1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:37:29.65 ID:e78iy2Jb0
妹「……いえ」

俺「明後日の夜には帰るよ。おみやげ、温泉饅頭でいい?」

妹「うん」

俺「わかった」

妹「おにいちゃん……」袖クイー

俺「ん?」

妹「……」

彼女「あ、そろそろ電車やばくね?」

俺「ああ、マジだ」

俺「じゃあ行ってくるよ」

彼女「留守番よろしくね~w」

バタン

妹「…………」

妹「ちゃんと……返してくださいね」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:41:13.60 ID:e78iy2Jb0
妹(行っちゃった)

妹(おにいちゃん…)

妹(   するのかな)

妹(するんだろうな)

妹(なんかこう…)

妹(ちゅーとか…)

妹(耳元で)

妹(好きだよーとか…)

妹(抱きしめあったり…)

妹「うぇ………ひぐっ」

妹「うぇぇええええええ……!」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:42:28.67 ID:e78iy2Jb0
妹「うぅぅ………ぁぁ、ぁあぁ……」

妹「嫌ぁ…やだよおぉぉ」

嫌「おーいおいおい………」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:44:42.20 ID:e78iy2Jb0


妹「っ!?あなた誰!?」

嫌「私は"嫌"」

嫌「あなたの嫌という感情が具現化した存在…」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:48:54.23 ID:e78iy2Jb0
妹「なに…なんなの…?」

嫌「あなた…おにいちゃんに彼女ができたこと…とても嫌だったのよね」

妹「…そうよ」

嫌「日頃から二人がいちゃいちゃするのを間近で見せつけられるのも」

妹「身を割かれるようだったよ」

嫌「そしてラブラブ温泉旅行……」

妹「そうよ…嫌…!嫌で嫌で…たまらないわ!」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:52:32.31 ID:e78iy2Jb0
嫌「フフフフ…その感情がカタチを得て…顕現したのよ」

嫌「ほら見なさい、私の姿…」

妹「…私そっくりね」

嫌「ややツリ目気味なのとマフラーの色が違うだけよね」

嫌「わたしはあなたなのよ」

妹「あなたは…わたし…」

妹「なら…目的はなんなの」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 18:56:28.99 ID:e78iy2Jb0
嫌「愚問ね。わかってるはずでしょう?」

嫌「わたしの目的はあなたの目的なんだから」

妹「わたしの…目的?」

嫌「わからないの?…いえ、それも無理はないわね」

嫌「あなた一人ではそれができないから」

嫌「わたしが呼び出されたのだもの」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:00:44.76 ID:e78iy2Jb0
嫌「あなたは…彼女さんにいなくなって欲しいのよ」

妹「!?」

妹「そんな…そんなはずない」

妹「確かに二人が仲良くしてて嫌だったけど」

妹「おにいちゃんがとっても幸せそうにしてたのだって知ってる!」

嫌「ふぅん…それで?」

妹「だから……そんな…殺すなんて…」

嫌「……」

妹「……」

嫌「あらぁ?」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:06:51.98 ID:e78iy2Jb0
嫌「いなくなって欲しいとしか言ってないわよ」

妹「あっ……」

嫌「自分を誤魔化すのは…やめなさい」

妹「………そう…そうよね」

妹「自分に隠し事なんて…できるはずないんだわ」

妹「ごめんなさい。わたし…いい子でいようとしてたみたい」

嫌「そう。それでいいのよ」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:13:03.29 ID:e78iy2Jb0
妹「確かに死ねっていつも思ってたよ」

妹「それは認める」

嫌「そうでしょう?なら…いいじゃない」

妹「彼女さんに出す紅茶に洗剤混ぜようとしたのだって」

妹「一度や二度じゃない」

嫌「知ってるわ」

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:18:28.64 ID:e78iy2Jb0
妹「でも…!( ゚д゚ )クワッ!!」

頬ビターン

嫌「きゃっ!?」

妹「ここでそんな結論出しちゃうような…そんなわたしになっちゃったら…もう」

妹「笑顔でおかえりって言えないもん」

妹「だから…あなたの思い通りにはさせない…しない」

嫌「……やったわねえ!」

肩デュクシ

妹「きゃ!」

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:22:23.96 ID:e78iy2Jb0
嫌「何よ!そんなんでいいの!?」ポカポカ

嫌「そんなんじゃあなた…ずっとただの妹じゃない!」ポカポカ

妹「いいの!いいもん!」ポカポカ

嫌「ひははれないれひょおおお」ほっぺたギュウウウウウ

妹「ひひっつってんれひょおおおお」ほっぺたギュウウウウウ

嫌「こンのおおお…!!」ヘッドロックヘッドロック

妹「があああああ…」



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:26:33.17 ID:e78iy2Jb0
嫌「これでもかぁぁぁ…」ギリギリギリ

妹「いぎぃぃ……」

嫌「ギブ!?」

妹「ノゥ…ノォォォゥ……!」

嫌「……」

嫌「なんで…なんでよ…」

嫌「うっ…ううっ…」

妹(冷たっ…?顔に水滴?)

妹「あなた…泣いてるの?」



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:34:29.87 ID:e78iy2Jb0
嫌「だって、道理に合わないじゃない…」

嫌「あなたは」

嫌「わたしみたいなのを生み出してしまうほど…追い詰められていたはずなのに」

嫌「それで出した結論が現状維持って…なんなのよ…」

嫌「このままじゃ…あなたいつか壊れちゃうわ」

妹「…ありがと」

妹「でも…本当にもう…いいんだ」

妹「わたしはおにいちゃんの妹だもん」

妹「最初から最後まで…妹なんだよ」



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:45:31.15 ID:e78iy2Jb0
嫌「そう…わかったわ。余計な…お世話だったのね」

妹「ごめん…ごめんね?」

ぎゅっ

嫌「ううん」

嫌「わたしが生まれた理由…ちよっと違ったのかもしれないわ」

妹「え?」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:47:00.70 ID:e78iy2Jb0
嫌「あなたが…あの二人を素直に祝福できるあなたになれるように…」

嫌「ちゃんと…気持ちの整理がつけられるように…」

嫌「ってね」

嫌「それが…わたしの役割だったんだわ」

妹「……嫌ちゃん…消えるの?」

嫌「……」コクリ

妹「うぅぅ…」

嫌「泣かないで。もう会えないわけじゃないわ」

嫌「またあなたが…おにいちゃんの幸せを素直に喜べないあなたになったら」

嫌「そのとき…また会いましょう」

嫌「わたしはできれば会いたくないけどね」

嫌「それじゃ…ね」

妹「待っ…」

パァァァァァ……



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 19:55:35.22 ID:e78iy2Jb0
─2日後─

ガチャ

俺「ただいまー」

妹「おかえり…おにいちゃん!」

彼女「はい妹ちゃん、おみやげ」

妹「ありがとうございます♪」

俺「あれ、妹?マフラーの色変えたの?」

妹「うん…もらったんだ。大切な…大切な人から」

俺「なっ、おにいちゃんは不順異性交友は認めないぞっ」

妹「えへへっ、そんなんじゃないってば…」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/01/08(水) 20:02:42.75 ID:e78iy2Jb0
妹(あの娘と同じ色にしてみたマフラーを見るたびに思い出す)

妹(好きな人の幸せを許せなかった頃のことを思い出す)

妹(そして…兄の幸福を素直に喜べる今のわたしを褒めてあげられる)

妹(……)

妹(彼女が一体何だったのか…それはわたしにはわからない)

妹(情緒不安定の女子高生が見た幻だったのか)

妹(それでもあの時の肩と頬の痛みは鮮明に脳裏に焼き付いている)

妹(わたしに断言できるすべては)

妹(もう彼女に会うことはないだろうということだけだ)