1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:15:45.68 ID:vYqniAE60
 
ペタッ、ペタッ……スッ、スッ

P「……ふむ、ようし。張り紙はこんなもんかな」


『アイドル募集! 君もトップアイドルに!!』


P「うん、いっつもスカウトで集めていたけど」

P「募集してくる子にもアイドルになれる子はきっと居るかもしれない」

P「……よーし! 次の場所に張り紙していくぞ! おー」


P「……って一人で何やってるんだか………とりあえず次の場所へ行くとするかぁ」

……スタスタスタ



   …………ゴロゴロゴロ…   ピカッ!   ゴロゴロゴロ………
  スタスタ……


「アイドル……募集……? これは……うん……行ってみよう……今度こそ……」
―――――――
――――――
―――――

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:18:24.56 ID:vYqniAE60
-後日-

ちひろ「あの、プロデューサーさん、この前募集の張り紙してましたよね?」

P「あー……数日前にいくつかの場所でやりましたねぇ」


ちひろ「早速応募がきてますよ、プロフィールが送られてきました」ペラッ

P「ふむふむ……どれどれ…………ふむ……」

P「うーん……写真だけだと何かパッとしないけど……笑顔になってないからかな……?」

P「でも、こう……なんかひっかかる感じというか、気になりますね………」


ちひろ「でしたら、こちらから連絡して面接をしてみるというのはどうでしょう?」

P「そうですね……今回は応募してきたということで、向こうがどんな子か見るなら面接かなぁ」

ちひろ「でしたら私のほうで面接の連絡を入れておきますから、プロデューサーさんはこの場所へ向かってください」ピラッ

P「って面接会場抑えてたんですか? 手際いいですね……」

ちひろ「募集するんですから、それぐらいはしておかないと」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:21:20.59 ID:vYqniAE60
P「了解っと、それじゃ早速向かいます。連絡のほう宜しくお願いしますね」

ちひろ「はぁい、いってらっしゃ~い」

――――
―――――
――――――

「……応募してみて、連絡貰った……けど」


 …………シーン……


「教えてもらった場所に……誰も居ない」

「あぁ……今回も失敗、かなぁ………」



…………タッタッタッタ、バタン!

「!」


P「ハァ……ハァ……申し訳ない! この場所ちょっと地図で分かりにくくて…ハァ……フゥ……」

「あ、あなたは……」

P「……ふぅーっ……ごめんね、俺は応募してもらったプロダクションのプロデューサーでPと言う」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:24:52.20 ID:vYqniAE60
P「今日はよろしく、ね」

「は……はい! 宜しくお願いします!」

────────────
白菊ほたる(13)
no title

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P「それじゃぁ面接始めてみようか、どうぞ座って」

ほたる「あ、はい……失礼します」スッ

P「それじゃ俺も……」スッ……


バキィッ! ズデッ!!

P「いだっ!? ぱ、パイプ椅子が折れて……痛っつ……」

ほたる「あ、あのっ大丈夫ですか? すみません……」

P「あ、あはは……みっともないとこ見せちゃったな、大丈夫大丈夫……」


P(コケた後急に謝られたけど……何だろう?)

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:27:53.02 ID:vYqniAE60
P「っと、気を取り直して……まずは自己紹介からお願いしていいかな?」

ほたる「あ…はいっ、私『しらぎくほたる』って言います、白い菊にひらがなのほたると書きます」

ほたる「年は13歳で、4月19日生まれの牡羊座です……」

ほたる「趣味は……えーっと、笑顔の練習と、アイドルになる為のレッスン……です」


P「ふむ……趣味がどっちも練習することってとても頑張り屋さんなんだね……そうだ!」

ほたる「……はい、なんでしょう?」

P「応募してくれた写真でもさ、今の表情もさ、ちょっと明るくないから」

P「できればその笑顔の練習したことで、こんな明るい笑顔できますよっていうのを」

P「ちょっとここで見せてもらってもいいかな?」

ほたる「え、ええっ!? 今、ですか……?」

P「うん、アイドルになるなら笑顔は必須ともいえるからね」

P「是非可愛らしく笑顔をしてほしいなって」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:31:32.04 ID:vYqniAE60
ほたる「え、えと……その………が、がんばってみます!」

P「い、いや笑顔はそんな気張ってやるものじゃないけど……」


ぐいっ
  むにっ


ほたる「ろ、ろうれふか……?」(ど、どうですか……?)

P「い、いやあの……手でほっぺをひっぱり上げてもそれは笑顔じゃ……」


ぐいぐいっ
 むにぃぃ

ほたる「え、えふぇふぇー」

P「頬をひっぱって口は上がってるけど……目じりと眉は下がったままでてちょっと残念な感じに……」



ぐいぃぃぃぃ!
 ぎりぎりぎり


ほたる「ふぅぅぅぅ……!」プルプル

P「ちょ、ストップストップ! ひっぱり過ぎて痛そうってか涙目になってる!」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:35:37.92 ID:vYqniAE60
―――――
――――
―――

ほたる「だ、だめでしょうか……」ヒリヒリ

P「ま、まぁ笑顔になる練習はうちのレッスンにもあるから、これから頑張っていけばきっと……」

ほたる「うぅ……」

P「俺が見る限りでは笑顔が映えるルックスはあるし……んーとそうしたら今度はアイドルになりたい理由とか」

P「アイドルになってこんなことをしてみたい、って思いがあったら教えてくれないかな」


ほたる「えと……はい、私……アイドルになってたくさんの人を幸せにしたいんです」

P「他の人を幸せに?」

ほたる「私……不幸体質で、自分だけじゃなく周りの人を不幸にしてしまって」

ほたる「迷惑をいっぱいかけちゃってるんです……さっき、プロデューサーの椅子が壊れたのも」

ほたる「きっとそのせいなんです……ごめんなさい」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:39:45.97 ID:vYqniAE60
P「…………」

P(さっき突然謝ってきたのはそのためか……不幸体質ねぇ)


P「不幸体質で周りに迷惑……といっても椅子が壊れる程度なら、そんな困った事にはならないんじゃないかな?」

ほたる「それが……それだけじゃないんです」

P「ふむ……例えばどんなのかな?」

ほたる「プロダクションが、潰れます」


P「えっ」


ほたる「アイドルになりたくって、私が前に所属したプロダクションはみんな……倒産とか、閉鎖とか……しちゃいました」

P「………みんな、ってことはいくつか……?」

ほたる「みっつ……です」

P「oh....」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:43:37.52 ID:vYqniAE60
ほたる「それでも……アイドルになる事を諦められなくて……応募の張り紙を見つけてやってきたんです……」

ほたる「ご迷惑でしょうか……? ……迷惑……ですよね……すみません」

ほたる「でも……アイドルになりたいんです……どんなに不幸でも!」


P「…………」

P「君、アイドルになりたいんだよね?」

ほたる「はい……アイドルになって笑顔になりたい、笑顔にしたいです……!」

P「だけど周りの人を不幸にしちゃうからって前に出るのが怖い」

ほたる「……はい」


P「……………よし! 決めた」

ほたる「……?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:46:56.26 ID:vYqniAE60
 
 
 
P「ほたるちゃん、君を……うちの事務所に迎えよう!」



ほたる「………え、ええっ!? 本当ですか!?」

P「ああ、君はアイドルに対する情熱は十分あるし、ルックスも素質アリだ」

P「でも、アイドルになりたいけれど上手く行かない……ならば!」

P「俺が君をプロデュースしてトップアイドルにしてみせる!!」

ほたる「トップ……アイドル……!」

P「そうだ、君の不幸を吹き飛ばして君自身が幸せに」

P「そしてその幸せを周りの人に分けてあげれるようになれば……」

P「それはとっても素敵な事じゃないか?」

ほたる「……はい……………はい!!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:50:05.25 ID:vYqniAE60
 
P「もしも自分が不幸だというなら」

P「君の思いでそれに立ち向かい…桶の底をぶち抜いて…………幸せを掴み取るんだ!!」トンッ!

バキィッ!!


P「つ……机がちょっと叩いただけで真っ二つに……」

ほたる「うぅ……私のせいで……」


P「いいや……これぐらいでへこたれずに突き進む!! そしてその先にこそ幸せがある!!」

ほたる「底を突き破って……幸せに」

P「不幸のどん底をぶち抜いて……一周回って幸せだ!」

P「そしてその手助けを……俺がしてみせる!」

P「……改めて宜しくね、白菊ほたるちゃん」


ほたる「はい……! 私、頑張ります!!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:53:55.82 ID:vYqniAE60
―――――
――――
―――


スタスタ……

P「それじゃあ、このすぐ近くにうちの事務所があるから」

P「挨拶がてら寄っていこうか」

ほたる「はい、お願い致します」


  スタスタ……

ほたる「あっ……プロデューサーさん……足元に水たまりが……」

P「おっと、あぶな……」ヒョイッ


ズルッ!! ズボッ!!


P「っ!? 逆に溝にはまっ……うおぉ!?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:56:57.92 ID:vYqniAE60
 
    ズデッ!!  バシャッ!!


ほたる「あっ……」


P「っつー……水たまりをよけたつもりが逆に足をとられてびしゃびしゃに……ははは」

ほたる「あの……大丈夫ですか? やっぱり私がいるから……」

P「あーこれぐらいどうってことないって、大丈夫大丈…」


ヒュンッ……ガシャンッ!!


P「…………」

ほたる「…………すぐ傍に植木鉢が……落ちて……」

P「だ、だいじょうぶ……あたってないから……ハハハ……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/19(土) 17:59:56.13 ID:vYqniAE60
ほたる「やっぱり私が不幸に……」

P「いいや……この程度でへこたれないぞ!」

P「不幸不幸というならば……いっそ不幸を極めて死中に活有り! だっ」

ほたる「はっ…はい!」



P「よっし、事務所についたぞ、準備はいいかい? まずは皆に挨拶から始めよう」

ほたる「……スゥ……ハァ……はい、大丈夫です!」


P「おう……それじゃ」


ガチャッ……

ほたる「白菊ほたる、頑張りますっ!!」


-おしまい-

引用元: モバP「不幸最低拳!」