1: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:04:35.77 ID:Im5d/aM0
エヴァのシンジ×アスカSSです

PC版碇シンジ育成の某エンディングの要素を含むAEOEです

ゆっくり書いていきます

序盤、地の文が若干多めですので、苦手な方は気を付けてください

引用元: アスカ「ああ、日曜朝だっけ。あのばーかの番組」 

 

2: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:05:51.15 ID:Im5d/aM0
日曜日だから、もう少し眠っていてもいいはずなのに、目覚めてしまう
午前八時二十二分
ベッドのぬくもりの中、少しだけ瞼を開ける。
時計の針が、規則正しいリズムを刻んでいる
いつもと同じリズムなのに、腹立たしいのはなぜだろう

アスカ「……バカシンジ」

いや、理由はわかっている、恋人とけんか中だから
原因はお決まりの、予定が合わないこと
十年も一緒いるのに、くだらないことで言い争ってしまう

アスカ「ばか」

二度寝する気にもならず、ベッドから起き上がる。

3: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:06:18.15 ID:Im5d/aM0
アスカ「几帳面なんだか、ずぼらなんだか」

リビングのソファーに毛布を掛けっ放し
そのくせに、アスカの分の朝食の準備はしてある、ケンカ中なのに

アスカ「挨拶もせずに、シゴト行ったくせに」

シンジは腹立たしいが、ラップの下の目玉焼きに罪はない
もったいないし、箸をつけることにする

アスカ「日曜日に休めるの、いつぶりだろ」

シンジの用意した朝食をレンジにいれ、スイッチを入れる
そのまま何となくテレビをつける

『これまでの怪傑電光ブレードマンは……』

4: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:07:22.02 ID:Im5d/aM0
流れ出す、軽快な音楽
そして、映し出されるのはケンカ中のバカ

アスカ「ああ、日曜朝だっけ。あのばーかの番組」

『俺、きらいじゃないですよ。そういうの』

アスカ「なにが、俺よ」

5: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:08:01.91 ID:Im5d/aM0
普段は、僕っていう癖に
朝食のあと、なんとなく見続けてしまう、これがケンカの原因なのに

女優『あなたに、何がわかるっていうの』

シンジ『話してもくれないのにか!』

脚本家を罵りたくなる
シンジにそういうことを言い、そういうことを言わせる
ドラマ、それも子供向けのモノと分かっていても
書いた人が何も知らないとしても

シンジ『俺は守る』

アスカ「ばーか」

テレビの中のバカが大層に言い切った
恋人の機嫌一つ、うまく守れない癖に、でも


6: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:10:05.23 ID:Im5d/aM0
シンジ『逃げない! 俺は!』

アスカ「逃げない、俺は、か」

テレビのシンジのセリフを真似してみる
シンジは逃げなかったと思う
あの頃からずっと、逃げてもよかったのに
あの頃の知り合いはほとんどこの街にいないのだから
英雄を続けるは必要ない、なのに

シンジ『俺は、戦える! 大切な人がいる限り!』

アスカ「ほんとに、ばーか」

きれいな、それでいて力強い歌声とともに、テレビの中のバカが戦う
アイツが、歌っている曲、主演が歌う契約らしい
前にカラオケで、わがまま言って、無理やり歌わせた
照れながらも歌ってくれた、アスカのためにだけに


7: 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/06(月) 22:10:57.69 ID:Im5d/aM0
食器を洗うため、流しに立って気づく
見慣れた弁当が二つ
片方はアスカの昼食のため、もう片方は

アスカ「ばか。忘れる? 普通!」

時計は十時を、指したばかり
そして今日はオフ

「よし!」

確か、今日の撮影は近所だと言っていた

「バカシンジ。高くつくからね」

呟くと、シンジの困ったような笑顔が浮かんでくる
十年も見続けているけど、一向に見飽きる気配がない
多分、この先も、ずっと

第一話 了

12: >>1 2010/12/07(火) 13:41:27.75 ID:K9yVzsc0
女子職員A「惣流さんはどう思いますか?」

アスカ「へ?」

同僚との食事中、急に話を振られて間の抜けた声を出してしまう
最近の男性俳優で誰がいいかという話で
興味が無かったにで聞き流していた

女子職員B「だから、六分儀シンですよ! かっこいいですよね!」

アスカ「え!」

知った名前を出されて驚く
シンジの芸名
でもアイツはたしか

アスカ「こ、子ども番組に出てる人でしょ、よ、良く知らないわ」


13: >>1 2010/12/07(火) 13:42:12.36 ID:K9yVzsc0
女子職員A「何言ってるんですか! 若手のイケメン俳優は子ども番組出身っておおいんですよ!」

女子職員B「むっちゃかっこいいんですよ! 私、毎週見てます!」

アスカ「へ、へぇ」

女子職員A「惣流さんもぜひ見てくださいよ!」

アスカ「う、うん」

同僚二人に気圧されながら、頷く
本当は、毎週見ている
アイツの声を少しでも多く聞きたくて

そんなこと、この二人には言えないが

14: >>1 2010/12/07(火) 13:42:52.60 ID:K9yVzsc0
トウジ「そーりゅー」

アスカ「何、書類は出したはずだけど」

昼休憩の後、別の同僚に話しかけられる
古くからの親友の夫で、シンジの友人
今、この街でシンジとアスカの過去を知る
数少ない人物の一人

トウジ「いや、ちょっと頼みがあるんやけど」

アスカ「頼み?」

トウジ「ちょっと、シンジにな」

そこで少し、言いにくそうに言葉を切る

アスカ「シンジに何? 急いでるんだけど」

15: >>1 2010/12/07(火) 13:44:32.63 ID:K9yVzsc0
古なじみの同僚をせかす
この男は
アスカ同様に20そこそこで
研究者になり、成果を出している
意外な事に

シンジの役者も意外といえばそうだ
しかも、体力派でアクションを
スタントなしで取っているらしい

エヴァに乗ってただけはある

トウジ「サインもらってきてくれんか」

アスカ「はぁ?」

トウジ「だから、シンジのサインや! 親戚の子に頼まれたんや」

アスカ「直接言いなさいよ」

トウジ「急ぎなんや、今週遊びに来るんその子。今度、シンジと会う時にもらったら間に合わん」

16: >>1 2010/12/07(火) 13:46:26.74 ID:K9yVzsc0
シンジは忙しい
大学生と役者の二足の草鞋なうえに
趣味で畑仕事までしている

その結果として友人に会う機会が激減してしまった

トウジ「お前なら一緒に暮らしてるから、なんとか書いてもらえるやろ」

アスカ「……ま、別にいいけど」

トウジ「ほんまか! 感謝する!」

アスカ「はいはい」

トウジ「いやー、助かった。これでわしの顔も立つ」

アスカ「そんなにほしがるもんかな」

サインまで欲しがられるようになる
シンジの人気が出てきたことは喜ぶべきなんだろうけど

17: >>1 2010/12/07(火) 13:46:56.88 ID:K9yVzsc0
アスカ「シンジへのインタビューか」

本屋で偶然見かけた雑誌に
シンジの芸名が大きく載っている

普段行かないコーナーになんとなく足が赴いたのは
今日の同僚たちのせいだろうか

手にとって目的のページをさがす
見つける
以外とボリュームがあるようだ

アスカ「カッコつけちゃってさ」

インタビューは
これまでの苦労話、意気込み
共演者へのイメージ、今後の展望など多岐に渡っていた

そのなかに

18: >>1 2010/12/07(火) 13:47:27.82 ID:K9yVzsc0
アスカ「こどもの頃、シリーズを見ていたか?」

当然、シンジは見ていないと答えている
代わりに、友人に勧められて中学時代に見たと答えている

子どもの頃、子ども番組さえみていない

アスカ「……それは私もか」

エヴァの訓練にすべてを賭けていた
それ以外、見ていても見ていなかった

アスカ「やっぱり、シンジなんだなぁ」

突然、携帯電話が鳴る

確認するとシンジからのメール

『夕飯、何が食べたい?』


19: >>1 2010/12/07(火) 13:47:53.90 ID:K9yVzsc0
アスカ「ああ、今日は早く上がるって言ってたっけ」

昔から買わない、シンプルな文面
何となく嬉しくなる
携帯を操作し返信する

アスカ「さてと、帰りますか」

誰かが待っていてくれる家の暖かさ
それを教えてくれたのは
今はもういない女性と
これから先もずっと一緒にいたい、ばか

『アンタの作るものならなんでも。期待してるからね!』

第二話 了

24: >>1 2010/12/09(木) 11:55:00.49 ID:T9PwlLk0
アスカ「以外と広いわね」

休日、アスカはシンジの代わりに
スイカ畑に来ていた
撮影と大学のテスト期間が重なったらしい

アスカ「ま、水撒きと、雑草むしりだけでいいって言ってたし」

むしろ、余計な事はするなって目だった
バカシンジの癖に

アスカ「じゃ、はじめますか」

水をまき、草をむしる
作業自体は簡単だが
なにしろ広い
思っていたより、広い

25: >>1 2010/12/09(木) 11:55:34.36 ID:T9PwlLk0
アスカ「ったく、めんどくさいわね」

そう言いつつも、手は休めない
ここは、アイツがあの人にもらった場所だから

アスカ「スイカかぁ、何時頃食べられるようになるんだろ」

もう結構大きくなっていると思う
でも、シンジは頼むから
余計な事はするなと、言っていた

アスカ「美味しく育ってるのかな」

こんこんと軽く叩いてみる

アスカ「よくわかんないわね」

叩けばよい事は覚えていたけど
どんな音のスイカが美味しいかまでは
覚えていない

アスカ「ま、シンジに選んでもらえばいっか」

シンジが選ぶんなら問題ない
だって、あの時も
みんながいた、あの頃に


26: >>1 2010/12/09(木) 11:56:06.82 ID:T9PwlLk0
シンジ「38度5分、風邪だね」

アスカ「……うっさいわな、平気よ」

シンジ「そんな顔真っ赤にして言われてもなぁ」

アスカ「パイロットは、健康管理も完璧なの、このくらい!」

シンジ「大人しく寝ててよ、看病してるからさ」

アスカ「平気って言ってるじゃない! 看病なんていらないわよ」

シンジ「でもさ」

アスカ「平気なものは平気なの! でも、することがあるから出てって!」

シンジ「……わかったよ」

しぶしぶとシンジが部屋を出ていく
それを確認すると同時に瞼が重さを増していき
静かに闇の中に……

27: >>1 2010/12/09(木) 11:57:15.34 ID:T9PwlLk0
目が覚めた

アスカ「……今、何時だろ」

午後三時、結構眠っていたらしい

アスカ「なんか、楽になったかも」

眠る前の体の重さも、吐き気も
大分ましになっているような気がする

アスカ「ちょっとおなかすいたかも」

眠る前は何も食べる気がしなかったけど
今はすこしだけ何かおなかに入れたい

扉を開けて、廊下に出ようとすると

アスカ「あ」

シンジ「あ、起きたんだ」

シンジが座っていた
胡坐をかいて
いつもの音楽プレーヤーをつけて

28: >>1 2010/12/09(木) 11:57:45.06 ID:T9PwlLk0
アスカ「……なにしてるの」

シンジ「音楽きいてる」

アスカ「……ここで?」

シンジ「ここで」

アスカ「なんで、廊下なの」

シンジ「なんとなく。別に何かあった時に、すぐわかるようにとか考えてないからね」

アスカ「はぁ」

シンジ「勘違いしないでよ。それよりなんか食べる」

アスカ「うん」

シンジ「おかゆ温めるよ」

29: >>1 2010/12/09(木) 11:58:40.34 ID:T9PwlLk0
シンジの作ったお粥はおいしかった
シンプルな味付けで、今のアスカでも
出された分すべて食べることができた

シンジ「デザートいる?」

アスカ「あるの?」

シンジ「まあね」

そう言ってシンジは冷蔵庫に向かう
しばらくごそごそした後
取り出したのは

アスカ「スイカ?」

シンジ「そ、加持さんにもらったんだ」

テーブルの上に切り分けられた
赤い果実にスプーンをのばす

アスカ「……おいしい」

30: >>1 2010/12/09(木) 11:59:41.38 ID:T9PwlLk0
優しい甘さが口の中に広がる
一口、また一口と
スプーンを動かす

シンジ「特別美味しいのを選んだからね」

そう言ってシンジは笑う
まだ、みんながいて
自分の想いにも、気づいてはいなかった

そんな頃の思い出

31: >>1 2010/12/09(木) 12:00:43.31 ID:T9PwlLk0
アスカ「一個くらい持って帰ろうかな」

なんとなく、食べたくなってしまった
シンジはまたぶつぶつ文句を言うかもしれない
でも最後は笑って許してくれると思う

アスカ「アイツと食べるなら、まずいわけないしね」

アイツと一緒なら大丈夫

いろんな事があったけど
もう会えない人もいるけど

でも、笑っていられるから



42: >>1 2010/12/14(火) 10:38:43.03 ID:yNV/bz60
トウジ「惣流、ちょっとええか」

月曜日、出勤するとすぐに同僚に声をかけられる

アスカ「何?」

トウジ「あんまり、気ぃおとすな」

神妙な顔をして同僚が言う
しかし

アスカ「は?」

落ち込むような心当たりはない
ここ数日シンジとケンカもしてないし
仕事でのミスもあるわけない

トウジ「シンジはあーゆー仕事やからな。しゃーないやろ」

43: >>1 2010/12/14(火) 10:39:38.83 ID:yNV/bz60
アスカ「シンジの仕事?」

シンジの休みに合わせて有給を使っているので
最近、シンジのスケジュールに文句を言った覚えもない

アスカ「……話が全く見えないんだけど」

トウジ「わかっとる、言わんでええ。シンジにはワシから言っとく」

アスカ「いや、一人で納得しないでよ。説明しなさい」

トウジ「じゃ、ワシはここで」

そう言って、同僚は行ってしまう
好き勝手にわけのわからない事だけ言って

アスカ「何なのかしら、全く」

わからない事を気にしても仕方ない
さあ、今日から一週間頑張ろう


44: >>1 2010/12/14(火) 10:40:06.72 ID:yNV/bz60
ヒカリ『アスカ、大丈夫? 落ち込んだりしてない?』

親友も電話越しに彼女の夫と
同じ事を言い出した

アスカ「だから、何の話よ」

帰宅後、シンジを待ちながら掃除をしていたら
ヒカリから電話がかかってきた
わりと電話するし、直接会う事も多いが
ここのところ忙しく、少しだけ久しぶりな気がする

ヒカリ『ほら、碇君の番組見てたんだけど』

アスカ「ん、今回なんか変だっけ?」

新武器の登場で盛り上がっていたりはしたが
特におかしな場面は無かったと思う


45: >>1 2010/12/14(火) 10:41:14.43 ID:yNV/bz60
ヒカリ『女の子を抱きとめるシーンがあったでしょ、碇君』

アスカ「あったけど、それが?」

確かに、怪人の攻撃で吹き飛ばされたヒロインを
シンジが抱きとめるシーンがあった
でも、それがどうしたというのか

ヒカリ『それでアスカが落ち込んでないかと』

アスカ「はぁ? なんでアタシが落ち込むのよ」

ドラマの中での話が何故アスカが落ち込む事につながるのか

ヒカリ『だって、アスカ昔から碇君が他の女の子と話してるだけで凄い顔してたじゃない』

アスカ「……してたの」

ヒカリ『してたわよ。中学の頃からずっと』

良く思い出せば昔からシンジが
他の女と話している記憶は、何故かたくさんある
そのたびに心に湧きあがる
なんとなく嫌な気持ちも


46: >>1 2010/12/14(火) 10:41:49.53 ID:yNV/bz60
アスカ「自覚してなかったなぁ。そんな癖」

ヒカリとの通話を終え、
缶ビールのプルトップを起こしながら呟く
そのまま半分ほど、のどに流し込む
爽快感と苦みが通り抜けていく

アスカ「そんな昔から……」

あの頃から、好きだったと思う
でも、他の感情が強すぎて
恋心は引っ込んでいたと思う

アスカ「もうちょっと、呑もうかな」

掃除の続きをしなければとも思う
でも、つい一本開けてしまった
もういない保護者の影響ということにしておこう
朝から飲んでいたし

アスカ「でも、昨日の番組は嫌じゃなかったし」

アルコールのせいか
思考が行ったり来たり
ぱらぱらと入り乱れる


47: >>1 2010/12/14(火) 10:42:53.28 ID:yNV/bz60
アスカ「なんでだろ?」

ずっとシンジと他の女が話すだけで
睨みつけていたのに何故か
いつのまにか、平気になったのか

アスカ「やっぱ、もう一本のも」

冷蔵庫に手をかけた時に
一枚のメモが目に入る

『牛乳一パック
塩 買う』

見慣れたばかの字

アスカ「……ちゃんと買っときなさいよ」

ああ、そっか
ここがシンジの帰る場所だからなんだ

だから、どこで何をしていても
誰と話していても大丈夫

ちゃんと、アスカと笑ってくれる



53: >>1 2011/01/12(水) 22:26:03.17 ID:a3QR2OeD0
アスカ「シンジの出てる番組のかぁ」

休日の朝、ベッドの上
ゲームソフトのパッケージを、弄びながら呟く
シンジが、スポンサーからもらってきた
主演番組のアクションゲームだ
ご丁寧に、据え置きと携帯機の2種類ともある

アスカ「ていうか、ソフトだけもらってきてどーすんのよ」

アスカは最新のゲーム機を持ってはいない
ゲームは好きな方だが、仕事が忙しい事もあり
ここ数年、最新のゲームは遊んでいない
シンジに至っては、ゲームそのものにあまり興味が無い
アスカに付き合って、少したしなむ程度だ

アスカ「よし!」

せっかくもらったのだ
放っておくのも、もったいない
散歩がてらゲームショップに行ってみよう
どうせシンジは仕事だし……


54: >>1 2011/01/12(水) 22:26:34.72 ID:a3QR2OeD0
アスカ「まさか、据え置きの方しか本体が売って無いとはね」

買ってきた本体を、リビングに置く
携帯機の方を買うつもりだったが
見事に売り切れていた
店員の話では、最近ヒット作が出たために
品薄になっているらしい

アスカ「ま、こっちの据え置き機の方が、ファミリー向けのソフトが多いらしいし、別にいいけど」

そのうち何か買って、シンジと遊んでみるのもいいかもしれない
でも、とりあえずは貰ってきたソフトを試してみようか

テレビにゲーム機を繋ぎ
ディスクを挿入する
電源を入れ、メインの操作画面が映る
ここからwebにもつながるという話だが
それは置いといて、ゲームを起動する

アスカ「結構わくわくするわね」

昔は結構ゲームを、遊んでいた
それにまつわる嫌な思い出もあるが
ゲームそのものが悪いわけではない

むしろ、あれは……


55: >>1 2011/01/12(水) 22:27:08.45 ID:a3QR2OeD0
アスカ「あ、始まったわね」

過去に遡っていた意識がメーカーのロゴで
現在に引き戻される

シンジ『怪傑電光っ!! ブレードマン!!』

シンジの叫び声とともにタイトル画面が表示される
赤い字で書かれた番組タイトルに
黒字のゲームタイトル
下にはCGで描かれたシンジの演じるヒーロー

アスカ「さすが、主演ね」

シンジがこういう扱いをされるようになる事は
多分、嬉しい事だと思う
どこか、違う世界の人間になるような気もして
複雑ではあるのだが

シンジ『はっ! ふん! とうりゃ!!』

アスカが、コントローラーのボタンを押すたびに
画面上でヒーローがシンジの声で叫ぶ


56: >>1 2011/01/12(水) 22:28:00.35 ID:a3QR2OeD0
アスカ「やっぱ、エヴァに乗ってた時とは違うわね」

闘いの掛け声という事で
あの頃を連想するような演技じゃないかと
心のどこかで思ってはいた

でも、違う

アスカ「ま、アイツも大人になったのかな」

画面から流れる掛け声と
記憶の中の声
その違いからくる想いを
簡単に言い表すと
その一言になってしまう

アスカ「ま、どっちも嫌いじゃないけどね」

あの頃のシンジのアスカを呼ぶ声
今、アスカの傍にいるシンジそのもの

どっちも大切なのだと思う

画面の中でシンジが鳥みたいな怪人を倒していた
カッコつけたセリフと一緒に