1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:13:49.96 ID:V3J5QHzMo
楽「いやハニートラップってお前、誰が俺にするんだよ。意味ねえだろ」

鶫「そうか? 日本有数の広域暴力団集英組組長の一人息子、一条楽」

楽「うっ」

鶫「どうした? 国際的ギャングビーハイブ首領の一人娘の恋人、一条楽」

楽「わかったよ! それで俺にどうしろってんだ?」

鶫「……」カアァァ

楽「おい、鶫?」

鶫「…………」カアァァ

楽「おーい。鶫さーん?」

鶫「わ、」

楽「わ?」

鶫「私が、貴様に耐性をつけてやる!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399806819

引用元: 楽「ハニートラップ対策?」鶫「そうだ」 



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3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:15:46.24 ID:V3J5QHzMo
楽「…………は? え、いやちょ、お前何言ってんの!?」

鶫「聞いてのとおりだ。私が貴様にそういう耐性をつけてやる」

楽「耐性をつけてやるって何するつもりなんだよ」

鶫「その前に、貴様は、その、お嬢と何をした?」

楽「え? 何って?」

鶫「だ、だからその……お嬢とどこまでしたかと聞いているんだ」

楽「どこまでってだからなんだよ?」

鶫「ぐっ……お、お嬢とキスとか、そ、それ以上のことをしたのかと聞いているんだ!」カアァァ

楽「なっ、す、するわけねえだろ!」カアァァ

鶫「そ、そうか」

楽「ああ。で、それがなんなんだ?」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:16:12.53 ID:V3J5QHzMo
鶫「つまり貴様は女性への耐性が少なく、ハニートラップにかかりやすいわけだ」

楽「まあそうだろうけどよ」

鶫「だから私が耐性をつけてやるんだ!」

楽「だからそこがおかしいって! なんでお前がそんなことするんだよ!」

鶫「貴様がハニートラップにかかって集英組だけが被害を受けるならどうでもいいが、貴様はお嬢の恋人だ」

鶫「貴様がハニートラップにかかった場合、ビーハイブにも被害が及ぶ可能性がある。それは見過ごせないというわけだ」

楽「……いや、それにしたってお前がやる必要はねえだろ?」

鶫「この対策は当然ながらお嬢には秘密で進められる。貴様のそばに突然見知らぬ女性が現れたら不自然だろう」

楽「そりゃそうかもしれねえけど……まあいいか」ハァ

楽「それで結局何するんだよ。デートでもするのか?」

鶫「いや、そういうのではない」

楽「違うのか。じゃあ何するんだ?」

鶫「…を…め」ボソッ

楽「え? もう少し大きい声で言ってくれ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:16:41.04 ID:V3J5QHzMo
鶫「だ、だからその……」

楽「うん」

鶫「わ、私の胸を め!」カアァァ

楽「あーお前の胸を……ってええ!? な、何言ってんだよ!」

鶫「き、聞いてのとおりだ。わ、私の胸を触れば耐性もつくだろう」

楽「だからってお前なんでそんな命令受けてんだよ! 断れないってんなら千棘に言って……!」

鶫「そ、それはやめろ!」

楽「ふざけんな! こんなお前の気持ちも考えないような命令見過ごせるか!」

鶫「ち、違う! 別に強要されているわけじゃない!」

楽「え? それってどういう……」

鶫「か、勘違いするな。だからといって好き好んでいるというわけではない」

楽「どっちなんだよ」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:17:20.27 ID:V3J5QHzMo
鶫「私以外に適任がいないというのもあるが、その……私の胸は平均より大きいだろう?」ギュッ

楽「お、おう」フイッ

鶫「正直なところこの胸は動くのに邪魔で小さくなればいいと思っている」

鶫「そして、胸は好きな人に まれれば大きくなるという話を聞いた」

楽「よく話がつながらねえんだけど……」

鶫「好きな人に まれれば胸が大きくなるというなら、嫌いな奴に まれれば小さくなるはずだ」

楽「う、うん?」

鶫「そして私は貴様が嫌いだ……つまり」

楽「つ、つまり?」ゴクリ

鶫「貴様が私の胸を むことで私の胸は小さくなるのだ! お、お互いにメリットがあるのだから気にすることはない」

楽「……んなわけあるかー!」

鶫「ないと言い切れるのか!?」

楽「言い切れるのかって……いやそりゃ言い切れるのかって言われたら難しいけどさ」

鶫「なら決まりだ。どのみちハニートラップ対策はやらなければならないんだ」

楽「いやでもやっぱりこういうのはよくねえって」

鶫「……そこまで嫌か?」

楽「い、嫌ってわけじゃねえけど」

鶫「ならいいだろう。お嬢に言うようなことはしないから安心しろ」

鶫「断った場合、おそらく私以外の者が来る。どちらがいいか決めるといい」

楽「……わかったよ。嫌ならすぐ言えよ?」

鶫「ああ。それじゃあ行くぞ」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:17:48.20 ID:V3J5QHzMo
――体育倉庫――

楽「こ、ここでやるのかよ」

鶫「定番だと聞いたのだが……」

楽「なんの定番だよ!」

楽「……まあいいか。それじゃその……」

鶫「う、うむ。す、好きにしていいぞ」グッ

楽「お、おう」

鶫「……」ドキドキ

楽「……」ソーッ

鶫「……っ」ドキドキ

楽「……」モミ

鶫「ひゃぅ」ピクン

楽「うお……」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:18:22.52 ID:V3J5QHzMo
鶫「な、なんで貴様が声を出すんだ」

楽「わ、悪い。その、こんな柔らかいとは思わなかったんだよ」

鶫「なっ!」カアァァ

鶫「き、貴様はなんでそんな馬鹿なことを言うんだ!」

楽「しょ、しょうがねえだろ。大体触れって言ったのは鶫じゃねえか」

鶫「感想を言えとは言ってない!」

楽「そりゃ言ってねえけどさ」

鶫「これからは黙ってやれ!」

楽「わかったよ」

楽「……」モミモミ

鶫「……んっ」ピクッ

楽「……」モミモミ

鶫「ふ……んぅ」

楽「……」モミモミ

鶫「……黙って触るな!」

楽「お前無茶苦茶言ってるぞ!?」

……


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:18:49.53 ID:V3J5QHzMo
鶫「お、おい。そろそろ……」

楽「お、おう。わかった」パッ

鶫「30分くらいか。よく飽きもせずにしていたな」フン

楽「理不尽にも程がねえかそれ」

鶫「うるさい!」

楽「なんなんだ一体……」

楽(しかし鶫はどうしてこんなこと言い出したんだ? まあなんにせよ終わったし、とりあえず今日のことは忘れよう)

鶫「これからは2日に1度くらいのペースで行う。する時間は朝メールをするから、無理な場合はそのときに言え」

楽「はぁ!? まだ続けんのかよ!」

鶫「当たり前だ。それとももう女の体には慣れたとでも言うつもりか?」

楽「言わねえけど、だからって……」

鶫「一度やったんだ。二度も三度も同じだろう」

鶫「それに、いずれにせよ貴様がハニートラップに引っかからない程度には慣れさせる必要があるから、まだ続けなければならないのだ」

楽「ほんとお前の組織は何考えてんだよ……」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:19:15.90 ID:V3J5QHzMo
鶫「……お嬢にバレてはマズイからそれだけは気をつけるように。メールも開いたらその場で削除しろ」

楽「わかったよ」

鶫「それじゃあ私が先に出るから、貴様は時間をおいて出ろ」

楽「ああ」

鶫「……一条楽」

楽「ん?」

鶫「……これからよろしく頼む」

楽「あ、ああ。こちらこそ」

鶫「そ、それだけだ! じゃあな!」ガラッ

楽「おう」

楽(まだ手に感触が残って……)ニギニギ

楽(って何やってんだ俺! 俺には小野寺がいるってのに!)ウオォォ!

楽(……いつまでやるかわかんねえけど。慣れたりすんのかなこれ)ハハ…

………

……


11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:20:03.55 ID:V3J5QHzMo
楽「ん、鶫からメールか」

鶫『1640』

楽「……いつもながら、すぐ消すってのに徹底してんなあ」

千棘「何一人でブツブツ言ってんのよ?」

楽「うお! な、何でもねえよ」

千棘「挙動不審だからやめたほうがいいわよ」

楽「うるせー」

千棘「まあいいわ。あんた鶫見なかった?」

楽「えっ!? い、いや見てねえけど」ビクッ

千棘「そう。なんかあの子最近どこか行っちゃうことが増えたのよね」

楽「へ、へー。任務かなんかあるんじゃないか?」

千棘「大変なのかしらね。私といるときなんか険しい顔してたりするのよ。前はそんなことなかったのに……」

楽「……そうなのか」

千棘「あんたもし鶫見かけたら心配してたって伝えておいて」

楽「わかった」

千棘「それじゃ今日は先に帰るわね」

楽「あ、待った。鶫のことなんだけど――」

……


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:21:02.45 ID:V3J5QHzMo
鶫「んっ……ふぅ、はぁ……」

楽「声、漏れてるぞ」

鶫「う、るさいっ……くっ、んぅ!」ピクッ

楽(最初の頃は顔見る余裕なんてなかったけど、最近はよく見れる)

鶫「ふっ……うぅんっ!」

楽(反応も大きくなってきてるな。こいつもこんな顔するのか……)

楽「……可愛いな」ボソッ

鶫「なっ!? き、貴様何を言い出すんだ!」カアァァ

楽「悪い、声に出てたか? でもこんなことやってるんだし今さらいいじゃねえか」

鶫「うるさい! 今日はこれで終わりだ!」バッ

楽「ああ、わかった。……なあ、最近なんか悩みとかあるのか?」

鶫「なんだ藪から棒に。別に悩みなどないが」

楽「そっか。ならいいんだけど、最近なんか黙りこんでること多いから」

鶫「特に意識はしていない。いつもと変わらないはずだ」

楽「絶対増えたと思うんだけどなあ」

楽(まあ、増えてるように感じたのは最近鶫を見てることが多くなったからかもしれねえな)

楽(……最近なんか鶫のこと目で追っちゃうんだよな。こんなことしてるからなのか、それとも……)

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:21:33.87 ID:V3J5QHzMo
楽「千棘も元気がないって心配してたぞ」

鶫「む、お嬢にまで心配をかけてしまうとは……問題無いとお伝えしなければ」

楽「俺のせいで負担かけてるのかもしれないけど無理すんなよ」

鶫「……別に無理などしていない」プイッ

楽「そっか」

楽「……なあ鶫。今週末動物園行かねえか? お前動物好きだったよな?」

鶫「は? なんだいきなり」

楽「いや、動物園。動物好きだろ?」

鶫「何を馬鹿なことを。そういうところはお嬢と行け」

楽「ハニートラップ対策なんだから色んなシチュエーション試したほうがいいだろ?」

鶫「……外でこれをしたいのか。この変態め」ギロッ

楽「ちげーよ! こういう普通のデートみたいのも試そうって言ってんだよ!」

鶫「わかりづらい言い方をするな! まあそれなら……いや、それは別にお嬢と行ってもいいのではないか?」

楽「あー……千棘と違うタイプの女の子とも慣れておいたほうがいいだろ?」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:22:20.87 ID:V3J5QHzMo
鶫「むぅ。しかしお嬢に申し訳が……」

楽「いや、胸 ませといて何をいまさら……まあ千棘には鶫誘うぞって言ってあるから」

鶫「貴様何を勝手なことをしている!?」

楽「ちょっと確認したいことがあるんだよ」

鶫「は? 確認?」

楽「こっちの話。それとお前が元気ないって聞いたから元気づけようと思ったんだよ。千棘も心配してたぞ?」

鶫「な、お嬢に心配をかけてしまうとは……」

楽「俺も元気になって欲しいしさ。楽しめると思うから行こうぜ」

鶫「……」コク

楽「よし、じゃあ今週の土曜日駅前で待ち合わせな」

鶫「わかった」

鶫(一応お嬢に確認をしておくか)

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 20:23:05.52 ID:V3J5QHzMo
鶫「お嬢、今日私の事で一条楽と何か話されましたか?」

千棘「あ、楽から聞いたのね。あんた少し疲れてるみたいだし、動物園でも行って気分転換してきなさい」

鶫「しかしよろしいのですか?」

千棘「え? 何が?」

鶫「一条楽と私が2人きりというのは……」

千棘「いいわよ別に。チケット2人分みたいだし、まさかあいつのを私たちで使うわけにもいかないじゃない」

鶫「いえ、そういうことではなく」

千棘「?」

鶫「ですからお嬢とあいつはこ、恋人ではありませんか。その相手と私が2人きりというのは……」

千棘「え? ……あ、ああ! そうね! えーとほら、鶫はあいつのこと好きじゃないんでしょう? なら何も問題ないわよ!」

千棘(鶫に偽物の恋人だって話してなかったの忘れてたわ。危ない危ない)フー

鶫「……そう、ですね。お嬢の仰るとおりです」

千棘「うん、気兼ねなく遊んできなさい!」

鶫「……はい」

鶫(そうだ。私はあいつのことなんて好きじゃない。好きじゃないんだ)

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:16:36.43 ID:mPr3zaSWo
――動物園――

楽(んー鶫はまだ来てねえみたいだな。30分前だし当然か)

鶫「……く」

楽(今のうちにパンフレットでも貰って見ておくか)

鶫「……い! ……楽!」

楽(パンフレットはあっちか。今のうちに取りに――)

鶫「おい!」グイッ

楽「わっ!」

鶫「貴様なぜ無視をする! 耳が悪いのか!?」

楽「え? ええと……」ハッ

鶫「ようやく気づいたか」

楽「……え? つ、鶫か!?  た、確かに声が鶫だ。それにそのリボンっ!」

鶫「その反応でよくわかった。私にこの格好は似合ってないということだな。こんな格好をした私が馬鹿だった。今すぐ帰る」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:17:13.85 ID:mPr3zaSWo
楽「待てって! 気づかなかったのは悪かったよ。確かに男物ばっか着てるわけじゃなかったよな」

鶫「どうせ女性らしい服装は似合ってないと言いたいのだろう」

楽「確かにピンク系のカーディガンとかスカートとか着てくるとは思わなかったけど、似合ってないなんてことはねえよ」

鶫「世辞はいらん」

楽「お世辞なんかじゃねえって! ほんとよく似あってるよ。あんまり似合ってて気づかなかった」

鶫「……ふん、要は気付かなかった言い訳をしたかっただけか」

楽「それ言われると痛いな」ハハ…

鶫「まあいい。行くぞ」

楽「おう」

楽(機嫌は直してくれたみたいだな)ホッ

楽(……やべ、落ち着いて鶫の格好見たらドキドキしてきた)ドキドキ

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:17:53.78 ID:mPr3zaSWo
鶫「ここが動物園か」ドキドキ

楽「あれ、もしかして来たことないのか?」

鶫「私はビーハイブでヒットマンとして育てられたんだ。来たことあるわけないだろう」

楽「そっか。なら誘ってよかった。きっと楽しめると思う」

鶫「べ、別に動物など好きなわけではないが、せいぜい期待させてもらう」

楽「なんで今さら意地張るんだ……まあ、期待してくれ」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:18:25.12 ID:mPr3zaSWo
鶫「ふわぁ……」キラキラ

楽(凄い楽しそうだな)

鶫「ゾウにキリン、シマウマも。あれはカンガルーか!? ペンギンまでいるではないか!」」

楽「ああ、どれも可愛いよな」

鶫「なんでここはこんなにたくさん動物がいるのだ! 卑怯ではないか!」

楽「そりゃ動物園だからな」

鶫「話には聞いていたが本当にこんなにたくさん動物がいるのだな」

楽「ああ、学校とは比べ物にならないよな。外国の動物もいるから楽しいんだ」

鶫「それでは端から見ていくぞ。飛ばしたりしないからな!」

鶫「……これは別に見逃すのがもったいないということであって、全部の動物が見たいというわけではないからな!」

楽「わかってるよ。ゆっくり見てこうぜ」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:18:51.54 ID:mPr3zaSWo
鶫「ふぅ」キラキラ

楽「結構見たなー。どうだ、期待には添えてるか?」

鶫「……ふん! 勘違いするなよ。動物園が素晴らしいのであって、貴様が誇ることではないのだ!」

楽「楽しんでくれてるみたいだな。よかった。どの動物が気に入った?」

鶫「そうだな。どの動物も可愛らしいが……1頭選べというのであればホワイトタイガーだな」

楽「ホワイトタイガーか。俺も好きだぜ。白い虎って特別な感じがしていいよな」

鶫「うむ。後は何となくシンパシーを感じるというのもあるな」

楽「そういえば鶫はブラックタイガーって呼ばれてるんだっけか。確かに似てるな」

鶫「ああ、あのように泰然としていたいものだ」

楽「鶫が泰然って……似合わねー」アハハ

鶫「な、何がおかしい!」

楽「ほらそういうとこ全然落ち着いてないだろ?」アハハ

鶫「ぐっ」

楽「鶫って見た目はクールっぽいのに人の言うことですぐ表情変わるじゃん。なのに泰然って」ハハハ

鶫「う、うるさい! 笑うな!」

楽「悪い悪い。でも鶫は落ち着いてるよりそうやって色んな顔してるほうがいいと思うぜ」

鶫「なっ」カアァァ

楽「そうそう、そんな感じ」

鶫「ふ、ふん! 嬉しくなどないわ!」プイッ

楽(まあそりゃそうだよな)ハハハ

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:19:18.63 ID:mPr3zaSWo
楽「そういえばホワイトタイガーって幸運の象徴って言われてるらしいぜ」

鶫「幸運の象徴……」

楽「ああ、見た人は幸せになれるって言われてるんだってさ」

鶫「……そうなのか。ならブラックタイガーと呼ばれている私はさしずめ不幸の象徴といったところかな」ハハ

楽「鶫? どうしたんだよ急に」

鶫「ああ、すまない。こういう場で言うことではなかったな」

楽「いや、別にいいけどよ」

鶫「冗談をいうのに慣れていないんだ。次のところへ行こう。次はどんな動物がいるんだ?」クルッ

鶫(いくつも敵対組織を潰してきた。そやつらから不幸の象徴と呼ばれていたかもしれないな。それならば歓迎なのだが)

鶫(今の私はあんなに優しくしていただいているお嬢を裏切っている。それに一条楽にも好ましいことではないだろう)

鶫(そのままでいれば幸せでいられた2人を不幸にしようとしているのだ)

鶫(ブラックタイガー。不幸の象徴。これほど私に相応しい二つ名はないな)ハハ

楽「……鶫」ポン

鶫「わっ。な、なんだ?」

楽「予定変更。次はこっち行こう」

鶫「? まあ別に構わんが、何だ急に」

楽「まあいいからついて来いって」グイッ

鶫「ひ、引っ張るな!」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:19:45.61 ID:mPr3zaSWo
鶫「こ、これは……!」キラキラ

楽「動物ふれあい広場だ。うさぎとかアルパカとか触れるらしい」

鶫「動物園にはこんなところもあるのか!」

楽「見るだけじゃ飽きられるからって最近はこういうのも多いらしいぜ」

鶫「最初に考えた者に感謝したいな」

楽「そうだな。鶫はどこ行きたいんだ?」

鶫「私は……」ハッ

鶫「べ、別に可愛い動物など好きではないと言っているだろう! 貴様が選ぶといい」

楽「まだ意地張るのか……いいから選べって」

鶫「い、いらん! 貴様が選べ!」

楽「……ったくしょうがねえな。鶫は好きなものは最後に残す方か、それとも最初に食べる方?」

鶫「なんだいきなり? まあ最後に残すほうだが」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:20:15.87 ID:mPr3zaSWo
楽「じゃあうさぎは最後な。どっちにしろ全部回るけど」

鶫「なんでうさぎを最後にしたんだ?」

楽「鶫って普通に可愛いの好きだろ? だからまあなんとなく一番好きっぽいかなって」

鶫「……そうか」

楽「他のが最後のほうがよかったか?」

鶫「いやいい。不満はない」

楽「そっか。じゃあ行こうぜ」

鶫「ああ」

鶫(この男はなんで私の好みをよく知っているのだ。一条楽のことを好きになってはいけないのに、これでは……)キュ

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:20:43.90 ID:mPr3zaSWo
楽「アルパカもキツネザルも可愛かったな」

鶫「うむ。意外と人懐っこいのだな」キラキラ

楽「動物園だからってのもあると思うぜ」

鶫「そうなのか?」

楽「動物はちゃんと世話してやれば懐いてくれるんだよ。飼育員の人がちゃんと世話してくれてるんだと思う」

鶫「……いい話だが、貴様が言うと説得力がまるでないな」フッ

楽「うるせー! 気にしてんだぞこれでも!」

鶫「少しはお嬢を見習ったどうだ?」

楽「あいつはなんであんなに懐かれてんだろうな……ときどきむなしくなるぜ」

鶫「日頃の行いの差だろう」

楽「俺さっきから割と傷ついてるからな!?」

鶫「ふん、この程度で傷つくとは軟弱な。何を傷つく必要がある」

楽「この程度ってお前……」ブツブツ

鶫「……貴様の言うことが正しいならそのうち動物も懐いてくれるだろう。傷つく必要などあるものか」

楽「え?」

鶫「ほら、次はうさぎだ。さっさと行くぞ」スタスタ

楽「……フォローするなら素直にフォローしろっての」ハハ

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:21:10.21 ID:mPr3zaSWo
鶫「……」プルプル

楽「うわー思ったよりたくさんいるんだな。……鶫? どうかしたのか?」

鶫(な、何なのだここは! こんなにたくさんうさぎが! し、しかも触っていいだと!?)プルプル

楽「おーい鶫? 何震えてんだー?」

鶫「はっ! い、一条楽!」

楽「な、なんだよ」ビクッ

鶫「ほほ本当にここのうさぎを触ってもいいのか?」

楽「うん、そういう場所だしな」

鶫「そっそうか。……抱いたりとかはさすがに」チラッ

楽「……いや、まあいいんじゃねえの?」

鶫「ほっ本当か!? そ、それでは……」オソルオソル

楽「……」

鶫「……」ダキッ

うさぎ「キュッ」

鶫「~~~!」モフモフモフ

鶫「柔らかいぞ!」キラキラ

楽「おう」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:21:38.41 ID:mPr3zaSWo
鶫「ああもう、なんでこんなにかわいいんだ」ギュー

楽「あんまり強く抱きしめるなよ?」

鶫「わかっている。ああ、かわいいなあ」ポンポン

楽「まあ楽しんでくれてるみたいでよかったよ」

鶫「はっ! ち、違うぞ。これはただこうするのが礼儀かと思っただけで、決してこいつを可愛いと思ってなんか……」チラッ

うさぎ「キュー?」

鶫「~~~! もう! もうこいつは!」モフモフモフ

うさぎ「キュ~」

楽「あはははっ」

鶫「わ、笑うな」

楽「あー笑った。……なあ鶫」

鶫「ん? どうした」モフモフ

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:22:13.55 ID:mPr3zaSWo
楽「さっき不幸の象徴がどうとか言ってたろ?」

鶫「……なんだその話か」

楽「昔色々あったんだろうし今もまあハニーに言えないことしてるけどさ、だからって自分のこと不幸の象徴とか言うなよ」

鶫「え?」

楽「お前はそうやって動物を抱きしめて笑える、可愛い物が大好きな普通の女の子なんだ。だからあんな寂しいこと言うな」

鶫「私がしてきたこと、していることは不幸の象徴と呼ぶに相応しいものだろう」

楽「お前がどう思ってるのか知らねえけど、俺はお前といると楽しいよ」

鶫「!」キュン

楽「千棘も小野寺も宮本も、橘とか集だって絶対そうだ。だから不幸の象徴だなんて間違ったって言うなよ」

鶫「……わかった」

楽「本当か?」

鶫「ああ、本当だ。貴様や舞子集や橘万里花はどうでも良いが、お嬢たちがそう思ってくれているなら私が否定するわけにもいかないだろう」モフモフ

楽「そうだな」

鶫「……何も言わないんだな」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:22:45.43 ID:mPr3zaSWo
楽「何がだよ」

鶫「俺のことはどうでもいいのかとか、そういうことだ。動物に懐かれていないとからかっただけで騒いでいたくせに」

楽「ああ、なんだ。そんなことか。鶫が考えなおしてくれてんなら、その理由が俺かどうかなんてどうだっていいさ」

鶫「……そうか。ならいい」モフモフ

楽「悪かったな。楽しんでるのに変な話して」

鶫「いい。それよりこのうさぎを見ていてくれ。私は他のうさぎも撫でに行きたいのだが、放っておくのかかわいそうだ」

鶫(早くこいつから離れないと、心臓が爆発してしまいそうだ!)ドキドキドキ

楽「ああ、わかった」

鶫「では頼んだぞ。……雑に扱うんじゃないぞ!」

楽「わかってるって。これでも飼育係だぞ」

鶫「うむ。ならここで待っていろ」

楽「おう。満喫してこいよ」

鶫「べ、別に動物が好きなわけではないのだからな!」スタスタ

楽「はいはい。わかったよ」

楽「……なんか様子変だったなー。お前どう思う?」

うさぎ「ギュー」ガジガジ

楽「いってえ! ここのうさぎにも噛まれるのかよ……」ズーン

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:23:15.18 ID:mPr3zaSWo
楽「どうだった? 動物園来てよかったろ?」

鶫「……まあ動物は可愛かった。別にお前のおかげではないからな!」

楽「わかってる。まあ元気でたみたいでよかったよ」

鶫「お嬢にも言われたがそんなに元気のなさそうな顔をしていたのか?」

楽「思いつめたような顔してたぞ」

鶫「自覚はなかったが……仮にそうなら貴様のせいだな」ジロッ

楽「言っとくけどお前から言い出したことだからな?」

鶫「それはそれだ。……まあ、こんなことでもなければ動物園など来ることはなかっただろうな」

楽「動物好きなら来ればいいじゃねえか。高いもんでもないんだし」

鶫「お嬢の護衛をしているのだ。そう簡単に来れるものではない。だから、まあその……」

楽「ん?」

鶫「……ありがとう」ニコッ

楽「!」ドキッ

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:24:06.54 ID:mPr3zaSWo
鶫「そういえば、確認したいことというのは何だったのだ?」

楽「……」ボー

鶫「おい、一条楽?」

楽「……あっ! ああ、確認したいことか。うん、もう終わった」

鶫「そうか。いつの間にかしていたのだな。何を確認したんだ? 飼育方法か何かか?」

楽「いや、それじゃねえよ。何を確認したかは秘密だ」

鶫「貴様に言われて来たというのにそのくらいのことを言わないだと? 心の狭いやつめ」

楽「楽しんでたからいいだろ。うさぎをあんなに嬉しそうに抱きしめるやつ初めて見た」

鶫「なっ! き、貴様! デタラメを言うな!」

楽「何なら写真見るか?」

鶫「いつの間に撮ったんだ!? 隠し撮りなど卑劣な!」

楽「ちゃんと声かけたよ。お前もかがんでうさぎを抱きしめたままカメラ目線だったじゃねえか」ホラ

鶫「ば、馬鹿な!」バッ

鶫「……こっこんなはずは」ガクッ

楽「鶫のこんな姿初めて見たぜ」

鶫「今すぐ消せ!」

楽「もうパソコンに送っちまったよ」

鶫「くっ……誰にも見せるなよ!」

楽「わかってるよ」

鶫「もし見せたら場合、二度と朝日を拝めないと思うことだ」

楽「お、おう」ゾクッ

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/14(水) 23:24:34.71 ID:mPr3zaSWo
楽「それじゃまたな」

鶫「ああ。……一条楽。帰る前に一ついいか」

楽「ん? なんだよ」

鶫「私と貴様の関係はハニートラップ対策のためにやっている関係。それだけだ」

楽「……ああ、わかってる」

鶫「今日私といて、お嬢といるときのように緊張したり胸が高鳴ったりしたのか?」

楽「なんだよその質問。したに決まってんだろ」

鶫「そうか。この軽薄男」

楽「ひっでえ!? あんなこと聞いといてそれかよ!」

鶫「お嬢がいるというのに私などにドキドキしたというのだから当然だ。ただまあ……」

鶫「それならば、またこういうことをするのもいいのかもしれないな」

楽「……え? それって――」

鶫「それだけだ! じゃあな! 言っておくが今日話したことは誰にも言うなよ!」カアァァ

鶫「それと! いつものはいつも通りやるからな! 忘れるなよ!」ダダダダッ

鶫(たった、たったあれだけの言葉でなんでこんなに胸が高鳴るんだ! なんでこんなに苦しいんだ!)

鶫(お嬢、私は、私は――!)

楽「あれはまた誘えってことでいいんだよな]

楽「……次行くとこ考えるか」ハハ

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:06:20.86 ID:RnDrr0Yco
鶫『1700』

楽「……」

――体育倉庫――

楽「なあ鶫。もうこんなのやめにしないか」

鶫「何をだ」

楽「だからその、こうやってお前の胸を むことだよ。もう十分だろ」

鶫「――っ!」ビクッ

鶫「……バカを言うな。まだ折り返し地点だ」

楽「折り返しってこれ以上何するんだよ。もういいだろ」

鶫「ちょうど今日から次の段階に入るところだ。今日からは、その……直接だ」

楽「直接?」

鶫「ちょ直接胸を触って耐性をつけろ! 異論は認めん!」

楽「なっ! そんなの出来るわけねえだろ!?」

鶫「何か勘違いしているようだがお前に拒否権などない! もし拒否をしたらお嬢や小野寺様たちに私のこうしていることをすべて伝えるぞ」

楽「んなことしたらお前はどうなるんだよ」

鶫「私? ……まあ、良くて遠くへ飛ばされるのだろうな。お前とこんなことをしているなどお嬢に知られればただではすまんだろう」

楽「じゃあこの高校には通えなくなるのか?」

鶫「そうなるだろうな。それがどうした?」

楽「……わかったよ。直接触ればいいんだろ」

鶫「うむ。わかればいい」

楽「それで今日からやるのか?」

鶫「ああ」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:06:50.57 ID:RnDrr0Yco
楽「……」

鶫「……」ソワソワ

楽「……」

鶫「……」モジモジ

楽「……帰るぞ?」

鶫「ま、待て! いっ今脱ぐから!」

楽(帰らせてくれたほうが助かるんだけどな……)

鶫「うう」プチプチ

楽「……」

鶫「……」プチプチ

楽「……」

鶫「……」パサッ

楽「うお……」ゴクリ

鶫(は、恥ずかしくて死にそうだ)

楽「その、ブラウスは脱がないのか?」

鶫「べっ別に胸は出ているのだからいいだろう!」

鶫「……これ以上肌を出すと、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうなんだ」ボソッ

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:07:17.77 ID:RnDrr0Yco
楽「……そんな格好でもか?」

鶫「こんな格好でもだ! 聞くな馬鹿!」

楽「なあ、やっぱりやめに」

鶫「しない!」

楽「……わかったよ。じゃあ手どけてくれ」

鶫「う、うむ」ビクッ

鶫「う、うううぅ」スッ

楽「……」ゴクリ

楽「さ、触るぞ」

鶫「は、早くしろ」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:07:51.23 ID:RnDrr0Yco
楽「……!」モミッ

鶫「ひぅっ!」ビクン

楽(な、なんだこれ! 直接触るとこんな柔らかいのか!? なんか手に吸い付くような感じがするし。す、すげえ)ドキドキ

鶫(な、なんだこれは! 布がたった数枚なくなっただけでこんなにも違うのか!? こっこんなの耐えられるわけが)ドキドキ

楽「つ、鶫? やっぱりやめに……」

鶫「だ、ダメだ! まだ全然慣れていないだろう!」

楽「でもお前が……」

鶫「わっ私のことなど気にするな! いいから続けろ!」

楽「……わかったよ」モミッ

鶫「んっ!?」ピクッ

楽「……」サワサワ

鶫「~~っ」

楽「……」ギュッ

鶫「ふあぁ!」ビククッ

………

……


47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:08:24.15 ID:RnDrr0Yco
鶫「いっいちじょうらく……きょ、きょうはここまでだ」ハァハァ

楽「あ、ああ。わかった」パッ

鶫「はぁ、はぁ……」

鶫(なっなんとか耐えられた。もっと続けていたら……だっダメだダメだ! 私は何を考えているんだ!?)

楽「やっぱりやめねえか? お前だってこんなこと続けてたら……その、つらいだろ?」

鶫「確かにある意味つらいが……じゃない! お前が慣れるまで終わらないと言っただろう!」

楽「その慣れるまでって随分あやふやだけどさ。どうやって判断してるんだよ」

鶫「それは……」

楽「ほらすぐ答えられないんだからもうやめようぜ。十分慣れたよ」

鶫「違う! その、とりあえずだな。それがそうならなくなるまでだ」チラッ

楽「それってな……お、お前どこ見てんだよ!」キャー!

鶫「う、うるさい! 言わせたのはお前だ! そのくらい察しろこのバカもの!」

楽「無茶言うなよ!」

鶫「全く……なあ、一条楽。この関係は……そんなに嫌なのか?」

楽「……ああ、嫌だ」

鶫「!」ビクッ

楽「出来ればすぐにでもやめたい。俺はお前とこんな関係を持ちたくない」

鶫「……」

楽「なあ鶫。俺は――」

鶫「そっそうだ! 今日は早く帰らねばならない用事があるんだ! 一条楽! 次も必ず、必ず来いよ!」ガタッ

楽「あっ、おい!」

鶫「さ、さらばだ!」ダダダダッ

楽「……くっそ、速えなぁ」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:09:05.82 ID:RnDrr0Yco
鶫「んっ……くぅっ! ふっ、んんっ!?」ビクンッ

楽「……」モミモミ

鶫(こ、こいつやるたびに上手くなって……! このまま続けられたら私は……!)

楽「……」チャリ

鶫「ひゃぅ……ん? い、一条楽。そのペンダントはなんなんだ? 鍵が付いているようだが」

楽「ん? これ知らなかったんだっけか。ちょうどいいや。今日のはもうやめようぜ。服着ろよ」

鶫「……わかった」コクン

鶫(いつもより短いが続けていたらどうなるかわからなかった。今日はもうやめよう)

鶫「それで、今の口ぶりだと知っていて当然のように聞こえるのだが」

楽「ああ、知ってるもんだと思ってた。千棘も小野寺も橘も集も知ってるからさ」

鶫「……知らないのは私だけか」

楽「別に隠してるわけじゃねえぞ? 10年前女の子と約束したんだよ」

鶫「約束?」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:09:32.96 ID:RnDrr0Yco
楽「ああ。その女の子は鍵を、俺はペンダントを大事に持っていて、大きくなって再会したら中の物を取り出して結婚しようって」

鶫「ほう。顔に似合わずロマンチストだな」

楽「顔に似合わずは余計だよ!」

鶫「しかしお嬢がいながらそんな約束をしているとは……ん? 10年前?」ハッ

鶫「ま、まさか約束の女の子とはお嬢なのか!?」

楽「あー……だったら話は簡単だったんだけどな」ハハ

鶫「なら小野寺様か?」

楽「いや、それも違う」

鶫「……貴様、橘万里花というつもりではないだろうな」

楽「橘でもない」

鶫「……わ、私は鍵なんて持っていないぞ!?」アワアワ

楽「わかってるよ! ……鍵はみんな持ってるんだよ」

鶫「は?」

楽「いや、だから千棘も小野寺も橘も鍵を持ってるんだよ。ただ誰のかわからねえんだ」

鶫「鍵があるなら挿せばいいだろう」

楽「……折れたんだ」

鶫「折れた?」

楽「鍵をペンダントに挿して回そうとしたら折れちまったから今は確認できねえんだよ」

鶫「……貴様はバカなのか?」

楽「冷静に言うのやめて!」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:09:59.75 ID:RnDrr0Yco
鶫「……しかしお嬢のみならず、小野寺様も橘万里花も鍵を持っているのか」

楽「ああ、なんかすげーよな。10年前に約束したかもしれない相手と再会できるなんて」

鶫「……そうだな」

楽「あの3人が鍵持ってるのを知ったときは、そのうちの誰かが運命の相手かもなんて思ったりしてさ」アハハ

鶫「……」ズキッ

鶫(元からわかっていたことじゃないか。こいつはお嬢の恋人だ。私にこいつに選ばれる資格なんかない)

鶫(ただ、それがお嬢と恋人になったからじゃなくて、ずっと、ずっと昔から決まっていたというだけだ)

楽「前はそう思ってたんだよ。運命の相手と恋人になれたらとか。……でも、俺が今好きな相手は違うんだ」

鶫「え?」ビクッ

楽「運命とか約束とか、もちろん大事な、大切な思い出だけど昔のことだ。今、俺が好きなのはつぐ――」

鶫「やめろ!!!!」

楽「!?」ビクッ

楽「なっなんだよ?」

鶫「貴様今何をしようとした!?」

楽「俺はお前に告白を――」

鶫「黙れ!!」

楽「どっちだよ……?」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:10:29.32 ID:RnDrr0Yco
鶫(こ、告白だと!? わわ私に!? こ、こいつはお嬢というものがありながら何をたわけたことを……)

鶫(……いや、そうじゃない。この状況を招いたのは私だ。私がこいつを勘違いさせたんだ)

鶫(こんな偽物の思いを受け入れるわけにはいかない。こんなこと、お嬢にも、業腹だが橘万里花にも顔向けが出来ない)

鶫(ならば私は……)

鶫「……ふふっ」

楽「な、なんで笑ってんだよ。俺は本気で――」

鶫「いや、あんまり想像通りの展開になったから思わず笑ってしまった」ククッ

楽「想像通り?」

鶫「まだ気が付かないのか? ハニートラップ対策として今やっていること、これこそがハニートラップなのだ」

楽「……え?」

鶫「貴様が私に惑わされないで、お嬢を裏切らずにいられるか試したのだ。結果はこのとおり。お嬢というものがありながら貴様は……!」

楽「……なら、今までのは全部演技だったっていうのかよ」

鶫「ああ、そうだ」

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:11:08.80 ID:RnDrr0Yco
楽「最初こんなこと言い出したとき、恥ずかしそうにしてたのも?」

鶫「そうだ」

楽「動物園であんなに楽しそうにしてたのもか?」

鶫「くどい」

楽「じゃあ動物園の帰りに、またこういうことしていいかもしれないって言ってたのも嘘だっていうのかよ!」

鶫「……ああ、そうだ」

楽「……そうかよ」

鶫「……わかったらいい。これを教訓に、今後はお嬢以外の女性に惑わされないように」

楽「鶫。こうやって呼び出されるのももう最後か?」

鶫「それは……そうだ。私のやっていることがハニートラップだとわかったのだ。もう続けても意味が無いだろう」

楽「そうか。わかった」

鶫「それとこのことはこれからも他言無用だ。いいな?」

楽「ああ、わかってるよ」

鶫「じゃあな」ガラッ

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:11:44.77 ID:RnDrr0Yco
鶫「……」ピタッ

楽「鶫?」

鶫「……」ピシャン

楽「?」

鶫「実は貴様にハニートラップを仕掛けてから胸が大きくなったんだ」

楽「は?」

鶫「最初から大きくなるんじゃないかと思っていた」

楽「ちょ、ちょっと待て。意味がわからねえんだけど」

鶫「それだけだ。次会うときもいつも通りにするように」

楽「待てって! 今のはどういう意味なんだよ」

鶫「じゃあな」ガラッ

楽「おい鶫!」ピシャンッ

楽「……くそっ。なんなんだよ」

楽「全部演技だったって? いきなり言われてもどうしろってんだよ」

楽「最後に意味わかんねえこと言い出すし……ああもうわけわかんねえ!」ウガー

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:12:22.08 ID:RnDrr0Yco
鶫(あいつはなぜ私なんかに告白しようとしたんだ。こんな汚い私に……)

鶫(あいつにはお嬢という恋人がいるではないか。それも約束の鍵を持っている運命的な恋人だ)

鶫(あり得ないが万一お嬢と別れることになったとしても橘万里花がいる)

鶫(気に食わんやつだが一条楽のことを好きなのはよく分かる。きっと純粋に想っているのだろう。それに鍵も持っているから約束の相手かもしれない)

鶫(小野寺様が一条楽のことを好きなことはないだろうが、あの優しさと可愛らしさだ。お嬢がいなければ一条楽は好きになっていたかもしれん)

鶫(それに小野寺様も鍵を持っているのだ。一条楽が気にならないわけがない)

鶫(あいつの周りには純粋にあいつのことを思っている者がいる。運命的な再会をした者もいる)

鶫(それなのになぜ私なんかに告白しようとしたのかだと? ……そんなこと決まっているじゃないか。私が体に触れさせていたからだ)

鶫(こんな偽物、許されていいわけがない。あいつだって落ち着けば間違いに気づくはずだ)

鶫(……わかっているのに。わかっているのに! 私はなんて浅ましいんだ!)

鶫「あいつにああ言われて、なんでこんなに嬉しいんだ!」

千棘「鶫? どうしたの大声出して」

鶫「お、お嬢!? こ、声に出ていましたか。なんでもないのです」

千棘「そう? あいつって楽のこと? 最近一緒にいること多いみたいだけど、何か言われたの?」

鶫「ご、ご存知だったのですか!? あ、い、いえその。別にたまたまです。特に何か言われたわけでもありません」

千棘「そりゃ分かるわよ。私はあんたの親友であいつの恋人だもの」

鶫「……」ズキッ

千棘「まあ何もないならならいいけど……何かあったらすぐ言うのよ? あいつデリカシーが無いからちゃんと言い聞かせなきゃいけないのよ」

鶫「……ありがとうございます」

鶫(お嬢はこんな私に優しくしてくださっている。なのに私は……!)

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:12:56.27 ID:RnDrr0Yco
楽(鶫のやつ、いつも通りにしようって言ったくせにあれから目も合わせてこないじゃねえか!)

楽(露骨に避けられてるし……そりゃ気まずいのはわかるけどよ)ハァ

クロード「おや? 一条楽。ここのところ誠士郎とよく一緒にいるみたいではないか」

楽「いきなりなんだよ? ……それに最近はもう一緒にはいねえよ」

クロード「ふっ。そうか、誠士郎のそばにいると日々劣等感に苛まれるから離れたのか。だが落ち込むことはない」

クロード「あいつは私が手塩にかけて育てたのだ。成績も運動神経も貴様とは比較にならんほど出来が良くて当然だ」

楽「別に友達に劣等感なんて感じねえよ」

クロード「ふん、そばに優秀な男がいてなんとも思わないとは。貴様それでもお嬢様の恋人か!」

楽「結局ケチつけたいだけじゃねえか……って同じ男?」

クロード「なんだ、自分ではとても誠士郎と同じ男といえないとでも言いたいのか? 殊勝だが情けない」ハァ

楽「誰もんなこと言ってねえよ! 俺は用事あるからこれで」

クロード「言い返せずに逃げたか。やはりお嬢様の恋人にふさわしくは……」ブツブツ

楽(同じ男って言ってたよな。そういえばクロードは鶫が女だって知らなかったっけか)

楽(……じゃあ鶫に命令した奴って――)

楽「……まさか」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:13:59.56 ID:RnDrr0Yco
楽『1800』

鶫「……なんだこのメールは」

千棘「鶫ー! 一緒に帰ろ?」

鶫「お嬢……申し訳ありません。今日はその、ぽ、ポーラと帰りに寄るところがありまして」

千棘「買い物? それなら着いてくわよ」

鶫「いっいえダメです! その、じ、時間がとてもかかってしまいますので」

千棘「? まあよく分からないけどわかったわ。また明日ね!」

鶫「はい、また……」

鶫(なんで一条楽は突然こんなメールを……?)

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:14:54.27 ID:RnDrr0Yco
鶫「一条楽、貴様何を考えている!」ガラッ

楽「よう、来てくれたんだな。来ねえかと思ってた」

鶫「直接言わねば気がすまん。もう終わりだと言っただろう! なぜメールを送ってきた!」

楽「あんな突然終わりって言われても納得できねえよ」

鶫「……何をしようというんだ」

楽「ここに来てんだ。やることは一つだろ?」

鶫「……結局それか。いいだろう、言うとおりにしてやる。ただし、これで最後だ。次はないぞ」パサッ

楽「ああ、わかった」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:15:40.24 ID:RnDrr0Yco
鶫「ほら、さっさと始めろ」

楽「ああ」

鶫(こいつから求められるのは初めてだな。……なんでだろう。悪い気がしない)ハッ

鶫(これだから私はダメなのだ。私はこんなことしてはダメだというのに……)

楽「鶫」ギュッ

鶫「ひゃっ!? わあああああ!」ドンッ

楽「いってえ!」ダンッ

楽「何すんだよ!?」

鶫「なな、何を考えているんだ貴様は!? いいい今私を抱きしめ……!?」

楽「胸触るのに比べりゃ全然軽いだろ」

鶫「そっそういう問題ではない!」

楽「いいから。させてくれよ」ギュッ

鶫「ま、また抱きしめたな」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:16:17.64 ID:RnDrr0Yco
楽「ああ……目、瞑ってくれ」

鶫「いっ嫌だ」ビクッ

楽「そうか。ならそのままキスする」

鶫「やっやめろ!」

楽「嫌だったらさっきみたいに突き飛ばせ。お前なら簡単だろ?」

鶫「えっ」ビクッ

楽「突き飛ばさないなら俺は止めないからな」

鶫「そんな……」ウルッ

鶫「いや。ダメだ。キスは、しちゃ、ダメなんだ」ヒック

楽「行くぞ」

鶫「いや、やめて。お願いだから、ダメ、ダメなんだ」ヒック

楽「……」

鶫「ダメだ……んっ」

楽「……」ギュッ

鶫「……」ピクン

楽「……突き飛ばさなかったな」

鶫「バカぁ。ダメだって、やめてって言ったのに」エグッ

楽「俺だって、口先だけでそう言われたからって諦められるほど軽い気持ちじゃないんだよ」

鶫「ごめんなさい、お嬢。ごめんなさい……」ヒック

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:16:59.01 ID:RnDrr0Yco
楽「……なあ鶫。お前俺にハニートラップ対策……ハニートラップだったんだっけか。まあどっちでもいいや」

楽「それを仕掛けろって誰に命令されたんだよ」

鶫「それは……」

楽「最初はクロードだと思ってたんだけどさ。あいつまだお前のこと男だって思ってたんだな。それならこんなこと言い出すなんてありえねえだろ?」

楽「あいつはあれでもビーハイブの幹部だし、お前の直属の上司なんだから、他のやつが命令したってのも考えづらいだろ? 少なくとも話は行くだろうし」

楽「それで他に命令できそうなのって言ったら……」

鶫「……ボスならなんの不思議もないだろう。ビーハイブを守るために私に命じたのだ」

楽「だよな。でもそれこそありえないんだよ」

鶫「何?」

楽「俺と千棘は集英組とビーハイブの抗争を抑えるために、うちの親父とお前のとこのボスに頼まれて恋人のフリしてるんだ」

鶫「……え?」

楽「そんな偽物の恋人のためにハニートラップを仕掛けるなんてありえないだろ?」

鶫「う、嘘だ!」

楽「嘘じゃねえよ。どうしても嘘だって思うなら後で千棘に聞いてみろ」

鶫「そ、そんな……」ガタガタ

楽「……お前がこの前言った、最初から胸が大きくなるんじゃなかって言葉さ。最初意味わからなかったけど、お前に命令したのが誰かって考えてようやくわかった」

楽「お前、最初俺のことが嫌いだから、胸が小さくなるかもしれないから胸を んでいいって言ってたろ? それで最初から胸が大きくなるって思ってたんなら……」

楽「……あれは告白だったんだろ? すげーわかりにくかったけど」

鶫「っ!」ビクッ

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:18:56.73 ID:RnDrr0Yco
楽「正直あの告白はねえよ。なんだよ胸が大きくなると思ってたって。今まで聞いたことがある中で最悪の告白だよ」

鶫「う……」

楽「……だからさ。もう一度、ちゃんと言って欲しい。好きだって伝えて欲しい」

鶫「わっ私は……」

楽「俺と千棘は恋人じゃない。お前が千棘のことを気にする必要はねえんだ。だから鶫――」

鶫「お、お前は!」

楽「ん?」

鶫「お前はなんで私のことが好きなんだ!」

鶫「恋人じゃないとしてもお嬢は大変お美しく優しい方だ。お前の周りには小野寺様も、気に食わんがやつだが橘万里花もいるだろう。お前が私を選ぶ理由なんて……」

楽「それは――」

鶫「……いや、わかっている。私が少しでもお前に気にして欲しくて、胸を ませたからなのだろう?」

鶫「それなら安心しろ。そんな感情、一時のまやかしだ。ひと月もすれば私のことを好きでいたことなどすっかり忘れている」

鶫「だから好きだなんて言うな。……勘違いしてしまうだろう?」フッ

楽「……」

鶫「お前のそばにはもっと素敵な女性がたくさんいるのだ。だから勢いで私に告白なんてするんじゃない」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:19:29.64 ID:RnDrr0Yco
楽「……ったく。黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって」

鶫「ただの事実だ」

楽「ああ、確かに認めるよ。お前のことが気になりだしたのは胸を めとか言われてからだ。それまでは、俺はずっと小野寺のことが好きだった」

鶫「……そうか。おしとやかで優しく可愛らしい、女性の鑑のような方だ。お前が惹かれるのもよくわかる」

楽「ああ、お前とは全然タイプが違うな。俺が知ってる中で一番女の子らしいやつって言ったら小野寺になるんだと思う」

楽「でもな、だからってお前が魅力的じゃないなんてことにはならねえよ」

鶫「そんなものない。あるとすれば私の体に惑わされてそれを魅力と勘違いしただけだ」

楽「んなことねえよ。お前凄いスタイルいいだろ? 動物園行ったときとかモデルみたいで気付かなかった。すげー魅力的だと思う」

楽「他にも滅茶苦茶頭がよかったり運動神経がよかったりするところも尊敬してる。料理だって上手いしさ」

楽「動物をかわいがってるところとか凄いいい顔してた。あのときのお前のことを目で追わない男なんていねえよ」

鶫「な、な、な……」カアァァ

楽「お前の純粋なところもよく知ってる。たまに暴走しちまうところも可愛いと思う」

楽「まだまだ全然言い足りねえけど、お前にはいいところがたくさんあるよ。……鶫。俺はお前が好きだ」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:20:15.75 ID:RnDrr0Yco
鶫「あ……うぅ……」

楽「お前は俺をどう思ってるのか教えて欲しい。好きか、嫌いか、教えてくれ」

鶫「わ、私は……」

鶫「……私は汚い女だぞ。お嬢の恋人だと思っていた男を体で誘惑したような女だ」

楽「俺が告白しようとしたとき嫌われようとしただろ。それでチャラだ」

楽「……それに、そこまで好きでいてくれるってのはまあ、単純に嬉しいよ」

鶫「はぅ……そっそれに私は全然女らしくないぞ。名前だって誠士郎だ」

楽「俺は気にしねえけど……まあ気になるなら改名してもいいんじゃないか。クロードだって女だと知ってたら誠士郎ってつけてないだろ?」

楽「例えば名前から一文字取って誠とかさ」

鶫「でっでも、私は、私は――」

楽「……お前が思いつくような欠点なんて全部知ってる。それでも鶫が好きなんだ」

鶫「――!」ウルッ

鶫「――い、一条楽! 私は……私も貴様のことが大好きだ! 世界の誰よりも愛している!」

楽「……ああ、俺もお前が大好きだ。愛してる」ギュッ

鶫「うぅ……」グスッ

楽「……」ナデナデ

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:20:45.54 ID:RnDrr0Yco
楽「これからどうすっか」

鶫「これからとは何のことだ?」

楽「俺と千棘は集英組とビーハイブの抗争を止めるために付き合ってるフリをしてるって言っただろ?」

楽「俺と鶫が付き合うにしても千棘との関係を止めるわけにはいかねえし……」

鶫「そのことか……まあお嬢に相談してみよう」

楽「千棘に?」

鶫「ああ、私は事情をよく知らんがお嬢は詳しいのだろう? ならば当事者のお嬢に聞くのが一番早い」

楽「一応俺も当事者なんだけど……」

鶫「貴様とは頭の回転が段違いだ。それに貴様は信用ならん」

楽「なあそれ恋人にいうセリフか!?」

鶫「それとこれとは話が別だ」フン

鶫「……それより一つだけ確認なのだが、本当にお嬢は貴様のことは好きではないのだな?」

楽「そうだと思うぜ」

鶫「それならば貴様と恋人のフリをどうやってやめようかと考えたことがあるはずだ。何かお知恵をくださるだろう」

楽「なるほど。やっぱ頭いいなお前」

鶫「お、お世辞など言われても嬉しくないぞ」カアァァ

楽「お世辞なんかじゃねえよ。まいいや。早く行こうぜ」

鶫「ま、待て」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/24(土) 16:21:41.97 ID:RnDrr0Yco
楽「ん?」

鶫「その……て、手をつないでもいいだろうか」

楽「え? まあそのくらいいくらでも」

鶫「では……」ギュッ

楽「……」カアァァ

鶫「……」カアァァ

楽(なっなんでこんな恥ずかしいんだこれ!?)

鶫(い、今までもっと凄いことをしてきたというのに……! 心臓がどうにかなってしまいそうだ!)

楽「じゃ、じゃあ行こうぜ」

鶫「う、うむ」

楽「……」テクテク

鶫「……」テクテク

楽「……鶫。これからよろしくな」

鶫「! ……ああ!」ニコッ

終わり