ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」1 

ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」2  

 
2: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/05(日) 10:10:12.83 ID:suzGnU5j0
 ―次回予告―

―――だから今、1秒ごとに、世界線を越えて―――


    「岡部」


 ―――君のその笑顔、守りたいのさ―――


              「厨二病乙」

引用元: ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」 

 

3: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/05(日) 10:12:06.77 ID:suzGnU5j0


   ―――そしてまた、悲しみの無い―――


「……続き、聞かせて?」


     ―――時間のループへと―――


            「今の言葉の、続き……」


     ―――飲み込まれてゆく―――


「フ、フハハ!……そうっ、まさにっ、これこそが―――」


     ―――孤独の観測者―――

『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート― 魔法少女のエントロピー』

  ―近日公開―

31: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:39:05.04 ID:TpN229rpo
『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート―
                魔法少女のエントロピー』

     ―ここまでのあらすじ―
『魔法少女まどか☆マギカ』全話一挙配信決定。
ダル歓喜、ラボメン全員鑑賞コスプレ作戦。
大雨で中止、と思いきや色々あって岡部と助手で鑑賞、終息。

――――――――――――――――――――――――――


……。
興奮冷め止まぬまま、
俺たちの時間は過ぎていく。

32: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:40:23.98 ID:TpN229rpo
いや、実はもう俺は疲れ切ってしまっていて、
完全に意気消沈しているわけだが、
隣りの助手が、それを許してくれなかった。


紅莉栖「―――……であって!エントロピーの熱力学を応用してるのが、
   インキュベーターの役割何だから、
   その存在に矛盾が生じるってことでしょ?
   だから最後は矛盾の無いように、

   世界は『鹿目まどか』によって再構成されるはずだった、
   ってところね」

岡部「そうだな」

33: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:43:49.19 ID:TpN229rpo

紅莉栖「―――……でその先は、
   人類の繁栄している世界があった。
   つまり、魔法少女が居ても居なくても、
   人類の未来は、

   しっかり定まっていた――確定した未来――ということ。
   
   そうなると、『暁美ほむら』が元居た世界は何だったのか?

   『鹿目まどか』の再構成される世界には、
   魔法少女はいるのか?
   
   という疑問にぶつかるわけ」

岡部「そうだな」

34: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:45:59.76 ID:TpN229rpo
紅莉栖「―――……でも待って。
   『鹿目まどか』の願いの要点は、現在居る世界の宇宙、過去と未来、

   「全ての魔女を消し去る」こと、「全ての魔法少女の魔女化を防ぐ」こと、

   それによって導き出される「希望を絶望で終わらせない」という解がある。
   これを方程式で導くとすれば、

   「魔女が世界には居たけど、『鹿目まどか』という魔法少女の概念が全て倒した」、

   と言う公式を使うことになる。
   つまり、
   『鹿目まどか』が再構成する世界には、

   魔女が居た=魔法少女も居るということになるわ。

   あのまま、『鹿目まどか』が概念になって終わっていたとして、
   もしかしたら、

   魔法少女がいる「理由が作られる」こともある可能性があった、
   ってことね」

岡部「そうだな」

35: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:47:48.60 ID:TpN229rpo

紅莉栖「―――……でもそうなると、魔法少女になった娘は、
   最終的にはソウルジェムが穢れて、
   グリーフシードになるわけでしょ?
   あ、いや、ならないのか。
   そもそもその前に概念が現れて、

   ……何て言ったらいいかしら、円環の理?

   それで最後は消えて逝っちゃうのよね……。それってどうなの?
   安らかに消えて逝くシーンはあるけど、
   自分の存在が消えるのよ?
   それって本当に希望のある終わりなのかしら。
   それとも、「希望を絶望で終わらせない」だけであって、

   希望を守る、

   という解には繋がらないから?」

岡部「そうだな」

36: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:50:10.93 ID:TpN229rpo

紅莉栖「―――……ちょっと岡部!聞いてんの!?
   今は大事な、

   「魔法少女のエントロピー」について、

   のディスカッションの時間よ!?
   あんたさっきから「そうだな」って、
   聞いてるだけじゃない!何か言えよ!!」

岡部「そうだな」

紅莉栖「―――……岡部は、魔法少女みたいな、

   かわいい中学生女の子に欲情する、

   HENTAIロリコン童貞です」

岡部「そうだな……って違うわ!
  いい加減にしろクリスティーナ!!」

37: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:51:49.62 ID:TpN229rpo

この調子で、
『魔法少女 まどか☆マギカ』が終わってからというものの、
延々と続いているのである。


紅莉栖「何ぃ?話しを聞かない岡部が悪いんでしょ!?
   女の人の話しを聞かない男の人って、
   ……最低よ岡部!」

岡部「お前との会話は会話と呼べないんだよ!
  何か喋れば最後、

  お前は延々と俺を論破し続ける気であろう!?

  この論破癖の天才HENTAI処女めがっ!!」


これで論破なんてされようものなら、
俺はラボから出てくぞー!助手ー!!

38: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:54:06.81 ID:TpN229rpo

紅莉栖「な、な、なぁーーー!?
   だだだだ誰がHENTAI処女だっ!?
   私は岡部にそんなことを言った覚えないぞっ!?///」

                サイズハング
岡部「バカめッ!今のは<カマかけ>だッ!!
  それにHENTAIも否定しないとは、
  ……落ちるとこまで落ちたな助手ぅ?」

紅莉栖「お、岡部、テメェ……許さない!

   絶対に許さない!絶対にだ!」

40: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:56:46.60 ID:TpN229rpo

岡部「わっ!?止めろクリスティーナ!
  それは鈍器でも凶器でもないぞ!?
  神聖なる魔法力の宿りし盾、

     ノスタルジアドライブ
  <失われた過去の郷愁>


  お前が扱えるような品物ではないっ!」


紅莉栖「黙れこの厨二病患者が!
   お前の敗因を教えてやる。

   お前は、私を、怒らせたッ!!」

41: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 00:58:56.63 ID:TpN229rpo

ブンッと言う擬音が聞こえたかと思うと、


              ノスタルジアドライブ
俺の横を過ぎ去る<失われた過去の郷愁>。


正に、ノスタルジアドライブゥッ!!

ちょ、こいつ投げやがった!?もはや鈍器ですらない。


岡部「あ、危ねっ……助手!!俺を[ピーーー]気か!?」

紅莉栖「たかが玩具がぶつかったくらいで人が氏ぬか!

   いや[ピーーー]!氏ねじゃなくて[ピーーー]!」

42: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:01:28.94 ID:TpN229rpo



直後にガチャーンという音が開発室から聞こえた。




岡部「―――!?何に当たった!?」




見に行くと、そこには壊れ果てた未来ガジェット4号機、


モアッド・スネーク(使い捨て、特価7,800円)の姿がっ!

44: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:02:42.36 ID:TpN229rpo



岡部「モアッド・スネーク……?
  おい、嘘だろスネーク?返事をしてくれっ!!

  スネェェェェエエエエェェェェクッ!!!」




返事がない。ただの屍のようだ……。

46: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:04:27.86 ID:TpN229rpo

俺は白衣から素早く携帯を取り出す。


岡部「もしもし俺だ、大佐!……スネークがやられた……。
  助手が裏切ったのだ……ッ!あいつは俺のことを庇って、
  ……あいつには何度も助けられたのにっ!
  俺は、守れなかった……許してくれスネーク……。
  お前のことは忘れない……!

  何故ならこれも<シュタインズゲート>の選択!

  通信を切る、次の連絡の時……その時俺は……!
  いや、何でもない。
  これが終わったら一杯やろう、大佐。
                 ―――エル・プサイ・コングルゥ」

48: ヘェーソーナノカー!! 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:06:55.23 ID:TpN229rpo





紅莉栖「おい、遺言は済んだか?」





振り向くと、紅莉栖が仁王立ちしてた。
こわい。

49: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:08:53.79 ID:TpN229rpo

岡部「貴様ァあああ!!
  俺の歴戦の勇士をよくもっ、よくも!

  その罪、万死に値する!!」

紅莉栖「ほう、で具体的にはどうなるんだ?」



いつの間にやら、
どこからか洋書を手に入れた助手は、

ニヤァと笑ってこっちを見ていた。こっち見んな!

その姿は、
どう見てもマジカルマッドサイエンティストです。
本当にありがとうございました。

50: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:10:14.90 ID:TpN229rpo

岡部「クッ……しかし、いいのかな?助手よ?」

紅莉栖「どういう意味だ?」

岡部「ククク……実はな、

  この部屋は盗撮されているのだッ!」

紅莉栖「ハ?」

岡部「つまり!

  貴様が視聴中に見せた醜態が録画されている、

  ということだ!!」

紅莉栖「なん……だと……?」

52: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:11:58.07 ID:TpN229rpo

……まあ、もちろんハッタリである。
盗撮とか、
そもそもそんな機材買う資金ラボにはない。

しかしここは、ハッタリでも乗り切らねばならない場所!

ダル、俺のために犠牲になれッ!!



岡部「フゥーハハハ!ダルが言っていたのだ!

  紅莉栖の泣き顔が見たいから、

  このカメラを仕掛けておいてくれ、

  となァ!!」

53: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:13:27.24 ID:TpN229rpo


紅莉栖「橋田ァ……!!

   このラボにはまともな男が居ないようね!###」ビキビキッ


おい助手、ルカ子ry。


紅莉栖「……でもいいの?

   それだと私以上に酷かった、


   鳳凰院凶真の醜態まで晒すことになるんじゃないの?」




あ、しまった。やっちまったわ。っべー、俺ヤッベー……。

54: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:15:10.76 ID:TpN229rpo

岡部「ぐぬぬ……。だがしかし助手!
  こうなれば死なば諸共だ!
  お前が俺に手を出したら、

  ダルがネットに全世界配信を行うぞっ!

  それでもいいのかな?んー?」


頼む!俺が悪かったからこれで引き下がってくれ!


紅莉栖「ぁ……」


何故か紅莉栖は、
足を絡めてもじもじ仕出した。

55: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:16:53.38 ID:TpN229rpo


紅莉栖「……///」


何だー?どういうことだー?

今度は顔を赤らめ出したぞ!?

精神攻撃にシフトしたのか!?

理性を保て!岡部倫太郎!!


岡部「ど、どうしたクリスティーナ?
  調子でも悪くなったか?

  ……生理か?」

紅莉栖「HENTAIは自重しろ!

   ……別に、何でもないわよ……」

57: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:18:55.83 ID:TpN229rpo

と言うと、しずしずとソファーに座りこむ助手。
やっぱこいつ構ってちゃんだな。

構ってオーラを出しながら、
チラッチラッとこちらを見ている。


紅莉栖「……ねえ、岡部」

岡部「何だよ……何か言いたいことがあるなら言え」



紅莉栖「岡部は、あのアニメについて、どう思ってるの?」

58: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:20:42.91 ID:TpN229rpo

あ、そう来たか。
どうやら今までのやりとりで、


視聴中の出来事を思い出したらしいな。


そりゃあ顔も赤くなるわけだ、
あんだけ基地外っぷりを晒してたらな!


  ―――いけぇぇぇぇえええ!!!


            ―――汚物は消毒だァーッ!


  ―――タンクローリーだッ!!

59: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:22:21.81 ID:TpN229rpo


……冗談は置いといて。


実際、かなりの精神攻撃を受けたのは確かだ。

一話~三話で始まり、

四話~六話で崩壊し、

七話~九話で追い打ちをかける。

十話に至っては、
ピンポイント攻撃をしてくるという始末で、

十一話は本当に危なかった。


最終話は驚きと感動で、
セルフエコノミー状態にさせられる結末。

60: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:23:25.71 ID:TpN229rpo

おまけに助手の本能を刺激し、

我がラボの人間関係まで乱してくるあたり手におえない。

約六時間の世界線争を、

俺は、俺たちは、戦い抜いてきたのだ!


どうもなにも、


もはや言葉では語りつくせないくらいの、


記憶に残るアニメとなってしまった。

61: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:24:21.54 ID:TpN229rpo


―――あの神アニメが、
 ニコニコで全話一挙無料配信とか胸が熱くなりすぎて世界がヤバい!


―――お前がヤバいだろ……。


ダルの計画通りっ!ということか?

くそっ!やられた!!

でも後悔なんてあるわけない。


……俺って、ほんとバカ。

62: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:25:46.82 ID:TpN229rpo


岡部「……お前は、
  その、どう思ってるんだ?」


紅莉栖「え?それはさっきから説明して―――」


岡部「学術的なことはどうでもいい!


  ……お前が見た時の、気持ちだ」


紅莉栖「わ、私は……」

64: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 01:27:25.15 ID:TpN229rpo


紅莉栖は言葉に詰まる。




不意に電話がなった。

―――Beginning of fight―――

電話に出るか?

>>68

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) 2011/06/06(月) 01:35:40.28 ID:wxHArlA3o
出とこうか

80: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:17:51.28 ID:TpN229rpo
岡部「……って誰だこんな時間にッ。

  ん?ダルからだと?」


俺は着信に出た。


岡部「……俺だ」

ダル『あ、お、もすもすオカリン?

  ……えーと、今何してるお?』

81: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:19:26.02 ID:TpN229rpo

岡部「……別に、アニメを見終わって休憩していたところだ。

  それで?
  こんな時間に何の要件で電話をかけてきた?」

ダル『え?あ、いやー……その、……そうそうっ!

  アニメの感想!どうだったお?

  まど☆マギは面白かったお?』

岡部「……悔しいが同意せざるを得なかった。
  あのアニメは神だな」

ダル『ッシャァ!!オカリンにそこまで言わせてしまう神アニメ!!

  その瞳は何を見る!!』

82: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:21:16.73 ID:TpN229rpo

岡部「は?
  ……で、要件はそれだけか?なら切るぞ?」

ダル『……エ?イマハヒマカキケ?……あっ!

  ちょちょちょ、待って欲しいお!!要件はそれだけじゃなくて、
  ……オカリン?今は暇でつか?』

岡部「え?……いや、少し取り込み中だ。
  あのアニメの感想について議論している所なのだ」



ダル『へぇー……オカリン、それ誰と?』

83: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:23:03.90 ID:TpN229rpo

ピクッ、と俺の耳が反応した。
俺は考える。

正直に、紅莉栖と夜中に二人きりで会話してます、

何て情報を伝えてしまって良いものか?
しかも今、

彼女は顔赤らめてもじもじこちらを見ています、

何て教えたら、
ダルが何を言い出すかわかったもんじゃない。


ここは、うまく話を合わすべきだと判断した。

84: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:24:34.92 ID:TpN229rpo

岡部「……ぁあ、何、@ちゃんでのことだよ。
  今はアニメの関連スレをチェックしていた所だったのだ」

ダル『ふーん……なあ、オカリン?


  今は、独りでラボにいるのか……お?』


何だこいつ、やけに喰いつくな?


岡部「……そうだが?それがどうかしたのか?」



ダル『オカリン、僕たちってさ……、

  僕たちって友達だよ……な?』

85: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:26:13.26 ID:TpN229rpo

岡部「……ああ、もちろん。
  お前はラボメンナンバー003にして驚異のスーパーハカーッ!
  マイフェイバリットアーム
  我がラボの右腕ことダルだっ!

  そして俺の、かけがえのない友人でもあるっ!
  光栄に思え!」


ここまで言っとけば引き下がるだろう。




ダル『……そうだよな、僕もそう思ってる……お?』

86: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:27:03.89 ID:TpN229rpo

あれ?いつもならここで、
僕はスーパーハカーじゃなくて、スーパーハッカー!!
とか何とか横やりを入れてくるものを、
今日はやけに大人しいではないか?

どういうことだ?



ダル『オカリン、友達のさ、友達の言葉にはさ、



  ……嘘はないよな?』

87: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:28:28.35 ID:TpN229rpo

むっ!?どういう意味だ?

まさか助手のことを言ってるのか?

だが助手がこの場にいることは誰にも喋って、
いや、連絡してないはずだ……となると?

助手の声が耳に入ったか?

いやそれもない。
さっきから奴はこっちをじーっと見てる。


ん?あれ?もしかして睨んでるの、あれ?


それは置いてといて、助手のことでも無いとしたら、
つまり……どういうことだ?

88: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:30:08.40 ID:TpN229rpo


ダル『オカリン、僕はオカリンを信じてるお!プツッ』


岡部「え?おい、ちょ、ダル?ダルー!?」

一方的に切りやがった。
何だったんだあいつは?
フーと溜息をつき、携帯を白衣のポケットにしまう。






紅莉栖「……おい、岡部#」

89: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:31:44.32 ID:TpN229rpo

岡部「ッ!?……はい、何でしょうか?」


ま、また威圧感を放ったクリスティーナが帰ってキター!!
やばい、殺気放ってるよ。紅莉栖やぁばい。


紅莉栖「あんた、

   人と会話してる時に電話とは、

   良い身分だな?」

岡部「はい」

紅莉栖「……しかも、

   そっちから質問をぶつけておいて、だ?」

岡部「はい」

90: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:33:17.26 ID:TpN229rpo

岡部「ッ!?……はい、何でしょうか?」


ま、また威圧感を放ったクリスティーナが帰ってキター!!
やばい、殺気放ってるよ。紅莉栖やぁばい。


紅莉栖「あんた、

   人と会話してる時に電話とは、

   良い身分だな?」

岡部「はい」

紅莉栖「……しかも、

   そっちから質問をぶつけておいて、だ?」

岡部「はい」

91: ハハッミスワロス ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:34:57.90 ID:TpN229rpo

紅莉栖「私に何か、

   言うことはないのかな?

   鳳凰院凶真さん?###」

岡部「すみませんでした」

紅莉栖「で?

   どう責任を取るつもりなんだ?

   え?」

何だよっ!
たかが携帯に出たぐらいで、
そこまで怒る必要もないだろ!?
全部ダルが悪いんだ!

俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇッ!!

92: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/06(月) 17:36:37.57 ID:TpN229rpo

岡部「し、しかし助手よ?
  こんな時間に電話が鳴るんだ。
  普通何かあったのか?
  と心配になるはずだろう?」

紅莉栖「着信履歴は橋田、
   外は大雨、
   奴は家でアニメを見てた。あとはわかるな?」

岡部「……すみません」



すると、またも唐突に携帯が震え出した。
今度はメールか?
一体誰だっ!この非常時に!!

メールを見るか?
>>93

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/06(月) 17:45:12.91 ID:Z39u5VYio
見る

109: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:14:27.01 ID:+L7Of4EVo
俺は携帯を取り出し、メールの内容を確認する。



萌郁:お前を見ているぞ♪

 がんばって♪v≧∀≦v



110: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:15:50.87 ID:+L7Of4EVo
誤送信、かッ!

俺は携帯を叩きつけるような仕草で、
白衣のポケットに戻す。

お前を見ているぞ♪じゃない!

こんな時間に何してるんだあいつはっ!
ストーカー、かっ!
安易に想像できるから困る。
送り主は可哀想に……。

あんなメール魔に目をつけられるとは。
ご冥福をお祈りします。

111: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:17:08.92 ID:+L7Of4EVo


「岡部」


背筋が凍る、声。

圧迫感。何かがいる、後ろに、確実に。

助手だけど、助手じゃない何かが。

今、振り向いてはいけない。頭の中で声が響く。

前を向いて、岡部。うん、そうだよな?

振り向いたらいけないよな、人間前を向いてないと。

112: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:18:25.85 ID:+L7Of4EVo


「岡部」


ダメだッ!冷や汗で背中がビショビショだ!

あ、そういえば「背筋が凍る」って、

広辞苑では、「背筋が寒くなる」としか乗ってないんだよな。

とか、まったく関係がないことを考えながら、

俺は現実逃避を行う。


今、岡部ピンチ、なう。

113: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:19:38.01 ID:+L7Of4EVo


「岡部、こっちを向いて?」


あまりにも感情の無い、優しい声が響く―――

そうだ、逃げるのは止めよう。

向き合おうじゃないか、現実と。

今の俺は、現実と向き合って、


向き合い続けたからこそ、ここにいるんだっ!


そう、それが<シュタインズゲート>の選択!


     ―――エル!プサイ!!コングルゥ!!!

115: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:21:32.39 ID:+L7Of4EVo

岡部「クリスティー……いえ、紅莉栖さん」


俺は、指を鳴らす。


岡部「話しをしよう」パチンッ

俺は綺麗な顔で振り向いた。





待っていたのは、
洋書を片手に振り上げた助手の姿だった。

もうだめ、NOW。

116: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:22:53.98 ID:+L7Of4EVo





岡部「クリスティーナ、そんな装備で大丈夫か……?」





   紅莉栖「大丈夫よ?……問題ッない!!」






117: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:23:57.17 ID:+L7Of4EVo


―――本日二度目の衝撃走る。


ああ、俺はどこで選択を間違えたというのだ。

選択、と言う言葉の大切さに気付かされる。

些細な選択でも、大きな被害に繋がることを、

……俺は去年、散々学んできたじゃないか。

自分の軽率な行動に、後悔をしてしまいそうになる。


残念、岡部倫太郎の冒険はここで終わってしまった!


薄れゆく意識の中で、そんな声が頭に響いた。

118: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:28:59.36 ID:+L7Of4EVo


岡部「おい、クリスティーナ?……助手?……紅莉栖?」

紅莉栖「……ムスッ」




現在、時刻は深夜二時。
アニメが終わってから、約一時間が経過している。


洋書でぶん殴られた俺は、一瞬意識を失っていたが、
何とか再び復帰し、今に至る。

119: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:30:04.09 ID:+L7Of4EVo

岡部「おーい、紅莉栖さーん?
  もしもーし?臀部に蒙古斑のある助手ー?」

紅莉栖「……ギロッ」



おうっ……!今のはアウトか。

あれからと言うものの、紅莉栖はまともに口を聞いてくれない。

いや、むしろ口を聞いてくれないだけならいいのだが、

ソファーに座ったままこちらを向いて、

俺を今だに睨み、もとい見つめ続けているのである。

……あぁ、これはキツイぞ。

気まずいなんてレベルじゃない。

120: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:30:53.63 ID:+L7Of4EVo


うーぱのぬいぐるみを抱きかかえたまま、
こちらを何も言わずに見つめ続けられるのだ。


何考えてんの、この助手……。

耐えかねて、話しかけてはみたものの、

普通にシカトされてしまっている。

シカト?シカトデスカー?モォウ、クチヲキイテクダサイヨーッ!


ダメだこいつ、早く何とかしないと。

俺の精神力が持たん!

121: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:31:58.46 ID:+L7Of4EVo

岡部「……そろそろ、
  機嫌を直してくれないか?クリスティーナよ」

紅莉栖「……ジーッ」




……何が何だかわからない。



そんなに俺が悪いことをしたか?
携帯に出ただけだぞ!?

123: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:32:51.11 ID:+L7Of4EVo

……とは思うものの、


俺には、世界線を越えた記憶のせいで、


助手が怒ってる気持ちが半分わからんでもないので、

余計、罪悪感と共に気まずい空気を作ってしまうのだ。

だからって、こんなに怒るなよなー、と思いつつ、

もう素直にジャンピング土下座でもして、

許してもらおうかな、などと考える。

124: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:33:44.37 ID:+L7Of4EVo

岡部「く、紅莉栖!……申し訳ありませんでしたー!」ズサーッ

紅莉栖「……ツーン」




こ、これでもダメなのか!?

何が気に入らないんだよ!

もういい、気に入らないなら帰ればいいじゃないか!

タクシーでも拾えば帰れるだろ?

秋葉原駅くらいまでは付き添ってやるから!

という思いを顔に出しつつ、紅莉栖の様子を伺う。

125: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:34:43.97 ID:+L7Of4EVo


岡部「……」

紅莉栖「……」




あ、ダメだわ。伝わってないわ。




最初からダメだったんだ!

この、天才HENTAI処女の助手、

クリスティーナの思考に合わせるのなんて!

126: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:35:37.98 ID:+L7Of4EVo

うう……息をするのも苦しくなってきた。

俺が悪かった、悪かったから、



『いい加減にしてよ!』



とは言えずー、カチコチと時計の音だけがラボに鳴り響く。


もう、ストレートに「帰れ」、と伝えてしまおうか?


いや、そんなことを言えば、三度目の衝撃が来かねない。

俺にはわかる。

127: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:36:36.62 ID:+L7Of4EVo


この神聖構ってちゃんが、


何もせずにこの気まずい空気の中、


帰りたがりもせず、こちらをジッと見つめてるということは、


俺のリアクションを待っているということに他ならない。


ここで間違った選択をすれば、
取り返しのつかないことになるであろうということが、
俺には空気で感じ取れる。

128: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:38:20.62 ID:+L7Of4EVo


       ―――岡部さん……。


頭に何かが浮かんでくる。
これと似たような空気が、あったような……?


       ―――ボクと……コ……ト……に。


考えろ、考えるんだ!
こういう時はどうしたらいいのか!

129: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:39:55.12 ID:+L7Of4EVo


―――……ビトに……って…くださぃ。


アッ―!
しっかりしろ俺の灰色の脳細胞よ!
あれは〝なかったこと〟になったはずだ!!


―――〝なかったこと〟にしてはいけない。


うるせぇぇぇえええ!!
こまけぇこたぁいいんだよ!!

130: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:41:23.16 ID:+L7Of4EVo

よし、それとなく帰れば?と言おう。

大丈夫、自分を信じろ岡部倫太郎。
鳳凰院凶真を信じる、岡部倫太郎を信じろ!

俺を誰だと思っている!?





岡部「あー、紅莉栖?
  ……その、そろそろ帰らないのか?」





紅莉栖「……岡部は、私に帰って欲しいのか?」

132: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:43:01.39 ID:+L7Of4EVo


ワットゥ?何?何で?

どういうことなの?どうしたらいいの?

そんなこと俺に言われても、どうしようもないだろう。

そもそもお前がシカトするから、

俺はこの気まずい空気に耐えられなくなってるわけで、

そんなこと言われる筋合い無いぞ?

133: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:44:37.09 ID:+L7Of4EVo


あー、なんかだんだん腹が立ってきた。

ここはビシッと言ってやろう。



岡部「……だがな、助手よ。

  そこでジーっとこちらを見ながら、

  話しかけてもシカトされるわ、

  土下座してもシカトされるわじゃ、

  いい加減こちらも居心地が悪いわけだが……?」



紅莉栖「……」

134: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:45:41.12 ID:+L7Of4EVo


またシカトされた。

もういっそ俺が出ていくべきか?

そう考えてると、突然空気が変わることになる。







紅莉栖「……ジワッ」

135: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:47:16.07 ID:+L7Of4EVo

なん……だと……?

助手がちょっと涙目になってないか?

俺、何か悪いことしたっけ?

携帯のことは全力で謝っているのに、

何が悪いんだ?



どうしてこうなった!どうしてこうなった!

137: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:48:26.67 ID:+L7Of4EVo


岡部「え、あ、いや、あの?

  ……紅莉栖さん?」



紅莉栖「……ナイテ……ナンカナイカラナ」



ボソボソ喋ってる。

あーあー聞こえない聞こえない。

……本当にどうしたらいいんだ……。

仕方ない。

ここは恥を被ってでも、聞き出すしかないか。

138: 次回ニ続ク 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 01:50:54.88 ID:+L7Of4EVo


岡部「……わかった、わかったよ。

  俺が全て悪かった。

  だから、

  何がそんなに気に入らないのか教えてくれないか?」


紅莉栖「……それは―――」



―――Beginning of fight―――



155: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:47:18.01 ID:+L7Of4EVo

―――Beginning of fight―――

またかよっ!
今何時だと思ってるんだ!
何で今日に限って、こんなに携帯が鳴るんだっ!

―――Beginning of fight―――



紅莉栖「……出ないの?」

岡部「え?」

紅莉栖「……出れば、いいじゃない……」

156: 何か書き込み失敗出る件 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:48:28.00 ID:+L7Of4EVo

いや、そんな顔されたら出れるわけないだろう。
わざとやってんのか?


―――Beginning of fight―――


岡部「ええい!うるさい!」

紅莉栖「ビクッ」


俺は携帯を取り出し、
ピッピッとボタンを操作する。
そして、音は鳴り止んだ。

157: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:49:29.45 ID:+L7Of4EVo

岡部「助手よ!これで満足かっ!」

紅莉栖「ジー」



俺は、電源を切った携帯の画面を助手に突き付けた。

ちなみにこの時、着信が誰だったのかが見えたのだが、

何とこんな時間に、ルカ子からの電話だった。

強引に切ってしまったから、後で泣かれるかもしれない。

泣かれる理由には、心当たりがない。

うん、俺は知らない。

すまんなルカ子よ、今はそれどころではないのだ。

158: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:50:37.04 ID:+L7Of4EVo

紅莉栖「……何で?」

岡部「は?っや、何でってお前、
  俺が携帯に出てるから怒っているのだろう?
  流石の俺でも空気は読むぞ」

紅莉栖「……別に、怒ってなんかないわよ……」




どう見ても怒っていたじゃないですかと、
頭に出来たコブが自己主張を続けている。

159: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:52:02.10 ID:+L7Of4EVo


紅莉栖「……ただ、岡部は……私と会話するより、
   電話に出たほうが気楽なんでしょ?

   だったら出ればいいじゃない。
   私のことは放っておいて……」


と言うと、
うーぱのクッションに顔を埋めてしまった。

え?

まさか、今まで黙ってシカトしてたのって、
それが理由?

160: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:53:02.27 ID:+L7Of4EVo

それだけ?
紅莉栖が、俺と会話したくなかったんじゃなくて、


俺が、紅莉栖とまともに会話しなかったから黙ってた、


とでも言うのか?
う、うわぁ……この助手……。





めんどくSEEEEEE!!!!

161: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:54:27.77 ID:+L7Of4EVo
あれ?
それよりこれってもしかして……?
嫉妬か?嫉妬なのか?

oh shit!


俺が紅莉栖と喋らないで電話してたから、
その電話相手に嫉妬して怒ってた。


とかそういうことなのか??
いや、この場合は電話相手ではなく、

携帯電話そのものに、か?

そう考えると辻褄が合うような気がしてきた。

162: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:56:06.24 ID:+L7Of4EVo

最初は、

紅莉栖のディベート――しかし、口を挟むことは許されない――を、

聞き流しているから、

自分と会話しようともしない姿勢に、




怒った。  ―――相互干渉の嫉妬。

164: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:57:33.03 ID:+L7Of4EVo

次に、

俺がやっと会話しようと話しかけた所を、

ダルからの電話で遮られ、

自分との会話よりも、

電話での会話の方を優先したことに、




怒った。  ―――優先順位の嫉妬。

165: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:58:36.27 ID:+L7Of4EVo

最後に、

それに対して注意をしているにも関わらず、

俺がそっちのけで携帯のメールを見だしたことにより、

自分との会話は、

他のことよりも重要性が低い内容である、

と勝手に解釈し、

そこに対して、




怒った。  ―――価値判断の嫉妬。

166: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/07(火) 23:59:38.14 ID:+L7Of4EVo

結果、

紅莉栖の中で導き出される解は―――


自分と会話するよりも、

電話と会話している方が気楽なんだから、

自分は会話しない方が、




良いのだろう。  ―――天才少女のメランコリィ。

167: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:01:29.43 ID:gDfAsKJNo

ハハッワロス。

それで俺がいくら謝っても、

シカトしてたとか?

俺の行動で、


〝機嫌が悪くなったこと〟に謝ってても、


意味がないから?

168: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:02:17.08 ID:gDfAsKJNo

ハハッワロス。

それで俺がいくら謝っても、

シカトしてたとか?

俺の行動で、


〝機嫌が悪くなったこと〟に謝ってても、


意味がないから?

169: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:04:14.60 ID:gDfAsKJNo

そしてあまつさえ、

遠回しに「帰れ」って言ってしまった俺に、

さらなる怒りと、


〝自分の存在はいらない〟んだと仮定してしまうことによる、




哀しみの心象を抱いたとか?

            ―――哀心迷図のバベル。

170: 重い指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:07:54.75 ID:gDfAsKJNo

で、

俺が痺れを切らして、

お前と居ると居心地悪いんだよ、

って言ってしまったことから、




仮定が確定に変わってしまった、と?


       ―――ねえっ!聞こえないの!?
              私……ここにいるんだよ!?

171: 重い指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:09:26.87 ID:gDfAsKJNo

おお、何か繋がってきた気がしたぞ!

流石は俺の、IQ170の怜悧なる頭脳だ!

これは完全に、

天才魔法HENTAI少女くりす☆ティーナ、

の思考を暴きだしたZO!




フゥーハハハ!!

172: 重い指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:13:24.99 ID:gDfAsKJNo

ついにこの俺にもフェイリスの特殊能力!

 チェシャー・ブレイク
チェシャ猫の微笑が目覚めたということか!


フゥー……自分の才能が恐ろしいな……。



ああー、それでか。

それで哀しくなって涙目になっちゃった、
ってか?

はいはいワロスワロス。

173: 酷い重い指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:16:44.03 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「……グスッ」



そういえば、これと同じようなことがあったような……。



     ―――おい、クリスティーナ。

     ―――うるさい。話しかけるな!



あの時俺は、
何て言ってこいつを慰めたんだっけ?

174: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:18:26.33 ID:gDfAsKJNo

大体、紅莉栖も紅莉栖だ!

お前はこんなに心根の弱い奴だったか?

お前はどんなことがあっても、

自分の存在が消えることを知っても、

平然としていようと、



そういう姿勢を貫こうとしていたじゃないか?

175: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:22:42.97 ID:gDfAsKJNo

―――……怖くないかって訊いた……?
            怖いに決まってるでしょ!

―――……〝なかったこと〟になるかもしれない。

―――……かもしれない。
             かもしれないっ。
                     かもしれないっ!

―――……こんなの全然論理的じゃない。
                 仮説にすらなってない。

―――……妄想を垂れ流す脳の機能なんか、
                 全面カットしてやりたい!

176: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:25:13.42 ID:gDfAsKJNo

失われた記憶が。

俺の頭に蘇る。

そうだ、そうだったな。

こいつは天才で、

黙っていれば美人で、

でも粘着の@ちゃんねらーで、



ただただ純粋に科学と実験が好きな十八歳の女の子。

177: 書込ミニ失敗シタ模様出過ギ 投下遅レル 2011/06/08(水) 00:28:11.99 ID:gDfAsKJNo

そして、過去の失敗により、

大事な人との絆をなくしてしまった、


希望と絶望のパンドラ。


論破癖持ちで、

人格無視なマッドサイエンティストで、




      ―――俺は―――お前に憧れていた。

178: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:29:56.56 ID:gDfAsKJNo

俺は、

いつだって紅莉栖の動きを目で追っていた。

いつだって、紅莉栖の言葉を胸に刻みこんでいた。

いつだって、紅莉栖の語る理論に痺れていた。

本物の科学者で、本物の天才で、

世界を変える発明をするような、




      ――そんな奴がこの世に実在した。

179: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:31:50.88 ID:gDfAsKJNo

そして、

俺はどうしようもなく憧れてたんだ。

その憧れを悟られたくなかった。

まともに名前を呼べなかったのだって、

結局のところ、照れくさかっただけだ。




      ―――『本当の気持ちなんて、
              伝えられるわけないのよ』

180: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:33:53.40 ID:gDfAsKJNo

俺にとっては、

俺にとっては……。

紅莉栖は単なる仲間じゃない。



岡部「紅莉栖、いいか?
  話さなくていいから黙って聞け」

紅莉栖「……」



俺は、無視されても喋り続ける。

181: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:35:40.05 ID:gDfAsKJNo


岡部「お前はすでに我がラボの大切な仲間だ。

  お前にやったラボメンナンバー004バッチはダテではない。

  俺たち、いや俺はお前を頼りにしている。


  だから、お前はいらない存在なんかじゃない」




      ―――今となってはもっと大きな存在だ。

182: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:38:06.87 ID:gDfAsKJNo
岡部「だから、気楽だとか、気楽じゃないとか、
  そんなものはどうでもいいことなんだよ。
  紅莉栖は紅莉栖らしくあればいい」

紅莉栖「……でも、私は私らしくしていたら、
   大事な人を失った……」

岡部「だが、
  お前は間違ったことは言ってはいなかったはずだ。

  どんな時でも論理的で、思ったことは何でも言う。

  友達の少ない実験大好きっ娘、
  ロンリーナを貫き通してきたんじゃないのか?」

紅莉栖「……大事な人を失うのは、もう嫌なの……」


―――『アタシの祈りが、
           家族を壊しちまったんだ』

183: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:40:23.37 ID:gDfAsKJNo

今だそのトラウマは心に強く残っているのか。

仕方がない、
こういう時こそ鳳凰院凶真の出番だな。



岡部「ク、ククク……フゥーハハハ!!
  
  なぁにが、大事な人を失うのは~、だ!
  
  いつもお前は、
  俺を論破しては勝ち誇ったような顔をして、
  見下しながらほくそ笑み、

  バーカ!と言いたげな顔して、

  はい論破ー☆顔洗って出直してきなさい♪
  と俺を蔑んでいるではないか!?」

184: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:42:28.29 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「ぅ……きょ、今日は、
   ……そういう気分じゃないの……」

岡部「お前がいつ、どういう気分であろうとなっ!

  俺が見ているいつもの助手は、

  俺に対して向けられる言葉の数々は、

  自信満々でマッドなサイエンティスト!

  牧瀬紅莉栖、本人のものなんだよ!

  どこでも、いつでもだ!」

紅莉栖「……今日は、私だって理解できないのよ!
   あのアニメを見てから、

   ……アニメ自体は素晴らしい作品だった!
   不覚にも感動してしまったわ!

   でもそれだけじゃないのっ!

   ……心に、引っかかるのよ!
   彼女たちの言葉が……岡部の存在が……」

185: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:45:06.08 ID:gDfAsKJNo

―――『だって、私は……私はまどかとは、
         ――違う時間を生きてるんだもの!!』

―――『…私ね、未来から来たんだよ?
        何度も何度もまどかと出会って、
          それと同じ回数だけ、
      あなたが死ぬところを見てきたの』

―――『どうすればあなたが助かるのか、
      どうすれば運命を変えられるのか、
 
       その答えだけを探して、

      何度も始めからやり直して……!』

―――『ごめんね。
       わけわかんないよね…気持ち悪いよね?』



      ―――……俺は、お前を助ける!

186: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:47:55.36 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「何だか、些細なことでも気になって!
   イライラして、
   そのわけのわからない感情にまたイラついて、

   方程式も、解もない。
   ……ただ、頭の何処かに引っかかる……、
   脳科学者なのにそんなことも解明できないの……」

岡部「それがどうした!?
  俺は俺、いつでも、どこであろうとも!

  狂気のマッドサイエンティスト、

  鳳凰院凶真そのものだ!」

紅莉栖「……」


紅莉栖は、
何か苦虫を噛んだような顔をする。

187: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:49:25.67 ID:gDfAsKJNo





紅莉栖「……岡部、覚えてる?

   私とあなたが初めて会った日のこと。

   私があの時持っていた封筒、

   あれの中身の内容を」

岡部「……ッ!」





188: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:50:57.38 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「……十五分前に出会ったあなたは、

   私を助けるって言った。

   あの時は何のことだか全然わからなかった。

   次に会ったあなたは、「機関」だ何だといって、

   電源の入ってない携帯に語りかける、

   HENTAI厨二病患者になってた、

   まるで十五分前の人間とは別の存在のような、

   私は狐につままれた気分だった」


―――『まどかにとっての私は、
        出会ってからまだ1ヶ月も経ってない、
                転校生でしかないものね』

189: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:53:06.45 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「そして最後にあなたは、

   本当に私を助けてくれた!

   救ってくれた……。

   まるで十五分前のあなたに、

  〝戻った〟ように……」


―――『繰り返せば繰り返すほど、
       あなたと私が過ごした時間はずれていく。
        気持ちもずれて、
      言葉も通じなくなっていく。
         たぶん私は、

    もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う』

190: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:54:55.47 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「……どうして?

   私はずっとわからなかった……。

   だから、あなたを捜していたの!

   一言でもお礼が言いたくて、

   自分の気持ちを確かめたくて、

   どうしても、あなたに会いたくて……」


―――『あなたを救う。
       それが私の最初の気持ち。

     今となっては……たった一つだけ、

        最後に残った道しるべ』

191: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:56:35.11 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「再会した岡部は、
   また変な厨二病患者になっちゃってたけど、
   でもどこか懐かしい感じがして、

   でも心当たりはなくて……」


―――なに!?俺が守れだと!?


紅莉栖「……それでも今日、

   私はひとつの仮説を立てられた」


―――『わからなくてもいい。
       何も伝わらなくてもいい。
         それでもどうか、お願いだから、

     あなたを私に守らせて……ッ!』

192: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 00:58:15.86 ID:gDfAsKJNo



紅莉栖「岡部、……十五分前のあなたと、
              十五分後のあなた」



岡部「紅莉―――」

紅莉栖「何が、違うの!?教えてよ……」

岡部「それは―――」

紅莉栖「答えられないんでしょ?
   だったら私が言ってあげる。



   〝あの論文〟を書いた私がっ!岡部……」

193: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:00:00.40 ID:gDfAsKJNo



紅莉栖は一旦間をあけて、



俺しっかりと瞳に捉え、口を開く。



紅莉栖「岡部!あなたは―――」


―――『そうまでして、
   鹿目まどかの運命を変えたいのかい?』



岡部「紅莉栖ッ!!!」

194: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:01:06.00 ID:gDfAsKJNo

俺は紅莉栖の言葉を遮った。

その言葉は、ダメだ……。

世界線の未来を、


無限の可能性をこのまま保つためには、


どんな障害も存在してはいけないんだ。

そのためにも俺は、

どんな犠牲を被ってでも隠し通さねばならない。

例え気付かれても、言葉にさせてはいけない、

その存在を許してはいけない。

195: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:02:03.11 ID:gDfAsKJNo

俺は、俺だ。

一人の人間で、

学生で、

狂気のマッドサイエンティストで、

鳳凰院凶真であり、岡部倫太郎でもあるんだ。

それ以上でも、それ以下でもない。



紅莉栖「どうして!?
   何で言わせてくれないの!?
   やっぱりあなたは―――ッ!?」



俺は紅莉栖を抱きしめていた。

196: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:03:14.63 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「……岡……部……?」

岡部「……お前が何を喋っても、

  俺を論破しても、

  俺の存在が変わったことがあったか?

  どんなことがあっても、

  俺は変わらない。

  〝なかったこと〟にしたことはない。

  お前の話しを聞かなくても、

  お前に無視されても、

  俺は俺、鳳凰院凶真であり、

  岡部倫太郎なんだよ……」

197: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:04:46.90 ID:gDfAsKJNo

紅莉栖「……岡部」

岡部「だから、

  お前はイラつく必要もないし、

  方程式も、解もいらない。

  わからなくてもいい、

  何も伝わらなくてもいい。

  紅莉栖は紅莉栖らしくていい。


     ―――他には何も考えるな」

紅莉栖「……うん」

198: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:06:32.87 ID:gDfAsKJNo

岡部「お前はここに居ていいんだ!

  俺も、

  ダルも、まゆりも、萌郁も、

  ルカ子も、フェイリスも!

  そして、今は居ないラボメンナンバー008も!


  お前の存在を望んでる!

      ―――紅莉栖じゃなきゃダメなんだ!!」

紅莉栖「……うん」

199: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:09:17.37 ID:gDfAsKJNo


岡部「だから、心配するな。

  俺は、

  俺たちはお前をいらないなんて思ってない。

  ここにいてくれれば、それだけでいい。

       ―――余計なことは考えなくていい」


紅莉栖「……うん」

200: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:10:53.54 ID:gDfAsKJNo


岡部わかったな?わかったら、

  いつものクリスティーナに戻るのだな!

  お前がそんな調子だと、

  俺の調子が狂うんだ。

  居心地が悪いんだよ。

  だから、紅莉栖は助手として、我がラボの頭脳!

  クリティーナとして存在し続けろ!


  これは俺との、約束だぁッ!!

               ―――フゥーハハハ!!!」

紅莉栖「うん……岡部、あのね?」



紅莉栖が、優しく語りかける。

201: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:11:55.01 ID:gDfAsKJNo





紅莉栖「私、岡部に伝えなきゃいけない言葉があるの」






202: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:13:03.42 ID:gDfAsKJNo



……あれ、ちょっと待って。

これ何か、

良いふいんき(何故かry)なんじゃね?

俺は今更、

自分が今している行動に対しての、

自覚が芽生える。



   ―――これは、未来へのタイムトラベル!!



   ―――さよなら。私も、岡部のことが……。

203: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:14:00.51 ID:gDfAsKJNo



紅莉栖「私もっ!岡部のことがっ!!……大―――」

        ―――バタンッ!






急に、ラボのドアが開け放たれた。

俺と、紅莉栖の顔がそちらへ向く。

204: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:14:37.37 ID:gDfAsKJNo





ダル「イイハナシダナー!!!;;」






は?

205: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:15:49.00 ID:gDfAsKJNo


まゆり「ダ、ダルくーん!!
   ダメだよぉ~……とってもいい所だったのにぃ」


ダルと、
何か板持ったまゆりがラボに入ってくる。
え?


フェイリス「もー!
     ダルニャンは、せっかちなのニャ!」


聞きなれた声がどんどん増えていく。

206: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:16:40.83 ID:gDfAsKJNo

カシャッ!というシャッター音も聞こえた。


萌郁「……惜しい……」


ちょっと展開についていけない。


ルカ子「ごめんなさい……ごめんなさい岡部さん……」


何か涙目のルカ子も来た、
ってこれでラボメン全員か。

207: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:17:45.75 ID:gDfAsKJNo


ダル「数多の◯◯ゲーをやった僕でも感動した!

  オカリンは人生!」


まゆり「あのね、
   ごめんねオカリン?……これー」




板を掲げるまゆり。

208: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:20:27.32 ID:gDfAsKJNo

その手には、


 ―――――――――――――
|   ドッキリ大成功       |
|リア中\(^o^)/爆発しろー☆|
 ―――――――――――――


と書かれた板が高らかに挙げられていた。

209: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:21:44.63 ID:gDfAsKJNo

岡部「どういう……ことだ……助手よ?」

紅莉栖「え、え、え?何??何なの???」


俺が聞きたい。


フェイリス「そういうことニャのニャン」

ルカ子「すみません、
   岡……凶真さん。ボクたち、その……」

ダル「みんなは悪くないお!
  これは僕が発案したことッ。
  フェイリスたん、
  君は僕が必ず守ってみせる(キリッ」

211: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:23:13.74 ID:gDfAsKJNo

は、発案……だと?
それはつまり、どういうことだ?


まゆり「あ、あのね~、まゆしぃがね、
   ダルくんに、

   『オカリンと紅莉栖ちゃんが一緒にアニメ見てるみたい☆』って、
   メールを送ったのです」

ダル「それで、オカリンの野望を察知した僕が、
  その野望を阻止すべく、立ち上がったというわけ」


全然わかりません。

213: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:24:55.96 ID:gDfAsKJNo


フェイリス「雨も弱くニャってきたし、
     ラボに行くニャら今しかニャい!
     ってことで、
     みんなを拾って移動してきたのニャ!」

岡部「お、お前たち……アニメは?

  『まど☆マギ』見てたんじゃないのか?」

ダル「まあ、みんな視聴済みだったし。
  それよりも、
  オカリンと牧瀬氏の行方のが気になるっつーか、
  許せないっつーか?」


だんだん、話しが見えてきた。

214: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:26:04.02 ID:gDfAsKJNo


ダル「で、僕がオカリンと牧瀬氏が良い雰囲気になったら、
  凸しようってことでみんなラボの前で張ってたんだお」


ああ、そういう、ことか。
このラボは、声が外によく漏れる。


岡部「どこから、聞いていたのだ?」

ダル「牧瀬氏が、
  オカリンに無視されてた所から」

215: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:27:04.80 ID:gDfAsKJNo


ほぼ全部じゃねーか。

俺は他のラボメンの目を一人一人見渡す。
まゆり以外は全員目を逸らした。


ダル「でも聞いてる内に、
  牧瀬氏があまりにもクァイイくなってしまいましてね。

  ……ちょっと我慢出来なくなったってゆーか……」

フェイリス「結果的に妨害しちゃったのニャ。
     残念だったニャー」

まゆり「ごめんねオカリン、クリスちゃん……」

216: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:28:10.25 ID:gDfAsKJNo


まゆりが悲しそうな顔をする。
俺はもっと悲しい顔をする。




萌郁「……二人とも、
  こっちを向いて……?」カシャッ





217: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:29:42.42 ID:gDfAsKJNo

俺は気付いた、


紅莉栖抱きしめたままだと。


慌てて離すも、もう遅い。
この現象、何て言うんだろうか。


エターナルフォースブリザード、紅莉栖は死ぬ。


え?ちょ、紅莉栖さん倒れましたで?



岡部「お、おい!
  クリスティーナ?クリスティーーーーッナ!!」

紅莉栖「……キュー」

218: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:30:48.41 ID:gDfAsKJNo
―――――――――――――――――
   ―――――――――――――
     ――――――――――
       ―――――――


それから俺たちは、

ぶっ倒れた紅莉栖を介抱して、

その日は解散となった。

夜中勝手に家を出たまゆりやルカ子は、

家族怒られて、

一週間は学校以外外出禁止になったりしたという。

219: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:31:50.38 ID:gDfAsKJNo

もちろんフェイリスも、執事に絞られてしまったそうだ。

ダルは、

何故かあれから鬱になったとかで、

ラボに一週間は顔を出さ無かった。

萌郁は、

シスターブラウンが魔法少女にはまってしまったらしく、

それが、ミスターブラウンにバレて、

しばらく怒られっぱなしだったそうな。

まあ、あんなアニメにはまれば、

そうなるのもやぶさかではないか。

220: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:32:24.47 ID:gDfAsKJNo

ぶっ倒れた紅莉栖は、

しばらく口も聞いてくれなかった。

電話もメールも完全無視。

ラボにも顔出さないし、

ほとぼりが冷めるまでは、

もうダメそうだ。

221: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:33:14.37 ID:gDfAsKJNo

最後に、

あいつは何を言いかけたんだろう?

この世界線でも、

紅莉栖の言葉は最後まで聞けないんだな。

これも収束か?違うか。

これは俺たちの、選択の結果だ。

まあ、これから時間はたくさんある。

ゆっくりと、いつかまた聞けばいいさ。

223: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:33:48.14 ID:gDfAsKJNo





岡部「交わした約束、忘れないよ」






224: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:34:44.83 ID:gDfAsKJNo


―――命の主張と、無意味な証明―――


まゆり「わーーー☆みんなカワイーーよぉ~」

ルカ子「ボク……恥ずかしいぃ……」

ダル「うはwwwwおkwwww」

萌郁「……円環の……断り?」

225: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:36:17.30 ID:gDfAsKJNo


―――あなたには、退屈しのぎに、足らぬ滑稽―――


フェイリス「ニャーン!フェイリスの魔法!

     チェシャー・テンプテーション
     チェシャ猫の誘惑ニャ!……食うかい?」

ダル「ありがとうございます、ありがとうございます!
  その槍で僕を貫いてください!お願いします!」

紅莉栖「HENTAI自重しろ」

岡部「あまり騒ぐなお前たち!外に聞こえるぞ!」

226: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:37:12.84 ID:gDfAsKJNo


―――支配者きどりの、愚かな種族は―――


まゆり「みんながコスプレしてくれて~、
   まゆしぃはとっても嬉しいなって♪」

紅莉栖「……まゆりのために着てるんだからなっ!

   岡部!勘違いしないでよ!」

岡部「まだ、何も言ってないわけだが」


ダル「オカリン、言い忘れてたことがあるお。


              ―――今すぐ爆発しろ」

227: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:38:07.48 ID:gDfAsKJNo


―――うぬぼれた、稚拙な定理を、並べた―――


岡部「ダル、その言葉、
  いつかそっくりそのまま返してやるから覚えてろ?」

ダル「どういう意味だお?
  ……まさか、
  僕とフェイリスたんの仲を取り持って!?」

岡部「あ、それはない」

ダル「―――リア充……死ね」

228: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:39:04.78 ID:gDfAsKJNo


―――『無限』と、信じた愛も―――


ルカ子「ボク、おかb……凶真さん!」

岡部「な、何だルカ子?」

ルカ子「ボクは……ボクは……!

   ―――後悔したくありません!!」

岡部「!?」

ダル「ちょwwwwこの展開wwww」

229: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:40:18.48 ID:gDfAsKJNo


―――空の彼方も―――


紅莉栖「まさか、これは……」

まゆり「トゥットゥルー!トットゥルー☆」

萌郁「……禁断の……愛」


―――僕たちに、示された、仮想の自由―――


岡部「落ち着けルカ子!
  後悔なんてあるわけない!!」

ルカ子「ボクと、ボクと……」

ダル「ハァハァ、僕的にはこの展開、
  全然有りな件」

230: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:41:03.06 ID:gDfAsKJNo


―――『有限』それは、無慈悲に、時を刻み―――


紅莉栖「あ!岡部が逃げた!!」

ルカ子「ぁ……待ってぇ!岡部さん!!」


―――明日さえも、否定する、選択へ―――


岡部「その未来は嫌だあああああアッ―!」


    ―――Hacking to the Gate―――

231: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:41:57.11 ID:gDfAsKJNo


―――いくつもの、輝ける日々、仲間との約束―――


岡部「俺は今日も生きる」


―――〝なかったことには〟、してはいけない―――


岡部「この世界で、無限の可能性を観測し続ける」


―――そのために、時を欺く、残された仕掛けに―――


岡部「仲間との約束を守る、犠牲は無駄にはしない」


―――もう迷いはない、孤独の観測者―――


岡部「だから俺は、『戦い続ける―――』」

232: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:47:38.32 ID:gDfAsKJNo
                            
 ―作者―
暇を持て余した       ・原作ゲーム  Steins;Gate
  指圧師          ・小説      Steins;Gate 円環連鎖のウロボロス①②
                ・他漫画・ドラマCD各種、フリーゲームのRPGのも
                ・アニメは現在放映中のとこまでで、


・原作アニメ 魔法少女まどか☆マギカ             ―読者―
・漫画版   魔法少女まどか☆マギカ一・二・三巻     神々の遊び
・他漫画   魔法少女おりこ☆マギカ          VIPPERと愉快な仲間たち

233: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:48:45.98 ID:gDfAsKJNo

まゆり「オカリン屋上にいるよー!」

ダル「逃げ場はないお!」

紅莉栖「待ちなさい!岡部」

萌郁「……みんなで……写真……ティロ……フィナーレ♪」

ルカ子「聞いてください!凶真さーん!!」

フェイリス「逃がさないニャアー!!」

234: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:51:10.30 ID:gDfAsKJNo

岡部「フ、フフ、フゥーハハハ!

             ラグナロック
  聞けぇ!今ここに最終聖戦の勝敗は決した!」


岡部「『魔法少女まどか☆マギカ』とこの俺、
  狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真は、
  そのアインシュタインにも匹敵するIQ170の怜悧なる頭脳により!
  ――〝機関〟及びインキュベーターのあらゆる攻撃に対して、
  
  時空を操ることで完全に勝利した!

  我らは神に等しき存在になったのだ!
  そして!たどり着いたこの大いなる地平こそ、
  我らが野望の叶う世界!世界の支配構造はリセットされ、
  混沌の未来が待つであろう!


  そうっ、まさにっ、これこそがシュタインズ――」

紅莉栖「岡部」

235: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:52:18.16 ID:gDfAsKJNo

ふいに。

宣言を続けている最中なのに、紅莉栖の声で遮られた。

なんだか、この展開覚えがあるぞ―――



     紅莉栖「厨二病乙」



くそっ!!やっぱり助手は助手!!

しおらしかったのはあの時だけかよっ!

そう考えてると、ラボメン全員が俺を見て、



何かを待っている。

236: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:53:26.50 ID:gDfAsKJNo


紅莉栖「……続き、聞かせて?」


紅莉栖がシャベッタアアアアアアア!!!








紅莉栖「今の言葉の、続き……」

237: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:54:29.20 ID:gDfAsKJNo



―――だから今、1秒ごとに、世界線を越えて―――



まゆり「オカリン♪」

                 ダル「オカリンwww」

238: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:55:22.83 ID:gDfAsKJNo



―――君のその笑顔、守りたいのさ―――



紅莉栖「岡部!」

           萌郁「……岡部君……!」

239: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:56:15.61 ID:gDfAsKJNo



―――そしてまた、悲しみの無い―――



ルカ子「凶真さん!」

             フェイリス「凶真!」

240: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:57:21.16 ID:gDfAsKJNo



―――時間のループへと―――



鈴羽「岡部倫太郎!おじさん!」



―――飲み込まれてゆく―――



岡部「フ、フハハ!
  ……そうっ、まさにっ、これこそが―――」

242: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 01:58:51.01 ID:gDfAsKJNo





―――孤独の観測者―――






 シュタインズ・ゲート
<Steins;Gate>の選択だよ―――

243: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 02:00:16.15 ID:gDfAsKJNo
There is no end though there is a start in space.
--- Infinity.

宇宙に始まりはあるが、終わりはない。
――― 無限

It has own power, it ruins, and it goes though there is a start also in the star.
--- Finite.

星にもまた始まりはあるが、自らの力を持って滅びゆく。
――― 有限

Only the person who was wisdom can read the most foolish one from the history.

英知を持つ者こそ、もっとも愚かであることが、歴史からも読み取れる。

The fish that lives in the sea dosen't know the world in the land. It also ruins and goes if they have wisdom.

海に生ける魚は、陸の世界を知らない。彼等が英知を持てば、それもまた滅びゆく。

It is funnier that man exceeds the speed of light than fish start living in the land.

人間が光の速さを超えるのは、魚達が陸で生活を始めるよりも滑稽。

It can be said that this is an final ultimatum from the god to the people who can fight.

これは、抗える者達に対する、神からの最後通告と言えよう。

246: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/06/08(水) 02:04:15.05 ID:gDfAsKJNo
スレ ほむら『交わした約束、忘れないよ』岡部「(´;ω;`)ブワァッ」

マジカルチャプター
『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート― 
                魔法少女のエントロピー』



          ┼ヽ  -|r‐、. レ |   企画・製作 
           d⌒) ./| _ノ  __ノ     VIP

370: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/12(火) 00:02:42.89 ID:y148cEoTo
―次回予告―

―――せつなさを超えて、今呼び合う瞳―――



『……お前は、1年もしないうちに』



―――運命が見つけた、絆―――



          『再びタイムトラベル理論と向き合うことになる』



―――壊れそうなもの、溢れてる世界で―――



「オカリン!歯ぁくいしばれ!!」



―――永遠と、呼びたい、君に―――



               「俺は……まゆり、紅莉栖……ッ!!」

371: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/12(火) 00:07:55.13 ID:y148cEoTo



―――出逢えた、ことだけは―――



「――エル・プサイ・コングルゥ!!」



『Steins;Gate―シュタインズ・ゲート― 円環のリーズン』

―近日公開―

389: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:16:45.57 ID:B6tD/Rdxo



     ――最終話 わたしの、最高の友達――



390: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:18:54.82 ID:B6tD/Rdxo
     ―――だったんだね』



ほむら『だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、
    大好きな人たちとも離れ離れになって、
    こんな場所に、独りぼっちで永遠に取り残されるって言うの?』


まどか『独りじゃないよ?みんな、みんないつまでも私と一緒だよ。
    これからの私はね、いつでもどこにでもいるの。
    だから見えなくても聞こえなくても、

      私はほむらちゃんの傍にいるよ?』

ほむら『まどかは…それでもいいの?
    私はあなたを忘れちゃうのに?
    まどかのこと、

    もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?』


まどk...『ううん。諦めるのはまだ早いよ。
    ほむらちゃんはこんな場所まで付いて来てくれたんだもん!
    だから、元の世界に戻っても、もしかしたら私のこと、
    忘れずにいてくれるかも。

    大丈夫、きっと大丈夫。信じようよ!』


ほむら『まどか……』

391: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:20:20.86 ID:B6tD/Rdxo
まd......『だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから。
    きっとほんの少しなら、
    本当の奇跡があるかもしれない。

    そうでしょ?』


ほむら『まどか……行かないで……ッ!』




ま.........『ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと』


ほむら『……ッ!!』






m............『いつかまた――』

392: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:23:07.87 ID:B6tD/Rdxo

     『――もう一度ほむらちゃんとも会えるから。
     それまでは、ほんのちょっとだけお別れだね』



ほむら『まどかぁぁぁぁぁぁああああッ!!』



光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
そして、


――世界は、再構成される!――


岡部「まゆり……紅莉栖……」


俺は、全てを失った。
もはや、この世界にはなんの価値もない。


マジカルチャプター
『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート―
                     円環のリーズン』

393: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:25:52.26 ID:B6tD/Rdxo
去年の夏、俺は大切な人を失い、大事な人を救った。

仲間の想いを犠牲にし、
大切な人の命を差し出し、俺はここまでたどり着いた。

だが、その結果、俺に待っていたのは……。
世界の絶望と、大事な人までもの喪失だった。



‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

394: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:27:19.66 ID:B6tD/Rdxo
岡部「ほっといてくれ……俺のことなんか……ッ!

   何度やったって結果は同じだ」

鈴羽「何言ってんの!?諦めるつもりッ!?
   オカリンおじさんの肩にはさ、

   何十億人っていう人の命がかかってるんだよ?
   たった一回の失敗が、なんだっていうん」

岡部「紅莉栖はどうやったって助けられない!!

   世界線の収束には逆らえない……」


鈴羽「こうなったら、ビンタしてでも気合を入れなおして……!」

まゆり「ダメだよっ!無理強いするのは……良くないよ――」

395: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:29:32.61 ID:B6tD/Rdxo
     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐



たどり着いた先には、絶望の未来が待っていた。     ――第三次世界大戦。
希望を祈り、そのために全てをかけた俺の計画は、   ――最終聖戦。
音もなく忍び寄った、絶望に塗り替えられる。       ――世界線の収束。


――紅莉栖。

去年の夏、世界線を越えた出会いによって、三週間を共に過ごした人。

ラボメンナンバー004、俺と張り合い、俺と対話し、俺を助け、

俺の想いに応えてくれた、ラボの大切な仲間。

俺にとって大切な人、何よりも、誰よりも大切な女。

絶対に忘れられない存在……。

そんな彼女を、犠牲してまでたどり着いたのがこの世界だ。

396: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:31:12.33 ID:B6tD/Rdxo
ここは、β世界線。

紅莉栖が生きていたα世界線を越え、
ダイバージェンス1%オーバーの結果。

俺が殺した、紅莉栖のいる場所。


もう沢山だった。
神は、俺を散々弄んで、ボロ雑巾のように捨てさった。  ――タイムマシン。
希望を与えては、絶望の底へと突き落す。         ――過去と未来。
そうして、俺の心は死んでいった。              ――確定した結果。


それでもここまで生きていけたのは、
俺が救った、大事な人がいたからだ。
たったひとつだけ、残されていた希望。
こんな歪んだ世界で、俺を支えてくれてきた。


だが、彼女ももう、ここにはいない。
行ってしまった……跳んでしまった……。




‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

397: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:32:47.71 ID:B6tD/Rdxo
岡部「待て!待ってくれッ!まゆり行くなッ!!」

まゆり「ごめんね、オカリン。でも、決めたの」


岡部「クソ、クソォ!!なんでだよ、なぁ、鈴羽!?

   なんでお前はあの時、俺の前に現れたんだよ!!
   俺はこの結末を、受け入れようとしていたのに……。

   なんで中途半端に希望を与えたんだよ……。
   その上、今度はまゆりまで連れて行くのか!?

   ……なぁまゆり?お前は何もしなくていい。何かしたらダメなんだよ?
   でないと、みんなの想いを犠牲にしたことが無駄になる。

   ……紅莉栖の死が、無駄になってしまう……そんなの俺は……」

まゆり「だからってね?〝なかったこと〟にしたらダメだよ」

岡部「まゆり……」


まゆり「雨が降っても、星は、世界から消えちゃうわけじゃないもん――」

398: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:34:03.31 ID:B6tD/Rdxo
     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐




「オカリン……」


誰かが、俺を呼んでいる。
だがそれも、今となってはどうでもいいことだ。
俺という存在の価値は、消えたに等しい。


「オカリン……おい、オカリン」


やめてくれ、俺の名前を呼ばないでくれ……。
許してくれ、紅莉栖。
……まゆり。


ダル「オカリンッ!しっかりしろよオカリン!!」

岡部「……ダル……」


名前を呼んでいたのは、ダルだった。
……俺を、責めにきたのか?


岡部「……なんの用だ?」

399: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:35:07.16 ID:B6tD/Rdxo
ダル「オカリン……いつまでそうしているつもりなんだお?」

岡部「……ほっといてくれ。……独りになりたいんだ」

ダル「……みんな、心配してるお?……るか氏も、フェイリスたんだって」


岡部「いいから!ほっといてくれって言ってるだろ!?……もう何も考えたくないんだ……」

ダル「オカリン……」


心配なんてしなくていい。
俺のことなんか……放っておいてくれていい……。
もう嫌なんだ、これ以上何かを考えるのが……。

俺の行動は、世界を歪ませる。

400: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:36:33.28 ID:B6tD/Rdxo
もういいだろ、俺は良くやったろ?

たかが大学生が、人の命を救うだの、世界を救うだの、
頑張ってきたんだぞ?
結果は全て失敗、それだけだ。

俺に任せたのがダメだったんだよ。

そうさ、俺はただの厨二病患者で、
ただ世界に対して息巻いて、遊んでただけの子供だったんだ。
そんな俺に、本当の救世主になれだとか、間違ってたんだよ。

なんだよ、リーディングシュタイナーって?
なんでこんな能力が、俺にだけあるんだよ。
おかしいだろ?ふざけているのにもほどがある。
いい加減にしてくれよ、これ以上俺に何も求めないでくれ……。


ダル「なぁ、オカリン」

岡部「……」

ダル「……このままで、いいのかお?」


岡部「どういう意味だ」

401: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:38:26.57 ID:B6tD/Rdxo
ダル「鈴羽も、まゆ氏も、未来のために頑張ってるんだお?」

岡部「……だから?」

ダル「オカリンは、このままで」

     岡部「だから、なんだよ!?」

ダル「……」


岡部「だから俺にも未来を背負えとでも言うつもりか?

   ……お前に、お前に何がわかる!?
   無駄なんだよ、全部、無駄なんだ!
   何をやっても未来は変わらないし、世界は救えない。

   俺にはわかるんだ、お前にはわからないだろうけどな!!」

ダル「そ、そんなこと」


岡部「鈴羽もまゆりもどうかしてる!
   ……俺が、ここまでどんな思いでたどり着いたのか、何もわかってない!

   ……どこに跳んでも無駄だ……。
   世界は歪んだ方向にしかいかないんだよ……」

402: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:40:11.81 ID:B6tD/Rdxo
ダル「やってみなくちゃ、わからないお」

岡部「わかるさ!……俺は観測してきたんだ!この目で!!

   ……ここは元々俺がいた世界線だ。
   未来は決まっていた。
   俺たちはそれに従って生きていくしかなかったんだ……。

   それが世界の選択。
   余計なことをすれば、新たな歪みを生むだけなんだよ……」


ダル「でも、僕は、僕たちは、タイムマシンを作れる」


岡部「……」


ダル「世界に干渉できる……未来の可能性を作れるんだお」


岡部「……可能性?


   ……何が可能性だ、馬鹿馬鹿しい」

ダル「……っ!」

403: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:42:44.97 ID:B6tD/Rdxo
岡部「その可能性を観測出来ない人間たちが、

   いくら未来を作り替えようとしたって無意味だ。

   ……どうせ世界の未来が変わった所で、
   お前らにはわからないんだぞ?

   そのために、自分を犠牲にして、
   世界に抗うなどと行動した所で、

   それはただの自己満足に過ぎない!」


ダル「……それでも!未来を変えることはできるんだから、
   何かしてみることに意味はある!それをオカリンは知ってるんだろ!?

   だから僕は鈴羽を行かせた、行かせられたんだ!
   まゆ氏だって、オカリンのために――」


岡部「そのたびに辛い思いをするのは俺だ!

   ……もうダメなんだよ……なんでわかってくれないんだ……?

   俺に押し付けるなよ……。
   押し付けるんだったら、俺の言うことを聞けよ……」

404: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:45:28.21 ID:B6tD/Rdxo
ダル「……いい加減にしろよ、オカリン」

岡部「……何をしても無駄なんだ、
   だったら俺は何もしない。……もうほっとい――」



ダル「――オカリン!歯ぁくいしばれ!!」



岡部「……ッ!?」


途端に、俺の頬が熱くなる。

何が起きた?いや、殴られたのか……。
わかってる、俺は殴られても仕方ない。

ダルとって、俺が世界を諦めることは、
鈴羽の想いも犠牲にすること他ならない。

父親からすれば、俺は仇のようなものだ。
それぐらいの責任感は、あったということだ。

405: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:47:15.90 ID:B6tD/Rdxo
あの時、力さえあれば……。
鈴羽も、まゆりも、止められなかったのは俺に力がなかったせいだ。

俺に力があれば、二人を止めることも出来た……。
こんなことなら、鍛えておくんだったな。
そしてわからせるべきだったんだ、何をしても無駄だ、と。

……いや、この考えも無駄だな。
おそらく世界は、同じことが起こるように収束を起こす。
あの時、などということを考えても無駄だ、無駄だ、無駄だ。


岡部「……グッ」

ダル「オカリン、明日、僕はもう一度ここにくる」

岡部「……どうした、もういいのか?
   もっと殴ってくれてかまわんぞ?」

ダル「……今のオカリンをどんなに殴った所で、
   お前の考えは改まりそうにないお」


じゃあなんで殴ったんだよ。

406: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:48:18.86 ID:B6tD/Rdxo
ダル「でも、これで少しは目を覚ませたろ?
   その痛みは、明日まで取っておいてくれお」


何言ってんだ、こいつは……。
そういうと、ダルは翻ってラボから出て行った。

いつ来たって無駄だ、俺はもう動けない。
今のこの痛みだって、どうせすぐに忘れるんだよ。


岡部「……全部、世界の選択だ、運命は変えられない」


だから――

407: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:49:51.79 ID:B6tD/Rdxo
――次の日。


ダル「オカリン、これを見るお」

岡部「……は?」


と言って手渡されたのは、なんかのアニメのパッケージ。
なんだ……?

岡部「魔法……少女?」

ダル「まだ全巻揃ってないから、
   最終話付近はこっちの録画して編集した奴を見てお」


いや、いやいやいやいや!

待て待て待て、どういうつもりだ?

408: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:52:48.56 ID:B6tD/Rdxo
岡部「おいダル、これはなんの真似だ?」

ダル「なんのって、
   だからオカリンに明日を戦ってもらうためのやる気をだな――」

岡部「ふざけるなッ!」


馬鹿にするのもいい加減にしろ!
なんだよこれ、なんだよこれ?

魔法少女って、おま、どうみても幼児向け……。
いや、それも女児向けのアニメじゃねーか!!


ダル「ふざけてなんかないお。
   ……これを見て、オカリンにはもう一度良く考えてもらいたい」

岡部「……そんな気分になんかなれない。アニメ?
   ……悠長にアニメを見て、俺に元気を出せとでも?

   まゆりだったら喜んだだろうな。
   ……まゆりもいないのに、俺がこんなアニメ見てなんになる!?

   責めているのか?こうやって、
   『お前のせいでまゆりは、鈴羽は、アニメすら見れないでいるぞ。
   世界は、アニメすら見れない未来になるぞ』、と」

409: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:54:02.10 ID:B6tD/Rdxo
ダル「言いたいことはそれだけ?

   ……うし、準備完了。後は順次再生するだけだお」

岡部「俺の話しはまだ終わって――」

ダル「いいから見ろっつってんだろ!

   話しは見終わった後に聞くから、それじゃ」


と言うと、そそくさとラボから出て行ってしまった。
どうすんだ、これ。


岡部「なんなんだよ、一体」


俺はアニメのパッケージを手に取る。

『魔法少女 まどか☆マギカ』……?
キラキラしたデザインで、
おおよそ朝のアニメ番組として放送されてそうな勢いが伺える。
これを、見ろと?

410: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:55:21.60 ID:B6tD/Rdxo
岡部「……冗談じゃない。
   こんなものを見て、何になるって言うんだ……」


俺はパッケージを投げ捨――


ダル「絶対、今日中に見てくれお?」

岡部「!?」

ダル「じゃ」


突然またダルが現れ、また去って行った。
監視でもしてるのか、あいつは。


岡部「……クソッ」


ダルがセッティングした機材に、俺は手を伸ばす。
そして、俺は、パッケージからディスクを取り出し、
起動させた。

411: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:56:20.71 ID:B6tD/Rdxo
岡部「見ればいいんだろ、見るだけな」


――かくして、ダルが計画した作戦は開始される。

俺と、『魔法少女まどか☆マギカ』による長い夜の幕が開けるのだった。



     『魔法少女まどか☆マギカ』

412: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 22:59:35.34 ID:B6tD/Rdxo
     ――第一話 夢の中で逢った、ような……――


キュゥべえ『僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ』


うむ、アニメだこれ。
軽快に話しが進んで行く。
実に王道でハートフルな魔法少女アニメだな。
朝にやっていれば小さい子供は大喜びだ!
……これを後何話見ればいいのだ?早くも不安の色が隠せない。


     ――第二話 それはとっても嬉しいなって――


まどか『叶えたい願いごととか、私には難しすぎて、すぐには決められないけれど、
    でも、人助けのためにがんばるマミさんの姿は、とても素敵で、こんな私でも、
    あんな風に誰かの役に立てるとしたら、
    それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした』


それは嬉しいだろうな。
……人助け、か……。誰かの役に、か……。
……余計なお世話だ。

413: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:01:14.15 ID:B6tD/Rdxo
     ――第三話 もう何も恐くない――


マミ『体が軽い……。こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて』


まゆりはこういう感じのアニメは確かに好きそうだ。


マミ『もう何も怖くない!!』


まゆりに付き合って、こんなアニメを見るのも悪くはなかっただろう。


マミ『私、一人ぼっちじゃないもの』


この場にまゆりがいたら、助手や俺に反発してそうだ。
               ――だがその助手も、まゆりも、もういない。

マミ『せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて…もらうわよ!』


まゆりも、こういう明るいアニメをみんなで見たかったんだろうな。
               ――みんなで、もう揃うことはないラボメンたち……。

マミ『ティロ・フィナーレ!!』

414: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:03:58.15 ID:B6tD/Rdxo
俺もそういう幸せを、共有してみるのも悪くないと思う。
               ――だがその幸せは、永遠に訪れない。


さやか『やったぁ!』

マミ『ドヤッ』

まどか『あっ』


ん、なんだ?
雰囲気が、変わった。
俺は、この辺りから、このアニメの認識が変わることになる。
何故なら――


さやか『返してよ。返せよ!!
    それは……それは……マミさんのものだ!
    返せって言ってるだろ!マミさんに!』

ほむら『そうよ。これは魔法少女のためのもの。

    貴女達には、触る資格なんてない』


ど、どういうことだ?
今首が、主要キャラの首が……。

そして、エンディングテーマが流れる。
重苦しい雰囲気は、ここから全体へと広がって行った。

415: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:07:07.63 ID:B6tD/Rdxo
     ――第四話 奇跡も、魔法も、あるんだよ――


まどか『生きてると、パパのご飯が……こんなに美味しい』


楽しい魔法少女アニメでは、なかった。
ダルが俺に見せるだけはある、ということなのか?


まどか『ほむらちゃんだって、
    ほむらちゃんのことだって、私は忘れないもん!
    昨日助けてくれたこと、絶対忘れたりしないもん!』  
                            ――忘れたくない、忘れたくないよ……。

――ギリィッ                      ――ボク、忘れたくないです……。

ほむら『貴女は優し過ぎる』            ――君ってさ、いい奴なんだね。

ほむら『忘れないで、その優しさが、
    もっと大きな悲しみを呼び寄せることもあるのよ』   

                            ――すまない……。


暁美ほむら、そう呼ばれた彼女は、主人公に対して冷たくあたる。
いや、冷たい、のか?
こいつが言っていることは、まるで……。

416: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:09:25.57 ID:B6tD/Rdxo


さやか『ん?あ、大丈夫だって!初めてにしちゃあ、上手くやったでしょ?私』

杏子『要するに、ぶっ潰しちゃえばいいんでしょう?』


話しはどんどん進む。
俺はボーっとその光景を眺める。
これに、なんの意味があるんだ?
俺に、何を思えというんだ?


     ――第五話 後悔なんて、あるわけない――


杏子『ふん、トーシロが。ちっとは頭冷やせっての』

『それには及ばないわ』


時間は流れる。
俺の不満は積もる。

こんなことなら、殴られる方がよっぽどマシだ……。
まゆりもいないのに、まゆりもいないのに……まゆり……。

417: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:12:54.48 ID:B6tD/Rdxo
     ――第六話 こんなの絶対おかしいよ――


まどか母『たとえきれいじゃない方法だとしても、解決したいかい?』

                ――……殺した。

まどか母『なら間違えればいいさ』

                ――俺が……殺した。

まどか母『正し過ぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい』

                ――……殺したのは。

まどか母『ずるい嘘ついたり、怖いものから逃げ出したり。
      でもそれが、後になってみたら正解だったってわかることがある』

                ――俺だった。

まどか母『本当に他にどうしようもないほどどん詰まりになったら、
      いっそ、思い切って間違えちゃうのも手なんだよ』


「黙れッ!」


間違えた先には、何もなかった!
……あ……。


「何してんだ……俺」

418: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:13:59.43 ID:B6tD/Rdxo


まどか『さやかちゃん、ゴメン!』

キュゥべえ『今のはマズかったよ、まどか』

杏子『どういうことだオイ……。コイツ死んでるじゃねぇかよ』


不穏な空気と、明かされる真実。


キュゥべえ『魔法少女との契約を取り結ぶ、
      僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、

      ソウルジェムに変える事なのさ』


ダークな世界感なわけだ。
なるほど、面白いアニメだな。
だがそれだけだ、俺にとっては暇つぶしでしかない。
スクリーンの光によって、俺は孤独に照らされ続ける。

独りでいるラボの、寂しさを知る。

419: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:23:08.14 ID:B6tD/Rdxo
     ――第七話 本当の気持ちと向き合えますか?――


ほむら『引け目を感じたくないからって、借りを返そうだなんて、
    そんな出過ぎた考えは捨てなさい』


杏子『だから、キュゥべえに頼んだんだよ。みんなが親父の話を、
   真面目に聞いてくれますように、って』

杏子『奇跡ってのはタダじゃないんだ』

杏子『希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる』

杏子『そうやって差し引きをゼロにして、
   世の中のバランスは成り立ってるんだよ』


希望、希望か……。
そうだな、こいつの言う通りだ。
俺も、こいつみたいに独善的でいられたら……どんなに……。
鳳凰院の名は、こいつにこそ相応しいのかもしれない。


  さやか『あはははははは!!ホントだぁ?
      その気になれば痛みなんて……あはは。完全に消しちゃえるんだ!!』


痛み……。
痛みを消せたら……俺も……。

420: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:24:37.05 ID:B6tD/Rdxo
     ――第八話 あたしって、ほんとバカ――


ほむら『私は貴女を助けたい訳じゃない。
    貴女が破滅していく姿を、まどかに見せたくないだけ』


さやか『ねえ、この世界って守る価値あるの?
    あたし何の為に戦ってたの?教えてよ。今すぐあんたが教えてよ。
    でないとあたし……』


なんだ……これ……。
誰に言ってるんだ?何を言ってるんだ?

俺は――

421: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:25:58.22 ID:B6tD/Rdxo
ほむら『貴女は、……なんで貴女は!

    いつだって!そうやって自分を犠牲にしてっ!!』


                     ――役に……立て……たよ。


ほむら『役に立たないとか、意味がないとか、
              勝手に自分を祖末にしないでっ!!!』


                     ――まゆしぃのこと……重荷に感じてたら、言ってね?


ほむら『貴女を大切に思う人のことも考えて……!』 


                     ――あいつ、なにが……なにが〝重荷〟だよ……!!


          ほむら『いい加減にしてよ!』


                    ――まゆりを助けて。

422: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:27:35.40 ID:B6tD/Rdxo
ほむら『貴女を失えば!
           それを悲しむ人がいるって!
                    どうしてそれに気づかないの!?』


                    ――お前は、ここに、いるのに……!


      ほむら『貴女を守ろうとしてた人はどうなるの!?』


                    ――相対的判断などクソ喰らえだ!!


まどか『ほむらちゃん……?』


まどか『私たちはどこかで……』

まどか『どこかで会ったことあるの?私と』

                 ほむら『そ、それは……』

まどか『ごめん。私、さやかちゃんを探さないと』

ほむら『待って!……美樹さやかは、もう」

まどか『ごめんね』

ほむら『待って』

     ほむら『まどかぁ!!!』


      岡部「やめろォ!!」

423: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:28:52.42 ID:B6tD/Rdxo
俺の声が、ラボに虚しく響く。
気が付くと、俺はこのアニメに魅入っていた。

これがダルの狙いだったのか?
だとしたら、これ以上の責めはないな……。


さやか『誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。
    私達魔法少女って、そう言う仕組みだったんだね……っ!』

     『あたしって、ほんとバカ』


犠牲にするだけ犠牲にして、結局俺は、この様だ。


岡部「誰かの幸せを祈った分、
   他の誰かを呪わずにはいられない。

   ……ハハッ……今の俺そのものじゃないか……!」


どうして、仲間を犠牲にしてまでたどり着いた先が、こんな結末を迎えるんだ?
どうして、大切な人を失ってまで、世界に翻弄されなければならないんだ?
どうして、俺がただひとつ救った命でさえ、俺から離れていってしまうんだ?

どうして、どうして、どうして!!

424: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:30:13.69 ID:B6tD/Rdxo
何が悪かった、誰のせいなんだ?

未来が悲惨な結果を迎えるからか?紅莉栖が死ぬからか?
世界の収束のせいか?それとも神のせいか?
俺から全てを奪い、何が目的なんだ?たかが大学生に、こんな仕打ちを行って、
一体何が面白いんだよッ!クソッ!!

わかってる。全ては俺の、責任だ……。
希望と絶望のバランスは差し引きゼロだ。

……まゆりのために、
全てを忘れて生きていこうとした結果がこれなんだ。

希望の分だけ、絶望も降りかかる。
忘れようとするべきじゃなかった……俺は……紅莉栖を……。
鈴羽と共に、もう一度跳ぶべきだったんだ!結果がわかっていたとしても……。
俺は、逃げた。もう絶望したくなんてなかった!

二度と見たくなかったんだ……仕方ないだろ……?
大切な人を、この手で……あんなこと……ッ!!
それでも行くべきだった。
そしたらまゆりも、鈴羽も、諦めて未来を受け入れるはずだったんだ……。

全て、俺の責任だ……。

425: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:32:42.04 ID:B6tD/Rdxo
     ――第九話 そんなの、あたしが許さない――


ほむら『あの子は誰かを救った分だけ、
    これからは誰かを祟りながら生きていく』


インキュベーター『君たちの魂は、エントロピーを覆す、
           エネルギー源たりうるんだよ』

インキュベーター『今現在で69億人、
           しかも、4秒に10人づつ増え続けている君たちが、
           どうして単一個体の生き死にに、
           そこまで大騒ぎするんだい?』


――57億人死ぬのと、世界中がディストピアになるのとどっちがいいかなんて、
          そんなの俺の知ったことじゃない!!


インキュベーター『これでも弁解に来たつもりだったんだよ?』

インキュベーター『君たちの犠牲が、どれだけ素晴らしい物をもたらすか、
           理解して貰いたかったんだが、どうやら無理みたいだね』


――あいつの……紅莉栖の犠牲を無駄になんか、させないからな!!


岡部「……ハァ……ハァ……ハァ……ッ」

426: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:33:45.89 ID:B6tD/Rdxo

息が苦しい。視界が定まらない。
なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ。


杏子『生温いって、あの時アタシがもっとぶちのめしても、
   アンタは立ち上がってきたじゃんかよ』

杏子『怒ってんだろ?何もかも許せないんだろ?』

杏子『わかるよ……それで気が済んだら目ェ覚ましなよ、
   なぁ?』


杏子『――頼むよ神様、こんな人生だったんだ。
   せめて一度ぐらい、幸せな夢を見させて……』


なんでこんな、なんで、なんで。


  杏子『心配すんなよさやか。

     ひとりぼっちは、寂しいもんな?

     いいよ、一緒にいてやるよ。さやか』


どうして犠牲になれるんだ?
誰かのために、なんで、どうして?

わかってる。俺が一番わかってる……。
犠牲になってみんなが救われるなら、俺は……。

それは叶わない希望。
俺の運命は、決められている。      ――2025年。

427: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:34:59.99 ID:B6tD/Rdxo
先生『はーい、それじゃあ自己紹介いってみよー』

ほむら『あ、あの……あ、暁美……ほ、ほむらです。
    ……その、ええと……どうか、よろしく、お願いします……』


ダル、お前が見せたかったものがわかったよ。
つまり、そういうことなんだろ?


ほむら『私は……。私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。
    彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたいっ!!』


岡部「タイムトラベル」


何度も時間を跳ぶ、ほむら。
俺はこの流れを知っている。
何度やっても、変わらなかった結果を。
過程は違えども、結果は収束する。

どれだけもがいても、
もがいても、もがいてもっ、もがいてもっ!!
どれだけ過去に逃げても変わらなかった、世界の意思。

                 ――……世界が、まゆりの死を望んでる?

認められるわけがない。

428: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:36:24.50 ID:B6tD/Rdxo

     ――雲の向こうで、変わらずに輝き続けてるんだもん。


ほむら『約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる。
         何度繰り返すことになっても、
        必ずあなたを守ってみせる!!!』


     ――というわけで!私が、オカリンの空を覆っている雨雲を、取り払ってくる♪
        ちょっとだけ、待ってて?



岡部「まゆりぃ……なんで帰ってこないんだよ。

   ……お前は、この世界線では生きているはずだろう……?」

429: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:37:32.49 ID:B6tD/Rdxo
俺のリーディングシュタイナーは反応しなかった。
あの二人は、未来を変えられなかった。

過去へ跳んでも、結果は同じ。世界の収束からは逃れられない。
だから、何も変わらない、変わらないはずなんだ。
それなのに……まゆりは、帰ってこない。
まゆりは、死んだ。

岡部「まゆりの生死は、この世界にとって重要な意味を、持たない……」

自問自答。
いや、これは紅莉栖の……。          ――まゆりが死ぬ本当の原因。

俺は二人が、タイムマシンに乗って再び過去に遡ってから、
ひたすらそのことについて考えていた。

α世界線において、まゆりが悪夢の三週間を生き残ることは出来なかった。
そして、まゆりが生き残ることは、そのままそこがβ世界線だという証明にもなった、
はずだったんだ。

だがまゆりは、この世界の未来で生き残ることが確定しているのに、
再び俺の前からいなくなった。
もしかしたら帰ってくる可能性もあるかもしれない。
それでも、あれから何日過ぎても、帰ってくることはなかった。

それが意味するものは、存在的な死ではなく、社会的な死。
まゆりは、社会的に見て、死んだ……。
それでもリーディングシュタイナーは発動しない、まゆりがいないのにぃッ!

430: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:39:02.25 ID:B6tD/Rdxo


ほむら『繰り返す。私は何度でも繰り返す』

ほむら『同じ時間を何度も巡り、
         たった一つの出口を探る』

ほむら『あなたを、
        絶望の運命から救い出す道を』


α世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、まゆりが死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
まゆりが死ぬ原因が、まゆりを殺していたんだ。

ここでは、どうだ?何が起こっている?

β世界線では、まゆりの生死が世界線変動率に影響するものではなく、
重要な過程の中で、紅莉栖が死ななければならないという結果が確定しているだけだった。
そう、まゆりは関係ない。

つまりこの世界では、まゆりが生きていても、死んでいても、
世界にとってそれは些細な出来事に過ぎないのかもしれない、ということだ。

世界線変動率は、人類のたかが一人が死んだからといって、
大幅に変わることはない。
そして、大幅に変わるとされた、2010年はもう過ぎ去った。

因果は、収束は、まゆりがいようがいまいが、もう揺るぎはしない。

431: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:41:13.10 ID:B6tD/Rdxo

     ――第十話 もう誰にも頼らない――


ほむら『まどか……たった一人の、私の友達……』

ほむら『あなたの……あなたの為なら』


岡部「う、ああ……あああ……」


ほむら『私は永遠の迷路に閉じ込められても、
                   ――構わない』


岡部「無駄だぁぁああ!!無駄なんだよッ!?」


頭が、頭が痛い……。かゆい。
でもこの痛みは、タイムリープした時のものでもないし、
リーディングシュタイナーによるものでもない。


岡部「クソッ!クソォォォオオオ!!ちくしょぉぉぉおおおおお!!!」


俺は、我慢できずに暴れまわる。
それでも、アニメは再生され続ける。

もう、最終話まで止まらない。

432: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:43:32.61 ID:B6tD/Rdxo
     ――第十一話 最後に残った道しるべ――


ほむら『あなたを救う。
    それが私の最初の気持ち。
    今となっては……たった一つだけ、
    最後に残った道しるべ』


その道しるべも、俺にはもう、ない。

     ――でも、僕は、僕たちは、タイムマシンを作れる。

……っ……!?


ほむら『どうして?…どうしてなの?
    何度やっても、アイツに勝てないッ』

――世界の結果は、
   ある一定範囲に収束する。

ほむら『繰り返せば…ッ、
    それだけまどかの因果が増える。
    私のやってきたこと、結局……』

――まどかは、
   どの時間でも魔法少女になる。


「何度やっても、無駄だった」


     ――絶望の時、彼女のソウルジェムは――


「変わらない、変わらないんだよ……」


     ――零れ落ちる、涙――

パシッ

         手を掴む音。

  『もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん』

433: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:45:54.28 ID:B6tD/Rdxo

鹿目まどかは、救えない。


まどか『ほむらちゃん、ごめんね。
    私、魔法少女になる』

ほむら『まどか…そんな…』

     ――これは、世界線の!?

まどか『私、やっとわかったの。
    叶えたい願いごと見つけたの。
    だからそのために、この命を使うね』

     ――抗えない、結末、収束。

ほむら『やめて!
    それじゃ…それじゃ私は、
    何のために……!』

                    アトラクタフィールド
     ――世界は、世界線と世界線収束範囲で、
               できてるっていう解釈だよ。

まどか『ごめん。ほんとにごめん。
    これまでずっと、ずっとずっと、
    ほむらちゃんに守られて、望まれてきたから、
    今の私があるんだと思う。
                ほんとにごめん』

     ――だから……確実に、……!

まどか『そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。
               信じて。
    絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから』

ほむら『まどか……』

     ――でもそれは、あなたを犠牲に……。

434: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:47:36.01 ID:B6tD/Rdxo

何もかも、無駄になる。
よくわかってるじゃないか。
凄いな、このアニメは。まるで――

――この世界の未来を見てきたような。


まどか『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。
    全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、
                  この手で!』

インキュベーター『――!?その祈りは、
          ――そんな祈りが叶うとすれば、
          それは時間干渉なんてレベルじゃない!
          因果律そのものに対する反逆だ!

          ハッ――君は、本当に神になるつもりかい?』

まどか『神様でも何でもいい。
    今日まで魔女と戦ってきたみんなを、
    希望を信じた魔法少女を、
    私は泣かせたくない。
    最後まで笑顔でいてほしい』

まどか『それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、
    変えてみせる』

まどか『これが私の祈り、私の願い!!』

まどか『さあ!叶えてよ、インキュベーター!!』


岡部「鹿目まどかの、選択……」


思い出す、思い出される。
もう思い出したくもないのに……あの時の気持ちが……。

435: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:48:43.21 ID:B6tD/Rdxo


まどか『私の願いは、全ての魔女を消し去ること!』

まどか『本当にそれが叶ったんだとしたら、
    私だって、もう絶望する必要なんて、ない!!』


全てを、〝なかったこと〟にする、究極の選択。
自分を犠牲にして、犠牲になって。

犠牲になった先に、何があるんだ?

俺は、

犠牲にした先には、

歪んだ世界の絶望が待っていた。

436: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:49:57.14 ID:B6tD/Rdxo
     ――最終話 わたしの、最高の友達――


     ―――だったんだね』



ほむら『だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、
    大好きな人たちとも離れ離れになって、
    こんな場所に、独りぼっちで永遠に取り残されるって言うの?』


まどか『独りじゃないよ?みんな、みんないつまでも私と一緒だよ。
    これからの私はね、いつでもどこにでもいるの。
    だから見えなくても聞こえなくても、

      私はほむらちゃんの傍にいるよ?』

ほむら『まどかは…それでもいいの?
    私はあなたを忘れちゃうのに?
    まどかのこと、

    もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?』


まどk...『ううん。諦めるのはまだ早いよ。
    ほむらちゃんはこんな場所まで付いて来てくれたんだもん!
    だから、元の世界に戻っても、もしかしたら私のこと、
    忘れずにいてくれるかも。

    大丈夫、きっと大丈夫。信じようよ!』


ほむら『まどか……』

437: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:51:36.71 ID:B6tD/Rdxo
まd......『だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから。
    きっとほんの少しなら、
    本当の奇跡があるかもしれない。

    そうでしょ?』


ほむら『まどか……行かないで……ッ!』



ま.........『ごめんね。私、みんなを迎えに行かないと』


ほむら『……ッ!!』


m............『いつかまた――』


     『――もう一度ほむらちゃんとも会えるから。
     それまでは、ほんのちょっとだけお別れだね』



ほむら『まどかぁぁぁぁぁぁああああッ!!』



光と影が揺れる。
ほむらの意識が遠く引き延ばされる。
そして、


――世界は、再構成される!――


岡部「まゆり……紅莉栖……」


俺は、全てを失った。
もはや、この世界にはなんの価値もない。
それを再認識させられて、俺は――

438: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:53:56.57 ID:B6tD/Rdxo
ほむら『……!?』


マミ『逝ってしまったわ……円環の理に導かれて』

杏子『バカ野郎……惚れた男のためだからって、
   自分が消えちまってどうするんだよ……』

マミ『希望を求めた因果が、この世に呪いをもたらす前に、
   私達はああやって、消え去るしかないのよ』


ほむら『まどか……』

マミ『暁美さん……?まどかって……』

杏子『誰だよ?』


まるで、世界線を越えた時のようだな。

暁美ほむらは、俺と同じだ……。
そうやって、
大切な人がいなくなった世界で、
生きて行かなければならない。

439: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:55:47.54 ID:B6tD/Rdxo

まどか『さやかちゃんが祈ったことも、
    そのために頑張ってきたことも、

    とっても大切で、絶対、無意味じゃなかったと思うの』

さやか『そうだよ。私はただ、
    もう一度、アイツの演奏が聴きたかっただけなんだ。

    あのヴァイオリンを、
    もっともっと大勢の人に聴いてほしかった。

    それを思い出せただけで、十分だよ。
    もう何の後悔もない』


残された人の悲しみはどうなる?
無意味じゃなくても、残された人は何を思って生きればいい?



キュゥべえ『君が言うように、
       宇宙のルールが書き換えられてしまったのだとすれば、
       今の僕らにそれを確かめる手段なんてない訳だし』

440: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:57:35.42 ID:B6tD/Rdxo
キュゥべえ『君だけがその記憶を持ち越しているのだとしても、

       ――それは、君の頭の中にしかない夢物語と区別がつかない』

キュゥべえ『まあ確かに、浄化しきれなくなったソウルジェムが、
       何故消滅してしまうのか――その原理は僕たちでも解明できてない』

キュゥべえ『そんな上手い方法があるなら、
       僕たちインキュベイターの戦略も、もっと違ったものになっただろうね』

キュゥべえ『君が言う、『魔女』のいた世界では、

       今僕らが戦っているような『魔獣』なんて、存在しなかったんだろう?』


やっぱりな。
何をしても、どうせ世界は歪んでいる。

441: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/26(火) 23:59:44.01 ID:B6tD/Rdxo
キュゥべえ『呪いを集める方法としては、余程手っ取り早いじゃないか』

ほむら『そう簡単じゃなかったわ。
    あなたたちとの関係だって、かなり険悪だったし』


では何故、この暁美ほむらは平気な顔をして生きていられるんだ?
お前だって、一番大切な人と離れて――


――たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、
   それで人の世の呪いが消え失せるわけではない。

――世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている。

ほむら『ボヤいたって仕方ないわ。さあ、行くわよ』

――悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど。


岡部「そうだ、この世界は――」


――だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ。


 『岡部も、頑張って』

                  『オカリン』


――それを、覚えてる。
   決して、忘れたりしない。


「……っ……」


――だから私は、戦い続ける。

442: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:00:33.06 ID:0rXpOivso
‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐



荒野。
沢山の魔獣が、溢れかえる。
独り立ち歩く、暁美ほむら。

その背中には、禍々しい翼。


     『がんばって』


翼の闇は、広がって……。



岡部「これで、終わり……なのか?」


俺と、『魔法少女まどか☆マギカ』による長い夜の幕は閉じた。
だが、なんだ、この言いようのない気持ちは?


――Beginning of fight――

443: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:02:52.80 ID:0rXpOivso

不意に、携帯電話が鳴る。
……ダルか。

岡部「もしもし」

ダル『……そろそろ見終わったかお?』

岡部「ああ」

ダル『……それで、どう?まだオカリンは、このまま終わりたい?
   それとも、アニメみたいに立ち向かう?』

岡部「そうだな」



俺は、

この俺は、

たかがアニメ如きと一緒にされるような存在じゃ、ない。

アニメで量れるほど、俺の執念は、途切れない。

そう、思い出したから。

俺の、想いを。誰かのためじゃない、俺自身の……。

だから俺は――

444: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:04:43.84 ID:0rXpOivso
岡部「ダル」

ダル『うん』


      オペレーション・スクルド
岡部「『未来を司る女神』」作戦だ」

ダル『は?』

岡部「やることは決まっている、俺は、俺たちは……」



鳳凰院凶真「世界の歪みを、破壊する」

ダル『オーキードーキー』


世界の選択を、破壊する。
そういうことなんだろ?

俺は、認めない。

俺は暁美ほむらじゃない。

認めない、世界も、アニメも、全てを。

こんな世界は、破壊してやる。

445: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:06:27.05 ID:0rXpOivso
―――夢を繋いだ、時の誘惑―――


クルーカットの男「岡部倫太郎だな!?
           両手を上げこちらを向け」


―――嵐の後の、青空が沁みる―――


鳳凰院凶真「フ、フフ……フゥーハハハ!!」

「「「「「!?」」」」」


―――幸せに何故、隠れているの?―――


鳳凰院凶真「長かった、ようやくこの時が来た」

クルーカットの男「なんだ、何を言っている!?」


―――悲しみの種、僕らを試すよ―――


鳳凰院凶真「今日ここで、世界は終わる」

446: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:08:22.02 ID:0rXpOivso

―――すれ違う、優しさ、持て余し夜の、闇に震えてた―――


鳳凰院凶真「そして、未知なる無限の世界への扉が開かれるだろう」

クルーカットの男「あ、頭がいかれてやがる……」


―――遠回りした、道で気づいた―――

                      シュタインズゲート
鳳凰院凶真「世界の選択ではない、運命石の扉の選択だ!」

     『だから私は、戦い続ける』


―――失くせない、モノがなんだか―――


     「俺は……まゆり、紅莉栖……ッ!!」

     『まどか』

447: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:10:22.71 ID:0rXpOivso
―――切なさを、越えて、今呼び合う瞳―――


鳳凰院凶真「間違ってるとは思ってない」

     『だとしてもここは、
     かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』


―――運命が見つけた絆―――


鳳凰院凶真「だがそれでも、認められなかった」

     『それを、覚えてる。決して、忘れたりしない。』


―――壊れそうなもの、溢れてる世界で―――


鳳凰院凶真「今ここに、世界は再構成される!

       数多の世界線の俺が、

       たった一つの執念で作りあげた計画が、

       ただ独りの俺に託されるのだ!!」

クルーカットの男「何を言ってるんだ!?
          いいから大人しくこっちへ――」

     『がんばって』

448: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:12:09.28 ID:0rXpOivso
―――永遠と呼びたい、君に―――


「オカリン!」       『まどか!』
「オカリン!」       『まどか!』
「岡部!」         『まどかぁ!』
「岡部くん!」       『鹿目さん!』
「凶真さん!」
「凶真!」         『ほむらちゃん、みんな』 
「岡部倫太郎!」    「オカリンおじさん!」


―――出逢えた、ことだけは―――


     「――エル・プサイ・コングルゥ!!」




     ――メールを送信しました――



「願わくば、誰もが救われる、そんな世界を――俺は――」

449: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:14:01.71 ID:0rXpOivso


――最終話 1た0の、4...の友達――

             ――最終話 わた...の、...高...5達――

――最終話 ...た...の、最高8...達――

             ――最終話 わ.....しの、.........の友9――

―最終話 ..................、最6の友―

             ――最終話 ...........わ............な.............――



‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

450: 指圧師 ◆4soo/UO.k6 2011/07/27(水) 00:16:16.47 ID:0rXpOivso

『俺は2025年から、こうしてムービーメールを送っている』



『……お前は、1年もしないうちに』

      『再びタイムトラベル理論と向き合うことになる』




――再び、タイムトラベル理論と向き合うことになる――



マジカルチャプター
『魔法章叙 Steins;Gate―シュタインズ・ゲート―
                     円環のリーズン』


          ┼ヽ  -|r‐、. レ |   企画・製作 
           d⌒) ./| _ノ  __ノ     NIP