前回 響「ゴリ衛門」ゴリ「いい加減にしれよ?」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:02:40.11 ID:ZRoZyxB+o


ゴリ「なんの話か!」

響「だから、沖縄ロケなんだってば!」

ゴリ「具体的に言え。なんで、一緒に行くぞー! ってノリだば?」

響「……?」

ゴリ「なんでやー(おまえ)が不思議そうな顔してる?」

響「話がかみ合わないぞ、プロデューサー?」

P「ゴリさん、話……通ってないんですか?」

ゴリ「だから、なんの話か」

P「ゴリさんの事務所に企画書……渡っているはずなんですけど……」

ゴリ「……はぁ?」

響「あぁ! もう飛行機に間に合わなくなるぞー! ゴリ衛門!」

ゴリ「手短に説明してみ?」

P「えっと、ゴリさんと川田さん、それと我が765プロの合同企画で、沖縄ロケが始まるんです」

響「やさやさ(そうそう)」

ゴリ「なるほど。やしが、初耳やんばーよ(なんだよ)」

響「マネージャーさんに確認してみたほうがいいぞ」

ゴリ「……なんかこれ、ドッキリか?」ピッピッピ


trrrrr

ゴリ「…………俺、俺。今さ、765プロのプロデューサーと話してるんだけどさ、合同……。
   うん…………して、川ちゃんは……?」


響「時間がないぞー!」


ゴリ「先に沖縄に向かってる……?」


P「……」


ゴリ「俺よ、今初めて仕事相手から聞いて……うん、忘れてた? じゃあしょうがないや」


響「プロデューサー! 自分達も早く空港に向かうぞ!」

P「……それじゃ、行きましょうか」

ゴリ「なんでこうなるば……って、もう撮影始まってるのか、プロデューサー?」

P「はい。カメラマンは俺です。これからも常に撮っていると思っていてください」

響「沖縄行くぞー!」




ビューン



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1356004959

引用元: 響「沖縄ロケだぞゴリ衛門!」ゴリ「はぁ!?」 

 

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:04:21.21 ID:ZRoZyxB+o

一日目


―――― 那覇空港前



響「自分の故郷ーッ!!」

P「元気いっぱいだな、響」

響「この太陽の日差し! アスファルトの焼ける匂い! 空の蒼さ!」

響「これがうちなーだよ、プロデューサー!」

ゴリ「コンビニ寄ってこう」

響「ゴリ衛門、気分が台無しだぞ!」

ゴリ「飲まんとやってられんさ。オリオン飲むか、プロデューサー?」

P「い、いえ……仕事中なので……」


亜美「ゴリーも仕事中っしょー? ダメだよオリオン飲んじゃー」

真美「そーだよー! 仕事を放棄してオリオンを飲むなんてダメだよダーメ!」


亜美真美「「 ところで……オリオンってなに? 」」

響「沖縄の地元ビールのことさー」

真美「なんだ、それならいっかー」

亜美「そだねー」

ゴリ「あい、この双子は話がわかるや。おじさんがアイス買ってあげようね~」

亜美真美「「 わーい!! 」」


伊織「ちょっとちょっと! 聞き捨てなら無いわよ?!」


ゴリ「だいじょーぶ、あんたにもアイス買ってあげるさ~」

伊織「そうじゃないわよ!」


やよい「あ、あの……! そういうのよくないかなーって」


ゴリ「あんたの分もおじさん、忘れてないよ~」

やよい「あ、ありがとうございます!」ペコリ

伊織「ちょっとプロデューサー、アンタも止めなさいよ!」

P「ゴリさん、もう本格的に始まってるので、飲酒は控えていただけると……」

ゴリ「じゃあなにか、プロデューサー? しらふでこの子供達の相手しろってことか?」

P「アルコール摂取すると、余計にまずいんじゃ……ないですか……?」

ゴリ「ビールの一本二本で酔うほど弱くない。うちなーんちゅを舐めないでもらいたいね」

P「いや、そんな笑顔で言われても……」

響「ダメだぞゴリ衛門。今すぐにでも移動しなきゃいけないんだからな!」

ゴリ「いいさぁ、ちょっとぐらい」

響「さぁ、車を借りて出発だ! プロデューサー! いぇーい!」

亜美真美やよい「「「 いぇーい!! 」」」

ゴリ「あい、この子、相変わらず俺の話聞かないね」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:05:28.17 ID:ZRoZyxB+o

P「そろそろ迎えに来てくれる手はずなんだけどな」

やよい「誰か来ましたよ?」

伊織「な、なによ、あのいかにも沖縄ですよって服……」

川田「ハイサイハイサイ、ハイサーイ!」

ゴリ「そのかりゆしウェアがわじわじー(イライラ)するやっさぁ!」ドス

川田「あが! なにするか!?」

ゴリ「おまえよ、っていうか、おまえとマネージャーよ! 俺の知らないところで話進めるな!」

川田「この話聞いたら、おまえ嫌な顔するだろ」

ゴリ「当たり前やし……! 765プロとは色々大変だから、できるだけ関わりたくないばーよぉ!」

亜美真美「「 ゴリー、アイスはー? 」」

川田「めんそ~れ~765プロのみなさ~ん!」

やよい「あの、あの! よろしくお願いします!」ペコリ

川田「はいはい、よろしくね~。礼儀正しいやっさ、さすが765プロだね~」

伊織「このバスで移動するのね?」

川田「はい、正解~。乗って乗って~」

亜美「亜美いっちばーん!」

真美「わっ! 真美にばーん!」

やよい「さんばーん!」

伊織「ま、響の故郷を観光するってのも悪くないわね」

P「伊織……観光だけがメインじゃないぞ……」

川田「はいはい、あんたも乗って」

響「自分、とっても楽しみだぞ!」

川田「ゴリ、さっそく疲れてるな」

ゴリ「……飛行機の中でよ、あの双子と偉そうな子がはしゃいでたからよ……大変だった」

ゴリ「え、プロデューサー……」

P「はい」

ゴリ「マジで、この調子で沖縄ロケ続くば……?」

P「勿論です!」

川田「はいはい、ゴリもプロデューサーも乗りましょう」

ゴリ「……」


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:09:05.90 ID:ZRoZyxB+o


―――― バス内


川田「みなさん、沖縄へようこそ。司会を務める、か わ た。と申します~」

亜美「わー! 木の上に家があるよ、いおりん!」

伊織「へぇ……」

川田「これから企画内容を説明したいと思いますのでちゃんと聞いていてくださいね~」

やよい「車がたくさんですねー」

真美「意外と都会だった……恐るべーしおきなーWA!」

川田「このバスに乗って私たちは沖縄の観光地を巡り、楽しく、和気藹々と、
   面白おかしくやっていこうという企画でございます~」

ゴリ「zzz…」

響「やっぱり沖縄といったら夏だよね! この季節が一番エネルギーに満ちてて魅力的なんだ!」

P「嬉しいのはわかるが、話聞こうな……響」

川田「カメラマンは、ディレクターを兼ねた、プロデューサーとなっております~」

P「……どうも」

川田「そして、わたくしと、ゴリのお笑い二人」

ゴリ「zzz…」

響「どうして寝てるんだゴリ衛門! 起きろー!」

ゴリ「……は? 夢か? 夢だったんだよな? 765プロと合同企画とか夢だよな?」

P「……」

響「そんなわけないぞ! ちゃんと目を覚ますんだ!」

ゴリ「ゆくしー(うそー)……」

川田「そして、765プロのお子様チーム~」

亜美「おぉ、外国人が運転してるよ」

伊織「左ハンドルじゃないのね」

真美「窓開けてみよっか」

やよい「でも、クーラー逃げちゃうよ?」

響「みんなはもう先に着いてるんだよね、プロデューサー?」

P「あぁ、ホテルで準備してるか、ステージに立ってるか……」

川田「お子様チームの他にも、大人チーム、青春チームと別れております。
   紹介は後ほどさせていただきます~」

ゴリ「ふぁーあっ! 夢なんか覚めなければいいのに! で、どこに向かってるば?」

真美「ねぇ、ゴリー。アイスはー?」

ゴリ「ブルーシールって店があるから、そこで買ってあげるさ」

亜美「プールシー?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:10:42.87 ID:ZRoZyxB+o

川田「765プロさんが出演している音楽祭が北谷で開催されております~。
   このバスが向かうのはそこになります~」

やよい「ちゃたん?」

伊織「きた、と、たに、でちゃたんと読むらしいわ。すでに外国よね~」

川田「琉球王国時代、薩摩藩による侵攻を受けた際、琉球国王は抵抗をしなかったという」

伊織「国を治めるものとして、それはどうなのよ」

川田「国民の身の安全を第一とした決断だと言われている。ちなみに第二次世界大戦時、米兵の侵略――」

ゴリ「なんの話か!? して、お前は誰か!」ドス

川田「あがっ!? なにするか!」

ゴリ「もう一度聞くよ、なんの話してたか?」

川田「沖縄は昔、日本とは違う一つの国だったって話さぁ」

ゴリ「米兵は関係ないだろ!?」

伊織「国民の身の安全……上に立つものとして忘れてはいけないことかもしれないわね」

ゴリ「意外に真面目だね、この子」

やよい「こくおう?」

亜美「そうだよ、やよいっち。昔、この沖縄に強くて大きな黒い馬がいたんだよ」

真美「その馬に乗る人は大抵、ぬははははっ! って笑うんだよ」

やよい「そうなんだー、亜美と真美はよく知ってるねー」

川田「北谷に向かう途中で腹ごしらえしましょう~」

響「お昼ご飯だぞ。どこに行くと思う、プロデューサー?」

P「いや、何度も聞いていたんだが……」

ゴリ「エンダーか」


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:13:40.13 ID:ZRoZyxB+o


―――― ブルーシール・牧港店



ゴリ「アメリカ生まれの沖縄育ちのアイスクリーム。それがブルーシールだ! おじさんの話聞いてるか?」

亜美「真美の紅芋どう?」

真美「めっちゃおいしいよー、食べてみる?」

伊織「二人とも、よくトリプルなんて食べられるわよね」

やよい「おいしいです~。甘くて冷たくて……ん~♪」

響「やよい、遠慮しないでトリプル頼めばよかったのに」

やよい「ダブルでも充分ですよ~?」

ゴリ「待って。買っておいて言うのもなんだけどよ、昼ご飯の前に食べていいのか?」

やよい「はっ!? そうですよ! ご飯が食べられなくなってしまいますよー!?」

伊織「いいじゃない、そんなにガッツリ食べるわけじゃないんだし」

やよい「うぅー、いいのかなー……プロデューサー……?」

P「たくさん食べて、明日のステージ頑張ろう、やよい」

やよい「わかりました!」

ゴリ「問題なかったようで安心さ」

響「うまうま」

川田「相変わらずうまいやっさ~!」


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:15:20.30 ID:ZRoZyxB+o


―――― A&W・牧港店


やよい「わー! なんだかアメリカンですねー!」

響「ふふーん、すごいだろー!」

やよい「すごいですー!」

P「余程嬉しいんだな……響……」

伊織「なんなのよ、このゆるキャラっぽいクマは……」

ゴリ「グレートルートベアさんさー。知らんばー?」

伊織「知るわけないでしょ」

川田「あい! 双子がいない!!」

ゴリ「見てみ、もうカウンターで注文してる」




亜美「えっとぉ、このるーとびあって飲み物をお願いします」

真美「えっとね、8人分それで!」

店員「かしこまりました。ご注文の確認をさせていただきます。
   ハムエッグサンドのコンボ、ポテトはスーパーフライ、飲み物はルートビアの8セットですね」

ゴリ「すいません、全部キャンセルで」

店員「え!?」

真美「ゴリー……ひどいよぉ……」

亜美「せ、せっかく……亜美たちがいい事したのに……しくしく」

ゴリ「じゃあ、店員さん、2セットはそれでいいです。後は俺達自分で選ぶんで」

店員「かしこまりました……」

ゴリ「はい、あんたたちも好きなの選んで」

伊織「うーん……なにがいいのかしら……」

やよい「私は、亜美たちと一緒でもいいかなーって」

響「やよい、おすすめは、カーリーフライとオレンジだぞ」

P「なるほど」

川田「エンダーなんて久しぶりやっさ~!」



9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:17:26.14 ID:ZRoZyxB+o


「「「 いただきまーす 」」」

亜美「もぐもぐ……うん、おいしいね、真美」

真美「もぐもぐ……うん、おいしいね、亜美」

やよい「このポテトフライ、カリカリでとってもおいしいです~♪」

伊織「日本でこの味を楽しめるなんて、思わなかったわ」

響「プロデューサー、オレンジ飲んでみてよ」

P「うん…………甘っ!?」

ゴリ「子供には大人気だからな。大人が飲みすぎたら大変なことになるから気をつけれよ」

P「は、はい」

亜美「……これ、ドクターペッパーじゃん」

真美「……うん、ドクターペッパーだね」

ゴリ「だから言っただろ。ルートビアは薬草も使ってるから子供には合わないばーよ」

亜美「それをもっとはやく言ってよ、ゴリー……」

真美「兄ちゃん、真美と交換しよ」

P「いいけど、ウーロン茶で我慢できるのか……?」

真美「まずくはないんだよ、……うん……しかしだねぇ」

亜美「おいしくないんだよねぇ」

響「亜美は自分のと交換しようね」

亜美「ありがとー、ひびきん!」

響「慣れない味は誰でも苦手だよね、しょうがないさー」

ゴリ「大人っ! 俺は自分が恥ずかしいよ!」

やよい「コニーチーズバーガーもおいしぃですぅ……♪」

伊織「亜美、真美、こっちのカーリーフライ食べていいわよ」

亜美真美「「 ありがとーいおりん! 」」

P「……この映像は使えないけど、思い出にはなるかな」

川田「まーさん!」


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:20:30.51 ID:ZRoZyxB+o

P「ごちそうさまでした」

響「くわっちーさびたーん!」

亜美真美「「 ごっちゃんです!! 」」

店員「あ、あの、響ちゃん!」

響「はい?」

店員「サインください!」

響「え? 自分の?」

店員「は、はい……」

響「???」

ゴリ「いや、おまえアイドルだろ」

響「……あ……あはは……忘れてた」

P「響……友達と遊びに来たんじゃないぞー……」

響「え、えっと……うん。いいぞ」

店員「あ、ありがとー!」

響「地元に戻ってくると、こういうの忘れるさー」

スラスラ

響「はい、どうぞ」

店員「ずっと応援してますから!」

響「照れるさー、にふぇーでーびる」

伊織「私のも書いてあげようかしら?」

ゴリ「断ってもいいんだよ、店員さん」

伊織「なによっ!」

店員「それじゃ……お願いします」

伊織「これくらいどうってことないんだから、遠慮しなくていいのよ」

スラスラ

店員「感無量です……!」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:23:30.68 ID:ZRoZyxB+o

亜美「亜美もー!」

真美「真美も書くね!」

スラスラ スラスラ

店員「……」ウルウル

響「せっかくだから、やよいも書くといいさー」

やよい「わ、私なんかでもいいんですか……?」

店員「……ぜひぜひ」

やよい「えへへ」

スラスラ

ゴリ「だぁ、俺が書いてこのサイン色紙の価値を下げようね」

店員「……」

ゴリ「あい、何も言わないと本当に書くよ?」

店員「おねがいしっます!」

ゴリ「素直だねこの店員さん」

P「……」

川田「……俺はいいのかや?」



12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:26:05.01 ID:ZRoZyxB+o

―――― バス内


川田「はい、時間も押してまいりました~。これから北谷にまっすぐ、まっすぐ向かいます~」

ゴリ「あのねぇねぇ、でぇーじ喜んでたね」

やよい「ねぇねぇ……?」

ゴリ「お姉さんの事をねぇねぇって呼ぶわけさ」

やよい「ねぇねぇ……」

真美「千早ねぇねぇ!」

亜美「あずさおねぇねぇ」

ゴリ「お、はいらないさ~」

やよい「あずさねぇねぇ……ですね!」

伊織「ね…ぇ……ふん」

ゴリ「言ってみ、ねぇねぇ……」

伊織「い、言わないわよ」

響「プロデューサー、その位置、疲れない?」

P「平気だよ」

川田「えー、みなさん左手側をご覧ください」

一同「?」

川田「人が、歩いています~! あれがうちなーんちゅ!」

亜美「ねぇ、兄ちゃん、亜美たちは明日の出場だよね?」

P「そう、明日の午前だな。今の時間なら……律子達は終ってるころか」

伊織「じゃあ、これからは真達の出番になるのね」

P「そうなるな。……向こうも気になるけど、律子がいるから、大丈夫だろう」

真美「まこちん達のステージ、見たいよね!」

やよい「楽しみー!」

川田「みなさん、右手側をご覧ください」

一同「?」

川田「日に焼けたおじさんが歩いてますね~、あれはきっと、うみんちゅ!」

伊織「プロデューサー、今夜、私達が泊まるところはホテルになるの?」

P「あぁ。……と、言っても、2チームだけだが……」

伊織「どういうことよ?」

響「プロデューサーは自分の家に泊まるんだよね!」

亜美真美「「 ずるいよ、兄ちゃん! 」」

P「いや、経費削減でな……」

川田「え~、みなさん、左前方をご覧ください~」

一同「?」

川田「観覧車が確認できると思います~、北谷に到着いたしました~!」

やよい「着いたんですね!」

ゴリ「必ず確認する765プロ……無視されても折れない川ちゃん……。いいバランスやっさ」


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:28:50.67 ID:ZRoZyxB+o

―――― 北谷・サンセットビーチ



川田「はい、到着しました~!」

亜美「海だー!!」

タッタッタ

真美「待ってよ亜美ー!!」

タッタッタ


P「二人とも待てー!!」

タッタッタ


伊織「まったく……」

やよい「伊織ちゃん! すぐそこにジャコスがあるよ!」

伊織「そ、そうね」

響「運転手さん、ありがとうございました」ペコリ

運転手「いえいえ」

ゴリ「夕方にはまた来るの?」

運転手「はい。それまでは休ませていただきます」

ゴリ「騒がしかったんじゃない?」

運転手「いえいえ、賑やかで楽しかったです。それでは、後ほど」

ゴリ「はいはーい」

伊織「ステージは海辺になるのかしら?」

やよい「海を見ながら歌うなんて……」キラキラ

響「曲が聞こえてくるぞ……」


『 CHANGE IN MY WORLD!! 』


やよい「この曲……!」



『  止まらない愛探して  』


伊織「真たちじゃないの!」


ハイサイディーサイユイマールー


ゴリ「はい、もしもし~? あ、プロデューサーか?」

響「ご、ゴリ衛門! 自分達行くぞ!」

川田「待って! プロデューサーから電話って!」

伊織「な、なんなのよ!」

やよい「うぅ、ジッとしていられないですー!」

ゴリ「舞台袖が控え室になってるから、そこに来なさいって」


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:32:33.55 ID:ZRoZyxB+o

―――― ライブ会場・控え室



『 3・2・1 』


『 CHANGIN' MY WORLD!!

  変わる世界輝け   』



伊織「ハァッ……ハァ……なんとか間に合ったわね…ッ」

やよい「ふぅ……ふぅっ……よ、よかったぁ……」

亜美「いおりん、やよいっち! こっちこっち!」

真美「こっちから見えるよー!」

ゴリ「なんとか間に合ったや……」

「お疲れ様ですっ!」

ゴリ「えっと……ねぇねぇは誰だったかな」

「天海春香ですっ、よろしくお願いします!」

ゴリ「元気があっていいね」

春香「ありがとうございますっ!」

ゴリ「あれ、プロデューサーは?」

「あずささんを探しに出かけました……」

ゴリ「メガネのねぇねぇもプロデューサーだったよな」

律子「め、めが……? そ、そうです」クィッ


『 新しい未来追いかけながら
  私らしい私でもっともっと 』


律子「そろそろ終りますね」

ゴリ「……俺も見てこよう」


『 DREAM COMES TRUE

  I LOVE ALL    』


ゴリ「あい、終った……」


『 ラララ…… 』


ゴリ「待て、観客の端で跳ねてるの……」

亜美「川座衛門だね……」

真美「そだね……」

ゴリ「あのフラー(バカ)……」



\  ワァァアーーー!!  /



川田「イエーイ!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:34:53.99 ID:ZRoZyxB+o


『それじゃー三曲目ー!!』

『キミはメロディ……ですぅ!』


『 Come out,Spread your heart,You're my melody 』


ゴリ「歓声が凄いな……。あと何曲歌うのか?」

律子「今日の分はこれで終わりです」

ゴリ「このライブは撮らなくてもいいわけ?」

律子「はい。ライブの映像は別で撮っていますので」

ゴリ「あぁ、そうか……。とりあえず、終るまで待つか……」

律子「……」


春香「たしかなものはっ!」


『 キミと紡ぐメモリー 二人で描いたストーリー 』




――…





『 天使も妬いた空を翔るメロディ 』



川田「イエーイ!!」



ゴリ「あそこで、年甲斐もなくはしゃいでるの、俺の……相方」

「し……知っています」

ゴリ「恥ずかしいやつだよな。ねぇねぇもそう思うあんに?」

「い、いえ……」

亜美「ゴリー、千早ねぇねぇが困ってるっしょー?」


『グルーヴィーチューンのみなさんでしたー!』



 \   ワァァーー!!  /



16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:36:56.39 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「プロデューサー帰ってこないやー」

春香「そうですねぇ……どこまで行ったんだろ……?」

真美「あずさねぇねぇとそのままランデブーしてるんじゃない?」

ゴリ「ランデブーの意味、わかってるか?」

真美「バイクに二人乗りっしょ?」

ゴリ「それはタンデムな」

伊織「デートのことでしょ」

ゴリ「はい正解~、あんたはダメ~!」

伊織「当てたじゃないの!」

ゴリ「当てたら不正解ってことさ……。ボケないと」

伊織「難しいわね……」

ゴリ「本当に真面目か」

千早「高槻さん、我那覇さんは一緒じゃないの……?」

やよい「あ、あれー?」


17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:38:59.49 ID:ZRoZyxB+o

川田「いやぁ、よかったよぉ。どうね、ウチからデビューしてみないか?」

「申し訳ありません。わたくしはすでに、765プロに身を置いておりますゆえ」

川田「俺はね、君たちの歌声に惚れてしまったわけよー」

「う、うぅ……男の人……っ」

川田「あい、怯えなくてもいいよ~」

「プロデューサーが来てないの」

「あ、あなたは誰なんですか……って、川田さんじゃないですか」

川田「違います。敏腕プロデューサーのか わ や ま。といいますぅ~」

ゴリ「誰かおまえはっ!」ペシッ

川田「あがっ!」

律子「貴音、雪歩、美希、真、お疲れ様」

貴音「観客の盛り上がりも最高潮に達し、わたくしも最高のぱふぉーまんすが披露できたと自負しています」

雪歩「うぅ……男の人が二人……っ」

美希「楽しかったよ、律子」

律子「律子さん、でしょ」

真「それで、亜美たちがいるのに、プロデューサーと響……だけじゃなくて……あずささんもいない……」

千早「想像通りよ、真」

真「迷子になったんだ……」

ゴリ「どういう意味か?」

春香「プロデューサーさんを迎えに行ったあずささんを探しに……プロデューサーさんは出て行きました」

ゴリ「わからん」

亜美「なるほどなるほど」

真美「ひびきんがいたら、タンデムできないよね」

伊織「いなくてもできないわよ」

やよい「真さん、お疲れ様です! はい、ターッチ!」

真「へへー」

パァン


川田「うんうん、いいね、若いって」

ゴリ「やばい、でぇじ帰りたい……」


18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:40:47.27 ID:ZRoZyxB+o


――



「……ここはどこでしょう……?」


「映画館……?」


「……」


「プロデューサーさん……」


pipipipipi


「あら……」


ピッ


「はい、もしもし」


「沖縄に着いたと聞きまして、バス停でお待ちしようと……はい」


「今ですか? えっと…………映画館の前です。……わかりました、お待ちしていますね」


プツッ


「……」


「…………そうだ♪」


――



P「もしもし、響! あずささんは映画館に居るって言うんだ! 映画館はどこだ!?」


P「今は……ジャコスの…………えっと、東側にいるぞ!」


P「北に向かえばいいんだな!? ありがと!」


プツッ


P「なんでこんなとこまで……!」


タッタッタ



19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:42:48.59 ID:ZRoZyxB+o

―――― ミハマ 7 プレックス(映画館)前



P「ッハァ……ハァ……ハァ…………?」


P「いない……?」


P「…………ふぅ」


ピッピ


trrrrrr


pipipipipi


スッ



P「っ!?」


「うふふ、だ~れだ?」


P「あずささん……ですよね」

あずさ「正解です」

P「いや、あずささんを探しにここまで来たんですから……」

あずさ「そうですね」

P「……やっと見つけた」

あずさ「……見つかっちゃいました」


響「……」


P「あの……」

あずさ「は、はい……」

P「いえ……」

あずさ「……な、なんだか暑いですね」

P「夏すぐそこですからね……」

あずさ「そ、そうですよね」



響「…………」



20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:44:13.04 ID:ZRoZyxB+o


P「あずささん、これからデートなんてどうですか?」

あずさ「そ、そうですね……いいと思います」

P「向こう側は、若者向けのお店が並んでいて、楽しそうですよ」

あずさ「本当ですね~、あの観覧車にも乗ってみたいです」

P「なんて……」

あずさ「うふふ」

P「響」


響「?」


P「どうして話しかけない」

あずさ「ま、まぁ……響ちゃん」

響「いい雰囲気だったから、入り込めなかったさー♪」

P「反応を見たかったのに……」


pipipipipi


P「もしもし……? あ、はい。すいませんゴリさん」



21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:46:26.64 ID:ZRoZyxB+o


―――― アラハビーチ


響「ここはステージのあるサンセットビーチから少し離れてるだけだよ。周りの目を気にする必要ないさー」

P「……向こうのビーチに人が流れているのか」

あずさ「……」

響「あずささん、ここから見る夕日は綺麗なんだよ」ヒソヒソ

あずさ「も、もぅ……響ちゃん……」

響「へへー。あ、みんないたぞ」


ゴリ「プロデューサー! 俺は怒ってるよ!」

P「すいません……」

あずさ「?」

響「どうして怒ってるんだ、ゴリ衛門?」

ゴリ「くったー(こいつら)に海に落とされたばーよ!」

P「えっ!? 亜美真美!」

亜美「違うよー、ゴリーが自分で海に転がっていったんだよー」

真美「そうだよー。ゴロゴロゴローって自分で海に入って行ったんじゃん!」

ゴリ「はー? 俺は悪くないだろー?」

亜美真美「「 私たちだって悪くないやい! 」」

春香「すいませんでした、ゴリさんっ」ペコリ

P「春香が謝るのか?」

響「解説してほしいぞ?」

川田「はいはい。私が解説しましょう」



22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:50:03.84 ID:ZRoZyxB+o


―― 解説 ――


律子「響が言うには、この先に人気の少ない場所があるとか……」

ゴリ「やさやさ、そこならあんたたちが集まっててもだいじょーぶよー」

雪歩「うぅ……怖いっ」

真「大丈夫だよ、雪歩。ゴリさんは……うん」

ゴリ「うんってなにか? 最後まで言ってくれんか」

春香「あのっ、受身の取り方を教えてくださいっ」

ゴリ「あんたは、いきなりだね」

千早「あ……」

ゴリ「? 後ろになにがあるば――」

亜美真美「「 ダブルキーック!! 」」


ドカッ


ゴリ「あがぁっ!?」


ゴロゴロゴロ ズサーッ


ゴリ「しかまちひゃ!?」

律子「シカマチ……?」

川田「びっくりしたなぁって意味さー」

貴音「今の動き……面妖な……」

春香「凄い受け身だと思います!」

川田「みんなの飲み物でも買ってこようね~」

律子「あ、そこまでしてもらうわけには」

川田「いいよいいよ、俺も少し歩きたいだけだから。土地勘無いでしょ」

律子「……すいません、助かります」

真「やっぱり運動神経抜群ですね、ゴリさん!」

ゴリ「そうだろ、おまえも見所あるな。……双子! なにか!?」

亜美真美「「 こういうことだよね、はるるん? 」」

春香「そうです! お願いします!」

ゴリ「だから、意味がわからんてば」

律子「えっと、春香は一日に一回必ず転ぶんです。だから、ゴリさんのように受身を取れば……と」

ゴリ「なるほどな。いいだろう。ちょっと、砂の上に移動しようか」

春香「はいっ」

真「ボクもっ!」

タッタッタ


23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:52:43.98 ID:ZRoZyxB+o

千早「みんな楽しそうね」

伊織「おもちゃよ、おもちゃ」

やよい「み、美希さん……起きてください! 私ではもう……!」グググ

美希「くぅ……」

貴音「やよい、わたくしが支えましょう」

やよい「お、お願いします……!」

律子「……撮影してないのに、ゴリさん頑張るなぁ……」


ゴロゴロ ザッ


ゴリ「こうっ!」

春香「はい!」

ゴリ「待って、俺の真似して頭から入ったら危ないからよ。横転からいこうか。砂も着くし」パッパ

春香「わかりました。行きますっ」


ゴロ ザッ


春香「どうですか?」

ゴリ「大分いいな、あんた、転び慣れてるやさ」

春香「そうなんです!」

ゴリ「いや、喜ぶところじゃないだろ。で、足とか怪我してるわけ?」

春香「いいえ……それはなんとか……無事なんです……」

ゴリ「なるほどな。わかったさ」

春香「?」

ゴリ「あんたはよ、安全な箇所を自然に察知できるわけさ」

春香「???」

ゴリ「転び慣れることで、体が安全な転び方をマスターしてる」

春香「??????」

ゴリ「百聞は一見にしかずだや。じゃあ、俺が走って転んでみるよ?」


ザッザッザ

ゴリ「いっけなぁ~い! バスに乗り遅れちゃ~う」キャピ


伊織「キモっ!」

千早「……」スッ

やよい「あ、あれ……視界が真っ暗に……」


ゴリ「キャァッ!」


ズサッ


ゴリ「……ほら、膝に砂がたくさんついてるさ?」

春香「は、はい……」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:55:18.24 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「次、あんたの番」

春香「は、はい」


春香「いっけなーい! バスに乗り遅れちゃうー!」


律子「よくある日常の光景に見えるわね」

貴音「真に、背景が通学路に変わりました」


春香「うぉわっ!」


ザッ


春香「いたたたた」

ゴリ「砂を確認してみ」

春香「均一……ですね」

ゴリ「そういうことさ。俺の場合は重点的に衝撃が走ったから、膝を中心に砂が纏わり付いた。
   地面がアスファルトだったら怪我をしてたな。
   だけど、あんたはさ、足の全部分で衝撃を分けたから、怪我もすることないわけよ」

春香「!」

ゴリ「早い話が、受身を覚える前に転ばないようにしろってことさ」

春香「……うぅ」

ゴリ「身も蓋もないけどよ、俺が教えることは最初から無かったってことだな」

春香「……」

ゴリ「大丈夫、あんたならどんなに転んでも、怪我しないよー!」

春香「……面倒くさがっているような?」

真「ゴリさん! ボクのも見てください!」

ゴリ「ついでだ。いいだろう。やってみ」


真「いっけなぁ~い、バスに乗り遅れちゃ~う!」キャピリン


雪歩「そうじゃない、そうじゃないよ真ちゃん……」

美希「くぅ……すぅ……」


真「きゃっ、躓いちゃった~、とうっ!」


クルッ


ザッ


「「「 おおぉーー!! 」」」


パチパチパチ


ゴリ「みんなから拍手を貰うほど、立派な前宙転だったさ。
   ちなみに、転んだ女の子は『とうっ』って絶対に言わないからな」

真「うぅ……失敗したなぁ……」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:57:01.55 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「凄いな、足場砂なのに……ありえんやっさ……」

亜美「いっけな~い! せいやー!」


バシャッ


ゴリ「海水をかけるな! なにがしたいばーッ!?」


真美「バスを止めるんだー!」


バシャーッ


ゴリ「意味が解らん!」


春香「やっぱり、向上心は持っていろってプロデューサーさんも言ってたから……もう一度!」

亜美「そーれっ!」

真美「それそれー!」


バシャバシャ


ゴリ「こういうのはプロデューサーとやれ!」


春香「えいっ」


ゴロゴロ ザッ


春香「あれ……できた?」

真「凄いよ春香!」


ゴリ「俺も軽く避けるっ!」


ゴロゴロ ザッ


真美「なんのっ!」


バシャ


ゴリ「俺は止まらん!」


ゴロゴロ


亜美「そこだー!」


バシャッ


ゴロゴロ


26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 21:59:44.69 ID:ZRoZyxB+o

春香「ゴリさんっ」

真「そこは――」


ゴロゴロジャブジャブ


ゴリ「あげ……」


亜美真美「「 あははははっ 」」


川田「はい、飲み物買ってきたよ~」




―― 解説終わり ――


律子「と、いうわけです」

P「……」

川田「やさ」

ゴリ「おまえ説明してないだろ」

P「あの、ありがとうございます」

ゴリ「お礼じゃなくてお詫びだろ?」


亜美真美「「 兄ちゃーん! こっち来てー! 」」


P「今の話を聞いて、行ける訳が無い……」

川田「プロデューサー、陽が傾く前に今回の企画のおさらいをしとこう」

律子「そうですね。みんな揃ったことですし」

P「それじゃ、律子と川田さんで簡単に説明と紹介をお願いします」

律子「わかりました」

川田「まかせなさい」

P「……どうぞ」

川田「ハイサイハイサイ、やってきましたよ、北谷の海! 
   ここでライブを終えたばかりの765プロのみなさんと合流しました~」

真「いやぁー、ライブの熱気は凄かったなー」

雪歩「う、うん……初夏の陽射しに負けないくらい……観客のみなさんも楽しんでくれたと思う」

貴音「わたくしの胸にまた一つ、良き思い出が刻まれました」

美希「このおにぎりおいしいのー」モグモグ

川田「あいっ!? 俺が買ってきたバクダンおにぎり! なんであんたが食べてるか!?」

律子「み、美希!」

伊織「今日は参加出来なかったけどぉ、明日からは私達が頑張りますぅ」

やよい「真さん達のステージを観て、私もやる気がぐーんとアップしましたー!」

律子「あ、あれ……響がいない……?」

千早「律子、あっち……砂浜を見て」

P「?」


27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:01:14.30 ID:ZRoZyxB+o


ゴリ「エンダンス」

亜美「こうかな、えんだんす!」

ゴリ「違う、もっと右足を伸ばせ!」

亜美「は、はいー!」

ゴリ「エンダンス」

真美「えんだんす」

ゴリ「そうそう、おまえは飲み込み早いやっさー」

真美「へへーん」

響「二人とも上手さー」



貴音「はて……?」

あずさ「あらあら、まぁ。……レッスンを受けているのね」

雪歩「なんだか、みてるだけで力が抜けるよぉ……」フラリ

真「あわわ! 雪歩!」

美希「うぅん……とってもジューシーなのぉ」モグモグ



ゴリ「もうお前達に教えることは何も無い!」

亜美真美「「 ありがとうございます、ゴリラボス! 」」

ゴリ「よし、やってみせろ」

亜美真美「「 あいさー! 」」


P「?」


亜美「えんだんす」

真美「えんだんす」

亜美「えんだんす、えんだんす……」

真美「えんだんす、だんす、だんす、だんす」

亜美真美「「 え、えんじょい…ぷれい 」」カァァァ

ゴリ「なんで恥ずかしがるか!?」

亜美「あー! 亜美、もうお嫁に行けないよー!!」

真美「恥ずかしいよー!!」

ゴリ「なんだば!? さっきまで真面目にやってたやし!?」

響「やっぱり沖縄の海はいいなー」


28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:05:16.56 ID:ZRoZyxB+o

P「……」

律子「こっちに背を向けて海を眺めている響、屈んでいる亜美、真美、それと、
   やよいと伊織がファンキーノートチームになります。このチームで――」

川田「お子様チームさ~」

律子「お、お子様……?」

伊織「ちょっと、なんなのよ、お子様って」

川田「バス内でそう紹介したから、しょうがないさ~」

やよい「うぅー……」

貴音「しかし、それではあまりにも……」

真「そうですよ、川下さん! なんだか酷いと思いませんか!?」

川田「名前、間違えてるよ」

ゴリ「なにか、空気が張り詰めてるけどケンカか? 上等上等、意見交換にぶつかり合いは必要さー」

亜美「喧嘩上等! おうおう、兄ちゃんよぉ、なにを撮ってやがんでぃ!」

真美「カメラ止めやがれぃ! 与呂詩句ぅ!」

P「それはただのチンピラだ……」

あずさ「あの、私達のチームは……?」

川田「大人チームになります~」

真「ボクたちは!?」

川田「青春チームとなります~」

真「うわー、いい響ー!」

響「単純だなー、真は」

真「な、なんだよ。いいじゃないか、甘酸っぱいって感じで」

雪歩「そ、そうかなぁ……」

律子「えっと、それじゃあ、青春チームの真、雪歩、貴音、美希。
   大人チームのあずささん、春香、千早、私……ということになりますね」

ゴリ「おっけぃ、俺は覚えたよ」

春香「あ、あの、異議を唱えたいと思います!」

ゴリ「はい、どうぞ」

春香「私はどちらかと言うと、青春チームに入るのではないでしょうか」

貴音「そうですね。わたくしもどちらかというと、大人ちーむかと」

律子「どうします、プロデューサー?」

P「ステージのメンバーは変えられないけど、撮影は混ぜてもいいからな。交代してもいいよ」

律子「それじゃ、春香と貴音は撮影の時だけ交代――」

千早「ダメっ、ダメよ春香っ!」

春香「え? どうしたの、千早ちゃん……」

千早「くっ……」

春香「千早ちゃん……?」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:07:14.07 ID:ZRoZyxB+o

千早「と、とにかくダメなものはダメ! 春香はこっちに……大人チームに居て欲しいの!」

あずさ「まぁまぁ……」

律子「どうしたのよ、千早……」

貴音「千早……わたくしは……」

千早「し、四条さんが嫌だとかそういうのじゃなくて……!」

P「どうしてそんなに必死なんだ……?」

千早「ひ、必死とか言わないでください!」

ゴリ「なるほどな。物静かなねぇねぇが葛藤してる理由、俺にはわかとーさ」

響「ゴリ衛門にはわかったんだ、どういうこと?」

ゴリ「周りは自分を大人と崇めるだろう。だが、ねぇねぇ自身が胸に秘めた――」

千早「くっ」ゲシッ

ゴリ「あがぁっ!?」

P「ち、千早!?」

ゴリ「蹴られたけど……悪いこと言ったか?」

貴音「千早……それほどまでに思いつめていたのですね」

伊織「そうね……千早は歌に関して譲れないものがあるから……」

やよい「もう、後戻りはしたくないって……なんだか寂しいかもですけど……」

響「……自分……そういうの考えたことなかったぞ……」

春香「そうだったんだね、千早ちゃん……。うん、私、大人チームに残るよ!」

千早「ありがとう、春香。……少し、複雑だけれど」

川田「よくわからんけど、物静かなねぇねぇが胸に秘めた――」

千早「……っ」ゲシッ

川田「あがひゃ!?」

P「もうこの話はストップだ。千早がなぜか情緒不安定になる」

真「……千早の葛藤ってなんだろう」

雪歩「ち、千早ちゃん……怖くないのかなぁ……」ブルブル

P「こっちも……なんとかしないとな……」

響「自分に任せてよ、プロデューサー」

P「どうするんだ……?」

響「このバナナを使っていい?」

川田「おう」

ゴリ「さっき買ってきたのか……」

響「雪歩、これを持って」

雪歩「え、えぇ……?」

響「大丈夫さー、ゴリ衛門はゴリ衛門……」

雪歩「ゴリ……衛門……?」

響「そうさー。楽しい仲間達の一員だよー」

雪歩「ゴリ……衛門……」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:09:30.22 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「なにかあれ、催眠術か?」

律子「いえ、響はそういうの使えないと思います……」

響「観客はパンプキンだと思えって言うでしょ?」

雪歩「バナナをどうぞ、ゴリラちゃん」

ゴリ「あげっ、この子が一番ひどい!」

響「この人は飼育員さんだよ」

雪歩「う、うん……」

川田「飼育員って俺か……」

ゴリ「……」

雪歩「や、やっぱりダメだよぉ……!」ササッ

真「ゆ、雪歩……」

ゴリ「怯えてくれて、俺は逆に安心したよ」

川田「飼育員でも男は男だからな」

P「雪歩、大丈夫だから……」

雪歩「うぅ……っ」

亜美「ゴリーは無傷だよ、雪ぴょん!」

伊織「それを言うなら無害でしょ」

ゴリ「エンダンス」

川田「エンダンス」

ゴリ「エンダンスダンス」

川田「ダンスダンス」

雪歩「ひゃぁ……」

響「怖がってるぞ!」

ゴリ川田「「 愉快な踊りだろ! 」」

美希「ねぇ、おにぎりのお代わりはないの?」

ゴリ「あんたはマイペースだね」

川田「そろそろ運転手さんが戻ってくるね。はい、みなさん! 移動しましょ~!」

春香「はい!」

千早「……ホテルに戻って、今日の反省をしましょう」

ゴリ「少年老い易く学成り難しっていうけどよ、遊べるうちに遊んでおかないと遊べないよー?」

千早「私達は遊びに来たのではありません。それに、昨日は充分に遊びましたので」

ゴリ「ほぅ……どこへ行った?」

千早「……海とか……ホテルのプールとか……おいしい料理も……たくさん」

ゴリ「海にプール……おいしい料理ねぇ……」ニヤニヤ

伊織「な、なによ、その含み笑いは……」

やよい「わ、私も……その……たくさんの思い出を残せたらいいなーって」

ゴリ「違う違う、まだまだ楽しめてないなぁって思ったわけよ」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:11:13.76 ID:ZRoZyxB+o

真「響とゴリさんがボク達を楽しい観光地へ案内してくれるんですね!」

ゴリ「俺に、任せなさい」

川田「おまえ、ハードル上げすぎだろ」

千早「ですから、私達は遊びに来たわけじゃ……」

貴音「如月千早、何事にも楽しむという心の余裕は必要ですよ」

千早「……」

ゴリ「あ、ごめん。やっぱり各自で楽しんできて」

春香「ど、どうして急にやる気が下がったんですか?」

ゴリ「765プロの大変さを……忘れてたやっさ……」

千早「私達を楽しい場所へ連れて行ってくれると、仰いましたね」

ゴリ「口だけな。てーげーだから、間に受けんで」

真「?」

川田「口だけだから、適当に言っただけだから間に受けないでーって」

伊織「沖縄の訛りはたまにわからなくなるわね」

千早「いいえ、そこに沖縄の歌の秘密があると思います。ですからお願いします」

春香「千早ちゃんも乗り気だ……♪」

ゴリ「藪をつついたらハブが出てきた……」



響「ほら、ね?」

雪歩「…………」

P「ちょっと前に、響がお世話になって以来、なにかと縁があるんだ。
  だから、絶対に悪いことではないぞ、雪歩」

雪歩「ぜ、絶対……ですか?」

P「あぁ。絶対だ」

亜美「おいしいアイスクリームも食べたよ」

真美「カーリーフライも教えてくれたよん」

亜美「それはひびきんだよ、真美」

真美「あ、そっか」

雪歩「……」

あずさ「うふふ。行きましょう、雪歩ちゃん」

雪歩「は、はい……!」

律子「……よし」



32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/20(木) 22:13:30.65 ID:ZRoZyxB+o


―――― バス内


川田「みなさん、揃いましたでしょうか~」

亜美「あれ、兄ちゃんとあずさねぇねぇがいないよ?」

律子「落し物を探してるから、もう少し待っていましょ」

響「へへー、いいよねー」

ゴリ「……」ウトウト

春香「えんだー?」

真美「おいしかったよー」

美希「あふぅ」

雪歩「……」

真「ボクも……眠くなってきた……」

貴音「西の空が……なんとも美しい……」

やよい「綺麗ですねー……」

伊織「……この景色を見てるのね」

千早「うん……きっとね……」




――…



ゴリ「zzz…」

川田「おい、ゴリ」

ゴリ「……ん……?」

川田「着いたぜ」

ゴリ「お台場に着いたか……ふぁぁ……!」

川田「珍しく深く寝てたな」

ゴリ「なんかよ…………疲れてるみたいでさ」

川田「みんな降りたからよ」

ゴリ「嫌な夢をみたやっさぁ……」

川田「俺達も降りよう」

ゴリ「……765プロと沖縄ロケ……っていう……」


P「……」

ゴリ「あきさみよい(悲しくて驚いた)……夢じゃなかった……」

P「あの……ゴリさん、トイレで顔を洗ってきてください」

ゴリ「は?」

P「おでこに……落書きされてます」

ゴリ「どうせ、『中』とか『肉』とかだろ。構わないさ」

川田「『ら』だけどな」

ゴリ「あったー(あいつら)よ……じゅんに(本当に)……」


34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:20:39.69 ID:6/UBqG5no

―――― ホテルロビー



律子「それじゃ、各自割り振られた部屋で過ごすように。
   あと、外に出るときは、必ずプロデューサーか私に声をかけてねー」

「「「 はーい 」」」

律子「それと、単独行動は慎むように、美希、聞いてる?」

美希「ちゃんと聞いてるよ」

律子「なら、いいんだけど。それじゃ、みんな、今日はお疲れ様!」

「「「 おつかれさまでしたー 」」」



P「……」

ゴリ「あの、メガネのねぇねぇに任せっぱなしか?」

P「今日は律子一人に任せます」

律子「……それはいいですけど。青春チームが響の実家にお世話になりますから、ご同行お願いしますね」

P「……悪いな」

律子「いえ。これくらいへっちゃらですから」

P「ありがとう」

響「それじゃー、真、雪歩、美希、貴音ー! 自分に付いて来るさー!」

真「やったねー!」

雪歩「う、うん!」

貴音「楽しみですね」

美希「ミキ的には、安眠が出来ればどこでもいいんだけどね」

やよい「うぅー、プロデューサー、行ってしまうんですか……?」

春香「一緒にご飯……」

P「律子がいるから平気だろ、やよい? 沖縄の料理には違いないんだ。春香も楽しんでくれ」

やよい「はい……」

春香「せっかく久しぶりにみんな集まったのに……」

P「俺達はここには泊まれない。そこは我慢だ」

春香「……はい、わかりました」

千早「それではプロデューサー、明日」

P「うん。また明日な」

伊織「じゃあね」

亜美真美「「 兄ちゃん、お疲れー! 」」

P「今日の疲れはちゃんと取るんだぞ」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:21:54.99 ID:6/UBqG5no

あずさ「あの、響ちゃん」

響「ん? どうしたの、あずささん」

あずさ「私も響ちゃんの実家に伺ってもいいですか?」

響「うーん……でも、部屋が足りないさー……」

あずさ「プロデューサーさんと、同じ部屋でいいですから」

響「わかったぞ」

ゴリ「カメラ止めれ」

P「もう……手遅れです」

ゴリ「川ちゃん、ちょっとこい、会議しよう」

川田「おう」

ゴリ「どうする。今のシーン……放送できないだろ」

P「……すいません」

ゴリ「撮ったものはしょうがないよ。だけどよ、カットすると、
   『なんであのねぇねぇがいるば?』 って視聴者は思うだろ?」

川田「そうだよな。じゃあ、テロップで、【勝手に付いてきた】って矢印つけるってのはどうか?」

ゴリ「……そうだな。それもありか」

P「それは、不自然じゃないですか……?」

ゴリ「じゃあ撮り直すか?」

P「いえ、自然にあずささんが民宿へ行くという会話を組み込んでくれれば……」

ゴリ「これまた難題を言うね……」

川田「撮り直しってヤラセっぽくなるからな、……よし、やってみるか」

ゴリ「……しかたないや」

P「すいません、お願いします」

川田「俺達ベテランの腕の見せ所さ、任せなさい」

響「会議終ったー?」

P「さて、私達一同はこれから響の実家が営んでいる民宿へ移動することになります」

ゴリ「え、プロデューサー、説明口調になってるから」

P「す、すいません」

川田「……」

ゴリ「ねぇねぇも民宿に行くのか?」

あずさ「はいはい。お邪魔します~」

ゴリ「こっちのホテルのほうが料理豪華だはずよ~」

響「ゴリ衛門! 失礼だぞ! おかーが作る料理は……ここより華やかじゃないかもしれないけど、
  でも、負けないくらいおいしいんだぞ!!」

あずさ「それは楽しみですね~」

ゴリ「食べてみるまでわからんさー?」

響「うぅー!」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:22:40.84 ID:6/UBqG5no

真「ゴリさん、そうやってお膳立てをしておくわけですね!」

ゴリ「それを言ったら台無しだろ?」

真「あ……あはは、そうですね」

雪歩「……うぅ……っ」

川田「……」

美希「ふぅん……響のお母さんの料理……楽しみなの」

貴音「響……わたくしも……おりますが」

響「大丈夫さー、さっき連絡したら、アニキが大漁だったって言ってたからね」

ゴリ「こんな感じか」

P「……オッケーですね」

川田「こんなもんさ」

ゴリ「おまえ、一言も喋ってないよ?」

P「響、タクシーで行ける距離なのか?」

響「そうだぞ」


37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:23:24.11 ID:6/UBqG5no


―――― タクシー内



ゴリ「え、なんて?」

響「おかーが是非泊まっていけって」

川田「帰れないのか?」

響「アニキが二人のファンだから、別にいいさー」

ゴリ「いやいや、帰りたいよ」

川田「して、民宿はどこか?」

響「読谷だぞ」

P「よみたん……?」

川田「……」

ゴリ「じゃあいいか。飲んでも帰れる距離だし」


38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:24:46.96 ID:6/UBqG5no


―――― 我那覇邸



響「とうちゃーく!」

P「ここが響の実家……」

響母「遠いところからよく来てくれました。私、響の母をやっています」

P「初めまして、私、765プロで我那覇響をプロデュースしている者です」

響母「話は響から聞いていますよ」

P「響は単身で上京してきたにも関わらず、元気で明るく、事務所のみんなと楽しく過ごしています」

響母「……」

響「コケ麿~!」

コケ麿「コケー!!」

響「会いたかったぞ~!!」

コケ麿「コケー!!」

ゴリ「感動の再会だよな、あれ」

川田「一人と一羽は盛り上がってるけどな……次元が違うやっさ」

P「仕事現場でも今のように、誰にでも温かく接しているので、潤滑油のような存在ですよ」

響母「え、響」

響「うん?」

響母「絶対に逃がすんじゃないよ?」

響「はぁ?」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:25:49.77 ID:6/UBqG5no


ブロロロロロロ


響「あずささん達が到着したね。おかー、アニキにみんなを紹介したいぞ」

響母「ニィニィは畑かねぇ?」


真「よいしょっと」

雪歩「ここが……」

貴音「響の育った家、なのですね」

美希「意外と近かったね~」

P「みんな、挨拶をちゃんとしておくんだぞ。……運転手さん、これで支払いお願いします」

あずさ「まぁまぁ……素敵なお家ですね~」

響母「さぁさ、みなさん上がってくださいね~」

響「遠慮することないぞー」

真「友達のお家にお邪魔するってなんだか緊張するなぁ」

雪歩「う、うん……」

貴音「……」

美希「お邪魔するの~」

あずさ「あ、プロデューサーさん」

P「はい……?」

あずさ「背中に糸くずが……はい、取れました~」

P「ありがとうございます」

あずさ「いえいえ」

響母「……」

響「おかー? はやく、夕飯の――」

響母「響、あんた、諦めなさいね」

響「はぁ?」


40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:26:48.96 ID:6/UBqG5no


―――― 仏間


響「おとー。プロデューサーとみんなを連れてきたよー」

P「響、俺も線香をあげてもいいかな」

響「うん。おとーも喜ぶさー」

ゴリ「俺もあげていいか?」

あずさ「私も、失礼して」

響「……うん!」

P「――。」

あずさ「響ちゃんのおかげで、私はいつも楽しく過ごせていますよ。
    元気な、その姿をいつまでも見守っていてください」

ゴリ「あなたの娘さん、私に迷惑をかけています」

真「ここでなにを?」

川田「ウートートーしてるわけさ」

貴音「響のお父様にお祈りを捧げているのですね」

雪歩「わ、私の家にある仏壇より広いです……」

美希「ミキもいいかな?」

響「うん……挨拶してくれると……嬉しいな」

貴音「では、わたくしも」

真「えっと……この鉢でいいのかな」

雪歩「し、失礼します……」

川田「――。」

P「……」

あずさ「……」

ゴリ「……」

貴音「――。」

美希「誰にでも優しく接している響はみんなに好かれているの、
   だから安心してゆっくり休んでね、響のお父さん」

P「美希……」

貴音「言葉には力が宿ります。きっと、美希の想いは届いていることでしょう」

真「そっか……。響のお父さん、響はいつも一生懸命に頑張っています、見守っていてください!」

雪歩「響ちゃんは、いつも私を励ましてくれてます……今日は挨拶ができて嬉しいです……」

響「……」グスッ

P「……」

響母「…………」


41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:28:13.53 ID:6/UBqG5no

―――― 居間



ゴリ川田「「 いただきまーす 」」

響母「あい? ひょっとして、ゴリさんと川田さんね?」

ゴリ川田「「 今気付いたば!? 」」

響母「響のペット――家族かと思ったさー」

ゴリ「この親にしてこの子あり、だね」

響「照れるさー」

ゴリ「褒めてないよ。もう一度聞こえるように言ってあげるよ、褒めてないからな!?」

P「……」

真「プロデューサー?」

P「え……?」

あずさ「どうかされたんですか?」

P「あ……いえ」

雪歩「ボーっとしてます……」

貴音「ぱくぱく」

響母「お姫さまみたいだねー」

貴音「ぱくぱく」

P「た、貴音っ」

貴音「はて?」

P「話しかけられてるぞっ」

貴音「?」

響母「刺身、たくさんあるからどんどん食べてねー」

貴音「真に、お魚の新鮮な味わいに舌鼓を打ち、わたくしは至福の一時を堪能しております。
   響のお母様、わたくしの胸は感謝の気持ちでいっぱいです。真にありがとうございます」

響母「~っ!」

響「そんなに嬉しがらなくてもいいさー! なんか恥ずかしいぞっ」

ゴリ「あい、照れてるねー」

響「ゴリ衛門もどんどん食べるさー!」ドン

ゴリ「えー! こんなに海ぶどう食べれんどー!」

響「ゴリ衛門が飲みたがってたオリオンもあるぞー?」

ゴリ「だぁ、ちょーだい♪」

響母「なんね、可愛いつもりね?」

ゴリ「可愛く言った方が確実に貰えるって思うさー」

響母「ルートビアならあるけど、どうする?」

ゴリ「いらん! この子供達にあげれ!」

美希「ジューシーってご飯……おいしいの……♪」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:30:57.55 ID:6/UBqG5no

P「なぁ、響……ゴリさんとお母さんって初対面だよな」

響「そうだぞ?」

真「その割にはフレンドリーだよね?」

響「ゴリ衛門は誰でもあんな感じだからね。沖縄の雰囲気だから余計そう感じるんじゃないかな?」

P「へぇ……」

雪歩「……そうなんだ」

川田「このタコも……まーさんッ!」

ゴリ「感想に力入れすぎだろ」

「ただいまー」

響「おかえり、アニキー」

響兄「帰ってたか、響」

真雪歩「「 ぷ、プロデューサー!? 」」

P「……!」

ゴリ「あい!? 瓜二つ!?」

響兄「あ! 来てくれたんですね、ゴリさん、川田さん!」

川田「このグルクンのから揚げ……匠の技やっさぁ!」

ゴリ「会話に参加しれ!」ペシッ

美希「……そうかなぁ? それほど似てないと思うけど?」

あずさ「……」コクリ

P「初めまして……響の――」

響兄「あ、あなたが……。響から伺っていますよ。俺に似つかないくらいのいい面構えしてますね」

P「は、はぁ……」

響「並んで見たら……そうでもないかも」

真「……そうだね……パッと見たら……似てたけど」

雪歩「薄目で見たら……似てるような……」

響母「似ても似つかないよー」

貴音「ぱくぱく」

響兄「プロデューサーさん、ゴリさん。お酒、すぐ出しますからね」

ゴリ「待ってました。沖縄に到着してようやく……。私はこの時をとっても待っていましたよ~」

響「ゴリ衛門はバナナジュースで充分さー!」

ゴリ「なんでよっ!?」

雪歩「響ちゃん……とっても楽しそう」

真「……うん。いいよね、こういうの」

あずさ「うふふ」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:31:45.15 ID:6/UBqG5no

美希「お肉もおいしいの~」

川田「それは三枚肉っていうさー」

美希「ご飯が進むの……ミキ、食べ過ぎちゃうよ、プロデューサー」

P「……今日は頑張ってたみたいだから、栄養はたくさん摂っていて構わないぞ」

美希「わかったの♪」

あずさ「……これと、これですね?」

P「よくわかりましたね……俺が食べたいと思っていたもの……」

あずさ「ずっと見ていましたから、はいどうぞ」

P「あはは……子供ですね俺は……」

響「おかーの料理久しぶりだから、とってもおいしいさー」

響母「……」ウルウル

響「え?」

響母「あんたには、他に幸せにしてくれる人がいるさ……」ポンポン

響「はぁ?」


44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:33:30.87 ID:6/UBqG5no

――…



雪歩「プロデューサー……響ちゃんのお母さんが作ってくれたおつまみですよ」

響兄「ありがとう」

雪歩「ひゃぁ!?」

響兄「?」

P「……間違えたか」

美希「雪歩、失礼なの」

雪歩「ごごごっごごごめんなさい~!」ササッ

真「うわっ! 危ないよ雪歩!?」

雪歩「うぅ……」

貴音「プロデューサー、明後日のセットリストをわたくしなりに考えてみました。
   目を通していただければと思い、こうして――」

響兄「いや、俺に見せられてもなぁ」

貴音「はて?」

響「貴音……メガネ買ったほうがいいぞ……」

P「……」

真「プロデューサー、明日はどこへ連れてってくれるんですか?」

響兄「うぅーん、俺に聞かないでくれんかぁ」

真「あ……!」

P「真、それはわざとだよな、な?」

真「もちろんですよー、プロデューサーに意地悪してみたかっただけです」

P「……そうか」

ゴリ「プロデューサーが寂しがってるだろ。こいつらは本当に、人を間違えるなんて酷いやー?」

響兄「そうですねぇ」

ゴリ「あげっ!? プロデューサーと間違えてにぃにぃに話しかけてたやっさ!」

P「……いいですけどね」

川田「この島ラッキョウ……まぁさん……!」

美希「ふぅーん……沖縄ってチャンネル少ないんだね」ピッピ

響「ローカルCM見てると面白いと思うぞ」

美希「CMかぁ……、チープかもしれないけど、それはそれでいいって思うな」

P「こういう勉強の仕方もあるんだな……」

あずさ「プロデューサーさん、かんぱ~い」

P「かんぱーい……って、あずささん、飲んでいませんよね?」

あずさ「はい、お茶ですよ」

P「そ、それならいいんです。明日のライブに差し支えないようにしてくださいね」

あずさ「はい~、それはもちろん……あら?」

P「どうかしたんですか?」

あずさ「いえいえ~、なんでもありませんよ。気のせいですね」

P「?」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:36:03.92 ID:6/UBqG5no

雪歩「な、なんだか、こうやってみんなで輪になって……畳の上に座ってお喋りするなんて……」

真「のんびりしてていいよね」

貴音「開かれた窓から流れる風、とても心地よいものです」

響兄「プロデューサーさん、飲んでますか?」

P「はい、おいしくいただいてます。といっても、一杯だけですけど」

響兄「仕事で来てるんだから、しょうがないよね。じっくりと飲みたかったさぁ」

ゴリ「プロデューサーが、義弟になればいいんじゃないか……うん?」

川田「おまえは親戚のおじさんか?」

響「どれどれ、どんな味?」

雪歩「ひ、響ちゃん、ダメだよっ」

響「うぇー、まじゅい……」

貴音「……」

美希「どうしたのー?」

真「響がプロデューサーのお酒を……」

Pゴリ川田「「「 うわっ! 飲んだのか!? 」」」

響兄「どうしたんですか? 味見くらいなら問題無い……でしょう?」

あずさ「響ちゃん……?」

響「ぅ……?」

響兄「眼が据わってるな……触らないほうがいいよ、ねぇねぇ」

あずさ「はぁ……」

響「あずさしゃんに触るなー! 馬鹿アニキー!」

ゴリ川田「「 始まった! 」」

響兄「この距離だと手が届かないだろ……お?」

響兄「一般人とアイドル……手が届かない……どうですかね、プロデューサーさん」

P「上手いこと言ってるかどうかより、妹さんの心配をしてください……」

美希「どうしたの、どうしたの?」ワクワク

P「響はアルコールを微量でも摂取すると性格が……野生化するんだ……」

あずさ「まぁ……!」

ゴリ「プロデューサー、早くなだめれ!」

響「プロりゅーサーに触るなゴリ衛門! スーパーメーゴーサー!」バシッ

ゴリ「いたっ……くないけど! 落ち着け! 触ろうともしてないさ!」

響「フカーッ!」

P「いかん……」

あずさ「大丈夫ですよ~、怖くありませんよ~、響ちゃん」ナデナデ

響「フーッ! フー……ふー……ふ?」

雪歩「あわわわ……真ちゃん……!」

真「響……今回のロケ……常にプロデューサーと一緒だよね」フラリ

響「うーん……頭がクリアになるさー……」

貴音「覚醒の時ですね」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:37:43.23 ID:6/UBqG5no

真「ボクね……思ったんだぁ……この撮影ってこれからも楽しいんだろうなぁってぇ……」

美希「ま、真君……?」

雪歩「きょ、興味本位で……お酒を……!」

ゴリ「未成年の飲酒は法律で禁止されてるだろぉ!」

川田「おまえがいうか!?」

ゴリ「俺達の時代はほら、法律なんてあってないようなもので」

P「わー! わー!! うちのアイドル達の前でそんなグレーゾーンを言わないでください!」

ゴリ川田「「 すまん 」」

真「いいなぁいいなぁ……ってぇ……思ったんだぁ……」フフフ

美希「こ、怖いのぉ……」

響「なにが言いたいんだ、真?」

真「ちょっと、庭に出ようか?」ニコッ

響「そうだなー、決着をつけとくさー」ニカッ

P「待て待て待て!」

響「止めても無駄だぞ、プロりゅーサー」

真「そうですよ。漢には退けない時があるんです」

P「こんな時にだけ漢になるな……!」

あずさ「あらあら……どうしましょう」


真「稽古つけてもらおうかな……響」ザッ

響「ふふん、琉球は自分のホームだってこと、忘れてるみたいだね……真」ザッ


貴音「今宵、ついに雌雄を決する時が訪れました。いざ、尋常に……始めっ!」


真「先手必勝ッ!」シュッ

響「甘いさ!」サッ


雪歩「真ちゃんの鋭い突きを響ちゃんは軽いステップで右に躱したっ!」

ゴリ「実況入ったけど、どうするば、これ」

川田「一応、撮っておこう」

P「や、やめろ、二人とも!」

響兄「響にあの攻撃には当たらないさ……相手も当てるつもりはなさそうだね」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:40:14.78 ID:6/UBqG5no

真「まだまだぁ!」シュ バッ

響「へへーん、当たらないさー!」サッ シュゥッ



美希「左ジャブからの上段回し蹴りなのっ!」

雪歩「それを上半身で躱しながら一定の距離を保つ響ちゃん!」

あずさ「そうですね、お水を貰ってきます」

響兄「響の身体能力を知っているからの攻撃だね……だけど響はこんなもんじゃない。
   どうなるかわからないさ」

ゴリ「まだ始まったばかりだからな」

川田「二人とも凄いな」

P「なぜ誰も止めない……!?」



真「あの攻撃を躱すなんて、さすが……」

響「当たったら大変さ……」

真「少し、本気を出していいかな?」ニヤリ

響「全然余裕だから、いいよ?」ニヤリ

真「フフッ」ザッ

響「こっちも防戦は飽きたさ……!」ザッ


真響「「 やぁーッ! 」」


響母「いい加減にやめなさい!」ペシッ


真響「「 あいたっ!? 」」


美希「二人の間に入って止めたの!」

雪歩「ダブル突っ込み……! す、すごいですぅ……!」



響母「あんたたちも止めなさいね!」


ペシ ペシ ペシ ペシッ


ゴリ「いっ!」

川田「つっ!」

響兄「たっ!」

P「すいません……!」


あずさ「はい、お水ですよ」

真響「「 ごく……ごくごく 」」


貴音「月を望みながら食す西瓜もまた、夏の趣があるというものですね」シャクシャク

P「けしかけたの、貴音なんだぞ……」


48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:42:09.17 ID:6/UBqG5no

――…


響「うぅ……頭痛い……」ズキズキ

真「ボクは頭が回ってる……」グルグル

雪歩「……」ウトウト

美希「あふぅ」

貴音「就寝の時間となりましたね」

あずさ「真ちゃん、響ちゃん、お母さんがしーくゎさーを飲めば治ると仰っていましたよ。どうぞ」

真響「「 ありがと、あずささん…… 」」

P「雪歩、美希、部屋で寝ような」

雪歩「は……はい…………」

美希「プロデューサー、今日はありがとうなの……」

P「俺じゃなくて、響とお母さんに、な」

美希「はぁい……」

あずさ「プロデューサーさんは……?」

P「明日の予定をゴリさん達と確認してから寝ますよ」

あずさ「その……どちらで……?」

響母「男どもはこっちで寝たらいいさー」

あずさ「ま、まぁ……すいません、勝手に付いて来て……」

P「気にしないでください」

ゴリ「ねぇねぇ」

あずさ「はいはい……?」

ゴリ「ねぇねぇはしっかりしてるほうね?」

あずさ「はいはい。しっかりしてると思います~」

P「ッ!?」

ゴリ「だったら明日の事だけ考えていればいいさ。プロデューサーと俺たちはもう少し飲んでるから」

響兄「やさやさ」

響「アニキ……プロデューサーに迷惑かけるなよー……?」

響兄「今のお前に言われたくないけどな。早く寝て来い」

響「うぅ……」

真「ボクも寝てきます……おやすみなさい、プロデューサー」

響母「案内しようね。付いてきて」

雪歩「おねがいしますぅ……」

P「お疲れ様、真、雪歩、貴音、美希」

美希「お休みなさいなのぉ」

貴音「それでは、失礼いたします」

雪歩「おやすみなさぁい……」

川田「いい夢みろよー!」

響兄ゴリ「「 ゆくいみそ~れ 」」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:43:46.99 ID:6/UBqG5no

響「あずささんは自分と同じ部屋だぞ」

あずさ「わかりました。それでは、プロデューサーさん、おやすみなさい」

響「おやすみー」

P「おやすみ、響、あずささん……」



P「…………」

ゴリ「…………」

川田「…………」

響兄「急に黙りこくって……どうしたんですか?」


Pゴリ川田「「「 つ、疲れた……! 」」」


響兄「それだけ響たちは楽しめたんでしょうね、にふぇーでびるさ」


ゴリ「やばい、帰るのあんまさい……」

川田「……同感やさ」

P「ゴリさん、川田さん」

ゴリ「なにか?」

川田「?」

P「ありがとうございます。ここまで付き合ってもらえるとは思っていませんでした」

ゴリ「俺自身ここまで付き合うとは思ってなかったよ……」

P「みんな、ゴリさんを信頼してるようで、楽しんでますよ」

川田「俺は!?」

P「もちろん、川田さんもです」

川田「言わせたみたいになったさ、俺は横になろうねー」

ゴリ「……その言葉、本当なら嬉しいってなるんだろうけど、大変ってしか思えんやっさ」

P「ははは……」

ゴリ「笑い事じゃないけど?」

響兄「……俺も部屋に戻ろうね。寒かったらタオルケット持ってこさせるさ」

P「今日はありがとうございました」

響兄「響の楽しそうなところ見れただけ充分さ。おやすみ」

P「おやすみなさい」

ゴリ「もう寝てるよや、こいつ」

川田「くかー」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:46:20.96 ID:6/UBqG5no

P「楽しそう……か……。よかった」

ゴリ「……気になることでもあるのか?」

P「あ……はい。競争の激しい世界ですから、彼女達も追い抜かれないよう、走って走って頑張っています」

ゴリ「……」

P「だけど、やっぱり、俺でもフォローできないところが出ているみたいですね。
  だから、今回みたいな仕事が楽しいみたいで……良かったな、と思っています」

ゴリ「……大変だや」

P「いえ、みんなが頑張ってるのに、俺が弱音を吐くわけには……って、
  こんなこと言ってる時点で頼っちゃってますけど」

ゴリ「あんたの倍生きてるから、そんなこと気にしないでいいさー」

P「……」

ゴリ「こんなおじさんだけど、聞けることは聞くから、あんたはあんたでやったらいいよ」

P「……はい」

ゴリ「……」

P「もう一つ、聞いてもらってもいいですか?」

ゴリ「なんね?」

P「ドラマの仕事を貰ってきました。内容は、
 『療養生活を支える物語』です」

ゴリ「ふぅん」

P「……」

ゴリ「……は?」

P「誰が適役かな……と」

ゴリ「知るか!」

川田「な、なにか?」

ゴリ「あ、ごめん。寝ていいよ」

川田「くかー」

P「あはは……って、笑ってる場合じゃないですよね……どうしようかな」

ゴリ「それがあんたの仕事だろ」

P「……そうですね」

P「こんな話を聞いてくれてありがとうございました」

ゴリ「それは全然いいけどさ……候補は?」

P「響の持つ暖かさに注目しています……」

ゴリ「暖かさ?」

P「沖縄の暖かさを感じましたよ」

ゴリ「ほぉ……」




一日目終了


51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:48:52.42 ID:6/UBqG5no


二日目



チュンチュン


ゴリ「いつの間にか……寝てたのか……」

P「すぅ……」

ゴリ「……背中が痛い」ギシギシ

川田「くかー」

ゴリ「え、川ちゃん、起きれ」

川田「ん、うん?」

ゴリ「朝だぜ、帰ろう」

川田「……そうだな……ふぁぁ」

ゴリ「マネージャーからメール来てるな……」

川田「プロデューサーはどうする?」

ゴリ「一応起こしておくか」

P「くぅ……すぅ……」

あずさ「おはようございます」

ゴリ「丁度いいところに。ねぇねぇ、俺達一度帰るから、プロデューサーに伝えておいてな」

あずさ「はいはい。……わかりました~」

川田「やばい、体が堅い……」

ゴリ「だからよぉ……」


スタスタスタ


あずさ「お気をつけて~」

P「くぅ……」

あずさ「……」


52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:51:11.26 ID:6/UBqG5no


P「――……ん……?」

あずさ「すぅ……すぅ……」

P「ッ!?」

あずさ「すぅ……」

P「あずささん……か…………ゴリさんが美女になったのかと……って、近い……」

あずさ「……む…ぅ」

P「あずささん、こんなところで寝ないでください」

あずさ「……は…はい……プロデューサーさん……?」

P「ダメですよ、美希以外は不用意に寝てはダメなんです」

あずさ「……あ、あら?」

P「ゴリさん達もいない……?」

あずさ「ここは……私の部屋じゃなくて……沖縄でしたね……ふぁ」

P「そして、どうしてここで寝てるんですか……?」

あずさ「朝起きて……プロデューサーさんが気になって…………ゴリさんたちが帰られて……」

P「一度帰ったのか……」

響「くー……すー」

P「な、なんで響まで!?」

あずさ「プロデューサーさんの寝顔を見ていたら……私も眠くなって…………?」

P「響、起きるんだ」ユサユサ

響「んー!」バシッ

P「いた……寝起きが悪いのか……?」


「あぁ、もうっ……響が邪魔だなぁっ」

「き、聞こえちゃうよ……!」

「中々縮まらない距離……。気付かれぬよう、引き返しましょう」

「「 はぁーい 」」


P「……聞こえてるんだが」

響「……二人とも起きたね……ふぁ」

P「お願いですから、これからは不用意に寝ないよう心がけてください……お願いだから」

あずさ「今日も……いい天気になりそうですね…………」ボケー

響「ライブ日和さー」ボケー

P「お願いだから俺の話を聞いてくれ……!」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 09:52:54.74 ID:6/UBqG5no

――…


美希「おはよぉなのぉ……あふぅ」

響母「おはよう、美希」

美希「あれ……みんなは?」

響母「近くの畑で野菜の収穫に行ってるよー」

美希「ふぅん……。ミキも行ったほうがいいかな?」

響母「もうすぐ戻ってくる時間だから待ってましょ。それより、顔洗ってきなさいね」

美希「はぁい」


スタスタ


ジャー


美希「……っ」


バシャバシャバシャ


美希「……ふぅ」


フキフキ


美希「今日も頑張るのっ」


スタスタ


美希「……あ、今日はミキの出番は無いんだっけ」

響母「すぐ朝ご飯にするからね~」

美希「響のお母さん、ミキも手伝うよ」

響母「いいよ~、これはおばさんの仕事なんだから」

美希「気にしない気にしない。このお皿を運べばいいんだよね?」

響母「それじゃ、お願いね」

美希「任せるの~」


スタスタ


美希「恋を夢見る~律子さんは~♪」


美希「いつか~素敵な王子様に巡りあえる~♪」


美希「はやくそんな日がきますように~♪」


美希「ミキからもお願いするの~♪」

律子「……」

美希「……」

律子「…………」

美希「…………ミキはね、魔法をかけられただけなの」

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:14:42.16 ID:6/UBqG5no

―――― 外


P「バスが来てる……」

響「はいたーい、運転手さん!」

運転手「今日もよろしくお願いします」

響「一緒に朝ご飯食べない?」

運転手「いえ、私は食べてまいりましたので、ここでお待ちしています。ごゆっくり」

P「……そうですか」

響「残念さー」

真「プロデューサー、野菜運び終わりましたよー」

P「それじゃ、手を洗って……雪歩、顔に土が付いてるぞ」

雪歩「そ、そうですか……えっと」ゴシゴシ

P「あ、広がった」

雪歩「あぅ……」

響兄「悪いね、アイドルに土いじりなんてさせて」

貴音「いえ、土に触れることで人の心は和らぎます。一日の始まりに良い経験を積めました」

響兄「そういってくれると嬉しいさ」

響「ご飯の前にシャワー浴びたほうがいいよね」

あずさ「……あら?」

P「どうしたんですか?」

あずさ「律子さんの声が……?」

P「律子が迎えに来てくれたのか……」


ガチャ


真「ただいまー!」

雪歩「ただいま戻りましたぁ……」

貴音「……」

真「……」

雪歩「……」

響「どうして固まっているんだ?」


美希「これはプロデューサー、これは雪歩、貴音……あ、真君の分が足りないの!」


響「……」

P「どうしてみんな固まっているんだ?」


美希「響のお母さん! 卵焼きがあと二皿足りないの!」


P「……」

あずさ「あら……どうしたんですか?」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:15:42.88 ID:6/UBqG5no

美希「真君、響……と、あぁ、響のお母さんの分を考えてなかったの!」

響母「あとで食べるから気にしないでもいいさ」

美希「そ、そうなの? それじゃ、サラダを用意するね!」


P「美希がテキパキと……積極的に働いている……!?」

あずさ「あら、律子さん」

律子「変な替え歌してたので、注意をしようと思ったら、自ら働きだした、ということです」

あずさ「?」



――…


雪歩「……ふぅ……シャワー気持ちよかったぁ」

美希「雪歩、早く座るの」

雪歩「う、うん……」

美希「それじゃあ、いただきまーすなのー」

「「「 いただきまーす 」」」

P「どんな替え歌をしていたんだ?」

美希「……聞かないで欲しいの」

真「テンションの浮き沈みが激しいよね、美希……?」

律子「すいません、私まで……」

響母「気にすることじゃないさ」

響「どうしてここに律子が?」モグモグ

律子「響とあずささんを迎えに来たのよ」

あずさ「……」

真「プロデューサー、観光地へはいつ出発するんですか?」

P「ゴリさん達と合流しない限り撮影はできないんだ……」

律子「連絡待ちですか?」

P「そうなる」


56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:16:54.79 ID:6/UBqG5no

――…


雪歩「ご、ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」

響母「は~い、お粗末さま~」


ジャー


あずさ「はい、真ちゃん」

真「うん」

響母「洗い物をさせるなんて、やっぱり悪いねぇ……」

律子「気にしないでください。私達がのんびりするわけにはいきません」

響母「宿泊費だって、本当は要らないんだよ? 響がお世話になっているんだから」

律子「いえいえ、それでも勉強させてもらった額ですので。お気になさらず。はい、あずささん」

あずさ「は~い」


ガチャガチャ



響「自分の仕事取られたぞ……」

美希「響も、せっかくの休暇なんだからゆっくりするの」


57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:22:14.07 ID:6/UBqG5no


P「はい。来週には戻ります。……はい、わかりました。よろしくお願いします」


ピッ


響兄「仕事の電話ですか?」

P「そうです。沖縄から帰った後、過密なスケジュールが待っていて」

響兄「忙しそうですね」

P「忙しくなるのは来週からで、今は休暇みたいなものですね。これくらい忙しいうちに入らないですよ」

響兄「……」

P「今のうちに英気を養わないと……いけませんね。あの……なにか?」

響兄「響のこと、よろしくお願いしますね」

P「それはもちろん、全力でプロデュースします」

響兄「……うん」

P「……?」

響兄「いえ、それだけです。これからも宿泊されるんですよね?」

P「後三日、お世話になりますっ」ペコリ

響兄「そんな、改まって言わなくても……はい、わかりました」

P「今日はお子様チー……じゃなかった、騒がしくなると思いますが、重ね重ねよろしくお願いします」

響兄「プロデューサーさんは一緒じゃないんですか?」

P「今日はホテルに泊まりますので」

律子「プロデューサー、そろそろ」

P「そうだな。それでは失礼します」

響兄「はい、頑張ってきてください」



響兄「誰かに雰囲気が似てるな……?」

響「じゃあ、アニキ、自分行って来るからな!」

響兄「あぁ、しっかりな」


58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:23:26.70 ID:6/UBqG5no


―――― バス内


律子「ゴリさんから連絡はありましたか?」

P「午前中に仕事が入ったみたいで、午後から合流するそうだ。
  だから、みんなで北谷に向かうことになったな」

律子「そうですか。結果論ですけど、ちょうど良かったですね」

P「……」




あずさ「……」

響「あずささん?」

あずさ「はい?」

響「どうしたの? ぼんやりしてたけど」

あずさ「響ちゃん、プロデューサーさんが……食後に何か飲まれていましたよね。何か解りますか?」

響「うん……ビタミン剤って言ってたけど……?」

あずさ「……そうですか」

響「?」

あずさ「いえ、気にしないでください」


59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:25:18.05 ID:6/UBqG5no

―――― 北谷・サンセットビーチ


春香「おはようございますっ、プロデューサーさん!」

亜美真美「「 おはよー、兄ちゃん! 」」

千早「おはようございます」

やよい「おはようございます!」

P「みんなおはよう! 今日も頑張って行こうな!」

「「「 はいっ! 」」」


P「お子様チー……ファンキーノートチームは午前の出番だから、気を引き締めていけよ!」

伊織「ちょっとアンタ! お子様って言ったわね!?」

P「さぁ、観客が待ってるぞ! 舞台袖で準備だ!」

やよい「はい!」

響「やるぞー!」

亜美真美「「 おーっ!! 」」

伊織「勢いで誤魔化したわね……。それより、ゴリはどうしたのよ?」

P「午後から来ると連絡があった。それまで撮影はストップだな」

伊織「ふーん……」

P「どうした?」

伊織「別に、ただ参考に聞きたいことがあっただけ」

伊織「ほら、アンタも行くわよ!」グイッ

P「あ……っと、律子、みんなのこと頼んだぞ」

律子「はい、任せてください!」


あずさ「……」

律子「大人チームは一度部屋に戻って打ち合わせしておきましょうか」

春香「そうですね! 午後から頑張るぞっ」

真「律子、ボク達はどうしよう……?」

律子「そうねぇ……こういうときの為の観光地巡りなんだけど。どこか行きたい所ある?」

真「うーん……雪歩はある?」

雪歩「観覧車のところに行きたいな」

貴音「それは名案ですね」

律子「いいけど、ちゃんと変装していきなさいよ?」

貴音「心得ております」

律子「お店で食べ過ぎたりして変に注目を集めないようにしてよ?」

貴音「……」

律子「なんで返事しないのよ……あぁ、不安になってきた……」

千早「私達も同行すれば、律子の不安も無くなると思うけれど」

律子「……困ったわね」

春香「あれ、美希がいない……?」

律子「うぅ……! あずささんもいない……!」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:26:57.48 ID:6/UBqG5no

―――― ライブ会場・控え室


pipipipipi


P「はい、もしもし、どうした律子?」


P「……えぇ!?」

やよい「プロデューサー、着替えてきましたよー!」

P「なんてことだ……また迷子に……」

やよい「?」

P「俺も一緒に探したいけど……」チラッ

やよい「? どうかしたんですか?」

P「悪い、ここを離れるわけには…………うん」

亜美「兄ちゃん! みてみてー亜美の衣装!」

P「……わかった。俺からも電話かけておくから。頼んだぞ」


ピッ


亜美「兄ちゃん……事件だね……」

P「あぁ……あずささんと美希が……迷子に」

亜美「どうして……現場には悲しい涙がこぼれるんだろうね……」

P「いや、こぼれてないぞ……」


ピップッ


trrrrrr


P「頼む……出てくれ……あずささん……!」

やよい「プロデューサー……」

真美「なんか、シラスだね」

P「それをいうならシリアス…………あずささん!?」

やよい「繋がったよ! 真美!」

真美「やったね! よくわかんないけど!」

亜美「こうして、事件は幕を下ろしましたとさ……」

P「ロビーにいるんですか!? ……うわ……盲点だった……」

伊織「騒がしいわね。なんなのよ」

やよい「美希さんが迷子なんだって」

伊織「あずさじゃなくて……? 珍しいわね」

P「そこから動かないでくださいね。律子に連絡しますから。はい、お騒がせしました」


プツッ


61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:30:03.80 ID:6/UBqG5no

P「あとは美希か……」


ピッピップ

trrrrr


P「……みんな、緊張はしてないか?」

伊織「私を誰だと思ってるのよ」

亜美「誰なの?」

伊織「ぇ……って、なんだか不安になったじゃないの、亜美!」

真美「水瀬グループのおんぞーしだよね」

伊織「御令嬢よ!」

P「律子、あずささんはホテルのロビーにいるぞ。
  ……考え事してたらしくて、マナーモードで気付かなかったと。
  あとは美希だけど……うん。悪いけど、頼んだ……」


プツッ


P「……ふぅ」

やよい「ハッ!」

パン

P「?」

やよい「プロデューサー、ため息をつくと幸せが逃げちゃいますよ?」

P「そうだな……」

真美「やよいっち、兄ちゃんの幸せを掴んだんだね! 見せて見せてー!」

伊織「目視できるものなの?」

亜美「そーっと開くといいよぉ」ワクワク

響「バッタでも捕まえたのかー?」

やよい「でも、両手開いたら逃げちゃうよ……」

亜美「だいじょうぶ、逃げ出したら亜美が掴まえるよ!」

真美「真美だって!」

P「俺の幸せはバッタと同じ扱いか。やよい、ありがとな」

ギュ

やよい「はい! 返しました!」



スタッフ長「今日も頑張るぞ、お前達ー!」

スタッフ一同「「「 おぉー! 」」」



伊織「なんだか知らないけど、スタッフの士気が上がったようね」

P「やよいの優しさはみんなに伝わるんだ。うん」

やよい「……」

やよい「えへへ、なんだか照れちゃいますね」テレテレ

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:31:24.13 ID:6/UBqG5no

――…


響「この次だよね、プロデューサー!」

P「あぁ、みんな気合入ってるな?」

やよい「はい!」

伊織「任せて」

亜美真美「「 おいっす! 」」



『――ありがとうございました!』



\ ワァァァーー!! /



「うぉぉぉ、みらいちゃーん!」

「お、おちついてお姉ちゃん!」


P「凄い歓声だな……」

伊織「一番前の姉妹……やたら気合入ってるわね」


『それでは次、765プロさんでーす!』


P「よし、行って来い!」


「「「 はいっ! 」」」


タッタッタ



\ ワァァァアアアア!!! /




『お待たせー! みんなのアイドル水瀬伊織ちゃんよ!』

『『 双海 』』

『亜美!』

『真美だよん!』

『我那覇響だぞー!』

『高槻やよいですー! それではー、一曲目行きますよぉ!!』


『『『『『  Honey Heartbeat!! 』』』』』



63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:39:48.90 ID:6/UBqG5no

――…



『『 ズン ズン ズン ズン 』』

『 ムーディーR&B 』

『『 気付かず 』』

『 月灯りの下で 君がとるリズム 』


P「ステージはもうマスターしてると言っていいかもしれないな……」


ピッピップ


trrrrrrr



P「……もしもし、美希か? 今どこにいる?」


P「…………なんだ、そうか……わかった」


プツッ


P「……」


P「ふぅ…………ハッ!?」


パン


P「……って、何をしてるんだ俺は?」


「クスクス」


P「う゛……」

「こんにちは」

P「……こんにちは。えっと……さっきステージに立っていた」

「あ、一曲目が終りますよ」


『 Please,please me now 』



P「……よし、上手く終らせたな」

「……」



64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:42:16.17 ID:6/UBqG5no

『いやー、沖縄の熱気は凄いね、真美』

『ほんとほんと、会場の兄ちゃんや姉ちゃん達の熱気も凄いよー』



\ オオォォーー! /



『……』


P「響っ前を見ろ!」


『?』

『みんなごめんねぇ~、響ったら、熱気にやられちゃったみたいなの~』

『……あはは、自分うちなーんちゅなのに熱さに弱くて参るさー』

『へえー、そうなんですかぁ』

『そうだぞ、やよい。うちなーんちゅでも、泳ぐのが苦手な人だっているんだ』

『そうなの!? 真美、沖縄の人はみんな50kmは軽く泳げると思ってたよー!』

『そんなわけないでしょ、真美ったらぁ』

『えっと、私気になることがあるんですよ』

『どうしたの、やよいっち、この際だから、聞いてみな?』

『この会場のみなさんは、沖縄の人なんですかぁ?』


P「観客いじりまで覚えたか……」

「クスクス」


『わぁ、沖縄以外から来てる人って結構いるんですねー!?』

『どうしてそんなことを聞いたんだ、やよい?』

『えっとぉ、響さんと、ゴリさんに進められたお店……えっと、お店のお名前は……』

『エンダーだぞ。A&Wだ』

『そうです、そこのカーリーフライと言うポテトがとってもおいしくてぇ……♪』

『あぁ、やよいっちが味を思い出して飛んで行っちゃったよ』

『戻ってきなさい、やよい』

『はっ! そうです! そのお店おすすめですから、ぜひ寄ってみてくださいねー!』


P「観客にはウケてるみたいだけど……毎度ハラハラさせられるなぁ……」

「……」


65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 10:43:53.90 ID:6/UBqG5no

『それじゃー次の曲、どれにしようかひびきん』

『そうだなー、Do-Daiなんてどうだい?』

『おう、いいですねぇ。いおりん、Do-Daiでどうだい?』

『いいんじゃないかしら、亜美、Do-Daiでどうだい?』

『うん、そうだね』

『あらやだぁ、私が滑ったみたいになっちゃった♪』

『自分、そういうの嫌いじゃないぞ』

『そういうフォローもいらないのよぉ?』

『それでは、Do-Daiですー! 行っきますよぉー!』



『『『 本日はみんなに私のとっておきの 』』』

『『 恋バナを聞かせてあげちゃうよ 』』


P「アドリブだったけど、なんとかつなげたか……伊織も上手く乗ってるみたいだ……」

「私も、負けていられませんね」

P「……こっちも、負けませんよ」

「ふふ、それじゃ、失礼します」

P「はい、お疲れ様でした」

「また、どこかでお会いしましょう」

P「……?」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:06:06.96 ID:6/UBqG5no


―――― カーニバルパーク・ミハマ


あずさ「……あら、律子さん……?」

外国人「HEY」

あずさ「私ですか……?」

外国人「ソウデス、イマオヒマデスカ?」

あずさ「えっと……探している人がいまして……」

外国人「オネエサン、カワイイデスネ」

あずさ「えっと……」

外国人「モシヨケレバ、コレカラアソビニイキマセンカ?」

あずさ「その、ごめんなさい……」

外国人「ソンナコトイワズニ、タノシイトコロイッパイアリマスヨ」

あずさ「あ、あの……」

外国人「サァサ、エンリョシナイ」ガシッ

あずさ「っ!?」

外国人「イキマショウ」

あずさ「あ、あのっ」

外国人「ダイジョウブデスヨ」

あずさ「……ッ!」

ゴリ「ヘイヘイヘーイ」

外国人「?」

ゴリ「This person has a fiance. 」

外国人「oh...sorry...」

ゴリ「気にするな、間違いは誰にでもある」

外国人「see you!」

ゴリ「じゃあな!」


スタスタスタ


ゴリ「で、なんでこんなとこに、ねぇねぇがいるば?」

あずさ「……」

ゴリ「あい……放心状態だね……」


67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:08:03.03 ID:6/UBqG5no

―――― ライブ会場・控え室


『次は三曲目だね!』

『みんなとお別れをするのは寂しいけど、伊織、頑張りますぅ』

『最後まで頑張りまくるからねー!』

『私も頑張っちゃいますよー!』

『あ、ゴリー!』

『伊織ちゃんを見ててねー! それじゃ、SMOKY THRILL!』


『 知らぬが 仏ほっとけない 』


P「ゴリさんが来てるのか……?」


pipipipipi


P「もしもし、どうした、律子…………えぇ!? またまた迷子!?」


P「美希とは合流してるんだよな?」


P「……わかった。今の曲が終ったらすぐに探しにいくから…………うん」


ゴリ「プロデューサー、ねぇねぇ見つけたんだけど」

あずさ「……」


P「律子、見つかったから、心配しないでくれ。……ゴリさんが見つけてくれたみたいだ。
  ……うん。それじゃ後で」


プツッ


P「はぁ、良かった……いくら変装してるからって」

あずさ「……っ」

P「あ、あずささん……?」

あずさ「少し……怖いと思いました……っ」

P「……」

ゴリ「外国人に絡まれてたからよ……」

P「え……」

ゴリ「ずっと、放心状態だったからさ、連れてきたわけ」

P「本当に……ありがとうございます」

ゴリ「俺はステージ見てるから」

P「……あずささん」

あずさ「プロデューサーさん……手を…握っていてもいいですか……っ」

P「はい」

あずさ「ありがとう……ございます……」

ギュ


『 手がかりにI wanna 恋どろぼOh! 』

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:10:49.91 ID:6/UBqG5no

――…


亜美真美「「 ゴリー! 見てたー!? 」」

ゴリ「あぁ、ちゃんと見てたぜ! もう教えることはないさー!」

伊織「なにも学んでないわよ」

やよい「うっうー! 楽しかったですー!」

響「プロデューサー! あずささんという人がいながら――あれ?」


あずさ「……」

P「……」


亜美「どうして握手してるの?」

真美「んー?」

ゴリ「で、見てたけど、なんだわけ?」

伊織「後で聞きたいことがあるから、その時ね」

ゴリ「……今でいいさぁ」

伊織「こっちにも都合があるのよ」

ゴリ「俺の都合はどうでもいいわけな」

響「どうしたんだろ?」

ゴリ「カチャーシー取り入れるなんて斬新だな」

響「あ、あれはカチャーシーじゃないぞ! ……自分もそう思ったけど」

真美「川座衛門は?」

ゴリ「コンビニに寄るって言ってたから置いてきた」


あずさ「もう大丈夫です」

P「……そうですか」

あずさ「うふふ、すいません、少し驚いちゃって」

P「俺達から離れないでくださいね」

あずさ「はい」


響「仕事早めに終わったの? ゴリ衛門」

ゴリ「那覇でラジオ出演してたわけよ。移動に時間がかかっただけさ」

亜美「そんなことより、亜美お腹すいちゃったよぉ」

真美「真美もぉ」

P「それじゃ、早く着替えて、昼食を取りにいくか」

「「「 はーい 」」」


ゴリ「プロデューサー、これ、ラジオ局のディレクターが」

P「名刺……ですね」

ゴリ「ラジオ出演しないかって」

P「ほ、ほんとうですか!?」

ゴリ「とりあえず、電話して聞いてみ」

P「ありがとうございます!」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:13:23.29 ID:6/UBqG5no

―――― ドラゴンプレス前


真「クッ……」

男「くっくっく……鍛え方が違うんだよ……」

千早「ごめんね…真……私……!」

真「待ってて、千早……ッ!」

男「無理するんじゃねぇよ……足がガクガク震えてんじゃねえか」

真「ボクは……こんなところでッ!」

千早「真……! もう……!」

真「大丈夫だから、ボクが必ず君を――」

男「口だけは立派だが……、体は付いてこれてねえみたいだぜ?」

真「うッ……」ガクッ

男「たった一撃で崩れるなんてな……最初の気迫はどこへいったよ」



雪歩「ま、真ちゃん……!」

春香「大丈夫だよ雪歩! 真の目はまだ諦めていないから!」

貴音「しかし、後がありません」

美希「ピンチなの!」



川田「人が集まってるね。美味しい店でもあるのかもしれん。行ってみよう」



千早「真……! これ以上、私のために傷ついて欲しくない……!」

真「ごめんね……千早……、だけど、必ず……君だけは……」

男「さっさと寝ろやぁー!!!」


シュッ


真「――!」


『おぉっと、足のダメージで立てないヒーローに悪の拳が襲い掛かるーッ!』


真「最後の賭けだッ」


バッ


男「なッ!?」


雪歩「バク転で躱した!」

美希「それだけじゃないの! 真君の右足が決まるの!」

貴音「熟練された動きですね」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:14:57.53 ID:6/UBqG5no


『カウンターで悪の顔面に――』


男「ッ!」サッ


雪歩美希「「 躱されたッ!? 」」


真「ッ!」

男「終わりだぁーー!!」

真「うぉぉおおお!!」


ガッ


男「――!」ガクン



『左足の踵が顎を揺らしたーッ!!』



男「うぐッ!」


真「ハァッ……ハァ…!」

千早「ま、真~!」

真「ボクのお姫様は返してもらうよ」

男「ぐぅ……!」


カチャ


真「チェックメイト」




\  きゃー! 真様ー!! /




『銃口を突き付けられたことで、悪は観念したようです!』



雪歩「うんうん。真ちゃんはこうでなくっちゃ」ウンウン

美希「カッコ良かったの~!」

貴音「美しき逆転劇でした……」

春香「瞬きしてる間に形勢逆転してたけど……なにが起こったのかな……?」パチクリ

ゴリ「昨日の方が動きが良かったけど、まさか……酔えば酔うほどってやつか?」

響「昨日ってなんだ、ゴリ衛門」

ゴリ「やっぱり記憶飛んでるのか……」

響「?」

律子「どうやら上手くいったみたいですね」

P「これは……一体どういうことだ律子……?」

律子「とりあえず、舞台袖にいきましょう」

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:18:03.27 ID:6/UBqG5no

真「あ、プロデューサー! 見ててくれましたか!?」

P「最後だけな。でも、凄かったじゃないか」

真「へへー」

P「千早も」

千早「何も……言わないでください……」

P「いや、結構良かったと思うぞ。千早の演技が真をさらに引き立てていたんだから」

千早「あれは……私じゃありません……」

ゴリ「現実逃避してもしょうがないさ。演技をすることで胸に秘めた小さな――」

千早「くっ」ゲシッ

ゴリ「あがぁ!? だからなんで蹴るか!?」

千早「私の……秘めた小さな葛藤を曝け出さないでください」

ゴリ「お節介かもしれんけどよ、いつかその小さな葛藤が大きく――」

千早「真、相手を気絶させるにはどうしたらいいの?」

真「教えられないよ!?」

ゴリ「もうお節介やめます。もう知りません」

男「お疲れ様です、真さん」

真「お疲れ様です! あの……結構手応えがあったんですけど……大丈夫ですか?」

男「はは、柔な鍛え方はしてないつもりだよ」サラサラ

監督「いやぁー、よかったよー、プロデューサーさん」

P「あ……以前お世話になった」

ゴリ「プロデューサー、顔が広いな」

律子「私がアイドルをやっていた時に、とてもお世話になった方なんです」

監督「ヒーローショーの合間の時間に、なにかやってみたいなと思っていたんだよ」

監督「そこへ、律子君を見つけて、歌でも……って思ったら、アクションものをやりたいっていうからね」

P「真の提案ですね……」

監督「そういうわけなんだ。今の私では765プロに見合うギャラが出せなくて心苦しいんだが」

P「いえ! 真も千早も楽しんでいましたから。監督への恩返しだと思ってください!」

監督「恩返しなんて大げさな……。まぁ、そういってくれるとこっちも助かるよ」

P「いい経験になったと思います。ありがとうございました!」

律子「少しでもお役に立てたのなら、嬉しいです」

監督「礼を言うのはこっちなんだけど……。また機会があったらよろしくね」

P「はい!」

律子「こちらこそ、よろしくお願いします!」

真「ありがとうございましたー!」

千早「それでは、失礼します」

ゴリ「若いって素晴らしいさぁ」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/21(金) 11:21:04.47 ID:6/UBqG5no


美希「上機嫌だね、響」

響「北谷が賑わってたなんだか楽しいぞー」

貴音「わたくしも心が躍るような気持ちです」

春香「その落ち着きで……」

雪歩「あ、プロデューサー達が戻ってきたよ」


P「アドリブだったのか、本当に凄いな」

真「昨日の夜、ボク、何かしましたっけ? おかげで体が調子いいような」

ゴリ「こっちも飛んでるな」

千早「?」

真「楽しかったなー」ルンルン

P「真は期待に応えられる強い人になったな」

真「……」

響「真?」

真「今の言葉、胸にズシンと……」

P「そ、そんなに深く取らないでくれ……」

美希「……」

雪歩「こ、これから観光ですよね、プロデューサー」

P「うん。さぁ、バスに乗って移動だ」


75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 21:02:37.23 ID:+GFhj82Ao

―――― バス


川田「まぁさんまぁさん」モグモグ

やよい「なにを食べているんですかー?」

川田「あい、一人で食べてごめんね。屋台で買った焼き鳥だよー」

やよい「うわー、私も屋台に行きたいですー! ね、伊織ちゃん!」

伊織「それはいいかもしれないけど、できれば落ち着いて食べたいわね」

真美「ちゃたんがお祭り騒ぎだよねー」

川田「はい、飲み物あげるさ。勝手に取って」

亜美「亜美、オレンジもーらい!」

真美「……霧の紅茶?」

川田「やさ。今は沖縄にしか売られてないよ」

伊織「ふぅん……色々あるのねぇ」

やよい「アップルティーを貰いますね!」

川田「で、ゴリとプロデューサーは?」

亜美「ひびきんと…えっと…どっか行ったよ」

川田「そうね。はい、ねぇねぇも取って」

あずさ「はいはい~、ありがとうございます~」

川田「なんね、いいことでもあった?」

あずさ「うふふ」

ゴリ「おまえ、どこに行ってたか?」

川田「コンビニに行くっていったさ」

ゴリ「フラフラするなって意味さ」

川田「さっさと移動しようぜ、時間がもったいない」バシーン

ゴリ「なんのポーズか?」

亜美「もったいない!」ズギーン

真美「もったいない!」ズドドド

ゴリ「よくわからんけど、格好いいな。いや、格好いいかこれ?」

P「さて、昼食を取ってから観光地巡りだ」

やよい「私達のチームも一緒でいいんですかー?」

P「うん。午後から暇を持て余すのももったいないからな」

ゴリ「いいよ! お子様チームは置いていこう! お願いだから!」

伊織「どうしてそこまで悲しそうなのよ」

ゴリ「青春とお子様のコラボとか、絶対あってはならんどぉ!」

律子「それじゃ、私達大人チームは午後に備えておきましょうか」

春香「うぅ、私もバスに乗りたいです……!」

律子「諦めなさい」

春香「……はい」

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 21:03:04.97 ID:+GFhj82Ao

千早「あの……プロデューサー。今日の予定にセイファーウタキは入っていますか?」

P「……せいふぁーうた……?」

響「おぉーあそこかぁ」

千早「セイファーウタキです」

ゴリ「なんね、行きたいの?」ニヤニヤ

千早「な、なんですか、その表情は……!」

ゴリ「どうしようかなぁ、今日行っておこうかなぁ」ニヤニヤ

千早「な……ッ!」

川田「斎場御嶽は明日行くから心配しないでいいよ」

ゴリ「ネタバレ早さよっ!」

千早「ほっ……」

あずさ「千早ちゃん、そこは……?」

千早「パワースポットと呼ばれているそうです。写真で見て、行ってみたいと……」

律子「昨日読んでいた雑誌のことね。……あの無関心の塊の千早が……」

P「明日、大人チームと行こうか」

千早「は、はい!」

ゴリ「俺はあんたに二回も蹴られてるからなぁ……今日みんなで行っておこうかなぁ」

千早「……」ゲシッ

ゴリ「無言で三回目ッ!?」

春香「うーん……いいなぁ」

律子「すいません、話が長くなるので行ってください」

P「そうする」

響「れっつごー!」

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 21:29:43.52 ID:+GFhj82Ao

―――― バス内


川田「はい、みなさん~。これからどこに向かうと思いますか~?」

真亜美真美「「「 首里城ー! 」」」

川田「違いますぅ~、お昼ごはんを食べに行くんですぅ~」

ゴリ「腹立つやっさ……」

雪歩「あ、あの! どこのお店へ向かってるのでしょうか……!」

川田「……」

ゴリ「なんで黙る?」

雪歩「あ、あれ……っ?」

川田「実はこのバス……」


伊織「ブレーキが効かなくなったのよぉ!」


雪歩真「「 わぁー!! 」」


伊織「にひひっ、驚いた?」

美希「でこちゃんの表情が怖かっただけなの」

伊織「それも演出よ♪」


響「運転手さん、どこへ…………え?」

P「どうした響……?」

響「え……えぇ……!?」

P「響……!?」

響「ど、どうしようプロデューサー!!」

亜美「またまたそんな……――え」

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 21:31:55.44 ID:+GFhj82Ao

貴音「緊急事態のようです、プロデューサー」

P「なにがあった、亜美」

亜美「に、兄ちゃんっ……!」

真美「亜美ってば、そういうノリ…………え」

やよい「うぅー」

川田「……ゴリ、諦めれ」

ゴリ「変な芝居するなぁ、読めてるばーよ。運転手が倒れたーって言うんだろ」

響「……」

亜美「……」

真美「……」

川田「……」

伊織「そ、そんな訳無いじゃないの! 私が確認してくるわ! 空気とか読まないんだから!」

美希「よろしくなのー」

真「え、え……?」

雪歩「な、なんだか……怖いですぅ」


伊織「……そ、そんな……信じられない」


雪歩「い、伊織ちゃんまでぇ……っ」

真「うぅ……プロデューサー! 何が起こっているんですか!?」

P「わからない……」

美希「楽しみなのー」

貴音「このバスは一体、どこへ向かっていると言うのでしょう」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:15:04.20 ID:+GFhj82Ao

―――― A&W・牧港店


ゴリ「二日連続なぁ……信じられん……」

響「うぅん……自分も違うの食べたいぞ……」

美希「ミキが運転手さんにお願いしたの!」

伊織「昨日で堪能したっていうのに……」

P「お子様チームが引くわけだな……」

亜美「お米、お米を食べさせてください~」

真美「真美もどう意見です~」

やよい「今日もカーリーフライをいただけるんですねー!」

真「やよいの話を聞いてボクも食べたかったんだー、やーりぃ」

雪歩「うぅ……あの恐怖感はなんだったんだろう……」



店員「あ、響ちゃん! いらっしゃいませー!」

響「ま、また来たさー!」

ゴリ「店員のねぇねぇは嬉しそうだな」

P「響は気まずそうですね……」

美希「あれ、おにぎり無いんだね……」

伊織「あたりまえでしょ。おすすめはルートビアよ」

亜美「いおりん、お主も中々の悪よのぅ」

伊織「ヒッヒッヒ、後悔させてあげるわぁ」

真美「いおりん、魔女役も様になってますのぅ」

伊織「イッヒッヒ……って、なにをやらせるのよ」

美希「おにぎり……。ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

美希「コンビニ行ってきていいかな?」

ゴリ「おまえが行きたいって言ったんだろ! 俺達の注文終ったけど!?」

美希「しょうがないなぁ、もぅ……。プロデューサーと同じのでいいや」

ゴリ「あい、とんでもない爆弾がいたんだね」

P「すいません。世間知らずなので……」

川田「俺はいつものやつね」

店員「かしこまりましたー」


80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:16:56.28 ID:+GFhj82Ao


やよい「いただきまーす!」

真雪歩「「 いただきまーす 」」

亜美「おいしいねぇ」

真美「うんうん。おいしいねぇ」

P「食べてみたら意外と楽しめるもんだな」

ゴリ「どうせだったら違う店がいいのによ……なんでエンダーか……」

川田「おまえはまだそんなこと言ってるわけ? ほら、みんなでゴリのチーズカーリー食べよう」


バサッ


ゴリ「いいけどよ、パーティーみたいに広げないでくれるか?」

響「自分の分もみんなで食べようー」


バサッ


亜美「じゃ、亜美もー」


バサッ


真美「そーれ」


バサッ


やよい「それー」


バサッ


美希「えーい」

伊織「ちょっと、それ私のなんだけど」


バサッ


真「それじゃボクも――」

ゴリ「冷えやすくなるから、気をつけないとな」

真「う……!」

雪歩「だ、大丈夫だよ、四条さんがいるから冷える前に無くなるよ……」

貴音「ぱくぱく」

P「どうだ、貴音」

貴音「ぽてと、美味」

P「なんでカタコトなんだ……」

貴音「ぱくぱく」

ゴリ「この薄くなってる部分が旨いわけよー」

やよい「そうなんですよねー!」



81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:20:59.16 ID:+GFhj82Ao

――…


P「ほら、亜美、真美。フロートだぞ」

亜美真美「「 ありがとー、兄ちゃん! 」」

伊織「まったく、貴音が全部食べるからよ」

貴音「わたくし自身、消費されないぽてとの量に不審を感じておりましたが、
   どうにもやめられず、気が付いたら食べつくしていました」

貴音「心からのお詫びとともに、また、沖縄の美味しい一品を食してみたいという気持ちも生まれ――」

伊織「反省してるのかどうかわからないわね。ほら、美希」

美希「サイン? いいよー」

ゴリ「なんでか?」

伊織「あの店員さん、765プロのファンみたいだから。ファンは大事にしないとね」

ゴリ「おじさん、あんたのこと見直したよ」

伊織「これくらいで見直されても困るけど。やよいは私とマフィンを食べましょ」

やよい「ありがとう、伊織ちゃん」

P「伊織は高いところから見渡すいい視野を持っていますから」

伊織「……」

ゴリ「第三の目ってやつだよな。やっぱりそうか」

伊織「無いわよそんなの。やっぱりってどこ見て言ってんのよっ」

美希「『でこちゃんへ』と……はい、でこちゃん」

伊織「あんた、話聞いてなかったの!?」

響「真たちはワッフルサンデーだぞー」

真「ありがとー、響!」

貴音「ぱくぱく」

雪歩「ワッフルサンデー……まで……食べてる……」

川田「さすがにチキンは欲張りすぎたやっさ」

ゴリ「フラーや(バカだろおまえ)」


82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:29:40.60 ID:+GFhj82Ao

―――― バス内


川田「それでは、首里城へ向かいたいと思います~」


美希「おにぎりの次においしかったかな」

真「ボクのサインであんなに喜んでくれるなんて」テレテレ

雪歩「て、照れちゃうよね」テレテレ

貴音「是非、らいぶ会場に足を運んでいただきたいものですね」


P「……」

響「どうしたの、プロデューサー?」

P「なんでもない。ほら、カメラ回すぞ」

亜美「さぁー始まりました! 世紀の瞬間!」

真美「ゴリーがダイナミックにバスから身を投じますよん!」

ゴリ「命に関わる無茶振りするな!」

響「そうだぞ、真美。いくらゴリ衛門でもそれは……無理なんだから」

ゴリ「ちょっと間があったや、ひょっとしたら? って思ったのか」

ゴリ「とにかく。洒落にならないことは、見てる方も引くことがあるんだからな」

真美「……はい」

ゴリ「わかればいいさ」

真美「ごめんなさい……」ションボリ

P「真美が落ち込んでる……!?」

川田「命に関わらない無茶振りはオッケーってことさぁ、気にするなー」

真美「そっかー!」

ゴリ「復活しよった!」

響「そうだなぁ……どんな無茶振りがいいんだろ?」

伊織「あれじゃない、あいうえお作文ってやつ」

やよい「あいうえお?」

伊織「言葉遊びの一つよ。例としてやってみるわね。
   私から『あ』で始まって、順に真、雪歩、貴音、最後にプロデューサーが『お』で閉める」

P「俺もやるのか……というかオチ……」

やよい「楽しそうですねー」

伊織「じゃ、行くわよ」


83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:31:52.16 ID:+GFhj82Ao

伊織「『あの言葉』」

真「『いつも聞いていたあの言葉』」

雪歩「『うしろから優しくあの言葉』」

貴音「『えいえんに忘れられないあの言葉』」

P「お……『オムレツ』……」

響「オムレツ……」

ゴリ「反省会始めるか。まず、おまえが悪い」

伊織「なによっ! 真が『あの言葉』を引っ張ったのが悪いんでしょ!」

真「なんだよ! 韻を踏むっていうだろ!」

雪歩「う…うしろから『オムレツ』って優しく……っ」

貴音「確かに、永遠に忘れられない言の葉かと」

P「苦手なんだよこういうの……嗚呼、沖縄の海に飛び込みたい……!」カァァ


やよい「なんだか……みんな苦しそうです」

川田「スッキリさせるには、次に行きましょう~第二弾!」

亜美「次は『か行』でやろー!」

真美「それじゃ、ミキミキが『か』で、亜美、川座衛門、真美、『こ』のゴリーね!」

響「あれ、自分は……?」

真美「第三弾を待っててね」

ゴリ「よぉし、やってやろうじゃないかぁ」

亜美「じゃあ、ミキミキ、行ってみよー!」

美希「『かくれんぼ』」

亜美「『きみと一緒に』」

川田「『くらくなるまで』」

真美「『けーさつ沙汰』」

ゴリ「『ごめんなさい』」

伊織「反省会ね」

ゴリ「お前で落としてどうするば!?」

真美「えぇー、人のせいにするの、ゴリー?」

ゴリ「暗くなるまで二人で隠れてて、警察沙汰になってるだろ! 謝るしかないだろうが!」

真美「きしかいせーのチャンスを活かせなかっただけっしょ!?」

美希「着いたら起こしてね」

亜美「いまいちスッキリしないねぇ……」

川田「そろそろ着きますよ~、第三弾どうしますか、やりますか~?」

響「自分、まだやってないぞー」

やよい「わ、私もやってみたいかなーって」

P「……」

貴音「プロデューサー、春香からいただいた飴を」スッ

P「……ありがとな」

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:33:52.19 ID:+GFhj82Ao


―――― 首里城


川田「『しゅ』『り』『じょ』『う』いってみましょう」

やよい「『しゅれいの門』」

響「『りゅう球から伝わりし』」

やよい「『じょうとうな』」

響「『うちなーの心』」

貴音「二人の深い言の葉が無数の解釈となり、わたくしの心に響いております」

やよい「やりましたね、響さん!」

響「やよいのパスがよかったさー」

やよい「はい、ターッチ!」


パァン


伊織「それに比べて、あんたたちは」

Pゴリ「「 ごめんなさい 」」


川田「さぁ! 気を取り直して参りましょう~!」


85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:36:09.01 ID:+GFhj82Ao

―――― 首里城


川田「……と、いうわけで、首里城でした~」

亜美「もうちょっとゆっくりしたかったねー」

真美「そうだねー。急ぎ足だったから、満足に観てないよねー」

響「初めての首里城だったのに……」

P「真が気付かれて騒がれ始めたからな……迷惑かけるだろうし。
  少し残念だけど、これはしょうがない」

ゴリ「一人ずつ感想言え」

雪歩「きょ、強制……っ!?」

真「変わったお城だなって思いました!」

ゴリ「いい着眼点さ」

伊織「確かにそうね。今まで見てきた日本のお城は争いを考慮して造られたらしいじゃない。
   でも、ここは城と言うより……」

ゴリ「城と言うより?」

伊織「寺?」

やよい「お寺のこと?」

美希「攻撃的じゃないから、のんびりできるってことでしょ、でこちゃん」

伊織「そうなんだけど、美希に言い当てられると釈然しないわね」

美希「またそうやってミキに意地悪するんだから」

亜美「門が多かったねー」

真美「色々歩いたもんねー」

ゴリ「狭い敷地をいかに広く見せるか……って、知恵さ」

雪歩「ど、どうしてですか……?」

ゴリ「国王の見栄だな。他の国からきた人に、
   『琉球たいしたことないぜ』って言わせないためよ」

雪歩「な、なるほどぉ」

響「守礼の門ところにいたねぇねぇ達さ、ないちゃーだよね」

ゴリ「うちなー訛りがなかったな。……そうだ、用意しておいた。これ、見てみ?」

亜美「おこづかい? これでアイスを買ってくるね、ゴリー!」

ゴリ「違う。二千円札って気付け」

真美「あんまり出回ってないお金だよね」

亜美「知ってるよ亜美、おのののいもこだよねー」

ゴリ「それも違う。紫式部だろ。のが一個多い」

真美「これがどうしたの?」

やよい「あ! 守礼の門!」

ゴリ「やさやさ」

川田「で、なにがしたいば?」

ゴリ「実物と比較して欲しかっただけさ! 真意が伝わらないのはなんでか!」

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:39:11.68 ID:+GFhj82Ao

P「話が纏まらないな……貴音、頼む」

貴音「僭越ながら、わたくしに与えられた役を全うしてみせましょう」

P「頼りになる」

貴音「此処、首里城は祭事に関し、芸能や音楽が盛んに演じられ、
   美術・工芸の専門家たち、文化芸術の中心でもあったと云われています」

貴音「伝統芸能である沖縄の踊りが守礼門の下にて優美に披露されております。
   その光景は時が経つのを忘れるほどに魅了され、
   独特なりずむがゆるやかな空間を演出し、らいぶすてーじとの相異を感受致しました」

貴音「しかし、そこは音楽というもの。共通する点も幾つか見つけることができ、
   わたくしの胸に新鮮な風が吹き込んだように爽やかな感触を手にしました。
   この体験は必ずやわたくしが追い求めている高みへの足掛かりとなるでしょう」

貴音「そしてわたくしは思うのです、沖縄に来て善かったと……。
   皆と共に訪れた、この地へ感謝する日が来るのだと……!」グッ

P「貴音、ありがとう」

貴音「ちゃんと伝わりましたでしょうか」

P「いい感想だった。いいコメントをしてくれて本当にありがとう」

P「その高みにある景色を、いつか俺にも伝えて欲しい!」

貴音「……」

貴音「はて? どうしてそこまで、わたくしに気を遣うのです?」

P「みんな……バスに向かったんだ……」

貴音「なんと……」

響「貴音にそう言ってもらえて自分、とっても嬉しいぞ!」   


87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:41:34.75 ID:+GFhj82Ao


―――― バス


P「お前達……」

亜美「ゴリーが『お姫ちんのコメントは後でじっくり聞くさー、はやくバスに乗ろうぜベイベー!』って」

ゴリ「……」

真美「『ひゃっほぅ、次は水族館だぜ、俺のドキがムネムネさー!』って」

ゴリ「……」

やよい「『プロデューサー達の邪魔にならないように先に行こう』って」

ゴリ「あんたは偉いさぁ、希望通り美ら海水族館には絶対に行こうね」

やよい「ほ、本当ですか!?」

ゴリ「もちろんさ。やしが、双子は置いて行こう」

亜美真美「「 えー! 」」

美希「水族館があるの?」

貴音「北部に大規模な施設があり、甚平鮫が有名だとか」

美希「ミキも絶対に行くの!」

響「子供チームと青春チームが被ったぞ、プロデューサー」

P「……大人チームが言い出さないことを祈ろう」

川田「えー、次は~公設市場になります~」

真「市場って付くから……」

雪歩「野菜や果物、お魚なんかが並んでいるんだろうね。楽しみだなぁ」

川田「首里城楽しかったですね~。はい、出発です~」








―――― ライブ会場・控え室


春香「見てくださいあずささん! 水族館ですよ! 水族館!」

あずさ「まぁ、いいわねぇ~」

千早「……これは、行くべきですね」

律子「私も行きたかったのよね。……って、そうじゃなくて。ほら、行くわよみんな!」

「「「 はいっ! 」」」


88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:47:36.50 ID:+GFhj82Ao

―――― 牧志公設市場


ゴリ「はい、チラガー!」

雪歩「……ふぅ」フラリ

やよい「ゆ、雪歩さん……気をしっかり……!」グググ

亜美「やよいっち、ナイスフォローだよ」

響「ゴリ衛門! それはよくないさ! ないちゃーにはインパクトがあるんだぞ!」

伊織「確かに、衝撃的よね」

ゴリ「なんでよー、公設市場といったらこれだろー。チラガー」

響「あれがイラブチャーでしょ、ミーバイ、グルクン、アカジンミーバイ」

美希「華やかなお魚たちだね」

ゴリ「怒っておいて放置か……?」

真「うわぁ、なにこの黒くて渦巻きなの」

ゴリ「それはイラブーって……蛇さぁ!!」

真「うわぁー! プロデューサー!」

P「大丈夫だから……」

川田「さぁどんどん奥へ進みましょう~」

ゴリ「なんで俺だけはしゃいでるば……」

貴音「……」

ゴリ「チラガーが怖いか?」

貴音「…………」

P「た、貴音……?」

貴音「…………」

伊織「豚の頭をみて、失神してるんじゃないでしょうね」

貴音「…………」

ゴリ「え、プロデューサーなんとかしれ」

P「な、なんとかって……」

真美「うぅ、ちょっと怖いね…ちらがー……」

貴音「…………」

雪歩「……ご、ごめんね、やよい…ちゃん……」

やよい「だ、大丈夫ですよー」

美希「あれ、みんなまだここにいたんだ?」

P「貴音が動かなくてな……」

貴音「…………」

響「豚は鳴き声以外全部食べるんだぞ」

貴音「……そうですか」

亜美「川座衛門が悲しそうな顔で戻ってきたよ」

川田「なんで誰もついてこないの? 振り返って誰もいなかったときの寂しさわかりますか?」

伊織「にひひっ、寂しいわねあんた」

響「プロデューサー、こっちに面白いものがあるぞー!」

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:50:32.67 ID:+GFhj82Ao


―――― 牧志公設市場・2階


川田「ひーじゃー汁といいます」

「「「 うぅっ……匂いがっ 」」」

ゴリ「予想通りの反応だや。
   ヒージャーはうちなーぐちでヤギだから覚えておくように」

響「フーチバーが入ってないさー。匂いを抑えないといけないぞ」

川田「最初は無いほうがいいと思ったわけさ~。はい、入れました」

伊織「は、はによほれ」

やよい「ふむぅ~」

美希「はなはふふれふのぉ~」

真「ひふいにほいでふね」

P「これは……撮らない方がいいかな……」

ゴリ「え、プロデューサー。こういう扱い俺は見逃せないさ」

P「そうですね……撮ります」

ゴリ「あんたたち、意外と真面目だよね……」

貴音「皆に聞いて欲しいことが……」

亜美「はに? ほひめひん……」

貴音「わたくしも、この刺激の強い匂いに、一つ退がりたい気持ちを隠せません」

P「……」

貴音「しかし、それではこのひぃじゃぁに対して、誠意を失うのではないか。そう思うのです」

雪歩「……!」

貴音「皆にそれを強いるのではなく。少しだけでもその誠意は持っていて欲しいと……」

真「……そうだね」

やよい「うぅ……私……食べ物で遊んだらダメだって言ってたのに……」

貴音「いえ、申し訳ありませんでした。今のはわたくしの我儘でしかありません。どうか、聞き流してください」

P「……ぱく」

響「プロデューサー……」

P「…………コメントできないっ」

ゴリ「当たり前さ~、一口目でおいしい、なんて言う人いないよー」

貴音「これは美味ですね」

ゴリ「マジか!?」

貴音「コクがあって……お肉も柔らかい……手の込んだ料理なのでしょう」

美希「ぱくっ」

真美「ミキミキ……!」

美希「……うん、無理なの」

貴音「……」

雪歩「……ぱく」

真「雪歩!」

雪歩「……わ、私も……一口だけで……」

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:51:41.39 ID:+GFhj82Ao

真「ぱくっ」

亜美「あ……亜美も……食べるよっ……ぱく」

真美「ぱく」

真「……はい。ボクも……無理かな」

亜美真美「「 クセが強いよ…… 」」

伊織「あら、イケるわね」

やよい「あれ……私も……?」

ゴリ「意外!?」

貴音「ふふっ、……みんな、わたくしの我儘を聞き入れてくれて、感謝していますよ」

響「ゴリ衛門とプロデューサーで全部食べるさー」

P「え……」

響「健康とスタミナには最適な料理なんだぞ、プロデューサー」

P「そ、そうか……よし。食べようじゃないか」

ゴリ「無理して食べようって人は一人もいないな。やっぱり凄いさ765プロ」

P「……それは光栄です」

川田「うん~まーさん!」



91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:53:32.53 ID:+GFhj82Ao

――…


Pゴリ「「 うぅ……食べ過ぎた……! 」」

やよい「プロデューサー、これをどうぞー、おいしいですよー」

P「ありがと、やよい……」

ゴリ「待て! それはサトウキビジュースだろ!」

やよい「は、はい。川田さんがこれを買ってくれました」

ゴリ「素人には無理ど! しかもヒージャー汁のあとに!」

P「……わかりました」

ゴリ「生臭いからよ……」

やよい「そうですか? 甘さと喉越しが良くて、おいしかったですよ?」

ゴリ「あんたはヒージャー汁も完食したし、見所あるね」

やよい「えへへ」

P「やよいが美味しいって言うのなら……俺も飲めるのでは……?」

伊織「無理よ無理。素直にマンゴージュースにしときなさい。ほら」

P「ありがと……伊織もさとうきびジュースを飲んだのか?」

伊織「無理よ無理、無理。無理無理」

ゴリ「凄い拒絶だな」

美希「目の前でさとうきびが搾られてるの! おいしかったよ!」

真「凄かったね。ボクも伊織と同じで飲めなかったけど」

貴音「視覚と味覚で楽しめました」

雪歩「さとうきびジュースは飲めたんだけどなぁ」

亜美「亜美も四角と三角で楽しめたよー!」

真美「えぇー?」

P「意見がバラバラ……ゴリさん、俺も飲んでみます」

ゴリ「うん……止めないさ」

やよい「はい、どうぞ」

P「ごくごくご……ッ!?」

響「わー! プロデューサーの顔色が変わったぞ!!」

川田「そろそろ北谷に帰りましょうね~」


92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 22:55:14.53 ID:+GFhj82Ao


―――― バス内


P「悪いな……響」

響「今だけさー、自分にまかちょーけー」

亜美「ひびきんが撮ってるの?」

響「そうだぞー」

真美「あらー、兄ちゃんクロッキーですなぁ」

P「……グロッキー……な」

やよい「プロデューサー、大丈夫ですか?」

P「ちょっと……気分が悪いだけだから」

伊織「だらしないわね」

P「面目ない……」

美希「大丈夫? お水がいい?」

P「水はあるから、ありがとな」

真「きつかったらすぐに言ってくださいね」

P「うん」

雪歩「えっと……その……」

P「ありがとう、雪歩」

貴音「皆、プロデューサーを休ませましょう」

P「うぅ……すまん」

ゴリ「……」

川田「愛されてるな~、プロデューサー!」



93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:27:02.15 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


春香「お帰りなさいっ!」

亜美「お出迎えごくろー様ですっ、はるるん隊員!」

伊織「さて、どうしようかしら」

律子「お子様チームは響の実家にお世話になることになってるの、だからそのままバスに乗って――」

伊織「今すぐ?」

律子「それもそうね、まだ時間はあるし。
   運転手さんの休憩も必要でしょうから、少しゆっくりしてていいわよ」

伊織「わかったわ」

春香「楽しかった?」

真美「とっても楽しかったよ!」

春香「いいな、いいなぁ! 明日が楽しみだなぁ!」

P「ライブの方は……どうだった?」

春香「大成功ですっ! ……って、プロデューサーさん……顔色が優れないみたいですけど」

P「律子、悪いけど、部屋で少し横になってくる……後は頼んだ」

律子「わ、わかりました。……どうしたの?」

やよい「それが……」

伊織「ただの食べすぎよ。情けないわね」

真「食べ残したボクは伊織に文句を言えない……」

雪歩「わ、私も……プロデューサーに食べてもらったから……うぅ……」

貴音「わたくしも、三杯で満足してしまいました」

律子「???」

ゴリ「……」

川田「俺達も帰るか?」

ゴリ「プロデューサーいないからなぁ」

響「帰るのかー、ゴリ衛門」

ゴリ「まだ撮ってるのか?」

響「カメラマン響だぞ」

あずさ「あらあら、みなさん戻られたんですね。お帰りなさ~い」

真美「ただいまー!」

響「あれ、プロデューサーは?」

ゴリ「部屋に戻ったさー」

響「このカメラどうしよう」

やよい「あれ? あずささん、なにかいい事でもありましたか?」

あずさ「うふふ、ありましたよ~」

雪歩「わ、私達のいない間に……? 気になります……」

やよい「私も気になりますー!」


94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:27:37.17 ID:+GFhj82Ao


※ ― 千早 ― ※


※ ― 千早 ― ※



95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:30:06.09 ID:+GFhj82Ao

――…


伊織「どこに行ってたのよ」

ゴリ「ちょっと話してきたさー。プロデューサーと川ちゃんは?」

伊織「プロデューサーはまだ部屋じゃない? あんたの相方はあっち」

ゴリ「ロビーで新聞広げてるのか……客じゃないのに溶け込んでるな」

伊織「それより、聞きたいことがあるから付いて来なさい。外に出るわよ」

スタスタ


ゴリ「……足が重いから、ごめんな」

P「ごりさん……?」

あずさ「こんなところでどうしました?」

ゴリ「俺も色々とかき回されてるってだけさ。体の調子はどうね?」

P「はは、なんとか……」

あずさ「ゴリさんも一緒にお食事を」

ゴリ「いやー、帰るさー! 帰らせてもらうさ! 帰ってゆっくりするさー!」

あずさ「ま、まぁ……力強く断られました」

P「本当に、お疲れ様です」

ゴリ「これぐらい大したことないよーって言えないのが怖い」

P「あはは」

ゴリ「笑い事じゃないってば……。しかし、こうやってのんびり話するのもいいもんだや」

P「いつも響がいて賑わいでいますからね」

あずさ「昨日の夜ものんびりとお話をして楽しかったですよ~」

ゴリ「のんびりしてなかっただろ……」

P「あ……伊織が……凄い表情でこっちに……」


伊織「ちょっと! なにしてんのよあんた!」

ゴリ「なにかー?」

伊織「なにかー? じゃないわよ! 私、あんたが付いてきてると思ってずっと喋ってたのよ!?」

伊織「すれ違う人に怖いものを見るかのように距離を取られたんだから!」

伊織「後ろ見たらあんたがいないじゃないの! 寂しかったわよ!! そんな気持ち味わいたくなかった!」

ゴリ「……」

伊織「なにか言いなさいよ! 跪いて謝りなさいよぉ!」

P「お、落ち着くんだ伊織……」

ゴリ「靴紐が解けてて、結びなおしてただけさー、怒るなー」

伊織「あんたサンダルじゃないのよ! 酷い言い訳するんじゃないわよぉ!!」

響「どうしたの? 伊織の声がロビーに響いてるぞ」

あずさ「それが……」

ゴリ「プロデューサーの靴紐を結んでいたばーよ」

伊織「どこまで世話焼きなのよ! プロデューサーは子供じゃないのよ!!」

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:30:53.40 ID:+GFhj82Ao

春香「落ち着いて伊織、水だよ」

伊織「ふぅっ……ありがと。ごくごくっ」

ゴリ「ここまで怒られるって思わなかったさー」

伊織「足りないわよ! 大体あんたのその格好はなんなのよ! 私達アイドルと並んでいい格好じゃないわよ!」

ゴリ「沖縄スタイルでいこうと思っていました。明日からスーツでビシッと決めます」

伊織「極端すぎるじゃないの! 言ったからにはちゃんと着なさいよ! 着なさいよねぇ!!」

亜美「なになに? どーしたのー?」

P「どうしたんだろうな、伊織は……」

響「伊織、そろそろ自分の家に向かわないと……」

伊織「そ、そうね。ほら、時間が無いんだからさっさと来なさいよ!」

ゴリ「……」

伊織「また私だけ歩かせようって考えでしょ! 今度は前を歩きなさい!」

ゴリ「……バレたか」

スタスタスタ


響「ゴリ衛門……悲しそうな顔してたぞ」

P「伊織はゴリさんに任せよう。それより、亜美は真美とやよいを探してくれ」

亜美「了解だよん!」


97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:31:58.73 ID:+GFhj82Ao

―――― 外


伊織「ここでいいわね」

ゴリ「おまえ、基本的に元気だよな」

伊織「私達のライブ、観てたでしょ?」

ゴリ「仲間だな、と思いました」

伊織「モンキーじゃなくてスモーキーよ。それで、どう思ったのよ」

ゴリ「なにかこの冷淡なツッコミ……真面目な話か?」

伊織「そうよ」

ゴリ「……」

伊織「前に、あんたが女装したバラエティがあったわよね」

ゴリ「あるな」

伊織「その番組をお父様とお兄様と一緒に観ていたのよ」

ゴリ「……」

伊織「家族で過ごす滅多に無い時間だったの」

ゴリ「……そうか」

伊織「だけど、あまり会話が無くて……どう話をしたらいいかわからなくて、
   困って、テレビをつけたらあんたが映ってて」

伊織「お兄様が『面白い人だな』って。それから少しずつ会話が弾んで」

ゴリ「俺はお前達の救世主ってことか」

伊織「私が仕事と今の私を使い分けているの知ってるでしょ?」

ゴリ「知ってるな」

伊織「最近わざとらしいんじゃないかって思うのよ」

ゴリ「わかっててやってるんだろ?」

伊織「でも、これじゃ後一歩足りないの。もう少しで届きそうなのに……」

伊織「だから、アドバイスさせてあげるわよ。私に足りないのはなんなのよ」

ゴリ「……」

伊織「あんたの女装は……少し品位に欠けてたけど、お兄様に『面白い人』って言わせたのよ。 
   だから、その足りないのはそれなんじゃないかって」

ゴリ「プロデューサーとメガネのねぇねぇには相談したば?」

伊織「…………したけど……まだ答えに辿り着いてないわ」

ゴリ「じゃあ、俺が言うことじゃないさー」

伊織「真面目に聞いてるの」

ゴリ「俺のはお笑い、あんたのはアイドル。この違いが最初にあるでしょ」

伊織「私とあんたの【わざとらしさ】っていう共通点があるじゃない」

伊織「なんでもいいの、後一歩で掴めるんだから、なんだって吸収しなくちゃいけないの」

ゴリ「なにを掴む?」

伊織「トップに決まってるじゃない」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:32:54.33 ID:+GFhj82Ao

ゴリ「…………」

伊織「な、なによ」

ゴリ「急ぎすぎじゃないか?」

伊織「……」

ゴリ「プロデューサーと一緒にゆんな~やればいいさー」

伊織「この業界、そうも言ってられないでしょ」

ゴリ「おまえ、楽しんでるか?」

伊織「もちろんよ。みんなと一緒に仕事したり、練習したり、こうやってバカみたいに騒いだり」

ゴリ「……」ニヤニヤ

伊織「は、早く答えなさいよ!」

ゴリ「ハッキリ言うけどよ、おまえには必要ないよー」

伊織「なによそれ」

ゴリ「例えばよ、誰かを好きになったことの無い人が、恋の歌を唄ってみ?
   なんか違うなーってなるだろ?」

伊織「……」

ゴリ「そういうことさー」

伊織「訳わかんないわよ」

ゴリ「難しいやっさ……」

「おうおう、ゴリやんけぇ」

ゴリ「あ……ちっす」

「なんや、今度は違う娘つかまえたんか?」

ゴリ「違いますよ、親友の子供みたいなもんっす」

伊織「誰が誰の子供なのよ!」

「……ん? あ、あんたは確か、水瀬グループの!?」

伊織「……」

「わいはなんもしてへんでぇ!」

タッタッタ

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:33:35.75 ID:+GFhj82Ao

伊織「なによ、あれ」

ゴリ「凄いなおまえ」

伊織「凄いのは私の後ろにいるお父様とお兄様でしょ。私のこと見てないわよ、あの人」

伊織「あの慌て方……なにか後ろめたいものでもあったのね、どうでもいいけど」

ゴリ「その冷静さも凄いさー。俺がおまえくらいの歳は鼻水流してザリガニ取ってたよ」

伊織「この歳で鼻水ってどうなのよ」

ゴリ「俺のアドバイスとしては、やっぱり今のままでいいと思う。うん、そうしよう」

伊織「そんな悠長なこといってられないって、さっきも言ったでしょ」

ゴリ「なんで焦ってる?」

伊織「……わからないけど、どうしてか焦ってしまうの」

ゴリ「エンダーで聞いた視野ってやつかや……」

伊織「?」

ゴリ「大丈夫よー、プロデューサーには味方が多いから。なんくるないさーさ」

伊織「響の口癖ね……。味方ってなによ?」

ゴリ「仕事仲間に決まってるさー」


100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:35:18.87 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


P「戻ってきた」

響「なんだか様子がへんだぞ?」


伊織「誰がお子様よ!」

ゴリ「あんたたちに決まってるさ」

伊織「むきーっ!」ゲシッ

ゴリ「あんたの子供よ、モンキーになってるよ」

P「なんというか、ありがとうございます」

ゴリ「お礼じゃなくてお詫びだろ? 俺は今、蹴られたんだよ?」

真美「右ストレート!」バシッ

ゴリ「え、俺は遊園地の着ぐるみじゃないんだから、殴るな」

真美「大丈夫だよー、これグローブだから」

ゴリ「本当に、あんたの子供達よ!」

P「重ね重ね、ありがとうございます」ペコリ

ゴリ「謝れって言ってるだろ!」

川田「はい~、綺麗にオチが着いたところで俺たちは帰ろうね~」

響「今日も一緒じゃないの?」

ゴリ「ないない。絶対にない。俺は一刻も早くお前達から離れたい」

伊織「私達アイドルを前によくもそんなことが言えるわね」ゲシゲシッ

亜美「そーだよ、ゴリー酷いよー、ジャブジャブ」バシバシッ

ゴリ「じゃあな! プロデューサー!」

P「はい。明日の朝にラジオ局で」

川田「おやすみさ~」

タッタッタ


響「走って出て行ったぞ……」





―――― タクシー内


ゴリ「普通蹴るか?」

川田「普通と思ってるば?」

ゴリ「そうだったな、765プロは普通じゃない」

川田「なんの話してたば?」

ゴリ「大人の知らなくていい世界の話さ」

川田「よくわからんな」

ゴリ「子供の【わざとらしい】と大人の【腹黒い】は似てるけど、違うよな」

川田「明日は何を食べようかやー」

ゴリ「おまえ……765プロと化してるな……」

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:37:50.33 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


亜美真美「「 えー? 」」

やよい「ぷ、プロデューサー…一緒に来てくれないんですかぁ……?」ウルウル

P「う……」

伊織「う……じゃないわよ。ハッキリしなさいよ」

響「…………」

あずさ「やよいちゃん達の熱いまなざしに、プロデューサーさんも困り果てています。どうしましょう?」

律子「……うーん……私が行くべきなんですけど」

千早「律子、私がみているから」

律子「…………そうね。プロデューサー」

P「?」

律子「私が行きますから、プロデューサーは今日、ここで休んでください」

伊織亜美真美「「「 えぇー!? 」」」

律子「なによ、その悲鳴は」

響「律子は自分の仕事を取るからなー」

律子「大丈夫よ。ちゃんと分担するから」


伊織「冗談じゃないわよ、律子がいたら絶対にのんびりしてられないわ」ヒソヒソ

亜美「ど、同感だよ。勉強もさせられるよー」ヒソヒソ

真美「に、兄ちゃんに来てもらわなきゃ真美達のあんねーの日々が……」ヒソヒソ

律子「 聞 こ え て る ん だ け ど 」

伊織亜美真美「「「 ひぃっ!? 」」」ビクッ


やよい「それじゃ、プロデューサー! 行ってきまーっす!」

P「あぁ、あまり騒がしくしないようにな」

響「賑やかでいいさー」

亜美「に、兄ちゃーん!」

真美「真美ここにいるよー、絶対に離れたくない!!」

P「……すでに騒がしい気がするんだけど、大丈夫か」

伊織「さようなら……安寧の日々……」

律子「ほら、行くわよ」グイグイ

亜美真美「「 あいるびーばーっく 」」ズルズル

響「行ってくるね、プロデューサー!」


P「明日な……」

千早「……」

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:39:25.43 ID:+GFhj82Ao

あずさ「それはそうと、せっかくですから、海辺を歩くのはどうでしょう」

P「すいません、俺はいくつか打ち合わせがあるので、部屋に戻ります」

あずさ「それは残念ですね~」

千早「それでは、夕食の時間になったら迎えにいきますので」

P「結構食べたから、お腹空かないと思うけどな……」

千早「……」

あずさ「ちゃんと食べないと、ダメですよ~」

P「……はい。それじゃ、後で」

スタスタスタ


あずさ「私達は、明日の予習でもしましょうか、千早ちゃん」

千早「あの、あずささん」

あずさ「はい?」

千早「ステージでも感じたのですが、今日はなんだか……とても嬉しそうですよね」

あずさ「うふふ」

千早「差し支えなければ、教えてくれませんか?」

あずさ「手を失礼しますね」


ギュ


千早「……」

あずさ「こういうことですよ~」

千早「……?」

あずさ「あ、真ちゃんが帰ってきました」

真「ふぅ~……あれ、こんなところでどうしたんですか?」

あずさ「なんでもありませんよ~」

真「いやー、綺麗な夕陽を眺めながら海辺を走るのもいいですね~」

春香「お疲れ様、真」

真「気持ちよかったよ……って、ゴリさんたちは?」

あずさ「帰られましたよ。響ちゃん達も移動しました」

真「そうですか」

春香「雪歩達は?」

真「そろそろ戻ってくるよ」


103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:39:58.85 ID:+GFhj82Ao


―――― プロデューサーの部屋


コンコン


千早「プロデューサー、私です……」


コンコン


千早「……」


コンコン


千早「…………?」


千早「寝てるのかしら……」


ガチャ


P「……ちょっと待ってて」

千早「電話中でしたか、失礼しました」

P「……はい、…………落ちていません」

千早「?」

P「……今のところは。……はい、それでは」


プツッ


P「どうした? って、夕食の時間か」

千早「あの、今の……仕事の電話ですか?」

P「いや、他のところだよ。レストランだよな?」

千早「……こっちです」


104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:41:47.08 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・レストラン


「プロデューサーさーん! こっちですよ! こっち!」


千早「春香……」

P「注目集めてるな……すぐ見つかったからいいけど……」

千早「プロデューサー、さっきの電話先は……?」

P「友達だけど……なにか気になるのか?」

千早「少し、表情が硬かったので」

P「内容が内容だったからだけど」

千早「そうですか。詮索するようなことをして、すみません」

P「……」


真「ささ、どうぞ」

P「あ、ありがと」

あずさ「バイキングですので、プロデューサーさんの分、私が取ってきますね」

P「あ、あの、あずささ――」

P「あぁ……行ってしまった」

春香「何か食べたいものでもありますか?」

P「いや、量を少なめに……」

春香「わかりました、伝えておきますね」

真「春香、楽しそうですね。ボクも行ってきます」

P「……美希は行かないのか?」

美希「雪歩にお願いしたの」

P「そうか……って、自分で行かないとダメだろ?」

美希「むぅ、あずさに行って貰ってるのにぃ」ジー

P「そうだな……じゃあ、飲み物でも取ってくるよ。何がいい?」

美希「オレンジをお願いするのー」

P「千早は?」

千早「私は、プロデューサーと同じもので」

P「わかった」

美希「ふぅー、砂浜を走るのって疲れるね……」

千早「美希、今日の撮影でプロデューサー……なにか変わったことなかった?」

美希「特になかったけど……どうしたの?」

千早「いえ、無いならいいの。私達もお皿を取りに行きましょう」

美希「おにぎりあるかな~」

千早「…………」



105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:42:24.89 ID:+GFhj82Ao

――…


春香「ごちそうさまでしたっ」

貴音「大変美味しゅうございました」

雪歩「四条さん……よくあれだけ食べましたね……」

美希「スタッフさんが慌ててたの」

貴音「星三つといったところでしょうか」

あずさ「まぁ、満点ですね~」

真「おいしかったけど……なにか物足りないなぁ……?」

千早「……」

P「さて、デザートも食べたことだし、部屋に戻るか」

雪歩「あ、あれ……?」

P「ん?」

真「お喋りとか……しないんですか?」

貴音「わたくしもそれを楽しみにしておりました」

美希「解散はつまんないって思うな」

あずさ「そうですね、せっかくの時間ですから」

春香「お喋り?」

千早「でも、ここだと、邪魔にならないかしら」

P「それじゃ、どこか適当な場所で…………どこで?」


106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:43:50.19 ID:+GFhj82Ao

―――― 海辺


美希「海風が気持ちいいの~」

あずさ「本当に……」

貴音「月の光が海に反射して……善き時間が流れていますね」

雪歩「……疲れが心地良いね」

真「…………うん」

美希「あずさ、膝枕してほしいの」

あずさ「いいですよ~」

真「食べてすぐ寝るなんて……」

春香「あれ、プロデューサーさんと千早ちゃんは?」




P「ごくごく……」


P「……ふぅっ」

千早「プロデューサー」

P「っ!?」

千早「こんなところで何を……?」

P「ビタミン剤を補給してただけだよ。最近疲れが溜まってるみたいで」

千早「……」

P「今日はどうかしたのか? なんというか、珍しいな」

千早「いえ、探していただけです」



ザザァーン



春香「……」

あずさ「……」ナデナデ

美希「すやすや」

P「美希……潮風に当たりながら寝ると風邪引くぞ……」

真「……」

千早「ここ……静かでいいわね……」

貴音「真に……」

雪歩「……」

P「…………」



ザザァーン


107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:45:42.67 ID:+GFhj82Ao

あずさ「プロデューサーさん」

P「?」

あずさ「レストランでも思いましたけど、少し寂しそうですね」

P「え……? そうですか?」

春香「?」

あずさ「ひょっとして……」

P「ひょっとして?」

あずさ「響ちゃんが恋しいのでは?」

P「…………」

真「……」

美希「すやすや」


ザザァーン



pipipipipi


ピッ


P「もしもし」

『もしもし、私です。食事は取られましたか?』

P「あぁ。今は、みんなで海を見てるよ。そっちはどうだ?」

『海って、青春してますね。こっちは――』

『プロデューサー! こっちは勉強しかしてないぞー!』

『『 助けてよ兄ちゃーん! 』』

『ちょっと、しずかにしなさい! すいません、騒がしくなるので切りますね』

P「響に明日のラジオ出演の件、再確認しておいてくれ」

『はい、わかりました。それでは』


プツッ


P「俺が行かなくて正解だったな……」

千早「律子からですか?」

P「あぁ、あっちは勉強中だそうだ」

春香「顔が綻んでますよ、プロデューサーさん」

P「響の声を聞いたからな。あずささんの言ったことがわかりました」

あずさ「まぁまぁ」ナデナデ

美希「むにゃむにゃ」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:47:10.81 ID:+GFhj82Ao

P「思えば、ゴリさんを迎えに行ってから、さっき別れるまで、ずっと響と行動を共にしていたんですよね」

P「響が俺を呼んで、沖縄の魅力を一つ一つ、教えてくれて」
  俺が響を呼んで、新しいことを一つ一つ、教えてもらって」

P「沖縄の暖かいイメージがそのまま響なんだなぁって」

あずさ「……」

貴音「告白ですね」

P「そうだけど、違う。俺は賑やかな方が好きみたいです」

あずさ「なんだか、羨ましいです」

真「じゃあ、賑やかにしましょうか!」

P「こういう静かな時間があるから、それも感じられるって話だな。無理に賑やかにしないでいいから」

真「……そうですか」

春香「私も、告白しちゃいますけど」

春香「プロデューサーさんが恋しかったんですよ?」

P「……律子に任せっ切りだったからな」

春香「本当ですよ。亜美達から撮影の話を聞くたびにいいなぁって、
   響ちゃんが楽しそうなのを見てると羨ましいなぁって」

P「そうか……」

真「うわぁ……なんかいいですねぇ、こういう告白大会」

P「大会……?」

真「雪歩は何か無いの? 今がチャンスだよ」

雪歩「え、えぇ!?」

貴音「これも無茶振りですね」

千早「無茶振り?」

美希「プロデューサーがね」

P「やめろ美希!」

あずさ「あの、美希ちゃん、脚がしびれてきました……」

美希「それじゃ、反対に移動するね」

あずさ「あらあら、まぁ」

春香「ねぇ、美希……何を言いかけたの?」

美希「プロデューサーの名誉に関わることなの」

千早「それは聞いてみたいわね」

真雪歩貴音「「「 ………… 」」」

あずさ「真ちゃん達が遠い目を……」

P「それより、大人チームは明日一日オフだけど、どこに行きたいとか決めてるのか?」

あずさ千早春香「「「 美ら海水族館へ 」」」

美希「ミキも行くの!」

P「そうか。青春チームも午後からオフで、丁度いい……」

P「…………」

P「……」

P「え」


109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/22(土) 23:47:43.31 ID:+GFhj82Ao


―――― 我那覇邸


律子「ほら、いつまでも騒いでないで、寝るわよ」

亜美真美「「 はぁーい 」」

やよい「いつ行けるのかなー、美ら海水族館」ワクワク

伊織「そうね、明後日が一日オフだから、その時じゃない?」

やよい「とっても楽しみー」ドキドキ

響「みんな、おやすみぃー」



二日目終了



115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:35:24.90 ID:BBYQna03o


三日目


―――― ラジオ局


『『 はいさーい! 』』

『それでは自己紹介をお願いします』

『自分、我那覇響だぞ!』

『ゴリです』

『珍しい組み合わせですね。どういうつながりなんですか?』

『俺達は兄妹のような関係さ、な?』

『違うぞ』

『え』

『自分、アニキがいるし、兄のような人がいつも隣にいるから、ゴリ衛門は兄じゃないぞ』

『ちょっと待って、今まで見た事が無い真剣な顔で否定されてるから、おじさん結構傷ついてるよ?』

『ゴリ衛門はゴリ衛門』

『どういうこだわりなのか知らんけど。なんか、ごめんな』

『急にブース内が重い空気に包まれましたけど……』


P「響ぃ……!」

あずさ「まぁまぁ、響ちゃんったら……」


116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:37:22.04 ID:BBYQna03o

『ゴリ衛門の衛門ってなんですか、響さん』

『えっと……なんだろうね?』

『俺に答えを求めるなよ? お前が最初から言い出したことなんだからな?』

『愛称ですよね?』

『そうだぞ。自分ね、動物と一緒に暮らしてて、家族として名前付けてるんだ。
 ハム蔵、いぬ美、へび香、シマ男、オウ助』

『凄いな。名前聞いただけで種別が解ったさ』

『ということは、ゴリさんも家族ということ?』

『そうなの?』

『さっき兄妹じゃないって言っただろ、統一しとけ。というか、この流れでわかるでしょ?』

『どういうことですか?』

『最初会ったときさ、この子は俺をゴリラと識別してたわけよ』

『あ、あぁ……そういう……』

『ゴリ衛門は家族とか友達とかじゃなくて……ゴリ衛門っていう……そう! 種族だぞ!』

『え、生放送中だけど、俺は説教するよ。言葉選べ!』

『凄いですよリスナーのみなさん。これ、打ち合わせには無かった内容なんですよ』

『そ、そうだぞ。自分達765プロは北谷の音楽祭に』

『待って、いきなり打ち合わせ通りに進めないで』



P「うぅ……胃が」キリキリ

春香「響、いつも以上に自然体だよね……」

千早「……そうね」



『音楽祭の話の前に……二人は一緒に仕事をしているそうですね』

『そうです。765プロの企画で、私と川ちゃんと合同で沖縄の観光地を周って、
 面白おかしくやっていこうという内容ですね』

『それを収めたDVDを発売するんですか?』

『そうだぞ。一昨日から撮影を始めていて、色々周ったさー。きっと面白い映像が撮れてるよね』

『やさ……』

『それは楽しみですね。今までどこを観光してきたんですか?』

『えっとね、北谷のビーチでしょ、首里城、牧志公設市場…………エンダー?』

『それは観光地じゃないな』

『うわー! 全然周ってないぞー!』

『やっと気付いたか。二日もいてたったの三箇所だからな。これは没かもしれん』

『今日を含めて後三日しかないぞ、ゴリ衛門!』

『待って、その話は後でしよう』

『なんだか慌しくなってきました』


P「直視したくなかった問題が……」

あずさ「困りましたね」


117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:39:09.41 ID:BBYQna03o

『音楽祭の話に移りますが、北谷で行われている世界の音楽祭ですよね』

『去年も招待されたんだけどね、今年は全員での出場が決まったんだ』

『765プロさんの総出演ということですが、出場日程はどうなっているんですか?』

『午前と午後に分かれていて、今は青春チームの美希、真、雪歩、貴音の4人がステージに立ってるぞ。
 午後は自分、亜美、真美、やよい、伊織のチームが出場する予定!』

『俺も舞台袖から観ていたけど、中々のもんだったさー』

『ゴリ衛門、ありがとね! あとでバナナをあげるぞ!』

『いつもいつもバナナをありがとうねー!』

『いい関係なんですね、二人とも。それでは時間となりましたので曲紹介をお願いします、響さん』

『私たちはずっと...でしょう? だぞ!』

『今日はありがとうございました~』

『自分達、みんなが楽しんでくれるように、頑張りまくるからねー!』

『応援ゆたしくうにげーさびらー』



~♪




P「ふぅ……」

千早「最後のは……うちなーぐちですか?」

P「よろしくお願いしますって意味だそうだ」

あずさ「まぁまぁ」

春香「ゴリさんって……素晴らしい人ですね」

P「うん」

春香「響ちゃんと追加のバナナを買いに行かなくちゃ!」

P「……うん。……好物ってわけじゃないらしいんだけど、気持ちは大事だよな」

118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:40:50.66 ID:BBYQna03o

―――― A&W・牧港店


川田「はい、到着しました~。三日続けて三度目のエンダー!」

春香「やよいの話を聞いて来てみたかったんです!
   エーアンドダブリューですよ! エーアンドダブリュー!」

ゴリ「略さないのか、この子……」

響「ごめんね、千早……」

千早「べ、別に我那覇さんが謝ることではっ」

響「でも斎場御嶽に行きたかったでしょ?」

千早「そ、それはそうだけど……でも……水族館にも行きたいし……だから…っ」

ゴリ「明日の午後に行けばいいさぁ。今日は名護の周りを案内しようねぇ」

響「自分も行きたいのにーっ!」

ゴリ「ライブで、みんなが待ってるよ?」ニコ

川田「この微笑みイラッてする」

響「うぅ……」


律子「ラジオ、聞いていましたよ、プロデューサー」

P「どうだった?」

律子「ハラハラさせられましたけど、及第点だと思います」

P「……そうだな。青春チームを連れてきてくれたのか」

律子「そのまま撮影に行けたらと思って」

P「助かる。……で、やよいの様子はどうだ……?」

律子「それはもう……見ているこっちの心が痛くなるくらいの空元気で……」

P「楽しみにしていたからな。ポテトで元気出るといいが……」


119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:42:55.55 ID:BBYQna03o

店員「店内でお召し上がりですか?」

あずさ「はい」

ゴリ「待って店員さん。お持ち帰りでお願いします、俺達急いでいます」

あずさ「まぁ、そうでしたね。すいません。お持ち帰りでお願いします~」

店員「はい、かしこまりました」キラキラ

春香「これでいいの?」

響「うん。千早もお願い」

千早「えぇ」スラスラ

あずさ「まぁ、せっかくですから、私も書きますね~」

律子「なるほど、765プロの全員のサインが揃ったわけですね」

P「書き終わったら、バスに乗って待っててくれ」

春香「わかりましたっ」

千早「それでは、先に」

あずさ「……はい、どうぞ律子さん」

律子「わ、私もですか?」

あずさ「そうですよ」

律子「……なんというか」

スラスラ


P「律子、やっぱり俺がライブ会場に残るよ」

ゴリ「嘘でしょ!?」

川田「なんでお前が誰よりも悲しそうだば?」

P「その代わり、カメラ頼むな」

律子「それはいいんですけど……」

あずさ「……お先に……バスに……乗っていますね」

フラフラ

律子「うーん……あずささんが放心してしまった……でもやよいも気になるし……」

P「律子も行きたかっただろ?」

律子「それはそうですけど」

響「こうなったら、自分に任せるさ! 律子!」

律子「え……?」

ゴリ「いい案でもあるのか!? プロデューサーと離れなくてもいいんだな! よし!」

川田「なんでお前が誰よりも嬉しそうだば?」

響「地元パワーを発揮する時だぞ!」

店員「お待たせしました、響ちゃん!」

響「はーい」

店員「あれ、あずささんがいない……!」

P「店員さん、サインと、この最終日のチケットを。予定が空いていればぜひ」

響「見にきてくれると嬉しいから来てよね!」

店員「」

120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:45:09.29 ID:BBYQna03o

―――― バス内


ゴリ「店員さん気絶に近い状態だったけど、大丈夫かや」

P「そうですね……仕事の邪魔になったのではないかと……」

響「喜んでくれたみたいだぞ」


川田「はい~、このバスは二人を降ろした後、高速に乗って名護へ向かいます~」

千早「二人?」

春香「響と誰が降りるんですか?」

ゴリ「プロデューサーが降りるってよ!」

真雪歩美希春香「「「「 えぇー!! 」」」」

貴音「真に、残念です」

P「お子様チームを放っておけないんだ。色々と動きづらいかもしれないが、分かってくれ」

雪歩「うぅ……やっぱり、私が……ライブで失敗したから……」

律子「違うのよ雪歩、午前のライブは問題なかったんだから」

あずさ「そうですよね…プロデューサーさんは…! みなさんの為に…しょうがないんです…!」

律子「あぁ、空元気だ……」

響「ふっふっふー」

真「どうしたの、響?」

響「現代の護佐丸とは自分のことさー!」

真「船の名前かな?」

貴音「人ではないかと……」

ゴリ「人気のある武人の名前さー。頭がいいってことだな」

響「でもまだ内緒ー」シー


121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:46:32.38 ID:BBYQna03o

―――― ライブ会場・控え室


やよい「あ…! プロデューサー…! 来てくれたん…ですね…!」

P「これは危険だな……」

伊織「どうするのよ、これほど落ち込んだやよい、みたことないわよ?」

やよい「伊織ちゃん…! 私…! 大丈夫…だよっ…!」

亜美「うぅ、やよいっち……それほどまでに水族館が楽しみだったんだね」

真美「なんだか、真美の胸が痛いよ、兄ちゃん」

P「……俺もだ」

やよい「よぉし…! ライブ……! がんば…る…よ…ぉ……」

伊織「あぁ! 電池が切れたみたいになったわ!」

響「やよい、大丈夫だぞ」

やよい「……わかってます……山があって谷がある…………それが人生ですよね……」

P「悟ったやよいなんて見たくない! 響!」

響「アニキに車を出させるからっ、だからライブに集中するんだ、やよい!」

やよい「ほんとうですか……?」

響「うん! 絶対だぞ!」

やよい「わっかりましたー! 私、頑張っちゃいますねー!!」キラキラキラキラ

伊織「よかった……本当に…よかった……!」

亜美真美「「 うんうん 」」

P「感動するのはあとだ。みんな最高のステージにしてこい! 美ら海水族館が待っているぞ!」

「「「「 はいっ! 」」」」


スタッフ長「私達も気を取り直してがんばるわよ!」

スタッフ一同「 はい! 」

122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:52:41.05 ID:BBYQna03o

―――― 海洋博公園


川田「はい、到着しました~、ここが海洋博公園になります~」

真「あれ、水族館は?」

川田「少し奥に行ったところになります~」

美希「えー? ここから歩くの~?」

川田「そうでございます~」

美希「ミキやだ。歩きたくない」

律子「ちょっと、駄々こねないの」

美希「プロデューサーがいないし、ゴリィはいつもより静かでつまんないし。おにぎり食べてないし」

ゴリ「……今からはしゃげないだろ……地獄が待ってるんだからな」

律子「地獄……?」

ゴリ「なんでもないよ、なんでもない」

川田「おまえ、さっきの電話で大人しくなったよな」

ゴリ「プロデューサーからで、ライブが終わり次第こっちに向かうって」

川田「それのどこが地獄だば? ラッキーだろ?」

ゴリ「子供チームも一緒ってことさ……!」

川田「じゅんにな!?」

ゴリ「声が大きい。まだ黙っていよう」

川田「わかったよ」

ゴリ「聞き逃すとこだったけど、ゴリィってなんか」

美希「そのままの意味だよ」 

ゴリ「どういう意味か……お土産屋にジンベエザメのぬいぐるみがあるから、見てこれば?」

美希「ほんと!? 行ってくるね!」

ゴリ「メガネのねぇねぇ、よろしくな」

律子「は、はい。カメラお願いします」

雪歩「わ…私も……」

あずさ「見てください、千早ちゃん……道の向こうの海が綺麗ですよ」

千早「あの、あずささん……」

あずさ「海の向こうには何があるのでしょう……」フラフラ

ゴリ「伊江島だけど、その向こうまで見てるんだな……」

真「一人にならないでください! あずささん!」

千早「私もあずささんと一緒にいますから、あとはお願いします」

川田「はいはい、任せてね~」

ゴリ「なにをお願いしたのか?」

春香「私達のことかな?」

貴音「……」

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:53:39.70 ID:BBYQna03o

ゴリ「この時間だとイルカショーやってるけど、見てくるか?」

春香「ぜひっ!」

貴音「わたくしも拝見したいと」

ゴリ「よし、向こうにあるから行って来い!」

春香「え……? 指をさすだけで案内はしてくれない……?」

ゴリ「こんなおじさんと見ても楽しくないだろ~」

川田「だからよ~」

春香「そんなことないと思いますけど……」

貴音「春香、今は思い思いに過ごすことに致しましょう」

春香「そうですね……。わかりました。私達で探してみます!」

ゴリ「おじさんたちはここにいるからな」

春香「はーい!」



川田「……」

ゴリ「……」

川田「午後に入ってた仕事、時間ずらさなくてもよかったんじゃないか……?」

ゴリ「だからよ……俺達はここになにしに来たば……」


124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:56:42.58 ID:BBYQna03o

―――― 海岸遊歩道


真「コバルトブルーですねー!」

千早「仕事で何度か綺麗な海は見ていますけど、飽きることはありませんね」

あずさ「本当に……空が高くて、蒼くて」

千早「…………」

あずさ「……ふぅぅぅ」

真「ため息が深すぎるよ……!」

あずさ「そうですね…! せっかく、みんなと交流できるんですから…! 気を取り直して…!」

真「空元気が胸に痛いですよ!」

千早「あずささんもそうですけど、プロデューサーはいつも目の届かないところにいますからね……」

真「? どうしたの、千早」

千早「ううん、なんでもない」

あずさ「大丈夫ですよ、千早ちゃん」

千早「そうですね。最近のプロデューサーは私たちの方にも足を運んでくださりますから」

あずさ「そういう意味ではないのですけど」

千早「……あずささん」

あずさ「うふふ、今は観光を楽しみましょう。せっかくみんなと一緒にいられる時間なんですから」

千早「そうですね」

真「……」






―――― おみやげショップ


美希「ふぅーん……色々あるんだねー」

雪歩「こ……これ……可愛いですぅ……!」ギュウ

律子「……」

美希「律子…さん?」

律子「い、いいえ。可愛いなんて……思ってないわよ?」

美希「ミキ何も言ってないの」

律子「……そうよね」

雪歩「ウミガメですよね、律子さん」

律子「マナティでしょう」

美希「ふぅん」


125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 21:58:46.24 ID:BBYQna03o

―――― 響兄の車内


響「やよいのキラメキラリは最高だったぞ!」

やよい「響さんもとーってもよかったですよー!」キラキラ

P「今日の5人はいつもより乗ってたな。観客も楽しんでいたようだ」

伊織「当然よ」

響「やよいにつられて張り切ったさー」

やよい「えへへー、響さん! はい、ターッチ!」キラキラ

パァン

やよい「いぇい!」キラキラ

響「あはは、やよいは元気だなー」

亜美「飛ばしすぎて疲れちゃったよぉ」

真美「真美もぉ」

伊織「確かに、いつもより飛ばし気味だったけど、二人が疲れるほどじゃなかったでしょ?」

真美「いおりんも元気だねぇ、どうしてぇ?」

P「亜美と真美が疲れてるのも珍しいな……」

響兄「昨日、ヒージャー汁を食べたそうですね」

P「あ……もしかして、それで?」

響兄「三人はエネルギーが溢れてきているんでしょう」


126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:00:00.38 ID:BBYQna03o

―――― 海洋博公園


P「忙しい時間の中、本当にありがとうございました」

響兄「いえいえ。それじゃ、俺はこれで」

P「はい、お気をつけて」

やよい「ありがとうございました!」キラキラ

響「ありがとー、アニキ!」

響兄「思う存分楽しんで来い」


バタン


ブロロロロロロ



P「さて、どこに向かおうか」

やよい「うっうー!」キラキラ

真美「やよいっちのキラメキがとまらないよ!」

亜美「ミキミキのいる水族館か、はるるんのいるイルカショーだよね」

伊織「なにをしてるのよ、春香たちは……」

P「そうだな。春香たちから行くか」

響「イルカショーに参加するってどういうこと?」


127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:01:12.99 ID:BBYQna03o

―――― オキちゃん劇場


『ハイサーイ!!』


亜美「ゴリーなにしてんの!?」

やよい「ゴリさんがイルカに乗ってますよー!」キラキラ

川田「仕事さ~」

P「春香もなんとかこなしているみたいだな」


『うぉわっとととっとっと――』


ザブーン


貴音「落ちました」



\ わはははは /



伊織「まぁ、笑いが取れたからいいんじゃない?」

響「イル斗! 春香を助けるんだ!」


イルカ「ケェッケェッケェッ」


響「そうだぞ! 自分の大切な仲間なんだ!」


ザブン


『ハァッ! あ、ありがと~、イルカちゃん』

『観客からイルカに指示を出してた人がいたね』



響「イル斗偉いぞ~」ナデナデ

イルカ「キュ~ッ!」


ザワザワ


真美「会場の注目が集まっちゃったよ~……」

P「まずい……飼育員に迷惑がかかるな……」



128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:01:52.04 ID:BBYQna03o

――…


P「ご迷惑をおかけしました!」ペコリ

飼育員「いえ。確かに予定とは大きく外れましたけど、観客も満足していたみたいですから。
    依頼に快く引き受けてもらえましたので、結果オーライってことで」

P「そう言ってくださると助かります」

飼育員「ただ……」

P「はい……重ね重ね」



響「イル斗、ここでお別れだぞ」

イルカ「カッカッカッ」

響「自分だって別れたくないんだぞ!」

イルカ「キュ~」

響「ごめんよイル斗ッ!」

タッタッタ


イルカ「キュ~ッ!!」


飼育員「オキちゃんなのに……」

P「勝手に名付けてすいませんっ!」


129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:03:04.37 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館


やよい「ついに……ついに来ましたぁ……!」キラキラ

貴音「長い道のりでした」

春香「楽しみだねー!」キラキラ

真美「いいなーはるるん」

亜美「楽しそうだったなー」

春香「私、イルカに乗ったこと、絶対に忘れない」キラキラ

伊織「なんだか鬱陶しいわね」

ゴリ「僻むな、あんたでは身長が足りないのに」

伊織「僻みじゃないわよ、入場制限なんてどうでもいいわよっ」

響「プロデューサーは来たことないよね?」

P「あぁ、資料やテレビでしかないから、少し楽しみだったりするんだ」

響「きっと驚くぞー」

川田「はい、入りましょう~」









―――― 美ら海水族館・大海への誘い



春香「見て見てやよい! あのモニュメント!」キラキラ

やよい「わぁー! わぁー!!」キラキラ

貴音「甚平鮫ですね。真に威厳のあるお姿です」

川田「はいはい、どんどん進みましょう~」

伊織「へぇ……いい造りじゃない」

ゴリ「うみんちゅロードって言うんだぜ、知ってたか?」

伊織「ウミンチュゲートでしょ、間違えるんじゃないわよ」

ゴリ「ひっかからなかったか……おじさんの完敗さ」

亜美「海が見えるよ兄ちゃん!」

真美「マンタのもけーだよ兄ちゃん!」

響「プロデューサー! こっちには珊瑚の海が見えるぞ!」

P「す、凄いな……サンゴの……」

春香「水槽……」キラキラ

やよい「キレイですぅ……」キラキラ

伊織「へぇ……」

川田「はい、順路に戻りましょう~」


130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:05:20.73 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・サンゴ礁への旅


やよい「ここはリューキューセッカイガンで造られてるんですよねー」キラキラ

ゴリ「詳しいな!?」

伊織「せ、説明いらないのね……」

響「隠れて勉強してたのに……残念だね、伊織」

伊織「くぅ……どうしてそれを知ってるのよ……!」

P「はい、入場券」

春香「ありがとうございます!」キラキラ

亜美「よぉし、準備はオッケー」

真美「行こうか、亜美」

貴音「どうしたのです、二人とも……?」

亜美「亜美たち一足先に行ってるねー!!」

真美「みんなを見つけてくるよー!」

P「こ、こらっ!」

川田「あい、さっそく団体行動無視だね」


やよい「私達はゆっくり行きましょうね、春香さん!」キラキラ

春香「そうだね、やよいっ!」キラキラ

ゴリ「しずかなねぇねぇがいるね」

P「あ、千早」

千早「待っていました」

P「どうしたんだ、こんなところで……」

千早「その、出るわけにもいかず、どうしようかと」

P「?」

千早「美希とあずささんが心を奪われているので……」

P「美希はともかく、あずささんも?」

響「プロデューサー、こっちで触ることができるぞ!」

千早「タッチプールと呼ばれていて、海の生き物に触れることができます」

P「……へぇ、小さな海ってところか」

響「浅い海で生息している生き物だね」

ゴリ「はい、ナマコ!」ジャン

伊織「や、やめなさいよ」

やよい「はい、ヒトデ!」キラキラ

伊織「ちょ、ちょっとやよいまで」

春香「はい、これはなんですか?」キラキラ

伊織「し、知らないわよ。係員、ちょっと来てくれるかしら」

係員「春香さんが捕まえたのはハゼですよ。触れてはいけない種類なんですけど」

P「す、すいません」

131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:07:11.58 ID:BBYQna03o

係員「それと、触れるコーナーであって、捕まえるコーナーでもありません」

Pゴリ川田「「「 すいません 」」」

春香「えへへ」キラキラ

P「春香を知ってるってことは……」

係員「応援してますから」

P「これからもよろしくお願いします」

春香「よろしくお願いします」キラキラ

伊織「握手ぐらいしてあげたら?」

春香「ハゼを捕まえた手ですけど、いいですか?」キラキラ

係員「ぜひ……」キラキラ

P「春香、あっちで、手を洗ってこような」


千早「高槻さん、あっちはサンゴの海といって――」

やよい「世界で初めての大規模な飼育をしているんですよねー」キラキラ

千早「そう、屋根がないから――」

やよい「時間によって色合いが変わるんですよねー」キラキラ

千早「この時間だと――」

やよい「アサヒガニ、あ、あれですねー! 見つけちゃいましたー」キラキラ

千早「う…うぅ……うん! 見つけられてよかったわね」キラキラ


響「隠れキャラを見つけて嬉しそうだぞ」

伊織「千早も勉強していたのね。だけど、やよいにことごとく覆されて……、
   最後には、まぁいっか、みたいになったわ」

響「そんな心の動きまで読めるなんて……凄いぞ伊織」

真「プロデューサー、来ていたんですね」

P「どうしたんだ、真一人か?」

真「はい。あずささんと美希は黒潮の海で止まってて、雪歩は深海の海で動かなくて」

真「だから引き返してきちゃいました」

P「……そうか」

春香「見てください、プロデューサーさん! 熱帯魚ですよ!」キラキラ

P「うん……あれ? 貴音はどうした?」

春香「わぁーきれいだなぁー」キラキラ

やよい「プロデューサー! 光の柱ですー!」キラキラ

P「あ、……おぉ……」

響「綺麗だよねー」

真「なんだか、二人とも様子が変だね……」

千早「楽しくてしょうがないみたいね」キラキラ

真「千早もね」

P「ちょっと、戻ってみる。先に進んでいてくれ」


132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:10:51.99 ID:BBYQna03o

貴音「……」ツンツン

P「……やっぱり触れ合ってたか」

係員「ずっと、ヒトデを」

P「はい、連れて行きます」

貴音「……」ツンツン

P「あのな、貴音」

貴音「なんでしょう」ツンツン

P「好きなのは分かったが、いつまでもここにいるわけには……」

貴音「動きを観察していましたが、中々進んでくれず、ならばこちらから、と」ツンツン

P「そ、そうか……」


亜美「兄ちゃんまだこんなとこにいたのー?」

真美「真美たちひととーり見てきたよん!」

P「じゃあ、今度はゆっくり行こうな」

亜美真美「「 りょーかい! 」」


貴音「ここは……?」

P「えっと……響か千早がいれば説明してくれるんだけど……」

亜美真美「「 さぁ、次行ってみようー 」」

テッテッテ


P「……了解したんじゃなかったのか」

貴音「わたくしはやよい達と熱帯魚を観察しております」

P「わかった。自分のペースでいいからな」

貴音「心得ました」

響「ここは珊瑚の部屋だね。あっちに危険な生物がいるんだよ」

P「あれは……クラゲか」

響「そうだぞ。ハブクラゲ」

ゴリ「毎年これが大量発生したら海で泳げないからよ、観光客が可哀相になる」

P「迷惑ですね」

真「こんなヤツ、ボクがバシーンとやっつけてやりますよー」

P「いや、触れるなって書いてあるぞ。そのジェスチャーでは危険だ」

P「小さい水槽がいくつもあって、別々の種類がいるんだな……」

真「美希が一つ一つじっくりみてましたよ」

P「美希も楽しんでるようだな」

133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:16:52.27 ID:BBYQna03o

ゴリ「次は海辺の……あれだな、自然環境の現状を知っておこうってコーナー」

P「興味あるんですよね……どれどれ」

やよい「プロデューサー、次ですよー」キラキラ

P「ちょっと待ってて、沖縄の在来種について読んでから」

春香「私、もうドキドキが止まらないんですっ」キラキラ

P「大迫力なんだよな、俺も楽しみなんだ。ちょっとだけ、外来種の危険性という箇所を読ませて」

千早「とりあえず、高槻さんの期待に応えましょう」キラキラ

P「それはそうなんだけど、絶滅危惧種という点から守り抜く生命の」

伊織「諦めなさい」キラキラ

P「伊織は俺の邪魔をしたいだけだよな……」

真「巨大水槽が観たくてしょうがないんです。行きましょう!」

P「……うん」

貴音「わたくしも、胸の鼓動が早まっているようです」


律子「あ、やっと来ましたね。迎えに行こうと思っていたんです」

P「?」

律子「進んでください、期待以上の迫力ですよ」

P「律子がそこまで言うほどのものか」

真「美希とあずささんがここで止まっているんですよ」

律子「確かに気持ちは分かりますが、1時間以上ずっと」

P「それは……考え物だな」

律子「進んでいって、右側です。私も大迫力にしばらく固まってしまいました」

やよい「うぅー!」ドキドキ

春香「楽しみだねーっ!」ドキドキ

千早「ふふ」ホンワカ

響「いやーここまで期待してくれると嬉しいさー」

貴音「それでは、しばしの時を忘れることにいたしましょう」

P「そうだな。俺もドキドキしてきたぞ……」

伊織「ふん、期待しすぎてガッカリしないことを――」


134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:18:38.41 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・黒潮の海


やよい「うわ」

春香「わぁ」

貴音「……お見事」

P「あ、いた」

千早「プロデューサー、どこを――」

律子「世界最大級の水槽より、そこですか」

千早「なんだか、当てられた気分ね」

律子「まったくだわ」

響「プロデューサー、どこを見てるんだ? ジンベイザメはこっちだぞ」

P「……ん? おぉっ!?」

やよい「ふぁー……」

春香「はぁー……」

貴音「言葉など無用……」

響「いつみても感動するんだよね」

真「凄いよなぁ……こんな大きな鮫がこんな大きな水槽を泳いでいるんだもんなぁ」

律子「そろそろ餌の時間ですよ。魚が活発に動くので見応えありだそうです」

P「凄いな……海が目の前にある……」

やよい「はい……海をそのまま運んできたんですね」

春香「……ここは間違いなく海の中だよ」

響「伊織……?」

伊織「…………うん」


135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:22:19.02 ID:BBYQna03o

P「あずささん」

あずさ「……プロデューサーさん……?」

美希「……」

P「何を考えていたんですか?」

あずさ「……?」

P「美希は目を動かして魚を追っていますけど、あずささんは一点を見ていますよね」

あずさ「……はい」

あずさ「ある人の事を考えていました」

P「?」

あずさ「その人は、最近、なにか様子が変わっていて。でも気付かれまいと普通に振舞って。
    周りに迷惑を、心配をかけまいとそれを隠しているつもりなんです」

P「……」

P「誰のことですか?」

あずさ「プロデューサーさんの知らない人です」

P「……そうですか」

美希「……」

P「少し妬けますね」

あずさ「……」

亜美「兄ちゃんやっとみつけたー!」

真美「こんだけの人の中から見つけるのちょー大変だったよー」

P「美希とあずささんがいるんだから、すぐ見つけられるだろ?」

美希「……」

あずさ「……」

真美「げーのうじんのオーラだね。でも兄ちゃんがそれをマイナスにしてたんだよー」

P「そういうことってあるのか……」

亜美「ねぇねぇ、サメ博士のとこいこーよー。面白いよー」

P「いや、戻って水辺の――」

亜美真美「「 さぁさぁ 」」グイグイ

P「お、俺の意思を少しは尊重してくれ……!」


あずさ「…………ふぅ」

美希「ミキがいるのに、そんな話しないでほしいの」

あずさ「うふふ、ごめんなさい」

美希「いいけどねー。素敵な世界ってあるんだねー」

あずさ「そうですね……素敵な時間ですね……」

律子「しばらくしたら、移動しましょう。次は雪歩が居るところですよ」

あずさ「いつまでも止まってはいられませんね」

美希「ずっと観ていたいな」

律子「観ていたでしょ、美希は」

美希「そうなんだけどね、もっといたいの。……この時間の中で」


136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:23:13.88 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・深海への旅



雪歩「ふふふ……ふふ…♪」


P「……」

響「……」

ゴリ「……」



137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:25:47.82 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・外


やよい春香「「 すごかったぁ 」」


雪歩「あ、あんまりですぅ……」シクシク


やよい「とぉーってもとぉーっても大きかったですー!」

春香「そうだね! そうだね!! 大迫力の海があったね!」


雪歩「わ、私…………深海は……落ち着くなって……っ」シクシク


やよい「見てください春香さん!」

春香「道の向こうの海だね!」

やよい「あの海があの水槽と同じ……ううん、それ以上に広がっているんですよ!」

春香「そうだね、綺麗な海が、素敵な生き物達が、生命の神秘がそこに……あるんだよね!」



雪歩「そんな……落ち着いている私を……みなさんに……見られていたなんて……」シクシク


雪歩「…何も…見ていないと……目を逸らされたとき……とっても……胸が痛かった…ですぅ…!」シクシク


やよい「私、この気持ちを忘れたくありません!」

春香「私もだよっ、やよいっ!」

雪歩「誰か……私を…深海の底に……連れて行って……くださいぃ……!」シクシク


138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:28:08.98 ID:BBYQna03o

伊織「……明暗が分かれてるわね」

真「……コントラストがハッキリと」

千早「どうするの?」

律子「どうするのって…言われてもね……しばらくはそっとしておくしか」

P「それはなんだ、律子?」

律子「こ、これは……小鳥さんと社長へのお土産ですよ」

P「包装紙に包まれていて、分からないんだけど、ぬいぐるみだよな?」

律子「ぎくっ」

P「小鳥さんはともかく、社長に?」

律子「いえ、私のです。悪いですか? マナティとウミガメですけど、悪いですか?」

美希「認めたの」

P「良いと思う。隠すのを止めた素直な気持ちは良いと思う」

律子「そうですよね。私がぬいぐるみを買うことに問題はないですよね」

貴音「律子、プロデューサーはぬいぐるみに関して認めていませんよ」

川田「うまいやっさ、紅芋アイス」

ゴリ「おまえはまた、一人で食べてからに!」ペシッ

亜美「一人でずるいよー川座衛門!」

真美「真美達にも買ってくれないとダメっしょー?」

川田「はいはい、そういうと思って買っておきました」

亜美「持ってないじゃん」

川田「溶ける前に食べました!」

真美「なんで急いで買ったのさー」




響「この時間だと、どこがいいかなー」

あずさ「候補があるんですか?」

響「えっとね、古宇利島でしょ、嵐山展望台、フクギ林、世界遺産の今帰仁城跡」

あずさ「……」

響「でも……今の時間だとフクギか今帰仁城跡が良いと思うんだよね」

あずさ「フクギ林はどういうところですか?」

響「集落なんだけどね、フクギという防風林でできた迷路なんだぞ」

あずさ「迷路……」

響「奥にビーチがあって、夕陽が綺麗に見えるはず」

あずさ「……」

響「備瀬のフクギ林、行ってみる?」

あずさ「はい」


139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:31:24.24 ID:BBYQna03o

―――― 備瀬のフクギ林


伊織「ど、どこなのよここは?」

真「か、勝手に入っていいのかな……?」

ゴリ「住民に迷惑をかけなければいいだけさー」

貴音「……」

真美「なにか出そうですな」

律子「というより、異世界への入り口のような雰囲気ね」

P「……そうだな、不思議な雰囲気だ」

千早「……」

やよい「どーんと大きな魚が泳いでいて、ビックリしました~!」

春香「私もだよー! 大きな海に触れることが出来た、貴重な一日だよね!」

千早「ここに来るまでずっと同じことを……」

P「本当に、やよいを連れてきてよかったよ……」

亜美「はい! 亜美にみょー案があります! ゲームしようよ!」

川田「ゲーム?」

亜美「ここ迷路なんだよね、ひびきん!」

響「そうだぞー。あずささんは特に迷うぞー」

あずさ「まぁ~」

P「それを期待してるような表情ですけど」

亜美「三人一組でチームを組んで、なにかしようよ!」

伊織「亜美……その、何かを考えなさいよ」

ゴリ「迷路でゲームといったら、鬼ごっこか?」

亜美真美「「 それだよっ! 」」

ゴリ「待って、誰か時間を戻して。無し無し今の無し」

亜美「鬼チームを三人……えっと、ここには何人いるの?」

P「律子含めたアイドルが13人、俺とゴリさん川田さんで16人」

亜美「3で割ると……あぁーめんどいよっ!」

真「それじゃ、チームを作りましょう」

ゴリ「鬼ごっこに決まったわけな……」

川田「……」



140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:33:56.44 ID:BBYQna03o


~ 作成中 ~


真「運動能力を考慮してこうなりました」


真「お星様チーム!」

千早「如月の月……」

律子「秋月の月」

美希「あふぅ」



真「竜宮チーム!」

亜美「双海亜美です!」

伊織「水瀬の水ね」

春香「海っていいよね」


真「ボクのいるチーム!」

やよい「頑張りまーっす!」

真美「ボクのいるチームって変じゃない?」


真「そして、沖縄チーム!」

響「なんくるないさー!」

あずさ「頑張ります~」

貴音「必ずや、仕留めてみせましょう」


真「……あれ、割り切れちゃった」

亜美「一人……足りない……」

P「雪歩連れてくる……」


伊織「ちょっと、沖縄チーム、響しか沖縄人がいないじゃないの。ゴリ達はどこへ行ったのよ」

真「……いつの間にかいなかったんだ」

伊織「逃げたわね……!」

律子「真、竜宮チームはあずささんが適役じゃないの?」

真「どうして?」

律子「亜美と春香は海が被ってるわ。三浦の浦島太郎で竜宮と繋がるでしょ?」

真「うわー! 律子頭良いね!」

律子「なるほど……竜宮なんとかってユニットもいいわね」

春香「私もユニットに入るんですか?」

律子「そうなる、かな」

真美「律っちゃーん! 真美も海が入ってるよー!?」

あずさ「……」

律子「まぁ、仮の話よ。ユニットを作るなら……のね」

真美「なぁーんだ。じゃあさ、かいざん(海三)っていうユニットはどうかな」

律子「あまり良い響きじゃないみたいだけど」

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:35:18.18 ID:BBYQna03o

雪歩「私なんて……私なんて……ブラックホールに吸い込まれて違う世界へ跳んじゃえばいいんだ……」シクシク

美希「スケールが大きいの」

P「真、どうする?」

真「そうですね。よく考えるとあずささんが一人で走るのって危険ですよね」

真「と、いうことで、あずささんと雪歩を入れ替えて」


響「沖縄チーム!」

雪歩「漆黒の闇に溶け込んでしまえばいいんだ……うぅ……自分で言って怖くなった」ブルブル

貴音「新生沖縄となりまして。仕留めて見せます」

P「誰をだ……貴音……」


真「残ったプロデューサーさんはあずささんとペアで。そのペアをジャンケンで取り合いしましょう」

貴音「代表者、前へ」

千早「お星様チーム代表です」

亜美「竜宮の使いだよん!」

真「ボクが大将だね」

響「負けないぞー!」


「「「 じゃーんけーん 」」」



142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:38:06.31 ID:BBYQna03o

――…


P「『人数が多いから鬼』って、俺たちは完全にババじゃないか……!」

あずさ「うふふ、仕方ありませんね~」

P「見つけたら、俺が追いかけますから、後ろから付いてきてください」

あずさ「はい、わかりました」

P「絶対ですよ?」

あずさ「はい」

P「ここは本当に迷路なんですから。見失わないようにしてください」

あずさ「――大丈夫です」

P「一応、俺も離れないようにしますけど」

あずさ「――私が」

P「とりあえず、歩きますか。これだけ人数がいるんですから、鉢合わせもすぐでしょう」

あずさ「――。」

P「……? あずささん、今なんて――」


スッ

真「うわっ!?」

P「捕まえ――」スッ

真「甘いですよッ!」サッ

タッタッタ


P「惜しい……! 待て真!」

ダッ


真「捕まえてごらんなさ~い」

P「くっ……余裕じゃないか!」

ダダダダッ


真「さすが成人男性ですねー!」

P「女の子の真に負けてられないからなッ!」

真「あ、今つかまってもいいかなーなんて思いましたよー!」

P「そんなことで……ッ……捕まったら許さないからなッ!」

真「へへーっ、そうこなくっちゃ!」

P「あずささん! 付いてきてますよね!?」

「はーい」


真「それっ」スッ

P「曲がったか……ッ! あずささんが迷子になるの……ッ……知ってて……やられた……ッ」



143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:39:44.69 ID:BBYQna03o

P「ハァッ……ハァッ」

「捕まえました」

P「え……?」

やよい「うぅー、プロデューサーが走って行ったから、良かったーと思っていたんですー」

あずさ「うふふ、油断大敵、ですね」

P「こういう利点もあるのか……ふぅ~」



ゴリ「ハイサイハイサーイ」

牛「モォー」

P「え? 水牛車……!?」

ゴリ「4人まで乗せられるよ~。はい、あんた乗って~」

やよい「うわー! なんだか得しちゃったかもですー!」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「わかってます。余裕だな、亜美」

亜美「えへへ、ゴリーに乗せてもらってたよん!」

P「観念するんだ」

亜美「やーだよー!」ピョン

タッタッタ

P「待てッ!」

ダッ


亜美「あー! あっちにいおりんがー!」

伊織「ちょっ!? 亜美! 仲間でしょ!?」

亜美「かくらん作戦だよーっ!」

P「いや、俺は亜美を追いかけるぞッ!」

タッタッタ


亜美「いやーん!」

「ちょ、ちょっと! それはそれでどうなのよ!?」

「伊織ちゃん、後ろですよ~」

「確保」

「た、貴音!?」

亜美「いおりんの犠牲は無駄にはしないよー!」スッ

P「また……ハァッ……やられた……ハァ……!」

「はっ……はっ…………ふぅ……」

P「このパターン……これからも続きますね……ふぅ」

あずさ「そうですね」

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:42:50.47 ID:BBYQna03o

P「……」

あずさ「……」

P「あずささん……」

あずさ「は、はい……?」

P「動かないでくださいね……肩、失礼します」

あずさ「あ、あの……!?」

P「捕まえ――」スッ

美希「見つかったの!」サッ

ダッ 


P「くっ!」

あずさ「あ、あの……プロデューサーさん……!」

P「……逃げられました…………って、どうして目を瞑っているんですか……?」

あずさ「あ……れ……?」

P「あずささんの後ろにくっついていましたよ……美希が」

あずさ「……そ、そうですか」

P「舐められてるな……。また適当に歩きましょう」

あずさ「……っ」

P「ここ、昼間でも暗くて……夏の陽射しを完全に遮るらしいですよ」

あずさ「…………」

P「コントラストが綺麗なんだそうです。今は陽が傾いていますから少し明るく感じますけど」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「……はい」

あずさ「プロデューサーさんは……私に――」

P「……」

あずさ「…………」

P「あれは……」

あずさ「千早ちゃんのシルエットですね」

P「太陽を背にしてるから、表情が見えないな……どうしたんだ?」

あずさ「……この距離で追いかけても逃げちゃいますよね」

P「味方の誰かがいれば……」

あずさ「プロデューサーさん、私がまっすぐ進みますから」

P「わかりました。まっすぐですよ?」

あずさ「……はい」

P「……ッ」サッ

あずさ「……」

「あずささん、千早はどっちに進みましたか?」

あずさ「動きません……」

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:46:20.57 ID:BBYQna03o

「読まれてるのか……!?」

あずさ「そうみたいです」

「俺はこのまま迂回しますから、5秒後に、まっすぐ、走ってください。まっすぐですよ」

ダッ


あずさ「……」


あずさ「私に――触れてもどきどきしないんですか?」



タッタッタ

P「……ハァッ……ハァッ………息が切れるの……早くなってるな……ッ」


千早「……」


P「あれ……!?」

千早「……あずささんは動いていません」

P「ど……どうして……ッ?」

千早「そういう作戦……でもない、と」

P「あずささん……?」

千早「体力が落ちていますね、プロデューサー。私はこれで失礼します」

ダッ


P「ま、待て!」


千早「あずささんを置いて行くんですか?」

タッタッタ


P「ひ、卑怯なり……!」

「ひゃぁ!?」

「ゆ、雪歩!?」

P「雪歩、捕まえるんだ!」

「は、はいぃー!」

「くっ」

P「……だよな」

「ま、まてー!」



P「今どういう状況なんだ……?」


P「……それより」


146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:48:14.08 ID:BBYQna03o

P「どうして、動かなかったんですか……?」

あずさ「え、えっと……千早ちゃんが動かないので、そのままでいいかなと」

P「……そうですね。俺も……そのまま捕まえればよかっただけの話」

あずさ「その、すいません」

P「いえ……俺がしくじっただけなので……あずささんのせいではないですよ」

あずさ「……」

P「…………歩きましょうか」

あずさ「……はい」


ゴリ「ハイサイハイサーイ!」

亜美「はいさーい!」

P「亜美、また、遊んで!」

亜美「ちがうよー? ホラ、ふめーよのピンバッチ付けてるっしょ?」

P「あぁ……誰に捕まったんだ?」

亜美「ひびきんだよ」

やよい「プロデューサー、このピンバッチ、貰ってもいいですか?」

P「元々お土産用に買った物だから、気に入ったのならあげるよ」

やよい「ありがとーございます!」

P「状況を知りたいな……」

ゴリ「そのための俺さー。はい、なんでも聞いて」

P「残ってるのは誰ですか?」

ゴリ「星三。竜一。ボク二。さー」

あずさ「えっと、竜宮は春香ちゃんですね」

P「ボクは……やよいがここにいるから、真と真美で……全然捕まえていないじゃないか……」

あずさ「困りましたね~」

ゴリ「時間が無いよぉーどうするねー」

P「そうですね、作戦が必要かと……。伊織はどこだ?」

亜美「お姫ちんと一緒だよ」

P「どうして一緒にいるんだ……?」

ゴリ「はい、急ぎなさい」

P「川田さんは?」

ゴリ「さぁ、どこに行ったかね、あのフラーは」

牛「モォー」

やよい「もぉー!」

亜美「もぉぉー!」

P「行きましょうか」

あずさ「そうですね」


147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:51:47.47 ID:BBYQna03o

―― お星様・律子 ――


律子「ここ、本当に暗いんだから……なにか出そうで」


スッ

春香「うぉわっ!?」

律子「うわっ!」

春香「り、律子さん……!」

律子「驚かせないでよ春香……」

春香「えへへ、すいません……ピンバッチ付けてないってことは、まだ捕まっていませんね」

律子「えぇ。……このまま、あと30分逃げ切れば私達の勝ちね」

春香「ゴリさんが言うには、やよいが一番に捕まったそうです。
   真チームが罰ゲームになっちゃいますね」

律子「それじゃ、逃げ切らないとね」

春香「やよいの為にも……り、律子さん後ろですっ……」

律子「……こっちに気付かないで行ったわね。…………待って、一人で歩いてる時点で怪しい」

春香「本当だ…………それじゃあ、少し離れてあずささんがいるわけですね」

律子「そういう作戦ね、きっと」

春香「律子さん、私達も共同戦線と行きませんか?」

律子「いいわよ。リスクはお互い様だし、鬼も文句は言わないでしょう」

春香「それでは提案です。プロデューサーさんの後を付けましょう」

律子「私も同じことを思ってたわ」

春香「これが罠だったら、どうします?」

律子「春香、冴えてるじゃない」

春香「なんだか楽しくって」

律子「罠に飛び込むのも一興よね」

春香「それでは行動開始ですっ」



「……」


律子「春香、後ろ、誰か居る?」

春香「いいえ、地元のおじぃさんだけです」

律子「そのまま後ろを警戒してるのよ」

春香「了解ですっ」


148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:53:16.57 ID:BBYQna03o

「……」


律子「妙ね」

春香「どうかしたんですか?」

律子「あずささんが居ないのもそうだけど、ただ歩いているだけなのよ」

春香「……あ、本当だ。鬼なのに、私達を探す素振りがないです」

律子「……春香、プロデューサーの後をお願い、私は周りを確かめてみる」

春香「了解ですっ」


「……」


春香「あずささんを放っておくプロデューサーさんじゃないよね……? どうしたんだろ」


律子「春香、やられたわっ!」

春香「や、やっぱり罠だったんですね!」

律子「そうじゃないんだけど。伊織が寝返った」

春香「そ、そんな!? 私達竜宮チームは解散ですか!?」

律子「そういうことね。貴音と一緒に真を追いかけてたわ」

春香「…………」

律子「ショックなのはわかるけど、気をしっかり持つのよ」

春香「は、はい……」

律子「貴音と伊織だけなら、真は振り切れるだろうけど、それに響が加わると危険ね」

春香「あの、律子さん……」

律子「……どうしたの?」

春香「プロデューサーさんが角を曲がりましたっ!」

律子「これで罠の確率が高くなった…けど、守ってばかりじゃトップに立てないわ! 行くわよ春香!」

春香「攻めの気持ちですね!」

タッタッタ


律子「……よ、よし……ここからゆっくり様子を――」

春香「そぉーっと――」


雪歩「わっわわわ! つ、捕まえた――」スッ


春香律子「「 甘いッ! 」」ササッ

タッタッタ



「うぅ……やっぱりこうなるんだ……こんなダメダメな私なんて……」シクシク


律子「雪歩ー! そんなこと言ってたら陽が暮れるわよー!」


「っ! そ、そうです! ま、待ってくださいぃー!」

タッタッタ


149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 22:55:02.63 ID:BBYQna03o

春香「はっ……はっ……り、律子さんっ……おかしくないですか!?」

律子「そうよねっ……っ…………プロデューサーの姿っ……無かったものね!」


P「……いたっ!」


春香「うわーっ!?」

律子「プロデューサー!?」


P「雪歩ーッ! 頑張れッ!」


「は、はいー!」


律子「まずい、挟まれた! 春香は左へ!」

春香「共同戦線はここまでですね! 必ず生きて帰りましょう!」スッ

律子「えぇ! 故郷で待つ婚約者の為にも!」

「はいー! えぇー!?」


「り、律子さ~ん! そういう素敵な方がいらっしゃったんですね~!?」


律子「適当ですよー!」


タッタッタ


律子「え……あずささんが……居て……プロデューサー……?」

伊織「きゃー! キジムナーよー!」

律子「妖怪はあんたでしょうが!」

伊織「だ、誰がよっ!?」

律子「って、あんたに構ってる暇は――」

伊織「にひひっ」

貴音「確保致しました」ギュウ

律子「っ!?」

伊織「あらー、残念ねー♪」

律子「……私はここまでよ……さようなら、愛しき誰かさん」



151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:04:39.87 ID:BBYQna03o

やよい「伊織ちゃんがきじむなーって叫んでいたけど、きじむなーってなんだろう?

亜美「ひびきんが作った合図だよね。亜美もそれでやられたよー」

ゴリ「キジムナーはガジュマルの木に棲む子供の妖怪さー。
   座敷わらしに似ているけど、悪戯するところが違うとこだな」

やよい「そーなんですかー」

ゴリ「いや、キジムナーって合図はどうだば?」

真美「失礼するよーん!」

亜美「真美、ピンバッチ付けてないんだね」

真美「こんなん楽勝っしょー♪」

ゴリ「後ろ見てみ?」

真美「え?」

雪歩「捕まえたー!」ギュウ

真美「雪ぴょん!?」

雪歩「やった……やりましたよ……プロデューサー……」シクシク

真美「ど、どうしてここが分かったんだい!?」

雪歩「プロデューサーが、そろそろ真美ちゃんが牛車に乗る頃だろうって」

真美「うあー、やられちった……」

雪歩「はい、ピンバッチ」

真美「はーい」

やよい「これで、あとは……?」

ゴリ「星二、竜一、ボク一だな」


152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:05:35.69 ID:BBYQna03o

―― お星様・千早 ――


千早「律子が犠牲に……」

春香「わ、私のために……っ……」シクシク

千早「そう気を落とさないで……きっと本望だったと思う」

春香「でもっ、律子さんが……っ」シクシク

千早「春香、ここで泣いていては律子の犠牲が無駄になってしまう」

春香「千早ちゃん……」

千早「私達にできることは何?」

春香「律子さんの言葉を……故郷で待つ婚約者に届けることだよねっ」

千早「そうよ。必ず、生きて国に帰りましょう」

春香「わかったっ!」

律子「こら」

千早春香「「 あ…… 」」

律子「なんだか寂しくなったじゃないの」

春香「えへへ」

千早「状況は?」

律子「美希、真、あなた達の4人が残ってる」

千早「……大詰めね」

律子「伊織が完全に敵に回ってるわ」

春香「伊織……どうして……」

律子「追うのが楽しいからでしょ。それより、作戦があるの」

千早「さ、作戦?」


153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:17:07.80 ID:BBYQna03o

―― 沖縄・貴音 ――


「きゃ、きゃー、きじむなーよー!」


貴音「はて?」

伊織「千早の声ね。何してるのかしら」

貴音「居場所を報せることに違和感を覚えますが、
   わたくしは追う側の身……その挑戦、乗りましょう」

ダッ


伊織「にひひっ、次は千早ね♪」

タッタッタ


貴音「たぁげっと、補足」

伊織「た、貴音っ! あんたサイボーグ化してるわよ!?」


千早「来た……」

春香「反対から雪歩も……!」

律子「プロデューサーとあずささんも来たわね……これで他が動きやすく――」


「もぉー! 響しつこいのー!」

「まてまてー!」



律子「み、美希!」

千早「我那覇さんまで来るとは……」

春香「ど、どうしよう挟まれちゃった……!」



貴音「美希は――」

貴音「……」

伊織「ど、どうしたのよっ? 急に黙らないでよね!」

貴音「彼女に任せましょう。わたくしたちは千早に専念致します」

伊織「了解よ。彼女って響でしょ?」



律子「この状況で生存率が高くなるのは……」

千早春香「「 雪歩 」」

タッタッタ


「ど、どうしてこっちに向かって来るのぉ……!」


154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:18:51.01 ID:BBYQna03o

千早「春香ッ!」サッ

春香「うんッ!」サッ

タッタッタ


雪歩「え、えっ!?」


「雪歩! 千早を捕らえるのです!」


雪歩「わ、わかりましたぁ!」ササッ


千早「なっ!?」


「ち、千早ちゃーん!」


「振り向いちゃだめよ、春香ー!」


「うわぁ! プロデューサーさん!?」

「待て春香ッ!」

「ま、待ってくださ~い!」


雪歩「か、観念するんだよ、千早ちゃん」ジリ

千早「私は……こんなところで……諦めたくない……」ジリ

貴音「その心意気、真に天晴れです。しかし、後がありませんよ」

千早「くっ……」

雪歩「……!」

貴音「雪歩、落ち着きましょう。急いては事を仕損じる、ですよ」

雪歩「は、はい!」

千早「一縷の望みが……でもそこしかないッ」

ダッ


千早「通して、雪歩ッ」

雪歩「きゃっ!?」

貴音「冷静に、雪歩!」

雪歩「は、はいッ!」スッ

千早「――ッ!」


スゥ――



雪歩「き、消え……!?」

貴音「……なんと」


千早「ふぅ……、起死回生、ですね」

伊織「はい、そこまで」ギュウ

千早「きゃっ! きじむなー!?」

伊織「誰がよ!?」

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:20:59.29 ID:BBYQna03o

―― お星様・美希 ――


美希「……っ」


ザッザッ

「どこ行ったー?」

ザッ


美希「ふぅ~、響しつこいのぉ……どうしてミキばっかり……」

春香「美希……」コソコソ

美希「春香、どうしたの?」

春香「私もここに隠れさせて」

美希「分かったの」



「あ……ッ」

「また見失ってしまいましたね~」

「ハッ……ハァッ……ッ……」

「だ、大丈夫ですか、プロデューサーさん」

「だ……大丈夫……です……ッ」



美希「ドキドキするの」ヒソヒソ

春香「……」コクリ



「少し、休みましょう」

「で、でも時間が……っ……はぁ…ふぅ……」

「罰ゲームは私が受けますから」

「いやいや、それでは俺が情けないじゃないですか……」



美希「……」

春香「……」



「情けないなんて……そんなことないですよ」

「え……?」

「いつも、私達を支えてくれたじゃないですか」

「あ、あずささん……?」



美希「……!」

春香「……!」


156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:23:09.17 ID:BBYQna03o

「私を……私達をここまで連れてきてくれたんです……とても感謝しています」

「……」

「一昨日、一緒に見た夕陽……綺麗でしたね」

「……はい」



美希「……」ドキドキ

春香「……」ドキドキ



「私、プロデューサーさんと一緒にあの夕陽を見ていて、決心したことがあるんです」

「決心……?」

「プロデューサーさんのおかげで、私は……私達は……」

「……」


美希「……」

春香「……」


「……トップに手が届くところまできました」

「そうですね……後少しで、俺の夢も叶います」

「……」

「この休暇が終わって沖縄から帰れば、忙しい日々が待っています。ラストスパートですよ」

「どうして、ラスト、なんて言うんですか……」

「……」

「最後……なんですか?」

「……」


春香「!」スッ

美希「……っ」クイッ

春香「……?」

美希「……」フルフル



「プロデューサーさんが最後というなら、私にも考えがあるんです」

「……?」

「ある人に告白をします」

「え……!?」


美希「ッ!?」


ガサッ


春香「~ッ!?」

美希「にゃ~う」


157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:23:55.48 ID:BBYQna03o


「……猫さんですね」

「あの……とりあえず、歩きましょう」

「…………はい」

「……」


ザッザッ


美希「こうしちゃいられないのっ」

春香「だ、ダメだよ、美希!」



ガサガサッ



P「はい捕まえた」

美希「にゃっ!?」

あずさ「うふふ」


ガサッ

タッタッタ


「芝居の稽古なんてずるいですよー!」



P「春香もいたのか!?」



「気付いてなかったんですかー!?」


158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:26:23.34 ID:BBYQna03o

―― 沖縄・響 ――


響「ま……ッ……待てぇ……! 真ぉ……ッ!!」

「し、しつこ……いな……響ッ!」


響「つ、疲れたぞ……ハァ……ハァッ」

真「ぼ、ボクも……ちょ、ちょっと休憩……」

響「ハァ…ッ……ハッ……ッ……ハァッ……」

真「ど、どうしてボクばっかり……!」

響「真は自分が捕まえないと……ダメ……ッ」

真「ふぅ……はぁ……っ……はぁっ……」

響「プロデューサーに他は任せて、自分は真に専念するのがっ……一番だよね」

真「それじゃあ……時間も無いし、最後の勝負といこうか……」

響「見て、真」

真「?」

響「ここから真っ直ぐ行ったら、ビーチに出るんだ」

真「そこに早く着いたほうの勝ちだね」

響「そうだぞ」

真「チーム戦はいいの?」

響「プロデューサー達がちゃんと捕まえてるからね」

真「へへー、ボクもこういうの嫌いじゃないよ」

響「それじゃ、この木の枝を投げるから」

真「それが地面に着いたと同時にスタート」

響「行くよー」

真「来い」


ポイッ


響「……」

真「……」


ダッ――


159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:27:58.53 ID:BBYQna03o


春香「どうして私がいると周りが捕まっちゃうんだろう……」


「キジムナー!」


春香「伊織!? キジムナーってなに!?」


「「 はるるんみーっけ! 」」

「見つけましたー!」

「春香、待てー!」

「待ってくださ~い!」

「頑張れー、春香ー!」


春香「わわわっ! プロデューサーさん!?」

タッタッタ



.........ダダダダダッ


春香「わわわっ、つ、捕まるー!!」



ダダダダダッ


響「……ッ!」

真「……ッ!」



ダダダダダッ.........


ビュウウゥ



春香「え、えぇー!? なんで仲良く走ってるのー!?」


「二人とも、無事のようでなにより……」

「春香! 後ろ、プロデューサーが来てる!」

「春香ちゃん! 待って……!」


春香「うぅー!」

タッタッタ


「あのねぇねぇが向かってるのはビーチだぞー!」


春香「あ、あれ!? 響ちゃんの声!?」


「春香! ちゃんと前を向いて走るの!」


春香「は、はいーッ!」

タッタッタ


160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:29:55.10 ID:BBYQna03o


響「グッ……!」

真「ウゥ……ッ!」


ズサーッ


ゴリ「ゴール! はい、お疲れさま~」


響「ハァッ……もう……ッ……ダメ……」バタリ

真「ぼ、ボクも……!」バタリ


ゴリ「判定は~」


響「判定は……?」

真「はっ……はぁっ……判定は……?」



ゴリ「CMの後」

響「ゴリ衛門!」

ゴリ「はい、あんたの勝ち」

響「ほ、本当!?」

ゴリ「間違いないさ」

響「やった、やったぞプロデューサー!!」

真「ま、負けたぁ……」


ゴリ「しかし、後……5秒前」


「まずい……逃げ切られる!」

「は、春香ちゃ~ん!」

「ちょっと! はやく捕まえなさいよ!」

「「 行けーっ! はるるんー!! 」」

「頑張ってくださーい、春香さーん!」

「逃げ切るのー!」


ゴリ「……4」


「……」

「春香、逃げ切って……!」

「ま、待ってぇ~!」


ゴリ「……3」



「ねぇねぇ、運がいいさー!」

「逃げ切りなさい春香ー!」


ゴリ「……2」


161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:31:16.39 ID:BBYQna03o

ダダダダダッ


あずさ「プロデューサーさん!」

P「くぅ……もうちょっと……!」

春香「うぅ……ここまで来たのに……!」



ゴリ「……1」


P「……よし、捕まえ――」スッ


春香「うぉわっ!?」


P「え!?」スカッ


春香「いたたた」



ゴリ「ゼロ……はい、終了ー!」



亜美真美「「 逃げ切ったー!! 」」

やよい「やりましたー!」

美希「やったのー!」


伊織「……そんな……春香に逃げ切られるなんて……」

貴音「この敗北を糧といたしましょう」

雪歩「うぅ……わ、私がもう少し……」メソメソ

あずさ「うふふ、負けちゃいました~」

P「ハァッ……ハァ……ッ」

千早「プロデューサー、やはり……」


律子「お疲れ、春香」

春香「えへへ、最後、転んだだけですけど……勝ちましたよね」

律子「ええ、立派な勝利よ」


響「あぁー、敗けたぞー!」

真「試合に勝ったけど、勝負には負けた……悔しいなぁ」



ゴリ「お前は海を見ながら黄昏か!?」ペシッ

川田「沖縄、最高」


162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:31:45.53 ID:BBYQna03o

※ ― 迷路と迷子 ― ※



※ ― 迷路と迷子 ― ※


163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:33:24.00 ID:BBYQna03o

―――― バス内


響「自分、バッチを落としたから、真だけを追いかけてたんだぞ」

亜美「またまたそんな」

美希「……」

P「美希、顔色が悪いけど、どうした?」

美希「プロデューサー、ミキね、白昼夢を見ちゃった」

P「美希にそれを言われると真実味が増すから……冗談だよな?」

春香「今日はイルカに乗って歌も歌ったから、忘れられないよ絶対」キラキラ

千早「春香、そういうことはあまり人に言わないほうが」

春香「妄想だと思われてる!?」ガーン

伊織「証拠の映像があるでしょ、出しなさいよ」

ゴリ「人使い荒いね……」

ゴリ「ほら、みてみ、ねぇねぇ。川ちゃんが撮った証拠」


『 私 マーメイド♪ 』


千早「……そんなっ!?」

ゴリ「なんでショック受けてるば?」

やよい「春香さんはイルカショーでも凄かったですよねー!」キラキラ

春香「楽しかったよー♪ ジンベイザメも海の神秘も凄かったよねー♪」キラキラ

真「……春香が今日一番輝いてるなぁ」


貴音「面妖な」

雪歩「え?」

伊織「どういうことよ」

響「だから、自分は真しか追いかけてないんだぞ?」

律子「そういえば、最後、私と一緒に走ってたはずなのに……真の隣で倒れていた……?」

伊織「キジムナーって合図、あんたが決めたんでしょ」

響「キジムナー?」

雪歩「あはは」

真「雪歩、しっかり」

亜美「どういうこと!? 亜美を捕まえたのは誰なの! 亜美にこのピンバッチを渡したのは誰なの!?」

響「みんな、キジムナーに悪戯されたのかー」

亜美「えぇえぇぇ!?」

真美「凄い体験しちゃったね、亜美!」

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:35:22.78 ID:BBYQna03o

あずさ「不思議な出来事ですね~」

響「みんなと遊んで楽しかったと思うぞ」

貴音「……」ジーッ

響「どうした、貴音?」

貴音「貴方は響なのですか?」

響「え?」

伊織「そうね。偽者かもしれないわ」

響「な、なにを言っているんだ? 自分は我那覇響だぞ?」

伊織「確かめるためにほっぺたをつねってもいい?」

貴音「その役はわたくしめに……」

響「だ、ダメだぞっ!」

貴音「……」スッ

響「ダメだってばっ」ガシッ

貴音「……観念するのです」グググ

響「この執念はなにさ……!」グググ

ゴリ「質問すればいいだろ」

雪歩「し……しつもんですか……?」

ゴリ「あんた達しか知らない質問に答えられたら本物さー。偽者だったら急いで引き返さないと」

真「そ、そうだね」

美希「ねぇ、響」

響「?」

美希「プロデューサーの言った『あの言葉』ってなにかな?」

響「『オムレツ』」

「「「 あ、本物だ 」」」


あずさ「プロデューサーさん」

P「聞かないでくださいっ!」


川田「はい~、これから帰りましょうね~」


165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:37:49.30 ID:BBYQna03o

貴音「伊織、気付きましたか」

伊織「なにをよ?」

貴音「響の証言によって、ある矛盾が生まれました」

伊織「……あ!」

伊織「わ、私達が追いかけた……真は……!?」

貴音「悪意を感じられなかったので、見逃すことにしましたが……」

伊織「あんたあの時には知ってたのね!?」

貴音「世の中は不可思議な出来事に包まれ――」

響「貴音……それだったら、自分が偽者じゃないって気付いてたよね?」

貴音「はて?」

響「誤魔化されないぞっ!」

伊織「こ、怖くなかったの?」

貴音「もしものことがあったら、と思うと」

伊織「……そうね」

伊織「響、心配かけたんだからほっぺた差し出しなさいよ」

響「じ、自分悪くないぞ? 真にやるべき――」

貴音「……」スッ

響「だからっ!」ガシッ


千早「四条さんはどうしたのでしょうか」

あずさ「安心しているのだと思います~」


次回 響「沖縄ロケだぞゴリ衛門!」ゴリ「はぁ!?」 後編