1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 22:53:02 rkvCWl0Q
今日は晴れた

太陽は既に顔を出している

私は家のドアを開け外に出る

暖かい

陽気と一緒に春の香りが体を覆う

今日は入学式だ

最高な日々の始まりと言ってもいいだろう

私は住宅街を歩いていた

道を歩く人は忙しそうにどこかに向かう

今日も私の周りは平常運転だ

きっとこの人たちは大きな変化があっても自分に関係なければ変わらずいられるのだろう

私はそう思った

変わらないでいてもいいことないのに……


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3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 22:56:42 rkvCWl0Q
私は河川敷に向かった

桜並木が続く

私は桜が嫌いだ

どんなに美しくてもすぐに散ってしまうから

私は足元を見る

かたつむりだ

ノソノソと遅く歩いている

かわいい

私は街に行こうと思った

その前に汚れた靴を草で拭う

何度も

何度も

何度も


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 22:58:55 rkvCWl0Q
ちょうど仕事始まりだからだろうか

街を歩く人々の表情はどこか曇っていた

仕事始まりのサラリーマン

登校中の学生たち

みんなどこか憂鬱な表情だ

慌ただしい足音だけが聞こえる

私はそんな風景が楽しく思えた

楽しい

人はなんでも慣れれば楽しく感じる動物である

それが社会的に悪いことでも

それが個人的に嫌なことでも

なんでも人は楽しむ

慣れは恐ろしく感じる



6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 23:02:58 rkvCWl0Q
だから私は好きなのだ

私に怒る人なんていない

私に悲しむ人なんていない

今日は晴れ舞台だ

お気に入りの制服を着ておめかしをする

だってみんなが見ているんだもの

可愛い姿にならないとね

私は駅へ向かう

電車で向かうからだ

ホームに電車が来ると人々はその電車に押し込むように入っていく

差し詰め家畜列車というべきだろうか

見ていて皮肉に思える風景であったが私は楽しく思えた

私の電車はまだだ

私はふと家族やクラスメイトのことを思い出した




8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 23:08:53 rkvCWl0Q
いつも仕事を頑張ってくれる父と母

いつも笑って接してくれるクラスメイト

いつも優しく接してくれる先生

みんなは私が大好きだ

だから私はみんなが大好きだ

ホームのアナウンスが鳴る

私はホームに並ぶ

ホームにはちらほらと人が立ち並んでいた

私は歩を進める

駅の向こうから家畜列車がやってきた

さあ入学式だ

いや、始業式の方がいいのかな

そして私は踏み越える

この黄色い線を


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/05/01(木) 23:10:19 rkvCWl0Q
 END