1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 15:54:51.92 ID:C/dmg5a5O
キョン「何の」

ハルヒ「声優の」

キョン「スーパーの面接か」

ハルヒ「バカ違うわよ。声の方!」

キョン「誰が」

ハルヒ「SOS団全員」




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 15:55:40.68 ID:C/dmg5a5O
みくる「ひえっ!」

みくる「………私もですか?」
ハルヒ「勿論」

ハルヒ「5人受けりゃ一人くらい受かるでしょ」

ハルヒ「もちろんみくるちゃんは最有力候補よ!」

キョン「そりゃあ、こんなに可愛らしい声優は未だかつて居ないだろうが」

ハルヒ「でしょー?」

ハルヒ「現役美少女女子高生声優誕生!」

ハルヒ「これでSOS団の名前も轟くわ!」





4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 15:57:45.35 ID:C/dmg5a5O
キョン「…で、オーディションとやらはいつなんだよ」

ハルヒ「今日」

キョン「はいぃ?!」

ハルヒ「休まれたりしても困るからね」

キョン「しかし、オーディションの前に書類選考とか…」

ハルヒ「1ヶ月前から古泉君に秘密裏に準備して貰ってたのよ。」

キョン「…………」ギロッ

古泉「いやぁ、全員分の履歴書を書くのは骨が折れました」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 15:58:32.98 ID:C/dmg5a5O
キョン「お前はどこのねーちゃんだよ…」

古泉「でもそのかいあって全員、書類選考合格ですよ!」

古泉「良かったじゃないですか」

キョン「よくねぇよ。」

キョン「…お前一体どういうつもりだ。」

『俺だけ』の朝比奈さんが『みんな』の朝比奈さんになっちまうじゃねーか!



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:00:36.90 ID:C/dmg5a5O
古泉「多分、涼宮さんは『オーディション』と言うものを体験したかったのでしょう。」

キョン「でもな、お前遊びじゃ…」

古泉「大丈夫です。その養成所、機関が経営してますから。」

キョン「…なんでもやってるんだな。」

長門「…………」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:02:47.07 ID:C/dmg5a5O

市民ホール

審査員「それじゃあ最初の人」

みくる「ひゃ!ひゃい」

審査員「好きな声優は」

みくる「えぇ…えっとお…」

みくる「………えっとお」

みくる(どうしよう…この時代の声優なんて知りません…)



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:05:10.07 ID:C/dmg5a5O
みくる「え…っとぉ」

みくる「アンパンの人です」

審査員「名前は」

みくる「えっとぉ…その人はマチルダさんとかもやっていて…」

審査員「名前は」

みくる「と…と…」

審査員「次の方」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:09:05.97 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ(みくるちゃん多分落ちたわ)

キョン(なんでだよ)

ハルヒ(審査員が女なんて想定外だったわ)

キョン(声優の名前を答えられないだけでおとしゃしないだろ)

ハルヒ(あういうタイプって女に異様に厳しいのよ)

審査員「次の方」


長門「…………はい」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:13:16.07 ID:C/dmg5a5O

審査員「好きな声優は」

長門「金田まひる」

審査員「目標とする声優は」

長門「小野坂昌也」

キョン(おー!長門、中々頑張ってる)

ハルヒ(ダメよ。多分有希は落ちたわ)

キョン(………何でだよ)

ハルヒ(言ったでしょ、ああいうタイプは女に異様に厳しいって)


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:21:34.41 ID:C/dmg5a5O

審査員「だめね」

長門「何が」

審査員「どうして目標とする声優が男なの?」

長門「問題はないはず」

審査員「あなた、女でしょ」

審査員「私が聞いたのは目標となる声優よ。」

審査員「だったら女の声優を目指しなさい。」

審査員「男には男の女には女の役割があるのよ」

長門「………」

キョン(………意外と深いな)


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:29:46.43 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ(………ねっ)

キョン(まあ、声優を目指す以上は正論じゃないか)

ハルヒ(問題は正論かどうかより、落ちるか落ちないかなのよ。)

審査員「次の方」

ハルヒ「はい」

審査員「好きな声優は」

ハルヒ「平野綾」

審査員「目標とする声優は」

ハルヒ「平野綾」

審査員「じゃあ演劇経験は」

ハルヒ「中学生の時に、ちょっとね」

審査員「じゃ、この台本読んでみて」

ハルヒ「……………!」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:31:47.02 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「何これ」

ハルヒ「『まったり』しか書いてないじゃない!」

審査員「読んで。」

ハルヒ「私、演劇経験あるのよ。もうちょっと難しいのやらせなさいよ!」

審査員「次の方」

ハルヒ「ちょ…ちょっと!」




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:34:47.51 ID:C/dmg5a5O
古泉(多分、涼宮さんも落ちましたね。)

キョン(みたいだな。)

古泉(今回、中々合格しない様に審査員は少々厳しめの方を用意しましたから。)

キョン(しかし、何が気に入らなかったんだ)

古泉(多分、基本をすっとばして発展させようとする涼宮さんの姿勢ではないかと)

古泉(涼宮さんは何でも出来てしまいますからね。仕方ない事だとは思いますが)

審査員「次の方」

古泉「はい」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:43:39.07 ID:C/dmg5a5O

審査員「好きな声優は」

古泉「塩沢兼人さん…ですかね。亡くなってしまい非常に残念です」

審査員「目標とする声優は」

古泉「若本規夫さんです。コンスタントに仕事があるのは羨ましい限りです」

審査員「演劇経験は」

古泉「文化祭で」

審査員「じゃあ、この台本読んでみて」

古泉「まったり」

審査員「お茶を飲んでるつもりで」

古泉「まったり」

審査員「ふかふかの布団に顔をつっこんだつもりで」

古泉「まったり」

審査員「じゃあ、次は…」

ハルヒ(審査員と続いてるわ。古泉君すごいわね)

キョン(あいつ、声優に向いてるんじゃねーのか)


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:45:59.49 ID:C/dmg5a5O

キョン(ま、古泉は合格だろうな)

キョン(SOS団から一人は確定みたいだし俺は適当にやらせてもらうぜ)

ハルヒ(だめよ!)

キョン(俺は声優にも詳しくないし演劇経験もないんでな)

古泉「まったり」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:48:31.95 ID:C/dmg5a5O

審査員「…いいわ。次の方」

キョン「はい。」

審査員「好きな声優は」

キョン「いません」

審査員「目標としてる声優は」

キョン「いません」

審査員「なぜ」

キョン「声優についてあまり俺は詳しくないので」

審査員「なんで声優になろうと思ったの?」

キョン「付き添いです。なろうとは思ってません。」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:51:30.61 ID:C/dmg5a5O

審査員「演劇経験は」

キョン「ないです」

審査員「これ、読んでみて」

キョン「まったり」(棒読み)

審査員「お茶を飲んでる気持ちになって」

キョン「まったり」(棒読み)
ハルヒ(…………ダメねこりゃ)

古泉(仕方ありません。彼は素人なんですから。)

ハルヒ(でもここまで酷いとは思ってなかったわよ)

キョン「まったり」(棒読み)

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:53:37.23 ID:C/dmg5a5O

審査員「酷いものね。棒読みじゃない。」

キョン「はい。」

審査員「やる気あるの?」

キョン「いいえ。」

審査員「何の為にここに来たのかしら」

キョン「ですから付き添いで」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:55:08.08 ID:C/dmg5a5O

審査員「………わかりました。これで審査は終了です」

審査員「合格者には後日通知が行きますから。じゃ。」

みくる「ふぅ…」

古泉「はぁ………」

キョン「やれやれ……」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 16:58:31.50 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「しっかし、なんなのかしらあのオバサン。」

ハルヒ「気にくわなかったわ」

キョン「まぁ…多少嫌味な感じではあったよな。」

ハルヒ「ま、最後キョンのおかげでなんかスッキリしたけど。」

ハルヒ「さ、皆今日の事は忘れましょ!」

キョン「忘れましょってお前が言い出したことじゃないのか」

ハルヒ「うるさいわね。今日は皆、キョンの奢りでご飯行きましょ!」

キョン「ちょ…なんでこんな流れになるんだよ…」

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:05:15.18 ID:C/dmg5a5O
数日後

キョンの妹「キョンくーんてがみー!」

キョン「ん?あ、その辺に置いといてくれ」

キョンの妹「なんかねーハガキに『とく…まち…あい…かく』って書いてあるよー」

キョン「『とくまちあいかく』?」

キョンの妹「うん!」

キョン「特まちあいかく」

キョン「特待あいかく」

キョン「特待合か……」


キョン「まさか…」

特  待  合  格 !
とく たい ごう かく


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:13:35.63 ID:C/dmg5a5O

キョン「『特待合格』って…どういう事だよ…」

キョン「とりあえず古泉に電話だ!」


プルルルルル

古泉「はい。古泉です。そろそろ掛かって来る頃かと思いましたよ」

キョン「お前にも…届いたのか『特待合格』とか言うハガキが」

古泉「ええ。僕の方には『一般合格』のハガキが…ですが」

キョン「………何が違うんだよ」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:20:08.17 ID:C/dmg5a5O

古泉「『一般合格』は学費が自分持ちなのですが、」

古泉「『特待合格』は学費が免除になります。」

キョン「タダなのか」

古泉「ええ。その上、一般合格よりもかなりデビューする可能性は高いです。」

古泉「普通は何か賞を取ったり、出演経験がないと特待合格は難しいのですが…」

古泉「どうやら審査員があなたを気に入った様ですよ。」

キョン「お前の嫌がらせ…じゃなくてか?」

古泉「ははっ」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:22:29.21 ID:C/dmg5a5O

キョン「貴様……」

古泉「でも、審査員の方があなたを気に入った事は事実ですよ。」

キョン「何にも気に入られる事なんかしてないぞ」

古泉「そう。それです。」

キョン「は?」

古泉「あなたはあの中で唯一自然体で臨んでいたんですよ。」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:26:17.58 ID:C/dmg5a5O

古泉「育てる方にしても…ま、ゼロからの方がやり易いですからね。」

古泉「で、どうします?」

キョン「もちろんお断りだが」

古泉「そうですか…涼宮さんも大変喜んでおられたんですけどねぇ…」

キョン「お前………まさかハルヒに言っちまったのか?」

古泉「いいじゃないですか。養成所。僕もご一緒しますよ」

キョン「………」

古泉「あぁ。それと、長門さんの所にも届いたみたいですよ」

古泉「合格のハガキ」

キョン「長門にも?」



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:40:41.89 ID:C/dmg5a5O
駅前

キョン「またせたな」

古泉「いやぁ、まさか来てくれるとは思いませんでしたよ」

キョン「………来なきゃならない様な状況にしたのはお前だろ」

古泉「ははっ」

古泉「じゃ、行きましょうか」

長門「……………」



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:46:34.77 ID:C/dmg5a5O

キョン「………ここか」

古泉「ここです。」

見るからに古そうな建物。
だいたい…

長門「築60年と推測される」
キョン「ここが養成所なのか」

古泉「ええ。急だったものですから」

古泉「弱小事務所しか買い取れませんでした」

キョン「わざわざハルヒの下らない提案の為にか」

古泉「ええ」

キョン「…手間の掛かる事を」



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:48:45.98 ID:C/dmg5a5O

キョン「失礼しまーす」

講師「あら、来たのね」

講師「おはようございます」

キョン「………こんにちは」

講師「おはようございます」

キョン「……は?」

講師「この世界ではあいさつは『おはようございます』。もう一回」

キョン「……おはようございます」

めんどくせえ…


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:50:52.30 ID:C/dmg5a5O
教室

生徒一同「オハヨウゴザイマース」

キョン「………え」

生徒一同「オハヨウゴザイマース」

古泉「おはようございます」

生徒一同「オハヨウゴザイマース」
長門「…………おはよう」

キョン「なんなんだ…ここは」


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 17:53:04.15 ID:C/dmg5a5O
講師「今日から一緒に勉強する三名です。」

キョン「…よろしく」

古泉「よろしくお願いします」

長門「………」

生徒一同「ヨロシクオネガイシマース」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:00:35.08 ID:C/dmg5a5O
こうして俺の声優への道は始まってしまった。

始まらなくて良かったのに。

俺はここに通う内に役に「感情移入をすること」を覚えた。
時には夢中になり壁に頭を突っ込んだり
古泉なんて自分の表情を確認する為の鏡にダイブしてしまった。

長門は相変わらず…だが、ナレーターとしての需要があるらしい。

そんなこんなで1ヶ月が立った

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:03:24.47 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「アンタ、最近部室に来ないわね」

キョン「そうですか?申し訳ありません。」

ハルヒ「………アンタ、誰よ。」

キョン「いや、今日は爽やかな美少年と言う設定なのだが」

ハルヒ「全然爽やかでも無いし、美少年でもないわよ」

キョン「そうですかね…。」

ハルヒ「………何なのよ」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:07:20.03 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「(小声で)ちょっと古泉君、やり過ぎじゃない?」

ハルヒ「確かにSOS団で宣伝アニメを作ったりするためとか」

ハルヒ「もっと積極的になる様にキョンに勉強させに行くよう頼んだけど…」

古泉「ん?何だよ。」

ハルヒ「……え。」

古泉「何でもないなら寝かしといてくれ」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:10:59.00 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「ちょっと……どういう事よ」

みくる「キョンくんお茶です」

キョン「ありがとうございます朝比奈さん(キリッ」

みくる「え………あ………」

キョン「うーん。美味です。(キリッ」

みくる「あ……ありがとう」

みくる「古泉くんもどうぞ」

古泉「ありがとうございます。」

ずー

古泉「あぁ……」

みくる(キョン君がキリッとしてて)

みくる(古泉君がなんか…気が抜けてます…)



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:13:48.07 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「ちょっと、二人とも変よ!」

ハルヒ「なんか古泉君はキョンぽいし…キョンは古泉君ぽいわよ?」

キョン「そんなつもりはないんですけどね。」

古泉「な。…俺達はいつも通りだぜ。」

ハルヒ「ちょっと…あそこで何があったのよ…」

長門「…………」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:17:24.40 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「有希、あなた何か知ってる?」

長門「………多分、あの二人は役に入り込み過ぎた」

長門「そして『自分自身』を見失ったと考えられる」

ハルヒ「でもなんでキョンと古泉君の性格が入れ替わってるのよ」

長門「きっと一緒にいる時間が長かったからだと考えられる」

ハルヒ「そう…」

ハルヒ「元に戻る方法は?」

長門「あるにはある」



78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:20:49.80 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「それってなによ?」

長門「時間がたてば。」

ハルヒ「どのくらい?」

長門「………2~3日」

ハルヒ「そうなの…」

キョン「朝比奈さん、素晴らしいお茶でした。」

キョン「良ければ、このお茶について詳しくお話を聞きたいのですが(キリッ」

みくる「え………あ…」

ハルヒ「2~3日…あのままか」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:25:20.73 ID:C/dmg5a5O

教室

谷口「よぉ!キョン、お前声優になるんだってな。」

キョン「これは耳が早い。どなたから聞いたんです?」

谷口「涼宮が嬉々としながら話回ってたぜ。」

谷口「っつうかお前、早速演劇の練習か?気合い入ってんなーww」

キョン「そんなつもりではないんですがねぇ…」

国木田「いや、何かおかしいよ。キョン。」

キョン「僕は至って自然体、ですよ」にこっ

谷口「oh…………」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:27:20.85 ID:C/dmg5a5O

キョン「じゃあ、そろそろ部室に行かなければなりませんので」

キョン「僕はこれで。」

谷口「………」
国木田「………」

ハルヒ「………」

ハルヒは机に伏した。

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:29:28.75 ID:C/dmg5a5O

部室
コンコン

長門「…どうぞ。」

キョン「失礼します」

キョン「どなたか?」

長門「古泉一樹以外、誰もいない」

キョン「………」

キョン「……………そうか」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:32:17.24 ID:C/dmg5a5O
古泉「やぁ。」

キョン「ったく。疲れるぜ。」

古泉「どうです?上手く行ってますか?」

キョン「何とかな。」

キョン「しっかし無茶な作戦をお前も立てるもんだな。」

古泉「おや。デビューするのとどっちがいいですか?」

キョン「…………」

古泉「演劇を辞めるために演劇をする…なんて皮肉なもんですね。」




91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:35:45.97 ID:C/dmg5a5O

キョン「あと2~3日、やってりゃいいのか?」

古泉「ええ。」

古泉「勝手に辞める、何て言ったら涼宮さんは何と言うか。」

古泉「SOS団の宣伝アニメに有名声優を使いたい」

キョン「でもお金がないから、団員を声優にしてキャスティングしましょ!なんて」

キョン「ぶっ飛んでやがる」





96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:41:06.12 ID:C/dmg5a5O
古泉「『役にどっぷりつかりすぎてSOS団の事を忘れてしまうかもしれない』」

古泉「そう涼宮さんが思い、『演劇をやめろ』と言ってくるのも時間の内ですよ」

古泉「しかしまさか本当にデビューさせられかけるとは…」

古泉「才能、あるんじゃないですか?」

キョン「………望まないのにデビューするなんて、まぁ色んな方面に申し訳無いし」

キョン「俺には不相応だ。」

古泉「SOS団の雑用係があなたに相応だと?」

キョン「………まあな。」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:44:09.79 ID:C/dmg5a5O

キョン「しっかし、あと2~3日このままは…キツいな。」

古泉「じゃあ、ローテーションすればいいんじゃないですか」

キョン「ローテーション?」

古泉「明日は僕は長門さん。貴方は…」

キョン「俺は?」

古泉「朝比奈さん辺りはどうでしょう?」



100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:48:19.43 ID:C/dmg5a5O
翌日

ハルヒ「キョン!」

キョン「あ………え…」

ハルヒ「元に戻った?全く…心配かけさせないでよね。」

ハルヒ「今回は特別に許してあげるから…」

キョン「…………」びくびく

ハルヒ「許すって言ってるでしょ?ビクビクしないでよ。まるで私が…」

キョン「ご………ごめんなさぁい…!」

ダッ

ハルヒ「ちょ!キョン!」

ハルヒ「キョン………」




102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:52:17.53 ID:C/dmg5a5O
部室

キョン「………ハァハァ」

長門「…………」

古泉「…………」

キョン「ちょっと…おかしくないか…」

キョン「お前は長門だろ。黙ってるだけで良いじゃないか。」

キョン「一方俺はただの不審者じゃねーか!」

古泉「…ああ。バレてしまいましたか。」

キョン「お………お前………。」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:56:16.95 ID:C/dmg5a5O

古泉「しかし、見事なまでに朝比奈さんになりきってましたねーw」

キョン「……見てたのか。」

古泉「傑作でした。」

古泉「いやぁ…人ってどんな才能を持ってるものか分からないものですねぇ…。」

キョン「笑い事じゃねーよ…先が思いやられるぜ…」

古泉「僕もです」

古泉「なんせ、あなたを見ながら笑いを堪えなければならないんですからwwwww」

キョン「既に堪えられてねーぜ」



105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 18:59:43.91 ID:C/dmg5a5O

キーンコーンカーンコーン

古泉「おっと、予鈴が鳴ってしまいました。」

古泉「…………頑張って」
長門「…………頑張って」

キョン「…………」

キョン「ひゃぁーい☆」


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:02:09.45 ID:C/dmg5a5O
教室

ハルヒ「遅かったじゃない。」

キョン「えっとぉ……ごめんなさぁい…。」

ハルヒ「………今度は誰よ」

キョン「誰でもないですぅ。」

キョン「私は…私ですぅ。」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「………もういいわ。」




109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:06:54.84 ID:C/dmg5a5O

谷口「おいキョン!飯食うぞ!」

キョン「はぁーい。」

谷口「………うぇ?」

キョン「どうしたんですかぁ?」

国木田「…今日は朝比奈さんみたいだね」

谷口「…キョンよ、お前がいくら朝比奈さんが好きでも」

谷口「やって良いことと悪いことがあるんだぜ?」

キョン「えー。じゃあ…」

キョン「女子のランク分けとかスリーサイズが書いてあるノートを作ったりするのはいいんですかぁ?」

谷口「え………あ……それはだな」

国木田「ダメだよね」



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:09:57.21 ID:C/dmg5a5O

谷口「……とにかくだ。」

谷口「ふざけてやってるなら止めろ。朝比奈さんにも失礼だぜ?」

キョン「ふぇ……」

谷口「えっ」

キョン「私は私ですぅ…ふざけてなんか……」

谷口「いや…そんなつもりは…」



114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:14:01.82 ID:C/dmg5a5O
キョン「本当ですかぁ?」

谷口「え………あ…」

谷口「ああ。」

キョン「よかったぁ~」

キョン「じゃ、ご飯にしましょう。これ、どうですか?」

机の上にカゴに入ったサンドウィッチが置かれる

キョン「ちょっと作りすぎちゃったんです。」

キョン「お二人もどうですかぁ?」

谷口「あ…………」

国木田「…どうやら本当みたいだね。谷口。」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:21:21.21 ID:C/dmg5a5O
部室
コンコン

古泉「…………どうぞ」

キョン「やっぱりこんなのふざけてるよなぁ?」

古泉「…………そう」

キョン「長門のふりして誤魔化そうとしても無駄だぜ。」

古泉「ははっ。やっぱり無駄でしたかw」

キョン「もう止めよう。このまま行くと俺は…」

キョン「胸が余りまくりのメイド服を着て全員分のお茶を入れ」

キョン「ひゃーい☆とか何とか言いつつドアを開けなければならない。」

キョン「その点お前はどうだ。椅子に座って本読んでりゃいいんだぜ?」

古泉「不公平ですよね。」

キョン「不公平だ。」

古泉「ですよね。変えましょうか。」

古泉「僕も耐えられる自信はありませんしw」



117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:32:15.40 ID:C/dmg5a5O
古泉「では次は誰にします?」

キョン「そうだな…」

古泉「では、僕が長門さん。貴方が涼宮さん…なんていかがでしょうか」

キョン「俺がハルヒか」

古泉「もうそれくらいしか残ってません。」

キョン「しかしなんだか釈然としないな。」

キョン「…なんでお前はまた長門なんだよ。」

古泉「不服ですか?じゃあ、貴方が僕の役を決めてください」

キョン「じゃあ…」

古泉「…朝比奈さん以外でお願いします」

キョン「…………チッ」



119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:34:50.76 ID:C/dmg5a5O

放課後・部室

バタン

ハルヒ「あれ、みくるちゃん。古泉君とキョンは?」

みくる「まだ…来てないんですよぉ…」

ハルヒ「そ。」

ハルヒ「じゃ、みくるちゃんお茶、お願いね」

みくる「はぁ~い」



120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:37:07.62 ID:C/dmg5a5O

みくる「はい、お茶です」

ハルヒ「ありがと。」

ハルヒ「うん。今日も美味しいわね」

コンコン

ハルヒ「!」

みくる「あ!」

みくる「はぁ~い!」

ハルヒ「……来たわね」



122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:45:53.06 ID:C/dmg5a5O
キョン「………」

みくる「あ、キョンくん」

キョン「………遅れて悪かったわね」

みくる「え……あ…はい」

ハルヒ「キョン、遅かったじゃない」

キョン「…悪かったって言ってる」

ハルヒ「…………!」

ハルヒ「何なのよ!団長に向かってその態度!」

キョン「はぁ?いつアンタを団長だって認めた?」




124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:47:28.60 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「…………え?」

キョン「いつもいつも雑用雑用って人をこきつかってるけど」

キョン「アンタのワガママに付き合ってらんないのよ。」

キョン「もともと好きでSOS団にいるわけじゃないし。」

キョン「今回だって勝手に応募してオーディション受けさせて」

キョン「しかも古泉に無理矢理言って合格させて、やりたくもない演劇させて」

キョン「迷惑ったらありゃしないわ!」

ハルヒ「…………アンタ」

ハルヒ「……………アンタそれ、本気で言ってんの?」

キョン「………あ」



127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:51:38.32 ID:C/dmg5a5O

キョン「…………」

ハルヒ「本気なのか演技なのか聞いてんのよ」

キョン「あ………アンタ一体何を…」

ハルヒ「止めなさい」

ハルヒ「私はキョンに聞いてるの」

ハルヒ「あんた、私が何も知らないと思ってたの?」

キョン「……え」

ハルヒ「あんたが養成所辞めたがってるのも」

ハルヒ「それを言い出せないことも」

ハルヒ「だから古泉君とこんな大根芝居してるのも」

ハルヒ「私、全部知ってたんだからね」


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:54:11.90 ID:C/dmg5a5O

キョン「…………」

ハルヒ「あんたの芝居、ヘッタクソなのよ。」

ハルヒ「どうせデビューの話かなんかを持ちかけられていい気になったんだろうけど」

ハルヒ「古泉君の物真似もヘッタクソ」

ハルヒ「みくるちゃんの物真似もヘッタクソ」

ハルヒ「ヘッタクソって言うか気持ち悪かったわ」

キョン「……………」



132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 19:59:44.45 ID:C/dmg5a5O
ハルヒ「そんなに辞めたきゃ辞めたいって言えば良かったじゃない」

キョン「………すまん」

ハルヒ「それとさっき、私になりきってたみたいだけど。」

ハルヒ「ヘッタクソだったわ。って言うか、半分本音よね。」

ハルヒ「私の姿を借りて…言いたいこと言えてスッキリした?」

キョン「………」

ハルヒ「帰る」

コンコン

みくる「あ……は…はぁい」

ガチャ

古泉「やあ、やあ、ありがとー!」

古泉「みんなー元気してたかーい!」

……………

古泉「あ………れ」



135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:02:24.48 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「………」

スタスタ

キョン「おい!待てハルヒ!」
ダンッ!

キョン「…………」

みくる「涼宮さん…」

長門「…………」

古泉「……え…もしかして僕のせいですか」



137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:06:24.75 ID:C/dmg5a5O
………………
……………
…………
……

古泉「…なるほど。涼宮さんは僕らのこと、気がついてたんですか」

みくる「私は全然…気が付きませんでしたぁ…」

みくる「ふ………ふぇ」

みくる「よかったぁ…」

みくる「キョンくんが元に戻って…よかったぁ…」

みくる「おかしくなっちゃったかと思いましたぁ…!」


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:09:10.72 ID:C/dmg5a5O
キョン「すみません…朝比奈さん」

古泉「しかし、確かにあなたも僕も結構な熱演だったと思うんですよ。」

古泉「あなたのクラスメート達も本気で心配してましたよ」

キョン「………なんでハルヒは見抜けたんだ?」

古泉「さぁ。ただ…」

キョン「ただ?」

古泉「ここから先はあなたが考えるべき事ですね。僕が口を出すのは野暮です。」

キョン「…………チッ」



146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:19:06.43 ID:C/dmg5a5O
キョン「………閉鎖空間とやらは発生してるのか」

古泉「いえ。未だに」

古泉「多分、あなたにこんなことをさせてしまったのを少しばかり後悔してるみたいですよ」
キョン「………あいつがか」

古泉「ま、でもあなたのセリフは少々行き過ぎでしたね」

古泉「涼宮さんだってもう少し考えて発言しますよ」

キョン「………」

古泉「涼宮さんだけは演じきれなかったんですね。」

キョン「………ああ」

古泉「まぁこのまま放っておけば…閉鎖空間が発生し、」

古泉「また、涼宮さんに『アレ』をしなければならないかも知れませんよ?」

キョン「…………」


147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:24:11.83 ID:C/dmg5a5O
何と言うか、俺は恥ずかしかった。
素直に「辞めたい」と言えば良かったんだ。
でも、「閉鎖空間が起こったら困るから」とか「ハルヒが不機嫌になるから」とか
上手な言い訳で
古泉と一緒に朝比奈さんやら谷口まで巻き込んで小芝居して
「素直になれないこと」をごまかしてたんだ。

しかもそれにハルヒは気付いていた。

それをハルヒの物真似をしている時に指摘される。

………恥ずかしい。恥ずかし過ぎる。

ハルヒじゃないが世界をぶっ壊したい程恥ずかしい。

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:27:03.70 ID:C/dmg5a5O

………謝ろう。

妹にも、朝比奈さんにも、谷口にも、国木田にも、長門にも。ついでに古泉にも。

もちろんハルヒにも。


なんて考えていたら
新聞配達のバイクがやって来てしまった。



149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:29:59.68 ID:C/dmg5a5O

翌日

教室

キョン「…………おはよう、ハルヒ」

ハルヒ「…………」

キョン「昨日は悪かったな。」
ハルヒ「………別に」

キョン「………」

ハルヒ「別に怒ってねーよ」

キョン「…………!?」


153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:33:56.12 ID:C/dmg5a5O

ハルヒ「俺も悪かった。」

キョン「…………ハルヒ?」

ハルヒ「辞めたいならさっさと辞めて、SOS団に戻って来たらどうだ。」

キョン「…………」

ハルヒ「…………」

ハルヒ「………こんな感じかしらねアンタって」

キョン「いんや。」

キョン「…………ヘッタクソだな」

ハルヒ「うるさい。」

ハルヒ「分かったら、放課後部室に来なさい」



159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:38:17.94 ID:C/dmg5a5O
部室

古泉「あなたの言う通り、あちらには断りの電話を入れておきました。」

古泉「あちらは大変残念がってましたけどね。」

キョン「ふんっ…」

古泉「ま、我々はこうして放課後、ボードゲームに講じる事がのがお似合いと言った所でしょうね」

キョン「………ボードゲームも飽きたな」

キョン「パソコンでテレビでも見るか」

160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:41:32.82 ID:C/dmg5a5O

古泉「このパソコンは高性能ですからね。」

ピッ…

キョン「これでいいだろう」

みくる「キョンくーん。お茶入りましたよぉ~!」

キョン「あ、ありがとうございます。朝比奈さん。」

みくる「あれ?このパソコンテレビも見れるんですか?」

キョン「えぇ。ボードゲームだけじゃ、流石に飽きますからねw」





164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/13(日) 20:50:19.26 ID:C/dmg5a5O

みくる「何見てるんですか?」

キョン「ドラマの再放送を…と思ったんですけど前の番組がまだ…」

みくる「でも、もう終わっちゃうみたいですね」

『秋葉原に部品を買いに来た阿藤カイ』

キョン「…………あれっ」


『明日は露天巡り。』


古泉「…………これは…」



この、ドラマの再放送の前に放送される何とないミニ番組。
しかし、俺たちはこの番組の最後、画面の横にひっそりと添えられた文字に度肝を抜かれた




ナレーション:長門有希