『終末艦これショート』前編
293: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:09:05.61 ID:RHFgzQBZo
夕立「……」
神通「駆逐艦の装甲はとても薄いです。軽巡の一撃でも十分沈められる程に。
駆逐艦一隻ができる事など限られています。それ以上を求めれば……沈みますよ」
夕立「……夕立は、沈まないっぽい」
夕立「夕立は他の子とは違うっぽい! 夕立はソロモンの悪夢! どんな相手でも負けは」
パァンッ!
夕立「……ッ!」
電「はわわ!?」
若葉「ビンタか」
神通「はぁ……口で言ってもわからないようですね。仕方がありません」
神通「駆逐艦・夕立。あなたには独居房で反省してもらいます」
夕立「なにそれ……」
時雨「じ、神通……あの、そこまでする必要はないんじゃない、かな」
神通「ダメです。これは必要なことです」
時雨「なんとかならないかな……ぼ、僕も一緒に謝るし」
神通「時雨さん、あなたは関係ありませんよ。妹を庇いたい気持ちはわかりますが
ここは受け入れてください」
時雨「わかっ、たよ……」
雪風「時雨さん……夕立さん……」
駆逐艦・夕立、艦隊行動を乱したとして罰せられることが決まる。
神通の進言により、彼女は一人独居房へと送られた。
引用元: ・『終末艦これショート』
ねんどろいどぷち2体付限定版 艦隊これくしょん -艦これ- 島風 つむじ風の少女 (1) (電撃コミックスNEXT)
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山崎かずま
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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293: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:09:05.61 ID:RHFgzQBZo
夕立「……」
神通「駆逐艦の装甲はとても薄いです。軽巡の一撃でも十分沈められる程に。
駆逐艦一隻ができる事など限られています。それ以上を求めれば……沈みますよ」
夕立「……夕立は、沈まないっぽい」
夕立「夕立は他の子とは違うっぽい! 夕立はソロモンの悪夢! どんな相手でも負けは」
パァンッ!
夕立「……ッ!」
電「はわわ!?」
若葉「ビンタか」
神通「はぁ……口で言ってもわからないようですね。仕方がありません」
神通「駆逐艦・夕立。あなたには独居房で反省してもらいます」
夕立「なにそれ……」
時雨「じ、神通……あの、そこまでする必要はないんじゃない、かな」
神通「ダメです。これは必要なことです」
時雨「なんとかならないかな……ぼ、僕も一緒に謝るし」
神通「時雨さん、あなたは関係ありませんよ。妹を庇いたい気持ちはわかりますが
ここは受け入れてください」
時雨「わかっ、たよ……」
雪風「時雨さん……夕立さん……」
駆逐艦・夕立、艦隊行動を乱したとして罰せられることが決まる。
神通の進言により、彼女は一人独居房へと送られた。
294: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:11:30.33 ID:RHFgzQBZo
――泊地・独居房――
天龍「ここが独居房だ。ったく、お前も懲りねーな……」
夕立「……」
天龍「何かあったら呼べよ。扉の前で俺達軽巡が交代で見張ってるからよ」
夕立「……ぽい」
ガシャン
夕立「……暗いっぽい」
そこは何もない、鉄の箱だった。
冷たい黒が部屋中を埋め尽くし、外界へと繋がる僅かな隙間から
辛うじて月光が降りてくるのみの、幽寂とした正方形の立体だった。
夕立「……どうして夕立がこんな所に」
夕立は横たわり、ふてくされる。
彼女は黒の中に一人、隔離されていた。
冷たい床が著しく彼女の体温を奪っていく。
少しでも寒気を紛らわそうと独房に差し込む月明かりに当たるけども
月明かりは彼女を温めてくれる事はなく、それどころかより一層体温を奪っていった。
少なくとも夕立自身はそう感じた。
夕立「冷たい……」
夕立は体以上に心が冷たかった。夜の闇が部屋に溶け込んでいくのと同じように、
寂寞とした独居房に充満する黒が徐々に夕立の心を侵食していくようだった。
夕立は今、どこまでも孤独で隔絶された空間に一人、置き去りにされた感覚を味わっていた。
夕立「しらつゆちゃん、むらさめちゃん……」
夕立「寂しい……」
天龍「ここが独居房だ。ったく、お前も懲りねーな……」
夕立「……」
天龍「何かあったら呼べよ。扉の前で俺達軽巡が交代で見張ってるからよ」
夕立「……ぽい」
ガシャン
夕立「……暗いっぽい」
そこは何もない、鉄の箱だった。
冷たい黒が部屋中を埋め尽くし、外界へと繋がる僅かな隙間から
辛うじて月光が降りてくるのみの、幽寂とした正方形の立体だった。
夕立「……どうして夕立がこんな所に」
夕立は横たわり、ふてくされる。
彼女は黒の中に一人、隔離されていた。
冷たい床が著しく彼女の体温を奪っていく。
少しでも寒気を紛らわそうと独房に差し込む月明かりに当たるけども
月明かりは彼女を温めてくれる事はなく、それどころかより一層体温を奪っていった。
少なくとも夕立自身はそう感じた。
夕立「冷たい……」
夕立は体以上に心が冷たかった。夜の闇が部屋に溶け込んでいくのと同じように、
寂寞とした独居房に充満する黒が徐々に夕立の心を侵食していくようだった。
夕立は今、どこまでも孤独で隔絶された空間に一人、置き去りにされた感覚を味わっていた。
夕立「しらつゆちゃん、むらさめちゃん……」
夕立「寂しい……」
295: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:15:19.65 ID:RHFgzQBZo
――駆逐艦寮――
陽炎「聞いたわよ雪風。夕立、独居房に入れられたんですって?」
雪風「はい……」
黒潮「あらー! それは……災難やなぁ。時雨ちゃんも心配やね?」
時雨「……まぁ、仕方ないさ」
叢雲「ふん! いい気味よ! ちょっと強いからって、最近調子乗ってたんだから」
時雨「夕立は、自分の功績を自慢したりするような子じゃないはずなんだ。本当だよ……」
満潮「どーかしら。力を持てば誰しも傲慢になるわ」
雪風「果たして、本当にそうでしょうか……?」
叢雲「? 何よ雪風、アンタ……アイツの肩持つっていうの?」
雪風「夕立さんは、心の優しいお方なんです! ほんとです! 雪風は今日確信いたしました……!」
叢雲「どういうことよ……?」
雪風「夕立さんはきっと、誰も傷つけたくないんですよ。だからああいう態度をとっているんです!」
雪風「夕立さんは、ご自身が傷つく事に対して皆さんが心を傷ませないように
ああやって皆さんを突き放すような真似をしてるんです!」
時雨「!!」
296: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:18:10.01 ID:RHFgzQBZo
叢雲「わ、わざと悪態をついてるっていうの? 信じられないわ、そんなの……」
電「電は……」
電「電は、夕立さんが本心であんな酷いことを言う人だとは思えないのです」
雷「電……?」
電「夕立さんは、傷を負いながらも電のこと守ってくれました。夕立さんが何を言おうと
それは事実なのです」
電「電は……そんな夕立さんが暗い部屋で一人閉じ込められているなんて……
我慢ができないのです! 電は夕立さんをお助けしたいのです!」
雷「……わかったわ、電」
雷「あの子を、助けたいのね?」
電「雷ちゃん……!」
雪風「そうです! 夕立さんを助けましょう! あんな暗い部屋に一人でいては
さぞお辛いでしょうから」
叢雲「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 助けるったって、どうすんのよ!」
叢雲「それに私はまだ、雪風の話信じてる訳じゃないんだからね!」
時雨「……僕は行くよ」
陽炎「時雨!」
時雨「……僕は、夕立が苦しんでる時……何も姉らしいことをしてやれなかった
ここで僕が立たなきゃ……僕が、やらなくちゃいけないんだ」
時雨「たとえ僕一人でも行くさ」
電「電もいくのです!」
雪風「雪風もお供します!」
綾波「じゃあ、私もついていってもよろしいですか……?」
297: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:21:58.95 ID:RHFgzQBZo
時雨「綾波……?」
綾波「夕立さん、最近様子がおかしかったじゃないですか。それって、そういうことなんだなって。
納得したら、綾波スッキリしました。夕立さんとは、少し縁も感じますし、ここはお供しましょう!」
陽炎「……は~っ! 全く、仕方ないわね。私も行くわ」
黒潮「陽炎ちゃんがついてくならウチもウチも!」
初風「ついでについてくだけよ、ついでに」
満潮「……馬鹿ばっかね。それについてく私も馬鹿だけど」
朝潮「素直じゃないのは、満潮も一緒ね」
満潮「なっ……ウザいのよ!」
朝潮「ふふふ……」
若葉「若葉だ」
雷「……みんな行くみたいだけど? アンタはどうすんの」
叢雲「くっ……何よ! これじゃあ、私が悪者じゃない!」
電「叢雲さんが仲間になりたそうにこちらを見ているのです」
叢雲「……ああもう! わかったわよ! アンタ達に任せておいたら、
何しでかすかわかったもんじゃないからね!」
時雨「みんな……ありがとう」
雷「よーっし! じゃあみんな行くのね?」
雪風「雪風が夕立さんをお救いします! 皆さん、行きましょう!」
朝潮「……それで、どこへ向かうのでしょうか?」
電「決まってるのです!」
雷「直談判よ!」
298: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:25:05.67 ID:RHFgzQBZo
――泊地・独居房――
夕立「あれからどれだけの時間が経ったっぽい?」
夕立(まだ夜はあけない)
夕立(もう何度も夜を繰り返したかわからないくらいの時間が経ったと思ったのに)
夕立(……まだ、一晩も過ぎてないっぽい)
夕立(夕立は、ソロモンの悪夢なのに、どうしてこんなに寂しいの)
夕立(……夕立みたいな悪い子のところには、誰も来ないのに)
雷『てんりゅー! いるんでしょ! ここを開けなさーい!』
夕立「……?」
天龍『おいおい、何だお前ら』
若葉『若葉だ』
陽炎『この中にあの子がいるんでしょ? ちょっと開けてもらえないかしら?』
天龍『はぁ!? 無理に決まってんだろ!』
夕立「みんな……な、なんで……?」
電『夕立さんは悪くないのです! ここからだしてあげてください!』
夕立「!?」
299: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:29:41.24 ID:RHFgzQBZo
雪風『そうです! 夕立さんはただ、皆さんをお守りしていただけなんです!』
天龍『あ~……例えそうだったとしてもよ? 俺にそんな権限ねぇよ』
黒潮『そんなつれない事いわんといてーな』
雷『そうよそうよ! そこは何とかしなさいよ!』
夕立「なんで……」
天龍『無茶言いやがって! 俺はここの見張りを任されたんだ! 何人たりとも通さねー』
初風『じゃ、仕方ないわね……』
天龍『お、おい……なんだよ』
満潮『アンタが悪いんだからね』
電『大丈夫なのです。痛みは一瞬なのです』
天龍『お、おいふざけんな! 俺とやろうってのか!?』
朝潮『こちらは駆逐艦が11。そちらは軽巡が1です』
天龍『くっ……上等だこら! 人呼ぶぞ!』
陽炎『何が上等なのよ。人呼ぼうとしてんじゃない』
夕立「なんで? ……夕立はだって、悪い子っぽい?」
雷『みんな、突撃よ!』
雪風『天龍さんの身柄を拘束いたします!』
天龍『ちょ、ま……』
夕立「なんで……」
綾波『推して参ります!』
ドタドタドタドタ
天龍『ばっ……やめ……』
バタバタバタバタ
ドタバタドタバタ……
ドタ……バタ……
…………
……
…
300: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:31:57.24 ID:RHFgzQBZo
天龍『おい! 何だこの格好は! 離せ!』
雷『独居房の鍵はっと……あった!』
雪風『……では、開けますね』
夕立「……!」
ガチャリ
夕立「…………」
時雨「夕立……」
夕立「……みんながん首揃えてどうしたっぽい? あ、もしかして助けに来てくれたっぽい?」
陽炎「夕立」
夕立「でも必要ないっぽい! 借りなんて作りたくないし、何より夕立ここ、結構、気にいってるっぽい!」
電「夕立さん……もう、いいのです」
夕立「暗くて、静かだ、し……みんなの、うるさい声、も聞こえ、ないし……」
雷「夕立さん。もう無理はしないで」
夕立「無理なんて……無理なんてしてないぽい!」
雪風「じゃあ何で、夕立さんは……」
雪風「夕立さんは、そんなに泣いてらっしゃるのですか?」
301: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:33:27.62 ID:RHFgzQBZo
夕立「えっ……?」
暗闇で見えなかった涙が、月明かりに照らされ頬を伝う。
夕立はここで初めて、自分が涙を流していることに気がついたのです。
夕立「うそ……これ、違うっぽい! これ違うっぽい!」
夕立「夕立はソロモンの悪夢! 涙なんか……涙なんか!」
時雨「もういいんだ夕立!」ギュッ
夕立「あっ……」
時雨「もう、いいんだ……」
それは時雨の肌が暖かかったから。夕立の心の氷河はみるみる溶けて。
夕立「う……うう……うあああああああああああああん!」
夕立は、大粒の涙を流した。
302: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:36:38.82 ID:RHFgzQBZo
雪風「夕立さん、教えてください。どうして突然みんなにあんな態度をとるようになったのですか?」
夕立「……夕立は、もう誰もしらつゆちゃんやむらさめちゃんみたいな目に
遭わせたくないって思ったっぽい」
時雨「やっぱり……君はずっと二人のことを気に病んでいたんだね」
夕立「しらつゆちゃんもむらさめちゃんも、夕立のせいで沈んだっぽい。夕立を守るために」
夕立「だから夕立はもう、誰にも守られないように、誰も失わないように強くなろうとしたっぽい」
時雨「それが……ソロモンの悪夢」
夕立「ソロモンの悪夢は敵からも味方からも恐れられたっぽい。だから夕立は……」
電「ソロモンの悪夢になる為に……みんなを突き放した」
夕立「だって、ソロモンの悪夢になればみんなを守れるから……」
夕立「夕立は、みんなも、みんなの心も守りたかったっぽい」
時雨「何で一人でそんなに頑張ろうとするのさ……夕立の馬鹿!」
雷「ほんと、馬鹿よね」
満潮「みんなの心は、今の話を聞いて罪悪感で押しつぶされそうなんだけど?」
夕立「ごめん……やっぱり夕立、黙ってたほうが良かったっぽい?」
叢雲「それで夕立が傷つくことに何も感じなくなってしまうことの方が怖いわよ、全く」
夕立「むらくもちゃん……」
叢雲「心配かけさせて……そういうことなら早く言いなさいよ、ほんと」
叢雲「……ごめんなさい。あなたの真意に気づくことができなくて」
夕立「そんな! 夕立の方がむらくもちゃんに酷いこと言っちゃったっぽい~~!?」
叢雲「……でも、これで仲直りね」
夕立「……ぽい!」
303: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:39:33.71 ID:RHFgzQBZo
電「お二人が仲直り出来て、良かったのです……」
夕立「電ちゃんもごめんね……色々酷いこと言って」
電「い、いえ……いいのです。電にも悪いところはありましたから……」
雪風「……そうだ、仲直りの印に……夕立さんにアレを聞かせませんか? みなさん!」
夕立「アレ……?」
陽炎「いいわね!」
朝潮「練習の成果を見せる時です!」
黒潮「そうと決まれば……」
雷「早速行くわよ!」
夕立「え、ちょっと、どこへいくっぽい~~!?」
時雨「来ればわかるさ。さ、いこう夕立」
304: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:41:43.10 ID:RHFgzQBZo
天龍「……へっ、どうやら解決したみたいだな」
天龍「……まぁ、こっちの問題は解決してないみたいだけどな!」
天龍「早いとこ、この紐解かねえと……こんなみっともない格好、他の連中に見られたら……」
木曾「……」
天龍「oh……」
木曾「お前、そんな趣味が」
天龍「ちげーし! ちょっと縛られただけだし!」
木曾「縛られたのか。そういうプレイか」
天龍「プレイ!? 何のことだよ!」
木曾「……それよりいいのかい? こんなに好き勝手したのに見逃してさ」
木曾「神通」
神通「……水を差すのもアレですし……今は見なかったことにしましょう」
木曾「へっ、粋なことをするじゃねぇか」
天龍「そんなことよりよ、この紐早く解いてくんねーかな」
木曾「ぁん? ……ていうかこれ●●●りだな。誰が縛ったんだ……あいつら駆逐艦だろ……」
天龍「……確か電だったな」
木曾「……まじか」
神通「ちょっと……あの子を見る目が変わりそ……」
天龍「で、その●●●り? の何がマズイんだ?」
木曾「まじでか……」
神通「ちょっと……天龍さんを見る目がかわりそ……」
天龍「おいィ! 詳しく教えろって!」
305: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:43:52.85 ID:RHFgzQBZo
――泊地・総合ホール――
電「えー、お集まりの皆さん! こんにちわ!」
夕立「こんにちわっぽい!」
電「クラリネット担当の電なのです!」
雷「同じくクラリネット担当の雷よ!」
電「今日皆様にお集まりいただいたのは他でもありません! 私達、この度軍楽隊を
結成いたしまして! 本日は練習の成果を皆様に見ていただきたいと思ったのです!」
雷「今日は私達の演奏、い~っぱい聞いていってもらうからね!」
叢雲「……観客一人しかいないのに、この下り必要なの?」
陽炎「一応、雰囲気は出るじゃない?」
満潮「ていうか……私達一曲しか曲知らないんだけど?」
黒潮「まぁまぁ、雰囲気や雰囲気」
時雨「夕立、僕達……まだ楽器始めたばかりだし、その……上手くないかもしれない」
雪風「でも……楽器の演奏はとっても楽しいんだということを、雪風は夕立さんに教えたいのです」
夕立「しぐれちゃん、ゆきかぜちゃん……」
電「――それでは聞いてください」
『聯合艦隊行進曲』
ttp://www.youtube.com/watch?v=w8YlOU0O-5E
306: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:46:34.90 ID:RHFgzQBZo
――それは、指揮者もいない滅茶苦茶な演奏でした。
陽炎「~♪」
初風「~♪♪」
ぎこちない旋律と曖昧な音階を行き来するメロディ。お粗末もいいところです。
でも……。
電「ー♪」ニコッ
雷「ー♪」ニコッ
彼女達が本当に楽しそうに演奏するものだから、
音の一つ一つからこれ以上にないほどに沢山の『楽しい』の気持ちが溢れでていたから、
夕立「わぁ……!」
長らく空っぽだった夕立の心は、『楽しい』という気持ちでいっぱいになったのです。
時雨「……夕立、君は確かに他の駆逐艦よりも強い力を持っている。でも、僕達は所詮駆逐艦」
雪風「一人一人の力は、戦艦や空母の皆さんに遠く及びません。でも、みんなで力を合わせれば
きっとそれ以上の力を発揮できると、雪風は信じています!」
電「一人で頑張るよりも、みんなで頑張ったほうがいいのです! 戦いも、演奏も!」
雷「だから、も~っと私達を頼ってくれていいのよ!」
――ね! 夕立!――
307: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:47:50.11 ID:RHFgzQBZo
夕立「みんな……」
夕立(……吉川艦長。夕立は、間違ってたのかな)
夕立(夕立、吉川艦長の真似をしてみたけど……全然ダメだったっぽい)
夕立(夕立は、ソロモンの悪夢にはなれなかったっぽい。でも、ソロモンの悪夢は必要なかったのね……)
夕立(夕立は、ほんとは弱くて、誰かに支えてもらわないとダメっぽい)
夕立(だから、夕立はみんなと一緒に頑張るっぽい)
雪風「さぁ夕立さん! あなたも一緒に演奏しましょう!」
夕立「……ぽい!」
今までありがとう。そしてさようなら、ソロモンの悪夢さん。
夕立「――さぁ、素敵な演奏しましょ?」
308: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/07(金) 23:48:48.61 ID:RHFgzQBZo
NEXT【浮き砲台三人娘 Chapter3(終)】
316: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:41:47.11 ID:uwEIArARo
【浮き砲台三人娘 Chapter3(終)】
日向「ううむ……」
伊勢「どうしたのさ、伊勢。そんな難しい顔しちゃって」
日向「いや、たいしたことじゃあ無いんだが……」
日向「私達はなぜ、艦娘という形で再びこの世に生を受けたのだろうなと、ふと疑問に思ってな」
榛名「そういえば、そうですね。……今まであまり考えたこともありませんでしたが」
日向「戦うだけなら、兵器としての私達で問題なかったはずだ。何故このような姿で……」
伊勢「それはアレだよやっぱり、船は女性として扱われていたしさ……」
日向「それだけとは考えにくい。何か、別に理由があるはずだ……」
榛名「艦娘として生まれた理由……もしかして」
伊勢「おっ、榛名何かわかったの?」
榛名「たぶん……」
日向「聞かせてはくれないか? 榛名」
榛名「はい。私達が艦娘として生まれた理由……それはズバリ、恋をする為です!」
317: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:43:21.70 ID:uwEIArARo
伊勢台詞訂正
日向「ううむ……」
伊勢「どうしたのさ、日向。そんな難しい顔しちゃって」
日向「いや、たいしたことじゃあ無いんだが……」
日向「私達はなぜ、艦娘という形で再びこの世に生を受けたのだろうなと、ふと疑問に思ってな」
榛名「そういえば、そうですね。……今まであまり考えたこともありませんでしたが」
日向「戦うだけなら、兵器としての私達で問題なかったはずだ。何故このような姿で……」
伊勢「それはアレだよやっぱり、船は女性として扱われていたしさ……」
日向「それだけとは考えにくい。何か、別に理由があるはずだ……」
榛名「艦娘として生まれた理由……もしかして」
伊勢「おっ、榛名何かわかったの?」
榛名「たぶん……」
日向「聞かせてはくれないか? 榛名」
榛名「はい。私達が艦娘として生まれた理由……それはズバリ、恋をする為です!」
日向「ううむ……」
伊勢「どうしたのさ、日向。そんな難しい顔しちゃって」
日向「いや、たいしたことじゃあ無いんだが……」
日向「私達はなぜ、艦娘という形で再びこの世に生を受けたのだろうなと、ふと疑問に思ってな」
榛名「そういえば、そうですね。……今まであまり考えたこともありませんでしたが」
日向「戦うだけなら、兵器としての私達で問題なかったはずだ。何故このような姿で……」
伊勢「それはアレだよやっぱり、船は女性として扱われていたしさ……」
日向「それだけとは考えにくい。何か、別に理由があるはずだ……」
榛名「艦娘として生まれた理由……もしかして」
伊勢「おっ、榛名何かわかったの?」
榛名「たぶん……」
日向「聞かせてはくれないか? 榛名」
榛名「はい。私達が艦娘として生まれた理由……それはズバリ、恋をする為です!」
318: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:47:23.68 ID:uwEIArARo
日向「こ、こい……?」
榛名「はい。私達は女性として扱われていながら、軍艦時代はそのような色恋とは無縁でした
一生の殆どを戦いで消費しました。女性として生まれたのなら一度くらい恋をしないと……
悲しいじゃないですか」
日向「な、なんだ? 金剛の影響か?」
榛名「どうでしょうね……」
伊勢「恋ね……考えたこともなかったよ」
日向「我々は兵器なんだぞ。恋なんて……そんなものにうつつを抜かしていてはだな」
榛名「でも、少なくとも提督に恋していた金剛お姉さまは、毎日がとても楽しそうでした」
榛名「それに、兵器じゃないですよ。私達は"艦娘"です」
日向「む……そうか」
伊勢「日向ってば頭固すぎー」
日向「私はお前や金剛のように器用な生き方はできない。生まれてから今までずっと生きるのに必死だ」
伊勢「……それは違うよ、日向」
日向「……?」
伊勢「私も金剛も、皆誰しもが生きるのに必死だった。皆それぞれの生き方を模索して、懸命に生きようとしたのよ」
伊勢「沢山の物を見て、色んな物に興味を持って……出会って、別れて……そして時には恋をして」
伊勢「私達はその中で、新しいものが自らの心の内で生まれるのを感じたはず。
そしてそれは様々な形で自分達の内から外へと飛び出した。
絵だとか、料理だとか、愛情だとか、そういうものを私達は生み出すことができた」
榛名「皆、生きるということを知らなかった。だから私達は……がむしゃらに生きるという事を求めたのかもしれません」
319: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:52:34.55 ID:uwEIArARo
日向「そうか、そうよね……みんな、必死に生きた。器用な生き方をできる奴なんていない、いる訳無いんだ」
日向「金剛のやつが、あんなに提督にアプローチしていたのは……ただ、生きたかったからなんだな」
伊勢「そういう意味じゃ金剛はさ、誰よりも一生懸命だったのかもしれないね……」
榛名「そうですね……金剛お姉さまはいつもまっすぐに生きていました」
日向「……金剛は、幸福であったのだろうか?」
伊勢「こりゃまた難しい話をする」
日向「幸福というものがよくわからなくなってしまっだんだ。兵器であれば戦うことでその本望を全うすることができるが
艦娘はそう単純じゃない」
日向「私達は決して恵まれた境遇にはない。それどころか苦しいことばかりだったような気がする……」
日向「あいつ、金剛だって……決して報われた訳じゃなかっただろう」
320: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:53:58.46 ID:uwEIArARo
榛名「……兵器は幸せを感じることはありません。ですが、私達は幸せを感じることができます」
榛名「確かに、辛いこともたくさんありました。死にたくなるくらい、苦しいこともありました」
榛名「それでも……それでも私達は、何かを生み出す事ができる力に明日を夢見たのです。
いつか辛いことを凌駕することもできるかもしれないそれに、希望を見出したのです。それは
破壊しかできない兵器だった私達の、幸せだったんです」
榛名「金剛お姉さまはきっと、いえ、絶対に幸せでした。報われるとか報われないとかじゃないんです。
お姉さまはいつも全力で一生懸命生きて、いつも自分の満足のいくように生きていました……」
榛名「金剛お姉さまは最期まで提督に恋していました。どんな苦難にも負けない恋心を持つことができた
お姉さまは、とても幸せそうでした」
日向「そうか……金剛のやつは幸せだったのか……」
日向「私も、幸せになれるだろうか……?」
321: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:56:16.55 ID:uwEIArARo
伊勢「あれれ~? 色気のない日向もついに女の幸せに目覚めちゃったの?」
日向「どうしてそうなるんだ……」
伊勢「命短し恋せよ乙女よ。恋しなくちゃ損なんだし、今すぐにでも始めよう!」
日向「……異性が周りにいないんだが、それは」
伊勢「別に異性とじゃなきゃいけないって決まりはないじゃん?」
榛名「えっ」
伊勢「さあここに二人の艦娘がいます! 一人は伊勢型の一番艦・伊勢! そしてぇ」
榛名「え、えっと……金剛型三番艦、榛名です……?」
伊勢「さぁ! 選べ!」
日向「選ぶわけ無いだろう」
伊勢「あらら、手厳しいのね」
日向「頭おかしいのか?」
伊勢「だって、今はこの二人しかいない訳じゃん?」
日向「私にそういう趣味はない!」
伊勢「わかった、仮に! 地球上でこの三人しかいなかったらどっち選ぶの!?」
榛名(なんて極端な……)
日向「伊勢と榛名、お前ら二人でくっつけ」
伊勢「その手があったか! って馬鹿!」
322: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 20:58:58.62 ID:uwEIArARo
伊勢「もー! 日向ってば真面目に答えてよー」
日向「何故そこまで拘る……」
伊勢「なんてったって、乙女プラグイン内蔵してるからね……」
榛名(乙女プラグイン……?)
伊勢「ねー、日向ってば!」
日向「あーもう! わかった! しつこいな……どっちか選べばいいんだろう、選べば」
伊勢「YES! YES! YES!」
日向「……どちらと言われれば」
伊勢(伊勢知ってるよ! 日向ってば本当はお姉ちゃん大好きっ子なんだってこと!)
日向「榛名だな」
伊勢「ズコー!」
榛名「は、榛名でよろしいのですか!?」
日向「いや、まぁどちらかと言えばだからな……榛名は可愛いし、いい奥さんになりそうだ」
榛名「いい奥さんだなんて……////」
日向「伊勢はいい奥さんというビジョンがまるで見えてこない」
伊勢「いやまぁ、確かに榛名は可愛いけどさ……そりゃあ偏見ってもんよ」
323: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:00:25.35 ID:uwEIArARo
伊勢「私だって、脱いだら凄いんだからー! 大戦艦級の夜戦火力にひれ伏しなさい!」
日向「ほーらこうやって痴女発言する。こんな尻軽●●●が良妻になる筈がない」
伊勢「ちょ、ちょっと! 冗談よ! ●●●じゃないし! まだ●●ですー」
日向「そういう生々しい発言はやめよう」
伊勢「日向、私達は姉妹艦でしょ? 私のことは何でも知っていてもらいたいの……」
日向「気持ち悪いからやめろ」
324: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:03:01.22 ID:uwEIArARo
伊勢「……じゃあさぁ、逆に榛名はどうなのよ?」
榛名「はい? 榛名ですか?(何が逆なんだろう……)」
伊勢「だって、榛名結構モテそうな感じだしさぁ~、ていうか喪失した?」
榛名「え……////」
日向「おいばか、セクハラだぞ」
伊勢「いいじゃん同姓なんだし。で、どうなのさ~? 榛名のことだし、異性と付き合ったこと位あるんじゃない?」
榛名「は、榛名……そういうのはまだ……////」
伊勢「えー! うっそだぁ~! 経験はないとしても、付き合ったことくらいあるでしょ~?」
榛名「本当にそういうの無いんです……すみません」
日向「……まぁ、ここは周りに異性があまりいないからな」
伊勢「異性ならいるじゃん! 提督!」
日向「何でもありだな……」
榛名「んー……提督のことは、確かに好きですよ」
※鎮守府の提督とこの泊地の提督は別人です。
325: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:05:58.71 ID:uwEIArARo
伊勢「お!」
日向「マジか」
榛名「でも、それは金剛お姉さまのように異性としての愛情ではなく……その、家族というか。
榛名は、提督の事……その、恥ずかしいんですが……お父さんのようなものだと思っています」
伊勢「あー……そういうパターンか」
日向「何を期待しているんだお前は」
伊勢「まぁパパってのもありかな」
日向「何がありなんだ。いいかげんにしろ」
伊勢「何さ、日向だってちょっと気になってたじゃん」
日向「……うるさい」
伊勢「やーもうダメよ二人共! 女として生まれたからには恋しなくっちゃ!
そんなもたもたしてると、すぐ行き遅れて婚期を逃すわよ!」
日向「婚期って……飛躍し過ぎだろう」
伊勢「飛躍し過ぎじゃないわよ。恋の先にあるもの、それはケッコンでしょ!」
榛名「ケッコン……ですか。軍艦の頃は考えられないことですね」
日向「船と結婚したらそれはそれで怖いが」
326: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:07:54.20 ID:uwEIArARo
伊勢「確かに船の頃は不可能だった……でも、艦娘となった今ならそれができる!」
日向「まぁ……そう考えられなくもないな」
榛名「私達が艦娘として生まれたのは……やはり、そういうことなのでしょうか?
軍艦時代、恋すること無く沈んでいった私達に、神様がチャンスを与えてくださったのでしょうか?」
榛名「何だか、恋しなくてはいけないような気になっちゃいますね」
伊勢「私に惚れるなよ、榛名。もし本気になってしまったら、私の瑞雲を制御できる自信がない」キリッ
日向「……伊勢、それはもしかして私の真似か?」
伊勢「せやな」
日向「死ね」
榛名「あはは……」
榛名「……」
榛名「恋、それができたら……私も金剛お姉さまのように生きれたのでしょうか?」
日向「…………」
327: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:10:34.61 ID:uwEIArARo
――――――
―――
―
伊勢「ふぅー……今何時だろ」
伊勢「全く静かね。不気味なくらい。ホント、静かすぎて眠くなってこない? 榛名」
榛名「…………」
伊勢「榛名?」
榛名「……すー、すー……」
伊勢「ありゃ、榛名寝ちゃってるよ」
日向「私達はもう長いこと眠っていないし、ここは随分と静かだ。眠ってしまっても仕方ないさ」
伊勢「……せっかくだし、もう少しだけ眠らせてあげよっか」
日向「そうだな。寝ている時だけは、何もかも忘れられる」
伊勢「立ったまま寝るなんて、よっぽど疲れてたのかな~」
日向「無理もない、榛名は本当に辛い目にばかり遭ってきたんだ。このボロボロの艤装と
華奢な体で、一体どれだけの修羅場をくぐり抜けてきたのか……」
伊勢「ほんとだよ……こんなになるまで頑張ってさ」
328: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:13:23.58 ID:uwEIArARo
日向「……私達は、無力だな」
伊勢「何さ、急に」
日向「もう満身創痍の体の榛名に、浮き砲台をさせてまで戦わせて……」
日向「伊勢、私はね、榛名にこう言ってやりたかったんだ。この戦いに勝利して、いつか平和な世界が来て
そしたらきっと、榛名は心の底から生きていてよかったと思える日が来るはずなんだって」
日向「だから、一緒に生き残って、生きていてよかったと思える日を一緒に探そうって、
そう言ってやりたかったんだ」
伊勢「プロポーズかよ」
日向「違う」
伊勢「はぁ……そんなの、起きたら言ってやればいいじゃんさ」
日向「わかってて言ってるだろう。現実は、もう目を背けられない所まで来ている」
日向「私達は無力で、現実は非情だ。私達が助かる可能性など万に一つもない」
伊勢「日向のせいじゃないじゃん……これはさ、こればっかりは……仕方のないことなんだよ」
日向「仕方のない……か」
329: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:15:13.86 ID:uwEIArARo
伊勢「……まぁ、こんなんになっちゃったけど、私は案外悪く無いと思ってたわよ、浮き砲台」
伊勢「日向がいて、榛名がいてさ。二人と一緒にいたら、不思議と絶望感がないんだ」
伊勢「状況は最悪かもしれないけど、二人と共に最後の戦いを迎えられるなら……いいかなって」
日向「……そうか。実は、私も同じことを考えていた」
日向「何だかんだで、姉妹艦なんだな……ふふっ」
「……私も、気持ちはお二人と同じです」
330: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:22:49.99 ID:uwEIArARo
伊勢「榛名……」
日向「起きて、いたのか」
榛名「日向さん……あなたは、榛名がいつか生きててよかったと思える日が来ると、
そう仰っていましたね……」
日向「……すまない、聞いていたのか。無責任な発言だった」
榛名「いえ……違うんです。榛名はもう、生きててよかったと、心の底からそう思えているのです」
日向「……でも君は、金剛のようには……」
榛名「お姉さまはお姉さまです。確かに憧れはしますけど……私には私の幸せがあります」
榛名「榛名は……伊勢さん、日向さんのお二方に会えて……本当に良かったと思います。
お二方がいたから、榛名は今日を生きててよかったと思えるのです」
日向「わ、私達か……?」
伊勢「あ、あはは……そういうの弱いんだよね、私」
榛名「三人一緒なら、どんな困難にも立ち向かっていける。そんな勇気が湧いてきます」
日向「そうか。私達の気持ちは、一つだったんだな」
伊勢「何か、もう負ける気がしないね!」
日向「いや、それはさすがに無理があるだろう……浮き砲台でどうやって勝つんだ」
榛名「気合です! 気合入れていきましょう! そうすればきっと!」
日向「比叡じゃないんだから……」
一人じゃ挫けそうな劣勢でも、三人なら笑って迎え撃てる。
榛名は、そんな気がしました。
331: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:32:12.70 ID:uwEIArARo
――そして、私達は……。
泊地正面。敵影多数接近。
敵空母第一攻撃隊、発艦開始。
伊勢「敵艦隊のご到着ね。……ようやく私達の出番って訳?」
榛名「榛名達はもう大丈夫です。いかなる砲弾にも、いかなる爆撃にも立ち向かっていけます」
日向「そうだ、浮き砲台の意地、見せてやろうじゃないか!」
伊勢「……砲戦、行くわよ! 日向! 榛名!」
日向「撃つぞ……それ!」
榛名「榛名……全力で参ります!」
これで、榛名達浮き砲台三人娘の、他愛もないお話はおしまいです。
泊地正面。敵影多数接近。
敵空母第一攻撃隊、発艦開始。
伊勢「敵艦隊のご到着ね。……ようやく私達の出番って訳?」
榛名「榛名達はもう大丈夫です。いかなる砲弾にも、いかなる爆撃にも立ち向かっていけます」
日向「そうだ、浮き砲台の意地、見せてやろうじゃないか!」
伊勢「……砲戦、行くわよ! 日向! 榛名!」
日向「撃つぞ……それ!」
榛名「榛名……全力で参ります!」
これで、榛名達浮き砲台三人娘の、他愛もないお話はおしまいです。
332: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/09(日) 21:34:27.44 ID:uwEIArARo
NEXT【東方作戦】
338: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:49:08.18 ID:XKChcHhOo
【東方作戦】
某日、鎮守府は膠着状態にあった戦線を打開すべくある作戦の決行を発表した。
――通称『東方作戦』。旧来の東方艦隊を再編し、水上艦の大艦隊を結成。その艦隊を
率いて敵包囲網の突破を期待する作戦……という話なのだが……。
――鎮守府――
山城「ちょっと提督! これは一体……どういうことよ!」
元帥「……見ての通りだが?」
山城「聞いてないわよ……こんなの! 何で扶桑姉さまが……東方艦隊の新しい旗艦に!」
元帥「……良いではないか。彼女は喜んでいた、久々に旗艦になれると」
元帥「栄えある東方艦隊を率いることができるのだ、何が不満なのか……」
山城「ふざけてるの……? 何が東方艦隊よ、こんなの……囮じゃない!」
元帥「……ただ、敵を引きつけてくれればいい。進んで犠牲になれとは一言も言ってはいない」
山城「支援の航空戦力もなしに? ……呆れた」
元帥「仕方がないのだ。この作戦の主は手薄になった敵泊地を少数精鋭の別働隊が叩くことなのだから
航空戦力をそちらに割いては攻略に不安が残る。速やかに敵泊地を奪い取る……
それこそが重要なのだ……一刻も早くシーレーンを確保し、他国との連携を回復せねばならない」
山城「……もういいわ。私が直接扶桑姉さまを説得すればいいだけだし」
山城「失礼しましたッ」
バタン
元帥「……むぅ……中々うまくはいかんものだな……私は肝心なところでいつも中途半端だ……」
339: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:52:20.46 ID:XKChcHhOo
――鎮守府・修理ドック――
山城「扶桑姉さま!」バン!
扶桑「あら……山城? どうしたの、そんなに血相を変えて」
山城「姉さま! 今すぐ東方艦隊の旗艦を降りてください!」
扶桑「……いきなり何を言い出すの、山城。せっかく旗艦になれたんですもの……降りるなんてイヤよ」
山城「姉さまは騙されています! 姉さまは囮です! 東方艦隊そのものが囮なんです!」
山城「無能な軍令部の作戦に振り回されてその身を危険に晒す必要はありません!
さぁ、こんなむちゃくちゃな作戦、ボイコットしましょう!」
扶桑「……いやよ」
山城「ど、どうして!?」
扶桑「……私は伊勢や日向には負けたくないの」
扶桑「勿論、山城……貴女にもね。私は今度こそ、役に立ってみせなくてはならないの」
山城「ね、姉さまぁ……」
扶桑「それに、私が降りたら誰が旗艦を務めるの? この"囮艦隊"の」
山城「……それは」
扶桑「あなたが、務めるとでも言うの? それじゃあ私は、自分の代わりに妹を囮に差し出した
最低な姉になってしまうわ……」
山城「でも、姉さま……」
扶桑「囮だとしても……私はそれを立派に務め上げてみせます。それが私に課された役目だというなら」
山城「意志はお変わりにならないのですね……」
扶桑「私は提督の……皆の役に立ちたいの……」
山城(どうしてあんな提督のために……!)
山城「わかりました……ですが、お姉さま一人にそのような重荷を負わせる訳にはいきません」
山城「私も艦隊に加わります」
340: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:56:44.77 ID:XKChcHhOo
――数日後。
――鎮守府・大講堂――
元帥「諸君! 時は満ちた! この作戦が成功すれば戦局は大きくこちらへ傾き、他国との連携も回復する
連携が回復すれば、深海棲艦との戦いにも終わりが見えてくることだろう!」
元帥「この作戦は必ず成功させなくてはならない! だが安心し給え、我々にはあらゆる事態に対する備えがある!
失敗など恐れる必要はない!」
元帥「勝利は我々の手にあり! 諸君ら東方艦隊の健闘を祈る!」
第一東方艦隊、第二東方艦隊、第三東方艦隊。それぞれに編成された大勢の艦娘達が一同に会し、
男の言葉を聞いていた。大勢の艦娘の中を様々な思いが駆け巡っていったが、最終的に皆同じことを考えた。
この戦いは今後の行く末を左右する程の大きな海戦になるだろう……と。
第一東方艦隊:旗艦『扶桑』
東方海域へ出向き敵主力を叩く打撃艦隊。極めて大規模な編成だが、航空戦力は実質皆無。
対空装備にて敵航空戦力に対抗する算段だった。
第二東方艦隊:旗艦『大和』
第一東方艦隊の進軍により、恐らく手薄になるであろうサーモン海の泊地を叩き、
サーモン諸島の奪還及びシーレーンの確保を目的とした、大艦巨砲主義の提督が
満を持して投入した超弩級戦艦を中心とした少数精鋭艦隊。
当初は南方泊地の二航戦を編入する予定ではあったが、機関の整備が長引いた為
軽空母の飛鷹・隼鷹・千歳・千代田が代わりを務めた。
第三東方艦隊:旗艦『伊8』
潜水艦を中心に編成された艦隊。敵の補給及び支援の分断が目的だが、状況によって他の艦隊の支援に
当たることも視野に入れられている。伊58等のロストした潜水艦の代わりに伊400型潜水艦が投入されている。
※赤城ら空母機動艦隊を含む勢力はこの時、海域の戦線維持で身動きが取れない為、作戦には不参加だった。
陸奥も鎮守府待機の為不参加。
341: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:00:10.68 ID:XKChcHhOo
――鎮守府・港――
わいわいがやがや……
皐月「第一東方艦隊だってさ、なんかかっこいい響きだよね!」
長月「第一というのがいいな……非常に良い!」
望月「んあぁ? あたし、あんまプレッシャーかかるようなのはイヤなんだけど……」
弥生「……こんな大艦隊、初めて、です」
山城(この子達は……自分達が囮にされるって知らないのね……)
扶桑「さぁ、皆……集まって」
山城(姉さま……本当に、よろしいのですか……? こんな……)
「……何だその情けない顔は。これから出撃する戦艦の顔とは思えないぞ」
山城「……アンタ、長門……何しに来たのよ」
長門「くちく達の様子を見るついでに……お前がどんな顔をしているのか見に来た」
山城「はぁ、第二東方艦隊の精鋭さんは随分と余裕ね。
アンタの好きな駆逐艦が囮に使われるっていうのに」
長門「……私の好きな駆逐がいつ囮になった?」
山城「あなたならわからないはずないでしょう? この作戦は完全に第一東方艦隊を囮としているわ」
長門「……確かに、軍令部の意向としては、それが正しいのかもしれんな」
山城「無能な提督を持つと、苦労するわ」
342: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:03:52.44 ID:XKChcHhOo
長門「提督は……提督なりに頑張ってはいるさ。しかし立場上、あいつは私情を挟む訳にはいかない。
だから冷たいことを言ってしまうかもしれないが、きっと本心では、彼女達には沈まないでいて
ほしいと願っているはずだ」
山城「ふん……どうかしら」
長門「作戦の全てが提督の一存で決まるものではないよ。軍令部の意向もある。
彼個人を無能と避難するのは短絡的だそれに……」
長門「作戦はあくまでも敵を引きつけることだ。囮だからと自棄になり、無駄に命を捨てることではない」
長門「敵艦隊の撃破ではなく、あくまで敵の注意を引きつけるだけでいい。攻略戦より遥かに楽だ」
長門「とはいえ作戦の要であることに違いはない。提督は……お前達の力を信じているから、
この大事な役目を任せたのではないか?」
山城「提督が……?」
長門「私よりも速力の劣るお前達は泊地強襲等の電撃戦より、防戦の方に向いている。合理的な判断だ
本当に提督がお前達を捨て駒のように扱っていたのなら、潜水艦隊など送り込まないさ」
山城「あれは、第二東方艦隊の支援でしょ……?」
長門「軍令部の目もあるし、名目上はそうなっている。が、実質こちらの支援に当たるのは伊8らの直属だけさ」
山城「……そ、それじゃあ……」
長門「上手く潜り込ませた提督に感謝しておくんだな。――あいつは、決してお前達の死を望んではいない」
山城「……」
山城「……私、あの人に酷いこと言ったわ」
長門「そうか」
山城「何もわかってなかった。私……なんてことを」
長門「ふ……ならばその働きを持って誠意を示せばいいだけのこと」
長門「無事生き延びて、誰一人欠けること無く帰投しろ。囮だからと不貞腐れるのではなくてな。
お前も戦艦の端くれだ、これくらいできるだろう?」
山城「……あ、当たり前よ!」
長門「そうだ。それでいい。さっきの腑抜けた顔じゃ、とてもくちくを守れる様子ではなかった」
343: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:05:55.72 ID:XKChcHhOo
長良「山城さーん! もう出撃するみたいですよー!」
山城「……そろそろ行かなくちゃいけないみたいね」
長門「しっかりと頼んだぞ。お前達の働きが、作戦を左右する」
山城「わかってるわよ。……それじゃあね」
長門「…………」
陸奥「あらあら、さっきまで他人に偉そうなこと言ってたくせに、不安そうな顔になってるぞ?」
長門「いや、くちくがな……」
陸奥「……長門、あなた……いいかげんにしなさいよ」
長門「戦場に赴く駆逐の背中を見送るのはいつだって不安になる……」
長門「だが扶桑姉妹のことは心配しとらん。あいつらも、そこまでヤワじゃないだろう」
陸奥「あら、意外と信用してるのね」
長門「提督も信じているのだ。私達も信じよう……」
陸奥「そうね……」
344: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:07:45.00 ID:XKChcHhOo
――司令室――
「提督殿、第一東方艦隊出撃しましたな」
元帥「君は今回の作戦……どう思う? 参謀妖精くん」
「私ですか? そうですな……扶桑も山城も性能的には不安が残りますが、まぁやってくれるでしょう
敵は多くてもこちらの艦隊を上回る数は揃えられないはず……空母機動艦隊の方の対応にも戦力を
割いているでしょうしね。念のため駆逐艦達には10cm高角砲を配備していますし……駆逐艦が多い
とはいえ迎撃にも十分対応できるはずです……まぁ、妖精の私から言えるのはこのくらいですかね」
元帥「……何はともあれ、うまくいくと良いのだが」
345: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:10:24.61 ID:XKChcHhOo
――鎮守府・港――
大和「……さて、第一東方艦隊も出撃しましたし」
大和「――第二東方艦隊も出撃しましょう!」
比叡「大和さん、まだ早いですよ。あまり早く出撃しても意味が無いですし」
霧島「私の計算によると、出撃は最低でも一時間後になりそうですね」
隼鷹「大和ってば焦りすぎんよ~」」
大和「す、すみませんっ。大和、旗艦になるの初めてで……」
千歳「わかりますよ。初めては緊張しますもんね」
千代田「私もお姉との初めての時は……とっても緊張しちゃった! てへ☆」
飛鷹「ちょ、何言ってんだこいつ」
長門「……ま、そう緊張するな、大和。肩の力を抜け。演習通りにこなせばいいんだ」
大和「長門さん……駆逐艦がいないとまともですね」
隼鷹「頼りになるんだけどそこだけが問題だよなぁ~」
346: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:13:56.00 ID:XKChcHhOo
飛鷹「敵がこっちの大艦隊におびき寄せられるまで、私達は目立たないように航行すればいいのね」
大和「……正直な所、もう少し艦娘の数を増やしてもらいたかったですね……たったの八隻はやはり心細くて……」
比叡「そうですね~、でもこれでも増えた方なんですよ? 当初は飛鷹さん達ではなく二航戦のお二方が編成に
入られる予定でしたから、元は六隻編成でしたし……まぁこちらは少数精鋭と銘打ってますし、仕方ありませんよ」
飛鷹「戦線の優劣は第一東方艦隊に掛かってるわ……、あの子達、大丈夫だといいけど」
比叡「大丈夫です。皆さん、頑張ってきたんですから……きっとうまくいきます!」
霧島「……それはそうと、皆さん装備の方は大丈夫ですか? 念のため三式弾の装備は欠かせないでください」
長門「徹甲弾は?」
霧島「必要ありません」
長門「うー! うー! 長門徹甲弾積むー!」
隼鷹「かわいくねー……ひたすらにかわいくねー……」
長門「む、可愛く頼んでもやはりダメか?」
霧島「なんでいけると思ったんですか……」
長門「つまんねー事聞くなよ!」
隼鷹「それ言いたいだけだろぶっちゃけ」
千代田「千歳お姉ェ! 千歳お姉のわがままなら私、いくらでも聞いちゃう!」
千歳「はいはい」
千代田「千歳お姉ェ! お姉は私にとっての新たな光だ!」
飛鷹(扱いに慣れている……)
347: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:15:41.42 ID:XKChcHhOo
――海上・第一東方艦隊――
扶桑「あぁ……空はあんなに青いのに……」
扶桑「どうしてこんなに大艦隊……」
山城「ど、どうなされたのですか姉さま」
扶桑「私なんかがこんな大艦隊を率いていいのか急に不安になってきたの……」
山城「エェー!? このタイミングで!?」
加古「お、おいィ……マジで言ってんのかそれ?」
長良「大丈夫ですよ! みんなコンディション最高ですし!」
扶桑「コンディション最高でも船体が真っ二つに割れることもあるのよ……」
球磨「そ、そういう不安になるようなことは言うんじゃないクマ!」
扶桑「FUKOのゲージがMAXになりそう」
龍田「……あらぁ~……旗艦がこれで、ほんとうに大丈夫~?」
山城「ちょっと自信ない」
加古「山城さんよ、あんた妹だろ? なんとかしてくれよ」
山城「え、ええと……」
山城「ね、姉さま! どうなされたのですか! 以前はあんなに意気込んでいたじゃないですか!」
扶桑「いざ海域に出たら心細くなってきて……というか、正直な所あの時割りと勢いで言ってたし……」
山城「はえ~~~!?(白目)」
348: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:18:33.61 ID:XKChcHhOo
皐月「なになに? どうしたの?」スィー
文月「扶桑さん、かおいろわるいのぉ~?」スィー
山城「あっ、だ、大丈夫よ二人共! 姉さまは今なんかええと、ホームシックになってるだけだから!」
皐月「ホームシックぅ? なにそれ?」
文月「文月知ってるよぉ~。お家が恋しくなることでしょぉ?」
山城「そうよ。扶桑型はかつてのあまりに長すぎるドック生活のせいでドックから離れると禁断症状を起こす
体質になってしまったのよ。これがなければ、かのレイテ突入も可能だったというのに……憎い体質ね」
加古(話盛りすぎだろ)
皐月「ええ! だ、大丈夫なのそれ!」
山城「だ、大丈夫よ! 禁断症状は三十分くらいで収まるから!」
扶桑「あれ? 何故かしら、艦載機が見える……あははっ大きいー。……彗星かな? いや違う……違うな。彗星はもっとばあーって動くもんな」
皐月「ほんとに大丈夫なの?」
山城(現実逃避はやめてください姉さまぁ!)
349: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:20:04.61 ID:XKChcHhOo
文月「扶桑さん、不安なのぉ~?」
扶桑「クックック……黒マテリア」
文月「ん~……そうだ! 文月のこれ、貸してあげるねぇ?」
扶桑「クックック……っ? え、これは……?」
文月「前に一杯頑張った時に~、偉い人から貰ったお守りだよぉ」
文月「きっと扶桑さんの事守ってくれるから、使ってねぇ~」
扶桑「……あ、ありがとう」
文月「それじゃあ文月達、戻るねぇ。じゃあねぇ~」スィー
皐月「ばいばーい!」スィー
扶桑「…………」
350: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:22:46.92 ID:XKChcHhOo
古鷹「……扶桑さん、誰だって皆不安です。数はこちらが勝るはずという情報を得ても、無事に作戦を遂行できる確証なんて
どこにもありません」
古鷹「だからこそ、そういう時……旗艦であるあなたがしっかりとしなくてはいけないんですよ」
扶桑「そうね……そうだわ……」
扶桑(あの子達を、囮なんかで沈ませたりなんかしない……その為にも私がちゃんとしないと!)
扶桑「みんな……ごめんね。もう大丈夫よ、私」
扶桑「艦隊は私が勝利に導きます!」
山城「姉さまぁ……よかったぁ」
加古「あー、一時はどうなることかと思った」
古鷹「皆さん、一丸となって作戦を成功させましょう!」
長良「そうですね! やっちゃいましょう!」
龍田「ウフフ、天龍ちゃんよりも活躍しますよ~?」
球磨「なんだかんだで、皆の気持ちが一つになってよかったクマー」
山城(なんだ、そこまで悲観するような状況じゃないじゃない……)
山城(いけるわ……そんな気がしてきた)
351: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:24:34.83 ID:XKChcHhOo
文月「戻ったよぉ~」
睦月「乙なのです!」
如月「扶桑さんは……どうだったの~? あの人のきれいな肌、あんなに真っ青になっていたから」
文月「なんかねぇ~、ただのホームシックだってぇ」
皐月「すぐ治るってさ」
弥生(うそ臭い……)
長月「旗艦なんだからしっかりしてもらわないとな。味方の士気にも影響を及ぼす」
文月「お守り貸してきたから大丈夫だよぉ~」
長月「まぁ所詮、深海棲艦など烏合の衆。私達の敵ではない」
望月「はぁ……まーた始まった。あたしらなんて所詮駆逐艦だってのに」
皐月「でもさ、正直な所、これだけの戦力があって負ける事なんてあるのかな?」
長月「ないな。無敵艦隊だ。南方の卯月や菊月、三日月達にも見せてやりたいな
……この大軍勢! いやあ、壮観だ!」
352: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:26:18.10 ID:XKChcHhOo
弥生「……」
皐月「ん? どうしたの弥生? 浮かない顔だね? 弥生も気分悪くなった?」
弥生「いえ……その、弥生、こんな大きな艦隊に参加するのは初めてで……」
弥生「それに、この戦いはきっと……何か大きな分岐点になりそうな気が……」
睦月「あー、緊張してるのかにゃ?」
長月「ふん、我が同型艦ともあろうものが……情けない」
望月「まー、そんなに肩肘張らなくてもいいんじゃない? どーせあたしら駆逐艦が
できることなんて限られてるっしょ?」
如月「そんなに怖い顔してると、可愛い顔が台無しよ?」
弥生「……弥生は、かわいくなんか」
如月「もぅー、この子ったら謙遜して」
睦月「弥生は可愛いのです! うりうり!」
弥生「あう、頭を撫でないでください」
文月「弥生ちゃん、かわいー」
弥生「むう……」
睦月「にゃはは」
弥生「……」
弥生(……何事も無く、作戦が無事終われば……いいのです、が)
353: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:29:10.41 ID:XKChcHhOo
――――――
―――
―
――サーモン海域・第二東方艦隊――
大和「ふぅ、戦闘終了ですか……」
出撃した第二東方艦隊はサーモン海域へと進行した。今まで敵艦隊と二度の戦闘があったが、
いずれも危なげなく勝利を収めている。
比叡「お疲れ様。大和さん、ここまで大分いい感じに来てますよ!」
大和「あ、ありがとうございます……!」
比叡「さすが超々々弩級戦艦! 心強い!」
霧島「まぁここまでは想定内ね、何と言っても大和さんは最強の戦艦なんですからね?
当然の結果ですね? ま、この調子で、どんどんがんばってください」
隼鷹「期待してんぞ~? 国の命運がかかってんだからさ~?」
大和「き、期待に応えられるよう、大和頑張りますぅ!」
飛鷹「ほらほら、そうやってわざとプレッシャー与えない」
隼鷹「あ、ばれた?」
霧島「フフフ……金剛お姉さま譲りのちょっとした茶目っ気です」
比叡「私は本心から言っただけなんだけどなぁ……」
355: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:30:26.06 ID:XKChcHhOo
千歳「流れはこちらにあります。この調子でどんどん進撃していきましょう」
千代田「Yes! 千歳お姉ェ!」
比叡「よーっし、それじゃあ次もこの調子で参りましょう!」
長門「…………」
比叡「おや、長門さん、どうかなされたのですか?」
長門「む、いや、たいしたことじゃない……ただ……」
長門「あまり敵の数が減っているようには……見えない気がしてな」
比叡「そーですかね? 気のせいじゃないですか?」
長門「……だといいが……」
356: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:33:51.02 ID:XKChcHhOo
――第一東方艦隊――
加古「うーん……」
古鷹「あら、どうしたの加古」
加古「何か、水偵からの連絡が中々来ないんだよー……おっかしいなぁ」
古鷹「……何か、あったのかも」
加古「いやぁー、水偵の妖精の奴、寝不足だって言ってたしなー」
古鷹「ちょっと……大切な作戦なのよ? わかってる?」
加古「そんなこと言っても、あたしのせいじゃないし……ま、あいつも手練だし
寝不足程度で……」
「皆さん! 敵艦隊を発見しました! このまままっすぐに進んでいけば間もなく鉢会います」
加古「ほうら、ちゃんと来た……」
「敵艦隊の規模は……」
扶桑「……い、いえ、聞かなくてもわかるわ……ここからでもわかる……ッ!」
長良「な、なにあれ……なん、なの……!?」
357: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:37:22.37 ID:XKChcHhOo
――司令室――
「……そろそろ、第一東方艦隊が深海棲艦の軍勢とぶつかる頃でしょうか……?」
元帥「敵艦隊の数はわかっているのかね?」
「今のところは何とも……」
元帥「そうか……」
元帥(無事、敵を引きつけられていると良いのだが……)
元帥「第二東方艦隊の方はどうなっている?」
「只今サーモン海域を進行中との事。そろそろ先行している潜水部隊から
深部の様子が報告されるはずですが……」
「第三東方艦隊旗艦・伊8より入電! 」
元帥「……報告を」
「そ、そんな……」
元帥「どうした……?」
「サーモン海域最深部……敵艦艇多数! 姫級も確認されています!」
元帥「くっ……おびき寄せるのに失敗したか……まずは第二東方艦隊に指示を……」
「第一東方艦隊より入電!」
元帥「……ああ。敵は引きつけられなかったのだろう? 待ち構えていたとしても通常艦隊……」
「いえ……違います……」
我々は気づいていなかった。彼女達の恐ろしさを。
「敵艦隊……第一東方艦隊を遥かに上回る数の大艦隊を展開……待ち構えています」
元帥「は? 何を、言っている……?」
そして我々は思い知るのだ。敵の強大さを。
「……そろそろ、第一東方艦隊が深海棲艦の軍勢とぶつかる頃でしょうか……?」
元帥「敵艦隊の数はわかっているのかね?」
「今のところは何とも……」
元帥「そうか……」
元帥(無事、敵を引きつけられていると良いのだが……)
元帥「第二東方艦隊の方はどうなっている?」
「只今サーモン海域を進行中との事。そろそろ先行している潜水部隊から
深部の様子が報告されるはずですが……」
「第三東方艦隊旗艦・伊8より入電! 」
元帥「……報告を」
「そ、そんな……」
元帥「どうした……?」
「サーモン海域最深部……敵艦艇多数! 姫級も確認されています!」
元帥「くっ……おびき寄せるのに失敗したか……まずは第二東方艦隊に指示を……」
「第一東方艦隊より入電!」
元帥「……ああ。敵は引きつけられなかったのだろう? 待ち構えていたとしても通常艦隊……」
「いえ……違います……」
我々は気づいていなかった。彼女達の恐ろしさを。
「敵艦隊……第一東方艦隊を遥かに上回る数の大艦隊を展開……待ち構えています」
元帥「は? 何を、言っている……?」
そして我々は思い知るのだ。敵の強大さを。
358: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:39:07.61 ID:XKChcHhOo
――戦闘開始――
山城「ど、どういうことよ……敵艦隊はこちらを下回る数だって……」
扶桑「うろたえてはダメよ山城! 敵航空隊の攻撃が来るわ……すぐに備えて!」
扶桑「大丈夫……第二東方艦隊がサーモン海域を攻略するまでの時間を稼げば……」
長良「敵機多数接近……か、数300以上!!」
扶桑「ぇ……」
その時見たものは、爆撃というにはあまりに壮絶すぎる、地獄の業火だった。
359: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:41:56.25 ID:XKChcHhOo
「駆逐艦・白雪轟沈! 如月大破!」
「駆逐艦・天霧轟沈! 第20駆逐隊……か、壊滅です……!」
「被害まだまだ拡大します! 報告しきれません!」
「ば、ばかな……たかが一度の攻撃で……ここまで被害が!」
第一東方艦隊、敵艦隊と遭遇。その規模は予想をはるかに上回り、
第一東方艦隊の対空処理能力を超えた開幕爆撃は艦隊に多大な被害をもたらした。
元帥「……扶桑! 大和! 聞こえているか! 作戦は中止だ! 今すぐ戻れ!」
大和『提督!? い、一体何があったのでしょうか!?』
元帥「甘く見ていた……我々の認識が甘かったのだ」
元帥「敵は遥かに強大だった。敵はそれを……隠していたのだ。思惑通りにやられた」
大和『そんな……』
元帥「この作戦の遂行は不可能と判断した。よって直ちに艦隊は帰還すること」
事態を重く見た鎮守府提督は軍令部の意向を無視して即座に艦隊の撤退を要求する。
扶桑『いいえ、提督……もう遅いわ……戦いは避けられない』
元帥「くっ……」
大和『え、な、長門さんどうしたんですか……代われって? えぇ?』
長門『……話は聞かせてもらったぞ、提督』
360: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:47:44.59 ID:XKChcHhOo
元帥「な、長門……」
長門『我々はこれより第一東方艦隊の救援に向かう』
元帥「何を考えてるのだ……すぐさま撤退だといっている! どうにかなる戦力差ではない!」
長門『提督、お前の言うこともわかる……だがしかし、このまま仲間を見殺しにもできない
だから信じてくれまいか? 私達は決して死にはしないし、艦隊の皆も、これ以上死なせはしない!』
長門『提督!』
扶桑『……いいえ、あなた達はそのまま攻め込むのよ』
元帥「扶桑……?」
扶桑『……作戦は成功していた。第一東方艦隊はちゃんと敵を引きつけていた』
扶桑『なら……第二東方艦隊が攻め込まない手はないわ』
元帥「いや……危険すぎる。第二東方艦隊の向かうサーモン海域最深部だって
少なくない敵勢を抱え込んでいるのだ……この作戦は破綻している」
扶桑『長門……あなたはどう思うの? 決して突破できない海域なの?』
長門『……勝てぬ戦ではないよ。シーレーン確保は無理でも、敵の指揮系機能を落とすことはできる』
扶桑『これは今しかできない事よ。私達が引き付けている敵がサーモン海域に戻ってきたら……
それこそ絶望的な状況になる』
元帥「しかし……」
361: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:53:32.34 ID:XKChcHhOo
扶桑『提督、私、戦闘を続行します。被害を最小限に……敵も足止めしてみせます!
……大丈夫、私には考えがあるわ……!』
長門『扶桑……できるのか?』
扶桑『バカにしないで。旗艦なんですもの、無謀なことはしないわ。合理的な事をするだけよ……』
扶桑『だからお願い、私に、私にこの作戦をやらせてください、提督……!』
長門『扶桑……お前……』
扶桑『長門……わかっているわね? 私達は絶対に作戦を成功させなくちゃいけない
そのためにはあなた達の勝利は必須なの……私はあなた達の事、信じてるから……だから……!』
長門『……まかせておけ。この戦艦長門、必ずや敵大将を討ち取ってみせる』
扶桑『提督、私を……信じてください! お願いします……!』
元帥「扶桑……!」
元帥「すまん……!」
元帥「作戦を……続行する」
362: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:56:23.11 ID:XKChcHhOo
――東方海域――
「うぅ~、いたいよぉ……」
「注水を急いで! 至急頼みます!」
「死にたくないよ……だれかたすけて……!」
「負傷艦は後方に下がって! みんな、補助を手伝って!」
「だれかぁ~! 誰か火を! 誰かぁ~!」
皐月「みんな下がって! 敵の攻撃は僕達が引きつけるよ!」
文月「文月の本領発揮だよ~」
ドン! ドン! パララララ……
弥生「如月……今の内に……」
如月「ぅ……髪、が~……」
弥生「今は髪のことなんて気にしないでください……」
龍田「砲雷撃戦は任せて~?」
長良「長良の足についてこれる!?」
加古「……おい! どうすんだよ! 今は駆逐軽巡共が敵の攻撃を引き付けてっけど、このままじゃ全滅だぞ!」
扶桑「わかっているわ……だから、これより艦隊を二つに分けます」
山城「姉さま、まさか……」
扶桑「第一艦隊は残存戦力をまとめて撤退。第二艦隊は……」
扶桑「私と一緒に、交戦を続行します」
363: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:58:47.13 ID:XKChcHhOo
加古「……マジかよぉ」
山城「扶桑姉さま……そんなのダメです!」
扶桑「合理的な判断に基づく作戦よ。第一艦隊の旗艦は山城……貴女が務めなさい」
山城「! 姉さま! ……無茶です、そんなの」
扶桑「私情は捨てなさい山城。こうすることが最善の道なの」
古鷹「……作戦も果たして味方も逃がす……これなら確かに不可能ではないけど」
山城(囮の囮……なんて酷い話……ッ!)
加古「常識的に考えて、誰がそんな役目を……あ、あたしゃごめんだよ!」
如月「私……なってもいいわよ?」
弥生「如月!?」
如月「大破してるけど……幸い機関部はまだ無事なの。速力ならまだ少し出るわよ?」
弥生「そんな体で……無茶、です」
如月「こんな体だからよ……皆の足手まといなんて、ごめんよ……」
如月「最期くらい、好きにさせて……」
弥生「……わかりました。なら、弥生もお供します」
如月「え……」
弥生「もう、私を置いて行かないでください」
如月「はぁ……全く」
如月「ほんと、あまえんぼさんねっ」
加古「…………くっ、真っ先に自分のことを考えた自分が情けねえ」
古鷹「情けなくなんか無いわ。生き残るのも立派な任務です」
加古「古鷹……」
364: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:00:33.54 ID:XKChcHhOo
山城「姉さま……今度は、私も共に行かせてはくれないのですか……?」
扶桑「あなたには、第一艦隊を無事送り届けるという役目があります」
山城「姉さまは酷いです。残酷です。妹にこんな選択をさせるなんて……」
扶桑「そうね。私はダメな姉ね……」
山城「私は姉さまと離れたくはありません!」
扶桑「……聞き分けが悪い子ね、山城。大丈夫よ、そう簡単に死にはしないわ」
山城「姉さま……」
扶桑「無理はしないわ。きっと生きて帰ってくる。だからあなたも……皆を守って」
山城(確かに……私は皆を守るって決めた……でも、その皆には、姉さま、あなたも含まれているんです……)
山城(誰一人欠けること無く……はもう無理だけど……私は、諦めたくない!)
山城「わかりました。私達は第一艦隊を率いて撤退します」
扶桑「そう、それでいいのよ……山城」
山城(私は……姉さまが思うほど、聞き分けがいい妹なんかじゃない……)
365: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:01:32.99 ID:XKChcHhOo
第一東方艦隊。想定外の事態の為、艦隊を第一分隊と第二分隊に分ける。
第一分隊は戦艦・山城を旗艦とした撤退艦隊。第二分隊は扶桑を旗艦とした囮を続行する艦隊。
極めて少数な編成になった第二艦隊は実質、捨て身の足止め艦隊だった。
366: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:02:57.15 ID:XKChcHhOo
――第一東方艦隊/第二分隊――
扶桑「……ごめんなさいね、あなた達まで巻き込んじゃって……」
龍田「私旧式だし~、ねぇ?」
球磨「まっ、チビ共を逃すのもお姉ちゃんの役目クマー」
如月「ふぅ……苦しい戦いになりそう……」
弥生「……駆逐艦なので、こういう扱いに慣れています、から」
扶桑「そんなこと言わないで。まだ、沈むと決まった訳じゃないわ。
どんなに絶望的な状況だとしても、まだ生き残れるかもしれない」
扶桑「……これはあなたに渡すわね。私が持っているより貴女が持っていたほうがいいわ……
文月ちゃんに会えたら、返してあげなさい」
弥生「……文月の、お守り……」
扶桑「……それじゃあみんな、準備はいい?」
扶桑「……第二分隊、攻撃開始よ」
――――――
―――
―
367: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:04:00.15 ID:XKChcHhOo
――東方海域・第一東方艦隊/第一分隊――
望月「みんな~、撤退ですよ~」
長月「扶桑達……遅いな。一体何をやっているのか……」
加古(足止めのこと……こいつらには言うなって言われたけど……)
古鷹(結局あとで知ることになるのに……)
山城「…………古鷹、加古、ちょっといい?」
古鷹「……どうしたんですか?」
加古「ちゃちゃっと撤退しないといけないんだから、手短になー」
山城「……あなた達に、旗艦を譲ります」
368: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:04:56.05 ID:XKChcHhOo
加古「はぁ?」
山城「あなた達重巡なら艦隊を統率できるでしょう? 友軍の潜水艦もじきに到着するはずだし
難しいことはないわ……」
古鷹「突然何を……一体、どういうことですか……?」
山城「私……やっぱり戻る」
古鷹「!」
加古「な、何考えてんだぁ!?」
山城「……扶桑姉さまを置いていくなんて無理よ」
山城「私達はいつも共にあった。境遇も、出撃も。だからこれが……自然な流れなのよ」
古鷹「そんな……でも!」
山城「何を言われても行くつもりだから」
加古「……勝手にしろ!」
山城「そ……じゃあ、後は頼んだわよ……」
加古「……バカヤロウが……!」
古鷹「これも、抗いようのない……因果とでも言うの……?」
睦月「あれ? おかしいなぁ~……ソナーに反応が……」
369: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:07:02.78 ID:XKChcHhOo
――東方海域・第一東方艦隊/第二分隊――
扶桑「主砲、副砲、撃てぇ!」ドオォォン!
龍田「天龍ちゃんよりは上手でしょ?」ドン!
弥生「弥生……いきます」ドン
第二分隊、敵艦隊前線部隊に砲撃。直撃こそしなかったものの牽制にはなり、
敵も中々近づけない様子であった。第二分隊はそのまま砲撃を続ける。
がしかし、徐々に牽制の力は弱まっていき、着実に敵の侵攻を許してしまう。
球磨「被弾クマー! さ、さすがにこの数は堪えるクマ……」
龍田「このままじゃ、囲まれてしまいます~……どーしようかしら?」
扶桑「くっ……」
扶桑(まだ、まだよ……こんなところで……引けないわ!)
扶桑「みんな! もう少しこらえて!」
球磨「なかなかしんどい……クマ!?」
龍田「まずい! 魚雷!?」
敵駆逐艦群は魚雷を第二分隊に向け一斉に発射。
ゴオォォォーーーーーン!
370: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:08:41.82 ID:XKChcHhOo
龍田「くっ……! みんな、大丈夫!?」
如月「な、なんとか、ね……」
弥生「! ……く、球磨さんが!」
球磨「も……もう少しで皆に当たるところだったクマ……」
扶桑「あなた……!」
球磨「この球磨の力を持ってしてもここまでかクマ……多摩、北上、大井、木曾
……姉ちゃん、先に逝くクマ」
軽巡洋艦 球磨、多数の敵魚雷をその身に受け、甚大な被害を被る。
その後、軽巡洋艦・球磨は浮力を失い、間もなく沈没す。
371: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:10:14.76 ID:XKChcHhOo
龍田「……!」
弥生「し、死ぬの……? 弥生……ここ、で」
如月「落ち着いて……弥生!」
龍田「敵の砲撃……止みませんね……あは」
龍田「あはは……皆もう終わりよ。でもこんな所……天龍ちゃんには見せられないわねぇ~」
龍田「天龍ちゃんみててー? 龍田、頑張っちゃうねー?」
軽巡洋艦・龍田。単艦突撃。
龍田「あははははは! 敵はどこ! 死にたい船はどこかしら~?」
ドォン!
龍田「かは……!?」
龍田「な、なに……痛いじゃな……!」
ドン! ドン! ドン!
龍田「あ"……あぐぅ……この!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!
龍田「ぁ……ぅぁ……」
「…………」
龍田「……!!!」
バシュン!
372: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:11:07.90 ID:XKChcHhOo
軽巡洋艦 龍田、単身突撃の末、集中砲火を浴び行動不能。
雷撃で沈められる。
373: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:14:58.68 ID:XKChcHhOo
扶桑「みんな……ごめんなさい、ごめんなさいっ……!」
扶桑(このままじゃ……!)
弥生「これで……どう!」ドン!
扶桑「! 弥生……!」
弥生「弥生は……死ぬことが、怖くなんかありません、から!」
扶桑(嘘よ……あなた、足が震えてるわ……!)
弥生「――今度は睦月より……先にいける……!」
扶桑「!!」
扶桑(この幼い少女にこんな顔をさせてしまうなんて……私は、
私は……駆逐艦一隻でさえも守ることができないの!?)
戦艦ル級「……ッ!」スチャ
扶桑「……!」
扶桑(終わる……今度こそ、終わってしまう……!)
弥生「私が盾に……!」
扶桑「ダメッ!!!」
ドオォォーーーーーーン……!
敵前線艦部隊、突如として向けられた斉射により多数の被害を受ける。
「全く……、無茶をするんですから」
374: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:17:19.83 ID:XKChcHhOo
扶桑「な、何で……あなた、山城!」
山城「私が扶桑姉さまをおいて逃げるなんてこと、できるわけない……」
扶桑「馬鹿な子……! 本当に馬鹿な……ッ!」
山城「うへぇ、馬鹿は姉さまも一緒ですよ……」
扶桑「全く……もう!」
扶桑「……」
扶桑「はぁ……もう、いいわ……山城、私と貴女って、本当に切っても切れない縁なのね」
山城「どこまででもお供します、姉さま!」
扶桑「……じゃあついてくる? 行き先はぁ……地獄、だけど……?」
山城「もちろん! 姉さまとなら地獄でもどこでも!」
扶桑「……そう、じゃあ、行きましょうか」
375: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:19:14.82 ID:XKChcHhOo
扶桑「主砲、うてぇ!」
姉さま。
山城「砲戦用意! うてー!」
なぁに山城。
扶桑「最大船速……いけるかしら?」
私達は結局、不幸だったのでしょうか?
山城「鈍足ですって? ナメんじゃないわよ!」
どうかしら……?
「扶桑さん! 敵の砲撃、来ます!」
扶桑「回避運動よ!」
だけどこれだけは言えます。今の私は決して自らの生を嘆いてはいないと。
山城「被弾!? そんな……!」
姉さまと一緒なら、どんな不幸も辛くないんです。
扶桑「山城! 大丈夫!?」
私もよ、山城。
山城「まだ、いけます……!」
きっと私達、不幸を克服したのね。不幸を克服したから、私達はきっと……
弥生「て、敵航空攻撃隊……第二陣来ます!!」
――幸福でも、あるのよ。――
その時爆音が、海を覆った。
376: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:21:02.99 ID:XKChcHhOo
弥生「ぅ……?」
如月「……」
弥生「! 如月!!」
如月「あ……気がついた?」
弥生「な、なんで……如月……」
弥生「弥生をかばって……!」
如月「……生きて、弥生」
如月「あなたは、生きて……!」
弥生「如月!」
如月「……」
弥生「きさ、らぎ……?」
弥生「そん、な……」
377: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:22:23.57 ID:XKChcHhOo
ジジー……
『……えているか!? 聞こえているか!』
『第二東方艦隊が泊地戦姫を撃破した! 勝利だ! 我々の勝利だ!』
『艦隊は速やかに戦線を離脱せよ! 繰り返す……』
弥生「……何が、勝利なの……」
弥生「これが、これが弥生達の求めていたもの……?」
弥生「こんな、ものが……!」
生きて……!
弥生「!」
如月「……」
弥生「生き、なくちゃ……」
弥生「絶対に、生き残るんだ……!」
弥生「……まだ、文月に、お守り……返してない……!」
弥生「生きなくちゃ……!」
378: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:22:57.25 ID:XKChcHhOo
駆逐艦 如月、大破しつつも最後まで艦隊に従軍する。
最期は敵航空隊の攻撃から弥生を庇い、その一生を閉じる。
379: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:26:36.05 ID:XKChcHhOo
山城「弥生……あの子、無事に帰れるかしら……?」
扶桑「大丈夫よ山城……きっと、文月のお守りが、彼女を守ってくれるわ……」
山城「そう、ですか……」
扶桑「……やっぱり私、沈むのね」
山城「そうですね……」
扶桑「……私、守れたかしら……弥生を、皆を……」
山城「ええ、姉さまは守ることが出来ました……」
扶桑「きっと、皆の不幸を私達が引き受けたのね……」
扶桑「もしそうなら、私達の不幸体質も捨てたものじゃないわね……」
山城「姉さま」
扶桑「なぁに、山城」
山城「扶桑姉さま……あちらの世界でも、ご一緒に……」
扶桑「ええ、私達はずっと一緒よ」
扶桑「やっぱり空は、今日も青い……」
380: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:27:15.93 ID:XKChcHhOo
戦艦 扶桑・山城。圧倒的劣勢にありながらも最期まで砲撃をやめること無く
果敢に戦った。敵航空隊の攻撃により、共に果てる。
381: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:30:16.93 ID:XKChcHhOo
こうして東方艦隊は多大な被害を被りながらも、深海棲艦の姫を撃破することに成功した。
……以上が、『東方作戦』の全容である。
――数日後。
――鎮守府・司令官室――
将校「……みんな、東方作戦……ご苦労だった。
泊地戦姫を撃破したお陰で近日中にもサーモン海域は……」
長門「……誰だお前は?」
将校「? おや、聞いてないのか? この度新しくこの鎮守府を指揮する事になったものだ」
大和「……前の提督は?」
将校「ああ、彼は元帥の階級を剥奪されて軍法会議に掛けられているよ」
長門「……何?」
将校「……軍令部には元々彼のことを快く思わない人間もいたし……何より、
軍令部をその絶大な権力をもってして解体しようとまで目論んでいたようだからね
なれば、反発を受けるのは必死。巨悪は滅されるべき。当然の成り行きだとは思うが」
比叡「そんな……酷い!」
霧島「一体誰がそんなことを!」
将校「そんなことを、君達が知る必要はない」
霧島「…………」
将校「専横なトップは消えたんだ。今日からはこの腐った鎮守府という組織を
浄化していかなくては……」
382: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:34:17.42 ID:XKChcHhOo
弥生「……あの」
将校「……どうしたのかな?」
弥生「む、睦月達は……第一東方艦隊/第一分隊の」
弥生「私……ついさっきドックから出たばかりで……何も」
将校「あー、彼女達か……第一分隊は全滅したよ」
弥生「え……?」
将校「撤退途中に深海棲艦の潜水艦隊と出くわしたようでね……皆一気に沈められた」
弥生「? ……え?」
将校「皮肉だよなぁ……味方の潜水艦と勘違いして警戒を解くなんて」
将校「潜水艦隊の支援を勝手に変更しなければ、こんな事にはならなかったってのに」
将校「彼の心中をお察しするよ……自分が同じ立場だったらぞっとするね」
弥生「そんな……睦月……皐月……文月……みんな……!」
弥生「そんなそんなそんなそんなそんなそんな……!」
将校「君は運が良い。第一東方艦隊の唯一の生き残りだ。胸を張るといいぞ!」
弥生「あ……あぁ……」
弥生「いやああああああああああああああああああああああああッ!!」
弥生の掌から落ちる、小さな小さなお守りは、
彼女にとっての、呪いとなった。
383: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:35:19.61 ID:XKChcHhOo
――そしてその後、戦況は目に見えて悪化することになる。
元帥「……すまない、あの時……やはり撤退をするべきだったのだ……私は本当に無能だ……!」
元帥「すまない……本当に、すまない……!」
鎮守府を指揮していた提督は軍令部の謀略により称号を剥奪され軍直轄の施設に軟禁される。
後日、室内で腹を切って亡くなっている所を発見された。
384: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:39:29.20 ID:XKChcHhOo
――鎮守府・港――
長門「……難儀だな。無謀な作戦に駆り出されるなんて」
比叡「まぁ、命令ですからね~……」
長門「この前の作戦も、やれ元帥が悪いだ、艦娘が悪いだで……話にならん」
長門「新しい提督を置いたと思ったら……今は『次世代艦娘建造計画』なんて謳ってるよ」
霧島「……本当に有能な人間が消されて、本当に無能な人間が残った……」
霧島「本当に、救いようのない状況ね……」
長門「それでも妖精達は信用できる。もしかしたら本当に"次世代艦娘"なんてものが
拝めるかもしれないぞ……?」
霧島「希望的観測に基づく思考をし始めたら終わりよ。戦争末期じゃないんですから」
長門「少なくとも……上層部はそんな連中ばかりだ」
比叡「みんながみんな、そうでは無いはずです。きっと中にはまだ、まっとうな精神を
もった人がいるはずです」
比叡「私は信じています。だから私は、後に繋げるために今日を戦うんです!」
長門「そうか……」
比叡「比叡! 気合! 入れて! 行きます!」
戦艦 比叡・霧島、サーモン海域の制海権奪還に向かう。しかし新提督の着任等によって生じた組織再編等の
遅れが、すっかり敵に軍備補強期間を与えてしまい、比叡らはより強力となった敵艦隊と対峙することになる。
未確認の"戦艦棲姫"等強力な戦力の前に、艦隊は敗北を喫し、比叡・霧島は共にサーモン海の底に沈んだ。
385: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:40:30.69 ID:XKChcHhOo
弥生「……弥生はもう、終わりにします」
弥生「……終わりに、させてください」
弥生「なんで」
弥生「……それでも尚、生きろと言うのですか!」
弥生「……やめてください。ごめんなさい、赦してください。もう嫌なんです」
駆逐艦 弥生。第一東方艦隊唯一の生き残りであったが、ある日突然姿を消す。
……その後、彼女の行方を知るものはいなかった。
386: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:42:09.48 ID:XKChcHhOo
――南方泊地――
飛龍「……蒼龍、この前の作戦の報告、聞いた?」
蒼龍「んー? いやまだだけど……」
飛龍「敵艦隊は依然として健在……それどころか、前にも増してより強固な艦隊を展開しているって」
飛龍「そして、その艦隊は……次にどこを狙うんだろうね?」
蒼龍「もしかして……ここ? とかだったり……?」
飛龍「……」
蒼龍「え、なにそれ……本気で言ってるの?」
飛龍「私達も、覚悟を決めないとね……」
蒼龍「ごくり……」
飛龍「まぁそう悲観することないって! 新造艦も期待できるみたいだし」
飛龍「えっと、なんて名前だっけか……うーんと、確か……大鳳だったかな?」
387: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:42:59.98 ID:XKChcHhOo
NEXT【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3】
401: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:22:53.26 ID:gRo934GOo
群像の日誌
○月×日
夜、クルーの杏平と僧、艦娘の伊58とポーカーをやった。
でち公の奴、やたらツイていたがきっと幸運艦だからに違いない。
最近イオナがでちでちと彼女の真似をするようになって微笑ましい。
○月■日
今日、メンタルモデルのイオナから魚雷をもらった。
霧に対して効果的な侵食魚雷だ。。
伊19が欲しいというので与えてみたらあいつ、またがったりこすりつけたりして
一向に発射する気配がない。
○月△日
今朝5時頃、スク水を着た潜水艦娘たちに叩き起こされシュトーレンを作らされた。
何でもかつての仲間が好きだったらしい。
潜水艦達は『オリョクルばかりやってたからこんなことになったんだ』と言っていた。
○月◆日
昨日からなんだかイオナの様子がおかしい。
そういえば最近語尾に必ずでちをつけていたような気がする。
不気味だ。
○月□日
あまりにイオナでちでちとしか言わなくなったので伊58に見てもらった。
「一時的なものですぐに治るでち」と彼女は言った。安心した。
きょうはぐっすりと眠れそうでち。
○月▲日
朝起きたら、イオナだけでなく僧達もでちでち言っていた。
潜水艦達が静かなので、でちでち言いながら見に行ったら、
Z1とかいうよくわからない艦娘を連れていた。
イオナがでちとしか喋らなくなった
○月◇日
昨日、オリョクルから逃げ出したまるゆが一匹解体されたって話でち。
夜、からだ中 スク水。
しゃべろうと、口を動かしたら 語尾にでちがつくでち。
いったいおれ どうなっているでち
○月@日
やと オリョクル おわた おっきな ぎょらい
今日 あ号終了 カレクル いく
でちでち コンゴウーきた
ぼっちなんでじゅうりょくほう
うった でち
でち
うま
○月×日
夜、クルーの杏平と僧、艦娘の伊58とポーカーをやった。
でち公の奴、やたらツイていたがきっと幸運艦だからに違いない。
最近イオナがでちでちと彼女の真似をするようになって微笑ましい。
○月■日
今日、メンタルモデルのイオナから魚雷をもらった。
霧に対して効果的な侵食魚雷だ。。
伊19が欲しいというので与えてみたらあいつ、またがったりこすりつけたりして
一向に発射する気配がない。
○月△日
今朝5時頃、スク水を着た潜水艦娘たちに叩き起こされシュトーレンを作らされた。
何でもかつての仲間が好きだったらしい。
潜水艦達は『オリョクルばかりやってたからこんなことになったんだ』と言っていた。
○月◆日
昨日からなんだかイオナの様子がおかしい。
そういえば最近語尾に必ずでちをつけていたような気がする。
不気味だ。
○月□日
あまりにイオナでちでちとしか言わなくなったので伊58に見てもらった。
「一時的なものですぐに治るでち」と彼女は言った。安心した。
きょうはぐっすりと眠れそうでち。
○月▲日
朝起きたら、イオナだけでなく僧達もでちでち言っていた。
潜水艦達が静かなので、でちでち言いながら見に行ったら、
Z1とかいうよくわからない艦娘を連れていた。
イオナがでちとしか喋らなくなった
○月◇日
昨日、オリョクルから逃げ出したまるゆが一匹解体されたって話でち。
夜、からだ中 スク水。
しゃべろうと、口を動かしたら 語尾にでちがつくでち。
いったいおれ どうなっているでち
○月@日
やと オリョクル おわた おっきな ぎょらい
今日 あ号終了 カレクル いく
でちでち コンゴウーきた
ぼっちなんでじゅうりょくほう
うった でち
でち
うま
402: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:29:14.60 ID:gRo934GOo
※間に合わなかったので前後編に分けました。後編は今日頑張って書くでち。
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3/前編】
――泊地――
赤城「……えー、空母の皆さんでしたらご存知のことと思いますけれど、近年の戦闘という
ものは航空戦が主体となりつつあり、私達空母の重要性は極めて高くなっています」
赤城「空母の活躍が戦況を左右する可能性もあるので、私達に掛かる責任は重大です。
……現状でも私達は高い練度を有してはいるものの、それに甘んじて慢心しては
いけないと私は考えます。提督も概ね同じ意見のようでした」
赤城「そこで、航空戦力の集中強化を行う為に、今日より私達空母一同は纏まって行動し
訓練を行いたいと思います」
瑞鳳「私達って、いつの間にか一航戦・五航戦っていう風に別れちゃってたからね、いいかもねっ」
加賀「……何で五航戦の子なんかと」ムスッ
翔鶴「か、加賀先輩~……」
赤城「加賀さんや、そうも言っていられないのも現実でしょう?」
赤城「東方作戦でも潰しきれなかったサーモン海域の敵艦隊は今も尚、私達の脅威として
眼前に立ちふさがっている」
瑞鶴「……二航戦の人達でも敵わなかった艦隊……なんだよね」
瑞鳳「そんな敵に……私達は勝てるの?」
加賀「……情けない。戦う前からそんな調子では先が思いやられます。これだから五航戦は」
瑞鶴「五航戦五航戦って……、言わせていただきますけどね、加賀さん。国が一番つらい時、
一航戦として戦線を支えていたのは私達なんですけど!? ミッドウェーで速攻沈んだ
どっかの焼き鳥空母の尻拭いをしていたのは他の誰でもないこの私達なんですけど!?」
加賀「真珠湾以前から戦線を引っ張ってきたのは私達よ? 私達なくして
真珠湾のあの功績はありあえなかった」
瑞鳳「あちゃあ、こればっかりはいつものことだからしょうがないけど、
このままじゃお互いずっと龍驤ちゃんだよねぇ?」
龍驤「……あの、それはアレ? 平行線言いたいんか?」
瑞鳳「……////」
龍驤「人のことネタにしてボケといて照れんなや。ちょっち格納庫出そか……」
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3/前編】
――泊地――
赤城「……えー、空母の皆さんでしたらご存知のことと思いますけれど、近年の戦闘という
ものは航空戦が主体となりつつあり、私達空母の重要性は極めて高くなっています」
赤城「空母の活躍が戦況を左右する可能性もあるので、私達に掛かる責任は重大です。
……現状でも私達は高い練度を有してはいるものの、それに甘んじて慢心しては
いけないと私は考えます。提督も概ね同じ意見のようでした」
赤城「そこで、航空戦力の集中強化を行う為に、今日より私達空母一同は纏まって行動し
訓練を行いたいと思います」
瑞鳳「私達って、いつの間にか一航戦・五航戦っていう風に別れちゃってたからね、いいかもねっ」
加賀「……何で五航戦の子なんかと」ムスッ
翔鶴「か、加賀先輩~……」
赤城「加賀さんや、そうも言っていられないのも現実でしょう?」
赤城「東方作戦でも潰しきれなかったサーモン海域の敵艦隊は今も尚、私達の脅威として
眼前に立ちふさがっている」
瑞鶴「……二航戦の人達でも敵わなかった艦隊……なんだよね」
瑞鳳「そんな敵に……私達は勝てるの?」
加賀「……情けない。戦う前からそんな調子では先が思いやられます。これだから五航戦は」
瑞鶴「五航戦五航戦って……、言わせていただきますけどね、加賀さん。国が一番つらい時、
一航戦として戦線を支えていたのは私達なんですけど!? ミッドウェーで速攻沈んだ
どっかの焼き鳥空母の尻拭いをしていたのは他の誰でもないこの私達なんですけど!?」
加賀「真珠湾以前から戦線を引っ張ってきたのは私達よ? 私達なくして
真珠湾のあの功績はありあえなかった」
瑞鳳「あちゃあ、こればっかりはいつものことだからしょうがないけど、
このままじゃお互いずっと龍驤ちゃんだよねぇ?」
龍驤「……あの、それはアレ? 平行線言いたいんか?」
瑞鳳「……////」
龍驤「人のことネタにしてボケといて照れんなや。ちょっち格納庫出そか……」
403: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:30:47.28 ID:gRo934GOo
赤城「まぁまぁ二人共。いがみ合っている場合じゃないのはわかっているでしょう?
瑞鶴ちゃん、不安なのはわかるけど、その為に私達は一緒に訓練するのよ。加賀さんも
わかった?」
加賀「……赤城さんが言うなら、仕方がないわ。邪魔だけはしないでください」
瑞鶴「そっちこそ!」
赤城「全く、この二人は本当にしょうがないわね……」
翔鶴「喧嘩する程なんとやら、とも言いますから……」
瑞鳳「その点私達は仲良しだよねぇ、龍驤ちゃん」
龍驤「ま……仲間意識っちゅーもんを少なからず感じるしなぁ、瑞鳳からは」
瑞鳳「喋る壁の仲間っていうのはちょっと……あの、ぬりかべとかと戯れててください」
龍驤「キミね、友情破壊したいんか?」
瑞鳳「これも私なりの愛情表現ってやつですよ」
龍驤「うわー、いややわー、歪んでるわー」
翔鶴「仲がいいのね、二人共」
龍驤「フルフラット空母同盟やからね。後一人で三国同盟の完成や」
――鎮守府・ドック――
大鳳「……へっくち!」
「たいほーさん、どうしたですか?」
大鳳「いえ、今何か……?」
404: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:34:05.47 ID:gRo934GOo
とまれかくまれ、空母一同はこれまで分かれていた訓練を纏まって行うようになりました。
――泊地・港――
赤城「それでは今回は、サーモン海域から攻めてくるであろう深海棲艦を想定した模擬戦を
行いたいと思います」
翔鶴「模擬戦……ですか」
赤城「敵旗艦である可能性が高い姫級は航空戦から雷撃、夜戦までこなす驚異的な存在です
また先制雷撃までも行う未知の深海棲艦の存在も確認されています」
??「――なるほど。それを想定して……私を呼んだと言うわけか。航空戦艦の、この私を!」
??「……僕の瑞雲、ウズウズしてる(意味深)」
??「仕方ありませんわね……このわたくしの力を見せてあげましてよ? トオォォォォン!」
伊勢「そういう無駄に隠さなくてもいいから。ていうか、隠してもバレてるから」
龍驤「キミたち個性的すぎや」
日向「……全く、登場シーンは大切だろう? 航戦イ●●ー」
伊勢「……航戦イ●●ー? なにそれ……」
日向「……」ポン(伊勢の肩に手を置く音)
伊勢「マジでか」
405: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:34:58.48 ID:gRo934GOo
最上「僕は航巡レッドさ!」
熊野「わたくしは航巡ゴールドですわ!」
日向「そして私は……」
日向「航戦鼈甲!」
龍驤「統一感無い上に自分だけめっちゃいいの選んでるやん」
赤城「べっこうってお高いんですよね」
翔鶴「日向さんって、こんな人だったかしら……?」
瑞鳳「なんか、航空戦艦に改装してからずっとこうらしいよ」
406: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:37:35.33 ID:gRo934GOo
伊勢「ていうか私がイ●●ーっていうのが何か気に喰わないし! ちょっと日向!」
日向「なんだ、イ●●ーはいやか?」
伊勢「あったりまえじゃん! ていうか何なのこの呼名……」
瑞鳳(まぁ、常識的に考えてこんな呼び名嫌だよね……)
伊勢「イ●●ーとか食いしん坊キャラじゃない! ピンクとかにしてよ!」
瑞鳳「えぇ、そういう問題!?」
日向「わかった。じゃあ伊勢は航戦イ●●ー・オルタナティヴだ」
龍驤「イ●●ーは譲れないんか……」
日向「伊勢も私も黄色っぽいしな……」
瑞鳳(根本的にはあんまりかわってないんじゃ……)
伊勢「まぁ、それならいいかな……」
瑞鳳「えぇー……納得しちゃうんだ」
龍驤「これもうわからんな」
最上「……それじゃあ改めて! 伊勢から!」
伊勢「えっ?」
最上「名乗り!」
伊勢「えっと……航戦イ●●ー・オルタナティヴ!」
最上「航巡レッド・フルカスタム!」
熊野「航巡ゴールド・グランデ!」
日向「そして私が……」
日向「航戦鼈甲・オブ・ザ・サンクチュアリ零式だ」
龍驤「日向こじらせすぎやろ」
龍驤「ていうかキミたちねぇ……かっこいいからってすぐに真似するのはどうなん?」
日向「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」
加賀「……この茶番はいつまで続くのかしら」
日向「なんだ、イ●●ーはいやか?」
伊勢「あったりまえじゃん! ていうか何なのこの呼名……」
瑞鳳(まぁ、常識的に考えてこんな呼び名嫌だよね……)
伊勢「イ●●ーとか食いしん坊キャラじゃない! ピンクとかにしてよ!」
瑞鳳「えぇ、そういう問題!?」
日向「わかった。じゃあ伊勢は航戦イ●●ー・オルタナティヴだ」
龍驤「イ●●ーは譲れないんか……」
日向「伊勢も私も黄色っぽいしな……」
瑞鳳(根本的にはあんまりかわってないんじゃ……)
伊勢「まぁ、それならいいかな……」
瑞鳳「えぇー……納得しちゃうんだ」
龍驤「これもうわからんな」
最上「……それじゃあ改めて! 伊勢から!」
伊勢「えっ?」
最上「名乗り!」
伊勢「えっと……航戦イ●●ー・オルタナティヴ!」
最上「航巡レッド・フルカスタム!」
熊野「航巡ゴールド・グランデ!」
日向「そして私が……」
日向「航戦鼈甲・オブ・ザ・サンクチュアリ零式だ」
龍驤「日向こじらせすぎやろ」
龍驤「ていうかキミたちねぇ……かっこいいからってすぐに真似するのはどうなん?」
日向「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」
加賀「……この茶番はいつまで続くのかしら」
408: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:41:26.75 ID:gRo934GOo
赤城「えーっと……まぁちょっと話がそれてしまいましたけど、今日は仮想深海棲艦姫級として
航戦航巡の方達に模擬戦の相手をしていただきます」
日向「模擬戦とは言ったが……制空権、別に奪ってしまっても構わんのだろう?」
龍驤(無理やって)
赤城「こちらは空母六隻編成で模擬戦を行います」
五十鈴「こっちの足りない分は私と陽炎が入るわね」
陽炎「陽炎艦隊入りまーす」
赤城「模擬戦は索敵から開始するので両艦隊は相手に居場所を教えず別れてください
訓練では演習用の弾を使用します。各隊は判定用の妖精さんを必ず伴ってください」
赤城「……以上、質問がなければ準備が整い次第、早速模擬戦を行おうと思うのですが」
瑞鶴「はいはーい! こっちの艦隊の旗艦は誰がやるんですかー?」
加賀「何を当たり前のことを聞いているのかしら。そんなの、赤城さんに決まって……」
赤城「いえ、旗艦は……翔鶴ちゃんにやってもらうわ」
加賀「「!?」」瑞鶴
翔鶴「え、ええ?! 赤城先輩。あの、なんで……」
赤城「あ、別に私じゃなかったら加賀さんでも瑞鶴ちゃんでも良かったんだけど……」
翔鶴「どういうことですか……?」
赤城「この先の戦い、何が起きるかわからない。私が沈むことだってありうる。
……まぁ無いに越したことは無いけれど、だけどもしもそういうことになって
他の人が旗艦をやることになって……その時、旗艦になる子は予め旗艦に
慣れておかないと色々困るでしょ? この泊地に来てから空母艦隊の
旗艦は私ばっかりだし。だから、訓練ではいろんな人がやった方がいいと思ったの」
航戦航巡の方達に模擬戦の相手をしていただきます」
日向「模擬戦とは言ったが……制空権、別に奪ってしまっても構わんのだろう?」
龍驤(無理やって)
赤城「こちらは空母六隻編成で模擬戦を行います」
五十鈴「こっちの足りない分は私と陽炎が入るわね」
陽炎「陽炎艦隊入りまーす」
赤城「模擬戦は索敵から開始するので両艦隊は相手に居場所を教えず別れてください
訓練では演習用の弾を使用します。各隊は判定用の妖精さんを必ず伴ってください」
赤城「……以上、質問がなければ準備が整い次第、早速模擬戦を行おうと思うのですが」
瑞鶴「はいはーい! こっちの艦隊の旗艦は誰がやるんですかー?」
加賀「何を当たり前のことを聞いているのかしら。そんなの、赤城さんに決まって……」
赤城「いえ、旗艦は……翔鶴ちゃんにやってもらうわ」
加賀「「!?」」瑞鶴
翔鶴「え、ええ?! 赤城先輩。あの、なんで……」
赤城「あ、別に私じゃなかったら加賀さんでも瑞鶴ちゃんでも良かったんだけど……」
翔鶴「どういうことですか……?」
赤城「この先の戦い、何が起きるかわからない。私が沈むことだってありうる。
……まぁ無いに越したことは無いけれど、だけどもしもそういうことになって
他の人が旗艦をやることになって……その時、旗艦になる子は予め旗艦に
慣れておかないと色々困るでしょ? この泊地に来てから空母艦隊の
旗艦は私ばっかりだし。だから、訓練ではいろんな人がやった方がいいと思ったの」
409: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:45:37.05 ID:gRo934GOo
加賀「赤城さんが沈むなんてことはありえません!」
赤城「私もそんなつもりはありませんよ。あくまでも、もしもの時、よ」
赤城「……という訳だから、翔鶴ちゃんよろしくね」
翔鶴「あ、あの……私が旗艦だなんて恐れ多……」
赤城「大丈夫よ、あなたの力はそれに十分値するわ。自身を持って」
加賀「くっ……五航戦の子が旗艦だなんて」
瑞鶴「んんwどんな感じどんな感じ?w」
加賀「……頭にきました」シュパッ
瑞鶴「あたんないわよ! ていうかまた九九艦爆? 同じ手は二度食わな……」
加賀「かーらーのアイアンクロォ」ガシッ
瑞鶴「あががががが……!」
翔鶴「ずいかく~! 先輩やめてぇ~!」
410: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:49:13.69 ID:gRo934GOo
――泊地・整備ドック――
翔鶴「それではえっと、皆さん艦載機の準備は終わりましたか?」
瑞鶴「終わったよ! 翔鶴姉」
加賀「そんなこと見ればわかるでしょう。聞くまでもないわ」
加賀「……赤城さんの提案なので一応今回は従うけど、
私はあなたが旗艦だなんて認めていませんからね」
瑞鳳「たかが訓練なのに……」
龍驤「まー、加賀はこういう奴やからねぇ。あーそれよりちょっちいいかな?」
翔鶴「どうなさいました?」
龍驤「いやー……その、なんていうん? みんな戦闘機の数が少なない?
って思ってさ……」
加賀「? 十分だと思いますが……」
龍驤「うちらって空母やろ? 今回は随伴艦もおらへんし……直掩機は大切やと思うんけど」
翔鶴「確かにそうかもしれませんね……」
加賀「しかしこれ以上対艦攻撃機や爆撃機を減らしてしまっては打撃力に欠けてしまいます
特に戦艦級の装甲は厄介よ。私は寧ろ攻撃隊を増やした方がいいとさえ思っているわ」
赤城「やられる前にやれ……ということね」
翔鶴「う~ん……難しいところですね……」
加賀「早く決断しなさい。どちらの方がいいの? これくらいの判断ができないと旗艦は務まらないわよ?」
翔鶴「あ、あう……」アセアセ
加賀「ケケケ……ッ」
瑞鶴「こら! 翔鶴姉をいじめるな!」
赤城「加賀さん、あまりいじわるしちゃダメよ?」
加賀「すみません、赤城さん」
瑞鶴「翔鶴姉に謝んなさいよ! ゴラァ!」
411: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:50:42.52 ID:gRo934GOo
赤城「……翔鶴ちゃん、自分の思ったようにすればいいのよ。今回は訓練なんだから」
翔鶴「ありがとうございます、赤城先輩……えっと」
翔鶴「航空隊の編成は変えないでいこうと思います」
加賀「そう。……まぁ、いいけれど」
龍驤「そっか……」
赤城「それじゃあ準備も整ったことだし、行きましょうか」
瑞鳳「相手艦隊のみんなを待たせるのも悪いからね」
龍驤「ん~……やっぱりちょっち心配やなぁ」
瑞鶴「……」
こうして、翔鶴を旗艦とした空母機動艦隊は模擬戦へと臨むのだった。
412: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:53:34.93 ID:gRo934GOo
――泊地近郊・演習海域――
翔鶴「皆さん、索敵は慎重に行ってください。第一段の索敵線は赤城先輩加賀先輩
第二段は私と瑞鶴、第三段は龍驤さんと瑞鳳でお願いします」
瑞鳳「索敵ね。わかったわ」
加賀「……」
赤城「あら、加賀さん。九七艦攻だけではなく天山も索敵に加えるの?」
加賀「敵を発見し次第、あわよくば攻撃に繋げようかと」
瑞鶴「索敵は慎重にって翔鶴姉の言葉聞かなかったの? そんな博打やめてくれません?」
加賀「練度の高い一航戦なら問題はないわ」
加賀「あなたは大人しく彩雲でも飛ばしてなさい。まぁ、それでもうちの子達はそれ以上の
索敵能力を持っているけど」
瑞鶴「翔鶴姉ぇ~こいつ何とかしてよ~。やっぱ慢心の一航戦だよ~」
龍驤「こればっかりは一航戦の気質やからなぁ……」
翔鶴「え、ええっと……加賀先輩、大変恐縮なんですが、ここは大人しく索敵に専念した方が……」
加賀「……一航戦なら皆こうするわ。赤城さんもそうでしょう?」
赤城「んー、まぁ、そうするわね……」
加賀「ほら」ドヤッ
赤城「でも翔鶴ちゃんの言うことも一理あると思うわよ」
翔鶴「……わかりました。とりあえず加賀さんの索敵についてはそのままでいいと思います」
翔鶴(本当は索敵に集中してもらいたいけど……ここは先輩の顔を立てましょうか……)
瑞鶴「翔鶴姉ぇ……」
翔鶴「大丈夫よ瑞鶴。先輩方を信用しましょう」
空母機動艦隊、計18機の索敵機を飛ばす。
413: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:56:08.02 ID:gRo934GOo
龍驤「はぁ~……」
瑞鶴「どうしたの? そんなに長いため息ついちゃって」
龍驤「瑞鶴か……いいよなぁ……」
瑞鶴「えっと……何?」
龍驤「それ、紫電改やろ?」
瑞鶴「直掩機のこと? これは紫電改二よ。うちの艦隊で今一番新しい機体がこれね
一航戦の先輩方は何故か零戦使ってるみたいだけど……」
龍驤「使いやすさとかあるんやないの? まぁ……うちなんて未だに九六式なんやけど。
開発資源が足らなくて配備できないってのは分からないでもないけど、せめて零戦位は欲しいんけどなぁ……」
瑞鶴「……積めない訳じゃないんでしょ? 攻撃機は天山だし……」
龍驤「うちの性能って極端やから……提督にも守りより攻めって言われてるし。そのせいで新しい戦闘機を
なかなか配備してもらえないんやけどね……」
龍驤「そもそも一航戦自体、攻撃に重きを置く傾向があるからなぁ~」
瑞鶴「そういえば、龍驤さんも一航戦の経験があったんだよね……」
龍驤「せやで~。赤城や加賀にも負けへんで~」
龍驤「それと、さん付けはせんでもええよ。龍驤ちゃんって、可愛く呼んでな~」
瑞鶴「それじゃあ、龍驤ちゃん」
龍驤「ほんまにそのまま呼ぶ奴があるか。呼び捨てでええから」
414: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:57:59.46 ID:gRo934GOo
瑞鶴「そういえばさっきから気になってたんだけど……いい?」
龍驤「なんやなんや」
瑞鶴「龍驤はなんだか直掩機に拘ってるみたいだけど……」
龍驤「あは、気づかれてしまったかー……」
龍驤「まぁ、大したことじゃないんやけど……うちってあの戦争で沈んだ時、直掩機9機しか付いてなくてなー
いや、元はといえば敵に発見されたうちが悪いんけども……なんて言うんかなぁ~」
龍驤「いっつも思ってしまうんよ。あの時もっと直掩機がいたら、沈まなくてもすんだかもしれないって」
龍驤「トラウマ……ってやつなんかな。あはは……」
瑞鶴「でもわかるなぁ……私も翔鶴姉が沈んだマリアナ沖海戦やエンガノ岬での事は今でも
時々思い出すし……やっぱりもう二度とこんな思いはしたくないって思うよ」
龍驤「んー、湿っぽくなってあかんなぁ……」
瑞鳳「なーにしんみりしちゃってるの二人共」
415: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 22:59:10.65 ID:gRo934GOo
龍驤「づほか」
瑞鶴「昔のことを思い出してたらちょっとね……」
瑞鳳「昔は昔。大切なのは今! でしょ?」
瑞鳳「龍驤ちゃんが直掩機心許ないって言うなら、私が守ってあげるって」
龍驤「なんやづほ~、気ぃ使ってくれてるんかぁ~? ういうい、ういやつやなぁ!」
瑞鳳「龍驤ちゃんはまな板コンプレックスで常日頃からストレスに晒され続けてるんだから
こういう時は労ってあげないとね~」
龍驤「一言多いんじゃボケ。アンタも変わらんやろ」
瑞鶴「まぁ、瑞鳳の言う通り……昔は昔。悲しいことがたくさんあったけど、今は昔とは違う
私や翔鶴姉、皆がいる。龍驤は一人じゃないんだからさ……」
瑞鶴「だからその……あまりうまくは言えないんだけど……大丈夫だよ、きっと」
龍驤「なんや、瑞鶴まで……」
龍驤「……ま、ありがとうな」
加賀「……! 見つけたわ、敵艦隊よ!」
416: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:00:55.39 ID:gRo934GOo
――敵艦見ゆ――
翔鶴「皆さん、攻撃隊の発艦準備に入ってください!」
加賀「ふ……その前に出会い頭の一撃、お見舞いします」
航空母艦・加賀の放った天山らは発見した敵艦隊に肉薄。
索敵攻撃に入る。
伊勢「来たわね……! だけど、甘いのよッ!」
ドォン! バシュウゥゥン……!
「!? 加賀さん、天山全機ロストです……!」
加賀「な……!?」
「……相手に位置を特定されました! 敵艦隊、向かってきます」
加賀「おかしい……私の天山なら伊勢日向や五十鈴の迎撃も抜けれたはず……何か……ある……!」
翔鶴「落ち着いて対処しましょう! まだ敵艦隊の射程には入っていないはずです!
第一次攻撃隊で戦力を削ぎます」
赤城「翔鶴ちゃん、日向達は瑞雲を搭載しているわ。制空権争いもしなくちゃいけないし
……おそらく第一次じゃ倒しきれない」
翔鶴「一筋縄ではいきませんか……」
瑞鶴「やるじゃない……そうこなくっちゃ!」
417: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:03:13.52 ID:gRo934GOo
――戦闘開始――
日向「全艦瑞雲を放て! 航空戦も砲撃戦もできる我々の恐ろしさを
存分に刻み込んでやれ!」
仮想姫級部隊。瑞雲を一斉に射出。
日向「そして突撃! これだ!」
その後、全艦は最大船速で前進を開始する。
翔鶴「全航空隊! 発艦始め!」
空母機動艦隊も敵艦隊に対し攻撃隊を差し向けた。
六隻の空母から放たれる艦載機の大編隊は壮観の一言に尽きる。
加賀「……嫌な予感ね。さっきの天山撃墜と言い……何か……」
空母機動艦隊の送り出した大編隊、日向らの水上機部隊と激突。
制空権を得る。それに加え、想定よりも早く敵艦隊への攻撃を
行うことに成功した。
五十鈴「敵の第一次攻撃隊よ!」
陽炎「伊勢さん、アレやっちゃって!」
伊勢「さぁ、三式弾発射するわよ!」
418: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:06:18.08 ID:gRo934GOo
「報告! 第一次攻撃隊の攻撃 ――敵損害中破2小破1! 帰還した艦載機は80前後……!
紫電改二を除く航空機は甚大な被害を受けている模様!」
赤城「あれだけあった艦載機が半分以下……!? 200はあったはずよ!」
翔鶴「水上機の被害にしては大きすぎます! いくら対空特化の五十鈴さんが
いるからといってもこれは……」
加賀「やはり、あれしかない……三式弾……!」
瑞鳳「三式弾って、あの三式弾……!?」
加賀「そうよ。まさかとは思ったけど……それしか考えられない。水上機の数が想定よりも
少なかったのが気になるし……おそらく誰か一人は瑞雲ではなく対空装備できてる」
赤城「おそらく伊勢ね。日向は瑞雲を放って突撃することしか頭にないでしょうし」
翔鶴「しかし予想外でした。まさか三式弾とは……」
加賀「味方が使っていた時はさして絶大な効果があった訳じゃなかったから失念していたけど
……敵に回したらこんなことになるなんて」
龍驤「カタログスペックっちゅーのは怖いなぁ」
瑞鳳「妖精さんのオーバーテクノロジーの産物だよねー」
龍驤「うちもカタログスペック並にバルジつけてもらってもええんやで……?」
赤城「一応補用の艦載機がありますが、合わせても150機いきませんか……」
翔鶴「まずいですね……どうすれば……」
瑞鶴「あーもう! 考えるよりやるしか無いよ翔鶴姉!」
翔鶴「そうね……こうなったら、私達の速力で相手を撹乱するしか……!」
419: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:08:45.97 ID:gRo934GOo
瑞鳳「敵艦隊! 接近してきます!」
日向「待たせたなお前達! 今すぐ沈めてやるぞ、そら!」ドン!
熊野「ヒャアアアアアア!」ドン!
龍驤「わわわ、砲撃が来るでー!」
翔鶴「皆さん! 私達が前線にて敵を引きつけます! その隙に第二次攻撃隊を!」
赤城「……了解」
加賀「早々にやられないでくださいね」
瑞鶴「アンタじゃあるまいし!」
加賀「……ぶち込まれたいのかしら?」
瑞鳳「もー! 今戦闘中だってっ」
五航戦・瑞鶴、翔鶴。敵艦隊の砲撃を引きつけるために突出。
瑞鶴「翔鶴型の速力、見せてあげる!」
最上「そう? じゃあ僕は瑞雲を見せてあげるね!」ヒュン
日向「そしてダメ押しの瑞雲! ドン! 更に倍!」ヒュン
熊野「この熊野の瑞雲……甘くはなくってよ? トオォォォォン!」ヒュン
翔鶴「先輩方! 急いでください!」
伊勢「……いや、まぁ間に合わさせないけどね!」
ドオォーーーーン!
420: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:09:37.22 ID:gRo934GOo
瑞鶴「翔鶴姉!?」
翔鶴「……あら、やられちゃった?」
瑞鶴「しょーーーかくねぇーーーーー!」
「翔鶴さん、中破判定です」
翔鶴「そんな死んだみたいなリアクションしないで、瑞鶴。まだ中破だし、
そもそもこれ訓練だし」
日向「敵前線は崩れた! 全艦突撃! 私に続け!」
五十鈴「五十鈴には丸見えよ!」
陽炎「いよいよ私の出番ね!」
最上「飛行甲板は伊達じゃないってね」
421: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:12:36.07 ID:gRo934GOo
加賀「……あまりよろしくない状況ね」
赤城「なんとか時間を……!」
龍驤(……今のうちには皆がいる。せやかて、守られるだけは性に合わへん)
龍驤「……龍驤ちゃん、やったるで!」
翔鶴「うっ……このままじゃ……」
五航戦・翔鶴、瑞鶴。依然、回避運動を続けるが距離を詰める敵艦隊に徐々に追い詰められ
後退していく。砲撃が命中するのは最早時間の問題だった。
瑞鶴「五航戦なめんじゃないわよ!!」
日向「気合だけではどうにもならないこともある。それを教えてやろう、ほうら!」ドン!
航空戦艦・日向、瑞鶴に向けて砲撃す。
瑞鶴「!!」
瑞鶴(く……もう避けられない……ここまでか……!)
「ちょっと待ったあああああ!!」
日向「!?」
龍驤「うおおおおおおお! 見たってや、ウチとてたまには、進んで壁になるんや!」
龍驤「ぐへっ!?」
軽空母・龍驤、瑞鶴を庇い被弾。撃沈判定。
そして……
龍驤「よっと、うぇ!? わわわ、あかーん! 勢いがつきすぎてしもた、こりゃあマズイで!」
龍驤「ほんまアカンて、アカンよ!」
転覆。
瑞鶴「……これはひどい」
その後、空母機動艦隊は旗艦の翔鶴が討たれ敗北。
同じく撃沈判定を受けた加賀は「9発命中は多すぎる」と抗議したがその意見は受け入れられなかった。
赤城「なんとか時間を……!」
龍驤(……今のうちには皆がいる。せやかて、守られるだけは性に合わへん)
龍驤「……龍驤ちゃん、やったるで!」
翔鶴「うっ……このままじゃ……」
五航戦・翔鶴、瑞鶴。依然、回避運動を続けるが距離を詰める敵艦隊に徐々に追い詰められ
後退していく。砲撃が命中するのは最早時間の問題だった。
瑞鶴「五航戦なめんじゃないわよ!!」
日向「気合だけではどうにもならないこともある。それを教えてやろう、ほうら!」ドン!
航空戦艦・日向、瑞鶴に向けて砲撃す。
瑞鶴「!!」
瑞鶴(く……もう避けられない……ここまでか……!)
「ちょっと待ったあああああ!!」
日向「!?」
龍驤「うおおおおおおお! 見たってや、ウチとてたまには、進んで壁になるんや!」
龍驤「ぐへっ!?」
軽空母・龍驤、瑞鶴を庇い被弾。撃沈判定。
そして……
龍驤「よっと、うぇ!? わわわ、あかーん! 勢いがつきすぎてしもた、こりゃあマズイで!」
龍驤「ほんまアカンて、アカンよ!」
転覆。
瑞鶴「……これはひどい」
その後、空母機動艦隊は旗艦の翔鶴が討たれ敗北。
同じく撃沈判定を受けた加賀は「9発命中は多すぎる」と抗議したがその意見は受け入れられなかった。
422: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:16:00.59 ID:gRo934GOo
――泊地・港――
日向「ふっ……どうやら今回は私達の勝利のようだな。しかしそう悲観することはない
君達の実力は相当なものだった。ただ……航空戦艦の時代が来たという、それだけのこと」
加賀「航空戦艦の力ではなく、三式弾の力です。そして瑞雲ではなく三式弾を積んでいた伊勢は
実質戦艦です。そこを間違えないで」
最上「あれれ、撃沈した加賀さんがなにか言ってるね。負け犬の遠吠えなのかい?」
日向「おいおい最上、勝者というのは敗者に対しても寛大でなくてはならないんだ
そういうのはよくない」
加賀「だからあなた達の力ではなく三式弾の力と……」ビキビキ
赤城「まぁ、あれは三式弾という名の別物よねぇ……もっと良い艦載機を積まないとキツイわね。
私も紫電改二積もうかしら……」
日向「さて、空母連中を負かして気分がいい。今日は奢るか。君達はどうする?」
陽炎「え? おごってくれるの? やったぁ!」
五十鈴「良いんじゃない?」
日向「なんでも食べたいものを言ってみろ。今なら連れて行ってもいい」
熊野「神戸牛!」
陽炎「間宮のパフェ!」
最上「じゃあね~僕、瑞雲!」
陽炎(瑞雲しか言わねえなこいつ)
日向「はっはっは~、最上め、その水上機ジョークはレベルが高すぎるぞ~!」
陽炎(ほんとにレベル高すぎて意味分かんないわよ)
伊勢「日向ってば調子のりすぎ……あぁ、なんかごめんね? みんな」
加賀「いいです……次回完膚なきまでに叩き潰しますから」ムスッ
赤城「加賀さんってば……あ、気にしないで伊勢。それよりもいい訓練になったわ、ありがとう」
伊勢「そう? ……それならよかったけど」
日向「ほうら伊勢! ご飯食べにいくぞご飯! 今日は私の奢りだ」
伊勢「へ~、気前いいじゃん日向~。あ、それじゃあ私達はそろそろ行くから~」
日向「ふっ……さらばだ空母諸君」
赤城「……じゃあ、私達もご飯にしましょうか」
日向「ふっ……どうやら今回は私達の勝利のようだな。しかしそう悲観することはない
君達の実力は相当なものだった。ただ……航空戦艦の時代が来たという、それだけのこと」
加賀「航空戦艦の力ではなく、三式弾の力です。そして瑞雲ではなく三式弾を積んでいた伊勢は
実質戦艦です。そこを間違えないで」
最上「あれれ、撃沈した加賀さんがなにか言ってるね。負け犬の遠吠えなのかい?」
日向「おいおい最上、勝者というのは敗者に対しても寛大でなくてはならないんだ
そういうのはよくない」
加賀「だからあなた達の力ではなく三式弾の力と……」ビキビキ
赤城「まぁ、あれは三式弾という名の別物よねぇ……もっと良い艦載機を積まないとキツイわね。
私も紫電改二積もうかしら……」
日向「さて、空母連中を負かして気分がいい。今日は奢るか。君達はどうする?」
陽炎「え? おごってくれるの? やったぁ!」
五十鈴「良いんじゃない?」
日向「なんでも食べたいものを言ってみろ。今なら連れて行ってもいい」
熊野「神戸牛!」
陽炎「間宮のパフェ!」
最上「じゃあね~僕、瑞雲!」
陽炎(瑞雲しか言わねえなこいつ)
日向「はっはっは~、最上め、その水上機ジョークはレベルが高すぎるぞ~!」
陽炎(ほんとにレベル高すぎて意味分かんないわよ)
伊勢「日向ってば調子のりすぎ……あぁ、なんかごめんね? みんな」
加賀「いいです……次回完膚なきまでに叩き潰しますから」ムスッ
赤城「加賀さんってば……あ、気にしないで伊勢。それよりもいい訓練になったわ、ありがとう」
伊勢「そう? ……それならよかったけど」
日向「ほうら伊勢! ご飯食べにいくぞご飯! 今日は私の奢りだ」
伊勢「へ~、気前いいじゃん日向~。あ、それじゃあ私達はそろそろ行くから~」
日向「ふっ……さらばだ空母諸君」
赤城「……じゃあ、私達もご飯にしましょうか」
423: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:19:36.63 ID:gRo934GOo
――泊地・食堂――
赤城「……ではこれより、模擬戦の反省会を行います。意見のある方は?」
加賀「はい。ズバリ敗因は五航戦が旗艦だったからです。やはり旗艦は一航戦がするべきです」
瑞鶴「よく言うわあんなに被弾してたくせにー……」
加賀「あ、あくまでも妖精さんの判定によるものですから……」
赤城「加賀さん。妖精さんは中立よ? そこは素直に認めないと」
加賀「うっ……た、確かに私は撃沈判定こそ受けました」
加賀「しかしそれはあの三式弾という名の何かのせいです。……あんなの、超性能もいいところだわ」
赤城「まぁ、それはあるわね……そして対策を取ることができなかったのも確か」
赤城「翔鶴ちゃん、あなたはその速力を生かし相手の攻撃を引きつけた。
咄嗟の行動だったんでしょうけど、旗艦の行動としてはあまり評価できないわね」
翔鶴「すみません……あれしか思いつかなくって」
瑞鶴「翔鶴姉はすぐ自己犠牲に走るんだから……」
赤城「何にせよ、課題はまだまだ山積みね……でもまぁ、最初はこんなものでしょう
これから徐々に改善していけば……」
瑞鳳「あ、そういえばあれがあったよね……龍驤ちゃんの転覆」
424: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:21:53.91 ID:gRo934GOo
加賀「……そんなこともありましたね」
龍驤「こらづほ! せっかく人が空気に徹して話題に上がらないようにしとった言うんに!」
瑞鳳「わ! 龍驤ちゃん!? あまりに喋らないものだから壁だと思ってたんだけど!」
龍驤「こないなキュートな壁があったら困るわほんま……ってアホー!
ええかげんにせぇよ!」
赤城「でも、あの時の龍驤は自ら壁になりに行ってたわね」
瑞鳳「『ウチとてたまには、進んで壁になるんや!』なんて言っちゃってねぇ。
もう壁になればいいじゃん」
龍驤「ほ、ほらぁ……そやって掘り返す。だから嫌やったんや、この話題に触れるの」
加賀「龍驤、あれはあなたらしくもない行動だったけど……どうかしたの?」
龍驤「いやぁ、なんというか……皆は一人のために、皆は一人のためにっていうか……」
瑞鳳「大一大万大吉?」
龍驤「そう、それや! ってちゃうわ!」
加賀「まぁなんでもいいけれど……、実戦で転覆はしないように」
龍驤「うっ……うち、独特のシルエットやから……ちょっちバランス悪いんよね
寧ろ今まであんまり転覆してなかった事の方が不思議っていうか……あはは」
赤城「今度からは気をつけてくださいね」
龍驤「いやー……はは、面目ない。ほんま、面目ないなぁ……」
加賀「……」
――――――
―――
―
425: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:24:53.91 ID:gRo934GOo
――泊地・港/桟橋――
瑞鶴「……龍驤?」
龍驤「なんや瑞鶴か。うちに何か用?」
瑞鶴「いや用事は特にないけど……ていうか、こんなところで何してんの?」
龍驤「んー? いやぁ、すこーし昔の男の事を考えてて……」
瑞鶴「えっ!? 龍驤ってそういう相手いたの!?」
龍驤「……松本っちゅー男やったんやけどな。あいつはほんまに酷い男やったで」
龍驤「うちの体を好き勝手に弄くり倒してからに
……おかげでうちはこんな体になってしもたわ」
瑞鶴「え……なにそれ////」
龍驤「格納庫拡張されたりなぁ……」
瑞鶴「か、拡張……」
龍驤「そんなことがあってもあいつ、結局最終的には大和の設計補佐に行ったわ……」
瑞鶴「そんな! 龍驤の体を弄んでおきながら大和に乗り換えるなんて信じられない!
そんな男、別れて正解!」
龍驤「……あの、そろそろツッコんで欲しいんやけど……」
瑞鶴「突っ込む!? む、無理だよ私女だし……いくら昔の恋人との肉欲の日々のことを
思い出して火照ってしまった体を鎮めて欲しいって言われても、ついてないもん!
ま、まぁ女同士でもそういうことは出来るみたいだけど……でも突っ込むのは無理だよ」
龍驤「おーい、嬢ちゃん? 戻ってきーや」
426: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:27:44.99 ID:gRo934GOo
瑞鶴「……なんだ。設計士さんの話か……」
龍驤「できれば早く気付いて欲しかったなぁ。自分のネタを自分で解説することほど
恥ずかしいものはないやろ?」
瑞鶴「だって、わかりずらいよ!」
龍驤「せやろか……結構わかりやすかった気するけども……」
瑞鶴「ま、まぁそれはそうと……松本さんはなんでそんなに龍驤の設計をコロコロ変えたんだろう?」
龍驤「……それは多分、どーしようもなかったからやと思う」
瑞鶴「どうしようもなかった?」
龍驤「うち……知ってるんよ。自分が欠陥空母だって言われてたこと」
瑞鶴「……!」
龍驤「出来上がったうちは失敗作やったんや。あの人はそれでも何とかしようと頑張って
でもやっぱりどうしようもなくで、こんな歪な形になって……」
龍驤「いやほんと……まともな空母なら第四艦隊事件であないなことにはならへんよね……
って、なんか自虐みたいになってごめんなぁ……あはは……」
瑞鶴「失敗作だなんて……龍驤は歴戦の空母じゃない」
龍驤「ありがと。でもなぁ、うち……やっぱりみんなの足引っ張ってるなーって思うこと
結構あるんよね。不安定やし、艦載機もあまり積めへんし……」
瑞鶴「もう! 何言ってるのよ! そんなんじゃ、深海棲艦にも
今日の模擬戦みたいに負けちゃうよ!」
龍驤「深海棲艦か……ごっつ強いのが近づいてきてるらしいやないか……」
龍驤「うち、怖いわ……。そないな化物と渡り合えるんやろかって不安になる
本当はうち、足手まといちゃうんかって疑いたくなる」
龍驤「赤城や加賀が羨ましい。あいつらは確かに慢心するけど、決して怖気づいたりしない
不安を矜持と自信で塗りつぶすんや」
龍驤「うちにはどっちもない……ほんま羨ましいなぁ。赤城と加賀、羨ましいなぁ……」
瑞鶴「龍驤……」
龍驤「できれば早く気付いて欲しかったなぁ。自分のネタを自分で解説することほど
恥ずかしいものはないやろ?」
瑞鶴「だって、わかりずらいよ!」
龍驤「せやろか……結構わかりやすかった気するけども……」
瑞鶴「ま、まぁそれはそうと……松本さんはなんでそんなに龍驤の設計をコロコロ変えたんだろう?」
龍驤「……それは多分、どーしようもなかったからやと思う」
瑞鶴「どうしようもなかった?」
龍驤「うち……知ってるんよ。自分が欠陥空母だって言われてたこと」
瑞鶴「……!」
龍驤「出来上がったうちは失敗作やったんや。あの人はそれでも何とかしようと頑張って
でもやっぱりどうしようもなくで、こんな歪な形になって……」
龍驤「いやほんと……まともな空母なら第四艦隊事件であないなことにはならへんよね……
って、なんか自虐みたいになってごめんなぁ……あはは……」
瑞鶴「失敗作だなんて……龍驤は歴戦の空母じゃない」
龍驤「ありがと。でもなぁ、うち……やっぱりみんなの足引っ張ってるなーって思うこと
結構あるんよね。不安定やし、艦載機もあまり積めへんし……」
瑞鶴「もう! 何言ってるのよ! そんなんじゃ、深海棲艦にも
今日の模擬戦みたいに負けちゃうよ!」
龍驤「深海棲艦か……ごっつ強いのが近づいてきてるらしいやないか……」
龍驤「うち、怖いわ……。そないな化物と渡り合えるんやろかって不安になる
本当はうち、足手まといちゃうんかって疑いたくなる」
龍驤「赤城や加賀が羨ましい。あいつらは確かに慢心するけど、決して怖気づいたりしない
不安を矜持と自信で塗りつぶすんや」
龍驤「うちにはどっちもない……ほんま羨ましいなぁ。赤城と加賀、羨ましいなぁ……」
瑞鶴「龍驤……」
427: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:29:56.61 ID:gRo934GOo
龍驤「あはは、なーんかつまらんこと話してしまったなぁ。ごめんごめん~」
瑞鶴「つまらなくなんか……ないよ」
龍驤「まぁ、気にせんといてよ。したらうち、もういくわ」
龍驤「さいなら~」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「……で?」
瑞鶴「いつまでそこに隠れてるつもり、加賀先輩?」
加賀「瑞鶴あなた……何故私の気配を!」ザッ
瑞鶴「……そもそも、龍驤に声掛けたのもアンタがそこでこそこそやってるのが見えたからだし」
加賀「どれだけ私のことが好きなんですか。やめてください、そういうの」
瑞鶴「ベッ別に好きじゃないから! ていうか、アンタこそなんでそんな物陰に隠れてたのよ
龍驤に何か用でもあったの?」
加賀「別に何か用があったという訳ではありませんが……あの子、様子がおかしかったから……
少し、覗いていただけ」
加賀「決して励まそうとして出るタイミングを失ったとか、そういうのじゃありません」
瑞鶴「そーなんだ(棒) ちょっと邪魔しちゃったかなー私」
加賀「ええほんとに……」
428: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:32:06.31 ID:gRo934GOo
瑞鶴「…………」
加賀「……私の顔に何か?」
瑞鶴「いや、アンタの顔になんてミジンコ程にも興味はないんだけどさ」
加賀「は?」
瑞鶴「アンタって、私よりも龍驤と付き合い長いでしょ? だから、なんで龍驤があんなに
改装されたのか、知ってるかと思って」
加賀「……そうね」
加賀「龍驤は……当時の軍令部の都合に振り回され続けたのよ。いや、龍驤だけじゃない……」
加賀「私も元は戦艦だった。そして、一度は廃艦にまでなりかけた……軍令部の都合でね。
だからあの子の気持はよく分かる」
加賀「私達は兵器だった。どんなに振り回されようと、どんなに無謀な作戦だろうと
従わなければならなかった……」
加賀「でも私は知っている。そんな境遇の中にあっても彼女、龍驤は懸命に戦い続けた事を
笑われようとも蔑まれようとも、彼女は国の為に戦い続けた……それは確かなこと」
加賀「そんなあの子を、誰が馬鹿にできるものですか」
加賀「龍驤は私達を過大評価しているみたいだけど……それは違う。私は今でも、あの子とは
対等であると思っているわ」
瑞鶴「……アンタって、意外と仲間思い?」
加賀「意外とが余計です」
429: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:34:52.64 ID:gRo934GOo
瑞鶴「……アンタみたいなのでも仲間のために熱くなること、あるんだね」
加賀「熱くなんかなってません」
瑞鶴「あ、そっか。焼き鳥空母だから常に熱いもんね」
加賀「煽るか褒めるかどちらかにしなさい」
瑞鶴「……アンタが龍驤の事を対等に思ってるのは判ったけど……でも本人がそう思うとは
限らないのよね。そこが問題」
加賀「……こればっかりは、本人次第ですから。本人が乗り越えなくちゃ駄目……」
加賀「それに、龍驤ばかりに構っていられないのも事実よ。戦いの時は着々と近づいている。
それにむけて私達も訓練しないと……今回のような失態は許されません」
瑞鶴「わかってるわよ……」
加賀「……でも、一応あなたも龍驤のことを気にかけてくれていたのね
そのことについては……不本意ながら、感謝はしておくわ」
瑞鶴「……」
加賀「……何かしら?」
瑞鶴「いーえ、別に。ただ加賀さんって、こういう仲間を気遣える一面もあったんだなって」
加賀「悪いですか……」
瑞鶴「んーん。いいと思うよ。いつもそんな感じだったら素敵なのに」
加賀「……あなたに素敵だとか言われても、少しも、ナノほどにも嬉しくありませんから」
瑞鶴「あーそうですか~」
430: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:37:44.48 ID:gRo934GOo
――泊地・五航戦部屋――
瑞鶴「ふわぁ~……っと、今日もつかれたぁ~……」
翔鶴「今日もお疲れ様、瑞鶴」
瑞鶴「今日の模擬戦は悔しかったなぁ~」
翔鶴「今後の課題を残すものだったわね。もっと頑張らないと……」
瑞鶴「あんまり頑張り過ぎないでよ。翔鶴姉はすぐ無茶するんだから」
翔鶴「それはあなたも一緒でしょ?」
瑞鶴「翔鶴姉ほどじゃないしっ」
翔鶴「まぁいいわ。明日も早いし、今日はもう寝ましょう……」
瑞鶴「そーだね……」
赤城「いえ、まだ寝てはいけませんよ」
瑞鶴「!?」
翔鶴「赤城先輩!? いつの間に……」
赤城「もう言ったと思いますが、今日より空母一同は纏まって行動しなくてはなりません
それは睡眠から食事に至るまで……」
瑞鶴「あれって、訓練ではって意味じゃあ……」
赤城「我々の連携には未だ不安が残ります。同じ釜の飯を食い、同じ寝床につけば、
その中で一種の仲間意識が培われるはずです。それはきっと連携の不備を解消して
くれることでしょう」
赤城「……という訳で、今から龍驤の部屋に行くから……二人共ついて来てくれる?」
翔鶴「は、はぁ……」
瑞鶴「空母一同ってことは……当然アイツもいるのよね……」
431: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:40:20.17 ID:gRo934GOo
――泊地・龍驤の部屋――
龍驤「……いや、別に全員で寝るのは構へんけどさ……」
加賀「……何か?」
瑞鶴「やっぱりいた……」
龍驤「なーんか嫌な予感しかせーへんで……」
瑞鶴「……加賀さんってぇ、案外可愛いパジャマ着てるんですねぇ……意外でしたぁ」
加賀「ぐ……あなたは袴のままなの? だらしがないわね……」
瑞鶴「だって面倒くさいし……」
加賀「あなたらしいわね」
瑞鶴(くっそ、●●●●でかいな……こいつ……)
龍驤「不思議やな。瑞鶴が今考えとる事がわかってしまったわ」
瑞鳳「龍驤ちゃんも? 奇遇だなぁ」
龍驤「感じるで感じるで~、同類の気配をビンビン感じるで~」
瑞鶴「この括りに入れられてしまうのは何となく嫌だ……」
龍驤「諦めーや。瑞鶴ちゃんよう、あんた、見るからに……圧倒的にうちら側の艦娘やで」
瑞鶴「い、一緒にしないでっ」
加賀「……彼女達は一体何を話しているのですか?」
赤城「肉まんの話ですよ、加賀さん」
加賀「はぁ。何故今肉まんの話を……」
赤城「鈍いわね……まぁ、そこがあなたの良い所でもあるんだけど」
432: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:42:40.93 ID:gRo934GOo
瑞鳳「えっと、龍驤ちゃん、部屋物色してもいい?」
龍驤「いいわけないやろアホ」
瑞鳳「えっと何々……『格納庫をまさぐられると搭載数アップ!?
今流行の空母艦娘事情……』」
龍驤「こらづほ! 何勝手に見とんのや!」
瑞鶴「……ふぅ、それにしても急よね、赤城さんも。突然皆で寝ようだなんて……」
加賀「赤城さんも赤城さんなりに龍驤の事を気遣っているのよ」
瑞鶴「……ふーん」
赤城「Zzz……」スヤァ…
瑞鶴「当の本人は寝てるけど」
加賀「赤城さんは規則正しい生活をしていますから。……模範にしたいものです」
瑞鶴「誘っておいて真っ先に寝るって自由すぎるでしょう……」
翔鶴「赤城先輩も疲れていらっしゃるのよ」
瑞鳳「そーゆー二人はあんまり疲れてなさそうだね」
瑞鶴「いや、疲れてるけど……睡魔に襲われるほどじゃないってだけだし」
龍驤「はー、はー……まぁ、まだ若いからやろなぁ」
加賀「それは赤城さんが若く無いという意味ですか」ビキビキ
龍驤「そんなこと一言も言ってへんやん……」
加賀「五航戦が疲れていないのは単に訓練で手を抜いているからでしょう」
瑞鶴「ぁんですって!?」
龍驤「はいはい、ここでおっ始めるのは堪忍してーや」
433: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:44:48.87 ID:gRo934GOo
瑞鳳「せっかく空母の皆で寝るんだから……恒例のアレ、やっちゃいますか!」
加賀「恒例のアレ……とは?」
龍驤「加賀は鈍いなぁ~……年頃の娘が布団囲んですることといえばアレしか無いやろ!」
瑞鳳「恋話でしょ!」
加賀「コイ・バナ?」
龍驤「うん、ちょっちニュアンスおかしいな」
瑞鶴「うーん……恋話かぁ」
翔鶴「恋話……!」
龍驤「皆年頃の女の子やし、恋の一つや二つ、したことあるやろ?」
加賀「……はぁ、恋愛の話ですか」
龍驤「加賀は一番そういうのとはかけ離れてるやろ~、恋したことあるん?」
加賀「ありますとも」
龍驤「へー……相手は誰や」
加賀「勿論赤城さんです」
瑞鶴「まーこいつならそうなるでしょーよ!」
加賀「一航戦の象徴たる彼女はそれに相応しい存在です。強く、優しく
そして誇りを以って敵と対峙する赤城さんの凛々しい姿ときたら!」
龍驤「ちゃうちゃう! そーゆー小学生が仲の良い同姓に抱いた友情を恋心の勘違いする
みたいなのやなくて、もっとこう、ドロッドロのねちっこいアレよ、わかる?」
加賀「わかりません」イラッ
瑞鳳「ねちっこいのなら……私、提督にやられたことある……かも?」
加賀「恒例のアレ……とは?」
龍驤「加賀は鈍いなぁ~……年頃の娘が布団囲んですることといえばアレしか無いやろ!」
瑞鳳「恋話でしょ!」
加賀「コイ・バナ?」
龍驤「うん、ちょっちニュアンスおかしいな」
瑞鶴「うーん……恋話かぁ」
翔鶴「恋話……!」
龍驤「皆年頃の女の子やし、恋の一つや二つ、したことあるやろ?」
加賀「……はぁ、恋愛の話ですか」
龍驤「加賀は一番そういうのとはかけ離れてるやろ~、恋したことあるん?」
加賀「ありますとも」
龍驤「へー……相手は誰や」
加賀「勿論赤城さんです」
瑞鶴「まーこいつならそうなるでしょーよ!」
加賀「一航戦の象徴たる彼女はそれに相応しい存在です。強く、優しく
そして誇りを以って敵と対峙する赤城さんの凛々しい姿ときたら!」
龍驤「ちゃうちゃう! そーゆー小学生が仲の良い同姓に抱いた友情を恋心の勘違いする
みたいなのやなくて、もっとこう、ドロッドロのねちっこいアレよ、わかる?」
加賀「わかりません」イラッ
瑞鳳「ねちっこいのなら……私、提督にやられたことある……かも?」
434: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:47:28.06 ID:gRo934GOo
龍驤「なんやて!?」
瑞鶴「なんですって!?」
翔鶴「く、詳しく聞かせてくれないかしら!?」
瑞鳳「えと、まぁ……大したことじゃないんだけど……」
瑞鳳「私が秘書官やった時のことなんだけどね、
……提督ったら、何かちらちら私の胸を見てきたの……」
瑞鶴「そ、それで……!」
龍驤「ええやないか……ほのかに●●●感じになってきたでー!」
翔鶴(ドキドキ)
瑞鳳「それでね、急に提督が『彗星を貸せ』なんて言って急に
私の格納庫を弄ってきたの!」
龍驤「アカーン! これは際どい話になってきたでー!」
瑞鶴「提督さんが……そんなこと!?」
翔鶴「いけません……これはいけませんよ……」
瑞鳳「それでね、提督は言ったの……『ない』って」
龍驤「……はい?」
瑞鳳「彗星は整備が大変だから積んでなかったんだけどね……
まぁこれだけなんだけど、私的には結構どきどきしたっていうか……あれ?」
瑞鳳「どうしたのみんな?」
龍驤「づほ……提督に馬鹿にされてるで? それ、胸がないってことや……」
瑞鳳「えっ」
瑞鶴「あ、あはは……まぁ、ドンマイづっほ」
435: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:50:12.18 ID:gRo934GOo
龍驤「全く、それのどこがねちっこいんや~」
瑞鳳「ななな……! そんなぁ……!」
龍驤「いやー、途中までは良かったんやけどなぁ、づほ。惜しいなー」
瑞鳳「……ぐぬぬ、それなら龍驤ちゃんは何かないの?」
龍驤「うちなんかありすぎて困るわー」
瑞鳳「偉い自信じゃないの……」
龍驤「うちはほら、こないなかわいい女の子な訳やん? だからしょっちゅう
男の人から声かけられるんよ~」
龍驤「『お嬢ちゃん、少しお兄さんとあそこ行こうか』なんて言うてなー!
きっと物陰に連れ込んでやらしい事するつもりだったんやー!」
瑞鶴「……あの、それって……もしかして、迷子と間違われてるだけなんじゃ……」
龍驤「……」
瑞鶴「あそこ(迷子センター)」
龍驤「んなもんわかっとったわ……そこは空気よんでくれへんかな……?」
龍驤「完全に幼児と勘違いされてたわ……『お母さんとはぐれたの?』がいつもセット
やったわ……空母でも体は駆逐艦並や、悪いかボケ……」
瑞鳳「もういっそそっちの層狙いでもいいんじゃないかな」
龍驤「それはちょっち簡便な!」
436: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:52:18.17 ID:gRo934GOo
瑞鶴「何か、まともな恋愛経験ある人いないね……」
龍驤「瑞鶴はどうなんや?」
瑞鶴「私はそういうの特に……翔鶴姉は?」
翔鶴「はぁ、はぁ……」
瑞鶴「……翔鶴姉?」
翔鶴「あの、先程からどなたかわからないんですけど……私のおしりを●●してくるんですけどぉ……」
瑞鶴「えぇ!?」
赤城「むにゃむにゃ……シャトーブリアン……」モミモミ
加賀「赤城さんったら、寝ぼけているみたいね」クスクス
翔鶴「いやあの、できれば助けてほし……ひゃうん!?」
じたばた
翔鶴「やっ……そんなところ……!」
じたばた
赤城「うおォン……」
じたばた
翔鶴「ちょ……そこは……だめぇ!?」
するり
翔鶴「あっ……!」
その瞬間、翔鶴のパジャマが赤城によってずり下げられ、
彼女の過激な下着が顕になった。
龍驤「oh……」
瑞鳳「わー……すごく、紐 です」
加賀「……翔鶴、あなた」
翔鶴「////」
加賀「ド変態ね」
加賀「超弩級ド変態ね」
翔鶴「言い直さないでくださいぃ!」
こうして、空母娘達の夜は更けていく……。
龍驤「瑞鶴はどうなんや?」
瑞鶴「私はそういうの特に……翔鶴姉は?」
翔鶴「はぁ、はぁ……」
瑞鶴「……翔鶴姉?」
翔鶴「あの、先程からどなたかわからないんですけど……私のおしりを●●してくるんですけどぉ……」
瑞鶴「えぇ!?」
赤城「むにゃむにゃ……シャトーブリアン……」モミモミ
加賀「赤城さんったら、寝ぼけているみたいね」クスクス
翔鶴「いやあの、できれば助けてほし……ひゃうん!?」
じたばた
翔鶴「やっ……そんなところ……!」
じたばた
赤城「うおォン……」
じたばた
翔鶴「ちょ……そこは……だめぇ!?」
するり
翔鶴「あっ……!」
その瞬間、翔鶴のパジャマが赤城によってずり下げられ、
彼女の過激な下着が顕になった。
龍驤「oh……」
瑞鳳「わー……すごく、紐 です」
加賀「……翔鶴、あなた」
翔鶴「////」
加賀「ド変態ね」
加賀「超弩級ド変態ね」
翔鶴「言い直さないでくださいぃ!」
こうして、空母娘達の夜は更けていく……。
437: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:54:59.48 ID:gRo934GOo
瑞鳳「……すやすや」
赤城「満腹? 知らない言葉ですね……Zzz……」
翔鶴「せんぱぁい……もうやめてくだひゃい……Zzz……」
瑞鶴(……みんなもう寝ちゃったのかな?)
加賀「赤城しゃん……」ゴロリ
瑞鶴「わっ、ちょっと加賀さん……なんでこっちに……!?」
加賀「赤城しゃん……赤城しゃん……」ギュッ…
瑞鶴「ちょ」
瑞鶴(胸があたってるって……やっぱりでかいなおいィ……)
瑞鶴(胸元がはだけて……●●いッ……ドキドキ……)
瑞鶴「いやいや、ていうかなんで私こいつ相手にドキドキしなくちゃいけないのよ……」ゲンナリ
加賀「赤城しゃん……ごめんなさい」
瑞鶴「……?」
加賀「先に沈んで、ごめんなさい……」
加賀「蒼龍、飛龍……ごめんなさい……ごめんなさい……」
瑞鶴「……」
龍驤「……なんやねん、それ」
438: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/19(水) 23:58:00.43 ID:gRo934GOo
瑞鶴「龍驤? 起きてたの……?」
龍驤「……いつも冷めてて棘だらけの加賀の中身がそれなんやな、きっと。
普段は決して見せないくせに……」
龍驤「ずっとそれを押し殺しているんやろな。加賀にも弱い一面はある……せやけど、皆にそないなとこ、
見せられへんもんな」
龍驤「うちは、自分が情けないわ……自分はいくら弱音を吐いても問題無いからって……
メソメソ情けないことばっかり言って」
龍驤「……皆、弱音の一つや二つ、いくらでももってるのになぁ。赤城だって、加賀だって……」
瑞鶴「弱音の一つや二つ、吐いても良いと思うよ」
瑞鶴「弱音吐いて、スッキリして……また明日から頑張ればいいじゃない。
……あなたには仲間がいるんだから、吐けるだけ吐き出せばいいよ」
龍驤「あはは……なんか、悪いなぁ~……うち、助けてもらってばっかりや」
龍驤「今日のうちの部屋で寝ようって言い出したのも、きっとうちに気をつこうてくれたからなんでしょ?」
瑞鶴「赤城さんがそこまで考えていたかはわからないけどね……」
龍驤「ここまでしてもらって、このままじゃアカンよな……うん、アカン」
龍驤「よっしゃ! 明日からはもう泣き事言わへん! うちはうちにできる事をする!
その中で最善を尽くす!」
瑞鶴「そう、その意気だよ。でもたまには泣き事言ってもいいからね」
龍驤「へへ……ほんま、ありがとな」
瑞鶴「どうも」
龍驤「はぁ~……それにしても、こうやって大勢で寝るってうち、はじめてかも……」
瑞鶴「私もそんなにないかな……」
龍驤「暑苦しくてかなわんけど……このぬくもり、案外悪く無いわ……」
瑞鶴「そうだね……」
439: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:00:06.36 ID:niZG7tfPo
――翌日。
龍驤「よっしゃあ~! 龍驤ちゃんやったるでぇ~!」
加賀「……龍驤、何だか昨日とは目つきが変わったわね……」
加賀「あなたが何か吹き込んだのかしら? 瑞鶴」
瑞鶴「……はぁ、別に私は何も言ってないわよ。言ったのは寧ろ、アンタの方」
加賀「はぁ……?」
瑞鶴「ま、いいけどさ……結果オーライ?」
440: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:01:29.26 ID:niZG7tfPo
――その日から、空母達はいつも一緒に行動するようになった。
赤城「何だか無性にシャトーブリアンが食べたいわね……」
翔鶴「っ!」ゾクッ
ご飯を食べる時も。
赤城「龍驤! 右舷に敵艦隊接近!」
龍驤「まかしとき!」
戦う時も。
加賀「かわってくもの かわらないもの 飽きっぽい私が~♪
はじめて知った この永遠を 君に誓うよ~♪」
瑞鳳「いえー!」
遊ぶ時も。
赤城「いいお湯……」
翔鶴「生き返りますね……」
お風呂にはいる時も。
瑞鳳「それじゃあ電気消すからねぇ」
龍驤「ねよねよ~」
寝るときも。
加賀「……ぉはよ、ございます」
瑞鶴(やべぇ、なんか事後みたい……加賀さんって何で一々●●いんだろう)ドキドキ
そして朝起きる時も。
そんな生活を暫く続けた後、変化は訪れた……!
441: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:02:41.09 ID:niZG7tfPo
――泊地・食堂――
加賀「瑞鶴」
瑞鶴「はい醤油」
翔鶴「あの……」
赤城「水ならいりませんよ」
瑞鳳「龍驤ちゃん」
龍驤「誰が十勝平野やボケ」
吹雪「あ、あの……最近空母組の方々が怖いんですが」
叢雲「もはやテレパシーね、あれは」
磯波「テレパシーなんですねぇ」
初雪「むむむ……」
吹雪「は、初雪……? どうしたの?」
初雪「テレパシー使えたら、喋らなくてもよくなるって思って、した」
吹雪「テレパシーを?」
初雪「うん」
叢雲「無理に決まってんじゃない」
初雪「空母の人達はできてるし……」
吹雪「あれはまたテレパシーとは別物だから……」
442: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:05:03.25 ID:niZG7tfPo
――泊地・港――
加賀「――待ちわびたわ、この時を」
日向「リベンジマッチか、面白い、受けて立つぞ?」
そして今日、空母機動艦隊は彼女達と対峙した。
再び相見える、以前の模擬戦と同じ構成の二つの艦隊。
因縁の対決……空母娘達にとっては、以前敗北を喫した仮想姫級艦隊への
リベンジの時だった。
瑞鶴「侮らないでよね、今の私達は絶好調なんだから」
最上「負けたら君たちの艦載機を全部瑞雲に替えるけど、いいかな?」
瑞鳳「なにその罰ゲーム……」
龍驤「へん! 全員ぐちょぐちょにしたるでー」
五十鈴「何よぐちょぐちょって……」
最上「響きが●●いんだよなぁ」
熊野「ふふ、軽く返り討ちにして差し上げますわ」
赤城「その余裕、いつまで続くかしらね?」
翔鶴「そうです。以前の私達と同じと思っては困ります!」
陽炎「私と五十鈴さんは完全に巻き込まれてるんだけど……
まぁ、とりあえず陽炎、抜錨します!」
龍驤「お、なんや宣伝か?」
陽炎「二巻も発売中ー!」
龍驤「やかましいわ」
日向「……航空戦艦は無敵だからな。まぁ、せいぜい頑張ってくれよ。」
伊勢「無敵は言いすぎだって……」
443: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:06:11.53 ID:niZG7tfPo
――泊地近郊・演習海域/空母機動艦隊――
赤城「今回はリベンジマッチ。雪辱を晴らすべく、旗艦はあの時と同じ翔鶴ちゃんよ」
加賀「あの日向を完膚なきまでに叩きのめせると思うと、さすがに気分が高揚します」
瑞鶴「間違いなく今から煽る台詞考えてるよこの人……」
翔鶴「皆さん、以前は敗北こそしたものの、私達はあの時より確実に強くなっています
落ち着いていけば、必ずや勝利をつかめる事でしょう」
赤城「その為に、以前のような慢心はしないようにね。特に加賀さん」
加賀「赤城さんに言われるとは……わかっています」
龍驤「索敵はうちに任せろー」
――――――
―――
―
444: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:09:46.62 ID:niZG7tfPo
――泊地近郊・演習海域/仮想姫級艦隊――
五十鈴「……正面敵影多数! 艦載機来たわ!」
日向「今回ものこのこ倒されにやってきたようだな……伊勢! やってしまえ!」
伊勢「あの、旗艦は私なんだけど……まぁいっか」
伊勢「三式弾、行くよ!」
航空戦艦・伊勢、空母機動艦隊の第一次攻撃隊に向け三式弾を発射。
が、しかし……!
「!! ……敵機広範囲に拡散。隊列が崩れるギリギリの密度で依然として飛行中!」
伊勢「あちゃあ……この前ほど劇的な効果はないわね。ま、そりゃ警戒されるか……」
日向「小癪な……だが問題ない、瑞雲を放って突撃だ! これぞ無敵の方程式だ!」
陽炎「あの、私達瑞雲飛ばせないんですが」
五十鈴「そうよ、どうするのよ」
日向「……気合だ、気合で避けろ」
五十鈴「」
陽炎(その時私は、大戦末期の軍令部のお粗末さを感じたわ……やれやれ、
無茶なところに突っ込まされるのは駆逐艦の宿命ね)
仮想姫級艦隊、突撃開始。しかしそれはあまりに無謀な突撃だった為、
陽炎と五十鈴は早々に落伍、最上は熊野に衝突した。
加賀「三式弾さえ攻略してしまえば後は案外脆いものね……」
翔鶴「戦況はこちらが優勢です! みなさん、わかっていますね!?」
龍驤「言われなくてもわかってるで」
瑞鳳「伊達にずっと一緒に過ごしてないもん!」
瑞鶴「さぁ、第二攻撃隊……発艦開始よ!」
五十鈴「……正面敵影多数! 艦載機来たわ!」
日向「今回ものこのこ倒されにやってきたようだな……伊勢! やってしまえ!」
伊勢「あの、旗艦は私なんだけど……まぁいっか」
伊勢「三式弾、行くよ!」
航空戦艦・伊勢、空母機動艦隊の第一次攻撃隊に向け三式弾を発射。
が、しかし……!
「!! ……敵機広範囲に拡散。隊列が崩れるギリギリの密度で依然として飛行中!」
伊勢「あちゃあ……この前ほど劇的な効果はないわね。ま、そりゃ警戒されるか……」
日向「小癪な……だが問題ない、瑞雲を放って突撃だ! これぞ無敵の方程式だ!」
陽炎「あの、私達瑞雲飛ばせないんですが」
五十鈴「そうよ、どうするのよ」
日向「……気合だ、気合で避けろ」
五十鈴「」
陽炎(その時私は、大戦末期の軍令部のお粗末さを感じたわ……やれやれ、
無茶なところに突っ込まされるのは駆逐艦の宿命ね)
仮想姫級艦隊、突撃開始。しかしそれはあまりに無謀な突撃だった為、
陽炎と五十鈴は早々に落伍、最上は熊野に衝突した。
加賀「三式弾さえ攻略してしまえば後は案外脆いものね……」
翔鶴「戦況はこちらが優勢です! みなさん、わかっていますね!?」
龍驤「言われなくてもわかってるで」
瑞鳳「伊達にずっと一緒に過ごしてないもん!」
瑞鶴「さぁ、第二攻撃隊……発艦開始よ!」
445: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:13:39.76 ID:niZG7tfPo
日向「私達だけになってしまったか……しかし回避にかけては定評のある私達の動きを
捕らえることができるかな!?」
加賀「……愚かね。以前と全く同じ戦法で来るなんて」
日向「勝てば官軍! このまま押し切らせてもらう!」
ドォン!
日向、夥しい量の攻撃隊の中を自慢の回避力で強引に突破。そのまま砲撃に移る。
加賀「この状況でもまだ撃ってくるなんて、見事ね」
赤城「しかし精度はあまり良くないようですね。無理もありませんが」
瑞鶴「赤城さん! 二人の接近を許す前に!」
赤城「わかっています。加賀さん、日向の方を頼める?」
加賀「願ってもないです」
赤城「じゃあ私達は……」
翔鶴「伊勢さんですね」
瑞鳳「うん!」
赤城「理解が早くて助かります……相手は戦艦です、こちらもあまり余裕がありません」
翔鶴「この一撃で決まりますね……!」
赤城「ええ。では、行きますよ……!」
航空母艦・赤城、伊勢に対して集中攻撃を仕掛ける。
446: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:16:12.37 ID:niZG7tfPo
伊勢「まぁ、そうなるわね……だけどこっちもタダじゃ終わらないわよっと!」
ドォン! シュパアァァン……!
「赤城さん! あんな近くで三式弾炸裂されちゃ近づけませんぜ!」
赤城「あの距離じゃ自身にも被害が出るはず……!」
伊勢「肉を切らせて骨を断つ! 戦艦の装甲をなめないでよっ!」
赤城「……見事です。ですが……」
赤城「やはりここで終わりです」
翔鶴「捉えました! 次弾装填はさせません!」
瑞鳳「やっちゃいましょう!」
伊勢「……こりゃ、参った」
航空母艦、赤城。あえて伊勢に三式弾を撃たせ、次弾装填の隙を作る。
翔鶴・瑞鳳は攻撃隊を突撃させ、見事伊勢に魚雷を当てた。伊勢は大破判定となる。
447: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:18:12.98 ID:niZG7tfPo
日向「くっ……伊勢がやられたか……かくなる上は、一隻でも撃沈してみせる!」
日向、最大船速で突撃を開始。その目標は龍驤のようだった。
龍驤「う、うちか!?」
日向「あなたが一番脆そうだからね……それ、ずいうーん!」シュパッ
龍驤「はぁ~ん……? 言うてくれるやん……、うちが一番弱そうってこと?」
龍驤「……なめんなや、三下ァ!」ガション
日向「12.7cm高角砲……!?」
龍驤「こなくそー! しにさらせー!」バババババ
軽空母・龍驤、高角砲で日向の瑞雲を迎撃。
瑞雲を撃墜することに成功。
日向「良くも瑞雲を……しかし、この距離ではもう勝ち目はない!」
航空戦艦・日向、龍驤に肉薄!
龍驤「……さて問題、うちの攻撃隊は今どこにいるでしょうか?」
日向「……!? ま、まさか」
龍驤「答えは直上や! アホ面晒しや!」
ドオォォォォン!
日向「くぅ……!」
航空戦艦・日向、龍驤の爆撃機により中破判定。
448: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:19:42.47 ID:niZG7tfPo
日向「……ふぅ、やるじゃないか。五分の力とはいえ
航空戦艦の私をここまで追い詰めるとは……」
瑞鶴「はぁ~ん? じゃあもっと攻撃してもいいわけね?」
加賀「鎧袖一触です」
日向「ちょ」
加賀・瑞鶴、ダメ押しの波状攻撃。
日向「波状攻撃だけは勘弁してくれぇ……」
――こうして模擬戦は、空母側の華々しい勝利で幕を閉じた。
449: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:20:51.73 ID:niZG7tfPo
――泊地・港――
加賀「……」
日向「……」
加賀「弱過ぎなんだけどマジ!」
加賀「誰だよ航空戦艦を無敵って言った奴は」
加賀「誰だよ航空戦艦を無敵って言った奴は出てこいよ!」
加賀「解体してやるよ!」
加賀「……よえーなまじ無敵無敵とか言ってまじで」
加賀「瑞雲放ってるだけじゃねえか!」
加賀「そういう模擬戦じゃねえからこれ!!」
日向「」
伊勢「満足した?」
加賀「ええ、とっても……」スッキリ
450: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:24:18.19 ID:niZG7tfPo
瑞鶴「龍驤!」
龍驤「なんや瑞鶴、そんなに急いで」
瑞鶴「すごかったじゃん今日の! 高角砲でバンバン敵機を撃ち落とす
空母らしからぬ活躍!」
龍驤「まぁー、アグレッシブなのがウチのとりえやし? それに……
赤城や加賀の真似しても仕方ないしなぁ」
赤城「でも、今日のは本当に凄かったですよ?」
龍驤「な、なんや赤城ぃ……照れるやないか……大したこと無いってあんなん」
加賀「……いいえ、そんなことはないわ龍驤。あなたは今も昔も、
立派な一航戦よ。胸を張りなさい」
龍驤「加賀まで……」
瑞鳳「まー龍驤ちゃんに張るほどの胸はないけども!」
龍驤「こらづほ! 最後の最後で台無しやないか!」
翔鶴「うふふ……」
瑞鶴「あははっ! おっかしー!」
龍驤「な~に笑っとるんや! 瑞鶴も他人ごとじゃないで!」
瑞鶴「なんですって~!」
……ずっとみんな一緒に居られたらいいのに。私は強くそう思った。
451: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:26:21.94 ID:niZG7tfPo
――泊地・執務室――
提督「いいか、ここにいる艦娘は皆、この泊地の主力を担う者達ばかりだ」
瑞鶴(うわー……戦艦や空母が一同に揃うなんて)
瑞鶴(……いや、案外とあったか? そういうこと)
加賀「……瑞鶴、提督の前よ、集中なさい」
瑞鶴「はいはい」
提督「そんなお前達を呼んだのはそう……」
提督「"あの深海棲艦の艦隊"と……近々雌雄を決しなければならない旨を
伝えなくてはいけなくなったからだ……」
瑞鶴「……あの艦隊。東方艦隊も、二航戦でも止められなかった……あの……!」
金剛「oh……それはデンジャラスなお知らせネー」
赤城「いずれ来るとは思っていましたが……」
翔鶴「いざその時が来ると……」
木曾「ま、少しは骨がある連中だと聞いてるがねぇ……?」
神通「その程度で済めば、いいのですけれど……」
提督「……お前達が不安に思うのもまぁ、わからんでもないんだがね……しかしだ
こちらも、引くわけにはいかん。前線の泊地が落ちれば、必然的に次の最前線はここになる」
提督「やらなきゃ、やられるだけだ……」
瑞鶴「……」
提督「今度の海戦は絶対負けるわけにはいかん。それは国のためでもある
だが、お前達のためでもあるんだ……」
提督「……こんなおじさんで、頼りないかも知れんが……」
提督「この戦いは必ず勝つ……! だから、信じて着いて来てくれないか?」
提督「いいか、ここにいる艦娘は皆、この泊地の主力を担う者達ばかりだ」
瑞鶴(うわー……戦艦や空母が一同に揃うなんて)
瑞鶴(……いや、案外とあったか? そういうこと)
加賀「……瑞鶴、提督の前よ、集中なさい」
瑞鶴「はいはい」
提督「そんなお前達を呼んだのはそう……」
提督「"あの深海棲艦の艦隊"と……近々雌雄を決しなければならない旨を
伝えなくてはいけなくなったからだ……」
瑞鶴「……あの艦隊。東方艦隊も、二航戦でも止められなかった……あの……!」
金剛「oh……それはデンジャラスなお知らせネー」
赤城「いずれ来るとは思っていましたが……」
翔鶴「いざその時が来ると……」
木曾「ま、少しは骨がある連中だと聞いてるがねぇ……?」
神通「その程度で済めば、いいのですけれど……」
提督「……お前達が不安に思うのもまぁ、わからんでもないんだがね……しかしだ
こちらも、引くわけにはいかん。前線の泊地が落ちれば、必然的に次の最前線はここになる」
提督「やらなきゃ、やられるだけだ……」
瑞鶴「……」
提督「今度の海戦は絶対負けるわけにはいかん。それは国のためでもある
だが、お前達のためでもあるんだ……」
提督「……こんなおじさんで、頼りないかも知れんが……」
提督「この戦いは必ず勝つ……! だから、信じて着いて来てくれないか?」
452: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:28:38.10 ID:niZG7tfPo
加賀「……はぁ、何を今更」
赤城「ほんと、今更ですよね?」
金剛「私はいつも、テートクの言うことならどんな願いもYESYES枕ネー」
榛名「榛名は大丈夫です。お会いした時から提督のこと、信じてますから……」
伊勢「提督ったら水臭いですよ? そんなの、聞かなくてもわかっているでしょ?」
日向「日向は艦隊にて最強。案ずるな、必ずや私が勝利に導いてみせるさ」
最上「大丈夫、僕の瑞雲さえあればね」
熊野「勝利の暁には神戸牛をご馳走していただきますわ。いいかしら?」
木曾「不安なのか? ふ……俺に任せておけ」
神通「皆さんと一緒なら……負ける気がしません」
翔鶴「みんなと一緒になって築き上げてきたこの泊地……決して深海棲艦なんかに
落とさせはしません!」
瑞鶴「そうだよ! 私達は絶対に負けないって信じてる! そして提督さんの事も!」
提督「ふ……何だ瑞鶴、そのついでみたいな言い方は」
瑞鶴「実際そうかも」
提督「ぬかしおる」
金剛「テートクゥ! 私はいつでも提督のこと信じてるネー!
信じてベットで待ってるんだから早く襲いに来てヨー!」
提督「すまない、私は朝潮ちゃんに添い寝してやらなくてはならないんだ……」
金剛「また駆逐艦デスかー!?」
453: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:29:32.90 ID:niZG7tfPo
提督「なんというか、駆逐艦は心が洗われるんだ……子供を持つってこういう気持ちなんだなって」
赤城「結婚を通り越してお父さんになっちゃってるわね」
提督「そうかも知れん……だが勘違いしないで欲しい。駆逐艦だけではなく、
私はお前達もみんな、私の娘だと思っている」
瑞鶴「お父さん下着一緒にしないでって言ってるじゃん! お父さんキモい!」
加賀「お父さん、またあの女と会ってたの?」
最上「お父さん瑞雲買ってよ」
日向「父さん、私……東京出てビックになる」
赤城「お父さんめし」
提督「お前達なぁ……」
本当に本当、皆でいると自然と笑顔になった。
皆で居るこの時間が、大好きだった。
そして運命は――。
454: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/20(木) 00:30:23.31 ID:niZG7tfPo
――数日後。
――戦闘海域――
加賀「……いよいよね」
赤城「……皆さん、準備はいいですか?」
翔鶴「なんだか、緊張してきました……」
瑞鶴「大丈夫だよ、私達が負けるはずない!」
運命はきっと、この戦いで決まるのだ。
――to be continue……。
――戦闘海域――
加賀「……いよいよね」
赤城「……皆さん、準備はいいですか?」
翔鶴「なんだか、緊張してきました……」
瑞鶴「大丈夫だよ、私達が負けるはずない!」
運命はきっと、この戦いで決まるのだ。
――to be continue……。
472: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:04:16.88 ID:wZGaJVR/o
【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3/後編(終)】
――海上・空母機動艦隊――
赤城「……月がよく出ているわね。こんな日は、月を肴に一杯やりたくなります
……なんて」
加賀「赤城さん、飛龍じゃないんですから……」
瑞鶴「案外余裕ですよね……赤城さん」
金剛「まーま、リラックスするのはいいことデース。心の余裕は大切ネー」
瑞鶴「……今頃、川内達は敵と交戦中かー……」
翔鶴「首尾よく進めばいいのですが……」
金剛「……ウーン……これは勘ですけケドも……多分敵は、夜明けまでは
攻勢に出ないと思いマース」
加賀「あら、奇遇ね。私もそう考えていました」
赤城「今や敵艦隊は私達の艦隊の規模を超えています
……きっと、敵が取る行動は一つ」
赤城「真正面からの物量押し……」
瑞鶴「私達相手に力押しで勝てると思ってる訳? 舐めてるんじゃないの?」
赤城「……そこが狙い目よ、瑞鶴ちゃん」
473: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:06:38.31 ID:wZGaJVR/o
瑞鶴「え?」
赤城「慢心させるだけ慢心させてやればいい。その結果を私達が突き付けてやるまで」
加賀「……敵の油断はそれだけこちらの優位となる。簡単な話です」
赤城「そんな簡単な話が、かつての私達はわかっていなかったんですけどね……」
翔鶴(この人達の言葉だから……重みがある)
加賀「でも、もうかつての私達ではありません。
加賀「二度と繰り返したりしない……全力を以ってして敵艦隊に当たります」
瑞鶴「決戦の時は近い……か」
瑞鶴(今は川内達、第一夜間強襲艦隊が敵艦隊に奇襲を仕掛けてる……そして次は……)
瑞鶴は思い出す。数日前に行われた作戦の説明の模様を……。
――――――
―――
―
474: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:08:55.94 ID:wZGaJVR/o
――数日前。
――泊地・作戦会議室――
提督「まずはこれを見て欲しい。これは現在我が泊地が保有する戦力の全てだ」
《泊地保有戦力》
・戦艦
金剛 榛名
伊勢 日向
・空母
赤城 加賀 翔鶴 瑞鶴
龍驤 瑞鳳
・巡洋艦
最上 熊野
五十鈴 木曾 天龍 川内 神通
・駆逐艦
吹雪 初雪 叢雲 磯波
綾波
雷 電
若葉
白露 時雨 村雨 夕立
陽炎 不知火 黒潮 初風
朝潮 大潮 満潮 荒潮
提督「最前線となる我が泊地としては申し分ない戦力だ……が、しかし
……報告を聞いた者は知っていると思うが、敵艦隊は我々の数を大きく上回る」
提督「従って我々は個々の高い技量と練度、そして数多の戦略を以ってして
その戦力差を埋めなくてはならん。辛く厳しい戦いになることだろう」
提督「これから艦隊編成と作戦概要を説明するが、皆、しっかりと聞いて欲しい
国の命運、泊地の命運……そして何より、お前達の命運がかかっているのだから」
そう前置きをしてから、提督は今回行う作戦を艦娘達に話し始めた。
475: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:15:02.44 ID:wZGaJVR/o
提督「敵艦隊の現在地は上がってきた報告から予測できる。従って我々は
それを迎え撃つ、もしくは先手を取って攻める形になる訳だが……」
提督「正直な所、正面から敵艦隊とやりあっても、こちらの勝機はあまりないと
言っていい。いや、勝てないことはないかもしれんが……それを遂行する為の
被害を考えるとあまり得策とはいえんのだ……」
提督「そこで私が考えた作戦はこうだ。まず始めに戦闘を行うのは……夜だ」
川内「もしかして、夜戦!?」
提督「ふふ、さすがに川内は飛びつくのが早い。そう、夜戦だ」
提督「水雷戦隊で構成された艦隊で敵艦隊を突く。夜戦なら軽巡や駆逐でも
十分に勝機はある。そしてこれを務めるのは第一夜間強襲艦隊……旗艦は川内だ」
川内「やったーーー! 夜戦だーー! やっせん~♪ やっせん~♪」
瑞鶴「川内うるさい!」
提督「しかし川内、第一夜間強襲艦隊の目的は敵艦の撃沈ではない。あくまでも
敵艦隊の統率を乱し、艦隊行動を崩すことにある」
提督「深追いせず、できるだけ戦場を引っ掻き回すことに尽力しなさい」
◇第一夜間強襲艦隊◇
《旗艦》:軽巡洋艦 川内
駆逐艦 若葉
駆逐艦 朝潮
駆逐艦 大潮
駆逐艦 満潮
駆逐艦 荒潮
476: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:16:14.83 ID:wZGaJVR/o
提督「そして第一夜間強襲部隊に続き、別の側面からもう一つの艦隊で
敵に攻撃を仕掛ける。第二夜間強襲艦隊だ。旗艦は……神通」
神通「あの、ご期待に添えるかどうかはわかりませんけど……頑張ります」
◇第二夜間強襲艦隊◇
《旗艦》:軽巡洋艦 神通
駆逐艦 綾波
駆逐艦 白露
駆逐艦 時雨
駆逐艦 村雨
駆逐艦 夕立
提督「第二夜間強襲艦隊は基本的には第一とやることは変わらない。がしかし、
第一夜間強襲艦隊は第二が来た時点で一度離脱する。つまり、第二夜間強襲艦隊は
第一夜間強襲艦隊を逃がす役目もある。たのんだよ」
神通「はい!」
提督「第二夜間強襲艦隊が場を引っ掻き回したらすかさず第一夜間強襲艦隊は反転
再び攻勢を仕掛ける。その間、第二夜間強襲艦隊は離脱」
提督「こうして深追いせずにヒット・アンド・アウェイで夜間は絶えず敵に攻撃
を仕掛けていく。敵艦の撃沈は重要視しなくてもいい。神通は探照灯を使わないように」
神通「うっ……わ、わかりました……」
477: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:18:45.57 ID:wZGaJVR/o
提督「こうして艦隊を乱した状態で敵は夜明けを迎える。そしてここからが
本番だ……まず前線は伊勢……お前さんが率いてくれ」
伊勢「わかりました。航空戦でも砲撃戦でもどーんと来なさい」
◇前線打撃艦隊◇
《旗艦》:航空戦艦 伊勢
航空巡洋艦 熊野
水雷戦隊
《旗艦》重雷装艦 木曾
駆逐艦 雷
駆逐艦 電
駆逐艦 叢雲
《旗艦》軽巡洋艦 天龍
駆逐艦 吹雪
駆逐艦 初雪
駆逐艦 磯波
提督「前線艦隊は敵の攻勢を食い止めつつ、敵を押し込めるんだ。水雷戦隊を二手に分け、
なるべく勢いのある攻撃を仕掛けて欲しい。攻撃が外れた時の事などは考えなくてもいい
とにかくがむしゃらに攻撃するんだ……怒涛の攻勢に入ったかのように」
天龍「へへ、いいねー、そーいうの待ってたんだよ!」
木曾「俺の重雷装なら、そのまま敵を仕留めてしまうかもしれないけどなぁ?」
本番だ……まず前線は伊勢……お前さんが率いてくれ」
伊勢「わかりました。航空戦でも砲撃戦でもどーんと来なさい」
◇前線打撃艦隊◇
《旗艦》:航空戦艦 伊勢
航空巡洋艦 熊野
水雷戦隊
《旗艦》重雷装艦 木曾
駆逐艦 雷
駆逐艦 電
駆逐艦 叢雲
《旗艦》軽巡洋艦 天龍
駆逐艦 吹雪
駆逐艦 初雪
駆逐艦 磯波
提督「前線艦隊は敵の攻勢を食い止めつつ、敵を押し込めるんだ。水雷戦隊を二手に分け、
なるべく勢いのある攻撃を仕掛けて欲しい。攻撃が外れた時の事などは考えなくてもいい
とにかくがむしゃらに攻撃するんだ……怒涛の攻勢に入ったかのように」
天龍「へへ、いいねー、そーいうの待ってたんだよ!」
木曾「俺の重雷装なら、そのまま敵を仕留めてしまうかもしれないけどなぁ?」
478: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:26:00.27 ID:wZGaJVR/o
提督「……そんな彼女達を援護するのは龍驤……お前が率いる航空爆撃艦隊だ」
龍驤「へ……? うちが旗艦?」
◇航空爆撃艦隊◇
《旗艦》軽空母 龍驤
航空戦艦 日向
軽空母 瑞鳳
航空巡洋艦 最上
防空隊
《旗艦》軽巡洋艦 五十鈴
駆逐艦 陽炎
駆逐艦 不知火
駆逐艦 黒潮
駆逐艦 初風
提督「日向は航空戦艦だが……、空の戦いではお前が一番適任だと思うのだが」
龍驤「そっかぁ……そかそか! へへーん、提督、中々いいセンスしとるやないか!」
龍驤「よっしゃ! うちの力、見せたるでー!」
提督「航空爆撃艦隊は航空戦力により味方を支援する。航空機は戦闘機と爆撃機中心だ。
制空権奪取の際には空母に対し急降下爆撃を行う事を頭に入れておいて欲しい、
また、状況に応じて日向や最上は前線に出ることも考えて行動するようにしなさい」
日向「任せておけ」
最上「僕らは無敵の瑞雲コンビさ」
479: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:30:04.48 ID:wZGaJVR/o
提督「そして最後に……空母機動部隊。旗艦は……赤城」
赤城「……一航戦の誇りにかけて、務め上げてみせます」
◇空母機動艦隊◇
《旗艦》:正規空母 赤城
正規空母 加賀
正規空母 翔鶴
正規空母 瑞鶴
戦艦 金剛
戦艦 榛名
提督「これまでの攻勢はつまるところ、敵を仕留めるための下準備だ
恐らく敵の統制系は乱れ、陣容は密度が高くなっているはず……」
提督「そこに、お前達空母の総攻撃を仕掛ける。この攻撃で敵艦を一網打尽にする」
提督「この海戦の行く末は、この攻撃に懸かっていると言っても過言ではない」
瑞鶴「ごくり……!」
翔鶴「せ、責任重大ですね……!」
加賀「全く、何を狼狽えているの……」
瑞鶴「だって……」
加賀「もっとしゃきっとなさい。あなた達の努力は、私も知っているわ」
加賀「大丈夫よ。自分達の力を信じなさい……」
瑞鶴「加賀さん……」
翔鶴「先輩……」
加賀「とまぁ、五航戦の子はこうでも言っておけばコロッと立ち直るから単純ね」
瑞鶴「な!」
加賀「足手まといになられるのはゴメンですから、形式的に激励してみました」
瑞鶴「はぁ……そういえばあんたは、そういう奴だった」
加賀「でも、少しは気が楽になったでしょう?」
瑞鶴「べ、別に~?」
翔鶴「ふふ……そうですね。少なくとも、肩の力は抜けました」
赤城「加賀さんったら……」
赤城「……一航戦の誇りにかけて、務め上げてみせます」
◇空母機動艦隊◇
《旗艦》:正規空母 赤城
正規空母 加賀
正規空母 翔鶴
正規空母 瑞鶴
戦艦 金剛
戦艦 榛名
提督「これまでの攻勢はつまるところ、敵を仕留めるための下準備だ
恐らく敵の統制系は乱れ、陣容は密度が高くなっているはず……」
提督「そこに、お前達空母の総攻撃を仕掛ける。この攻撃で敵艦を一網打尽にする」
提督「この海戦の行く末は、この攻撃に懸かっていると言っても過言ではない」
瑞鶴「ごくり……!」
翔鶴「せ、責任重大ですね……!」
加賀「全く、何を狼狽えているの……」
瑞鶴「だって……」
加賀「もっとしゃきっとなさい。あなた達の努力は、私も知っているわ」
加賀「大丈夫よ。自分達の力を信じなさい……」
瑞鶴「加賀さん……」
翔鶴「先輩……」
加賀「とまぁ、五航戦の子はこうでも言っておけばコロッと立ち直るから単純ね」
瑞鶴「な!」
加賀「足手まといになられるのはゴメンですから、形式的に激励してみました」
瑞鶴「はぁ……そういえばあんたは、そういう奴だった」
加賀「でも、少しは気が楽になったでしょう?」
瑞鶴「べ、別に~?」
翔鶴「ふふ……そうですね。少なくとも、肩の力は抜けました」
赤城「加賀さんったら……」
480: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:31:52.28 ID:wZGaJVR/o
提督「さて……以上が作戦の概要だ。ひと通り理解してくれたと思う」
提督「長々と話しておいてなんだが……お前達も知っての通り戦場というものは
何が起こるかわからん。全て作戦通りに行くことなんてのはだなぁ、まぁ……稀な訳だ」
提督「未知の深海棲艦。予期せぬトラブル。想定外の戦況変化。
その全てに対し完璧に対応するのは難しい」
提督「だがしかし、どんな状況でもこれだけは絶対に守ってほしいということが一つだけある」
提督「それは……」
提督「お前達全員、必ず生きて帰るということを第一に考えて欲しいということだ」
艦娘一同「……!」
提督「私はこう見えてもさみしがりやでね。一人でも艦娘がいなくなると、
寂しくてノイローゼになってしまうかも知れん」
提督「だから、必ず全員生きて戻ってきなさい」
「「「……はい!」」」
―
―――
――――――
482: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:37:08.71 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動部隊――
瑞鶴(そう、提督さんは言ったんだ。必ず生きて帰って来いって)
瑞鶴(できるよね、私達なら……)
金剛「! 戦果リザルト、上がったヨ~」
加賀「!」
榛名「……報告来たみたいですね、金剛お姉さま」
赤城「……それで、第一夜間強襲艦隊の状況は……?」
金剛「……oh、あまり状況はよろしくないみたいネー……」
瑞鶴「嘘……!」
赤城「……詳しく教えていただけませんか?」
金剛「旗艦、川内大破」
加賀「……!」
瑞鶴「あいつ……夜戦だってはしゃぐから……!」
翔鶴「それで、川内……彼女は無事なんですか!?」
金剛「……第二夜間強襲艦隊の頑張りもあって、幸い轟沈は免れたみたいデス……
現在は応急修理要員達によって戦線復帰を目指してマスが……正直苦しいでショウ……」
瑞鶴「よ、よかったぁ……」
加賀「よくなんかありません……旗艦を失った第一夜間強襲艦隊は、もう機能しません」
赤城「……妥当なところで、龍驤の所の防空隊を代わりに出すくらいかしら……?
とにかく、今私達が狼狽えても仕方がありません。信じて待ちましょう……提督の判断を」
彼女達は知らなかった。現在もう一つのトラブルが、今まさに前線で起こっているということを。
483: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:40:55.63 ID:wZGaJVR/o
――前線・第二夜間強襲艦隊――
神通「……川内姉さんは、ちゃんと一時撤退できたかしら……?」
白露「一番最初に砲撃開始!」ドン!
綾波「撃ちます! てーっ!」ドン!
神通「それにしても……報告がないのはおかしい……」
神通はこの時気付いてはいなかった。彼女自身の通信機能が故障していたことに。
神通「……何かあったのでしょうか? だとしても私はただ……作戦を実行するだけです」
しかし、これこそが……彼女達、第二夜間強襲艦隊の奮闘の始まりであった。
時雨「電探に感有り! 敵数10越え! 艦種まではちょっと特定できないかな……」
神通「夜戦になれば戦艦も駆逐艦もあまり変わりません」
村雨「えぇー……それはちょっと、言い過ぎでは~?」
夕立「戦艦さんも、駆逐艦さんも、みんな一緒にパーティするっぽい?」
神通「えっと、ではまず探照灯を……」
時雨「……それは提督に禁止されてるじゃないか」
神通「あ、そうでした。では……」
神通「全艦隊突撃」キッパリ
時雨「え」
484: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:44:09.31 ID:wZGaJVR/o
神通「ギリギリまで近づいて魚雷を放ちます。時雨さん、位置はわかりますか?」
時雨「ええっと、左舷11時の方向……距離は……」
神通「距離は必要ありません。見える位置に来たら発射します」
時雨「夜戦で見える位置までって……」ゲンナリ
村雨「むちゃくちゃなんですけどぉ~」
綾波「突撃ですか? じゃあ綾波、一足先に行きますね」
白露「あぁっ! ちょっと、一番は渡さないよーっ!」
夕立「さぁ、素敵なパーティしましょ?」
時雨「本気なのかい……?」
村雨「こ、困るんですけどー……」
第二夜間強襲艦、突撃。
ドォン! ドン!
神通「ぬるい砲撃……あの、皆さん。タイミングは指示しますので……
各自魚雷装填を怠らないでください」
白露「りょーかいしました!」
時雨「! 右舷より敵艦接近だよ!」
綾波「右舷ですね! そーれ!」
ドォン!
485: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:46:39.22 ID:wZGaJVR/o
時雨「沈黙……?」
村雨「いえ! まだよ!」
夕立「よりどりみどりっぽい!」
ドンドン!
夕立「……これでどうかしら?」
村雨「敵艦、沈黙……」
時雨「君達は一体何なんだい……」
綾波「さぁ?」
夕立「ぽい?」
神通「あの、そろそろ魚雷発射しますよ。進行方向真正面に魚雷を放ってください。
ではいきますよ……3、2、1……」
第二夜間強襲艦隊、魚雷発射。
ゴオォーーン……!
夕立「あたったっぽい?」
時雨「わからないね……」
神通「砲撃が止みました。恐らく当たりましたね……」
村雨「あ、あたってよかったぁ……」
綾波「……それじゃあ、このまま畳み掛けましょ~!」
時雨「な、何を言っているんだい君は……提督は深追いするなって」
神通「……いえ、この機を逃す手はありません」
神通「このまま敵艦隊に切り込みます」
夕立「夕立突撃するっぽい~! 今日はたくさんパーティするっぽい!」
村雨「も~勘弁してってば~!」
第二夜間強襲艦隊はその後も獅子奮迅の活躍を見せる。
彼女達は結局、救援に駆けつけた五十鈴達の存在にも気付くこと無く
なんと夜が明けるまでずっと戦い続けたのだった。
村雨「いえ! まだよ!」
夕立「よりどりみどりっぽい!」
ドンドン!
夕立「……これでどうかしら?」
村雨「敵艦、沈黙……」
時雨「君達は一体何なんだい……」
綾波「さぁ?」
夕立「ぽい?」
神通「あの、そろそろ魚雷発射しますよ。進行方向真正面に魚雷を放ってください。
ではいきますよ……3、2、1……」
第二夜間強襲艦隊、魚雷発射。
ゴオォーーン……!
夕立「あたったっぽい?」
時雨「わからないね……」
神通「砲撃が止みました。恐らく当たりましたね……」
村雨「あ、あたってよかったぁ……」
綾波「……それじゃあ、このまま畳み掛けましょ~!」
時雨「な、何を言っているんだい君は……提督は深追いするなって」
神通「……いえ、この機を逃す手はありません」
神通「このまま敵艦隊に切り込みます」
夕立「夕立突撃するっぽい~! 今日はたくさんパーティするっぽい!」
村雨「も~勘弁してってば~!」
第二夜間強襲艦隊はその後も獅子奮迅の活躍を見せる。
彼女達は結局、救援に駆けつけた五十鈴達の存在にも気付くこと無く
なんと夜が明けるまでずっと戦い続けたのだった。
486: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:51:52.74 ID:wZGaJVR/o
――海上・泊地艦隊後方――
神通「艦隊戻りました」
川内「あー……神通おつかれー」
陽炎「神通さん!? 無事だったの!?」
神通「せ、川内姉さん……どうしたのその傷……」
川内「いやー……実は早々に大破しちゃってねー。応急で今は何とか
中破まで持ち直したけど」
神通「はぁ、そうだったんですか……?」
川内「……知らなかったの?」
神通「えっと、実は通信機が壊れてたみたいで……」
神通「なんか、結局、夜通し戦ってました……」
黒潮「えー……なんやのそれ……」
川内「いいなぁー。私ももっとたくさん夜戦したかった~っ!」
神通「……そういえば、陽炎さん達は五十鈴さんと防空にあたっていたはずですが……?
何故ここに?」
陽炎「川内さんが早々に大破しちゃったからねー、代わりに私達が
第一夜間強襲艦隊の穴埋めをしたの。朝潮達は疲労した私達の代わりに
防空に当たっているわ」
初風「五十鈴はんは休みなしみたいやけどなー。本人ぼやいてたで~」
不知火「……神通、提督が心配しています。早くご連絡を」
神通「……川内姉さん、通信機お借りしてもよろしいですか?」
川内「いいよー」
神通「さて……」
神通「……あ、提督、ですか……? 神通です」
神通「第二夜間強襲艦隊……全員無事で、任務完了致しました!」
487: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:55:49.52 ID:wZGaJVR/o
――前線・打撃艦隊――
伊勢「うわー……神通達、相当暴れまわったみたいね」
熊野「お粗末な隊列ですわね……」
天龍「何だ、数が多いだけの烏合の衆じゃねぇか!」
木曾「これは叩かない手はないなぁ! そうだろう?」
熊野「簡単に言ってくれますわね……この数、本来ならば無謀な規模ですわよ?」
伊勢「まぁ数の不利は否めないけど……作戦通りいけば、いける!
みんな、手筈通り、頼むわよ!」
熊野「でもその前に……アレ、どうするつもりですの?」
伊勢「……敵の攻撃隊ね……どうしようか?」
伊勢「……なんて、言ってみるんだけどね」
ブウゥゥゥン……
雷「味方の戦闘機……」
電「龍驤さん達の艦載機なのです」
龍驤達の放った航空支援隊が前線に到着。敵航空機と交戦を開始する。
伊勢「うわー……神通達、相当暴れまわったみたいね」
熊野「お粗末な隊列ですわね……」
天龍「何だ、数が多いだけの烏合の衆じゃねぇか!」
木曾「これは叩かない手はないなぁ! そうだろう?」
熊野「簡単に言ってくれますわね……この数、本来ならば無謀な規模ですわよ?」
伊勢「まぁ数の不利は否めないけど……作戦通りいけば、いける!
みんな、手筈通り、頼むわよ!」
熊野「でもその前に……アレ、どうするつもりですの?」
伊勢「……敵の攻撃隊ね……どうしようか?」
伊勢「……なんて、言ってみるんだけどね」
ブウゥゥゥン……
雷「味方の戦闘機……」
電「龍驤さん達の艦載機なのです」
龍驤達の放った航空支援隊が前線に到着。敵航空機と交戦を開始する。
488: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:57:21.26 ID:wZGaJVR/o
熊野「最上の瑞雲も混じってますわね……どれ、私も加勢して差し上げますか」バシュン
航空巡洋艦 熊野、龍驤らの航空隊に向けて自らの瑞雲を飛ばし編隊に加える。
伊勢「ということでみんな! いくよ! 空の心配は必要ないわ! 龍驤達が守ってくれる!」
雷「私に任せておいて! 守るわ!」
電「なのです!」
叢雲「ま、そっちも精々頑張りなさいよ」
吹雪「叢雲もね」
初雪「やだ、お家帰りたい……」
磯波「引きこもりなんですねぇ……」
天龍「……よーしお前ら、俺について来い!」
木曾「重雷装艦のこの俺の魚雷……受けきれるかな? 出るぞ!」
前線打撃艦隊、攻撃開始。
489: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 17:58:47.11 ID:wZGaJVR/o
――海上・航空爆撃艦隊――
龍驤「ふぅー……何とか、間に合ったみたいやなぁ」
瑞鳳「みんな、大丈夫かなぁ?」
日向「……時に最上、もし航空支援に瑞雲が駆けつけたら、お前ならどう思う」
最上「勝利を確信する」
日向「つまり、そういうことだ……」
満潮「なにそれ!? 意味分かんない!」
最上「約束された勝利の瑞雲」
龍驤「アホなこと言っとらんで、真面目にやらんかい」
瑞鳳「……龍驤ちゃん張り切ってるねぇ~」
龍驤「うち、旗艦やし? それにようやくウチも零戦積んだし?
ま、正直今のうちは無敵やな」
日向「それはない」
最上「そうだね」
龍驤「キミ達ねぇ……一度自分の面、鏡で見た方がええんちゃうか?」
490: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:00:03.41 ID:wZGaJVR/o
――前線・打撃艦隊正面隊――
重巡リ級「……!」ドオォン!
伊勢「くっ……」
軽巡ト級「ッ!」ドンドン!
伊勢「さすがに数が多いわね!」
瑞雲「シエンナノカイ?」ヒュン!
ボオォォン……!
伊勢「サンキュー瑞雲!」
熊野「ふぅ……夜間強襲艦隊の活躍と、航空支援がなければ、とても五分には
持ち込めませんでしたわね……」
伊勢「そうね……これは長くは持たないかも……みんな……頑張って耐えてっ」
491: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:02:39.43 ID:wZGaJVR/o
――海上・水雷戦隊/木曾隊――
木曾「……どいつもこいつも無駄に興奮しやがって」
木曾「そんなに沈みたいのかねぇ?」
電「はわわ! 敵さん近づいてくるのです!」
雷「ぼさっとしてないで迎撃よ! 電!」
叢雲「……私の前を遮る愚か者め! 沈め!」ドン!
駆逐イ級「……ッ?」サッ
叢雲「ちぃ! 近弾か……!」
雷「任せて! 撃つわ!」
ドォン!
駆逐イ級「!!」ガコン
駆逐イ級「……ッ! ……、……」
駆逐イ級、撃沈!
雷「雷様にかかればこの通りよ!」
叢雲「くっ……手柄を取られたわ」
木曾「いいぞぉ! お前達!」
電「でもでも! どんどんくるのです!」
木曾「ふ……なぁに心配いらないさ……」
木曾「見せてやるよ……酸素魚雷……全門斉射ぁ!」
バシュンバシュンバシュンバシュバシュバシュンッ!!
重雷装艦 木曾、大量の酸素魚雷を敵艦隊に向けて発射。
ドゴォーーーン!
木曾「へっ……大分スッキリしたじゃないか」
電「木曾さんかっこいいのですーー!」
雷「天龍よりもずっと頼りになるわね!」
木曾「……どいつもこいつも無駄に興奮しやがって」
木曾「そんなに沈みたいのかねぇ?」
電「はわわ! 敵さん近づいてくるのです!」
雷「ぼさっとしてないで迎撃よ! 電!」
叢雲「……私の前を遮る愚か者め! 沈め!」ドン!
駆逐イ級「……ッ?」サッ
叢雲「ちぃ! 近弾か……!」
雷「任せて! 撃つわ!」
ドォン!
駆逐イ級「!!」ガコン
駆逐イ級「……ッ! ……、……」
駆逐イ級、撃沈!
雷「雷様にかかればこの通りよ!」
叢雲「くっ……手柄を取られたわ」
木曾「いいぞぉ! お前達!」
電「でもでも! どんどんくるのです!」
木曾「ふ……なぁに心配いらないさ……」
木曾「見せてやるよ……酸素魚雷……全門斉射ぁ!」
バシュンバシュンバシュンバシュバシュバシュンッ!!
重雷装艦 木曾、大量の酸素魚雷を敵艦隊に向けて発射。
ドゴォーーーン!
木曾「へっ……大分スッキリしたじゃないか」
電「木曾さんかっこいいのですーー!」
雷「天龍よりもずっと頼りになるわね!」
492: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:04:12.32 ID:wZGaJVR/o
――海上・水雷戦隊/天龍隊――
天龍「っへくし! おい誰だ俺様の噂をしてる奴は……」
天龍「あ、アレか? 俺が強すぎるから、噂してんのか~?
照れんなぁ~おいぃ」
吹雪(……大丈夫かなこの人)
天龍「つってもアレだな、いくら俺が強くても数が多すぎる」
天龍「これじゃあ長くは持たねぇぞ……」
磯波「ここは、私も頑張るときなのです!」
初雪「私もやる時は、やる」
天龍「そうだな……いっちょ踏ん張ってみるか!」
前線艦隊、奮戦! 圧倒的数の不利にありながらも敵に立て直しの隙を与えない!
天龍「っへくし! おい誰だ俺様の噂をしてる奴は……」
天龍「あ、アレか? 俺が強すぎるから、噂してんのか~?
照れんなぁ~おいぃ」
吹雪(……大丈夫かなこの人)
天龍「つってもアレだな、いくら俺が強くても数が多すぎる」
天龍「これじゃあ長くは持たねぇぞ……」
磯波「ここは、私も頑張るときなのです!」
初雪「私もやる時は、やる」
天龍「そうだな……いっちょ踏ん張ってみるか!」
前線艦隊、奮戦! 圧倒的数の不利にありながらも敵に立て直しの隙を与えない!
493: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:09:14.98 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
金剛「前線のみんな、頑張っているみたいデース」
瑞鶴「もどかしいわね……提督さんからの通信はまだなの?」
赤城「慌てないで……今は機を伺う時です……」
加賀「龍驤……頑張っているようね。敵航空機は全然こちらに来ていないのだから」
翔鶴「皆さんの頑張りに応えるために……私達も頑張らなくてはいけませんね」
榛名「そうですね……」
ジジッ……
『赤城、聞こえるか……?』
赤城「提督、ですか?」
『あぁ……そうだ』
『機は熟した。私はお前に命令を下す……』
『空母機動艦隊……万全を以って敵艦隊を攻撃せよ!』
赤城「第一次攻撃隊発艦用意!」
加賀「ようやくですか」
瑞鶴「よし! アウトレンジ決めるわ!」
翔鶴「全航空隊、発艦開始です!」
赤城「行きますよ皆さん! 目標、敵艦隊!」
赤城「我が泊地の総力を以って、敵艦隊を殲滅します!!」
空母機動艦隊、満を持して攻撃隊を飛ばす。
彼女達の思いを乗せて、攻撃隊は敵艦隊へと飛んでいった。
金剛「前線のみんな、頑張っているみたいデース」
瑞鶴「もどかしいわね……提督さんからの通信はまだなの?」
赤城「慌てないで……今は機を伺う時です……」
加賀「龍驤……頑張っているようね。敵航空機は全然こちらに来ていないのだから」
翔鶴「皆さんの頑張りに応えるために……私達も頑張らなくてはいけませんね」
榛名「そうですね……」
ジジッ……
『赤城、聞こえるか……?』
赤城「提督、ですか?」
『あぁ……そうだ』
『機は熟した。私はお前に命令を下す……』
『空母機動艦隊……万全を以って敵艦隊を攻撃せよ!』
赤城「第一次攻撃隊発艦用意!」
加賀「ようやくですか」
瑞鶴「よし! アウトレンジ決めるわ!」
翔鶴「全航空隊、発艦開始です!」
赤城「行きますよ皆さん! 目標、敵艦隊!」
赤城「我が泊地の総力を以って、敵艦隊を殲滅します!!」
空母機動艦隊、満を持して攻撃隊を飛ばす。
彼女達の思いを乗せて、攻撃隊は敵艦隊へと飛んでいった。
494: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:10:37.09 ID:wZGaJVR/o
――前線・打撃艦隊正面隊――
伊勢「これ以上はもうキツイ……かな?」
熊野「……見てください! アレ!」
伊勢「……ようやく、来たわね」
――前線・水雷戦隊/木曾隊――
木曾「遅すぎるぜ……全く」
雷「みんな、やっちゃって!」
――前線・水雷戦隊/天龍隊――
天龍「よっしゃあーー! やっちまえ!」
吹雪「すごい数……これなら……!」
空母機動艦隊の攻撃隊、敵艦隊に肉薄。
495: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:12:51.50 ID:wZGaJVR/o
――前線・敵艦隊上空――
敵艦載機「……!」
『へっ……! 敵さん来やがったみてぇだな!』
『俺達一航戦の搭乗員に勝てるもんか!』
『一航戦だけにいい格好はさせませんよ!』
『五航戦のやつらか……ふん、俺達について来れるかな!?』
『行きますとも!』
敵艦載機「!!」ババババババ
『遅いね!』ドン
敵艦載機「!?」
ドゴーン!
『かっかっか! 手応えのない! このまま旗艦に突撃だあああ!』
『手柄は独り占めさせませんよ!』
『やれるもんならやってみな!』
『戦艦タ級! 高射砲を向けてきます!』
『戦艦の砲撃なんて恐れるな! 当たりゃしねえさ!』
バババババ……
『そんなへなちょこ弾、当たらな……』
ボンッ!
『え……?』
『お、おい……?』
『ナンダ? 今の、当たったの……?』
『タ級の砲撃! まだ来ます!』
『ば、ばかn』
ボンッ!
敵艦載機「……!」
『へっ……! 敵さん来やがったみてぇだな!』
『俺達一航戦の搭乗員に勝てるもんか!』
『一航戦だけにいい格好はさせませんよ!』
『五航戦のやつらか……ふん、俺達について来れるかな!?』
『行きますとも!』
敵艦載機「!!」ババババババ
『遅いね!』ドン
敵艦載機「!?」
ドゴーン!
『かっかっか! 手応えのない! このまま旗艦に突撃だあああ!』
『手柄は独り占めさせませんよ!』
『やれるもんならやってみな!』
『戦艦タ級! 高射砲を向けてきます!』
『戦艦の砲撃なんて恐れるな! 当たりゃしねえさ!』
バババババ……
『そんなへなちょこ弾、当たらな……』
ボンッ!
『え……?』
『お、おい……?』
『ナンダ? 今の、当たったの……?』
『タ級の砲撃! まだ来ます!』
『ば、ばかn』
ボンッ!
496: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:14:45.69 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
「報告! 敵艦隊の対空装備! 極めて優秀也! 味方航空隊、被害拡大!
戦艦タ級、新型の信管を搭載した対空装備を配備している模様!」
加賀「どういうこと……?」
瑞鶴「嘘……ま、まさか……!」
翔鶴「VT、信管……?」
加賀「それは、一体……?」
瑞鶴「いつもアンタが言ってるでしょ? 七面鳥七面鳥って……」
瑞鶴「私がそう呼ばれるに至った元凶よ……当たらなくても炸裂する
新しい信管……!」
榛名「そんな……!」
加賀「三式弾と同じ要領で対応すれば……」
瑞鶴「三式弾なんかとは訳が違う!」
瑞鶴「もう、ダメ……アレを破る方法なんて、思いつかない……」
加賀「……瑞鶴、あなた……何故、弱音を吐いているの?」
加賀「私達がやらなくては……前線の艦隊はどうなるの?」
瑞鶴「そんなこと言ったって……」
翔鶴(瑞鶴は、アレがトラウマになっているのね……かくいう私も、だけど)
瑞鶴「そんな……あんまりだよ……! なんでこんなところで……!」
「報告! 敵艦隊の対空装備! 極めて優秀也! 味方航空隊、被害拡大!
戦艦タ級、新型の信管を搭載した対空装備を配備している模様!」
加賀「どういうこと……?」
瑞鶴「嘘……ま、まさか……!」
翔鶴「VT、信管……?」
加賀「それは、一体……?」
瑞鶴「いつもアンタが言ってるでしょ? 七面鳥七面鳥って……」
瑞鶴「私がそう呼ばれるに至った元凶よ……当たらなくても炸裂する
新しい信管……!」
榛名「そんな……!」
加賀「三式弾と同じ要領で対応すれば……」
瑞鶴「三式弾なんかとは訳が違う!」
瑞鶴「もう、ダメ……アレを破る方法なんて、思いつかない……」
加賀「……瑞鶴、あなた……何故、弱音を吐いているの?」
加賀「私達がやらなくては……前線の艦隊はどうなるの?」
瑞鶴「そんなこと言ったって……」
翔鶴(瑞鶴は、アレがトラウマになっているのね……かくいう私も、だけど)
瑞鶴「そんな……あんまりだよ……! なんでこんなところで……!」
497: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:16:22.05 ID:wZGaJVR/o
――前線・水雷戦隊/天龍隊――
天龍「お、おい……なんか、空の様子が様子がおかしいぞ?」
吹雪「……! 初雪!」
軽巡ヘ級「!!」バシュン
初雪「!! いや……ッ!」
ドゴン!
駆逐艦 初雪、敵魚雷直撃。大破。
――海上・航空爆撃部隊――
敵艦載機「ッ!」バババババ
龍驤「くぅ……! 敵の艦載機がこんなところまで~……?」
日向「一体前線はどうなっているんだ……?」
朝潮「対空迎撃を開始します!」
満潮「ウザいわね……こいつら!」
498: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:18:02.67 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
「敵対空迎撃! ますます激化していきます! このままでは……!」
加賀「何か、何か手はないの? やはり三式弾と同じ要領で……」
瑞鶴「無駄だよ、そんなの」
加賀「……あなた、本気で言っているのかしら」
加賀「戦いを、諦めるの?」
瑞鶴「違う! 諦めたくなんか無い……でも、無理なんだよ……」
瑞鶴「もう何もかも、おしまい……!」
加賀「馬鹿なことを言わないで。私達を信じて戦っている前線の子達を、
その信頼を! 裏切るつもり!?」
瑞鶴「うぅ……」
加賀「……もういい。私達だけでも何とかしましょう、赤城さん」
赤城「ですが……」
加賀「あの子はもう役に立たない」
金剛「加賀……その言い方はBADネー」
金剛「みんな、ちょっと落ち着きなヨ。確かに敵の装備は強力……
でもここで思考停止したら、それこそ本当に終わりデース」
赤城「……そう、ですね。すみません金剛さん」
加賀「……私は至って冷静です。その上で、
私は彼女を切り捨てると言っています」
赤城「加賀さん……」
「敵対空迎撃! ますます激化していきます! このままでは……!」
加賀「何か、何か手はないの? やはり三式弾と同じ要領で……」
瑞鶴「無駄だよ、そんなの」
加賀「……あなた、本気で言っているのかしら」
加賀「戦いを、諦めるの?」
瑞鶴「違う! 諦めたくなんか無い……でも、無理なんだよ……」
瑞鶴「もう何もかも、おしまい……!」
加賀「馬鹿なことを言わないで。私達を信じて戦っている前線の子達を、
その信頼を! 裏切るつもり!?」
瑞鶴「うぅ……」
加賀「……もういい。私達だけでも何とかしましょう、赤城さん」
赤城「ですが……」
加賀「あの子はもう役に立たない」
金剛「加賀……その言い方はBADネー」
金剛「みんな、ちょっと落ち着きなヨ。確かに敵の装備は強力……
でもここで思考停止したら、それこそ本当に終わりデース」
赤城「……そう、ですね。すみません金剛さん」
加賀「……私は至って冷静です。その上で、
私は彼女を切り捨てると言っています」
赤城「加賀さん……」
499: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:20:27.49 ID:wZGaJVR/o
――前線・打撃艦隊正面隊――
パン! パン! パララララ……
伊勢「そんな……あの大編隊でも、敵わないの……?」
熊野「わたくし達、ここで……果てますの……? まだ、最後の神戸牛
……食べてないのに。鈴谷と、おしゃれな服をもっと買いたかった……!」
「終わるのはまだ早いよねっ!」
ドン!
伊勢「……味方の砲撃?」
熊野「あ、あなたは……川内さん!」
川内「川内参上! 助けに来たよ!」
伊勢「川内、あなた……まだ大破から復帰したばかりでしょ!?」
川内「皆の苦戦を聞いて、後方でのうのうとしていられるほど
……私達は薄情じゃない! そうだよね、みんな?」
陽炎「寧ろここからが私達の見せ場よ!」
不知火「そうね……不知火はいつもよりもずっと……切れているわ」
黒潮「ほな、突撃や!」
初風「……妙高姐さんはいないわよね? ここ。海中から現れたりしたら……
わあああ怖い! 失禁する自信あるわ……」
神通「あの……私達も、お手伝いします」
綾波「砲撃戦いきます! てぇーい!」
夕立「まだまだパーティは終わらないっぽい?」
白露「一番初めに敵艦撃沈するんだから~!」
時雨「……僕は正直疲れたかな」
村雨「村雨も疲れてるんですけど~……」
伊勢「みんな……!」
熊野「行きましょう! まだ終わってない、終わらせませんわ! トオォォォン!」
パン! パン! パララララ……
伊勢「そんな……あの大編隊でも、敵わないの……?」
熊野「わたくし達、ここで……果てますの……? まだ、最後の神戸牛
……食べてないのに。鈴谷と、おしゃれな服をもっと買いたかった……!」
「終わるのはまだ早いよねっ!」
ドン!
伊勢「……味方の砲撃?」
熊野「あ、あなたは……川内さん!」
川内「川内参上! 助けに来たよ!」
伊勢「川内、あなた……まだ大破から復帰したばかりでしょ!?」
川内「皆の苦戦を聞いて、後方でのうのうとしていられるほど
……私達は薄情じゃない! そうだよね、みんな?」
陽炎「寧ろここからが私達の見せ場よ!」
不知火「そうね……不知火はいつもよりもずっと……切れているわ」
黒潮「ほな、突撃や!」
初風「……妙高姐さんはいないわよね? ここ。海中から現れたりしたら……
わあああ怖い! 失禁する自信あるわ……」
神通「あの……私達も、お手伝いします」
綾波「砲撃戦いきます! てぇーい!」
夕立「まだまだパーティは終わらないっぽい?」
白露「一番初めに敵艦撃沈するんだから~!」
時雨「……僕は正直疲れたかな」
村雨「村雨も疲れてるんですけど~……」
伊勢「みんな……!」
熊野「行きましょう! まだ終わってない、終わらせませんわ! トオォォォン!」
500: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:23:16.62 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
「報告! 川内ら水雷戦隊、前線に加勢! 戦線、一時的に持ち直しました!」
瑞鶴「嘘!? あの夜戦馬鹿、大破してたんじゃ……」
翔鶴「皆が皆、頑張ってる……なのに!」
瑞鶴「私達は……無力だ」
赤城「……それは違うわ、瑞鶴ちゃん」
瑞鶴「え……?」
赤城「かつての戦いでは……あなた達は新生一航戦として頑張っていた。
早々に散っていった私達に代わって、その殆どの戦いが劣勢の中にあっても
最後まで敵に立ち向かった……」
赤城「あなた達には辛い戦いばかりさせてしまった。私達が沈まなければ
あなた達だけにその重荷を背負わせる事にはならなかったのに……ごめんなさい」
そう言って赤城は……翔鶴と瑞鶴を抱きしめた。
瑞鶴「あ……」
翔鶴「えっと……」
赤城「あの戦いが、二人にトラウマを作ってしまった……本当にごめんなさい」
翔鶴「そんな、先輩が謝る必要なんて無いですよ……」
赤城「だけどね、翔鶴ちゃん、瑞鶴ちゃん。今は……私達がいるの。あの時とは違う……
もうあなた達だけに重荷を背負わせたりしない!」
赤城「私達が力を合わせれば、どんな困難だって打ち破れるはずよ。VT信管が
なんだって言うんですか! 私達が培ってきたものは! 時間は……その程度の
ものじゃないでしょう?」
赤城「大丈夫。私達無力なんかじゃない。きっと……できるわ」
「報告! 川内ら水雷戦隊、前線に加勢! 戦線、一時的に持ち直しました!」
瑞鶴「嘘!? あの夜戦馬鹿、大破してたんじゃ……」
翔鶴「皆が皆、頑張ってる……なのに!」
瑞鶴「私達は……無力だ」
赤城「……それは違うわ、瑞鶴ちゃん」
瑞鶴「え……?」
赤城「かつての戦いでは……あなた達は新生一航戦として頑張っていた。
早々に散っていった私達に代わって、その殆どの戦いが劣勢の中にあっても
最後まで敵に立ち向かった……」
赤城「あなた達には辛い戦いばかりさせてしまった。私達が沈まなければ
あなた達だけにその重荷を背負わせる事にはならなかったのに……ごめんなさい」
そう言って赤城は……翔鶴と瑞鶴を抱きしめた。
瑞鶴「あ……」
翔鶴「えっと……」
赤城「あの戦いが、二人にトラウマを作ってしまった……本当にごめんなさい」
翔鶴「そんな、先輩が謝る必要なんて無いですよ……」
赤城「だけどね、翔鶴ちゃん、瑞鶴ちゃん。今は……私達がいるの。あの時とは違う……
もうあなた達だけに重荷を背負わせたりしない!」
赤城「私達が力を合わせれば、どんな困難だって打ち破れるはずよ。VT信管が
なんだって言うんですか! 私達が培ってきたものは! 時間は……その程度の
ものじゃないでしょう?」
赤城「大丈夫。私達無力なんかじゃない。きっと……できるわ」
501: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:24:59.32 ID:wZGaJVR/o
瑞鶴「……」
瑞鶴「……翔鶴姉」
翔鶴「ええ、わかってるわ瑞鶴。やりましょう!」
瑞鶴「そうだよね……私、なに一人で自己完結してたんだろ……そうだよ、
あの時とは違うんだ! ……負けっぱなしっていうのは、性に合わないし
……リベンジよ、今度は負けない!」
加賀「立ち直ったのなら、早く第二次攻撃隊の発艦準備をなさい」
瑞鶴「ぁ……か、加賀さん……」
加賀「……何か?」
瑞鶴「あの、すみませんでした。私……取り乱して、情けないこと言って……」
加賀「……反省しているのであれば、もういいわ」
瑞鶴「私、もう弱音を吐いたりなんかしません! 決して諦めたりもしない!
だから……」
瑞鶴「一緒に、戦ってくれますか……?」
加賀「そうね……帰ったら、間宮の甘味でも奢ってもらおうかしら?」
瑞鶴「……!」
翔鶴「先輩……!」
加賀「まぁ、期待はしているわ」
瑞鶴「……はい!」
502: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:26:49.05 ID:wZGaJVR/o
赤城「……さて、仲直りも済んだところで本題よ」
金剛「感傷に浸る暇もないネー」
榛名「何か策はあるのですか……?」
赤城「翔鶴ちゃん、瑞鶴ちゃん。あなた達……流星は、持っていたわよね?」
翔鶴「はい。ありますけれど……2、3機程度しかないですよ? まだ量産の
目処が立っていなくて……」
赤城「少なくてもいいのよ……今必要なのは少数での打撃力と……速力。
これが一番重要よ」
赤城「通信妖精さん。VT信管はタ級以外にも配備されていましたか?」
「いえ……新型の信管は恐らくタ級だけです。他は従来の信管でしょう」
赤城「敵旗艦の位置は?」
「はっきりとはわかりませんが……戦艦ル級フラグシップや空母ヲ級フラグシップが
仰々しく取り囲んでいる箇所があります……恐らくそこに……」
赤城「そうですか……それさえわかれば結構!」
瑞鶴「赤城さん……一体どういう……?」
加賀「私にはわかります……赤城さん、やるんですね?」
赤城「ええ……第二次攻撃隊で……敵の旗艦を落とす!」
503: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:29:26.16 ID:wZGaJVR/o
――前線・海上――
龍驤「しっかしまぁー、こらあかんなー! 後方で大人しくしとったほうが良かったわー!」
瑞鳳「前線に行くって言いだしたのは龍驤ちゃんでしょ~?」
龍驤「すまんなぁ、ウチ、意外と大胆な所あるから」
日向「意外でも何でもないが?」
軽巡へ級「ッ!!」ドン!
駆逐イ級「……ッ」バン!
最上「くっそぉ! こいつら、無駄に数が多すぎるよ!」ドゴン!
伊勢「龍驤の隊も合流して……これでもう前線に出れる艦はほぼ出尽くした感じね……
それでも持ちこたえるのがやっとなんて……!」
熊野「諦めてはいけません! 勝利は、諦めぬ者にのみ訪れるのですわ!」チャキ
ドォン……!
軽巡へ級「!? ……ッ……」
熊野「お一人様天国にご案内ですわ!」
陽炎「私達も負けてらんないわね!」
不知火「すい! らい! せんたん! 行きます!」
黒潮「不知火ちゃん……それちょっとおかしない?」
川内「……あれ、なんか……味方の航空機の様子が変じゃない?」
神通「……あれは……?」
日向「何をやっているんだ……あんなに密集して、狙い撃ちにされるぞ!」
瑞鳳「密集しようがしまいが、どのみちVT信管で……」
龍驤「……いや、何かおっぱじめる気やな……赤城達は……」
龍驤「しっかしまぁー、こらあかんなー! 後方で大人しくしとったほうが良かったわー!」
瑞鳳「前線に行くって言いだしたのは龍驤ちゃんでしょ~?」
龍驤「すまんなぁ、ウチ、意外と大胆な所あるから」
日向「意外でも何でもないが?」
軽巡へ級「ッ!!」ドン!
駆逐イ級「……ッ」バン!
最上「くっそぉ! こいつら、無駄に数が多すぎるよ!」ドゴン!
伊勢「龍驤の隊も合流して……これでもう前線に出れる艦はほぼ出尽くした感じね……
それでも持ちこたえるのがやっとなんて……!」
熊野「諦めてはいけません! 勝利は、諦めぬ者にのみ訪れるのですわ!」チャキ
ドォン……!
軽巡へ級「!? ……ッ……」
熊野「お一人様天国にご案内ですわ!」
陽炎「私達も負けてらんないわね!」
不知火「すい! らい! せんたん! 行きます!」
黒潮「不知火ちゃん……それちょっとおかしない?」
川内「……あれ、なんか……味方の航空機の様子が変じゃない?」
神通「……あれは……?」
日向「何をやっているんだ……あんなに密集して、狙い撃ちにされるぞ!」
瑞鳳「密集しようがしまいが、どのみちVT信管で……」
龍驤「……いや、何かおっぱじめる気やな……赤城達は……」
504: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:32:36.42 ID:wZGaJVR/o
――深海棲艦・艦隊中枢部――
空母ヲ級「ヲッ……ヲッ……」
戦艦ル級「……」
戦艦棲鬼「オロカナ……イチモウダジンニシテヤル……シズミナサイ」
戦艦棲鬼、戦艦タ級や空母達に敵航空隊の殲滅を指示する。
命令に従い、タ級達は高射砲による対空砲撃を開始。
戦闘機もそれを補助。VT信管を搭載した砲弾が、赤城達の航空隊に襲いかかる。
505: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:33:22.07 ID:wZGaJVR/o
――前線・水雷戦隊/木曾隊――
木曾「さすがに分が悪いねぇ……」
電「木曾さん!」
雷「空を見て!」
叢雲「何をやっているのかしら、あれ……」
木曾「さぁさっぱりだ……トチ狂ったとしか思えないぜ」
木曾「だがもし、あの動きに意味があるのなら……信じてみるか? あいつらを……」
506: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:34:59.14 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
「赤城さん! 味方航空隊被害甚大! これ以上は危険です!」
赤城「お願い……もう少し耐えて!」
加賀「瑞鶴……まだなのかしら?」
瑞鶴「あと少し……あと少しで……!」
翔鶴「!! ……敵旗艦、捉えたみたいです!」
赤城「……よし! 一航戦の搭乗員の皆さん! ここが踏ん張りどきです!
精一杯タ級を引きつけて!!」
加賀「あなた達は優秀です……誇りを以って敵に当たりなさい!」
――前線・敵艦隊上空――
『へへ……五航戦どもの支援ってのは、気に食わねぇが……』
『赤城さんと加賀さんに頼まれちゃ、やらねぇわけにはいかねぇよな! お前ら!』
『おうともさ!』
『俺の視力を舐めるなよ!』
『おーい、お前ら墜されるなよ~?』
『墜ちないよ! まだ紫電改に乗ってないんだからさ!』
航空隊、縦横無尽に空を駆け、戦艦タ級を翻弄する。
しかし敵の対空装備は強力で、航空隊の総数はもはや開戦時の2分の1を割っていた。
「赤城さん! 味方航空隊被害甚大! これ以上は危険です!」
赤城「お願い……もう少し耐えて!」
加賀「瑞鶴……まだなのかしら?」
瑞鶴「あと少し……あと少しで……!」
翔鶴「!! ……敵旗艦、捉えたみたいです!」
赤城「……よし! 一航戦の搭乗員の皆さん! ここが踏ん張りどきです!
精一杯タ級を引きつけて!!」
加賀「あなた達は優秀です……誇りを以って敵に当たりなさい!」
――前線・敵艦隊上空――
『へへ……五航戦どもの支援ってのは、気に食わねぇが……』
『赤城さんと加賀さんに頼まれちゃ、やらねぇわけにはいかねぇよな! お前ら!』
『おうともさ!』
『俺の視力を舐めるなよ!』
『おーい、お前ら墜されるなよ~?』
『墜ちないよ! まだ紫電改に乗ってないんだからさ!』
航空隊、縦横無尽に空を駆け、戦艦タ級を翻弄する。
しかし敵の対空装備は強力で、航空隊の総数はもはや開戦時の2分の1を割っていた。
507: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:37:20.03 ID:wZGaJVR/o
戦艦棲鬼「フフフ……オワリダ……」
彼女は静かに、しかし確実に勝利を確信したことだろう。だがしかし!
戦艦棲鬼「!? ……ナンダ、アレハ!」
『真打ちは……遅れてやってくるものです!』
流星、敵艦隊の背後を突き接近!
戦艦棲鬼「ゲイゲキ……!」
戦艦棲鬼、急遽タ級に迎撃を要請。しかし、彼女達は前方の航空隊の対処に追われ、
それどころではなかった。
戦艦棲鬼『アエテソチラニ、ヒキツケテイタノカ……!』
戦艦棲鬼『コシャクナ!!!』
戦艦棲鬼、随伴艦の戦艦ル級や空母ヲ級と共に迎撃を開始。
信管は通常のものだった。
瑞鳳「させない!」
龍驤「ウチらが守ったるで!!!」
軽空母龍驤、瑞鳳。瑞鶴翔鶴らの流星を支援。敵艦載や砲撃から流星を守る。
508: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:37:59.61 ID:wZGaJVR/o
赤城「瑞鶴ちゃん! 翔鶴ちゃん!」
加賀「やりなさい!!」
翔鶴「落ち着いて……捉える!!」
瑞鶴「目標……敵旗艦! 戦艦棲鬼! 行け!!!」
戦艦棲鬼「!!!!!」
ドゴオオオオォォォォーーーーーーン!!!
509: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:40:49.83 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
「流星の雷撃……多数命中! 敵旗艦・戦艦棲鬼……沈黙!」
赤城「……ふぅ」
瑞鶴「……やったの? 私達……やれたの?」
翔鶴「ええ、やったのよ、私達……! やり遂げたの……!」
瑞鶴「やっ……」
瑞鶴「やったぁーーーーー!!」
金剛「Fu~……一時はどうなるかと思ったネー」
榛名「旗艦を失った深海棲艦は最早脅威ではありません。敵はじきに統率を崩し、こちらの戦力でも
十分に撃破可能となるでしょう」
赤城「ほらね、言ったとおりでしょう? 私達ならきっとできるって」
翔鶴「みなさんのご助力があったからこそ、敵旗艦にこうして攻撃を仕掛けることが出来ました!
感謝です!」
加賀「赤城さんの考えた作戦なのだから、当然の結果よ」
金剛「素直じゃないネー加賀は。瑞鶴達も頑張ったんだカラー、もっと褒めてあげなヨー!」
加賀「……何故一々褒めなくてはいけないの?」
瑞鶴「うっ……やはり手厳しいようで……」
加賀「あなた達なら必ずやり遂げると信じていました。これもまた、当然の結果
……一々褒め立てることではないわ」
510: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:42:33.48 ID:wZGaJVR/o
金剛「oh……」
瑞鶴「加賀さん……加賀さん!!」
加賀「ちょ、抱きつくのはやめなさい! まだ戦いは終わってはいないわ!」
瑞鶴「加賀さん加賀さん加賀さーん! ありがとーーー!!」
翔鶴「あらあら、瑞鶴ったら」
赤城「よほどうれしかったのね……」
金剛「さぁ~! 後は残った烏合の衆を……ッ!?」
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
瑞鶴「加賀さん……加賀さん!!」
加賀「ちょ、抱きつくのはやめなさい! まだ戦いは終わってはいないわ!」
瑞鶴「加賀さん加賀さん加賀さーん! ありがとーーー!!」
翔鶴「あらあら、瑞鶴ったら」
赤城「よほどうれしかったのね……」
金剛「さぁ~! 後は残った烏合の衆を……ッ!?」
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
511: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:44:19.97 ID:wZGaJVR/o
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
赤城「くっ……直掩機と補用を合わせても……心許ない数ですね!」
加賀「敵は一隻! 恐れる必要なんてありません」
金剛「榛名は下がっているネ! 高速戦艦・金剛! 突撃しマース!」
戦艦 金剛、レ級に突撃を開始す。
レ級「……ニィ!」ヒュン!
赤城「艦載機……!?」
加賀「極めて少数です! 恐れる必要はありません!!」
翔鶴「みなさん! 金剛さんを支援してください!」
瑞鶴「……やってやるわよ!!」
レ級、艦隊機を発艦。それに合わせて空母達も航空隊を差し向ける。
512: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:47:09.00 ID:wZGaJVR/o
金剛「全砲門、Fire~!」ドォン!
レ級「ニヤァ……」ドゴン!
金剛「こいつ……ッ!」
金剛(先制雷撃……青色の艦載機……そしてこの耐久……)
金剛「こいつは相当やばそうデース……!」
加賀「敵の航空隊は少数……突破できるわけが……」
パァン……!
ドンドン!
バババババババ……!
「せ、制空権喪失……!?」
瑞鶴「嘘……!?」
加賀「あ、ありえないっ……直掩機は特に練度が高い妖精をつけていたはずなのに……!」
赤城「加賀さん! 前を見て!!!」
加賀「……ッ!!」
レ級艦載機の航空爆撃が、加賀を襲う。
既のところで回避する加賀であったが……?
赤城「加賀さん! 大丈夫!?」
加賀「……問題ありません。回避しました」
瑞鶴「……!」
それは瑞鶴の角度からしか見えないものだった。
赤い染みが、加賀の脇腹を染めている。
瑞鶴にはそれが何であるのかが明確に分かった。
瑞鶴(回避できるわけないじゃない……あなたは私より、ずっと遅い……!)
513: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:49:02.68 ID:wZGaJVR/o
ドゴオオオン!!!
金剛「NO~~~ッ!?」
榛名「金剛お姉さま!?」
金剛「くっ……こいつ、中々やるデース……」
戦艦 金剛、レ級砲撃により中破。
瑞鶴「よくも……!」
翔鶴「瑞鶴、落ち着いて……激情に身を任せてはダメ」
赤城「……敵の艦載機、性能が違いすぎる……!」
加賀「諦めてはいけません。勝機は必ずあるはず……」
瑞鶴「……」
瑞鶴は見逃さない。加賀が飛行甲板で自身の傷を隠していることを。
翔鶴「でも、先輩……!」
加賀「無いのなら……私が作るまで!」ヒュン!
航空母艦 加賀、攻撃隊を発艦。
加賀「私の、誇り高き一航戦の搭乗員達が負けるはずがない……!」
レ級「♪」
レ級は空中の航空隊を加賀の攻撃隊に差し向ける。
その結果……
514: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:50:45.49 ID:wZGaJVR/o
「全機、ロスト……です」
加賀「そんな……!」
レ級「ニヤニヤ……」
加賀「くっ! 攻撃隊!」
瑞鶴「……無理すんじゃ無いわよ! だってアンタ……!」
加賀「瑞鶴……わかっているのなら、皆まで言う必要はないわね」
加賀「私はもう、"覚悟ができている"」
瑞鶴「!!」
加賀「恐らく……アレは、今の戦力じゃ倒せない。なら、私が……」
瑞鶴「ふざけないでよ……アンタ、自分を犠牲にしようっていうの!?」
赤城「どういうことですか!? 加賀さん!」
翔鶴「加賀先輩!?」
加賀「それで艦隊が助かるのであれば……」
瑞鶴「……ほんと、ばかなんだから」
加賀「馬鹿ですって? 瑞鶴……誰に向かって言っているのかわかっているのかしら?」
瑞鶴「馬鹿も馬鹿、大馬鹿よ……! 自分が犠牲になろうだなんて、馬鹿の極みよ……」
加賀「……それしか方法が」
瑞鶴「私は加賀さんを沈めない。絶対に沈めない」
515: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:52:09.28 ID:wZGaJVR/o
加賀「……!」
瑞鶴「だって、私は約束したから。決して諦めないって約束したから」
瑞鶴「勝手に沈んだりしないでよ。間宮、奢れなくなっちゃうでしょうが……」
加賀(蒼龍、飛龍……いつだったか、あなた達ともそんな約束をしたことがあった……)
加賀(その約束は、完全な形ではなかった……けど、今度は、この子になら……
それができるかもしれない)
加賀「……瑞鶴、何か考えでもあるのかしら?」
瑞鶴「一応あるけど、どうなるかはわかんない……だけど、やるしかないんだ!」
瑞鶴「みんな……力を貸して!!」
赤城「ええ、もちろんよ!」
翔鶴「私はいつでも、瑞鶴の味方よ?」
加賀「はぁ……」
加賀「……仕方がありませんね」
516: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:55:38.42 ID:wZGaJVR/o
金剛「shit! そろそろきつくなってきたヨ~……」ドン! ドン!
金剛(せめて……せめてもっと近づければ……!)
航空戦、雷撃、砲撃。全てをこなすレ級を前に、金剛は苦戦を強いられていた。
あと一撃を貰えば大破も辞さない、逼迫した状況が続いている。
瑞鶴「金剛さん!」
翔鶴「私達が援護します!」
金剛「空母が前線に出ても大丈夫ナノ!?」
翔鶴「翔鶴型の速力は金剛型に比肩、もしくはそれ以上とも言われています
被弾しなければどうということはありません!」
瑞鶴「金剛さん! 私達があなたをアレの近くまで守ります! だから金剛さんは……」
金剛「至近距離でFire~デスか?」
瑞鶴「……そうです。かなり危険ですけど、やってくれますか?」
金剛「問題ないネ~。私もそうしようかと考えていたところデース!」
赤城「航空隊は何とか私達が引きつけます! ですから金剛さんはアレを!」
金剛「ワカリマシタ……皆さん、少しだけ私に力を……」
金剛「さぁさぁ! ここからが金剛型の速力の見せ所デース! 気張っていきマース!」
赤城「攻撃隊発艦!」
加賀「鎧袖……一触!」
加賀(意識が……もうろうとっ……)
瑞鶴「翔鶴姉!」
翔鶴「ええ、瑞鶴!」
戦艦 金剛、翔鶴と瑞鶴を伴って再度突撃。赤城らは航空支援を開始する。
517: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:57:49.31 ID:wZGaJVR/o
レ級「ニッコリ」
レ級、砲撃、艦載機、魚雷を滅茶苦茶に放つ。
金剛「oh! クレイジーネ!」
赤城「……くっ! 攻撃が激しすぎる! 守りきれない!」
敵艦載機「!」ブゥン
敵艦載機、金剛に接近!
レ級「ニヤリ……!」
瑞鶴「させ、るかぁ!!!」ガション
パアァァン……バシュウウン!
瑞鶴の、12cm30連装噴進砲が吠える!
敵艦載機撃墜!
レ級「!!」
金剛「はあああああああああ!!」
金剛「BURNING[零距離]……LOVE[斉射]ーーーー!!」
ドッゴオォォォォォォーーーーーン!!
518: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 18:58:29.73 ID:wZGaJVR/o
金剛「はぁ、はぁ……」
レ級「……、……」
金剛「……とっとと海の底に還りなサーイ」
レ級、撃沈。
519: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:00:25.20 ID:wZGaJVR/o
榛名「お姉さま! 大丈夫ですか!?」
金剛「榛名~、ムリしないでくだサーイ」
翔鶴「一体、何だったんでしょう……あれは」
金剛「うぅ~……手強い相手だったヨ~……できることなら、二度と戦いたくないネ」
加賀「……ッ!?」フラッ
赤城「加賀さん!? どうしたんですか!?」
加賀「少し、めまいが……」
赤城「大丈夫ですか!?」
瑞鶴「……全く、帰ったら治療しなさいよ、それ」
赤城「治療……? 加賀さん、何か……隠していますね?」
加賀「い、いえそんな……」
赤城「み・せ・な・さ・い!」
加賀「いえこれは……違うんです!」
赤城「何を隠しているの! こら加賀さん!」
瑞鶴「なんだ、案外元気そうじゃない」
翔鶴「……色々ありましたけど、これでなんとか帰還できそうですね……」
ジジッ……ジジー……
赤城「? 通信……?」
『……聞こえているか、空母機動艦隊』
520: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:02:41.37 ID:wZGaJVR/o
赤城「……あら、提督? どうしたんです?」
『……撤退だ。今すぐ撤退……しなさい』
翔鶴「撤退? まだ前線は……」
『前線は……総崩れだ』
赤城「……なんですって?」
『既に各自退却を始めている……』
瑞鶴「ちょ、ちょっとまってよ……敵の旗艦は私がしっかりと……」
『沈んでいなかった……奴は、まだ辛うじて生きながらえていた』
翔鶴「!!」
『敵の耐久は……予想していたよりも大分高かった。大破だが、指揮系統は落ちていない!』
赤城「それでは、前線は……」
『……ひどい有様だ。語る事さえ憚られる』
『お前達も早急に戦線を離脱するんだ。でないと……』
金剛「……どうやら無理みたいデス、提督」
『……!?』
榛名「そんな……!」
レ級「……ニィ?」
レ級「♪」
レ級「クスクス」
赤城「一隻だけじゃ……なかったの!?」
瑞鶴「……そんな」
それはまるで、終わらない悪夢を見ているようだった。
――――――
―――
―
『……撤退だ。今すぐ撤退……しなさい』
翔鶴「撤退? まだ前線は……」
『前線は……総崩れだ』
赤城「……なんですって?」
『既に各自退却を始めている……』
瑞鶴「ちょ、ちょっとまってよ……敵の旗艦は私がしっかりと……」
『沈んでいなかった……奴は、まだ辛うじて生きながらえていた』
翔鶴「!!」
『敵の耐久は……予想していたよりも大分高かった。大破だが、指揮系統は落ちていない!』
赤城「それでは、前線は……」
『……ひどい有様だ。語る事さえ憚られる』
『お前達も早急に戦線を離脱するんだ。でないと……』
金剛「……どうやら無理みたいデス、提督」
『……!?』
榛名「そんな……!」
レ級「……ニィ?」
レ級「♪」
レ級「クスクス」
赤城「一隻だけじゃ……なかったの!?」
瑞鶴「……そんな」
それはまるで、終わらない悪夢を見ているようだった。
――――――
―――
―
521: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:03:18.14 ID:wZGaJVR/o
戦艦棲鬼「――ミナゾコニ……シズミナサイ!」
522: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:04:42.33 ID:wZGaJVR/o
彼女達は互いに互いを信じていた。
吹雪「初雪は私が守るんだから!!」ドン!
磯波「……こないで、来ないでください!!」ドン!
重巡リ級「……」スチャ
ドゴン!
磯波「ぁ……」
吹雪「い、磯波っ!」
初雪「……!」
駆逐艦 磯波、轟沈。
523: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:05:27.65 ID:wZGaJVR/o
吹雪「磯波ッ! ……ぅ、よくも……よくも!!」
吹雪「うわああああああああッ!!」
バコン!
吹雪「え……!?」
駆逐イ級「……」
駆逐ロ級「……」
バシュン!
吹雪「かはっ……」
吹雪「そん、な……駄目ですっ……駄目……」
吹雪「はつ、ゆき……」
初雪「ふ、ふぶk……!」
重巡リ級「……」チャキ
ズドン!
駆逐艦 吹雪、轟沈。
初雪「あ……あぁ!」
524: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:06:58.74 ID:wZGaJVR/o
だから彼女達は決して諦めなかった。
龍驤「敵の航空隊はうちが引きつけるで! まかしとき!」
龍驤「攻撃機は……ひいふうみいと……あーもうようわからんわ」
龍驤「旗艦として……一航戦として! うちが皆を守ったる!」
瑞鳳「龍驤ちゃん!!」
龍驤「きっと赤城や加賀がなんとかしてくれる! 繋げるんや! づほッ!」
龍驤「明日を!!!」
敵艦載機「……」ヒュウゥゥゥゥ……
ドゴオォォォォォォォォン……!!
軽空母 龍驤、轟沈。
525: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:08:22.32 ID:wZGaJVR/o
川内「あはは……さすがにちょっとまずったかな……?」
神通「川内姉さん……! もう下がって……!」
川内「……神通はさ、いつも私や那珂の暴走を止めてくれてたよね……」
神通「突然、何を……!?」
川内「本当はお姉ちゃんの私がやらなくちゃいけないってのにさ……」
川内「だからなんて言うのかな……最後だけはお姉ちゃんらしいとこ、見せといた方が
いいかなって思ったんだ……」
神通「……!」
川内「これからまた私暴走するけど、今度は止めないでよ……?」
神通「姉さん! 待っ……」
川内「……たまには、夜戦以外もいいよね?」
軽巡洋艦 川内、轟沈。
527: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:09:48.89 ID:wZGaJVR/o
朝潮「必中ッ!」ドン!
満潮「その先は地獄よ!!」ドン!
大潮「か、囲まれますよぉー……!」
戦艦ル級「……ッ」
荒潮「せ、せんかん……!」
満潮「馬鹿! 怯むんじゃないわよ……!」
五十鈴「取り乱しちゃ駄目よ! 艦隊行動を守って!」
朝潮「! ……砲撃が……来る!」
戦艦ル級「ッ!!」
ドォン!!
大潮「がッ!!!!!」
荒潮「いやぁッ!」
朝潮「大潮! 荒潮!」
大潮「」
荒潮「あら……い、いたいじゃない……!」
駆逐艦 大潮、轟沈。
528: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:11:52.06 ID:wZGaJVR/o
しかし信頼というものは時として残酷だ。
朝潮「ッ! 助けます!!」
荒潮「来ないでッ!!」
朝潮「!?」
荒潮「きちゃ、だめよう……戦場のど真ん中で救助なんて、敵の良い的よぉ~?」
朝潮「関係ありません! 助けます!」
荒潮「来ないでって、言ってるじゃない!」ドン!
朝潮「……ッ!」サッ
朝潮「何故……どうして、荒潮!!」
荒潮「あなたはこちらに来ては駄目……なんだか、そんな予感がするのよ……」
朝潮「そんなっ……」
荒潮「そう、それでいいの。何だか少し、救われたようなきがするわ…ぁ……」
駆逐艦 荒潮、轟沈。
529: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:13:44.64 ID:wZGaJVR/o
皆が皆を信じるからこそ、見えなくなる。
満潮「時雨!! もうこっちは持ちこたえられない!」
時雨「……最上!」
最上「くっそぉ……中破かよ……冗談じゃないよ……!」
最上「……瑞雲も、全部墜とされちゃったし……散々だよ……」
時雨「最上! キミはもう戦える状態じゃない!」
最上「……いや、まだ終わりじゃ無いよ? 航空甲板が駄目でも、三連主砲がある!」
満潮「そんな状態で戦うつもり? 地獄を見るわよ!?」
最上「地獄ならとうに見た……スリガオ海峡でね。君達もそうだろう?」
時雨「……!」
最上「……時雨、満潮。二人とは、なんだかんだで色々縁があったよね」
最上「扶桑も山城もここにいればよかったんだけど」
時雨「彼女達はもう……」
満潮「……!! 敵砲撃来るわ!!」
時雨「最上!!!」
「全く、世話が焼けますわね! ヒャアアア!!」
ゴオォォン……!
530: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:14:58.81 ID:wZGaJVR/o
最上「熊野……!」
熊野「間に合ってよかったですわ。航空甲板はもう使い物になりませんけど」
最上「航空甲板は盾じゃないってば……」
熊野「さて……時雨、満潮。あなた達は後退なさい」
時雨「熊野!? 何をしようと言うんだい!?」
熊野「何を勘違いしているかは知りませんけど、中破の最上を補助するだけですわ」
熊野「あなた達は先に本隊と合流なさい。私達もすぐに行きます」
時雨「でも……」
熊野「心配なさらないで。この熊野、そう簡単に沈むような艦じゃなくってよ?」
満潮「……絶対に追い付いて来なさいよ!」
時雨「二人共……気をつけてね」
最上「大丈夫だって!」
531: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:17:03.74 ID:wZGaJVR/o
強い絆は重く、彼女達は身動きをとれなくなってしまう。
最上「……それで、熊野さんは動かないのかい?」
熊野「生憎と……先程の攻撃で機関部が故障してしまいましたわ」
最上「あは、僕と一緒じゃないか」
熊野「何とまぁ……それは……ひどい状況ですこと……」
熊野「はぁ~……今の状況……鈴谷が見たらどう思うかしら?」
最上「なっさけないって笑いとばすんじゃないかな」
熊野「そうですわね……ひどい状況ですものね……」
最上「それでも、時雨達を退避させられただけでも……よかったよ」
最上「……あーあ、三隈、元気かなぁ~……」
熊野「鈴谷は元気かしら……?」
最上「……なんか、僕と熊野って、ちょっと似てるかもね?」
熊野「姉妹艦ですから……でも、わたくしはそんなに瑞雲マニアじゃなくってよ?」
最上「これからなろう、今日から始めよう瑞雲教」
熊野「結構です」
最上「あはは……」
熊野「…………」
最上「それじゃ、最後の砲戦、始めますか」
熊野「……ですわね」
最上「別に付き合わなくてもいいのに」
熊野「始めようかと言ったのは最上ですわ」
最上「そっか……」
最上「……ごめん、付きあわせちゃってさ」
熊野「姉妹艦のよしみで、しょうがなくですわ」
最上「素直じゃないなぁ、最後まで」
熊野「それがこの、熊野という艦娘ですから」
航空巡洋艦 最上、轟沈。
航空巡洋艦 熊野、轟沈。
532: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:18:45.50 ID:wZGaJVR/o
その信頼は重力を伴って……。
陽炎「みんな! 油断しないで……!」
初風「わ、わかってるいるわ……」
黒潮「たまらんなぁ。こんな戦い、あんまりや~きっついわぁ~……」
不知火「黒潮……口を動かすより手を動かしなさい」
不知火「前方に敵駆逐群あり。どうするの、陽炎」
陽炎「このまま押し切るわ!」
不知火「ふふ……いいわね。徹底的に追い詰めてやるわ!!」
黒潮「ほな、砲撃開始や~!」ドン
初風「早く消えなさいよ! てーっ!」ドン
陽炎「不知火! いくわよ! 攻撃!」ドン
不知火「……沈め!」ドン
駆逐イ級「!?」
駆逐ロ級「……ッ!」
ドッゴオオオン!!
陽炎「やったぁっ! 命中ね! 不知火!」
不知火「そうね、かげろ……」
ドゴン!
533: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:20:26.93 ID:wZGaJVR/o
不知火「……ッ?」
陽炎「し、不知火……?」
不知火「くっ……そこか!」ヒュン!
ズゴオォォォォン……!
潜水ヨ級「!?……、……ッ……」スゥー……
黒潮「潜水艦!?」
不知火「やっぱり、ね……」
初風「不知火姉さん……大丈夫、なの?」
不知火「こんなんで不知火は沈まないわ。敵駆逐群に包囲される前に抜けましょう」
黒潮「せ、せやね」
不知火「不知火は後方に付きます……先頭は引き続き陽炎でお願いします」
陽炎「わ、わかったわ。早いとこここを抜けましょう! 行くわよ皆!」
黒潮「出るでー!」
初風「出るわ!」
不知火「…………やはりさっきの魚雷は……致命傷だったわね」
陽炎「!? ……不知火、なんでついて来て無いのよ……!」
不知火「……不知火に落ち度でも?」
534: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:20:53.82 ID:wZGaJVR/o
陽炎「あのバカっ! 皆反転! 不知火がまだ……!」
敵駆逐群「……!!」バシュン
不知火「死なばもろとも……あなた達も一緒よ!!」バシュン
ゴオォォォーーーーン……!
陽炎「嘘、不知火……!」
黒潮「そんな、嘘やろ……」
初風「不知火、姐さん……!」
駆逐艦 不知火、轟沈。
535: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:21:59.41 ID:wZGaJVR/o
伊勢「……提督。もう前線は……崩壊したわ」
『……ッ!』
日向「これ以上の戦闘は、無駄な犠牲を生むだけだ……!」
『ぐっ……全艦隊、撤退……!』
『繰り返す! 全艦隊は速やかに撤退せよ!!』
――彼女達を海の底へと引きずり込むだろう。
―
―――
――――――
536: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:25:53.37 ID:wZGaJVR/o
――海上・空母機動艦隊――
加賀「あなた達は行きなさい。ここは私が引き受けます」
瑞鶴「……何を、言っているんですか? 加賀さん」
翔鶴「そうです! 加賀先輩を置いてなんていけません!」
加賀「足の遅い私を伴っていては、連中から逃れることはできないわ。
私はここで敵を迎えうちます……その隙にあなた達は戦線を離脱して」
瑞鶴「ふざけないで……言ったでしょう? 私は決してあなたを沈めないって!」
加賀「……それで、艦隊が全滅しては……意味がありません」
瑞鶴「だったら! あいつらを倒す方法を考えよう! きっと何か……まだ手はあるはず!」
加賀「……あなただってわかっているでしょう? 全員が全力を出して
一隻を沈めるのがやっとだった……もうこちらに勝ち目はないの」
瑞鶴「諦めるなって言ったじゃない……だから私は!」
赤城「ごめんなさいね、瑞鶴ちゃん……でもこれは諦めじゃない」
赤城「生きていれば、きっと……チャンスはやってくる。
だからこれはそのための、戦術的撤退……」
加賀「そうよ。あなた達が生きていれば、いずれ連中を倒す力を手に入れることができるはず
その意志を持ち続けていれば……それは諦めなんかじゃない」
瑞鶴「違う! 私は……私は、加賀さんを諦めたくない! 提督さんの言葉を忘れたの!?
生きて帰るということを第一に考えろって!」
加賀「……瑞鶴」
加賀「私はどちらにせよ、もう長くはない。だからこの身は、最後の力だけは、
……あなた達の為に使いたい」
瑞鶴「加賀さん……!」
翔鶴「加賀先輩を一人になんて、できません!」
赤城「一人にはさせないわ。私も共に残ります」
537: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:28:00.28 ID:wZGaJVR/o
翔鶴「赤城、先輩!?」
加賀「赤城さん……なにを!?」
赤城「そんなひどい怪我をしている加賀さんを一人ぼっちにはさせられないわよ
それに……加賀さん一人には、その役目……少し荷が重すぎるわ」
加賀「駄目ですっ……赤城さん、あなたは、あなただけは……!」
赤城「……ここで引けというの? 加賀さんを置いて私だけ引いたら
……一航戦の誇りに傷がつきます」
加賀「赤城さん……ッ!」
赤城「……金剛さん。二人のこと、頼めますか?」
金剛「どうしても行くっていうのデスか……?」
赤城「はい。こうするしか、艦隊が生き延びる方法はありません」
金剛「そう、デスか……」
瑞鶴「二人共、何言ってるのよ……!」
瑞鶴「もう、私達だけに重荷を背負わせたりしないって……言ったじゃないですか……」
瑞鶴「一緒に戦ってくれるって、そう言った……!」
瑞鶴「嘘だったんですか……!」
538: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:29:47.95 ID:wZGaJVR/o
赤城「嘘じゃないわ……私達はこれからも、共にあなた達と戦い続ける……」
赤城「肉体は滅びても、その意志は共にある……そう、一航戦の誇りとして」
赤城「一航戦の名を……あなた達に譲ります」
赤城「これからはあなた達が、一航戦となって皆を引っ張っていくのよ」
翔鶴「そんな……先輩方がいないと私!」
瑞鶴「いらない……そんなのいらないよ! 私は五航戦のままでいいよ!!」
瑞鶴「だから……一緒に、帰ってよ……!」
539: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:35:19.63 ID:wZGaJVR/o
レ級「ニッコォ……」
赤城「!! ……金剛さん、早く行ってください。今こうして話せているのは、
ただの連中の気まぐれに助けられているに過ぎません」
加賀「私達の全力を以って、敵を食い止めます……」
金剛「ワカリマシタ……全艦隊、撤退開始しマス……」
翔鶴「ぁ……先輩、私……!」
赤城「翔鶴ちゃん。あなた達には……また辛い想いをさせてしまうかもしれない
でも私は、あなた達の強さを知っている。……あなた達ならそれを乗り越えられる。
必ずやこの海に平和を取り戻してくれると確信している。
……だから、生きのびて」
翔鶴「……ぅ……わかりましたぁ! 一航戦・翔鶴として……先輩方に、恥じない戦いを……
戦いを……ぐっ……うぅぅぅっ……!」ボロボロ……
瑞鶴「いやよ! 嫌だ! 絶対に私はここに残る!」
加賀「はぁ……瑞鶴。よく聞きなさい」
瑞鶴「何よ!」
加賀「私はあなたに会えてよかった」
540: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:36:55.29 ID:wZGaJVR/o
瑞鶴「な……!」
加賀「私はあなたの言う通り、ミッドウェーであっさりと沈められた。
慢心と奢りで何もできないままに」
加賀「……でもこうして艦娘として再び生を受け、あなたと出撃する中で……
私はいつも全力を出して戦うことができた。それは瑞鶴、あなたというライバルがいたから」
加賀「全力で戦える。これほど幸せなことはなかった……今日の戦いなんて、
それはもう、満足したわ。欲を言えば、勝ちたかったけれども……」
加賀「ありがとう、瑞鶴。あなたのお陰で、私の存在は救われたのよ……」
瑞鶴「なんで今……言うのよ! やめてよ……!」
加賀「そんな私が、最後にしてやれることといったら……これくらいしかない。
だから私を惨めにさせないで。覚悟を、誇りを、汚さないで……お願い、あなた達を
……守らせて」
瑞鶴「うっ……うううう!!」
赤城「皆さん行ってください! 敵が動き出す前に!」
金剛「赤城……武運を」
赤城「ありがとうございます……」
金剛「……回頭! 最大船速で突き抜けるネ! みんな、遅れちゃNOなんだカラ~ッ!」
榛名「……赤城さん、加賀さん……すみません!」
翔鶴「……いくわよ、瑞鶴」
瑞鶴「……絶対に!」
瑞鶴「絶対に二人の意志は継ぐから!! だから……!」
瑞鶴「安心、して……ください……!」
加賀「……ありがとう、瑞鶴」
541: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:40:38.27 ID:wZGaJVR/o
赤城「行きましたか……」
加賀「……赤城さん。私は今でもあなたに引いてほしいと思っています」
赤城「言ったでしょ? そんなことをしては、一航戦の誇りが傷つきます」
加賀「一航戦の名はあの子達に譲りました」
赤城「じゃあ……私の個人的な感情かしら」
加賀「それはつまり……LOVEですか?」
赤城「かもね?」
加賀「ふおぉぉぉ!」ブシュ
赤城「ほらほら、傷口開いてるわよ」
加賀「すみません、私としたことが……」
赤城「……最期の時にこうして、加賀さんと肩を並べて戦える。
こんなに嬉しい事はありません」
加賀「私も同じ気持ちです、赤城さん」
レ級「ニタニタ……」
レ級「ニヤニヤ……」
赤城「さて……」
赤城「……行きましょうか、加賀さん!
加賀「ええ……」
赤城「攻撃隊……発艦! 最後の一航戦の誇りを刮目なさい!」
加賀「ここは譲れません! 最後の一航戦の誇りにかけて!」
こうして、赤城と加賀は……空母機動艦隊の残存戦力を逃がすその役目を全うし……
海に、沈んでいった。
542: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:44:52.56 ID:wZGaJVR/o
海戦は泊地の決定的な敗北だった。海戦の大局はここに決し、艦隊は多大な被害を被ったのだった。
それからいくつかの時が流れて……。
――泊地・執務室――
提督「…………」
彼は眺めていた。先の海戦で失った艦娘達を。
・戦艦
金剛 榛名
伊勢 日向
・空母
赤城× 加賀× 翔鶴 瑞鶴
龍驤× 瑞鳳
・巡洋艦
最上× 熊野×
五十鈴 木曾 天龍 川内× 神通
・駆逐艦
吹雪× 初雪 叢雲 磯波×
綾波
雷 電
若葉
白露 時雨 村雨 夕立
陽炎 不知火× 黒潮 初風
朝潮 大潮× 満潮 荒潮×
金剛「……沢山、沈みマシタ……」
金剛「沢山の仲間が、あの海に沈んでいきました……」
提督「そうだな……」
提督「これから、どうなるのだろう……我々はいつまで戦い続けなければ……」
金剛「提督がそんな事言っちゃ、NOデスヨ?」
提督「すまんな……失ったものがあまりにも大きすぎて
……少し、弱音を吐いてしまったよ」
提督「……彼女は、弱音を吐いてくれるだろうか?」
543: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:45:56.08 ID:wZGaJVR/o
――泊地・駆逐艦寮/吹雪・初雪・磯波部屋――
ガチャリ
電「初雪さん、調子はどうですか……?」
雷「おかゆ持ってきたわy……」
ぶらん……ぶらん……
初雪「……」
電「え……?」
雷「電っ! 見ちゃ駄目!!!」
皆さん、ごめんなさい。
私、もう怖い。戦うのが怖い。海に出るのが怖い。
海に出るくらいなら、私、吹雪達の所にいきます。
初雪
[駆逐艦 初雪が残した遺書より]
駆逐艦 初雪、自室にて首を吊って自殺している所を駆逐艦雷らに発見される。
544: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:47:01.71 ID:wZGaJVR/o
――泊地・空母用射的演習場――
瑞鳳「はぁ……ここもすっかり寂しくなっちゃったよ、龍驤ちゃん」
瑞鳳「ぬりかべでもなんでもいいから、化けて出てきてくれないかなぁ?」
瑞鳳「……ツッコミがつかれたって言うなら、私が代わりにツッコミしてあげるし」
瑞鳳「胸のサイズだって、龍驤ちゃんの方が大きいってことにしておいてあげるし」
瑞鳳「だから」
瑞鳳「もう一度声を聞かせてよ……龍驤ちゃん」
545: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:48:25.62 ID:wZGaJVR/o
――泊地・港――
翔鶴「瑞鶴」
瑞鶴「あ……翔鶴姉」
翔鶴「またここにいたの? いつまでもこんな所にいると、風邪を引いてしまうわよ?」
瑞鶴「そうだよね……ごめん」
翔鶴「……瑞鶴、あなたが気に病むことはないわ。あの戦いでは、皆が皆、全力だった。
誰が悪いなんてない……ただ敵が、あまりに強大すぎただけ……」
瑞鶴「……わかってるよ」
瑞鶴「わかってる……感傷に浸ってばかりもいられない。私達は、前を向いていかなくちゃいけない」
瑞鶴「どんなに辛くても、弱音を吐いてなんかいられない。だって私達は一航戦なんだもん
一航戦の遺志を受け継いだ私達の、諦めないその姿勢がみんなを導くんだから……」
翔鶴「瑞鶴……」
瑞鶴「約束したんだ……決して諦めないって。だから絶対に、深海棲艦になんか負けない」
瑞鶴「たとえそれが……地獄であっても! この意志は折れはしない!
少しでも多くの勝利を刻むこと……それが、散っていった皆への、手向けとなる!」
翔鶴「瑞鶴、あなた……」
決意をその心に誓う瑞鶴のその姿は、
まるで、かつての加賀のようだった。
546: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/23(日) 19:49:43.18 ID:wZGaJVR/o
NEXT【装甲空母は砕けない】
562: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/24(月) 21:58:43.55 ID:eV54CHsao
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',ヽィ::::| ∪ ∪ |::|l {::::::::::::::::::,' うっかり忘れてた雪風の補足よ
ヽ: :}::i , , , , j:::ノ /:::::::::::::::::,' 後付けという名の
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短いです
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短いです
563: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/24(月) 22:02:44.76 ID:eV54CHsao
【大海戦のその後に~雪風補足~】
雪風「雪風、修理が完了いたしました!」
泊地に響き渡る、少女の声。それは重く沈んだ泊地の空気に相反するように
浮き上がり、雪風を孤立させる。
天龍「あぁ、雪風……お疲れ様……」
雪風「……?」
彼女達の顔に映るのはただただ疲労の色ばかりで……
摩耗しきった彼女達を見て、雪風はどうしようもなく不安になった。
雪風「あの……一体何が……?」オロオロ
若葉「若葉だ。少しこっちに来い」
雪風「えっ……、な、なんですかぁ?」
若葉「……お前は修理でドックにいた。だからあの海戦には参加していない
そんなお前が事情を知らないのも無理は無い」
雪風「……その口ぶりでは、先の海戦は……」
若葉「敗北という言葉すら生ぬるい、ひどい戦いだった」
雪風「……!」
雪風「雪風、修理が完了いたしました!」
泊地に響き渡る、少女の声。それは重く沈んだ泊地の空気に相反するように
浮き上がり、雪風を孤立させる。
天龍「あぁ、雪風……お疲れ様……」
雪風「……?」
彼女達の顔に映るのはただただ疲労の色ばかりで……
摩耗しきった彼女達を見て、雪風はどうしようもなく不安になった。
雪風「あの……一体何が……?」オロオロ
若葉「若葉だ。少しこっちに来い」
雪風「えっ……、な、なんですかぁ?」
若葉「……お前は修理でドックにいた。だからあの海戦には参加していない
そんなお前が事情を知らないのも無理は無い」
雪風「……その口ぶりでは、先の海戦は……」
若葉「敗北という言葉すら生ぬるい、ひどい戦いだった」
雪風「……!」
564: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/24(月) 22:05:37.76 ID:eV54CHsao
若葉「沢山の艦娘が壮絶な最後を迎えた。絶望的な状況だった。故に皆、精神が不安定だ。
……特に姉妹艦が沈んだ奴は辛いだろう、暫くそっとしておいてやれ」
雪風「雪風は……そんな時、何も出来ずにドックで休んでいたんですね……」
若葉「気に病むな。あの戦いでは皆が死力を尽くした。誰かに責任があるだなんて
誰も考えてはいない。実際、お前がいようがいまいが状況は変わらなかった」
若葉「寧ろ出撃しなかったのは、ある意味幸いだ。出撃していたら、
お前もただではすまなかったかもしれない」
雪風「……こんな時に、要らない幸運を発揮してしまったということですね……」
若葉「果たして本当に幸運か?」
若葉「この先は更に過酷な戦いが待っている。いっそ沈んだほうが楽だったかもしれない」
雪風「……雪風は、沈みません」
雪風「たとえどんなに辛い運命が待っていようとも……それから目を背けることだけは
したくないんです!」
雪風「その為に雪風の……幸運はあるんです!」
若葉「雪風。おまえは」
本当は幸運なんかじゃ、無いのかもしれないな。
565: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/24(月) 22:18:59.56 ID:eV54CHsao
「回ニニO
_--ー「T「 ̄\ /二\
「 l L_コュ 凵 ヽ |(::::::::::)|
L 」コー゙゙゙゙゙ ̄ ゙゙゙̄ーヽ`二´.|
/二\,, /: : : : : : : : : : : : : : : : :ヾ\ 〆)
. |(::::::::::)レ: : : : : : : : : : : : : : : : :: : : : : ヽ>ヽ
.ヽ`二/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : :.ヽ
. ヾ : :/: : : : : /: : : : : : : :ハ -/-ト: | 、.: : : : : : |
`フ: : : : |: : :|ーヾ: : : : :| i/ |:/ ヾ: : : : : : :|
|: : /: : |: : ハ: | ヽ\: :ヽ __´ |: : : : : : ヽ
|: :ハ: : : ヽ:| ヾ __.  ̄ ,,=≡ニ=,,. |: : |: :|: : :ヽ
V >、ヽヾ ,,=ニ≡ /// ノ: : レ: : : : ヾヽ しれぇ! 雪風を忘れてしねぇ!
. /: : : : :.| ´ _´___ ∠: : : : |: ルレ
. |: :|: : : :|./// ト--ー゙| ,,. |: : :/レ
|: | : : : :ヽ ヽ _ノ_,,-i::´fヨヽ |
レヽ: : :ト: :ド ̄ ̄日フヽ |:::::::::::::ヾ
ヽ_:ヾ >::::::____::,ー 、::/ヽ
 ̄ ド:( { .|ベ/ ヽ !
| ヽヽ__ゝーノソ> ト___
| (`ー(ー´ \. ハ::::::::ヽ
ヽ | ∧ ,ヘト::::::::o|ヽ
ヽ| トoヾ_へ\\::::| |
ヽ_/ ヽoヽ ,,ゝ弋コヾ|
なんか上手い具合に収まったようです。
_--ー「T「 ̄\ /二\
「 l L_コュ 凵 ヽ |(::::::::::)|
L 」コー゙゙゙゙゙ ̄ ゙゙゙̄ーヽ`二´.|
/二\,, /: : : : : : : : : : : : : : : : :ヾ\ 〆)
. |(::::::::::)レ: : : : : : : : : : : : : : : : :: : : : : ヽ>ヽ
.ヽ`二/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : :.ヽ
. ヾ : :/: : : : : /: : : : : : : :ハ -/-ト: | 、.: : : : : : |
`フ: : : : |: : :|ーヾ: : : : :| i/ |:/ ヾ: : : : : : :|
|: : /: : |: : ハ: | ヽ\: :ヽ __´ |: : : : : : ヽ
|: :ハ: : : ヽ:| ヾ __.  ̄ ,,=≡ニ=,,. |: : |: :|: : :ヽ
V >、ヽヾ ,,=ニ≡ /// ノ: : レ: : : : ヾヽ しれぇ! 雪風を忘れてしねぇ!
. /: : : : :.| ´ _´___ ∠: : : : |: ルレ
. |: :|: : : :|./// ト--ー゙| ,,. |: : :/レ
|: | : : : :ヽ ヽ _ノ_,,-i::´fヨヽ |
レヽ: : :ト: :ド ̄ ̄日フヽ |:::::::::::::ヾ
ヽ_:ヾ >::::::____::,ー 、::/ヽ
 ̄ ド:( { .|ベ/ ヽ !
| ヽヽ__ゝーノソ> ト___
| (`ー(ー´ \. ハ::::::::ヽ
ヽ | ∧ ,ヘト::::::::o|ヽ
ヽ| トoヾ_へ\\::::| |
ヽ_/ ヽoヽ ,,ゝ弋コヾ|
なんか上手い具合に収まったようです。
573: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:18:58.32 ID:JAZYyXaFo
【装甲空母は砕けない】
どうも! 装甲空母大鳳です! 翔鶴型を改良して生まれた最新鋭の空母で、
この度、栄えある連合艦隊に配属されることになりました。
かつての戦いではあまり活躍できなかったけれど、大丈夫!
今の私はあの頃と違って十分な設備と人員によって生まれました!
これで本来の力をお見せすることができるわ!
今度の敵は海を跋扈する謎の艦隊、深海棲艦。海の平和を脅かす不届き者に、
装甲空母の力、とくと見せてあげる! ……負けないわ!
574: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:21:49.37 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・港――
大鳳「艦隊、帰投しました!」
響「おつかれ。今日も大鳳はすごかったね」
暁「大鳳さんが先制攻撃で殆ど撃沈しちゃうんだもん。暁達の出番が無かったわ」
大鳳「今日はたまたま絶好調だっただけですから!」
矢矧「……そんなこと言って、もう随分と長いことMVPの座を
独占しているのではないのかしら?」
矢矧「過度な謙遜は嫌味になるわ。気をつけたほうがいいわよ」
大鳳「あ、すみません……」
大鳳(……言ってもいいのかしら? 相手の深海棲艦が弱すぎるって)
大鳳(ううん駄目。それこそ本当に嫌味になっちゃうわ)
大鳳(私は最新鋭の装甲空母。艤装も装備も最新式……旧式の艦より強くて当然なんだから
それに驕ってはダメ……)
とは思いつつも、大鳳は深海棲艦の手応えの無さに拍子抜けしていた。
他の艦娘が苦戦する深海棲艦とはこの程度なのかと、侮っていた。
大和「矢矧、お疲れ様」
矢矧「あら大和。出迎えてくれるなんて珍しいわね」
大和「……出迎えというか、監視というか」
長門「ほーれほれ駆逐達よ、疲れてはいないか? ラムネあるぞ?」
矢矧「……なるほど」
大和「長門さん、それ、変なもの入ってないですよね?」
長門「何だその目は、失礼な。私がくちくにそんなことするはずがないだろう!!」
大和「駆逐艦ラムネとか売ってた人が言っても説得力無いんですよ」
長門「大和……新米の頃は可愛かったのに、こんなに生意気になって」
長門「その点駆逐はいい!! 時を経てもその純粋さは
変わることがないのだからな!! だからこそ気にいった!!」
大和「はぁ……」
575: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:24:45.98 ID:JAZYyXaFo
大鳳「……」
大和「? 大鳳さん? 何でしょうか?」
大鳳「あ、いえ……」
大鳳(彼女は、連合艦隊最強の戦艦である大和さん。そしてあちらがビックセブンと謳われた
戦艦長門さん)
大鳳(……お二方は連合艦隊の顔ともいうべき存在。そして戦艦としては完成された性能を
持っている。ですが……心配です)
大鳳(彼女達は強い。けれど、戦艦では……限界がある)
大鳳(この先、どこまでその大艦巨砲主義を貫き通せるのか……)
司令「やぁ、大鳳ちゃん。お疲れ様~」
大鳳「あっ、提督! お疲れ様です!」
長門「……ふん、何をしに来た? 貴様」
司令「僕が僕の艦隊の艦娘の様子を見て何が悪いんだい?
あと長門君さぁ、上官に対して貴様はないんじゃない?」
長門「私の上官はかつてこの鎮守府を指揮していたあいつだけだ」
司令「……はぁ、もうさ、亡くなった方の話は止そうよ。
死んだんだからそっとしておいてあげなって」
長門「貴様……どの口d」
大和「口を慎みなさい……ッ!」
576: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:27:30.87 ID:JAZYyXaFo
大鳳「!?」
長門「大和……」
大和「あなたのような人間が、彼のことを軽々しく口にするのは許されない……!」
大鳳(大和さんがこんなに怒るなんて……)
司令「……ひー、怖い怖い。ったく、態度と消費資材の量だけは超弩級なんだからなぁ~
連合艦隊旗艦様は」
大和「…………」
長門「……時に提督様よ、貴様……確か『次世代型艦娘建造計画』とかで
忙しいんじゃなかったのか?」
司令「あー……アレは僕向きじゃあ無いから他の人間に任せたよ」
長門「……まるでおもちゃだな」
司令「何か言ったかい?」
長門「いや……何も」
大鳳(提督は、艦娘の皆と仲がとても悪いです……私としては、
皆仲良くしてもらいたいのですけれど……)
司令「……あー、とりあえずさ、大鳳ちゃんはいつもの人に戦果の報告しといてね」
大鳳「あ、はい」
司令「それじゃあ僕は失礼するよ……何だかおじゃま虫みたいだからねぇ?」
そうして、今現在この鎮守府の提督を務める男は去っていった。
長門「……ふん、提督の椅子に座っているだけのボウフラが」
彼の背中を見送る艦娘達の目は皆、嫌悪の色に満ちている。
誰もが皆視線にストレスを内包していた。
……しかし大鳳は違った。
だからこそ大鳳は何だかとても居心地が悪くなってしまい、
そそくさと彼女達のグループから離れていったのだった。
577: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:30:17.71 ID:JAZYyXaFo
大鳳「はぁ……こんなにギスギスしてて大丈夫なのかしら」
「指揮官と兵士が対立し、基本的な組織行動さえままならない。
戦争以前のお粗末な状況だな……」
大鳳「……あなたは」
研究員「そろそろ覚えてくれたぁー? 自己紹介とか面倒だし二度はしないって」
大鳳「確か、花見さん……でしたよね?」
研究員「そうだよぉ。覚えてくれて、ありがとにゃん!」
大鳳「はぁ……」
大鳳(この人は……妖精さん達による新型兵装の研究に携わっている研究員……らしいですけど)
大鳳(つかみどころがないというか、得体の知れないというか、変な喋り方というか)
研究員「何? 僕のことそんなに見つめてどうするの?」
大鳳「……あなた、本当に研究に関わっているの?」
研究員「疑うのか……この私を」
大鳳「だって、ある日突然研究だデータだって言われて一方的に調査されて
……私には実態がまるで見えてこないもの」
研究員「調査は秘密裏に行われるものだ……情報が連中の手に渡らんようにな……」
大鳳「誰ですか連中って……」
研究員「悪の組織」
大鳳「真顔で言わないでください」
578: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:37:20.23 ID:JAZYyXaFo
研究員「もー、大鳳さんは疑り症なのです!」
大鳳「せめて証拠のようなものを見せていただければ……」
研究員「それも、ひ・み・つ? 乙女には秘密が付き物なのよぉ~?」
大鳳「……何も教えてくれないのね」
研究員「でもさ、新しい機体を使うのは楽しいでしょ?」
大鳳「そうですけど……」
大鳳は彼女に頼まれて、度々新型の兵器のテストプレイをしていた。
大鳳自身新鋭機であるので、試験的に機体を運用するのは慣れていた。
研究員「お前は新しい装備が使えて嬉しい。私はデータが取れて嬉しい。
ギブアンドテイクではないか……?」
大鳳「それは、まぁ」
研究員「だったらさぁ~、そういうめんどいことは詮索しないで欲しいんだよねぇ~」
大鳳「……むぅ」
研究員「ほらほら、わかったらデータ取り終わった艦上機をさっさと返してよね」
大鳳「……因みに」
大鳳「この機体の名前はなんですか? もしかして、橘花……?」
研究員「んぁ? まー……結構いい線いってるんじゃない?」
大鳳「……違うの?」
研究員「これ以上はノーコメント♪」
579: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:42:04.44 ID:JAZYyXaFo
大鳳「……」
研究員「どうしたの? 浮かない顔だね」
大鳳「……何でみなさんは、提督の事が嫌いなのでしょう?」
研究員「唐突だな。今に始まったことでもないだろう?」
大鳳「やっぱりこのままじゃ……まずいと思います」
大鳳「絶対良くないわ、こんな状況。お互い歩み寄っていかなくちゃ……」
研究員「このままじゃまずいってことくらい、誰だって
判ってんじゃないのー?」
大鳳「じゃあ、何で……」
研究員「……お前はなんのために戦っている?」
大鳳「えっ……?」
研究員「何のために戦っている?」
大鳳「……そんなの、深海棲艦を倒すために決まっています」
研究員「……なるほどー。まぁ、50点ってとこかなぁ~?」
大鳳「どういうことですか?」
研究員「……まぁ、50点程度なら問題ないよ。だけど提督はそれが……」
研究員「0点だっただけって話」
大鳳「0点?」
研究員「本質的に奴とここの艦娘は合わないのだ。
両者は永遠に平行線を行く存在だ」
研究員「私もあいつは好きじゃないしにゃあ」
大鳳「……そう、ですか……」
研究員「奴はそれだけのことをしてきた。今更その穴を埋めようとしても
穴は無限にそれを飲み込んでいくだけだろう」
研究員「ま、もっともあの人は穴を埋める気も無いだろうけどね」
580: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:47:50.58 ID:JAZYyXaFo
大鳳は比較的着任が新しい艦娘だ。だから彼女は知らない、"東方作戦"の全容を。
故に大鳳は、他の艦娘と違ってあの新しい提督にも別け隔てなく接する。
そんな彼女に、人は愚かだとか哀れだとかいう感情を向けた。
だから大鳳はいつも言いようのない居心地の悪さを感じていた。
皆に仲良くして欲しいというのは彼女の本心ではあるものの、その言葉には
彼女自身の「この居心地の悪さを解消したい」という思いも少なからず含まれていただろう。
現に今も、大鳳は居心地の悪さを感じていた。目の前の研究員の少女に向けられる視線によって。
大鳳「……あなたは」
研究員「……何かしら?」
大鳳「あなたは何の為に研究をしているんですか?」
研究員「そんなことを聞いてどうする?」
大鳳「何かかしら理由があるものじゃないですか……なんとなく気になって」
研究員「……そうだねぇ」
研究員「……私は、皆の想いに動かされているだけ」
大鳳「想い……?」
研究員「皆の想い、その延長線上にたまたま私がいた。それだけのこと
私の全ては私の意志じゃない」
大鳳「……どういう、意味ですか?」
研究員「さぁねっ!」
一瞬、本当に一瞬だけど、大鳳は本当の彼女を垣間見た気がした。
研究員「……私としたことが、余計なことを話してしまいました」
研究員「……それであなたは、いつまでそこで隠れて見ているの?」
研究員「……これを積みたいって? ……これはあなたには過ぎたるもの、です」
研究員「そう消沈しないでください。もうすぐあなたは……生まれ変わるのですから」
故に大鳳は、他の艦娘と違ってあの新しい提督にも別け隔てなく接する。
そんな彼女に、人は愚かだとか哀れだとかいう感情を向けた。
だから大鳳はいつも言いようのない居心地の悪さを感じていた。
皆に仲良くして欲しいというのは彼女の本心ではあるものの、その言葉には
彼女自身の「この居心地の悪さを解消したい」という思いも少なからず含まれていただろう。
現に今も、大鳳は居心地の悪さを感じていた。目の前の研究員の少女に向けられる視線によって。
大鳳「……あなたは」
研究員「……何かしら?」
大鳳「あなたは何の為に研究をしているんですか?」
研究員「そんなことを聞いてどうする?」
大鳳「何かかしら理由があるものじゃないですか……なんとなく気になって」
研究員「……そうだねぇ」
研究員「……私は、皆の想いに動かされているだけ」
大鳳「想い……?」
研究員「皆の想い、その延長線上にたまたま私がいた。それだけのこと
私の全ては私の意志じゃない」
大鳳「……どういう、意味ですか?」
研究員「さぁねっ!」
一瞬、本当に一瞬だけど、大鳳は本当の彼女を垣間見た気がした。
研究員「……私としたことが、余計なことを話してしまいました」
研究員「……それであなたは、いつまでそこで隠れて見ているの?」
研究員「……これを積みたいって? ……これはあなたには過ぎたるもの、です」
研究員「そう消沈しないでください。もうすぐあなたは……生まれ変わるのですから」
581: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:51:16.90 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・空母演習場――
ブウゥゥゥゥン……
大鳳「……やっぱりさっきの機体より烈風のほうが使いやすいわね!
この編隊が見たかったの!」
青葉「いやぁ~凄いですね! 烈風! 流石は大鳳さん!」
大鳳「あなたは、重巡の……」
青葉「青葉です! 恐縮です~。大鳳さんの素晴らしいご活躍は常々耳にしております!
いやぁその強さの秘訣、知りたいものですねぇ? どうですか? コラムなど連載されてみては?
バックアップしますよ~?」
大鳳(……鎮守府で落ち着ける場所が欲しいと思うのは、贅沢かしら?)
青葉「あ、なんか露骨に煙たがっている顔してますね~?」
大鳳「そ、そんなつもりじゃ……」
青葉「わかりましたよ~。大鳳さんにはここだけの特ダネ、教えします!
だから機嫌直してくださいね?」
大鳳「特ダネって?」
青葉「……ある一部の艦娘のみが見る、謎の妖怪の話です。そいつは両手で猫を掴んで
艦娘の前に現れ、意味深な言葉を残して去っていく……」
大鳳「妖怪? ばかばかしい……」
青葉「それが馬鹿にできないんですってば。初めに見たのは確か
……千歳さんだった筈です」
青葉「彼女は何の前触れもなく突然現れたと言います。
そして自らのことを"エラー"と名乗ったとか」
大鳳「……で、そのエラー娘が何を言ったの?」
青葉「『あなたは運命の超越者足りえるか?』と」
582: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:53:28.62 ID:JAZYyXaFo
大鳳「運命の超越者……?」
青葉「意味はわかりません。でも、気になる言葉ですよね?」
大鳳「そうかしら?」
青葉「あとは北上さんや大井さん、それに響さんも出会ったそうです。
彼女達の時は上記した言葉の他に『深海棲艦の正体は何だと思いますか?』だとか
『この世界の理を感じていますか?』だとか言って……とにかく意味深なんですよ」
青葉「コイツ絶対なにか知ってますよ! はぁ~……できることならお会いしたい!
そして、心ゆくまで取材させていただきますぅ!」
大鳳「……はぁ、所詮与太話でしょ? 北上さん達、そういうの好きそうだし……
きっとからかわれているのよ、あなたは」
青葉「いいえ! 私のゴーストが囁くのです! これはマジモンだって……」
大鳳「……どこにそんな根拠があるのやら」
バカバカしいと思いながらも大鳳は、心がざわめくのを感じていた。
得体の知れない気持ち悪さが喉元までせり上がってきたけれど、
今更その話に食いつくのも気が進まなかったので、大鳳はその気持ち悪さを
ぐっと飲み込み、自らの体内で消化した。
――――――
―――
―
583: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:55:36.39 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・港――
大鳳「艦隊帰投いたしました!」
潮「疲れ、ました……」
朧「早く休みたい、かな……?」
漣「……ねぇ、そういえば最近……」
漣「響、見ないよね……?」
潮「そ、そういえば……」
朧「……この間行われた作戦で、沈んだって噂があるよ」
潮「え!? そそ、そんな……!」
漣「……でもおかしくない? それなら既に私達知ってるはずじゃ……」
曙「……隠してんのよ、提督と軍令部が」
漣「どういう、こと?」
曙「……自分達に都合の良い情報しか流さない。都合の悪いことは隠蔽する
そういう連中なのよ……なんでそんな隠蔽をするのかは、知らないけど……」
曙「今の提督に比べたら、前のクソ提督がどれだけマシだったか……」
潮「曙ちゃん、あんまりそういう事を言っては……」
漣「ま、噂は噂だからねぇ……何より大事になったら暁が黙ってないだろうし、
本気にしないほうがいいと思いますよっと」
曙「でも、あの提督ならやりかねないと思わない?」
大鳳「……」
今日も大鳳はどこか居心地の悪さを感じていた。
ギスギスとした空気が渦巻き、鎮守府を覆う。膜のように。
日に日に規模を増すそれは、最早大鳳以外でも感じ取る事が出来た。
584: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:56:25.36 ID:JAZYyXaFo
大鳳「今日も勝った。私は今日も、勝ったんだ……」
自分に言い聞かせるように、大鳳は呟く。
今日の勝利を、自らの力を、確認する為に。
大鳳はこれまでと変わらず勝ち続けていたし、勿論彼女自身
深海棲艦に負ける気配など微塵も感じなかった。
しかし、いつからか勝利を祝う者が減っていき、疲労感ばかりを口にする者が増えた。
誰もが皆、この戦いの先が見えなかった。
だから大鳳だけは、しっかりと勝利の積み重ねを意識した。
そうすることで、少しでも事態が好転しているような気になるからだ。
そんな時、彼女はふと、一人の艦娘の姿を発見する。
まるゆ「……」トテトテ
大鳳「あれは……まるゆさん?」
585: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 21:59:43.99 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府裏庭・外れ――
まるゆ「……ごーやさん、イムヤさん、イクさん……」
まるゆ「まるゆ、また来ましたよ」
まるゆ「もうオリョール海も潜水艦の独壇場ではなくなってしまいました」
まるゆ「これからまるゆ達は……どうなるのでしょう?」
大鳳「まるゆさん」
まるゆ「? あ……、大鳳さん!」
まるゆの表情が明るくなる。
まるゆは陸軍工廠の艦娘。故に鎮守府にはあまり馴染めずにいた。
そんな彼女と、大鳳は気が合った。
大鳳「たまたま見かけたから……こんな所で何をしているの?」
まるゆ「……先輩方と、お話していました」
大鳳「……そう」
まるゆの前にあるものは、何か文字が刻まれている石碑だ。
大鳳は全てを悟った。
まるゆ「先輩方は、まだまるゆが着任したばかりの頃……敬礼の仕方も分からない
まるゆにたくさんのことを教えて下さいました。みなさんは素直じゃないので、
そんなことをしてやった覚えはないって怒るでしょうけど」
まるゆ「皆さんの、そういうところが好きだった……」
大鳳「いい先輩だったんですね」
まるゆ「ええ、ほんとに。先輩方がいなければ、まるゆなんて三日で陸軍に戻ってましたよ
満足に潜れないし、魚雷も打てない。そんな潜水艦に、本来なら居場所なんて無かった筈なんです」
まるゆ「そんなまるゆに、先輩方は居場所を作ってくださった。知っていますか?
当時の潜水艦隊は連合艦隊屈指の練度を誇る精鋭部隊だったんですよ?
一番最初に未制圧の海域に進むのはいつも潜水艦隊だった。
そんな艦隊にいてもいいんだって思うだけで、まるゆは誇らしかった。
今はもう補給線分断任務が中心となってしまいましたが……」
大鳳「潜水艦は随分数が減ってしまったものね……」
586: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:05:48.16 ID:JAZYyXaFo
まるゆ「……まるゆ、実は一度解体されかかってた事があるんです」
大鳳「えっ……?」
まるゆ「ふふふ、驚きましたね。まぁそうなりますよね……」
まるゆ「寧ろそういう話が出てこない事のほうがおかしいんです。
元々軍令部の方は陸軍の船をあまり良く思っていなかったようですし……」
大鳳「……陸軍と海軍の確執には、本当に頭を悩まされるわね」
まるゆ「そんなこともあって、悲しいけどまるゆはしかたがないかなぁって思ってたんですけど……
その矢先ですよ、先輩方が突然オリョールクルージングをボイコットし始めたんです」
まるゆ「先輩方は『働きたくないでち!』『休みよこすの!』といつもの論調を
展開していましたが……今思えばアレはまるゆのためにやっていたのかなって。
潜水艦の数が足りなくなって、まるゆがオリョールに借り出されるようになって
そのまま解体の話は立ち消えです」
まるゆ「オリョール海のシーレーン確保は、それほど重要で、それを担う先輩方の存在は
軍にとってとても大きかった……」
まるゆ「まるゆ、思うんです。昨今の戦線の激化は、東方作戦後からと言われていますけど……
そうじゃない。先輩方が沈んだその日から、始まっていたんじゃないかって。
オリョール海のシーレーンを破壊された、その時から……」
まるゆ「先輩方は本当に、強かったんです。多分一番戦果を上げていたのは、
先輩方潜水艦隊だったはずです。今じゃ信じられないかもしれませんけど。
でも、敵の戦艦や空母をあんなに沈めたのは、先輩方だけだと思うんです
いつも皆さん少ない損害で帰ってきたので、わからなかったかもしれませんが……
オリョール海は皆さんが思うよりもずっと過酷な海域で、
でもそれを悠々周れたのは、並外れた先輩方の練度があったから」
まるゆ「戦艦や空母を、先輩方が食い止めてくれていたから
……皆余裕を持って戦えたんです」
587: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:08:39.63 ID:JAZYyXaFo
まるゆ「でもその事実を、皆さんは知らない。先輩方は功績を誇らない人達だったから。
出撃の時なんていつも文句を言っていましたし、とても働き者には見られなかったでしょう。
でも、先輩方はその実、誰よりも平和の為に戦っていたんです。称賛の言葉さえ求めず、
いくら酷使されてもそれを笑い話にして……どんな過酷な任務もこなしてきました」
まるゆ「そういう方達だったんですよ」
大鳳「私も、彼女達にお会いしてみたかった」
まるゆ「面白い方達ですよ?」
大鳳「……それがかなわないのは本当に、残念」
まるゆ「……先輩方はあんなに頑張っていたのに……彼女達の死は、
こんな質素な石一つで済まされてしまうんですね」
まるゆ「まるゆは悔しいです……戦線を支えていたのは、先輩方だった……!」
まるゆ「なのに、こんな扱いって……あんまりでしょう!」
大鳳「っ……」
大鳳は何も言えなかった。自分は毎日のように褒め称えられ、チヤホヤされている。
そんな自分が彼女達に何を言えるというのだろう。後ろめたく思う大鳳は、閉口するばかりだった。
588: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:12:10.54 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・食堂――
陸奥「あら、大鳳じゃない。今からご飯?」
大鳳「え、ええ……」
陸奥「じゃあ同席してもいいかしら?」
大鳳「いいですよ。私も今、丁度話し相手が欲しかったところですから……」
陸奥「あらあら、何か悩み事?」
大鳳「自分は今まで如何に、何も知らなかったんだろうって、気付かされたんです」
陸奥「……一体どうしたの?」
大鳳「戦果を上げて、評価されるというのは当たり前のことだって思ってました
でもそれは、恵まれていたことなんですね……」
陸奥「……そうねぇ、評価される子がいれば、中々評価されない子もいる。
二人が同じくらい頑張っていたとしても、結局は人の主観によるものだから」
大鳳「そういうものでしょうか……?」
陸奥「重要なのはその後じゃない? 自分は評価されている。あの人は評価されない
かわいそう。おしまい。それじゃ駄目でしょ?」
大鳳「そうですよね……」
陸奥「せっかくそれに気付けたんだもの、ならば考えるべきよ、その意味を。
そして自分がどうすべきなのかを」
大鳳「意味、ですか……?」
陸奥「あらゆる事に意味はついてくる。それを見極めるのが大切なのよ?
あ、そこの七味取ってくれない?」
大鳳「はい、どうぞ」
陸奥「それでなんだけど、例えb……」
バサッ
大鳳「あっ……」
大量の七味がむっちゃんのラーメンを襲う!
589: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:24:54.05 ID:JAZYyXaFo
陸奥「……と、とまぁ、私ってこんなふうに運が悪いじゃない?」
大鳳「ええ、まぁ……」
陸奥「私の不幸にも、何か意味があるんじゃないかと考える」
大鳳「……それで、陸奥さんの不幸にはどんな意味が?」
陸奥「戦いの中で不幸が起きないように、日常生活の中で不幸を消費していると考えているわね!」
大鳳「……ポジティブ・シンキング、ですね」
陸奥「……まぁ、それで沈んでちゃあ世話ないけどね」ズーン
大鳳「いきなりネガティブにならないでください」
陸奥「まぁそれはともかく、何事にも意味があって、それをどう捉えるかが
大切だってことを言いたいの」
陸奥「って、こんな答えじゃ駄目かしら?」
大鳳「……いえ、陸奥さんの言っていることは正しいと思います」
大鳳(意味か……きっと、当たり前になりすぎて忘れてしまっていることを
ちゃんと見なおせってことかしら…・・?)
陸奥「……ならいいけど。大鳳、あなたに悩んでいる暇なんてないわよ?
期待の新人なんだから」
大鳳「……そうですよね。もっと頑張らなくちゃ」
陸奥「あなたの働きには皆期待してるんだから、ドンドン活躍してやりなさい」
大鳳「……はい!」
陸奥の言葉で、大鳳の心は少しだけ軽くなった。
そして彼女は更に戦果を上げることを、決心したのだった。
大鳳「さぁ~って、私もお刺身、いただきます。お醤油お醤油っと」
カポン
大鳳「あ……」
大量の醤油が大鳳の刺身を襲う!
陸奥「そういえば、あなたも不運艦だったわね……」
590: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:28:07.93 ID:JAZYyXaFo
――――――
―――
―
――戦闘海域――
北上「あたし達の司令官は無能だー!」バシュン
バコオォォォン!!
北上「よっし、今日もお仕事完了!」
大井「北上さんの惚れ惚れする雷撃……思わず見とれちゃう」
初霜「敵艦隊、全滅、ですね」
初春「相変わらず凄まじい雷撃じゃの~、北上は」
摩耶「それよりもさっきのはなんだよ……確かにあいつは無能だけどな」
北上「言いたくもなるって。今すべきことはこの海域に出撃することじゃないってのにさ
……ホント、無能の極み!」
初霜「ですが……」
北上「ここの敵なんてさして脅威じゃないんだよ。あたしらを出すには過剰戦力ってヤツよ。
本当に戦力が必要なのはきっと、前線泊地の方なんだ……」
大井「北上さん……」
北上「前線ではこんなのとは比べ物にならない程の深海棲艦が待ち受けてる。
あたしらはこんなことしてる場合じゃないんだってば……」
摩耶「んなもん、皆わかってる……わかってるんだよ……!」
大鳳「……」
大鳳「今日も大鳳は勝利しました」
大鳳(勝利したはずなのに……)
まるで戦況が好転している気がしないのは、何故?
591: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:29:42.10 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・港――
大鳳「艦隊が帰投しました」
北上「じゃ、おつかれ」
摩耶「おう、おつかれ」
初霜「おつかれ、さまです」
大鳳「……おつかれさまです」
事務的で、最低限の挨拶を交わし、艦隊は解散する。
まだ報告も終わっていないにもかかわらず……。
それ程までに、艦娘達は疲労しきっていた。
先の見えない戦い。連携の取れない鎮守府。摩耗する戦力。
それらの要因によって流入する不安を、大鳳は否定する。
大鳳「私は今まで、ずっと深海棲艦に勝ち続けてきた……」
大鳳「私は深海棲艦より強い! だから大丈夫!」
それだけが、己の力だけが……今の大鳳の支えだった。
592: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:32:09.77 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・空母演習場――
ヴゥゥゥン……
大鳳「烈風と流星……この編隊が負けるはずない!」
長門「……熱心だな、関心な事だ」
大鳳「長門さん……ですか」
長門「しかし、あまり根を詰め過ぎてもいけないよ。
体を壊してしまっては元も子もない」
大鳳「……別にこれくらい、どうってことないです。もうそろそろ新鋭機も
配備されますし……それに見合う技量を身につけないと。経験が浅い事だけが
この大鳳の欠点ですから!」
ヴゥゥゥン……
大鳳「新鋭機を搭載して、ますます強くなる私! 期待しててください!」
暁「わー! 大鳳さんってやっぱり凄いのね~! 出撃の後も訓練だなんて!」
大鳳「暁さん。どうしたんですか、こんなところで」
暁「最近激しい戦いが多くなってきたでしょ? だから空母の戦い方を見て
参考にしようと思ったのよ」
長門「ン~……駆逐艦には空母の戦い方なんて全然参考にならないのに……
暁はかわいいなぁ!」
暁「い、いつも鎮守府にいる長門さんは黙ってて!」
長門「」
593: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:34:36.77 ID:JAZYyXaFo
大鳳「勉強熱心なのは大変素晴らしいことです。偉いわ」
暁「もー、子供扱いして! 失礼しちゃうんだから!」
大鳳「ふふふ……」
暁「……あの、大鳳さん……一つ、聞いてもいいかしら?」
大鳳「何かしら?」
暁「暁達は……きっと、深海棲艦に勝てるわよね?」
大鳳「……!」
暁「……ちょっと不安になっちゃって。響がいないから、
心細くなっちゃったのかな……?」
大鳳「……それは、その」
大鳳は、すぐに答えてやることができなかった。
一言「大丈夫」といえば済むはずなのに、どうしてもその一言が出てこなかった。
そして大鳳は、その事実が信じられなかった。
暁「あ……」
暁「ご、ごめんなさいっ、つまらないこと聞いちゃって……勝てるに決まってるわよね!
あはは、何下らないこと聞いてるんだろ、私……」
長門「……大丈夫だ」
594: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:35:46.82 ID:JAZYyXaFo
暁「長門さん……?」
長門「我が艦隊にはこのビックセブン・長門がついている。深海棲艦など、
この41cm連装砲で一捻りよ!」
暁「……そうよね!」
暁の表情がぱぁっと明るくなる。
暁「長門さんはいつも鎮守府にいるけど、出撃した時は凄いものね!」
長門「戦艦長門は最終兵器だ。普段は温存されている故に出撃は少ないが……
このビックセブン長門が居る限り、艦隊に敗北はない!」
暁「なのです!」
大鳳(なんて、心強い言葉……あれなら、暁さんも……)
大鳳「……!」
大鳳は見てしまった。
長門の目を。酷く疲れ、精神のすり減った目を。
595: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:37:37.56 ID:JAZYyXaFo
暁「それではお暇、なのです」
長門「うむ!」
大鳳「……」
大鳳「長門さん」
長門「ん? どうかしたのか、大鳳」
大鳳「……私達は深海棲艦に、勝てますよね?」
長門「……さぁね。私には皆目見当もつかない」
大鳳「私には、大丈夫と言ってくれないんですね」
長門「鎮守府に居ることの多い私でも、駆逐達に頼られるくらいはできる。
だが大鳳……お前に頼られることは、もう私ではできないよ」
長門「お前はもう、私よりも強い」
大鳳「そんなこと、無いですよ……」
長門「ふっ……謙遜しよる。いいんだ、わかっている。
もう戦艦の時代ではないことぐらい……」
大鳳「連合艦隊の顔ともいうべきあなたが、らしくない……」
596: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:39:34.71 ID:JAZYyXaFo
長門「らしくない……か。そうだな……」
長門「以前の私であれば、お前にも大丈夫と即答していただろうな
戦艦の時代が終わろうと、関係ない。皆はこの長門が守るとな」
長門「今でもその気持ちに変わりはない。負けるつもりもない。
だが……なんだろう。あまりに先が見えないものだからか……わからなくなってしまった」
長門「見えていたはずのものが見えなくなってしまった……といった感じか。
今の私の瞳は、酷くくすんでいるからな。あの頃見えていた勝利のビジョンは、
今となってはもう見えなくなってしまったよ」
長門「どうしようもない上層部と、一向に減らない深海棲艦達。ビックセブンといえど、
嘆きたくもなるさ……」
はぁ……、と溜息と共に押し出される疲労感。
長門は孤独だった。連合艦隊の顔ともいうべき彼女は、頼られこそすれど、
誰かに頼る訳にはいかなかった。
そしてその姿は、大鳳自身にも重なった。
大鳳は気付かされる。これから自分は誰にも頼ることができないのだと。
大鳳「頼れるのは……己の力だけ」
大鳳「大丈夫……大丈夫……私は、強い」
長門(……この感覚、かつて感じたことがある)
長門(戦争末期の、終末へ至るあの感じだ……)
597: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:42:55.05 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府正面海域――
大鳳「……疲れた。もう、訓練する気力も起きない」
大鳳は自らの内に生まれようとする不安を必死に追い出す為に、
ひたすら鍛錬に打ち込んでいた。
気がつけばもう空は暗く、月が海を照らしている。
大鳳「夜戦は無理ね……そろそろ帰ろうかしら?」
大鳳「……あら?」
そろそろ引き上げようとしていた矢先、大鳳はある艦娘の姿をその目に収める。
大鳳「鈴谷さん……?」
鈴谷「あり? 大鳳ぢゃーん! なになに? こんな時間まで何やってんの?」
大鳳「訓練ですけど……」
鈴谷「やー、真面目だねぇ~。毎度、お疲れ様でーっす」
大鳳「鈴谷さんは、こんな遅くにどこへ行くつもりなんですか……?」
鈴谷「んー……」
鈴谷「ちょっと、前線の泊地まで……ね?」
大鳳「はい?」
鈴谷「いやぁ~、熊野にお気に入りの香水貸してたの思い出して~
返してもらおうと思ってさ。くまのんは結構抜けてるんだよねぇ」
大鳳「……あなたが、何を言っているのかわかりません」
大鳳「こんな夜中に一人で、前線の泊地に向かうですって?
そんなの……自殺行為ですよ!」
鈴谷「だったら、何?」
598: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:45:52.31 ID:JAZYyXaFo
大鳳「何って……」
鈴谷「鈴谷はもう行くって決めたし。止めても無駄だよ」
鈴谷「大鳳も知ってるでしょ? 前線の状況を……」
鈴谷「戦線は押され最前線にあった泊地は落ちた。そして今……熊野が居る
泊地は確実に深海棲艦に包囲され始めてる」
鈴谷「このままじゃ、熊野がいる泊地は……!」
大鳳「落ち着いてください。近い内にも鎮守府が援軍艦隊を組んで……」
鈴谷「……鎮守府? 今の鎮守府が何かすると思う?」
鈴谷「鎮守府は、熊野がいる泊地を見捨てるつもりだよ」
大鳳「え……?」
鈴谷「強い艦娘はもう絶対に本土近辺から動かさないだろうし。
……結局今の軍令部の連中は、我が身が大切なんだよ」
大鳳「そんな……」
鈴谷「でもまぁ実際、人々を守る為には本土の守りは手薄にしちゃいけないし……
半端な戦力を寄越しても無駄に艦を失うだけだって、それもわかってる」
大鳳「なら……!」
鈴谷「だから、行くのは鈴谷だけ。無謀だってわかってるよ。……わかってる。
でも、熊野を見殺しになんてできないんだ」
鈴谷「これは鈴谷のわがままだから、他の人は巻き込まないよ。
鈴谷一人なら本土の守りに影響はないから」
鈴谷「だからさ……ねぇ、ここは見逃してよ」
599: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:48:33.47 ID:JAZYyXaFo
大鳳「……だめですよ、そんなの、駄目です!」
大鳳「無駄に命を捨てに行くようなものですよ!」
鈴谷「ここで行かなかったら、その後の鈴谷の命なんて、嘘だよ」
鈴谷「そんなことしてまで、鈴谷は嘘の人生を歩みたくないし」
鈴谷「熊野を助けたいって気持ち、熊野に対する想いだけは
……絶対に嘘なんてつきたくない!」
大鳳「……勝手に出撃なんて、許されませんよ。連合艦隊から除籍されるかもしれない」
鈴谷「栄光の連合艦隊……か。でもね、大鳳……」
鈴谷「仲間一人助けられない連合艦隊の名に、意味なんて無いよ」
大鳳「!」
鈴谷「そんなのこっちからでてってやる。連合艦隊クソ食らえだ
勝手に除籍でもなんでもしてくれていいよ」
大鳳「駄目ですよ! 行かせません! 鈴谷さんのお気持ちもわかります
けれど! 私も……目の前で命を捨てに行くような真似を許す訳にはいかないんです!」
鈴谷「……大鳳は優しいね。でも……」チャキ
鈴谷は連装砲を構える。咄嗟に身構える大鳳であったが、砲身は鈴谷自身の頭へ向いた。
鈴谷「ここは絶対に通してもらうかんね。じゃなきゃ鈴谷、自分の頭ぶちぬくし」
大鳳「鈴谷さん……ッ!」
鈴谷「来ちゃ駄目だよ~……そう」
大鳳「くっ……なんで……?」
鈴谷「そうだよー。それで……いいんだよ」
鈴谷は単艦、前線泊地に向けて出撃する。
彼女の遙かなる航路を、大鳳は黙って見送ることしかできなかった。
――――――
―――
―
600: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:51:19.91 ID:JAZYyXaFo
――それから大鳳は、徐々に摩耗していった。
曙「……」
潮「……」
曙「私達が、私達が何したっていうのよ……!」
潮「こんなの、ひどすぎます……!」
大鳳(また誰か、沈んだの……?)
戦況は悪化の一途を辿り、次々と艦娘は減っていった。
夕張「無茶な作戦ね……でも、これも命令」
夕張「せめて、最後に皆が助かるデータが取れればいいけど……それも無理そうね」
大鳳(……また、無駄に誰かを沈めるの?)
戦況の悪化に伴い、軍令部は無茶な作戦をいくつも要求してきた。
大鳳「頑張らなくちゃ……力のある私が頑張らなくちゃ……」
それでも大鳳は前を向いて戦い続けた。彼女は恵まれた性能を持っていて、
深海棲艦にも負けなかった。それが彼女の唯一の原動力だった。
故に彼女は、使命感に突き動かされ続けた。
それはきっと、辛く、厳しいものだったに違いない。
それでも彼女は、その歩みを止めることはなかった……。
あの時までは。
601: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:54:59.10 ID:JAZYyXaFo
――海上・巡航艦隊――
大鳳「…………」
羽黒「あの、鈴谷さんの除籍が、本日決まったようですね……」
摩耶「ああ、そうか……そういえばあいつ……いなくなったんだったな」
鳥海「異例のことだそうですよ。この除籍は……」
北上「あたしらは艦娘だからねぇ~。船の頃と同じと思ってもらっちゃあ困るってもんよ」
大井「いっその事、私達も抜けませんか? 北上さん♪」
北上「それもいいかもねぇ~」
摩耶「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ……ったく」
大鳳「……皆さん、任務中ですよ?」ニコ
摩耶「お、おう……」
大鳳「……」
摩耶「お、おい鳥海……あいつ大丈夫なのかよ……あんな疲れた笑顔してる奴
初めて見たぜ……」
羽黒「大鳳さんは最近ずっと旗艦を務めていますから……えと、お疲れなんでしょうか?」
摩耶「あんなんで旗艦が務まるのかよ……心配だぜ」
大鳳は休みなく出撃していた。それは本人きっての願いだった。
敵と戦えば、そこには安心があった。敵を倒せば自分の力を確認できた。
大鳳は深海棲艦を沈める機械となっていた。
「水偵隊より入電! 敵艦発見!」
大鳳「……敵ですか」
今日も苦戦すること無く戦いは終わるだろう……
そう、大鳳は高を括っていた。彼女は自分の勝利を疑わなかった。
602: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:57:04.30 ID:JAZYyXaFo
羽黒「きょ、距離、方角は?」
「距離3万、まるきゅーまるです!!」
摩耶「30km……余裕を持っていくか」
大鳳「攻撃隊発艦用意。艦隊は輪形陣を維持しつつ針路を変更」
大鳳「いい風ね……今日もアウトレンジで一網打尽よ」
「第一次攻撃隊、発艦します!」
北上「お、お得意のアウトレンジ戦法ですか~?」
大井「今日も私達の出番はなしかしら……?」
大鳳「……何が起こるかわかりません。気を引き締めてください」
そう言っていた大鳳の気が一番緩んでいたのかもしれない。
「!? 報告……敵艦隊に姫級有り! 繰り返す! 敵艦隊に姫級有り!」
大鳳「……姫、級?」
それは今まで大鳳が戦ったことのない深海棲艦だった。
「水偵より入電! 制空権……五分の模様!」
大鳳「制空権が取れなかった……?」
北上「あれ? なんか……様子がおかしい感じですか?」
「敵艦隊針路変更! 艦隊は間もなく敵艦隊と衝突します!」
摩耶「おい、大丈夫か……?」
大鳳「……いいわ。私は装甲空母。接近戦に持ち込まれても、何の問題もありません」
大鳳「このまま敵を迎え撃ちます!」
603: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 22:58:24.96 ID:JAZYyXaFo
――戦闘開始――
戦艦タ級「……ッ!」
羽黒「ふ、フラグシップ……!」
北上「めんどくさそ……」
装甲空母姫「……クスッ」
大井「あっちには姫級もいるわ……」
大鳳「嘘……あれってもしかして、装甲空母……?」
装甲空母姫「……ッッッ!」
装甲空母姫、艦載機を発艦。
大鳳「深海棲艦のくせに……いいわ、私が相手してあげる!」
大鳳「皆さん、そちらは任せます! 私は……敵旗艦を沈める!」
摩耶「おい、旗艦が指揮を放棄するなって……」
大鳳「烈風と流星の編隊を見せてあげるわ!」
摩耶「聞いちゃいねぇ……」
604: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:00:26.75 ID:JAZYyXaFo
装甲空母姫「……ッ」
装甲空母姫は直掩機を伴い突進。
大鳳「空母が突撃!? 舐めているのかしら……まずは烈風でその邪魔な直掩機を
墜します! 戦闘機の皆さん!」
「了解!!」
現在軍で尤も性能が高いとされている戦闘機・烈風。その機体性能をもってすれば、
制空権が確保できなくとも直掩機を剥がすことくらいは容易に行えた。
姫級の直掩機は次々と烈風に墜とされていく。
大鳳「よし、後は急降下爆撃で沈めます!」
装甲空母 大鳳、彗星一二甲型爆撃機を発艦。彗星はすぐさま姫級を捉える。
大鳳「今よ!」
ドオォォォォォン……!
大鳳「……直撃ね、姫級なんて見たこと無いからどんなものかと思ってたけど……
意外と大したこと……」
ドォン!
大鳳「……え?」
大鳳「う、嘘……被弾!? 燃料庫は!? 燃料は大丈夫!?」
装甲空母 大鳳、中破。
605: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:02:45.89 ID:JAZYyXaFo
装甲空母姫「……クスッ」チャキ
大鳳「……なんで、空母が砲撃なんか……」
「大鳳さん! 第二射きます!」
大鳳「!! 機関部は大丈夫……艦載機もまだ飛ばせる!」
大鳳「お、面白いじゃない! この程度、大鳳はびくともしないわ!!」
装甲空母 大鳳、遊撃に回っていた流星と烈風を呼び戻し装甲空母姫に向ける。
幸い、姫級は先程の爆撃で中破しているようだった。
大鳳「状況は五分と五分……いいわ、やってあげるんだから!」
大鳳はそのまま流星と烈風の編隊でゴリ押しした。
対する装甲空母姫も艦載機を繰り出したが、今一歩烈風には及ばない。
大鳳「一気に畳み掛けます!!」
ドッゴオオオオオン!!
大鳳の攻撃隊による二度目の攻撃!
装甲空母姫「……、……」
姫級、行動不能。
大鳳「……やった」
606: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:04:41.73 ID:JAZYyXaFo
大鳳「中々に強敵だったけれど……最後に勝ったのは私よ!!」
大鳳は姫級に対して声高に宣言する。その力を誇示するかのように。
装甲空母姫「……ニヤリ」
しかし姫級は悔しがるでももだえ苦しむでもなく、勝ち誇った顔をしていた。
大鳳「……」ゾクッ
大鳳「あ、あなたなんかすぐ沈めちゃうんだから……! 攻撃隊!」
その時だ。
ドン!
大鳳「……な」
大鳳「なに、これ……」
装甲空母 大鳳、大破。
戦艦タ級「……」スチャ
大鳳「そんな、戦艦……!?」
大鳳(やだ、あし、うごかな……)
戦艦タ級「……」ジリジリ
摩耶「何やってんだ! 敵は一人じゃねーんだぞ!」
大鳳「ぁ……」
この時ようやく、大鳳は自分が慢心し、身勝手な戦いをしていたことに気付いた。
戦艦タ級「……ッ」
大鳳「あ……あ……」
沈められる。明確な殺意を持って、深海棲艦は主砲をこちらに向けている。
こんな色濃い殺意を、大鳳は初めて間近で感じた。そして彼女のその瞳は……恐怖で染まった。
607: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:06:29.21 ID:JAZYyXaFo
戦艦タ級「ッッッ!!!」ドォン!!!
大鳳「嫌っ……」
大鳳(死にたくない……!)
羽黒「……!!」
ゴオォォォォォン……!
大鳳「ぅ……?」
羽黒「やらせは、しません……!」
大鳳「え? え? 羽黒、さん……?」
重巡洋艦 羽黒、大鳳を庇い被弾。被害甚大。
鳥海「嘘……!」
大鳳「わ、私のせいで……!」
羽黒「……あなたが沈むのを、二度も見たくはないから」
大鳳「私、わたしは……あぁ」
止めどなく涙が流れてくる。
彼女は完膚なきまでに"敗北"した。そのせいで、今まで彼女の心の近郊を
保っていたものは一切合切崩壊し、涙腺を決壊させた。
608: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:07:48.00 ID:JAZYyXaFo
戦艦タ級「ッ!!!」
戦艦タ級、主砲を構えさらなる砲撃へと移ろうとする。
北上「まー、そうはさせませんよっと。大井っち、いくよー」
大井「はい、北上さんっ」
バシュンバシュンバシュンバシュンバシュバシュバシューン!
戦艦タ級「!?」
バコオォォーーン!!
魚雷の炸裂音。水しぶきの音。黒く焦げる硝煙。
その全てが涙の膜に揺れて輪郭が煩雑になる、
大鳳「ぁ……」
大鳳の意識は、そこで途切れた。
609: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:09:47.21 ID:JAZYyXaFo
――??――
ひた……ひた……
大鳳「ぅ……ううん?」
大鳳「あれ、ここは……?」
大鳳の視覚に認識が宿る。そこは何もない黒の線で縁取られた白い空間だった。
大鳳「一体ここは……もしかして私、死んだの?」
ひた……ひた……
猫「にゃーん」
大鳳「ねこ……?」
「あなたは死んでなどいませんよ。装甲空母・大鳳さん」
大鳳「誰!?」
??「私は誰でもない。しいて言うならばそう、この世界の……」
エラー娘「エラーのような存在」
そう言うと、少女は擦り寄ってきた猫の両手を取り、持ち上げた。
大鳳「あなた……エラー娘?」
大鳳はいつか青葉に聞いた与太話を思い出した。エラー娘。
……一部の艦娘の前にしか現れない謎の存在。
610: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:13:31.76 ID:JAZYyXaFo
エラー娘「そう呼ぶ人もいるでしょう」
大鳳「……ここは夢? それとも現実?」
エラー娘「それは些細な問題です。どちらもあなたの主観が体験し得る、
一繋がりの世界なのですから」
大鳳「あなたは何なの? 何の目的で私を……」
エラー娘「私がお目にかかるのは本来、普通の艦娘では至れない領域に達した艦娘の皆さん
だけなのですけれど……大鳳さん、あなたは特別です。その存在そのものが因果に反している」
大鳳「意味がわからないわ……」
エラー娘「あなたは運命の超越者足りえるかもしれないということです」
大鳳「何、何なの……運命の超越者?」
エラー娘「時に大鳳さん。あなたは自分が何の為に生まれてきたのか、
考えたことがありますか?」
大鳳「……何の、為……ですって? そんなの、戦う為に決まっています!」
エラー娘「戦って、その後には何があるんですか?」
大鳳「平和な、世界よ!」
エラー娘「平和なんて無い。人々が争う世がやってくるだけです」
エラー娘「ならば、人々が一致団結して深海棲艦に立ち向かう、
今の世の中のほうがよっぽどいい。そうは思いませんでしょうか?」
大鳳「……ふざけないで! 今が良いわけないわ! こんな、こんな救いのない世界……」
611: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:14:44.22 ID:JAZYyXaFo
エラー娘「そう。この世界には救いがない。あなた達艦娘は元々滅びの運命に定められた存在。
いかに姿形を変えようと、因果は終末に収束する。それは抗いようのない事実なんですよ」
エラー娘「……それでもあなたは、立ち向かいますか? この終末に向かう運命に」
大鳳「……」
大鳳は答えられなかった。
エラー娘「……残された時間はもうあまりありません。選択を誤らないでください。
さすればあなたは、運命の超越者足りえるかもしれない……」
大鳳「ぁ……待って! あなたは一体何者なの!?」
そこで大鳳の意識は回帰した。
612: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:18:36.31 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・修理ドック――
大鳳「……はっ!」
研究員「おや~、起きたみたいでござりまするなぁ~」
大鳳「あなたは……ッ! いいえ、そんなことより羽黒さんは!? はぐ……痛ッ……」
研究員「あまり動くなよ。運び込まれてからまだ三日しか経っていないんだ」
大鳳「でも、羽黒さん……羽黒さんが!」
研究員「心配し過ぎだって。あの子なら、隣のドックでお休み中だよー」
大鳳「え……そうなの?」
研究員「気になるならあとで見に行け」
大鳳「……そう、……よか、た……!」
大鳳「本当に、よかった……!」
吹き出した涙が、ドックに溜まる通常修復剤の中に解けていく。
大鳳は心の底から安堵した。心の緊張が抜け、涙はより勢いを増していった。
研究員「あなたと同じく、長期入渠コースよ。全く……無理し過ぎなんだからぁ~」
大鳳「……私は、今まで深海棲艦に負けたことがなかったんです」
研究員「自慢か?」
大鳳「でも、今回は負けました」
大鳳「私は強くなんかなかった。そして……もう、諦めが付きました」
大鳳「我慢しなくていいんだって。この不安を我慢することはないんだって」
大鳳「ああ、もう、私達は……終末に向かってるんだって」
研究員「…………」
大鳳「今まで沢山沢山、頑張ってきた、けど……駄目だった。今まで、見ないふりを、
してたけ、ど……ぐすっ……駄目だった……」
大鳳「頑張れば頑張るほど、現実が、見えてきて……それでも、勝ち、続けてたから
それだけが、私、の、真実だった……!」
大鳳「でも、負け、たから……現実を、突き付けられたから……
今まで無視してたこと、全部、無視できなくなって……!」
613: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:21:23.86 ID:JAZYyXaFo
大鳳「……前線には、もっと強い深海棲艦が居るって、知ってます
私達が深海棲艦と渡り合えてたのは、前線の艦娘さん達が食い止めて
くれてるからだって知ってます……」
大鳳「そんな前線がもうすぐ崩壊して、敵の本隊がこちらにやってくるっていうことも
知っています……勝ち目がないってことも全部全部、知っています……!」
大鳳「でも……それを受け入れて終末を迎えられるのは、良かったかもしれないわ……」
研究員「……たった一度の敗北で、何をそんなにへこたれてるのさ!」
大鳳「でも……」
研究員「……あなたには、因果を克服する力がある」
大鳳「そんな力、ないわ……」
研究員「ならば、あなたは何故、今もこうして生きているの?」
大鳳「へ?」
研究員「ならばあなたは、何故今までこんなに沢山の出撃をして、沢山の戦果を上げられたの?」
研究員「艦娘は皆、遅かれ早かれかつての因果をたどりつつある。それはこの世界の因果なのか、
私達が持ち込んだ因果なのかはわからない……」
研究員「……あなたはかつて、何の活躍もせず、たかだが魚雷一発で沈んだ……」
研究員「でも今のあなたは違う……勝利を重ね、みんなが頼れる空母になった」
研究員「……それは、因果を克服したと言えるのではないかと思う、です」
614: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:23:49.44 ID:JAZYyXaFo
大鳳「私は……因果を、克服した……?」
研究員「あなたは出撃して、戦って、そして帰ってきた……それだけでも
褒められるべきこと、です」
大鳳「そんな当たり前の事……今更褒められるなんて、思わなかったわ
当たり前すぎて、忘れてた……」
大鳳「まぁ、かつての私は、そのあたりまえのことさえ叶わなかったんだけど……」
大鳳「……やだ、また涙が出てきちゃうわ……本当に、情けない」
研究員「それで、いいんです。今はたくさん泣いてください。そして辛いことは全部、
涙とともにサヨナラです」
大鳳「あなた……意外といい人だったのね」
研究員「な、何のことだ? 私はプロフェッサー月子! マッドサイエンティスト!
いい人などではない!」
大鳳「ふふふ……」
大鳳はかつて、魚雷一発で沈んだ空母だった。
そんな彼女は今、尚も沈まずにいる。
その事実が、ほんの少し大鳳の心を救ったのは、言うまでもないだろう。
研究員「……あなたには力がある。だから、あきらめないで」
研究員「大丈夫。因果はあなた一人で覆すものではないですから……」
615: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:25:32.84 ID:JAZYyXaFo
――それから少し、時は流れて。
――修理ドック――
大鳳「羽黒さん……調子はどうですか?」
羽黒「はい……まだ戦線復帰は難しいみたいです……大鳳さんの方は……?」
大鳳「私もまだちょっと……」
羽黒「そう、ですか……」
大鳳「……羽黒さん。あなたには、本当に感謝し尽くしても足りない程の恩義があります」
羽黒「そ、そんな、私、あの時はただ必死で……」
謙遜する羽黒の体には、タ級の砲撃の痕跡が生々しく刻みつけられている。
大鳳(すごい傷……この傷を。私は彼女に負わせてしまった)
大鳳(泣き言なんて言っていられないわ。私は……もう……!)
大鳳は羽黒の傷を見て決心する。それはきっと、茨の道だ。
616: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:27:08.78 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府・港――
大鳳「いい風……」
「……結論は出ましたか? 大鳳さん」
大鳳「……エラー娘、さん?」
エラー娘「呼び名はお好きにどうぞ」
大鳳「何の結論、かしら?」
エラー娘「あなたは立ち向かいますか? この終末に向かう運命に」
大鳳「……ええ、立ち向かうわ」
エラー娘「その先が滅びだとしても?」
大鳳「全てを受け入れて、立ち向かいます」
大鳳「私は私の因果を克服したんだもの。次は……この世界の因果を変えてみせる」
大鳳「あなたは前に、私は何の為に生まれたのかって聞いたでしょう?」
大鳳「今、ようやく理解した……! 私の生まれた意味、その本質が今ならそれがわかる!
きっとこの、どうしようもない世界の因果を克服するために……生まれたんだって」
大鳳「艦娘は滅びの運命にあると、あなたは言った」
大鳳「その運命だって、変えてみせる……!」
大鳳「それが運命の超越者って、事なんでしょ……?」
エラー娘「……さぁ? どうでしょうか?」
大鳳「なんだっていいわ。私はもう、目を背けない」
大鳳「……負けないわ!」
617: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:28:08.57 ID:JAZYyXaFo
修正でち
――鎮守府・港――
大鳳「いい風……」
「……結論は出ましたか? 大鳳さん」
大鳳「……エラー娘、さん?」
エラー娘「呼び名はお好きにどうぞ」
大鳳「何の結論、かしら?」
エラー娘「あなたは立ち向かいますか? この終末に向かう運命に」
大鳳「……ええ、立ち向かうわ」
エラー娘「その先が滅びだとしても?」
大鳳「全てを受け入れて、立ち向かいます」
大鳳「私は私の因果を克服したんだもの。次は……この世界の因果を変えてみせる」
大鳳「あなたは前に、私は何の為に生まれたのかって聞いたでしょう?」
大鳳「今、ようやく理解した……! 私の生まれた意味、その本質が今ならわかる!
きっとこの、どうしようもない世界の因果を克服するために……生まれたんだって」
大鳳「艦娘は滅びの運命にあると、あなたは言った」
大鳳「その運命だって、変えてみせる……!」
大鳳「それが運命の超越者って、事なんでしょ……?」
エラー娘「……さぁ? どうでしょうか?」
大鳳「なんだっていいわ。私はもう、目を背けない」
大鳳「……負けないわ!」
――鎮守府・港――
大鳳「いい風……」
「……結論は出ましたか? 大鳳さん」
大鳳「……エラー娘、さん?」
エラー娘「呼び名はお好きにどうぞ」
大鳳「何の結論、かしら?」
エラー娘「あなたは立ち向かいますか? この終末に向かう運命に」
大鳳「……ええ、立ち向かうわ」
エラー娘「その先が滅びだとしても?」
大鳳「全てを受け入れて、立ち向かいます」
大鳳「私は私の因果を克服したんだもの。次は……この世界の因果を変えてみせる」
大鳳「あなたは前に、私は何の為に生まれたのかって聞いたでしょう?」
大鳳「今、ようやく理解した……! 私の生まれた意味、その本質が今ならわかる!
きっとこの、どうしようもない世界の因果を克服するために……生まれたんだって」
大鳳「艦娘は滅びの運命にあると、あなたは言った」
大鳳「その運命だって、変えてみせる……!」
大鳳「それが運命の超越者って、事なんでしょ……?」
エラー娘「……さぁ? どうでしょうか?」
大鳳「なんだっていいわ。私はもう、目を背けない」
大鳳「……負けないわ!」
618: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:30:09.27 ID:JAZYyXaFo
――それから時は、更に流れて。
――司令官室――
提督「大鳳ちゃん。これさ……流星改って言うんだ」
提督。私はあなたの事……信じていました。
提督「新鋭機だよ! これさえあれば敵艦隊なんて怖くないよね!」
着任して間もない私に、親切にしていただいて……本当に、嬉しかったんです。
提督「今回も敵艦隊をぱぱっとやっつけちゃってよ、頼むよ」
だから、私は貴方の事をずっと信じていたかった。
提督「ほ、本当に頼むよ……この戦いに負けたら、決号作戦ってヤツを
発動しなくちゃならないんだ。それだけはなんとしても避けたいからさぁ……」
でも……今の提督を、私は信じられそうもありません。
今回の作戦だって、最早作戦の体を成していないじゃない。だから……
大鳳「……提督」
提督「ど、どうしたんだい……?」
大鳳「今まで、ありがとうございました」
提督「大鳳、ちゃん……?」
さよなら、提督。
619: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:35:15.19 ID:JAZYyXaFo
――鎮守府正面――
大和「……皆さん、揃いましたね」
大和「これまでに、沢山の艦娘が散っていきました」
大和「……私達は彼女達の想いに報いなければなりません」
大和「誇りをもちなさい! 我々は誇り高き連合艦隊の艦艇です!
深海棲艦達にその威光……見せつけるのです!」
矢矧「……こうして見ると、何だか見たような顔ぶればかりね」
霞「ああ、そうね。全く……どいつもこいつもなさけないったら!」
初霜「やっぱり、こうなっちゃうのね……」
浜風「何か……でも、何かが……違う……?」
大鳳「そう……この、大鳳がいます!」
大鳳「皆さん! この大鳳が必ずや艦隊を勝利に導きます!」
矢矧「勝利にって……大鳳、あなた、本気で言っているのかしら?」
大鳳「本気も本気です! 装甲空母は伊達じゃありませんから! 流星も改になったんですよ!」
矢矧「そういう問題じゃ……」
大和「……ふふふっ」
矢矧「……大和?」
620: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:36:12.06 ID:JAZYyXaFo
大和「なんだか、本当に勝てるような気がしてきました」
大鳳「勝てる気、じゃなくて勝つんです!」
矢矧「……あなた……どこか打ったの?」
大和「何を言うの矢矧? 彼女は正しいわ……やるからには、勝たないと!」
霞「あーもうバカばっかり! いいわ、とことん付き合ってあげる!」
初霜「やっちゃいます!」
浜風「それもありですね」
矢矧「……はぁ。あなた達ときたらほんと……」
矢矧「ま、いいわ……今度はすべてを護りきるから!」
大和「矢矧も大概じゃない」
矢矧「う、うるさいわね……」
大鳳「さ、出撃しましょう!」
長門(……大鳳、お前は一体……何がお前をそうさせるんだ?)
621: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:41:56.90 ID:JAZYyXaFo
――最終防衛海域――
大和「敵は……こちらの10倍……いや、それ以上かもしれません」
初霜「うん! ちょうどいいわ!」
大鳳「ランチェスターの法則なんて知りません!」
霞「そうよ! クズ共がいくら徒党を組んでもゼロにゼロを掛けるようなものだわ!」
浜風「それは言い過ぎです」
矢矧「今更後にも引けないしね……どうするのかしら?」
大和「勿論、迎え撃つわ!」
霞「骨のある奴がいればいいけど」
初霜「雪風ちゃんの分まで、幸運発揮しちゃいます!」
浜風「相手にとって不足なしです」
矢矧「……ま、そういうの、嫌いじゃないけど?」
大鳳「私はこの鎮守府に着任して、沢山の艦隊に編入されたけど……」
大鳳「こうして艦隊の皆が一丸となったのって、初めてかも……ふふっ」
つい最近まで感じていた居心地の悪さは、もうなくなっていた。
大鳳「さぁ、装甲空母の力、見せてあげる!」
人は私を愚かだと言うかもしれません。
諦めれば楽になれるのにと、思うかもしれません。
だけどもそれは、放棄してしまうことだから。
仲間を、居場所を、想いを、投げ出してしまうことだから。
可能性が少しでもあるなら……最期まで、戦い続けるわ。
それが私の、選んだ選択。
大鳳「私の意志は砕けない! 装甲空母は砕けない!!!」
大和「敵は……こちらの10倍……いや、それ以上かもしれません」
初霜「うん! ちょうどいいわ!」
大鳳「ランチェスターの法則なんて知りません!」
霞「そうよ! クズ共がいくら徒党を組んでもゼロにゼロを掛けるようなものだわ!」
浜風「それは言い過ぎです」
矢矧「今更後にも引けないしね……どうするのかしら?」
大和「勿論、迎え撃つわ!」
霞「骨のある奴がいればいいけど」
初霜「雪風ちゃんの分まで、幸運発揮しちゃいます!」
浜風「相手にとって不足なしです」
矢矧「……ま、そういうの、嫌いじゃないけど?」
大鳳「私はこの鎮守府に着任して、沢山の艦隊に編入されたけど……」
大鳳「こうして艦隊の皆が一丸となったのって、初めてかも……ふふっ」
つい最近まで感じていた居心地の悪さは、もうなくなっていた。
大鳳「さぁ、装甲空母の力、見せてあげる!」
人は私を愚かだと言うかもしれません。
諦めれば楽になれるのにと、思うかもしれません。
だけどもそれは、放棄してしまうことだから。
仲間を、居場所を、想いを、投げ出してしまうことだから。
可能性が少しでもあるなら……最期まで、戦い続けるわ。
それが私の、選んだ選択。
大鳳「私の意志は砕けない! 装甲空母は砕けない!!!」
622: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/30(日) 23:42:33.13 ID:JAZYyXaFo
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635: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 22:57:24.38 ID:3D8Xy6Yno
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
赤城「……いえ、ここは私に任せてはもらえないかしら?」
加賀「……赤城さん!?」
金剛「赤城……ユー、何か手でもあるんデスかー?」
赤城「簡単な事です……私に逆らうということがどういうことなのか、
あの方に知っていただくだけですよ」
瑞鶴「……? 赤城さん、何をするつもりなんだろう」
翔鶴「さぁ……?」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
赤城「……いえ、ここは私に任せてはもらえないかしら?」
加賀「……赤城さん!?」
金剛「赤城……ユー、何か手でもあるんデスかー?」
赤城「簡単な事です……私に逆らうということがどういうことなのか、
あの方に知っていただくだけですよ」
瑞鶴「……? 赤城さん、何をするつもりなんだろう」
翔鶴「さぁ……?」
636: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 22:59:10.50 ID:3D8Xy6Yno
赤城「こんにちわ。先ほどの魚雷はあなたのものですね?」
レ級「……にっこり」
赤城「あなたは私達に危害を加えようとしているようですが……
本当にいいんですか? そんなことして」
レ級「……?」
赤城「私を誰だと思っているんですか?」
レ級「??」
赤城「まだお分かりにならないようですね。仕方がありません……」
赤城「ハツネミクデス」
加賀「えぇーー!?」
瑞鶴「いやいや確かに間違いじゃないけど……」
赤城「どうですか! あなたはこの電子の歌姫に攻撃することができるんですか!?」
赤城「したいのであればお好きにどうぞ……しかし初音ミクの名は全国の中学生を中心に男女別け隔てなく
果ては海外に至るまで知れ渡っています。そんな相手に危害を加えたらどうなると思います?」
赤城「忽ちツイッターは炎上! 住所は特定され、ごめんなさいと泣きツイート残して
退会に追い込まれるのが落ちです……」
赤城「それでもいいんですか!? 炎上しますよ!!」
瑞鶴「いや、無理でしょこんなんで……絶対無理でしょこれ……炎上なら自分の艦載機でさせてくださいよ……」
加賀「いくら赤城さんといえどこれは……」
レ級「えっ、それ困る!」
瑞鶴「マジでか」
エラー娘「カットカットカーット!!」
637: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:00:04.98 ID:3D8Xy6Yno
エラー娘「……赤城さん」
赤城「はい」
エラー娘「あなた、何やってるんですか。台本と違うでしょ」
赤城「ちょっとした一航戦ジョークですよHAHAHA」
エラー娘「……はぁ、今度からはちゃんとやってくださいよ? 夕張さん、すみません、
もう一度最初から撮ってください」
夕張「撮影はこの兵装実験軽巡夕張に任せといて!」
あきつ丸「それでは、『ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ』シーン20!
テイク2いくであります!」
エラー娘「3 2 1 キュー!」
638: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:01:32.08 ID:3D8Xy6Yno
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
加賀「……今こそ、この機体を使う時ね……」
58「アーイモアーイモ……」
瑞鶴「!?」
加賀「星間飛行よ」ヒュン
VF-25F「思わざれば花なり。思えば花ならざりき。ただ、感じるままに俺は飛ぶ!!」
639: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:02:31.98 ID:3D8Xy6Yno
『星間飛行』
歌:伊58
58「水面が~揺らぐ、風の輪が拡がる~♪」
VF-25F「まどろっこしいのは無しだ!!」ビュウウンガション!
レ級「ちょ」
58「流星にまーたーがって、あなたに急降下~♪」
レ級「流星だったらまだマシだったんですけどねぇ」
VF-25F「隙あり!! 終わりだあああ!!」ドドドド!!
レ 級 艦 載 機 全 滅 ! !
VF-25F「ランカ!!」
58「(∪^ω^)アルトくぅ~ん」
エラー娘「おいこら」
640: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:04:02.69 ID:3D8Xy6Yno
エラー娘「……それは何ですか?」
加賀「バルキリーです」
エラー娘「それでキミは?」
58「ごーやだよ! 苦くなんか無いよ!」
エラー娘「なんでいるの?」
58「お歌を歌いに来たでち!」
エラー娘「あのさぁ……そういう中の人ネタもういいから……」
VF-25F「ランカ!」
エラー娘「キミはもう帰ろう」
あきつ丸「それでは、『ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ』シーン20!
テイク3! であります!」
エラー娘「3 2 1 キュー!」
641: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:07:16.34 ID:RlS6DWcYo
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
翔鶴「……出ましたね、深海棲艦! 今日こそあなたの悪行、成敗してくれます!」
翔鶴「ポートモレスビーパワー……メークアップッ!」
でーでででーでー♪
でーでででーでー♪
642: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:09:16.79 ID:RlS6DWcYo
説明しよう!!
ごく一般的な正規空母・翔鶴は不幸と妹への劣情が混ざった特殊なエネルギー『ポートモレスビー波』
が臨界点へと突破すると、謎の美少女紐 戦士『ビューティクレイン』に変身することができるのだ!!
きゅるるーん!!
翔鶴「美少女紐 戦士、ビューティクレイン! 国に代わって……お仕置きよ!」
瑞鶴「翔鶴姉!?」
翔鶴「……いいえ、ビューティクレインよ!」
レ級「げぇ! ビューティクレイン!」
翔鶴「人々の平和を乱す深海棲艦よ! 海を人々に返しなさい!!」
レ級「お前なんかにやられてたまるものか! 航空爆撃を喰らえ!」
翔鶴「させない! ニイタカヤマノボステッキ!! いくわよ!」
翔鶴「キューーーーキューカンバクーーーーーエスカレーションッ!!」
ドッキャアアアアアアン!!
レ級「ぬわーーーーーーーーー!」ピューン!
翔鶴「……人々と海の平和は、このビューティクレインが守る!!」
瑞鶴「翔鶴姉……どうしちゃったの?」
翔鶴「あっ、焼き鳥仮面様~♪」
瑞鶴「その呼び方はやめて!」
エラー娘「お前らええかげんにせいよ」
643: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:13:18.82 ID:RlS6DWcYo
エラー娘「翔鶴君。何か言い訳は」
翔鶴「だって中の人ネタはやめろって……」
エラー娘「そういうこと言ってるんじゃないんですよ台本どうりやってくださいって
言ってるんですよ! 台本通り!!」
赤城「ある意味計画通りではあるわね」
加賀「そうですね」
エラー娘「あなた達も! 余計なことしないでくださいよ!」
加賀「良かれと思って」
赤城「良かれと思って」
エラー娘「わざとやってんだろ!」
金剛「あはは……ま、まぁ……みんな場を和ませるためにやったんでショウ? それなら
ノープロブレムネー」
エラー娘「といいつつ金剛さん苦笑いだよ! 金剛さんこれでも最年長の大御所なんだから!
皆さん! 真面目にやってください!」
金剛「」
榛名「エラー娘さん! 金剛お姉さまに年齢の話はNGです!」
エラー娘「ホント頼みますよ! 次こそちゃんとやってくださいよ!」
あきつ丸「それでは、『ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ』シーン20!
テイク4! であります!」
エラー娘「3 2 1 キュー!」
645: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:18:17.84 ID:RlS6DWcYo
金剛「榛名!!! 避けて!!!!」
榛名「……え?」
バシュン!!!
戦艦 榛名、魚雷直撃。中破。
赤城「!?」
加賀「なっ……」
瑞鶴「え……?」
翔鶴「は、榛名さん!?」
榛名「うぅ……これは、一体……!?」
金剛「……あれは……何だかやばそうなのがいるデース……」
レ級「……ニマァァ」
瑞鶴「なに、あれ……」
翔鶴「あんな深海棲艦、見たことがない……!」
金剛「ッ! 来る! さっさと戦闘準備に入りなサイ!!!」
赤城「……ファイナルフュージョン、承認」
加賀「了解! ファイナルフュージョン! プログラム……はぁーっ!
ドラーーーーーーイブッ!!」
榛名「よっしゃあ!!」
ハハハ ハルハル大戦艦 ハハハ ハルハル大戦艦!
646: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:19:17.99 ID:RlS6DWcYo
榛名「大戦艦の……メモリアル重力子エンジンを見せてやるぜ……!」
榛名「フュージョン!!」
君達に最新情報を公開しよう。
やってこない改二。
霧の艦隊が残したナノマテリアルとは何か。
今唸る榛名の主砲が、戦艦レ級を捉える。
ぼくらの大戦艦~♪
榛名「光になぁれえええええええええ!!!」
ハハハハ ハルハル大戦艦~♪
レ級「あ、なんかもうお腹いっぱいっすわ」
エラー「うん! そうだね!」
648: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:21:49.89 ID:RlS6DWcYo
エラー娘「もう……何なの君達」
加賀「いやあの、戦闘準備に入っただけですが……」
エラー娘「ふざけた事言うのも大概にしろよコノヤロウ」
エラー娘「もういいですよ。もうあなた達には何も期待してませんので」
瑞鶴「ま、まぁまぁ……落ち着いて」
エラー娘「落ち着いてますよ……私は至って落ち着いてる……」
赤城「……ハツネミクデス」ボソッ
瑞鶴「ぷっ」
ブチッ
エラー娘「んもおおおおおおおおおお!! なんなのもおおおおおおおお!!」
エラー娘「猫にしてやる……何もかも猫にしてやる!!!」
金剛「NO~!? ちょっと早まるのはやめなヨ~!」
エラー娘「もう誰も! 何者も私を止めることはできない!!」
赤城「あっ」
649: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:22:23.36 ID:RlS6DWcYo
-‐‐─--
´ ` 、
/ ヽ
/ ___
. ! - ‐艦 |\/| こ 、 \
│ // _ \ / れ 、 ヽ
! / , -‐/. / ̄i !  ̄ i ‐ ヽ
〉/ / ./ 〉 λi ヽ !`丶 \ }
/ i′ /| /へ、 \ ヽ廾弋 i ヽ 丶 i
! ! / リ∩ ー‐ゝ、.\ヽ | |\ ヽ !
. i i i | | |│ `.| !巛 ヘ i / 通信エラーが発生した為、
! 〉亅. ∪ |│ i 入ミミミ∧ |
,‐| / ヽ `´ i γ¬ミミミ 〉|ノ 廴__ お手数ですが、オンラインゲームトップより
. ! i .! __ .! / ノ 巛へ/弋廴__く
〉、y ゚。 ヽ丿 ! /- く⌒《》 入 \ ゲームの再開をお願いいたします。
! |ヽ `=- _,、 ___ ,、 _ -‐/ /彡彡\/ ̄ \i´
. i .! \! / ミ〉 .〈 \ ! ! ソ/-‐ ´ ! `、
i , 〈 .( ,ゝ--∧ー i乙/¨\ i !
! λ \ 実:ω;実´ `) } / |
乂从ヽ ヽ、 i `:;:;:;:´ 〉‐- -‐´i // /
ヽ杁__ ゝ:;:;:;:;:; i(´A`) 〈 ´ / ノ
| :;:;:;:; /ニニ二ニニl メ´
ノ _ ./ ! | | i ヘ
/ ノl l│. i |. | i ヘ
し.´│|.i 入 ! | .i i 〉
し `ト ┴-‐┴ー‐ ´
| | | |
!ー| !ー|
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し し
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650: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/04/01(火) 23:25:24.64 ID:RlS6DWcYo
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