1: 野球ネタ多め 他のアイドルは出ません 2012/11/30(金) 13:32:03.73 ID:ENYrcHIAo
P(キャッツも勝ったし、これなら今日も大丈夫そうだな……)

友紀「おはようございまーす!!」

P「ああ、おはよう。今日はどんな感じだ?」

友紀「今日はバッチリだよ! 一緒に今日も頑張ってこー!」

P「おっ、調子よさそうだな。じゃあ早速、現場に向かうか」

友紀「ねえプロデューサー、昨日のキャッツどうだったと思う?」

P「あー、悪いチェックしてなかった……どうだったんだ?」

友紀「もちろん勝ったに決まってるよ! トラーズには負けられないよね!」

P「そうだったのか。さすがキャッツだな」

友紀「うんうん、あたしが応援してるだけはあるね」

P(勝ったからやっぱり機嫌がいいな。……でも、負けた日は)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1354249923

引用元: モバP「昨日のキャッツは……よし、勝ってるな」 

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 032姫川友紀
歌、トーク:姫川友紀(CV:杜野まこ)
日本コロムビア (2015-02-04)
売り上げランキング: 163
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:33:29.29 ID:ENYrcHIAo
またある日

友紀「……」

P「お、おい、友紀……元気無さそうだけど、なにがあった?」

友紀「……キャッツが」

P「……負けたのか」

友紀「またトカゲンズに負けたんだよ! どうしてかな……絶対キャッツの方が強いのに」

P「うーん、確かに今年は戦力揃ってるし強いはずなんだけどな……」

友紀「プロデューサーもそう思う? おかしいなあ……応援が足りなかったかな……」

P(負けた次の日はこうなるんだよな……そういう時は)

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:34:00.21 ID:ENYrcHIAo
P「でも、昨日の試合ニュースで観ただけなんだけどさ、キャッツの選手っていいよな」

友紀「えっ? 本当!? 誰がよかった!?」

P「いや、ショートの平本はいい打撃してるし、短野も相変わらず出塁するし」

友紀「うんうん……他には?」

P「あの若い宮肉って投手もよかったな。結局二失点しかしてなかっただろ?」

友紀「そうだよね! キャッツの選手はみんないいからなー」

P「ああ、連敗はないんじゃないか?」

友紀「うん、今日は勝つよ!」

P「よし、じゃあ俺達も仕事で頑張らないとな。そろそろ行くぞ」

友紀「よーし、今日も声出していこー!」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:34:26.67 ID:ENYrcHIAo
P(別にサボるわけではないけど、負けた後はテンションが違うんだよな……)

P(まあ、今年のキャッツは補強もしたし優勝間違いない、とか言われてるから)

P(そこまで落ち込むことはないだろう。……多分)


友紀「どうしたの、プロデューサー。考え事?」

P「えっ? あ、ああ、ちょっとな」

友紀「さては……キャッツのこと考えてた?」

P「たしかに……、キャッツのことと言えばそうかもな」

友紀「本当に? やっぱりプロデューサーってキャッツファンなんだね!」

P「だから違うって。野球は好きだけどどこファンとかはないから」

友紀「えー? だったら一緒にキャッツ応援すればいいんじゃない?」

P「そうだな、考えておくよ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:34:58.60 ID:ENYrcHIAo
P「よし、じゃあ今日はこれで終わりだ。また明日な」

友紀「おつかれさまでしたー! 急がないと……」

P「どうした、なにか用事でもあったか?」

友紀「キャッツの試合を少しでも観ないとね! じゃ、あたし急ぐから!」

P(まだ七時か……家に帰れば少しは観れるからな)

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:35:24.35 ID:ENYrcHIAo
P宅

P(キャッツの試合は……おっ、やってる)

P(今日の相手は……トカゲンズ、先発はエースのの古見か)

P(八回途中まで一失点、その後は深尾が投げて、今から九回か)

実況『さあ、九回には石瀬が登板しました。解説の代々木さん、どうでしょう?』

解説『衰えたとはいえ、十分に抑える力はあると思いますよ』

P(……1-2、抑えられたらキャッツは連敗か)プシュ

実況『さあ石瀬、振りかぶって第一球……投げました!』

P「……」

実況『外、スライダー! 空振り!』

P「……ぷはー」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:35:51.52 ID:ENYrcHIAo
次の日

友紀「おはようございまーす!」

P「……おっ、来たか。おはよう」

友紀「プロデューサー、昨日の試合、観た?」

P「昨日は……悪い、観てないな」

友紀「えー? 昨日の試合は観るべきだったよ! サヨナラ勝ちだよ!?」

P「そっか、キャッツが勝ったんだな」

友紀「いやー、急いで家に帰ってよかった。おかげでビールも最高に美味しかったし!」

P「まあ、ほどほどにな。よし、仕事行くぞ」

友紀「うん! かっとばすぞー!」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:36:22.22 ID:ENYrcHIAo
とある日

P「はい……はい、ではまた打ち合わせのときということで……」

P「ええ、ありがとうございます。それでは」

友紀「プロデューサー、今のって仕事の電話?」

P「ああ、お前にピッタリの仕事がきたぞ」

友紀「ピッタリ? それってもしかして……」

P「野球の取材だ、それもキャッツの」

友紀「ほ、本当に!? あたしが仕事でキャッツと会えるの!?」

P「会いに、じゃなくて取材だ。いいか、あくまでも仕事だからな?」

友紀「もちろんわかってるよ! 楽しみだな……外海に杉外、安倍に低橋……!」

P「……仕事だからなー」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:36:48.18 ID:ENYrcHIAo
取材当日 東都ドームグラウンド

友紀「ぷ、プロデューサー! ほ、本物の選手がこんなに近くに!」

P「落ち着け、今から取材する相手なんだぞ?」

友紀「わかってるけど、これは興奮するなっていう方が無理だよ!」

P「宮崎のキャンプなら近くで見れたりもするし、そこまでテンション上がるか?」

友紀「それとこれは別だって。キャンプのときと顔つきが違うしね」

P「とりあえず、今から取材だ。俺は報道陣に紛れてるから一人で頑張れよ」

友紀「わかった! よーし、頑張るぞー!」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:37:14.16 ID:ENYrcHIAo
P(さて、とりあえずは様子見だけど……おっ、早速行ったな)


友紀「あ、あの、はじめまして! 今回取材させてもらうことになった……」

友紀「えっ? あたしのこと知ってるんですか!?」

友紀「あっ、はい! 熱狂的キャッツファンの姫川友紀です!」

友紀「はい! 今日はすごく近くに選手の皆さんがいらっしゃっててもう最高で……」

友紀「あれ? これじゃあたしがインタビューされてませんか!?」

友紀「わ、笑わないでくださいよ! えーっと、じゃあ質問しますね。今日の試合は――」


P(……思ったより、大丈夫そうだな)

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:37:50.13 ID:ENYrcHIAo
数十分後

友紀「プロデューサー!」

P「お疲れ、いい感じだったんじゃないか?」

友紀「うん! あたしもそう思うよ。選手全員に応援のメッセージも送ったしね!」

P「手応えもあったみたいだな。さて、ADさんは……」

AD「お疲れ様でしたー。選手の皆さんの反応もなかなかよかったですよ」

友紀「本当ですか? ありがとうございます!」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:38:15.90 ID:ENYrcHIAo
AD「それで、一週間後、また同じような感じで取材してもらいたいんですが」

P「姫川をまた取材に使ってくれる、ということですか?」

AD「ええ、OA次第では変わるかもしれませんけど、そのつもりでいきたいと思います」

P「ありがとうございます! では、またご連絡いただければすぐに対応いたしますので」

AD「わかりました。それではまた」

友紀「お疲れ様でしたー!」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:38:41.80 ID:ENYrcHIAo
P「やったな友紀! お前のおかげだな!」

友紀「い、いや……、ほ、ほら! あたしはただキャッツが好きなだけだから!」

P「なんだ友紀、照れてるのか? らしくないぞ?」

友紀「なっ……あたしだってまだ二十歳の女の子だよ!?」

P「でも、ビール片手にキャッツ応援するのが好きなんだろ?」

友紀「それはそうだけど……と、ともかく! もう少しあたしを女の子っぽく」

P「それより、この後のキャッツの試合、観ていってもいいらしいけどどうする?」

友紀「それ本当!? もちろん観て行く!」

P「わかった。でも、ビールはダメだからな」

友紀「うっ……一杯くらい、ダメ?」

P「ダメだ、ほら行くぞ」

友紀「はーい……」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:39:21.12 ID:ENYrcHIAo
三日後

P「――はい、はい、わかりました。ではまた、よろしくお願いします」

P「友紀ー、仕事決まったぞー」

友紀「本当に!? もしかして、この前の取材の?」

P「ああ、あの取材、OAされた後反響が結構あったらしい」

友紀「それでまた使ってもらえるってわけか。やったね、プロデューサー!」

P「……でも、一つだけ問題があるんだ」

友紀「問題? キャッツに関する情報収集ならバッチリだけど」

P「いや、キャッツじゃなくて……対戦相手のチーム、トカゲンズも取材するんだ」

友紀「えっ? トカゲンズも……?」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:39:59.17 ID:ENYrcHIAo
P「ああ、だから今回はキャッツの情報収拾だけじゃダメだな」

友紀「うーん……それ、あたしでいいのかな?」

P「どういうことだ? やりたくない、なんて言わないよな?」

友紀「だって、あたしはキャッツファンだから、
トカゲンズの選手はあたしに取材されても微妙だと思うんだよね」

P「それを気にしてるのか?」

友紀「ファンの立場からしても、このアイドルキャッツ好きのくせに……ってならない?」

P「……たしかに、そう思うかもな」

友紀「ほら、やっぱりそうだよね? だから、難しいかな……って思ったんだけど」

P「でも、それが上手くいったらどうなる?」

友紀「えっ?」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:40:35.29 ID:ENYrcHIAo
P「キャッツファンでもあるけど、友紀は野球が好きなんだろ?」

友紀「当たり前だよ、キャッツも野球も大好きに決まってるじゃん」

P「それで十分だ。野球が好きなアイドルが野球選手に取材する、それでいいんだよ」

友紀「……でも、この前の取材はあたしがキャッツファンだから上手くいったんじゃ」

P「かもしれないな。もし失敗したら……」

友紀「……どうなるの?」

P「友紀はただのキャッツファンだったてことになる。でも、成功したら」

友紀「成功したら……?」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:41:01.52 ID:ENYrcHIAo
P「どの球団も取材できるアイドル、ってことで使い勝手がいいと思われる」

友紀「なんか、ずいぶんな言い方だね」

P「流行がすぐ変わる芸能界なら、そう思われた方が得だぞ? いいか、友紀」

P「これはチャンスだ。精一杯、頑張ってみないか?」

友紀「……わかった。プロデューサー、あたしやってみる。
トカゲンズも嫌いだけど応援してみるよ!」

P「よし、その意気だ。……ってお前、トカゲンズ嫌いなのかよ」

友紀「当たり前だよ! 昇合監督のボク流とかいって、何度優勝を逃したか……!」

P「……その気持ちは取材のときは抑えてくれよ」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:41:48.95 ID:ENYrcHIAo
友紀「でもなー……うーん」

P「どうした、まだ納得いかないのか?」

友紀「そうじゃなくて、キャッツの選手は大体把握してるんだけど」

P「トカゲンズの選手を全然知らない、って言いたいのか?」

友紀「そう。まあ古見とか深尾くんとか、嫌な思い出があると覚えてるよ」

P「……じゃあ、少し時間とって覚えてもらうか」

友紀「それしかないよね。誰かトカゲンズファンのアイドルでもいれば……」

P「……わかった。明日、仕事の後時間とっておいてくれ」

友紀「えっ? どうして?」

P「俺がなんとかしてやる。とりあえず今は、今日の現場に向かうぞ」

友紀「まあ、プロデューサーに任せれば大丈夫か。よし、今日もしまっていこー!」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:42:34.25 ID:ENYrcHIAo
次の日

友紀「仕事終わったー……で、どうするの、プロデューサー」

P「よし、ちょっとこっち来い」

友紀「はいはい、っと。……ん? この書類、なに?」

P「それ見ればトカゲンズの取材はなんとかなると思う、目を通してくれ」

友紀「えっ? これ、プロデューサーが作ったの?」

P「ああ、これから軽く説明するぞ」

友紀「せ、説明?」

P「ああ。まずは最近、調子が上がってる小島、ベテランの井畑、荒本、林野に……」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:43:20.75 ID:ENYrcHIAo
一時間後

P「……という感じだ。大体わかったか?」

友紀「ふはー……まさか一時間もかかるとは思わなかった……」

P「まあ、後はその書類を軽く頭に入れれば取材はなんとかなると思う」

友紀「……ねえ、プロデューサー」

P「ん? どうした?」

友紀「ずいぶんトカゲンズに詳しいけど、プロデューサーってもしかして……」

P「……」

友紀「ものすごく野球が好きってことだね!? それならやっぱりキャッツのファンに!」

P「ならないって。ほら、明日もあるからもう帰った方がいいぞ」

友紀「そっちが残れって言ったのに……。あっ、じゃあ今度は、あたしが……」

P「……なにするつもりだ?」

友紀「決まってるじゃん、プロデューサーにキャッツのことをたっぷり教えてあげるよ!」

P「いや……長くなりそうだから遠慮しておくよ」

友紀「こっちは嫌いな球団の話を一時間も聞いたんだよ? だったらあたしもお返しをしないとね」

P「ま、まあ、いつか暇があったらな。じゃあ、また明日」

友紀「あっ、ちょっとプロデューサー!」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:44:47.16 ID:ENYrcHIAo
取材当日 東都ドーム

P(さて、いよいよ本番だけどどうなるか……)


友紀「どうも、姫川友紀です! 先週に続いて今回も取材をすることになりました!」

友紀「今回はキャッツだけではなく、対戦相手のトカゲンズにも取材しますよー!」

友紀「では、まずはトカゲンズの……あっ! 秀智選手!」

友紀「はじめまして、取材させてもらうことになった姫川友紀です。よろしくお願いします!」

友紀「はい、名古屋の番組で捕手の大田選手とのコンビが……」

友紀「あとは、秀智選手の守備と走塁、特に遠投にはあたしも驚いて……」


P(……ちょっと教え過ぎたかな)

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:45:16.38 ID:ENYrcHIAo
一時間後


AD「オッケーです! お疲れ様でしたー」

友紀「お疲れ様でしたー!」

AD「とりあえず今日はこれで終わりです。今後に関してはまた連絡ということで」

P「はい、ありがとうございました!」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:45:42.21 ID:ENYrcHIAo
友紀「はー……なんとか終わった」

P「お疲れ、今回もいい感じだったぞ」

友紀「本当に? いやー、プロデューサーに教えてもらったこと、すごく役に立ったよ!」

P「それなら俺も嬉しいよ。まさかいきなり秀智にいくとは思わなかったけどな」

友紀「でも、本当にトカゲンズはいい選手揃ってるね。全員守備も上手いし」

P「おっ、トカゲンズに興味が湧いたか?」

友紀「うん、キャッツのセカンドに井畑……外野は小島、短野で……」

P「……そういう興味かよ」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:46:28.11 ID:ENYrcHIAo
P(その後、友紀の取材は人気コーナーとなり、
  プロ野球を盛り上げるアイドルとして注目が集まった)

P(特に新監督にグータッチをする友紀がとても幸せそう、らしい)

P(……アイドルとしてはどうかわからないけど良しとしよう。本人も幸せそうだし)

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:47:08.26 ID:ENYrcHIAo
三か月後

P(……それなりに仕事も増えて来たな。ファンの数もそれに応じて増えてる)

P(このまま行けばアイドルとしていい所までいけるかもな)

P(……野球好き、ってのは離れないだろうけど。そしてそんな今でも)


P(昨日はキャッツが負けた、ということで)

友紀「……おはよう」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:48:05.65 ID:ENYrcHIAo
友紀「……はあ」

P「いや、昨日は仕方ないって。川口はいつも抑えてくれてるんだからさ」

友紀「……やっぱり川口も疲れが溜まってるのかな」

P「まあ、その分勝ってるし、正直今年は断トツでそのまま優勝じゃないか?」

友紀「そ、そうだよね。よーし、今日も応援するぞー!」

P「その前にファンに応援されるライブに行ってこい。ちゃんとやるんだぞ?」

友紀「わかってるって、今日も声出していこー!」

P(声出すのは友紀だけでいいんだけど……まあいいか)

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:48:31.60 ID:ENYrcHIAo
数日後

友紀「ぷ、プロデューサー! 今日って仕事何時に終わる!?」

P「今日か? 今日は……午後七時だな」

友紀「七時……ギリギリいける!」

P「……仕事終わったら東都ドームに向かえばいいのか?」

友紀「えっ!? 送ってくれるの!?」

P「ああ、なんとなく予想はついてたからな。今日、決まるんだろ?」

友紀「そう! キャッツの優勝が今日決まるんだよ!」

P「勝てば、だろ?」

友紀「プロデューサー、負けるって思ってるファンはファンじゃないよ」

P「……確かに。まあ、終わり次第連れて行くってことで」

友紀「今から緊張するなあ……ビール用意しないと」

P「アイドルってこと忘れるなよー」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:49:13.90 ID:ENYrcHIAo
収録スタジオ

AD「すいませーん。ゲストの大御所さんが遅れてるので待機でお願いしまーす」


友紀「……プロデューサー! 遅れるってどの位なの!?」

P「俺にはわからないな……まあ、この雰囲気だと一時間以上はありそうだな」

友紀「そんな……それだと八時に終わってほとんど試合観れないよ!?」

P「……かもな。早く終わることを祈ろう」

友紀「……」


その後、大御所さんは一時間以上遅れてスタジオに入り収録は始まった。
今回はトーク番組の収録だが、大御所さんが主役であり、友紀は外野の一人と言っていい位の扱いだ。

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:50:02.81 ID:ENYrcHIAo
P(大御所さん、話長いな……これはマズイぞ)


司会「いやあ、さすが大御所さんですね、友紀ちゃん、どうですか?」

友紀「そ、そうですね……あたしとは違って子供の頃から芸能界で活躍ってすごいなって――」


P(なんとか頑張ってくれてるけど……内心は時間を気にしてるんだろうな)

普段バラエティに出ない大御所さんが気分よく喋り、収録の時間は予定よりも伸びてしまった。
結局、その日の収録が終わったのは午後九時だった。

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:50:35.00 ID:ENYrcHIAo
AD「では、これで収録は終わりです。お疲れ様でしたー」


友紀「プロデューサー!」

P「……胴上げくらいなら見れるな。チケットは?」

友紀「サイフの中! 早く、早く行かないと!」

P「わかってる。すぐに車を出す、急ぐぞ」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:51:37.92 ID:ENYrcHIAo
車内


『試合は九回表、これを抑えればキャッツの優勝が決まります!』
『オールナイトベースボールはキャッツの優勝が決まか、という東都ドームからお送りしております!』

P(……今日に限って収録が伸びた。しかも、渋滞につかまるなんてな……)

友紀「プロデューサー……これ、どういうこと?」

P「事故があったらしい。先にも後にも進めないか……」

友紀「……そんな」

P「電車だとギリギリ間に合わないだろうから車で、と思ったけど……失敗だったな」

友紀「……」

P「……すまん、俺のせいだ」

友紀「……ううん、プロデューサーのせいじゃないよ。でも、こうやって忙しくなると……野球が観れなくなるね」

P「だからアイドルやめる、……なんて言わないよな?」

友紀「さすがに言わないよ。でも、ちょっとだけ後悔してるのは本当かもね」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:52:27.28 ID:ENYrcHIAo
『――残すは一人となりました。川口、振りかぶって一級……投げました!』
『打った! 打たされたか! ショート平本が捕ってファーストに送る! アウトー!』

友紀「あっ……」

『ゲームセット! キャッツが東都ドームで優勝を決めましたー!』

P「……キャッツが勝ったか。よかったな、友紀」

友紀「ぷ、プロデューサー……」

P「どうした? ――って、おいっ!?」

友紀「やった! やったよ! キャッツが優勝したよ!」ギュッ

P「だ、抱き着くな! 運転してるんだから危ないって!」

友紀「そんなこと言わないでほら! ばんざーい! ばんざーい!」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:53:21.67 ID:ENYrcHIAo
P「……おめでとう、友紀。でも本当に悪かったな、こんなことになって」

友紀「優勝したからもうどうでもいいよ! ほら、一緒に! せーの!」

友紀「とうこーんこーめてー!」

P「う、歌うなって! ……あっ、おい! それ缶ビールだろ!?」

友紀「まあまあ! 運転してるんだから前見ないと危ないよ?」

P「……俺だって飲みたいのに」

友紀「じゃあ一緒に飲む?」

P「アイドルと酒って……その前に今運転中だけどな。それと今開けるなよ」

友紀「仕方ないな……我慢するけど、その代わり今度飲むってことで」

P「機会があったらな」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:54:44.29 ID:ENYrcHIAo
優勝が決まった後の友紀の活躍は目を見張るものがあった。
ファンの声援も日を追うごとに増していくように感じるほどだ。

結局キャッツは優勝が決まった後も、ペナントが終わるまで勢いが衰えず勝ち続けた。
もちろんたまには負けるが、落ち込まずに頑張っているのを見ると友紀も少しは成長したのかもしれない。


P(……実は負けても優勝したからへこまない、ってだけなんだけど)

P(さて、そろそろクライマックスシリーズが始まるな。また友紀が騒がしくなりそうだ……)

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:55:17.84 ID:ENYrcHIAo
それから二日後

友紀「プロデューサー!」

P「どうした友紀、キャッツの試合はまだだろ?」

友紀「キャッツじゃなくてトカゲンズだよ、トカゲンズ!」

P「トカゲンズ?」

友紀「うん。ピルクルとトカゲンズが一勝一敗だから」

P「今日の試合でキャッツの相手が決まるってことか」

友紀「トカゲンズとは今年もほとんど互角だったから、勝ち上がって来て欲しくないんだよね……」

P「まあ、エースの古見がいないんだから勝てるんじゃないか?」

友紀「うん、そうなんだけど……あたし、トカゲンズも取材したでしょ?」

P「ああ、あの番組で何度か取材させてもらったな」

友紀「古見選手は本当に良い選手だったから、敵だけど……野球ファンとしては残念かなって」

P「……そう思えるようになったのは立派な成長かもな」

友紀「えっ? 成長ってなんのこと?」

P「いや、こっちの話だ。気にしないでくれ」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:55:57.36 ID:ENYrcHIAo
友紀「とにかく、ピルクルにはなんとしても勝ってもらわないと困るんだよ!」

P「戦いやすい方がいいってことか」

友紀「その通り、いやー……気になって気になって」

P「気になるのは仕方ないけど、今日はファンとのイベントがあるってこと忘れるなよ?」

友紀「わかってるよ。ファンのみんなにもピルクルを応援してもらわないと!」

P「お前のファンにまで野球応援させるなよ、ってもう言っても遅いよな……」

友紀「あたしのファンの中でも着実にキャッツファンが増えてるみたいだからね」

P「野球路線狙いすぎたかもな……まっ、今更か。よし、今日も頑張ってくぞ」

友紀「ばっちこーい!」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:56:23.48 ID:ENYrcHIAo
仕事後 P宅

P(最近、本当に忙しくなったな……スポルトの時間が帰宅時間なんてザラだ)

P(その分、友紀の仕事が増えてるんだとしたら喜ぶべきだろうけど)

『今日のクライマックスシリーズ、トカゲンズとピルクルの試合は劇的な勝利で――』

P(おっ、ちょうどよかった。どっちが勝ったんだろ)

『ブランカ選手がバーナット選手から打った満塁ホームランが――』

P「……おおっ!?」

『見事トカゲンズが勝利を飾り、キャッツとの戦いに駒を進めました!』

P「……ビールは冷えてたっけ」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:57:04.93 ID:ENYrcHIAo
友紀「おはようございまーす!!」

P「おう、おはよう」

友紀「あれ? プロデューサー、いいことでもあった?」

P「いいこと? 別にないけど」

友紀「本当に? なんか機嫌良さそう、って思ったけど気のせいかー」

友紀「ってそんなことよりトカゲンズだよ、トカゲンズ!」

P「ああ、ブランカのホームランで決まったな」

友紀「……やっぱりトカゲンズは最後まで立ちはだかってくるね」

P「まあ、キャッツなら大丈夫だろ」

友紀「トカゲンズの投手陣を打てればいんだけど……古見がいないのは大きいかな」

P「……古見、怪我しちまったもんな」

友紀「……」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:57:30.66 ID:ENYrcHIAo
友紀「ねえ、プロデューサー」

P「どうした?」

友紀「プロデューサーってやっぱり……ううん、なんでもない」

P「なんだそれ? まあ、今日も番組の収録だ。しっかり頼むぞ」

友紀「そうだね、気合入れてこー!」


それから数日後、キャッツとトカゲンズの戦いが始まった。
四勝した方が日本シリーズに進めることができ、キャッツには一勝のアドバンテージがある。

キャッツ圧倒的有利と誰もが思っていたが、実際は違っていた。
トカゲンズは勢いに乗り、キャッツに三連勝し一気に王手をかける展開となった。

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:58:13.60 ID:ENYrcHIAo
P(……昨日も勝ったな、トカゲンズ。そしてもちろん)

友紀「ぷ、ぷろでゅーさぁ……」

P「な、泣くな! まだ負けたわけじゃないだろ!?」

友紀「でも、でもぉ……」

P「気持ちはわかるけど今は頑張れ! 今日はファンとのイベントだぞ!」

友紀「ぐすっ……わかってるよぉ……」

P(……こればかりはどうしようもないよな)

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:58:41.75 ID:ENYrcHIAo
イベント会場

P「ほら、友紀。そろそろ出番だぞ」

友紀「……うん」

P「……元気になれとは言わないけどさ、今だけは頑張ってくれないか?」

友紀「わかってるけど……キャッツのこと、忘れるなんてできないから」

P「別に忘れろ、なんて言ってないよ。そのままでいいんだって」

友紀「えっ?」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:59:08.37 ID:ENYrcHIAo
P「だって、友紀のファンなんだから今お前が落ち込んでる、って知らないわけないだろ?」

友紀「……そうかもね」

P「だったら出れば大丈夫だ。ほら、みんな待ってるぞ」

友紀「いいのかな……今のあたしがみんなの前に出て」

P「いいんだって。ほら、行ってこい!」

友紀「う、うん」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 13:59:36.81 ID:ENYrcHIAo
友紀「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」

「友紀ちゃーん! 大丈夫かー!?」

友紀「だ、大丈夫、って……。あたしはこの通り元気だよ!」

「無理すんなよー! キャッツはこれから勝つから大丈夫ー!」
「ゆっきー! 俺達もキャッツ応援するぞー!」

友紀「みんな……」

「友紀ちゃんのためにもキャッツの応援、頑張ってるよー!」
「俺も明日試合観に行くよー!」
「キャッツもゆっきーもファイトー!」

友紀「そっか……みんなさんきゅー! あたしもみんなのこと、応援してるよー!」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:00:22.10 ID:ENYrcHIAo
イベント後

友紀「プロデューサー! みんな応援してくれて、あたし……」

P「だから大丈夫だって言っただろ? お前には応援してくれるファンがいるんだ」

友紀「あんないいファンがいるんだったら……もっと頑張らないとね!」

P「その通りだ。とりあえず今日は帰って、キャッツの応援を頑張ってくれ」

友紀「もちろん! ねえ、プロデューサー……ありがとね」

P「おう、気合入れて応援するんだぞ」

友紀「言われなくてもそのつもりだよ、また明日!」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:01:05.29 ID:ENYrcHIAo
友紀と友紀のファンとキャッツファンの思いが通じたのか、
その日からキャッツは三連勝し、トカゲンズに勝利した。

キャッツが三連勝した次の日、友紀はもちろん喜んで挨拶してくると思っていた。
しかし、俺の予想していたのとは少し違い、なにかが気になる様子だった。

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:01:50.05 ID:ENYrcHIAo
友紀「おはようございまーす」

P「あれ? どうしたんだ、友紀?」

友紀「えっ? 別にどうもしてないけど」

P「いや、変だろ。キャッツが勝ったんだぞ? いつものように喜ばないのか?」

友紀「うん、もちろん嬉しいよ。嬉しいに決まってるんだけど……」

P「……友紀?」

友紀「いや、なんでもない。キャッツ最高! 今日も頑張っていこー!」

P「あ、ああ。早速スタジオに向かうか」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:02:18.23 ID:ENYrcHIAo
仕事後

P「お疲れ様。今日もいい感じだったぞ」

友紀「ありがと。……ねえ、プロデューサーって、……ごめん、やっぱりなんでも」

P「友紀、言いたいことがあるなら言え。お前らしくないぞ?」

友紀「……あたしだって悩むことくらいあるよ」

P「キャッツのことか? たしかに、安倍は膝の具合が悪そうだけど」

友紀「キャッツじゃないよ! その、……プロデューサーのこと」

P「俺のこと……?」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:02:47.68 ID:ENYrcHIAo
友紀「プロデューサー、正直に答えてね」

P「……わかった。言ってみろ」

友紀「プロデューサーって……」

P「……」

友紀「もしかして……トカゲンズのファンなの?」

P「……はあ?」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:03:17.57 ID:ENYrcHIAo
友紀「はあ? じゃないよ! どうなの!?」

P「いや、どうなのと言われても」

友紀「ごまかさないではっきり答えてよ!」

P「……正直に言えば、トカゲンズのファンだ」

友紀「やっぱり……」

P「でも、それがどうしたんだ? それでお前が悩む必要ないだろ」

友紀「だって、あたしがキャッツファンだから気を遣ってたんでしょ?」

P「……それは、たしかにそうかもしれないな」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:03:43.76 ID:ENYrcHIAo
友紀「自分の好きな球団がキャッツに負けても、それを隠して……」

P「別にそこまで辛いことでは……」

友紀「そんなの、あたしだったら無理だよ……自分を殺してまで仕事するなんて」

P「……あのな、友紀。俺はトカゲンズのファンだけど、もっと応援したい人がいるんだ」

友紀「応援したい人……?」

P「ああ、俺は今、誰にも負けないくらい応援している人がいる。誰かわかるか?」

友紀「……トカゲンズの選手?」

P「違う。お前だよ、友紀」

友紀「えっ……?」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:04:16.58 ID:ENYrcHIAo
P「お前が誰にも負けないアイドルになるために、俺はいつでも応援してるんだ」

友紀「……トカゲンズよりも?」

P「ああ。トカゲンズが勝つよりも、友紀が喜んでくれた方が嬉しい」

友紀「プロデューサー……」

P「俺は一番のファンとして、誰よりも近くで友紀を応援し続ける。お前が落ち込んでたら元気が出るまで応援する」

友紀「……そっか。そんなに応援されてたなんて、知らなかった」

P「お前はなにも気にせず頑張ってくれ。なにかあったらいつでも頼ってくれていいからさ」

友紀「……うん! ……ありがとね、プロデューサー」

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:04:42.20 ID:ENYrcHIAo
友紀「でもさ、それならプロデューサーもキャッツ応援した方がいいよね」

P「……どうしてそうなるんだ?」

友紀「キャッツファンになれば、あたしとキャッツを同時に応援できるよ?」

P「俺はトカゲンズファンだからキャッツファンにはならないって」

友紀「無理しなくてもいいのに……」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:05:13.53 ID:ENYrcHIAo
P「でも、どうしてばれたんだ? 上手く隠してたつもりだったんだが……」

友紀「ブランカのホームランの次の日、ものすごく気分良さそうだったよ」

P「うっ……」

友紀「で、トカゲンズが連敗してるときも複雑な表情してたし」

P「……」

友紀「よく考えたらトカゲンズに詳しすぎるよね。ファンじゃないですって無理があると思う」

P「……隠せてなかったのか、はあ」

友紀「まーまー、野球好きってことで仲良くしていこー!」

P「ああ。これからもよろしくな、友紀」

友紀「こっちこそ、これからもよろしく!」


その日から頭のもやが晴れたのか、友紀はさらに活躍していった。
そんな友紀に仕事の話は増え、数日後のスケジュールも埋まろうとしていた。

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:05:40.85 ID:ENYrcHIAo
P「……友紀、ちょっといいか?」

友紀「どうしたのプロデューサー、また仕事の話?」

P「ああ。実は……一日に二つの仕事をやってもらう日も出てきそうなんだ」

友紀「朝から晩までお仕事か……人気アイドルって感じだね!」

P「俺も嬉しいんだけど……その、このままだと」

友紀「どうしたの? はっきり言ってよ」

P「……日本シリーズの時間に被って、試合が観れないんだ」

友紀「……そうなんだ」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:06:16.92 ID:ENYrcHIAo
P「……前、忙しくなったら試合が観れなくなる、って言ってただろ?」

友紀「うん……やっぱり、その通りになっちゃったね」

P「俺はプロデューサーだから、友紀には仕事をして欲しい。でも、それだとお前は……」

友紀「いいよ、プロデューサー。お仕事、一緒に頑張ろ?」

P「……いいのか?」

友紀「身近に応援してくれて人がいる。それなら……、今はそれに応えたいなって」

P「……ありがとう、友紀」

友紀「応援よろしくね、プロデューサー!」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:07:04.98 ID:ENYrcHIAo
P「でも、素直に受けてくれてよかったよ」

友紀「もしワガママ言ったらどうなってたの?」

P「その時は、初戦の試合だけ取材の仕事が来てるぞ、って言うつもりだった」

友紀「そ、それ本当!? それを早く言ってよ!」

P「駄々こねた時の切り札だったからな。昨日決まった仕事だったっていうのもあるけど」

友紀「ずいぶん急だね……なにかあったのかな?」

P「ジョニーズの亀林檎くんがその日だけどうしても行けないらしい」

友紀「亀林檎くんか。野球の仕事多いよね」

P「その分、友紀の仕事も減るけどな。この前の六連戦は毎日ゲストで出てたし」

友紀「……羨ましいね、それ」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:07:34.14 ID:ENYrcHIAo
P「で、スケジュールだけどほとんど朝から晩まで仕事だと思ってくれ」

友紀「はーい。試合って一日も観れないの?」

P「えーっと……上手く行けば、第六戦の日の夜は空いてるから観れるかもしれない」

友紀「本当に? 六戦目ってことはそこで決まる可能性は高いよね……」

P「どっちかがボロボロに負けない限りはな」

友紀「……ねえ、プロデューサー。その日のことなんだけど」

P「チケット、取っておくか?」

友紀「ううん。そうじゃなくて――」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:07:59.56 ID:ENYrcHIAo
日本シリーズが始まってからも、友紀の多忙な日々は続いていた。
夜遅くまで続く収録もあり、文字通り朝から晩まで仕事でいっぱいだった。

途中、スタッフにこんな時間までいても大丈夫なんですか?
と聞かれることもあったが、友紀が童顔であることを考えれば無理もない。

日本シリーズはキャッツ対ソルジャーズとなり、キャッツが三勝二敗と王手をかけている。
そして第六戦の日を迎えた。その試合を観る場所に友紀が指定したのは――。

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:08:32.08 ID:ENYrcHIAo
P「本当にいいのか? 事務所で観戦なんて」

友紀「プロデューサーが言ったんだよ。本当はあたしの部屋がよかったけど……」

P「いや、アイドルの部屋に行くのはさすがに……」

友紀「別に気にしなくてもいいのに」

P「俺が気にするんだって。ほら、始まるぞ」

友紀「おっ! いよいよかー。プロデューサー、ビール早く!」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:08:57.75 ID:ENYrcHIAo
P「コップは……いらないよな」

友紀「うん、そのまま飲むに決まってるじゃん!」

P「はいはい。……じゃ、友紀」

友紀「では、キャッツの勝利を祈願しまして……」

P・友紀「かんぱーい!」

P「んっ……んっ……はー」

友紀「くー……! ビールも美味しいし、今日はキャッツが勝つね!」

P「だといいな。ほら、つまみ」

友紀「さんきゅー」

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:09:27.74 ID:ENYrcHIAo
試合は前半に三点を奪ったキャッツが有利かと思われたが、
六回の表にソルジャーズの田中がスリーランを放ち試合を振り出しに戻した。

P「……四番に一発が出たな」

友紀「楽勝だと思ったけど……やっぱりそのまま終わるわけがないか」

P「あれ? 追いつかれてもあまり不安そうじゃないな」

友紀「あたしはキャッツを信じてるからね。……だって、今日勝たないと」

P「明日は観れないから、今日決めて欲しいってことか」

友紀「それもあるけど……と、とにかく絶対勝つから大丈夫!」

P「……ああ、友紀が応援してるんだから勝つに決まってるな」

友紀「その通り! プロデューサー、ビールおかわり」

P「お前何本目……まあ、今日くらいはいいか」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:10:04.82 ID:ENYrcHIAo
『打ったー! 七回裏、安倍にタイムリーが出ました!』

友紀「よーし! 安倍ナイス! さすがキャプテン!」

P「ここで打つのはさすがだな……足ボロボロなのによくやるよ」

『これで四対三、キャッツが日本一を大きく手繰り寄せました!』

そしてそのまま試合は九回になり――。

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:10:41.17 ID:ENYrcHIAo
友紀「……あと一人!」

P「ツーアウトだけど一、二塁……バッターは絹井か」

友紀「頼むよ川口……!」

『さあ、絹井が最後のバッターとなるのか、それとも希望をつなぐのか!』
『抑えの守護神、川口が……投げました! 絹井打った! 打ったがボールはショートの前!』

友紀「あっ!」

P「おっ……」

『平本、ファーストに送り……アウトー! ゲームセット! キャッツが日本一を勝ち取りました!』

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:11:16.43 ID:ENYrcHIAo
友紀「ぷ、プロデューサー!」

P「友紀、やったな!」

友紀「やったー! キャッツが日本一だよ!!」ギュッ

P「お、おっと……倒れるなよ?」

友紀「大丈夫だって! プロデューサーが受け止めてくれるから」

P「お前なあ……まあ、今日くらいはいいか」

友紀「キャッツー! おめでとう! おめでとうー!!」

P(キャッツ、ありがとう。……今だけは感謝しておこう)

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:11:42.14 ID:ENYrcHIAo
友紀は抱き着いたまましばらく感動の余韻に浸っていた。
それを見ていると本当にこれでよかったのかとふと思い、友紀に聞いてみることにした。


P「なあ、友紀。もっといい場所で観た方がよかったんじゃないか?」

友紀「球場で、ってのも考えたんだけど……ここじゃないとできないこともあるから」

P「……たしかに、缶ビールを何本も開けるアイドルなんて球場じゃ見せられないな」

友紀「そうじゃなくて! プロデューサーとお酒飲みながら観戦したかったんだよ」

P「俺と? そっか、それなら選んでもらって俺も喜んでおいた方がいいな」

友紀「そうそう。それと、もう一つはその……」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:12:11.37 ID:ENYrcHIAo
P「もう一つ理由があるのか?」

友紀「ほら、誰もいないところで優勝したらこうやって……」

友紀「プロデューサーに抱き着けるでしょ?」

P「なっ……!? お、お前なにを……」

友紀「冗談に決まってるのに、なに必死になってるの?」

P「……冗談かよ。プロデューサーをからかいやがって……」


友紀「……冗談じゃないかもしれないよ、って言ったら?」

P「……聞かなかったことにするぞ」

友紀「……そうだね、今はその方がいっか」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:12:44.67 ID:ENYrcHIAo
友紀「ところでさ、プロデューサー。今日の試合どうだった?」

P「まあ、いい試合だったんじゃないか」

友紀「それで、キャッツの選手ってどう思う?」

P「うーん、なんだかんだでいい選手が多いよな。どこからでも点が取れるし」

友紀「うんうん、それで提案なんだけど」

P「先に言うけど、キャッツファンにはならないからな」

友紀「ええー? それだと困るのに……」

P「困る?」

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:13:17.52 ID:ENYrcHIAo
友紀「あたし、生涯キャッツを応援するつもりなんだけど」

P「おう、頑張れ」

友紀「で、いつかはあたしも結婚して、幸せな家庭を築くと思うんだ」

P「それはそうだな」

友紀「そのときに、旦那さんがキャッツファンじゃないとケンカしそうで心配でさ」

P「あー……友紀くらいの熱狂的なファンだとケンカの種になりそうだな」

友紀「かと言って、野球が好きでもない人と結婚する気にはならないし」

P「好きな人と一緒に、好きな球団を応援したいってことか」

友紀「そういうこと。だから、ね? プロデューサー」

P「うん?」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:14:18.15 ID:ENYrcHIAo
友紀「あたしがアイドルやめるまでに、キャッツファンになってくれる?」

P「……はあ?」

友紀「でも、トカゲンズからキャッツってなかなか難しいよね……」

P「えっと、友紀?」

友紀「よし! じゃあ、来年はプロデューサーをキャッツファンに変える年にしよう!」

P「か、勝手には話を進めるな!」

友紀「だってあたしのことを、一番のファンとして応援してくれるんでしょ?」

P「あ、ああ、そう言ったけど」

友紀「それなら、一度応援したら最後まで応援しないと一番のファンって言えないよね」

P「言われてみれば……たしかに」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:15:13.87 ID:ENYrcHIAo
友紀「それと、今までどれだけ落ち込んでても頑張れって言ってくれたでしょ?」

P「そうだけど、それがどうしたんだ?」

友紀「頑張れって言われてお仕事終わった後は、笑顔でプロデューサーが迎えてくれた」

P「そう言われると恥ずかしいな……」

友紀「その繰り返しで気付いたんだけど……あたし」

友紀「プロデューサーに応援されるのが、その……好きなんだ」

P「す、好き……?」

友紀「うん、クセになっちゃったんだと思う。だからその責任も取ってもらわないと」

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/30(金) 14:16:45.45 ID:ENYrcHIAo
P「お、俺はただ、落ち込んでたから頑張れって言っただけで」

友紀「男らしくないよ、プロデューサー」

P「と、ともかく! キャッツのファンには絶対にならないからな!」

友紀「そうそう、そう来ないとこっちも張り合いがないよ」

P「……止めても無駄みたいだな。はあ……」

友紀「よーし、来年は絶対にキャッツを応援させるぞーっ! おー!」


終わり