2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:24:31.84 ID:Ji4d/59Jo
P「千早、IA優勝おめでとう」

千早「ありがとうございます。プロデューサーのおかげです」

引用元: P「千早へのささやかな贈り物」 

 

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3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:25:36.79 ID:Ji4d/59Jo
P「本当にそう思ってるのか?」

千早「プロデューサーのおっしゃる意味がわかりませんが」

P「俺は新米プロデューサーだ」

千早「はい。ですが優秀なプロデューサーです」

P「千早が俺が初めてプロデュースしたアイドルだ」

千早「はい」

P「初めてのプロデュースで大手事務所のアイドルを倒し、IAに優勝する」

P「千早の才能と努力があってもできすぎじゃないか?」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:28:36.44 ID:Ji4d/59Jo
千早「それはプロデューサーの手腕が優れていたからでしょう」

P「いや、繰り返すが俺は右も左もわからなかった新米プロデューサーだ」

P「ところで千早、この1年でレッスンを失敗したことはあったか?」

千早「ありませんでした」

P「この1年でモチベーションが下がったことは」

千早「いいえ。辛いときも苦しいときもプロデューサーがいてくれたから……」

P「ゴホン、とにかく千早はこの1年で全くミスをしなかった、そうだな?」

千早「ええ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:29:13.89 ID:Ji4d/59Jo
P「俺もこの1年ミスを犯さなかった。何一つ」

千早「でしたらやっぱりプロデューサーが優秀だったんでしょう」

千早「さっきからいったい何をおっしゃっているんですか」

P「俺たちは上手くいきすぎているんだ。それに……」

千早「それに?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:31:15.94 ID:Ji4d/59Jo
P「千早、IAを優勝したとき、本当に嬉しかったか?」

P「デジャビュを感じなかったか?」

P「俺は感じたんだ。デジャビュなんて曖昧な予感じゃなくて確信していた」

P「千早をプロデュースすると決めたときから優勝するって知っていた」

P「プロフィールに目を通した瞬間に今日の勝利が必ず来るものだと知っていた」

P「改めて聞くが、千早、デジャビュを感じなかったか?」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:32:58.64 ID:Ji4d/59Jo
千早「プロデューサーも感じていましたか」

千早「私もレッスンを失敗しないと「知って」いましたし、ジュピターを倒せるって「知って」いましたし、優勝するって「知って」いました」

千早「だから優勝したときも、喜びよりも既視感を覚えました」

P「だろう?」

P「たぶん俺たちはずっと同じ1年間をループしている」

千早「ループ、ですか?」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:37:15.71 ID:Ji4d/59Jo
P「ずっとずっと前の俺たちはIAで負けたこともあったんだろう。その度に「何か」が修正してきた」

千早「何か、とは何でしょう?」

P「わからない。ただ、今の俺たちには関係ないことだ」

P「初めてのはずの俺たちの活動が順調だったのは何度も同じ時間を繰り返しているからなんだ」

P「決して間違えない選択、決して失敗しないレッスン」

P「IAの結末を最初から知っていたのもそのせいだ。そうすると上手く説明がつく」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:38:02.89 ID:Ji4d/59Jo
P「ところで、俺はこれから1年間ハリウッドでプロデュース業の修行をすることになる」

千早「初耳でしたし驚きました」

千早「ただ、知っていた気がします」

P「そう答えると思っていた。」

P「俺は渡米することまでしかわからないんだ、千早、ここから先を知らないか」

千早「いえ、残念ながら存じ上げません」

P「全然残念なんかじゃない。むしろそれを聞いて安心したよ」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:42:33.70 ID:Ji4d/59Jo
P「俺たちのいわば「未来の記憶」とでも呼ぶべき記憶は俺が渡米を決定するまでしかない」

P「全ての鍵は記憶が1年分しかないことなんじゃないかと思う」

P「つまり「何か」が俺たちを導ける、別の言い方をすれば操れるのは今日までなんじゃないか」

P「本来なら渡米から先からは「何か」が介入するまでもなく決定されている、ということだ」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:43:42.70 ID:Ji4d/59Jo
P「俺がこれに気づいたのは「何か」にとっては誤算のはずなんだ」

P「だからもしハリウッドへ行ったらリセットされて千早との思い出が全部消える、出会うところから始め直さなきゃいけない。そんな気がするんだ」

千早「ええ、私も私の知っているプロデューサーと永遠に別れてしまうと予感しています」

P「だから、俺はアメリカへ行かない」

P「千早、これを」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:46:08.16 ID:Ji4d/59Jo
千早「指輪……ですね」

P「俺たちは何十年分、もしかしたら何百年分かもしれない。とにかくずっと長い間一緒にいたんだ」

P「これからはずっと二人でいたい」

P「第二の人生を二人で歩もう、結婚しよう」

千早「ええ、プロデューサー」

千早「いいえ、Pさん……」

fin

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/13(火) 22:47:29.03 ID:Ji4d/59Jo
タイトルはフィリップ・K・ディックの時間ループSF「時間飛行士へのささやか贈り物」から
アイデアは藤子・F・不二雄「未来の思い出」より拝借致しました

お目汚し失礼致しました