1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/06(土) 23:23:35.01 ID:BcEBe18l0

――船上


凛「うん、今年のバレンタインは泰葉についてたんでしょ?」

P「おう。そりゃあ、まあそうだが……。先輩には敬語使えよお前……しかも年上」

凛「プロデューサーにも使ってないのになんか変かなって」

P「……他所では大丈夫なんだろうな?」

凛「そこはきっちりするってば」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417875804

引用元: モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」 

 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/06(土) 23:29:00.61 ID:BcEBe18l0
P「ううむ……あの時のことなあ……」

凛「何かあったの?」

P「いやあ、さ」

凛「む。何かあったみたいだね……?」ジト

P「……途中で感極まって止まらなくなるかもしれんぞ」

凛「…………ま、いいんじゃないかな」

P「じゃあとりあえずスナップ見せるか」スッ

凛「えっ持ち歩いてるの?」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/06(土) 23:37:02.10 ID:BcEBe18l0
P「これだこれ」 

P「いいだろ」

凛「いいね、蒼いし」

P「そうだろうそうだろう」フフーン

凛「……」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/06(土) 23:43:44.01 ID:BcEBe18l0
凛「にしても、結構大胆な衣装なんだね。私はこんなの着たことないな」

P「そういえばヘソ出したことないな。水着撮影の時だけか」

凛「そうだね。でも、ちょっと羨ましいかも。『アイドル』って感じがする」

P「そうかそうか、泰葉が聞いたら喜ぶな」

凛「……あまり言わないでよ?」

P「考えておくよ」

凛「もう……」


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/06(土) 23:47:31.78 ID:BcEBe18l0
P「ちなみに他の子と比べてみると分かりやすいんだがな……」

凛「……? どういうこと?」

P「泰葉が一番露出が多い」

凛「…………」ジトー

P「……他意は無いぞ?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/06(土) 23:57:00.98 ID:BcEBe18l0
P「さて、バレンタインのイベントって言ったってなあ……。どこから話せばいい?」

凛「どこからって?」

P「チョコを準備した時か、イベントの最中のことか、バレンタインにあったこと全部か」

凛「全部って」

P「泰葉との会話はほぼ記憶してると思う」

凛「……その記憶力、何かに使ってる?」

P「じゃなきゃこれだけの人数プロデュースできないさ」

凛「……えっと、じゃあ一応、全部で」

P「よしきた」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:00:29.61 ID:mS15/8vv0
P「じゃあまずはチョコ準備するところから始めるか」

P「これがその時に撮ったオフショットな」

凛「わっ、私服の写真まで残してるんだ」

P「もちろん。去年のアニバーサリーで撮ったしぶにゃんこまでバッチリだ」

凛「それは捨てて」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:09:39.88 ID:mS15/8vv0


『いつも応援してくれるみなさんに、私たちから感謝の気持ちを伝えるバレンタインイベントです。楽しみですね』


P「――って、言っててな」

凛「手作りのチョコ配るって凄いよね。私もチョコ配るイベントはやったけど、さすがにそんな用意はしてなかったよ」

P「NGで開催したイベントだったな。あれも大盛況だったが、これは本気の手作りだからな」

凛「『手作り』なんて銘打っても本当かどうかなんて分からないし、疑ってるファンも結構いたりして」

P「プレミアなんてもんじゃあすまない。しかし、あれだけの数を本当によく作ったもんさ」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:22:47.17 ID:mS15/8vv0


『あまり料理の経験はないのですが…がんばります』

      『エプロン姿…少し慣れませんね』

  『手際が悪くてすみません…。慣れていなくて…』


P「――なんて何度も言ってたよ。溶かして固めるのが主な作業だが、湯せんってなかなか難しいしな」

凛「でも結構周りからは頼りにされてたんだよね?」

P「ん、まあな。他の子に言わせてみれば――」


――――

清美『いいですね。泰葉さんの丁寧な作業はとても美しいです』

乃々『なんだか岡崎さんの姿が眩しいです…前からでしたけど…』

フレデリカ『ヤスハちゃん、上手~!全部交換する?しないかー』

――――


P「ってことらしい」

凛「フレデリカ……」

凛「でも、謙遜っていうか……本当に真面目に、ストイックにやってるんだろうね」

P「そういうとこは是非とも見習ってくれ。凛なら言うまでもないと思うがな」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:30:31.48 ID:mS15/8vv0
P「ストイックっていうと、本当に凄い覚悟背負ってたな。泰葉は」


『あまり料理経験はありませんが、満足のいくチョコを作れるまで今日は帰りません』


P「――なんて言っててさ」

凛「すごいね。口に出していうのって大変なんだよ?」

P「本当に本気だったらしくてな」


『私は泊まりこんでもいいくらいの覚悟です…!ほ、本気ですから…!』


P「――って」

凛「かわいい」

P「かわいいよな」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:38:00.18 ID:mS15/8vv0
P「まあ、やっぱり作るのも大変だったワケだ」


『きゃっ…!すみません…チョコが付いちゃいました…』

『熱っ…!あ、すみません…溶けたチョコって意外と熱いですね…気をつけないと…』


P「なんてな」

凛「なんか新鮮かも。泰葉っていつも落ち着いてるイメージ」

P「そうでもないぞ。この間もうつらうつら眠そうにしてた」

凛「へえ、ちょっと見てみたいな」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:41:34.73 ID:mS15/8vv0
凛「熱い……って、ちょっと舐めたりしたのかな」

P「いや?」


『な、舐めたりは、はしたないですから…しません。美味しそうですけど…しませんっ』


P「――とは言ってたがな。揺らいではいたが、まあ芯の強い子だ」

P「凛もチョコ作りながらつまみ食いなんてしないよな?」

凛「え? う、うん。そうだね……」

凛(もう味見なんてこりごり……!)

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:49:03.66 ID:mS15/8vv0

『チョコが溶けて…とろとろしてます』


P「――なんて、かなり楽しんでたよ。集中してて無口ではあったけどさ、表情が笑ってたんだ」

凛「ふーん、プロデューサーよく見てるね」

P「そりゃあな。でもどうにも見過ぎてたようだ」


      『あの…あんまり顔を覗かれると…集中できません』

『あの…あまり顔を覗かれると…気になるのですが…どうかしましたか?』


P「って言われた。何回も言われたし、よっぽどだったらしいな」

凛「ふーん?」

P「でもそこは流石だった。すぐにまた集中モードに入っていくんだ」


『このまま少し作業に集中しますね。Pさんが話してくれたらうれしいです』


P「――って」

凛「ふーん……?」ジトー

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 00:56:07.98 ID:mS15/8vv0
P「ぽつぽつだけど、いくらか自分のことも話してくれた」


『小さい頃はドールハウスを使ってままごとで遊んでたんです。ささやかな楽しみでした』

『昔は…周りは大人ばかりでした。でも今は事務所にも学校にも友だちがいます』


P「ってさ。以前はやっぱり、厳しい世界だったんだな。うちが特殊なだけかもしれんが」

凛「仁奈やみりあは幸せ者だね。楽しく競い合えるって、心から幸せだと思う」

P「ああ。何人かは学校も一緒だし」

凛「私も……『今』、アイドルやれてることが幸せなのかな」

P「だな」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:00:38.78 ID:mS15/8vv0

『Pさん、私…変わったと思いますか?』


P「なんてことも聞かれた」

凛「泰葉、本当に明るくなったね。最初こっちの事務所に来た時とは大違い」

P「ん、そうだな。『最初から魅力的だった』って言ってやったが」

凛「…………」

P「み、皆そうだろ」

凛「ま、いいけど」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:05:20.82 ID:mS15/8vv0
P「ま、まあいいだろそこは。イベント中の話にするか」

P「な、すごくいい表情だろ?」

凛「だね。……私もこのくらい笑えたらな」

P「いつか笑えるさ。それとも何か悩みが……!?」

凛「ううん、本当に一つもないよ。安心して」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:11:08.87 ID:mS15/8vv0

『私を応援してくれる人がいるから…がんばれるんです…』

『ラッピングも私がやりました。最後まで気持ちを込めたんです』

『ファンのみなさんが喜んでくれることが…私は嬉しいです』


P「――って言っていてな。アイドルとして見習うべき部分は多いぞ」

凛「だね。どうしても素っ気無くなっちゃうことが多いし、私もしっかりしないと」


『衣装に身を包むと緊張しますが…がんばります…!』


P「――なんて言いながら、しっかりやりきるから凄いよまったく」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:16:57.23 ID:mS15/8vv0
凛「ん、ちょっと待って。ラッピングまで全部やったの……!?」

P「俺も見てたけどさ、本当に凄いだろ? ――あ」

凛「え、何?」

P「秘密にしておくように言われてたわ……」

凛「もう……」

P「でもな――」


『たくさんあって大変でしたけど、ファンのことを想いながら作業をしてると手は抜けませんからね』


P「って言ってたことは伝えたくてさ」

凛「アイドルの鑑だね……」

P「誰だってファンになるよな、こんなの」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:21:13.80 ID:mS15/8vv0
P「そう言いつつ、他の子から学ぶところは貪欲に学んでいくんだよ」


『清美ちゃんはファンの人たちとの交流が上手ですね。私も見習わないと…』


P「とか」


『私もフレデリカさんみたいに…もっとかわいく衣装を着こなしたいですね』


P「とかな」


凛「本当に立派……今度から敬語使おうかな」

P「俺にもな」

凛「考えておくね」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:27:01.60 ID:mS15/8vv0
P「でも、結構苦手なことなんかが結構あってな」

P「結局、チョコは――」


『チョコはいろんな形なんです。け、決して不器用と言うわけでは…』


P「って感じだし」

凛「ごまかそうとすることもあるんだね。ふふ、やっぱりちょっとかわいい」

P「会場入りの時ちょっと転びそうになったしな。でもやっぱり頑張り屋だ」


『………い…いぇいっ…!………………す、すごい盛り上がっています…!』


P「――って。頼みはしたが、本当にやってくれるとは」

凛「わ、私には無理かも……」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:31:02.99 ID:mS15/8vv0
P「いや、もうホントにかわいいんだこれが!」

凛「うわ、急にエンジンかけないでよ」

P「フレデリカと取り合いになったぞ!」


――――

フレデリカ『ヤスハちゃん、かわいい~!チョコよりあっち食べたい☆』

フレデリカ『おとなしい子って、かわいいよねー。プロデューサーには渡さないから☆』

――――


P「ってな。もちろん一歩も引かなかった」フフーン

凛「食べたいって……」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:38:04.74 ID:mS15/8vv0
P「でも泰葉は嬉しいこと言ってくれるからな、俺に」

凛「分かったから強調するのやめようよ」


『Pさんがプロデュースしてくれるから…私は安心できるんですよ。ふふっ…』

『お仕事の時にPさんが一緒にいることも、落ち着くんです。安心するというか…』


P「ってな! プロデューサー冥利に尽きるってもんだ!」

凛「……そう」

P「これまだ一部だからな……?」フフ

凛「……そう」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:42:18.85 ID:mS15/8vv0

『間近で喜んでくれる人が見れると、私は間違ってなかったんだなって…思えるんです』

『気持ちが伝わると、こんなにも心が晴れやかになるんですね』

『Pさん…私、アイドルになれて…本当に…良かったです…』


P「とどめにこうだよ! やっぱ『アイドルになってよかった』ってのは俺には最高の褒め言葉でもあるからな!」

凛「私も、いつも思ってるよ」

P「そうかそうか!」ハッハッハ

凛「…………」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:46:57.63 ID:mS15/8vv0
凛「で、本題はここからなんだよね?」

P「そうだ。イベントの帰り道だな二人で色々話しながら、こう――」

凛「む、詳しくお願いね」

P「ああ、もちろん」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 01:55:09.78 ID:mS15/8vv0
P「本当に色々話してくれたよ」


『そういえば…家族にも楽しそうと…最近は言われます…』


P「とか。昔は疲れた様子が多かったらしい。そういうの聞くとやっぱり嬉しいよな」

P「凛はどうだ? 俺の変な話とかしてないよな?」

凛「どうだろうね?」

P「えっ、やめてくれよ。心当たり結構あるわ」

凛「大丈夫。プロデューサーなら心配することないでしょ?」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 02:00:04.13 ID:mS15/8vv0
『学校は…楽しいですよ。仕事とは違う経験ができますし、それに学業は疎かにしたくありません』


P「とかな。立派だよまったく」

凛「わ、私も学校頑張ってるからね?」

P「分かってる。NGはなんだかんだ皆成績いいもんな」

凛「う、うん。そうだね」

凛「それより、たしか泰葉って学校帰りの時は眼鏡かけてたよね?」

P「勉強するときだけらしいぞ。実は形から入るタイプだったりしてな」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 02:05:47.73 ID:mS15/8vv0
P「もちろん過去のこともいくらか話してくれた」


『アイドルは…私の憧れでした。いつも明るくて楽しそうで…そんな姿を、昔から見ていました…』


P「子役やモデル業がメインだったとは聞いてるが、アイドルへの憧れは昔からあったんだな」

凛「責任重大だね、プロデューサー?」

P「無論やるだけのことをやる。少なくとも今お前のいる場所までは連れて行くつもりだ」

凛「ふふ、私も気をつけないと。うかうかしてられないね」

P「泰葉は凄いぞ?」

凛「負けてられない」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 02:09:50.83 ID:mS15/8vv0
P「それで、ふっと、こう――」


『あの…バレンタイン、ですから…。ファンだけじゃなくて…これは…Pさんのためのチョコを…』


P「もらったよ。ブラウニーだ」

凛「ふーん……?」

P「実はまばらに人もいたんだけどさ」


『子供の頃から忙しくて…遊ぶ時間はありませんでした。だから…今はわがまま…いいですか?』

『Pさん…今日一日このまま…付き合ってください…。い、いいですよね…?』


P「……ってな」

凛「う、そんなの……ずるいよ」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/07(日) 02:16:45.03 ID:mS15/8vv0
P「さ、この話はやめだ。なんか泣きそうになってきたしな」

凛「泰葉、本当に強敵……」

P「そりゃどの意味だ? ……ま、芸能人としては頼れる先輩でもあるぞ」

P「でも、アイドルとしてはそう長いワケじゃあない。お互い意識しあえるなら、まあ今のままいいんじゃないか?」

凛「うん。私、これからも走り続けるよ」

P「おう。熱くなったけどさ、俺はアイドル皆大好きだ」

P「だからさ、限界超えて輝いてほしいんだ」



P「泰葉のこと、引っ張ってやってくれ」




P「――アイドルの先輩として」

凛「うん、分かった」