1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/07(日) 08:58:49.10 ID:Iki9dIXW0
ことり「大切な話?急にどうしたの?穂乃果ちゃん」

学校からの帰り道、突然真剣な声色で話し始めた穂乃果ちゃんに少し戸惑いながらも、めったに見ない真剣な面持ちにことりも真剣に聞きくことにする。

穂乃果「実はね…絵里ちゃんとお付き合いすることになったんだ。」

ことり「え…?」

穂乃果「突然こんな話びっくりするよね。でも、ことりちゃんと海未ちゃんには1番に話しておきたくて」

ことり「―――あのっ…えっと…」

何か言わなきゃいけないのに、口を開けば言っちゃいけない言葉を言ってしまいそうで…どうしよう。


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引用元: 穂乃果「ことりちゃん、大切な話があるの」 

 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 09:12:17.71 ID:Iki9dIXW0
穂乃果「あっ!絵里ちゃん!!絵里ちゃんも今帰りなの?」

絵里「ええ、今日は生徒会の仕事もないし。2人はこんな所で何してるの?」

穂乃果「実はね、穂乃果たちのことをことりちゃんに話してたの」

絵里「ええっ、もう話してるの!?」

穂乃果「うん、だって、ことりちゃんは1番の友達だから」

『友達』、穂乃果ちゃんのその言葉がすごく重く感じます。

ことり「絵里ちゃん、穂乃果ちゃんおめでとう。2人ならきっと良いカップルになれるよ!
すっごくお似合いだもん」

絵里「ありがとう、ことり。ちょっと照れるわね」

ことり「でも穂乃果ちゃん、ことり全然気がつかなかったよ。ことりにも相談くらい
してくれてもいいんじゃないかなぁ」

穂乃果「ごめんごめん、でもいろいろあって相談できなかったんだよ」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 09:17:37.46 ID:Iki9dIXW0
ことり「今回は許してあげる。でも、今度何かあったらちゃんとことりにも相談してね。
穂乃果ちゃんはことりの1番の『友達』なんだから」

穂乃果「ことりちゃん・・・ありがとう!次何かあったら絶対にことりちゃんに
相談するって約束する!」

絵里「ことり、私たちは付き合うことになったけど、これからも気を使わずに
これまで通り接してちょうだい。μ’sの仲間なんだから」

ことり「うん、じゃあことりは買い物があるから先に帰るね。」

ぎこちなくほほ笑むと手を振る2人に背を向けて、できるだけ早足で離れていく、
もう限界・・・こんな顔誰にも見せられないよ。

絵里「ことり…やっぱりショックだったみたいね」

穂乃果「うん、唇が震えてたね…」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 09:34:36.83 ID:Iki9dIXW0
ことりの初めてのお友達で、幼稚園の頃からずっと一緒だった穂乃果ちゃん。

海未ちゃんと穂乃果ちゃんとことりは何をするにもいつも一緒だった。

穂乃果ちゃんと一緒にいればどんなことだって楽しくて毎日がキラキラして、

いつも元気で明るくて、そんな穂乃果ちゃんの事をことりはいつしか憧れるようになって、

それが恋心だとはっきり自覚するのにあまり時間はかからなかった。

たぶん海未ちゃんもそう、穂乃果ちゃんことを・・・

穂乃果ちゃんたちが見えなくなる頃には早足は駆け足へと変わっていた。

とにかく遠くへ、今はもうそれしか考えられない。息が苦しい、胸が痛い。

気が付いたら見慣れない道に見慣れない建物、日もだいぶ落ちてだいぶ暗くなっている。

ずいぶん遠くまで来ちゃったんだ。

頭から穂乃果ちゃんの笑顔が、絵里ちゃんと一緒にいるときのあの笑顔が離れない。

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 09:39:34.81 ID:Iki9dIXW0
ことり「ことりの気持ち、穂乃果ちゃんに伝えたらどうなってたのかな。
でも、そんなこと・・・」

そんなのできるはずなかった。もう一人の幼馴染、海未ちゃんもきっと
穂乃果ちゃんのことが好きだから。

ことり「ずっと一緒にいるんだもん、わかるよそんなこと・・・」

もし、ことりが告白していたらきっといつもの3人でいられなくなるそんなの絶対に嫌だ。
きっと海未ちゃんもそんな気持ちで自分の気持ちを伝えるのを躊躇っていたんだろう。

ことり「海未ちゃんも聞いたのかな?海未ちゃんはどう思ったのかな。」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 09:51:47.84 ID:Iki9dIXW0
海未ちゃんのことだからきっと笑顔で「よかったですね穂乃果、絵里」
なんて言うんだろうな。海未ちゃんは自分が辛くても辛そうな顔なんて
全く見せないで、ことりとは大違いで大人な対応をするだろう。

ふと、携帯が鳴っている事に気が付く。画面を見ると『園田海未』

ことり「もしもし…」

まだ声が震える

海未「ことり!やっと出た、もう何回も電話を掛けたのですよ。
ことりのお母さんも心配していますよ」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 10:04:30.36 ID:Iki9dIXW0
ことり「海未ちゃん、心配掛けてごめんね。ちょっと考え事してたら遠くに来ちゃって、
もう帰るから」

海未「どこにいるのですか?迎えに行きますよ」

ことり「もう遅いし悪いよ…ことりは大丈夫だから」

海未「いいえ、迎えに行きます。ことりのこと放ってなんておけませんよ」

ことり「うん・・・じゃあ、待ってるね」

履歴を確認すると園田海未の文字が画面いっぱいに並んでいた。
メールもこんなにいっぱい

ことり「心配しすぎだよ海未ちゃん」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 10:20:43.83 ID:Iki9dIXW0
海未ちゃんの優しさが少し嬉しくて笑う

しばらくすると走ってきたのか汗だくの海未ちゃんが迎えに来てくれた。

ふふっ、心配症の海未ちゃんがちょっとおかしくてやっぱり笑う

海未「お待たせしました。帰りましょう、ことり」

帰り道、海未ちゃんは家まで黙って手を引っ張ってくれた。

泣いてることりの顔を見ないように気をつけながら。

海未ちゃんだって辛いのに。その優しさがずるいよ。

ことりの顔は泣きながらでもちょっと笑ってて凄く変な顔になっちゃってる

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 10:32:02.23 ID:Iki9dIXW0
翌日

ことりは1人で学校へ向かった、まだ穂乃果ちゃんを前にして
普通でいられる自信がなかったし目だって腫れて酷い顔になてるし

穂乃果「おはよう、ことりちゃん」

海未「おはようございます、ことり」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん、海未ちゃん」

やっぱり2人と上手く顔を合わせられなくて、
会話らしい会話もなく放課後になってしまいました。

海未「穂乃果、今日は絵里と帰るのですよね?」

穂乃果「うん。ばいばい、また明日ね…」

海未「ではことり、今日は私の家に来ませんか?
いつも集まるのは穂乃果の家ですからね。たまにはいいでしょう?」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 11:00:13.88 ID:Iki9dIXW0
海未ちゃんの部屋に来るのはいつ以来だろう。確か中学生の時以来だったかな?

あのときは海未ちゃんが穂乃果ちゃんと大喧嘩して、
仲直りしたいからってことりに相談してくれたんだよね。

海未「飲み物はお茶でよろしいですか?」

ことり「うん、ありがとう」

海未「早速ですがことり、昨日から様子がおかしいようですが…
穂乃果のこと聞いたのですね?」

ことり「うん、海未ちゃんも?」

海未「――はい。それで…そのっ」

海未「やはりことりは穂乃果のことが―――好きだったのですよね」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 11:08:39.72 ID:Iki9dIXW0
ことり「うん、やっぱりバレちゃってるよね。」

海未「当然です。私はずっとことりのそばにいたのですから。バレバレです」

ことり「えーでも海未ちゃんだって穂乃果ちゃんのこと好きだったでしょ?
ことりにだってバレバレだよ?」

沈黙する海未ちゃん―――何も言ってくれません。

ことり「ことりね、穂乃果ちゃんが絵里ちゃんと付き合ってるって聞いた時、
今ことりが穂乃果ちゃんに告白したらって、
せめて気持ちだけでも伝えたいって思っちゃったの。自分勝手だよね―――」

ことり「学校でも穂乃果ちゃんのそばにいるのが辛くて――ねぇ…海未ちゃんは平気なの?どうして平気な顔していられるの?穂乃果ちゃんのことが好きなんでしょ?」

海未ちゃんは少しこわばった顔でことりの目をまっすぐ見ていました。

海未「ことり――大切なお話があるのですが、聞いていただけますか」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 11:21:07.69 ID:Iki9dIXW0
え?海未ちゃん急にどうしたの。それにそのセリフ、昨日穂乃果ちゃんから聞いたような。
脳裏に昨日の出来事がよぎり、嫌な予感がして、できれば聞きたくないでも
海未ちゃんのきれいな瞳と真剣な表情に見つめられたことりはうなずくしかありません。

海未「まずはことりに謝らなければいけません。
実は以前から穂乃果から絵里のことで相談を受けていました」

え?なんで?そんなのって――

ことり「でもことりは穂乃果ちゃんからはなにも…」

海未「はい、私が穂乃果に口止めしていたのです。
穂乃果は最初私に打ち明けた後ことりにも相談するつもりだと言っていました」

ことり「そんなのってないよ!ことり、穂乃果ちゃんとも海未ちゃんとも
親友だと思ってたんだよ!小さい頃からずっと一緒にいたのに!なのに、どうして!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 11:28:25.10 ID:Iki9dIXW0
海未「それはことりが穂乃果のことを好きだから。
好きな人に恋愛相談なんてされたらことりが辛い思いをすると思い口止めしたのです。」

ことり「それは海未ちゃんだって同じでしょ!」

海未「それは違います。私は確かに穂乃果とお腹の中からの幼なじみでずっと一緒にいました。
でもことりや絵里のように穂乃果を見たことはありませんでした」

それって海未ちゃんは穂乃果ちゃんのこと幼馴染としか思ってなかったってこと?
そんなはずは――

ことり「でも、海未ちゃんいつも穂乃果ちゃんのこと気にして…」

海未「穂乃果はあの性格ですから、誰かがしっかり見てあげないといけませんから。
もう絵里がいるのでその必要も無くなってしまいましたが――」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 11:41:51.65 ID:Iki9dIXW0
海未ちゃんは苦しそうにずっとためてた物を吐きだすように言いました。
恥ずかしがり屋の海未ちゃん、顔を真っ赤にしながら―――


海未「私が―――私が好きなのはあなたです。ことり」


ことりはずっと海未ちゃんは穂乃果ちゃんのことが好きで、
海未ちゃんもことりと同じだと思ってた、でも―――


海未「初めて会ったときからあなたのその笑顔に、声に、魅かれていました。
いざという時強い心を持っていることりのことが好きなんです」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/07(日) 11:51:20.32 ID:Iki9dIXW0
―――でも、ことりは


ことり「ごめんなさい。やっぱりまだ穂乃果ちゃんのことが好きなの…」


海未「―――やはり、そうですよね」


言葉に詰まる海未ちゃんはとうとう俯き、ずっと我慢していた涙を流して――


海未「すみません、見苦し姿を見せてしまい。少し失礼します」


必死に堪えても溢れてくる涙。
ことりに見せないように部屋を出ようとする海ちゃんを――

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 12:09:22.82 ID:Iki9dIXW0
ことり「まって海未ちゃん。ことりたち3人でいつも一緒にいて、
海未ちゃんのこともよく見てきたつもりだった。でも実際は全然見えてなくて」


頭の中でぐちゃぐちゃになった気持ちを必死に紡いで言葉にして伝えたい、
今の素直な気持ちを海未ちゃんに―――


ことり「海未ちゃんの気持ち全然気がつかなくて…。
だから、これからはもっとちゃんと海未ちゃんのこと見ていこうって思うの」


海未「ことり―――」


ことり「海未ちゃんの真剣な気持ち伝わったよ、
でも、今はまだ穂乃果ちゃんのこと忘れられない。だから―――」


ことり「だから…だから!」


ここから先の感情がうまく言葉にできない。

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/07(日) 12:15:01.88 ID:Iki9dIXW0
海未「ことり――私は、穂乃果とことりと一緒にいるのが本当に楽しくて…
こんな楽しい日々を壊したくなくて、今までこの気持を隠してきました
今日だってことりに思いを告げる予定なんて無かったんです」


海未「でも、私たち3人こんなにも互いに想っているのですから、
私たちの関係はこの程度では壊れるようなものではなかったのかもしれませんね」


うさぎさんみたいに真っ赤な目で涙にぬれた顔でほほ笑む海未ちゃんは可愛くて、
少しドキッとしちゃいました

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 12:17:53.22 ID:Iki9dIXW0
海未「わかりました。ことりが穂乃果の事まだ好きだと言うのなら待ちますよ。
私だってことりのことをまだまだ諦められませんから」


ことり「ありがとう海未ちゃん!大好き!」


海未「!?もう…ずるいです、ことり」


END