1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:21:39.98 ID:tnkDx/Zt0
『織姫! 会いたかったよ!』

『彦星様!』

『今夜は七夕だ、だから忘れられない夜にしよう』

『ええ、強く私を抱きしめて……』

監督「カーット! 良いわよ良いわよ! 嫌いじゃないわ! 特に真ちゃんは、私好みのイケメンね」

真「あ、あはは……。ボク一応女なんですけど」

涼「はぁ、何で僕が織姫やってるんだろ……。僕も男性アイドルなんですけど」

真「良いなぁ、ボクが着たかったなぁ、それ」

涼「交換します?」

監督「ダメよ! クライアントからも真ちゃんが彦星、涼ちんが織姫って注文来てるんだから」

真・涼「はぁ……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1341674499

引用元: 真「星になれたら」 

 

2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:26:45.59 ID:tnkDx/Zt0
雪歩「真ちゃん! 格好良いよ! むしろ私が織姫になりたい!」

美希「ミキ的に、配役を逆にするのは正気の沙汰じゃないと思うな」

真「そこまで言う!?」

涼「いやいやいや……」

監督「仰るとおりだわ! でも、2人のおかげで良いものが仕上がったわ!」

律子「真ー、終わってすぐで悪いけど次の仕事に行くわよ。ってなんで雪歩と美希もいるのよ」

美希「見学なの」

真「あっ、今行くよ! じゃあね、涼」

涼「はい、お疲れ様です! げっ、夢子ちゃんからメール来てる……。急がなきゃ!」

真「羨ましいなぁ、涼は」

律子「どうかしらね。良い様に振り回されてるみたいだし」

真「それでもさ、いつでも会えるってやっぱり羨ましいや」

律子「真……。あなたの場合は」

真「自業自得って言いたいんでしょ? 分かってるよ、それぐらい」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:31:17.12 ID:tnkDx/Zt0
真(織姫と彦星。1年に1度しか会えない、恋人たち。まるでボクとプロデューサーみたいだ)

1年前

P「真! 念願のAランクアイドルだ!」

真「ホントですか! へへっ、やーりぃ! ついにここまで来たんですね」

P「ああ、良く頑張って来たよ。ゴメンな、いつも自分が望んだ姿じゃなくて」

真「良いんです、分かってますから。最初は嫌々だったけど、今じゃこれも悪くないかなって思えるんです。何でですかね?」

P「そっか……」

真「プロデューサー?

P「あっ、うん。悪い、少し考え事をしていてな」

真「考え事? あっ、もしかして、ボクのこと考えてました?」

P「……正解」

真「え? そうなんですか?」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:37:13.44 ID:tnkDx/Zt0
P「あのな! 真……。良く聞いてほしいんだ」

真「な、なんですか? 急に改まって」

P「いきなりのことで驚くかもしれない。だけど今言わないと、真がどこかに行ってしまいそうな気がして……」

P「好きだ」

真「すき家? 牛丼ですか?」

P「違う! そうじゃなくて好きなんだ! 真のことが!」

真「好きですよ、牛丼……ってえ?」

P「恥ずかしいけど、もう一回言うぞ。真が好きなんだ、愛してる」

真「え、え、えええ!?」

P「プロデューサーと担当アイドルがこんな関係になるなんてダメだって分かってる! だけどこの気持ちだけはどうしようもないんだ! ファンのみんなが知らなくても、真の可愛いところを独り占めしたいんだ!!」

真「プロデューサー、それ本当ですか? 本当にそう思ってますか?」

P「嘘なんか吐くものか。心から、真を愛おしく思う、それだけだよ」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:43:03.15 ID:tnkDx/Zt0
真「じゃ、じゃあ! 証拠! 証拠見せてください。ボクのことが好きだってんっ……」

P「んくっ、これが証拠だよ」

真「プロデューサー」

P「なんだ? んんっ」

真「プハッ! これがボクの気持ちです」

P「え?」

真「……鈍いですね。ボクだって、プロデューサーのことが好きで好きで仕方ないんですから」

P「真!!」

真「わっ! もう、そんなに強く抱きしめないでくださいよ。ボクは、どこにも行ったりしません。愛してますよ、プロデューサー!」

P「俺もだ、真」

真(こうして、Aランクアイドルになると同時に、彼氏が出来た。世間はボクのことを王子様と見ていても、この人といる時だけはお姫様でいられた。プロデューサーも、女の子の僕を独り占めしていた。それで十分だった)

真(だからこそ、ボクとプロデューサーは、互いに依存し過ぎたんだと思う)

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 00:51:32.89 ID:tnkDx/Zt0
社長「君たちがなぜ呼ばれたか、分かるかね?」

真「ボクのアイドルランクが下がったことですか?」

社長「うむ、その通り。Aランクアイドルであり続けることは確かに難しい。だからと言って、一気にここまで下がりこむものでもない。そうだろう、君」

P「……知っていたんですか?」

社長「社員とアイドルのことぐらい、全て把握しているさ。誕生日から好きな食べ物、恋人の有無もね」

真「!?」

P「社長、これは……」

社長「わが社のアイドルに手を出した、それに関して咎める気はない。恋愛なんて、最終的には本人同士の気持ちだからね。年寄りがああだこうだ言うべきじゃない。私自身、君たちが新たな絆を得たことで、それが良いベクトルに行けばと信じていたが……、正直言って失望したよ」

真「……」

社長「まさか、目の前で織姫と彦星が見れると思わなかったよ」

P「社長! 俺達は!」

社長「愛が全てかい? ならば、別の事務所を勧めよう。765プロは、結婚相談所を経営しているつもりはないのでね」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:02:45.56 ID:tnkDx/Zt0
社長「だが、そうは言ったものの、私にとって君たちは息子と娘のようなものだ。だから、1つチャンスをやろう」

真「チャンスですか?」

社長「うむ、私も現状をなぁなぁにしたくない。それに、君にもそろそろ次のステップを踏んでもらおうと思っていたところだ」

P「次のステップ……」

社長「アメリカに飛びたまえ」

P「あ、アメリカ!?」

社長「ショービジネスの本場だ。そこで、プロデューサーとして修業を積んでもらう。そして菊地君は、Aランクアイドルに返り咲く」

真「もう一度ですか」

社長「一度失った信頼と人気はそう簡単に取り戻せない。そして、彼抜きでそれを達成しなければならない。これまで以上に厳しいものになるのは、君も理解しているだろう。双方目的を達成するまで、私は会わせる気はない」

P「織姫と彦星ってわけですか」

社長「そう捉えてもらって構わんよ。言っておくが、これは私が与える最初で最後のチャンスだ。どうすべきか、考えたまえ」

P「分かりました。恩情、ありがとうございます」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:06:25.52 ID:tnkDx/Zt0
真「ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ、真」

真「アメリカに行くんですか?」

P「そう、しないといけないよな」

真「ボクは……、もう良いです」

P「え?」

真「もう良いんです! 貴方がいなくなるのが嫌なんです! 別れるぐらいなら、ボクはアイドルを辞めます」

P「……それ、本気か?」

真「はい。そもそも可愛い自分を見て貰いたいって目的は、とうの昔に叶ってますから。十分です、貴方さえボクを見てくれていれば……」

P「そう、か……。俺は、取り返しのつかないことをしたのかな?」

真「……なんで泣いているんですか?」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:18:29.07 ID:tnkDx/Zt0
P「真はさ、みんなに認めてもらいたくて、頑張って来たんじゃないか。俺がそれを、邪魔してしまったのかな? そう思うと、自然と涙が出てきてさ」

真「違う! 貴方は悪くない!」

P「情けないよな、俺。いい歳してるのに、好きな子1人守れやしなかった」

真「そんな顔しないでください。ボクまで泣きたくなるじゃないですか」

P「分かっていたんだ。真を独り占めしちゃダメだって、世間にこの娘はこんなに可愛いんだってことを知らせなきゃいけないって分かってたのに。俺は真がいなくなるのが怖かったんだ」

真「ボクはいなくなったりしません。貴方が望むなら、どこにでも付いていきます」

P「なら俺の望みは、真はここで頑張って欲しい。みんなが認める可愛いアイドルになって欲しいんだ」

真「プロデューサー……」

P「その気持ちはすごく嬉しい。今すぐにでも、真を連れてどこか遠くに逃げたいぐらいだ。でも、そのままじゃダメなんだ。俺達はきっと、幸せになれない。後悔したまま、生きていくと思う」

P「だから……、俺はアメリカに行く。社長を見返す時まで」

真「決意は変わらないんですね。羨ましいです。ボクなんて、さっきまで辞めてやるって決めてたのに、もう決意変わっちゃった」

P「良いんだよ、それで。焦る必要はさ、なかったんだから」

真「ボクもここでやり直します。みんなを見返すその日まで」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:22:20.08 ID:tnkDx/Zt0
P「本当に織姫と彦星になっちゃったな」

真「へへっ、そうですね。もちろんボクが、織姫ですよね」

P「ああ、俺にとっては真だけが織姫さ」

真「もう、気障なこと言っちゃって」

P「こういう時ぐらい、格好つけさせてほしいな」

真「泣いてたのに?」

P「そ、それはいいだろ!」

真「じゃあプロデューサー、互いに頑張りましょう。織姫と彦星が赦されるその時まで」

P「だな。すぐに戻って来てやるさ」

真「ボクこそ! 可愛い女の子になって今以上に好きにさせちゃいますからね!」

P「あれ、やるか」

真「はい! そう言えば、久しぶりですね」

P「今まで気合が足りてなかったのかもな?」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:24:54.72 ID:tnkDx/Zt0
真「それじゃあ行きますよ」

P「ああ」

『ダーン!』

真(と、今に至るまで頑張っては来たけど……)

律子「次はメンズファッションの撮影ね」

雪歩「また格好良い真ちゃんが見れる!!」

美希「おにぎり3つは行けるの!」

真(菊地真、まだまだ可愛いとは程遠そうです……)

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:32:31.04 ID:tnkDx/Zt0
真「はぁ、今日も疲れたぁ……。そう言えば、今日七夕なんだよな。あっ、短冊飾ってる」

『早くイケメンになりたいです』
『鈍感なあいつが振り向いてくれますように』
『ママがもっとお小遣いくれますように!』
『尾崎さんとサイネリアが仲良くなりますように』
『凛ちゃんと卯月ちゃんがデビューしたから次は私が!』
『世界で一番可愛いボクに腹麺麭をしたいだなんて抜かす人間がいなくなりますように』
『こけない!』
『世界的な歌手になりますように。後1上がって欲しい』
『良い願いだ、感動的だな、だが無意味だ』
『家族みんなが幸せならいいかなーって』

真「みんないろんな願いがあるんだな。所々おかしい気がするけど……」

真「ボクも書こうかな。えっと……」

『可愛い女の子になれますように』

真「これじゃ男の人が書いたみたいだな……。あれ?」

『彦星が織姫に会えますように』

真「この字……」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:35:24.96 ID:tnkDx/Zt0
?「この短冊は、願いが叶うようだな」

真「え? プロデューサー?」

P「そう、俺だ。ってわぁ!」

真「本物のプロデューサーだ!!」

P「あ、あの真さん?」

真「この匂いも、暖かさも……帰って来たんですね!」

P「みんな見ているんですけど……」

真「え?」

「なぁあれ真王子じゃね?」
「誰よあのイケメン! ってイケメンが2人!?」
「キャー! だいたーん!!」

P「とにかく……、逃げるぞ!」

真「ま、待って!!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:38:49.33 ID:tnkDx/Zt0
P「ぜぇ、ぜぇ……。ここまで来れば、安全だな」

真「えっと、プロデューサー?」

P「なんだ、真」

真「えっと、帰って来たんですか?」

P「あー、それなんだがな、今夜だけなんだ」

真「え?」

P「織姫と彦星だよ。俺もまだまだ未熟者だ。向こうじゃ付いていくのに精いっぱいだ。それに、真もまだ夢が叶ってないだろ? 涼君が織姫だったし」

真「見たんですか?」

P「勿論。担当アイドルの出演した番組は全部チェックしてるよ」

真「その、なんというか……。まだまだですね」

P「俺もだ。だけど、今日は七夕だ。1年に1回だけ、頑張っている2人に時間をくれるんだ」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:42:32.27 ID:tnkDx/Zt0
P「これも、社長に感謝しないとな……」

真「へ?」

P「あっ、こっちの話。だから、日本にいれる時間は短い。明日になれば、またアメリカに飛ばないといけないし」

真「本当に、彦星様ですね」

P「牛じゃなくて飛行機だけどな。それじゃ、織姫様。エスコートいたします」

真「ええ、よろしくお願いしてよ?」

P「それ、変じゃないか?」

真「そんなことありませんわ! ってやっぱりおかしいですかね」

P「無理にしなくていいさ。今の真が一番可愛いんだし」

真「そういうこと、真顔で言わないでくださいよ。恥ずかしい」

P「でも欲を言うなら……」

真「?」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:45:47.86 ID:tnkDx/Zt0
真「え、えっと……、どうですか?」

P「可愛い……」

真「か、可愛いですか!?」

P「最高に可愛いよ! やっぱり、今日のデートぐらいは、真の望んだ服を着て貰いたいしな」

真「えへへ……」

P「さてと、お姫様も着替えたことだし、行きますか」

真「ねぇ、どこ連れてってくれるんですか?」

P「特に決めてないな」

真「ノープランですか。まっ、それも悪くないですね」

P「適当に色んなとこブラブラしてさ、楽しめたらいいよな」

真「ボクはもう、十分楽しいですけどね」

P「これからだよ」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:50:07.45 ID:tnkDx/Zt0
真「高そうなお店ですね」

P「まぁ値は張るかな。気にするな、今日ぐらいは俺が持つよ」

真「ええ!? 絶対奢れる額じゃないですよ!」

P「こういう時ぐらい、格好つけさせてくれよ」

真「ま、まぁどうしてもって言うなら、奢られてあげますよ?」

P「じゃあ真、自分の分払うよな?」

真「冗談です! 女の子らしく、奢られますよ!!」

P「その女の子らしいは少し違う気がする」

真「美味しい……、こんなに美味しいもの、テレビでも食べたことないです」

P「だろ? 日本にいたころに連れてかれたんだ」

真「誰にですか?」

P「デネブ、かな?」

真「?」

??「ファクション! うむ、誰か私のことを噂しているのだろうか?」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:54:07.81 ID:tnkDx/Zt0
P「って乾杯するの忘れてたな」

真「うっ、それはボクががっつき過ぎって言いたいんですか?」

P「違うよ。こんなに美味しいんだ、色気より食い気に走るのも分かるさ」

真「ボクにだって色気ありますよ!」

P「誰よりも知ってるつもりだけど?」

真「前以上にあります! ほらっ、るっぱ~ん」

P「それもなんか違う気がする」

真「むぅ、注文が多いですね。もーらいっと!」

P「こら! 勝手に人のを取るな!」

真「食べたもの勝ちなんですよ!! ってああ!!」

P「ゆめゆめご油断召されるな!」

ウェイター(こいつらうるせぇ)

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 01:57:12.51 ID:tnkDx/Zt0
真「美味しかったですね! 食べ過ぎて太っちゃったかな……」

P「俺の財布は軽くなったぞ……」

真「さて、彦星様はどこに連れて行ってくれるんですか?」

P「そうだな。出来ればお金を使わない所……。あっ、いいとこ見っけ!」

真「どこですか?」

P「良いところだよ」

真「変な意味じゃないですよね?」

P「違うっての」

真「変な意味でもよかったんだけどなぁ」

P「こら。アイドルがそういうこと言わないの」

真「いたっ! デコピンすることないじゃないですか!」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:11:20.25 ID:rErOVrDd0
P「さぁ、着きましたよお姫様」

真「わぁ! 星がいっぱい!」

P「ここはさ、お気に入りの場所なんだ。こうやって星を見ていると」

真「自分の存在がちっぽけなるとか?」

P「良く分かったな」

真「あなたの考えていることなら、なんでもお見通しですよ」

P「それは、困ったな」

真「困っちゃってください。1年間会えなかったんです。その分、困ってください」

P「可愛いやつめ」

真「ありがとうございます」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:32:00.36 ID:tnkDx/Zt0
P「寝転がると服汚れるぞ」

真「でも気持ち良いじゃないですか」

P「同感だな。こうやって見ると、良く見えるよな」

真「何がですか?」

P「夏の大三角形。あれがデネブアルタイルベガ……、どれがどれだっけ?」

真「もう、ロマンチックに行くかと思ったらずっこけちゃったじゃないですか」

P「星座とか詳しくなくてな……。アルタイルが彦星で、ベガが織姫ってのは知ってるんだけどな」

真「あれが彦星様で、あれがベガですよ」

P「詳しいんだな」

真「こういう話、好きですから。自然と覚えちゃいました。アルタイルがプロデューサーで、ベガがボク。デネブは……」

P「社長ってとこだな」

真「あー、納得しました。色々と」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:35:34.64 ID:tnkDx/Zt0
真「でもそれじゃあ、プロデューサーと社長がボクを取り合ってるみたいですね」

P「案外真と社長が俺を取り合ってるのかもしれないぞ?」

真「それは嫌ですね」

P「俺と真が社長を取り合うよりはマシだよ」

真「小鳥さんが喜びそうですね」

P「まだあんな趣味持ってたんだ……」

真「だから結婚できないんですよ。勿体ないなぁ」

P「ははは……、何とも言えない」

真「ねえ、プロデューサー」

P「ん?」

真「手、繋いでいいですか?」

P「嫌と言ったら?」

真「それでも繋ぎます」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:41:24.89 ID:tnkDx/Zt0
P「真の手、冷たいな」

真「プロデューサーの手は暖かいですよ」

P「真が触れてるからだよ」

真「そういうこと、言わないでください!」

P「おっ、真の手が温かくなったぞ」

真「嘘だぁ!」

P「ホントだって。ほら、暖かいだろ?」

真「自分の手をほっぺに当てられても分かりませんよ。比較対象をください」

P「え? あっ」

真「プロデューサーの手、やっぱり暖かいです。気持ちが伝わってきますよ。むぎゅ!」

P「そんな恥ずかしいこと言う口は、こうしてやる! トラバサミの刑だ!」

真「やめてくださいよ! 変な顔になっちゃったじゃないですか」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:49:47.24 ID:tnkDx/Zt0
P「そういう顔も可愛いけどな」

真「ごまかそうとして! そんなこと言っても許しませんよ!」

P「じゃあどうしたら許してくれるんだ?」

真「自分で考えてください!」

P「自分で考えろか……。そうだなぁ」

真「担当アイドルのこと、当然知ってますよね? なら今僕が求めぅん……」

P「これか?」

真「……馬鹿。正解ですよ」

P「そっか。ならご褒美が欲しいな」

真「もう……、そんな顔しないでくださいよ。んっ」

P「やってること、一緒じゃないか」

真「良いじゃないですか。ボクなりのご褒美です!」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 02:56:58.70 ID:tnkDx/Zt0
P「なぁ、真」

真「何ですか?」

P「俺達、どうなるんだろうな」

真「どうにでもなりますよ。アイドルになったときから、厳しい未来覚悟しているんですから」

P「そっか。なら安心したよ。俺も頑張らないとな。早く認められて、こっちに帰ってこれるよう頑張るよ」

真「ねえ、プロデューサー!!」

P「うん?」

真「次会う時は、もっと可愛くなってますから! 覚悟しておいてくださいね!」

P「それはそれは……、また1年頑張れそうだな」

真「へへっ! 楽しみにしておいてくださいね!」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:02:09.68 ID:tnkDx/Zt0
真「あっ、もう8日なんですね」

P「そうだな。名残惜しいけど、彦星は帰らないといけないな」

真「ボク、待ってますから。また来年、会いましょう」

P「ああ、また来年。その時まで」

『ダーン!』

真(翌日、プロデューサーはアメリカに帰った。また来年、会う約束をして)

真「デネブって、社長なんですね」

社長「なんのことかね?」

真「いいえ、なんでも」

真(どうやらプロデューサーに帰ってこいと言ったのは、他ならぬこの人のようだ)

社長「コホン、昨晩は楽しめたかね?」

真「はい。素敵な夜を過ごせました」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:07:19.21 ID:tnkDx/Zt0
社長「そうか。なら、これを励みにまた頑張ってくれたまえ。Aランク復帰は近い、だが君にはそれ以上を目指してもらわなければ」

真「そのつもりです。それが、あの人のために出来ることですから」

社長「うむ、満点だ」

真「へへっ」

律子「真ー、撮影に行くわよー」

真「あっ、今いくよ!」

真(プロデューサーが帰って来たときに、誇れるアイドルになるんだ!!)

社長「若いというのは、良いものだね。音無君」

小鳥「そこで私に振らないでください!! 来年の七夕なんて雷雨で終わっちゃえー!」

社長「君も十分若いと思うのだが……」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:10:19.88 ID:tnkDx/Zt0
1年後

『織姫! 会いたかったよ!』

『彦星様!』

『今夜は七夕だ、だから忘れられない夜にしよう』

『ええ、強く私を抱きしめて……』

監督「カーット! 良いわよ良いわよ! 嫌いじゃないわ! 特に涼ちゃんは、私好みのイケメンね」

涼「あ、あはは……。お尻触らないで欲しいんですけど……」

監督「にしても、真ちゃんも化けたわねぇ。女って、変わる物なのね。これはこれで、嫌いじゃないわよ」

真「そうですか? えへへ」

監督「去年と同じ組み合わせなのに、演じている役が逆だなんて、2人とも良い1年を過ごしたのね。妬けちゃうわ」

涼「だからさわさわしないでください!」

監督「えいっ」

涼「ぎゃおおおおん!」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:17:40.48 ID:tnkDx/Zt0
涼「はぁ、酷い目に合った……」

真「随分気に入られたみたいだね」

涼「あまり嬉しくないです……。げっ、夢子からメール来てる! すみません、真さん! ボク行きますね」

真「織姫を怒らせるなよー!! なんだかなぁ、涼も男前になったな。感慨深いや。それにボクも……」

律子「真ー、次の仕事よ。早く着替えなさいよー」

真「あっ、うん! この服、可愛いし持って帰っちゃダメかな……。えっ、来年も使う?」

律子「えっと、次の仕事はティーン雑誌のモデルね。今時の女子高生に人気のファッションねぇ……。まさか真みたいな服が流行るなんて、世も末ね」

真「どういうことかな!?」

律子「冗談よ、冗談。でも去年じゃ考えられなかったわ。真にこんな仕事が舞い込んでくるなんて。涼と言い、あんたと言い、頑張ったものね」

真「だってあの人も頑張ってるから……。えへへ」

律子「はいはい、良かったわね。ほら、行くわよ」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:23:06.17 ID:tnkDx/Zt0
真「はぁ、今日も疲れたぁ……。あっ、短冊飾ってる」

『彼女とずっと幸せに過ごしたいです』
『あいつとずっと幸せに過ごしたいです』
『ママがもっともっとお小遣いくれますように!』
『尾崎さんとサイネリア仲良くなりすぎて気持ち悪いので、程々に仲悪くしてください』
『凛さんと卯月さんと未央さんがデビューしたから次は世界一可愛いボクが!』
『恋人がほしいです!!!!!! 年収500万以上で私の趣味に理解を示して裏に続く!』
『こけない!』
『贅沢は言わないので、後もう1上がって欲しい』
『良い願いだ、感動的だな、だが無意味だ』
『世界が平和になればうれしいかなーって』

真「去年と書いている人があまり変わらないような気がするけど……、まさかね」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:29:54.36 ID:tnkDx/Zt0
真「折角だから、ボクも書こうかな」

『織姫と彦星が会えますように』

真「へへっ……。あれ?」

『織姫と彦星が、一生仲良く幸せでいれますように』

真「この字は……」

?「この短冊の願いは、叶うようだな」

真「……そうですね、彦星様」

P「お待たせ、織姫」

真「叶っちゃいましたね、ボクの願い」

P「まださ。俺の願いは叶ってないさ。でも、今叶えてみせる」

真「これは……。プロデューサー」

P「ん?」

真「あなたの願い、叶っちゃいましたね」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/08(日) 03:32:19.08 ID:tnkDx/Zt0
『2人ずっと、一緒にいれますように byAltair&Vega』