垣根「女の子と暮らすということはだな…」一方通行「…」前編 



引用元: 垣根「女の子と暮らすということはだな…」一方通行「…」 

 

公式コミックアンソロジー とある科学の超電磁砲 featuring とある魔術の禁書目録 (電撃コミックスEX)
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326: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:21:01.90 ID:vf0uB5PM0
柵川中・校門前にて


垣根「…」カラカラ

一方通行「オイ」

垣根「なんだ」

一方通行「その金属バットはドコから持ってきた」

垣根「ここに立て掛けてあった。多分野球部の備品だろ。ついでに持って行ってやろうと思ってな」

一方通行「…肩に担ぐのはやめろ。殴りこみみてェだぞ」

垣根「そうか?」カンッ

一方通行「片手で持ってても危ねェな」

削板「ここのドコに居るんだ?」

一方通行「ていうかよォ」

垣根「あ?」

一方通行「ここの風紀委員の支部にそれなりに足踏み入れてたから別にさっきの格好でも良かったンじゃねェか?」

垣根「いつもは放課後だったからだろ?今は絶賛授業しててもおかしくねぇ時間帯だ」

一方通行「単純に放課後まで待ってれば良かったかもなァ」

削板「せっかく来たんだから行くぞ!」

垣根「まずは入校許可証からだな」

一方通行「入り口は…っとォ」

削板「あそこじゃないか?」

327: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:21:44.40 ID:vf0uB5PM0
柵川中・一室にて


先生「…じゃあこの箱を開けたときに猫はどうなってるか…分かるか?佐天」

佐天「は、はい!えっと…死んでたり死んでなかったりします…」

先生「どうかな!はいドーン!!」

「う、うわっ!ヤクザだ!」

先生「そう!ヤクザ!…ん?」

佐天「え?ヤクザ?」

先生「おい、どうした?一体」

「あの校門のトコに!」

「わっ…ホントだ…黒スーツにサングラスの…」

「あれバットじゃない?」

佐天「…ねえ、どう思う?初春」

初春「どうって…ここは警備員や風紀委員の方に任せてですね…」

佐天「じゃあ初春の出番じゃん!」グイグイ

初春「ま、待ってください!どうしてこういう時だけ…」

佐天「先生ー。初春の付き添いで風紀委員に行って来まーす」

先生「え?あ、ああ。気をつけてな…」

佐天「はーい。ほら、行くよ初春」

初春「ええー…」

328: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:22:13.27 ID:vf0uB5PM0
初春「第一、佐天さん。仮に本当のヤクザだったりしたら結構危険なんですよ?」

佐天「でもさー、面白そうじゃん?ヤクザ相手に風紀委員が戦う!こんなことって滅多に無いよ!」

初春「はぁ…確かにそうですけど…」

佐天「現にこうして初春は連れてってくれてるんだしさ!」

初春「それは佐天さんが言っても聴かないからで…」

佐天「遠くから見る分には大丈夫でしょ?いざとなったら他の風紀委員の人が駆けつけてくれるでしょ?」

初春「まあ白井さんや固法先輩も居ますし…大丈夫とは思いますけど…」

佐天「でしょでしょ?幸いにもこの学校にはちゃんとした能力持ってる風紀委員の人が居ることだしさ!」

初春「簡単に事が済んでくれるといいんんですけどね」

佐天「大丈夫だって!いざとなったら御坂さんが飛んで来てくれるって!」

初春「とりあえず校内の安全確保のためにも急ぎましょう」

佐天「それもそうだね。じゃあほら!走った走った!」タッ

初春「速いですよ佐天さん!」

佐天「ほら、急がないと!」

初春「まったく…」

329: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:22:46.28 ID:vf0uB5PM0
校庭


垣根「なんか教室中から注目浴びてる気がすんな」

一方通行「気のせいじゃねェよ」

削板「何かしたのか?」

垣根「オマエはアホなのか?それともズレてるのか?」

削板「俺はスーツなら問題無いと思ったんだが…」

垣根「グラサンは?」

削板「一方通行の眼を隠すのにいいかと思って」

垣根「…」ス

削板「外すのか?」

垣根「あー…いや、日差しが強いから付けとくか」

一方通行「とりあえず来客用の玄関から入ろォぜ。いつまでも校庭ウロついてたら注目の的だ」

垣根「あっちだな」スタスタ

一方通行「そォだ」

削板「行くか」

「待て!お前達!」

削板「ん?」


330: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:24:48.87 ID:vf0uB5PM0
「お前達みたいなのが中学校に何の用だ」

垣根「誰だテメェは」

「風紀委員だ」

垣根「よく見りゃ腕章付けてやがんな」

「そういうことだ。大した目的も無いのなら即刻敷地内から出て行ってもらいたいのだが」

垣根「はぁ?目的があっからここまで来てんだろうが」

「目的は何だ?」

垣根「人探し」

「人探し?」

垣根「削板ぁ!」

削板「ほら」ピッ

垣根「この女だ」スッ

「ん?この子はよく支部に出入りしてる…」

垣根「もういいだろ。じゃあな」

「ま、待て!肝心の用を聴いてない!」

垣根「チッ…その子にはなぁ」

「…」

垣根「金の事で用事あるんだわ。やっぱ借りたもんは返さなきゃいけねぇ。だろ?」

削板「ああ!その通りだ!」


331: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:25:43.37 ID:vf0uB5PM0
「か、金だと!?」

垣根「そうだよ。分かったらさっさと解放しろ」

「確かにお金の貸し借りは問題だ…しかし君達が風紀を乱してまで学校に取り立てにくるとなると…」

垣根「は?取り立て?」

一方通行「オマエの言い方が悪かったな」

垣根「あん?」

「やはり君達をこれ以上踏み入れさせる訳にはいかない。そういう行為は場所を選んでやってくれ。そして…彼女のためにも帰ってくれ」

垣根「だから俺達はその子のためにも来てんだけどなぁ…」

「どうしても引かないなら実力行使に出る!」ドッ

削板「ん?肉体強化系の能力か?」

一方通行「瞬間的な速度はなかなかのモンだなァ」

垣根「あ?どこ行った?」クルッ

ガンッ!

「んがっ!」

一方通行「…」

垣根「やべっ。担いでたバットが運悪くヒットしたみてぇだな」

垣根「おい、大丈夫か?」

「…」

垣根「気絶してやがる…」

332: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:26:25.81 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部内


佐天「あわわわわわわ。あの人簡単にやられちゃったよ!」

初春「振り向きざまのバットで一発KOなんて…」

佐天「ちょっとーヤバいんじゃない?」

初春「あの人、結構強いんですよ…検挙率もなかなかで体術もすごいんです…」

佐天「ちょっと!ダメ押ししないでよ!」

初春「白井さんを呼びましょう」

佐天「今授業中じゃないの?大丈夫かな?」

初春「今ピンチなんです!」

佐天「だったら警備員呼ぶとかさ…」

初春「これぐらいのトラブル処理出来ないようじゃ固法先輩に叱られちゃいます!」

佐天「そういうの気にしてる場合じゃないと思うんだけどなー」

初春「もしもし?白井さんですか?大変です!うちの中学に殴り込みです!」

佐天「あの人大丈夫かなー?」

佐天「あ、蹴った。倒れてるとこに追い討ちなんて…」

333: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:26:52.91 ID:vf0uB5PM0
垣根「おい、起きろ」ゲシゲシ

「…」

一方通行「オマエはもう余計な事すンな」

垣根「は?」

一方通行「もう人探しで済む状況じゃなくなってる」

垣根「はぁ?」

削板「教室の皆がここに注目している」

垣根「…何でだ」

一方通行「一番の原因はバットで殴ったことだな」

垣根「殴ってねぇ。当たっただけだ」

削板「俺には殴ったように見えたぞ」

垣根「あぁん?」

ヒュン

白井「風紀委員ですの!お三方、大人しく投降してくださいまし!」

削板「今度は瞬間移動か?」

一方通行「やっと話の分かる奴が来たみてェだな」

334: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:27:18.22 ID:vf0uB5PM0
垣根「白井…黒子…!」

白井「はい?私の事を知ってますの?」

垣根「テメェに用は無ぇ。涙子ちゃんを呼べ」

白井「さ、佐天さんも知ってますの?あなた一体…ていうかその声…」

垣根「後で話してやっから呼んで来いや!」

白井「は、はい!」ヒュン

一方通行「従っただとォ?」

垣根「第三位と同じだ。怒鳴れば従ってくれるみてぇだな」

削板「とりあえずは解決か?」

垣根「オマエの目的は達成したろうな」

削板「よし!」

一方通行「…」

垣根「後は事情話せば大丈夫だろ。多分」

削板「えっと…百十…二十…」チャリッ

垣根「さて、コイツでも起こすか」

335: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:27:53.60 ID:vf0uB5PM0
支部内


ヒュン

初春「わ!どうしたんですか?白井さん」

白井「佐天さん」ガシッ

佐天「はい?」

白井「あちらの方々が佐天さんを連れて来いと」

初春「ちょ、ちょっと白井さん!簡単に従って大丈夫ですか?」

白井「逆らってはいけないような気がしますの…あの殿方の怒鳴り声にそういうものを感じましたの…」

初春「知り合いですか?」

白井「知り合いのような、そうでないような…」

初春「はあ…?」

白井「とりあえず佐天さん。行きますの」

佐天「まあ仕方ないですよねー」

白井「では初春。また」

初春「気をつけてくださいねー」

ヒュン

初春「…あの白髪の人って…」

336: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:28:41.65 ID:vf0uB5PM0
ヒュン


白井「連れて来ましたの」

佐天「え、えーと…」コソコソ

垣根「来たぞ」

削板「…」ザッ

白井「…?」

削板「佐天…ちゃん?」

佐天「は…はい?」

削板「俺が誰か分かるか?」

佐天「えっと…そのサングラス外して顔見せてもらわないとどうにも…」

削板「ん…そうか…」カチャ

白井「だ、誰ですの…?」

佐天「あの時の…自販機の…番長さん!」

削板「ば、番長?」

佐天「いや、でも白い服装だったし…番長といえばやっぱり黒かも…」

削板「何を言ってるか分からないが…とりあえずコレを返しにきた」スッ

佐天「?」スッ

削板「百二十円…あの時に貸してもらったジュース代…」チャリン

佐天「えっ?ウソ…返してくれなくても良かったのに…」

削板「そういうわけにはいかない。聴けば君は中学生だし、色々と入用になるかもしれないだろ?小さい金額だが必要になる。そう思ってな」

佐天「ありがとうございます。わざわざ…」

削板「俺はこの百二十円で助けられた。お礼を言うのは俺だ。
それが根性というものだ」

垣根「根性…なのか?」

337: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:29:11.10 ID:vf0uB5PM0
削板「さて、目的も果たしたし俺は帰るとする。今日は助かった!ありがとうな二人とも!」

垣根「え?オマエ帰るの?」

削板「おう!そのスーツとサングラスは今日のお礼だ!貰ってくれ!じゃあな!」

佐天「待った!」

削板「ん?」

佐天「これも縁です。携帯、教えてください!」

削板「携帯?っと…」ゴソッ

垣根「携帯持ってたのか…」

一方通行「まァ、そォいうイメージあるわな」

削板「これで大丈夫か?」

佐天「はい!大丈夫です!」

削板「よしよし…そうだお前らも…」

垣根「…」ピッ

一方通行「…」ピッ

削板「よし!じゃあ俺は帰る!じゃあな!」スタスタ

垣根「俺達も帰るか」

一方通行「帰れるとイイなァ」

白井「お待ちになってくださいまし」

垣根「…」

白井「そこに倒れている風紀委員の事やあなた達の事、まだ聴いていませんの」

白井「お話、聴かせていただきますの」

338: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:29:41.08 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部



白井「さて、まずは貴方からですが…」

垣根「…」

白井「声からして大体、正体の予想はついていますの。そのサングラス、取っていただいてくださいまし」

垣根「ちっ…」スッ

白井「垣根帝督、前科一犯…っと」

垣根「おい待て、そりゃどういうことだ」

白井「校内への不法侵入はおろか風紀委員に危害を加える始末、文句は言わせませんことよ?」

垣根「別に殴りたくて殴ったわけじゃねぇ。アイツが勝手に当たりに来ただけだ」

白井「その理屈ですと人を刺してもあっちから刺さってきた、仰るつもりですの?」

垣根「なに言ってやがる。そういうことじゃなくて…」

初春「一方通行さんですよね?」

一方通行「あァ…」

初春「やっぱり。その白い髪で分かりましたよ?」

佐天「え?初春知ってたの?」

初春「さっき気付いたんです。白い肌に白い髪、こんな見た目の人は学園都市に一人しか居ないんじゃないかって思って」

佐天「ああ…言われて見ると…うん…確かにそうだわ」

初春「まあとりあえずサングラス外してください。一応屋内なんで」

一方通行「はィ」カチャ

佐天「これ借りていいですか?」

一方通行「ン?好きにしろォ」

佐天「ありがとうございまーす!」カチャッ

初春「今度は佐天さんが付けるんですね」

佐天「これでバットを肩に担いで…と」

339: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:30:09.59 ID:vf0uB5PM0
佐天「じゃーん!」

一方通行「垣根の真似はやめろォ。制服にサングラス掛けてバットはさすがに似合わねェぞ」

佐天「んん?そうですかね?」

初春「そういえばもう一人の方は一体誰なんですか?

一方通行「削板軍覇ってヤツだ」

初春「削板…?人物照会するんでもう一度いいですか?」

一方通行「削板軍覇」

初春「どういう字を当てるんですか?」

一方通行「削ぐ板に、軍隊の軍、覇権の覇。覇権は難しい方だぞ」

初春「削板…軍覇…と」カチカチ

佐天「このサングラス貰っていいですか?」

一方通行「そンなのが欲しいのか?」

佐天「とても欲しいです」

一方通行「持ってけ」

佐天「ホントですか?ありがとうございます!」

初春「ああ、出ました。この人ですね。削板軍覇…えーっと…第七位?」

一方通行「間違って無ェぞ。正真正銘、第七位の男だ」

初春「でも能力について特に記載が…」

一方通行「…?」

初春「うーん…やっぱりなんでもないです」

一方通行「そォか?」

340: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:30:37.55 ID:vf0uB5PM0
垣根「ったく…」

白井「今回はこれでお終いですが次はありませんわよ?」

垣根「分かった分かった」

一方通行「終わったのか?」

垣根「みたいだな」

白井「さっさとお帰りになってくださいまし」シッシッ

垣根「レコーダーの恩義を欠きやがって」

白井「それはそれ、これはこれですの」

初春「レコーダー?」

垣根「前に色々あってな。第三位の秘蔵ボイスが録音されたレコーダーをコイツにやったんだ」

佐天「秘蔵ボイス?」

垣根「聴くか?今あるぞ」ゴソ

白井「!」

佐天「秘蔵かー。興味あるなぁ」

垣根「ん…?しまった、病院で着替えたときに一緒に置いて来たみてぇだな」

佐天「えー!じゃあその秘蔵とやらは…」

垣根「お預けってこったな」

佐天「秘蔵って言うから期待してたのに…」

垣根「…まあせっかくだしいいか」ピッ

一方通行「ン?」

垣根「冥土帰しに言って妹ちゃんに途中まで持って来させよう。そういや授業はどうなってんだ?」

初春「ちょうどお昼休みに入った所ですね」

垣根「時間は大丈夫みたいだな」

341: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:31:06.43 ID:vf0uB5PM0
学園都市内・テレビ局


「はーいオッケーでーす。収録まで休憩お願いしまーす」

海原「ご苦労様です。今夜初の本格的なテレビ出演となりますが緊張はしてますか?」

結標「それなりにはね」

土御門「まあ生放送だからってあまり力を入れすぎないことだな。いつも通り、いつも通りでいいんだ」

結標「分かってるわよそれくらい」

海原「おや、休憩ですか?」

結標「ちょっと電話してくるだけよ。すぐ戻ってくるわ」

海原「お気をつけてどうぞ」

「マネージャーさん」

土御門「ん?悪い、海原。俺も少し席を外す」

海原「了解しました」

「お昼用意しておきますのでどうぞ」

海原「ありがとうございます」

海原「あ、すいません。いいですか?」

「どうしました?」

海原「放送は何時からでしたか?」

「19時からです」

海原「ありがとうございます」

「いえ」

海原「自分も電話をしてきましょうか…」

342: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:31:53.28 ID:vf0uB5PM0
piriririri


初春「ん?佐天さんですか?」

佐天「いや?私じゃないよ?」

一方通行「俺だ」

白井「お出にならないんですの?」

一方通行「いンや…出る。もしもし?」

『一方通行?私』

一方通行「おゥ、どうした?」

垣根「さて、俺も手配はすんだから荷物取りに行って来る」

初春「気をつけてどうぞ」

垣根「まだしばらく居んだろ?」

初春「まとめもしなきゃならないんで、そうですね…まだしばらくは居ます」

垣根「よし。んじゃ行ってくるか」

一方通行「あァ?削板だとォ?」

垣根「どうした?」

一方通行「イヤ、なンでもねェ」

垣根「?まあいい、またな」ガチャ

一方通行「分かった、俺から言っとく…」

佐天「削板さんの名前出てきたね。一体誰かな」

初春「さあ…」

343: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:32:32.30 ID:vf0uB5PM0
結標「それでね、今夜なんだけど…音楽番組あるの分かる?」

『いっつもガキ共が見てるヤツだろ?知ってる』

結標「今日それに出るの」

『今日?』

結標「そう。今日」

『へェ…そォか』

結標「あんまり驚いてないのね?」

『イヤ、十分驚いてる』

結標「そっ。まあいいわ、生放送らしいから一緒に見ることは出来ないけど…」

『安心しろ、ちゃンと目を通すからよ』

結標「うん、お願いね。あと削板のことも」

『本当にアイツでいいのか?』

結標「だって一応そうなんだし」

『それもそォだな。任せとけ』

結標「じゃあまた明日連絡するからよろしくね」

『あァ』

結標「バイバイ」

『おう』

344: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:33:00.18 ID:vf0uB5PM0
常盤台中学・食堂にて

御坂「黒子ったらどこに行ったのかしら…おかげでまた一人よ…」

御坂「昼時だってのに…はぁ…ん?あの金髪は…」

食蜂「…」

御坂「なんでテーブルに突っ伏してるのかしら。それといつもの派閥も見当たらないわね」

食蜂「…」

御坂「ねえ、あんた」

食蜂「んぅ?」ムクッ

御坂「珍しく一人なの?」

食蜂「御坂さん?何の用?」

御坂「別に用ってほどじゃないわ。ただ気になっただけ」

食蜂「何がよ」

御坂「いつも周りにいる派閥のコ達が居ないもんだから」

食蜂「他のコ達は忙しいみたいで今日はほとんど居ないわ」

御坂「へぇ…そんな日もあるのね」

食蜂「あなたは今日も一人みたいね」

御坂「…」

345: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:33:33.27 ID:vf0uB5PM0
食蜂「前々から思ってたけど御坂さんっていつも後輩の風紀委員の人と居るわよね」

食蜂「同じクラスに知り合いとか居ないの?」

御坂「いや…居るには居るけど…その…」

食蜂「私が悪かったわ。ごめんなさいねぇ」

御坂「んなっ!」ビリッ

食蜂「!」

御坂「私は段々と本調子に戻って来たの!前みたいに不安定じゃないわよ!」

食蜂「でも私は…」

御坂「?」

食蜂「とっくに全快したわ!回れ右!」

御坂「!」クルッ

食蜂「前は電磁バリアで無効にされたけど…今なら多少効くみたいね。私の能力」

御坂「ぐぬぬ…」

食蜂「なーんて。特に何かしようって訳じゃないわ。座ったら?」パッ

御坂「っと…」

食蜂「ほら」

御坂「…」ガタッ

346: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:33:59.22 ID:vf0uB5PM0
御坂「ねえ」

食蜂「なに?」

御坂「なんで突っ伏してたの?」

食蜂「別に、ただなんとなくよ」

御坂「そう」

食蜂「…」

御坂「…」

食蜂「…」

御坂「第六位の事知ってる?」

食蜂「知らない」

御坂「…」

食蜂「…」

piriririri

御坂「ごめん。私」

食蜂「出たら?」

御坂「うん」

347: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:34:31.85 ID:vf0uB5PM0
御坂「もしもし?」

『私の事分かる?』

御坂「登録してるから分かるわよ。どうしたの?あわきん」

『あら、あなたは知ってるのね』

御坂「ニュースで目にする機会があったからね。結構忙しいんじゃないの?どうかした?」

『2ndシングルのPVに出演してほしいんだけど』

御坂「PV?それってあの麦野達が出てた?」

『そうよ。それの第二弾ね』

御坂「他に誰か出るの?」

『出るわよ。詳しくは言わないけどね』

御坂「そっかぁPVかぁ」

『もしかして常盤台って案外そういうのダメだったりする?』

御坂「んー多分大丈夫だと思うけど…」

『もし良かったら出てほしいんだけど』

御坂「それくらいなら別に構わないわよ」

『良かった。あとね』

御坂「なに?」

348: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:34:59.22 ID:vf0uB5PM0
『食蜂操祈も出演者候補なの』

御坂「和解したの?」

『さあ?』

御坂「さあって…」

『今近くに居るかしら?』

御坂「目の前に居るわ」

『変わってくれないかしら』

御坂「いいわよ」

御坂「電話」

食蜂「私?誰よ」

御坂「結標淡希。分かる?」

食蜂「分かるわ」

御坂「じゃあ、はい」

食蜂「はぁ…もしもし?変わったわ」

『久しぶりね食蜂操祈』

食蜂「今更何の用?もしかして離婚のお知らせか何か?」

『残念だけど離婚の予定は一切無いわ』

食蜂「そ、残念」

349: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:35:32.47 ID:vf0uB5PM0
食蜂「それで?何?」

『今美琴にも話したんだけどね』

食蜂「?」

『私が今度出すシングルのPVに出演しなさい』

食蜂「シングル…そういえばニュースで新星アイドルとかなんとかやってたわね」

『それが私。嫌とは言わせないわ。あなたには出る義務があるから』

食蜂「断れる状況じゃないし、別にいいわ。これで全部チャラね」

『ちゃんと協力してくれるならね』

食蜂「御坂さんと私以外の出演者は?」

『まだ美琴には言ってないんだけど…あなた達以外のレベル5達よ』

食蜂「達?」

『そう。達』

食蜂「面白そうね。やる気が出てきたわ」

『それは結構だけど変な真似したらタダじゃ済まないわよ』

食蜂「ふふん」

350: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:36:00.15 ID:vf0uB5PM0
『じゃあ美琴伝いでまた連絡するわ』

食蜂「待ってるわ」

『ちなみに予定は明日だから。それと今夜の音楽番組に出演するからそれ見てイメージ掴んどきなさい』

食蜂「え?明日?」

『じゃあね』プツッ

御坂「済んだ?」

食蜂「随分と急なのね」

御坂「?」

食蜂「はい、電話」

御坂「ん」

食蜂「御坂さん伝いで連絡するらしいわ。ちゃんと私に伝えてちょうだいね。それと予定は明日らしいわ」

御坂「はいはい」

食蜂「私以外のレベル5…」

御坂「え?」

食蜂「ううん、なんでもないわ」

御坂「PVかーやっぱ制服じゃない方がいいわよね」

食蜂「あっちで用意してくれると思うわ」

御坂「そうかしら?」

食蜂「多分ね」

351: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:36:29.51 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部



『何言ってるかよく分からないぞ!』

一方通行「だから宣伝用のプロモーションビデオに出演しろって言ってンだよ!さすがにPVぐらいは知ってンだろ!」

『それは分かるが俺でいいのか?』

一方通行「あっちから指名貰ってンだ。こっちで懸念する必要は無ェよ」

『そうか、ならいい。友の頼みをここで断るのは仁義に反する。何よりさっき助けてもらった手前な!』

一方通行「明日改めて連絡してくるらしいから、またお前に連絡する」

『明日だな!分かった!』

一方通行「そういうこった。じゃァな」

『おう』ピッ

佐天「PVに出演するんですか?」

一方通行「まァな」

佐天「なんのプロモーションなんですか?」

一方通行「淡希の…2ndシングルのプロモーションらしい」

佐天「え?結標さんの?」

初春「佐天さん」

佐天「ん?なに?」

初春「クラスのみんなが話してたやつじゃないですか?」

佐天「あー、その話全然聴いてなかったのよねー。んで?どんな話?」


352: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:37:04.20 ID:vf0uB5PM0
初春「カナミンの新しいOPを歌ってるのが新人のアイドルで…赤毛が特徴の人らしいって話です」

佐天「赤毛…まさかその人が結標さんだっていう…」

白井「ニュースを見てないんですの?」

佐天「その類はどうも苦手で…はは」

初春「じゃあ知らなくても無理ありませんね。まあ知っての通り結標さんなんです」

佐天「へぇーアイドルになってたんだ…一方通行さんは知ってたの?」

一方通行「知ったのは最近だけどな」

初春「佐天さん、どうぞ」スッ

佐天「なになに?」

初春「話題になっている1stシングル"only my movepoint"のPVです」

佐天「あれ?この人確か披露宴で会った…てかもう動画見れるんだ…」

初春「覚えてたんですね。以外です」

佐天「他にも知った顔が…」

初春「麦野さんって人ですけど覚えてます?」

佐天「人の名前くらいちゃんと覚えてるよ!」

初春「その麦野さん…ええと、第四位が出てることで話題のPVでもあるんです」

佐天「…」

初春「佐天さん?」

佐天「初春」

初春「はい?」

佐天「これ曲名なんて言ったっけ?」

初春「"only my movepoint"ですよ佐天さん」

353: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:37:33.27 ID:vf0uB5PM0
佐天「えっと…"only my movepoint"っと…」

初春「気に入ったんですか?」

佐天「この曲ね…」

初春「?」

佐天「イントロすっごいカッコいいよ!」

初春「イントロですか?よいしょ…ん?」

佐天「どうしたの初春?」

初春「白井さん」

白井「少し騒がしいですこと」

佐天「え!?ご、ごめんなさい!」

初春「あの…佐天さんじゃなくてですね…」

白井「外が少し…」

佐天「んん?」

一方通行「外…」

白井「申し訳ありませんが窓から確認していただいても?」

一方通行「あァ」ガタッ

一方通行「ン…どれ…」

354: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:38:01.01 ID:vf0uB5PM0
柵川中・校庭にて


「本物の第二位さんですか!?」

垣根「偽者は居たら見てみたいな」

「きゃー!」

「本物!本物だって!」

垣根「もういいか?風紀委員に用があるからよ」

「ま、待ってください!もうちょっとお話聴かせてくださいよ!」

垣根「お話ってなぁ…ていうかなんで俺が二位だって知ってやがる」

「そんなことはいいじゃないですか!初めて間近で見れる高位能力者なんですよ!」

垣根「お、おお」

「友達とかも同じレベル5だったりするんですか?」

垣根「ああ、まあな」

「私第三位に人しか見たことなかったからここで見れてよかったー」

「俺も常盤台の子しか見たことなかったな…」

----------------------------------------
一方通行「…」

白井「どうですの?」

初春「見た方が理解出来そうですよ?」

白井「ふむ…」

初春「…ありゃ?」


355: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:38:28.17 ID:vf0uB5PM0
初春「佐天さんですね?」

佐天「え?何が?」

初春「クラスの皆に垣根さんが第二位だって教えたんですね?」

佐天「あー…実はそうなんだよねー。正体が分かった時に第二位が来てる!ってメールしちゃったんだよねー」

初春「垣根さんだけですか?」

佐天「一位も来てるって言いました」

初春「まったく…」

ガチャ

垣根「揃ってんな」

一方通行「案外早かったな」

垣根「妹ちゃんが結構近くまで来てくれてな」

一方通行「そォか」

垣根「ほら、とりあえず着替えだ。スーツだと暑いだろ」

一方通行「おォ」

佐天「帝督さん。それで秘蔵ボイスってのは…」

垣根「焦んな。ちゃんとある」チラ

佐天「おおー」

垣根「の前に着替えさせてくれ」シュルッ

356: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:38:57.78 ID:vf0uB5PM0
垣根「…えーっと。イヤホンイヤホン…」

白井「イヤホンなら私が持ってますの」

垣根「お、そうか」

佐天「あれ?白井さんってプレイヤー持ってましたっけ?」

白井「え、ええ。先日買いましたの」

佐天「へぇー。何聴いてるんですか?」

白井「まあ色々と…時に…」チラッ

垣根「あ?なんだ?」

白井「本当に佐天さんに聴かせる気ですの?」ボソッ

佐天「?」

垣根「聴きたいってんだから聴かせる。特に断る理由も無いしな」

白井「うーむ…」

垣根「どうしたんだよ」

白井「出来れば私以外の人間に聴いて欲しくはなかったのですが…」

垣根「お前のお姉さま愛も結構だ…だがな、聴かせたほうが面白いだろ?」

佐天「もしかして白井さんって秘蔵ボイスとやらを聴いたことがあるんですか?」

白井「えっ?ええっと…」カタッ

一方通行「ン?」ヒョイ

初春「なんですか?それ」

垣根「まあどうでもいい。ほらイヤホン貸せ」

白井「は、はあ…どうぞ」ムスッ

357: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:39:40.86 ID:vf0uB5PM0
初春「音楽プレイヤーみたいですね」

一方通行「白井のだな」

初春「今流行のタイプですね」

一方通行「みてェだな」カチカチ

初春「勝手にいじっちゃって大丈夫ですか?」

一方通行「どんな音楽聴いてンのか興味あンだろ」

初春「そういうことに興味があるなんて意外ですね」

一方通行「まァな」カチッ

一方通行「…?」

初春「アーティストがお姉さま…??」

佐天「うわぁあああっ!」

初春「ど、どうしました!?」

佐天「帝督さん!もう一回最初っから!」

垣根「おう」

佐天「わわわっ…こんな声出すんだぁ…」

初春「一体何を聴いてるんですか?」

佐天「初春も聴いてみなよ!」

初春「その秘蔵ボイスとやらをですか?」

佐天「うんうん!ほら!」

初春「じゃあ失礼して…」

358: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:40:06.97 ID:vf0uB5PM0
佐天「こんな声どうやって録音したんですか?」

垣根「どうやって…聴く機会があっただけだな」

佐天「聴く機会…?まさか御坂さんと浮…」

垣根「下手なこと言ってんじゃねぇ。そんな事あってたまるか!」

佐天「でもでも!こんな声そういうことしなきゃ聴けませんよ!」

初春「ひゃあああああっ!」

垣根「いい反応だ」

佐天「ふっふーん」

初春「なな、なんですか!この声!」

佐天「ねっねっ!凄いでしょ!?」

垣根「お前も聴くか?」

一方通行「遠慮しとく」

垣根「そうか?」

一方通行「あァ」

初春「どうやってこんな声を…」

垣根「やっぱそれ聴くか?説明すんの面倒なんだよなぁ…」

佐天「別に説明してくれなくてもいいんです!そのほうが色々と想像出来ますから!」

垣根「何を想像すんだかな」

佐天「聴いちゃいます?聴いちゃいます?」

垣根「いや、やっぱいいわ」

一方通行「さて…」ガタッ

白井「お帰りになりますの?」

359: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/14(木) 23:40:34.60 ID:vf0uB5PM0
一方通行「あァ。買い物頼まれてるしな」

白井「じゃあ私もそろそろ常盤台に戻るとしますの」

垣根「ほら、イヤホン」ヒョイ

白井「おっと…」

一方通行「忘れるトコだった」

白井「あれ?私の…」

一方通行「コレだろ?さっき落としたぞ」

白井「え?あ、ああ申し訳ありませんの」

一方通行「勝手に中見ちまったンだけどよォ」

白井「…」ピクッ

一方通行「お姉さまってのは一体何なンだァ?」

白井「お姉さまはお姉さまですの!ではごきげんよう!おほほ!」ヒュン

一方通行「…」

垣根「そんなフォルダがあったなら十中八九レコーダーのやつだろうな」

一方通行「なるほどなァ」

垣根「じゃあ行くか。イルカだっけか?買いに行くんだろ?」

一方通行「だな」

佐天「私たちもそろそろ戻ろうか?」

初春「ですね」

垣根「じゃあな二人とも」

初春「お気をつけて」

365: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:02:21.07 ID:hRz71PTN0
数時間後・黄泉川宅にて


一方通行「ふゥ…」ガチャ

黄泉川「おっ、帰って来たじゃん」

一方通行「帰ってたのか」

黄泉川「さっきな」

黒夜「おい兄ちゃん」トテテ

一方通行「ほら」ポイ

黒夜「っとと…」ポスッ

一方通行「同じようなヤツでよかったんだろォ?」

黒夜「同じようなって…これピンクじゃねぇか!」

一方通行「充分じゃねェか」

黒夜「ああー!?」

黄泉川「まあまあ、そっちの方が可愛いじゃんよ」

黒夜「あんたまで…!」

一方通行「どォせ使ったら壊しちまうンだ。大して色は関係無いンじゃねェか?」

黒夜「見た目の問題だ」

一方通行「黒いのもあったぞ」

黒夜「それはシャチじぇねぇのか?」

一方通行「そっちの方が可愛いンじゃねェの?」

黒夜「シャチがか!」

一方通行「いンや。ピンクでよ」

黒夜「うーん…」

366: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:02:49.40 ID:hRz71PTN0
芳川「あらお帰りなさい」

一方通行「何見てンだ?」

芳川「いつもの音楽番組よ」

絹旗「ニュースでやってましたが今日は結標さんが出るらしいです」

一方通行「あァ、本人から聴いたよ」

打ち止め「録画スタンバイオッケー」

番外個体「二人ともPVってのに出たんでしょ?ちょっと羨ましいかも」

芳川「珍しいわね。あなたがそんな事言うなんて」

番外個体「まあ、たまにはね」

黄泉川「そういえばよかったじゃんか?」

一方通行「何がだ?」

黄泉川「結標のこと。大して会えてないんじゃないか?」

一方通行「気にしてたらキリねェだろ。少しの辛抱だわな」

黄泉川「そういえば理由は知ってるじゃんか?」

一方通行「イヤ、知らねェな」

黄泉川「一方通行も知らないじゃん?」

一方通行「なりたいからなったンじゃねェのか?」

黄泉川「そう…か?」

一方通行「深読みしても仕方ねェだろ」

黄泉川「それもそうじゃん」

367: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:03:17.00 ID:hRz71PTN0
黒夜「そういえば」

一方通行「あ?」

黒夜「シルバークロースから手紙を預かってる」

一方通行「内容は?」

黒夜「駆動鎧を弁償してくれって」

一方通行「…」

黒夜「破壊されたって聴いたけど壊したのが兄ちゃんとはな」

一方通行「まァ、理由もあったンだけどな」

黒夜「弁償すんの?」

一方通行「断る理由も無ェしな」

黒夜「芳川ー」

芳川「貯金ほとんど無くなるけどいいかしら?」

一方通行「なンでオマエが管理してンだ」

芳川「家に長く居ると金銭管理ぐらいしかやること無いのよ」

一方通行「そォか」

黒夜「んで?」

一方通行「払うけどォ?」

黒夜「手続き頼むぞー」

芳川「はいはい」

一方通行「どォやって俺がやったって知ったンだァ…?まァ…別にイイか」


368: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:03:44.13 ID:hRz71PTN0
打ち止め「始まる!始まるよ!ってミサカはミサカはお知らせしてみる!」

一方通行「ン…そォか…どれ」

番外個体「上位個体、録画ボタン押してないよー」

打ち止め「はわわわっ」

絹旗「そんな焦らなくてもここからリモコンでボタンを押せばですね…」ピッ

ブツッ

打ち止め「あ」

番外個体「サイアイそれ電源ー」

絹旗「同じ赤いボタンでしたから超間違えましたね」

芳川「ちょっと!それ結構設定手こずったのよ」

黒夜「ええとチャンネル設定からだから…」

打ち止め「電源!電源入れないと!」

黒夜「ええと…録画なんてしたことないから分からない」

芳川「番外個体」

番外個体「ミサカも分からないなぁ」

芳川「…」

打ち止め「時間が…ヨミカワー!」ガッシ

黄泉川「あー…私に言われても困るじゃんよ」

一方通行「…」スッ

黄泉川「お」

369: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:04:24.38 ID:hRz71PTN0
その頃・某テレビ局にて


「そろそろ本番行きまーす。準備お願いしまーす」

海原「土御門さん、こちらへ」

土御門「あいつの姿が見えないが…」

海原「えっと…確か心理定規さんとお話をしてますよ」

土御門「心理定規?」

海原「新しい司会みたいで…先程お会いしてからずっとお話していますよ?」

土御門「そ、そうか…そういえば新しい司会がどうとかテレビでやってたな…」

海原「それが心理定規さんというのに気付いたのはさっきなんですけどね」

土御門「へぇ」

海原「以前に司会の方がお会いしたいという話があったの覚えてますか?」

土御門「…ああー…あったなそんなこと。結局話したのはあわきんだけだったがにゃー」

海原「その方が今日お休みなんですよ」

土御門「ん?」

海原「つまり今日の番組は心理定規さんとしての初司会であり、独壇場なんですね」

海原「お話をしたいというのは今週出れないから挨拶だけでも、という事だったそうです」

土御門「だ、大丈夫なのか?」

海原「一応心理定規さんもプロです。信用しましょう」

「すいません、そろそろ時間なんでよろしいですか?」

海原「ああ、すいません」


370: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:04:58.75 ID:hRz71PTN0
一方通行「ほら、出来たぞ」

芳川「さすがね」

一方通行「ちゃンと書いてあっからよく読め」ベシャッ

芳川「あたっ」

打ち止め「おおー!点いた点いた!」

一方通行「…」

番外個体「寂しい?」

一方通行「何がだ」

番外個体「べっつにー?」

一方通行「はン」

黒夜「そういえばしばらく帰って来てないな」

絹旗「しばらくって…一週間も経ってませんよ?」

一方通行「そォいやもう大丈夫なのか?」

絹旗「お昼過ぎぐらいには大分良くなりましたよ」

芳川「夏バテの軽いやつじゃない?結構外出てたからね」

絹旗「かもしれないですね」

打ち止め「始まったよー!」

黄泉川「どれどれ?」

一方通行「おら、詰めろ」

番外個体「うぇぇ?見るの?珍しー」

371: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:05:24.99 ID:hRz71PTN0
『みなさんこんばんは!今夜は話題のアイドル、あわきんを始めとした多数のゲストでお送りしていきます!』

『私自身の初司会ということもあり気合充分でやっていきますのでよろしくお願いします!』

芳川「あら…」

一方通行「心理定規…」

『では早速ゲストの方々に入場していただきます!』

黄泉川「そういえばあのチャラい子は元気じゃんか?」

一方通行「垣根か?相変わらずだぞォ?」

黄泉川「そうか…相変わらずじゃんか…」

一方通行「?」

『さっそくですがお話を聴いていこうと思います。あわきんさんは初出演ということですが緊張なんかはなさっているのでしょうか?』

『それなりには』

『本日歌っていただくデビュー曲である"only my movepoint"ですが…人気アニメのOPに選ばれたということで…』

『そうですね。最初の曲であれほど人気のあるアニメのタイアップに選んでいただいたことはとても光栄なことなんだな…とそう感じています』

『はい…えっと話題になっているのはなにも曲だけではなくPVにも話題の理由があります』

『今ご覧になられている映像が肝心のPVです』

黒夜「うへーばっちり映ってやがる」

絹旗「結構手を加えられてますね。あんなので大丈夫かと超心配でしたが…するだけ無駄でしたね」

打ち止め「おおー」

372: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:06:02.65 ID:hRz71PTN0
『見て分かる通りですがPVとしては極めて異例の駆動鎧での演出となっています』

『駆動鎧だけではなくなんと超能力者として第四位の方が出演していることでも話題となっています』

『あわきんさんは第四位の方とはお知り合いだったりするんですか?』

『以前より親交はあって…それで今回のPVという事でお願いをしまして…』

『なるほどー。さてデビュー曲は来週発売ですが…もう既に2ndシングルのお話があるとか』

『大分間隔が狭いんですけどもう大分固まっている話ですね』

『少しだけお話を聴かせてもらってもよろしいでしょうか?』

『あー…じゃあまたPVの話になるんですけど…』

『はい』

『今回以上のメンバーでの撮影を考えています』

『今回以上…となりますとやはり学園都市でそれなりの地位を持つような方が出演…ということでしょうか?』

『詳しいことは言えないんですけど…そう考えてもらって大丈夫ですね』

『貴重なお話ありがとうございます。ではトップバッターという事で準備お願いします』

『はい』

一方通行「…」

番外個体「もう次の曲の話出てるんだ…」

芳川「最初の頃はやっぱり忙しいんじゃない?私もアイドルになろうかしら?」

黄泉川「桔梗…」

373: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:06:29.20 ID:hRz71PTN0
『…はい、1stシングル"only my movepoint"でした。どうもありがとうございましたー』

黄泉川「ほぉーなかなかうまいじゃんか」

芳川「あんな短期間でよくここまでやれるわね」

黄泉川「才能とかあったのかもしれないじゃん?」

芳川「かもね」

打ち止め「あ、ねえねえ!そういえばサインは?ってミサカはミサカは思い出して喋ってみる!」

一方通行「明日会う予定だからそン時に聴いといてやる」

絹旗「サイン?」

一方通行「妹達用に1000枚…だったっけかァ?」

打ち止め「うん!」

絹旗「1000枚…」

一方通行「まァ大丈夫とは思うがな」ガタッ

黄泉川「ん?もう部屋に行くじゃんか?」

一方通行「今日は色々あってな。明日のこともあるし早めに寝るわ」

黄泉川「そうか」

打ち止め「おやすみー」

一方通行「ン」

374: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:07:04.62 ID:hRz71PTN0
海原「お疲れ様です」

土御門「上出来だったにゃー」

結標「はーっ。随分と力入れちゃったわ…」

海原「仕方ありません。これほどの番組ですから」

結標「ねえ」

土御門「ん?」

結標「ちょっと手配して欲しい所がるんだけど」

土御門「…言ってみろ」

結標「立体映像での演出が出来る施設ってある?」

土御門「立体映像?…あー…あるな」

結標「明日そこを使いたいんだけど」

海原「PVの撮影ですか?」

結標「ええ」

土御門「なるほど。分かった手配しておくが…」

結標「なに?」

土御門「歌は覚えたのか?」

結標「とっくに覚えたわ」

海原「さすが、ですね」

土御門「分かった。手配しておこう」

結標「お願いね」

375: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:07:42.06 ID:hRz71PTN0
翌朝・黄泉川宅にて



一方通行「…」

一方通行「暑ィ…」

一方通行「なンで上脱いでンだ俺は…」

番外個体「教えてあげようか第一位」

一方通行「…どォしてオマエが隣で寝てンだ」

番外個体「いやん」

一方通行「…」

番外個体「まあ実を言うとね」

一方通行「あァ」

番外個体「さっきから携帯がうるさくて止めて来いって言われたんだよね」

一方通行「携帯…?」

番外個体「服を脱いでるのは暑くてあなたが勝手に脱いだだけ。でもこの部屋ホント暑いねー」

piriririririririri

番外個体「ほらまた」

一方通行「っとォ…」

番外個体「ちゃんと出てよね」ガチャ

一方通行「もしもしィ?」

『やっと出たか』

一方通行「なンの用だ?」

『昨日あわきんから聴いてるな?』

一方通行「あァ…?」

『今から迎えに行くから準備して外で待っていろ』

一方通行「は…どォいう…」

『じゃあな』プツッ

一方通行「…あわきンってのは確か芸名だったっけか?明日連絡するってこォいうことだったのか?」

一方通行「にしてもどォして土御門から…」

一方通行「後で聴いてみりゃイイか…とりあえず準備だな」

376: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:09:23.60 ID:hRz71PTN0
その頃・車中にて


海原「出たようですね」

土御門「やっとな」

麦野「あのさぁー」

海原「はい?」

麦野「レベル5ばっかこんな集めてどうすんのよ」

海原「あわきんさんの意向ですから自分にはなんとも」

垣根「別にどうでもいいじゃねぇか。それより見たぞ麦野」

麦野「何をよ」

垣根「PVに決まってんだろぉ?いつのまにあんなの撮ったんだ?って感じだよ」

麦野「最近の話よ」

垣根「へぇ」

御坂「それなら私も見たわよ!」

垣根「昨日の番組見てれば目を通すわな」

削板「昨日何かあったのか?」

垣根「え?あー…テレビの話だ」

土御門「…なあ」

食蜂「なに?」

土御門「君は話の輪に入らないのか?」

食蜂「大して親しくもないしね。それより当の本人はどうしたの?」

土御門「先に行って衣装合わせをしてるよ」

食蜂「そう」

377: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:10:32.00 ID:hRz71PTN0
削板「一体どんな映像を撮るんだ?」

垣根「さあ。ていうかなんにも知らされてないんだよな。前はどうだったんだよ?」

麦野「前はって…前日に資料渡されて…次の日に簡単に説明を受けて…それから収録したわよ」

御坂「ねえ。資料とか無いの?マネージャーさ…ん…」

海原「は…はは。どうも」

御坂「あ、あれ?なんで…?」

土御門「だから顔を変えろと…」

海原「そうしたら他の皆さんが分からないと思いまして…」

土御門「た、体験学習の一種だにゃー」

御坂「体験…?うーん…そんな話あったかしら…」

土御門「ほ、ほら!一方通行が待ってるぜい!」

御坂「ってことはあと一人で全員ね」

土御門「残念だが第六位は参加しないぜい」

御坂「え?」

土御門「連絡がつかない上にどう接したらいいか分からないからな。今回は採用を見送ったんだ」

御坂「へぇーじゃあこれで全員なのね」

土御門「一方通行を入れてな」


378: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:11:00.33 ID:hRz71PTN0
キッ

ガチャッ

土御門「待ったか?」

一方通行「あァ」

土御門「そうか。まあいい話は中でする、とりあえず乗ってくれ」

一方通行「おう」ガチャ

土御門「海原、もう出していいぞ」

海原「はい」

一方通行「随分と雁首そろえたもンだなァ」

土御門「これで話題性もばっちりだぜい。あと見れば分かると思うが俺と海原は共々マネージャーになったからな」

一方通行「そォか」

土御門「全員揃ったとこで資料を渡す。各自確認してくれ、ちなみに内容はごく簡単なものだ。お前たちの頭脳ならすぐに理解出来るはずだ」

食蜂「…」ピラ

御坂「あら?楽器使うの?」

土御門「使うというか持つだけだがな」

垣根「衣装は…またスーツか…」

海原「統一性を持たせますから全員黒スーツですよ?」

麦野「今回は特に込み入った行動とか無いのね」

土御門「場面に合わせての少しの行動になるからな。前に比べたら楽だろ」

削板「ほう…ほう…」

一方通行「…」ピラッ

土御門「到着までに少し時間があるから適当に頭に入れといてくれ」

379: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:11:31.16 ID:hRz71PTN0
第七学区・とあるビル


御坂「こ、このビルは…」

垣根「なんだ?知ってるのか?」

御坂「前に黒子や初春さん、佐天さん達と来たことがあってね」

土御門「こんな所にか?常盤台の生徒にこう言うのもなんだが…結構な場所だぞ?ここは」

海原「良く大手の会社等が広告を作製するのにモデルの方々を撮影するような場所ですからね」

麦野「あそこの大型モニターはなんなの?」

海原「あのモニターは確か…内部の映像を映す事の出来るモニターです」

垣根「そういや聴いたことがあるぜ」

削板「?」

垣根「結構前の話になるんだがなんかの手違いで一回モニターが映った時があってな」

麦野「それがどうかしたの?」

垣根「問題は内容でな。中学生らしき女の子が水着来てただ一人はしゃいでる映像が映ったそうだ」

御坂「!?」

食蜂「私、知ってるわその話。白い水着着てる子の話でしょ?」

垣根「なんだ?お前も知ってるのか?」

食蜂「白いフリフリの水玉模様の水着…詳しい事は聴いてみないことにはだけど派閥の子が話してたわ」

御坂「!!!」

垣根「ちょうど去年の夏ぐらいか?」

食蜂「私が御坂さんと会う前だからそれくらいね」

一方通行「去年の夏か…」

土御門「…あんまり待たせてるとアレだ。さっさと行くぞ」

380: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:11:59.16 ID:hRz71PTN0
ビル内


結標「遅い」

海原「申し訳ありません。一方通行さんを起こすのに時間がかかりまして」

結標「だから一番最初に声を掛けて最後に回収って言ったでしょ」

土御門「さすがにそこまでは、と思って結局最後に回したからな…」

結標「まったく…さてと…とりあえずレベル5の皆、今日ここに来てくれてありがとう」

垣根「別に、礼を言われるほどの事でも無ぇよ」

御坂「そうよ、逆にこっちがお礼を言いたいほどね」

麦野「私なんかこれで二回連続よ?ホント、使ってくれてありがたいわ」

食蜂「私は…未だによく分からないんだけどね」

削板「ええと…資料はどこに…」

結標「一方通行も」

一方通行「どォってことは無ェよ。逆に俺達でイイのか心配する程だ」

結標「心配事なんてどこにも無いわ。私が選んだ人員ですもの」

垣根「ところでよ」

結標「?」

垣根「なんで急にアイドルになったんだ?」

結標「なりたかったからよ。それ以外の理由も無いわ」

麦野「……」

結標「麦野も深く考えないで。私の意志でやってることなんだから」

垣根「…やっぱメガネ…かぁ?」

一方通行「別になンでもイイだろ」

381: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:12:27.63 ID:hRz71PTN0
土御門「それじゃ早速撮影に入りたいとこなんだが…」

海原「皆さん、衣装に着替えてくださいね」

海原「更衣室は男女事で用意してありますので。部屋にある黒スーツにそれぞれ着替えてください」

土御門「着替えたら各自資料だけを持ってここに再度集まってくれ」

御坂「ねえ私たちもスーツとやらに着替えるの?」

土御門「たち?」

御坂「食蜂操祈もよ」

土御門「スーツと言ってもそれっぽい服なだけだ。面倒だからスーツと呼んでるだけだ」

御坂「そう?サイズとかは大丈夫なのかしら?」

海原「最初から各種サイズを取り揃えてますのでその心配は無用ですよ」

土御門「まあそんな心配も無用なんだがな」

御坂「?」

土御門「残ってるのは君だけなんだにゃー」

御坂「え?」キョロ

土御門「ほら、行った行った」

カチャ

食蜂「ねえちょっとー!」

海原「どうなさいましたー?」

食蜂「胸がキツイんだけどー!」

382: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:13:01.02 ID:hRz71PTN0
土御門「サイズならそれなりのバリエーションがあるはずだが…?」

食蜂「そーっだ。一方通行に頼んで胸をおさめてもらおーっと」

土御門「…」

御坂「…」

結標「心配しなくても私がやってあげるわ!」

食蜂「え?きゃっ!ちょ、どこ触って…あはははは!」

土御門「ほら」

御坂「う、うん」

----------------男子更衣室-----------------

削板「よっしゃ!」スチャ

垣根「グラサンはやめろ!」シュ

削板「あーっ!」カタン

一方通行「これはネクタイすンのか?」

垣根「確か細いタイプの…ファッション用のヤツがあったな。お前はそれを付ければいいだろ」

一方通行「これだな」シュル

垣根「そうそう。それそれ」

削板「俺はネクタイいらないな」

垣根「ネクタイはいらないがその鉢巻みてぇなのは外せ。な?」

削板「ん…仕方ないな…」シュル

一方通行・垣根「!」

383: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:13:27.43 ID:hRz71PTN0
結標「お待たせ」

土御門「ああ。待ってた…ぞ…」

食蜂「な、なによ」

土御門「海原…あれは大丈夫なのか?」

海原「…お色気担当ということで一つ。アリかもしれませんし…」

土御門「しかしアレは…」

海原「掛け合ってみましょう」

麦野「何話してるのかしら」

食蜂「やっぱりダメだったのよ。着替えてくるわね…あんっ」ガシ

結標「なに言ってるのよ。その格好で行くわよ」

食蜂「ひーん!」

御坂「…」ペタペタ

麦野「やめときなさい。触っても膨らみやしないわよ」

海原「食蜂…操祈さん…?」

食蜂「?」

海原「ワイシャツの胸元を開くのはいいのですが…その…」

結標「はっきり言いなさいよ」

海原「サラシを巻いているのはちょっと…」

食蜂「…」

麦野「胸元開けてる意味無いものね」

結標「じゃあ取ればいいわね」ズボッ

土御門「ズボ?」

384: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:14:01.14 ID:hRz71PTN0
食蜂「ちょっと!ど、どこに手を入れて…あははははは!」シュルルル

結標「一々更衣室に行くのも面倒だからここで取るわ!」

御坂「胸元に手を突っ込んで取れるもんなのね」

麦野「そういう風に巻いたんじゃない?」

食蜂「あはは!こっ、擦れて…ひひっ…!」

土御門「海原」

海原「安心してください。ちゃんと回ってます」

土御門「メイキング映像…根回ししていて良かった…」

海原「どのようにして配布しますか?」

土御門「購入してくれた者への全員サービス」

海原「ではそのように」

食蜂「はーっ…はーっ…」

結標「一方通行達は?」

土御門「ん?見ての通りまだだぞ」

食蜂「はーっ…着替えてくるわ…」

結標「ダメ、それで出なさい」

食蜂「サラシを取ったから下に何も付けて無いのよ!?」

結標「だーめ」ヒュン

食蜂「あう」ドテ

結標「大人しく従いなさい。これが貴方の償いよ」

食蜂「う…」

結標「もし従わないのなら次はパンツが消えるわよ」

食蜂「そ、それだけは…」

結標「刻んでプレゼントってのもいいわね」

食蜂「分かった!分かったから!この格好で出るから!」


385: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:14:32.62 ID:hRz71PTN0
ガチャ


麦野「おい、遅せーぞ!」

垣根「悪い悪い。色々と決めかねててな」

一方通行「準備オッケーだ。いつでもいけンぞ」

御坂「ははっ。決まってるじゃないの」

一方通行「ふン」

麦野「垣根は蝶ネクタイかぁ?ははははっ」

垣根「まあギャグだからもう外すけどな」シュッ

削板「…」カチャ

麦野「はは…は…」

垣根「どうだ?」

結標「へぇ…」

土御門「気合充分だな」

麦野「あんたは常にその格好でいたらいいんじゃないの?」

垣根「ついでに言うと口を開かないとなおのこと良い」

御坂「鉢巻外して服変えるだけでこうも変わるのね…」

削板「おし!根性入れてやるぞ!」

垣根「中身はまんまだけどな」

御坂「うん…」

386: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:15:02.17 ID:hRz71PTN0
土御門「じゃあ早速始めるか」

海原「まずは担当する楽器選びからお願いします」

結標「今回のテーマはなんだっけ?」

海原「今回は集結です。バラバラのチームが集まり今一度一つになる。そういうコンセプトです」

垣根「最初のシングルはカナミンのタイアップだって話だったな。今回はどうなんだ?」

海原「今回は携帯電話会社ですね。電話という事もあり繋がりというものを第一に置いた結果…」

土御門「なぜか集結になった」

海原「まあ電話とは得てして離れて行うものですからね。あながち間違ってはいないと思いまして」

一方通行「ンでその楽器とやらは?」

海原「どの楽器を選ぶかは皆さんで決めてください」

土御門「ギター、ベース、ドラム、キーボード、あとショルキーもあるぜい」

一方通行「淡希も楽器持つのか?」

結標「私はボーカルだからマイクスタンド程度ね」

一方通行「ンじゃこっちで適当に決めてイインだな」

結標「うん」

垣根「ここに居る奴ら…全員見渡して既に一人決定してるんじゃねぇのか?」

麦野「…」

御坂「…」

食蜂「?」

削板「お!ハーモニカもあるぞ!」ガチャガチャ

垣根「…あいつはドラムで」

387: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:15:28.67 ID:hRz71PTN0
垣根「削板!お前はドラムだ!」

削板「ドラム?」

垣根「果てしなく根性がいる楽器だ。気合入れろ」

削板「おう!」

海原「削板さん、ではこちらへ」

削板「この格好で叩くのか?」

海原「ええ」

一方通行「他の楽器はどうすンだ?人数的に大分合ってねェぞ?」

垣根「ギターは二人でも構わないみてぇだ」

御坂「ホントだ…ちゃんと書いてる」

麦野「結構見てるのね」

垣根「それなりにはな。んでほら、配置見る限りな…」

垣根「リードギターがボーカルに一番近い位置に居るんだわ」

御坂「じゃあリードギターは決まりね」

垣根「おう。この俺「はい一方通行」おい」

麦野「目立つポジションだからって結標の横にあんたは置けないわ。こういう位置はやっぱり一方通行よ」

垣根「そりゃ…そうだわな」

一方通行「ギターか…俺は弾けねェぞ?」

海原「フリなんで大丈夫です。一通り説明しますのでこちらへ」


388: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:15:57.78 ID:hRz71PTN0
食蜂「じゃあ私はサイドギターやるわ」

垣根「じゃあ俺はベースやる」

御坂「あ、あれ?イメージ的には私がギターじゃないの??」

垣根「はぁ?どうしてだよ」

御坂「エレキ…」

垣根「麦野、キーボードで」

麦野「まあそれでいいか…」

御坂「待ちなさいよ!じゃあ私は何をやるのよ!」

結標「安心してちょうだい」

御坂「え?」

結標「今回のシングルはコーラスがかなり多めに入ってるのよ」

御坂「うんうん」

結標「ショルキー背負って前に出て。それで私の隣に来てちょうだい」

御坂「コーラスでショルキー??」

結標「このヘッドセットも付けてもらうからコーラスの役割もばっちりよ」

結標「まあ口パクだからあんまり考える必要も無いわね」

御坂「つまり前に出てコーラスやればいいのね」

結標「そういうこと」

御坂「でもキーボードが二つになるんじゃ…」

結標「後で聴かされると思うけど結構キーボードメインの曲調だから」

御坂「じゃあ大丈夫ね」

結標「ええ。行きましょう」

389: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:16:26.38 ID:hRz71PTN0
海原「舞台はズバリ荒野です」

土御門「荒野の中心に向かってメンバーが集まる。そういうPVだ」

土御門「ちなみにボーカルとドラムとキーボードは最初から中心に居る。そこに向かって…ということだな」

海原「あとは簡単にですが楽器のレクチャーをします。普通の人ならかなり困難ですが…あなたたちなら大丈夫だと思っています」

垣根「削板。ちょっと叩いてみろ」

ズダダダダダダダバキッ!

削板「あ」

ガスッ

一方通行「あがっ」

海原「削板さん、もう少し力を抜いて」

削板「すまないな!」

海原「あと曲を聴いてもらいます」

土御門「楽器にいたってはそれっぽく見えれば問題無いから簡単に考えてくれ」

麦野「この部屋で撮影するの?」

海原「ええ」ピッ

食蜂「ん?」

御坂「あの時と同じく凄いわね」

麦野「一瞬で荒野に…初めてみたわ。こういうの」

垣根「曲、曲聴かせてくれよ」

土御門「焦らなくても今流すぜい」

390: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:16:52.89 ID:hRz71PTN0
垣根「へぇ。普通にかっこいいじゃねぇか」

麦野「随分とキーボードが派手なのね」

結標「電子をイメージしたからなおさらよ」

一方通行「…」ジャッ

ギュウウウウゥン!

海原「そうです。その感じです」

垣根「慣れて来てるな。おい土御門」

土御門「ん?」

垣根「俺達が出した音は入らないんだろ?」

土御門「ああ。撮影してる時は音を出してもらうが編集にあたって原曲を被せるから入らないぞ」

海原「一応演奏する気持ちでやってくださいね」

垣根「さっきと言ってること違うんじゃないか?」

海原「そこは都合を合わせてください」

垣根「まあいい。俺にも教えてくれ」

土御門「お前はベースか…」

海原「キーボードは結標さんいけますか?」

結標「大丈夫だけど削板はどうするの?」

海原「彼はもう大丈夫のようです」

結標「ふーん…以外ね」

海原「才能かもしれませんね」

391: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:17:24.42 ID:hRz71PTN0
海原「では食蜂さんもこちらへ」

食蜂「…」スタスタ

海原「一応楽譜になります。さすがに聴いただけで演奏は出来ませんよね?」

食蜂「一方通行は?」

海原「当然の如く、聴いただけでやってのけました」

食蜂「能力使った?」

一方通行「反射神経と伝達能力を少しいじった。これくらいならなンとかなる」

食蜂「私も少し集中力上げよ」

海原「まず読み方からですが…」

食蜂「うん」

一方通行「…」

海原「…ん?一方通行さん」

一方通行「あ?」

海原「垣根さんの所に行ってもらってもいいですか?」

一方通行「?」

海原「苦戦してるようです」


392: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:17:52.23 ID:hRz71PTN0
ボーン ボーン ボーン

土御門「…」

垣根「…」ボーン

土御門「もっと…こう…どうにかならないのか?」

垣根「どうにかだと?…」ボボボボボ

土御門「…能力使ってどうにかならないのか?」

垣根「能力か…」ブワッ

土御門「…」

ボボッ ビィン! ブォーン!

土御門「おお、いい感じじゃないか」

垣根「…」ブォーン

土御門「どうやっているんだ?」

垣根「弦に未元物質を付着させて無理矢理音を出してる」

土御門「通して弾けるか?」

垣根「無理だな。譜面とか色々問題がある。指の使い方とかな」

土御門「うーん…」

393: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:18:24.21 ID:hRz71PTN0
一方通行「垣根」

垣根「んあ?」

土御門「一方通行か。どうした?」

一方通行「海原に行くように言われてな。随分と苦戦してるようじゃねェか」

垣根「見ての通りだ。俺の能力じゃちょっとこういうのには向かねぇな」

一方通行「未元物質で感覚を引き上げるとか出来ンじゃねェか?」

垣根「引き上げても色々と不備がある」

一方通行「珍しい事もあンだな」

垣根「まあな」

土御門「どうにかならないか?」

一方通行「食蜂の出番だな」

垣根「あいつに頭いじられるのか」

一方通行「我慢しろ。速攻で理解するにはこれしかねェよ」

垣根「ま、しょうがないか」

土御門「まだ昼前か…時間はまだまだ大丈夫だな」

394: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:18:51.49 ID:hRz71PTN0
ィィィン…ボォーン! ビィン!

垣根「…」ボボッ

土御門「どうだ?いけるか?」

垣根「…」コク

一方通行「急に静かになったな」

食蜂「喋らせるくらいなら他の事に集中させるわ」

一方通行「どこいじった?」

食蜂「あなたと同じよ。それと少し危機感を煽らせたわ」

一方通行「そォか、わざわざすまねェな」

食蜂「いーえ。そんなことよりも撮影が終わったら私と…」ヒュッ

食蜂「!!!!」バッ

結標「…」ヒラヒラ

麦野「それ何持ってるの?」

結標「パンツ」

御坂「結標の?」

結標「まさか。あの子のよ」

麦野「言われて見ればレースの装飾が付けてた手袋にそっくりね」

食蜂「こ・の…!」

結標「安心なさい。ローアングルで撮ることは無いから。例え撮ったとしてもその長さのスカートじゃ中身なんて見えないから」

食蜂「気持ちの問題よ!今上も下も付けてないのよ!」

結標「だから?」

食蜂「ぐぬぬ…」

395: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:19:27.14 ID:hRz71PTN0
御坂「ま、まああんたも悪いんじゃない?」

食蜂「はぁー?」

御坂「だって目の前でお誘いなんか普通するー?曲がりなりにも中学生でしょー?」

食蜂「夕食の誘いに中学生とか関係あるわけないでしょ!」

御坂「え?」

食蜂「何、どういう想像してたのよ」

御坂「いや…あんたの行動聴く限り私はてっきり…」

食蜂「御坂さんの事も聴いた通りね」

御坂「は?…誰から…何を…」

食蜂「一方通行伝いに聴いたわ。◯◯旺盛だから薬を飲まされたそうね?」

麦野「それって同棲がどうとかって時?」

食蜂「知ってるの?まあ、そうね。その時の話ね」

麦野「あんた垣根でも良かったの…?」

御坂「ちょ、ちょっと待ってよ。どこからそういう話になったのよ」

食蜂「飲まされるって事はそういう事なんでしょ?」

御坂「いやいやいや。私飲んでないからね?」

食蜂「トイレに入って来てパンツを晒したとも聴いたわ」

御坂「待った待った。あんたは一体どういう話を聴いたのよ」

食蜂「どうって…」

396: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:20:02.04 ID:hRz71PTN0
御坂「なるほど…なるほど…なるほど」

食蜂「何か間違ってた?」

御坂「聴く分には何も間違ってないわ。パンツのくだりとか薬とか」

食蜂「じゃあ何がダメだったのよ」

御坂「言い方よ。肝心な事を言わないで怪しい部分だけ話してるわ」

麦野「結局薬のトコは一方通行が飲まされるんじゃねぇか、って話したから飲んだと思ったわけか」

食蜂「そういうことね」

御坂「…分かったわ」

食蜂「?」

御坂「食蜂はさっきの事はもう誰にも言わないでちょうだい。ていうか忘れて」

食蜂「それって私にはなんの意味も無いわ」

御坂「んー…ちょっとだけあんたに協力してあげるわ。食事の手配ぐらいならしてあげる」

食蜂「ホントに!?」

麦野「どうしてここまで一方通行にお熱になれるのかしら…」

御坂「初恋、らしいわ。聴いた話だけどね」

麦野「絶対に叶うことは無いと思うんだけど」

食蜂「えーと食事が終わったら通りのホテ…」

御坂「ごめんやっぱ無理かも」

食蜂「裏切ったわね◯◯。派閥の子から常盤台中に広めるわ」

御坂「だったらそのよこしまな考えを捨てなさいよ…」

397: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/17(日) 20:20:29.35 ID:hRz71PTN0
結標「そろそろいいかしら?」

麦野「まだ教える?」

結標「教えることは無いわよ。撮影するから準備いいかしら?ってことよ」

食蜂「あれ?私のパンツは?」

結標「プレゼントに回すわ」

食蜂「!?」

結標「さ、行くわよ」

食蜂「ちょちょ、ちょっと!私ノーブラノーパンよ!?」

結標「特に問題を感じられないわね」

食蜂「…」

麦野「諦めなさいよ。仕方ないわ」

御坂「どの色のショルキーにしようかしら…」

結標「どの色でもいいわ。大して問題も無いし」

御坂「じゃあこのピンクのに…」

食蜂「腹くくるわ」グッ

麦野「あ」

食蜂「?どうしたのよ」

麦野「いやね…ギターのストラップが谷間にうまい具合に入って…」

食蜂「…関係無いわ。もうこれで行くから」

403: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:22:09.99 ID:onpdjsy20
海原「女性陣も準備完了のようです」

土御門「じゃあ始めるか」

麦野「キーボードの配置は?」

海原「ドラムを正面に見て左側ですね」

麦野「はいはい」

御坂「私は?」

海原「ボーカルを正面に見て、これまた左側です」

食蜂「私はどこかしら?」プルンッ

土御門「一方通行の斜め後ろだぜい」

垣根「…」クイクイ

海原「はいはい。どうなさいました?」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい、はい…なるほど」

麦野「なにあれ」

食蜂「さあ?」

海原「食蜂さん」

食蜂「なに?」

404: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:22:37.76 ID:onpdjsy20
海原「垣根さんがもう少しその胸はどうにかならないのか、と申しています」

食蜂「どうにかってなによ?」

垣根「…」ボソボソ

海原「ふむ…ふむ…。胸が揺れすぎて目が落ち着かないらしいです」

食蜂「ふふん。ならば注目してるといいわ」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい…なるほど。よく考えたら自分のポジションはギターの後ろだからどうでもいいそうです」

食蜂「…」

御坂「吹っ切れたわねー」

麦野「そうでもしないとやってけないんでしょ?」

御坂「ある意味女王サマっぽいかも…」

垣根「…」ボソボソ

海原「ああ、なるほど…」

食蜂「次は何かしら」

海原「ワイシャツの透けには気をつけろとのことです」

食蜂「透け?」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい…はい…。透けブラでは済まないから汗には充分注意するようにとのことです」

食蜂「ああ…そう…」

405: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:23:04.79 ID:onpdjsy20
土御門「位置に着いたか?」

海原「集合した時のポジションは先ほど説明した通りです。最初は個別で撮りながら後々編集で繋いでいきます」

土御門「あわきんと削板と麦野は定位置。他の四人から撮影を始めて行くからな」

海原「まずは一方通行さんからです。ギター構えてください」

一方通行「…」ガシャッ

海原「そうです、では行きます。台本通り、演奏お願いしますね」ピッ

土御門「一方通行を海原に任せている同時進行で撮影する」

御坂「誰から先にやる?」

土御門「まずは垣根からだ。能力の影響が消える前にやっておきたいからな」

御坂「影響?」

土御門「まあ色々とな」

食蜂「♪」プルッ

垣根「…」ボソボソ

御坂「何か言ってるわよ」

土御門「大体分かる。食蜂はそのまま自己練習していてくれ。ほら、垣根からだ」

垣根「…」スッ

御坂「大丈夫かしら」


406: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:23:56.84 ID:onpdjsy20
風紀委員第一七七支部


初春「ふぁ…あっ…んん」

白井「初春」

初春「すみません。どうも眠くて…ははっ」

固法「白井さん。前に言ったことのまとめって出来上がってるかしら?」

白井「えっと…確かこちらに…」ゴソゴソ

初春「何か言われてたんですか?」

白井「つい先週の出来事ですの」

初春「?」

固法「街中で急に倒れる能力者が続出してね。レベルや年齢なんかもほとんどバラバラなんだけど…」

白井「問題はその全員が置き去りだということですの」

初春「はあ…置き去りですか?」

固法「何かあるんじゃないかと思って捜査をお願いしたのよ」

白井「でも結果として原因は分からずじまい…これがまとめですの」スッ

固法「ご苦労様」

白井「症状は原因不明の頭痛。軽いものから重いものまで、酷いと未だに意識不明の方も居ますの」

初春「そんなことがあるんですね」

白井「初春知りませんでしたの?」

初春「はい」

407: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:25:10.39 ID:onpdjsy20
固法「あまり大きな事でもないから仕方ないかもね」

白井「まあ、言われればそうですの」

固法「それより昨日の侵入者の事だけど…」

白井「はて?昨日…?」

固法「なんかヤクザ風の集団が学校に入って来たとかって聴いたんだけど」

白井「ああ。あれは一種の勘違いでしたの」

固法「勘違い?」

初春(白井さん。いいんですか?)

白井(事件として上げるにはあまりにも小さ過ぎますの。今後の面倒も考えるとこれが一番ですの)

固法「よく分からないけど何も無かったって事?」

白井「ええ。間違いありませんの」

固法「そう。ならいいわ」

初春「そういえば白井さん。昨日のテレビ見ました?音楽番組のやつ」

白井「お姉さまが見てたので一緒に見ましたの」

固法「音楽番組?それがどうかしたの?」

初春「そういえば固法先輩知らないんですね。実は…」

408: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:25:47.97 ID:onpdjsy20
再びビル内


削板「がぁぁあ!またすっぽ抜けた!」

土御門「うーん…」

垣根「…」ボソボソ

海原「…また削板か、と言ってます」

一方通行「ただ叩くだけだろォ?一体どうしてそんなスティックが飛ぶンだよ」

土御門「強く振りかぶり過ぎなんだな。もう少し力をセーブしてくれ」

削板「オッケー」

食蜂「そろそろ指が疲れて来たわ。ついでに汗も出てきた…」

麦野「早く収録しないと別の意味での話題PVになっちゃうわね」

御坂「やっぱりスーツって結構暑いわねー」

麦野(ワイシャツから◯◯が透けてるとなると流石にシャレじゃ済まないわよね)

結標「もう一度今の所気をつけてやりましょう」

海原「そうですね。やはり回を重ねないと慣れませんからね」

結標「そういうこと。それとあなた」

御坂「わ、私?」

結標「カメラを意識しすぎ」

御坂「う…」

409: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:26:18.21 ID:onpdjsy20
結標「そんなにカメラばっか目で追っちゃダメよ。不自然なカメラ目線になってるわ」

御坂「私から言わせてもらうと…なんで皆してカメラ慣れしてるのよ…」

一方通行「別に気にするもンでもねェだろ」

食蜂「そうそう。普段から注目浴びてればなんてことないわ」

御坂「…」

土御門「もう一回今のシーンから始めるぜい」

海原「テイク…23です」

土御門「30は行きたくないにゃー」

海原「皆さん次第ですね」

土御門「…ちゃんと別のカメラも回してるか?」

海原「メイキングのほうですね?ちゃんと回ってますよ」

土御門「よしよし」

一方通行「オイ、早く始めンぞ」

海原「削板さん今度こそお願いします」

削板「任せろ!」

土御門「始めるにゃー」

410: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:26:47.42 ID:onpdjsy20
第七学区内・ファミレスにて


フレンダ「暇ね…」

滝壺「zzZ」

浜面「…」ペラ

黒夜「…」カチカチ

絹旗「…」ズズッ

フレンダ「あんたさっきから何読んでるの?」

浜面「んん?これ」

フレンダ「雑誌?」

浜面「音楽コーナーの部分だけなんだけどな」

絹旗「浜面音楽とかに興味ありましたっけ?」

浜面「あんま関心は無かったけど…PV撮ったじゃんか?それで少しな」

フレンダ「来週だっけ?」

浜面「ああ」

黒夜「確かくれるとか言ってなかったっけ?」

絹旗「ああ…そう言えば言ってましたね」

フレンダ「カナミンのOPだっけ?凄い人気らしい訳よ」

浜面「今更か?そんなのは周知の事実じゃないのか?」

フレンダ「え…?」

絹旗「まさか浜面…」

黒夜「マジか…」

浜面「え?…え?」

411: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:27:20.17 ID:onpdjsy20
絹旗「まさか浜面が滝壺さんそっちのけでカナミンで超ハァハァしてるとは…」

浜面「お、おいおい。まさか見たこと無いのか?」

絹旗「ま、冗談は置いといてですね」

黒夜「人気だけなら私でも知ってるぜ。ほら、アレポスターじゃねぇか?」

浜面「ポスター?」

黒夜「店の中じゃねぇよ。外のほら…」

浜面「ああ、ああ。あそこか」

絹旗「ちょうど結標さんのポスターの並んでますね」

浜面「そりゃOPを担当すりゃな…」

フレンダ「そういえば麦野はどこで何してるわけ?」

絹旗「私は今日席外すって事ぐらいしか聴いてませんね」

黒夜「どっか出掛けてんじゃねぇの?」

浜面「一人でか?」

黒夜「一人でも、他の奴誘えば一人じゃねぇだろうよ」


412: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:27:49.60 ID:onpdjsy20
浜面「他の奴って?」

黒夜「知らねぇよ」

フレンダ「ねえ」

浜面「番外個体とかか?それとも超電磁砲か?」

黒夜「だから知らないっての」

フレンダ「ねえ!」

浜面「え?あ、どうした?」

フレンダ「ポスター見て思ったんだけどさ」

黒夜「?」

フレンダ「結標ってなんでアイドルになったわけ?」

浜面「あー…それこそ知らないっていうか…」

絹旗「確か私達はアイドルになる前日に会いましたよね?」

黒夜「だっけか?」

浜面「あの研究員風の人が来た時だろ?木山って言ったっけか?」

絹旗「そうです。ついでに言うと一方通行や垣根も一緒に来た時ですね」

黒夜「そういやあったな…そんなこと」

フレンダ「えっ、なにそれ…あ、私が居なかった時か…」

413: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:28:18.97 ID:onpdjsy20
絹旗「あの日は確か…麦野の要望でゲーセンに行くときでしたね」

浜面「街中で会ったんだよな」

絹旗「ええ。そういえばその時にあのメガネを付けてましたね」

浜面「メガネなんてどうでもいいだろ。そして麦野が二人で話をしたいとか言い出したんだっけ?」

絹旗「そうですね。それで自然と超解散しちゃったんです」

黒夜「流れ的に麦野と会話してアイドルになったのか?」

絹旗「違うんじゃないですか?少なくとも私はそう思えませんね」

浜面「まあ、別になんでもいいんじゃね?特に理由にこだわる必要もねぇだろ」

フレンダ「それはそうだけどやっぱり気になる訳よ」

絹旗「今度本人に聴いたらどうです?」

フレンダ「そういうのって聴きづらくない?」

絹旗「まったく…」

黒夜(そういやシルバークロースから手紙貰ったのもそんくらいだったなぁ…)

浜面「腹減ったな。追加注文するか」

絹旗「浜面、ドリンクバー」

フレンダ「私も」

浜面「…」

414: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:28:48.16 ID:onpdjsy20
ビル内


ゥゥゥゥン…

結標「…」

一方通行「…」

キィィィィィン…

御坂(一応終わったけど…一方通行が何か音出してるし、まだ終わりじゃないのかしら)

麦野(削板のスティック回しが成功したからオッケーじゃないかしら)

食蜂(うう…ギターのストラップが擦れて…汗も出てきたし…透けてないといいんだけど…)

削板(これは喋っていいのか?)

垣根「…」

ギュン…

土御門「…」ピッ

キュウウウウン

海原「お疲れ様です。テイク26にてやっと成功です」

土御門「今からちょっとだけ編集するから今のうちに着替えてくるといいにゃー」

削板「この撮影を通して熱いモノを感じたぞ!」

海原「それは何よりです」

一方通行「はァ…」

パキンッ!

土御門「ん?…ああ、垣根か…」

垣根「はぁーっ…やっとか…」

海原「お疲れ様です。積もる話はまた後でお願いします」

垣根「おう」

415: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:29:16.45 ID:onpdjsy20
男子更衣室


垣根「スティック回しって結構難しいんじじゃねぇのか?」

削板「そうでもないぞ?これをこう…だな」クル

カラン

削板「あれ?もう一度…」カラン

垣根「あぁ?出来たのはさっきだけか?」

削板「いや…ここでも出来るはず…!」

一方通行「やっと肩の荷が下りたな…」

垣根「文字通りな」

削板「出来た!出来たぞ!」

垣根「一方通行」

一方通行「ちょっと貸してみろ」

削板「ほら」

一方通行「…」カチ

ギュゥゥン!

削板「指が動いてないぞ!」

垣根「指先ひとつでこんな事も出来る。まあ俺は無理だけどな」

削板「その気になれば俺も出来るはずだ!貸せ!」

一方通行「無理だと思うケドなァ…」


416: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:29:47.96 ID:onpdjsy20
女子更衣室

食蜂「はぁ…終わった終わった…」プチプチ

麦野「暑苦しいしさっさと着替えましょ」シュル

御坂「ロッカーロッカー…っと」ガチャ

食蜂(あ…パンツ無かったんだ…)

御坂「ワイシャツは…」

結標「っと」ヒュン

麦野「着替えるのにも能力使うの?」

結標「こっちの方が随分と早いもの」

麦野「そう?」

結標「ええ」

食蜂「ちょっと」

結標「え?」

食蜂「私のパンツはどこかしら」

結標「パンツ?そういえばどこに飛ばしたかしら…」

食蜂「え?」

結標「多分そこらへんに落ちてると思うんだけど」

食蜂「帰りの服装はさっきの格好より短いスカート履くんだけど…」

結標「涼しくていいんじゃない?」

御坂「これ貸してあげるわ」スッ

食蜂「これってあなたがいっつもスカートの下に履いてるやつよね?」

御坂「今日何枚か持って来てたから。はい」

食蜂「…貸してもらうわ」

417: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:30:13.36 ID:onpdjsy20
麦野「私先に出るわね」

結標「私ももう出るわねぇ」

食蜂「私も」

御坂「え?もう?ちょっと待って…もう済むから…っとと」

御坂「よし。もうオッケーよ」

麦野「はいはい」ガチャ

ゴオオオオオオオオッ!

バタン

結標「なんで閉めたのよ」

麦野「冗談でしょ?今の音聴こえなかったの?」

『出来たぞー!!』

御坂「…今の声って」

結標「とりあえず出ましょうよ。そうしないと始まらないわ」

麦野「…」カチャ

垣根「か、風が…!」

一方通行「俺の真似して竜巻まがいの物を起こすとはよォ…」

土御門「あー!書類がー!」

海原「土御門さん!書類よりも機材をですね…」

麦野「男子更衣室の入り口辺りで強風が起きてるわ」

御坂「…」

418: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:30:44.04 ID:onpdjsy20
垣根「お前!とりあえずそれを治めろ!」

削板「俺にも出来たぞ第一位!」

一方通行「分かったからさっさと抑えろォ!」

削板「ぐぐ……どうやって治めたかな…?」

ドッパァァン!

一方通行「またスティック…!ぐがっ!」ガン

垣根「わぷぷっ!なんだ!?」スポッ

バサバサバサ!

土御門「さらば書類よ…」

海原「集めればすぐですから」

削板「…これで大丈夫のはず」

一方通行「痛ゥ…!」

削板「悪かった!」

垣根「んだこりゃぁ…?」グイ

食蜂「…」タッ

垣根「パン…あ?」

食蜂「私のよ!」グッ

垣根「あー?」ヒョイ

食蜂「とっ…届かない…!」ピョン

419: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:31:11.34 ID:onpdjsy20
垣根「なんでここでお前のパンツが出てくるんだよ」

食蜂「さっきアイドルに飛ばされたのよ!」

垣根「そうか」スッ

食蜂「被せんな!!」ドカッ

垣根「んがっ」

御坂「楽しそうね」

食蜂「どこが」

御坂「別に」

食蜂「まったく…はいコレ。返すわ」ポイ

御坂「ここで履き替えるの?」

食蜂「もう履き替えたわ」

御坂「早い…」

削板「ほら、飛ばした資料ってやつだ」ヒョイ

土御門「おお、悪いな」

削板「なに」

海原「とりあえず皆さん集まってください。一足先に鑑賞会といきましょう」

御坂「こっちの編集も早いわね」

結標「スピードが命ですもの。早ければ早いほどいいわ」

麦野「んじゃ見るとしましょうか」

一方通行「俺も行くかァ」

結標「一方通行」

一方通行「ン?」

結標「お疲れ」

一方通行「お互い様だ」

420: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:31:39.21 ID:onpdjsy20
ファミレスにて


浜面「雲行きが怪しくなって来たな」

黒夜「早く支払い済ませろよ。みんな外で待ってるぞ」

浜面「ああ。お前も先出てろよ」

黒夜「そうする」カチャ

絹旗「やはりこちらの作品をですね…」

フレンダ「まーたB級ホラーな訳?なんかこう…さぁ…」

絹旗「なんかとはなんですか。私はこうして今の季節に合うようなものをですね…滝壺さんはどうですか?」

滝壺「わたしはこれがいいな」

絹旗「ん…これは最近上映し始めたサイコサスペンスですね。滝壺さんはこういうのが好きなんですか?」

滝壺「ううん。この雑誌に載ってるやつならこれがいい」

絹旗「じゃあこれにしましょうか」

黒夜「それ見るのか?」

絹旗「ええ。浜面はどうしました?一雨来る前に映画館に行きたいのですが…」

黒夜「もう来るんじゃないか?」

カラン

浜面「何見っか決まったのか?」

絹旗「このサスペンスに決まりました」

浜面「げっ…これって頭使うようなやつじゃねぇのか?」

絹旗「そんな心配をしてるようでは映画なんて見れませんよ?」

421: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:32:07.14 ID:onpdjsy20
浜面「まあいいや。とっとと行こうぜ?近くのでいいよな?」

フレンダ「わざわざ天気悪い時に他の学区に行きたくない訳よ」

浜面「決まりだな。じゃあすぐそこだしこのまま歩きでいいか」

絹旗「何してるんですか?超置いてきますよ?」

浜面「…」

フレンダ「結局浜面がビリな訳ね」

浜面「お前さっきまで隣に居たろ…」

滝壺「はまづら早く」

浜面「今行くよ」タッ

絹旗「そうだ、番外個体でも誘いましょうか?」

黒夜「今家に居るといいんだけどな」

絹旗「さすがにどこかに出掛けてはいないでしょう」

黒夜「出てこれるか?」

絹旗「本来ならレベル5級の付き添いが必要とか一方通行が言ってましたが…さすがに私達でも大丈夫でしょう」

黒夜「いざとなったらシルバークロース呼べるしな」

絹旗「そういうことです」

黒夜「んじゃ呼んでくれよ」

絹旗「はいはい…」ゴソゴソ

浜面「おい、お前ら信号」

絹旗「黒夜先にどうぞ。向かいで待っててください」

黒夜「おう」タッ


422: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:32:32.82 ID:onpdjsy20
浜面「あれ?絹旗は?」

黒夜「電話するからここで待ってろってさ」

浜面「そうか。てかさ」

黒夜「あ?」

浜面「俺も知り合い呼んでいいか?さすがに男一人はキツイわ」

黒夜「いいんじゃね?」

浜面「悪いな」ゴソ

黒夜「誰呼ぶの?」

浜面「旅行の時にツンツン頭のヤツ見たろ?」

黒夜「あー」

浜面「そいつ」

フレンダ「やっぱ車の方が良かったかなー?」

滝壺「わたしは雨も好きだよ?」

フレンダ「でも豪雨は勘弁な訳ね」

黒夜「傘無いから変な時に降られても困るぜぇ?」

フレンダ「そういえば番外個体って家近くなの?」

黒夜「割かし近い。映画館に着く前に合流出来ると思うぞ」

フレンダ「ふーん」

滝壺「信号青になってるよ」

黒夜「え?ホントだ…絹旗ー!青だぞー!」

423: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/20(水) 22:33:24.51 ID:onpdjsy20
絹旗「はい…じゃあ行く途中に会いましょう。では…」ピッ

絹旗「今行きまーす!」

浜面「よし。これで男一人の重圧から解放されるぜ」

黒夜「増えんのか?」

浜面「おう。なんか近くに居たみたいだからな」

滝壺「あれ?」

浜面「どうした?」

滝壺「うーん…」

浜面「?」

ポツ…ポツ…

黒夜「ちょっと降ってきたな…」

フレンダ「ありゃ?奥から思いっきりスピード出して来るのトラックじゃない?」

黒夜「まあ突っ込んできても絹旗の能力ならなんとかなんだろ」

浜面「お、おいおい!ホントに突っ込んで来るじゃねぇか!」

黒夜「居眠りか?仕方ねぇな…このまま建物に突っ込んでもアレだし…絹旗、そのトラック止めてくんねぇか?」

絹旗「トラックですか?このままだと超危ないですし…止めましょうか…」

滝壺「だめ!」

浜面「は?」

絹旗「え?…あ…れ…?」ガクッ

黒夜「は?おい…!」ダッ

フレンダ「ちょっと黒夜!!」

浜面「マジかよ…!」

絹旗「は…おかしいですね…うまく頭が…」


キキーッ!ドンッ!!

ザーッ……
.................................................
.....................................
...........................
...................
............
......
...
.



428: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:41:33.82 ID:marfGZpt0
数十分後・ビル内にて


土御門「よしこれで行こう」

海原「それがいいと思います」

垣根「んじゃ解散でいいか?」

海原「せっかくですからお送りしますよ。天気が崩れてるみたいですし」

垣根「天気?」

御坂「うわ…雨降ってるじゃない。土砂降りの域よ?これは」

垣根「ゲリラ豪雨ってヤツか?歩いて帰るのも面倒だから送ってもらうか」

土御門「じゃあ機材運ぶのを手伝ってくれ」

垣根「仕方ねぇな」

削板「俺も手伝うぞ」

土御門「お前が居ればすぐ終わりそうだな。よし来い」

一方通行「オマエは今日どォすンだ?」

結標「今日は久しぶりに帰るわよ。珍しく何も無いからね」

一方通行「そォいやクソガキがサインねだってたぞォ?」

結標「サイン?」

一方通行「妹達へ…1000枚だとよ」

結標「1000枚…!」

429: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:42:02.13 ID:marfGZpt0
一方通行「さすがにその数は無理か?なンなら俺から言い聞かせておくが…」

結標「サインでしょ?大丈夫よそれくらい」

一方通行「そォか。ンじゃ帰ったら詳しく聴いてやってくれ」

結標「ええ」

一方通行「そォいえば見たよ。昨日のテレビ」

結標「どうだった?」

一方通行「あァ…悪くねェンじゃねェの?」

結標「ふふっ、そう」

一方通行「あァ」

麦野「あー、そういえばフレンダ達は何してるのかしら…」

御坂「?」

麦野「今日映画に行くとかなんとか言ってたのよ。雨に降られてなきゃいいけど…」

御坂「ああ…なるほど」

食蜂「…」

麦野「寂しいわねあんた」

食蜂「別に…」

御坂「何か面白い話でもしようかしら」

麦野「言いだしっぺからな」

御坂「う…」

430: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:43:11.04 ID:marfGZpt0
piriririririri

一方通行「あ?」

piriririririri

麦野「私のも?」

御坂「へぇー。こんな事もあるのね」

食蜂「ただの偶然よ」

結標「誰から?」

一方通行「番外個体からだ」

麦野「私は浜面からなんだけど」

結標「何かあったんじゃない?」

一方通行「かもな…」ピッ

麦野「いいやシカトで」

御坂「出ないんだ…」

麦野「別にぃ?」

一方通行「どォした?」

『ちょっと!今ドコに居るのよ!』

一方通行「はァ?ドコって…第七学区のビル…」

『今すぐ病院に来て』

一方通行「冥土帰しの病院か?調整の事でなンかあったのか?」

『違う!サイアイがトラックとぶつかったの!』

一方通行「ぶつかったァ?」

431: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:43:39.29 ID:marfGZpt0
一方通行「どォいうことだそりゃァ…まさか能力使ってぶつかったから相手が重症です、なン落ちかァ?」

『はぁ?何のん気なこと言ってんの!サイアイは能力を発動出来なかったの!だからサイアイがトラックにはねられたの!分かる!?』

一方通行「発動出来なかった?…分かった今すぐ行く」

『早く来て。リアルゲコ太から大事な話があるみたい』

一方通行「分かった」プッ

麦野「ぶつかったとか重症とか一体どうしたの?」

一方通行「絹旗がトラックに撥ねられたって話だ。よく分かンねェが能力を使わなかったみてェだ」

麦野「じゃあ浜面からの電話は…」

結標「麦野…」

一方通行「とりあえず病院に顔出せって話みてェだ。医者がなンか言いてェみたいだからな」カチャ

結標「待って一方通行」

一方通行「?」

結標「私の能力で送ってくわ。そっちの方が何倍も早いから」

麦野「結標、私も」

結標「ええ」

一方通行「そォかアイテムの…」

結標「それと一方通行。病院に着いたら私達からも話があるわ」

一方通行「お前らもか。まァイイ、とっとと行くぞ」

ヒュン

御坂「一体どうしたのかしら」

食蜂「気になるわね。あの人達に言って私達も病院に連れてってもらいましょ」

432: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:44:08.40 ID:marfGZpt0
病院


一方通行「番外個体!」

番外個体「随分と早かったね」

一方通行「淡希も一緒に居たからよォ。それよりトラックに撥ねられたって言うのは…」

番外個体「病室そこ。見てきたら?ゲコ太も居るよ」

一方通行「そォか…」

番外個体「ん?ムギノも来たの?」

麦野「一応仲間だし。第一そんな薄情でも無いわよ」

番外個体「ひひっ。ジョーダン」

一方通行「入ンぞ」ガラッ

冥土帰し「来たね一方通行」

一方通行「…撥ねられたって割には随分と綺麗だな」チラ

黒夜「私が直撃する寸前に能力を使った」

一方通行「能力…そォか…。ンじゃなンで寝てンだ?」

冥土帰し「寝てるというより意識不明の状態だね?」

一方通行「意識不明だとォ?黒夜の能力でも直撃させたのか?」

黒夜「私は絹旗が少しトラックから離れるように撃っただけだ。直撃なんざさせてねぇよ」

一方通行「…そォいや能力が発動しなかったとか言ってたな。そりゃどォいう…」

滝壺「あくせられーた」

一方通行「滝壺か…なンだ」

滝壺「きぬはたが能力を使う少し前。きぬはたのAIM拡散力場がぐちゃぐちゃになるのを感じたの」

一方通行「オマエ能力が使えたのか?」

滝壺「感じるだけなら簡単」

433: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:44:35.15 ID:marfGZpt0
一方通行「拡散力場がグチャグチャになったとか言ってたな。どォいうことだ」

滝壺「能力を充分に機能させるだけの構成能力が無くなっていたの」

一方通行「はァ?」

冥土帰し「つまり彼女が能力を使おうにも拡散力場が…力のフィールドがメタメタになってしまったといことだね」

冥土帰し「原因としては自分だけの現実の揺らぎ」

一方通行「発動以前に使用が不可能の状況に陥ったってことかァ?」

冥土帰し「その解釈で間違っていないよ」

冥土帰し「今の絹旗最愛には窒素装甲を使用するだけの力は無い」

一方通行「…」

冥土帰し「彼女が今意識不明なのは自分だけの現実の反動だね?」

一方通行「オイ待て。話を聴く限りだと絹旗が能力者として不十分だって言ってるように聴こえンだがよォ…」

一方通行「自分だけの現実の反動とか拡散力場の揺らぎとかよォ、そォいうのは能力者として最初にコントロールすべき部分なンじゃねェか?」

冥土帰し「君の考えで合ってる。絹旗最愛は能力者として精神の部分で不十分だった」

一方通行「暗闇の五月計画が原因ってことか」

冥土帰し「まあそこに座りたまえよ」

一方通行「チッ…」ガタッ

冥土帰し「実は彼女がこのような状況になることは予想できた事態なんだね?」

一方通行「あァ?」

冥土帰し「なに、彼女だけじゃない。被験者全員に言えた事だ。もちろんそこに居る黒夜海鳥にもね」

434: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:45:01.90 ID:marfGZpt0
冥土帰し「最近になって被験者と思われる人物が次々と倒れ病院に運ばれている」

冥土帰し「症状は今の彼女ほど酷くなく、治療すればすぐにでも復活できる程度の症状だ」

一方通行「そォいう話を出すってことはコイツの症状がそれなりにヒドイって事か」

冥土帰し「それなりではなくかなり、ね」

一方通行「どォしてだ?」

冥土帰し「それはだね…」

「実験体中、攻撃性が一番近づいたのが黒夜。そしてその中でも優等生とされたのが絹旗だ」

冥土帰し「君も来たのか。垣根帝督」

垣根「一方通行、知ってるはずだぜ?五月計画がどういう実験だったのかをよ」

一方通行「噛み砕いて言やァ…俺に近づくための実験だ」

垣根「そうだ。お前に近づくための実験で絹旗が優等生なんだぜ?」

一方通行「…」

垣根「精神性も特に近づいてるはずだな」

冥土帰し「他に発症した子は頭痛で倒れている。原因は精神性の不一致」

垣根「自分本来の精神性に合致しなくてその不具合が今になって頭痛になったって話だ」

一方通行「オマエには聴きてェことが幾つかあるが…まァイイ」

一方通行「優等生になったツケが回ってきたンだろ?」

冥土帰し「そうだ。君の精神性を無理矢理植え付けたツケがね」

435: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:45:30.82 ID:marfGZpt0
一方通行「治療方はあンのか?」

冥土帰し「もちろん」

一方通行「そォか…ならイイ。それと冥土帰し」

冥土帰し「なんだね?」

一方通行「どォしてもっと早い段階で俺にそのことを言わなかったンだ?」

冥土帰し「君があんまり抱えることじゃない。僕なりの気遣いだ」

一方通行「ハッ、そォかい」

垣根「次は結標のトコに行ってやれ。次はあいつらから話があるみたいだぜ?」

一方通行「言われなくても」

冥土帰し「それと一方通行」

一方通行「まだなンかあンのか?」

冥土帰し「被験者全員が発症するわけじゃない。それだけ覚えていてくれ」

一方通行「…」チラッ

黒夜「私はなんともねぇよ。心配すんな」

一方通行「心配しないで済むとイインだけどよォ」

垣根「死にはしねぇよ」

一方通行「命の心配なンざ最初からしてねェよ」ガチャ

垣根「この病院だから、かぁ?」

436: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:45:57.99 ID:marfGZpt0
結標「どうだった?」

一方通行「とりあえずは無事みてェだな」

結標「そう」

一方通行「オマエは顔見なくてもイイのか?」

麦野「後で見るわよ。それよりも話たいことがあるんだけど」

一方通行「言ってたな。さっさと話せ」

結標「私達も絹旗か黒夜がいつかこうなることを知ってたの」

一方通行「今度はオマエ達か。どっちが誰から何を聴いた」

麦野「垣根にやられた時の怪我で私がここに通院してたのよ。んで最後の通院の時にあの医者から聴いたのよ」

一方通行「淡希が知ってたって事はオマエが話したからか」

結標「あなたに話さなかったのはごめんなんさい…怒ってる?」

一方通行「何か考えがあったから話さなかったンだろ?それについては深く聴くつもりはねェよ」

麦野「へぇ…以外ね」

一方通行「…」

冥土帰し「一方通行」カチャ

一方通行「まだなンかあンのか?」

冥土帰し「治療費の事なんだけどね」

一方通行「金の事なら問題は…」

黒夜「一方通行、その事なんだけどな」ヒョコ

一方通行「あ?」

黒夜「口座の中はスッカラカンなんだよ」

437: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:47:16.44 ID:marfGZpt0
一方通行「はァ?なンでンな事…!」

一方通行「シルバークロォス=アルファ…!」

黒夜「気付いたか?思ったより駆動鎧って高いんだよな」

冥土帰し「困ったね…サービスで行えるほど低コストな治療じゃないんだよね?」

一方通行「後で払うってのは…」

冥土帰し「君の後でがどれくらい後かは分からないが…治療に必要な器具を用意するのに治療費を貰うんだ。そこが他の治療との違いだね?」

一方通行「チッ…垣根…」

垣根「俺の口座はとっくの昔に凍結されてるぜ」

一方通行「…」

結標「その事だけどね、一方通行」

一方通行「…あァ…」

結標「私が払うわ」

冥土帰し「払うのは一向に構わないんだけど結構な金額だ。それこそレベル5級の財力が必要だって程にね?」

結標「当てがあるもの。じゃなければこんな事言わないわ」

一方通行「オマエどこにそンな金が…」

結標「アイドルになったきっかけの一つよ。治療費を稼ぐことがね」

一方通行「…」

垣根「なりたいからじゃなかったのか」

結標「それも理由の一つね」

438: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:47:50.71 ID:marfGZpt0
結標「あなた達が常盤台の子との同棲を終わらせる少し前…ていうか私がアイドルになる前日の事ね」

垣根「路中で俺達と会った日の事だな」

結標「そう。なぜか木山さんと一緒に居た時ね」

結標「私があなた達と会った後に麦野から話を聴いたの」

麦野「あん時は医者に話を聴いた後だったからね。とりあえず結標に絹旗の事話そうと思ってね」

結標「本人に言わないで私に言うんだもの。びっくりしたわ」

麦野「不確実なことなんだし…変に話して不安を煽っても仕方ないでしょ」

結標「まあね」

麦野「適当に場所用意して二人で話すことにしてね。そいたら開口一番にアイドルになりたいんだけどどう思う?って聴いてきたの」

結標「そしたら麦野はなりたいならなればって言ってきたのよ。そしてその後に肝心の話を聴いたの」

結標「せっかくだし治療費を稼ぐことも兼ねてアイドルになってみようと思ってね」

一方通行「オマエが出すような金でもねェだろ。どォしてわざわざ…」

結標「ま、家族みたいなもんでしょ?あなたのお金も無限に沸くわけでもないし、何かあった時の貯えのつもりでね」

一方通行「そりゃそォだが…」

結標「現にそのお金が底を付きそうになってるし…正解だったみたいね」

麦野「ホントは私が出してあげれば一番早いんだけどね」

垣根「出してやりゃあいいじゃねぇかよ」

麦野「あんたにやられた怪我の治療費もろもろでほとんど吹っ飛んだのよ」

垣根「ぐ…悪い…」

439: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:48:40.72 ID:marfGZpt0
結標「そしてその夜に来た話が…」

黒夜「駆動鎧の話なんだな」

結標「金額を見てびっくりしたわ。本当に高いのね駆動鎧って」

一方通行「早いうちに俺に話してくりゃァ良かったのによォ」

結標「そっちも結構込み入ってると思ったのよ。自分のことで精一杯だろうと思ってたし…更に問題を増やすのもどうかと思ってね」カチャ

一方通行「…あ」

結標「このメガネにも少しお世話になったしね」

垣根「気付いてたのか?」

結標「つい最近だけどね。もうほとんど効力も無いみたいよ?このメガネ。随分と不思議なアイテム…」

垣根「木山は自分では気付けないみてぇな事言ってたハズだが…」

結標「そうみたいね。前に土御門がメガネを貸せって言ってきてね。それで解析して初めてこのメガネの効力が分かったのよ」

垣根「んじゃアイドルになりてぇってのは…」

結標「恥ずかしい話だけど本心ね。ちょっとだけ憧れてたのよ」

一方通行「まァ、何はともあれ迷惑かけたな」

結標「あなたがそういう事を言う必要は無いわ」

垣根「土御門と海原はアイドルの目的を知ってんのか?」

結標「ええ。実を言うと知ってるのよね」

一方通行「チッ…なンか複雑だな…」

「まあそう言わないでください。結標さんもあなたを思っての事なんですから」

結標「海原、呼び方」

海原「これは失礼しました。あわきんさん」

440: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:49:12.44 ID:marfGZpt0
一方通行「オマエらも来たのか?」

海原「いざ送ろうと思って戻ったらあなた達が消えてましてね」

土御門「何があったか話を聴いてみると病院がどうのと言う始末だ」

海原「麦野さんも消えてましたのでもしやと思いまして…食蜂さんの後押しもありここに来ました」

土御門「と言っても垣根は車に乗らないで能力使って飛んで来たみたいだけどな」

一方通行「一緒に来たわけじゃなかったのか?」

垣根「ああ。自分で来た方が早いと思ってな」

一方通行「なンで最初にオマエが単独で来たンだ?それにさっきの事もだ…妙に詳しいじゃねェか」

垣根「同棲が終わる当日、俺達にしては珍しく別々に行動したよな?」

一方通行「あァ」

垣根「そん時に倒れてる女の子を助けたわけだ。んで病院に連れてくとびっくり…被験者特有の症状だっつー話を聴いたわけなんだわ」

一方通行「一度目の当たりにしたのか」

垣根「おう。そん時からいつか絹旗か黒夜のどっちかがぶっ倒れんのかな、と思ってたらコレだ」

一方通行「…」

垣根「第三位とかに話を聴いてもしやと思い飛んできた次第だな」

一方通行「そォか」

441: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:49:50.12 ID:marfGZpt0
その頃、病院・一階ホールにて


上条「なあ、やっぱりお前はあの場に居たほうが良かったんじゃないのか?」

浜面「俺が居ても仕方ないだろ。どうにかなるわけでも無いしよ」

上条「容態とかどうなんだろうな」

浜面「詳しくは聴いてないけどそんな重症でもないみたいだぜ?」

上条「そうか、まあ良かったな」

浜面「だな」

上条「そういや誰だっけか…あのジャージの子」

浜面「滝壺か?」

上条「そうそう。一方通行に話したい事があるってのは…」

浜面「さあ?ていうか一方通行達遅いな…」

番外個体「あの人達ならとっくに来てるよん」

浜面「は?」

番外個体「さっきムスジメの能力使って現れたよ」

浜面「せっかく入口近くでスタンバってたのに…」

番外個体「ひひ、でも別のお客さんが来たでしょ?」

上条「そうそう。なぜかさっき土御門が来たし…それに海原光貴まで…」

番外個体「ほら、また別のお客さんじゃないかな?」

上条「え?」

442: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:50:18.47 ID:marfGZpt0
御坂「…あれ?なんであんた達が…?」

番外個体「なんでって言われてもねぇ?」

食蜂「連れて来てもらったはいいけど…何がどうなってるのかしら」

上条「み、美琴!?」

御坂「なんか久しぶりな感じがするわねー」

上条「実際久しぶりだっつの!お見舞いとか来てくれんのかなーとか思ってたのにそれも無かったし!」

御坂「え?あんた入院してたの?」

上条「ええ…まあ…」

御坂「まあ無事退院出来たみたいだし良かったわね。おめでとう」

上条「あ、はい。どうも…それよりそっちの金髪の方は…」

食蜂「…」

御坂「あ、名乗らないんだ…。えっとこの子はね…第五位の心理掌握、食蜂操祈って言うの」

上条「えっ!この人が心理掌握なんですか!」

浜面「第五位…ってことは常盤台の…中学生か…」

上条「はぁー…」

浜面「うーん…中学生にしては…」チラ

御坂「…」

443: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:50:48.65 ID:marfGZpt0
御坂「このツンツン紹介した方がいい?」

食蜂「遠慮しとくわ。興味無いし」

御坂「あ、そう?」

浜面「ぶふっ、興味無いってよ?」

上条「お前は美琴にすら触れられて無いけどな」

浜面「ははっ、初対面だから仕方ねぇよ。初対面…だよな?うん」

削板「俺はお前を知ってるぞ!!」

浜面「こ、この声は…」

削板「旅行以来だな!浜面仕上!」

浜面「なんで第七位のあんたまで居るんだよ…」

削板「話すと長いぞ!」

浜面「やっぱいいわ…」

食蜂「…」

上条「あのー…私の脳みそをいじって頭を良くしたりなんかは…」

御坂「あんたは何を頼んでるのよ…」

444: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:51:22.06 ID:marfGZpt0
チンッ

上条「ん?」

ガーッ

一方通行「なンだ?三下も居たのか?」

上条「ああ、まあな」

浜面「あれ?麦野も居たのか?」

麦野「こいつらと一緒にね」

垣根「?…お前たちさっきから居たか?」

上条「いや、さっきは売店に行ってて…」

垣根「そうか」

上条「なんでだ?」

垣根「いや、さっき俺が来たときは誰もホールに居なかったから…」

上条「ああ、なるほど」

浜面「滝壺は?」

麦野「もう少し病室に居るって。フレンダは?」

浜面「フレンダ?上に居なかったか?」

麦野「いや?見てないけど?」

浜面「あれ?おかしいな…」

一方通行「金髪のコトかァ?」

麦野「そうそう」

一方通行「そいつなら病室で寝てたぞ。気付かなかったか?」

麦野「あ、そう…」

445: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:51:49.78 ID:marfGZpt0
削板「何か大変だったみたいだな」

一方通行「大した事じゃねェ」

浜面「黒夜はどうした?」

麦野「病室。今日はここに泊まるみたいよ」

浜面「へぇ」

一方通行「淡希、番外個体。帰ンぞ」

番外個体「ありゃ?もう帰るの?」

一方通行「ここで唸ってても仕方ねェだろ」

番外個体「そりゃそうだけど…こう…なんて言うの?」

結標「絹旗の事を心配するのは分かるけど一方通行の言う通りよ?」

番外個体「はぁ?」

結標「治療をするにはするけど一旦意識が戻ってから治療するの。これからあの医者がその行動に移るからどの道待たなきゃいけないのよ」

一方通行「そォいうこった。ま、ここで待ってても仕方ないンだわな」

番外個体「意識が戻ってからって…ちゃんと起きるの?」

一方通行「だから最初にその治療をするって言ってンだろォが」

番外個体「は、はぁ…?」

一方通行「とりあえず一旦家に戻ンぞ。保護者連中にも話しとかなきゃなンねェしな。淡希、悪いが能力使ってくれ」

結標「はいはい」

一方通行「じゃァなオマエ等。また会おうぜェ?」

ヒュン

446: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:52:18.03 ID:marfGZpt0
海原「じゃあ土御門さん、自分達もそろそろ…」

土御門「そうだな。発売に向けての準備もあるし…」

海原「御坂さんと食蜂さんは常盤台までお送り致します。お三方はどういたしますか?」

垣根「俺は適当に帰るわ」

麦野「私はもう少しここに居るわ。少し話も聴きたいし」

削板「もうちょっとここで話してから帰る」

海原「そうですか。ではお疲れ様でした」

土御門「よし、行くか」

上条「おい土御門!」

土御門「ん?そういえば居たな…どうした?上やん」

上条「お前、発売とか準備とか偉く忙しそうだけど何やってるんだ?」

土御門「まあ…仕事の一種だにゃー…」

上条「仕事?」

土御門「ちょいとマネージャー業を、な」

上条「マ、マネージャー?」

土御門「もういいか?時間も押してるんだ。悪いな上やん」

上条「待ってくれ。最後に聴かせてくれ」

土御門「?」

上条「来週学校には来るんだろうな?」

土御門「あ……まあ、予定では…」

447: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:52:46.94 ID:marfGZpt0
海原「土御門さん」

土御門「おっと。じゃ、またな上やん」

御坂「気をつけて家に帰るのよ?再び入院なんてシャレにならないわよ?」

上条「お、おう。気をつけるよ。美琴もな」

御坂「うん。じゃあね」

食蜂「さっさと行きましょ」

御坂「そんな急かさなくても…」

ウィーン

垣根「一気に静かになったな」

麦野「そりゃ騒がしい連中が消えればそうなるわよ」

削板「まだ俺が居るぞ」

垣根「そういやそうだったな」

上条「そういや垣根」

垣根「お?」

上条「退院祝いありがとうな」

垣根「おう。うまかったろ」

上条「ああ…やっぱり食べ物だったのか…」

垣根「?」

448: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:53:18.34 ID:marfGZpt0
垣根「だったのかって…どういうことだよ、オイ」

上条「どういうこともなにもウチのシスターさんが…」

垣根「俺の発言に対しわかったって言ったから心配はしてなかったんだが…そうか全部食っちまったか」

上条「垣根が悪いわけじゃねぇよ…しつけのなってないウチのシスターさんが悪かったんだから…」

垣根「まあ腹減ったって言ってたから仕方ねぇか…」

チン

削板「ん?」

冥土帰し「一方通行はまだ居るかね?」

麦野「さっき帰っちゃったわよ」

冥土帰し「一足遅かったか」

麦野「何か急用?」

冥土帰し「治療費の見積もりが出たからそれを伝えようと思ってね?まあ急ぎじゃないから構わないんだが…」

垣根「そういや冥土帰し」

冥土帰し「どうしたね?垣根帝督」

垣根「絹旗の治療に俺が関わんなくても大丈夫か?」

麦野「はぁ?どうしてあんたが…」

冥土帰し「全開の治療でメカニズムは分かったから君は関わらなくても大丈夫だね?」

垣根「ん、そうか」

上条「さて、んじゃ雨も止んだことだし俺は帰るかな…」

浜面「せっかく来てもらったのに悪かったな」

上条「いや、構わないよこれくらい。無事でなによりだ」

449: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:53:45.59 ID:marfGZpt0
垣根「はーっ…んじゃ俺も帰るか…急いで来たわりには大事でもなかったしな…」

削板「待て垣根」

垣根「大した事なくてよかったな。じゃあなアイテム」

削板「待つんだ垣根」ガシ

垣根「…なんだ」

削板「ここに一つの券がある」

垣根「ああ…近すぎてなんの券か分からねぇがあるな」

削板「の前に…ちょっと待ってくれ」タッ

垣根「?」

削板「なあ……これは………どうだ?」

麦野「え?………いいわよ………行かないわ」

削板「待たせたな」

垣根「大して待ってないがな」

削板「あと悪いがお前も待ってくれ」

上条「は?俺も?」

450: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/24(日) 14:54:15.45 ID:marfGZpt0
削板「実はコレ、焼き肉屋の無料招待券だ」

垣根「へぇ」

削板「今日撮影したろ?その後に打ち上げとかするのかなと思って用意したんだ」

垣根「そんな事思い付きもしなかったな。よく考え付いたなお前」

削板「まあな」

垣根「んでそれが?」

削板「肝心の結標や土御門達は帰ってしまった。麦野に聴いてみたらみんないかないそうだ、だから俺達だけでも行こうと思ってな」

垣根「焼き肉にか」

削板「焼き肉にだ」

垣根「だとよ、来るか?上条?」

上条「えっと…俺が行って大丈夫なのか?」

垣根「どんな心配してんだ。ダメなら誘わねえよ」

上条「そうか。じゃあお言葉に甘えて…」

削板「決まりだな!じゃあ行くか!」

垣根「…待った。心理定規も呼びたいんだがいいか?」

削板「心理定規…………ああ!あのドレスのか!構わないぞ!」

垣根「んじゃ呼ぶか」

上条「焼き肉かー。久しぶりだなぁ」

454: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 20:57:50.39 ID:ZiQymRBg0
垣根「とっとと行こうぜ。せっかく券を持ってても満員で入れなかったら意味無いからな」

上条「ん?誰か呼ぶんじゃないのか?」

垣根「途中で電話するよ」

削板「え…と場所は…」

垣根「外出ようぜ。電話もしたいしよ」

削板「お、そうか?」

ウィーン

垣根「…」ピッピッ

上条「インデックスは子萌先生の所にでも行ってもらおう…」

垣根「…ん?」ピ

削板「どうした?」

垣根「今すれ違った白衣の…」

上条「白衣?」

垣根「木山春生!て言ったっけか…」

木山「ん?君達は…」

上条「あれ?木山さん?」

削板「確か旅行の時の…」

垣根「冥土帰しになんか用か?」

木山「君がここに居るということは…」

垣根「興味本位で一方通行に着いて来た」

木山「そうか、察しの通り、絹旗くんの治療の事でちょっとね」

垣根「一応あんたも動くんだな」

木山「まあな」

455: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 20:58:20.40 ID:ZiQymRBg0
木山「他に誰か居たのかい?」

垣根「麦野達…絹旗の一味が集まってるぜ」

木山「そうか。彼女達とも少しお話をしなくてはな」

垣根「何か重要なことでも?」

木山「別の子を治療する時に本来の精神性を上書きすると言ったことは覚えてるかい?」

垣根「ああ」

木山「その本来の部分を色濃くするために彼女とより親しい関係の人間から話を聴こうと思ってね」

垣根「本来の部分って言ったな。麦野達に聴いて分かることか?」

木山「恐らくな。もしもの時は前に掛けたメガネの時に適用された性格を元に組み上げれば問題ないさ」

垣根「メガネか…そんなこともあったな」

木山「ああ。では失礼するよ」

垣根「おう」

削板「店まで少し距離あるぞ?」

上条「タダで食べれるなら文句は言いませんよ」

垣根「…」ピピッ

piriririririri

垣根「心理定規か?俺だ…」

削板「常盤台の子達も誘っておけばよかったかな?」

上条「御坂はともかくもう片方の食蜂って子は来たかな…」

削板「来れなかった奴らの分まで食うぞ!」

上条「はは」

456: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 20:58:48.12 ID:ZiQymRBg0

風紀委員一七七支部

カチャ

初春「あれ?白井さんまだ残ってたんですか?」

白井「初春?ええ、少し調べ物を…」

初春「何か新たに事件でもありましたか?」

白井「いえ、ちょっと昨日の事を…」

初春「昨日?一方通行さん達が現れた時の事ですか?」

白井「どちらかというと第二位様の事でして…」

初春「はあ?」

白井「今思い返してみるとどうも腑に落ちなくて…」

初春「何がですか?」

白井「彼の…」

初春「垣根さんの?」

白井「行動の一部始終ですの」

初春「行動…?」

457: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 20:59:19.88 ID:ZiQymRBg0
白井「ええ。あの出来事はなあなあで処理致しましたが立派な犯罪行為ですの」

白井「校内への不法侵入に次ぎ、風紀委員への危害。それに対して悪びれた様子もなくヘラヘラヘラヘラと…」

初春「は、はあ…」

白井「軽い謝罪も無しにうやむやにしようとしたあの態度!今冷静に思い返してみるとこう…胃が…!」

初春「で、一体何を…?」

白井「どうにか一度豚箱に押し込めないかと考察していましたの」

初春「豚箱…そういえば一回学舎の園で警備員に捕まったって聴いたことがあります」

白井「そ、それは本当ですの!?」

初春「え、ええ。園内で能力を使用しテロと間違えられたとかで…」

白井「もしそれが本当だとしたら何故あの男は今野放しに…!」

初春「出来た彼女さんが身柄引受人になりましてそれで…あと色々あって和解って形になったみたいですよ?」

白井「!?!?」

初春「ど、どうしました?」

白井「かっ…彼女ぉ!?」

初春「はい、彼女さんが…」

白井「あの男にですの!?」

初春「だからそうだと…」

白井「はぁーっ。世も末ですこと…」

初春「?」

458: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 20:59:54.45 ID:ZiQymRBg0
白井「あの男に付いてるということはよほど寛大な心の持ち主か…」

初春「持ち主か?」

白井「彼女さんに見せる別の顔を持ってるということに違いありませんの。あんな傍若無人なお人に…」ブツブツ

初春「なんか白井さん凄いですね?」

白井「は?」

初春「いえ…」

白井「どうにかして一回痛い目に…」

初春「あんまり手を出して前みたいにとんでもないイタズラされなければいいんですけど…」

白井「うぐ…そうならないようにはどうすべきか…」

初春「…」

白井「ん…まずはその彼女さんとコンタクトを取って…」

初春「何する気ですか?」

白井「その彼女さんが初春の言うとおり出来た人なら…」

初春「?」

白井「そうと決まれば警備員の詰め所に行って情報を…」

初春「は、はは…」


459: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 21:00:24.43 ID:ZiQymRBg0
黄泉川宅にて



黄泉川「そうか…トラックに撥ねられたじゃんか…」

一方通行「あァ」

芳川「でも怪我とかは無いんでしょう?」

一方通行「大事を取っての入院だ。心配することはねェよ」

黄泉川「その時のショックで能力が一時使用不能に、か…そんなこともあるんだねぇ」

芳川「能力に関している精神性周りのことは分かってないことが多いわ。不思議なことでもないわ」

黄泉川「この街でも能力について分かってないことがあるじゃんか?」

芳川「得てしてそういうものよ。人の脳の事よ?分からないことだらけよ」

芳川「如何なることが能力に対して多大な影響を与えるか…それも詳しくは分かってないわ」

黄泉川「ほぉー」

芳川「だからこそ、気付けないこともあるんだけどね。昔に行われていた実験なんてほとんどそうよ。先の事なんて大して考えられてなかったもの」

一方通行「…」

黄泉川「一方通行?」

一方通行「…なンだ」

黄泉川「いや、いつになく真剣な表情をしてたじゃん。どうかした?」

一方通行「イヤ…きっかけさえあれば能力は使用不可になンのかと思ってな」

芳川「ありえない話じゃないわね」

一方通行「そォか」

芳川「でも最愛のことなら心配は要らないと思うわよ?原因もはっきりしてるし冥土帰しならちゃんと治してくれるわ」

一方通行「だとイイがな」

460: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 21:00:50.29 ID:ZiQymRBg0
翌日・旧スクールアジトにて

piriririri

心理定規(電話?)

心理定規「私の…知らない番号ね…」ピッ

心理定規「もしもし?」

『朝早くに申し訳ありません。私、風紀委員第一七七支部の白井黒子と申しますの。心理定規さんの携帯で間違いありませんの?』

心理定規「確かに私が心理定規だけど…風紀委員が何の用かしら?」

『少々お話したいことがあって電話したのですが…『黒子貸して!』お、お姉さま!』

心理定規「?」

『もしもし?心理定規?』

心理定規「その声は美琴ね?電話を掛けてきた風紀委員ってあなたのお友達なのかしら?」

『あれ?会ったことなかった?前に旅行行った時、帰りに現れたのがそうなんだけど…』

心理定規「ごめんなさい。覚えてないわね」

『まああの時は他にも人が居たからね…』

心理定規「それで?何か用事があるのよね?わざわざ風紀委員から電話が来るなんて…」

『そうそう。それでさ、今日暇?』

心理定規「今日?」

『なんか色々とテレビで忙しそうだし…ね?』

心理定規「今日は大丈夫よ。特に仕事も無いし…」

『そう?よかったー。じゃあ今から言うとこまで来てもらっていい?場所は…』

心理定規「…オリャ・ポドリーダ?」

461: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/27(水) 21:01:26.02 ID:ZiQymRBg0
病院にて



冥土帰し「ふむ…どうしたものかね?」

木山「やはりレベル5級が必要なのでは…」

冥土帰し「出来ればたどり着きたくなかった結論だね?」

木山「やはりもう一度垣根くんに…」

冥土帰し「ああ言った手前頼みにくいね?」

木山「メカニズムは分かってもより良い手順を示したメモ帳を紛失するとは…」

冥土帰し「細部まできっちり頭に叩き込んだつもりだったんだがね…やはり年だとどうもね…」

木山「連絡しますか?」

冥土帰し「いや、もう少し自分の頭脳を頼ることにするよ。幸い彼女が目覚めるにはまだ余裕がある」

木山「そうですか」

冥土帰し「それより昨日言ってたことだけどね…」

木山「ご心配なく。今から行って来ます」

冥土帰し「彼女達はホールに居たはずだね?」

木山「ホール…分かりました」

冥土帰し「絹旗最愛の事、ちゃんと聴いてくるんだね?」

木山「ええ」

冥土帰し「あと」

木山「はい?」

冥土帰し「上着は着て行ったほうがいいね?」

木山「ふむ…」

466: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:41:12.09 ID:DhCCKE090
麦野「絹旗について…って言われてもねぇ…」

フレンダ「答えようが無いっていうか…」

木山「彼女の本心について聴ければ一番いいんだが…」

麦野「本心…本心ね…」

フレンダ「結局のところ絹旗の本当の姿ってのをしりたいわけなんでしょ?」

木山「うむ」

フレンダ「そういう心の奥底的な話だったら第五位の能力使って調べた方が早いんじゃない?」

木山「それはそうなんだが、そういう方法はあまり取りたくないんだ」

フレンダ「?」

木山「意識の無い状態で頭の中身を覗かれてはいい気はしないだろう?そういうことだよ」

麦野「…浜面、滝壺、ちょっと来なさい」

浜面「ん?」

滝壺「?」

麦野「あと黒夜も」

黒夜「…」スクッ

麦野「私達や黒夜が見てきた絹旗を教えるわ」

木山「助かるよ」

麦野「その中に本当のアイツが居るのかは知らないけど何も知らないよりはマシでしょ?」

木山「ああ、その通りだ」

467: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:41:41.33 ID:DhCCKE090
その頃・第七学区・オリャ・ポドリーダにて


心理定規「オリャ・ポドリーダって何かと思ったら…スペイン料理のお店だったのね」

御坂「そうそう。伝統的な煮込み料理の…ってまあそれは置いといて入りましょ。黒子達を待たせてるのよ」

心理定規「入る前にいい?」

御坂「うん?」

心理定規「なんでココなの?」

御坂「うーん…特に理由は無いんだけど…木原?っていうオッサンがココにしろって…」

心理定規「木原…?ちょっと待って、木原数多もココに居るの?」

御坂「知ってるの?まあ、今回話すことにあたって必要な人材だったから呼ばれたみたいよ?」

心理定規「一体何を話す気なの?」

御坂「あー…実は私も良く分からないんだよねー」

心理定規「はぁ?」

御坂「私も話は一応聴いたんだけど何言ってるかよく分かんないのよねー」

心理定規「???」

御坂「とりあえず、ほら。黒子があんたと話したがっているしさ」

心理定規「う…うん」

御坂「はいはーい。一名様ご案なーい!」

心理定規「木原…数多…」

468: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:42:08.26 ID:DhCCKE090
カラン


心理定規(う…ホントに木原数多が居る…それにしても何で?)

木原「うわっ…辛ぇなーこのスープ…」

初春「んー、これおいしー」

白井「あ、お姉さま」

御坂「連れてきたわよ」

心理定規「心理定規…って名前知られてるのよね…自己紹介するまでも無いか…」

木原「久しぶりじゃねぇか姉ちゃん」

心理定規「旅行の時に顔を合わせて以来かしら?確か温泉街で…」

木原「ああ、間違いねぇな」

心理定規「会話した覚えは無いんだけど…」

木原「まあそう言うんじゃねぇよ。顔は合わせたんだ」

心理定規「ま、どうでもいいけど…」

白井「ふむ…」ジロジロ

心理定規「あなたが白井黒子ね」

白井「ええ…白井ですの。改めてよろしくお願いしますの」ジッ

心理定規「さっきからジロジロと人の事見て…いい趣味とは思えないわね」

白井「いえ、想像してたよりは随分とお綺麗な人だと思いまして…」

心理定規「そう」

初春「白井さん、当然ですよ。だってこの人テレビにしょっちゅう出てますもん」

白井「テレビに?」

御坂「前に見た音楽番組、あれの司会だけど覚えてない?」

白井「いえ…歌ってる部分しか見てないので…」

心理定規「ま、なんでもいいわ。それより話ってのは?」

469: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:42:35.83 ID:DhCCKE090
白井「はい、実は垣根帝督についての事なんですの」

心理定規「帝督?」

白井「ええ」

初春「えーと次は…」

木原「っと…」ガタッ

白井「おや、どこへ?」

木原「トイレだよトイレ」

心理定規「帝督がどうかしたの?」

白井「どうかしたと言うかどうかしてると言うか…」

御坂「ていうか最近会った?」

心理定規「昨日会ったわよ。珍しく焼肉に連れてってくれたわね。そういえば第七位とあなたの彼氏さんも居たわよ?」

御坂「え?」

白井「えっとまず何からお話したものか…」

初春「白井さん、ここはストレートに言ったほうが…」

白井「では率直に言いますの。お気を悪くなされるかと思いますがどうか最後まで聴いてくださいまし」

心理定規「何かしら?まさか逮捕が決定したとかそんな話じゃないでしょうね?」

白井「いえ。彼の素行問題を治したいと思いまして」

心理定規「素行…なるほどね」

白井「見た感じ、貴方は人が出来てる風に見えますの。ですが肝心の垣根帝督は…」

心理定規「でしょうね」

白井「ええ。彼の行動が逐一ムカつ…いえ、どうにかして真人間に…とは言わずとも人並みの常識を叩き込んでやりたいんですの」

心理定規「手間が省けて助かるわ」

白井「無理かと存じますが貴方にも許可を…え?」

470: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:43:02.57 ID:DhCCKE090
心理定規「私もちょっとだけ気になってたのよ。これから先の事考えるといつか治させないと、って思ってたの」

白井「あら、でしたらお話が早いですの」

心理定規「常識は通じないとは言うものの…ねぇ?。まぁ能力に限ってだけど…」

御坂「先の事って?」

心理定規「行き着く先は結婚とかじゃないの?と言ってもこれっぽっちも考えたことないけどね」

御坂「ふーん…」

白井「でしたらなおのことですの。悪い事を悪いと思わない思考でしたら将来必ず困ることになりますの!」

心理定規「うーん…でも本当に自分が悪いってなったらちゃんと謝るわよ?」

白井「まあ私自身その謝罪を聴いたことが無いと言うか…」

御坂「でもそのスタイルがアイツなんでしょ?やっぱそういう所も受け入れなきゃ」

心理定規「美琴には言われたくないわね…。でもそんな事、私が一番分かってるわよ。それが垣根帝督ですもの」

白井「勿体無い…こんなお方が垣根帝督の恋人とは…」

初春「白井さんも彼氏を作れば分かるかも知れませんよ?」

白井「は?」

御坂「…黒子の彼氏なんて思い付かないわね」

白井「当然!私はお姉さま一択ですの!」

御坂「…」

471: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:43:35.08 ID:DhCCKE090
木原「はぁあーあー」

御坂「ん、戻って来たわね?木原…さん?」

木原「さんはいらねぇよクソガキ」

御坂「な…」

心理定規「で?どうやって帝督を常識的にするの?」

白井「実はその方法も一緒に考えていただきたく…」

木原「あ?もう話したのか?」

初春「はい」

木原「じゃあ面倒が終わった所で俺が知恵を貸してやるよ」

白井「さすが一方通行さんの教育者ですの。連れてきて正解でしたの」

心理定規「その知恵とやらは?」

木原「調子乗ってるガキなんざ痛い目に合わせりゃ一発よ」

白井「…」

初春「ちょっと暴力的なんじゃ…」

木原「バッカ、力を持ってる奴相手に黙ってたらつけあがるだけなんだよ。だからな…」

白井「ふむ…」

木原「どうだ姉ちゃん?」

心理定規「ま、いいんじゃない?」

御坂「ちょ、それで大丈夫なの!?もしなんかあったら…」

心理定規「大丈夫よ、どうせ不死身だし。それに…どうやってあの人に痛い目を見せるのか、それも楽しみだわ」

御坂「ふ、不死身って…」

472: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:44:00.65 ID:DhCCKE090
木原「えーと…未元物質未元物質っと…」ガサガサ

心理定規「一ついいかしら?」

白井「はい?」

心理定規「あなたどうやってこの人と知り合ったの?こう言っちゃなんだけど…あなたが関わるような人物でもないのよ?」

初春「事の始まりは佐天さんでした…」

心理定規「佐天…?」

白井「私達の友人ですの。なんというか彼女は知らない人によく話しかける癖があるというかなんというか…」

初春「削板さんと知り合った時もそれが原因でしたからね」

白井「昨晩の事ですの…」

-------------------昨晩--------------------

白井「すっかり遅くなってしまいましたの…」

初春「白井さんずっと頭抱えて唸ってるんですから…」

佐天「私、初春呼びに行った時びっくりしたよ」

初春「はは…」

佐天「だって白井さんはずっと頭抱えてるし…初春は初春で冷静にその姿を見てるんだもん…」

白井「頭を抱えないと思いつかないこともあるんですの」

佐天「さっきの帝督さんを真人間にするってやつですか?私はそんな事しなくてもいいと思うんだけどなー」

白井「そういうわけにはいかないんですの」

初春「白井さんそればっかりですねー」

白井「とりあえず帰ったらお姉さまに相談して…明日には心理定規さんとのお会いしたいと…」

バキッ!

佐天「ん?」

初春「なんでしょうか?」

白井「公園からですの」

初春「ここって例の自販機の…」

白井「ふむ…」

473: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:44:28.29 ID:DhCCKE090
木原「ああん?んだ、この自販機はよ…」

木原「ナメてんのかコラッ!」バキッ

木原「こちとらなぁ…疲れてる中わざわざテメェンとこで飲みモンを買ってやろうって思って金入れてんだぞコノヤロッ!」ガスッ

木原「金を受け取った手前…モノを出せねぇんなら金を返す、返さねぇんならモノを出すってのが筋じゃねぇのかよ…コラッ!!」ドガッ

白井(なんでしょうかアレは…)

初春(怖そうな人ですね…同じ白衣姿でも木山先生とは大違いですね)

佐天(…)

白井(自販機に話しかけてる時点で大分危ないんですの)

木山「仕方ねぇな…こうなったら…」カチャ

初春(?なんでしょうかあのケース…)

白井(ロケット弾…?)

木原「あばよクソ自販機…あ?」

初春(あれ?佐天さん?)

白井(んな…!)

木原「なんだ姉ちゃん」

佐天「お金、自販機に詰まらせちゃったんですか?」

白井(何を言ってるんですの?全然聴こえませんの)

初春(そんなことより白井さん!早いとこ佐天さんを助けないと!)

474: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:44:56.66 ID:DhCCKE090
木原「へぇ、よく分かったじゃねぇか」

佐天「ここの自販機、そういう事がよくあるんです」

木原「はぁん?」

佐天「何円飲まれたんですか?」

木原「千円、たった千円ぽっちだが腹が立ってよぉ」

佐天「そういう時はここらへん、蹴るといいですよ」スッ

木原「ここか?」

佐天「そうです、そこです」

木原「よっ」ドガン

初春(自販機にかなり強めに蹴り入れましたよ!)

白井(ぐぬぬ…!)ヒュン

ガラガラ

木原「ほぉー」

佐天「どうですか?」

木原「上等上等。悪いな姉ちゃん」ズイッ

佐天「いえ、これくらい…」

ヒュン

白井「風紀委員ですの!」

木原「あ?」

佐天「白井さん?」

475: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:45:24.45 ID:DhCCKE090
白井「佐天さん、私の後ろに」

佐天「は…えーと…」

白井「手に持ってる武器、自販機に対しての攻撃、そして何よりこの人に手を出そうとしたところ…きっちりと視認しましたの!」

木原「はぁ?手を出すだと?俺はこの嬢ちゃんの頭を撫でようとしてだな…」

白井「どうだか…申し訳ありませんが拘束させてもらいますの!」ヒュン

木原「空間移動…」

白井「大人しくしてくださいまし!」ブンッ

木原「よっと…」ヒョイ

白井「え?」

木原「へへっ」

白井(なんで今避けられて…)

白井「くっ…もう一回…!」

木原「おい風紀委員!」

白井「は?」

木原「今俺の指は何本立ってる?」

白井「指…?あ…演算が…!」

木原「空間移動系の能力の演算負荷は他の能力を遥かに凌ぐモンだ」ガシ

白井「え?」

木原「だからちょっと別の事に注意を逸らしてやるだけですぐに集中が途切れて演算がストップしちまう」

木原「見たところ空間移動としては結構な能力者みてぇだが…ま、結標ほどじゃねぇわな」

木原「勘違いしてるみてぇだし話を聴かせるいい機会だ。悪いな」ブオン

白井「あいたっ!」

476: ◆Lp4e6dlfNU 2011/07/30(土) 19:45:52.84 ID:DhCCKE090
白井「まさか投げられるとは…」

木原「起きるんじゃねぇぞ風紀委員。これから経緯を話してやるからよ…」

初春「し、白井さーん!」

木原「あ?」

佐天「初春?」

初春「大丈夫ですかー!?」

白井「う、初春…そのバットはどこから…」

初春「どいてください佐天さん!」

佐天「え?」

初春「たぁっ!」ブンッ

木原「んがっ」ガンッ

佐天「だだ、大丈夫ですか!?」

木原「なんだこのガキ…!」

初春「あ、あれ?効いてない?」

木原「当たり前だろうが…!こんなプラスチックのバットで俺にダメージが来るとでも…!」

初春「あわわ、どうしましょう…」

木原「その腕章はテメェも風紀委員だな…!」

初春「はっ!風紀委員です!大人しく投降してください!さもないとレベル5の御坂さんを…」

佐天「そこ御坂さんなんだ…」

木原「あぁ?こちとらなぁ…第一位相手にしたことがあんだよコノヤロッ!」ブンッ

初春「わわっ!」ドシャ

木原「この街の風紀委員は話を聴かねぇってのは本当みてぇだな…」

木原「オイ、大人しく話を聴けよテメェら…?」

483: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:40:45.79 ID:bnHYzZyE0
白井「…という事がありましたの」

初春「結果として私達の勘違い」

白井「話を聴いた私達はただただ木原さんに頭を下げるしかありませんでしたの…」

心理定規「ふぅん…それで?」

白井「ええ。話の流れで初春がお姉さまを出した時の木原さんの言葉を思い出しまして…」

心理定規「第一位相手に、って所?」

白井「はい。それで話を伺うとなんと教育者と言うではありませんの」

初春「それならば第二位の教育も出来るのでは!と思ったんですよね?」

白井「ええ。それで協力をお願いし、今に至るわけですの」

心理定規「それでその佐天さんって人は?」

初春「今日はなんか用事があるみたいで」

白井「佐天さんが居なくても話し合いは出来ますの。これから長くなりますわよ?」

心理定規「ふぅ…」

木原「これが垣根の資料で…」

御坂「あんた何者なのよ…」

木原「ああ?研究者だよ研究者」

心理定規「少なくとも普通の研究者じゃないわね」

木原「んじゃとっとと始めようぜ?第二位サマを改善する作戦会議をよ…」

484: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:41:36.70 ID:bnHYzZyE0
病院にて


冥土帰し「む…」

「どうしました?先生」

冥土帰し「いや、なんでもないね」

「そうですか?」

冥土帰し「ああ」

「では失礼します」

冥土帰し(彼女自身の演算能力を補うほど力が無い…)

冥土帰し(あれほどの演算能力は実験による賜物だったというわけか…)

冥土帰し「これでは再度上書きしたところで…」

カチャ

木山「先生」

冥土帰し「ああ、君か」

木山「一応話は聴いて来ましたが…どうしました?難しい顔をして」

冥土帰し「少し問題が出てきてね」

木山「メカニズムのことですか?」

冥土帰し「いや、それはもう解決したよ」

木山「では何が…?」

冥土帰し「確実に治療が滞るような問題が出てきた」

木山「教えていただけますか?」

485: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:42:10.81 ID:bnHYzZyE0
冥土帰し「その事を話すにあたってだけど…肝心の治療法については頭に入れてくれたかな?」

木山「はい……いや、念のためにもう一度聴いても?」

冥土帰し「では順を追って簡単に説明するね?」

冥土帰し「彼女の症状は暗闇の五月計画が原因で起きた…いわば慢性の頭痛のような症状だね」

木山「慢性ということは以前よりその兆しがあったと見て間違い無いんですか?」

冥土帰し「悪く言って被検体になったその時から…よく言ってここ最近からだろうね」

木山「そう…ですか…」

冥土帰し「原因は何度も言うようだけど精神性の不一致。無理矢理植え付けてるのだから当然だね」

冥土帰し「治療法は絹旗最愛自身の精神性、演算能力を再度上書きすること…それにより安定感を引き上げるというものなんだが…」

木山「さっき言っていた問題…ですか」

冥土帰し「ああ。簡潔に言うとだね、上書きするほど彼女自身の演算能力は残ってないんだね?」

冥土帰し「五月計画は一方通行の精神性と演算方法を意図的に植え付ける実験」

冥土帰し「絹旗最愛は優等生と呼ばれてたように一番一方通行に近づいた者だった、それがマズかったみたいだ」

木山「…」

冥土帰し「長い間、一方通行に限りなく近い演算方法を使用して能力を使っていたんだ…」

木山「絹旗くん自身の演算方法はほぼ一方通行くんの演算方法になっているということですか?」

冥土帰し「そうだ。こうなっては治療はかなり難しくなってしまう…上書きすべきものがほとんど無いとなると…」

木山「それは…」

冥土帰し「?」

木山「それは再度一方通行くんの演算方法を植え付けることで治療に繋げることは出来ないんでしょうか?」

冥土帰し「僕も一番最初に思い浮かんだ。だが絶対無理な理由がある」

木山「妹達…!」

冥土帰し「そうだ。彼自身の脳の状況を考えると到底出来る事ではないんだね?」

486: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:42:45.55 ID:bnHYzZyE0
木山「その方法が無理となると…」

冥土帰し「いや、あながち無理というわけでは無いんだが…」

木山「では一体?」

冥土帰し「やり方次第で一方通行は今度こそ確実に廃人になる」

木山「やり方次第?」

冥土帰し「次第とは言ったが言葉のあやだ。思い付く限りの方法で行動に移っても最悪の結果にしかならないね?」

木山「どうにかならないものか…」

冥土帰し「一方通行の廃人化を望む者など居ないはずだ。それは彼女自身にも言える事だ。絹旗最愛と接触したことのある君なら分かるね?」

木山「はい…」

冥土帰し「妹達や打ち止めの事もある。取るべき選択ではないよ」

木山「演算が問題ならば能力を諦めれば…いや、それは無いか…」

冥土帰し「その通りだ。能力を取り上げたら彼女は以前の生活には戻れない。それも選ぶべき方法ではないね?」

木山「私はなんとしても方法を探します。必ず解決策はあるはずです」

冥土帰し「僕も諦めるつもりは無いね?」

木山「少し…出てきます」

冥土帰し「外の空気に触れて来るといいね」

木山「はい」

487: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:43:16.15 ID:bnHYzZyE0
海原「発注はどうなってますか?」

「滞りなく、順調です」

海原「そうですか」

土御門「海原」

海原「土御門さん。どうなされました?」

土御門「初動はどれくらいの見込みだ?」

海原「初回の発注からして40万枚は堅いかと」

土御門「40万か…結構行くな…」

海原「自分も驚きました。タイアップもあってこそなんでしょうがかなりの数字です」

土御門「いい風向きだ」

海原「ええ。かなりのお声掛けもありましたし、最終的には50万いってもおかしくないかと」

土御門「今の時代、CDで40万というのはかなりの数字だ。それだけ売れてくれれば治療費もすぐだろうな」

海原「ですね。それと話題性はタイアップ曲だけではなくPVもだそうです」

土御門「ほう」

海原「番組放送直後、ショップにて予約の数が増大したみたいで…」

土御門「第四位を採用することでそこまで行ったか…次が楽しみだにゃー」

海原「あれほどのものですからね」

土御門「メイキングの特典も付ければ売上枚数は更に増加…!」

海原「ひいては今後の事にも繋がります」

土御門「はははっ!楽しくなってきたぜい海原!」

488: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:43:47.15 ID:bnHYzZyE0
「あのー…」

土御門「はは…は?」

海原「どうしました?」

「楽曲についての問い合わせが来てまして…」

土御門「楽曲?」

「2ndシングルの…」

土御門「ん?次のシングルの情報はまだ公に流してないはずだが…」

海原「それなら自分が」

土御門「何か情報を流したのか?」

海原「あわきんさんから早めの行動を起こしてくれと…」

土御門「待て、そういう事はあいつの一存で決めていいことじゃ…」

海原「実は上の方にはすでお話が通ってまして…」

土御門「いつのまに…」

海原「昨日解散した後に自分の方に電話が入りまして、それで」

土御門「昨日…女の子達を送った後か」

海原「ええ」

「あの、それで…」

海原「自分が話をします。一体どういったことでしょうか?」

「えっと…ショップの方からの問い合わせなんですがタイトルと予約の際の特典について…」

海原「ふむ…直接通達したほうが早そうですね」

土御門「おいおい、タイトルはまだ決まってないだろ」

海原「おっと…。すいませんが業務の方に戻っていただけますか?後はこちらで対応致しますので」

「あ、はい。ではお願いします」

489: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:44:14.19 ID:bnHYzZyE0
土御門「海原」

海原「はい?」

土御門「もしかしておおまかな発売日も決定していたりするのか?」

海原「ええ」

土御門「…聴いてもいいか?」

海原「…週…です…」

土御門「ん?」

海原「来週です」

土御門「まだ1stも発売してないんだぞ…」

海原「ですから早い内にと…」

土御門「それにしても早過ぎやしないかにゃー?」

海原「こういう事は話題の内に出さないと…ほら、テレビであわきんさんがPVについて話してたじゃないですか」

土御門「…」

海原「一刻も早く売上を出さなくてはいけないんです。分かってください」

土御門「ふぅ…タイトル決めなきゃな」

海原「ふふ…ではそのように」

土御門「会議室を開けて…」

海原「そうだ、さっきのメイキングの事ですが…」

土御門「ああ…」

490: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:44:41.89 ID:bnHYzZyE0
黄泉川宅にて


一方通行「…」

番外個体「!」

一方通行「?」

番外個体「フリーマーケット!」

一方通行「とォふ」

番外個体「また"ふ"……風鈴…!があああああ!!」

一方通行「終了ォ。ホラ、行ってこい」

番外個体「けっ!コンビニくらい自分で行きなよ!」

一方通行「敗者のセリフとは思えねェな。俺が同じ事言ったらオマエは了承したか?」

番外個体「ぐっ…」

一方通行「全員分のアイス…イヤ俺のは要らねェな」

番外個体「ちくしょ…」カチャ

ゴソゴソ

番外個体「?出掛けるの?」

結標「うん、マネージャーから呼び出しくらってね…」

番外個体「へぇ」

結標「一方通行には言っておいてもらえる?」

番外個体「はいはい」

結標「じゃあね」ヒュン

番外個体「あの能力便利だよなぁ」

491: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:45:12.49 ID:bnHYzZyE0
番外個体「さて、んじゃ私も出るとしますか…」

ガチャ

番外個体「…なんであんたが居るの」

垣根「用事があるからに決まってんだろ。用も無く突っ立ってるかよ」

番外個体「何その言い方。ミサカ挫けそうだよ」シュン

垣根「?」

番外個体「ぐすっ…」

垣根「???」

番外個体「ひぐっ…うわーん!」

垣根「!?」

番外個体「ふぇぇぇ…」

垣根「お、おいおい!一体なんだよおい!なんか変なモンでも食ったか?ん?」

番外個体「わぁぁぁぁ…」

垣根「あああ…んだよ…いいからホラ泣き止めって…ったく…どうしたらいいんだよ…」

番外個体「ぐしゅっ…アイス…」

垣根「は?アイス?」

番外個体「アイス食べたい…八個…じゃなかった七個…」

垣根「数は合ってるか分からないがアイスならココに…」

番外個体「ラッキー!ご苦労さまっ!」ガサッ

垣根「あ」

バタン

垣根「…」

492: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:45:42.37 ID:bnHYzZyE0
番外個体「たっだいまー」

一方通行「随分と早ェじゃねェかよ」

番外個体「すぐそこにアイスが来てた。そういえばムスジメが出掛けるって」

一方通行「アイスが来てたァ?」

番外個体「冷蔵庫冷蔵庫~♪あれ?」ガサッ

ピンポーン

番外個体「げっ」

一方通行「ン…玄関のインターホンか。オイ、客だぞ」

番外個体「ヤダよ。あなたが出なよ」

一方通行「はァ?」

番外個体「ほら、早く出ないと」

一方通行「チッ…一体誰だァ?」カチャ

一方通行「どちらさま…あァ?」

垣根「なんだ、お前が出て来るのか」

一方通行「お前どうやって中に…正面玄関からインターホンは鳴ってねェハズだが…」

垣根「出てきた奴に便乗して入ってきた。邪魔すんぞ」

一方通行「おォ…」

垣根「…お前等だけか?」

一方通行「オマエ等?」

垣根「ワーストと…」

一方通行「あァ。保護者連中は打ち止めとその友達連れてプールに行きやがった。後は…まァそンな感じだ」

垣根「そうか」

493: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:46:13.46 ID:bnHYzZyE0
垣根「おいワースト」

番外個体「なにさ」

垣根「アイスはこっちの袋だ」

番外個体「先に言って。はいコレ、返す」

垣根「ホラ」ガサ

一方通行「ンだァ?垣根が持ってきたアイスだったのかァ?」

番外個体「そうなるね」

垣根「そしてコレだ。今日来た理由でもある」

一方通行「なんだそりゃ」

番外個体「よく分からないアニメチックな箱が入ってたよ」

垣根「そりゃ裏側だ。表の部分見れば何か分かる」ガサッ

番外個体「カナミン?」

垣根「そうカナミン」

一方通行「…のなンだ?」

垣根「カード。今かなりの品薄で手に入らない貴重品だ」

一方通行「どォしてンな物をオマエが持ってンだ」

垣根「昨日焼肉食いに行ってな、福引券貰ったんだよ。一枚だけ残して他上条に引かせて最後にやったら当たったんだよ」

一方通行「だったらなンかしら当たるわな」

垣根「それがコレ。一箱ってパターンを予想してたんだけどカートンで渡されたんだわ」

一方通行「へェ…」

垣根「半分の六箱…やるよ」

一方通行「…」

494: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:46:39.37 ID:bnHYzZyE0
垣根「かなり貴重なモンらしいからな。持っておくといいぜ」

一方通行「どォして俺に渡すンだ」

垣根「打ち止めが居るだろ?周りで流行ってて自分だけ持ってない…なんて事があるんじゃねぇかと予想してだな」

番外個体「総カード数1000種類…多すぎでしょ…」

垣根「だから欲しいのを当てるために買い占める奴が居て…それで品薄なわけ。分かるか?」

番外個体「内シークレット1枚…」

垣根「そのシークレットは5カートンに1枚らしい…」

番外個体「…」

一方通行「まァイイ。寄こすってンなら貰っとく」

垣根「ああ」

一方通行「ンで?まさかカード渡しに来ただけじゃねェよな?」

垣根「最初はそれだけのつもりだったんだがそうじゃなくなったというか…」

ピンポーン

垣根「来たか…」

一方通行「今度は正面からか。オイ」

番外個体「はいはい…ったくこんなやり取りばっかじゃミサカが正妻みたいだよ」ブツブツ

一方通行「有り得る話じゃねェな」

垣根「…」

番外個体「どちらさま?」カチッ

一方通行「今日はイイ天気だな…」

番外個体「んん…?あなた誰?」


495: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:47:07.78 ID:bnHYzZyE0
『だぁかぁらぁー…一方通行を尋ねて来たの。入れて☆』

番外個体「えっ?モニター越しに星が見えた…」

一方通行「お、あン時に削板が埋まってて壊れてた部分が舗装されてンぞ」

垣根「一方通行」

番外個体「だからあなたが誰か分からないと入れてあげられないんだけど…あれ?ていうかどこかで…?うーん…」

『通りすがりの中学生なんだけどぉ』

番外個体「だから名前…ていうかホントに中学生?色々と信じられないんだけど…」

一方通行「アソコの川ン所見てみろよ。珍しく釣り人なンて居るぜェ?」

垣根「一方通行、客だ」

一方通行「チッ…おい貸せ」

番外個体「え?」

一方通行「どォした?」

『やっと出たわねー?』

一方通行「一人で来たみてェだな。どォしたンだ?」

『んー?ちょうどお昼時かなーって思って』

一方通行「昼…とりあえずウチまで来い。話はそれからだ」

『はいはーい』

番外個体「うーん…」

垣根「昨日会ってるぞ」

番外個体「え?そう?」

496: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:47:38.72 ID:bnHYzZyE0
ピンポーン

垣根「!」

一方通行「随分と早ェな…」

番外個体「いや、いくらなんでも早過ぎ…」

一方通行「オマエ、ちょっと見て来い」

垣根「は?俺かよ?」

一方通行「さっきの口振り…まるでオマエが連れて来たみてェじゃねェかよ」

垣根「あながち間違っちゃいねぇが…」

一方通行「ホラ」

垣根「急に避け始めたな。前まで適当にあしらってたくせに」

一方通行「そンな事はねェよ」

垣根「いや、あるね」

一方通行「…顔を合わせにくいだけだ」

垣根「は?」

一方通行「ここは俺だけの家じゃねェ、なンかあったらマズいだろォが。身構えねェ方がおかしいだろ」

垣根「はん、なるほどな」

497: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:48:07.26 ID:bnHYzZyE0
垣根「はいはい、どちらさま」カチャ

食蜂「!垣根帝督!」

垣根「うっ、やっぱりお前か!」

食蜂「どきなさい!変態!」

垣根「待て待て、いつから俺は変態認定されたんだ?」

食蜂「はぁ?さっきよさっき!」

垣根「らしくないな。落ち着け」

食蜂「…」

垣根「そう、そう…いつも通りにだな…ふがっ」

食蜂「何言ってるのよ」

垣根(リモコン…?)

食蜂「あなたもらしくないわよ。何か焦ってるの?」

垣根「ふっ、わふぁるのふぁ?」

食蜂「わからない」

垣根「じゃあ…リモコンをさっさと鼻から離してくれ」スッ

食蜂「ふん」

垣根「ったく…」

食蜂「あなたって何かあるとやけにフレンドリーになるみたいね?」

垣根「あ?」

食蜂「一方通行に何か話すような事あるんじゃない?」

垣根(なに言ってんだコイツ)

498: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:48:38.45 ID:bnHYzZyE0
パタン

一方通行「おォ、来たか」

番外個体「ああ、はいはい」

垣根「思い出したか?」

番外個体「確かに昨日見たわ。うん」

垣根「こんだけインパクトある体型してんだ、そりゃ思い出すわふがっ」

食蜂「なんでさっき私を置いて行ったのよ」

垣根「面倒だったから…がっ!」トスッ

食蜂「お陰で無駄に疲れたわ」

垣根「か…またリモコンが…」

番外個体「ふーん。さっき会ったんだ」

食蜂「そう。私がここに来るまでの道中で目の前に垣根が見えたのよ」

垣根「目の前って言うか空飛んでたけどな」

食蜂「割と低い所飛んでたから声かけたのよぉ。どこに行こうとしてるのかってね」

食蜂「そしたら一方通行のトコに行くって言うじゃない。だから私を連れてってって言ったのよ」

垣根「はぁ?乗せて飛びなさいよ!だったろ」

食蜂「かっ!」

垣根「ふごっ!」

食蜂「そしたら急にスピード上げて…マンション近くになって能力使って操った方が早いってことに気付いてね」

食蜂「コイツ目掛けて能力使ったのよ。そんな事繰り返してたらいきなり高度上げて正面玄関無視してマンションに入ってったのよ」

一方通行「なるほど。そして繋がるワケか」

垣根「そういうこったな」

一方通行「ンでオマエは飯食いに来たンだっけか…悪ィがまだ用意は…」

食蜂「それもあるけど入院してる子についてちょっとお話に来たのよねぇ」

499: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/03(水) 22:49:27.84 ID:bnHYzZyE0
一方通行「絹旗について?」

食蜂「そんな名前だったわね」

垣根「なんでお前が…」

食蜂「暗闇の五月計画だっけ?」

垣根「は?どうして…」

一方通行「誰から聴いた」

食蜂「昨日送ってくれたサングラス掛けた人」

一方通行「土御門か…中学生になンつーこと話しやがる…」

食蜂「私が興味本位で聴いたのよ。その土御門って人が勝手に喋ったワケじゃないわぁ」

一方通行「超電磁砲も聴いてたのかァ?」

食蜂「彼女が降りた後に私が聴いたの。だから御坂さんは聴いてないわ」

一方通行「…」

垣根「…そんな事聴くようになったきっかけはなんだ?」

食蜂「きっかけ?」

垣根「どういう事柄から五月計画について質問するまでに至ったんだ」

食蜂「最初誰が病院に運ばれたのかって事を適当に聴いてたのよ」

食蜂「色々と聴いてるうちに様子がおかしいって思ってね。なんか知ってるクチだったし」

食蜂「それで」

垣根「頭覗いたのか」

食蜂「まあね」

一方通行「手癖の悪ィヤツだな」

食蜂「答えを濁すんだもの。本当の事知りたくなっちゃうわよ」

503: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:12:52.77 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「ンで?話ってのは?」

食蜂「込み入った事じゃないんだけどね」

一方通行「あァ」

食蜂「その実験って自分を失うかもしんないのよねぇ」

一方通行「…」

垣根「少し頭捻れば出るような事だな」

食蜂「え?」

垣根「だがその発想は俺自身初耳だ。五月計画を自分を失うって角度で見んのは少し新鮮だな」

食蜂「でしょぉ?」

一方通行「ふ…ン」

食蜂「ありきたりな言葉を使うと本当の自分ってのを見失うと思うのよね、その実験」

一方通行「実験する側が深く考えるような事じゃねェ。結果さえ出ればイイ訳だ、基より承知の上だろォよ」

垣根「なんでそんな事考えた?」

食蜂「その絹旗って子、窒素を扱う能力なんでしょ?被験者じゃなければどんな能力だったのかな?って深く考えたら思っちゃってね」

番外個体「防御の能力は孤独の証…」

一方通行「…」

垣根「あ?」

番外個体「ミサカはそう思うな」

504: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:13:19.44 ID:IPE/Jvl+0
垣根「一方通行の精神性に埋もれた本当の自分か…」

一方通行「俺達が分かる事は無いだろォな」

垣根「だろうな。分かる奴が居るのかすらも分かんねぇし」

食蜂「当の本人達も、もう分からないんじゃないかな」

一方通行「はァ…ァ」

垣根「飯食うか。今の状況に関係あることじゃねぇのに変に考えちまったな」

一方通行「ま…面白い話ではあったなァ」

番外個体「案外普通の反応だね」タタッ

一方通行「俺が反応示す意味もねェな。本当にそォなのかすらも分かンねェのに」

食蜂「それもそうよねぇ」

番外個体「あ、もしもし?」

一方通行「?」

垣根「電話しに行ったのか」

番外個体「特上ウナギ四人前」

一方通行「なっ…!金の無ェこの時期に…!」

食蜂「あのウナギ屋のチラシ…」

垣根「いいトコのヤツじゃねぇか」

一方通行「ったく…」

垣根「全く無いのか?」

一方通行「そういう贅沢する分にはあるが…」

番外個体「辛気臭い雰囲気はどうもね。ミサカ、そういう空気ヤダ」

垣根「ウマイ物食って気晴らしってか?単純だな」

食蜂「あなたは一言多いよね」

505: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:13:50.15 ID:IPE/Jvl+0
ピンポーン


番外個体「来た♪来た♪」

一方通行「一万…二万…」

番外個体「あなたは出さなくていいよん」

一方通行「はァ?」

パタン

垣根「アイツはアイツで金持ってんじゃねぇのか?」

一方通行「イヤ…そンなハズは……黄泉川から小遣いでも貰ってンのかァ?」

食蜂「小遣い程度で済む金額でもないんだけど…」

垣根「…」

『四人前で八万四千円になります』

垣根「……税抜きで一人当たり二万円…」

食蜂「当たり前じゃない…とんでもない高級どこのウナギよ…しかも特上…」

『ツケって出来ますー?』

垣根「ツ、ツケ?どこにツケる気だ…」

『名義よろしいですか?』

『あ、出来ます?』

一方通行「まさか病院とかじゃねェだろォな…」

垣根「ありえ…なくはないのか…?」

『垣根帝督で』

垣根「…」

『第二位のヒトだからすぐ住所出ると思うんで』

『はい…確かに…ご確認取れました』

『ご苦労様ー』

『毎度』


506: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:14:19.88 ID:IPE/Jvl+0
番外個体「いただきまーす」

垣根「くっ…」

一方通行「悪いな」

食蜂「ごちそうさま」

垣根「ま、まあいい…金は今の一方通行よりはあるだろ…うん」

食蜂(私が出しても良かったんだけど黙っておこうかしら)

垣根「さ、食うか」

番外個体「うーん…ウナギだ」

一方通行「そりゃウナギを頼ンだンだからな」

番外個体「ミサカ初めて食べたよ」

一方通行「そォか、それがウナギだ。よかったな」

垣根「お前食った事あんの?」

一方通行「前に海原が持って来てな」

垣根「へぇ」

食蜂「そういうあなたは?」

垣根「あるよ?いや…あれはアナゴだったな…ウナギはいつ食ったっけか…」

食蜂「うん。おいし」

垣根「こんだけ高いモン食ってる手前マズイなんて言ったらお前を蒲焼にしてやるよ」

番外個体「…」

垣根「どうした?急に黙って」

番外個体「ウナギを広めてた」

一方通行「ネットワークか」

垣根「サインの次はウナギかもな」

一方通行「ギャグじゃすまねェな」

507: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:15:16.71 ID:IPE/Jvl+0
病院にて


絹旗「う…」

冥土帰し「お目覚めかな?」

絹旗「…」

木山「私が誰か分かるか?絹旗くん」

絹旗「き…やまさん…?」

冥土帰し「ふむ、予定より早い目覚めだ」

木山「ゆっくりでいいから体を目覚めさせてくれ。話はそれからにしよう」

絹旗「ん……」

木山「彼女達にも知らせて…」

冥土帰し「意識がはっきりしてからの方がいいね?でないと困惑してしまう」

木山「あ……そうですね」

絹旗「…」

冥土帰し「さて…」

木山「どうしましょうか?」

冥土帰し「いくつか聴きたい事があるからね?」

木山「?」

冥土帰し「能力について、少し…」

絹旗「ふ……ん」

冥土帰し「だけどその前に一方通行に連絡しなくてはね」

508: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:15:41.80 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「…」カチカチ

垣根「何調べてやがる」

一方通行「カードリスト」

垣根「さっきのか?」

一方通行「あァ…どンぐらいの価値があンのか…」

垣根「そんな大きな値段が付くとは思えねぇが…」

一方通行「あンだけ種類があったら一つや二つ当たりが…」

piriririri

食蜂「ん?」

垣根「俺のじゃねぇな」

一方通行「俺のは…テーブルの上か…」

食蜂「もしもし?」ピッ

一方通行「オイ」

食蜂「え?私?一方通行の浮気相…」

一方通行「何言ってやがる」スッ

食蜂「あーあー」

一方通行「ったく…誰だ?」

『やっと本人が出てくれたか』

一方通行「ン…オマエか…」

『絹旗最愛の意識が戻ったよ』

一方通行「へェ、そりゃ朗報だ。もう会話は出来ンのか?」

『そういうことが出来るのは明日以降だね』

一方通行「そォか」

509: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:16:11.03 ID:IPE/Jvl+0
『とりあえずは報告だけだね?お見舞いに来るんなりするならまた明日来るといい』

一方通行「そォさせてもらう」

『そうか、では一方通行…』

一方通行「あ?」

『いや、長くなる。明日話そう』

一方通行「あァ…?」

『じゃあ失礼するよ』プッ

一方通行「ハァ」

垣根「医者か?」

一方通行「あァ」

番外個体「目、覚ましたって?」

一方通行「そう言ってたな」

番外個体「ふーん」

食蜂「今から行くの?」

一方通行「顔出すのは明日だな。あっちがそう言って来た」

垣根「なんにしろ無事だったなら言う事は無ぇな」

一方通行「あァ」

垣根「それとコレを見ろ」

一方通行「あ?」

510: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:16:40.62 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「さっきのリストか?」

垣根「おう」

番外個体「ん、コレ」スッ

一方通行「二万…!」

垣根「コイツはまだ安いほうだな」

食蜂「こっちのは?」

垣根「こっち?」

食蜂「下の…ほら、通し番号がちょっと特殊なヤツ」

垣根「あ、コレか…」カチ

番外個体「…」

垣根「五万…」

一方通行「当たればの話だな」

垣根「一万のヤツなら俺の箱にも確か…」

番外個体「開ける?」

一方通行「…イヤ、未開封を維持しとけェ」

食蜂「ふむふむ」

一方通行「今度は何見てンだ?」

食蜂「他のカードを…」

番外個体「アイス食べよっと」

511: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:17:10.32 ID:IPE/Jvl+0
病院にて


麦野「絹旗ぁ!」

絹旗「う…え?…あ!麦野!?」

浜面「はー、良かった…起きたか…」

絹旗「浜面?あれ?ここは…」

黒夜「ここは病院だ、第七学区の」

麦野「トラックに撥ねられたんだって?」

絹旗「トラック…そういえばそんな事があったような…ん、この頭のはなんでしょうか?」カチャ

滝壺「だめだよきぬはた」

絹旗「滝壺さん?」

滝壺「それはきぬはたをリラックスさせている機械だから触っちゃダメだよ」

絹旗「リラックス…?」

フレンダ「だからそれ外しちゃダメって訳よ」

冥土帰し「君たち、ちょっとごめんね?」

木山「えーと…まずは…」

絹旗「?」

冥土帰し「とりあえず能力を使ってくれるかな?いつも通りにね」

絹旗「はぁ…?」

冥土帰し「出来たかい?」

絹旗「いつも通りでいいなら、はい」

冥土帰し「結構、では浜面くん」

浜面「え?俺?」

冥土帰し「そうだ、言った通りに頼むよ」

浜面「…はあ…」グッ

絹旗「なんでしょうか?」

浜面「悪いな」バスッ

絹旗「痛っ」

512: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:17:38.86 ID:IPE/Jvl+0
絹旗「浜面のくせに生意気な…!」ブンッ

浜面「はは、なんだそのパンチは」

絹旗「???」

冥土帰し「さて、能力が発動してないことに君は気付いているかな?」

絹旗「発動してない?一体何を…現にこうして演算も超出来ているのに…」

冥土帰し「今浜面くんに頼んで君の肩に軽くパンチを入れたけど…持ち前の窒素装甲で防御出来たかい?」

絹旗「あ…」

冥土帰し「さらに言わせてもらうと演算もきちんと出来ていたかい?」

絹旗「ま、待ってください!もう一度…」

冥土帰し「昨日の事を覚えているかい?」

絹旗「昨日…確か映画を…」

冥土帰し「昨日、交差点でトラックを止めようとして撥ねられたこと…確かそうだったね?」

黒夜「ああ」

冥土帰し「はっきり言わせてもらうと君は今、超能力が使えない状態になっている」

絹旗「そ、そんな!演算はちゃんと出来ているんですよ!?」

木山「今、絹旗くんの演算を補助する脳の部分が欠損している」

木山「だから演算は途中までしか出来ない。そして脳はその事に気付けていない、だからちゃんと出来ていると思っているだけだ」

絹旗「待ってください、言ってる意味が…」

冥土帰し「安心したまえ、ゆっくり順を追って説明をするからね?」

513: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:18:15.89 ID:IPE/Jvl+0
絹旗「…」

冥土帰し「何か質問はあるかね?」

絹旗「実験の副作用…って事ですか?」

冥土帰し「そう思ってもらって構わないよ」

絹旗「黒夜は…」

黒夜「私は大丈夫だよ」

冥土帰し「それで治療についての話なんだけどね?」

絹旗「演算の事ですか?」

冥土帰し「そうだ。他の部分についてはなんら問題は無いのだがこの部分だけはどうもね…」

絹旗「…」

冥土帰し「候補の一つに能力を諦めるという選択肢もある、だけどね」

絹旗「能力を…」

冥土帰し「僕はこの選択肢は絶対に選ばないよ。以前となんら変わりなく生活が出来るように治療するつもりだ」

絹旗「…」

冥土帰し「詳しい話は明日にでも一方通行にするつもりだ。なんとかなるようにね」

木山「先生、そろそろ時間が…」

冥土帰し「む、もう時間か…じゃあ絹旗くん、また来るよ。今は友人達との会話に花を咲かせるといいね?」

絹旗「は、はい…」

冥土帰し「そうだ、最後に一ついいかな?」

絹旗「なんでしょうか?」

冥土帰し「君は窒素装甲を……」

514: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:18:50.19 ID:IPE/Jvl+0
黄泉川宅


カチャ

『ただいまじゃーん』

一方通行「ン…もうそンな時間か」

垣根「早ぇな、もう夕方か」

食蜂「何かするわけでもなく時間が過ぎたわね」

番外個体「上位個体も帰ってきたみたい」

黄泉川「はぁー疲れた疲れた…ん、お客さんじゃん?」カチャ

一方通行「そンな所だ」

黄泉川「んん…知らない顔じゃん…」

垣根「よう、邪魔してるぞ」

食蜂「こんにちは」

芳川「ちょっと、ドアの所で止まらないでよ愛穂」

黄泉川「あ、ああ悪いじゃん」

一方通行「ガキはどォした?」

芳川「私の背中で寝てるわよ」

番外個体「あれ?上位個体のお友達とやらは?」

黄泉川「家の近くまで送り届けてきたじゃんよ、打ち止めもいつのまに外人の友達なんて作ったじゃんよ…」

芳川「子供はそんなものよ。親の知らないうちに知らない子と仲良くなっているの」

黄泉川「はぁ…本当にそうじゃん…一方通行もいつのまにか友人を増やしてるし…」

芳川「気付いたら結婚もしてるし…」

一方通行「…」

515: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:19:17.48 ID:IPE/Jvl+0
食蜂「さてと、じゃあ帰りましょうかね」スッ

垣根「俺も帰るか」

芳川「あら、君たち帰るの?」

垣根「ああ」

芳川「そう、えっと君は…」

食蜂「食蜂操祈です」

芳川「君もお帰り?」

食蜂「はい、寮生活なもので」

黄泉川「芳川、打ち止めを起こしてお風呂にいれるじゃん。プール熱なんておこしたら大変じゃんよ」

芳川「それもそうね。シャワーだけでも浴びさせないと…」

垣根「プールってのは疲れるもんだ。加減を知らずに遊んじまうからな」

食蜂「あなた行ったことがあるの?」

垣根「無い」

食蜂「…」

垣根「じゃあな一方通行。明日病院ででも会おうぜ」ガチャ

食蜂「私も帰るね。バイバイ」

一方通行「あァ」

番外個体「ウナギごちそうさん」

垣根「くっ…忘れてたのに…」

516: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:19:48.04 ID:IPE/Jvl+0
帰路


垣根「…」

食蜂「…」

垣根「お前歩いて来たのか?」

食蜂「あなたのお陰でね」

垣根「運動出来てよかったじゃねぇか」

食蜂「…」

垣根「…」

食蜂「はぁ…」

垣根「俺こっちだから。あばよ」

食蜂「は?」

垣根「寮まで気をつけて帰るんだな」

食蜂「お詫びの印に飛んで送ってくれるとか無いわけ?」

垣根「はぁ?ウナギ食わせてやったろ」

食蜂「…」

垣根「へへ」

食蜂「たぁっ!」ヒュッ

垣根「心理掌握!」ヒョイ

食蜂「おしい」

垣根「困ったらすぐに能力を使って洗脳しようとしやがる…」

食蜂「私はそう生きてきたの」

垣根「…じゃあな!」ドヒュッ

食蜂「ぐ…なんてスピード…!私もあんな能力だったら…」

517: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:20:15.74 ID:IPE/Jvl+0
旧スクールアジトにて



垣根「っとと…ん?戻ってたのか?」

心理定規「ええ」

垣根「どこ行ってたんだ?」

心理定規「んー?ちょっと友達とご飯を食べに」

垣根「そうか」

心理定規「ねえ、明日の予定とかある?」

垣根「明日?明日は…病院に行く」

心理定規「病院?」

垣根「一方通行んとこの絹旗が入院しててよ、それで見舞いに、ってのか?まあそんな感じ」

心理定規「入院してたの?」

垣根「昨日の話だけどな」

心理定規「私も行って大丈夫かしら?」

垣根「大丈夫だろ」

心理定規「じゃあ私も行こうかしら」

垣根「お前仕事は?」

心理定規「珍しく明日も休みなのよね」

垣根「なるほどね」

心理定規「…」

垣根「さて、今日は何を食うかな…」

518: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/06(土) 21:21:19.73 ID:IPE/Jvl+0
海原「ふむ…」

土御門「うーん…違う…これも違う…」

結標「これじゃない…これでもない…」

海原「これだけ候補を出しても気まらないとなると…」

土御門「1stの発売を明日に控えた手前…早く決めておきたいところだが…」

海原「どうも1stのようなセンスで思い浮かびませんね…」

結標「困ったわね…早いところ売り出して結果を出さなきゃいけないのに…」

海原「もう一度PVを見てアイデアを書き出しましょう」

土御門「俺は歌詞からアイデアを…」

結標「いざタイトルを決めるとなるとこんなにも躓くなんて…」

海原「こればっかりはセンスの問題です」

土御門「うーん…やっぱりPVから来てるレベル5を主体に置きたいような…」

海原「これだけレベル5が出ていますからね」

土御門「歌詞も繋がりの強さというものを主張してるしなぁ…」

海原「一方通行さんと言えばレベル6…垣根さんは…ピンセットでしょうか?」

土御門「御坂美琴は…ダメだ…思いつかん…」

結標「レベル6…レベル6…」

海原「いいアイデアなんてものは無限に沸かないものですね…痛感しますよ…」

土御門「こうなったら素直にLEVEL5で…」

海原「それは…」

結標「そうよ!レベル6よ!」

土御門「は?」

海原「??」

521: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 22:57:52.24 ID:rM1GAvWz0
こんばんは。書き溜めが出来たので今から投下します。

ではよろしくお願いします。

522: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 22:58:38.27 ID:rM1GAvWz0
翌日


一方通行「ちょっと出掛けて来る」

黄泉川「ん?随分と早い外出じゃんか」

一方通行「あァ」

黄泉川「そういえば結標の事なんだが…」

一方通行「?」

黄泉川「あんまり根詰めないよう、伝えておくじゃん。最近、あまり帰って来てないみたいじゃん?」

一方通行「分かった。会ったらそォ伝えておく」

黄泉川「昨日だって仕事が長引いたとかで帰って来てないじゃん。あんまり若い内から頑張りすぎても…ねえ?」

一方通行「この家にゃ若い内通り越しても頑張ってねェのが居るけどな」

芳川「あら、そのセリフ…働いてないあなたが言えた事じゃないわよ?」

一方通行「チッ…」

黄泉川「はいはい、そこまでじゃんよ。じゃあ一方通行、確かに伝えておくじゃん?」

一方通行「あァ…」

芳川「次はあなたが事故に…なんて笑い話じゃ済まないわよ?」

一方通行「誰に言ってる」

芳川「ふふ」

一方通行「…行って来る」

523: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 22:59:03.84 ID:rM1GAvWz0
旧スクールアジトにて


心理定規「ちょっと、ねえ」ユサユサ

垣根「ん…なんだ…?」

心理定規「さっきから携帯の着信が凄いんだけど」

垣根「俺のか?」

心理定規「自分の携帯ならわざわざ起こしたりはしないわ」

垣根「よいしょ…」

心理定規「はい携帯」ヒョイ

垣根「おう」パシ

心理定規「おちおち寝てられないわよ…全く…」

垣根「どこだ?この番号は…」ピッ

垣根「…垣根帝督」

『おはよう垣根帝督。目覚まし代わりの着信はどんな気分だい?』

垣根「木山春生…」

『そうだ私だ』

垣根「病院からか?」

『その通りだ』

垣根「なんか用か?」

『用があるからかけたんだ。今日、病院に来たまえ』

垣根「そんな事言われなくても行くつもりだぜ?」

『ん…そうか。電話した意味は無かったみたいだな』

524: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:00:15.12 ID:rM1GAvWz0
垣根「どうしてわざわざ連絡してきたんだ?」

『一応…まあ治療の手助けとか…それくらいだな』

垣根「他の連中も来るのか?」

『いや、とりあえず君と麦野くんに声をかけた』

垣根「そうか」

『一方通行くんは今日にでも来るみたいだ。君も早めに来たまえ』

垣根「分かった」

『では、後ほど』

垣根「ああ」プツッ

心理定規「今日の天気は晴れね」

垣根「ふぅ」

心理定規「なんだって?」

垣根「早めに病院に来いってさ」

心理定規「もう行く?」

垣根「そうするか」

心理定規「じゃあ着替えなきゃ」

垣根「今日は暑くなりそうだな…」

525: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:00:42.97 ID:rM1GAvWz0
海原「はい…はい…そうですか…ではそのように伝えておきます…ええ、では…」プッ

土御門「なるほど…このタイトルなら…」

結標「あーっ、我ながらいいアイデアだわ!」

海原「えっと…なんの話でしたっけ…」

土御門「え?ああ…電話していたんだったな…」

結標「タイトルの案が出たからそれを話してたんだけど…」

海原「タイトル…ああ、昨日話していた…」

土御門「そうよ!レベル6よ!って行って飛び出したと思ったらさっき戻って来てコレだ」

結標「ていうか誰と電話していたの?」

海原「一方通行さんです」

土御門「一方通行?こんな早くに珍しいな」

結標「なんですって?」

海原「絹旗さんとの面会が可能になったので…それを伝えてくれと」

結標「?直接私に電話くれればいいのに」

土御門「ホラ、電話だ」スッ

結標「あら…」

土御門「充電が切れてたみたいだぞ」

結標「やだ…ホント…」

土御門「昨日お前が飛び出して行ったきりだったからな」

海原「当然充電もされてないでしょうね」

526: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:01:40.80 ID:rM1GAvWz0
結標「通りで海原に電話が行くはずだわ…」

土御門「病院に行くか?」

結標「一方通行に任せましょ。こっちはやることが山積みですもの」

海原「早いところだとそろそろお店が開きますよ」

土御門「今週が勝負か…」

結標「今週と言わず今日よ」

海原「それくらいの勢いがあったほうがいいですね」

土御門「えっと…じゃあ特典のほうの話だが…」

海原「待ってください」

土御門「?」

海原「肝心のタイトルを聴いていません」

土御門「ああ…なるほど…あわきん」

結標「2ndシングルの名前は…"matchless"よ!」

海原「マッチ…レス…?」

土御門「ん?海原は英語出来なかったか?」

海原「い、いえ。意味は分かりますが…」

土御門「"matchless"…」

結標「意味は無敵…故にレベル6よ」パサッ

土御門「ん?」カサ

海原「な、なるほど…」

527: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:02:11.04 ID:rM1GAvWz0
『挑戦しよう』とするのも馬鹿馬鹿しいぐらいの

『戦おう』って思う事すら許さねェほどの

絶対的な強さ

レベル6-無敵-

土御門「なんで一方通行のこんな発言が記録に残っているんだ」ペラ

結標「この時の実験の相手をしてたミサカがちゃんが記録してたのよ」

結標「まあ記録ってよりは覚えていたっていうのが正しいかしら…」

海原「でもどうしてこのような発言の記録が…?」

結標「昨日私が出て行ったのはこのミサカちゃんに連絡を取るため」

土御門「ほう」

結標「そこで聴いたのよ。一方通行がレベル6について何か話してなかったかしら?って」

海原「なるほど。それでこの発言が…」

結標「PVでレベル5があれだけ集まったんだし…それに土御門が行ってた携帯のタイアップの…なんだっけ?」

土御門「集結っていうテーマか?」

結標「そうそう。そういう繋がりとかってさ…なんだかんだで無敵じゃない?」

土御門「…さあな」

結標「まあいいわ。それでその二つを掛け合って無敵っていうワードにたどり着いたのよ」

海原「自分はいい考えだと思いますよ」

土御門「サマになってるしな」

結標「当然」

土御門「じゃあ早速プロモーションに移るか…」

結標「あと特典とかね」

海原(ん…そういえば…)

528: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:02:39.72 ID:rM1GAvWz0
病院にて


麦野「ふぁ……ん?」

一方通行「…」

麦野「あら、来たの?」

一方通行「そりゃ来るだろォがよ」

麦野「まあ来なかったら来なかったでそれなりの目に合わせたけどね」

一方通行「ふン」

麦野「病室分かる?」

一方通行「変わってねェなら分かる」

麦野「じゃあ案内の必要は無いわね。早いとこ行ってちょうだい」

一方通行「…他の連中はどォした」

麦野「黒夜は病室に居たわね。他は売店にでも行ってるんじゃない?」

一方通行「そォか」スタスタ

麦野「私も売店に行こうかしら……ねえ、一方通行」

一方通行「あァ?」

麦野「もし治療の術が無いってなったらどうする?」

一方通行「……なンとしてでも治療の方法を探すだろォな」

麦野「実験の事、負い目でも感じてる?」

一方通行「どォだろォな…そうかもンねェし、そうじゃないかもしンねェ」

一方通行「ただ、俺のせいでこうなったのか、って考えるとどうもな」

麦野「冗談、あんたも被害者みたいなもんでしょ?」

一方通行「だとイイがな」スタ

529: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:03:12.57 ID:rM1GAvWz0
麦野「さて、気を取り直して売店に…あ?」

垣根「ハローハロー。朝から一方通行相手に説教か?」

麦野「何?あんたも来たわけ?」

垣根「達、な」

心理定規「おはよう」

麦野「あら…」

垣根「いやな、前に似たような症状の奴の治療を手伝ったことがあるし…それでなんか役に立つかなって思ってな」

麦野「あんた役に立つのかしら?」

垣根「それは知らねぇな」

麦野「はぁ…」

垣根「病室は上の階だな…行くぞ」

心理定規「エレベーター使いましょ」

麦野「待った」

垣根「ん?」

麦野「せっかくだから売店付き合いなさいよ」

垣根「はあ?」

麦野「一方通行が来たばっかりなのは分かるでしょ?時間空けてから行くとかそういうの無いわけ?」

垣根「…それもそうだな」

麦野「はいはい。売店はこっちよ」

心理定規「ねえ、さっきのハローハローって何?」

垣根「自作」

530: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:03:43.87 ID:rM1GAvWz0
カチャ

黒夜「ん…?」

パタン

黒夜「来たのか、兄ちゃん」

一方通行「その兄ちゃンってのはやめろ」

黒夜「じゃあなんて呼べばいい?」

一方通行「…好きに呼べ」

黒夜「へへっ」

一方通行「よォ、能力使えなくなったンだってな」

絹旗「あはっ…超知ってましたか」

一方通行「あァ」

絹旗「まあ、なんら変わりなく生活出来ますけどね」

一方通行「なンか…不自由な事とかあっか?欲しいもンがあるとか…」

絹旗「ちょっと…そういう聴き方はやめてくださいよ…なんか死ぬみたいじゃないですか…」

黒夜「そうだぞ。死ぬ病気じゃねぇんだから」

絹旗「病気ってわけでもないんですけど…」

一方通行「…」

冥土帰し「一方通行」

一方通行「いつから居た」

冥土帰し「たった今だ」

一方通行「電話で話そうとした内容、今話せ」

冥土帰し「外でいいかい?」

一方通行「チッ…」

531: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:04:15.15 ID:rM1GAvWz0
木山「おはよう一方通行くん」

一方通行「あンたも居たのか」

木山「ああ」

冥土帰し「えっと…じゃあ話の続きだけどね…」

一方通行「おォ」

冥土帰し「率直に言わせてもらうが…彼女の完璧な治療は現時点では出来ない」

一方通行「完璧な…か…どォいうトコが完璧じゃねェンだ?」

冥土帰し「今ある方法で治療をしても能力を使えるまでには回復しないということだ」

一方通行「今の時点っていうのはなンだ?」

冥土帰し「演算を補って治療するには脳の提供が必要だ。それも相応に優秀な脳が」

一方通行「…」

木山「この資料に詳しく書いてある。治療方法やそれについての情報が」スッ

一方通行「ン…」

冥土帰し「その脳の提供者が居ない、ということが現時点ではという意味だ」

一方通行「…」ペラ

冥土帰し「当然能力を諦めるという選択肢もあったが…なにより彼女が拒否したからね」

一方通行「拒否?」

冥土帰し「窒素装甲を…捨てたくないと」

木山「彼女なりの意思だ。理由は…まあ私には分からなくは無いが…」

冥土帰し「患者の希望だ。それを優先させようと思ってね、彼女には辛いかもしれないが長期の治療になるね?」

木山「脳波のコントロールと能力維持…それに脳そのものを安定させる治療が必要になる」


532: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:04:42.85 ID:rM1GAvWz0
一方通行「なァ」

冥土帰し「なんだね?」

一方通行「提供する脳っつゥのはどれほどのレベルのを要求すンだ?」

冥土帰し「普通の患者ならそれほどの物でなくてもいいんだが…なにしろ提供先が提供先だからね」

一方通行「だからどれくらいのを…」

冥土帰し「はっきり言うよ?」

一方通行「あァ」

冥土帰し「欲を言えば君レベル、またはそれに準ずる脳だ」

木山「例え君が脳を提供しても行き着く先は暗闇だ。間違い無く廃人に近い状態になる」

木山「絹旗くんも…それになにより奥さんが望まないだろう」

冥土帰し「その通りだ。今の君は家族とも言える環境の中に居る。友人だってそれなりに居るだろ?選ぶべき事じゃない」

一方通行「…」

冥土帰し「そうと決まれば早速治療のプロセスについて…」

一方通行「待て」

冥土帰し「なんだね?」


533: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:05:10.41 ID:rM1GAvWz0
一方通行「俺が脳を提供する」

冥土帰し「話しを聴いていなかったのかい?」

一方通行「脳を全部取るわけじゃねェだろ」

冥土帰し「その通りだが…」

一方通行「今だって妹達の協力を得て演算能力を補っているンだ。演算能力が低下しようが関係ねェ」

冥土帰し「何を言ってるんだね?今の状態を維持するのに結構な負荷がかかっているんだよ?」

冥土帰し「それを更に演算能力の低下した君のサポートをさせるというのは…」

一方通行「今の状態を維持する必要はねェ」

冥土帰し「…自分が何を言ってるか分かってるかい?」

一方通行「あァ」

冥土帰し「君の言ってる事を実行すると…君は確実に学園都市一位の座を降ろされるね」

木山「その通りだ。何もそこまでしなくても絹旗くんのこれから先の長い人生、別の方法が見つかるかもしれないんだぞ?」

木山「それを今焦って…」

一方通行「俺は一位を捨てる。そン代わり、絹旗に能力を取り戻させる。そォいうこった」

534: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:05:37.96 ID:rM1GAvWz0
一方通行「俺が脳を提供した後、それでも一位の座を維持しようしたから廃人の未来しかねェンだ」

一方通行「だったら話は簡単だ。俺が一位を諦めりゃイイ」

冥土帰し「今打ち止めを含む妹達は一位という存在に守られてるんだそれをよく考えるんだ」

一方通行「一位じゃねェ。一方通行という存在にだ」

冥土帰し「…もうレベル5では居られないということだぞ」

一方通行「あァ、もう決めた。いざという時には垣根にでも協力してもらうさ」

冥土帰し「…」

一方通行「考える時間がいるか?」

冥土帰し「何を言っても無駄みたいだね?」

一方通行「あァ。拒否なンざしたら無理矢理にでも執り行う」

冥土帰し「何もかも、今まで通りにはいかなくなるぞ」

一方通行「俺にはお似合いじゃねェか。そっから這い上がってやるよ」

木山「…」

冥土帰し「着いて来たまえ」

一方通行「…」

「いざという時の協力なんかはごめんだな」

535: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:06:38.53 ID:rM1GAvWz0
一方通行「垣根…」

冥土帰し「次は君達か」

垣根「どういう治療かと思えば…それしか方法がねぇのかよ?」

冥土帰し「そういうわけではないが彼の意思を尊重した結果だ」

垣根「そうかそうか…それで一位から退くってワケか」

一方通行「そォだこれで晴れてオマエが一位だ」

垣根「おこぼれの一位の座なんていらねぇんだよなぁ」

一方通行「まァそういう事だ。止めてくれンな」

心理定規「あなたが一位じゃなくなる事でどれほどの影響が出るのかしら」

一方通行「知らねェな。だが…そンくらいの始末は自分でつけるつもりだ」

垣根「その資料、貸せ」パシ

一方通行「ある種のけじめってヤツだな」

麦野「はぁ…そんな事で絹旗は手を挙げて喜べるのかしら…」

一方通行「さァな…この際仕方ねェだろ」

垣根「…へぇ」ペラ

心理定規「ちょっと…まさか変な事考えてないでしょうね…」

麦野「?」


536: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:07:04.96 ID:rM1GAvWz0
垣根「おい、冥土帰し」

冥土帰し「なんだね?」

垣根「この脳を提供するってヤツだが…一方通行以外の奴が提供するとなるとどうなんだ?」

冥土帰し「脳の提供で一方通行が一部で済んでるのは実験由来のものだ。被験者により近いからね…」

冥土帰し「他の関係の無い人物から提供となると人生を諦めるのと同等だね」

垣根「なるほど、五月計画絡みか…関係無い奴よりは一方通行の方が適合性が高いワケだな」

冥土帰し「そうだ」

垣根「ふふん」

心理定規「ちょっと…あなたまさか…」

垣根「ああ」

一方通行「オイ、さっきからなンだってンだ」

垣根「よく聴け一方通行」

一方通行「あ?」

垣根「俺が提供者になってやるよ」

冥土帰し「確かに君なら一方通行と比べて遜色ないが…」

木山「話を聴いてたのならまず出る言葉じゃないぞ。君の人生はそこで終わりなんだぞ?」

一方通行「その通りだ。テメェの出る幕じゃねェ」

537: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:07:40.89 ID:rM1GAvWz0
垣根「はっ、一度死んで復活した身だ。今更未練もねぇよ」

心理定規「ちょっと!本気で言ってるの!?」

垣根「ああ」

心理定規「一方通行が一人で解決するって言ってるのにあなが出る必要はあるの!?」

麦野「ちょ、ちょっと…そういう言い方は…どうなのよ…」

一方通行「心理定規の言う通りだな。オマエには心理定規が居ンだろ、命を捨てる状況でもねェだろ」

垣根「一方通行」

一方通行「なンだ」

垣根「誰も人の人生なんざ背負うことは出来ねぇ」

一方通行「今のオマエが言う事じゃねェぞ」

垣根「背負えねぇ…だから俺が背負って死ぬ」

一方通行「言っても分かンねェみてェだな…!」カチ

垣根「うるせぇ!」ゴバッ

一方通行「ぐォ…ァ?」ドカッ

冥土帰し「あーあー廊下で…」

麦野「一方通行が正攻法で吹っ飛ぶ所始めて見たわ…」


538: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:08:07.39 ID:rM1GAvWz0
垣根「アイツが復活する前に話を進めんぞ」

心理定規「ちょっと!私の話も聴きなさいよ!」

垣根「さっき言った通り俺の脳を使え。俺の事は一切気にしなくていい」

心理定規「ねえ!私がどれほどの思いで…!」

垣根「悪いな心理定規。俺の最大のワガママだ、受け入れてくれ」

心理定規「引かないわよ」

垣根「俺も引く気は無いな」

冥土帰し「…」

木山「先生…」

垣根「早くしてくれ」

冥土帰し「はぁ…付いて来たまえ」

木山「ちょっと…!」

垣根「おう」

心理定規「待ちなさい!まだ話は終わってないわよ!」

垣根「麦野」

麦野「心理定規…」

心理定規「離して!」

麦野「ごめん、離しちゃいけない気がするの」

垣根「離すんじゃねぇぞ。離したら後悔させてやるからな…!」

539: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:08:35.75 ID:rM1GAvWz0
冥土帰し「治療や術後経過で三日は貰うよ?」

垣根「あんま関係無いけどな」

心理定規「垣根帝督!!」

垣根「安心しろ、俺は不死身だからな」

心理定規「そう言うことじゃないでしょ!私はまだ…」

冥土帰し「麦野くん。治療費の請求は三日後だと結標くんに伝えてくれたまえ。木山くんは絹旗くんを…」

木山「はい…」

麦野「…分かったわ」

心理定規「あんたもなんか言いなさいよ!このカエル!」

冥土帰し「僕は医者だ。患者を救うためには手段をいとわない。それに…彼たっての希望だ、無碍にする訳にはいかない」

垣根「そういう事だ。悪いな」

心理定規「悪いと思ってるなら今すぐやめなさいよ!」

麦野「心理定規、少し落ち着きなさいよ」

心理定規「落ち着いてられるわけないじゃない!」

垣根「そりゃそうだ」

冥土帰し「本当にいいのかい?」

垣根「ああ」

垣根「…またな、心理定規」カチャ

540: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:09:02.89 ID:rM1GAvWz0
心理定規「ああ…あ…」グタッ

麦野「心理定規…」

一方通行「クソが…何が不死身だ…」

麦野「あら、気失ってなかったの?」

一方通行「一度喰らった攻撃だ…こうなったら意地でも止めてやる」

麦野「無駄よ」

一方通行「あァ?」

麦野「当然の如くジャマーがあるから」

一方通行「…なら絹旗の方を」

麦野「とっくに運ばれてるわよ。病室から直通で行けるのよ」

一方通行「クソが…!」

心理定規「…私…帰るわ…」

麦野「一人で大丈夫…って聴くまでも無いわね。送るわ」

心理定規「いいわ…一人で大丈夫よ…やることもあるし…」フラ

麦野「…」

心理定規「じゃあね…二人共…」

一方通行「心理定規…」

心理定規「ごめんなさい…今は聴きたく無いわ…」

一方通行「…」

541: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:09:32.01 ID:rM1GAvWz0
十数時間後


海原「さて、そろそろ日付が変わろうとしてますが…」

結標「…」

海原「土御門さん、本日の売り上げ枚数の調査わ終わりましたか?」

土御門「待て…今計算を…」

海原「売り出しから三日以内で20万枚越えたら社長が特大のボーナスを支給すると言ってましたからね」

土御門「…」

海原「勝負所ですよ?期待の新人ということでかなりひいきにされてますからね…これもひとえにあわきんさんのおかげです」

結標「早く出ないの?」

土御門「待て…もう少し…」

海原「そういえば朝方に思いだしたことなんですけど」

結標「?」

海原「社長からPVに出演した人物をランダムにラバーストラップにして付属させるのはどうかとお声掛けがありまして…」

結標「2ndの話?」

海原「ええ」

結標「ラバーストラップねぇ…」

海原「デフォルメされていてなかなか可愛らしいものですが…」

結標「悪く無いわね」

海原「ですよね」

542: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:10:11.72 ID:rM1GAvWz0
土御門「…よし、出たぞ」

海原「おや」

結標「見せなさいよ」

土御門「あ、まだ…」

海原「ん…まだ計算途中ですか?」

土御門「これを全部合計して枚数が出る」

結標「なんで計算しないのよ」

土御門「記念すべき第一作、皆で確かめたいだろ」

結標「早く数時を出す」

土御門「にゃー、雰囲気が台無しだぜい」

海原「仕方ありません。早急に治療費が作れるかの瀬戸際ですから」

土御門「まあ、計算しなくても結果は見えてるんだが…」

海原「?」

土御門「見てろ」パチパチ

海原「…む」

結標「これは…」

土御門「ほら見ろ」

海原「いやはやこれは…」

結標「良かった、27万枚なら目標達成ね」

土御門「さっそく社長に報告してくるぜい」

海原「良かったですね」

結標「ええ」

543: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:10:45.40 ID:rM1GAvWz0
海原「初日27万枚!、これは大きな記録ですよ。ほぼ新人のあなたがこれほどの売り上げを一日で記録する…大したものです」

結標「なんかうまくいきすぎてるような…」

海原「ですが…結果は結果です。誇ってください」

結標「うん」

海原「そうだ…ジャケットの話なんですが…」

結標「?」

海原「一方通行さん達も起用しようという話があるんですが」

結標「達っていうのは他の皆も使うって事?」

海原「はい。垣根さん、御坂さん、麦野さん、食蜂さん、削板さん…彼等を起用して撮影を…」

結標「まあいいんじゃない?っていうかジャケットなんて私が考えることじゃないからそっちが決めていいわよ」

海原「いえ、念のために」

結標「ま、なんでもいいわ…」ガタッ

海原「お帰りですか?」

結標「ええ。問題無いわよね?」

海原「はい、特には」

結標「土御門には適当に言っておいてちょうだい」

海原「分かりました」

結標「お疲れ様」

海原「お疲れ様です」

544: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:11:12.82 ID:rM1GAvWz0
土御門「ふぅー…」カチャ

海原「ご苦労様です」

土御門「おう…ん?帰ったのか?」

海原「ええ。帰して大丈夫でしたよね?」

土御門「ああ、別に問題は無い」

海原「それよりどうでした?」

土御門「しっかりと出してくれるらしいぜい?明日辺りにでも振り込んでくれるらしい」

海原「それは何よりです」

土御門「それより社長にこんなものを渡されたんだが…」パサ

海原「ああ…」

土御門「ラバーストラップ…ねぇ?」

海原「お先に話だけ伺っています。PVの登場人物をデフォルメし、ストラップに」

土御門「それはいいんだがランダム封入というのがな…」

海原「それが何か?」

土御門「売り上げ促進のためにランダム封入という仕様は分からんでもないんだが…」

海原「それが気に入りませんか?」

土御門「少しな…全部セットで予約特典でもいいような…」

海原「ふむ…では自分からお話しをしておきましょう」

土御門「いいのか?」

海原「ええ」

土御門「じゃあ頼んだ」

海原「そのように」

545: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:11:46.93 ID:rM1GAvWz0
旧スクール・アジトにて


心理定規「…」

心理定規「帝督…」

心理定規「本当に勝手な人…」

心理定規「あなたのために私がどれほど…」

心理定規「全部水の泡よ…」

心理定規「これから頑張らなきゃ…」

心理定規「今まで以上に…」

心理定規「もっと…もっと…」

心理定規「…」

心理定規「もう…寝なきゃ…」

546: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:12:13.98 ID:rM1GAvWz0
カチャ

芳川「あら、おかえり。ずいぶんと遅かったわね」

結標「ただいま、ちょっと長引いてね」

芳川「あまり根詰めないのよ?」

結標「ええ…一方通行は?」

芳川「部屋に居るわ。寝てるかどうかは分からないけどね」

結標「そう…充電充電っと…」カチ

芳川「なんか様子がおかしかったけど…」

結標「おかしかった?」

芳川「今日出掛けてたみたいだけど何かあったのかしら?」

結標「出掛けてた…」

芳川「聴いてもなんでもないとしか言わないのよね」

結標「うーん…」

piririririri

結標「電話…もしもし?」

547: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:12:41.40 ID:rM1GAvWz0
『やっと出たわね』

結標「麦野?」

『ずっと電源切られてるんだもの。どうしようかと思ったわ』

結標「ごめんなさい。途中で電池が切れちゃって…」

『まあ…いいわ』

結標「もしかして…今日何かあった?」

『どうしてそう思うの?』

結標「一方通行が帰って来てから様子がおかしかったみたいなのよ」

『うーん…何かあったと言えばあったわね。私が言うような事じゃないから後で直接聴いてみなよ』

結標「そうするわ」

『あ、後ね』

結標「ん?」

『治療費の支払いだっけ?それは三日後で頼むって』

結標「分かった。確かに聴いたわ」

『そういうこと。とりあえずそれだけだから』

結標「うん」

『じゃあね』プツッ


548: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:13:24.53 ID:rM1GAvWz0
芳川「お友達?」

結標「ええ」

芳川「そう」

結標「そろそろ部屋に戻るわ」

芳川「おやすみなさい」

結標「あんまり遅くまで起きてないことね」

芳川「ええ、ほどほどにしとくわ」

結標「おやすみ」カチャ

パタン

芳川「なんでもないって言う時は大概何かあるのよね…」

芳川「なんでも自分で解決しようとする悪い癖がここに来て発揮されるなんてね」

芳川「人に頼らないというのも結構だけど自分で悩んでても仕方ないわよ」

芳川「直接言ってあげたいけど…おおきなお世話かしら?」

カチャ

黄泉川「ん…まだ起きてたじゃんか桔梗」

芳川「そろそろ寝るわよ。さっき怒られちゃったからね」

黄泉川「?」

549: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/09(火) 23:14:24.30 ID:rM1GAvWz0
結標「一方通行」

一方通行「帰ってきたか」

結標「寝るわけでも、何かするわけでもなく…ただただベッドに横になってて楽しい?」

一方通行「まァ普通だな」

結標「さっき麦野からちょっとだけ聴いたんだけど今日何かあったの?」

一方通行「まァ色々とな」

結標「聴いてもいいかしら?」

一方通行「もとより聴くつもりだったンだろ?」

結標「そりゃあね」

一方通行「俺は今日、治療のために脳の一部を絹旗に提供するつもりだった」

結標「…初耳ね」

一方通行「今日成り行きで決めた。決めた…はずだった…」

結標「…」

一方通行「だがよォ…その事に垣根が突っかかってきやがってよォ、自分の脳を提供するって言い出したンだわ」

一方通行「俺の脳だったら俺の能力者としての地位が下がるだけだってのに…アイツはわざわざ人生を投げてまで提供するって…」

一方通行「ったく…どォしたらいいのかねェ?こォいう時は…心理定規にどンな顔して会えってンだ…それに垣根にだってよォ…」

結標「そう…そんなことが…」

一方通行「過ぎたことだから今更何を言おうが関係はねェがどうも気分がな…」

一方通行「垣根を黙らせることが出来たンじゃねェかって思うとどうもなァ」

結標「一方通行…」

555: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/10(水) 23:53:35.06 ID:ziA0UTX70
翌日

御坂「というわけなのよー」

上条「はぁ…」

白井「さすがのあなたでも理解は出来たと思いますが…」

上条「いや…分かりましたよ?分かりましたとも…」

白井「いざこちらから仕掛けるとしても相手は仮にも第二位…かの一方通行さんに迫るとも劣らない存在…」

白井「能力を使われるとこちらの不利は目に見えてますの」

上条「だから俺を使って能力への対抗策をってわけか…」

白井「はい。あなたの…その…なんですの?…イソジンブレイカー…とやらで」

上条「イマジンブレイカーです…」

白井「とにかく、それを用意したほうがいいと木原さんが言ったので」

上条「木…原?誰だそれは?」

御坂「披露宴の時に居たコワモテのオッサンなんだけど…覚えてる?」

上条「うーん…思い出せないな…顔見れば分かるかもしんないけど」

御坂「顔に刺青してる…ってどうせ近いうちに会うだろうし別にいいか」

上条「あ、もう協力する前提なんですね」

御坂「当たり前じゃない!私なんてアイツに…!………な、なんでもないわ」

上条「?」

御坂「なんでもないって!」

上条「はあ…?」

白井「ではご協力お願いしますの」

556: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/10(水) 23:54:04.39 ID:ziA0UTX70
上条「待ってくれ、結局俺は垣根をどうしたらいいんだよ?」

白井「ですから、色々な方達のお力を借りて、垣根帝督を真人間にする。これだけですの」

上条「真人間って…結構普通の奴とは思うけどなぁ…いや、でもす巻きにされたことあるし…うーん」

白井「そもそも、垣根帝督に太刀打ち出来るような方を必要としてますので拒否権は無いと思ってくださいまし」

上条「うーん…気が乗らないな…」

ガンガンガン!

上条「う…この強烈なノックは…」

御坂「お客さん?気にしないで出ていいわよ?」

上条「私的には出たくないんですが…」

「おい!居ないのか!?」

白井「あら、女性の方でしょうか?」

「居るんだろう?気配で分かるぞ」

カチャン

上条「か、鍵が勝手に…」

「居るじゃないか…靴が二つ、三つ…」キュゥゥン

上条「二人共俺の後ろに!」

御坂「へ?」

白井「は?」

557: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/10(水) 23:54:37.59 ID:ziA0UTX70
ドッバァァ!

御坂「み、水!?」

上条「ああーっ、やっぱり!」

パキィイン!

「居留守なんてするからだ」

上条「バードウェイ…危なく水浸しになるとこだったぞ…」

バードウェイ「居留守をするお前が悪い」

上条「別に居留守をしたわけじゃ…」

白井「なぜ急に水が…」

御坂「なになに!?水流操作系の能力者!?」

上条「いや…能力者ってわけじゃ…」

バードウェイ「む…客人が居たか」

上条「居たかって…さっき思いっきり靴の確認してたじゃないか」

バードウェイ「レイヴィニア=バードウェイ、能力者という見方で構わない」

御坂「え?…ああ…御坂美琴よ、よろしくね」

白井「白井黒子ですの」

上条(…そうだ)

バードウェイ「しかし…お前は禁書目録を置いておきながら二人の女と関係を持つとは…」

白井「あら、それは大きな間違いですの」

バードウェイ「そうか、別に格段興味を抱いたわけでもないから詳しくは話さなくていい」

上条「なあ、バードウェイ」

バードウェイ「なんだ」

上条「何しに来たんだ?」

558: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/10(水) 23:55:02.65 ID:ziA0UTX70
バードウェイ「妹にジャパニーズヤツハシを買って来てくれと言われてな、どこで売ってるのか分からないからお前を訪ねたんだ」

白井「八橋?」

御坂「八橋なら京都じゃないの?」

バードウェイ「キョウト?」

御坂「えーと…ジャパニーズ…でいいのかしら?あー…」

上条「なあ!バードウェイ!」

バードウェイ「…なんだ」

上条「協力してほしいことがあるんだが」

バードウェイ「はあ…なんで私がお前の頼みなんかを…」

上条「八橋、俺が準備してやるよ」

バードウェイ「ほう、ちょうどいい。とりあえず用件だけ聴こうか」

上条「俺の知り合いを真人間にする手伝いをしてほしいんだ」

バードウェイ「知り合い?」

上条「そうそう」

白井「まっ、他人を巻き込むだなんて…」

上条「…」

バードウェイ「で?それが?」

上条「ああ、ちょっとだけ説明するから聴いてくれ」

バードウェイ「手短に、な」


559: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/10(水) 23:55:29.18 ID:ziA0UTX70
バードウェイ「なるほど…横柄な態度をとる第二位か」

上条「その覚え方でいいか」

バードウェイ「そして更にお前の代わりに第二位の対抗手段となれ、と…」

上条「うんうん」

バードウェイ「少し目を離した隙に大した面倒臭がりになったもんだ。私に頼むなんて…」

上条「面倒っていうか個人的に相手にしたくないっていうか…」

バードウェイ「ふん、何かされて畏怖の対象として見てるのか?臆病者め」

上条「いや普段良くしてもらってるからあんまり過激な事はしたくないんだよ」

バードウェイ「まあ第二位の相手は出来ないが手段だけでもメモして渡しておこう」サッサッ

御坂「ていうか…こんな子が垣根とまともに戦えるの?」

上条「バードウェイは強いぞ」

バードウェイ「こんな子とは失礼な。見たところお前は私とそんなに年が変わらないだろう?」

御坂「え?アンタ何歳なの…?」

バードウェイ「ほら」カサ

上条「おう悪いな」

バードウェイ「また後日来る。ヤツハシはその時にでも用意しといてくれ」タッ

上条「え?」

ガチャ

白井「まあ、結果として貴方が垣根帝督の対抗手段ということですの」

上条「はは…」

白井「では準備に取り掛かりましょう、お姉さま」

御坂「はいはーい」

569: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:26:13.79 ID:8HGxsXl00
当日・病院にて


結標「えーと…支払いはどうすればいいのかしら…」

一方通行「悪ィな。支払いなンか任せちまってよ」

結標「そんな事言うくらいなら少しはシャキッとしなさい」

一方通行「ハッ」

結標「とりあえず冥土帰しに会わないとダメなのかしら…?」

麦野「結標」

結標「あら」

麦野「CD、届いたわ」

結標「無事に届いたみたいで何よりだわ」

麦野「改めて見るとこっぱずかしいけどね、はは」

結標「そんなもんよ」

一方通行「オマエ一人か?」

麦野「そうよ。黒夜以外の連中は今日退院だ、って祝う準備してるわ」

一方通行「垣根の事は言ってないのか?」

麦野「あんな込み入ったような話出来るわけないじゃない。適当にごまかして話したわよ」

結標「そういえば心理定規の事なんだけど…」

麦野「ああ…どうしたものかしらね?」


570: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:26:42.17 ID:8HGxsXl00
一方通行「頭でもなンでも俺が下げる」

麦野「元は垣根の独断なんだからあんまり背負う事も無いと思うけどね」

一方通行「そォいうわけにはいかねェよ。とりあえず病院には来てるハズだ、心理定規を探して…」

黒夜「心理定規ならもう居ねぇぞ」

一方通行「黒夜、オマエずっと病院に居たのか?」

黒夜「うん」

結標「それよりもう居ないってのは?」

黒夜「早い時間に来て垣根を持って行った」

麦野「ちょっと待ってよ…それって死体持ってったって事?」

黒夜「多分な」

麦野「うげ…ミイラにでもする気か?」

一方通行「前科はある…考えたくはねェな」

結標「じゃあ絹旗の治療は終わったのかしら?」

黒夜「終わってピンピンしてるよ。今は簡単な能力使用のテスト中」

一方通行「とりあえず顔合わせだ。案内しろ黒夜」

黒夜「オッケー」

571: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:27:11.47 ID:8HGxsXl00
冥土帰し「出力、持続力に問題無し…自分でここがおかしい、という部分はあるかい?」

絹旗「超大丈夫です。問題ありません」

冥土帰し「チェック…と」

「先生」

冥土帰し「どうかしたかい?」

「患者さんのご友人がお見えに…」

冥土帰し「来たね。通してくれ」

絹旗「麦野達でしょうか?」

冥土帰し「家族とも言える人も来てるはずだね?」

絹旗「家族…んふっ」

冥土帰し「うんうん」

麦野「来たわよー絹旗」

絹旗「あれ?絹旗だけです…か?」

麦野「アイテムは、ね」

結標「ちゃんと私達も居るわよ」

一方通行「…」

黒夜「おい、入口に立つなって。入れないだろ」

絹旗「おおー」

572: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:27:40.12 ID:8HGxsXl00
冥土帰し「さて…」

結標「先に支払いいいかしら?」

冥土帰し「ん?会話はいいのかい?」

結標「一方通行に」

冥土帰し「なるほど。じゃあこっちに…」

一方通行「体調は万全みてェだな」

絹旗「それはもう。それどころか超自分が変わった気すらもしますよ」

一方通行「超変わった、ってかァ?」

麦野「いやね。口癖じゃないの」

一方通行「ハハッ」

絹旗「こう…なんていうんですか?初対面の人相手に超フレンドリーに接する事が出来るような…」

黒夜「そうそう。治療終わった途端に色々な奴に話しかけんだよ」

絹旗「誰にでも超軽いってのは垣根みたいで少々嫌ですけどね。なんか人と接していたいんですよ」

一方通行「は…はハ…」

麦野「話しといた方がいいんじゃない?」

一方通行「だな」

絹旗「?」

573: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:28:05.92 ID:8HGxsXl00
一方通行「絹旗よく聴け」

絹旗「はい?」

一方通行「オマエの脳の治療は垣根が脳を提供したおかげで成功した」

絹旗「知っています。一方通行が地位を超投げてまで脳を提供しようとしたことも」

一方通行「まァ、冥土帰しも隠しはしねェわな」

絹旗「変わった影響も垣根によるものだと聴いています」

一方通行「みてェだな」

黒夜「なんだよ、どんな話だよ」

麦野「黙って聴いてなさい。多分分かるから」

絹旗「垣根は単に人との関係を超多く作りたかったのかもしれませんね」

一方通行「急になンだ?」

絹旗「今ここに居ない垣根の事を考えるとそう思えて仕方ないんです」

一方通行「…」

絹旗「私も長い間超一人だったから分かるんです。垣根も超一人だったと」

絹旗「今思うと垣根の様々な破天荒な行動は目立って人を自分に寄せようとする意味があったのでは、と。そう思えて仕方ないんです」

一方通行「…ま、居ないなら居ないで静かだわな」

絹旗「寂しい、とまではいきませんが…少々物足りないような気もします」

黒夜「???」

麦野「いい話ね…」

574: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:28:46.67 ID:8HGxsXl00
絹旗「まあ、私が変わったという痕跡は第二位の遺産という形でありがたく…」

麦野「あ、そういえば順位は昇格するのかしら?だとすると私は三位になるのかしら?」

一方通行「垣根…」

麦野「やだ、てことは超電磁砲が第二位になるの?」

絹旗「せっかくだから未元物質なんかも形見で残してくれたら嬉しかったんですが…」

垣根「人を勝手に[ピーーー]んじゃねぇ」

麦野「ん?」

絹旗「ん…なんでしょうか…脳が見せてる幻覚でしょうか…」ゴシゴシ

一方通行「虚数学区か?風斬みてェになっちまったのか…」

垣根「残念だが正真正銘の垣根帝督だ」

麦野「へぇー。良くできた立体映像ね」ジュッ

垣根「おい!ギャグでも狙うんじゃねぇ!」

麦野「やだ、本物臭いわね…」

絹旗「ふーん…幻覚じゃないですか?何者かが一斉に私達の脳波を超狂わせて…」

垣根「認めろ。俺だ」

575: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:29:12.64 ID:8HGxsXl00
一方通行「仮に認めた所でワケが分からねェな」

垣根「何がだ?」

一方通行「関係者以外からの脳の提供は死と同様、死んだも同然と思ってたが…」

垣根「ふふん」

一方通行「そォいや生き返るのはこれで二回目だな。前は深く追求しなかったが…」

麦野「最初死んだ時は脳がクリスマスケーキ状態だったわよ」

一方通行「また脳か…いや案外そォいうもンかもしんねェな」

麦野「はぁ?」

一方通行「脳が無ければ生きられないという…常識」

垣根「一方通行、俺は不死身だとも言ったはずだ」

一方通行「あァ?ますます分かンねェぞ?」

垣根「さすがの第一位でも気付かないか?黒夜は分かると思うぜ?」ナデナデ

黒夜「頭撫でんな」

一方通行「黒夜…まさかオマエ…」

垣根「へへっ」

一方通行「サイボーグか?」

垣根「そうだ。俺は超最新技術の結晶だ」

黒夜「へぇ、新時代のサイボーグか…」ムニ

垣根「ほう、はいほほふ…ひゃにゃせ」

黒夜「感触はマジもんだな。私より上の型のサイボーグだな」

一方通行「それはどれぐらいすげェンだ?」

576: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:29:40.63 ID:8HGxsXl00
黒夜「ずっとサイボーグだったのか?」

垣根「最初の復活からサイボーグだ」

黒夜「兄ちゃん仕事かなんかで家を空けてたろ?」

一方通行「常盤台ン時か」

黒夜「その時にコイツが病院に行ったりしたか?」

一方通行「イヤ、知ってる限りではねェな」

黒夜「私みたいな型だと調整って形で病院とかに世話になる必要がある。つまりそれが無いってことは、だ」

一方通行「サイボーグってよりは人間って言った方がイイのか?」

垣根「ちなみに俺に調整は必要ねぇ」

黒夜「ま、サイボーグってんなら疑問も解決じゃねぇの?」

一方通行「イヤ、一つだけある」

垣根「脳か」

一方通行「そォだ。身体は用意出来ても脳は用意出来ねェはずだ。どうなってやがる」

垣根「演算部分を提供した俺は完全に機能を停止した。それと同時に能力者としてのレベルも2までに低下した」

一方通行「息の根が止まってンのにレベルの話が出てくンのか?」

麦野「ちょっと待ってよ。まさかそこから再びレベル5になって脳を再構築したとか意味不明な事言うんじゃないでしょうね?」

絹旗「あのー、私も居ますよ?おーい」

黒夜「私も居るぜ」

577: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:30:16.77 ID:8HGxsXl00
垣根「俺と一方通行の能力の応用性は常軌を逸している」

麦野「ちょっと待ってよ…それってシャレにならないわよ…」

垣根「更に言えばかなりの可能性がある」

一方通行「…」

麦野「まさか本当に…」

垣根「俺は自分の能力で脳をコントロールしている」

麦野「うわ…」

垣根「使い方次第とはよく言ったもんだ。脳の電気信号とか以前に能力を使うことで更なる可能性が…」

一方通行「垣根、もォイイ。それ以上は聴いても無駄だ」

垣根「ん、そうか?あと一個だけ欠点があってな…」

一方通行「能力か?サイボーグか?」

垣根「サイボーグだ。実はコレ…」

心理定規「もの凄くお金がかかるのよ…!」

麦野「心理定規!」

心理定規「一回復活させるのに第二位の貯蓄が底を付くのよ…しかもそれでも足りず…」

垣根「はは」

心理定規「笑い事じゃないわ!仕方なくローンを組んで支払うために私が働いて…やっと軌道に乗ったと思ったら…!!」

垣根「二回目の復活ってわけですよ」

心理定規「私はあなたがドナーになるって言った瞬間凍り付いたわ!これから先、あなたの身体のためにお金を稼ぎ続けると思ってね!」

麦野「そうか…だからあんな取り乱し方したのか…」

心理定規「でもさっき一方通行のためにって言い訳を聴いた時は笑っちゃったわ」

垣根「言い訳じゃねぇな」

心理定規「第一位の座を維持した一方通行を下してこそ大金が転がりこむってヤツ!?あなたはそれまでに何回死ぬのかしら!?」

垣根「おちおち死んでられねぇな」

心理定規「だったら働け!」

578: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:30:45.27 ID:8HGxsXl00
心理定規「はぁ…はぁ…」

垣根「お疲れさん」

心理定規「決めたわ」

垣根「は?」

心理定規「近い内楽しみにしてなさい」

垣根「なんかあんのか?」

心理定規「飛びっきりの出来事が待ってるわ」

垣根「楽しみにしてるよ」

心理定規「じゃあ私行くわ…今日仕事なの…」

垣根「おう、頑張れよ」

心理定規「ったく…」

結標「あら」

心理定規「淡希…」

結標「冥土帰しから聴いたわ。頑張ってたのね…」

心理定規「それはもう、ね」

結標「仕事?」

心理定規「ええ」

結標「頑張って。応援してるわ」

心理定規「ありがとう。じゃあまたね」

結標「うん」

絹旗「あ、それババです」

黒夜「ああー!?」

579: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:31:18.52 ID:8HGxsXl00
垣根「…」

一方通行「…」

麦野「…」

結標「…」

一方通行「ハッ、馬鹿らしい。帰ンぞ」

結標「もういいの?」

一方通行「こうなってはなンもねェよ」

垣根「おいおい。帰るのかよ?」

一方通行「オマエと違ってやる事があンだよ」

垣根「ヤることだと?帰って早々に子作りでもする気か?」

一方通行「?…何言ってンだ?」

垣根「おいおい、マジかよ。あれだけ朝方まで励んでたくせになんも知らないフリしやがってよぉ…」

結標「朝方?」

一方通行「ン…?マジで何言ってやがる」

垣根「あくまでシラを切るつもりか?あ?」

一方通行「はァ?」

垣根「俺は覚えてる。初夜明けの朝方、窓からお前を訪ねようとした…」

結標「窓…」

一方通行「初夜明け…?」

580: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:31:45.07 ID:8HGxsXl00
垣根「ほのかな明かりの中…カーテン越しから聞こえる結標の喘ぎ声とも呼べる声…」

一方通行「朝方、朝方…」

結標「あ」

垣根「ほら見ろ」

結標「それマッサージ」

垣根「ふん、そんなギャグみたいな展開には騙されねぇぞ」

結標「一方通行」

一方通行「?」

結標「同じように能力使ってマッサージしてやって」

一方通行「垣根にか?」

結標「垣根の声は聴きたくないわ…だからあそこでババ抜きしてる二人で」

一方通行「…ふン」

結標「見てなさい」

垣根「え?」

一方通行「…」カチ

結標「凄いわよ。多分納得してくれるわ」

垣根「へぇ…」


581: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:32:19.35 ID:8HGxsXl00
絹旗「さあ残り二枚です」

黒夜「くっ…二人ババ抜きでなんか負けたくない…」

一方通行「オイ、オマエ等」

黒夜「え?」

絹旗「はい?」

ガシッ

黒夜「んあっ!」

絹旗「あんっ!」

垣根「うっ」

麦野「ちょっと…何したのよ…」

垣根「黒夜のあんな声始めて聴いたぜ」

結標「原理は簡単よ。肩に触れた瞬間に一気に身体中をほぐしたの」

一方通行「結果こォなる訳だ」

黒夜「はぁ…はぁ…はぁ…」

絹旗「んむ…はぁ…」

結標「まあしばらく動けなくなるんだけどね」

垣根「…なんで朝方にこんな事をするんだ」

結標「その日は帰ってから立て込んでたのよ。色々片付けとかして朝方になっちゃったのよ」

垣根「俺って…」

一方通行「ちなみに俺に◯◯の類はねェ。覚えとけ」

垣根「くっ…」

麦野「ん?」

582: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:32:46.27 ID:8HGxsXl00
垣根「どうした?」

麦野「いや…フレンダもサイボーグなのかなって思って…」

垣根「フレンダか…残念だがサイボーグじゃねぇはずだな。確信がある」

麦野「マジかよ…」

一方通行「確信ってのは…」

垣根「まず第一に死ぬほど金がかかる」

麦野「ああ…まさにその通りだな…」

垣根「第二に脳が…ん?そう言えば真っ二つにされただけだっけか…?」

麦野「ああ」

垣根「アレ…じゃあ分かんないな…」

麦野「あんた同期のサイボーグとか分からないワケ?」

垣根「居たなら間違いなく分かる。その事から考えてフレンダはまずサイボーグじゃないはずだ」

一方通行「…サイボーグじゃねェとしたら」

麦野「まさか幽…」

垣根「バカ言うな。あんな限りなくリアルな存在であってたまるか」

一方通行「…」

麦野「…」

垣根「…」

結標「よいしょ」グッ

絹旗「はぁはぁ…」

黒夜「…一体何が…」

583: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/11(木) 21:33:13.34 ID:8HGxsXl00
絹旗「はは…体に力が入りませんよ…」

黒夜「なんかこう…筋肉を緩められたような…」

結標「もうそろそろいいかしら?」

一方通行「そォだな…」

麦野「あー…その二人は置いてってもらえるかしら?」

結標「ああ、お祝いするとか言ってたものね。せっかくだから能力で送るわ」

麦野「助かるわぁ」

垣根「帰るのか」

一方通行「オマエは何がしたいンだ?」

垣根「いや、なんかこう…なんか無いのか?」

一方通行「イヤ…これと言っては…」

垣根「やっぱりお前等…」

結標「ちょっと、あなたはまた勘違いするわけ?私と一方通行がセック…『結標』…」

麦野「バカなこと言ってないで行くわよ」

結標「それもそうね」

一方通行「じゃあな垣根」

麦野「あんまり迷惑かけるんじゃないわよ」

結標「命の重さを知りなさい」

一方通行「あー…俺も金入れねェとなァ…」

麦野「実験でもやれば速攻じゃないの?」

一方通行「実験ねェ…」

ヒュン

垣根「…薄情なヤツだぜ…」

ガラッ

冥土帰し「おや?まだ居たのかい?」

垣根「…飯食いに行くか?」

冥土帰し「え?」

588: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:08:22.06 ID:KxNGNqw80
翌日・水穂機構病院にて


佐天「なんとかなりませんか?」

木山「なんとかって言われてもな…」

佐天「どうにか…!そこをどうにか!」

木山「一口にレベル5にしてくれ、と言われてもな…私にはどうすることも…」

佐天「私知ってるんです!多才能力の事!」

木山「いや…アレはレベルを上げるようなものじゃ…ていうかなんで知って…」

佐天「幻想御手をうまく使ってどうか!」

木山「バカ言わないでくれ。どうして今になって再び能力に固執したんだ君は…前回で懲りたんじゃないのか?」

木山「第一君は少なからずだが能力を発現してるはずだ。それを多才能力と併用だなんて…」

佐天「お願いします!夢を見せてください!」

木山「だからいくら言われても多才能力など…あれはかなりの人数の脳波ネットワークを利用した末に産まれるものであって…」

佐天「どうにかならないですかね?」

木山「…とりあえず理由を聴こうか」

佐天「私の周りにはレベル5がたくさん居ます」

木山「うん」

佐天「あの人達のように自由自在に能力を使えたらどんなに素敵か…一日だけでいいんです…私にレベル5の力を…!」

木山「…うーん」

佐天「…」

木山「本来なら了承すべきではないのだが…分かった」

佐天「本当ですか!?」

木山「ただし、私を含め七人の立会いの下で行う」

589: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:08:56.84 ID:KxNGNqw80

佐天「おおー…」

木山「簡単に紹介する」

木山「ご存知第一位、一方通行」

一方通行「ここに来ンのは久しぶりだなァ」

木山「そして次、私は涙すら流したのにいつのまにか生き返っている、そんな第二位。垣根帝督」

垣根「冥土帰しに知らせたからあんたも知ってるかと思ったんだ」

木山「次、みんなご存知常盤台の電撃姫、第三位、御坂美琴」

御坂「ちょっと…この実験は大丈夫なワケ?」

木山「お次、思い込んだら一直線、第四位、麦野沈利」

麦野「面白そうな実験だから来たわ」

木山「次は…自称恋する中学生…十徳ナイフに例えられる常盤台もう一人の女王、第五位、食蜂操祈」

食蜂「何よこの集まりは…」

木山「そして最後、よく分からないレベル5、第七位、削板軍覇」

削板「また会ったな!」

木山「えー、今回の実験は君たちの脳波をまとめあげそれぞれを佐天くんに委託し一時的に彼女を多才能力者にするものだ」

御坂「だからそれって大丈夫なわけ?」

木山「今回は幻想御手の時とは違う。ちゃんと脳のことも考えて使用者の安全を確保したものを使用する」

御坂「それって…前々から作ってたってこと?」

木山「…じゃあ次は能力を紹介しようかな」

御坂「おい」

590: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:09:34.62 ID:KxNGNqw80
木山「とりあえず誰の能力から知りたい?」

佐天「あのー…第六位は…」

垣根「連絡が取れないから来ないぞ」

佐天「あ、そうなんですか」

木山「で、誰から知りたい?」

佐天「うーん…とりあえず知ってる御坂さんからかな」

木山「能力名は超電磁砲。10億ボルトもの出力を誇る電撃使い系最強の存在」

木山「おそらく君が思ってる以上に色々なことが出来る。ちなみに…」

佐天「はい」

木山「一方通行くんと垣根くんはやり方次第では10億ボルトを越える電撃を出せると思う」

佐天「御坂さんにしか出来ないことってなんですか?」

御坂「コインを音速の三倍で飛ばす…は一方通行が出来そうね…うーん…電子機器にハッキングとかかしら…いや…これも一方通行が…」

木山「ちなみに聴いた話では一方通行くんは脳に直接アクセスし中身を書き換えたことがあるらしい」

御坂「え」

木山「さて、次は誰がいい?」

佐天「じゃあそこの綺麗な人で」

麦野「分かってるじゃないの」

木山「彼女の能力は原子崩し。君に説明するのは難しいが…とりあえずはとてつもなく強力な光線を出す能力だと持ってくれて構わない」

木山「正式には…なんて言ったかな?」

麦野「粒機波形高速砲」

木山「ちなみにそれなりに応用が利くようで色々な形にすることが出来るらしい」


591: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:10:04.27 ID:KxNGNqw80
木山「さて、次は?」

佐天「じゃあそこの金髪の姉ちゃんで」

食蜂「あまり年は変わらないから姉ちゃんって呼び方は…」

木山「彼女は心理掌握。精神系能力を全て詰め込んだような能力者だ」

木山「言い換えればこの中で脳を弄る事には滅法強いということだ」

木山「だが欠点もそれなりにある。使用時にはリモコンを用いて精密な能力使用を心がけねばならないし、御坂くんのような能力者には通用しなかったりする」

食蜂「悔しいけどその通りね」

木山「次は?」

佐天「削板さんで」

木山「彼は…えーと…ていうか脳波をまとめれるのか?とりあえず呼んだが他の能力者とは勝手が違うみたいだが…」

木山「まあいい。彼の能力は…名前が無いのか…とりあえず凄い」

木山「マッハ2で動けるそうだな?」

削板「よく分からないが音速よりちょっと早い程度じゃないか?」

木山「後はバリアのようなものを張ったり…爆発を起こしたり…体の硬質化も出来るのか?」

木山「それに謎の波動を放ったり…両手から攻撃も出来るみたいだな」

削板「おう」

木山「まあ、そんな感じだ。とりあえずケンカだけならレベル5最強のような気がする」

木山「能力に関しては…とりあえず七位に置かれてるという感じだな」

削板「俺もよく分からないけどな」

木山「本人も分からないなら仕方ないな」

592: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:10:32.54 ID:KxNGNqw80
木山「次は…」

佐天「垣根さんで」

木山「未元物質。この世に存在しない素粒子を生み出し、引き出し、操作する能力。と書いてある」

木山「及び、それによって作られたこの世に存在しない素粒子」

佐天「???」

木山「ちなみに未元物質は本当にこの世に存在しない物質であり既存の法則から外れている。故に…」

垣根「常識は通用しねえ」

木山「はい。どうもありがとう。応用性はトップクラスであり今紹介した能力をほとんど再現出来るのでは無いか、とそう思う」

木山「能力を使うときに翼が出るがアレは…」

垣根「俺がレベル5になった時に降りてきた」

木山「意味が分からない」

垣根「おい、あんたちょっと俺に冷たくないか…」

木山「つまりはなんでも出来る。そう覚えたほうがいい」

佐天「うーん…」

木山「さて最後、一方通行」

木山「とりあえずなんでも出来る。記録では石を蹴るだけでレールガン以上の速度を叩きだせるらしい」

木山「後、大きく記録に残っているのは自転操作・高電離気体・竜巻を背負っての飛行…洗脳も出来るらしいな」

一方通行「だが未元物質は再現出来ねェ」

木山「だが、現存する能力で未元物質に勝てる唯一の能力かもしれない」

木山「さて、これだけ紹介したが彼等では再現出来ない能力が一つだけあると思う」

佐天「え、これだけ揃って出来ないことがあるんですか?」

木山「それは瞬間移動の類…」

垣根「11次元ベクトルだから一方通行が出来るんじゃねぇか?」

木山「じゃあやってみたまえ」

一方通行「ハ?」

593: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:11:06.21 ID:KxNGNqw80
一方通行「待て、そンなことやった覚えが…」

垣根「今こそ力を誇示する時だ」

一方通行「…」

麦野「待ちなさいよ。そもそも勝手が違うんじゃない?」

御坂「そうよ。学園都市に58人って数字がその証よ!流石の一方通行も…」

バッ!

削板「消えた!」

垣根「いけたか!?」

御坂「え!?そんなバカな…!」

食蜂「一体どこに消えたってのよ…」

ガタ

食蜂「ん?」

麦野「…」

一方通行「無理だな。やるもンじゃねェ」

御坂「なんで机の下に…」

一方通行「説明してやる。瞬間移動する際に11次元に存在するはずの俺のベクトルを操作したわけだ」

一方通行「たとえばここに板があるだろ?これを寝かせた状態で上に11枚重ねる。上から一次元、二次元…」

垣根「一方通行、もういい」

一方通行「そォか…」


594: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:11:34.29 ID:KxNGNqw80
木山「出来ないだろ?だが一方通行と未元物質があれば瞬間移動以上の移動能力を発揮出来るはずだ。不測の事態は削板くんの能力で対処したまえ」

木山「じゃあ早速始めようか」

木山「ちなみに君たちの役割は万が一暴走した場合の歯止め役だ」

木山「さ、この音楽を聴きたまえ」

佐天「楽しみだなぁ」

垣根「イヤホンイヤホン…」

麦野「まだ原理とか説明してもらってないんだけど…そこの女の子は全員の能力を扱えるの?」

木山「自分だけの現実は君達持ちだから問題ない」

麦野「あ、そうなんだ」

食蜂「不思議な曲…」

御坂「まあ大丈夫って言うなら…」

削板「いい感じの曲だ」

一方通行「…」

木山「さて…脳波を纏め上げる作業に入るか…」

垣根「たった六人の脳でネットワークを構築出来るのか?」

一方通行「分からねェな。任せとけばイイだろォよ」

木山「あ」

御坂「まさか不具合とかあったんじゃないでしょうね」

木山「いや、何も無いよ」

麦野「ならいいけど…」

木山(幻想御手のギミックを利用したから彼等レベル5勢のレベルが上がってしまうかもしれないなぁ…まあ気付かないだろ)


595: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:12:01.09 ID:KxNGNqw80
数十分後


佐天「…」

木山「目の変色を確認。成功だな」

佐天「よく分からないんですけど…」

木山「だが確かに君は一時的にレベル5の能力を手中に収めた」

佐天「つまりレベル30ですね」

木山「え?」

佐天「能力名、能力名を付けましょう!」

木山「そ、それは君が付けたらいいんじゃないかな…」

御坂「成功したの?」

木山「おそらくな」

麦野「じゃあ成果を見せてもらおうかしら」

一方通行「場所変えねェとな」

垣根「それなら二一学区がいいな結構な場所の確保が出来たはずだ」

食蜂「二一学区ってダムとかがある?」

垣根「イエス」

削板「俺の能力も使えるのか?」

木山「おそらく」

佐天「さぁさぁ!早く行きましょう!」

木山「体調、人格、共に安定していてなによりだ」

596: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:12:31.99 ID:KxNGNqw80
第二一学区


木山「これくらい開けた場所なら大丈夫だろう」

佐天「あのー」

木山「ん?」

一方通行「あのダムの水は衝撃緩和材としてもいけそうだな」

御坂「うわーダムなんて始めてみたわ…」

食蜂「広いわねー」

削板「競争しよう」

垣根「何でだ…」

麦野「水泳じゃない?ホラ、泳いできなさいよ」

垣根「冗談だろ?」

削板「ダムで泳いで大丈夫なのか?」

麦野「あんた達なら死にはしないだろうし大丈夫なんじゃない?」

垣根「おい…おい…」

削板「そら行くぞ!」

垣根「う、うわああああぁぁぁ…」

木山「やってみたらいいじゃないか」

佐天「そうですね」

木山「試しに今落ちたあの二人を救済してみたまえ」

597: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:13:01.58 ID:KxNGNqw80
垣根「ダムで泳ぐなんざ正気じゃねぇ!」

削板「ホラ!着水するぞ!…?」

┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!

御坂「何かしら…」

麦野「ダムの底に火山でもあるのかしら」

食蜂「まさか」

一方通行「…」

ゴバッ!

垣根「わぷっ!水が…!?」

削板「がぼぼっ」

麦野「いや、やっぱ火山よ。あんな勢い良く水柱が出来るんですもの」

御坂「…」

ドシャッ!

垣根「ぐあっ」

削板「痛っ」

一方通行「飛び込んだと思ったら戻ってきたな」

垣根「なんで水が…」

佐天「私の力です!」

垣根「は?」

598: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:14:01.76 ID:KxNGNqw80
佐天「粒子化した未元物質をいち早く着水させ未元物質ごと水のベクトルを操作したんです」

一方通行「能力を同時に?」

木山「そうだ。彼女はさっき私に能力を同時に使用出来るのかと聴いてきた、確信は無かったが成功したみたいだな」

垣根「結果として服は濡れたがな」

木山「佐天くん」

佐天「えーと…」スッ

削板「?」

垣根「??」

佐天「超電磁砲と原子崩し…」

ブゥーン…ジュワッ!

垣根「熱ッ!」

削板「ちちっ!」

御坂「電子レンジ…」

麦野「まさか…え?ウソでしょ?」

一方通行「電磁波で水分子を制御…極めつけに原子崩しで強烈にサポート…」

木山「能力の組み合わせで無限の行動が出来る」

食蜂「はは…言葉が出ないわ…」

佐天「行けます行けますよコレは!」

599: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:14:27.53 ID:KxNGNqw80
「おうおう姉ちゃん達!」

御坂「いい具合にチンピラ達が…」

「ダム見に来たのかい?可愛いねー」

食蜂「ダム見学で可愛くなれるのかしら」

木山「ちょうどいい。佐天くんに任せよう」

「なんだ?このモヤシはよ…ははっ!」

一方通行「…」カチ

垣根「数は…これで六人程か」

一方通行「オイ後ろ」

「はぁ?」

トン

「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

一方通行「後は任せた」

御坂「直立したまま吹っ飛んでったわよ…」

麦野「…」

「ああー?姉ちゃんが相手してくれんのかぁ?」

「中学生かーいいねー」

佐天「え…っと」

木山「構わない。思う存分やりたまえ」

佐天「…」キッ

「うおっ、睨まれちゃったー」

「怖い怖い」

佐天「指一本で相手します」スッ

「指一本?」

600: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:14:57.33 ID:KxNGNqw80
佐天「えーと…」

削板「すごいパンチ!すごいパンチだ!」

垣根「お前は黙ってろ!」

佐天「原子通行(メルトロード)!」

麦野「…」

一方通行「…」

ズビィー!

「「ぐあっ!」」

佐天「えーと…不安定な出力の原子崩しをベクトル操作で驚異的に安定させました。資料にあった生存本能によるセーブを無視することで更なる威力の向上を…」

麦野「…のわりには吹っ飛んだだけなんだけど…」

佐天「さすがに怪我をさせるのは…」

「能力者か…」

佐天「次は…未元掌握(ダークアウト)で」

垣根「名前が…」

「!あがががががががっ」ガクガク

佐天「精神攻撃と肉体攻撃を二つの能力で行います。自分でもワケ分からないので受ける側はもっと分かんないと思います」

食蜂「うわ…」

601: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:15:27.06 ID:KxNGNqw80
佐天「あと三人…やっぱ右手ってことで…」

「え?」

バリリッ!

御坂「佐天さんの右腕に砂鉄が…」

削板「おお!あれは!」

麦野「まず移動速度に突っ込み入れなさいよ…」

垣根「すさまじい速さで詰め寄ったな」

佐天「えーと…御坂さんが超電磁砲で…削板さんが…」

削板「すごいパンチ!すごいパンチ!」

佐天「エレキ…エレクトリック…ああ…すごいパーンチ!!」ブンッ

ゴロゴロゴロ…!

「ぶあっ!」

麦野「砂鉄纏った雷パンチじゃないの…この距離で雷鳴が響くなんて…」

佐天「砂鉄は電気纏ったらくっ付いてきたんですよ」

削板「すごい!すごいぞ佐天!」

佐天「え、へへ…そうですか?ふふ」

食蜂「あと二人」

佐天「最後は二人纏めて…第一位と第二位の合わせ技で…」

垣根「え?」

「な、なんだ?」

「逃げろ!」

佐天「うーん…逃げても無駄なんですけど…未元通行(ダークロード)!」

垣根「おえぇぇぇ!」

食蜂「心理通行(メンタルロード)は!?やんないの!?」

御坂「…」

602: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:15:54.98 ID:KxNGNqw80
カッ

木山「あ」

麦野「???」

垣根「…ドコ、行った…?」

佐天「消えちゃいました」

御坂「え?」

食蜂「なんか黒い人影らしきものだけが残ってるんだけど…」

麦野「まさか殺し…」

佐天「いやいやいや!さすがに殺しては…いない…ですよね…?」

木山「未元物質と一方通行の応用技は不可解な現象を引き起こすと…」

御坂「まさかチンピラ達の粒子とかをベクトル操作して異次元にかっ飛ばしたとかそんなんじゃない…わよね…?」

垣根「え?俺そんなこと出来るの?」

麦野「まさか。一方通行の能力があってこそじゃないの?」

一方通行「少なくとも俺の能力じゃ一瞬で素粒子は操作出来ねェ」

御坂「じゃあなに?人の体を構成している分子をなにかしらの能力で素粒子の類に変換して操作したの?」

垣根「それだけじゃねぇ…姿を消すってことは何かしらの力の操作が加わったはずだ…おそらくそのベクトルの向きが…」

木山「物体を強制的に昇華する能力かな?」

佐天「し、昇華?」

削板「物体が液体の過程を経ずに個体から気体、気体から個体になることだ」

麦野「あんたが知ってるんだ…」

603: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:16:21.46 ID:KxNGNqw80
御坂「てことは…さっきのチンピラは気体になって綺麗さっぱり消えたってこと…?」

佐天「それが出来たなら元に戻せるはずです!」

麦野「気体になったのよ…空気の流れに乗って飛んでったに違いないわ…」

垣根「待てよ…昇華だと人の形で影が残ることに説明がつかねぇぞ」

一方通行「つまり影が焼きつくほど強烈なエネルギーを受けたってことになる」

御坂「でもそれだとガンマ線の話になるんじゃない?そうなると電磁波の制御が必要になるんだけど…」

一方通行「オマエは俺と垣根の能力がどれほどの物か未だに分からねェのか?」

麦野「そんなことは些細なことなのよ」

食蜂「全然分からないわ…」

削板「仮に…」

一方通行「?」

削板「超高エネルギーの光が瞬時に発生したとしよう」

削板「未元物質で素粒子や分子、原子の微細なブレや不都合を合理化し攻撃に変換、一方通行の力で極限までエネルギー力を高められた光がチンピラを襲った…」

垣根「お、おお…」

削板「影が焼きつく時点で原子崩しを遥かに凌駕する攻撃翌力、しかも速度は光速…」

削板「おそらく相手は死んだことすら理解してないだろう…」

麦野「でも焼けたような痕跡も無いんだけど…」

削板「じゃあ分からないな」

御坂「瞬きするよりも早く人が消えてるなんて…」

佐天「…」

604: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:16:50.24 ID:KxNGNqw80
一方通行「つまりなンだ…?昇華でも無い上に高密度のエネルギーを受けたわけでもない…とすると…」

御坂「まさかこれがレベル6の片鱗なんじゃ…」

垣根「能力である以上一方通行の反射が適用出来るはずだ…反射出来たら違う…もし出来なかったら…」チラ

一方通行「オイ、何考えてやがる…」

垣根「ちょっと反射してくれ」

一方通行「ヘタしたら俺が消えるぞ」

垣根「多分大丈夫だ」

木山「面白そうだな」

一方通行「オイ」

木山「そこに立ちたまえ」

一方通行「マジで言ってるのか」

木山「佐天くん」

佐天「いいんですか?」

木山「記録をとるためだ。全力でいきたまえ、なに彼は第一位だ」

佐天「そうですよね!」

一方通行「なっ!」

佐天「くらえ!」

一方通行「!?」

カッ

一方通行「!」

木山「反射失敗か…しかし…」

麦野「これでレベル6が誕生したわね」

御坂「一方通行のみが辿り着くレベル6…」

食蜂「綺麗…」

605: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:17:30.68 ID:KxNGNqw80
一方通行(なンだ今のは…反射出来なかった…イヤ…反応すらも出来なかった…)

一方通行(俺の生存本能が働いたのか?まるでロシアの時と同じだな…でもなンで…)

垣根「おーい、生きてるかー?」

バサッ

一方通行「…」

垣根「天使の輪に羽…あ、消えた」

スゥッ…

一方通行「なるほどな」

垣根「何か分かったか?」

一方通行「とりあえず反射は出来ねェ」

麦野「理由は?」

一方通行「垣根の未元物質だな。これにフィルターが掛けられてるせいで反射設定が出来ねェ、オマケに意識の阻害までありやがる」

御坂「つまりなんなわけ?」

一方通行「理解不能の極めて強烈なエネルギー攻撃だ」

麦野「ていうか思い切りくらえ!って叫んだわね…」

佐天「あははー」

食蜂「説明は出来ないの?」

一方通行「説明出来る法則が見当たらねェ。あれはあれで別次元の攻撃かもしンねェ」

垣根「別次元ね…」

一方通行「オマエの未元物質がややこしくしてんだよ既存の法則に当てはまらねェ」

一方通行「アレはああいう新たなエネルギー、そォいう風に解釈するしかねェ」

木山「で、この多才能力に名前を付けたいと思うんだが…」

『マッチレス』

木山「無敵か、いい響きだ」

606: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:18:01.36 ID:KxNGNqw80
木山「さて…色々と調べた結果だが…」

一方通行「」

食蜂「大丈夫ー?」

御坂「ちょっと時間掛けすぎちゃったみたいね」

木山「彼の能力なら技の受けにちょうどいいと思ったんだが…御坂くんの言うとおり、時間を掛けすぎたみたいだな」

垣根「色々と無茶な使い方したからな…俺特製とはいえ負荷をかけすぎたか…」

佐天「え…と、じゃあどうしましょう?」

木山「とりあえずまとめよう」

麦野「あれ?アイツは?」

垣根「売店に行った」

木山「まずそれぞれの組み合わせだが…」

佐天「最初は一方通行さんの組み合わせで」

木山「確か…」

佐天「未元通行(ダークロード)電磁通行(エレキロード)原子通行(メルトロード)心理通行(メンタルロード)すごいベクトルパンチですね」

垣根「…」

木山「ああ…もう少し名前を捻ったほうがいいかな?うん…」

垣根「未元通行は不可解な現象を」

御坂「電磁通行は超超高密度のレールガン…」

麦野「原子通行は精密化された電子線」

食蜂「えーっと心理通行が完全洗脳で…」

木山「ベクトルすごいパンチが…木原博士のそれ以上のパンチだったな」

佐天「佐天神拳と名づけましょう」


607: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:18:32.34 ID:KxNGNqw80
垣根「一方通行は最後のベクトルパンチで事切れた…」

木山「一通り終わったところで倒れたのだ。彼には悪いがいいデータを取れたと思っている」

佐天「次は垣根さんの組み合わせですね」

御坂「電磁物質(エレキマター)…だっけ?それは周りの気体がプラズマみたいになったのよね」

麦野「未元崩し(ダークダウナー)が素粒子攻撃だっけ?」

垣根「それは凄かったな。なんせ文字通り跡形も無く消えんだからよ」

食蜂「未元掌握は…さっきの通りね」

垣根「削板との組み合わせは…ありゃなんだ?」

木山「色々と意味不明な力が働いてさらに意味不明だったな。簡単に見て強烈な肉体強化と見て間違いないだろうな」

佐天「次は御坂さんのですね」

御坂「えっと…電磁崩し(エレキダウナー)だっけ?あれは…」

麦野「私のとは似たような能力だからあんま違いが分からなかったな」

木山「今度直接受けた一方通行くんに聴いてみよう」

御坂「電磁掌握は面白かったわねー」

垣根「機械を完全にコントロールしやがったからな。それに人間も好き勝手に動かせたみてぇだし」

麦野「残る組み合わせはほんの少しね」

佐天「まだ話に出てないのは原子掌握(メルトアウト)と原子すごいパンチと心理すごいパンチですね」

木山「全部パンチと組み合わせる必要は無いんだがな」

佐天「でもパンチが一番分かりやすいんですよ」

垣根「残ってるのは不発とキワモノじゃねぇか…」

608: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:19:13.84 ID:KxNGNqw80
麦野「原子掌握のことね…名前は凄いのに…」

食蜂「大体精神系と原子を操る能力のコラボレーションってどうなのよ」

木山「単純にやり方の問題かもしれないな。それぞれの応用をしらみつぶしにやっていけば何か分かるかもしれないぞ」

垣根「残るは削板の組み合わせか」

御坂「麦野の組み合わせはなんかすごかったわね」

食蜂「そうそう!パンチ打った瞬間に一方通行の上着が分解されたんですもの!」

木山「それもいいパンチだったな」

垣根「さて最後は…」

削板「俺の能力とお嬢ちゃんの能力だな」

垣根「お前何食ってんだ」

削板「玉こん」

食蜂「私はその組み合わせが一番好きね」

御坂「なんかまさに超能力って感じよね」

木山「得体の知れない力での念導力やバリア、まさにエスパーと呼ぶに相応しい能力だったな」

佐天「いやー、いい気分でした」

垣根「でも肝心の組み合わせとやらは攻撃にしか使ってないよな」

佐天「単調な行動だから組み合わせやすいんですよ。精密な使い方をしようとするとこんがらがっちゃうんですよね」

麦野「とりあえずコイツはどうするの?」

一方通行「」

609: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:20:43.06 ID:KxNGNqw80
垣根「あー…どうやって回復したものか…当然充電器は持ち合わせてないんだよな…ていうか充電なんてほぼ必要ないって思ってたからな…」

御坂「単純に私が充電しちゃダメなの?」

垣根「ん…それでいいか」

食蜂「あと上着用意してあげないと」

削板「今買ってきたぞ」

垣根「普通の白のシャツだな」

バチチ!

一方通行「」ピクッ

御坂「これでオッケー…かな?」

一方通行「う…ぐ…」スッ

木山「お疲れ様。あの役目は君を除いては出来なかったよ」

一方通行「…」

削板「ほら上着だぞ」

一方通行「ン…」

佐天「そういえば私も羽を生やせるのかな?」

垣根「やってみたらどうだ?」

佐天「…………出ないですね」

垣根(良かった。出たらどうしようかと思った)

一方通行「なァ」

木山「うん?」

一方通行「この多才能力状態はどうやって解除すンだ?」

木山「え…解除…?」


610: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:22:00.26 ID:KxNGNqw80
一方通行「え、じゃねェよ。多才能力の行き着く先は知ってンだぞ」

木山「AIMバーストを危惧しているのか」

一方通行「その口ぶりだとならねェような感じじゃねェか」

木山「確かに当初はその危険性もあった。しかし、たった六人の脳波ネットワークではAIMバーストを余程の事が無い限り維持することは出来ない」

木山「ちなみに私が一番危惧していることは別にある」

一方通行「?」

麦野「なんでコイツに羽が出せてこの子には羽出せないのよ」

垣根「未元物質による羽は俺専用なんだよ」

御坂「だって自分だけの現実は能力者本人のを使用してるわけでしょ?それで同じものが出ないってどういうことなのよ」

垣根「使用者が単純に俺か、そうじゃないかの違いだ」

麦野「分からないわね。能力があんたを選んだってこと?」

垣根「さぁな」

食蜂「そもそもあの羽って自分で勝手に作ってるんじゃないの?」

御坂「能力で羽を形成し続けてるって事?さすがにそれは…」

垣根「あれは俺の意思とは関係なく現出するもんだ」

御坂「つまり羽を出さなきゃ能力使えないわけ?」

垣根「いや、大きく能力を使おうとすると出てくる」

御坂「ふーん」

削板「…」モグモグ

佐天「むむむ…」

611: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:22:26.56 ID:KxNGNqw80
垣根「そんなことより消滅してチンピラをだな…」

麦野「アレはもういいんじゃない?うん」

垣根「それもそうだな」

御坂「ちょっと…どんな考え方してんのよ…」

木山「それで肝心の解除だが一旦戻る必要がある」

一方通行「ンで?」

木山「もう一度同じ手順を踏み、ネットワークから完全に切り離せば解除になる」

一方通行「じゃあ早いトコ解除しなきゃなァ」

木山「よほど堪えたみたいだな」

垣根「なんだ?もうお終いか?」

一方通行「そォだ」

木山「まあ楽しめたからよしとしよう。さて、じゃあ佐天くん、そろそろ…」

佐天「あの!私まだ…」

木山「ふむ、予想通りというかなんというか…」

一方通行「今回は諦めろ。それは危ねェ力なンだよ」

佐天「だって!やっと凄い能力者になれたんです!もう少しこの日常を…」

木山「聴いた通りだな。これでは幻想御手の時と同じだ」

麦野「無能力者故のコンプレックスか…」

佐天「あ…えーと私無能力者ってわけじゃ…」

御坂「佐天さん、また同じようなことが起きたら初春さんが悲しむからさ、ほら」


612: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/12(金) 22:22:53.79 ID:KxNGNqw80
木山「正直、予想はしていた」

一方通行「…」

木山「幻想御手の使用や常日頃からの能力へのコンプレックス、当然、手放したくない気持ちが出てくるだろうな」

佐天「誰にも迷惑は掛けませんから!なんなら御坂さんみたいに乱暴なスキルアウトをおしおきする立場になりますから今日だけ!」

垣根「お、おしおきだと?お前そんな事してるのか?」

御坂「ちょっとしつこいのを懲らしめてるだけよ!」

一方通行「悪ィがそれの許可は出来ねェな。万一暴走した場合、止めンのにそれなりの犠牲が出る」

木山「うむ、その通りだ」

削板「率先して危険を生み出す存在なる必要も無いぞ。君なら分かるはずだ」

佐天「そうですか…なら…」

木山「垣根くん、準備したまえ」

垣根「え?俺?」

一方通行「今度はオマエが苦労する番だ」

佐天「自分の意思でもう少しだけ能力者になるだけです!ごめんなさい!」

バリバリッ!

垣根「…」

木山「ほら、あっけにとられてないで追いかけたまえ」

垣根「いや…あの速度は追いつけないぞ…」

御坂「あれは私と誰の組み合わせかしら」

一方通行「さァな、俺か垣根か…削板かもしンねェな」

木山「行くんだ垣根帝督!雷光の如く!」

垣根「むしろ涙子ちゃんのスピードが雷光だったけどな」

木山「ゴー!」

垣根「くっ…仕方ねぇ」ドンッ

木山「さ、私達も追いかけるぞ。あの方向は第七学区だな」

620: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:19:32.15 ID:K3BRf9CZ0
第九学区・上空


垣根「クソッ、なんで追いつけねぇんだ!ずっと光速移動してるわけじゃねんだから追いついてもいいはずだろうが…!」

佐天(あわわ、どうしよう…今更、はいそうですかって止まるわけにも行かないし…)

佐天(こうなったらスピードだけ落として捕まえてもらう…いや…それだけは…)

-----------------------------------

一方通行「クソ…なンで俺が運転してンだ…」

麦野「このなかだとまともに車運転出来そうなのあんたしか居ないんだから仕方ないじゃない」

一方通行「俺ァ免許なンざ持ってねェぞ!」

麦野「いいから運転しなさい。なんとかなるでしょ」

御坂「それにしても佐天さん早いわねー」

木山「速度が落ちている今が捕まえるチャンスなのだが…垣根くんはあれで全速力なのか?」

一方通行「元々飛ぶための能力じゃねェ…見失わないだけイイと思ったほうがイイな」

-----------------------------------

垣根「こうなったら…」キィィン

佐天「?なに…?」ガクッ

垣根「オラ!こっち来い!」グンッ

佐天「えええ!?何かに引っ張られてる!?」

----------------------------------

食蜂「あれ何してるの?」

一方通行「上空の気体に何か仕込ンだンだろ」

麦野「引っ張るのはいいとして接近戦になったら勝てるの?」

御坂「接近戦…」チラ

削板「?」

一方通行「アイツがどォいう風に捕まえるかだな」

麦野「あ」

---------------------------------

621: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:20:02.18 ID:K3BRf9CZ0
佐天「ごめんなさい!!」

バリリッ!

垣根「は?レール…ガン?」

佐天「電磁通行です!ごめんなさい!!」

ピシャァン!ゴロゴロ…!

垣根「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

---------------------------------

食蜂「垣根がビルに向かって落ちたわ!」

御坂「うわ…すっご…」

一方通行「垣根が防御出来ないほどの雷撃か…」

麦野「雷を直接撃ったように見えたわね」

御坂「私も出来るかしら?」

一方通行「…超電磁砲、耳貸せ」

御坂「え?」

---------------------------------

佐天「どどどうしよう…ガードすると思ったのに…」

佐天「とりあえず開けた場所に…」

ドンッ!

佐天「痛っ!」

佐天「なにこれ…ゴム弾?」

---------------------------------

一方通行「チッ…スカしやがったな…」

御坂「仕方ないでしょ!こんな離れてるんだから!」

木山「何をしたんだ?」

一方通行「コインの変わりにゴム弾を打たせた」

麦野「そんな都合のいいものよくあったわね」

一方通行「輪ゴムでもイイ、ゴムさえありゃ俺がなンとかする。もう一度狙え、頭にブチ当てて気絶させろ」

御坂「なんか猟奇的になってるわね…」

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622: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:20:49.09 ID:K3BRf9CZ0
佐天「これって御坂さんの…」

『佐天さーん!降りてきてー!』

佐天「……やっと手に入れた能力…そう簡単には手放したくない…でもどうしよう…」

『今ならまだ間に合うわー!』

佐天「これじゃまるで悪者だよ…」

--------------------------------

御坂「降りて来る気配ないわね」

一方通行「誰が説得しろっつった!」

御坂「それはそうだけど…なんか当てるのも悪い気がして…」

一方通行「…なら俺がやる、停止してる今がチャンスだ」

木山「ちょうどいい、運転を変わろう」

一方通行「なンで最初からオマエが運転しねェンだ」

---------------------------------

佐天「なんだろ…一方通行さんかな?」

佐天「御坂さんみたいな構え…あ」

ブオッ!!

佐天「!」

---------------------------------

一方通行「これでブチ当てて終了だ」

麦野「気を抜かないほうがいいわよ」

一方通行「落ちたら俺が拾いに行く」

麦野「いや、そういうことじゃなくて」

キィィン!

食蜂「?」

ドバンッ!

一方通行「が……ァ…?」

削板「なるほど、ここで反射を使うんだな」

623: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:21:16.05 ID:K3BRf9CZ0
食蜂「垣根に引き続き一方通行もダウンだなんて…」

麦野「無理しないで反射設定してから撃てばよかったのに」

御坂「いやーまさか反射されるとは思ってなかったんじゃない?」

食蜂「とりあえず後ろの席に…」ギュ

削板「逆に頭に当てられて気絶してしまったのか…」

木山「ん…車を出すぞ」

御坂「え?」

木山「移動した」

麦野「垣根はどうするの?」

木山「多分彼なら大丈夫だろ」

削板「早く行かないと見失ってしまうんじゃないか?」

木山「ん、そうだった…」

麦野「ん…どうしたものかしらね…」

御坂「とりあえず一方通行か垣根にでも戦ってもらいましょ」

麦野「…そういえばあのツンツン頭呼んだら?変な右手持ってるし…」

御坂「病院に携帯置いてきちゃったのよ」

麦野「はぁ…」

624: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:21:48.52 ID:K3BRf9CZ0
数分前・第七学区・とあるホテル


垣根「くっ…ホテルに突っ込んじまうとは…」

ガチャ

「ボス!大丈夫ですか!?なにやら凄い音が…」

垣根「ボス?なんだ?マフィアでも居たのか?」

「お、お前ボスに何を…!!」

垣根「なるほど、俺が尻に敷いてるこの女がお前等のボスってわけか…うまい具合に偶然が重なったもんだ」

「ボスを解放しろ!」

垣根「別に拘束してるわけじゃねぇ……分かった、分かったから銃を向けるな」

垣根「っと…おい、立てるか?女」

バードウェイ「ぐ…む…」

「おいお前!どいておいて手は頭を押さえたまんまとはどういうことだ!!」

垣根「おっと」

バードウェイ「ぐ…なんだお前は…」

垣根「ただの超能力者だ。手違いでここに突っ込んじまってな、まあ…悪かったよ」

バードウェイ「手違いだと?信じられんな」

垣根「別に信用しなくてもいい。それが何かに繋がるわけでもないからな」

垣根「じゃあ失礼する。尻に敷いちまって悪かったな…」ガチャ

バードウェイ「待て」

垣根「?」

バードウェイ「牙を剥いた者には然るべき報いを…」チャッ

垣根「…ほう」

625: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:22:19.63 ID:K3BRf9CZ0
バードウェイ「お前が何者かは知らないが報いは受けてもらわないとな」

垣根「…」コツコツ

バードウェイ「なに、命までは取りはしない。それ相応の報いを…ってなんで近づいて…」

垣根「お前、見たところまだガキだな?」

バードウェイ「私はそう言われるのが一番嫌いなんだ」

垣根「…」ヒョイ

バードウェイ「あ、返せ!」

垣根「本物か…大したもんだ…」

バードウェイ「返さないなら…!」ボッ

垣根(発火能力…)

ガツン!

バードウェイ「痛い!」

「ゲ、ゲンコツ…」

垣根「ごっこ遊びすんのは構わねぇが…これは人を傷付けるもんだ。遊びに使うもんじゃねぇ」

バードウェイ「つつ…本気で痛い…」

垣根「お前等か?こんな道具渡したのは?」

「は?」

垣根「こんなもん渡すんじゃねぇ。いい育ち方しねぇぞ?」

バードウェイ「言わせておけば!この場で焼いてやる!!」

バードウェイ「あれ?消えた…?」

垣根「後ろだ」

626: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:22:52.17 ID:K3BRf9CZ0
ガツン!!

バードウェイ「いたぁあ!!」

垣根「発火能力…見たところレベル3以上の判定は受けてそうだな」

垣根「だが…お前みたいな年齢のヤツが人を[ピーーー]ための能力じゃねぇ」

バードウェイ「うう…」

「ボスが押されてる…」

バードウェイ「甘く見るんじゃない!」

垣根「あ?」スッ

バードウェイ「ゲンコツがなんだ!そんなもの怖くない!ケシズミになれ!!」ゴッ

ガツン!!!

バードウェイ「痛ぁい!」

垣根「俺ほどになれば能力発動前に攻撃を当てるのはわけない。胸張って大きく出るのはいいことだがもう少し上を知らねぇとな」

バードウェイ「え?胸が出てるって?」

垣根「あ?」

ドバンッ!

垣根「…説教は終わりだ。あばよ」ドヒュッ

「ボス!大丈夫ですか?お怪我は…」

バードウェイ「いや…大丈夫だ…」

「そうですか…」

バードウェイ「なんだ今のヤツは…」

627: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:23:21.68 ID:K3BRf9CZ0
垣根「危ねーな。危うく見失うとこだった…」

垣根「今の涙子ちゃんを捕まえるとなると…他の連中同時に相手して勝つ気持ちじゃねぇとダメだな…」

垣根「どうにか怪我させねーで…ん…AIMバースト…」

垣根「確か前に木山が暴れた時は現出したAIMバーストを第三位が撃破したことで一連の事が収まったんだよな…」

垣根「無理矢理AIMバーストを引き出すか?」

垣根「しかし…何をトリガーにしたらいいもんか…」

---------------------------------

麦野「あ、あれ垣根じゃない?」

削板「どこだ?」

麦野「後ろよ、後ろ」

食蜂「ねえ」

御坂「なに?」

食蜂「あの子のことだけどさ」

御坂「佐天さん?どうかした?」

食蜂「こうやって私達から逃げてるのにどうして全速力で振り切らないわけ?」

御坂「え?うーん…そう言われればそうね…」

麦野「あ、加速した」

食蜂「さっきと全然速度違うじゃない…ホントに速いわよ…」

---------------------------------

垣根(AIMバーストを現出させる条件…それはネットワークの暴走…)

垣根(だったら話は早ぇ、バンバン能力使わせて負荷を高めりゃいいだけの話だ)

垣根「オイ、佐天涙子」

佐天「え?あれ?帝督さん?」

垣根「俺と戦ってもらうぜ」


628: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:25:00.81 ID:K3BRf9CZ0
御坂「それにしても佐天さんはどうやって飛んでるのかしら…見たところ私の能力使ってるみたいだけど…」

削板「俺の意見を言わせて貰うと垣根の力で大気中の成分に磁力を付与し、嬢ちゃんの能力で引き寄せられる感じに滑空してるんだと思う」

麦野「さっきから思ってたけどあんた結構賢いわね」

削板「そうか?」

麦野「そうよ」

食蜂「私の能力じゃ飛行は出来ないの。ね、一方通行」

一方通行「」

麦野「一方通行ってこんな奴だったかしら」

食蜂「油断しただけよ。ね?」

一方通行「」

麦野「なんで気絶してるのに話しかけるのよ…怖いからやめてちょうだい…」

キィィィィィィィン…

食蜂「?」

麦野「垣根かしら?」

木山「む…」

御坂「あの前に見えるのがそうじゃない?」

削板「垣根が佐天を掴んで物凄いスピードで移動してるみたいだな」

木山「あの方角は確か…第七学区に新しく出来る操車場の工事現場だな」



629: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:25:29.09 ID:K3BRf9CZ0
第七学区・工事現場


一方通行「…はっ」バッ

一方通行「ここは…」キョロ

食蜂「起きた?」

一方通行「…」

食蜂「どうしたの?」

一方通行「俺はなンで膝枕されてンだ」

食蜂「やぁねぇ、一方通行が気絶したからに決まってるじゃない」

一方通行「そォか…確か反射されて…他の連中はどォした」ガバ

食蜂「車の外」

一方通行「なンでオマエが一人で車に残ってたンだ?」

食蜂「万一私に攻撃が飛んできたら防御する術が無いもの。だから貴方と一緒に車に居たの」

一方通行「攻撃だと?まさか戦闘してンのか?」

食蜂「うん」

一方通行「今誰が戦ってンだ?」

食蜂「御坂さんかな?。垣根はやられちゃった」

一方通行「…」

食蜂「かなり頑張ってたんだけどね。ちょっと油断した隙に…」

一方通行「生きてンのか?」

食蜂「そこの電車の陰で回復してるわ。削板だっけ?その人の力借りてね」

一方通行「……資材かと思ったら垣根達だったのか」

630: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:25:56.09 ID:K3BRf9CZ0
佐天「これです!これ!この感じです!」

御坂「…」

佐天「なんか…こう…能力者同士の戦いって憧れるんですよねぇ!」

御坂「佐天さーん」

佐天「これで思う存分戦えたらいいかな…なんて…垣根さんはかなり押せたし…もしかしたら一方通行さんも…」

御坂「おーい」

佐天「どんな能力の使い方が面白いかなぁ…」

御坂「しょうがないわねぇ!もう!」シュッ

佐天「砂鉄の剣ですね!」バッ

ビュオオオオオオ!

御坂「う…プラズマかぁ…」

麦野「手を貸しましょうかー?」

御坂「手助け無用!プラズマなら…風を起こしてやれば…」

木山「垣根くんは大丈夫かね?」

麦野「やられて逃げたわけじゃないから大丈夫ね。そのうち回復して戻って来るでしょ」

木山「しかしどう対処したものかな…」

631: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:26:24.42 ID:K3BRf9CZ0
ガチャ

食蜂「行くの?」

一方通行「あァ、気絶していた分働かねェとな。垣根がやられたンなら超電磁砲じゃまず無理だ」

食蜂「そう」

垣根「…ん、起きたのか」

一方通行「やられたみてェだな」

垣根「バッカ、戦略的撤退だ」

一方通行「ふン、何されたンだ?」

削板「正面からプラズマをぶち当てられた」

垣根「言うな!」

一方通行「貴重な体験したな」

垣根「チッ、防御したとはいえヒリヒリすんな…」

一方通行「なンで戦ってンだ?」

垣根「思い切り能力を使わせてAIMバーストを出そうと思ってな」

一方通行「出ンのか?」

垣根「俺が狙ってんのは能力の暴走だ。それさえあれば出てくるだろ」

一方通行「なるほどな」

垣根「が、言うほど簡単じゃねぇ。涙子ちゃんの能力の使い方や応用がかなり厄介だ」

一方通行「…」

垣根「なんでこの短時間のうちにあんな器用な使い方が出来んのかね…」

削板「そろそろ回復が終わるぞ」

垣根「早いトコ行って第三位と変わってやらねぇとな」

632: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:26:55.72 ID:K3BRf9CZ0
御坂「あー…やっぱ無理!」

佐天「ふっふーん」

麦野「まあ単純に考えたら私やあんたで勝てるわけないのよね」

佐天「じゃあそろそろ戦利品を…」ビュオッ

御坂「戦利ひ…ひゃん!」

麦野「?」

御坂「え!?ウソ!ウソウソウソウソウソ!?」ババッ

麦野「なに、どうしたのよ」

御坂「短パン取られた!!」

木山「短パン?あの距離でどうやって…」

佐天「風のベクトルを操り短パンの繊維を分解して取りました」

麦野「てかなんで短パンなんか…」

御坂「私の短パンが…」

佐天「次はパンツ行きましょうか」

御坂「…」ササササッ

麦野「ちょっと、なんで逃げてくるのよ」

御坂「さすがにパンツは敵わないわ」

木山「ふむ」

633: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:27:27.33 ID:K3BRf9CZ0
ドゴン!!

麦野「お」

御坂「やっと来たわね」

木山「さながら白い弾丸…」

御坂「やだ…ちょっとカッコイいわ…」

佐天「一方通行さん!?」

一方通行「佐天ンンン!次は俺が相手だァ!!」

麦野「やだ…なんか勢いが凄いわ…」

木山「鬱憤が溜まっていたのかもしれないな」

ギュウウゥン!

一方通行「オラァ!小型の台風だ!吹っ飛びやがれェ!!」ドバッ

佐天「はっ、反射を…」

一方通行「ぎィやはははは!」ブンッ

佐天「!?」

木山「あ、あれは…!」

御坂「え!?なに!?なんなの!?」

木山「一方通行くんのあのパンチ…木原神拳だ…」

麦野「木原…神拳…?」


634: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:28:09.40 ID:K3BRf9CZ0
佐天「いたた…まさかパンチで飛ばされるなんて…でも接近戦なら削板さんの能力がある!」

一方通行「かかかっ…次は接近戦かァ…?そォらァ!」ドンッ

ドバッ!

御坂「今度は衝撃波…」

麦野「押してるわね」

木山「焦っていては一方通行くんには勝てまいよ。佐天くんがいくら組み合わせた能力で攻撃しようと先ほど全てを受け、防御した一方通行くんには通用しないだろう」

佐天「ならこれで…!」

麦野「あれは未元通行じゃないかしら」

御坂「多分…」

佐天「この攻撃ならダメージが通るはずです!」

カッ

一方通行「キヒッ…」

佐天「あ、あれ?なんで?」

一方通行「思った通ォりだ…素粒子を直接当てて対消滅させる攻撃みてェだな」

佐天「対…え?」

麦野「へぇ…」

御坂「どういう事?」

麦野「だから、垣根の能力は素粒子を操る能力なわけよ。人体は素粒子で構成されてるでしょ?」

麦野「一方通行の能力で素粒子を表面に引き出して、垣根の能力で活発になった高エネルギーの素粒子をそれにブチ当てるの」

麦野「当然、強い力の素粒子に負けちゃうから結果、弱い方が消えちゃうの」

御坂「じゃあ影が焼き付いたのは?」

麦野「それほどのエネルギーが働いたのよ。そりゃ素粒子のベクトルを操るほどですもの」


635: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:28:38.50 ID:K3BRf9CZ0
麦野「当然、防御しようとなるとあんたじゃ無理、私は分からないけど多分無理かな。垣根は原理さえ知ってるなら行けるわ」

御坂「あれ?でも一方通行はさっき反射出来ないって…」

麦野「今一方通行は反射した?」

御坂「あ」

麦野「今のは反射じゃなくて操作したの」

木山「なるほど、なるほど…」

一方通行「どォした、もうネタが尽きたのか?あァ!?」

佐天「よく分かんないけど今の一方通行さん滅茶苦茶怖い!」

一方通行「…」

佐天「…」

一方通行「じゃァこっちから…」

佐天「ごめんなさい!」ドンッ

ズボッ

一方通行「落とし穴…!」

ヒュゥゥゥゥ…

麦野「一方通行が穴に消えたわ…」

御坂「あの能力があれば一踏みで落とし穴作れるのね」

佐天「とりあえず穴を埋めておこう…」

麦野「ちょっと、あの子一方通行を埋葬し始めたわよ…」

御坂「佐天さん…」

636: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:29:09.80 ID:K3BRf9CZ0
垣根「一方通行がやられたか」

御坂「あ、戻ってきたんだ…」

麦野「ていうかあんたの考えって合ってんの?全然暴走しないわよ?」

垣根「分からない」

麦野「分からないって…あんたねぇ…」

削板「あそこに埋められてるのか?」

麦野「結構深いわよ、あの穴」

垣根「俺に任せろ」

麦野「うまくいくんでしょうね」

垣根「それは分からない」

麦野「…」

木山「今度は削板くんに行かせたらどうだ?」

垣根「ダメだ。コイツは俺達の能力を知らなすぎる」

麦野「え?あんだけ賢かったのに詳細知らないわけ?」

削板「実は」

垣根「だから俺が行く」

木山「そうか」

637: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:29:39.54 ID:K3BRf9CZ0
佐天「とりあえずこれで大丈夫だよね。うん…生きてる…よね?」

垣根「さて…」

佐天「また垣根さんですか?」

垣根「なんだ、またって」

佐天「またプラズマを…」

垣根「!涙子ぉ!!」

佐天「え?あれ?呼び捨てでしたっけ?」

垣根「ちゃんとパンツ履いてるかぁ!?」

バッ

御坂「…」

麦野「…」

木山「…」

削板「おお」

佐天「え?」

垣根「あー水玉かー」

麦野「なにあれ…」

御坂「佐天さんが初春さんにいつもやってる事…」

麦野「誰よ初春って…」

佐天「きゃあああ!何するんですか!」

垣根「暴走のために手段はいとわない」

638: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:30:07.80 ID:K3BRf9CZ0
佐天「離れてください!もう!」

ドバァン!!

垣根「おっと」

麦野「あんた何やってんのよ」

垣根「恥ずかしさの余りに暴走するかと思って」

麦野「あんた復活する時、脳になんかされたんじゃない?」

垣根「そんなはずは…」

削板「しかしどうしたものか…もう少しで日が暮れてしまうぞ」

木山「…分からず屋には一発叩き込むと治るぞ」

垣根「殴れってか」

麦野「うーん…」

御坂「あんまり接近したくないわね…」

食蜂「いい考えがあるわ」

御坂「あ、来たの?」

食蜂「流石に寂しいもの。一方通行は行っちゃったし…ていうか見当たらないわね…???」

御坂「…多分地面に潜ってるんじゃない?うん」

639: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:30:34.82 ID:K3BRf9CZ0
麦野「で、その考えってのは?」

食蜂「一人ずつじゃなくて複数でかかればいいのよ」

御坂「あ、そうか」

食蜂「誰かが戦ってる時に高速で近づいて気絶する程の強さで殴る。これで解決よ」

麦野「気絶する程…だったら殴るのは男ね」

垣根「女を殴るのか…?それはちょっと…いやでも…」

削板「ぐぐ…」

麦野「女に手を挙げるなんて削板には向かないわね。やっぱここは垣根が…」

佐天「きゃあああああああ!」

垣根「!」

御坂「見てあれ!地面から手が生えて佐天さんの足掴んでる!」

麦野「あれ一方通行の腕じゃない!」

木山「チャンスだ垣根帝督!」

垣根「ぐっ…しかし中学生を殴るのは…せめて第三位くらいに生意気だったら…」

御坂「おい」

垣根「ウダウダ言ってる時間は無ぇ!俺が…」

削板「うおおおおぉぉ!!」ダッ

垣根「あ、お前が行くんだ…」


640: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:31:01.99 ID:K3BRf9CZ0
佐天「なにこれ怖い!ごめんなさいごめんなさい!」

腕「…」

削板「すまない佐天!根性無くてすまない!」

佐天「あ、あれ?削板さんいつのまに…」

削板「すごいパー…」

垣根「バ、バカ!普通に殴れ!」

佐天「え?」

削板「ンチ!!」

バキッ!

佐天「あぐっ!」

ドサッ

削板「よし!」

木山「成功したみたいだな。急い運ぼう」

メキメキメキ…!

一方通行「ハッ…ハッ…終わったみてェだな…」

削板「一方通行のおかげだ!」

一方通行「ン?あァ…」

641: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:31:28.72 ID:K3BRf9CZ0
水穂機構病院


佐天「う…ここは…」

木山「起きたかい?」

佐天「あ…そうか…私負けたんだっけ…」

木山「色々と苦労させられた。今後はこのような事が無いよう、頼むよ?」

佐天「ごめんなさい…いつっ…!」

木山「削板くんが思い切り殴ったからな…痛むかい?」

佐天「少し…」

木山「はは、安い代償だ」

佐天「御坂さん達は?」

木山「下のホールに居るよ。会って来たまえ」

佐天「ありがとうございます!」タッ

木山「レベル5を束ねた多才能力…」

木山「ギミックは非常に面白い物だったな…」

木山「私もやってみようかな…いや、やめておこう。殴られては適わないからな」


642: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:31:57.94 ID:K3BRf9CZ0
垣根「なあ」

削板「なんだ?」

垣根「なんでお前が殴りに行ったんだ?」

削板「垣根には心理定規が居るだろ?万が一責任を取れと言われたら困るだろ」

垣根「どんな心配してんだか…」

削板「ははは」

一方通行「チッ、埋葬されたなンざ始めてだぞ…」

御坂「それにしても最後のアレは凄かったわね」

一方通行「あァ?」

御坂「ほら、地中から佐天さんの足掴んだやつ」

一方通行「地面ン中で話が聴こえたから協力したまでだ」

御坂「どんな耳してんのよ…」

食蜂「ねえ、こんなの拾ったんだけど」

一方通行「短パン…?」

麦野「短パンならそこのお子様のじゃないかにゃーん?」

御坂「おっ、お子様ですって!?」

麦野「お子様じゃねぇってんならスカート捲ってパンツ見せてみな」


643: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:32:27.01 ID:K3BRf9CZ0
御坂「なっ」

垣根「…」サササッ

麦野「短パンで隠すぐらいだからガキっぽいの履いてんだろ?」

フワッ

御坂「きゃっ!」

垣根「ん…なんでぇ、ゲコ太じゃねぇか」

御坂「あんた!また捲ったわね!」

垣根「何言ってる。俺はまだ捲ってねぇよ」

御坂「は?じゃあ誰が…」

佐天「私です、御坂さん」

一方通行「起きたか」

佐天「はは…ご迷惑おかけしました…」

垣根「へぇ…今の、涙子ちゃんのちゃんとした能力か」

佐天「レベル0の空力使いですけどね…」

麦野「ん?レベル0?それにしては…」

一方通行「レベル0の空力使いには…スカートを捲るほどの力は無ェはずだ」

佐天「え?」

644: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:32:55.82 ID:K3BRf9CZ0
垣根「そういやそうだな…確かにレベル0にそれほどの力は無いはずだな。この程度だと1か2か…」

佐天「どういう事ですか?」

一方通行「さァな…多才能力を通してレベル5と触れ合ったとか…適当に理由はこじつけれるが…」

麦野「ここは自分に自信が付いたからって考えるのが妥当かしら?」

食蜂「今日褒められたからじゃない?」

垣根「褒められたぁ?」

食蜂「覚えてないみたいね」

佐天「…そっか、あの時削板さんにすごいって言われてそれで…」

垣根「削板ならあっちだ」

佐天「私行って来ます」タタッ

一方通行「…結果的に佐天のためになったみてェだな」

御坂「そうね」

垣根「そうだ、俺の話聴いてくれよ」

一方通行「話だとォ?」

麦野「ロクな話を期待してるわ」

垣根「今日ビルに向かって俺が墜落したろ?そん時に生意気なガキに会ってよぉ…」


645: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:33:21.54 ID:K3BRf9CZ0
佐天「削板さん」

削板「あ、ああ…佐天…か…」

佐天「様子、おかしいですよ」

削板「いや…うん…いや…」

佐天「私、思い切り殴られました」

削板「ぐ…根性無しでスマナイ…」

佐天「いいんです!それは」

削板「え?」

佐天「私、感謝してるんです」

削板「???」

佐天「ダムで削板さんに褒められた時、嬉しくなってもっと能力を使ってみたいと思ったんです」

削板「そ、そうか…?」

佐天「結果、みんなに迷惑かけちゃったけど…」

削板「それこそもういい事だぞ。あいつらに会った時一人でも佐天を責めたか?誰も気にしてない」

佐天「皆良い人達です」

削板「ああ。だから万が一…君が無能力という立場で苦しんでるなら俺達を頼るといい。絶対力になれる」

佐天「あの…そのことなんですけど…」

削板「うん?」

佐天「私、レベル0の能力者なんです。でも今日の出来事でレベルが上がったんだと思います」

削板「?」

佐天「削板さんにすごいすごいって言われて、それで一気に自信が付いたからだと思うんです」

削板「そうか、それはなによりだ」

佐天「はい。だから私削板さんに感謝しています!殴ったことについては感謝出来ることじゃありませんけどね」

削板「ぐぬ…本当にスマン…取れるもんなら責任は取る…」

佐天「あはっ、本当ですか?じゃあ…」

646: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/13(土) 20:33:48.45 ID:K3BRf9CZ0
垣根「俺帰る」

麦野「私も帰る」

一方通行「俺も帰るかァ」

食蜂「あーあ…私も帰ろっと」

御坂「はぁ…私もそうしよう…」

垣根「なんだよ…殴って芽生える物って…それだったら今日ゲンコツかましたガキにもなんか芽生えてんのか?あ?」

麦野「さっきの話の子ね」

食蜂「さすがに無いんじゃないの?」

垣根「世の中分からねぇぞ」

麦野「第一あんたには心理定規が居るじゃないの」

垣根「最近冷たいんだ」

御坂「あ、黒子から着信入ってる」

一方通行「…ン、珍しく黒夜から着信が…」

垣根「そういや結標の2ndシングルはいつ出んだろうな」

一方通行「今度聴いといてやるよ」

垣根「おう」

一方通行「もォ別れ道か」

垣根「早いもんだ」

食蜂「お腹空いたなー」

御坂「何か食べてく?」

麦野「もう8時回ったのね…」

一方通行「ここで解散だな。また会おうぜェ」



650: ◆Lp4e6dlfNU 2011/08/15(月) 01:00:30.23 ID:Yv40WArT0
翌日

一方通行「珍しくコーヒーがウマく淹れられた…」コポポ

番外個体「ミサカも飲むー!」ゴクゴクゴク

一方通行「何しやがる!!」

番外個体「ぷはっ、苦ー」

打ち止め「あー!!何飲んでるの!?ってミサカはミサカは興味津々!」

番外個体「めんつゆ」

打ち止め「め、めんつゆ…??それって猛烈にしょっぱいアレ…?クロヨルが間違えて飲んだアレ…?」

番外個体「そう。そのめんつゆ」

一方通行「クソッ…淹れ直しだ…」

ガチャ

黒夜「…」モソモソ

一方通行「ン、起きた…か…!?」

黒夜「なに?」

一方通行「なンて格好で寝てやがる。垣根が間違えて入ってくるかもしンねェからパンツ一枚で寝るのだけはやめろ」

番外個体「あーあー、胸も丸出しだなんて…」

打ち止め「うーん、黒夜は黒派なのね」

黒夜「何か飲み物…お、コーラがあるじゃねぇか」カチャン

番外個体「この展開は…!」

ゴクッ…

黒夜「かはっ!」

番外個体「うんうん」