1: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:25:02 ID:7aLo5Vtc



        -IS学園寮・個室トイレ-

シャル(陽性・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・)

シャル(あれから・・・)

シャル(もう三ヶ月・・・)

シャル(・・・・・・・・・・)

引用元: シャル「・・・・・・どうしよう」 

 

2: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:26:12 ID:7aLo5Vtc




         -回想-

シャル「これからは、シャルロットって呼んで?」

一夏「・・・えっ?」

シャル「うん・・・。 ボクのお母さんが付けてくれた、本当の名前・・・」

一夏「・・・わかった」 

一夏「シャルロット・・・」 

一夏(・・・ああもう・・・、我慢が・・・!) 

           ガバアッ! バシャバシャ!

シャル「!? い、一夏!?」 ///

一夏「くっ・・・!!はあ・・・はあ・・・!」 

シャル「!! 一夏!? ちょっとまっ・・・!」

           ああああっ・・・!

3: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:27:17 ID:7aLo5Vtc



----------


シャル(IS学園に来る際に持たされた、妊娠検査具・・・)

シャル(・・・使う事に、なるなんて)

シャル(おまけに・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・一夏) ジワ・・・

シャル(会いたい・・・!) ポロッ・・・

4: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:28:17 ID:7aLo5Vtc




          -放課後・IS学園・中庭付近のベンチ-

シャル(事が済んだ後、一夏は「ごめん」とだけ言った・・・)

シャル(・・・・・・あの翌日に、ボクは自分が女の子である事を明かしたけど)

シャル(一夏は・・・ボクを避ける様になった)

シャル(結局・・・理由は聞けずじまい・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・・でも)

シャル(もう、そんな事を言ってられない・・・!)

シャル(もう・・・)

5: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:29:24 ID:7aLo5Vtc



         -夜・IS学園寮・ロビー付近-

鈴「あ、シャルロット」

シャル「・・・ん? 鈴・・・、何か用かな?」

鈴「山田先生が探してたわよ?」

鈴「昨日提出予定の課題は、まだかな?って・・・」

シャル「・・・あ! ・・・忘れてた」

鈴「珍しいわね、シャルロットが課題を忘れるなんて」

シャル「そ、そう? ボクだってそんな時くらいあるよ」 クスッ

鈴「まあ、いいわ。 じゃ、確かに伝えたからね?」

シャル「うん、ありがとう」

6: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:30:15 ID:7aLo5Vtc

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(・・・しょうがない。 もう遅い時間だし、明日にしよう・・・)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(・・・でも)

シャル(早くしないと・・・)

7: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:31:22 ID:7aLo5Vtc



          -翌日・休み時間・1組教室-

セシリア「一夏さん、お昼はいかがなさいます?」

一夏「おう、そうだな・・・。久しぶりに屋上で食うか?」

セシリア「はい、わかりました」

箒「そうか、ではそうしよう」

セシリア「箒さん・・・。 どこから沸いてきましたの」

箒「・・・さっきから隣にいるが?」

ラウラ「私も居るぞ。 皆で食事をした方が美味いだろう?」

一夏「そうだよな、みんなで食おうぜ!」

セシリア「そ、そうですわね・・・」

セシリア(・・・もう)

8: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:32:14 ID:7aLo5Vtc

シャル(・・・・・・みんな、何を話しているのかな)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(一ヶ月前まであの輪の中に)

シャル(ボクもいた)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・止めよう、こんな事考えるの)

9: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:33:28 ID:7aLo5Vtc



         -放課後・第二アリーナ男子更衣室前-

          ガチャ・・・

一夏「ふう・・・」

一夏「・・・!!」

シャル「・・・・・・・・・一夏」

一夏「・・・シャル」

シャル「一夏・・・話があるの」

一夏「・・・・・・・・おう」

シャル「でも・・・ここじゃ話せない」

シャル「だから、今夜・・・八時くらいに、一夏の部屋に行くから」

シャル「・・・じゃ」 ダッ・・・

一夏「・・・・・・・・・・」

10: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:34:36 ID:7aLo5Vtc


          タッ タッ タッ タッ  タッ・・・

シャル「・・・はあ・・・はあ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

シャル(一夏・・・相変わらず)

シャル(ボクを見ようとしないね・・・) クスッ・・・

シャル(・・・・・・・・・・ううん)

シャル(それでもいいんだよ・・・)

シャル(一夏が、ボクを嫌いなら それでいい)

シャル(ただ・・・・・・・・)

シャル(それを・・・ボクにハッキリ言って)

シャル(・・・・・・お願いだから) ホロリ・・・

11: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:35:36 ID:7aLo5Vtc



          -夜・IS学園寮・一夏の部屋付近-

シャル「・・・・・・・・・・」

         コン  コン・・・

シャル「一夏・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・?」

シャル「・・・一夏?」

         コン   コン・・・

シャル「・・・・・・・・・・・」

シャル(・・・・・・・・・うそ)

シャル(居ないの?・・・それとも居留守?)

12: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:37:14 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・リヴァイヴ、頭部、一極限定モードで起動」 スウウウウウンッ!

シャル「赤外線センサー、オンライン・・・」 ピピピ・・・ピ・・・

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル()

シャル(・・・・・・・居ない)

シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・どうして)

シャル(どうして・・・どうして!・・・・どうして!!) ダッ

13: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:38:02 ID:7aLo5Vtc



          -同・IS学園・中庭付近-

シャル「・・・はあ・・・はあ・・・はあ」

シャル「・・・リヴァイブ、起動!」 スウウウウウンッ!

シャル「・・・どこなの、一夏!」

シャル「センサー範囲拡大、特定ターゲット指定・・・」 ピピピ・・・

シャル「目標・・・白式・・・!」 ピピピ・・・

シャル「・・・・・・・・・・・・」 ピピピ・・・

シャル「・・・・・・・・・・・・!」 ピ・・・・

シャル「・・・ここって」

14: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:39:31 ID:7aLo5Vtc



シャル「セシリアの・・・部屋」



 ボクは・・・無意識の内に、アサルトライフルを起動して、スコープをのぞいた。
よせばいいのに・・・、それを止める事が出来なかった・・・。



シャル「・・・・・・・・・・・」



 寮の窓から、わずかに見えるセシリアと一夏の二人。
二人は、何かを話していた。・・・笑顔で。

15: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:41:22 ID:7aLo5Vtc



          ピピピ・・・『最終安全装置 解除』



 ボクの、頭の中に、体中に、ドス黒い何かが駆け巡る・・・・・・。



          ピピピ・・・『ターゲット・ロック  榴弾 装填』



 そうだよ・・・、このままほんの少し、指に力を加えるだけで終わる・・・。
何も考える事なんて、無い。

16: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:42:57 ID:7aLo5Vtc



シャル「一夏・・・ボクは、そんなに嫌な娘だったのかな?」

シャル「確かにね? 軽率な事をしたと思うよ?」 ポロッ・・・

シャル「でも・・・、話をするくらいの約束も守りたく無かった?」 ポロ ポロ

シャル「ボクには・・・話をするだけの価値も無いって言うの?」 ポロポロ・・・

シャル「・・・だったら、どうしてボクに優しくしたの?」 ポロポロ・・・

シャル「・・・・・・どうして」 ポロポロ・・・

シャル「ボクに優しくしたのぉぉぉっ!!」 ポロポロ・・・



         ボクは・・・・・・ボクは・・・・・・!



         ググッ・・・!

17: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:44:43 ID:7aLo5Vtc



         -翌日・昼休み・食堂-

鈴「そのから揚げ、もーらいっ!」 ヒョイパク!

一夏「あっ! なにすんだよ! 鈴!」

鈴「にひひ~、いいじゃん。 ほら、あたしの卵焼きあげるから!」

一夏「ったく・・・、最初から交換しようって言えよ」

鈴「・・・・・・・・・」

鈴「・・・ところで一夏」

一夏「ん?」

鈴「最近、シャルロットを見ないわね?」

一夏「・・・・・・」

18: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:46:15 ID:7aLo5Vtc

鈴「ま・・・あんたも何か避けている様だったし、深くはツッコミ入れないけど」

鈴「嫌いになったのなら、ハッキリ伝えてあげるのも『優しさ』なんだからね?」

一夏「・・・別にそう言うわけじゃ。 自然にそうなっただけさ」

鈴「ふ~ん・・・。 そう」



鈴(ライバルは減ったけど・・・。 なんかスッキリしないわね)

鈴(・・・今日のシャルロット、明らかに泣き腫らしてたし)



鈴「それじゃ、あたし 午後の授業の準備があるから。 これで失礼するわね?」

一夏「ああ、またな、鈴」

19: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:47:20 ID:7aLo5Vtc



             -同・屋上-

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「・・・綺麗な空」

シャル「こういうのを日本で、なんて言うんだっけ・・・?」

シャル「・・・日差しも心地いいや」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「ああ、思い出した・・・」

シャル「『抜けるような青空』・・・だったね、一夏」 クスッ・・・

20: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:48:21 ID:7aLo5Vtc



          -放課後・IS学園寮・談話室-

箒「・・・そうか、同室のラウラにも話していないのか」

ラウラ「ああ。 私も昨日たずねたのだが・・・」

ラウラ「昨夜、八時前くらいに出かけて帰ってきてから・・・様子がおかしい」

箒「・・・そんな時間にどこへ?」

ラウラ「わからん・・・『ちょっと』としか言わなかった」

ラウラ「・・・でも、出かける前も深刻そうだった」

箒「・・・何があったのかな」

21: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:49:08 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・・・・・・」

ラウラ「箒」

箒「ん?」

ラウラ「お前も気づいているのだろう?」

ラウラ「一夏が、明らかにシャルロットを避けているのを」

箒「・・・まあ、な」

ラウラ「私も・・・あえて見ぬフリをしていたが・・・」

ラウラ「なにか、関係があるのかもしれない」

箒「・・・・・・どうする?」

ラウラ「・・・・・・私も、それが知りたい」

22: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:51:35 ID:7aLo5Vtc



         -夜・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「・・・シャルロット」

シャル「・・・ん?」

ラウラ「言いにくいのだろうが・・・」

ラウラ「私で良ければ相談に乗るが?」

シャル「ラウラ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・」

23: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:52:16 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・ありがとう」

シャル「でも」

シャル「これは・・・とてもプライベートな問題だから」

シャル「・・・ごめん」

ラウラ「・・・いや、いいんだ」

ラウラ「・・・・・・・」

24: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:53:09 ID:7aLo5Vtc



         -数日後・朝・職員室-

千冬「・・・・・・・・・・・」

山田「・・・どうかしました? 織斑先生?」

千冬「!・・・・・・山田先生」

千冬「いや・・・たいした事ではない」

千冬「このところ、デュノアの成績が芳しくないのでな・・・」

山田「ああ・・・確かにそうですね」

山田「そういえば、ぼんやりしている事も多いですし・・・」

25: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:54:02 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・思春期の不安定さが出ているだけかもしれんが」

山田「気になるのでしたら、私が話をしましょうか?」

千冬「・・・・・・・・・いや」

千冬「しばらく様子を見よう」

千冬「デリケートな時期でもあるし・・・」

山田「そうですね・・・。 わかりました」

26: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:55:29 ID:7aLo5Vtc



         -休み時間・1組教室-

セシリア「一夏さん、明日のお休みは、何かご予定はありますか?」

一夏「んー? いや、特には無いけど?」

セシリア「でしたら、わたくしと植物園に行きませんこと?」

セシリア「秋口の花が、見ごろだそうですわ」

一夏「植物園か。 ま・・・面白いかもな」

一夏「いいぜ、セシリア」

セシリア「はい! 一夏さん!」

27: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:56:37 ID:7aLo5Vtc

一夏「箒とラウラも一緒にどうだ?」



セシリア(ああああ! い、一夏さん! 余計な事を!)



箒「・・・せっかくだが、部活があるのでな。 遠慮する」

ラウラ「私も私用で・・・明日は予定がある」



セシリア(な、なんですってー!!)

28: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:57:36 ID:7aLo5Vtc

一夏「そっか・・・残念だな」

一夏「じゃあ、俺と二人で行くか、セシリア」

セシリア「は、はい!」 ///



セシリア(一夏さんと、二人っきりでお出かけですわ!) ///



箒「・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・」

29: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 16:58:29 ID:7aLo5Vtc



         -昼休み・屋上-

鈴「なによそれ! あたしには誘いすら無いっての!?」

ラウラ「なら今から食堂に行って、参加したい、と言って来ればいい」

箒「一夏なら二つ返事で了解するな。 きっと」

鈴「・・・・・・・・」

鈴「やっぱ、いい・・・」

鈴「なんか、そんな気分になれないしね」

30: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:00:03 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・お前は、シャルロットの事に気がついているか?」

鈴「つかない方がおかしいわよ・・・」

箒「ま・・・そうだろうな」

鈴「いつぐらいかしら・・・ね」

鈴「一夏が、シャルロットを露骨に避ける様になったの?」

箒「夏休み明けぐらいからだと思う」

ラウラ「そんなところだな・・・」

鈴「原因はなんなの?」

ラウラ「わからん・・・」

箒「私もだ・・・」

31: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:01:05 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「私はシャルロットと同室なので、それとなく たずねてみたが・・・」

ラウラ「・・・余程言いにくい事みたいだ」

鈴「そっか・・・」

鈴「すっきりしないわね」

箒「ああ・・・さすがに、シャルロットを まるで居ないかのように扱う一夏には・・・」

箒「好感が持てない」

鈴「セシリアは、お構いなしって感じみたいだけど」



ラウラ「・・・・・・このままで」

ラウラ「いいのだろうか?」

箒「・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・」

32: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:02:06 ID:7aLo5Vtc



          -放課後・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・もう一夏は)

シャル(ボクの事なんて、どうでもいいんだね・・・)

シャル(じゃあ)

シャル(自分で・・・何とかしないと・・・)

シャル(・・・・・・・・・)

シャル(答えは、簡単だよ・・・。 二つしかない)

シャル(・・・・・・・・・・・)



シャル(おろすか・・・おろさないか・・・)

33: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:04:33 ID:7aLo5Vtc



         -数週間後-

         -1組実習授業-

千冬「それでは、恒例の模擬戦をしてもらう」

千冬「織斑、デュノア、前に」

一夏「・・・!」

シャル「・・・はい」

箒・ラウラ「・・・!」

千冬「・・・織斑、呼ばれたらちゃんと返事をしろ」

一夏「す、すみません」

34: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:05:21 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・白式」 スウウウウウンッ!

シャル「リヴァイブ」 スウウウウウンッ!

一夏「・・・・・・・」

シャル「・・・じゃあ、行くよ? 一夏」

一夏「・・・・・・・」

シャル「・・・・・・たああっ!」

         タタタタタタタッ!

35: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:07:00 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・」

セシリア(一夏さん、いつも通り、かっこいいですわ)♪

千冬「・・・・・・・・・・」



箒(・・・なんだ、これは)

ラウラ(二人とも・・・動きが鈍いな)

箒(一夏の剣には、迷いが・・・いや、戸惑い、か?)

ラウラ(シャルロットは・・・なぜか動きがもっさりしているな・・・)

セシリア(んっふっふっ、一夏さ~ん)♪

36: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:08:25 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・二人とも、そこまでだ」

一夏「・・・はあ・・・はあ」

シャル「・・・ふう」

千冬「・・・・・・・・」

千冬「デュノア」

シャル「・・・はい?」

千冬「放課後、職員室に来い」

シャル「・・・わかりました」



箒(・・・シャルロット)

ラウラ(・・・・・・・・・・・・・)

37: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:09:20 ID:7aLo5Vtc



         -昼休み・食堂-

一夏「さあ、メシメシ!」

セシリア「今日は何になさいますの?」

一夏「そうだな・・・、久しぶりにカレーにするかな」

セシリア「ふふ、では、わたくしも!」

38: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:10:19 ID:7aLo5Vtc



一夏「うん! 美味い!」

セシリア「そうですわね!」

一夏「あはは・・・」

セシリア「うふふ・・・」

一夏「・・・・・・・・・・」

セシリア「・・・・・・・・・・・」

39: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:11:07 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・最近、箒達、こないな」

セシリア「そ、そうですわね・・・」

一夏「ま、まあ、都合の悪い時が、重なる事だってあるよな」

セシリア「ええ、あまり気になされない方がいいですわ」

一夏「だよな・・・」 ハハ・・・

一夏「・・・・・・・・・」

セシリア「・・・・・・・・・・」

40: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:12:05 ID:7aLo5Vtc



         -同・屋上-

鈴「風が冷たいわね・・・」

ラウラ「そろそろ屋上で食事をするのも難しくなって来たな」

シャル「そうだね・・・」

箒「・・・大丈夫か? シャルロット?」

シャル「うん・・・」

ラウラ「そ、そういえば昨日、テレビでな・・・」

41: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:13:06 ID:7aLo5Vtc



シャル「あはは! おもしろいね、それ?」

鈴「・・・いくらなんでも冗談でしょ?」

鈴「センサーが過敏すぎて、戦車砲を打つたびに自動消火装置が働くとか」

鈴「マンホールに撃墜される戦闘機とか・・・」

鈴「ありえないでしょ?」

ラウラ「私も信じられなかったが、公式に記録が残されている事実だそうだ」

箒「世界は広いな・・・。 そんな軍隊が存在するなんて」

42: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:13:56 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・みんな、気を使ってくれるのは嬉しいけど」

シャル「ボクの事は、自分で何とかするから・・・」

シャル「でも・・・ありがとう」

箒「・・・いや、いいんだ」

箒「それに、最近は一夏のそばにいても楽しくないし・・・」

シャル「えっ?」

43: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:15:06 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「シャルロットに対する態度が目に余る」

ラウラ「・・・あんな奴では、なかったのに」

シャル「・・・・・・・・・」



鈴「あたしは、セシリアが気に入らないかなー」

鈴「彼女気取りだし・・・。 もう一夏とくっつけば?って思ってる」

シャル「・・・そう」

44: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:15:49 ID:7aLo5Vtc



シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・・・・みんな)

シャル(ボクが、妊娠してるって知ったら・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(どう、思うかな・・・?)

シャル(・・・・・・きっと)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(軽蔑するよね・・・)

45: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:16:44 ID:7aLo5Vtc



         -放課後・職員室-

千冬「・・・来たか、デュノア」

シャル「・・・はい」

千冬「では、場所を変える。 ついて来い」

シャル「えっ?」

千冬「いいから、来るんだ」

シャル「・・・はあ」

46: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:17:40 ID:7aLo5Vtc



         -同・どこかの個室-

千冬「・・・よし、鍵を閉めろ、デュノア」

シャル「・・・? は、はい」 ガチャ

千冬「次に・・・お前のISを限定モードで起動し・・・」

千冬「ここが盗聴されてないか調べろ」

シャル「!?」

千冬「さっさとしろ・・・デュノア」

47: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:18:47 ID:7aLo5Vtc



----------


シャル「・・・・・・確認終了。 この部屋を中心に半径10メートル以内に」

シャル「盗聴器はありません」

千冬「・・・そうか。 よし、そこの椅子に座れ」

シャル「・・・リヴァイブ、待機モードに」 スウウウウウンッ・・・

シャル(・・・・・・・・) 着席

千冬「・・・この部屋は完全防音で窓もない。 だから、集音機の心配もない」

千冬「出来うる限りの配慮はした」

シャル「・・・・・・・・・・」

千冬「単刀直入に聞く。 デュノア・・・」

48: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:19:33 ID:7aLo5Vtc



千冬「お前、身ごもっているな?」



シャル「!!!!!」 ビクッ

千冬「・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・な」

シャル「・・・・・・何を言って・・・いるんですか」

千冬「・・・・・・・・・・・・」

49: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:20:42 ID:7aLo5Vtc

シャル「そんなわけ・・・ないですよ・・・、や、やだな、先生」

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・最初におかしいと思ったのは、」

千冬「匂いだ」

50: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:21:50 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・・・・・・・・・・」

千冬「最初は・・・何がおかしいのか分からなかったが」

千冬「似た匂いを、どこで嗅いだのかを思い出して 気がついた」

千冬「産婦人科で嗅いだ・・・妊婦の匂いに近い、と・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・」



千冬「核心に変わったのは、今日の模擬戦を見て、だ」

千冬「お前の動きは、明らかに腹に負担がかからない様に行動していた」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

51: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:22:58 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・・・・経緯を話してくれるか?」

シャル「・・・ボクが・・・軽率だったんです」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



千冬「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・ほんの冗談のつもりでした」

シャル「一夏の事だから、きっとドギマギして何もしないって」

シャル「思っていました・・・」

53: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:25:26 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・・・・まだ目立ってはいないが、もうどれくらいだ?」

シャル「・・・そろそろ、目立ち出す頃です」

シャル「4~5ヶ月くらいかと・・・」

千冬「・・・・・・そうか」

54: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:26:33 ID:7aLo5Vtc



千冬「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」



千冬「一夏には話したのか?」

シャル「・・・いいえ」

シャル「一夏は・・・あの後、少しづつ距離を置くようになって・・・」

シャル「ボクが妊娠に気づいた時には、もう・・・ほとんど話をしなくなっていました」

シャル「・・・言わなきゃならないって、思っていたんですけど・・・結局」

千冬「・・・・・・・・・・・」

55: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:27:43 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・それで、デュノア」

千冬「どうするつもりだ?」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

千冬「酷な言い方だがな・・・決断は早くしないといけない」

千冬「日本では、妊娠五ヶ月以降の胎児は『人間』とみなされて」



千冬「それ以降の堕胎は・・・『殺人罪』が適用される・・・」



シャル「・・・!!」

56: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:28:52 ID:7aLo5Vtc

千冬「デュノア・・・」

千冬「お前の・・・複雑な家庭事情は知っている」

千冬「その上で言うが・・・、一度実家に連絡をとってみてはどうだ?」

シャル「・・・・・・・・・・・・」



千冬「どう決断するにしても、お前一人の力では もうどうにも出来まい」

千冬「一夏には、私から話しておく」

シャル「!?」

57: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:29:34 ID:7aLo5Vtc

シャル「ま、待ってください!」

千冬「駄目だ。 もう一刻の猶予も無い」

千冬「その子は一夏の子供でもある。 あいつには知る義務と責任がある」

シャル「でも・・・!」

58: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:30:30 ID:7aLo5Vtc

千冬「デュノア、落ち着け」

シャル「・・・・・・・・」

千冬「お前は・・・少しも一夏を責めなかった」

千冬「経緯は褒められたモノでは無いが・・・」

千冬「一夏を・・・私の弟を、想って拒まなかった事は分かっている」

シャル「・・・・・・・・・・・」

59: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:31:24 ID:7aLo5Vtc

千冬「こんな形でなければ・・・」

千冬「私に甥っ子が出来たと・・・喜んでやれるのにな・・・」

シャル「・・・!!」



千冬「お前の意見や意思を 無視してしまうのは、正直心苦しい」

千冬「だが・・・もう時間が無い」

千冬「どうか、許してくれ」

シャル「織斑先生・・・」

60: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:32:46 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・ボクの・・・方こそ・・・」

シャル「すみません・・・・・・!」 ポロッ

千冬「・・・・・・・・・」



シャル「ボクは・・・ボクは・・・」 ポロポロ

シャル「うえっ・・・・ひっく・・・・・・・・・うっ・・・」 ポロポロ

シャル「うああああああああっ・・・・・・・」 ポロポロ

千冬「・・・・・・・・・・」

61: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:34:04 ID:7aLo5Vtc



          -夜・屋上-

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル(風が冷たいな・・・)

シャル「・・・・・・・・・・・・・」 カチャ・・・ 携帯オープン

         トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・トゥルルルルルル・・・

         ガチャッ

62: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:34:43 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・もしもし」

シャル「シャルロットです・・・」

シャル「・・・実は、一度フランスに戻ろうかと」

シャル「えっ?・・・・・・い、いえ、それとは別件で・・・」

シャル「・・・・・・はい、わかっています、でも・・・」

シャル「どうしても・・・相談したい事が・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・・」

63: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:35:22 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・・・・はい・・・・・・はい」

シャル「それは、そうですか・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「わかっています・・・」

シャル「いずれにしても、そちらに一度戻ってから・・・」

64: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:36:08 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・!!」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・わかりました」

シャル「では、データを入手しだい、また連絡します・・・」

          ピッ・・・・・・

シャル「・・・・・・・・・・・」

65: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:37:04 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・・・・・・・・・」



千冬「こんな形でなければ・・・」

千冬「私に甥っ子が出来たと・・・喜んでやれるのにな・・・」



シャル(織斑先生のあの言葉・・・)

シャル(嬉しかったな・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・・・・)

66: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:38:06 ID:7aLo5Vtc



シャル(お母さん)

シャル(お母さんは、どうしてボクを産もうと思ったの?)

シャル(ボクも・・・お母さんと同じ立場になっちゃった・・・)

シャル(お母さん・・・) ポロッ

シャル(ボクは・・・お母さんみたいに・・・なれないよ・・・) ポロポロ・・・

67: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:39:04 ID:7aLo5Vtc



          -同・どこかの個室-

一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・あまり驚かないんだな?」

一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「まあ、今日の模擬戦の動き・・・どことなく ぎこちない感じだった」

千冬「うすうすは、わかっていた・・・という所か」

68: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:39:45 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「何か言ったらどうだ?」

一夏「・・・・・・・・・・」

69: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:40:28 ID:7aLo5Vtc

千冬「・・・・・・・・・・」

千冬「・・・ふん」

千冬「もういい・・・。 話はそれだけだ、行ってよし」

一夏「・・・え!?」

千冬「どうした? 何を驚いている?」

70: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:42:39 ID:7aLo5Vtc

一夏「い、いや・・・その・・・」

一夏「怒られると・・・殴られると、思っていたから」

千冬「・・・そうだな、確かに怒ってはいる」

一夏「・・・・・・・・・・・」

千冬「だが、それ以上に一夏・・・」



千冬「お前には、大きく失望した」



一夏「・・・!」

71: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:43:36 ID:7aLo5Vtc

千冬「一夏、お前は 自分が何をしたのか、わかっているのか?」

一夏「・・・そりゃあ、まあ」

千冬「・・・・・・そうか」



千冬「では聞くが、何をしたか わかっていながら」

千冬「お前は何かをしたのか?」

一夏「・・・!?」

72: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:45:05 ID:7aLo5Vtc

千冬「お前はいい。 体に何の支障もないからな」

千冬「だが、デュノアは違う。 どんなに嫌がっても、拒もうとも、」

千冬「逃げる事はできない」

一夏「・・・・・・・」



千冬「彼女は、ああなりながら 自分は責めても、一夏の事は責めなかった」

千冬「誰にも相談できず、たった一人で問題を抱え」

千冬「今まで、どんな気持ちで いたのだろうな?」

73: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 17:46:18 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・俺は・・・・・」

一夏「どうしたら・・・いいんだ・・・」

千冬「知るか。 自分で考えろ」

千冬「これ以上 私を失望させるな」

一夏「・・・・・・・・・・・・っ」

千冬「私からは以上だ。 もう行け」

一夏「・・・・・・・・・・はい」

75: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:00:48 ID:7aLo5Vtc



         -数日後-

         -朝・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

シャル「・・・ラウラ、おはよう」

ラウラ「うむ、おはよう、シャルロット」

ラウラ「・・・? どうした? 眠れなかったのか?」

シャル「うん・・・」

シャル「今日、ちょっと休もうと思う・・・」

ラウラ「そうか・・・。 それがいい」

ラウラ「先生には、私が伝えておこう」

ラウラ「ゆっくり休むといい」

シャル「うん・・・ありがとう、ラウラ」

76: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:01:43 ID:7aLo5Vtc



シャル(・・・さあ)

シャル(準備しないと・・・)

シャル(昨日の内に飛行機のチケットは取ったし)

シャル(・・・・・・・・・・・・・・)

シャル(もう・・・ここには)

シャル(帰ってこれない・・・)

77: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:02:41 ID:7aLo5Vtc



         -午前中・IS学園・中庭付近-

          テク テク テク・・・

シャル(・・・・・・・・・・・・)

シャル(みんなは今頃授業中・・・か)

シャル(・・・挨拶くらいは、したかったかな) クスッ・・・

シャル(できないけど・・・)

シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(いろいろ・・・)

シャル(あったよね・・・)

78: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:03:36 ID:7aLo5Vtc



          -同・IS学園・校門付近-

守衛「・・・はい、連絡は受けています」

守衛「どうぞ」

シャル「・・・どうも」



シャル(・・・・・・・・・・・)

シャル(これでもう・・・・・・)

シャル(みんな・・・さよなら)

          テク テク テク・・・

79: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:04:35 ID:7aLo5Vtc



         -同・並木道-

シャル(・・・・・・・・・・・・) テク テク・・・

シャル(・・・・・・・・・・・!) ピタッ



一夏「・・・・・・シャル」



シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(一夏・・・・・・?)

80: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:05:26 ID:7aLo5Vtc

シャル(顔の右側が腫れてる・・・織斑先生かな?)

シャル(・・・・・・・・・・・・・)

シャル(・・・なんなの・・・今頃)

シャル(もう、どうでもいいよ・・・) テク テク

81: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:06:13 ID:7aLo5Vtc



一夏「シャル、待ってくれ」

シャル「・・・・・・・・・・・」

一夏「話を聞いてくれ!」

シャル「・・・・・・・・・・・」 イラッ

一夏「頼む! シャル!」

シャル「いい加減にして!! もう一夏の顔なんて見たくもない!!」



一夏「俺の子供を生んでくれ!!」

82: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:06:38 ID:7aLo5Vtc

シャル「ボクが、どんな思いで・・・」

シャル「・・・・・・・えっ?」

一夏「俺の子供、生んでくれ・・・」

シャル「!!」

83: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:07:29 ID:7aLo5Vtc

一夏「シャル・・・ごめん。 本当にごめん」 ペコリ

一夏「ずっと・・・向き合うのが怖かった」

一夏「俺は逃げてた・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・」

一夏「今さら、こんな事言っても、言い訳にしかならないけど・・・」

一夏「俺はずっと・・・あの時の俺が嫌でしょうがなかった・・・!」

一夏「俺は・・・最低だ!」

シャル「・・・・・・」

84: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:08:25 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・覚えているか? シャルが女の子だって、俺にばれた時の事」

一夏「俺と千冬姉は捨て子だった。 子供は親を選べないとも俺は言った・・・」

一夏「・・・何のことはない」

一夏「おれ自身が・・・そんな親になろうとしてた・・・」

シャル「・・・・・・・・」

85: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:09:51 ID:7aLo5Vtc

一夏「千冬姉に相談もした。 シャルの身柄とか 医療費とか、何とかならないかって」

一夏「金は、俺が稼げるようになったら、働いて返すと約束した」

シャル「・・・・・・・・」

一夏「・・・迷惑掛けてごめんって言ったら」



千冬「どんな人間であろうとも、誰にも迷惑をかけなかった奴などいない」

千冬「ガキは、大人に迷惑を掛けながら学び、そして、成長して」

千冬「大人になって行くものだ」



一夏「・・・だってさ」

シャル「・・・織斑先生」

86: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:11:05 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・もちろん、これから先も大変だと思う」

一夏「きっと、いろんな人に迷惑をかけると思う・・・」

一夏「・・・でも」

シャル「・・・・・・・・・」

一夏「それでも俺は・・・覚悟を決めた」

一夏「だから、シャル」

87: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:11:54 ID:7aLo5Vtc





一夏「俺の子供を 生んでくれ!」





シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・バカ」

88: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:13:02 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・・・・・・・・」

シャル「どうして」

シャル「どうして・・・」

シャル「もっと早く言ってくれなかったの!?」 ポロポロ・・・

一夏「・・・・・・・・」

シャル「ボクが・・・・・・どんな・・・・気持ちでいたか・・・」 ポロポロ・・・

シャル「わかっているの!?」 ポロポロ・・・



         ダッ・・・ ギュ・・・

89: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:14:32 ID:7aLo5Vtc

シャル「寂しかったよ・・・辛かったよ・・・」

シャル「ボクだって・・・逃げたかったよ・・・!」

一夏「・・・・・・・」

シャル「一夏と・・・ずっと話したかった・・・!」

シャル「ううっ・・・・・・」

シャル「・・・ああああああああああああっ・・・・・」 ボロボロ・・・

シャル「いち、か・・・・いちかぁ・・・・ああああああああっ・・・!」 ボロボロ・・・

一夏「シャル・・・」

一夏「本当に・・・ごめんな?」

一夏「もう、一人じゃないから・・・。 一人にしないから」 ギュ・・・

90: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:16:16 ID:7aLo5Vtc



-----------



一夏「・・・落ち着いた?」

シャル「・・・うん」

一夏「じゃ・・・帰るか」 ニコ

シャル「うん!」 ニコ

91: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:17:30 ID:7aLo5Vtc



シャル「ところで・・・その顔は、織斑先生に?」

一夏「いや、違う・・・」

一夏「セシリアにグーで殴られた」

シャル「えっ?」

92: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:18:35 ID:7aLo5Vtc

一夏「昨日、告白されて・・・、俺はシャルと付き合う事にしたって言うと」

一夏「納得のいく説明を求められたんだ・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・まさか」

一夏「・・・どうして俺はこういう時、バカ正直に言ってしまうんだろうな・・・」

シャル「・・・ホントだね」

93: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:19:34 ID:7aLo5Vtc



          -放課後・どこかの個室-

セシリア「というわけで」 ニコニコ

セシリア「皆さんにも来ていただきましたわ」 ニコニコ

箒「・・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・・・・」

一夏「」

シャル「」

94: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:20:54 ID:7aLo5Vtc


箒(・・・私達は、完璧にとばっちりだな)

ラウラ(・・・・・・・・・)

鈴(・・・ハッ、お笑いね。 こんな奴を心配してた、なんて)

95: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:21:51 ID:7aLo5Vtc


セシリア「・・・さあ、言いたい事があるのなら、どうぞおっしゃって下さいな?」 ニコニコ

セシリア「さぞ、滑稽でしたでしょう? わたくしは?」

セシリア「どんなに尽くしても 所詮悪あがきなのに・・・と」

セシリア「せせら笑っていたんでしょう? シャルロットさん?」

シャル「・・・・・・」

96: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:22:40 ID:7aLo5Vtc

セシリア「ふん・・・だんまりですか? シャルロットさん?」

セシリア「聞きましたわよ・・・? あなた、本妻の子供ではないんだそうですね?」

シャル「・・・!」

セシリア「結局」



セシリア「妾の子は、妾ですか・・・」 クスクス・・・



シャル「・・・!!」

一夏「おい、セシ」

ラウラ「セシリア、ちょっといいか?」

97: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:23:37 ID:7aLo5Vtc

セシリア「・・・・・・なんですの? ラウラさん?」

ラウラ「私もシャルロットに言いたい事がある」

ラウラ「・・・かまわないか?」

セシリア「ええ、どうぞ・・・」

ラウラ「シャルロット・・・」

シャル「・・・うん」



ラウラ「お前の・・・お腹を触ってもいいか?」



シャル「・・・えっ?」

98: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:24:28 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・私は試験管から生まれ、「親」というものを知らない」

ラウラ「だから、知りたいのだ」

ラウラ「本来の、あるべき姿の、「親子」という存在を」

セシリア「・・・・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・・」

シャル「・・・・・・・・・・・・・」

シャル「うん・・・いいよ」

ラウラ「ありがとう」

99: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:25:34 ID:7aLo5Vtc


ラウラ「・・・・・・・・・・・・・」 サワサワ・・・

ラウラ「・・・あまり分からないな」

シャル「あ・・・もうちょっと下かな・・・」

ラウラ「む?・・・そうなのか?」 サワサワ・・・

ラウラ「・・・! これか・・・。 小さなふくらみがある・・・」

シャル「うん・・・それ」

100: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:26:29 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・・・・そうか、これがそうなのか」

ラウラ「セシリアも、箒も、鈴も、一夏も、」

ラウラ「そして・・・シャルロットも、」

ラウラ「こんな・・・小さな存在を経て、生まれてきたのだな・・・」

シャル「・・・・・・・・・うん」

101: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:27:29 ID:7aLo5Vtc


ラウラ「・・・シャルロット、聞かせて欲しい」

ラウラ「妊娠がわかった時・・・どんな気持ちだった?」

シャル「・・・!」

ラウラ「正直に話してくれ」

ラウラ「同室だった、私だから言える」



ラウラ「お前は・・・セシリアの言う様な、優越感など微塵もなかった」



セシリア「・・・!」

ラウラ「話してくれ、シャルロット」

シャル「・・・・・・・・・・・・」

102: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:28:12 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・ボクが妊娠に気づいた時、最初に考えた事は」

シャル「『どうしよう』だった・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・」

シャル「・・・その後に考えたのは、一夏の事」

シャル「一夏に早く伝えたいって思った・・・」

シャル「・・・でも」

103: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:28:44 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・でも?」

シャル「ISを使って探し出した一夏は」

シャル「セシリアの部屋で、楽しそうに二人で何か話してた・・・!」

セシリア「・・・!?」

一夏「・・・・・・・・・・」

104: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:29:36 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・・・・それは・・・ショックだッたろうな」

シャル「・・・・・・・・うん」

シャル「実際・・・ライフルの引き金を引きそうになったよ・・・」

一夏「・・・!?」

セシリア「・・・!?」

105: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:30:22 ID:7aLo5Vtc



箒(・・・・・・・・・)

鈴(・・・・・・・・・)



ラウラ「・・・・・・そうか」

ラウラ「どうして、思いとどまったのだ?」

シャル「・・・・・・・・・・」

106: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:31:04 ID:7aLo5Vtc

シャル「・・・もし」

シャル「二人を殺してしまったら」

シャル「お腹の子供は『殺人者の子供』になってしまうから・・・」

シャル「出来なかった・・・!」 ポロッ

ラウラ「・・・!」

107: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:31:48 ID:7aLo5Vtc

一夏「・・・シャル」

セシリア「・・・・・・・」

箒「・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・」

シャル「でも・・・ボクは、絶望していた」

シャル「次に考えた事は・・・『死ぬ事』だった」

ラウラ「・・・・・・」

108: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:32:31 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「それも・・・お腹の子供の為に、思いとどまったのか?」

シャル「うん・・・」

シャル「次の日、飛び降りようと屋上に行ったらね・・・」

シャル「一夏に教えてもらった『抜けるような青空』だったの」

ラウラ「・・・・・・」

109: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:33:07 ID:7aLo5Vtc

シャル「とても綺麗で・・・吸い込まれそうで、風も心地よくて・・・」

シャル「・・・だけど」

シャル「この子は、それも知らずに・・・生まれる事もなく死んでしまう」

シャル「ボクのせいで・・・!!」

ラウラ「・・・・・・シャルロット」

110: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:33:56 ID:7aLo5Vtc

シャル「出来なかった・・・! この空だけじゃない、海だって、山だって」

シャル「この世界にある、綺麗な 何もかもを『知らない』まま」 ポロ・・・

シャル「ただ・・・死なせるなんて・・・! 絶対嫌だった・・・!」 ポロポロ・・・

ラウラ「・・・・・・・・・」

111: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:34:29 ID:7aLo5Vtc



セシリア「・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・・・・・・」

鈴「・・・・・・・・・・・」

ラウラ「・・・・・・・・・・・・」

112: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:35:27 ID:7aLo5Vtc

ラウラ「・・・シャルロット、もう一度触ってもいいか?」

シャル「・・・うん」 グスッ・・・

ラウラ「・・・・・・・」 サワサワ・・・

ラウラ「すごいな・・・お前は・・・」

シャル「・・・・・・?」

ラウラ「こんな小さな存在なのに・・・」



ラウラ「4人もの命を救った」 クスッ



シャル「・・・!」

113: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:36:43 ID:7aLo5Vtc

箒「・・・4人?」

ラウラ「セシリアに一夏、シャルロットと、自分自身の命の4人だ」

鈴「・・・なるほどね」

鈴「・・・・・・・・・・」

114: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:37:30 ID:7aLo5Vtc

鈴「・・・シャルロット、あたしも触っていい?」

シャル「!・・・う、うん」

鈴「・・・どれどれ」 サワサワ・・・

鈴「へえ・・・ホントだ、ふくらんでるね」

シャル「・・・・・・」

115: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:38:05 ID:7aLo5Vtc

鈴「・・・・・・正直言えば、あたしは、許せないかな・・・二人の事」

鈴「でも・・・ここに居るこの子は、憎めない・・・」

鈴「今は無理でも・・・この小さな命の為になら、許して行けると思う」

鈴「ふふっ・・・元気に生まれなさいよ~」 ポロッ・・・

シャル「・・・・・・鈴」

116: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:39:08 ID:7aLo5Vtc



セシリア「・・・不愉快ですわ」

セシリア「なんですの? 子供の為? そんなもので誤魔化されてたまる物ですか!!」

セシリア「わたくしは・・・わたくしは・・・!!」

          ガシッ!!

セシリア「!?」

箒「・・・・・・・」

117: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:39:56 ID:7aLo5Vtc

セシリア「な、何をしますの!? 箒さん!?」

箒「・・・せっかくだ。 お前も触らせてもらえ」 グイッ!

セシリア「!!? なっ!? い、嫌ですわ!!」 ズズズ・・・

箒「・・・・・・・・」

         フワッ・・・

118: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:40:46 ID:7aLo5Vtc

セシリア「・・・!!」

箒「・・・どうだ? 感じるか?」

セシリア「・・・・・・・・」

箒「ここに居るのは」

箒「お前の命の恩人だぞ?」

セシリア「・・・・・・・・!」

119: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:41:37 ID:7aLo5Vtc

セシリア「・・・・・・っ」

セシリア「・・・あんまりですわ・・・箒さん」 ポロッ・・・

セシリア「これでは・・・」 ポロポロ・・・

セシリア「わたくしだけが、悪者みたいではありませんか・・・!」 ポロポロ・・・

箒「・・・そうだ、泣け」

箒「今、ここで、・・・すべての憎しみを涙に変えるんだ」

箒「この、新しい命の為に・・・」 ポロッ

箒「私も・・・付き合うから・・・」 ポロポロ・・・

120: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:42:22 ID:7aLo5Vtc



シャル「・・・セシリア」

シャル「ごめ、ん・・・ひっく・・・ごめん、ね・・・!」 ポロッ

シャル「みんなも・・・・本当に・・・・・・ごめんなさいっ・・・!」 ポロポロ・・・

121: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:43:22 ID:7aLo5Vtc


一夏(・・・・・・・・・・・・)

一夏(今、わかったよ・・・千冬姉)

一夏(俺が『何をした』のかが・・・)

一夏(ここで泣いている、みんなに・・・)

一夏(とんでもない事を していたんだ)

一夏(・・・忘れない)

一夏(俺は、この・・・みんなの涙を一生忘れない!)

一夏(過ちを繰り返さない・・・) ポロッ・・・

一夏(そんな、大人に成るために・・・!) ポロポロ・・・

122: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:46:21 ID:7aLo5Vtc



          -数ヵ月後-

          -朝・織斑家・リビング-

シャル「おはようございます、お義姉さん」

千冬「ああ、おはよう。 シャルロット」

千冬「調子は良さそうだな」 クスッ

シャル「はい。 なによりも一夏が帰ってきますしね」 ニコ

千冬「そうか、今日は一夏が帰ってくるんだったな」

シャル「ふふ、腕によりをかけた料理を作って待ってます」

千冬「検診の結果も良好なようだし・・・、なにより、だな」

123: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:47:08 ID:7aLo5Vtc


シャル「朝食をどうぞ」

千冬「うむ、すまない」 モグモグ

千冬「・・・美味いな。 和食もすっかり上達した」

シャル「ありがとうございます」 クスッ

千冬「そろそろ臨月・・・だったか?」

シャル「はい、来週から入院です」

千冬「そうか・・・いよいよだな」 ニコ

シャル「はい」

124: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:47:36 ID:7aLo5Vtc

千冬「では、行くとするかな」 ガタッ

シャル「あ、はい」

シャル「行ってらっしゃい、お義姉さん!」

          カチャ・・・キイッ・・・パタン

シャル「・・・さあ! お掃除しないと!」 ルンルン

125: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:49:02 ID:7aLo5Vtc



 ・・・あれから、ボクは、織斑先生の家に住むことになった。
学園には『休学』あつかいで在籍している。


 篠ノ之博士が、ボクのISリヴァイブを調べたい、と言って来た。
何でも、女性にしか使えないのに、妊婦が操縦するケースを考えていなかったとかで、
ボク自身も貴重なテストパイロット、らしい・・・。


 そんなわけで、デュノア社と協議した結果、白式のデータと交換で調べてもいい
と言う事に落ち着いた。

126: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:50:24 ID:7aLo5Vtc



 篠ノ之博士が言うには、『たいした事無い』データなので問題ないと言う。

 デュノア社は、ボクには興味ないようだった・・・。


 ボクは、篠ノ之博士の下で 妊婦にも対応できる第四世代型ISのテストパイロットとして
仕事をする事になり、給料もいただける という事でお世話になっている。

 ・・・正直言うと、破格の給料なので、ちょっと気が引けているんだけど・・・、
ありがたく もらう事にした。

127: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:51:07 ID:7aLo5Vtc



 ある日、ラウラが訪ねてきた。


 彼女は、ボクとお腹の子供が気になって仕方ないらしい。
連休には、泊り込みに来るほど。 

 日々、大きくなってゆくお腹を触っては話しかけている。 とても微笑ましい。

128: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:51:47 ID:7aLo5Vtc



 最近は、鈴と箒も訪ねてくれた。

 学園の事や、学園での一夏の事をつぶさに教えてもらった。
一夏が、「どうしてそんな事を知っているんだ?」と驚いていた。 ふふっ。

129: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:52:22 ID:7aLo5Vtc



 ・・・セシリアとは、あれ以来会っていない。
でも、箒がセシリアの言ってた事を、話してくれた・・・。



セシリア「・・・初めから、そんな気がしていました」

セシリア「わたくしが、どんなに話をしても、どんなに傍にいても」

セシリア「一夏さんは・・・遠くにしか居ませんでした」



 ・・・胸が痛む。

130: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:53:22 ID:7aLo5Vtc



          -同日・夜・織斑家・リビング-

          (※注 この一夏は、学生です)

一夏「ただいまー、シャル」

シャル「おかえり、一夏!」 ニコ

一夏「おー・・・いい匂い。 から揚げだな?」

シャル「ふふ、当たり!」

シャル「後、ポテトサラダとコンソメスープ、グラタンなんかも付けてみました」 エヘヘ

一夏「おー・・・ってバランスとしては微妙だな」

シャル「大丈夫だよ、ポテトサラダは野菜たっぷりだから」

一夏「そっか、んじゃ、食うか!」

シャル「うん!」

131: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:53:56 ID:7aLo5Vtc

一夏「ふーっ・・・美味かった」

シャル「おそまつさまでした」

シャル「どうする? お風呂、沸いてるけど?」

一夏「いたれりつくせり、だな」

一夏「・・・そうだな、入るかな」

一夏「シャルも一緒に入るか?」

シャル「一夏の◯◯◯・・・」 

一夏「いくら俺でも妊婦に・・・」

132: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:54:37 ID:7aLo5Vtc



         -同・織斑家・寝室-

         (※注 くどいようですが、この一夏は学生です)

一夏「さて、寝るか」

シャル「うん!」

          パチッ・・・(消灯)

133: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:55:37 ID:7aLo5Vtc

一夏「シャル・・・って、やっぱお腹がちょっとつかえちゃうな・・・」

シャル「もう・・・、妊婦にはしないんじゃないの?」

一夏「今、萎えたよ・・・」

シャル「ふふ、ごめん」

シャル「・・・・・・・・・」

シャル「ねえ、一夏」

一夏「うん?」

シャル「この子が生まれてきたら、なんて言ってあげる?」

134: 機甲猟兵Ⅱ 2012/06/09(土) 18:56:20 ID:7aLo5Vtc

一夏「ふふ・・・そうだな」

一夏「生まれてきてくれて、ありがとう・・・かな?」

シャル「いいね・・・それ」 クスッ

一夏「シャルは?」

シャル「ボクはね・・・」



シャル「一緒に、幸せになろうね・・・かな」 ニコ



          おしまい