前作 八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「その2だね」





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1: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/19(木) 03:30:28.02 ID:R1E93cZx0
俺ガイルとモバマスのクロスSSです。

モバマス勢がメインなので俺ガイル側の出番は少ないです。

ヒッキーのこれじゃない感はご容赦を。

嫁ステマです。



引用元: 八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「その3だよ」

 

45: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 02:57:58.51 ID:Arf42C0e0











“お天道様が見ている”という言葉がある。


お天道様とはすなわち太陽。太陽は常に人々の真上に存在し、照らし出す。
お天道様とは太陽であり、神様を表しているのだ。


「お天道様の下を、堂々と歩けるような人になりなさい」と昔は良く言われたとか。


実際ニュアンスは違うが、俺も似たような事を親に言われたような記憶はある。
神様はいつも見ているのだから、それに恥じないような、顔向けのできるような人であれ、とな。


その時の俺がどう思ったかは、さすがにもう覚えてはいない。

しかし17年の歳月を経て、今の俺にはこう言える。


そんななのは、知ったこっちゃない。



46: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 02:59:08.36 ID:Arf42C0e0


俺はずっと自分に嘘は吐かず生きてきたし、いつだって一生懸命だった(内容はともかく)。
そんな俺が、今では立派なぼっちです。ホントに神様見てる? 視力落ちたんじゃない? まぁまぁ眼鏡どうぞ。

とはいえ、別にそれで世界に悲観しているとか、そんな事を言いたいわけじゃない。


たとえ勘違いして女の子にフラれても。

自分に正直になあまり友達が居なくても。

それは俺が選んだ事で、俺が俺の意志でやってきた事だから。


正直顔向け出来ないような事もやってきたしな。
何かを為すために、何かを傷つけたこともあった。

けどそれに後悔などしていない。後悔しても、それを否定したくはない。
俺のやってきた事に、言い訳をしたくない。


だから、お天道様が見てようが見てまいが関係ないのだ。

お天道様に顔向けできなくても、堂々と胸を張る事ができずとも。

俺は、俺自信から目を背けないように生きていく。



これまでも、これからも。






47: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:00:52.78 ID:Arf42C0e0












八幡「……なんでコタツがあるんだ」



思わず口から漏れる疑問。
しかしそう言わずにはいられなかった。


シンデレラプロダクションにある休憩スペース。
本来ここにはテーブルとソファーが備えられていたはずだが、今は何故か畳とコタツが設置されてあった。みかんもある。完璧じゃねぇか。



「そう言いつつも、しっかりコタツには入るんだね~」



俺がいそいそとコタツに入っていると、どこからか声が聞こえる。

少しだけ身を乗り出して対面側を覗き込んでみると、そこには一人の少女。



八幡「……これ、お前が用意したのか? 双葉」

杏「そんな面倒くさいことしないよ。あっから入っただけ」



双葉杏が、そこにいた。


48: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:02:16.96 ID:Arf42C0e0


杏「いやービックリだよねー。事務所に来てソファーで寝ようと思ったらコタツがあるんだもん。マッハ5で入ったよ」



小学生みたいな軽口でそう言う彼女。


双葉杏。

同い年とは思えないくらいの小柄な身長。
長髪というよりは伸ばしっぱなしの金髪をツインテールにし、ダボッダボな白いTシャツを着ている。

今はうつ伏せに寝そべっているため見えないが、Tシャツの正面には恐らく「働いたら負け」とか書いてあるのだろう。俺にも作ってくれないだろうか。



八幡「大方、ちひろさんあたりが準備したんだろうな。全く季節外れもいい…とこ……ろ?」



あれ。なんか今自分で言ってて違和感あったな。今って何月だっけ。
ま、いいか。

すると俺が言った言葉が不服だったのか、異を唱える杏。



杏「えー? コタツって別に季節関係なくない? 私は常に常備しててもいいと思うんだよね」

八幡「……結構同意できるから困る」


49: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:04:17.73 ID:Arf42C0e0

別に寒くなくても入りたくなるよね。
俺の家とか春先くらいまで余裕で現役だった。


俺は置いてあったみかんを食べていると、ふと思い出す。
やべぇ、そいうやライブん時の報告書やってねぇな。ちひろさんに怒られる前にやっとくか。


ジャケットを脱ぎ、鞄からノーパソを取り出し、コタツの上に乗せる。
……やばい。今気付いたがコタツが作業出来るって最高じゃね?

俺が密かに感動していると、視線を感じる。
まぁ視線自体は前からビンビン感じてはいるがな。他の一般Pやらモブドルの。そりゃ担当でもないアイドルとプロデューサーがコタツで堂々とくつろいでりゃ気にもなるわな。

それよりも俺が感じた視線は、目の前の杏からのものだった。
見れば杏は顎をコタツの上へと乗せ、ぐったりしながらコッチを見ている。やる気が感じられない。ただのニートのようだ。



杏「何やってんの? 艦これ?」

八幡「違う。仕事の報告書だよ」



俺がそう言うと、杏はダラけきった顔を忌々しそうに歪め、とても陰鬱な声で呻いた。なに、お前仕事に親でも殺されたの?


50: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:06:09.04 ID:Arf42C0e0


杏「うへぇー……やめてよぉ。折角の癒しが半減しちゃうじゃん」

八幡「別にお前がやるわけじゃないだろ。つーか、俺だってやりたくはない」



けどやっておかないと後が面倒だしな。主にあの鬼と悪魔と肩を並べる方とか。



杏「八幡も変わったよねー。最初はあんなに嫌々やってたのに。……あれ? 変わってないか」



何気に失礼な事を言われた気がするが、その通りなのだから言い返せない。


杏とは、事務所でサボっていたらいつの間にかダベるような仲になっていた。
なんて言うんすかね。同じ匂いを感じる。

ちなみにアドレスは交換したもののまだ一度もやり取りした事はない。
つーか、何で交換したのかも思い出せない。



八幡「そう言うお前はどうなんだよ。プロデューサーは相変わらず付いてなさそうだが、なんか進展あったのか?」



ちひろさんの話では、未だにプロデューサーの付いていないアイドルは結構な数いるそうだ。
実際の所それってかなりマズイんじゃないかと思うんだが、割とそうでもないらしい

こうなる事を見越していたのか、いくつかの対応が為されているようだ。


51: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:07:38.07 ID:Arf42C0e0

複数のアイドルをユニットとしてプロデュースする一般P。

プロデューサー無しで一人で活動しているアイドル。


そうやってどうにかやっているらしい。

まぁそんな中で、担当アイドルがいるのに他のアイドルを臨時的にプロデュースしているのは、俺だけなそうだが。



杏「何言っちゃってんのー。杏だよ?」

八幡「さいですか……」



ものっすごいドヤ顔で言われてもな。苛立ちしか湧いてこない。



八幡「けどちひろさんから聞いたけど、何もしてないわけじゃないんだろ?」



俺がそう言うと、杏はさっきよりも忌々しげな顔になる。というよりは、複雑そうな顔、と言った方が正しいか。



杏「私だって働きたくないよ……でも、き、きらりが……」

八幡「……その“きらり”って奴の名前をたまに聞くが、そんな凄い奴なのか」



諸星きらり。

なんでも、はぴはぴ語なるものを使うとか、常に星を纏わせているとか、実は女型巨人なんだとか。
聞いているだけならとんでもなくクレイジーなアイドルを思わせる。一周回って普通に会いたくねぇ……


52: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:09:12.14 ID:Arf42C0e0


杏「きらりがいなかったら、私アイドルやってないと思う。あ、別にコレ良い意味じゃなくね?」

八幡「言われなくても分かる」



けど口では嫌々言いながらも、なんだかんだレッスンやら小さな仕事はやっているそうだ。アイドルという仕事に、杏も少なからず誇りを持っているのだろう。



杏「あーあー、いつになったら印税生活出来るんだろう」グデー



……持っていると信じたい。



そんな感じでダベりながらもコタツで報告書を作成していると、見慣れない人物が横を通った。



「おや、キミは……」

八幡「はい?」



その人物は40代くらいの男性で、パッと見はどこにでもいるようなおじさんといった印象。
最初は一般Pの一人かとも思ったが、どうやらそうではないらしい。


53: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:10:33.99 ID:Arf42C0e0


「いやぁ、この間のライブは良かったよ。キミのスピーチも含めてね」

八幡「は、はぁ」



ライブでの出来事を知っているということは、観客か、総武高校関係者か? いや、もしくは……



「あ、失礼。私はこういう者でね」



懐からケースを取り出し、名刺を渡してくる男性。
やべ、俺今名刺持ってねぇぞ。

しかし俺が慌てていると、男性は笑いながら言う。



「大丈夫、キミの事は知っているよ。私は記者をやっている善澤。どうぞよろしく」



言って握手を求めてくる。
俺はコタツから立ち上がり、会釈しつつ応じる。

なるほど、記者ね。だからライブを知っていたわけだ。


この間の総武高校でのライブには、少ないが数人の記者がやって来ていた。
無名とは言え、最近話題のシンデレラプロダクションのライブだ。取材には持ってこいだったのだろう。

宣伝を頑張ったかいがあったなぁ……


54: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:11:52.74 ID:Arf42C0e0


善澤「しかし丁度良かった。実は今回のライブを記事にするよう社長に頼まれていてね。今日はそれが出来たからサンプルを持ってきていたんだよ」

八幡「記事、ですか?」



マジか。社長も粋な事をしてくれる。
しかし何故俺がそれを知らなかったのか。いや、別にいいんだけどね?


とりあえずコタツに座り直し(善澤さんも)、そのサンプルとやらを見せて貰うことにした。

見せて貰ったのは、2ページ程の特集記事。
今話題のシンデレラプロダクションの紹介に、プロデュース大作戦の概要、凛たちの紹介など。

非常に分かりやすく、丁寧な記事だった。



……俺のスピーチの解説を除いては。



八幡「いや、なんで俺の挨拶まで記事にしてんすか?」

善澤「おや、ダメだったかい?」



何の気無しに言う善澤さん。
そりゃあーた、ダメとは言わないけど……いややっぱダメだろ。


55: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:12:49.85 ID:Arf42C0e0


善澤「あの時、アイドルを熱弁するキミの言葉。あれに心打たれてねぇ。これは記事にしないとって思ったよ」



凄く良い笑顔でそう言う善澤さん。
そんな事言われたら何も言い返せない……

横を見れば、杏が記事を読みながら「ヒュー、言うねぇ八幡」などと漏らしている。うるさいぞニートコブラ。



善澤「あれ、千川さんから何も言われてなかったかい? 一応彼女に確認したら、快くOKしてくれたんだがね」



や っ ぱ あ の 人 か 。



いや予想はしてましたよ。ええ。
あの腐れ事務員!!



善澤「渋谷くんにも期待しているが、比企谷くん、私はキミにも期待しているよ」

八幡「あ、ありがとうございます……?」



何故だかあまり褒められた気はしないが、それでもこの善澤さんという記者が俺を評価してくれているなら、それはプロデューサーとして光栄な事なのだろう。


56: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:15:29.47 ID:Arf42C0e0

善澤さんはサンプルをくれると、社長に会うためこの場を後にした。
一応凛たちにもあげられるようにと5部程もらったが、どうしよう。渡したくない。

まぁ、そん時になったら考えよう。とりあえず鞄に押し込んどくことにした。



八幡「しかし記事にしてもらえるとはな。見てる人は見てるもんだ」



俺が思わず感心したようにそう呟くと、しかし逆に杏は冷めたような表情で言った。



杏「そう?私はそうは思わないな」



まさかそこで否定してくるとは思わなかったので、少しばかり驚いてしまう。



八幡「どうしたいきなり」

杏「だって、それなら杏はどうなるのさ」

八幡「……と言うと?」

杏「だから、杏だってこんなに頑張ってんだから、もっと見返りがあっても良いと思うんだ!」

八幡「スマン、もしかしたら鼓膜が破れているかもしれない。何を言ったか聞き取れなかった」


57: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:17:26.30 ID:Arf42C0e0


お前、今の自分の姿を鏡で見てみろ? ニートがコタツでみかん食ってるぞ?



杏「結局、人知れず努力してる人がいても、誰も気付かないじゃん? だって人知れてないし」

八幡「……まぁお前がそうかは置いておいて、それについては概ね同意だな」



例え努力しても、結果を出せなければ意味がない。
努力した事自体が大事とは言うが、それも自分の中でだけだ。誰も知らなければ、誰にも評価はされない。

だから、結果を出すしかない。



杏「そりゃ『私、頑張ってます!』なんて言うつもりはないけどさー」

八幡「さっき言ってたじゃねぇか」

杏「あ、バレた? 鼓膜破れてると思ったんだけどな」



そう言って笑う杏。
口では軽口を叩いているが、表情はどこか寂しそうだ。


58: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:18:49.47 ID:Arf42C0e0


杏「やっぱ、見てる人なんていないよ」

八幡「……まぁな。俺もそう思ってた」

杏「“た”……? 過去形ってことは何、心境の変化でもあったの?」



俺の発言に、怪訝な表情で聞いてくる杏。



八幡「そんな大袈裟なもんでもないけどな……この間言われたんだよ。『そうやって自分を低く見るけど、そう思わない人だっている』ってな」



思い出すのは、クラスメイトの少女。

周りの空気を読み、気遣い、優し過ぎる少女。
……まぁ、多少オツムが弱いがな。



八幡「だから頑張ってるかどうかは抜きにしても、見てくれてる奴はいんじゃねーの? 俺にも、お前にも」

杏「……そんな人、いn」



「にょわーっ! 杏ちゃんだにぃーーーっ☆」



杏「かふっ…!」



59: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:20:55.77 ID:Arf42C0e0


突如、杏の身体が轢かれる。

いや違う。正確には突然現れた人物に抱きしめられただけだ。
ただあまりに突然なその出来事は、奇襲と言っても過言ではない。


いきなり現れたその人物。あれだ。凄く、大きいです……あぁいや、身長の話だよ?
そして見た瞬間に分かった。


こいつが、諸星きらりか。


180近くはあるであろう長身。ウェーブのかかった茶色い長髪。
服装は子供っぽいが、抜群なスタイルなせいで何とも言えぬ魅力を出している。

しかし、想像以上にインパクトのある奴だな……
これは杏にも言える事だが、ホントに俺と同い年?



杏「き、きらり、苦しい、絞まってる……!」

きらり「わわっ、ごめんねーっ!」



言って、ようやく杏を解放するきらり。
すると今度は俺に気付いたのか、矛先を向けてくる(この表現はあながち間違いでもない気がする)。


60: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:22:09.01 ID:Arf42C0e0


きらり「あっ! もしかしてキミが八幡ちゃん? 杏ちゃんから聞いてるよ! きらりんでーすっ! よろしくにぃー☆」

八幡「え、ええ、はい。比企谷八幡です。よ、よろしく」

きらり「おっすおっすばっちし!」



何がばっちしなんだ。
もう流されまくりでどうしていいか分からん。

しかしキャラ強過ぎだろ。し、島村さんの個性が霞む……!



きらり「それでそれで、杏ちゃんと八幡ちゃんは何してるの?」



杏を抱え、コタツの向かいに座るきらり。その絵面は姉と妹というよりは、まるで母と娘のようだ。



杏「別にー。杏は頑張ってるなーって話してたところだよ」



特に意識するわけでもなく、杏は何の気無しに冗談っぽく言う。
杏としても、本気で言ったわけではないのだろう。

しかしそれを聞いたきらりは、純粋無垢な笑顔でこう言った。



61: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:23:23.11 ID:Arf42C0e0









きらり「そうだねーっ! 杏ちゃんはすっごく頑張ってるよねー☆」



杏「え……」



予想だにしなかったのか、素っ頓狂な声を出す杏。



杏「いや、きらり? 私は……」

きらり「杏ちゃんはイヤイヤ言っても、ちゃーんと最後まで頑張るもんね!」

杏「あ……」



杏の身体に腕を回し、抱きしめるように言うきらり。

杏は振り返ろうとしたが、きらりの言葉を聞き、やめてしまう。



62: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:24:39.29 ID:Arf42C0e0



きらり「レッスンだって、休まずちゃんと来てるし!」


杏「……うん」


きらり「小さなイベントでも、やらせてもらえるお仕事は何でもやってるよねっ!」


杏「…………うん」


きらり「あっ、この間の路上ライブ! 少しだけどファンが出来て喜んでだねー☆ 私も一緒に歌えて楽しかったよー!」


杏「………………うん」






きらり「杏ちゃんはいつだって本気でアイドル頑張ってるって、きらりん知ってるよ?」



杏「……………………う…ん……!」




63: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:26:05.67 ID:Arf42C0e0

俯いたまま杏は、抱きしめているきらりの腕を掴む。
表情は見えない。けれど、見えなくても分かる。



きらり「あれあれ? 杏ちゃん泣いてる!? え、どうしよっ! ほら、なでなでー☆」

杏「……ちょ、きらり、いいから! 子供じゃないんだから! ってか、泣いてなんかないし……!」



きらりが頭を撫でると、反抗はするものの満更でもなさそうな杏。
その目尻はうっすらと濡れいるように見えたが、それでも、杏は笑顔だった。



きらり「そうだっ! 今日は一緒にお歌のレッスン行こ☆ また一緒に歌おうよ!」

杏「えー……もう今日はコタツもあるしゆっくりしていこうよ」

きらり「そんな事言わないで! ほらほら、飴あげるから☆」

杏「なん…だと……? は、話を聞こうか」

きらり「うきゃー☆ さっすが杏ちゃーん!」



やれやれ……

飴玉で懐柔とか、これが最近流行りのチョロインですか?
まぁ、微笑ましいっちゃ微笑ましいがな。仲が宜しいこって。

その二人の様子を見ていると、自然と笑みが零れていた。


64: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:27:06.41 ID:Arf42C0e0



お天道様は見ている。


それが本当かどうかは、やはり俺には分からない。
どちらにしろ、俺には関係がないのだから。


けど、神様じゃなくっても、見てくれている人はいるのだろう。



女の子にフラれても、家族が家で出迎えてくれる。

友達がいなくても、関係を言葉じゃ言い表せないような繋がりはある。

……隣に立って、俺が見ていてやりたい奴もいる。



だからきっと、誰にでもいるのだろう。自分を見てくれている人は。

もしかしたら“お天道様は見ている”とは、そういう意味なのかもな。



目の前で笑う二人を見て、何となくそう思った。






65: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:28:41.26 ID:Arf42C0e0






× × ×






とある会議室。

数人の人物が、デスクを囲んで話し合っている。



「最初の選抜はこんなものですかな……」

「しかし5人とは、些か少な過ぎませんか?」

「なに、この後もチャンスはあります。それが意識の向上にも繋がるというものです」



デスクには、数枚の書類。


66: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 03:29:34.58 ID:Arf42C0e0



「最初の5人……思いの外すんなり決まりましたな」

「粒ぞろいという事でしょう。この子も、あの善澤さんのイチオシと聞く」

「そう言えば、千川事務も推していましたね」



手に取られた一枚のプロフィール。

そこにはーー






「シンデレラプロダクション初のCD化ーーーー成功を祈りましょう」






渋谷凛。



その名前が、記されていた。






86: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 14:59:09.19 ID:Arf42C0e0
突然ですけど安価の時間だ!!

今回CDデビューした凛ちゃん意外のアイドルとは!?
※実際にCD化した子たちの中からお願いします。既に登場済みでも可。

↓先着4人!

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/23(月) 14:59:59.01 ID:xMZWeKNDo
奈緒

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/23(月) 15:01:08.86 ID:uFNZiZDxo
かれん

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/23(月) 15:04:11.69 ID:VKhmkVSmo
楓さん

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/23(月) 15:05:10.40 ID:9Y7AvnFOo
たくみん

97: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/23(月) 15:21:04.05 ID:Arf42C0e0
奈緒と加蓮はほぼCD化決定みたいなものですが、一応未発表組なので残念ですが除外になります。

というわけで楓さん、美嘉、みく、美波ちゃんに決定! なんだこの“み”率!

111: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 00:57:08.62 ID:2puq3kMa0
実は全然予想外のメンバーだったのは内緒。まゆとか智絵里とか来ると思ったんだけどなぁ。

というわけで少しだけど更新しますよー

112: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:04:54.42 ID:2puq3kMa0













凛「……え?」



ぽつりと零れ出た、驚きの声。
いや、驚きと呼ぶよりは、困惑と表現した方が正しいかもしれない。


目を丸くし、開いた口が塞がっていない。

さっきまでみかんの皮を剥いていた手は止まり、口に運ぼうとした実はぽとりとコタツの上へと落ちた。
勿体ねぇな。俺が食べるか。

拾って俺が食べる。うん。甘くて美味い。



凛「……CDデビュー……?」

ちひろ「ええ。遂にCDデビューです!」



113: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:06:51.08 ID:2puq3kMa0


応えたのちひろさん。お茶を淹れながら、嬉しそうに言っている。


へぇ、CDデビューねぇ……



…………。










八幡・凛「「……ぇぇぇぇええええええええッ!!??」」



ちひろ「いやいやいや、反応遅くないですか?」







いやいやいや、逆に何をそんなに落ち着いていられるのか。

し、CDデビューだぞ? コンパクトディスクデビューだぞ? あれ、略さないとなんかコンタクトのCMっぽくなるな。
いやいやそんな事はどうでもいい。CDデビューって事は、つまり……!



114: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:08:06.33 ID:2puq3kMa0



凛「……私、歌を出せるの……?」



まるで信じられないといった風に、呆然と呟く凛。


そりゃそうだ。俺だって信じられない。
俺の担当アイドルである凛が、まさかのCDデビュー。


……ぉお。なんだコレ。


さっきまでまるで現実味が無かったのに。
冷静になってくると、やって来たのは形容し難い高揚感。

自分でも信じられないくらい、嬉しい。


なんだなんだ。何なんだこれ?


嫌がおうにも、心臓が高鳴ってくる。
やべっ、俺なんでこんなにテンション上がってんだ?



凛がデビュー出来る事が、嬉しくて堪らなかった。




115: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:10:10.73 ID:2puq3kMa0


そしてこれだけ嬉しくなっている事が、今度は恥ずかしくなってきた。
これ、凛にだけはバレたくねぇな……恥ずかし過ぎる。


ふと凛を横目で見ると、向こうも丁度コチラに視線を向けていた。目が、合う。



凛「……プロデューサー」

八幡「お、おう」















凛「お、女の子の食べかけの物を食べるとか、何考えてるのっ!?」

八幡「……すまん」

ちひろ「そっち!?」ガーン



相変わらず、どこか残念なメンツだった。


116: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:11:23.40 ID:2puq3kMa0



ちひろ「まぁとりあえず、詳しく説明しますね」



ちひろさんは人数分のお茶を淹れた後、数枚の書類を俺と凛に渡す。
書類には、今回CDデビューについての概要が記されていた。


内容を簡潔にまとめると、以下の通り。



1、プロデューサー大作戦が始まって丁度半年でのCDデビュー企画。

2、初期メンバーは5人。その後随時追加していくとの事。

3、メンバーはプロダクション上層部と、レコーディング会社との選抜会議で決定。



とまぁ、そんな所だ。

一番最後の紙には、今回CDデビューするアイドルのプロフィールが載っていた。
勿論、そこには凛の名前も。


117: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:12:34.60 ID:2puq3kMa0


凛「本当に、デビュー出来るんだ。私……」



それを見て、凛は思わず微笑んでいた。
よくよく見れば、涙を滲ませているようにも見える。


そりゃ、嬉しいよな。
今まで無名として活動してきて、今回ようやくデビュー出来るんだ。

アイドルをやっていて、これ程嬉しいことはない。



凛「あ、あのさプロデューサー……」

八幡「ん?」



すると凛は、わずかに頬を紅潮させ、何か言いたそうにモジモジしている。

あれ? 俺、告られんじゃね? いやないか。ねーよ。……ないよね?


と、俺が内心ドキドキしていると、当の凛は知ってか知らずか、中々切り出せず視線を右往左往させている。


118: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:14:15.37 ID:2puq3kMa0


凛「あ、あのね、えーっと……」

八幡「……ん…」

凛「…………」

八幡「…………」







ちひろ「しゃらくさいッ!!」ウガーッ






この空気に耐え切れなくなったのか、ちひろさんがコタツからもの凄い勢いで立ち上がる。
あのちひろさん、あなた一応女性なんですから。もっとゆっくりね? スカートだって履いてるんだし……


俺の心の抗議も虚しく、ちひろさんはお片づけを始める。その姿はさながらオカンのよう。


119: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:15:16.03 ID:2puq3kMa0


オカン「ほらほら、そーゆーのは二人きりの時にやってください。凛ちゃんはこの後レッスンがあるんだから、準備! 比企谷くんも、CD化にあたっての会議がありますから、キリキリ動く!」

八幡・凛「「はい……」」



なんというオカン属性。これは三浦に勝るとも劣らないやもしれん。
誰か貰ってやってくれ。きっと毎日栄養豊富なドリンクを作ってくれるぞ。子供が心配だ。


とりあえずちひろさんが怖いので、俺と凛は素直に従う事にした。

身支度を整えようと、コタツから立ち上がる。



ちひろ「あ、ちょっと待ってください」

八幡・凛「「え?」」ピタッ



突然かかるちひろさんの待った。
なに、準備しろって言うから動いたのに、まだなんかあったの?

俺の怪訝な態度が伝わったのか、ちひろさんは多少たじろぎながら言う。


120: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:16:29.94 ID:2puq3kMa0


ちひろ「すいません。大事なことを伝え忘れてました」

凛「大事なこと?」

ちひろ「ええ。奉仕部の事についてです」

八幡「っ」ピクッ



奉仕部の事について……だと……?


ちひろさんの言う奉仕部とはこの場合、デレプロ支部の事を指すのだろう。
つまり、新たな臨時プロデュース……?

いやそんなまさか。ついこの間トラプリ編終わったばっかだぞ?
そんなすぐに依頼とか、俺のスタミナが持たn



ちひろ「えー今回の依頼者は……」

八幡「ストォーーーップ!!」



いやいやいや、何普通に進めちゃってんの!?
つーかホントに依頼確定なのかよ!


121: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:17:46.98 ID:2puq3kMa0


俺の焦り具合に反して、きょとんとした顔で言うちひろさん。



ちひろ「どうしたんですか比企谷。そんなに慌てて」

八幡「そりゃ慌てもしますよ。何ですか、依頼って。もう決定なんですか?」

ちひろ「Yes!」グッ



殴りたい、この笑顔……!

何をそんな満面の笑みでサムズアップしてんだあんたは。



八幡「いやいや、ちひろさん。真面目な話それはキツいんじゃないですかね」

ちひろ「キツい?」

八幡「キツいですよ。凛がCDデビューするんですよ?」



これだけでもとんでもないイベントなのだ。
それに加えて臨時プロデュースも平行して行うとか、正気の沙汰じゃない。


122: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:19:08.43 ID:2puq3kMa0


八幡「何も、このタイミングでやらなくても……」

ちひろ「逆ですよ、比企谷くん」

八幡「は?」


ちひろ「このタイミングだから、です」




そこで、気付く。



ちひろさんの目線。それは、俺ではなく別の物へ向けられていた。
恐る恐る、その目線を追う。


そこには、先程のCDデビューに関する書類。

より正確に言うならば、その中の一枚のプロフィール。




八幡「……ま、まさか」

ちひろ「ええ。そのまさかです♪」



123: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:21:04.76 ID:2puq3kMa0


ちひろさんはコタツの上にあるそのプロフィールを手に取り、俺の眼前へと突き出す。


そこには、まるでプリクラのような宣材写真が張られていた。


パッと見ピンク色、実際にはストロベリー・ブロンドと言うんだったか。そんな色の髪をアップでポニーテールにしている。
気崩した制服に、数々の装飾。腰に巻いたカーディガンは、いかにもな女子高生と言える。

つり上がった大きな瞳は、メイクの賜物なのだろう。


印象としては、あれ? 由比ヶ浜? ってな感じだ。
たぶん、髪の色も一役買っている。


一言で言えばあれだ。


ギャル。






ちひろ「『城ヶ崎美嘉』ちゃん。今回比企谷くんには、凛ちゃんと一緒にこの子もプロデュースして貰います。CDデビュー、2人目です♪」




124: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 01:22:42.26 ID:2puq3kMa0


もうこれは、完全に逃げられないパターンだった。


隣を、ふと見る。
そこには何とも言えない表情をした凛。

凛は小さく溜め息を吐くと、苦笑しつつこう言った。



凛「……観念したら?」



こうして、俺の新たな臨時プロデュースが幕を上げた。



この恨み、はらさでおくべきか……







152: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:40:01.35 ID:2puq3kMa0






番外編

八幡「やはり俺のクリスマスは……あ、いや、やっぱ何でないです」






153: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:41:08.54 ID:2puq3kMa0



ある冬の日。

シンデレラプロダクションの事務スペース。
そこに二人はいた。



八幡「……さみぃな。でも暖けぇ」

凛「……うん。……あれ? なんかデジャヴ」



私こと比企谷八幡と、その担当アイドル渋谷凛である。

いつの間にか事務所に設置してあったコタツに入り、俺はパソコン、凛はiPhoneと睨めっこしている。



凛「プロデューサー、また報告書?」

八幡「いや、まどマギオンライン」

凛「……艦これですらなかった」


154: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:42:33.64 ID:2puq3kMa0


別にいいだろ。同じゲームやってっと飽きんだよ。
しかしワルプルギスの夜はもう15夜か……ほむほむはあと何回繰り返したのだろう。



凛「……ねぇプロデューサー」

八幡「んー……」

凛「まだ家には帰らないの?」

八幡「あーもうちょっと休んでからな。今日は結構疲れてよ」



全く、あの事務員はことあるごとに俺に雑用を押し付けやがる。
……でもしっかり見返りにスタドリは貰う俺。何だろう。最近美味しく感じるようになってきた。末期?



凛「……プロデューサー、今日が何の日か分かってる? ……あれ。またデジャヴ」



俺の態度が不思議だったのか、怪訝な表情で聞いてくる凛。


今日? 今日が何の日かだと?

そんなの、そんなのーー




155: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:43:26.54 ID:2puq3kMa0



八幡「クリスマス・イブだが、それが何か?」キリッ


凛「っ」ビクッ



八幡「クリスマス・イブとはクリスマス前夜、12月24日の今日を意味する。元々クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う祭りであり、つまりは12月の25日。すなわち明日だ。は? 有浦? そんな奴は知らん。そもそも日本でクリスマスが受け入れられ始めたのは明治の始めから。それから序所に浸透していって、昭和に入った頃には年中行事と呼ばれるまでになっていた。日本現金だなオイ。それからクリスマスは日本のイベントの目玉とも言える程の発展を遂げ、今ではその日をどれだけ幸せに過ごせるかがステータスにすらなっていたりもする。いやいや、何でだよ。クリスマスってのは元々家族で過ごすのが当たり前だったんだ。それが何で恋人と過ごさなくちゃならないみたいになってんだ? なんでクリスマスは家族と過ごすって言っただけで『ぷーくすくすww寂しい奴www』みたいな視線を受けなきゃならないんだ? おかしい。こんなのは絶対に間違っている。間違ってるに決まってる!! 爆ぜろリア充! 弾けろパカップル!! バニッシュメント・ディスワールドォォォオオオオッ!!」



凛「お、落ち着いてプロデューサー!!?」




156: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:44:34.80 ID:2puq3kMa0


俺のあまりの豹変に戸惑ったのか、慌てて止めに入る凛。


はぁはぁ……

やばい、久々に全力を使ってしまった。
何かこう、溢れ出るモノを抑え切れなかったんだ。


しかし、ちょっとこれはマズイな。凛が結構ガチなレベルで引いている。

よし。ここは何事も無かったかのように振る舞おう。



八幡「……と、まぁ。そんな風に思う奴も世の中いるって事だ」

凛「いや。今のを誤摩化すのはさすがに無理だと思うよ」



ですよねー

なんかもう、色々情けなかった。


157: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:46:07.18 ID:2puq3kMa0


八幡「はっ、別にクリスマスがそんな嫌いなわけじゃねぇよ。これは本音だ」



実際、俺も数年前まではこの訳も無く一喜一憂する季節に、心躍らせていた。


サンタさんはいると信じてた。

雪が降るだけで次の日が楽しみだった。

家族との晩ご飯が、いつも以上に美味しく感じた。


今日という日を、心待ちにしていたんだ。



八幡「けど、何でだろうな。歳くって、恋人だの何だのを理解をする歳になりゃ、家族とのクリスマスも虚しく感じちまうんだよなぁ」

凛「……」

八幡「ホント、贅沢な悩みだわ」



家族と過ごすクリスマス。

それだけで、随分と恵まれているはずなのに。



158: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:47:56.12 ID:2puq3kMa0





凛「……別に、いいんじゃない?」

八幡「え?」



俺がセンチメンタルな気持ちに浸っていると、不意に凛が話し出す。



凛「それが分かってるなら、充分だと思うよ。家族との時間が大事って、ちゃんと分かってるなら」

八幡「いや、別にそんなじゃねーって。俺だって恋人がいりゃ、家族なんか放っておいてデートに行くぞ?」

凛「なら、それはプロデューサーの親御さんにとっては、寂しくも嬉しい事なんじゃないのかな」

八幡「……お前、そんなにポジティブキャラだったか?」

凛「誰かさんを反面教師にしたのかもね」クスクス



凛は可笑しそうに笑い、ふと窓の外を見る。
俺もつられて見てみれば、奇麗な夜景に、ぽつりぽつりと雪がちらついて見えた。


159: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:50:24.93 ID:2puq3kMa0



凛「……きっと、何が幸せかなんて、その人にしか分からないよ」

八幡「……?」



凛は俺に視線を向けず、窓の外を眺めたまま言う。



凛「家族と過ごす人はもちろん、友達と遊ぶ人だっていっぱいいる。大好きなペットと戯れる飼い主だっているだろうし、中には、一人でゆっくりするのが好きな人だっているかもしれない。……そして、恋人も」

八幡「……」


凛「だから、他の人と比べる必要なんてないよ。自分が良いと思ったんなら、それでいいと思う。……ね?」



俺の方へと向き直り、笑顔を見せる凛。

……やれやれ。



160: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:51:38.61 ID:2puq3kMa0


八幡「……凛よ」

凛「うん?」

八幡「それって結局、クリスマスを楽しめるから言えることじゃね?」

凛「あ、バレた?」アハハ



あちゃーといった様子で笑う凛。
全く、説得力があるんだか無いんだか。



凛「……でも、誰だってこの日を楽しむ事は出来ると思うな」

八幡「そうか?」

凛「うん。だって、クリスマスだよ?」



なんじゃそりゃ。
まるで子供みたいな理由である。

……けど、さっきも言ったように、俺だって昔はこの日を最高に楽しんでたんだよなぁ。

思い出が、いつまでも消えないくらい。


161: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:54:01.83 ID:2puq3kMa0


八幡「……はっ、そうかもな」

凛「ふふ……そうだよ」



意味も無くこうして笑いあえるのも、クリスマスのおかげなんかね。



八幡「つーか、お前は家族とも過ごさずに仕事終わりにここでダラダラしてていいのか?」

凛「いいの。さっきも言ったように、これが私にとっての一番過ごしたいクリスマスなんだから」

八幡「……コタツでゴロゴロするのがか?」

凛「……それ本気で言ってる?」



その後もウダウダとダラダラと過ごし、俺たちは帰った。

凛を送る道中、彼女がいたらこんな感じなんかね、と意味の無い事も考えた。いやいやダメだろ俺。凛は担当アイドルだぞ? いやでもなんかアイツ終始顔赤かったし……煩悩退散煩悩退散。


ちなみに帰ってからのイブは小町も含め、家族でクリスマスを過ごした。
いつもより暖かく感じたのは、きっとアイツのおかげなんだろう。


そして何故か、翌日の25日は奉仕部部室でクリスマスパーティーをする事になってしまった。主催は由比ヶ浜。言わなくても分かるな。

まぁでも、行ってやらん事もないか。凛と、あとは……友達でも、誘ってみるか。



162: ◆iX3BLKpVR6 2013/12/24(火) 23:55:50.26 ID:2puq3kMa0



そして朝起きた時、数年ぶりに俺の枕元にはプレゼントが置いてあった。


それは形は無くて、たかだか数キロバイトしかないけれど。
とても、愛おしいものに感じられた。

思わず笑みが零れてしまうくらい、幸せな気分になれたのは秘密である。


さて、俺も送んねぇとな。









【mail@ Rin → Hachiman 】






『 Merry Christmas ♪ 』






* end *


次回 八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「その3だよ」後編