1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 19:19:48.89 ID:T1Myn1AtO
―自由ガリア―

アメリー「あれ? ペリーヌさん、何してるんですか?」

ペリーヌ「手紙を書いていますのよ」

アメリー「手紙?」

ペリーヌ「ええ。私が最もお慕いする、扶桑のウィッチに」

アメリー「む……それって、あの坂本……少佐ですか?」

ペリーヌ「そうですわ。近況報告と、もしよろしければガリアを訪ねてきて下さい、と」

アメリー「……」

ペリーヌ「どうしたの?」

アメリー「なんでもありません」

ペリーヌ「ふふ……2週間あれば向こうに着くはず。もう2週間でお返事が届きますわ! ああ、坂本少佐!」

アメリー「むう」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 19:29:05.88 ID:T1Myn1AtO


―2週間後―

ペリーヌ「今頃、少佐は私の手紙を受け取っているはず……うふふ」

リーネ「こんにちは! お手伝いに来ました」

ペリーヌ「あら、リーネさん。またいらして下さったのね、ありがとう」

リーネ「いえ、私も早く綺麗になったガリアが見たいですから。ところでペリーヌさん……」

ペリーヌ「なにかしら?」

リーネ「何かいいことがあったんですか? いつもより浮わついて、じゃなくて……そわそわしてるっていうか」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 19:36:48.27 ID:T1Myn1AtO
ペリーヌ「分かりますの? 実は……」

リーネ「……えーっ! 坂本少佐に手紙を!?」

ペリーヌ「そ、そんなに驚かれるようなことかしら」

リーネ「だってだって、それってつまり……ラブレターですよね?」

ペリーヌ「なっ!?」

ペリーヌ「ば、馬鹿なこと言わないで! 部下が上司に手紙を送って、ラ、ラブレターだなんて!」

リーネ「でも」

ペリーヌ「もう無駄話はおしまいです! 皆さんが待っていらっしゃいますわ!」

リーネ「ペリーヌさん、もしかして照れてるんですか? ねぇ」

ペリーヌ「調子に乗らない!」

リーネ「ひゃい!」

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 19:44:40.96 ID:T1Myn1AtO
―更に2週間後―

ペリーヌ「そろそろ少佐からのお手紙が届く頃ですわ!」

ペリーヌ「ガリアにいらっしゃるのは難しくても、少佐のお返事を頂ければ大満足ですの」

アメリー「ペリーヌさん、今朝の集配の時間ですよ。どうぞ」

ペリーヌ「やった!」

ガサガサ

ペリーヌ「……」

アメリー「ペリーヌさん?」

ペリーヌ「今日は届いてないみたい……まぁ、数日のズレは仕方ありませんわ」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 19:58:40.44 ID:T1Myn1AtO
―数日後―

アメリー「ペリーヌさん……」

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「……きっと、少佐はお忙しいんですわ。あれだけのウィッチを遊ばせておくわけないもの」

アメリー「でも……!」

ペリーヌ「いいのよ! そうに決まってる……お手紙を書く暇なんて、少佐には無いの……」

アメリー「っ……」

ペリーヌ「……そうですわ。バルクホルン大尉やミーナ中佐にもお手紙を書いてみましょう。報告を欠くわけにはいきませんもの」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 20:08:35.46 ID:T1Myn1AtO
―数週間後―

ペリーヌ「……」

ペリーヌ「……そう、よね……みんな、任務がありますもの……」

ペリーヌ「……みんな、忘れてしまったのかしら……ガリアのことなんて、私のことなんて……」

ペリーヌ「…ぐすっ、少佐ぁ……」

バタン!

アメリー「ペリーヌさん!」

ペリーヌ「あ……アメリーさん! なんですの、その荷物は!?」

アメリー「ちょっと扶桑に行ってきます!」

ペリーヌ「扶桑に!? なんでいきなり……」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 20:22:02.66 ID:T1Myn1AtO
アメリー「坂本少佐に会いにいって、ペリーヌさんへのお返事を書いてくれるよう頼んでくるんです!」

ペリーヌ「何を馬鹿な……」

アメリー「本気です! ペリーヌさん、待ってて下さいね」

ペリーヌ「待ってアメリーさん!」

アメリー「止めないで下さい! 私は……」

コンコン

リーネ「ペリーヌさん?」

ペリーヌ「リーネさん、丁度いいところに! アメリーさんを止めて!」

リーネ「え? きゃあっ!」

アメリー「ごめんなさいリーネさん! 私にはやらなきゃならない使命が」ドンッ

「うわっ」

アメリー「いたた……す、すみません! 私急いでいるので……」

ハルトマン「大丈夫? 怪我しなかった?」

ペリーヌ「!!」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 20:32:45.72 ID:T1Myn1AtO
ハルトマン「やっほーペリーヌ。遊びに来たよ」

バルクホルン「手伝いに来たんだ! ペリーヌ、久しぶりだな」

ミーナ「ペリーヌさんからの手紙、ちゃんと受け取ったわ。お返事を書いて送るより、直接出向いた方が早いと思って」

ルッキーニ「あたしも付いて来ちゃった! ミーナ隊長が呼んでくれたんだよ」

ペリーヌ「み、皆さん……」

リーネ「ね、ペリーヌさん。ちゃんと届いてたんですよ、ペリーヌさんの声は」

アメリー「……坂本少佐は? 肝心の人がいないじゃないですか!」

ペリーヌ「アメリーさん、もういいの……」

リーネ「坂本少佐たちなら、さっき連絡がありましたよ。多分、あと数時間でこっちに……」

ペリーヌ「えっ!? ほ、本当ですの!?」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 20:45:03.66 ID:T1Myn1AtO


リーネ「オラーシャからブリタニアを経由して来てるらしくて、さっきブリタニアを発ったと……」

「もう二度とシャーリーの操縦する飛行機には乗らないからナ!」

「悪かったよ。でもこんなに早く着いたじゃないか」

「はっはっは。まあ、全員無事だったし良しとしよう」

「さっすが、少佐は話が分かる!」

ペリーヌ「こ……」

ペリーヌ「この声は……!」

リーネ「あ、ペリーヌさん! 坂――きゃっ!」

ペリーヌ「少佐……」

坂本「ん? おお、ペリーヌ! 元気にやってるみたいで何よりだ! 実は」

ギュッ

ペリーヌ「……少佐ぁーっ! 少佐、坂本少佐ぁ……ううっ……」

坂本「なんだ、泣いてるのか? はっはっは! こう喜ばれると、足を運んだ甲斐があるというものだ」



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 20:57:45.98 ID:T1Myn1AtO
アメリー「すみませんでした、ペリーヌさん……一人で先走ってしまって……」

ペリーヌ「もういいの。こうして少佐に出会えたんですもの」

アメリー「……はい。今日だけは」

ペリーヌ「今日だけは?」

アメリー「いえ、こっちの話です。それじゃあ、お邪魔にならないうちに失礼します」

坂本「?」

ペリーヌ「……それにしても、どうして急に? 私の送った手紙は……」

坂本「ああ、確かに受け取ったぞ。数日前にな」

ペリーヌ「数日前!?」

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 21:06:17.84 ID:T1Myn1AtO
坂本「ああ、所用で原隊を離れていてな。復帰したのがつい先日、そこから宮藤にも声をかけて輸送機で扶桑を飛び立った」

坂本「オラーシャで偶然エイラとサーニャを拾って、ブリタニアでシャーリーと出会い……ようやく辿り着いたよ」

ペリーヌ「そうでしたの、どうりで……」

坂本「返事を出せなくて悪かったな。待っていてくれたんじゃないか?」

ペリーヌ「……ええ。とても不安でしたわ。坂本少佐が、私のことを忘れてしまったのかしらと思い詰めて……」

坂本「うむ、すまなかった」

ペリーヌ「もういいんですの。こうしていられるだけで……幸せですわ」

坂本「ペリーヌ……」

ペリーヌ「少佐……」

ガシャーン!

ペリーヌ「!?」

坂本「何事だ?」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 21:16:17.61 ID:T1Myn1AtO
芳佳「だ、大丈夫? リーネちゃん?」

リーネ「うん、平気だよ。これくらい……」

芳佳「あ、待って! ここが切れてる……治してあげるね……」

リーネ「よ、芳佳ちゃん……」

芳佳「なぁに、リーネちゃん? ふへへ……」

ペリーヌ「……っ、あ、あなたたち! 何をしているのかしら!?」

リーネ「ペ、ペリーヌさん! 違うんです、これは……」

芳佳「そうです、皆さんに何か差し入れを作ろうと思って、そしたらお皿が倒れてきて」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 21:22:16.62 ID:T1Myn1AtO
ペリーヌ「ふ、ふふ……お二人とも、しばらく前線を離れて腑抜けていらっしゃるようですわね! 私が今から、あの日々の感覚を思い出させてあげますわ!」

芳佳「そ、そんなぁ……」

坂本「いいぞ、ペリーヌ。しっかり鍛えてやってくれ。私も監督してやろう」

ペリーヌ「は、はい! さあさあ、二人とも! まずは外に出て準備体操、続いて資材運搬ですわよ!」

坂本「いつまでへたりこんでいるつもりだ! きりぃーつ!」

リーネ「は、はいっ!」

ペリーヌ「資材置き場まで駆け足!」

芳佳「なんてことだ……なんてことだ……」

坂本「……ペリーヌ、指揮官っぷりがなかなか板に付いてきたじゃないか」

ペリーヌ「ありがとうございます!」

坂本「だが、まだまだ一人前には遠いな。私が手ほどきしてやる、付いてこい!」

ペリーヌ「はい! 少佐のお眼鏡に敵うよう、いつまでも少佐に付いて参りますわ!」



おわり

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 21:23:46.88 ID:T1Myn1AtO
Elvis Presleyの
『Return to Sender(邦題:心の届かぬラブ・レター)』が元ネタでした

ペリーヌの『~ですわ』じゃない口調が難しかった
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