1: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:07:22.78 ID:Dfmtv5sO
絵里「たべたくない?ツナおにぎり」

希「えっ」

絵里「ツナおにぎり」

希「……」
希「……さぁ」

絵里「……反応うすいのね」
絵里「もしかしてツナきらいなの?」

希「嫌いではあらへんよ」
希「話題がいきなりだったから」

絵里「なるほど」

希「ツナは……今はいいかなぁ」

絵里「そう」

3: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:13:04.18 ID:Dfmtv5sO
テクテク

絵里「この前ね夢を見たの」

希「うん」

絵里「中国に希と旅行する夢でね?」

希「うんうん」

絵里「希と飛行機に乗って中国に行ったの」

希「うんうん」

絵里「その時食べた機内食がね、すごく美味しそうだったのよ」

希「ほー」

絵里「うん」

希「うん」

絵里「うん」

希「……うん?」

絵里「?」

希「オチは?」

絵里「オチ?オチってなに?」

希「……」

5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:20:10.26 ID:Dfmtv5sO
希「話にオチがなさすぎやよ。えりち」

絵里「流石希ね。
常に話にオチを求めてしまうあたり、流石関西人といったころかしら」

希「や。うちそもそも関西出身やないし」

絵里「あれ?そうだったの?」

希「前に話さんかったっけ?」

絵里「忘れたわ」キリッ

希「……あ、そう」

絵里「じゃあどうして希は関西弁なの?」

希「……まぁ、関西に転校してたころの名残というか」

絵里「ふーん…」
絵里「…前から気になっていたんだけどね」

希「?」

絵里「希の関西弁ってなんか変よね」

希「……へっ」

絵里「へ?」

希「へ、へ、へっ…」
希「変やないもんっ!」

8: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:25:24.35 ID:Dfmtv5sO
希「変やないもん!」

絵里「変じゃないの?」

希「変やないっ」

絵里「ふーん。そう」
絵里「ごめんね、変な勘ぐりしちゃって」

希 「ま、まぁ……うちはいいけど……」

テクテク、テクテク

絵里「……」

希「……」

テクテク、テクテク

9: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:29:32.56 ID:Dfmtv5sO
テクテク

希「……」
希「…そういえば」

絵里「ん」

希「えりちもたまにハラショーって呟く時あるよね」

絵里「……」
絵里「あるわね」

希「えりちの出身ってどこなの?」

絵里「ロシアよ」
絵里「……概ね」

希「概ねってなに?」

絵里「概ねは」
絵里「概ねよ」

希「ふーん」

テクテク

11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 11:47:57.61 ID:Dfmtv5sO
希「自然とハラショーって言葉がでるあたり」
希「流石えりちって感じやね」

絵里「ハラショー」

希「はらしょー」

絵里「希の関西弁も大したものだと思うわ」
絵里「関西人以上の関西弁と言っても過言ではないと思う」

希「そう?言葉の意味はよくわからないけどありがとう」

絵里(コクン)

希「ところで、ロシア語って他にどんなのがあるん?」

絵里「ん?」

希「どんなのがあるん?」

絵里「……」
絵里「ハラショー?」

希「それは知ってる」

14: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:03:31.91 ID:Pr+HdmpN
希「ロシア語って他にどんなのあるん?」

絵里「……」
プイッ

テクテク…

希「あ。先に行かんといてよえりちー!
おーい?きこえてないのー?」

絵里「……」

テクテク、テクテク…

希「おーい。えりちー」
絵里「……」

テクテク、テクテク

15: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:04:48.16 ID:Pr+HdmpN
テクテク、テクテク

絵里「……」
絵里「なんか…」

希「うんうん」

絵里「なんか…猛烈にシャケおにぎりが食べたくなってきたわね」

希「……はぁ?」

絵里「シャケおにぎりたべたいわ」

希「なんの話してるん?」

絵里「それとどん兵衛。どん兵衛も食べたい」

希「えりち。ロシア語って他にはどんなんがあるん?」

絵里「シャケとどん兵衛。
この組み合わせが至高にして究極だと思うの」
絵里「希はどのおにぎりがどん兵衛に合うとおもう?」

希「ね、ね。えりち。
ロシアにはハラショー以外にどんな言葉があるん?」

絵里「シャケのあの塩加減とうどんが…」希「あ!もしかしてえりち!」

希「もしかしてー……
ハラショー以外のロシア語知らんの??」

絵里「……」
絵里「しつこいわね。希
もちろん知ってるわよ。当たり前でしょう?」

希「じゃあ教えて?」

絵里「……」
絵里「……」
絵里「ホニャラスリャクリャポンポコポン!」

希「ん?」

絵里「ポワッ!ポワッ!」

希「えっ」

絵里「フニャポン!ポワッ!ポワッ!」
絵里「ポワッ!ポワッ!」

希「え、えりちが壊れた……」

16: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:15:12.60 ID:Pr+HdmpN
絵里「ハッ。うっかり」
絵里「希のしつこい追及に怒りが有頂天に達して、
ついロシア語で怒っちゃったわ」

希「……」

絵里「うっかりうっかり」

希「……今のロシア語がなん?」

絵里「ロシア語よ」キッパリ

希「ポワッ!ポワッ!」

絵里「ポワッ!ポワッ!」

希「これもロシア語?」

絵里「ロシア語っていってるでしょう」

希「ふーん」

絵里「ポワッ!ポワッ!」

希「ポワッ!ポワッ!」

19: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:18:04.68 ID:Pr+HdmpN
希「あ。
それはそうとえりち」

絵里「?」

希「さっき怒りが有頂天に達したって言ってたけど、

頂点に達した、って言い方が正しい言い方だとうち思うんやけど」

絵里「……」
絵里「あらごめんなさいデス。
わたしまだ日本語は疎いから間違えて覚えてたみたいデース」

希「うわっ」

絵里「うっかり間違えちゃったデース」

希「なにそのキャラ」

絵里「どうかしら?
片言キャラが流行ってるらしいから、流行に乗ってみたんだけど」

希「アホっぽく見えるからやめたほうがええと思う」

絵里「……あ、そう」

絵里「アイドルらしくキャラを模索してみたんだけど…
ダメだったみたいね」

希「えりち、にこっちみたいになっとる」

絵里「それはまずい」

希「うん」

絵里「……頂点、ね」
絵里「覚えておくわ」

25: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:29:56.71 ID:mINsGycn
風『びゅーん』
希「ううっ!さむっ!」

風『びゅーん!!』
希「うぎゃー!」


希「うぅ…風が冷たいよー…
なんか最近やたら寒ないー?」

絵里「別に」
絵里「特段寒くないわ」

希「……」

絵里「……」

風『びゅーん』

希「……」
希「…あ、そう」

絵里「えぇ」

希「……」

絵里「……」

テクテク…

絵里「……」
絵里「……会話が」

希「うん」

絵里「会話が一瞬で終わってしまったわね」

希「当の原因が何言ってるん?」

28: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:37:27.16 ID:Pr+HdmpN
絵里「寒いなら暖めてあげよっか」

希「え?カイロでも持ってるん?」

絵里「……小さい頃ね、
ロシアのおばあちゃんから暖かくなる方法を教えてもらったことがあるの」
絵里「それでよければ希にも試してあげる。
どうする?」

希「お~。ロシア式防寒対策ね
なんか効果ありそうやん!やってやって!」

絵里「そう。わかった。
それじゃあ希。ちょっと顔を突き出してもらえる?」

希「うん。こんな感じ?」絵里「そうそう。そのまま…」

スッ…

希「ん!?え、えりち!?」

絵里「そのまま!そのまま…動かないでー…」

ジリジリ…

希「い、いやいや!えりちっ!
か、顔がっ………っっ!!」

ジリジリ…

希「か、かお…顔が……っっ///」

29: 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:46:58.50 ID:Pr+HdmpN
絵里「……」ジ--ッ

希(か、かお近いよぅっっっ!!)

希(うち、これから一体何をされてしまうんや!?)
希(ど、どうしよう?とりあえず目瞑ったほうがええんかな??)

絵里「……」ジ--ッ

希「///」ギュ--ッ

絵里「のぞみ?」

希「う、うん?なに??」

絵里「そろそろ…いくわね」

希「う、うん……お、おねがいしましゅ」

絵里「……」ジ--ッ

希「///」ギュ--ッ

絵里「……」
絵里「ふんっ」

びたーん!

希「へ?……フギャッ!」

30: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 13:47:53.97 ID:mINsGycn
絵里「ふんっ!ふんっ!」

びたーん!!びたーん!!びたーん!

希「痛っ!ふぎゃっ!ふにゃっ!?
ちょっ!?え、えりち!?」

絵里「?なにかしら」

希「いまうちのこと叩いた?!?
うちの頬っぺたビンタした!?」

絵里「したけど」

希「!?!?!?」

絵里「どうだった?あったまった?」

希「ど、どうだったァ!?
どうだったも何もただただ痛いだけだやったよ!!

絵里「あれ。おかしいわね」

35: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 14:11:03.24 ID:mINsGycn
希「えりちなんで打ったん!?
納得できる説明をしてほしいんやけどっ!!」

絵里「ブレイクブレイク。落ち着いて希
もちろん理由はあるわ」

希「なにっ!?」

絵里「……昔、私がロシアに行った時の話なんだけどね

とある日、わたしお祖母様にこう言ったの。
寒くて死んじゃいそう。お祖母様たすけてって」

絵里「そしたらお祖母様はこう言ったわ

『寒くて凍えそう?どうにかしてって?
……エリーチカ、頬を出しなさい。

(びたーん!)

ね?痛いでしょう?叩かれたあたりがジーンと熱くなったでしょ?

……それが生きてる証。あなたの体が生きようとしてる証拠なの』


『ロシアの寒さは
体だけではなくて心まで凍らせてしまう。

でもあなたはまだ生きてる。
あなたの体はまだ生きようと必死にもがいている!

だから生きることを諦めては絶対にダメ!
まだ生きてる限り、私たちは生きるためにもがかなければならないの!

さぁエリーチカ!立ちなさい!
山の麓まであと少しよ!さぁ立ちなさい!エリーチカ!』」

希「……」

絵里「あれは丁度私が4歳のとき。

ロシアの最北端の街ペヴェクの
近くの山で遭難しかけた時の話よ」

希「……」

絵里「わたしはね、希。
どれだけ寒くても、
生きようとする意志こそが大事なんだってことを希に伝えたかったの」

希「……」

絵里「わたしの気持ち、伝わったかな?」

希「お……」
希「おう….」

36: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 14:21:29.94 ID:mINsGycn
希「はぁ…なんか色々言いたいことがあるけど
もういいや…」

絵里「あったまった?」
希「あったまった、あったまったー
だからはよ行こー?」

絵里「良かった。じゃあ行きましょうか」

37: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 14:22:44.74 ID:mINsGycn
テクテク…

希「うぅ…まだほっぺがジンジンするよー」

絵里「ごめんね?力の加減がわからなくて…」

希「……まぁ、えりちなりに考えてやってくれたことやから
別にいいんやけどね」

希「次やるときは説明してからやってほしいかな」

絵里「了解よ」

テクテク…

絵里「……」
絵里「くしゅんっ」

希「ん?」絵里「ん!?」

希「今くしゃみしーひんかった?」
絵里「してないけど?」

希「もしかして、えりち実は寒いん?」

絵里「別に寒くなっクシュン」
絵里「……寒くないけど」

希「……」

絵里「……」

希「うちが暖めてあげよか?」
絵里「いや」

希「暖めるから」
絵里「でも」

希「さ、頬を」
絵里「…はい」

45: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 19:35:46.59 ID:mINsGycn
・・・・
・・・
・・

テクテク、テクテク

絵里「のぞみー 」

希「んー?」

絵里「ふと気になったんだけどねー」

希「うん」

絵里「……」

希「?」

絵里「……梅おにぎり、食べたくない?」

希「うわっ」

絵里「わたし梅おにぎりたべたいわ」

希「出た」

絵里「ジャガイモたべたいわ。希」

希「まーた出たよ」

絵里「むっ」
絵里「まーた、って何よまーたって」
絵里「どこに伸ばす必要があったのかしら」
絵里「なんだか感じが悪く聞こえるわ」

絵里「また、ってピシッとパシッと言うべきよ」

希「わかった」
希「……」
希「また出た」

絵里「また出したわ」

46: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 19:36:48.79 ID:mINsGycn
希「さっきから食べ物のことばっかり言ってるね」
希「えりちもしかしてお腹減ってるん?」

絵里「……その言い方じゃなんだか
なんだかわたし腹ペコキャラみたいじゃない」

希「で?減ってるの?減ってないの?」

絵里「……」
絵里「減ってぬ」

希「ぬ…?」

絵里「お腹が減ってるような気もするし減ってない気もする。

そんな曖昧な気持ちを『ぬ』の一文字に込めてみました」

希「……………ふーん」

絵里「減ってぬ」

希「よくわからないけど」
希「腹ペコって程ではないってことやね」

絵里「まぁうん」

希「なら後からでも大丈夫やね。
さ、時間もないし急ごう」

絵里「……」
絵里「えっ?!い、いかないの?」
絵里「そこにコンビニあるけど!」

希「行かぬ」
希「時間ないぬ」

絵里「ぬぅ…」

テクテク、テクテク…

48: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 20:07:15.58 ID:wSHRgq9C
テクテク…

希「えりちー」

絵里「ん」

希「ここを右に曲がるんだったよね」

絵里(コクン)

希「で、次にここを曲がったらー……ってあれ?

ここを曲がったらガソリンスタンドがあるはずなんやけど」

絵里「……」

希「行き止まりになってるなぁ。あれー??」

絵里「……」

希「おかしいなぁ。なんでやろー」

絵里(チョンチョン)

希「ん?なにえりち?」

絵里「……ん」←向こうを指差す

希「…あ!そっか!

ここじゃなくて向こうの角で曲がるんやね!なるほど~」

49: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 20:09:14.36 ID:i3jRh+PX
希「入学式って10時からだったよね~」

絵里「ん」

希「えりち提出する書類ちゃんと持ってきた?」

絵里「んー…」

希「えっ!!まさか忘れたの?!」

絵里(フリフリ)

希「あ。よかったー
ちゃんと持ってきたんやね」

絵里「……」

希「そういえばえりちどこのサークル入るか決めたー?」

絵里「……」

希「そ、その顔は……ま、まさかっ!?
この前言ってた落研??あそこ入るつもりなん!?」

絵里「んー……」

希「あー…まぁ、話聞くだけならうちも付き合うけどさ」

絵里「……」

希「え?お礼なんて別に要らんよ~。
うち的にはえりちがいればどのサークルでもいいしね~」

50: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/11(土) 20:10:35.52 ID:i3jRh+PX
絵里「……」

希「え?うち?
うちは~…まぁ、今のところ天文部が一番興味あるかなー」

絵里「ん」

希「え?ついてきてくれるん?
ふふっ。ありがとね~」

絵里「ん」

希「……ていうか、えりち?」

絵里「ん?」

希「なんでさっきから全然喋らんの?」

絵里「……」
絵里「無駄なカロリーを消費したくなくて」

希「…小学生みたいなことしてるなぁ」

絵里「まぁでも、
案外喋らなくても会話は成り立つものね」
絵里「これからはこれだけでいってみようかしら」

希「たぶんこれで会話成り立つのは
うちくらいなもんだと思うけど…」

絵里「……そうかもね」

希「ていうか、
カロリー云々言ってるってことはやっぱりお腹減ってるんやね」

絵里「まぁ」
絵里「ぶっちゃけペコペコね」

希「コンビニ行こっか」

絵里「時間大丈夫かしら」

希「たぶん大丈夫」
希「たぶん」

54: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 10:47:15.30 ID:YhBY21/Q
In コンビニ

希「おにぎり何にするん?ツナ?シャケ?梅?」

絵里「うーん」
絵里「悩みどころね」

希「時間もないしはよ選ばんと」

絵里「うーん……」
絵里「希は何にするの?」

希「んーせやね~…」
希「うちは塩おにぎりにしとこかな~」

絵里「渋いわね」
絵里「武士かっ」

希「シンプルだけどあっさりしてて意外と美味しいんよ?これ」

絵里「武士かっ」

希「……なに?そのツッコミ。
どういう意味??」

絵里「塩おにぎりって武士のイメージない?」
絵里「しょっぱそうな感じが武士っぽい」

希「そう?うちはお坊さんのイメージやなぁ」

絵里「……別れたわね」
絵里「塩おにぎりはお坊さんのイメージか、武士のイメージか
議論する必要があるわ」

希「どっちでもええよ。はよ買おう」

絵里「はい」

55: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 10:47:59.78 ID:YhBY21/Q
絵里「ふーむ」
絵里「美味しいのね。塩おにぎりって」

希「おいしいで~くせになる味で~」

絵里「なるほど」

ガサガサッ
絵里「それじゃあ私は」

ガサッ
絵里「このランチパックの卵サンドにするわ」

希「……塩おにぎり選ぶ流れやと思ったらパンなんやね」

絵里「わたし海苔嫌いだし」

希「さ、さっきまでのおにぎり推しは一体」

希「あ。でもこの塩おにぎりなら
海苔もないしえりちも食べられるんとちゃう?」

絵里「あ。たしかに」
絵里「じゃあこれも買っちゃお」

希「うんうん」

ガサガサッ

56: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 10:58:15.82 ID:YhBY21/Q
店員「2点で248円になります」

絵里「248円」
絵里「むっ…」

絵里「希」

希「んー?」

絵里「500円玉持ってない?」

希「あるけど」

絵里「少しの間貸してもらえないかしら」

希「うん。ええよー」

絵里「悪いわね。ありがと」



チャリンチャリン

店員「500円、お預かりいたします」

ガチャコンッ

店員「252円のお返しになります」
店員「ありがとうございました~」

・・・
・・

57: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 11:07:21.23 ID:YhBY21/Q
テクテク…

希「それじゃ行こっか」

絵里「待って希。そこの自販機でジュース買ってもいい?」

希「え?別に構わんけど」

絵里「ごめんね。ちょっと待ってね」

タッタッタッ…

ガチャコンッ!

タッタッタッ…

絵里「ただいま。はい希」

希「おかえり。ん?なにその手?」

絵里「さっきの五百円返すわね」

希「えっ!」

絵里「?」

希「500円!もってるやん!」

59: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 11:10:00.29 ID:YhBY21/Q
絵里「うん」
絵里「千円札は持ってたわね」

希「???」
希「千円札持ってたなら
なんでさっきうちからお金借りたん?」

絵里「あぁ、そのことね」
絵里「ほらみてこのレシート。お釣りのところ」

希「えーっと」
希「……見たけどこれがなに?」

絵里「252円」

希「?」

絵里「にこにー」

希「……あー」
希「にこにーやね」

絵里「うん」
絵里「だから借りたの」

希「えりちって結構にこにーのこと好きだよね」

絵里「すき」

62: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 11:24:56.38 ID:YhBY21/Q
絵里「ちなみにだけど」
絵里「わたしの今の所持金は830円」

ジャラジャラ

希「うん」

絵里「830円」
希「830円」

絵里「830」
希「はっぴゃくさんじゅう?」

絵里「830(やざわ)」
希「おぉ」


絵里「it技術が社会を裏から支えているように、
日常の至る所に、にこは隠れてるということよ」

希「哲学や」

絵里「そして希」
絵里「さっきの塩おにぎりのレシート、まだ持ってる?」

希「まさか…?」

絵里「そのまさかよ。
店員のID、値段、おつりのところを縦読みしてみてもらえる?」

希「……」ペラッ
希「お、おぉ!」

絵里「ね」

希「253(にゴミ)!」

絵里「おしい」

64: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 13:25:37.06 ID:YhBY21/Q
はらり…

希「あ。桜の花びら」

絵里「あら」

希「桜かー…」

絵里「桜ね」

希「桜の花…ほとんど散っちゃったね」

絵里「そうね」

希「うち今年はお花見とか全然できんかったなぁ…」

絵里「えっ。そんなバカな」

希「え?」

絵里「神田明神ってお花見の名所でしょう?
希ならバイトで見ていてもおかしくないと思うけど」

希「あー……」

テクテク

希「まぁたしかに、神田さんの桜は見たんやけどね」

希「でも花見っていうとそういうのやないやん?
みんなで集まってお花見ながら
お弁当食べたりするのが花見やん?」

希「今年はそういうことできなかったなーって思て…」

絵里「それは」
絵里「……そうね」

希「……」
希「…今年くらいは、
みんなと集まって何かできたらよったんやけどなぁ」

絵里「……」
絵里「…仕方ないわよ
向こうは新学期でこっちは入学式。
お互い色々ゴタゴタしてたんだから」

希「まぁ、そうなんやけどね~…」

テクテク

65: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 13:49:52.72 ID:YhBY21/Q
希「みんなでお花見したかったなぁ」
絵里「花見ね…」

希「まぁ桜も散ってるし今更な話ではあるんやけどね~」

絵里「……」
絵里「……東京の桜はもう散ってしまったけど」
絵里「でもまだ散ってない桜もあるわよ?」

希「え?どこに?」

絵里「ロシア」

希「ロシア!?」

絵里「うん」

希「そもそもロシアに桜なんてあるん?」

絵里「あるらしいわ」

希「あそこむっちゃさむいのに桜なんて咲くんやね」

絵里「それどころか、
花見をする人の数で統計を取ったら
日本を押さえてロシアが1位になるくらい桜が盛んな国みたい」

希「へ~。ロシア人も桜好きなんやなぁ
冬ばっかりだから桜を見て少しでも春を感じたいんかな?」

絵里「きっとそんなところね」

希「うーん…たしかにロシアならまだお花見できそうだけど」
希「…でもロシアは遠いからなぁ」

絵里「そうね…」
絵里「素直に来年みんなで花見するしかなさそうね」

希「そうやね」
希「でも来年は穂乃果ちゃん達も大学生一年生やから
色々忙しいかも」

絵里「じゃあ二年後…」

希「二年後は凛ちゃんたちが…」

絵里「……」

希「……」

絵里「…しみじみ思うけど」
希「うん」

絵里「学年の違いってやっぱり結構大きいものよね」
希「……まぁ、そうやねぇ」

66: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 14:03:00.62 ID:YhBY21/Q
テクテク
絵里「……」

テクテク
希「……」

希「…何や湿っぽい空気になっちゃったね」

絵里「…そうね」

希「こうやって
少しずつみんなと疎遠になっていっちゃうんかなぁ」

絵里「…ずっと一緒というのは無理でしょうね」

希「そうだよねー」

絵里「……」

希「……」

テクテク…

67: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 14:06:04.66 ID:YhBY21/Q
テクテク

絵里「……まぁ、大丈夫よ。たぶん」

希「そうかな」

絵里「そういう風に疎遠になる人たちも世の中にはいるんでしょうけどね」
絵里「私達なら大丈夫」

希「大丈夫かな?」

絵里「大丈夫」

希「ほんとに?」

絵里「大丈夫よ」
絵里「エリーチカの名にかけて断言するわ」

希「エリーチカの名にかけて…」

絵里「わたしの誇りにかけて誓ってもいい」
絵里「私たちミューズなら
絶対に、大丈夫よ」

希「えりちの誇り…」

絵里「誇り」

希「……」
希「それは若干信頼していいのかどうか迷うね」

絵里「なぬ」

68: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 14:13:42.27 ID:YhBY21/Q
希「……ふふっ」

絵里「……なにかしらその笑いは」

希「ふふ?いやー深い意味はないんやけどね~」
希「うん。そっか。
えりちがそこまで断言するなら間違いないね」

絵里「間違いないわ」
絵里「安心安全エリーチカ。AAKよ」

希「おぉ。新しい」

絵里「大学生バージョンはこれでいくつもり」
絵里「どう?流行るかしら?」

希「流行らんと思う」

絵里「あ、そう」

??「あっ!!」
絵里「ん?」希「お」

69: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 14:26:28.83 ID:YhBY21/Q
??「コラァ!!あんたたちー!!」

希「あ」絵里「お」

??「今何時だと思ってんの!?
待ち合わせからもう三十分は経ってるわよ三十分!!
どんだけ待たせるつもりなのよーー!!」

ギャ-ギャ-!ギャ-ギャ-!

希「おー」
絵里「おー」

絵里「向こうですごい騒ぎ方してる人がいるわね」
希「いるね」

希「誰かしらね」
絵里「誰やろね」



テクテク…

??「ちょっ!!
なんで歩いてるのよ!!走れー!走れーーー!!」

絵里「怒ってるわ」
希「怒ってる怒ってる」

絵里「このままあそこ行ったら絶対怒られるわね」
希「せやね」

絵里「鎮まるまでもうちょっと様子を見ましょうか」
希「うん」

ジーーーー…

??「?!なに止まってんのよー!
走れって言ってるでしょうがっ!!」

絵里「怒ってるわ」
希「怒ってる」

70: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/04/12(日) 14:32:12.62 ID:YhBY21/Q
??『コラー!!!いそげーー!!』

絵里「あれ相当キレてるわねー」
希「怒られるの嫌やなぁ」

??『いつまでそんなとこでぼさぼさしてんよーー!!
入学式もう始まってるわよーー!』

希「え!?」絵里「ん!?」
バッ!
希「あっ!やばいよえりち!
もう10時30分だよっ!!」

絵里「ええっ。もうそんな時間なの!?」


??『ほら!歩いでないで走って走って!
置いてぅちゃうわよーー!!』

絵里「のんびり歩きすぎたみたいね私たち」

希「……ていうか、
こんなに遅刻しても見捨てないあたり流石にこっちやね」

絵里「にこはいい子だからね」

希「ふふっ。せやね~」

にこ「聞こえてないの!?ほら走って走って!」

絵里「おっと。そろそろ急ごっか」

希「せやね」

【トットットッ】

にこ「小走りじゃなくて全力で!全力ダッシュよ!!」

絵里「スーツだからいま走れないのー!」

希「もうちょっと待っててー!」

にこ「待ってられるかぁーー!
急ぎなさいよーー!!!」

・・・
・・

(完)

引用元: 絵里「ツナおにぎり、食べたくない?」希「へ?」