1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:01:08.31 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「先輩たちは卒業しちゃったし…私これからどうしよう」

梓「新歓ライブもできなかったから結局新入生入らなかったし…」

梓「むったん…」

むったん「(あずにゃんならひとりでも、先輩たちに負けないような音楽ができるったん!がんばるたん!)」

梓「むったん…!」

梓「そうだ!先輩たちもいないし、今日からはいっぱいむったんと練習できるね!」

梓「ひとりでも、やってやるです!」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:06:01.87 ID:OyQ2/blt0
―梓自室

梓「まずは音楽の方向を決めないと」

梓「放課後ティータイムみたいなやわっちい音楽もすきだけれど、やっぱりジャズかな」

梓「でもジャズはバンドだし」

梓「純がいるから今更ジャズ研には入れないし」

梓「ニルヴァーナみたいなのも、いいなー」

梓「やっぱりハードロックかな…あっ」

梓「このCDは!」

梓「Aphex Twin!」

母親「梓ご飯よー」

梓「はーい今行くー」

梓「えーふぇっくす…ついん!」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:09:08.45 ID:OyQ2/blt0
梓「ごちそうさまでした」

―梓自室

梓「これなら…リチャードみたいになるば…ひとりでもできる!」

梓「むったんもいっぱい活躍させられる!」

むったん「(あずにゃん…)」

梓「これだ…これだったんだ…私の……道!」

梓「そうと決まればやることはひとつです」

梓「練習するです!」

じゃかじゃかじゃーんじゃかじゃかじゃーん



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:13:26.23 ID:OyQ2/blt0
―教室

純「梓、先輩たち卒業してからやっぱり寂しそうだったけどさー」

憂「最近なんか生き生きしてるよね」

憂「お姉ちゃん結構心配してたから、元気になって嬉しいな」

純「…私は平沢先輩の受験の方が心配だったけれどね」

憂「えへへっ//」

純「なんであんたが照れるのよ あっ梓がこっち来た!」



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:18:10.44 ID:OyQ2/blt0
梓「おはよー」

憂純「おはよー」

梓「ところでお二人さんに聞きたいことがあるんだけど」

梓「ちょっとこれを聞いて欲しいいの」

梓「先輩たち卒業しちゃったけれど、ひとりでやってみようと思って作ってみたんだ」

純「おっ弾き語りか~」

梓「そんなんじゃない」

純「」

憂「梓ちゃんが作った曲、聞きたいよー」

キャッキャワクワク

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:22:25.04 ID:OyQ2/blt0
梓「じゃあ再生するから」



憂純「」

梓「初めてだからあんまりミックス上手くいかなかったけれど…どうかな///」

憂純「」

純「…アヴァンギャルドだね」

梓「ドリルンベースね」

憂「あっお姉ちゃんもドリル好きだったもんね!」

梓「えっ」

梓「まじっすか」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:26:24.08 ID:OyQ2/blt0
憂「私はこういうの、いいと思うなー」

純「まじっすか」

梓「なんだとコラ」

憂「梓ちゃんすっごく楽しそうだし、むったんも大活躍な曲だし!」

純梓「憂…」

梓「お前はいい」ポカッ

純「ギャッ」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:33:00.18 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「純はわかってくれなかったけれど、憂には褒められちゃったね」

梓「やっぱり間違ってなかったんだ…!」

むったん「(あずにゃん…)」

梓「あっ新しいエフェクター買って来たんだった!」

梓「むったん、もっといっぱいむったんの力、引き出してあげるからね」

むったん「(あずにゃん…!)」

梓「よしっこれをこーやって…こーつないで…」

アンプ「ドーn」

梓「うわっうわわわ」

梓「音量落として、こっちをこーつなぎ直して…」

アンプ「ぐもっちゅいーん」

梓「わぁ…!」パァァ



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:38:20.49 ID:OyQ2/blt0
―教室

梓「やっぱりシンセは必要かなあ」

梓「欲しいのはハードシンセだけど、お年玉は全部エフェクターとかにつぎ込んじゃったし」

梓「Mac欲しいなあ」


純「最近梓ひとりごと増えたよね」

憂「お姉ちゃんたちいなくて寂しいのかなー」

純「絶対口に出てないって思ってるって」

憂「なにか手伝えたらいいけどねー」

純「はーあ、私も澪先輩のベース見たくて寂しいっつーのっ」

憂「そうだ!」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:42:15.67 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「むったん!今日もやるよ!」

むったん「(all right master!)」

?「よー梓!来てやったぜーええええええ!!!」

梓「わあああ」

梓「律先輩!驚かさないでくださいよ!」

澪「音楽室来るの、久しぶりだなー」

紬「うふふふふ」

梓「澪先輩!むぎ先輩も!」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:45:49.83 ID:OyQ2/blt0
唯「あずにゃああああああああああああああん」

梓「わああああああああ」

唯「あずにゃんもふもふにゃん!あずにゃんもふもふにゃん!」

梓「」

梓「息できないです!苦しいです!」

律「ギブアップかー?ギブアップなのかー?」

澪「おい、そろそろ離してやれよ 梓死ぬぞ」

唯「おっとこれはこれはー失礼しましたー」

梓「もうっなんなんですかっ」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:50:51.71 ID:OyQ2/blt0
憂「梓ちゃんが寂しいかなって思って、お姉ちゃんに音楽室に行ってみたら、って言ったんだよー」

梓「わっ憂!」

澪「それで唯が私たちに声かけてくれて」

紬「みんなも学期の始まりで忙しくなかったから、お茶会しに来たの」

律「そーゆーことだっ!むぎ!お菓子の準備は万端かっ」

紬「もちろん!久しぶりのお茶会だから大奮発しちゃった」

唯「まじっすか!やったー!」

梓「先輩…先輩……」グスッ

憂「うふふ」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 15:57:39.89 ID:OyQ2/blt0

唯「むぎちゃんのお菓子と紅茶、おいしいよお 久しぶりだよお」

澪「やっぱりひとりで軽音部だと、部員は入らなかったか」

律「そーいえば梓、お前いま何やってんのー?練習?」

梓「あのっ、私、ひとりバンドやってるんです」

紬「ひとりバンド?」

梓「リチャーd…憧れてるミュージシャンがひとりバンドやってて、それの真似事ですが…」

梓「ドラムセットは準備室にあるので、リズムはドラムで録音して、ギターをそれに重ねてくんです!」

澪「へぇ、面白そうじゃないか」

唯「むぎちゃんのお菓子おいひいよおおお」

梓「あっそうだ!唯先輩ドリルンすきなんですよね!」

梓「こないだ録音したのがあるので、聞いてほしいです!」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:05:38.47 ID:OyQ2/blt0
律「おっiPhoneかーカックイー!」

梓「おもちゃ程度ですが、音楽に使えるアプリもたくさん出てるんですよー」

梓「再生しますね」






唯「」

律「」

紬「あらあらうふふ」

澪「コワイ…ドリルコワイ…」ガタガタブルブル



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:07:54.14 ID:OyQ2/blt0
梓「あの…どうでしょうか…」

律「」

紬「梓ちゃんが楽しそうなのが伝わってくるわー」

律「(マジかよ)」

唯「むったん、いろんな音色出せるんだねって思ったよ!」

梓「流石唯先輩ですね!ムスタングはシューゲイザーなんかでもよく使われる、人気ちゃんなんですよーえへへ」

梓「まだまだ全然100%の力じゃないですが」

梓「正直big muffに助けられてるところはありますね」

澪「コワイ…ドリルコワイ…」

梓「big muffも使いこなせてないですし、やりたいことイッパイです!」キリッ



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:14:32.65 ID:OyQ2/blt0
―帰り道

律「梓、すごかったなー!」

澪「うーん、私はよく分からなかったけれど」

律「いや、あたしもわかんねーけど」

律「でもさー、唯から新入部員一人も入らなかったーって聞いたときはどうなることかとおもったけど」

律「梓ならなんか私達じゃできなかったこと、ひとりでやってのけちゃいそーな気がすんだよなー」

澪「そうだな」

澪「私の歌詞がなくても、むぎの綺麗なメロディがなくても、お茶会がなくても」

澪「なんか壮大な音楽を作れそうな意気込みみたいのを感じたな」

律「さっきはドリルコワイヨーって言ってたのにな」

ボカッ

律「イテッ」

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:27:55.02 ID:OyQ2/blt0
憂「おねーちゃーん、ごはんできたよー」

唯「いまいくー」


唯「あずにゃん元気だったねー心配してたけれど、それには及ばないぜって感じだった!」

憂「教室でも音楽聞きながらメモとったりしてて、すごく熱心なんだよ」

唯「あずにゃんひとりぼっちにしちゃったし、なんか助けられればいいんだけれどなー」

唯「でも何したらいいかわかんないや!」

憂「うふふ お姉ちゃんたらっ//」

唯「うーいっ//」

キャッキャウフフ

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:33:08.49 ID:OyQ2/blt0
―梓自室

梓「先輩たち褒めてくれたね」

梓「勢いで始めちゃったから不安になったりもしたけれど、最近みんなが認めてきてくれてる気がする」

むったん「(あずにゃんのちからがついてきてるってことだよ!)」

むったん「(いっぱい弾いてくれるし、いっぱい触ってくれるし、嬉しい!)」

梓「むったん…!」

梓「今日はむったん休ませてあげるね」

梓「come to daddy聴いて寝よっと」

梓「明日からもがんばるです!」エイエイオー


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:41:35.28 ID:OyQ2/blt0
―準備室

アンプ「ぐぐぐぐぐぐぐろろろろおろ」

さわ子「梓ちゃーん」

梓「ひゃっ 先生!」

さわ子「梓ちゃんにお届けものよー♪」

梓「うわっおっきいですね トンちゃんの水槽ですか?」

さわ子「それが差出人が不明なのよ なにが入ってるかも分からないし」

さわ子「琴吹さんからの差し入れかしらねっ」

梓「」

梓「そんなの開けてだいじょぶなんですか?爆弾とかだったら…」

さわ子「そんなのあるわけないじゃなーい さっ開けましょ」バリバリ

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:45:10.22 ID:OyQ2/blt0
>>38 そ れ だ

保守ありがたい




さわ子「あら…これは…」

梓「Mac Pro!!!」

さわ子「お菓子じゃないのねー残念だわ」

梓「」

梓「Appleの最上位パソコンですよ!しかも」

梓「Ableton Liveもついてる!」

梓「体験版じゃないです!」



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:49:33.95 ID:OyQ2/blt0
さわ子「…なんなのそれ?」

梓「えっと…これがあればひとりバンドがすっごい楽しくなるんです!」

さわ子「そういえば梓ちゃん、ひとりでカセットテープ使って録音したりしてたわね」

梓「それは…お金がなかったから…」

梓「先生、これ準備室に置いてもいいですか」

さわ子「トンちゃんも置いてるし、パソコンくらい置いていいわよ」

さわ子「曲ができたら教えてねっ」

梓「今聞けますよ!」


さわ子「これよ…これが音楽だわ!!!!」パアア

梓「先生さすがです!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:53:21.92 ID:OyQ2/blt0
―職員室

さわ子「(それにしても差出人は誰なのかしら…)」

さわ子「(えぇっと…ID: iKozUFcU0?)」

さわ子「(気持ち悪いわね)」

―準備室

梓「わああああああああ」

梓「これがあれば…これがあれば…!」

梓「むったんやろっ!」

むったん「(Yes, Sir!)」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 16:57:31.03 ID:OyQ2/blt0
―教室

梓「ブツブツ」

純「梓の輝きっぷりに磨きがかかった」

憂「パソコンもらったんだって、ニコニコしてたよねー」

純「一年のとき素直にジャズ研入ってればよかったのに」

憂「まあまあそんなこと言わずに見守ろうよー」

純「残念ながら私は見守ることしかできないわ、あんな音楽」

憂「梓ちゃんかっこいいのにー」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:00:16.23 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「曲の完成度も上がってきた気がする」

梓「でもなんだか、なんか違う」

梓「こんなとき先輩たちがいたら、もっと新しい展開ができそうなのに…むったん…」

むったん「(あずにゃん…)」

憂「あーずっさちゃん」

梓「わっ憂!何?」

憂「あのね」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:03:10.11 ID:OyQ2/blt0
憂「お姉ちゃんも大学の授業が本格化してきて、飲み会とかもやってるみたいなんだけれど」

憂「お夕飯作ることが減っちゃって暇だなーって思って」

憂「梓ちゃんのお手伝いができたらいいなって思って、来たんだよ!」

憂「ギターも買ってきちゃった//」ジャーン

梓「憂…!」

憂「軽音部に…入れてくれないかな?」

梓「憂!」

梓「そうと決まればさっそくやるよ!」ジャンジャーン


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:06:28.42 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「ここはこうして…」グモモモモ

憂「あっこうした方がいいんじゃないかな!」デュルルルルルル

梓「それだ!憂、さすがじゃん」

憂「えへへ//」

―平沢家

唯「憂がいないーあいすうー」

ピロロロロ

唯「むぎちゃんからメールだーなになに…」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:11:03.75 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「憂ー?いないのー?」

梓「床も窓もピカピカになってる」

梓「ティーカップも準備してある」

梓「誰が一体」

憂「わたしだよっ」

梓「ひゃっ」

憂「今日はお姉ちゃんたちが来てくれるらしいから、綺麗にしておいたんだっ//」

唯「やっほー!」

梓「先輩!」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:15:39.16 ID:OyQ2/blt0
紬「またきちゃったー」

梓「むぎせんぱい!」


紬「それにしても、憂ちゃんが軽音部に入ってくれたのね」

憂「えへへ//」

唯「憂がおうちにいないから寂しいよお」

憂「お姉ちゃんったら//」

唯「うーいっ//」

梓「…それで、今日はいきなりなんの用事ですか?お茶会しにきたんですか?」

梓「まぁ、それでも、嬉しいですが」ボソッ

紬「うふふ」

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:20:25.19 ID:OyQ2/blt0
紬「連絡する時間がなくてごめんね」

紬「みんなのお金が貯まったらすぐにでも買ってプレゼントしたかったから」

梓「プレゼント…?」

唯「それではプレゼントの発表でーす!ドドドドドドド」

紬「じゃーん♪」

唯「エレクトライブです!」

梓「」

憂「わぁー!」


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:24:17.90 ID:OyQ2/blt0
梓「そんな…エレクトライブ…先輩!これ!」

紬「梓ちゃんと唯ちゃんのためにみんなでバイトして、それはプレゼント!」

唯「澪ちゃんとりっちゃんは今日用事あって来れなかったんだけど」

紬「買ったらすぐにプレゼントしたいねって話してたから」

憂「お姉ちゃんが…バイトなんて」

唯「だってぇーおうち帰ってもーういいないしー」

憂「お姉ちゃんごめん…これからはすぐにおうちかえるよお」

梓「ちょ」

紬「うふふ」

紬「いっぱい使ってあげてね」

梓「はいです!」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:27:28.09 ID:OyQ2/blt0
憂「それでねーあずさちゃんたらねー」

梓「それはっ憂があんなことするからっ」

唯「えーあずにゃんばっかりずーるーいいい」

紬「唯ちゃんったらー♪」

キャッキャウフフ

紬「そろそろ帰ろっか」

憂「そうですねーじゃあ片付けします、お姉ちゃんちょっと待っててね」

唯「ういーはやくーう」

ガチャ

梓「(しっかり鍵かけなきゃ)」


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:33:17.28 ID:OyQ2/blt0
>>66 すまんね わかんないとこあったら聞いてくれ

―教室

純「…さみしい」

憂「あずさちゃーん!」

純「さみしいよぉ!」


梓「なにー?」

憂「駅前のライブハウスでライブ出演バンド募集してたよ!ほら!」ペラッ

憂「ライブ未経験者も全然おっけーなんだって!梓ちゃん!」

憂「出てみようよ!」

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:36:10.45 ID:OyQ2/blt0
梓「でも…」

憂「?」

梓「私達今は軽音部的な活動してないし…ライブハウス行っても盛り上がらないかも…」

憂「梓ちゃん…」

純「なにー梓がライブ出るの渋ってるのー?どーゆー風の吹き回しよ!」

純「初めは私達に聞いてよ!とか言ってたのにさー」

純「文化祭もまだ先だし、高校最後の年だよ?」

純「外でやらないと意味ないっつーの!」

梓「純…」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:38:31.71 ID:OyQ2/blt0
梓「私…やりたい!」

梓「不安はもちろんあるけれど、憂と作った曲でライブしたい!」

梓「先輩たちにも見てもらいたいし!色んなひとたちに私の曲聴いてもらいたい!」

憂「その意気だよ、梓ちゃん!」

純「ほーらね、あ、私のディスカウントはもちろんよろしく」

憂「純ちゃんったらっ♪」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:43:57.11 ID:OyQ2/blt0
―準備室

梓「憂、話ってなに?」

憂「あのね梓ちゃん…ライブのことなんだけど」

憂「私はライブには出ないでいいかなって、思ってるの」

梓「へっ?私ひとりでやるの?」

憂「うん、まず私達の曲、ギターいくつも重ねてるから二人でもひとりでも変わらないかなってゆーのと」

梓「」

憂「それにこれは、梓ちゃんが始めたことだよ!」

憂「私は、お手伝いさん」

憂「梓ちゃんひとりでやりきらなきゃ意味がないと思うの」



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:47:43.67 ID:OyQ2/blt0
梓「そんな、私ひとりでなんてやだよ!今まで一緒にやってきたじゃん!憂!」

憂「もちろん、辞めるなんて言ってないよ!これからも精一杯いい曲作れるようにお手伝いするよ」

憂「でも、ライブは梓ちゃんひとりでやるべきなんだよ」

梓「憂…」

憂「だってそっちのほうが絶対かっこいいよ!」

梓「憂!」

憂「当日はもちろん私も行くよ!ステージに立つのは梓ちゃんだけでも、私はちゃんとついてるから」

憂「頑張ろう!」

梓「…」

梓「わかった!ひとりでやり切る!」

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:51:03.39 ID:OyQ2/blt0
>四人ルール
梓と憂とトンちゃんとMac Proで四人です 四人です


―ライブ当日

梓「憂はいきなりご両親が帰国するからって、空港まで迎えに行ってしまった」

梓「周りのバンド、絶対経験者ばっかりだよ…なんか見た目怖いし…隅っこいよっと」

梓「はーぁ、憂早く来ないかなー」

梓「…グスッ」

「おい、あいつひとりでギター抱えてブツブツ言ってるぜ」
「こえー…近寄らないでおこう」


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:53:59.96 ID:OyQ2/blt0
むったん「(あずにゃん!あずにゃん!)」

梓「むったん…」

むったん「(あずにゃんにはむったんがいるから、元気だしてよ!)」

むったん「(これからライブだってのに、そんな顔してるバンドマンがどこにいるのさ!)」

梓「むったん…そうだ、私にはむったんがついてる!」

梓「今はいないけれど憂もいるし、純も先輩たちも見にきてくれる!先生も!」

梓「元気ださなきゃです」

梓「むったん、今チューニングしてあげるからねっ」

むったん「(やった!あずにゃんの元気がでた!がんばろーね!)」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 17:56:44.16 ID:OyQ2/blt0
梓「なんかチューニング上手く行かないな」

ポーン ギリギリ ポーンギリギリ
ポーン ギリギリ ビーン!

むったん「(ギャッ)」

梓「弦が…切れちゃった…」

梓「換えの弦、換えの弦、」

梓「ない」

梓「ええええ弦がないよおおおお憂いいいいい!!」

「うわっなんか叫びだした」
「マジあいつヤベーよ…」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:02:27.21 ID:OyQ2/blt0
梓「憂にはつながらないし、先輩たちにもメールしてみたけれど出番までに間に合うか…」



梓「私…一生懸命やったのに……」

梓「先輩たちが卒業して…ひとりでやってきたのに…それなのに…」

梓「…こんなのってないよ…グスッ」

むったん「(あずにゃん…あずにゃん…!)」

梓「…むったん…ごめんね…せっかくの晴れ舞台なのに、私の不注意でこんなことになっちゃって…」

梓「ライブに穴あけるなんてしちゃったら、もう桜高の軽音部、どこのライブハウスにも出れないよ…」

梓「…先輩…」

むったん「(あずにゃん違うよ!違うんだ!リチャードを、リチャードを思い出すんだ!)」

梓「え…?」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:06:04.44 ID:OyQ2/blt0
むったん「(ねえあずにゃん、リチャードはどんなライブをしてた?)」

梓「…犬小屋作ってその中でライブしてた…」

むったん「(それじゃないよ!別の話!)」

梓「……あっ!」

むったん「(思い出した?それをすればこのライブハウスはあずにゃんの話題でもちきりになるよ!)」

梓「………」

梓「…ひとりでも、やってやるです!」



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:10:47.01 ID:OyQ2/blt0
澪「梓の一人舞台かー成長した梓、楽しみだな」

律「どうせそんなこといって演奏始まったらウエーンドリルコワイヨーってぶへっ」ボカッ

澪「お前は黙ってろ」

律「ちぇー」

唯「なんか憂が急いで楽屋の方に向かってたけれど、大丈夫かなぁ?」

唯「あずにゃんギター忘れてたりして!」

律「それはお前だろっ」

紬「うふふ」

和「それにしてもさっきから出てくるバンド、みんな上手ね」

和「音楽の善し悪しは分からないけれども、高校の軽音部ってレベルじゃない雰囲気がしちゃうわ」

紬「でも、梓ちゃんと憂ちゃんの曲、とぉーってもかっこよかったから、多分、大丈夫よ」

紬「応援しましょっ」

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:14:51.97 ID:OyQ2/blt0
憂「関係者以外楽屋には入れないって、これじゃあ弦渡せないよー」

憂「電波もあんまり通らないみたいだし…」

憂「梓ちゃん、私のせいでこんなことになっちゃって…ごめんね…ごめんね…」ポロポロ

スタッフ「君、あの一人の子の友達?」

憂「あっはい!あのこr」

スタッフ「もう出番始まっちゃうし、フロアで待ってたほうがいいんじゃないかな?」

憂「えっ もう、始まっちゃうんですか!?」

スタッフ「ああ、今の曲が終わったら転換だから、もうスタンバイしてると思うよ」

憂「そんな…」

スタッフ「ほら、ここ関係者以外は入っちゃだめだから、じゃあね」

憂「梓ちゃん…」



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:17:41.40 ID:OyQ2/blt0
唯「ういー!もうー、遅いよー!前のバンド終わっちゃうよ!」

憂「あのね!お姉ちゃん!私…私あずさちゃ」

唯「えーなにー?きこえないー」

憂「…」

ジャッジャーン!
ワーパチパチキャーーキャー!

憂「梓ちゃん…」

律「おっはっじまっるぞー!前で見ようぜ!」

憂「(梓ちゃん…頑張って…!)」


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:22:32.75 ID:OyQ2/blt0
『みなさん今日はお越しくださりありがとうです』

『HTT Twinです』

律「梓ー!」ピーピー

『…// 演奏始めるです』

ヂュヂュヂュヂュヂュヂュ…

唯「あれー?暗転したまんまだよー?あずにゃーん?」

ヂュヂュヂュヂュヂュ…

アーアーテロテロテロテロ…アーラーダーデードドドド

紬「素敵なメロディね」

ドドドドドドドド

ダラララララララバアアアアアアアアンゴゴゴゴゴゴゴ!!!

澪「わあああっ」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:27:42.39 ID:OyQ2/blt0
梓のライブは終始暗転したままで進められた
そこにはフロアもステージもなく、ただ圧縮され、解体され、細かく繋ぎ合わされたリズムと
そしておまけ程度の繊細なメロディが付け加えられていた
轟音以上の振動、そして前後左右、上も下も分からなくなるようなうねりだった

時間いっぱいまで音楽は鳴り続け、そして終わった

『…演奏終わりです』

梓のその声を以てあかりが灯り、虚無感とも充実感とも言い難い、不思議な雰囲気だけが残された

そして割れんばかりの拍手、誰もいないステージに向かって、観客全員が拍手をしていたのだった



100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:32:49.73 ID:OyQ2/blt0
―ファミレス

律「それにしても梓すんげーな!」

純「ほんとだよ!わたし音楽きいてあんな気持ちになったの初めてだったもん!」

梓「そんな…ありがとうです///」

和「私もよ…なんか梓ちゃんの音楽が今まで聴いた音楽の中で一番好みかもしれない」

澪「私はまだよく分からないけれど…この気持ちは言葉にできないよ」

唯「イイナー私もバンドしたいよお」

紬「じゃあ来週末でも、放課後ティータイムでスタジオ入っちゃう?」

律「入っちゃう入っちゃう!」

唯「ついでにアイスも食べちゃう!」

梓「もう…先輩ったら…ちゃんと練習しましょうよー!」

キャッキャウフフ


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:36:30.15 ID:OyQ2/blt0
―帰り道

憂「梓ちゃん…今日は…ごめんね」

憂「私がライブ誘っておいて、出なくて、用事があってリハも見れなかったし…」

憂「お手伝いしたかったのに…迷惑しかかけれなかったよね」

憂「本当に…ごめん」ポロポロ

梓「憂…」

梓「そんなこといわないでよ」

梓「今日のライブは、憂と私と、協力してくれたみんなの結晶なんだよ」

憂「結晶…?」



103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:41:12.18 ID:OyQ2/blt0
梓「そうだよ」

梓「自分で聞く用に、今まで作った曲全部mp3にしておいたんだけど」

梓「曲は憂がいなかったらできなかったし」

梓「先輩たちがプレゼントしてくれたエレクトライブがなきゃあんなに完成度の高い曲にできなかったし」

梓「誰かが間違って送ってくれたMacとLiveがなかったら曲の構成なんてなかっただろうし、録音もできないし」

梓「みんなの協力の最高の結晶が今日のライブなんだよ」

憂「梓ちゃん」

梓「あのmp3が私と憂、HTT Twinの全てで、あれ以上のものはないって思ってる」

梓「むったんの弦なんて、ちっちゃい要素のひとつでしかないんだよ」

憂「梓ちゃん…」

むったん「」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/21(月) 18:48:53.99 ID:OyQ2/blt0
 

ライブに必要だったのは、梓のmp3プレーヤーだけだったが、二人は沢山の機材が乗ったカートを引き釣りながら桜高校に帰った
そして機材を置いたあと、ふたりはHTT Twinを活動休止にすることにした
もうすぐ受験が始まることももちろんあったが、梓のいう結晶をそのままに閉じ込めるためだ

放課後ティータイムの活動は梓の勉強にあわせて進められ、憂は再び家事に専念することになった

当初軽音部が文化祭に出演する予定はなかったが、和が生徒会に無理を言い、再びあのmp3に圧縮された轟音が講堂を埋め尽くした

軽音部には年度の途中ながら沢山の新入部員が入ったが、そこには梓はいない
使い込まれた沢山の機材とティーセット、そしてmp3を焼いたCDと未発表のHTT Twinの音源が残されていた