1: scriabin 2014/07/05(土) 21:46:32.32 ID:v9vCMNaX0





上条さんが学園都市の学生ではなくイギリス清教女子寮の管理人さんだったら

日常ほのぼのな感じで上条ハーレム

インデックスの自動書記破壊やローマ正教分派の合流といった流れもその内書くかも

何かやってほしいネタがあればキャラ名と内容を下されば適当に投下します






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404564392

引用元: 上条「イギリス清教女子寮の管理人さん」 

 

2: scriabin 2014/07/05(土) 21:48:25.85 ID:v9vCMNaX0





ジリリリリリリリリ


カチッ


上条「んん……」

上条「……もう朝か」

ばさっ



上条「さーて」

上条「今日も一日頑張りますかね」




6: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 21:51:50.35 ID:v9vCMNaX0



◎朝ごはん



@食堂


インデックス「とうま~~!お腹すいた~~!」ばたばた

アンジェレネ「すきました~~!」ばたばた

上条「はいはい、もうすぐ出来るから静かにしてろって」

ルチア「シスターアンジェレネ!」

アンジェレネ「ひっ!?ご、ごめんなさいぃ!」


シェリー「ふあぁ……」

アニェーゼ「あれ、今日は随分と早起きじゃねぇですか?」

神裂「確かにそうですね。何か用事でも」

シェリー「別に無いわよ。たまにはあたしだって早起きするっての」





8: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 21:53:18.21 ID:v9vCMNaX0



上条「まったく、あいつら朝から元気だよな……」

オルソラ「そうでございますね」

上条「何かごめんな?朝ごはん作るの手伝わせちゃってさ」

オルソラ「いえいえ、構わないのでございますよ♪」

上条「そう言ってもらえると助かる。あのやんちゃシスター達にも聞かせてやりt」

オルソラ「元気な事は良い事ですから」

上条「え?あ、うん。そうだな…」





11: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 21:57:15.70 ID:v9vCMNaX0





インデックス「あぁぁいいにおい……もう待ちきれないんだよ!行くよアンジェレネ!」

アンジェレネ「ふぇ?どこにですか?」

ルチア「こら、二人とも!静かに待ちなさいと何回言えば」


がやがや


シェリー「どいつもこいつもギャーギャー騒ぎやがって」

アニェーゼ「いつもの事でしょう」

シェリー「起き抜けからこれじゃあ敵わないわよ……」

神裂「インデックス……」




12: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 22:06:14.40 ID:v9vCMNaX0



上条「はいはい皆さんお待たせしましたよーっと」

インデックス「やっときた!お腹すきすぎて、もうすぐ死ぬところだったんだよ!」がぁぁ

上条「昨日の夜もあんだけ食ったのに!?ちょ、インデックスさん落ち着いてー!?」



アンジェレネ「わーい朝ごはん……あれ?チョコラータ・コン・パンナがありませんよシスター・ルチア」

ルチア「騒いだ罰です」

アンジェレネ「!!」ごーん



13: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 22:10:55.48 ID:v9vCMNaX0



上条「朝飯配膳しただけで噛み付かれるとか……不幸だー…」

オルソラ「大丈夫でございますか?」なでなで

上条「不幸は日常茶飯事ですから、慣れっこです……」

オルソラ「あらあら、痛いの痛いの飛んでいけ~♪でございますよ」


インデックス「いちゃいちゃしてないで早くいただきますしてほしいんだよ」

上条「少しは反省しろよ!」






「「「「「いただきまーす!」」」」」






14: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 22:11:45.07 ID:v9vCMNaX0




建宮「今日もここは平和なのよな」もぐもぐ

神裂「何故あなたがここにいるんですか」




23: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 23:20:37.14 ID:v9vCMNaX0



上条「ふぅ……食べる前から疲れちまった。取り敢えず俺もお祈りしてから……」


アンジェレネ「うぅ~」しょぼーん


上条「ん、どうしたアンジェレネ。料理口に合わなかったか?」

アンジェレネ「いいえ、美味しいです……」しょぼぼーん

上条「?」

ルチア「気にしないで下さい。チョコラータ・コン・パンナが飲めなくてしょぼくれているだけです」

上条「あのめちゃくちゃ甘いやつか……でも何で」

ルチア「食前に騒いでいたので、罰として取り上げました。そもそもあんな不健康なものを毎日毎日…」がみがみ

上条「はは、なるほど」

アンジェレネ「ちょこらーた……」ずーん

上条「…………」




24: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/05(土) 23:21:41.70 ID:v9vCMNaX0



インデックス「がつがつがつむしゃむしゃむしゃ」

アニェーゼ「相変わらず恐ろしい食いっぷりですね…」

神裂「い、インデックス、こぼれていますよ」

シェリー「シスターが聞いて呆れるな」

インデックス「?それ食べないならもらってもいい?」

シェリー「ダメ」




29: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 18:50:49.66 ID:W61tmVxa0




ルチア「ご馳走様でした」

上条「お粗末さまー」


アンジェレネ「ごちそうさまです……」

上条「あ、あぁ」

上条(ものっそい落ち込んでるな……そんなに飲みたかったのか)


アンジェレネ「はぁぁ……」

上条「……よし、アンジェレネ!」

アンジェレネ「はい?」

上条「ちょっとついて来てくれ」

アンジェレネ「?」





30: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 18:55:59.56 ID:W61tmVxa0



オルソラ「あら、貴方様」

上条「おう、オルソラ。もう食べ終わったのか?」

オルソラ「はい。今は食器の片づけをしていた所でございますよ」

上条「ホント悪いな、片づけまで…」

オルソラ「いいえ、気にしないで下さいませ」


アンジェレネ「あのぅ…」

オルソラ「まぁ、どうしたのでございますか?」

アンジェレネ「いえ、その、ついて来いって…」

上条「あ、そうだった。……ほらコレだよ、アンジェレネ」

アンジェレネ「ふぇ?」


《チョコラータ・コン・パンナ》ぱっぱかぱーん


アンジェレネ「!こ、これ」

上条「ルチアには内緒だぞ?バレたら上条さんも一緒に怒られちゃうからな」

アンジェレネ「はい!ありがとうお兄ちゃん!わーい!」




35: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 20:30:38.02 ID:W61tmVxa0




オルソラ「あれはこの前作っていた……」

上条「あぁ。オルソラも内緒にしてくれよな」

オルソラ「ふふっ、お優しいのでございますね『お兄ちゃん』♪」

上条「うっ……は、恥ずかしいので止めてください……」

オルソラ「ふふふ♪」

アンジェレネ「~~~♪」

上条(ま、いいか)









建宮「羨ましい限りよな、一回でいいから『お兄ちゃん』なんて呼ばれてみてぇのよ」

神裂「だから何故いる」



37: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 20:40:25.47 ID:W61tmVxa0




◎電子レンジ





神裂「え、えぇと……確か始めにここを押して……」ぽちっ


シーーン


神裂「おかしいですね。赤い表示が出るはずでは……」ぽちっ


シーーーーーン


神裂「私の押し方が悪いのでしょうか……」ぽちぽち


シーーーーーーーーーーン






神裂「はぁ……」ちらっ


レンジ「」



神裂(何度やっても反応が無い……やっぱり引き受けるんじゃなかった……)




39: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 20:46:40.05 ID:W61tmVxa0



―――――――――――――



神裂『私が、ですか?』

シェリー『他に誰がいるんだよ。今ここにはあたしとあんたしかいないでしょう』

神裂『ですが、私に頼まなくとも自分で……』

シェリー『服とか色々と汚れちゃってるし、作業の途中で手が離しにくいのよ』

神裂『そ、そのようですね』

シェリー『何でも最新型のを貰ってきたとかで、操作がえらく簡単なんだと』

神裂『そうですか……』

シェリー『な、頼むよ』

神裂『…………』



シェリー『いくら何でも電子レンジくらい使えるだろ。聖人さん?』

神裂『………分かりました』



―――――――――――――



40: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 20:55:58.33 ID:W61tmVxa0




神裂「…何が『操作がえらく簡単』ですか。説明書通りにやっても動かないじゃ――はっ!」


神裂(もしや故障しているのでは?ならば幾ら私がいじった所でどうにも……)

神裂(……待って。そう言えば、機械の調子が悪い時に手刀を叩き込むと言うのを聞いたことが有ります。ショックで調子が戻る事があるとか……)

神裂(ならば、ちょっとした故障にも応用が利くんじゃ……)


神裂「…………」ちらっ


レンジ「」



神裂「いや……いけません、安易な行動は身を滅ぼす元です」

神裂「無理をせずにやはり――」




シェリー『いくら何でも電子レンジくらい使えるだろ。聖人さん?ww』

神裂「」ぴきっ





41: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 20:59:07.15 ID:W61tmVxa0



神裂「……ふっ」

神裂「ふふふ、ふふふふふふふ」

神裂(良いでしょう……やってやりますよ)

神裂(私だって……こんな機械の一つや二つ……)ぎりっ



神裂「……こんのド素人がぁぁぁあああああ」しゅっ




どぉぉぉおおおおおおおおおおん





42: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 21:09:15.48 ID:W61tmVxa0




シェリー「――――で、こうなったと」

神裂「はい……すみません……」

シェリー「いや、あたしに謝られても……しかし派手にやらかしたな」



レンジだった物の欠片「」ちーん



シェリー「ものすごい音がしたから気になって来てみれば、電子レンジがあった一角が小宇宙に……」

神裂「面目次第もございません……」

シェリー「いや、あたしも悪かった。機械音痴がここまで酷いとは思わなかったのよ」

神裂「うぅ………」

シェリー「取り敢えず、今は幸いにも人が出払ってるからさっさと片しt」




<上条「ただいまー」




シェリー「……相変わらずタイミングの悪い男」




43: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 21:12:57.90 ID:W61tmVxa0




がちゃっ

上条「あぁ、二人ともここにいたのか……って何じゃこりゃ!?」

神裂「うぅぅ」

上条「か、神裂!?ま、まさか俺が出かけてる間に誰かがここを襲撃……」

神裂「い、いえそうではなく……」

上条「おのれ魔術師!!うちの最新型電子レンジを木っ端微塵にしやがって!!」

神裂「すみませんでしたぁぁ……!」しくしく





シェリー「………はぁぁ」




44: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 21:15:23.25 ID:W61tmVxa0





上条「なるほどな。そういう事だったのか」

シェリー「びっくりさせて悪かったわね」

上条「まぁ怪我がなくて良かった」

上条(厨房前は大怪我ですが……)

シェリー「ここはあたしが直しとくから、神裂頼んだ」

上条「了解」





46: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 21:32:36.31 ID:W61tmVxa0




上条(隅っこで体育座り……なんてベタな)

上条「あ、あー神裂さん?」

神裂「…………」ちらっ

上条「もしもーし?」

神裂「………なんですか」

上条「怪我とかして無いか?」

神裂「…大丈夫です」

上条「良かった。あれだけ派手に爆発してたからさ、もしかしたらと思って」

神裂「あれくらいの爆発は何ともありません。私は……聖人、ですから……」

上条「そ、そうか……」

上条(更に落ち込んで……なんか地雷踏んだ俺?)


神裂「……どうせ私はレンジ一つもまともに扱えないダメ人間ですよ……」ぶつぶつぶつぶつ


上条(うわ、やべ)




47: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/06(日) 21:38:32.86 ID:W61tmVxa0




上条「げ、元気出せよ神裂!たかがレンジが一つ壊れただけじゃねーか!レンジだけじゃなかったけど!」

神裂「…たかが?」ぴくっ

上条「へ?」

神裂「…………」じろっ

上条(に、睨まれてる……)

上条(…けど正直全然怖くないな。涙目だし)


上条「な、もう気にすんなって。あの電子レンジは貰」

神裂「もう、当麻なんて知りません」

上条「い物だし………は?」

神裂「知りませんっ」ぷいっ

上条「ちょ、急に何だよ」

神裂「ふんっ」バシッ

上条「痛ッ!!え、何でいま殴ったの!?神裂!?」







シェリー「心配したあたしが馬鹿だったわ。いちゃつきやがって」いらっ







56: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 15:18:10.81 ID:2uLDZds30



――その夜



上条「『食べられるものならやってみろ!』と言って高く飛び上がると、おじいさんは鮮やかなドロップキックを――」

アンジェレネ「すぅ……ふぁ……」

上条「叩き込み……ってあら?」

アンジェレネ「ふみゃ……」

上条「寝ちゃったのか。こっからが面白い所なんだけどな」


アンジェレネ「ん……」ぎゅっ


上条「……」

上条「はは、お休みアンジェレネ」なでなで




58: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 21:51:23.47 ID:2uLDZds30




上条「ほい、後は頼む」

アンジェレネ「Zzz……」

ルチア「またアンジェレネは……すみません、ありがとうございます」

上条「いいって、ルチアもお休み」

ルチア「はい、おやすみなさい」





上条「さて、俺もそろそろ寝ますかー」

上条「今日は疲れたからなー、電子レンジの爆発とか爆発とか……爆発とかな……」

上条「手刀一発であの破壊力は流石と言うべきか……」


神裂「当麻」


上条「お陰で危うくキッチンが全滅――って神裂!?いや、あの違うんだ!!」

神裂「ちょっと時間を貰えますか」

上条「別に今のはあなたをバカにしてる訳では決してな………はい?」



59: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:30:18.94 ID:2uLDZds30




@神裂の部屋



上条「ははははは、上条さん分かってましたよ。えぇ分かってましたとも」

神裂「?何の事ですか?」

上条「いや、こっちの話」


上条(廊下で呼び止められて、何か用かと尋ねてみたら――)

神裂『私の部屋で……そこで話します』もじもじ

上条(なーんて頬赤らめて言うから、ちょっと期待してしまった昔の自分にそげぶ)


神裂「それでは早速お願いします」がたっ

レンジ「」


上条(『電子レンジの使い方を教えて欲しい』……わざわざ前に使ってたの引っ張り出してきたのか)

上条(よっぽど昼の事気にしてんだな)

神裂「当麻?」

上条「あーはいはい使い方ね。んじゃ一から教えるぞ」

神裂「宜しくお願いします」




60: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:36:53.80 ID:2uLDZds30



説明中



上条「―――で、最後にこの開始ってのを押す」

上条「と、こんな感じだ。分かったか?」


神裂「」ぷしゅー


上条「うん。ダメそうだな」

神裂「す、すいません。どうにも…」

上条「じゃあ一緒に操作してみよう。習うより慣れろって言うしな」

神裂「分かりました…」

上条「そんな落ち込むなって。ゆっくり覚えていけば良いんだ、な?」なでなで

神裂「は、はい////」



62: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:40:55.32 ID:2uLDZds30




上条「んで、ここで時間設定を――」

神裂「ここですね……こうですか?」ぴっ

上条「ん、オッケー」

神裂「良かった……」

上条「な?落ち着いてやれば出来るだろ?」

神裂「はい、本当にありがとうございます」

上条「大袈裟だって。ただ使い方教えただけで何も特別なことしてねーんだから」

神裂「いえ、当麻が傍にいてくれるだけで……」

上条「へ?」

神裂「な、何でもありません!///」

上条「あ、あぁ…」



神裂「わわわ私は一体何を……///」わたわた

上条(実はばっちり聞こえてたんですけど……言えないよなー)




63: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:43:58.85 ID:2uLDZds30



上条(取り敢えず今のはスルーで……)

上条「じゃ、じゃあもう一回復習しよう」

神裂「は、はい」

上条「今度は俺見てるだけだから、一人でやってみてくれ」

神裂「一人で、ですか」

上条「大丈夫、ヤバそうだったらすぐに助けてやるよ」

神裂「本当に?」

上条「本当に」

神裂「……約束ですよ」

上条「管理人さんに二言は無い!」

神裂「分かりました」

神裂「すぅ~……はぁ~……」



神裂「いざっ!!」




ぽちっ






64: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:46:21.26 ID:2uLDZds30




シーーーーーン



神裂「…………」

上条「…………」


神裂・上条「「ん?」」


神裂「私はまた何か間違えて……」

上条「いや、合ってるぞ」

神裂「では押し方がいけないんでしょうか」ぽちぽちぽちぽち


シーーーーーン


上条「…………」




66: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/07(月) 23:51:33.96 ID:2uLDZds30




上条(確かに操作の手順は合ってる)

神裂「ちょっと時間を置いて――」

上条(機械の方もさっきまで普通に動いていたんだから特に問題はない)

神裂「ならば、もう少し強く――」

上条(でも――)

神裂「やはり少し衝撃を与えて……いけません神裂火織!同じ轍を踏む気ですか!」



上条(何故だろう、さっきから俺の不幸センサーが激しく反応している!!)





67: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/08(火) 00:05:58.19 ID:9KZoCBKh0




上条「神裂さん、落ち着こう。一旦落ち着こう」

神裂「私は落ち着いています」ぽちぽちぽちぽち

上条「なら、そのボタンを押す指を止めようか」

神裂「さっきまで普通に動いていたのに、何故急に動かなくなるんですか!!」

上条(そんなの俺が聞きてーよ!!)

上条「さ、さぁな。結構長く使ってたから、たまたまこのタイミングで寿命が来たのかも――」

神裂「…………」

上条「取り敢えず、使う手順はマスターした訳だし、続きは明日やろうぜ」

神裂「…………」

上条「俺も動かない理由調べてみとくから。な?」

神裂「………もう一回」

上条「ん?」



神裂「最後に、もう一回だけやらせて下さい」メラメラメラ



上条「あ、はい」

上条(まずい。何か変なスイッチ入っちゃってるな……)

上条(……あと一回位なら、大丈夫か)




72: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/08(火) 21:58:16.77 ID:9KZoCBKh0




神裂「では、いきます」

上条「……神裂さん」

神裂「?」

上条「いくのは構わないのですが」



上条「――なして俺の手を握っているのでせう?」どーん



神裂「っ、それは……」

上条「それは?」

神裂「その、万が一の時の保険というか、何と言うか」

上条「保険?」

神裂「うっ………いけませんか!?手を握っていては!!」

上条「べ、別に良いけd」

神裂「なら黙っていて下さい!集中出来ません!」

上条「えぇー……すいません」




神裂「ふぅ……///」ぎゅっ

上条(……不安だ)




76: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 00:02:36.31 ID:kcUzGDX30




神裂「で、では改めて」

上条「頼むから落ち着いてな」

神裂「ですから、私は落ち着いています」ぎゅっ

上条(手のひらが汗でびっしょりなんですがそれは……)

神裂「これまでの数々の汚名を返上し、『機械音痴の露出狂』などと言うふざけたレッテルを剥いでやります!!」

上条「そんな事言われてたのかよ……」

神裂「はぁぁぁぁぁぁ……」



神裂「はっ!!」しゅっ




ぶすり



77: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 00:05:35.45 ID:kcUzGDX30




上条・神裂「「…………」」



上条「……ちょっといいか」

神裂「な、なんですか」

上条「これが幻想じゃないなら……」


神裂「…………」

レンジ「」ぷしゅー


上条「……上条さんの目には、神裂の指が機械に突き刺さっているように見えるんですが」

神裂「げ、幻想じゃありませんよ。私にもそう見えます」

上条「だよなー!何か煙出てきてるしなー」

神裂「変な音もしていますね」

上条・神裂「「ははははははは」」




レンジ「」ピーーーーーーーーーー




上条・神裂「「っ!?」」




78: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 00:16:12.13 ID:kcUzGDX30



上条「危ねぇっ!」ばっ

神裂「あっ…」



どぉおおおおおおおん



ぱらぱらぱら



上条「っ、いってぇ……大丈夫か?」ぎゅっ

神裂「は、ははははい///」



79: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 00:19:34.44 ID:kcUzGDX30



上条「にしても……最近の家電製品は爆発しやすいように設計してんのか?いくらなんでも派手に散りすぎだろ…」


神裂「あ、あの…///」もじもじ


上条「あーあ。これ知られたら、またローラ辺りから嫌味言われそうだな」


神裂「あの!」


上条「不幸だー……ん?」

神裂「そろそろ、その……どいて頂けると…//」

上条「へ?」



《馬乗り》



上条「――うおっ!?す、すまん!!」ばっ

神裂「い、いえ…//」




83: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 21:08:54.01 ID:kcUzGDX30



上条「今のはだな!その、咄嗟に繋いでた手を引いたら偶然にもこうなってしまったと言いますか!そn」

神裂「分かっています」

上条「……怒ってない?」

神裂「怒ってまいせんよ。だって――」


神裂「私を庇ってくれたのでしょう?」にこっ

上条「っ!!」

神裂「私の方こそ、せっかく教えてもらったのにこんな……すみません」

上条「謝るなって、神裂は悪くない。まぁ、電子レンジは無くなっちまったけど……少なくとも、途中まではちゃんと出来てたじゃねえか」



上条「もうお前は機械音痴なんかじゃねーよ。俺が保証する」にこっ



神裂「と、当麻……///」

上条「は、はは……///」




<だだだだだだだだだだ




神裂・上条「「?」」



84: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 21:09:54.77 ID:kcUzGDX30



ばたんっ


アニェーゼ「大丈夫ですか!!今さっきこの部屋から爆発音が……して……」

シェリー「ったく、こんな時間に何騒いでん……だ……」



上条・神裂「「…………」」指を絡ませて寄り添い合う男女



アニェーゼ「」

シェリー「これはこれは……随分とお楽しみだったみたいね」


85: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 21:28:21.39 ID:kcUzGDX30



上条「い、いや!俺はただ神裂にレンジの使い方を……」

シェリー「レンジなんてどこにもねぇだろ」

上条「あぁそうだった、キレイさっぱり吹き飛んじまったよチクショウ!!」

アニェーゼ「………」ぷるぷるぷるぷる

上条「か、神裂!お前からも何とか言ってくれ!」


神裂「」キャパオーバー


上条「このタイミングで!?おい、起きろって!!」

シェリー「んじゃ、特に問題が無いならあたしは戻って寝る。お休み」

上条「ちょ、待っ――」

シェリー「あと、そこの子どうにかしないとヤバいんじゃね?」

上条「て……え?」



アニェーゼ「上条……当麻?」ごごごごごごごご



上条「」

シェリー「ご愁傷様」ばたん



86: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 21:29:35.95 ID:kcUzGDX30



<ま、待てアニェーゼ!話せば分かる!話せばーー!!

<こんな時間に二人で何やってたんですかーーーーーーーー!!


どごっ


<ぱぱのばかぁぁああ!!

<な、何で俺だけこんな……ふ、不幸だぁぁぁぁああああああ




シェリー「ふぁあああ」

シェリー「……アホらし」



88: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 21:48:16.39 ID:kcUzGDX30



翌日



オルソラ「まあ、それでは昨夜の騒ぎは彼だったのございますか」

シェリー「そう。半分はアニェーゼだけど、原因を考えたら9割は当麻が原因ね」

オルソラ「あらあら」

シェリー「オルソラもあの音で起きたクチ?」

オルソラ「はい。今日は何処にも出かける予定はありませんが…」

シェリー「それさっきの話な。んで昨日はどうだったのよ」

オルソラ「ちょっとした調べ物をしていたのでまだ起きていたのでございますよ」

シェリー「あ、そう。でもあの時出てきた連中の中にはいなかっただろ?」

オルソラ「はい。音に気づいて飛び起きたのですが、気のせいだと思ってそのまま就寝しましたので」

シェリー「……って事は、あんたやっぱり寝てたんじゃねえか」

オルソラ「そう言えばそうでございますね、ふふふ♪」

シェリー「……なんなのよ」



90: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 22:04:15.17 ID:kcUzGDX30



上条「おーい、オルソラ。上の棚から全部降ろし終わったぞ」


オルソラ「ありがとうございます!……では、これで」

シェリー「ん、行ってらっしゃい」


トトトト……



<なぁ、整理するの一人で大丈夫か?俺で良ければ手伝うけど……

<後は私一人で大丈夫でございますよ。貴方様は少し休んでいて下さいな

<そっか。無理はすんなよ?何時でも頼ってくれて良いからな

<ふふ、心配しすぎでございますよ♪




シェリー「平和ねぇ」



91: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 22:09:31.45 ID:kcUzGDX30



上条「ふぃ~取り敢えずひと休みっと……」

シェリー「お疲れ様」

上条「ぬおっ!?」

シェリー「何だよその反応は。失礼な男ね」

上条「いや気づかなくてびっくりしただけだ、ごめん」

シェリー「ん。許してやるよ」



92: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 22:15:08.82 ID:kcUzGDX30



上条「…………」

シェリー「…………」

上条「………えぇと」

シェリー「昨日の事なら、あたしが適当に誤魔化しといてやった。感謝しな」

上条「ありがとうございます……」


シェリー「上手くいった?」

上条「へ?」

シェリー「だから、昨日の秘密の特訓よ。上手くいった?」

上条「シェリー…お前気づいてたのか」

シェリー「まぁね。伊達に年食ってないわよ」


94: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 22:25:45.05 ID:kcUzGDX30



上条「だったら、あの時何でアニェーゼ止めてくんなかったんだよ!」

シェリー「別に、気づいたからってあの子止めるのは無理。どういう理由があれ、あんたらがイチャついてたのは事実」

上条「ははは……」

シェリー「で、成果は出た?」

上条「言わなくても分かるだろ。あの爆音と跡形もなく消し飛んだレンジが答えです」

シェリー「ダメだったのか。ま、あれが一日やそこらで治るわけがないな」

上条「でも、途中まではいい感じだったんだぜ。実際一回はちゃんと動かせたし…」


シェリー「……それで、どうして最後あんなになるのよ」

上条「……そこは俺にも分からない」



95: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 22:37:31.16 ID:kcUzGDX30



上条「何がいけなかったのか……原因を考えようにも、もう物は残ってねえし」

シェリー「…………」

上条「あーわかんねー」

シェリー「……あたしが思うに、アイツは力が強すぎんだよ」

上条「え、力?」


シェリー「そう、聖人としての力。魔術的な意味じゃなく物理的な意味で」


上条「……あぁ」

シェリー「ただでさえ馬鹿力な上に、緊張でそのパワーを上手くコントロール出来ないと――」

上条「想定されている以上の負荷に耐えられなくなって壊れると」

シェリー「Yes」

上条「確かに……一番最後にやった時、指刺さってたしな」

シェリー「でs……は?指が刺さった?」

上条「それはもう、綺麗にぶすっと」





シェリー「……そりゃするだろ爆発」

上条「………はは」



96: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:08:04.99 ID:kcUzGDX30



@聖ジョージ大聖堂



ローラ「――と言うことで、次の任務の内容についてはよろしい?」



神裂「はい」

ローラ「なら、これでお開き……と言いたい所ではあるけれど!」

神裂「?」

ローラ「実は、わたくしの元にとある報告が入ってきていりけるの」

神裂「はぁ……今回の任務に関係することでしょうか」




ローラ「……電子レンジ」

神裂「っ!!!??」びくっ



97: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:15:12.80 ID:kcUzGDX30



ローラ「わたくしが先日、学園都市から送ってきてもらいし最新モデルの電子レンジが、何者かの手によって無残にも粉々に破壊されてしまった、と」

神裂「あ…あ……」おろおろ

ローラ「そう言えば、貴女はきのう一日中寮にいていたのよね?」

神裂「う…は、はい……」

ローラ「なら、貴女何か知りたりける事があるのではなくて?」

ローラ「わたくしの大事なコレクションを木っ端微塵にした憎きやつを突き止めたいの、協力してはくれなし?」

神裂「っ!!」

ローラ「神裂?」



98: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:16:00.07 ID:kcUzGDX30




神裂「………わ……」

ローラ「ん?」

神裂「わ、私…は……」

ローラ「うんうん。私は?」

神裂「私……私は……っ!」

ローラ「もう一声!」




神裂「わ、私は何も知りません!!!!」ばーん




100: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:18:49.45 ID:kcUzGDX30


ローラ「あら、それは本当に?」

神裂「ほ、本当です!」



ローラ「ほ・ん・と・う・に?」



神裂「本当に本当です!!うわーーーーーーん!!!!!」だだだだだだだ



パリーンッ



<な、なんだ!?急に教会の窓ガラスをぶち破って女が!?

<どいてください!!うわーーーーーーん!!






ローラ「……んふ♪」

ローラ(ちょっと意地悪をしすぎたかしら?)にやにや


102: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:35:16.54 ID:kcUzGDX30


しゅたっ


神裂「はぁ……はぁっ……」


神裂(な、何をやっているのですか私は!!幾ら動揺したとは言え、教会の窓を破って逃げてきてしまうなんて……)

神裂(……後できっとからかわれるのでしょう。それはもう盛大に)



ローラ『げらげらげらげらwwwwwwやっぱり貴女が壊していたりしね神裂wwwwwww』



神裂「はぁ………」


とぼとぼ


103: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/10(木) 23:38:13.36 ID:kcUzGDX30





“『今までの数々の汚名を返上し、『機械音痴の露出狂』などと言うふざけたレッテルを剥いでやります!!』”




神裂「……あんな大口を叩いて、結局は汚名を返上するどころか恥の上塗り……」

神裂「おまけに、途中から記憶が無くなって気がつけば朝……まだ当麻にちゃんと礼をしていないのに……」

神裂(これじゃあ、完全に彼に呆れられて――)ぐすっ




“『もうお前は機械音痴なんかじゃねーよ。俺が保証する』”



神裂「…………」

神裂「はっ////」ぼんっ



104: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 00:31:13.72 ID:a4pdnNfj0



神裂(そうでした……あの時当麻は……///)

神裂「………///」



pipipipipipi



神裂「ん?メール…一体誰から」


ぽち


神裂「!!」

神裂「///――はっ」

神裂「取り敢えず返信を///」



ぽちぽちぽちぽち

ぴろりん



神裂「送信――と」

神裂「すぅ~~……はぁ~~……」


神裂「よし!!」

神裂(さて、今日も頑張らなくては!!)しゅっ






<ねぇ、ママー!変な格好の女の人がお空飛んでるー!

<何言ってるのこの子は……ってえぇぇぇぇぇぇぇぇ!?



106: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 00:41:11.12 ID:a4pdnNfj0



上条「……っと、送信」ぴろりん

シェリー「メール?」

上条「あぁ、神裂にちょっとな」

シェリー「ふぅん」ぎゅっ

上条「ちょっとシェリーさん?あんまりくっつくとその……」

シェリー「当ててんだよ。それよりメール何て送ったのか見せろ」

上条「さらっと爆弾発言しやがった!?見せるから、見せるからちょっと離れt」

シェリー「へぇ、神裂は良くてあたしはダメか」

上条「っぐ……いえ、何でもありません……」

シェリー「どれどれ……ほーん?」

上条「別におかしな事書いてねえだろ?」

シェリー「そら、おかしな事は書いてないけど?……ホント、罪な男だテメェは」ぎゅっ

上条「何かその呼ばれ方久しぶり!ってかさっきより更に密着してあれやこれやの感触がー!?」



107: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 00:43:26.10 ID:a4pdnNfj0



シェリー「男がガタガタ騒ぐんじゃ……っておい、返信きたぞ」

上条「耐えろ、耐えるんだ俺の理性!!……え?」

シェリー「どれどれ」パカッ

上条「あ、ちょっと待てって…」


シェリー「…………」


上条「俺にも見せてくれって、なあ」

シェリー「……はは、随分と可愛らしい聖人様だこと」

上条「はぁ?だから、俺にも見せろって」

シェリー「何でだよ?」むぎゅっ

上条「何故ならそれは俺のケータイだから!!ってかそろそろ本当に離れて!!」

シェリー「我慢しなさい」

上条「はぁぁ……なんか分からんけど不幸だー!?」



109: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 00:59:54.80 ID:a4pdnNfj0



From:上条当麻
Subject:レンジのこと
――――――――――――

今回は上手くいかなかったけど…
次はきっと大丈夫だ!

神裂がちゃんと出来るようになるまで
いくらでも付き合うから

また一緒に頑張ろうな。







From:神裂火織
Subject:Re:レンジのこと
――――――――――――

はい
わたしもとうまといっしょにがんばります

よろしくおねがいします







電子レンジ編 終わり


119: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:30:19.22 ID:a4pdnNfj0



◎大追跡編



@食堂




上条「……ヒースロー、空港?」




アニェーゼ「はい……え、まさか知らないんですか?」

上条「いや、知ってるよ?知ってるけd」

アニェーゼ「ですよね。じゃあ、そこに明日の午後1時20分、第一ターミナルの…」

上条「ちょ、ちょっとタンマ!」



120: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:37:16.62 ID:a4pdnNfj0




アニェーゼ「はい?」

上条「はい?じゃねーよ!いきなりなんだ『ヒースロー空港に行け』って!俺いま掃除しようとしてたんですけど!」

アニェーゼ「大きい声出さないで下さい……嫌なんですか?」

上条「嫌だとか嫌じゃないとか言うことではなく!理由を言えっての」

アニェーゼ「はぁ~。細かいとこ気にし過ぎちまう男はハゲますよ」

上条「お前が大雑把過ぎるの!!あと上条さんの毛根は今日も元気です!」

アニェーゼ「えぇと、確かここに……」

上条「どスルー!?」




121: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:45:23.69 ID:a4pdnNfj0




アニェーゼ「あった。これですよこれ」ひらっ


上条「くそう、俺はまだハゲてなんか……ないよな?」ずーん


アニェーゼ「誰に向かって言ってんですか。ほら、ご所望の『理由』です」ひらっ

上条「あ?――これ、昨日お前に来た手紙だよな」

アニェーゼ「そうですよ」

上条「アニェーゼ宛に来た手紙、ってことはイタリアのローマ正教関係とか?」

アニェーゼ「アルゼンチンからです」

上条「あ、アルゼンチン?そんな所から来てるのか」

アニェーゼ「えぇ、ラプラタ大聖堂の司教から私に」

上条「らぷらた?」

アニェーゼ「……とにかく、さっと読んじまって下さい。そこに全部書いてあるので」

上条「いや、あのアニェーゼさん?……これ何語?」


アニェーゼ「スペイン語です」


上条「英語でさえ危うい上条さんにスペイン語の手紙が読めるわけ無いだろ!?」

アニェーゼ「イギリスに住んでんですから、英語は出来なきゃ不味いでしょう……」




122: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:50:30.13 ID:a4pdnNfj0



―――――――――――――



敬愛なるシスター・アニェーゼへ

ご無沙汰しています
かなり久方ぶりの便りになってしまった事をお許し下さい
ですが、また鑑定をお願いしたい物が有りまして厚かましくもこうして筆を執りました

先日、我がラプラタ大聖堂の関連施設の一つで、その老朽化に伴い一部改修工事を行ったのですが
その際に出てきたある物が問題で……

恐らく何かの霊装ではないかと思うのですが、当方では皆目検討がつきません
教皇様のサインが入っているので正教に関係している事は間違いないかと

文面で説明するには少し難しい物なので、細々としたやり取りは割愛して、早速実物を送ります―――




123: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:52:38.37 ID:a4pdnNfj0




アニェーゼ「『どうか宜しくお願いします』…と」

アニェーゼ「簡単にまとめちまうとこんな感じです」




上条「なるほどな……いや待てよ?」

アニェーゼ「?」

上条「アルゼンチンの教会から見つかった物を、どうしてローマ正教のアニェーゼに鑑定させるんだよ」

上条「向こうの、アルゼンチン正教?とかが調べるのが普通じゃないのか」

アニェーゼ「……ブエノスアイレス大司教区の事ですかね。あそこはローマ正教傘下ですよ」

上条「あ、そうなの」

アニェーゼ「その辺から説明しちまった方が良さそうですね」

上条「是非ともお願いします……」




125: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 21:55:59.33 ID:a4pdnNfj0



アニェーゼ「どこから話せば……前に、スペイン星教派の話はしたので知ってますよね」

上条「あぁ、確かローマ正教内の派閥だったっけ?」

アニェーゼ「そうです。では15~16世紀にかけて、スペインの所謂『コンキスタドール』達が、特にアメリカ大陸を中心に侵略、植民地化しちまったってのは……」

上条「なんか聞いたことが有るような、無いような?」

アニェーゼ「どっちなんですか……ともかく、その時に欧州の文化が流入すると共に十字教も広められてったんですよ。半ば強制的に」

上条「ふんふん」

アニェーゼ「その結果、ローマ正教とそのかつての植民地だった国々の間には、表立ってやしませんが宗教的な――特に魔術結社的な意味で――強権的な支配構造が出来上がったってな訳です」

アニェーゼ「つまり、魔術的に植民地の国々を実質支配しちまったんですよ。このアルゼンチンも例外じゃ有りません」

上条「ほおほお」

アニェーゼ「まぁ、アステカやインカと言った現地の土俗神話に結びついて特殊な変化を遂げた一派とか、フィリピンの様な東南アジアに伝播している諸宗教や原住密教と融合しちまって、魔術的には殆ど原型を留めていない例も有るんで、一概に皆がそうだとは言えないんですが」

上条「へえぇ」




126: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/11(金) 22:27:48.81 ID:a4pdnNfj0



アニェーゼ「そして先人達が十字教を広めた先で、布教活動と同時に魔道書の執筆や新しい術式の開発等をしてたんですが、18世紀後半になって植民地各地が政治的に独立します」

上条「ふむふむ」

アニェーゼ「ローマ正教もその影響を受け、多くの正教関係者は本国に…つまりスペインやイタリアに帰ってきちまったんです。自分達の功績の一部を現地に残して」

アニェーゼ「残って帰化し、熱心な活動を行っていた人もいたらしいですが、そういう人達は魔術云々と言うより信仰心から動いていた人達ですから、そういう方面には疎かったみたいで」

上条「あらあら」

アニェーゼ「で、稀にですけど、その残された魔術に関連する物の依頼が舞い込んでくる事があるんです。今回みたいな霊装の鑑定とか」

アニェーゼ「私達は、よくその手伝いをしてましたから、こうして今でも……」

上条「なるほどなるほど」




アニェーゼ「………ちょっと、ちゃんと聞いてんですか?」

上条「もちろん聞いてるぞ。アニェーゼは色んな事を知ってて偉いな、脳味噌スカスカな上条さんとは大違いですよ」なでなで

アニェーゼ「え、えへへ//……って違う!!ちゃんと私が言ったこと理解できたかってことです!!」

上条「おう。つまりは偶然見つかった霊装が良くわかんねぇから、繋がりのあるローマ正教に鑑定して貰おうって事だろ?」

アニェーゼ「随分とざっくりですが……まぁ、そうです」




127: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 00:11:38.37 ID:IKIxelUA0



上条「で、何となく事情は分かったけども。なんでそれの受け取りに俺を?」

アニェーゼ「自分で言うのも何ですが、今の私はローマ正教徒でありながらイギリス清教に身を置いちまってるちょっと面倒な立場です」

上条「だな」

アニェーゼ「だからこういった、宗教関連の物品取引みたいなデリケートな事案で、公の場に姿を見せるのはちょっと……」

上条「いや、お前ら結構頻繁に出掛けてるじゃん……まぁ良いけどさ」

アニェーゼ「それに、予報によると明日は雨らしいですし。厄介ですよね雨」

上条「おい!今なんか本音がもれたぞ!」




アニェーゼ「だからパパ、お願い」うるうる




上条「うわぁ可愛い!よしお父さん頑張っちゃうぞ―――ってなるか!!」

アニェーゼ「ちっ」



129: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 00:30:24.73 ID:IKIxelUA0



上条「まったく……俺だって暇じゃ無いんだぞ?寮の掃除に屋根の修理……」

上条「食材の買出しにも行かなくちゃなんねえし、それに――」



アニェーゼ「苦手、なんですよ」

上条「――は?」



アニェーゼ「苦手なんです……雨って」

上条「苦手って、何が…」

アニェーゼ「あの湿った匂いがすると……昔を思い出しちまうんです」

上条「っ!」



130: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 00:31:58.51 ID:IKIxelUA0




アニェーゼ「両親を失って、頼るすべも無く一人路地裏で蹲って……」

アニェーゼ「自分の身を守る物も無く……ただただ冷たい雨に打たれているしかなかったあの頃を……」




上条「…………」

アニェーゼ「だから、どうしてもあs」

上条「もういい、アニェーゼ」だきっ

アニェーゼ「ふぁ!?」



131: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 00:35:14.30 ID:IKIxelUA0



上条「悪い、お前がそんなトラウマ抱えてたなんて知らなかったんだ……ごめんな」ぎゅっ

アニェーゼ「いいいいいえ!そんあ気にすりゅこと///」

上条「大丈夫、俺に任せろ。ちゃんとその霊装受け取ってきてやるから」

上条「だからアニェーゼは安心して待っててくれ」にこっ

アニェーゼ「う、うん……//」




アニェーゼ(本当は、雨降ってると面倒だから適当に噓ついちまったんですけど、効果覿面じゃねえですか…//)

上条「ん?でもそう言えば前に雨の日に庭で他の子達と……」

アニェーゼ(!!?)

アニェーゼ「っ!ぱ、パパ!頭なでなでして下さい!」ぎゅっ

上条「え、あ、あぁ……どうした?急に甘えん坊になったな」なでなで

アニェーゼ「えへへへへへへへ///」



アニェーゼ(まぁでも―――この位の噓なら、別に良いですよね!)



139: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 20:21:34.38 ID:IKIxelUA0



上条「でもそんな重要な物、何で俺一人に……」

アニェーゼ「一人じゃ行かせませんよ。幾らパパが無駄に戦闘慣れしてるとは言え、流石にそこまで鬼じゃないです」

上条「無駄に戦闘慣れしてるって……別に好きで巻き込まれてるんじゃないのに……」しくしく

アニェーゼ「ちゃんと用心棒をつけますから」

上条「用心棒?」

アニェーゼ「だから安心して行って来てください」にこっ

上条「あ、あぁ……」

上条(用心棒って……誰だ?)

アニェーゼ「ほら、なでなでの手が止まっちまってますよ」

上条「はいはい」

アニェーゼ「~~~♥」



140: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 20:41:59.11 ID:IKIxelUA0




――昨晩




神裂「上条当麻の護衛?」

土御門『そうだにゃー』




神裂「何故、当麻を護衛なんて……まさか!また彼の身に何か――」

土御門『あー、取り敢えず今ねーちんが想像してるような事は起きてねーから。落ち着け』

神裂「……本当でしょうね、土御門」

土御門『当ったり前だにゃー。もし実際にカミやんがそんな危機的状況にいるとしたら、こんな呑気にお電話していられるわけないだろ?』

神裂「それはそうですが…あなたの言う事は信用出来ませんから」

土御門『あらら』



141: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 21:02:11.04 ID:IKIxelUA0



神裂「大体、あなたからの上条当麻に関する話で、碌な目にあった事が有りません」

神裂「いつもいつも彼に迷惑をかけて……いい加減にしないと、幾らあなたと言えど……」

土御門『おいおい、そりゃ言いがかりだぜねーちん?いつも厄介事に巻き込まれるのはカミやんの“不幸体質”のせい。俺に非はないにゃー』

神裂「確かに彼の《幻想殺し》が影響しているのは間違いありませんが……」

土御門『影響してるっつーか、モロそれが原因だろ』

神裂「なら、尚のこと私達が彼を…!」

土御門『だから落ち着けって。まぁったく、ねーちんたら……カミやんの事となると、まるで発情期のネコみたいn』

神裂「何か?」ジャキンッ

土御門『はは、冗談だって。同僚に対する小粋なジョークぜよ、ジョーク!だから抜いた刀を納めるにゃー!』



142: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 21:19:04.77 ID:IKIxelUA0



神裂「はぁ……それでは、もっと詳しく内容を」

土御門『もっと詳しくって、もう全部話したぜよ』

神裂「え?ですがまだ、当麻を護衛しろとしか言われていませんが……」

土御門『だから、それが任務内容だってばねーちん。寝ぼけてるのか?』

神裂「寝ぼけているのはあなたでしょう!?たったそれだけの情報で何をどうしろと!」

土御門『はぁ~…これだから最近の若者は。何から何まで指示を出して貰わないと行動出来ないなんて、天草式十字凄教の女教皇様が聞いて呆れるにゃー……』

神裂「んなっ!こ、この……」




土御門『まだ分かんねーのかキサマはッ!!』

神裂「!?」




143: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 21:24:58.56 ID:IKIxelUA0




土御門『……良いかねーちん。これは千載一遇の大チャンスなんだぜい?』

神裂「チャンス?」

土御門『惚れた男にアピール&今までの恩を少しでも清算するためのな!!』

神裂「ほ、惚れっ!?急に何を言い出すんですか!!///」

土御門『あっれれ~?違ったかにゃー?』

神裂「当たり前です!!別に私は、そんな……///」

土御門『おかしいなぁ。だってねーちん、部屋の箪笥の上から二番目の引き出しに――』

神裂「なぁぁあああ!?ななななぜそれをあなたがっ!?」

土御門『カミやんのし――』

神裂「殺すッ!!テメェ今どこにいる!!たとえ地の果てまでも追って殺すッ!!!!」シャキーン



ブツッ

ツー、ツー




神裂「土御門ォォォォォオオ!!!!!」





146: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 21:44:29.49 ID:IKIxelUA0



ツー、ツー



土御門「おー、くわばらくわばら」

土御門「……アフターケアは任せたぜ、カミやん?」にやり




―――――――――――――――






上条「――っ!?」ぞくっ

アニェーゼ「どうしたんです?」

上条「なんか、ものすごく嫌な予感が……」

アニェーゼ「?」




148: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 21:54:17.29 ID:IKIxelUA0




@日本人街・天草式




建宮「ふんふん」

建宮「……なるほど。それで時間は――」

建宮「となると、恐らく――」




香焼「教皇代理、誰と電話してんすかね?」

牛深「さぁ?」



建宮「ん、わざわざ報告ありがとさん。じゃあな」ぴっ



149: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 22:02:36.60 ID:IKIxelUA0




牛深「誰と話していたんですか?」

建宮「ちょっとした知り合い……いや、同士と言うべき我が友人からだ」


香焼(土御門さんすね)

牛深(土御門だな)


建宮「そいつが、ちょっと面白い情報が入ったと連絡してくれたのよ」

香焼「面白い情報ってなんすか」

建宮「お、知りたいか?知りたいのか?」

牛深「もったいぶらないで教えて下さいよ」




150: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/12(土) 22:06:15.43 ID:IKIxelUA0



建宮「実は昨日、女教皇様にある任務が降りたのよ」

牛深「はぁ…それは、いつもの事では?」

建宮「確かに。ただそれだけなら、何てことない情報……」



建宮「だがしかし!問題はその内容なのよな!」



香焼「だから、その内容が何なのか聞いてるんすけど」

建宮「そう焦るな―――ズバリその内容はッ!」

牛深・香焼「「……」」ごくり





建宮「上条当麻との一日デェェェトッなのよ!!」

牛深・香焼「「…………」」





牛深・香焼「「な、なんだってぇぇえ!!?」」





151: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 00:01:38.61 ID:AWQnQRit0




牛深「そ、そんなバカな……任務内容が『上条当麻とデート』!?」ぶるぶる

香焼「本当なんすか、それ」

建宮「確かなツテだから間違いないのよ」

牛深「そ、そのことを五和は?」

建宮「勿論知らない。ってか知ってたら今頃大騒ぎで、オレらだって無事では済まないのよな!」

牛深「で、ですよねぇ。ははは……」

香焼「そうすよ。まさか『上条当麻とデート』なんてふざけた任務がよりによって女教皇様に下ったなんて知られたら……」

建宮「それこそもう一巻の終わりよな。はっはっはっ!」






五和「何が、一巻の終わりなんですか?」






建宮「はっはっh………え?」



153: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 00:17:11.02 ID:AWQnQRit0




五和「ねぇ、建宮さん」

建宮「あ…いや……」




牛深(い、五和……)

香焼(あぁ、これはもうダメかもしれないすね)

牛深(……もはや教皇代理の無事を神に祈ることしか……)

香焼(諦めたらそこで試合終了すよ)

牛深(この状況で他に一体何が出来るって言うんだ!)




対馬「何やってるのよ……」



159: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 12:44:36.75 ID:AWQnQRit0



香焼「あ、対馬先輩いたんすか」

牛深「一体いつから?」

対馬「『上条当麻とデート』だって騒ぎ出した辺りから」

牛深「対馬も人が悪い……何故教えてくれなかった」

対馬「あの子抑えてるので精一杯だったの!大体あんな話大声でしてるんじゃないわよ!」

牛深「う……も、申し訳ありません」

香焼「まぁ、しょうがないすよ。今回は不運な事故みたいな物すから」

対馬「……あんたねぇ」






五和「答えて下さい。さぁ、さあ!」

建宮「分かった!分かりました!ちゃんと話すから、話すからその槍をおろしてーー!?」





160: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 12:47:24.85 ID:AWQnQRit0



五和「…………」ばっ

建宮「ぐふ……た、助かったのよ」

建宮(やっぱり五和にとってこの話題は鬼門過ぎるのよな……)





対馬「あら、解放されたみたいね」

香焼「本当すか?てっきり半殺し位にはされるかと思ったんすけど」

対馬「あなた五和を一体何だと……」

香焼「『恋する乙女』すよね?」

対馬「合ってるけど、言い方にそこはかとなく悪意を感じるわ」




162: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 12:53:12.19 ID:AWQnQRit0



牛深「あの……大丈夫でしたか教皇代r」

がしっ

牛深「っ!?」

建宮「何で助けてくれんかったのよ!!この薄情もんがーー!!」

牛深「助けるも何も、悪いのは教皇代理でしょう!?」

建宮「例えそうだとしても助けに来るべきなのよ!」

牛深「そんな理不尽な!?」

建宮「『救われぬ者に救いの手を』の精神は何処に行っちまったのよーー!!」

牛深「あんたのプライドこそどこ行った!?救われないのはこっちだ馬鹿野郎!!」





五和「早く話してくれませんか?」にっこり

建宮「ひゅピッ!?」






165: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:05:09.11 ID:AWQnQRit0



――説明中――



建宮「――と、言うこと…だったのよ……こぷ」ぱたり



対馬「そんな……ウソ……」

五和「…………」



香焼「俺もまさかとは思ったんすけど、本当らしいすよ」

対馬「でもソースは土御門なんでしょ?信じていいのか……」

牛深「土御門だからこそ、だ。こういう情報を敢えて横流しして、反応を面白がる奴だからな」

牛深「逆に、わざわざこんな嘘を流すメリットも考えられない」

対馬「それは、そうだけど……でもまだ私は信じきれないわ。だって――」

五和「…………」




166: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:05:51.73 ID:AWQnQRit0





諫早「残念ながら、それは本当だ」

浦上「……」こくり





一同「「「「!?」」」」




167: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:11:31.85 ID:AWQnQRit0



牛深「い、諫早さん……それに浦上も」

浦上「ど、どうも」

香焼「今日は仕事が有るとか言ってなかったすか?」

浦上「うん、有ったよ。有ったんだけど……」




対馬「ちょっと、この話が本当って……諫早さん何か知ってるの?」

諫早「あぁ」

対馬「教えて!どういう事よ『上条当麻とデ――」


五和「………」ピクリ


対馬「……あのふざけた任務内容は一体なんなのか!」

諫早「落ち着け。今からちゃんと話す」



一同「「「「…………」」」」じっ

建宮「」死ーん





諫早「あれは、丁度昼の休憩を浦上と二人でとっていた時のことだ―――」





170: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:24:36.06 ID:AWQnQRit0




――回想――




浦上「諫早さん。廃棄用の箱全部、裏に回しておきました」

諫早「お疲れさん。お前も休みなさい」

浦上「あ、はい……休憩入りまーす!」


<はいよー




浦上「ふぅ~」

諫早「どうした。もうへたばったのか」

浦上「いえ、そういう訳じゃ……ただ、空気が湿って来ているなぁと思って」

諫早「あぁ。どうやら明日は雨のようだな」



171: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:26:06.33 ID:AWQnQRit0



浦上「やだなぁ……雨の日は髪の毛ボワボワになっちゃうから……」

諫早「ならば、短くすれば良いだろう?」

浦上「だ、ダメです!」

諫早「なぜ?」

浦上「だって短くしたら、ポニーテールに出来なくなっちゃいます」

諫早「ほぉ、その髪型に何か拘りがあるのか」

浦上「こ、こだわりって言うか……あ、あの人が褒めてくれたから……///」ゴニョゴニョ

諫早「?」



172: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:28:13.07 ID:AWQnQRit0



浦上「とにかく髪を短くするのは却下です」

諫早「まぁ、好きにするとい――――ん?」

浦上「どうしました?」

諫早「いや、あの人だが……」

浦上「え?誰ですか?」

諫早「ほら、あそこにいるだろう」





神裂「…………」こそこそこそ





諫早・浦上「「…………」」

浦上「……女教皇様!?」

諫早「恐らくな……一体何をやっておられるんだ」



175: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:31:21.86 ID:AWQnQRit0




神裂「…………」こそこそこそ



ガチャ



浦上「あ、中に入った」

諫早「あそこは建宮が物置がわりに使ってる平屋だが……」

浦上「何か借りに来たんですかね?」

諫早「……建宮の私物をか?」

浦上「……ちょっと考えづらいですよね」

諫早「…………」

浦上「…………」





諫早「浦上。ちょっと見てきてくれ」

浦上「何で私が!?」




178: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:34:32.78 ID:AWQnQRit0



諫早「気にならないか?」

浦上「気になりますけど。諫早さんが行けばいいじゃないですか」

諫早「いざという時、わたしより若く、尚且つ同性のお前の方が助かる見込みが高いだろう?」

浦上「『助かる見込み』ってなんですか!?」

諫早「ちょっとした言葉の綾だ」

浦上「ウソだ!!」

諫早「こんな老いぼれに、無理をさせんでくれ……」

浦上「何言ってるんですか!この前も一人でお店に来た暴漢叩きのめしてたくせに!」

諫早「そんな事……あったかね?」

浦上「とぼけるな!!とにかくい・や・で・す!まだ死にたくない!」

諫早「いやはや…『老人を大切に』と言う風潮は、もはや何処にも残っていないんだな……」

浦上「都合の良い時だけおじいさんのフリして……ずるいですよ」



180: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:35:44.87 ID:AWQnQRit0



浦上「…………」

諫早「…………」

浦上「……出てきませんね」

諫早「そうだな」

浦上「……何かあったんですかね?」

諫早「気になるなら見に行けばいい」

浦上「そ、そうですよn……って!騙されませんよ!」

諫早「騙してるつもりはないんだが……」



181: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:37:42.92 ID:AWQnQRit0



浦上「…………」チラッ


諫早「…………」


浦上「…………」チラッ チラッ


諫早「…………」


浦上「…………」チラッ チラッ チラッ


諫早「…………」





諫早「……おっほん。浦上」

浦上「っ、は、はい!」

諫早「いつまでも出てこられない女教皇様が些か心配だ。様子を見に行くが―――ついてくるかね?」

浦上「!!行きます!!」

浦上「~~♪」ワクワク

諫早「……やれやれ」



182: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:46:26.53 ID:AWQnQRit0




諫早「……ここだな」

浦上「はい」

諫早「さて、入るぞ」

浦上「ら、らじゃーです」


カチャ


諫早「……気を抜くなよ」

浦上「わかってます!」





ヒタヒタ

浦上「中暗いですね……何で電気付けないんでしょう?」ヒソヒソ

諫早「少しでも気づかれない様にするためだろう」ヒソヒソ

浦上「なるほど」

諫早(ここまで警戒しているとは……本当に何をしておられるのか)



183: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/13(日) 23:57:31.04 ID:AWQnQRit0



浦上「あ!見てください諫早さん!」ヒソヒソ

諫早「どうした?」ヒソヒソ

浦上「ほらあそこ!下の隙間から光が漏れてます」ヒソヒソ

諫早「なに……おぉ、あそこだな」ヒソヒソ


諫早(一番奥から二番目の扉……はて、確かそこには――)


浦上「ど、どうしますか?入ります?」

諫早「……そうだな。入ってみよう」

浦上「諫早さんが先頭で行ってください。私は絶対に嫌です」

諫早「まったく……」


諫早(そこには『例のアレ』が――――はっ!まさか!!)


浦上「諫早さん?」

諫早「……あ、あぁ。すまん」

浦上「?」



諫早(いやいや、考えすぎだろう。考えすぎだ)




185: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/14(月) 00:38:31.21 ID:oWZ7NGY60



諫早「それでは――行くぞ」

浦上「……」こくり


コンコンッ

諫早「女教皇様、いらっしゃいますか。私です、諫早です」




ガタッ

<い、諫早っ!?な、何故ここn……あぁ!!


どんがらがっしゃーん!




浦上「!何でしょうか今の音……」

諫早「分からん…だが何か起きたに違いない。踏み込むぞ!」

浦上「はい!」



186: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/14(月) 00:41:49.74 ID:oWZ7NGY60



ガチャッ


諫早「女教皇様!!」

浦上「大丈夫ですか女教皇様!!」








神裂火織@堕天使○○メイド「え…………」








諫早・浦上「「…………」」


浦上「えええええええええええええええええ!!!???」

諫早「なんとっ……」



190: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/15(火) 00:29:02.42 ID:oAVvWAde0




堕天使○○メイド「み、み、見ないでください!!!!!」ばっ




浦上「うわわわわわわ……女教皇様ってば大胆……///」

諫早「……何をされているんですか」




堕天使○○メイド「こ、これはですね!決して個人的な趣味趣向で着ているわけでは無くっ……!」ばいーん




浦上「え?ち、違うんですか?」

堕天使○○メイド「あなた方の中の私は、一体どれだけ変態に歪められているのか!!」

浦上「いや、そんな服着て言われても……」



192: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/15(火) 00:32:16.86 ID:oAVvWAde0



諫早「こら浦上。この服はそんな己の嗜好で身につけるものではない」

諫早「女教皇様にも考えが有ってのことなんだ」




堕天使○○メイド「諫早……」




浦上「なんですか、その考えって」

諫早「そりゃあお前、意中の男を悩殺するためだ。当たり前だろうが」

浦上「あ、そうか」




堕天使○○メイド「諫早ーー!?」




196: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/15(火) 00:40:39.05 ID:oAVvWAde0



諫早「とにかく、女教皇様。我々は一旦外に出て待機していますので、さっさと着替えて下さい」




堕天使○○メイド「はい……」





ばたんっ



浦上「…………」

諫早「やれやれ……」

浦上「なんか、色々とすごかったですね!」

諫早「あぁ。女体の神秘を最大限に生かした傑作――もはや『霊装』と言っても過言ではない」

浦上「……○○じじい」



199: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/15(火) 23:59:42.40 ID:oAVvWAde0



がちゃっ


神裂「……どうぞ」



浦上「あ、いつもの服ですよ」

諫早「当たり前だ。余計なことを言うな………では、失礼します」






神裂「…………」

浦上「…………」

諫早「…………」



チクタクチクタク



200: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:00:38.92 ID:NdpG7m9e0



神裂「…………」

浦上「…………」

諫早「…………」



チクタクチクタク




浦上「……わ、わたしお茶いれてきます!!」

神裂「それなら私が――」

浦上「そんな!女教皇様にそんな事させられません!座っていてください!」だだだだだ

神裂「あ……」

諫早「…………」



201: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:01:48.25 ID:NdpG7m9e0



諫早「――女教皇様」

神裂「は、はい」

諫早「先ほどの件……訳をお聞きしても宜しいですか」

神裂「…………」

諫早「どうしても話せないと言うのなら、構いませんが」

神裂「いえ」




神裂「……話しましょう」




202: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:07:05.62 ID:NdpG7m9e0




浦上「えぇと、台所は……ここか!」

がちゃっ

浦上「さてと、お茶お茶ーっと」






――湯沸し中――



浦上「はぁ~~……緊張した。あんな空気耐えられない」

浦上「諫早さん、上手くやってくれるかなぁ」


こぽこぽ


浦上「それにしても……何でこの急須、女の子の絵が描いてあるんだろう」

浦島「教皇代理の趣味とか?……気持ち悪い」


こぽこぽこぽっ



203: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:08:19.28 ID:NdpG7m9e0



浦上「お茶っ葉も見たことないのばっかりだし」

浦上「『铁观音』?……読めない」

浦上「あ、こっちは読める!『東方美人』だ!」

浦上「……本当にお茶なのかなこれ。変な薬とかじゃないよね……」


ごぼごぼごぼっ!


浦上「あ、あ、吹きこぼれちゃう!」わたわた



205: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:10:56.79 ID:NdpG7m9e0



神裂「―――そこで上条当麻に確認してみると、確かに明日は出かける用が有ると」



諫早「成る程――では、明日。ヒースロー空港に出かける、あの少年の護衛に着くと言うことですね」

神裂「そうです」

諫早「女教皇様一人だけでですか?」

神裂「はい。どうやら私一人だけが付くことになっているようで…」

諫早「ふむ……」



諫早(おかしい……あの少年の護衛ともなれば、恐らくその対象は彼の右手……)

諫早(ならば、その事が我々の元に入ってきていておかしくなかった筈だ)

諫早(いくら女教皇様が聖人と言えど、普通に街中を歩いての移動なら、もっと多くの人数を割いて――)



諫早「――ん?」



諫早(という事は――?)



206: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:13:15.07 ID:NdpG7m9e0



てくてく

浦上「『東方美人』にしちゃったけど、大丈夫だよね。開けてみたら普通にお茶っ葉だったし」

浦上「……それに、なんか飲んだら美人になれそう」




??『いいんじゃないか?俺は、良く似合ってて可愛いと思うけど』




浦上「……えっへへ///」

浦上「また褒められちゃうかm」




<明日は一日あの少年と二人きりという事か!!!




浦上「!?」びくっ




208: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:15:17.09 ID:NdpG7m9e0



がちゃっ!

浦上「なんですか今の大声!!」





諫早「はぁ……はぁ……」

神裂「///」





浦上「…………」

浦上「え?」



209: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:19:01.73 ID:NdpG7m9e0



――かくかくしかじか



浦上「…それでさっきの“二人っきり”につながる訳ですね」

諫早「そうだ」

神裂「二人っきりと言っても、ただの仕事ですから//」



ササッ

浦上「五和が知ったら大変な事になりそうですね」ヒソヒソ

諫早「ん?あぁ、そうだn………そうか!」

浦上「え?」



諫早(彼を好いている女は数知れず。もしやその混乱を避けるために―――)



浦上「諫早さん?」

諫早(――違うな。それでは護衛を一人にした理由にならん)

浦上「もしもーし」



210: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:23:10.78 ID:NdpG7m9e0


諫早「いや…しかし……」ぶつぶつぶつぶつ



浦上「?ちょっとそっとしておいた方がいいかな……?」

神裂「これで全て話しましたが、何か――」

浦上「あ、はい!女教皇様、一つ聞きたいんですけど」

神裂「良いですが……私もただ『上条当麻の護衛』としか聞かされていませんから、それ以上の事なら――」

浦上「あ、その事じゃなくてですね」





浦上「何でさっき、あの衣装を着ていたんですか?」ばぼーん





神裂「!?」



211: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:33:48.56 ID:NdpG7m9e0



神裂「えぇ!?そ、その理由まで話さなくてはいけませんか!?」

浦上「どっちかって言うと、その理由の方が知りたいです」きらきら

神裂「なんて期待に満ちた視線!?や、やめなさい!そんな目で私を見ても――」



諫早「そうですよ女教皇様」ぬっ



神裂「ひゃあっ!?」

浦上「うわっ!諫早さん何ですか急に!」

諫早「今の話でついぞ忘れていましたが、本題はそちらです」

神裂「うっ……」

諫早「任務の内容を全て喋った事によって有耶無耶にしようと目論んでみたいですが……」



212: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/16(水) 00:36:55.51 ID:NdpG7m9e0




諫早「この諫早の耳は誤魔化せませんぞ!!」

諫早「さあ!正直に白状してください!女教皇様!」

諫早「何故、人目を忍んであの様な素てk……けしからん格好をしてお戯れになっていたのか!その理由をはっきりと!」

諫早「今!この場d」




神裂「うるさぁぁぁああああああああい!!!!」ずばっ

諫早「ぐはっ!?」



どごぉぉぉおおん



神裂「はぁっ……はぁっ……」

諫早「」死ーん



浦上「……○○じじい」



216: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:10:08.30 ID:exQTXM+L0




――回想終わり――




諫早「と、いう訳だ」




対馬「……どこから突っ込めば良いのか分からないわ」


牛深「ま、まさか女教皇様があの衣装を!?」ぶるぶるぶる

香焼「これは本気すね。本気と書いて『マジ』と読む感じすよ」

浦上「私もびっくりしたよ」




五和「……女教皇、様」ぎりっ




217: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:12:29.61 ID:exQTXM+L0



対馬「それで、その後は?」

諫早「いや、これで全てだが」

対馬「え?」

諫早「叩き伏せられて、目が覚めた時にはもういらっしゃらなかったからな」

牛深「諫早さん!それじゃあ女教皇様が何であの衣装を着ていたのか分からないままじゃないですか!」

諫早「あぁ。だが建宮の話が本当であると言う確証にはなっただろう?」

対馬「確証じゃないわよ。結局デートなんてデタラメだったんじゃない……」



218: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:15:36.11 ID:exQTXM+L0




香焼「ってか浦上は?やられたのは諫早さんだけすよね?」

浦上「うん」

香焼「その後に女教皇様と何か話さなかったんすか」

浦上「話したかったけど……諫早さんのしたあと、すごい勢いで出てってどっか行っちゃったから」

香焼「ちっ。それじゃあ本当に分からずじまいか」

浦上「結局、東方美人も飲み損ねちゃった……」

香焼「……は?東方美人?」

浦上「な、何でもない!何でもない!」

香焼「はぁ…?」



220: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:21:11.56 ID:exQTXM+L0



五和「…………」

対馬「ね、五和。話聞いてたでしょ?やっぱり『上条当麻とデート』なんて嘘だったのよ」

浦上「そうだよ!本当はただの警護だって」

五和「………でも」

対馬「ん?」



五和「……二人きりなのは、変わりませんよね」



浦上「い、五和?」

五和「二人きりで一日中一緒にいるのは、本当ですよね」

対馬「それはそうだけど……」

五和「女教皇様はいつもそうです……ずるいんですよ……」ぶつぶつぶつぶつ





浦上「うわぁ、どうしよう……」

対馬「ダークサイド五和になるのも久しぶりね」




222: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:25:09.86 ID:exQTXM+L0



牛深「お、おい……五和の様子おかしくないか?」

香焼「今日は初めから様子おかしかったじゃないすか」

牛深「いや……もっとドス黒い、こうなんかモヤっとした……」



五和「私だってもっと一緒に……」ぶつぶつぶつぶつ



香焼「……言いたいことは分かったっす」

牛深「だろ!?」



223: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:26:28.37 ID:exQTXM+L0



諫早「おぉ対馬、浦上。どうだった?」

対馬「ダメね。こっちの声が聞こえてないわ」

浦上「完全に殻にこもっちゃいました」

諫早「参ったな。どうしたものか」

香焼「上条さんに来てもらったらどうすか?本人に説明させればどうにか」

浦上「逆効果だと思うよ……」




五和「大体いつもあの人を……」ぶつぶつぶつぶつ




224: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:28:41.66 ID:exQTXM+L0



対馬「とにかく!これ以上あの子を刺激しない様にしましょ」


諫早「うむ」

牛深「そうだな」

香焼「了解っす」

浦上「了解!」


対馬「取り敢えずこの場は解散して――」





建宮「ふ、ふふ…」

建宮「ふはは、ふはははははははははははは!!」どーん





一同「「「「!?」」」」




225: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:36:29.13 ID:exQTXM+L0



諫早「建宮貴様っ、まだ生きておったのか!!」

牛深「あれだけの攻撃を受けてまだ立ち上がるとは……」わなわな


建宮「勝手に殺すんじゃないのよ!」

浦上「しーっ!静かにして下さい!」

香焼「てかなんすか、あの無駄に悪役じみた笑いは」




建宮「あれしきの傷でどうこうなるほどヤワな体じゃないのよ!!」

対馬「まったく……どうでも良いけど、また変なこと言って騒がないでよ?」

対馬「元はと言えば、アンタが不用意にあんなこと――」がみがみ



226: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:39:11.59 ID:exQTXM+L0



建宮「ほぅ……?」ニヤリ


対馬「な、何よ」

建宮「そんな口をきいて良いのか?俺は知ってるのよ?」

対馬「だから!なにが言いたいのかはっきりしなさい!」

建宮「ふ、あくまでそんな態度をとり続けるってなら、こっちにも考えがあるのよ……」

対馬「?」





牛深「うわ、なんてあくどい顔を……」

香焼「またしょーもない事考えてるに500ペリカっす」

浦上「私も」

諫早「ペリカ…?なんだそれは」



228: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/17(木) 19:49:53.41 ID:exQTXM+L0



建宮「お前さん達よく聞け……」

建宮「こんな偉そうなこと言っているが、実は対馬はな――」






建宮「この前、上条当麻とデェェェトッしてたのよ!!!!!!」どぎゃーーん






一同「「「「…………」」」」」

一同「「「「な、なんだとぉぉぉぉおおおおおお!!??」」」」ずぎゃーーん



対馬「んなっ、ば、バカ!!?アンタ何でそれを……///」わたわた



五和「……え?」




241: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:10:25.57 ID:N5Mxv8Tx0



諫早「対馬が、あの少年と……?」

浦上「うぇっ、え、対馬さんも!?」

対馬「違う!違うの!!あれは別にデ、デートなんかじゃ……//」

五和「…………」




牛深「そんなまさか!?上条当麻は○○の女性しか興味がないと聞いたぞ!」

香焼「何言ってんすか、あの上条大先生すよ?性別が女であればもう攻略対象だろと」

牛深「なんと……流石フラグ王……」

香焼「ロリ属性含めたローマ正教のシスター大半を陥落させたの見れば一目瞭然す」

諫早「だからこそ、金髪位しか特徴のない対馬も落としたのだと言えよう」

牛深「なるほど!!」

浦上「どんだけ失礼だ!!」



242: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:11:45.61 ID:N5Mxv8Tx0



対馬「余計なこと言うなって言った傍から何暴露してくれてんの!?」

建宮「はて?余計なことって何なのよ?」

対馬「とぼけるな!!……大体なんで知ってるのよ」



建宮「俺は曲りなりも『教皇代理』。仲間内の恋愛事情は知り尽くしているし、又、知り尽くす義務が有るのよな!!」



対馬「そんな義務無いわよ!!」





五和「対馬さんまで……やはり私は……」ぶつぶつぶつぶつ




243: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:12:59.18 ID:N5Mxv8Tx0



牛深「教皇代理!対馬の件についてもっと詳しく!」

建宮「まぁ、待て待て。今じっくり話してやるのよ」

対馬「建宮ァァア!!」



香焼「これは女教皇様に報告した方が良いすかね」

諫早「止めろ。そんな事をしたら今度こそ天草式は終わりだ」

浦上「二人とも変なこと言ってないで、教皇代理と対馬さんを止めてください!!」

香焼・諫早「「?」」

浦上「何ですごい不思議そうな顔してるんですか!?も~~!!」



244: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:15:30.43 ID:N5Mxv8Tx0



浦上「もう、ダメですよ教皇代理!!」

建宮「ん?」

浦上「女の子には誰にも知られたくない事の一つや二つあるものなんです!!」

浦上「それをそんな風に話しちゃ、対馬さんだって可哀想です!」




対馬「浦上……」

建宮「………なるほどな」

浦上「分かってくれましたか!」

建宮「あぁ。言いたいことは良く分かったのよ―――とすると、あれか?」

浦上「へ?」

建宮「あの事も言わない方が良いって事なのよな?」

浦上「あのこと……?」



245: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:16:29.49 ID:N5Mxv8Tx0






建宮「お前さんも上条当麻とデートしていたっつーことは」







一同「「「「…………」」」」

一同「「「「はぁぁああ!?」」」」


浦上「えぇぇぇぇええええええ!?」



五和「…………」ずーん




246: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:54:51.46 ID:N5Mxv8Tx0



牛深「女教皇様、五和、対馬に続いて浦上まで!?もう理解できない!!」

対馬「う、浦上……?」

浦上「いや!私だって違います!!ただ買い物に付き合ってもらっただけで!!」

香焼「二人で買い物行きゃ、もう立派なデートすよ」

浦上「だからーー!!何で言っちゃうんですかぁぁあ!?///」

建宮「てへっ☆」




五和「建宮…さん……」ゆら~

建宮「!?」







諫早「そうか……」

諫早「もう既に天草式は終わっていたんだな……」

諫早(たった一人の少年の手によって)





247: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:57:14.63 ID:N5Mxv8Tx0



―――



野母崎「―――うん、分かった。それ買って帰ればいいんだな」

野母崎「あぁ、先に建宮の所に寄っていくからあと二時間位かかると思うけど……」

野母崎「……はいはい、なるべく早く帰るよ。うん、じゃあ」

ピッ


野母崎「さぁ、さっさと建宮んとこに顔出して……」


たんたんたん



248: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 20:59:10.34 ID:N5Mxv8Tx0



がちゃっ

野母崎「こんにちわー……」








牛深「今のはかなり深く入ったぞ!?教皇代理!!しっかりしてください!!」

香焼「すごい音だったすね。流石にこれは死んだすよ」

牛深「カムバァァァアアアアック!!」


建宮「」




対馬「あぁ知られた知られた知られた……恥ずかしくて死にそうだわ……」

浦上「だからあれは違うんです……違うんです……////」




諫早「私がいながら何と言う始末。先人様に申し開きできん……」




五和「すき、きらい、どうでもいい……すき、きらい、どうでもいい……すき、きらい、どうでもいい……」








野母崎「…………」

野母崎(何があったんだ……)





251: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 23:11:25.01 ID:N5Mxv8Tx0



――夜



@女子寮・食堂




オルソラ「霊装の運搬、でございますか?」




上条「だから明日の昼飯とか、全部オルソラに任せっきりになっちまうけど……」

オルソラ「大丈夫でございます。このオルソラにどんと任せなさい、なのでございますよ」

上条「ははぁ、どうか宜しくお願いいたしますオルソラ様!」

オルソラ「ふふふ♪」



252: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/20(日) 23:16:36.18 ID:N5Mxv8Tx0



上条「ほら、オルソラの分」

オルソラ「ありがとうございます♪」

オルソラ「貴方様のいれる紅茶はいつもおいしいので、すっかり虜なのでございますよ」

上条「褒めすぎだって。俺はオルソラのいれてくれた方が美味いと思うけどな……まだまだ勝てねえよ」

オルソラ「えっへん、でございます」

上条「ははは」



261: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 05:26:29.08 ID:wkYSsVJW0



上条「ふぅ……」

オルソラ「落ち着きますね」

上条「そうだな」

オルソラ「~~~♪」

上条「…………」




上条「なぁ、オルソラ」

オルソラ「なんでございますか」



上条「その、いっつもオルソラばっかに任せちゃってるけど………嫌、じゃないか?」



262: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 05:31:42.31 ID:wkYSsVJW0



オルソラ「?何の事でございましょう?」

上条「明日のことだよ。それもひっくるめて色々と」

オルソラ「別に気にしていないのでございますよ」

上条「でも、俺が用事出来る度に、必ずと言っていいほど頼るのはオルソラだろ」

オルソラ「そうでございますね」


上条「それをいっつも快く引き受けてくれるのはありがてーけど、オルソラにも自分の仕事有るし……そっちの仕事は俺に手伝えることが無い……」

上条「迷惑のかけっぱなしだよなぁ、と思いましてね?」


オルソラ「貴方様……」

上条「その上、そのお礼も満足にしてやれてなくて……」

上条「そうこうする内に、また他の用事で頼んで負債が溜まって………あれ、よく考えたら俺って相当なダメ男なんじゃ……」


オルソラ「そんなことないのでございます」

上条「え?」



263: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 05:33:09.37 ID:wkYSsVJW0



オルソラ「貴方様は私に頼ることを、そしてその返礼が出来ていないことを引け目に感じている様でございますが」

オルソラ「そんなこと、気にしないでほしいのでございますよ」

上条「でも……」





オルソラ「嬉しいのです」

オルソラ「寮にいる他の誰でもなく、この私を頼ってくださることが」

オルソラ「そのことを気に掛けて、悩んでくださることが」

オルソラ「貴方様がそうして私を思ってくださることが、何よりの喜びで――」



オルソラ「そして――何よりの“お礼”なのでございます」





上条「オルソラ……」




264: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 05:45:40.72 ID:wkYSsVJW0




オルソラ「……なんて言ってしまいましたけれど」



ぎゅっ



上条「!?」

オルソラ「お礼と言うならば、二人で過ごす時間を大切にして頂けると、もっともっと嬉しいのでございますよ♪」

上条(む、胸が押し付けられて……や、柔らかい感触が!?///)

オルソラ「最近お互いに忙しくて、ゆっくりと出来なくなっていますでしょう?」

上条「そ、そそそうだな!」

オルソラ「それはちょっと寂しいのでございます……」

上条(ちょっ、その上目遣い可愛すg……そげぶそげぶ)



オルソラ「ですから、もう少しだけこうしてゆっくりとした気分に浸りたいのでございます」にっこり



上条(そうしたいのは山々だけれども、心臓のビートがマッハでそれどころではー!?)



265: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 06:14:28.23 ID:wkYSsVJW0



上条「は、はは……まぁ、そんなことで良ければ何時でも言ってくれよ」

上条(あんまりやられると上条さんの内なる獣が首をもたげそうになるから勘弁だけど……)

オルソラ「もう、『そんなこと』なんて言わないでくださいまし」ぷく~

上条「へ?」

オルソラ「貴方様だからこそ、私はお願いしたのでございますよ?」

上条「わ、悪い」

オルソラ「むぅ」じ~

上条(え、俺いま何か変な事言った?)

オルソラ「むぅ~」じ~~~

上条(分からん……それにしても怒った顔も可愛……そげぶそげぶ!)



266: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 06:16:48.55 ID:wkYSsVJW0



@神裂の部屋






神裂「…………」正座






《堕天使○○メイド》ででーん






神裂「あの時、気が動転して咄嗟に掴んで持って来てしまいましたが……」

神裂(改めて見ても、何て卑猥な衣装ですかこれは)

神裂(こんな物を着るなんてとても正気の沙汰とは―――って、これでは天に唾を吐くようなものですね)





“『何でさっき、あの衣装を着ていたんですか?』”





神裂「ぐっ……」

神裂(よりにもよって、あの場面を天草式の人間に見られるとは……神裂火織一生の不覚!!)



267: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 06:30:12.46 ID:wkYSsVJW0



神裂「取り敢えず、この衣装は明日の朝早くにでも元あった場所に戻してきてしまえば問題ないはずです」

神裂「あの二人には見られてしまったのは痛いですが……」

神裂(突然の事で、お互い混乱していましたし、真意まで気づかれてはいないでしょう)

神裂(……というか、いないであろうことを祈ります)





“『あの霊装級のメイドコスでねーちんが精一杯ご奉仕すれば、その「献身性」と「○○○」で、年上属性スキーのカミやん泣いて喜ぶに違いないにゃー!!』”





神裂「…………」

神裂「献身性と……え、○○○……///」



268: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 06:31:58.23 ID:wkYSsVJW0



神裂「ゴホンッ!!」

神裂「と、とにかく!この計画は中止です」

神裂(第一、明日は一般市街を移動するのですから、どのみちこんな衣装を着れるはずがない……迂闊でした)

神裂「まったく、またあの男に一杯食わされるところだった……」


ガサガサッ




神裂「……さて。何か飲んで、さっさと寝ますか」


がちゃっ



269: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 06:43:50.99 ID:wkYSsVJW0



神裂「食堂は……と、まだ灯りが付いている?」

神裂(こんな時間にまだ誰か起きていたとは―――まさか)


神裂「もしかして当麻///」きゅんっ


神裂「……な、何を考えているのですか私は!///明日に備えて早く寝なければいけn」ぶんぶんぶんぶん




<むぅ~~

<だ、だから悪かったって……




神裂「……ん?」

神裂(この声は当麻と……オルソラ?)

神裂「二人で一体何を……」



がちゃ……



270: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 07:04:47.80 ID:wkYSsVJW0



オルソラ「貴方様のそういう所は是非とも治していただきたいのでございますよ」ぎゅっ

上条「な、治すから……だから、その」

オルソラ「なんでございますか?」じ~~

上条「顔が、顔が近すぎるんじゃありませんかオルソラさん?」

オルソラ「そんな事ないのでございますよ」ずいっ

上条「そんなことあると思いまーす!!今明らかに近づいただろ!」


オルソラ「嫌、なので……ございますか……?」うるうる


上条「うっ!?嫌じゃない!嫌じゃないけども、上条さんも一応思春期の男の子なのでして…」

オルソラ「やはり、私となんて一緒にいたくないのでございますね」うるうるうるうる

上条「だー!!だから違うって!!むしろオルソラみたいな可愛い女の子とならずっとこうしていたいというのが正直な所と言いますか!?」




オルソラ「え……」

上条「あ……」




271: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 07:06:10.10 ID:wkYSsVJW0



オルソラ「……ふふ、貴方様にそう言っていただけるなんて、とっても嬉しいのでございます///」ぎゅ~~

上条「いや今のはですね、思わず洩れてしまった青春の雄叫びが………不幸だー……」

オルソラ「不幸、ですか?」うるうる

上条「いやちがっ!…って何回やるんだこのやり取り!!」

オルソラ「私はいま幸せでございますよ?」

上条「は……」

オルソラ「貴方様はいかがでございましょう?」

上条「…………」



上条「……し、幸せ……かな?」



オルソラ「ふふふふ♪//////」ぎゅ~~~~!

上条「あばばばばばばばばばばば/////」








神裂「…………」


ばたん……




272: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/26(土) 07:12:35.48 ID:wkYSsVJW0





上条「ばばばばばば………ん?」

オルソラ「?」

上条「いま入口の所に誰かいなかったか?」

オルソラ「私は気づきませんでしたが……」

上条「俺の気のせいかな…」

オルソラ「きっとそうでございますよ」ずいっ

上条「だから何で顔を近づけるのでせう!?」


いっちゃらこっちゃら








神裂「…………」


ぐっ


神裂「…………献身性と」


神裂「…………○○○ッ!!!」



281: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/30(水) 21:40:54.33 ID:r83EAjYc0



――翌日




アンジェレネ「えー!出かけちゃうんですかぁ?」



アンジェレネ「どうしてですかーー!!」

上条「ど、どうしてって言われましても……」

アンジェレネ「うぅ……今日は一緒に“ばばぬき”やろうって言ってたのに……」

上条「ごめんな、俺もつい昨日聞いたばっかで……」

アンジェレネ「うぅ!!」



282: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/30(水) 21:42:20.42 ID:r83EAjYc0



ルチア「駄々をこねるのをやめなさい、シスターアンジェレネ」

アンジェレネ「で、でも!!」

ルチア「でも、じゃありません!仕事ならば仕方がないでしょう?」

ルチア「我が儘を言って彼を困らせてはいけないと、何度言ったら分かるのですか!!」

アンジェレネ「我が儘じゃないですよぅ!!」




上条「お、落ち着けって二人とも……良いんだルチア。ありがとう」

ルチア「え?」

上条「ごめんな、約束してたんだもんな」なでなで

アンジェレネ「うん」

ルチア「ですがっ――」



283: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/30(水) 21:43:52.59 ID:r83EAjYc0



アンジェレネ「……ルチアおばさん」あっかんべー




ルチア「」ぷちっ




ルチア「シスターアンジェレネ!!!」

アンジェレネ「うひゃぁ!!」



だだだだだだ



<待ちなさい!!今日という今日は許さない!!

<うわーん!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい





上条「…………」

上条「……仲良きことは何とやら、かな」



284: ◆sVqYo3i6rc 2014/07/30(水) 22:23:41.11 ID:r83EAjYc0



アニェーゼ「朝っぱらから何騒いでんですか」

上条「おう、おはよう」

アニェーゼ「おはようごぜーます」だらん

上条「ナマケモノみたいになってるぞ」

アニェーゼ「昨日ちょっと夜ふかしちまいまして」

上条「そうか……ってそうだ。アニェーゼ」

アニェーゼ「?」

上条「今日の事、もしかして他のシスターに言ってなかったのか」


アニェーゼ「あぁ………忘れちまってました。てへっ☆」

上条「おい」



286: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:39:55.99 ID:EGX7ud/i0



アニェーゼ「いいじゃねぇですか。何か問題でも?」

上条「……いいえ」

アニェーゼ「でしょう?それより、ちゃんと準備して下さいよ。そろそろ時間です」

上条「大丈夫だ。ちゃんと昨日の内に準備はした」


どさっ


上条「まぁ、そもそも持ってくもんなんてほとんど無いしな」

アニェーゼ「そうですか。そしたら、これも渡しちまいます」さっ

上条「ん?何だその紙」


287: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:41:03.93 ID:EGX7ud/i0



アニェーゼ「委任状、みたいなもんですよ」

上条「委任状?……相手に渡せば良いのか?」

アニェーゼ「見せるだけでいいです」

上条「ふぅん……」

アニェーゼ「……まさか『委任状』の意味が分からないとか……?」

上条「し、知ってる!それくらいオツムの悪い上条さんでも知ってます!!」

アニェーゼ「…………」

上条「…………」




上条「……すみません、嘘つきました」

アニェーゼ「罰として、後でペテロの逆十字です」

上条「罰重すぎない!?絶対死ぬだろそれ!!」




288: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:43:01.33 ID:EGX7ud/i0



アニェーゼ「ちょっと想像してみて下さいよ」

アニェーゼ「霊装の引渡しに、まったく面識のない見た感じ至って平凡な少年が現れて」



『あ、どうも。例のブツ引取りにきやした~』



アニェーゼ「なんて言ってきたら、不審者だと思って怪しがって帰っちまいますよ」

上条「確かに――え、待って。今の変な奴って俺?」

アニェーゼ「だから、きちんとローマ正教から依頼されて来た人間だと証明するためにこの紙がいるんです」

上条「無視かよ……ってか、そんな紙一枚で本当に証明になるのか?」

アニェーゼ「なりますよ。私のサインが有りますし、特別な術式を施しましたし」

アニェーゼ「その筋の人が見れば一発で分かります」

上条「なるほど」

アニェーゼ「だから、その右手で絶対に触らないで下さい。絶対に」

上条「……分かりました」



289: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:46:39.44 ID:EGX7ud/i0



アニェーゼ「じゃあ、適当に丸めとくんで、さっさとしまっちまって下さい」

上条「はいはい」

アニェーゼ「くどいようですけど、右手で触ったらアウトですから」

上条「肝に銘じます」


がさごそ


上条「……あ、そうだ」

アニェーゼ「なんです?」



290: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:55:47.79 ID:EGX7ud/i0



上条「俺と一緒に行ってくれる護衛の人って、誰なんだ?」

上条「もうそろそろ出かけようかという時間なのに、俺まだ知らないんですが……」

アニェーゼ「あれ?言って無かったでしたっけ?」

上条「言ってないな」

アニェーゼ「そういう事は早く言えってんですよね……」

上条「それこっちのセリフ!!」



291: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 20:57:31.05 ID:EGX7ud/i0



アニェーゼ「付き人ですけど、貴方もよく知ってる人なんでしんp」



アニェーゼ「…………」



上条「ん?どうしたアニェーゼ」

アニェーゼ「………あ、あれ、あれ」ぷるぷる

上条「俺の後ろ?何か変なもの――」くるっ



上条「…………」




上条「お、お前はッ!!?」




292: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/04(月) 21:32:57.61 ID:EGX7ud/i0



――同時刻



@天草式




建宮「おい、皆渡ったか」



牛深「……あの、教皇代理」

建宮「?」

牛深「これは、何ですか?」

建宮「おいおい、知らんのか?これはな」


ばっ


建宮「超高性能トランシーバー、なのよ」

牛深「いや、それは分かってるが!!」



299: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/10(日) 22:39:53.21 ID:DZe/ZWVB0



香焼「そうじゃなくて、何でこんな物配ってんすか」

建宮「変なことを聞くんじゃねぇのよ。通信するために決まってるだろうが」

浦上「あれ?今日って何か有りましたっけ?」

野母崎「今日は非番のはずなんだけど……」




建宮「シャーラーップ!!」

建宮「オメェらの頭ん中はスポンジか?今日は上条当麻と女教皇様の記念すべきデートなのよ?」




建宮「こんな面白そうな……もとい、重大な事案を放っておくなんて、天草式の教皇代理として絶対に許されないのよ!!!!」




牛深「げ、下衆だ……」

香焼「完全に下心100%すよ、あの顔は」



300: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/10(日) 22:48:28.21 ID:DZe/ZWVB0



浦上「あれ、対馬さんと五和は?」

野母崎「そう言えば、姿が見えないね」

香焼「対馬ならまだ寝てるんじゃないすか?あの後、浴びるように酒飲んでたんで」

浦上「う、うわぁ……やけ酒……」

野母崎「彼女、そんなに飲める方じゃ無いのにな……」

香焼「んで。五和は、こっち」すたすたすた


がらがらっ



五和「Zzz………」




浦上「うわっ、酒臭いっ!!」

野母崎「……何で、押し入れで焼酎の瓶を抱えて寝てるんだい?」

香焼「いつもの事すよ。酒飲んで荒れて、押し入れに閉じこもって就寝」



301: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/10(日) 23:01:58.37 ID:DZe/ZWVB0



浦上「うぅ…どうしようか。起こした方が良いかな?」

野母崎「いつまでもここに寝かしておく訳にはいかないだろう」

香焼「水でもぶっかけるか」

浦上「女の子相手に何するつもりだ!!」

香焼「女だからこそすよ。ほら、水で服が濡れて良い感じに透ければ――」

浦上「へんたい!!」

野母崎「うっ……いや、ダメだ!俺には妻が……」

浦上「野母崎さんも!!悩まないでくださいよ!!」



302: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/10(日) 23:03:40.14 ID:DZe/ZWVB0



建宮「なーに騒いでるのよ」

香焼「あぁ、丁度いい所に。今から、五和に水かけて起こそうとしてたんす」

浦上「させないよ!!」

牛深「普通に起こせばいいだろ。何でそんn」

建宮「待て牛深……香焼よ、もしかしてそれは……」




建宮「五和にドッキリ☆スケスケ大作戦という事なのよな?」

香焼「ウィ」

浦上「何で分かるんですか!!」




303: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/10(日) 23:13:28.37 ID:DZe/ZWVB0



建宮「よしッ!今すぐ水道からホース繋いでっ」

浦上「『よしッ!』じゃねー!!させないからな!!」

香焼「これで良いすか?」

牛深「い、いや。こっちの方が水量が……」

浦上「んにゃー!!いい加減にしろー!!」



がやがやがやがや





五和「………んん……」

野母崎「やぁ、起きた?」

五和「んぅ………のも、ざきさん?」




309: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/11(月) 23:19:31.89 ID:JwXB04X70



野母崎「気分はどう?」

五和「…………」キョロキョロ

野母崎「ん?何か探してるの――」



五和「……どこれすか」じろっ

野母崎「へ?」



五和「だから……当麻さんはどこれすかーー!!」ばっ

野母崎「え!?いや俺知らなっ…ギャーーーーー!!」



どごぉぉぉおおん




310: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/11(月) 23:21:02.42 ID:JwXB04X70



浦上「あぁ!皆さんがバカなこと言ってる間に野母崎さんが!」

香焼「五和起きてたんすか……」

牛深「そ、そんな……野母崎……」

建宮「野母崎はオレ達のために犠牲となったのよ……合掌」

浦上「勝手に殺すな!!」

建宮「五和が起きてしまったからには、計画は中止なのよ。ほら、そこら辺のホースとかさっさと片しt」




五和「どこだーーーーーー!!!!」ずがん

建宮「ほぐはッ!?」べぶし




牛深「きょ、教皇代理ーー!?」



311: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/11(月) 23:23:55.49 ID:JwXB04X70



香焼「ダメっすね。昨日の酒がまだ残ってるみたいす」

浦上「ど、どうするの!?私たちだけじゃ五和止められないよ!」

香焼「急いで上条大先生に電話を」

浦上「だから仕事でしょ!」

香焼「ならばこの劇薬d……鎮静剤で動きを止めて……」

浦上「いま劇薬って言った!言い切った!!」

香焼「なんすかさっきから。文句ばっかり言いやがって」

浦上「だったらもっとマシな案出してよ……」

香焼「はぁ……仕方ないすね。とっておきの新兵器を使うか……」

浦上「新兵器…?」




312: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/11(月) 23:35:02.30 ID:JwXB04X70



がさごそがさごそ

香焼「確か、この辺にしまったはずなんすけど……」

浦上「ねぇ、本当に大丈夫なの?その新兵器って……」

香焼「教皇代理が心血を注いで作り上げた力作すから。安心していいすよ」

浦上「なんでだろう。不安が加速した気がする」

香焼「お、あった!!」

浦上「え、どれどれ?」




香焼「名づけて、『どこでもいっしょ ver.上条当麻』」じゃじゃーん


浦上「……ただのヘッドフォン?」




314: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 00:21:02.03 ID:T0KkTR+j0



香焼「違うすよ。やってみれば分かるすから」

浦上「やだよ、怖いし……」

香焼「まぁまぁ、取り敢えず付けて」

浦上「ひゃっ!」

香焼「で、名前を入力……う、ら、が、み、と」pi pi pi

浦上「ちょ、え、なに?」

香焼「はい、スタート」ぽちっ

浦上「ちょっと待って!」



しーーーーん



香焼「…………」

浦上「うぅ………ん?」



315: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 00:32:09.69 ID:T0KkTR+j0



浦上「ね、ねぇ、香焼くん。何も音しないけど……」



上条『よ、浦上!元気か』



浦上「へ?……えぇぇぇ!?か、上条さん!?」


上条『何だよ、俺のこと忘れちゃったのか?』


浦上「い、いいいいいやそんな!忘れるわけないです!ちゃんと覚えてます!!」


上条『はは、冗談だよ。久しぶりだな、浦上』


浦上「は、はい……お久しぶりです」


上条『いやー前に会った時より可愛くなってて、上条さんちょっとビックリしちゃいましたよ』


浦上「いえそんなこと……ってふぇぇぇえええええ!?/////」


上条『なぁ、浦上』


浦上「ふぁ、ふぁい?////」




上条『愛してる』




浦上「っあぁぁぁああああああああい!!!!///////」ばっ

香焼「あ、ちょっと。大事に使ってくださいよ」



317: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 00:42:25.89 ID:T0KkTR+j0



浦上「なに今の!?なに今の!!??」

香焼「だから、『どこでもいっしょ ver.上条当麻』すよ。ネーミング適当すけど」

浦上「だ、だっていま声が……はっ!まさかどこかに潜んでっ」

香焼「無いすよ。仕事だってさっき自分で言ってたじゃないすか」

浦上「だったらなんで……一体どこから声が!?」

香焼「ヘッドフォンからに決まってるだろ」

浦上「そ、そっか。そうだよね……でも、上条さんが私のこと……でへへ////」

香焼「よだれ拭いたほうがいいすよ」

浦上「へへへへ……はっ!!」




320: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 00:58:14.88 ID:T0KkTR+j0



浦上「うぅ……//」ごしごし

香焼「どうすか、この新兵器」

浦上「うん……確かにすごい破壊力だよ。五和ならひとたまりもないよ」

香焼「よし、早速これを五和に取り付けて……」

浦上「あ、待って!」

香焼「なんすか?」

浦上「その……どういう仕組みなの?それ」

香焼「仕組みすか?そんな大したこと無いすよ」




322: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 01:00:34.88 ID:T0KkTR+j0




香焼「長い間をかけて収集した上条当麻の声をデータ化して」

香焼「それらを分解・合成して様々なセリフパターンを作り出し」

香焼「それを自由自在に再生することが出来るようにしたソフトを内蔵したヘッドフォン」



香焼「更に本人の名前を入力すると、ちゃんと上条当麻がその本人の名前を読んでくれるようにし」

香焼「モードも“スタンダード”から“ヤンデレ”“宇宙人”みたいなものまで幅広く用意した」

香焼「正に、上条当麻好きの、上条当麻好きによる、上条当麻好きのためのマシーン!!」





香焼「定価格は、税込で5£位を考えてるらしいす」

浦上「普通にすごすぎるよ!!!!」




331: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 21:50:57.97 ID:T0KkTR+j0



香焼「そうすか?普通じゃないすかね」

浦上「私、会話出来てたよ?全然普通じゃないよ!」

香焼「そこはほら、魔術とか盛大にぶっこんでるすから」

浦上「あぁ……納得」

香焼「理解してもらえて何より」



香焼「で、これを五和に取り付ければ……」

浦上「暴走を止められる……かなぁ?余計熱上がっちゃったりしない?」

香焼「取り敢えず、やってみてからってことで」




332: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 21:54:07.00 ID:T0KkTR+j0




五和「ふ~~……ふ~~……」



野母崎「」でん

牛深「」ででん

建宮「」ででーん





浦上「うわぁ……地獄絵図」

香焼「三人の冥福を祈りつつ……せいっ」


かぱっ


五和「う……?」




333: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/12(火) 22:01:49.10 ID:T0KkTR+j0



五和「?……何の真似ですか」

香焼「い、つ、わ、と。入力完了」

五和「これは一体なんなんでs」




五和「!?!?」




五和「…………」




五和「当麻さん……////」にへらぁ





香焼「思ったより上手くいったすね」

浦上「うん。予想以上にあっさりだったね」

香焼「ヤバい顔してるすけど」

浦上「うん……言わないであげて……」




337: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/14(木) 00:59:32.87 ID:xi6gis4f0



対馬「ったぁ……頭痛い……」

対馬「昨日あんなに飲むんじゃなかったわ……」

てくてく

対馬「……はぁ、あいつらにどんな顔して会えばいいのか」



がらがらがら




野母崎「」

牛深「」

建宮「」




五和「も、もう、当麻さん……ダメですよぅ……でへへへへへ//////」でれでれでれでれ





対馬「…………」



338: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/14(木) 01:01:17.12 ID:xi6gis4f0



対馬(この状況にツッコミ入れたら負けよね)

浦上「あ、対馬さんおはようございます」

対馬「……え?あ、うん。おはよう」

香焼「二日酔い大丈夫すか?」

対馬「まだ頭痛いけど……まぁ、何とか」

浦上「よかった~」

対馬「…………」



対馬(何があったのかは、聞かないでおこう。うん)




339: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/14(木) 01:06:29.00 ID:xi6gis4f0




@女子寮の食堂




上条「お、お前はッ―――!!」

アニェーゼ「…………」


ごごごごごごごご



上条「――神裂!!………なのか?」


神裂「っ……は、はい///」




上条「おい、アニェーゼ。ちょっと」

アニェーゼ「…………」( ゚д゚)

上条「アニェーゼ!」

アニェーゼ「はっ!?」



343: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/15(金) 23:13:11.92 ID:B6cp2F0R0



上条「一体何が起きてるんだ!?」

アニェーゼ「そ、そんなのこっちが聞きてぇです!!」

上条「なんで……なんで……」




上条「なんで、神裂がフリルのたくさん付いたワンピースを着ているんだッ……!!」

神裂「?」




神裂「あの……当麻?」きゃるん

上条「うっ」



上条「(なんだコレ!?まさか今日の取引を知ったどこかの魔術師が――)」

アニェーゼ「(んなわけないでしょ……)」




344: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/15(金) 23:15:11.71 ID:B6cp2F0R0



神裂「当麻!」

上条「うおっ!?は、はい!」

神裂「……いきなりで申し訳ないのですが、聞きたいことが有ります」

上条「な、何を……?」

神裂「あのですね、その……」もじもじ





神裂「こ、この服装……どうでしょうか?おかしくないですか?////」





上条「クソッ!!おのれ魔術師!よくも神裂を!!」ばっ

アニェーゼ「落ち着いてくださいって!!ってか失礼でしょうが!?」




345: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/15(金) 23:19:28.16 ID:B6cp2F0R0



上条「わ、わりぃ……取り乱した」

アニェーゼ「帰ってきてもらえて何よりです」

上条「でもまさか、神裂があんな格好するなんてな……」

アニェーゼ「私も最初は心臓止まるかと思いましたけど……」

アニェーゼ「そんなにおかしいことじゃねぇでしょう。神裂火織だって女の子(笑)ですから」

上条「お前、神裂のこと馬鹿にしてんだろ」

アニェーゼ「してません……それより、良いんですか?」

上条「へ?」

アニェーゼ「あっち」




神裂「…………」しゅん




上条「あ~……」




347: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/15(金) 23:24:51.79 ID:B6cp2F0R0



アニェーゼ「無視するからしょげかえっちまってます」

上条「意外とメンタル弱いよな、神裂って」

アニェーゼ「ほら、さっさと決めて来ちまってください」

上条「決めるってなんだよ」

アニェーゼ「いつものように、サラッとたらしこんできて下さいつってんですよ」

上条「人聞きが悪い!!」



アニェーゼ「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと行く!!」どんっ

上条「うわっっと!」




355: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/20(水) 17:55:53.62 ID:/0OGsLQ50



神裂「…………」しゅん

上条「っと……神裂?」

神裂「……何ですか?」ちらっ


上条「その……神裂が着てるその服、なんだけど……」

神裂「!!」ばっ


上条「何と言うか……」

神裂「は、はい……////」わくわく

上条「えっとですね……」

神裂「…………///」






シェリー「…………」にやにやにやにや


上条・神裂「「!?」」




356: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/20(水) 18:48:02.58 ID:/0OGsLQ50



神裂「い、いいいいいいいいいいったいいつからそこに!!??」

シェリー「何時からって……」



“神裂『こ、この服装……どうでしょうか?おかしくないですか?////』”



シェリー「の所から」

神裂「そんな!?」

上条「ほとんど初めから聞いてたんだな……」

シェリー「悪いかよ」

上条「悪かないけど……」

シェリー「あのセリフ良かったな。『おのれ魔術師!よくも俺のかおりんを!!』」

上条「言ってませんが!!??」




357: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/20(水) 18:55:50.99 ID:/0OGsLQ50



アニェーゼ「ちょっと、何バレてんですか」

シェリー「中々言い出さないから、じれったくなって」

上条「え、アニェーゼさん?」

アニェーゼ「はい、アニェーゼさんですが何か」

上条「……気づいてたのか?シェリーに」

アニェーゼ「当たり前じゃないですか」

上条「おぅ……」

アニェーゼ「お二人が全然気づかないんで、笑いこらえるの必死だったんですよ。謝りやがれ」

上条「なんで!?」




358: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/20(水) 19:21:59.86 ID:/0OGsLQ50



シェリー「おい、当麻」

上条「はい…なんでせう?」

シェリー「アニェーゼと夫婦漫才も良いけど、ほら」





神裂「最近の私はいつもこうです……」ずぅぅううん





シェリー「流石にもう立ち直れなさそうだな」

アニェーゼ「何やってんですか」

上条「だから!!全部俺が悪いの!?」

シェリー「女泣かせて放って置くとは……下衆だな」

アニェーゼ「てかそろそろ出発しないと遅刻しちまいますよ」

上条「だぁぁ!!神裂ぃぃぃいい!!」




366: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/21(木) 22:43:25.90 ID:EdDzcqXi0



―十分後―



上条「そんじゃ、行ってきます」

シェリー「はいはい、行ってらっしゃい」

アニェーゼ「ハンカチとティッシュは持ちました?」

上条「俺は子供か!!ホントそう言うのどこで覚えてくるんだ……」

シェリー「土御門だろ」

上条「あのヤロウ!!!」




367: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/21(木) 22:51:02.55 ID:EdDzcqXi0



神裂「…………」しゅん

上条「か、神裂さんはもう準備出来てらっしゃいますか?」

神裂「はい……」

上条「では、出かけようと思うのですが……宜しいですか?」

神裂「はい……」





シェリー「あら、元に戻らないな」

アニェーゼ「あの服着るので精一杯だったんでしょう。キャパオーバーってやつです」

シェリー「護衛として大丈夫なのかそれは」

アニェーゼ「……さ、さぁ?」





シェリー「はぁ、いつもの“不幸”が起きない事を神に祈るとしようかしら……意味ないだろうけど」





368: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/21(木) 23:04:24.29 ID:EdDzcqXi0



上条「行ってきます」

神裂「…………」ぺこり


バタンッ





シェリー「っと。さ、あたしはブランチでも頂くとするか」

アニェーゼ「…………」

シェリー「ん?」



アニェーゼ「…………」しゅん



シェリー「…………」

シェリー「へぇ~」にやにやにやにや




369: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/21(木) 23:18:01.74 ID:EdDzcqXi0



シェリー「神裂火織に大好きなパパ連れてかれちゃって、寂しいか」

アニェーゼ「なッ!?」

シェリー「分っかりやすいね~」

アニェーゼ「な、何言ってやがるんですか!!そんな訳無いでしょう!?」

アニェーゼ「パp…上条当麻は仕事に行くだけですからぁ!!」

アニェーゼ「そもそもそれを頼んだのが私ですし?!寂しいとかそんなっ――」




シェリー「年頃の女と二人でお使いに行くだけの簡単なお仕事です。ってか?」

アニェーゼ「あ、あぅ……」




370: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/21(木) 23:25:53.82 ID:EdDzcqXi0



シェリー「そら確かに、あいつに頼んだのはあんたかも知れないけど」

シェリー「まさか、神裂があんな姿で登場するとは夢にも思っておらず」

シェリー「今更ながらにちょっと不安になってきたんだと、そういう事だろ?」




アニェーゼ「…………」

シェリー「どうやら図星のようね」

アニェーゼ「…………」うるっ

シェリー「あいつ、年上に弱いからな……もしかしたらいつもと違う雰囲気の神裂にコロッと落とされちまうかも」

アニェーゼ「……ふぇ」

シェリー「え?」





アニェーゼ「ふぇぇぇぇえええええええん!!」




378: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:31:12.55 ID:rnuqyKx30



シェリー「えっ、ちょっと噓でしょ!?」

アニェーゼ「うぁぁぁああああああん!!」

シェリー「な、泣くことないだろ!ほら落ち着けって…」

アニェーゼ「違うもん!!パパはそんな人じゃないもん!!うぁぁあああああん!!」

シェリー「そ、そうだな!あたしが間違ってたわ!!だから泣くなっt」

アニェーゼ「ふぇぇぇええええええええん!!」

シェリー「うるせぇぇぇえええええええええ!!」




379: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:33:04.55 ID:rnuqyKx30



がちゃっ



オルソラ「あらあらあら、これは何の騒ぎでございましょう?」



シェリー「お、オルソラ!丁度良かった!」

オルソラ「丁度良い?」

シェリー「助けてくれ!!」

アニェーゼ「うぁぁぁああああああああん!!」

オルソラ「これはこれは……」

シェリー「もうあたしには手がつけられねぇ」

オルソラ「そうでございましたか……ほ~ら、落ち着いて下さいな」ぎゅっ

アニェーゼ「ふぇぇぇ……ぐすっ」




380: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:39:46.61 ID:rnuqyKx30



オルソラ「もう大丈夫でございますか?」なでなで

アニェーゼ「……ぅん」ぎゅっ

オルソラ「ふふっ♪」

アニェーゼ「……///」



シェリー「流石だな。ありがとう、助かった」

オルソラ「いえいえ~。それより、何があったのでございますか?」

シェリー「え?……気になる?」

オルソラ「はい。アニェーゼさんがこの様になってしまうのは非常に珍しいことですから」

オルソラ「言いにくいことなら、無理にとは申しませんけれども……」

シェリー「あー、そんな大したことじゃないから話すわ」

アニェーゼ「…………」じー

シェリー「……だから悪かったてば、睨むなよ」




381: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:41:30.14 ID:rnuqyKx30



シェリー「すんげぇぶっちゃけて言うとな、当麻がついさっき出掛けてったんだけど、そのことでちょっと」

オルソラ「なるほど。あの方のことでございましたか」

シェリー「あれ、気づいてた?」

オルソラ「何となくですけれど。、アニェーゼさんがこの様に感情的になるのは、決まって彼が関係している時でございますよ」

シェリー「そういやそうだな」

オルソラ「一緒に行きたかったのでしょうか?」

シェリー「いや、そうじゃなくて。本気出した神裂にびびっちまったんだよ」

オルソラ「神裂さん?当麻さんでは無くてですか?」




382: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:44:13.14 ID:rnuqyKx30



シェリー「ほら、今日当麻一人で行かせるのもどうだってことで、神裂が同行することになってただろ?」

オルソラ「そうだったのでございますか?」

シェリー「聞いてなかった?」

オルソラ「えぇ……」

シェリー「何だ、あいつオルソラにも話してなかったのかよ」

オルソラ「……お話、続けて下さい」

シェリー「あぁ……それで、護衛役として付いてくはずの神裂がめかしこんできてるの見て仰天しちまったってこと」

オルソラ「…………」




383: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:49:38.88 ID:rnuqyKx30



シェリー「いや、当麻達が出発する前から妙に機嫌悪いなとは思ってたんだけど」

オルソラ「…………」

シェリー「二人が出てった途端に露骨にしょげくり返ってるから、ちょっとからかってやろ」


オルソラ「ちょっと待って下さいまし」


シェリー「うと思って……あ?」

オルソラ「……少し確認したいことがございます」

シェリー「あ、あぁ……良いけど?」




384: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 18:52:13.69 ID:rnuqyKx30



オルソラ「……今日、当麻さんは仕事でお出かけして、それに神裂さんが同行していると……『二人っきり』で」

シェリー「他に頼んでなかったみたいだから、そうね」

オルソラ「おまけに随分とめかしこんで?」

シェリー「ふりっふりの白いワンピース着てたぞ」

オルソラ「…………」





オルソラ「ふふふふふふ……そうでございますか……ふふふふふふ……」ごごごごごごごごごご





シェリー(ヤバい、笑顔なのに目が全然笑ってない。これヤバい)

アニェーゼ「…………」ぶるぶる




387: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 19:05:16.55 ID:rnuqyKx30



@ルチアの部屋



ルチア「良いですか、シスターアンジェレネ。次はありませんよ」

アンジェレネ「はいぃ……すみませんでしたぁ……」

ルチア「まったく……」




アンジェレネ「……あ~あ」

ルチア「……まだ何か?」

アンジェレネ「ち、違いますよ!!」




388: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/23(土) 19:06:12.59 ID:rnuqyKx30



アンジェレネ「今日はお兄ちゃんと遊ぶ予定だったから、暇になっちゃったなぁって思っただけですよぅ!」

ルチア「暇なら、あの散らかった部屋を片付けるなり、教義の修業に励んだり、週末のバザーの準備をするなり……やることならいくらでもあるでしょう」

アンジェレネ「え~~、でも雨降ってきそうじゃないですか!」

ルチア「全て室内で出来ることですが」

アンジェレネ「うぅぅ……」

ルチア「はぁ……」




394: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 19:00:54.58 ID:Ty2MmW1m0



アンジェレネ「はぅぅ……」

ルチア「だらしがないですよ」

アンジェレネ「部屋の中でできること……う~ん……」

ルチア「ですから――」

アンジェレネ「そうだっ!」



アンジェレネ「お兄ちゃんのかわりにシスターオルソラに遊んでもらえばいいじゃないですか!!」




395: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 19:02:15.88 ID:Ty2MmW1m0



ルチア「は?」

アンジェレネ「ナイスアイデアだと思いませんか?」

ルチア「思いませんが」

アンジェレネ「そうと決まればレッツゴーです、シスタールチア!」

ルチア「え、いや私はっ…」


アンジェレネ「わーい!!」だだだだだ


ルチア「ちょっと待ちなさいシスターアンジェ、あっ……!」




396: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 21:28:12.20 ID:Ty2MmW1m0



だだだだだだだだ



がちゃっ


アンジェレネ「シスターオルソラー!!あっそびっましょー!!」




シェリー「はぁ?」

オルソラ「おはようございますアンジェレネさん」

アンジェレネ「おはようございます!」

シェリー「また面倒なのが来やがった……」




397: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 22:30:48.28 ID:Ty2MmW1m0



アンジェレネ「め、面倒って……」

シェリー「ほら、正教のシスターどもはあんたの管轄だろ」

アニェーゼ「もう違いますって」

アンジェレネ「あれ?シスターアニェーゼもいたんですか?」

アニェーゼ「…いちゃ悪いんですか」

シェリー「ついさっきまで、オルソラに抱きついて泣いてたんだこいつ」

アニェーゼ「はっ!?な、泣いてなんかねぇですけれど!?」

シェリー「言葉が乱れてんぞ」

オルソラ「ふふっ」

アンジェレネ「へ、な、泣いてた?シスターアニェーゼがですか……?」




398: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 23:03:48.52 ID:Ty2MmW1m0



アンジェレネ「もっと詳しく聞かせてください!!」

アニェーゼ「詳しくって!!なに目光らせてんですか!!」

シェリー「まったく、しかたないわね……」

アニェーゼ「そうですよ!第一、私は泣いてなんk」



シェリー「こっち来い、詳しく話してやる」

アニェーゼ「ちょっ!?」




399: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 23:05:28.85 ID:Ty2MmW1m0



オルソラ「シェリーさん、アニェーゼさんを苛めてはダメでございますよ」

シェリー「苛めてはないだろ」

オルソラ「めっ、でございます」

シェリー「はいはい……だとさ、アンジェレネ。諦めな」

アンジェレネ「えーー!?」

アニェーゼ「ほっ……」




400: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 23:09:43.00 ID:Ty2MmW1m0



がちゃっ


ルチア「は、はぁ……し、シスターアンジェレネ……」

アンジェレネ「わっ、シスタールチア!」

ルチア「見つけましたよ……」

アンジェレネ「助けてーー!」



アニェーゼ「今度は何やらかしたんですか……ってなんで私の後ろに隠れるんです!?」

アンジェレネ「匿ってください!!」

ルチア「はぁ……はぁ……」

アニェーゼ「いやいやいやいや」




401: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/24(日) 23:10:52.27 ID:Ty2MmW1m0



アンジェレネ「動かないで下さい!見えちゃいます!」

アニェーゼ「体格がほとんど変わらねぇんですから無理に決まってんでしょうが!?」

ルチア「隠れても、無駄ですよ……」

アニェーゼ「ほら、馬鹿なことやってないでさっさと謝っちま」




ルチア「二人ともお仕置きです」

アンジェレネ「いやだーー!!」

アニェーゼ「私も!?何で!?」




405: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/26(火) 23:33:00.29 ID:tjfxF85v0



シェリー「何やってんだか……」がさっ

オルソラ「あら、どちらへ?」

シェリー「ちょっと準備してくる」

オルソラ「準備……でございますか」

シェリー「そう。紅茶いれといて」

オルソラ「なにかお仕事をされるなら、コーヒーの方が宜しいのではございませんか?」

シェリー「いや、仕事じゃないから」

オルソラ「?」




406: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 00:04:27.49 ID:5X9+6NGV0



ルチア「さぁ、壁を向いて並んで立ちなさい」

アンジェレネ「わーん!主よ、私たちをお救いください!!」

アニェーゼ「だからなんで私まで!?」




オルソラ「はーい、そこまで!でございます」

ルチア「邪魔しないで下さいシスターオルソラ。この子達に罰を……」

オルソラ「落ち着いてください」

ルチア「私は落ち着いています」

オルソラ「ほら、そんな怖い顔しないで欲しいのでございますよ。いまとっても美味しい紅茶をいれますから……ね?」

ルチア「うっ………はい」

オルソラ「そちらのお二人も、座って待っていてくださいな」


アンジェレネ「はーい!」

アニェーゼ「た、助かった……」




407: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 17:42:40.58 ID:5X9+6NGV0



アンジェレネ「スコーンは?スコーンはありますか?」

オルソラ「生憎、今は用意がないのでございます。代わりに、Walkersのショートブレッドで我慢してください」

アンジェレネ「ぜんぜんOKです!あれも美味しいですよね~」

アニェーゼ「ついさっきまでの態度は何処へ……」

アンジェレネ「いちじくのジャムもいっぱいつけてください!!」

オルソラ「了解です♪」

アニェーゼ「げっ……」




409: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 19:27:18.53 ID:5X9+6NGV0



アニェーゼ「どんだけ甘党なんですか……」

アンジェレネ「えー、美味しいのになぁ」




がちゃっ


シェリー「よっと」

ルチア「あ、シェリー……その荷物は?」

シェリー「ん、後で説明してやるよ。オルソラは?」

ルチア「今、紅茶をいれに行っています」

シェリー「あら、まだだったの」




410: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 19:29:59.38 ID:5X9+6NGV0



シェリー「ま、良いか。よっこらせっと」どさっ

アニェーゼ「どこ行ってたんです?」

シェリー「自分の部屋だよ」

アンジェレネ「あ、これクレヨンですか?」ひょいっ

シェリー「おい!勝手に触るんじゃねぇよ。クレヨン違うから」



ルチア「シスターアンジェレネ、もしテーブルに落書きをしたら……分かっていますね」

アンジェレネ「ひぃっ!ちゃ、ちゃんと紙に描きますよぅ……」

シェリー「いや、問題はそこじゃないから!触るなっつってんだろ!!」




411: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 19:34:53.27 ID:5X9+6NGV0



オルソラ「お待たせしました~紅茶とビスケットですよ~」

アンジェレネ「待ってました!」

ルチア「す、すみません。手伝いもせず……」

オルソラ「気にしなくてよいのでございます♪」




オルソラ「はい、シェリーさん。ご所望の紅茶でございますよ」

シェリー「ありがとさん」

オルソラ「はい、アニェーゼさんも」

アニェーゼ「どうもです」




413: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:36:36.08 ID:5X9+6NGV0



シェリー「ふぅ、うまい……さってと」


がさごそ


シェリー「一丁やるか」

ルチア「あの、さっきも聞きましたがその荷物は?」

シェリー「ゴーレムの材料よ」

ルチア「あぁ、ゴーレm……はい?ゴーレム?」

シェリー「イエス、ゴーレム」

ルチア「え……は?」




414: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:40:29.89 ID:5X9+6NGV0



アニェーゼ「またアレ作るんですか」

オルソラ「エリスちゃんでございますね」

シェリー「ちゃん付けすんな。あと、今日のはコイツ」


ぎょろっ


アニェーゼ「わっ!何ですかこれ……眼球?」

アンジェレネ「こ、こわい……」

シェリー「そうか?結構イケてるだろ」

アニェーゼ「美的感覚どうなってんです」

シェリー「王立芸術院の先生様にそれ言う?」




415: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:44:08.87 ID:5X9+6NGV0



ルチア「これがゴーレム……」

シェリー「追跡・偵察用にあと何個か作らないとな」

ルチア「追跡?偵察?」

アニェーゼ「え、ちょっとまさか……」

アンジェレネ「?」


オルソラ「…………」

ルチア「どういうことです?何を追跡するって言うんですか?」

アニェーゼ「いや、シスタールチアは聞かないほうが……」

ルチア「シスターアニェーゼ、少し黙っていて下さい」

アニェーゼ「えぇぇ……」




416: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:46:25.49 ID:5X9+6NGV0



シェリー「何をって、決まってんだろ」

ルチア「それを教えてください!」

アニェーゼ「いや、ちょっ」

シェリー「だーかーら」





シェリー「当麻と神裂のデートをだよ」





ルチア「!!??」がたっ

オルソラ「…………」ぴくっ

アニェーゼ「あ、あ……」ぶるぶる

アンジェレネ「ふぇ?でーと?」きょとん




419: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:50:51.55 ID:5X9+6NGV0



ルチア「い、いま『デート』と言いましたよね」

シェリー「言ったわよ」

ルチア「今日、二人はローマ正教宛ての仕事を……」

シェリー「そう。仕事ついでにデート。二人で仲良くデート」

ルチア「んなっ……!?」

アニェーゼ「ちょっと!!?」



アンジェレネ「で、でーとって、どういうことですか……?」

オルソラ「……本当に、どういうことなのでございましょうね」ごごごごご

アンジェレネ「ひっ!シスターオルソラが初めて見る顔になってるぅ!」




420: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:52:28.99 ID:5X9+6NGV0



がばっ


アニェーゼ「(なんでそう適当なこと言っちまうんですか!!)」

シェリー「(バカ、適当なんかじゃねえよ)」

アニェーゼ「(うそつき!!絶対楽しんでるでしょうが!!)」

シェリー「(だから違うって、ちゃんとあたしなりの考えがあるんだよ)」

アニェーゼ「(……考え?)」

シェリー「(そう。こうやって少し大袈裟に話しておけば……)」

アニェーゼ「(おけば……?)」




シェリー「(なんだか面白そうな反応見せてくれそうじゃない?)」

アニェーゼ「やっぱり楽しんでんじゃねーですか!!!」ぎゃーん




421: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:55:23.89 ID:5X9+6NGV0



ルチア「シェリー!!く、詳しく話をっ!!」

シェリー「話聞くより、自分の目で見た方が良いでしょ」

ルチア「ですが、覗き見の様な真似は……」


アンジェレネ「私も!私も見たいです」

シェリー「よし、アンジェレネこっち来い。オルソラも見るだろ?」

オルソラ「えぇ、勿論♪」ごごごごごご

シェリー「ほら、あんたはどうする?」

ルチア「う…………」

ルチア「…………」





ルチア「……み、見ます!」

シェリー「はいよ」にやにやにやにや

アニェーゼ「あぁぁ……」




422: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/27(水) 23:57:05.96 ID:5X9+6NGV0



@ロンドン市街




上条「…………」

神裂「…………」


てくてく


上条「…………」

神裂「…………」


てくてく



上条「…………」

上条(……き、気まずい)



神裂(はぁ……)




423: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/28(木) 00:07:07.39 ID:iqW6RZIf0



上条(マズい……寮を出てからお互い一言も喋ってない)

上条(今日一日ずっとこのままってのもな……)

上条「…………」ちらっ



神裂「…………」むすっ



上条(お、怒ってる……っぽい)

上条(……ここは一つ、俺の話術でどうにかこの空気を和らげるしか無い!)

上条(よ、よし)




427: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/28(木) 22:58:17.37 ID:iqW6RZIf0



上条「あー……雨、弱くて助かったな!」

神裂「……この街では強い雨は殆ど降りません」

上条「そ、そうですよね……」

神裂「そうです」

上条「み、みんな傘差してないのも、やっぱり慣れないんだよ俺。日本じゃこれくらいでもh」

神裂「こんな小雨ですから、基本的に傘を差す習慣がありません」

上条「で、ですよね~………」

神裂「はい」

上条「…………」

神裂「…………」




428: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/28(木) 23:13:43.12 ID:iqW6RZIf0



上条(ダメだ……和らげるどころかカウンター食らって上条さんの心折れそう……)

上条(どうしてこんな事n)


上条(……そうだ。きっとこれは幻想だ……)


上条(きっと霧雨が俺に見せている幻想に違いない!というか、そうであってください!!)

上条(それなら、この右手で――)



ぶんっ ぶんっ



上条「その幻想をぶt」

神裂「何をしているんですか」

上条「ひゅぴっ」




429: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/28(木) 23:16:25.59 ID:iqW6RZIf0



上条(あぁぁぁぁぁぁ!!なにやってんだよ俺は!?)

上条(『霧雨が見せた幻想』ってなんだよ!!そんな訳ないだろ!?現実に決まってんじゃん!!)

上条(現実逃避しちゃう自分自身にそげぶっ!!そげぶっ!!)



上条「あ、な、何でもありません……すいませんでした~……」

神裂「今は仕事中ですよ。ふざけた行動は慎んでください」

上条「本当にすいませんでした……」



上条(これ余計怒らせちゃってないか?はは、終わった……)


神裂(……ばか)




430: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/28(木) 23:21:51.79 ID:iqW6RZIf0



てくてく


上条「…………」

神裂「…………」



上条(なんかもう、取り返しがつきそうにない……)

上条(いや、諦めんな俺。考えろ、考えるんだ!)

上条(確かこんな時にどうすれば良いのか聞いたことが――)



上条「!!」




440: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/29(金) 23:56:51.42 ID:MFCtMd0B0



上条(そうだ、何か問題が起きたら先ずは原因を探れって、諫早師匠が言ってたっけ)

上条(原因………やっぱり、出掛けるときに何かあったんだよな)

上条(あのとき確か―――)





“神裂『こ、この服装……どうでしょうか?おかしくないですか?////』 ”

“上条『クソッ!!おのれ魔術師!よくも神裂を!!』”



“シェリー『あのセリフ良かったな。「おのれ魔術師!よくも俺のかおりんを!!」』 ”

“上条『言ってませんが!!??』”



“アニェーゼ『お二人が全然気づかないんで、笑いこらえるの必死だったんですよ。謝りやがれ』”

“上条『なんで!?』”





上条「…………」

上条「そうか!!」




441: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/29(金) 23:59:12.97 ID:MFCtMd0B0



上条(そう言えば出掛けるとき、ジタバタしてたせいで何も食べずに出てきちまったんだよな!)

上条(と、言うことは!神裂はいま腹が減っているに違いない……)ちらっ



神裂「…………」ずーん



上条(うん!心なしか腹が減っているような顔をしている気がしなくも無い!だから機嫌が悪かったんだな)

上条(……さすがです師匠。あなたのお陰でなんとかなりそうだ!!)キリッ







諫早「ぶへっくしょい!!」

<あれ、諫早さん。風邪っすか?

諫早「いや、違うと思うんだが……っぶしょい!」




443: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:05:35.74 ID:wfgKEdi10



上条(そうと分かれば!)



上条「なぁ、神裂」

神裂「はい」

上条「なんか食いたいものあるか?」

神裂「……は?」

上条「朝何も食ってないから、腹減ってるだろ?そこら辺の店で軽く食べ」

神裂「減っていませんが」

上条「ていかな……え?なんて?」

神裂「ですから、減っていません」

上条「え、あ……そ、そうか」

神裂「…………」

上条「…………」




445: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:08:58.75 ID:wfgKEdi10



上条(あっるぇぇぇぇえええええ!!?)

上条(違ったの!?お腹空いてたんじゃなかったんですか!?)

上条(『これで決める(キリッ』じゃねーよ!!恥ずかしっ!俺恥ずかしっ!!)



てくてく


上条「…………」

神裂「…………」



上条(……もう打つ手なし、か……)

上条「……はぁ」



神裂「…………」しゅん




446: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:11:47.32 ID:wfgKEdi10



Side:天草式



建宮「あっちゃぁ……あいつは何やってるのよ!」

牛深「いやぁ、女教皇様のあんな表情初めて見ましたよ俺」

香焼「いつもなら、お得意のラッキースケベを2、3発ぶちかましててもおかしくない頃なんすけどね」

野母崎「いや、この状況でそんな事したら不味いと思うけど……」

建宮「とにかく、引き続き監視を怠るな。いざとなったら作戦αを実行するのよな」




対馬「はぁ……なんで私たちがこんなことしなくちゃいけないのよ」

浦上「まぁまぁ対馬さん。良いじゃないですか、今日は仕事お休みだったんですよね?」

対馬「休みの日だからこそ、よ。二日酔いで頭痛いし、訳も分からず連れ出されて当…上条当麻の尾行だなんて……」

浦上「はは……」



447: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:16:35.64 ID:wfgKEdi10



対馬「そもそも全員で尾行するならトランシーバーいらないじゃない」

浦上「100%教皇代理の趣味だと思います」

対馬「でしょうね……ところで、五和は?あの子も一緒に来てるんでしょ?」

浦上「来てるには、来てるんですけど……」ちらっ

対馬「どうしたの?あの子また」ちらっ






五和「も、もうっ、当麻さんの○○○……でへへへへへへへへへ//////」でろでろ






対馬「酒でも………あぁ」

浦上「はい。こう言う訳でして……はは」




448: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:19:50.12 ID:wfgKEdi10



対馬「朝から気になってたんだけどさ、あのヘッドフォンで五和は何を聴いてるの?」

浦上「えぇとですね、何と言いますか……」

対馬「通報されてもおかしくない顔になってるけど……大丈夫なの?」

浦上「大丈夫、ではないかもです。あれの依存性はハンパないので」

対馬「依存性って……ちょっと、まさか」

浦上「いやいや!危ないものじゃないですから!安心してください」

対馬「本当に?」

浦上「はい!」

対馬「なら良いけど……うわ、また変な声で笑って……」

浦上(ごめんなさい対馬さん。それ、本当は十字教界を転覆しかねない最強兵器だったりします……)



449: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/30(土) 00:24:08.68 ID:wfgKEdi10



牛深「うーん……女教皇様の機嫌直らないな」

香焼「もう作戦突入すか?」

建宮「待て、もうしばらく様子を見る」

野母崎「あ!また彼が動き出しましたよ」



建宮「よしよし、それでこそ上条当麻だ……テメェら、目を離すんじゃねぇのよ!」



453: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/31(日) 00:25:11.13 ID:iOYohL/T0



上条「……なぁ、神裂」

神裂「なんですか」


上条「その……ごめんな」


神裂「え?」

上条「本当にごめん!この通りだ!」がばっ

神裂「き、急にどうしたんでs」

上条「もう本当に申し訳ありませんでした!!」どげざー

神裂「だから!!なんですか急に!!」




上条(もう原因を探っててもらちがあかねぇ!!)

上条(正直に謝っちまおう。多分また知らないうちに何かしらやらかしたんだろうし……)

神裂「こ、こんな天下の往来で土下座しないでください!!ちょっと!?」




460: ◆sVqYo3i6rc 2014/08/31(日) 18:38:47.15 ID:iOYohL/T0



上条「俺バカだから気づかないけど、何か神裂の気に障る様なことしちまったんだろ」

神裂「そ、それは……とにかく土下座をやめてください!!」

上条「もうこれ以上、お前にそんな顔させたくないんだよ」

神裂「!!」






牛深「ど、土下座……」

香焼「さすが大先生す」

野母崎「褒めるところじゃないだろう……」




465: ◆sVqYo3i6rc 2014/09/01(月) 23:44:17.71 ID:iPtFqSuf0



上条「ま、そうさせたのは俺なんだろうけど……せっかくの休みの日に、こっちの都合で無理やり仕事つき合わせておいてな」

神裂「それは……」

上条「護衛だけど、嫌だったら本当にすぐ帰ってくれて構わない。俺一人でも大丈夫だ……と思う。確信はないけどな」

上条「とにかく、俺は神裂に嫌な思いさせたままっていうのは嫌だからさ。一発ぶちのめしたいとかも、それで気が済むならやってくれ」

上条「ま、俺が仕事出来るくらいの余力は残しておいてくれると助かる」

神裂「…………」





浦上「まぁまぁカッコいいこと言ってるのに、土下座で台無しですね」

対馬「そ、そうね……」


五和「そんな……当麻さんがそう言ってくれるだけで私……あぁん/////」でろでろ




466: ◆sVqYo3i6rc 2014/09/01(月) 23:46:32.98 ID:iPtFqSuf0



神裂「…………」

上条(謝るだけ謝った……後は神裂がどうするか……)



神裂「顔を上げてください……当麻」さわっ

上条「え?」



上条「か、神裂……?」

神裂「もう良いんです」なでなで

上条「もう良いって……は?」

上条(え、なんで……)


上条(なんで俺はいま頭を撫でられてるんでせう!?)ぎゃーん




467: ◆sVqYo3i6rc 2014/09/01(月) 23:51:44.58 ID:iPtFqSuf0


上条(『怒らせてしまった同僚に謝っていたら、何故か頭をなでなでされた』)
             
上条(……な、何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何がなんやらさっぱりだ!)

上条(助けて師匠!!)






諫早「っぶしょいっ!!」

<あはは、またくしゃみしてるー

諫早「……やはり風邪でもひいたか」




468: ◆sVqYo3i6rc 2014/09/01(月) 23:53:26.24 ID:iPtFqSuf0



神裂「すみません。私もその……少し意地を張りすぎました」なでなで

上条(お、落ち着け俺。こういう時は遠くの景色を見て心を落ち着かせ……って見れねー!!)



神裂「本当はそんなに怒っている訳では無くてですね」

神裂「なのに、あなたをそんな風に悩ませてしまって、その……罪悪感が……」

神裂「だからこれはちょっとした謝罪とお、お詫びに………は、恥ずかしいのでまだこっち見ないで下さい///」



上条(だから見たくても、土下座の状態で頭撫でられてるから地面しか見えねー!!)

神裂「すみませんでした」

上条「こ、こちらこそ……」

神裂「……ふふっ」



上条(あれ……何か機嫌直ってる?)

神裂(彼は十分すぎるほど、私のことを考えてくれていたんですね……////)