1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 12:57:16.04 ID:rDWPvdMP0
前スレセイバー「内定…Zeroだと…!?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1340251035(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

引用元: セイバー「内定…Zeroだと…!?」SECOND SEASON 

 

Fate/stay night  カレンダー 2015年
-
キャラアニ(株式会社ハゴロモ)
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 12:59:03.35 ID:rDWPvdMP0
第六話 涙

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:00:27.32 ID:rDWPvdMP0
―――――
朝 屋敷

チュンチュンチュンチュン……(鳥の鳴き声)


セイバー「・・・・・・・」


(……………ばー)


セイバー「・・・・・・・」


(せ…………バー………)


セイバー「・・・・・・・」


(セイ……バー…)


セイバー「・・・・・・・」


「セイバー」


セイバー「・・・・・・・」


「・・・・・・・・・」


「セイバー!!!!!」


セイバー「!!!!」ビクゥ!

アイリ「・・・ちょっとセイバー」

アイリ「何をボーっとしてるのよ?」

セイバー「な、何だ、アイリスフィールか・・・」

アイリ「…?夢でも見てたの?」

セイバー「え、えぇ、少し」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:01:36.27 ID:rDWPvdMP0
アイリ「どんな夢?」

セイバー「え、えぇ・・・」

セイバー「・・・とても恐ろしい夢でした」

セイバー「何と・・・私が何時まで経っても職が決まらず」

セイバー「日々ニートと化して暮らしながら、毎日アイリスフィールに心配される夢なのです」

セイバー「どうです?実に恐ろしくないですか?」

アイリ「えぇ・・・恐ろしいわ・・・」

セイバー「そうでしょう、そうでしょう」

アイリ「でもね、セイバー」

セイバー「はい?」




アイリ「それ・・・夢じゃないのよ」

セイバー「・・・・・・・・」





―これは内定(ゼロ)に至る物語(なのか?)






内定/Zero SECOND SEASON





5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:06:31.93 ID:rDWPvdMP0
―――――
屋敷 玄関

アイリ「この屋敷とも今日でお別れね・・・」

セイバー「えぇ、何だかんだで、沢山の思い出がある場所です」

セイバー「できれば・・・忘れたくない」

アイリ「忘れる必要なんて無いわ」ニコッ

アイリ「ここには暫く戻って来れないだろうけど・・・」

アイリ「いつか、この戦いが終わったら、また・・・」

セイバー「・・・・・・・」

アイリ「・・・はい!感傷に浸る時間は終わり!さっさと車に荷物を詰め込むわよ!」

セイバー「了解しました。アイリスフィール」キリッ

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:09:34.71 ID:rDWPvdMP0


<ちょっと重そうだけど大丈夫?

<何のこれしき


舞弥「・・・・・・・・」

舞弥(ここでの時間は・・・本当に穏やかで・・・・)

舞弥(とても・・・・優しかった・・・・)

舞弥(私も・・・いつかここに戻ってこれるのだろうか・・・?)

切嗣「舞弥」

舞弥「何でしょう、切嗣」

切嗣「屋敷の引越しの前に、空港へ向かう訳だが・・・」

切嗣「昨日は神経を磨り減らしたせいもあって、少し疲れた」

切嗣「運転を頼んでも平気か?」

舞弥「問題ありません」

切嗣「・・・傷の具合は?」

舞弥「・・・・・・・・・」

舞弥「大丈夫です、昨晩、マダムに治療して頂いたので」

舞弥「もう軽い擦り傷程度になっています」

切嗣「・・・そうか」

切嗣「なら頼むよ、ハンドルは君に預けた」

舞弥「了解しました」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:11:42.98 ID:rDWPvdMP0
―――――
冬木市郊外 高速道路 1号車車内

イリヤ「うわぁ~」(窓の外見てる)

イリヤ「キリツグ!見て!車がどんどん後ろに行くわ!」

切嗣「そうだね」

イリヤ「車ってこんなに早く走れるのね!」

イリヤ「知らなかったなぁ~」

舞弥(・・・・・・・・)(運転中)

切嗣「そういえばイリヤは、高速道路は初めてだったね」

切嗣「どうだい?感想は」

イリヤ「すっごく速いわ!」

切嗣「ははっ、そうか」


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:13:49.63 ID:rDWPvdMP0
―――――
2号車車内

セイバー「・・・よろしかったのですか?アイリスフィール」

アイリ「え、何が?」

セイバー「イリヤのことですよ」

アイリ「・・・あぁ」

セイバー「最後のひと時くらい、一緒に過ごしてもよかったのでは?」

セイバー「あっちの車はまだ一人くらい余裕で乗れます」

セイバー「なのに・・・私と一緒などで、本当によかったのですか?」

アイリ「・・・・・・・」

アイリ「・・・私もね、最初はそうしようと思った」

アイリ「でもね・・・あの子の顔を・・・イリヤの笑顔を見てると・・・」

アイリ「どうしても・・・胸が締め付けられてしまうのよ」

セイバー「アイリスフィール・・・」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:15:10.16 ID:rDWPvdMP0
アイリ「・・・それにねセイバー」

アイリ「別れの言葉なら、昨日、済ませたわ」

アイリ「あの子は泣いたけど・・・でも、分かってくれた」

アイリ「その後、朝まで同じベッドで寝たし・・・」

アイリ「朝には、沢山お話をしたわ」

アイリ「・・・これ以上は・・・」

アイリ「・・・ただ・・・辛いだけだもの・・・」

セイバー「アイリスフィール・・・」

アイリ「・・・ほら!無駄話してないで、運転に集中すること!」

アイリ「私を死なせたら、切嗣に怨まれるわよ?」ニコッ

セイバー「・・・えぇ、そうですね」ニコッ

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 13:17:30.15 ID:rDWPvdMP0
じゃあ今日はこの辺で

聖杯戦争途中経過

セイバー・ニート

ランサー・?

ライダー・現場作業員

アーチャー・株式会社バビロンCEO(前スレでアヴァロンと表記しましたがミスです)

バーサーカー・?

キャスター・脱落

アサシン・いつの間にか脱落


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:30:01.52 ID:rDWPvdMP0
―――――
冬木市郊外 航空自衛隊 基地内喫煙所

斉藤(・・・・・・・)スパー

斉藤(・・・・・・・)トントン

斉藤(・・・・・・・)グシグシ

斉藤(あれは・・・事故なんかじゃなかった)

斉藤(戸草が乗ったストーム2が、任務中、明らかに挙動がおかしかったのは事実だ)

斉藤(だが、それは機体の故障のせいじゃない・・・)

斉藤(それは、機体の残骸から救出したブラックボックスの結果からも明らかだ)

斉藤(計器類には問題がなかった。そして飛行中、機体のどの部分にも破損は認められていない)

斉藤(・・・“あの時”までは・・・)

斉藤(・・・・・・)

斉藤(・・・速度計)

斉藤(速度計・・・それと、感圧計の項目は明らかに数値が異常だった)

斉藤(搭乗者の事を顧ることのない、殺人的な加速による死のフライト・・・)

斉藤(それが午前0時12分を境に、5分間も継続している)

斉藤(当然機体は悲鳴を上げ、尾翼の一部が破損するほど機体は酷使された)

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:31:42.56 ID:rDWPvdMP0
斉藤(そして・・・中に居るパイロットなど生きてはいられない程のGが、コックピットにも掛かり・・・)

斉藤(・・・戸草は死亡した)

斉藤(・・・・・・・)

斉藤(戸草・・・一体、ストーム2に何が起こったんだ?)

斉藤(そして・・・)

斉藤(・・・・・・誰が乗っていたんだ・・・・・・?)



ピンポンパンポーン……

(斉藤1尉、司令室より、1尉に出頭命令が出ております)

(至急、司令室へ向かってください。終わり)

ピンポンパンポーン……



斉藤(・・・・・・・)

斉藤(出頭・・・・ね)

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:33:40.71 ID:rDWPvdMP0
―――――
基地司令室

ガチャッ

斉藤「失礼しますよ、っと」

高村「ノックをしたまえ。斉藤1尉」

斉藤「はいはい…申し訳ありません司令官殿・・・」

高村「・・・・・・・・・」

斉藤「で、何です?良い知らせじゃないんでしょ?」

斉藤「今度の休みにバケーションに行こう。って誘いじゃないっていうのは、何となく判りますけど」

高村「・・・・・・・」

斉藤「・・・・・・・」

斉藤「冗談もなしね、はいはい聞きますよ」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:35:16.95 ID:rDWPvdMP0
高村「君に辞令が降りた」

斉藤「辞令?」

斉藤「何の?」

高村「さっき通達があってな」

高村「おめでとう斉藤1尉、君は2階級特進だ」

高村「本日付で2佐になる」

斉藤「・・・何の冗談です?」

高村「これは上から直々に来た命令だよ」

高村「冗談などではない」

斉藤「・・・俺は仲間を戦場に捨てて、おめおめと一人逃げ帰ってきたんですよ?」

高村「これは決定事項だ」

斉藤「そんな俺が2階級特進?ふざけないで下さいよ」

高村「斉藤2佐」

斉藤「俺は1尉だ高村!!!!!!」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:37:00.41 ID:rDWPvdMP0
高村「・・・・・・・・」

斉藤「臆病者の俺が二階級特進で、勇敢に戦った戸草も同じ2階級特進だと・・・?」

斉藤「・・・ふざけるな」

高村「・・・・・・・・」

斉藤「仲間が死んだんだぞ・・・?なのに、何平然と辞令なんか読み上げてんだよ」

斉藤「高村・・・・お前」

斉藤「お前・・・いつからそんな人間になった・・・?」

高村「・・・・・・・・」

斉藤「一緒に空を飛んでた頃のお前は、どこに行ったんだよ?」

高村「・・・私は変わらないよ、斉藤2佐」

斉藤「・・・・・1尉だよ馬鹿野郎」

斉藤「・・・・・・」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:38:20.95 ID:rDWPvdMP0
斉藤「俺は・・・・」

斉藤「俺は、見てはいけないものを見た」

斉藤「そうだな?」

高村「・・・・・」

斉藤「だからこその2階級特進、馬の前に吊るされたニンジン・・・」

斉藤「俺を飼い[ピーーー]気なんだな?」

高村「・・・・・斉藤2佐」

高村「そうやって、何もかも憶測で話を進めるのは、君の昔からの良くない癖だよ」

高村「飼い殺し・・・?一体何を言っているんだ」

高村「空の英雄には、それなりの役職についてもらいたいという本部からの要望だよ。これは」

斉藤「・・・・・・」

高村「報告は伝えた、もう戻っていいぞ、斉藤2佐」

斉藤「1尉だ」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:39:24.02 ID:rDWPvdMP0
斉藤「俺は・・・・」

斉藤「俺は、見てはいけないものを見た」

斉藤「そうだな?」

高村「・・・・・」

斉藤「だからこその2階級特進、馬の前に吊るされたニンジン・・・」

斉藤「俺を飼い殺す気なんだな?」

高村「・・・・・斉藤2佐」

高村「そうやって、何もかも憶測で話を進めるのは、君の昔からの良くない癖だよ」

高村「飼い殺し・・・?一体何を言っているんだ」

高村「空の英雄には、それなりの役職についてもらいたいという本部からの要望だよ。これは」

斉藤「・・・・・・」

高村「報告は伝えた、もう戻っていいぞ、斉藤2佐」

斉藤「1尉だ」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:40:42.74 ID:rDWPvdMP0
高村「・・・・・・」

斉藤「・・・・・じゃあな、司令官殿」

斉藤「もう会う事も無いだろう」

高村「・・・・・」

高村「・・・戸草3尉の事は」


ガチャッ


バタンッ


高村「・・・・・・・」

高村「分かってくれよ、斉藤」

高村「・・・こうでもしなければ、お前も消されていたんだ」

高村「聖杯戦争という、訳の分からない争いに巻き込まれて・・・な」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:41:42.12 ID:rDWPvdMP0
―――――
基地 ロッカールーム

三枝「斉藤、もう一度考え直せ」

斉藤「嫌だね、俺はもうここの司令に嫌気が差した」

斉藤「そしてその司令様を操る、上の連中にもな」

三枝「・・・・・・」

斉藤「とりあえず実家にでも帰って、畑仕事でもしようと思ってる」

三枝「・・・後悔するぞ」

斉藤「春になったら大根でも送ってやるよ」ヨイショ

三枝「斉藤」

斉藤「じゃあな三枝、皆によろしく」

三枝「・・・・・・」

斉藤「・・・・・それと」

斉藤「戸草・・・にもな」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:42:23.40 ID:rDWPvdMP0
三枝「・・・・・・」

斉藤「・・・あばよ」

三枝「斉藤」

斉藤「何だよ、折角格好良く決まったのに?」

三枝「戸草って誰だ?」

斉藤「・・・・・・・・」

斉藤「・・・おい、三枝」

斉藤「それ冗談だよな?俺の聞き間違いだよな?」

三枝「・・・・・」

斉藤「誰ってお前・・・・」

三枝「今この基地にそんな人間はいないぞ」

斉藤「当たり前だよ!!!昨日空で吹っ飛んだんだからな!!!」

斉藤「その戸草だろうが!!!」

三枝「・・・・・・」

三枝「何を言ってるんだよ、斉藤」

三枝「昨日は、演習も戦闘も無かったんだぞ?」

三枝「なのに、どうして飛行機が落ちるんだ?」

三枝「おかしいじゃないか」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:43:02.64 ID:rDWPvdMP0
斉藤「・・・・・・」

斉藤「あぁ、そうかよ」

斉藤「解りました、そういう流れですね。空気読みますよ」

斉藤「なんせ俺は、18年間風の流れを読んできた男だからな」

斉藤「役に立ちそうでよかったよ、今までの経験がさ」

三枝「斉藤」

斉藤「・・・くたばれ蛆虫共が」


バタンッ!!!


三枝(・・・・・・・)

三枝「あばよ、斉藤・・・」


24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:44:07.63 ID:rDWPvdMP0
―――――
空港 ターミナル


ワイワイガヤガヤ………


セイバー「広いですね」

アイリ「迷子にならないでよね?セイバー」

セイバー「む、失礼な」

セイバー「騎士王であるこの私が、迷子になるなんて絶対にあr」


舞弥「マダム!!!」


アイリ「ど、どうしたの!?舞弥さん」

舞弥「イリヤが・・・イリヤがいなくなりました!」

アイリ「何ですって・・・!」

アイリ「き、切嗣も一緒に居たのに・・・あの人はどうしたの?」

舞弥「切嗣は・・・搭乗手続きをする為、受付に行っていたのです・・・」

舞弥「その間・・・私がイリヤの面倒を頼まれていたのですが・・・」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:45:05.17 ID:rDWPvdMP0
舞弥「ちょっと目を離した隙に・・・くっ・・・!」

アイリ「お、落ち着いて。舞弥さん」

アイリ「大丈夫よ、あの目立つ子だもの・・・」

アイリ「直ぐに迷子センターからアナウンスが掛かってくる筈だわ」

アイリ「だから落ち着いて、ね?」

舞弥「マダム・・・」


ピンポンパンポーン………


(迷子のお知らせを致します・・・)

(現在、6番ロビー迷子センターにて、銀色の長い髪をした・・・)

(イリヤスフィールちゃんというお名前の、8歳の女の子をお預かりしております・・・)

(お心当たりのある方は、6番ロビー、迷子センターまでお越しください・・・)


ピンポンパンポーン……


アイリ「ほ、ほらね、言ったでしょ?」

舞弥「・・・はい」

セイバー「とにかく、早く迎えに行きましょう」


26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:46:20.67 ID:rDWPvdMP0
―――――
空港 6番ロビー

イリヤ「・・・・・・・・」

アイリ「・・・・・・・・」

セイバー「・・・・・・・」

舞弥「・・・・・・・・」

切嗣「・・・・・・・・」

アイリ「・・・イリヤ」

イリヤ「・・・はい、お母様」

アイリ「どうして皆に心配かける様なことしたの?」

イリヤ「・・・・・・・」

アイリ「黙ってちゃ分からないでしょ?何か言いなさい」

イリヤ「・・・・・だって・・・・・」

アイリ「だってじゃないわ!これから、あなたをアインツベルンの人に預けるのに」

アイリ「皆に迷惑かけちゃダメじゃない!」

イリヤ「だってぇ・・・・」泣いてる

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:48:05.64 ID:rDWPvdMP0
セイバー「ま、まぁ、アイリスフィール、その辺にしておきましょうよ」

セイバー「イリヤも反省している様ですし、それに」

アイリ「セイバーは黙ってて」

セイバー「む・・・」

アイリ「いい?イリヤ」

アイリ「あなたはこれから、暫くの間向こうで暮らすのよ?」

アイリ「だったら、アインツベルンの人を困らせる様な事をしては駄目」

イリヤ「・・・・・・・」

アイリ「・・・イリヤ」

アイリ「あの家の人たちはね?これからあなたの家族になるのよ?」

イリヤ「私の家族はお母様とキリツグよ!」

アイリ「そうだけど・・・今は、それは忘れて」

イリヤ「・・・・・・・」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:49:48.12 ID:rDWPvdMP0
アイリ「イリヤ」

アイリ「私と切嗣はね、これから大きな戦いに行くの」

切嗣(・・・・・・・)

アイリ「だから、もしかしたら、もうあなたに会えなくなるかもしれない」

イリヤ「・・・・いや」

アイリ「これも昨日言ったわよね?」

イリヤ「いや!」

イリヤ「・・・・・・・」ヒック……

アイリ「・・・イリヤ・・・」

セイバー「アイリスフィール」

アイリ「・・・何?セイバー」

セイバー「イリヤがどうして迷子になったのか・・・」

セイバー「何となく・・・貴方も分かっている筈です」

アイリ「・・・・・・・・」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:50:51.77 ID:rDWPvdMP0
セイバー「だったら、今からでも遅くない」

セイバー「イリヤと・・・二人で過ごしてください」

アイリ「セイバー・・・・」

セイバー「私達邪魔者は消えます」

セイバー「ですからアイリスフィール」

セイバー「後は・・・二人の時間です」

アイリ「・・・・・・・」

セイバー「それでは、失礼します」

………

アイリ「・・・・・・・・」

イリヤ「お母様・・・」

アイリ「・・・イリヤ」

イリヤ「はい・・・」

アイリ「まだ少し時間あるし・・・あっちのカフェで、お茶しましょうか?」ニコッ

イリヤ「…!うん!」


30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:52:22.26 ID:rDWPvdMP0
―――――
空港 ターミナル

セイバー「・・・行っちゃいましたね」

アイリ「・・・えぇ」

セイバー「・・・寂しくなります」

アイリ「そうね・・・」

アイリ「あ、そうそう。セイバー」

セイバー「何です?」

アイリ「イリヤからこれ預かったのよ」

アイリ「あなたにあげる、って」


スッ


セイバー「これは・・・」

セイバー「・・・スコープドッグの食玩・・・」

セイバー「こんな大事なもの・・・貰っていいのですか?」

アイリ「え、えぇ・・・」

セイバー「・・・?」

アイリ「その・・・」



アイリ「・・・ダブってて要らないから・・・あげるって・・・」

セイバー「・・・・・・そうですか」


31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:54:28.29 ID:rDWPvdMP0
―――――
冬木市 C丁 建設現場

カーン…カーン…カーン…


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド………


<いっせーの・・・せっ!!!

<いや~昨日の酒が響くねぇ~


ウェイバー「・・・・・・・」ペタペタ(パテでコンクリ塗ってる)


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド………


ウェイバー「・・・・・・・」ペタペタ

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド………

ウェイバー「・・・・・・・」ペタ
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド………

ウェイバー「ああもう!うるさいよ!!!」

ドドド……

ライダー「何をいきなり怒鳴っておるのだ?小僧」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:55:45.57 ID:rDWPvdMP0
ウェイバー「何じゃないだろ!何なんださっきから!嫌がらせか!!!」

ウェイバー「何でわざわざ僕が居る隣で掘削作業するんだよ!!」

ウェイバー「向こうでやれ!!!」ビシィ

ライダー「・・・・・・・」

ライダー「ガッハッハッハ!坊主!貴様も中々言うようになってきたではないか!」

ライダー「だがそう何でも自分の都合を相手に押し付けようとするな。後々辛くなるだけだぞ?」

ウェイバー「お前はあっちでも作業できるだろ!」

ウェイバー「現に!ここは明日やる予定だろうが!何であっちから先にやらない!」

ライダー「・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・・・」

ライダー「ガッハッハ!坊主、そう何でも自分の都合を他人に押し付けようと」

ウェイバー「何回繰り返すんだよこのやり取り!!!!!!!」ガンッ(パテ投げた)


34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 20:57:54.25 ID:rDWPvdMP0
―――――
建設現場 お昼

佐藤「お~い、買って来たぞ~」弁当持ってる


一同<うっひょー!


貝塚「キター!一日の数少ない楽しみ!」

鈴木「お前なぁ、正直に言いすぎだろ(笑)仕事だって楽しいだろうが」

貝塚「鈴木さんはクレーン使えるからそう言えるんッスよ!俺なんて一日上り下りの繰り返しッスよ!?」

貝塚「そりゃ辞めたくなりますって!」


一同<どっ!


鈴木「ははは、確かにな、そりゃ俺でもキツイわ」

貝塚「まったくぅ・・・変わってくださいよ、仕事~」

佐藤「免許取ってからものを言えよお前」


一同<どっ!

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:00:14.23 ID:rDWPvdMP0
ウェイバー「・・・・・・・」

ウェイバー(相変わらず慣れないなぁ・・・この独特の空気)もぐもぐ

ウェイバー(ガテン系っていうのはみんなこうなのか?皆疲れてる筈なのに元気すぎるだろ・・・・)もぐもぐ

ウェイバー(現に僕は・・・午前の作業の時点で既に死にそうだ・・・)ハァ...

ライダー「何を溜息などついておるのだ小僧!」


バシィッ!!


ウェイバー「!!!!!!」

ウェイバー「うぇッほえっほ!!!うっふぉ!!!」

ライダー「む、何を咳き込んでおるのだ小僧」

ウェイバー「………お前のせいだよ!!!!!」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:02:12.07 ID:rDWPvdMP0


一同<どっ!!!


佐藤「あっはっはっは!相変わらず面白いなぁ、お二方は」

鈴木「だよなぁ、一日の内に必ず何かやらかすもんな、この二人」

鈴木「見ていて飽きないよ」あっはっは

貝塚「いや・・・やらかさない様にしてくれないと困るんスけど・・・」

ライダー「そうか、まぁ、期待を受けるのも王の仕事よ」ガッハッハ


一同<どっ!!!!


佐藤「これだもんなぁ、ほんと、アレクセイさんが来てくれてよかったよ」

鈴木「だよなぁ、メチャクチャ力持ちだし、何より気さくで話しかけやすいし」

貝塚「おまけに毎日酒奢ってくれるッスもんね!」

佐藤・鈴木「確かに」

ウェイバー(誰の金だと思ってんだよ・・・)

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:03:41.69 ID:rDWPvdMP0
佐藤「でも、ウェイバー君も頑張ってるじゃないか」

ウェイバー「えぇ・・・・え?」

佐藤「そんな細い身体で、こんなハードな仕事こなすなんてすごいよ」

鈴木「だよなぁ、俺一週間持たないと思ってたもん」

貝塚「あ、それ俺もッス!」

ライダー「ガッハッハッハ!酷い言われようだな、坊主!」

ウェイバー「うるさいよ・・・」

佐藤「とにかく、君もすっかりウチのメンバーの一員だ」

佐藤「期待してるぜ、ウェイバー君」

ウェイバー「・・・・あ・・・・」ドキッ


<コラァ!!!鈴木ぃ!!!!


鈴木「おわ、何だ何だ?」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:05:10.98 ID:rDWPvdMP0


<てめぇクレーンのエンジンかかりっぱなしだぞ!なめてんのか!!


鈴木「あ、いっけねー忘れてた」

鈴木「そういやトイレ行った後に休憩入っちゃったからなぁ・・・」


<さっさとキー抜いて来い!!!


鈴木「うーっす!サーセンしたぁ!!」

鈴木「そういう訳でちょっくら行ってくるわ」

貝塚「ドジっスねぇ・・・鈴木さん」


<コラァ!!!!鉄男ぉ!!!!


貝塚「わっひゃい!!」


<お前やっとけつったとこまで出来てねーじゃねぇか!!!!

<飯なんか食ってねぇでちょっと上がって来い!!!


貝塚「な、何故バレたし・・・」

貝塚「・・・はぁ・・・行ってくるッス・・・」トボトボ

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:06:30.26 ID:rDWPvdMP0
佐藤「あはは、皆大変だな」

ウェイバー「そうですね」

ウェイバー「・・・あれ、ライダーは・・・?」

佐藤「あぁ、さっきトイレ行ったよ」

ウェイバー「あいつ、仮説トイレに身体入るのか・・・?」

佐藤「・・・・・・・・・」

佐藤「・・・ウェイバー君」

ウェイバー「は、はい、何ですか?」

佐藤「・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・?」

佐藤「アレクセイさん、君の後をしょっちゅう付いてくるだろう」

ウェイバー「は、はぁ・・・そうですけど、それが何か?」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:07:54.75 ID:rDWPvdMP0
佐藤「あれね、君のためにやってるんだよ」

佐藤「知ってた?」

ウェイバー「い、いえ・・・全然」

ウェイバー(・・・嫌がらせしてんのかと思ってた・・・)

佐藤「アレクセイさんがね、君が入ってくる前にさ」

佐藤「余の主がここで働くから、暫くの間は面倒を見させて欲しい、って」ライダーの真似

佐藤「社長に頼んでたんだよ」

ウェイバー(・・・・・・・・)

佐藤「現に、いつも君と一緒にいても、誰も咎めないだろう?」

佐藤「あれはね、まぁ、そういうことだったんだよ」

ウェイバー「そう・・・だったんですか・・・」

ウェイバー「・・・・・・・・」

ウェイバー(あの馬鹿・・・余計なことしやがって・・・・)

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:09:24.98 ID:rDWPvdMP0
佐藤「まぁここの仕事キツイからね、気持ちは分かるよ」

佐藤「それに・・・なによりあの人柄だろ?そりゃ、あのタコ社長も許さざるを得ないよ」

佐藤「ほんと、あの人スゲーよなぁ」

ウェイバー「・・・・・・」

佐藤「来た初日から皆の心鷲掴みにしちゃってさ・・・」

佐藤「まるで・・・」

佐藤「まるで・・・王様みたいな人だよなぁ・・・」

佐藤「すげぇ懐が広くて、皆の面倒見てくれて・・・」

佐藤「ありゃぁ、人に好かれて当然だわな」

ウェイバー(・・・・・・・・)

ウェイバー「・・・・・・そうかもし」

ライダー「おぉ!?何の話だ、余も混ぜろ!」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:10:19.44 ID:rDWPvdMP0
佐藤「あぁ、アレクセイさん」

ライダー「む、あの二人はどうしたのだ」

佐藤「仕事に手ぇ抜いた罰を償ってますよ」

ライダー「ガッハッハ!そうかそうか!」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「む?何だ小僧、全然食べていないではないか」

ライダー「食べぬのなら、そのから揚げ頂くぞ」


ヒョイパクッ


ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「うむ!やはりここ(ほっともっと)のから揚げは美味なり!流石に作りたてを謳うだけはある!」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「む?何だ小僧」

ライダー「その白身揚げ、食べないのなら頂」

ウェイバー「いい加減にしろぉ!!!!!!!」


43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/21(木) 21:13:47.44 ID:rDWPvdMP0
―――――
衛宮邸 玄関口

アイリ「わぁ・・・ここがそうね」

セイバー「ほほう、中々趣がある造りですね」

舞弥「家屋は長らく使われていなかったため、使用するには掃除が必要ですが・・・」

舞弥「家自体はそんなに傷んでいないので、問題は無いかと」

アイリ「素敵!」

アイリ「私ね、日本に来たら、一度こういう家に住んでみたいって思ってたのよ」

舞弥「家屋の隣には、古いですが、土蔵があります」

舞弥「そこも自由に使っていいと、切嗣から言われています、マダム」

アイリ「あぁ・・・夢が広がるわ・・・!」

セイバー「それよりそろそろお腹が空きませんか?アイリスフィール」ギュルル

アイリ「よし!早速入ってみましょう!」

舞弥「荷物をお運びします。マダム」

セイバー「少々遅いですが、お昼ご飯には鴨蒸篭なんてどうでしょうか」

セイバー「あれはこの前初めて食べましたが中々・・・」

セイバー「・・・・・・・・」

セイバー「誰もいない・・・」

セイバー「・・・・・・・・」ギュルー

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:20:29.52 ID:FnGjNBb00
―――――
とある公園 ベンチ

雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・・何故だ」

雁夜「何故俺は・・・まだ・・・生きている?」

雁夜「あの男にも敗れ・・・もう・・・生きる意味なんてないのに・・・」

雁夜(・・・・・・・・)

―――――
昨夜 未遠川付近のビル

雁夜「う・・・・あ・・・・・・ぁ・・・・・・」

雁夜「とお・・・さか・・・・」

雁夜「・・・とき・・・・お・・・・」

雁夜「・・・・・・・・・」

雁夜(・・・・俺も・・・ここで終わりか・・・・)

雁夜(・・・・まぁ・・・こんなもんか・・・所詮・・・)


コツ…コツ…コツ…コツ…


雁夜「・・・・・・」

(・・・・・・・)

雁夜「・・・・ぉ・・・・まえ・・・・・」

「・・・黙っていろ」

「傷に触るぞ?」

―――――
雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・・・俺は・・・・」

雁夜「・・・・・・・・・・」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:23:39.09 ID:FnGjNBb00
―――――
車内 移動中

舞弥「・・・申し訳ありませんでした、切嗣」

切嗣「・・・・・・・」

舞弥「私が独断先行をしたばかりに、貴方に迷惑をかけ、挙句怪我まで負って、回収の手間をかけさせてしまった・・・」

舞弥「・・・償っても、償いきれることではありません」

切嗣「・・・・・舞弥」

舞弥「・・・はい」

切嗣「君は、自分の声に従い行動をした」

切嗣「そうだな?」

舞弥「・・・はい」

切嗣「なら、いちいち気に病む必要はないさ。君は自らの手で、選択したのだからな」

切嗣「後悔をしたくない、という選択を」

舞弥「・・・・・・」

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:26:37.86 ID:FnGjNBb00
切嗣「正直君がああいった行動に出るとは思わなかったが、まぁ、予測できなかった訳じゃない」

切嗣「なら、コントロールできなかった僕の責任でもある」

舞弥「・・・切嗣」

切嗣「・・・それに、効果はあったさ」

舞弥「・・・・?」

切嗣「・・・・・」

切嗣「・・・昨日の一件で、聖堂教会は関係各所と連携を取り、昨夜あの場にいた一般人全てを」

切嗣「なかったことにした」

舞弥「・・・・・」

切嗣「奴等のお得意技さ、代行者とやらを使って、自分達の都合のいい様に事実を捻じ曲げる」

切嗣「聖杯のため、ただそれだけのために・・・な」

切嗣「奴等に、命の重さなんて言葉は存在しない」

舞弥「・・・・・」

切嗣「・・・舞弥」

舞弥「何でしょう、切嗣」


55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:28:03.99 ID:FnGjNBb00
切嗣「キャスター達は、君を騙すため公園で一芝居を打ち、住宅街へ誘いこんだ」

切嗣「そうだな?」

舞弥「・・・はい」

切嗣「君がキャスター達を足止めした時間だが・・・」

切嗣「合計したら、大体1時間ってところか」

舞弥「・・・・・・」

切嗣「あの場で観測をしつつ数えてたんだが・・・」

切嗣「22時頃は、32人の一般人が居たんだが・・・」

切嗣「事件が起こった23時頃には、29人に減っていた」

舞弥「・・・・・」

切嗣「意味は分かるな?」

舞弥「・・・・はい・・・・」

切嗣「・・・数人ではあるものの」

切嗣「君は、尊い命を救ったんだ」

切嗣「誇っていいよ、舞弥」

舞弥「・・・・はい・・・・!」

切嗣「・・・・・・」

切嗣「・・・ところで舞弥」





切嗣「泣くのはいいが、ちゃんと前を見て運転してくれ・・・・・」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:30:33.58 ID:FnGjNBb00
―――――
夕方 建設現場

ライダー「貴様ら!今日もよくぞ働いてくれた!褒めて遣わすぞ!」バッ!(征服王のポーズ)


<うぉー!(士気上昇)


現場監督「あの・・・アレクセイさん・・・」

ライダー「む?何だ?」

現場監督「えっと・・・それ俺の仕事・・・」

ライダー「・・・・・・」

現場監督「・・・・・何でも無いです・・・・・」

ライダー「皆の衆よ!この後は、例によって余が酒を振舞おう!」

ライダー「存分に飲むがいい!!!」


<うぉおおおおお!!!!(士気上昇)


ウェイバー(・・・・・・・)

ウェイバー(・・・・僕のお金なんですけどね・・・・)

ライダー「うむ!それでは皆の者よ、後程例の店(魚民)で会おう!」

ライダー「解散!!!!」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:34:05.78 ID:FnGjNBb00


<お疲れっしたー!!!


現場監督「・・・・・お疲れ様です」


ぞろぞろぞろ……


<今日もキツかったな~

<酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞ~♪


ぞろぞろぞろ……


ライダー「ガッハッハ!酒が飲めると聞いてあそこまで喜ぶとは・・・」

ライダー「やはり、戦士を鼓舞するのは、いつの時代も酒だのぉ!」ワッハッハ

ウェイバー「・・・・・」

ライダー「お、坊主」

ライダー「貴様もよく働いたな。褒めて遣わすぞ」

ライダー「余はこれより戦士達との宴がある。貴様は先に帰っておれ」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「どうした?まさか、また余に家まで運べと申す気なのか?」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「申し訳ないが、皆にああ言った手前、貴様を運ぶ為に帰るのは・・・」

ウェイバー「行くよ」

ライダー「む?」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 07:35:20.04 ID:FnGjNBb00
ライダー「坊主、今なんと?」

ウェイバー「・・・行くって言ってんだよ」

ライダー「・・・・・」

ウェイバー「今日は・・・・そこまで疲れてないからな・・・」

ウェイバー「僕も・・・・その・・・」

ライダー「・・・・・フフフハハ・・・」

ライダー「ガッハッハッハッハッ!!!」

ライダー「坊主!貴様もようやく漢になる時が来たな!」バシバシッ!

ウェイバー「...ッツ!声がデカイし痛いよこの野郎!」

ライダー「いいだろう!この征服王、誰であろうと来る者は拒まぬ!」

ライダー「小僧よ!存分に楽しめ!」





ライダー「余の宴をな!!!」

ウェイバー「だから僕の金だろうが!!!!!」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:40:42.34 ID:FnGjNBb00
―――――
夕方 例のファミマ 休憩室

藤村「・・・・・・・」

「大河ちゃん」

藤村「・・・・・・・」

「・・・大河ちゃん?」

藤村「・・・・・・・」

「もしもーし」お~い

藤村「へ?あ!スイマセン!」

一条「どうしたの?大河ちゃんが仕事中にボーっとするなんて珍しいわね」クスクス

藤村「え、あぁ・・・すいません・・・」

一条「別に、謝ることでもないけど・・・」

一条「なんか、らしくないな~って?」

藤村「・・・そッスか」

一条「?」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:42:12.15 ID:FnGjNBb00
藤村(・・・・・・・)

藤村(あの野郎・・・メール無視したな・・・)

藤村(別に・・・直ぐ帰ってこないのはいいのよ・・・)

藤村(でも、この時間まで返事しないって、余りにも無神経すぎじゃない?)

藤村(・・・・返事は必ずしろって・・・・)

藤村(・・・言ったのに)

一条「それにしても、どうしたのかしらねぇ、龍之介君」

藤村「あ!それ私も今言おうと思ってました!」

藤村「あいつ・・・仕事をエスケープするとはいい度胸じゃない」メラメラメラ

藤村「当日欠勤は極刑に値するわ・・・」メラメラメラ

一条「ま・・・まぁまぁ、こうして私が代わりに来たんだし、いいじゃない、一日くらい♪」

一条「何かどうしても外せない用事があったのかもよ?」

藤村「どんな理由があろうと、当日欠勤する奴は社会人失格ッスよ!」

一条さん「ま、まぁ、それはそうだけど・・・」アセアセ

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:45:35.74 ID:FnGjNBb00
一条さん「アルバイトなんだし・・・何もそこまで期待しなくてもいいんじゃないかしら・・・?」

一条「それにほら!龍之介君、まだ入って間もないし・・・ね?」

藤村「一条さんはあいつに甘すぎッスよ!甘やかすとつけ上がりますよ?」

一条さん(お、お母さんみたいね・・・)

一条さん「まぁとにかく、切り替えていきましょ!大河ちゃん」

一条さん「あまり気にしすぎるのもいけないわ」ニコッ

藤村「まぁ・・・一条さんがそう言うなら・・・」

藤村(・・・・・・)

一条さん「でも、確かに変よねぇ・・・」

一条さん「龍之介君、仕事はいつもアレだけれど」

一条さん「遅刻も欠勤も今まで一度もなかったから・・・ちょっと心配よねぇ・・・」

一条さん「大河ちゃん、何か聞いてたりする?」

藤村「うんにゃ、別にないッス・・・」



「未遠川に行かない方がいいよー」



藤村(・・・・・・)

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:47:21.86 ID:FnGjNBb00
藤村「ねぇ、一条さん・・・」

一条「なぁに?大河ちゃん」

藤村「昨日・・・未遠川で何かありました?」

一条「え、未遠川?」

一条「さ~、特に覚えがないけど・・・」

一条「未遠川で何かあったの?」

藤村「いえ・・・知らないならいいッス」

藤村「・・・・・・」

一条「映画か何かの撮影でもあった・・・とか?」

藤村「・・・・・さぁ」

藤村「・・・・・」

一条「・・・・・」

一条「あ、そうそう。大河ちゃん」

一条「2番のレジ、レシート切れちゃったから、休憩終わったら交換しておいてくれる?」

大河「・・・・・・」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:50:48.95 ID:FnGjNBb00
一条「大河ちゃん?」もしもーし

藤村「ふぇ!?あ、あぁ・・・」

藤村「りょ、りょーかいッス!」

藤村「何番レジッスか?」

一条「え、大河ちゃん・・・・」

藤村「?...何すか?」

一条「ど、どうしたの・・・?」

藤村「何がッスか?」

一条「な、泣いてる・・・けど・・・」



藤村「・・・・・・・・え?」


ポロッ...ポロッ...



藤村「あれ・・・?何で・・・?」

藤村「何であたし・・・・・な・・・泣いて・・・・?」

藤村「何で・・・・」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:52:32.79 ID:FnGjNBb00
藤村「・・・っふ・・・・うぅ・・・!・・・うっ・・・・!」



さよなら



藤村「うぅ・・・!う・・・あぁぁ・・・!」

一条「大河ちゃん!?」

一条「ど、どうしたの!?どこか具合でも・・・!?」

藤村「う・・・うぁぁあぁぁぁ・・・・・」

一条「ど・・・どうしよう・・・!?救急車・・・・」

藤村「ち・・・・ちが・・・・」

藤村「ちが・・・違うの・・・いちじょ・・・さん」

藤村「わたし・・・わたし・・・・」

一条「大河・・・・ちゃん・・・・」

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:53:37.54 ID:FnGjNBb00
一条「・・・・・・」


ギュッ


藤村「ふ・・・ぅ・・・・?」

一条「大河ちゃん・・・」

一条「私・・・あなたに何が起こったのか、その・・・分からないけど・・・」

一条「その涙・・・我慢しない方が、いいと思うの・・・」

一条「だから・・・ね・・・?

ギュウゥ....

藤村「う・・・一条さ・・・ふっ・・・!」

藤村「あ・・・・あ・・・・」

藤村「あぁぁ・・・ぁぁぁ・・・」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:54:29.96 ID:FnGjNBb00
―――――




私は・・・・・何でか分からないけど・・・・・そう・・・思ったんだ・・・・・






たぶん・・・・・たぶん、もう・・・あいつには会えない・・・・







たぶん・・・・・二度と・・・・・・・





―――――

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:55:42.73 ID:FnGjNBb00
藤村「一条さ・・・ん・・・」

藤村「私・・・・馬鹿だ・・・・・」

一条「え・・・?」

藤村「私・・・気づいてたのに・・・・自分の気持ちに・・・ウソ・・・ついてた・・・・・」

一条「・・・・・・」

藤村「あれ・・・・あれは・・・・私の・・・」





・・・・私の・・・・





私の・・・・・初恋だったんだ・・・・



71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:57:29.59 ID:FnGjNBb00
―――――
夜 民家

ウェイバー「うー・・・・えぇ・・・・」

ウェイバー「もうらめらぁ~・・・・」

ライダー「情けない・・・貴様、それでも漢か?」

ウェイバー「うるへー・・・」

ライダー「それにしても、よく一杯だけでそこまで酔えるものだな」

ウェイバー「うー・・・はぎぞ~・・・」

ライダー「・・・・・・」

ライダー「坊主」

ウェイバー「・・・何らよ?」

ライダー「今宵の宴、どうだった?」

ウェイバー「・・・どうって、なにがぁ?」

ライダー「そんなものは何でもいい!ほれ、何かあるだろう、感想が」

ライダー「楽しかったとか、嬉しかったとか、何でもいい」

ライダー「言ってみろ」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・悪くはなかった・・・・・」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/22(金) 17:59:39.95 ID:FnGjNBb00
ウェイバー「ああやってみんなで馬鹿みたいに騒ぐのなんて・・・初めてだったし・・・」

ウェイバー「それに・・・・・」

ライダー「それに?」

ウェイバー「・・・・・」

ライダー「・・・何だ小僧、また言いたくないとでも言う気か?」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「おい、何とか言わんか」

ライダー「おいぼう・・・」

ウェイバー「・・・・・・」クカー

ライダー「・・・何だ、寝おったか」

ライダー「・・・・・・」

ライダー「全く・・・まだ覚える事は山のようにあるのだぞ?」

ライダー「なぁ、我が主・・・」

ウェイバー「・・・・・・」クカー

ライダー「そして・・・小さき王よ」




ウェイバー「う~・・・・・」

ウェイバー「ぼくの・・・・おかね・・・・」



第六話 涙

-??:??:??


次回 桃園の誓い

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:24:27.05 ID:DRqFub4/0
第七話 桃園の誓い

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:25:37.94 ID:DRqFub4/0
―――――
街頭 路地の裏

雁夜「・・・・・・・・」

雁夜「・・・クソ・・・」

雁夜(流石に・・・残りの金が心許なくなってきたな・・・)

雁夜(だからと言って・・・今から何処かで働ける訳が無い・・・)

雁夜(・・・・・・・)

雁夜(バーサーカーを使って・・・金を・・・)

雁夜「・・・駄目だ・・・!そんなことは・・・絶対に・・・!」

雁夜「・・・・・・・」


((何を迷っている))


ズズズズズズズズズ…

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:41:45.52 ID:DRqFub4/0
雁夜「・・・・・・・」

バーサーカー((金が尽きそうなのだろう?))

バーサーカー((ならば、俺を頼ればいい))

バーサーカー((主の命令とあれば、その命令、喜んで受け))

雁夜「黙ってろ!」

バーサーカー((・・・・・・・・))

雁夜「誰が・・・貴様なんか頼るかよ・・・!」

バーサーカー((だが、現実は非情だ))

雁夜「・・・・・・・」

バーサーカー((蟲に犯されたその身体で、まさか働く気なのか?))

バーサーカー((どこが雇ってくれるというのだ。己の姿を良く見てみろ))

雁夜「・・・・・・・」

バーサーカー((その醜い姿で、何処が貴様を受け入れてくれるというのだ?))

バーサーカー((無いな。確実に))

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:43:00.25 ID:DRqFub4/0
雁夜「・・・黙れ・・・!」

バーサーカー((お前に残された道は2つ))

雁夜「・・・黙れ!」

バーサーカー((他人から奪うか、もしくは・・・))

雁夜「黙れよ!」

バーサーカー((自分を捨てたあの家に、泣いて縋りつくかの))

雁夜「令呪を持って命ずる!」コォォォォ…

雁夜「バーサーカー!!!少し黙ってろ!!!!」

バーサーカー((・・・・・・・))


ズズズズズズズズズ…ズ

ズズ…


雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・・・・畜生ぉ!!!!」ガンッ!

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:46:07.18 ID:DRqFub4/0
―――――
昼 冬木市 和民

ライダー「・・・それでは」

ライダー「我等の栄光を祈って・・・」

ライダー「乾杯ッ!!!!」

セイバー・ランサー「乾杯!!」


ワイワイガヤガヤ……


セイバー「ごくごくごくごく」

セイバー「っく~!上手い!」

セイバー「この為に生きている…というものだ!」

ランサー「オレンジジュースをよくぞそこまで美味そうに飲めるものだな・・・」

ライダー「ガッハッハ!こうして貴様等と酒を酌み交わすのも久しぶりだな!」

ランサー「皆、それなりに忙しかったからな・・・」

セイバー「む、この焼き鳥美味いな!」ぱくぱく

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:47:54.46 ID:DRqFub4/0
ライダー「ところでどうだ!貴様等」

セイバー・ランサー「ん?」

ライダー「職の方は」

セイバー「・・・・・・・」

ランサー「・・・・・・・」

ライダー「・・・・・・・・」

ライダー「・・・すまん、酒が不味くなる様な事を聞いた」

セイバー・ランサー「いや・・・いいんだ・・・」どよ~ん

ライダー「ま、まぁ・・・そんな事よりもだ」

ライダー「セイバー、貴様、引っ越したらしいじゃないか」

セイバー「む?ああ、そうだが」

ライダー「今度引越し祝いの酒を持っていってやる!住所を教えろ」

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:49:17.43 ID:DRqFub4/0
セイバー「あぁ、○丁―○―○―○だ」

ランサー「いや・・・仮にも敵に住所を教えていいものなのか・・・?」

ライダー「細かい事を気にするでない!我等三人の仲ではないか!」ガッハッハ

セイバー「そうだぞランサー、細かい事を気にしていては・・・」

セイバー「職など・・・いつまで・・・た・・・っても・・・」

セイバー「・・・・・・・」

セイバー・ランサー「・・・・・はぁ・・・・・」どよ~ん

ライダー(面倒臭いやつらだな・・・)

ライダー「・・・ところで貴様等」

ライダー「少し、尋ねたいことがあるのだが」

セイバー「む?」

ランサー「何だ?征服王」

ライダー「いや、その・・・だな」

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:50:40.58 ID:DRqFub4/0
ライダー「・・・・・・」

セイバー「あの征服王が言葉を濁すとは、余程重大な質問らしい」ハハハ

ランサー「の、ようだな」フッ…

ライダー「いやぁ、別に大した事ではないわい」ボリボリ(頭かいてる)

ライダー「少々聞きたくてな、貴様等のマスターのことを」

セイバー「私の・・・マスター?」

ランサー「どういう意味の質問なのだ?それは」

ライダー「ガッハッハ、別に、敵の腹を探ろうだとか」

ライダー「そんな意味は一切無い、忌憚無く答えてくれ」

セイバー「私のマスター・・・」

ランサー「俺の・・・主・・・」

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:51:56.39 ID:DRqFub4/0
ライダー「先ずはセイバー、貴様から聞かせてくれ」

セイバー「む、私か」

セイバー「そうだな・・・」

セイバー「私のマスターは・・・」

セイバー(・・・・・・・)

セイバー「私のマスターは・・・とてもいい人だ」

ライダー「ほう」

セイバー「いつも笑っていて、気丈で明るく、面倒見がいい・・・」

セイバー「まぁ、そんな感じだ」

ライダー「成る程な」

ライダー「ランサー、お前は?」

ランサー「すまんが、その質問には答えかねる」

ライダー「ほう?」

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:53:20.62 ID:DRqFub4/0
ランサー「別に、貴様を信用していないという訳ではないのだ」

ランサー「ただ・・・主からそういう命を受けている」

ランサー「自分の正体をみだりに明かすな、と」

ランサー「すまんな、征服王・・・」

ライダー「気にするでない!主の命令とあらば仕方があるまい」ガッハッハ

ライダー「それに、人に聞いておいて自分が最後に話すというのも失礼な話だ」

ライダー「非礼を詫びる、すまなかったな」

セイバー「気にすることはないさライダー、我等の仲ではないか」

ランサー(・・・・・・・・)

ランサー「・・・・俺の主は」

ランサー「とても・・・厳格なお方だ」

ライダー「・・・・・・・・」

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:54:59.58 ID:DRqFub4/0
ランサー「生まれついたお家故か、とても誇り高く・・・」

ランサー「そして、とても優秀な方だ」

ランサー「・・・こんな感じだな」

ライダー「・・・ランサー」

ライダー「腹を割ってくれたこと、礼を言うよ」

ランサー「・・・・・・・」

セイバー(・・・腹・・・か・・・)

ライダー「さて!余の番だな」

ライダー「余のマスターなのだがな、これがまた情けない奴で・・・」

ライダー「直ぐに弱音を吐くわ、直ぐに文句を言うわ、全くもって漢らしくないのだ」

セイバー「ウェイバー殿についてならある程度知っている」

セイバー「前に一度、家に来たことがあるからな」

ランサー「俺は会った事がないな」

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:56:22.36 ID:DRqFub4/0
ライダー「余は、彼奴にもっと堂々と構えていて欲しいのだ・・・」

ライダー「余は・・・」

ライダー「余は、彼奴には王になってもらいたいと思っている」

セイバー「・・・・・・」

ランサー「・・・・・・」

ライダー「聖杯を手に入れて、それでお仕舞いでは駄目なのだ」

ライダー「戦士として、一人の漢として・・・」

ライダー「立派に、自分の足で、この大地に立ってもらいたいのだ」

セイバー「ライダー・・・・」

ライダー「だが、事はそう上手く進まなくてなぁ・・・」

ライダー「キャスターが消えた事で、この戦いの均衡が崩れた」

ライダー「これからの戦いは、激化の一途を辿ることになるだろう」

ライダー「このままでは・・・彼奴が一人前になる前に、聖杯戦争が終結してしまう」

ライダー「うーむ・・・困ったものだ・・・」

92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 09:57:34.87 ID:DRqFub4/0
セイバー「・・・・・・・」

セイバー「だが・・・彼は良い人だ」

セイバー「彼は、自分の弱さを理解している」

ライダー「・・・・・・・・・」

セイバー「誰かが言った」

セイバー「自分の弱さを知る者こそ、本当の強者だと・・・」

セイバー「まぁ、私の言葉では無いので、何とも言えんがな」もぐもぐ(から揚げ食べてる)

ランサー「何事も焦りは禁物と言うぞ、征服王」

ランサー「彼には、彼なりの成長というものがあるのだろう」

ライダー「・・・・・・・・・・」

ライダー「・・・そうだな・・・」

ライダー「・・・セイバー!ランサー!」

ライダー「今日は貴様等と酒を酌み交わせて、本当に良かったと思う」

ライダー「感謝するぞ!」

ランサー「フッ・・・それは此方も同じだ」いい気分転換になったしな

セイバー「征服王の奢りでご飯を好きなだけ食べられるしな」もぐもぐ

ライダー「ガッハッハッハ!好きなだけ飲め!食え!」

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 10:08:26.45 ID:DRqFub4/0


ピリリリリリリリ……


ランサー「すまん、俺だ」

ランサー「・・・・・・・」メールを確認中

ランサー「すまん、二人共」

ランサー「急用が入ってしまった、俺はこれにて失礼する」

ライダー「おう、またな色男」

セイバー「また会おう、ランサー」

ランサー「ああ、またな」

…………

セイバー「もぐもぐもぐ」

ライダー「ところでセイバー」

セイバー「なんだ?」もぐもぐもぐ

ライダー「酒は・・・飲まんのか?」

セイバー「もぐもぐもぐもぐ」

セイバー「・・・・ごっくん」



セイバー「・・・車で来たのでな」それに私は未成年だ

ライダー(・・・・・・・・)

ライダー(・・・一人で酒を飲んでもなぁ・・・)

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:25:23.48 ID:DRqFub4/0
>>95

スイマセン、アニメしか見たことないので色々適当です

再開

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:30:20.08 ID:DRqFub4/0
―――――
冬木教会 一室

アーチャー「・・・ところで綺礼よ」

アーチャー「貴様、もう理解は出来たのか?」

綺礼「何の話だ、英雄王」

アーチャー「決まっているだろう・・・」

アーチャー「貴様の本質の話だよ」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「もう解り始めているのだろう?」

アーチャー「貴様は、この我と同じものを求めている」

アーチャー「・・・違うか?」ニヤァ

綺礼「・・・同じもの、とは?」

アーチャー「おいおい、わざわざ言わせる気か?」

アーチャー「貴様は、既にその為の布石を積んでいるだろう」

綺礼「・・・・・・・・」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:32:07.35 ID:DRqFub4/0
アーチャー「バーサーカーとそのマスター」

アーチャー「貴様は、奴のマスターについて、随分と熱心にアサシンを使って調べさせたらしいじゃないか」

綺礼「・・・身辺調査をしたのは、我が主の戦いに役立たせる為」

綺礼「それ以外の意味はない」

アーチャー「確かにお前は、アサシンを使って全マスターの身辺調査を行った」

アーチャー「その主とかいう奴の為にな」

綺礼「・・・・・・・・・」

アーチャー「だが、明らかに、バーサーカーのマスターだけは・・・」

アーチャー「お前は必要以上に深入りし、ある程度の調査が終了した後も、アサシンを使って調べ続けさせた」

アーチャー「本来必要の無い情報まで・・・ありとあらゆることを、な」

アーチャー「なぁ・・・いい加減認めたらどうなのだ?綺礼」

綺礼「・・・・・・・・・」

アーチャー「お前は・・・我と同じく娯楽を求めている」

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:36:00.57 ID:DRqFub4/0
アーチャー「地獄の様に熱く、蜜の様に甘い・・・」

アーチャー「愉悦という、果実をな」

綺礼「・・・・・・私が・・・・・」

綺礼「・・・・私が・・・・愉悦を・・・・?」

綺礼「確かに・・・バーサーカーのマスターを必要以上に調査させたのは・・・私の独断・・・」

綺礼「だが・・・それは、我が主の為・・・」

綺礼「主に対する・・・忠誠心故の行為だと・・・」

アーチャー「ハッ!お前・・・あの退屈な男の何処に忠義など感じているのだ?」

アーチャー「現に・・・お前は助けた」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「本来、敵である筈の・・・」

アーチャー「バーサーカーのマスターをな」

アーチャー「あれも、主への忠誠心故の行為、とやらなのか?」

アーチャー「とてもじゃないが・・・そうは思えないのだが?」

アーチャー「なぁ・・・綺礼」ニヤァ

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:38:06.78 ID:DRqFub4/0
綺礼「・・・私の知覚していない所で・・・私の意志と関係無く・・・」

綺礼「私は・・・愉悦を求めていた・・・?」

綺礼「これは・・・神のご意思に背く・・・背信行為だ」

アーチャー「アッハッハッハ!背信行為と来たか!」

アーチャー「綺礼よ・・・お前、我から言わせてもらえばな・・・」

アーチャー「お前は、何も信じてなどいないよ」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「神も、世界も、己の父も・・・」

アーチャー「そして・・・自分さえもな」

綺礼「・・・・・・・・」

アーチャー「なぁ・・・綺礼」

アーチャー「そろそろ、素直になったらどうなのだ?」

アーチャー「自分の欲望、探究心というものを疎かにしてはいかんぞ?」

アーチャー「それらを忘れ、押さえようとすれば・・・」

アーチャー「我がマスター・・・時臣の様な、退屈な男に成り下がるぞ?」

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:40:08.02 ID:DRqFub4/0
綺礼「・・・・私は・・・・」

アーチャー「お前は違うよなぁ?」

アーチャー「お前はもっと・・・この我を楽しませてくれる筈」

アーチャー「・・・だろう?」ニヤァ

綺礼「私は・・・・・・ッツ!」


ブゥゥウゥゥゥウゥゥゥウン……


綺礼「な・・・!これは・・・!?」

アーチャー「おやおや・・・やはり現れたか」

綺礼「これは・・・・・」

綺礼「これは・・・契約印・・・!?」

綺礼「・・・・馬鹿な・・・・私は・・・・サーヴァントを失った・・・・」

綺礼「その私が・・・何故・・・また・・・?」

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:41:51.05 ID:DRqFub4/0
アーチャー「どうやら・・・聖杯も、貴様には余程の期待をしているらしい」

アーチャー「この退屈な戦争に、愉悦という名の水を注いで欲しいと見える」

綺礼「・・・・馬鹿な・・・・」

アーチャー「兎に角だ」

アーチャー「貴様が大変なのはこれからだぞ?綺礼」

アーチャー「なんせ・・・まずサーヴァントを他人から奪う所から始めなければいけないのだからな」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「しかもこの戦争には我がいる」

アーチャー「我を倒すには・・・相当強力なサーヴァントを得るしかあるまい?」

アーチャー「クククククク・・・・・・」

アーチャー「アハハハハハハハハハ!!!!!」


サラサラサラサラサラ………

サラサラサラ……サラ……


綺礼「・・・・・私は・・・・・」

綺礼「・・・・・・・・・・」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:44:07.60 ID:DRqFub4/0
―――――
冬木市 ホテル F25 2502号室

テーレレレレーレレレレー テレレレー テーレレー

ランサー「・・・・・・・」


ヒイロ「五飛・・・・教えてくれ・・・・」

ヒイロ「俺は・・・俺は後何人殺せばいい・・・・?」

五飛「!」

ヒイロ「教えてくれ五飛・・・・ゼロは・・・・何も教えてくれない・・・」


ソラウ「ハァ~・・・・・」

ソラウ「何時見ても・・・飽きないわぁ・・・・」ウットリ

ランサー「・・・・・・ソラウ殿」

ソラウ「なぁに?ランサー」

ランサー「一緒に観たいと誘って頂いたのは・・・大変有り難いことなのだが・・・」

ランサー「その・・・・さっきから・・・・俺ばかりを見てないか・・・・?」

ソラウ「だってぇ・・・」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:46:28.19 ID:DRqFub4/0
ソラウ「私・・・このビデオ飽きるほど見たもの・・・」

ソラウ「でも・・・貴方の顔は、いくら見ていても飽きないわぁ・・・・」ウットリ

ソラウ「ハァ~・・・・」ウットリ

ランサー「・・・・・・・・・」


ガチャッ!!


「ランサー!!貴様・・・!何だこの体たらくは!!!」


ソラウ(チッ・・・お邪魔虫が来たか・・・)

ランサー「主・・・」

ケイネス「貴様・・・!職も探さず・・・!あまつさえアルバイトさえせず・・・!」

ケイネス「貴様には・・・!誇りというものが存在しないのか!!!」

ケイネス「恥を知れ!!!!この寄生虫め!!!!」

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:50:12.84 ID:DRqFub4/0
ソラウ「ちょっと!言いすぎよケイネス!」

ケイネス「君は黙っていてくれ、ソラウ」

ソラウ(・・・チッ・・・)

ケイネス「職を探さず、アルバイトすら探さないのは・・・・億歩譲ってまだ許すとしよう・・・」プルプル

ケイネス「だが何だこれは!!!!そんなマンガなど・・・観れる身分か貴様!!!!」

ソラウ「マンガって・・・これはアニメよ。ケイネス」

ケイネス「そんなものはどっちでもいい!!!!!」

ケイネス「貴様・・・!働く気がないというのなら・・・・!」

ケイネス「今すぐ出て行ってもらうぞ!!!!!!!」

ランサー「・・・・主・・・・」

ランサー「・・・貴方の言いたい事は・・・痛いほどに理解できる」

ランサー「就職活動もせず・・・あまつさえ働きもせず・・・」

ランサー「この様な醜態を、我が主の前に晒すに至ること・・・」

ランサー「このディルムッド、心から恥じる」

ケイネス「ならばさっさと働け!!!!!」

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 14:51:46.22 ID:DRqFub4/0
ソラウ「ケイネス!」

ランサー「・・・・主よ」

ケイネス「なんだ・・・・!?言い訳は聞かんぞ・・・!」

ランサー「申し訳ないが、言い訳を聞いてもらう」

ケイネス「何・・・・!?」

ランサー「私がこの様な体たらくに身を置いていたのには・・・」

ランサー「それなりの覚悟と、考えがあったと理解して頂きたいのだ」

ケイネス「ほぅ・・・・!」

ケイネス「ならば・・・聞かせて貰おうじゃないか・・・!」

ケイネス「その、言い訳とやらをな・・・!」

ランサー「・・・・・・・」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 21:55:31.38 ID:DRqFub4/0
―――――
衛宮邸 客間

アイリ「・・・・ふぅ」

アイリ「さて、それじゃあ始めましょうか」

アイリ「今回は、私は何も言わないからね?切嗣」

切嗣「・・・あぁ」

アイリ「それじゃ始めます・・・セイバー!いいわよ!」


コンコンッ


スーッ(襖開けた)


セイバー「失礼します」

セイバー「私、アインツベルンから参りました、ペンドラゴンと申します」

セイバー「本日は、よろしくお願いします」一礼

アイリ「よろしくお願いします」ニコッ

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 21:56:55.88 ID:DRqFub4/0
切嗣「・・・・・・・」

アイリ(・・・・・・・)

アイリ(ちょっと、切嗣!)コソコソ

切嗣「・・・・・・では、これより面接を開始いたします」

切嗣「・・・住所が冬木市とありますが・・・」

切嗣「本日は冬木からお越しになられたと?」

セイバー「そうです」

切嗣「随分遠くからいらっしゃった訳ですね」そういう設定

切嗣「何故ですか?」

アイリ(ここは大事よセイバー・・・!)

アイリ(わざわざ遠い場所から来たということは)

アイリ(それに見合った動機がないと駄目・・・!)

セイバー「それは・・・」

アイリ(ゴクリ・・・)

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 21:59:12.62 ID:DRqFub4/0
セイバー「御社であれば、我が理想を叶えるのに一番の近道だと思ったからです」

アイリ・切嗣「・・・・・・」

アイリ(・・・いいわ!)

アイリ(いいわよセイバー!・・・ちょっと一部おかしいけど・・・)

アイリ(聞かれたことに対して過度に答えすぎる、逆に質問するなどといった)

アイリ(初心者が陥りがちなミスはしていない!)

アイリ(語り過ぎず、相手の興味を誘う程度に・・・)

アイリ(しっかり受け答えの基本はできてるじゃない!流石、場数を踏んでいるだけあるわね、騎士王!)

切嗣「なるほど」

切嗣「・・・・・・」

アイリ「・・・・・・」

セイバー「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・」ゴソゴソ


111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:01:17.01 ID:DRqFub4/0
アイリ(・・・・・?)

セイバー(・・・・・?)


切嗣 キンッ!シュボッ!


アイリ・セイバー(!?)


切嗣 スー・・・

切嗣 スパー・・・

切嗣「・・・ふぅ」

アイリ(あ、ありえない・・・!)

アイリ(普通面接試験中に煙草を吸い始めるなんて・・・そんなこと、今時ブラック企業でもやらないわ!)

アイリ(しかもそれだけじゃない・・・)チラ


切嗣(・・・・・・)スパー


アイリ(あの死んだ魚の様な目・・・)

アイリ(まるで・・・養豚場の豚でも見る様な、哀れみを含んだ目だわ・・・)

アイリ(普通だったら受験者側がぶち切れてもしょうがない場面だけど・・・)

アイリ(今は何せ・・・超買い手市場・・・!)

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:03:14.48 ID:DRqFub4/0
アイリ(企業側は人材を選び放題!雇用者はいくら不遜な態度を取られても)

アイリ(採用という名のニンジンを目の前でチラつかされる限りは・・・)

アイリ(法に触れない限りは、許さざるを得ない・・・!)

アイリ(・・・加えて、セイバーにとってここは第一志望(って設定)!)

アイリ(何としてでも受かりたいのなら・・・)

アイリ(この超圧迫面接を・・・乗り越えるしかない・・・!)

アイリ(セイバー・・・がんばって!)

セイバー「・・・・・・」

セイバー「・・・あの」

アイリ(・・・・・・動いた!)

セイバー「あの、面接官殿」

切嗣「私のことかな?それとも」

セイバー「いえ、貴方だ」

切嗣「何かな?」スパー

セイバー「貴方は・・・」

113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:05:13.37 ID:DRqFub4/0
セイバー「貴方は・・・失礼だとは思わないのですか」

切嗣「・・・・・・」スパー

セイバー「遠い地から、何時間もかけてここまでやって来た私に対して」

セイバー「その様な不遜な態度で面接に挑むなど・・・恥ずかしいとは思わないのですか?」

切嗣「・・・・・・」スパー

アイリ「・・・・・・・」


アイリ(いいわよ・・・!セイバー!)


アイリ(・・・そう、この場面では、それが正解!)

アイリ(こういう場面で求められているもの、それは正論・・・)

アイリ(目上の相手であろうと、やってはいけないことをちゃんと咎めることができる)

アイリ(勇気と社交性!)

アイリ(入社してからは・・・逆にスルースキルが求められるけど・・・)

アイリ(でも・・・ここは面接会場)

アイリ(常に、相手から試されているという意識を持って望まないといけない・・・!)

114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:07:03.47 ID:DRqFub4/0
アイリ(そりゃそうよ・・・面接中煙草吸い始めるなんて、面接官どころか社会人失格だもの・・・)

アイリ(そんな当たり前のことを、しっかり駄目だと指摘できる芯の強さ!)

アイリ(最近の若者には、中々出来ないことを平然とやってのける・・・)

アイリ(セイバー!それこそが・・・その芯の強さこそが・・・」

アイリ「貴方の強み・・・長所よ!)

セイバー「面接官殿」

切嗣「・・・・・・・・」スパー

セイバー「面接官殿・・・?」

アイリ「・・・・・・?」

切嗣「・・・・・・・」スパー

セイバー「あの・・・煙草・・・」

切嗣「・・・・・・・」

切嗣「・・・・何か問題でも?」


セイバー・アイリ「!?」

115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:08:40.03 ID:DRqFub4/0
アイリ(こ・・・これはキツイ・・・)

アイリ(まさかの開き直り・・・逆ギレ・・・)

アイリ(人として軸がぶれ過ぎな行為だけど・・・でも・・・)

アイリ(実際、こういう人・・・いるのよね)ある職種に限られた話だけど・・・

アイリ(セイバー・・・どうするの・・・?)

セイバー「・・・・・・」

切嗣「・・・・・・・」

アイリ「・・・・・・・」ごくり






セイバー「じゃあ帰ります」流石にムカついたので

アイリ(・・・・・そりゃそうだ・・・・・)

116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:10:41.18 ID:DRqFub4/0
―――――
夜 冬木教会 礼拝堂

綺礼(・・・・・・・)


ガチャッ・・・・


ギィイィィィィィィィ………



綺礼「・・・・・来たか」

綺礼「間桐雁夜」

雁夜「・・・・・」

綺礼「今夜にでも来ると思って、ここで待っていたよ」

雁夜「貴様・・・・・」

雁夜「俺を助けて・・・一体どういうつもりだ!」

綺礼「・・・・・・」

綺礼「なに、簡単なことだ」

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:12:35.83 ID:DRqFub4/0
綺礼「お前の力を借りたいと思った、ただそれだけのこと」

雁夜「!?…どういうことだ!」

綺礼「間桐雁夜。貴様は、この聖杯戦争に何を望む?」

雁夜「・・・!」

雁夜「・・・答える義務があるとでも・・・!」

綺礼「あるな、忘れたのか?私は現在、マスターではないのだ」

雁夜「!?」

綺礼「マスターではなくなった私は、今やただの神の僕・・・」

綺礼「だが、神の僕である以前に、私は代行者としてこの世に生まれ落ちた」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「つまり、今の私は、貴様らマスターを監視し、この聖杯戦争を無事に終わらせることを天の父より仰せつかった」

綺礼「・・・調停者ということだ」

118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:14:47.92 ID:DRqFub4/0
綺礼「ここまで話して、言いたいことはおおよそ察しがつくと思うが、いかがかな?」

雁夜「・・・敵ではないと?」

綺礼「その通り。私は君の味方だよ、間桐雁夜」

雁夜「何だと・・・?」

綺礼「君が聖杯戦争に参加したおおよその経緯はこちらで把握している」

綺礼「・・・遠坂、だろう?」

雁夜「!」

綺礼「遠坂桜・・・いや、今は間桐桜か」

綺礼「貴様は、遠坂から間桐の家へと、養子縁組で渡されたあの子供を救うためこの戦いに」

雁夜「黙れ!」

綺礼「・・・・・・」

綺礼「失礼した、非礼を詫びよう」

綺礼「だが勘違いしてもらいたくない。言っただろう、私は貴様の味方だと」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「先程調停者を名乗った筈の男が、どの口でそんなこと言っているんだ?」

綺礼「そんな顔だな」

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:16:18.34 ID:DRqFub4/0
雁夜「・・・・・・・」

綺礼「信用できんか?間桐よ」

雁夜「・・・当たり前だ」

綺礼「フッ・・・だろうな」

綺礼「相手の手の内が見えぬ間は信用するな。交渉の基本だ」

綺礼「・・・では、見せようじゃないか。私の手の内を、な」

―――――
冬木教会 奥 廊下

雁夜「どこへ連れて行く気だ?」

綺礼「じきに分かる」

雁夜「・・・・・・」

雁夜「・・・忘れるな、俺の直ぐ傍にはサーヴァントが居るということを」

雁夜「その気になれば、貴様などいつでも殺せる」

綺礼「それは恐ろしいな。どうやら、私は今、崩れかけの橋を渡っているようだ」

綺礼「一歩踏み外せば、奈落が口を開けて待っている・・・とは」

綺礼「何とも・・・生きた心地がしないな」

120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:18:08.67 ID:DRqFub4/0
雁夜「・・・・・・」

綺礼「・・・だが、私もそれなりに、この橋を渡るための布石は積んできたつもりだ」

綺礼「・・・ここだ」

雁夜「何の部屋だ」

綺礼「部屋自体に意味など無い。ただ、貴様の信用を得るためにも、部屋を用意したまで」

綺礼「礼拝堂では、些か声が響き過ぎるしな」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「それに・・・神の前で謀の相談など・・・そのような畏れ多い行為、私に出来る筈もない」

雁夜「・・・・・・」

綺礼「・・・話が逸れたな、では、交渉に移ろう。間桐雁夜」

綺礼「・・・良き返事を期待している」



ガチャッ

ギィィィィ・・・・



雁夜(・・・・・・)

雁夜「・・・・!?」

雁夜「こ、これは・・・!?」


121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:20:19.48 ID:DRqFub4/0
―――――
後程 冬木教会 とある部屋

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「綺礼よ。我はどうやら、貴様という男を測り違えていたようだ」

アーチャー「まさか貴様が、これほど愉悦の何たるかを理解していたとはな・・・」

アーチャー「ククク・・・許せよ?綺礼」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「あの間桐雁夜を説得する為だけにこの状況を作った」

アーチャー「・・・そんな訳は無いよなぁ?」ニヤァ

綺礼「どういう意味だ?」

アーチャー「ハッ!全て解っている癖に、どの口がそんな言葉を言わせるのだ!?ククク・・・」

綺礼「・・・・・・」

アーチャー「次があるのだろう?綺礼」

アーチャー「これもまた、次への布石・・・」

122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:25:34.95 ID:DRqFub4/0
アーチャー「大体の絵は、既に描けていると見えるな」

アーチャー「でなければ、自分の父親を殺す真似など、する筈もあるまい?」


璃正「・・・・・・・」


綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「見ろ綺礼、この父の死顔を」

アーチャー「良い顔をしているではないか?自分が何故死んだのか、理解する間も無かったに違いない」

アーチャー「せめてもの慈悲というやつか?」

綺礼「・・・確実にやり遂げねばならぬという想いが、使命感として、私の中に確実に存在した」

綺礼「その結果として、一撃にて屠ることに繋がったと、私は思っている」

アーチャー「使命感だと!?己の父を殺すのが使命とな!?ハハハハハハッ!」

アーチャー「・・・貴様は、どうやら根っからの代行者らしいな?」

綺礼(・・・・・・・)

アーチャー「・・・綺礼、やはり貴様は面白い」

アーチャー「我がマスター、時臣などとは、比べ物にならぬ位な」

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:28:17.34 ID:DRqFub4/0
アーチャー「あの木偶と違い、娯楽の何たるか、愉悦とは何かを理解している」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「ところでどうだ?感想は」

綺礼「・・・何がだ?」

アーチャー「決まっているだろう」

アーチャー「自らの手によって、永劫の眠りについた己の父を・・・」

アーチャー「殺した感想に決まっている」

綺礼「・・・・・・」

綺礼「別に、何も感じはしなかったさ」

アーチャー「ほぅ?」

綺礼「心の臓目掛けて、剣を刺したら動かなくなった」

綺礼「いつもと同じだ」

アーチャー「そうかそうか、それは重畳・・・」

アーチャー「また一つ見聞を広めたな?綺礼」

アーチャー「自分の親を殺すも、野ウサギの命を娯楽で刈り取るも結局は同じ」

アーチャー「同じなのだ」

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:30:16.05 ID:DRqFub4/0
アーチャー「なんせ命とやらは、平等らしいからな」

アーチャー「無論、真の王たる我は違うがな」

アーチャー「・・・雑種共とは、重みが違うわ」

綺礼「・・・・・・」

アーチャー「兎に角だ。この分ならまだ、この退屈な戦いに飽きないで済みそうだ」

アーチャー「・・・そうだろう?綺礼」

綺礼「・・・・・・」

アーチャー「精々この我を愉しませてくれ、この戦争に飽きぬためにもな?」

アーチャー「そして・・・・」

アーチャー「・・・・・・・」

綺礼「・・・・・・・・・・・」

綺礼「・・・外に、誰かいるな」

アーチャー「・・・・・・・」

綺礼「そして・・・この反応はサーヴァントだ」

アーチャー「・・・まさか、バーサーカーが戻ってきた訳でもあるまい」

アーチャー「となれば、残るは3つ・・・」

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:33:25.50 ID:DRqFub4/0
―――――
冬木教会 外


(・・・・・・・・)


コツ…コツ…コツ…


アーチャー「こっちだ、雑種」


(・・・・・!)


アーチャー「夜分遅くに何の用だ?」

アーチャー「我は今忙しいのだがな、まさか闘いに来た訳でもあるまい?」



アーチャー「・・・ランサーよ」



ランサー「・・・・・・・・」

アーチャー「だってそうであろう?この我に挑むというのに」

アーチャー「まさか・・・そんな棒切れ一本で挑む訳がない」

ランサー「・・・・・・・・」

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:35:28.55 ID:DRqFub4/0
アーチャー「用があるなら手短に済ませろ、我は今、そこそこに機嫌が良いからな」

アーチャー「話程度なら聞いてやる」

ランサー「・・・・・・・・」

アーチャー「最も・・・・・」

アーチャー「内容によっては、この場で極刑に処すこともあり得るがな」

ランサー「・・・・・英雄王よ」

アーチャー「何だ」

ランサー「貴様に決闘を申し込む」

アーチャー「・・・・・・・・」

アーチャー「・・・・・・聞き違いか?」

アーチャー「今、何か戯言が聞こえた気がするが・・・」

アーチャー「それとも、貴様の言い間違えだよな?」

ランサー「・・・今この場で、貴様との一対一の決闘を申し込む」

ランサー「構えろ、アーチャー・・・」スッ・・・

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:37:10.47 ID:DRqFub4/0
アーチャー「・・・・・・・・」

アーチャー「図に乗るなよ・・・雑種風情が・・・」

アーチャー「決闘だと・・・?何を言っているのだ」

アーチャー「これより行われるのは、一方的な殺戮・・・」

アーチャー「闘いなどという高潔なものではなく、ただの処理だ」

アーチャー「ランサー・・・貴様、死んだぞ?」

ランサー「フッ・・・それはどうかな?」

アーチャー「あぁ・・・もう喋るな」

アーチャー「今すぐ黄泉へ送ってやる」

アーチャー「・・・凄惨な死を覚悟しておけ」

ランサー(・・・・・・・)

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:39:13.14 ID:DRqFub4/0
―――――
9時間前 ホテル

ランサー「主よ、アーチャーとの決闘を了承して頂きたい」

ケイネス「・・・馬鹿な・・・」

ケイネス「そんなもの・・・!了承できるものか!!!!」

ケイネス「血迷ったか!?ランサー!!!!」

ランサー「・・・・・そう言われることも、覚悟の上での発言です」

ランサー「それでも、今の私には・・・」

ランサー「ただ、頼むしか・・・ただそれだけしか、術を知りません」

ランサー「どうか・・・ご理解頂きたい・・・我が主・・・」

ケイネス「ならん!!!!!」

ケイネス「貴様とアーチャーの実力差は歴然!」

ケイネス「その様なことをすれば・・・!むざむざ死にに行く様なものだ!!!!」

ケイネス「犬死したいのか!?貴様は・・・!」

129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:41:14.03 ID:DRqFub4/0
ケイネス「誰がそんなことを・・・!」

ソラウ「行かせてあげなさい、ケイネス」

ケイネス「ソラウ・・・!?」

ソラウ「彼は戦いを求めている。なら、行かせるべきよ」

ケイネス「馬鹿な・・・!?それでは・・・我がアーチボルトの悲願はどうなる!?」

ケイネス「この時の為に・・・私がどれ程の苦労と財を費やしたと・・・!」

ソラウ「ケイネス」

ソラウ「・・・ケイネス、忘れたの?ランサーの今のマスターは私」

ケイネス「!!!!」

ソラウ「決定権は、私にあるのよ」

ソラウ「それにね、ケイネス。私、本当はアーチボルトの悲願とか興味ないの」

ソラウ「知ってた?」

ケイネス「な・・・・・」

ソラウ「・・・行きなさい、ランサー」

130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:43:44.97 ID:DRqFub4/0
ランサー「しかし・・・ソラウ殿・・・」

ソラウ「令呪を持って命じます」コォォォォォ……


ソラウ「ランサー、自分の心に従いなさい」


ケイネス「・・・・・な・・・・・・」

ケイネス「・・・・・・なんて・・・・ことを・・・・」

ランサー「・・・ソラウ殿・・・・」

ソラウ「ランサー、貴方、後悔したくないんでしょう?」

ランサー「・・・・・・・・・・」

ソラウ「なら、行きなさい」

ソラウ「この日の為に、今まで職も探さず、魔力を出来る限り温存していたんでしょ?」

ランサー「・・・・・・・・・・」

ソラウ「行って・・・貴方なりの答えを見つけてきなさい」

ソラウ「主として、命令します」

131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:45:02.06 ID:DRqFub4/0
ランサー「・・・・・・・・・・」

ランサー「ありがとう・・・・ソラウ殿」

ランサー「それでは・・・このディルムッド、闘いに挑ませて頂く」

ランサー「そして・・・」

ランサー「ソラウ殿・・・そして我が主・・・」

ランサー「必ずや・・・貴方方に勝利を・・・」

ランサー「勝利と、栄光を約束いたします・・・」

ソラウ「ランサー・・・・・」ウットリ

ケイネス「・・・・・・・・・」

132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:46:33.85 ID:DRqFub4/0
―――――
その後

ケイネス「ばかな・・・そんな・・・ばかな・・・」ブツブツ

ソラウ「・・・・・・」

ソラウ「・・・ケイネス、哀れな人・・・」

ソラウ「男として生まれたくせに・・・男の誉れを忘れた、可哀想な人・・・」

ケイネス「・・・・・・・・・」

ソラウ「覚えておくといいわ、ケイネス」

ソラウ「あれが本当の男というものよ」

ケイネス「・・・・・・・・・」

ソラウ「貴方もあそこまで命をかけられる男だったら、私も惚れていたかもね」

ケイネス「・・・・・・・・・」

ソラウ「それじゃ、私行くから」

ソラウ「さようなら、ケイネス」


キィィィィ……


パタン…


ケイネス「・・・・・・・」

ケイネス「私は・・・・アーチボルト家の・・・・」

ケイネス「・・・・・・・」

133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/23(土) 22:48:42.41 ID:DRqFub4/0
―――――
冬木教会

アーチャー「今生への別れは済ませたか?」

アーチャー「目障りだ、さっさと終わらせるぞ」

ランサー「・・・それはどうかな?」

アーチャー「・・・・・・・」

ランサー「貴様には理解できまい、この・・・俺から溢れ出る力の正体を」

ランサー「仲間という絆を知らず、ただ一人、玉座に座っていただけの貴様が・・・」

ランサー「この俺に・・・勝てる訳がないのだ。英雄王よ」

アーチャー「・・・言いたいことはそれだけか?」

ランサー「・・・・・・・・」

アーチャー「ならそれを遺言とする」

アーチャー「・・・死ね」

ランサー「・・・名乗ろう、我が名はディルムッド・オディナ」

ランサー「いざ・・・参る!」




第7話 桃園の誓い

-??:??:??


次回 愛をとりもどせ!!


143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:07:29.23 ID:lj3gOfBc0
―――――
朝 例のファミマ

ピロリロリロ~ン ピロロロロ~ン♪

藤村「あ、いらっしゃいませ~♪」

斉藤「いよっ」

藤村「何だ、斉藤さんか・・・」

斉藤「何だって・・・お前・・・」

斉藤「俺、客だぞ・・・?」

藤村「はいはい、いらっしゃいませー」棒読み

斉藤「可愛くねぇ奴・・・」

藤村「っていうか、来るの久しぶりだよね」

斉藤「そういやそうだな」

斉藤「ここんとこ、色々と立て込んでたからなぁ」

藤村「斉藤さんが忙しい姿とか・・・想像できないなぁ」

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:08:37.94 ID:lj3gOfBc0
藤村「本当にパイロットなの?」

斉藤「お、お前・・・何て失礼な事を・・・」

斉藤「・・・ちゃんと働いてますよ・・・こう見えて」ハァ

藤村「冗談だよ~」ニヤニヤ

藤村「いつも日本の空を守ってくれてありがとうございます♪」ニコッ

斉藤「ったく・・・」

斉藤「・・・・・・・」

藤村「ん?どしたの?」

斉藤「・・・・・大河」

藤村「何?」

斉藤「俺さ、パイロット辞めたんだわ」

藤村「・・・え・・・」

斉藤「まぁ、一身上の都合ってやつだ」

斉藤「別に、クビとかじゃねーからな。勘違いすんなよ?」

藤村「・・・・・・」

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:09:50.41 ID:lj3gOfBc0
斉藤「・・・あー、その・・・何だ・・・」

藤村「じゃあ・・・これからどうするの?」

斉藤「実家に戻ろうと思ってる」

斉藤「そこで、まぁ・・・畑仕事でもするかな」

藤村「実家って・・・どこだっけ・・・」

斉藤「新潟」

藤村「・・・新潟・・・」

斉藤「・・・チッ・・・だから言いたくなかったんだよ・・・」

斉藤「・・・そんな顔すんなって、大河」

藤村「べ・・・別に変な顔とかしてないし!」

斉藤「そうかよ」

藤村「・・・・・・・」

藤村「斉藤さん・・・いつか、こっち戻ってくるの?」

斉藤「・・・・・・・」

藤村「・・・・・戻ってこないんだね」

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:10:50.02 ID:lj3gOfBc0
斉藤「・・・大河、何かあったか?」

藤村「・・・・・・・」

斉藤「辛そうな顔してるぞ」

藤村「・・・・・別に」

斉藤「・・・・・・・」

斉藤「大河」

藤村「・・・何?」

斉藤「そんな風に下ばっか見てたって、良いことないぞ」

斉藤「上を向いて、自分の足で立って歩け」

斉藤「みんなそうやって、子供から大人になってきた」

藤村「・・・・・・・」

斉藤「お前はもうガキじゃない」

斉藤「ちゃんとした・・・一人の大人だよ」

藤村「・・・・そんなことないよ」

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:12:00.11 ID:lj3gOfBc0
斉藤「・・・大河、俺はな」

斉藤「俺には・・・もう、畑を耕す位しかできることがない」

斉藤「でもな、お前は違う」

藤村「・・・・・・・」

斉藤「お前は若く、そして・・・誰よりも強い」

藤村「・・・そんなことないよ」

藤村「私・・・・もう・・・・分かんなくなっちゃった」

斉藤「・・・・・・・」

藤村「自分が何をすればいいのか・・・どうすれば生きていけるのか・・・」

藤村「・・・分かんないよ」

斉藤「・・・・・・・」

斉藤「・・・こういう時、大人のズルイところはな」

藤村「え?」

148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:14:43.94 ID:lj3gOfBc0
斉藤「それは自分で考える事だ」

斉藤「・・・って言って突き放しちゃえるところだ」

藤村「・・・・・・・」

斉藤「・・・大河」

斉藤「お前の前には、今、無限の可能性が広がっている」

斉藤「分からない事ばかりで、混乱するだろう。不安にもなるだろう」

斉藤「でもな、それでもみんな、生きてるんだよ」

斉藤「みんな・・・そうやって今まで生きてきた」

斉藤「だから、自分だけ辛いとか、そんな被害者意識は捨てろ」

藤村「・・・・・・・・」

斉藤「お前の人生なんだ、お前の好きにすればいい」

斉藤「自分を生かすも殺すも、お前次第なんだよ」

斉藤「だから・・・生きろ、大河」

藤村「・・・・・・・・」

149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:16:11.32 ID:lj3gOfBc0
斉藤「これから先、生きてて辛いことばかり起こるだろうし、死にたくなる様な事も沢山あるだろうな」

斉藤「それでも、生きろ」

斉藤「まぁ・・・生きてりゃその内良いことある」

斉藤「俺は今まで・・・そうやって生きてきた」

藤村「・・・斉藤さん」

斉藤「じゃあな大河、そろそろ行く時間だ」

斉藤「春になったら大根でも送ってやるよ」

藤村「・・・・・・・」


ピロリロリロ~ン ピロロロロ~ン♪


藤村「・・・ッ・・・斉藤さん!!!!」

斉藤「・・・・・・・・」ピタッ

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:17:06.86 ID:lj3gOfBc0
藤村「・・・ありがとう!!!!」

藤村「私・・・私がんばるから!!!!」

藤村「だから・・・斉藤さんもがんばって!!!!」

斉藤「・・・おう、ありがとよ」

斉藤「じゃあな、また会おうぜ」


ガーッ……(扉が閉まる音)


藤村「・・・・・・・」

藤村「・・・ご来店・・・ありがとうございました」

藤村「またね・・・斉藤さん」


151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:20:05.77 ID:lj3gOfBc0
―――――

そこは・・・地獄だった

戦いに終わりはなく、ただ互いの血で血を洗う様な戦争が

ここではもう、10年も続いているらしい

どちらに正義があり、どちらに非があったのか

そもそもこの戦いの発端は、何だったのか・・・

もう、誰にも分からなくなっていた・・・



切嗣「・・・・・・」



「また辛気臭い顔してんなぁ、キリツグ」



152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:22:05.09 ID:lj3gOfBc0
切嗣「・・・ヤンか」

ヤン「そんな顔してると、生き残れるもんも生き残れねーぞ?」

切嗣「・・・どんな顔してようが、死ぬ時は死ぬさ」

切嗣「この世に・・・神などいない」

ヤン「うわぁ・・・ウチのお袋が聞いたら卒倒するぜ、その発言」

ヤン「そもそも、この内戦自体宗教戦争だろ?全否定かよ」

切嗣「・・・聖人だろうと、浮浪者だろうと、流れ弾に当たれば死ぬ」

切嗣「人なんて所詮、その程度の生き物だよ」

ヤン「はいはい、そうですか・・・」

切嗣「・・・・・・」

ヤン「まったく・・・リアリスト気取るのもいいけどな、そんな生き方してたら辛いだけだぜ?」

切嗣「・・・・・・」

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:23:57.16 ID:lj3gOfBc0
ヤン「・・・あのなキリツグ」

ヤン「お前ら日本人っていうのがさ、一つの神に入れ込まないのは知ってるよ」

ヤン「何だっけ・・・ヤオヨロズ・・・だっけ?まぁ、どうでもいいや」

ヤン「とにかくだ、お前が神を信じないっていうのは分かったよ」

ヤン「でもな、少なくとも、この国の子供達は神を信じている」

切嗣「・・・・・・」

ヤン「縋るもののない世界で、彼らは必死に生きたいと願っている」

ヤン「目に見えない、神という存在が起こす奇跡を信じて・・・な」

ヤン「だから・・・この国には神がいないだなんて・・・」

ヤン「そんな・・・寂しいことは言うな」

切嗣「・・・すまなかった」

切嗣「最近・・・少し自棄になってたかもしれない」

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:25:49.66 ID:lj3gOfBc0
ヤン「・・・まぁ、気持ちは分かるさ」

ヤン「毎日こんなところにいれば、心が腐るのも無理はない」

ヤン「でも・・・希望は捨てちゃ駄目だ」

切嗣「・・・・・・」

ヤン「何もかも諦めた時、人間は本当の意味で死ぬ」

ヤン「そうなってしまったら、たとえ心臓が動いてようと、もう助からん」

ヤン「だから・・・お前はそうなるな、キリツグ」

切嗣「ヤン・・・」

ヤン「俺は、お前に生きてほしいと思うよ」

ヤン「こんな地獄とはいえ、折角出来た友達だからな」

ヤン「だから、死ぬなキリツグ」

ヤン「生きてりゃその内、いいことあるって」二カッ

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:28:13.08 ID:lj3gOfBc0
切嗣「・・・・・・・」

切嗣「・・・・はははっ・・・・」

切嗣「君は、本当に素直な奴だな」

切嗣「言葉にいちいち嘘がない」

ヤン「お前ら日本人は、逆に嘘が多すぎるんだよ」ハハハ...

切嗣「はははっ・・・違いない」

切嗣(・・・・・・)

切嗣「・・・ヤン、僕も、君には死んでほしくないと思うよ」

ヤン「あ~、そういうのやめろ。男に言われても嬉しくないからな」

切嗣「僕には言ったじゃないか」ハハハ…

ヤン「いんだよ、細けぇことは・・・」




僕はその日、随分久しぶりに笑った


こんな地獄で笑うことなんて、もう、絶対に無いと思っていたのに


でも・・・結局、それが最後だった

156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:29:58.38 ID:lj3gOfBc0
―――――

「はい、その地点で間違いありません」

「・・・えぇ、明日、そちらへ向かう予定です」

「えぇ・・・分かっています」

「・・・はい」

「全ては・・・清浄なる世界のために・・・」

「はい・・・それでは」


...ガガッ


「・・・・・・・」



ドンッッッ!!!!




「!?」



...どさぁ.......



157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:31:35.84 ID:lj3gOfBc0
「・・・・・・・」

「・・・やぁ、君か・・・」



「・・・キリツグ・・・」



切嗣「・・・・・・」

切嗣「できれば、君を殺したくはない・・・ヤン」

ヤン「あぁ・・・俺も・・・これ以上撃たれたくないなぁ」

ヤン「でも・・・撃つんだろ?」

切嗣「・・・あぁ・・・」

ヤン「・・・いつから分かってた?」

切嗣「・・・・・・」

切嗣「・・・今日の会話・・・」

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:33:31.42 ID:lj3gOfBc0
切嗣「君は、僕が日本人だと言った」

切嗣「僕が日本人だということは、部隊の誰にも言ってない筈だ」

切嗣「チャイニーズか、若しくはコリアンかもしれないのに」

切嗣「何故か君は、僕を日本人と決めつけ、八百万の話まで持ち出した」

ヤン「・・・・・・」

切嗣「アジア系は全て日本人って偏見か?」

切嗣「・・・違うな」

切嗣「知っていたからだ」

切嗣「僕の正体が、日本人の傭兵・・・」

切嗣「・・・衞宮切嗣だということを」

ヤン「・・・・・・」

切嗣「・・・加えて、君は中国系だ」

切嗣「なら、そんな偏見はあり得ない」

切嗣「間違っても、日本人などと、自分たちを間違える筈がない」

切嗣「・・・誇りがあるからな」

切嗣「自分たちは、日本人よりも優れているという自負が・・・ね」

ヤン「・・・・・・・」

159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:35:34.14 ID:lj3gOfBc0
ヤン「・・・君は、この世界じゃ有名人だよ」

ヤン「殺しの為なら・・・手段を選ばない、冷徹な殺し屋・・・」

ヤン「キリツグ・・・エミヤ・・・」

切嗣「・・・・・・」

ヤン「・・・・・・」

ヤン「短い間ではあったが、まぁ・・・楽しかったよ」

ヤン「・・・あばよ、キリツ」


ドンッッッ!!! ドンッッッ!!!


ドンッッッ!!!


・・・・・・・・



切嗣「・・・・・・・・」

切嗣「・・・・・・・・」

切嗣「・・・僕は・・・」



僕は・・・神を信じない・・・



この世に・・・神など、いない

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:37:04.90 ID:lj3gOfBc0
―――――
衞宮邸 切嗣の自室

切嗣(・・・・・・・)

切嗣(・・・何分寝ていた・・・?)

切嗣(・・・・・・・)

切嗣(・・・結局のところ・・・繰り返し・・・)

切嗣(何度信じようと、何度愛そうと・・・)

切嗣(・・・最後は・・・裏切られる)

切嗣(・・・だったら、もう、信じない)

切嗣(世界も・・・神も・・・)

切嗣(・・・・・何も・・・・・)

切嗣(・・・・・・)


コンコンッ


切嗣「・・・入れ」

161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:39:52.78 ID:lj3gOfBc0


ガチャッ…


舞弥「切嗣」

切嗣「報告だな?」

舞弥「・・・はい」

舞弥「昨夜、冬木教会の前にて、サーヴァントによる戦闘が確認されました」

切嗣「・・・相手は?」

舞弥「アーチャーと、ランサーです」

切嗣「・・・そうか」

切嗣「それで、どちらが勝った?」

舞弥「・・・・・・」

舞弥「ランサーは・・・敗北」

舞弥「消失が・・・確認されました」

切嗣「・・・そうか」

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:41:43.53 ID:lj3gOfBc0
切嗣「これで残るサーヴァントは4体・・・」

切嗣「セイバー、アーチャー、ライダー・・・」

切嗣「そして、バーサーカー・・・」

舞弥「・・・いよいよ、終結が見えてきましたね」

切嗣「・・・だな」

切嗣「・・・・・・」

舞弥「・・・・・・」

切嗣「・・・舞弥」

舞弥「何でしょう」

切嗣「・・・セイバーにも、この事を教えてやれ」

舞弥「・・・・・・」

舞弥「・・・・切嗣」

163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:42:47.42 ID:lj3gOfBc0
切嗣「何だ」

舞弥「セイバーは・・・既に知っています・・・」

舞弥「ランサーが・・・敗れた事を・・・」

切嗣「・・・・・・」

舞弥「今朝、征服王がやってきまして」

舞弥「それを対応した際に・・・セイバーは、その事を聞いた様です」

切嗣「・・・そうか」

切嗣「なら君は、任務に戻ってくれ」

切嗣「僕もこの後は仕事がある、お互い行動に移るぞ」

舞弥「・・・了解」

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:44:13.23 ID:lj3gOfBc0
―――――
衛宮邸 セイバーの部屋


コンコンッ


セイバー「む、どうぞ」


ガチャッ


セイバー「舞弥か、何か用でも?」

舞弥「・・・いえ」

セイバー「・・・・・?」

舞弥「・・・セイバー」

セイバー「何だ?」

舞弥「その・・・ランサーのこと・・・」

セイバー「・・・あぁ、それか・・・」

舞弥「・・・ごめんなさい、やっぱり・・・無神経よね・・・」

セイバー「そんなことはないよ」

舞弥「・・・・・・・」

セイバー「心配してくれて、素直に嬉しい」

セイバー「ありがとう、舞弥」

舞弥「・・・セイバー・・・」

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:45:38.92 ID:lj3gOfBc0
セイバー「・・・奴のことだ」

セイバー「きっと・・・誇り高い最期だったに違いない・・・」

セイバー「なら・・・それでいい」

舞弥「・・・・・・・」

舞弥「・・・セイバー」

セイバー「む?」

舞弥「・・・切嗣は・・・」

舞弥「切嗣は・・・貴方を気遣ってました」

セイバー「・・・・・そうか」

セイバー「嘘でも、嬉しいよ」ニコッ

舞弥「嘘じゃないわ」

セイバー「・・・・・・・」

舞弥「嘘だったら・・・わざわざ私は、ここに来たりしない」

舞弥「だって・・・私は・・・切嗣の意思でしか動かないから」

セイバー「・・・・・・・」

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:47:11.81 ID:lj3gOfBc0
セイバー「・・・舞弥」

舞弥「何?」

セイバー「貴方は・・・素敵な女性だ」

舞弥「・・・・・・」

セイバー「優しく、暖かで・・・」

セイバー「どこか・・・アイリスフィールに似ている気がする」

舞弥「私が・・・マダムに・・・?」

舞弥「・・・・・・」

セイバー「とにかくありがとう、舞弥」

セイバー「これで今日の面接も、迷う事無く行ける」

舞弥「面接?」

セイバー「あぁ、今日は、ある会社で面接があるのだ」

セイバー「私の・・・もう一つの戦いだな」

舞弥「・・・そう・・・」

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:49:21.65 ID:lj3gOfBc0
―――――
衛宮邸 玄関

アイリ「頑張ってね、セイバー」

セイバー「はい、アイリスフィール」

舞弥「・・・・・・・」

アイリ「ちゃんと定期持った?ネクタイは曲がってない?」

セイバー「だ、大丈夫ですよ・・・」

アイリ「そう、なら、行ってきなさい」ニコッ

セイバー「はい」


ガラッ


セイバー「アイリスフィール」

セイバー「私は、必ずや勝利してきます」

セイバー「貴方や・・・皆の為にも」

アイリ「セイバー・・・・」

セイバー「行って参ります」

アイリ「・・・・・・・・」

168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:51:01.38 ID:lj3gOfBc0
アイリ「・・・セイバー!」

セイバー ピタッ

アイリ「あなたに、勝利を・・・!」

セイバー「アイリスフィール・・・」

セイバー「・・・ははっ、いつもと逆ですね」

アイリ「・・・頑張ってね」ニコッ

アイリ「行ってらっしゃい」

セイバー「行ってきます」


ガララッ………

ピシャッ


アイリ「・・・・・・・」

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:53:08.55 ID:lj3gOfBc0
舞弥「・・・いいのですかマダム」

舞弥「これから戦いが激化するというのに・・・この様なことをしていて」

アイリ「いいのよ、舞弥さん」

アイリ「これも、あの娘には必要な戦いだもの」

舞弥「・・・・・・・・」

アイリ「そして・・・・」

アイリ「・・・・・・・」

舞弥「・・・・マダム?」




ふらっ………





…………どさっ




舞弥「!?」

舞弥「ま…………マダム!!!!」

170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:55:29.68 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 時臣の自室

時臣「お話とは何でしょう、英雄王」

アーチャー「何・・・大したことではないさ」

アーチャー「この我の会社・・・バビロンを貴様に預ける」

時臣「・・・・・今、何と?」

アーチャー「二度言わせるな・・・預けると言ったのだ、貴様に」

時臣「・・・どういった心境の変化で?」

アーチャー「何、簡単なこと」

アーチャー「これから、聖杯戦争の方が忙しくなりそうだからな」

アーチャー「単純に・・・仕事の方に割く時間が惜しい、というだけだ」

時臣「・・・・ですが」

アーチャー「貴様の意見は聞いていない」

時臣「・・・・・・」

アーチャー「これは決定事項なのだよ。時臣」

アーチャー「・・・不服そうだな?」

時臣「いえ、滅相も御座いません」

171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:57:47.76 ID:lj3gOfBc0
時臣「しかし、聖杯に集中するというのであれば」

時臣「仮にもマスターである、私が不在という事態は・・・」

アーチャー「問題ないさ」

時臣「・・・・・・・・」

アーチャー「貴様も、我の固有スキルは知っているだろう?」

アーチャー「本来、貴様の存在など、この戦いにおいては必要の無いくらいだ」

アーチャー「貴様は・・・この我に魔力を供給してさえいれば、それで事は足りる」

アーチャー「だったらさっさと隠居でもして、その身を守っているがいい」

アーチャー「我が社の・・・社長室でな」

時臣「・・・・・・・・・」

アーチャー「・・・どうした?」

アーチャー「返事が聞こえないようだが?」

時臣「了解致しました、英雄王」

アーチャー「・・・フンッ、それでいい」ニヤァ

アーチャー「ではな時臣」

アーチャー「次は・・・聖杯の前で会おうぞ」

アーチャー「...ハハハハハハハハハハハッ!!!!!!」


サラサラサラサラサラ……

サラサラ……


時臣(・・・・・・・)

172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 18:59:38.37 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 客間

綺礼「えぇ・・・そうです」

綺礼「はい、私はこの後に行く場所があるので」

綺礼「えぇ・・・それでは」


ガチャン……(受話器置いた)


綺礼「・・・・・・・」


ガチャッ


時臣「すまない、待たせたな、綺礼」

綺礼「いえ、お気になさらず」

時臣「誰かに電話していたのか?」

綺礼「えぇ・・・仕事の関係です」

時臣「そうか。まぁ、そんな事はどうでもいいな」

時臣「君を呼んだのは他でもない」

173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:01:23.93 ID:lj3gOfBc0
時臣「ある物を、君に渡したかったのだ」

綺礼「ある物・・・?」

時臣「そこに座りたまえ」

綺礼「・・・・・・・・」


ギッ……(座った)


時臣「これだ」


スッ・・・


綺礼「・・・これは」

時臣「アゾット剣だよ」

綺礼「・・・・・・・」

時臣「それは、遠坂の魔道を納め、見習いの過程を終えた事を証明する品だ」

時臣「これを君に託す」

綺礼「私に・・・・?」

時臣「これを渡すということは・・・結果的に、君を縛るということになるのかもしれない」

綺礼(・・・・・・・・)

174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:02:37.15 ID:lj3gOfBc0
時臣「私は、君に今後とも、遠坂との縁故を保ってほしいと思う」

時臣「師として、弟子である君に頼みたい」

時臣「・・・兄弟子として、凛の面倒を看てやってほしい」

綺礼「・・・・・・・・」

時臣「これを」


スッ……


綺礼「これは・・・」

時臣「簡略ではあるが、遺言状の様なものだ」

時臣「万が一、ということも考えておくべきだと思ってね」

綺礼「・・・・・・・」

時臣「凛に、家督の全てを譲る旨の署名と・・・」

時臣「後継人として、君を指名しておいた」

綺礼「・・・・・・・」

175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:04:46.41 ID:lj3gOfBc0
綺礼「・・・お任せを」

綺礼「御息女については、責任を持って見届けさせて頂きます」

時臣「・・・そうか」

時臣「ありがとう・・・綺礼」

綺礼「・・・・・・・」

綺礼「至らぬこの身に、重ね重ねのご厚情・・・感謝の言葉もありません。我が師よ」

時臣「君にこそ感謝だ、言峰綺礼」フッ…

綺礼(・・・・・・・)

時臣「私は今後、英雄王より賜りし仕事がある」

時臣「これで、其方に集中することが出来そうだよ」

綺礼「・・・それは何よりです」

時臣「・・・もうこんな時間か」

時臣「長く引き止めてしまって申し訳なかったな」

時臣「私はもう行かなくてはならない」スッ…(立ち上がる)

時臣「突然の辞令だったからな、仕事に間に合えばいいが・・・」

綺礼(・・・・・いえ・・・・・)

綺礼(その心配は要りません・・・・我が師よ・・・・)

176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:06:59.49 ID:lj3gOfBc0
―――――
同刻 遠坂邸 外

雁夜(・・・・・・・・)

雁夜(遠坂・・・時臣・・・・)

雁夜(今日こそ・・・奴の息の根を・・・)

―――――
前日 冬木教会 一室

綺礼「つまりは奇襲だよ」

雁夜「・・・・・・・・」

綺礼「明日、遠坂家からは人が出払う予定だ」

綺礼「遠坂時臣が今後の戦いを見越して、家族を非難させる為だ」

雁夜「・・・・・・・・」

綺礼「そして・・・それに伴い、屋敷の結界も解除されるだろう」

雁夜「・・・万が一にも、解除されていない可能性もある」

綺礼「それはないよ」

綺礼「あの結界は元々、遠坂家に住む、遠坂時臣以外の人間を守る為に設置されたもの」

綺礼「家族も消え、一人で待ち構える身とあらば・・・」

綺礼「結界を張る必要もない」

雁夜「・・・・・・・・・」

177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:09:12.29 ID:lj3gOfBc0
綺礼「万が一の事態には、直ぐ傍に居るサーヴァントを呼べば済む話でもあるし」

綺礼「何より、私という守護者が近くにいるのだ」

綺礼「多少の油断はする筈」

雁夜「・・・・・・・・・」

綺礼「この話は、遠坂時臣のサーヴァントも了承済みの事だ」

雁夜「何?」

綺礼「あの英雄王は、自身の主に相当の嫌気が差しているようだ」

綺礼「それは、この間の未遠川での戦いでも分かっただろう?」

綺礼「何よりも聖杯の品位を重んじる遠坂が、場を乱すキャスターを傍観しているという矛盾・・・」

綺礼「あの様子からも、何となく察しはつくと思うが?」

雁夜「・・・・・・・・」

綺礼「それに、あのプライドの高い王のこと・・・」

綺礼「己のマスターを見限るというのも・・・分からない話じゃない」

雁夜(・・・・・・・)

178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:15:44.62 ID:lj3gOfBc0
雁夜「なら・・・お前が殺せばいいじゃないか」

綺礼「・・・・・・・・」

雁夜「何故自分でやろうとしない?」

綺礼「・・・言った筈だ」

綺礼「私は神の僕・・・殉教者だ」

綺礼「その様な身で、師を殺す様な真似をすれば・・・」

綺礼「私は、永久に煉獄を彷徨う事になろう」

綺礼「君は正に、地獄に垂らされた蜘蛛の糸・・・という訳だ」

雁夜「・・・・・・・」

綺礼「間桐雁夜、私はな」

綺礼「私は・・・師(ちち)殺しになどなりたくはないのだよ」

綺礼「結果的に師を裏切る事になろうとも・・・」

綺礼「自ら手を下すのと、間接的に手を下すのは雲泥の差・・・」

綺礼「だからこその君なのだよ、間桐雁夜」

綺礼「御理解頂けたかな?」

179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:17:07.75 ID:lj3gOfBc0
雁夜「・・・・・・・・」

雁夜「・・・いいだろう」

雁夜「やってやろうじゃないか・・・」

綺礼「それはなにより・・・」フッ…

綺礼「私が中から君をサポートする」

綺礼「後は、君が例の作戦通りに行動すれば・・・」

綺礼「成功は容易い」

雁夜「・・・・・何故だ」

綺礼「何かな?」

雁夜「何故貴様は・・・遠坂時臣を死なせようとする」

雁夜「その理由を・・・まだ聞いていない」

綺礼「・・・・・・・・」

雁夜「奴は・・・貴様にとっての師なんだろ」

雁夜「それなのに何故!俺に協力してまでこんなことを・・・・!」

180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:17:49.42 ID:lj3gOfBc0
綺礼「・・・簡単なことだよ」

綺礼「私は・・・ただ、許せなかったのだ」

綺礼「・・・遠坂桜・・・」

綺礼「あの様な幼い子供を・・・間桐の家に沈める所業・・・」

綺礼「決して・・・許されることではない・・・」

雁夜(・・・・・・)

綺礼「結局のところ、君と動機は一緒だ」

綺礼「・・・話はこれで終わりだ」

雁夜「・・・・・・・」

綺礼「・・・それでは、計画の成功を祈る」

181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:20:35.97 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 外

雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・バーサーカー」


ズズズズズズズズ……


バーサーカー「・・・・・・・」

雁夜「・・・手筈通りだ」

バーサーカー((・・・了承した))


ウニョウニョウニョウニョウニョ……


雁夜「・・・・・・・」

凛((・・・これでいいか?))

雁夜「・・・・・あぁ」

雁夜(・・・遠坂・・・時臣・・・!)

雁夜(この様な手を使わざる得ないのも・・・全て・・・貴様が悪いんだ・・・!)

雁夜(貴様の様な鬼畜には・・・相応の最期を迎えさせてやる・・・!)

凛((・・・・・・・・・・))

182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:21:51.84 ID:lj3gOfBc0
凛((・・・・・いい表情だ))

凛((中々どうして、いい表情(かお)が出来る様になったではないか))

凛((主よ))

雁夜「・・・黙ってろ」

凛((おぉ、怖い怖い・・・))

凛((また令呪を使って黙らされるのは御免だ))

凛((素直に口を噤むとしよう))

雁夜「・・・・・・・・・」

雁夜「・・・・・令呪を持って命ずる」コォォォォオォォォォ……

雁夜「バーサーカーよ、遠坂時臣を・・・」

雁夜「必ず・・・殺せ」

凛((・・・了承した))

183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 19:23:05.24 ID:lj3gOfBc0
雁夜「加えて令呪を持って命ずる・・・」コォォォオォォォ……

雁夜「バーサーカーよ・・・・」

雁夜「遠坂時臣に・・・この世で最も・・・」

雁夜「・・・惨めな死を・・・!」

凛((・・・・・・・))

凛((・・・了承した))

凛((ではな・・・主よ・・・))


ズズズズズズズ……

ズズ……


雁夜「・・・・・・・・」

雁夜「全て・・・お前のせいだ・・・」

雁夜「遠坂・・・時臣・・・!」ギリッ!

186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:23:03.71 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 邸内

凛(・・・・・・)

凛(・・・・さて)

凛(あの神父の話では・・・目標は客間に釘付けにしておくとのこと・・・)

凛(事前に渡された見取り図によれば・・・客間は・・・)

凛(・・・あそこか)

凛(・・・・・・・)

凛(それにしても・・・)

凛(我が主も、流石に人を見る目が無い)

凛(あの様な胡散臭い男を、どうして信用など出来るというのだ?)

凛(・・・あの男の表情・・・・)

凛(・・・奴は・・・恐らく俺と同類・・・・)

凛(・・・ククク・・・)

凛(まぁそれよりも、今はこれだ)

凛(これはこれで、主の後の反応が楽しみではあるからな)

凛(歓喜か・・・絶望か・・・)

凛(それとも、虚無か・・・)スッ…


ガチャッ


凛(・・・・・・・)

凛(・・・・これは)



187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:24:48.44 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 外

雁夜「・・・・・・・」

雁夜(・・・桜・・・)


((主よ))


雁夜(!)

雁夜「バーサーカー・・・」

雁夜「・・・終わったんだな?」

((・・・・・・・・))

雁夜「・・・・・・?」

雁夜「どうした、何故答えない!」

((・・・・・・・・))

雁夜「バーサーカー・・・貴様・・・!」

雁夜「目的を遂行するまでは、連絡するなと言った筈だぞ・・・!」


188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:25:50.39 ID:lj3gOfBc0
雁夜「一体何の用で・・・!」

((主よ))

((こっちに来い))

雁夜「・・・!?」

雁夜「・・・どういうことだ?やはり終わらせたのか?」

((・・・何とも説明し難いな))

雁夜「・・・ッ・・・何故そこで言葉を濁す!」

雁夜「目的を遂行したのか!?してないのか!?どっちだ!」

((そう怒鳴るなよ、我が主))

((ただ、口で説明してしまっては))

((貴様が後悔するだろうという・・・俺なりの配慮だよ))

雁夜「何・・・!?」

((いいから今すぐ邸内の客間に来い))

雁夜「おい!?バーサーカー!おい!」

雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・ックソ・・・!どういうことだ・・・!?」

雁夜「・・・何が起こっている・・・!?」


189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:31:37.39 ID:lj3gOfBc0
―――――
遠坂邸 邸内

凛「雁夜おじさん!よく来たわね!」

雁夜「!?」

雁夜「・・・・貴様・・・!殺すぞ!!」

凛「・・・・・・・」

雁夜「今すぐその姿をやめろ!」

凛((洒落の通じない男だ・・・))


ウニョウニョウニョウニョウニョ……


バーサーカー((・・・というか))

バーサーカー((そんな大きな声を出してもいいのか?))

雁夜「!」

雁夜「・・・貴様・・・!」

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:32:26.35 ID:lj3gOfBc0
バーサーカー((おいおいそんなに怒るなよ))

バーサーカー((状況は既に終了している))

雁夜「!」

バーサーカー((遠坂時臣は死んだよ))

雁夜「・・・・・・・・」

雁夜「・・・・・そうか」

バーサーカー((ただし))

バーサーカー((殺したのは、俺じゃないがな))

雁夜「!?」

雁夜「・・・どういう・・・!?」

バーサーカー((百聞は一見にしかず・・・))

バーサーカー((これを見ろ))


ガチャッ・・・・


キィィィィ………


雁夜「・・・・・・・」

雁夜「・・・!?」

雁夜「こ・・・・これは!?」

191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:33:22.93 ID:lj3gOfBc0


時臣「・・・・・・・・」


バーサーカー((俺が来た時には、既にこの状況だった))

雁夜「貴様・・・!出鱈目を・・・!」

バーサーカー((嘘じゃないさ、こいつの背中をよく見ろ))

雁夜「…!?・・・・な…!」

雁夜「・・・・・剣・・・・・!?」

バーサーカー((俺が持つ剣とは明らかに違うだろう?))

バーサーカー((つまり、俺ではない誰かが・・・))

雁夜「黙れ黙れ黙れぇ!!!!!」

バーサーカー((・・・・・・・・))

雁夜「嘘だ・・・こんなこと・・・」

雁夜「それじゃ・・・・俺は・・・・今まで・・・・」

雁夜「・・・・・・何のために・・・・・」

雁夜「この・・・この怒りは・・・何処に向ければいい・・・?」

雁夜「・・・・・・・・・・」

バーサーカー((・・・・・・・・・・))

バーサーカー(・・・・おっと・・・・)

雁夜「一体・・・何故・・・?」



「雁夜・・・・君・・・・?」




192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:34:38.94 ID:lj3gOfBc0
雁夜「!?」

葵「ここで・・・何して・・・」

葵「・・・・え・・・・」

葵「・・・・・・・・・」

雁夜「・・・・・何故・・・・・・」

雁夜「あなたが・・・・ここ・・・・・・に・・・・・・・」


葵「・・・・・・・あなた・・・・・・・・」


コツ…コツ…コツ…コツ…



雁夜「………ハッ……!ハッ……!ハッ……!」

葵「・・・・・・・・・」


コツ…コツ…コツ…コツ…


雁夜「………ハッ…ア……!ハァッ……!ハァッ……!」


コツ…コツ…コツ…コ…


葵「・・・・・・・・」

193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:36:25.12 ID:lj3gOfBc0
雁夜「・・・・・・・違うんだ・・・・・・」

葵「・・・・・・・・・・」

雁夜「・・・・・葵さん・・・・・」

雁夜「・・・・・・違」

葵「満足?」

雁夜「・・・・・・・」

葵「これで・・・聖杯は間桐の手に渡ったも同然ね・・・・」

雁夜「・・・・・・違・・・・・・!」

葵「ねぇ、これで満足した?」

葵「遠坂に恨みをぶつけて・・・私の・・・」


葵「私の・・・大事な人を殺して・・・・・」


葵「ねぇ、…満足?」

雁夜「違う!!俺のせいじゃ!!!」

葵「この期に及んで……!!!!言い訳しないでよ!!!!!」

葵「こんな状況で・・・・あなた以外に・・・・!!!誰がいるっていうのよぉ!!!!!!」

194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:37:53.87 ID:lj3gOfBc0
雁夜「・・・・ッ・・・・!」

雁夜「もと……元々は!!!!そいつが悪いんだ!!!!!!!」

雁夜「桜を・・・!間桐の家に出すような・・・・!そいつが!」


葵「ふざけないでよぉ!!!!!!!!!」


雁夜「・・・・・あ・・・・・・」

葵「何も知らない癖に・・・この人が・・・どんな想いで桜を・・・」

葵「桜を・・・養子に出したかも知らない癖に・・・!」

雁夜「・・・・・・・・・・・・」

葵「魔道の家ではね・・・次女は・・・予備なのよ・・・・」

葵「一番上が・・・凛が・・・何かあった時の為の・・・・」

葵「その為の・・・備えでしかないの・・・・」

雁夜「・・・・・・・・・」

葵「予備は・・・・長女に何もなければ・・・・不要な存在・・・・」

葵「そうなったら・・・・後は・・・・分かるでしょ・・・・?」

雁夜「・・・・あ・・・・・」

葵「養子に出してでも・・・・生きて・・・・欲しいじゃない・・・!」

195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:38:45.54 ID:lj3gOfBc0
雁夜「・・・・・あ・・・・・あ・・・・・・」

葵「それも知らないで・・・・自分の身勝手な都合だけで・・・・!」

雁夜「・・・俺は!!!!!」





葵「あんたなんか!!!!!!」







葵「誰かを好きになったことなんて・・・!無い癖にぃ!!!!!!」



196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:39:44.26 ID:lj3gOfBc0








好きな人がいたんだ










初めて見たときから・・・今までずっと












197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:40:24.17 ID:lj3gOfBc0








ずっと・・・ずっと、好きだったんだ








その人のためなら、どんなことでもできると思っていたのに







198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:42:04.88 ID:lj3gOfBc0







なのに












なのに・・・・・







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:43:15.56 ID:lj3gOfBc0
―――――
葵「うっ……ひっ……うぅ……!」

葵「あなた………あなたぁ・・・」

雁夜「・・・・・・・・」

葵「何で……どうして……!」

葵「あ……あぁぁあぁぁぁ・・・・・」

雁夜「・・・・・・・・」

葵「う……うぅぅう……」

雁夜「・・・怨んでくれていいよ」

葵「……な…ん……?」

雁夜「怨んでもらっていい」

雁夜「俺は・・・あんたの夫を殺した」

雁夜「だから・・・怨めばいい」

葵「…………………」

雁夜「怨んだところで・・・・何も・・・・」

雁夜「何も・・・・変わらないけどな・・・」


キィィィ…


バタンッ……


葵「う……ぁ………」

葵「あああああぁあああぁっぁああああああああああ!!!!!!!!!」


200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:48:05.81 ID:lj3gOfBc0
―――――
隣の部屋

綺礼(・・・・・・・)

アーチャー「・・・まぁ、こんなものか」

アーチャー「初めてにしては、そこそこなのではないか?」チャプ…(ワイン持ってる)

綺礼「・・・お褒めに預かり、光栄の極みだな。英雄王」

アーチャー「・・・どうだ?綺礼よ」

アーチャー「悲鳴を聞きながらの・・・酒の味は?」ニヤァ

綺礼「・・・・・・・・・」

綺礼「・・・酒の味が、これ程までに美味と感じるとは・・・」

綺礼「これは・・・今までの経験には無かったことだ・・・」

アーチャー「それはなにより・・・」

アーチャー「・・・綺礼よ」

アーチャー「それが愉悦だ」

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:49:30.26 ID:lj3gOfBc0
綺礼「・・・愉悦・・・」

綺礼「これが・・・・・」

綺礼「・・・地獄の様に熱く、蜜のように甘い。とは」

綺礼「フッ・・・良く言ったものだな・・・」

綺礼「・・・ところでアーチャーよ」

アーチャー「何だ」

綺礼「何故、遠坂時臣に社を任せる様な真似を?」

綺礼「殺すのであれば、意味の無い行為の様に思えるのだが」

アーチャー「ハッ・・・俺なりの手向けだよ」

アーチャー「一時であったとは言え、我が王国の主であったのだ」

アーチャー「あの世で、良い自慢になるだろう?」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「この我にこれ程までに寵愛されるとは・・・我がマスター時臣も、随分な幸せ者じゃないか」

アーチャー「いや・・・今のマスターは貴様だったな」

アーチャー「頼むぞ?綺礼よ」

アーチャー「この我に、娯楽の隋を見せてくれ」

アーチャー「精々俺を飽きさせるな」

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:50:40.58 ID:lj3gOfBc0
綺礼「・・・いいだろう」

綺礼「英雄王、もう一つ聞くが・・・」

綺礼「会社はどうするつもりなのだ?」

アーチャー「・・・・・・・・」

綺礼「聖杯戦争も、最早佳境・・・」

綺礼「ならば、会社の経営などに構っている暇はないと思われるが?」

アーチャー「問題ない。この我が居ないところで、潰れる様な社にした覚えは無い」

アーチャー「後の事は、後任に任せてある」

アーチャー「・・・だが」

綺礼「だが?」

アーチャー「今日だけは別だ」

アーチャー「今日は、少し面白い客が来るらしいのでな」

アーチャー「みすみす逃す手はあるまい」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「聖杯を手にする前に、最後の仕事と行こうじゃないか」

アーチャー「貴様にも手伝ってもらうからな、綺礼」

綺礼「・・・我が王の、仰せのままに」ニヤァ

アーチャー「・・・それでいい」ニヤァ



第八話 愛をとりもどせ!!

-??:??:??


次回 また逢う日まで

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/25(月) 20:52:06.96 ID:lj3gOfBc0
隣の部屋でほくそ笑むこの二人、実は仕掛け人

突然の状況に、これには流石のターゲットも苦笑い

雁夜「まさかあそこで幼馴染が出てくるなんてね」

雁夜「もうあんな目は二度とゴメンだよ(笑)」

という訳でつづく

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:25:48.74 ID:WFM+LPJQ0
>>207
おめでとうございます。この調子でガンガン行っちゃいましょう

>>208
ウチの狂戦士はよく喋ります

再開

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:26:44.59 ID:WFM+LPJQ0
第九話 また逢う日まで

211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:28:13.74 ID:WFM+LPJQ0
―――――
15時 株式会社バビロン 入り口前

セイバー「・・・・・・・」

セイバー(遂に・・・この時が来た)

セイバー(アイリスフィール、切嗣、舞弥、ランサー、ライダー・・・)

セイバー「私に・・・力を・・・!」


ガーッ(扉が開く音)


セイバー「・・・・・・・」

受付嬢「ようこそおいで下さいました」一礼

受付嬢「本日の御用件は何でしょうか?」

セイバー「面接に来ました」

受付嬢「左様で御座いますか」

受付嬢「本日は、弊社が開催する面接への御参加、真に有難う御座います」一礼

受付嬢「面接会場は、40階、社長室にて行われます」

セイバー「社長室・・・?」

セイバー「では、本日の面接は、社長自ら行うと?」

受付嬢「左様で御座います」

セイバー(・・・アーチャー・・・)

セイバー「ありがとうございました」

受付嬢「いえ、ご健闘をお祈りしております」一礼

セイバー(・・・・・・・・・・)

212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:29:29.93 ID:WFM+LPJQ0
―――――
40階


チーンッ


ガーッ(扉が開く音)


セイバー「・・・・・・・」

セイバー(ここが・・・面接会場・・・)


受験者A「・・・・・・・」

受験者B「・・・・・・・」

受験者C「・・・・・・・」

受験者D「・・・・・・・」


セイバー(何という空気だ・・・フロア全体に、殺気が充満している・・・)

セイバー(流石に超大手・・・採用率0.01%の名は伊達じゃないな・・・・)

213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:30:23.56 ID:WFM+LPJQ0


ガチャッ


「次の方、どうぞ」


受験者E「・・・・・・・・」よろ…よろ…

セイバー(・・・・・あの顔)

セイバー(一体どんな圧迫面接を受ければ、あの様な表情になるというのだ・・・)

セイバー(やはり・・・簡単にはいかないらしい・・・)

セイバー(・・・・・・・・)

セイバー(・・・大丈夫だ)

セイバー(私には・・・皆がついている)

セイバー(決して・・・負けなどしない・・・!)

214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:32:44.32 ID:WFM+LPJQ0
―――――
40階 社長室の隣の部屋

綺礼「・・・英雄王」

アーチャー「何だ?綺礼」

綺礼「今しがた、受付から連絡があった」

綺礼「セイバーが来たそうだ」

アーチャー「・・・ほぅ」

アーチャー「履歴書が送られてきた時はよもやと思ったが・・・」

アーチャー「まさか、本当に受けに来るとはな」

綺礼「今控えている面接者はざっと30人・・・」

綺礼「セイバーの番が来るのは、大凡3時間後というところか」

アーチャー「1時間だ」

綺礼「・・・・・・・」

アーチャー「他の者になど興味はない。2、3質問すれば事は足りるさ」

アーチャー「クックック…早く相見えたいものだなぁ、騎士王よ・・・」

アーチャー「1時間後が楽しみじゃないか・・・」

アーチャー「精々楽しませてくれよ・・・?」

アーチャー「ハハハハハハハハハハッ!!!!!」

綺礼「・・・・・・・・」

215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:35:48.87 ID:WFM+LPJQ0
―――――
衛宮邸 土蔵

アイリ「・・・・・・・・」

アイリ「・・・・あ・・・」

舞弥「マダム、お気づきで」

アイリ「・・・舞弥・・・さん・・・」

アイリ「・・・ごめんなさい・・・格好悪いとこ・・・見せちゃったわね・・・」

舞弥「そんな事よりも、今は身体を休めてください」

舞弥「切嗣が先ほど、魔法陣に魔力を込めました」

舞弥「これで少し楽になる筈だと聞きましたが・・・」

アイリ「・・・うん・・・そうね・・・」

舞弥「・・・・・・・・」

アイリ「・・・・舞弥さん」

舞弥「何でしょう、マダム」

アイリ「・・・別にね・・・これが・・・初めてじゃないのよ」

舞弥「・・・・・・・・」

216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:36:43.35 ID:WFM+LPJQ0
アイリ「前に・・・セイバーの前でも倒れた事があってね・・・」

アイリ「もう・・・限界が近いみたい・・・」

舞弥「・・・・マダム・・・・」

アイリ「別に・・・異常ではないのよ・・・」

アイリ「予め・・・決まってたこと・・・」

アイリ「むしろ・・・今まで人として正常に機能していたのが・・・私にとっては・・・」

アイリ「・・・奇跡みたいな、幸運だったの・・・」

舞弥「・・・・・・・・」

アイリ「私は・・・聖杯戦争の為に設計されたホムンクルス・・・」

アイリ「それは・・・あなたも知っているわね?」

舞弥「・・・はい」

アイリ「アハトのおじい様は・・・器そのものに生存本能を与え・・・」

アイリ「あらゆる危険を自己回避して・・・聖杯の完成を成し遂げる為に・・・」

アイリ「器に・・・アイリスフィールという・・・偽装を施したのよ・・・」

アイリ「それが・・・私」

217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:37:48.92 ID:WFM+LPJQ0
舞弥「そんな・・・では、貴方は・・・」

アイリ「これから先・・・私は・・・元の“モノ”に返っていくわ・・・」

アイリ「次はあなたと・・・こうして話をする事もできなくなるでしょう・・・」

舞弥「・・・・・・・・」

アイリ「だからこそ切嗣は・・・私にセイバーの鞘を預けたの・・・」

アイリ「アヴァロン・・・その効果は知ってる?」

舞弥「老衰の停滞と・・・無制限の治癒能力・・・そう聞いています」

アイリ「・・・その効果が・・・私という、空の存在を押し留めてくれているの・・・」

アイリ「もっとも・・・セイバーとの距離が離れてしまうと・・・途端にボロが出てしまうんだけど・・・」

舞弥「・・・何故、私には教えたんですか?」

アイリ「・・・・・・・」

218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:38:50.22 ID:WFM+LPJQ0
アイリ「・・・久宇舞弥」

アイリ「あなたは・・・私を哀れんだりはしない・・・」

アイリ「きっと私を認めてくれる・・・そう、思ったから・・・」

舞弥「・・・・・・・」

舞弥「マダム・・・私は・・・」

舞弥「貴方という人を・・・もっと、遠い存在だと思っていました」

アイリ「そんなこと・・・ない・・・」

アイリ「分かって・・・くれた?」

舞弥「はい・・・」

舞弥「・・・私がこの命に代えてでも・・・アイリスフィール」

舞弥「貴方を・・・最後までお守り致します」

舞弥「だから・・・どうか」

舞弥「・・・衛宮切嗣の為に、死んでください」

舞弥「あの人の夢を・・・叶える為に・・・」

アイリ「・・・・・・」コクリ

219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:41:10.76 ID:WFM+LPJQ0
―――――
冬木市 民家

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「・・・どうした、坊主」

ライダー「えらく辛気臭い顔をしているではないか」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「何だ、腹でも壊したか?」

ウェイバー「ランサーのこと」

ライダー「・・・・・・」

ウェイバー「お前・・・知ってたんだな」

ライダー「・・・あぁ」

ライダー「先日、奴の口から直接聞いた」

ライダー「闘いに挑む、と」

ウェイバー「なら・・・何で・・・」

ウェイバー「何で・・・!セイバーに教えてやらなかったんだよ!!」

ライダー「・・・・・・・」

220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:43:27.23 ID:WFM+LPJQ0
ウェイバー「お前ら・・・!仲良かったんじゃないのか!?何でセイバーだけ・・・!」

ウェイバー「・・・セイバーが・・・可哀想じゃないか・・・」

ライダー「・・・・・・・・」

ライダー「・・・仲が良いからこそだよ」

ライダー「奴は・・・ランサーの覚悟は、本物だった」

ライダー「漢が戦場へ臨むというのだ、止められる筈もない」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「・・・そして奴はこう言った」

ライダー「セイバーには黙っていてほしい、と」

ライダー「仲間外れだと思うか?違うな」

ライダー「仲間だからこそだ」

221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:44:36.76 ID:WFM+LPJQ0
ライダー「戦友(とも)だからこそ言えず、そして・・・」

ライダー「セイバーが・・・女だからこそ、言えなかった」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「男の維持という奴だよ」

ライダー「・・・あの色男、最期まで格好付けよって・・・」

ライダー「・・・・・・馬鹿者が」

ウェイバー「・・・ライダー」

ライダー「・・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・・・ライ」

ライダー「さて坊主!!!」

ウェイバー ビクゥ!

ライダー「これから行くところがあるだろう、さっさと行くぞ!」

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「ん?どうした、坊主」

ウェイバー「・・・・・・・・」

ウェイバー「・・・・・何でもねーよ・・・・・」

222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:46:24.67 ID:WFM+LPJQ0
―――――
建設現場

佐藤「辞めるって・・・」

佐藤「本気かい・・・?アレクセイさん・・・」

佐藤「それに・・・ウェイバー君まで・・・」

ウェイバー「・・・・・・・」

ライダー「すまんのぉ、迷惑をかけることは承知の上なのだが・・・」

ライダー「それでも、どうしてもそうせざるを得ない、止む無き事情があってな」

ライダー「頼むよ」

佐藤「・・・・・・・」

佐藤「・・・分かった」

佐藤「みんなには、俺から説明しておくよ」

佐藤「後は、任せて下さい」

ウェイバー「佐藤さん・・・」

佐藤「突然辞めるっていうのは驚いたけど・・・」

佐藤「今まで散々世話になったんだ。これ位の無茶言っても、許されるって」

223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:47:56.56 ID:WFM+LPJQ0
ライダー「・・・礼を言う」

佐藤「何か大変な事情があるんだろ?」

佐藤「あんたら、どう見てもカタギの人間に見えなかったからなぁ」あっはっは

佐藤「・・・じゃあ、聞かないでおくよ」

佐藤「何も聞かないでおくから、行っておいで」

ウェイバー「・・・・・・」

佐藤「・・・ウェイバー君」

ウェイバー「は・・・はい」

佐藤「仕事の関係が切れたって、俺たちは仲間だ」

佐藤「だから、いつでも頼れよ」

ウェイバー「・・・ッツ・・・!」

ウェイバー「・・・・佐藤・・・・さん・・・!」

ライダー(・・・・・・・)

ウェイバー「・・・今まで・・・!」

ウェイバー「今まで・・・!本当に!!!」


ウェイバー「お世話になりましたぁ!!!!」


佐藤「・・・おう!元気でな」ニカッ


224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:49:34.09 ID:WFM+LPJQ0
―――――
建設現場 外

ウェイバー「・・・・・・」

ライダー「・・・本当に」

ライダー「本当に、良き奴らだった」

ウェイバー「あぁ・・・」

ウェイバー「・・・・・」

ウェイバー「・・・行こう、ライダー」

ウェイバー「僕らの・・・戦いに・・・」

ライダー「・・・坊主」

ライダー「貴様も・・・ようやく、漢らしい顔付きになってきたな」

ライダー「嬉しいぞ」

ウェイバー「・・・うるせー」

225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:51:00.64 ID:WFM+LPJQ0
―――――
同刻 遠坂邸より少し離れた茂み

切嗣(・・・・・・・)


カァー カァー カァー(烏の鳴き声)


切嗣(・・・鳥・・・)

切嗣(・・・おかしい)

切嗣(・・・結界が張られていない・・・?)

切嗣(・・・何か、妙だ)

切嗣(・・・罠・・・)

切嗣(・・・いや)

切嗣(そんな雰囲気じゃない・・・)

切嗣(・・・・・・)

切嗣(・・・とりあえず、確かめてみないと何も分からないな)

切嗣(・・・行くか)


226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:52:05.10 ID:WFM+LPJQ0
―――――
遠坂邸 邸内 一室

切嗣(・・・・・・)スッ…


キィィィ…


切嗣(・・・何も無し、か)

切嗣(・・・・・・)

切嗣(・・・やはり、何かがおかしい)

切嗣(・・・静か過ぎる・・・余りにも・・・)


227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:53:00.52 ID:WFM+LPJQ0
―――――
遠坂邸 客間

切嗣(・・・・・・・)


カチャ…


キィィ…



切嗣(・・・・・・・)

切嗣(!!!)

切嗣(・・・これは)

切嗣(・・・血痕・・・)

切嗣(・・・・・・・・)

切嗣 スッ…

切嗣(・・・・・・・・)ザラ…

切嗣(・・・まだ新しい)

切嗣(この血痕と、屋敷の静寂には何かしらの因果関係がある・・・)

切嗣(そう、見るべきだろうな)チラ

切嗣(・・・あれは)

切嗣(・・・ティーカップ・・・それも)

切嗣(・・・二人分・・・)

切嗣(・・・・・・・)

228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:53:52.25 ID:WFM+LPJQ0
―――――
遠坂邸 地下室

切嗣(・・・・・・)


カラカラカラ……


シューッ……


切嗣(・・・・・・)

―――――
遠坂邸 客間

切嗣(・・・・・・)


カラカラカラ……


シューッ……


切嗣(・・・同じ反応)

切嗣(・・・・・・・)

切嗣(死んだのは・・・)

切嗣(遠坂・・・・時臣)

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 07:55:59.44 ID:WFM+LPJQ0
―――――
16時15分 バビロン 40階 面接会場

セイバー(・・・どういう事だ)

セイバー(先程から・・・面接者が入っては出るを繰り返している・・・)

セイバー(一人辺り、2分も掛かっていないぞ・・・)

セイバー(本当に・・・面接を行っているのか・・・?)


ガチャッ


セイバー(!)

受験者Z「・・・・・・」とぼ…とぼ…

セイバー(・・・・・・)


「次の方、どうぞ」


セイバー(!)

セイバー(遂に・・・来た・・・!)


「お入りください」


セイバー「・・・はいっ!」

231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:16:32.18 ID:WFM+LPJQ0
―――――
社長室

セイバー「失礼します」



アーチャー「・・・・・・」ニヤニヤ

セイバー(・・・アーチャー・・・)

セイバー(!?)

セイバー(・・・な・・・)

綺礼「・・・・・・・」

セイバー「言峰・・・綺礼・・・?」

アーチャー「どうかしたかな、騎士王殿」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「気になることがあるなら申してみよ」

アーチャー「心配するな、質問した程度で落としはせんよ」ニヤァ

セイバー「・・・そうですか」

セイバー「では、質問させて頂きます」

232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:23:30.10 ID:WFM+LPJQ0
セイバー「何故彼が・・・言峰綺礼氏がここに?」

綺礼「・・・・・・・・」

アーチャー「何か問題でも?」

セイバー「いえ・・・問題はありません」

セイバー「しかし、マスターである遠坂氏がその位置にいると思い込んでいたので・・・」

セイバー「少々・・・以外だっただけです」

アーチャー「・・・・・・・・」

セイバー「・・・申し訳ありませんでした。面接には関係のない質問でした」

アーチャー「いや・・・」

アーチャー「関係なくはないさ」

セイバー「?」

アーチャー「お前にも教えておいてやるか・・・」

233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:24:34.50 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「我がマスター・・・いや、元マスターというべきかな」

アーチャー「遠坂時臣は・・・死んだよ」

セイバー「な・・・!?」

綺礼「・・・・・・・・」

アーチャー「気にするな、不慮の事故というやつだ」

アーチャー「奴も、相当に運の無い男だったらしい」ヤレヤレ

セイバー「・・・それでは」

セイバー「アーチャー殿、貴方は・・・」

セイバー「聖杯戦争から・・・脱落した、と?」

アーチャー「・・・いい質問だ」ニヤァ

アーチャー「そこでこの男だよ」

綺礼「・・・・・・・・」

セイバー「え・・・?」

アーチャー「この言峰綺礼こそ、現在の我がマスターである」

セイバー「な・・・」

234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:27:14.32 ID:WFM+LPJQ0
セイバー「・・・そんな・・・馬鹿な・・・」

アーチャー「どうした、また質問か?」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「ほらどうしたのだ・・・いいぞ、騎士王の質問を許可しよう」

アーチャー「何せ今日の俺は・・・」

アーチャー「寛大であるからな」ニヤァ

セイバー「・・・彼は・・・一度サーヴァントを失い」

セイバー「この戦いに参加する・・・権利を消失した筈」

セイバー「なのに・・・何故・・・?」


パチ…パチ…パチッ…......


アーチャー「・・・100点満点だ・・・」ククク

アーチャー「まるで手本の様な質問であった・・・」

セイバー「・・・・・・・・・」

235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:28:24.46 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「だが・・・如何せん、質問が典型的すぎて、少々退屈ではあるな」

セイバー「・・・・・・・・・」

アーチャー「兎に角だ」

アーチャー「今の我のマスターが誰であろうと、貴様に何か関係があるか?」

セイバー「・・・いえ・・・」

アーチャー「なら質問はこれにて終了とする」

アーチャー「これより、面接を開始する」

セイバー「・・・・・・・」

アーチャー「・・・どうした?」

アーチャー「始まった、と言ったが?」

セイバー「・・・・・・・」

セイバー「私、アインツベルから参りました・・・」

アーチャー「前置きはいい」

セイバー「・・・・・・・」

236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:29:29.24 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「何故我が社を受けるに至ったのか・・・」

アーチャー「聞かせてみるがいい」

アーチャー「騎士王よ」

セイバー「・・・・・・・」

綺礼(・・・・・・・・)

アーチャー「・・・どうした?」

アーチャー「何か言うことがあるのではないか?」

セイバー「・・・・・・・」

セイバー「・・・ランサーは」

アーチャー「あ?」

セイバー「ランサーは、どうだった」

アーチャー「・・・・・・・」

セイバー「奴の最期は・・・どうだったのだ」

セイバー「英雄王よ」

アーチャー「・・・・・・・」

237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:30:15.73 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「・・・質問を質問で返すとは」

アーチャー「面接の基本がなっていないな、騎士王」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「・・・まぁいい」

アーチャー「その問いに答えよう」

綺礼(・・・・・・・・)

アーチャー「雄雄しき最期だった」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「我が宝具の雨に打たれ、その身を何度も削られながらも」

アーチャー「何度も、我に向かってきた」

アーチャー「・・・勝てもしないと、悟った上にも関わらず、だ」

セイバー「・・・そうか」

セイバー「・・・・・・・」

アーチャー「・・・今度こそ答えてもらおう」

アーチャー「何故、我が社に挑んだ?」

238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:31:31.72 ID:WFM+LPJQ0
セイバー「・・・・・・・」

アーチャー「答えよ、騎士王」

セイバー「・・・・・」

セイバー「・・・私は」

セイバー「私は・・・宣戦布告に来た」

アーチャー「・・・・・・・」

セイバー「貴様を倒す、英雄王」

アーチャー「・・・・・ほぅ」

セイバー「聖杯という栄光を掴むため、お前を倒す」

セイバー「・・・そして・・・」

セイバー「ランサーのため・・・」

セイバー「亡き戦友(とも)のため、貴様を討たせてもらう」

アーチャー「・・・・・・・」

セイバー「・・・覚悟しておけ、英雄王よ」

セイバー「騎士王の名において・・・」

セイバー「誇りある闘いに臨むことを・・・今日、ここで誓おう」

アーチャー「・・・・・・・」

239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:32:38.57 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「・・・・成る程」

アーチャー「貴様の自己PR、確かに聞き届けた」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「・・・合格だよ。騎士王」

セイバー(・・・・・・・・)

アーチャー「面接の場で、我に挑戦状を叩きつけた馬鹿は・・・」

アーチャー「貴様が初めてだよ、セイバー」

セイバー「・・・・・・・・」

アーチャー「是非我が社に欲しいところだが・・・」

アーチャー「貴様の事だ・・・我の下で働くなど、言語道断といったところだろう」

セイバー「・・・あぁ」

アーチャー「正直で宜しい」ニヤ

アーチャー「気に入ったよ、騎士王」

アーチャー「貴様の希望に応えてやる」

アーチャー「・・・殺し合おうじゃないか」ニヤァ

セイバー「・・・・・・・・」

240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:33:11.04 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「返事は折り返し伝えよう」

アーチャー「結果を待つがいい・・・」

セイバー「・・・いいとも」

セイバー「待つのは・・・慣れているのでな」

セイバー「いつまでも、待つさ」

アーチャー「・・・面接は終了だ」

アーチャー「とっとと帰るがいい」

セイバー「・・・・・・・」


…………

ガチャッ……


キィィ…


バタンッ……



241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/06/26(火) 15:34:03.94 ID:WFM+LPJQ0
アーチャー「・・・見たか綺礼、あの表情(かお)を」

綺礼「・・・・・・・・」

アーチャー「覚悟というものは・・・実に良い」

アーチャー「人間という生き物を、あれ程までに輝かせるとは・・・」

アーチャー「我が宝具が放つ輝きにも、負けず劣らずといったところだな」

綺礼「・・・これもまた、愉悦・・・と?」

アーチャー「然り」

アーチャー「・・・果実は熟れた・・・」

アーチャー「では・・・そろそろ収穫といこうじゃないか?」

アーチャー「さぞ・・・美味に違いない・・・」ニヤァ

綺礼(・・・・・・・・)