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―――カタカタカタカタカタ

ことり（聞き出してくれたらコスプレに付き合う、っていうから引き受けちゃったよ……）

ことり「どうしよう…………でも、とにかく聞き出さないと……」




―――ガラッ

にこ「あれ、ことりちゃん？ミシン使って何やってるニコ？」

ことり「え、あ、に、ニコちゃん。練習まで時間があるから、その……衣装の方を進めようかなって……」

にこ「そうなの？ニコも昔の衣装チャックしてたら、ほつれたり取れそうなのがあって」

ことり「ええ？どれどれ？」

にこ「ちょっとまってね。この紙袋に……」ｶﾞｻｺﾞｿ

にこ「ほら、この衣装。ここの糸が切れちゃってて縫い直さないといけないニコ」

ことり「あー！本当だねっ。直さないと」

―――カタカタカタカタカタ

ことり（ど、どうしよう…………聞くなら今しかないよね……）

ことり「あ、あのニコちゃん」

にこ「んー？」

ことり「ニコちゃんって苦手なものってあるの？」

にこ「苦手なもの？また突然に、何でそんなもの聞きたいの？」

ことり「え、あの、それは……ああ！今日のお昼、学食だったんだけど……」

ことり「その、食べたメニューにことりの苦手なものが入ってて……ニコちゃんもそういう経験ないかなって」

にこ「ふーん………………」ｼﾞﾄｰ

ことり「ほ、本当だよ？」

にこ「わかってるよことりちゃん♪ニコはねー……………あ、そうだ、モンブランが苦手ニコ☆」

ことり「も、モンブラン？ケーキのだよね？」

にこ「そうケーキの。あの上に乗ってる栗のグラッセとかもう無理。ホント無理よ」

絵里「モンブラン？栗のグラッセが乗ったやつ！？でかしたわ！」

ことり「う、うん…………」

絵里「よし、さっそく明日持ってきて、私の前で食べさせてやるんだから」


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絵里「ニコ、ちょっと渡したいものがあるんだけど」

にこ「えーなになに？」

絵里「はいこれ。駅前のケーキ屋のモンブランよ！日頃の感謝の気持ち！」

にこ「え……モンブラン？」

絵里「そう、モンブラン」

にこ「あー……ちょっとぉニコ、モンブランって……その……」

絵里「まさか苦手なの？食べれないの？ああ、せっかく美味しいモンブラン買ってきたのに」

にこ「いや、違うのよ。別にニコ、食べられないとかっていうわけじゃなくて」

絵里「今すぐ食べてほしいなぁ。美味しそうに食べてほしいなぁ……」

にこ「わかった！わかったわよ！食べるから！」

にこ「うう…………なんで、ニコがこんな目に……」ﾊﾟｸｯ

絵里「どう？美味しい？」

にこ「お、美味しいニコ…………」ﾊﾟｸｯ

絵里「そうでしょうそうでしょう♪全部食べていいからね？」

にこ「…………あ、あの……ごめん絵里ちゃん……もうニコ食べられない……」

絵里「どうして？まずかった？まだ、栗だってそのまま残ってるじゃない」

にこ「……に、苦手なのよモンブラン」

絵里「ええ？それは知らなかったわ。でもさっき美味しいニコって言わなかった？」

にこ「…………ごめんさい、勘弁してください…………」

絵里「ふふっ♪仕方ないわね。いいわ、無理に食べさせるのもよくないし」

にこ「うん、ありがと絵里ちゃん！このケーキは責任もって家で処分するニコ」

絵里「ああ、うん悪いわね処分させて。でも本当に知らなかったわぁ、ニコがモンブラン苦手なんて」

にこ「みんなには言わないでほしいニコ☆」

絵里「やった、ニコに一杯喰わせたわ！」

ことり「…………」

絵里「でもね、まだまだこんなものじゃあ足りない」

ことり「ええっ、またやるの？」

絵里「当然よ。ということでことり、もう一度、お願いしてもいいかしら」

ことり「えー…………ちょっとそれは…………」

―――カタカタカタカタカタ

ことり（聞き出してくれたら洋服店一緒に回ってくれる、っていうから引き受けちゃった……）

ことり（今日もニコちゃんと練習前に衣装作り……聞くなら今だよね……）



ことり「あ、あのニコちゃん」

にこ「んー？」

ことり「ニコちゃんって、モンブラン以外に苦手なものあるの？」

にこ「苦手なもの？モンブラン以外に？前にも聞いてきたけど、どうして？」

ことり「え、あの、それは……ああ！今日の朝、登校中にね……」

ことり「大きな蛇が道端にいて、うわって……ニコちゃんもそういうのないかなって」

にこ「ふーん………………」ｼﾞﾄｰ

ことり「ほ、本当だよ？」

にこ「分かってるよー？ニコはねー……………うーん……そうだ、クマが苦手ニコ☆」

ことり「く、クマ？動物のだよね？」

にこ「そう動物の。ぬいぐるみでも怖いニコ。特につがいのクマは危険なのよ」

にこ「牙に爪もあって、人を襲う……ああ怖い！　何で好きな人がいるのかわからないニコ」

絵里「クマ？つがいのクマのぬいぐるみ！？でかしたわ！」

ことり「う、うん…………」

絵里「よし、さっそく明日持ってきて、脅かしてやるんだから」


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絵里「ニコ、ちょっと来てくれない？」

にこ「えーなになに？」

絵里「実はね…………」ﾊﾞｯ

にこ「…………ひっ！クマじゃない！」

絵里「そう、クマ。カワイイでしょ」

にこ「やめてやめて！近づけないで！」

絵里「まさか苦手なの？怖いの？ああ、せっかくカワイイクマを買ってきたのに」

にこ「いや、違うのよ。別にニコ、怖いとかっていうわけじゃなくて……」

絵里「今すぐ撫でてほしいなぁ。かわいがってほしいなぁ……」

にこ「わかった！わかったわよ！少しだけ触るから！」

にこ「……ひぃ……なんでニコがクマなんかに……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

絵里「どう？カワイイでしょう？二頭持ってきたのよ。オスとメスなの」

にこ「か、カワイイニコ…………」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

絵里「頑張って選んだんだから。ほら、吠えたりしないんだから、もっと近くで」

にこ「…………ひ、いやっ……ごめん絵里ちゃん……もうニコ限界……」

絵里「どうして？怖かった？すっごい腰引けてるけど」

にこ「……に、苦手なのよクマ」

絵里「ええ？それは知らなかったわ。でもさっきカワイイニコって言わなかった？」

にこ「…………ごめんさい、勘弁してください…………」

絵里「ふふっ♪仕方ないわね。いいわ、無理に押し付けるのもよくないし」

にこ「うん、ありがと絵里ちゃん！このぬいぐるみは責任もって家で処分するニコ」

絵里「ええ、どうぞ。あげるつもりだったのよ、そのぬいぐるみ。でも本当に知らなかったわぁ、ニコがクマ苦手なんて」

にこ「みんなには言わないでほしいニコ☆」

絵里「二連続で成功よ。いい調子よね！」

ことり「…………あの、絵里ちゃん。落ち着いて考えてみませんか」

絵里「でもね、まだよっ！まだ満足できないわ！」

ことり「……え…………ま、まだやるの？」

絵里「ええ。ことり、お願い」

ことり「ち、ちょっと待って……」

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―――カタカタカタカタカタ

ことり（はぁ……きわどい服も着るからお願い、って押し切られたちゃった……）

ことり（何かおかしい気がするよ…………まあいいのかな？とにかくニコちゃんに苦手を聞かないと）



ことり「あ、あのニコちゃん」

にこ「んー？」

ことり「ニコちゃんって、モンブランとクマ以外に苦手なものあるの？」

にこ「苦手なもの？モンブランとクマ以外に？またまたどうして？」

ことり「え、あの、それは……ああ！先週の休み、おうちでみんなに食べてもらおうと、カップケーキ焼いたんだけど……」

ことり「失敗しちゃって、一人で食べることになっちゃったの。私、量を食べるの苦手で、辛かったな…………ニコちゃんもそういうのないかなって」

にこ「ふーん………………」ｼﾞﾄｰ

ことり「ほ、本当だよ？」

にこ「全然疑ってないニコ♪ニコも…………そうだなー……うん、やっぱり大食いが苦手ニコ☆」

ことり「ニコちゃんも？そうだよね、たくさん食べるのってきついよね！本当に先週辛かったの……もうカップケーキ見たくないくらい」

にこ「ニコもそう。いくら甘いものが好きだからって、そんなに食べられないわ」

にこ「特に山盛りのいちごとか……水分多くて甘いものは本当に無理。４個くらいでもう気分悪くなるニコ」

絵里「いちご？いっぱい大量に！？でかしたわ！」

ことり「どうも、大食いが苦手みたいで…………」

絵里「よし、さっそく明日持ってきて、大食いチャレンジさせてあげるわ」


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絵里「ニコ、ちょっと来てくれない？」

にこ「えーなになに？」

絵里「あなた、前言ってたわよね？大食いもアイドルのたしなみニコ☆って」

にこ「…………言ったっけ？」

絵里「言ったわよ。だから、今日はニコ先生にお手本を見せていただこうかと」ｽﾞﾗｰ

にこ「な、なにこの量！これを全部食べろっていうの！？」

絵里「まさか苦手なの？できないの？ああ、せっかくスーパーでたくさん買ってきたのに」

にこ「いや、違うのよ。別にニコ、できないっていうわけじゃなくて……」

絵里「今すぐ見せてほしいなぁ。完食してほしいなぁ……」

にこ「わかった！わかったわよ！見てなさい！」

にこ「ああ…………お皿にいちごがいっぱい……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里「どう？まだまだ余裕よね？」

にこ「よ、余裕ニコ…………」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

絵里「そうよね、余裕よね♪ほら、早く。まだ６個目よ？どうしたの？」

にこ「…………う、うぅ……ごめん絵里ちゃん……もうニコ食べれない……」

絵里「どうして？大食いはアイドルのたしなみでしょう？まだまだたくさんあるわよ」

にこ「……に、苦手なのよ大食いは」

絵里「アイドルのたしなみよね？そうよね？」

にこ「…………ごめんさい、勘弁してください…………」

絵里「ふふっ♪仕方ないわね。いいわ、無理して身体壊されても困るし」

にこ「うん、ありがと絵里ちゃん！このいちごは責任もって家で処分するニコ」

絵里「ああ、お願いね。もともとニコに食べてもらうつもりだったし」

絵里「でも知らなかったわぁ、人にアイドルのたしなみとかいいながら、当の本人は大食い苦手なんて」

にこ「みんなには言わないでほしいニコ☆」

絵里「三回目も無事に成功よ！」

ことり「えーと…………」

絵里「ふふふ……これでニコもさぞ懲りたでしょうね」ﾌﾌﾝ

ことり「あのー…………ニコちゃん、本当に苦手だったのかな？」

絵里「苦手に決まってるじゃない。とてもイヤそうにしてたもの」

ことり「…………うん、そうだね」

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にこ「ただいまー」

こころ「おかえりにこにー！」

ここあ「にこにーおなかすいたー！」

にこ「ちょっと待ってね、すぐご飯作るから。あと、今日もお土産があるの」

こころ「えーなになに？」

ここあ「ケーキ？ぬいぐるみ？」

にこ「なんと……いちご！ごはんのあと二人で仲良く食べるニコ」

こころ「わーい！ここあ、いちご大好きにこ！」」

ここあ「こころも大好き！おー！すごーいいっぱいある！」

にこ「これもね、ニコのお友達の絵里ちゃんからもらったの。ちゃんと感謝するニコよ☆」

こころ「うん！絵里ちゃんやさしい！」

ここあ「絵里ちゃんいいひと！」

にこ「じゃあ、この場には居ないけど、絵里ちゃんに感謝の言葉を伝えようね。せーの」


「「「絵里ちゃんありがとう！」」」


おわり