2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:42:35.43 ID:1GQLWH4jO
199X年…地球は、核の炎に包まれた。
世界各国は交流を断絶し、孤立した。
これで仮初めの平和は訪れるかと思われた。
しかし、新たなる脅威が産まれた。
………深海棲艦である………

引用元: 提督「瑞鳳、瑞鶴……いつか……また…」 

 

艦これジャーナル 艦娘たちのお正月

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3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:43:08.10 ID:1GQLWH4jO
提督「ここは…」

元帥「鎮守府だ。これから君にはここで軍の指揮を採ってもらう」

提督「軍…ですか……?しかし、我が国はもう既に戦力など無いに等しいのでは?」

提督「現状、我が国に残っている戦力といえば、はつゆき型のやまゆきとあさぎり型のあさぎりのみ…ああ、あとは砲台と化した三笠もありましたね。いずれにせよ、とても軍の体裁すらも取れていないかと…」

元帥「そうだな。我が国の艦艇はもはや無きに等しい」

提督「でしたら、何故私がこのような場所で軍の指揮を採る必要が?まさか護衛艦2隻だけで奴らと戦えと仰せられるのでしょうか?」

元帥「はは、それはいいな。では、そうしようか」

提督「は?」

元帥「提督に命ずる。貴官はこれよりこの横須賀鎮守府で艦隊の指揮を採れ。なお、着任に当たって貴官には駆逐艦を1隻与える」

提督「元帥殿、私には理解が遠く及ばないのですが…」

元帥「説明するのも良いが、ちと時間がかかりすぎる。 実際にその目で見るのが早いだろう」

提督「いや、流石にそれだけでは納得が…」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:43:43.93 ID:1GQLWH4jO
元帥「なら、一つ教えてやろう。君に託すのは我らの最後の希望だ」

元帥「核戦争に巻き込まれて以来我らは建艦能力を失った。技術はあれども資源が無ければ船は作れん」

元帥「それ故に我らは核戦争で壊滅的に減った艦艇をさらに擦り減らすことしか出来なかった。これは仕方が無かったことだ」

元帥「しかし、我らは新たなる希望を手に入れた。今までは劣勢…いや、敗北を強いられていた我が国も奴らから制海権を取り返す事が出来るかもしれない」

提督「では、何故私なのです?私は海軍の将校の中で最も若輩者です。そのような大事な戦力ならば元帥殿こそが指揮を採るべきなのでは?」

元帥「それは君が一番若いからだよ」

提督「なっ!?」

元帥「まあいい。儂の話は終わりだ。あとは行けば分かる」

提督「分かりました。では、これより私は鎮守府運営の任に着きます!」

元帥「うむ。上手くやれよ」

提督「はっ!!」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:44:10.91 ID:1GQLWH4jO
鎮守府

提督「ここが鎮守府…」テクテク

電「はわわわわわわわ」バタバタ

電「はにゃー!!!?」ドンッ

提督「!?」チラッ

電「はわわわわわわわ!びっくりしたのです!」

提督「子供?なぜこのような所に…」

電「ご、ごごごごごごめんなさいなのです!!」

提督「いや、いい。それより君は?」

電「私は駆逐艦の電なのです!」

提督「は?」

電「駆逐艦の電なのです!」

提督「冗談はよしてくれお嬢ちゃん。お嬢ちゃんはどこから来たのかな?お兄さんがお家に返してあげるからさ」

電「嘘じゃないのです!電は駆逐艦電なのです!!」

提督「知っているかい?駆逐艦ってのはね…」

電「電の本気を見るのです!!」パッ

提督「なっ…連装砲!?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:44:43.12 ID:1GQLWH4jO
提督「私は提督だ。本日付けでこの鎮守府に着任することになった」

電「提督さんなのです?」

提督「ああ。もしかしてここには君一人しかいないのか?」

電「はい。ここには電だけしかいないのです。あ、だけど、妖精さん達がいるのです」

提督「妖精?」

電「妖精さんは、電の装備を作ってくれたり、動かす時に手伝ってくれるのです」

提督「そうなのか?」

電「そうなのです。ほら、妖精さん、出て来て下さいなのです!」

砲撃翌妖精「ドモー」

修理妖精「ドモー!」

提督「これが妖精か…」

提督「よろしく頼むよ。若輩者だが、これからは手を貸してくれ」

修理妖精「キャー!!」ピョンピョン

電「早速司令官さんは気に入られたみたいなのです」

提督「……………」

その他妖精達「キャーキャー!!」ペタペタ

提督「…………」

電(司令官さん、されるがままなのです)

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:45:13.64 ID:1GQLWH4jO
提督「やっと終わったか」

電「あの…あの…」

提督「どうした?」

電「お疲れ様なのです!」

提督「ああ…ありがとう」

電「!」パアア

提督「どうした?」

電「いえ、何でもないのです!」

提督「?」

電「………」モジッ

提督「まあいい。今日はもう遅い。早く電も風呂に入って寝るがいい」

提督「明日は0600に執務室に来るんだ。いいな?」

電「はい!なのです!!」

提督「よし。おやすみ、電」

電「おやすみなさいなのです!司令官さん!!」タタッ バタン

提督(駆逐艦電…艦艇の…しかも大昔の装備を持った娘…)

提督(一体どういうことだ…分からないことが多すぎる…)

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:45:43.23 ID:1GQLWH4jO
コンコン

提督「入れ」

電「失礼します…なのです」ガチャ

提督「おはよう、電」

電「おはようございますなのです!」

提督「早速だが、聞きたいことが山程ある」

電「はい?なんでしょうか?」

提督「電。君は何者だ?」

電「電はくち…」

提督「駆逐艦なのは分かった。そうではなくて、君は何者なんだ?」

電「えっと…えっと……それは、司令官さんが提督さんだということみたいな感じですか?」

提督「………少し違う気がするが、まあいい。答えてくれ」

電「でしたら…電は艦娘なのです!」

提督「艦…娘?」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:47:04.67 ID:1GQLWH4jO
電「はい。電は艦の記憶を持った娘。だから艦娘なのです!」

提督「ちょっと待て!艦の記憶だと!?」

電「電は……大東亜戦争で戦った駆逐艦電の記憶を持っているのです…」

提督「………ありえん…」

電「嘘じゃないのです!!電はかつて米国と戦った電なのです!!信じて欲しいのです!」

提督「なら、俺の目を見ろ。絶対逸らすなよ」

電「………」ジー

提督「………」ギロッ

電「!!?」ビクッ

電「………」ジー

提督「………分かった…嘘では無いようだ…すまんな、怖がらせてしまって」ナデナデ

電「はい…なのです」

電(司令官さんの手…温かいのです)

提督「では、次の質問だ」

提督「電、君はどうやって産まれて来たんだ?」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:47:35.18 ID:1GQLWH4jO
電「それは……分からないのです…」

提督「分からない?」

電「はい…いつの間にか電は何処かの施設に入れられていました……」

電「そこで電は何年も研究されたのです。酷いことはされなかったけど、怖かった…」

電「暗い部屋で毎日一人で寝て、起きて、研究される…そんな日の連続でした…」

電「だけど、ちょっと前に突然ここに連れて来られたのです」

電「怖い顔をした男の人達にここにいろって言われたのです。だから電はここにいました。そしたら、ここに司令官さんが来たのです」

提督「………そうだったのか…」

提督「ありがとう、電。そしてすまなかった。嫌な過去を思い出させてしまったな。」

電「いえ、電は大丈夫なのです!」

提督「そうか…」

提督「では、あとは鎮守府を廻りながら色々聞きたい。電、鎮守府の施設の場所は分かるか?」

電「はい!なのです!」

提督「道案内を頼む。行くぞ」スタスタ

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:48:30.72 ID:1GQLWH4jO
電「ここで終わりなのです」

提督「ふむ…こんなもんか」

提督(工廠やドッグ。その他の施設…サイズさえ小さいが、本格的な軍港と言えるか…)

電「司令官さん?」

提督「ん?ああ、何でもない」

電「?」

提督「そういえば、艦娘は電、君一人だな?」

電「はい。電一人だけなのです!」

提督「では、他の艦娘は存在しないのか?」

電「……それは…電には分からないのです…」

提督「そうか………」

提督(この鎮守府に電しかいないということは、他に艦娘はいないのは十分考えられる。こればかりは致し方な…)

提督「ん?」チラッ

建造妖精「テートクー!テートクー!」ピョンピョン

提督「どうした?」

建造妖精「カンムス、ツクレル!!」

提督「は?」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:49:22.68 ID:1GQLWH4jO
提督「作れる…だと?」

建造妖精「ウン!」ニコッ

提督「冗談はよしてくれ。一体どうやったら生きている艦娘を‘‘建造”出来るというのだ?」

建造妖精「ツクリカタ、オシエテモラッタ!」

提督「誰に?」

建造妖精「ソレハヒミツ!ヤクソクダカラ」

提督「例えそれが上官命令でもか?」

建造妖精「ダメ」

提督「………」

建造妖精「ダメ」

提督「………分かった。そこまでは聞かない」

建造妖精「アリガト」

提督「では、その代わりではないが、艦娘を作ってくれないか?」

建造妖精「シゲンチョウダイ」

提督「資源?必要なのか?」

建造妖精「シゲンヒツヨウ。ナイトツクレナイ」

提督「そうか………ならば、また後で資源を持って来るとしよう。後ほど頼む」

建造妖精「マカセロ!!」

提督「電、執務室に戻るぞ」

電「は、はい!」

電「妖精さん、また後でよろしくお願いしますなのです!」タタッ

建造妖精「バイバイ」フリフリ

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 22:59:19.47 ID:cdm1VAZTO
電「し、司令官さん」

提督「どうした?」

電「えっと…今から建造をするのですか?」

提督「ああ。そのつもりだが…」

電「どうかしたのですか?」

提督「建造の前に一度君を出撃させたいと思う」

電「い、電をですか!?」

提督「ああ。一応今回の出撃は偵察、そして敵と艦娘の戦力の分析をしたいという意向を兼ねている」

電「偵察?」

提督「そうだ。たとえ駆逐艦一人とは言えども、鎮守府前海域ならば奴等もオーラを纏っていない駆逐艦しかいない。偵察程度ならば可能な筈だ」

提督「もしも鎮守府前海域を制圧出来たのならばそれはそれで御の字だが、あくまでもこれは敵の殲滅作戦ではない。無理な進軍は控えることとする」

電「分かりましたなのです!」

提督「すまんな。君一人に重荷を背負わせてしまって」

電「電は艦娘です。かつてはたくさんの戦いを経験してきたのですよ?だから任せて下さいなのです!」

提督「期待してるよ。では、1400より作戦開始だ。それまでに出撃の準備を整えておけ」

電「はい!!」ビシッ

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:00:15.54 ID:cdm1VAZTO
1400

提督「電、作戦開始だ。準備はいいか?」

電「問題ないのです!」

提督「了解した。では…出撃!!」





電「司令官さん、敵艦発見なのです!」

提督「距離と敵艦種は?」

電「えっと…2000ぐらいだと思…」

提督「曖昧にするな!正確な数字を言え!」

電「ひっ!!………ごめんなさい…」

提督「謝罪など後でいい!距離と敵艦種は?」

電「2034なのです!敵艦は駆逐艦一隻!」

提督「近いか…電、敵はこちらに気付いていないか?」

電「まだ敵は電に気付い……はわわ!撃ってきたのです!!」

提督「急いで回避運動をとれ!」

電「はわわ…はわわ…はわわわわ!」サッ

提督「被害状況は!?」

電「被害無しなのです!」

提督「よし!今度はこちらから反撃だ。第一、第二主砲斉射!」

電「なのです!!」ドーン!



18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:01:14.69 ID:cdm1VAZTO
イ級「!!?」小破

電「敵艦、小破なのです!」

提督「よくやった!では、第二せ…」

イ級「………」パシュッ

シュー

電「敵艦、魚雷発射!!」

提督「しまった…雷撃可能距離に……回避行動!!」

電「はい!…………全回避なのです!」

提督「電、魚雷発射だ!1番、3番!」

電「なのです!!」パシュッ シュー

ドカーン!!

電「敵艦轟沈なのです!」

提督「周囲警戒!他に艦影は?」

電「艦影無し!」

提督「そうか…戦闘終了。電、残りの弾薬はどうだ?」

電「まだ十分あるのです」

提督「分かった。進撃だ」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:02:10.74 ID:cdm1VAZTO
………

電「司令官さん…?」ブルブル

提督「ああ…流石に無理だろうな」

電「………はい…」

提督「帰投するぞ」

提督(駆逐3…そして軽巡1……練度不十分な駆逐艦1隻では到底倒せないか)

提督(最も深海棲艦が弱いと言われる鎮守府正面海域でもこれだけの戦力を持つならば外海は一体…)

提督(戻ったら対策を考え…)

ズドーン……………ドン ドン

提督「!!?何事だ!!」

電「敵艦隊、砲撃してきたのです!」

提督「気付かれただと!?」

提督「電!!反転!全速力で戻ってこい!!」

提督「総員、戦闘準備!!艦を反転させ横須賀へ向けて前進!速射砲は敵艦を射程に収め次第砲撃開始!電の撤退を援護!」

提督「電!お前を回収したら全速力で当海域から脱出する!何としても戻って来い!」

電「電が囮になれば司令官さんは…」

提督「ダメだ!絶対に戻って来るんだ!!それだけは俺が許さない!!」

電「は………はい!」

砲手「敵艦、射程圏内入りました!」

提督「第一射、てぇ!!!」

ズドン!!




20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:02:56.29 ID:cdm1VAZTO
鎮守府

提督「………………」

電「………………」

提督「………………」

電「………………」

電「あの…し…」

提督「電」

電「はい!!?」

提督「なぜ命令を無視しようとした?」

電「電は……」

電「電は……司令官さんを助けたかったのです…」

電「電が囮になれば司令官さんは逃げれます…だから……」

提督「そうか。ありがとう、電」

提督「だが、これからは二度と囮になろうなどと考えるな」

電「でも………」

提督「でもも何もない。もしも私…あさぎりがやられたらそれはそれまでだ。また次の提督が送られてくる。確かに数少ない護衛艦を失うのは痛いが、それよりもずっと戦力になる君たち艦娘を沈められる方がずっと痛い」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:03:24.18 ID:cdm1VAZTO
提督「それにな…何よりも私の目覚めが悪くなる。私にそんな思いはさせないでくれ」

電「寝覚め…ですか?」

提督「ああ。寝覚めが悪くなる。だから私のためだと思って二度とそのような事をしないでくれ」

電「えへへ」クスクス

提督「なんだ?」

電「司令官さん、とても優しいのです」

提督「そうでもない」

電「優しいです。そうやって電のことを気遣ってくれるのですよ?優しくない訳がないのです」

提督「…………まあいい。電、工廠に行くぞ」

電「工廠ですか?」

提督「建造したい艦種を決めた」

電「艦種?」

提督「航空母艦……空母だよ」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:04:20.89 ID:cdm1VAZTO
工廠

提督「空母を作りたい。作ってくれるか?」

建造妖精「シゲンー」

提督「これくらいか?」

建造妖精「イイヨー」

建造妖精「クウボデキナカッタラゴメンネー」

提督「100%では無いのか?」

建造妖精「クウボムズカシイ!シッパイヨクアル」

提督「そうなのか…ならば建造妖精」

建造妖精「ナンダー?」

提督「上手くやってくれたら間宮の羊羹を持ってきてあげよう」

建造妖精「ホント!?」

提督「もちろんだ」

建造妖精「ガンバル!!ゼッタイクウボツクル!!」キラキラ

提督「頼んだよ」

提督「また後ほど戻ってくる。さあ、電行くぞ?」スタスタ

電「あ、はい!!」テクテク

建造妖精「マミヤ!!マミヤ!!」ピョンピョン

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/08(土) 23:05:02.20 ID:cdm1VAZTO
……………

提督「どうだ?出来たか?」

建造妖精「マミヤ!!」

提督「お疲れ様。ほら、約束の間宮の羊羹だ」

建造妖精「アリガトー!!」パァァ!!

提督「さて、建造の方は…」

提督「ん?2隻?」

建造妖精「ガンバッタ!!」パクパク

提督「資源は一隻分しか…」

建造妖精「ヘソクリ」パクパク

提督「………聞かなかったことにする」

提督「建造妖精ありがとうな」

建造妖精「ドウイタシマシテ!!」パクパク

電「司令官さん、見てみましょう!!」

提督「ああ」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:31:35.98 ID:cuetn8rWO
瑞鳳「瑞鳳です。軽空母ですが、練度が上がれば、正規空母並みの活躍をお見せできます!」

瑞鶴「翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です!」

電「はわわ!!空母のお姉さんなのです!」

提督「ほう…」

瑞鶴「貴方が提督さんなの?」

提督「そうだ」

瑞鶴「で、貴女は?」

電「電は電なのです!!」

瑞鶴「電?……というと………特三型の?」

電「はい!!その4番艦の末っ子なのです!!よろしくなのです!」

瑞鶴「こちらこそよろしくね!電ちゃん!」

電「ふぁぁ!!」パァァ

瑞鳳「かわいいね、電ちゃんは」

瑞鶴「瑞鳳もよろしくね!」

瑞鳳「うん!」

瑞鶴「それにしても瑞鳳、可愛くなったわねえ…戦時中の貴女からでは想像出来ないよ」

瑞鳳「それは瑞鶴もそうでしょう?」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:32:11.43 ID:cuetn8rWO
提督「ごほん…そろそろ、再開を懐かしむのはいいかな?」

瑞鳳「ご、ごめんなさい!」ビシッ

提督「そんなに畏まらなくてもいい。敬礼も下ろしていいぞ」

瑞鳳「しかし…」

提督「私は下ろせと言っているんだ」

瑞鳳「はっはい!!」ビクッ

提督「瑞鶴?」

瑞鶴「へっ!?あっはい!!」ビクビク

提督「先程から時々窓に視線を移していたな?何か気になるものがあったか?」

瑞鶴「え…えっと……」オドオド

提督「別に咎めているわけではない。怯えなくていいぞ」

提督「それとも、私に言いにくい事でも?」

瑞鶴「いえ…ただ、この鎮守府、少し静か過ぎるなと思いまして…」

提督「ああ。そうだろうな」

瑞鶴「…もしも宜しければ理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?普通、鎮守府ならば他の艦や人々が沢山居てもおかしくないと思うのですが」

提督「なぜなら、私達4人しか居ないからな」

瑞鶴「へっ!?」

瑞鳳「ふぇ!?」

提督「正確に言えば、間宮と明石、その他妖精達がいるのだが、皆戦闘員ではない。あくまでも我々のバックアップだ」

瑞鶴「うそ…」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:32:55.65 ID:cuetn8rWO
提督「恥ずかしながら、私もつい昨日鎮守府に着任したばかりだ」

瑞鶴「ほ、本当なの?」

電「はい。本当なのです」

瑞鳳「あの…大丈夫なのですか…?私達空母二隻なんて運用して……」

提督「いや、大丈夫ではない。正直言うと、間違いなく赤字で暫くは身動きが出来なくなる」

瑞鶴「じゃあ何で!」

提督「正面海域だ」

瑞鳳「正面海域?」

提督「ああ。鎮守府正面海域には今現在軽巡を旗艦とし、駆逐艦3隻を含んだ敵艦隊が牛耳っている。練度もそれなりに有り、今日私達は命からがら脱出した」

瑞鶴「そうなの?電ちゃん」

電「はい…」

提督「今回は運よく被害も殆ど出さずに振り切る事が出来たが、次はそうとは限らない」

提督「だからこそ、奴らを圧倒出来るだけの戦力が必要だと私は考えた」

瑞鶴「それで私達…」

提督「そうだ」




32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:33:39.15 ID:cuetn8rWO
瑞鳳「しかし、提督?」

提督「なんだ?」

瑞鳳「駆逐艦を始めとした比較的小型の艦を揃え、練度を上げてからもう一度挑めば良かったのではないのでしょうか?」

提督「ああ。それも一里ある」

瑞鳳「では…」

提督「瑞鳳、質問だ」

提督「お前なら、自分達の制海権の内側で未熟な敵が訓練していたらどうする?」

提督「もちろん、人権や人道のようなものは考えなくていい」

瑞鳳「恐らく…沈めます」

提督「そうだ。私も同じ意見だ」

提督「そしてその逆、つまりは未熟な私達が深海棲艦の制海権内でちんたら訓練していたら結果は目に見えているな?」

瑞鳳「はい」

提督「それ故に私は多少練度が低かろうと敵を圧倒出来る航空母艦の建造を決めたというわけだ」

提督「更に言えば、もしも鎮守府正面海域の解放が出来れば資源の搬入もずっと楽になる。それを見越した上での作戦となる」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:34:30.90 ID:cuetn8rWO
提督「どうだ?理解してくれたか?」

瑞鳳「はい!ありがとうございます!!」

提督「だから、そんなに畏まらないでくれ」

提督「別に素のまま話してくれて構わない。私はこういうのはあまり好きではないんだ」

瑞鳳「いいんですか?」

提督「ああ。無論だ。瑞鶴も電も今後はそうしてくれて構わない」

瑞鶴「は……じゃなかった……分かったわ、提督さん!」

電「はい、なのです!」

提督「ククッ電は変わらんな」

電「えっ!?えっと…えっと……」アタフタ

提督「いや、それでいいんだ」

電「?」

提督「さて、そろそろ20時か…少し遅いが、晩御飯を食べて来なさい。その後は自由にしてくれて構わないが、朝は早いから程々にしてくれ」

瑞鶴「提督さんは?」

提督「私は書類を片付けなければならない。先に行っててくれ」

瑞鶴「別に提督さんが終わってからでも私達は…」

提督「そういえば、あまり遅い時間に飯を食うと太ると聞いたことが…」

瑞鶴「わ、私、ごはん食べて来るね!瑞鳳、電ちゃん、行こ!」グイッ

瑞鳳「ちょっ…瑞鶴!?早い!早いよ!」

電「はにゃ~!!!!」バタン

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/09(日) 23:34:58.72 ID:cuetn8rWO
提督「行ったか………」

提督「さて…」ペラリ

提督(深海棲艦……奴らは強い…それは間違いない。だが、こちらにも手の打ちようはあるか…)サラサラ

提督(駆逐艦1隻のみとはいえ、駆逐艦娘1人で轟沈させることが出来た)サラサラ ペラッ

提督(かつては駆逐艦1隻を倒すのに何隻もの護衛艦を必要としたのに艦娘ならば同等の力で戦える)サラサラ

提督(上手く立ち向かえば…いや、過度な期待は禁物だ……もっと現実的には……)サラサラ

提督(まあいい…それは今考えるべき事ではない。考えるべきは明日の出撃でいかにして敵艦隊を壊滅させるかだ…)ペラッ ペラッ

提督(しまった…瑞鶴と瑞鳳に戦術的アドバイスを貰っておくべきだった…明日の朝にでも………)

提督「…………………………」

提督「儘ならぬものだな…」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:50:13.34 ID:fKF7C1TnO
……………

コンコン

提督「入れ」

瑞鳳「失礼します…」

提督「どうした?こんな時間に」

瑞鳳「なんだか寝れなくて…それで少し鎮守府を歩いてたら執務室の灯りがまだついてたから…」

提督「それで入ってきたと?」

瑞鳳「はい……ダメでしたか?」

提督「いや、そろそろ書類を捌くのにも飽き飽きしてきたところだ。むしろ話し相手が欲しかったよ」

瑞鳳「よかった…」

提督「まあ、そこのソファーにでも座りなさい」

瑞鳳「はい!」スッ

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:51:55.10 ID:fKF7C1TnO
提督「さて、私はお茶でも…瑞鳳も緑茶でいいか?」

瑞鳳「えっ?あ、私がやりますよ!」

提督「大丈夫だ。私だってお茶ぐらいは淹れられるさ」

瑞鳳「そうではなくて、上司にそんなことをさせるのは…」

提督「いいから座ってなさい。ならば、また今度美味しいお茶を淹れてくれるか?」

瑞鳳「いいんですか?」

提督「ああ。むしろ私から頼みたいくらいだ」

瑞鳳「はい!瑞鳳、承りました!!」

提督「硬いな」

瑞鳳「へっ?何がですか?」

提督「言葉遣いだ。さっきも言った通り、私に対しても普段通りの喋り方でいい」

提督「瑞鶴や電と話していた時はもっと砕けた言葉遣いだったぞ」

瑞鳳「ああ、そういう事でしたか…私は流石に初対面の人に失礼な言葉遣いは出来ないですから…」

提督「ふむ…では、電に対しても瑞鶴と話すそれだったが、それはどうしてだ?」


41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:52:26.35 ID:fKF7C1TnO
瑞鳳「それは、電ちゃんは初対面ですが初対面ではないですから!」

提督「かつての記憶か?」

瑞鳳「そうです!私は私達が『娘』ではなくて『艦』だったころの記憶を持ち合わせています。だから初めましてでも初めましてではないことがあるんです!」

提督「そうか…ほら、お茶だ」コトッ

瑞鳳「ありがとうございます!いただきます!」ズズッ

瑞鳳「美味しい!!これ、なんのお茶ですか?甘くて香りも凄くいいです!!」

提督「お気に召して頂けて幸いだ。これは茎茶だよ。瑞鳳の感想通り、普通のお茶よりも甘い。丁度昨日頼んだのが届いたんだ」

瑞鳳「へえ~知らなかったなぁ」

提督「普通ならあまり買わないからな。まあ、飲みたくなったら好きにここへ来なさい」

瑞鳳「いいの!?」

提督「ああ。こんなことで嘘は言わんよ」

瑞鳳「やったぁ~!!」

瑞鳳「じゃあ、今度お茶菓子持ってきますね!」

提督「ほう。楽しみにしてるよ」

瑞鳳「はい!」


42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:52:57.07 ID:fKF7C1TnO
……………

瑞鳳「九十九艦爆は、足が可愛いのよ!足が!!」

提督「九十九艦爆?そういえば…」

瑞鳳「どうかしたんですか?提督」

提督「いや、本当なら明日の朝にでも聞こうと思っていたんだがな」

瑞鳳「?」

提督「瑞鳳。お前なら敵艦隊……とはいっても水雷戦隊だが、どうやって攻める?」

瑞鳳「水雷戦隊?明日の海域攻略ですか?」

提督「そうだ。私は普通の艦で戦う戦術は一応心得ているが、艦娘の戦い方は今回の電との出撃が初めてで右も左も分かっていない。しかも、お前や瑞鶴は空母で私にとっては未知の存在だ。よければ教えてくれないか?」

瑞鳳「私個人に限ってしまいますが、よろしいですか?」

提督「ああ。よろしく頼むよ」

瑞鳳「そうですね………これは瑞鶴と一緒に確認したのですが、恐らく私達空母は目標が遠くなれば遠くなるほど、艦載機への細かい指示が出来なくなります」

瑞鳳「感覚では、視界外になると命中はより落ちてしまいそうです」

提督「ほう…となると、アウトレンジからの攻撃は難しくなるな」

瑞鳳「そうですね…」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:53:25.46 ID:fKF7C1TnO
提督「しかし、逆を言ってしまえば近づけば近づくほど命中率は上がるという訳か」

瑞鳳「そうですけれども、私達空母は戦艦見たいな防御力や、駆逐艦みたいな機動力がある訳ではないので、あまり…接近戦は……」

提督「アウトレンジ……接近戦………」

提督「……………………」

提督「……………………」

瑞鳳「提督?」

提督「……………………」

提督「瑞鳳。私に考えがある。聞いてくれるか?」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:53:51.64 ID:fKF7C1TnO
翌朝

提督「三人とも集まったな?」

電「はい!準備万端なのです!」

提督「いい返事だ、電」

電「えへへ」

提督「ごほん…本日は昨日も言った通り、鎮守府正面海域の解放のために敵水雷戦隊の撃滅を作戦目標とする」

提督「そこで、君達には3人で艦隊を組んで、敵制海権への侵入を図ってもらう」

提督「艦隊の旗艦には瑞鳳を置き、瑞鶴と共に後方に配置する」

電「あの…電はどこに居ればいいのですか?」

提督「電には、艦隊の前衛で敵の哨戒と露払いをして貰う。お前の任務は敵艦を後方の空母に出来る限り近づけさせないことだと考えてくれ」

電「はい!!分かったのです!!」

提督「なにか、質問がある者はいるか?」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:54:20.42 ID:fKF7C1TnO
瑞鶴「あの…提督さん、いい?」スッ

提督「なんだ?」

瑞鶴「別に不満があるという訳では無いんだけど…旗艦に瑞鳳を選んだ理由を教えてほしいかなって…」

提督「それはだな、昨夜私と瑞鳳で本作戦での空母の活用法について話し合ったんだ」

瑞鶴「そうなの?瑞鳳」

瑞鳳「うん。ちょっと眠れなかったから執務室に行ったらね」

瑞鶴「へぇ~気づかなかったな~」

提督「瑞鶴、続けていいかな?」

瑞鶴「あっ、はい!ごめんなさい」

提督「ああ………まあ、昨夜二人で細かく詰めていった訳だが、あくまでもそれは理論であり、実戦では臨機応変に対応せざるを得なくされることは十二分に考えられる」

提督「敵からの反撃もそうだが、艦娘としての日が浅い二人は、艦娘としての戦い方は体得しきれていないはずだ。平常では出来たことがいざ戦闘になると出来なくなる可能性もある」

提督「それに加えて、艦娘の空母としての戦法を理解しきれていない瑞鶴が指揮を執るとなると、混乱して艦隊内での連携が上手く取れなくなる可能性は少なからずある」

提督「そこで、今の時点で最も戦法を理解出来ている瑞鳳に旗艦を任せたという訳だ」

瑞鶴「納得したわ!じゃあ、私はどうしたらいいの?」

提督「道中で戦法については軽くレクチャーするが、基本的には瑞鳳の指示に従ってくれればいい」

瑞鶴「分かった。瑞鳳、よろしくね?」

瑞鳳「頑張ります!!」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:54:51.98 ID:fKF7C1TnO
提督「他には何か質問はあるか?」

一同「……………」

提督「無いようだな。では、出撃準備に入る。この後1000に出港する。燃料や弾薬はもちろん、装備のチェックや手入れを済ませておけ」

一同「了解!!」

提督「私もあさぎりの最終チェックに行ってくる。何かあったら第五ドッグまで来てくれ」

瑞鶴「提督さん……提督さんまで出撃することはないんじゃない?戦闘は私達に任せて鎮守府で指揮を取ればいいと思うんだけど」

提督「それは無理だ」

瑞鶴「でも、提督さんが死んじゃったら…」

提督「私が死ぬよりも、君達艦娘が死ぬ方がダメージが大きい。そして、私が出来る限り近くで指揮を取れば臨機応変に対応が出来てそのリスクは減る」

提督「そして何より君達を死なせたら私は寝覚めがとても悪くなる。安眠妨害と言ってもいい。」

提督「この際だから言っておくが、私が生きている間は絶対に君達を沈ませない。何があっても生かしてみせる」

瑞鶴「………どうせその様子だと止めても付いてくるんでしょ?」

提督「無論だ」ニヤリ

瑞鶴「納得はしない。だけど提督さんの安眠のために見逃してあげる」

提督「どうも、お嬢さん」

瑞鶴「提督さんって思ったよりも馬鹿なんだね」

瑞鶴(でも、優しい…嫌いじゃないな)ボソッ

提督「何か言ったか?」

瑞鶴「ううん。なにも」

提督「そうか。ならば私はチェックに行ってくる。お前たち、遅れるなよ」スタスタ

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 22:58:58.29 ID:5wc9xkPgO
……………

提督「そろそろ、敵艦隊と遭遇した海域だ」

電「はい…」

提督「怖いか?電」

電「はい…」

提督「大丈夫だ、電。今回は瑞鶴と瑞鳳がいる。そして、二人はとても大きい力となってくれる」

提督「そうだな?瑞鶴、瑞鳳」

瑞鶴「当たり前じゃない!私達なら絶対にやれるわ!!」

提督「いい返事だ。しかし、慢心だけはしてくれるなよ」

瑞鶴「………はい」

瑞鳳「提督。作戦、開始しますか?」

提督「ああ。瑞鳳、昨日打ち合わせた通りやってくれ」

瑞鳳「はい!」

瑞鳳「索敵機、九十九艦爆を発艦させます!」バシュッ

瑞鶴「同じく九十九艦爆発艦!」バシュッ

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 22:59:24.98 ID:5wc9xkPgO
……………

瑞鳳「いた!2時の方向に敵艦隊発見!!」

提督「よくやった!構成は?」

瑞鳳「駆逐艦3、軽巡1!」

瑞鳳「こちらを目指して進軍中とのことです!」

提督「こちらに来ているだと………!」

提督「一体…………」

提督「いや、今考えることではないな」

瑞鳳「提督、どうしますか?」

提督「次のフェイズに移ってくれ」

瑞鳳「瑞鶴、第一次攻撃隊発艦させて!」バシュッ

瑞鶴「任せて!!」キリキリ バシュ

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:00:00.95 ID:5wc9xkPgO
瑞鳳「全艦載機、空中集合!艦爆隊と艦攻隊に分かれて!!」

瑞鶴「空中集合完了!さあ、行っちゃって!!」

電「すみません、司令官さん、一つ聞いてもいいですか?」

提督「なんだ?」

電「どうして戦闘機はいないんですか?」

提督「今回は敵艦隊に空母が見受けられないため、少しでも打撃翌力を持つ艦爆、艦攻に回したいというのもあるが、何よりも資源…ボーキサイトが足りないんだ」

提督「もう少し二人の練度が上がり、資源に余裕が出来て来たらこの様な場合でも戦闘機は載せるつもりだ」

電「資源なら電が頑張って集めてくるのです!だから司令官さんは心配しなくても大丈夫なのです!」

提督「ふふっ…頼もしいな電………ありがとう」

電「はい!!なのです!」

提督「さあ、無駄話もここまでだ。気を引き締めろ」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:00:28.85 ID:5wc9xkPgO
瑞鳳「第一次攻撃隊、敵艦隊捉えました!」

提督「よし…敵艦隊旗艦の軽巡を先優先攻撃目標にしろ」

瑞鳳「了解!艦爆隊は爆撃開始!艦攻隊は爆撃隊の攻撃の後間髪入れずに雷撃しちゃって!!」

艦爆妖精「ガッテン!ウデガナルゼー!!」

艦攻妖精「オレラカンコウタイのドキョウダメシダ!!オクレヲトルナヨ!!」

艦攻妖精「トラエタ!!」ボチャン シュー

瑞鳳「艦攻隊の雷撃が敵旗艦直撃コースに乗りました!!これなら………えっ!?」

提督「どうした?」

瑞鳳「雷撃が駆逐艦に庇われました…庇った駆逐艦は轟沈。しかし、敵旗艦は健在…」

提督「いや、これでいい。確かに敵旗艦を落とせなかったのは残念だが、アウトレンジからの攻撃は成功と言っても良い。大戦果だ。次は接近してからの第二次攻撃でケリをつけるぞ」

瑞鳳「攻撃隊帰投して!」

瑞鳳「瑞鶴!収容完了後第二次攻撃隊を発艦させるからね!」

瑞鶴「了解!さあ、第三戦速で前進するわよ!」


58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:00:57.83 ID:5wc9xkPgO
……………

電「敵艦隊、視認距離に入ったのです!」

提督「了解。瑞鶴瑞鳳は第二次攻撃隊発艦。電は空母二隻が艦載機を発艦させてから砲雷撃戦開始。電は旗艦は狙う必要ない。敵駆逐艦の動きを封じ、旗艦の盾にさせないようにしてくれ」

「「「了解!」」」

瑞鶴「第二次攻撃隊発艦!!今度こそやっちゃって!!」バシュッ

瑞鳳「お願い!今度こそ!!」バシュッ

艦爆妖精「オラオラオラオラオラオラ!!!」

艦攻妖精「シーーネーーーーェィ!!!」

瑞鶴「やったぁぁぁ!!瑞鶴の艦爆隊の攻撃で敵駆逐艦1隻大破!!轟沈も時間の問題よ!!」

瑞鳳「瑞鶴の艦爆隊もやるわね!でも…瑞鳳の艦攻隊だって!」

艦攻妖精「ヒャッハー!!モラッタァ!!」ボチャン シュー

ハ級「!?」

電「させないのです!!」ドン ドン

ハ級「!!!?」中破

提督「電!よくやった!!」

シュー バッシャーン!!!

ホ級「」

瑞鳳「敵軽巡、航空魚雷命中!轟沈しました!!」

提督「敵駆逐艦の様子は?」

電「動か………あれ?」

提督「何かあったか?」

電「白い航跡………魚雷なのです!!!」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:01:25.26 ID:5wc9xkPgO
提督「なんだと!?」

提督「全員回避運動!当たったら沈む可能性がある!何としても避けるんだ!」

瑞鳳「は、はい!!」

瑞鶴「わわっ!!アブッ!!」

電「はわわわわわわわ!!!」

提督「回避出来たか。電!砲撃開始!反撃の余地を与えるな!」

電「は、はい!!」ドン ドン

ハ級「」

電「敵駆逐艦轟沈…全艦轟沈したのです」

提督「作戦完了。索敵を忘れずにあさぎりまで帰投してくれ」

提督「特に………潜水艦に気をつけろ」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:01:52.41 ID:5wc9xkPgO
鎮守府

提督「揃ったな」

瑞鳳「はい。入渠や補給も済ませております」

提督「よろしい」

提督「お前たち、よく頑張ってくれたな。お疲れ様」

電「みんな、頑張ったのです!!」

瑞鶴「そうだね!」

提督「誰も失う事なく帰投出来て私は嬉しいよ。電もよく頑張ってくれたなぁ」ナデナデ

電「ふあぁぁぁぁ…」

瑞鶴(いいなぁ)

提督「電、これからも期待してるぞ」

電「はい!!!」

提督「この後は自由行動にするが、瑞鶴と瑞鳳はそれぞれ執務室に来てくれ。後で迎えに行く」

瑞鳳「?」

瑞鶴「う、うん?」

提督「では、各自解散」

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:05:25.16 ID:4K2NzKcH0
コンコン

提督「入れ」

瑞鶴「失礼します」ガチャ

提督「瑞鶴、そのソファーに座りなさい」

瑞鶴「はい………」

瑞鶴(どうして呼び出されたんだろう…私、何かやらかしたかな…)

提督「瑞鶴……………」

瑞鶴(こ、怖い!提督さん怖いって!!!)

提督「瑞鶴、日本茶と紅茶、どっちがいい?」

瑞鶴「へ?」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:06:43.77 ID:2DaP2eBmO
瑞鶴「おいしい!!このお茶すごくおいしいです!提督さん!!」

提督「お口に合って良かったよ」

提督「ほら、間宮の羊羹だ。一緒に食べるといい」

瑞鶴「ほんと!?いいの!?」

提督「もちろんだ」

瑞鶴「じゃあ…」パクリ

瑞鶴「ん~~~~!!!おいしい!!私、すっごく幸せ!!」

提督「良かったな」

瑞鶴「提督さん、私、こんなおいしい羊羹なんて初めて!!提督さん大好き!!」

提督「お前は今日よく頑張ってくれたからな。本当にありがとう」ナデナデ

瑞鶴「ヒャッ!!て、提督さん!?」

提督「すまなかった。嫌だったか?」

瑞鶴「ううん!凄く嬉しい!!ただ突然だったからビックリしただけよ」

提督「びっくりさせて悪かったな」

瑞鶴「謝らなくていいの!」

提督「あ、ああ」

瑞鶴「クスッ」

提督「?」

瑞鶴「提督さんって普段は冷静だけど、不器用でかわいいとこあるのね」

提督「何を言ってる?」

瑞鶴「さあね!あははは!!!」クスクス

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:07:33.18 ID:2DaP2eBmO
……………

提督「そろそろ時間も時間だな…」

瑞鶴「え?まだいいじゃん?21時にもなってないよ」

提督「瑞鶴と話しているのも楽しいが、瑞鳳に話さなければならないことがあるからな」

瑞鶴「そっか…そうだよね………」

提督「そんな顔をするな。また何時でも来ていいから今日はもう寝なさい」

瑞鶴「いつでも…いいの?」

提督「いつでもいいとは言ったが、その「いつでも」はいつなのかは考えろよ」

瑞鶴「わかってるって!!」

瑞鶴「次は夜這いに行こうかしら」

提督「おい、瑞鶴」

瑞鶴「冗談よ、ジョーダン!おやすみ、提督!あまり無理はしちゃダメよ!」

提督「………おやすみ」

バタン

提督「………嵐のような娘だ…」ボソリ

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:08:21.83 ID:2DaP2eBmO
コンコン

瑞鳳「はい?提督?」

提督「そうだ」

カチャ

瑞鳳「瑞鶴とのお話は終わったの?」

提督「ああ。次は瑞鳳の番だ。私は先に執務室に行っているから、準備が出来たら来なさい」

瑞鳳「あ、でしたら一緒に行かせてください!」パタン

提督「別にゆっくりで構わないんだぞ?」

瑞鳳「いいんです。丁度艦載機の整備も終わったから」

提督「自分で艦載機の整備を出来るのか?」

瑞鳳「はい!だって自分が使う大切な艦載機だもん!」

瑞鳳「とは言っても、完全に分解して整備とかは流石に出来ないけれど」

提督「いい心がけだ」

提督「部屋に入ったらソファーに座って待っててくれ。私はお茶を淹れてくるから」ガチャ

瑞鳳「だめです」

提督「ん?」





72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:08:55.35 ID:2DaP2eBmO
瑞鳳「今日は私に淹れさせて下さい!昨日約束した通り、おいしいお茶を淹れますから!」

瑞鳳「こう見えても、お茶の淹れ方には自信がありますから!」

提督「では、お手並み拝見といこうかな」

瑞鳳「はい!楽しみにしてて下さいね!!」





提督「ほう…うまい…」

瑞鳳「本当ですか!!よかったぁ~」

提督「自信があると言うだけはある。私が淹れるよりも断然うまいな」

瑞鳳「提督が淹れたのも十分おいしいですよ?」

提督「いや、瑞鳳の足元にも及ばないさ。私には気温に合わせてお茶の温度を変えることなど出来ない」

瑞鳳「気づいてたんですか!?」

提督「もちろんだ。お前の人を思いやる気持ちが為せる技だろう」

瑞鳳「提督だって、私達のことを気にかけてくれているじゃないですか」

提督「私のは違う。私はそんな出来た人間ではないんだよ」

瑞鳳「じゃあ、私に提督のことを教えてくれますか?」

提督「そうだな…いつか、必ず教えるよ」

瑞鳳「約束…ですよ?」

提督「ああ。もしも破ったら深海棲艦の餌にでもしてくれていい」

瑞鳳「………そんなこと…私に出来るわけないじゃない……………」ボソッ

提督「何か言ったか?」

瑞鳳「ううん…何でもありません」

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:09:27.98 ID:2DaP2eBmO
提督「これでこの話は終わりだ。本題に入ろう」

瑞鳳「本題?」

提督「瑞鳳、ありがとう。お前が今回の作戦の一番の立役者だ」

瑞鳳「えっ、えっ!!?」

提督「お前がいなければこの作戦は成功しなかったやもしれない。本当にありがとう」ナデナデ

瑞鳳「ふぇ!?そ、そそ…そんなことないですよ!!瑞鶴だって電ちゃんだって凄い頑張っていたし…」

提督「確かに瑞鶴も電も頑張ってくれた。そして戦果も挙げてくれた。しかし私は瑞鳳が最も頑張っていたと考えてる」

瑞鳳「そんなこと…」

提督「昨夜、寝ないで兵法書を読み込んでいただろう?」

瑞鳳「な、何で知ってるの!?」カァァ

提督「話し合いの後、報告書を書くために資料を取りに行こうとしたらな」

瑞鳳「うぅ………見られてたの…」

提督「大方、自分の記憶にある戦術以外の知識を得て、何があっても対応出来るように備えてくれたのだろう?」

瑞鳳「ぇ……ええっと………………」

瑞鳳「……………はい……」

提督「今日のお前にはどこか自信があるように見えた。初めての戦術、戦闘であるのにも関わらずだ」

提督「頼もしかったぞ、瑞鳳。お前に自信があったからこそ電も瑞鶴も安心してお前に従っていた。もしも自信がなさそうな素振りを見せていたらそうは行かなかっただろう」

提督「それに、お前は敵旗艦を仕留めるという大戦果も挙げている。もちろん電が敵駆逐艦を足止めした助けもあったが、十分立派なことだ」

提督「瑞鳳。お前は私の期待以上によくやってくれた。本当に私は感謝している」

瑞鳳「あ……」ジワッ




74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:09:57.42 ID:2DaP2eBmO
瑞鳳「提督……そこまで見ててくれたんだ……」ポロポロ

提督「ああ。お前はよく頑張ったよ」

瑞鳳「うわーん!!!」ギュッ

提督「お疲れ、瑞鳳」ナデナデ

瑞鳳「提督……提督…ありがとうございます…!」

提督「ああ」

瑞鳳「ありがとう…提督」

提督「ああ」

…………
……


75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:10:49.87 ID:2DaP2eBmO
…………………

提督「泣き止んだか?」ナデナデ

瑞鳳「はい……」

提督「ほら、涙を拭きなさい」

瑞鳳「はい………あっ!」

提督「どうした?」

瑞鳳「ごめんなさい!提督の服が!」

提督「気にするな。洗えばいいさ」

瑞鳳「でも………」

提督「それよりもお前に渡したいものがあるから離れてくれないか?」

瑞鳳「えっ?あ…あぁ!!!!」

瑞鳳「ご、ごごご、ごめんなさい」バッ

提督「謝らなくてもいいぞ」

瑞鳳「私…何を………!!」

瑞鳳「て、提督に………やぁぁあ!」

提督「落ち着け、瑞鳳」

瑞鳳「ひゃけど!」

提督「ほら、これを自分の部屋で食べなさい。間宮のアイスだ」

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:11:29.47 ID:2DaP2eBmO
瑞鳳「あ、アイス?」

提督「瑞鶴や電には間宮の羊羹をあげたんだがな。お前は本当によく頑張ってくれたから特別だ」

瑞鳳「ありがとう!」

提督「ああ。溶ける前に部屋に戻って食べなさい」

瑞鳳「えっと…ここで食べていい?」

提督「?……別にいいが」

瑞鳳「じゃあ…はい!」スッ

提督「うん?」

瑞鳳「提督も頑張っていたんだから半分こ!」

提督「いや、これはお前にあげたものだからな」

瑞鳳「じゃあ、これが私のなら私が提督と一緒に食べたいの!はい!!」

提督「……………一口だけだぞ」パクリ

提督「………うまい…」

瑞鳳「じゃあ、私も!」パクリ

瑞鳳「おいしい!!」キラキラ

提督「フッ…」

瑞鳳「どうしたの?提督」

提督「食べた瞬間お前の目がキラキラしたからな」ニヤニヤ

瑞鳳「だっておいしいんだもん!!」キラキラ

提督「そうだな」ニヤニヤ

瑞鳳「んむっ……ん~幸せ~!!!」キラキラ


77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/12(水) 23:11:59.62 ID:2DaP2eBmO
………………

瑞鳳「提督、ご馳走さまでした!!」

提督「終始幸せそうに食べていたな」

瑞鳳「うん!だって、こんなおいしいアイスなんて初めてだったから!」

瑞鳳「ありがとう!提督!!」

提督「うむ」

提督「さて、そろそろ瑞鳳も寝たほうがいいな」

瑞鳳「あ、もうこんな時間……」

提督「明日は出撃もしないから少し遅めの朝礼にする。時間は0800にここ、執務室だ。他の二人にも伝えてある」

瑞鳳「提督は?」

提督「私もすぐ寝る。流石に疲れたよ」

瑞鳳「そう…じゃあ、私戻ります!」

提督「おやすみ、瑞鳳」

瑞鳳「おやすみ、てーとく!!」パタン

提督「………」

提督「………」

提督「さて、報告書を書くかな」ペラッ サラサラ

…………
……


81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:31:08.69 ID:wogIrn6zO
0800

提督「電、瑞鶴、瑞鳳おはよう」

「「「おはようございます!!」」」ビシッ

提督「さて、今日は出撃の予定はないのだが、お前たちに意見を伺いたいことがある」

瑞鶴「意見?どうしたの?」

提督「先日話した通り我等が鎮守府は殆ど資源がない。三人が頑張ってくれたお陰で鎮守府正面海域は解放出来たため、格段に資源の運搬が楽になったが、資源の運搬が出来る艦娘は電、君しかいない」

電「確かに、そうですね…」

提督「ああ。瑞鶴、瑞鳳が出てしまうと支出の方が収入よりも大きくなってしまう」

提督「そこでだ。これからしばらくは建造に力を費やしてみようかと思うんだが、どうだ?」

提督「もちろん、建造と言っても大型艦…戦艦や空母は狙わない。あくまでも小型艦を狙っての建造だ」

瑞鶴「でも、さっき資源が無いって言ったわよね?資源がないと何もできないわよ?」

提督「それは問題ない。大本営から少量とはいえ、毎日一定量の資源が送られて来ている。駆逐艦の2隻や3隻ぐらいならそこまで圧迫せずしないだろう」

瑞鶴「そう?ならいいんだけど」

提督「そして、数が揃ったら隊を二つに分ける」

瑞鳳「第二艦隊ですか?」

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:31:35.61 ID:wogIrn6zO
提督「そうだ。主に第二艦隊は遠征任務を行ってもらう」

瑞鳳「そうすれば、大本営からの資源と遠征による資源で赤字からは転じることは出来そうですね」

提督「ああ。もしもこれが上手くいけば、第三、第四艦隊と増設するつもりである」

瑞鶴「それだけあれば資源にも余裕が出来るわね」

提督「うむ。しかし、現状から見ればそれはまだまだ先の事だ。取らぬ狸の皮算用ではないが、今は考えても意味はないだろう」

提督「当面の目標としては、小型艦の充実。そしてお前たちも含め、演習で経験を積ませる事だ」

瑞鳳「そうね…まだ私たちは艦娘として未熟ですから…」

瑞鶴「うん…もう二度と『七面鳥』なんて言われたくないもんね……」

提督「ああ。そうならないためにも練度を高める必要がある」

提督「頼むぞ、瑞鶴、瑞鳳、電」

「「「はい!!」」」ビシッ

提督「うむ。では、この後0900より早速建造を3隻行う。3隻の建造完了次第艦娘の有り様等をレクチャーしてくれ。そして1500より演習を行う。振り分けは私から後ほど発表する」

提督「では、解散!」

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:32:25.78 ID:wogIrn6zO
0900

提督「建造妖精、いるか?」

建造妖精「ハ~イ~♪」ヒョコ

提督「すまないが、今日は3隻作ってくれないか?」

建造妖精「シゲン~」

提督「小型艦3隻ならこれくらいでいいか?」

建造妖精「エト……………」

建造妖精「オーケー!!」

提督「そうか。では、頼んだぞ」

建造妖精「ウン!!」

提督「また後で来る。楽しみにしてるぞ」スタスタ

建造妖精「マカセテ~」フリフリ

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:33:04.77 ID:wogIrn6zO
…………

提督「建造妖精、終わったか?」

建造妖精「オワッター」ヒョコッ

提督「そうか。ありがとう」

建造妖精「ドウイタシマシター」

提督「ほら、ご褒美だ」スッ

建造妖精「アリガトー!!」キラキラ

提督「さて、誰が来るかな」チラッ

陽炎「やっと会えた!陽炎よ!よろしくね!」

舞風「こんにちはー!!陽炎型駆逐艦の舞風です!暗い雰囲気は苦手です!!」

夕立「こんにちは。白露型駆逐艦夕立よ。よろしくね」

提督「ほう…陽炎型と白露型か……素晴らしい」

建造妖精「テートク、テートク」クイックイッ

提督「ん?どうした?」

建造妖精「オマケ」

提督「おまけ?」

文月「あたし、文月っていうの~よろしくぅ~」

提督「一応聞くが、資材はどこから?」

建造妖精「ヘソクリ」

提督「………………」

提督「………ありがとう…」

建造妖精「ドーモー」ピョンピョン

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:33:37.35 ID:wogIrn6zO
提督「陽炎、舞風、夕立、文月」

陽炎「なぁに~?私たちと一緒に遊びたいの~?」

舞風「いいね~!一緒に踊る~?」

夕立「お兄さん、よりどりみどりっぽい?」

文月「あたしもまぜて~」トタトタ

提督「………………」

提督「お前たち、整列しなさい」

文月「え~?せいれつ~?」

提督「そうだ。整列だ」

文月「は~い」トタトタ

提督「…………」

夕立「整列終わったっぽい?」

提督「私はこの鎮守府の提督だ。つまり、お前たちの司令官でもある」

文月「そうなんだ~!」

提督「ごほん…」

文月「あ~、ごめんなさ~い」

提督「別に私はお前たちの行動や言動を制限しようとは思わない。だが、最低限は時と場合を弁えてくれ給え」

舞風「もしも弁えなかったら?」

提督「そうだな………何らかの罰則を与える」

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:34:05.40 ID:wogIrn6zO
舞風「罰則?」

提督「その者によって帰るが…例えばお前なら1日中一本下駄を履いてもらうとかだな」

舞風「そ、それじゃあ、踊れないじゃな~い!」

提督「だろうな」

陽炎(でも、それって罰則って程じゃ…)

提督「そういうわけで、余りにも目に余るようならば何らかの罰則を与える。心しておけよ」

「「「了解!!」」」

文月「は~い!」

提督「この話はここまで。次に艦娘についてだが…」

陽炎「それは、小ちゃい…えと、妖精さん?にある程度聞いたわ」

陽炎「私たちは大東亜戦争で戦った私たち、つまり「艦」の生まれ変わった姿だってこととかね」

提督「ふむ…なら、後はお前たちの先輩…瑞鶴や瑞鳳、電から聞いてくれればいい」

提督「この後彼女たちにお前たちを紹介する。付いて来てくれ」スタスタ

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/13(木) 23:34:37.21 ID:wogIrn6zO
……………


提督「これで以上だ。仲良くしてやってくれ」

提督「では、前々から話していた通り、1500より演習を開始する。それまでは自由にしてていいぞ」

瑞鳳「はい!」

……………

瑞鶴「舞風ちゃん、久しぶりだね~」

瑞鳳「南太平洋海戦ではお世話になりました!」

舞風「あ、瑞鶴さん!瑞鳳さん!ご無沙汰です!!」

瑞鶴「舞風ちゃんも私達のことを覚えててくれてるんだ?」

舞風「当たり前じゃないですか~!瑞鶴さん達のことは忘れられる訳がないですよ~!知り合いに会えて私、うれしいです!!」

瑞鶴「よかった~!私たちも知り合いが増えて嬉しいよ!」

瑞鳳「他にも見覚えがある子ばかりね!」

瑞鶴「そうだね!仲良くやって行けたらいいな」

瑞鳳「みんないい子そうだし、大丈夫よ!」

瑞鶴「うん!」

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:04:43.38 ID:XYy3gGC8O
1500

提督「揃ったな。では、演習を始めるに当たって、チーム分けを発表する」

提督「チーム甲は、瑞鳳を旗艦に陽炎、夕立、文月。チーム乙には瑞鶴を旗艦に電、舞風だ」

提督「何か質問は?」

瑞鶴「はい!私の艦隊は一隻少ないけど、不利じゃない?」

提督「それは、お前と瑞鳳の搭載数などの差を考慮した上で決定した。瑞鶴、お前は瑞鳳に比べて搭載数は多く、速力もある」

瑞鶴「そうね…」

提督「そこで、このように戦力を分配した。一撃の打撃翌力なら瑞鶴のチームが優っているだろう。しかし、もしも瑞鳳の艦隊の接近を許したら問答無用で魚雷と砲火を叩き込まれる」

瑞鶴「長期戦になればなるほど不利になるってわけか…」

提督「そういうことだ。瑞鳳の艦隊は接近、又は瑞鶴を戦闘不能に追い込むことが出来れば圧倒的有利になるだろう」

提督「瑞鳳、お前は戦術を誤れば敗北してしまう可能性は格段に上がる。分かってるな?」

瑞鳳「もちろんです!」

提督「うむ」

提督「では、両者は指定の場所まで移動。私が合図を出したら演習開始だ。散れ!」

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:05:18.02 ID:XYy3gGC8O
……………

提督「双方、準備はいいか?」

瑞鳳「はい!」

瑞鶴「こっちもいつでもいいわよ!」

提督「よし………これより、第一回模擬演習を始める!戦闘開始!!」

瑞鳳「行くわよ!!みんな!」 バシュ

夕立「夕立、突撃するっぽい!!」

陽炎「私も突撃するわ!!」

文月「あぁ~みんなまって~」

瑞鶴「全艦載機、空中集合!!準備出来次第やっちゃって!」バシュ

電「電達は対空戦闘するのです!」ジャキッ

舞風「任せて!!」ジャキッ



92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:06:08.88 ID:XYy3gGC8O
提督(瑞鳳達は速攻をかけに行ったか…)

提督(それに対して瑞鶴は敵艦を自らの艦載機で確実に駆逐艦を落としていくつもりか)

提督(このままだと突出している夕立に艦載機の攻撃が集中するぞ………あんな数の航空隊に数で劣る瑞鳳の航空隊では太刀打ちが……)

提督「む!?」

提督(ほう…そういうことか……よく考えついたな、瑞鳳)

提督(この勝負、分からなくなったぞ)ニヤリ

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:07:06.81 ID:XYy3gGC8O
瑞鶴「うそっ!?私の航空隊が!」

瑞鶴「一体どうして!!?」

艦攻妖精「グッ…ヤラレタダト………」

艦爆妖精「ゼンブカンセンナンテキイテナイヨ…」

艦戦妖精「オオイイ!!オオスギルヨォ~!」

瑞鶴「まさか…瑞鳳の放った艦載機は全部艦戦だったというの…」

瑞鶴「!!?マズい!!」

瑞鶴「みんな!対空戦闘はしなくていいから突っ込んでくる敵艦を撃って足止めして!」

電「は、はい!なのです!」ドン ドン

舞風「瑞鶴さん!敵艦載機が海面スレスレで突っ込んで来るよ!!この動きって!」

瑞鶴「気にしなくていい!あれはブラフ!目くらましよ!!瑞鳳の放った艦載機は全部艦戦だから攻撃出来るわけがない!それよりも早く夕立と陽炎を!!」

舞風「はい!!」ドン ドン

艦戦妖精「ウオォォォォォォ!!!」

ザパンッ シュー

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:08:09.90 ID:XYy3gGC8O
瑞鶴「瑞鳳の戦闘機が邪魔で前が………えっ!!!?」ビクッ

舞風「瑞鶴さん、危ない!!」

ドカーーン!!!

瑞鶴「うぅ………この判定は大破……ね…戦闘続行不可能…」

電「瑞鶴さん!!」

舞風「電ちゃん!!」

夕立「油断は禁物っぽい!!」ドン ドン

電「はにゃー!!!!」中破

舞風「駄目…敵はもう雷撃距離に……」

陽炎「ごめんね、舞風!貰ったわ!!」ポチャン シュー

舞風「この距離なら避けれ…」

陽炎「チェックメイトよ!」ドン

舞風「ぁあ!!!!」中破

陽炎「舞風、魚雷に気を取られすぎよ」

舞風「…………うぅ…」

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:09:08.05 ID:XYy3gGC8O
提督「全艦に告ぐ。第一回模擬演習はこれにて終了する。みんな、ご苦労様」

提督「シャワーを浴びて身体に付いたペイントを落とした者から執務室に来なさい」

提督「それと、補給も済ませておけよ。以上」ブツッ

提督(瑞鳳の戦術が実に奇抜で面白いものだった)

提督(瑞鶴達も良い意味で影響を受けてくれればいいのだが…)

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:09:42.00 ID:XYy3gGC8O
………………

提督「みんな、さっきも言ったが、お疲れ様。とても良い演習であった」

提督「特に瑞鳳。あの戦術はお前が考えたのか?」

瑞鳳「はい。艦載機の数で劣る私が出来ることを考えたら」

提督「実に良かったぞ。私も勉強になった」

瑞鳳「えっ!?いや!そんな!!」カァァ

文月「ずいほーちゃん、かおあかいよー?」

瑞鳳「えっ!!ど、どど、どうしよ…」ブンブン

陽炎(無邪気な一言って、時に残酷ね…)

提督「……………瑞鶴」

瑞鶴「………すみません…短絡過ぎでした…」シュン

提督「いや、確かにそれもそうなんだが、その事では無い」

瑞鶴「?」

提督「お前も良かった。よくやったよ」

瑞鶴「………どうして?私は完膚なきまで負けたのよ?なのに、なんで褒めるの!?」

提督「お前たちが負けたのは、ただ単に瑞鳳が一枚上手だったからだ」

提督「私はしっかり見ていたぞ。お前は一人一人確実に撃破しようとしていたな?多大な艦載機を持っている側からしたら、全体を一気に攻撃して殲滅するという考えに行き着き易い」

瑞鶴「しかし、お前は勝利の為にそのような慢心は捨ててかかっていた。もしも瑞鳳が今回の様な策を取っていなかったら十中八九お前たちの勝利だった」

提督「だから気に病む必要は全くない。この悔しさを実践で活かしてくれればいいのだが」

瑞鶴「うん……ありがと、提督さん…」グスッ





97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/14(金) 23:10:44.31 ID:XYy3gGC8O
提督「それと、夕立、陽炎」

夕立「ん?なんですか?」

陽炎「はい!」

提督「瑞鶴の航空隊に怯えずよく速度を落とさないで突っ込んだ。傍目から見ていても勇猛果敢だったぞ」ナデナデ

夕立「…ぽいっ!」ニコッ

陽炎「ありがと!そう言ってもらえて嬉しいわ!!」

文月「しれーかん!わたしは?わたしは?」

提督「文月も直接的な戦果は無かったが、しっかり夕立や陽炎について行ってたな。えらいぞ」ナデナデ

文月「えへへ~」

提督「電は唐突な命令の変更にも即座に対応出来ていたし、舞風は例え仲間がやられても気を取られず隙を作らないようにしていたな」

電「司令官さん、本当によく見ていてくれてるのです!」

舞風「負けたけど、嫌な気分じゃなくなった!!」

提督「繰り返すが、本当にいい演習だった。今日学んだこと、反省したことをまた活かしてくれ」

提督「では、解散だ。後は自由にしてくれて構わない」



100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/15(土) 23:42:50.54 ID:quA+9VbQO
提督「………」ペラッ サラサラ ペラッ

コンコン

提督「入れ」

瑞鳳「あの…いいですか?」カチャ

提督「どうした?今日の演習について何かあつたか?」

瑞鳳「いや、そうではないんだけど…」

提督「演習の事ではないのか。するとなんだ?」

瑞鳳「えっと…提督、ずっと寝てないよね?」

提督「いや、そんなことないぞ。昨日もお前が戻った後すぐ寝ている」

瑞鳳「ねえ提督。実は私、あの後執務室の前に一度来たんだけど?」

提督「……………」

瑞鳳「提督、朝方までずっと書類やってたよね?」

提督「……………ああ…」

瑞鳳「やっぱり………」

瑞鳳「提督、身体壊しちゃうよ!」

提督「大丈夫だ。私は頑丈さには自信があるからな」

瑞鳳「じゃあ、その目の下のクマは何?」

提督「知らんな」

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/15(土) 23:44:38.21 ID:quA+9VbQO
瑞鳳「提督が倒れられたら、私達にも影響あるのよ?あんまり無理しないで」

提督「だがな…」

瑞鳳「書類が多いの?」

提督「まあな」

瑞鳳「だったら私も手伝う!」

提督「いや!それは」

瑞鳳「だめだよ、提督。このままじゃ提督が倒れちゃうもん!」

瑞鳳「二人でやれば早く終わるし、提督の負担も減るでしょ?」

提督「だが、お前にはメリットがない」

瑞鳳「提督の側に居られるもん」

提督「何を…」

コンコン

提督「?誰だ。入ってこい」

瑞鶴「提督さん、遊びに来た……って瑞鳳じゃない。こんなところでどうしたの?」ガチャ

瑞鳳「あ、えーっと…」

提督「瑞鳳が私の秘書的なことをしたいと言っていてだな」

瑞鳳「や、提督!!?」

瑞鶴「ん?秘書?どうしてそんなことを?」

瑞鳳「その………提督は毎日書類をさばくのに無理してるの。夜も寝ないでずっとやってるから、そうならないように私が手伝おうかなって…思って……」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 09:18:52.53 ID:hunWvbNwO
瑞鶴「提督さん、そうなの?」

提督「…まあな。だが、現状全く問題はないのだがな」

瑞鳳「提督!だから倒れてからじゃ遅いんだからね!」

瑞鶴「そうね…提督さんに倒れられたら私、嫌よ」

瑞鶴「………ねえ、私もやっていい?出来る限りの範囲で提督さんのこと手伝いたい」

瑞鳳「瑞鶴!?」

瑞鶴「提督さんが心配なのは貴女だけではないのよ、瑞鳳」

瑞鳳「う………」

瑞鶴「瑞鳳、ちょっと耳貸して?」

瑞鳳「いいけど…」スッ

瑞鶴「貴女もでしょ?瑞鳳。提督さんのこと…」コソッ

瑞鳳「っ!!!ーーー」カァァ

瑞鶴「やっぱり…ね……」

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 09:19:46.74 ID:hunWvbNwO
提督「瑞鶴、瑞鳳。何をコソコソ話してる」

瑞鶴「なんでもないよ、提督さん」

瑞鳳「うぅ………」

瑞鶴「それよりも提督さん。私達に提督さんのお手伝いやらしてよ」

提督「どうせ断ったとしても何かある毎にゴネるつもりだろう」

瑞鶴「当たり前じゃない!提督さんが無理をするんだもん」

提督「分かった。お願いしよう」

瑞鶴「流石提督さん!!物分かりいいね!」

瑞鳳「よかった…」ボソッ

提督「しかし、先に言っておくぞ。大体の仕事は地味で退屈で、しかもミスが許されないようなものだ。それでも大丈夫か?」

瑞鶴「大丈夫よ!瑞鶴に任せて!」

瑞鳳「はい。勿論!」

提督「うむ………では、早速だがこの山を崩すのを手伝ってもらっていいか?」

…………
……

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 09:25:51.85 ID:hunWvbNwO
……………

提督「よし。これで終わりだ。こっちにある書類は機密のものだから、後で私が一人でやる。本当に助かった。瑞鶴、瑞鳳。ありがとう」

瑞鶴「疲れた~ああ、どういたしまして」

瑞鳳「提督こそお疲れ様。今日こそ早目に寝てね」

提督「ああ」

瑞鳳「約束、だよ?」

提督「分かった分かった。それより、お前たちもゆっくり休んでくれ。私の代わりにお前たちが倒れるなんて以ての外だからな」

瑞鳳「はーい!」

提督「うむ。瑞鶴、瑞鳳、おやすみ。ゆっくり休んでくれ」

「「おやすみなさい」」

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 23:56:07.93 ID:4BK98e31O
数日後

提督「瑞鶴、瑞鳳」

瑞鶴「なに?提督さん」

瑞鳳「な~に?提督」

提督「鎮守府正面海域の解放から駆逐艦や軽巡を集中的に建造してきたな」

瑞鶴「うん、そうね。おかげ様で最近は資源も黒字になって来たし、助かってるわね」

提督「ああ。それもそうなんだが、実はその話ではないんだ」

瑞鳳「資源ではないんだ…じゃあ、どんなお話?」

提督「二人は正面海域に出撃した時の事は覚えているか?」

瑞鳳「うん。それは、まあ…」

瑞鶴「私達の初陣だもんね」

提督「では、索敵中の事を思い出せるか?」

瑞鶴「確か…敵艦隊が私達の方に向かっているのを発見して迎撃したよね」

提督「そうだ。何か気づかないか?」

瑞鶴「え?今のに?」

瑞鳳「あ!!」

提督「瑞鳳は分かったか。流石だな」

瑞鶴「うそ!瑞鳳分かったの!?」

瑞鳳「多分だけどね」

提督「分からないか?」

瑞鶴「うん…何がおかしいのか分からないわよ」

提督「いや、分からなくても別にいい」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 23:56:40.56 ID:4BK98e31O
提督「答えはこうだ。敵艦隊がこっちに向かっていた。これがおかしいんだ」

瑞鶴「敵艦隊がこっちに?………ん?」

提督「敵艦隊は軽巡と駆逐艦のみの編成だった。しかも敵は索敵機を出した様には思えなかった」

瑞鶴「うんうん」

提督「だが、敵はこっちに向かって進軍していたんだ。まだ目視すら出来ない距離なのにも関わらず」

瑞鶴「あっ!?」

提督「そう、気づいたな。敵には場所が分からないはずなのに、真っ直ぐこちらに突き進んで来たんだ」

瑞鶴「確かにおかしいわね」

提督「さらに言うと、電と二人で出撃した時も、敵はすぐに私達に気付き砲撃して来た」

提督「となると、可能性は一つ」

瑞鳳「敵には私達の場所が分かっていた…でしょ?」

提督「そうだ。そしてこれらから、私はこう考えた」

提督「横須賀近海、又は湾内に敵……潜水艦が少なくとも一隻以上は潜んでるとな」

瑞鶴「ということは………不味くない!?私達、普通に演習したりしているわよ!?」

瑞鳳「それは大丈夫だと思う…」

瑞鶴「どうして!?」

瑞鳳「もしも攻撃したら潜水艦がこの海域にいるってバレるよね?」

瑞鶴「うん」

瑞鳳「そしたら私達は警戒を強めて、場合によっては潜水艦狩りをするよね?」

瑞鶴「うん」

瑞鳳「そしたら、誰も私達の動きを報告出来なくなるよね?」

瑞鶴「あ…」

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/16(日) 23:57:08.93 ID:4BK98e31O
提督「その通りだ。当面は直接的な障害となるとは考え辛い」

提督「しかし、今後大規模な作戦などといった、ここぞというタイミングで襲撃される可能性は十分考えられる。また、襲撃されなかったとしても、艦隊の情報は敵に筒抜けにのるのは間違いない」

瑞鶴「それは…かなりマズイわね…」

提督「だろう?そこで、敵潜水艦を一掃する為に第四艦隊まで全てを同時に出撃させようと思う」

瑞鶴「そうね。それは今後の為にもやった方がいいわね」

瑞鳳「提督、作戦の細い構想は決まってるの?」

提督「大まかにはだがな。ここからお前達と三人で詰めていき、最終的には軽巡、駆逐艦のみんなの意見を仰いで、作戦を確定させるつもりだ」

瑞鳳「うん!それでいいと思うな!!」

提督「ああ。では、早速だが聞いてくれるか?」

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:55:28.76 ID:bqT0IVNRO
翌日

提督「これで解散にするが、次に読み上げる者はこの場に残ってくれ」

提督「電、陽炎、舞風、夕張、。以上四人は残っていること」

提督「残りは解散してくれ」

……………
……


提督「さて…君たちに相談がある」

夕張「なあに?実験しちゃう?」

提督「いや、そうではない。まあ、聞いてくれ」

提督「恐らく、横須賀近海に潜水艦が潜んでいる」

電「えっ!?」

陽炎「………本当なの?」

提督「ああ。根拠は2つある。一つ目は電と出撃した時に、敵艦隊は私達に気づくのが早すぎた」

電「た、確かにそうなのです…」

提督「そして二つ目は、翌日再度侵攻した時に、敵艦隊は視認範囲外にも関わらずこちらに向かってきていた」

陽炎「確かに、根拠にはなり得るわね」

夕張「私達はどうしたらいいのかしら?」

提督「これから私はお前達に作戦の概要を話す。それを聞いて修正してほしい」

提督「大東亜戦争当時、最も対潜行動をして来たのはお前達駆逐艦や軽巡だったはずだ。お前達ならば私達が見落としていた箇所も指摘出来るだろうと思っている。是非とも協力して欲しい」

舞風「まっかせて!提督ぅ!!」

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:56:24.25 ID:bqT0IVNRO
………………

提督「これより敵潜水艦掃討作戦を開始する。今回は第一~第四艦隊まで全てを出撃させる。編成はこうだ」

提督「第一艦隊は電を旗艦に、文月、響、雷の四人。第二艦隊は陽炎を旗艦に不知火、川内、夕立の四人。第三艦隊は舞風を旗艦に野分、初風、浦風の四人。第四艦隊は夕張を旗艦に春雨、時雨、卯月の四人だ」

提督「何か質問がある者は?」

不知火「発言してよろしいでしょうか?」

提督「なんだ?」

不知火「この鎮守府で最も練度が高い瑞鳳さんと瑞鶴さんが今回の出撃メンバーに入っておりません。空からの観測の為にも出撃メンバーに入れたほうがよろしいのでは?」

提督「いや、二人にはこの鎮守府の守り役をしてもらう。今回の出撃では、二人を除いた全艦娘を投入する。もしもその隙に鎮守府を襲撃されたらどうする?誰もいなければ打つ手がない。しかし艦娘、それも高火力を持つ二人が居れば、それだけで抑止力にもなる」

不知火「なるほど。その様な意図があったのですね。出過ぎた発言をお許し下さい」

提督「いや、それでいい。むしろ意見をもっと言ってくれると助かる」

提督「他にはあるか?………内容だな。では、直ぐに作戦に入る。今回あさぎりは第一艦隊から第四艦隊のどこにでも急行出来るように備えるようにする。何か非常事態があれば呼び出してくれ」

提督「瑞鳳、瑞鶴。鎮守府を任せたぞ」

瑞鶴「任せて!絶対に守り切ってみせるから!」

瑞鳳「行ってらっしゃい、提督。私達はここで待ってるから」

提督「ああ、行ってくるよ」

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:57:07.62 ID:bqT0IVNRO
夕張「第四艦隊、東京湾に到着。潜水艦の探知を開始します」

舞風「相模湾に到着!!さあ、華麗に舞うわよ~」クルクル

野分「こんなところで踊ったら…」

舞風「わっ!!」バシャーン

野分「ほら、ね…舞風、手を貸して」グイッ

舞風「ありがと~野分!踊りすぎたぁ~」

陽炎「第二艦隊、太平洋に出たわ!これより北上しつつ対潜行動に移るわ!」

電「電達は南東に向かって進みます!」

提督「今の所とりあえずは接敵していないか」

提督「奇襲をされなければいいが…」

陽炎「司令!見つけたわ!!潜水艦らしき音を探知!」

提督「数は?」

陽炎「恐らく1。やっちゃうわよね?」

提督「もちろんだ。昨日話したようにやってくれ」

陽炎「了解!」

陽炎「不知火は私の近くに来て!そして川内さんは夕立とコンビを組んで!私と川内さんがそれぞれ爆雷を投下!不知火と夕立はコンビの目となって敵潜水艦の動きや撃退を確認してちょうだい!!」

陽炎「よし、対潜行動開始するわよ!!」

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:57:58.36 ID:bqT0IVNRO
夕張「こちら夕張!敵潜水艦群発見!これより対潜行動始めます!」

舞風「こっちでも見つけたよ~提督ぅ~!!」

野分「ソナーに感あり。潜水艦が4ですね」

提督「攻撃開始だ」

野分「了解!舞風、やるわよ!」

舞風「うん!野分!!それっ!ワン、ツー!!」

電「司令官さん!!大変なのです!」

提督「潜水艦を見つけたか?」

電「水上艦なのです!!」

提督「何!?」

電「雷巡と駆逐で出来てる艦隊なのです!」

提督「水雷戦隊か…」

提督「電、指揮はお前に任せる。上手く撒いて逃げろ」

電「え!?電が!?」

提督「そうだ。もしも倒せるならそれに越したことはないが、それは難しいだろう?」

電「はい…」

提督「ならば逃げるしかない。こちらは幸い駆逐艦のみでの編成だ。逃げ足はこちらの方が早い」

提督「電、全員で生きて戻ってこい」

電「はい!!電は必ずみんな一緒に戻って来るのです!」

提督「ああ。頼むぞ………健闘を祈る!」

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:58:48.42 ID:bqT0IVNRO
陽炎「ほかの艦隊は敵潜水艦隊を発見しているようね…」

不知火「それに比べて、不知火達の艦隊は一隻を見つけたのみ…」

陽炎「そうね…どうして一隻だけだったのかしら?」

陽炎「恐らく敵もこちらが潜水艦掃討作戦に出ていることは分かっているはず…なのにわざわざ一隻だけで行動するなんて変ね」

不知火「艦隊から逸れたのでは?」

陽炎「うん。その可能性はあるわ。だけど何かが引っかかるのよ…」

川内「別にいいじゃん!もうこの海域には敵はいないよ~潜水艦じゃ夜戦できないからつまらな~い」

夕立「夕立、少し疲れたっぽい…」

陽炎「ダメよ!まだ全海域を確認してないの!敵も休んでくれ………」

陽炎「休んで………止まって………………」

不知火「陽炎?どうしました?」

陽炎「ねえ…不知火………」

不知火「どうしました?陽炎」

陽炎「さっきの潜水艦がさ………もしも囮だとしたら………」

不知火「囮?どういうことですか?」

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 17:59:42.89 ID:bqT0IVNRO
陽炎「私達はさっき敵潜水艦の反応を追ってこの海域に来た訳よね…」

不知火「ええ。しかしそれが何か?」

陽炎「その潜水艦は倒したわけだけど、他の反応は無い。それは敵潜水艦を殲滅したとも考えられるけど、こうは考えられない?」

不知火「……………まさか…」

陽炎「敵は全く動かずに私達をやり過ごす、又は撃沈を狙っているって…」

不知火「早く司令に…」

ズドーン!!!

川内「んあーーー!!!?」

陽炎「川内さん!?」

夕立「いきなり右から魚雷が!」

陽炎「まずい…」

不知火「夕立!左舷から魚雷が接近!」

夕立「!!?くっ!!」サッ

陽炎「挟まれた!!不知火!数は分かる!?」

不知火「1、2…いや、4ね」

陽炎「二人一組になっていたら第二射が来る…」

陽炎「不知火!爆雷の準備を!夕立は私達の代わりに敵の位置を探査して!」

夕立「任せて!」



129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 18:00:38.13 ID:bqT0IVNRO
陽炎「司令!聞こえてる!?」

提督「聞こえている」

陽炎「敵潜水艦隊を発見したわ。だけど、川内さんが敵の攻撃を受けて中破。これより私達は反撃に転じるわ!」

提督「打ち合わせたペアを組めないが、大丈夫なのか?」

陽炎「大丈夫ではないけど、夕立に私と不知火のサポートをやってもらう!」

提督「分かった。陽炎、危険だと思ったら退却だ。生きて帰ることを最優先にしろ」

陽炎「了解!さあ、いくわよ!!」

陽炎「不知火は右舷の奴らを!私は左舷の2隻をやるわ!夕立!サポート始めて!」

不知火「了解」

……………
………

130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 18:01:31.97 ID:bqT0IVNRO
陽炎「こちら陽炎!敵艦の殲滅を確認!」

提督「被害は?」

陽炎「最初の雷撃で川内さんが中破したくらいよ」

提督「よくやった。お疲れ様」

陽炎「へっ?…えへへ」テレッ

提督「陽炎達も帰投してくれ。他の子達も帰路についている」

陽炎「は~い」

提督(誰も失わずに敵潜水艦を殲滅できたか…これでしばらくは安泰だ。これからは輸送艦の海上護衛と主力艦の建造をして鎮守府の戦力の増強。この二つを柱にして鎮守府を運営せねば…)

提督(細かくは瑞鳳や瑞鶴と詰めるとするか…)

提督「全搭乗員に告ぐ。あさぎりはこれより横須賀へ帰投する。回頭せよ」

航海長「了解!よーそろー!!」

133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:04:19.16 ID:zcG7NNJnO
………………

比叡「気合い!入れて!いきます!!」ズドーン

熊野「ヒャァァァァアア!!!」ズドーン

夕立「さあ、素敵なパーティーしましょ!」ドーン

瑞鶴「比叡の第二射が来るわよ!回避!!」

秋月「はい!!大丈夫です!!」

夕張「反撃は任せて!」ドーン

青葉「敵はまだこちらに気づいてないよ!」

瑞鶴「青葉………貴女馬鹿なの?」

青葉「いやぁ~冗談ですよ!冗談!!」ヘラヘラ

瑞鶴「……………あとで逆さ吊りね」

青葉「えっ!!?」

瑞鶴「ほら、反撃!!」

青葉「は、はい!」ドーン

瑞鶴「私も………第三次攻撃隊発艦!やっちゃって!!」

瑞鶴「空中集合完了までまだ時間がかかるわ!それまで持ちこたえて!!」

陽炎「任せて!!舞風!行くわよ!」

舞風「レッツ、ブレイクダンス!!踊り回るよ~!!」

酒匂「ぴゃあ!!陽炎ちゃん達が突っ込んでくるよ!!」

比叡「うっ…だけどこのままだと瑞鶴が攻撃隊を送ってくる………」

春雨「夕立姉さん!春雨と一緒に陽炎を…キャア!!」

比叡「春雨ちゃん!!?」

春雨「や…やられました………大破判定です……」

比叡「春雨ちゃん、下がって」

比叡「みんな!陽炎ちゃん達を狙って!私は瑞鶴を狙う!!早く!!」

134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:05:15.43 ID:zcG7NNJnO
提督「ふむ………瑞鶴達の艦隊は上手く対処しているな」

瑞鳳「そうね。瑞鶴の攻撃隊が空中集合が完了するまでの間は陽炎ちゃんと舞風ちゃんが相手を撹乱してるね」

提督「ああ。それに陽炎と舞風はスキあらば魚雷を叩き込むつもりだな。こうなると比叡達は対処し辛いだろう」

瑞鳳「比叡さん達は火力や射程があるけど、攻撃一辺倒になりがち…それに比べて瑞鶴は状況状況で臨機応変に対応してる」

提督「まるでお前のようだな、瑞鳳」

瑞鳳「私はそんな…」

提督「いいや、お前は私の艦隊の中でも最も柔軟な対応が出来る。最近は瑞鶴もかなり勉強しているのが分かるが、まだお前には及ばないな」ナデナデ

瑞鳳「提督…」

提督「とはいえ、瑞鶴の成長もかなりのものだ。本当によく頑張っているよ」

瑞鳳「私、負けないから」

提督「ん?」

瑞鳳「私は提督のことを支えたい。その役目は誰にも渡したくないもん」

提督「ストレートだな」

瑞鳳「もう、長い間一緒にいるでしょ?分かってるでしょ?」

提督「…まあな」

瑞鳳「瑞鶴さんも提督のことが好きなのは?」

提督「………まあな」

瑞鳳「負けないから」

提督「………演習が終わったぞ。迎えに行こう」

瑞鳳「………もう!」



135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:06:03.32 ID:zcG7NNJnO
提督「みんな、お疲れ様。今日はゆっくりしてくれ」

提督「しかし、その前に…比叡」

比叡「は、はい!?」

提督「比叡はもう少し力押し以外の考えをするように。射撃精度は高くなっているが、それだけだと瑞鶴や瑞鳳のような戦術に対応できない。今回でそれは分かっただろう?」

比叡「はい…」シュン

提督「そんな顔をするな。次に生かしてくれればいい」ポンポン

比叡「はい…」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「はい?」

提督「いい指揮だった。自分達と相手の戦力差をよく考えて、その上で場面場面で的確な対応をしていた」

瑞鶴「本当!?」

提督「ああ。お疲れ様」

瑞鶴「ありがと!提督さん!!」ニコッ

提督「うむ」

提督「では、私は執務室に戻る。何かあったら来てくれ」スタスタ

瑞鶴「………」ニヘラ

熊野「瑞鶴。貴女、顔が緩んでますわよ?」

瑞鶴「へっ!?」

熊野「デレデレですわね…」

瑞鶴「うぅ…」

136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:07:21.18 ID:zcG7NNJnO
………………

提督「なぜお前達はここにいるんだ。今日の仕事は全て終わっているのだが」

瑞鶴「だって、今日はもう『自由』なんでしょ?ならどこにいてもいいよね?」

提督「それにしても…」

瑞鳳「私も提督と一緒に居たいからいるのよ」

提督「………好きにしなさい」

瑞鶴「あ、提督さん!お茶淹れてあげる!」

瑞鳳「なら私はお茶菓子持ってくるね」

提督「この後夕飯があるぞ。食べれなくなるんじゃないか?」

瑞鶴「甘い物は別腹!」

提督「………………」

瑞鳳「はい、提督。練り切りです」

瑞鶴「お茶もはいったよ~」

提督「…」ズズッ

瑞鶴「提督さん、どう?」

提督「美味いよ。お茶を淹れるのも上達したな」

瑞鶴「やったあ!!」

瑞鳳「ほんとだ!美味しい!」

瑞鶴「でしょ!でしょ!色々勉強したんだ~」ズズッ

瑞鶴「………うん、美味しい!」

137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:08:03.78 ID:zcG7NNJnO
提督「そうだ。明日外に出かけるのだが、何か必よ…」

瑞鳳 瑞鶴「私も行く!!」

提督「………遊びに行くわけではないぞ」

瑞鳳 瑞鶴「行く!」

提督「はあ…………分かった。私がみんなには説明するから私に合わせてくれ」

瑞鳳 瑞鶴「は~い!」

提督「全く…どうして私なんかがいいんだろうな……」

瑞鶴「それ、私達に言わせる!?デリカシーないわよ!」

提督「いや、言わなくていい…」

瑞鳳「提督は~」

提督「言わなくていい」

瑞鳳「ちぇ…」


138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:08:36.20 ID:zcG7NNJnO
翌日

提督「今日、私は東京に用事がある為留守にする」

青葉「東京のどこに行くんですか?」

提督「大本営だ。呼び出しがかかった。恐らく帰るのは深夜になる」

提督「それと、瑞鳳と瑞鶴を同伴する。そのため、電、陽炎、比叡を中心に鎮守府を運営してくれ」

熊野「どうして瑞鶴と瑞鳳を同伴するんですの?一人ではだめなのですの?」

提督「それは、大本営からの指令だ。私達が考えた航空母艦の新戦術のレクチャーに必要ということだ」

熊野「分かりましたわ。お気を付けてお出かけ下さいな」

提督「ああ。他に質問はあるか?」

文月「しれいか~ん、いいですか?いいですか?」

提督「どうした?」

文月「あたし~おみやげほしいな~」

響「文月…それは……」

提督「わかった…善処しよう」

文月「ありがと~しれいか~ん」

提督「他にはないな?比叡、電、陽炎。あとは任せたぞ」

陽炎「任せて!!」

139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:09:18.55 ID:zcG7NNJnO
………………

提督「ついたぞ」

瑞鶴「へぇ~デカイわね」

瑞鳳「大本営って西洋風の建物なんだ」

提督「かつての戦争でも鎮守府は西洋風の建物だったな。大本営はそれに則ってこの様な構えになっているとのことだ」

提督「二人共入るぞ」

瑞鶴「あ、待ってよぅ!!」

提督「瑞鶴、瑞鳳。一つだけ注意してくれ。中では絶対に敬語で話せ。私の鎮守府なら問題無いのだが、流石にここではマズイ。頼むぞ」

瑞鳳「了解しました!」サッ

瑞鶴「了解!」サッ

提督「すまないな」

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:10:36.37 ID:zcG7NNJnO
トントン

元帥「誰だ」

提督「元帥殿、提督でございます。入室致します」

元帥「入れ」

提督「失礼します」ガチャ

元帥「久しぶりだな、提督」

提督「お久しぶりです、元帥殿。4ヶ月ぶりぐらいでしょうか?」

元帥「そうだな。あの時はひょっこだったお前もいい顔をするようになったな」

提督「そんなことありませんよ。未だにひよっこですから」

元帥「謙遜するでない」

元帥「して、君の後ろに控える二人は?」

提督「我が鎮守府の主力の二人で、元帥殿に向かって左が瑞鳳。右が瑞鶴でございます」

瑞鳳「翔鳳型軽空母2番艦の瑞鳳です」サッ

瑞鶴「翔鶴型正規空母2番艦の瑞鶴です」サッ


元帥「ほう………この二人は初めて目にする。めんこいのぉ」

提督(二人は?)

元帥「そんなにかしこまらなくても良い。手を下げなさい」

瑞鳳 瑞鶴「はっ」スッ

元帥「提督よ、何故この二人を連れてきたのだ?儂は艦娘を同伴しろとは伝えていない筈だが」

提督「護衛と連絡役でございます。この度の路地は海沿いの道が多かったのですが、もしも深海棲艦と接触してしまった場合、流石に私一人では深海棲艦相手に戦うことは出来ません。しかし、彼女を同伴することにより万が一の時も対抗できます。そして、今鎮守府には、私以外に最高機密の無線の暗号を解読出来る権限を持つ者はございません。また、一般回線を使ってしまうと深海棲艦に傍受される恐れもございます。そのため、多少時間はかかってしまいますが、鎮守府と私の元に彩雲と配置することにより、情報を確実に伝達出来ると考えこの度は同伴致しました」

瑞鶴(提督さん…すご…)

元帥「そうか。ならばしょうがないのう」

元帥「お嬢ちゃん達は一度下がっていてくれないかな?今から儂と提督は大事な話がある」

提督「二人とも、下がってくれ」

瑞鳳「はい」

瑞鶴「失礼しました」ガチャ パタン



141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:11:24.61 ID:zcG7NNJnO
提督「申し訳ありません」

元帥「よいよい。それより早速だが本題に入りたい」

提督「………はい」

元帥「提督よ。貴官はこの四ヶ月でこの日本の近海を始めとし、インドネシア近辺の南西諸島海域を制圧して来た。これは素晴らしい戦果だ」

提督「勿体無いお言葉でございます」

元帥「いや、貴官はそれだけの働きをしている。儂等では歯が立たなかった深海棲艦の制海権をここまで押し戻したんだ。十分すぎる功績だよ」

提督「ありがとうございます」

元帥「しかし、問題が一つある」

提督「問題…ですか?」

元帥「ミッドウェイとアリューシャン諸島に深海棲艦の泊地が出来た」

提督「ミッドウェイにですか!?」

元帥「そうだ。今現在は儂等の制海権には殆ど影響はない。しかし、今後戦線を拡大していくにあたって必ず奴らは障害になる」

元帥「今は西方、南方に戦線を拡大して欲しい。本来ならば北方も制圧してしまいたいところだが、泊地がある以上攻略は困難になる。それに加えて北方海域は抑えたところで資源などは殆ど手に入らない。無理して制圧するべきではないだろう」

提督「かしこまりました。私は今後は西方の攻略を優先して行います。それでよろしいでしょうか?」

元帥「ああ。それで良い。私の話は以上だ。何か他にあるかな?」

提督「一つ…いや、二つほどよろしいでしょうか?」

元帥「言ってみなさい」

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:11:54.12 ID:zcG7NNJnO
提督「では、お言葉に甘えて………」

提督「元帥殿、艦娘とは何ですか?いや、どうやって産まれるのでしょうか?」

元帥「…………………しらん。海上で発見された電を研究し、そのデータをベースに作り上げたのが建造というシステムということくらいしか知らんな。そもそも儂は電しか見たことがない。今日瑞鳳と瑞鶴には会うことが出来たが」

提督「分かりました。では、もう一つ。深海棲艦とは何でしょうか?」

元帥「敵だ。奴らは儂等の平和を脅かす敵だ。どうしたのだ、提督よ」

提督「私達はこの四ヶ月沢山の深海棲艦を屠って来ました。ほぼ全ての深海棲艦は止めをさされると沈む。それだけでした。しかし、ここ最近になってこんな事例が1度ありました」

提督「艦娘が死んだ深海棲艦から出てきたのです」

元帥「ほう…そんな報告は聞いとらんぞ」

提督「最近までその子が本物の艦娘かどうかを研究していたため報告が遅れてしまいました。誠に申し訳ございません」

元帥「よい。しかし、その様な重要なことは必ず即刻報告しなさい。それが軍隊というものだ」

提督「はっ」

元帥「これで質問は終わりかな?終わりならば儂は席を外す。良いか?」

提督「はい。ありがとうございました」

元帥「時間がある様ならば大本営でゆっくりして行くがいい」

提督「いえ、艦娘達の練度が上がったとはいえ、鎮守府を空けておくのは忍びないので本日は帰らせて頂きます」

元帥「そうか。気を付けろよ」

提督「はっ!」

元帥「また何かあったらいつでも来なさい。儂は貴官を待っとるよ」ガチャ


143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:12:23.17 ID:zcG7NNJnO
コンコン

提督「瑞鳳、瑞鶴。入るぞ」

瑞鶴「どうぞ」

提督「待たせたな」ガチャ

瑞鳳「お疲れ様です。お話は終わりましたか?」

提督「終わったぞ。お前達は変わりないか?」

瑞鳳「はい。ただこの部屋に居ただけなので何も変わりはございませんでした」

提督「そうか。ならば急ぎではないが、帰ろう」

瑞鶴「はい!」

瑞鳳「分かりました!」

提督「車に戻るぞ」スタスタ

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:12:51.62 ID:zcG7NNJnO
提督「もう口調は戻していい」

瑞鶴「あ~!!やっと普通に話せる~!!」

提督「すまないな、負担をかけてしまって」

瑞鶴「いいのよ。だってあの人提督さんの上官でしょ?私達の言葉遣いが原因で提督さんが怒られたら私はヤだもん!」

瑞鳳「私は基本的にこんな話し方だからキツくはなかったな~」

瑞鶴「とか言って、提督さんには完全に砕けた話し方してるよね」

瑞鳳「提督は別なの!」

提督「喧嘩するならばここで降ろすぞ」

瑞鶴「ごめんなさい!!」

瑞鳳「ごめんなさい……」

提督「別にいい。ところで瑞鳳、瑞鶴。どこに行きたい?」

瑞鶴「え?」

提督「まだ時間も早い。東京近郊ならば寄り道しても良いぞ」

瑞鳳「でも、早く帰らないとみんなが…」

提督「たまにはお前達も羽を伸ばさなきゃ参ってしまうぞ。それにみんなには深夜に帰ると伝えただろう?なんら問題ない」

瑞鳳「でも………」

瑞鶴「ねえ、提督さん。私提督さんと買い物行きたいな~」

提督「買い物か?別にいいがどこに行きたいんだ?」

瑞鶴「どこでもいいわよ!提督さんに任せたわ!」

提督「瑞鳳、お前はどうだ?」

瑞鳳「私も……提督と買い物がいいな…」

提督「二人とも買い物か。そしたら、銀座に行こう」

瑞鶴「銀座?」

瑞鳳「あんまり聞いたことないな~」

提督「まあいい。行けばどんなところかは分かる」

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:14:04.06 ID:zcG7NNJnO
瑞鶴「すっごーい!」キラキラ

瑞鳳「提督、本当にいいの?」

提督「好きなのをなんでも買ってやる」

瑞鳳「ありがとう!提督!!」

瑞鶴「提督さん、向こう行こ?」ギュッ

瑞鳳「私も一緒に行く!!」ギュッ

提督「こら、あまりくっつくな。人様の注目を浴びるだろう」

瑞鶴「やだー!!」ギュッ

瑞鳳「このままがいい!」ギュッ

提督「お前ら………」

提督「…………行くぞ」

瑞鳳「えへへ」

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:14:37.91 ID:zcG7NNJnO
瑞鶴「ねえねえ提督さん!これ似合う?」

提督「白いワンピースか。よく似合ってるぞ」

瑞鶴「本当!?提督さんがいいって言うならこれにしようかな?」

瑞鳳「提督~私はどう?」

提督「瑞鳳は和服か。普段が和装だから目新しさは無いが、藍色の着物は瑞鳳に馴染む」

瑞鳳「それに藍色はね、使えば使うほど藍から青へと変化するのよ。藍は青より青しってね」

提督「それは知らなかった。そうか…藍色が青くなったところを見てみたいな」

瑞鳳「うん。だけど……いつまでもこの愛が変わらないかもしれないよ?」

提督「藍が変わらなければそれはそれでいいものだ。気長に待つとするよ」

瑞鳳「うん………」

提督「二人とも、ここで待ってなさい。この後は夕食にしよう」スタスタ

提督「カードで頼む」

店員「かしこまりました」

店員「お待たせ致しました。こちらカードのお返しでございます」スッ

提督「ああ、ありがとう」

店員「ありがとうございました。またお越し下さいませ」

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 01:15:05.07 ID:zcG7NNJnO
…………………

瑞鶴「は~美味しかった~!!提督さん、ごちそうさま!それと、お洋服まで買ってくれてありがとう!」

瑞鳳「ありがとうございます、提督!」

提督「気にしなくてもいい。私からの日々の感謝だと思ってくれ」

瑞鶴「ねぇ、提督さん?」

提督「なんだ?」

瑞鶴「この後、もしかして…」

提督「ああ。鎮守府に帰るぞ」

瑞鶴「………だよね…」

提督「それはまたのお預けだ」

瑞鶴「えっ!?」

提督「車を出すぞ。シートベルトを着けなさい」

瑞鶴「………うん!」

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:44:41.92 ID:K8lmZxRu0
翌日

提督「昨日はすまなかった。私達がいない間に問題は無かったか?」

比叡「はい!特に問題はありませんでした!後ほど詳しく報告致しますが、遠征と演習のみを行いました」

提督「分かった。では、後ほど執務室に報告書と一緒に来てくれ」

比叡「はい!!まっかせて下さい!!」

提督「他には…」

文月「しれいか~ん!おみやげは~?むぐっ!」

電「文月ちゃん!そういうのは…」

提督「買ってきたぞ」

文月「ほんと~!ありがと~しれいか~ん」

提督「ああ」

提督「全員分買って来ている。遠慮せずに貰ってくれ」

提督「瑞鳳、全員に配ってくれ」

瑞鳳「はい!どうぞ、文月ちゃん」

文月「ありがと~!ねえねえ、これなに~?」

提督「銀座、たちばなのかりんとうだ。どうやらかなり人気な和菓子らしい」

秋月「こ…こんなの私が貰ってもいいんでしょうか…」ビクビク

提督「もちろんだ。量は多くは無いが、好きな時に食べてくれ」

秋月「はい!大事に大事に食べさせて頂きます!!」

提督「湿気るぞ」

秋月「あ…そうか………」

提督「また機会があれば買ってきてあげるから」

秋月「は…はい!!」

156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:46:00.39 ID:/6Z0/1lmO
提督「配り終わったな?」

瑞鳳「はい。全員分配り終わりました」

提督「一つ重要な話をする」

提督「これまで、私達は資源が豊富な南西諸島海域まで制圧し、海上輸送ラインの形成に力を尽くしてきた。しかし、この度大本営からの指令により、西方、南方両海域への侵攻が決定された」

陽炎「二方面作戦………」

提督「いや、私は二方面作戦などやるつもりは毛頭ない。確かに大本営からは西方、南方両海域と言われたが、我が鎮守府の戦力で二方面作戦なぞを仕掛けたら自殺しに行くようなものだ。そこで私は、西方海域のみを制圧しようと思う」

野分「しかしそれですと、大本営の意に背くことになるのではないでしょうか?」

提督「確かに大本営の意に背くことにはなるだろうな。しかし、指令に背くわけではない」

野分「すみません…私には分かり兼ねます」

提督「要はこういうことだ。指令には両海域を制圧せよと書かれているが、両海域を同時に制圧せよとは書かれていない。つまり、西方を制圧してから南方を制圧してもなんら問題無いと言うわけだ」

野分「そういうことでしたか…」

舞風「それって、もう屁理屈だよね~」

提督「舞風の言う通りこれは屁理屈だ。しかし、ただでさえ豊富とは言えない戦力を割いてお前達を危険に晒すなど愚の骨頂だ」

提督「それにだ、私はかつて大東亜戦争において、旧帝國海軍が実行してしまった多方面作戦の失敗を理解している。自分達の戦力を見誤り、無計画に戦線を広げた結果が敗北に繋がった。それらを私は文献だけでは無く、君たちの記憶から教えて貰った。それなのに私がまた同じ誤ちを辿るようならば、私は無能以外の何者でもないだろう?」

提督「よって私達は二方面作戦を取らずに、各海域を確実に抑えることを当面の目標にする」

提督「意見、反論がある者はいるか?」

提督「………………」

提督「居ないようだな。作戦決行は一週間後とする。それまでは遠征班と演習班に分かれてそれぞれの役割を努めてくれ」



157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:46:46.11 ID:/6Z0/1lmO
リランカ空襲作戦下

陽炎「ふう…これで敵潜水艦は倒しきったわね…」

熊野「お疲れ様、陽炎さん。リランカ島まではあともう少しですわ」

陽炎「私はまだまだ行けますよ!」

熊野「あら、いいご返事」

提督「瑞鳳、瑞鶴。リランカ島にはまだ少し遠いが、偵察機を飛ばしてくれ。どうもおかしい」

瑞鶴「どうして?」

提督「リランカ島はかつてスリランカの名で呼ばれ、海軍や空軍などの軍隊を持っていた国だ。そうなると、滑走路などのような、深海棲艦も転用出来る重要な設備があってもなんらおかしくない」

瑞鶴「まあ、確かにそうね」

提督「普通ならば重要な防衛地点となるため、主力艦隊が置かれるのが定石だ」

瑞鳳「だけど、未だに私達は潜水艦しか接敵していないね」

提督「そうだ。潜水艦だけで敵を迎え撃つとは考え辛い。恐らく主力艦隊が待ち構えている筈だ」

瑞鶴「分かったわ、提督さん!瑞鳳、索敵機発艦するわよ!索敵機一番機、発艦!!」バシュッ

瑞鳳「瑞鳳、索敵機発艦!!」バシュッ

提督「しかし…どうして潜水艦のみ………」ブツブツ

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:47:28.35 ID:/6Z0/1lmO
瑞鶴「っ!!!」

提督「どうした!?」

瑞鶴「索敵機三番機より入電!2時の方角に敵艦隊発見!!」

提督「瑞鶴、でかした!編成は!?」

瑞鶴「空母2!軽巡1!駆逐2!計5隻です!!座標の要請………確認!全艦に座標データを送ります!」

瑞鳳「第一次攻撃隊発艦準備!」

瑞鶴「増速します!第五戦速、艦首風上!!第一次攻撃隊発艦!!続けて直掩機発艦!!」バシュッ

瑞鶴「電探に感有り!敵攻撃隊接近!!」

提督「全艦に告ぐ!対空戦闘準備!繰り返す!対空戦闘準備!!輪形陣をとれ!!」

熊野「瑞雲、発艦しますわ!」バシュッ

艦戦妖精「カモがキタキタ~!!オラッ!オチロォ!!!」ダダダ ダダダ ダダダダダダ

艦戦妖精「イッチョアガリィ!!ツギィ!!」

瑞鳳「艦戦隊、敵攻撃機を抑えています!!」

艦攻妖精「デストローイ!!!!」

艦爆妖精「ワレラノタマシイハズイホウノカクノウコニアリ!!ゼッタイニモドルヨ!!」

ズドーン!!

ニ級「」

ハ級「」

ト級「」

瑞鶴「敵駆逐2撃沈!軽巡1大破炎上!!しかし、空母は2隻とも健在!!」





159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:48:16.97 ID:/6Z0/1lmO
比叡「敵艦爆5機、接近!!」

提督「対空戦闘始め!!」

比叡「第一主砲!三式弾、発射!!」ズドーン!! パンッ

比叡「三式弾の炸裂を確認!一機撃墜!!」

青葉「青葉だって、三式弾は撃てますよ~撃てぇい!!」ズドーン パンッ

青葉「あれ?おかしいですね~」

熊野「何をやってるんですの!!?とぉぉぉぉおお!!」タンタンタンタンタンタンタン

熊野「敵機、爆弾を投下し反転しましたわ!」

提督「いいぞ!!比叡!熊野!青葉!砲撃準備!!目標、敵空母!!陽炎は敵空母に接近!魚雷を叩き込め!」

陽炎「やっと、陽炎の出番ね!!」

比叡「第一主砲発射!!遠!!!第二主砲発射!!近!!!兇叉!!続けて第三、第四主砲斉射!!いきます!!」ズドーン

ヲ級「!?」

比叡「敵空母に直撃!中破!!」

青葉「敵は…」

熊野「言わせないですわ!!」ズドーン!!

青葉「…………」ズドーン

熊野「私達も接近しますのよ!!」

青葉「熊野~待って下さいよ~!!」

熊野「待ちませんわ!!早く着いて来なさいな!」

比叡「第三斉射…ってぇ!!」ズドーン

陽炎「酸素魚雷発射!!」シュー ズドン!

ヲ級「」

陽炎「敵空母、一隻轟沈!次発装填!!魚雷発射!!」シュー ズドン!!

ヲ級「」

陽炎「敵艦沈黙!」



160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:49:03.78 ID:/6Z0/1lmO
提督「気を抜くな!索敵を継続!」

瑞鳳「………敵影無し!!」

提督「了解。戦闘しゅ…」

瑞鶴「待って!提督さん!!」

提督「なんだ?」

瑞鶴「潜水艦は?」

提督「!!?」

瑞鶴「ここだけ潜水艦がいないなんておかしいよ」

提督「陽炎!ソナー!!」

陽炎「は、はい!!」

シュコッ

陽炎「この音………マズイ!魚雷が来る!!」

シュー

陽炎「!!!!」

提督「陽炎!!!!!!」

艦爆妖精「エイッ」ヒュー ドッカーン!

陽炎「えっ!?」

瑞鶴「良かった~間に合って」

瑞鶴「ありがとね、艦爆妖精!」

提督「魚雷を爆弾で迎撃しただと…」

提督「!!陽炎!潜水艦の位置は!?」

陽炎「まだ近い!やっつけてやる!!」ヒュン ドッカーン

陽炎「よし!残骸が上がってきたわ!」

陽炎「他に潜水艦の反応無し!」

提督「………ありがとう、瑞鶴」

瑞鶴「えっ!?あ、ど、どういたしまして…」

提督「戦闘終了。リランカ島を攻めるぞ」

161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:50:32.04 ID:/6Z0/1lmO
提督「リランカ島の様子は?」

瑞鳳「敵艦が停泊…いや、出航準備をしているみたい…」

提督「あれだけドンパチやったら当たり前か」

提督「先手を打つ。第二次攻撃隊を準備出来次第発艦。優先すべきは停泊中の敵艦だ」

瑞鳳「はい!第二次攻撃隊発艦!」バシュッ

瑞鶴「発艦!!」バシュッ

艦攻妖精「バーニングッボーム!!」

艦爆妖精「イヤイヤ、オマエノハトーピードゥデショ」

艦戦妖精「ミンナマモルヨー」

瑞鶴「リランカ停泊中の敵艦の被害甚大!離脱した鑑定は7…」

艦攻妖精「バーニングッボーム!!ファイヤー!!」ズドーン

リ級「」

瑞鶴「いえ…6隻になりました」

瑞鳳「艦種判明!!戦艦2、重巡1、軽巡1、駆逐2です!!」

比叡「今度こそ私達にまっかせて~!!」

比叡「零式艦上観測機発艦!」

青葉「青葉も続きますよ~」

熊野「さっきの交戦で少し減ってしまいましたが、瑞雲発艦しますわ!」

提督「瑞鳳瑞鶴は艦載機を回収。並びに発艦準備!発艦のタイミングはそれぞれに任せる」

瑞鶴「了解!!」

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:51:09.15 ID:/6Z0/1lmO
比叡「私は後方から砲撃して援護するから、青葉と熊野は敵艦に接近しつつ砲撃!」

比叡「陽炎ちゃんは少し迂回しつつ敵艦隊に突入して!砲撃で狙うのは駆逐艦だけでいいから!何としても雷撃可能距離まで接近して魚雷を叩き込んでね!」

比叡「第一主砲発射!!」ズドーン

タ級「!」中破

比叡「えっ!?初弾命中!?」

熊野「熊野も負けていられないですわ!」ズドーン

青葉「撃て~い!」ズドーン

陽炎「重巡や戦艦の人達はこの距離からでも射程内なんてずるいなぁ…」

陽炎「まあ、私は私の戦い方で頑張るけどね!!」

陽炎「両舷全速!!いっくわよ~!!!」

比叡「第二主砲、第三主砲斉射!!」ズドーン!!

163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:51:42.79 ID:/6Z0/1lmO
………………

比叡「はあ…はあ…はあ……」

熊野「もう…服が汚れてしまいましたわ!」

青葉「青葉のカメラが!!うわ~ん!!」

熊野「それはよかったのではありません?」

青葉「よくないですよー!!」

陽炎「確かに青葉さん、私達のことを盗撮してばっかりだからよかったかも…」

青葉「青葉、陽炎ちゃんを盗撮なんて殆どしていないよ!不知火ちゃんとお風…」

陽炎「ちょ!!怒るわよ!!」ズドン

青葉「うわ!危ないって!!」

陽炎「余計なことは言わないで!!」

陽炎「しかもあの時は不知火が大破した時に付き添いで行っただけだから!」

青葉「でも…」

陽炎「次は酸素魚雷当てるわよ?」

青葉「…………はい…」

比叡「青葉、ふざけてないで索敵して。まだいるかもしれないから」

青葉「青葉だけじゃないのに………」

陽炎「何か言いました?」

青葉「何でもないです…」

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:52:37.07 ID:/6Z0/1lmO
青葉「あれ?」

比叡「どうしたの?」

青葉「あれは…………艦載機じゃ…?」

熊野「またふざけて………っ!?」

比叡「敵の援軍!!?電探は!?どうして反応しなかったの!?」

熊野「島の向こうから来てますわ…多分、敵は岸沿いに接近していたのでは?」

比叡「くっ…後方に控えている瑞鶴と瑞鳳に連絡!」

熊野「分かりましたわ。瑞鶴さん、瑞鳳さん。敵空母の艦載機が島の北部の方から接近しておりますわ。敵艦隊の構成は不明。え?もう攻撃隊は出しているんですの!?どうして………そう…提督が…」

比叡「どうしたの?」

熊野「私達が先程敵艦隊と砲戦終了前に瑞鶴さん達は島の北部に向かって攻撃隊を放っていたようですの。それと、直掩隊もあと数分でこちらに到着するとのことですわ」

比叡「どうして攻撃隊が!?」

熊野「それは…」

提督「私が説明しよう」

比叡「司令!?」

提督「リランカ島の北部には今回の攻撃目標以外にもう一つ基地がある。いや、かつてはあったと言った方がいいか。とにかく、私はその基地の存在について瑞鶴と瑞鳳に伝えただけだ」

提督「その後、瑞鳳と瑞鶴は砲戦でお前達が敵の戦艦と正規空母を沈めたタイミングで手持ちの艦載機の半分を発艦させ、北へ向かわせた。もしもお前達側で何かがあっても対応出来るように戦力は手元に残していたということだ」

比叡「瑞鶴と瑞鳳って…先の先まで読んでる………私にはとてもじゃないけど出来ない…」

提督「そんなことない。最初は瑞鶴だってよくヘマをしていた。初めての演習でも瑞鳳に大敗を喫していたぐらいだ」

提督「しかし、今はここまで成長した。だから比叡。お前も努力を続ければいつかは二人の様になれるはずだ」

比叡「司令……」

提督「与太話はここまでだ。こちらの直掩隊が敵の艦載機を落とすとはいえ、一定数は潜り抜けて来るぞ。油断せずに迎撃せよ」

比叡「はい!!!みんな!一機残らず叩き落すよ!!!」

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:53:43.83 ID:/6Z0/1lmO
瑞鳳「提督!敵の直掩隊を制圧!敵艦隊上空の制空権を確保しました!」

瑞鶴「敵はこちらへの奇襲のために僅かな直掩隊以外全てを攻撃に回してるわ!」

提督「烈風の航続距離はまだ余裕があるな?」

瑞鳳「はい!まだまだ行けます!」

提督「攻撃隊の護衛は最低限にし、あまりは全て比叡達の援護に回せ。そして瑞鶴と瑞鳳は彗星と流星を発艦。波状攻撃を仕掛けて敵を休ませるな」

瑞鳳「了解!!」

提督「比叡!そちらの様子はどうだ!?」

比叡「直掩隊のおかげでなんとか被害は出ていないですが、段々押されています!」

提督「少ししたら艦戦の半分がそちらに到着する。それまでは持ち堪えてくれ」

比叡「分かりました!」

熊野「青葉!そっちに艦爆が行ってますわ!」

青葉「わ!!!うわわわわわ!!!」

陽炎「青葉さん!次は艦攻が青葉さんに向かって行ってます!!」

青葉「ひゃぁぁぁぁあああ!!」

比叡「青葉!敵の艦攻と艦爆の両方がそっちに!」

青葉「何で青葉のところばっかに来るんですか!!!」

熊野「そんなに慌てていたら敵も狙うに決まってますわ」

青葉「それより熊野!助けて下さい!」

熊野「言われなくても…あら?烈風の援軍が来ましたわ!」

青葉「た…助かった…!!」


166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 03:59:50.92 ID:/6Z0/1lmO
比叡「司令!」

提督「何だ?」

比叡「こちらの制空権も確保が出来ました。なので私もこれより攻撃に参加してもいいですか?」

提督「今からその港を出て北部に向かうつもりならば却下だ。お前の護衛に烈風を割くわけにはいかない」

比叡「いえ、私はここから射撃をします」

比叡「先程、零観を敵艦隊の近くまで飛ばし、今も観測を続けています。そこで私は、電探と零観の観測データを頼りに超長距離射撃を行います!最大射程が35キロの私ならば島越しの射撃も可能です!」

提督「自信はあるのか?」

比叡「あります!!必ず成功をしてみせます!!」

提督「分かった、許可を出そう。比叡はこれより超長距離射撃を開始せよ。そのため、艦隊防空の指揮は熊野。お前に任せる」

熊野「承りましたわ。お任せ下さい」

比叡「全主砲、三式弾の装填止め!九十一式徹甲弾を装填!!………装填完了!!」

比叡「仰角調整…38度!よし!!」

比叡「比叡!!気合!!入れて!!!行きます!!!!!いっけぇ!!!」ズドーン!!

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 04:08:28.81 ID:/6Z0/1lmO
………………

比叡「ってぇ!!!!」ズドーン

タ級「」

比叡「敵戦艦に直撃!!撃沈しました!!」

瑞鶴「他に敵艦確認出来ず!」

陽炎「敵潜水艦の反応もないわ!」

提督「戦闘終了」

比叡「はい!!」

提督「比叡、いい砲撃だった。大戦果だ」

比叡「司令!!!」

提督「鎮守府に戻ったら御褒美をあげよう。楽しみにしていなさい」

比叡「はい!!!!」

提督「全員に告ぐ。これよりリランカ島に上陸する。全員準備してくれ」

瑞鳳「分かりました!」

提督「全乗組員に告ぐ。総員、耐放射能服を着用せよ。これよりあさぎりはリランカ島に接舷し上陸する」

副長「艦長。艦娘には耐放射能服を着せなくてよろしいのですか?彼女達は生身で放射能汚染地域に足を踏み入れる事になりますが」

提督「彼女達のことは心配しなくてもいい。研究によると艦娘は放射能の影響による害をを受けないとのことだ」

副長「分かりました。では、艦長もご着用を」

提督「ああ。ありがとう」

提督「さて…見えてきたぞ。リランカ島が………」

173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 11:30:58.01 ID:jjExXym4O
瑞鶴「へ~ここがリランカ島か~だれもいないわね…」

青葉「色々破壊されてちゃっていますね~ここは元々建物があったんですかね?」キョロキョロ

陽炎「見てこれ。私達のと同じくらいの大きさの魚雷が落ちてるわ。信管は無くなっているけどね」

比叡「ひえ~!!!!白骨!!!白骨がありますよ!!!!」

熊野「なんか……この島…気味が悪いですわ…」

瑞鳳「提督?」

提督「………………」

瑞鳳「提督?どうしたの?」

提督「………かつて核攻撃をされたスリランカ……………」ブツブツ

瑞鳳「ねぇ、提督ぅ!」

提督「ん!?なんだ?」

瑞鳳「さっきから一人でブツブツ言ってるから…」

提督「ああ…すまない」

瑞鳳「別にいいけど…」

提督「そういえば、さっき彩雲でこの島を上空から偵察していたな?」

瑞鳳「してたけど、どうしたの?」

提督「この島の他の場所はどんな様子だったか?」

瑞鳳「えっと…ここ付近は植物も殆ど生えていない荒地だったけど、それ以外は普通に草木が生い茂った自然の多い島って感じだったよ」


174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 11:32:04.86 ID:jjExXym4O
提督「………………」

提督「……ピンポイント………小型……建物…………」

提督「人………雷……………海…………」

提督「………………まさか……いや…そんなはずは…………」

提督「しかし……………………もし………先は…………」

瑞鳳「提督?またどうしたの!?」

提督「だめだ…証拠が少なすぎる………」

瑞鳳「証拠?何の?」

提督「いや、何でもない。気にしないでくれ」

瑞鳳「そう?変な提督」

提督「………次はマダカスカルで確認を……」ボソッ

175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 11:33:22.60 ID:jjExXym4O
提督「探索は終了だ。何かやり残しはあるか?」

提督「………無いようだな。これより横須賀へ帰港する。全員あさぎりに乗り込んでくれ」

提督「……………」

瑞鶴「ねぇ、提督さん」

提督「………ん?」

瑞鶴「さっきから顔が怖いよ?何か悩んでるなら私達に相談して」

瑞鳳「そうだよ。私達は提督の力になりたい。これは多分艦娘みんなも同じ想いだから…」

瑞鶴「ただ、私と瑞鳳はその想いがみんなより強いんだけどね」

提督「……本当にいい娘が私の側に来てくれて嬉しいよ……」ボソッ

瑞鳳 瑞鶴「え?」

提督「今はまだ確証がないから言えない。だけど、いつか必ず話すよ」

瑞鳳「約束だよ?」

提督「どんどんお前たちとの約束が増えていくな。…約束だ」

提督「帰ろう。私達の家に」

179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:49:39.38 ID:/5uhUdP40
カスガダマ制圧作戦下

提督「なんだ…こいつら………」

比叡「せ…戦艦では無いよね…」

瑞鶴「でも、航空母艦ってわけでも無いわよ!!元戦艦だった赤城や加賀ですら20センチ砲だったのに、こいつは戦艦級の砲を積んでいるじゃないの!!」

熊野「航空戦艦でも無いですわ。そもそも航空戦艦には魚雷を装備することはあり得ませんわ」

陽炎「あの周りでうようよ浮いている丸っこいのも分からないわね」

秋月「なんでしょう………判別がつきません…」

瑞鶴「ホント分からないことだらけね…」

瑞鳳「戦艦並の砲火力と防御力、正規空母並の艦載機運用能力、そして駆逐艦や軽巡並の雷撃………こういうのって…」

提督「バケモノと言うんだ。だが、しょせんは船は船。多少手数が多くなってしまうかもしれんが、沈めてしまえば結果は一緒だ」

瑞鶴「提督、そういうのって何て言うのか知ってる?」

提督「?」

瑞鶴「脳筋って言うのよ」

提督「おい…ふざけている暇は…」

瑞鶴「でも嫌いじゃないわ、そういうのは。かつて私に乗って一緒に闘った『みんな』も生きるために強大な敵に立ち向かい続けた。絶望しない為に、お互いに生き抜く為に提督さんと同じような事を言っていた」

瑞鶴「提督さんも『みんな』と一緒。私達の事を想って言ってくれているのよね?だから私は絶望しないで戦える。何より提督さんの役に立ちたいから」

瑞鳳「提督。私も、ここにいるみんなも同じ気持ちだよ。絶望なんてしない。敵を倒して提督と一緒に帰る為に」

提督「………………帰ったら何でもしてやる。だから……必ずあのバケモノを倒してくれ」

180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:50:18.10 ID:geORQRFlO
瑞鶴「瑞鳳、提督さんが何でもしてくれるって!」

瑞鳳「そうね。何をして貰おうか考えなきゃ!」

瑞鶴「その前にちゃっちゃとあいつをやっつけるわよ!」

瑞鳳「瑞鶴。最初の演習覚えてるよね?」

瑞鶴「当たり前じゃない!敵の艦載機なんて全部叩き落してみせる!!」

瑞鳳「直掩機以外全部行くわよ!!」

瑞鶴「全艦上戦闘機発艦!!」

瑞鳳「烈風の1/3は高高度を飛行している護衛しているように見せかけて!」

瑞鶴「ひっかかるかは分からないけど、紫電改を艦爆だと誤解させる為ね?」

瑞鳳「ひっかかってくれるといいんだけど」

瑞鶴「案外、シンプルなトリックにはひっかかるものよ」

瑞鶴「実際、あの時は私も驚いて何も対処出来なかったし」

瑞鳳「もう瑞鶴には通じないわよ…っと、敵も艦載機を出して来たみたい」

瑞鶴「頑張ってね、私達の烈風隊に紫電改隊!」

181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:52:15.89 ID:hHAnQiY8O
陽炎「すご…」

秋月「烈風に護衛されていた紫電改に釣られて敵機は不用意に上昇。待ってましたとばかりに敵機へ紫電改と烈風が襲いかかって一気に殲滅。半数の艦戦が落とされたことによって数の上でもこちらが有利になりましたね」

陽炎「瑞鳳さんと瑞鶴さんってあんな奇抜な戦術をよく思いつくわね」

秋月「本当に凄いですね」

陽炎「まあ、私たちは私たちで出来ることをやりましょ」

秋月「はい!」

陽炎「ほら、艦載機が戻ってくるわよ。トンボ釣りやるわよ」

秋月「陽炎は瑞鳳さんのをお願いします。私は瑞鶴さんのをやります」

陽炎「りょーかい!」

182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:52:47.19 ID:hHAnQiY8O
瑞鳳「初戦の戦果は上々ね」

瑞鶴「ねぇ、瑞鳳。あいつは本当にこれで終わりだと思う?」

瑞鳳「ううん。まだいるよね」

瑞鶴「同感。多分あと半分くらいはいるはずだと思うんだ」

瑞鳳「どうしようか…多分次は同じ手は喰らわないと思うよ」

瑞鶴「ねえ、私に一つアイディアがあるんだ」

瑞鳳「どんなの?」

瑞鶴「提督さんも聞こえているよね?」

提督「勿論だ。言ってみるがいい」

瑞鶴「うん。………えっと、多分敵は同じ手は喰らわないと考えていると同時にこう考えていると思うんだ。流石にまた同じ事をして来ないだろうって」

提督「ああ。そう考えるのが普通だな」

瑞鶴「なら、もう一度同じ事をしてやればいい。勿論手は多少変えるけどね」

瑞鳳「確かにいいかも…」

瑞鶴「今回は爆装をしている零戦を使う」

提督「ふむ…そういうことか」

瑞鶴「提督さん、察しがいいね。ただ、その爆装も形ばかりのもの…そう、爆弾のガワだけとか、大きくてそれなりに目立つ容器とか」

瑞鳳「あっ!!」

瑞鶴「瑞鳳も分かった?そう。今回の攻撃では、爆装しているように見せかけている零戦を艦爆と同じような行動をさせて釣り上げる。釣り上げたら装備しているガラクタを一斉に投棄。敵戦闘機を一気に殲滅ってね」

提督「理に適っているな。瑞鳳、お前の意見はどうだ?」

瑞鳳「やってみるだけの価値はあります。やりましょう!」

提督「いいぞ。好きにやってくれ」

183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:53:21.93 ID:hHAnQiY8O
瑞鶴「第二次攻撃隊発艦!」バシュッ

瑞鳳「みんな、後で玉子焼き沢山作ってあげるから頑張ってね!」バシュッ

艦戦妖精「ウォォォォォォォォ!!!!」

瑞鶴「な…何て士気…!?」

瑞鳳「みんな可愛いんだよ?」

瑞鶴「それは分かるけど、それにしたってもの凄い喜び様だったわよ…」

瑞鳳「そうかな~?いつも通りだけど」

瑞鶴「いや、あれは異常………」

瑞鳳「敵に触接中の彩雲から入電!!」

瑞鳳「敵も艦載機射出!数は…約30!」

瑞鶴「思ったよりも少ないわね…」

瑞鳳「それでも全力で叩くからね!」

瑞鶴「当たり前じゃない!」

184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:54:10.06 ID:hHAnQiY8O
烈風妖精「コリズにマタキタ」

紫電改二妖精「コンドハサイショカラアバレルヨ!!」

零戦62型妖精「マダ…マダ………マダヒキツケテ」

零戦62型妖精「………イマ!!ゼンキガラクタヲホウキ!!カカレー!!」

装甲空母姫「!!!!!?」

烈風妖精「タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ…タマゴヤキ」ズダダダダダダダ

紫電改ニ妖精「タマゴヤキガイッピキ!!!タマゴヤキガニヒキ!!」ズダダダダ ズダダダダ

零戦62型妖精「タマゴヤキ!!!!」ズダダダダ

瑞鶴「瑞鳳の航空隊……怖い…」

瑞鳳「やった!!制空権を確保したわよ!このまま全部落としちゃって!!」

瑞鶴「………」

瑞鶴「瑞鳳!このまま艦攻艦爆も出すわよ!」

瑞鳳「了解!速度よし!!攻撃隊、発艦!!」バシュッ

艦爆妖精「オ、テキノセントウキガイナイ」

艦攻妖精「デス!オア!ダイ!!!」

185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:54:43.77 ID:hHAnQiY8O
陽炎「あれ?ねえ、秋月。ソナー確認してみて」

秋月「分かりました…………この音って…」

陽炎「潜水艦っぽいわよね」

秋月「陽炎、提督に報告を」

陽炎「司令、聴こえてる?」

提督「どうした?」

陽炎「近辺に潜水艦がいるかもしれないわ。どうする?」

提督「場所はどこら辺だかわかるか?」

陽炎「多分バケモノの方ね。これだけ敵味方が動き回っているから聞き間違いの可能性はあるけど…」

提督「今そっちに行くのは危険だ。せめて随伴艦を全部沈めてからだ」

陽炎「じゃあ、あのたこ焼きと駆逐艦2隻を沈めたら魚雷を発射する体でバケモノに接近して潜水艦を攻撃するわ」

提督「ああ。だが、あまりバケモノに近づき過ぎるなよ。奴は魚雷も使う」

陽炎「分かったわ!秋月はどうする?」

提督「お前の判断に任せる」

陽炎「了解」

陽炎「さて、手始めにあの駆逐艦2隻を沈めてやるわよ!!」

陽炎「秋月!あの駆逐艦2隻を攻撃!沈めるわよ!!」

秋月「長10センチ連装砲ちゃん!撃ち方始め!!」ズドーン!

陽炎「12.7センチ連装砲ちゃん行くわよ!」

秋月「陽炎の連装砲って動きませんよね?」

陽炎「もう!!別にいいじゃない!!」ズドーン!



186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:55:15.99 ID:hHAnQiY8O
提督「第二艦隊。そっちの様子はどうだ?」

舞風「何とか敵艦隊の合流を阻止してます~」

野分「青葉さんと夕張さんのおかげで敵の重巡2隻を抑え込んでいますが、気を抜いたら一気に情勢がひっくり返されそうです」

電「それに、敵には潜水艦もいるのです」

夕立「さあ、素敵なパーティー始めましょ!!」ザザッ

電「夕立ちゃん!突撃したら危ないのです!」

夕立「そんなの…当たらないっぽい!!」ドンッドンッ!!

チ級「」

夕立「一つ、夕立がもらったっぽい!!」

提督「あまり艦隊を混乱させるなよ、夕立」

夕立「大丈夫~」

提督「何か変化があったら直ぐに連絡を」

舞風「りょうかーい!!」ズドン



187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:55:46.30 ID:hHAnQiY8O
ドッカーン!!!

浮翌遊要塞「」

瑞鳳「はあ…はあ……これで随伴艦は全て倒した…」

瑞鶴「あとは、バケモノと今陽炎ちゃんが攻撃に向かっている潜水艦だけね」

瑞鳳「とりあえず直掩機以外全機回収しないと…」

瑞鶴「そして、どうやって奴を倒すかだね」

比叡「第十五斉射始め!!」ドッカーン!

装甲空母姫「………」

瑞鳳「比叡の砲撃を食らってもなお、大きな損傷は見受けられず…」

瑞鶴「砲撃での撃破は難しい…か」

瑞鶴「あれ?そういえば秋月ちゃんは?」

瑞鳳「バケモノの右側で砲撃中だよ」

瑞鶴「陽炎ちゃんは左で…熊野は正面?」

瑞鳳「あれ?これって囲んで…」

ズドーン!

陽炎「敵潜水艦の撃破確認!」

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:56:26.47 ID:hHAnQiY8O
陽炎「熊野さん!秋月!今!!!」シュー

秋月「酸素魚雷発射!!次発装填急いで!!」シュー

熊野「これで逃げ場はないですわよ!」シュー

ズドーン!!!!!!

装甲空母姫「!!!!!!」

陽炎「まだよ!!次発装填完了!!第二射!!」シュー

秋月「発射!!」シュー

熊野「止めですわ!!」シュー

ズドーン!!!!!!

装甲空母姫「」

瑞鶴「うっそ………」

瑞鳳「酸素魚雷20本を2回で計40発……………」

瑞鶴「敵とはいえ、少し可哀想…」

陽炎「やったぁ!!!」

熊野「陽炎さん、よくこんな考えが思い浮かびましたわね」

陽炎「えっ!?そ、そんなことないですって!!ただ、艦娘なら予め魚雷の進行方向が分かっていれば、味方の魚雷を避けれると思っただけですって!!」

熊野「いいえ、艦だったころの記憶に囚われている限りこの様な戦術は思い浮かびませんわ。誇ってよろしくてよ」

陽炎「はい!熊野さん、ありがとうございます!」

熊野「いい笑顔ですわ。だけど、その笑顔は提督に見せてあげなさいな」

陽炎「あぅ………」

熊野「あら、照れた顔も可愛いですわね」

陽炎「うぅ……………」

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:57:08.79 ID:hHAnQiY8O
提督「第二艦隊、聞こえるか?」

舞風「聞こえま~す!!」

提督「第一艦隊は敵主力艦隊を撃破した。そちらはどうだ?」

舞風「青葉さんと夕張さんが重巡2隻と駆逐艦1隻を撃沈しました~」

野分「電が潜水艦も撃破しましたので、残りは駆逐艦1隻のみです」

提督「了解した。だが、駆逐艦1隻だからと言って侮るな。撃破を確認するまでは気を緩めるな」

野分「分かりました」

舞風「は~い!!」

提督「戦闘が終了したら北上して第一艦隊と合流してくれ。合流後カスガダマに上陸する」

舞風「りょうか~い!!」

舞風「みんな~頑張るよ~!!」

青葉「一応、青葉が旗艦なんですが…」ズドーン!

夕張「だって青葉だもんね~」

青葉「夕張までそんなこと言うんですか!?」

夕張「事実を言ったまでよ」

青葉「酷いです…みんな青葉の扱いが酷いですよ…」

夕張「だって、青葉って………っと、当たった!」ズドン

ハ級「」

夕張「全艦撃沈確認。みんな!索敵をお願いね!」

青葉「…………」

夕張「どうしたの?青葉」

青葉「もう…旗艦は夕張に譲渡します…」

夕張「うそうそ!!ごめんね青葉!!」

青葉「所詮青葉は甲板にこびり付くフジツボ以下ですよ…」

夕張「いじけないでって!!」

青葉「いいんです…青葉は…」

夕張「青葉は日本が誇るべき重巡だから!!ね!だから機嫌を直して!!ね!!」

青葉「青葉が日本を誇る重巡…?」

夕張「そうだから!!だから機嫌直してって!!」

青葉「なら、こうしちゃいれませんね!!みんな、早く第一艦隊に合流しますよ~!!」

夕張「…………はぁ…」

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 21:57:41.20 ID:hHAnQiY8O
カスガダマ島

提督「やっぱりここも…」

舞風「提督~ぅ!これなんなんだろうね~私たちの連装砲みたいだよ~」トコトコ

提督「………確かに似ているな。だが、気の所為だろう」

舞風「そ~かな~?まっいいっか~!!」

提督(何故だ…何故軍属の施設の所在地が悉く核で攻撃されている………やはり…そういうことなのか………)

瑞鶴「ねえ、瑞鳳」

瑞鳳「うん。分かってる…」

瑞鶴「提督さん、すごく辛そうな顔をしてる…」

瑞鳳「うん…」

瑞鶴「私たち、提督の事を支えること出来ないのかな…」

瑞鳳「………」

瑞鶴「いつか、私たちは支えてあげれるのかな…」

瑞鶴「提督………」

瑞鳳「必ず支えるんだよ」

瑞鶴「瑞鳳?」

瑞鳳「私たちで必ず提督を支えるの」

瑞鶴「うん…そうだね!」

瑞鳳「ほら、行こ?提督のところに」

瑞鶴「うん!!」

196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:14:25.37 ID:2IgVKUdKO
鎮守府

提督「昨日はみんな御苦労だった。お陰様で私たちはとうとう西方海域を制圧する事が出来た。全ては君たちのおかげだ。ありがとう」

提督「そこでだ、本日は戦勝祝いと感謝の意を込めて酒保を開放する」

提督「無礼講だ。好きなだけ楽しむがいい」

響「一ついいかな?」

提督「なんだ?」

響「司令官は参加するのかい?」

提督「上官の私が居ても空気が重くなるだけだろう。私は執務室に居るとするよ」

響「それは違うんじゃないのかい?多分みんなは司令官と一緒に過ごしたいんだと思うよ。私も含めて」

文月「あたし、しれ~かんといっしょがいいなぁ~」

舞風「提督~舞風と一緒に踊ろうよ~!」

提督「……分かった。私も参加しよう」

文月「やったぁ~」

陽炎「よしっ!」ボソッ

不知火「どうしました?陽炎」

陽炎「いや!な、なんでもないから!」

不知火「そうですか」

197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:14:59.18 ID:2IgVKUdKO
……………………

提督「大丈夫だと思うが、一応言っておく。酒を呑む者は量を弁えろ。ハメを外し過ぎた者は即刻退場だ」

熊野「承りましてよ。まぁ、レディはそのようなことにはなりませんが」

比叡「私はそんなことになりませんって!!司令、一緒に美味しいお酒を呑みましょうね!」

文月「ねえ、わたしもおさ…」

電「文月ちゃんはマズイのですよ!!」

………………

熊野「とぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

比叡「ひぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

熊野「ひゃぁぁぁぁあああ!!!」

川内「提督~熊野と比叡さんが壊れた」

提督「部屋に投げておけ」

川内「りょうかーい。ほら、二人とも行くよ」ズルズル

熊野「まだまだいけますわ~!!」

比叡「見捨てないでぇ~!!」

川内「はいはい。見捨てない見捨てない」ズルズル バタン

提督「はぁ………」

川内「捨てて来たよ~」

提督「お疲れ様。助かった」

川内「馬鹿だね~あの子たち」

提督「まあな。だが意外だな」

川内「何が?」

提督「正直言うと、お前が一番最初に壊れると思ってた」

198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:15:28.75 ID:2IgVKUdKO
川内「提督、ヒドイな~」

川内「私は夜戦は大好きだけど、こういう空気を壊す程馬鹿ではないって」

川内「それに、私は川内型の長女よ長女。今は妹たちはいないけど、何かあった時は長女がしっかりしてないとだめでしょ?」

提督「ほう…………予想外だ……!」

川内「提督さ~私の評価低すぎない!?」

提督「砲雷撃戦の腕は買っていたが、そこまで色々考えているとは予想だにしていなかった」

川内「なんか、それ褒めてるのか貶してるのか判別付きにくいんだけど」

提督「評価が改まったよ」

川内「う~ん………まあ、それならいいや」

提督「さっきから文月がお前のことずっと見てるぞ。行ってやれ」

川内「はいはい。どうしたの?文月」スタスタ

提督「意外だった………」ボソッ

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:16:08.59 ID:2IgVKUdKO
青葉「司令官!!」

提督「声がでかいぞ青葉。それでどうした?」

青葉「青葉、秋月ちゃんに聞いたんですけれども!!」

提督「声がでかい」

青葉「カスガダマ攻略作戦中、第一艦隊の娘達に何でもしてやるって言ったんですか!!?」

提督「青葉声がでかいと…」

ザワザワザワザワ

提督「はあ…言わんこっちゃない…」

青葉「青葉達だって頑張ったんです!!第二艦隊にも適応してくれてもいいんじゃないんですか!!こっちだって大変だったんですよ!!!」

提督「とりあえず一旦黙りなさい」

提督「先づ、確かに私は第一艦隊の娘達にそのような事は言った。それは間違いない」

提督「次に、第二艦隊についてだが、確かに何もあげないのは不公平かもしれない。よって第二艦隊のみんなにも同条件を与えよう」

舞風「何でもいいの?」

提督「私に出来ることならば。あまりにも無理なものは却下だ。いいな?」

舞風「はーい!」

青葉「司令官!!青葉!お願いがあります!!!!」

提督「言ってみろ」

青葉「青葉、新しいカメラが欲しいです!!!この前のカメラは壊れちゃったんで新しいのが必要なんです!!」

提督「あとで値段を調べて持って来なさい」

青葉「わっかりました!!司令官!ありがとうございます!!」

提督「しかし、一つ制約を付ける。今後艦娘を盗撮をしているのが判明した場合即刻カメラは取り壊す。分かったな?」

青葉「あ……は、はい…」

200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:16:38.68 ID:2IgVKUdKO
舞風「じゃあ、提督ぅ!舞風からいいですか?」

提督「いいぞ。言ってみなさい」

舞風「私、提督と踊りたいな!!」

提督「踊りか。しかし、私はダンスなんてからっきしだぞ?」

舞風「1日くらい時間とってくれれば十分だから!」

提督「分かった。何とか時間を取ってみるとしよう。それでいいかな?」

舞風「いいですよ~!楽しみだ~!!」クルクル

野分「舞風、やめなさいって…」グイッ

舞風「んあー」

提督「野分は何かあるか?」

野分「えっ!?私ですか?」パッ

舞風「うひゃー!!いった~い…」

野分「わ…私は………」

野分「提督と何処か出かけてみたい…ですね」

提督「あまり遠いのは難しいぞ。流石に何日も鎮守府を空ける訳にはいかない」

野分「あ、いえ!近場でいいんです!ただ、ちょっと提督と外で散歩してみたいだけなので…」

提督「分かった。それも約束しよう」

野分「ありがとうございます!」

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:17:21.79 ID:2IgVKUdKO
夕張「あ、私からも!!」

夕張「提督に聞きたいんですけど、秋葉原ってかつての全盛期ほどではなくなったけど、まだ日本国内でも有数の賑わいがあるんですよね?」

提督「あまり詳しくないが、そうらしいな」

夕張「じゃあ、私は秋葉原で一緒に買い物。いいですか?」

提督「すこし遠いが…まあ、いいだろう」

夕張「やったね!!約束破ったら酷いですからね、提督!!」

秋月「あの…私も………」

提督「どうした?そんなに萎縮して」

秋月「私……本当は駄目かもしれないんですけれど、どうしてもやってみたいことがあるんです…」

提督「ふむ?」

秋月「あの………私、お腹いっぱいになるまでご飯を食べてみたいんです!!」

秋月「やっぱり、そんな贅沢言っちゃ駄目ですよね………」

提督「………………」

夕張「私……凄く自分が欲深い存在だって思えて来た…」

青葉「………………青葉、カメラなんて頼んじゃっていいのかな…」

提督「秋月。もう一度考えて来なさい」

秋月「やっぱり………はい…」

提督「それと、今日は酒保は開放していると言ったな?」

秋月「はい。だから私はお握りを2個も貰ってしまったわけで…」

提督「好きなだけ食べなさい」

秋月「しかし、そんなことしたらもしもの時の備蓄が…」

提督「今日は気にしなくて良いと言っただろう。お腹いっぱいになるまで食べて来なさい」

秋月「…いいんですか?」

提督「ああ」

秋月「ありがとうございます。私のお願いは二つも聞いて下さって!」

提督「いいんだ。ほら、行って来なさい」

秋月「はい!」

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:17:59.85 ID:2IgVKUdKO
夕立「夕立もお願い決まったっぽい!!」

提督「お腹いっぱいにご飯を食べたいとかならお願いにカウントしないぞ?」

夕立「夕立、提督さんと一緒に寝たい!」

提督「………が一応聞くが、文字通りの意味でいいな?」

夕立「それ以外の意味ってあるの?」

提督「いや、いいんだ。分かった。好きな時に来なさい」

夕立「はーい」

提督「あとは電と陽炎、瑞鶴瑞鳳だな」

響「司令官、一ついいかい?」

提督「察しはつくが言ってみるがいい」

響「比叡さんと熊野さんも第一艦隊に居たよね?」

提督「あれだけの醜態を晒したんだ。罰としてあの二人は権利を剥奪する」

響「やっぱり。ありがとう司令官」

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:18:36.02 ID:2IgVKUdKO
提督「電、何かあるか?」

電「いえ、電は何も無いのです」

提督「私に出来ることならば何でもいいんだぞ?」

電「でしたら…司令官さん、司令官さんが電に最初に大事な約束してくれたこと覚えていますか?」

提督「当たり前だ。忘れる訳がないだろう」

電「電は、今の鎮守府が大好きなのです。だから電の司令官さんへのお願いはこうなのです」

電「あの約束を必ず守って欲しいのです。それではいけませんか?」

提督「一番難しい約束だな」

電「そうですね。だけど司令官さんが何でもするって言ったのですよ?」

提督「参ったよ、電」

提督「では、電はこれでいいな?」

電「はい!なのです!」

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:19:03.07 ID:2IgVKUdKO
提督「瑞鶴、瑞鳳。お前達はどうする?」

瑞鳳「あ、私達は保留で!」

提督「分かった。そしたら残りは陽炎か」

不知火「陽炎、どうしましたか?顔が真っ赤ですよ?」

陽炎「だっ…だって………」

夕張「陽炎ちゃん、チャンスじゃない!」

不知火「陽炎?」

陽炎「が…頑張ります……!」

陽炎「司令!!わ、わわ…私を………」

提督「ん?」

陽炎「私を………抱いて下さい!!」

夕張「ブフッ!!!!」

不知火「陽炎!!?」

瑞鳳「えっ!!?」

瑞鶴「嘘!?」

響「まさか、陽炎がそこまで言うとは…驚いたよ」

雷「陽炎、やるわね!」

電「はわわわわわわ!!!」

舞風「陽炎お姉ちゃん、提督の上でワン、ツー?」

初風「こら、舞風!」コツン

舞風「ごめんなさーい」

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:19:40.69 ID:2IgVKUdKO
提督「陽炎……」

陽炎「えっ!?えっ!?どうしてみんな」

提督「もう一度同じ言葉を言ってみるといい」

陽炎「私を抱いて…………あぁ!!」

陽炎「いや!!あ、あの!そ、そうじゃなくて!!そうでもいいんだけど!!!ってちがっ!!!」

提督「陽炎、落ち着け」ギュッ

陽炎「ふぇっ!?」ビクッ

瑞鳳 瑞鶴「!!!!!!?」

提督「これでいいか?」

陽炎「き………」

提督「き?」

陽炎「キス………して…よ……」ギュッ

提督「やれやれ…」スッ

陽炎「!!?」

提督「…」

陽炎「………ふぁ…」ヘタヘタ

瑞鳳「ていと………きっききっ!!?」

瑞鶴「提督さん!!?えっ!!!?え!!!!!?」

提督「私は執務室に戻る。この後も楽しんでくれ」ガチャッ バタン

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/18(木) 21:20:16.10 ID:2IgVKUdKO
陽炎「……う………うそ……………」ポカーン

夕張「私…流石に計算外だったわ………」

浦風「おどろいたのぉ」

陽炎「え…えへへ………えへへへへへへ」

野分「陽炎姉さんが壊れた…」

初風「ほら、壊れた姉さん運ぶわよ。舞風、手伝って」

舞風「………」ポカーン

初風「舞風?」

舞風「………」

初風「はぁ…野分。舞風を正気に戻しておいて」

野分「あ、はい…」

初風「もう……しょうがないから浦風手伝って」

浦風「ウチに任しとき!」

初風「そっち持って…そう。せーの!!」

初風「はいはい、通るわよっと…」

陽炎「えへへ…司令………」

初風「困った姉さんだこと…」

215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 00:55:24.06 ID:T3mRNwC7O
瑞鳳「提督!!」バタンッ

瑞鶴「入るわよ!!」

提督「ノックぐらいしなさい」

瑞鶴「そんなことより、さっきのはどういうこと!?」

瑞鳳「酷いよ提督!!」

提督「もちろん報酬だ。それ以上でもそれ以下でもない」

瑞鶴「それとこれとは違うじゃない!!」

瑞鳳「私達だってキスして貰ってないのに!!」

提督「私は出来る事ならば何でもと言った筈だ」

瑞鶴「でも!!」

提督「もしも瑞鳳、瑞鶴。君達が同等の願いを私に求めて来たら私はそれに応じよう」

瑞鳳「そこに愛は?」

提督「それは」

瑞鶴「提督さん、お願いだからこれに関しては嘘は言わないで!」

提督「………ノーコメントだ」

瑞鳳「提督、私の目を見て」

提督「…………」

瑞鳳「…………」

瑞鳳「分かったわ」

提督「…………」

216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 00:56:56.06 ID:T3mRNwC7O
瑞鳳「ねぇ、提督。瑞鳳のお願い聞いてくれる?」

提督「言ってみなさい」

瑞鳳「抱いて」

瑞鶴「瑞鳳!?」

提督「そのままの意味か?それとも…」

瑞鳳「もちろん裏の意味。ちゃんとダイレクトに言った方がいい?」

提督「いや、言わなくていい」

瑞鳳「それで、どっち?」

提督「分かった」

瑞鳳「良かった…」

瑞鶴「ねぇ、ちょっと待ってよ!!」

提督「お前も決まったか?」

瑞鶴「私も……私もお願い!!私も愛して欲しい!!」

提督「二人共、後悔はしないな?」

瑞鳳「うん」

瑞鶴「大丈夫…」

提督「風呂に入って身体を清めてから私の部屋にまた来なさい。私もシャワーを浴びてくるから」

瑞鳳「うん。行こ、瑞鶴」

提督「そうね…」

217: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 01:08:43.27 ID:T3mRNwC7O
瑞鳳「お待たせ、提督」

瑞鶴「お風呂入ってきたよ」

提督「最後にもう一度聞く。後悔はないな?二度と初めては取り戻すことが出来ないからな」

瑞鳳「私は提督に捧げたい」

瑞鶴「私も提督さんならいいと思った」

提督「………おいで」

瑞鳳「………」ストン

提督「瑞鳳………」スッ

瑞鳳「ん…………っ………ぷは…」

瑞鳳「提督ぅ……」ギュー

瑞鳳「ちょっと待ってなさい」ポンポン

提督「瑞鶴もおいで」

瑞鶴「うん…」

提督「目を閉じて……っ!?」

瑞鶴「提督さん!!」ガバッ ギュー

瑞鶴「ん…………んぅ……………はっ…ん…」

瑞鶴「ん…………ぷは…………」

提督「二人とも服を脱いで……灯りを消そう」

………………
………

218: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 01:10:15.73 ID:T3mRNwC7O
…………………

瑞鳳「……………」スウスウ

瑞鶴「……………て…いと……くさ……」スウスウ

瑞鳳「…………んっ…」

瑞鳳「あれ………朝……ここは………?」

提督「起きたか」

瑞鳳「!!?提督!!?」ガバッ

瑞鳳「あれ!!?服が!!!どうして…あっ!ああ!!!」サッ

提督「とりあえず服を着て来なさい。服はどこに脱いだかわかるな?」

瑞鳳「う…うん!!」

提督「瑞鶴も起こすか。抱きつかれていて身動きがとれん」

瑞鶴「……………むにゃ…」

提督「ほら、瑞鶴。起きろ」

瑞鶴「ん~~…提督さんおはよ~」

提督「起きたなら私を解放してくれないか?抱きつかれていて動けん」

瑞鶴「離す?提督さんを?……………キャァァァァァァ!!!!!」バッ

瑞鶴「提督さん!!お願いだから見ないでぇ~!!」

提督「分かったから瑞鶴も服を着なさい…」

瑞鶴「見られた………全部見られた………」

提督「私に見られてそんなに恥ずかしいか?」

瑞鶴「恥ずかしいよ!!私、胸が小さいの気にしてるのに…」

瑞鳳「………………………………」



219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 01:11:37.97 ID:T3mRNwC7O
提督「別に胸が女性の全てではない。それ以外にも魅力は幾らでもある。少なくとも私は内面が大事だと思っている」

瑞鶴「それでも……恥ずかしいよ……」

提督「ならばそれはしょうがない。しかし、自分の身体に卑屈になるな。自分に自信を持って生きるだけでも色々と変わる」

瑞鶴「そう?」

提督「ああ。瑞鳳も分かったか?そんなに瑞鶴を睨んでやるな」

瑞鳳「……………はい…」

提督「とりあえずシャワーを浴びて来なさい。私の部屋の風呂場を使ってくれて構わない。艦娘専用の大浴場だと色々と大変だろう」

瑞鶴「………確かに…」チラッ

瑞鳳「………そうね…」チラッ

提督「あまり時間がない。急いで入って来なさい」

220: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 01:12:58.86 ID:T3mRNwC7O
……………

瑞鳳「はい提督。これが機密書類」

提督「ありがとう。そっち一般の書類はどれくらい終わったんだ?」

瑞鳳「私はこれで終わり」

瑞鶴「私はあと数枚ってところね」

提督「いつもすまないな」

瑞鳳「提督と一緒にいれるからいいの!私、お茶淹れて来るね」

瑞鶴「ありがとう!」

提督「ふむ………」ペラペラ

提督「…………………」

瑞鶴「どうしたの?」

瑞鳳「何かあった?」コトッ

提督「ああ、ありがとう瑞鳳」

瑞鳳「どういたしまして」

提督「近々私はまた大本営へ行くことになる」

瑞鳳「また?」

瑞鶴「なんでわざわざ?」

提督「さあな。大本営の連中が考えていることは私には分からないよ」

瑞鶴「大変だね、提督さん」

提督「こんなもの、私がお前達に背負わせた使命に比べたら軽い物だ」

瑞鶴「私は使命なんて大層な物は持ってないわ。ただ提督さんの為になりたいだけよ」

瑞鳳「私も!」

提督「ふふ…正直者め」

221: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 01:14:25.71 ID:T3mRNwC7O
瑞鶴「今回も私達は同行してもいいの?」

提督「いや、今回は私一人だ。鎮守府で待機していてほしい」

瑞鳳「ダメなの?」

提督「ああ。今回はダメだ。上からもそう指令が届いている」

瑞鶴「ちぇ…ダメか…」

提督「それはまた今度だ、瑞鶴」

瑞鶴「私、まだ何も………あっ…」

提督「口は災いの元だな。さて、今から私は機密書類を処理するから瑞鳳達もお茶を飲んだら一旦出てくれ。恐らく2時間あれば終わる。来たかったらその後に来なさい」

瑞鳳「じゃあ、私、玉子焼き沢山作ってくるね!」ガチャ

瑞鶴「あっ!まだ飲んでない!3分間待って!!」

瑞鶴「提督さん、また後でね」ガチャ

提督「ああ」

提督「………………」

提督「何を考えている………大本営は……」

提督「……………深海棲艦の真実…だと…」

230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 10:58:38.29 ID:zPX4DrlD0
大本営

コンコン

提督「提督です。只今参上致しました」

元帥「入りなさい」

提督「失礼します」ガチャ

元帥「突然呼び出してしまってすまなかった」

提督「いえ…」

元帥「席に着きたまえ。お茶でいいかな?」

提督「いえ、飲み物は結構です。それよりも例の話をお聞かせ願いたい」

元帥「焦ってもいい事など無いぞ」

提督「…………」

元帥「…まあ良い。では、話す前に儂から一つ聞きたいことがある………」

元帥「お前はどこまで知った?」

提督「様々な根拠から推測した仮説になりますが………かつての核戦争はただの戦争ではない。あれは艦娘を製造していた国…いや、軍事工場や基地を狙った攻撃であり、無差別での攻撃では決して無かった」

提督「その核攻撃により世界各国は多くの艦船や兵器を失った。それは日本も同じだったのでしょう。そして何より最も重要な事は、艦娘は偶然現れた存在ではない。艦娘は元々は対他国に対する兵器だった」

提督「私が推測したのはそこまでです」

元帥「………………間違ってはいない。大体はそれでいい」

提督「大体はと言いますと、まだあると言う事ですね?」

元帥「ああ」

提督「お聞かせ下さい」

元帥「元からそのつもりで貴官呼んだ。では、話そうか」

231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 10:59:21.11 ID:zzoA7mQEO
そうだな…まずは艦娘の成り立ちから話そう。
1980年代後半にアメリカで革新的な技術が発明された。
その技術とは、人間の記憶を電気的に書き換える技術だ。
ただの書き換えならば、ゲシュタルト崩壊で人格などを壊して真っさらにし、そこに延々と偽りの情報を刷り込み続け記憶や人格を変えるというやり方もあった。

しかし、これはあまりにも失敗のリスクが高すぎた。
破壊され曖昧になる「自分自身」に恐怖し、狂い命を自ら断つ者が続出したのだ。
だが、新しく発明された技術はその常識を完全に覆した。
ほんの数分で人は全ての記憶を失い、新たなる記憶を刷り込む事が出来るようになったのだ。

この技術が西側の国々に公表された時、どこかの国がそれを軍事転用した。
人間に大砲や魚雷を持たせ、己の事は船の生まれ変わりだと思い込ませ戦わせる。
そんな人間兵器が作られたのだ。

…なぜ船の記憶にしたかだと?そうだな…例えばだが、戦艦の戦い方の記憶をインプットさせることにより、その者はタイムラグ無しに最もその場面で自分の役割に適した行動がとれる。
そして、艦娘を製造後すぐに戦場に送ったとしてもその「記憶」を頼りに弾道計算といった知識や腕、感などが必要な技術を新米でも容易行う事が出来たのだ。

……話を戻そう。
艦娘はとても画期的なシステムだった。
何よりも、維持費や武装の一つ一つがかなり安価だった。
今もそうだが、当時の武装はかなり高価だった。対艦ミサイル一発で何千万、何億という額が消えていくんだ。
それが数十万、数百万で武装は同等の戦力を持った兵器が作れるのだ。
表立っては全く発表はしなかったものの各国は挙ってその兵器を生産した。

しかし、そんな時代はすぐに終わった。
知っての通り核戦争が起きたのだ。
最初に手を出したのはアメリカだ。
東側に艦娘の製造方法が流出したため、東側も艦娘を生産していた。
兵器としての重要性を理解していたアメリカは核で東側の生産ラインを破壊し尽くそうとしたのだろう。
しかし、それが失敗だった。
ソ連は西側諸国対しに国内で保有していた核の殆どを使用した。
中でもその殆どはアメリカに集中し、アメリカは工場はおろか、全く関係無い土地にまで核を落とされた。
もちろんアメリカは世界一と言われた軍で防空戦闘を行ったが、数の暴力には勝てなかった。

アメリカもまた、国内の核を東側諸国へ向けて発射していた。
もちろんソ連に一番多くの核が落ちた。
それからは泥沼だった。艦娘製造に全く関係無い国や、中立を護っていた国にも核の雨は降り注いだ。
当時艦娘は作られていなかった日本ですら少数とはいえ、基地が狙われた。
そして、本土を護る為に多くの艦は犠牲になった。
その甲斐もあって日本の本土や離島には核の被害を受ける事が無かった。

日本は無事だったが世界各国はそうはいかなかった。
ほぼ全ての国が力を失い、疲弊した。
アメリカやソ連に至っては消滅の一歩手前まで落ちぶれた。
人類は初めて核の脅威を知ったのだ。
諸国は他国との交流をやめた。
それにより仮初めの平和が訪れると考えられた。

232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 11:00:32.77 ID:zzoA7mQEO
しかし、新たなる脅威が世界の海を斡旋した。
深海棲艦だよ。
奴らは突如として現れ、世界の海を制圧していった。
その結果、殆どの国が滅んだ。
核戦争でほぼ全ての鑑を失い、また、艦娘も全て殺された。
そんな国々に抵抗する力は全く無く次々と滅んだのだ。

日本は核で多くの艦を失ったとはいえ、それでもまだたくさんの護衛艦などが残っていた。
そのお陰で日本は直ぐに制圧され滅亡する道は辿らずに済んだ。
が、それからは消耗戦の始まりだった。
これまでに我らの艦は壮絶な戦いの末沈んでいった。
しかし、日本は殆ど資源が取れない国だ。
そして資源の輸入なんて以ての外だ。
それ故に新たな護衛艦なぞ造船する事なぞ出来なかった。
そこで日本でも安価で資源の消費も少ない鑑が作られることになった。

その最初の成功例が電であり、全ての建造知識を手にした者が建造妖精だ。
妖精も艦娘と同じく造られた存在だ。
人口的に造られたボディーに、かつて日本軍にいた整備士や設計者、パイロットやクルーの記憶を作り上げ刷り込んだのだ。

もう貴官も深海棲艦の正体が分かってきただろう?
そうだ。奴らは核戦争に巻き込まれて死んだ艦娘そのものだ。
そして、少しとはいえ、製造途中で失敗し処分した日本の艦娘もいる。
そう、秋月がそうだ。彼女は倒した深海棲艦から出てきたのだろう?
……そう儂を睨むな。

まあ良い、これが儂から貴官に教えることの出来る真実だ。
艦娘と深海棲艦は表裏一体なのだよ。

233: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 11:01:27.74 ID:zzoA7mQEO
提督「………………………」

元帥「何か質問はあるかね?」

提督「………………………艦娘はどのように造られているのですか…」

元帥「身寄りのない孤児を連れてきて記憶を操作し、身体を強化した上で艤装を付ける」

提督「やはり………………そうでしたか……」

提督「なぜ………そのような事を私に…」

元帥「貴官に話す機会が二度と無くなるかもしれぬからのぉ」

提督「………………………」

元帥「ミッドウェイとアリューシャンにいた深海棲艦が動き始めた。進路はこの日本に向かっている」

提督「………………………」

元帥「儂が貴官を呼んだ最も大きな理由はこれなのだよ。提督よ、貴官はただちに深海棲艦を迎撃せよ」

提督「………………はっ」

元帥「必ず奴等を食い止めるのだ。作戦権限は貴官に全て委ねる。好きにやるが良い」

提督「ありがとうございます。では、私は作戦立案の為に鎮守府へ戻らせて頂きます」

元帥「ああ。頼んだよ」

234: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 11:02:12.19 ID:zzoA7mQEO
鎮守府

瑞鳳「おかえり!提督!!」

瑞鶴「待ちくたびれて死にそうだったんだから!えいっ!!」ギュー

陽炎「あ!瑞鶴さんずるいわ!!」ギュー

瑞鳳「わ、私も!!」ギュー

提督「…………………」

瑞鶴「あれ?提督さん、どうしたの?」

瑞鳳「提督?顔色が……」

提督「…………………ごめんな…」

瑞鳳「え?」

提督「お前達の事は本当に愛している…本当に……すまない…」ギュー

瑞鶴「て、てて、提督さん!?」

陽炎「司令!?」

瑞鳳「ていと…っ!!?」

提督「……執務室にいる………」スタスタ バタン

瑞鳳「…………提督が…」

瑞鶴「提督さんがどうしたの?」

瑞鳳「提督が…………泣いてた…」

240: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 21:57:17.41 ID:0+m6rUZPO
君が誰かの 幸せなどを 想うのなら
愛は願いに 震え痛むから I'll be there for you.

コンコン

瑞鳳「提督、今いい?」ガチャ

提督「…………どうした?」

瑞鳳「珍しく音楽なんて聴いてたんだね。何の曲?」

提督「ああ、私が一番好きな曲だ」

瑞鳳「優しいメロディーだね」

提督「そうだな」

瑞鳳「ねぇ、提督。さっきは…」

提督「その話はダメだ」

瑞鳳「でも…」

提督「…………………」

瑞鳳「なんで……そんな哀しそうな目を…」

提督「…………………」

瑞鳳「大本営で何かあったの?」

提督「…………………」

瑞鳳「提督!」

提督「…………………」

瑞鳳「何か私達のことであったの?」

提督「瑞鳳…」



241: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 21:58:04.85 ID:0+m6rUZPO
提督「そんなに知りたいか?」

瑞鳳「知りたい。例えどんな残酷な事でも」

提督「死にたくなるかもしれないぞ?」

瑞鳳「提督が絶対に死なせないでしょ?」

提督「恐らく私の事を怨むだろう」

瑞鳳「聞いてみないと分からないわ」

提督「本当に覚悟はあるのか?」

瑞鳳「ある」

提督「……………」

瑞鳳「私の勝ちだね」

提督「瑞鶴と陽炎も呼んで来なさい。あの子達にも真実を伝える」

瑞鳳「うん」

提督「必ずあの二人にも覚悟があるか聞いてきてくれ」

瑞鳳「分かった」

提督「覚悟が出来たらこの部屋に来なさい。私はずっとここにいるから」

242: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 21:59:38.19 ID:0+m6rUZPO
………………

瑞鶴「提督さん、来たよ」

陽炎「私達に何か話してくれるんでしょ?」

提督「瑞鳳から私からの伝言は聞いたな?」

陽炎「聞いたわ」

瑞鶴「ねぇ、提督さん。どうして私達を選んでくれたの?」

提督「お前達が私に最も好意を寄せてくれるからだ。こんな私の何が良かったのかは分からないが」

瑞鶴「好きなんだから好き。それじゃあ駄目?」

提督「いや、そんなことないさ」

瑞鶴「でしょ?」

提督「最後にもう一度聞く。瑞鳳、瑞鶴、陽炎。恐らくこの話を聞いた後は絶望し、私を怨むだろう。それでも、いいな?」

三人「………」コクリ

提督「……話そうか。残酷な真実を」

………………
………

243: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 22:00:45.97 ID:0+m6rUZPO
……………………

提督「以上だ。これが私の知りうる限りの君達艦娘と深海棲艦の真実だ」

陽炎「……………」

瑞鶴「私達って………嘘…」

瑞鳳「…………………」

提督「お前達のを建造したのは紛れもなくこの私だ。つまりだ…」

提督「私がお前達の人格を破壊し虚偽の記憶を差し替えたんだ。本当ならばもっと楽しい人生が待っていたかもしれないお前達の人生を奪い、壊し、この苛烈な絶望しかない人生に塗り替えた極悪人なのだよ」

提督「お前達に赦して欲しいなどとは考えていない。何なら殺してくれても構わない。いや、少しでも気が晴れるのならば殺して欲しい」

瑞鶴「ねぇ、提督さん。『私』って偽物なの…?今生きている私は『私』ではないの…?」

瑞鶴「今『私』が感じている提督さんへの想いも偽物なの…?この提督さんへの愛も偽物なの…?ねぇ、提督さん……………」

提督「お前の過去は私がこの手で確かに壊してしまった。しかし、瑞鶴。君の瑞鶴として生きてきた経験や想いは間違い無く君のものだ」

瑞鶴「…………ホント?」

提督「ああ。本当だ。それだけは誓って言おう」

瑞鶴「………うん…!」

瑞鳳「本当なら、憎むべきことなのかもしれない。だけどね、提督」

瑞鳳「貴方を愛してしまった。だから私は提督、貴方を怨む事が出来ないの」

瑞鳳「それにね、提督。私は艦娘にならなければ提督と出会うことは絶対に無かった。だから、艦娘であることに感謝もしてる。貴方と出会えただけで本当に私は幸せだから…」

提督「いいのか?私は過去を壊した重罪人だぞ?」

瑞鳳「提督が悪いわけじゃないじゃない。それに提督だってこの事を知らなかったんだよね?だったらしょうがないよ」

陽炎「私達は身寄りのない孤児だったんでしょ?だとしたら野垂れ死んでた可能性の方が高いわね。なのに今は艦娘になったお陰で、私は美味しいご飯を食べて、お布団で寝て、ちゃんと服を着て、優しい仲間と出会って、そして司令に恋をした。少し大変な人生かもしれないけど、今だって十分幸せだわ」

244: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 22:02:03.93 ID:0+m6rUZPO
提督「お前達は………優し過ぎる………なぜ怨まない…なぜ…」

瑞鳳「優しいのは提督だって一緒。この話は私達に黙っていれば永遠に分からない事実だった。なのに提督は私達を想って話してくれた」

瑞鳳「私達を騙し続けるのが嫌だったんでしょ?」

提督「……ああ………」

瑞鳳「ほら……やっぱり優しいね。提督」

瑞鳳「私はそんな優しい提督だから、貴方を愛する事が出来たんだよ?」ギュッ ナデナデ

提督「…すまない………そして、ありがとう………」ギュッ

瑞鳳「うん…」ナデナデ

245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 22:23:16.92 ID:0+m6rUZPO
…………………

提督「ありがとう、瑞鳳」

瑞鳳「うん」パッ

提督「陽炎も瑞鶴も本当にありがとう」

陽炎「うん!」

瑞鶴「どういたしまして!」

提督「みっともない姿を見せてしまったな」

瑞鳳「そんなこと無いよ」

提督「そうか………」

提督「実は…あと一つ、話したい事があるんだ」

瑞鶴「悪い話?」

提督「ああ…」

陽炎「どんな話?」

提督「何もしなければ、恐らくこの鎮守府……いや、日本は深海棲艦に滅ぼされる」

瑞鶴「えっ!?」

瑞鳳「どういうこと?」

提督「ミッドウェイとアリューシャンにいた強力な深海棲艦の艦隊が進軍して来ている。我が鎮守府はアリューシャンとミッドウェイの両方を同時に相手にしないといけなくなった」

提督「成功確率は極めて低い。このままだと絶望的な戦いになるだろう…」

瑞鳳「そうなんだ………」

提督「少しでも生き残ることが出来るようにしたいんだ。力と知恵を貸してくれ」

瑞鳳「うん!」

瑞鶴「任せてよ!」

陽炎「私に出来ることなら何でもするわ!」

提督「ありがとう。これより作戦会議をはじめる」

252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:13:26.70 ID:zpB6+USLO
翌日

提督「全員集まったな」

瑞鳳「集まりました」

提督「……………………」

提督「我らはこれよりAL/MI作戦に入る」

舞風「MI……ミッドウェー………えっ!!?どうして!?ねぇ、提督!!」

野分「……………………」

不知火「解せません…………」

春雨「いや………あんな惨劇はもう嫌です……」

浦風「まさか…二方面作戦じゃ…」

雷「司令官!」

電「司令官さんは何か理由があるはずなのです…」

熊野「…………二方面作戦ならば断固反対いたします。提督、あの敗北の理由を忘れたとは言わせませんわ」

比叡「理由を…理由を教えて下さい!!」



253: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:13:58.57 ID:zpB6+USLO
提督「アリューシャンとミッドウェーにいる基地型深海棲艦と主力艦隊が動き始めた」

提督「とくにミッドウェーの動きが激しい。このままだとウェーク島を始め、アッツ島、硫黄島とかつての様に段々とすり潰されて行くだろう」

提督「そうなれば我らの海上輸送は困難になり、じきに資源を失い戦闘すらも出来なくなるだろう」

提督「そうならない為にも、我らは先手を打ち、敵の進行を防ぐしかない」

熊野「…………………」

提督「しかし、生き残れる可能性が限りなく低いのは事実だ。だからこそ聞いてくれ」

提督「死にたくない者は逃げろ。軍の体裁や規約などどうでもいい。私はその者を恨みもしないし、怒りもしない。生きたいと思うのが普通なんだ。逃げて好きなように生きて欲しい」

提督「………………」

提督「お前達、本当にいいのか……?死ぬ可能性があるのだぞ?」

比叡「司令のためならみんな命を投げ出しますよ!ねぇ、熊野?」

熊野「えっ!?いや、そんなこと無くは無いですわ…」

提督「いいのか熊野?私はあの戦いの二の轍を踏もうとしているのだぞ?」

熊野「良くは無いですわ。だけど、ちゃんとした理由があるのなら仕方ないですわ。それに瑞鳳や瑞鶴が何も言わないと言うことは、彼女達が何も言わない理由があるのではなくて?」

瑞鳳「そうね」

瑞鶴「提督さんは二の舞いになるつもりはないからね」

比叡「何か作戦があるんですね?」

254: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:14:55.26 ID:zpB6+USLO
提督「作戦と言うほどではないが…」

提督「アリューシャンには駆逐艦と軽巡のみで行ってもらう」

夕張「私達だけ?基地型が相手なのに空母や戦艦はいらないの?」

提督「ああ、いらない。何故ならば、水雷戦隊には夜戦か濃霧の中での攻撃のみをやって貰うからだ」

川内「夜戦!!?」

提督「夜戦を開始して、夜明けまでには敵の制空権から離脱を繰り返し、また、濃霧が出てきたならばそこで敵を待ち伏せし奇襲して逃げる。その繰り返しだけをすればいい」

不知火「それならば敵の航空機は私達を攻撃出来なくなりますね」

提督「そういうことだ。そしてもう一つ…敵の基地型は倒す必要は無い。余裕があればほんの少しだけ攻撃したらもう手を出す必要は無い」

夕張「提督。もしかして…アリューシャンは完全に足止めってこと…?」

提督「ああ。それで間違いない。とはいえ、大東亜戦争においてのアリューシャンとは大きく異なるところは、あくまでも敵の進行の足止めであって、基地型を倒すのが目的では全く無いというところだ」

夕張「そうすると、戦力はそこまで沢山はいらないわね」

提督「ああ。夕張を旗艦に川内、、響、電、雷の6隻で行き、敵の足止めを頼む」

夕張「任せて!絶対に本土には近づけないから!」

川内「夜戦なら任せておいて!!夜戦夜戦!たっのしい夜っ戦!!!」

提督「そして残りはミッドウェーに出撃する」

提督「作戦の結構は明日の0600からだ。今日は船団護衛やその他の任務は無しにする。好きに過ごしなさい」

255: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:15:44.91 ID:zpB6+USLO
比叡「司令も今日は何も仕事しないんですよね?」

提督「私は書類を片付けなければ…」

比叡「折角なのでパーティーをしましょうよ!」

提督「話を聞きな…」

夕立「提督さん、夕立、一緒に遊びたいっぽい!!」ギュッ

提督「おい、夕立」

比叡「みんな明日から戦いなんですよ?前日ぐらいパーっとやりましょうよ!パーっと!!」

文月「わたしも~しれいかんとぱーてぃーしたいなぁ~」

提督「…………一つだけ条件がある。酒は禁止だ」

比叡「え!?それは無いんじゃ…」

提督「比叡。お前の醜態を忘れたとは言わせんぞ」

比叡「………………はい…」

提督「熊野。お前もだ」

熊野「………………分かってますわ…」

提督「最近やったばっかりだがしょうがない。全員準備にかかりなさい」

比叡「はい!!」

256: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:16:49.61 ID:zpB6+USLO
…………………

響「じゃあ、司令官。私達はそろそろ寝るね」

提督「お休み。明日から頼むぞ」

響「うん。頑張るよ。ほら、電、雷、行くよ」

電「はわ……わ………」ズルズル

雷「おやすみ………司令………官」ズルズル

比叡「ひぇぇぇぇぇぇぇぇ………」スウスウ

熊野「とぉぉぉぉぉぉぉ………」スウスウ

青葉「……み……見ちゃ………」スウスウ

陽炎「司令………愛して……る…」スウスウ

提督「全く…」ナデナデ

陽炎「ん…………」ギュッ

提督「……………」ナデナデ

提督「後は3人だけか。結局いつも通りの3人になったな」

瑞鳳「ずっとこの3人だったね」

瑞鶴「そう…ずっとこの3人で一緒にいたわね…」

提督「お前達には世話になったな。秘書艦として、艦娘として良くやってくれた」

瑞鶴「どういたしまして。だけど、その台詞って嫌だな」

提督「?」

瑞鶴「誰かがいなくなっちゃうみたいじゃない」

提督「ああ…確かにそうだな」

瑞鶴「でしょ?だから私はいつも通りがいいな…」

提督「なら、そろそろ寝よう。もう夜も更けた」

257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/30(火) 20:18:05.96 ID:zpB6+USLO
瑞鳳「膝に乗せてる陽炎ちゃんはどうするの?」

提督「………離れそうに無いな…」

陽炎「……司令………」ギュッ

提督「仕方ない。私はここでこのまま寝るよ」

瑞鶴「なら、私達もここで寝るよ!」

瑞鳳「提督は真ん中ね?で、私は左」ギュッ

瑞鶴「ふふ…提督さん、あったかい……」ギュッ

提督「私は幸せ者だなぁ…」ナデナデ

瑞鶴「こんな可愛い女の子3人に囲まれて寝るなんてすっごく幸せ者ね」

提督「それもそうだが、こんなにも私を慕ってくれる子がいる…本当に有り難いことだ」

瑞鳳「提督はみんなの為に頑張ってくれているもんね?好かれるのは当たり前だよ」

提督「私は当たり前の事をしているだけだ。それ以上の事はしておらんよ」

瑞鳳「それでも…ふぁぁ…」

提督「寝ようか」

瑞鳳「うん…」

提督「瑞鶴も…」

瑞鶴「…………」スウスウ

提督「おやすみ」ナデナデ

瑞鳳「…………」スウスウ

264: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/01(木) 02:36:33.46 ID:aIDS61KXO
0600

提督「これより、AL/MI作戦を開始する。AL作戦参加艦娘は護衛艦やまゆきに搭乗。択捉島で下艦しアリューシャン諸島へと接近せよ。昨日も伝えたが、敵基地型深海棲艦は撃破する必要は無い。あくまでもアリューシャンの艦隊を抑えつけるだけだ。夜戦などで奇襲し、出来る限りこちらの被害は出さないように善処せよ!」

響「了解…」

提督「なお、私はMI作戦の指揮を執るため、AL作戦にはあさぎりの副艦長に指揮権を委譲する」

夕張「了解です!」

提督「副艦長、アリューシャンは頼んだぞ」

副艦長「はっ!お任せ下さいませ!必ずやご期待にお応え致します!」ビシッ

提督「やまゆきは出航準備にかかってくれ」

副艦長「やまゆきは直ちに出航準備!0700に出航する!」

やまゆき搭乗員「はっ!!物資の搬入急げ!必ず30分以内に完了させろ!!」

夕張「第五艦隊、艤装の最終確認を始めて!少しでも異常があったら直ぐに教えて!」

電「はい!なのです!!」

雷「任せて!!」

文月「は~い」

響「了解…」

川内「夕張も準備しときなよ~」

夕張「分かってるわよ!」

265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/01(木) 02:37:01.89 ID:aIDS61KXO
提督「次にMI作戦の概要を説明する」

提督「作戦目標はミッドウェー島の基地型深海棲艦の破壊並びに敵主力艦隊の撃破だ。
ミッドウェー島の基地型深海棲艦は滑走路を同化している。かなり多くの艦載機を有していると考えられる」

瑞鶴「私達の出番ね?」

提督「そうだ。瑞鶴と瑞鳳の艦載機でそれらを迎撃し、制空権を奪取とは言わないものの、優勢、又は均衡にする。その上で比叡達水上打撃艦隊で基地型を叩く」

比叡「敵の主力艦隊は?」

提督「不明だ。艦隊らしきものは発見したが、詳細は確認出来なかった」

比叡「分かりました」

提督「艦隊編成を発表する。」

提督「第一艦隊第一機動部隊、瑞鳳、瑞鶴、陽炎、秋月」

提督「第二艦隊第一水上打撃部隊、比叡、熊野、青葉」

提督「第三艦隊第一水雷戦隊、舞風、野分、初風、浦風」

提督「第四艦隊第二水雷戦隊、夕立、春雨、不知火」

提督「私はあさぎりに乗り込みMI作戦の指揮を執る。MI攻略艦隊は0800に出航する。それまでに全員乗船せよ」

全員「了解!!!!」

266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/01(木) 02:37:44.24 ID:aIDS61KXO
0800

乗組員「全員搭乗の確認完了致しました!!」

提督「各物資の搬入は?」

乗組員「完了しております!!」

提督「武器管制、状況は?」

乗組員「オールグリーン!問題ありません!」

提督「機関部!」

提督「動力よし!!何時でもいけます!」

提督「抜錨!錨巻き取れ!!」

乗組員「了解!錨巻き取れ!!」

乗組員「巻き取り作業完了!!」

提督「了解。護衛艦あさぎり、発進!!」

航海長「あさぎり、発進!!よーそろー!!」

提督「ソナー、レーダーは配置につけ!絶対に敵艦の反応を見逃すな!!」

乗組員「了解!!」

267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/01(木) 02:38:17.71 ID:aIDS61KXO
提督「マーシャル諸島沖合に到着した。全員出撃準備」

瑞鳳「第一機動部隊準備出来てます!」

比叡「第一水上打撃部隊準備出来てます!!」

舞風「第一水水雷戦隊も大丈夫です~!!」

夕立「第二水雷戦隊も大丈夫っぽい!!」

提督「この戦いは日本の命運を左右する戦いとなるだろう。しかし、何が何でも生き残れ。自分の命と引き換えになんて考えてはならない。君たちの死が戦力の低下に繋がる。そして何よりこれは私の願いでもある」

提督「生きて帰ってきて、その笑顔を見せて欲しい。この通りだ」

瑞鳳「提督が生きている限り私達は死ねないね」

提督「当たり前だ。絶対に死なれてたまるか」

瑞鳳「分かったよ、提督。私達は必ず帰って来るから待っていてね?」

提督「待っているよ」

瑞鳳「そろそろ出るね」

瑞鳳「………第一機動部隊出撃!!」

比叡「第一水上打撃部隊続いて出撃!!」

舞風「提督、行ってくるね!出撃!!」

夕立「夕立達も行くっぽい!!」

提督「頑張ってくれ………」

273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:25:16.45 ID:gEuL0B9j0
乗組員「敵艦隊捕捉!!ミッドウェーの南方に敵艦隊を確認!!」

提督「瑞鳳、瑞鶴!索敵機を南に向かわせているな?」

瑞鶴「うん!各方位に飛ばしてる!」

提督「ならば、南方に飛ばしてる索敵機を打診したポイントに向かわせてくれ」

瑞鶴「今向かわせてるよ。かなり近いところにいるから………」

瑞鶴「敵艦隊発見!索敵機の撮影した写真をそのままあさぎりに送るね!」

提督「戦艦1、重巡2、軽巡1、駆逐2か」

提督「敵艦隊は艦載機を持っていない…ならば」

提督「第二艦隊聞こえるか?」

比叡「聞こえます!」

提督「ミッドウェーの南方に敵水上打撃部隊を発見した。直ちに迎撃に移ってくれ。そちらに第四艦隊を合流させる」

比叡「了解!!熊野!瑞雲を2、3機南方の敵水上打撃部隊に触接に回して!私の零観も一機回すから!」

熊野「了解ですわ!他8機は継続して索敵に回しますわ!!」

比叡「お願い!青葉の零観も索敵に!」

青葉「了解です!!」

比叡「夕立ちゃん聞こえる?」

274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:26:08.68 ID:CDjULhgPO
夕立「聞こえるっぽい!!」

比叡「提督の命令は聞いた?」

夕立「ちゃんと聞いた!今比叡さんのところに向かってるっぽい!」

比叡「私達はこれから単縦陣でT字有利を狙う!夕立ちゃん達は敵艦隊の撹乱を任せるわ!」

夕立「比叡さんは今敵艦隊の北側にいるっぽい?」

比叡「そうだけど、どうして?」

夕立「ふふ、じゃあ、夕立達に任せて!」

夕立「さあ、素敵なパーティー始めるっぽい!!」

275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:26:44.89 ID:CDjULhgPO
提督「瑞鳳、瑞鶴!ミッドウェー島に向けて艦戦を発艦!絶対に制空権を取られるな!」

瑞鳳「了解!!艦速増速!!艦首風上!!」

瑞鶴「烈風、エンジン始動!!………よし!!私の大事な妖精さん、頑張ってね!!絶対に帰って来てね!」

瑞鶴「烈風発艦!!瑞鳳の烈風隊と合流して!!」バシュッ

艦戦妖精「ワガイトシノズイカク!!オレハカナラズカエッテクル!!オレガカエッタラケッコンシヨウ!!」

瑞鳳「みんな、帰って来たら卵焼きと伊達巻き作ってあげるからね!いくわよ…発艦!!」バシュッ

艦戦妖精「ダテマキ!タマゴヤキ!!ヒャッハァァァァァァ!!!!」

瑞鶴「瑞鳳の妖精って…怖い……」

276: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:27:14.27 ID:CDjULhgPO
比叡「私の有効射程圏内に入った!」

熊野「私達には少し遠すぎますわ」

比叡「私が敵戦艦の注意を引くから熊野と青葉は最大戦速で二人の有効射程圏内に突入して!」

比叡「多分夕立ちゃん達も戦場を引っ掻き回してくれると思う」

熊野「分かりましたわ。青葉、行きますわよ」

青葉「ソロモンの狼と呼ばれた青葉の本領見せちゃいますよ~!!」

熊野「最大戦速。突撃しますわ!」

青葉「青葉、突撃しちゃうよ!」

比叡「こちら第一水上打撃部隊!これより砲雷撃戦入ります!!」

比叡「第一、第二、第三、第四主砲、一式徹甲弾を装弾!目標敵戦艦!各副砲も一式徹甲弾を装弾!目標敵戦艦重巡洋艦!!風向、風速、自転速度再計算!!……良し!!仰角微調整!」

比叡「零観は着弾の観測準備して!!第一主砲発射!!………遠!!第二主砲発射!!…………遠!!第三主砲発射!!………近!!挟叉!第四主砲発射!!………至近弾!!」

比叡「次弾装填!!」

熊野「敵戦艦砲撃開始!目標は比叡!」

比叡「取り舵!!衝撃に備え!!」

バシャーン!!

比叡「そんなんじゃ当たらないから!!

比叡「全主砲装弾完了!!次は一気に行くわよ!!第一、第二主砲斉射!!撃て~!!!………至近弾!!続いて第三、第四主砲斉射!!!」

タ級「!!!?」ズドーン!!

比叡「敵戦艦に着弾!!!………やった!!敵の主砲一基沈黙!!」



277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:27:46.82 ID:CDjULhgPO
熊野「やりますわね、比叡!だけど、これからは私達も参加しますわ!」

熊野「青葉、私達も砲撃戦始めますわよ!!九十一式徹甲弾を装弾しますわ!!」

青葉「装填完了!第一主砲撃ちます!!」ドーン!!

熊野「敵が砲撃して来たら青葉は取り舵、私は面舵を。そのまま敵艦隊の頭と尻を取るのですわ。よろしくて?」

青葉「青葉にお任せ!!」

熊野「敵艦砲撃開始!行きますわよ!!」

青葉「取り舵!!」

熊野「面舵ですわ!!」

青葉「第二、第三主砲斉射!!」ドーン ドーン

熊野「瑞雲、私の砲弾の着弾地点の観測を!」ドーン

熊野「直撃………いや、装甲に弾かれてますわね……流石は戦艦ですわ」

278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:28:20.14 ID:CDjULhgPO
夕立「なかなか敵もよりどりみどりっぽい?」

春雨「沢山いますね、夕立姉さん!」

不知火「夕立、どうしますか?」

夕立「そんなの決まっているっぽい!」

夕立「レッツ、パーティー!!素敵なパーティーにしましょ!!」

夕立「ただ、残念なのはナイトメアパーティーじゃなくてデイドリームパーティーってとこっぽい?」

春雨「お供します!夕立姉さん!」

夕立「あの時と一緒っぽい!不知火はどうしたい?」

不知火「不知火を舐めないで欲しいものですね。陽炎型は伊達ではないわ」

夕立「その意気っぽい!行くよ、第二水雷戦隊突入するっぽい!!」

279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:29:06.23 ID:CDjULhgPO
比叡「お待たせ!やっと追い付けた!」

熊野「やっと追いつきましたわね」

比叡「青葉は?」

熊野「今は敵艦隊の反対側にいますわ」

青葉「わっ!危な!!熊野、比叡!青葉に攻撃が集中し始めてますよ!!」

熊野「あら、それは失礼しましたわ。まずはあの戦艦をどうにかしなければですわね」

比叡「遠距離からの砲撃では拉致があかないから近距離から撃ち合うしかない…」

熊野「だけど、そうなると随伴艦からも攻撃が…あれは?」

比叡「あれ?」

熊野「西から………第二水雷戦隊……?」

比叡「あの進路………嘘…」

夕立「第二水雷戦隊援軍に来たっぽい!!」ドンッ ドンッ

夕立「春雨、不知火!敵艦隊に正面から突っ込んで魚雷を叩きつけるっぽい!魚雷装填!」

不知火「ふふ…嫌いじゃないわ……」

春雨「姉さん、完了です!」

夕立「敵艦隊最接近まで10秒!………魚雷発射!!」バシュッ

春雨「はい!!」バシュッ

不知火「沈め…沈め!!」バシュッ

ズドーン!!

夕立「重巡1、駆逐1、軽巡1が一撃で沈んだっぽい!!」

不知火「とりあえず一度体制を整える為に北上しないとですね…」

春雨「夕立姉さん、一度北上を…」

夕立「春雨、不知火と一緒に北上して比叡さんのところに合流。これは命令っぽい!」

春雨「夕立姉さんは!?」

夕立「再突入するっぽい!!」クルッ ザーッ

春雨「夕立姉さん!!」

夕立「今回は明るいからあの時と違うっぽい!!敵艦に間違えられることはない!!」

夕立「魚雷再装填完了っぽい!」

280: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:29:36.94 ID:CDjULhgPO
比叡「夕立ちゃんだけが再突入してる!?」

熊野「だけど、そのお陰で敵艦隊が乱れていますわ!!」

熊野「今がチャンスですわね」

比叡「そうね…青葉!」

青葉「なんですか!?」

比叡「私達も接近戦を仕掛ける!突入開始して!」

青葉「了解!!」

比叡「一つだけ聞いて!絶対に夕立ちゃんには当てないで!」

青葉「任せて下さい!!」

熊野「当然ですわ!」

比叡「よろしくね!…第一水上打撃部隊突入!接近戦に移行して!!」

281: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:30:15.83 ID:CDjULhgPO
夕立「みんなも突入してくるっぽい?」

夕立「だけど、全部夕立が貰っちゃうっぽい!!」ドンッ ドンッ

イ級「!!?」

夕立「残り二っぽい!魚雷発射!!」バシュッ

ズドーン!!

リ級「!!?」

夕立「残り1!」

タ級「!!」ズドーン!!

夕立「っ!!!?」

夕立「主砲が!……タービンも片方停止!?………本格的にマズイっぽい…」

タ級「………」ズドーン ズドーン

夕立「ガッ!!!?」

比叡「させるか!!」ドカーン!!

タ級「!!!?」

比叡「敵戦艦機関停止!熊野、青葉、今!」

熊野 青葉「魚雷発射!!」バシュッ

ズドーン!!!!

タ級「」

比叡「敵戦艦、沈黙!!」

夕立「た……助かった…っぽい…?」

春雨「夕立姉さん!!」

夕立「春雨…」

春雨「良かった……生きてて本当に良かったです…」ポロポロ

夕立「……夕立はもう沈まないから……」ナデナデ

春雨「はい!!」


282: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/02(金) 00:30:48.86 ID:CDjULhgPO
比叡「敵艦隊撃滅しました!被害は夕立ちゃんが大破、青葉と春雨ちゃんが小破といったところです!」

提督「分かった。よくやってくれた、比叡」

提督「では、夕立は春雨を護衛につけてあさぎりまで撤退させろ。それで第二水雷戦隊は解隊。不知火はお前達第一水上打撃部隊に編入だ」

比叡「了解です!司令!!」

提督「これより第一水上打撃部隊に命ずる。お前達は北上し、ミッドウェー島への艦砲射撃をしろ。今瑞鳳と瑞鶴が制空権を死守している」

比叡「了解!急いで北上します!」

比叡「夕立ちゃんは春雨ちゃんと一緒にあさぎりへ撤退。不知火ちゃんは私達の隊に編入することになったわ!そしてこれから直ぐに私たちは北上してミッドウェー島を砲撃する!」

夕立「夕立も一緒に戦いたいっぽい…」

熊野「ダメですわ!直ぐに撤退しなさい!」

夕立「…………分かったっぽい…」

比叡「作戦行動を始めるわよ!春雨ちゃんは夕立ちゃんを頼んだよ?」

春雨「はい!!」

比叡「第一水上打撃部隊北上!急いで!!」

287: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 18:02:08.97 ID:UWm/0mRkO
ミッドウェー上空

艦戦妖精「ウォォォォォォォォ!!!」ズダダダダ

艦戦妖精「ダテマキ!!ダテマキ!!!!ヒャッハー!!!!!」ズダダダダ

艦戦妖精「オレ、イキテカエッタラズイカクトケッコンスルンダ」ズダダダダ

艦戦妖精「マッテロヨズイカク!カナラズ……」バシュッ

艦戦妖精「ウワァァァァァ!!ズイカク~!!!!」

ズドーン

艦戦妖精「スギヤマ~ァ!!!!」

艦戦妖精「クソッ!!スギヤマノカタキハカナラズ!!」ズダダダダ

艦戦妖精「!!?」バシュッ

艦戦妖精「スマン…スギヤマ………オレモコレマデノヨウダ……」

ズドーン

艦戦妖精「ネモト~ォ!!!!」

艦戦妖精「タマゴヤキ!タマゴヤキ!!ヒャッハー!!!!!」ズダダダダ

288: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 18:02:53.62 ID:UWm/0mRkO
瑞鶴「こちら瑞鶴!瑞鶴と瑞鳳の航空隊がミッドウェー上空にて敵航空隊と交戦中!」

提督「戦況は?」

瑞鶴「良くて五分五分、悪くて若干押され気味ってところね」

提督「そうか…頑張ってくれ」

瑞鶴「うん。絶対制空権は取られないから!」

提督「頼む…」

提督「あと少しで第二艦隊がそっちに向かう。それまでの辛抱だ」

瑞鶴「提督さんのお願いなら、何時間だって耐え抜いちゃうんだから!」

瑞鶴「艦載機のみんな!頑張って!!」

比叡「瑞鶴、瑞鳳!あと少しでそっちに着くから何とか耐え抜いて!!」

瑞鶴「大丈夫!全然大丈夫だから!!」

289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 18:03:52.90 ID:UWm/0mRkO
比叡「第一水上打撃部隊、ミッドウェー沖に到着!これよりミッドウェー島敵基地に対し砲撃を開始します!」

提督「了解。すぐに砲撃にとりかかれ!」

比叡「熊野と青葉は三式弾に換装!装填出来次第砲撃開始!不知火ちゃんは10cm高角砲と25mm三連装機銃で艦隊防空をお願い!」

不知火「了解しました」

熊野「三式弾の装填完了しましたわ」

青葉「青葉も終わりました!」

比叡「まずは滑走路を破壊するよ!!第一斉射始め!!」ズドーン!! ズドーン!!

熊野「とぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」ズドーン!!

青葉「てぃ!!」ズドーン!!


290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 18:04:45.46 ID:UWm/0mRkO
……………

比叡「滑走路は壊滅!敵の全身からも火の手が上がっています!!」

提督「あと一息だ。攻め手を緩めるな」

比叡「大丈夫ですって!」

比叡「第十八斉射、始め!!」ズドーン!!
ズドーン!!

熊野「そういえば、敵の航空機も殆ど居なくなりましたわね」

青葉「不知火ちゃんの眼光に怯えて逃げたんじゃないんですかね~?」

不知火「…………」ギロッ

青葉「ご、ごめんなさい!!」

不知火「…………まあ、いいでしょう…」

熊野「一体何処にいったのでしょうか…」

比叡「もしも瑞鶴達のところでも、戦闘機ばかりだったから被害は殆ど無いんじゃないかな?」

熊野「そうだといいんですけれども…」

熊野「………何か胸騒ぎがしますわ……」

291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 18:05:36.78 ID:UWm/0mRkO
瑞鶴「瑞鳳、私達も攻撃隊を出さない?」

瑞鳳「そうね。ミッドウェー上空から敵戦闘機は居なくなったもんね。出そう!」

瑞鶴「提督さん!私達も比叡達の援護の為に攻撃隊を出します!!」

提督「分かった。そうしてくれ」

瑞鶴「攻撃隊のみんな、お待たせ!いくわよ!!」

瑞鳳「攻撃隊発艦!!」バシュッ

瑞鶴「これで、この作戦も終わるかな?」

瑞鳳「これで終わらせるのよ!」

瑞鶴「そうね」

ブロロロロロ

瑞鳳「烈風が戻ってき…えっ!!?」

瑞鶴「瑞鳳?………ッ!!?」

秋月「て、敵機直上!!急降下!!!!!」

陽炎「瑞鳳さん!!瑞鶴さん!!逃げて!!!!」

ヒューン ドッカーン!!!

297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:48:39.90 ID:zMsJ+ZiuO
瑞鳳「きゃぁぁぁ!!!!」

瑞鶴「あぁぁぁぁぁ!!!」

陽炎「瑞鳳さん!!瑞鶴さん!!」

提督「どうした!!?何があった!!?」

陽炎「瑞鳳と瑞鶴さんが!!」

提督「瑞鳳と瑞鶴がどうした!?」

陽炎「敵艦爆の攻撃を受けて中破…いえ、大破しました!!」

提督「なんだと!!?」

提督「一体どこから!!?」

舞風「こちら第一水雷戦隊!!敵機動部隊発見しました!!」

提督「場所は!!?」

舞風「ミッドウェー島より東に30海里!!」

提督「私たちの所から約2時間、比叡達ならば約1時間か…」

提督「比叡!あとどれくらいでミッドウェー島は攻略出来る!?」

比叡「ミッドウェー島の深海棲艦が予想以上にしぶとくて…だけど、あと30分あればいけるかと!」

提督「必ずそれまでに落としてくれ」

比叡「はい!!」

298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:49:17.28 ID:zMsJ+ZiuO
舞風「マズいよ!提督!!」

提督「何か動きがあったか!?」

舞風「敵艦隊の3隻…戦艦1隻と駆逐艦2隻がミッドウェーの方に向かってる!!」

提督「まさか…手負いの瑞鳳と瑞鶴、攻め手の比叡達を狙って……」

舞風「舞風達が引きつけようか…?」

提督「無駄死にするつもりなら却下だ。足止め程度でも良いから必ず戻ってこい」

舞風「うん…分かった!!」

舞風「野分!初風!浦風!!舞風達は少しだけこいつらと一緒に踊ってポイッて捨てるよ!!準備はいい?」

野分「たまには舞風以外と踊ってみるのも悪くないかもね」

初風「妙高姉さんに比べたらこいつらなんて屁でもないわ」

浦風「うちは盆踊りしか出来んけど、うちに任しとき!!」

舞風「みんなその意気!!それ!ワン!ツー!!突撃ぃ~!!」

299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:49:58.79 ID:zMsJ+ZiuO
瑞鳳「て…提督…」

提督「瑞鳳!大丈夫か!?」

瑞鳳「な…なんとか……瑞鶴も……意識はあるみたい…」

瑞鶴「ごめんね…提督さん……私がミスったばかりに…」

提督「そんなことはいい!それよりも今すぐ帰って来るんだ!!私もこれからそっちに向かう!」

瑞鳳「だめ!!今こっちに来たら敵の艦載機に提督達まで狙われる!!だから!!」

提督「ふざけるな!!俺達の事よりも自分達が生き残る事を考えろ!!俺はお前達に必ず帰ってこいと言ったはずだ!!」

提督「お前達は俺たち人間の希望だ!!俺達人間の命でお前達を救えるのならばそれは本望だ!!」

瑞鳳「でも、そこには夕立ちゃんや春雨ちゃんが…」

夕立「夕立、このままみんなを見捨てるのは嫌だ!!」

提督「このように言っているが?」

瑞鳳「うっ………」

提督「それに、夕立もある程度応急修理を終えて航行可能になっている。もしもこの艦が沈んでも生き残ることが出来る」

提督「俺の代わりなんぞはいくらでもいる。そしてこの艦の乗組員も全員死ぬ覚悟がある者のみ集めている。例え俺達が死んでもお前達さえ生きていれば深海棲艦と戦える。人類は生きる希望を見出す事が出来るんだ!」

提督「もちろんこんな綺麗事だけでは無い、俺自身の感情もある。俺が生きている限り絶対にお前達を沈めさせたくない。沈めない。これは俺のエゴであり、願いだ!!」

提督「だから………ここに帰って来い!!!!」

300: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:50:41.88 ID:zMsJ+ZiuO
瑞鳳「………分かった…」

瑞鳳「だけど提督……その前に一つだけやらせて……」

瑞鶴「全艦載機、目標変更!!目標敵機動部隊の正規空母!!」

瑞鳳「烈風は攻撃隊と途中合流!隊列を作って!!」

瑞鶴「みんな、ごめんね…これが最後の仕事よ!!敵の空母共を蹴散らして来て!!」

瑞鳳「いつか、また逢おうね…」

瑞鶴「艦載機のみんな……やっちゃって!!」

艦戦妖精「残る桜も散る桜も同じ桜。ならば俺はここで戦って潔く散ってやる」

艦爆妖精「おっ?もう人間を欺かなくていいのかい?」

艦戦妖精「もう二度と会う事は無いだろう。最期くらい好きにさせてくれ。最期は人間だった頃の俺でいたいんだ」

艦爆妖精「まあ、この通信はあさぎりの連中には聞かれている訳もないし……いいか」

艦攻妖精「……大きな花火を打ち上げてやる」

艦爆妖精「お前は殆ど素だったなぁ…」

艦戦妖精「おら、敵さんが来たぞ」

艦戦妖精「………大日本帝國海軍の底力舐めんじゃねえぞ!!!!いくぞ!!!!」ズダダダダ

301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:51:17.71 ID:zMsJ+ZiuO
瑞鳳「みんな…………」

瑞鶴「うそ………そんな訳って…………」

提督「何かあったのか?」

瑞鳳「ううん……何でもない………」

瑞鶴「……妖精のみんなの頑張りで敵空母3隻の内2隻を撃沈。これまでにない形状の空母が1健在………そして………………」

瑞鶴「…………当方の航空機は……………全滅………」ポロポロ

瑞鶴「ゴメンね………みんな……」ポロポロ

提督「…………」

提督「乗組員に告ぐ。RIM-7 Sea Sparrowの発射準備急げ」

提督「これより当艦は敵制空権内に突入する。幸か不幸か味方の航空機はもう居ない。フレンドリーファイアを怖れる必要は無くなった。出し惜しみは無しだ!!容赦無く敵艦載機にこいつを叩き込んでやれ!!」

提督「CIWSも攻撃準備だ。最強の盾であるイージス艦の力を見せてみろ!!」

乗組員「「「おう!!!」」」

提督「艦戦は後回しだ!!艦攻と艦爆を優先して叩き落とせ!!!!」

提督「全砲門開け!!!!あさぎり一世一代の大戦闘だ!!!!ってぇ~!!!!!!!!!」

302: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:52:20.90 ID:zMsJ+ZiuO
舞風「はあ……はあ………これで残るは……戦艦だけ……」

野分「はあ………流石にこれ以上は……」

初風「無理ね………」

浦風「提督のところまで撤退し………」

ドカーン!!

浦風「!!?」

タ級「!!?」バシャーン

比叡「お待たせ~!!!」

熊野「お待たせしましたわ!」

青葉「お待たせしました!!」

不知火「怪我は………ありそうですね」

舞風「比叡さん!!って、ボロボロじゃないですか!!?」

比叡「まあね~、流石に空襲に会いながら島砲撃してたらね~」

不知火「不知火に落ち度でも?」

比叡「いやいや、不知火ちゃんはしっかり仕事してくれたからね!」

不知火「………まあ、良いでしょう…」

熊野「しかしながら、敵の陸棲型の深海棲艦は破壊に成功致しましたわ!」

青葉「そこで青葉達は舞風ちゃん達の救援に駆けつけたという訳です!」

舞風「………怖かったですよぉ~!!」ポロポロ

舞風「うぇ~ん!!!!」

303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:52:51.58 ID:zMsJ+ZiuO
比叡「泣かない泣かない。でも、ありがとね。もしも舞風ちゃん達が居なかったら私達奇襲されて沈んでいたのかも知れないんだから」

浦風「うちらの中では末っ子の舞風にしてはよく頑張ったのぉ」

舞風「うん……ぐすっ…」

夕張「あ~みんな聞こえる?」

青葉「夕張?どうしたんですか?」

夕張「北方での戦闘は終わったわよ。敵艦隊はほぼ壊滅。体制を整えるにはかなりの時間が必要になるくらいのダメージってとこかな?もちろん、こっちの損傷は軽微だから心配いらないからね」

青葉「提督にこの話は?」

夕張「一応したけど、提督はそれどころじゃないみたいね」

青葉「そうなんですか…まあ、とりあえずそっちが上手くいって良かったです!」

夕張「後はミッドウェー組だけだからね。私達は先に鎮守府に戻って警備してるから早く戻って来てね!通信終わりっと!」ブツッ

比叡「アリューシャンは上手くいった。私達もあと少し!!」

比叡「もう弾は殆ど残っていないけど、絶対にあいつだけは倒すから!!」

比叡「熊野!青葉!最後の一仕事行くよ!!」

熊野「早く終わらせてお風呂とエステに行きたいですわ~」

青葉「青葉、この戦いについて新聞書きますから!!」

比叡「よ~し、撃てぇ!!」ズドーン!!

304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:53:57.00 ID:zMsJ+ZiuO
もうどれくらい移動したのだろうか…



全身に負った傷が動くたびに鈍く痛み、いつもよりも長く時間を感じる



隣の瑞鶴も似たような状態らしい。いかにも辛そうな顔で一緒に撤退を図っている



最初に撤退命令が出た時は、上空に敵の艦載機がうじゃうじゃと群れる蝿のように私達を追い回していた



それを陽炎ちゃんと秋月ちゃんが懸命に追っ払い、また群れ、また追っ払いと延々と繰り返していた



だけど、5分も経ったくらいだろうか、見た事のない不思議な飛翔物が私達の上空で炸裂した



効果は絶大だった。数多の蝿の群れの一部にポッカリと穴が開いたのだ



その飛翔物は次から次へと私達の上空で炸裂し、その度群れに穴が開いた



流石に群れるのはマズイと思ったのか群れは散開し、その飛翔物の主………私達の提督の元へと向かって行った



だめ………そっちは私の愛する人がいるから行かないで!!



いくら願ってもその願いは叶えられずに消えてしまう



ああ…神様は居るのだとしたら酷い存在だ……



これほど強く、強く願っても全く叶えてくれる素振りを見せてくれない



全く助けてくれない………

305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:54:42.59 ID:zMsJ+ZiuO
あさぎりが見えてきた



敵の攻撃に恐れる素振りさえも見せずに次々と蝿を落としていく



艦爆や艦攻を優先的に狙っているのだろうか、あさぎりへの損傷は殆ど確認出来ない



例え艦戦の機銃掃射を受けたとしてもあさぎりに致命的なダメージを与える事は到底出来ない



横を見ると瑞鶴はほっとした顔をしている。多分私も同じ様な顔をしている



あさぎりとの距離もかなり近付いて来た



甲板に走り出て来た提督の顔が見える



私達の名を呼ぶ提督の声が聞こえる



私達を離さんと手を差し伸べて



私も手を差し出して



お互いの手が届くその瞬間





















提督は撃たれた

306: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:55:26.37 ID:zMsJ+ZiuO
「提督さん!!提督!!!!」


瑞鶴が叫んだ



「司令……かん…?」



陽炎ちゃんは目の前の光景に茫然自失



「……………え?」



秋月ちゃんはただ一言発するのみだった



私は……



私は…………



力なく落ちた腕を両手に握り締めることしか出来なかった

307: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:57:58.50 ID:zMsJ+ZiuO
「……ぐっ………瑞……鳳…瑞………鶴……か……げ炎……………秋……月……ガハッ」



提督の口から生命の証である紅い紅い血が溢れ出す



「提督!!!喋らないで!!お願いだから!!!!!死んじゃやだ!!!!やだよぉ!!!!!誰か提督を助けて!!!!」



瑞鶴は顔をぐちゃぐちゃにして泣き叫んでる



「う…………うかつ……だった………まさ…か…………戦闘……機に……こ……殺さ……れるなん……て…………」



「提督!!!!!やだ!!!!やだ!!!!!お願い!!!!死なないで!!!!!ねえ!!提督!!!!!!」



陽炎「司令!!!!!!どうして!!!どうしてこんな!!!!!!!」



提督のお腹からは出てきてはならないモノと紅い血が次々と溢れ出てくる



「……………一つ………………聞かせ………て………………くれ……………他……の…………娘……………は……?」



「他の娘よりも提督が!!!!提督が!!!!!」



「うぅ………………うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!司令!!!!うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」



瑞鶴も陽炎ちゃんももう完全にパニックに陥っている。秋月ちゃんもダメそうだ。そうすると答えられるのは私一人



「みんな生きてるよ、提督…提督は約束守ったんだよ…全員の……全員の…………こと守ってくれた……………んだよ……………」



「ありがとう……………提督」

308: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 04:58:52.48 ID:zMsJ+ZiuO
言えた。最後まで伝えることが出来た



「…………あぁ………………」



提督の頬に一筋の光が流れた。それから沢山の光が溢れ落ちる



提督は満足そうな顔になり、最期の力を使い



「陽炎………ありがとう…」



そして



「瑞鳳、瑞鶴……いつか……また…」










私の愛する人の生命が消えた

309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 05:00:22.35 ID:zMsJ+ZiuO
「提督…………!?提督!!?提督!!!!ねえ、起きてよ!!!起きて!!!ねえ!!!!提督!!!!」


瑞鶴が提督を何度も何度も揺するが、提督はピクリとも動かない



ゴトッ…



揺すった振動で提督のポケットから何かが転がり落ちた



私が中を確認するとそれは



私と瑞鶴、陽炎、そして提督の本名が刻まれた指輪だった



「提督…………う…うぅ……」



秋月ちゃんはその場に突っ伏して静かに涙を流し始めた



「提督!!!!こんなのって無いよ!!!!提督!!!!!!!!」



陽炎「司令……………どうして………!!」



瑞鶴も陽炎も提督の亡骸に覆いかぶさって泣き叫んでる



だけど、私達に哀しみに明け暮れる時間はあと僅かしかない。憎い敵空母が逃げてしまう



だから私は覚悟を決めた

310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 05:01:03.53 ID:zMsJ+ZiuO
瑞鳳「陽炎。聞いて」

陽炎「司令!!!!司令!!!!」

瑞鳳「陽炎!!!!」

陽炎「瑞鳳さんは……瑞鳳さんは司令が死んで哀しくないの!!?どうして!!?」

瑞鳳「今はそんな事言ってる場合じゃないの。お願い、聞いて」

瑞鳳「この海域には私と瑞鶴が残る。貴女はあさぎりと、私達以外のみんなと一緒に横須賀へ帰って」

陽炎「え……?」

瑞鳳「このままだと全員死んじゃう。あの異形の正規空母を残すと何度も何度も波状攻撃を受けて力尽きる。だから全員で逃げて!!」

陽炎「瑞鳳さんと瑞鶴さんは!!?」

瑞鳳「空母は囮に最適だからね。ほら、『正規空母瑞鶴』も『軽空母瑞鳳』も囮で生涯を閉じたのよ?」

陽炎「でもそれは!!」

瑞鳳「もうこれ以上の手は無いの。だから急いで!!」

陽炎「なら私も!!」

瑞鳳「陽炎が死んだら誰か提督と私達の意思を受け継ぐの?誰が提督や私達の記憶を継いで語り継ぐの?陽炎までもが居なくなったら私達の存在は消えるんだよ?それでいいの?」

陽炎「それ…は……」

瑞鳳「嫌でしょ?だったら……」

瑞鳳「早くここから逃げて!!!!」

陽炎「う………はい!!」

瑞鶴「…………」スッ

瑞鳳「悪いけど……提督の身体は私達が貰って逝くよ?二人だけでは淋しいから…」

瑞鶴「ごめんね……陽炎ちゃん……」

陽炎「また……また会えますよね?」

瑞鶴「いつか……また…ね」

陽炎「………ありがとうございました!!瑞鳳さん!瑞鶴さん!!陽炎達は全員をあさぎりに収容後横須賀へ向かいます!!」ビシッ

瑞鳳「がんばれ…陽炎」ビシッ

瑞鳳「逝こう…瑞鶴……」

瑞鶴「そうね……逝きましょう」

311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 05:02:52.06 ID:zMsJ+ZiuO
「ごめんね、瑞鶴。最期に巻き込んじゃって」



「いいよ、別に。私もこうするつもりだったから」



「考える事は一緒か~」



「この散歩の最終地点は勿論?」



「そ。提督の仇。私達は近付けさえすれば……って分かってるよね?」



「ま~ね。ただ、提督さんの身体まで巻き込むのはちょっとな~」



「じゃあ、今ここで手離す?」



「それはもっとヤ!」



「じゃあ、最期まで一緒だね?」



「ふ~すぅ!」



「君が誰かの 幸せなどを 想うのなら
愛は願いに 震え痛むから I'll be there for you~」



「その歌は?」



「提督が一番好きだって言っていた歌。なんだか歌いたくなって来たから」



「変なの。でも、続けて」



「そうするつもり」



重ねるたび 溺れさせて

瞼を閉じると 無限の愛が

溢れるまま 名前呼んだ 宇宙の意志に

はぐくまれる様に彷徨う波 委ねるまま

何度でも泣ける程 愛している

醒めないで 醒めないで 濁ったこの空に

312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 05:03:41.96 ID:zMsJ+ZiuO
END

322: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 20:05:25.47 ID:0Jwxr+R7O
涙がとめどなく溢れ続けた



私は託された大切な指輪を握り締め東の海を眺め続ける



私が世界で一番愛した人喪い、また、一番大切な恋敵であり、優しい優しい先輩を二人喪うことになる



そんな現実の残酷さと、何も出来なかった己の弱さに打ちのめされる



私の周りでもみんな甲板に突っ伏して泣いている



私達の戦いは勝利に終わった。だけど、喪ったモノは大きすぎた。特に私にとっては……私の大事な一部が抉られたのだから



あさぎりは少しずつ、少しずつと司令と瑞鳳さんと瑞鶴さんが眠る海域から遠ざかっている。私達の家、横須賀に帰る為に



愛する人の居ない家に帰る為に

323: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 20:06:25.23 ID:0Jwxr+R7O
死者1名 負傷者多数 行方不明者2名












そして、二度と奇形の空母はこの海に現れることは無かった

324: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 20:07:31.12 ID:0Jwxr+R7O
あれから早くも一月経った


新しい私達の指導者は夕張さん達を指揮したあさぎりの副艦長だ。腕は悪くないのだけれど、やっぱり司令と比べると劣る



指導者は今の地位に着くと直ぐに建造を始めた。未だ行方不明とされている瑞鶴さんと瑞鳳さんの代わりが必要だからだろう。そして、妖精さんの努力もあり3人もの正規空母の建造に成功した



大鳳に翔鶴、そして飛龍。以前なら手放しで喜べた大戦力の加入も、今の私は喜ぶ事が中々出来ない



建造には生贄が必要……



私もその『生贄』から創られた1人の艦娘であるから、新しい3人の艦娘には何も感情は無い。



だけど、建造というシステムそのものに嫌悪感を抱くようになってしまった…



だけど、それを指導者に教えたり、誰かに言いふらすようなことはしなかった。



だってこれは……私と司令、そして瑞鶴さんと瑞鳳さんだけが知る秘密で、その秘密を護り抜きたかった。私達だけの秘密を独り占めにしたかったから。そんな幼稚じみた独占欲を理由に誰にも話していないだけ



だけど、司令と瑞鳳さんと瑞鶴さんが護ったこの世界だけは絶対に護りたい



多分深海棲艦に勝つのは出来ない。不可能だ



それでもいつか私が死んだ時に、司令達に胸を張って報告出来るように



約束は護ったって報告出来るように



この残酷な世界と、司令の意志を護ったって報告出来るように



私は鬼になろう



「ねぇ、テイトク。私達はコロンバンガラ島へ出撃するわ………」



「不知火!舞風!初風!浦風!付いてらっしゃい!!絶対に私はあなた達を沈めさせないから!!必ず帰って来るわよ!!」



陽炎「陽炎、出撃しま~す!!」



司令。いつかまた逢えたらいっぱい抱き締めてね!その時までこの指輪は私が預かるから!!

325: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 20:08:29.87 ID:0Jwxr+R7O
提督「瑞鳳、瑞鶴……いつか……また…」











次回 提督「瑞鳳、瑞鶴……いつか……また…」(happy end route)