1: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:00:22.59 ID:wpR5FNwE0



夜 楓家 自室

楓「はぁーーー……」

楓(あの後、ゆずと上手くお話……出来なかったなぁ……)

楓(もう何十回も、練習したんだけどな……)

楓「……」ポフッ

楓(みんなには悪いけど、ぜーんぶ見させてもらったよ……)

楓(しずくちゃんはコトネが好きで、コトネはしずくちゃんが好き。相思相愛ってヤツだ)

楓(……コトネとしずくちゃん、互いを支えあえる……幸せな関係になれそう)

楓(春香は優が好き……を通り越して愛している、か。優はどうだろう。……きっと同じようなモノか)

楓(春香達も大丈夫。優が素直になれてない分、春香が素直過ぎるから、これはこれで良いバランス)

楓「はぁー……」

楓(私の好きな人は……どの記憶にもいる、一人の少女)

楓「……」

楓(ゆずは、一体誰が好きなんだろう……)


 






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3: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:13:52.21 ID:wpR5FNwE0




1週間後 夕方 教室

ゆず「帰ろうぜー」

楓「ん、もう少し待って」ガサガサ

ゆず「さー、今日はどうする? いつもんとこ寄っていくか?」

楓「そうだねー」

ゆず「っても、あたしらだけ、だけどな」

楓「あれ、みんなは?」

ゆず「春香と優は知らないな。コトネとしずくちゃんは二人で買い物に行ったよ」

楓「ふぅん……」

楓(ぜーんぶ知ってるよ。私がみんなに予定を聞いたから、ね……。だから、今日こそ……)

ゆず「ついでに言うと、かいちょーは春香を尾行しに、探しに行った」

楓「妬いてるねぇ……」

ゆず「?」

楓「ううん、独り言」




4: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:16:30.09 ID:wpR5FNwE0




ゆず「準備出来たかー? いくぞー。モタモタしてるといつもの店、閉まっちゃうぞ」

楓「……いいんじゃないかな」

ゆず「え?」

楓「たまにはさ、ここで話をするのもオツじゃないかなって」

ゆず「えー、ここで? まぁ誰もいないけどさぁ……新鮮味無いなぁ、やっぱり」

楓「そう? 私はここでも満足してるよ? いつだって新鮮だからね」

ゆず「ヘンなの。……まぁいいや、飲み物買って来る。要るか?」

楓「ううん。さっき買ってきたよ。はい」

ゆず「ぉ、サンキュー」プスッ チューゾゾゾー

楓「……ねぇ、最近はど、どう?」

ゆず「どうって?」

楓「ほら、もう1年も半分過ぎたけど、うちのクラスじゃ浮いた話はあまり聞かないからね」

楓「ゆず、彼氏出来たかなぁ、と」

ゆず「はぁ? こんだけあたしと一緒にいたら、いるワケないって分かるだろ……」

楓「ん……そ、そうだね……」





5: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:18:15.30 ID:wpR5FNwE0



楓「ねぇ、女の子同士の恋愛ってどう思う?」

ゆず「そうだなぁー。同姓ってのは大変なんじゃないかぁー?」

楓「ん、どうでもよさそうだね」

ゆず「どうでもいいっつーか、そういう知り合いもいないしなぁ。よくわかんねーな」

楓「……」

ゆず「それに、ああいうのってお嬢様学校の中くらいじゃないのか?」

楓「それは偏見だよ……好きになるのは環境じゃなくて、人だからね」

楓「人がいるならどこだって起きてしまうんだよ」

ゆず「そんなもんかぁ。……で、どうしてそんな話を?」

楓「や、私の知り合いでね。女の子が好きな女の子がいるんだ」

ゆず「私の知ってるヤツか?」

楓「さぁ、どうだろうね。知っているし、知らないかな」

ゆず「なんだよ、歯切れが悪いな」

楓「まぁ聞いてよ」




6: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:18:55.96 ID:wpR5FNwE0



楓「その子とその子が好きな女の子はね、小学生の頃からの同級生同士なんだって」

楓「たまにケンカをしたけれど、それでも毎日一緒にいたんだ。いつも遊んで話して楽しくしてた」

楓「けれど、いつしか自分の中に楽しいと思う以上の感情が出てきた」

楓「ソレが、好きだという気持ちに気づいたのは中学生の頃。何でもない夕日の帰り道」

楓「それからは毎日が幸せだった。だって一緒にいられるだけで良かったんだから」

楓「でも高校に入ってから、好きでいるだけじゃ耐えられなくなった」

楓「環境の変化……周りの幸せを見てしまうと、自分も求めてしまう。相手にも好意を持って欲しい、と」

楓「そして女の子は、ついに耐えられなくなった。そして……」

ゆず「そして……?」

楓「……私が聞いたのはここまで。その先は知らないんだ」

ゆず「ふぅん。なんていうか、難しい問題だな」

楓「そうだね……」

ゆず「まぁ、こういうのは当人同士の問題だからな。他人がどうこう言えるもんじゃないよなぁ」



7: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:19:23.53 ID:wpR5FNwE0



楓「……ねぇ。もし、もしだよ。私がゆずを好きだと言ったら、ゆずはなんて言うんだろうね」

ゆず「いや、何言ってんだよお前……だって、」

楓「女の子同士は、やっぱりヘン?」

ゆず「当たり前だろー? それに、そんなことあるはずないし……」

楓「うん……」

ゆず「お互い、そんなキャラじゃないだろ? うん、やっぱり想像できねーなー」

楓「そう……だよね……」ニコッ

ゆず「まったく、冗談もそれくらいにしてそろそろ帰ろ……っ!」

楓「……」ポロポロ

ゆず「なんで……」

楓「な、なに?」

ゆず「何泣いてんだよ、楓……」

楓「え……ぁ、うん……あれ、おかしいな……」ゴシゴシ

ゆず「楓……?」

楓「ずっと、こうやって話す時のシミュレーションしてたんだけどなぁ……あはは」

楓「私は、不器用みたいだから……やっぱり、涙が止まらないよ……」

ゆず「楓……」

楓「……っ!」ダッ

ゆず「あっ、おい! どこ行くんだよ、おぃ!」




8: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:21:55.43 ID:wpR5FNwE0




廊下

楓「はっ……はっ……はぁっ……」タッタッタッ

楓(バカだなぁ、私って)

楓「っく……はっ……はぁっ!!」

楓(何言ってるんだろう。何してるんだろう)

楓(あんなに練習したのに、どうして上手くいかないんだろう……)

楓(ウソをついて、予防線を張って、保険を掛けて……)

楓(バカ、バカバカ……バカだ、私は……)





9: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:22:23.98 ID:wpR5FNwE0




屋上

ガチャッ キィィィ

楓「はーっ……はーっ……」スタスタ

楓(やっぱり、追いかけてきてはくれないんだよね……)

楓(ただの友達だもん……)

楓(今頃は、明日になればまた元通り、なんて思ってるに違いない……)

楓(それでいいんだよ、だってヘンだもん)

楓(こんな恋は、許されないんだから……)

楓(……でも、おかしい、おかしいよ……)

楓(みんなは、あんなに幸せそうなのに)

楓(どうして、私だけ)

楓(……どうして、どうしてどうして……私だけ……)




10: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:22:51.14 ID:wpR5FNwE0




楓「……」ボーッ

楓「夕日、キレイだなぁ……」

楓「そういえば、こんな夕日の帰り道だったかな……」

楓(いいな、みんなは)

楓(好きな人が、自分を好いてくれて……)

楓(私も、そういう人を好きになれば良かったのに)

楓(羨ましい……みんなが)




11: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:23:25.93 ID:wpR5FNwE0




楓(相手が自分を好いてくれると限らないのに、バカみたい……)

楓(恋をするのって、とっても……辛いんだ。ううん、恋じゃなくて、失恋かな)

楓(……漫画で読んだ時は共感なんて出来なかった)

楓(どうしてこの主人公の少女は泣いているんだろうって思った)

楓(フラれて、逃げて、また泣いて)

楓(恋が実らなかったくらいで、大げさな……なんて)

楓(そう思っていた)

楓(でも春香達やコトネ達のコトを知ってしまった今、そして……)

楓(こうして消沈している私……)

楓(……今なら分かる)

楓(本当に好きな人がいるって、とても辛くて悲しいんだ)

楓(こんなことなら、いっそ……ゆずのこと、ゆずのことを……好きになんて、)

楓「っ……!!」





12: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:23:54.24 ID:wpR5FNwE0




ガチャッ キィィィィ 

ゆず「ここにいたのか……探したぞ。ほら、カバンだ。まったく、何飛び出してるんだよ」

楓「ん、ありがとう……」

ゆず「……」

楓「じゃあ、帰ろっか……」

ゆず「……待てよ。いくら鈍感のあたしだって、さっきの意味くらいは分かるよ」

楓「分かんないよ、絶対に……」

ゆず「いいや、分かるよ」

楓「ふぅん……。じゃあ言ってみてよ、さっきの意味をさ。分かるんでしょ?」

ゆず「楓……お前……」




13: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:24:30.16 ID:wpR5FNwE0



楓「早く、言ってよ!」

ゆず「……さっきのは、その……あたしを好きだってこと、なんだろ……?」

ゆず「それなのに、あたしは楓のことを傷つける言い方をした……。ごめんな」

ゆず「知らなかったんだ……楓が、そう思っているなんて……本当にごめん」

楓「へぇー……。そういう意味で取ったんだ」

ゆず「な、なんだよ。だって今のは」

楓「もういいよ。たらればの話だったんだ」

ゆず「楓……? でも、さっきお前泣いて……」

楓「何勘違いしてるんだい。ちょーっとゆずを驚かせようと思っただけだよ。ホントホント」

ゆず「……」

楓「高校入ってからは、私のターゲットが春香に変わったからね」

楓「ゆずはイジって貰えなくて寂しがってるかと思ってさー」

楓「しっかし、引っかかってくれたねー。うん、私の泣き真似は上手いみたいだ」

楓「これなら演技派としてもやっていけるね~……」

ゆず「……」

楓「じゃあ、帰……」




14: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:25:20.42 ID:wpR5FNwE0



ゆず「ウソだ」

楓「……」

ゆず「なんでウソをつくんだよ。あたしらの仲だろ? なんで、なんでウソつくんだよ!!」

楓「何言ってるのさ、ウソなんか、」

ゆず「……いいや、あたしには分かるよ。楓と何年一緒だと思ってるんだ」

楓「っ……!」ダッ

ゆず「逃げるな!」グイッ

ゆず「……楓はあんまり感情を表に出さないから、みんなには分からないだろうけど」

ゆず「あたしには分かる」

ゆず「なぁ、教えてくれよ……」

楓「……」

楓「そうだよ……」

楓「ほんと、こんなに長く一緒にいなければよかったよ……」

ゆず「楓……?」

楓「いまさら私が、ゆずを好きだなんて、言えると思う……?」ポロポロ





15: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:26:03.47 ID:wpR5FNwE0




ゆず「……」

楓「いつも一緒にいて、何でも話せていたのに、何でもは話せなかった」

楓「周りが幸せになっていくから、私は悩んだ。すごく、すごく」

楓「そのうち、一緒にいることさえ辛くなった。そうでしょ? だって好きなのに言えないんだよ……」

楓「知っていたから。この気持ちは、許されるモノじゃないって」

楓「そんな辛いこと、耐えられるワケがないよ……」

楓「でも、一緒にいないなんて選択肢は無かった。いつもゆずが私といてくれたから」

楓「このままじゃ、私は……私の気持ちは、壊れちゃうよ……」

楓「ゆずは、私の何なの?」

ゆず「……」

楓「ねぇ、答えてよ……ゆず……」

ゆず「楓……」




16: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:26:36.33 ID:wpR5FNwE0



タッタッタッ

???「もぉ! なんで私が……こんなところに……」

???「いいからいいから!」




17: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:27:31.73 ID:wpR5FNwE0





ゆず「お、おぃ……誰か来るぞ……」

楓「っ!」ドンッ

ゆず「うわっ!」

楓「じっとして……」

ゆず「でも、この体勢……」

楓「……」ギュゥッ

楓(ゆずの心臓の音が聴こえる……)

楓(これも、私が視た、一つの夢……)





18: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:28:04.51 ID:wpR5FNwE0




ガチャッ 

春香「うわー、キレイ!」

優「ぁー、そうだね、キレイだね。……ねーねー、もう行こうよぉー」

春香「えー、もう少しだけ、ねっ、ねっ?」

優「もぉー、その言葉、今日何回目だと思ってるのさ」

春香「んー……2回目くらいかな?」

優「……帰る」プイッ

春香「あーん、分かった! 抹茶アイスね、あとでおごってあげるから、ね? ね? いいでしょ?」

優「チョロイ人みたいな扱い、止めてくれないかなっ」プンプン

春香「じゃあいらないの?」

優「いる……」

春香「ねー、あっち! あっちの方が夕日、キレイだよ!」タッタッタ

優「はぁ~……しょうがないなぁー……」テクテクテク




19: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:28:39.20 ID:wpR5FNwE0



物陰

ゆず「あのさ、近い……」

楓「うん……」

ゆず「アイツら向こうに行ったし、そんなに抱きつかなくても……」

楓「ううん……」

ゆず「……楓?」

楓「……」スッ

ゆず「……ぉ、おい……どこに手を回して……っ!」

楓「……」ピタッ

楓(あと、1秒)

楓(あと、3cm)

楓(あと、ほんの少しの勇気があれば、私は。私は……)




20: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:34:12.65 ID:wpR5FNwE0



優「……まったく。こんなと……で……スしようだなんて、春香は……」

春香「ぇー、私は夕日に染ま……屋上でキ……って、すごく青春し……と思う……なー」

優「それは、まぁそうだけど……」

春香「それに、優ちゃんとっても可愛かったよ? ふふー」

優「……っ!! 知らない知らない! 早く行かないとお店閉まっちゃうよ!」タッタッタ

春香「もぉ、照れちゃって……あーん、待ってよ優ちゃーん!」

ガチャッ キィィィィ バタンッ




21: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:34:39.94 ID:wpR5FNwE0



楓「……」

ゆず「……」ジッ

楓「……」

ゆず「……」

楓「……」スッ

ゆず「……」

楓「ごめんね……」

ゆず「ん……」




22: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:35:20.61 ID:wpR5FNwE0




楓「ほんの少しの勇気も持ってないなんて……弱い人間だね……私は」

ゆず「そんなことない。今、シてたら……きっと私は楓をキライになってたと思う」

楓「そっか……じゃあ私は正しかったんだね……」

ゆず「なぁ、どうしてそこまで焦ってるんだ……?」

楓「どうしてだろうねぇ……周りの幸せに当てられたのかな」

ゆず「でも、あたしも楓も、楓が言う“みんな”じゃない。だろ?」

楓「うん。でも、やっぱり寂しいよ。私の気持ちは、一体どこへ行けばいいんだろうって」

ゆず「……さっきの答え、だけどな」

楓「……うん」

ゆず「あたしは、楓を……恋愛対象に見てなかったから、すぐに恋人になるってのは出来ない」

楓「そうだよね……」

ゆず「でも、あたしもきっと好き……だぞ……それがまだ恋愛感情になってないだけで」

ゆず「これから変わっていくかもしれない。たぶん、そうだと思う。こんなに好意を向けられたのは初めてだから」

ゆず「……虫のいい話かな」

楓「さぁ、どうだか。でも、それはとっても嬉しいよ、ゆず」




23: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:35:50.01 ID:wpR5FNwE0



ゆず「なぁ。もし……キスしたかったら、その……するか?」

楓「え……?」

ゆず「さっきさ、楓の気持ちを貶しちゃったから、そのお詫びに……楓も、したそうだったから、さ……////」

楓「もういいのに……でも」

ゆず「ん?」

楓「……シて、欲しいな……v」

ゆず「わ、分かった……いくぞ?」

ゆず(あ、あれ……あたし、口大丈夫かな。さっき飲んだジュースの味で、いいかな……)

ゆず(唇、大丈夫だっけ? さっきリップを塗ってたような……うぅ、もういくしかない……)

楓「……」

ゆず「……」オソルオソル

楓「……」

ゆず「んー……」ドキドキドキ




24: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:36:17.35 ID:wpR5FNwE0




楓「……」フイッ

ゆず「え、なんで……」

楓「……まだ、いい」

ゆず「どうして……」

楓「これじゃあ私のワガママだからね……」

ゆず「……」

楓「ゆずが本当の意味で私を好いてくれた時まで、待ってるよ」

ゆず「そっか……ありがとな」

楓「……友達以上、恋人未満……か」

ゆず「やっぱり不満?」

楓「ううん、上出来だよ。やっぱり、私達はここから始めたほうが良いんだよね」

ゆず「あたし達らしく、な」




25: しぃな ◆CB7w5rWLD6 2014/06/06(金) 00:36:46.56 ID:wpR5FNwE0




楓「ねぇ。昔さ、手を繋いで帰ったこと、覚えてる?」

ゆず「さぁ。もうそんな昔の話は忘れちゃったよ」

楓「そっか……」

ゆず「だって……。ずーっと楓といるんだぞ? どれがどの記憶だったか、もう分からないよ」

楓「……うん」

ゆず「その記憶のどこにも、楓がいる。昨日までも、今も、明日からもな」

楓「嬉しいね……」

ゆず「どうする? 手……繋いで帰るか?」

楓「恥ずかしいよ……」プイッ

ゆず「たまには、いいだろ」ギュッ

楓「ん、そうだね……」ギュッ

ゆず「楓、これからもよろしくな」

楓「こちらこそよろしく……ゆず」







テテテテンッ デデデンッ!           つづく





引用元: 楓「ゆずレモン、みかん味」