……まぁ、世の中には楽出来る事なんてねぇって事だ」

ヤムチャ「そりゃ、ごもっともな意見ですね……ナハハ、よ~し、頑張るぞ~!」

エレナ「心配ないよ。心配ないない! だって、皆は毎日身体を動かして、もうリズム感はバッチリだもん! 身体を動かすのって、気持ちがいいでしょ?」

リュウ「こっちには試合もありますからね。身体を動かすのは、ダンスレッスン以外にも強制的にあるんですよ」

ブランカ「だから、これはアレですよ。ダンスレッスンと同時にスタミナ強化週間でもあるんです」

ヤムチャ「あ~、なるほどなるほど……このダンスレッスンは俺達のスタミナ強化も兼ねてるんですね」

ケン「まぁ、物は言いようだな。オイ、ヤムチャ……お前多分、騙されてるぞ……?」

ヤムチャ「……えっ?」

ブランカ「そんな事ありませんよ。皆さん、スタミナついてますから」

255: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:33:45 ID:mb/Y1ua2
エレナ「はいはーい。それじゃあ、お喋りはそれくらいにしておいて……本番用のダンス覚えていこうねー! それじゃあ、先ずはリュウ君のパートから!」

リュウ「んっ、俺のパートって事はケンのパートとか、ヤムチャのパートとかもあるって事ですか……?」

エレナ「うん。だって、リングで踊るんだから大きく大きくステージを使っていかないと!」

ケン「まぁ、その辺は試合と同じだな」

エレナ「リュウ君を先頭に……少し後ろの上手にケン君、下手にヤムチャ君が並んだ状態で……花道をダンスしながら入場してもらうよー。そこまでは一緒だねー」

ヤムチャ「はいはいはい」

エレナ「それで、リュウ君はリングイン。ケン君とヤムチャ君はそのまま左右に別れてコーナーポストに昇ってもらいまーす。あー、ジミーさん、ホワイトボードの駒動かして貰ってもいいですか?」

ブランカ「あ~、はいはい。わかりました……だから、リュウ君がこうで……ケン君がこっち……ヤムチャ君はこっち……なんだか、サッカー監督のような気分ですよ」

257: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:46:30 ID:mb/Y1ua2
エレナ「それで、リュウ君はリングの中央でフリータイム。先ずは一人で踊ってもらいまーす。フリータイムのダンスは、先生がまた教えるからね!」

リュウ「はい。わかりました」

エレナ「それで、リュウ君がリングの中央で踊ってる間は、ケン君とヤムチャ君には、コーナーポストの上で踊ってもらいます」

ヤムチャ「コーナーポストの上……はいはい」

エレナ「ほらほら、やっぱりプロレスらしさも見せていかなきゃいけないでしょ? だから先生、皆の試合沢山見てプロレスの動きを勉強したんだよ? えーっと、だからバルログ君だよね? あの人みたいに、コーナーポストで格好よく決めて……ダンスダンス!」

ケン「先生、イメージとしては伝わりやすいんですけど……アイツ、俺達の敵です」

エレナ「あっ、そうかそうか。そうだったよね! ごめんごめん」

258: 名無しさん 2016/09/24(土) 22:56:17 ID:mb/Y1ua2
エレナ「えー、ケン君とヤムチャ君はそのままリングに入って……今度はケン君がリングの中心に……ヤムチャ君はそのまま反対側のコーナーに向かってもらうよ」

ブランカ「ヤムチャ君は対角線コーナーに動いてもらうと言う事ですね。だから、こういう動きになるわけですね」ススッ

エレナ「リュウ君はケン君と入れ違いになるように、あっちのコーナーに」

ブランカ「ヤムチャ君はそのまま対角線コーナーに移動しますが……ケン君はリュウ君はその動きをリング中央でケン君と入れ替わってと言った所でしょうか? だから、リュウ君はこっちのコーナーです」ススッ

リュウ「あ~、あ~」

ケン「うんうん」

ヤムチャ「なるほどなるほど」

エレナ「そしたらケン君はリングの中央でフリータイム! リュウ君とヤムチャ君は、またコーナーポストに昇って踊ってもらうよ」

259: 名無しさん 2016/09/24(土) 23:09:40 ID:mb/Y1ua2
エレナ「フリータイムが終わったらケン君はリュウ君のいるコーナーの方に移動して……リュウ君はそんなケン君を避けるように、反対側のコーナーの方までダッシュっ!」

ブランカ「え~、ケン君はこっちに……リュウ君は対角線コーナーまで一気に……だから、こうなりますね?」ススッ

エレナ「それで……出来ればここでリュウ君はコーナーポストをキックして、クルって一回転する大技を決めてもらいたいのが理想なんだけど……そういう事って出来るのかな……? ほら、バルログ君がやってるのあるでしょ?」

リュウ「あぁ、サルト・モルタルを決めろって事ですね。問題ないです。俺も出来ますよ」

ケン「だから先生、バルログが多いって……!」

エレナ「あっ、ごめんごめん。あの人の動きって、どうしてもダンスに使えそうな感じなのが多かったからね」

ブランカ「まぁ、バルログ君はルチャが主体ですからね。エレナ先生、気にする事はありません。続けましょう」

エレナ「はーい。それでリュウ君が大技を決めてるその隙に、ヤムチャ君はリング中央まで移動だよ」

ヤムチャ「うんうん。はいはい」

260: 名無しさん 2016/09/24(土) 23:18:21 ID:mb/Y1ua2
エレナ「それで今度はヤムチャ君がリング中央でフリータイム! リュウ君とケン君は今度はコーナーに昇らずに、グルっと反時計回りに移動しながら、ダンスダンス!」

ブランカ「え~っと、だからこういう動きになりますね」ススッ

エレナ「それでこの時、リュウ君とケン君は対称となる位置で踊ってるでしょ? このまま対称の位置を保ちながら踊り続けるんじゃなくて……ケン君はリュウ君より少し遅く……リュウ君はケン君から逃げるように、または追うように移動してほしいの」

ブランカ「え~、こんな感じですかね……?」ススッ

エレナ「そうそう。そしたらここにヤムチャ君の入れるスペースが出来るよね? ここにフリータイムを終えたヤムチャ君が移動して……この反時計回りに円を描いて回ってるのを、バランス良く三分割!」

リュウ「……あ~、この部分は難しそうだな」

ケン「綺麗に三分割しなきゃいけねぇんだろ……? ここは練習がいるなぁ……」

ヤムチャ「あっ、俺ラッキー。空いてるスペースに移動するだけでいいじゃん」

261: 名無しさん 2016/09/24(土) 23:32:20 ID:mb/Y1ua2
エレナ「そのままその大きな円を、徐々に小さくしていって……最後はリング中央に皆が集合。最後はリング中央で皆揃ってダンスだね」

ブランカ「リング中央に集まると。はい、こうですね」ススッ

エレナ「少し複雑な動きかもしれないけど、皆なら……」

リュウ「あ~、いやいや。大丈夫ですよ。反時計回りに回ってヤムチャのスペースを作る所は練習がいるとは思いますが、それ以外の立ち位置ならもう完璧です」

エレナ「一回しか説明してないよ? もう覚えちゃったの?」

ケン「俺達、こういうのは得意なんですよ。何処に移動しろだの、何処で待機してろだろ……こういう位置取りに関してはコレ、完全に俺達の分野ですね。なぁ……?」

ヤムチャ「ナハハ。これ場外なしのリング内だけですからね。乱闘戦みたいなもんでしょう」

エレナ「乱闘じゃないよー? ダンスだよー?」

リュウ「いやいや、これは完全に乱闘戦ですね」

エレナ「皆、自信があるんだねー。えー、それじゃあ一回皆の動きの確認してみようかな? ダンスはなしで、歩くだけでいいから」

リュウ「了解です。じゃあ、一回で終わらせよう。行こうぜ……?」

ケン「おい、ヤムチャ……お前、失敗したら試合で使わねぇからな……? わかってるよな……?」ニヤニヤ

ヤムチャ「ナハハ、これは流石に……これは流石に失敗しないっすよ。普段はもっとややこしいんですから」

ブランカ「はいはい。一発で終わらせて、フリータイムの練習に移りましょう」

273: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:00:41 ID:VDv540Lk
ーー数時間後


エレナ「はーい。それじゃあ今日のレッスンはここまでーす。凄い凄い。皆、飲み込みが早いねー!」

ブランカ「はい。先生ありがとうございました」

エレナ「それじゃあ、明日は最後の総纏めになるからねー! また明日も頑張ろうねー! お疲れ様でしたー!」

ブランカ「お疲れ様です。明日もよろしくお願いします」

ヤムチャ「お疲れ様です。ありがとうございました!」

ケン「いや~、疲れた疲れた……」

リュウ「……う~ん」

ブランカ「それでは、本日のダンスレッスンはここまでにしておきましょうか。皆さんもお疲れ様です」

274: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:06:32 ID:VDv540Lk
ヤムチャ「ブランカさんっ! 今日、俺居残り練習は……」

ブランカ「そうですね。今日は居残り練習は必要ないんじゃないですかね」

ヤムチャ「よぉ~し、やったぁ! ようやく居残り練習の日々から卒業だっ!」

ケン「や~っと、お前もこっちに合流出来るな。心配かけやがって、この野郎……」

ヤムチャ「ナハハ。すいませんすいません。でも今日は居残り練習はなしだから、二人と一緒に……」

リュウ「……いや、待て。居残り練習していこう」

ヤムチャ「……えっ!?」

275: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:14:10 ID:VDv540Lk
ヤムチャ「え~っと、リュウさん……俺、まだ何か出来てなかった所ってありましたかね……?」

ブランカ「今日は出来てたような気がしますけどね」

リュウ「あ~、いや……ヤムチャ一人が居残り練習ってワケじゃなくて、俺達三人で居残り練習って事です」

ケン「……えっ、俺もかよ!?」

リュウ「ちょっと俺はこのダンス……納得いってないんだよ……」

ブランカ「……納得いってないって、何処がですか?」

リュウ「……プロレス成分が足りていないですね」

ブランカ「はぁ」

276: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:23:12 ID:VDv540Lk
リュウ「それぞれのフリーパートの所でパンチやキックの動きを組み込んではくれてましたけど……それも殆どおまけ程度のものですよね? それと他のプロレスの動きって言ったら、俺のサルト・モルタルぐらいか」

ケン「まぁ、そうだな」

リュウ「それにこのダンスも結構長々と踊る事になりますが、結局の所使われるのって15秒ぐらいですよね? あっちのCMプロデューサーさんが、この長々と踊るダンスを切り貼り切り貼りして……CMにしていくんですよね?」

ブランカ「まぁ、飲料水の宣伝カットもあるでしょうし、実際にCMで使われるのは15秒より短くなるでしょうね。10秒ぐらいになるんでしょうかね?」

リュウ「このダンスをフルで見るのって、この日会場に足を運んだファンじゃないですか? その足を運ぶファンは絶対プロレスファンじゃないですか?」

ブランカ「はいはい」

リュウ「俺達はダンサーじゃないんですよ。レスラーなんですよ。レスラーはレスラーのダンスを見せなきゃいけないんですよ。だから俺、このダンスは納得いってませんよ。やるならもっとレスラーっぽくやった方が、会場に足を運んだファンも楽しめると思います」

277: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:36:30 ID:VDv540Lk
ケン「ふ~ん……何か、考えがあるのか……?」

リュウ「だから、ベースは先生の考えた動きでいいと思うんだよ」

ヤムチャ「はいはい」

リュウ「それで俺、ケン、ヤムチャの順にリングの中央でフリータイムがあるだろ……? リング中央で踊っていた人間は、次に中央に誰かが向かってきたら、スッと場所を譲りつつ……邪魔にならないように、ハケるって感じだよな?」

ブランカ「はいはい」

リュウ「ここが良くないと思うんだよな。だからこの部分を三人で居残り練習でアレンジしていかないかと提案してるワケだな」

ヤムチャ「でも、アレンジってどういう風にしていけばいいんですかね……?」

リュウ「……だから、テーマは主役の奪い合いって所かな?」

ヤムチャ「……ほうほう」

278: 名無しさん 2016/09/25(日) 22:49:15 ID:VDv540Lk
リュウ「公開CM撮影という事で、浮かれてる空手軍団……それぞれが、誰よりも目立ちたいと考えている……」

ヤムチャ「はいはい」

リュウ「リング中央というのは、誰よりも目立つポジション……リング中央で踊る事によって、一番目立つ主役になれるという事だ」

ケン「なるほどなるほど……お前の考えが少し読めてきたぞ……」

リュウ「流石にぶっつけ本番でこれをやる勇気は俺にもない。だから、ちょっと三人残って練習して完成させて……明日、一度エレナ先生に見せて、ゴーサインが出るかどうかの確認をしよう」

ケン「オーケー、オーケー。確かにそっちの方が俺好みではあるし……ファンも好むかもしれねぇな……わかったわかった、その案でいこう」

ヤムチャ「え~っと、え~っと……つまり……んっ……? つまり……んっ……?」

279: 名無しさん 2016/09/25(日) 23:14:08 ID:VDv540Lk
ーーー


ユン(リスクを背負うか……それとも、無難に責めるか……)

ホーク「私達のメインイベントは明後日ですね」

ユン(その通り……俺達のメインイベントは明後日……)

ガイル「まぁ、何というか……アドリブ力の試される試合にはなるだろうな」

ユン「空手軍団にとってはどうでもいい試合でも、俺達にとっては大一番じゃんっ! 事細かに打ち合わせしてくれてもいいんじゃねぇかなぁ!?」

ガイル「仕方ねぇだろ……アイツらにはダンスレッスンもあるんだから。それにお前、事細かに決めた所でどうせ守らねぇだろ……?」

ユン「そんな事ないですよっ! メインイベントだったら俺もしっかりやります!」

ガイル「じゃあ、何だ……? やっぱりメインイベント以外はしっかりしてねぇって事なのか……?」

ユン「……えぇっ!?」

ホーク「まぁ、私達の方だけもしっかりしておきましょう」

281: 名無しさん 2016/09/25(日) 23:27:05 ID:VDv540Lk
ガイル「あんまりとっかえひっかえする事は出来ない試合になると思うからよぉ……? とにかく、あの三人のうち誰を担当するぐらいはここで決めておくか」

ホーク「はい」

ガイル「わかってると思うが、現状美味しい相手はケンとヤムチャだ。こいつらはタッグ王者だからな。ここと因縁を作れれば、王者戦に繋げる事も出来るだろう」

ホーク「そうですね」

ユン(う~ん……ケンさんにいくか……ヤムチャにいくか……)

ガイル「残り物のリュウは俺が担当してやるよ。誰かがリュウを担当しなきゃいけねぇんだ……それなら、そこはもう俺でいい」

ホーク「はい」

ガイル「だから、ユンとホーク……お前ら、どっちがケンを担当して……どっちがヤムチャを担当するか……そこ選べよ」

ホーク「う~ん、そうですね」

ユン(安定した試合が作れるのは、おそらくケンさん……けど、俺のやられるターンが多くなるんだろうなぁ……ヤムチャが相手の場合は、俺のターンを結構作れるだろうが……)

ホーク「ヤムチャさんとは初なんですよね。ガイルさんは、一度経験があるんですよね?」

ガイル「まぁな。でも、あの時は打ち合わせもあったからな」

ユン(そうなんだよなぁ……ヤムチャと打ち合わせなしは、リスクがあるんだよ……俺、一回やっちまってるからなぁ……二度目の失敗は出来ねぇんだよなぁ……)

304: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:00:14 ID:.7hmeOYY
ホーク「私、ヤムチャさんいってもいいでしょうか?」

ガイル「ホークがヤムチャって事はユンはケンって事になるな。どうする……? 逆のパターンもあるぞ」

ユン「えっ……? あ~、え~……お前、ヤムチャがいいの……?」

ホーク「私達の中では、一番力足らずの私が空手軍団三番手のヤムチャさんとぶつかるのが自然な流れだと思うんですよね。ハハハハ!」

ユン「う~ん、う~ん……まぁ、そうかもしれねぇなぁ……」

ホーク「なので、私が三番手のヤムチャさんで……ユンさんは二番手のケンさん……どうでしょう?」

ユン(う~ん……まぁ今回はホークにリスクを背負って貰って安全策を取っておくか……俺はもうやらかせねぇからな……)

ガイル「……どうする?」

ユン「わかりました。じゃあ俺ケンさんいきます」

306: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:06:43 ID:.7hmeOYY
ガイル「よしよし、じゃあそれでいくか。ホークがヤムチャを担当。ユンはケンだ。それでコイツらはタッグ王者でもあるからな」

ホーク「はい」

ユン「はい」

ガイル「メインイベントとタッグ王者相手……ダブルで美味しい展開だよ。ここで爪痕を残そうぜ。そうする事はおめぇらだけじゃなくて、ヤンとフェイロンにも繋がるんだから」

ホーク「はい」

ユン「……ヤンもうるせぇからなぁ」

ガイル「それで、残り物のリュウと……お前らのフォローは俺に任せておけ。俺は自分を犠牲にしてお前らに美味しい相手を譲ってやってんだ……」

ホーク「ありがとうございます」

ユン「……ちょっと恩着せがましくないですか?」

ガイル「やかましいっ……! とにかくお前らはケンとヤムチャっ……! 目の前の相手だけに集中しろっ!」

307: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:14:17 ID:.7hmeOYY
ーー翌日


ローズ「かりんちゃん、聞いて聞いて。大ニュースよ。大・大・大ニュース」

かりん「なんです……?」

ローズ「なんとなんと、さくらちゃんだけではなく……春麗にも男の影があり!」

かりん「……えっ、春麗さんに?」

ローズ「相手は誰だと思う……? なんとなんと、ガイ君っ! 春麗がガイ君に何かプレゼントあげたんだって!」

かりん「あぁ、それ聞きましたわ。忍者の小説をプレゼントしたんですわよね? でもアレはキャラチェンジがあるって事で……」

ローズ「そういうのを建前にして……こう気を惹いていくんじゃないのっ!春麗はガイ君の気を惹いてるのよ」

かりん「なんでもすぐそうやって結びつけるんですわね。ないですわ。ないですわ……」

ローズ「でもガイ君って悪くないでしょ……? ほら、うちの団体の中ではイケメンの部類に入るでしょ……?」

かりん「う~ん……まぁ、顔は整ってますけど……」


バイソン「……」キョロキョロ

308: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:19:34 ID:.7hmeOYY
ローズ「あ~ら、あらあら……これはこれは、ブサメンで顔の整ってないバイソンちゃんじゃないの」

バイソン「んあぁっ……!? いきなり人を捕まえて、なんだそりゃっ……! 失礼にも程があるってもんだぞ……! そういう事言うんだったら……てめぇだってババアじゃねぇかっ!?」

ローズ「う~ん、聞こえないなぁ……なぁ~んか、ババアとか聞こえたけど気のせいだよね。うんうん、きっと気のせい……」ムギュ

バイソン「い~ででででっ……! 頬をつねるなっ……! 俺がブサメンなら、てめぇはババアだこの野郎っ……!」

ローズ「……聞こえな~い。聞こえな~い」

かりん「バイソンさん、こんな所で何してるんですか?」

ローズ「そうよ。バイソンちゃんがその顔でキョロキョロしてたら、完全に変質者じゃないのよ? 何してるの……?」

バイソン「やかましいっ……! 細けぇ事は気にするなっ……! 散れ散れっ……!」

309: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:25:22 ID:.7hmeOYY
かりん「……こっちの奥に何かあるのですか?」チラッ

バイソン「あ~、ダメだよっ! ダメダメダメっ……! ここから先は立ち入り禁止だってのっ! ダメダメ、ストップストップ……はい、散った散ったっ……!」

ローズ「あら……何、その態度……なぁ~んか、怪しいわねぇ~? なぁ~んか、隠してるでしょ……?」

バイソン「何も怪しくねぇってのっ……! 何も隠してねぇってのっ……! いいから散った散った散ったっ……!」

ローズ「これは確実に何か隠してるわね……そういう事なら……えいっ……!」ガシッ

バイソン「あっ……! うおっ……!」

ローズ「かりんちゃん、今よっ……! お姉さんがバイソンちゃんを押さえておくから行きなさいっ……!」

かりん「はい。わかりましたわ!」

バイソン「あ~、ダメだってのっ……! そっち行っちゃダメだってのっ……! ここから先は通行禁止なんだからっ……!」

310: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:31:56 ID:.7hmeOYY
かりん「一体、バイソンさんはこの先に何を隠して……んっ……?」チラッ


ベガ「……う~ん。サガットの長身が羨ましいなぁ」

バルログ「そうですね。こっちは椅子の上に乗って背伸びして……ギリギリ見えるか見えないかですからね……」

サガット「……自分は楽に覗けてますよ。身長のアドバンテージですね」


かりん「え~っと……これは……」


ベガ「……あ~あ~、こんな事になるなら、もう少し低い位置に窓を設置しておけばよかったかな」

バルログ「椅子じゃなくて、テーブルとかラダーとか持ってきた方がよかったかもしれませんね」

サガット「……まぁまぁ、いいじゃないですか。覗きを続けましょう」


かりん「……」ササッ

311: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:37:48 ID:.7hmeOYY
ローズ「かりんちゃん、どうだった? この奥に何があったの……?」

かりん「……シャドルーのとんでもない悪事を見てしまいましたわ」

バイソン「いやっ、君は何も見ていないっ……! 君は何も見なかったっ……! いいねっ……!?」

ローズ「悪事……? 悪事って何してたの……?」

かりん「ベガさんと、バルログさんと、サガットさんが……椅子の上に乗って、窓から中を眺めてたのですわ……覗きをしてたんですわ……」

バイソン「違うっ……! 違うっ……! 確かに覗きだけど……覗きじゃねぇんだよっ……! 覗きじゃねぇんだよっ……!」

ローズ「ちょっとちょっと……覗きってどういう事……!? ちょっとちょっと……何それ何それ……? それお姉さんも、見に行くわ!」

バイソン「あっ、こら待て、ババアっ……! てめぇも行くんじゃねぇよっ!」

312: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:43:49 ID:.7hmeOYY
ローズ「うわっ、本当だ……シャドルーが椅子の上に乗って、窓から部屋の中を覗いてる……これ、覗きだわ……」ササッ

バイソン「だから、これには事情があるんだよっ……! もう、いいからババアは引っ込めっ……! 引っ込め引っ込めっ……!」


バルログ「……んっ?」チラッ

サガット「おい、バイソンっ! 何をしているっ! しっかり見張っておけと言っただろうがっ!」

ベガ「……サガット、大声を出すなっ! 我々がここで覗いてるという事がバレてしまうだろうっ!」


ローズ「ねぇ、皆……何してるの……?」


ベガ「……見ての通り、覗きである」

バイソン「おい、サガットちゃん交代だ。交代っ! そういう風に俺を責めるんだったら、サガットちゃんが見張り番やればいいじゃなねぇかよっ!? 俺にも覗かせろ、交代だ交代っ!」

サガット「わかったわかった。それじゃあ、交代しよう……ローズさん……これはあまり見られたくない絵面なんですよ。自分と一緒に戻りましょう」

313: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:47:52 ID:.7hmeOYY
ローズ「……確かにかりんちゃんの言う通り、シャドルーが揃って覗きをしてたわ」

かりん「……ねっ?」

サガット「我々の名誉の為に多少の訂正はさせて頂きますが、あそこは女子更衣室でもシャワー室でもありません。道場です。我々は道場を覗いてたんですよ?」

ローズ「……なんで、道場をコソコソ覗いてるの? 十分変質者だよ?」

サガット「ほら、今道場で空手軍団の三人がダンスレッスンを行ってるじゃないですか……? 明日が本番です。それでどういう感じになってるかと思って……皆で外から覗いてたんですよ」

かりん「……わざわざ、あんな辺な場所から?」

サガット「ダンさんやさくらちゃんは中に入って見学しているんですがね……俺達はシャドルーなんですよ。空手軍団の敵対組織で……道場の中にはダンスレッスンの講師の方がいるんですよ」

ローズ「あ~、水着の先生がどうのこうのってさくらちゃんが言ってわね」

サガット「その方の前で見学をさせてくれとは、我々の立場だと……言い出し辛いじゃないですか……?」

かりん「あ~、そういう事だったのですわね。だからあんな影からコソコソ覗いていたというワケなんですね」

314: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:52:27 ID:.7hmeOYY
サガット「ベガ様はダンスレッスンの出来を確認しておく必要がありますけど……流石にベガ様も、一人であそこから覗くのは恥ずかしいそうです」

ローズ「まぁ、確かに一人でああやって覗いてたら、それこそ完全な変質者よ」

サガット「という事で、俺達もその付き添い……という事で。まぁ、俺達自身もどういった出来になってたか気になる部分も勿論ありましたがね」

かりん「でも、シャドルーが揃って覗いてたのも……異様な光景でした」

サガット「だからその姿を見られないように、ここにバイソンを置いておいたんですが……ははは、結局見られる事になってしまったか」

ローズ「だって仕方ないじゃない。バイソンちゃんがここで挙動不審にキョロキョロしてたんだから。この先に何かあるんじゃないかってて、気になっちゃうわよ」

かりん「ええ」

サガット「ははは。まぁ、異様な光景だったとは思いますがね……我々は決してやましい事をしていたワケではありません」

315: 名無しさん 2016/09/27(火) 22:58:03 ID:.7hmeOYY
ローズ「まぁ、覗きも程々にね」

サガット「はい。程々にしておきます」

かりん「……ダンスの方の出来はどうでした?」

サガット「う~ん、そうだな……順調にいってたんじゃないかな……? とは言っても明日が本番なので順調にいってなかったら困る話なんですが」

ローズ「それじゃあ、ちょっと私達も見に行ってみようか。ねっ……?」

かりん「そうですわね」

ローズ「私達はサガット君達と違ってコソコソ覗き回らないでも、正面から堂々と見学しても大丈夫だよね~。それじゃあ、かりんちゃん見に行ってみようよ」

かりん「はい」

ローズ「サガット君、それじゃあね~。私達は正面から堂々と見学に行ってくるわ。バイバ~イ。隠れてコソコソ頑張ってね~」

サガット「こっちも好き好んでコソコソやってるワケじゃないんですよ……う~ん、まぁごゆっくり」

316: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:02:10 ID:.7hmeOYY
サガット「よからぬ噂を立てられぬといいが……まぁ、いいか。今度は俺が見張りを……んっ……?」キョロキョロ

春麗「アタシはちょっと先輩らしい所を見せようと思っただけなのよ。それをローズが変な感じで弄ってくるのよ。本当、アイツは困った奴ねぇ……」

キャミィ「キャラチェンジがスムーズにいくようにの餞別ですよね? あっ、サガットさん。お疲れ様です」

サガット「お、おう……お疲れ様……」

春麗「んっ……? ねぇ、アンタ……こんな所で大の男が突っ立って、何してるの……?」

サガット「えっ……あ~、いや……別に何をしてるってワケではありませんよ……ただ突っ立ってるだけです」

春麗「……なぁ~んか、怪しいわね。この奥に何かあるの?」

サガット「あ~、いや、何もないですよ……この先は、通行禁止です」アセアセ

春麗「何か隠してない……? ちょっと怪しいわ……そこ退きなさい。ちょっと見に行くわ。ほら、キャミィも一緒にいくわよ」

キャミィ「はい」

サガット「ダメですよ。今、こっちに行くのはマズいのです。絵面が非常にマズいのです。通行禁止です」アセアセ

春麗「通行禁止なんてないないない……はいはい、退きなさい退きなさい……」

サガット「あ~、あ~……ちょっとちょっとちょっとっ……!」アセアセ

317: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:08:54 ID:.7hmeOYY
ーーダンスレッスン最終日


エレナ「わぁー、わぁー。凄い凄ーい!」パチパチ

さくら「……このダンスを先生が考えてくれたんすか?」

ブランカ「あ~、いや。先生が考えたダンスを彼らがアレンジしていった感じですね。流石に先生はこんなダンスは考えないですよ」

さくら「まぁ、そうっすよね。とにかく皆が上達してくれてよかったっすよ。これなら明日も大丈夫そうかな?」

ブランカ「ところでベガさんは……? 彼はダンスの出来映えを確認しておかないんですか?」

ダルシム「窓だ、窓……窓の外を確認してみなさい……」

ブランカ「窓の外……? あっ、いたっ……! なんであんな所に……」チラッ

ダン「……あの水着の姉ちゃんの前で同席するのはマズいだとよ。アイツ、あぁいう所気にする奴なんだよ」

318: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:13:26 ID:.7hmeOYY
リュウ「先生、ダンスはこういう感じになりました」

ケン「折角考えて頂いた物を勝手にアレンジしてすいませんね。ただこっちの方が俺達らしいかなと思いましてね」

エレナ「うんうん。こっちの方がいいよ。うん、こっちの方が皆らしいダンスだと思うよ! 明日はこのダンスでいこう!」

ヤムチャ「いよぉ~しっ……! 長かったダンス生活とも、これでようやくおさらばだっ!」

エレナ「ヤムチャ君、まだ本番が残ってるんだよー? それにそんな言い方、先生嫌だなー。ダンスは楽しいでしょ?」

ヤムチャ「あ~、いやっ……! すいませんすいません。嫌々やってたワケじゃないですよ。これは……え~っと、何でしょう……? 言葉のアヤと言いますか……」アセアセ

エレナ「もう。それじゃあ、えーっとね……ダンスも完成した事だし、30分ぐらい休憩しようか? 30分後にまた、その完成したダンスを披露してもらうからね!」

さくら「30分後にファイアさんとラガーさんとラベルさんが到着します。それでまたファイアさん達の前で披露して貰う事になります。よろしくお願いします。では一旦休憩です」

ヤムチャ「ふう、一旦休憩か……それで、30分後にまたか……よしよし……」

320: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:18:52 ID:.7hmeOYY
プーアル「ヤムチャ様、ヤムチャ様……」イソイソ

ヤムチャ「お~う、プーアル。なぁ、見てただろ……? 結構上手く出来てただろ……? いや~、初日はどうなる事かと思ったが、なんとかなったな。よかったよかった」

プーアル「それどころじゃありませんよ、ヤムチャ様っ……!」

ヤムチャ「ちょっと待て、プーアル。それどころじゃないって何だよ? 今回は俺の事、褒めてくれてもいいんじゃないの?」

プーアル「後で褒めますからっ……! ダンスは上手く出来るようになりましたけど、明日の試合ですよ! 明日の試合っ!」

ヤムチャ「……えっ?」

プーアル「ほら、ダンスの事ばかりで……明日の試合の事は結構手付かずの状態じゃないですかっ!?」

ヤムチャ「あっ、そういや……」

プーアル「あの~、リュウさんケンさんっ……! 休憩中の所、申し訳ないんですけど……ガイルさん達が時間作ってくれって言ってるんですよ!?」

321: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:26:26 ID:.7hmeOYY
リュウ「ガイル達って事は明日の試合の事だな。わかったわかった、プーアル君わかったよ」

ケン「今日は忙しいなぁ。それじゃあ、休憩中の間にガイル達の方も済ませちまうか」

プーアル「という事で、ヤムチャ様も向かいましょう! ダンスの方も勿論大切ですが……試合だって大切なんですからっ……!」

ヤムチャ「お~う、わかったわかった。ダンスの練習に夢中になりすぎて、試合の方が疎かになっちゃいましたってのは、ダメだもんなぁ!?」

プーアル「そういう事になっちゃったら、会場に足を運んでくれた人に怒られちゃいますから!」

ヤムチャ「よしよし、わかったわかった。え~っと、ガイルさんとは一回経験があるんだよ……ユンさんとホークさんは経験はないけど、試合は見てる。まぁ、なんとかなるだろ!」

リュウ「ジミーさん。休憩中の間に俺達ガイルの所に行ってきますね」

ブランカ「あ~、はいはい。わかりましたわかりました。試合の事ですね。はい、そちらもよろしくお願いします」

ヤムチャ「そういやプーアル……今日は俺のダンスレッスン見に来てくれたけど、これまでずっと来てなかっただろ……? プーアル、俺のマネージャーなのに何してたんだよ?」

プーアル「僕には僕で色々あったんですよ! とにかくヤムチャ様、ガイルさん達の所に向かいましょう」

322: 名無しさん 2016/09/27(火) 23:33:02 ID:.7hmeOYY
ダン「え~、ダンスは完成……それで、アイツは今から打ち合わせだろ……? だから俺のMCから公開収録のCM撮影が始まって、そのままの流れで試合だな」

ダルシム「そういう事になるな。MCのトーク内容はもう出来上がってるかい?」

ダン「勿論、そこは出来てますけど……おい、さくら。スポンサーロゴ仕様のリングは大丈夫なんだろな? 俺のMCはそれ含めた内容になってるぞ。M・○・T・Sってな」

さくら「大丈夫です。スポンサー仕様のリングももう出来上がってます」

ダン「お~、よしよし。出来てるならいいや。え~っと、それじゃあ売店……売店の方はどうなってるの?」

さくら「……まぁ、一部の売店にはちょっと嫌な顔されました。でもそこは頭を下げてなんとか納得して貰ったって所っすかねぇ?」

ダン「う~ん、まぁそうなるわな……でも、今回限りだからな。そこは堪えてもらおうぜ」

さくら「今回、裏方業務はプーアルさんが協力的に動いてくれたんですよ。助かりました」

ダン「あ~、そうなんだ。プーアル君が手伝ってくれてたのか。そっちの準備も出来てるならよしよし。明日成功させねぇとな、うん」

さくら「ダンさんもMCよろしくお願いしますね」

ダン「俺を何年選手だと思ってんだよ。任せな任せな」

332: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:00:35 ID:Ys5uFNwM
ーーそして当日


係員「チケットの提示、お願いします」

天津飯「ヤムチャはこの大会に出場するのか」

餃子「結構人がいる」

ランチ「そうですね、随分盛り上がってるみたいですね。あっ、え~っと……はい、こちらチケットです」

係員「はい。本日、来場者記念してこちらをお配りしてます」

ランチ「あら、来場者記念ですって。天津飯さん」

天津飯「……んっ、何か貰えるのか?」

係員「本日はキ○ンビバレッジ特別興行なので、こちらの引換券をお配りしております」

ランチ「引換券ですか~」

333: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:05:34 ID:Ys5uFNwM
係員「そちらの引換券は中の売店の方で、ソフトドリンクのM○T'Sと交換する事が出来ます」

ランチ「あらあら、ジュースですか。これはこれは、どうもご丁寧にありがとうございます」

係員「売店でそちらを提示すればいつでも交換する事が出来ますが、そちらのM○T'Sのソフトドリンクはメインイベントで使用するので、メインイベントに合わせたタイミングで交換して頂くとよろしいかと思われます」

ランチ「あっ、は~い……メインイベントって言うのは、最後の試合の事ですよね……?」

係員「そうです、最後の試合になります。今すぐに交換したいというのなら、それでも結構です」

ランチ「は~い。最後の試合ですね。わかりました~」

係員「はい、それではごゆっくりどうぞ」

ランチ「はい。それじゃあ天津飯さん、行きましょうか」

334: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:16:08 ID:Ys5uFNwM
天津飯「何故、わざわざ交換するタイミングを指定されなきゃいけないんだ。別に今、交換してもいいだろう」

餃子「……わからない」

ランチ「でも、そういう風に言われましたし……あっ、わかりました。最後の試合の前に、皆で乾杯するんですよきっと」

天津飯「……乾杯か」

ランチ「ほら、最初に交換しちゃったら、最後の時には温くなっちゃうじゃないですか。だから乾杯のタイミングに会わせて、交換して下さいって言ってるんですよ、きっと」

天津飯「……なんだなんだ、随分手間隙かけるじゃないか」

ランチ「それじゃあ、その時になったら私がお二人の分も揃えて交換にいきますわ。さぁさぁ、それじゃあ席に向かいましょう。ヤムチャさんを応援してあげませんとね!」

天津飯「ヤムチャを応援か……とは言っても、流石のアイツも一般人相手なら……そう苦戦する事はないとは思うがな」

335: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:21:48 ID:Ys5uFNwM
ーーー


ケン「おい、ヤムチャ。ホークとは大丈夫そうか……?」

ヤムチャ「あ~、ケンさん。まぁ、なんとかなりそうですね。ソドムさんとの経験が生きたかもしれません」

ケン「……なんでソドムさん?」

ヤムチャ「ホークさんに比べればソドムさんは一回り小さい感じですが、それでも俺にとっちゃデカ物なんですよ。デカ物との戦い方……デカ物への攻め方……そこは、ソドムさん。その前にはサガットさんがいたかな? 先生が今までにいたんですよ」

ケン「あ~、なるほどね。確かに、サガット・ソドム・ホークは同じ括りにはなるな」

ヤムチャ「……でしょ?」

ケン「ただ、ホークはサガット程……ソドムさん程……器用なタイプではないぞ?」

ヤムチャ「う~ん……まぁ、大丈夫です!」

338: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:34:22 ID:Ys5uFNwM
ケン「お前、聞いたか……? 今日は来場者記念品を配ってるって話」

ヤムチャ「あ~、聞きましたよ。何かソフトドリンク配ってるらしいですね」

ケン「今日やらかしちまったら、会場全体からそのソフトドリンクが飛んでくるからな。今日は慎重にいけよ!?」

ヤムチャ「な、なんでこのタイミングでそういう事言い出すんですよっ……! やめて下さいよ、俺プレッシャーに弱いんだからっ!」

ケン「いつまでプレッシャーを感じてるんだ、てめぇは! お前、メインイベント何回目だよ、結構やってんだろ。それそろ慣れろっ……!」

ヤムチャ「ナハハ……ナハハ……! ケ、ケンさんの方は大丈夫ですか。ユンさんと」

ケン「う~ん。まぁ、大丈夫だけど……う~ん、そうだな……う~ん……」

ヤムチャ「……あれ、どうかしたんですか?」

ケン「いや~、ユンはメインイベントなんだけど……ほら、アイツのタッグパートナーのヤンは今日、第一試合じゃん……?」

ヤムチャ「あ~、はいはい。今、コーディ君とやってますね」

ケン「……アイツらのコンビ格差ってどうなってんだろな?」

340: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:43:02 ID:Ys5uFNwM
---


ヤン「ほれほれほれほれっ……! スリーパーホールドでぇ~いっ!」ググッ

コーディ「……ぐっ」


実況「さぁ、ここでヤンが背後からのスリーパーホールドです。コーディの首筋に腕を回し、そして頸動脈を締め付けていきます」

キャミィ「……」


コーディ「く、くそっ……! んああっ……!」ググッ

ヤン「んっ……? おろ……?」


オー ? オーオー ?

実況「あっとしかし、ここはコーディ。スリーパーホールドで締め上げられつつも……体勢を前へと屈め、自身の腰の上辺りへとヤンの身体を乗せていったか?」

キャミィ「はい」


コーディ「……させないっ!」グイッ

ヤン「おろろ……おろろっ……! あいてっ……!」ゴロンッ


オー、オーオー

実況「そのままコーディ。ヤンの身体を腰の上に乗せ、脇からヤンの身体を前方へと転がしていきます。ここは力づくで振りほどいていったと言う所でしょうか」

キャミィ「そうですね」

344: 名無しさん 2016/09/28(水) 22:54:11 ID:Ys5uFNwM
コーディ「……よしっ!」ガシッ

ヤン「あててて、いってぇなぁ……んっ……? んっ……?」


実況「そのままコーディは前方に転がしていったヤンの上半身を起こしつつ、背後から胴回りを抱き込んでいきます」

キャミィ「……」

実況「今度はコーディが背後を取る形になりましたねぇ、キャミィさんっ!?」

キャミィ「はい、そうですね」


コーディ「さぁ、立てっ……!」グイッ

ヤン「お、おおっ……」ググッ


実況「そのまま背後を取りつつ、コーディはヤンの身体を引き起こしていきます」

キャミィ「……」

345: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:01:40 ID:Ys5uFNwM
ヤン「バッカやろうっ……! 背後を取られたからって、どうって事ねぇんだよ。それっ……!」ガシッ

コーディ「……んっ?」


実況「おっと、ここでヤンは胴回りを捉えているコーディの左腕を両腕で掴んだか? そしてその手を上へ上へと持ち上げていきます」

キャミィ「……」


ヤン「……そ~らよっと!」グルン

コーディ「……うおっ」


実況「そしてヤンはコーディの脇下を潜り抜けるようにしながら腕を捻っていきます」

キャミィ「……」


ヤン「……アームロックですよ!」ギリギリ

コーディ「くっ……くっ……」


実況「ここはヤンがアームロックで切り返していきます。さぁ、コーディの腕を捻りつつ捉えていきましたねぇ、キャミィさん!?」

キャミィ「……そうですね」

346: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:10:45 ID:Ys5uFNwM
コーディ「くそっ……それならっ……!」グイグイ

ヤン「おろっ……!? おろろろろっ……!?」ヨロヨロ


オー ? オーオー ?

実況「あっとしかし、それならばと、ここはコーディがヤンの身体をそのままロープ方向へと押し込んでいきます」

キャミィ「……」


コーディ「……強引に引き剥がす!」グイッ

ヤン「おいおいおいおい……」


実況「さぁ、コーディがロープへとヤンの身体を押し込みました」

キャミィ「……」


コーディ「そらっ……! 向こうだっ……!」

ヤン「う、うおっ……!」ダダッ


オー、オーオー

実況「さぁ、ロープの反動を利用して、コーディがそのままヤンの身体を逆方向へと振り投げていきました」

キャミィ「……」

347: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:17:59 ID:Ys5uFNwM
ヤン「ああっ、ちくしょう……」ダダッ


実況「さぁ、ヤンの身体がロープの反動を受け再び戻ってきます。そしてコーディはそれを待ち構えるようにリング中央へと移動していく」

キャミィ「……」


コーディ「いくぜっ……! うおおおぉぉ、だあぁっ!」ドスッ

ヤン「……う、うげええぇぇ!」バターン


オー、オーオー

実況「そして返ってヤンに肩をぶつけていきます。ここはショルダータックルっ! おぉ~っと、そしてヤンの身体が大きく大きくマットへと倒れ込みました」

キャミィ「はい」


コーディ「よおおぉぉしっ! やったぞおぉぉぉ!」


パチパチ、パチパチ

実況「さぁ、そしてコーディは力強く場内に向かって叫びます」

キャミィ「はい」

348: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:23:56 ID:Ys5uFNwM
ランチ「わぁ~、わぁ~、凄いですね~。凄いですね~」パチパチ

天津飯「何をやっているんだ。相手は倒れてるんだから……続けていくべきだろう……」

餃子「……うん」

天津飯「何をモタモタモタモタ……コラ、何処を向いているんだ? 戦闘中なのに、相手から目を切るな」

餃子「……基礎が出来ていない」

ランチ「あらあら、やっぱり天津飯さんみたいに実力のある方は、そういった厳しい目で見ちゃうんですねぇ……?」

天津飯「いや、違うんだよ……実力がどうだという問題ではない。何か、それ以前の問題な気がする……」

ランチ「……はぁ」

350: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:28:30 ID:Ys5uFNwM
ヤン「……あぁ、ちくしょう。まぁ、いいや」ムクッ

コーディ「よし、さぁまだまだいくぞ!」


実況「コーディが場内を見渡し……あっと、ここでヤンが立ち上がってきました。今の所、コーディが試合のリズム・流れを掴んでいるといった印象ですかね、キャミィさん?」

キャミィ「はい。そうです」

実況「試合の流れはコーディにあります。となれば、このままコーディは流れに乗り続けたい」

キャミィ「……でも、案外プレッシャーも感じてると思います」

実況「おっと、キャミィさん……? プレッシャーとは?」

キャミィ「ヤン選手は今の所、それらしいファイトスタイルを見せてないんですよ」

実況「う~ん、ヤン選手のらしいファイトスタイルと言えば、やはり拳法をベースとした打撃攻撃と言った所でしょうか? あ~、確かにそう言われてみれば、今の所はそういった場面はありませんね?」

351: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:35:18 ID:Ys5uFNwM
キャミィ「その辺りのプレッシャーは後に今よりももっと大きくなってくると思います」

実況「あ~、なるほど。いつ、その拳法をベースとした攻撃が飛び出してくるか……まだこないのか……まだこないのか……? やはり気が気じゃない部分も出てくると言いますかね……?」

キャミィ「はい」

実況「そういう意味では最初にドーンとその得意なファイトスタイルを出してくれた方が気は楽ではありますよね?」

キャミィ「……だから、ヤン選手はそういうプレッシャーを与えつつ戦ってるんじゃないかなとは思います」

実況「あ~、なるほど。さぁ、現在の流れはコーディにあります。しかしヤンもまだ手の内は晒しきってはいない。さぁ、まだまだここからでしょう。おっと、ここでコーディが再びヤンへと組みかかりました」

352: 名無しさん 2016/09/28(水) 23:36:01 ID:Ys5uFNwM
今日はここまで

366: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:00:55 ID:Tcv8lZRE
ーー数分後


ダン「ワンっ……! ツーっ……!」

オー、オーオー

ダン「……スリ」

ヤン「……ああっ、もうっ!」ガバッ

コーディ「……くそっ!」ムクッ

オー、オーオー

ダン「ツーカウントっ! カウントはツーっ!」


実況「おぉ~っと、カウントはツーです。ブレーンバスターからのフォールにいったコーディでしたが、惜しくもカウントはツーです」

キャミィ「……決まりませんでしたね」

実況「しかし、試合の流れはコーディにあると見てもいいでしょう。さぁ、コーディは立ち上がる」


コーディ「よおぉぉしっ! 勝つぞおおぉぉっ!」


オー、オーオー

天津飯「……だから相手から目を切るな」

餃子「うん」

ランチ「頑張って下さ~い」

367: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:06:22 ID:Tcv8lZRE
ヤン「はぁっ、はぁっ……ちくしょう……」ムクッ

コーディ「よし、いくぞっ……!」ズガズガ


実況「ヤンはロープを掴みながら立ち上がってきます。さぁ、そしてコーディ。一度大きく雄叫びを挙げてから、再びヤンへと向かっていきます」


コーディ「……いくぞっ!」ガシッ

ヤン「だああっ……! もうっ……!」


実況「そして背後からヤンの身体を掴んでいきます。ここはバックドロップの体勢です」

キャミィ「はい」


コーディ「……うおおおぉぉっ!」ググッ

ヤン「おおっ……おおっ……」


実況「さぁ、コーディっ! そのまま一気にヤンの身体を抱え上げていきます」

368: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:15:24 ID:Tcv8lZRE
ヤン「ああっ、もうっ……! こんちくしょうっ……!」クルンッ

コーディ「えっ……? おっ、おっ……おおおぉっ……!ズドーンッ


アー ? アーアー ?

実況「いやっ……! あっ、ここは抱え上げられたヤンっ……! 空中で身体を捻り、おっとっ! そのまま上からコーディの身体を押し潰していった」

キャミィ「切り返しました」


ヤン「フォールだ。フォール、フォール。カウント頼むよ」

ダン「オーケー、任せておきな」


実況「バックドロップをそのままボディプレスで返していきました。ヤンはコーディの身体の上へと覆い被さる。そのままフォールの体勢だ。切り返しからそのままフォールへ持ち込んだ。さぁ、レフェリーが今カウントを取ります!」

369: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:22:28 ID:Tcv8lZRE
ダン「ワンっ……! ツーっ……!」

オー ? オーオー ?

ダン「……スリ」

コーディ「……くそっ!」ガバッ

ヤン「……流石に決まらねぇわなぁ」ムクッ

オー、オーオー

ダン「ツーカウントだっ! カウントはツーっ!」


パチパチ、パチパチ

実況「しかし、コーディ! ここは返していきます! さぁ、カウントツーでその肩が上がります」

キャミィ「単発ですからね」


ランチ「あら……? 今のは何がどうなったんでしょう……?」パチパチ

天津飯「……ほう、ああいう事も出来るのか」

370: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:30:49 ID:Tcv8lZRE
ヤン「まぁ、気を落とす事はねぇ……ノーダメージで切り抜けれたんだから、これはこれでよしだな……」イソイソ


実況「さぁ、ヤンは立ち上がりここでコーディから距離を取るように移動していく。コーナー付近へとその歩みを進めていっております」

キャミィ「……」


ヤン「へぇ、へぇ……ちと、休憩……」

コーディ「……くそっ」ムクッ


キャミィ「……休憩してるんですかね?」

実況「あ~っと、ここはヤン。コーナーマットへと背を預け、スタミナ回復を図っているか? あ~っと、しかしコーディも立ち上がってくるぞ!?」


コーディ「うおおおぉぉっ……! いくぞおぉぉっ!」ダダッ


オー、オーオー

実況「立ち上がったコーディはそのまま勢いよくヤンへと突っ込んでいくっ!」

371: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:39:03 ID:Tcv8lZRE
ヤン「めんどくせぇ奴だなっ……! 今休憩中なんだよ、くそっ……!」クルッ

コーディ「……んっ?」


実況「あっ、いやしかし、そんなコーディの動きに合わせてヤンも歩みを進めます。歩みを進め、そして身体を沈ませ、コーディの脇を潜るようにおっと、背後へと回ったっ!」


ヤン「……そらっ!」シュルッ

コーディ「んっ……? ああっ……?」 ゴロンッ


アー ? アーアー ?

実況「ヤンはコーディの背後から股下へと手を差し伸ばし、そのまま片足を抱え……おぉ~っと、コーディの身体を後方へと倒し込んでいった!」

キャミィ「あっ、スクールガールですね」


ヤン「レフェリー、レフェリー……フォールだ、フォール、フォールっ!」

ダン「オーケー、任せておきなっ!」


実況「ヤンがカウンターで丸め込むっ! 再びフォールに入るっ! スクールボーイでコーディを丸め込むっ! 女性が使えばスクールガールといった技名になりますっ!」

372: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:45:57 ID:Tcv8lZRE
ダン「ワンっ……! ツーっ……!」

オー ? オーオー ?

ダン「……スリ」

コーディ「……くそっ!」ガバッ

ヤン「だあぁっ、ちくしょうっ……! 次だ、次っ……!」ムクッ

ダン「カウントはツーだ! ツーカウントっ!」


パチパチ、パチパチ

実況「しかし、コーディは返しますっ! カウンターで不意打ち気味へと仕掛けていったヤンでしたが……ここはコーディが返してくるっ!」


ヤン「……だったら、こうだっ!」ガシッ


実況「あっとしかし、ヤンは直ぐ様立ち上がりコーディの下半身へと回り込みつつ両足を捉えました」

キャミィ「多分、ここで返されるのは想定内だったと思います。そんな感じの動きです」


ヤン「よっ、これならどうだっ……! レフェリー、レフェリー……カウント、カウントっ!」ピョンッ

ダン「あぁっ……!? またフォールにいくのかっ……!? 第一試合からあまり俺を働かせるんじゃねぇよ!」


オー ? オーオー ?

実況「あっとあっと、ここは直ぐ様ヤンっ……! コーディの両足を捉え、そしてそのまま前方のダウンしているコーディの身体を飛び越えてブリッヂの体勢で再び固めるっ!」

キャミィ「ジャックナイフ式エビ固めですね」

実況「今度は両足を固めつつフォールに入ったぁ! さぁ、ジャックナイフ式のエビ固めですっ! レフェリーが再びカウントを取ります!」

373: 名無しさん 2016/09/29(木) 22:54:33 ID:Tcv8lZRE
ダン「ワンっ……! ツーっ……!」

オー ? オーオー ?

ダン「……スリ」

コーディ「……しつこいっ!」ガバッ

ヤン「……おろっ!」

ダン「カウントツーだっ……! ツーカウントっ!」


オー ! オーオー !

実況「おぉ~っと、おぉ~っと、危ない危ないっ……! カウントは2.7といった所でしょうか? 続けて丸め込んでいったヤンではありますが……コーディは返してきますっ!」


ランチ「あらあらあらあら、ちょっと様子がおかしくなってきましたね……」

天津飯「そうだな。形勢逆転とまではいってはいないが……う~む、そうだな。うむ……」

375: 名無しさん 2016/09/29(木) 23:04:49 ID:Tcv8lZRE
ヤン「ちっくしょう。また決まらなかったか……それならっ……!」ガシッ

コーディ「……うおっ」


実況「ヤンは素早く身体を起こし、そして今度はコーディの頭部方向から……おっと、コーディの上体を引き起こしていきます。そして胴回りに腕を回していきます」


ヤン「そらそら、立て立て……」グイッ

コーディ「……くおっ」ググッ


実況「そのままヤンはコーディの身体を持ち上げるように立ち上がっていきます。さぁ、今ヤンとコーディ……両者の身体が立ち上がりました」


ヤン「……そらよっとっ!」シュルッ

コーディ「……うおっ!」


アー ? アーアー ?

実況「あっと、そしてここはヤンっ……! 背後からコーディの首筋に腕を回しつつ、更には左足をフックしていきます。コブラツイストです。コーディの身体を引き起こし、今度はコブラツイストを仕掛けていきました!」


ヤン「……そらそらそらっ!」ギリギリ

コーディ「くっ……! くっ……!」


実況「さぁさぁ、ヤンが絞り上げていきます。キャミィさん、技の極り具合なんかはいかがでしょうかねぇ?」

キャミィ「……あまり極ってないとは思います。技の選択ミスかな?」

実況「あらっ、そうなのですかっ!? え~、どういった点が選択ミスという事なんですかね?」

376: 名無しさん 2016/09/29(木) 23:12:18 ID:Tcv8lZRE
ダン「どうする、ギブアップかオイっ……!?」

コーディ「ノーですよっ……! くそっ、はね飛ばしてやるっ……!」ググッ

ヤン「おろろ……おろろろ……」


キャミィ「えっと……そもそも自分より大きな相手に仕掛けるような技ではないと思うんですよ。コーディ選手は特別大きな選手ではないですけど……う~ん……」

実況「あ~、確かにヤンは……あ~っと、あっとあっと……確かにキャミィさんの言う通り、少しばかり安定していない状況か? おっと、コーディは前方にヤンの身体を投げ飛ばしていこうといった所か?」


コーディ「前に……投げれば問題なしっ……! うおおぉぉっ!」ググッ

ヤン「ああっ……! ああっ、もうっ……! 後ろに……後ろにっ……!」ググッ


実況「さぁさぁ、ヤンの身体を前方に倒していこうとコーディが力を込めるっ! しかし、ヤンも後方へと体重を乗せてなんとか堪えてるといった所かっ!?」


ヤン「後ろにっ……! 後ろにっ……! よいしょおおぉっ……! うげっ……!」ビターンッ

コーディ「んっ、んっ……? お、おおっ……!」ビターン


アー ? アーアー ?

実況「あ~っと、ここで両者の身体が後方っ……! マットへと倒れ込んだかっ!?」

キャミィ「……バランスが崩れましたね」

377: 名無しさん 2016/09/29(木) 23:23:37 ID:Tcv8lZRE
ヤン「よぉ~しっ! 狙い通りだっ……! このままいくぞ、オイっ……!」ゴロン

コーディ「んっ……? うおっ……!」ゴロン


オー ? オーオー ?

実況「あっと、待って下さいっ……! コブラツイストの体勢のまま後方へと倒れ込んだ両者ではありますが……あ~っと、ここでヤンが回転っ! コブラツイストの体勢を維持したまま、コーディの身体毎自身の身体を回転させていきます」

キャミィ「こっちが狙いだったんでしょうか?」


ヤン「ローリングっ……! そ~れそれそれ、ローリングゥゥゥ……!」ゴロゴロ

コーディ「おおっ、おおっ……!」ゴロゴロ


オー、オーオー

実況「これはヤンっ……! コブラツイストではなく、ローリングクレイドルを狙っていたのでしょうかっ!?」

キャミィ「……恐らく」


ヤン「そらそらそらそらっ……! ゴロゴロゴロゴロ~!」ゴロゴロ

コーディ「おおっ……おおっ……!」ゴロゴロ


オー ! オーオー !

実況「おっとおっとおっとっ……! リング上でヤンのコーディの身体が四回転っ……! 五回転っ……! ローリングクレイドルですっ! ローリングクレイドルっ! ヤンはこういった事も出来るのですねぇ!?」

キャミィ「そうですね。普段はあまり見せませんよね」

実況「さぁさぁ、回転はまだまだ続いていきますっ!」

378: 名無しさん 2016/09/29(木) 23:28:16 ID:Tcv8lZRE
ランチ「あらあら、何だか楽しそうですね」ニコニコ

天津飯「楽しいワケないだろう。あれだけ力任せに身体を回転させられたら、スタミナが尽きてバテてしまう」

ランチ「あら、そうなのですか……? 私には楽しそうな技に見えますけど……」

天津飯「……う~ん。これは状況が変わってきたんじゃないか?」

ランチ「あらあらあら」

天津飯「この大会はこういった技や、後は投げとかだな。そういうのが多いな」

ランチ「そうですね。天下一武道家会とはまた違いますわね」


ヤン「よぉ~し、そろそろヘバっただろっ……!? さぁ、レフェリー、フォールだっ! カウント、カウントっ!」ピタッ

ダン「……ったくっ、これで何回目だっ! オーケー、任せろっ!」


オー ! オーオー !

実況「しこたまコーディの身体を転がして、そしてここでヤンがストップっ! コーディの背をマットへと着け体重を浴びせていきますっ! さぁ、再びヤンがフォールに入ったっ! レフェリーがカウントを数えますっ!」

396: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:00:53 ID:NcgwHxFU
ダン「ワンっ……! ツーっ……!」

オー ! オーオー !

ダン「……スリ」

コーディ「……くっそおおぉぉっ!」ガバッ

ヤン「……あらららら」

ダン「カウントはツーだっ! ツーカウントっ! まだ決まっちゃいねぇぞっ!」


オー !? オーオー !?

実況「肩が上がりますっ! この場面もコーディの肩が上がっていきますっ! カウントは2でコーディの肩が上がります!」

キャミィ「耐えました」

397: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:09:49 ID:NcgwHxFU
ヤン「粘ってくるねぇ……!? あ~、あ~、忙しい忙しいっ……! よっとっ……!」ググッ

コーディ「……ううっ」


オー ? オーオー ?

実況「あっとしかし、ここで返してくるのもヤンは想定内だったか? 直ぐ様身体を起こし、そしてコーディの上体を起こしていきます。この場面にきてヤンの動きにキレが戻ってきました」

キャミィ「……」


ヤン「……そぉ~ら、いくぜっ!」ダダッ


オー ? オーオー ?

実況「さぁ、ヤンはここで一度コーディにクルリと背を向け……おぉ~っと、ロープ目掛けて走っていきますっ!」

キャミィ「はい」

398: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:16:59 ID:NcgwHxFU
ヤン「そぉ~ら、そらそらっ……!」ググッ


実況「さぁ、ヤンがロープの反動をつけて再びコーディへと向かっていきます」

キャミィ「はい」


ヤン「それじゃあ、いくぜっ……! うるぁっ……!」フワッ

コーディ「……んっ?」

ヤン「雷撃蹴だっ……! 打ち込むっ……!」ズガッ

コーディ「くっ……! くおおっ……!」ビターン


オー、オーオー

実況「そしてヤンがここでっ……! おぉ~っと、上体を起こしたコーディに向かってフワリと飛び込みつつ、打ち込んでいきますっ!」

キャミィ「あっ、雷撃蹴です」

実況「低空の雷撃蹴といった所でしょうか!? コーディの起こされてボディ辺りに打ち込んでいったっ! さぁ、再びコーディがマットへと倒れ込むっ!」

399: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:21:26 ID:NcgwHxFU
ヤン「よぉ~しっ! 決めてやるっ……!」シュルッ

コーディ「……んおっ!」


オー、オーオー

実況「更にヤンは身体を沈ませダウンしたコーディの頭部に腕を回すっ! おぉ~っと、これは……?」

キャミィ「……サイドヘッドロック」


ヤン「ほいほいほいっ……! どおぉぉだっ……!?」ギリギリ

コーディ「ぐっ……ぐっ……!」バタバタ

ダン「ギブアップかっ!? ヘイ、ギブアップかっ!?」


オー、オーオー

実況「さぁ、サイドヘッドロックに捉えていったヤンっ……! コーディの頭部を締め上げていくっ! コーディも足をバタつかせ、苦しんでいますっ! さぁ、どうでしょう!?」

キャミィ「……どうでしょう?」

400: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:27:33 ID:NcgwHxFU
コーディ「くっ……くっ……ギ、ギブアップ……」パンパン

ヤン「……よぉ~し」

ダン「タップだタップ、タップっ! ギブアップだっ! ゴングを鳴らせ、ゴングをよぉ!」


カンカンカーン


オー、オーオー

実況「あ~っと、ここでタップですっ! コーディがタップしてしまいましたかっ!?」

キャミィ「はい」

実況「ここで試合は決着です。ヤンがサイドヘッドロックでコーディからギブアップを奪い取りました」


ランチ「あらあら、あちらの方の……大逆転勝ちですね~」パチパチ

天津飯「そうみたいだな。こういう感じの大会なんだな」

401: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:33:20 ID:NcgwHxFU
ダン「勝者はヤンっ!」ググッ

ヤン(う~ん、第一試合の対戦相手がコーディ……って事なら、こんな感じかな……?)


パチパチ、パチパチ

実況「さぁ、リング上で今ヤンが勝ち名乗りを受けています。コーディも結構いい勝負をしてたと思いますが……どうでしょう、キャミィさん?」

キャミィ「いい勝負はしていたと思います。ただ、ヤン選手には余力を残していのではないかという部分も感じられます」

実況「う~ん、そうですねぇ。まだ余力はありそうですねぇ……? あ~っと、そんなヤンが今退場していきます」


ヤン「なんだろうな……? 大人の余裕を見せつけた試合ってのをしたかったんだよ……? そしたら、想像以上に苦戦しちまって……へへへ、まぁ最終的に勝てたからよしでしょう!」スタスタ


実況「あ~、ヤンにファンに手を振りながら退場していきます。あの様子を見ると……そうですね。まだヤンには余裕があったという事でしょうか?」

キャミィ「……はい」

402: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:39:07 ID:NcgwHxFU
実況「これ、試合の全体像としましては、ずっと俺のターンっ! ってのは少し言い過ぎですかね……? コーディが流れを掴み、非常に有為に試合を進めていたとは思うのですが……」

キャミィ「はい」

実況「やはり、掴んだ流れを物にし続け、手放さないというのもこれは難しい事なんでしょうか?」

キャミィ「う~ん……手放してはいないとは思います」

実況「あぁ、はい」

キャミィ「ヤン選手がリズムを掴んでいた場面はなかったと思います……え~っと……う~ん……う~ん……」

実況「はい、はい」

キャミィ「コーディ選手の勝ち筋は見えてたんですよ。本人にも、私達にも。ただ、ヤン選手にもその勝ち筋は見えてたんですね?」

実況「……んっ? お~っと、はい」

403: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:44:51 ID:NcgwHxFU
キャミィ「ただ、その勝ち筋を進んでいく為の道筋が一本道と言いますか……う~ん、でもコーディ選手はああいう風にしていくのが一番ベストだったとは思いますけど」

実況「はいはい」

キャミィ「それと比べるとヤン選手の勝ち筋の数は、一本だけではなく、もっと沢山あるとは思います」

実況「はいはいはいはい」

キャミィ「そういう意味では、コーディ選手の動きは読みやすい部分はあったのではないかとは思いますし……逆にヤン選手の動きは読みにくい部分があったのではないかと思います」

実況「確かに本日のヤンの動きは実況している我々にも読めなかった部分がありますねぇ」

キャミィ「ヤン選手はそういった状況の中で、数ある勝ち筋の中から普段見せないような勝ち筋への道のりがベストだと判断して、ああいった攻め方をしていったのではないでしょうか?」

実況「なるほど。キャミィさんならではの観察眼と言いますか…確かに、キャミィさんも相手に読ませないファイトスタイルという部分ではプロフェッショナルっ!」

キャミィ「そんな事はありませんよ」

実況「いやいや、キャミィさんの試合はねぇ……私、想像外の動きで、言葉が詰まってしまう時もあるんですよ!」

キャミィ「……はぁ」

404: 名無しさん 2016/09/30(金) 22:52:10 ID:NcgwHxFU
ーーー


さくら「ヤンさん、お疲れ様っす」

ヤン「あぁ、お疲れ様です。どうでした?」

さくら「結構、色々実験してましたよね?」

ヤン「まぁ、第一試合ですからね。色々実験もしていきませんと。丸め込みの連打連打は使えるかもしれないかな?」

さくら「ちょっと今日、コンビを分割してユンさんはメインイベントだってのに、ヤンさんは第一試合という形で申し訳ありません」

ヤン「でもコレが俺がメインイベントで、アイツが第一試合の逆パターンだったら、またうるせぇよ……? さくらさん、胃に穴を開ける事になっちまう」

さくら「う~ん、そうかもしれませんね」

405: 名無しさん 2016/09/30(金) 23:02:26 ID:NcgwHxFU
ヤン「俺は先見の目があるの。案外この一戦は次に繋がる一戦になるかもしれない」

さくら「……んっ?」

ヤン「だってそうでしょ……? 今日の王者戦がガイって事は、多分次はコーディじゃん。それで、コーディが王者戦って事は、多分アイツもキャラチェンジもある」

さくら「あ~」

ヤン「多分多分ばかりだけどね、へへへ……そう考えると、この辺りでコーディを一度苛めておくのも、全くもって無意味ってワケじゃないでしょ?」

さくら「はいはい」

ヤン「まぁ、そりゃ今日一番ベストな次に繋げる一手ってのはユンがタッグ組と試合中に魅せて、次に繋げる事だけど……仮にアイツがトチったとしても……」

407: 名無しさん 2016/09/30(金) 23:17:35 ID:NcgwHxFU
ヤン(キャラチェンジしたガイやコーディと戦って、再び浮上していく……そういったチャンスもまだある。今はその為の格をキープしておく事も必要だよな……)

さくら「トチるとかおっかない事、言わないで下さいよ」

ヤン(その格をキープし続けれなかった場合……いっその事どん底まで落ちれば、今度は王者戦への道が見えてくる……今、ベガさんは格下としかやらないって感じで進めてるからな……そこでまた浮上の目があるよ)

さくら「ねぇ……?」

ヤン「へへ、ゴメンゴメン。まぁ、今日のこの一戦は保険の一手だな! とにかく、俺はプロデューサーがカードを作りやすい状況をなんとか作ってみるからさぁ……?」

さくら「ああ、はい。よろしくお願いします」

ヤン「後、二戦ぐらいならコーディと試合してもいいよ。こういう位置なら俺も色々実験出来るだろうし」

さくら「あ~、はい」

ヤン「ディージェイと一戦よりかは、コーディと二戦やりたいって感じだな! これはそこまで無茶な注文じゃないでしょ?」

さくら「あっ、ディージェイさんは嫌っすか……?」

ヤン「いや、ディージェイが嫌ってワケじゃないですよ? コーディと単発で終わるぐらいならって事です。ユンが今日の試合でしっかりやってくれりゃ、こういう心配もしなくていいんだけどなぁ~」

422: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:03:48 ID:SxekEiVE
ーーー


フェイロン「ホワチャオォォ……!」シュッ

ディージェイ「……お、おっとぉ!」ガシッ

オー、オーオー

フェイロン「……ホワチャアァァ!」シュッ

ディージェイ「……う、うわっとっ!」ガシッ

オー、オーオー

フェイロン「アチョオオォォっ!」シュッ

ディージェイ「ちょっとちょっとっ……! 鋭い蹴りだなっ……! コレ、本気で仕掛けてるんじゃないのっ……!?」ヨロッ


オー、オーオー

実況「さぁ、フェイロンが攻める、攻めるっ……! 攻め立てていくっ……! 得意のカンフー技でディージェイを攻め立てていっておりますっ!」

かりん「そうですわね。得意の打撃攻撃主体でいってますわ」

実況「さぁさぁ、これにはディージェイも防戦一方と言った所でしょうか?」

423: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:11:33 ID:SxekEiVE
天津飯「おっ、彼のような選手もいるのか」

ランチ「彼って、どちらの方ですか?」

天津飯「え~……今、攻めてる方の事だ」

ランチ「攻めてる方と言えば……え~っと、フェイロンさんですね!」

天津飯「いい型をしているじゃないか。なぁ、餃子……?」

餃子「うん。綺麗な型をしてる」

ランチ「う~ん、綺麗な型とそうではない型の違いは、私にはさっぱりわかりませんけど、天津飯さんがいうのならきっとそうなんでしょうね」

天津飯「そうかもしれないな。その辺りは実際に武術に振れてみないとわからんかもしらんな」

424: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:19:56 ID:SxekEiVE
フェイロン「……ヒューウゥゥ」ススッ

ディージェイ「だけど、防ぎきれない攻撃ではないっ……! んっ……?」


オー ? オーオー ?

実況「おっとぉ! そしてここでフェイロンが動きをピタリと止めますっ! そして鼻の下辺りの人差し指で擦るような動きを見せていくっ!」


フェイロン「防戦一方じゃ試合の中でカンフーを知る事は出来ないぞ……? もっと熱くなってかかってこい……」クイクイ

ディージェイ「……オ~ウ」


オー、イイゾー、フェイローン

実況「おぉ~っと、そしてフェイロンはディージェイに向かって腕を伸ばし、そしてその手を招き……おっと、誘っている。誘っているっ! ディージェイに対して向かって来いと言わんばかりの態度だっ!」

かりん「でも、その通りですわ。ディージェイ選手も防戦一方じゃいけませんわ」


ディージェイ(……ヘーイ。Mr.ブランカ)チラッ

ブランカ「……んっ?」


実況「おっと、そしてここでディージェイは少し戸惑いを見せたのか……? 自軍コーナーエプロンサイドに控えているブランカの姿を横見で見ますっ!」

425: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:28:13 ID:SxekEiVE
ディージェイ(今日はミー、ダンス禁止なんだよねぇ……? 踊っちゃいけないんだよねぇ……?)

ブランカ(あらあら、なぁ~んか踊りたそうな表情してますねぇ。ダメですよ……? 今日はメインイベントでダンスがあるんですからっ……! 貴方が踊ったらメインイベントでのインパクトが薄れちゃうでしょ!?)ギロリ

ディージェイ(オーマイガー。Mr.ブランカ殺し屋の目をしてるよ……って事はダンスはやっぱり禁止だ……困ったなぁ……ダンスを抜きにしてファンキーな試合をしろだなんて、も~う……ミーには難易度が高すぎるよ……)

ダン「おい、どうした。両者ボサっとするんじゃねぇっ! ファイっ!」

ディージェイ(じゃあキックボクシングスタイルで……あ~、ダメだ……それじゃ、異種格闘技戦だ……プロレスじゃない……え~っと、だからだからダンスを抜きにしてファンキーな試合をする為には……え~っと、え~っと、え~っと……)


実況「さぁさぁ、そしてディージェイもここで視線をブランカから再びフェイロンへと戻していったかっ!?」

かりん「あの鋭い打撃を掻い潜りつつ、攻めていかないといけませんわ」


ディージェイ(まっ、いっかっ……! この人はあれだけのキックが出来る人だし、色々やっちゃっても大丈夫だよね! オーケー、オーケー……そういう事なら!)

426: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:40:00 ID:SxekEiVE
ディージェイ「……イヤッホオオウウウゥゥ!」フワッ

フェイロン「……むっ!?」


オー ? オーオー ?

実況「あっ、いやっ、おっ……! おぉ~っと、ここはディージェイが一気に飛び込んでいくっ!」

かりん「……あっ!」


ディージェイ「ヘイヘーイっ……! カンフーマンの顔面にお見舞いだっ……!」

フェイロン「……甘いぞっ!」ササッ

ディージェイ「……オ~ウ」スカッ


オー、オーオー

実況「ここはディージェイが飛び込みつつの膝蹴りっ……! ジャンピングニーを狙っていったのでしょうかっ!? しかしフェイロンは落ち着いているっ!」

かりん「避けましたわね!」


ディージェイ「ヘイヘイヘイヘイ……いい反応っ……! おっとっとっと……」ヨロヨロ


実況「一気に距離を詰めつつ大きな一撃を狙ったディージェイといった所でしょうかっ!? しかし避わされ、おっとおっとディージェイの身体は勢い余ってロープ方向までいきますっ! ディージェイの身体がロープに前のめりに倒れ込む!」

427: 名無しさん 2016/10/02(日) 22:51:47 ID:SxekEiVE
フェイロン「……素晴らしい跳躍力だなっ!」クルッ


実況「ここはフェイロン。ディージェイから離れますっ! 一度距離をを取っていくっ!」

かりん「……いやっ!」


ディージェイ「ヘイヘイヘイヘイ……上手く避けたみたいだけど……二度目はどうかなぁ~!?」クルッ


実況「あっ、いやっ……! 待って下さいっ! ここでディージェイも身体を反転させロープに背を向け、身体を預け、ロープに大きく大きく持たれかかりますっ!」

かりん「ロープの反動を利用してますわ」


ディージェイ「オーケー、それじゃあ、ワンモアっ……! 今日のミーはジャンピングスーパースタースタイルっ……!」ダダッ

フェイロン「……また来たかっ!」


オー、オーオー

実況「一度でダメならもう一度といった所かっ!? 今度はディージェイ、ロープの反動をも利用して、再びフェイロンへと向かっていくっ!」

428: 名無しさん 2016/10/02(日) 23:06:34 ID:SxekEiVE
ディージェイ「イヤッホオオウウウゥゥ!」フワッ

フェイロン「フッ、甘いよ……」ササッ

ディージェイ「……オ~ウ」スカッ


オー、オーオー

実況「再びディージェイがフェイロンへと向かって飛び込むっ! しかしフェイロンは見ているっ! 見えているっ!」

かりん「これも避けていきましたわ」


ディージェイ「オーマイガー。避けられちゃったよ……だ~け~ど……?」クルッ


実況「ジャンピングニーを避けられ、ディージェイはマットに着地……あっ、いやっ、待って下さいっ……! ここでディージェイは即座にフェイロンの方を振り向くっ!」


フェイロン「距離をおいてジックリ動きを観察して……」クルッ

ディージェイ「ここで見せるよっ! Mr.本田スタイルだっ……! 掴まえたっ!」ガシッ

フェイロン「うおっ……! な、何っ……!?」


オー ? オーオー ?

実況「そしてディージェイが即座に距離を詰めるっ……! 懐に潜り込むっ……! フェイロンの身体へとしがみついていったっ!」

かりん「無理矢理掻い潜っていった感じですわね」

429: 名無しさん 2016/10/02(日) 23:17:46 ID:SxekEiVE
天津飯「うん。だから汚い型と言うのはああいった事だな」

ランチ「はいはい」

天津飯「ほら、本能の赴くままに戦っている……そんな感じに見えるだろ?」

ランチ「ふふ、確かにそんな感じがしますわね」

天津飯「日々鍛練を行っているのであれば、とっさの時であれども自然とそういった型に嵌まった動きになると俺は思うのだがなぁ……」

ランチ「……それじゃあ、あの人は日々の鍛練は行っていないのでしょうか?」

天津飯「いや、俺はそう思うだけだ。べジータもああいったタイプかもしれん。とっさの時には本能の赴くままに……そんな感じだ……」

ランチ「……あ~、それじゃあ人それぞれって事なんですかねぇ?」

天津飯「まぁ、人それぞれなんだろうな。俺はフェイロンとか言う奴の方が好感が持てるな」

431: 名無しさん 2016/10/02(日) 23:28:09 ID:SxekEiVE
フェイロン「飛びまわってくるかと思いきや……くっ、これは予想外だったぞっ……!?」ニヤッ

ディージェイ(え~っと、え~っと……しがみついたのはいいけど、ここから先はどうすればいいんだ……? Mr.本田は、え~っと……ここからどうしてたっけ……?)


実況「ジャンピングニーをフェイクっ! ディージェイの狙いは恐らく、コレっ……! 一気に懐に潜り込む事でしたっ!」

かりん「ここまで距離を詰めてしまえば、打撃攻撃は打てませんからわ」


ディージェイ(え~っと、え~っと……Mr.本田は……Mr.本田は……え~っと……う~ん……あっ、とりあえずパンチ打っておこう……)ガスガス

フェイロン(んっ……? この状況で……パンチ……?)

ディージェイ(あれっ……? Mr.本田、こんな事してないよねぇ……? コレ、クリンチだよ。クリンチからのボディだよ。ボクシングスタイルだよ。違うよ、違うよ、コレじゃないよっ……!)ガスガス

フェイロン(ひょっとして、この先……ないのかな……?)


実況「ディージェイはフェイロンの身体にしがみつくようにしながら……おっと、ここは脇腹にボディですかね? ボディを打ち込んでいきます」

かりん「この距離でスタミナを削っていこうといった所ですかね?」

432: 名無しさん 2016/10/02(日) 23:34:55 ID:SxekEiVE
フェイロン「ちょっとこれは流石に受けれないね……よっ……!」グイッ

ディージェイ「……オーウっ!」ズルッ


オー ? オーオー ?

実況「あ~っと、しかしここはフェイロンも落ち着いてるかっ!? 冷静にディージェイの頭部を下げつつ引き込んでいくっ! おっと、ディージェイのバランスが崩れたっ!」


フェイロン「……ヒューウゥゥ」ピタッ

ディージェイ「……んっ?」


実況「しがみついていたディージェイの腕を振りほどき……おぉ~っと、フェイロンはディージェイの腹部へと拳をピタリと添えるっ!」


フェイロン「……ホワチャアァァ!」グイッ

ディージェイ「おっ……おっ、おっ、おっ、おっ……!」ヨロヨロ


実況「そして、その拳を一気に押し込んでいくっ!」

かりん「寸勁ですわ」

実況「さぁ、冷静に寸勁を打ち込んでいくフェイロンっ! おぉ~っと、ディージェイの身体が押し出されたぁ!」

433: 名無しさん 2016/10/02(日) 23:38:53 ID:SxekEiVE
ディージェイ「おっ、おっ……おおっ……!」ドテッ


実況「後方に飛ばされそのまま尻餅をつくディージェイっ!」

かりん「再び距離が開きましたわ」


フェイロン「悪いね、許してよ。ほら、もう一回攻めてきていいからさ……おいで、おいで……」クイクイ


オー ! オーオー !

実況「あ~っと、そしてフェイロンっ……! 尻餅をついたディージェイに対して、再び手招きしているっ! もっと来いといっているっ!」

かりん「ディージェイ選手は懐に潜り込む所からやり直しですわね」


本田(なんで距離を詰めたのに、ボディにパンチやねん……そこは投げやろド阿呆。しっかりせぇ!)

ディージェイ(う~ん、困ったなぁ。またジャンピングスーパースタースタイルで懐に潜り込んでやり直ししたいけど……多分、もうダメなんだろうなぁ~。また違う方法考えなきゃ)ムクッ


実況「さぁ、ディージェイ……そんなフェイロンを見ながら、今立ち上がってきますっ!」

448: 名無しさん 2016/10/03(月) 22:00:46 ID:WF8IHXxo
--そして


ダン「ワンっ……! ツーっ……! スリイィィっ!」

ブランカ「……ウウッ」

本田「よおぉっしゃっ!」

ダン「スリーカウントだ! スリーカウントっ! ゴングを鳴らせ、ゴングをよぉ!」


カンカンカーン


オー、オーオー

実況「ここでスリーカウントっ! 試合は決着ですっ! 本田の豪快な送り吊り落としからのスリーカウントで試合は決着です」

かりん「決まりましたわね」

451: 名無しさん 2016/10/03(月) 22:10:10 ID:WF8IHXxo
天津飯「まぁ、順当な勝利と言った所じゃないか?」

餃子「うん」

ランチ「これはもうおしまいなんですか?」

天津飯「終わりじゃないのか……? ほらほら、終わった感じはするぞ?」

ランチ「あっ、そうなんですね。一人が負けたらもう一人も同じように負けになってしまうんですね。私、ここからディージェイさんって人が一人で続けるんじゃないかなと思ったので、少し驚きましたの」

天津飯「あ~、なるほどな。いわゆる負け抜け形式みたいなのを想像していたのか?」

ランチ「あっ、だから皆さん邪魔みたいな事をしてたのですね! あ~、はいはいはい」

天津飯「基本的にどういった大会でもこういうのは一対一が基本だからな。こういった二対二の団体戦みたいなのは珍しいな」

ランチ「そうですわよね、珍しいですよね! でも少しルールがわかりにくかったですわ」

天津飯「んっ……? 最初の敗北者が出た時点で勝負が決着というのなら……ヤムチャの試合は六人ぐらいいるだろ……? アイツが秒殺してしまえば、残りの四人は……んっ……?」

453: 名無しさん 2016/10/03(月) 22:20:38 ID:WF8IHXxo
実況「さぁ、今本田とフェイロンが揃って退場していっておりますっ! かりんさん、いかがでしたか!?」

かりん「いい試合だったと思いますわ。でもこうやって解説席に呼ばれるのなら、同じ女性選手の試合の方が私もやりがいがありましたかもしれませんわ」

実況「あ~、申し訳ございません、かりんさんっ……! 本日は諸事情がありまして、ゲスト解説の方はこの試合までという事なんですよ」

かりん「……諸事情というのは?」

実況「まぁ、平たく言えば元さんですよ、元さんですっ! 本日は元さんが少しお早めに会場に足を運んで下さるという事で……う~ん、もう会場には到着しているんではないでしょうかね?」

かりん「いつもはもう少し遅いですわよね。次の試合から……?」

実況「そうですそうです。次の試合からはいつも通り、私と元さんのコンビでお送りしていきたいと思います! あっと、続いてディージェイとブランカが退場していきますかね?」

かりん「次の試合……王者戦……?」

実況「まぁ、そうなります。本日は王者戦が早い時間に行われるというので、元さんが少し早めに足を運んで下さります! そしてそこから、私と元さんのコいつものコンビでお送りさせて頂きます! 勿論女子選手の試合なんかも、しっかりと!

454: 名無しさん 2016/10/03(月) 22:28:32 ID:WF8IHXxo
かりん「元さんが女子選手の試合を解説をして下さるのなら、そこは安心ですが……次の試合……わざわざ元さんに足を運んでもらうような試合ですか……?」

実況「う~ん、う~ん……まぁ、そこは王者戦ですからねぇ……? あの~、ほらっ! 腐っても鯛なんつってねっ!?」

かりん「……腐っても?」

実況「あっ、いやっ……! こりゃ、失言だっ……! あ~、いや……その~、挑戦者であるガイ選手の大一番を、こう私と元さんの実況パワーでエールを送っていこうという事ですよっ!」

かりん「……」

実況「ハーッハッハッハっ! ベ、ベルトが腐るワケないじゃないすか~! い、いやだな~、も~う……誰だ、そんな事を言ったのは! 全くっ……!」

かりん「いや、言ってる事は合ってると思いますわ。実際、ベルトは腐ってますわ」

実況「えっ、あっ……? おっとおっとおっとっ……! いや、かりんさんっ……!?」

457: 名無しさん 2016/10/03(月) 22:40:38 ID:WF8IHXxo
かりん「だってそうではありませんか? 次の試合はガイ対ベガの王者戦ですけど、今日はその後ナッシュ対バイソンのシングルマッチが予定されてますわよね……?」

実況「あ~、え~っと……あっ、はいっ! そういった試合も予定されてますね!」

かりん「同じシングルマッチといった形式で、ベガの王者戦とナッシュ対バイソンのシングルマッチ……これはナッシュ対バイソンの試合の方が好位置で試合が組まれておりますわ」

実況「う~んっ……! まぁ、そうなりますねぇ」

かりん「つまりこれは、ファンもそちらの試合の方を期待しているという事じゃないですか? だからこそ、こんな中途半端な時間に王者戦が行われる事になるんですわ」

実況「う~ん……まぁまぁまぁ……」

かりん「……この辺りシャドルーはどう思っているんでしょうね?」

実況「え~っと、どうというのは?」

458: 名無しさん 2016/10/03(月) 23:02:30 ID:WF8IHXxo
かりん「だって面目丸潰れですわ。自分達の総帥のベガがこんな中途半端な時間に試合を行い……しかも同じシャドルーのバイソンの、これ前座ですわよ」

実況「あ~っと、確かにっ……! そう言われてみれば、この同じシングルマッチというカードの並び……これ、ベガはバイソンの前座だとも言い換える事も出来ます!」

かりん「バイソンがベガより上がっていったワケではありませんわ。ベガが勝手にバイソンの下に、降りていったのですわ」

実況「そうですよねそうですよね!? バイソンが幾多の名勝負を行ってきたかと言えば、そうでもないっ……! ベガが幾多の横暴を繰り返す事によって……こういった形になってしまったっ!」

かりん「そういう意味では腐っているという表現は案外的を得ていたのではないかなとは、思いますわ」

実況「しかし、なんと言いますか……? 団体にとっての象徴であるベルトというのが腐っているというのは……ほら、なんと言いますか!? 先日の試合でもありましたよっ! ガイルやユン達っ……! 不満を溜めている選手も存在しているんですよっ!?」

かりん「そうですわね」

実況「う~ん……かりんさんなんかは、じゃあベガのこれに対してどう思っているんですか……!?」

459: 名無しさん 2016/10/03(月) 23:29:16 ID:WF8IHXxo
かりん「……う~ん、なんと言えばいいのでしょうか」

実況「……んっ?」

かりん「え~、私達って女なんですわ。同じストリートプロレスの中でも、男子選手と女子選手が存在するじゃないですか? 基本的に男子選手がいい試合位置で試合を行いって……もっと女子選手に注目してもらいたいというのは、日々常々何処かに持っているのですわ」

実況「はいはい」

かりん「私だけではなく、春麗選手やローズ選手も。ほら、男子選手のベルトは王者ベルトですが、女子選手の場合は王者ベルトではなく、わざわざ女子王者ベルトって名前になってるじゃないですか? 同じシングルのベルトですのにね?」

実況「はいはいはい」

かりん「ですので、男子選手の象徴であるこのベルトが勝手に堕落していってる状況……こういうのは女子選手にとってはある意味チャンスなんですよ。こんな王者戦が続くのであれば、男子王者ベルトと、王者ベルトでいいんじゃないかと」

実況「おぉ~っと、おっとおっと……あ~、なるほど~」

かりん「こういった状況は、私達にとっては注目してもらうチャンスなんだとは思う部分もあったりします」

実況「男子王者戦でこういった事が繰り返るのなら……女子王者戦で熱い試合を見ようではないかというファンも出てきそうですからねぇ!?」

かりん「ただ、男子選手も女子選手も纏めて、一つのストリートプロレスですわ。ですから、こういった事をもっと続けろなんて事は……流石に思いませんけどね」

実況「はいはい」

473: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:00:55 ID:S3Yi9P.M
かりん「団体の尊厳が失われている状況ではありますが、この男子王者ベルトだけが団体の尊厳ではありませんわ。女子王者戦ベルトだってありますし、後はタッグ王者ベルトなんかもありますわ」

実況「なるほどなるほど。そちらのベルトが団体の象徴となる形にしていくつもりだと!? そうやってこのストリートプロレスを盛り上げていきたいと!?」

かりん「そうですわね。こんな前座の王者戦などではファンは満足しませんからね」

実況「そういう意味では、今の女子選手達の戦いなんかはねぇ……!? 非常に盛り上がっておりますよっ! 熱~い試合が日々繰り返されておりますっ!」

かりん「そこも結構複雑な部分があったりするんですわ」

実況「おっとぉ……? 複雑とは……?」

かりん「最近私達の方はありがたい事に話題になっていますわ。でも、それって鰯ヶ浜女子プロレスのレインボー・ミカ選手がやってきて……それが理由で盛り上がってる部分もありますわ」

実況「あ~、対抗戦という事でね、かりんさんも出場されるという事で」

かりん「私達女子選手が盛り上がるのはいい事ですわ。その点に関してはレインボー・ミカ選手……美味しいカモがやってきたと思ってる部分もありますわ」

実況「いや~、非常に強気な発言でございますっ!」

かりん「でも、まだまだこの対抗戦に向けての渦の中……その中心にはレインボー・ミカ選手の存在があるのではないでしょうか?」

実況「まぁ、なんと言いますか……存在感が凄いと言いますかねぇ!? はいはいはいっ!」

474: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:07:03 ID:S3Yi9P.M
かりん「対抗戦でストリートプロレスの力を見せる事は当然として、その辺りの存在感……主役は私達ストリートプロレスである事をもっと見せつけていかないといけませんわ」

実況「なるほどっ!」

かりん「それと同時にまぁ、レインボー・ミカ選手を利用するという形で……ストリートプロレスの中での主役……そこをこの堕落した王者戦から、私達女子選手へとなるように」

実況「レインボー・ミカ選手だけではなく、続いてストリートプロレスの中での中心の存在を男子選手ではなく、かりんさん達女子選手にしていくと!?」

かりん「こんな王者戦がストリートプロレスの話題の中心でいては困りますからね。ますますレインボー・ミカ選手に舐められてしまいます」

実況「よぉ~し、それじゃあかりんさんに代わり……いや、かりんさんだけではないっ! 私が選手達の気持ちをここで代弁しましょうっ!」

かりん「……んっ?」

実況「おぉいっ、ベガっ……! お前は王者なんだっ! だったら、王者らしい試合を見せてみたらどうなんだっ!? いつまでもショボくれた挑戦者を指名してるんじゃないぞっ! それと元さんに迷惑をかけるなっ!」

かりん「ショ、ショボくれた挑戦者って……それはガイ選手に失礼ですわ」

実況「あ~、いえいえっ! ガイの事ではなく、あの~、サガット・バルログ・バイソンの事を私は言ってるワケですよっ! ガイの事は勿論、元さんと二人でエールを送りますよ!」

475: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:14:35 ID:S3Yi9P.M
ーーー


ブランカ「今日の試合、ダンスを行わなかって点は助かりましたよ。ありがとうございます」

ディージェイ「ヘーイ、Mr.ブランカっ! ミーにスープレックス技を教えるんだっ! スープレックス技だ、カモンカモンっ!」

ブランカ「あら、なんですか……? スープレックス技ですか」

ディージェイ「ようやく思い出したよ! スロイダーだっ! スロイダーを覚えようっ!」

ブランカ「まぁ今日の試合、君は確かにスープレックス技が少なく感じましたね」

ディージェイ「そうだろ!? だから、スープレックス技をカモンカモンっ!」

ブランカ「そうやって、色んな事を学んでいくのは素晴らしい精神だと思います。うん、素晴らしい精神だ」

ディージェイ「そうだろ……!? ミーは素晴らしいんだよ!」

ブランカ「ただね……? 私は一つ聞きたい……あえて、これは言っちゃいましょう。一つ君に聞きますよ……?」

ディージェイ「んっ、どうしたんだい?」

ブランカ「ディージェイ君、アームブリーカーからの腕責めってどうなったんですかね? ほら、ダルシムさんと熱心に稽古してたじゃないですか?」

ディージェイ「……あぁ、うん」

ブランカ「……今日の試合、使ってませんでしたよねぇ?」

476: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:22:10 ID:S3Yi9P.M
ディージェイ「……忘れてた」

ブランカ「なぁ~んで忘れるんですか……も~うっ……! そういう所ですよっ!」

ディージェイ「だって、Mr.フェイロンがさぁ……! パンチやキックの……あれ、カンフー? あぁいう感じに攻めてくるから、ミーだって同じように……」

ブランカ「あのね、言っちゃいますよ……? これ、もうあえて言っちゃいますよ……?」

ディージェイ「……んっ?」

ブランカ「今日の試合はそのアームブリーカーからの腕殺しをフェイロン君に対して見せてほしかったんですよ」

ディージェイ「なんだってっ!?」

ブランカ「君がフェイロン君の腕にダメージを蓄積させる……打撃攻撃主体のフェイロン君は、その蓄積されたダメージで手数が止まるっ……! さぁ、チャンスだ。ピープルズエルボーを打っていこうっ!」

ディージェイ「オーウっ!」

ブランカ「ここ最近、熱心に稽古してましたから……そういう事出来るんじゃないかなと思ってたんですよ。そしたら、ディージェイ君打撃の打ち合いにいっちゃった……アームブリーカーで学んだ事、見せてくれなかったんですよ」

477: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:28:23 ID:S3Yi9P.M
ブランカ「色々覚えるのって、素晴らしい事だと思いますよ? でも覚えて終わりじゃないんですよ。試合の中で学んだ成果を見せないと、何の為に覚えたんだ……あのダルシムさんとの稽古は何だったんだってなるじゃないですか?」

ディージェイ「オーウ、ミーってばうっかりさんだね」

ブランカ「そんなうっかりさんに、新しくスープレックス技を教えても、また今回のアームブリーカーのように覚えて終わりってなりませんかね?」

ディージェイ「そんな事はないよっ! 今度はしっかりやるさっ! だって、ミーは超一流なんだからっ!」

ブランカ「だからスープレックス技に入る前に……アームブリーカーからの腕殺し披露して下さい、お願いします。スープレックス技の練習はその後にしましょう」

ディージェイ「ヘーイっ! Mr.ブランカはミーの指導係だろっ!? 教える気がないのかいっ!?」

ブランカ「教える気はあります。あるからこそ私はハッキリと言葉にして言ったんですよ。 多分君は色々覚えると消化しきれないです……一つずつ消化してからです。腕殺しパターンの次が、君の希望のスープレックスパターンになります。まだ腕殺し終わってないでしょ?」

ディージェイ「……オーマイガー」

ブランカ「私は言葉にしたんですよ……!? ですからここからの二試合、三試合でちゃちゃっとモノにしましょうよ?」

479: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:43:12 ID:S3Yi9P.M
ーーー


ダン「さぁ、続いては第三試合……王者戦でございますっ!」


ランチ「あらあら、王者戦ですって。楽しみですわね」パチパチ

天津飯「王者戦……? つまり優勝者か。とすると、この試合でこの大会レベルがわかるな」


ダン「先ずは挑戦者っ……! ガイ選手の入場ですっ!」


ガーイ、ガンバレヨー ! イケイケー !

実況「先程も苦言がありましたけが……やはり、第三試合王者戦というのは、何やら違和感のある言葉ですっ! しかし王者戦は王者戦っ! 早い時間だろうが王者戦っ! さぁ、ガイの名が呼ばれましたっ!」

480: 名無しさん 2016/10/04(火) 22:51:59 ID:S3Yi9P.M
ガイ(……何処まで支持を掴む事が出来るか)スッ


オー ? オーオー ?

実況「さぁ、今挑戦者のガイが姿を表し……あっ……!?」

元「……おっ?」


ガイ(衣装は変更した……でも、姿・形だけではなく……ファイトスタイルも新しいものを見せていかないといけない……)スタスタ


オー !? オーオー !?

実況「おぉ~っと、なんでしょうなんでしょうっ!? 赤いですっ……! 本日のガイっ……! 赤いですっ! いつもと違って赤いですっ!」

元「おぉ~っと、なんだ……? 衣装が変わってるじゃない?」

実況「これはなんでしょうっ……!? 大舞台という事で気合いを入れてきたという事でしょうかっ!? 何やら通常の三倍の速度で動きそうな衣装だっ!」

481: 名無しさん 2016/10/04(火) 23:00:59 ID:S3Yi9P.M
ガイ「……よしっ!」グイッ


オー、オーオー

実況「さぁ、今っ! 赤い赤いガイがリングイーンっ! この衣装は気合いの表れと見てもいいのかっ!?」

元「うん、そうだね。王者はどう感じてるかはわからないけど……ガイ君にとってはこの王者戦ってのは、千載一遇のチャンスになるからね。勝負服ってワケじゃないけど……こういう形で気合いを見せてきたのかな?」


ガイ(赤で正解だったのかな……? でも見てくれのインパクトだけで、終わっちゃいけないっ……! まだスタートラインに立っただけだっ!)ペコッ


オー ! ガーイ ! ガンバレヨー !

実況「さぁ、赤い赤いガイが今リング上で深々と頭を垂れますっ!」

元「うん。場内もガイ君の事応援してくれてるじゃない。ちょっとこの期待に応えるように……現在の王者政権、なんとかしてもらいたいね」

482: 名無しさん 2016/10/04(火) 23:09:49 ID:S3Yi9P.M
ダン「続きましては……チャンピオン、ベガ選手の入場ですっ!」


ブー ! ブーブー !

ランチ「この人がチャンピオンですね。あら……?」パチパチ

天津飯「んっ……? なんだ、このブーイングは……」キョロキョロ


ベガ(ふむ。悪くないブーイングだ。結構きてるな)ニヤッ


ブー ! ブーブー !

実況「続いて王者ベガの入場ですっ! さぁ、今ベガが姿を現したっ! 不敵な笑みを浮かべ……ベガが闇から姿を現しますっ!」

元「まぁ、対戦相手のガイ君はベガ君たっての希望だからね。どういった理由で指名したのかは知らないけど……まぁ、今の所は彼の狙い通りに進んでいるね」

483: 名無しさん 2016/10/04(火) 23:18:50 ID:S3Yi9P.M
ベガ「……よぉし」グイッ


ブー ! ブーブー !

実況「さぁ、そして今ベガがリングイーンっ! これで挑戦者っ……! チャンピオン共に選手が揃いましたっ!」


ガーイ ! イケヨー !? ガーイ !

ガイ(ベガさんの嫌われが俺への声援に変わっている……メトロシティでの試合がなかったら、この声援に圧倒されてたかもな……)


実況「王者ベガに対してはブーイングっ! そして挑戦者のガイには声援っ! その比率は完全に10・0だっ!」

元「うん、まぁこうもなるね」

実況「それでは元さん、ズバリ聞きましょうっ! ガイがベガに勝利する為にはどうすればいいでしょうかっ!?」

484: 名無しさん 2016/10/04(火) 23:35:35 ID:S3Yi9P.M
元「まぁ、傲慢を打ち崩す事だね」

実況「おっと元さん、それはどういう事ですか……!?」

元「ベガ君に対して僕が予想外だった所は、単身でこのリングにやってきた所だね。いや、そういう風にする事が当然なんだけど」

実況「あ~、なるほど! サガットやバルログをセコンドにつけていないと!?」

元「まぁ、だからガイ君の事をなめてるんだろうね。とるに足らない相手だと考えているんでしょう」

実況「そこがベガの傲慢という事ですねっ!?」

元「でも、傲慢って事は……うん、心の緩みがありますよ。だからその辺を上手くつければ……流れはきっとガイ君の方へと傾きます」

実況「なるほどっ……! ベガのその緩んだ心へと付け込み、流れを掴み……そしてその勢いのまま制するという形ですね!?」

元「百獣の王のライオンは兎相手にでも全力を出すなんて言うけど、まぁベガ君の表情を見る限り、そういう感じではないかな……? 付け入る隙は十分にあるとは思います」

496: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:00:44 ID:y0s6Xu5o
ダン「それじゃあ、両者中央に! 準備はいいなっ!?」


ガーイ、ガンバレー

ベガ「さっさと終わらせるとしようか。貴様を沈め、私の防衛数は三となる……」ニヤニヤ

ガイ(二つ、三つは試合用の新しい動きを用意してきた。けどこれは二つ、三つしか武器がないって事だ……問題はいつ、何処でその武器を見せるか……)


実況「さぁ、今リング中央で両者が相対しますっ! 険しい表情のガイと、軽く笑みを浮かべているベガっ……! この辺りの表情は非常に対照的ですっ!」

元「まぁ僕はガンガンいってほしいね」


ダン「よぉ~し、それじゃあ試合開始だっ! ゴング鳴らせ、ゴングよぉ!」


カーン


ガーイ、ガーイ

実況「そして今、戦いの鐘の音が場内に響き渡りましたっ! さぁ、挑戦者ガイ対王者ベガっ! 第三試合での王者戦が今開幕ですっ! 実況は私と」

元「解説は元です。よろしくお願いします」

497: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:09:05 ID:y0s6Xu5o
レッツゴー、ガーイ

ガイ(先行より……追い込み……)スッ

ベガ「……さぁて、さてさて」スッ


実況「さぁ、試合開始と同時に両者が同時に動き出しますっ! 先ずは出方を伺っていると言った所でしょうか? 互いに距離を取りつつ、リング上を反時計回りに回るかのような動きを両者は見せています!」


レッツゴー、ガーイ

ガイ(……最初からいきすぎると、後半のガス欠は目に見えるからな。先ずはジックリとだ)スッ

ベガ「なんだなんだ。衣装は派手だというのに、随分と消極的ではないか……まぁ、崇高なる王者相手ならばそうもなるか。フハハ」スッ


実況「さぁ、両者は一定の距離を保ちつつ……静かな立ち上がりと言った所でしょうか!?」

元「うん。慎重だね」

498: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:17:35 ID:y0s6Xu5o
ベガ「よしよし。そういう事なら、この王者自らが一つキッカケを与えてやるとするか……ほぉ~れ」スーッ


オー ? オーオー ?

実況「あっ、いやっ……! ここでベガが歩みを止め……そしてガイに向かって右の腕を伸ばしていきますっ!」

元「おっ」

実況「先に動いてきたのはベガといった所でしょうか?」


ベガ「ほ~らほら、貴様も動きを見せねば、試合は始まらん……来いよ、来い……」クイクイ

ガイ「……よし」スーッ


実況「さぁ、ベガは誘っていくかの如く、伸ばした右腕の指先動かしていくっ! さぁ、そしてガイも動きを止め……おぉ~っと、そんなベガの腕へと左腕を伸ばしていくっ!」

元「うん」

実況「さぁ、今両者の腕っ……! 指先が触れ合ったっ!」

499: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:26:23 ID:y0s6Xu5o
ベガ「フハハ。そぉ~ら、いくぞっ……!」ガシッ

ガイ「……うおっ」


実況「あっ、いやっ……! 互いの両手が触れ合ったその瞬間、ベガが一歩踏み込みつつ左手をも使いガイの腕を捉えるっ! ベガが両腕でガイの左手首掴んだっ!」


ベガ「……そらっ!」ググッ

ガイ「おおっ」

ベガ「……先ずはその腕を貰おうか。そぉ~れっ!」グルンッ


実況「ベガはガイの両腕を持ち上げ、そしてその脇下を潜り抜けるように腕を捻り、背後へと回り込んでいくっ!」

元「アームロックですね」


ベガ「そぉ~ら、そらそら……」ギリギリ

ガイ「……くっ!」ヨロヨロ


実況「さぁ、先ずはベガっ……! アームロックを仕掛けてきましたっ! ガイの背後からその腕を絞り上げていきますっ!」

500: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:33:08 ID:y0s6Xu5o
ベガ「そぉぉらっ……! そぉらっ!」ググッ

ガイ「う、うおっ……!」ヨロヨロ


実況「おっと、ベガはガイの背後からその捻った腕を持ち上げるようにしながら腕にダメージを蓄積させていくっ! ガイの身体がフラフラと前進するが、ベガはピッタリとまとわりつくように背後で腕を捉えている!」


ガイ(追い込みだからって……序盤は捨てていいってワケじゃないんだっ……! 序盤も序盤でしっかりやっていかないとなっ……! よっ……!)ゴロンッ

ベガ「……むっ?」


オー、オーオー

実況「さぁ、しかしここはガイも動いてくるっ! 腕を捻られながらも……ここは前転をしていきますっ! 捻られた側とは逆方向に自身の身体を転がしていくっ! そして立ち上がりますっ!」

元「落ち着いてるね」


ガイ「……今度はこっちだっ!」ガシッ

ベガ「……むっ?」

ガイ「……そらっ!」グルンッ


実況「そのままベガの右手を振りほどき、おっと今度はガイがベガの左腕を両腕で掴んだかっ!? そしてその腕を持ち上げ、脇下を潜り抜けるようにベガの背後へと回っていくっ!」

元「うん」

501: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:40:27 ID:y0s6Xu5o
ガイ「……そらっ!」ギリギリ

ベガ「おおっ、おおっ……痛いな……そういう華麗な切り返しを見せてくるのか……なるほど……」ピョンピョン


オー、オーオー

実況「さぁ、今度はガイがアームロックに捉える形となりましたっ! さぁ、ベガの腕を絞り上げるっ! さぁ、ベガは跳ね回るようにしながら腕の痛みを堪えているのかっ!?」


ベガ「……私の返し方は至ってシンプルだ。死ね、フンっ!」ドグッ

ガイ「……ガグっ!」


実況「あ~っと、しかしベガは腕を捉えられながらも慌てて背後にいるガイの方へと身体を向け……あ~っと、トーキックっ! 腹部を蹴っていくっ!」

元「あら」

実況「あ~っと、そしてこれにはガイっ……! 掴んでいたその腕を離してしまいますっ!」


ベガ「さてと……もう一度、やり直しだな……」ガシッ

ガイ「……くっ」

ベガ「……そぉらっ!」グルンッ


実況「あ~っと、そしてベガっ……! 即座に再びガイの左腕を両腕で掴みにかかるっ! そしてその腕を持ち上げ、脇下を潜り抜ける……あ~っと、再びベガが背後に回りつつのアームロックだっ!」

元「あ~っと」

502: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:48:33 ID:y0s6Xu5o
ベガ「そらそら、それでは絞り上げて……んっ……?」

ガイ「……やらせはしないっ!」ゴロンッ


オー、オーオー

実況「あっとしかし、再びガイっ……! 身体を前転させて、捻られた腕を戻してくるっ! そして立ち上がるっ!」


ガイ「……いくぜっ!」ガシッ

ベガ「……ふ~む」

ガイ「……そらっ!」グルンッ


実況「さぁ、ベガの右腕で振りほどき、そして左腕を掴み、持ち上げ、潜り抜け、捻っていくっ! さぁさぁ、ガイとベガっ……! 腕の取り合いが続きますねぇ!?」

元「そうですねぇ」


ベガ「なるほどな……なるほどな……」ピョンピョン

ガイ「……おっと。さっきみたいにはさせないぞっ!」ササッ


実況「しかし、ここもベガは跳ねるように移動してガイの正面へと……あっ、いやっ! 今度はガイはピタリと張り付いていますねっ!? ベガの動きに合わせるよう、後ろにピッタリとまとわりついていますっ! 正面を向かせません!」

元「うん。バックをキープしてるね」

503: 名無しさん 2016/10/06(木) 22:59:49 ID:y0s6Xu5o
ベガ「フハハ、まるで背後霊だな。しかし、そうやってまとわりつくならまとわりつくで、手段はある……フンっ……!」ググッ

ガイ「……んっ?」


実況「んっ……? ベガは右腕を背後のガイの頭部に回し、何やら自身の身体に押し付けるような動きを見せているっ! 抵抗しているのか?」


ベガ「多分、蹴られた方が楽だっただろうなぁ……!? そぉ~らっ!」ガクッ

ガイ「えっ……? お、おぐっ……!」ゴスッ


実況「あ~っと、いやっ……! ベガは背後にいるガイの顔面っ! 顎を自身の肩へと押し付けつつ……その勢い良く肩膝をつくっ!」

元「あっと、ショルダー・チンクラッシャー」

実況「屈み込む勢いで肩へと押し付けたガイの顎へと衝撃を加えていきますっ! ここはショルダー・チンクラッシャーっ! ベガもまた冷静ですっ!」


ガイ「う、うおぉ……!」

ベガ「アームロックの返し方……10パターン作れればシャドルーの下っぱにしてやる事を考えてもいいぞ。フハハ」ガシッ


実況「その衝撃でガイの腕が外れましたっ! あっと、しかしベガはガイの頭部を掴んだまま……あっと、外れた左腕も使い、今度は両腕で背後をガイの頭部を掴んでいくっ!」

504: 名無しさん 2016/10/06(木) 23:06:34 ID:y0s6Xu5o
ベガ「……そぉぉぉら」グイッ

ガイ「……くっ、くおっ!」ゴロンッ


アー、アーアー

実況「あ~っと、そしてそのままガイ身体を前方へと転がしていくっ! ガイ身体が尻餅つくようにマットへと転がったっ!」

元「フライングメイヤーですね」


ベガ「……ジワリジワリといこうか。なぁ!?」シュルッ

ガイ「……グガッ」


実況「あ~っと、更にベガは前方へと転がしたらガイの首筋へと即座に腕を回していくっ!」

元「スリーパーホールドですね」

実況「今度はベガっ……! スリーパーホールドへと捉えていきました。さぁ、頸動脈を締め付けスタミナを奪っていきますっ!」

516: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:00:54 ID:73mPrxHE
ガイ「くっ……! くっ……!」モガモガ

ベガ「……フン」


実況「さぁ、ガイは身体を大きく横に捻らせ捻らせ、なんとか抵抗していきますが……ベガの腕はガイの首へと依然まとわりついている!」

元「まぁ、ああやって顎を引いて首の間に隙間をなんとか作ってるけどねぇ」


ガイ「くっ、くっ……」ズルッ

ベガ「……おっ?」


実況「おっと、そしてガイっ……! ここはスリーパーホールドに捉えられながらも、なんとか前進していくか!? これは足を大きく伸ばし、どうやら目の前にあるロープを狙いにいくようですかね?」

元「そうですね。ロープブレイク狙ってるね」


ガイ「くっ……くっ……!」ズルズル

ベガ「……おうおう」


オー、オーオー

実況「さぁ、捉えられながらもガイっ……! 捉えられながらも大きく足を伸ばし、ロープへと近づいていきますっ! その距離、残り30cm!」

517: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:07:48 ID:73mPrxHE
ガイ「……ロープブレイクだっ!」ガシッ

ダン「おっしゃ、ロープブレイクだな!」


パチパチ、パチパチ

実況「さぁ、そしてここでガイの右足がサードロープへとかかったぁ! ここはロープブレイクとなりますっ!」

元「……タイトルマッチだよ~。この程度で拍手してちゃダメだよ」


ダン「おい、ロープブレイクだろ。それ以上続けるのなら、反則カウント取るぞっ! 1……2……」

ベガ「フン、ロープブレイクか……わかったわかった……」パッ

ガイ「……ふ、ふう」


オー、オーオー

実況「さぁ、ここはガイっ! ロープへと逃げましたっ! さぁ、レフェリーがベガに警告をして……おっと、ここはベガも素直に腕を外し、腰を上げていきます」


ベガ「ロープブレイクで逃げられてはしまったが、無防備な背中が目の前にあるんだ……とりあえず、蹴っておくか。ホレ」スパーン

ガイ「……ぐあっ!」


アー ! アーアー !

実況「あ~っと、待って下さいっ! ここで立ち上がったベガは……ガイの背中を蹴りつけていきましたよっ!? 蹴りつけますっ! 背中に打ち込むサッカーボールキックですっ!」

元「……あったった~」

518: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:13:56 ID:73mPrxHE
天津飯「むっ……? 今のは仕切り直しとかそういった感じになるんじゃないのか……?」

餃子「……ならなかった」

ランチ「え~、今のは……う~ん……」キョロキョロ


ブー、ブーブー

実況「あ~っと、これはどうでしょう……!? ロープブレイクしても、安心出来ませんっ! ベガは即座にガイの背中を蹴りつけるっ! あ~っと、この行為に場内からはブーイングですねぇ……?」

元「でもガイ君の油断もあったんじゃないの? ちょっと、ロープブレイクしたからって安心してちゃダメなんだよ」

実況「お~っと、元さんはベガをフォローするようなお言葉ですか……?」

元「フォローとかそういうワケじゃないよ。こういう事をしてくる相手だってのは、予想が出来る事じゃない」


ランチ「あらあら、回りの皆さんの反応は……ねぇ……?」キョロキョロ

天津飯「……という事は、やはりダメなのか?」

餃子「……ルール違反」

519: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:19:45 ID:73mPrxHE
ブー、ブーブー、ファッキュー、ベーガ、ブー、ブーブー

ダン「おいコラ、ベガっ! ダメだろがっ!」

ベガ「私はロープブレイクでスリーパーホールドを解いた。ロープブレイクというのはそこまでのルールだろう……? よって、この行為には何の問題もなし。フンっ……!」スパーン

ガイ「……ぐっ!」


ブー、ブーブー、ファッキュー、ベーガ、ブー、ブーブー

実況「あ~っと、そして続けてもう一撃っ! ガイの背中へと打ち込んでいくっ! サッカーボールキックだっ!」

元「とにかく、ゆっくり間をとってる暇なんてないんだよ。蹴られ放題だよ」

実況「あ~っと、場内からブーイングっ! レフェリーもベガに警告をしているっ! しかし肝心のベガには悪ぶれる素振りは一切なしっ……! あ~、そして元さんもそんなベガを擁護するような言葉を発しているっ!」

元「……擁護じゃねぇっつうの」

520: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:29:06 ID:73mPrxHE
ブー、ブーブー

ダン「いい加減にしろ、この野郎っ! 反則負けにしちまうぞっ!?」

ベガ「どいつもこいつもやかましい奴らだ。それなら蹴るのは止めて……こうだな……」シュルッ

ガイ「んっ……!? ガッ、ゲホっ……!」


元「今日は善戦したねぇ~、頑張ったねぇ~、惜しかったねぇ~……で、終わるような試合じゃないんだよ。勝てばベルトだ。負ければ何にもなしだ。タイトルマッチなんですよ」

実況「あ~っと、ベガは今度は腰をおろし……あっと、再びガイの首筋に腕を絡めていくっ! 再びスリーパーホールドかっ!?」

元「今日は結果を出さなきゃいけないんだよ。よく頑張りましたで終われる試合じゃないんだよ。だから僕はこういう言い方になっちゃうの」


ガイ「ゲ、ゲホ……ロープブレイクだろっ……!?」

ベガ「……引き剥がせば問題なし」グイグイ

ガイ「……う、うおっ!」ズルズル


アー ! アーアー !

実況「あ~っと、ベガはロープ付近にあるガイの身体を……おっと、後方へと引き摺り再びリング中央へと引き戻していきますっ!」

521: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:39:10 ID:73mPrxHE
ベガ「ジックリやろうではないか……フンっ……!」ググッ

ガイ「……ぐっ!」


アー、アーアー

実況「再びリング中央でベガがスリーパーホールドっ! あ~っと、ガイはロープブレイクで一安心してしまったのでしょうかっ!? そこを即座に引き戻していくっ! ベガはジックリとガイを攻め立てていきますっ!」

元「そもそも、こんなファイトスタイルに付き合っちゃいけないんですよ」

実況「……というのは!?」

元「ジックリ互いのスタミナの削り合いだなんて、個人的には大好きだけど、そんな10年選手みたいなスタイルでさぁ……? もっとガンガン攻め立てていって、突破口開いていかないと!?」

実況「あ~、はいはい」

元「そこには勿論、リスクはついてくるよ? でも玉砕覚悟で……そうしていかないと。王者戦だから慎重になってベガ君の出方を伺ってみたいな所はあったけど……守るものなんて特にないのに、守りに入ってどうするんだよ?」

実況「逆に王者であるベガはベルトを守りたいが故に、こういった打ち合いにならないような……リスクを避けたファイトスタイルを選んでいると!?」

元「うんうん」

522: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:46:39 ID:73mPrxHE
ガイ「くっ……くそっ……!」ググッ


実況「おっと、ガイはスリーパーホールドに捉えられながらも、なんとか立ち上がってきたかっ!?」

元「派手な衣装にして、まぁ気合いを注入をしてきたガイ君の姿を見て、僕は先手必勝って感じでゴングと同時にガンガンいく姿を想像したんだけどねぇ……う~ん、なんだろうなぁ……?」


ガイ「ガ、ガガっ……ロープっ……!」フラフラ

ベガ「……おっとおっと」


ガーイ、ガーイ

実況「さぁ、ガイは立ち上がりそのまま前進っ……! 再びロープブレイクを狙いにいくっ!」

元「まぁ、どっちにしろここは一回逃れないといけないんだけど」

523: 名無しさん 2016/10/07(金) 22:59:16 ID:73mPrxHE
ガイ「……くっ!」ガシッ

ダン「よぉ~しっ、ロープブレイクだっ! その手を離せ、ベガっ!」


実況「ここでガイがセカンドロープに右足をかけたっ! さぁ、ロープブレイク……いやっ……!」


ガイ「……レフェリー、離れてろっ!」ガシッ

ダン「んっ……? お、おっ……!」ササッ


オー ? オーオー ?

実況「ガイは続けて左足をもセカンドロープにかけて……おぉ~っと、ベガにスリーパーホールドに捉えられながらも、セカンドロープの上に両足をかけて乗っていくっ!」

元「……んっ?」


ガイ「力ずくで引き剥がすっ……! たああぁっ……!」シュタッ

ベガ「むっ、なんだぁ……? おおっ……」グルンッ


オー、オーオー

実況「あ~っと、ガイはそのまま両足でセカンドロープを蹴り……おっと、後方へと飛んでいきますっ! おぉ~っと、ベガの身体が半回転っ!」

524: 名無しさん 2016/10/07(金) 23:03:46 ID:73mPrxHE
ガイ「……うおおっ!」ググッ

ベガ「……おおっ」グラッ


実況「スリーパーホールドに捉えられながらガイの身体が旋回して持ち上がるっ! そして身体半分浮き上がった所で、両足を勢いよく振り降ろしガイは体重を前へと移動っ……!」

元「おっ!?」


ガイ「……たああぁぁっ!」シュタッ

ベガ「……う、うおっ!」ググッ


オー、オーオー

実況「そのままガイは着地して流れのまま前のめり態勢にっ! そのまま背後で捉えているベガの身体を腰の上へと乗せていくっ!」


ガイ「うおおっ……! 外れろっ……!」グイッ

ベガ「う、うおっ……!」ビターンッ


オー ! オーオー !

実況「腰の上に乗せたベガの身体を前方っ……! 一回転させていくっ! マットへと転がすっ! ロープの反動を利用した背負い投げといった所かっ!?」

元「そうそう、こういうのだよ。こういうのっ! ようやく赤いガイ君らしい所が出てきたんじゃないの!?」

実況「さぁ、これによってベガの腕が外れたぁ! さぁ、ガイっ……! ここはトリッキーな切り返しを見せていきますっ!」

525: 名無しさん 2016/10/07(金) 23:12:17 ID:73mPrxHE
オー ! イイゾー ! ガーイ !

ガイ「はぁっ、はぁっ……よし……なんとか外れた……」

ベガ「なんだなんだ、忍法か……チィッ……」ムクッ


実況「さぁ、首筋からベガの腕を振り払っていったガイっ! あ~っと、しかしここは直ぐ様ベガが立ち上がってくるっ! ガイは呼吸を整えているのか?」

元「休むな休むな、ゴーゴー」


ベガ「この糞餓鬼が……」クルッ

ガイ「……だあああぁぁっ!」ダダッ


オー ! オーオー !

実況「立ち上がったベガはガイの方を振り向くっ! あ~、いやっ……! そこにガイが突っ込んでいきますっ!」

元「よぉ~しっ!」


ガイ「……だあああぁぁっ!」ドスッ

ベガ「うぐっ……! チィッ……!」バタッ


オー ! オーオー !

実況「そして間髪入れずにショルダータックルっ! 至近距離からのショルダータックルっ! さぁ、ベガに肩をぶつけ再びその身体を倒していくっ!」

元「よぉしよぉし。そうだそうだ。いけいけいけ」