1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:36:49 ID:.nkqaGMA



みんな報われて良かった。
ハッピーエンド万歳!

でも、こうした方が良かったんじゃ?
と、各サイトやブログでの意見や※の考察を参考に妄想してみました。

良ければお付き合いください。
鷲尾須美の物語は未読です。



引用元: ゆゆゆ妄想最終回 

 

結城友奈は勇者である 3 [Blu-ray]
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2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:38:31 ID:.nkqaGMA




     勇者システムによる満開後の後遺症は治らない。

     神樹は、何かを隠している。

     そう思って調べに行った壁の外は更なる絶望の現実だった。



     神樹に選ばれた勇者は

     死にたくても精霊に防がれて死ぬ事もできない。

     真実を知った私は……




3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:39:04 ID:.nkqaGMA






     絶望という恐怖から逃れるために……

     壁を破壊し、バーテックスを招き入れ

     自分達ごと神樹と、世界を終わらせる事しか無かった。






4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:40:02 ID:.nkqaGMA

友奈「東郷さん、聞いて!」

東郷「もう……私たちが救われる方法はこれしかないのよ!」

友奈「違う!」

     ゴウッ! ガキィッ!

東郷「違わないわ!」

東郷「友奈ちゃんも壁の外を見たでしょ!?」

東郷「バーテックスは永遠に居なくならない!」

東郷「倒しても倒しても復活して、永遠に出てくる存在なのよ!」

友奈「東郷さんっ!」

     ババンッ!!

友奈「うあっ!」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:40:43 ID:.nkqaGMA

東郷「私達勇者は、そのバーテックスを止める、侵攻を阻止する為に存在する」

東郷「大赦にとって都合のいい道具でしかない!」

友奈「それでも……私達は、勇者は、みんなを救う存在だよ!」

     ガガンッ! バキンッ!

東郷「その結果は!?」

東郷「満開して、散華して……少しずつ体を削られて……」

東郷「それでも生きていかなければ ならないなんて、苦痛でしかないっ!」

東郷「そこに救いはないわ!」

東郷「乃木園子の様に!!」

友奈「っ!!」

     ダァンッ!!

友奈「ああっ!!」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:41:24 ID:.nkqaGMA

東郷「はあっ……はあっ……」

友奈「東郷……さん」

東郷「……だから」

東郷「これしかないのよ……」

東郷「私達勇者が救われる為には……!」

東郷「神樹を倒して、何もかもを終わらせるしかないのよ!!」

友奈「…………」

友奈「……違う」

東郷「何が違うのよ!?」

     ドンッ! ドンッ! ドンッ!

友奈「違うよ! 東郷さん!」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:42:31 ID:.nkqaGMA

東郷「くっ……!」

友奈「そうじゃないんだよ!」

東郷「だから何が違うの!?」

友奈「私が東郷さんに言いたい事は、ね……」




友奈「どうして私たちに相談してくれなかったの!?」




東郷「っ!?」

友奈「私達は、勇者である前に勇者部・部員同士で」

友奈「友達じゃなかったの!?」

     バキィッ!

東郷「うあっ!」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:43:28 ID:.nkqaGMA

友奈「…………」

友奈「そりゃ……東郷さんみたいに頭は良くないし」

友奈「この世界の現実を何とかする事なんて、無理かもしれない」

友奈「でも!」

東郷「…………」

友奈「でも……ひとこと言って欲しかった!」

友奈「一人で抱え込んで、勝手に行動して欲しくなかった!」

東郷「……っ」

友奈「私だって怖いよ……」

友奈「けど、たった一人で五体の大型バーテックスを倒した夏凜ちゃんは」

友奈「私の笑顔を無くしたくないって……ボロボロになりながら戦ってくれた」

東郷「!!」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:44:23 ID:.nkqaGMA

友奈「もう……夏凜ちゃんは」

友奈「目も耳も……」

東郷「…………」

友奈「東郷さんは夏凜ちゃんの頑張りは無駄だって言うの?」

友奈「何もかも無くなって……本当にそれでいいの!?」

東郷「…………」



     おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっっ!



東郷「!!」

友奈「バーテックスが!」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:46:08 ID:.nkqaGMA











     ドガアアアアアアンッ!!











11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:47:20 ID:.nkqaGMA

東郷「きゃあああああああああっ!!」

友奈「ああああああああああっ!!」


     ズズズズ……


友奈「……くっ……うっ」

友奈「負け……ないいいいいぃぃぃぃっ!!」


     満   開  !!


友奈「おおりゃあああああっ!!」

東郷「…………」

東郷「友奈……ちゃん」

東郷「…………」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:48:19 ID:.nkqaGMA


     そうよ……

     友奈ちゃんの言う通り……『違う』……


東郷「…………」


     私は……神樹とか世界とか壁の外の現実とか

     本当は言い訳にしていただけ……


東郷「…………」


     私は……私が一番怖かったのは……


13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:49:15 ID:.nkqaGMA




     友奈ちゃんを、みんなの事を

     忘れてしまうのが……恐ろしかった。



     誰かとの思い出を無くし

     乃木園子の様に ただ生きているだけの存在になるのが……

     嫌でも自分は『一人ぼっちなんだ』と思って

     孤独に生きていくのが……怖くて恐ろしくて




14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:50:10 ID:.nkqaGMA










     どうしようも無かった……!!










15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:51:25 ID:.nkqaGMA

東郷(……でも)

東郷(友奈ちゃんは、今)

東郷(何の為に戦っているの……?)

東郷(そんな未来が やがて来るとわかってて)

東郷(どうして戦えるの……!?)


友奈「おおおおおおおっ!!」

友奈「勇者、パーンチ!!」


東郷(…………)

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:52:09 ID:.nkqaGMA






友奈「どうして私達に相談してくれなかったの!?」






東郷(!!) ビクッ!

東郷(…………)

東郷(……そうよ)

東郷(私は……きっと……)

東郷(恐怖に負けて……大切な事を忘れていた)

東郷(…………)

東郷(だったら!!)

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:53:03 ID:.nkqaGMA

友奈「はあっはあっはあっ……」

     ガギィッ!!

友奈「ああっ!!」


     ズズズズ……


友奈「くっ……私だけじゃ……止められないっ!」

友奈「でもっ!!」


     ドンッ! ドンッ! ドンッ!


友奈「!?」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:54:08 ID:.nkqaGMA

東郷「ごめんなさい、友奈ちゃん!」

友奈「東郷さん!」

東郷「私……目を覚ましたわ」

東郷「今はこの一言だけにしておく」

東郷「後でたくさん謝るから……!」

友奈「!」

友奈「うん! もちろんだよ、東郷さん!」

東郷「ありがとう、友奈ちゃん」

東郷「早くこのバーテックスを倒しましょう!」

友奈「もちろんだよ!」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:55:10 ID:.nkqaGMA


     ズズズズ……


友奈「もう、止まれぇぇぇぇ!!」

     ドゴッ! ズガァッ!

東郷「これ以上は……行かせないっ!!」

     ドンッ! ドンッ! ドンッ!

東郷(二人共満開なのに……少しも勢いが衰えないなんて!!)


?「勇者部五箇条……」

?「挨拶は……きちんとぉぉぉぉっ!!」


     ズガガガガッ!


東郷「!?」

友奈「!?」

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:56:14 ID:.nkqaGMA

友奈「風先輩!」

風「東郷……言いたい事はたくさんあるけど」

風「後にするわ」 ニヤッ

東郷「すみません!」

風「さあ……とっとと終わらせるわよ!」

友奈「はい!」


     シュババババッ!


友奈「! 樹ちゃん!」

樹「…………」 ニコッ

風「樹……寝てなさいって言っておいたのに」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 12:57:16 ID:.nkqaGMA

樹(勇者部五箇条……)

樹(なるべく……諦めないっ!!)

風「さあ、バーテックス!」

風「おとなしく封印されなさい!」


     満   開  !!


東郷「!!」

友奈「風先輩!! 樹ちゃん!!」

風「後輩の頑張りに……答えなくて」

風「先輩風吹かせられないわよ!」

樹「…………」 ニコッ

東郷「すみませんっ……風先輩っ……樹ちゃんっ……!」

東郷「すみませんっ……!」

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:01:29 ID:.nkqaGMA

夏凜(…………)

夏凜(……感じる)

夏凜(大気の振動を……全身で)

夏凜(とても大きな……物体が……少しずつ神樹に向かっている)

夏凜(…………)

夏凜(私……足でまといかもしれない)

夏凜(…………)

夏凜(でも……まだ)

夏凜(左腕も……左足も残ってて戦えるっ!!)

夏凜(友奈!……今、行くから!)


     満   開  !!


23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:02:48 ID:.nkqaGMA

     ゴウッ!!

夏凜「わあああああああああああああああっ!!」

     ドガァッ!!

友奈「夏凜ちゃん!?」

夏凜「私は……東郷を止めるんだからっ!」

夏凜「バーテックス!! 邪魔をしないでっ!!」

風「夏凜……何を言って……?」

夏凜「目が見えなくても、耳が聞こえなくなっても!」

夏凜「私はまだ戦えるっ!」

風「!!」

東郷「……っ」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:03:43 ID:.nkqaGMA





     おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっっ!




友奈「きゃあああああああああああああああああああっ!!」

風「友奈っ!?」

東郷「友奈ちゃん!!」

樹「……っ!!」


     ドサッ…… シュウウウウン……(散華)


友奈「く……うっ……」

友奈「!!」

友奈「あ……足が……!!」

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:04:44 ID:.nkqaGMA

東郷「友奈ちゃんは、しばらく休んでて!」

風「後は、私達が何とかするっ!」

樹「…………」 コクッ

夏凜「わああああああああああああああっ!!」


友奈「風先輩……みんなっ……!」


東郷「もうこれ以上行かせないっ!」

風「絶対にっ! ここで終わらせないっ!」

樹「……! ……!」

夏凜「このおおおおおおおおおおっ!!」

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:05:35 ID:.nkqaGMA




     おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっっ!




東郷「ぐ……ぎっ……あああああああっ!!」

風「負け…る……もんかぁあああああっ!!」

樹「――!!」

夏凜「こんな……痛みっ!」

夏凜「よく寝て、よく食べればっ……!」

夏凜「治るんだからああああああああっ!!」

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:07:37 ID:.nkqaGMA

友奈「みんなっ! みんなぁっ!」

友奈「ぐ……ううううっ……!!」

     ズズッ…… ズズッ…… ズズズッ……

友奈「行か……ないと……!」

     ズズッ…… ズズッ…… ズズズッ……

友奈「あそこに……みんなの所にっ!」

友奈「行くんだぁっ!!」



     満   開  !!



東郷「!!」

東郷「友奈ちゃん!?」

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:08:33 ID:.nkqaGMA

友奈「――勇ぅぅ者ぁぁ……」

友奈「パァァァァァァァァァァンチッ!!」





     ゴ  ガ  ァ ッ !!





友奈「ぐうっ……うっ…うっ………!!」


     おおんっ! おんおんっ! おおおおおおおおおおおおんっっ!


友奈「と、どけ……!」

友奈「とどけっ……とどけっ! とどけっ!!」

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:09:24 ID:.nkqaGMA

友奈「とどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」






     カ    ッ   !!






東郷「友奈ち――」

風「友奈――」

樹「……――」

夏凜「手応えが――」

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:10:20 ID:.nkqaGMA


―――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

―――――――――――

――――


????


東郷「…………」

東郷「……ん」

東郷「…………」

東郷「ここは……」

東郷「っ!」

31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:11:40 ID:.nkqaGMA

東郷(…………)

東郷(目が……右目が……見えない)

東郷(……っ)

     東郷さん

東郷「!?」

東郷「友奈ちゃん!?」

東郷「どこ!?」

東郷「どこに居るの!?」

     え? 私が見えないの?

東郷「あ……」

東郷「…………」

32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:12:38 ID:.nkqaGMA




     友奈ちゃんは確かに居た。

     他のみんなもすぐ近くに居る。

     ただ……全員……気絶しているのか、眠っているのか

     目を閉じて、静かに横たわっていた。



     友奈ちゃんも。




33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:13:53 ID:.nkqaGMA

東郷「友奈……ちゃん?」

     うん。 ここに居るよ。

東郷「!?」


東郷(確かに……聞こえた)

東郷(でも……)

東郷(目の前の友奈ちゃんは口を動かしてない)


東郷「どういう……事なの?」

     説明が難しいんだけどね。

     神樹様は一時的に『神様』になってもらったって……

東郷「!?」

東郷「神樹!? 神樹が!?」

     うん。 そうみたい。

東郷「意味がわからないよ!」

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:15:21 ID:.nkqaGMA

     東郷さん。 説明したいんだけど、もう時間があんまり無いの。

東郷「そんな!」

     だから、簡単に言うね?

     今から私は、神樹様の力で私達人間に敵対している神様と

     話をしてきます。

東郷「敵対してる……神様?」

東郷「!」

東郷「バーテックスと!?」

     そうなの? よく分からないけど……

     今回の私達の頑張りを見てね

     いくつかの神様が、話をしたいって言ってきたらしいよ?

東郷「…………」

35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:16:31 ID:.nkqaGMA

     それでね、神樹様は……

     味方になってくれる神様が、ある程度増えてくれたら

     不完全な勇者システムを再構築して

     満開しても『散華』が無いようにできるって言うんだ。

東郷「え……」

     上手く行ったら……私達の体も元通りになるって事なんだって!

東郷「!!」

     これまでの勇者システムは、神樹様だけの力だったから

     どうしても『供物』が必要だった。 でも……

     ある程度の神様が味方になってくれたら、その力も使えるから

     そういう事ができるって事みたいだよ。

東郷「そんな……本当に……?」

36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:17:25 ID:.nkqaGMA

     神樹様はね、こんな事を言ってたよ。

     花を咲かせ、散華した後には、必ず実を結ぶんだって……

東郷「実を結ぶ……」

     うん。

     これまでの勇者達の頑張りは、無駄じゃなかったんだよ。

     少しずつでも他の神様達を味方にしていって

     そして……それが今、実を結ぶかもしれないんだよ。

     ちょっと嬉しいよね。

東郷「…………」

37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:18:42 ID:.nkqaGMA

     …………

     東郷さん。

東郷「うん、何? 友奈ちゃん」

     私、頑張ってくる。

     それで……お願いしたい事あるんだ。

東郷「うん」

     ちょっと時間が掛かるかもだけど……

     その間……抜け殻になった私の体

     見ててくれるかな?

東郷「もちろんよ……」

     ありがとう、東郷さん。

     必ず……みんなの体を元に戻せるようにするからね。

東郷「…………」

     東郷さん?

東郷「……ごめん、なさい」

38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:19:31 ID:.nkqaGMA

     …………

東郷「本当は……私が……ぐっ……やらないと……ひっく……」

東郷「いけない、こと、なのにっ……!」

     ……東郷さん

東郷「ごめんっ……友奈ちゃんっ……ぐっ……私……」

東郷「私のっ……うっ……せいでっ……!!」

東郷「ごめんなさいっ……!」

     …………

     泣かないで、東郷さん。

     これはね『さよなら』じゃないから。

     『またね』だから!

東郷「でも……ぐっ……うっ……でもぉ……!」

39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:20:18 ID:.nkqaGMA

東郷「友奈……ちゃ、ん……うっ……ぐっ……」


     じゃ……行ってきます。

     帰ったら、あの美味しいぼた餅、食べさせてね!


東郷「!!」

東郷「待っ……てっ! 友奈ちゃ……ぐっ……待って!」

東郷「友奈っ! 友奈ぁ―――――――――――!!」




     カ   ッ  !!




東郷「友――」

40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:22:02 ID:.nkqaGMA



―――――――――――――――――――――――――――――――



―――――――――――――――――――――――――



――――――――――――――――――



―――――――――――



――――



41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:22:56 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


病院の一室


東郷「――はっ!?」

東郷「ここは……」

東郷「…………」

東郷「病院……?」

東郷「…………」

東郷「…………」

東郷「……っ」

東郷「友奈……ちゃん……!!」

42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:23:57 ID:.nkqaGMA




     ……私達勇者部のみんなは

     大赦系列の総合病院に収容されていた。



     あの戦いから数日がすぎ

     みんなもやっと意識が戻った、という事だった。



     友奈ちゃんを除いて……




43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:25:06 ID:.nkqaGMA




     私は……あの何処だか分からない

     夢でも見ていたの?と言われても仕方のない出来事を

     風先輩と樹ちゃんに話した。

     二人共驚きを隠せない様子だった。



     ……夏凜ちゃんは聴覚を完全に失っているので

     伝える事ができない。

     胸が痛む……




44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:25:58 ID:.nkqaGMA




     満開の後遺症で

     風先輩は右腕が全く動かなくなり

     樹ちゃんは私と同じく右目が見えなくなっていた……



     夏凜ちゃんは視覚と聴覚を完全に失い

     右腕と右足、そして左腕が動かなくなっていて

     意思の疎通すら難しい状態だった……



     ……目を背けてはいけない。

     これは……私の軽率な行動が引き起こした『散華』なのだから。




45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:27:26 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


夏凜の病室


     トン トン

夏凜「誰? 東郷?」

     トン

夏凜「やっぱり……」

夏凜「もう食事の時間?」

     トン トン

夏凜「違うの? ……様子を見に来た?」

     トン

夏凜「そう……でも身の回りの世話は看護師がやってくれるから」

夏凜「大丈夫よ」

46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:28:40 ID:.nkqaGMA




     夏凜ちゃんとの意思疎通は合図しか無かった。

     軽く一度トンと叩くと『はい』 トントンなら『いいえ』

     会話はほぼ不可能だけど……これだけでも大きな進歩だった。



     突然暗闇と音のない世界に放り込まれた彼女は

     意思疎通の手段を学ぶことすら困難。

     ましてや左足しか動かせない為……トイレすら

     誰かの力を借りなければならなかった。




47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:29:26 ID:.nkqaGMA



     ……彼女は、24時間誰かが世話をしないと自立できない。

     精霊は命を守るけど介護をしてくれないのだから。



夏凜「ねえ……東郷」

     トン

夏凜「友奈はどうしてる?」

夏凜「あっと……この質問じゃダメね」

夏凜「…………」

夏凜「友奈はここに来れる?」

     …トン トン

夏凜「……そっか」

48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:31:08 ID:.nkqaGMA

夏凜「友奈は……どんな状態なの?」

夏凜「私より酷い?」

    …………

夏凜「東郷?」

夏凜「…………」

夏凜「……ごめん。 言いにくいよね」

     トン

夏凜「ふふっ……」

夏凜「…………」

夏凜「早く……友奈に会いたいな」

     …………

夏凜「…………」

49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:32:49 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


東郷「優奈ちゃん……」



     私が目を覚まして一週間が過ぎた。

     友奈ちゃんは完全な植物状態。

     自発呼吸はしているし『生きて』もいる。

     でも……夏凜ちゃん以上に24時間体制で

     見守らないといけい状態だった。



東郷(…………)

50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:34:24 ID:.nkqaGMA

東郷(神樹様)

東郷(虫がいいのは分かっています)

東郷(でも……祈らせてください)

東郷(私はどうなっても構いません)

東郷(どんな償いだってします)

東郷(命がいるのであれば差し出しますっ!)

東郷(だから……みんなを……友奈ちゃんを)

東郷(救ってあげてくださいっ!)

東郷(お願いしますっ)

東郷(お願い……します……っ……から……)

東郷(どうか……どうか……)

東郷(……ど……うか…………)

51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:35:08 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


更に一週間後 午前中

東郷が壊した神樹の壁付近


風「……ここ、いつの間にか治ってるわね」

風「どうなっているのか気になって来てみたけど……」

風「大赦がやってくれたのかしら……?」

風「…………」

風「まあ……そうなんでしょうね」

風「あれからアラームも鳴らないし」

風「…………」

風「……帰るか」

52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:36:21 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


犬吠埼家


     ガチャ… キィ…

風「ただいまー」

風「樹、居るー?」


?「……ぉ…ねぇ………」


風「……え?」

樹「…………」

風「樹……今……」

53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:37:11 ID:.nkqaGMA





樹「……お……ねぇ…ちゃん………!」




風「…………」

風「……い……いつ、き……?」

風「今……しゃべ……っ……」

     タッ タッ タッ… ギュッ

樹「おね……ちゃ……」

樹「お姉……ちゃんっ……!」

風「あ……ああ……ああっ!」

54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:38:07 ID:.nkqaGMA

風「いっ……ぐっ……樹……樹ぃっ!!」

風「良かった……いつ、き……ひっく……良かったっ……!!」

樹「うん……うん……!」

樹「ゆ……うな…さん……がん……ばった……!」

樹「きっと……おね……ちゃ……の……目も……腕もっ……!」

     ギュッ…

風「……樹っ……良かった……ぐっ……」

風「本当に……ぐっ……く……良がっだ……!」

風「ううっ……あああああっ……あああああっ……」

風「ああああああああああああああああああああああっ……!」

55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:38:45 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


夏凜の病室


夏凜「…………」

夏凜「……ん?」

夏凜「誰?」


     供物返還


夏凜「え……」

夏凜「義輝?」

     サアアアアアア……

夏凜「…………」

夏凜「!!」

夏凜「……聞こえ……た……?」

56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:39:36 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


東郷の病室


東郷「…………」

東郷「……?」

東郷「…………」

     ピクッ

東郷「え!?」

東郷「…………」

東郷「……今……足が……動いた!?」

     サアアアアアア……

東郷「精霊が……精霊たちが、消えていく……」

東郷「!!」

57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:40:31 ID:.nkqaGMA


―――――――――――


友奈の病室


東郷「はあっはあっはあっ……」

東郷「友奈ちゃんっ……!」


友奈「…………」


東郷「友奈ちゃん……」


友奈「…………」


東郷「友奈ちゃん……友奈ちゃんっ……友奈ちゃん!」

58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:41:23 ID:.nkqaGMA


     ピクッ


東郷「!!」

東郷「友…奈……ちゃん……」


友奈「……と……ごぅ……さ……」


東郷「…………」

東郷「……っ」

東郷「友奈……ちゃん……」

東郷「……ぐっ…友奈ちゃんっ………友奈ちゃん……!」

東郷「うっ……くっ……ああああああっ……うああああああああっ……!」

59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:42:02 ID:.nkqaGMA


友奈「東郷……さん……」


東郷「……っ……ふぐっ……くっ……」

東郷「うあっ……ああっ……あああああああああっ……!」

東郷「ぁ……ああああああああっ……ひっ……ぐっ……」

東郷「良、かった……ぐっ……本当にっ……良かったぁ……!」

東郷「……うっ……友奈ちゃん……うあっ……あああっ…………!」

東郷「うああああああああああああああああっ……!」


友奈「うん……うん……」


東郷「ひぐっ……ああああああ……ああああああああああっ……!」

東郷「友奈、ちゃん……ごめ、んっ……ごめん、ねっ……!」

東郷「うあっ……ひぐっ……っ………ああっ………!」

60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:42:53 ID:.nkqaGMA


友奈「…………」


東郷「あああああああああああああああああああああああっ……!」

東郷「ひっ……ひぐっ……うああっ……あああああああっ……」


友奈「……ねぇ……東郷さん……」


東郷「うぐっ……くっ……はっ……?」

東郷「………ふ……ぐっ………く……」

東郷「………………」

東郷「……うん、何……?」


友奈「…………」


61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:44:09 ID:.nkqaGMA











友奈「ただいま」 ニコッ










     おしまい

62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/12/28(日) 13:46:09 ID:.nkqaGMA

くぅ~つか。という事で終わりです。
この後、樹の歌ED(合唱でも可)に乗せて
五人のリハビリ風景や序々に治っていく様子
そして待望のぼた餅を食べている友奈や東郷達
演劇の公演風景など
とにかく五人で何かを楽しそうにしている止め絵とか流して
一番最後、何かにふっと気づいた東郷で締め
乃木園子のあの映像を持ってきて、彼女の何か一言で
終わって欲しかったかなーと、個人的に思いました。

勇者の物語?の演劇は、何か必要性があるから
ああなったのかもしれませんけど、余計な描写かなーと思ってしまいました。
一番違和感を感じたのは友奈が『歯ァ食いしばれパンチ』を
東郷さんにかました事ですね。友奈は東郷さんの顔面を殴ったりしないと思うなー。

二期もあったらぜひ見たいですね!
ゆゆゆ、予想外に面白かった!
読んでくれた人、ありがとう!