2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 18:15:13.44 ID:LM6PXFcE0
「アルバイト」

引用元: 空の境界 短編SS集 

 

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3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 18:17:35.78 ID:LM6PXFcE0
アーネンエルベ


式「いらっしゃいませ」

幹也「こんにちは。仕事がんばってるみたいだね」

式「・・・なんで来たんだよ。帰れ」

鮮花「あら、お客様に対して帰れだなんて愛想のないウェイターね。そんなんじゃやっていけないわよ」

橙子「一理あるな。それにいつまで客を立たせておく気なんだ?早く席に案内してもらえないか」

式「チッ。・・・コチラヘドウゾ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 18:32:35.45 ID:LM6PXFcE0
数日前


橙子「金がない」

式「そんなことはどうでもいい。それよりオレを呼びつけたんだ。何かあったんだろ」

橙子「だから金が無くなったからお前を呼んだんだ」

式「帰る」

橙子「待て待て。帰るな。話はこれからなんだ。それにこれから話すことは黒桐にも関係することだ」

式「幹也に?そういえばアイツ最近見ないけどどうしたんだ」

橙子「黒桐なら連れて行かれた。最近は仕事がなくて金の支払いが滞っていたからな」

式「なんで金が払えないから幹也が連れて行かれるんだよ」

橙子「支払えないなら一番大事な備品をよこせといわれてな、つい黒桐をカタとして渡す約束をしてしまった」

式「アイツは備品なのか」

橙子「だからつい、と言っただろうが。売り言葉に買い言葉ってやつだ」

式「まさか呼んだ理由がそいつ等から幹也を取り戻せってことじゃないよな」

橙子「違う。黒桐はジョージという金貸しに連れて行かれている。行き先は地下妖精王国だったか。
   そこで借金分を労働で返す、という約束だったな。いくらお前でもあそこにはたどり着けない」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 18:48:29.56 ID:LM6PXFcE0
式「じゃあ何でオレを呼んだんだ」

橙子「お前を呼んだ理由はこれだよ」


喫茶店 アーネンエルベ
バイト募集!時給1000円+歩合給 月1000万も夢じゃない!


式「なんだこれ」

橙子「見てわからないのか。バイトだよ」

式「トウコ、話が見えない。金貸しと幹也とバイトに何の関係があるんだ」

橙子「あちらさんの好意でな、仕事がないならここで働け、そうすれば待ってやると言ってきたんだよ」

式「なんだ、そんなことか。オレには関係ないだろ。仕事がないならお前が」

橙子「もう面接にいった。結果は不採用。理由は聞くな。で、お前を推薦したら採用してくれるそうだ」

式「何でオレを推薦するんだよ。働くなんて嫌だね。それになんで金貸しとアーネンエルベが繋がるんだ」

橙子「何でもジョージとそこの店長が懇意にしてるらしい。
   店長がケガで仕事ができないらしくて今人手が足りてないそうなんだ。そこで白羽の矢が立ったというわけ」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 18:57:12.38 ID:LM6PXFcE0
式「なるほど。つまりお前の借金の肩代わりをしろってことか。ふざけるな」

橙子「平たく言うとそういうことになる。物分かりがいいのも考え物か」

式「物分りがよくて悪かったな。いちいち下らないことにオレを巻き込むな」

橙子「黒桐の危機なんだぞ。この仕事をやらなくていいのか」

式「いくら幹也が危なくても命まではとられないだろ。それに何度も言うが面倒なことにオレを巻き込むな」

橙子「そうそう、言い忘れていたがこれもちゃんとした依頼なので報酬を出すつもりだったんだがな。
   金がないから報酬は好きな備品の一ヶ月レンタルだ。好きなものを持っていけ」

式「興味ない。アイツはやっぱり備品扱いか」

橙子「まあそういうことになるな。それではお前はこの仕事をやらない、ということでいいんだな」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:04:02.92 ID:LM6PXFcE0
式「ああ」

橙子「そうか。なら仕方ない、荒耶の紹介していた白澄にでも頼むか。あいつならぎりぎり式に見えないことも無い」

式「あの先輩か。男に似てるなんて言われると少しへこむな」

橙子「では白澄に頼むことにするが、それでいいのか」

式「勝手にしろ。そもそも何でオレに聞くんだ」

橙子「私は一応聞いた、という体裁を保つ為だよ。古来、日本には男色家という人種が存在する。
   黒桐はどうか知らんが白澄は少々そっちの気があったな。黒桐も少なからず白澄のことに興味があるようだ。
   どちらが受けるか知らないが、まあ備品が少々キズモノになっても」

式「いつからだ」

橙子「ん?」

式「バイト、いつからやるのかって聞いてるの」

橙子「やってくれるか。やはりお前は頼りになる。よし、善は急げだ。今から面接に行くぞ」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:19:05.57 ID:LM6PXFcE0
「ほほう、ではこのお嬢さんがお手伝いをしていただけるのですか。
 それは結構。君、両儀君だよね。よろしく頼むよ」

式「・・・・・」

橙子「こら、返事をしなさい。すみません。この子、ちょっと奥手なもので。・・・黒桐がどうなってもいいのか」

式「・・・ヨロシクオネガイシマス」

「ハイよろしく。早速だけど明日からシフトに入ってもらうよ。ところで本当に毎日出勤で大丈夫なのかね?」

橙子「もちろんです。彼女もそれを望んでいますので。ね?」

式「スキにしろ」

「服は何を着てきてもらっても構わないが、仕事ではこのエプロンか制服を着用してもらうことになる。
 仕事のことなど詳しいことは明日話すから。じゃあまた明日」

橙子「はい、わかりました。それでは失礼させていただきます。式、返事」

式「・・・しつれいします」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:31:47.96 ID:LM6PXFcE0
式「おい、何だあの生物は。あそこアーネンエルベだよな。いつからあんな異空間になったんだ」

橙子「なんでも店長の古い知り合いで、店長不在の間あの店を切り盛りするそうよ。ネコの恩返しなんて美談よね」

式「猫、なのかアレ。それより幹也、本当に大丈夫なんだろうな」

橙子「大丈夫よ。もうすぐ幹也君も解放されるわ。ただし開放されるのは貴女が働いている間だけ。
   お金のアテはあるから安心して。もうすぐで振り込まれるはずだから、それまでがんばってね」

式「はいはい、わかったよ」

橙子「ありがとう。恩にきるわ」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:43:24.31 ID:LM6PXFcE0
橙子「と、いうことがあったんだ」

幹也「ああ、だから僕もあそこから解放されたんですね。橙子さん、やっぱり僕は備品なんですか?」

橙子「だからついと言っただろう。言葉のあやだよ」

幹也「その言葉のあやのせいで一週間ほど地下に閉じ込められましたけどね」

橙子「男が細かいことにこだわるな。おお、注文が来たぞ。辛気臭い話はこれで終わりにしよう」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:53:20.84 ID:LM6PXFcE0
式「おまたせしました。こーひーとけーきになっております。ごちゅうもんはいじょうでよろしいでしょうか」

幹也「ありがとう」

鮮花「声に感謝の気持ちがこもってない気がするけど」

橙子「ほう、店員姿がやけに板についてるじゃないか。私も紹介した甲斐があったという物だ」

鮮花「えー、板についてるってこれがですか?普通店員はもっと愛想がいいものですよ。ね、兄さん」

幹也「普通はね。でも式なんだし、これでいいんじゃないかな」

橙子「なんだ、いきなり惚気か。そういうのは胸がもたれるからやめろ」

鮮花「兄さん、わたしはあの女に愛想があるかないか聞いているんです。きっちり答えてください」

橙子「止めとけ鮮花。また惚気話が始まるだけだ」

鮮花「でも・・・」

幹也「橙子さんも鮮花もひどいな。僕は真面目に答えたつもりなんだけど」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 20:59:20.25 ID:LM6PXFcE0
式「お前らなに勝手に「ほら式さん、オーダー上がってるよ!早く早く」

式「はい、今行きます。忙しいからそれ食って帰れよ」

幹也「あ、式。ちょっと待って」

式「なんだよ」

幹也「エプロン、とっても似合ってる。かわいいよ」

式「・・・・・・バカ」

幹也「あ、行っちゃった。僕、何か変な事言ったかな」

橙子「ごちそうさまだな、まったく」

鮮花「私も働こうかな・・・」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 21:07:08.45 ID:LM6PXFcE0
カランカラン


ネコ「ありがとうございましたー。またのお越しをお待ちしております」

式「やっと終わったか。慣れててもやっぱり働くと疲れるもんだな」

ネコ「いやいや、まだ終わってませんぜ旦那。今日の汚れは今日の内に。ほれ、モップ」

式「げ、やっぱりまだやるんだ」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 21:20:52.81 ID:LM6PXFcE0
式「別に少しくらい汚れていてもいいだろ。さっさと帰らせろってんだ」

ネコ「そこ、口を動かすよりも手を動かせ。まったく、これだからキレやすい二十代は」

ネコカ「両儀君、明日から他のバイトも入るから少しは楽になるはずだ。今日のところは我慢してくれんかね」

式「わかったよ」

ネコ「掃除が終わったら帰っていいから最後までちゃんとやれ」

式「へいへい」

ネコカ「両儀君、明日のシフトは覚えているかね?」

式「昼からだろ。言われなくてもちゃんと来るから」

ネコカ「なら結構。ところでこの後時間はあるかね。
    美味しいニボシを出すいい店を知っているのだが、一緒にどうかな」

式「デートなら他の奴を当たれ。それに何でニボシなんだよ」

ネコカ「ですよねー。やはりニボシではなくハーゲンダッツで釣るべきであったか」

ネコ「だから喋ってないで掃除しろって言ってるでしょうが!」





こうして、私のアルバイト生活が始まった。

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/02(金) 21:31:25.51 ID:LM6PXFcE0
時系列のことを尋ねられたので答えておきます
今日はこれ書いて終わります

時系列は原作の殺人考察(後)終了後です
殆どの人は生きてます。都合のいい改変や解釈多数あります
原作崩壊やキャラ崩壊してます。特に幹也と識

簡単な人物設定です



幹也 ヒロイン。思い込んだら一途。基本式しか見てない

式 ヒロイン。型月一番のバカップル。幹也しか見てない

識 式の喪われた人格。一部分が式より大きい。ある理由で橙子には頭が上がらない

橙子 デザイナー。式の雇い主。良くも悪くも話の中心人物

鮮花 ブラコンその1。良くって、良くってよ黒桐さん!

荒耶 小川マンション経営中。医師やニシン漁など多彩な職歴を持つ

コルネリウス 海の向こうでは偉い。工場内では超必連射可能

巫条 AパーツBパーツに分かれて動けるすごい人。病弱

浅上 腐じのん。PNふじりん

白純 クスリ作ってる少年達のカリスマ。幹也ラブ

臙条 すでに働いている苦労人。小川マンション住まい

玄霧 常識人その1。封印指定の先生

黄路美 ブラコンその2。これでも一応生徒会長

秋隆 常識人その2。式の命令には絶対服従

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 21:42:05.42 ID:Ijsmpqgj0
式「いらしゃ・・・」

識「よっ。喫茶店の店員やってるって本当だったんだ」

黒桐「やあ式。また来ちゃった」

識「どうしたんだ。つっ立ってないで早く席に案内してくれよ」

式「幹也、お前はこっちの席に座ってろ。・・・識、ちょっとこっちに来て」

識「わかった。コクトー、悪いけど先に座っててくれ。って、なんだよ。そんなに引っ張るな」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 22:06:29.12 ID:Ijsmpqgj0
式「なんで貴方がここにいるのかしら?ここには来るなと言ったはずだけど」

識「コクトーに連れてこられた。式が働いてるところが見たいって言ったら、じゃあ見に行こうか、って」

式「何で来たのよあの人は。ここには来るなってあれほどいったのに。それに貴方もよ、識」

識「何が?」

式「何がじゃないでしょう。ここには来るなと言ったはずよ。今すぐ帰りなさい」

識「嫌だ。せっかくコクトーが連れてきてくれたんだぞ。それを今すぐ帰れだなんて、ヒドイぞ式」

式「わからないの?彼にこの姿を見せるのが嫌なの。こんな格好おかしいじゃない」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 22:21:36.75 ID:Ijsmpqgj0
識「そうか?アイツは変だとはおもってないぞ」

式「彼がよくても私がダメなの」

識「オレはそうは思わないけど。エプロンよく似合ってると思うし、働くのも悪くはないだろ」

式「だから私がダメだって言ってるでしょう。それに私は望んで働いてるわけじゃなくて無理やり働かされてるの」

識「ふーん、そうなんだ。でも楽しそうだなソレ」

式「貴方は何にも分かってない。なんなら代わってみる?私の苦労が分かるわよ」

識「え、オレ代わりにやってもいいの?」

式「代わってくれるのなら代わってもらいたいけど」

識「じゃあ代わってくれ。そういうの、前からちょっとやってみたかったんだ」

式「そう。じゃあ店長代理にかけあってくるから、ちょっと待ってなさい」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 22:35:11.92 ID:Ijsmpqgj0
識「そうか?アイツは変だとはおもってないぞ」

式「彼がよくても私がダメなのよ」

識「オレはそうは思わないけど。エプロンよく似合ってると思うし、働くのも悪くはないだろ」

式「だから私がダメだって言ってるでしょう。それに私は望んで働いてるわけじゃなくて無理やり働かされてるの」

識「ふーん、そうなんだ。でも楽しそうだなソレ」

式「貴方はなにも分かってない。なんなら代わってみる?私の苦労が分かるわよ」

識「え、オレ代わりにやってもいいの?」

式「代わってくれるのなら代わってもらいたいけど」

識「じゃあ代わってくれ。そういうの、前からちょっとやってみたかったんだ」

式「そう。じゃあ店長代理にかけあってくるから、ちょっと待ってなさい」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 22:39:28.80 ID:Ijsmpqgj0
識「どうだった」

式「入れ代わりの許可が出たわ。はいこれ。後はお願いね、識」

識「ああ。オレ着替えてくるからコクトーのこと頼んだぞ」

式「ええ、彼の相手は私がしておくわ。識、私の苦労を思い知ることね」

識「なんだ、まださっきのこと根に持ってるんだ。やっぱり暗いな、お前」

式「無駄口はいいからさっさと行きなさい」

識「へいへい」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 22:58:15.52 ID:Ijsmpqgj0
幹也「あれ?式、君着替えちゃってるけど仕事やらなくていいの。それに識は?」

式「識なら今裏にいる。オレの代わりに仕事してくれるんだと。識は物好きなんだよ」

幹也「そうなんだ」

式「あと識からの伝言”今日は式と遊んでくれ”、以上」

幹也「そっか。なら仕方ない。式、今日一日よろしくね」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 23:15:03.30 ID:Ijsmpqgj0
識「注文、コーヒー二つでよかったよな」

式「お、やっときた・・・か?」

識「待たせて悪かった。まだ慣れてないから意外と手間取っちまった」

幹也「識、君その恰好は」

式「おい、何でわざわざ制服の方を着てくるんだよ・・・」

識「何でって、エプロンよりこっちの方がカワイイからに決まってるだろ。どうだコクトー、似合ってるだろ?」

幹也「うん、似合ってる。すごくかわいいと思うよ」

式「は?」

識「だろ。よかった。オレこれからここで働くことになった。悪いけど今日は式と遊んでくれ」

幹也「わかった。あんまり無理しないでね」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 23:28:30.22 ID:Ijsmpqgj0
識「今日はこっちから誘ったのに悪かったな。
  うめあわせに明日からはいろいろサービスしてやる。だから明日絶対来いよ。いや、毎日来い」

幹也「嬉しいな。じゃあお言葉に甘えて通わせてもらうよ」

識「うん。それでいい。じゃあオレはこれで」

式「幹也、お前はここに居ろ。・・・識、ちょっといい?」

識「なんだよ。こら、引っ張るな。服が伸びるって。これ借り物なんだぞ」

幹也「式、どこ行くの。コーヒー冷めちゃうよ」

式「なんでもない。すぐ戻る

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/03(土) 23:36:22.34 ID:Ijsmpqgj0
識「ただいま」

幹也「あれ、なんで着替えてるの。識はここで働くんじゃなかったの」

識「やっぱりそれは式がやるって。・・・式のヤツ、いいとこ取りかよ」

幹也「そっか。せっかく君に似合ってたのに、残念。あれ、でも式の姿が見えないけど」

識「式ならさっきの制服を着て落ち込んでる。オレと同じサイズが式に合うわけないだろ。
  それに制服姿をコクトーに見せる勇気は無いって。それ飲んでさっさと帰れだとさ。式のヤツ横暴すぎるぞ」

幹也「ちょっと残念かな。エプロン姿の式もいいけど制服着てる姿も見たかったな」

識「なんだよ。さっきオレが制服着てるとこ見せただろ。オレのじゃ満足できないってのかよ」

幹也「そうじゃないよ。ただ式の制服姿も見てみたかっただけ」

識「贅沢なヤツ」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 22:22:03.61 ID:bqVnqSAX0
ネコ「おっそい!十分の遅刻ですよ!」

式「寝坊したから仕方ないだろ。来てやっただけでもありがたく思え」

ネコ「んまっ、今の言葉聞きましたか奥さん。この傍若無人ぶり、幹也っちにも見せてやりたいぜ」

式「ん?なんだ、この店にもちゃんと人間の店員は居るんだ。少し安心した」

「あなた、ネコさんの言ってた新入りさんですか?私は日比乃ひびきって言います。
 少し前からここの店員をやってます。店員って言ってもアルバイトだけど」

式「オレは式。働きたくないけど働かされることになった。用が済んだらさっさと辞めるから覚えなくていいぞ」

ひびき「働きたくないのに働かされてる?」

ネコ「ほらそこ。忙しくはにゃいんだけどさ、とりあえず喋ってないで早く着替えて」

式「はーい。わっかりましたー。きがえてきまーす」

ネコ「にゃんだそのしゃべり方。馬鹿にしてんのかお前ぇ?」

ひびき「私はこれで帰ります。後はよろしくおねがいしますね、式さん」

ネコ「ひびきは相変わらず素直でかわいいにゃ。やれやれ、これじゃどっちがヒロインか分からんぜ」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 22:35:59.81 ID:bqVnqSAX0
「アンタ、もしかしてアイツ等が言ってた新入り?」

式「誰だお前」

「私は千鍵。ここでバイトしてる。アンタは何てんだ」

式「オレは式。訳あってここで働かされることになった。すぐ辞めるから覚えなくていい」

千鍵「働かされる?どういう意味なんだよ」

式「自分で考えろ。説明するのが面倒だ」

千鍵「なんかムカつく奴だな。アイツ等といいお前といい、何で最近は変な奴とばかり縁があるんだよ」

式「アイツ等?」

千鍵「あの胡散臭い猫だよ。私よりも後に入ったくせに、妙に偉そうなんだ」

式「千鍵はあのネコ共より前から働いてたのか。ネコ共がこの店に来た時のこと、話してくれない」

千鍵「いいよ。えっと、あれは確か・・・」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 22:43:11.03 ID:bqVnqSAX0
十日前


ネコカ「・・・というわけだ。我輩達がここに居る理由は分かってもらえたかね?」

ネコ「まあそういうワケだから、しばらくの間よろしくたのむ」

ひびき「そうなんですか。わかりました。こちらこそよろしくお願いします」

千鍵「おはよー。さーて、今日もサクッと仕事しますか、って!?なんだお前たちは!」

ひびき「あ、チカちゃん。おはよ~」

千鍵「ああひびき。おはよう、じゃない!ひびき、なんなんだよコイツ等は!なんでここにいる!
   なんでお前はこいつ等見て平然としてるんだよ!」

ひびき「だって可愛いんだもん。それに白と黒でなんだか縁起よさそうだし」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 22:54:23.73 ID:bqVnqSAX0
千鍵「可愛いかコレ?それと白と黒は不幸なほうだろ。縁起いいのは白と赤だよ。一体何なんだよ、そいつらは」

ひびき「ネコアルクさんとネコカオスさんだって」

ネコ「どうもご紹介に預かりました、タイプ・ムーン一のセレブ系マスコット、ネコアルクです」

ネコカ「同じくタイプ・ムーン一の愛されキャラ、ネコアルク・カオスだ。以後お見知りおきを、麗しいレディ」

千鍵「あ、これはどうもご丁寧に、って違う!お前らのことはどうでもいい。なんでここにいるのかを聞いてるんだよ」

ひびき「この二人、店長の知り合いらしいよ。なんでも店長がいない間一緒に働いてくれるって」

ネコカ「他でもない奴の頼みならば断れんよ。我輩達が手を貸すのは少しの間とはいえ、手を抜くつもりはない。
    はいこれ証文。我輩達が手伝うのもちゃんとした契約になっているから。あしからず」

ネコ「ま、そういうことだから。大船に乗ったつもりでどーんとぶつかるがよい」

千鍵「証文あるんだ。それとぶつかったらだめだろ。船、沈むぞ。
   それにしても店長顔が広いのは知ってたけど、こんな怪生物にまで交友があったとは。謎だ」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:01:34.12 ID:bqVnqSAX0
千鍵「というわけ。はっきり言ってアイツ等信用できないけど、店長直筆の誓約書を持ってるから何も言えないんだ」

式「ふーん」

千鍵「説明してやったのになんだよその言い草は。ずいぶんそっけないな」

式「別に。あのネコの正体がわかるかと思って期待してたんだけど、ハズレだったか」

千鍵「あの猫の正体は私が知りたいよ。そもそもなんで猫が二本足で歩いていることに誰も疑問を持たないんだよ」

式「知るかそんなこと」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:08:34.77 ID:bqVnqSAX0
ネコカ「来たか。相変わらずエプロンが似合うね君は。早速で悪いが、あそこの客の注文をとってきてくれんかね?
    あそこに座ってる二人、いつも何時間もしゃべっててこっちの話を一切聞いてくれないのよ」

式「はいよ」

ネコカ「注文を聞くのは多少強引でも構わん。任せたぞ」

千鍵「私は?」

ネコ「みどりはおとなしく皿でも洗ってろ。終わったらテーブルの清掃頼む」

千鍵「だからみどり言うな!」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:20:12.25 ID:bqVnqSAX0
式「ご注文はお決まりになりましたか」

「少々描写が過激すぎると思うのですが、そこがまたいいんですよね」

「あはは、そうかな。そう言ってくれるのはうれしいですけど」

式「ご注文は決まりましたか」

「私はアッキーラ先生の作品が大好きなんです。先生の作業の手伝いをできることはとてもうれしいです」

晶「まあ、お上手。それにふじりん先生のこの本もなかなかでしたよ。隠れ家を提供する代償として求められる歪な愛。
  その歪な愛は禁断の扉を開け、やがて本物の愛へとすり替わっていく。その細やかな心情の描写がなんとも・・・」

藤乃「ええ、そこは特に力を入れたところですので。気に入ってもらえて嬉しいです」

式「注文は決まりましたか」

晶「それにふじりん先生の作品は眼鏡は受けだという私の価値観を壊してくれましたからね。
  眼鏡が外れると同時にリミッタ―解除!攻守逆転!リアル下剋上!アレは、いいものだ・・・」

藤乃「そうなんです!あの人は本当はすごいんです!男の人の眼鏡は自分を抑えるためにかけているんです!」

式「注文、決まったか」

晶「なるほど。つまり男は眼鏡をかけることで普段は自己封印をかけている。
  そして眼鏡を外すことで裏コード・ザ・ビーストを発動するということですね」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:26:43.33 ID:bqVnqSAX0
藤乃「そうです。アッキーラ先生のこの本の中にもその片鱗が確かにありました」

晶「なんですと!?確かその本は志○さんが複数の殿方のお相手をするというものだったはずですけど」

式「おい」

藤乃「ほら、ここのページです。○貴さんの眼鏡を○彦さんが乱暴に取り上げるシーンがあるじゃないですか」

晶「はい。確かにこのシーンは・・・ああっ!!」

藤乃「お気づきになられましたか。そうです、ここなんです」

式「注文は」

晶「こ、こ、こ、これは・・・。眼鏡をとられた志○さんの表情が!!」

藤乃「一見弱気な表情に見えますが、その目の奥底にはやってやる、という物凄い闘志が秘められています」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:32:28.52 ID:bqVnqSAX0
晶「た、確かに。これはやられる側の男の目ではない。やる側の漢の目です!
  そういえば、その後志○さんが有○さんに逆らおうとしたりして私の思う通りに動いてくれなか」

式「いいかげんにしろ!」

晶「ひいっ!あ、秋葉様!ごめんなさい。ごめんなさい」

藤乃「誰です!・・・なんだ、貴女でしたか。何か御用ですか」

式「何か御用ですか、じゃないだろ。注文、まだなの?」

藤乃「注文ですか。すっかり忘れていました。私はホワイトミルクティーを一つ」

晶「な、なんだ。店員さんか。えーっと、わたしはこのジャンボフランクフルトをください」

藤乃「まあ、アッキーラ先生ったら。そんなものを注文するなんて大胆なんですね」

晶「ふじりん先生こそ。この会話の中でそのような物を注文するなぞ、並みの者にはできませんよ」

藤乃「そんなことありません。話の中から自然とその名前が浮かんできただけです」

晶「自然と浮かんできたなんて、またまたご冗談を」

式「ホワイトミルクティーとジャンボフランクフルトですね。今すぐ持ってきてやるから黙って待ってろ」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:45:19.37 ID:bqVnqSAX0
式「お待たせしました。ご注文の品は以上でよろしでしょうか」

晶「あわわわわ。な、何でそんなもの持ってるんですか。そんな駆け出しの頃の作品なんて見たくないですよ」

藤乃「駆け出しだなんてご謙遜を。それにこの本は私のバイブルです」

晶「バ、バイブルですか。そう言ってもらえるのは嬉しいけど、それは少し言いすぎな気がします」

式「ホワイトミルクティーとジャンボフランクフルトです。ご注文は以上でよろしかったでしょうか」

藤乃「いいえ、この本は私のバイブルです。
   この本は何も知らなかった私を、この素晴らしい薔薇色の世界に導いてくれたんですから」

晶「そう言われると照れちゃうけど、私の本がこちらの世界に足を踏み入れるきっかけになれたのは嬉しいです」

藤乃「私はこの本を読んで心が震えたんです。暗闇の中に居た私に、一筋の光が差し込んだ。そんな感覚を覚えました」

晶「光が差したなんて言い過ぎですよ。なんだか聞いてて恥ずかしいです」

藤乃「私に光が差したのは事実です。本当に私の目に光が戻ったんですから。
   アッキーラ先生の本を読みたい、という一心で再び光が戻ったのだと私は思います」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/10(土) 23:56:42.17 ID:bqVnqSAX0
晶「私の本がお役に立てたのならば嬉しいですけど、やっぱり駆け出しのころの作品を持ってこられると・・・」

藤乃「そうご謙遜なさらないでください。駆け出しでこのレベルのものを書ける人はそういません。
   それにアッキーラ先生はたった一年で大御所と呼ばれるようになったではありませんか」

晶「そんな、褒めすぎですよぅ。それにふじりん先生だって今や飛ぶ鳥を落とす勢いじゃないですか。
  金髪の熱心な追っかけの方が作った親衛隊もいるくらいだし、すごい人気ですよ」

式「ホワイトミルクティーとジャンボフランクフルト、置いとくぞ」

藤乃「それは私の作品に人気があるのではなく、モデルにした主人公に人気があるんです。
   私の人気は私の実力ではなく、すべてあの人の力です」

晶「またまた。そんなご謙遜を」

藤乃「悲しいですけど事実なんです。私の本が売れているのは私に人気があるのではなく、主人公の幹」

式「聞けよ!さっきからホワイトミルクティーとジャンボフランクフルトだって言ってるだろ!」

藤乃「ホワイト・・・ミル・・ク?」

晶「ジャンボフランクフルトだなんて、そんな。恥ずかしいです・・・」

式「なにが恥ずかしいんだよ。いいからさっさと食え。そして帰れ。伝票、ここに置いとくからな」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/11(日) 00:07:41.95 ID:XqmJInQ60
藤乃「・・・その大きいものをすぐに食えですって?いやらしい。そんなこと大声で言うなんて信じられません」

晶「そうですよ。それにもう中身がコップの中に出ちゃってるじゃないですか」

藤乃「貴女も女でしょう。女たるもの、もう少し慎ましやかにしなければいけませんよ」

晶「人並みの羞恥心があれば、普通公共の場で咥えろなんて言いませんよ。一体どんなプレイ・・・あっ!」

藤乃「どうかしましたか」

晶「そうです!そうですよ!公共の場です!どうしてもっと早く気付かなかったんでしょう!」

藤乃「公共の場がなにか?」

式「お前らいい加減に「両儀君、客との揉め事はNGだ。こっちに来てくれんかね」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/11(日) 00:15:01.70 ID:XqmJInQ60
ネコカ「注文ご苦労。後は放っておけ」

式「本当に放っといていいの?アレ周囲に毒撒き散らかしてるぞ」

ネコ「構わん。むしろもっと撒き散らしてもらいたいくらい。彼女達、その筋では有名な作家にゃのよ。
   彼女たちの出す毒目当てに通う客もいるくらいなのですよこれが」

式「アレ目当てに?」

ネコ「そう。アレ目当てに」


「それがいいんです。見られているという背徳感と鬩ぎ合う羞恥心。これは、これはイケるでぇ!」

「背徳感と羞恥心ですか。確かにその組み合わせは盲点でしたね。組合せとしても悪くないですし、私も気に入りました」

「では今度の本はこの方向でいきましょう!よろしくお願いしますね、ふじりん先生」

「わかりました。私もアッキーラ先生に負けないように全力を尽くさせてもらいます」


式「アレが有名、ね。世も末だな」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:20:55.51 ID:l4SLzzWw0
昼前


「すまない、追加で料理を頼みたいんだけど」



ネコ「あのテーブルにランチ作れるだけ追加!あとメニューのここからここまであるだけ持ってきて!」

千鍵「またかよ。さっきあそこにランチ10人前出したばかりだろ。何でもうテーブルの上に何も無いんだ」

ネコカ「起源覚醒者、か。シャレにならん食事スピードだな。おかげで我輩まで厨房に立つ羽目になるとはな」

ネコ「無駄口はいいから急いで作れ!今式さん呼んだところだから、それまで持ちこたえて!」

ひびき「できた!チカちゃん、持っていくのは任せたよ!」

千鍵「おう、まかせろ。ひびき、あまり無茶するなよ。あとついでにだけど黒猫も」

ネコカ「ふむ、今の言葉は我輩に対するデレととってもよいのかな?」

千鍵「[ピーーー]!今すぐ目の前のフライヤーに飛び込んで[ピーーー]!」

ネコ「こら!遊んでないでみどりはさっさと料理を持って来い!」

千鍵「今持って行くよ。あとみどりって呼ぶな!」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:26:44.58 ID:l4SLzzWw0
昼前


「すまない、追加で料理を頼みたいんだけど」



ネコ「あのテーブルにランチ作れるだけ追加!あとメニューのここからここまであるだけ持ってきて!」

千鍵「またかよ。さっきあそこにランチ10人前出したばかりだろ。何でもうテーブルの上に何も無いんだ」

ネコカ「起源覚醒者、か。シャレにならん食事スピードだな。おかげで我輩まで厨房に立つ羽目になるとは」

ネコ「無駄口はいいから急いで作れ!今式さん呼んだところだから、それまで持ちこたえて!」

ひびき「できた!チカちゃん、持っていくのは任せたよ!」

千鍵「おう、まかせろ。ひびき、あまり無茶するなよ。あとついでにだけど黒猫も」

ネコカ「ふむ、今の言葉は我輩に対するデレととってもよいのかな?」

千鍵「死ね!今すぐ目の前のフライヤーに飛び込んで死ね!」

ネコ「こら!遊んでないでみどりはさっさと料理を持って来い!」

千鍵「今持って行くよ。あとみどりって呼ぶな!」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:27:31.05 ID:l4SLzzWw0
ネコ「お待たせしました。ランチ30人前とパスタ20人前、あとその他諸々になってます」

「ありがとう。でももっと早く持って来てくれないかな。あとここからここまであるだけ追加」

ネコ「わ、わかりました。少々お待ちくださいませ・・・」

千鍵「あの野郎、まだ食う気なのかよ・・・」

ひびき「負けない、負けないんだからー!」

ネコカ「俺、頑張ったよね。もう、ゴールしてもいいよね・・・」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:32:29.14 ID:l4SLzzWw0
昼過ぎ


「ええい、なぜアオザキはいつも私の誘いを断るのだ!私よりも大切な用事など無いはずだろう!」


ネコ「お客様、他のお客様へのご迷惑となりますので、大声を出すのはどうか・・・」

「うるさい!この私が待ち合わせをしているのだぞ!こんなしなびた店にこの私がいてやるだけでもありがたいと思え!
 それに待ち合わせをしている私に少しは気を利かせたらどうなんだ!」

ネコ「やれやれ、お客様は神様だと言った奴はどこのどいつだよ。アレが神様だったらとっくに世界が終わってるぜ全く」

「ふん!グチグチとうるさいな。ネコ妖精如きがこの私を蔑ろにするか」

ネコ「そうは言ってませんが、正直帰ってくれませんかね。水だけで長時間居座られるのも迷惑ですし」

「一々煩いヤツだな。なら商品を注文すればよいのだろう。今すぐコレとコレを持って来い」

ネコ「ご注文ですか!?し、しかし、現在材料の方を切らしておりまして・・・」

「言い訳はいい!さっさと持ってくるんだ!私は客なんだぞ!客である私の言うことが聞けないというのか!」

ネコ「・・・ハーイ、わっかりましたぁ。ただ今準備いたしますので、しばらくお待ちください」

ひびき「注文、ですか?作ろうにももう食材も無いですし、今から私が買ってきましょうか?」

ネコ「ああ、頼むわ。正直もう動く気力がにゃい」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:35:06.42 ID:l4SLzzWw0


式「おい、人を呼びつけておいてなにノビてるんだよ。起きろ」

ネコカ「・・・ああ、両儀君か。来てくれたようだな。今日は時間より早く呼び出してすまなかった」

式「いいよ別に。それで、オレを呼んだ理由は?」

千鍵「・・・さっきまで死ぬほど急がしかったんだよ。見て分かれ」

式「そんなの超能力者じゃあるまいし分かるか。忙しかったって、何があったんだ」

ネコカ「先ほど、君に似た容姿の金髪の客が店の食べ物全部食べていってしまったのですよこれが。
    しかも支払いはニコニコ現金一括払い。マジ信じらんねぇ」

式「オレに似てる?ああ、あの先輩か。店のもの全部食うなんて随分気前がいいな」

千鍵「気前がいいのはよかったけど、食材がほとんど無くなったんだ。おかげで料理が出せなくて困ってるの」

式「なら何で今店が開いてるんだよ。材料がないならもう閉めればいいじゃないか」

ネコカ「まだ店内に一人客が残っている。正直迷惑だし、早く帰ってもらいたいものだが」

式「なら帰れって言ってこい。材料が無いのなら出せる物もないし、ここに居る意味も無いだろ」

千鍵「それが今店にいる奴、ここで待ち合わせしてるらしいんだよ。もうかれこれ三時間以上居座ってる。
   本っ当に邪魔なんだけど、店長の知り合いの知り合いの友人らしいから強く言えないんだ」

式「ふーん。迷惑なヤツ」

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:39:26.06 ID:l4SLzzWw0
「おい、いつまで待たせる気なんだ。もう一時間以上も注文の品が来てないぞ!どうなっている!」

「ハイ。ただ今調理中ですので、もう少しお待ち下さい」



式「今の声が件の客か。ここまで聞こえる声で怒鳴るなんて迷惑なやつだな」

ネコカ「ああ。だが迷惑なのは確かだが、彼意外に客がいないのが唯一の救いだ」

千鍵「さっきから材料切れで料理が出せないって言ってるのに。さっさと帰れよ」

ネコ「ちょっと厨房、料理来てないよ!にゃにやってんの!早く作って作って!」

千鍵「まだひびきが戻ってない。材料も無いんだし何も作れないよ」

ネコ「そ、そんな、まだ帰ってにゃいだと!?じゃあ千鍵が手伝いに・・・」

千鍵「悪いけどパス。私何買ってくればいいか判らない」

ネコカ「我輩もパス。正直もう動きたくにゃい」

ネコ「じゃあ式さん、来たばっかで悪いけど、急いでひびきの買出し手伝ってきてあげて」

式「了解。帰ってくるまであの迷惑な客の相手は任せた。材料買ってきてすぐ黙らせてやる」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:40:28.97 ID:l4SLzzWw0
ネコカ「ふむ、あの二人は一体何処でなにをしてるのやら。両儀君が出てから、もうかれこれ三十分以上経つな」

ネコ「まだ帰ってこにゃいとは。どうしたものか・・・」

「まったく、ニホンの飲食店の質の低さにはあきれて物もいえんな。
 空気は湿っている、店は狭い、値段は高い、そして出て来るのも遅い。全く、客を舐めているとしか思えん!
 それにアラヤは一体何をしている!この私がわざわざ呼んでやったんだぞ!約束の二時間以上前に来るのが普通だろう!」

ネコ「ああ、怒っていらっしゃる。こうにゃりゃヤケだ。チカちゃん、あるもの適当にぶっこんでさっさと作っちゃって」

千鍵「げ、本気かよ。どうなっても知らないからな」




千鍵「・・・これでよし。ほら、出来たぞ。持ってけ」

ネコ「お客様、大変お待たせしました。ご注文のスペシャルランチと大盛りパスタでございます」

「ふん、ようやく来たか。この私をこれだけ待たせたんだ。さぞかし期待していいんだろ・・・ぶはぁ!!」

ネコ「ああっ、赤い帽子のお客さんが倒れて窓を突き破って外に!」

千鍵「人が作った料理にそのリアクションは無いだろ!」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:41:36.12 ID:l4SLzzWw0
ひびき「ただいまー。言われたもの全部買って来たよ。あー重かった」

式「何だあの救急車は。ん?店が閉まってる。なんだ、あの客帰ったんだ。とんだ無駄足だったな」

ひびき「え、あの人帰っちゃったの。随分待ってたみたいけど、疲れてお家に帰っちゃったのかな」

ネコ「いや、家に帰ったというか土に還ったというか・・・」

千鍵「なんでそこで私を見るんだよ。作れって言ったのはあんただろ」

ネコカ「二人とも買い出しご苦労。何にせよ今日はこれで閉店だ。三人とも帰ってくれて構わんよ」

式「人を呼びつけておいて買出しに行かせて即帰れか。お前ら常識ってものがないんだな」

ネコ「お前ぇにだけは言われたく無い」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/17(土) 18:42:42.01 ID:l4SLzzWw0



「む、閉店しているのか」

ひびき「あ、お客さんですか?もう今日は材料が無くなっちゃったので閉店しました。来てくれたのにごめんなさい」

「ここで人と会う約束をしていたのだが」

ひびき「もしかして待ち合わせの方って、赤い帽子の人ですか。あの人ならもう帰っちゃったみたいです」

「そうか。娘よ、礼を言う。・・・おかしい。今が約束の半刻前のはずなのだが。
 アルバめ、人を呼び出しておいて先に帰るとはどういう了見だ」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 22:42:57.44 ID:7M3GrAop0



ひびき「ありがとうございましたー」

式「やっと終わったか」

ひびき「お疲れ様です式さん。朝から一人でご苦労様です」

千鍵「疲れてるみたいだし、残りは私とひびきでやっとくから先に帰っていいぞ」

式「悪いな。今日はお言葉に甘えさせてもらうとする」

ネコ「ふむ、本日のお勤めご苦労。明日も朝からだから。遅れんなよ?」

式「わかってる。・・・くそ、人を物みたいに扱いやがって。いつか絶対剥製にしやる」

ネコ「ん?今なんか言ったか?」

式「いいや、別に」

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 22:54:02.16 ID:7M3GrAop0
式「・・・疲れた。一体いつまでこんなことしなきゃならないんだよ」


< やれやれ、予定より大分遅れてしまったな。もう店が閉まっているじゃないか


式「ん?あれは・・・トウコか。アイツこんなところで何やってるんだ?」


< わっ、びっくりした。お客様ですか?すみません。そこは裏口で、店ももう・・・

< 私は客じゃない。店長代理に用があってきた。店長代理は居るか?

< 代理って、あのネコさんのことですか?

< ああ。そのネコ。橙子が来た、と伝えてくれ

< わかりました。伝えてきます

< よろしく


式「・・・アイツが何やっていようがオレには関係ないか。帰ろ」

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:01:05.43 ID:7M3GrAop0
式「いらしゃ・・・」

織「よっ。喫茶店の店員やってるっての本当だったんだ」

黒桐「やあ式。また来ちゃった」

式「・・・・・」

織「どうしたんだ。つっ立ってないで早く席に案内してくれよ」

式「幹也、お前はこっちの席に座ってろ。・・・織、ちょっとこっちに来て」

織「わかった。コクトー、悪いけど先に座っててくれ。って、なんだよ。そんなに引っ張るな」

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:08:15.58 ID:7M3GrAop0
式「なんでアナタがここにいるのかしら?ここには来るなって言ったはずだけど」

織「コクトーに連れてこられた。式が働いてるところが見たいって言ったら、じゃあ見に行こうか、って」

式「何で来るのよあの人は。ここには来るなってあれほどいったのに。それにアナタもよ、織」

織「何が?」

式「何が、じゃないでしょう。ここには来るなと言ったはずよ。今すぐ帰りなさい」

織「嫌だね。せっかくコクトーが連れてきてくれたんだ。それを今すぐ帰れだなんて、ヒドイぞ式」

式「つべこべ言わずに早く帰りなさい」

織「何でオレがお前の言うことに従わなくちゃいけないんだよ。
  どこでどうしようとオレの勝手だし、式に迷惑かけてないからいいじゃないか」

式「迷惑ならかかっています。私は彼にこの姿を見せるのが嫌なの。こんな格好おかしいじゃない」

織「そうか?アイツは変だとおもってないと思うけど」

式「彼がよくても私がダメなのよ」

織「オレはそうは思わないけどな」

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:11:30.45 ID:7M3GrAop0
織「でもエプロン似合ってるのは事実だし、コクトーも悪くないって思ってるぞ、きっと」

式「だから彼が良くても私がダメだって言ってるでしょう。私は見られたくないの」

織「別に見せてもいいと思うけど。減るものじゃないし、働くってのも悪いことじゃないだろ」

式「いろいろ減るの。あと私は望んで働いてるわけじゃなくて無理やり働かされてるのよ」

織「ふーん、そうなんだ。でも楽しそうだなソレ」

式「・・・アナタは何にも分かってない。なんなら代わってみる?少しは私の苦労が分かるわよ」

織「え、オレ代わりにやってもいいの?」

式「本気?本当に代わってくれるのなら私は助かるけど・・・」

織「じゃあ代わってくれ。そういうのさ、前からちょっとやってみたかったんだ」

式「そう。じゃあ店長代理にかけあってくるから、ちょっと待ってなさい」

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:13:43.75 ID:7M3GrAop0
織「どうだった」

式「入れ代わりの許可が出たわ。必要な物は私のロッカーにあるから。後はお願いね、織」

織「ああ。オレ着替えてくるからコクトーに伝言頼む。今日は式と遊んでくれって伝えといてくれ」

式「ええ。気が向いたら伝えておくわ。織、私の苦労を思い知ることね」

織「なんだ、まだコクトーと一緒に来たこと根に持ってるんだ。やっぱり暗いな、お前」

式「無駄口はいいからさっさと行きなさい」

織「へいへい」

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:18:05.95 ID:7M3GrAop0
幹也「あれ?式、エプロンはどうしたのさ。君まだ仕事中のはずだろ」

式「脱いできた。今日はもう仕事終わり」

幹也「そうなんだ。織は?」

式「織なら今裏にいる。オレの代わりに仕事してくれるんだと。織は物好きなんだよ」

幹也「ふーん、そっか。よかった」

式「何だよ、そのよかったってのは。それにお前、その顔はなんだ」

幹也「いや、別に」

式「怪しいな。もしかして織と何か企んでたりしてる?」

幹也「そんなんじゃないよ。仕方ない。ホントは内緒にしてくれって言われてたんだけどね」

式「やっぱり。何隠してたんだよ」

幹也「最近式が疲れてるみたいだから、織が代わりに仕事を代わってやるって言ってた」

式「織が?」

幹也「うん。今日来たのもその為なんだ。仕事、代わってもらえてよかったね」

式「そうだったのか。・・・少しきつく言い過ぎたかな」

幹也「でも驚いたな。本当に織が言ってた通りになるなんてさ」

式「織の言ってた通り?」

幹也「うん。式は単純だから、二人で行けば絶対に仕事代わってくれるってさ」

式「・・・前言撤回。次会ったら覚えてろよ」

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:19:25.45 ID:7M3GrAop0
幹也「それはそうと式、織から伝言預かってるんじゃない?」

式「なんで知ってるんだよ・・・。知ってるなら別に言わなくていいだろ」

幹也「ダメだよ。今日僕が織に付き合う報酬だって言ったんだから」

式「ちっ。織の奴、余計なことを」

幹也「織は何て言ってたの?」

式「・・・織からの伝言”今日は式と遊んでくれ”、以上」

幹也「了解。式、今日一日よろしくね」

式「へいへい」

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:21:42.46 ID:7M3GrAop0
織「二人とも話はすんだか?注文、コーヒー二つでよかったよな」

幹也「あ、織。言われてたこと式に話しちゃっ・・・た?」

織「待たせて悪かったな。まだ慣れてないから着替えとかに意外と手間取っちまった」

幹也「織、君その恰好は」

式「おい、なんでわざわざ制服の方を着てくるんだよ・・・」

織「なんでって、エプロンよりこっちの方がカワイイからに決まってるだろ。どうだコクトー、似合ってるだろ?」

幹也「うん、似合ってる。すごくかわいいと思うよ」

式「は?」

織「だろ。よかった。オレこれからここで働くことになった。悪いけどしばらくの間は式と遊んでくれ」

幹也「うん。あんまり無理しないようにね」

織「今日はオレの用事につき合わせて悪かったな。
  埋め合わせに明日からはいろいろサービスしてやる。だから明日絶対来いよ。いや、毎日来い」

幹也「嬉しいな。じゃあお言葉に甘えて通わせてもらうよ」

織「うん。それでいい。じゃあオレはこれで」

式「幹也、お前はここに居ろ。・・・織、ちょっといい?」

織「なんだよ。こら、引っ張るな。服が伸びるって。これ借り物なんだぞ」

式「いいから早く来なさい」

幹也「式、どこ行くの。コーヒー冷めちゃうよ」

式「なんでもない。すぐ戻る」

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/05/12(土) 23:24:47.45 ID:7M3GrAop0
織「ただいま」

幹也「あれ、なんで着替えてるの。織はここで働くんじゃなかったの」

織「やっぱりそれは式がやるって。・・・式のヤツ、人の好意を踏みにじりやがって」

幹也「そっか。せっかく君に似合ってたのに、残念。あれ、でも式の姿が見えないけど」

織「式ならさっきオレが着てた制服着て落ち込んでる。オレと同じサイズが式に合うわけないだろ。
  それに制服姿をコクトーに見せる勇気は無いって。それ飲んでさっさと帰れだと。式のヤツ横暴すぎるぞ」

幹也「そっか。ちょっと残念かな。エプロン姿の式もいいけど、制服着てる式も見たかったな」

織「なんだよ。さっきオレが制服着てるとこ見せただろ。オレのじゃ満足できないってのかよ」

幹也「そうじゃないよ。ただ式の制服姿も見てみたかっただけ」

織「ふん。贅沢なヤツ」

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:02:57.14 ID:aqYNQk1w0
式「いらっしゃいませ。なんだ臙条か。混んでるから相席でいいよな」

巴「・・・・・」

式「なにハトが豆鉄砲くらったような顔してるんだよ。忙しいんだからさっさと来い」

巴「・・・両・・儀・・・・・?」

式「それ以外の何に見えるってんだ。そんなところでつっ立ってると邪魔だ。ぼーっとしてないでこっちに来い」

巴「わ、悪い。今いく・・・。あの格好、気でも狂ったのか?」

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:06:02.35 ID:aqYNQk1w0
式「お客様。申し訳ありませんが、相席の方よろしいですか?」

「ああ、かまいませんよ」

式「ありがとうございます。臙条、ここに座れ。今品書き持ってくるから」

巴「お、おう。・・・何でアイツ手馴れてるんだ。気味悪い」

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:08:40.43 ID:aqYNQk1w0
巴「相席悪いな、ってなんだ、アンタか。久しぶりだな、衛宮」

士郎「ん?ああ、臙条じゃないか。久しぶり」

巴「お前こんなところで何してるんだ?」

士郎「バイトまで時間潰してるところ」

巴「へぇ、もう新しいバイト先見つかったのか。一体どうやったんだよ」

士郎「特に何も。今働いてる所は前働いてたとこだし、こっちの事情を察してくれたってのがあったからな」

巴「そうなのか。よかったな」

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:18:32.01 ID:aqYNQk1w0
式「待たせたな。品書きだ」

巴「お、おう。・・・やっぱり俺の見間違いじゃないか」

士郎「・・・・・・」

巴「・・・・・・」

士郎「・・・・・・」

巴「・・・・・・」

士郎「・・・なあ臙条、急に黙らないで何か言ってくれよ」

巴「・・・いや、こうやって顔を合わせるのも久しぶりなんだし、なんだか話し辛いんだよ」

士郎「その感覚はわからなくも無いかな」

巴「言ったら悪いが、正直職が見つかるまでお前とは会いたくなかったな」

士郎「その言い方だと俺と会うのが嫌って風に聞こえるんだけど」

巴「お前と顔あわせるとあのこと思い出すから、あんまり顔あわせたくはなかったんだよ」

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:29:52.26 ID:aqYNQk1w0
士郎「なんだよ。臙条は俺のことが嫌いなのか」

巴「いや、お前のことが嫌いなんじゃなくてあの事故が嫌いなんだよ。
  お前と顔あわせると嫌でもあの事思い出しちまうからな」

士郎「よかった。俺が嫌われたわけじゃないんだな」

巴「嫌いになるわけないだろ。衛宮のことは好きな奴の部類に入ると思う」

式「臙条、お前本当にゲイ・・・」

士郎「俺も臙条のことは好きなタイプの人だと思う」

巴「そりゃどうも」

式「・・・は?お前ら、まさか・・・」

士郎「臙条。店員さんが注文待ってるぞ」

巴「っとそうだった。悪ぃな、待たせちまって。それじゃこのジャンボフランクフルト一つ頼む」

士郎「あ、あと俺もミルクティーのお代わりお願いします」

式「わ、わかった。今持ってくる・・・」


式「・・・なんだ?先輩といい藤乃といい臙条といい、最近は男同士がはやってるのか?」

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:34:48.36 ID:aqYNQk1w0
ひびき「式さん。ちょっとお願いがあるんですけど・・・」

式「なに?」

ひびき「休憩の時間、かわって欲しいんです。いいですか?」

式「ああ。かまわないけど」

ひひび「よかった。ありがとうございます」

式「じゃあオレ休憩入る。後は任せた」

ひびき「はーい。おつかれさまです」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:38:02.70 ID:aqYNQk1w0
式「ったく、何が金のあてはある、だ。あのウソツキ。一体いつになったら・・・」


< それにしてもここまで事が上手くいくとは思わなかったな。正直予想外だったよ


式「今の声、トウコか?一体どこから・・・」


< 同感ですな。我輩も彼女の扱いには手を焼くと思っていましたが、正直拍子抜けしている

< 私もアイツとは色々とあったからな。少しばかりアイツのことを買いかぶりすぎていたらしい

< ま、いくら両儀君でも根っこの部分は恋する乙女。恋は盲目とはよく言ったものよ

< 惚れた男のために我が身を犠牲に尽くすたぁ、見上げた根性ですなぁ


式「声がするのは上・・・あの窓か。あそこは確か事務所だったよな。何で事務所からトウコの声が?」

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:45:32.61 ID:aqYNQk1w0
< しかしながらあのメガネを攫って監禁するのには苦労しましたぜ

< その件に関しては助かった。私では式から黒桐を隠しきることは不可能だからな

< なーに、我等の総力を挙げればこんなもんですよ!ま、そのせいでGCVに住むアタシ等は根無し草になりましたが

< それは私の事務所の下に巣を作っていたお前たちが悪い
  妖精の住処は人の家の下と相場が決まっているが、私の事務所の地下にあったのを見たときは正直驚いたぞ

< 人避けの結界とオモシログッズがあったんで、つい住み着いちまいました

< 私が善良な市民だったから大事にはならなかったが、世の中そうでない人物が多い。今後は気をつけろよ

< アイアイ、サー!

< そうまでして手に入れた彼女ですが、彼女が働く期間がもうじき終わってしまいます。どうしたものか・・・

< なに、また黒桐をダシに適当な理由でもつけておけばいい。なにせアイツは黒桐の為ならなんでもするからな

< ほほぅ。なぜそのようなことが判るので?

< 一年程の付き合いで分かった事だが、アイツの黒桐に対する思いは半端ではない。執着、といってもいいだろう

< モノグサな彼女も恋する気持ちには敵わぬか。我輩にもそういう尽してくれる嫁が欲しいものだな。主に二次元の

< アタシもそういう嫁が欲しいにゃ。しかしながらボス。こんな所に居ていいんですかい?アヤツまだ働いてますぜ

< 問題ない。すぐに出て行く。近くに来たから寄ってみだけだ

< そうですか。では報告はいつもの通りで?

< ああ。夜にまた顔出す

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:48:53.58 ID:aqYNQk1w0
式「今の話、まさか・・・」

幹也「やあ式。今は休憩中かな」

式「っ!?」

幹也「どうしたの。そんなに驚いたりして」

式「・・・幹也か。なんでここにお前がいるんだ」

幹也「少し暇なんで時間つぶしがてら、冷やかしに」

式「お前なぁ・・・」

幹也「ってのじゃ冗談で、本当は式の顔を見に来たんだ。最近会えなかったからね」

式「会いに来たって、仕事はどうしたんだ。もしかしてサボリ?」

幹也「違うよ。今日は休み。橙子さんが仕事が無いからしばらく休んでいいって」

式「休み?嘘付け。本当はトウコの付き添いできてるんだろ」

幹也「付き添い?何のこと?橙子さんなら今出張に行ってるよ」

式「出張?」

幹也「うん、出張。なんでも大きな仕事が入るかもしれないって言ってた」

式「お前トウコが今どこにいるか知らないのか?」

幹也「どこって。えっと、確か隣町に行ってるはずだけど。それがどうかした?」

式「・・・いや、なんでもない」

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:54:43.32 ID:aqYNQk1w0
幹也「なんだか機嫌が悪そうだけど、どうしたの」

式「機嫌が悪そうだと?」

幹也「うん。すごく悪そう。何かあったの?」

式「不機嫌にもなるさ。まったく。一体誰のせいでオレが働いてると思ってるんだ」

幹也「ごめんね」

式「お前が謝ることじゃないだろ。オレはあのバカに伝えとけって言ったの」

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 14:58:34.14 ID:aqYNQk1w0
幹也「わかった。伝えておく。それにしても橙子さんにも困ったものだよ」

式「なに?またアイツが何かやらかしたの」

幹也「違うよ。事務所の中が最近大変な事になってきててね。
    橙子さんの命令で以前の整理された状態に戻せって言われて整理してるんだけど全然追いつかないんだ」

式「整理って。アイツ、あれで整理してたつもりなんだ」

幹也「多分。まあ何処に何があるかが判ればそれでいいっていう人だからね。
   だからあんな散らかったところに住んでいられるんだと思う」

式「オレはあんなところに住むのはゴメンだね」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:02:39.10 ID:aqYNQk1w0
幹也「その散らかった事務所を整理してるんだけどね、どうもはかどらないんだ」

式「そうなんだ」

幹也「買って来た物のせいで事務所の場所とられるのも大変だけど、それ以外も色々大変なことだらけなんだ」

式「ふーん」

幹也「物を置くために地下の隠し倉庫に入れることになったんだけど、これがまた大変でね。
    数が多いし埃くさい。おまけにすごく疲れる。これじゃまるで以前働かされてた地下施設みたいだったよ」

式「え?」

幹也「なんでも式が好きそうなモノがたくさんあるってはなし・・・。
    おっと。このことは式に内緒にしておくように橙子さんに言われてたんだっけ」

式「待て幹也。お前今何て言った?」

幹也「ダメだよ。地下倉庫に置いてあるモノのことは危ないから教えられない」

式「そこじゃない。その前」

幹也「その前?えっと。事務所にある邪魔になった物を運ぶことになって、地下の隠し倉庫に降りていった。
    ものすごく大変ですごく疲れた。そこの様子が以前働かされた地下施設みたいだった、だったかな」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:04:56.54 ID:aqYNQk1w0
式「そう。ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いいか?」

幹也「どうしたの。そんなに改まって」

式「最近トウコに以前と変わった点はないか」

幹也「橙子さんのことなんか聞いてどうするの?」

式「いいから答えろ」

幹也「わかった。うーん。変わったところって言っても、あの人変わったところだらけだし。
    強いて言うなら最近は仕事が終わったらよく車でどこかに行ってることくらいかな」

式「ふぅん。どこかに、ね」

幹也「あ。あと最近妙に羽振りがよくなったことかな。何でも臨時収入が入ったって」

式「臨時収入ね。それ、いつ頃から」

幹也「確か二週間くらい前からだったと思うけど」

式「丁度オレが働かされ始めたころか。なるほどな」

幹也「式、どうしたのさ。そんなに怖い顔して」

式「トウコが出かける日、決まってるの?」

幹也「えっと、確か金曜日と火曜日は毎日出かけてたと思う」

式「火曜日と金曜日。ちょうど今日だな。とするとあの話は本当か」

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:08:01.65 ID:aqYNQk1w0
幹也「あれ、式?急に立ったりしてどこいくの。まだ休憩の時間終わってないだろ」

式「用事を思い出した。悪いけど話はここまでだ。じゃあな」

幹也「え、用事があるんだ。なら仕方ない。じゃあね」

式「あ。一つ言い忘れてた。幹也、お前今すぐ家に帰れ。
   そして今日は何があっても家から一歩も外に出るな。しっかり鍵かけて電話線も携帯も全部切っとけ」

幹也「え、何でそんなこと・・・」

式「いいから言われた通りにしろ。何があっても絶対に外に出るなよ。いいな」

幹也「う、うん。わかった。そうする」

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:10:32.90 ID:aqYNQk1w0
式「時間だ。掃除も終わったし、もう帰るぞ」

ネコカ「ご苦労。帰りは気をつけるように」

ネコ「明日は「言われなくてもわかってる。一々言わなくていい」


バタン


ネコ「にゃんだアイツ。今日はいつも以上にツンツンしてやがる」

ネコカ「取り付く島もなしか。相変わらずつれませんな、彼女」

橙子「式は帰った様だな」

ネコ「あ、ボス。お勤めご苦労様です。こちらが今週の売り上げににゃっております」

橙子「ふむ、売り上げは順調のようだな。この調子で頑張れよ」

ネコ「アイアイ、サー。いやー、お宅から預かった式はよく尽くしてくれてますよ。
    顔も料理も掃除も抜群。あとはストーカーメガネに接するみたいにデレてくれれば文句ないんだけどにゃー」

橙子「仕方あるまい。式を騙しているとはいえ、アイツがここで働いている理由は黒桐のためだ。他人に気を許すはずがない。
    だがこれだけ利益が出ているんだ。式がデレなくとも特に問題はないと思うが」

107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:13:24.46 ID:aqYNQk1w0
ネコカ「いやいや、彼女のデレを甘く見てもらっては困ります。ハーゲンダッツ事件然り、五章における幹也君との鍵のくだり然り。
     彼女の時折見せるデレの威力は計り知れません」

ネコ「ヤツがデレることにより売り上げは120%程プラスされるものと思われます。
    ネコ缶で換算するとおよそ10億メガキャッツ。まぁ、ヤツが常時デレモードってのも気味悪いがにゃ」

ネコカ「我輩も両儀君が常にデレるのには反対だな。ツンの中に僅かに垣間見えるデレ、それにこそ価値がある。
     僅かながらしか存在しないデレはその価値を何倍にも高める。彼女はその理論を素で体現している逸材だと見るね」

ネコ「確かに。デレは重要とはいえ、過剰供給はいかんぜよ。あの白ツンデレはもうデレるのがデフォルトになってるしにゃ。
    まさにデレのバーゲン状態。一ヤマいくらの投売り大放出。
    『ふん、無様な格好ね七夜。しょうがないから助けてあげる。な、なによ、その目は。
     べ、別に貴方のことが心配でやってるんじゃないんだから!ただマスターが居なくなると困るだけなんだからね!』
    ベタだ、ベタ過ぎる。ああなったらもう商品価値はなくなっちまうわな」

ネコカ「インフレはいかんよ。何事も程々が一番だ。彼女はもう少し両儀君を見習うべきだな。まあ、逆も然りだが」

橙子「なるほど。要するに式がもう少し他人に気を許せば売り上げは倍になる、というわけだな。
    ふふ、ならあの薬を少し作っておくか」

ネコ「おおっ!ボスの目が今までにないくらい燃えている。例えるならK-1全盛期の曙並みの闘志だぜ!」

ネコカ「いたいけな少女を利用して金儲けをするのは気が引けますが、これも嫁達を養うためだ。彼女も許してくれるだろう」

ネコ「あとCP二期や月姫2への貯金ですな。まあ殆どフィギュア代に消えてるのが現状ですが。
    この前買ったファンタズムーンにセイバーリリィ。最近のフィギュアの出来は素晴らしい上に出るもの早い。
    やれやれ、これじゃいくら金があっても足んねぇぜ」

ネコカ「好きなだけポチるがよい。今の我輩達にとってフィギュアの一グロスや二グロス買うことなど造作もない。
    それもこれも、全て彼女が稼いでくれたマネーあってのこと。マネーは現代の強さの証なのですよ」

橙子「そうだ。金こそ全て、金の前では倫理や良識などは全て無意味だ!」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:22:52.57 ID:aqYNQk1w0
織「へぇ、楽しそうな話をしてるな。オレもまぜてくれよ」

ネコ「おうともさ。見てみろよこの売り上げ!笑いが止まらんぜ。元祖ポエマーの名をだせばあのツンギレもイチコロよ。
    騙されているとも知らずわざわざ働いてくれてますからねー。おかげて売り上げは右肩上がり。
    まったく、あの娘も馬鹿というか哀れというか・・・・・」

織「式から聞いたときは耳を疑ったけど、まさか本当にコクトーのコト嘘だったとはな。どうする?」

式「決まっているでしょう。借りは倍にして返せ。因果応報。罪には罰を。馬鹿共には死を、よ」

織「了解」

ネコ「・・・あれ?にゃんで君がここにいるの?さっき帰ったんじゃなかったっけ?」

橙子「・・・二人とも、どこから聞いていた?」

織「式は帰ったか、のあたりから」

橙子「つまりは初めから聞いていた、ということか。ならその手に持っている物騒な刀は何だ?」

式「これ?ああ、気にしないで。さっきそこに落ちてたのを拾っただけだから」

織「そうそう。きっとどこかの秋隆が落としたんだろ。アイツもドジだよな」

式「ええ。まったくね」

ネコ「なるほど。黒執事を使ってまで準備をするとは、準備万端というわけですね」

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:27:06.07 ID:aqYNQk1w0
ネコカ「ボス。今更ではありますが、余計な争いを避けるためにも謝っておいた方が良いのでは?」

橙子「そうだな。式、私が悪かった。お前を利用して金儲けを企んだ事は謝ろう。この通りだ。
    約束の期間はまだ終わっていないが、黒桐をそれぞれ一月ずつ貸し出す。これでどうだ?」

式「謝るですって?なんで橙子がそんなことをするの」

織「謝らなくていいよ。別に怒ってる訳じゃないんだよ、オレ達。たださ、」

式「ええ。ただ、私たちはアナタが在ることが我慢ならないだけだから」

橙子「・・・やはり話し合いの余地は無しか。仕方が無い。ならば実力行使といくか」ドスン

織「なんだその鞄は」

式「そんなものでいったいどうするつもりなの?」

ネコ「ボ、ボス!正気ですか!?そんなん出したらヤツラ死んじゃいますぜ!?」

織「まさか、鞄一つでオレ達を止められるとでも思ってる?」

橙子「いや、止めはしないさ。・・・出ろ!あいつ等を噛み殺せ!」

式「これは・・・猫?一体どこから出てきた・・・」



ゾブッ

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:31:12.17 ID:aqYNQk1w0
橙子「・・・ふぅ。終わったか。意外とあっけなかったな」

ネコ「あー・・・。やっちまったぜ。入り口ごと二人を丸飲みですか。相変わらず容赦ねぇな、あの影ネコ」

ネコカ「後に残るは黒猫のみ、事の真相は闇の中、か。惜しいな。二人とも、得がたい逸材であったのだが」

橙子「二人を手にかけるのは私とて本意ではなかったさ。だが止むをえん。こっちが死ぬよりましだ」

ネコ「まあそれはそうですが、今後アヤツらが居なくなった穴はどうすればいいものか・・・」

橙子「安心しろ。二人が使えない時のことも考えているさ。代わりの手駒の候補はまだ残っている」

ネコカ「ほう、それはまた随分と手際のいいことで」

橙子「鮮花、巫条、浅上。こいつらは式と同じく黒桐をダシに動かせる。
    事情を知られにくい分、式の時より幾分かはやりやすかろう」

ネコカ「しかしそこまで人材が足りているのならば、尚更彼女達を殺すことは無かったと思いますが・・・」

橙子「私とて本意ではない、といっただろう。先刻のアレは不運な事故だよ。要するに運が無かったんだ。
    あの二人には道を歩いていたらたまたま車に轢かれてしまった。それと似たようなものだよ」

ネコ「まぁあの二人が事の真相を知らなきゃ起きなかったことですし、さっきのは不幸な事故ですな」

ネコカ「そう思うしかないか。・・・俺の嫁候補がまた一人、消えてしまった・・・」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:34:01.81 ID:aqYNQk1w0
ネコ「ところでボス。一体いつまでそのネコ出しとくんです?」

橙子「ああ、そうだったな。役目は済んだんだ。もう戻っていいぞ」

影ネコ「・・・・・」シーン

橙子「ん?おい、用は済んだんだ。もう戻れ」

影ネコ「・・・・・」プルプル

橙子「どうした。なぜ鞄の中に戻ら・・・」


影ネコ「ミ、ミギャァァァァーーー!!!」パァン


橙子「なっ!?」

ネコカ「げ、幻灯機の魔物が、真っ二つに!?」

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:37:32.95 ID:aqYNQk1w0
織「なるほど。確かに影ってのは見えにくいな。式の感覚を借りてもあんまりよく視えない」

式「でもいつか戦ったあの男よりかはマシよ。こっちのほうはまだはっきりと視えたもの」

織「ふーん、そうなんだ」

式「気楽に言ってくれるわね。アナタは知らないだろうけれど、あの時は随分と大変だったのよ」

織「オレがそんなこと知ってるわけないだろ」

ネコ「く、喰われたはずの二人が、中から出てきた!?」

113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:39:18.19 ID:aqYNQk1w0
橙子「そんな・・・バカな・・・」

ネコカ「切り札が・・・我々の切り札が、やられてしまった・・・」

ネコ「ボ、ボス!他に、他に何か手は無いんですか!?」

橙子「残念だが、今手元にあるのはアレだけだ。事務所に戻れば何とかなりはするが・・・」

ネコカ「唯一の出口は彼女達がふさいでいる、ということですか」

ネコ「ここは二階ですが、窓から逃げれば・・・」

橙子「それも無理だ。そこから外を見てみろ。そっとな」

ネコ「そっと?・・・げ。こ、これは・・・」

ネコカ「あ、明らかに一般人ではない人達が、店を取り囲んでいるっ!?」

橙子「ああ。使い魔があれば何とかなったが、今の私にはアレをどうすることもできん」

114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:41:54.42 ID:aqYNQk1w0
式「さて。一応なぜこんなことをしたか、理由位は聞いておきましょうか」

織「なんだ、やらないの?トウコを許すってのかよ、お前は」

式「別に。ただ理由如何によっては考えないことも無いだけ」

織「はっ。おやさしいことだな、まったく」

式「アナタは黙ってて。橙子、何故こんなことをしたのか話してくれる?」

橙子「・・・わかった、白状しよう。黒桐を売ったというのは嘘だが、金が必要なのは本当なんだ。
    この前四百年物の断頭台の刃を見つけてな、つい買ってしまったんだよ。その支払期限が少々まずくてな」

式「だから私を利用して金儲けをたくらんだと?」

橙子「ああ。その通りだ」

織「なんで式を使ったんだ?他にも候補はいたんだろ」

橙子「一番単純で使いやすかった。それが一番の理由だよ」

115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:46:46.54 ID:aqYNQk1w0
織「これ以上聞くのもあれだし、このあたりでいいか」

式「ええ。もう用は済んだわね」

橙子「そ、そうか。用が済んだのなら私はこれで・・・」

織「なあ式、オレにあのバカをやらせてくれない?」

式「ダメ。アレは私がやります。アナタにはあのナマモノをあげるからいいでしょう」

織「オレだって式と同じくらい怒ってるんだぞ。それじゃオレがあんまりだろ」

式「しょうがないわね。なら半分ずつ。それならいいでしょう」

織「うん。それなら文句ない」

橙子「待て!何を言っている!正直に話したら許すと言っただろう!」

織「?何言ってんだお前?」

式「私は正直に話せば考えないことも無い、と言ったの。許すなんて一言も言っていません」

ネコ「え~っと。これって、ひょっとして殺られちゃう系のエンディングですか?」

116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:51:04.95 ID:aqYNQk1w0
数日後


幹也「式から食事に誘ってくれるなんて珍しいね。何かあったの?」

式「たまにはいいだろ。誘ってやっただけありがたく思え」

幹也「うん。ありがたく思わせてもらう」

式「こっちは学校が休みだからお前と同じでヒマなんだよ。お前も暫く仕事無いんだよな」

幹也「うん。まったく橙子さんもいきなりだよ。急に一月休みだなんて。給料は出たけど、大丈夫なのかな」

式「オレの知ったことじゃない。それよりさっき起きたばっかりで腹が減ったんだ。どこか連れてけ」

幹也「そりゃいいけど、どこにって、ちょっと式。引っ張らないで」

式「ほら、さっさと行くぞ。今日はやけ食いしてやる」

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:53:28.14 ID:aqYNQk1w0
式「幹也、さっきオレ飯食べに行きたいって言ったよな」

幹也「うん。確かにそういってた」

式「ならなんでアーネンエルベに来るんだよ」

幹也「いつも行ってるんだしいいじゃないか。それに今日は約束があるんだ」

式「約束?」

織「いらっしゃいませ、ってコクトー。来てくれたのか!」

幹也「来てくれた、なんて酷いな。昨日だってちゃんと来たじゃないか」

織「昨日より来るのが遅いから心配してたんだよ。それより今日はアレ言ってくれないの?」

幹也「制服、今日も良く似合ってる」

織「よし。お、今日は式も一緒か。珍しいな」

式「・・・え?」

幹也「うん。席、空いてるかな?」

織「ああ、いつもの所が空いてるから座って待っててくれ」

118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 15:58:05.14 ID:aqYNQk1w0
式「おい、幹也。どういうことなんだ。昨日も来たって、どういうことだよ」

幹也「どういうことって言われても」

織「そういや式にはまだ言ってなかったな。式はこの前この店辞めただろ。だからその後釜としてオレが働いてるの」

式「いや、織が働いてることも初耳だけど、昨日も来たって今幹也が・・・」

織「ああ。コクトーのやつ、式が辞めた後毎日来てくれてるんだ。いつもコーヒーくらいしか頼まないけど」

式「・・・なあ幹也、どういうことだ?オレが働いてる時は毎日来なかっただろ。なんで織の時は毎日来てるんだ?」

幹也「何でって、来るなって言ったの、式の方じゃないか。だから来るのを週一回でガマンしてたんだけど」

式「そ、それは・・・。そう、だけど」

織「自業自得だな」

式「・・・うるさい」

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 16:00:09.16 ID:aqYNQk1w0
織「なあ式、ちょっと耳かしてくれないか」

式「なに?」

織「式はさ、本当は働いてるところ見られたくなかったんだろ。
   お前口下手だし上手く伝えられてなかったみたいだっからさ、コクトーにはオレから伝えといてやった」

式「・・・は?」

織「だから、式は働いてるとこ見られたく無かったって伝えといてやったって言ってるの。
   コクトーは来てないんじゃなくて来ないでいたんだよ」

式「あ、あなた、余計なことを・・・」

織「あと正直さ、式がこの服着たのを見たときオレ無いなって思ったんだ」

式「その制服が無い?それってどういう意味?」

織「いつも和服しか着てない式にこんな服が似合うワケないだろ。
  それに胸の辺りが余ってダブついてる服着てるの、正直見ててみっともなかったぞ」

式「・・・・・」

幹也「ねえ、二人とも一体なんの話してるの?」

織「なんでもないよ。ただの世間話だ」

120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 16:04:59.72 ID:aqYNQk1w0
織「ここで立ち話してたら邪魔になるから、二人とも先に席に行っててくれ。オレメニュー持ってくる」

幹也「わかった。じゃあ式、行こうか」

式「幹也、お前は先に座ってろ。・・・織、ちょっといい?」

織「なんだよ。こら、引っ張るなって。服が伸びるだろ。これ借り物ってことお前も知ってるだろ」


式「いいから 早く 来なさい」






幹也「二人とも遅いな。裏で一体なにをやって」



「このバカ者ーーーーーーーー!!!!」

「やめろバカ暴れ・・・んにゃーーー!!」







こうして、私のアルバイト生活は終了した。

122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/06/07(木) 16:13:57.19 ID:aqYNQk1w0
オマケ


ネコ「あー死ぬかとおもった。まさか我々を人の力で宇宙まで飛ばせるとは。あの女、そうとうできるな。
   アタシ達じゃなかったら死んでるぜコレ。まあ約一名死んでるのがいるわけですが。主に金銭的な面で」

ネコカ「ふむ。新規のエンディング絵がもらえるかと期待していたが、どうやらまた手を抜かれたらしいな。
    ま、そんなことはどうでもいい。いつものことだしな。誰か助けてくれんかね」

ネコ「電波もとどかにゃいし、ロケットの燃料もにゃい。
   アタシ達は、こんなところで宇宙遊泳を、強いられているんだ!ん、あれは・・・」

ネコカ「ま、まさか。貴奴はブラックG!そうか、ジャ○プでは倒した敵は大抵仲間になる。迎えに来てくれたのか。
    おおーい、こっちだ!ヘルスミー!」

ネコ「よっしナイスキャッチ。おっほー助かったー、って。あれ?体がロックされた。はっはーん。
   地球への降下する際に離れないようにわざわざ体を固定してくれるとは。さっすがアンバー、わかってるぅ。
   ・・・あれ。ちょっと、そっちは太陽ですよ。地球はそっちじゃありませんよ」

???「ピピ。第二 ウチュウ 速度 突破。太陽(目標) 到達 マデ アト 6分」

ネコ「あれ、にゃんか黒くてでかいパチネコの外装がはがれて中からメイドロボが出てきましたよ奥さん。
   この演出、どこぞの終わらないワルツを踊る白い羽の生えたロボットを思い出させてくれますね、はい」

メカヒスイ「ゼロ ヨ。オレ ニ 生物消滅(未来) ヲ ミセテ クレ」

ネコカ「確か、そのガ○ダムって太陽に向けて廃棄されていた記憶が。なるほど、これが俗に言う隕石作戦ってヤツか。
    ま、こんなオチだと思っていましたよ。こんなことなら俺の嫁達に別れを告げておくんだった。
    ・・・うおぉぉー!このままだと死んでも死にきれん!誰か、HDの中にあるあのフォルダを殺してくれー!」

ネコ「ああ、トキがみえるぅ・・・」