1: ◆r462iqU2Ag 2010/12/25(土) 01:02:34.03 ID:QMCEEYko
前々々回 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」
前々回 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その2号室
前回 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その3号室
○あらすじ
学園都市 第7学区の外れに存在するツタに覆われた怪しげな洋館。
洋館の住人、絹旗と滝壺は余った空き部屋の入居者を募集したところ、
集まった住人は偶然にも全員が大能力者(LEVEL4)であった。
7人の大能力者が一つ屋根の下で繰り広げる、ハートフルボッコメディストーリー。
○前スレ>>1からコピペ
・"とある魔術の禁書目録"の二次創作SSです
・たぶん全年齢向け
・キャラ崩壊および独自設定、独自解釈を含みます
・ラブロマンス、バトル、シリアスの要素は薄め(予定)です
・要はダラダラした日常をダラダラと書きます
>>2-3 でメイン登場人物をおさらい
引用元: ・絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その4号室
“アイテム”絹旗 【R】 RG-W26-007-R 《ヴァイスシュヴァルツ》[とある科学の超電磁砲S]
posted with amazlet at 14.05.27
ブシロード
売り上げランキング: 272,775
売り上げランキング: 272,775
2: ◆r462iqU2Ag 2010/12/25(土) 01:03:11.22 ID:QMCEEYko
絹旗…きぬはた荘家主。アイテムの元メンバーだが、財政難に伴う組織改変により表の世界に"返品"される。
おかげで現在はニート同然。管理書類上は常盤台中学在籍。
落ち着いた性格だったが、平和な生活を手に入れたため元来の性格に戻りつつある。
滝壺…きぬはた荘家主。アイテムの元メンバーだが、絹旗同様に"返品"された。
一時期死に掛けたが、科学・魔術双方の医療技術を結集して生還。超浜面ラブ。
管理書類上は霧ヶ丘女学院在籍。
白井…名門常盤台中学の生徒にして敏腕風紀委員。物語中に2年生への昇格を果たす。
お姉様ラブなのは相変わらずだが、少々落ち着きも手に入れた模様。
そのお姉様を類人猿にとられたため、最近は(無意識的に)番外個体にターゲットを移しているとか。
婚后…名門常盤台中学3年生。生まれも育ちも名家である生粋のお嬢様。
その立ち振る舞いも実にお嬢様だが、本人はもっと素直になりたいと願っているようだ。
ペットのエカテリーナちゃんラブ。
3: ◆r462iqU2Ag 2010/12/25(土) 01:04:03.26 ID:QMCEEYko
番外個体…第三次製造計画で造られた美琴のクローン。肉体年齢はオリジナルより若干上。
冥土帰しの協力で「三澤真琴17歳無職」の偽造IDゲット、それに伴い一人称は「私」に矯正した。
結標とはファーストネームで呼び合うほど仲良し。現在は自称帰国子女のフリーター。一方通行ラブ。
結標…霧ヶ丘女学院3年生。滝壺、番外個体と並びきぬはた荘住人の中では最年長。
落ち着き払った性格と面倒見の良さで、きぬはた荘のお母さん的存在となる。
最近の楽しみは番外個体をいじって遊ぶこと。化学兵器クラスのメシマズだが、焼肉の腕だけは上級。
海原…常盤台中学理事長の孫にしてLEVEL4の念動力能力者……というのは世を忍ぶ仮の姿。
その正体はアステカからやってきた正義の魔術師であり、想い人を護るために今日も陰ながら
24時間様々な手段で静かに見守っている。ミサカラブ。
ユリコ…絹旗が拉致ってきたノラ猫。全身真っ白なミックスのメス、推定1歳。
やたらと人懐こい上に、時として人間の言語を理解しているかのような素振りすら見せる。
好物は焼き海苔、お気に入りスポットは絹旗の頭頂部。基本絹旗ラブだが人見知りはしない。
28: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:15:23.17 ID:/D7gXnwo
~同日夜 きぬはた荘~
滝壺 「あれ? みさわは?」
絹旗 「なんか、超体調不良らしくて。夕食食べれそうもないみたいです」
浜面 「おい、大丈夫なのか?」
婚后 「毎週病院に通ってらっしゃるようですし……持病でもお有りなのでは」
白井 「そうであったとしても、こういうことはご本人から話されるのを待つべきすの」
結標 「……」
結標 (そういえば、電話で話したときもなんかおかしかったわね)
結標 (アイツとなんかあったのかしら)
結標 「私があとで様子みておくわよ」
海原 (一番の友人である結標さんも事情を知らない……? これは何かありましたか)
29: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:16:33.67 ID:/D7gXnwo
~同じ頃 番外個体個室~
番外個体 「……」
番外個体 「私、なにに怒ってんだろ……」
番外個体 「ウサギさん、分かる?」モフモフ
番外個体 「……見苦しい嫉妬だよね、聞きゃ分かるだろうにさ」
番外個体 「」カチカチ
件名:ちょっと聞きたいんだけど
日付:20yy/m/d 19:38
───────────────
今日どっか行ってた?
あなたっぽい後ろ姿見かけたんだ
けど
番外個体 「送信、っと」ピッ
30: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:18:12.67 ID:/D7gXnwo
番外個体 「電話すりゃ早いんだろうけど、なんでか怖い……」
番外個体 「あ、もう返信きた」ピッ
差出人:いっつう
<misaka-love@mnw.ne.jp>
件名:Re:
日付:20yy/m/d 19:42
───────────────
オマエに報告する義務はない
番外個体 「ッ……!」
番外個体 「な、なんだよそれ……」
番外個体 「……チッ」ポイッ
ガシャン カラン...
番外個体 「つい電話ブン投げちゃった……壊れちゃったかな、ははっ……」
31: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:19:43.81 ID:/D7gXnwo
~同日深夜 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「食べる気はしなくてもお腹は空くもんだ」モグモグ
番外個体 「誰もなんも言ってこなかったな……空気読んでくれたのかな」
<誰かいるの?(ガチャ)
番外個体 「!?」ビクッ
結標 「あ……」
番外個体 「……」
番外個体 (何から話すか考えてないよ……)
結標 「あの、大丈夫?」
番外個体 「だ、大丈夫って……?」
32: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:21:10.17 ID:/D7gXnwo
結標 「体調悪いって聞いてたから」
番外個体 「あ、うん、平気」
結標 「もしかして、一方通行となにかあったの?」
番外個体 「……え?」
結標 「つい最近行ってたでしょ? その時に何か 「ないよ」
番外個体 「なんにもない」
結標 「そう? 昼間電話したときもなんか様子おかしかったじゃない」
番外個体 「……人の気も知らないで」ボソッ
結標 「え?」
番外個体 「ちょっと、聞いていいかな」
結標 「なに?」
33: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:22:24.16 ID:/D7gXnwo
番外個体 「ええと……」
結標 「どうしたのよ、深刻な顔して」
番外個体 「……今日、どっか行ってたの?」
結標 「地下街だけど?」
番外個体 「誰と?」
結標 「え? あ、それは、ね……」
番外個体 「……いや、やっぱいいや。プライベートなこと聞いて悪かったね」
結標 「ちょ、ちょっと待って。……その質問をするってことは、見たのよね?」
番外個体 「偶然、見かけただけだよ。じゃ、私もう寝るから……」
結標 「待って、貴女ぜったい誤解してる!」ガシッ
番外個体 「そんなことないから……ねえ、離してよ」
34: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:23:58.64 ID:/D7gXnwo
結標 「……離したら、どっか行っちゃうでしょ?」
番外個体 「それは……」
結標 「確かに貴女から見れば疑問に思うかもしれない。でもちゃんと理由があって」
番外個体 「だからそんなんじゃないから!」
結標 「ねえ、お願いだから最後まで聞いて!」
番外個体 「もういいから! ほっといてよ!」バチッ
結標 「いたっ……!」
番外個体 「あ……」
結標 「……」
番外個体 「……」
結標 「……言い訳も聞いてくれないの?」
番外個体 「……ゴメン、今は何聞かされてもひどい事言っちゃうかもしれない」
35: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:25:13.78 ID:/D7gXnwo
結標 「真琴……」
番外個体 「本当にゴメン。あなた達は何も悪いことしてないのにね」
結標 「あ、待って……」
<バタン
結標 「……そんなことないのに」
結標 「経緯はどうであれ、誤解されるようなことしたのは本当なんだから」
結標 「はあ……憎まれ役は慣れてるつもりだったけど……今回ばかりは堪えるわね」ポスン
結標 「…………はぁ」
<ガチャ
36: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:26:46.13 ID:/D7gXnwo
海原 「いやいや、派手にやりましたね」
結標 「海原? 貴方、何しにきたの」
海原 「騒ぎを聞きつけて慰めにきた、ということにしておきましょうか」
結標 「その優しさに泣いちゃいそうね」
海原 「泣いてもいいんですよ?」
結標 「冗談…………でも、私どうしたらいいのかな」
海原 「……」
結標 「誰かとここまで仲良くなったの初めてだから……ケンカしたとき、どうすればいいのか分からない……」
海原 「ミサワさんは、色々あって少し不安定になっているのでしょう」
結標 「不安定、ね……」
海原 「こういう時は遠くから見守ればいいんです。
友人として続けてきたんですから、話し合いは後からでも間に合いますよ」
結標 「……そうね」
37: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:28:17.91 ID:/D7gXnwo
:
:
:
結標 (海原はああ言ってたし、今回に関しては時間が解決するだろうけど……)
結標 (でもやっぱ、このままってのも……居辛いわよね)
結標 「……ねえ、起きてる?」コンコン
結標 「……入っちゃうわよ?」
ガチャ
結標 「あれ? 真琴?……ウソ、いない」
結標 「……なんで携帯電話が床に」ヒョイ
結標 「うん? メール表示しっぱなし……なによ、これ」
結標 「あの白モヤシ……なんでこんな言い方しかできないの」
結標 (知らぬこととは言え、私も傷付けるようなこと言っちゃったのね……)
38: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:30:29.44 ID:/D7gXnwo
~同じ頃 とある公園~
番外個体 「なんでかな……なんであんな言い方しかできないかな」
番外個体 「……頭より先に口が動いてた、どうにかできないのかコレ」
番外個体 (想い人と親友を同時に失うことになるのかな)
番外個体 「私、どうすれば……」
番外個体 「……さむ」
番外個体 「帰るか……いや、でも」
番外個体 「どんな顔して、どう接すればいいんだろ」
番外個体 「わかんないよ……」
39: ぐ、重い…… ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:33:51.91 ID:/D7gXnwo
~翌日 昼食時~
結標 「」チラッ
番外個体 「……」
絹旗 (いったい何があったっていうんですか……)
浜面 (仲良かったのにな)
滝壺 (ケンカしちゃったのかな)
番外個体 「ごちそうさま」
絹旗 「あ、はい」
白井 (朝からずっとこんな調子ですの……)
婚后 (口を挟みにくい雰囲気ですし……)
海原 「……」
40: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:35:15.21 ID:/D7gXnwo
番外個体 (いつまでもこのままじゃ……みんなも心配してるみたいだし……)
番外個体 (誰かに相談……でも、誰に……)
番外個体 (経験豊富で、完全に第三者視点になれるような……そだ!)
番外個体 「ちょっと出かけてくるね、夕方には戻るから」
浜面 「お、おう。気をつけてな」
<バタン
結標 「……」
滝壺 「ねえ、むすじめ。ケンカしちゃったの?」
結標 「そんなところ……ゴメンなさいね、みんなにも心配かけちゃって」
白井 「わたくし達はいいのですが……見てて居た堪れないですの」
婚后 「早く仲直りできるとよろしいですわね」
結標 「その点は大丈夫。多分今日か明日……そのタイミングもあると思うから」
41: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:36:36.63 ID:/D7gXnwo
~とある病院~
麦野 「で、私のところに来たワケか」
番外個体 「」コクリ
麦野 「……ま、患者のアフターケアも仕事の内か」
番外個体 「ゴメンなさい……」
麦野 「いいけどさ。話はそれで全部?」
番外個体 「うん」
麦野 「要約すると、片想いの彼と親友が仲良く歩いてました」
麦野 「彼もちゃんと答えてくれないし、親友とは気まずくなった、と」
番外個体 「……うん」
麦野 「そいつら付き合ってんの?」
42: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:37:56.34 ID:/D7gXnwo
番外個体 「それは分からないけど……」
麦野 「……はあ、妄想で凹んでりゃ世話ないわね」
番外個体 「だ、だって!」
麦野 「彼に問い詰めれば? それが一番てっとり早いでしょ?」
番外個体 「でも……私とそいつだって、まだ付き合ってるとかじゃ……」
麦野 「関係ないね。結局アンタ怖いだけだろ?」
番外個体 「え……」
麦野 「問い詰めた結果、付き合ってますっていわれるのが怖いだけだろ?」
麦野 「だから聞けないんだ。ウジウジしやがって見てられない」
麦野 (って、私が言えたクチじゃないけどね)
番外個体 「ぐぬ……聞きゃいいんでしょ、聞きゃ!」
43: ◆r462iqU2Ag 2010/12/26(日) 00:39:40.86 ID:/D7gXnwo
麦野 「よーし、今電話しな」
番外個体 「は……今?」
麦野 「そうだよ。今やらないと後回しにし続けそうだもん」
番外個体 「……」
麦野 「あっれー? 怖気付いちゃった? アンタの想いはその程度なんだにゃー」ニヤニヤ
番外個体 「」カチカチ
Prrカチャ
番外個体 「あ、もしもし? 私だけど……」
一方通行 『おォ、丁度よかった。オマエに用事があったンだ』
番外個体 「え?」
一方通行 『今夜時間ないか? 30分でもいい』
65: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:28:08.18 ID:YOXMd8Qo
番外個体 「用事って……?」
一方通行 『それは会ってからだ。電話だとやりづれェ』
番外個体 「分かった。時間は任せるよ、どこ行けばいい?』
麦野 「ところでアンタ、なんでさっきから一言も喋らないの?」
19090 「ミサカでは的確なアドバイスはできません、とミサカは己の経験の無さを恥じます」
麦野 「ま、これからせいぜい経験積むこったね」
19090 「はい、ミサカもしずりんのような立派な耳年増に(メキッ)いひゃいでふいひゃいでふ」
麦野 「だーれーがー、耳年増だって? あ?」ニコニコ
番外個体 「じゃ、後で(ピッ)……何してんの、あなたたち」
麦野 「んー? いやほら、こいつ無表情だからさ。表情筋をほぐすマッサージをね」ゴキゴキ
19090 「たひゅけてくだひゃい!」ジタバタ
66: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:29:18.47 ID:YOXMd8Qo
麦野 「それより、どうだった?」グニグニ
番外個体 「……今夜会うことになった」
麦野 「お、やったじゃない」ポイッ
19090 「ふぎゃ」
番外個体 「いや、来いとしか言われてないから。何言われるかは……」
麦野 「ネガティブな方向に考えてどうすんの。それじゃさっきまでと変わらないじゃん」
番外個体 「うぅ……」
麦野 「下らない心配するヒマがあるなら、腕のいい産婦人科でも探しておきな」
番外個体 「だからなんでみんなしてそっちに持ってくかなぁ!」
麦野 「え? 年頃の男女が密会してヤることなんて、一つしかないでしょ?」ニヤニヤ
番外個体 (白衣の悪魔だ……)
19090 「ま、まだ痛いです、とミサカは頬をさすりまふ」
67: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:30:31.66 ID:YOXMd8Qo
~同日夜 とある公園 ベンチ~
番外個体 「ここって……」
番外個体 「学園都市に戻ってから、初めてあの人とまともに会話した場所だ」
番外個体 「こんなところ指定してくるなんて……皮肉のつもりなのかな」
番外個体 「」ポスン
番外個体 「ベンチ冷たい……寒いよ……」ブルッ
番外個体 「やっぱコート買っときゃ良かったかな」
番外個体 「……用事ってなんだろ」
番外個体 「これが済んだら……淡希にもちゃんと謝ろう。元通りになれるか、分からないけど……」
:
:
:
番外個体 「あ……」
68: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:31:51.47 ID:YOXMd8Qo
一方通行 「よォ、今来たところか?」
番外個体 「……遅い」
一方通行 「」ヒタ
番外個体 「!? (ほ、ほほほっぺに、手、手……!)」
一方通行 「冷てェな……こりゃ悪かった、待たせちまったみたいだな」
番外個体 「……もうちょっと、こうしてて」ギュ
一方通行 「もうちょっと、だからな」
番外個体 「で、何の用?」
一方通行 「オマエに渡したいものがあってな」
番外個体 「引導?」
一方通行 「なンで引導渡さなきゃいけねェンだよ」
69: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:33:25.74 ID:YOXMd8Qo
番外個体 「じゃあ、何?」
一方通行 「……受け取れ」つ□
番外個体 「なにこれ……?」
【Happy Birthday】
番外個体 「ちょっと、これどういうこと!?」
一方通行 「……前にな、クソガキがこんなこと言ってたンだよ。自分の誕生日は8月31日だってな」
番外個体 「? そうなの?」
一方通行 「実際の誕生日なンざ誰も知らねェよ。だから、俺と初めて会った日が誕生日なンだとよ」
番外個体 「あの子らしい考えだね……で? その話とこれと何の関係があるの?」
一方通行 「クソガキがな、もォすぐオマエの誕生日だから何かしてやれって言うンだ」
番外個体 「……?」
70: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:34:58.26 ID:YOXMd8Qo
一方通行 「ま、オマエにはクソガキの面倒も見てもらってるしよ。日頃の礼も兼ねたって訳だな」
番外個体 「待って……私だって、誕生日なんかないんだけど……」
一方通行 「今日は何日だ?」
番外個体 「……10月30日?」
一方通行 「去年の10月30日、オマエは一回死に損なっただろ? それを堺に、別な生き方を始めた訳だ」
番外個体 「……」
一方通行 「今日が誕生日だと主張しても、誰も咎めやしねェよ」
番外個体 「い、いいのかな……私なんかが」
一方通行 「なンかって言うンじゃねェ」ペシッ
番外個体 「いたっ」
一方通行 「オマエだって普通に生きていいンだよ。この半年、そうしてきたようにな」
番外個体 「……うん」
71: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:36:49.88 ID:YOXMd8Qo
番外個体 「これ、開けていい?」ベリベリ
一方通行 「開けながら言うンじゃねェ……」
番外個体 「(パカッ)ピアス……」
一方通行 「オマエ、いつも赤珠のネックレスしてンだろ? 赤が好きなのかと思ってよ」
番外個体 「これって、ルビー?」
一方通行 「ルベライトだ。10月の誕生石らしいぜ?」
番外個体 「へえ、あなたにしては気が利いてるね」
一方通行 「いや、俺も詳しくねェからよ。選ぶ時、ちっと知り合いの手を借りた」
番外個体 「知り合い、って?」
一方通行 「オマエの携帯にプリクラ張ってあっただろ? 二人で写ってるヤツ、そいつだよ」
番外個体 「えっ」
番外個体 (じゃあ、あの日見たのは……)
72: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:38:05.22 ID:YOXMd8Qo
番外個体 「……昨日さ、あなたからすごい冷たいメール来たんだけど」
一方通行 「……アレは、悪かった。渡す前にバレたら面白くねェと思ってよ」
番外個体 (てことは、私が一人で勝手に思い込んで……)
番外個体 「あ……あぁ……」ポロポロ
一方通行 「あァ? 泣くほど嬉しかったかァ?」
番外個体 「それもあるけど……私……なんてことを……」グス
一方通行 「? おい、何があったンだよ?」
番外個体 「うっ……ゴメン、ちょっと……」ダキ
一方通行 「どォしたっつうンだよ……」
番外個体 「うぅぅぅ……!」グリグリ
:
:
:
73: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:39:39.20 ID:YOXMd8Qo
一方通行 「落ち着いたか?」
番外個体 「うん……ゴメン、今日はもう帰るね。帰ってやることができちゃったから」
一方通行 「あァ」
番外個体 「これ、ありがとね。嬉しいのは本当だよ」
一方通行 「……またいつでも来い。クソガキも……俺も待ってるからよ」
番外個体 「うん。次行き時には、これ着けてくから。似合うかどうか評価してよね」
一方通行 「大丈夫だろ。馬子にも衣装つうからなァ」ケラケラ
番外個体 「またそんな…………ねえ、あなたってピアスしてないの? ちょっと耳見せて」グイ
一方通行 「着けるかよ、そんn
chu☆
一方通行 「」
番外個体 「……お、お礼だよ。じゃ、ま、またね!」ピュー
74: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:40:50.44 ID:YOXMd8Qo
~同日 きぬはた荘~
番外個体 「はぁはぁ……う……ふー」
番外個体 「ほっぺに、くれてやった……」
番外個体 「」ブンブン
番外個体 「よし……もう一仕事」
~きぬはた荘 結標個室~
<コンコン
結標 「はい、どなたー?」
<ガチャ
番外個体 「」ヒョコッ
75: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:42:23.32 ID:YOXMd8Qo
結標 「あっ……」
番外個体 「淡希」
結標 「ど、どうしたの? こんな時間に」
番外個体 「すみませんでした」ペコリ
結標 「あの、ちょっと?」
番外個体 「誤解した上に暴言と電撃まで……わ、私、その……」ウルウル
結標 「……頼まれたとはいえ、誤解されるようなことしたのは本当だし」
結標 「それに電撃ってなんのこと? あれって静電気でしょ?」
番外個体 「え……」
結標 「……ほら、もう泣かないで」ナデナデ
番外個体 「……うん」グス
結標 「誕生日おめでとう」
番外個体 「ありがと」
76: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:43:48.64 ID:YOXMd8Qo
結標 「私も謝らないとね。アイツに口止めされてたから……辛い想いさせちゃったでしょ?」
番外個体 「いや、そんな……」
結標 「それに、大丈夫よ。私はあんな性悪エノキなんて眼中にないから」
番外個体 「……それ、私の前で言うかな」
結標 「あれ? 怒っちゃったかなー?」
番外個体 「こんのー!」ガシッ
結標 「やっ……こら、やめなさいって……この!」ヒュ
<わっ!?(ボスンッ)
番外個体 「……座標移動ってずるい」
結標 「貴女こそ体格差考えなさいよ。10cm近く差があるんだから、単なる取っ組み合いじゃこっちが不利でしょ」
番外個体 「まー、ベッドの上に転移してくれたことは評価してあげよう」
77: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:45:09.35 ID:YOXMd8Qo
結標 「なにそれ……ふ、ふふっ」
番外個体 「……ははっ」
結標 「(ヒュ)よっと。もうこのまま寝ちゃいましょ」ポスッ
番外個体 「そうだね、今日は色々ありすぎて疲れた」ゴロン
結標 「あ、枕返しなさい! それじゃないと寝れないのよ」
番外個体 「淡希の香りが(ガンッ)痛いよ……」
結標 「白井さんみたいなこと言わないでよ」
番外個体 「はいはい、じゃもう電気消すよ」ビリッ
結標 「……便利ね、それ」
番外個体 「たまに壊しちゃうけどね」
結標 「ちょっとやめてよ」
番外個体 「にひひ」
78: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:46:36.92 ID:YOXMd8Qo
~翌日~
番外個体 「あーわーきー、冬物コート買いたいから付き合って」
結標 「何、持ってなかったの? ロシアでどう過ごしてたのよ」
番外個体 (バトルスーツなんて言えないよね……)
結標 「まあ、いっか。じゃ準備できたら出掛けましょ」
絹旗 「超仲直りできたみたいですね」
浜面 「よかったよかった」ウンウン
滝壺 「仲がいいからこそ、ケンカしちゃうんだよね」
浜面 「てことは、お前たちでもケンカするのか?」
絹旗 「しようとも思わないです。滝壺さんは怒らせると超怖いので」
浜面 「あー、そりゃな。一理あるな」
滝壺 「……」
79: ◆r462iqU2Ag 2010/12/27(月) 23:48:10.02 ID:YOXMd8Qo
~数日後 とある病院~
番外個体 「…………ちょ、ちょっとタンマ!」
冥土帰し 「はぁ、またかい?」
麦野 「なーに耳に穴開けるぐらいでビビってんのさ」
番外個体 「だ、だって……」
冥土帰し 「もういっそ全身麻酔でやるかね?」
番外個体 「それはそれで、ちょっと……」
冥土帰し 「しょうがないね。医者として褒められた行為ではないが……二人とも」
麦野 「はーい☆」ガシッ
19090 「番外個体、失礼します、とミサカは番外個体を羽交い絞めにします」ゴキャッ
番外個体 「ぐぇ……あ、あなたたち……」
冥土帰し 「一瞬だから、動かないようにね?」
番外個体 「ひっ……ま、待って……!」
バチュン
106: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:14:38.94 ID:320QewAo
~11月初旬 某日早朝~
[[目覚まし時計]]<クロコォォォォォォ
白井 「……朝ですの」
白井 「さて、仕度をいたしませんと」
白井 「」ズキッ
白井 「……あ、あれ?」
白井 「う……頭が……」ズキズキ
白井 「これはまさか、キャパシティダウン……!?」
白井 「みなさんは……このことを知らせませんと……」ズキズキ
白井 「あ、その前に着替えを……あいたたた」
107: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:15:58.02 ID:320QewAo
ガチャ バタン
白井 「……みなさんはリビングでしょうか」フラフラ
結標 「あら、白井さんおはよ……ちょっと、どうしたの?」
白井 「む、結標さん……なんとも、ございませんの……?」
結標 「貴女こそどうしたのよ。顔色すごく悪いじゃない」
白井 「キャパシティ、ダウン、が……」
結標 「キャパシティダウン? って、音響兵器だっけ? 何も聞こえないけど……?」
白井 「? では、この頭痛、は……あれ?」フラッ
結標 「ちょ、ちょっと!?」
白井 「あ、頭が……」
結標 「しっかりなさい。……これって」
108: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:17:09.56 ID:320QewAo
~同じ頃 きぬはた荘 リビング~
浜面 「うん、いい朝だ! おはようございまっs」
滝壺 「」グテー
絹旗 「」ガタガタ
浜面 「? おい、どうしたんだ、お前ら」
滝壺 「あ、はまづらだ……」
絹旗 「さむ……」ガクブル
浜面 「!? 二人とも顔真っ赤じゃないか!(ピト)けっこう熱があるな」
滝壺 「」グテー
絹旗 「超さむいです……」
浜面 「参ったな、こりゃ……とりあえずお前ら、部屋戻って寝てろ」
109: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:18:33.57 ID:320QewAo
滝壺 「うー」
絹旗 「」ガクブル
浜面 「戻った戻った。必要なモンがありゃ届けてやるから」
結標 「なに、貴女達もなの?」
浜面 「おお、結標の姐さんか。……今、あなたたちも、って言ったか?」
結標 「ついさっき、上で白井さんが倒れそうになってて。たぶん風邪ね」
浜面 「もしかして、今朝になってから顔を見てない連中もマズかったりするか?」
結標 「かもね。いつもこの時間には全員起きてるし」
浜面 「ちと様子を見てきたほうがいいな」
結標 「私が行ってくるから、貴方はそっちの二人をなんとかしてあげて」
浜面 「おう、頼んだぜ」
110: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:20:49.54 ID:320QewAo
結標 「さて、まずは……あの子の部屋から行くか」
コンコン ガチャ
結標 「生きてるー?」
番外個体 「」
結標 「ダメそうね」
番外個体 「……でかい声でしゃべるな……頭に響く……」
結標 「頭が悪いの? 他に悪いところは?」
番外個体 「ちょっと何その言い方……ぅぐ……」ズキズキ
結標 「ほーら、落ち着きなさい。熱もちょっとあるみたいだし、多分風邪ね」
番外個体 「へー、これが風邪か……風邪ってこんなにツライんだ……」
111: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:19:53.52 ID:320QewAo
結標 「さて、まずは……あの子の部屋から行くか」
コンコン ガチャ
結標 「生きてるー?」
番外個体 「」
結標 「ダメそうね」
番外個体 「……でかい声でしゃべるな……頭に響く……」
結標 「頭が悪いの? 他に悪いところは?」
番外個体 「ちょっと何その言い方……ぅぐ……」ズキズキ
結標 「ほーら、落ち着きなさい。熱もちょっとあるみたいだし、多分風邪ね」
番外個体 「へー、これが風邪か……風邪ってこんなにツライんだ……」
112: くそ、また二重かよ…… ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:22:27.31 ID:320QewAo
結標 「初めて風邪ひいたの?」
番外個体 「う……ねえ、私、死ぬの……?」
結標 「はい?」
番外個体 「やだ……まだ死にたくない……」ウルウル
結標 (病気のときは弱気になりがちだけど、これは重症ね)
結標 「大丈夫よ。ちゃんと寝てればよくなるから」ナデナデ
番外個体 「……ホント……?」
結標 「ホントよ。私が貴女にウソついたことある?」
番外個体 「あるような、ないような……」
結標 「あーはいはい、下手に頭使うと治らないわよ。いいから寝てなさい」
番外個体 「はーい……」
114: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:23:53.36 ID:320QewAo
結標 「じゃ、また後でくるからね。ちゃんと寝てるのよ」
バタン
結標 「無事な人間の方が少ないわね……」
結標 「この分だと、あとの二人もダメかな」
ガチャ
婚后 「あら、おはようご ケホケホ……」
結標 「婚后さん?……もしかして、喉が痛いの?」
婚后 「ええ、昨夜から咳が止まらなくて……お陰で眠れませんでしたわ」ケホケホ
結標 「貴女は喉か……」
婚后 「?」
115: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:25:18.68 ID:320QewAo
結標 「ああ、ゴメン、なんでもないの。動きまわると悪化するから、寝てなさい」
婚后 「一つだけ ケホッ 頼まれて頂けませんか……?」
結標 「なにかしら」
婚后 「お水を……」
結標 「喉が乾いたってこと? 分かった、何か持ってくるから」
婚后 「申し訳 ケホッ ございません……」
バタン
結標 「……はあ、ここまで生存者ゼロか」
浜面 「よう、姐さん。他の連中はどうだった」
結標 「今のところ全滅。絹旗さんと滝壺さんは?」
浜面 「どうにか寝かしてきた」
116: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:26:34.03 ID:320QewAo
結標 「……どうにか?」
浜面 「まあ、なんだ。絹旗のやつが、な……ほら、病気のときってナーバスになるだろ?」
結標 「ついさっき生きた実例を見たわね」
浜面 「それで、なかなか解放してもらえなかったって訳だ」
結標 「ご苦労様。それにしても、こんな一斉に倒れちゃうなんて……」
浜面 「風邪だろ? たっぷり食ってたっぷり寝れば大丈夫だ」
結標 「貴方だけ無事なのはおバカだから?」
浜面 「そういう発言をブーメランって言うんだぜ?」
結標 「黙りなさい。とりあえず私、キッチン行ってくるから。海原の様子見てきてくれる?」
浜面 「おお、任せといてくれ」
コンコン
浜面 「うーなーばーらーくーン」
117: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:27:47.82 ID:320QewAo
浜面 「……返事がない。入っちゃうぞ? 肯定とみなす」ガチャ
海原 「おや、浜面さん……おはよう、ございます……」
浜面 「大丈夫……そうじゃないな。風邪か?」
浜面 (素人の俺が見ても分かる……こいつが一番重症だ)
海原 「はは……いやいや、お恥ずかしい、ところを……」
浜面 「起きるな起きるな! いいから安静に……っておい、すごい熱じゃないか!」
海原 「ええ、それに加えて、頭痛と、喉の痛みも、酷くて……」
浜面 「こりゃいかんな。取り合えず、今は寝てろ。後でまた来っから」
海原 「お手数、おかけ、しますね……」
浜面 「もういい、無理して喋るな。安静にしてろよ、いいな」
ガチャ バタン
浜面 「ふう、こりゃ大変だ。海原が一番ヤバイな」ガシガシ
118: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:29:02.91 ID:320QewAo
結標 「…………」
浜面 「お、なんだ。戻ってたのなら一言」
結標 (あいつが一番重症だなんて)
浜面 「? なんか言った?」
結標 「いえ、何も」
~きぬはた荘 リビング~
結標 「もー、傷薬とか消毒液はあるのに、なんで風邪薬がないのよ……」ガサゴソ
浜面 「買ってくるしかねえか。症状も度合いもバラバラだしな」
結標 「症状か……そうね、ちょっと整理しましょう」
浜面 「ああ。まず滝壺と絹旗は熱だ。測らせたら39度ちょっとあったぞ」
119: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:30:34.12 ID:320QewAo
結標 「よく出歩いたものね……白井さんと真琴は頭痛ね。熱は微熱だけど、まともに動けないみたい」
浜面 「で、お嬢は咳か? 部屋の前通ったとき、ずっとゲホゲホ聞こえてたな」
結標 「確実に悪化してるわ……海原は?」
浜面 「全部」
結標 「え?」
浜面 「熱が高くて、頭が痛くて、喉も痛いんだとよ」
結標 「なんてこと……あいつもついてないわね」
浜面 「さて、何からすりゃいいんだ」
結標 「……食事の用意と必要なモノの買出し。まずそれからかしら」
浜面 「なるほど。料理とかまるっきしダメなんで任せていいか? 俺は必要なモン買ってくるからよ」
結標 「え? あ、え、ええ、任せておきなさい」
浜面 「ありがてえ。じゃ、頼んだぜ!」
120: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:31:53.25 ID:320QewAo
<ガチャ バタン
結標 「……うん、なんとかなる。なんとかなるわよ」
結標 「ええと、たしかここらへんに……」ガサゴソ
結標 「あったあった。"週刊 今日の晩ごはん"」
結標 「風邪の時って……うーん、早く治るためにはやっぱ栄養価が高いほうが……」ペラペラ
結標 「ペッパーハンバーグか……」
結標 「香辛料が入ってるし、身体温まっていいかも」
結標 「他に候補は……」パラパラ
結標 「色々あるわね」
:
:
:
結標 「あーん、決められない」
121: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:33:27.17 ID:320QewAo
結標 「これ以上時間かけてられないし、素直に聞きましょ」カチカチ
件名:質問
日付:20yy/m/d 7:22
───────────────
風邪引いたときにオススメの
メニューってなにかしら
結標 「送信……」ピッ
結標 「さて、他になにか」
結標 「あら? 相変わらず返信早いわね」ピッ
差出人:月詠小萌
<desuyo@comodo.ne.jp>
件名:Re:
日付:20yy/m/d 7:24
───────────────
風邪をひいたときは消化機能が弱
り気味なので、消化がよい食べ物
が良いのですー。お粥とかおじや
とかオススメなのですよ。ついで
に身体が冷えないように生姜やネ
ギ、栄養価が高いタマゴを入れれ
ば効果抜群なのです。あとはビタ
ミン類と水分の補給に、すりおろ
した林檎も摂るといいかもなので
すー。
122: ◆r462iqU2Ag 2010/12/28(火) 23:35:16.17 ID:320QewAo
結標 「……メールの長さも相変わらずね」
結標 「でも、そっか。お粥ね……ネギとか生姜とか卵も残ってたハズだし」
結標 「林檎はないか……買ってきてもらわないと」カチカチ
件名:買い物追加
日付:20yy/m/d 7:29
───────────────
林檎人数分
結標 「送信。こっちはこれでOKね」ピッ
結標 「よし」
結標 「お粥ね、作りましょう」
結標 (みんな、もう少し待っててね)
149: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:23:21.61 ID:k.ivvX6o
~きぬはた荘 キッチン~
結標 「お粥って……どうやって作ればいいのかしら」
結標 「うーん、いつもなら料理のときは滝壺さんか真琴が居てくてるんだけど」
結標 「あー、ダメダメ。頼りっぱなしもダメよね」
結標 「まずはお米」ザラザラザラ
結標 「で、水につけて……」
:
:
:
結標 「……」ウーン
<たでーまー
結標 「あ、おかえりなさい」
浜面 「買ってきたぞー。各種の風邪薬に、冷えピタに、水に、あと林檎な」ガサガサ
150: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:24:39.40 ID:k.ivvX6o
結標 「随分な量になったのね。重かったでしょ」
浜面 「こんなの重いのうちに入らないぜ」エヘン
結標 「力持ちなのね、滝壺さんも惚れる訳だわ」
浜面 「いやいやいやいや、今関係なくね!? そそそ、それよりだな!」
結標 「?」
浜面 「姐さんは、なんで糊なんか作ってるんだ?」
結標 「糊? なんのこと?」
浜面 「いや、そこの鍋……」
【鍋】<グツグツグツ
結標 「…………これ、お粥なんだけど」
浜面 「いや、これは糊だろ! 米の形残ってねえじゃん!」
151: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:25:58.46 ID:k.ivvX6o
結標 「な、なんでよ! 食べれるでしょ!」
浜面 「食っても死なねぇだろうけどさ! これはあんまりだろ!」
結標 「」ジワ
浜面 「あ、あー、そういえば俺メシまだなんだ! ハラが減って死にそうだ! これは俺が食う!」
結標 「……いいわよ、無理しなくて。自覚はあるから」
浜面 (なんだ、あるのか)
結標 「ダメな女だと思ってるでしょ? 料理もマトモにできないんだから」
浜面 「出来ることと出来ねえことは人それぞれだろ」
浜面 「滝壺だって料理はできるけど、身体動かすようなことはてんでダメなんだぜ?」
結標 「はぁ……お気遣いどうも。一応修行中なんだけどね」
浜面 「? 手料理を振舞いたい相手でもいるのか?」
結標 「……ナイショ。で、これは食べてくれるのよね?」
152: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:27:17.74 ID:k.ivvX6o
浜面 「」
結標 「さすがの私も、病人にコレだす程腐れてないから。改めて作らないとね」
浜面 「」ヒョイパク
結標 「レシピ検索、と……最初からこうしてればよかったわ」
浜面 「よかった、味は普通だ」
結標 「さて、これ出来たら食べさせて、薬飲ませて……を全員分か」
浜面 「やっぱ人手が足りねえな」モグモグ
結標 「ネコの手も借りたいってこういうことかしらね」
チョンチョン
結標 「?」
ユリコ 「゚+.(・ω・)゚+.゚」
153: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:28:25.62 ID:k.ivvX6o
結標 「……ええと」チラッ
浜面 「なんでそこで俺を見る!?」
結標 「そうよね、ユリコも自分のご主人が心配なのよね」ナデナデ
ユリコ 「(・ω・三・ω・)」
浜面 「なんか違うっぽいぞ?」
ユリコ 「オアーン」
結標 「……ご飯?」
浜面 「あー、そっか。絹旗がダウンしてるから、ユリコにメシやってないのか」
結標 「そういうことね……そこにネコ缶あるから、あげてくれる?」
浜面 「おお、これか。よしよしユリコ、メシだぞ。これ食ったらお前のご主人のところに行ってやってくれな」
ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」
155: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:29:37.72 ID:k.ivvX6o
~1時間後~
結標 「どうにかお粥っぽくできたわね……」
浜面 「これで完成か?」
結標 「いえ、あと風邪に効果のあるネギとか生姜とか卵とか……」
浜面 「あー、なるほどな。その方が冷えなくていいかもしれねえな」
結標 「もうそこに用意してあるから、あと入れるだけよ」
浜面 「……これ、全体的にでかすぎないか?」
結標 「え? そう、かな?」
浜面 「もうちっと刻んでおこうぜ」トントン
結標 「刻んだら入れちゃって」
浜面 「よーし、投入」ドボドボドボ
156: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:30:49.61 ID:k.ivvX6o
結標 「かんせーい」
浜面 「うん、見た目はお粥っぽいな」
結標 「ねえ、味見してみて……はい、あーん」ズイ
浜面 「お、おう。(パク)あふっ、あふあふあふ……」
結標 「」ジー
浜面 「ゴクッ……あ、熱いけど、うまいぜ!」グッ
結標 「良かった……」
浜面 「よし、あとは食わせて薬飲ませるだけだな」
結標 「だけって言うけど、結構な人数よ。手分けしましょ」
浜面 「6人だから、3人3人か」
結標 「そういうこと。まず6等分しないとね」
157: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:32:02.55 ID:k.ivvX6o
~滝壺個室~
浜面 「滝壺、大丈夫か?」
滝壺 「うん……」
浜面 「結標の姐さんがお粥つくってくれたぞ。食えるか?」
滝壺 「むすじめが……?」
浜面 「一口二口でも食わないと、薬飲めないからな」
滝壺 「ちょうだい……」
浜面 「おお。熱いから気をつけてな」
滝壺 「……むすじめ、腕あげたね……」
浜面 「そ、そうなのか?」
滝壺 「ただのお粥じゃなくて……風邪向けに工夫されてて……」
浜面 「本人が聞いたらきっと喜ぶぜ」
158: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:33:28.53 ID:k.ivvX6o
~絹旗個室~
浜面 「おーい、メシだぞー」
絹旗 「イヤですぅ……食べる気なんて超しないですぅ……」
ユリコ 「(´・ω・)」
浜面 「ダーメーだ。食べないと薬飲めねえし、治らねえぞ」
絹旗 「うぅぅ……じゃ、超アーンってしてください……」
浜面 「しょうがねえな。ほれ」
絹旗 「」ハムッ
浜面 「食ったら薬飲んで寝てろよ」
絹旗 「苦いのは超イヤです……」
浜面 「カプセル剤だから大丈夫だ」ナデナデ
ユリコ 「(´・ω・)ノ」ナデナデ
159: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:35:01.80 ID:k.ivvX6o
~番外個体個室~
結標 「はいっと」ペタシ
番外個体 「あー、なにこれ気持ちいい……ねえ、もっと……」
結標 「勘違いさせるようなセリフ吐かないの」
番外個体 「いや、だって……この、冷えピタっていうの? すごい、これ、マジ学園都市クオリティ……」
結標 「これは外でも売ってるハズだけど?」
番外個体 「」
結標 「替えは置いておくからね。ぬるくなったら取り替えなさい」
番外個体 「……もう、行っちゃうの?」
結標 「また後で来るから、ちゃんと寝てなさいよ。いいわね?」
番外個体 「はーい……」
160: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:36:16.30 ID:k.ivvX6o
~白井個室~
結標 「調子はどう?」
白井 「寝てる分にはどうにか……」
結標 「とりあえず、今日いっぱいは安静にしてるようにね」ナデナデ
白井 「う……あ、ありがとうございますの……あ、あの」
結標 「どうかした?」
白井 「他の方は……?」
結標 「……みんな似たような状態だけど。私がいるから大丈夫よ」
白井 「……」
結標 「貴女の性格上、難しいかもしれないけど。今は自分の心配だけしてなさい」
白井 「お手数おかけしますの……」
162: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:37:57.31 ID:k.ivvX6o
~婚后個室~
婚后 「申し訳、ございません……ケホケホ……色々と……」
結標 「無理して喋らなくていいわよ。はい、コレね」つ△
婚后 「?」
結標 「ヴィックスよ。私の経験上、喉にはこれが効果あるの」
婚后 「」パク
結標 「噛み砕いちゃダメだからね。ゆっくりと溶かして」
婚后 「」コクリ
結標 「あと、お水買っておいたから。お腹壊さないように、ぬるいままだけど」ゴトッ
婚后 「」ウズウズ
結標 「じゃ、また後で様子見に来るから。安静にね」
163: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:39:37.16 ID:k.ivvX6o
~海原個室~
浜面 「おい、メシだぜ。しんどいのは分かるが、ちょっとは食べておかないとな」
海原 「いやいや……お手数おかけしますね……」
浜面 「熱いから気をつけてな」
海原 「これは、浜面さんが……?」
浜面 「まさか。作ったのは結標の姐さんだぜ」
海原 「ほう……これは、期待できますね……」
浜面 (お、海原の味覚にはあってるんだな)
浜面 「食ったら薬飲んで寝てるようにな」
海原 「ええ……どの道、動けませんしね……」
浜面 「あとで様子見に来るけど、必要なモンがあったら俺か姐さんを呼んでくれ」
164: ◆r462iqU2Ag 2010/12/29(水) 23:40:58.63 ID:k.ivvX6o
~同日 きぬはた荘 リビング~
結標 「つっかれたぁ……もうお昼近いじゃない」ドサッ
浜面 「全員にメシと薬とその他は行き渡ったし、俺らもメシにしとくか」
結標 「……どうしよっか。もうピザとかでいい?」
浜面 「俺はなんでもいいぜ」
結標 「じゃ頼んどいてもらえる? もうなんでもいいから」
浜面 「はいはいっと」ピッピッ
結標 「看病も大変ね、まだ半日だっていうのに」
浜面 「はい、シーフードピザ1つで」
結標 「あ、サラダも頼んどいて」
浜面 「すいません、サイドメニューのサラダも1つ」
196: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:07:41.83 ID:byt3qTco
~25分後~
<毎度どーもー
浜面 「はいはい、来たよ、来ましたよっと」
結標 「……考えてみたら私、朝も食べてなかったわ」
浜面 「バタバタしてたもんな」
結標 「ところでさ、貴方から見て重症の人っている?」
浜面 「あー、絹旗と海原」モギュモギュ
結標 「海原は聞いてたけど、絹旗さんも?」
浜面 「アイツの場合は、弱気になってるんだろ」
結標 「弱気ね……病は気からって訳じゃないけど、そんな調子じゃ治るものも治らないわよ」
浜面 「こればっかりはなぁ」
結標 「とにかく、明日まで様子見て、よくなってなかったら病院行きね」
浜面 「ここで出来ることも限度があるしな」
198: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:09:06.35 ID:byt3qTco
結標 「あと、アレね」
浜面 「?」
結標 「私たちもミイラ取りにならないように気を付けないと」
浜面 「俺は大丈夫だぜ、鍛えってからな!」フンス
結標 「おバカは風邪ひかないらしいけど、一応マスクぐらいしときなさい」
浜面 「ガキの頃に風邪ひいた俺はバカじゃないってことだな!」
結標 「おバカでも風邪ひくのね」
浜面 「さっきからひどくないですか!?」
結標 「冗談よ」クスクス
浜面 「くそ、俺は死ぬまでいじられキャラという宿命なのか……」
結標 「きっとね」
浜面 「(´;ω;`)」
199: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:10:50.06 ID:byt3qTco
:
:
:
結標 「~♪」ベリベリ
浜面 「なあ、林檎はどれぐらいの大きさに摺りおろせばいいんだ?」ザリザリ
結標 「ちょっと荒いぐらいで丁度いいんじゃない? はい2個目」
浜面 「さっきから気になってるんだが、剥いた皮ちょっと分厚くないか?」
結標 「摺りおろすんだから、いいでしょ」ベリベリ
浜面 「まあ、そうなんだけどな」ザリザリ
結標 「海原の皮剥いたら、何が出てくるのかしら」
浜面 「おいおい、何恐ろしいこと口走ってんだ」
結標 「え? あ、声に出てた? ゴメンなさい、気にしないで」
浜面 「?」ザリザリ
200: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:12:11.44 ID:byt3qTco
結標 「~♪」ベリベリ
浜面 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
結標 「どうしたの?」
浜面 「すりおろ林檎でボウルがいっぱいになった」
【ボウル】<アフレソウデス
結標 「あら……」
浜面 「さすがに、これだけりゃ十分じゃないか?」
結標 「むしろ余るわね……そうだ!」ピコーン
浜面 「?」
結標 「夜のお粥に入れてあげましょ、きっと美味しく」
浜面 「やめてあげよう、な?」
201: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:13:36.73 ID:byt3qTco
~きぬはた荘 2階~
浜面 「えーと、手前の部屋から行くか」
コンコン ガチャ
浜面 「絹旗? 起きてるか?」ソォー
絹旗 「あ、浜面……」
ユリコ 「」スピー
浜面 「寝れないか?」
絹旗 「さっきまで寝てました……喉が、超渇いて……」
浜面 「お、ちょうど良かった。ほら、林檎おろしだぜ」
絹旗 「……アーンって」
浜面 「はいはい、手のかかるお嬢さんだ」
202: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:14:59.39 ID:byt3qTco
絹旗 「超うるさいですぅ……」パク
浜面 「どうだ? 俺がおろしたんだぜ?」フンス
絹旗 「……超おいし……林檎ってこんなに、美味しかったんですね……」
浜面 「なんだ、今日はやけに素直だな」
絹旗 「私は、いつも素直ですぅ……」
浜面 「あー、そうだったな。おし、食ったら夜まで寝てろ」
絹旗 「夜に来てくれるんですよね……超約束ですよ……?」
浜面 「あぁ、約束だ」
ガチャ バタン
浜面 「……あれ、ほんとに絹旗か?」
浜面 「風邪ってな怖いね……侮れんな」
203: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:16:11.23 ID:byt3qTco
浜面 「よし、お隣さんいくか」
コンコン ガチャ
浜面 「滝壺、起きて……」ソォー
滝壺 「」スピー
浜面 「起きてないか……」
滝壺 「」スピー
浜面 「起こすわけにもいかないよな……また後で来るからな」
バタン
浜面 「次は……一番の重症患者か」
浜面 「一番奥の部屋だったよな」
204: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:17:53.25 ID:byt3qTco
コンコン ガチャ
浜面 「海原、入るぞ」
海原 「」
浜面 「おい、大丈夫なのか?」
海原 「寝ようとしているんですが……頭痛に、悪寒がひどくて……」
浜面 「病院行ったほうがいいか?」
海原 「いえ……今朝よりはマシですので……」
浜面 「なんかあったらすぐに言えよ、遠慮なんざいらねえから」
海原 「ご迷惑を……すみませんね……」
浜面 「それは言わねえ約束だぜ」
205: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:19:17.89 ID:byt3qTco
~同じ頃~
結標 「まずは……あの子からでいっか」
コンコン ガチャ
結標 「起きてる?」
番外個体 「」スピー
結標 「お休み中か……ぬいぐるみ抱くなんて、可愛いところあるのね」
結標 「じゃ、後で来るから。それまで傍に居てあげてね、ウサギさん」
バタン
結標 「さー、次いきましょ」
207: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:20:51.41 ID:byt3qTco
コンコン ガチャ
結標 「入って大丈夫?」
白井 「はい、どうぞですの」
結標 「朝よりはラクそうね」
白井 「お陰様で……薬も効いておりますし」
結標 「今日いっぱい休めば、あとは大丈夫かしら」
白井 「ええ、わたくしは平気ですので。他の方を……」
結標 「分かってるわよ。はい、コレ」
白井 「これは、林檎ですの?」
結標 「水分とビタミンの補給にね」
白井 「(パク)まあ……こんなに美味しく感じるなんて……」
結標 「身体が求めてる証拠よね」
208: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:22:21.31 ID:byt3qTco
白井 「重ね重ね、お手数お掛けいたしますの……」
結標 「病気の時ぐらいはお互い様でしょ? じゃ、何かあったら呼んでね」
白井 「はいですの」
バタン
結標 「何人かは回復に向かってるみたいね」
結標 「次の部屋、と……」
コンコン ガチャ
婚后 「あら、結標さん……」
結標 「調子はどう?」
婚后 「朝よりは大分……結標さんのお陰ですわ……ケホ」
209: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:23:42.97 ID:byt3qTco
結標 「油断しちゃダメよ。明日の朝までは安静にしててね」
婚后 「かしこまりました……」
結標 「林檎たべる? はい」
婚后 「まあ……懐かしいですわね」
結標 「?」
婚后 「幼い頃、風邪をひくと……よく作ってもらってましたわ……」
結標 「お母さんに?」
婚后 「いえ……執事に……」
結標 「あぁ、あのおじ様ね」
婚后 「これを食べれば……元気になれそうな気がしてきますわね……」クスクス
210: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:25:03.17 ID:byt3qTco
~きぬはた荘 リビング~
結標 「……そっか。やっぱり絹旗さんと海原ね」
浜面 「あの2人は、ちょっと目を離せないかもな」
結標 「付き添ってあげたほうがいいかもね……それも後で考えましょ」
浜面 「そうだな。夜中になんかあったら大変だもんな」
結標 「さて……色々やってたら、もう夕方か」
浜面 「俺らのメシはどうすっか」
結標 「ピザの残りと林檎おろしよ」
浜面 「ですよねー」
結標 「寝込んでる人の分は、朝と同じでお粥として……あ」
浜面 「どうした?」
結標 「着替えさせないと。けっこう汗かいてるでしょうし」
211: ◆r462iqU2Ag 2010/12/31(金) 21:26:31.74 ID:byt3qTco
浜面 「あー、それがあったな」
結標 「……こればっかりは、貴方と分担できないわね」
浜面 「……ですよねー」
結標 「まあ、仕方ないわ。他の人は私が行くから、貴方は滝壺さんの着替え手伝ってあげて」
浜面 「俺は買い物でもってえぇ!? なんで滝壺狙い撃ち!?」
結標 「なんでって? 他にいないでしょ?」
浜面 「ま、まあ……そうかもしれねえけど」
結標 「ついでに身体でも拭いてあげなさい」
浜面 「そ、そこまでっすか!?」
結標 「よし、決まりね。私は夕食作ってくるから、貴方は蒸しタオル用意しといて」
浜面 「あ、ちょっ……行っちまった」
浜面 「……お、怒られねえよな?」
浜面 「おっしゃ、タオルだなタオル! やってやるぜ!」
261: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:00:21.75 ID:d0O73hoo
~1時間後 きぬはた荘 キッチン~
結標 「すっかりお粥が得意料理になっちゃったわね」
結標 「もっと手の込んだことが出来ればなぁ……」
浜面 「よお、タオルは用意できてるぜ」
結標 「あ、お疲れ……様?」
浜面 「なんだよ、その反応」
結標 「ちょっと一枚貸してくれる?」ヒョイ
浜面 「?」
結標 「えい」ベチッ
浜面 「うぉぉぉ! あっちぃーーーー!!」
結標 「熱いでしょ?」
浜面 「な、なにすんだ!」
262: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:01:49.63 ID:d0O73hoo
結標 「貴方ねぇ、人の身体を拭くものなのよ? 持つのもツライぐらい熱くしてどうするの」
浜面 「いや、この方がすっきりすると思ったんだが」
結標 「冷たいよりはいいでしょうけど……使うときに冷ませばいいか」
浜面 「メシの方はどうなんだ?」
結標 「もう出来てるわよ」
浜面 「おし、じゃ出動するか」
結標 「っ……」ズキッ
浜面 「? おい、なんか疲れてないか?」
結標 「ちょっとだけね、大丈夫よ」
浜面 「あまり無理してくれるなよ」
結標 「分かってるって。ほら、行きましょ」
結標 (頭いたい……でも、私までダウンする訳には……)
263: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:03:24.28 ID:d0O73hoo
~絹旗個室~
絹旗 「あ、結標さん……」
結標 「調子はどう?」
絹旗 「はあ、朝よりは……あの、浜面は……?」
結標 「んーと……着替えもしなきゃいけないから、私が来たの」
絹旗 「そ、そうでしたか……」
ユリコ 「(´・ω・)」
結標 「あ、ユリコのご飯も後で持ってくるからね」ナデナデ
絹旗 「……」
結標 「どうしたの? 大丈夫?」
絹旗 「あ、はい……大丈夫です……」
結標 (病は気から、か……浜面くんに来てもらってもよかったかな)
264: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:05:14.69 ID:d0O73hoo
~白井個室~
白井 「しかし、本当に口惜しいですの」
結標 「何が?」ゴシゴシ
白井 「わたくしが万全の状態であれば……」
結標 「そんな気にしないでも……」ゴシゴシ
白井 「大きいお姉さまに付きっ切りで看病とか人肌で暖めてさしあげたりとか……」グフフ
結標 (ああ、いつも通りだ)
結標 「まあ、貴女と真琴は一番軽症だから。そんなに心配しなくてもいいわよ」
白井 「そ、そうなんですの?」
結標 「うん。あの子も頭痛がひどいだけで、他はそれほどでもないから」
白井 (チッ)
結標 「確信した。貴女はもう大丈夫ね」
265: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:06:55.59 ID:d0O73hoo
~番外個体個室~
結標 「ほら、腕こっち」
番外個体 「よっと……ねえ、淡希さ」
結標 「ん?」
番外個体 「今の状況、海原さんを落とすチャンスだと思わない?」
結標 「……何言ってんのよ」
番外個体 「いやほら、献身的な看病でガッチリとハートキャッチあわきん☆」
結標 「」バシッ
番外個体 「……私、病人なんだけど」ズキズキ
結標 「減らず口を叩く元気があるなら大丈夫ね」
番外個体 「そそ、私は寝てれば大丈夫だから。海原さんのところに行ってあげて」
結標 「言われなくともそうするわよ。あいつが一番重症だしね」
266: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:08:35.82 ID:d0O73hoo
~滝壺個室~
滝壺 「着替えも……?」
浜面 「お、おう。あー、なんだったら俺は外で」
滝壺 「手伝って」
浜面 「はい」
滝壺 「着替えは2段目の引き出しに入ってるから」
浜面 「失礼します」ガラッ
浜面 (っておい、下着と服を一緒にしておくなぁぁぁ!!)
滝壺 「? ねえ、はまづら。このタオルは?」
浜面 「汗をかいているようであれば、身体を拭こうかと」
滝壺 「じゃあ……お願いね」プチッ
浜面 (俺の理性頑張れぇぇぇ!)
267: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:10:14.22 ID:d0O73hoo
~婚后個室~
結標 「だいぶよさそうね」
婚后 「ええ、お陰様で楽になりましたわ」
結標 「油断しちゃダメよ。夜は冷えるからね」
婚后 「心得ております」
結標 「まだちょっと声が変だしね」
婚后 「う……」
結標 「じゃ、着替えましょうか」
婚后 「はい、お願い致しますわ」シュルッ
結標 (すごい、高級ブランドばっかじゃない……部屋着にここまでお金かけるなんて)
結標 (今度借りようかなぁ)
婚后 「結標さん? この格好で放置されるのはきついのですが……」
268: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:11:39.09 ID:d0O73hoo
~海原個室~
結標 「大丈夫? 起きれる?」
海原 「う……すみません、色々と……」
結標 「無理しないでいいわよ」ヨイショ
結標 (あら、思ってたより硬い)
海原 「」ブルッ
結標 「寒いの?」
海原 「ええ、少々悪寒が……」
結標 「じゃあ、さっさと済ませましょ」
海原 「お手数おかけしますね……回復した暁には、ちゃんとお返しを……」
結標 「今はそんなこと考えなくていいわよ」
269: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:13:04.19 ID:d0O73hoo
~その頃 滝壺個室~
浜面 「はい、着替えに身体拭き、完了ですよっと」
滝壺 「はまづら、ありがとね」
浜面 「いえいえ、お安い御用ですことよ!」
浜面 (鼻血耐えるのに必死だったぜ)
滝壺 「でも、はまづらとむすじめのお陰で朝よりは楽になったよ」
浜面 「そうか? それを聞いて安心だぜ」
滝壺 「……ねえ、はまづら」
浜面 「どうした? まだ何かあるか?」
滝壺 「もう寝るから、それまで傍にいて?」
浜面 「おお、任せとけ!」
270: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:14:25.36 ID:d0O73hoo
滝壷 「」スピー
浜面 「よし、寝たな……それにしても滝壷は冷えピタが似合うぜ」
<ガチャ
絹旗 「浜面、ここにいたんですか……」
浜面 「絹旗? どうしたんだ? なんか必要か?」
絹旗 「超必要ですぅ……浜面が……」
浜面 「?」
絹旗 「超心細いんです……一人にしないでください……」
浜面 「あぁ、分かった、分かったからな。今行くから。寝ないと治るもんも治らねえぞ」
滝壷 「」ガシッ
浜面 「……ええと」
271: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:15:44.66 ID:d0O73hoo
絹旗 「浜面ぁ……うー、寒いです、超寒いですぅ……」ガシッ
浜面 (どうすんだ、コレ)
:
:
:
結標 「で、携帯使ってまで全員分の洗濯中だった私を呼んだワケね」
浜面 「左様でございますの」
結標 「この部屋に布団敷いてあげればいいじゃない。で、貴方も付き添ってればいいわ」
浜面 「……その手があったな」
結標 「今持ってきてあげるから。それまで絹旗さんが冷えないようにしてあげなさい」
浜面 「お、おお。すまねえ」
絹旗 「」ブルブル
結標 「……その体勢、まるで携帯の充電器ね」
273: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:17:29.84 ID:d0O73hoo
浜面 「ん? なんか言ったか?」
結標 「いえ、なにも。それじゃ、ちょっと待っててね」
ガチャ バタン
結標 「はーぁ」
結標 (私にも充電器になってくれる人いないのかしらね)
結標 「……なに言ってるんだか」
結標 「布団のスペアってどこにあったかしら……」
結標 「……絹旗さんの持ってくればいっか」
~10分後~
結標 「よいしょっと」ボスン
274: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:18:55.78 ID:d0O73hoo
浜面 「いや、すまねえ」
結標 「別に貴方の為じゃないわよ。ほら、絹旗さん、こっち」
絹旗 「あぅぅ……」モゾモゾ
結標 「じゃ、あとは任せちゃって平気よね?」
浜面 「あぁ。本当なら俺が海原のとこに行くハズだったんだが……」
結標 「いいわよ、それぐらい。海原のところには私が行くから」
浜面 「ああ、頼んだぜ」
ガチャ バタン
結標 「海原のところか……」
結標 「……さて、そろそろあいつはくたばったかな?」
275: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:20:24.15 ID:d0O73hoo
~海原個室~
結標 「生きてる?」
海原 「え、えぇ……どうにか」
結標 「なにかあったら言いなさい。ここに居てあげるから」
海原 「……すいませんね……付きっきりにさせてしまいまして……」
結標 「貴方が一番重症だからね。家の中で死なれても寝覚めが悪いし」
海原 「ふふ……病人相手でも、容赦がないですね……」
結標 「もう喋らないの。いいから寝てなさい」
海原 「そうしたいのですが……悪寒がひどくて中々……」
結標 「しょうがないわね……毛布持ってくるわ」
276: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:21:45.25 ID:d0O73hoo
:
:
:
結標 「……ねえ、寝ちゃった?」
海原 「」スピー
結標 「はあ……手のかかること」
海原 「うっ……」ブルッ
結標 (真琴にはああ言ったものの……何かしてあげたいのは確かよね)
結標 「……私がしてやれること」
結標 「」プチッ プチッ
シュル バサッ
結標 (ブラもない方がいいかな)パチン
278: ◆r462iqU2Ag 2011/01/02(日) 23:23:20.10 ID:d0O73hoo
結標 (お邪魔します)モゾモゾ
海原 「」スピー
結標 (今だけだからね、ここまでしてあげるのは)
海原 「……?」
海原 (なにか温かくて、柔らかい……これは……?)
結標 (気付かないでね……気付かれたら死んじゃう……)
海原 (ですが……なんだか安心しますね……今なら寝れそうです……)
海原 「」ギュゥ
結標 (うひゃぁぁぁぁぁ!?)
海原 「」スピー
結標 (あ、明け方近くなったらこいつが起きる前に退散しようと思ってたのに……)
結標 (あまり気が進まないけど、座標移動で逃げるしかないか……)
310: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:33:15.97 ID:fizxZUYo
結標 (あったかい……まだちょっと熱があるのかな)
結標 「……」
海原 「」スピー
結標 (けっこう胸板厚いのね)ポンポン
結標 (んー)グリグリ
海原 「うん……?」
結標 (いけない、起こしちゃう)
結標 「……」
結標 (ここまでやったんだから、ちゃんとよくなってね)
海原 「」スピー
311: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:34:41.78 ID:fizxZUYo
~その頃~
滝壺 「ん……」ムクリ
滝壺 「……あれ?」
絹旗 「」スピー
浜面 「」
滝壺 「なんで2人が一緒に……?」
滝壺 「……私も」モゾモゾ
浜面 (起きてるっつうのよぉぉ!)
滝壺 「」スピー
絹旗 「」スピー
浜面 (両サイド固められたぁ! どうするよ俺!)
ユリコ 「(・ω・)」ジー
312: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:36:21.29 ID:fizxZUYo
浜面 (おい待て! 動けない俺に何をするつもりだ!)
ユリコ 「( ・ω・)つ」
浜面 (こっ、こら! 鼻抑えるな!)
絹旗 「んぅ……」
浜面 (あ、動いたら起こしちまうな。耐えるしかないか!)
ユリコ 「」ゴロン
浜面 (おりゃ?)
ユリコ 「」スピー
浜面 (胸の上まで寝始めやがった)
浜面 (両サイドに加えてマウントポジションですよぉ!)
浜面 (朝までこのままか……不幸、ではないか)
――そんな調子で、全員全快まで更に丸一日要した
313: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:38:08.15 ID:fizxZUYo
~二日後 朝 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「ん~」ノビー
番外個体 「コーヒー飲みたい」
白井 「あら、おはようございますの」
番外個体 「あ、おはよ。もう起きて大丈夫なの?」
白井 「丸二日寝てたせいで身体が痛いですが、風邪のほうは大丈夫ですの」ゴキゴキ
番外個体 「はは、同じだ」
海原 「おはようございます」
白井 「海原さん? 起きて大丈夫なんですの?」
番外個体 「一番重症って聞いてたけど?」
海原 「ええ、どうにか」
白井 「峠は越えたということですのね」
314: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:39:55.41 ID:fizxZUYo
海原 「浜面さんと結標さんのお陰ですね」
番外個体 「そういえば、淡希は?」
海原 「……今朝になってからお見かけしてませんね。ご自分の部屋でお休みなのでは?」
白井 「動きっぱなしでしたでしょうし、きっとお疲れですの」
番外個体 (なーんだ、結局なんもなかったのか)
海原 「いやしかし、少々お腹が空きましたね」
番外個体 「私も空いてるし、なんか簡単なの用意してくるよ」
白井 「ぜひ、お手伝いさせていただきますの!」フンス
番外個体 「そ、そう? じゃ、お願いしようかな」
<あー、もう、首いてー
<わ、わたくしがマッサージを!
海原 「結標さんには、ちゃんとお礼をしなければいけませんね」
315: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:41:14.89 ID:fizxZUYo
絹旗 「超おはようございます」
ユリコ 「( ・ω・)ノ」
滝壺 「おはよ。うなばらも大丈夫なの?」
海原 「おはようございます。お二方も峠は越えたようですね」
絹旗 「私たちは、まあ、動けるぐらいにはなったんですが……」
滝壺 「はまづらが熱出しちゃって」
海原 「なんと……」
絹旗 「私たちも病み上がりですが、今は浜面のほうが超重症ですので」
滝壺 「きぬはたと私で看ててあげるよ」
海原 「ご無理はなさらないでくださいね」
絹旗 「浜面もですけど、結標さんは大丈夫なんでしょうか?」
海原 「浜面さんがダウンしたということは、結標さんも……?」
316: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:43:11.40 ID:fizxZUYo
~その頃 海原個室~
結標 「あー」orz
結標 「昨日の朝は海原より先に起きて逃げれたけど、今朝は寝過ごしちゃった……」
結標 「で、私の服と下着がきちんと畳まれてて、海原がいないってことは」
結標 「……う」
結標 「うみゃぁぁぁぁ!///」
<バーン
結標 「」ビクッ
婚后 「海原さん!? いったい何を……あら?」
結標 「お、おはよ」
婚后 「悲鳴が聞こえたかと思えば、結標さんでしたのね」
317: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:44:47.58 ID:fizxZUYo
結標 「あ……こ、これはね……」
婚后 「もしやお邪魔でしたか……? し、失礼致しましたっ」
結標 「え?」
<バタン
結標 「ちっ、ちが(ズキッ)うっ……」
結標 「頭が……」ズキズキ
結標 「これ以上は隠せそうにないわね……」
結標 「とりあえず、自分の部屋戻って着替えるか……」
結標 「……うー、痛い。これじゃ演算もできないわね」ズキズキ
318: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:46:10.56 ID:fizxZUYo
~きぬはた荘 リビング~
番外個体 「うーん、二日ぶりのコーヒーの美味しいこと」
白井 「もうすっかり中毒ですのね……」
海原 「ミサワさんの場合は、職業病とも言えるかもしれませんね」
婚后 「みなさん、おはようございますわ」
絹旗 「おはようございます。婚后さんも超回復しましたか」
婚后 「ええ、お陰様で。結標さんのお陰ですわね」
滝壺 「むすじめ……今朝になってからまだ見てないよね」
海原 「やはり浜面さんと同じパターンでしょうか……?」
婚后 「浜面さんに何かあったのですか?」
絹旗 「今朝になって熱出しちゃいまして」
滝壺 「だから、今度は私たちが看てあげる番」
319: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:47:36.17 ID:fizxZUYo
婚后 「まあ、そんなことに……」
結標 「お、おはよ……みんなもう大丈夫なの?」
海原 (……様子がおかしいですね。これは形振り構ってられませんか)
白井 「ええ、結標さんのお陰ですっかり」
番外個体 「淡希? なんかフラついてない?」
結標 「ちょっと疲れたのかも……あっ」ズキッ
番外個体 「危ない!」バッ
結標 「うっ……」
番外個体 「うわ、あつっ。これ熱あるでしょ」
絹旗 「結標さんもですか……」
滝壺 「私たちが伝染しちゃったんだね、きっと」
結標 「やっぱダメ……頭痛いよ……」
320: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:49:16.60 ID:fizxZUYo
婚后 「看病にあたってくれたお二人が倒れるなんて……」
海原 「あの、結標さんは僕に任せてください」
結標 (海原が……って、ええええ!?)
番外個体 「いいの?」
海原 「結標さんには寝ずの看病をして頂いた恩もありますし」
結標 (それ今言わないでぇぇ)
海原 「浜面さんも倒れてるそうですし、絹旗さんと滝壺さんは浜面さんをお願いします」
絹旗 「超了解です!」
滝壺 「任せて」フンス
婚后 「……そうですわね、わたくしと白井さんは学校がありますし、ミサワさんもバイトでしょうし」
白井 「確かに、風紀委員もこれ以上は休めませんの……」
番外個体 「わかった。じゃ、お願いね」
321: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:50:59.56 ID:fizxZUYo
海原 「結標さん、こちらへ。部屋までお連れしますよ」ポスン
結標 「うー……」
番外個体 「淡希、顔赤いよ。歩くのもツライんじゃない?」
結標 「大丈夫よ……」
海原 「白井さん、部屋までお願いできますか?」
白井 「はいですの」
結標 「ま、待って! 歩けるから……海原、お願い」
海原 「ご本人がそう仰るなら……どうぞ、捕まってください」
結標 「ごめん……」ギュゥ
海原 「ゆっくりでいいですよ」
結標 「はーい……」
322: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:52:29.38 ID:fizxZUYo
番外個体 「……さっき、寝ずの看病って言ってた?」
絹旗 「超言ってましたね」
婚后 「海原さんが一番症状が重かったらしいので、きっと付き添ってたのでは?」
婚后 (かといって、なぜあんな格好だったのかは分かりませんが)
滝壺 「はまづらも付き添ってくれてたしね」
白井 「疲労に加えて、ずっと同じ部屋にいたのでは伝染るのも無理ありませんの」
番外個体 「まあ、淡希は海原さんに任しておけば平気でしょ。浜面さんは大丈夫なの?」
絹旗 「そうですね、そろそろ様子を見にいってやりましょうか」
滝壺 「何か食べさせてあげないと」
<きぬはた、お粥って作れる?
<超任せてください
323: ◆r462iqU2Ag 2011/01/03(月) 23:53:59.10 ID:fizxZUYo
番外個体 「ミイラ取りがミイラになるってこういうことなのかね」
白井 「今日は、わたくし達も出来る限り早く帰宅して手を貸しませんと」
婚后 「この家の中で風邪ループに陥ってしまいますわね」
番外個体 「それにしても……淡希が寝ずの看病か」
番外個体 (淡希やったじゃん)ニヤニヤ
白井 「きっと、付きっ切りで人肌で暖めたりとかしたんですの」
婚后 (はっ。だ、だからあのような格好を!?)
番外個体 「婚后さん、どうかした?」
白井 「顔が赤いような……風邪がぶり返したのでは?」
婚后 「だ、大丈夫ですわ! ほら、お二人とも、もう出る時間ですわよ!」
お二人 「「?」」
婚后 (その場面を想像してしまったではありませんか……)
368: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:12:36.27 ID:S6gkvZoo
~とある夜 番外個体個室~
番外個体 「海原さんに誘われた?」
結標 「うん。この間のお礼に食事でも、って」
番外個体 「お礼って?」
結標 「みんなして風邪こじらせたじゃない。あれよ、あれ」
番外個体 「あーあー。淡希が寝ずの看病してたときの話ね」
結標 「ちょっ、それはもういいのよ!」
番外個体 「ねえ、具体的に何してあげたの?」
結標 「……悪寒が酷いっていうから、人肌で……」
番外個体 「キャー、だいたーん☆」
結標 「」スチャ
番外個体 「はい、黙るので軍用懐中電灯はしまってください」
369: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:14:14.46 ID:S6gkvZoo
結標 「ったく……」ハァ
番外個体 「……? でもさ、淡希がダウンしてる間はずっと付き添ってもらってたんだよね?」
結標 「うん。だからいいって言ったんだけど……」
~~~~~
海原 「それでは僕の気が済みませんので」
~~~~~
結標 「だって」
番外個体 「まー、海原さんらしいと言えばらしいのかな」
結標 「単に貸し借りゼロにしておきたいだけでしょ」
番外個体 「うっわ、なにそれ。可愛くなーい」ニヤニヤ
結標 「」ムスー
番外個体 「大体、貸し借りゼロで気が済むんなら、看病して終わりでしょ」
結標 「そうだけどさ」
番外個体 「なにか不満なの?」
370: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:15:39.94 ID:S6gkvZoo
結標 「正直、お礼とか貸し借りとかどうでもいいの。せっかく出かけるのに食事だけってのも……」
番外個体 「もっとデートを満喫したいですぅ、ってことね」
結標 「」コクリ
番外個体 「あれもこれも、って感じで連れ回せばいいんじゃない?」
結標 「いいのかな……」
番外個体 「紳士な海原さんなら、どこぞの白いのと違って無碍にはしないと思うけどな」
結標 「貴女も苦労してるみたいね」
番外個体 「いや、あいつも口が悪いだけで付き合ってはくれるよ、一応」
結標 「んー、リクエストはしてみるけど」
番外個体 「けど?」
結標 「どういうところがいいと思う?」
番外個体 「ランジェリーショップ」
371: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:17:29.76 ID:S6gkvZoo
結標 「」スパァァン
番外個体 「いったぁぁぁぁ!?」
結標 「こっちはこれでも真剣なの!」
番外個体 「太ももに手形が……そ、そんな淡希にはコレだ!」スチャ
結標 「学園都市Walker?」
番外個体 「ええと……あったあった。ほら、第6学区に水族館オープンだって」
結標 「へー、水族館か。そういえば、行ったことないわね」
番外個体 「しかもほら、開館キャンペーンでカップルのお客様に写真撮影のサービスが」
結標 「ちょっと待ちなさい。なんでこのページにポストイットが貼ってあるの?」
番外個体 「……私も誘ってみたんだけどさ。都合が悪いって」
結標 「……」
番外個体 「私の分も、ってつもりじゃないけど。代わりに行ってきてよ」クスッ
372: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:18:55.90 ID:S6gkvZoo
~同日夜 きぬはた荘 海原個室~
海原 「水族館、ですか?」
結標 「そう。よかったらどうかな、と思って」
海原 「面白そうですね。実は行ったことがないんですよ」
結標 「え? そ、そうなの?」
海原 「昼食の後に寄ってみませんか?」
結標 「い、あ……」
海原 「?」
結標 「貴方が行きたいんだったら、別に……」
海原 「いやぁ、これは楽しみです」ニコニコ
結標 「よ、良かったじゃない……」
373: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:20:20.15 ID:S6gkvZoo
海原 「しかし、急なお誘いになってしまって申し訳ないですね」
結標 「いいのよ、どうせいつも暇なんだから」
海原 「またまたご冗談を」
結標 「冗談じゃなく、ホントに大してやることないんだって。わかってるでしょ?」
海原 「まあ、僕も似たようなものですしね」
結標 「最近ふられてくる仕事もなんかアレだしね」
海原 「あ、それで、当日の待ち合わせなんですが」
結標 「? 一緒に出ればいいんじゃないの?」
海原 「当日に整髪していきたいんですよ。これにまで付き合わせる訳にもいきませんので」
結標 「そういうことね。じゃ、どうすればいい?」
海原 「11時でどうでしょうか?」
374: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:21:54.32 ID:S6gkvZoo
~ドアの向こうでは~
番外個体 (んー、肝心なところが聞こえない)
番外個体 (ちゃんと誘ったのかな)
浜面 「何やってんだ?」
番外個体 「!」
浜面 「あ、もしかしてスネークごっこか? よし、じゃ俺ビッグボス(ガシッ)モゴッ」
番外個体 (しーずーかーに!)
浜面 「???」
滝壺 「2人してなにしてるの?」
婚后 「ここは、海原さんの部屋ですわね」
番外個体 「」
375: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:23:37.57 ID:S6gkvZoo
:
:
:
海原 「ほう。ミサワさんが最近いつも付けているピアスはやはり彼が」
結標 「いきなり言い出すもんだから驚いたわよ、ホント」
海原 「あの頃は大変でしたね。まさかあなた方が喧嘩なさるとは」
結標 「まあ……仲直りできてから、前より仲良くなったような気もするけどね。
あのときはありがとね。ちょこっと話聞いてもらえただけでも楽になったし」
<ちょっと押さないで!
<超バレますって!
<痛いですのー!
海原 「? なんだか廊下が騒がしいですね」
結標 「……まさか」
ガチャ ドタッ ベチ ビターン
376: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:25:11.47 ID:S6gkvZoo
番外個体 「いててて……急に開けないでよ!」
結標 「みんなして何やってんのよ!?」
浜面 「やべっ、二人とも逃げるぞ!」
滝壺 「うわ」
絹旗 「ひ、引っ張らないでくださいよ!」
結標 「……」ヒクヒク
婚后 「えーと……し、白井さん?」ヒュン
白井 「ほほほ、お、お休みなさいませ」ヒュン
番外個体 「え、ウソ……私だけ? ヒドくない?」
結標 「まーこーとー……」
<天誅!
<みぎゃぁぁぁぁ!!
海原 「雨降って地固まる、ですか。友情とはいいものですね」ニコニコ
377: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:27:00.13 ID:S6gkvZoo
~11月下旬 きぬはた荘 リビング~
結標 「ねえ、変じゃないかな」
番外個体 「うーん……正直、私に聞かれても。ファッションとか疎いし」
結標 「別にコーディネートがどうとか聞いてないわよ。貴女から見て変じゃない?」
番外個体 「その服に、この間買ったロングブーツだよね? いいんじゃないかな……でも、これ」
結標 「?」
番外個体 「スカートがダークブラウンなせいで、ユリコの毛が目立ってる」
結標 「え? あーー!!」
ユリコ 「(*・ω・)ノシ」ペシペシ
結標 「あ、ユリコだめ! スカートの裾で遊ばないで! これカーテンじゃないから!」
番外個体 「ほら、ユリコ。焼き海苔あるよー、ほれほれ」つ■
379: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:28:54.57 ID:S6gkvZoo
ユリコ 「(・ω・*)三三三」トテテテ
結標 「ユリコに悪気はないんだろうけどね……」
番外個体 「ユリコは白猫だし、これはしょうがない」
結標 「今日は家に貴女一人なの? あの子たちは学校なんでしょうけど」
番外個体 「滝壺さんと浜面さんは一緒に出かけたし、絹旗さんもどっか行っちゃったし」
結標 「ちゃんとお留守番できる?」
番外個体 「それ、どういう意味かな」
結標 「冗談よ。じゃ行ってくるわね」
番外個体 「今日は帰ってこなくていいからねー」
<バタン
番外個体 「はあ……ねえ、ユリコはお留守番できる?」
ユリコ 「(・ω・)?」
380: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:31:05.94 ID:S6gkvZoo
~同日 第7学区 とある駅前~
結標 (10時半過ぎだもんね、さすがにまだ来てないか)
結標 (このベンチに座ってればすぐ見つけてくれるかな)ポスン
結標 「……」
結標 (水族館だけじゃなくて、もうちょっとどっか行きたいなぁ)
結標 (買い物でもいいし、景色が綺麗なところでもいいし)
結標 「……鏡」ゴソゴソ
結標 (前髪ヘンじゃないかな? 大丈夫よね?)
結標 「はぁ……」
結標 (待つのは慣れてるつもりだったけど、なんでこんな長く感じるのかな)
結標 (海原と二人組で行動なんてこれが初めてじゃないのに……いつからこうなったんだろ)
結標 「……まだあと20分もあるのか」ソワソワ
382: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:32:45.04 ID:S6gkvZoo
??? 「こちら暗号名M、駅前にてターゲットを捕捉」
??? 『こちら暗号名S。了解、至急そちらに合流します』
??? 「了解」ピッ
??? 「……ふふっ。今日が最後の思い出にならないよう、せいぜいしっかりやることだね」
:
:
:
結標 「あ!」
海原 「すみません、お待たせしてしまいましたか」
結標 「……遅い。私が早く来すぎたのもあるけど」
海原 「いやぁ、申し訳ないです。お詫びになるか分かりませんが、今日はとことんお付き合いしますよ」
結標 「信じていいのね?」
海原 「もちろんですとも」
結標 「ふーん……それについては、お昼食べながら話しましょ」
383: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:34:21.11 ID:S6gkvZoo
海原 「そうですね、何か食べたい物とかありますか?」
結標 「何かって……こういう場合、誘ったほうが店を考えておくものでしょ?」
海原 「候補はいくつか用意してありますよ。その中から、結標さんのニーズにあった店を選びたいかと」
結標 「えと、じゃあ、ヘルシーなのがいいかな」
海原 「となりますと、野菜か魚といったところですかね」
結標 「う、うん。それで」
海原 「では、行きましょうか」
結標 「どこいくの?」
海原 「野菜料理をメインにしてる店があるんですよ。そこに行きましょう」
結標 「あら、いいじゃない」
海原 「口に合うといいのですが」
結標 「そればっかりは食べてみないと分からないわね」
海原 「ふふ、手厳しいですね」
384: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:35:58.18 ID:S6gkvZoo
結標 「♪」コツコツ
海原 「……今日はなんだか」
結標 「うん?」
海原 「服装が、いつもと違う雰囲気ですね」
結標 「えっ……そ、そうかな?」
海原 「ええ。落ち着いた感じがして良いと思いますよ」
結標 「な、なによ。いつもはそんなこと言わないじゃない」
海原 「そりゃ普段は露出狂じみてて(ベシッ)痛いですよ」
結標 「~~っ、さっさと行くわよ」グイ
海原 「結標さん、引っ張らなくてもお店は逃げませんよ」
結標 「お腹空いてるの!」
結標 (服選ぶの時間かけすぎて朝食べられなかったんだもん)
385: ◆r462iqU2Ag 2011/01/05(水) 22:38:14.50 ID:S6gkvZoo
黒服女(小) 「お待たせしました、暗号名M」
黒服女(大) 「思ったより早かったね、暗号名S……ねえ、暗号名って必要?」
黒服女(小) 「やはりこういう時は超雰囲気から入りませんと」
黒服女(大) 「いや、なんか厨2っぽくてさぁ……」
黒服女(小) 「だったら、こんなマトリックスオフみたいな格好してる時点で超アウトですよ」
黒服女(大) 「そこはほら、目立たないようにね」
黒服女(小) (逆に目立ってますって)
黒服女(大) 「さーて。事前情報によると、ターゲットはまず昼食、その後で水族館に向かうらしいよ」
黒服女(小) 「むむ……意外性に超欠けますね」
黒服女(大) 「ターゲットも実力者だから。尾行は慎重にね。見た情報は持ち帰らないといけないし」
黒服女(小) 「超わかってますとも」
451: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:22:49.97 ID:dqs1lNIo
結標 「そのお店までどれぐらいかかるの?」
海原 「このペースで歩けば、15分ほどで着きますよ」
結標 「じゃ、ゆっくりいきましょ。天気もいいんだし」
海原 「お腹空いているのでは?」
結標 「う、うるさいわね! いいでしょ、別に!」
結標 (急いだら、この時間が勿体無いような気がしちゃった)
海原 「まあ、今日は結標さんに合わせるつもりですので、従うだけなんですけどね」ニコニコ
結標 「……バカ」
ガキッ
結標 「えっ?(やばっ、ヒールが……!)」
海原 「危ない!」グイッ
452: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:24:15.56 ID:dqs1lNIo
結標 「ひゃぁ」ポフ
海原 「いやぁ、危なかったですね」
結標 (……やっぱり胸板厚いな)
海原 「足首は痛めてませんか?」
結標 「うん、大丈夫。ありがと……」
海原 「怪我がないようでなによりですね」
結標 「そうだ、ヒール……見事に折れちゃってるわね。このブーツ、2~3回しか履いてないのに」
海原 「食事より先に修理屋に行きましょうか」
結標 「ゴメンなさい……」
海原 「トラブルはつき物ですよ。こんな程度で済んでよかったと思っておきましょう」
結標 「腕につかまっていい? 歩きづらくて」
海原 「ええ、どうぞ」スッ
453: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:25:59.72 ID:dqs1lNIo
黒服女(小) 「なるほど、これが超フラグイベントというヤツですね」
黒服女(大) 「淡希……まさか、わざとヒールを溝に差し込んだのかな」
:
:
:
リペア屋 「ちょっとお時間いただきますね」
海原 「さ、どうぞ。座っててください」
結標 「貴方はいいの?」ストン
海原 「イスは1つしかありませんし」
結標 「あ」
海原 「いいですよ。お気になさらず」
結標 「ご、ゴメン、なんか……」
結標 (幸先悪いスタートね……)
海原 「いいじゃないですか、こういう寄り道も」
454: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:27:29.94 ID:dqs1lNIo
結標 「」ムー
海原 「時間はたっぷりあるんですから」ニコニコ
結標 「……そ、そうよね」
結標 (ホント掴みどころがないわ)
リペア屋 「終わりましたので、確かめて頂けますか?」
結標 「はい、どうも」ゴソゴソ
結標 「……うん、大丈夫かな」カツカツ
海原 「おっ、ちょっと背が高くなりましたね」
結標 「うるさいわね、ほっといてよ」
海原 「気にしてましたか? これは失礼」ニコニコ
結標 「サイテー……すみません、いくらですか?」
リペア屋 「1800円です。……彼氏さんですか?」
結標 「へ? あ、そ、そんなのじゃないんです、決して」
455: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:29:05.40 ID:dqs1lNIo
リペア屋 「そうなんですか? 仲良さそうだったので、てっきり」
結標 (そ、そんな風に見えるのかな……)
海原 「終わりましたか?」
結標 「わっ!? びっくりさせないでよ!」
リペア屋 (美男美女のカップルかー、いいなー)
海原 「すみません、驚かせるつもりはなかったんですが」
結標 「ったく、もう……あ、ありがとうございました。ほら、行きましょ」
海原 「あ、お世話になりました」ペコリ
リペア屋 「またどうぞー」ニコニコ
結標 (彼氏……)
海原 「結標さん、まだ歩きづらいですか?」
結標 「いえ、もう大丈夫よ?」
456: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:30:43.43 ID:dqs1lNIo
海原 「そうでしたか。腕を掴みっぱなしだったので、まだ歩きづらいのかと」
結標 「Σ」パッ
海原 「さ、ちょうどお昼時ですし。満席になる前に行きましょう」
結標 (調子狂わされるなぁ)
~15分後 野菜レストラン「オールグリーン」~
店員 「いらっしゃいませ」
海原 「2名お願いします」
店員 「かしこまりました。こちらへどうぞ」
結標 「へぇ……サラダバーもあるのね」
海原 「ええ。あれは基本的に食べ放題ですよ」
店員 「こちらのお席へどうぞ。ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」
457: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:32:17.48 ID:dqs1lNIo
海原 「ついてますね、窓際の特等席ですよ」
結標 「サラダバーからは遠いけどね」
海原 「さて、ここは野菜ソムリエの方が常駐してまして、味の評判もいいんですよ」
結標 「オススメってある?」パラパラ
海原 「ロールキャベツのトマトソースがけでしょうかね」
結標 「じゃあそれ」
海原 「決まりですね。すいません」ノシ
店員 「はい」
海原 「ロールキャベツを2つ、1つはトマトソースで、もう1つはホワイトソースで」
店員 「かしこまりました」
結標 「あら、ソース選べたのね」
海原 「あ……すいません、勝手に決めてしまいましたね」
結標 「いいわよ、今日は貴方のオススメで」
458: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:33:49.25 ID:dqs1lNIo
:
:
:
店員 「お待たせ致しました。こちらロールキャベツになります」カチャカチャ
海原 「お、来ましたね」
結標 「えっ、美味しそう」
店員 「ごゆっくりどうぞ」ペコリ
海原 「では、いただきます」
結標 「いただきます……おいひい」モグモグ
海原 「気に入って頂けたようで安心しました」
結標 「美味しくてヘルシーなんて、最高じゃない」
海原 「ええ。だから女性に人気があるのでしょうね」
結標 (言われてみれば、店の中ほとんど女性客ね……女性客か)
459: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:35:10.35 ID:dqs1lNIo
結標 「ねえ……ここには誰かと来たの?」
海原 「何回か来ましたが、いつも1人でしたね」
結標 「1人で? 居づらくないの?」
海原 「いえ、全然」
結標 「尊敬しちゃう。私はファーストフードとかならともかく、こういうお店に1人は無理だわ」
海原 「慣れればなんてことありませんよ」ニコニコ
結標 「すぐには慣れそうもないわね……だから、また連れてきてよ」
海原 「僕でよろしければ」
結標 「言質とったからね。ね、ホワイトソースって美味しいの?」
海原 「味見してみますか? どうぞ」ズイ
結標 「(パク)うわ、すごいコク。だけど、ちょっとカロリーありそうね」
海原 「小麦粉とバターを使う分、トマトソースよりは高いでしょうね」
460: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:36:52.67 ID:dqs1lNIo
~その頃 数十メートル離れた廃ビル~
黒服女(小) 「超絶好のスナイプポイントですね」
黒服女(大) 「そこまでしないけどね」スチャ
黒服女(小) 「気を付けてくださいよ。スコープの反射光で見つかるとかアホすぎて超笑えません」スチャ
黒服女(大) 「おー、いたいた。丁度窓際にいてくれたよ」
黒服女(小) 「……なんか、アレ見てたら超お腹すいてきました」
黒服女(大) 「ダメだねぇ、空腹ぐらいで音をあげちゃ」ギュルルルル
黒服女(小) 「……」
黒服女(大) 「……」
黒服女(小) 「なんか買ってきてください。ここは私が見てますので」
黒服女(大) 「うん、お願い」
461: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:38:28.97 ID:dqs1lNIo
~野菜レストラン「オールグリーン」~
海原 「ごちそうさまです」
結標 「う……」
海原 「ああ、ゆっくりどうぞ。味わって食べて頂きたいですしね」
結標 「ゴメン、遅くて」
海原 「お気になさらずに」
結標 「そうさせてもらうわ。そういえばさ、メニューにケーキがあったんだけど」
海原 「野菜のケーキじゃないですか?」
結標 「そんなのあるの?」
海原 「ええ。野菜の甘味を活かした、すっきりとした味わいですよ」
結標 「それも食べたいわね」
海原 「追加で頼みましょうか?」
462: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:39:51.59 ID:dqs1lNIo
結標 「うん、お願い。貴方と同じヤツでいいわ」
海原 「了解です。あ、すいません」ノシ
店員 「はい」
海原 「追加でコレを2つお願いします」
店員 「すぐにお持ちいたしますか?」
海原 「彼女が食べ終わってからで」
店員 「かしこまりました」
結標 「……なんか悪いわね」
海原 「お店もこれぐらいは対応してくれますよ」
結標 「何頼んだの?」
海原 「来てからのお楽しみにしておきましょう」ニコニコ
463: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:42:18.64 ID:dqs1lNIo
結標 「ごちそうさま」カチャ
海原 「ご満足頂けましたか?」
結標 「ええ、もう。こんないいお店があったなんてね」
海原 「それは何より。誘った甲斐があったというものです」
店員 「お待たせ致しました。こちらキャロットシフォンケーキになります」カチャ
海原 「あ、どうも」
結標 「ニンジンのケーキ? なんか想像できないわね」
海原 「食べれば分かりますよ」
結標 「……へえ、普通のケーキよりしつこくない甘さなのね」
海原 「僕にはこれぐらいが丁度いいんですよね。
もっと甘くしたい場合は、横に添えられたクリームで調整してください」
結標 「横ってこれ?(ペロ)うわ、あっまい……調整か、なるほどね」
結標 (これなら、あの子のニンジン嫌いも治るかしら)
464: ◆r462iqU2Ag 2011/01/07(金) 23:44:06.05 ID:dqs1lNIo
~その頃~
黒服女(大) 「絹旗さん、お昼買ってきたよ」
黒服女(小) 「……」
黒服女(大) 「絹旗さん?」
黒服女(小) 「……」
黒服女(大) 「……暗号名S、昼食にしましょう」
黒服女(小) 「おお、これは超申し訳ないです」
黒服女(大) (あー、そうだった。この子、リアル中2だったんだ)
黒服女(小) 「にしても、ターゲットはあんな超オシャレなお店でランチなのに、私達はファミチキですか……」モフモフ
黒服女(大) 「Lチキの方が良かった?」カシュッ
黒服女(小) 「そうではなく! なんでこんな超天気のいい日に、廃ビルの一室でジャンクフードなどを」
黒服女(大) 「うわマズ。この缶コーヒーは地雷認定だね」
黒服女(小) 「超スルーですか」
510: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:03:05.38 ID:Zawy3HAo
結標 「あ、そうだ」
海原 「?」
結標 「この間はありがとね。つきっきりで看病してくれて」
海原 「いえいえ。それはお互い様じゃないですか」
結標 「そ、お互い様よ。だから……」
海原 「だから?」
結標 「だから、今日はお礼とか抜きにしてほしいの」
海原 「ですが、それでは」
結標 「気が済まないって言うんでしょ? でもそうはいかないわよ、お互い様って言ったじゃない」
海原 「これは一本とられましたね」
結標 「……そういう理由とかないと、私と外出できないの?」
海原 「え? そ、そんな訳ないじゃないですか」
511: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:04:28.60 ID:Zawy3HAo
結標 「じゃあいいわね。はい、決まり」
海原 「適いませんね、これは」
結標 「だって、接待されてるみたいなのも居心地悪いんだもの」
海原 「申し訳ないですね、これは僕の悪いクセです」
結標 「これから気をつけてね」
海原 「そういえば、聞きたかったのですが」
結標 「?」
海原 「風邪をこじらせたとき、結標さんはどうしてあのような格好で僕の隣に?」
結標 「」
海原 「朝起きてみれば、結標さんがあのような姿で隣にいたんですから。
何か間違いを犯したのかと真っ青になったものです」
結標 「だ、だっ、だって、貴方が寒い寒いって言うから……」
海原 「そんなことを言っていたのですか。あの時は意識も朦朧としてて記憶が定かじゃないんですよね」
512: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:05:51.95 ID:Zawy3HAo
結標 「今思い出しても、ホントに辛そうだったわね」
海原 「いやはや、お恥ずかしい……結標さんには頭が上がりません」
結標 「ちょっと」
海原 「おっと失礼、こういうのはナシでしたね」
結標 「うん、よろしい。それにお恥ずかしいって言うけど、こっちだって恥ずかしかったんだからね」
海原 「いえ、何も見てませんよ?」
結標 「治った日は私より先に起きてたじゃない」
海原 「ですから見てませんて」
結標 「ホントに? 私の目を見て言って」ジー
海原 「……すみませんでした」ペコリ
結標 「変態! 変態! 変態!」バシバシバシ
海原 「不可抗力ですって! 起きたときにやっと把握したんですから!」
結標 「……まあ、ある程度は覚悟してたけどね」ムー
513: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:07:25.85 ID:Zawy3HAo
海原 「あ、でも、綺麗でしたよ?」
結標 「もうその話はお終い! やめ!」
海原 「?」
結標 (なんでそこまでしたか、気付かないかなぁ……)
店員 「失礼致します。こちらミックスベジタブルジュースになります」
海原 「おや? 頼んでいませんよ?」
店員 「ランチタイム限定のサービスです」
海原 「これはこれは、ありがとうございます」
結標 「さっきから随分と尽くしてくれるお店ね」
海原 「細やかな心配りが、人気の秘訣なのでしょうね」
514: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:09:04.46 ID:Zawy3HAo
~30分後~
海原 「さて、そろそろ行きますか」
結標 「そうね。ずいぶんゆっくりしちゃったし」
海原 「では参りましょう」サッ
結標 「あっ、ちょっと」
海原 「どうしました?」
結標 「伝票掻っ攫わないでよ。私の分が」
海原 「出しておきますよ」
結標 「そういうのはナシって言ったでしょ。自分の分ぐらい出すわよ」
海原 「そういうのは抜きにしても、ここは出させてください」
結標 「なんでよ……」
海原 「見てしまったお詫びです」ニコニコ
結標 「バカ……いいわ、これでチャラにしてあげる」
515: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:13:40.27 ID:Zawy3HAo
黒服女(大) 「ねー、次何いく?」カチカチ
黒服女(小) 「ジンオウガの上位素材が超ほしいです」カチカチ
黒服女(大) 「じゃそれいくかなー。弾は通常2と散弾2と麻痺と……」
黒服女(小) 「……あ、ターゲット動き出しました!」
黒服女(大) 「やっと? よし、私らも行こうか」
:
:
:
海原 「たしか、第6学区でしたね」
結標 「そ。だから、バスで移動ね」
海原 「今度はコケないでくださいよ」
結標 「分かってるわよ」ガシ
海原 「結標さん?」
結標 「手袋忘れちゃったから、手冷たいの」
516: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:15:25.78 ID:Zawy3HAo
海原 「は、はあ……」
結標 「ほら、行きましょうよ」
海原 「そうですね。遅くなってもいけませんし」
結標 「第6学区行きは……え? なにあれ?」
海原 「あのバス停だけ妙に混んでますね」
結標 「もしかして、みんな水族館目当てかしら」
海原 「かもしれませんね。今日は休日ですし」
結標 「満員バスは気が進まないけど、しょうがないか」
海原 「はぐれないようにしませんとね」ギュ
結標 「!(握り返してくれた!)」
海原 「さ、並びましょうか」
結標 「うん」
517: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:17:03.63 ID:Zawy3HAo
~バス車内~
ガタン...
ブロロロロ...
結標 「……うー」
結標 (ここまで混んでるなんて)
海原 「結標さん、大丈夫ですか?」
結標 「どうにか……」
結標 (期せずして向かい合わせに密着することになっちゃったわね……)
海原 「大混雑ですね……まあ、これも着くまでの辛抱です」
結標 「……そうね」
結標 (ラッシュは嫌いだけど、これなら着かなくてもいいかも)
結標 「」カオグリグリ
518: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:18:27.26 ID:Zawy3HAo
黒服女(大) 「バスに乗られちゃったか……さすがに同じ車内だとバレるよね」
黒服女(小) 「先回りしましょうか。行き先は水族館でしたよね?」
黒服女(大) 「うん。いざ、第6学区へ」
~20分後 第6学区 水族館前~
結標 「……えー」
海原 「予想以上の盛況っぷりですね」
結標 「これはちょっと……」
海原 「人ごみは苦手なんですよね? 今回は見送りますか?」
結標 (でも、真琴に託されちゃってるし……)
結標 「ううん、入りましょ。貴方だって楽しみだって言ってたじゃない」
海原 「無理はなさらないでくださいね」
519: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:19:54.72 ID:Zawy3HAo
黒服女(小) 「超すっごい人ですね」
黒服女(大) 「うわ、これムリ。断られて正解だったな」
:
:
:
海原 「ようやくチケットが買えましたね」
結標 「これだけで疲れちゃいそうね」
海原 「しかし、やはりと言いますか。カップルばかりですね」
結標 「あ」
結標 (いけない! 記念写真のこと言ってなかった!)
海原 「結標さん、どうぞ」スッ
結標 「なに? 手?」
海原 「人も多いですし、はぐれないようにしませんと」ニコニコ
結標 「あ……はい」ギュ
520: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:21:15.94 ID:Zawy3HAo
~水族館「ライトブルーガーデン」~
海原 「おお……これが水族館というヤツですか」
結標 「私も何年振りかしら」
海原 「向こうに巨大水槽があるらしいですよ、行ってみましょう」
結標 「ちょ、引っ張らないで。水槽は逃げないわよ」
海原 「これは失礼、つい気持ちがはやってしまいまして」
結標 「時間はたっぷりあるんでしょ?」
海原 「ふふ、それもそうですね」
結標 「あ、あれそうじゃない?」
海原 「ここから見ても相当な大きさですよ」
結標 「行ってみましょ」
海原 「ええ」
521: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:22:40.76 ID:Zawy3HAo
結標 「すごいわね、これ……こんな大きなガラス、どうやって用意したのかしら」ペタペタ
海原 「見たことある魚もいれば、見たことない魚も多いですね」
結標 「あ、イワシの大群」
海原 「美味しそうですね」
結標 「それ、水族館で持つ感想なの?」
海原 「食卓ではお世話になってるもので」ニコニコ
結標 「そんなに出てたかしら……うん?」
海蛇 「」ヘロゥ
結標 「うひゃぁ!? 蛇! 蛇!!」ダキッ
海原 「大丈夫ですよ、可愛いじゃないですか」
結標 「無理無理無理無理!!」
海原 「ははっ、では次にいきましょう」
522: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:24:12.64 ID:Zawy3HAo
結標 「さっきはびっくりした……」
海原 「ここは? 急に暗くなりましたが」
結標 「なにこれ? 光ってる?」
ピカ キラキラ
結標 「うわぁ……」
海原 「これは、クラゲですね」
結標 「すごーい……これだけいると、ちょっとしたイルミネーションね」
海原 「どうやって光ってるんでしょうね、こやつらは」
結標 「確か蛍光タンパク質がどうとか……あー、そんな難しい話はいいのよ」
海原 「そうですね、見て楽しむとしましょう」
結標 「いいわね、これ。飼いたくなっちゃう」
海原 「その時はウミヘビも是非」
結標 「絶対イヤ!」
523: ◆r462iqU2Ag 2011/01/09(日) 00:25:55.54 ID:Zawy3HAo
海原 「クラゲコーナーはここまでのようですね」
結標 「あ、なんか貼ってある」
【お土産コーナーにてクラゲアイス販売中!】
結標 「……」
海原 「クラゲアイス。エキセントリックですね」
結標 「いや、ね……わざわざこれをクラゲコーナーの出口におく?」
海原 「クラゲに興味を持ってもらうためでしょう」
結標 「なんか違うような……」
海原 「この先はシートンネルだそうですよ」
結標 「水族館にありがちなアレね。行きましょ」
海原 「楽しみですね」
562: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:10:51.60 ID:M7pzEqqco
黒服女(大) 「やべー……絹旗さんが人ごみに飲み込まれてどっかいっちゃった……」
黒服女(大) 「小さい分、流れに巻き込まれると全然分かんないし」
:
:
:
結標 「うっわ、綺麗……」
海原 「水面を下から見上げると、こんなにも輝いているとは」
結標 「そうそう見れないもんね。沖縄行った時を思い出すなぁ」
海原 「向こうの海も綺麗でしたね」
結標 「ちょうどこんな感じよ。下からみると光が乱反射してて」
海原 「惜しいことをしました。僕も潜っておけば良かったですね」
結標 「またいつか行きましょうよ。私も行きたいし」
海原 「婚后さんにお願いしませんとね」
563: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:12:30.99 ID:M7pzEqqco
結標 「あ、あっち見て。大きい亀が」
海原 「ずいぶんとゆるやかに泳いでますね」
結標 「亀が超スピードで泳いでたら相当シュールね」
海原 「ええ、やはり亀はこうでありませんと」
結標 「ねえ、この魚ってなにかな」
海原 「これはまた大きいですね、何人前でしょうか」
結標 「CIAのエージェントみたいなこと言わないでよ」
海原 「いや、彼なら"で、ウマイのか?"って聞くでしょう」
結標 「イワシの大群に美味しそうって言った貴方も似たようなものよ」
海原 「たしかに、心の師匠ですけどね」
結標 「……捕まらない程度にしてよね」
海原 「心に留めておきます」ニコニコ
565: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:14:00.49 ID:M7pzEqqco
海原 「おっと、どうやら水中トンネルはここまですか」
結標 「えー……もっとあってもいいのに」
海原 「ふふ、少々名残惜しいですね」
結標 「少しぐらい立ち止まっても平気かしら」
海原 「何かあるんですか?」
結標 「もう一回、水面を見ておきたいの。ここ、写真撮影禁止だし」
海原 「そうですね、目に焼き付けておきましょう」
結標 「また来れるかなぁ」
海原 「人入りが落ち着いた頃に、また来ましょうか」
結標 「約束だからね」
海原 「ええ、約束です」
566: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:15:29.50 ID:M7pzEqqco
:
:
:
結標 「残念、イルカショーまであと1時間半か。どうする?」
海原 「うーん……迷ってしまいますね」
結標 「次の機会にしましょ」
海原 「よろしいので?」
結標 「これで、もう一回ここに来る言い訳が増えたでしょ?」
海原 「なるほど、そういうことですか」
係員 「あ、写真撮影のお客様ですか?」ニコニコ
海原 「はい? 写真撮影?」
結標 (え? あれってここで撮るの!?)
係員 「はい、開館イベントの一環で、カップルのお客様には記念写真撮影のサービスを行っております」
海原 「結標さん、どうします?」
567: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:17:24.50 ID:M7pzEqqco
結標 「…………撮る」
海原 「ではお願いできますか」
係員 「はい。一緒に写る海の仲間をお選びください」ニコニコ
結標 「一緒って?」
係員 「イルカ、ペンギン、ウミヘビのいずれかと一緒に撮影となっております」
海原 「では、ウミヘ(グシャ)結標さん、ヒールで足を踏まれるのは痛いのですが」
結標 「ペンギンでお願いします」
係員 「はい、ではこちらへどうぞ」
係員 (ずっと手繋いでて。仲良いんだなぁ)
海原 「ペンギンがお好きなんですか?」
結標 「そりゃね。あの走ってる姿とか可愛い過ぎじゃない」
568: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:18:51.08 ID:M7pzEqqco
~ペンギンコーナー~
結標 「ここって……」
海原 「普通なら入れない場所ですよね」
係員 「みんなー、でておいでー」パンパン
ゾロゾロヒョコヒョコ
結標 「」
海原 「おお、よく統制がとれてますね」
結標 「か、かわいい……///」
係員 「準備ができましたら声を掛けてくださいね」
海原 「さて、どう撮りましょうか」
結標 「ね、ねえ。それなんだけどさ」
569: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:20:17.15 ID:M7pzEqqco
海原 「お、なにか妙案が?」
結標 「これぐらいしてもいいわよね」ダキッ
海原 「え?」
結標 「お願いしまーす」
係員 「では撮りますねー、はい笑って笑ってー」
海原 「あの、結標さん?」
結標 「ほーら、いつものスマイルはどうしたの?」
海原 「え? あ、はい、こうですね」ニコニコ
係員 「撮りまーす」
カシャッ
570: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:21:43.89 ID:M7pzEqqco
:
:
:
海原 「よく撮れてますね、少々照れくさいですが」
結標 (写真立て買ってこないと)
海原 「さて、残すはグッズコーナーのようですよ」
結標 (にしても、腕に抱きついたのはちょっとやりすぎだったかな)
海原 「折角ですし、みなさんにもお土産を買っていきましょう」
結標 (あててんのよ、ってヤツよね。うわーうわー///)
海原 「……?」
結標 (そう考えると、この写真見られたら何言われるか分からないわね)
海原 「結標さん?」
結標 「は、はい!」
571: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:23:11.31 ID:M7pzEqqco
海原 「大丈夫ですか? どこか具合でも?」
結標 「大丈夫よ、全然大丈夫」
海原 「ならいいのですが……」
結標 「で、えと、なんだっけ」
海原 「グッズコーナーでお土産を選んでいきませんか?」
結標 「そうね。みんなにも何か買っていかないと」
<お客様にお呼び出し申し上げます。
<第7学区よりお越しのきぬはた……これ、もあいでいいの?
<失礼致しました。きぬはたさいあい様、お連れ様が迷子カウンターでお待ちです。
結標 「……なんか聞き覚えのある名前が聞こえたわね」
海原 「絹旗さんもいらっしゃってるのですか。折角ですし、合流しますか?」
結標 「まあ、そう考えるわよね、貴方なら」ハァ
572: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:24:33.01 ID:M7pzEqqco
海原 「はい?」
結標 「……やめときましょ。アナウンスしてるってことは、誰かと一緒ってことでしょ?」
海原 「なるほど。茶々を入れるのも無粋ですしね」
結標 「そういうこと」
結標 (それは私たちにも言えるんだけどね)
結標 「それより、なにか買うんでしょ?」
海原 「」ジー
結標 「海原? どうし」ピキーン
海原 「これ買っていって、リビングに飾りませんか?」
結標 「ウミヘビの置物?」
海原 「はい」
結標 「やだぁ! 絶対やだ!」
573: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:26:05.98 ID:M7pzEqqco
海原 「ダメですか……まあ、次回にお預けということで」ニコニコ
結標 「次回も次々回もずーっと先も絶対イヤだからね! ていうかどんだけ蛇好きなのよ!」ムキー
海原 「心の師匠ですから」キリッ
結標 「~~っ、ともかく! 私の前で蛇はやめて!」
海原 「しょうがないですね、自重します」
結標 「お菓子とかにしときましょうよ……」
海原 「あの、このぬいぐるみじゃダメですか?」
結標 「……リビングじゃなくて、自分の部屋に飾ってよね」
海原 「やった……ありがとうございます」
結標 (意外な一面が見れたわね……)
海原 「あとは何にしましょうか」
結標 「そうね、無難にお菓子とか。あ、これ絹旗さんに似合うんじゃない?」
海原 「これは……どう使うんでしょうか」
574: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:27:49.22 ID:M7pzEqqco
~1時間後 水族館前バス停~
結標 「結局いろいろ買っちゃったわね」
海原 「いやぁ、でも楽しめましたよ。ついはしゃいでしまいました」
結標 「ええ、ホントに……私も楽しかった」ニコニコ
海原 「また来たいものですね」
結標 「うん、また機会があれば2人で」
海原 「その時には、みなさんも一緒に」
結標 「……」
海原 「?」
結標 「知らない」プイッ
海原 「??」
結標 (男ってみんなKYね)
575: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:29:23.15 ID:M7pzEqqco
~第7学区 とある駅前~
結標 「帰りのバスは空いててよかったー」ノビー
海原 「荷物も増えてますし、座れたのは幸運でしたね」
結標 「今何時?」
海原 「そうですね、大体……18時をちょっとまわったところですね」
結標 「あれ? まだそんな時間? 真っ暗だからもっと遅いと思ってたわ」
海原 「最近日も短くなりましたし」
結標 (これからどうしよっかなー)
海原 「帰宅するにはちょうどいい時間ですかね」
結標 「え?」
海原 「今から帰れば、夕食の時間ぐらいじゃないですか」
576: ◆r462iqU2Ag 2011/01/10(月) 00:31:47.58 ID:M7pzEqqco
結標 「そうだけど……」
結標 (いいの? これで)
海原 「今日は楽しかったです、ありがとうございました」ニコニコ
結標 「う、うん」
海原 「さて、遅くなりすぎる前に行きましょうか」
結標 (……今言わないと!)
結標 「ねえ、海原」クイクイ
海原 「どうしました?」
結標 「……」
海原 「結標さん?」
結標 「まだ帰りたくない」
614: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:11:03.83 ID:ECe0OHZno
黒服女(小) 「ありえないです! 超ありえないです! 人を迷子扱いした挙句にアナウンスなんて!」
黒服女(大) 「しょうがないじゃん。あの人の多さじゃ探せないって」
黒服女(小) 「しかも! 人の名前を超間違いやがりましたね!」
黒服女(大) 「それは私のせいじゃないよ!」
黒服女(小) 「知り合いが聞いてたらどうするつもりなんですか!」
黒服女(大) 「少なくとも二人は聞いちゃってる人がいるけど?」
黒服女(小) 「」
黒服女(大) 「さて、そのお二人。なんか妙な空気になってるけど、どうしたんだろ」
黒服女(小) 「ヒドイですぅ……ヒドイですぅ……」ブツブツ
黒服女(大) 「あーもう、あとで晩ご飯奢ってあげるから戻ってこい!」ガシガシ
黒服女(小) 「頭なでないでください!」
615: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:12:53.96 ID:ECe0OHZno
海原 「あの、帰りたくないと申されますと?」
結標 「そのまんまの意味よ」
海原 「何かあったんですか?」
結標 「何かなきゃいけない訳?」
海原 「はい?」
結標 「昼間も似たようなこと聞いたけど、理由とか必要なの?」
海原 「そういう訳ではありませんが……」
結標 「それとも、私といても楽しくない?」
海原 「そんな訳ないじゃないですか!」
結標 「じゃ、もう少しいいじゃない。ねえ、ダメ?」
海原 「ですが……」
結標 「なんで、分かってくれないの……?」ウルウル
海原 「……」
616: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:14:12.12 ID:ECe0OHZno
海原 (そうか……最近は仕事らしい仕事がないとはいえ、彼女も暗部で生きてきた人間)
海原 (こういった"普通の"時間は貴重であり、また憧れていたのかもしれませんね)
海原 (そのお相手役が僕というのは不服かもしれませんが、できることはしましょう)
海原 「では、夕食にしませんか? また移動が必要ですが」
結標 「!」
海原 「この辺の店ですと、夜は閉まってしまいますからね」
結標 「じゃあ、どこに行くの?」
海原 「第5学区です。あそこなら夜もやっているお店が多いですから」
結標 「でも、バスも終わっちゃってるわね……」
海原 「タクシーがありますよ。大通りにでて捕まえましょう」
結標 「……」
海原 「結標さん?」
結標 「手冷たい」
617: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:15:25.81 ID:ECe0OHZno
海原 「はいはい、これでいいですか?」ギュ
結標 「ふふ、よろしい」
海原 「あ、家の方に連絡をしておきませんと」
結標 「もうしといたわよ、バス乗ってるときに」
海原 「素早い対応、お見事です」
結標 「"今日は帰らない"ってね」
海原 「え」
結標 「冗談よ、遅くなるってメール送っておいたわ」クスクス
海原 「驚かさないでくださいよ」
結標 (最初は"帰らない"って打ったけど、結局打ちなおしたのよね)
海原 「さて、タクシーはすぐ来てくれますかね」
結標 (別にすぐに来てくれなくてもいいわよ)
618: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:16:44.45 ID:ECe0OHZno
結標 「っくしゅん」
海原 「冷えますか?」
結標 「ちょっと失敗しちゃったかな。さすがに暗くなると冷えるわね」
海原 「もう12月も間近ですしね」
結標 「羽織るものでも持っておけば(ファサ)えっ?」
海原 「僕のマフラーでよければ、使っててください」ニコニコ
結標 「……あ、あの……ぅ……寒くないの?」
海原 「僕は大丈夫ですよ」
結標 「あ、洗って返すから……」
海原 「そんな。安物ですよ、気負わないでください」
結標 「ゴメン……」
海原 「お、やっとタクシーが」ノシ
620: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:19:01.52 ID:ECe0OHZno
キキィ バタン
運転手 「どちらまで?」
海原 「第5学区の◯◯通りまでお願いします」
運転手 「」コクリ
結標 「……? 運転手さん、なんか見覚えが……」
海原 「お知り合いですか?」
結標 (サングラスかけてて顔はよく分からないけど……ていうかこんな時間にサングラス!?)
海原 「女性の運転手さんも珍しいですね」
運転手 「……そうでしょうか?」
結標 (まぁ……いっか。面倒なことになってもイヤだし)
~その頃 トランクでは~
黒服女(小) 「タクシーをジャックするとか、超やりすぎじゃないでしょうか……」
黒服女(小) 「しかし乗り心地が超悪いです……まだ着かないんですか」
621: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:20:36.41 ID:ECe0OHZno
~20分後 第5学区~
結標 「ここは年齢層が高いだけあって、まだ賑わってるわね」
海原 「大学生中心の街ですしね」
結標 「これから行く店ってどんなところなの?」
海原 「あそこにビルが見えるでしょう?」
結標 「あの、一番高いヤツ?」
海原 「はい。あそこの最上階にあるレストランです」
結標 「えっ? だ、大丈夫なの?」
海原 「まあ、少々混んでるかもしれませんが」
結標 「そっちじゃなくて!」
海原 「どっちですか?」
結標 「その、お金とか」
622: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:21:45.16 ID:ECe0OHZno
海原 「ご心配なく。味と雰囲気の割にはリーズナブルなんです」
結標 「服装とか」
海原 「ドレスコードはありませんよ。駆動鎧でも入れます」
結標 「あ、あと……」
海原 「気後れしなくても大丈夫ですよ。さ、行きましょうか」グイ
結標 「引っ張らないでよ! 逃げないから!」
:
:
:
黒服女(大) 「着いたよー」ガチャ
黒服女(小) 「」ゲッソリ
黒服女(大) 「あれ?」
黒服女(小) 「トランクは……もうイヤですぅ……」
黒服女(大) 「ほらほら、ターゲットを追わないと」
623: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:23:14.58 ID:ECe0OHZno
~第5学区 展望レストラン「ダブルムーン」~
結標 「」ポカーン
海原 「昼食に続いて、窓際の席とは。今日はついてます」
結標 「綺麗……」
海原 「ここからの夜景は、雑誌に紹介されるぐらい評判ですからね」
結標 「来てよかった、本当に」
海原 「さて、何にしますか?」
結標 「えと……こういうお店、よく分からないから。任せた」
海原 「任されました」ニコニコ
店員 「お決まりですか?」
海原 「ディナーコースを魚料理でお願いします」
店員 「お飲み物はいかがされますか?」
624: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:24:33.98 ID:ECe0OHZno
海原 「いかがされますか?」
結標 「う? な、何があるの?」
店員 「各種ワイン、シャンパン、コーヒー、各種の紅茶からお選び頂けます」
結標 「……シャンパンって、ノンアルコールあります?」
店員 「はい、ございます」
結標 「じゃあ、それで」
店員 「かしこまりました」ペコリ
結標 「……なんで急にふるのよ!」
海原 「飲み物ぐらいは選んで頂こうと思いまして」ニコニコ
結標 「焦っちゃったじゃない……絶対店員さんに笑われてるわ」orz
海原 「大丈夫ですよ」
結標 (それにしても、料理は自分で頼まなくて正解ね……)
625: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:26:08.41 ID:ECe0OHZno
海原 「あとは待つばかりですね」
結標 「貴方、慣れてる感じがするわね」
結標 (こういうお店は……流石に一人じゃないわよね)
海原 「ここにも一人で来たことがありまして」
結標 「……ウソでしょ?」
海原 「僕に一緒にくる相手がいると思います?」
結標 「それは……否定できる材料がないんだもん……」
海原 「結標さんが、同行者第1号ということになりますね」ニコニコ
結標 (なんで天然でこんな事言うかなぁ……)
海原 「僕にこういった雰囲気のお店は似合いませんかね?」
結標 「似合わないっていうか……正直意外だわ」
海原 「意外とは……普段僕がどう思われてるか気になりますね」
626: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:27:41.37 ID:ECe0OHZno
結標 「変人」
海原 「手厳しいですね」
結標 「それ言っちゃうと、あの家の人はみんなどっかしら変人だけどね」
海原 「個性豊かで結構じゃないですか」
店員 「失礼致します。こちら、お飲み物になります」カチャカチャ
海原 「はい、どうも」
結標 「シャンパンゴールドって、こういう色なのね」マジマジ
海原 「結標さん、今日はお疲れさまでした」スッ
結標 「え? あぁ、そういうことね。じゃ、乾杯」
ガチン☆
627: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:29:27.32 ID:ECe0OHZno
:
:
:
店員 「失礼致します。こちらデザートの"季節のフルーツ ヨーグルトソース"になります」
海原 「コースはこれで全部ですね。ありがとうございます」
店員 「ごゆっくりどうぞ」ペコリ
結標 (高級な見た目の料理ばっか。緊張して味なんて分からなかったわ……)
海原 「いかがでしたか?」
結標 「う、うん。超美味しかった」
海原 「超?」
結標 「あ」
海原 「絹旗さんが伝染りましたか」
結標 「な、たまたまよ、たまたま!」
海原 「超」ニコニコ
628: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:30:58.21 ID:ECe0OHZno
結標 「ほっといてよ!」ムキー
海原 「ふふ、これは失礼」
結標 「ったく……ん? これなに?」
海原 「伝票ですね」
結標 「伝票すら、こんな高そうな革ケースに入ってるのね」パカ
結標 「」
海原 「どうしました?」
結標 「えー……すごい。二人で12000円って……」
海原 「まあまあじゃないですか?」
結標 「しかもこのサービス料ってなに?」
海原 「そのまんまの意味ですが」
結標 「そ、そうなの……」
629: ◆r462iqU2Ag 2011/01/11(火) 00:32:13.24 ID:ECe0OHZno
海原 「一息ついたら、帰りましょう」
結標 「うん、そうしましょ」
結標 (初回から朝帰りもアレだしね)
海原 「今日はいい日でした、大満足ですよ」
結標 「そう? 気が合うわね」クスクス
海原 「また、お付き合い願えますか?」
結標 「はい?」
海原 「またその内、どこか出かけたいなと思えてきまして」
結標 「あ……わ、私で良ければ」
結標 (キターーーー!)
海原 「では、そろそろ行きましょうか」
結標 「うん!」
717: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:32:39.13 ID:T4/TF5I7o
~第5学区 カレー専門「これでもくらえ」~
黒服女(小) 「ターゲットはもういいんですか」
黒服女(大) 「あんな店に入られたらどうにもならないでしょ、外からも見えそうにないし」
黒服女(小) 「まあ、もうほっといても超大丈夫でしょうね」
黒服女(大) 「クライアントとスポンサーに報告するネタも十分に揃ってるしね」
黒服女(小) 「今日はこんなところですか。正直いって超疲れましたし」
黒服女(大) 「タクシーも一応返さないといけないしねー」
黒服女(小) 「私たちもこれ食べたら帰りましょうか」パク
黒服女(大) 「? ちょっと待って。そっちの皿私のじゃない?」
黒服女(小) 「( ゚ロ゚)」
黒服女(大) 「辛さLevel5大盛りの……って遅かったか」
718: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:34:16.62 ID:T4/TF5I7o
~帰りのタクシー内~
結標 「」スピー
海原 「ふふ、余程お疲れだったんですね」
運転手 「奥さんですか? 仲がよろしいですね」
海原 「ははは、そう見えますか?」
海原 (そういえば、今の家に初めて来た時も絹旗さんに間違われましたね)
海原 「懐かしいものです」ポツリ
運転手 「懐かしいですね、私も若い頃はブイブイ言わせたものです、ゼハハハ」
海原 (ちょっとうるさいですね、起こしてしまうでしょう)
結標 「ん……」スピー
海原 (そういえば沖縄でも……結標さんは手が届く範囲にあるものを抱き枕にするクセがお有りなんですね)
結標 「」スリスリ
719: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:35:40.74 ID:T4/TF5I7o
:
:
:
結標 (もう家に着くのか……なんか今日あっという間だったな)コツコツ
海原 「みなさんまだ起きておいでですかね」
結標 「この時間だったら……あ、滝壺さんはもう寝てるかもね」
海原 「滝壺さんは早寝早起きですから」
結標 (滝壺さんか……いつだったか、見せつけてくれちゃったわね)
結標 (そういえば、真琴はほっぺたキスしてやったって言ってたのよね)
結標 (……あれ? 同年代で私だけ出遅れてる?)
結標 「これってマズくない?」
海原 「はい? 何がですか?」
結標 「あ、声に出てた? ゴメンなさい、なんでもないの」
海原 「?」
720: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:37:24.88 ID:T4/TF5I7o
結標 (今いくっきゃないわよね、今日の締めくくりに)
結標 (リップは……あったあった)ヌリヌリ
結標 「ねえ」クイクイ
海原 「なんでしょうか」
結標 「ちょっとでいいから目閉じてて」
海原 「? それはまた、どうして」
結標 「いいから!」
海原 「は、はあ」パチリ
結標 (思い切って……あ、あれ?)
結標 「ん~……」グググ
結標 (届かない……!)←154cm+ヒール4cm
結標 (ぐ、つ、爪先立ちで、どうにか……あ、あぶなっ……)ガシ
海原 (両肩を掴まれた!? 一体何をされるというんですか……!)ガクブル
721: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:38:48.22 ID:T4/TF5I7o
結標 「まっ、まだ目開けないでよ!」
海原 「はいはい」
結標 (……うー、でもやっぱまだ唇は……ムリ)
海原 (この香りはなんでしょうか) ※あわきんの髪の匂い
結標 (初回だし、頬で)
結標 「ん……」chu☆
海原 「ッ!?!?」ゾクッ
結標 「も、もう開けていいわよ」
海原 「むっ、むむむ、結標さん!? 今なにを!?」
結標 「え……なに、そんな引いてるのよ」
海原 「何かを顔に当てられたような……」
結標 (分からないの!?)
結標 「コレよ」
722: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:40:17.19 ID:T4/TF5I7o
海原 「コレ? その、人差し指を当ててる、唇ですか?」
結標 「……コレ」
海原 「なっ、ななな……」
結標 「言わせないでよ恥ずかしい!」ムキー
海原 「」ポカーン
結標 「……な、なによ」
海原 「いえ、あまりに唐突だったもので……」
結標 「だ、だって、私、その……あぅ……」
海原 「結標さん?」
結標 「わああああ///」ヒュ
結標 「…………あ、やば」
結標 「自分が飛ぶつもりが、間違えて海原飛ばしちゃった」
723: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:41:51.46 ID:T4/TF5I7o
結標 「はぁ……」コツコツ
結標 「転移先は家の近く……のハズだから、大丈夫よね」
結標 (私としたことが、焦ってバカやっちゃったな)
結標 「せめて、家まで一緒に帰りたかった」
<結標さーん!?
結標 「え?」
海原 「あ! 結標さん!」
結標 「う、海原!?」
海原 「探しましたよ。おっと、今度は飛ばさないでくださいね」
結標 「なんで? 先に帰っててもよかったじゃない」
海原 「それでもよかったのですが、どうせなら一緒に帰ってもいいじゃないですか」
結標 「っ……」
724: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:43:14.74 ID:T4/TF5I7o
海原 「家に帰るまでが遠足、といいますか」
結標 「遠足じゃないわよ、バカ」
海原 「それに、こんな夜道を女性一人で歩かせる訳にもいきませんし」
結標 「私を誰だと思ってるの? そこいらのチンピラ如きに後れは取らないわよ」
海原 「それでもですよ」ニコニコ
結標 「……じゃあ、はい」
海原 「握手ですか?」
結標 「」ジトー
海原 「これは失礼しました。こうですね」ギュ
結標 「よろしい」
海原 「では、改めて。帰りましょうか」
結標 「うん」
725: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:44:34.53 ID:T4/TF5I7o
~きぬはた荘 リビング~
<ただーいまー
<ただいま戻りました
番外個体 「お、帰ってきたよ」
絹旗 「それではみなさん、ご報告はまた改めて」
結標 「あら? みんな揃ってなにやってるの?」
絹旗 「お茶会です」
浜面 「お、なんだ。二人一緒だったのか?」
海原 「ええ、そんなところです」
結標 「水族館いってたの。これお土産だから、みんなで食べて」ドサッ
婚后 「あら、可愛らしい。いただくのが勿体無いですわね」
滝壺 「でも美味しそうだね」
白井 「ここは愛でつつ頂きますの」
726: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:45:55.30 ID:T4/TF5I7o
結標 「あと、これは絹旗さんに。似合いそうだったから」
絹旗 「……なんですか、コレ」
結標 「チョウチンアンコウカチューシャ」
滝壺 「なにこれ可愛い」
婚后 「ぜひ着けてみてくださいな」
絹旗 「は、はあ……こうですかね」ミョンミョン
番外個体 「~~~」プルプル
白井 「大きいお姉さま、笑いをこらえて痙攣するのは失礼かと……プクク」
絹旗 「なんですか! 超失礼じゃないですか!」ミョンミョン
番外個体 「う、動かないで……頭のそれが動いて……もうムリ! ひゃはははは!」
絹旗 「ぬぐああああ!」ミョンミョン
結標 「ちなみにコレ、横にスイッチがあってね」カチッ
浜面 「おお! 光った! 光りよったぞ!」
727: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:47:21.30 ID:T4/TF5I7o
海原 「これは予想外に似合いますね」
絹旗 「……なんか、今日は超ロクな目にあってないんですが」ミョンミョン
ユリコ 「(*・ω・)ノシ」ペチペチ
婚后 「ユリコもお気に召したようですわよ」
絹旗 「まあ……無碍にするのも失礼なので、もらっておきます」ミョンミョン
滝壺 「ねえねえ、水族館ってどうだった?」
結標 「うーん、どこから話そっかなー」
白井 「あら? なんだかご機嫌ですの」
浜面 「そりゃご機嫌になることがあったんだろ、な?」
結標 「ふふ、ナイショ♪」
番外個体 (そりゃあれだけ連れ回せば)
絹旗 (超ご機嫌にもなるってものです)ミョンミョン
728: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:49:06.22 ID:T4/TF5I7o
~数日後 きぬはた荘 結標個室~
結標 「♪」コトッ
結標 (次はいつかなぁ、どこ行くのかなぁ)
<バーン
結標 「ッ!?」パタン
番外個体 「Freeeeeeeze!!」
結標 「うるさーーい!!」ピコッ
番外個体 「いてっ」
結標 「いくら私たちの仲といっても、ノックぐらいすべきでしょ!」
番外個体 「チッ、反省してまーす」
結標 「ったく……で、何の用?」
729: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:50:28.13 ID:T4/TF5I7o
番外個体 「後学のためにさ、海原さんとどこまでいったか聞かせてもらおうかと」ニヤニヤ
結標 「貴女が面白がるような話はないわよ。一緒にご飯食べて水族館行っただけじゃない」
番外個体 「ずっと手繋いでたでしょ?」
結標 「」
番外個体 「お昼のとき、海原さんにあーんしてもらってたよね?」
結標 「」
番外個体 「ねえねえ、海原さんのマフラーってどんな匂いだった?」ニヤニヤ
結標 「」プルプル
番外個体 「"貴方の心にムーブポイントしたい"」
結標 「それは言ってないわよ!」ボスボスボス
番外個体 「痛い痛い! 枕で殴らないで! ホコリまってるから!」
結標 「なんで!? なんで私と海原が気付かないような尾行してるの!」ボスボスボス
730: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:52:20.37 ID:T4/TF5I7o
番外個体 「ちょ、ギブ! ギブギブ!」
結標 「はぁはぁ……それで、どっからどこまで見てたの」
番外個体 「ちょっとだけだよ……合流してから、夜に高そうなレストランに入るところまで」
結標 「ほとんど全部じゃない!」ガシッ グリグリ
番外個体 「あいたたたた! ムリ! ムリムリ!」
結標 「ここが痛いの? 貴女、胃が弱ってるんじゃない?」
番外個体 「足つぼマッサージとかでkいったぁぁぁぁぁ!!」ジタバタ
結標 「ほら、言うことがあるでしょ!」
番外個体 「ゴメンなさいゴメンなさい!!」
:
:
:
番外個体 「」グッタリ
結標 「まったく、貴女も抜け目ないわね」
731: ◆r462iqU2Ag 2011/01/14(金) 23:54:02.02 ID:T4/TF5I7o
結標 (キスシーン見られなかっただけマシか……)
番外個体 「? ねえ、なんでこの写真立て伏せてあるの? ていうか、こんなの前からあったっけ?」
結標 「!」
番外個体 「ははぁ、さては恥ずかしーい写真とかが、って消えた?」
結標 「これはダメ」
番外個体 「ちょっとぐらいいいでしょー」
結標 「ダメだったらダメ!」
番外個体 「ちょっとだけー」
結標 「これだけは譲れない!」
結標 (大事な思い出だし、なによりまだ人に見せるのは恥ずかしいし……)
結標 (……思い出か……また増やせるかな)
番外個体 「ねえってばー」
結標 「しつこい!」
758: >>757 >>1は存じないです、申し訳ない ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:38:50.79 ID:bBTBC5R2o
~12月初旬 きぬはた荘 リビング~
絹旗 「なんか婚后さん宛に封筒が超たくさん届いてますよ」ガサガサ
婚后 「あら……思ったより早い到着ですわね」
白井 「……これは学校案内ですの?」
婚后 「ええ、わたくしも来年には受験ですし」
白井 「まだ志望校決めてませんの!? もう12月ですのよ!?」
婚后 「大丈夫、まだ間に合いますわ」
絹旗 「志望校決めの参考に、パンフレットを請求したってことですか」
婚后 「そういうことですわね」
絹旗 「? 高崎大学? これ大学じゃないんですか?」
白井 「……こっちには私立中学校の資料がございますの」
婚后 「余計な物が混じってしまってますわね。なにぶん手当たり次第にポチったもので……」
759: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:40:39.79 ID:bBTBC5R2o
白井 「まずちょっと分けますの。まさか中学に入り直すつもりもございませんでしょうし」
絹旗 「こんだけあると、超大変ですね」
婚后 「も、申し訳ございません」
~20分後~
絹旗 「……これは超予想外です」
婚后 「まさかこんなことになるなんて」
白井 「ため息しか出ませんの」
婚后 「あれだけあって……高校のパンフレットが3部だけだなんて」
絹旗 「霧ヶ丘女学院に長点上機……もういっこはなんか聞いたことないですね」
白井 「まあ……正直申し上げて妥当ではないでしょうか」
絹旗 「妥当?」
白井 「今からあれやこれや選別するには時間がございませんし」
761: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:41:54.88 ID:bBTBC5R2o
絹旗 「でも霧ヶ丘とか長点とか超難関じゃないですか」
婚后 「わたくしの実力なら問題ございませんわよ」
絹旗 (超サラリと言ってのけました)
白井 「あとは受験要綱の確認なり、必要とあれば学校見学なり行ってきて」
婚后 「見学……そうですわ、よろしければ見学に行きませんこと?」
白井 「確かに、どこかの婚后さんのように直前になって慌てふためくなら、今から準備しておくのもよいですの」
絹旗 「超いってらっしゃい」ノシ
白井 「絹旗さんもですの」
絹旗 「はい?」
白井 「わたくしも絹旗さんも、来年の今頃には受験準備に勤しんでますの」
絹旗 「いや、私は……」
白井 「今から少しずつでも準備しておけば、どこかの婚后さんのようにならなくて済みますのよ?」
婚后 「先程から一体全体なんなのですか!」
762: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:43:19.64 ID:bBTBC5R2o
絹旗 (言われてみれば、この先どうするか考えたことなんてないですね……)
絹旗 (中卒ニートっていうのも、なんか……なんか、超アレですよね)
絹旗 (超高校生、ですか……)
絹旗 「ではまあ……超折角の機会ですし」
白井 「決まりですの」フンス
絹旗 「ところで、学校の見学ってどうやってやるんですか? 超夜中に潜り込むんですかね」
婚后 「それでは見学になりませんわ。夜中では生徒の活動や教育現場が見られませんもの」
白井 「いえ、それ以前の問題が」
絹旗 「では超昼間に潜り込みましょう」
白井 「潜り込む以外の方法もございますでしょう!」フンガー
絹旗 「?」キョトン
婚后 「そうですわね、窓口に申し込んだりとか」
絹旗 「追い返されないんですか?」
763: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:44:36.51 ID:bBTBC5R2o
白井 「学校としても、優秀な生徒が集まることは望ましいことですの」
婚后 「つまり、わたくし達なら少なくとも断られることはないでしょう。腐ってもLevel4なのですし」
絹旗 「腐ってるんですか、私たち」
白井 「大丈夫、絹旗さんは腐ったミカンじゃございませんの」
絹旗 「は、はあ」
婚后 「あとは、在校生の方にお知り合いがいるなら案内してもらうのも良いですわね」
白井 「どちらにしても、所定の手続きは必要ですの」
絹旗 「でも先生よりは生徒と一緒の方が超気楽っぽいです」
婚后 「たしかに言えてますわね。でも、お知り合いはおられますか?」
白井 「霧ヶ丘に長点上機……うーん、思い当たるのは……」
絹旗 「大覇星祭で大暴れしてた人って、たしか長点上機ですよね」
婚后 「ああ、あの……ですが、連絡先も存じませんし」
絹旗 (……そういえば、あの人もたしか長点上機だったような)
764: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:46:12.20 ID:bBTBC5R2o
白井 「あの、たしか滝壺さんと結標さんは霧ヶ丘だったのでは?」
婚后 「言われてみれば……」
絹旗 「言われるまで超忘れてました」
白井 「ダメもとでお願いしてみますの」
婚后 「あ、でも」
絹旗 「?」
婚后 「結標さんはミサワさんと外出していて、今日は遅くなるとか」
絹旗 「ではまず滝壺さんに超打診してみましょうか」
婚后 「ですが、滝壺さんも体調不良で休学なさっておられるのでは?」
絹旗 「え、ええと……最近は安定しているので超大丈夫かと」
絹旗 (ウソはついてませんよね)
白井 「するつもりはありませんが、無理強いはできませんの」
765: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:47:40.27 ID:bBTBC5R2o
~同日夜 きぬはた荘 リビング~
滝壺 「学校の見学?」
婚后 「はい、もしよろしければご案内して頂きたいと思いまして」
浜面 「へー、滝壺って学校行けるんだな」
滝壺 「えっ」
浜面 「えっ」
白井 「恋仲でありながら、そんなことも知らないなんて……」
絹旗 「超浜面ですから」
滝壺 「学校って、霧ヶ丘でいいんだよね?」
浜面 (やべ、これは怒らせちまった)ダラダラ
白井 「はい、もしよろしければ……」
浜面 「あーそうそう! 俺と滝壺もそこで出会ったんだよな!」
766: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:49:08.81 ID:bBTBC5R2o
白井 「えっ」
婚后 「えっ」
浜面 「えっ」
絹旗 「超ダメだこりゃ……」
滝壺 「……はまづら、霧ヶ丘女学院に通ってたの?」
浜面 「じょがくいん?」
滝壺 「はまづらは少し黙ってて。それと、後で話があります」
浜面 「」
絹旗 (うわぁ、うわぁ……)
婚后 (滝壺さんの本気怒りモードを久々に見ましたわ)
白井 (やはり滝壺さんだけは怒らせてはいけませんの……)
ユリコ 「(((( ゚ω゚)))ガクブル」
767: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:50:31.86 ID:bBTBC5R2o
滝壺 「ごめんね。それで見学したいんだよね」
婚后 「は、はい……」
滝壺 「うん、いいよ。私も久々に行ってみたいし」
白井 「あ、ありがとうございますの!」
滝壺 「ええと、たしか…………」
絹旗 「たしか?」
滝壺 「……入るときに、なんか必要だったと思う」
白井 「おそらく名前なり所属校なりではないでしょうか」
婚后 「であれば、学生証を提示すればよろしいですわね」
絹旗 (常盤台の学生証ってどこにしまいましたっけ)
浜面 「ユリコー、おいでー、癒してー」
ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」
768: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:51:44.56 ID:bBTBC5R2o
婚后 「服装は制服のほうがよろしいですわね」
滝壺 「決まりとかなかったと思うけど」
絹旗 「じゃあ、無難な服装で」
白井 「常盤台の生徒として訪問するのですから、制服が当然ですの」
絹旗 「超マジですか」
白井 「超マジですの」
婚后 「それに、絹旗さんの無難な服装は、その他多数にとっては無難ではございませんし」
絹旗 「なんでですか! 常盤台のスカートだって似たようなものじゃないですか!」ムキー
婚后 「まあ、そうなのですが……」
滝壺 「私も制服でいくから。絹旗だけ私服だと目立っちゃうよ?」
絹旗 「むう……」
浜面 「滝壺の制服だと?」
769: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:53:05.56 ID:bBTBC5R2o
滝壺 「じゃあ、いつがいいかな」
浜面 (余計なこと言っちまったぁぁ! バカ! 俺のバカ!)
絹旗 (超浜面は、今夜何回土下座するんでしょうか)
婚后 「ご都合のよろしい日で構いませんわ」
白井 「学校見学といえば、公然と欠席もできますの」
滝壺 「うん、分かった。確認したいことがあるから……2~3日ちょうだい」
絹旗 「超問題ないです。私もその間に学生証を探しておきます」
白井 「絹旗さん?」
婚后 「探しておきます?」
絹旗 「あっ」
白井 「紛失されましたの……?」
絹旗 「違いますよ! どこにしまったのか分からなくなっただけです」
770: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:54:39.64 ID:bBTBC5R2o
滝壺 「きぬはた、部屋は綺麗にって言ったのに」
絹旗 「う……だ、大丈夫ですよ」
白井 「本当に大丈夫ですの?」
絹旗 「きっと、この間買ったワンピの最新刊に挟まってるハズです!」フンス
婚后 「それは、栞に使ったと?」
白井 「フンスじゃございませんの。学生証を栞代わりに使うなんて……」
絹旗 「いいじゃないですか! 鍋敷きに使うより超マシです!」
浜面 「お前はそういうところあるから、鍋敷きもやりかねんな」ハァ
絹旗 「うっさいです浜面のくせに!」ムキー
白井 「とりあえず方針も纏まりましたし、今夜はこれでお開きですの」
婚后 「滝壺さん、ご協力感謝いたしますわ」
滝壺 「ううん、気にしないで」
771: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:56:35.95 ID:bBTBC5R2o
絹旗 「はあ……今夜は徹夜で超大掃除ですね」
白井 「あまり夜中に物音を立てると、他の方に迷惑ですの」
絹旗 「では超静かにやります」
白井 「まあ、程々にお願いしますの」ハァ
滝壺 「……じゃ、はまづらの部屋にいこっか」
浜面 「」ビクゥ
婚后 (まな板の上の鯉とはこういうことを言うのでしょうね)
~同日深夜 きぬはた荘 番外個体個室~
番外個体 「……ねえ、さっきから天井がうるさいんだけど」
結標 「なにかしらね、ゴンゴンゴンゴン叩くみたいな音」
番外個体 「誰かが土下座しまくってんじゃない?」
結標 「まっさかー」ケラケラ
772: ◆r462iqU2Ag 2011/01/15(土) 23:58:09.38 ID:bBTBC5R2o
~同じ頃 絹旗個室~
絹旗 「うー」
絹旗 「ワンピには挟まってませんでしたか」
絹旗 「考えてみれば、超とっくに読み終わってましたね」
ユリコ 「(*・ω・)つ◯」コロコロ
絹旗 「あと買ったけど読み終わってない本は……」
絹旗 「」パラパラ
絹旗 「ないですね」
ユリコ 「(・ω・)フナー」
絹旗 「ユリコ? なにくわえて……あー!」
絹旗 「学生証超ありましたー!」ピャー
812: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:33:59.36 ID:bzUdTyrVo
~2日後早朝 きぬはた荘 絹旗個室~
プシュー
絹旗 「あちゃちゃちゃちゃ!」
ユリコ 「( ・ω・)?」
絹旗 「ユリコ! 超危ないからあっち行っててください!」
絹旗 「くぅ、なぜ私がアイロンがけなどを……」シュッシュッ
絹旗 「浜面にでも頼んでおくべきでした」
絹旗 「まあ、こんなもんでいいでしょう」
絹旗 「超早く着替えないと、朝食抜きになってしまいます」
ユリコ 「( -ω-)」
絹旗 「あー、ユリコー! 超どいてくださーい! 毛がー!」
813: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:35:40.04 ID:bzUdTyrVo
~同じ頃 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「うん、朝はこれに限る」ズズ...
結標 「ねえ、知ってる? コーヒー飲み過ぎると胸縮むのよ?」
番外個体 「……はい?」
結標 「それは疑ってる顔ね。私と貴女のサイズ差がいい証拠だと思うけど?」
番外個体 「」アゼン
滝壺 「おはよう」
結標 「あ、おはよ……あら、制服? どうしたの?」
滝壺 「今日は学校に行く用事があるの」
結標 「用事? え? なんかあったっけ?」
滝壺 「見学希望の人の案内」
番外個体 (そんなハズはそんなハズは……"コーヒー 胸"で検索、と)カチカチ
814: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:37:17.41 ID:bzUdTyrVo
結標 「あぁ、そういうことね。検査かなにかと驚いちゃった」
滝壺 「驚かせちゃった」
白井 「おはようございますの」
婚后 「おはようございます」
滝壺 「あれ? きぬはたは?」
結標 「まだ起きてこないわね」
白井 「お2人はもう朝食は済まされましたの?」
結標 「ええ、ついさっき」
婚后 「わたくし達も朝食にいたしましょう。時間もおしておりますし」
滝壺 「先に食べてて。きぬはた起きてるかどうか見てくるから」
白井 「はいですの」
婚后 「滝壺さんと絹旗さんの分もご用意しておきますわね」
番外個体 (なん……だと……)
815: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:39:13.10 ID:bzUdTyrVo
:
:
:
滝壺 「きぬはた、準備できてる?」コンコン
<はい、超大丈夫です! 今行きます!
滝壺 「朝ご飯にするから、早くね」
<ガチャ
絹旗 「さあ、いきましょう!」
滝壺 「……きぬはた、寝ぐせ」ナデナデ
絹旗 「え? あ、これは超失礼しました」ビヨン
滝壺 「これは、あとで直しといて。頑固だから」
絹旗 「超了解です」
816: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:40:25.40 ID:bzUdTyrVo
~朝食~
絹旗 「そういえば、霧ヶ丘ってどこにあるんでしたっけ」
滝壺 「第18学区だよ」
白井 「隣の学区になりますのね」
婚后 「とすると、バスで移動になりますわね」
白井 「何か必要なものはございますか?」
滝壺 「学生証があれば平気」
婚后 「学生証といえば、絹旗さんは学生証を見つけられたのですか?」
絹旗 「超大丈夫です、ユリコが見つけてくれました!」フンス
婚后 「まあ、お手柄でしたわね」ナデナデ
ユリコ 「(*・ω・)」
白井 「ところで、霧ヶ丘女学院というくらいですから、女子高なのですよね」
817: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:42:05.92 ID:bzUdTyrVo
滝壺 「うん、そうだね」
婚后 「わたくし達のように女子高の文化に慣れてしまった人間にはいいかもしれませんわね」
絹旗 「私はあの空気、ちょっと超苦手ですけど……」
白井 「あら、そうなんですの?」
絹旗 「肌に合わないといいますか」
婚后 「絹旗さんは共学志望なのですね」
絹旗 「共学がいい訳ではなく、常盤台みたいにお嬢様しかいないところはちょっと」
滝壺 「庶民だもんね、私たち」
白井 「そういうものなのですか」
婚后 「でも、たしかに。わたくしも常盤台に編入した直後は色々戸惑ったものですわ」
絹旗 「校風ってヤツですかね」
白井 「そういうところも含めて、今日はしっかり見学しませんと」
滝壺 「食べ終わったら出かけよう」
818: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:43:44.39 ID:bzUdTyrVo
~同日 第18学区 霧ヶ丘女学院~
滝壺 「ちょっと待っててね」
白井 「ここが霧ヶ丘女学院……」
婚后 「近代的な建物ですわね」
絹旗 「そこいらの研究所並ですね」
白井 「あ、滝壺さんが手招きしてますの」
絹旗 「行きましょう」
:
:
:
滝壺 「ごめんね、これに名前書いてくれって」
白井 「これ、代表者は……」
絹旗 「婚后さんでいいんじゃないですか? 今日の超主役なんですから」
婚后 「ええ、よろしいですわよ」
819: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:45:05.88 ID:bzUdTyrVo
係員 「あと、学生証の提示をお願いしますね」
白井 「はいですの」スチャ
婚后 「こちらになります」スチャ
絹旗 「」スチャ
滝壺 「きぬはた、それちがうよ」
絹旗 「え? あ、これTSUTAYAの会員証……こっちです」スチャ
係員 「はい、たしかに」クスクス
絹旗 (来て早々、恥かいちゃいました……)
係員 「今日はご訪問頂きありがとうございます。じゃ、あとはお願いしますね」
滝壺 「はい」
白井 「今日はよろしくお願い致しますの」
婚后 「よろしくお願い致します」
820: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:46:46.21 ID:bzUdTyrVo
滝壺 「じゃ、行こう」
絹旗 「今更ですが、滝壺さんの制服姿って超レアですよね」
滝壺 「そうかな?」
白井 「滅多に見れるものではございませんの」
滝壺 「考えてみれば……」
婚后 「?」
滝壺 「みんなは私服でもよかったかも。よくも悪くも目立っちゃうから」
<あの制服って常盤台?
<箱入りのお嬢様がこんなところに何の用かしら
絹旗 (霧ケ丘だってお嬢様学校じゃないですか)ショボン
白井 「大丈夫ですの。常盤台の制服に身を包む以上、多かれ少なかれこういうことはございますの」
婚后 「こんな些末なことを気にするほど小さい人間ではございませんわ」
821: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:48:06.34 ID:bzUdTyrVo
絹旗 「い、いきましょうよ。ここだと悪目立ちしちゃいます」
滝壺 「そうだね、中の方にいこっか」
~霧ヶ丘女学院 第2グラウンド~
絹旗 「なんですか、ここ。滑走路?」
婚后 「グラウンドというにはやけに横に長いですわね」
滝壺 「ここは普段使われないよ。身体検査のときしか使わないの」
白井 「なるほど、それならばこの長さも納得ですの」
滝壺 「噂では、むすじめの能力測定のために延長したらしいけど」
白井 「なっ……」
絹旗 「結標さんは800メートルぐらい軽く飛ばしちゃいますしね」
白井 「く、悔しいですの……」
822: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:50:08.72 ID:bzUdTyrVo
滝壺 「他にも、念動力とかの人も使ったりするみたい」
婚后 「ここだったら、わたくしも思う存分能力を開放できそうですわね」
絹旗 「婚后さんの能力も超ブッ放し系ですもんね」
婚后 「エアロハンドと申し上げてくださいな」
滝壺 「こんごうが本気を出したら、どれぐらいすごいのかな」
白井 「12tトラックを弾丸代わりに使う程度ですの」
絹旗 「えっ。じゃ、大覇星祭のとき私を飛ばしたのは……」
婚后 「あれは相当加減してましたわよ」
滝壺 「きぬはたを本気で飛ばしたらどこまで行くかな」
白井 「今ここでやってみればいいんですの」
絹旗 「やめてくださいよ!」
823: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:51:23.02 ID:bzUdTyrVo
~霧ヶ丘女学院 特別教室棟~
白井 「あの、ここって入って大丈夫なんですの?」
婚后 「見るからに特殊な機材ばかりなのですが……」
滝壺 「大丈夫。それに、ここを使うのはほんのちょこっとの人だけだし」
絹旗 「ほんのちょこっとの人のために、ここまで揃えるんですか」
滝壺 「私が使うのもあるよ」
白井 「えっ」
滝壺 「あ、あれ。AIMジェネレータ」
絹旗 「AIM拡散力場の擬似発生装置ですか……」
婚后 「初めて拝見しましたわ」
滝壺 「でも、きっともう使うことはないかな」
絹旗 (滝壺さん……)
824: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:52:43.42 ID:bzUdTyrVo
~霧ヶ丘女学院 食堂~
絹旗 「いかにも食堂といった感じですね」
白井 「なんだかメニューが平凡ですの」
婚后 「これでは映えませんわね」ハァ
絹旗 「そりゃ常盤台と比べるのは酷ってもんですよ」
滝壺 「でも美味しくて安いんだよ」
白井 「の割には閑散としてますの」
婚后 「まだ昼食時ではございませんし」
滝壺 「今のうちに食べておく? 空いてるうちに」
絹旗 「私は超おkです。お腹空いてましたし」
婚后 「そうですわね、食べれる内に食べておきましょうか」
白井 「味のレベルの確認もできますの」
825: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:54:22.81 ID:bzUdTyrVo
:
:
:
絹旗 「そういえば、ここって」モキュモキュ
滝壺 「飲み込んでから喋る」
絹旗 「(ゴクン)超失礼しました」
滝壺 「で、どうしたの?」
絹旗 「ここって変な能力の開発に力入れてるんでしたっけ」
婚后 「そうですわね、再現の難しいイレギュラーな能力開発に関してはトップだとか」
絹旗 「じゃ婚后さんダメじゃないですか」
婚后 「はい?」
白井 「そうですわね、空間移動に比べると風使いは決して珍しくは……」ニヤニヤ
婚后 「ぐぬ……レ、レアリティだけが基準ではございませんわ!」
白井 「あら、負け惜しみはみっともないですの」
826: ◆r462iqU2Ag 2011/01/17(月) 01:56:13.37 ID:bzUdTyrVo
滝壺 「レアリティと言えば、きぬはたの能力ってきぬはた以外で見たことないよね」
絹旗 「まあ、私のは超特殊ですし。他にいないんじゃないんですか?」
婚后 「他にいない!?」
白井 「なんと……絹旗さんが最強のレアリティだったなんて」
婚后 「最も少ないのは肉体操作能力者3名だと思ってましたわ」
滝壺 「きぬはたすごい」パチパチ
絹旗 「いやいや、それ言ったら滝壺さんだって……」
白井 「絹旗さんは今日の帰りにこちらの願書を貰って帰りませんと」
婚后 「晴れて滝壺さんと結標さんの後輩になれますわね」
絹旗 「超気が早すぎです! ていうか、私が入ったとして、お二人は卒業してますよ!」
滝壺 ("たきつぼ先輩"って呼ばれる……ありかも)
852: あと、肉体操作ではなく肉体変化でした、すいません... ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:25:27.35 ID:99nrG43eo
メシジャメシジャー
ハラヘッタワーイ
白井 「ぽつぽつと人が増えてきましたわね」
絹旗 「」ジー
婚后 「絹旗さん? どうかされました?」
絹旗 「いえ、女子高ってどこもこんなもんなのかな、と超思いまして」
滝壺 「?」
絹旗 「あそこの二人組……」
<あーもう! 食事の時ぐらい離れなさい!
<あぁん、おねえさまぁ~~
白井 「」
婚后 「まぁ、どこかで見たようなやりとりですわね」
853: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:26:54.98 ID:99nrG43eo
???? 「あっ、あの!」
滝壺 「??」
女子生徒 「失礼ですが、見学の方ですか?」
婚后 「はい、お邪魔させて頂いております」ペコリ
女子生徒 「そ、そうですか! やっぱり!」
白井 (……もしや、この方)
ガシッ
絹旗 「え?」
女子生徒 「ぜひ、霧ヶ丘にきてくださいね!」キラキラ
絹旗 「は、はあ……」
女子生徒 「それでは、またいつか!」
白井 「……あれは、獲物を狙うときの目ですの」
854: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:28:20.12 ID:99nrG43eo
絹旗 「どこにも白井さんみたいな人いるんですね……」
白井 「人をガチ百合みたいに言わないでくださいな」
絹旗 「えっ、違うんですか?」
婚后 「違うのですか?」
滝壺 「違うの?」
白井 「まるで人を雑食系女子のように……わたくしの愛はお姉様(と他数名)にのみ注がれるプラトニックなものですの!」ムキー
婚后 「プラトニックではございませんでしょうに」
白井 「それでも! 我が身の全てはお姉様のために、ですの」
<おお……なんという心意気
<義妹の鑑ですわ
絹旗 「……も、もう行きましょうよ。超食べ終わってることですし」
滝壺 「そうだね、混んできたしそろそろ行こうか」
855: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:29:48.42 ID:99nrG43eo
~霧ヶ丘女学院 旧校舎~
絹旗 「な、なんですか、ここ……」
滝壺 「適当に歩いてたら来ちゃった」
白井 「そんな……」
滝壺 「? でもここって、ずっと前に閉鎖されてなかったっけ」
婚后 「や、やめてくださいな」
ミシッ
3人 「」ビックゥ
滝壺 「誰かいるのかな」
絹旗 「も、もももも、もも、戻りましょう!」グイグイ
滝壺 「大丈夫だよ。学園都市だし」
856: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:31:17.35 ID:99nrG43eo
絹旗 (イヤですぅ……イヤですぅ……)ビクビク
滝壺 「そういえばね」
白井 「ど、どうかされましたの?」
滝壺 「私もちゃんと通ってないから詳しくは知らないけど、ここにはこんな噂があるんだよ」
絹旗 「やめてくださいぃぃぃ!」←涙声
婚后 (気のせいでしょうか……滝壺さんがいつもより饒舌に……)
滝壺 「ここのランクはね、能力で決められるんだけど」
白井 「進学校には、よくある、話ですの」
婚后 「そ、それがなにか?」
滝壺 「一位はね、いっつも同じ人なんだ」
白井 「そ、それは、さぞかし優秀な」
絹旗 「あー! 受験ノイローゼで超自殺したとか、超妬みから超イジめられたとかいう話ですね!」
滝壺 「ううん」フルフル
857: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:32:41.41 ID:99nrG43eo
絹旗 「」
白井 「そ、その一位の方が……?」ガクブル
滝壺 「誰も見たことがないの」
婚后 「見たことがない?」
滝壺 「名簿には存在する。けど、生徒も教師も、誰も姿を見たことがないの」
白井 「そ、それはどういう……」
絹旗 「」
滝壺 「噂では」
バキィン
3人 「!?」ビビックゥ
滝壺 (木の板踏んじゃった。いたい)
絹旗 「も、もう超十分です! 出ましょう! 外に出ましょうよぉ!」←超涙声
858: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:34:13.64 ID:99nrG43eo
白井 「そ、そうですの! 絹旗さんもこう仰ってますし」
婚后 「ここはほら、ホコリっぽいですし……」
滝壺 「」
絹旗 「滝壺さん? 滝壺さーん?」
滝壺 「南南東から何かが来てる」
3人 「」
白井 「婚后さんは右腕を!」ガシッ
滝壺 「え? なに? なんで掴むの?」
婚后 「は、はい! さあ、絹旗さん! 早くここから脱出しますわよ!」ガシッ
絹旗 「あ、あ、脚がすくんでまして……」ペタン
白井 「き、絹旗さん! 座り込んじゃダメですの!」
婚后 「仕方ございませんわね……はいっ」ヒュパッ
絹旗 「おわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
859: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:35:43.59 ID:99nrG43eo
白井 「絹旗さんは……無事、出口の方に飛んでいきましたの」
婚后 「わたくし達も参りましょう」
滝壺 (ちょっとやり過ぎたかな)ズルズル
:
:
:
滝壺 「だいたい見て回ったかな」
絹旗 「……」グッタリ
白井 「そうですわね、施設は一通り拝見しましたの」
婚后 「やはり自分の目で見るのは違いますわね」
絹旗 「超疲れました……」
滝壺 「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
白井 「はいですの」
婚后 「今日はありがとうございました」ペコリ
860: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:37:21.01 ID:99nrG43eo
~同日夕方 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「あ、おかえり」ズズ...
白井 「ただいまですの」
婚后 「ただいま戻りました」
絹旗 「はー、超ドッと疲れました」ドサッ
滝壺 「きぬはた、シワになるよ」
絹旗 「このカッコも超疲れますし、着替えてきます……」
滝壺 「私も」
番外個体 「二人はいいの?」
白井 「わたくしは入浴と就寝以外は制服ですし」
婚后 「慣れとは恐ろしいものですわね」クスクス
番外個体 「そんなもんかねぇ」
861: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:38:38.03 ID:99nrG43eo
婚后 「……? この香りは……」
白井 「あら、大きいお姉様が抹茶なんて珍しいですの」
番外個体 「あ、えっ。はは、たまにはね。そ、それよりさ」
白井 「?」
番外個体 「学校の見学行ってたんだって? どうだった?」
婚后 「見聞を広めることができて、色々新鮮でしたわ」
白井 「進学先を自分で見るというのは、重要だと痛感しましたの」
番外個体 「高校かぁ……」
婚后 「そういえば、ミサワさんは学校には行かないのですか?」
白井 「きっと事情がおありですの。すでに高校卒業レベルの学力を有しているとか」
番外個体 「いや、メンドくさいだけ」
婚后 「」
白井 「大きいお姉様らしいフリーダムな理由ですの」
862: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:40:02.72 ID:99nrG43eo
<真琴ー、ちょっと手伝ってー
番外個体 「んー? はいはーい。あ、ゴメンね、二人とも」ノシ
婚后 「いえいえ、お気になさらず」
婚后 「さて、次ですが……長点上機か、この名もなき高校か……」
白井 「どちらにしても、ツテがございませんの」
絹旗 「あの、それなんですけれども」シュタッ
ユリコ 「(・ω・)」シュタッ
婚后 「あら、絹旗さん」
白井 「滝壺さんは一緒じゃございませんの?」
絹旗 「"ご飯ができたら起こしてね"だそうです」
婚后 「ご無理をさせてしまったでしょうか……」
白井 「今朝は早起きで、日中ほぼ歩きまわってましたし」
863: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:41:44.50 ID:99nrG43eo
絹旗 「いえ、多分日課のお昼寝を今してるのかと」
白井 「日課の?」
婚后 「お昼寝?」
絹旗 「いつものお昼寝の時間、今日は外にいましたし」
白井 「は、はあ……なら、よいのですが」
絹旗 「それより、長点上機の関係者に超心当たりがあります」
白井 「あら、お知り合いですの?」
絹旗 「知り合いといえば超知り合いですね。連絡とってみます?」
婚后 「お願いできますか?」
白井 「なんだか申し訳ないですの」
絹旗 「ただ、保証はちょっと超できかねますが」
白井 「それはまあ、仕方ないですの」
絹旗 「連絡先が見つかったら、連絡してみます」
婚后白井 ((やっぱり探すところからか……))
864: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:43:38.51 ID:99nrG43eo
~同日夜 きぬはた荘 絹旗個室~
絹旗 「ええとたしか、もしものときのための連絡先が……」ガサガサ
絹旗 「ないですね……ユリコみませんでした?」
ユリコ 「(・ω・)ホマー」
絹旗 「お、これです! さすが超ユリコです!」ナデナデ
ユリコ 「(*-ω-)」ゴロゴロ
絹旗 「さて。この番号がまだ生きてるといいんですが……」カチカチ
Prrrrr Prrrrr Prrカチャ
?? 『はい、どなた』
絹旗 「あ! 私です、私! わかりますかね?」
?? 『……久しぶりね。あなたが、私のような人間に何の用?』
絹旗 「超お願いしたいことがございまして」
?? 『What...?』
865: ◆r462iqU2Ag 2011/01/19(水) 23:46:48.27 ID:99nrG43eo
:
:
:
絹旗 「というワケなのです。手を貸してくれると超ありがたいのですが」
?? 『Serious...こっちはもう卒業した身よ。それに、私たちはそんなに仲良しだったかしら』
絹旗 「まあまあ、知らぬ仲ではないじゃないですか」
?? 『あなたのお陰で、私がどんな扱いを受けたかも知らぬと?』
絹旗 「そこは超自業自得ってヤツです」
?? 『……alas, 悔しいけど、言い返すだけの材料もないわね』
絹旗 「お互い暗部を超クビになったんですし、昨日の敵は今日の友ってことで」
?? 『ふん……あなたは年上に対する敬語がしっかりできてるし。協力しないこともない』
絹旗 「別に年上だからって訳じゃないですが」
?? 『何か言った?』
絹旗 「いえ、何も」
?? 『Then……明後日にでも来て頂戴。手続きはしておいてあげる』
912: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:16:09.71 ID:Q0QeY0Wuo
~翌日 きぬはた荘 リビング~
絹旗 「関係者と連絡とれました。超おkだそうですよ」
婚后 「まあ。吉報ですわね」
白井 「どんな方なんですの?」
絹旗 「今年卒業した人ですね。超OBってヤツです。
なんでも、その分野じゃ知らない人がいない超有名な研究者だそうですよ」
白井 「まあ、そんなすごい人が」
婚后 「さすが長点上機学園、人材レベルはトップクラスですわね」
絹旗 「その手のご多分に漏れず、超少々変わり者ですけどね」
白井 「いつだって、天才と変人は表裏一体ですの」
絹旗 「Level5も超変人しかいませんもんね」
白井 「お、お姉様は例外ですの!」ウガー
婚后 「それにしても、そんなすごい方とどうやってお知り合いに?」
913: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:17:24.63 ID:Q0QeY0Wuo
絹旗 「前に研究所で撃たれたり超殴ったりした仲です」フンス
白井 「撃たれたり?」
婚后 「殴ったり?」
絹旗 「最終的には超気絶させて持って帰りましたけど」
白井 「」
婚后 「いったいどういう……あ、いえ、詮索は無粋ですわね」
絹旗 「いや、超かまいませんよ。元々私が研究所でかくれんぼを」
婚后 「と、ともかく! 日程は決まっておりますか?」
絹旗 「えー、これからが超いいところなのに……」
白井 「武勇伝を語られても困りますの」
婚后 「それで、いつ頃に訪問すればよろしいのですか?」
婚后 「超明日です」
白井 「あ、明日ですの!?」
絹旗 「まあ……先方の指定ですし」
914: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:19:18.25 ID:Q0QeY0Wuo
婚后 「急ではございますが、仕方ございませんわね」
絹旗 「ところで、長点上機学園ってどこにあるんですか?」
白井 「学校案内によりますと……第18学区ですの」
婚后 「霧ヶ丘の、さらに向こう側になりますわね」
絹旗 「だー、超遠いじゃないですか!」
白井 「これならまだ近いほうかと」
婚后 「隣の学区ですものね」
絹旗 「超イヤですよ! この間だって満員バスでムギュムギュされましたし!」
白井 「たしかに、あれはちょっとこたえましたの……」
絹旗 「痴漢にもあいましたし! 超ムカついたんで手首を折ってやりました」
白井 「ちょっと待て」
婚后 「まあ、痴漢ですか!? なんと恐ろしい……」
白井 「いえ、あの」
絹旗 「この絹旗サマの身体に手を出したんですから、超当然の報いです」フンス
915: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:20:49.10 ID:Q0QeY0Wuo
白井 「やりすぎでs」
婚后 「そう考えると、バスも怖いですわね……」
絹旗 「私に超考えがあります」
白井 「ユリコー、ほらー、ねこじゃらしですのー」ピョコピョコ
ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」
婚后 「考えですか?」
絹旗 「浜面! 浜面はおるか!」パンパン
<ダダダダダ
浜面 「これに!……ってなにやらしてんだぁ!?」
絹旗 「うわぁ……ここまでノリがいいと逆に引いちゃいます」
浜面 「ひっでぇ!」
絹旗 「それより浜面。久々に車運転したくないですか?」
浜面 「……おい、何やらせるつもりだよ」
絹旗 「超簡単なお仕事ですよ」ニコニコ
916: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:22:01.29 ID:Q0QeY0Wuo
~翌日早朝 キャンピングカー車内~
ブロロロロ...
白井 「まさか、この車の出番がまたあるなんて」
婚后 「浜面さんにはちゃんとお礼をしないといけませんわね」
絹旗 「」スピー
婚后 「絹旗さん、制服で横になってはシワになりますわよ」ユサユサ
白井 「といいますか、この布切れはなんなんですの」
婚后 「ただでさえ短いスカートを更に詰めるなんて……」
絹旗 「」ゴロン
白井 「あぁぁ、なんと無防備な……見てられませんの」
婚后 「まったく、仕方ございませんわね」ファサッ
絹旗 「」スピー
917: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:23:32.71 ID:Q0QeY0Wuo
~第18学区 長点上機学園前~
絹旗 「ええと……」
婚后 「ここで待ち合わせなのですか?」
絹旗 「はい、学校前に来い、と」
白井 「……あの、あそこに異彩を放つ方がおられるのですが、もしや」
婚后 「ゴシックロリータ+白衣とは、前衛的ですわね」
絹旗 「あ、いたいた。あの人ですよ。おーい」ノシ
ゴツッ ゴツッ ゴツッ...
布束 「予想してたよりも早い到着ね。驚いたわ」
絹旗 「遅刻前提みたいな言い方しないでください」
白井 (大きいお姉様を超える眼力ですの)
婚后 「本日は宜しくお願い致します、ええと……」ペコリ
918: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:24:56.70 ID:Q0QeY0Wuo
布束 「丁寧で好感が持てるわね。布束砥信よ」
白井 「よろしくお願い致しますの」
絹旗 「超よろしく」
布束 「Well 集まったようだし、行きましょうか」
:
:
:
婚后 「ここがあの長点上機学園……」
絹旗 「思ってたよりも全然超普通ですね」
布束 「何を期待していたのかしら?」
絹旗 「もっとこう、エリートエリートしたところをですね」
布束 「……あなたの言動は、たまに理解に苦しむわね」
白井 「ですが生徒の方がまとってる空気は何か違いますの」
婚后 「それは、ここにはレベルの高い能力者ばかりが」
布束 「Negative, その限りではないわ」
919: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:26:12.71 ID:Q0QeY0Wuo
白井 「と、申されますと?」
布束 「……あなた達、常盤台ね? あそこは入学資格に強度があったはず」
婚后 「はい、最低でも Level3 はございませんと」
布束 「ならピンとこないかもしれないわね。ここは Level0 でも入れるのよ」
絹旗 「超マジですか」
布束 「一芸入試とでもいうのかしら?」
婚后 「聞いたことがございますわね。突出した才があれば入学を認められると」
絹旗 「じゃ、あなたはその一芸とやらで入ったんですか?」
布束 「No」ポンポン
絹旗 「わ、ちょ、なんですか。人の頭に」
布束 「これが私の能力」
白井 「え?」
布束 「"寿命中断"<Critical>。触れた相手の寿命を強制的に終わらせる力よ」
920: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:27:41.88 ID:Q0QeY0Wuo
絹旗 「」
白井 「え、あの」
婚后 「いくらなんでも……!」
絹旗 「ブラフですよねハッタリですよね!?」
布束 「あなたは私に恨まれる覚えはない? Even if 逆恨みであったとしても」
絹旗 「う、あ……」
白井 「それぐらいにしてくださいまし! 悪戯にしては悪質ですの!」
布束 「……そうね。度が過ぎたわ。行きましょう」
絹旗 (ちょ、ここでやめるんですかぁ! ある意味で一番悪質です!!)
白井 「あの、絹旗さん、なんともございませんの?」
絹旗 「ど、どうせ超ブラフですよ! 実際なんともないです!」
布束 「どうかしら? あなたは既に私の術中にあるとは思わない?」
絹旗 「超思いません!」ウガー
婚后 (なかなか扱いづらい方ですわね……)
921: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:29:08.42 ID:Q0QeY0Wuo
~長点上機学園 図書館~
白井 「これはすごい規模ですの」
婚后 「天井近くまで本棚が続いてるなんて」
布束 「蔵書量ではトップクラスよ。Because 研究者や教授の論文もあるからね」
絹旗 「……お? これも論文ですか?」
つ【ネコに能力は使えるか】
布束 「それは霧ヶ丘女学院の磯塩教諭が発表した論文ね」
婚后 「まあ、霧ヶ丘の……」
白井 「ネコに能力とは、興味深いテーマですの」
絹旗 「うちのユリコも能力を使えるかもしれませんね」
布束 「Then それはどうかしら?」
白井 「と、申されますと?」
922: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:30:41.87 ID:Q0QeY0Wuo
布束 「その論文、ネコに能力は使えないと結論付けているの」
絹旗 「なんだ……超面白くないですね」
布束 「But その論文が絶対に正しいという保証もないわ」
白井 「可能性はあるかもしれませんの」
絹旗 「その方が夢があるじゃないですか」
布束 「人生を賭けて研究をしてみたら? もしかしたら有り余る物を手にするかもしれないわよ?」
絹旗 「いや、いいですよ。そこまでしなくても」
婚后 「動物に能力……突飛な発想かもしれませんが、面白そうですわね」
白井 (そういえば、同じような主張をしてたあの人も霧ヶ丘でしたの……もしや教え子?)
~その頃 きぬはた荘 リビング~
結標 「っくしゅん」
番外個体 「おんや? 淡希、また風邪かい?」
結標 「もう風邪は御免よ」
923: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:32:18.38 ID:Q0QeY0Wuo
~長点上機学園 グラウンド~
ヒュゴォォン
絹旗 「……今、何か通り過ぎませんでした?」
白井 「? 風が吹いたような気がしましたが」
婚后 「気のせいではないですか?」
絹旗 「??」
布束 「……Maybe 第7位の彼ね」
白井 「第7位……あの、暑苦しい殿方ですの?」
布束 「あら、知っているの?」
婚后 「ええ、まあ、色々とございまして……」
布束 「あなたたちも大変ね。アレに関わってしまうなんて」
絹旗 「何気にヒドイこと言ってますね」
924: ◆r462iqU2Ag 2011/01/22(土) 00:33:37.94 ID:Q0QeY0Wuo
白井 「で、ですが、悪い人ではございませんでしたの」
婚后 「そ、そうですわね、ちょっと人の話を聞かないぐらいで」
布束 「So それが問題なんじゃない。話が通じない人間ほど厄介な生き物はないわ」
絹旗 (仲悪いんですかね)
布束 「いっつもそう。話があるって言ってるのに右から左にすりぬけて……」ブツブツ
白井 (……おや?)
婚后 (これはもしや……?)
絹旗 (超分かりやすいですね)
布束 「さあ、あんなバカの話はお終い。次行くわよ」
白井 「あの、もしよろしければ第7位さんにご挨拶をしたいのですが」
布束 「却 下」ピシャリ
婚后 (当確ですわね)
絹旗 (超当確ですね)
951: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:29:05.08 ID:eIt1LGrwo
絹旗 「あの、超第7位ってどんな人なんですか?」
布束 「ただの根性バカよ」
婚后 「シンプルかつ的確な表現ですわね」
布束 「But 忌々しいことに、この学校の第一位なんだけどね」
白井 「ここも、霧ヶ丘のように能力のみでランク付けされますの?」
絹旗 「白井さん、遠回しに"第7位はお馬鹿"って言ってますよ」
布束 「いいえ。ここのランクは学力、能力、その他諸々考慮されるわよ」
婚后 「と、いうことは」
布束 「……普通の勉強はできるのよ、あの男。念動力学だけは苦手らしいけど」
白井 「さすが Level5 ですの」
絹旗 「でも超変わり者でしたよね」
布束 「ただのバカよ。強い人がいればケンカふっかけて、不良がいれば殲滅して」
婚后 「褒めるのかけなすのか、どっちかにしてくださいな」
白井 (お相手はあれ、当人はこれじゃ障害なんてレベルじゃございませんの)
952: なんか、PCからコッツンコッツン音がするんだけど、なんなんだぜ? ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:30:15.02 ID:eIt1LGrwo
布束 「Nevertheless いつも無傷で帰ってくるけどね。そうでなければ張り倒してるわ」
絹旗 「まあ、あの人はちょっとやそっとじゃ……え、帰ってくる?」
白井 「どちらに帰ってきますの?」
布束 「……喋りすぎたわ。私らしくないわね。次行くわよ」
絹旗 「えー、超ケチです」
布束 「"寿命中断"!!」カッ
絹旗 「」
白井 「え? 絹旗さん? 絹旗さん!?」
婚后 「な、なんということを……!」
布束 「だから言ったじゃない。私の術中にあるって」
白井 「BADEND ですの……」
婚后 「こんな結末が許されるのですか!?」
絹旗 「死んでませんから! 超びっくりしただけですから!」
布束 「生き返ったところで、いい加減に次いきましょう」
953: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:31:22.12 ID:eIt1LGrwo
~長点上機学園 食堂~
白井 「やっぱり食堂は見ておきますのね」
絹旗 「そりゃ、ご飯が美味しいかどうかは超重要ですから」
婚后 「仰るとおりではありますが……」
布束 「……」ハァ
白井 「どうしましたの、ってアレは……」
<うん、今日も根性でメシがうまい!
絹旗 「超7位ですね」
婚后 「まあ、よく食べる方ですのね」
白井 「折角ですし、ご挨拶していきますの」
布束 「ちょ、ちょっと待ちなさい」
954: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:32:46.05 ID:eIt1LGrwo
削板 「やっぱ根性のもとは肉だよな」ガツガツ
絹旗 「超お久しぶりです」シュタッ
削板 「んお!? お前はあの時のおチビじゃないか!」
絹旗 「だ、誰が超チビですか!」
削板 「超は言っとらん!」
白井 「お久しぶりですの、第7位さん」
婚后 「お邪魔しております」
削板 「おお、お前たちは! そうかそうか、リベンジマッチという訳だな!」
絹旗 「は?」
削板 「根性あるヤツは大好きだぜ! 食後の運動にも丁度いいしな!」
白井 「い、いえ、わたくし達は」
布束 「落ち着け」ガゴォォン
削板 「ぬぉぉ!?」
婚后 「布束さん何を!?」
955: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:34:01.68 ID:eIt1LGrwo
削板 「何すんだ、痛いだろうが!」
絹旗 「ああ、そうだ。こういう人でした」
布束 「Usual また肉ばっかり食べて」
削板 「肉こそが根性だからな!」
布束 「」ハァ
白井 「余計かもしれませんが、バランスよく食べた方が」
削板 「魚も食ってるぞ!」
婚后 「そうではなく、野菜だとか」
削板 「野菜もあるだろ、ほら」
絹旗 「じゃがバターを野菜と言い張るんですか」
布束 「言ったでしょ、こいつには何言っても無駄なの。丁度いいわ、私たちも食事にしましょう」
:
:
:
956: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:35:13.17 ID:eIt1LGrwo
削板 「そうかそうか、見学に来てたのか!」
婚后 「はい、今後の参考になれば、と」
削板 「で、ここはどうだ? 俺としてはメシがうまくてお勧めなんだがな」
白井 「設備も整ってますし、さすがトップ高ですの」
絹旗 「家から遠いのは超問題ですけどね」
布束 「慣れの問題よ」
削板 「しかし、なるほど。こういう理由だったのか」ウンウン
絹旗 「何がですか」
削板 「いや、こいつがな。朝早くから"学校に行ってくる"ていうもんだからよ」
布束 「」
削板 「なんで卒業生のお前が? と思ったんだが、なるほど、案内だったんだな」
白井 「え? あれ? お二人は同じ屋根の下に?」
削板 「ん? なんかおかしかったか?」
布束 「"寿命中断"!」カッ
957: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:36:32.80 ID:eIt1LGrwo
削板 「」
絹旗 「」
白井 「お、お二人とも!?」
婚后 「なんということでしょう……」
絹旗 「いやだから違いますって!」
削板 「お前それやめろよ! お前の目でそれやられるとビビるんだよ!」
布束 「Because 余計なこと言うからよ!」
白井 (結局"寿命中断"はブラフなのかはっきりしませんの)
婚后 (あまりこの話題に持っていかない方がよさそうですわね)
絹旗 「ていうか、今のは超巻き添えじゃないですか! 超7位のせいです!」
削板 「俺かよ!」
布束 「他にいないじゃない」
削板 「すいませんでした」
959: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:38:01.80 ID:eIt1LGrwo
~数時間後 長点上機学園 校門~
婚后 「本日はありがとうございました」
布束 「参考になったのなら嬉しいわね」
白井 「他の学校に行った時も思いましたが、やはり自分の目でみるのは大事ですの」
絹旗 「そういえば、根性さんはどこいったんですか?」
布束 「さあ?」
婚后 「ご挨拶しておきたかったのですが」
布束 「よろしく伝えておくわよ」
<プップー
絹旗 「お、ようやく迎えが来ましたか」
白井 「それでは、今日はありがとうございましたの」
婚后 「また機会がございましたら、よろしくお願い致します」
布束 「Well 気をつけてね」
布束 「行ったわね……さて、あの馬鹿探さないとね」
960: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:39:27.79 ID:eIt1LGrwo
~同日夕方 きぬはた荘 リビング~
ユリコ 「フモー」
結標 「ちょ、ユリコ! どこに頭突っ込んでんのよ!」
ユリコ 「」ゴロゴロ
結標 「貴女、女の子でしょ! 白井さんじゃあるまいし」ヒョイ
ユリコ 「(・ω・)?」
白井 「わたくしがどうかしましたの?」
結標 「あ、おかえりなさい」
婚后 「ただいま戻りました」
絹旗 「ただいまです」
結標 「絹旗さんも、制服に慣れてきたみたいね」
絹旗 「えぇ、超不本意ながら」
白井 「不本意の理由が分かりかねますの」
961: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:41:06.84 ID:eIt1LGrwo
結標 「ところで、リビングに置きっぱなしになってたパンフ。貴女達のでしょ?」つ□
婚后 「あら、これは失礼致しました」
結標 「次はこの学校見に行くの?」
白井 「はい、その予定なのですが……」
絹旗 「あいにくとコネがないですね。ここは超スニーキングミッションで」
白井 「ダメですの!」
結標 (ここってたしか、小萌とか土御門がいるところよね)
結標 「私の知り合いでよければ、話してみるけど?」
白井 「え、よろしいんですの?」
結標 「ちょうど、ここの生徒にも教師にも知り合いがいるからね」
絹旗 「では生徒のほうでお願いします」
結標 「えっ?(小萌ならこういう話にはルパンダイブすると思ってたのに)」
婚后 「生徒のほうが、気が楽なんだそうですよ?」クスクス
結標 「うーん……(ますます小萌が適任じゃない)」
962: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:42:35.29 ID:eIt1LGrwo
白井 「こういうのもなんですが、お願いしてよろしいですの?」
結標 「ま、言いだしっぺの法則ってヤツよね。連絡してみるわ」
絹旗 「超ありがとうございます! お礼に超B級映画の半券を」
結標 「いらない。それで、希望の日程とかある?」
白井 「そうですの……ええと、では明後日か明明後日ぐらいで」
婚后 「ユリコ! おやめなさいな!」
ユリコ 「フモー」
~同日深夜 きぬはた荘 結標個室~
結標 「ええと、土御門は……"グループ01"でいい、のよね?」カチカチ
Prrカチャ
土御門 『結標か? 仕事ならないぞ』
結標 (よかった、正解)
963: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:43:59.42 ID:eIt1LGrwo
結標 「仕事なんて期待してないわよ。数ヶ月まともな案件よこさないクセにさ」
土御門 『なら何の用だ。言っておくが、暇つぶしのお喋りならご免だぞ』
結標 「それも期待してないわね。トークの相手ならもっと上等なのがいるもの」
土御門 『それで結構。他に用件があるならシンプルに済ませてくれないか?』
結標 「貴方のとこの学校を見学したいっていう女子中学生がいるんだけどさ。案内を」
土御門 『で? 何時にどこに行けばいいんだ?』
結標 「うっわぁ……」
土御門 『おお? なーに引いてるんだ、あわきん』
結標 「貴方、妹一筋なんじゃないの? なに食いついてるのよ」
土御門 『それはそれ。これはこれ』キリッ
結標 「まあ、いいけど……明後日か明明後日でどう?」
土御門 『っにゃー、実に魅力的なお誘いなんだがな。ちょいとその日は外せないんだぜい』
結標 「あら、残念ね」
土御門 『可愛い可愛い妹とだな、』
964: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:45:21.26 ID:eIt1LGrwo
結標 「聞いてないわよ。やっぱり歪みないわね、貴方は」
土御門 『子曰、妹此正義』
結標 (こいつに任せて大丈夫なの? 心配になってきたわ……)
土御門 『まあまあ、これで終わらせるのもなんだから、代理は用意しておくぜい』
結標 「じゃあそのまま向かわせちゃっていいのね?」
土御門 『問題ないようにセッティングはしておくから、安心するにゃー』
結標 「……一応言っておくけど、マトモな人間にしてよ?」
土御門 『心配いらないぜい。ロリに危害を加えるヤツはロリ失格だ』
結標 「意味分かんない」
土御門 『つまり、あわきんの言うマトモな人間を寄越すってことだにゃー』
結標 「頼むわよ。身内を預けるんだから」
土御門 『お姉さん気取りか? お前さんもやっと義妹のよさが 「じゃあね、バイバイ」ピッ
結標 「大丈夫なのかしら……ま、あの子たちなら自分の身ぐらい護れるでしょ」
965: ◆r462iqU2Ag 2011/01/23(日) 01:46:38.61 ID:eIt1LGrwo
~当日 とある高校前~
絹旗 「という訳で超来てみましたが……」
白井 「それらしき方はいらっしゃいませんの」キョロキョロ
婚后 「結標さんは現地合流と仰ってましたが」
絹旗 「待ち合わせの時間より早く来てしまいましたし、ひとまず待ちましょうか」
白井 「それにしても、ここは……なんと言いますか」
婚后 「長点上機や霧ヶ丘と空気が違いますわね」
絹旗 「まったりしてていいじゃないですか」
<お、常盤台の制服3人娘! てことはお嬢ちゃんらが今日のお客様やな!
3人 「!?」
青ピ 「いやぁ~、ボクとしたことが。女の子を待たせてしまうなんて紳士失格やわぁ」ポリポリ
コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。