1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/17(月) 23:42:08.30 ID:7So77db/0
アスナとユウキのほのぼの日常if
ただの会話
書き溜めなし




森の家にて――

アスナ「だからね、まだ結婚って話しまでもいってないって」

ユウキ「うそー、だってさ、ボクとの決闘の時にあの人、さすが俺の嫁って顔してたよ」

アスナ「えええッ……そんな顔してたっけ」

ユウキ「うん、剣圧で爆風吹いてる中、一人だけニヤニヤしてたもん」

アスナ「も、もう……キリト君たら」

ユウキ「いいなー、でも、そうなるとアスナを独り占めできなくなっちゃうのか……」シュン

アスナ「そんなことしなくても、こうやっていつでも会えるじゃない」

ユウキ「うん……そうだねッ」

アスナ「ユウキは色々世界を旅してきたのよね? なら、その中にいなかったの? これだ! っていうピピってきた人」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416235318

引用元: アスナ「結婚すればいいのよ」ユウキ「相手いないから、いいよ」 

 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/17(月) 23:50:13.27 ID:7So77db/0
ユウキ「ピピって……なんか今バカにされた気がする」

アスナ「そんなことないない」

ユウキ「うー、ピピって来たのは……いなかった、あ、いる!」

アスナ「え、誰々?」ワクワク

ユウキ「アスナ!」

アスナ「……えー」ガク

ユウキ「男の人って、実はよく分かんなくて」

アスナ「まあ、でもまだそういう年頃じゃないのかな?」

ユウキ「彼氏とか彼女とかはよく分かんないけど……」

アスナ「けど?」

ユウキ「ずっと、背中を預けられるパートナーは欲しいなあ……」

アスナ「それって、私のこと?」ニヤ

ユウキ「……うん! どうしてわかったの?」

アスナ「う……素直過ぎるのも心に悪い」

ユウキ「どうしたの?」

アスナ「いーえ……ユウキは可愛いなあって」

ナデナデ

ユウキ「へへへ」ニコ

アスナ「……」

ナデナデナデナデッ

ユウキ「あ、ちょっと、撫ですぎじゃないかな? ボクの頭ハゲちゃうよ」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/17(月) 23:58:48.12 ID:7So77db/0
アスナ「ハゲないから大丈夫」

ユウキ「でも、ユイに見られたら、ボクまた怖い目で見られるかも……」

アスナ「はッ……!」

キョロキョロ

ユウキ「変な顔……ユイ、今は、キリトの所でしょ?」

アスナ「ええ。まあ、心配無用よ、私たちの時間を大切にして欲しいって、きっと思ってくれてる。あの子はそういう子だから」

ユウキ「うん、知ってた!」ニコ

アスナ「そうだ、昨日NPCに珍しい茶葉をもらったの。飲む?」

ユウキ「それって、飲むっていうより、試すに近いんじゃないの?」

アスナ「安心して、もう試した人がいるから」

ユウキ「ああ」

ポンッ

ユウキ「感想は?」

アスナ「麦茶よりは美味しいって」





4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:04:33.24 ID:El+l5l8+0
ユウキ「珍しい茶葉の価値、何だか下がっちゃってない?」

アスナ「あの朴念仁に感想を言わせた私が悪かったの」

ユウキ「……そっか、じゃあボクも早く飲んで感想を言いたいな」

アスナ「ええ、じゃあ準備するわ」

ピッ

アスナ「手抜きで失礼」

ピピッ

ユウキ「すごーい、料理スキルってこんなに上がるんだ。ボク、こういうの全然やってなかったや」

アスナ「ハマると結構リアルにも使えて……あ、ううん」

ユウキ「……アスナ?」

アスナ「ごめんごめん、ぱぱっと作るからね」

ユウキ「分かった、リアルでの手抜きスキルが上がるんでしょ? キリトかわいそう」クスクス

アスナ「そうそう、って、ち、違うのよ?」


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:13:05.23 ID:El+l5l8+0
ユウキ「ふーん」ニマニマ

アスナ「だから、まあ、仮に作ることになったとして、時間の節約とかって大事じゃない」

ユウキ「うんうん」

アスナ「ユウキッ」

ユウキ「どうどう。姉ちゃんは、怒るとホント怖いなあ」

アスナ「世のお姉ちゃんはだいたい怒らせると怖いと思うんだけど……あ、ユウキ」

ユウキ「あ……ボク、また」カア

アスナ「遠慮しないで……嬉しいって言ったよ」

ユウキ「う、うん……ね、ねえちゃん」ボソボソ

アスナ「ゼッケンサンにしては、覇気がないんじゃないかな?」

ユウキ「あ、その発音止めてって言ったのにッ」

アスナ「なんのこと?」

ユウキ「ボク、知ってるんだから。みんなが影でボクのことなんて呼んでるか!」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:20:13.60 ID:El+l5l8+0
アスナ「……う」ギクッ

ユウキ「背番号みたいに、『ゼッケン3』って言ってるんでしょッ」

アスナ「それは、可愛いからついね」

ユウキ「誰なの? 誰が最初に言いだしたの」

アスナ「……」ギクッ

ユウキ「ひどいや……ボク、けっこう『絶対最強の剣士、絶剣さん』気に入ってるんだよ」

アスナ「何だかさんを付けると一気に可愛い響きに……」

ユウキ「……あ、それよりお茶」

アスナ「そうだった」

ポンッ

ピッ

アスナ「はい、どうぞ」

コト――カチャッ

ユウキ「わあ、森の香りがする」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:27:54.59 ID:El+l5l8+0
アスナ「召し上がれ」

ユウキ「わーい……」ゴクゴク

アスナ「……ふふ」

ユウキ「あ、麦茶より美味しい」

アスナ「……って」ガク

ユウキ「それに、なんだろう、縁側に座ってお日様を浴びている気分」

アスナ「おじいちゃんだね」

ユウキ「わさびの味だよ……あ、なにか抜けた」

アスナ「わびさびのこと?」

ユウキ「それ」

アスナ「わさびの味はないよッ」クスクス

ユウキ「へへッ……」ゴク

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:36:39.00 ID:El+l5l8+0
アスナ「……私さ、最初、絶剣のことおじさんだとばかり思ってた」

ユウキ「思ったより可愛かった?」

アスナ「うん、可愛かった」

ユウキ「ふっふーん」

アスナ「で、現れたのがこんな美少女だったから、じゃあ、現実世界がおじさんなのかなって」

ユウキ「それは、つまり美少女のアバターを被ったおじさんってこと?」

アスナ「そうそう」

ユウキ「それは、残念だったね」

アスナ「うん、リアルも可愛かった」

ユウキ「……り、リアルの方をほめるのは止めてよ」ドキ

アスナ「どうして? 妹にしたいなって思ったよ」

ユウキ「だって、あんな……」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:47:29.18 ID:El+l5l8+0
アスナ「……ユウキ、その」

ユウキ「オジサンじゃなくていいの?」

アスナ「ぶッ……私、別にオジセンってわけじゃないのよ?」

ユウキ「あ、そうなんだ」

アスナ「どっちかというと、年下の方がごにょごにょ」

ユウキ「それは、遠まわしでキリトがいいって言ってるの?」

アスナ「……え、ええっとええっと」

ユウキ「アスナはキリトのことになると、ちょっと変になるよね」

アスナ「……キリト君が悪いの」

ユウキ「そうなんだ。そういうもんなの?」

アスナ「ええ」


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 00:57:42.67 ID:El+l5l8+0
ユウキ「よく考えたら、ボクも年下だ」

ササッ

アスナ「どうして後ずさるの?」

ユウキ「身の危険を感じて」

アスナ「ありえません……」

ユウキ「なんだ、つまんないの……ボク、アスナだったら……」

アスナ「え、ええ……?」ドキ

ユウキ「一緒の布団で寝れるのに」

アスナ「……ちょ、と、それ意味分かって」

ユウキ「昔、よく姉ちゃんと寝てたからさ……」

アスナ「そっちか……」

ユウキ「……」じッ

アスナ「なに?」

ユウキ「ログアウトする時、一緒の布団で寝てほしいな……」

アスナ「いいよ……」

ナデナデ

ユウキ「わ、ホント? ありがとう、アスナ」

アスナ「いいえ」


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 01:03:17.46 ID:El+l5l8+0
ベッドの上―ー

アスナ「子守唄歌おっか?」

ユウキ「そこまで子どもじゃないよ」

アスナ「ユウキは大人だもんね」

ユウキ「……むう」

アスナ「ユウキ……明日もまたここで」

ユウキ「うん、またね!」

アスナ「お休み」

ユウキ「おやすみ……」

ピピッ――キュイン!

ユウキ「……」

モゾッ
ポフッ

ユウキ「……」

モゾッ
ポフポフッ

ユウキ「おやすみ……」

ピッ――キュイン!

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 21:39:07.44 ID:El+l5l8+0
結城家――

明日奈「……」パチ

ガタッ

明日奈「ユウキは、あそこで一人で眠ってるんだよね……」

明日奈「……ログアウトする瞬間、あの子は現実に戻る」

明日奈「夕食を食べるためでもなく、誰かと話すためでもなく……」

明日奈「ううん、機械越しだけど……話せるじゃない」

明日奈「私にできることって、何なんだろう……」

明日奈「そうだ、明日は……もっと普通の女の子がするようなことをしてみようかな」

明日奈「もっと、探してみよう……」

明日奈「……それから、もっと素直にならないとね……お互いに」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 22:03:41.84 ID:El+l5l8+0
次の日――

森の家にて

アスナ「……もう来てるはずなんだけど」キョロキョロ

ユウキ「わあッ!」

アスナ「きゃッ」ビク

ユウキ「驚いた?」

アスナ「当たり前でしょ! 子どもみたいな事して」

ユウキ「アスナの驚いた顔って、どんなのかなーって」

アスナ「そう、それなら私もユウキが笑い転げる姿を見てみたいわね……」

ワキワキ

ユウキ「え、ええ……と、ほら、じかん」

アスナ「あら、私やられっぱなしって好きじゃないのよ」

ユウキ「……わー、大人げない」

タ、タタタ――

アスナ「こら、どこ行くのッ」

ユウキ「空!」

タタ――タタン!
ブワッ――フワ!

アスナ「ま、待ってッ」

タタン――フワ!

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 22:29:51.81 ID:El+l5l8+0
アインクラッドは昼下がり。眠気を誘う陽気に包まれている。
上空を無邪気な闇妖精族の剣士が旋回している。

アスナ「……はやッ」

ヒュ――

ユウキ「こっちー!」

アスナ「ホント、鳥みたいなんだから……」

ユウキ「もっと、上に来てよー! この高さから見ると、かくべつ!」

アスナ「はいはい……」

ヒュン――

ユウキ「……あ」

ヒュ――ピタッ
ドンッ

アスナ「あいたッ!? も、もう途中で止まらないでよー。大丈夫だった?」

ユウキ「あ、うんボクは」

アスナ「なに?」

ユウキ「鳥だ……白くて、綺麗だ」

アスナ「どこ?」

ユウキ「落っこちてる……助けないと」

アスナ「ユウキッ、待って、それたぶんキーアイテムか、レアアイテムだよ。上見て」

ユウキ「え? あ」

アスナ「ほら、スプリガンのプレイヤーが、こっちに向かって……網持ってるね」

ユウキ「あみだね」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 22:46:45.70 ID:El+l5l8+0
ユウキ「でも、鳥、こっち来てるよ」

鳥「キュウー! キュー!」

ユウキ「ね、ねえ、アスナ、なんて言ってるのかな?」

アスナ「分からないけど、助けて欲しいのかも」

ユウキ「ボクも同意見……」

カチャッ

アスナ「なんで、剣を握ってるの……」

ユウキ「ここで助けなきゃ、剣士の名折れ!」

アスナ「人の獲物に手を出したら……どうなると思う?」

ユウキ「それは、もちろん……」

プレイヤー「ちょ、ちょ、あんたら、その鳥どうするつもりだ!」

鳥「きゅー!」

アスナ「……おー、よしよし。痛かったねえ」

ナデナデ

鳥「きゅーきゅー!」

ユウキ「可愛い……」キラキラ

プレイヤー「可愛い、じゃねえよ! そいつは貴重な食材アイテムなんだ、売れば大金になる。大人しくこっちに渡しな」

アスナ「もろ悪役の台詞よね……」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 22:58:22.37 ID:El+l5l8+0
ユウキ「現実世界ならそうさ。でも、ここは剣と魔法が言語」

アスナ「そうだったっけ……」

ユウキ「戦う……しか分かりあえない!」

アスナ「う、うん、そうだね。頑張ってね」

ユウキ「よーし、アスナと鳥はちょっと下がっていて」

アスナ「はーい……」

鳥「きゅいッ」

パタパタ――

プレイヤー「馬鹿かてめえ……?」

ユウキ「……ふー」

プレイヤー「……お前の辞書に横取りは御法度ってのを付け加えておきな」

ユウキ「おじさん、横取りなんてしないよ」

プレイヤー「なにい?」

ユウキ「もう少し、この鳥が飛んでいる所を見たいんだ。だから、ボクと戦ってもらうよ!」

アスナ「……ユウキ?」

プレイヤー「しゃらくせえ! 一発KOしたるわ!」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 23:05:32.53 ID:El+l5l8+0
デュエル開始――

瞬間、空気が戦慄いた。
刹那の内に、ユウキが切り込んだのだ。

プレイヤー「あッ――?」

ユウキ「あれ、もうおしまい」

プレイヤー「……な、何が、起こって……」

プレイヤーが落下していく。

アスナ「……南無三」

ユウキ「さあ、鳥。これで晴れてじゆうの身さ。高く、飛んでおいきよ」

アスナ「……あ」

鳥「キュウ……!」

バサッ――

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 23:15:17.68 ID:El+l5l8+0
ユウキ「……すごく、キレイだ」

アスナ「……ぼろぼろになっても、ちゃんと飛べるんだね」

ユウキ「そうだね」

ユウキ「ボクがいまここで、助けたとしても、また誰かが同じように狩りにくる」

アスナ「ええ、そうね……」

ユウキ「あ……急降下する」

アスナ「え?」

ユウキが言った通り、鳥は直下に滑空していく。

ユウキ「大きい鳥は逃げるのに向いてないね」

アスナ「え、ええ」

ユウキ「やっぱり、捕まるために作り出されたのかな」

アスナ「ユウキ、これは――」

ゲームだから。
アスナはその言葉を飲み込む。

ユウキ「飛ぶために生まれたわけじゃないんだろうね」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/18(火) 23:54:29.47 ID:El+l5l8+0
アスナ「……そうかもしれないわ」

ユウキ「うん、あ、ごめん変なこと言っちゃった……」ポリポリ

アスナ「でも、あの鳥が空を飛ぶ姿を見て、私たち何を感じてる?」

ユウキ「……綺麗だなあって、思ったよ」

アスナ「そうよ……、ねえ、作り物だったとしても、この世界であんなに輝いているじゃない。少なくとも私たちの目にはそう映っているでしょ?」

ユウキ「うん」

アスナ「ごめんね、ちょっと、私も上手くは伝えられないんだけど」

ユウキ「うん、いいよ、ありがとう――狩られないって分かっているなら、きっとこんなにも心を打たれなかったかもしれないから、きっと、あの美しさが、生きることを諦めない命のような何かへの畏怖なんだと思う」

アスナ「……畏怖、なんてよくそんな難しい言葉よく知ってたわね」

ユウキ「読書家なんだよ、ボク」
 

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 22:32:23.55 ID:LWEw/ttf0
ユウキ「……さーて、下、戻ろっか」

アスナ「うん……」

ユウキ「……よっと」

ヒュ――パタタ

アスナ「ユウキ……待って」

ユウキ「うん?」

アスナ「手……繋いで帰ろっか」

ユウキ「え……いいよ別に」

アスナ「遠慮しない遠慮しない」

ユウキ「……う、うん」

スっ――パシっ

アスナ「……なんだか」

ユウキ「……」

アスナ「そのまま飛んで行っちゃうような気がしちゃった……ごめんね、そんなわけないのに」

ユウキ「ボク……飛んで行ったりはしないよ……」

アスナ「そうだよね」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 22:40:50.68 ID:LWEw/ttf0
アスナ「……ユウキの手、ちっちゃいね」

ユウキ「そう?」

ピト――

アスナ「私の指少しはみ出るもん」

ユウキ「ほんとだ」

アスナ「握りやすい」

ユウキ「……そんなこと言われたの初めてだよ」

アスナ「こっちで、誰かと手を握ったりはしなかった?」

ユウキ「うん、たぶんなかったかな」

アスナ「私、こうやって握るの好きなんだ。落ち着くから。ああ、隣にいるんだなって」

ユウキ「そっか、じゃあ、ボクも」

ぎゅう――

アスナ「両方?」

ユウキ「両方握るのはだめ?」

アスナ「いいけど、飛びにくいよ……くすくす」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 22:50:08.54 ID:LWEw/ttf0
二人、両手を繋いだまま、
円を描くように、
くるくると、
降りていく。


アスナ「ダンスしてるみたい」

ユウキ「ボク、ダンスって全然分からないや」

アスナ「そっか……」

ぐいっ

ユウキ「わ……っ」

アスナ「ほら、ステップ踏んでみて」

ユウキ「空中で? ……と、っと」

ヒュ―

アスナ「上手上手」

くいっ――

ユウキ「けっこう、難しい……気を抜くと、階段を踏み外したみたいになっちゃうね」

アスナ「そうだね、よーしせっかくだから、湖の上の大樹までステップ踏んでみよっか」

ユウキ「あそこまでー!?」

アスナ「冗談だよ、遠すぎるもん」

ユウキ「そうだよー、びっくりするじゃんか」

アスナ「上手くなったら、私をリードしてね」

ユウキ「むむむ……」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 23:00:25.96 ID:LWEw/ttf0
湖の上の大樹――

アスナ「……ホント、良い天気」

ユウキ「今日もー良い天気♫ 空が高いぞ♪ 眩しいぞ♪」

アスナ「……」

ピっ―

ユウキ「ふんふーん♪ ふふふーん♪ あれ、何かした?」

アスナ「……あ、気にせず歌っていいよ」

ユウキ「ふんふん♪ ふふふー♪」

アスナ「……」

ユウキ「……ふふ……ん、あ、録画してるでしょ!?」

アスナ「してないしてない」クスクス

ユウキ「うそ、この間もボクがだらしない姿で寝てる時に、スクリーンショットしたの知ってるんだから」

アスナ「なんのことかなー?」

ユウキ「シウネーが言ってたよっ……!」

アスナ「あら」

ユウキ「ちっ、じゃないよー……」

アスナ「いいじゃない別に」

ユウキ「なんに使うのさ……」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 23:16:26.84 ID:LWEw/ttf0
アスナ「後で、みんなに見せて笑うだけだよ?」

ユウキ「ひどいやっ」

アスナ「こんなに可愛い姿、独り占めするものでもないし……ね?」

ユウキ「ね? ってなんなのさ! もう!」

バンバン!

アスナ「あ、いたいいたいっ、叩かないでよユウキ」

ユウキ「も、もう、アスナがこんなに変な人だなんて知らなかったよ」

アスナ「私もこんなに人に構うほうじゃなかったんだよ?」

ユウキ「そうなの?」

アスナ「だから、ユウキが悪いかな」

ユウキ「ボクのせい?」

アスナ「うん」

ユウキ「……やっぱりこの間のVRクッキングのこと根に持ってるんじゃ……」

アスナ「持ってないよー。気のせい気のせい」

ユウキ「そう? それならいいんだけど」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 23:29:25.34 ID:LWEw/ttf0
アスナ「んー……眩しい」

ユウキ「……よっと」

ゴロン―

アスナ「お昼寝?」

ユウキ「ボク、対戦者がいない時はこうやって木陰で寝転がって待ってたんだ……」

アスナ(……ちょっと、キリト君に似てるなあ)

ユウキ「なあに?」チラ

アスナ「ううん……私も」

コロン―

ユウキ「……アルブヘイムは、ボクが今まで旅してきた世界の中で、一番お昼寝が似合う世界かも」

アスナ「……なにそれ」クスクス

ユウキ「へへ……」

アスナ「寝る子は育つか……」

ユウキ「手、つないでくれる?」

アスナ「ええ……」

きゅ―

ユウキ「アスナ……」

アスナ「……なに?」

ユウキ「ボク、もう一つ行ってみたい所があるんだ……」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/19(水) 23:41:55.52 ID:LWEw/ttf0
アスナ「それは……?」

ユウキ「……それって、現実の世界にあるんだ……だから、無理には」

アスナ「行こっか」

ユウキ「え? ボク、まだ、どこって行ってないよ?」

アスナ「行きたい場所はまだまだあるし……行こう」

ユウキ「アスナ、嬉しい……!」

ガバっ――

アスナ「きゃあっ!?」

ギュウ――

ユウキ「へへへ……」

アスナ「こんなに甘えん坊だっけ?」

ユウキ「これは……アスナのせいだよ」

アスナ「……そっか」



ザザっ――

キリト「……えー、おほん」

アスナ・ユウキ「……あ」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/20(木) 00:04:15.15 ID:EU+Ct6s/0
現実世界――
横浜――とある丘陵地


明日奈は右肩を見た。

明日奈「こっちであってる?」

ういいいん―

ユウキ『うん……たぶんそのはず』

和人「合ってるよ」

ユウキ『ごめんね、キリト。付き合わせちゃって』

和人「いや、いいさ……それに、大事な彼女が他の奴に取られないか心配だし」

明日奈「ちょ、ちょっとキリト君!」

ユウキ『あはははは、そっか、ごめんごめん! でも、遅かったね、ボクもうアスナに結婚を申し込んじゃったや』

和人「な、なんだと……」

アスナ「ゆ、ユウキまで……はあ」

和人「これは、改めて決闘を申し込まないといけないみたいだな」

ユウキ「望む所だよ」

ういいいん―

アスナ「……」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/20(木) 00:11:14.25 ID:EU+Ct6s/0
明日奈「……あ、見えてきたよ」

ユウキ「え……」

ザアアア――

和人「風が……」

明日奈(……墓石が整然と並んでる……)

ユウキ「……ああ、ここだ、間違いない」

ういいいん――

明日奈(……きっと、駆け出して行きたいんだろうな)

和人「明日奈、これ」

ガサガサ――スッ

明日奈「うん……」

和人「俺はここで待ってるから」

明日奈「え……」

和人「二人で、行ってこいよ」

ユウキ「……ありがとう」

和人「ああ」

明日奈「……」

ザ、ザ、ザ――

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/20(木) 00:24:55.00 ID:EU+Ct6s/0
ユウキ『……』

ういいいん――

明日奈「……」

ユウキ『あそこ、あの一番奥から3番目』

明日奈「うん……」

ザ、ザ、ザ――

ユウキ『……ッ』

明日奈「ここ?」

ユウキ『……そうだ、うん』

明日奈「菊の花、置くね……」

ソッ――

ユウキ『ありがと……』

明日奈「……」

ユウキ『……ッ』

明日奈「……ユウキ」

ユウキ『良ければ……両手を組んで……イエス様にお祈りしてもらって……いいかな』

明日奈(声が震えてる……)

明日奈「ええ……」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/20(木) 00:36:40.30 ID:EU+Ct6s/0
――ギュ


明日奈「……ッ」ジワ

ザアアア――

明日奈「……」ポタ

ういいいん――

ユウキ『……』

明日奈「……ッ」ポタポタ

ういいいん――

明日奈は両手を離し、深呼吸する。

ユウキ『みんな、きっと、今、神様の所で、最高にハッピーな生活を送ってると思う……』

明日奈「そうッ……だね」ポタポタ

ユウキ『ボクは、まだ旅を続けるから、もう少し……待っていてね』

明日奈「ッ……ッ……」



42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/20(木) 00:42:56.29 ID:EU+Ct6s/0
明日奈「次はどこへ……行こうか」

ユウキ『……そうだね』

明日奈「……まだ、行ってないところだらけだよ」

ユウキ『うん……ボク、結婚式に行ってみたいな』

明日奈「え?」

ユウキ『明日奈と和人の……』

明日奈「ゆ、ユウキ……」

ユウキ「あはは……なんてね」

ういいいん――






終わり