1: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 16:31:10.38 ID:Zi9aNG0K
短いです。うみりん。



通い慣れた通学路の途中に、小さい公園がある。砂場と、ブランコと、滑り台と、芝生に覆われた小さい丘があるだけの、小さい公園。

昔は、ここでかよちんと一緒によく遊んだっけ。

『昔はよく遊んだ』と言っても、めっきり来なくなった訳じゃない。
今でも、夜にたまに1人で訪れる。

誰も居ない夜の公園で、小さい丘の上にブルーシートをひいて寝転んで、星空を眺めるのが好き。

嫌なことがあったらここに来て、お星さまたちとお喋りするんだ。

2: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 16:31:34.57 ID:Zi9aNG0K
「そういえば、もうすぐ流星群が見られるらしいです」

今日、部室で海未ちゃんがそんなこと言ってたっけ。

…誘ってみようかな。



「凛が星を見るのが好きなんて、意外でした。元気いっぱいに動き回ってるイメージしか無くて」

からかうように笑ったその表情に、少し どきっ、とする。

こんな顔もするんだね。

「はい、じゃあ明後日、その時間に凛のお家に伺います」

夜に2人っきりで星を見に行くなんて、まるでデートみたい。
そう考えたら、急に顔が熱っぽくなってきちゃった。

…ばかばか、変に意識したらダメだ。多分、海未ちゃんはデートだなんて…

思ってないんだから。



「こんばんは。…おや、その洋服可愛いですね。初めて見ました」

やばい。気合い入れたの、バレちゃった?

3: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 16:32:06.36 ID:Zi9aNG0K
「ふふ、とても似合ってますよ。さあ、行きましょうか。とっておきの場所に案内してくれるんですよね?」

いつもの通学路。なのに、なんだか今日はいつもと違うみたい。
風景も空気も、私でさえも。

「こんなところに公園があったんですね。…確かにここなら、空がよく見えます」

夜風に髪をなびかせながら空を仰ぐ海未ちゃんの横顔。
月明かりに照らされて ぼうっと浮き上がって、まるでこの世界には海未ちゃんと私しか居ないみたい。

「あ…ここに寝転がるんですか?…ブルーシートまで用意してるんですね。そうですね、その方がゆっくり空を眺められそうです」

いつもは、1人で寝転がってるブルーシート。私の特等席。1人だと結構余裕があるけど、流石に2人だとちょっと狭いかも。
海未ちゃんの顔がすぐ近くにあって、なんだか照れくさい。

「わぁ…綺麗です」

…凛、今日初めて知ったよ。

「ほら、あれがオリオン座です」

1人で見るお星さまと、2人で見るお星さまって、輝きが違うんだ。

4: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/02(月) 16:32:38.16 ID:Zi9aNG0K
「え?あの星は…うーん、ごめんなさい、よく分かりません」

なんだか今日はいつもより空が透き通って、きらきらが前身に降り注いでくるみたい。

「そういえば、今夜あたりが流星群のピークだそうです。流れ星、見たいですね。凛は、流れ星に何をお願いしますか?」

…凛の、お願い…

「私ですか?…ナイショ、です」

海未ちゃんが教えてくれないなら、凛も教えてあーげない。

凛はワガママだから、1回の流れ星じゃ物足りないなぁ。美味しいラーメンを食べたいし、新しいお洋服も欲しいし…もっとダンスや歌も上手くなりたいし。

でも、最初にお願いしたいことは、絶対これって決まってるんだ。

口には出さない。心で強く思うだけ。

「!凛、流れ星ですよ!」



ー海未ちゃんと、ずっと一緒に居られますようにー





おわり

引用元: 凛「星空を見に行くにゃー!」