SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
1: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:00:36.90 ID:g/sTbU900

この上条さんは説教しませんしインデックスさんとも会ってないので魔術サイドは薄めかも
書き溜めしないし地の文が苦手なので台本形式でいきます

更新は不定期です 
3: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:10:17.44 ID:g/sTbU900

とあるファミレス

絹旗「なんでいきなり正規メンバーとしてLevel0の男が超補充されるんですか?」

麦野「上からの命令らしいけど、よくわかんないのよね」

フレンダ「よくわかんないって言うのは?」

麦野「いつもと違うルートで連絡来たからさ。まあ、スパイかもって少し用心してればいいでしょ。いざとなればLevel0だしすぐ殺せるんだから」

絹旗「そういうことならドリンクバーの往復係りにでもして超こき使ってやればいいですね」

麦野「そういうこと。そろそろ来るんじゃないかしら」

滝壺「……北北西から信号が来てる…」

5: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:22:44.60 ID:ILhGSfZH0

イラッシャイマセー オヒトリサマデスカ
イエ、サキニキテルトオモウンデ
カシコマリマシター


上条「えっと……第四位は……」

上条「……いたいた」




麦野「来たみたいね」

上条「どうもはじめまして、アイテムの正規メンバーとして来ました上条当麻と申します。よろしくお願いします」

麦野「よろしく。Level5第四位の麦野沈利よ」

絹旗「絹旗最愛です。モアイって呼んだら超潰します」

フレンダ「フレンダ

6: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:24:12.92 ID:ILhGSfZH0
あれ?途中で切れた
駒場さんは生きてるよ

7: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:28:29.21 ID:ILhGSfZH0

フレンダ「フレンダって呼んでくれればいいよ。よろしくって訳よ」

滝壺「たきつぼりこう。よろしく」

滝壺(AIM拡散力場がない……開発を受けてないのかな?)

上条「資料で知ってると思いますが、Level0のただの高校生なのであまり期待しないでくださいね」

麦野「ふーん、本当にLevel0なんだ」

絹旗「普通の高校生がどうして暗部に?」

上条「スキルアウトとパイプがあるんで能力者狩りをやめさせろって上から命令されたんだけどしくじっちまって。まあ、能力者狩り自体は収束させたから強ち失敗したって訳じゃなかったんですけどね」


10: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:37:13.16 ID:ILhGSfZH0

麦野「そう…それじゃ学校の方は休んでもらうけどいいのかしら?」

上条「留年しない程度には行きたいんですけどダメですか……?」

絹旗「ダメですね。命令来た時一緒にいなかったらどうするんですか?」

上条「場所さえ言ってくれれば走って向かうよ。遠すぎじゃなければ下手くそな運転する車より走るの速いし」

フレンダ「車より速いってどういう訳よ…」

麦野「まあ、そこらへんはこれから少しずつ突き詰めてけばいいわ。それよりアンタの住むところよ」

上条「へ?今まで住んでたとこじゃダメなの?」

麦野「ダメに決まってるじゃない。暗部なんていつ殺されるかわからない世界よ。Level0なんてヤろうと思えばいつでもヤレるでしょ」

上条「まあ、相当な手練れじゃなきゃ負けないつもりだけどな…」

絹旗「なんですか、そのへんな自信は?」


11: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:45:51.83 ID:ILhGSfZH0

上条「結構鍛えてるし格闘技もやってたから肉弾戦ならイケると思うぜ」

麦野「銃とかは扱えるの?」

上条「人に撃ったことはないけど一応暗部に入るからやっといた方がイイかなと思って少々」

フレンダ「爆弾は?爆弾は?」ワクワク

上条「へ?フレンダって爆弾使うんだ!?俺はからっきしだな。触ったこともないし」

フレンダ「ふふーん、なら私よりもダメダメだね。ようやく私にもアゴで命令出来る駒が出来たって訳よ」

麦野「アンタ人として小さいわね」

滝壺「ふれんだにバカにされてるかみしょうを私は応援してる」

上条「はは、なんでも言ってくれていいよ。お金がかかることじゃなければね」

絹旗「金銭の方も気にしなくて超いいですよ。奨学金の他に給料入ってくるんですから」


13: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 00:59:00.84 ID:ILhGSfZH0

麦野「話戻すけど、命を狙われるわけだからなるべくは普通の寮、しかもLevel0の寮なんかにはいない方がいいってことよ」

上条「はあ……ではどこに住めば……?」

麦野「私たちのアジトがあるからそこで私たちと共同生活をすることになるけどいいかしら?もちろん正規メンバーと言っても今日からで信用もないから全部のアジトは教えないし、私たちによからぬことをしないとも限らないんだけどね」ジトー

上条「四人に何かしようと全く考えてはいませんのことよ!?!?住ませてもらえるならそれはそれは嬉しいのですが、他の三人はいいのか?」

フレンダ「結局、私の脚線美にメロメロにはなりそうだけど問題ないって訳よ」

絹旗「私はあまり乗り気ではないですが超しょうがないからいいですよ」

滝壺「どっちでもいいよ」

上条「それなら毎日朝食と夕飯は作らせてもらうよ。そうすれば少しでも役に立つかなって思うし」

麦野「なら決まりね。今日は仕事も無いしアジトに行きましょうか」

絹旗「あっ!上条はファミレスにいる時は超ドリンクバー往復係りなんでお願いしますね!」

上条(超ドリンクバー往復係り……?)

上条「オッケーだ。それだけで美人な四人とお食事を共に出来るなら問題ないぜ」

麦野「そうやって上条は私たちの機嫌でもとっておくのが良いわよ。さ、行くよ」


14: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 01:12:03.26 ID:ILhGSfZH0

アイテムアジト

上条「オートロックでしかも広い……これが財力の差って訳かよ」

麦野「それぞれに個室があるし一つ空いてるから上条も使って良いわよ」

上条「本当ですか!?いやー昨日までに比べたらまるで王宮に住むかのようですよ。それにしても……キッチンから全く生活感がかんじられないんですが……」

フレンダ「結局、誰も料理しないから当たり前って訳よ」

上条「え!?四人もいて誰も料理出来ないの!?」

麦野「私は出来るわよ。ただ他の三人のためにわざわざ作るってのも可笑しな話でしょ。だから思い思いのものをそれぞれが好きな時に食べてたのよ」

上条「そうですか……。まあ、これからは俺がキッチンに立つんで栄養面も考えておきますから。それと夕飯はなるべくみんなで食べれるようにしましょうね」

滝壺「かみしょうは料理得意なの?」

上条「ずっと一人暮らしだったし、時々スキルアウトの連中にも振舞ってたからそこそこだと思うよ」

絹旗「まあ、そこそこ期待しておいてあげますよ」

上条「それじゃ、場所もわかったんで寮に行って着替えとか必要なもの持って来ますね。帰りにスーパーにも寄って夕飯の買い出しもしてきますよ。何かリクエストはありますか?」

フレンダ「サバりょうr「シャケ料理!!」……だぅ」

上条「シャケ料理ですね、わかりました。いってきます」




16: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 01:23:54.73 ID:ILhGSfZH0


麦野「どうよアイツ」

滝壺「普通の人当たりの良さそうな高校生だね」

絹旗「けど、暗部に入るからっていって銃の扱い覚えて来たとか言ってましたし、こっちでもやってはいけそうですよね」

フレンダ「後は肉弾戦の強さやスキルアウトとどのくらい繋がりがあるのかを知っとけばいいんじゃない?」

麦野「あら、意外と好印象なのね」

絹旗「麦野は超違うんですか?」

麦野「妙にあっさりし過ぎというか……まあ、得体が知れないから一緒に住んで観察しとくつもりだけど」

滝壺「あっ!一つ気になったことがあった」

麦野「アイツのことで?」

滝壺「うん。かみじょうからはAIM拡散力場が確認出来なかった」

麦野「そういうことは頻繁にあるの?」

滝壺「ううん、はじめて。無能力者でも少しは確認出来るはずなんたけどかみしょうからは全く確認出来なかった」

絹旗「それって開発を受けてないってことですか?」

麦野「学生なんだから受けてないはずないのよ。そこも要注意ね」

フレンダ「結局、Level0でも何かあるのは確かって訳ね」


19: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 01:36:55.83 ID:ILhGSfZH0

ガチャ

上条「ただいまー」

絹旗「上条、超お腹すきました。早く作ってください」

上条「はいよ。荷物置いたらすぐに取り掛かりますね」

麦野「シャケ料理期待してるわね」

上条「了解です。舌を驚かせてみせますよ」



~30分後~



上条「出来ましたよー」

フレンダ「け、結構本格的な訳ね……」

絹旗「い…意外とやりますね、上条のくせに」

麦野「私の知るシャケ料理がほとんど出てるわね……」

滝壺「かみじょうは良いお嫁さんになれるね」

上条「今日はアイテムになって初めてのみんなでの食事なんで本気で行きました!ささ、食べちゃってください」

イタダキマス

麦野「あれー?なんだか今日のシャケ弁いつもよりもおいしい。あれー?」

滝壺「むぎの、シャケ弁じゃないよ。けど、かみじょうの料理すごくおいしい」

フレンダ「な…なんか女子力で負けた気になるくらいおいしいって訳よ」

絹旗「上条のくせになんでこんなおいしいもの超作れんですか!ウガー」

上条「いやー、喜んでもらえてうれしいよ。スキルアウトの連中もそうだけど人に囲まれてする食事はなんだか気持ちが温かくなるな」


23: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:00:02.25 ID:ILhGSfZH0


ゴチソウサマデシタ


麦野「いやー、本当においしかったわ」

フレンダ「結局、食べ過ぎたって訳よ。上条ー、お風呂入れてきてー」

上条「風呂の入れ方なんてここのやつ最新鋭過ぎてわからんぞ」

滝壺「いいよ、かみじょう」

上条「お?滝壺がやってくれんのか?」

滝壺「やり方がわからなくてもやらなきゃいけないかみじょうを私は応援してる」

上条「結局俺がやるのかよ…」

絹旗「食べ過ぎて動けなくなったところを超襲う気ですね。上条はやっぱり超上条です」

上条「えっ!?今までの上条さんの行動のどこにそんな意図が含まれていたと言うのでしょうか!?」

フレンダ「上条ー、早くー」

上条「だー、わかりましたよ。入れてきますよ。……不幸だ」

麦野「なんだか良いお兄さんみたいね」

滝壺「そしたら私はかみじょうのお姉さんだね」

絹旗「上条の妹ですか?超嫌です。もうちょっとイケメンじゃなきゃ私のお兄ちゃんは超務まりませんね」

フレンダ「私はどっち……?」

絹旗「フレンダは超うるさいペットですね」

麦野「ふふっ、そうね。超うるさいペットだわ」

フレンダ「ペットって何よ!?私がペットなら麦野は何な訳よ!?……はっ!お母さn」

バシューン

麦野「フーレーンーダー?なんて言ったのかにゃ~ん」

フレンダ「む、麦野……結局、冗談な訳よ!?」

麦野「まあ、今日はシャケ弁がおいしかったから許してあげるわ。つぎ言ったら、オ・シ・オ・キ・カ・ク・テ・イね」

上条「何かすごい音したけど大丈夫だったのか?」

麦野「あー、私の原子崩しだから気にしないでいいわよ」

上条「そのフレンダの足下で焦げてるやつがそうか?」

麦野「そ。フレンダが調子に乗ったもんだから思わず撃っちゃったの」

上条「へ、へぇ」

上条(やっぱり第四位は怒らせてはダメだな……)


24: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:14:27.32 ID:ILhGSfZH0

フレンダ「私はさっさと入ってくるって訳よー」

絹旗「フレンダすごい勢いでお風呂場行きましたよ」

麦野「私は悪くないわよ」

滝壺「さわらぬかみにたたりなし」

麦野「滝壺、アンタも少しは言うようになったわね」

滝壺「………かみじょう、暗部のこと理解してるみたいだけど誰からか教えてもらったの?」

麦野「話題変えようとしたら、結構重いとこ行ったわね」

上条「んー?まあ、スキルアウトといりゃ少しは暗部と接する機会もあったし、俺自身何度かどっかの暗部と接触したこともあったしな」

麦野「へぇー、よく生き延びてるじゃない」

上条「他の奴が気を引きつけてくれてる間に延髄を叩いて行動不能にしてやったからな。一人じゃ無理だったよ」

絹旗「上条もやりますね。人は殺したことあるんですか?」

上条「たぶん無いぞ。俺が殴ったりした後はちゃんと生きてるの確認するし。その後、動けなくて他の奴に殺されたとかは知らないが」

麦野「甘いわね。これからはトドメをさすところまで徹底しなさい」

上条「おう。暗部に入るって決めてからそれは覚悟してある」

絹旗「これではフレンダより使える気もしなくもないですね」

麦野「まあ、アイテムはそれぞれが役割があるからいいじゃないかしら。上条は私や絹旗と一緒に前線ね。人数が多い時は絹旗の後ろにでも隠れて流れ弾にでも気をつけてればいいわ」


25: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:25:27.77 ID:ILhGSfZH0

上条「そういやみんなの能力はどうなってるんだ?麦野は第四位だし知ってるけど」

絹旗「私は窒素装甲でLevel4ですね。窒素を体の表面に留めます。銃弾も超効きませんね」

滝壺「私は能力追跡のLevel4。体晶を使えば一度見たAIMはどこまでも追えるし、その人の自分だけの現実も乱すことが出来る」

上条「体晶って能力を暴走させるって言うあの体晶か?」

麦野「そうよ。だから滝壺はアイテムの切り札。いい、上条?このこと他の誰にも漏らすんじゃないよ」

上条「わかってるよ。ただでさえ命を狙われる地に身をおいてるんだ、味方はいるに越したことはない。自ら敵を作ることはしないよ」

麦野「ならいいわ」

フレンダ「出たって訳よー」

絹旗「滝壺さん、一緒に入りましょう!」

滝壺「いいよ。きぬはたは相変わらず可愛いね」

絹旗「ふぇ!?いきなり何を言うんですか!?早く行きましょう」

26: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:31:11.94 ID:ILhGSfZH0

上条「それじゃ俺は荷物整理したりするんで部屋に戻りますね。二人が出たら麦野入っちゃっていいですよ」

麦野「みんなが入った後の風呂場で何をするのかしら?あー、ナニか」ニヤニヤ

フレンダ「うわー、結局上条もそこらへんのゲスな男な訳ね」

上条「何もしませんよ!!そもそも上条さんは紳士で通ってるんですからレディファーストは当たり前ですのことよ!?」

麦野「ふふっ、そう。ならいいわよ」

上条「なんだか遊ばれてる気がする……。それじゃまた明日。おやすみなさい」

麦野「はい、おやすみ」

フレンダ「おやすみー」


27: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:39:05.02 ID:ILhGSfZH0

フレンダ「私がお風呂入ってるときみんなで何話してたの?」

麦野「んー?上条がフレンダよりも使えるかもって話」

フレンダ「んなっ!?私の方が実線経験もあるし、便利なところがあるって訳よ。上条のほうが使えるなんてことは結局、実現不可能な訳!」

麦野「はいはい、そうだな。もううるさいペットは寝ろよ」

フレンダ「またペットって言った!?だから麦野は」

麦野「あぁ?」

フレンダ「優しいお姉さんな訳よ。そ、それじゃ、お……おやすみー」

麦野「ったく。家の中で走るなよな。本当にペットみたいだわ。それにしても……まだ安心できないわね。あいつの交友関係でも明日調べとくか」




30: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 02:49:10.00 ID:ILhGSfZH0


次の日


麦野「んあー、少し寝すぎたわね」

絹旗「あっ、麦野おはようございます。上条が朝ご飯作ってくれたみたいですよ」

フレンダ「結局、朝ご飯までおいしいって訳よ。はぁー私も料理出来るようになった方がいいかなぁ」

麦野「白米に味噌汁に卵焼きとウィンナーとコーヒーか……まあ、不味く作る方が難しいとは言え人数分作るのは大変でしょ。アイツ何時に起きてんのよ」

絹旗「私が起きたときにはすでに学校へ超行った後でしたね。置き手紙にみんなで食べてくださいってありましたし」

フレンダ「上条って真面目ね」

麦野「そういえば滝壺は?」

絹旗「まだ寝てますよ。なんか昨日の夜は上条からAIM拡散力場が確認出来ない理由を超調べてたみたいですし」

麦野「そう。私も今日は調べ物あるから午前中空けるわね」

フレンダ「お昼はいつものファミレス?」

麦野「そうね。そこで落ち合いましょ」

絹旗「超了解しました」

麦野「それじゃ、食べ終わったから行ってくるわね」


32: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 03:01:58.26 ID:ILhGSfZH0

絹旗「麦野行ってしまいましたね。たぶん上条のこと調べるんでしょうけど。そんなに真剣にならなくても大丈夫な気は超しますが……」

フレンダ「麦野は結局、私たちのアイテムって言う居場所を守ろうとしてくれているって訳よ。私たち三人はみんな置き去りだし、暗部に堕とされてどうしようもなくなった私たちに麦野は居場所を与えてくれた。麦野も私たちと一緒にいたいって思ってくれてるはずな訳よ」

絹旗「そうですね。麦野が疑ってるのは私たちが離れ離れになる可能性ですもんね。私たちは私たちでしっかりと麦野の居場所になってあげましょう」

フレンダ「アイテムは一人でも死んだらダメな。結局、みんなでアイテムって訳よ」

絹旗「上条もそういう意味で早くアイテムに超なって欲しいですね」

フレンダ「上条も料理とか私たちのこと気にしてくれてたみたいだし、そうなれるといいね」


35: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 03:12:32.40 ID:ILhGSfZH0

麦野「下部組織に調べさせたけど学校の交友関係には特に注意しなきゃいけないのはいないわね。スキルアウトの方はあの駒場利徳と繋がりがあるのか……」

麦野「まあ、スキルアウトに情報売られても大した損害は受けそうにないけど、どうかしらね。駒場だけは上の連中も注目してるみたいだし」

麦野「まあ、急ぐことではないか。交友関係の方は白ね」

麦野「あとはハッカー使って書庫を調べさせるくらいでいいかしら」

pipipipipipi

麦野「アイテムよ。上条当麻を書庫で隅々まで調べなさい」

ハッカー「わかりましたが、僕に頼むってことは非公開な情報も全てですか?」

麦野「ええ。余すところなくお願い」

ハッカー「わかりました」

pi

麦野「じゃあ上条の学校まで行ってみた後ファミレスに行こうかな」


36: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 03:24:11.93 ID:vNEQqy3r0

~ファミレス~


麦野「あれ? もういるの? 早いわね」

絹旗「早いといっても11時過ぎですしそこそこじゃないでしょうか」

滝壺「朝ご飯さっき食べたばっかり……うっぷ」

フレンダ「上条の料理も良いけど鯖缶も最高な訳よ」

麦野「もう少ししたら買ってきたシャケ弁食べようかしら」

絹旗「そういえば最近仕事ありませんよね。ファミレスで超ダベってる記憶しかありませんし」

麦野「そうね。夏前だから少しは早めの夏休みってとこかしらね」

フレンダ「ほかの暗部に動きとかはない訳?」

麦野「聞いた話じゃ他のとこも研究資料持ち出そうとした研究員の抹殺やスキルアウトの鎮圧ぐらいしかないみたいだし、どこもかしこもって感じね」

絹旗「あれ?けど、最近もう一つ暗部組織が出来たって超聞きましたけど」

麦野「あー、確かグループとか言ったわね。まだ構成員とか知らないしどうせそこら辺の組織と似たか寄ったかでしょ」

38: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 03:34:15.77 ID:vNEQqy3r0

「ねーねー、最近気になる都市伝説があるんだけど!」

「またですか? どうせそんなのあり得ませんってば」

「いや、火のないところに煙りは立たないっていうじゃない」

「そうともいいますけど……。それで今回のはなんなんですか?」

「それがね、<学園都市第一位が無能力者に負けてどこかに連れ去られて行った>って言う都市伝説なんだけどね」ワクワク

「なんですかそれー。そんなことあるわけないじゃないですか」

「いやいや、これぞ無能力者のロマンってやつだよ! 私もそんなことが出来れば少しは無能力者でも良いかなって思えると思んだよね……」

「……」

「あー、ごめんね。こんな話しちゃって! じゃあ次! 次の都市伝説なんだけどね<脱ぎ女>って言うんだけどね……」


39: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 03:45:34.04 ID:vNEQqy3r0

絹旗「今の話超聞きましたか?」

麦野「ん? 第一位がどうとかってやつ?」

絹旗「そうですよ! なんかすごくあり得ない分B級な臭いがプンプンしますよ」ワクワク

フレンダ「逆にあり得な過ぎて想像も出来ない訳よ」

麦野「同感ね。あのベクトル操作や反射をどう無能力者が攻略出来るって言うのよ」

滝壺「そろそろなにかたべようかな……」

絹旗「いやー、あり得ないからおもしろいだけであって実際第一位は無敵ですから、あれに立ち向かおうなんて思わないですって」

麦野「まあ、第一位が負けてくれれば第三位に返り咲いてその後、あの超電磁砲をぶっ殺せば第二位になれるわね」

滝壺「むむ、このジャンボパフェはいけるかわかんない……」

絹旗「そういえば超電磁砲ってこの近くにいるんじゃないですか? 第七学区って常盤台中学ありますし」

麦野「別に今すぐ殺したい気分じゃないから別にいいわよ」

フレンダ「本当、仕事ないとダベってるだけな訳よ」


40: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 04:03:23.33 ID:vNEQqy3r0

上条「アジト帰る前に一回駒場さんとこ寄ってくかな」

土御門「カミやん! これからどこか遊びに行かないかにゃーん?」

上条「今日はこの前クラスの連中が駒場さんに助けてもらったみたいだからさ、ちょっと挨拶してくるよ」

土御門「駒場利徳か」

青ピ「いやーカミやんがスキルアウトに入り浸るとはなぁ。あんだけスキルアウト嫌いやったのに」

上条「それいったい何年前の話だよ。今はスキルアウトに嫌な感情はないぜ。一部を除いてな」

吹寄「なに? 上条、貴様スキルアウトになったのか!?」

上条「いやいや、違いますよ吹寄さん。ただ仲の良いスキルアウトがいるだけですって」

吹寄「まあ、貴様は学校にちゃんと登校してるし落ちぶれないとは思うけど」

上条「おう。ちゃんと留年なんてせずにみんなで二年に上がるぜ」

土御門「夏休みのずいぶん前から留年をのこと気にしてるのなんてカミやんだけぜよ」

青ピ「僕や土御門くんと違うてカミやんは本当にバカで補習を小萌先生に受けさせてもろおてるからなぁ。筋肉バカやわ」

上条「うるせー! 言うほど筋肉ついてねえし。バカなのは認めるけどよ」

吹寄「貴様らは会話もバカね」

土御門「俺を一緒にしてもらっちゃ困るにゃー! 俺はいったって正常ぜよ」

青ピ「土御門くんそれはないわ。三人の中で一番普通なのは僕やで」

上土吹「「「それはない」」」

青ピ「そんな声揃えて言わんでも……。あれ? なんか少し気持ち良かったかも……。ねぇ吹寄はん、もっと罵ってくれへん?」

吹寄「流石に気持ち悪いわね」

青ピ「おおおぉぉぉぉぉ」ビクンビクン

土御門「青ピ、それはないぜよ」

上条「うわぁー。それじゃ俺は行くな」

土御門「おう。気をつけてにゃー」

52: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:51:58.56 ID:QLKrAlOj0


~とあるファミレス~



フレンダ「そういえばそろそろ上条の学校も終わる時間じゃない?」

絹旗「そうですね。早く超ドリンクバー往復させてやりたいです」

滝壺「こき使われることが決定してるかみじょうを私は応援してる」

絹旗「フレンダはさっきからサバ缶超食べ過ぎです」

フレンダ「べ、別に良いって訳よ。何か迷惑でもかけてる訳?」

絹旗「これだからフレンダは超フレンダなんですよ」

フレンダ「私の名前を形容詞みたいに使わないでくれる!???しかも超フレンダってないよ……」

pipipipipi

麦野「なに?」

電話の女「なにってアンタと世間話するために電話なんてかけないわよ」

麦野「だから仕事の内容はなにって聞いたてんだよ、このクソヒキニート」

電話の女「こいつときたらー!??まあ、いいわ。仕事の内容はメールで送るわ。新入り君もいることだし大丈夫でしょ」

麦野「あぁ?なんで上条がいると大丈夫なんだよ」

電話の女「アンタたちじゃ勝てない相手にも勝てるからかしら。ふふ、それじゃーねー」

pi

麦野「チッ!??絹旗、下部組織に連絡。足を用意させて。ついでに上条にも」

滝壺「学園都市の情報を狙った外部からの侵入者二名の殺害か」

麦野「一応滝壺も連れてくけど体晶は必要なさそうね」

フレンダ「私はなにすればいいの?」

麦野「ん?じゃあここの会計」

フレンダ「ふえっ!???一番お金持ってない私が会計するって訳ー!?」

麦野「うるさいわねー。この仕事終わったらちゃんと経費で落とすわよ」

フレンダ「本当だよね???本当にお願いよ??」

麦野「だぁー!??わかってるわよ」

絹滝((これ絶対麦野払わねー))

麦野「ほら行くわよ」


53: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:52:55.11 ID:QLKrAlOj0


~スキルアウトアジト~



スキルアウト1「上条さんちーすっ!」

「「「「「ちーすっ!!!」」」」」

上条「毎回思うけどそれやめてくんない???別にお前ら熱血運動部じゃないんだしさ」

スキルアウト1「いえいえ。上条さんには俺ら、何回命救われてるかわかんないっすから」

スキルアウト2「ただ助けて俺の彼女を惚れさせるのだけはやめてほしいっす」

上条「へ???上条さんはモテたことなんて一度もありませんのことよ?」

(((出たよ、料理も出来てこんなに多くの人間の命を救っておいてモテない訳ねえだろ!??この鈍感め)))

スキルアウト1「それよりも俺らのせいで暗部に堕とされたって駒場さんから聞いて……」

「「「「「本当にすいませんでした!!!」」」」」

上条「あれはお前らのせいじゃねえよ」

上条「元から不幸な上条さんには日常茶飯事なことですから」

スキルアウト1「けど!??本当あの時は助かりました!??駒場さんや服部、浜面も感謝してますし」

上条「お前らの連携の良さの裏をかかれたところを俺が潰しただけだから気にすんな。てか俺、駒場さんに会いにきたんだけどどこにいる?」

スキルアウト2「今、服部や浜面と一緒に能力者狩りしてた連中の静粛に行ってます」

上条「そっか。じゃあ伝言頼まれてくれるか?」

スキルアウト1「オッケーっす!??なに伝えれば良いすか?」

上条「この前は俺のクラスの連中がお世話になりましたってよろしく」

スキルアウト1「わかりました。これから上条さんはどうするんすか?」

上条「んー???暗部のパシリかなー。なんか超ドリンクバー往復係りってのを任されたし」

スキルアウト2「上条さんをドリンクバーの往復係り……だと……!?」

スキルアウト3「暗部ってただのバカの集まりか……?」

スキルアウト4「んなこと恐れ多くて出来ねえよ……」

上条「まあ、楽しそうな職場だよ」

pipipipipi

上条「メールか。……んー、これはいよいよ俺の出番って訳ですかね」

スキルアウト1「暗部の仕事っすか?」

上条「おー。ちょっくら行ってくるわ!??あっ……おい」

スキルアウト1「はい!??なんでしょう!?」

上条「駒場さんに戦力は集めといてくれってのも伝えてくれ。あと浜面に車も数台常備しとけって」

スキルアウト1「わかりました。しかしそれってのは」

上条「余計な詮索はしねー方がいいぜ」

「「「「「了解しました」」」」」

上条「おう!??じゃ、またな。落ち着いたら飯作りにまた来るわ」

「「「「「あざーす!!??気をつけていってらっしゃい」」」」」


54: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:53:50.66 ID:QLKrAlOj0


~車内~


麦野「絹旗、上条はなんだって?」

絹旗「走って行くから気にしないでくれって言ってますね」

フレンダ「第七学区から目的地までは結構あるけど大丈夫な訳ー?」

麦野「まあ、いなくても二人くらいなら楽勝よ。AIM拡散力場が確認出来ない以上、滝壺使ったって居場所はわかんないんだし」

滝壺「けど、電話の女はかみじょうがいるから大丈夫だって言ってたよ?」

絹旗「それが超気に食わないんですよね。いったいあれのどこにそんな価値があるって言うんですか」

麦野「……さあね」

pipipipipi??pi

麦野「何かわかったかしら?」?

ハッカー「それが……ハッキングかけたところ最重要機密扱いになってて全然情報が見れませんでした。何者ですか上条当麻っていうのは……」

麦野「へえ。最重要機密扱いね……」

ハッカー「ただ一つだけわかったのが、全ての能力測定で判定不能って言う結果が出ていたってことですね。こんなのってあり得るんすか?」

ハッカー「ちょっと信じれなかったですね」

麦野「全ての能力測定で判定不能……。まずあり得ないわね」

麦野「……まあ、わかったわ。お金はいつものとこに振り込んでおくから」

ハッカー「ありがとうございます。しかし、意図的に記録を抹消されてた部分もあったんで只者じゃないってことは確かです。お気をつけて」

pi


絹旗「上条のことですか?」

麦野「ええ。一先ずアイツは只者じゃない上に上の連中は最重要機密として扱いたい人物だってことはわかったわ」

フレンダ「結局、ただのLevel0にそれはおかしい訳よ。気を抜いちゃダメってことね」

絹旗「まあ、何か動き見せたら私の窒素装甲で超捻り潰しますから」

滝壺「そろそろ目的地だよ」

麦野「さ、その前に仕事よ仕事」


55: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:54:30.56 ID:QLKrAlOj0


~研究所跡地~


?「おいまだか」

??「待ってくれよ。外で解析するよりこっちの方の機械で解析した方が早いんだよ」

?「これで魔術と科学を融合させた新たな力を作り出せる」

??「私はこの技術を使って外で大儲けだ!??それまで用心棒は頼んだよ魔術師くん」

魔術師(?)「わかっているさ。俺の野望を邪魔する奴は蹴散らすまでだ」



上条「あらあらこんなとこでなにやってるのかなー」

??「!?!???何者だ貴様!」

上条「研究資料持ち出そうとしてる輩の始末に駆り出されたパシリってもんですかね、研究員さん」

研究員(??)「ただのガキが何言ってやがる。やってくれ魔術師」

魔術師「お前なんぞに言われんでもやってやるよ」

上条「お前どこの協会の者だよ」

魔術師「へえ、魔術の知識のある科学の人間か。珍しいな」

魔術師「俺はどこの協会にも今は属してないぜ」

上条「そうか。なら……」



上条「安?心?し?て?殺?せ?る?な?」



56: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:55:10.68 ID:QLKrAlOj0


パキーン??パァン??パァン


絹旗「先に上条が超着いてるんでしょうか」

麦野「そうみたいね。滝壺は車で待機。絹旗、私、フレンダの順に入るわよ」

フレンダ「了解って訳よ」

滝壺「ここにはAIM拡散力場が私たちしかない。かみじょうの敵は能力者じゃないのかな……」



~研究所跡地~


絹旗「上条!??超大丈夫ですか!?」

上条「よう、遅かったな。もう終わったぞ」

麦野「その二人が今回のターゲット?」

フレンダ「一人は研究員ってわかるけど、もう一人の格好が変な訳よ」

絹旗「黒い修道服?ですかね。神父のような」

上条「……さあ???わからんが二人ともきちんと殺しといたから気にしなくて良いだろ。研究資料もほら」

麦野「……なんか焦げ臭くない?」

上条「そこの神父みたいな奴が発火系の能力者だったからな。そのせいだろ」

絹旗「上条のくせに能力者とやって超勝ったってことですか。少しばかりやりますね」

麦野「死体の方は下部組織に任せてずらかるわよ」

フレンダ「久しぶりの仕事がただ車でここまで来ただけって訳よ」


57: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:55:54.96 ID:QLKrAlOj0


~車内~



麦野「出しな」

滝壺「大丈夫だった?」

絹旗「上条がもう二人とも殺してました」

フレンダ「発火系の変な恰好の能力者がいたけどなんか勝ってた訳よ」

滝壺「???ここには私たちのAIM拡散力場しかなかったけど能力者がいたの?」

上条「(チッ)??俺が殺したからAIM拡散力場も確認出来なかったんじゃないか?」

滝壺「うーん……。そうだね」

麦野「とりあえずそろそろ夕飯時ね。何処かに食べに行く?」

絹旗「あっ!??じゃあここの焼肉屋が良いです。今おいしいって超評判なんですよ」

フレンダ「久しぶりの焼肉良いね!」

滝壺「私もいっぱい食べたい」

麦野「じゃあそこにしましょうか。上条も良いわよね」

上条「大丈夫ですよー。四人が行くとこにお供するまでです」

麦野「じゃあ運転手、ここ行きなさい」


58: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:56:39.05 ID:QLKrAlOj0


~焼肉屋~



上条「先に適当に注文しちゃっといてください。ちょっとトイレ行ってきます」

フレンダ「了解って訳よー」




ガチャ??バタン



pipipipipi


上条「おい!??相手魔術師だったじゃねーか。アイテムにバレたらどうすんだよ」

電話の男「あ???別に魔術は学園都市外の能力だって言っときゃ良いだろうが」

上条「そっちじゃねーよ。俺の幻想殺しのことだよ」

電話の男「バラしてねーのかよ」

上条「当たり前だろ!??向こうはたたでさえ俺のこと疑ってるのにそんなことまで話したら食事すら一緒にさせてもらえねーよ」

電話の男「わーったよ。そっち関係の仕事はお前かグループに出すから。それで良いだろ」

上条「ったくよ……。」

上条「こっちはちゃんとやってんだからきちんと約束は守れよ」

電話の男「あいよ。それじゃあな」

pi




上条「……騙すのって性に合わないなぁ」



59: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:57:11.35 ID:QLKrAlOj0


~次の日~????朝六時


上条「朝ご飯オッケー。それじゃ行くかな」

ガチャ

麦野「こんな朝早くにどこ行くのかにゃーん」

上条「……おはようございます。いや、早く起きちゃったんで散歩にでも行こうかと」

麦野「学校なんて七時半に出ても間に合うわよね。どこに向かって散歩するのかしら」

上条「別に特別どこって訳じゃないけどブラブラと」

麦野「ふーん……。一つ言っておくとね、私たち四人はここが居場所なの」

麦野「暗部っていう汚い誇れる場所ではないけれどここは誰にも譲れない場所なのよ」

麦野「そこを壊そうとする、私たち四人を引き離そうとするなら誰だろうと容赦はしない!」

麦野「私はあの子たちと私の居場所を守り抜く!!」

上条「……」

麦野「アンタのことは気に入ってるんだから失望させるんじゃないわよ」

上条「……了解だ。行ってくる」

ガチャ??バタン





麦野(……つい暑くなっちまったな。最初はこんなつもりじゃなかったのに。いつの間にかあの子たち三人は私の居場所になってたのね)

麦野「守り抜かなきゃ……」


60: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:57:50.54 ID:QLKrAlOj0


上条(……ちくしょう、やりにくいなぁ)

上条(情報じゃ第四位は短気のキチガイだったはずなのにちゃんと人間やってんじゃねーか)

上条(自分の弱く寂しい部分を四人で補い合ってるんだな……)

上条「弱さを補える仲間か……」



上条「…………俺は一人だ」



昔からずっと????そしてこれからも



61: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:58:26.54 ID:QLKrAlOj0


~アジト~


滝壺「あれ???むぎの早いね。おはよう」

麦野「おはよう。上条がまた朝ご飯作ってくれてたみたいよ」

滝壺「昨日焼肉だったから、朝はパンと目玉焼きとサラダにコーヒー。しっかりと考えてくれてるね」

麦野「まるで主夫ね」

滝壺「……もうちょっと素の部分見せてくれれば良いのにね」

麦野「……どうしてそう思うの?」

滝壺「自分のことはしゃべらないし、いつもニコニコしてる。そんなのが素の人はいないと思うな」

滝壺「みんな自分が誰なのか他人に知ってほしいし、他人のことを知って理解したい仲良くしたいって思うのが普通だと思うから」

麦野「……まあ、いつか話してくれるでしょ。アイツもアイテムの正規メンバーなわけだし」

滝壺「そうなれれば良いよね」



絹旗「あれ???また上条はもういないんですか。いったい何時に超起きてるですかね。お二人共おはようございます」

麦野「おはよ。ついでにフレンダも起こしてきなさい。久しぶりに四人で朝ご飯食べましょ」

絹旗「超了解しました」



滝壺「なんか家族みたいだよね、こういうの」

麦野「何言ってんのよ……。私たちはもう家族でしょ」

滝壺「…うん。??むぎの大好き」

麦野「っ!???こら、抱きつくんじゃないよ。暑くなり始めたんだからやめなさーいー」

フレンダ「あー、滝壺が麦野に抱きついてる!??麦野は私のって訳!??むぎのー」

絹旗「みんなでなんですか。私だけ仲間外れは超嫌です!??私も抱きつきます!!」

麦野「だー!??ウザイわねー!??離れなさいよー」



麦野(うん、こういう温かさはいつまでも大切にしたいわね……)



62: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 18:58:59.69 ID:QLKrAlOj0


~病院~



上条「俺がお前だけは絶対に救ってやるからな」

上条「俺がお前の不幸を全部受け入れるからな」

上条「俺はお前を絶対に見捨てたりなんかしないからな」

上条「俺が……俺が……うぅ」




上条(……お前だけはどんな犠牲を払ってでも守り抜いてやるから)

上条(お前が俺にしてくれたように……)



63: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:02:29.40 ID:QLKrAlOj0

~その日の午後???ファミレス~

イラッシャイマセー

上条「遅れてすいません」

絹旗「超ドリンクバー往復係りのくせに遅れてくるなんて超非常識です」

フレンダ「早く私たちのドリンク持ってくるって訳よ」

上条「上条さんは学校があるのでそんなに早く来れないってわかってるはずなのになぁ」

上条「まあいいか。何飲むんだ?」

絹旗「超カルピスソーダですね」

フレンダ「私はミルクティー」

麦野「じゃあ抹茶にしようかしら」

滝壺「私はメロンソーダ」

上条「え???何、四人全員の分俺がドリンクバー往復すんの!???絹旗とフレンダだけじゃなくて??」

麦野「私と滝壺も上司よー???部下が上司を立てるのは当たり前でしょ」

滝壺「大丈夫、理不尽な要求にもなんとか対応するかみじょうを私は応援してる」

上条「なるほどね、皆さん動きたくないわけだ。ファミレスなのにシャケ弁やらサバ缶はおいてあるし何時間も前からいるくせにコップは一人一つずつしかないし、こりゃドリンクバー往復係りって役職も必要になるわな」

上条「……四人で睨むなよ。いってきますよ、超カルピスソーダにミルクティーに抹茶にメロンソーダね」


麦野「あれは将来尻に敷かれるタイプよね」

絹旗「頼りない感が超出てますもんね」

フレンダ「結局、一番下っ端には変わらないって訳よ」

滝壺「でも無茶な要求言ってもそれをやりきってくれそうな気はする」

麦野「そういう人柄が学校生活とスキルアウトの連中との生活を上手くやりこなしてきたんでしょ」

絹旗「やっぱり上条はスキルアウトと強い繋がりが?」

麦野「そうね。ちょっと声かければここら辺のスキルアウトは集まって来るくらいには繋がりがあるんじゃないかしら」

滝壺「それは結構すごいかも」

絹旗「危険度で言うと?」

麦野「余計な心配はしなくて良い程度ね」

フレンダ「結局、上条がアイテムにいる以上スキルアウトもアイテムの下にいるみたいってな訳よ」


上条「持ってきましたよー」

絹旗「超ご苦労です」
フレンダ「そこら辺座っててもいい訳よ」

上条「……なんでこの二人はこんなに偉そうなんだ?」

麦野「初めてのアゴで好きに使える人間を得たから生き生きしてるのよ」

上条「なんか凄まじい上下関係が出来てる気がする……。不幸だ」

滝壺「不幸なかみじょうを私は応援してるよ」

フレンダ「だー、サバ缶にミルクティーなんて合わない訳よ。上条、次はオレンジジュースね」

絹旗「じゃあ私は冷えてきたんで超あったかいココアを」

上条「またドリンクバーに行くの!???なんか俺って周りから見たらドリンクバーとテーブルを往復するだけの人になりそう……」

絹旗「それが超ドリンクバー往復係りの仕事ですから」フンス
フレンダ「当然って訳よ」フンス

上条「うん、これは確実に不幸だ」

64: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:04:22.09 ID:QLKrAlOj0


~スキルアウト??アジト~


駒場「……上条が戦力の確保を言っていたな」

浜面「車の方は前、大将たちとぶっ壊した研究所の車で用意は出来たぜ」

服部「まあ、暗部か上からの命令で動く部隊とかとの抗争だろうな」

駒場「……アイツには守られてばかりだ」

浜面「そんな風には大将は思っちゃいねえよ。リーダーはどっしり構えてくれなきゃ」

駒場「……ああ」

服部「だが上条も守るべきものがあるからな。俺らの方にばかり構っちゃいられない」

駒場「……今度こそ俺らの手で罪の無い無能力者が襲われるのを阻止する」

浜面「当たり前だ」


66: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:09:18.56 ID:QLKrAlOj0


~車内~


滝壺「今日の仕事は?」

麦野「バカな能力者が頭おかしくなって研究所で暴れてるから始末してほしいだとさ」

フレンダ「何人?」

麦野「三人。しかも全員Level4だってさ」

絹旗「Level4なら色んな研究が出来ると思うんですが、始末して良いんですか?」

麦野「さあ? 始末しろって命令だし。まあ、あらかた研究し終えたから殺してもらっても構わないと言ったとこなのよ、きっと」

滝壺「……」

絹旗「……」

フレンダ「……まあ、それが学園都市って訳ね」

上条「……」

麦野「だから今日は滝壺に頑張ってもらうわよ」

滝壺「うん。体晶使って私やふれんだ、かみじょうが一対一にならないようにしとけばいいよね」

麦野「そういうこと。まあ、2チームに別れて行動しましょうか」

麦野「私と滝壺とフレンダ、絹旗と上条でいいかしら」

麦野「絹旗は上条の戦闘力とかをしっかりと観察してなさいね。上条は好きなように動きな、ただし失敗は許さないから」

絹旗「超了解です。上条、せいぜい足は超引っ張らないでくださいね」

上条「了解だ」

麦野「滝壺はウチの要だからね。私が攻撃してる時にフレンダが爆弾で滝壺に注意がいかないようにしときな」

フレンダ「わかった」

滝壺「うん」

麦野「それじゃアイテム始動よ」

67: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:10:06.69 ID:QLKrAlOj0


~サイド絹旗~


絹旗「滝壺さんの能力で私たちは一人で単独で超移動してる方の担当になりましたが、向こうは大丈夫でしょうか?」

上条「向こうは電撃使い(エレクトロマスター)と火炎放射(ファイアスロアー)だし、麦野には勝てないさ。問題はむしろこっち」

絹旗「念動力(テレキネシス)ですか……。どんなタイプかによって戦い方が変わってきますね」

上条「普通に物を動かして当ててくるタイプなら絹旗で楽勝だが、体に直接念動力をかけてくるタイプなら危ないな」

絹旗「そっちのタイプとはやったことないんでこの窒素装甲も聞くかわかりませんからね」

上条「まあ、気を引き締めて行かないとな」


68: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:10:42.30 ID:QLKrAlOj0


~サイド麦野~



麦野「向こうを一人の担当にしたは良いけど、一番厄介のを押し付けちゃったわね」

フレンダ「こっちは麦野と同系統の電撃使いに私と相性の良い火炎系の能力者だからね」

滝壺「向こうの心配よりもまずはこっちの心配」

麦野「まあ、向こうは向こうでなんとかするわね」

フレンダ「久しぶりに私のコレクションをお披露目出来るって訳よ」

滝壺「私も今日は頑張るよ」


69: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:11:45.54 ID:QLKrAlOj0


~サイド絹旗~


絹旗「そういえば、上条は彼女とかいるんですか?」

上条「彼女か? 生まれてこの方、母親くらいしか異性からの愛情は受けたことがありませんからね。いませんよ」

絹旗「へえ。モテるとは超思いませんが、体つきは男らしいですからね、いるかと思いましたよ」

上条「上条さんは自他共に認める不幸体質ですからね。そういうラッキーイベントとは縁がないんですよ」

絹旗「不幸って超曖昧な表現使いますね」

上条「小さい頃は色々あったし、ここ数年は入院ばっかりだったから。それでもようやく去年の暮れ辺りからは入院もしないようになったな」

絹旗「何かあったんですか?」

上条「……ただ強くなろうって心に決めただけだよ」

絹旗「ふーん、そうですか」



上条「っと! そろそろ滝壺が言ってたところの近くじゃないか?」

絹旗「む。そうですね、気を超引き締めてください」


70: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:12:58.51 ID:QLKrAlOj0


ドガッ??ドガッ??ガー


上条「機材吹っ飛ばして暴れ放題だな」

絹旗「あれは別に超用心しなくても良さそうですね」

上条「じゃあ俺は今回はお休みかな」

絹旗「はい、ちょっと行ってくるんで待っててください」



念動力「ウガー!! このクソ研究所が!!」

絹旗「そろそろガキンチョは超帰る時間ですよー」

念動力「あぁ? なんだお前? 小学生か?」

絹旗「(ブチッ)??誰がァ小学生ですかァ!? 超捻り潰すぞゴラァーー」

念動力「俺に楯突こうってなら[ピーーー]よ」ブン


キーン


念動力「!?」

絹旗「そンな鉄くずでどうにかなると本当に思ってンですかねェ」ブン


ガシャン


念動力「グハッ」

絹旗「ちゃっちゃと超捻り潰されろ」

念動力「(チッ)??お前が潰れろ」


グチャッ


絹旗(左手が……っ!?)

念動力「へっ! 俺は人体にも念動力が使えんだよ。そのまま左手を捻り潰してやるよ」


パキーン


念動力「は?」

上条「うおらぁ!!」


バキッ


71: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:14:38.38 ID:QLKrAlOj0


絹旗「へ? (私の左手を上条が右手で触ったら念動力もそして窒素装甲も消えた……?)」

上条「ほら、まだ左手は軽く捻っただけだろ。アイツにトドメ刺してこいよ」

絹旗「え? あ……えっ!?」

上条「なに? じゃあ俺やるけど良いの?」

絹旗「あっ! ダメです超ダメです!! 傷を付けられたんですから私が超捻り潰します」

上条「んじゃよろしく。アイツ、俺の右ストレートで伸びてるから」

絹旗「は、はい……」



上条(………うわぁー、やっちまったぁ。麦野が朝あんなこと言うから絹旗のこと何も考えず守っちまったよ……)

上条(絶対怪しまれてる……、どうしよう)


チッ??チッ??チッ??チッ??チッ??チーン


上条(…………うん、全力で誤魔化そう!)

絹旗「上条、終わりましたよ。 さっき上条が右手で触ったとき……」

上条(ここで幻想殺しがバレるのが一番ダメだ)

絹旗「聞いてますか?」

上条(怪しまれている分ならまだ大丈夫……なはず……)

絹旗「上条に右手のこと聞いてるんですけどわかってますか?」

上条(そもそも俺は右手以外ちゃんとLevel0なんだからバレるはずがない!)

絹旗「いい加減返事しないと超怒りますよ?」

上条(よし! 全力で誤魔化して全力でニコニコして全力でスルーしよう、そうしよう!!)

絹旗「(ブチッ) 上条ォ、さっきから無視してンじゃねェぞゴラァー」ブン

上条「えっ? ゴフゥゥゥッッッ」

絹旗「さあ、行きますよバ上条」

絹旗(今、窒素装甲は正常に機能しました……。やはりさっきのは超演算ミスですね)

上条「くっ! やっぱり助けなきゃ良かった」ハラガイタイ


75: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 19:19:25.43 ID:QLKrAlOj0


~サイド麦野~


麦野「Level4ってこんな弱かったかしら」

フレンダ「自分の近くに爆弾あるのに火出すなんて結局、大間抜けって訳よ」

滝壺「むぎのは相手の能力の強化版だったか純粋に力押しでいけたし、ふれんだは相性バツグンだったね。」

滝壺「けど私もふれんだの相手の自分だけの現実を妨害してたんだよ? ふれんだが爆弾準備してるとき」じとー

フレンダ「あ、ありがとうって訳よ」

麦野「こっちは楽だったから、やっぱあっちに滝壺向かわせた方が良かったかもね」

滝壺「……ん? あれ? あー……向こうも終わったみたい」

麦野「どうしたの?」

滝壺「一瞬きぬはたのAIM拡散力場がなくなったの。そして次に念動力のも一瞬なくなった」

滝壺「それで今、念動力のAIM拡散力場がもう一回なくなってそのままになった」

麦野「絹旗のAIM拡散力場が一瞬なくなった……」

フレンダ「滝壺の見間違えじゃない?」

滝壺「うーん……違うと思うけど……」

麦野「……それは合流してから聞きましょ」


81: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 21:12:33.30 ID:QLKrAlOj0


絹旗「あっ! 麦野! こっちです」

麦野「どうやらそっちも終わったみたいね」

絹旗「上条もいたんで超余裕でした」

滝壺「きぬはた、左手首どうしたの?」

絹旗「あー、これですか? 敵の念動力で超ちょっと捻っただけですよ」

フレンダ「そのとき上条は何してた訳?」ジトー

上条「えっ? ちゃんと助太刀に入りましたよ? 絹旗への演算で集中してるところを右ストレートで」

麦野「へえ、意外とやる奴だったんだ」

絹旗「まあ、一対一でも左手捨てればヤれましたけどね」

滝壺「一瞬きぬはたのAIM拡散力場がなくなったんだけど何かした?」

絹旗「え? 特別何かしたわけではないですが……」

滝壺「その後すぐに念動力のAIM拡散力場も一瞬なくなって、死んでからは確認できなくなった」

絹旗「うーん……(あれ? その順番に順に一瞬だけAIM拡散力場がなくなるって……)」

上条「……特に何もなかったぞ?」

麦野「本当か、絹旗?」

絹旗(もし上条が何かした結果がそうなのだとしたら……、私の左手を助けてくれたってことになりますよね……)

絹旗「……そうですね。特に思い当たる節は超ありません」

滝壺「そう」

麦野「……」

フレンダ「そんなことより! 報酬も出るんだし後の処理は下部組織にやらせて夕飯食べに行こうって訳よ!」

絹旗「超お腹すきました!」

滝壺「じゃあ今日はこのイタリアンに行こうよ。パスタがおいしそうだよ」

麦野「……そうね。それじゃ行きましょ」

上条「……行きましょう行きましょう」


82: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 21:26:07.52 ID:mI/E9ojQ0


~イタリアン専門店~


麦野「絹旗、食べるのは問題なさそうね」

絹旗「そうですね。困ることと言ったら、明日から映画のパンフレットが少し超見にくくなるくらいですかね」

フレンダ「念動力で人体を攻撃できるなんて結構な使い手だった訳よ」

滝壺「こっちの二人は割りといそうなタイプだったのにね」

麦野「ある意味そっちが当たりだったわけだ」

上条「Level4ってもっと強いと思ってた」

滝壺「ん? なんでそう思うの?」

上条「え? あー、いや深い意味は……」

麦野「……Level5とやり合ったことがあるからでしょ」

上条「えっ!? なんで……」

麦野「へえ、やり合ったことあるんだぁ」

上条「っ!? カマかけやがったな」

絹旗「上条も色々やってるですねー。Level5の超何位ですか?」

上条「えー……と……」

麦野「別にそれでどうこうしようだなんて思ってないわよ。逆に言わなかったら言うまで拷問ってのもアリだけも」

上条「うげっ!? 麦野さん? 何やら良からぬ顔になっておられるんですが……」

フレンダ「良いから早く上条はゲロる訳よ」

上条「うぅー……まあ」




上条「………第二位と」



83: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 21:39:15.49 ID:mI/E9ojQ0


絹旗「へ、へぇー……だ、第二位と……」

フレンダ「第一位と第二位はLevel5の中でも圧倒的だって言うのに……」

滝壺「かみじょうすごい」

麦野「……アンタどうやって生き残ってきたのよ」

上条「え? まあ、未元物質はなんとか避けて……接近戦に持ち込んで……みたいな?」

絹旗「だから念動力とやったときも最短距離を結構な速さで超動いてたんですね」

麦野「……ふーん、身体能力だけでねぇ」

フレンダ「あれ? もしかして私、一番アイテムの中でショボくなったって訳?」

滝壺「大丈夫、そんな一番ショボいふれんだを私は応援してる」

フレンダ「そんなはっきりと言わないで欲しい訳!!」

上条「ははは……。まあ、お互い殺されてませんから。俺は逃げてたようなもんですし」

麦野「まあ、そういうことにしとくわ」

絹旗「あっ! 滝壺さん、そのパスタ超一口ください」

滝壺「きぬはたには大きくなってもらいたいからあげる」

フレンダ「じゃあ私は麦野からもらうー」

麦野「嫌よ。上条からもらいなさい」

上条「上条さんはもう食べ終わったのであげられるものはありませんよ?」

フレンダ「だってよ麦野ー。ぐへへへへへへ」

麦野「……まあ、今回はよくやったから一口くらいならあげるわよ」

フレンダ「やった!! 結局、麦野は優しい訳よ!」

麦野(優しい、か……)


84: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 21:46:52.99 ID:mI/E9ojQ0


pipipipipi

上条「あっ! 俺です。席外しますね」

滝壺「うん」

麦野「……」



pi


上条「もしもし」

電話の男「決行は明日だ」

上条「そう、か……」

電話の男「ん? なんだ? アイテムに情でも移ったか?」

上条「いや、そういうわけじゃ……」

電話の男「まあ、こちらには人質のようなものがあるからな。お前は裏切れないってわかっているが」

電話の男「もし失敗したらわかっているだろうな……」

上条「ああ。お前らこそちゃんと約束守れよ」

電話の男「わーってるよ、じゃあな」

pi



上条「………」



86: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 22:03:57.95 ID:mI/E9ojQ0


絹旗「上条! 超遅いですよ。もうデザートのタルト来ちゃいましたよ?」

フレンダ「結局、上条は一番下っ端な訳よ」

上条「……待っててくれたのか?」

滝壺「かみじょうも今はアイテムの一員でしょ? みんなで揃ってから食べないと」

麦野「だそうよ。待ってんだから早くしなさいよね」

上条「………」





「疫病神が俺たち人間と同じ飯を一緒の時間に食えると思うな!」

「一緒の空間にいてやってるんだから感謝してほしいくらいだぜ」

「疫病神くんは地べたに這いつくばって、手を使わずに食べるのよ」

「何、こっち見てんだよ! お前は地面と向き合って一人で食べるんだよ」

「うゎー、こっちくんな。お前が触るとこっちに不幸な出来事が起きるんだよ」

「あっちいけー」「こっち見るなー」「疫病神め」「[ピーーー]」「[ピーーー]」「[ピーーー]」「シネ」「シネ」「シネ」「[ピーーー]」「シネ」




上条「うっ……うぅ……」グスッ

上条「うぅっ……ひっぐっ……」ズズッ

絹旗「えっ? 上条??」

フレンダ「……泣いてる訳??」

滝壺「……むぎのがいじわる言ったからだよ」

麦野「えぇ!? 私!?!? 上条……?」

上条「いや、みんなが悪いんじゃないんだ……」グスッ

上条「ただ、みんなの優しさが身に染みて……」

上条「悪いな、俺のタルトはみんなで分けてくれ。ちょっと散歩してくるよ」

上条「日が変わるまでには帰るから先帰っててくれ」


ガチャ



絹旗「上条、超どうしたんでしょうか……」

フレンダ「結局、上条って不思議な人な訳よ」

滝壺「うーん……、何か事情があるのかもね」

麦野「……」



87: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 22:14:07.74 ID:mI/E9ojQ0


上条「はぁー、情けねえな。あいつと同じくらい優しい奴らだよ」

上条「俺は……どうしたら……っ!?」

「上条ーっ!」

上条「ん?」

麦野「上条! あっ……えっと」

上条「見苦しいところ見せてすまなかった。けど、本当みんなのせいじゃないから」

麦野「ちげえよ! ただ……その……」

上条「なんだ?」






麦野「お前も……上条も私らアイテムの一員なんだからな! 家族なんだ!」





上条「え? 何言って……?」

麦野「無駄に過去を詮索なんかしねえけどよ、お前はもうアイテムなんだし、この私が家族なんだって認めてるんだから家族なんだよ!」

麦野「文句あっか!?」




上条「………いや、ねえな」

上条「ありがとう、麦野」

麦野「ああ」

上条「それじゃ、ちょっと散歩行ってくるわ」

麦野「あんまり遅くなんなよ。あそこはもう上条の家でもあるんだからな」

上条「ああ。本当にありがとう」






麦野「……たくっ! ちゃんと心の底から笑えるじゃねえか」


92: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 22:26:03.73 ID:mI/E9ojQ0


~病院~


上条「明日……やらなきゃいけないことが出来ちまったよ」



上条「お前のことは一度も忘れたことなかったぜ?」

上条「お前より温かい奴なんか見たこともねえ」

上条「お前は俺を支えてくれて不幸に立ち向かえる勇気をくれた」

上条「お前は俺を生まれ変わらせてくれた」

上条「俺はお前になに一つためになることはやってあげられなかったけれど」グスッ

上条「俺の理不尽な不幸に付き合わせちまったけどよ」

上条「俺のために行動してきてくれたことが本当に本当に嬉しかった」

上条「そんなお前だから……お前だからこそ……」

上条「今までも……これからも……ずっと、ずっと俺の大切な人だ」





上条「けどよぉ……」ポロポロ

上条「どうすれば良いんだよ……」ポロポロ

上条「あいつらも守ってやりてえよ……」

上条「あんな良い奴らを離れ離れになんて出来ねえよ……」

上条「どうすれば良いんだよ………」

上条「教えてくれよ……」ポロポロ




上条「………垣根ぇ」ポロポロ




104: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 23:10:58.07 ID:mI/E9ojQ0


上条当麻~保育園~


刀夜「当麻、これから保育園でいっぱい友達が出来ると良いな」

詩菜「当麻さんならきっと出来ますよ」

とうま「うん。いっぱい友達作れるように頑張るよ」

刀夜「おう。行ってこい」

詩菜「行ってらっしゃい」

とうま「行ってきます」





とうま「ねえねえ、僕と友達になってくれない?」

おとこ「良いぜ! いっしょにあそぼう」

おんな「私も良い?」

とうま「良いよ! みんなであそぼ」

おとこ「ブランコしようぜ」

おんな「私ものるー」

とうま「二人とも先いいよ」

おとこ「ありがとな」

おんな「ありがとー」






とうま「二人とも大丈夫かなぁ」



「三人であそんでて二人はブランコがくずれてしたじきになって病院にいったんだって」

「じゃあアイツだけ無事だったんだ」

「あの子もケガしなくて良かったよね」






とうま「二人はとうぶん入院か」

ぼうず「一人か? ならいっしょにあそぼうぜ」

メガネ「僕たちといっしょにあそぼうよ」

とうま「いいの? ありがとー」

ぼうず「じゃあおにごっこで、じゃんけんでまけたやつおにな!」

じゃんけん ぽん

とうま「僕がおにだね。十秒数えるよ」


107: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 23:24:23.37 ID:mI/E9ojQ0


とうま「また一人になっちゃった……」



「おにごっこしてた二人がそれぞれ違うところで転んでこっせつしたんだって」

「あの子そんなに足速かったの?」

「いや、ふつうだったよ?」

「なんかおかしな話だね」




とうま「……どうしよう」

おさげ「どうしたの? すなばで一人なんて」

とうま「友達がほいくえん休んでて…」

ぽにー「じゃあ私たちとおままごとしましょ」

とうま「いいの?」

おさげ「いいよ。それじゃ私がおかあさんやるから、あなたはおとうさんね」

ぽにー「私は? 私は??」

おさげ「ぽにーちゃんは私たちのかわいいむすめ!」

とうま「えへへ…。こういうのはじめてだからはずかしいな」




とうま「やめてよ……」

じゃい「なに!? お前のせいで俺がおこられただろうが」



「どうしたの?」

「ほら、おままごとしてたらあの大きな子が女の子二人をおしたおしちゃって」

「女の子二人はまだ目をさまさないんだって」

「それってあの大きな子がいけないんじゃ」

「けど、やられてるやつってこの前もいっしょにあそんでたやつをけがさせなかったっけ?」

「そうだよ! あいつとなかいいやつってみんな病院にいるよ」

「その話ほんとかよ……」



とうま「やめてよぉ」

じゃい「にげるな!!」



キーーー




とうま「うぅ……ひっぐ……」

刀夜「当麻、大丈夫だったか?」

詩菜「お怪我はありませんか?」

とうま「うん……だいじょぶ……」


108: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 23:32:52.08 ID:mI/E9ojQ0


とうま「……」


「きたぜ! あいつだよ」

「あいつをおいかけてたやつがいしきふめいで危ないんだよね?」

「あいつ、もう七人もけがさせてるよ」

「かあちゃんがあいつとあそぶなって言ってた」

「うちも言われたぁ」

「俺んちもだぜ」




とうま「……」





先生「はい、みんなー。二人組を作ってー」

とうま「せんせい」

先生「どうしたの?」

とうま「あまっちゃった」

先生「じゃあ先生と組もっか!」

とうま「うん!」ニコッ






警察「それでは」




「どうしたの? あそこの保育園」

「なんか保育園の先生が刺されたらしいわよ」

「なんでも元カレが逆上したとかって」

「けど、あそこの保育園って噂の……」

「あー、疫病神くん」

「娘に聞いたら、今日その疫病神くんが先生と一緒にお遊戯をしていたらしいのよ」

「えっ? 本物じゃない……」





詩菜「当麻さん……」


109: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 23:40:09.20 ID:mI/E9ojQ0


詩菜「刀夜さん、どうしましょう」

刀夜「どうするも何も当麻が悪いわけじゃないだろ」

詩菜「そうですが……」

刀夜「所詮噂だ。じきに収まるよ。大丈夫だから」

詩菜「そうですよね……」





とうま「っ! いたいよ……やめてよ」

「うるせー! 来るんじゃねえよ」

「君がいるから私たちまでけがしちゃうじゃない」

とうま「いたいから石なげないでよ…」

「この疫病神め!」

「さっさといなくなれ」

とうま「うぅ……いたいよぉ……」





詩菜「刀夜さん、あともう少しで当麻さんも小学生です。もう保育園に行かせなくても……」

刀夜「……うん。そうしようか」

詩菜「当麻さん……」





とうま「僕って疫病神なのかなぁ……」

とうま「いたらみんなが不幸になるのかなぁ……」


110: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/03(火) 23:50:03.79 ID:mI/E9ojQ0


上条当麻~小学生~


刀夜「胸張っていけ当麻!」

詩菜「そうですよ当麻さん。知り合いの子は一人もいません。また初めからやり直せますよ」

当麻「うん……。頑張るね……」





男1「なあ? どうしてお前そんなに静かなんだ?」

当麻「人と話すのが苦手で…」

男2「なら俺らと友達になって得意になれよ」

当麻「……いいの?」

男1「おう! その代わり俺らはめっちゃ遊ぶから頑張って付いて来いよ!」

男2「わかったか?」

当麻「うん!」





当麻「……やっぱり」




「聞いたか? 男1と男2が歩道橋の階段から落ちたって」

「あいつら騒がしいからなぁ」

「あの上条ってのは大人しいから大丈夫だったみたいだぜ」

「ふーん」





男3「なあ、お前さ。いつも一人でいるけどなにやってんの?」

当麻「…本読んでる」

男5「ちょっと俺らと駄菓子屋行こうぜ」

男4「そこでさ、お前。万引きしてこいよ」

当麻「それっていけないことじゃないの?」

男4「やらねーとお前のことみんなでいじめるぞ?」

当麻「うぅ……わかったよ……」


111: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:00:52.18 ID:HXsDZVap0


「男3と男4と男5が交通事故だってよ」

「上条もいたけどあいつだけ助かったんだって」

「あの上条ってのなんかおかしくね?」

「あいつの周りにいるやつって怪我してるぞ」

「あいつと同じ委員会になったやつ学校階段から落ちたって聞いたぞ」

「担任の先生も自転車のブレーキ聞かなくて壁にぶつかったって言ってたし」



「なぁなぁ、いとこから聞いたんだけど疫病神ってやつがあの保育園にいたんだって」

「上条ってそれなんじゃねーの」

「マジかよ」

「なあ、みんなであいつのこと疫病神って呼んでいじめね?」

「みんなでやれば今度はあいつが怪我するって! クラス全員が怪我なんかしないんだから」

「いいな! じゃあまず給食のときに……」






当麻「父さん、母さん」

当麻「もう学校行きたくないよぉ…」

刀夜「そうだな……。あんなあからさまないじめを隠す学校なんて行かなくていいぞ」

詩菜「そうですよ、当麻さん。ゆっくり家で休んでください」




当麻「Zzz……Zzz……」



刀夜「当麻を学園都市に預けよう」

詩菜「……もうそれしかないのですか?」

刀夜「疫病神なんて迷信を信じないところに行かなきゃ当麻が死んでしまう!」

刀夜「これは……これは仕方のないことなんだ……」

詩菜「刀夜さん……」


112: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:04:48.35 ID:HXsDZVap0


刀夜「当麻、学園都市ならお前を疫病神なんて言わない! そこでお前は伸び伸びと暮らすんだ」

詩菜「そうですよ当麻さん。私たちはあなたが幸せに暮らせることを祈っていますから」

当麻「……毎月手紙ちょうだい」

刀夜「わかった。必ず送ろう」

詩菜「当麻さんも辛くなったらいつでも帰ってきてくださいね」

当麻「うん……」

当麻(父さん、母さん。さようなら)


113: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:13:16.25 ID:HXsDZVap0


上条当麻~学園都市~


学園都市に入ってすぐに俺は施設に入れられた。
不幸にも置き去りとして俺の身分は処理されていたからだ。


研究員1「なぁ、この結果はあり得ることなのか?」

研究員2「ほお。全ての能力測定が判定不能……」

研究員1「色々と試してやる必要がありますね」

研究員2「試しに彼を解剖しますか……」

「なかなか面白いガキがいるじゃねぇか」

研究員1「お前は……」

研究員2「Level5未元物質、垣根帝督」

垣根「どうせここの置き去りは俺のための研究資料なんだろ? あいつを俺のとこに寄越せよ」

研究員1「貴様、何を言って」

研究員2「何か考えがあるのか……?」

垣根「いや、俺みたいに常識が通じねえ奴を見るのが楽しいだけだ」


116: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:23:14.10 ID:lgtEvohh0


垣根「おい、上条当麻」

上条「君は誰…?」

垣根「俺の名前は垣根帝督。Level5だ! まだ順位は出てねえがまあ一位かニ位だろうな」

上条「そんなすごい奴が僕に何の用?」

垣根「お前、俺のとこで暮らせよ」

上条「……別にいいけど、僕といると君は怪我するよ?」

垣根「はあ? 何様だお前」

上条「僕の周りにいると怪我をしちゃうからね」

上条「……僕は不幸な人間だから」

垣根「なんでお前が不幸なら俺が怪我するんだ?」

上条「僕はずっと友達が欲しかった。だから友達になった子は怪我をして僕の前から消えちゃうんだ」

垣根「ふぅーん、お前の不幸は自分が望んじまったもんを奪うのか」

垣根「なら俺とお前は友達にならなきゃいい」

上条「(ズキッ) そうだね。それじゃ垣根君もどこかに行ってくれないか?」

垣根「お前はこれから俺と暮らすんだ。どこにも行かねえよ」

上条「だからなんで君と暮らさなきゃいけないんだ! 僕に構うなよ」

垣根「だからさ、友達じゃなくて……」



垣根「家族になればいいだろ!」



それが俺と垣根の初めての出会い。


117: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:33:39.05 ID:lgtEvohh0


~垣根宅~



上条「すごい……こんな綺麗なとこに住んでるの?」

垣根「当たり前だ! 俺はLevel5だからな」

上条「……どうして垣根君は僕と暮らすことにしたの?」

垣根「俺様に常識は通用しねえ。そしてお前もここ学園都市で常識の通用しねえ存在だからだ」

上条「……僕も?」

垣根「ああ! お前はまだ何の能力かは分からねえがきっとすごい能力を身につけるはずだ。俺の目に狂いがなければな」

上条「それが僕を家に招き入れた理由?」

垣根「そうだ。なんだ、不満か? もっと綺麗な言葉をかけて欲しかったか?」

上条「ふふっ、いや。それで十分すぎるくらいだよ」

垣根「当たり前だ!」二カッ

上条(俺のことを特別だってわかってくれた上で良い方向に捉えてくれてる。垣根君みたいになりたい。なんでも好きなことを正直に言えるそんな人間に……)


118: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:40:44.50 ID:lgtEvohh0


上条「そういえば、僕を家族にするって……」

垣根「だってお前置き去りだろ? なら俺がお前の親代わりをしてやるんだよ」

上条「僕は手違いで置き去りになっただけできちんと親もいるよ……」

垣根「なんだそうだったのか! だが俺が助け出さなかったら今頃お前は手術台の上だったぞ」

上条「じゃあ僕は垣根君の家族になれないのかな……?」

垣根「俺も置き去り出身だからよ、上条が良ければ家族になっちゃくれねえか? お前と一緒にいるには友達じゃいけないみたいだしよ」

上条「えっ? 家族になってくれるの? いいの?」

垣根「あぁ? 俺はそれを望んでんだよ。上条、お前が決めろ」

上条「じゃ、じゃあ! 垣根君、家族になってくれ!!」

垣根「おう!」


119: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:48:06.79 ID:lgtEvohh0


垣根「よし! 上条の兄貴になって初めてする事はその言葉遣いの矯正からだな」

上条「えっ? ダメなの?」

垣根「俺の家族なら男らしく生きろ! そのためにはもっと豪快な男にならなきゃな」

上条「豪快な男……?」

垣根「守るべき者のために命を張れる! 果たすべき野望のために命を張れる! そんな男のことだ!」

上条「か、かっけー」

垣根「そのためには一人称は俺! まずはそこからだ」

上条「わ、わかったよ垣根君」

垣根「それもだ! 家族に君付けしてんじゃねーよ。俺のことは垣根でも帝督でもいいからそう呼べ」

上条「うん…垣根」

垣根「よし! これからお前を真の男にしてやるからな」

上条「お…おう」


121: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 00:54:01.50 ID:lgtEvohh0


垣根「そろそろ飯の時間だな。上条、お前料理出来るか?」

上条「うん。実家にいるときは友達いなかったから母さんとずっと料理や洗濯とか家事を教えてもらってたから」

垣根「お? 料理の出来る男はモテるからな! よし、上条は料理の腕もあげろ! 女を、そして俺様を惚れさせるような腕前になっとけ」

上条「うん! わかった」

垣根「ただし、今日は俺と上条の家族記念日だ! そういう日は焼肉に限る! さあ、行くぞ上条!」

上条「やった! あっ、待ってー垣根」


122: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 01:08:36.28 ID:lgtEvohh0


~焼肉屋~



垣根「そおいや、上条は何歳だ?8歳くらいか?」モグモグ

上条「んーと、10歳かな」モグモグ

垣根「っ!? ゲホッゲホッ」

上条「だ、大丈夫?」

垣根「お前、そのなりで10歳かよ。細過ぎるしチビ過ぎるだろ」

上条「学園都市来る前は学校で食事なんて食べれなかったし、学園都市来てからも研究所じゃ全然食べさせてもらえないから……」

垣根「マジかよ……」

上条「まあ、僕だけいつも圧倒的に食事が少なかっただけで、他のみんなはそこそこ食べれていたみたいだけど」

垣根「やっぱりお前って不幸だな」モグモグ

上条「それでも父さん、母さん、垣根がいるから。だからぼk、じゃなかった、俺は生きていけるよ」

垣根「……」

上条「だから、まだ本当に不幸じゃないんだ」

垣根「……上条、俺はお前を見誤っていた。お前の底にあるのは豪快な男、そのものだ」

上条「そ、そうなのかな……」

垣根「お前はこれから父親、母親、そして俺のために命をかけて生きていけ!」

垣根「俺はお前のために生きてやる!」

上条「垣根君……」ウルウル

垣根「だから、お前は強い男にならなきゃいかん! だから食え! 死ぬほど食え!」

上条「わかったよ。めっちゃ食う!」

垣根「あっ! ちなみに俺、12歳だから」

上条「っ!?」

垣根←165?
上条←135?

上条「何食べたらそんなに大きくなった?」

垣根「ははっ、肉だ! 肉を食え!!」

上条「よ、よし! 食べるぞぉ!!」


124: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 01:17:35.83 ID:lgtEvohh0


~次の日~


垣根「朝飯はまあまあだったな」

上条「あ、ありがとう」

垣根「そこは男らしく、おう!だろ」

上条「お、おう!」

垣根「まあいい。今日はお前が能力に目覚めるまでに自衛が出来る程度に肉弾戦で強くならなきゃいけない」

上条「肉弾戦!? 僕、ケンカはあまり強くないんだけど……」

垣根「僕じゃねえ! 俺だ! んで教えるのはケンカじゃねえよ。殺しだ、殺しの技術を上条には身に付けてもらう」

上条「殺し!?」

垣根「俺はLevel5だ。いつ敵が命を狙ってるかわからねえ! そしてお前もその家族だ! お前も守り自分も守るなんて出来る時は少ねえ。そんな時、上条には自力で突破してもらわなきゃならねえ」

垣根「それに、俺を助けるのはお前の仕事だろ?」

上条「!! わかった。やるよ! 垣根のために生きると決めたんだから」

垣根「よし! 良い心構えだ」

垣根「じゃあまずはな……」


126: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 01:25:25.50 ID:lgtEvohh0


~月日は流れて~


垣根「まだお前の能力は現れねえのかよ」

上条「なんかよ、本当にどんな能力開発も無意味なんだよな」

垣根「もしかしたらもう発現してて、学園都市の技術が追いつかなくて測定出来ないのかもしれないな」

上条「えっ? そんなことあるのかな…」

垣根「けど、お前よ。最近俺の殺人拳法除けるの上手くなったよな」

上条「あー! なんかここら辺に来るってわかるようになったんだよね。だんだんと色濃く」

垣根「それが上条の能力か? 順調に行けば未来予知が出来ますってか」

上条「そしたら俺、無敵じゃないか!?」

垣根「……そうだったら上条にも」ボソッ

上条「ん? 何か言ったか?」

垣根「……いや、何も」

垣根(まだ早い。こいつに暗部は早すぎる)

上条「じゃあ今日も格闘の訓練お願いします!」

垣根「おう! やったるぜ!」


127: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/04(水) 01:33:58.09 ID:lgtEvohh0


垣根「フッ!」

上条「ホッ」

垣根「クッ!」

上条「ホイッ」

垣根(本当に最近じゃ一発も当たらねえ。密かに一発一発が死に直結するくらいの威力で放ってるのによ!)

上条「こっちから行くぜ!」

垣根「ッ!?」

バサッ

上条「あーっ! 空に逃げるのは無しだろ!!」

垣根「お前だって能力使ってるようなもんなんだから良いだろ」

垣根(試しに避けれるかやってみるか…)

垣根「上条! このはね避け切ってみろ!」

バッ シュシュシュシュ

上条「ッ!?」

垣根(おーおー。すげーな……。なんか避けられ過ぎてイラついてきた)

垣根(一発くらい当てても大丈夫だろ)

垣根「っ! そこっ!!」

上条「ッ!?」

上条(やべえ、当たる……。)

上条(……?右手……!?)



パキーン



166: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:56:05.85 ID:Tn2Hphy50





垣根「……今なにをした」

上条「えっ? えーと……右手で羽を消した……?」

垣根「……」

ヒュン

上条「ッ!?」スッ

パキーン

垣根「……それが上条の能力か」

垣根(俺の未元物質はこの世にない物質だ……。それを消すとなると対俺用の能力!?)

垣根「……いや、そんな限定的な能力なはずない」

垣根(そうなると対超能力用ってことになるのか……)

垣根「……ははっ、俺よりも常識が通用しねえじゃねえか!」

上条「え? なんか俺の右手のことわかったの?」

垣根「どうして右手で俺の未元物質を消せると思った?」

上条「なんか……俺の中から右手を前に出せって教えられたような……」

垣根「……よしっ! 上条、本気で行くから生き残れよ!!」

上条「は? いやいやなに翼の長さハンパなくしてんの!? それ全部ぶつけてきたら死ぬからー!!」

垣根「心配するな、自覚はある。全力で避けて俺を止めてみろーー」

上条「だぁーー! 不幸だーーー」


167: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 18:58:54.25 ID:Tn2Hphy50



~病院~


上条「……んあ?」

上条(この天井は……。久しぶりに来たな)



垣根「よお。起きたか」

上条「……垣根、本当に死にかけたぞ」

垣根「冥土帰しが言うにはまだ余裕はあったみたいだぞ」

上条「あの人が診る患者が本当に死ぬ手前な奴ばっかりで、俺はそれと比べたら余裕があっただけだろ!」

垣根「……なあ、その能力にはいつ気付いた?」

上条「えっ?……んー、本格的に右手を使ったのは今日が初めてだと思う。何回か街中で絡まれた時に相手が演算ミスして能力が俺に届かなかったことはあったけど……」

垣根「その時右手は使ったか?」

上条「そう言われれば、右手で消したり右手で相手に触ってる時には能力を使われなかったりしたかも……」

垣根「これではっきりした。上条、お前の能力は相手の能力を右手で消すっていうもんだ」

上条「……それってすごくね?」

垣根「Level5第二位の能力を消してるんだ。おそらく消せない能力はないはずだな」

上条「この右手が……」

垣根(上条を使えばあの第一位も……)

上条「けどこれ単体じゃ相手を倒せないよな?」

垣根「そこがネックだ。相手の能力を消せても相手を倒すとなっちゃお前自身の拳でねえといけねえ」

垣根(第一位とやるときにゼロ距離まで持ってくなんて今の上条じゃほぼ不可能だよな……)

上条「ふーん、それじゃ能力がわかっても今までやってきた格闘の訓練は欠かさずやらなきゃいけないんだよな」

垣根「あとは上条の戦いは長期戦になる可能性が高いから走り込みで体力と脚力を付けなきゃいけねえな」

上条「かぁー、折角能力がわかっても今までとやること一緒かよ」

垣根「だが、上条の能力は聞いたことのねえ非常識だ。それは大事にしとけ」

上条「……わかったよ」


168: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:04:24.68 ID:Tn2Hphy50



垣根「そういや、上条は今…中二か」

上条「もう三ヶ月で中三だけどな」

垣根「まだ実家からの手紙は届かないのか?」

上条「うん……。まあ、今は垣根いるし寂しくはないよ」

垣根「学校の方はどうなんだ? まだ一人か?」

上条「いや友達って訳じゃないんだけど、なんか中一から一緒のエセ関西弁しゃべる青髪と二学期から転入してきた変なしゃべり方する金髪とつるんでる」

垣根「なんだ、そのヘンテコ集団」

上条「いやいや、上条さんは極めて普通ですのことよ!?」

垣根「そいつらといて楽しいか…?」

上条「……どうだろうな」

上条「友達いたことないからわかんないや」ニコッ

垣根「……」

上条「けど、学校で一人ぼっちじゃないっていうのは意外と嬉しかったりするかな」

垣根「……そうか」

上条「……おう」

垣根「……んじゃ女は?」

上条「……へ?」

垣根「なんだお前、中二にもなって彼女の一人もいねえのかよ」

上条「は? 普通に彼女とかって高校生からじゃないの??」


169: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:06:00.59 ID:Tn2Hphy50





垣根「……は? なんだ、そのクソみたいな理論は」

上条「へ? 青髪が、カミやんはまだ中二やから彼女なんて出来ないんや! って言われて告白されたのを無理矢理断らされたんだけど……」

垣根「……モテない男の僻みか」

上条「いやいや実際に断ったら、罰ゲームだからね、勘違いすんな! って言われたし」

垣根「そりゃ照れ隠しだろ」

上条「えっ? そうだったのか……。不幸だ」

垣根「まあ、学校も楽しくやってるならいいな」

上条「……ん? 何が?」

垣根「もう少ししたら俺、家空けるわ」

上条「……どこか行っちゃうの?」

垣根「この学園都市を変えるために一仕事ってな」


172: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:07:37.28 ID:Tn2Hphy50


上条「今の家からじゃその仕事は出来ないの?」

垣根「これから一ヶ月、みっちり俺と闘って一回でも俺を病院送りにすることが出来たら連れて行ってやる」

上条「……これから一ヶ月」

垣根「そうだ。それでダメだったら今度はお前が高校生になった時にまた迎えに来てやる」

上条「……ダメだったら一年後」

垣根「同時にこの一ヶ月は銃の扱い方にも慣れてもらうぜ」

上条「……」

垣根「……俺が歩もうとするのはそういう世界だ。今のお前じゃまだまだ肉体的にも精神的にも甘い」

垣根「自分が進むと決めた道を邪魔する奴は誰であっても容赦するな」

垣根「自分が守りたい奴のためなら相手が誰であっても叩き潰せ」

上条「……」

垣根「……辛くてもやらなきゃいけないことなんだ」

上条「……わかったよ」

垣根「ああ、明後日から開始だ。今日はこのまま入院して明日帰ってこい」

上条「……うん」

垣根「じゃあまた明日な」



ガラガラ ピシャン


173: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:09:28.42 ID:Tn2Hphy50





上条「……なんとかやらないとな」

上条(垣根には黙ってたけど、青髪と金髪……二人とも堅気の歩き方してねえんだよな)

上条「……また一人になるのかなぁ」




イヤダイヤダヒトリハイヤダ




上条「……よしっ」

上条「明後日から垣根を本気で倒しに行く」

上条「そんで垣根の背中は俺が守るんだ」


174: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:11:21.75 ID:Tn2Hphy50





~数ヶ月後~



?「よお、第一位」

一方通行「あァ? …誰だ?」

?「はっ、さすが第一位サマだぜ。第二位の顔なんて知らねえってか」

一方通行「……垣根帝督か」

垣根(?)「ちょっとアレイスターのメインプランを譲ってくれねえかなあ」

一方通行「あァ? ンなもンどォでもいいンだけど」

垣根「奴との交渉権を得てやりたいことがあるんだよねえ」

一方通行「あっそォ。勝手にやれば?」

垣根「そのためにはお前に死んでもらわなきゃいけねえんだわ」

バサッ

一方通行「……白い翼。頭もそうだが能力までイカれてるとは、どんだけメルヘンなンですかねェ」

垣根「心配するな、自覚はある。さあ、俺のために死ね第一位!」

一方通行「ぎゃはっ、ぎゃはぎゃはっ」

一方通行「久しぶりに面白くなりそォじゃねェか、第二位がァ!」


____________________
________________
____________
________
____


176: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:13:59.22 ID:Tn2Hphy50




~とある高校~


上条「なんでお前ら二人ともこの高校なんだよ」

土御門「つれないこと言うなよカミやん。俺らの絆は深いぜい」

青ピ「カミやんに彼女を作らせず僕が彼女を先に作るんや。それに、この高校には合法ロリ教師がいるゆう噂あるしな」

上条「しかも同じクラスとは……、不幸だ」

ガラガラ


小萌「はーい、静かにしてくださいですー」

一同「!?」

小萌「このクラスを受け持つことになりました、月詠小萌ですー」

青ピ「きたきたきたーーっ! 来たでカミやん! いきなりビンゴや!」

上条「本当にあれで先生かよ……」

小萌「あーっ、そこのツンツン頭の……上条ちゃん! 私はちゃんと大学も出た本当の先生なのですよ!?」

上条「……なんで俺だけ、不幸だ」

青ピ「あの格好で怒られるとか……、ご褒美やないか」ハァハァ

土御門「出たにゃー、青ピの気持ち悪い性癖。こりゃこのクラスで彼女作るのは早速諦めた方がいいぜよ」

青ピ「やんやて? うわぁ、俺ら三人に対する目が痛い、痛すぎるでー」

土御門「なんで俺も入ってるにゃー!?」

小萌「そこの三人うるさいですよー」

上条「俺、全く関係ないのに……、不幸だ」

上条(……明らかにこの二人は俺を見張ってるよな。やっぱりこの右手のせいか……?)

上条「……まあ、とにかく」

上条(今日から高校生だ。……垣根を一発ぶん殴ってからしっかりと連れて行ってもらわなきゃな)


177: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:16:11.00 ID:Tn2Hphy50





~放課後~


土御門「カミやん、遊びに行こうぜい」

上条「わりー、今日は早く帰らないといけないんだ。また今度な」

青ピ「僕はこのクラスの女子のメアドをゲットしに行ってくるで」

土御門「青ピには聞いてないにゃー。それじゃまた明日なカミやん」

青ピ「なんか土御門くん僕に冷たくない? ほなカミやんまた明日」

上条「……おう」

土御門「そりゃ青ピのせいで俺まで変人扱い受けたからに決まってるぜよ」

青ピ「どうせシスコンの変態なんだしええやん」

上条(この日常も今日で最後……。まあ、二人には感謝してるかな)



上条(じゃあな、土御門、青髪)



178: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:18:40.92 ID:Tn2Hphy50



~自宅~


上条「なんだよ、垣根の奴帰って来てねえし」

上条(さすがに約束忘れてないよな……)



~数時間後~



上条「……ブチ切れたッ! 垣根の居場所突き止めて病院送りにしてやる」

上条「この一年、鍛えに鍛え抜かれた腕力と脚力で間合いを一瞬でつめて能力でガード出来ないよう右ストレートで沈めてやるぜ!」

上条(それはそうと、どこで調べるかなぁ……)


チッ チッ チッ チッ チッ チッ チーン


上条「髪の毛オールバックにしてスキルアウトのアジトにでも行くか」

上条「あいつらならLevel5の情報を少しは持ってるだろ」

上条「さーてと、トレードマークのツンツンちゃんを櫛でほぐして、ワックスガチガチのベタベタに……」

上条(これ大丈夫かな……、ハゲないよな……?)

上条「ええい、しょうがない! 一回だけだ」




上条「完成! ……なんか父さんに見えなくもない」

上条「……スキルアウトに見えねえけど、まあいいや。行くか」


179: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:22:48.56 ID:Tn2Hphy50




~スキルアウト アジト~


蛇谷「おっしゃあっ! 今日もクソ能力者どもをぶち殺しに行くぞ」

スキルアウト's「「「おーーっ!」」」

上条(なにやってんだ、こいつら)

ヒゲ「兄ちゃん、見ねえ顔だな」

上条「今日、友達に紹介されてここに入ったんすよ」

ヒゲ「そうか、これから能力者狩り行くから気を引き締めて行けよ」

上条「能力者狩りっすか……」

ヒゲ「なーに、心配すんな。あの車にキャパシティダウンって言ってな、何でも能力者の演算を邪魔してくれる音を出す機械があって、それ使うと楽勝なんだとよ」

上条「そんなもんがあるのか」

ヒゲ「だからよ、能力者どもの財布から金抜き取って今日も豪華な夕飯を食うってわけだ」

上条「そっか……。そういや、Level5の第二位の居場所って知ってるか?」

ヒゲ「第二位だ? どこにいるかはわからねえな。……第二位かどうかは知らねえが、この第十九学区の外れの方で高位能力者同士が戦ったってのは聞いたぞ」

上条「どっちの方だ」

ヒゲ「向こうの方だ、あの更地になってる。あそこは前までは廃ビルとかたくさんあったはずだったんだがな」

上条「そうか」

ヒゲ「お、おい! これから能力者狩り行くってのにどこ行くんだ!?」

上条「あー……、腹痛くなったから帰るわ。じゃあな」



ヒゲ「最近のガキはすぐこれだ……」


180: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:24:36.10 ID:Tn2Hphy50



~更地~


上条「こりゃすげえ。更地にはなっているがところどころ削り取られたような跡もある……」

上条(本当にただの高位能力者同士の争いか……?)


スタスタ


上条「ッ!? これは……」

上条(白い羽……。けど黒い羽も混ざってる……)

上条「右手で触ってみるか」

パキーン

上条「やっぱり白い羽は能力で出来てる……。てことは垣根の……」

上条(じゃあこの黒い羽は……?)



上条「まあいい。垣根がここで誰かと……、おそらくLevel5と争ったってことはわかった」

上条(あとは相手が誰なのか、それと垣根の行方を調べる)



上条「……今日はもう遅い。帰ろう」


184: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:49:49.33 ID:Tn2Hphy50





~街中~


上条「たくっ、垣根の奴め……」


ゾロゾロ ゾロゾロ


?「おい、そこの似合わねえオールバック」

上条「……なんだお前ら、覆面なんかしちゃって」

??「ここら辺歩いてるお前みたいなのって無能力者のクズって決まってんだけどよぉ、どうなの?」

上条「(イラッ) 無能力者ってのは認めるがクズはお前らだろ、どう見ても」

?「よく言うじゃないか、無能力者のくせに」

??「五人を相手に逃げ出さないのは褒めてやるよ」

上条「あ? なんで俺が絡まれなきゃなんねーんだよ」

???「能力者狩りって知ってっか?」

上条「あー、スキルアウトがやってるやつだな」

??「無能力者のクズのくせにそんな楽しそうなことやってるからよ、俺らも真似しようかなって」

上条「……無能力者狩りってか」

?「ご名答。ちょっくらあいつらの見せしめに瀕死になってくれや」

ブオン

??「発火系能力者二人に電撃使い二人、水流操作一人だからさ」

???「身体に色んな傷がついちゃうねー」

上条「……わりーな」

?「だははははっ、今更命乞い? これはお前が不幸だったってことで諦めろよ」

上条「……今、約束すっぽかされてイラついてんの。手加減出来ないからわりーな」



185: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:53:09.72 ID:Tn2Hphy50





上条がそう言い終わった瞬間、右足に力を入れ一人の能力者へと距離を一気に詰める
驚く能力者を無視し脇腹に左ボディを当て
降りて来た顎に右アッパーを振り上げ一人を潰す

それを見ていた能力者は馬鹿みたいに口を開けたまま動けないでいた

近くにいた能力者の背後に上条は一瞬のうちに移動し
能力者の頭を抱え込むように両手で包み、思いっきり左へ捻る
すると能力者は糸が解けた人形のように膝から崩れ、顔面を地面に強打する

我に戻った三人の能力者は手から電気、水、そして先ほどから出している炎剣を構え上条に備える

一人が電撃を放つがそこに上条の姿はなく、電撃使いの能力者は急に不安になり辺りを首を振って見回すが上条の姿を捉えることが出来ない
すると後ろから

「こっちだ」

声がし、振り向くと能力者は痛みを感じることすら出来ずに地面に後頭部をぶつける

間近で上条の右ストレートを見ていた水流操作の能力者はすかさず水で作った蛇を上条に当てダメージを与える

はずだった

パキーン

と音がし、水の蛇が消え去る

そのあとすぐ能力者は首に違和感を感じる
上条が能力者の首を右手で掴み、能力者の身体を宙に浮かしていた
それに気付いた能力者は呼吸が出来ないことを理解してしまう
苦痛の表情をうかべる能力者に上条は右手を離し
倒れこみ地面に手をついてえづく能力者の頭を思いっきり右足で蹴り上げる
能力者は数メートル飛び、地面に体全体を擦り付けるようにしてやっと止まる

上条がもう一人の能力者の方を見ると、上条を脅す為に出していた炎剣は消えており、上条に対して

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」

壊れたように目を合わすことすら出来ずに同じ言葉を繰り返す
上条はその能力者の頭を左手で掴み何度も顔面に右膝に当てる
鼻からか口からかわからないが覆面からおびただしい量の血が出てきたところで上条は左手を離し右足で腹を蹴り上げる

誰もいない道の上に息も絶え絶えに倒れ伏す五人の覆面とその中一人立っている似合わないオールバックの少年


「不幸なのは俺と出会ったお前らの方だったな」


少年はそう言い残し誰もいない家を目指して歩を進めた



186: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:54:58.44 ID:Tn2Hphy50





~自宅~


上条「はぁー、久しぶりにすっきりしたぜ。最近は垣根と会えると思ってずっと走り込んでたから、人を相手にするのがなかったもんな」

上条「しかしまあ、数少ない私服がオジャンになっちまったぜ。……これもすべてくだらねえことやってるスキルアウトのせいだな」

上条(次そういうのしてたら能力者の方を助けてやるかな……。一応、今日の罪滅ぼしに……)



上条「あーっ、もうっ!??垣根がいねえから明日も学校行かなきゃいけねえし。……風呂入って寝よ」


187: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 19:58:23.75 ID:Tn2Hphy50



~学校~


上条「おはよ」

青ピ「はよー。あれ? カミやん、昨日よりも老けてへん?」

上条「あー、昨日の夜にコンビニ行ったら無能力者狩りに会っちまってな、能力者狩りのお返しだ! みたいな感じに」

青ピ「それは災難やっなぁ。よく無傷やね」

上条「……走って逃げたからな」

青ピ「ほー」

上条「これもそもそもスキルアウトの連中が能力者狩りなんて馬鹿なことやってるせいだ。……なんかイライラしてきた」

青ピ「カミやん、スキルアウト嫌いなん?」

上条「今嫌いになった」




吹寄「今朝のニュース見た?」

女1「見た見た。Level3の能力者五人が襲われて二人が死亡、三人が意識不明の重体ってやつでしょ」

吹寄「なんでも一人は首の骨が折れて即死、もう一人の死者は顔面複雑骨折で発見が遅れたせいだって」

女2「最近、能力者狩りがひどいよね」

吹寄「監視カメラにも上手く映ってなかったらしいし、人を殺すなんて本当に許せない!」





上条(やっぱりあの技は鍛えてない奴だと即死か……。もう一人って誰だ……???最後のやつかねえ)

土御門「怖いにゃー。無能力者狩りってのも流行ってるらしいし、気軽に外歩けないぜよ」

上条(ま、やっちまったもんはしょうがねえ。今更神様に懺悔なんてしたって意味ねえしな。垣根を狙う奴を何人殺してきたかわかんないし、そもそも神様に見捨てられてる上条さんは関係ないからなぁ)




上条(それでも、罪滅ぼしに能力者狩り見つけたら助けてやるのは決定か……)


188: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:00:37.41 ID:Tn2Hphy50





~放課後~


上条(昨日のとこ行ってみるか。なんか俺に繋がる証拠あったらまずいし。……こっちの路地裏抜けてくか)





能力者「お前らなんかがいるからこの街で安心して暮らせないんだ!」

スキルアウト1「はあ? 俺ら関係ないんだけど」

浜面「違うスキルアウトの連中だからな、能力者狩りやってんの」

能力者「スキルアウトなんてどいつも一緒だろうが! 死ね!」

キンッ

スキルアウト2「なっ!? 動けねえ」

浜面「念動力かよ!」

能力者「へへっ、思う存分ぶん殴ってやる」



駒場「……能力者、俺らは無関係だ」

能力者「っ!? 誰だお前!」

浜面「リーダーッ!」

スキルアウト1「駒場さん!」

能力者「へえ。親玉ってか」

駒場「……俺らは無関係だ」

能力者「お前を殺せば住みやすくなるな!」

キンッ

駒場「……っ! しょうがない」

ブンッ

能力者「ぐはっ」

浜面「解けた!? リーダーすまねえ」

スキルアウト1「くそっ! この能力者め!」




上条「へえ。あのデカイのやるなぁ」




?「ジャ、ジャッジメントです!」



189: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:02:57.73 ID:Tn2Hphy50


スキルアウト1「なんだ?」

?「ジャッジメントです。能力者狩りの現行犯でた、逮捕します!」

スキルアウト2「先に手を出してきたのこいつなんだけど」

浜面「そうだぞ、頭花畑」

頭花畑(?)「そ、そんな言い訳通じません!」

スキルアウト1「……やっちまうか」

スキルアウト2「こんな路地裏でジャッジメント一人なんて馬鹿だろ」





上条「ふーん、ジャッジメントに手を出しちゃうんだ」

浜面「さっきからなんなんだよ」

スキルアウト1「お前もジャッジメントか!?」

上条「能力者狩りをやってないのに疑われて能力者に襲われたのを正当防衛した、までは良いのにジャッジメントに手を出したらお前ら本当の前科者になるぞー」

スキルアウト2「部外者は黙ってろ」ブンッ

上条「うおらっ」バキッ

スキルアウト2「」

上条「これは正当防衛だよな」

スキルアウト1「調子に乗りやがって」チャキ

浜面「先にこっちから片付けるか」チャキ

上条「ただの高校生相手に刃物を持った男が二人掛かりって恥ずかしいな」

浜面「うるせーよ」

上条「まあ、俺に会ったのがお前らの不幸だな」



190: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:04:43.70 ID:Tn2Hphy50



刃物を持ったスキルアウトが上条目掛けて刃物を振り下ろす
上条はそれをバックステップで避けた後、左足に力を入れスキルアウトの顔面に右膝をぶつけた

その瞬間を浜面は狙っていたかのように刃物を上条の死角から突き出す

が、上条はその殺気を感じ取り浜面の刃物を持つ右手首を掴み取る
それに上条は捻りを効かせて浜面を地面に無理矢理押し伏せる
右手から落ちた刃物を浜面の首元に構え

「そこの大きい奴よ、どうする?」

と、一部始終黙って見ていた駒場に上条は問いかけた



191: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:07:44.56 ID:Tn2Hphy50


駒場「……すまなかった。こちらが悪い」

上条「……そうかい。ジャッジメントのお嬢ちゃんよ、そこの能力者がこいつらを例の能力者狩りの連中だと勘違いして襲ったのがことの発端だ」

お嬢ちゃん(頭花畑)「え? それじゃこの人たちが言ってたのは本当だったってことですか……!?」

上条「そうだよ……な?」

駒場「……そうだ」

浜面「悪かったから、どいてくんねえかな」

上条「あ、悪い」

浜面「たくっ! こっちから仕掛けたけどよ、二人も気絶させやがって」

上条「あー、悪い。手加減がわからなくて」

駒場「……お前、本当にただの学生か? 能力者じゃないのか?」

上条「無能力者だよ。身体鍛えてるだけのな」

浜面「肉体強化系じゃなくてこれってヤバイだろ」

駒場「……俺らのスキルアウトに入らないか? 罪も無く襲われる無能力者を助ける為に」

上条「……俺にも守らなきゃならねえもんがあるんだ。そんなの一人しか抱えられねえよ」

浜面「へっ、女かよ」

上条「男だが?」

浜面「ホモかよっ!」

お嬢ちゃん「ッ!?///」

上条「ちげえよ、家族だよ家族!」

浜面「なんだよ…」

駒場「……そうか。残念だ」

上条「あー、でもよ、そこの二人伸ばしちまったお詫びに俺の電話番号渡しとくわ。困った時あったらいつでも呼んでくれていい。一回だけ」

浜面「一回かよ」

pi

上条「名前は上条だ」

浜面「俺は浜面。リーダーは駒場だ」

上条「それじゃ、また縁があれば」

駒場「……ああ」


スタスタ



お嬢ちゃん「ほ、本当にすいませんでした!」

浜面「いいよ。仕事熱心なのはいいが、路地裏に一人は危ないからな」

駒場「……襲おうとしたくせに何を言ってる」

浜面「そ、そりゃそうだが」

お嬢ちゃん「……そ、それじゃ失礼します」


タッタッタッタッ



192: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:10:02.96 ID:Tn2Hphy50





お嬢ちゃん「待ってください!」

上条「ん? どうした?」

お嬢ちゃん「わ、私、初春飾利って言います。さっきは助けていただいてありがとうございましたっ」

上条「別に」

初春(お嬢ちゃん)「うっ……、お名前はなんて言うんですか?」

上条「さっき名乗ったけど……?」

初春「下の名前です」

上条「……当麻、上条当麻だ」

初春「あ、ありがとうございます。それじゃ仕事に戻るので」

上条「ん」

初春「それじゃ、上条当麻さん。また」

上条「またな」



スタスタ




上条「ジャッジメントと関わっちまった……、嫌だなぁ。捕まりたくないし、下手に抵抗出来ないし」

上条(それよりも足がつくものは無いか昨日のところで確かめなきゃな)



193: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/06(金) 20:11:33.34 ID:Tn2Hphy50




~殺害現場~



上条(あいつら結構血が流れてたんだなぁ。ここら辺のコンクリートに染みてんじゃん)

アンチスキル1「もう何も残ってないじゃん。さあ、帰るじゃんよ」

アンチスキル2「待ったくださいよ~」

アンチスキル1「本当にトロいじゃん。それでアンチスキルやってけるのか?」

アンチスキル2「だ、大丈夫ですよ。しっかりやります」

アンチスキル1「それならいいじゃんよ」





上条(何もなかったみたいだな。手掛かりがあったらあんなのんびりしてないだろうし)

上条「……帰るか」



205: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 17:59:31.42 ID:NCkhpD6r0



~自宅~



上条「うーん、ネットでLevel5のこと調べようにもちょっとパソコン触ったら壊れた。不幸だ」

上条(うーん、垣根の身に何かあったのは確かだよなぁ)

上条「早く見つけないと……」

グー

上条「飯か……」

上条「久しぶりに作るかな」


____________________
________________
____________
________
____


上条「ふぅー、今日は早く寝るか」

オヤスm
pipipipipi

上条「不幸だ……。誰だよ」

上条(浜面……? 誰だ?)

pi

上条「もしもし、どちらさんで?」

浜面「昼間あっただろうが、馬鹿か!」

上条「あー (あのピアスか)」

浜面「一回手を貸すっつたよな! ちょっとメールで送るところまで来て加勢してくれ」

上条「良いけど、どうした?」

浜面「昼間みたいに俺らが能力者狩りの連中だと勘違いしたLevel5が攻めて来たんだよ! 今、リーダーが相手してるがどうなるかわかんねえ」

上条(Level5……垣根に繋がるかもしれねえ)

浜面「銃ぶっ放しても砂鉄かなんかで効かねえんだ! 早く来てくれ!」

上条「わかったよ。待ってろ」

pi


上条「ハゲると嫌だから、今日は帽子を被ってっと」

上条「風呂入ったけど運動しますか」



206: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:01:39.92 ID:NCkhpD6r0





~スキルアウト アジト~


浜面「くそっ! 俺らは何も出来ねえのかよ」



駒場「……勘違いだと言っているだろ、能力者」

?「Level5とやりあえるくせに能力者狩りの犯人じゃないって通じると思ってんの?」ビリビリ

駒場「……俺は発条包帯(ハードテーピング)を使って身体を痛めつけながら動いているだけだ」

?「それがなくてもこの人数、アンタのガタイさえあれば、並の能力者ならやられるわね。それで私の同級生、常盤台の生徒にまで手をかけやがって!」

?「死ねーっ!!」

ビリビリ

駒場「……っ!?」

?「最高速度の電撃よ。それが避けられたら危なかったけど、勝負ありね」

駒場「……俺らは関係ない」

?「意識飛ばした後、アンチスキルの拘置所でそこにいるお仲間さんたちと仲良く服役しなさいっ」

ビリビリ



207: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:03:08.93 ID:NCkhpD6r0


上条「え? こんなのがLevel5なの?」

?「!? 電磁レーダーに反応が無いのに……。アンタ何者よ!?」

駒場「……お前は」

上条「アンタがやられちまうのかい。それじゃLevel5なのかもしれねえな」

浜面「遅えよ」

上条「家からどれだけ離れてると思ってんだ、馬面は黙ってろ」

浜面「浜面だ! 電話の時もそうだけど名前くらい覚えろよ」

スキルアウト1「アンタは昼間の」

上条「まあ、お詫びってやつだ」

?「……私を無視してんじゃないわよっ!」

ビリビリ

パキーン

?「ッ!?」

スキルアウト's「ッ!?」

上条「そこのビリビリ中学生!」




上条「お前の常識(能力)は俺には通用しねえ」



208: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:08:23.02 ID:NCkhpD6r0


上条の言葉が名門常盤台の少女のプライドに傷を付けてしまった

「カッコつけてんじゃないわよっ!」

少女が放つ電撃を、それに走って向かいながら上条は右手でそれを消す

少女と上条の距離は後数メートル

少女は地面から砂鉄を取り出し、鞭のように形どっていく
それを上条に向けて振るった

ブゥン ブゥン

空気を切り裂くような音を出しながら鞭は上条に狙いを定める
上条は近くにあったブロックを砂鉄の鞭に投げるが、ブロックは真っ二になってしまった
しかしなおも上条から鞭の標的は外れない
鞭を上条は鍛え抜かれた筋肉と運動神経で避けていく
鞭の攻撃範囲から逃れたところで上条はやっと一息つけた

「その砂鉄は高速で動いているからね。砂鉄のチェーンソー状態よ」

「そんなの反則だろうが」

「アンタだって私の能力が効かないとか言った割に逃げ回ってるだけじゃない」

(これは触っても大丈夫なのだろうか……)

少し悩んだ後、上条は意を決し鞭の攻撃範囲へと踏み込んでいく
少女の放つ砂鉄の鞭に上条は右手をかざした

パキーン

上条が鞭に触れた瞬間、砂鉄の鞭は砂鉄となり地面に落とされた

(さっき逃げ回ってたのは私の砂鉄を消すための演算をしていた……?)

少女は今の状況を冷静に分析していた

(電撃も砂鉄もダメ……、ならこれしかないわよね)

上条が中学生との距離を着々と詰めていく
そのとき少女は自身の通り名でもある必殺技を繰り出そうとしていた

(……コイン?)

「ねえ、超電磁砲って知ってる?」

そう言い終えた時、少女の手から放たれたコインは電撃を纏い、音速を超えて上条に襲いかかった



209: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:13:20.82 ID:NCkhpD6r0


「へっ、やってやったわ」

少女は超電磁砲の放った方を見て、憎き宿敵の焦げた帽子しかないことを確認する

(あれ? これ私、跡形もなく消しちゃった!?)

少女は今まで自分の能力を消す人間などに会ったことはなかった
そのため超電磁砲を本気で放ってしまっていたのだ

「ま…まあ、元ならあんな奴いなかったのよ」

「それ誰のこと言ってんだよビリビリ中学生」

チャキ

少女は後ろで宿敵の声を聞き、彼の手が頭の上におかれ、銃を突きつけられてる感覚を覚える

「生きてたんだ。けど、私に銃は効かないわよ」

少女は砂鉄で銃を貫こうとする

(演算開始……終了!)

…………

しかし、いつまで経っても砂鉄は集まらない

「……あれ? なんで……!?」

「だから言ったろ」

「お前の常識(能力)は俺には通用しねえって」

少女は実感する

この男が言ってることは本当だ
演算しても演算しても砂鉄や電撃が出ない
これはすなわち今、宿敵の持つ銃で簡単に殺されてしまう

ということに

「き、急に何よ! アンタ能力者なんでしょ!? しかも能力を打ち消す能力を持つ! なのになんで能力者狩りをする無能力者のクズ共を庇うのよ!!」

「こいつらは能力者狩りなんてしてねえよ。やってるのは違う組織だ」

「しょ、証拠はあるの? 無いでしょそんなもの!」

「はあー、なら連れて行ってやるよ。本物のところに」

「……なんで、私を止めたのよ。スキルアウトなんてどいつも一緒でしょ!? いつかこいつらも同じことやるに決まってるわよ!」

「Level5のくせに無能力者狩りしてる奴がなに言ってんだ」

「……しょうがないじゃない。同級生が強姦されたのよ!? 許せると思うの!?」

「そんなこと、俺やコイツらには関係ないね」


210: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:20:22.18 ID:NCkhpD6r0


「んなっ!? 何とも思わないわけ!?」

「自分がヤるべき相手間違えてんじゃねえよ。自分のやりたいことを邪魔する奴、相手ならぶっ殺すのなら止めねえよ。ただな、関係ない奴を巻き込むんじゃねえよ! そんなことする奴はクズだ!」

「……」

「まあ俺もクズみたいなもんか」

「……なんでアンタみたいなのに私が説教されなきゃなんないのよ!」

「そうだな……。落ち着いたらまた聞くとして、もう説得するのもやめだ。……それと俺、無能力者だから」

そう言って上条は少女の首元に手刀を加えた
すると少女は脳に衝撃を受け意識を手放してしまう
上条は咄嗟に腕で少女を支えた

「こんなガキがLevel5とか本当に終わってんな学園都市」

上条は銃をポケットにしまい込み少女を担いで駒場たちの方へ歩いて行った



211: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:23:21.13 ID:NCkhpD6r0



駒場「……すまない。助かった」

上条「これでチャラな」

浜面「アイツ、マジでLevel5に勝っちまった! てかなんで能力消せんだよ」

スキルアウト1「昼間はイラついたけど、今思うとなんて奴にケンカうったんだって震えてくる……」ブルブル

上条「それじゃこのガキは俺が預かるわ」

浜面「上条……お前何者なんだ!?」

上条「別に……普通の高校生ですが?」

浜面「いや、あり得ないだろ。なんで能力消せたんだよ!?」

上条「んー……お前らには関係ないだろ。詮索してくんな」

上条「それ以上聞いて来たら殺す」

浜面「」ビクッ

駒場「……上条、本当に奴らのとこ行くのか?」

上条「一応このガキに聞きたいことあるしな。Level5のこと聞くにはLevel5が一番だろ。だもんでその交渉材料にその組織ぶっ潰そうかなって」

駒場「……すまないが、俺は痺れて動けそうにない。浜面」

浜面「な、なんだ?」

駒場「……お前ら上条について行け」

浜面「……わかった (上条に殺されないようにしないと)」

上条「じゃあ借りてくわ。行くぞ馬面」

浜面「……だから、浜面だっての!」ボソッ

浜面「ほら、お前らも行くぞ」

スキルアウト's「お、おう」

浜面「上条、車で行くぞ」

上条「お? 気が利くな、サンキュー」



212: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:25:53.51 ID:NCkhpD6r0



ブロロロロ



浜面「上条はその女の子に何を聞くんだ?」

上条「第二位の居場所……。てかこいつ何位?」

浜面「へ? 知らねえの!? こいつは第三位の超電磁砲で学園都市の広告塔じゃねえか」

上条「俺、テレビ見ねえから知らねえもん」

浜面「第三位に勝って次は第二位に挑むつもりか?」

上条「……いや、ただ居場所が知りたいだけだよ」

浜面「そうかい」

上条「あの駒場さんって人はなんでスキルアウトやってんだ? おれのイメージのスキルアウト像と違うんだけど」

浜面「リーダーは何の罪も無いのに無能力者だからって襲われる人たちを助けたくてスキルアウトの頭やってんだ」

浜面「あの人に助けられた、あの人の考え方に感銘を受けた、あの人の側にいたい」

浜面「そんな奴らが集まって出来たのが俺らの組織って訳だ」

上条「ふーん、良い男だな」

浜面「ああ。上条も俺らの組織に入ってくれたら嬉しいんだが……」

上条「昼間にも言ったが、俺には守るべき家族がいる。俺みたいなクズには人一人守るだけで手がいっぱいいっぱいなのさ」

浜面「……そうか。もう少しで着くぞ」

上条「……」


213: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:29:46.64 ID:NCkhpD6r0


~ビックスパイダー アジト~


蛇谷「がはは、今日も好調だったな」

ヒゲ「キャパシティダウンさえあれば、金の心配はいらねえっすね黒妻さん」

蛇谷「ああ、そうだな。俺らビックスパイダーは能力者相手でも勝てるスキルアウトって有名になれるぜ、ぐはははは」

ボウズ「へへっ、黒妻さん機嫌が良いっすね」




上条「俺も宴会にいれてくんねえか?」

ゾロゾロ



蛇谷「あ? 誰だお前ら」

上条「別に名前なんて関係ないよな? これから死ぬんだから、このクズ共め」

浜面「行くぞおらっ!」

スキルアウト's「うおらあっ!」


蛇谷「あいつは駒場んとこの浜面じゃねえか。やっぱり手を出して来やがったな」



上条「おらっ!」

バキッ

ゴキッ

ドゴッ



ヒゲ「あのツンツンめっちゃ強えっす」

蛇谷「あれは肉体強化系の能力者だ! キャパシティダウンを用意しろ」


上条「そういや、そうだ。その機械があるからいけないんだったな」

チャキ パァン ピーピーピー ボォゥン

蛇谷「アイツ……ッ!? ぶっ殺してやる!!」

チャキ

上条「銃を向けて良いのは向けられる覚悟がある奴だけだぜ?」

チャキ パァン

蛇谷「イッ!? 何の躊躇いもなく……」

上条「そろそろ良いかやぁ?」


214: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:32:22.03 ID:NCkhpD6r0


ボウズ「お、おい!」

ヒゲ「こいつらを殺されたくなかったら大人しくしろっ!」

スキルアウト1「だぁ……うっ……すまん……浜面」

スキルアウト2「くっ、足をやっちまって……」


蛇谷「へへっ、駒場んとこは仲間意識が強いからな人質さえとりゃこっちのもんだ」

浜面「くっ! お前ら汚ねえぞ」

蛇谷「おらぁ! 野郎共! 浜面たちをぶっ潰せ!!」


ボコッ

グキッ

バキッ

浜面「がはっ!」


蛇谷「ははっ! ツンツン、お前は俺がぶっ殺してやるよ」

上条「……はあ、勘弁してくれよな」

蛇谷「へっ、仲間が弱いから悪いんだ。俺じゃなくて仲間を恨んで死んでいけ!」

上条「駒場さんから借りてるんだからさ、傷つけんなや」

パァン??パァン


蛇谷「……は?」

浜面「……え?」


ボウズ「」
ヒゲ「」


浜面「上条……お前……」

上条「駒場さんとこ帰らなきゃならねえんだろ、お前らは。さっさと終わらせんだよ、こんなこと」

蛇谷「本当に殺しやがった……。何なんだこいつは……」

浜面「上条……」

上条「だから言っただろうが! 銃を向けて良いのは向けられる覚悟がある奴だけなんだよ」

パァン


____________________
________________
____________
________
____



217: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/07(土) 18:38:16.91 ID:NCkhpD6r0


スキルアウト1・2「俺らが弱いばかりに上条さんに人殺しをさせちまってすいませんでしたっ!」

スキルアウト's「「「すいませんでしたっ!」」」

上条「別に良いって」

浜面「上条……いや、大将! 俺らのために大将の手を汚しちまってすまない」

上条「だから良いって。(元々汚れてんだから) てか大将って何!?」

スキルアウト1「これからどう恩を返して行けばいいか……」

上条「あー、ならさ。そこにいる連中で、俺が殺しちゃった奴らの死体の処理頼んでいいか?」

スキルアウト2「わ、わかりました」

上条「すまんな。生き残った奴らはお前らの好きにしていいから」

浜面「大将はこれからどうするんだ?」

上条「車ん中でお寝んねしてるガキ起こして第二位の居場所を聞く」

浜面「じゃあ俺らで後処理しとくから話して来てくれていいぜ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上条「おい、ビリビリ中学生」ペシッ

?「……私には御坂美琴って名前があんのよ」

上条「起きたか、能力者狩りの奴らの組織は潰して来たぞ」

御坂(?)「へ?」

上条「外見ろ」

御坂「……うっ、血が所々に……」

上条「お前の目的はこれで達成されたわけだ。そしてそれをやったのは俺」

御坂「……だから何よ」

上条「俺がこれから言う質問に正直に答えろ。これがお前が俺に支払う対価だ」

御坂「……知ってることだったら正直に話すわよ」

上条「第二位垣根帝督の居場所を教えろ」

御坂「第二位……、知らないわね。本名も今知ったくらいだし」

上条「お前第三位なんだろ? なのに一個上の順位について知らないのか?」

御坂「だから知らないって言ってるでしょ」

上条「ふーん、そうか。ならいいわ。もう用はないぞ、帰れ」

御坂「……アンタさっき、俺は無能力者だって言ったわよね!? それどういう意味よ」

上条「世の中には常識が通用しねえ奴もいるってだけだ。お前には関係ない」

御坂「……まあいいわ。次会った時に決着をつけるから」

上条「は? 俺が勝ったじゃん」

御坂「私はまだ本気出してないのよ!!」

上条「……あっそ。バカらし。それじゃ俺は帰るから」

御坂「……礼なんて言わないわよ」

上条「いらねえよ」

スタスタ



浜面「大将、終わったぜ! ってあれ? ……いねえ」


236: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:03:06.99 ID:+V73yltS0



~サイド御坂美琴~


次の日



白井「さま……ねえ様……お姉様!」

御坂「……何よ、黒子。今日は学校休みでしょ」

白井「昨日の夜、どちらに行かれましたの?」

御坂「……別にただの散歩よ」

白井「今朝、朝早くに能力者狩りをしていたという連中がこぞってアンチスキルに自主しに行ったそうですわ」

御坂「へえー (やるじゃない、アイツ)」

白井「お姉様は何もやらかしておりませんよね? ね?」

御坂「……やってないわよ」

白井「初春から聞きましたの。スキルアウトの根城を何ヶ所か聞いたそうですのね」

御坂「……」

白井「……お姉様?」

御坂「……初春さんにも話すから第一七七支部に行きましょ」

白井「わかりましたの」



237: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:10:52.24 ID:+V73yltS0


~風紀委員 第一七七支部~


ガチャ


初春「! 御坂さん、無事だったんですね!」

御坂「初春さん……あなた黒子に言ったわね」

初春「うっ……だって心配だったんですよ! 私たちと会ってからも御坂さんは何度も事件に顔を出しちゃいますし」

御坂「……いいわ。それでね、昨日あったことを話すけど」

御坂「スキルアウトの根城に行ったらガタイの良い大男と戦ったの。後一発電撃食らわせれば勝ちだったのに、ツンツン頭の高校生が現れて」

初春(ツンツン頭……)

御坂「ソイツに私は負けて気絶させられた」

白井「Level5第三位のお姉様をですの!?」

初春「ッ!?」

御坂「私が目を覚ました時には問題のスキルアウトの組織はソイツが壊滅させてくれてた」

御坂「私が最初に行ったスキルアウトの組織は違う組織だったみたいでソイツに止められてなかったら関係ない人たちに電撃放ってたかもしれなかったんだ。まあ、一人にはもう電撃放った後だったんだけどね」

初春「……良かったです。御坂さんが無事で」

御坂「Level5の第三位よ? 大丈夫に決まってるじゃない」

初春「違うんです。能力者狩りをするとき連中はキャパシティダウンっていう機械で能力者の演算を妨害するらしいんです」

白井「じゃあもしお姉様が一人で連中の根城に乗り込んでいたら……」

初春「無事だったかは保証出来ないんです……」

御坂「そう、だったんだ……」

白井「お姉様を気絶させるほどの実力者で、キャパシティダウンの影響も受けなかった……」

白井「もしやその殿方は第一位か第二位なのでは……」

御坂「わかんないわ。私に第二位の居場所を聞いて来たし」

初春「第二位の居場所……」

白井「まあ、今回でわかったと思いますが、危険なことには一人で突っ込まないでほしいですの! 私や初春を頼ってください」

御坂「……そうね。ごめんなさい黒子、初春さん」

白井「わかっていただければいいんですの」

初春「はい」

御坂「そういえば、固法先輩は?」

初春「なんか、例のスキルアウトの顔写真を見てたら急にアンチスキルのところに行っちゃいました」

御坂「そう」




初春(上条当麻さん……だよね……)



238: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:17:09.50 ID:+V73yltS0


初春(上条当麻さんは私だけじゃなくて御坂さんまで救ってくれた……。そして、彼は第二位の居場所が知りたい……。これは恩を返すチャンスかもしれない)

初春(私がハッキング用に作り上げたOSを使って第二位の情報を全て引き出して上条当麻さんにあければ恩返しになる……)

初春「……よしっ」

初春(やるぞぉ……、まずは書庫から……)


____________________
________________
____________
________
____




初春(上条当麻さんは第二位の垣根帝督さんと五年近く一緒に暮らしていたなんて……)

初春(しかも第二位は暗部組織スクールのリーダー……)

初春(そして統括理事長との交渉権を得るために第一位と戦い……)

初春(今は……)



初春「これは伝えた方がいいのでしょうか……」

初春(……うん、伝えた方が良いに決まってる! 家族同然の人の安否を心配してる彼に真実を伝えるのも一つの恩返しになるはずです)

初春(辛いけどきちんと伝えましょう……)



初春(上条当麻さんの自宅は……っと)




初春「ちょっと出かけてきます」

白井「行ってらっしゃいですの」


ガチャ バタン


白井「って初春!? 仕事がまだ……。ちっ、帰ってきたら頭の花をむしってやりますの」



239: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:20:13.32 ID:+V73yltS0




~自宅~


ピンポーン


ピンポーン


上条「……誰だよ、昨日寝たの遅いのに……」

ガチャ

上条「どちらさん?」

初春「こ、こんにちは」

上条「げっ、なんでジャッジメントが俺ん家に……」

上条(……君、殺しすぎだゾ☆ 逮捕しちゃうんだゾ☆ ってかぁぁぁぁーーー)


初春「き、昨日は……」

上条(あっ、終わった……。コイツどうするか……)

初春「……ありがとうございました!」ペコッ

上条「……へ?」

初春「昨日は御坂さんを止めてくれてありがとうございました! お怪我はありませんか?」

上条「ミサカサン……? 怪我はないけど……」

上条(死体の方はアイツら上手くやってくれたのか……。今度メシでも作りに行ってやろーっと)

初春「御坂さんは私の友達で…Level5の第三位です」

上条「あー、アイツか。たしか初春だっけ? 俺はお礼を言われることやってねえよ」

初春「いえ、上条当麻さんはそう思ってるかもしれないですけど、結果的に私と御坂さんはそれで助けてもらったのも事実ですから」

上条「……そうかい。てかなんで俺の家知ってんの? ここ俺の正式な住所じゃないのにどうやって辿り着いた……!?」

初春「そのことと、恩返しをしたいので家に私をあげてくれませんか……?」

上条「えっ?」

上条(こ、これって恩返しと言って、私を好きにしてくださいっ! ってパターンか!? 高校生になって三日目で童貞卒業!?!?)

初春「玄関じゃちょっと……」

上条「お、おう……。中……どうぞ」

初春「お、お邪魔しまーす」


240: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:24:36.14 ID:+V73yltS0


初春「へえー、広いですね」

上条「まあ、ずっと二人で住んでたからな。今じゃ広すぎるくらいだ……」

初春「一緒に住んでいたのは……」

上条「ん? 気にするな」

初春「……垣根帝督」

上条「……お前、何が目的だ」

チャキ

初春「じゅ、銃は下ろしてください。それも含めてちゃんと説明します」

上条「……わかった」スッ

初春「……私、ジャッジメントになれたのって情報処理能力が高かったからなんです。能力もLevel1、体力もない、それでも情報処理能力だけでジャッジメントの試験に合格しました」

上条「……」

初春「だから書庫や機密事項にハッキングしてきた人を撃退するのも私の仕事の一つなんです」

上条「……この家はお得意のハッキング技術で調べてきましたって訳か」

初春「はい。そもそも御坂さんから貴方が第二位の居場所を調べてるって聞いて、恩返しにって第二位の情報を集めたのがきっかけです」

上条「……(まだ俺の魔法使いへの道は閉ざされていなかった……)」

初春「それで第二位と貴方が五年間一緒に場所を転々としながら暮らしていたこと。第二位は暗部に属していたこと。そして……」

初春「数日前、第一位と殺し合いをしたことがわかったんです」

上条「ッ!? 第一位と……」

初春「やっぱり第二位となると情報の一つ一つが重くて、引っ張り出せたのはこんな断片的な情報しかありませんでした。けど、第一位に敗れた第二位は……この病院にいるってことがわかったんです」スッ

上条「……ここは、冥土帰しがいるところ……」

初春「こんなことしか恩返し出来なくてすいません。ずっと探していた人が病院で寝たきりなんて聞きたくなかったですよね……」

上条「いや、ありがとう初春。お前は俺のやったこと以上のことをしてくれた。本当に感謝する」ペコッ

初春「あ、頭あげてください……」

上条「お前、こんな機密事項をハッキングして大丈夫なのか? しかも、暗部のことまで知っちゃったわけだし。ジャッジメントが書庫やらハッキングしたなんてバレたらどうするの……」

初春「あっ……、考えていませんでした……。ずっと恩返ししよう、恩返ししようって思ってて」

上条「……はぁ、ここの家の名義は誰だか知ってるか?」

初春「……第二位の垣根帝督さんの家の一つですよね。一番わかりづらい……」

上条「お前、今までに垣根と面識は……?」

初春「全くないですけど……」

上条「ならそのハッキングの件は俺が何とかしてやるから、その間この家に住め」

初春「えっ?……良いんですか?」

上条「恩人を前科者にするわけにはいかねえよ。元々そうなったのは俺の責任だ。お前は俺に守られてろ」

初春「あ…ありがとうこざいます///」

上条「垣根の病院行った帰りに食材と日用品勝手に買ってくるから家から出んなよ」

初春「わ、わかりました」


ガチャ バタン


初春「……なんか頼れるお兄ちゃんみたいだなぁ」



241: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:27:39.78 ID:+V73yltS0


スタスタ


上条(冥土帰しの病院で何日も垣根が休むなんて……。そうとう酷い怪我なのか……?)

上条(そもそもなんで第一位と……。学園都市を変えるには第一位の座が必要だったのか……?)

上条「だぁーっ、わかんね」

上条(とにかく垣根をぶん殴ってから詳しく聞き出してやる!)

上条(……初春の方は垣根のつてで情報を改ざんしてもらえばいいか)


242: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:29:43.58 ID:+V73yltS0


~病院~



ガラガラ

冥土帰し「おや、今日はどこを怪我したんだね?」

上条「垣根の病室を教えてくれ」

冥土帰し「……辿り着いてしまったか」

上条「……どういう意味だ」

冥土帰し「そのまんまの意味だよ。君は垣根君に辿り着いてしまった、ただそれだけの話だね」

上条「垣根はどこにいる」

冥土帰し「ついてくるんだね」



スタスタ スタスタ



冥土帰し「……君はこれから危ない橋を渡ろうとするだろうね。だから垣根君には君自身の力で辿り着かなければダメだったんだね」

上条「……偶然会っただけじゃ俺が死ぬとでも?」

冥土帰し「垣根君を見て君がする行動は一つだと思うけどね」

上条「……」

冥土帰し「さあ、ここだ。覚悟が決まったら入ってくれ」

上条「……わかった」



ガラガラ



243: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:33:31.77 ID:+V73yltS0





上条「…………」



上条「……これが垣根……?」



上条「ははっ、ちげえよ。こんなの垣根じゃねえよ」



冥土帰し「……これは垣根君だね」

上条「嘘つくなっ!」

冥土帰し「嘘じゃない。数日前運び込まれてきた時には人体の損傷が激しく心臓も止まっていた」

上条「……垣根はまだ生きてるんだよな……?」

冥土帰し「心臓だけは修復不可能だった。今は機械で垣根君の身体に血を送り続けているね。仮にも彼はLevel5の第二位、上からの命令で脳に異常がないように延命させろと命令があったからね」

上条「……」

垣根「身体の方は……いつか動き出した時のためにきちんと治している最中だ。今は包帯まみれでわからないだろうけどね」

上条「……これは第一位との戦闘でこうなったんですか」

冥土帰し「ここに辿り着いた時に知った情報で間違いないと僕は思うけどね」

上条「……第一位っ」ギリッ

冥土帰し「彼は垣根君よりも強い。生半可な覚悟と力じゃ君は垣根君以上に酷いことになると思うね」

冥土帰し「別に復讐に行くのは止めない。けどね、君は僕の患者だ。死なないでくれたら助けるからね」

冥土帰し「つまり、そういうことだから」

上条「……ちょっとロビーに行ってきます」

冥土帰し「ここの病室は君だけなら入っても良いことにするね」

上条「……どうも」


ガラガラ


245: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:35:14.54 ID:+V73yltS0



~ロビー~


上条(これは俺の不幸が招いた結果じゃないのか……?)

上条(そもそも俺の不幸は俺が一番欲しいものを奪っていった……、最近の俺はどうだ?)

上条(一年以上も会ってない垣根に、垣根に会おうとしてなかったか……?)



上条「……はあーっ、垣根がこんなんなっちまったのも俺の不幸のせいか」



上条(……これで第一位と戦って勝ったとしても、垣根は元に戻るのか……?)

上条(第一位と戦うことで結局俺は何を求めるんだ……? これも垣根を求めることになるんじゃ……)



上条「……だぁー、何すれば良いのかバカだからわかんねえよ!」



pipipipipi



上条「……電源切るの忘れてた。こんな時に誰だ」

上条(知らない番号……)


スタスタ


247: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:36:56.32 ID:+V73yltS0



~エントランス~


pi


上条「もしもし」

?「やあ、幻想殺し」

上条「幻想、殺し……?」

?「君の右手のことさ」

上条「なぜそれを知っている!?」

?「それは私が統括理事長だからという答えでいいか?」

上条「……そんなお偉いさんが俺に何のようだ」

☆(?)「君には垣根帝督の全てを知ってもらおうと思ってね」

上条「垣根の全て……」

☆「そもそも垣根帝督が第一位…一方通行に挑んだ理由、そして君に対する思いというものを君は理解しておくことが必要だと思ってね」

上条「俺への思い……?」



248: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:40:00.50 ID:+V73yltS0



☆「まず、垣根帝督が一方通行に挑んだ理由。それは私への交渉権を獲得するため」

上条「お前への交渉権だと……?」

☆「私に頼みたいことがあったのだろう。第一位になればそれが出来ると垣根帝督は踏んだ」

上条「何を頼もうとしたんだ?」

☆「この学園都市における置き去りの所有権」

上条「ッ!?」

垣根「垣根帝督は元々知っての通り置き去りだ。君も手違いで置き去りの処遇を受けたからわかっているだろう」

上条「充分でない食事に週一回のシャワー、そして寝る間を惜しんでの実験漬け」

☆「垣根帝督は自分の道を邪魔する者には容赦はしない」

上条「ああ」

☆「だが、それ以上に優し過ぎるのだよ。垣根帝督は」

上条「……」

☆「これが垣根帝督が成したかったことだ」

上条「……だが、第一位に敗れてあんな姿になっちまった」

☆「そうだな。そこで垣根帝督の君への思いとやらを教えてやろう」

上条「……」

☆「垣根帝督は君の未知なる能力に興味を惹かれて君を研究所から引き取った。その後、君との共同生活が始まり、垣根帝督はおそらく人生で初めて充実感なるものを味わってしまったのだろう」

☆「物心つく頃には置き去りになっていた垣根帝督は誰からも愛情を受け取ることはなかった。しかし、君と生活することで家族愛とでも言うのだろうか、日々の生活に光が差し込んできてしまった」

☆「だが垣根帝督はその頃には暗部組織スクールのリーダー。君を危ない殺し合いの道にはひきづり込めなかった。……垣根帝督にとってたった一人の家族だったから」

☆「まあ、私なりの解釈をすれば兄が弟の身を案じるようなものだったのだろう」

☆「垣根は君に初めて殺しを経験させてしまった頃から君からの決別をしようとしていた。やはり一人の方が良かったのだろう、光に当てられ続けた垣根帝督にとって暗部の闇は苦痛だった」

☆「しかし、暗部は抜けられない闇の底だ。君と離れることを選んだ垣根帝督の判断を私は正しかったと思える」


上条「……それを話して俺に何をさせたい」

☆「垣根帝督が動けなくなりスクールは壊滅。暗部組織が一つ足りないのだよ」


249: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:41:51.19 ID:+V73yltS0



上条「俺に暗部に入れと」

☆「君は今までに何人殺した? 暗部の人間だったら殺しても公には罪に問われない。しかし、道端で能力者二人にスキルアウト数名、これらの殺しはアンチスキルに補導されても文句は言えないものだろう」

上条「垣根が俺を暗部に関わらせたくなかったってのに、俺自身が垣根の意を削ぐようなことが出来ると思うのか!?」ギリッ

☆「では、君のために動いてくれた初春飾利の罪も帳消しにしよう」

上条「ッ!?」

☆「それと垣根帝督の身柄は今こちらが保持しているようなものだ。君が暗部に入るなら垣根帝督のことも保証しようじゃないか」

上条「……」

☆「十分後、また電話をするからその時までに決めたまえ」

pi


250: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 00:43:48.73 ID:+V73yltS0




上条(垣根のやりたかったこと……、俺への思い……)




上条(垣根はずっと一人で戦ってきてた……、俺が一人にさせちまってた……)

上条(俺も垣根もずっと一人だった……)




上条(俺がやり抜きたいことは何だ……? 俺が守りたい奴は誰だ……?)




上条(俺に光をくれた垣根の背中を任せてもらうこと……、俺に不幸に立ち向かう力をくれた垣根を……家族を守りたい……)



上条(なら、永遠の闇でもいいじゃないか……、垣根がいる、家族が側にいる)




上条(あいつとなら抜けられない闇にいても良い……!)






pipipipipi??pi


☆「決まったか?」

上条「垣根の身を保証しろ。そして、俺がお前に貢献することで垣根をまた動けるようにしろ。これが条件だ」

☆「ふふっ、いいだろう。垣根帝督を動けるようにするのは先になるが身を保証することは安心してくれて良い」




☆「暗部組織グループにようこそ」



256: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 01:03:16.32 ID:+V73yltS0

>>248


☆「まず、垣根帝督が一方通行に挑んだ理由。それは私への交渉権を獲得するため」

上条「お前への交渉権だと……?」

☆「私に頼みたいことがあったのだろう。第一位になればそれが出来ると垣根帝督は踏んだ」

上条「何を頼もうとしたんだ?」

☆「この学園都市における置き去りの所有権」

上条「ッ!?」

☆「垣根帝督は元々知っての通り置き去りだ。君も手違いで置き去りの処遇を受けたからわかっているだろう」

上条「充分でない食事に週一回のシャワー、そして寝る間を惜しんでの実験漬け」

☆「垣根帝督は自分の道を邪魔する者には容赦はしない」

上条「ああ」

☆「だが、それ以上に優し過ぎるのだよ。垣根帝督は」

上条「……」

☆「これが垣根帝督が成したかったことだ」

上条「……だが、第一位に敗れてあんな姿になっちまった」

☆「そうだな。そこで垣根帝督の君への思いとやらを教えてやろう」

上条「……」

☆「垣根帝督は君の未知なる能力に興味を惹かれて君を研究所から引き取った。その後、君との共同生活が始まり、垣根帝督はおそらく人生で初めて充実感なるものを味わってしまったのだろう」

☆「物心つく頃には置き去りになっていた垣根帝督は誰からも愛情を受け取ることはなかった。しかし、君と生活することで家族愛とでも言うのだろうか、日々の生活に光が差し込んできてしまった」

☆「だが垣根帝督はその頃には暗部組織スクールのリーダー。君を危ない殺し合いの道にはひきづり込めなかった。……垣根帝督にとってたった一人の家族だったから」

☆「まあ、私なりの解釈をすれば兄が弟の身を案じるようなものだったのだろう」

☆「垣根は君に初めて殺しを経験させてしまった頃から君からの決別をしようとしていた。やはり一人の方が良かったのだろう、光に当てられ続けた垣根帝督にとって暗部の闇は苦痛だった」

☆「しかし、暗部は抜けられない闇の底だ。君と離れることを選んだ垣根帝督の判断を私は正しかったと思える」


上条「……それを話して俺に何をさせたい」

☆「垣根帝督が動けなくなりスクールは壊滅。暗部組織が一つ足りないのだよ」



274: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:31:32.96 ID:Dqj96aWy0


上条「グループ……?」

☆「まだグループの人間は君一人だがな」

上条「……普通何人で組むことになる」

☆「通常四人といったところか」

上条「いつ人員補充されるんだ? 使えねえ奴ならいらねえぞ」

☆「ふっ、私のプラン通りに事が進めば自然と素晴らしい人材が近々揃うことになる。グループは暗部の中でも特別な暗部になるだろう」

☆「それに従いグループ及び君の能力は一般人だけでなく他の暗部組織に漏れないようにはしておく」

上条「……じゃあ俺は好きなようにしてて良いんだな。お前のプランなんざ知ったこっちゃねえが」

☆「好きなようにしたまえ。せいぜい第一位に殺されないようにな」

上条「心配が必要なのはお前自身の方だ。学園都市第一位が無能力者に殺されるんだからな。学園都市中の能力者がパニックにならないように対応策を今から考えとけ」

☆「ククッ、そういうことにしておこう」

上条「……(チッ) いつから仕事が入る?」

☆「それについては君の上司にあたる人間を用意し、君の電話にかけさせることにしよう。ただ、今すぐに仕事があるわけではない」

☆「加えて、初春飾利については同じようなハッキングをした場合、アンチスキルの御用は免れないことだけは教えておこう」

上条「別に第一位の居場所を知るために初春を使わねえよ」

pi




上条「暗部組織グループ……」


上条「垣根に挨拶はしておかなきゃな……」



275: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:43:17.13 ID:Dqj96aWy0




~病室~



上条「垣根……」

上条「ごめんな……。俺のために一人で戦ってくれてたのに気付いてやれなくて……、それをムダにしちまって……」

上条「けどよ、今度は二人で背中合わせに戦おう……」

上条「第三位にも勝ったんだぜ? きっとお前の足を引っ張るような真似はしねえよ……」

上条「もう一人にはさせねえ……。お前が目を覚ましたとき、俺はお前と一緒に歩いていく……」

上条「だから……っ……」

ポロ

上条「ははっ、何で涙が出るのかわかんねえや……」

上条「お前と俺が家族なのに一人一人で歩いてたことが悲しいからなのか」

上条「お前に家族として大切にしてもらえて……嬉しかったのか……」

上条「うぅ……ひっぐっ……」グスッ



上条「わからねえよ……」



ポロポロ



上条「…………垣根ぇ」



____________________
________________
____________
________
____




276: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:45:14.55 ID:Dqj96aWy0




~上条当麻自宅~



初春「遅いですね……。やっぱり垣根帝督さんの姿を見たせいですかね……」

初春(教えなかった方が良かったのかなぁ……、いやきっと教えて良かったはずです……。きっと……)




初春「それにしても……、最低限の必要なものしかない部屋ですね。キッチン周りは充実してますが、他にあるのは壊れたパソコンにベット、少々の服に銃の予備ですか」

初春(銃を常備してるあたり、やっぱり上条当麻さんも私たちとは違う世界に住んでるんですかね……)




ガチャ


初春「ッ!?」

上条「安心しろ、俺だ」

初春「ほぇー、…….遅かったですね」

上条「……初春は垣根の状態知ってた?」

初春「……はい」

上条「……そうか。教えてくれてありがとな」

初春「……」

上条「さあ、今日は夕飯食って泊まってけ。ハッキングの件は白紙に戻しといたからよ」

初春「!? もうですか!?」

上条「ああ、心配しなくていい。だが次は知らないからな」

初春「わかりました……」

上条「……俺のために動いてくれてありがとう」ペコッ

初春「いえ、お礼を言われることはしてないですよ」アタフタ

上条「いや、初春のおかげで一歩前に進めたよ。本当にありがとう」

初春「上条当麻さん……」

上条「だから、今日は腕にノリをかけて夕飯作るからよ。待っててくれ」

初春「は、はい! 何か手伝いますか?」

上条「座っててくれ。何もないところだがぼーっとしてくれていいよ」ニコッ

初春「ど、どうも///」


278: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:47:43.07 ID:Dqj96aWy0



~一時間半後~



初春「な…何ですかこれは……」

上条「ん? 垣根といた時もお祝いの時は豪華に食事しようって決めてたからな」

初春「うぅ……見たことない料理ばかりですぅ」

上条「これがフランス料理の牛ヒレとフォアグラのソテー」

上条「それは鶏の北京ダック風春巻」

上条「んでそれはあさりたっぷりのボンゴレ」

上条「あとはコーンスープっと」

初春「……よくこんなの作れますね……」

上条「垣根の舌を唸らせるために結構やり込んだからな」

初春「うぅ……お金払えないんですけど……」

上条「あ? いらねえよそんなもん。垣根が食事と家賃だけは俺の金を使ってくれていいって言ってくれたし」

初春「そ…そうなんですか……?」

上条「ああ。俺は自分の奨学金が小遣いになってるし、お金の心配すんな」

上条(まあ、俺の奨学金はいつもの不幸ですぐに手元から離れてしまうのですがね……とほほ)

初春「じゃ、じゃあ……食べても良いんですか?」

上条「ああ。どうぞとうぞ」

初春「い、いただきます……」

パクッ

初春「ほ…ほえぇぇぇ」トローン

上条「ど、どうした?」

初春「なんか高級料理店に来たみたいですぅ」

上条「お? マジか!? こりゃ垣根の舌も唸らせることができそうだな」

初春「私、お嬢様とか憧れてて! こんな料理食べてみたいなってずぅっと思ってたんですよぉ!」

上条「どんどん食べてくれ! デザートにデパートの地下で一番高いケーキ買ってきてあるから」

初春「あー、なんて幸せなんだろぉ」

上条「ははっ、久しぶりの人と食べる夕食だな。喜んでもらえて嬉しいよ」


____________________
________________
____________
________
____



279: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:49:54.78 ID:Dqj96aWy0



初春「お風呂ありがとうございました」

上条「んー」

上条(あれ? まだ頭に花がある……)

初春「なにしてるんですか?」

上条「いや、これからのことを考えててな」

初春「……第一位を探すんですか?」

上条「探すけど初春の手は借りないよ。これ以上お前を不幸にするわけにはいかねえ」

初春「……じゃあどうやって」

上条「第一位は不良からもケンカ売られるような奴らしいし、スキルアウトのとこで情報収集かな」

初春「……そうですか」

上条「……また遊びこいよ。事前に連絡くれれば食事作って待ってるからさ」

初春「別に食事のことじゃないですよ……」

上条「お前だって感ずいてるだろ、俺が今までなにしてきてて、これから何をしようとしているのか」

初春「……」

上条「お前は優しい。だからこれ以上俺といちゃダメなんだ。こっちの世界にお前の優しさはあっちゃいけないんだ」

上条(垣根のような優しさはあっちゃいけないんだ……)


初春「……わかりました。けど、貴方を見かけたら話しかけますし、その時に何をやってるか詳しく聞き出します!」

上条「……ははっ、じゃあ見つからねえようにしねえとな」

初春「……連絡先だけは交換してください。それ以上は今は何もいらないですから」

上条「あいよ」

pi

初春「それじゃあ、もう寝ますね」

上条「ああ。ベット使ってくれていいから。俺は垣根のハンモック出すし」

初春「垣根さんってハンモックで寝てたんですか!?」

上条「俺に常識は通用しねえらしいよ」

初春「ふふっ、そうですか。それじゃおやすみなさい」

上条「おやすみ」


280: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:52:49.86 ID:Dqj96aWy0




~翌朝~



初春「んー……良い匂いぃ……」

上条「おはよ」

上条(あれ? 頭の花は寝てる時も外さなかったの……?)

初春「おはよおごさいますぅ。朝ご飯まで作ってくれたんですかぁ?」

上条「ああ。昨日のと比べると見劣りするけどな。まずは顔洗って来い」

初春「はいぃ」



上条(なんか妹ができたみたい……)



初春「すっきりしました! これは白米にお味噌汁にシャケの塩焼き、玉子焼きの王道朝食!!」

上条「まあ、昨日は少し重かったからな。軽めに作ってみた」

初春「じゃあいたたぎます!」

パクッ

初春「はぁーっ、なんかお母さんの味を思い出しますぅ」

上条「母さんに教わったからな」

初春「優しい味ですね。昨日、食事はどうでもいいとかって言っちゃいましたけど、上条当麻さんの料理から離れるの無理かもしれないですぅ」

上条「こういうのはたまに食べるから上手いんだよ。きちんと寮に戻れよ」

初春「はい。今日はもうスキルアウトのところ行っちゃうんですか?」

上条「いんや、今日はのんびり家で寝てるよ」

初春「そうですか……。私は今日はジャッジメントの仕事あるんですよね……」

上条「そうか。頑張れよ」

初春「はい! 朝ご飯ご馳走様でした!」

上条「おう」

初春「それじゃ行きますね」

上条「ああ、気をつけてな」

初春「はい。ではまた」

上条「またな」



ガチャ バタン



初春(本当のお兄ちゃんと妹みたいですね……、ふふっ)



上条(妹がいたらこんな感じなのかねえ……)



281: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:54:26.81 ID:Dqj96aWy0




~初春サイド~



初春「一回寮に戻ってから支部に行こうかな」


初春「ん? あれは……御坂さん?」


初春(ゴーグルなんかつけてどこ行くんだろう……、あの先って特に何もない路地裏なはずなのに……)


初春「……気の、せいですかね」

初春「今日、白井さんにでも聞けばいっか」




初春(上条当麻さんみたいな人とも交流を持つなんて……)

初春(小学六年生の時に白井さんと御坂さんに会ってから私、変ったんだよなぁ)

初春(銀行強盗の時は白井さんと御坂さんの超電磁砲で助けてもらえたけど、次は私が助ける側になるんだ)



282: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:58:00.76 ID:Dqj96aWy0



~風紀委員 第一七七支部~



初春「おはようこざいまーす」

固法「おはよう初春さん」

白井「遅いですわよ、初春」

初春「昨日は固法先輩、どうしたんですか?」

固法「あー……、あんまり気にしなくても大丈夫よ」

固法「それよりも! 昨日、貴女の寮の監督さんからどこに行ったのか聞かれたんだけどいったいどこに行ってたの!?」

初春「今朝、寮監さんにも話しましたが、知り合いの家にお泊りに行ってて……」

白井「まあまあ初春、そんなことをしていて仕事に遅れましたの? し・か・も! 昨日は仕事も途中で放り出して! ということで私の分の書類もやれですの」

固法「それは自分でやりなさい」ペシッ

白井「あぅ……。初春、知り合いとはどなたですの? まさか殿方!?」

固法「え? 彼氏??」

初春「えぇ!? 違いますよー! 男の人ですけど、なんかお兄ちゃんみたいな人で彼氏なんかじゃないです!」

白井「ふーん、まあどうでもいいですの」

初春「白井さんみたいな人にはわかりませんよ」

シュン

白井「うーいーはーるー、それはどう意味ですの!?」ブチッブチッ

初春「ぎゃー、花を抜かないでー」

固法「白井さん、いい加減にしないと仕事の量増やすわよ?」

白井「(クッ) ……ここら辺でやめといてあげますの。固法先輩に感謝しなさい、初春」

初春「うぅ……、あっ! そう言えば、今朝御坂さんどこに行ってたんですか?」

白井「え? お姉様は今日も麗しくキュートな寝顔を私に見せてくれていましたのよ? 外出などされてませんの」

初春「あれ? そうなんですか? うーん、じゃああれは見間違いかぁ」

固法「さすがに御坂さんでも電気で分身なんて作れないわよ」

白井「まだ同じ部屋で過ごすようになって数日、今朝も手は出しておりませんの。グヘヘヘヘヘヘ」

初春「うわぁ……」

固法「……御坂さんご愁傷様ね」



初春(あれは見間違いだったのかなぁ……、まあ今はこの溜まりに溜まった仕事ですね)



283: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/08(日) 19:59:52.88 ID:Dqj96aWy0




~上条当麻自宅~



上条「んー、どうすっかなぁ。暗部ってことは学校行きづらいよな」

上条(まあ、今更真面目に学校行ったってしょうがねえし、行かなくてもいいか……)




上条「いや明日、明日行って最後にしよう。青髪と土御門には中学からなんだかんだ言ってお世話になっちゃいるからな……、うん」

上条(てなわけで、今日は何もせずに最後の平凡な日常を楽しむんだーー)

上条「……まだ昼だけどおやすみ」




深夜、上条当麻が深い眠りについていた頃

パキーン

と音がしたのを鳴らした本人は気が付かないでいた



306: 以下、新鯖からお送りいたします 2013/09/14(土) 01:07:43.13 ID:Kq5C1yRX0
>>1です
書き始めると止まらなくなってしまうので明日の朝に響かせないためにも今日は書けないのですが、このssだけの設定で混乱を招かないよう少しだけ書かせてもらいます


まず上条の過去篇は今、四月の中旬で
アイテムに入るのは六月の下旬から七月の上旬です

それに上条はアイテム勢に警戒してほしくないため
暗部にいる、関わっている等に繋がる答えについては嘘ついてます
だから人殺しはしたことないって答えてます
これの詳細は上条の過去篇の最終段階で書かせてもらいます



次にキャラ設定についてですが

御坂、白井、初春は絶対等速の出る銀行強盗事件からの知り合いでそこから仲良くなってます
中学生と小学生なのにそんなに仲良くなったの?
っていうのは、ほら御坂さんは友達が少ないから……
いないとかじゃなくて、少ないから……


あと初期垣根は良い奴です
ただ自分の邪魔をする奴には容赦しないです
上条もその影響を受けてます


浜面は主人公補正なしです


私は新訳を途中挫折してるためそっちの内容は含まない予定です
新刊で垣根になにかあったようですが……



最後に質問ですが

フレンダと駒場って顔見知りですか?



331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:35:06.98 ID:k0DgE5zk0


~翌朝~



上条「……」

上条(学校か……)

上条「まあ、あまり良い思い出ないし、青髪と土御門に挨拶したら帰ろうかな」

上条(……そもそも他の奴の名前なんてほとんど知らないしな)

上条「朝飯はいいや、顔洗ったら行こっと」



332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:36:52.26 ID:k0DgE5zk0



ガチャ バタン



上条(復讐目的で来る奴らを撒くためとは言え、毎度毎度路地裏や狭い道を通るのは気が引ける……)

上条(そういや初春は住所だけで家まで来たな……)

上条「住所が知れたら誰でも来れるってことか……」

上条(まあいいか。暗部組織の部屋ぐらい用意してくれてるだろ……)

上条(それに……)


上条(垣根を待ってても来ないからあの家に拘る必要もないしな)




上条「それにしても……、今日は街中が少しおかしいな」



333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:41:10.80 ID:k0DgE5zk0


爺「早く学校行こうよ~」

中年男「腕絡めてくるなよ、恥ずかしいだろ」

爺「いいじゃん~! もうすぐ付き合って半年だよ~?」

中年男「それでも恥ずかしいの!」





婆「私、その荷物持ちますよー?」

若い男「年寄り扱いするでない!」

婆「お母さんにお年寄りには親切にしなさいって言われてたんで……」

若い男「わしゃあ、まだまだ若いわ! まだ六十代! それに孫の中学校の入学式に来ただけでもう帰るからお主の行く方向とは逆じゃ」





上条「……」

上条(なぜ制服を来た気持ち悪い爺と中年男と婆を朝から見なきゃなんねえんだよ)

上条(しかも爺はセーラ服着て喋り方もおかしいし……、ハゲ散らかってるし……、ホモホモしいし……)

上条「……帰ろうかな」



334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:42:53.81 ID:k0DgE5zk0



「いよ~、カ~ミやん!」

上条「ん?」

「この時間に登校なんてえらい早いな~」

上条「お、おう……」

上条(なんだこのおっさん、馴れ馴れしいな)

おっさん「ん? どないした、気持ち悪い物を見るような顔して」

上条「……誰だっけ? そんな顔に刺青入れたおっさんに知り合いなんかいないんだけど」

おっさん(刺青入り)「んな!? 中学からの親友になんてこと言うん!? それに僕は刺青なんて入れてへんし」

上条「……その喋り方と馴れ馴れしさから言って、……青髪?」

青髪(おっさん)「そうやろ! 何? カミやん僕の顔忘れてしまったん?」

上条(……暗部に入ると視覚がイカれるのか……?)

青髪(おっさん)「まあええわ。学校行こうや」

上条「お、おう」

上条(本当に青髪だよな……?)


335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:45:45.63 ID:k0DgE5zk0



スタスタ



上条(やはりおかしい。五才ぐらいのガキが制服着てたり、幼女が白衣着てる。しかも俺の学校に向かうやつも知らねえようなおっさんやババアばかりだ……)




「おはよう」

青髪(おっさん)「おお! おはようさん」

上条「……?」

「貴様、クラスメイトなんだから挨拶ぐらいしたらどうなんだ」

上条「……お前なんかいたっけ?」

「ッ!? ……貴様、まだ日が浅いとは言えクラスメイトの顔も忘れたか……」

青髪(おっさん)「おいカミやん、吹寄や! 吹寄制理や!」ヒソヒソ

上条「え? 吹寄って登校二日目に俺らに頭突きというか、デコ突き食らわしてきた奴だよな? こんな赤い髪のバーコード入り長身男だったっけ?」ヒソヒソ

青髪(おっさん)「はあ? 吹寄は赤髪でもないしバーコードなんて入っとらんやろ。そもそも女だし」ヒソヒソ

上条「え? だよな、女だよな……?」

吹寄(赤髪)「ほう上条、貴様には私が男に見えると言うのか……」

スチャ ピカーン

青髪(おっさん)「やばい、カミやん逃げろ」

上条「お、おい。髪留めでデコ出してどうした……、近づいてくるな……ッ!?」

吹寄(赤髪)「くらえっ!」

ゴンッ!!!!

上条「グハッ」

吹寄(赤髪)「ふんっ」

青髪(おっさん)「いやー、カミやんもう二発目を食らうとは……。そんなにあれ好きなんか?」

上条「なんか不幸だ……」



336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:48:29.81 ID:k0DgE5zk0




上条(やっと教室に着いたは良いが、知らねえ顔ばっかりだ……)

上条(青髪の席にはさっきの刺青入りおっさんが座ってるし、吹寄の席にも赤髪バーコード入り男が座ってる……)

上条(土御門は……、まだ来てないか……。もうホームルーム始まっちまうぞ……)




ガラガラ




上条「ッ!?」

?「はーい、ホームルーム始めますよー」

上条「母さん!?」ガタッ

「「「「「え?」」」」」

詩菜?「え~!? 私、上条ちゃんのお母さんじゃないですよ~!?」

青髪(おっさん)「ぷぷ、カミやん、小萌先生をお母さん呼ばわりするなんてどうしたん? ぷぷぷ」

上条「へっ?」



「ホームシックか? 上条ー」

「上条君って怖そうなのに可愛いとこあるんだね、ふふっ」

「ねー」

「なっ!? 上条、お前それが狙いか!」

青髪(おっさん)「なんやて!? カミやん、それは許せんな~!」

上条「え? えっ?」

吹寄(赤髪)「貴様、ふざけるのも大概にしろよ……!」

上条「え? 母さん? あれ?」

小萌(詩菜)「みなさーん、静かにしてくださいなのですー!」

上条(なんかおかしい……、俺以外の人間は何も違和感を感じていないのに、俺だけがおかしくなってる……)

青髪(おっさん)「そんな無理矢理なイメチェンなんてカミやんらしくないで? おい、聞いとんのか?」

上条「あ、ああ。ちょっと気分が悪いみたいだ」

吹寄(赤髪)「ふん、休み明け早々体調を崩すとは情けないな」

上条「ああ……、そう、だな。先生ちょっと早退します……」

小萌(詩菜)「あっ、はい。お大事に、なのです」



「大丈夫かー? お大事になー」

「上条君また明日ね」

青髪(おっさん)「また明日な」

上条「……ああ」


ガラガラ ピシャン



337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/24(火) 18:50:26.20 ID:k0DgE5zk0



上条「どーすっかなー。これって暗部と関係あるのかな……?」

上条(俺が暗部に入ったからその翌日から俺の周りでおかしくなってるのか、それとも暗部絡みではなく何かが起こっていて俺だけがその異変に気付いているのか)

上条(他の人間と俺との違い……っ!!)



上条(この右手……、幻想殺し……)



上条「! ……なんらかの能力が発動しているのか……?」

上条(そうしたらこの学区……、いやもしくはこの学園全土を巻き込んだ能力の発動……)

上条「んなこと出来るのなんかLevel5くれえだろうな……」



上条(もしくはその能力を模倣した機械によるクソ科学者どもの実験……)



上条「はあー、裏を知ってると無限に可能性が出て来そうで困る」


上条(情報は欲しいが一日、日を空けた方がいいか……? むしろ暗部絡みの可能性を優先して今日は交戦を視野に入れた俺に有利な場所の確保をするか……)




グゥー




上条「……朝飯食ってないし、食材買うか。まあ、今日は警戒して動くのは明日だな」



351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:30:18.60 ID:+M6w7ru/0



チュンチュン

上条「……」

上条「朝か……」

上条(結局誰も来なかった……)

上条「暗部絡みじゃないのか……」



pipipipipi



上条「……非通知」


pi



☆「やあ、幻想殺し。あまり眠れなかったみたいだね」

上条「そうおちおち熟睡なんてしねえよ。……ん? お前は普通なんだな……」

☆「幻想殺しの能力は素晴らしい、この大魔術ですら打ち消してしまうのだからな」

上条「魔術……? この変な世界はお前の仕業か!」

☆「違う。これは正直言ってイレギュラーだ。まあ、おそらく今日中には片付くだろう。むやみな外出はやめておけ」

上条「おい! 何も説明しないまま終わらせようとしてんじゃねえよ」

☆「詳しいことは明日、土御門にでも聞きたまえ。彼がどのような選択をするか楽しみだな」

pi-



上条「土御門だとぉ……、それになんだ魔術って……」



上条(まあ、いい。暗部絡みでなく、今日中に終わるってんなら家戻るか。こんな廃墟みたいなとこなんて二日もいたくねえや……)



352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:31:36.53 ID:+M6w7ru/0


上条「はぁー……」

上条(いつからこんな風になっちゃったのかねぇ……、殺しが日常の世界……)



?「チッ、どォなってンですかねェ。アァン」



上条「……」

上条(あんな真っ白な髪と肌なんて……、気持ち悪い野郎だ……)



?「クソが」




上条「あれ? あいつもこの違和感に気付いてた……?」

上条(まあ、いいか。今日は家帰って寝直そう……)


上条(んで明日土御門を問い詰める!)


353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:32:42.58 ID:+M6w7ru/0



~翌朝~


ガラガラ


青髪「おー、カミやん! 昨日は学校休んどったけど大丈夫なん?」

上条「……」

スタスタ

土御門「な、なんぜよ……、怖い顔して」

上条「ちょっと来い」グイッ

土御門「うおっ、襟を掴むな襟を!」


スタスタ



「なんか今日の上条君怖かった……」

「土御門君がなにかしたのかな」

「ホモだー、って雰囲気明るくしようとしたけど出来なかった……」

「お前良い奴なのか微妙なラインだな」


青髪「んー」


354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:34:05.80 ID:+M6w7ru/0


~屋上~


土御門「いい加減離せ!」

上条「……お前、何者だ。昨日、一昨日の不思議現象はなんだ。……魔術とはなんだ」

土御門「ッ!?」

上条「中学の時から俺のことコソコソと監視してやがって……、気付いていないとでも思ったか」

土御門「な、なんのことかにゃー。俺にはさっぱりだぜい」

上条「……アレイスター・クロウリー」

土御門「な、なぜカミやんがその名を!?」

上条「俺からしたらなぜ統括理事長さんからお前の名前が出てきたかの方が気になるんだがな……」

土御門「……そういうことか。アレイスターめ」

上条「さあ、話せ。お前が知ってること全てだ」

土御門「幸いもう授業が始まる……。邪魔者も来ないことだし、力づくでやってみるのもアリなんじゃないか? 上条当麻……、いや、……幻想殺し!」


355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:35:32.60 ID:+M6w7ru/0


先に動いたのは上条だった
上条の常人離れした踏み込みにより土御門の左側へと上条の右半身が射程圏内に入る
土御門はしっかりとそれに反応し上条の右ストレートに備える
しかし上条は右手の勢いを殺し、思いっきりそれを引く
そうすることで野球のピッチャーのような体勢から土御門の死角へと上条の左拳が突き刺さった

はずだった

土御門は右腕でそれを受け止め上条のガラ空きの腹部へ左ボディを繰り出す

上条は予想外の土御門の動きに混乱してしまう

土御門はそれを見逃さずに右拳を上条の背骨へと殴りつけようとする

しかし上条はそのただならぬ殺気を感じ、右方向へ左足に力を入れ、土御門の攻撃を逃れる


「今までの奴らと同じだと思われちゃ困る」


土御門の殺気

上条は未だに信じられなかった

垣根級の殺人格闘術を身につけた人物に出会ったことに


「……はぁ、せっかく長いこと入院していなかったのにな」


上条は身を引き締める


(こいつは強敵だ)


356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:37:14.03 ID:+M6w7ru/0



「こんなんじゃ聞きたい情報なんざ手に入らないぞ」

「やってやらあ、最近きちんとした格闘やってなかったからなぁ」


上条は先ほど同じように土御門の左側へと踏み込む

と同時にその右拳が土御門の太腿を捉える

踏み込んだ足と共に右手を上条は繰り出していたのだ

土御門はその想定外の痛みに一瞬我を忘れるが、すぐに意識を集中させる


(つ、次は左手か……!?)


上条は攻撃の手を緩めない
右拳を太腿からそのまま上へスライドさせ鳩尾を右のショートアッパーでえぐる


(決まった! あとは左で顎を揺らせば動けない……ッ!?)


上条の一瞬の油断

それを土御門は見逃さず上条の左頬に自らの渾身の右ストレートを当てる


「はぁはぁはぁ」


土御門は息を整える

上条はというと……、


「いつつっ、クソが! あともう少しだったのによぉ」


左頬は少し赤く腫れてはいるが、まだまだ余裕そうだった


357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:38:25.15 ID:+M6w7ru/0


予想外だった

土御門元春、魔法名は??背中刺す刃(Fallere825)

自分の目的のためなら何かを裏切ってでもそれを果たす

彼はその名の下に魔術的見地だけでなく肉体的にも申し分ないトレーニングを続けてきた

しかし、この上条当麻という男はまだまだ底が見えない
明らかに殺しにかかってくるような攻撃はしていない

それどころか土御門は初めから殺す気でかかってようやく互角

それが彼のプライドを傷つけた


「お前、殺そうと思ってやらなかったこと、後悔するなよ」



358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:39:49.32 ID:+M6w7ru/0


先ほどから土御門は本気でかかってきているのはわかっていた
しかし上条は情報を聞き出さなきゃならない
殺してしまっては意味がないのだ
殺しの格闘術しか知らない上条にとってどの位までがセーフのラインでアウトのラインなのかまだ検討がつかないのだ


そんな迷いを察してか土御門の周りの雰囲気が変わる

何かを土御門が辺りに投げた

それを皮切りに土御門は詠唱を始める


「――場ヲ区切ル事。紙ノ吹雪ヲ用イ現世ノ穢レヲ祓エ清メ禊ヲ通シ場ヲ制定
 (それではみなさん。タネもシカケもあるマジックをごたんのうあれ)


?――界ヲ結ブ事。四方ヲ固メ四封ヲ配シ至宝ヲ得ン
 (ほんじつのステージはこちら。まずはメンドクセエしたごしらえから)


?――折紙ヲ重ネ降リ神トシ式ノ寄ル辺ト為ス
 (それではわがマジックいちざのナカマをごしょうかい)


?――四獣ニ命ヲ。北ノ黒式、西ノ白式、南ノ赤式、東ノ青式
 (はたらけバカども。げんぶ、びゃっこ、すざく、せいりゅう)


?――式打ツ場ヲ進呈。凶ツ式ヲ招キ喚ビ場ヲ安置
 (ピストルはかんせいした。つづいてダンガンをそうてんする)


?――丑ノ刻ニテ釘打ツ凶巫女、其ニ使役スル類ノ式ヲ
 (ダンガンにはとびっきりきょうぼうな、ふざけたぐらいのものを)


?――人形ニ代ワリテ此ノ界ヲ
 (ピストルにはけっかいを)


?――釘ニ代ワリテ式神ヲ打チ
 (ダンガンにはシキガミを)


?――鎚ニ代ワリテ我ノ拳ヲ打タン
??(トリガーにはテメエのてを)」




不思議な呪文のようだ、と上条は思った
言い終えた土御門の周りには何があるように感じた



「この広範囲攻撃から逃れられるか?」


そう言い終えると魔法陣のようなところから巨大な炎が上条目掛けて襲いかかってきた


上条は咄嗟に右手を構える


パキーン


乾いた音が鳴るがまだその攻撃は止まない


すると上条の後ろからも炎が迫ってきていた


359: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:41:06.03 ID:+M6w7ru/0



「頭に血が上って赤ノ式使っちまったぜよ……、ゴフッ」


超能力の開発を受けているにも関わらず魔術を使用した土御門は全身から血を噴き出しながら膝をついていた


(殺しちまったか……?)



今だ煙が消えない上条がいたところを睨みつける



人影だ



しかしそれはうつ伏せに倒れていた

背中は炎を喰らったせいか制服が焦げている


(赤ノ式でも吹っ飛ばねえ身体かよ……、こりゃ本当に殺す気でやらなかったら死んでた……)


土御門は安心して腰を下ろす


(早くここから離れないと……、こんなとこで赤ノ式使うなんてバカなことしちまったな……。後は幻想殺しの回収、捕縛、っと)


土御門が起き上がろうとした瞬間


チャキ



額に銃を突き付けられた


360: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:43:21.75 ID:+M6w7ru/0



「っ……、背中絶対火傷してるわこりゃ。てか血まみれじゃん、どうしたよ」


「……なぜ立っていられる、ゴフッ」


「あんなダメージ数年前に克服済みだ。右手を前に後ろに大忙しだったぜ。そのせいで筋肉は数カ所痛めるし、そこにきて背中からの攻撃で少し気を失っちまったわ」


(こいつ本物の化け物か……っ! 超能力も魔術も効かない、身体的能力も常人以上聖人未満……)


「さて、話してもらうぜ。全てな」



361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:46:53.55 ID:+M6w7ru/0



土御門「降参だ……。今じゃ俺も身体を動かせない。それにカミやんにはいずれ話そうと思っていたことだ」

上条「その割には殺す気満々だったじゃねーか」

土御門「当たり前だにゃー。俺くらい倒せなきゃこっちの情報知ったところでその次の週にはお陀仏ぜよ」

上条「ほう。なかなか面白そうだな」

土御門「それよりもちょっとキレて後先考えずに目立つ魔術使っちまったから、早くこの場から立ち去っときたいんだが……」

上条「……はぁー、病院連れてくぞ。俺も火傷治さなきゃいけないし、筋肉も少し診てもらわなきゃいけねえや」

土御門「すまんにゃー。病室で全て話そう……、俺がしてしまった罪も含めて…….」

上条「……」


362: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:51:45.39 ID:u1J2Nlxk0


~病室~



上条「くそっ、一日検査入院とかついてねえなあ。しかもお前と相部屋かよ」

土御門「まあ、仲良くしようぜい」

上条「良いから話せよ」

土御門「まずは俺のことから話しておいた方がいいか……、俺はイギリス清教という魔術師の組織の一員で必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している魔術師だ」

上条「難しい名前言われたってわかんねえよ。まず魔術師ってのはなんだ? さっきの炎が魔術だってのは間接的だが理解はした」

土御門「あれも魔術の一種だが俺のは風水を使う……、まあそれはおいといて、魔術とは学園都市外の超能力だと考えてもらっていい」

上条「ふーん、それも俺の右手は消しちまうのか……」

土御門「ああ。それに気が付いたイギリス清教は俺を監視役として選んだってわけだ。別件で学園都市にはスパイとして潜入していたからな」

上条「……俺に気付かれたのは百歩譲ってしょうがないとしても、なぜ統括理事長にまで名前を知られてるんだ……、まさかもうスパイだってバレてる!?」

土御門「チッチッチッ、実は俺は学園都市からも依頼を請け負う多角スパイなのさ! その裏ではまた魔術側へ情報を垂れ流し、そのまた裏では学園都市に情報を垂れ流し、ってことをやってるわけ!」

上条「そりゃ大変なこった。まあ、あんだけ強けりゃそうそう死なないだろ。あの魔術だって俺とかLevel5ぐらいじゃなきゃ今頃あの世行きだろ」

土御門「それがな、カミやん。超能力の開発を受け過ぎて魔術が碌に使ないようになってしまったんだにゃー」

上条「はっ? じゃああの炎は?」

土御門「あれは魔術。だがあの後の俺を見ただろ。魔術を使うと自分の身体を壊す。だから魔術を使う時は絶体絶命の時ってわけだぜい」

上条「ふーん」


363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/09/30(月) 01:53:33.70 ID:u1J2Nlxk0


土御門「とまあ、俺の改めましての自己紹介はこの辺にして。昨日、一昨日の異変について話そう」

上条「ああ、となるとあれも魔術の影響ってわけなんだな」

土御門「あれは魔術の中でも大魔術の御使墜し(エンゼルフォール)だ」

上条「なんだそれは」

土御門「詳しくは魔術的な知識が必要になるから省くが、要するに精神と肉体がシャッフルした状態になることだ」

上条(そういうことね……)

上条「それをやって何がしたかったんだ?」

土御門「天使を天界から人間界に引き摺り下ろす」

上条「天使ねえ……、それも魔術ですか」

土御門「天使なんてものは人間じゃ勝てない。そんなものが本当に人間界に墜されたら人類は滅亡だろうな」

上条(嘘……は言ってなさそうだな……)

土御門「だからこの魔術を早急に止める必要があった」

上条「……その方法は?」

土御門「術式の破壊か……、術者の抹殺」

上条「……お前はどっちの方法をやった」

土御門「……術者の抹殺」


381: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:14:04.19 ID:9zFLquOp0


上条「……お前も汚いことやってんだな、やっぱり。まあ、あれだけ動ければそうでない方がおかしいか。でもよくそんな大魔術を扱う魔術師を殺せたな」

土御門「……術者は一般人だった」

上条「一般人でも魔術使えるのかよ」

土御門「御使堕しは今だ正確な術式も解明されていない大魔術だ。その一般人がたまたま起こしてしまった……、ただそれだけだ……、それも愛する人のために……」

上条「……それで? 俺に話すことは終わったのか?」

土御門「いや、まだだ」

上条「……」

土御門「……その術者というのが、……カミやんの親父さんだった」


382: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:16:23.59 ID:9zFLquOp0


上条「……」

土御門「……すまない」



上条(ああ、垣根がいなくなって、家族の繋がりを欲してしまっていたのか……。俺の一番欲しいものが俺の目の前から消えていく不幸……)



土御門「監視対象としてカミやんの家族の顔は知っていたから気が付いたんだ。カミやんの親父さんだけ姿形が変わっていない、と」

土御門「それにその時、天使が一時的とは言え人間界に堕ちてしまっていた。それの対応を迫られた俺や数人の魔術師には時間がなかった。」

土御門「……事実死人も出た」

土御門「術式を捜索する時間はなかった。……悠長に構えていたら俺は死んでいたんだ。だから、だから……、カミやんの親父さんを、殺した」


上条(俺が大切にしたものはどんどんと無くなっていってしまう……。ならば、俺がすべきことは……)


土御門「……」

上条「……なぁ」

土御門「……なんだ」

上条「監視対象なんだからよぉ、大まかな俺の過去なんかは知ってるよなあ」

土御門「……ああ」

上条「じゃあ、その資料からでもわかりきってるよなあ! 俺が一番大切にしてる物がよお!!」

土御門「っ……、ああわかってる」

上条「俺だってただ監視されてたわけじゃねえぞ。お前のことはずっと警戒してたからなあ! お前が一番大切にいてるものがなにで、どこにあるのかも知ってるんだよなあ!」

土御門「ッ!? カミやん、それだけは……!」

上条「人が一番大切なもの壊したんだ。壊される覚悟がなきゃそんなことやっちゃいけねえよなあ!!」


384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:19:43.36 ID:9zFLquOp0


土御門「っ……、そんなこと絶対にさせねえぞ……、させねえからな!」

上条「お前が俺から奪ったのはそういうものだろうが!」ガシッ

土御門「うっ」

上条「……なあ、俺さ今暗部に入ってんの。あー、これ最重要機密ね」

土御門「ッ!?」

上条「俺がちょこっと電話して命令すれば下部組織なんかが早急にやってくれちゃうわけ」

上条(まだそんなのないけど)

土御門「……やめろ」

上条「……やめてほしいか? ああ?」

土御門「……や、やめてくれ。お願いだ」

上条「……」

土御門「俺には舞夏が全てなんだ! 頼む……っ!」

上条「……それじゃあ一つ要求を飲め」

土御門「……」

上条「俺が一番欲しいものは俺の目の前から消えていくんだ。そして今欲しいのが優秀な仲間。俺の暗部組織は俺一人だけだからな」

上条「だから土御門、お前には俺の仲間になってもらう。そしてお前が使えなくなった、もしくはいらなくなった時点で、土御門舞夏を殺す」

上条「それは俺の独断と偏見で勝手に決めさせてもらう」

土御門「……そんな要求飲めるわけないだろ」

上条「これは相談じゃねえ、命令だ。それに背くことは土御門、そしてお前の妹の人生を今すぐに終えることになるが、いいか?」

土御門「……くっ、それでいい、それに従う」

上条「まあ、すぐに切り捨てることはないだろ。それに俺かお前が死ぬまでこの関係が崩れることもないかな……、どうせすぐ消えちまうだろうし」パッ

土御門「……俺には少なからずカミやんに対して負い目はある。だから、俺にお前の命を狙わせるようなことだけはさせないでくれ」



土御門「仮にも今まで、友達以上の関係を続けてきた仲なんだから……」

上条「……そうだな」



385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:21:42.13 ID:9zFLquOp0


土御門「だがいいのか? 俺を仲間にするってことは色々問題を押し付けられる可能性が出てくると思うが……、魔術関連で」

上条「そのことだが、どうもアレイスターには土御門を仲間にさせようと考えてた節がある。少なくとも俺が怒りで我を忘れてお前を殺しても魔術関連の仕事は俺には回ってきてただろうよ」

上条「あいつもこの右手、幻想殺しが魔術に効かないことを喜んでいたようだったからな」

土御門「……そうか。なら俺を仲間にするのも合理的とは言える……。だが、俺はお前の親父さんの仇だぞ! それでいいのか!?」

上条「そのことは一生忘れれねえし、許さねえ。だから、スパイとしてだけでなく暗部としてでもお前は常日頃から死の恐怖に怯えろ。これがお前への一時的な罰だ」

土御門「……そうか。まあ、納得した」

上条「……」

スッ スタスタ

土御門「どこか行くのか?」

上条「気分が乗らねえから帰る。怪我の方も心配するほどじゃねえしな。それにお前といるのも今日は勘弁だ」

土御門「……そうだな」

上条「暗部のことは統括理事長さんにでも詳しく聞いといてくれ」

土御門「……わかった。……それとカミやん」

上条「なんだ」

土御門「お前はおそらく学園都市側からの要請が無い限り学園都市外には出られないだろう」


土御門「……母親に何か言うことはあるか? 近いうち俺は外に出る。せめてもの償いにお前のことを心配する母親に無事を知らせてあげたい。何年も連絡取れてないだろ」

上条「……、父さんと母さんのことはずっと大切に思ってる、とだけ伝えてくれ」

土御門「……わかった」

ガラガラ


386: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:23:35.64 ID:9zFLquOp0



~自宅~


上条「はぁー……」




上条(父さん、死んじまったのか……)




上条「うぅ……、ごめんな、ごめん。俺が不幸なばかりに……、ぐっ」ポロッ

上条「っ……、こんな俺にも優しくしてくれる人はどんどん俺の目の前から消えちまう……、くそっ」ポロポロ




上条「くそぉっ……」



387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:25:25.34 ID:9zFLquOp0



~翌日~



上条「……目、腫れちまってるかな」

上条(学校って気分じゃねえし、どうせもう行かなくても……)



上条「土御門が魔術側の監視役なら、青髪は学園都市、いや科学側か……?」

上条(俺のこと調べた研究者なら小さい頃からいたからな……、青髪とは長い付き合いだ……。ありえなくもないか……)



上条「土御門はよくわからんが、青髪は俺のことはただの監視対象としか見てないのかねえ……。寂しいもんだ」




上条「……今日はスキルアウトんとこ行くか。この前の死体処理のお礼も兼ねて」


pipipipipi


上条「いよー馬鹿面」

浜面「浜面だ! は・ま・づ・ら!」

上条「どっちでも良いだろ。この前のお礼するからさ、午前中の適当な時間に俺の家に迎えにきてよ」

浜面「あー、死体処理のことならお礼なんて良かったのに……、てか俺、大将の家なんて知らねえぞ?」

上条「あとで位置はメールで送るわ。スキルアウトの連中に俺が作った昼ご飯ご馳走するからよ、お腹空かして待っとけっつといてや」

浜面「大将、料理出来んの!? ちょっと怖いけど楽しみでもあるなぁ。じゃあ買い物もあるだろ? 十時頃に車で迎えに行くから」

上条「おー、また後でな」

pi

上条「……んー、大将ってあだ名?」


388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:27:03.33 ID:9zFLquOp0



~10時~



ブロロロロ



上条「よっ」

浜面「こんな狭いとこに車で呼ばないでもらいたいぜ。てかマンションデカッ!」

上条「まあまあ、良いじゃねえか」

浜面「そんなに気にしてはないから良いけどよ……、スーパーに寄ってけばいいか? 人数も結構いるから食費もバカにならねえとは思うんだが……」

上条「金のことは気にしなくて良いぞ。人数いるならカレーにすっか。晩飯の分も作ってやるから、荷物運びよろしくなー」

浜面「そんなにしてもらっちゃって悪いな」

上条「さ、行こうぜ!」


389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:28:15.27 ID:9zFLquOp0


~スキルアウトアジト~



スキルアウト1「上条さんちーすっ!」

「「「「「ちーすっ!」」」」」

上条「……」

浜面「……本当にやってるよ」

上条「なにやってんだコイツら」

スキルアウト1「この前は俺らスキルアウトのケジメに付き合わせちまっただけでなく解決までしてもらったので」

スキルアウト2「感謝の意を込めてます!」

上条「……あれは俺が勝手にやったことだから別に感謝なんていらないのに……」

浜面「……それより早く食材置かせてくれ」プルプル

上条「おー、じゃあ台所?みたいなとこ借りるぞー」



駒場「……上条」

上条「駒場さんかい、今日はお礼にな」

駒場「……うちの者助けるために殺しまでさせてすまなかった、ありがとう」

上条「俺みたいなクズに礼はいらねえよ。さ、おたくらは座って待っててくれや」

浜面「だそうだぜ。……それより大将、早く行こう」プルプル


390: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:30:33.43 ID:9zFLquOp0



~一時間半後~



上条「よーしっ、全員分行き渡ったか? じゃあ、荷物運び頑張った浜面! 一言」

浜面「うへっ!? 俺? えー、じゃあ大将のカレーを美味しくいただこう! いただきます」

「「「「「いただきます」」」」」

パクッ

スキルアウト1「……」グスッ

スキルアウト2「……」ポロッ

浜面「……おー、おー」

「……お袋の味だ……」

「……お母さん……」

スキルアウト1「……やべえ、懐かしすぎて」

スキルアウト2「……彼女のより上手いってどういうことだよ……」

浜面「……なんか俺の名前を呼ぶ記憶が……」

駒場「……美味いな」


上条「なかなか上手にできたな。母さんの味に近くなった」

浜面「……大将、ありがとう。思い出させてくれて」

スキルアウト1「すげえ上手いッス」

上条「俺もこんな大勢で飯食えて嬉しいよ。こんな騒いでご飯食べるのなんて、初めてだからさ……」


ザワザワ ウマウマ グヘグヘ


上条「……少し気が楽になる」

駒場「……たまに来てまた食事でもしよう」

浜面「そーだぜ! 食費も払わなきゃ気が済まないくらいのレベルだしさ、こういう雰囲気好きならいつでも呼んでくれよ。すぐ迎えに行くからさ!」

上条「……ははっ、ありがとな」


391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:32:04.75 ID:9zFLquOp0



~数日後~



pipipipipi


pi


上条「なんだ」

土御門「今、外から学園都市に帰ってきた。……カミやんの母親に伝言を伝えたら、手紙を貰った。学校にも来てないみたいだし、グループのアジトで落ち合わないか?」

上条「別に良いんだけど、俺アジトとか知らないぜ……?」

土御門「あの野郎、何も伝えてねえじゃねえかくそっ! ……それならメールで送る場所に来てくれ。一緒に下部組織の電話番号も送るからそいつに乗っけて来てもらってな」

上条「わかった」


pi


上条「……母さんからの手紙か」

上条(もう何年も会ってねえや……)

上条「父さん死んじまったし、大丈夫なのかな……。心配だ……」


392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:33:27.95 ID:9zFLquOp0



~グループアジト~



上条「へえー、結構良いところだな。いかにもって感じじゃないのがまた良い」

土御門「久しぶりだな」

上条「おう。多角スパイってのも大変そうだな」

土御門「もう慣れたにゃー」

上条「じゃあ、暗部の仕事も合わせて死ぬ気で頑張れよ」ニコッ

土御門「ははっ、守るものがある限り俺は死ねないぜい」

上条「そうかい」

土御門「あー、これだこれ。カミやんの母親からの手紙」

上条「どうも。……母さんは元気そうだったか?」

土御門「……先日カミやんの親父さんの葬式も終えたみたいだ。元気に振舞ってはいたが、その真意はわからん。……ただカミやんの無事を伝えたら本当に喜んでもらえた」



土御門「……それと同時に罪悪感を覚えた」



上条「……お前は俺と一緒にいることでその罪の意識に苦しむんだな」

土御門「……わかっているさ」



上条(……母さんからの手紙)


393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:35:13.49 ID:9zFLquOp0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


当麻さんへ


当麻さんが無事でいてくれて本当に安心しました。半ば強引に当麻さんを学園都市に送ってしまったこと、何年も連絡が取れないこと、私たちが学園都市に入るのに何故か許可がおりなかったこと、本当にここ数年は後悔の念でいっぱいでした。


当麻さんも知っての通り刀夜さんが死んでしまって、私は生きる意味をなくしかけていました。それでも当麻さんが学園都市で元気に生活しているのを聞いて、私はまだ生きていることが出来ています。当麻さんの超能力の関係で学園都市外には出にくいようですが、いつか顔を見せに来てくださいね。

今まで送り返されてしまったお手紙を当麻さんに見てもらいたいですし、いっぱいお話をしたいですね。

当麻さんの学校の話とか聞きたいです。当麻さんが毎日学校に通っている姿を想像しただけで私は嬉しいですよ。頑張って毎日を生きてくださいね。私もそれを励みに頑張りますから。



刀夜さんの最後の贈り物という形にはなってしまいましたが、新しい家に私は一人で住んでいますよ。住所も同封しておきます。

新築のお隣さんには葬式の手伝いや色々と生活を支えてもらいました。御坂さんと言って、娘さんが学園都市でも有名な人のようです。当麻さんもその娘に会って困っていたら助けてあげてくださいね。



当麻さんの無事を知ることが出来ずに天国へと旅立ってしまった刀夜さんですが、きっと天国から当麻さんを見守っててくれていますよ。



私たち二人の大事な大事な子供の当麻さん。これからもずっと家族三人です。どんなに離れていてもいつも繋がっていますよ。当麻さんは一人じゃないんですからね。


??????????????????????????????当麻さんの母、詩菜より


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:36:35.86 ID:9zFLquOp0




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


当麻さんへ


当麻さんが無事でいてくれて本当に安心しました。半ば強引に当麻さんを学園都市に送ってしまったこと、何年も連絡が取れないこと、私たちが学園都市に入るのに何故か許可がおりなかったこと、本当にここ数年は後悔の念でいっぱいでした。


当麻さんも知っての通り刀夜さんが死んでしまって、私は生きる意味をなくしかけていました。それでも当麻さんが学園都市で元気に生活しているのを聞いて、私はまだ生きていることが出来ています。当麻さんの超能力の関係で学園都市外には出にくいようですが、いつか顔を見せに来てくださいね。

今まで送り返されてしまったお手紙を当麻さんに見てもらいたいですし、いっぱいお話をしたいですね。

当麻さんの学校の話とか聞きたいです。当麻さんが毎日学校に通っている姿を想像しただけで私は嬉しいですよ。頑張って毎日を生きてくださいね。私もそれを励みに頑張りますから。



刀夜さんの最後の贈り物という形にはなってしまいましたが、新しい家に私は一人で住んでいますよ。住所も同封しておきます。

新築のお隣さんには葬式の手伝いや色々と生活を支えてもらいました。御坂さんと言って、娘さんが学園都市でも有名な人のようです。当麻さんもその娘に会って困っていたら助けてあげてくださいね。



当麻さんの無事を知ることが出来ずに天国へと旅立ってしまった刀夜さんですが、きっと天国から当麻さんを見守っててくれていますよ。



私たち二人の大事な大事な子供の当麻さん。これからもずっと家族三人です。どんなに離れていてもいつも繋がっていますよ。当麻さんは一人じゃないんですからね。


当麻さんの母、詩菜より


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/01(火) 23:38:24.12 ID:9zFLquOp0



ポロッ

上条「うぅ……、ひっぐっ……」ポロポロ

土御門「……」

上条「グスッ……」



上条「ふう……」

土御門「……」

上条「取り乱してしまった……」

土御門「……気にするな」

上条「土御門」

土御門「……なんだ」

上条「明日から出来るだけ学校に行こう。暗部の仕事があるときはしょうがないが、最低でも留年しないくらいには行こう!」

土御門「……わかった。それも俺の罰の一つとして受け入れよう」

上条「違う。友達がいなきゃ学校なんてつまらないだろ! お前と俺は友達以上の関係なんじゃないのか!?」

土御門「ふっ……、そうだにゃー! 友達がいなきゃ学校なんて行ってもしょうがないぜよ! 明日から行こうぜい!」

上条「ああ!」

上条(これで少しでも父さんと母さんの希望になれるのなら、その幻想はぶち壊しちゃいけねえよな)