1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 20:26:51.16 ID:oDEVr66A0
・「 とある魔術の禁書目録 」とフリーホラー「 Ib 」のクロスパロディです。
 *一部キャラは出ません
・通行止め中心
・途中安価入れるかも

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342956411

引用元: 一方通行「ゲルテナ展だァ?」 

 

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 21:11:07.28 ID:oDEVr66A0
一方「……なンだそりゃあ」

芳川「美術館で今開催中らしいわよ」

一方「知るか。行く気がしねェな」

打止「えっ、アナタいかないの!? ってミサカはミサカはビックリしてショックを受けてみたりっ!」

一方「まずこの街に美術館っつーモンがあったのか、っつー事だがそれは置いといてやる」

打止「番外個体は肉体の調整で行けないらしいし、ミサカ一人じゃつまんないーっ! ってミサカはミサカはアナタの袖をひっぱって訴えてみる!」

一方「離せクソガキ。美術館なンて何が面白いっつーンだよ、絵ェ見てるだけじゃねェか」

黄泉川「それは言い過ぎじゃんよー。その絵に込められた製作者の思いとか、そういうのも面白かったりするんじゃん?」

芳川「……貴女にもそういう観点が」

黄泉川「どういう意味じゃんよー」

打止「能力開発段階で描いた絵とかもあるっぽいからアナタの絵もあるかも! ってミサカはミサカはハッと思いついてみる!」

一方「はァ? ンな訳……」

芳川「ない、とは一概に言い切れないんじゃないかしら。きっと処分されたと思ってるんでしょう? 一応、研究価値はあるわよ」

一方「……、」

黄泉川「まあまあ、ここは大人しくついてくるじゃーん。それともお留守番してて、番外個体を待つか?」

打止「えー、ってミサカはミサカはふてくされてみたり。そのままアナタを上目遣いで見てみたりー」

一方「……チッ。わかったよ」

打止「やったぁ! ってミサカはミサカは大はしゃぎーっ! 勢い余って抱きついてみるーっ!!」

一方「うるせェ、くっつくな」

芳川「ねえ愛穂。一つ聞くけどこれは私も行く事になってるのかしら」

黄泉川「え? 当然じゃんよー」

芳川「……クーラー、効いてるんでしょうね」

黄泉川「桔梗もたまには外の世界を知るじゃんよー」

芳川「貴女が炊飯器で料理をする癖を直したら考えてもいいわよ」

黄泉川「それは無理じゃーん」

打止「ねえねえ、何してるのー? 早く行こうよー、ってミサカはミサカは催促してみる!」

黄泉川「ほら、桔梗」

芳川「……、仕方ないわね」

一方「つーか、オマエは俺に散々行かせるよォに仕向けといて、自分は行かないつもりだったってのか?」

芳川「そうね」

一方「即答かよ。ふざけてンのかオマエは」

芳川「長時間外にいると疲れるもの」

一方「だからニートだのなンだのと弄られてンだよクソが」

芳川「でもまあ、仕方がないから、今日は貴方たちの意見を優先してあげるわ」

一方「……そォかい。そりゃどォも」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 21:33:24.82 ID:oDEVr66A0
-- 美術館 --

打止「おお、なんかそれっぽい! ってミサカはミサカは飛び上がって喜ん――痛っ、何で叩くのー! ってミサカはミサカは頭を押さえつつ抗議してみる!」


一方「そりゃ『それっぽい』だろォな、美術館だから当たり前だろ。あと騒ぐな」

打止「だからって叩く事ないじゃん、ってミサカはミサカはジト目でアナタを見てみる」

一方「はいはい」

黄泉川「二人ともいちゃつくのは止めるじゃんよー。早く受付すませるじゃん」

芳川「パンフレットとかあるかしら」

一方「何だかンだいってといてノリ気じゃねェかオマエ」

芳川「何の事かしらね。『ワイズ・ゲルテナ』って聞いた事ないけど、ちょっと興味出たわ」

黄泉川「独特じゃん。どことなく恐い感じもするけど」

芳川「そうね……たまにコンセプトわからなくなるものもあるし」

黄泉川「ネーミングおかしいのもあるじゃんなー」

打止「ねえねえ、ミサカ先に見てきたい、ってミサカはミサカはアナタにいってみたり」

一方「なンで俺にいうンだよ。黄泉川に言え」

打止「だーかーらー、ってミサカはミサカはニブイ貴方にちょっと肩を落としつつ続けてみたり。一緒について来てほしいの、ってミサカはミサカは単刀直入に告げてみたり」

一方「あァ、そォいう………別に構わねェよ」

打止「ホント! ってミサカはミサカは顔をほころばせてみる! って事だから、ってミサカはミサカはヨミカワとヨシカワに向けて言葉を投げかけてみたりっ」

黄泉川「了解じゃんよー」

一方「……聞こえてたのかよ」

芳川「貴方が打ち止めにだけはやさしいって事実を再確認したわ」

一方「……変な誤解してンじゃねェだろォな。その微笑イラつくンだが殴ってイイかよ」

打止「あーっ、また喧嘩してるし! ってミサカはミサカは間に割って入ってみたり!」

黄泉川「館内では静かに、じゃんよー」

打止「そうだよー、ってミサカはミサカはヨミカワの意見に賛同したり。ほらいくよ、ってミサカはミサカはアナタの腕をひっぱってみる!」グイッ

一方「無理にひっぱってンじゃねェ、杖ついてンだから」

芳川「飽きたら私たちにいってね、早く帰ってらっしゃい」

黄泉川「それ、桔梗がさっさと帰りたいだけなんじゃん?」

一方「あーもォわかったよ、オマエに言わずに帰るからオマエはずっといろクソニート」

芳川「はいはい。ほら、お姫様がお待ちかねよ」

一方「……チッ」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 22:17:42.64 ID:oDEVr66A0
一方(にしても、確かに感性ぶっ飛ンだ作品ばっかだな)

打止「何考えてるのー? ってミサカはミサカは展示品を凝視するアナタに問いかけてみる」

一方「なンでもねェよ」

打止「面白い作品が多くてたのしいよね、ってミサカはミサカはいろんなのを指差してみたり。あ、あれとか!」

一方「……薔薇か」

打止「綺麗だよねー、ってミサカはミサカはロマンチックな妄想を繰り広げてみたり」

一方「そォかい」

打止「それにしてはあの……なんだっけ、あそこの絵が雰囲気壊してるけど、ってミサカはミサカはちょっとしょぼんとしてみる」

一方「それは配置した人間に言え」

打止「うー、そうだけどー……、ってミサカはミサカは力なくいってみたり。あ、今度は上に行ってみようよ! ってミサカはミサカは気分をきりかえてみる!」

一方「……呑気なヤツ」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 22:30:20.54 ID:oDEVr66A0
打止「首なし像発見! ってミサカはミサカはズビシッと示してみたり」

一方「あァ?」

打止「ほら、マミっt」

一方「どこで覚えたそンな言葉」

打止「冗談だよー、ってミサカはミサカは笑いかけてみたり」ニコッ

一方「……あっちも見てみるか」

打止「そういえば、能力者の授業(カリキュラム)で絵を描くっていってたけど、どういうこと? ってミサカはミサカはさりげなく聞いてみたり」

一方「あァ、ありゃあ『自分だけの現実』を実際に見てみようって話だった気がするな。解離性同一性障害の治療とかでよく使われる手の応用」

打止「ふうん……じゃあ同じものを描かせてもみんな違う絵になるんだ、ってミサカはミサカは分析してみたり」

一方「さあな。そこまでは知らねェ」

打止「おお、なんか大きい人間が! とおもったら作品だった! ってミサカはミサカは見上げてみたり!」

一方「子供の視線って不便だな」

打止「それはいっちゃ駄目なの、ってミサカはミサカははっきり告げてみる」

一方「そォかい、次いくぞ」

打止「あっ、待ってよ! ってミサカはミサカはおいていかないでほしいの!」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 22:58:10.03 ID:oDEVr66A0
打止「あれ、この場所ってこれしかないの? ってミサカはミサカは見回してみたり」キョロキョロ

一方「らしいな。デカいンだから仕方ねェンじゃねェの?」

打止「そうだねー、ってミサカはミサカも頷いてみたり。いろんなのが描いてあるしこれはこれで満足かも、ってミサカはミサカは展示品に近づいてみたりー。えっと、題名は―――」

一方「……『絵空事の世界』」

フッ

打止「えっ、停電? ってミサカはミサカは突然の事態に戸惑ってみたり」

一方「落雷でもあったのか? 学園都市の電気がそォ簡単に落ちるハズはねェンだが……、まァすぐに回復すンだろ」

パァッ

一方「ほらな」

打止「おお、さすが対応が早い、ってミサカはミサカは感心してみたり。 でもなんだったんだろうね? ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」

一方「俺が知るかよ。もォ何もねェよォだし、さっさと帰ンぞ。コーヒー飲みたい」テクテク

打止「アナタ、本当にカフェイン中毒なのかも、ってミサカはミサカは呟いてみたり……」トテトテ

一方「心配すンな、自覚はある………って、なンだこりゃ?」

打止「どうしたのー? ってミサカはミサカは問いかけてみ――あれ?」

一方「……なンで、誰も人がいなくなってンだァ?」

打止「さっきの停電で避難したのかも、ってミサカはミサカはハッと思いついてみる」

一方「いや、ねェな。それにしちゃ静かすぎたし、学園都市の人間ならすぐ復旧されるってわかってるはずだ。施設に予備電気はあるはずだしな」

打止「だよね、ってミサカはミサカは肯定してみる。それじゃあ、なんで……」

一方「……俺が、知るかよ」

打止「あっ、ヨミカワとヨシカワは無事かなあ、ってミサカはミサカは思い出してみたり!」

一方「確か、さっきは下にいたよな。まだそこにいるとイイが」

打止「うん……、ってミサカはミサカは頷いてみたり。それにしても変だね、従業員までいないなんて」

一方「……あン?」

打止「だから、従業員さん達も居ないよ? ってミサカはミサカは指差して教えてみたり。ほら、受け付けにいたひとも……」

一方「従業員が施設放棄して行くか? 事務所か何かに集まったンじゃねェの」

打止「うーん? ってミサカはミサカはそれでもやっぱり違和感を感じていたり」

一方「……あァ。何がおきてンだかな」

打止「恐いなぁ、ここでバーン! って何かが出てきそうな予感がする……」

一方「何だ、幽霊の心配でもしてンのか? あンなモンいねェよ」

打止「でも、そういう雰囲気だよー、ってミサカはミサカはアナタにしがみついてみたり」

一方「ねェよ。ったく、面倒な事になったなァ……」

打止「こ、こういうハプニングもまたいいものじゃないか! ってミサカはミサカは前向き思考になってみたり!」

一方「……無理矢理すぎンだろ……」

打止「にしても……二人ともいないねー、ってミサカはミサカは少し落ち着きを取り戻していってみたり」

一方「そォ……だな。やっぱり先に出たのか?」

打止「うう、ミサカをおいて先に出るなんて許せん! ってミサカはミサカは入り口兼出口の扉にダッシュ!」

一方「おい、走ンな追いつけねェ!」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/22(日) 23:10:24.39 ID:oDEVr66A0
打止「え、あれれーっ!? なんで開かないのー!? ってミサカはミサカは押して引いてを繰り返してみたりぃ!」

一方「あァ? ンなハズね……あるな。壁みてェだ」

打止「でしょーっ!? ほらほら、やっぱり何かあるんだよミサカたちにドッキリ仕掛けるつもりなんだよまったくもうみんな意地悪なんだからー! ってミサカはミサ」

一方「あーもォ少し黙ってろクソガキ! ったくよォ……イイぜ、俺もそろそろ苛々してたトコだ。少しばっか壊されても、文句はねェよなァ!?」カチッ

打止「え、待って扉を蹴破るってそれはちょっと流石に危険かもー! ってミサカはミサカは思わず目を閉じてみたり!」

ドォッ ガァァアアアン

一方「っ!? はじかれた……!?」

打止「何、何がおこったの!? ってミサカはミサカはパニックになってみたり!」

一方(チッ、何がどォなってやがる。俺の能力に抗うだと? これは『魔術』ってヤツなのか? だとしたら目的は?)

打止「とりあえず、もっかい上のほうもみてみようよ、ってミサカはミサカは提案してみたり」

一方「……あァ。何か手がかりになればイイが」

打止「そう……だね、ってミサカはミサカは引き続き貴方にしがみついてみたり」

一方「……もォどォにでもしとけ」

打止「ふぉっ!? ここでまさかの許しがでた! ってミサカはミサカはちょっとテンションがあがってきたり!」

一方「あっそォですかァ……」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 17:54:44.62 ID:L9TPqITq0
【閑話】

-- どこかの世界 --

「あれ、お客様?」

「ん? ああ、よくわかったな」

「感覚でそういうのはわかるんだー。あなたが呼んだの?」

「……一応な」

「へぇー! あなたが気に入るなんてめずらしいね」

「どういう意味だそれ。俺とお前ら出会って少ししかたってないだろ」

「でも、来る人来る人みーんな帰しちゃうんだもん。出たくないのかなーって」

「ああ……出るには誰かと入れ替わらなきゃならねえってヤツか」

「うん、そうだよ。他の方法もいろいろ試してみたけどダメだった。外でみんなと遊びたいのになぁ」

「……ま、次がある」

「そっか! ねえ、どんな子なの? カワイイの?」

「会ってのお楽しみだ。さて、次はどンな物語にしたい?」

「うーん、美術館!」

「……、それでいいのか? いや、俺も楽だけど」

「たまにはいいでしょ。今まで遊園地とか宮殿とかいろいろ見たけど、そういえば美術館はまだだったなぁって」

「ああ、そういえばそうか。っと、描けたぜ。色付け頼む」

「はーいっ。楽しみだね、お友達になれるかなぁ……」

「なれるさ、きっと」


「準備は整った。丁重におもてなしするとしようぜ、メアリー」

「うん!」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 18:15:51.46 ID:L9TPqITq0
打止「さて、気を取り直して上の階にレッツゴー! ってミサカはミサカは半ばヤケになってテンションをあげてみたり」

一方「オマエしばらく固まってたモンなァ。何してェンだよ」

打止「怖いのは駄目なの! ってミサカはミサカはもう開き直って本当の事を打ち明けてみる!」

一方「ふゥン」

打止「いいからいくよ! ってミサカはミサカは催促してみる!」グイグイ

一方「わかったから袖引っ張ンな、伸びる」

打止「この程度で伸びる学園都市製の服ではない! ってミサカはミサカは断言したり!」

一方「……チッ、それもそォか」

打止「うーん、見た感じ数十分前と変わりないんだけどね……」

一方「見た目は、な」

打止「そういうこと言わないで、ってミサカはミサカは――ぁ!? 今、誰かそこにいたっ!?」

一方「あァ?」

打止「今、誰かそこの窓横切った! ってミサカはミサカは窓のほうを指差してみたり」

一方「……何もねェじゃン」

打止「……あれ?」

一方「ったく、騒がせてンじゃねェよガキ」

打止「えーっ! でも、でもぉ……、ってミサカはミサカは窓のほうをチラ見してみたり」

一方「放置」

打止「い、いいのかなぁ……」

一方「俺の前に立つよォならその場で愉快なオブジェに変えてやるよ」

打止「そ、それは別な意味でこわいかも、ってミサカはミサカは苦笑いしてみる」

一方「……、」

打止「あなた?」

一方「……いや、なンでもねェ」

打止「え、もしかして何かでたの!? ってミサカはミサ」

一方「違ェよ。……悪かったなって」

打止「ふわっ、何か落ちたぁ!! ってミサカはミサカはぎゅーってしがみついてみたり!」

    あ、あなた何かいった? ってミサカはミサカは震えつつたずねてみるんだけど」

一方「……別に」

打止「怒ってる?」

一方「さあな」

打止「嘘だぁ! ミサカ何かした!? ってミサカはミサカはこの変貌っぷりに危機感を覚えていたり!」

一方「うるせェな、いいから行くぞ」

打止「さっきより積極的になってるのは何でなの、ってミサカはミサカはひとり思案してみたり……!」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 18:40:05.32 ID:L9TPqITq0
一方「で、残ってるのはこの絵だけって事になるンだが」

打止「今この場で見ると……なんか怖いかも、ってミサカはミサカは呟いてみる」

一方「そォかもな。まァ、ここで何も無かったら振り出しに戻るっつーか……」

打止「何か変わった事っていってもあんまりよく見てなかったしなぁ……、ってミサカはミサカはあの時の事を思い出してみる」

一方「突然暗くなってこのザマだ、本当何なンだこれ」

打止「む? さっき、この絵の具みたいなのあったっけ」

一方「あン? どれだよ」

打止「えーっと、ほら。あの青いの、ってミサカはミサカは指示してみる」ビシッ

一方「ああ、アレか。どォだったかな」

打止「お願いだからあったって言って……、ってミサカはミサカはげんなり」

一方「……悪い、俺の記憶じゃ無かった」

ガッ ガガッ



『     お                        で
            い                                  よ       !  』




一方「……、どォいうギミックだよ。そォじゃなかったら何なンだよ」

打止「」

一方「……打ち止め? おい、どォしたよ」

打止「え? え、あははーなんでもないなんでもないなんでもないの、ってミサカはミサカは無理にでも笑ってみせたりこわいなんてないないー」

一方「オマエ本当に大丈夫かよ。まァ、無理もねェか……」

打止「どこに来てほしいのアナタは、ってミサカはミサカは字にツッコむという新技を披露してみたり」

一方「いや、読書好きなら一度はやる事だけどよ」

打止「そんな事は今はどうでもいいのだ! ってミサカはミサカは指摘してみる! もう何も怖くない!!」

一方「ンな事いってると、また動き出したりするンじゃ―――」

スゥ...


『 下! 下だよ! 海の中でみんな待ってるよ! 早く! たのしいよ! 』


一方「―――、ほらな」ハァ

打止「……、手がかりはつかめた! ってミサカはミサカは気分をあげてみるっ!! ふはははははー!!」

一方「あ、もォ駄目だ。ついていけねェ」

打止「海ってのはよくわかんないけどとりあえず言ってみるべきなの! ってミサカはミサカは目的に向けて一歩踏み出してみたり!」

一方「床に描いてあったモンならあったが、それか?」

打止「かも! ってミサカはミサカは先立って歩き出すの!」

一方「……、嫌な予感しかしねェンだが」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 20:30:25.61 ID:L9TPqITq0
打止「そうして、ミサカ達はついになにやら怪しげな場所へとたどり着こうとしていた……」

一方「誰に説明してンだオマエ」

打止「なんとなく! ってミサカはミサカは目の前に広がる光景に目を奪われつつ腰に手を当ててみたり」

一方「……あァそォ」

打止「それでー、本来立ち入り禁止の柵みたいなのが有るはずなのに今は無いしー、壊された痕跡もあるよねー、ってミサカはミサカは探偵さんぶって検証してみる」

一方「探偵ごっこは結構ですゥ。行くのか、この先」

打止「ふっふー、なんでかわからないけどテンションM A X な今のミサカならなんでもできる! 気がする! ってミサカはミサカは根拠のない自信に満ち溢れているのだ!」

一方「まァ、ここしか道はねェしな」

打止「ん! って訳でいっくよー! ってミサカはミサカは慎重に足を進めてみたり!」

一方「……おォ」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 20:44:15.35 ID:L9TPqITq0
一方「なンだァ? この空間……」

打止「上とは全然違うねー、ってミサカはミサカは周囲を見回してみたり」

一方「なンつーか、同じ”美術館”にも見えるがな」

打止「それはよくわかんないかも、ってミサカはミサカは断言してみる」

一方「そォかよ。どォとでも」

打止「感性が違うってこういうことなのかなぁ……、あなたさっきから冷静だしね、ってミサカはミサカは推測してみたり」

一方「そりゃ年齢のせいもあンじゃねェのかよ」

打止「いや、確かにミサカは精神年齢一歳未満だけど! ってミサカはミサカはそういう事じゃなくて!」

一方「生きてきた年数が違ェンだよ。あ、これ芳川達に言ったら死ぬぞ」

打止「え、そうなの? ……うーん、どっち行こう?」

一方「右か左かだな。〔時間安価〕で決めるか」


>>25 00:00:XX,00 の「 XX 」が
 ~30 : 左
 31~ : 右

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/24(火) 20:50:42.17 ID:lSnff/2go
期待

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 21:15:22.20 ID:L9TPqITq0
一方「ン。右は……、っと」

打止「あ、花瓶みたいなの発見! ってミサカはミサカは駆け寄ってみたり!」トテトテ

一方「花瓶だァ? なンでこンな所に」

打止「わかんないけど、装飾とかじゃないかな? ってミサカはミサカは適当に結論付けてみたり。
    あ、ほら。薔薇が生けてあるよ!」

一方「あァ、そォだな……、綺麗な紅だ」

打止「だよね! ってミサカはミサカは上機嫌~♪ 棘あるけどそれがまたいいっていうか」

一方(他には……、何もねェか。これにもなンか意味があるっつーのか?)

打止「これ、持ってってヨミカワたちにも見せたいね、ってミサカはミサカはうっとりしつつ呟いてみる」

一方「あン? 出来ねェだろそンなン。会える保障もねェし」

打止「そのセリフはミサカをなめきっているのか! ってミサカはミサカは憤慨してみる! ミサカもやればできるもん!」グヌヌ

一方「勝手にしろ」

打止「わーいっ!」ヒョイ

一方「大切にしろよ。っつーか、なンも確認しなかったが本当によかったのかねェ」

打止「大丈夫じゃないかな? ってミサカはミサカは薔薇を大切に持ちながら返答してみたり。おかしなところとかもないしねー、ってミサカはミサカは補足してみたり」

一方「ならイイが、っと。コイツ動かせンのか」 ズズッ...

打止「おお、なんか通れそう。えっと、この先行くのかなぁ? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

一方「イイ、俺が行く。すぐ戻るからそこ動くンじゃねェぞクソガキ」

打止「えっ、ミサカぼっちで待つの!? ってミサカはミサ」

一方「何があるかわかンねェし、何もねェここにいる方が安全だろ」

打止「うー、それもそうか、ってミサカはミサカは大人しく自分を納得させてみたり」

一方「………、すぐ戻る」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/24(火) 21:31:15.53 ID:L9TPqITq0
  * * * * * * * * * * 

一方「さっきは何も考えずに来ちまったが……、広いなチクショウ。

    こりゃ通路っつーかもォ部屋に近ェかもな」

一方「そォいや、どォしてこォなったンだかなァ…

    …平和ボケっつーモンなのかもな」

一方「っと、ここまでか。何なンだ、突き当たりのあの絵……絵だよな?」

一方「気味悪りィ……、近づかねェ方がイイのかもな」 カサッ

一方「あン? なンだこりゃ。踏ンじまったが……、紙か」

一方「『その花は命と同等、命の重さ知るがいい』……ってどォいう事だ?

    『花』っつーのはさっきのアレくらいしかねェし……、花が命?

    とりあえず覚えとくか。なンの役に立つのかはわかンねェが」

一方「もォねェ……、よな。さっさと戻るか」

クスッ クスクス

一方「!?」バッ

一方「……何もねェ。ったく、なンだってンだよ…」カツカツ



彼が立ち去った後、絵の女性は表情を変え、不気味に笑い続けた……

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/26(木) 21:13:52.87 ID:21GiVNdL0
打止「うー、あのひとが行ってから結構経った気がする……、ってミサカはミサカはうつむき加減で呟いてみたり」

打止 スゥ... 「レディをこんなに待たせるってどういうことなのォォおおおおっ!! ってミサカはミサカはこの際だから思いのたけをぶちまけてみたりぃ!! どうなってんの全く!」

打止「それにしても、何があったんだろう、ってミサカはミサカはちょっと冷静になって通路の奥を覗こうとしたけど真っ暗でわからなかったり……うう」

打止「そういえばいつかもこんな風に待ってて……、ってミサカはミサカは思い出して身震いしてみる。あの時は大変だったなぁ……」

打止「あ、ネットワークの方は大丈夫かなぁ? ってミサカはミサカはずっと切断したまんまだったことを思い出して再接続を試みたり……? あれ? 繋がらないな……、妨害されてるような、ってミサカはミサカは分析してみたり」

打止「あれれー、ってミサカはミサカは首をひねってみるー」

一方「何やってンだガキ」

打止「あっ! おかえ――じゃなくて、ミサカをいつまで待たせる気なの! ってミサカはミサカは言及したり!」

一方「なンで言い直したンだよ。わりィな」

打止「あやまればよろしい、ってミサカはミサカは偉そうn」

一方「それよりオマエ、『ミサカネットワーク』って今も正常か?」

打止「それはミサカのセリフをさえぎってまでいう事なのかな!? ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり。

    うーん、丁度繋がらなくてへんだなーって思ってたトコなの、ってミサカはミサカは告げてみる」

一方「やっぱりか……電極に異常が出てやがるし、電波弱いンだろ。こりゃしばらく能力は使えねェな……」

打止「さっきまでは平気だったのにね、ってミサカはミサカはあの蹴りを思い出してみたり」

一方「あれでぶっ壊れてりゃよかったのによォ……」

打止「ちなみに、それで本当に外に出れたらどうするつもりだったの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方「あン? そりゃオマエ……、逃げるだろ」

打止「……そうなんだ」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/26(木) 21:34:03.79 ID:21GiVNdL0
一方「まァ、それは置いておくとして。あっちには何もなかったぜ」

打止「そっかぁ……、じゃあ左の方だったのかもね、ってミサカはミサカは考えてみたり」

一方「だろォな。行くしかねェ」

打止「おー! ってミサカはミサカは意気込んでみるー」トテテーッ

一方「ガキは元気でイイな」カツカツ

打止「そうでもしないとやってられないの! ってミサカはミサカはこの場にまだ恐怖感を抱いている事を暴露してみたり」

一方「そォかい。慣れろとはいわねェが落ち着け」

打止「落ち着ければ苦労してなーい! ってミサカはミサカはむくれていってみたり!」

一方「はいはい」

打止「また軽くあしらうし……、ってミサカはミサカはあなたの反応がちょっと残念だったり。

    お、扉はっけーん、ってミサカはミサカは報告してみたりー」

一方「おォ。で?」

打止「え?」

一方「………、開けろよ」

打止「はっ! ってミサカはミサカはそんな簡単な事に気づけなかったのは灯台下暗しっていうのかななんて考えてみたり」

一方「違ェな」

打止「細かい事はきにしなーい、ってミサカはミサカはドアノブに手をかけてみたり!」ガチャ

打止「なんだ開くじゃん!!」

一方「……だな。チッ、余計な回り道しちまったか」

打止「気づく事もあったからいいんじゃないかな? ってミサカはミサカは前向きな意見を出してみる。

    この薔薇も見つけたしね! ってミサカはミサカは赤い薔薇をあなたに見せてみたり!!」

一方「さっきも見た。っつーか、ちゃンと持ってろっての」

打止「はーい、ってミサカはミサカはポケットに仕舞い込んでおいて……、れっつごーなのだ! って再び出発!」

一方「おォー……」

打止「声が小さいよ! ってミサカはミサ」

一方「知らねェしどォでもイイわボケ! 早く行くぞ!」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/26(木) 22:01:16.87 ID:21GiVNdL0
打止「ほえ、さっきとはなんか違うかも……、部屋の色とか。ってミサカはミサカは観察してみる」

一方「色々飾られてンな……、美術館みてェだ」

打止「ああ、そうかもねー、ってミサカはミサカもうなずいてみたり。

    なんか理科の教科書に載ってそうな絵だよね、ってミサカはミサカは評価してみる」

一方「生物か。写真でなきゃ無理だろ」

打止「そうだけどー、ってミサカはミサカはなんとなくそんな夢のあった話の方がいい気がするよなぁって感じていたわけでね?

    決して本気じゃないのよ、ってミサカはミサカは補足してみる」

一方「ふゥン」

打止「あ、アリさん発見! ってミサカはミサカは指差してみたり! ちっちゃ!」

一方「……、あァ。よく気づいたなオマエ。なンでこンな所に」

アリ「ぼく アリ」

一方「喋っ……!?」

アリ「ぼくの 絵 かっこいい。 ぼくの 絵 見たいけど ちょっと 遠い とこに ある」

打止「うん? そうなのかー、ってミサカはミサカは適当に流しておいたり」

一方「なンでオマエは普通に会話してンだよ!」

打止「え、だってAIじゃ……? ってミサカはミサカはキョトン」

一方「……、AI? 人工知能だってのか、コレ」

打止「違うの? ってミサカはミサカはアリさんを眺めてみたり」

一方「AI……。あー、そォか。学園都市の技術もそこまで進ンでンだな、会話できるAI搭載のだなンて、この街はどォなってンだ全く」

打止「大丈夫? なんだかすごく現実逃避を始めたような気がするんだけど」

一方「なンでもねェよ。あァ、なンでもねェ」

打止「そっかー、ならいいんだけど、ってミサカはミサカはやさしい目でにっこりしてみたりー」

一方「……チッ。そこに看板みたいなのあったンだが見たか?」

打止「えっ、見てない見てない! ってミサカはミサカは指示された方を見に行ってみる!」

一方「転ぶぞガキ」

打止「もう通常運営かよ……、ってミサカはミサカはボソッと残念だったなぁーって呟いてみたり。

    あったあった、『はしに注意』って何これ」

一方「さあ。良く聞くのはアレだな、一休さンとかいう……」

打止「ああ! 知ってる知ってる! ってミサカはミサカはまさかあなたの口から一休さんについて出てくるとは思わなかったっていう事を驚きつつ主張してみたり!」

一方「おいどォいう意味だ」

打止「とんちの人だよね? ってミサカはミサカは思い出してみたり。

    でもなんで今なのかなぁ……、ってミサカはミサカは頭を悩ませてみる」ウーン

一方「……今『橋』は見当たらねェし、多分『端』って意味で使うンじゃねェか」

打止「ほぅ?」

一方「……見てろ。中央歩けばなンともねェハズ……」カツカツ

手<グォアアア                      グォァアアア>手

一方「うっわなンか想像してたのと違ェ!」ドキドキ

打止「一体何を想像したのかちょっと気になるけど今は追求しないでおくね、ってミサカはミサカは少しだけ気を利かせてみたり」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/30(月) 21:27:56.87 ID:7/6U7FQK0
-- 絵の世界の中のどこか --

??「そういや……、あの白いヤツの薔薇の色、決めてなかったな」

メアリー「え? そうなの?」

??「なんとなく成り行きで行けンじゃね? とか考えてた」

メアリー「意外と無計か……なんでもない。なんか候補あるの?」

??「……一応」

メアリー「なぁんだ、じゃあすぐ用意すればいいのに」

??「……それもそうか」ガサゴソ


メアリー「何、その色。黒?」

??「ああ。コレしか浮かばなくてさ」

メアリー「そんな色の薔薇もあったんだ」

??「ンー、正確にはここまで『黒』な薔薇は自然界に存在しねーよ。黒い色素がなンとかって話だが……学園都市の技術だ、生み出すのはそう難しくねえンだろ」

メアリー「うーん? よくわかんない」

??「ま、外部の人間はそんなモンさ」

メアリー「あ、それとさ。この薔薇の花言葉ってなんなの?」

??「あー……聞かれると思ったぜ……、でも今は言いたくねえかな」フイ

メアリー「えーっ!?」ムッ

??「その内話してやるよ。時間と余裕があればな」

メアリー「うぅー、焦らすなぁ……あれ? 花びら散っちゃったよ」

??「はァ? ちょっ、何――、ああ、突き当りの手に引っかかったって訳かよ」

メアリー「調子にのって勢いつけすぎるとぶつかるアレだね」

??「にしても、早すぎるだろ。まだアイツの手にわたってもいねえってのに……」

メアリー「もしかして、薔薇の方がが持ち主を選んだのかもね!」

??「ンな事あるのかよ。いや、今実際あったのか」

メアリー「ふふっ、楽しくなってきた!」

??「そーかい、俺もだぜ」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/30(月) 21:44:03.03 ID:7/6U7FQK0
一方「……、」

打止「いやー、あなたがまさかそんなにうっかりさんだとは思わなかった、ってミサカはミサカは腕組みをして頷いてみたり」ウンウン

一方「クソッ、正面っつっても壁だし端には変わりねェよなンで気づかなかった俺」

打止「そんなあなたもカワイイよ! ってミサカはミサカは突然あなたにだきついてみる!」

一方「やめろ暑つくるしい」

打止「やっぱり拒否されるのね……、ってミサカはミサカはわざとらしく涙目で床に倒れこんでみたり!」

一方「一人でやってろ」

打止「ひどい! ってミサカはミサカは嘘泣きをやめて抗議してみたり!」

一方「化けの皮はがれたなァ、イイから行くぞクソガキ」

打止「む、だんだんあなたのペースに飲まれてる気がする、ってミサカはミサカはボソッと呟いてみる…」

一方「聞こえてるぞ。チッ、ここは開かねェのか……」ガチャガチャ

打止「鍵みたいなのないのかなぁ、ってミサカはミサカはひらめいてみたり」

一方「さっきのトコか? 奥に道あったよな」

打止「アリさんのところだね! ってミサカはミサカは――あっ! そのアリさんの絵見るの忘れてた!」

一方「……、そこにあるだろ」

打止「ふぉう!? ってミサカはミサカはバッと指差されたほうを見てみたり!」

一方「ただの蟻だな」

打止「予想のついていた結果とはいえ、ちょっとガッカリかも、ってミサカはミサカは普通すぎる絵を眺めてみたり」

一方「くだらン。さっさと鍵探すぞ」カツカツ

打止「あ、外れちゃった、ってミサカはミサカは取り外された絵を改めて眺めて……、って待って!」

一方「それ、どォすンだよ」

打止「うーん、持ってる。ってミサカはミサカは決意表明」フンス

一方「そォかい」カツカツ

打止「そこは詳しく触れないのね! ってミサカはミサカはつっこんでみる!」タタッ

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/30(月) 22:03:22.72 ID:7/6U7FQK0
一方「今度は……突き当たりからまた出たりしねェよな?」

打止「わかんないよー? ってミサカはミサカはあなたのことを脅かしてみたり」

一方「なンか知らンが、何もねェ気がしてきた」

打止「ええっ、なんで!? ってミサカはミサカは怖がらせようとしたはずなのに!?」

一方「さァ?」

打止「ここで番外個体だったら普通に怖がってたのかなぁ、ってミサカはミサカは思案してみる」

一方「余計にねェよ」

打止「いえーい即行即答大否定! ってミサカはミサカはやけくそ気味に叫んでみたり」

一方「そォかい」

打止「最早興味対象としてすら見られて居ない!? ってミサカはミサカは危機感を感じてみたり!」

一方「何度目だよ。いい加減学べ」

打止「あ、アリさん発見! ってミサカはミサカはスルーしてビシッと指差してみる」

一方「スルースキルだけ身につけやがったコイツ」

打止「アリさーん、この絵でしょ? ってミサカはミサカはさっきの絵を掲げてみたり」

アリ「それ ボクの 絵
    
    うっとり」

一方「……、うっとりじゃねェよ潰すぞ」ボソッ

打止「やめてあげて」

一方「苛々する。奥行ってみンぞ」

打止「なんかあなた不機嫌そうね、ってミサカはミサカは謎だったり?」

一方「ンな事ねェよ」

打止「本当かなぁ……、ってミサカはミサカは半信半疑だったり」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/01(水) 14:37:01.04 ID:qskpRYUn0
打止「さて! この奥は何があるのかな! ってミサカはミサカはいきなりテンションをあげてみる!」

一方「別に何があってもイイけどな。もォ驚かねェよ」

打止「そういってる人に限ってやたら驚くんだぜ? ってミサカはミサカはあなたもそうなのかと想像してニヤニヤしてみたり」

一方「ねェからな」

打止「そんなことあるよね! ってミサカはミサカはびしっと指摘してみたり」

一方「ねェよ、オマエの幻想だろ」

打止「へっへー、ミサカ知ってるもんねー。実はホラー系が苦t」

一方「だからオマエはさっきからナニいってンだよ!」

打止「理想図かな! ってミサカはミサカは――って痛ぁ! 無言で連続チョップは止めるのだ! ってミサカはミサカは頭を抑えて訴えてみる!」

一方「オマエが変な事いうからだクソガキ」

打止「いいじゃないきっと誰かは得するよー、ってミサカはミサカは根拠もなく言ってみたりー」

一方「あァそォ」


打止「あれー、ここ穴あいてて進めないっぽい? ってミサカはミサカは呆然としてみる」

一方「……あっちにゃ扉も見えるし、なンかあるンだろォがな。渡れるモン……か」

打止「そんなのあったっけー、ってミサカはミサカは考え込んでみる」

一方「……、」

打止「そしてあなたはなんでこっちを凝視してるの!? ってミサカはミサカの顔に何かついてる?」

一方「違ェ。ソレだよ」

打止「どれ? ってミサカはミサカはキョトンとしてみたり」

一方「絵」

打止「えっ」

一方「それくらいしかねェだろ。そこまでモロいモンでもなさそォだしよォ……俺は無理だろォが」

打止「しかも一人でいくの!? ってミサカはミサカは震えてみる!」

一方「必然的にそォなるな。俺はここで待機か」

打止「いや無理無理それは流石にミサカと言えど少し無理があるんじゃないかなそれにミサカでもちょっと額が耐えられなかったらどうしようとかそんな問題がいっぱいあってミサカはミサカはとっても怖いっていうのにさらに一人ぼっちで行くのはもーっと嫌なんだけどうわぁこのひと有無を言わせない目をしてるよそれでもミサカはいやなんだからね、ってミサ」

一方「出たくねェのか?」

打止「……………、いってきます」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/01(水) 15:15:22.45 ID:qskpRYUn0
打止「ふわぁ、本当にいけちゃったけど軽くビリッて聞こえた気がしたのは気のせいだよね、うん。きっとそうだ! ってミサカはミサカは前向きに考えてみたり」

打止「何もないといいなぁ……あ、鍵以外はね、ってミサカはミサカは独り言を続けてみたり」

打止「喋ってないと不安なんだもん! ってミサカはミサカはドアを開きつつ呟いてみたりっ!」ガチャ

打止「部屋……っぽい? ってミサカはミサカは漠然とした感想を言ってみる」

打止「殺風景だなぁ、ってミサカはミサカはキョロキョロしてみたり。うん。絵もみあたらないし……ん?」

打止「……、うわぁ」


無個性「」 & 鍵 チョコン


打止「鍵発見だけどいらねえのまで一緒にいるし! ってミサカはミサカは突っ込んでみたり!」

打止「くそぅ、なんで一緒にいるんだよぅ……、ってミサカはミサカは首のない像に言葉をぶつけてみる…」

打止「こわいなぁ。アレ、こういう展開でよくあるのは動き出すっていう……」ゴクリ

打止「でも、行くしかないよね! ってミサカはミサカは決心したりっ! 大丈夫、ミサカは出来る子!」トテテッ


打止「鍵、ゲット! ってミサカはミサカは高らかに宣言してみたり」


打止「……何もない、よね? ってミサカはミサカは安堵してみたり。よし、あの人の所に戻ろう」

無個性 ...ズッ

打止「む?」

無個性「グガァァアアアアアアアア」ドタドタ

打止「ひゃああああやっぱり動いたぁああああああああああああああああああ!!! ってミサカはミサカは叫びながらダッシュしたり!」

打止「大丈夫大丈夫十分逃げれる間合いだし、ってミサカはミサカはいつぞやのマニュアルを思い出してみたり」

打止「……ハッ! そういえばこの絵ミサカが通り終わるまで破けないよね!? ってミサカはミサカはふと心配になってみる!」

打止「迷ってる暇は……ない、かも! ってミサカはミサカは信じてみるの!」


ビリィッ!! と打ち止めが渡り終わった瞬間、耐えられなかったように蟻の描かれていた絵は中央に穴を開け破けてしまった


打止「ふぅ。危なかったぁ……、ってミサカはミサカはほっと胸をなでおろしてみる」

打止「んー、アレはこっち側にこれないみたいだねぇ、ってミサカはミサカは観察してみる。あれだけ脚長いんだから来れるのかなぁとか……、いや止めとこう」トテトテ

一方「ン、お疲れ」

打止「あなたぁぁああああああああ!! ってミサカはミサカは戦利品を取り出してみたり!
    鍵だよ! ってミサカはミサカはついでに解説してみる!」

一方「見りゃわかるっての。どォもな」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/01(水) 16:00:21.54 ID:qskpRYUn0
打ち止め「もうね、なんというか死ぬかと思ったよ、ってミサカはミサカはさっきの苦労を話してみたり」トテトテ

一方「そォかい。生きててよかったじゃねェか」

打止「うーん、全くだ、ってミサカはミサカはしみじみと語ってみたり」

一方「あーそォですねェ……、っと」

アリ「ぼくの 絵 どうなった」

一方「どォもなってませェン。チッ、コイツまだいたンかよ」

打止「あなたなんでアリさんにそんなにキレてるの、ってミサカはミサカは呆れ気味に言ってみたり」

一方「わかンねェよ。強いていうなら虫けら風情が俺の前に立つなって感じか」

打止「あなた、そんなキャラだっけ、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり?」

一方「さあ。どォだか」

打止「あ、ここだね、さっきの扉」

一方 カチャリ「ン、開いた。まだ先は長そォだな……」

打止「頑張るぞー! ってミサカはミサカは右の拳を高らかに挙げてみたり!」

一方「……おォ」ガチャッ

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/01(水) 16:06:55.25 ID:qskpRYUn0
一方「なンだァ、ここ」

打止「猫? みたいな目? ってか模様? ってミサカはミサカはあたまにハテナをいっぱい浮かべてみたり」

一方「……そこ。窪みみてェのあるな」

打止「む? 本当だ。何はめるんだろうね?」

一方「右か左かに手がかりがあるっつー事か。面倒だな」

打止「左でいいんじゃないかな、さっき右いったし、ってミサカはミサカは提案してみる」

一方「じゃあそれで」

打止「即決!? ってミサカはミサカは予想外の展開」

一方「別にどっちでもイイからな」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/12(日) 21:25:12.39 ID:yOmLEBic0
一方「また部屋か……、なンだこりゃ。箱?」

打止「箱? みたいだねぇ、ってミサカはミサカは首をかしげて考え込んでみたり」

一方「……壊せンだろォか」

打止「いや、今のあなたにそんな事をさせるわけにはいかないよっ! ってミサカはミサカはあなたの裾をグイグイひっぱって静止してみる!」グイグイ

一方「あのな、一応俺も銃は持って……、っと」

打止「あなたそんな危険なもの携帯してるの!? ってミサカはミサカはさらに追求してみたり!」

一方「はっ、何にせよ今はどォでもイイだろ」

打止「くっ、そう言われると……、ってミサカはミサカはぐぬぬ。でもっ、今度こそちゃんと説明をしてもらうんだからね!」

一方「はいはい。気が向いたらな……っと? 今度はなンだよ」

ザザッ
『 かくれんぼ しよう 』 サッ

打止「あ、黒い人が消えた……、ってミサカはミサカは呟いてみたり。かくれんぼって事は、この箱みたいなののどこかにいるってことかなぁ? ってミサカはミサカは分析してみる」

一方「だろォな。箱は全部で六つ……、さて。どこを探すとしよォかね」



  ①左上   ②上中央   ③右上

  ④左下   ⑤下中央   ⑥右下


・①~⑥のうちから一つ選択( >>60 )

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/12(日) 21:43:54.70 ID:3ZWgu/JWo

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/12(日) 22:50:41.41 ID:yOmLEBic0
一方「ンー。とりあえず……俺が左上、オマエが左下で」

打止「効率よく良くために二つ同時なのか、ってミサカはミサカは突然放たれた言葉を解釈してみたり。
    でも危なくない……? ってミサカはミサカは危惧してみるんだけど」

一方「そンなでもねェだろ。っつーかもォ驚かねェぞ」カツッ

打止「それはある種のフラグなんじゃないかな? ってミサカはミサカは一応突っ込みをいれてみたり」テクテク

一方「なっ、ねェよ」

打止「ミサカも、怖くないもん! よしっ、頑張れミサカ! ってミサカはミサカは頬をパシンって叩いてみたり」

一方「……、っし。いくぞ」

打止「………ふぅ。せーのっ!」



一方「チッ、ハズレか……『m9』とかふざけてンだろコレ」ビリィッ!

一方「オイ、そっちはどう――」

打止「痛ぁ!? なんか竹刀みたいなのに叩かれたぁ! ってミサカはミサカはこれもハズレっぽいのって頭を抑えつつ報告してみたりっ!」ウルッ

一方「泣くな。チッ、振り出しか……ァ?」ピクッ

一方(ン? クソガキの傍らに落ちてるありゃ……薔薇の、花びら……? さっきまであったか、あンなモン)

一方「……なァクソガキ」

打止「ううー、ミサカはミサカはこれはあのテレビでやってるアレみたいなやつなのかなぁ、ってバラエティ番組を思い出してみたり。
    ん、なになに何なの、ってミサカはミサカは返事してみる」

一方「オマエ、さっきの薔薇どォしてンだ」

打止「え? えーっと、ポケットのなかで大切に保管してるよ、ってミサカはミサカは報告してみるけど、どうしたの?」

一方「……、ちょっと見せてみろ」

打止「うん、いいよー、ってミサカはミサカはあなたに手渡してみる」ハイ

一方(さっき見た時より、なンとなくだが……少し萎れてるよォにも見えるな。そォいや、あの時の張り紙は……、ったく。面倒な事になってきやがった)

一方「どォも」

打止「え、なに、何があったの!? ってミサカはミサカは動揺したりっ」

一方「なンでもねェよ。それより次だ」

打止「またお預けなの!? ってミサカはミサカは――なんでもないです……うぅ、そんなコワイ目でみないでよ、ってミサカはミサカは力なく呟いてみたり。
    次はどこを開けてみようかな」


  ②上中央   ③右上

  ⑤下中央   ⑥右下


・一つ選択( >>67まで )

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/13(月) 01:00:53.50 ID:Y0MUW26IO
5

68: 寝てましたくそぅ>>1です。そして④は⑥の間違いですねハイ 2012/08/13(月) 13:01:51.29 ID:lvSxozDd0
打止「うん、>>1も変に数指定しちゃったからおかしなことになっちゃったねぇ、ってミサカはミサカはぼんやりと内部事情を呟いてみたり。って訳で唯一選択されなかった上の真ん中にいってみようと思いますっ! ってミサカはミサカはレポーターぶって言ってみる!」

一方「いやオマエ誰に言ってンだよ」

打止「ノリで! ってミサカはミサカはえっへん」

一方「……もォ何も言う気になンねェな」ハァ

打止「いいのいいの、もうそんな感じで進んじゃおう、ってミサカはミサカは決めてみたりっ」

一方「オマエだけな。開けるぞ」



打止「あっ、黒い人発見!」ビシッ


『 みつかった 景品あげる 』
                                 コトッ

打止「あっ、これ? ってミサカはミサカは落ちてきたものを拾い上げてみたり」

一方「魚の頭みてェだな。多分使うンだろ」

打止「んっ、じゃあ張り切って次の部屋にレッツゴーだ! ってミサカはミサカは意気込んでみる」

一方「おォ」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/13(月) 13:48:59.29 ID:lvSxozDd0
打止「ふむ、反対側のここは……ごちゃごちゃしてるね、ってミサカはミサカは簡潔に感想を述べてみたり」

一方「ある程度は片付いてるがな」

打止「なんかダンボールとかマネキンとかばっかりだよね、ってミサカはミサカは呟いてみる」

一方「画材とか結構あるな。資材置き場ってトコかァ?」ガサゴソ

打止「お? あ、この紙にそう書いてあるよ、ってミサカはミサカは読み上げてみる」

一方「先に言えよ」

打止「ミサカも今気づいたんだよー、ってミサカはミサカは弁解してみるっ! うーん、ここはどうするんだろう? ってミサカはミサカはとりあえずいろんなトコを見て回ってみたり」

一方「特に何があるって訳でもねェよな……マネキンみてェな首があるだけで」

打止「いやああああああああ ミサカはミサカは見ないようにしてたのにぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

一方「どォって事ねェだろこンなン」

打止「やっぱりあなたの感覚は絶対ミサカとは違うところがあるかもっ! ってミサカはミサカは距離をとりつつ言ってみたり!」

一方「もォ否定しねェわ」

一方「つーかどォすンだこりゃ……多分あの魚完成させンだろ? その辺のダンボールン中にでも入ってンのかね」

打止「ミ、ミサカはあなたの後ろに隠れてるっ、ってミサカはミサカは再び怖くなってきたのであなたにくっついてみたり」

一方「……邪魔」

打止「そんなぁ!? ってミサカはミサk」

一方「せめて少しは離れてろクソガキが」

一方「さっきのとペアになるよォなパーツ……、どっかにあると思うンだが」

打止「ごちゃごちゃしててわかんないね、ってミサカはミサカは覗き込んでみる」

一方「明かりもねェしな。暗くて見えねェっつーの」

打止「あ、明かりくらいならミサカがなんとかなるかも? ってミサカはミサカは提案してみる」

一方「……そォいや発電系能力者だったか。安定して光らせる事出来ねェだろ、落ち着くモンもねェし」

打止「むむっ」Σ(・ω・`)
                                                            ズッ
一方「第三位でもいつまでも照らすっつーのは難易度高ェンじゃねェか? 電子の流れって一時的なモンだから」
                                                              ズズッ
打止「そっかぁ! っていうかなんか音するんだけど……? ってミサカはミサカは報告してみる」

一方「あァ? 知らねェよ」

打止「いやいや、思いっきりしてるんだけども! ってミサカはミサカは再度告げてみる!」

一方「……あーもォうっせェな。ホラ、何もねェだろ何も――」


首「」ズズッ


一方「」

打止「ほぉらああああああああああああああああああああああああああ!!!! ってミサカはミサカは逃げの体制を取ってみたり!」グイッ

一方「ちょ、急かすなガキが! 俺は走れねェンだっつーの!」

打止「普段から運動しないからそういうことになるんだよ! ってミサカはミサカ早くってばぁ!」

一方「あァ、こォなったのはどこのクソガキのせいでしたっけェ!?」

打止「そんなのは! 今! どうでもいいの!!」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/13(月) 14:00:39.83 ID:lvSxozDd0
一方「チッ、杖の伸縮性でぶっ飛ばせるか……」


首「」ズッ....    ガッシャーン


一方「あ?」

打止「ふぁっ!?」

一方「コケ……た? あの紙でか」

打止「……ざまぁみやがれっ! ってミサカはミサカは半泣きの状態で嘲ってみたり!」ゼハー

一方「止めろ、アイツと被る」

打止「ミサカに怖い思いをさせたのが悪いのだっ! ってミサカはミサカは自分主義的な意見を述べてみたり!」

打止「あっ、アレってさっきのやつとペアになるやつかなっ? ってミサカはミサカは拾い上げて確認してみる」

一方「そォだな。これで先に行けるンだな」

打止「ふわぁ……先は長いぜ、ってミサカはミサカは疲れを表にだしてみたり」

一方「そォだな。でも着実に進ンでる」

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/13(月) 14:14:55.01 ID:lvSxozDd0
一方「でもまァ、確かに疲れはあるな。主にオマエが叫ぶせいで」

打止「ミサカのせい!? ってミサカはミサカは思いもよらない一言ショックだったり!」

一方「思い返してみろよ、うるせェっての」

打止「だって怖いものは怖くてビックリの連続なんだもの、ってミサカはミサカは正直に言ってみる。

    あなたは怖くないの? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

一方「別に」

打止「ええー、やっぱり男の子だから違うんだなぁ……」

一方「……(いつだかのクローンとか『天使』とかの方が怖かったっての)」

一方「さっさと嵌めて次に進むぞ」

打止「なんかこれ、ゲームみたいだよねー、ってミサカはミサカははめ込みつつふと呟いてみたり」

一方「それは言うな」


壁|<にゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん


打止「」ビクッ!?

一方「お、開いた。面倒なシステム」カツカツ

打止「し、しゅっぱーつ!! ってミサカはミサカは気を取り直して前へと進んでみる!」

一方「はいはい、元気だけはイイな」

打止「そ、そんなことないもんねっ!!」

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/18(土) 19:21:51.38 ID:U37vOh7K0
一方「とりあえずだ。悩ンでても仕様がねェしさっさと突破しちまおうぜ」

打止「おーっ! ってミサカはミサカは賛成なの!」

一方「ン。まァ進めば何かは見つかるだろ。」

打止「あっ、ちょっと待って! あなた、この『忘れた頃に』って一体」

一方「あン?」

手<グォォォ バッ

一方「おォわ!? オマエまた……ッ!」

打止「シンプルなことに引っかかりやすいのかな? ってミサカはミサカはあなたの顔を覗き込んでみるんだけど」

一方「ねェよ、あァ。クソ、俺としたことが……」

打止「なんか……あなたが苛々してるのがすごくわかるんだけど、ってミサカはミサカは」

一方「うるせェ。さっさと行くぞクソガキ」

打止「はぁーい、ってミサカはミサカはクスッと笑みをこぼしてみたり」

一方「笑ってンじゃねェっつの」

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/18(土) 19:52:41.30 ID:U37vOh7K0
打止「わっ、変な人形が宙ぶらりんになってるっ! ってミサカはミサカは指差してみる!」

一方「あァ……、どォでもイイ……」

人形「」ボトッ

打止「落ちてきたっ!? ってミサカはミサカはあわててあなたの後ろに隠れてみるっ」

一方「なンでもねェだろ、ただの人形だ」ゲシッ

打止「でもさー、なんか爆発しちゃいそうじゃない? ってミサカはミサカはその場しのぎな発現をしてみたり」

一方「ハッ、こンなンに起爆性持たせるとか悪趣味なこった」


そう一方通行は一蹴するが、実際そういう”悪趣味”な連中は案外いるのだから仕方ない


一方「……あン? こりゃなンの数字だ?」

打止「えーっと、これ? 緑の18っていうの」

一方「……一応覚えておくか」

打止「あっ、扉はっけーん! ってミサカはミサカはあなたに教えてみる」

一方「俺にも見えてるよ。また鍵必要とか言うンじゃねェだろォな……」

打止「うーん、そうっぽいねぇ……、ってミサカはミサカは扉を眺めてみたり。ほら、ここになんか電子ロックみたいなのあるし」

一方「液晶に数式? コレをやれってか」

打止「あ、それでさっきの数字だね! ってミサカはミサカはハッとひらめいてみる!」

一方「……能力使って解錠出来ねェか?」

打止「いやいや、それだったら意味がない……じゃないや。反応がないからちょっと仕組み違うっぽいんだよね、ってミサカはミサカは報告してみる」

一方「ふゥン……、やっぱコレ解くしかねェってか」

打止「数字かぁ、コレと同じ感じであるんだろうね、ってミサカはミサカは推測してみる。なんていうか、回り道ばっかりしてる気がするなぁ」

一方「気のせいだ」

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/18(土) 20:14:48.39 ID:U37vOh7K0
一方「さっきはこっち側入ってねェよな。なンかあるとイイが」

打止「うん、そうだね!」キィッ



一方「……人の絵か。まさか動かねェよな」

打止「ないない、さすがにそれはないっしょ、ってミサカはミサカは顔の前で手を振ってみる」

一方「だとイイが。にしてもなンだコイツら。字が書いてあるところを見るとロジックか?」

打止「そういえば入り口に嘘つきたちの部屋って書いてあったよ?」

一方「それを言え。じゃあアレか、一人だけ本当の事をいってるって話か」

打止「おお、今回のあなたは頭の回転が早い! ってミサカはミサカは拍手ー」

一方「いつも通りだっての。すぐ解くからオマエどっかその辺で数字探してろ」

打止「まさかの別行動っ!? ってミサカはミサカは驚愕をあらわにしてみる!」

一方「イイだろ。見た感じ何もいねェよォだし」

打止「うう、そうだったけどさぁ!」

一方「効率イイだろ。俺はここにいるし」

打止「……本当に? 本当にここにいるんだね?」

一方(多分だけど)コクリ

打止「……よしっ、頑張るもん! ってミサカはミサカもたまにはあなたの役にたつんだからね!」

一方「はいはい。行け」

打止「つめたいのは勘弁して、ってミサカはミサカは名残惜しく数字探しに出発したり」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/18(土) 20:21:24.92 ID:U37vOh7K0
一方「……行ったか。まァ答えは出てるンだけどよ」

 チラッと一方通行は何もない壁を見た。

一方「気になるっつーか……、見られてるよォな」

一方「思いすごしか。らしくねェ」

一方「さっさと謎解きに行けって話だな、うン」ガチャッ






「………、ある程度の気配は断ったと思ったンだけどなー」

どこからか、『それ』は現れて呟いた。

「第一位だっけ……、やっぱり侮れねえな」

そしてまた音もなく、消えた。

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/08/18(土) 20:31:09.36 ID:U37vOh7K0
打止「何も出なさそう、とはいえ怖いものは怖いんだけどなぁ……、ってミサカはミサカは一人で数字探しなうなの、って呟いてみる」

打止「うーん。どこにあるんだろうなー」テクテク

打止「数字さーん、ってミサカはミサカは答えがないはずなのに呼びかけてみたり。これで反応あったらすぐ戻るもんね」


…………シーン


打止「……よかった。いや、よかったっていうか戻る口実にはならなかったから良くないけどよかった、ってミサカはミサカは落ち着けミサカ」

打止「あれ、この絵……真っ白かと思ったら真ん中に数字かいてある、これかっ!!」

打止「えー、っと。ピンクの9だね。ってミサカはミサカは記憶したり。これで大丈夫っ!」


打止「そういえばあっち側行ってないなぁ、ってミサカはミサカは向こう側に目をやってみたり」

打止「……何があるんだろ?」テクテク

打止「『猛唇注意』? どういうことだろ? ってミサカはミサカは気になったけど注意らしいので引き返す方向で……」

打止「あー、今他の個体何してるんだろ。ミサカネットワークも殆ど回復してないしなぁ、ってミサカはミサカはミサカネットワークの大切さを今思い知ったり」


打止「……(さびしい、なぁ)」テクテク

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 13:53:26.29 ID:ysz8pgbw0

打止「前回までのあらすじ!」

打止「ミサカとあの人は無事にロックを解除してそこにあった謎の木の実をゲットし、謎の唇(?)を無事通りぬけたのだったっ!!」

一方「おい、一部飛ばされてねェか」

打止「き、気のせいだよー、ってミサカはミサカは苦笑い」

一方「……まァ、イイか」

打止「尺の関係上ってやつだね☆ ってミサカはミサカは可愛く言い訳してみたりっ」

打止「その部分が知りたい人はIbをプレイしてみてね!」

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 14:11:49.31 ID:ysz8pgbw0
一方「部屋が、赤くなったな」

打止「血じゃ、ないよね……、ってミサカはミサカは一応壁を確認してみる」

一方「血でここまで赤く染まるかよ、何いってンだ」

打止「だってなんか流れとか雰囲気でありそうじゃない? ってミサカはミサカは進言してみる」

一方「そォか?」

打止「なんとなくね、ってミサカはミサカは呟いてみる」

一方「そォかよ。……あン?」


黒い影 クスクス クスクス


一方「なンだ……? アイツ」

打止「どうしたの? ってミサカはミサカはいきなり立ち止まったあなたに声を掛けてみたり」

一方「いや、アイツ……あれ」

打止「む?」チラッ

一方「……居ねェ?」

打止「なんかあったの? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

一方「……いや、別に」

一方(さっきの奴、俺を見てたよォな気がしたが……)

一方(いや、気にしすぎだな)

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 14:40:52.09 ID:ysz8pgbw0
ガチャッ


打止「あれ、さっきトコのとなんか雰囲気が違うかも」

一方「絵が……6つ? 全部タイトル書いてあるな」

打止「2と3と……7まであるね、ってミサカはミサカは読み上げてみる」

一方「……1どこ行ったよ、1」

打止「さあ……、ってミサカはミサカは首を傾げてみたり。でも不自然だよね」

一方「この『6』っつーのが焼かれてるのも気になるしなァ」

打止「……だーめ。やっぱり鍵かかってる、ってミサカはミサカは肩をすくめて報告したり」

一方「ンな事ァわかってるよ」

打止「この6つの絵の謎を解かなきゃね……」

一方「順番に見ていくか」


『2』天使
『3』カエル
『4』ぼろぼろの熊のぬいぐるみ
『5』リモコン
『6』--
『7』太陽とかいろいろ


一方「……ってトコか」

打止「なんか『3』の絵って……覚えあるんだけど」

一方「……俺もだ」

打止「他は見た覚えないんだけどなぁ」

一方「面倒な事になる気しかしねェよ」

93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 21:59:35.71 ID:g/Ob++vm0
一方(謎を解くための絵は6つ………2~7の数字と書かれてる絵柄……その関係性は……)

打止「うーん。なんでコレ燃やされてるんだろうね……、ってミサカはミサカは必死に頭を捻ってみて考えてみるけど」


その呟きは一方通行の耳に届いていなかった。
彼は別なところを見ていた。


一方(……あの人形)


『4』と題が付けられた絵。
そこに描かれたぬいぐるみが気になっていた。

最初に見た時と若干だが変わっていたのだ。

ソレはまっすぐ腕を伸ばし、狙いを定めているようにも見えた。
白い光が一点に集約されているようにも。


一方(待てよ、あの動きどこかで……?)



ふと一方通行はそう思った。


打止「この天使さん可愛いよね、ってミサカはミサカはあなたに同意を求めてみたり」

一方「呑気だなァクソガキ」

打止「行き詰まったら色々調べてみるのがいいのだ! ってミサカはミサカは推理の基本を提示してみたり」

一方「あァそォ」


そう一方通行が数歩踏み出した、丁度その時に。
ズバァッ!! と閃光が走り抜けた。

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 22:12:24.75 ID:g/Ob++vm0
一方「ッ!!」

打止「な、何っ!?」


真っ直ぐに進んだ光は大きな穴を作って壁を突き破った。
その能力に覚えはある。薄く笑いつつ一方通行は言う。

一方「そォか……『原始崩し』か!!」


『ア・タ・リ♪』



と、そう聞こえた気がした。
すぐに壁は修復され何もなかったように存在した。

再び一閃、それを間一髪で避けた。


打止「原始崩しって、あの第四位の? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

一方「あァ。多分この六つの絵……超能力者が能力開発の段階で描いた絵だ。あのカエルはオマエもわかるンじゃねェか?」


打ち止めはしばらく『3』の絵を見て、ハッと思い出したように言った。


打止「ゲコ太!!」

一方「正解。それぞれインスピレーションで描いてるから共通性はないが『大切な物』を描いている可能性が高いっつーか」

打止「なるほど、ってミサカはミサカは頷いてみる。
   あれ? でもなんで『6』は燃やされてるんだろう、ってミサカはミサカはハテナ?」

一方「知るか。とにかく、コレが何かのヒントになるンじゃねェか? 何も情報ねェより一歩進ンだぜ」


ほうほう、と考え込んだ打ち止めはふと呟いた。


打止「『1』は?」

一方「あン?」

打止「あなたの絵がないけど、ってミサカはミサカは指摘してみる」

一方「……」


そう、それは一方通行自身も気にしていたことだ。

何故番号は『2』からなのか。
何を描いたかも思い出せないその絵がなぜ無いのか。


一方「さあ」


一方通行は曖昧にごまかした。

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 22:38:51.28 ID:g/Ob++vm0
打ち止めは明るく言う。


打止「貴方コーヒーとか描いてそう! ってミサカはミサカはビシッと推測してみる!」

一方「ねェよ」

打止「イエーイ即行即答大否定ー! ってミサカはミサカはやけくそ気味に」


と、その言葉を遮るように粒子波形高速砲が打ち止めの目の前を貫いた。

打止「うわぁ!!」

一方「何してンだクソガキ危ねェな!」

打止「だ、大丈夫だもん! ってミサカはミサカはそんな過保護にされなくても」

一方「狙いが安定してねェならまだ避けられるか……チッ、能力使えねェ能力戦なンてこっちが圧倒的に不利じゃねェかクソが」ボソッ

打止「聞いてない!?」

一方「っつーか、これでどォしろと。今ントコ動いてるのは『4』だけだし……」


そう一方通行呟くとガタッ、と音がした。
見ると、


打止「『6』の絵が落ちた音……」

一方「なンでこのタイミングで落ちるンだよ」ハァァァ


不可解でならない、と一方通行は首を振り、また考え出した。
打ち止めはその絵を拾い上げ、観察した。


打止「第六位……ミサカも知らないんだよなぁ、ってミサカはミサカはふと呟いてみる」

一方「謎、だよな」

打止「あっ、これ……、ってミサカはミサカは額縁の隅にメッセージを見つけてみたり」


『 鍵を 忘れろ 』


一方「はァ?」

打止「意味が分からない!! ってミサカはミサカは突っ込んでみたり!」

一方「鍵がねェっつー事か……? 尚更訳わかンねェンだが」

打止「でもアレ……ちゃんと鍵かかってたもん、ってミサカはミサカは指差してみる!!」

一方「それは疑ってねェよ。この文章の方を疑ってンだ」

打止「うーん……」


腕組みをして少し考えた打ち止めは、何気なく未だ狙いを定めてくる『4』の絵を見て呟いた。

打止「……『原始崩し』で扉ぶち破れないかなぁ」

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 22:54:39.49 ID:g/Ob++vm0
一方「さすがに無理だろ」

打止「だよねー、ってミサカはミサカはお手上げ状態」

一方「……、試してみる価値はあるか」チラッ

打止「本当!? ってミサカはミサカはびっくりしてみる!」

一方「いけるって確立は低いけどな……、っつーか生き残る確立も」

打止「!?」

一方「オマエ、あの一撃喰らったらどォなると思う?」

打止「……死ぬ、かも」ゾクッ

一方「だろォな。それでもやってみるか」

打止「―――うんっ! ってミサカはミサカは迷いを振り切って頷いてみる!!」

一方「よし、やってみっか」

- - - - -

一方「アイツが照準決めて放つまで数秒、それから粒子波形高速砲が来るまでこの距離だと二秒もねェだろォな。その狙いも正確には定まってねェよォだし、軌道を見て避けるしかねェ」

打止「ふむふむ」

一方「それと……俺は思うように動けねェし、オマエが扉の前で『的』になるしかねェ」

打止「そっかぁ……。でも大丈夫っ、ミサカなら出来るよ!」

一方「……死ぬなよ」

打止「もっちろん!」ニコッ

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 23:15:22.39 ID:g/Ob++vm0
打止(タイミングを逃さずに……)

『4』<カチャッ

打止(ただその時を待つ)

『4』<キュイイイイイイン

打止(狙いを付けて放つ……)

『4』<ドバーン!

打止(その時を!!)

ドォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン....


一方「……まさかよ」

打止「……開い、た」

一方「なンだよ畜生。あっさり開くじゃねェか」

打止「っしゃぁあああ!! ミサカ頑張った! ってミサカはミサカは飛び跳ねて喜んでみるっ!!」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/08(土) 23:22:14.92 ID:g/Ob++vm0
一方「ハイハイ。わかったわかった」

打止「だって今回はミサカの活躍で活路が開けたんだよ! すっごく嬉しいってミサカはミサカは――」


一方通行はその言葉を聞き流しつつ立ち上がる。


一方(ったく。ハシャいじまって……面倒だったし、まァイイか)

一方通行はふと『2』の絵の前に立ってみた。

一方(この絵……第二位が描いた(仮)モンだけど、アイツ何考えてンだか。脳内がガチでメルヘンとか笑えねェぞ)

一方(俺には関係ねェか……、っと)


そう心の中で呟いて絵に背を向けた、その時、


『第一位』


呼ぶ声が聞こえた。どこか聞き覚えのある声で。


一方「あ?」


咄嗟に振り向く。



『  振 り 向 い ち ゃ っ た  』



また、声がした。それは今度もどこか懐かしくて。

と、一瞬にして視界が暗転した。
何が起こったのかわからないまま一方通行の意識はそこで途切れた。





打止「ミサカ少しはオトナに近づいてるのかも、ってミサカはミサカは自己評価を下してみたり。ねえあなた聞いてるの!? ってミサカはミサカは――」


打ち止めが見ると、そこには誰も居なかった。


打止「……あなた?」


少女の声だけが、不安げに響いた。

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/21(金) 22:09:11.93 ID:O9gbWeXp0

打止「どうしよう、あの人どこ行っちゃったんだろう……!? ってミサカはミサカはあせってみたり」アタフタ

打止「一方通行ーっ! ってミサカはミサカは呼んでみるんだけど!」

打止「……返事なし、かぁ、ってミサカはミサカはガックリと肩を落としてみる」

打止「この先に進むしかないのかなぁ、ってミサカはミサカは強制的に開けたドアの方をチラ見してみる」

打止「あれ? なんか落ちてる」

打止「これって……ライター? どうしてこんなところに、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

打止「あの人が落としたのかな? だったらあの人は無事かも! ってミサカはミサカは希望を持ってみる」

打止「やっぱりこの先だね、ってミサカはミサカは駆け足気味に進んでみたり!」


 - - - - - 


打止「うう、それでも手がかりは無いに等しいしなぁ、ってミサカはミサカは不安げに呟いてみる」

打止「『あ』と『うん』……って事は『阿』『吽』かな? ってミサカはミサカは冷静に分析してみたり。

打止「そういえば阿吽ってパーカーあったよね、ってミサカはミサカはハッと気がついてみたり」

打止「じゃなくて、阿吽の呼吸とか意識したのかなー、ってミサカはミサカは続けて言ってみる」

打止「それを言えばミサカとあの人もそんな関係だよね、ってミサカはミサカは惚気てみたりっ」ホワホワ

打止「あの人は否定するんだろうけど、ミサカはあの人の事信じてるもん。

   そう、絶対大丈夫だよ、ってミサカはミサカは自分を勇気付けてみる」

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/21(金) 22:22:00.75 ID:O9gbWeXp0

打止「あ、扉発見ー! ってミサカはミサカはドアノブに手をかけてみた――

   ……でも待てよー? ってミサカはミサカはふと考えてみる」


ガチャガチャ                    ガチャガチャ


打止「やっぱり鍵が閉まってるっっ!! ってミサカはミサカは予想できてた結果に思わず叫んでみたり!!」

打止「鍵かぁ……どこだろうなぁ、ってミサカはミサカは捜索開始ー」テクテク


打止「えっとー、この心音の所じゃないし、阿吽にもないし、じゃあ、こっち?」

打止「あれ? どこにもない……? ってミサカはミサ――」


ガタッ


打止「むむっ? ってミサカはミサカは物音に振り返ってみたr」クルッ


赤い服の女 ニッコリ

打止「」





打止「………ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」ダッ


赤い服の女「薔薇……綺麗な……」ドダダダダ

打止「なんで動くのおおおおおおおおおおおお!!!? ってミサカはミサカは逃げつつ叫んでみたり!」

赤い服の女「逃がさナイ……」ドタタタタ

打止「どっかのサダコかあああああああああああああああああああ!!!! ってミサカはミサカは思わず本心を口にしてしまったりいいいいいいいい」

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/21(金) 22:49:53.09 ID:O9gbWeXp0

打止「……撒いたか、ってミサカはミサカは一息つきつつ追われ中の犯人的な台詞を吐いてみる。

   いや、確かに追われてるのは事実だけど、ってミサカはミサカは自分に突っ込みを入れてみたり」

打止「それにしても……ますます現実味なくなってきたなぁ、ってミサカはミサカは溜め息をついてみる」

打止「鍵見つけないと先には進めないし、どうしよ……、ってミサカはミサカは悩んでみる」

打止「あの人なら、どうするだろうなぁ……、ってミサカはミサカはゆっくりとあの人を想ってみたり」

打止(きっとちゃんと心の中でミサカの事とか心配してくれてたんだよね)

打止「……うん。ミサカがここで立ち止まってなんかいられないよね」スック


 - - - - -


打止「(うわぁ、やっぱりうろついてる、ってミサカはミサカは壁からコソッと偵察してみたり)」コソコソ

打止「(ハッ! あそこに鍵あるじゃん! ってミサカはミサカは今気付いたとかそんな)」

打止「(うーん、じゃあ、アレをこっちに誘き寄せて……その隙に奪い去るッ!! ってミサカはミサカは作戦を趣味レートしてみたりっ)」

打止「(その前に追いつかれないように……、えーっと。どっから逃げようかな)」

打止「(こっちに行ってそれから


赤い服の女「 見 ぃ つ ケ た 」


打止「うわぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」ダダッ

打止「突然来るなよぉぉおおおおおおおおおお!!! ってミサカはミサカは絶対無理な注文をしてみたり!

   …あれ、次どっちに行くんだっけ!?」

打止「あーもう!! どっちでも撒ければそれで良しだぁぁああああ!! ってミサカはミサカはもう自暴自棄状態だったり!!」

赤い服の女<グォォオオオオオオオオオ  ドタドタ

打止「明らかにさっきより凶暴化してるよねそれええええええ!! ってミサカはミサカはやっぱり走りながら喋るのは辛いって事に気がついたりっ!!」ゼハー

赤い服の女<グォォオオオオオ...オオオ? ピタッ

打止「何かよくわかんないけど、止まっ……あ、これもしかして撒けたのか」

打止「今のうちに鍵を……獲れたっ!! よっしゃぁ急いで扉まで――」

赤い服の女<!! 

打止「見つかっただと!? だがしかし遅いッ!! ってミサカはミサカは勝利の鍵を握りしめて言ってみる!」

赤い服の女<オォォァアアアアアアアア

打止「ふはは、さらばなのだ! ってミサカはミサカは捨て台詞と共に勢いよく扉を閉めたり!!」バタム



107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/21(金) 22:58:41.26 ID:O9gbWeXp0

打止「…………し、」

打止「死ぬかと思った……」ハァー

打止「ここに入れば、多分大丈b」


扉<バンバン!!


打止「ひゃあ!? ってミサカはミサカは体を震わせて驚いてみたり!」

打止「あれ、でも開けて入ってくる訳じゃなさそう……だね、ってミサカはミサカは再度胸をなでおろしてみる」ホッ

打止「ちょっと、休憩しようかな……、ってミサカはミサカは疲労のあまり壁に背を預けて呟いてみる」

打止「本もたくさんあるし、ちょっと情報収集もして行こうっと、ってミサカはミサカは本を手にとってみる」

打止「あ、あの絵の女の人のことも書いてある。ってか先に言えよ、ってミサカはミサカは思わず漏らしてみたり」


打止「……あの人は無事かなぁ、ってミサカはミサカは思いを馳せてみたり」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/09/21(金) 23:07:49.01 ID:O9gbWeXp0

一方「いっ……てェ。落ちた、のか?」ムクリ


一方通行は頭を軽くさすりつつ起き上がった。

あの時意識を失ってからの記憶はない。
現状を確認しようと辺りを見回した。


一方「つーかどこだよ此処。さっきの部屋とは違――」

??「……おい、冗談だろ」


声がした。


一方「あン?」


思わずそちらを見る。
今度は何の罠(トラップ)もないようだ。

だが。

一方通行は警戒心を強めた。
対して『そいつ』は驚きを隠せず、動揺しているように見えた。


??「嘘だ、何でこンなに来るの早えンだよ」

一方「……誰だ?」


『そいつ』は、黒い少年の姿をしていた。

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/10/02(火) 20:46:01.86 ID:4Q3bxi/u0
一方通行が遭遇したその"少年"は「一方通行自身に良く似ている」という印象があった。
というのも、髪は黒く、瞳は綺麗な緑色で、着ている服も黒いパーカーで、それでも能力の弊害故の中性の体型や髪の長さまで全く同じという、言うなれば彼の色違いのような。当然、複製(コピー)という話は聞いたことが無いし、ましてこんな偏狭な世界にいるというなら尚更だ。

彼は改めて問う。


一方「オマエは、誰だ」


"少年"は言った。


??「本当にあンな罠に引っかかるとはな。アンタ第一位なンだろ? いきなり策にはまるってどういうことだよ。ったく、くだらねー……」


発せられたその言葉は、声だけでは性別も判断できないような"音"で。
そして質問の答えでもなかった。


一方「人の話を聞いてやがンのか?」


完全に無視だった。
一方通行は少なからず苛立ちを覚え、拳銃に手を伸ばす。


??「興醒めだよ。ちょっとは楽しめると思ってたンだけど、『また』ハズレか。なーンでこンなヤツが気になってたンだか……
  ちくしょう。ちっとばっかし頭がキレるようだけど、それじゃ全然足りねえんだよな」

一方「あ?」

??「俺より弱いヤツには興味ねえよ。『ゲーム』は楽しめるヤツが楽しむべきだし、やっぱりアイツに預けるべきだったなー。そろそろ会えると思ってたンだが」

一方「……その言い方じゃ、オマエが俺達をここに引き込ンだみてェだな」

??「そうだけど」


あまりにあっさりと"少年"は言い放った。
それに一方通行は少しだけ面食らってしまう。


一方「……『ゲーム』っつったな。そンな事して何が楽しいンだよ」

??「もう興味ないとも言ったよな。いなくなる人間にシステム教えてどうすンの? お前もお前で話聞いてねえだろ」


と、"少年"は溜め息混じりに一方通行を見た。そこで初めて目が合い、


??「――――――、え?」


"少年"はそう呟いた。
透き通っていた瞳に、陰りがみてとれた。

113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/10/02(火) 20:54:42.89 ID:4Q3bxi/u0
??「嘘だろ」

さっきと同じ台詞。
だが、さっきとは雰囲気がまるで違う。

一方(……何だ?)

"少年"は少し間をおき、一方通行に向け言った。



??「――XXXXX?」

一方「ッ!?」



たった一言だったが、それは一方通行の思考を少しだけ遅らせた。
なぜなら。


一方「それを、どこで知った」


あくまでも冷静を保とうと、彼は低い声で問う。
その言葉は――その名は彼がとうの昔に捨てたはずなのだから。


??「――アタリ?」


"少年"は呟く。とても嬉しそうに。


??「そっか。そういう事だったんだな。だから俺はこンなにも気にしてたのか! あは、馬っ鹿みてェ! 最初からわかっててもよかったのにな!」

一方「……、」


一方通行は無言で銃口を相手に向けた。
こいつのテンションについていく気はない。うんざりだ。

"少年"は特に目立ったリアクションをしなかった。


??「気が変わった。すっげェ面白そうな展開になってきたンじゃねーのかコレ!?」

一方「ごちゃごちゃうるせェ。質問にだけ答えろ、オマエは何者だ」

??「その答え合わせならさっきしたろ? 俺は『UN』、この世界を生み出した者だ!」


『UN』と名乗った"少年"は言う


UN「そうだよ。この世界なら何も不便はねえ。だからお前、ここに居る気ねえか?」

一方「何?」

UN「あの小さいのならちゃーンと出してやるよ。それで俺もあの子も幸せだろ?」

一方「戯言を。こンな世界こっちから願い下げだクソボケ」

UN「まあ言うと思ってたけどさ。念のためな……っと、じゃあ。コイツの出番かね」

114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/10/02(火) 21:01:36.68 ID:4Q3bxi/u0
UNはどこから取り出したのか、二つの薔薇を手に持っていた。


一方(コイツ、いつの間に――)

UN「さてこの状況、関係ねえ人間からすりゃ俺が圧倒的に不利だ」


そうにも関わらずUNは愉しそうに笑う。


UN「だからゲームをしようぜ? その拳銃、いくつ詰められンのかは知らないけどその大きさだ、せいぜい8発くらいが限界なンじゃねえの」

一方「だったらなンだ」

UN「今から俺は、このどちらかの薔薇の花びらを一枚ずつ千切っていく。お前が一発打つのと引きかえだ。頭のいいアンタならすぐわかるだろ? この意味が」

一方「チッ!!」


『薔薇は命と同等』
一方通行はそのフレーズと、先の打ち止めの件をを思い出す。

一方通行は引き金を引いた。弾は軌道を逸れ、壁に当たって地に落ちた。
同時に表現できないような衝撃が重くのしかかってきた。


一方「がっ……! オマエ……!!」

UN「話は最後まで聞けっての。どっちか選ばせてやるよ。今のはノーカンな、両方から千切っちまったから俺も痛ェンだけど」


UNは顔色一つ変えずに続ける。
二つの薔薇……白と黒の薔薇が彼の前に差し出された。

一方通行は考えを巡らせた。

今二つの『色』と、どっちが適性者か、間違えたら死ぬ。今の痛みが八回もくることになる。
弾を当てれば問題ないのだが、そう上手くいくとも思えない。ここはイレギュラーな場所なのだ。
どっかのメルヘンじゃないが、ここは『常識』が通用するとも思えなかった。絵が動く時点で普通じゃない。
裏をかくべきか、それとも素直にいくべきか。

第一位の頭脳をもって、

そして、一方通行は選択した。

UNは嗤い、

UN「ゲームスタートだ!」

そう宣言した。

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/02(日) 16:03:34.22 ID:ZY4+JNvR0
打止「うっかりさんの話? ってミサカはミサカは題名から推測してみたり」


閉ざされた部屋の中、打ち止めは次なる手がかりを探していた。

その最中みつけたのが、『うっかりさんとガレット・デ・ロワ』という本だった。


打止「ガレット・デ・ロワかぁ……確かフランスのお菓子だった気がする、ってミサカはミサカは思い起こしてみたり」

打止「ロシアンルーレットみたいな感じかな、もっと安全にしたような」

打止「あー、うっかりさんってこの子かぁ。ミサカもやっちゃいそうだなぁー」クスッ

打止「……ん? 鍵?」


順調に読み進めていた手が、数秒だけ止まった。


打止「『まさか……』って、いや、あの、入れる時点で気づくでしょ、ってミサカはミサカは本に突っ込みをいれてみる」

打止「『私としたことがうっかりしてたわ』 って、またうっかr」

打止「包丁を持っ……!?」

打ち止めは続きを見ようとそのページをめくろうとした。
その時、ザクッという音と女の子の微かな悲鳴が聞こえた気がした。

打止「!?」

思わず本を手から落としてしまう。
ページは勝手に次へと進んだ。


『鍵見つけたよ! 今あけるね!』


どこからか声がした。

<カチャリ

打止「開いた……? この本って一体……」

打止「あれ?」


さっきまで見ていたはずの本は、どこにもなくなっていた。

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/02(日) 16:06:08.27 ID:ZY4+JNvR0
UN「オマエ選ンだ薔薇は『白』……か。ま、黒い俺にゃ丁度いいか」

一方「……、」

UN「アタリだよ、俺の負け。そうだなー、じゃあ無様に自殺してやろーか?」


冗談の様にUNは言う。
自ら『負け』と言っていても、UNは余裕の笑みを崩していない。

一方通行はそれに違和感と疑問を覚えた。
こちらの優勢のはずなのに、背筋に寒気がはしった。


UN「でも残念」

UNは静かに告げた。

UN「ハズレだ、ってな」



直後、白かった薔薇が一瞬で黒く変色した。



一方通行は、それが信じられなかった。

一方「何、だとッ!?」

UN「これぐらいの保障はしてるさ。ここは俺の世界なンだぜ?」


ピッ、と薔薇を一枚千切った。
正体不明の激痛が一方通行を襲う。


一方(ふざけやがって……ッ!!)


一方通行は口には出さず毒を吐いた。
まだ身体は動く。早いうちにケリをつけなければ、とその先に浮かんだ言葉を飲み込んで、彼は一気に考えを巡らせる。


一方(アレに射程範囲があるとは思えねェ、あったとしても今の俺じゃあ逃げ切れる可能性は低い。奴の動きは極端に早い訳じゃねェ……、避けるパターンも単調だ。なら動きを見切って確実に当てる!!)


一方通行の腕なら時間制限内に片付くだろう。もとより長期戦に持ち込むつもりはない。
先ほどの一発で大体どういう動きをするかは予測がついていた。

念のため、と彼は一発撃つ。
そこで、またも一方通行は驚かされる事になる。

UNは口元を歪めただけで、避けようとはしなかった。

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/02(日) 16:19:36.95 ID:ZY4+JNvR0
打ち止めは鍵が何故開いたのかは深く考えない事にした。

打止「だってなぁ……多分あの話って」

と想像して身震いした。

打止「あ、また花瓶だ、ってミサカはミサカは近寄ってみたり」

打止「前のと違って青い? ってミサカはミサカは目をこすって二度見してみる」


『永遠の恵み』という全く同じ花瓶の描かれた絵が真正面にあるのだが、彼女はそれに気づかない。


打止「ま、いいや。ミサカの薔薇、元気にしてあげようっと」


薔薇はあっという間に最初に見つけたときの元気を取り戻した。
しかしどうやら、それ以上は元気にならないらしい、と打ち止めは首をかしげる。

打ち止めはその近くに腰を下ろし、休憩を兼ねて一息ついた。
次に進む道は右か左かの二択、今度は一人で行くしかない。


打止(あなた……どこにいるの、ってミサカはミサカは……)

その問いに答えはない。膝を抱え、打ち止めは自分の前から姿を消した一方通行を想う。
しかし、それでも、進むしかないのだ。

打止「……っし、さっきは左だったから今度は右ね、ってミサカはミサカは自分に言ってみたりっ!」


135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 09:05:20.60 ID:HnWDvWEg0
打止「おっ、扉はっけーん、ってミサカはミサカは何の変哲もなさそうな扉を指さしてみたり」

打止「首のない……なんだっけ、トルソー? もいないのかなぁ、ってミサカはミサカは確認してみる」

打止「いない方がミサカにとっては最高なんだけどね! ってミサカはミサカは加えて宣言してみたり」

打止「もしかして開いたり……!?」ガチャガチャ

打止「……しないよねー、ってミサカはミサカはちょっと期待しちまったんだぜチクショウ」

打止「鍵穴もなさそうなんだけどなー、ってミサカはミサカは……ん?」

打止「なんだこの電子ロック……カード?」

打止「ハッ!! カードキーだと!!? ってミサカはミサカは以外にも現代的システムにびっくりしてみる!」

打止「って事は、ミサカの能力で開くかも!!」

















≪数分後≫

打止「無理でしたー! ってミサカはミサカはお手上げのバンザイをしたり」

打止「ミサカの力をもってしても解除できないとは……お前はヨミカワの家のオートロックか!! ってミサカはミサカは八月の某日を思い出して憤慨してみる!」ゼハー

打止「……、うん。おとなしく反対側に行こう、ミサカはミサカは深呼吸して唐突に大人びた雰囲気になってみたり」

136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 09:24:31.67 ID:HnWDvWEg0
一方そのころ。



UNは銃弾をよけることはしなかった。普通ならそのまま額を打ち抜かれて死ぬ、

はずだった。

銃弾はあり得ない軌道を描き、UNのこめかみのあたりを掠めただけだ。


一方「何!?」

UN「おーおー、案外上手くいくモンだな。またあとで調整するか」


口調はどこまでも軽く飄々としていた。躊躇なく花弁をちぎり取る。


一方「偏光能力(トリックアート)ってヤツか……? クソッたれが!!」


偏光能力。誤った像を結ばせて本来とは違う場所に見せる能力。それ自体に攻撃性はないが、厄介ではある。

目視は不可能に近いとみて間違いはない。
なら今まで掴んできた感覚で撃つ、と一方通行は決断する。
恐らく2発でも当たれば大抵は戦えなくなるだろう。
情けをかけるわけではないが、相手が未知数である以上最低目標があれば気が楽だった。

ガァン! と鳴り響く。完全にカンと感覚だ。
だが、第一位は運が良かった。


UN「いっ……てえな!」


また一枚。UNの左肩に赤いものが見えた。
いける、と一方通行は弾を放つ。

そもそも視界が定まらず、アテにならない事に気づいた。


一方(外した……気がする)


元々狙ってすらいないのだが、何となく思う。
鋭い痛みが全身をかけた。

それでもまだ動ける。
重くなっていく身体をどうにか動かし、引き金を引いた。

当たった、と信じたい。
見るだけの余裕もなくなっていた。

137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 09:37:05.75 ID:HnWDvWEg0
一瞬でも気を緩める暇はなかった。失血している訳でもないのに意識は飛びそうだった。

それは、あの『天使』と対峙した時を思い出させた。

杖に身体を預け、ようやく、といった風に立ち上がる。


UN「あーあー」


やけに間延びした溜息。
ゾクッ、と嫌な寒気がした。
UNはただ笑っている。


UN「まあよく頑張ったと思うぜ? オレをここまでやった人間は初めてだよ。流石だな」

一方「……、嘘だろ」

UN「あン?」

一方「それで、なンでまだ動いていられンだよ!!?」


左目が潰されていた。閉じたその目から赤く血が流れている。
さっきの銃弾が撃ち抜いただろう事はすぐわかった。
普通なら動けない傷だ。まして、

――笑っていられるような傷ではない。

ヒラヒラと儚げに花びらが床に落ちていく。

似ていた。
あの時もこうやって……、

UNは左目を隠すように髪を直した。
痛々しい傷が黒髪に隠れて見えなくなる。

UN「もう終わりか? あと一発でもあればオレはアウトだったンだけど」

一方「……ッ」

UN「まあ何でもいいや。オレは欲しいだけなンだし」


答えずに銃口をUNに向ける。
呼吸は荒く手も震えているが、それでも。

――このままこいつを殺しておかないと打ち止めが危険だ。

守りたい、と無自覚に願っていた。

138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 09:40:51.80 ID:HnWDvWEg0

左側に向かっていた打ち止めは。

打止「……銃声?」

今まさに開こうとしていた扉の向こうからの銃声を聞いた。
この扉の向こうは戦場だということか。

それ以上に打ち止めは一つの希望を抱いていた。

この場所で、銃を所持している人間がいるとしたら。
打ち止めの頭に浮かんだ可能性及び人物は一人だけ。

扉を勢いよく開け放ち、叫ぶ。


打止「一方通行!!」

139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 10:01:55.74 ID:HnWDvWEg0

UN「ン? ああ何だ、小さい方か」

打止「……誰なの? ってミサカはミサカは謎すぎる上に怪しいあなたに問いかけてみたり」

UN「さあ。UNKNOWNだからUNらしいけど、それだけ。つーかお前こそさぁ、オレらの邪魔してンのに気づいてる?」


UNは冗談のように言った。
打ち止めはUNの奥に、壁に寄り掛かるような体勢で居る一方通行を見て、


打止「……ッ!!」


彼女にしては珍しく、激しい感情を露わにしていた。


UN「興味ねえンだけどなー。っつーかオレが悪いって事になンのかね?」


本当に興味なさげにUNは言う。
そんな火花散る二人を見ながら、一方通行は思う。


一方(最悪だ)


未知すぎてわからないような相手だ。命の危機、それが避けられない。
なのに、残り2枚となった小さな『命』はいうことをきかなくなっている。
全身に力が入らない。

一方(クソ、どォする……ッ!?)


打止「あの人に、何したの」


打ち止めは問う。
青く光が舞う。


UN「ちょっと遊ンでただけだろ? 仲間はずれが嫌だったンならお前もやる?」

打止「ふざけないでっ!! ってミサカはミサ」

UN「ふざける、ねえ」


UNは笑って言う。
どこか寂しげに、


UN「お前、これがただの薔薇だと思ってンなら幸せ者だな。だからその幸せなまま散ればいい」


そう、打ち止めの赤い薔薇に手を伸ばした。
直後、




一方「……終わりだ」



一方通行はその背中にぴったりと銃を押しつけていた。

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 10:14:08.23 ID:HnWDvWEg0
打止「あなたっ!」

一方「……オマエは、黙ってろ…」


安定しないバランス、いつ倒れてもおかしくない状況。
それでも一方通行は選択している。


UN「へえ。精神力でそこまで動けるンだな……すごいねえ、意思の力ってやつは」

一方「……ゼロ距離で、避けられる訳ねェよな…? これで、俺の勝ちだ」


ぐっ、と銃を握る力が増す。

少しでも動くようなら一方通行は迷わず引き金を引くだろう。
そうなったら「残り一発」のUNは”アウト”となり、勝敗は決する。


UN「あー、予想外だったな。お前がそうまでして」

一方「黙れ」

UN「おっと。でもまあ、認めてやるよ。『今回』はオレの負け。撃ちたければ撃てばいい」


何も変わらない調子でUNは言う。
簡単には死なないととは思っているようだった。


UN「……このガキの見てる前であってもいいならなァ?」


たった一言。それで一方通行は揺らいだ。
ハッ、と一方通行の意識が打ち止めに向けられた。

その一瞬。一秒もなかったその時間で、


UN「……そうやって躊躇っちまうのは優しさなのか、甘さなのか……」


UNは虚空に溶けるように消えていた。

後には一方通行の黒い薔薇と、青いカードが残った。

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 10:47:00.35 ID:HnWDvWEg0
ぐらり、と一方通行は床に倒れ込んでしまった。
限界だった上に無理をしてしまったのだから仕方ない、と一方通行は思う。


一方「打ち止め……どっかに花瓶あったろ? それ挿してこい」


一方通行はゆっくりと弱々しい黒い薔薇を指さした。


打止「で、でもあなたは!? ってミサカはミサカは不安でしょうがないんだけど……っ」
一方「イイから、行け」


半ば強引に一方通行は打ち止めを送った。







少しの間があって、彼は自身の身体が軽くなったのを感じた。


一方(……なンつーか、不思議なモンだな……)


その不思議に慣れつつあるというのもおかしな話だ。
上体を起こすと、若干の疲れはあるものの先のような重圧は完全に抜けていた。

非科学の連続に溜息がでる。


一方(科学の総本山でこれかよ……いや、ここはアイツが作った世界なのか……)


慣れた手つきで銃に弾を補充する。
予備として用意していたものだが、こうなっては足りるか危うい。


一方(面倒臭ェ……、どォなってンだよ)

打止「お花元気にしてきtふぉう! あなたも元気になってる! てミサカはミサカは大げさに驚いてみたり!!」

一方「……どォも。薔薇は返せ」


千切られたはずの花弁はすっかり元に戻っていた。
理屈はないと思っていた方が楽かもしれない。

打ち止めはほっと一息ついて、一方通行に言う。


打止「本当に心配したんだからね! ってミサカはミサカはあなたに怒ってみる! 突然いなくなっちゃうし、見つけたと思ったらボロボロだし!!」

一方「あァはいはい。悪かった」

打止「謝ってる気がしなぁーいっ!! ってミサカはミサカはあまりの適当さに何も言う気が起きなかったり!」


そして、打ち止めは突然雰囲気を変え呟いた。


打止「……無事で良かった」

一方「あァ」

打止「……ねえあなた、これがただの花じゃないってどういうこと?」

一方「……、」

打止「一方通行」

一方「……、チッ。信じられねェかもしれねェが――」


そう説明する彼自身が一番しんじられていないのだが。
一つ一つ確認するように一方通行は話し始めた。

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 10:55:34.77 ID:HnWDvWEg0
一方「――っつー訳だ」

打止「……ん? ってミサカはミサカは訳が分からないんだよ」

一方「もォ一回はやらねェぞ。長い」

打止「うわあものすごく嫌そうな顔、ってミサカはミサカは大丈夫です理解しますはい」

一方「よろしい。まァその薔薇を大切にしろってことだ」

打止「お、おっけー! ってミサカはミサカはイマイチわかってないけど肝に銘じてみたり」

一方「じゃあ行くか……っつっても俺はこの先を知らねェンだよな」

打止「はいっ! ミサカ知ってるもん! ってミサカはミs」

一方「一応突っ込むけどよ、当たり前だろォが」

打止「うっ」

一方「このカードも気になるし。どこぞのポイントカードかっつの」

打止「……カード?」

一方「あン?」

打止「あっ!! あっちの部屋にあった! カードキー!!」

一方「へェ」

打止「ミサカの能力で外れなかった!! ってミサカはミサカは事後報告」

一方「……役立たず」

打止「そんなっ!?」

一方「行くぞ」

打止「なんかマイペースに拍車がかかってる!? ってミサカはミサカはあなたの変わりように混乱したり」

一方「……置いていくぞクソガキ」

打止「あっ、待って!!」

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 11:01:53.66 ID:HnWDvWEg0


【閑話】

UN「……っつ。こりゃしばらくは動けねェな」

UN「治癒も間に合ってねえし。いやー油断した」

UN「くかかっ、楽しいねえ。最高の気分だ」

UN「もうすぐ壊れる。どっちが崩壊しても展開は面白くなるよ」



UN「……あれ、メアリーは? 遊びにでも行ったのか」


144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 12:01:14.06 ID:HnWDvWEg0

ピー……ッ

打止「開いたーっ!」

一方「よォやく進めンだな……」

打止「いやぁー、本当長かったよねー、いろんな意味で、ってミサカはミサカは特に意味もなく呟いてみる」

一方「言ってやるな。色々あったンだよ」

打止「よぉし! 気を取り直して次にゴーだ!!」

一方「……はいはい」




145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 12:23:31.17 ID:HnWDvWEg0

打止「えーと、これは一体? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

一方「手だろ」

打止「見ればわかるもん! ってミサカはミサカはそうじゃなくて!」

一方「いや、題名もそォなってンだが」

打止「……あ、本当だ。『悲しき花嫁の左手』と右手? それとあれが花嫁さんかぁ」

一方「『嘆きの』な」

打止「どうしたんだろうね? 花婿さんも悲しそうだし」

一方「とりあえず進むぞ。ここは後回しだ」











一方「扉がここと……そっちにもあンのか」

打止「手前! ってミサカはミサカは即答して扉を開けてみたり」

一方「早ェよ」

打止「善は急げなのだ! ってミサカはミサカは間違ってる気はするけど言い放ってみる!」

一方「あァそォ……」

打止「ここは迷路みたいだね?」

一方「……らしいな」

打止「ミサカ知ってるよ、右側に手をついていけば絶対にゴールにたどり着けるの!」

一方「オマエはただの迷路にどンだけ時間をかけるつもりなンだァ?」

打止「出られればそれでいいの! ってミサカはミサカはぶーたれてみたりっ」

一方「そォですねェ…… ひとまず行くか」

打止「巨大迷路……そういえばはじめてかも……?」

148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 14:54:23.70 ID:HnWDvWEg0

 ――五分後。

一方「『赤い絵の具からまっすぐ南』だってよ」

打止「赤い絵の具なんてあったっけ? ってミサカはミサカは思い出してみる」

一方「さァな。多分あるとすれば……こっちから来たからあっち」

打止「もしかして、頭の中に地図作ってるの!?」

一方「ハッ、第一位様の頭脳なめンなよ?」




 ――さらに五分後。

打止「赤い絵の具から……東だっけ?」

一方「南だ」

打止「おう、そうだったそうだった」

一方「大丈夫かよ……」

打止「あっ! ここボタンっぽくなってる!」カチッ

一方「あン? っつかおい、押すのが早」


ガガガガガガガガ


打止「??」

一方「外らしいな。さっさと出て確認しよォか」

打止「そうだね、なんか動いたっぽい音だったけど一体…… ん?」

一方「どォしたンだよ。別に何も」


無個性 グォォオオオオオオオオオオオ


一方「走れ打ち止め!!」

打止「なんで!!? さっきまでいなかったよね!!!? ってミサカはミサカは走りながらも訴えかけてみたり!!」

一方「いや、いたけど久々に動かなかったからスルーしてた」

打止「嘘ぉ!?」

一方「イイから行け! 詰まる!!」

打止「うわぁあああああああんっ!」


149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 15:01:40.67 ID:HnWDvWEg0
一方「……疲れた」グダー

打止「そうだね……」ゼハー

一方「動かねェなら最後まで動くなっつーの……」

打止「そうもいかないんだろうねー、ってミサカはミサカは肩で息をしながらうんざりしてみる」

一方「……、ねっみ」

打止「マイペースな! ってミサカはミサカも眠いんだからね!」

一方「気分だよ。次どっち行く?」

打止「最初にあった方の扉から行こうかなー、ってミサカはミサカは考えてるの。ほら、謎解きって最初に用意されているのから順に解いていくのがセオリーでしょ?」

一方「そォだな。たまにひっかけもあるけど」

打止「って訳であっちに行こう! ってミサカはミサカは手で頬を叩いてみたりっ」

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 15:21:16.64 ID:HnWDvWEg0
一方「ふゥン、道を作れっつー事か」

打止「あ、軽い。キャスターくっついてるみたいだね、ってミサカはミサカは分析してみる」

一方「つーか何だよこれ、動かしたら固定されンのか?」

打止「さては出られなくするためだな! ってミサカはミサカはこういう系でありがちの『ツンデレ』の危機を」

一方「…………壊していけば早いだろ?」

打止「えっ」



【安価(ここから+2)】

 ・壊していく

 ・まともにいく

 ・その他


152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/01(金) 15:34:53.94 ID:p6uvlZH8o
ib的には壊さない

157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 23:49:01.63 ID:AWVgEIDh0
打止「やっぱり正攻法で行くべきだよ、ってミサカはミサカは提言してみたり」

一方「……まァな。余裕で解けるけど」

打止「おおっ、流石! ってミサカはミサカはパチパチー」

一方「馬鹿にされてる気しかしねェンだが叩いてもイイかよ?」






 ――5分後

一方「はい、着いた」

打止「おおっ、早い早い! ってミサカはミサカは称賛してみたり!」

一方「当然だろ」

打止「んでもってー、この意味ありげに飾られてるのはー?」

  「目薬かよ、ってミサカはミサカは使い道がわからないけど一応もらっておいたり」

一方「疲れ目だってことか?」

打止「うーん、どうだろう……確かに『疲れ目・充血に良く効く!!』って書いてはあるけど」

一方「……注意書きって、普通箱の方に書かねェか?」

打止「細かいことは気にしちゃダメだよ、ってミサカはミサカはシーって口に指をあててみたり」

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/02(土) 23:59:52.52 ID:AWVgEIDh0
一方「こっちは……行き止まりか?」

打止「何もない黒い壁? っぽいよねぇ、ってミサカはミサカはモンバーン的存在を気にしていたりするんだけど」

一方「それ通じるヤツいンのかよ…」

打止「……いないかも、ってミサカはミサカは冷静になってみたり」


『……えへへ』


打止 ビクッ!!

一方「ほォら、オマエがンな事言うから……」

打止「冷静だなあなた! ってミサカはミサカはミサカのせいなの!?」

一方「うるせェ」


『えへへへ へへへへへ はな……おはな いいなあ……』


一方(……コイツ何なンだ?)

打止「どうしよっか」

一方「無視する」

打止「無視!?」

一方「イインだよ。下手に他人に薔薇を渡す訳にもいかねェだろ?」

打止「あー、まぁそうだけどー」

一方「花っぽいのを見つけたら来る。今は保留。それでイイな」

打止「はーい」



『ああっ!!待って下さいセロリたん!せめてそのふわふわの髪をモフモフさせてくださいクンカクンカさせてください○○○○させてくださいそれがだめなら使用済みで良いんでむしろ使用済みが良いんで○○○でも置いていってください』



一方「無視だクソッたれ!!」

打止「なんか聞き覚えあったのは気のせいだね、うん、ってミサカはミサカは聞かなかったことに決めてみたり」

159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/03(日) 00:12:49.79 ID:4Y1QYe6o0

打止「きゃああああああああああああああああああああっ!! なにこれ気持ち悪い!! ってミサカはミサカは思わず叫んでみたりぃ!!」

一方「どォしたよクソガキ」

打止「何で床に目があるのっっ!!!? ってミサカはミサカは衝撃の物体を指さしてみる!!」

一方「あー……もォなンでもありだな……」

打止「あなたは気持ち悪くないの!?」

一方「別にィ……」

   「嫌ならそこに止まってろ打ち止め」

打止「それは嫌! ってミサカはミサカはあなたの足にぴったりはりついてみたり!」

一方「……歩けねェから離れろ」

打止「冷たぁーいっ! もうちょっとミサカに優しくしなさーい!」

一方「うるせェガキだ」

わめく打ち止めをなんとか引きはがし、一方通行はふとした調子で、

一方「そォいやオマエ……」

打止「ん? ってミサカはミサカは涙目で言葉の続きを待ってみたり」

一方「……、いや。ちょっとだけ待ってろ」

一方通行は視線を打ち止めから移し、床を占拠する多数の目に向き合った。

一方(何やってンだかなァ、俺……)

割と本気交じりの声で彼は言い放った。



一方「覗いたらどォなるか……、わかってるよなァ?」



直後、開いていたほとんどの目が一斉に閉じた。

打止「!!? す、すごいね!?」

一方「別に……」ハァ

打止「これでミサカも進めるねっ、ってミサカはミサカはあなたに御礼を言ってみたりっ」



打止「あ、ねえあなた! 見てこれ、充血してる!」

一方「ンー? あァそォ」

打止「目薬の出番だよ、ほら!」

一方「随分と都合よく落ちてるモンだなァ……」

打止「充血にも良く効くって書いてあったからね、きっと大丈夫なはず! ってミサカはミサカは確信してたり」

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/03(日) 00:20:20.77 ID:4Y1QYe6o0
打止「うーんと、こうやって、っと」


<○> キュルルン♪


打止「おお……輝いて、る……?」

打止「あれ? どこ行くの? ってミサカはミサカは突然移動を始めた事に驚いてみたり」

一方「……あっちだ」

打止「あなたも見てないで追うの!」

一方「つーか何で動い……もォイイや」

打止「あ、いたいた、ってミサカはミサカははっけんなう」

打止「壁の方? ってミサカはミs ガガガガガガ 隠し通路だとぅ!?」

一方「あァ、アレか? 教えよォとしてたの」

打止「なんか夕日みたいだね、ってミサカはミサカは率直に感想を述べてみたり」

打止「あなたの瞳みたいにきれいだよ、ってミサカはミサカは加えて言ってみたりっ」

一方「……どォも」

打止「素直に喜ぶところでしょ、ってミサカはミサカはビシッと指摘してみたり」

一方「いや、それって喜ンでイイのか?」


161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/03(日) 00:31:45.98 ID:4Y1QYe6o0
<(大して面白くもないので)中略>


打止「あとはここだけかな、ってミサカはミサカはあの迷路の恐怖を思い出しつつ呟いてみる」ガチャッ

一方「作品が四つ……ギャラリーか」

打止「うーん、外れかなぁ。『大きな木の後ろ』ってどこだろう?」

一方「あンな手の込ンだハズレがあってたまるか」

打止「あー、それもそうだよねー、ってミサカはミサカは同意してみる。あれは怖かった」

一方「……もしかしてあれか? 大きな木」

打止「どれどれ? ってミサカはミサカは暗くてよくわからないのだよ」

一方「一番奥。一応木……だよな」

打止「っぽいねぇ? ってミサカはミサカはイマイチあっているか定かじゃなかったり」

打止「って事は、この後ろ側に……」

打止「あ、なんか光ってる」

一方「……指輪か?」

打止「これ、結婚指輪じゃない!? どうしてこんなところにあるんだろう……?」

一方「あァ、なるほど。なかなかのパズルじゃねェか」

打止「えっ、どういうこと?」

一方「さっきの場所を順に思い出してみろ。何があった?」

打止「えーっと、ここにきて保留にしてたのは一番初めの……あっ」

一方「返しに行けっつーことだろォな。行くぞ」

打止「……うん」

一方「これもアイツの仕組ンだことなのかねェ。何だってこンな」ブツブツ








打止「……結婚指輪、かぁ」



167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:58:46.94 ID:9G3Zgunf0

『この世の中には左手薬指にはめる特別な指輪があるらしいですよ、とミサカ一九〇九〇号はふと呟きます』

『指輪……ですか? とミサカ一三五七七号は一九〇九〇号へと問いかけます』



打ち止めは、少し前に妹達がこんなことを話していたのを思い出していた。



『はい、とミサカ一九〇九〇号は嬉々として続けます。この前看護師さんが言っていました!』

『左手でなければならない理由はあるのでしょうか、とミサカ一〇〇三九号は無関心を装って疑問を投げかけます』

『どうやら薬指には「聖なる誓い」という意味があるらしいですよ? とミサカ一〇〇三二号は一九〇九〇号より先に返答します』

『何故ミサカが言おうとした事を知って!? とミサカ一九〇九〇号は一〇〇三二号に疑問を提示します! ネットワークも寸断していたはずなのに!』

『どうせミサカ達を驚かせようという算段だったのでしょうが甘いな一九〇九〇号、とミサカ一〇〇三二号は鼻で笑ってみせます。

  ミサカもその話を聞いていたのですよ! とミサカ一〇〇三二号はこっそり聞き耳を立てていたことをここに白状します』

『一〇〇三二号、それは人間としてどうなのでしょう、と一〇〇三九号は懸念を表明します』

『それより現在重要なのは指輪の話でしょう、とミサカ一三五七七号は話の軌道を戻します!』

『そうですね。それでこのミサカが言いたいことは、その指輪を貰えたら勝ち組なのではないかということです! とミサカ一九〇九〇号はどどーんと宣言します!』

『あの少年から……、とミサカ一〇〇三二号は』

『考えが駄々漏れですよ、とミサカ一九〇九〇号は冷静に指摘します』



打止「……これが結婚指輪」

打ち止めは手にした少し大き目のリングをかざして観察した。
明かりが点滅しているせいでよくは見えないが、どこか神秘的なものを感じていた。


168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 15:11:56.53 ID:9G3Zgunf0
打ち止めはふと思いつきでそれを自らの左手の薬指にはめてみた。
サイズが合わずぶかぶかな状態だったが、打止は満足そうな笑顔になる。

打止(ミサカも大きくなったら”ケッコン”するのかなぁ)

打止(ミサカが大きくなったら……あの人と……)

と、打ち止めが想ったその時。


一方「おい」


ハッ と気づくと、一方通行が打ち止めの顔を覗き込むようにしていた。


打止「ふぁっ!?」


打ち止めはすっとんきょうな声をあげてしまう。


一方「体調が悪いって訳じゃあなさそォだな。どォした? 急に立ち止まって」

打止「な、なんでもない! ってミサカはミサカは顔の前で両手を振ってみたり!」

一方「……ふゥン?」

打止「ほ、ほら行くよ! ってミサカはミサカは照れ隠しに先だって歩き出してみたり!」

一方「顔赤いぞ」

打止「なんでもないのーっ!! ってミサカはミサカはニブいあなたに釘をさしてみるっ!!」


この場に番外個体がいなくてよかった、と打ち止めは密かに想うのだった。

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 15:26:11.97 ID:9G3Zgunf0
打止「はい、指輪返すね!」


打ち止めが指輪を丁寧にはめると、肖像画の花嫁と花婿は笑顔になり、
花嫁はどこからか花束をとりだしていた。

ポーン、とそれを無造作に投げる。

いろんな花がまざっているとてもきれいなそのブーケは額縁を通り抜けて弧を描き、
打ち止めの手の中にすっぽりと収まった。


打止「ふぉぉ……これがウワサに聞くブーケトスってヤツなのかも……ッ!!」

一方「あン?」

打止「知らない? 花嫁の花束を受け取った人が次に結婚できるって」

一方「あァ、あの根拠のねェ……気の持ち様だろ――って痛ェな! 蹴るンじゃねェ!」

打止「あなたの馬鹿ぁーっ!! ってミサカはミサカは乙女心のわからないあなたを蹴飛ばしてみたり!」

一方「このクソガキ……ッ あンなの迷信だろォが」

打止「くそぅ、ミサカも半信半疑だけどいいの! 気分なの! ってミサカはミサカは花束を握り締めてみたり!」

一方「あ、よせ。潰れる」

打止「ハッ! ってミサカはミサカは我に返ってみる」

一方「……はァ」

打止「ていうか、どうしてお花の心配したの? ってミサカはミサカは冷静になって考えてみる」

一方「あァ、さっきのヤツにやるからさ」

打止「…………、」

一方「…………?」

打止「……え?」

一方「あン?」

打止「お花、あげちゃうの?」

一方「あそこ以外に進めそォな場所あったか?」

打止「うーん……」

一方「ねェだろ?」

打止「……、ない」

一方「そォいう事だ」

打止「ぐぬぬっ」

一方「残念だが諦めろ。本物の花束、見れなくなるぜ?」

打止「くっそぅ……わかった、ってミサカはミサカは渋々頷いてみる」

170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 15:33:40.48 ID:9G3Zgunf0

一方「ほらやるよ。さっさと退け」


『えへへへ ありがとう…… きれいだなあ…………えへへ』

『それじゃ いただきます』


打止「!?」

一方(即死罠(トラップ)かよ……危ねェな)



『あー おいしかった えへへへ』

『約束だからね ここ通すよ』


打止「あれ、約束なんてしてたっけってミサカはミムグ」


『このドアで 奥に行けるよ』


一方「……今度はアイツ出てきたりしねェよな?」

打止「しないしない、ってミサカはミサカはあれは夢だって言ってみる」

一方「そォだな」


ガチャリ



打止「……うわ、ってミサカはミサカは絶句」

一方「あーあァ……」


開けた先には、マネキンの首だけが無数に転がっていた――

178: ◆hdSJbJZZTU 2013/02/28(木) 23:30:42.27 ID:jtZ9RsC10
一方「趣味悪ィな」

打止「これは……本当……、ってミサカはミサカはげんなりしてみたり」

一方「どっから集めたンだよこンな数。割と精巧に作られてやがるし」

打止「それはちょっと注目してる場所違わないかなぁ、ってミサカはミサカは力なく突っ込んでみたり」

一方「大丈夫か?」

打止「う、うん……なんとか、ってミサカはミサカは強がってみる」

一方(……やっぱり大分堪えてきてるか……無理もねェな、こンな訳わかンねェ空間なンだし)

一方(全く、綺麗に整列させンなっつーの。見られてるみたいで気色悪ィ)

179: ◆hdSJbJZZTU 2013/02/28(木) 23:42:55.40 ID:jtZ9RsC10
一方「何だ? 同じよォな絵ばっかじゃねェか」

打止「……ッ!!?」

一方「違うのは服の色だけか。妙だな、変に多すぎる気がするンだが……」

一方「オマエはどォ思――、って早いなおい」

打止「えーっと、あなた? 早く行こうよ、ってミサカはミサカは苦笑い」

一方「あン? そォしてェのはやまやまだけどコレ何なンだよ。理由もなくこの量があるっつーのはねェだろ?」

打止「……だって、ってミサカはミサカは口ごもってみたり」

一方「それともオマエ、何か知ってンのか?」

打止「……えっとね? 多分それ――



ガタッ


    ―――動くよ、ってミサカはミサカはあなたの後ろを指さしてみる」

一方「……は?」

一方「何だと!?」

打止「やっぱり動いたぁ!! ってミサカはミサカは叫んでダッシュしてみる!!」

一方「やっぱり!? オマエ今やっぱりっつったかクソガキ!」

打止「前もおんなじ絵があったような気がしたんだけど同じだったよおおおおおおおおおおお!! ってミサカはミサカは振り返れないであなたに報告してみる!」

一方「オマ……ッ! そォならそォと早く言いやがれクソッたれェ!」


180: ◆hdSJbJZZTU 2013/02/28(木) 23:56:40.75 ID:jtZ9RsC10

打止「……撒いたか、ってミサカはミサカはほっと一息」

一方「疲れた……走るっていつぶりだよ」

打止「そうそうそれでね、ってミサカはミサカはすこし冷静になってあなたに状況説明を始めてみたり」

打止「どうやらああいう絵の女? 達は扉を開けることができないらしく、花占いがとても好きとの事です、ってミサカはミサカはさっきの本で見た内容を大まかに要約して報告してみる」

一方「あァそォ……だから、もっと早くに言えって……」

打止「……あなた、見た目通りモヤシ並の体力なのね、ってミサカはミサカはへばってるあなたにエールを送ってみたり」

一方「うるせェ……余計なお世話だ、クソガキが」ゼハー

打止「それじゃあやっぱりミサカが先導していくしかないな! ってミサカはミサカは意気込んでみたり!」

一方「危なっかしいから止せ……」

打止「えーっ 大丈夫だよ、ってミサカはミサカは口をとがらせて抗議してみる」

一方「それより」

打止「それより!? ってミサカはミサ」

一方「その扉、開くか?」

打止「せめて最後まで台詞を言わせてよ、ってミサカはミ――いや、なんでもないです。開かないよ、なんか張り紙があるね」

打止「『女の数を数えろ』だってさ、ってミサカはミサカは『女』に心当たりが一つしかなくて」

一方「いや、多分オマエの思ってる通りだと思うぜ?」

打止「……やっぱり、あの絵? ってミサカはミサカは恐る恐る尋ねてみるんだけど」

一方「だろォな」



打止「あの動いているのは数に含めなくていいよね、ってミサカはミサカは提案してみる」

一方「そりゃ無理だと思うけどなァ」

打止「あれは絵じゃないよ、ってミサカはミサカは身震いしてみたり」

一方「……わかったわかった。じゃあオマエはアレを抜かして数えて、俺がアレを含めて数える。それでイイな?」

打止「ふふん。ミサカの方が正しいよ、きっと」

一方「はいはい」

181: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/01(金) 00:04:36.93 ID:9u7Rbqln0

一方「さて、いくつあった?」

打止「13!」

一方「14」

打止「まずはミサカの方からね、ってミサカはミサカはパネルを操作してみる」

打止「っていうかアレを絵だって認めるのはなんだか間違ってると思うの、ってミサカはミサカは絵は動かないっていう定説を」

一方「念動力系の能力者に弄られてるよォなヤツの台詞だな」

打止「くっ! 大体西洋人形とか絵とか某貞子とかなんで日常にありふれてるものを題材にしたがるの! ってミサカはミサカは地団太を踏んでみたり!」

一方「西洋人形って日常にありふれてるか?」

打止「細かい事は気にしないの! えっとー、13っと」





一方「……何もねェな」

打止「ありゃ?」

一方「14で正解だったって事だ」

打止「ええーっ!!?」

一方「つーか出題者がこの世界の人間なンだからそりゃあこォなンだろ」

打止「そんな馬鹿な……ッ!!」

一方「良いからさっさと入力しろ。赤い服のアレに見つかンぞ」

打止「ハッ! ってミサカはミサカはあわてて入力を再開してみたり!」

182: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/01(金) 00:20:02.12 ID:9u7Rbqln0

一方「……何もねェな。休憩室って事にしておくか」

打止「殺風景だね、ってミサカはミサカは部屋の中を物色してみたり」

一方「なンか手がかりになるよォなモンがあるかもしれねェな」

打止「あるといいなぁ、ってミサカはミサカは期待してみる」


*


一方(張り紙か……ところどころ掠れて読めねェな。


『作品には お手を触れぬよう お願いいたします。
 万が一 備品や作 に何らかの 害を与えた場合は
 あなた  を持   賠 させ   ます』


    空白が気になるが……、大体わかるぜクソが)

一方(つーか、襲ってきたモンをぶっ壊すのは正当防衛だと思ってたけど……それもタブーか? 理不尽なルールだぜ)

一方「どっかのメルヘン野郎じゃねェンだからよォ……常識が通用しねェなンざ遠慮してェな」

打止「空白だらけでわからん、ってミサカはミサカはお手上げのバンザイ」

一方「……知らなくてイイ事もあるンだよ」

打止「要は作品に触れるなって事だよね? ってミサカはミサカはやっぱりここも美術館なんだなぁって再確認してみる」

一方「あァ。そォいう事だ」


*


打止「なんか本あるかなー、ってミサカはミサカは背表紙で面白そうな本を探してみたり」

一方「適当だな……」

打止「あ、これ。『楽しい毎日』だって」

打止「……また絵本かなぁ、ってミサカはミサカは苦笑いしてみたり


『美術館は ちょっと不気味な遊園地
 おかしなものが たくさんあるよ』


    むしろおかしなものしかないよね、ってミサカはミサカはあなたに同意を求めてみたり」

一方「つーかオマエ『また』ってどォいう」

打止「よーし続きいこう。


『ここで遊んでいると
 あっという間に一日が終わってしまうの』


    そんな事はないと思うなぁ、ってミサカはミサカに美術館の面白さはわからんのだよ」

一方「これなンか形違わねェか……」

打止「あなたは聞いてないし、くそぅ。


『とっても素敵でしょう?



 だからあなたもここにいれば?』



    …………えっ?」

183: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/01(金) 00:30:58.51 ID:9u7Rbqln0



『大丈夫 みんなが いるから』



打止「……ここで終わってる? なんなんだろうこれ……」

一方「あァ、押せるのかこれ」

打止「それであなたはさっきから何をやってるの、ってミサカはミサカは本を置いて問いかけてみたり」

一方「押せた」

打止「ほう?」

一方「多分どっかの鍵が開いたンじゃねェか? 音はしてねェが」

打止「おおっ!!」

一方「……開いてねェかもしれないけど」ボソッ

打止「行ってないのはここを出て右側だっけ、ってミサカはミサカは確認してみる。

    そっち側を探索だ! ってミサカはミサカは腰に手を当てて宣言してみたり!」

一方「おォ」

打止「もう動かなければいいなぁ、ってミサカはミサカはかなわない願いだと思いつつも願ってみたり」

一方「叶わねェだろォなァ。むしろ逆に増え」

打止「ぎゃーっ!! それ以上は言わないでーっ!! ってミサカはミサカは逃げるように外に出てみる!」

一方「冗談だよ」

打止「冗談にしては笑えないから! ってミサカはミサカは半泣きで―――、っとぉ?」

一方「あン?」

打止「さっき、ここに この首だけのヤツってなかったよね?」

一方「なかった」

打止「だよね。一体どうして……」

一方「アイツが置いたンだろ。そいつが勝手に動き出すはずも……ないとは言えねェが……」

打止「待ってあなた不安になるような事を言わないで、ってミサカはミサカは懇願してみたり……」

一方「動くかもな」

打止「ぎゃーす!!」

一方「とりあえず行くぞ。いつまでもそいつにかまってられねェ」

打止「……そうだね、ってミサカはミサカは頷いてみたり」

184: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/01(金) 00:44:55.14 ID:9u7Rbqln0
打止「あ、ここだ!」

一方「そう遠くもなかったな。絵も動いてねェし」

打止「うんうん、本当に良かった、ってミサカはミサカは息を吐き出してみたり」

一方「安心するには早いけどな」ガチャッ


打止「ふぉぉ、また何もない、ってミサカはミサカは見回す事もしなかったり」

一方「奥に鏡があるだけか」

打止「なんか意味ありげだよねー、ってミサカはミサカは名探偵ぶって顎に手を当ててみたり」

一方「『迷』探偵の間違いじゃねェの」

打止「活字でしか通用しないネタはいらないから! ってミサカはミサカは失礼な発言にムッとしてみたり」

一方「失礼ねェ。ま、どっちでもいいンだけどさ」


打止「うーん。何ともないよ? ってミサカはミサカは普通に映ってる事を確認したり」

一方「普通……普通だな」

打止「あなた、疑心暗鬼になってないかしら、ってミサカはミサカはあなたの顔を覗き込んでみる」

一方「気のせいだ」

打止「うんうん、まあこんな世界だしそうなるよね、ってミサカはミサカはひとり納得してみたり」

一方「おい待て誰が」

打止「ミサカに任せなさいっ! ってミサカはミサカは結局それが言いたかったんだけどあなたは任せてくれなさそうなんだもん!」

一方「うるせェな、オマエもォ何言ってンだかわかンねェぞ」

打止「いいの!! なんでもいいの!!」

一方「イイ訳あるか」

打止「弱気なあなたの一面がみたいの! ってミサカはミサカはたまには頼ってほしいっていう」

一方「うるせェな、寝言は寝て言え」

打止「ひーどーいーっ! ってミサカはみさかはあまりにもいつも通りすぎるあなたの背中をぽかぽかしてみたり」

一方「あーもォうるさいなオマエ……は?」ピタッ

打止「うわ!? どしたの、突然立ち止まって」

一方「……塞がれてやがる」

打止「え? あ、本当だ。邪魔だね」

一方「固定されてるし……いつの間に?」

打止「他に行く場所あったっけー、ってミサカはミサカは思案してみたり」

一方「あの鏡くらいだな」

打止「そうだよねー、ってミサカはミサカはもう一度調べる事を提案したり」

一方「つーかアレしかねェしな。忍者屋敷みてェな仕掛けになって……ねェか」

打止「回転扉って一度はやってみたいよね、ってミサカはミサカはふと呟いてみたり。こう、クルクルって」

185: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/01(金) 01:00:52.40 ID:9u7Rbqln0

打止「っていうか、最初からもうちょっと調べておけば二度手間じゃなかったのにねー」

一方「そォだな」

打止「さてさて、どんな秘密が隠されているのかな! ってミサカはミサカは名探偵モードッ」

一方「割るか」

打止「いや、さすがにそれは危ないんじゃ……っていうかどうやって割るのあなた」

一方「思いつきだよ深く気にするンじゃねェ」

打止「むむ、そうやって考えもなく言っちゃうのは悪いところかもだよ? ってミサカはミサ」

一方「杖使えば割れるだろ。伸縮性嘗めてンじゃねェぞ」

打止「……一応考えはあったんだ、ってミサカはミサカはあきれ顔」

一方「一応、な」

打ち止めと一方通行は結論としてもう一度鏡で見る事にした。
そこに映し出されていたのはさっき見たときと変わらない姿。
白い最強の少年と活発な希望の少女。




そして、もうひとつ。
距離的に映し出されるはずのない、マネキンの首が映されていた。




「……え?」

その言葉はどちらが発したものだったか。

先に振り返ったのは一方通行だった。
彼の視点の高さなら、振り返れば正面に扉が見える。

だが、そこにあったはずの首はどこにもなく、
少し視点を落としたそこに移動していた。


打止「な、なんで、それ……っ!?」

一方「……さあ、な」


分かりやすい反応を示した打ち止めとは対照的に、一方通行は黙って息を吐いた。
愛想が尽きたとか、いちいち相手にするのが面倒だとか、そうではない。
感情の波が至極平坦なものへと変化する。

張り紙の内容すら。頭から離れてしまう。

無機のはずのモノを見る目は冷たく、路上の虫をみているようで。

空いている左手が首元に伸び、カチリと小さく音をたてた。

終始無言。
最早それが一方通行の意思なのかもわからない。
別な誰かの意思がみてとれた、ような気がする。

だが、やろうとしているだろう事は打ち止めにもわかった。

対象の破壊。
リスクの高い能力の行使をしてまで、成し遂げようとしているのだ。

196: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/02(土) 07:30:30.56 ID:QMvy4s0Y0

打止「あなたっ!!」


打ち止めは叫び、一方通行に抱きつくことでその動きを封じた。
”反射”は打ち止めには適用されていない。
一方通行の瞳に光が宿る。


打止「どうしたの、大丈夫!? ってミサカはミサカは不安げにあなたを見上げてみたり……っ」

一方「……、何だ今の……」


一方通行は頭を押さえ、ぽつりとつぶやいた。
打ち止めが疑問の声をあげるが、一方通行はただ首を振る。

打ち止めの疑問はますます増えるばかりだ。


一方「……なンでもねェ」


自分を納得させるように彼は言った。
打ち止めは一方通行に抱きついたまましばらく考え、


打止「本当に? ってミサカはミサカは怖々と確認をとってみる」

一方「……あァ」

打止「よかった、ってミサカはミサカは未だにちょっと不安だけど安堵してみたり。

    なんていったらいいのかな……あなたじゃないみたいだったから、ってミサカはミサカは思い起こしてみる」

一方「……っ」


一方通行は打ち止めの言葉に苦しげに目線をそらした。
打ち止めは気づかないフリをして明るく言う。


打止「気を取り直してゴーだね! ってミサカはミサカは微笑んでみる。これで部屋の外にも出れるし」


打ち止めは一方通行から離れ、笑顔を投げかける。
そして先立って扉へと向かった。

197: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/02(土) 07:38:05.47 ID:QMvy4s0Y0

一方通行は静かに電極のスイッチを切り替えた。
こめかみのあたりにチリチリとした痛みを感じる。
やはり能力は使えそうも無い、と判断する。


一方(……『使えそォもねェ』はずなンだがな)


自分でした行動を覚えていないとか、そうではなく。
彼はちゃんと覚えている。

その上で、理解ができない。
いつもなら”反射”をしている誰かの意図があったとしか。

一方通行は固定されて動かない――動かせないマネキンの首を見て、思う。


一方(あれは、何だったンだ?)


ソレと目が合った時に一瞬だけ垣間見えた光景を思い出す。

どこまでも白く、上も下もないような風景。
そこに自分しかいないような、孤独を。


一方(ロシアで見た雪原にも似ていたが……違ェか。雪じゃねェな)


これから紡がれていくだろう世界の始まりのような『白紙』の空間――、そんな印象があった。
それが何なのか、と問われれば答えることはできないだろう。

一方通行は夢だったのだろうと結論付け、打ち止めの許へと歩き出した。

198: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/02(土) 07:58:57.63 ID:QMvy4s0Y0

打止「うわ増えてるし、ってミサカはミサカは赤だけじゃない女の絵が這いずり回ってる光景に恐怖を感じてみたり」

一方「シュールだな」

打止「なんで増えるかなー、ってミサカはミサカは文句を言ってみる。通じないだろうけど」

一方「……ゴキブリじゃねェンだから」

打止「ぎゃああああああああああああ!! そっちはそっちで怖いからやめろおおおおおおおおおおお! ってミサカはミサカは突然な現実に耳をふさいでみたり!!」

一方「カサカサ言い出したら本当に終わりだよな、こいつら」

打止「言わない言わない、ってミサカはミサカは断言してみる! ならないからね!」

一方「カサカサいう村人はいるけどな」

打止「こらこら、ってミサカはミサカはやちょっとおしゃべりなあなたを牽制してみたり!」

一方「そォかね」

打止「そうだよ! ってミサカはミサカはGの恐ろしさを知らないあなたがちょっと羨ましかったりするんだから!」

一方「見たこともねェからなァ」

打止「ミサカも直接は見た事ないけど感覚共有とか記憶共有とかでミサカネットワークに情報が流れてきたときなんかはもう辛いんだからね! ってミサカはミサカは愚痴ってみたり! ネットワークで大混乱だからね!? ってミサカはミサカは指令塔としての役割を」

一方「あ。おい、あれ」

打止「スルー!? ってミサカはミサカは話を中断された事にむっとするけど一応指示されたほうをみてみる」

一方「鍵……と、緑のG」

打止「もうGはいいから!! ってミサカはミサカはそういえばゲルテナ展の入り口にあったポスターもGだったようなってふと思い出してみたり」

一方「チッ」

打止「……今舌打ちしたよね? ってミサカはミサカは追求してみたり」

一方「気のせいだ」

打止「気のせいじゃないもん! ってミサカはミサカは白々しいあなたに嘆いてみたり!」

一方「それはそォと、あの鍵どォやって盗るンだ?」

打止「あなた、『取る』んだよ、ってミサカはミサカはささっと行ってささっと取って戻ってくる作戦を」

一方「……イイけど、オマエがやれよ」

打止「えええええええええええ!?」

一方「俺走れねェし、走れたとしても遅ェンだからよ」

打止「……なるほど、どう足掻いてもミサカが行くことになるのか、ってミサカはミサカはがっくり肩を落としてみる」

一方「ま、そォいうことだ」

打止「……くそぅ! こうなったらミサカの本気を見せてやるのだ! ってミサカはミサカは駆け出してみたり!!」

199: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/02(土) 08:08:41.17 ID:QMvy4s0Y0







打止「取ってきた、ってミサカはミサ、カは息を切らせて戻ってきたり」

一方「ご苦労さン。あとはコイツを使う場所だが……」

打止「緑の女を撒くときに、扉、見つけたよ、ってミサカはミサカは、報告してみたり。多分さっきのが、うろついてるけど」

一方「とりあえず深呼吸しとけ。その先か、なンとかなるだろ……多分」

打止「はぁー……うん、なんとかなるかもしれないけどあの緑色の、早かったよ」

一方「早……、なンだよ奴らも進化してンのか?」

打止「かもね、ってミサカはミサカは思案してみる」

一方「それでも行くしかねェ……か」

打止「大丈夫だよ、あっちから回れば多分いけると思う、ってミサカはミサカは指差してみる」

一方「遠い道が正しい、ってか」

打止「時間制限つきとかじゃないから大丈夫だよ、ってミサカはミサカは安心させてみたり。

    それではしゅっぱーつ」

一方「……だり」

200: ◆hdSJbJZZTU 2013/03/02(土) 08:21:02.58 ID:QMvy4s0Y0

一方「あァ、これか」

打止「ここって行ってないよね? ってミサカはミサカはいまさらながら確認を取ってみたり」

一方「まだだな。待ってろ今あける」

打止「うん、出来れば早くしていただきたいかな、ってミサカはミサカは緑色のを横目で確認しながら切に願ってみたり」

一方「急かすな」

打止「そうはいってもそこの角曲がったらすぐ直面する距離なんだもの、ってミサカはミサカはあなたの服を引っ張りつつ告げてみる」

一方「大丈夫だって。すぐ開ける……、っと」

打止「開いた? ってミサカはミサカはあなたより先に部屋に突入したり」




打止「そこまで広いって訳じゃないね、ってミサカはミサカは首を傾げてみたり。さっきまでとは違うかも」

一方「部屋、って感じだな。椅子もあるし」

打止「……ねえ、あなた。気づいてる? ってミサカはミサカは奥の壁を見てみたり」

一方「あれだけ大きいンだ、気づかねェ方がおかしいだろ」

打止「だよね、ってミサカはミサカは困ったように苦笑してみる」
















打止「――あれ、ヨミカワとヨシカワの絵じゃない? ってミサカは……」

一方「……あァ」


213: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/05(金) 18:47:57.83 ID:gYvnoeHM0

打止「どうして二人の絵が……ってミサカはミサカは手を口元にあてて驚きを露わにしてみたり」

一方「クソ、知るかよ。ゲルテナって野郎じゃねェだろォしな……」

打止「……二人とも、無事かなぁ、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみる。どこにいるんだろうね」

一方「あいつらの事だ。そォ簡単にくたばりはしねェだろ」

打止「うん……そう、だよね、ってミサカはミサカは頷いてみたり」


一方(……とはいえ、もし俺達と同じよォにココにいるンだろしたらどォなっててもおかしくねェな……俺達の知ってる常識なンてちっとも通用しねェし……急がねェとな)

打止「大丈夫だよ、きっとどこかにいる! ってミサカはミサカは顔を曇らせたあなたに向けて言いきってみたり! んで、きっとミサカ達を待っててくれているはず!! ってミサカはミサカはさらに推測で語ってみる!」

一方「……芳川あたりはバテてそォだな」

打止「ハッ! なら尚更急がなきゃだね! ってミサカはミサカは急いては事をし損じるけどそんなの今は関係ないよね!」

一方「……あァ、長居は無用だな。何もねェよォだし、さっさと―――」


ガチャガチャッ


一方「―――あン?」

打止「開かない!? ってミサカはミサカは動揺したり……っ! 鍵はしてないよね!?」

一方「……違ェな、扉の向こうに何かいる。塞がれちまったっつー事か……

    チッ、袋の鼠ってヤツか? 気をつけろ、打ち止め」

扉<バンバン!!

打止「ひぃぁっ!!? う、うん! ってミサカはミサカはしっかりとあなたの後ろで警戒モードに突入してたりっ!

    でも、この叩くパターンどっかで聞いた事あるような……?」


一方「言わなくても候補なンざ一つしかねェだろクソガキ」

一方「……ッ、後ろ!」



「 薔薇チョウダイ☆ 」 「 羨まシイわ 」 

「 花占いさせテよ 」 「 アハハハハハ! 」



一方「チッ、数が多い……ッ!?」

打止「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! ってミサカはミサカは目の前の半トラウマシーンに絶叫してみたりぃぃぃいいいいい!!」

214: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/05(金) 19:11:11.46 ID:gYvnoeHM0

一方「おい打ち止め、走れるか?」

打止「な、なぁに!? ってミサカはミサカはパニック状態の頭をなんとか動かして肯定したり!」

一方「こいつらが出てきた場所から逃げるぞ。そこくらいしか逃げ道がねェ!」

打止「う、うんっ!」


――


一方「それにしてもどォなってンだよ、いくら何でも多すぎだろ」

打止「あ、部屋! どこかに扉のあるトコロは!? ってミサカはミサカは『絵の女は扉を開けない』って事を思い出してみる!」

一方「……駄目だ、こいつは両方とも開かねェ。あとは二つ……鏡のところともう一つ通り過ぎたヤツがあるな。

    それでどっちも開かなかったらチェックメイト、か」

打止「でもまだ終わってないよ! ってミサカはミサカはまだ希望はあるって進言してみたり!」

一方「あァ、わかって―――ッ!? 打ち止め!!」

打止「えっ? ってミサカはミサカは問い返してみる」


「 綺麗な薔薇ね 」


打止「あ…………っ!!? いつの間に、」

一方「チッ、クソッたれ!」


「 私に―――ッギャアアアア 」


打止「つ、潰れた……? ってミサカはミサカは薄目で確認してみたり。どうして」

打止「この杖、あなた!?」

一方「……別に、紫外線そのほかにあててた演算領域を平衡感覚に回しただけだ。思いついたのはさっきだが」

打止「そんな事して大丈夫なの? ってミサカはミサカは助けてくれた礼よりあなたの身を案じてみる」

一方「早く行くぞ。長時間保てる訳じゃねェンだ」

打止「う、やっぱり無理して……って、そんな事言ってる場合じゃないか! ってミサカはミサカは迫りくる絵の女を横目で見つつ走り出してみたり!!」


一方「開いてる……だと? 誘われてンのか」

打止「あなたよくそんな余裕あるね、ってミサカはミサカはあきらかにミサカより運動能力は低いのに冷静なあなたに脱帽したり!

    もうそれしかないんだってば! ってミサカはミサカは加えて告げてみる!!」

一方「……チッ、賭けるしかねェか!」




 ・
 ・
 :

バタンッ!!

215: 【 ◆/oGdXn7Bgn6C 2013/04/05(金) 19:17:55.11 ID:gYvnoeHM0

一方「ハァ……ッ、ここまで来りゃあ……」

    つっ……かれたァ……」

一方「罠っつー訳でもなさそォだな。変な絵が飾ってはあるが……」

一方「ま、少し休ンですぐ先に……

    ってオイ?」

打止「…………」パタリ

一方「!? おい、打ち止め!」

   「クソッ、どこか休めるよォな場所は……!?」

216: すまん何かを間違えた ◆hdSJbJZZTU 2013/04/05(金) 19:25:07.96 ID:gYvnoeHM0

【夢】

何も見えない真っ暗闇。
そこに私は独りで彷徨っているの。

誰もいなくて、何も見えなくて、
怖くて、寂しくて、泣いて……
でも、助けは来ないの。

捨てられたのかな。
私、ずっとここにいるのかな。

帰りたいなあ。
思ってたのと全然違うや。

独りは、嫌だなぁ……















打止 ハッ

一方「あァ、起きたか」

打止「あれ、ミサカ……」

一方「倒れた。こンな事態だし仕方ねェよ。調子は?」

打止「そっか……大丈夫、ってミサカはミサカは笑いかけてみる」

一方「ならイイ。少し休ンだら行くぞ」

217: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/05(金) 19:35:00.60 ID:gYvnoeHM0

打止(さっきの……夢、だったんだよね)

   (なんだったんだろう……怖かったな、何もなくて……)

   (ミサカにはあの人がいるけど……大丈夫だよね)

   (独りには……なりたくないな)


一方「あ。そォだオマエ」

打止「なぁに? ってミサカはミサカは本棚越しにかけられた声に応じてみたり」

一方「これ、どこで拾ったンだ?」

打止「ああ、あなたとはぐれたところだよ。落ちてたの、ってミサカはミサカは思い出してみる。

    あなたの落し物かなーって思ったの、ってミサカはミサカはついさっきまでそれを忘れていたなんて言えない」

一方「俺の、ねェ……」

打止「あれ? 違うの?」

一方「ちなみにオマエは、もしこれが俺のだったとして何に使うと思うンだ?」

打止「……うーん?」

一方「適当だったのかよ。そンな事だろォと思ったが……

    こいつは俺が持っておくぜ。危ねェし」

打止「りょーかい、ってミサカはミサカはビシッと敬礼してみたりっ」



打止(うん、大丈夫だよ! ってミサカはミサカは元気を取り戻してみる!)

224: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/19(金) 16:43:50.61 ID:b8A05z1C0

一方「さて、行くぞ」

打止「ちょっとゆっくりしちゃった気がするね、ってミサカはミサカはうーんと伸びをしてみたり」

一方「休息は大事なンだよ。特にガキにはな」

打止「む、なんだかものすごく馬鹿にされた気がする、ってミサカはミサカはジト目であなたを見てみたり」

一方「気のせいだろクソガキ」

打止「ぐぬぬ……ッッ!!」

一方「どォでもイイから早くしろよ。置いていくぞ」

打止「あ、待ってよ! ってミサカはミサカは慌ててあなたを追いかけてみる!」


225: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/19(金) 17:39:02.55 ID:b8A05z1C0

一方(雰囲気が変わった……?)

打止「うわぁ……また鏡だ……、ってミサカはミサカはげんなりしてみる」

一方「何もねェよ。スルーだこンなモン」

打止「本当に何もないよね、ってミサカはミサカは引き続き警戒してみる」

一方「映らねェよ。あンなの二度も三度もあってたまるかっつの」

打止「そうなんだけどねー……、ってミサカはミサカはちょっと前の謎のマネキンを思い出してみたり」

一方「知らねェよ」

打止「とりあえずそこかな? ってミサカはミサカは目前の扉を指差してみたり」

一方「多分」

打止「ねえねえなんでこう殺風景でしかないの? ってミサカはミサカは肩を落としてみたり」

一方「俺が知るかよ」

打止「あ、本棚ー、ってミサカはミサカは情報収集」

一方(切り換え早ェな……)

226: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/19(金) 18:20:17.96 ID:b8A05z1C0

打止「んー、なんかないかなー」

一方「……ねっみ」

打止「あれ? なんかこの本、二重でカバーがかかってる、ってミサカはミサカは手にとって見たり」

一方「あン?」


『私はその ?めかしく
  美しい??に 指を?らせ……

 
一方「!? ちょっと待て」

打止「ん? ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」

一方「オマエ、その本三秒以内に元に戻せ」

打止「えー!? まだ何もみてないのに、ってミサカはミサカは講義してみる」

一方「うるせェガキ。寧ろ何も見るな」

打止「ええー」

一方「そォいうのはオマエが番外個体以上になってからな」

打止「うーん…… じゃあ帰ったら番外個体に聞いてみようかな」

一方「止めろ、それだけは絶対止めろ。フリじゃなくてやるな」

打止「??」

一方「……ああいうのは俺らの領域だろォがよ、全く……」








打止「じゃあ あの絵?」

一方「『決別』だったか。何がどう決別なンだかさっぱりだがな」

打止「不吉な題名ってのはかなり伝わってきたよ、ってミサカはミサカはあなたにしがみついてみr


フッ


打止「ぎゃあああああああああああああ!!!! 何 停電!? ってミサカはミサカは大パニック!!」

一方「オマエ仮にも『発電系能力者』だろ? 電気つけろよ」

打止「ミサカのは一瞬すぎて意味ないと思うけどいいの!? ってミサカはミサカは手に力をこめてみたりっ」

一方「引っ張るな。 じゃあさっきのライターでも使ってみるか」


シュッ
                       ゴォォォオオオオオオオオオオオオ


打止「……へ?」

一方「なンだ、この文字……」




『たすけて』                                           『いやだ』


                       『やめて』


         『しにたくない』                   『こわい』

228: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/19(金) 18:31:48.20 ID:b8A05z1C0

一方(本当 キツイな……精神的に)

打止「あなた、見て! なんか足跡みたいなのが」

一方「部屋の外に通じてる…… あいつか?」

打止「わかんないけど、行こう! ってミサカはミサカは追跡開始!」

一方「早ェよクソガキが……」  ガチャッ

   「っと…… あっちか。赤い足跡だが血痕って訳じゃあなさそォだな」


   「ン……? 何だ 今なンか―――」









『火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁火気厳禁――――』










一方「……本当、止めろよな」

打止「あなた、こっちこっち! 何してるのー? ってミサカはミサカはちょっと足の遅いあなたに呼びかけてみる!」

一方「……なンでもねェよ」



229: ◆hdSJbJZZTU 2013/04/19(金) 18:48:12.32 ID:b8A05z1C0

打止「こっちに続いてるの、ってミサカはミサカはようやくあなたに説明出来たのだよ」

一方(さっきはなかった通路……)

打止「あなたも合流したし、これで気兼ねなく先にいけるぜ、ってミサカはミサカは突発的に駆け出してみる!」

一方「走るなよ、どっからそンな元気が出てくるンだオマエは」

打止「えー、テンションの差じゃないかね? ってミサカはミサカはなんとなくドヤ顔でマジレスしてみる」

一方「……あァそォ。転ぶぞ?」

打止「へっへーん、そんなことないもんねー ってミサカはミサカは得意満め」


「わっ!?」


打止「うわっ!?」

一方「ほら言わンこっちゃね……ェ……?」

打止「いったた…… あ、ごめん! 大丈夫!?」


「う、うん……」


打止「あれ……もしかして、あなた 美術館にいた人じゃないの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」


「あ……!」


打止「やっぱり! ミサカは打ち止めっていうの! で、この人が一方通行! ってミサカはミサカは二人分の自己紹介をまとめてみたり!」

一方(……こンな小さいヤツ、いたか?)

打止「ミサカたちね、なんか気づいたらここに迷い込んでて…… 今出口を探してるんだけど、あなたもそうじゃない? ってミサカはミサカは同意を求めてみたり。でね、よかったら一緒にって痛ぁ!? なんでチョップしてくるのあなた! ってミサカはミサカはどっちのあなたなんだかもう区別がつかなくなってきたり!?」

一方「図々しすぎる。っつーか節操持て」

打止「だって、おんなじ人がいるんだよ?」


「わ……わたしも 誰かいないか 捜してたの……」


打止「ほら!」


「外に出たくて…… それで……」


打止「ね、一緒においでよ! 一人じゃさびしいでしょ? それにみんなでいたほうが心強いし!」

一方「騒がしくなるだけだろォが……」


「うん 行く………!」


打止「決っまりー! ってミサカはミサカは高らかに宣言してみたり!

    あ、そういえば名前聞いてなかったね、ってミサカはミサカは今更気づいたり」


「私? 私は………」





メアリー「メアリーっていうの よろしくね!」





238: 酉って小文字は別物で考えられるんでしたっけ ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 16:39:27.99 ID:Xr3/jVPK0

打止「あなたも薔薇を持ってるんだね、ってミサカはミサカは指摘してみる」

メアリー「うんっ! ほら 黄色の薔薇!」

打止「へぇー、キレイだね! ってミサカはミサカは率直な感想を述べてみたり!

    ミサカは赤いのだよ! ってミサカはミサカは対抗してミサカの薔薇も取り出してみたり」

メアリー「ラストオーダーの薔薇も すっごくキレイだね!」

一方(うるせェなこいつら……)



打止「くそぅ、また鍵が必要なのか、ってミサカはミサカは鍵なしで開くことを期待して扉をガチャガチャしてみる」

メアリー「あっちにも道があったから そっちかも」

打止「ハッ!! ってミサカはミサカはわざとらしい反応をしつつ駆け出してみたり!! 善は急げだ!」

メアリー「あ、待って!」

打止「あなたも早く! ってミサカはミサカは急いてみたり!」

一方「ふざけンなクソガキ共」

メアリー「アクセラレータが遅いのが悪いの! ねっ」

打止「うーむ、まあ仕方ないっちゃあ仕方ないんだけどね、ってミサカはミサカは一応あの人の肩を持ってあげたり」

メアリー「むぅ 早く進みたいのに」

打止「それもそうなんだけどねー、ってミサカはミサカも同意してみたり

    とりあえず一緒に行こう! ってミサカはミサカは提案してみる」

一方「何の手がかりもねェ訳だしな。アイツ以外」

メアリー「あ、追いついた」

打止「ようし、じゃあ次だ! ってミサカはミサカは勢いよく扉を開いてみたり!」


239: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 17:03:08.83 ID:Xr3/jVPK0
【注意書き】打ち止め視点です。

--------------------------

その部屋には、たくさんの『ウサギ』の置物がおいてあった。
陶器なのかもしれないくらい、硬い。

奥の一際大きな絵には、『赤い目』とタイトルが記してあった。


一方「……うわ、なンだよここ」


ミサカとメアリーよりワンテンポ遅れて入ってきたあの人が言う。
それほどまでに『ウサギ』が嫌いなのだろうか。


メアリー「どうしたの?」

一方「別に……趣味悪ィなって思っただけだ」

メアリー「そうかなぁ…… 可愛いでしょ?」


メアリーは無垢な笑顔で言うが、あの人はあからさまに嫌そうな顔をした。


一方「正気かよ。俺はそォは思えねェな」

メアリー「可愛いよ!! この赤い目とか!」

一方「そォかァ……?」

メアリー「こっちを ジッと見つめてくる感じとか!」

一方「監視されてるみたいだとは思わねェンだな」

メアリー「え? どうしてそう思うの?」

一方「……、俺だけなのか?」

メアリー「四六時中一緒にとかなったらつらいかもしれないけど」

一方「つーか、赤い目なら他に何かあったろォに……」

メアリー「それ 自分のこと言いたいの?」

一方「違ェよ。俺がナルシストみたいじゃねェか」

メアリー「あ 違うんだ」

一方「別なアルビノ種でも使ってろって話だよ」

メアリー「ふぅん…… たとえば?」

一方「フェレットとか」


なんでフェレットなんだろう。というか、どこからフェレットが出てきたんだろう?
そう考えてちょっと吹き出してしまった。


メアリー「あ そうだ! ラストオーダーに聞けばよかったんだ!」

一方「いや、今思いついたのかよ」

メアリー「ねえ ラストオーダーはどう思う?」


うーん、ミサカは……【 >>+2 】

1、可愛いと思う

2、普通だと思う

3、よくわからない

240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 17:20:01.65 ID:HbjVRQnN0
久しぶりすぎて存在を忘れてたわ

安価なら3

241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 17:54:03.45 ID:AIpTICsdO

243: 安価って書くの忘れてたけど実は超安価でしたすみません ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:00:39.25 ID:Xr3/jVPK0
【3、よくわからない】

『ウサギ』って寂しいと死んじゃうんでしょ?
そう考えるとあんまりだし…… でも可愛いって言うのも……


メアリー「えー!? そうかなあ」

一方「普通はこォなンだよ。即答されてたまるか」

メアリー「もう! ふたりのわからずやぁ!!」

一方「わからずやで結構ですゥ」


それに、なんか可哀想だし


一方「……? なンだよそれ。どォせ無機物なのに可哀想も何もあったモンじゃねェだろ」


うーん、言葉では表現しにくいけど、なんとなく……


メアリー「ねーえー 持っていっちゃダメー?」

一方「イヤだ」


244: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:09:06.93 ID:Xr3/jVPK0

その直後の話。
突然、なんの前触れもなく置物が床に落ち、崩れてしまったのだ。


一方「……その程度で俺の演算が狂うとでも思ってンのかねェ」


ただ『ウサギ』が落ちただけなのに、あの人は大げさに反応した。
なんか、変なの。


メアリー「あ 鍵だよ!」


本当だ。壊れた『ウサギ』の中に紫色の鍵がある。


メアリー「なにはともあれ これで先に進めるね!」

一方「さっさと出ンぞ。さっきの話じゃねェが、監視されてるみてェで気色悪い」


あの人はそれだけいって、本当にすばやく部屋を出て行った。
何が気に食わなかったんだろう? 怖くもなさそうなのに。

メアリーがあの人に続き、ミサカもその後を追う。
そのとき、ふと気になって『赤い目』を流し見た。

なんの変哲もない。ただの『ウサギ』の絵だ。


「 キャハハッ 」


ふと、小さく笑い声が聞こえた気がした。


足元には、見たことのない青い人形が落ちていた。


一方「おい、何してンだ。置いていくぞ」


あの人の声で我に返る。
ミサカはそれ以上追及することなく後ろ手で扉を閉めて、二人の下へ走った。


246: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:17:31.25 ID:Xr3/jVPK0

メアリー「それにしても この鍵って小さいよね
    失くしちゃいそう」

打止「ダメだよ! 絶対ダメだからね! ってミサカはミサカは念を押してみる!」

メアリー「あっ 失くしちゃった」

打止「えええええええええええええ!!!? ってミサカはミ」

メアリー「冗談だよ! ほら」

打止「ほっ よかった、ってミサカはミサカは落ち着いて深呼吸してみたり」

メアリー「だって 絶対ダメーっていうのはフリって本に書いてあったよ」

打止「それは必ずしもフリなんかじゃないの! ってミサカはミサカはこの場面においてはそのノリは通用しないのだ!」

メアリー「あははっ ……あれ? この絵」

一方「あン?」

メアリー「音がしない?」

打止「ふむ? ってミサカはミサカも耳をすませてみたり」

一方「……大きくなって来てねェか?」

打止「何か、近づいてきているみたいな…………、ッ!!? 地面から植物が!? ってミサカはミサカは驚いて飛び退いてみる!」

一方「おい、危ね―――」

メアリー「あぶないっ!!」


247: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:26:27.10 ID:Xr3/jVPK0

一方「……っつ。何だってンだ」

メアリー「大丈夫? ケガとかしてない?」

打止「ミサカは、大丈夫だけど…… ってなぁにこれぇ!!? ってミサカはミサカは目の前の光景に愕然としたり」

メアリー「これがじゃまで通れなくなっちゃったね……」

一方「……硬ェな、素材は石か」

打止「それじゃあ燃やすのもできないね……、ってミサカはミサカは思いついた案を断念したり」

一方「完全に二分されちまったっつーことか。能力使えればなァ……」

メアリー「……ねえ ラストオーダー

    この鍵で あの扉開けられるよね?

    そこにコレを壊せるものがあるかもよ?」

打止「おおっ! ナイスアイディア! ってミサカはミサカは褒めてみたり!」

一方「ふざけンな、何勝手に決めてンだ」

打止「他に方法もないから我慢してあなた! ってミサカはミサカは何か言いたげなあなたを片手で牽制しつつミサカの胸をたたいてアピールしてみたり!

    大丈夫だって、すぐ戻ってくるよ! ってミサカはミサカは宣言しておいてみる!」


メアリー「……ちゃんと待っててね」

一方「あ、おい!」



一方「……チッ、クソッたれが……ッ!!」


248: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:38:17.59 ID:Xr3/jVPK0

打止「物置みたいだね、ってミサカはミサカはハンマー的なものを期待したり」

メアリー「何があれば壊れるかなぁ…… この椅子とか投げたら」

打止「あはは それはさすがに無理かも、ってミサカはミサカはダンボールを漁りつつ苦笑したり」

メアリー「そっちは 何かあった?」

打止「うーん、絵の具とか絵筆とかパレットとかであんまり……、ってミサカはミサカは肩を落としてみる」

メアリー「何か…… 使えそうなものは…… あ」

打止「??」

メアリー「これ 使えそう」

打止(パレットナイフ……?)

メアリー「念のためね 念のため……」

打止「メ、メアリー?」

メアリー「もう何もなさそうだね 一回戻ってみようか?」

打止「え? う、うん。そうだね―――


パチッ


    停電!? ってミサカはミサカは思わずメアリーの手を握ってみたり!!」

メアリー「びっくりしたー…… なんだったんだろうね」

打止「すぐついてくれて助かった、ってミサカはミサカは安堵の息を吐いてみる」

   「それでメアリー、さっき何か持って

メアリー「あれ?」

打止「聞けよ! ってミサカはミサカはスルースキルの高さに愕然としたり!!」

メアリー「ねえ ラストオーダー
    さっきは こんなのなかったよね?」

打止「はっ、首なし!! ってミサカはミサカは身構えてみたり!!

    っていうかこいつが邪魔で出られない!?」

メアリー「どかそう!!」













ー10分後ー


打止「重おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!!!!! ってミサカはミサカはその場にへたり込んでみたり!!」

メアリー「動きそうもないね…… 残念だなぁ」

打止「仕方ない、あっちの扉から外に出ようか、ってミサカはミサカは提案してみる」

メアリー「そうだね」


249: ◆hdSJbJZZTU 2013/05/28(火) 18:44:22.96 ID:Xr3/jVPK0

一方「……ま、こォなるだろォなっつーのはわかってたぜ」

   「戻ってくる気配がまったくねェじゃねェかクソが」

   「ここで待ち続けても意味はなさそォだな……」

   「もォ一度あそこに行って手がかりでも探すとするか……」

   「面倒くせェ……」



一方「ったく、何を思って『可愛い』なンていったンだかなァ」

   「こいつと比較したら番外個体だって可愛く見えるわクソッたれ」

   「なァ? こンな―――

ガチャッ


   「歪で、真っ青な人形なンてよォ」

256: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 16:12:52.06 ID:pobtVqus0
一方「人形、人形、人形……ねェ」

   「爆弾でも入ってンじゃねェだろォな、コレ」ヒョイ

   「……上下分断? 何だよそれ、俺知らねェよ」

   「あ、いや。爆弾があったほうがイイのか? あの石でも吹っ飛ばせるよォな火力のある……」

   「ねェか。さすがにそォうまくはいかないな」

   「……っつーか落ち着けよ俺。ンなモン、あンな狭い場所で起爆したら俺が吹っ飛ぶわ」

   「にしても、気分の悪くなる場所だな……」



一方「あン? 何だこれ」

   「赤い……絵の具? 血糊か?」

   (何にせよ、さっきはなかった……)

   (チッ、UN(アイツ)か)

   「十中八九、俺を誘ってやがるな…… 退路は断たれている訳だし」

   「ハッ、イイぜ。乗った上でぶっ潰してやるよ、クソッたれが」


257: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 16:18:29.98 ID:pobtVqus0

UN「さて、と。なンとか誘導できたな」

UN「”火”で叩き起こされた分、こっちも不機嫌なンだ。借りはキッチリ返させてもらうぜ」

UN「思索段階だけど、アレを使ってみるのも悪くないかもしれないな」

UN「……学園都市ってすげえよなぁ。その気になりゃあ誰だって人を壊せるンだから」



UN「例え、それが俺達みたいな人外であったとしても。存分に扱える能力を開発しちまったンだから」


258: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 16:42:37.50 ID:pobtVqus0

メアリー「ねえ ラストオーダーには兄弟とかいるの?」

打止「うーん、お姉様ならいるよ、ってミサカはミサカは思い起こしてみたり」

メアリー「へぇー 私もお姉ちゃんがいるんだ!」

   「でも 怒るとすっごく怖いんだよねー……」

打止「ありゃー、ってミサカはミサカは同情したり。お姉様はそうでもな……いや、どうだろう」

メアリー「お姉ちゃんは綺麗なんだから もっと静かにおしとやかにしていればいいのにね」

打止「メアリーのお姉ちゃんはわからないけどお姉様は本当にそうかも、ってミサカはミサカは肯いてみたり。

    っていっても、本当にそんな静かなお姉様なんて想像もできないけどね、ってミサカはミサカは苦笑してみる」

メアリー「あはは いつもがおてんばだとそうなっちゃうよね」



メアリー「アクセラレータって ラストオーダーの保護者なの?」

打止「え? 違う違う! あの人は確かに保護者っぽい一面があるけど! ってミサカはミサカは両手を顔の前でぶんぶんしてみたり」

メアリー「二人とも 仲いいよね!」

打止「そうだね、ってミサカはミサカは肯定したり」

   「あの人もだいぶ素直になってきたし、ってミサカはミサカはほっこりしてみる」

メアリー「……ねえ ラストオーダー」

打止「む?」

メアリー「もし…… もしもだよ」

   「ここから出られるのが二人だけだったら…… ラストオーダーは誰と出たい?」

打止「へっ?」

メアリー「だから もしもだよ」

打止「もしもにしては顔が真剣だよ? ってミサカはミサカは―――」

メアリー「ラストオーダー」

打止「はいっ! ってミサカはミサカはこれ以上の追求を避けてみたり!」

打止「そうだなぁ、やっぱりあの人? ってミサカはミサカは迷ってみたり」

メアリー「えー? 今いないのに? 離れ離れになっちゃったのに?」

打止「離れていても心はつながっているのだ! ってミサカはミサカはどんと胸をたたいてみたり!」

メアリー「ねえラストオーダー 私と出ようよ! ね! そうしよう!」

打止「えっ? ああ、そうだねっ、みんなで出よう! ってミサカはミサカはこぶしを高く突き出してみたり!」

メアリー「おーっ!」


259: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 17:02:07.64 ID:pobtVqus0
一方「……一本道か。あの気色悪い人形もいないみてェだな」

   「ったく、何だってンだァ? 出てくるならさっさと―――」



「こんにちは」



一方「……ッ?」

   「気のせい……だよな」

   「ここにあいつらがいるはずねェよ……クソガキが言うには各地に散ったって話だし」



「ここで何を? と」



「―――ミサカは問いかけます」




一方(……違う。あいつらはここにはいない。迷い込めるはずがない)

   (幻覚だ。夢だ)

   (彼奴の、仕業だ)


声は増える。



「理由なんてありませんよ」
「ただなぜひとりなのか疑問で」
「ところでアイスが食べたいです」
「抹茶アイスを所望します」



聞き飽きた声だ。
一万と三十二回も聞いた。

その幻覚だ。

無視しよう。


声は、足音は増え続ける。



「一緒に行きませんか?」
「……、と聞こえてますか?」
「スルーですか、とミサカは」
「ミサカが嫌いですか? 憎いですか?」
「また遊ぶ気にはなりませんか?」
「愉しかったのでしょう?」


もし、今の自分に能力が使えていたら。聞こえる全てを反射していただろうか。

彼は、ただ進む。





―――耳に聞こえる、その全てを否定して。

260: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 17:10:25.66 ID:pobtVqus0

扉の前。
案の定鍵がかかっていた。

落ち着いて深呼吸をする。
そうして彼は、手汗をかいていたことに気づく。
心臓が締め付けられそうになっていたことに気づく。

彼は、そうやく振り返った。





そこには、誰もいなかった。
『妹達』など、存在しなかった。

あの部屋に在った、青い人形が無造作に転がっているだけだった。





一方「……なンだよ」

   「やっぱり、偽りじゃねェか」


壁に書かれた文字を見つける。


『連れていけ』


そいつの横には、ご丁寧に鍵が落ちていた。



一方「断る」


青い鍵を拾い上げ、手早く鍵を開ける。


背後から声がした。



『永遠に ここにいろ』


ツクリモノの声で言った。
マガイモノは嗤っている。


ニセモノには用はない。
無視して、扉を開いた。

261: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/22(月) 17:58:24.12 ID:pobtVqus0

メアリー「あれ? この部屋 色がない!」

打止「あー、本当だ。変だね、ってミサカはミサカは首をかしげてみたり」

メアリー「キャンバスとパレットはあるけど とくに関係なさそうだし……
    あっち 行ってみようか」



メアリー「ねえ ラストオーダー これ落ちそうだよ」

打止「んー? 落としてみたら? ってミサカはミサカはメアリーから遠ざかって助言してみたり」

メアリー「え なんで遠いの」

打止「だって落ちたら怖いし。そもそもマネキンの首だけっていう時点でもう怖いし」

メアリー「そうかなぁ……

   えいっ」

ガシャーン


打止「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

メアリー「……」

打止「はっ! ってミサカはミサカは落ちた跡に出てきた赤い煙に注意をそらしてみたり!」

メアリー「本当に、大丈夫?」

打止「へっ!? も、もちろん! ね! 叫んでない!」

メアリー「ラストオーダー すっごい怖がりだね」クスッ

打止「メアリーはよく平気だね……」

メアリー「慣れてるからね」

打止「す、すごいね。メアリーって……」

メアリー「えへへっ」


268: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 16:33:13.08 ID:MNo7AZfL0

『絵の具玉を 台座に納めよ

 さすれば 部屋は色づき

 そなたの 架け橋となるだろう』


一方「……なンのこっちゃ」

   「にしても、絵の具玉を集めろ、か……たりィな」

   「合計いくつだ? 五つ?」

「ン、まず黄色の……っと。おい、消えるなよ」

「……ン? ああ。勝手にストックされンのか」

「もォなンで消えるのかとかは突っ込まねェぞ」

「つーかこれ、扉開けとかなきゃわかンねェよアホ」






「うっわ、なンだこりゃ!?」

「何のガスだよこれ……下手に長居はできねェな」

「っつーか、どォやったら止まるンだこれ……?」

「やっべ、死ぬかも」


カチッ


「あ?」

「治まった……? 俺何したンだオイ」

「だいぶ意識朦朧としてやがるな。本当、何だったんだあの赤いの……」

「……あ、紫みっけ」

269: スペース入れるの忘れてた ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 16:56:12.23 ID:MNo7AZfL0

メアリー「ねぇ見て! あの赤い煙みたいなの 無くなってる!」

打止「本当だ! こっちには何があるんだろう?」

メアリー「って! ここも塞がれてる!」

打止「先に行けそうにはないねー……、ってミサカはミサカはガックリと肩を落としてみる」

メアリー「大丈夫だよ ほかにも道があるかもしれないし……」

打止「うん、そうだね、ってミサカはミサカは同意したり。

    あの人とも合流したいし……」

メアリー「……アクセラレータは 今頃 何してるんだろうね?」

   「ひとりで さみしくて 泣いてるのかな?」

打止「あの人は泣かないと思うなあ、ってミサカはミサカは予測したり」

   「だって”最強”だからね! ってミサカはミサカは自分の功績のように誇ってみたり!」



メアリー「……そっかぁ……」

   「早く 会えるといいね」

270: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 17:23:32.28 ID:MNo7AZfL0

一方「ここは……書庫みたいだな。美術館なのか図書館なのかハッキリしやがれっつーの」

   「なンかねェかな、手がかりになりそうな……」



一方「『色彩の極意』とか知らねェよ。知り合いに美術関係者もいねェし……」

   「って、ここにもあンのかよ……今度は緑か」




一方「これは……『恐怖』か。また物騒なタイトルつけやがって」


『一人でいると 恐ろしい

 二人でいると 安心できる

 三人でいると ……』

先が破れていて読めない……


一方「……アイツら、大丈夫なンかね」


  「まァ、2人でいるからまだイイか………」

  「さっさと合流しねェと」

271: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 17:36:36.34 ID:MNo7AZfL0

打止「あ、ここ図書室みたい」

メアリー「なんか 面白そうな本あるかなー」

打止「あれ、なんだろうこれ」

   「『ある少女の末路』……」



『あるところに 小さな女の子がいました』

『女の子は 両親といっしょに

 美術館へ 行きました』

『しかし ふと気が付くと

 女の子は 迷子になってしまい……』

『うす暗い 美術館の中を

 探しましたが 両親も出口も 見つからず……』

『怖くて 心細くて さみしくて

 お腹もへり ノドが乾き

 転んでケガをして 体力も限界になって……』

……最後のページに 小さな女の子が 倒れている挿し絵で 終わっている……




打止「………っ」

メアリー「あれ? どうしたの ラストオーダー」

打止「いや、別になんともないよ? ってミサカはミサカはあわてて否定してみたり。

    うん、怖い本を見て硬直してたとかないからね、全然」

メアリー「ふぅん……? 変なラストオーダー」


272: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 17:55:11.18 ID:MNo7AZfL0
一方「ゲルテナ作品集? そンなのもあンのかよ」

   「アルファベット順か。何みるかな……」


ペラッ


『蛇蠍の精神』6248年
この絵を境に ゲルテナは抽象画を中心に
描いていくことが 多くなっていった。
だがこの頃世間では キュビズムが
流行しており ゲルテナが描いた
様々な抽象画は ほとんど注目されることはなかった。


   「ダカツ、なンてガキが読める字じゃなくねェか……?」

   「キュビズムってアレか、ピカソだかなンだかが進めてたっていう……ンなことはイインだよ」


ペラッ


『ジャグリング』6223年
孫と見に行った サーカスで出演した
ジャグラーをモデルにして 描かれた作品。
ゲルテナが 実在する人物を
モデルに描くのは 大変珍しく
現在でも この作品は 高値で取引されている。


   (ゲルテナジジィ疑惑……)


ペラッ……...


『メアリー』----年


一方「……は?」


ゲルテナが手掛けた 生涯最後の作品。
まるでそこに 存在するかのように佇む少女だが
もちろんのこと彼女も 実在しない人物である。


一方「……マジかよ」

   「……メアリーって……!」






















『 知っちゃった 知っちゃった メアリーの秘密 』





273: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 17:58:57.85 ID:MNo7AZfL0

UN「おい、メアリー」

メアリー「……知ってる」

UN「あン? なンで……ああ、『告げ口』か」

メアリー「………」

UN「間違っても殺すなよ。一緒に出るンだろ?」

メアリー「……うん」

UN「あいつはオレが壊す。何かあったら呼べ」

メアリー「……わかった」



メアリー「そっかぁ……知っちゃったかぁ……」








メアリー「……邪魔だなぁ……」








274: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 18:06:23.43 ID:MNo7AZfL0

打止「あれ? 大丈夫? こんな所にいたんだ」

   「メアリー? ねえってば」

メアリー「………メアリー……… わたし メアリー……」

   「うふ ふふふ ふふふふふ

    あははは あはははははは」

   「わたしメアリーっていうの

    わたしメアリーっていうの

    わたしメアリーっていうの」

   「うふふふ ふふふふふふふ」


打止「あっ、メアリー!?」

   「大丈夫……じゃなさそうだよね」

   「ああもうっ」

275: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/23(火) 18:15:53.83 ID:MNo7AZfL0

一方「あー、あといくつだ? 台座が五つで見つけたのが……三つ? だったか。あと二つだな」

   「行ってない場所……なァ」

   「あそこの鍵はどこにあるっつーンだ……?」

   「ドアノブが異常に冷たいっつーのも気になるし。妙だよな、あの場所……」


一方「またオマエかよ。人形」

   「イイ加減くどいっつーの。今度はなンだよ……」

『さっき いいもの ひろったの  あなたには あげないよ

 わたしの たからものに するの』

一方「頭から何かはみ出してる……それか?」

   「……もらうぜ」


ビリッ                    コト......


一方「赤か。これで、残るはあと一つ―――」


『きゃはははははは』


一方「うるせェ、喚くンじゃねェよ」


『おいで』ケタケタ


一方「……あいつ、あの中に……」

   「ちくしょうが、ご丁寧に鍵開いてやがるぜ」

   「行くしか、ねェってかよ」



……キィッ






一方「……なンだよ。これ」

   「さっきの場所より、気色悪いぞ……」


280: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 12:07:23.92 ID:+IjgD1/R0
打止「メアリー、大丈夫かなぁ、ってミサカはミサカは不安だったり。

    たしかこっちに行ったよね……」


打止「あっ、いた! メアリー!」




メアリー「邪魔だなぁ 邪魔だなぁ
   邪魔だなぁ 邪魔だなぁ
   邪魔だなぁ 邪魔だなぁ……」



打止「あ……れ?」

   「本当にメアリー……だよね」

   「えーっと……さっき一瞬別々に行動したときに何かを見つけたのかな、ってミサカはミサカは推理モードに入ってみたり。

   「とっても怖い何かを見たってわけじゃあなさそうだよね……あんまり怖がってなかったし、ってミサカはミサカは思い起こしてみる。

   「だとしたら何だろう? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり。

   「……おなかがすいた? ってミサカはミサカはお茶目な答えを……

   「ないよなぁ、ってミサカはミサカはセルフツッコミを果たしてみる

   「他になんだろう……、ってミサカはミサカは思案してみる……けど……

   「まぁ、とりあえず落ち着くまで待とうかな、ってミサカはミサカはとりあえず花瓶の位置まで戻ってき―――



メアリー「ラストオーダー……」


打止「ひゃい!?」

メアリー「おいていかないで……」

打止「あ、ああ、うん! そうだね!? ってミサカはミサカは驚きを抑えつつうなずいてみたり」




メアリー「ケーキに クッキーに チョコレートに……

   「えへへ 食べたいもの! 色んなお菓子 早く 食べたいね!

メアリー「ここは 美術館なのに お客様が 全然来ないよね……

メアリー「わたし お絵かき大好き 色んなクレヨンで いっぱい お絵かき するんだ!」

   「結構 上手いんだから!」



打止(……心此処に在らず、って感じかも、ってミサカはミサカは観察してみたり。

   (あの人も心配だし…… みんな大丈夫かなぁ



281: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 12:18:24.04 ID:+IjgD1/R0

一方「どォいう趣味してこンなン作ってンだか……理解できねェな……」

   「とりあえず。最後のひとつは……白

   「最後の二つは、俺の色……か

   「……、まァイイや。こンな所さっさと出て―――



……カチャリ



一方 「あン? 何の音だ?」

    「……ッ!? 鍵が……! ふざけンな、閉じ込められたのか!?

    「クソッ、ここで遊ンでる暇はねェっつーのに……!



『また たからさがし しようよ』

『だれがカギを もってるかな?』




一方「なンだと……ッ!!









 ―――鐘の音が、鳴り響く。

284: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 14:59:18.49 ID:+IjgD1/R0

一方「クソッたれが……こンなくだらねェ”遊び”なンぞ用意しやがって!

   「早く、探さねェと」


身近にあった人形を引き裂く。


だが、そこに鍵のようなモノは入ってなかった。



ラジオのノイズのような耳障りな音が響き、赤い絵の具が飛び散った。

甲高いノイズ音は、まるで『悲鳴』のようで。
赤い絵の具は、まるで『血液』のようだった。

油の臭いが嫌に鼻孔を刺激する。



一方(チッ、外れか!)



三度目の鐘が響く。



二つ目。結果は同じだ。

今度はご丁寧に茶色く細いミシン糸のようなモノも一緒に入っていたが。



耳障りな『悲鳴』が響き渡り、『血液』が床に満ちていく。
青かった部屋が、赤く染まっていく。



もうこれ以上続けたくなかった。
ただ精神を疲弊するだけだ、と自身が警告してくる。
それでもなお、手を止めない。


打ち止めの為に。
彼女に会う為に。


……彼自身、どこかで理解していたのかもしれない。

これはまるで―――


「『実験』みたいだ、って」


呟きが漏れた。

285: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 15:08:03.64 ID:+IjgD1/R0

次第に彼は、鍵なんてないんじゃないか、と思うようになっていた。

いくつ人形の腹を裂いただろう。

もしかしたら見落としていたかもしれない。

絵の具にまぎれてしまったかもしれない。

あれ? 

―――俺は、なンの為に人形を壊していたンだっけ?



気づいたときには鐘の音は、七度目が鳴り終わろうとしていた。


そして不意に手を止め、彼は見た。

―――見てしまった。


一方「……妹達(シスターズ)?」


幻覚、というのはそれが偽りだと知らないと現実だと思い込んでしまう。
たとえ、それがこの場にありえないものだと判断できても、一瞬は思い込みが生じる。

その、ほんの一瞬があれば、十分だった。



















 ―――  八度目の鐘が、鳴り終わる  ―――  


















「――いっただき」


銃声。

そして―――暗転。



一方通行の意識は、途絶えた。


287: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 15:26:49.30 ID:+IjgD1/R0

打止「さて、本当に先に進まないとなぁ……メアリーはおかしくなっちゃうしあの人はどこにもいないし……」

   「あっ、そういえば。あの色のない部屋ってどうなったのかなぁ? ってミサカはミサカはにわかに思い出してみる」

   「色のついた部屋じゃないと、面白みもないよねー」


打止「あっ! 本当に色ついてた!」

  「鍵げっと! 茶色、ってことはあそこ開くね!」

  「メアリーは……うーん……」

  「うー……んとぉ……」



打止「あとで迎えに来よう!」

   「そうすれば立ち直ってるかも知れないしねー、ってミサカはミサカは楽観的考えを示してみる」


打止「なーんかノリでいっちゃったけど……鍵、合ってるよね?」

   「お、あってるあってる! それじゃあ先に」



メアリー「……ラストオーダー?」



打止「ふぁい!!? ってメアリーか……脅かさないでよね、ってミサカはミサカは胸をなでおろしてみたり」

メアリー「こんな道 あったんだ……

    わたしも 一緒に行く」

打止「大丈夫なの? ってミサカはミサカはさっきまで放心状態だったこともあるし尋ねてみたり」

メアリー「なんのこと?」


打止「あれっ」


メアリー「早く 行こう」

打止「うん、ってミサカはミサカは階段を駆け下りてみるっ」


288: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 15:40:10.78 ID:+IjgD1/R0

【ヒトリゴト】

「……紛い物は願う事、憧れる事すら許されないっていうのか?」

「これ以上、オレは必要ないよ」

「こンな能力も、本当は必要なかったンだ」

「どうしてこうなったンだろうな」

「オマエに会って。ありもしない希望が見えて」

「……羨ましかったのかもな。あの光が」

「はは。今更、何言ってンだオレ」

「やっぱり、オレはどうやっても―――」














「―――『完全』には、なれないンだなァ……」





289: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 15:51:58.25 ID:+IjgD1/R0
打止「おお、また雰囲気の違う感じの……、ってミサカはミサカは警戒心をあらわにしてみる」

メアリー「なんか 上と似てるね」

打止「そうだね、ってミサカはミサカも同意したり。

    なんか部屋の配置がそっくり! ってミサカはミサカは上を思い起こしてみる」

メアリー「上には 中央に あんな部屋……なかったよね」


打止「うー。確かにそうだね、ってミサカはミサカは不審に思ってみる」

メアリー「いってみよう ラストオーダー」

打止「そうだね! いろいろと調べてみよう!」




打止「うう、なんか嫌な感じがするけど……開けるよ!」

メアリー「う うんっ」

打止「とりゃあ! ってミサカはミサカはわざとらしく声を上げて扉を開けてみたりっ!!」




彼女たちが見たものは。

赤い色の、どこから現れるはずもない不自然な水。


引き裂かれた人形 / 壊された陶器
血にも見える絵の具 / 赤く染まった海
あのときよりも多い『人形/ウサギ』のこと。


そして、その部屋の中央には、

ひどく不釣合いな”白”が眠っていた。



メアリー「あ……

打止「あなたっ!!」

290: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 16:11:41.50 ID:+IjgD1/R0

メアリー「アクセラレータ……」

打止「あ、あなたっ!? 死んでる訳じゃないよね!? ってミサカはミサカは揺さぶってみたり!」

メアリー「わかんない……」

打止「おいていくのもできないし……、あなた起きて! ってミサカはミサカは―――」

メアリー「ねえ ラストオーダー」

   「一緒に出よう? おいていっても 誰も責めないよ」

打止「ミサカが絶対に後悔する!」

メアリー「……ラストオーダー」

打止「じゃあミサカは背負ってでも行くよ!」

   「ずっと決めてるんだ、今度はミサカが守ってあげるんだって!」

メアリー「……っ」

打止「みんなで、帰るって……約束したもん……っ!!」









「……うる、せェよ」





打止「……あ」

一方「誰が……オマエに守られなきゃならねェって……?」

   「核撃っても死なねェ奴に、そォいう気遣いは要らねェだろ……」

打止「あなたっ!!!」

メアリー「うそ……」

打止「あなた、大丈夫? どこも痛くない!? ってミサカはミサカは涙目で問いかけてみる!」

一方「記憶が混乱してるけどな……、特に問題はねェよ」

メアリー「よ よかったね……ちゃんとそろって」

打止「うんっ!! これでみんな揃ったね!」

一方「……何か、忘れてる気がする」

メアリー「……忘れてていいんじゃない?」

   「それより! これでまた進もうよ!」

打止「こんどこそ、みんなでね!」

291: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/24(水) 16:35:23.05 ID:+IjgD1/R0

打止「あ、上にいける道あったよね! カードキーがないけど……」

メアリー「そういえばあったね」

一方「……これか?」

打止「あっ! それどうしたの!?」

一方「ポケットに入ってた」

メアリー「へぇ…… あの部屋で拾ったのかもよ」

一方「ンー……そォだったかなァ……」

打止「まあまあ。これで進めるんだからいいじゃない! ってミサカはミサカはギクシャクしてるふたりを宥めてみたり」


打止「……あれ? メアリー、なんか落としたよ」

一方「ああこれ、そいつの薔薇か……黄色いし」

打止「あなた、何気にちゃんと話聞いてたのね」

一方「うるせェよバーカ。っつーかオマエ、ちゃンと持っておけよ。これ、大切な―――?」

打止「ちょっとあなたー、いくら薔薇が綺麗だからって見とれちゃだめなんだから、ってミサカはミサカは注意したり!

    ちゃんと返してあげないと……」

一方「……気のせいか?」

メアリー「だめっ! 返して!」

一方「ッ!? オマエ、いつのまにナイフなンて……ッ!!」

メアリー「返してよ! わたしの薔薇!」

一方「オマエこそその凶器しまえっつー、の!」

メアリー「わっ……!」

打止「あっ、メアリー! ってミサカはミサカは倒れたメアリーに駆け寄ってみる!
   
    あなたどうしたの!? なんか気に障った!?」

一方「……造花」

打止「え?」

一方「見ろよ、これ。よく出来てるが造花だ」

打止「本当……なんで!?」

一方「……こいつも、ゲルテナの『作品』だからじゃねェかな」

打止「!?」

一方「少し思い出した、こいつが載ってる作品集を見たンだ。あの部屋で何があったかは思い出せないけど……それだけは確実だ」

   「こいつもUNとかあの追いかけてくる女とかと同じで、『絵画』だったンだよ」

打止「……そんな」

一方「……俺は。もうこいつとは行動したくない。出られなくなるかもしれない」

打止「せっかく……みんな揃ったと思ったのに……」

一方「残念だが、これが真実だ。敵だったンだよ」

打止「……そんなことって……」

一方「行くぞ、打ち止め」

打止「……うん」



打止「ごめんね………」

300: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 08:24:58.07 ID:z5+15g0u0

UN「メアリー!」

メアリー「……あ」

UN「大丈夫か? 倒れてたけど……あいつらは?」

メアリー「いっちゃった……」

UN「そっか。もうそこまで進ンでるのか」

メアリー「……あなたのせいだ」

UN「……、」

メアリー「あなたのせいよ! ぜんぶ!

    せっかく おともだちになれたのに!

    同じくらいの 女の子の おともだちだよ!?

    ようやく いっしょにいられると 思ったのに!」

UN「それもこれも。オレが一方通行を殺せなかった事が問題だったって?」

メアリー「そうだよっ あそこでいなくなってればよかったのに!」

UN「それは、オレだけの問題なのかねえ」

   「どうだろう。もしお前がこのまま進ンだとして、三人は出られないンだぜ?

    結局は誰かが犠牲になる。犠牲にしなきゃ成り立たない」

メアリー「それが どうしたっていうの」

UN「下手すりゃあ殺されてたのはお前だったかもな、って話だよ。メアリー」

メアリー「そんなこと!」

UN「ないって言い切れるのか?」

   「どうしてかはわからないけど、あの部屋で一方通行は目覚めた。アイツを完全に封じることはできなかったンだ」

   「それは、アイツの記憶に関しても同じだと思うンだよ」

   「現にアイツは、一時的に封じたはずの記憶を”黄色い薔薇の造花”って単語だけで取り戻したんだから」

   「これ以上は危険だ。次は本当に死ぬぞ」

   「……それでも追うのか?」

メアリー「わたしは ラストオーダーに 会いに行く!」

   「ともだちだもんっ!」





UN「………行っちまったか」

   「ったく。我が侭なンだから」


   「……にしても、なンであいつは目覚めたンだ? 記憶を全て失っていてもおかしくないのに、それもなかった」

   「『奇跡』……なのかな」


301: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 08:34:51.65 ID:z5+15g0u0

一方「これが、おもちゃ箱? 随分と大きいな」

打止「あの銅像とかも入っちゃいそう、ってミサカはミサカは覗き込んでみたり」

一方「落ちるなよ」

打止「お、落ちないもん! ってミサカはミサカは焦って言い返してみる!」

   「それにしても、この中に鍵があるって書いてあったよね? ってミサカはミサカは確認してみる」

   「底が見えないんだけど……、ってミサカはミサカは真っ黒な闇の中に恐怖してみたり」

一方「本当にこの中にあるのかよ……? っつーかこれ、底ってあるのか?」










メアリー「……行ってみたら?」










一方「な―――!?」

打止「メアリー!?」



小さな少女の手によって 闇の中へ突き飛ばされる。
彼らは深くへと落ちていった。


302: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 08:58:41.60 ID:z5+15g0u0

打止「……あなた、あなたってば! 大丈夫?」

一方「……とりあえずはな……」

打止「よかったぁ、ってミサカはミサカはとりあえず一安心したり」

   「ここって、あの箱の中……なのかなぁ、ってミサカはミサカは疑問を投げかけてみる」

一方「多分、な。人形やらマネキンやらが沢山あるし」

打止「鍵を探さないとね、ってミサカはミサカは当初の目的を思い出してみる」

一方「ああ、そォ……だな」

打止「? あなた、本当に大丈夫? ってミサカはミサカは倒れそうになったあなたを支えてみる」

一方「杖あっても倒れるなンてあるかよ……大丈夫だ」

打止「嘘はよくないよ、ってミサカはミサカは真剣に尋ねてみたり」

一方「なンでもねェって……」

打止「あなた! ってミサカはミサカは語勢を強くしてみたり」

一方「………チッ、わかったよ。オマエ、俺の薔薇持ってるか?」

打止「ミサカは赤い薔薇なら持ってるけど、ってミサカはミサカはあなたにも見せてみたり」

   「……まさか、ってミサカはミサカは背筋を強張らせたり」

一方「持ってねェンだな ……落としたか、奪われたか」

打止「そ、それも探さなきゃ! ってミサカはミサカは優先順位を変更したり!!」

一方「……ああ」


303: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 09:16:46.47 ID:z5+15g0u0

打止「暗いせいでよくわからないね、ってミサカはミサカは探しつつ愚痴ってみる」

一方「そォだな。発電系いるのにな」

打止「嫌味言える程度には元気なのね、ってミサカはミサカは呆れ顔になってみたり!」

一方「そォらしいな……、っと。これが鍵か?」

打止「あ! 本当! 鍵の形してるからそれだね、ってミサカはミサカは見ればわかることをわざわざ口にしてみたり」

   「あとはあなたの薔薇だね、ってミサカは―――」

一方「……、あいつ」

打止「あれ? あなた、何見てるの?」

   「あ、あれって!」

一方「俺の―――」

304: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 09:48:10.25 ID:z5+15g0u0

メアリー「あ ラストオーダー!」

   「……と アクセラレータ」

打止「メアリー! それ、どうしたの!?」

メアリー「ああ この薔薇?」

   「この子が くれたの! 珍しいよね 黒いのなんて」

打止「メアリー、それはね……」

メアリー「……ああこれ アクセラレータのか」

   「どうりで 見たことあると思った」

打止「ねえ、返してくれない? それないと……」

メアリー「……ないと なに? ねえラストオーダー」

一方「チッ、ふざけてンじゃ―――ッ!」

メアリー「いいよ 返してあげる」

打止「本当!?」

メアリー「ラストオーダーの薔薇と 交換してくれたらね」

   「わたし 赤も好きなの! かっこいいし!」

   「………どうする?」

一方「俺に構うな、大丈夫だから」

打止「……ううん。ミサカは決めてるんだよ」

一方「止めろ、打ち止めッ!」




打止「ミサカは、あなたを守るって」




メアリー「……交換 してくれるんだ」

   「やっぱり 最後には アクセラレータを選ぶんだね」

   「ねぇ……ラストオーダー」

打止「はい、あなたの薔薇!」

一方「……オマエ」

打止「もう落としちゃだめだよ、ってミサカはミサカはお姉さんぶって注意してみたり!」

   「ミサカなら大丈夫だから。きっとメアリーだってちゃんと返してくれるよ!」

一方「クソが……何、やってンだよ……!!」

打止「早いところメアリーを追いかけないとね!」

打止「行こう、一方通行!」


305: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 10:11:32.28 ID:z5+15g0u0

打ち止めの様子がおかしくなってきた。

上へと足を進めるたびに、辛そうな表情に変わっていく。
八月三十一日のあの日を、思い出す。


打止「大丈夫だよ、ってミサカはミサカはあなたに微笑んでみたり」


息切れが激しくなっていく。
もしかしたら、このまま死んでしまうのではないか。

そして、ついに。
打ち止めが倒れこんでしまう。


一方「打ち止め!」

打止「……あなた、先に行ってて、ってミサカはミサカは笑いかけてみる」

一方「おい、大丈夫か!?」

打止「……うん、大丈夫……、ってミサカはミサカは答えてみる」

一方「どこがだよ! ふざけンなよ!」

打止「……あのね、あなた。嘘なんてつきたくないけど……本当のことも言いたくないの……、ってミサカはミサカは笑ってみたり」


同じだ。天井にウィルスをいれられた時と。
あの時の、ファミレスでのやりとりに似てる。

あの時……俺はどうしたっけ。
ああ、助けを求めにいったンだ。

でも、今は、そんな事をしている余裕はない。
見捨てたくない。


一方「……死なせるかよ。死なせてたまるか」


小さな体を抱き上げる。

アイツを追おう。早く追いつかないと。
……許さない、絶対に。



306: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 10:26:26.21 ID:z5+15g0u0

メアリー「すき…… きらい…… すき……っ!」

   「やったぁ! ラストオーダーも わたしが好きだって!」

   「これで わたし……!」


一方「……あ」

   「散らされちまった……? 遅かったってのか?」

   「嘘だろ。そンな……ッ!!」

   「……いや、まだ間に合うよな? なァ! 外に花瓶があったし……」

   「大丈夫、だよな……」


一方「……つか、茨で塞がれてるあれはなンだ? 意図的に塞いでンのか?」

   「悪い。あっち行ってもいいか?」

   「あっちに、花瓶あるかもしれないしな」

   「ライターは……まだ残ってるか」


一方「……行くぜ」


309: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 10:52:42.29 ID:z5+15g0u0

一方「……行き止まりか」

   「ったく。無駄足だったってのか」

   「……違うな。奥に何かある」

   「何だあれ…… 絵?」

   「近くで見てみるか」



タッタッタッタッ....



メアリー「誰か いるの!?」

一方「オマエ……」

メアリー「アクセラレータ? なんで……どうやって この部屋に 入ったの……?」

   「ここは ダメ……ダメよ……」

   「お願い 早く 出てって……!」

一方「はァン。なるほどね、オマエにとって相当重要なモンがあるって事か」

メアリー「はやく…………ッ!」

一方「俺達に見せたくない何か……出て行くわけにはいかないな」
 
   「見せてもらうぜ」

メアリー「はやく! ハヤク!! 早く!!!」

一方「チッ。話が通じる状況じゃねェ、か!」

メアリー「出ていけえぇぇええぇぇええぇぇええええええええええええええ!!」


空間が歪む。これがメアリーの能力なのだろうか。

だが、このゲームに負ける気はしない。
奥にある絵画が何か、もうわかっている。

あとは―――。


一方「……クソッたれな幻想を、殺すだけだ」


八角形の額に納められていたのは、いつか見た絵画。
目の前の少女を描いたものだ。


メアリー「おねがい! やめてぇ!」

一方「……俺の前から消えろ。『メアリー』」


彼は、冷たい表情で火を点けた。




310: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 11:17:08.29 ID:z5+15g0u0

メアリー「あ………! やだ………!!」


『メアリー』は焼失した。
それがいた場所には黒い紙の燃えかすのようなものと、パレットナイフが落ちていた。


一方「本当に絵だったンだな……こいつ」

   「出ないと…… まだ終わったわけじゃねェンだ……」

   「アイツが、まだ死んでない……」

   「……大丈夫だよ。俺がいるから」

   「絶対に、一緒に出るからな」




「―――ホントウに?」




UN「本当に、二人出られると思ってンのかお前?」

一方「ッ!」

UN「その子は目覚めないよ。何をしても」

一方「何……?」

UN「茎だけの薔薇じゃあ、何も起こりえねぇンだよ」

   「連れて行くのは勝手だが……、出ることができるのはお前だけだ」

   「どう足掻こうが、これは”悲劇”だ。幸せな終演はもう消えたンだよ」

一方「オマエは……何が目的なンだよ」

   「俺達に何を望ンでるンだよッ!!」

   「どォしてこのガキを殺さなきゃならなかった! 何もしてねェだろ!!」

   「なンで死ぬのが、こいつだったンだよ……ッ!!?」

UN「……さあな」

   「皆一緒に笑って終わるなンて……不可能なンだよ。いつであっても……」

   「なンでソイツだったか? 知るかよ、そンなの」

   「思いつくとすれば、あの子の意思だろ。『ずっと一緒にいたい』っていう、願いだ」

一方「そンな……くっだらねェ願いのために?」

UN「くだらないかな。オレだって、同じ願いを持ったけど」

   「お前だってそうだ」

一方「……俺が?」

UN「『一緒に出たい』だろ?」


312: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 12:40:58.97 ID:z5+15g0u0

UN「この世界はお前の望みを叶えず、あの子の願いを叶えた。そういう風に回った」

   「……ただ、それだけの事だろ」

一方「なンだよそれ。オマエらの都合だけが優先されてるってのかよ!」

UN「今回は、な。っつーか考えても見ろよ、ここはオレたちの世界なンだぜ?」

   「オレたちの願いが叶わなくてどうするんだっての」

一方「……チクショウが」

   「オマエは、ここで殺す」

UN「……落ちたな。お前」

   「撃てよ、撃てばいい。それでお前の気が晴れるなら」

   「どうせオレやメアリーは『本体』が死なないとこっちも死ねないから」

一方「……『本体』?」

UN「あーあ、今のお前がここまで綺麗に壊れてくれるとは思わなかったなァ」

   「オレが壊したかったけどさ」

一方「……オマエは、どォして俺にこだわるンだ?」

UN「ああ、言ってなかったっけ」

   「オレの姿を見れば、大体予想できるだろ?」

   「………あ、ははっ! そうかそうか。その手があったな」

一方「あン?」

UN「いや、こっちの話。気にするなよ一方通行」

   「で、なンだっけ? お前にこだわる理由?」

   「そンなの簡単だよ」






UN「お前がオレを描いたからに決まってンだろ」





313: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/26(金) 13:26:16.61 ID:z5+15g0u0

UN「なンだっけ。オレがテキトーに作ったあの部屋……超能力者の過去の絵が飾られてた場所。

    あそこにあったのも、『1』はなかったろ? そりゃそうだよ、だってここにいるンだから」

   「お前は、覚えてないンだよな。いつオレが生まれたのかとか」

一方「覚えてねェよ。覚えてるほうがおかしいだろ」

UN「初めは何もなかったな。ただ白い空間があっただけで、オレは独りだった」

   「描いた奴の精神を映すっていうだろ? お前もあンな感じだったのかねェ」

一方「……だから、俺の昔の名前も知ってたのか」

UN「ああ。スッキリした?」

   「してなくても……これで終わりにするけどな」

一方「何?」

UN「撃つタイミングならいくらでもあった。でもしなかった。

    話を聞きたかったのか何なのか知らないけど……何にせよ、オレにも幕を引くチャンスができたってこと」

   「そうだな、これが一番楽で―――誰も救われない」

   「最高のバッドエンドだ」

一方「何を言ってやがる!」

UN「さあね。なンでもいいだろ?」


UNは笑う。笑って、辺りに粉のような物を撒き散らした。
一方通行は咳き込んだ。視界が白く埋まる。

一方(なンだこれ……小麦粉か?)

対してUNはどこから取り出したのか、スケッチブックをその手に持っていた。


UN「―――ここはイイ感じに無風状態だし、ひょっとすると本気で危ねェかもしれねェなァ?」


どこかで聞いたようなフレーズ。UNは、そのスケッチブックに何かを描きながら、

UN「俺の能力は具現化。色がつかないから、完全とはいえないンだけど」

コトリ、と『何か』が落ちた。描き終えるまでに5秒とかからなかった。
『何か』が小箱であることはわかっても、具体的な物質名が浮かばなかった。

そして気づく。
今の学園都市ではめったにお目にかかることのできない、
赤燐のマッチのようなモノではないか、と。




UN「なァ? オマエ、粉塵爆発って言葉ぐれェ聞いたことあるよなァ?」




UNは、何の躊躇もなく火をつける。
表情は、笑っていた気がした。

直後、条件を満たした粉塵に引火し。
全てを巻き込んで、爆発した。

空間が崩れ、何もなくなっていく。
一方通行は自分が今どうなっているか把握できていなかった。
そう考えられるということは、生きているというだと後で理解した。

やがてホワイトアウトする。
一方通行は。


全てが消えていく有様を ただ、見ていた。

320: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 09:00:20.81 ID:goHoUlUt0


―――目が覚めると、そこは病院だった。



何をしていたか思い出せない。
記憶があいまいで、靄がかかったようにうまく出てこなかった。
俺はどうしてここにいるんだ? 怪我をしたのか?

窓から斜陽が差し込んでいる。どうやら夕方らしい。


「あ、起きたんだ。おはよう、第一位」


そう俺に声をかけたのは番外個体だ。
両腕にあったはずのギプスがない。いつのまに外したんだろうか。


「ああこれ?」

訝しげな俺にそいつはわざわざ説明をいれてくれた。

「午前中にとったよ。調整で許可下りたから」

  聞いてねェよ、どォでもイイっつの。それより。

「……俺はどォしてここにいる?」

「覚えてない? そりゃそうか、気ぃ失ってたらしいしね」

「あン?」


番外個体は呆れたように息を吐いた。


「みんなで美術館行ったんでしょ? このミサカをさしおいて、『三人』で」

  ……三人? そォだったか?

「んで、その美術館だけど」


一度そこで言葉を切った。
言うのを躊躇ったように見えた。



「―――爆発事故があったんだ」



俺の思考に空白が生まれた。
何かが引っかかった。


321: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 09:04:13.17 ID:goHoUlUt0



「けが人はなし。事前に危険を察知した黄泉川が避難を促したおかげだって」


「で、曰く。見たこともない不気味な『青い人形』が館内にあったんだって。多分起爆したのはソレだろうねぇ。七月に似たような事件あったんだって? なんだっけ……『虚空爆破(グラビトン)事件』って言ってたかな? ミサカは知らないけどさ」


「『量子変換(シンクロトロン)』の能力者をあたったけどハズレ。どれも火力不足。まぁ、いざとなれば発電系とかドアとかを焼ききれる程度の道具があれば誰でも可能なわけだし、解決はしてない」


「ただ、相当な数があったみたいだね。半焼したよ、あそこ。展示品とかはもうほとんど残ってないんじゃないかな? 結構貴重だったらしいよねぇ」


「まあいいや。それで第一位の話だけど、最初芳川がいないことに気づいて中に戻ろうとしたんだってさ。その直後に爆発。心配されてたよー? ミサカとしてはどうなろうが知ったことじゃないんだけどさ」

「それで、焼け跡から無傷で見つかったって。電極切り替わってたから『反射』したんでしょ。今は検査入院中」


「そんなもん? 参考になっ―――ちょっと、どこ行くの!?」


もう途中からは頭に入ってこなかった。そうだ、あの場所で俺は―――。
杖を探している時間が惜しかった。それほどまでに焦っていた。
電極を切り替え、窓を開き、飛び降りる。

  ……行かねェと。


何かに引き寄せられるように、俺は急ぐ。
確認しなきゃならないことがあるンだ。

322: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 09:38:12.47 ID:goHoUlUt0

そこは、確かにあいつの言ったとおりに焼けていた。

不思議と、誰もいなかった。
野次馬はともかく、警備員もそうだ。
誰も、いない。

俺は「KEEP OUT」を無視して中に入る。
妙な静けさがあった。

絵は全て燃え、ただ額縁だけが残されていた。
俺は、どこに何の絵があったかを大体覚えている。
焼け落ちた美術館を独りで歩く。


  ……独りか。


自分で言って思い出す。
あっちの世界に、打ち止めを置いてきてしまったんだ。


あの時。
空間は崩れ、誰もいなくなり、俺は打ち止めの手を離さないつもりだった。
実際に離した覚えもない。

けれど今、ここにあいつはいない。
置き去りのままになってしまった。

そして、その絵も焼失し。
打ち止めは『消えた』んだ。



番外個体が打ち止めの名を出さなかったのはなぜだ?
『三人』だけと言ったのはなぜだ?

それも、説明がつく。
無理やりだが、理屈が通る。

通ってしまう。


「ふざけてる……ッ」


『青い人形』というのはあっちの世界にあった、メアリーのものだろう。
何があったのかは知らないが、どうせUNが関係しているのだろう。
爆発したのは、あいつの意思なのだろう。


「ちくしょう、」


何を言っても、帰ってこないんだ。
わかっているのに、受け入れたくなかった。


「受け入れられるか。クソッたれが」


諦められなかった。
簡単に受け入れたくなかった。


324: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 10:12:05.28 ID:goHoUlUt0

本当に打ち止めは『消失』したのか?
そんなの信じたくなかった。

だから、否定がほしかったんだ。

電話をかけた。番外個体にだ。


『ちょっと何? 大体検討はつくけど、どこにいんの? 病院抜け出して』

「番外個体、質問に答えろ。『妹達』はオマエを除いて総計何人いる?」

『はぁ? なんで今』

「いいから言え」

『……このミサカを除いて? 実験に計画されてた通り二万体だけど』

「……二万と、もう一人いないか?」


番外個体が黙った。


「おい、聞いてンのか」

『……ねえ第一位、その話どこで聞いたの』

「いるのか!?」

『正確には「いた」だね。やっぱり知らされてないんだ。大変だねぇ』


違う。それは、俺が求めてる答えじゃない。


『死んだよ。八月三十一日に』

「……死んだ?」

『ミサカの脳にはそうインプットされてるけど。詳しくは芳川にでも聞きなよ。ってか迎えに行くよ? 怒鳴られるのはミサカなんだし』


死んだ。

……死んだ?


『誰も救われない。最高のバッドエンドだ』
UNの言葉を思い出した。

あいつが言ってたのはこの事だったのか?


325: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 10:34:57.57 ID:goHoUlUt0

「はは」

笑うしかなかった。
俺が俺じゃなくなっている気がした。

ふとポケットに黒い薔薇を見つけていた。
あの世界では俺の命だった。
……今は、ただの『造花』に成り果ててしまっているが。

「もう必要ないな」

それを焼け跡に放る。
煤に紛れて消えてしまえばいい。

そういや、あいつの薔薇、赤だったな。
……血の色だ。

……あ。そうだ。



捨てた薔薇を拾い上げる。

棘が手に突き刺さった。

赤く、血が流れた。

薔薇の茎を赤く染めた。



326: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 10:49:00.82 ID:goHoUlUt0

今、俺はどんな表情をしているだろう。
この場に誰もいなくてよかった、と思う。





銃を引き抜く。

弾丸は十分にある。





ああ、確かに壊れてるかもしれない。

でもいいよ。

こんな世界に用はない。






覚悟も何もあったもんじゃない。

これは、決まったことだ。



  ……そういや、あれは綺麗な赤だったな。

  オマエが笑ってたせいかな。



会いたかった。

らしくないとわかっていても。




「……ごめンな」




こめかみに銃口を向けた。

トリガーに指がかかる。



327: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 10:53:56.42 ID:goHoUlUt0



















 ―― SEE YOU , MY HOPE ――


























  迷いなンて、なかった。
  
















黒い薔薇が、紅く染まっていた。


328: ◆hdSJbJZZTU 2013/07/29(月) 10:56:37.60 ID:goHoUlUt0





  ―――ED:失われた希望 / サイキョウの結末。