1: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:50:30.83 ID:0UrZeowl0

飛鳥「……」

飛鳥(…ここでアイドルとして活動を始めて一年と少し、か…)

飛鳥(…こうして誕生日を迎えるのもこれで二度目、だね)

飛鳥「……」(ゴロン

飛鳥(一昨年の12月にプロデューサーと出会って…さまざまな新しい経験をして…)

飛鳥(…今までのボクの道には無かった、確かな思い出を刻むことが出来た…かな)

飛鳥(…キミにはどれだけ感謝してもしきれないくらい、色んなものを貰ってしまったね)

飛鳥「……」(モゾモゾ

飛鳥(…それに)


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引用元: 飛鳥「普段通りの、特別な夜」 

 

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2: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:51:33.48 ID:0UrZeowlo

「すー…すー…」

「くぅ…くぅ…」

飛鳥(アイドルという仕事を通して貴重な友人とも出会えた)

飛鳥(…蘭子と乃々はもう眠ってしまったか。消灯時間もとっくに過ぎたしね)

飛鳥(七海は…)(チラッ

七海「…さっきからもぞもぞしてどうしたんれすか~? 飛鳥ちゃん」(ヒソヒソ

飛鳥「…っ!」(ビクッ

七海「そんなに驚かなくても~…」

3: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:52:30.74 ID:0UrZeowlo

飛鳥「いや…いきなりこんな近くで囁かれたら誰だって驚くだろう…」

七海「それはごめんなさいなのね~…でも飛鳥ちゃんがいつもより挙動不審だったから~…」

飛鳥「人がいつも挙動不審みたいな言い方はやめてくれないかな…ん…いつもより?」

七海「れす~」

飛鳥「…いつも見てるのかい?」

七海「れす~」

飛鳥「……」

七海「…あ、変な意味じゃないれすよ~? みんな七海よりも寝るのが早いから~。つい~」

4: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:53:28.08 ID:0UrZeowlo

飛鳥「…今夜からは七海が寝付くまで起きていようかな…」

七海「そんな心配しなくても~…別に七海もそんなに注意深く見てるわけじゃ~…」

飛鳥「…でもボクは挙動不審に見えるんだろう?」

七海「れす~」

飛鳥「……」

七海「……」(ニコニコ

飛鳥「…率直な意見をどうも。これからは気を付けることにするよ」

七海「えへ~…本当のこと言うとれすね~…ほら、飛鳥ちゃんと七海のベッドって向かい合わせじゃないれすか~」

5: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:54:26.64 ID:0UrZeowlo

飛鳥「そうだね、二段ベッドの下段同士だ。でなければ今こうして顔を向い合せて話なんてできないしね」

七海「…飛鳥ちゃん、いつもスマホでラジオ聴いてるれしょ~?」

飛鳥「……うん」

七海「…いくら声を抑えてるとはいっても、頭の上からくすくす笑う声が聞こえたら気になるのね~…」

飛鳥「……ごめん」

七海「えへへ~。さっきのでお返しということで~。七海こそごめんなさいなのれす~」

飛鳥「…ふふ、そうだね。七海がそういうならそうしようか。おあいこ、ってことで」

七海「…それで気になったんれすけろ~…」

飛鳥「? どうかしたのかい?」

6: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:55:01.88 ID:0UrZeowlo

七海「飛鳥ちゃん今日はラジオ聴いてないんれすね~…? スマホは持ってるのに…」

飛鳥「…あー…これは…その…ね、うん」

七海「?」

飛鳥「…な、なんでもない…よ?」

七海「…誤魔化すのへたっぴな飛鳥ちゃんも可愛いれすね~…♪」

飛鳥「…ほ、ほら、早く寝てしまおう。たまにはゆっくり睡眠をとるのもいいものじゃないかな」

七海「ん~…まあいっか…れす~。それじゃ…おやすみなさい、飛鳥ちゃん~」

飛鳥「ん…おやすみ、七海」

7: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:56:19.10 ID:0UrZeowlo

七海「……」

飛鳥「……」

七海「…そういえば~」

飛鳥「…なんだい?」

七海「今何時くらいなんれしょ~?」

飛鳥「…あと10分もしないうちに日付が変わるね」

七海「そうれすか~…ねえ飛鳥ちゃん~?」

飛鳥「…もう寝るんじゃなかったのかな?」

七海「それを言い出したのは飛鳥ちゃんれすから~。それよりね~?」

飛鳥「…うん」

8: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:57:55.72 ID:0UrZeowlo

七海「…おめでとうは言わない方がいいれすか~…?」

飛鳥「ん…そんなことはないよ。誰からであっても祝ってもらえるのは嬉しいさ。それが友達なら尚更、ね」

七海「…そうれすか~…」

飛鳥「…でもまあ…もし七海がどこぞの誰かに遠慮してそういうことを聞いてくれたのなら…だ」

七海「?」

飛鳥「…蘭子や乃々と一緒に、ってことで…どうかな?」

七海「…二人とも朝起きたら真っ先に言いそうれすけろ~…特に蘭子ちゃんが~…」

飛鳥「そうかな…フフ、そうかもね…」

七海「飛鳥ちゃんはそれで…」

飛鳥「ストップだ、七海。さっきも言っただろう? 友達から祝われるのはとても嬉しいと思うよ」

9: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/02(月) 23:59:04.42 ID:0UrZeowlo
七海「…でも~…」

飛鳥「…それでも、と思ってしまうとしたら…それはボクの醜いエゴだ。キミ達が気にすることじゃあないさ…」

七海「……」

飛鳥「…さ、もう寝よう。大丈夫だよ、朝になればすべてはいつも通りさ…」

七海「…それじゃ…」


ヴー・・・ヴー・・・


七海「あれ…メール…れすか~?」

飛鳥「…プロデューサーから? まだ早……!」

10: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/03(火) 00:00:00.30 ID:WTsYdtC9o




『誕生日おめでとう、飛鳥。また今年もよろしくな』



11: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/03(火) 00:01:00.00 ID:WTsYdtC9o

七海「…ちょうど日付が変わった瞬間に、れすね~…」

飛鳥「……」

七海「…飛鳥ちゃん~?」

飛鳥「…な、なんだい七海?」(デレデレ

七海「…七海はもうおねむだからお先に…おやすみなさい、なのね~…ぐぅ」

飛鳥「うん、おやすみ…それと…ありがとう」

七海「…ぐぅ…ぐぅ…」

飛鳥「…えへへ」

七海(…誕生日おめでとう、飛鳥ちゃん…れす♪)

12: ◆Ifhe8SP7qY 2015/02/03(火) 00:01:53.43 ID:WTsYdtC9o

飛鳥「……」(チラッ

七海「ぐぅ…ぐぅ…」

飛鳥「…っと。あんまり照らしてるとまた迷惑かけちゃうか…早めに…」



飛鳥(プロデューサーからのメールは短くて、簡素で。でも確かに想いが込められていた)

飛鳥(もしかしたらそんな意図はないのかもしれない。他の人から見たら間違いなくそうだろう)

飛鳥(でも大事なのは受け取った本人が…つまりボクがどう思うかで、きっと彼もそれを理解しているはず)

飛鳥(なら、ボクが返すべき言葉も同じく。そこに無駄な飾りつけは不要だ)

飛鳥(伝えるべき想いと…今はまだ、伝えずにいる想い…その両方を、この一言に)




『ありがとう。こちらこそ…これからもよろしく』




飛鳥(2月3日、午前0時。春の足音が聞こえ始める…そんな気がした、普段通りの特別な夜だった)




おしまい