1: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:22:36 ID:9y6
少女「留年生~、資格なし4留の留年生はいりませんか~?」

冬の寒い夜、少女は留年生を売りに街に来ています。

少女「留年生はいりませんか?」

企業「留年生なんかいらないよ」

少女「そうですか……」

ですがなかなか留年生は売れません。

3: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:26:05 ID:9y6
少女「留年生はいりませんか~?資格なし4留の留年生~」

企業「26歳か……資格があってもいらないなぁ」

企業「お嬢さん、留年生でこんなに不細工じゃ売れないよ」

資格なし4留生は全く売れません。

少女「はぁ……これじゃあお家に帰れないわ」

少女はため息を漏らします

4: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:32:16 ID:9y6
少女「そうだわ、きっとあの企業さまなら買ってくれるはず!」

少女はFラン学生が集まる企業ブースへ走りました

少女「外食産業さま、留年生はいりませんか?」

優しそうなブラック企業の役員は言いました

役員「ふむ、4留に資格なしは構わないが……はじめから精神を病んでるのはもらえないな」

少女「そうですか……」

ブラックの代名詞、外食産業も4留生は買いません

5: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:36:27 ID:9y6
企業「キミ、人より何年も無駄な時間を過ごして親御さんに悪いと思わないのかね?」

企業「長い時間を過ごしているのになんの資格もないのはいただけないね」

少女は途方に暮れます

少女「全く売れない……あ、雪が……」

かわいそうな少女は暖をとろうとして留年生の布団を奪い中に入りました

6: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:40:52 ID:9y6
少女「全然干してないからジメジメしてて臭いわ……」

悪臭に耐えながらしばらくしていると、不思議な光景が見えてきました

「あ……あれはメーカーに就職した先輩……安定した生活と年収を得ているわ」

「あれは学歴が下なのに有名企業に入社した後輩……同窓会でこれみよがしに自慢してるわ」

しかしそれらは留年生が苦しみ暴れだすと消えてしまいました

8: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:45:36 ID:9y6
「ああっ……せめてストレートに卒業していればこんなことには……」

少女はまた布団に潜ることにしました

しばらく悪臭に耐えていると、また不思議な光景が浮かんできました

「ああっ、あれは……」

そこには留年生と高校時代、唯一話していた友人がいたのです

9: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:52:04 ID:9y6
その関係は友情ではなく、容姿も成績もすべてを見下して

蔑むことで心の安寧を保つのに好都合だった知人でした

彼は遠いところからこちらを見ることもなく某自動車メーカーの社屋に消えていきました

「そう、彼は夢を叶えたのね……」

夢はプロダクトデザイナーになると言って、下手くそな車の絵を見せていた彼ですが

国立の工学部に入り、地道な努力をしてついに有名メーカーへの就職を成功させました

院卒2年目ですがやりがいを感じている様は、留年生にはまぶしすぎる光景で

気がつけば留年生はポロポロと涙を流していました

10: 名無しさん@おーぷん 2015/01/30(金)02:55:04 ID:9y6
明くる日の朝

留年生は繰り返し見る不思議な悪夢に耐え切れず首をつって人生を終えていました

少女は留年生の布団の臭さに苦悶の表情を浮かべ凍死していました

これでもう就職活動をする必要はなくなりましたね

~終~

引用元: ダブり売りの少女「留年生~、留年生はいりませんか~?」