1: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:08:38.53 ID:Bdy9GuuNo

小椋「こないだ松子とかとご飯食べててさ、三組の男子ってレベル高いよねーって話になって」

綾野「あぁー確かに。ウチのクラスの男子は校内でも人気ある奴多いわ」

小椋「でさ、じゃあ他のクラスはどうなのかーって。あたし男友達少ないし」

綾野「へー。んで私に聞きたいって訳か」

小椋「そういう訳。で、どうなの?」

綾野「って言ってもなー。他のクラスでも人気ある男子はいるけどさ、やっぱ三組程じゃないんだよねー」

小椋「ふーん。そんなもんなんだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1346130518

引用元: 小椋「三組以外の男子ってどうなの?」綾野「どしたの? いきなり」 

 

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2: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:11:19.92 ID:Bdy9GuuNo

野「水野君と同じバスケ部の子とかはいるよ。告られたって噂も聞くけどまぁ、水野君程じゃないっぽい」

小椋「水野そんなにモテんの?」

綾野「そりゃーバスケ部エースでイケメンだしねー。彼女いても告る女子は後を絶たないっぽいよ」

小椋「え、あいつ彼女いんの?」

綾野「バスケ部の後輩マネージャーだって。昔から知ってる子らしいよ」

小椋「そっか、確かに彼女いてもおかしくは無いわねあいつは」

綾野「他のクラスのイケメンて言うとあとはサッカー部の男子とかいるけど、ウチの学校サッカー部強くないしね」

小椋「部活の強さがそのまま人気になりがちだもんねー。バスケ部強いしそっちが人気の分、サッカー部は注目されないか」

綾野「そうそう。後はまぁどんぐりの背比べっていうか。垢抜けない芋っぽい男子しか居ないわけよ」

3: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:13:06.36 ID:Bdy9GuuNo

小椋「また辛辣な事言うわね」

綾野「ま、事実だしねー。その点三組はほんと、レベル高いと思うよ。水野君に米村君、前島君と川堀君がいるしね」

小椋「へぇー。その四人が人気なの?」

綾野「校内でかなりね。四人とも運動できるし、顔も上のほうじゃん? 前島君はカワイイ系だしね」

小椋「その中でも水野がトップって感じ?」

綾野「あと前島君だねー。可愛い顔してるし人気高いよ」

小椋「王子とかどうなの? あれもイケメンなんだと思うけど。あと望月?」

綾野「王子君は遠目で眺めてたいとか、額に入れて飾りたい感じの人気だね。実際告られた事はあんまないと思うよ」

綾野「もっちーはほら、ホの字の人があからさまだしね。生暖かく周囲が見守って癒されてる感じ?」

小椋「なんか歪んだ見方してるわね……」

綾野「そんなもんだよ。それでも確かにその二人も人気だし、てっしーも何だかんだで下級生には好かれてるしね」

小椋「あぁ勅使河原。ちゃらんぽらんにしか見えないからあたしあんま好きじゃないんだけど」

綾野「由美意外と真面目っ子だしねー。あの気さくな感じっていうか、軽いノリが楽しいって下級生の間じゃ人気あるよ」

小椋「そんなもんかしらねぇ。あたしには分からないわ」

綾野「ま、三組男子に対する女子評も、5月から一気に変わったけどね」

小椋「……やっぱ他クラスでも人気あんの? 榊原君」

綾野「下級生からもね。もーほんとゴールデンウィーク明けてから榊原君の噂で持ち切りだったもん」

綾野「都会から来た転校生で、父親が大学教授、本人も元々私立の進学校で頭も良い、おまけに超イケメン」

小椋「あの三神先生の甥っ子ってだけでも注目されるのは目に見えてたもんね。本人来て更に火が付いたか」

綾野「あっ、こういっちゃん!」クワッ

5: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:17:22.01 ID:Bdy9GuuNo

キャーキャー ミズノセンパーイ ガンバレー マエジマセンパーイ キャー

水野「ほい米村!」ダムダムダム シュッ

米村「おっしゃナイス!」パシッ

前島「抜かせねぇよ!」

米村「うわっ、てめぇ邪魔すんなこら!」ダムダムダム

前島「するわアホ! 3on3だろこれ!」

水野「米村! こっち回せ!」ダッ

川堀「やらせはせんぞ!」ダッ

榊原「米村君こっち!」

米村「ナイスサカキ!」シュッ

中尾「ちっ、榊原に回すのかよ!」

榊原「ナイスパス! 」パシッ


6: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:19:35.03 ID:Bdy9GuuNo
>>4支援ありがとう



中尾「ガードなら任せろー!」ダッ

榊原「ここから狙い撃つ!」シュッ ガコンッ パサ…

キャーッ!! サカキセンパイカッコイー! アタシトケッコンシテー! タイサクスルゾメスブタコラー! チョ、イズミー!!

中尾「なん……だと……!」

水野「ナイススリー!」パンッ

榊原「へへ、ありがとう」

米村「ほんとナイスだわサカキ!」パンッ

榊原「米村君も、ナイスパスだったよ」

川堀「あーダメだわ。負けしかねぇわこれ」

前島「次から水野とサカキは別チームな! つかサカキ激しく動けないんだからスリー狙うの分かるだろ中尾!」

中尾「前出ると思ったんだよ! チクショー榊原!!」

水野「とりあえず昼休み終わり前にジュース奢りな」

米村「へへ、ゴチんなるぜ」

榊原「ごちそうさま、三人とも」

7: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:21:32.06 ID:Bdy9GuuNo

小椋「うわー、凄いわねあれ。水野達と張り合ってんじゃん」

綾野「今は胸の病気でそんなに運動できないけど、前はスポーツも色々やってたんだってー」

小椋「なにそれ。ぶっちゃけモテ要素しか無くない?」

綾野「だよねー。モテない理由を探すほうが難しいと思うわ」

勅使河原「だよなー。ほんと羨ましいわサカキ……」

小椋「うわっ、いきなり勅使河原沸いた」

綾野「てっしーおつ。あれに混ざればてっしーもキャーキャー言われたかもよ?」

勅使河原「いや、混ざっても水野やサカキの引き立て役になるだけだろ。さっきの中尾みたいに」

小椋「見事な引き立てっぷりだったよね中尾。大方泉水に良い所見せようとしたんでしょあれ」

綾野「スポーツぐらいしか勝てそうなのないもんねぇ。それでも負けちゃったけど」

8: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:27:06.11 ID:Bdy9GuuNo

勅使河原「ま、俺はあいつに張り合うとか無いからな。俺は俺のモテ道を探求するのみよ!」

小椋「うわぁきもい」

綾野「てっしーはその下心とバカを治せばマシになると思うよ。基本イイヤツだし」

勅使河原「お前らほんと……。いや、三組女子ほんと、俺に対して辛辣だよな……」

小椋「別に。あたしちゃらんぽらんなの嫌いなだけだし。なんで榊原君の親友ポジにちゃらんぽらんなのがいるのとか思ってないし」

綾野「基本イイヤツだけどそのバカとスケベでこういっちゃんに迷惑かけてるから女子の当たりが強いんだよ」

勅使河原「うぐっ! いや俺も悪気がある訳じゃねぇんだって! なんつーかほら、タイミングっつーかよ」

小椋「でも榊原君が毎回フォローしてんの事実じゃん。バカは死ねよ」

綾野「まぁまぁ由美。てっしーのバカは今に始まった事じゃないからしょうがないって」

勅使河原「もうほんと、俺が悪かったから勘弁して下さいほんと……」

綾野「じゃあ勘弁するから何かこういっちゃんの面白い話教えて!」

勅使河原「サカキの? まぁ言うと思ったけど。お前の言うおもしろ話ってどーせ恋愛の話だろ?」

9: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:32:15.49 ID:Bdy9GuuNo

小椋「榊原君彼女いるの?」

勅使河原「また直球だな。いねーよ。前の学校でも特に付き合ったりとかは無いって聞いてる」

小椋「へー。こっちはともかく前の学校では居てもおかしくないんじゃない?」

綾野「都会だもんねー。向こうじゃ中学生カップルなんて珍しくないっしょ」

勅使河原「まぁモテてたみたいだけどな。何度か告られたけどよく知らない人ばっかりだから断ってたって」

小椋「ふーん。真面目なんだ」

勅使河原「かなりな。あいつ何でもマジだからよ、相手の事知らないで付き合っても相手に失礼だって思ってるみたいだわ」

綾野「てっしーなら即OKして付き合いそうだよねー」

勅使河原「ほっとけ! でな、やっぱり断ると泣く子もいるらしく、あいつ良い奴だから心苦しくて超辛いらしい」

綾野「女泣かせなのね。さすがこういっちゃんだわ」

小椋「それ意味違うから。でもま、榊原君らしいっちゃらしいわよね」

勅使河原「こっちでも今まで何度か告られてるけどみんな興味本位だから断るのに気が楽とか言ってたわ。思わず殺意が沸いた」

綾野「その殺意をこういっちゃんに向けたら全身にガラスの破片突き刺すからね」

小椋「あたしなら完成形マッスル・スパークができると思う」

勅使河原「冗談だから本気にすんなよ! 特に小椋お前マジでやる気だろ!」

綾野「それにしても、噂通りこういっちゃんに告った子いるんだねー」

小椋「でもそれうちのクラスの子じゃないでしょ?」

綾野「そうだったらこういっちゃんが色々気を使いそうだから分かると思う」

10: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:44:12.04 ID:Bdy9GuuNo

勅使河原「だよな。俺が聞いたのじゃ二組の寺田と二年のサッカー部のマネージャーだって」

小椋「げ、寺田かよ。確かにあいつホイホイ告りそうだわ。イケメン好きだし」

綾野「去年水野君に告ってフラれたんだよねあの子。男の取り巻きいるのになんで他の男に告るんだろ」

小椋「勅使河原みたいにモテたいだけなんじゃないの? 色んな男侍らせたいとか悪趣味な事考えそうだもんあいつ」

綾野「由美辛辣だねー。去年同じクラスだったよね確か。喧嘩でもしたの?」

小椋「あいつが一方的に喧嘩売ってきただけよ。一発殴ったら大人しくなったけど」

勅使河原「それあれだろ、小椋が寺田の狙ってた男から告られてフったって噂の」

小椋「あんたその話次したらマジで殴るからね。マジ最悪よあいつ」

綾野「あーそれなんだ。それ由美悪くないもんねー。こういっちゃんもOKしなくて正解だわ」

勅使河原「そういや綾野も結構告られてんだろ? 今年は無いみたいだけど」

綾野「まぁ確かにねぇ。仲いい男友達だと思ってる子から告られたりとか去年まであったよ。結構キツいんだよね」

小椋「今年はねぇ。もう彩榊原君しか見てないレベルだもんね」

綾野「そ、そんな事無いよ! ていうか、そんなあからさまな事してないしっ!!」

勅使河原「いやぁ毎朝ウキウキ挨拶したり休み時間に頻繁に話し掛けたりしといてそれはないだろ」

小椋「偶に勢い余って背中から抱きついたりしてるわよね」

綾野「えっえっ? そ、そんなに分かり易いかな」アセアセ

小椋「傍から見てるとねぇ。泉水とかぐぬぬって顔で偶に見てるわよ」

勅使河原「本人気づいてないけどな。あいつ自己評価低くてなぁ」

小椋「自分に自信を持つタイプじゃ無さそうだもんね、一見ナヨっとしてるし。落ち着いてるし初見では根暗だと思ってた」

勅使河原「本当はそんな事無いもんな。気さくな奴だしそれなりに冗談も言う、垢抜けた奴だよな」

綾野「そうなんだよねー。夜見山みたいな田舎で育った芋っぽい男子とは全然違うんだよねー」

勅使河原「おい綾野、ここに夜見山で育った男子がいるんだけど平気で言うかそれ」

11: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:50:16.06 ID:Bdy9GuuNo
小椋「でもあんだけ垢抜けてればある程度の自信はあってもいいと思うんだけどな」

勅使河原「まぁ自己評価が低いのは色々理由があるみてぇだししょうがねぇみたいだ」

綾野「理由ねぇ。こういっちゃんも色々あるんだなぁやっぱり」

小椋「あたしらじゃ想像できない事かもね。都会育ちが原因なのかもしれないし」

勅使河原「ま、そんな事気にしないで綾野は今まで通りサカキを追っかけ回してればいいんじゃねぇの?」

綾野「おっ、追っかけ回してなんかないもん!」

小椋「そうかなー」ニヤニヤ

綾野「もーやめてよー! 次からどうこういっちゃんに話しかければいいかわかんなくなっちゃう」

勅使河原「でも話しかけるのを辞めようと思わない辺り重症だな……」

小椋「ま、そんぐらいじゃないと榊原君は諦めるしかないもんね。ライバルは多いし」

綾野「あー、ライバル、ねぇ……」

勅使河原「ウチのクラス女子のレベル高いからなー。その中でライバルいるのは大変そうだわ」

12: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 14:55:49.34 ID:Bdy9GuuNo

勅使河原「あからさまなのは綾野の他には赤沢だろ、あと見崎」

小椋「見崎か、結構榊原君と一緒に居るよね」

勅使河原「何でも4月に入院してた病院に見崎の双子の妹が入院してたらしくてな。見舞いに行く内に仲良くなったらしいぞ」

勅使河原「あとその見崎の双子の妹と、水野の姉ちゃん」

綾野「水野君の? なんで?」

勅使河原「それも病院。担当の看護婦さんだったんだってよ。ちょこちょこイノヤでお茶してるのを望月の姉ちゃんが見てる」

小椋「うわぁなにそれ。水野の姉貴ショタコン?」

勅使河原「趣味が同じらしい。サカキも話がわかる可愛い人だって言ってたわ。本の貸し借りしてるらしいぜ」

綾野「なにそれ……超強敵じゃん……」

勅使河原「それと桜木も入院してる時からノートのコピー渡したりしてたみてぇだぞ」

綾野「えぇ、なにそれずるいゆかりん……」

勅使河原「あとは学年一告られてる女子の多々良だろ、癒し系の佐藤に小動物系の有田。あと小椋」

13: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:04:55.38 ID:Bdy9GuuNo

小椋「ちょ、あたし含めんなよっ!」

勅使河原「えっ? 違うのか? お前偶に授業中サカキの席チラチラ見てんじゃん」

綾野「だよねー。絶対そうだよねー」

小椋「えっ、いや、ち、違う! 違うからっ!!///」カァァ

綾野「またまたーそんなに赤くなっちゃってー」ウリウリ

勅使河原「またまたー」ウリウリ

小椋「うっぜぇ! 勅使河原てめぇ死ねコラ! シネ!///」ゲシゲシ

勅使河原「いてっ、ちょっ、悪かった悪かった! だから脛蹴るのやめてください!!」

キーン コーン カーン コーン

綾野「あ、チャイム。五時間目なんだっけ」

小椋「確か美術かな。移動教室でしょ」

綾野「もっちーのニヤニヤタイムかー。今日はこういっちゃんと同じ班になろー」

小椋「はぁ……あんたそれがあからさまだって言われんのよ」

綾野「うっ、うるさいなー。もういいもん開き直るから」ガタッ

小椋「はいはい。どうせ本人の前じゃそんな態度になれないんでしょ」ガタッ

綾野「い、言ったなこのー。じゃーいいよ五時間目頑張るから!」スタスタ

小椋「はいはい……」スタスタ



勅使河原「……俺の扱いがひでえ」ボロッ

14: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:17:02.21 ID:Bdy9GuuNo
.
.
.

綾野「……はぁ」ショボン

小椋「はいはい、そう落ち込まないの。誰にだって得手不得手はあるんだから」ポンポン

綾野「由美ぃ。でもこういっちゃん顔引き攣ってたよ……」

小椋「あの似顔絵じゃ流石に引き攣るわ。顔が劇画チックなのに耳から腕生えてたし」

綾野「うぅ、そうだよね」

小椋「まぁ望月よりマシでしょ。三神先生半泣きだったわよ」

綾野「あぁあれはないわ。私だったら助走つけてグーで殴る」

小椋「でもあの後榊原君が慰めて三神先生復活したのよね。なんだかなぁ……」

15: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:25:23.14 ID:Bdy9GuuNo

綾野「三神先生かぁ……もしかしたら最大の敵なのかも」

小椋「え、ちょっと止めてよそれ。そんな倒錯した関係ありえないでしょ」

綾野「いやーわかんないけどさ。先生も独身だし? 一緒に住んでるし? 校内じゃ美人教師で有名だし? コウイチクン、レイコサン、なん

て事も」

小椋「キャーちょっとやめてよ! 色々想像しちゃうじゃない!」バシバシ

綾野「ちょっ、いたっ、ちょっとした冗談だって! でも実際絶対に無いとは言い切れないじゃん」

小椋「それはまぁそうかもだけど。でもそんなの」

綾野「あ、なんか想像したら落ち込んできた。いやだなぁそうだったら三神先生じゃ勝てないなぁ」

小椋「若さぐらいしか勝てないよねぇ。でも中高生の男子なんて大人の女性が好きとかよく言ってるし」

綾野「ねー。やばいやばいほんとに警戒しないと」

17: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:35:16.37 ID:Bdy9GuuNo

小椋「で、あたしらどこ向かってるの?」

綾野「ん? 屋上。泉水が今日ゆかりんのお手伝いしてるから文化祭に向けて自主練習」

小椋「あーまぁいいけどね。なんであたしも行かないといけないの」

綾野「えーだって一人じゃ寂しいじゃん。由美も一緒に練習しようよ」

小椋「わかったわよ。もう……」

ギイ バタンッ!!

綾野「わっ!!」ドンッ

小椋「ちょっ、大丈夫彩?」ガシッ

後輩「ご、ごめんなさいっ!」タッタッタッ

綾野「えっ? ってこらー! 謝るだけかー!」ムカーッ

小椋「ま、まぁまぁ。大丈夫だったんだしいいでしょ」

綾野「むー、そうだけどさー」

小椋「それになんか、あの子泣いてたみたいだし……」

綾野「えー……じゃあしょうがないのかなぁ」

18: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:44:06.38 ID:Bdy9GuuNo

小椋「うん、そうしとこう。で、どうする?」

綾野「え? 屋上でしょ? 行くよ」

小椋「えっ? 行くの?」

綾野「行くよ。練習しないとだし、それに興味あるっしょ?」

小椋「うわぁー。確かに多少興味はあるけどさ……」

綾野「でしょ。だからほらほら、行くよ」ギィ

小椋「わっ、ちょっとゆっくり、ゆっくり入ろう!」コソコソ

綾野「そうだね、様子見て入ろっか」ギィ…




榊原「………………」

綾野「(あー……こういっちゃんか……)」コソコソ

小椋「(少しは想像してたけど、実際にそうだと、なんだかな……)」コソコソ

19: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:54:41.78 ID:Bdy9GuuNo

綾野「(うー……何か胸がモニョモニョする……)」コソコソ

小椋「(ずっと空見上げて……なんか落ち込んでる?)」コソコソ

榊原「ん? あれ、綾野さんと小椋さん?」

綾野「あっ、わっ、えとえと」アセアセ

小椋「バ、バレた! わ、わ、ど、どうする彩!」アセアセ

榊原「……いや聞こえてるよ? 二人ともどうしたの」クスッ

小椋「お、屋上で部活の自主練しようと思って、その、ね」

綾野「うっうん! そ、そうなんだよこういっちゃーん奇遇だねー」

榊原「あぁ、そうなんだ。でもなんでそんなコソコソ」

綾野「いや、それは、その」

小椋「ちょ、ちょっと屋上に誰かいるかなって……」

榊原「……もしかして、ずっと見てた?」

綾野「ず、ずっとじゃない! ずっとじゃないよっ! 女子が屋上から飛び出してきたからその」

20: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 15:57:29.34 ID:Bdy9GuuNo

榊原「あぁ……うん、そっか……」ショボン

小椋「……なんか、ごめんね。榊原君」

榊原「いや、小椋さんが謝るような事じゃないけどさ。……その、女の子ってさ、やっぱり泣いてた?」

綾野「あぁー……まぁ、うん」

榊原「はぁ……そうだよね。なんか、ごめんね」ショボン

綾野「いや、それはこういっちゃんの謝る事じゃないけど、さ」

小椋「やっぱりさ、その。断った、の?」

榊原「……泣いてる姿見てるんじゃ、誤魔化せないよね」

綾野「まぁ、ね」

小椋「でも、その。さ、榊原君が落ち込む事ないって!」

榊原「そうかもしれないけどね。泣かれちゃうとどうしても、ね」

榊原「あの子、凄く真剣だったから、さ。でも適当な気持ちで付き合う事なんて出来ないし、どうしてもあぁなっちゃう……」

榊原「って、なんか愚痴っぽくなっちゃった。ごめんね」アハハ…

綾野「……こういっちゃんは、さ」

榊原「うん? なに、綾野さん」

綾野「こういっちゃんはさ、なんで断るの? あの子結構可愛かったし、真剣だったんでしょ?」

21: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 16:00:26.68 ID:Bdy9GuuNo

小椋「ちょ、彩……」

榊原「そうだね……。確かに可愛かったし、真剣に僕に対して好意を持ってくれてるんだなっていうのは分かるよ」

綾野「だったら、付き合っちゃえば良かったんじゃない、の?」プルプル

小椋「(……震えながら言うぐらいなら聞くなよ。まぁ気持ちは分かるけど、ね)」

榊原「そうかもしれないけど、さ。なんていうか、わかんないんだよね、僕」

小椋「分かんない? なにが?」

榊原「えっと、説明が難しいんだけどさ。こう、可愛いから、相手が真剣だから、で付き合うのは違う気がするし」

榊原「正直に言って、付き合うってなんだろう、って考えちゃうんだ」

綾野「付き合うってなんだろう、ね……」

榊原「うん。僕だってそりゃ男だし、可愛いなぁと思ったり好きっていう気持ちはあったりするけど」

榊原「その自分が持つ好きっていう気持ちが恋愛なのか、全然わかんないんだ」

榊原「付き合うっていうのが距離感が縮まる事なのか、行動を共にするだけなのか、別の何なのか、わかんない……」

榊原「そういう曖昧な気持ちで簡単に『はい』なんて承諾できない、かな」

22: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 16:07:31.51 ID:Bdy9GuuNo

小椋「……もしかして榊原君、初恋って、まだ?」

榊原「あはは、どうなんだろう。良く物語で言う胸が掻き毟られるような気持ちっていうのは、経験無いかな」

榊原「あーでもちっちゃい頃によく怜子さんと結婚するーなんて言ってたみたいだけどね」アハハ

小椋「(なんかもう色々可愛いなぁチクショウ榊原君!?)」

榊原「僕の持つ好きって気持ちが恋なんだったら、僕の中で一番は怜子さんになっちゃうけど、なんかそれも違うのかなぁって思うんだ」

綾野「(怜子さん、三神先生か。やっぱ最大の障害!?)」

榊原「そんな自分の気持ちも曖昧なのに、他人の好意を受け止めたって、お互いに良い事ないと思うんだ」

小椋「……勅使河原に聞かせてやった後で爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい話ね」

榊原「そ、それはちょっと言い過ぎじゃ。それにあいつも良い奴だし」

小椋「でもあいつちゃらんぽらん過ぎるのよ! ドスケベだしね!」

榊原「そ、それは否定できないかな。僕にも色々押し付けてくるし……」

綾野「てっしーはどうでもいいとしてさ。こういっちゃんがすっごい真面目に考えてるのは分かったなー」

小椋「あと初恋がまだかもっていう事もね」

榊原「ちょっ、か、勘弁してよ……」アセアセ

23: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 16:13:44.97 ID:Bdy9GuuNo

綾野「でもさ、こういっちゃんも女子の仕草とかにドキッとしたりする事ってあるでしょ?」

榊原「そりゃ、あるけどさ……。それはなんか、恋愛とは違う性欲な気がして」

小椋「せ、性欲……。ま、まぁ確かにそうかもしれないけど。でも、恋ってそういうものじゃないかな」

榊原「そ、そうなのかな……。僕にはちょっと、まだわかんない、かな」ショボン

綾野「(ショボンとしてるこういっちゃん、カワイイ///)」ドキッ

小椋「(恋に悩む榊原君、か。ヤバッ、顔どんどん熱くなってきてる)」ドキドキ

小椋「(あーごめん彩。あたし駄目だ……色々抑え効かないよ///)」バクバク

小椋「あ、あんまり難しく考える事でも、ないんじゃない、かな」ドキドキ

榊原「そう、なのかなぁ」

小椋「そうそう。例えば、さ」スタスタ

綾野「え、由美?」

榊原「ど、どうしたの? 小椋さん」ビクッ

小椋「スーハー……。っ、えいっ!」ギュッ!

24: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 16:16:04.79 ID:Bdy9GuuNo

榊原「えっ、ちょっ! な、なんで抱きついて……」ドキッ!

綾野「あーっ! なにしてんの由美ーっ!」ダッ

小椋「ど、どう? ドキドキする?」ドキドキドキ ギュゥゥゥ

榊原「そ、そりゃ、する、するけど!」ドキドキ

綾野「こらー! は、離れなさい由美!」グイッ

小椋「あたしも、ドキドキする。これってさ、性欲だけじゃないんだよ、きっと」ドキドキドキ ギュウウウウウ

綾野「こ、この! い、いいもん分かった! 由美がそのつもりなら私だって!」

榊原「性欲だけじゃない、のかな。って、綾野さん何するつも」

綾野「こういっちゃんの背中は私が貰ったーっ!」ギュウウウウウ

榊原「うわぁっ! ちょ、綾野さんもはな、離して!?」ドキィ!

小椋「あたしは、この気持は欲だけじゃないって、嘘じゃないって、信じてるから。だから」

綾野「こういっちゃん、ドキドキしてる。あったかーい安心するー」

榊原「わかった、よく分かんないけどわかった、わかったから! いい加減、離して!?」ドキドキドキドキ

小椋「榊原君、あたし、あたし……」ドキドキ ギュウウウ

綾野「こういっちゃーん……」ドキドキ ギュウウウ

榊原「ちょ、ちょっと、誰か来たらどうすんの二人と」

25: ◆1Iuu./xGEk 2012/08/28(火) 16:16:47.44 ID:Bdy9GuuNo

ギィ

小椋「榊原、恒一、恒一、君……」ギュウウウ

綾野「えへへ、こういっちゃーん」ギュウウウ

見崎「………………」

榊原「」

見崎「…………だっこちゃん人形」

榊原「違うよっ! ていうか何言ってるの見崎!」

見崎「見たまま。お邪魔するのも悪いから明日にするわ」スタスタ

榊原「えっ、ちょっと、怒ってない? ていうか怒ってる、怒ってるよね? 見崎!」

見崎「さようなら、サ・カ・キ・バ・ラ・君!」バタンッ!

小椋「恒一君、恒一君……」ギュウウウ

綾野「こういっちゃーん、安らぐー」ギュウウウ

榊原「終わった……何かが色々と、終わった……」ガックリ



この日の出来事を三組女子全体へ伝えた見崎鳴により、三組女子による恒一を巡る熾烈な争いの火蓋が落とされる。
時は戦国、群雄割拠の時代の幕開けである。

END