1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:15:56.50 ID:BgAFZI680
風越女子高校 麻雀部部室


室橋(私は室橋裕子、風越女子に通う高校一年生。ムロマホコンビのムロの方です)

室橋(本当は清澄に入ろうと思っていましたが、お父さんが女子校にしてくれと強く言うので風越女子に入ることにしました)

室橋(私は麻雀部に入り、一生懸命練習して、なんと団体戦のレギュラーになることが出来ました)

室橋(私達は県予選で優勝し、インターハイの長野代表になり、そしてそのインターハイまであと一週間…なんですが……)


文堂「うんしょ、うんしょ」

華菜「…おい文堂、対局中に一体何をしてるんだ?」

文堂「はい池田キャプテンww裸単騎だから私自身も裸になろうと思いましてwww」ヌギヌギ

華菜「や、やめろ!誰もそんなこと望んでないし!」


室橋(……文堂先輩が最近おかしいです)


 

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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:20:31.59 ID:BgAFZI680
文堂「やめろと言われましても理由を説明してもらいませんとwww」

華菜「こっちとしては服を脱ぐ理由を説明してほしいし!」

文堂「裸単騎なんでwwこうすると上がれるような気がしましてwww」

華菜「なんか文堂が気持ち悪いし!」

文堂「へへっあざーすww」

華菜「なんで満足気だし…」

未春「文堂さんは個人でも県代表なんだから、しっかりしないと。華菜ちゃんに迷惑かけたら許さないよ?」ギロッ

室橋「でも県予選の個人も1位で突破ですからね。ほんとすごいですよ、文堂先輩」

文堂「まあ、死ぬほど頑張ったんで。趣味のブランコくつ飛ばしも我慢してww」

室橋「そんな趣味があったんですか…」

華菜「文堂最近おかしいし…何かあったのか?」

文堂「ちょっと上を目指してみたくなりましてね」キリッ

華菜「ええぇ……どういう事なんだし……」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:25:15.61 ID:BgAFZI680
華菜「室橋、お前もなんか言ってやれ」

室橋「いや……まあ、ここ最近ですよね。文堂先輩が気持ち悪くなったのは」

未春「は、はっきり言うね…」

室橋「深堀先輩は何か知ってますか?」

純代「ううん、私もわからない」

室橋「そうですか…」

室橋(今までは普通だったのに…文堂先輩何で急に…)

文堂「ノールックリーチ!」タンッ

モブ部員(なにノールックって!?)

文堂「ツモ!よしこれで私の勝ち!ちょっと部室内一周してきます!」ビューン

華菜「こら文堂!部室で走るな!」

文堂「へへっ、室橋さーん!今の私どう?」タッタッタ

室橋「はい、気持ち悪いです」

文堂「ひゃっほーいwww」ピョン

室橋(…ダメだこの先輩)

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:29:25.62 ID:BgAFZI680
ガチャ

久保「うぃーす」

一同「おはようございます!コーチ!」ピシッ

久保「はーい、おはよう。……何してんだ文堂?」

文堂「ちょっと部室の四隅に霊がいたので除霊してました」

室橋(ありもしないこと言ってごまかしてるよこの人)

久保「そうか、ありがとな」

室橋(ええぇ…)

久保「お前らっ!インターハイまであと一週間だ!気合い入れていけよ!」

一同「はいっ!」

久保「特に文堂は個人戦もあるからな!大変だとは思うが気ぃ抜くなよ!」

文堂「おまかせあれww」

久保「うんうん、文堂みたいな部員がいてくれて私も鼻が高いよ」

文堂「ありがたき幸せwww」

室橋(なんすかそのキャラ)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:35:08.40 ID:BgAFZI680
久保「正直私達が県予選を突破出来たのは運が良かったのもある」

久保「去年の県予選優勝の清澄は、原村和と宮永咲が東京に転校して今年はいなかった」

久保「鶴賀は去年の三年がいなくなって弱体化していた」

久保「一番手強いと思っていた龍門渕も、大将の天江衣が調子を崩していて全力じゃなかった…」

久保「だがそんなことは関係ない!長野の代表は私達だっ!団体戦も個人戦も風越が全国優勝だっ!」

一同「はいっ!」

久保「去年の団体戦、私達は清澄に負けた…今年は勝ったが、主力だった原村と宮永がいない清澄に勝っただけだ…」

久保「その二人は今、白糸台にいる。西東京代表として当然インターハイにも出てくる」

久保「…池田、吉留、深堀、文堂。本当の意味で去年のリベンジをしたいなら白糸台に勝て」

華菜・未春・純代「はいっ!」

文堂「…はい」

久保「どうした文堂?」

文堂「いえ、コーチの言う通りだと思いまして。全部ぼっ倒しますwww」

久保「おおっ!その意気だっ!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:39:34.82 ID:BgAFZI680
室橋(……話長いな)ボー

久保「~~。ん?おい室橋ィィッ!!何ボーっとしてんだァ!!」

室橋(やばっ!)ピシッ

久保「先輩達見てみろ!全員真剣に話聞いてるだろうがァ!」

室橋「は、はい!」

久保「お前一年ながら校内ランキング5位でレギュラーだからって調子乗ってんのか?」

室橋「いえ、そんなことは…」

久保「…気合い入れてやるよ、前に出ろ室橋」

華菜「コーチ!部員の士気が低いのはキャプテンである私の責任です!殴るなら私を!」

未春「華菜ちゃんを叩くなんてそんなこと人間がしていい行為じゃありません!私にしてください!」

文堂「いやいや、ここは自分がw」

純代「……いや私が」

華菜・未春・文堂「どうぞどうぞ」

純代(!? こいつらっ…)ギリィ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:45:26.08 ID:BgAFZI680
久保「わかった……前に出ろ室橋」

室橋(結局わたし!?まあ、そりゃそうか…)

久保「いくぞ……えいっ」ピンッ

室橋「うっ…ってあれ?」

久保「先輩達に免じてデコピンで許してやるよ。次からは気を抜くなよ」アタマ ポンポン

室橋「は、はい///」

華菜(室橋は何気にコーチに気に入られてるな…)

文堂「ヒューwww」

華菜「…」

久保「よし!じゃあ、練習再開だ!」

一同「はいっ!」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:49:50.28 ID:BgAFZI680
室橋(そして、それからも文堂先輩の奇行は続きました…)


文堂「タンヤオww」

華菜「お、お前それ四暗刻だし!」


文堂「いっけぇー!ビクトリーマグナムリーチ!」タァン!!

純代(何それ…普通のリーチでしょ…)


華菜「あれ?…おい、文堂その爪…」

文堂「気づきましたか、ちょっとネイルアートをねww」

華菜「をね、じゃないし!コーチに怒られるぞ!」

文堂「見てくださいよww爪のひとつひとつに風越麻雀部歴代のキャプテンの名前書いてるんすよwww」

華菜「いや気持ち悪いな!すぐに消してこい!」

文堂「別にいいじゃないですかwww」

未春「…文堂さん、華菜ちゃんの言うこと聞けない?」

文堂「消してきます」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:54:45.82 ID:BgAFZI680
そして東京 インターハイのトーナメント組み合わせ抽選会 会場


『兵庫県、劔谷高校…21番!』 オォォ

『岡山県、讃甘高校…7番!』 オォ

『鹿児島県、永水女子高校……40番!!』 オオオオォォォォ!!


室橋「そろそろですかね」

純代「たぶん次だと思う…」


『長野県、風越女子高校…』


未春「ああっ!華菜ちゃんが出てきた!!」

室橋「めちゃくちゃ緊張してますね…」

未春「華菜ちゃぁぁぁぁん!!頑張ってぇぇぇぇ!!」

純代「ちょ!?静かに!」

文堂「なんか一発芸やれぇー!!www」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 18:59:39.09 ID:BgAFZI680
『風越女子高校…46番!』 

ガヤガヤ ザワザワ オ、オウ


室橋「なんか中途半端なざわめきですね…」

未春「しっかりやり遂げたね、華菜ちゃん」ホロリ

文堂「いいぞキャプテーン!!そのまま風越の校歌を歌ってくれーぃ!!ww」

純代「だから静かに!」

モブA「な、なんかやばいのがいるね…」ヒソヒソ

モブB「風越の人達かな…ちょっと気持ち悪いね…」ヒソヒソ

室橋「ほら文堂先輩、気持ち悪いって言われちゃってますよ」

文堂「やーりぃwww」グッ

室橋「ダメだ」ハァ

純代「ていうか46番て…」

室橋「えーっと…トーナメントをシード校入れて4つのブロックに分けた場合、私達は40番~52番のブロックに入ったから…」

未春「…さっき40番を引いた永水女子と、第2シード52番の臨海女子がいるブロックだね」

文堂「池田キャプテン引き弱えぇwww」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:05:05.27 ID:BgAFZI680
純代「関係ない、優勝するならいずれ当たる相手」キリッ

室橋「そ、そうですよね」


『福岡県、新道寺女子高校……49番!!』 オオオォォォォ!!


未春「…えっ?」

文堂「うはww新道寺までキタwww」


『南北海道、有珠山高校……42番!!』 オオオォォォォ!!


文堂「ちょwwこっちくんなってwww」


『南大阪、姫松高校……48番!!』 オオオォォォ!!ワァァァァァ!!


文堂「誰かww助けてwww」

室橋「…強豪校が私達の方のブロックに固まりましたね」

純代「か、関係ない…」グスッ

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:09:30.49 ID:BgAFZI680
インターハイ開会式 会場


ザワザワ ザワザワ

『え~ただいまより、全国高校麻雀大会開会式を行います。はじめに~~』

『~~。続きまして、選手宣誓を行います。選手代表、阿知賀女子学院、鷺森灼選手』


灼「はいっ!」スタスタ

灼「宣誓!我々選手一同は日頃の練習の成果を思う存分発揮し、一戦一戦全力でプレーすることを誓います!」

灼「そして私は…ハルちゃんを一生愛することをこのネクタイに誓います!選手代表、鷺森灼!」

ザワザワ ナニイッテンノアノヒト…  

「私も咲さんを一生愛することを誓います!!」

「だ、ダメだよ和ちゃん。静かにしてないと」アタフタ

室橋(…和先輩の声が聞こえた気がするけど、気のせいだよね。でも全国って文堂先輩みたいな変な人多いのかな…)チラッ

文堂「…強力なライバル現る…だな」ゴクリ

室橋(なんかライバル認定してる!!)


『……はい、元の位置にお戻りください。これをもちまして、開会式を終了いたします』

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:15:00.33 ID:BgAFZI680
室橋「しかし、厳しいブロックに入っちゃいましたね」スタスタ

純代「幸い一回戦では強豪と当たらないけど、二回戦が怖いね」スタスタ

未春「順当にいけば二回戦は永水と有珠山の勝者と、新道寺と姫松の勝者…」スタスタ

文堂「そしてシードの臨海女子www」スタスタ

室橋「まあ一回戦で強豪と当たらないだけ、まだマシなのかもしれませんね」

華菜「ごめんよぉ…私のせいだし…」トボトボ

未春「華菜ちゃんは悪くない!むしろ強い相手と勝負出来て私は嬉しいよ!」

華菜「…ありがとう、みはるん」

未春「うん、よしよし」ナデナデ

室橋「でも、できれば第4シードの千里山のブロックが良かったですね」

純代「どうして?」

室橋「『WEEKLY麻雀TODAY』に去年よりもチーム力がやや落ちるって書いてたんで」

純代「…あの雑誌の記事はあまり信用しないほうがいいと思う」

泉「おい、私達千里山がなんやって?」

室橋「えっ…誰…?」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:19:23.74 ID:BgAFZI680
泉「なっ!?この高二最強の二条泉を知らないなんて」

室橋「は、はあ…」

浩子「どうしたん泉?」

泉「あっ、船久保部長。ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえてきたんで」

室橋「あー!あなたは千里山の部長さんですね!『WEEKLY麻雀TODAY』で見ました!」

泉「って部長のことは知ってるんかーい!」

文堂「www」

華菜「こら失礼だぞ室橋、あと文堂も草生やすな」

泉「へぇー、あんたが部長か?」

華菜「は、はい。キャプテンの池田です、すみませんうちの部員が」

泉「おっ、よく見たらあんたら名門風越やん。でも部員がこんなんなら麻雀のほうも程度が知れるな」

浩子「あ、あほっ!泉やめぇ!」

泉「ははっ、きっとキャプテンさんも大したことないんやろな。抽選会でも緊張してカチコチやったし」

未春「あ?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:24:28.33 ID:BgAFZI680
未春「今なんて言いました?」ゴゴゴ

泉「!?」

華菜「あわわ、皆!みはるんを押さえろ!」

未春「許せないっ…華菜ちゃんのこと何も知らないくせに…」ズンズン

文堂「ちょwwすごい力www深堀先輩頼みますwww」

純代「ほら落ちついて、もうホテルに帰ろう」グイッ

未春「くっ……そこの人、インハイ期間中は背中に気をつけてね」

泉「ひぃぃ!」ビクッ

華菜「怖い捨て台詞言わなくていいから!室橋も行くぞ!」

室橋「本当にすみませんでした!失礼します」ペコリ

泉「…ぃ、ぃぇ」

浩子「…今のは泉も悪いな。しかし、あの眼鏡の人すごいオーラやったな」

泉「…長野の個人1位ってあの人ですか?」

浩子「いや、後ろにおった背の高い糸目の人や。ほんま長野は魔境やで」

泉「団体戦、風越は私達と反対側のブロックですから…当たるとしたら決勝ですね…」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:29:23.25 ID:BgAFZI680
室橋「すみませんでした皆さん、私があんなこと言ったばかりに…」

華菜「まあ次から気をつければいいし」

室橋「はい、気をつけます…」

純代「千里山、当たるとしたら決勝だね…上がってくるかな?」

文堂「試合前にからんだ高校はだいたい残りますよww」

未春「そうだね、あの人私と同じ次鋒だといいな」メラメラ

華菜「おおっ!みはるんも気合い十分だし!よし皆、いつものやつやるぞ!」

未春・純代・文堂・室橋「はい!」

華菜「いくぞー!かぜこしー」

華菜・未春・純代・文堂・室橋「ファイトー!!」


……  そして一回戦後  ……


室橋「ずびばせんでじだ…副将の私が油断じだばがりに…」ポロポロ

華菜「いや、室橋のせいじゃないし…合浦女子がお前との勝負を避けて他家を飛ばしたんだ…」

室橋「でも゙…大将の文堂先輩までづなげることが出来てれ゙ば…」ポロポロ

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:34:21.49 ID:BgAFZI680
未春「ううぅ…」

純代「…」

華菜「先鋒の私がもっと稼げてたら良かったんだけどな…」

室橋「私のせいです…先輩達の最後の大会が…私のせいで…」ポロポロ

華菜「室橋…気持ちはわかるよ…お前のせいじゃない気にするな、って言っても気にすると思う…」

華菜「でも一人で背負い込むのは…」

久保「だぁーー!!うるせえぞ室橋ィ!!いつまでもめそめそしてんじゃねぇー!!」

華菜(えぇぇぇ!!最後まで言わせてーー!!)

久保「負けたのはコーチである私の責任だ!勝手に自分のせいにしてんじゃねえ!」

久保「お前達はどこに出したって恥ずかしくない自慢のチームだ!さっきも良い試合だったじゃねーか!胸張って堂々としてろ!」

室橋「……ばい゙」

久保「よし……それと池田ァァッ!!」

華菜「は、はい!」

久保「…私を全国に連れてきてくれて、ありがとな」

華菜「……こっちのセリフだし」グスッ

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:39:20.16 ID:BgAFZI680
文堂「私だけ出番なし…抽選会のくだりや試合前にからんだ千里山は一体何だったんだろう…」ズーン

久保(文堂…部屋の隅の方でいじけてやがる…)

文堂「優勝どころか一回戦で負けてしまって、先輩ごめんなさいごめんなさい」ブツブツ

久保「おい文堂ァ!お前は個人戦もあるんだからそれまでに気持ち切り替えとけよ!」

文堂「……ぁぃ」

久保「声が小さい!」

文堂「はいっ!!」

久保「うるせえ!」

文堂「ちょww」

久保「よしその意気だ、お前らもホテルに戻ってゆっくり休め」

一同「はい」

久保「後は頼んだぞ池田」

華菜「はい……室橋、行くぞ…ほら涙拭いて」ゴシゴシ

室橋「…はい」グスッ

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:44:54.01 ID:BgAFZI680
室橋(団体戦は負けてしまいましたが、私達は個人戦代表の文堂先輩の応援を全力でしました)

室橋(そして文堂先輩は順調に勝ち進んでいき、ついに決勝まで昇りつめました……)


久保「文堂、次勝てば優勝だ…他の三人は強敵だがいつも通りのお前でいけば必ず勝てる…」

文堂「ウィ」

久保「行って来い!!」

文堂「はいっ!」

華菜「ぶっ飛ばせー!文堂!」

未春「頑張って!」

純代「落ちついて、平常心でね」

室橋「文堂先輩!ファイトー!」

文堂「うむ」


文堂(ついに決勝まで来ましたよ……見てくれていますか…?)スタスタ

文堂(私の大好きな大好きな……福路先輩……)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:49:21.73 ID:BgAFZI680
~回想~


文堂(私は文堂星夏、風越女子に通う何の取り柄もない高校一年生です)

文堂(特に入りたい高校がなかったので、なんとなーく風越に入りました)

文堂(うまくはないですが麻雀が打てるので、麻雀部に入ろうと思います)

文堂(やる気はありませんが、部活には入っていたほうが何かと良いと思うので…)


麻雀部 部室前


文堂(ここか…)

コンコン

文堂「失礼します」ガチャ

美穂子「あら…新入部員の方?」

文堂「はい、一年の文堂星夏です」

美穂子「ふふっ、麻雀部キャプテンの福路美穂子です。これからよろしくね」ニコニコ

文堂「…よろしくお願いします」

文堂(この人が名門、風越女子麻雀部の部長…)

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:54:29.90 ID:BgAFZI680
数日後


文堂(結構練習きついな…)

モブ部員A「ねえ、うちのキャプテンってすごいよね」

モブ部員B「うんうん、美人だし気がきくし麻雀強いし」

モブ部員A「部室の掃除や合宿の買い出しとかの雑用もやってくれてるんだって」

モブ部員B「あー!そう言えば、キャプテンがジャージやシーツ洗濯してるの見たことある!」

モブ部員A「それにいつも笑顔で素敵だよねー、憧れちゃうなー」

文堂(はあ?…雑用なんかを喜んでやる人間がいるわけない…)チラッ


華菜「キャプテーン」スリスリ

美穂子「ふふっ、華菜ったら」ナデナデ


文堂(いつもニコニコして…その笑顔の裏で一体何を考えているのやら…)

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 19:59:15.63 ID:BgAFZI680
文堂(はあ…毎日練習でだるいなぁ…)

久保「おい!そこのお前ァ!休んでんじゃねえよ!あっちの卓が一人足りないからすぐ入れ!」

文堂「…はい」スタスタ

華菜「おっ、よろしくな一年」

未春・純代「よろしく」

文堂「…よろしくお願いします」

文堂(全員上級生…テキトーに流そっと…)


華菜「それロン!8000!」

文堂「はい」ジャラ

華菜「なんかやる気ないなお前、そんなんじゃ校内ランキング最下位になっちゃうぞ」ハハッ

文堂(皆はこの先輩のことうざいって言ってるけど、私からしたらキャプテンよりこの人のほうが好きだな…裏表なさそう…)

華菜「この華菜ちゃんが麻雀というものを教えてやるし!おかっぱ糸目ちゃん」タンッ

文堂(あっ、やっぱちょっとうざい)イラッ

文堂「ロン、対々三暗刻。12000」

華菜「うぎゃー!まくられたー!」ガーン

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:04:31.09 ID:BgAFZI680
一週間後


美穂子「…」スタスタ

文堂(あっ…またあの人雑用してるよ…そんなに皆から良く見られたいのか…)

文堂(全部ひとりでやられると、さすがに私でも罪悪感があるし…ちょっと声かけてみようかな…)

文堂(……まあ、私のことなんて覚えてないだろうけど)


美穂子「…」スタスタ

文堂「キャプテン」

美穂子「あら」

文堂「雑用なら私にやらせてください」

文堂「キャプテンは知らないかもしれませんが私は校内ラン…」

美穂子「78位」

文堂「え…」

美穂子「78位で一年生の文堂さんよね?先週の対々三暗刻とても素敵でした」ニコッ

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:09:15.40 ID:BgAFZI680
文堂(えっ…私のこと覚えててくれた…部員が80人以上いるのに…)

文堂(それに先週の対々三暗刻って…池田先輩に糸目って言われたのにムッとして、一回だけ真剣にやった時の役だ…)

文堂(その一回を…見てくれていた…)

文堂(ランキング78位の…こんな何の取り柄もない私のことを…見てくれてた…)

文堂「…知っているならなおさら!ランキング1位のキャプテンが雑用なんておかしいですよ!!」

美穂子「私は三年生なのよ?だから夏のインターハイを最後に引退…六月の県予選に負けたらそこで終わりだわ」

文堂「だったら県予選に勝つためにも…」

美穂子「そのつもりよ?文堂さんにももっと強くなってもらわないとね」

文堂「……78位でもですか…」

美穂子「もちろんよ。あなたがいつか、風越を導く時が来るかもしれないじゃない」

文堂「!!」

美穂子「それにね…みんなには牌に触れていてほしいの。もっともっと麻雀を楽しんでいてほしいのよ」ニコッ

文堂(あ、ああ…て、天使だ…光が見える…)

文堂(すごい!なんて美しいんだ!なんて綺麗なんだ!)ポロポロ

文堂(くそっ!…さっきまでこの天使を疑っていた自分を助走をつけて殴り飛ばしたい…!!)

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:14:20.99 ID:BgAFZI680
文堂(それからはキャプテンと全国に行くために寝る間も惜しんで麻雀の勉強をし、死ぬほど練習した)

文堂(私は二ヶ月で校内ランキングを5位まで伸ばして団体戦のレギュラーにも選ばれた)

文堂(そして迎えた県予選決勝…私は大量失点してしまい…団体戦で全国に行くことは出来ず…)

文堂(キャプテンは個人戦を勝ち抜き、長野代表になったが…皆で全国へという夢は叶わなかった…)

文堂(それでもキャプテンは私を責めることはなく…優しく慰めてくれた…)


文堂(そしてインターハイも終わり、池田先輩が新キャプテンとなり、また厳しい練習の日々が始まった)

文堂(入部した時はやる気のなかった私だが、この頃にはもう麻雀が楽しくてしょうがなかった……)


華菜「ぎゃぷでーん、ご卒業おめでとうございばず」ポロポロ

美穂子「泣かないの華菜、今はあなたがキャプテンなのよ」ナデナデ

華菜「ぎゃぶてんは終身名誉きゃぷでんだしー」ウワーン

美穂子「ふふっ、ありがとう」ニコッ

ウワーンウワーン ソツギョウシナイデー キャプテンキャプテーン

文堂(…卒業おめでとうございます、福路先輩。私の世界を変えてくれて…本当にありがとうございました…)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:19:30.66 ID:BgAFZI680
文堂(私は二年生になった。麻雀部に新しい一年生も入り、県予選で優勝してインターハイの長野代表になることが出来た)

文堂(そしてそのインターハイまであと二週間という時に、福路先輩が部室に遊びに来てくれた…)


美穂子「みんな、久しぶりね」

華菜「キャプテーン!キャプテーン!」ニャーニャー

未春「華菜ちゃん幸せそう」ホッコリ

美穂子「ふふっ、全国出場おめでとう」

純代「ありがとうございます」

美穂子「本当にすごいわ、いっぱい頑張ったのね」

文堂「はい!福路先輩のほうはどうですか?」

美穂子「え、ええ…そうね、大学も大変だけど楽しいわよ」ニコッ

文堂「!」

華菜「いいなぁ~私も同じ大学行きたいなぁ~」

未春「わ、私も!」

美穂子「そうなったらもっと楽しくなるわね」

文堂(私にはわかる……今の笑顔、少し違和感があった……)

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:24:35.69 ID:BgAFZI680
空き教室


美穂子「ど、どうしたの文堂さん?」

文堂「すみません…福路先輩のさっきの笑顔がちょっと気になって…」

美穂子「えっ」

文堂「笑顔がいつもと違うような感じがして…」

美穂子「…そう」

文堂「何かあったんですか?」

美穂子「…私個人の問題だから、人に話すようなことじゃ」

文堂「先輩っ!私は先輩にお世話になりっぱなしで何一つ恩返しが出来ていないんです!」

美穂子「…そんなこと」

文堂「私なんかじゃ力になれないかもしれません、でも誰かに話すだけで楽になることもあります」

美穂子「…」

文堂「私はどんなことがあろうとも福路先輩の味方です」

美穂子「……私ね…好きな人に気持ち悪いって言われちゃったの」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:29:23.24 ID:BgAFZI680
文堂「えっ…気持ち悪い?」

文堂(福路先輩の好きな人というのはおそらくあの人のことだと思う…しかし気持ち悪いってどういうことだろう?)

美穂子「うん…少し前にその好きな人を私の家に招待したの…」

美穂子「でもその時に…私のその人への想いを書き綴ったノートを見られてしまって…」

文堂「…」

美穂子「そしたら…気持ち悪いって…」

文堂「……その人とは付き合ってたんですか?」

美穂子「つ、付き合ってはないわよ。でも、いつかは告白しようと思っていたのだけれど…もうダメね…」

文堂(軽い気持ちで聞いたわけじゃなかったけど…これは難しい問題だな…)

美穂子「ごめんなさいね…全国前にこんなこと話しちゃって…」

文堂(福路先輩の幸せのほうが大切ですよ!でも先輩のために私が出来ることって…)

文堂(ここで『先輩は気持ち悪くなんてないです』って言うのは簡単だけど、それだけじゃおそらく先輩の心には響かない…)

文堂(私達が全国で活躍して…いや、優勝して少しでも勇気を与えられたら…)

文堂(そして全国の舞台で…先輩は気持ち悪くありません伝えられたら…)

文堂(そう、例えば…わざと変なキャラを演じて『私のほうが気持ち悪いですよ、先輩なんて全然です』って…そしたらきっと…)

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:34:24.49 ID:BgAFZI680
美穂子「はい、もうこの話はおしまい」

文堂「…すみません」

美穂子「ううん、ありがとう文堂さん。聞いてもらって少し楽になったわ」

文堂「……福路先輩、私個人でも長野代表になったんです」

美穂子「ええ知ってるわ、厳しい練習に耐えて頑張った成果がでたのね」

文堂「試合見てくれますか…?」

美穂子「もちろんよ!東京には行けないけど、テレビの前で応援するわ」

文堂「団体戦も個人戦も絶対に優勝します」

美穂子「ふふっ、でもあまり気負わずに楽しんできてね」ニコッ

文堂「はいっ!」

文堂(先輩のために……全部ぼっ倒す!!)


~回想終わり~


文堂(団体戦はダメでしたが、個人戦は必ず優勝します。見ててください福路先輩…)

文堂(今から向かう決勝卓で一番強く、そして一番気持ち悪くあってみせます!!)

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:39:28.08 ID:BgAFZI680
白糸台高校 控室


誠子「私は嬉しいよ…団体戦優勝出来たし、個人戦も白糸台から決勝進出者が三人もでるなんて」

尭深「…淡ちゃん、和ちゃん、咲ちゃん。三人とも頑張ってね」ズズ

淡「亦野先輩!たかみ先輩!私が絶対優勝するから見ててね!こんな途中から白糸台に入った人達には負けないから!」

和「私のことはいいですが咲さんへの侮辱は許しませんよ」ギロッ

誠子「こ、こら。二人ともケンカは…」

淡「ねぇ、原村さんは私があと何回ダブリーをしたらオカルトを認めてくれるの?それとも意地になってるの?」

和「質問の意味がわかりません、高校100年生(笑)様の言うことは私には難しくて」

淡「それってもう負けを認めてるよね?高二にもなってペンギン抱きながら麻雀打ってる原村さん」

和「ペンギンてタコも食べるらしいですよ。この新免さんからもらった日本刀でそのタコみたいな髪を切ってあげましょうか」チャキ

咲「だ、ダメだよ和ちゃん」アタフタ

淡「あんた…今私のこの頭のことなんつった」ユラァァ

誠子(…弘世先輩、部長って大変だったんですね…正直この二人手に負えません)

咲「ダメだよ和ちゃん、私以外の子とあんまりお喋りしちゃ。ねえ?ねえ?」

誠子(……この三人手に負えません)

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:44:39.71 ID:BgAFZI680
誠子「いつもこんな感じで、私と尭深が卒業した後大丈夫かな……」

淡「…大丈夫だよ!私が絶対勝つから安心して試合見ててね!」

和「そろそろ対局室に行きましょうか」

咲「の、和ちゃん。いってらっしゃいのキスしてあげよっか?///」

誠子「いや君も行くんだよ咲ちゃん」

和「では喉にお願いします」

誠子「普通口じゃないの?というかお願いしますじゃなくて、そういうのは二人だけの時にしろって先輩思うな」

尭深「…喉へのキスは欲求の証」ズズ

誠子「尭深はかしこいなぁ。でもお茶飲んでないで止める側の立場にまわろうか」

淡「和だから喉へのキス…ユーモアのセンスだけは高校100年生みたいだね」フフフッ

誠子「全然面白くないから!ユーモアのハードル低すぎるから!」

咲「ふふっ…じゃあ私行きますね」スタスタ

誠子「ちょっと待って!ほら原村さん、咲ちゃんが迷子にならないよう一緒に行ってあげて。キスを待ってる体勢はもういいから」

和「あっ、結局してはくれないんですね。ではいってきます」スタスタ

淡「いってきまーす」ビューン

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:49:23.90 ID:BgAFZI680
淡「対局室は…ここだね」

ガチャ

文堂「…」カチ コト

淡「もう対戦相手の人来てるね……ってあなた何してるの?」

文堂「ああ、これは全ての山を開いて四人分を一人で打っていたんです」

淡「え?」

文堂「全ての牌がわかっていたとしても、ほぼ毎回±0で終わらせるなんてそう簡単にできることではないですね」

淡「意味がわからないんだけど、なんで今そんなことしてるの?」

文堂「いや…昨日枕元にご先祖様が現れて、こうすれば明日勝てるかもよって教えてくれたんで」

淡「は、はあ……そしてなんで原村さんはうずくまってジタバタしてるの?」

和「~っ!!///」ジタバタ

文堂「あとこれも言えって言ってました……退部してくださいっ」キリッ

和「」チーン

咲「…」ツンツン ツンツン

淡「咲、木の枝で人をつついちゃダメだよ。ていうかどこで拾ってきたの…」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:54:31.51 ID:BgAFZI680
和「くっ…咲さんのおしっこを飲むまでは死ねません…」

淡「なんか変なこと言いながら生き返った」

文堂(うわぁ…この人の気持ち悪さはすごいな…私が敵うのだろうか…)アセタラリ

文堂(いや、弱気になっちゃいけない…気持ち悪い人を演じて、テレビの前で応援してくれてる福路先輩に見てもらうんだ!)

咲「文堂さんお久しぶりです」

文堂「宮永さんお久しぶりっすwww」

咲「えっ…少し雰囲気変わりましたね…」

文堂「ウィww」

和「中々の先制攻撃でしたが、麻雀では負けませんよ」

淡「そっかー、咲達の知り合いなんだね。よろしくー」

文堂「よしなにww」


恒子『おっと!何か一悶着あったようですが大丈夫なのか!』

健夜『そうですね、卓に着く前からすでに戦いは始まっているということです』

恒子『さすが小鍛治プロ!テレビの前の皆さん、どうやらもう戦いは始まっているようです!』

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 20:59:15.97 ID:BgAFZI680
和「…」ポムポム

咲「あのー、靴脱いでもいいですか?」

文堂(ペンギンを抱いてたり、靴を脱いだりとキャラが強いな…しかし私も)

文堂「あのー、サンバイザーつけてもいいですか?」

淡「へ?」

文堂「これをつけると落ちつくので……よいしょっとww」スチャ

文堂(落ちつくというのはもちろん嘘。麻雀になんでサンバイザー?と思わせて私の気持ち悪さをアピール!)

淡(この人がサンバイザーをつけるとゴルフのキャディさんみたい…まあこれは言わないでおこう)

和「なんかベテランのキャディさんみたいですね」クスッ

淡(言ったーー!!しかもベテランてつけてるーー!!)


恒子『風越女子、文堂選手!なんとサンバイザーをかぶるようです!!』

健夜『人は予想を超えてくる』

恒子『まだ対局も始まってないのに既に予想超えてきたーー!!個人戦決勝は何が起こるかわかりません!!』

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:04:15.21 ID:BgAFZI680
恒子『さあ、そろそろ試合開始でしょうか……』


文堂(まだだ…ここで追い打ちをかける…!)ガタッ

文堂「風越女子高校麻雀部二年っ!文武両道略して文堂ォ!趣味はプロ麻雀せんべいのカード集め!ヨロシクゥ!!」バーン

淡(急に立ち上がって何言ってんの!?)

文堂(ふふ…これでどうだ…)チラッ

和「…」スクッ

和「白糸台高校二年原村和ァ!麻雀大好き咲さん命!将来の夢は咲さんのお嫁さん!ヨロシクゥ!!」バーン

淡「もう二人とも病院行きなよ」

咲「///」ポッ

淡「あんたも病気だよ」


恒子『いやまだ始まらなかったーー!!どうやら名乗りを上げているようです!!』

健夜『私も早くお嫁さんになりたいな、チラッ』

恒子『おーっと、すごいプレッシャーを感じます!!怖くて隣を見れません!!』

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:09:16.50 ID:BgAFZI680
恒子『そしてなんと!少し目をはなしていた間に試合が始まっていたーー!!』


淡「…」カチ トン

咲「ポン」カチャ トン

文堂「…」カチ トン

和「…」ヒュッ トン


恒子『各選手試合中は静かだーー!!決勝卓は全員二年生という珍しいことになってますね小鍛治プロ?』

健夜『この夏の祭り…気持ちだけでもあの頃に帰れるのかな…』

恒子『…っはい。ということで!団体戦優勝の白糸台の三人に対して、風越女子の文堂選手がどう攻めるのか!』


咲「カン」カチッ

文堂「ロン、槍槓」

咲「…はい」

文堂(さすがにこの面子で試合中に変な行動はできないからな…集中しないと…)


恒子『なにやら珍しい役が飛び出たようですが、ここで一旦CMです』

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:14:19.11 ID:BgAFZI680
恒子『CMあけたぞおまえらーーッ!!テレビの前に大集合だーーッ!!』

健夜『皆さんに報告があります。CM中に私とこーこちゃんの仲が進展して、結婚することになりました』

恒子『涼しい顔で平然と嘘をつく小鍛治プロ!これにはさすがの私も苦笑い!!』

恒子『そしてなんと!CMの間に試合が進んで、いよいよオーラスだーー!!』


オーラス 親・大星淡

咲:32300 文堂:28700 和:29600 淡:9400


文堂(ついにオーラス……池田キャプテン…今、それを使います…)

文堂「にゃーーーーー!!」

咲・和「ひっ!」ビクッ


恒子『文堂選手の雄叫びだーー!!スポーツでも大きな声を出すとアドレナリンが出るっていいますよね』

健夜『カラオケ行きたいな。こーこちゃんと二人きりで』

恒子『さあ独身アラフォー女はほっといて、この一局で優勝が決まります!!』

健夜『…』

恒子『小鍛治プロ沈黙!怖いです!アラサ―だよとツッコんでくれません!!』

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:19:40.96 ID:BgAFZI680
和「び、ビックリしました」ドキドキ

咲(ちょっともらしちゃったかも…)ドキドキ

淡「…」

咲「ど、どうしたの?淡ちゃんがラス親だよ」

淡(…何これ何これ何これっ!!私が一回もダブリー出来ないなんて…)

淡(絶対に勝つって亦野先輩とたかみ先輩に約束したのに…私が勝つって…私が…)

和「大星さん?」

淡「私が…私があんた達に勝たないと…先輩が安心して卒業できないんだ!」カッ!

咲・文堂「!」ゾクッ

和「は?」

淡「リーチっ!」タァン!


恒子『ダブルリーチ!ついに大星選手のダブリーが出ました!!え、えーっと…それと…』

健夜『ひっぐ…え゙っぐ…』

恒子『先ほどわたくしの方から小鍛治プロに対して不適切な発言があったことを深くお詫びします』

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:24:43.09 ID:BgAFZI680
恒子『28歳の女性に対し嫌がっているのにも気付かずアラフォーと面白半分にからかい、心を傷つけてしまいました』

健夜『ううぅ…ぐすっ…』

恒子『これは社会人ひいては人として許される行為ではなく…私の残りの人生を小鍛治健夜に捧げることで責任を取りたいと思います』

健夜『えっ…それって…』

恒子『さ、さあ泣いても笑ってもこれが最後!全国の高校生の頂点が今決まります!!』


淡(絶対に私が勝つ!)カチ トン

咲(おトイレ行きたいなぁ…)カチ トン

文堂(落ちついて…自信をもって…)カチ トン

和(私にだって負けられない理由はあります!)ヒュッ トン

咲「カン」カチッ トン

文堂(大明槓?何の意味が…)カチ トン

和「…」ヒュッ トン

文堂「ポン(よしっ!張った!)」カチッ トン

和「…」ヒュッ トン

咲「カン」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:29:18.53 ID:BgAFZI680
淡(また大明槓!?)

咲「…」カチッ トン

淡(嶺上開花でもないし…私のツモ番を飛ばすのが目的…?)

咲「切りました」ゴォォォ

文堂「は、はい」カチ トン

文堂(宮永さんがちょー怖いんだけどー状態になってる…!)

文堂(でも私だって死に物狂いでここまできたんだ…思い出せ、厳しかった練習の日々を……)

文堂(思い出せ…去年の県予選…今では丸くなったが、コーチが福路先輩に手をあげた時のことを……)

文堂「…」

文堂「うう…福路先輩…痛かっただろうなぁ…」ポロポロ

咲・和・淡「!?」ギョ

淡「な、なんで泣いてるのかはわからないけど…次あなたのツモ番だよ」

文堂「…はい」スッ

文堂「ツモ、対々三暗刻。2000・4000」グスッ

淡「え」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:34:19.96 ID:BgAFZI680
恒子『け、決着っ!!個人戦優勝は風越女子高校、文堂星夏だぁぁぁぁ!!』


終局 咲:30300 文堂:37700 和:27600 淡:4400


淡「」

文堂「ありがとうございました!」

咲「ありがとうございました」ペコリ

和「ありがとうございました」グスッ

淡「ま、負けちゃった…亦野先輩…たかみ先輩…」ウルッ

文堂「あの…大星さん、私にも背負っているものがあるんです……」

淡「…」

淡(そうか…この人にも…)

文堂「今日もし負けたら…集めてるプロ麻雀せんべいのカードを一枚を除いて全部破るっていう誓約を…」

淡(私の想いカードに負けたーーー!!)ガーン

文堂「今日の戦いの記念に藤田プロのカードを受け取ってください」スッ

淡「…はい」グスッ

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:39:25.82 ID:BgAFZI680
淡「ううぅ…咲はともかく原村さんにまで負けるなんて…」

咲「……淡ちゃん、和ちゃんは私なんかよりずっと強いよ」

淡「えっ…」

咲「確かに牌に愛されてはないよ。でも和ちゃんほど麻雀を愛してる人、私は他に知らないな…」

淡「…」

咲「『そんなオカルトありえません』っていうのも強がりじゃなくて、和ちゃんは本当にそう考えてるんだよ」

咲「たまに容姿だけで持ち上げられてるとか、注目すべきは原村和じゃないとか聞くけど…何言ってるんだろうって思う…」

咲「麻雀を知っている人ほど和ちゃんの麻雀を見て、和ちゃんの麻雀を尊敬するべきなのに…」

咲「龍門渕さんはそれに気付いてるんじゃないかな…だから和ちゃんに注目して、ライバル視してる」

淡(龍門渕さん…誰…?)

咲「本当に強いっていうのは、和ちゃんみたいな人のことだよ」

淡「…」

咲「だから和ちゃんのこと、認めてあげてほしいな」

淡「…うん」

文堂(あ、あれ?優勝したの私なのに忘れられてる?)

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:44:13.05 ID:BgAFZI680
和「うえ~ん、うえ~ん」

淡「の、和!もう、いつまで泣いてるの!」

和「…」チラッ

淡「来年は私達白糸台が個人戦の表彰台独占するんだから、しかっりしてよね!」

和「…チッ」

淡「えっ」

和「咲さんが慰めに来てくれると思ったのに」ボソ

淡「はあ?」

和「なんでもありません、そろそろインタビューが始まるみたいですから行きましょうか」ケロッ

淡「あんたほんとにブレないね」

和「原村和はブレなく強い」

淡「自分で何言ってんの?まったくもう」フフッ

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:49:10.12 ID:BgAFZI680
~ インタビュー ~


恒子「風越女子高校、文堂星夏選手です。個人戦優勝おめでとうございます!」

文堂「ありがとうございます」

恒子「試合を振り返ってみていかがですか?」

文堂「そうですね…厳しい戦いだったんですが、自分の良いところを出せたんじゃないかなと思います」

恒子「今の気持ちを誰に伝えたいですか?」

文堂「コーチと部活の仲間達、お世話になった関係者の方々、お父さんお母さんに伝えたいです」

文堂「でも一番伝えたいのは私の大好きなとある先輩ですね…。あの、一曲歌わせてもらってもいいですか?」

恒子「えーっと…はい?」

文堂「一曲歌わせてもらってもいいですか?」

恒子「ああ、聞き間違いじゃなかった……まあ面白そうだしいっか、でも生放送だから一曲だけね」

文堂「ありがとうございます。では聴いてください『Glossy:MMM』です…」

文堂「いまを抜けだそーう♪ 手に触れた~ Glossy future♪~~」イイコエ

文堂「熱くなれることが 自慢にならない♪ 迷わないでちょっとずるいね 素直になっちゃえ♪」

恒子「ん?」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:54:31.59 ID:BgAFZI680
文堂「荷物かかえ 誰か信じてみたいと♪ 隠したって 手ぶらで Hurry Hurry!~♪」

恒子(やっぱり!1番と2番の歌詞がごっちゃになってる!)

文堂「雨にパラレル 意味深パレス♪ 負けないから 休まなくちゃ 次は~♪」

文堂「楽し乗り越えるんだ♪」

恒子(楽し乗り越えるんだ!?『楽しくなれたら勝ち』と『壁を乗り越えるんだ』がまざって変な言葉になってる!!)

文堂「よしっ! my mine Mind♪ 広がるぅ心の 答えになっても♪ 君は自由にDon't stop it!~♪」イイコエ

文堂「悲しみを生みだそー♪ 触れた手を握りどうしたの♪ 道の先は逆転に変わるのかもー♪」

文堂「考えるよりー♪ 裸足で走ってみようー♪」

恒子「…」

文堂「……だからっ!先輩ももうダメなんて言わないで!好きな人ときちんと向き合って…」

恒子「いやいや、たぶん先輩に全然伝わってないと思うよ。よくわかんないけど」

和「そうですよね…向き合わないとダメですよね…」

恒子「えっ、今ので伝わったの?」

和「お義姉さん!個人戦優勝は出来ませんでしたが、いい加減に私と咲さんの仲を認めてください!」

淡「いぇ~い!テルー、スミレー、見てる~?」ピースピース

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 21:59:16.74 ID:BgAFZI680
和「咲さん、お義姉さんの言いつけを守ってキスまでしかさせてくれないんですよ!」

恒子「うん、十分だと思うな。まだ高校生なんだからさ」

淡「見て見てほらパントマイム、エスカレーター」スィー

咲「お父さん、お母さん。私、個人2位だよー」フリフリ

恒子「自由っ!もうインタビューめちゃくちゃ!」

文堂「先輩!私の試合見てくれましたか?私気持ち悪かったでしょう!!」

恒子「わわっ!何この子!?」

文堂「先輩は全然気持ち悪くありません!優勝のインタビューでこんなことしてる私のほうがずっと気持ち悪いですよ!」

文堂「信用できないなら風越麻雀部の部員に聞いてみてください!全員私のほうが気持ち悪いって答えるはずです!」

文堂「あの時校内ランキング78位だった私が今ここにいるのも先輩のおかげです!」

文堂「詳しい事情は知りません!告白してどうなるのかもわかりません!それでも前には進めるはずです!」

文堂「私はまだまだ前に進みます!来年は団体戦も優勝してみせますよ!」

文堂「だからっ!先輩ももうダメなんて言わないで!好きな人ときちんと向き合って!前に進めーーー!!」

一同「…」

淡「見て見て、カメレオン」

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:04:08.15 ID:BgAFZI680
久保「文堂ォ!何してんだてめェ!!」バーン

文堂「げっ!コーチ!」

久保「説教してやる、控室に行くぞ」ガシッ

文堂「ひ、ひえ~」ズルズル

誠子「こらっ!お前達もふざけてちゃダメでしょ!」

和「ふざけてません!これは私の一生に関わる大事なことです!」

誠子「咲ちゃん、原村さんを控室まで連れてってくれる?」

咲「はい、行こう和ちゃん」ギュ

和「ああん…ダメですよこんなところで///」

誠子「いやギュってただ手をつないだ音だよね、早く行ってくれるかな」

淡「負けてしまってすいませんでした部長!今から腕立て100回します!」

誠子「いつもさせてるみたいな誤解されるからやめて!!ほら、そんなことしなくていいから淡も行くぞ」ギュ

淡「…はい」

恒子「えっ…」ポツーン

恒子「……中継を終わります!!」キラーン

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:09:19.88 ID:BgAFZI680
文堂(この後、めちゃくちゃ怒られた)

文堂(なんであんなことをしたか聞かれたが理由を話すわけにもいかず、私はただひたすら謝った)

文堂(コーチも最後には諦めたようで、他の部員達と一緒に個人戦優勝を祝ってくれた)

文堂(そして私達は長野に帰った…)


文堂(それから数日後、福路先輩からメールが来た)


『ぶんどうさんゆうしょうおめでとうございます。そしてありがとう』

『すきなひとにこくはくしてつきあうことになりました。こんどしょうかいします』


文堂(どうやら告白が成功して付き合うことになったようだ)

文堂(本当に良かった、私も心の底から嬉しかった)

文堂(週末にレギュラーだけで部室に集まって、私の個人戦優勝の祝勝会をやってくれるらしい)

文堂(池田キャプテンが福路先輩も誘ってくれたようで、恋人と一緒に来てくれるとのことだ…)

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:14:18.36 ID:BgAFZI680
そして週末 風越女子麻雀部部室


華菜「いや~それにしても以前の文堂にもどって良かったし」

文堂「は、はい。いろいろご迷惑をおかけしてすみませんでした」

華菜「今日はキャプテンも来てくれるからな、恋人と一緒に」ウキウキ

文堂「あのーちょっと聞きにくいんですが…池田キャプテンは福路先輩が恋人連れてくることに何も思わないんですか?」

華菜「うん?質問の意味がわからないけど、キャプテンの幸せが私の幸せだし!」

文堂(あなたもこっち側の人間か…)

未春「華菜ちゃん嬉しそう」ホッコリ

室橋「福路先輩って全国の前に練習見に来てくれた人ですよね?」

純代「そう、去年のキャプテン」

室橋「すごく綺麗な人ですよね、恋人ってどんな人だろう」

華菜「まだかな、まだかなー」ウズウズ

ガチャ

美穂子「ふふっ、失礼します」

衣「来たぞー」ピョン

140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:19:18.64 ID:BgAFZI680
華菜「キャプテン!!……ってなんで天江も一緒にいるんだし?」

美穂子「紹介します、私の恋人の天江衣さんです」

文堂・華菜・未春・純代「は?」

衣「ふふ~ん」フンス

室橋「え~!!恋人って龍門渕の天江衣さんだったんですか~!!」

華菜「室橋…私達は今、違う意味で驚いている……」

美穂子「みほこと」

衣「ころもで」

美穂子・衣「みほころもです。よろしく♪」

純代「いやなんかコンビ名みたいに言われても…」

文堂「てっきり福路先輩は清澄の元部長さんが好きなんだとばかり…」

美穂子「?それって上埜さんのことかしら…確かに女性として尊敬はしているけれど…」

未春「尊敬ですか…」

美穂子「ええ、上埜さんのようになれればと思って彼女の行動はなるべく両目で見て観察するようにしてたの…」

美穂子「なにやら勘違いさせてしまっていたようね…」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:24:31.22 ID:BgAFZI680
衣「文堂星夏、美穂子から話は聞いた。お主には世話になったな…」

文堂「い、いえ…」

衣「美穂子の家で衣のことを書いたノートを見つけた時は驚いて落ち込んでしまい、県予選も調子を欠いてしまった」

文堂(ええー!そうだったのー!?)

衣「でも美穂子がいないとすごく寂しくて何をしてもつまらなかったんだ。そして好きだと告白されてわかった」

衣「衣も美穂子と同じ気持ちだったんだって!」

美穂子「私も天江さんには魔物が憑いているなんて思ったこともあったのだけれど、去年の合同合宿でそれは違うと気付いたの」

美穂子「だってこんなにも可愛らしいんだもの…そしてこの人の笑顔をもっと見たい、私が守りたいって思ったの」フフッ

衣「衣も美穂子といると安心するー」ギュウ

美穂子「ふふっ、私もよ」ナデナデ

文堂「な、なるほど…そうだったんですか…」

美穂子「文堂さんのおかげよ、本当にありがとう」

衣「有難う!それと個人戦優勝おめでとう!」

文堂「あ、ありがとうございます!少しでも力になれたようで良かったです!」

美穂子「優勝おめでとう、文堂さん」フフッ

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2014/02/19(水) 22:29:30.86 ID:BgAFZI680
文堂(福路先輩の恋人はちょっと予想外だったけど、なんにせよ幸せそうで良かった…)

文堂(部室に入ってからもずっと手をつないでるし……ん?…え?…ち、違う!…これは…)

文堂「ふ、福路先輩っ!なんで先輩の左手と天江さんの右手が手錠でつながれているんですか!?」

美穂子「えっ?ああ、二人で外に出るときはこうしてるの。二度と離れてしまわないように、ね」ニコッ

衣「恋人同士はこれが普通なのだろう?」

文堂(絶対普通ではなーーい!!)

純代「こ、これはさすがに…」ドンビキ

華菜「さすがキャプテン!手錠かっこいいーー!!」キラキラ

未春「目をキラキラさせてる華菜ちゃんも素敵。私でよかったらいつでもするからね」フフッ

文堂(私のほうが気持ち悪いって言いましたが、思い上がりでした…私ごときがあなたに何ひとつ敵うはずなかったんですね……)

文堂「福路先輩っ!一生ついて行きます!」ニコッ


室橋「…」ピポパ

室橋「…あ、もしもしマホ?…たしか私と同じ高校にするって言ってたよね…やめたほうがいいかも…」



end