―――― 我那覇邸
「おかえりなさい」
律子「どうしますか? みんなが寝ている内に移動させたほうが」
P「俺がホテルに行くか……」
「あ、あの~」
律子「こんなこと、言いにくいんですけど……」
P「……?」
律子「私も大人チームとして、のんびりしたいと思ったりなんかして」
P「そうだな、律子も休めてないもんな……」
律子「すいません……なんだか子供染みたこと言ってしまって」
P「こういうとき、あの人がいてくれれば……って、無い者ねだりはダメだな」
「あの~、あの人とは私の事だったら嬉しいな~と」
律子「愚痴になっちゃいましたね。幻覚が見えちゃってるので少し疲れてるみたいです」
P「いや、気にしないでくれ。実は俺もなんだ」
「……」
ゴリ「あんた誰ね?」
「ゴリさんですね。我が765プロの子達がお世話になっております」ペコリ
ゴリ「765プロ!? まだいたわけ!?」
「……え?」
ゴリ「いや、なんでもないさ。ねぇねぇは落ち着いているみたいで良かったさぁ」
「ね、ねぇねぇだなんて」テレテレ
ゴリ「あい……」
「……はっ!? わ、わたしゴリさんより年上じゃないですよ!?」
ゴリ「やっぱり765プロやっさぁ……危険な空気持ってる」
川田「帰ろうぜゴリ……今日は本当に疲れた」
ゴリ「おまえ、今日は本当に何もしてないよ?」
P律子「「 小鳥さんですか? 」」
小鳥「はい。私、765プロの事務員をしている、音 無 小 鳥 と申しますぅ」
律子「本物じゃないですかっ」ヒソヒソ
P「疑ってたのは律子も同じだろっ」ヒソヒソ
小鳥「コホン」
P「あ、えっと……めんそーれ」
ゴリ「訛りがなってないな。めんそ~れ」
P「めんそ~れ」
ゴリ「やさ」
小鳥「ようやく歓迎されたところで……話を続けますね」
P「はい」
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167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:42:17.40 ID:BBYQna03o
小鳥「今日は私が、ファンキーとグルーヴィーのチームを見てますから」
律子「……ありがとうございます」
小鳥「いえいえ。律子さんも今日はゆっくりしてください」
P「……響を起こすか」
P「響、……響」
響「……ん……」
P「ひびきー……」ユサユサ
響「んー!」バシッ
P「いて……」
千早「なにを……しているんですか?」
P「見ての通り、起こしているんだが……」
千早「……先に降りてます」ジー
P「……軽蔑の視線を受けた?」
P「春香、あずささん」
春香「……ん……なんですか?」
P「着いたから、し ず か に降りてくれ」
春香「はぁい……」
P「あずささん」
あずさ「…………はい……?」
P「し ず か に降りてください」
P「それじゃ、小鳥さん、よろしくお願いします」
小鳥「はい。任せてください」
プシュー
ブロロロロロロ
168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:44:44.64 ID:BBYQna03o
響母「今日は遅かったねぇ」
川田「名護まで足を伸ばしていたからね」
ゴリ「じゃ、帰ろうね」
P「帰る……?」
ゴリ「夜から仕事が入ってるわけよー。残念さー」
川田「また明日や~」
P「あ、あぁ……笑顔で行ってしまった」
響「くぅー……すぅ……」
響母「起きなさい、響」ユサユサ
響「んー……? あれ?」
響母「いつまでも背中で寝てたら大変でしょ」
響「んー……ごめんね、プロデューサー……降りる」
P「いいけど……どうして俺が起こすと不機嫌になるんだ……?」
千早「……」ジー
あずさ「……」
春香「……」
律子「あずささんも、春香もぼんやりしてないで、目を覚まして」
あずさ春香「「 ……はい 」」
響母「はいはい、早く中に入ってねー」
春香あずさ「「 失礼します…… 」」
響「ふぁぁ……! 懐かしい夢見たなぁ」ノビノビ
169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:45:15.22 ID:BBYQna03o
pipipipi
P「誰から……う」
千早「誰からですか?」
ピッ
P「亜美から…………もしもし」
『兄ちゃんひどいよー!!』
P「……」
『そーだよっひどいよー! 真美寂しかったんだからねー! はい、いおりん』
『ちょっと! 黙って降りないでよ! はい、やよい』
『え、えっとびっくりしましたー! どうぞ、雪歩さん』
『あ、あの……ひどいですぅ……! はい、真ちゃん』
P「なんだこれは……」
『プロデューサー、酷いじゃないですか! はい、美希』
『ミキ、ご飯いっぱい食べてやるんだから! はい』
『プロデューサー達の居ない車内はしずかで、少し寂しさを感じました。小鳥嬢、どうぞ』
『……あの』
P「はい……」
『とりあえず、不満をぶつけておきたいとのことでした』
P「そうですか……。ちゃんと受け止めましたので」
『それでは失礼します』
プツッ
P「……よし。ご飯を食べて寝よう」
千早「……」
170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:46:27.26 ID:BBYQna03o
―――― 仏間
響「おとー、春香と千早が来てくれたぞー」
春香「――。」
千早「――。」
律子「先日はお騒がせしました」
あずさ「今日もお世話になります~」
P「……」
171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:50:31.86 ID:BBYQna03o
―――― 居間
律子「もぐもぐ」
響「プロデューサー、醤油とって……」
P「……はい」
響「ありがと」
千早「もぐもぐ」
P「……今日、美ら海水族館に行ってきました」
響母「そうね。どうだった?」
P「楽しかったです」
響母「小学生か、あんたは」
P「すいません…………」
春香「あずささん、七味唐辛子を取ってくれますか?」
あずさ「はい、どうぞ」
春香「ありがとうございます」
響母「みんな疲れてるねー。なにしてたの?」
P「海洋博で結構歩いて……水族館の後に備瀬のフクギ林で鬼ごっこを」
響「楽しかったぞー」
響母「はしゃぎ疲れたってわけね。明日のためにもどんどん食べてねー」
春香「はいっ! おいしいですよっ、響のお母さん!」
響母「嬉しいさー」
千早「我那覇さんが時々ちゃんぷるー料理を作ってくださるので、それと同じくらいおいしいです」
響母「ねぇねぇ、私も我那覇だわけさ」
千早「?」
響「何が言いたいのおかー?」
律子「えっと……名前で呼んでと……いうことですか?」
響母「そうさー。響に我那覇さんって言わなくていいよー」
千早「えっ……えぇっ!?」
響母「あんた可愛いねー。響って言ってごらん」
千早「あ、あのっ……」
響「なにを言ってるかー」
あずさ「ふふ」
P「……沖縄の血ですね」
千早「えっ……っと、……えっと……」
あずさ「響ちゃん、この刺身のお魚の名前、教えてくれますか?」
響「カンパチだぞ。アニキが獲ってきてくれたさー」
春香「響ちゃん、ゴーヤちゃんぷるーおいしいね」
響「ゴーヤーはスタミナ料理だからね、たくさん食べてね」
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/12/25(火) 23:52:27.51 ID:BBYQna03o
律子「響、この小さな魚は?」
響「スクガラスだぞ。お酒の肴にいいらしいんだけど、ご飯にも合うよね」
P「響、これは初日の夜にもいただいたけど……俺、結構好きになったよ」
響「中身汁という沖縄料理には欠かせない一品で、自分も大好物だよ!」
響母「はい、あんたの番」
千早「ひ…っ……くっ」
響母「恥ずかしくないさー」
響「おかー、もういいでしょ、困ってるさー。自分もなんだか恥ずかしいぞ」
春香「ふふっ」
響母「響、あんた嫌われてるみたいだね」
千早「ち、違います! 我那……っ……響のことは……好…きですよっ」
響「て、照れるさー」
千早「うぅ……」カァァァ
あずさ「うふふ」
響母「意地悪して悪かったさ。食後にアイスあるからねー」
春香「やった♪」
律子「中身汁……しいたけも自然と食べられるわ……」
響「少しくすぐったいけど、嬉しいぞ、千早」
千早「……ぅ……うん……」
響「ご飯おかわりだよね?」
千早「……うん……ありがとう、響」
響「大盛りにするさー!」
千早「そこまでしなくてもっ」
P「……」
あずさ「……」
176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:03:54.56 ID:06fO7EOoo
―― 縁側
P「……」
響兄「いい月ですね」
P「あ、今までお仕事ですか?」
響兄「そうです。……今日は静かですねぇ」
P「みんな疲れてますから、降りてこないところをみると、すぐに眠れたみたいですね」
P「昨日はどうでした?」
響兄「少し騒がしい程度で、一昨日よりは落ち着いてましたよ」
P「……そうですか」
響兄「…………」
P「……?」
響兄「朝のラジオ、聞きましたよ」
P「あはは…………どうでした?」
響兄「ゴリさんがフォローしてくれてるな、と」
P「いつもはもっとしっかり……って言ったら変ですけど」
響兄「アレの兄だからって、気を遣わなくてもいいですよ」
P「いつもはちゃんと段取りを組んで、丁寧にこなしていくんですけど、今日は正直危なかったです」
響兄「はは……、そうですかぁ」
P「気が緩んでいるというか……。でも、楽しそうなのは感じ取れたので、リスナーにも伝わればと」
響兄「……」
P「響の新しい持ち味が見れたので、それを引き出していくのも面白いかと思います」
響兄「一杯どうですか?」
カランカラン
P「すいません、明日もありますから」
響兄「医者に止められてるとか?」
P「……え?」
響兄「……普通に喋ろうね。プロデューサーさんは一歩退がってしまうみたいさー」
P「……そんなことは」
響兄「はい、このグラス持って」
P「う……俺の分、作ってきていたんですね」
響兄「一人で寂しく月を眺めてるなぁって思ってさ」
P「あはは」
響兄「はい、乾杯」
P「乾杯」
カキン
響兄「……ごくごく」
P「……ふぅ」
響兄「……ふぅっ」
177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:05:14.89 ID:06fO7EOoo
響兄「ゴリさん達とまた飲みたいねぇ」
P「そうですね。のんびりと……」
響「ごくごく……ふぅ~」
P「このゆっくりと流れている時間は……とっても好きです」
響兄「余生はここで暮らすね?」
P「…………」
響兄「……」
P「……そうだ、お兄さんに聞きたいことがあるんですけど」
響兄「なんね?」
P「響を起こすとき、バシッと手を弾かれるんですけど、お兄さんもそうされます?」
響兄「……いや」
P「……俺だけなんですね」
響兄「……」
P「無意識に嫌われてるのかな……?」
響兄「ラジオで、兄のような人がいるって、プロデューサーさんのことでしょ?」
P「ちょっと嬉しかったりするんですけど……うぅーん?」
響兄「……あぁー……」
P「?」
響兄「手を弾かれるのって、沖縄に着いてから?」
P「……そうです……かね? 響が寝てるとこってあまり見たことなくて……、
起こすのは俺じゃない時もあるし……」
響兄「……十中八九だけど、心当たりあるさー」
P「教えてくれますか?」
響兄「おとー、さ」
P「え……、えぇー……」
響兄「ショックだわけ?」
P「いえ、光栄なんですけど。……兄を通り越して親……複雑です……」
響兄「真面目な話、響を女性として見たことあるね?」
P「えっ!?」
響兄「……」
P「真面目な話……ですよね」
響兄「そうさ」
P「…………」
178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:06:47.26 ID:06fO7EOoo
P「ステージや、仕事で輝く響にドキドキすることはあります。
それは、響だけじゃなく……。はい」
響兄「……ふむ」
P「……だけど、それはアイドルとしての魅力なのかな、と」
響兄「……」
P「苦しくても努力して、今までの自分を乗り越えていく姿を見てるから、
人として、とても尊敬する部分があります」
P「だから、女性というより、まず先にくるのがアイドルなんですね」
響兄「難しいさ」
P「そうですね。難しいなぁ……」
P「人として尊敬している部分を好意に変えてしまうと、
アイドルとしての彼女達を上手く引き出せないような気がするんです」
響兄「……」
P「俺は……不器用なので、みんなに苦労かけています……。
だから、アイドルとしての彼女達を見守っていることが成功の近道なのかと」
P「これは……彼女達に一番失礼なことをしているかもしれない」
響兄「いや……」
響兄「娘のいいところをたくさん見つけて……ってヤツじゃないかな。だからお父さんだわけさ」
P「そ、そうなんですか……」
響兄「響が小さい頃におとーが亡くなってさ。
それまでおとーが響を起こす度に、うるさいなぁーって感じで手を払ってたよ」
P「……!」
響兄「だから、雰囲気が似てたんだねぇ」
P「雰囲気?」
響兄「なんでもないさ。プロデューサーさん、今の話聞いてて思ったけど」
P「は、はい」
響兄「それ、事務所の子達、全員に当てはまってないでしょ」
P「え……?」
響兄「最初の――それは、響だけじゃなく――の後に、誰かの顔が浮かんだよね」
P「……」
響兄「その人がプロデューサーをアイドルとしてじゃなく、
一人の女性としてもドキドキさせてるんじゃない?」
P「――!」
響兄「図星みたいだね。沖縄方言で胸(チム)どんどんって言うさー」
P「ち、違っ……」
響兄「早く飲んで、グラスを空にしないと寝かさないよ」
P「うぅ……ゴリさんと同じだ……!」
響兄「そうね?」
P「そうですよ……!」
響兄「響には可哀相だけど、強制はできないさ」
P「……」
響兄「俺は安心したよ。これからもよろしくね、プロデューサーさん」
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:10:03.73 ID:06fO7EOoo
P「…………」
響兄「酒が美味しいさ……ごくごく」
P「忘れて進んでいて欲しい……かな」
響兄「ん? なんて……?」
P「いえ、なんでも……ごくごく」
響兄「変なこと聞くけどさ」
P「?」
響兄「プロデューサーさん、健康診――」
「んー、アニキー?」
響兄「響か……?」
響「プロデューサーに迷惑かけるなー」
P「起こしてしまったか……?」
響「ううん……そんなにうるさくないけど、気になって眠れな……ふぁぁ」
響兄「明日もライブだろ? 早く寝ろよ」
響「明日は一日オフさー……たくさん遊ぼうね、プロデューサー……」
P「そんなとこに座らないで、部屋に戻るんだ、響」
響「まだ日付越えてないからいいさー」
P「目が半分閉じてるぞ」
響「大丈夫だぞー」
律子「ちょっと、響……こんなところで寝ないの……!」
響「寝てないぞー」
P「律子まで降りてきたのか……」
千早「……」
春香「なんですかっ、まだなにかあるんですねっ?」
P「千早と春香まで……。大人チームは午前のライブがあるんだから、体を休めないと」
律子「ほら、起きて」
響「自分は明日オフだぞ律子ー」
律子「夜更かししないっ」
千早「響が出て行って話し声が聞こえたから……」
春香「同じくっ」
P「春香、落ち着こうな。起きてたのか?」
律子「しずかに寝ようとしていたんですけど……」
春香「なんだか、疲れてるのに目が冴えちゃって……」
P「あずささんは寝てるんだな……ほら、部屋に戻って――」
あずさ「すいません、降りてきちゃいました」
P「あぁ……!」
180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:10:44.16 ID:06fO7EOoo
響母「なんね、まだ起きてたの?」
あずさ「すいませんお母さん、中々寝付けなくて」
千早「私もです……」
響母「クワンソウ茶淹れようね」
律子「あ、すいません」
春香「くわんそう……って、なんですか?」
響兄「寝付けない時に飲むお茶さ」
律子「昨日、お子様チームはこれを飲んで静かになったの」
P「ぜひっ!」
響母「はいはい、あんたにも飲ませてあげるさ~」
P「あ、いえ……俺にはお兄さんが作ってくれた……」
響「どれどれ、どんな味?」
P「待てっ!」グイッ
響「うがっ!」
P「こんな時間に野生化は困る」
響「野生化ってなんだ?」
あずさ「ごくごく」
P「えぇー!?」
千早「あ、あずささんっ!?」
律子「……明日……大丈夫かしら」
P「あ、ああ……あずささん……」
あずさ「ふぅっ」
P「どうして……!?」
あずさ「うふふ、プロデューサーさんが遠慮してらっしゃるので~」
P「意味がわかりませんよ……!」
あずさ「……ちょっと、強いですね」
P「日本酒とは違うんですよ?」
あずさ「あらあら~」ポワァー
P「律子」
律子「はい、任せてください」
響兄「……プロデューサーさんにはそっちが必要みたいだねぇ」
P「え……?」
三日目終了
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:14:08.89 ID:06fO7EOoo
四日目
―――― 律子・千早・春香・あずさ・響の個室
チュンチュン
チュンチュン
律子「ん…………」
千早「すぅ……」
律子「メガネ……」
春香「すやすや」
律子「……あれ?」
―――― 台所
律子「……おはようございます」
響母「はい、おはよう」
律子「響とあずささんを見ませんでしたか……?」
響母「あい……、さっき起きてきて…洗面所から戻ってきて……どこか行ったね」
律子「……どこへ……行ったの……あの二人……?」
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:15:24.52 ID:06fO7EOoo
―――― 個室
律子「千早、春香」
春香「ぅ……ん……おぁぃぉざい…す……」
千早「すぅ……」
律子「千早……、ほら千早」
千早「……う……ん」
律子「……ふぁぁ…………眠くなってくるわね」
春香「くぅ……」
千早「すぅ……」
律子「あ、あれ……? ほら起きなさい!」
春香「ふふふ……すぅ」
千早「やっ…た……すぅ」
律子「笑ってるし、何を達成したのよ……起きるの!」
春香「……え? …………ゆ…め……?」
千早「…………」
律子「はい、おはよう」
春香「なんだ……夢か……」
千早「くっ……」
律子「どんな夢だったか、忘れないうちに聞かせてもらいましょうか」
春香「プロデューサーさんがオムレツを食べてました」
律子「どこが面白いのか理解しかねるわね……。千早は?」
千早「……今日も頑張りましょう、律子」
律子「わかった、聞かないでおくわ」
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:20:27.97 ID:06fO7EOoo
―――― 台所
春香千早「「 おはようございます 」」
響母「おはよう、千早、春香」
春香「えへへ、なんだかお家にいるみたいですね」
千早「二人はまだ……?」
響母「外に出てはいないと思うんだけどね」
律子「まさか……!」
春香「まさか?」
律子「いや……まさかね」
千早「……」
―――― プロデューサーの部屋
「そんな……まさか」
「そのまさかかもしれないじゃない」
「いくらなんでもそれは……」
P「……ん……? 律子たちか……廊下で何を……」
響「くぅー」
あずさ「すぅ……」
P「……」
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:22:50.38 ID:06fO7EOoo
コンコン
「プロデューサー、起きてますか?」
P「あ、あぁ」
「失礼しまーす」
「ちょ、ちょっと春香」
「春香、いくら私達の間柄でも、勝手にドアを開けるのはよくないわよ」
「そ、そうですね」
あずさ「くぅ……すぅ……」
響「すぅー」
P「???」
「あの、つかぬことをお伺いしますが」
P「あぁ、あ? え?」
「プロデューサーさん、どうしたんですか?」
「まるで現状を把握するのに時間がかかってるみたいな声ですけど……」
「やけに的確な表現ね千早……」
響「すやすや」
あずさ「すぅ……すぅ……」
P「俺……クビ……だよな……うん」
「なんだか様子がおかしいですよ、律子さん」
「あの、開けてもいいですか?」
「予想はほぼ的中……」
P「待ってくれ。あずささんと響がいるんだけど、引かないでくれ」
ガチャッ!
律子春香千早「「「 …… 」」」
あずさ「……ん……ん?」
響「くぅー」
P「長い間ありがとうございました。
765プロで培った経験をこれからの人生の柱にしていきたいと」
春香「……うん、見なかったことにしよう」
律子「あずささん、しっかり起きてください」
あずさ「あ、あら……ここは……?」
P「ほら、響……俺の退職挨拶を聞くんだ」ユサユサ
響「んー!」バシッ
P「はい……このような結果になってしまったことを深く反省し」
律子「寝ぼけてるのと若干のパニックとが混ざってる……」
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:24:30.87 ID:06fO7EOoo
―――― 居間
響母「あんたよ、もっとしっかりしなさい」
P「……はい」
響母「ほら、たくさん食べて、今日も頑張りなさいね」
P「いただきます」
「「「 いただきまーす 」」」
響「プロデューサーが寝ぼけてるところ初めてみたさー」
あずさ「私もです~」
律子「あの、二人のせいでパニックになったんですけど……」
春香「起こしに行って寝ちゃうなんて、ミイラ取りがミイラになっちゃいましたね」
千早「夢を見ましたか?」
P「いや、二人の顔をみた瞬間忘れた」
響「どうして夢の話を聞いたの?」
千早「二人の間で見る夢はとてもいい夢に違いないと」
P「……」ズドーン
律子「ちょっと、千早! 精神に負担をかけること言わないのっ」
あずさ「うふふ、私もいい夢を見ることができました~」
春香「このアーサー汁、とってもおいしいですっ、お母さん!」
響母「おばぁ直伝の味さ、たくさん食べてねー」
響「ぬちぐすいだよね!」
律子「?」
響母「美味しい料理を食べたときのうちなーぐち。命の薬って意味さ」
P「命の薬……」
あずさ「……」
千早「……」
P「……うん、おいしい」
――…
P「さて、出発するけど、忘れ物無いな?」
千早「大丈夫です」
あずさ「はい、……えっと……はい」
律子「春香は?」
春香「一度、ホテルのフロントへ行って来ます」
律子「わかったわ」
P「それじゃ、北谷に戻って、一日のスタートだ!」
「「「 はいっ 」」」
響「今日もみんなと遊びまくるぞー!」
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:25:45.62 ID:06fO7EOoo
―――― 北谷
春香「急がなくちゃ!」
タッタッタ
春香「プロデューサーさんに電話――」ガサゴソ
ドンッ
春香「ふぎゃぅ」
「……っとぉ?」
春香「いつつ……」
「……テメエ」
春香「す、すいません」
ゴリ「こんな早くに北谷に来なくてもよかったんじゃないか……」
川田「俺も今思った……」
ゴリ「ところでよ、宜野湾に上陸するって話聞いたか?」
川田「あぁ、聞いた聞いた。全国展開するって噂だったけど、マジだったんだな」
春香「本当に本当にすいません!」ペコリ
「……謝ればいいってことじゃねえんだよ」
春香「うぅ……」
伊織「春香、あんたは控え室に急ぎなさい」
春香「伊織…………本当にっ! すいませんでした!」
タッタッタ
「……ちっ。……ろくでもねえな」
伊織「……」
「前見て歩くよう、注意しとけ」
伊織「……なによ」
ゴリ「地元企業も頑張ってるな」
川田「だからよ、サンエー、かねひで、メイクマン、いいよいいよー」
ゴリ「俺達も頑張ろうって気になるからな。……メイクマン?」
川田「やさ」
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:27:05.35 ID:06fO7EOoo
「ぶつかってきたのはあっちなんだよ!」
伊織「どうせあんたもボンヤリしてたんでしょ!」
ゴリ「……ケンカか?」
川田「みたいだな」
ゴリ伊織「「 …… 」」
「てめえ……いい加減にしろよな……!」
ゴリ「して、今日はどこいくか?」
川田「午後から斎場御嶽だろ。ひめゆりの塔に行くか?」
「おい! 聞いてんのか!?」
伊織「ちょっと待ってて」
「は?」
タッタッタ
伊織「ねえ、ちょっと」
ゴリ「なにか?」
川田「……?」
伊織「私、男の人に絡まれてるんだけど」
ゴリ「……うん」
伊織「男の人に怒鳴られているんだけど」
川田「……うん」
伊織「…………」
ゴリ「垣花樋川もいいあんに?」
川田「ああ、いいな。そこで涼んでいけるし」
スタスタ
伊織「ちょっとちょっと」
ゴリ「なにか?」
川田「朝の挨拶か? 礼儀正しいさ」
伊織「そうじゃないわよ。……助けなさいよ!!」
ゴリ川田「「 必要ないだろ 」」
伊織「か、か弱い女の子に向かってそれはないでしょ!?」
ゴリ川田「「 …… 」」
伊織「面倒って顔してるんじゃないわよ!!」
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:28:18.24 ID:06fO7EOoo
「おい、アンタら」
ゴリ川田「「 なにかー? 」」
「765プロと仲良くしてるじゃねえか」
ゴリ「あー、そういうことか……はっさ、にぃにぃ、大変だけど、頑張ろうね」
「はぁ?」
「僕たち先に行ってるからねー」
「チャオ☆」
伊織「なによ、頑張ろうって」
ゴリ「にぃにぃも俺達の撮影に参加したいんだろ?」
「……撮影だと?」
川田「細かい事はマネージャーを通せばいいさ。俺達は大歓迎よ」
ゴリ「プロデューサーは分かる男だから問題ないさ。1時間後にジャコス前に集合な」
「話進めてんじゃねえ!」
ゴリ「友達になりたいんだろ? 恥ずかしがることないさー!」
「勝手に俺の性格を作ってんじゃねえよ!」
真美「ゴリー! なにしてんのー!?」
亜美「あまとうも一緒だー!」
甘党「あまとうって呼ぶな!」
ゴリ「じゃあ後でやー」
スタスタ
甘党「おい、話はまだ終わって……!」
亜美「あまとう達はどこのステージなのー?」
真美「ルートビアって差し入れ持って行くよー!」
甘党「あれよりオレンジだろ!」
伊織「かきのはなひーじゃーってなによ、ヤギの料理?」
ゴリ「日本名水百選に選ばれている湧き水さーって、なんでここにいる?」
伊織「後は亜美達に任せるわよ」
ゴリ「あの子寂しそうだから、友達になってあげなさいね」
伊織「余計なお世話よ。あんた私の親なの?」
川田「平和記念公園を歩くのもいいか……うーん」
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:30:26.58 ID:06fO7EOoo
―――― ライブ会場・控え室
響「金木犀……?」
亜美「そうだよー、あまとうとお喋りしてたんだよん」
P「あぁ……木星……じゃなくてジュピターな」
ゴリ「プロデューサーとあのにぃにぃは仲がいいだろ? 何度か話してるの見てるさ」
P「いえ……仲がいいわけでも」
川田「これを機に仲良くなればいいさー」
伊織「……」
小鳥「どうしたの、伊織ちゃん」
伊織「別に。バカ二人に付き合ってると、こっちまでバカらしくなってきただけよ」
小鳥「?」
『『『『 迷わず歌えPrime word 』』』』
『『『『 Vault that borderline 』』』』
\ ワァァアアアア!!! /
P「一曲目が終わったか……」
響「みんな楽しそうだぞ」
『ふぅっ、暑いですね~』
『本当に。会場のみなさんも、水分補給忘れないでくださいねー』
『律子さん気が回りますねー』
『……この熱気は凄いです』
『えっと、私も水分補給をしてきます。ちょっと待っててくださいね~』
『ちょっ、ちょっとあずささん!?』
『わざわざ控え室に行かなくても……』
P「……え」
あずさ「会場は凄い盛り上がりですよ~」
P「どうぞ」
あずさ「ありがとうございます~」
ゴリ川田「「 自由だな 」」
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:31:17.36 ID:06fO7EOoo
あずさ「それでは、行ってきますね、プロデューサーさん」
P「は、はい」
やよい「頑張ってきてください! あずさねぇねぇ!」
あずさ「はいはい~、頑張ってきます~」
『美ら海水族館で、私、イルカに乗せてもらっちゃいました♪』
『春香、イルカショーは海洋博よ』
『あ……そうでした……えへへ』
『お待たせしました~』
『それでは、あずささんも戻ってきたことですし、二曲目いきましょう!』
『聞いてください! 自分REST@RT です!』
P「小鳥さん、午後の青春チームのライブ、よろしくお願いします」
小鳥「はい、分かりました。私も青春時代を思い出して……」
P「……」
小鳥「あぁ! 逆算しないでくださいプロデューサーさん!」
P「してません……」
響「ライブが終わったら、お昼ごはんを食べて観光地に行くぞー」
ゴリ「……嫌な予感がするんだけど」
川田「口にするな」
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:32:26.50 ID:06fO7EOoo
―――― A&W・牧港店
川田「はい予感的中! 四日連続、四度目! エンダー!」
ゴリ「おまえのせいだろ!」
冬馬「お前達が行きたい店を聞いたんじゃねえか!」
亜美「もぉー! なんであまとうに聞いちゃったの真美ー!」
真美「亜美も聞いたっしょー!」
伊織「というより、どうして同行してんのよ……」
あずさ「まぁまぁ、いいではありませんか。たちつてとうま君もご一緒で」
春香「さっきはすいませんでした、たちつてさん!」
冬馬「いい加減名前覚えろよ、お前ら!」
ゴリ「名前は合ってるさ」
店員「響ちゃん!」
響「あはは…はは……また来たさー……」
P「響、笑顔がぎこちないぞー……」
やよい「私は全部のメニューを制覇したいくらいですー!」
千早「昨日のバスで食べたもの以外を……。その……や、やよい……?」
やよい「なんですか、千早さん」
千早「くっ……」
やよい「?」
律子「やよい、耳を貸して」
やよい「なんですか?」
律子「ごにょごにょ」
やよい「わかりました」
千早「どうしたの?」
やよい「フレッシュべジバーガーがお勧めですよ、千早ねぇねぇ!」
千早「店員さん、それをお願いします!」パァァ
P「華やいだな……」
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:33:59.87 ID:06fO7EOoo
冬馬「おい……!」
P「四日連続はどうかと思ったけど、結構楽しめるもんだな」モグモグ
やよい「私は毎日でもいいかもですー!」
千早「そうね、そうよね!」キラキラ
あずさ「伊織ちゃん、それは?」
伊織「オニオンリングよ。食べたかったら、どうぞ」
あずさ「それではお一つ」
律子「私ももらうわね」
冬馬「ちょっと待て……!」
ゴリ「うるさいやっさ。なんね?」
亜美「うっしっし」
冬馬「俺は……オレンジを……頼んだはずだ……!」カァッ
響「顔真っ赤だぞ……それほど怒ってるのか……」
P「いや、恥ずかしいんじゃないかな」
冬馬「どうして……ルートビアなんだ……!」カァァ
真美「説明しよう!」
春香「お願いします」
真美「私があまとうの分を注文したからであーる!」
冬馬「くぅ……やっぱりお前か……!」
ゴリ「あとでブルーシールアイスを食べさせてあげるさー。怒らんで」
冬馬「トリプルだからな」
ゴリ「おまえ甘党か!?」
川田「765プロより扱いやすいやっさ……」
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:01:49.14 ID:ROsQ0okFo
―――― バス内
冬馬「なんだよ」
P「……いや、別に」
冬馬「それなら撮るんじゃねえよ」
P「いや、これも仕事なんだ。わかってくれ」
冬馬「ふん……」
亜美「亜美はダブルで精一杯だよー」
真美「真美なんてシングルだよー」
亜美真美「「 それなのに…… 」」
千早「トリプルなんて……よく食べられますね」
冬馬「うるせえ」
千早「プロデューサーですらシングルアイスなのに、恥ずかしくないんですか?」
冬馬「恥ずかしいと思うから恥ずかしいんじゃねえか」
千早「どうして同行してるんですか?」
冬馬「金持ってきてねえんだよ、帰れないんだよ。忘れたんだよ」
千早「バス内の空気が変わってることに気付いてますか?」
冬馬「変えてるのはお前だろ?」
千早「そうかもしれませんね。率直に言いますと、あなたがここにいるからなんです」
冬馬「俺を拉致したプロデューサーに言えばいいだろ」
千早「言葉が悪いと思います。控えてください」
冬馬「生まれつきなんだよ」
千早「どうしてここにいるんですか」
冬馬「こっちが聞きてえよ。なんで俺がここにいんだよ」
千早「歩いて帰ればいいと思います」
冬馬「午前のライブで疲れてんだよ。というか、土地勘が無いんだから無茶言うな」
千早「タクシーに乗って、到着先で払ってもらえばいいじゃないですか」
冬馬「……」
亜美「ここで試合終了! あまとうのケーオー負けです!!」
真美「いやー、千早ねぇねぇの弾丸攻撃に怯むことなくげーげきしておりましたがー」
亜美真美「「 あえなく撃 沈! 」」
ゴリ「解決策見つかって終わったな」
川田「なんであんなに攻撃的か?」
ゴリ「あぁ……週刊誌にあったな……」
川田「あれか……確かにそう簡単には解決できないな」
P「……そうなんですけど。でも、今の千早はそれじゃなく、今が問題なんです」
やよい「わぁー、伊織ちゃん! いろんなお店が並んでるよー!」
冬馬「うまいなこれ」
千早「替わってくださいっ」
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:02:42.19 ID:ROsQ0okFo
律子「やよいの隣に座ってるからなんです」
P「本人たちはあまり関係ないので……」
ゴリ「……ふむ」
川田「はい~! ただ今このバスは国際通りを進行中です~! 降りてみたいですか~?」
伊織「面白そうな店があるわね」
響「いろんなお土産があって楽しいぞー」
あずさ「あらあら、赤ちゃん」フリフリ
春香「プロデューサーさん、ハブ酒ですよ! ハブ酒!」
P「……おぉ、ハブがそのまま……って、よく見えるな」
川田「はい~! 停まることなくこのバスは世界文化遺産の斎場御嶽へ走ります~!」
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:04:45.44 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・入り口
川田「はい、到着しました~! ねぇねぇの憧れの場所!」
千早「ここが……」
P「入場券買って来る」
あずさ「あの入り口にあるのはなんでしょう?」
ゴリ「世界遺産に登録されましたって記念碑さ」
冬馬「まるでブランドだな」
春香「駐車場は車がいっぱいだね~」
伊織「結構人気スポットなのね」
響「全国放送で紹介されたりしてるからね」
やよい「あ、プロデューサーが呼んでますよー」
亜美「それじゃーパワーを貰っちゃおうかな?」
真美「これからの真美達の活躍のためにもメッチャ吸収しちゃうかんね!」
律子「……聖域なのに、こんなに賑やかでいいのかな」
199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:07:14.80 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・御門口
川田「天気雨があったみたいですね~、滑るので足元に注意ですよ~」
千早「……」
伊織「石の階段のくせに、どうして滑るのよっ」
冬馬「特にお前、気をつけろよ」ジロ
春香「うわわわっ」
律子「は、春香っ」
冬馬「言った傍からかよ」
ゴリ「はい、お子様チームは手を繋ぎなさい」
亜美「一人が転んだら全員転んじゃうよ?」
ゴリ「大丈夫、他人を巻き込むほどの滑りじゃないから」
やよい「はい、真美」
真美「はいよー、はい、ひびきん」ギュ
響「うん。はい、亜美」ギュ
亜美「はいよん。はい、いおりん」ギュ
伊織「こ、これくらい平気なんだけど……しょうがないわね」ギュ
冬馬「ふん……足腰を鍛えないから滑るんだろうが」
伊織「うるさいわね。さっさと歩きなさいよ」
P「こうして……」
律子「後ろから見ていると……」
ゴリ「お子様チームの追い込み漁だな」
あずさ「まぁまぁ、大物ですね~」
冬馬「誰が獲物だよ!」
伊織「余所見してると滑るわよ」
冬馬「おまえらと一緒にする……うぉッ」ズルッ
ゴリ「……」
亜美「……」
真美「……」
やよい「え、えっと……」
伊織「ひ、響、あれはなんなの?」
響「あ、あれがガジュマルだぞ」
P「き、キジムナーを思い出すなぁ」
冬馬「笑えよ……頼むから……!」
あずさ「きゃっ」ズルッ
P「あずささんっ」スッ
あずさ「は、はいっ」ギュ
200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:08:05.43 ID:ROsQ0okFo
あずさ「ふぅ~……ビックリしましたぁ」
P「こっちは血の気が引きましたよ……」サァー
あずさ「うふふ、すいません」
P「いえ……」
響「なるほどなるほど」
伊織「……ふん」
真美「きゃあ、にいちゃん」
P「いや、棒読みなんだが……」
真美「りありてーが足りなかったかー」
律子「ほら、向こうから人が来たわよ、遊んでないで道を開けなさい」
真美「はーい」
P「千早の姿が見えなくなった……」
律子「置いて行かれましたね。プロデューサーはあずささんのエスコートをお願いしますね」
P「あ、あぁ……」
あずさ「お願いしますね」ギュ
P「……はい」
201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:09:56.78 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・大庫理(うふぐーい)
川田「ここがうふぐーいといいます~」
千早「あの、私だけでしょうか」
川田「?」
千早「空気が重いというか、なんというか……」
川田「斎場(せいふぁー)とは『霊威の高い聖なる場所』という意味です~」
千早「霊威……」
川田「青森の恐山をイメージするといいよ」
春香「あ、パンフに書いてあるよ、千早ちゃん」
千早「春香、現地の人の言葉で聞いたほうがいいと思う」
春香「……そうだね……うん、そうだね!」
川田「待って、俺もそのパンフで得た知識だから」
千早「沖縄の訛りで解説してくださると、この場の雰囲気が増して、とても有難いのですが」
川田「おじさん、張り切って解説しようねぇ!」ウキウキ
ゴリ「川ちゃんが乗ってるさぁ。解説聞きたい人はー」
亜美「亜美にも感じるよ……この……えっと……えっと……あれが!」
伊織「どれなのよ」
律子「鬱蒼としてるわね……」
やよい「まるでジャングルですよね……」
真美「あまとう、どうしたの、あまとう?」
冬馬「二回も呼ぶんじゃねえ……なんだか、重くねえか?」
真美「この星が?」
冬馬「そこまで壮大な話じゃねえよ」
P「……あずささんはどうですか?」
あずさ「そうですねぇ……空気が重いのは感じます」ギュ
スタスタスタ
ゴリ「はい、素通りでした」
川田「御嶽(ウタキ)は女性しか入れない聖域ってのは知ってるさ?」
千早「はい」
春香「書いてありました!」
川田「神の声を聞く神女として、琉球国王より権威があったわけですね~」
千早「それほど、沖縄の……琉球の信仰心は深く根付いていたわけですね」
響「ふむふむ」
202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:11:35.22 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・砲弾池
やよい「池がありますよ」
ゴリ「戦争の砲弾で大きく窪んだところに出来た池さぁ」
亜美「大きな窪みだね……」
律子「そうね……」
―――― 斎場御嶽・寄満(ゆいんち)
真美「ここは特別な場所っぽいね。どういうとこなのかな?」
冬馬「俺が知るかよ……ちょっと待ってろ」ペラペラッ
伊織「えっとね……首里城に行ったでしょ?」
真美「うん」
伊織「この場所と同じ名前の部屋、まぁ、台所ね。首里城の台所ってわけ」
真美「うん?」
冬馬「パンフレットによるとだ、このセイファーウタキという場所は……」
冬馬「琉球王国でも……首里城と同じくらい重要な場所とされていたらしい。まぁ、今もか。
それで首里城内と同じ部屋の名前が付けられてるんだとよ」
真美「ほぉ」
伊織「む……。えっと、ここには国内外の美味しい食べ物が集まったからユインチといったらしいわ」
真美「ゆいんち?」
冬馬「寄り満つるって意味だ。寄ってきて集まるんだよ、沢山の食べ物がな。
台所には食べ物が集まってくるだろ? だからここもそう名付けたんじゃねえかな」
真美「なるほどね!」
伊織「なんなのよあんた!」
冬馬「なんでキレてんだよ!」
P「どうしてケンカしてるんだ……」
あずさ「まぁまぁ、勉強になりますね~」ギュ
203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:13:54.20 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・三庫理(さんぐーい)
P「あずささん、そろそろ……」
あずさ「……?」ギュ
P「……手を」
あずさ「あ……」
P「……」
あずさ「うふふ、ありがとございました」
P「いえ……」
亜美「激写!」
ピロリン♪
P「こら!」
亜美「あら、決定的瞬間が撮れてないですぞ」
響「本当だ、ただ並んで映ってるだけだぞ」
あずさ「うふふ、よく撮れてますね~」
真美「さぁ、もういっちょいこうか、兄ちゃん」
P「神聖な場所なんだから、遊んでちゃダメだぞ」
伊織「す、凄いわよ! 早くこっちに来なさいよプロデューサー!」
P「ど、どうした!?」
伊織「ほら見なさいよ!」
あずさ「まぁ……」
P「……岩が真っ二つ……!?」
伊織「綺麗に割れているわ……!」
あずさ「岩と岩が寄りかかるように……素敵です~」
千早「岩と岩の三角の洞門……やはり、実物と写真では違いますね」
川田「あい、あんまり感動してないね」
律子「いえ、表情を見慣れてないと気付けませんが、かなり感動していますよ」
川田「じゃあ、おじさん、張り切って解説しようね!」ウキウキ
やよい「よろしくお願いしまーっす!」
川田「この洞門は約1万5千年前に起こった地震の断層のズレからできたと言われています~」
204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:15:13.35 ID:ROsQ0okFo
亜美「これやったの……亜美なんだよね」
ゴリ「すごいなぁ。どうしてこんなことしたんでしょぉ」
亜美「ちょっとね、真美とケンカしちゃってさぁ」
ゴリ「八つ当たりはいけないさぁ」
亜美「ほんの出来心というやつでさぁ」
ゴリ「1万5千年前にそんな力を持っていたのかぁ、ほぉぉ」
真美「真美、その時生まれてないよ?」
亜美「そう、真美はその時生まれてないんだよぉ」
ゴリ「じゃあおまえも生まれてないなぁ」
亜美「ところがだぁ、ゴリー君」
ゴリ「なんでしょぉ」
亜美「ふかのーをかのーにする装置を来年開発する予定でさぁ」
ゴリ「そりゃすごいぃ……にぃにぃ、代われぇ」
冬馬「あぁ? 何で俺が」
亜美「おっとぉ、これはまだ極秘じこーなんで、あんたも狙われることになりやすぜぇ」
冬馬「まだ続けるのか、はやくオチを言えよ……」
亜美「もぉ! やっぱりあまとうはダメだよダーメ!!」
タッタッタ
冬馬「な、なんだよ……」
ゴリ「はっさ、もっと頑張りなさい」
冬馬「…………釈然としねえ」
亜美「兄ちゃん、これやったの……亜美なんだよね」
P「いや、聞いていたが……」
あずさ「うふふ」
「おーい、プロデューサー!」
やよい「あ、響さんが手を振ってます。奥に行けるみたいですよ」
P「行ってみるか」
川田「奥に行くと、ある島を見ることができます~」
伊織「島……?」
真美「凄いねー」
亜美「凄いよねー、本当に三角のくーかんだもんねー」
あずさ「岩のトンネルですね~」
律子「本当に……凄い場所なのね……」
205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:17:17.58 ID:ROsQ0okFo
―――― 斎場御嶽・久高遙拝所
響「ここ、ここから久高島が見えるんだぞ」
P「くだかじま?」
響「神の島って呼ばれてるんだ。ほら、あの島!」
P「あれが……神の島」
亜美「ほぉーあれが、かの国ですかぁ」
真美「昔はもっと大きかったんじゃがのぉ」
律子「何を言ってるのよ」
やよい「み、見えないです、プロデューサー……!」ピョン
P「こっちの石に……これ踏んでもいいのかな……」
響「うーん……拝所は石が重要だったりするから、踏まないほうがいいぞ」
P「うがんじゅ?」
響「神様を拝む場所のことだぞ」
亜美「ほら、兄ちゃん、屈んでよ」
P「う、うん……?」
真美「ほら、やよいっち」
やよい「え?」
伊織「肩車よ」
Pやよい「「 ゑッ!? 」」
あずさ「やよいちゃん、失礼するわね~」ギュッ
やよい「あ、あずささん!?」
あずさ「プロデューサーさん、いきますよ~、よいしょっ」
P「…………大丈夫か、やよい」
やよい「うぅー、恥ずかしいですー」
伊織「あれが神の島……ねぇ」
P「ど、どうだ?」
やよい「はい、見えます」
P「そうか」
やよい「……」
P「……」
やよい「……海が綺麗です」
P「そうだな……」
やよい「……なんだか、不思議な気持ちになります」
P「……そうか」
響「あ、向こうから春香たちが手を振ってるぞ」
亜美「おーい!」
真美「こっちおいでよー!」
律子「千早の視線がいささか鋭いのは気のせいかしら」
206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:19:51.76 ID:ROsQ0okFo
やよい「プロデューサー、行きましょー」
P「こ、このままか?」
やよい「えへへ、なんだか楽しいです」
P「やよいがそれでいいなら……」
あずさ「うふふ」
亜美「兄ちゃん、あずさお姉ちゃん、こっち向いてー!」
響「あはは、なんだかおかしいぞ!」
P「?」
あずさ「うふふ」
やよい「あ、いぇい!」ブイッ
ピロリン♪
冬馬「なにやってんだ、あんた……」
川田「あいえーなー」
ゴリ「親子だな」
やよい「視線が高くて、面白いですー!」
P「……まずい、他の観光客にも笑われてる」
千早「……」
P「……」
千早「私達も見てきましょう、春香」
春香「う、うん……どうしたの千早ちゃん、溜息交じりなんだけど……」
P「また軽蔑された……?」
伊織「ここで終わりなの?」
ゴリ「まだ奥にあるわけさー」
伊織「寄満(ゆいんち)よね?」
ゴリ「あ、行ってきたわけ? それじゃー全部回ったことになるや」
亜美「そっかー」
律子「それじゃ、しばらくはのんびりしますか」
やよい「プロデューサー、あっち、あのショウニュウセキのところお願いします!」
P「……そろそろ降りないか、やよい」
やよい「えへへ、もう少しだけお願いしますね!」
P「……珍しいな」
真美「これは何?」
響「チイタイイシだって」
あずさ「壺の水量によってその年の豊凶を占っていたそうですよ」
亜美「水占いですな」
響「沖縄は水が生命線だからね、水にまつわる話はたくさんあるよ。羽衣伝説も!」
伊織「羽衣伝説は日本全国にあるわよね」
207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:21:46.46 ID:ROsQ0okFo
やよい「もう少しで触れそう」
律子「や、やよい、ダメよ?」
やよい「はい、止めておきますね」
真美「あずさねぇねぇもなにか水で占いできるのー?」
あずさ「いえ、もう占いはいいんです」
P「え……」
亜美真美「「 えぇ!? 」」
律子「……」
あずさ「なんて、言ったらどうしますか?」
P「……亜美真美と同じくらい……それ以上にビックリします」
あずさ「……そうですか」
P「…………そういえば、占い雑誌を見てないですよね」
あずさ「うふふ」
P「え……本当に占いを当てにしなくなったんですか?」
あずさ「はい。しばらくは当てにしないでみようかと」
P「それはまたどうして」
あずさ「運命を自分でつかまえるためですよ」
P「……」
やよい「あの、プロデューサー、手を貸してくれますか?」
P「あ、あぁ。降りるのか?」
やよい「はい」
P「屈めばいいだろ……?」
やよい「真さんのようにアクロバティックに降りてみようかと」
律子「だ、ダメよやよい!?」
P「あ、あずささん、やよいを」
あずさ「は~い、失礼~」ギュッ
やよい「うぅー」
伊織「どうするつもりだったの?」
やよい「プロデューサーの手を合わせて前転するの」
伊織「やよいは真や響とは基本的に違うんだから」
響「プロデューサー、今度は自分を肩車して欲しいぞ」
P「いくら響でもそれはさせないって……」
208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:23:56.04 ID:ROsQ0okFo
春香「プロデューサーさん、ユインチに行きませんか?」
P「いいよ、行こう」
川田「しずかなねぇねぇは?」
ゴリ「まだ久高島を眺めてるさぁ」
やよい「私もユウエンチに行きます!」
P「やよい、全然違うから、千早に解説してもらってきなさい」
やよい「わかりました!」
亜美「亜美もー!」
伊織「しょうがないわね」
冬馬「俺らここで待ってるからな」
P「わかった。少し待っててくれ」
あずさ「律子さん、綺麗な蝶々が飛んでいますよ」
律子「あ、本当ですね」
響「あれはオオゴマダラと言うんだぞ」
春香「プロデューサーさん……、ハブですよ……、ハブ……」
P「何を言って……え――」
ハブ「シュルルルル」
春香「」
P「」
「プロデューサーさ~ん」
P「!」
P「あずささん、来ないでください」
「は、はい……?」
響「ハブ太郎……大人しく帰るんだ」
ハブ「シュルルルル」
春香「」
P「は、春香……少しずつ、俺のところに移動してこい……」
春香「」
P「春香……!」
響「怒っちゃ駄目だぞ……ハブ太郎……いい子だから、ね」
ハブ「シャー!!」シュッ
P「春香ッ!」ガバッ
春香「!!!」
ゴリ「マングース!」ブンッ
バシュッ
ハブ「シャー……」
キラン
209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:26:21.21 ID:ROsQ0okFo
P「……え?」
春香「あわわわ、プロデューサーさーん!!」ギュ
P「飛んで行った……!?」
響「とても興奮してて……あ、危なかったぞ……」ヒンヤリ
ゴリ「よかったさ……この聖なるガジュマルの枝で九死に一生を得たね」
P「大丈夫だから、……ゴリさんが追い払ってくれたから」
春香「ここ、怖っ、こここ怖かったですよーっ」ガクガク
ゴリ「間に合わなかったからフルスイングさぁ……逆にそれが良かったかもしれん」ブンッ
律子「なにがあったの……?」
響「ハブが春香を狙ってて……プロデューサーが庇ったけど、ゴリ衛門が追い払ったんだ」
律子「は、ハブ……」サァー
響「……なにもできなかったぞ」ションボリ
P「いや、響が声をかけてくれたから冷静になれた……」
「きゃー! ハブよー!」
「あまとうー! なんとかしてよー!」
「犠牲はつきものだよ!」
「押すな! ってか、逃げろよお前ら!!」
「だぁ、人類のマングースを連れてこようね」
ゴリ「あっちにも出たのか!?」
響「自分も行くぞ、ゴリ衛門!」
タッタッタ
春香「うぅ……! あずささん、怖かったよぉ!」ブルブル
あずさ「だいじょうぶよ~」ナデナデ
P「……ハァ……本当に危なかった……」
律子「何も無くて本当に良かった……」
P「あずささんも、ありがとうございます」
あずさ「……?」
210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:27:42.03 ID:ROsQ0okFo
「どこか!?」
「あっちよ!」
「ハブ三郎~、あれ?」
「よし、このマングースに任せれ……って、これ偽者やし!」
「へへー、ドッキリでしたー」
「おまえら!」
「まぁ、あんたは私達を庇ってくれたわよね。少し見直してあげなくもないわ」
「あまとう株が急上昇だよー」
「うるせえよ! 犠牲にされるってすげえ嫌だぞ!」
「ゴリさん何を持っているんですかー?」
「ハブさぁ」
「あー、真美達が買ってたおもちゃですねー!」
「神聖な場所で、遊ばないでください」
「そうだぞ、ゴリ衛門」
「遊んでたの、俺じゃないだろ……」
P「騒がしくなってきたか……」
律子「サッと行ってサッと帰りますか」
あずさ「そうですね~」
春香「……ぐすん」
211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:30:18.37 ID:ROsQ0okFo
―――― 駐車場
やよい「楽しかったですね、プロデューサー!」
P「うん。……どうした、やよい?」
やよい「なにがですか?」
P「肩車してから、様子が変と言うか……」
やよい「えへへー、ほーむべーしっくなのかもしれませんねー!」
P「ホームシックか……全然そうは見えないが……」
千早「……」
亜美真美「「 またまたぁ~、はるるんったら、もぅ 」」
春香「ほんとにハブがいたんだよー!」
冬馬「おい、携帯電話貸してくれ」
P「いいけど、お前の仲間の番号知らないぞ」
冬馬「いや、俺の電話にかけるんだ」
やよい「あ、落としたんですねー」
冬馬「ちげえよ。そうだとしたら引き返してるだろうが」
やよい「あぅ……そうですよねぇ……」ションボリ
千早「……」カチン
P「ケータイも忘れてきたのか」ピッピッピ
冬馬「悪いかよ」
P「悪いだろ……貴重品持たないってどうなんだ、ほら」
trrrrr
冬馬「……北斗か? 俺だ。……今、どこにいるんだ?」
千早「もしもし、真? 忙しいところ悪いんだけど……」
響「どうしたんだ、千早……真に電話?」
冬馬「コザ? ……遊んでんじゃねえ……いや、すまん。俺も遊んでたわ」
千早「ほら、前に見せてくれた映画で……そう、首をトンとやって気絶……、
違うの、ゴリさんに試すわけじゃないから安心して」
P「ちょっと待つんだ千早」
冬馬「……そうだな、打ち合わせは夜に……あぁ、すまん。まぁ……なんだ、そっちも楽しんでくれ」
ピッ
212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:33:17.54 ID:ROsQ0okFo
千早「……そうね、私が悪かったわ。……えぇ。でも一矢報いるつもり」
ピッ
冬馬「ほらよ」
P「……」
冬馬「どうした?」
千早「――!」
トン
冬馬「……? なんだ今の?」
千早「やはり、今の私では……」
P「ほら千早、見てみろ」
千早「はい……」
やよい「凄かったよねー、岩が綺麗に割れているなんてー!」
伊織「地震の断層……とても神秘的だったわね」
ゴリ「早くバスに乗れ」
亜美「それっ、ひっつき虫アタック!」シュッ
真美「それっ」シュッ
ゴリ「……早く、乗れって……言ってるだろっ」シュッ
亜美「なんのっ」サッ
やよい「わっ……な、なんですか、これ?」
ゴリ「センダングサの種、別名ひっつき虫……いいから早く乗って」
伊織「なんでそんなに付いてるのよ、的なの?」
ゴリ「そうです、って、そんなわけないだろ。……はい、乗って乗って」
やよい春香「「 それーっ 」」シュッ
ゴリ「乗れって言ってるだろ、おまえ達よ!!」
律子「春香、一応命の恩人なのよ……?」
213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:34:11.25 ID:ROsQ0okFo
千早「……すいません。私……怒りに我を忘れていたようです」
P「仲間想いの千早だから、その気持ちはわかる。……けど、それじゃ駄目なんだ」
千早「…………」
P「千早の歌声をみんなに届けることで、その想いを伝えていって欲しい」
千早「……」
千早「はい!」
P「……よし。もう悪い心は捨て去ったな」
千早「私はセイファーウタキへ来て、また一つ大切なものを見つけられたようです」
P「そうか……!」
響「感動したぞ、自分っ」
冬馬「こんなところでもミュージカルの稽古か?」
P「やよいはお前の口の悪さに慣れてないんだから、もう少し優しくしてやってくれないか」
冬馬「……善処する」
pipipipi
ピッ
P「もしもし……大丈夫だ、真」
やよい「プロデューサー、行きましょー!」
214: 【プロデューサーがアイス代を支払いました】 2013/02/09(土) 00:35:53.92 ID:ROsQ0okFo
―――― バス内
冬馬「ほらよ」
やよい「え?」
冬馬「さっきは悪かったな。その侘びだ」
やよい「えっと……プロデューサー……」
P「……またアイスだけど、気持ちも一緒に受け取ってやってくれ」
やよい「あ、ありがとうございます」
冬馬「……ふん」
やよい「……」
千早「……」
やよい「あの、一人じゃ食べきれないので、一緒に食べてください、千早ねぇねぇ」
千早「うんっ」パァァッ
あずさ「まぁ……!」
律子「何か掴んだわね、千早」
川田「はい、ここで選んで貰います~!」
伊織「なによ、いきなり」
川田「玉泉洞と、平和記念公園&ひめゆりの塔、どっちに行きたいですか?」
亜美「ぎゅくせんどーってどこ?」
ゴリ「ギョクセンドウ、鍾乳洞で有名。この時間ならエイサーも間に合うさー」
律子「えいさー……?」
ゴリ「旧盆の先祖供養の集団舞踊さー。太鼓持ってドンドンするよー」
亜美「亜美センサーは玉泉洞が一歩リードしました」
真美「ひめゆりの塔は……あれだよね、さとうきび畑の唄」
響「ひめゆり学徒隊の慰霊碑がひめゆりの塔、
戦争の犠牲者が眠るのは平和記念公園だね。二つを同じにしてさとうきび畑の唄かな」
真美「そっか」
伊織「戦争とテーマパークね……」
春香「うーん……」
あずさ「プロデューサーさんはどちらに行きたいですか?」
P「…………」
あずさ「……」
P「そうだな、テーマパークに――」
ゴリ「沖縄の死生観を知っておいたほうがいい」
P「……え」
律子千早「「 ――! 」」
ゴリ「……と思っただけさー。自分で決めて」
P「…………」
あずさ「……」
215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:36:25.32 ID:ROsQ0okFo
亜美「に、兄ちゃん?」
真美「どうしたの?」
やよい「?」
P「死生観……」
ゴリ「てぃだの光に照らされた所ばかりが沖縄じゃないよ。戦争の悲惨さも含めて今の沖縄さー」
響「……」
P「…………」
ゴリ「どうするね?」
P「俺は――」
※ ― プロデューサーの選択 ― ※
※ ― プロデューサーの選択 ― ※
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:37:00.72 ID:ROsQ0okFo
―――― 駐車場
美希「バスはどこ……?」
小鳥「えっと、ここでいいのよね」
真「あ、あれ?」
雪歩「ど、どうしてっ?」
貴音「なんと……」
冬馬「なんだおまえら」
真雪歩「「 えぇーっ!? 」」
P「みんな揃ったな」
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:39:48.45 ID:ROsQ0okFo
―――― おきなわワールド
ドォン! ドォン!!
P「……」
響「自分も踊りたくなってくるさー!」
やよい「……」
伊織「……」
亜美「……」
真美「……」
冬馬「まぁ、しょうがねえか」
ゴリ「おじさんも若い頃は青年会に入って踊ってたさー!」
小鳥「……えいさーですか」
貴音「勇ましいですね」
美希「お子様チームがしずかなの」
雪歩「ど、どうしたのかな……っ…」
律子「色々あってね。……これがエイサーなのね」
真「かっこいいなぁ……なんだか勇姿って感じで!」
千早「活力が漲って……」
ドォン! ドォン!!
川田「季節限定の踊りだけど、ここは毎日披露されてるさー」
春香「なんだか、太鼓の音が胸に直接響いてくるよね、やよい」
やよい「……そうですね……」
伊織「先祖供養の舞踊って言ってたわよね」
ゴリ「やさ。送迎の心をもって旧盆時期に踊って、先祖の霊に見てもらうわけよ」
響「自分も上京するまでは毎年踊っていたんだぞ」
春香「響ちゃんも太鼓を持って踊ったの?」
響「そうだぞ。手踊りでもよかったんだけど、太鼓を叩きたかったからね!」
真「響のイメージ通りだよね」
ドンドン! ドンドンッ!
真美「……ひびきんの踊ってるところ見てみたいな」
亜美「…………うん」
響「自分も見てるとなんだかウズウズしてきたぞ」
やよい「胸にどんどんっって……響いてくる」
春香「……うん!」
P「……太鼓の力強い音を受けていると、勇気付けられるな」
あずさ「……」
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:42:12.04 ID:ROsQ0okFo
―――― 鍾乳洞・入り口
ゴリ「何人いるば?」
P「全員で18名です」
ゴリ「団体だな……全員が同時に入れないさ」
川田「じゃあ、グループに別れて入るか」
P「そうですね」
冬馬「どうやって決めるんだよ?」
ゴリ「……任せなさい」
亜美「暑い……暑いよゴリー! アイス買ってよー!」
ゴリ「一日に何度も食べると虫歯になるでしょ、我慢しなさい」
真美「虫歯はやだよねー」
伊織「中は涼しいんでしょ? 時間も無いんだからさっさと案内しなさいよね」
ゴリ「ここには18人いるからよ。全員が同時に入ったら大変さ」
響「じゃあ、どうするの?」
ゴリ「グループに分けます。お子様、青春、大人、後は……事務員のねぇねぇを加えた男性チーム!」
小鳥「え!?」
「「「 えぇーッ! 」」」
亜美「ちょっと待ってよゴリー!」
伊織「私達から離れて楽しようってんじゃないでしょうね」
ゴリ「当たり前さ!」
伊織「開き直るんじゃないわよ!」
美希「なになに、どうしたの?」
真美「ゴリーが兄ちゃんを独り占め!」
真「ゴリさんには譲れませんよ!」
貴音「真に、真に同意です」
ゴリ「ふざけるな! たまには男同士でのんびりゆっくりさせて! 楽しそうだからお願い!」
伊織「どうしてそこまで必死なのよ」
雪歩「そ、それじゃあ、あみだくじかなにかで……」
ゴリ「ならんならん! 時間もないから! 俺は譲らん! 早く入れ!」
雪歩「うぅ……そ、それならじゃんけんで」
ゴリ「時間が無いってば! 17人でプロデューサーの取り合いとかしてると閉店するだろ!」
雪歩「そ、それじゃ、えっと……えっと」
春香「雪歩、頑張って!」
真「頑張れ雪歩ー!」
冬馬「なんで俺もプロデューサーの取り合いに参加してんだよ」
雪歩「そ、それなら――」
ゴリ「ダメ! もう時間切れ! 受付は終わりました!」
雪歩「ひ、ひどいですぅっ!」
219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:44:48.68 ID:ROsQ0okFo
あずさ「あの……非常に言いにくいことなんですけどぉ……」
ゴリ雪歩「「 ? 」」
あずさ「プロデューサーさん、小鳥さんと響ちゃん、やよいちゃんを連れて入りましたよ」
「「「 えぇーッ!? 」」」
真「今までの言い争いってなんだったの……」
雪歩「がーん……」
律子「あ、あずささん……どうして黙って見送っているんですか……?」
あずさ「やよいちゃん、少し怖がっていました」
律子千早「「 あ…… 」」
あずさ「小鳥さんは話があるそうなので……。そういうわけで……えっと……」
ゴリ「はい、適当に入って」
伊織「さっきまでの熱意はどこにいったのよ!」
亜美「えっと、14人を三チームでいいのかな?」
春香「あの……たちつてさんも……一人で中に……」
真美「それじゃ、13人だね」
春香「あ、そこは重要じゃないんだね……」
川田「俺はパス。目がかゆい」
ゴリ「じゃあ出口で目薬さして待っとけ!」
伊織「しょうがないわね。私が選んであげるわ」
美希「それじゃあね、春香と、真美、律子…さんは私と行こ?」
春香「うん」
真美「あいあいさー」
律子「そうね、時間も無駄にできないわ」
スタスタ
伊織「……そ、それじゃあ次は」
真「貴音と千早、亜美はボクと一緒でいい?」
貴音「承知しました」
千早「えぇ」
亜美「まこちんなら、たとえショウニュウセキが落ちてきても守ってくれるよね!」
スタスタ
220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:46:23.37 ID:ROsQ0okFo
伊織「……」
ゴリ「……どんまい」
伊織「うるさいわよ」
雪歩「うぅ……選んでくれなかった……っ」
あずさ「えっと、ゴリさんと雪歩ちゃん、伊織ちゃんは私とお願いしますね」
伊織「ふん、それじゃさっさと入るわよ」
ゴリ「待って、リーダーはねぇねぇだから。勝手に仕切らないでいただきたい」
あずさ「はいはい~、頑張らせていただきます~」
伊織「リーダー?」
あずさ「そうですねぇ、やはり最年長ですから。うふふ、リーダー、お引き受けいたします」
ゴリ「最年長って、俺を無視してるところが気に入った。じゃあ入ろう」
伊織「何言ってんの? リーダーは私に決まってるじゃない」
ゴリ「は?」
伊織「みんなのアイドル伊織ちゃん♪ かしこく綺麗で何でもできちゃう」
ゴリ「……」
伊織「なんなのその顔文句あるわけ?」
ゴリ「当たり前さ」
雪歩「あ、あの、私ダメな娘ですけど、お茶と仕事のことは真剣です!」
ゴリ「はぁ?」
雪歩「み、みんなのリーダーとしてがんばります!」
ゴリ「いや、なに? 撮影してないところで頑張らないでくれんか?」
あずさ「まぁ、どうしましょう?」
伊織「にひひっ、私がリーダーなのは当然よね」
雪歩「あのぅ、私は」
ゴリ「じゃあ、俺がリーダーな」
伊織「あんたは黙ってて!」
ゴリ「時間の無駄やっさぁ!」
あずさ「そうですね、みんながリーダーですね」
伊織雪歩「「 みんな? 」」
あずさ「はい」
伊織「なるほど」
雪歩「みんな同じだね」
あずさ「一致団結したところで」
あずさ雪歩伊織「「「 さあ、行きましょう 」」」
ゴリ「俺だけ団結から外れてるだろ」
221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/09(土) 00:47:26.35 ID:ROsQ0okFo
あずさ「長い階段ですね」
伊織「絶対に転げ落ちないでよね」
ゴリ「おう」
伊織「絶対だからね」ワクワク
ゴリ「命に関わる無茶振りは止めろって言ったよな?」
雪歩「降りるにつれて、冷たくなってきました……」
あずさ「あ、ヒンヤリとしてきたわ」
伊織「外はそれなりに暑いっていうのに……地下は凄いのね」
ゴリ「水も流れてるからな」
雪歩「見てください。東洋一洞という場所です……」
あずさ「綺麗ね~」
222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:52:00.10 ID:BwYxpTVpo
―― 小鳥 ――
P「……そうなんですか」
小鳥「はい」
P「千早にとっても、重要な分岐点ですね」
小鳥「このことは?」
P「今は伏せて……明日の最終日までは今のままでお願いします」
小鳥「いいんですか? 千早ちゃんの尊敬してる方が近くにいるんですよ」
P「千早は、今、沖縄の文化をたくさん吸収しています。それがステージにも反映されてて、
それをストップさせてしまうのはもったいないと思います」
小鳥「……わかりました」
P「二人とも、このことは千早だけじゃなく、他のみんなにも内緒な?」
やよい「わ、わかりました」
響「……うん」
P「イヤか?」
響「ううん……ちょっと寂しいかなって……思っただけだぞ」
P「……そうだな」
P「よし、仕事の話はお終い。観光を楽しもう」
やよい「は、はい」
小鳥「やよいちゃん大丈夫……?」
やよい「だ、だいじょうぶです。もう怖くありません」
響「入り口付近の東洋一洞も凄かったけど、この昇龍の鐘も凄いよね」
やよい「あ、あの大きなのがそうなんですか?」
小鳥「そうよ、看板がほら」
P「龍が昇っていく様……ということか」
小鳥「くしゅっ!」
P「だ、大丈夫ですか?」
小鳥「汗で体が冷えちゃったみたいで」
やよい「失礼しますね」ピト
小鳥「ありがとう、やよいちゃん。暖かいわ」
やよい「私もです」
小鳥「嗚呼……」ホンワカ
響「あ、真たちも来たぞ」
真「追いつきましたよー。いきなりいなくなるんですからビックリしましたよ」
P「長くなりそうだからさっさと入ったんだ」
千早「それが賢明かと」
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:55:17.70 ID:BwYxpTVpo
貴音「福徳の百年目。ここでげぇむをしましょう」
亜美「どーすんのお姫ちん!」
貴音「お互いのちぃむから一人だけ、とれぇどをいたしましょう」
P「さっきチームを作ったばかりじゃないか……」
小鳥「はないちもんめの要領ね」ワクワク
響「それやってる時間もスペースも無いぞ……?」
貴音「それぞれのちぃむから、掛け声とともに求める人物を掌で向けるというるぅる」
真「たなごころ?」
千早「手の平のことね」
貴音「それではよろしいですか?」
P「半ば強制なんだな」
P「それじゃ……貴音の掛け声とともに、いいな」
響「わかったぞ」
貴音「決~まった」
千早「やよ――小鳥さんが欲しい」
真「小鳥さんが欲しい」
亜美「兄ちゃんが欲し……あれ?」
貴音「小鳥嬢を希望します」
小鳥「亜美ちゃんが欲しい……私ですかっ!?」
P「真が欲しい……」
響「千早が欲しい!」
やよい「貴音さんが欲しい」
貴音「こちら側は決まりましたが、そちらは分かれましたね」
P「この場合は?」
貴音「非常に名残惜しいですが、流れ試合となりました」
亜美「兄ちゃんじゃないの?」
千早「小鳥さんと話をしたかったから」
貴音「わたくしもです」
真「うん……ボクも」
小鳥「あ、あれ? なんだか……せつない……」
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:59:08.46 ID:BwYxpTVpo
―― 冬馬 ――
冬馬「あいつら、……いつまで駄弁ってんだよ……」
「あ、あのすいませんっ」
冬馬「?」
「わ、私、あなたのファンなんですっ」
冬馬「……そうか。……ありがとな」
「しゃ、写真を撮ってもらってもいいですかっ!?」
冬馬「あぁ……」
「そ、それじゃこのケータイでお願いしますっ」
冬馬「いいけど…………って、俺が撮るのかよ!?」
「綺麗に撮ってよあまとうっ!」
冬馬「あまとうって呼ぶやつは二人しかいねえ……。ふざけやがって」
真美「ふはは! かかったな、このあまとうめー!」
冬馬「てめえ……!」
真美「あまとうが怒ったー」ササッ
律子「そりゃ怒るわよ……」
春香「あ、あはは……真美は私の上着と帽子被ってますし……薄暗いから気付きませんよね」アハハ
冬馬「気を遣うのは止めろ……!」
美希「あふぅ、……あれ? プロデューサーたちだ」
P「長居して悪かったな、俺達進むから」
律子「あ、いえ……ごゆっくり」
響「はないちもんめ、しないの?」
真美「面白そー、やろやろー! あまとうは観客ね!」
冬馬「誰が観戦するかよ……」
スタスタ
美希「はないちもんめ?」
~ 解説中 ~
小鳥「きーまった」
やよい「律子さんが欲しい」
P「春香を希望」
響「美希が欲しい!」
小鳥「律子さんが欲しい」
美希「やよいが欲しいの!」
春香「小鳥さんが欲しいっ!」
真美「兄ちゃんが欲し……あれ?」
律子「小鳥さんが欲しい……」
P「今度は成立したな。律子さんと小鳥さんをトレードか」
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:10:25.73 ID:BwYxpTVpo
―― あずさ ――
あずさ「ここは初恋広場というんですね……」
伊織「ねぇ、昇龍の鐘……忘れてるんじゃないの?」
雪歩「あ……そ、そうかも……っ」
ゴリ「ねぇねぇの言うとおり右に行ったのが間違いだったな」
あずさ「初恋は実らないっていいますよね。はい」
伊織「なにを納得してるのよ?」
あずさ「私の初恋は高校時代の先輩だったんです」
伊織「へ、へぇ……」
あずさ「先輩に告白をされて……一度だけ交際をしたことが」
ゴリ「なんで語り始めたば?」
雪歩「わ、わかりませんっ」
あずさ「でも……緊張のせいで……上手く喋ることができず……一日で振られちゃいました……」
伊織「その男が果てしなくバカなのよ」
あずさ「……」
ゴリ「えー、好きな人だったんでよ? 言いすぎだろぉー?」
伊織「な、なによ」
あずさ「結局、私の初恋は実りませんでした」
雪歩「…………」
ゴリ「プロデ」
伊織「ッ!」ゲシッ
ゴリ「あっがぁ……なんねぇ?」
伊織「考えなさいよ……! 男は本当にバッカよね!」
ゴリ「……すいません」
雪歩「あ、あの……あずささんは……」
あずさ「はい?」
雪歩「……その……今…誰か……好きな人って……」
あずさ「…………えっと」
響「あずささん達見つけたぞー」
P「……あ、あれ? どうして追い越されてるんだ?」
律子「階段を降りてきて右に曲がったようですね」
P「あずささんの意思ですか」
ゴリ「やさ」
あずさ「……」
やよい「……あずささん?」
あずさ「な、なぁに?」
やよい「手であおいでますけど、暑いんですか?」
あずさ「えっと、違うのよ~?」
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:12:34.44 ID:BwYxpTVpo
響「はないちもんめするさー!」
あずさ「はないちもんめ?」
~ 解説中 ~
響「決~まった!」
P「雪歩を希望」
やよい「あずささんが欲しい」
律子「あずささんが欲しい」
響「あずささんが欲しい!」
あずさ「ぷ……ぷろりゅ……っ」
伊織「律子が欲しい」
あずさ「さ…サー……さんが……っ」
ゴリ「プロ」
伊織「ッ!」ゲシッ
ゴリ「あがっ…………自由が欲しい」
あずさ「ほ……ほしっ……いっ」
雪歩「り、律子さんが欲しい……!」
伊織「はい決定」
律子「あっちへ行ったり、こっちへ来たり」
伊織「ねぇ、律子……昇龍の鐘は見たの?」
律子「見たけど。あなた達はまだなのね……一度戻りましょうか」
ゴリ「……面倒見がいいね、メガネのねぇねぇは」
雪歩「そ、それでは……失礼します……」
あずさ「雪歩ちゃん」
雪歩「は、はい?」
あずさ「……」コクリ
雪歩「ふふ、やっぱり」
スタスタ
やよい「どうしたんですか、あずささん?」
あずさ「うふふ、今はまだ内緒~」
やよい「?」
響「あずささんも昇龍の鐘、見てないよね」
あずさ「そうなのよね~」
P「俺達も戻るかぁ……」
冬馬「まだこんなとこに居たのか、おまえら」
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:15:01.18 ID:BwYxpTVpo
―― 真 ――
真伊織「「 あ…… 」」
貴音「あずさは……?」
律子「うまくトレードしてきたわ」
貴音「もう少し時間がかかると思いましたが、殊の外……」
雪歩「そ、そういう計算だったんですね……!」
ゴリ「はい! はないちもんめしよう!」
千早「すいません。もう必要ないのでやりません」
ゴリ「そうか、うん……。やっぱりにぃにぃを引き入れればよかったさぁ」
亜美「あれ? 兄ちゃん達も引き返してきたよ?」
伊織「追いつかれる前に、さっさと行きましょ」
律子「そうね。……それじゃ、足元に気をつけてね」
貴音「はい。そちらもお気をつけて」
雪歩「し、失礼しますぅ……」
ゴリ「ここって入り口が近いんだよな……」
伊織「あんた地上に戻る気!? いい加減楽しみなさいよ!」
ゴリ「……ごもっともです」
スタスタ
真「なんだかんだで、伊織も楽しそうだなー」
P「い、伊織……」
亜美「どうして戻ってんのー?」
あずさ「私が……えっと、鐘のなんとかを見過ごしてしまって」
千早「昇龍の鐘ですね」
あずさ「そう、それね」
P「あずささん、興味無かったり……するんですか?」
あずさ「いえいえ、長い時間をかけて生まれた物には興味ありますよ~」
P「……これから何を見に行くんでしたっけ」
あずさ「え~と……そうですね……龍の鐘ですよね」ペラペラッ
P「パンフレット見て確認しないでください……!」
響「うーん……噛み合わないなぁ」
やよい「……」
千早「行きましょう」
貴音「そうですね。亜美、真、わたくしたちは参りましょう」
亜美「はいよん」
真「それじゃあね、響」
響「うん、後でね」
228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:16:05.88 ID:BwYxpTVpo
―― 美希 ――
美希「あれ、響達も戻ってきたんだね」
響「うん」
小鳥「仲睦まじい親子ですか!?」
P「違います」
あずさ「うふふ」
やよい「えっと……」キョロキョロ
やよい「私が子供ですか!?」
響「プロデューサーとあずささんの間に居るから、そう見られるのも当然だぞ」
やよい「当然なんですか!?」
春香「元気でてきたね、やよい」
小鳥「ほんとに、良かった」
真美「よーし、今度こそ兄ちゃんをいただくよん!」シャキーン
P「決~まった」
真美「兄ちゃんが欲しい!」
春香「やよいが欲しい!」
P「美希が星井……なんて」
あずさ「美希ちゃんが欲しい……ほしい……星井!」
やよい「あずささんよく気が付きましたねー! 私気付きませんでしたー!」
響「……プロデューサー」
P「いや、その」カァァ
真美「行こうか、はるるん」
春香「そうだね。みんなゲームのことなんて、どうでもいいんだよね」
美希「この温度、冬眠には丁度いいの」
小鳥「ダメよ、美希ちゃん。夏はすぐそこなんだから」
―― 冬馬 ――
冬馬「……」
スタスタスタ
冬馬「…………」
冬馬「ここ、一人で歩くとこじゃねえよな」
229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:18:19.64 ID:BwYxpTVpo
―― 真 ――
亜美「あまとう発見……」
真「あれ? あんなところでなにしてるんだろ?」
千早「動かないところをみると……気に入った風景があるのかもしれない」
貴音「それでは、邪魔をせずに通り抜けましょう」
亜美「いつも絡んでばっかりじゃ悪いもんね」
千早「そんな事は無いと思うけど」
真「今はそっとしておこうか」
貴音「……」
―― 美希 ――
真美「あまとう発見……」
春香「どうしたんでしょう?」
小鳥「じっと見つめてるから……お気に入りの景色なのかもしれないわ」
美希「誰かを待ってるんじゃないの?」
春香「声をかけてみようか?」
真美「いつも絡んでばっかりじゃ悪いもんね」
春香「あ、そっか……そうだね」
小鳥「今はそっとしておきましょうか」
―― 伊織 ――
伊織「なにしてるのよ、あれ……」
ゴリ「にぃにぃか?」
雪歩「う…動きませんけど……」
律子「気に入った場所なのかもしれないわ。そっとしておきましょう」
ゴリ「いやいや、俺達を待ってたのかもしれないさ」
律子「……今回の撮影に無理やり付き合せている形なので。一人の時間が欲しいのかもしれません」
ゴリ「一言くらい声をかけたほうがいいんじゃないか?」
雪歩「で、でも……楽しい時間なのかも……」
ゴリ「あぁ、深海みたいな?」
雪歩「うぅ……! それを言わないでください!」
伊織「バカやってないで、進むわよ。もちろん無視ね」
230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:19:32.85 ID:BwYxpTVpo
―― あずさ ――
あずさ「どうしたんですか?」
冬馬「くぅ……心が痛え……!」
P「なにがあったんだ……」
響「どうしたー?」
やよい「嫌なことでもあったんですか……?」
冬馬「一人で歩くのもつまらないから、一緒に行ってやるよ」
あずさ「そうね、一緒に行きましょう~」
冬馬「こういう時だけ気を遣うんだよな……あいつら」
P「?」
冬馬「いや……なんでもねえ」
響「プロデューサー、あれが身代わり観音だぞ!」
やよい「気が遠くなるほどの時間が……ですよね」
P「そうだな。ずっとここで……」
あずさ「……悠久の……時の流れですね」
冬馬「人間には耐えられねえ時間だな」
P「悟った……?」
―― 真 ――
真「結構歩いたね~」
貴音「真に、どれほどの距離を歩いたのでしょうか」
千早「5千メートルと、パンフレットにはあるけど」
亜美「そんなに歩くの!?」
千早「そろそろ、白銀のオーロラにたどり着くから……出口は近いと思う」
亜美「よかったぁ。綺麗なんだけど、喉が渇いちゃったよ~」
貴音「ここは水分補給ができませんから、潤すのも困難ですね」
真「時間が創り出した芸術……だよねぇ……!」
亜美「まこちん、それお姫ちんが言った台詞っしょー?」
真「いやー、その言葉通り、芸術だよなーと思ってさ」
千早「本当に……」
231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:20:36.78 ID:BwYxpTVpo
―― 美希 ――
美希「す、すごいの」
小鳥「これは……絞り幕と呼ばれているそうよ」
春香「自然が作り出した……」
真美「ひほーだねぇ」シミジミ
―― 伊織 ――
伊織「ここは?」
ゴリ「見ての通り青の泉さぁ」
雪歩「さ、魚が泳いでますよ……」
律子「あら、本当」
伊織「ふぅん」
ゴリ「ほら、あれ見なさい」
伊織「なによ? ひねくれ地蔵?」
ゴリ「あんたのことさぁ」
伊織「……?」
ゴリ「……」
伊織「どういう意味よ?」
ゴリ「……」
律子「……」
雪歩「……」
―― あずさ ――
あずさ「あら、ここで終わりでしょうか?」
P「そうみたいですね。あとは階段を上って、地上へ戻るだけのようです」
響「暗くて、結構歩いたけど楽しかったさー」
やよい「たくさんのショウニュウセキがありましたねー!」
冬馬「5キロも歩いたのか」
232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:23:08.67 ID:BwYxpTVpo
―――― お土産屋
P「ここに繋がっているのか……」
千早「来ましたね」
響「お待たせー」
春香「はい、やよい。さんぴん茶だよ」
やよい「ありがとうございます。喉がカラカラでしたー」
雪歩「プロデューサーもどうぞ」
P「ありがとう」
真「あずささんも、はい」
あずさ「ありがとう、中は涼しいけど結構歩くからね」
伊織「響もほら」
響「ありがとー、伊織」
亜美真美「「 あまとうもどうぞー 」」
冬馬「……おう」
やよい「ごくごく」
あずさ「ふぅ~」
響「やっぱり沖縄といえばさんぴん茶だよね!」
P「喉が潤ったな」
冬馬「もぐもぐ……これ、ただのクッキーじゃねえな」
ゴリ「ちんすこうさ」
貴音「渇きが加速されたことでしょう」
冬馬「……おい」
亜美「はい、パイナップルだよ。潤うよん」
冬馬「爪楊枝で持ってくるなんて、意外といいとこあるじゃねえか……ぱくっ」
冬馬「――ッ!?」
真美「パイナップルのカステラだよ」
冬馬「パイナップル入ってねえじゃねえか……!」
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:24:04.47 ID:BwYxpTVpo
冬馬「ッ……けほっ!」
ゴリ「口の中の水分、全部奪い取っただろうな……」
伊織「ほら、武士の情けよ。これを飲みなさい」
冬馬「ミルクコーヒー、練乳入り……!」
伊織「嫌なら飲まなくてもいいのよ~?」
P「……すまん、これを飲んでくれ」
冬馬「……ありがとよっ。敵しかいねえ!」
P「水を欲してる人になんてことするんだ」
亜美「いやぁ、カステラをそのまま食べるとは思わなかったよ」
冬馬「色だけで判断してしまったぜ……なんてことしやがる」
真美「真美たち、意外と信用されてるんだね」
律子「その信用を裏切ったのよ?」
美希「おいしいね」モグモグ
千早「試食品、食べすぎよ美希……」
小鳥「あ……」
響「ピヨ子、どうしたの?」
小鳥「シロ蛇との記念撮影に間に合わないかも……」
234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:25:39.69 ID:BwYxpTVpo
―――― 白蛇記念撮影場
P「す、すいませーん!」
係員「はい……?」
P「……さ、撮影…っ……間に合いましたかッ!?」
係員「はい、大丈夫ですよ」
P「す、すいません、引き上げていたところを無理に」
真「ふぅー、ぎりぎりセーフ!」
響「間に合ったぞー」
係員「いえいえ。えっと……三名様ですか?」
P「…………18名です」
係員「じゅ、18……?」
響「ダメ…?」
係員「いえいえ、どうぞ~」
春香「ふぅっ、ま、間に合ったぁ」
亜美「とうちゃーっく!」
雪歩「はぁっ……はぁっ……!」
律子「だ、大移動ね……はぁっ」
真美「まるでムーだよね!」
やよい「それをいうなら……はぁー」
伊織「ヌーでしょっ……どうして昨日に続いて走っているのかしら……」
美希「もぅ! 疲れたのぉー!」
貴音「おや……?」
千早「ふぅ…………プロデューサー」
P「あぁ…分かってる。あずささんが居ないんだな!?」
小鳥「付いてきてるものだと……」
235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:26:48.56 ID:BwYxpTVpo
―――― お土産屋
店員「ありがとうございました」
あずさ「うふふ」
ゴリ「え、なんで買い物してるか?」
あずさ「シーサーですよ」
ゴリ「何を買ったのか、じゃなくてさ……、みんな走っていったよ?」
冬馬「のんびりしてていいのかよ」
あずさ「そうですね。そろそろ向かいましょう」
スタスタ
ゴリ「待って! そっちじゃない!」
あずさ「あら?」
川田「ふぅ~、まーさん、まーさん」
ゴリ「して、お前は一人で何を食べてたば?」
川田「沖縄ソバをずるずるっとな!」
ゴリ「わじわじぃするやっさぁ」
冬馬「さっさと行こうぜ」
ゴリ「だから、ねぇねぇ! そっちじゃないってば!」
あずさ「……えっと、撮影所は……?」
冬馬「帰りてえ……」
ゴリ「俺達の気持ち分かってくれたか。俺はとても嬉しいよ」
川田「やさやさ」
236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:27:59.31 ID:BwYxpTVpo
あずさ「……?」
P「はぁっ……はぁ……ここにいたんですか、あずささん……ふぅ」
あずさ「探しに来てくれたんですね、プロデューサーさん」
P「あれ、ゴリさん達と一緒じゃ……?」
あずさ「そこのお土産屋さんに……あら」
P「いませんよ……?」
冬馬「ちっ、早く行けよ」
川田「記念撮影に邪魔はできんさぁな」
ゴリ「だからよ、若い者同士写ればいい。にぃにぃ、犠牲になれ」
ドンッ
冬馬「お、おい!」
P「そんなところにいたのか、みんな待ってるぞ」
冬馬「俺は写らない方がいいだろ」
P「そういうな。みんなでここに来た記念だ」
冬馬「……」
P「ゴリさん達は?」
冬馬「あっちに隠れてる」
「えー! にぃにぃ、ばらさんけー!」
冬馬「俺だけ写れるかよ」
P「あずささん、俺達も急ぎますよ……!」
あずさ「変わった石ですね~、いし……がん……とう……? (石敢當)」
237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:29:29.81 ID:BwYxpTVpo
―――― 白蛇記念撮影場
響「へび五十郎は大人しくていい子だね」ナデナデ
へび「シュルル」
春香「ひ、響ちゃん……よく首に巻けるよね……!」
やよい「うぅ、怖くないのかなー……」
係員「すいません、もう少し中心に寄っていただけますかー?」
千早「……っ」
真「ほ、ほら、伊織っ」
伊織「ちょ、ちょっと! そう言うなら代わりなさいよ!」
真「へ、へびは苦手なんだよっ」
伊織「大抵はそうよっ」
響「大丈夫だぞ、ほら、触ってみて」
真「う、うわ、近づけないでよっ」
美希「……」ソォー
へび「シュル」
美希「うぅ……無理なの」
小鳥「白蛇は縁起のいい動物として信仰の対象になっているのよ?」ナデナデ
へび「シュルルルル」
律子「小鳥さん……意外と度胸ありますよね」
小鳥「765プロのみんなが平穏無事に過ごせますように」ナデナデ
へび「……」
小鳥「今回来られなかった社長にもいい事がありますように」ナデナデ
へび「シュル」
響「う、うん……もう少し我慢して欲しいぞ」
小鳥「みんなの健康を第一に」ナデナデ
へび「シュルル」
小鳥「ついでに私の……ごにょごにょ」ナデナデ
雪歩「こ、小鳥さん……」
小鳥「今年こそは……今年こそは……」ナデナデナデナデ
へび「シュルルー」
響「あ、あのね、ピヨ子……」
小鳥「……え?」ナデナデ
響「他人の為の願いは届きやすいって」
小鳥「私利私欲に走ると碌なことにならない……これは教訓よ小鳥……!」ガクッ
あずさ「プロデューサーさんがいつまでも健康でいられますように」ナデナデ
響「……」
238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:31:02.05 ID:BwYxpTVpo
あずさ「うふふ、届いてくれると良いわね」
響「絶対届くぞ、きっとだ……!」
美希「プロデューサーを含めたみんなの夢が叶いますように」ナデナデ
春香「みんながいつでも明るく、楽しんでいけますように」ナデナデ
貴音「皆の不安が取り除かれ、健やかな日々を送れるよう願いを込めて」ナデナデ
亜美「ずっとみんなといられますよーに」ナデナデ
真美「これからも楽しく遊べますよーに」ナデナデ
やよい「……みなさんが幸せでいられますように」ナデナデ
伊織「世界征服できますように」ナデナデ
真「伊織、私利私欲は駄目だって言ってただろ?」
伊織「ふん。武器を捨てさせて平和にしてやるわよ」
真「それじゃボクも……世界の争いが一つでも減りますように」ナデナデ
律子「いきなり規模が大きくなったわね……」
雪歩「うぅ……っ……怖くない……怖くない……」
律子「誰一人欠けることなく、トップに立てる日が来る事を信じて」ナデナデ
雪歩「暖かい日々がこれからも続きますように……っ」ナデッ
千早「みんなの願いが届きますように」ナデナデ
へび「シュルル」
響「それは……あんまりだぞ……へび五十郎」
千早「なんて言っているの、響?」
響「……未来は自分で切り開くものだ、って」
へび「シュル」
一同「ごもっともです」
冬馬「へびに諭されてんじゃねえよ……」
ゴリ「……」
川田「時間無いよ、プロデューサー」
P「そ、それではお願いします」
係員「は、はい……」
係員「撮りまーす」
一同「はーい!」
係員「……華やかさが凄い」
カシャッ
239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:31:49.03 ID:BwYxpTVpo
―――― バス内
川田「はい~、陽が沈む前に、このバスは帰路に就きます~」
ゴリ「今日はたくさん周ったなぁ……」
P「そうですね、時間的にはキツキツでしたけど。なんとか」
伊織「ねえ」
川田「はいはい、なんですか~?」
伊織「かきのはなひーじゃー、行ってないわよね?」
ゴリ川田「「 ……あいっ! 」」
伊織「やっぱり忘れてたのね……」
240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:34:17.78 ID:BwYxpTVpo
―――― 垣花樋川
伊織「ちょっと、まだ歩くの?」
ゴリ「駐車場にバスが入らないんだからしょうがないさー」
響「あ、あのさ……貴音」
貴音「安心してください、わたくしがお守りいたします」
響「う、うん……。って、そうじゃなくてね」
貴音「逢魔時。昼から夜へと移ろうこの時刻。闇より出でし物の怪が――」
P「ちょっと落ち着こうな、貴音」
貴音「可笑しな事を仰います。まるでわたくしが何かに怯えているかのような、そんな言い回しを」
P「いや、そこまでは言ってないんだけど」
響「あのね、歩きにくくてね」
貴音「響、先日の一件。お忘れですか?」
響「うん。キジムナーに悪戯されたよね」
貴音「また、起きるやもしれない。……そう思い、わたくしはこうして傍を離れず、歩みを共にしているのです」
響「うん。それはいいんだけどね、自分ももう少し自由を利かせたいかなーなんて」
貴音「油断大敵ですよ」
響「周りにみんないるし、大丈夫だぞ。それより……ハッキリ言うとね、近いんだぞ」
貴音「初夏の沖縄とはいえ、夜に向けて気温も下がるでしょう」
響「うん。暑いってものあるんだけどね、歩きにくいし、少し迷惑かなって」
貴音「例え響に迷惑がかかろうとも、わたくしは貴方に近寄る悪霊を退治してください」
冬馬「なんだ、詰まるところ怖いってだけかよ。最後、本音が出たな」
貴音「そそれは、ごご誤解」
冬馬「動揺してるじゃねえか、そんなもん――」
ドス ドス トン
冬馬「――」
冬馬「あ、あぶねえ、軽く意識が飛びかけたぞ……誰だ背中に二発、首に一発くれたやつは……」クラクラ
雪歩「……?」
真美「……にやり」
千早「……」
冬馬「おまえらか……? 馬鹿にするつもりはなかったんだ。……すまん」
雪歩「え? えぇ? ど、どうして謝られているんですか……?」
亜美「あまとうに一発おみまいいしたのは亜美だよん!」
小鳥「……真ちゃん、遊びで教えてくれたんじゃなかったのね」
真「あの、本当に人にやるとは思ってなかったんで……」
美希「あはっ☆」ブイッ
P「やってやったぜ、みたいなサインいらないぞ美希……。雪歩が疑われたままなんだが……」
241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:35:20.65 ID:BwYxpTVpo
律子「仲間想いなのはいいけど、力で解決してはいけないの」
美希「……はい」
亜美「……はい」
小鳥「……すいません」
響「貴音~、へび大丈夫だったじゃないか~、キジムナーも怖くなかったでしょ~?」
貴音「善い蛇・善い妖怪というだけで、全てがそうだとは限りません」
響「離れてよ~」
貴音「わたくしは、貴方を守ると誓いました」
響「誰に~」
貴音「己に」
響「うぎゃーっ! 話が噛み合わないぞー!」
貴音「春香からいただいたきゃんでぃですよ」スッ
響「ありがと……どうして突然……?」
やよい「えへへー、なかよしさんですねー」
春香「ほんとだねー」
真美「ひびきんが迷惑ってはっきり言ってたのに、お姫ちん、押しが強いねぇ」
あずさ「そうですね~、見習わなくてはいけませんね~」
冬馬「……」
P「どうした?」
冬馬「もうあいつ等に背中を向けるのは嫌だ」
P「貴音の恐怖心を払おうとしたのか?」
冬馬「……まぁな」
P「口の悪さで損をしてるよな、おまえ」
冬馬「……」
千早「あ、ゴリさんが茂みに入って行きました」
川田「あれが入り口です~、看板がそこにあるさ~」
P「一応、撮っておこう。花垣樋川……」
242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:37:26.48 ID:BwYxpTVpo
伊織「ふぅ……涼しいわね」
ゴリ「水があるからな」
伊織「そういえば、水場には幽霊が集まるって……聞 く わ ねぇ」ドロドロ
真「ま、また……! 伊織、やめてよ!」
伊織「ここで有名な心霊体験の話……ゴリに聞いたのよねぇ」イヒヒ
雪歩「伊織ちゃんから離れるっ」
貴音「……っ」スッ
響「いだっ!? た、貴音っ! 自分の足を踏んでるぞっ!」
貴音「響、ここは危険です。バスに戻りましょう」ギュ
響「来たばっかりなのに!?」
ゴリ「言って無いけど」
伊織「話合わせなさいよっ」
美希「ねえ、水瀬伊織」
伊織「フルネームで言うな!」
川田「ここは近所に住む子供たちの憩いの場になっています~」
やよい「そういうのいいですよねー、ここで水浴びなんかしてるんでしょうね、プロデューサー」
P「そうだな……、もう少し早ければその風景も見られただろうな」
春香「今日も暑かったから、いっぱい遊んでいたのかも」
律子「それがここの日常なのね」
亜美「あれ……、亜美達……沖縄に来たのに海で泳いでないよね?」
小鳥「どうして……?」
P「時間のロスになるためです……。ゴリさん達が頑なに嫌がっていたわけではありません」
小鳥「そうですか」
ゴリ「そういうのは、ねぇねぇ含めた若い者同士でするべきさ」
小鳥「そうですね!」キラキラ
P「ここの感想が欲しいな」
ゴリ「そうだな。ほら、なんか言え」
千早「コメントですか……」
あずさ「夕陽が差して……」
春香「いい雰囲気ですね。誰かが忘れていった草履とか。
生徒が帰った学校みたいで少しセンチな気分に……」
川田「草履……?」
春香「そこに……。慌てて帰っちゃったんだろうなぁ」
美希「どこ?」
春香「ほら、そこだよ。右足の青い草履」
ゴリ「……まー(どこ)よ?」
春香「見えにくいのかな……」
タッタッタ
243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:39:29.38 ID:BwYxpTVpo
春香「ほら、これですよ」ヒョイ
P「正直者にしか見えないって……やつか?」
春香「やだなぁ、違いますよぉ」
伊織「あんた、何も持って無いじゃない」
春香「も、もぉー、そんなこと言ってぇ」
あずさ「……えっと、どうしましょう」
やよい「あ、あの……春香さん」
春香「どうして、みんな……戸惑ってるの……」
亜美「……ッ」
春香「亜美……どうして……目を逸らしたの……」
小鳥「あの……ね、落ち着いて欲しいんだけど……」
春香「そういわれると……逆に不安になっちゃうんですけど……っ」
千早「ごめんね、春香……私には……何も出来ない」
春香「なにかしてくれなくちゃいけない状況なの……?」
真美「あ、あはは、はーるるん♪」
春香「無理に明るくしてるよね……真美」
春香「なんですか……これ……この草履……ハブなんですか?」
真「プロデューサー、春香が変ですよ……?」
春香「ま、真……変って言わないでっ」
ゴリ「いや、待って。落ち着け、な?」
春香「た、貴音さんなら……きっと……見極めてくれるっ」
美希「響と……バスに戻ったきりなの……」
春香「なんで寂しげな説明口調なの美希!」
P「いや、待ってくれ春香」
律子「春香、深呼吸よ、深呼吸」
春香「と、とりあえず落ち着かせようってことですか!?」
P「違う、違うんだ」
冬馬「俺には見えるぜ。その青い草履」
春香「急に話を合わせないでくださいっ! なんなんですか私にしか見えないこの草履は!」
川田「あい、パニックになってるね」
雪歩「ど、どうしたの春香ちゃん……?」
春香「ゆ、雪歩には見える? この草履!」
雪歩「え、えっと……」チラッ
P「……」コクリ
伊織「正直に言いなさい」
雪歩「み、見えないよ」
春香「え、えぇーっ!?」
P「雪歩……最悪のタイミングで空気を読まないでくれ」
春香「わわわっ! 捨てたほうがいいんですかねこのハブ!」
244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:41:10.52 ID:BwYxpTVpo
男の子「わー! なんか人がいっぱいいるー!」
女の子「ほんとだー……」
男の子「あのねぇねぇが持ってるのお前のだろ、早く取って来いよ」
女の子「う、うん」
春香「……え?」
女の子「それ私のなの」
春香「見えてるの?」
女の子「?」
春香「あ、ううん。返すね」
女の子「春香ちゃん?」
春香「……うん」
女の子「わぁー! にぃにぃ! 春香ちゃんだよ!」
男の子「すげぇー!」
春香「あ、えへへ、私のこと知ってるんだ」
女の子「うん、でーじ好きだよー!」
春香「そっか……嬉しいな」
女の子「ありがとねー! じゃあねー!」
男の子「ばいばーい!」
春香「ばいばーい!」
春香「……」
P「みんな戻ったことだし……俺達も、バスに戻ろうか」
春香「私……一人で空回りしていたんですねぇ……」
P「すまん。ちょっと驚かせてみようかなーって」
春香「やよいの真似ですか」
P「怒ってる……ッ」
春香「いいですよ、いいですよー、私なんてデージからかわれやすいんですから」
P「拗ねてる……。でーじ、って、とてもって意味だよな。うちなーぐちマスターしたじゃないか」
春香「一つ使っただけです……褒められても嬉しくありませんよ……偽者ですよ……」
P「悲しんでる……」
春香「……」
P「悪ノリを始めたのは俺だ……。悪かった、春香」
春香「いえ……」
P「どうした?」
春香「みんなに置いて行かれて……プロデューサーさんと二人っきりで……」
P「?」
春香「夕陽が沈んで……静かな雰囲気で……センチメンタルで……」
P「幽霊が出るかもな」
春香「……ふふ……そうですね…………フフフ」
P「は、春香……?」
245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 23:42:23.96 ID:BwYxpTVpo
春香「うしろ」
P「ん?」
春香「ウシロ」
P「……?」
あずさ「わっ!」
P「…」
あずさ「……」
春香「…………」
伊織「春香の前振りが悪いわね」
美希「そうだね。あずさももう少し工夫した方がよかったかも」
亜美「甘いよね、あずさねぇねぇの驚かせ方」
真美「うんうん。真美達なら、兄ちゃん、腰抜かしてたかもだよねー」
―――― バス
響「うぅ……ここになにしに来たんだ……自分……」
貴音「……」
千早「ここが最後の観光地になるのかしら」
小鳥「明日のこの時間には飛行機に乗ってるのよね」
ゴリ「さぁ、早く帰ろう、急いで帰ろう」
246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:04:24.64 ID:/weuc6Mno
―――― ホテル
律子「――と、いうわけで。はい解散!」
「「「 ………… 」」」
シ ィ ー ン
律子「まぁ、納得しないでしょうね……」
春香「異議を申し立てます裁判長!」
律子「はい、天海弁護人、発言を許可します」
春香「私達、青春チームも響ちゃんのお家に行きたいであります!」ビシッ
律子「弁護人なのか、軍人なのか、ちゃんとキャラを固めなさい春香」
伊織「あんた達はホテルで優雅に過ごせばいいじゃな~い。にひひっ」
真「ずるいよ、伊織……!」
雪歩「わ、私も響ちゃんのお家に……行きたいのに……」
美希「響のお母さんの料理、ミキもまた食べたいのー♪」
貴音「わたくしも、あのゆるりとした時間をまた堪能したいと」
律子「しょうがないじゃない。行ける人数は最大で6人。
響のいるお子様チームとプロデューサーで丁度いいの」
春香「異議あり!」
律子「ちょっと、裁判長に異議を唱えないの」
あずさ「あの~、みんな一緒というわけには?」
律子「いきません。最初に予約を取れていればよかったんですけど、向こうにも都合がありますから」
千早「他にも宿泊客がいるから、迷惑をかけることになるわね」
小鳥「みんな……一緒……ふむふむ」
やよい「小鳥さん?」
小鳥「裁判長、この事態を収拾させる案があります。発言の許可を」
律子「音無弁護人、発言を許可します」
春香「弁護人が二人……?」
小鳥「決められたチームで行動する必要は無いということ……。すなわち……」
亜美「なんだか、嫌な予感がするよぉ……」
小鳥「一つ確認しますが、あずささんが付いて行った日は7人になりますよね」
律子「そうです」
小鳥「なるほど……」チラッ
P「いや、あの……俺はゴリさん達と雑魚寝をして……」
小鳥「7人を13人から選出してはどうでしょう」
真「そ、それは名案ですよ!」
雪歩「うぅ…私…こういう時に……負けちゃう……っ」
247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:05:31.19 ID:/weuc6Mno
春香「どうですか、裁判長!」
律子「それで落ち着くのなら、いいでしょう。その案を認めます」
千早「負けられませんね」
貴音「真に」
美希「ミキも頑張るのー」
伊織「こんなことになるなんて、予想だにしなかったわ……!」
亜美「予感てきちゅーだよー」
やよい「か、勝てるかなー」
真美「だいじょーぶ。半分は行けるんだから、楽勝っしょー♪」
律子「公平にジャンケンで決めましょう。時間はかかるけど、文句をいわないようにね」
「「「 はーい 」」」
響「みんなが自分の家に行きたいって言ってくれて……なんだか嬉しいぞー♪」
伊織「まるで他人事ね……」
真「こっちに来て、響も参加するんだよ」
響「え、えぇ!? 自分の家だぞ!?」
律子「この際、それは関係ないわ。ほら、参加する」
響「うぅ……こんなの聞いてないぞ……」
P「俺も参加するか」
律子「それじゃー、恨みっこ無しの真剣勝負」
「「「 じゃーんけーん、ぽいっ 」」」
「「「 おぉー! 」」」
あずさ「まぁまぁ!」
響「かかか、勝った……!」
律子「とりあえず、響とあずささんが決定。それにしても」
小鳥「一発で勝つなんて……す、すごい……」
P「それじゃー、あと五人!」
「「「 じゃーんけーん 」」」
248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:06:22.95 ID:/weuc6Mno
~ 2分経過 ~
小鳥「か、勝っちゃった……!」
律子「や、やっと一人抜けた……」
伊織「な、長すぎるのよっ」
千早「あいこばかり……時間がかかるわね」
P「あと、四人!」
~ 3分経過 ~
美希「やったのー!」
真美「まだまだよゆーだよ。イケるっしょー♪」
真「よぉし、気合入れるぞー!」
貴音「いざっ」
P「あと三人!」
~ 5分経過 ~
やよい「うっうー! やりましたねー! 雪歩さん!」
雪歩「や、やったぁ……」
律子「やよいと雪歩ね」
P「休憩入れてジャンケンするって……おかしいよな……」
亜美「右手に力が入らなくなってきたよ……」
律子「さぁ、笑うのは後一人よ」
真美「あれ、もう……余裕無いじゃん」
「「「 じゃん……けん……ほい 」」」
律子「あらら、勝っちゃったわ」
春香「」
P「よし。そうと決まったら、移動する人は荷物をまとめてバスに乗ってくれ」
響「はーい!」
やよい「わかりましたー!」
美希「はいなのー!」
雪歩「わ、分かりましたぁ」
あずさ「……」
249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:07:21.34 ID:/weuc6Mno
小鳥「あの、いいんですか?」
P「? 俺がここにいるから、平気ですよ?」
小鳥「そういう意味ではないんですけど……」
ゴリ「なんね! プロデューサーが行かないんだったら俺も行かないよ!?」
川田「だからよ! 裁判長、上訴するやっさ!」
律子「認めません」
ゴリ川田「「 あきさみよい! 」」
響美希やよい「「「 あー! プロデューサーが一緒じゃない! 」」」
伊織「今頃気付いたのね……ゴリ達よりも後ってどうなのよ」
雪歩「う、嬉しさのあまりに……忘れるなんて……」シクシク
春香「うぅ……みんなでご飯……」シクシク
真「はぁ……しょうがないか……」
亜美「むむむ……」
真美「……むむむ」
律子「あずささん、小鳥さん、千早。三人に話があります」
あずさ「……」
千早「……」
小鳥「……はい」
貴音「律子、わたくしも参ります」
律子「……それじゃ、外へ」
250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:10:07.17 ID:/weuc6Mno
※ ― 律子 ― ※
※ ― 律子 ― ※
251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:16:47.15 ID:/weuc6Mno
あずさ「そうでしたね……そうですよね。プロデューサーさんは行かないんですよね……忘れていました……」ズドーン
小鳥「……えっと、元気を出してください、あずささん」
P「どんな話をしてきたんだ……あずささんの落ち込みようが……」
律子「私に考えがあるから大丈夫です。プロデューサー」
P「ん?」
律子「じゃんけん、ほい」パー
P「いきなりだな」グー
律子「……もう一度、じゃんけん」
P「うん……」チョキ
律子「……」グー
律子「まだです。じゃんけん」
P「ほい……」パー
律子「……」チョキ
律子「プロデューサー、いいですか? 私は『チョキ』を出します」
P「わかった」
律子「じゃんけん」
P「……」パー
律子「……」チョキ
伊織「弱ッ!」
律子「プロデューサー、私を信用してなかったんですか?」
P「いや、裏を読んでだな」
亜美「なになにー?」
真美「ジャンケン大会二回目?」
律子「もう一度『チョキ』を出します。裏とか読まなくていいです。私を信用してください」
P「俺は律子を信用してるぞ……?」
律子「あー、うるさい。じゃんけん、ほい」
P「うるさいって……」グー
律子「……」チョキ
律子「はぁ……やっと負けた……」
P「このじゃんけんは?」
律子「私の代わりに行って来てください」
P「う、うん……。わかった」
亜美真美「「 えぇー!? 」」
P「あずささん、律子の機嫌が悪いのはどうしてですか?」
あずさ「すいません、私のせいです」
P「?」
ゴリ「わったー、帰ろうなー」
川田「おつかれ~」
252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:21:06.76 ID:/weuc6Mno
―――― 我那覇邸
響「自分の家なのに、帰って来れなかったかもしれないんだよね。……勝ってよかった」
雪歩「うぅ……良かった……一生分の運を使い果たしたけど……悔いは無いよ……」
美希「それでいいの、雪歩?」
響母「今日はなんだか、いつもと違うね?」
ゴリ「かしまさい双子も偉そうな子もいない……良いメンバーさ」
P「お世話になります」
やよい「うっうー! すぺしゃるなメンバーですよー!」
ゴリ「プロデューサーも来るんだったら、最初から言えばいいやし」コノコノ
P「その大学生の飲み会みたいなノリはなんですか……」
ゴリ「は? 飲み会だろ?」
P「違います。本当に違います」
川田「帰るところだったよやー」
あずさ「うふふ、私も明日はオフですから」
P「待ってください、確かに午前中はお子様チームだけの出番ですけど、午後も出場できるかもしれないんですよ?」
あずさ「まぁ、そうでしたね~」
P「…………」
小鳥「大丈夫です、あずささんの代わりに私が……!」
P「私が出場?」
小鳥「飲みますから~♪」
ゴリ「あい、いいね、ねぇねぇ。じゃあ、最後の沖縄の夜を満喫さー」
小鳥「はいっ!」
スタスタ
P「ちょっ…小鳥さん!」
川田「大丈夫よ、そんなに飲めないだろ?」
P「……」
川田「なにか、この沈黙は」
あずさ「私達も入りましょう~」
P「……はい」
253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:22:06.74 ID:/weuc6Mno
ブロロロロロ
キキッ
P「?」
ガチャ
伊織「プロデューサー、代金よろしくぅ」
P「伊織!?」
亜美「ヒトサンナナマルマル、予定通りに現場にとーちゃく」
真美「これより我が部隊……海三チームは極秘にひびきんのウチにセンプクする」
亜美「らじゃっ」
P「いや、もう見つかってるんだが。どうしてここにいる!?」
伊織「もっと嬉しそうにしなさいよね。ちなみに律子の指示だから」
P「律子の……?」
254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:24:09.27 ID:/weuc6Mno
―――― 仏間
響「おとー、みんながまた来てくれたぞ」
亜美「ひびきんのおっとさん、今日も遊びに来たよん」
真美「今日もひびきんと一緒で楽しかったよん」
やよい「今日もお邪魔します」
伊織「私達を見守っていてくださぃ」
小鳥「初めまして、響ちゃんと同じ事務所の音無小鳥と申します。お世話になります」
あずさ「今日で三度目ですが、お世話になります~」
P「……」
255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:26:30.38 ID:/weuc6Mno
―――― 居間
ゴリ「え、プロデューサー。またキジムナーに憑かれたのか?」
P「……」
伊織「私に変なあだ名付けるのやめなさいよっ」
亜美「悪いごはいねーがー」
真美「がははは、良い子にしてる子食べちゃうぞー」
ゴリ「かしまさい……」
P「すいません、急に三人も増えちゃって」
響母「いいよいいよ、ゴリさん達が来るって聞いて、たくさん作ってるから」
P「ありがとうございます」
響母「もう一人、男性が来るって聞いたけど?」
川田「あのにぃにぃは仕事の打ち合わせがあるから来れないってさ」
響母「そうねぇ、残念さぁ」
響「ゴリ衛門、もっと寄ってくれないとみんなが座れないぞ」
ゴリ「わかとーさー」
あずさ「どうぞ~」
川田「ありがとうね~」
響母「手伝うの響だけでいいよー」
雪歩「い、いえ……手伝わせてくださいっ」
響母「観光で疲れてるだろうに……良い子達さぁ」
ゴリ「……ってよ」
伊織「わ、分かったわよ。亜美、真美、私達も座ってないで手伝うわよ」
亜美真美「「 はいよん! 」」
P「俺もなにか手伝うか……」スクッ
ゴリ「多分怒られるよ」
P「?」
P「あの、俺にもなにか」
響母「邪魔だから座ってなさい」
P「……はい」
響「はい、ゴリ衛門のだぞ」
ゴリ「おう。バナナを三房もありがとうな!」
256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:41:14.22 ID:/weuc6Mno
――…
亜美「もずくだよ、もずく」
美希「昆布を食べるなんて、カルチャーショッキングな私なの」
小鳥「異文化なのね……」
やよい「野菜もお魚も新鮮でおいしいです~♪」
伊織「もぐもぐ……そうね、とてもおいしいわ」
ゴリ「いいな、おまえはおいしい料理にありつけて」
伊織「なに言ってるのよ、意地張ってバナナを食べ続けてるあんたが悪いんじゃない」
ゴリ「じゃあ意地を張るのやーめた」
響「さーたーあんだぎー持ってくる?」
ゴリ「ご飯食べさせれ!」
川田「なーべーらーがないね」
響「うーん……最初に出されるとやっぱり困ると思うぞ」
美希「なぁに、それ」
響「ヘチマを使った味噌炒め」
小鳥「糸瓜も料理の材料になるのね……」
真美「白いご飯おいしいね、兄ちゃん」
P「うん……魚もおいしい」
あずさ「どうしたんですか、雪歩ちゃん?」
雪歩「あ、いえ……」
あずさ「……」
雪歩「な、なんでもありませんから……本当に……」
あずさ「わかりました。それじゃ、後で聞かせてくださいね」
雪歩「うぅ……なんでもないって言ったのにぃ……」
響兄「こんばんはー」
響「おかえりー、アニキ」
亜美真美「「 でたなっ、兄ちゃん2号! 」」
P「こらっ!」
小鳥「2号……? はっ!?」
やよい「や、やっぱりプロデューサーとそっくりですー」
雪歩「……うん」
美希「ヘチマかぁ……どんな味がするんだろうね」
あずさ「キュウリのような味かもしれないわね」
伊織「この二人は無関心なのね」
257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:42:41.36 ID:/weuc6Mno
響兄「今日もまた、出しましょうね」
ゴリ「待っていました」
川田「待ち続けて1時間ちょっと。いいですね」
小鳥「ビールですか? オリオンですか? クースですか?」
ゴリ「全部です」
伊織「ちょっと、ウチの事務員を巻き込むんじゃないわよ」
亜美真美「「 そーだよー 」」
ゴリ「あんた達は早く、帰りなさい」ニコッ
響兄「プロデューサーさん?」
P「は、はい?」
雪歩「ボーっとしてますよ……」
あずさ「……」
P「あ、はい。一杯だけ」
響兄「……何か、迷ってる?」
P「……そうですね。あずささんを止めたのに俺が飲んで良いのかどうか」
ゴリ「構わん!」
響「ゴリ衛門! ダメだぞ、プロデューサーは明日、自分達とライブに参加するんだからな!」
響兄「そっちじゃないんだけど……」
小鳥伊織「「 ――! 」」
P「?」
あずさ「……」
ゴリ「にぃにぃ、後で、三人で話ししよう」
響兄「そうですね。それじゃあとで……」
美希「ねえゴリィ、なんの話するの?」
川田「俺は?」
ゴリ「教えん。お前はたくさん食べてれば良いさ」
川田「やさや」
美希「ケチ」
ゴリ「あい、なんかいいね。小悪魔っぽくて。こうやってファンをゲットしてるわけだな」
伊織「喜んでるんじゃないわよ」
ゴリ「あんたはキジム――」
伊織「このっ!」プシュッー
ゴリ「うぐっ!? シークヮサーで目潰しとか! ありえんどー!」
P「なんてことするんだ伊織ッ!」
ゴリ「目が痛い、目が痛いー!」
響「洗面所は分かるよね」
ゴリ「わかとーさー!」
ダダダッ
258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:45:16.75 ID:/weuc6Mno
川田「思い切ったことするね……皮で目潰しとか……しかも、おじさん相手に」
伊織「いつかまとめて仕返ししてやろうと思ってたのよね」
美希「仲いいよねー、でこちゃんとゴリィ」
伊織「退屈はしないけど、たまに腹が立つのよね……まったく」
P「ほぉ……」
真美「あらまぁ……」
亜美「認めたねぇ……」
伊織「な、なによ?」
あずさ「仲がいいことには否定しないのね~」
伊織「プロデューサー……あなたの目を、もっとよく見せて♪」
P「待て、目潰ししたからといって、俺と伊織の仲が良い証明にはならない」
伊織「ほら、メガネを取ってぇ……」スッ
P「やめ、やめろ……! やよい、伊織を止めるんだ」
やよい「んー、伊織ちゃん楽しそうですよ?」
P「俺の危険度はどうでもいいのか!?」
伊織「さぁ……私の目を見て……」
真美「ち、近いよいおりん! な、なんだかどきどきしてきちゃった」ドキドキ
雪歩「わわわっ」
P「伊織、怒るぞ」
伊織「一つだけ……」スッ
P「?」
亜美「いおりんの両手が兄ちゃんの頬を」ポッ
伊織「……アンタ、何か隠してない?」
P「…………は?」
伊織「私の目を見て」
P「……」
伊織「……答えて」
P「あるに決まってるだろ?」
伊織「……」
P「……」
小鳥「伊織ちゃん」
伊織「……まぁ、私にもあるから、当然よね」スッ
P「……」
美希「なにそれ」
伊織「べつに。ほら、メガネ返すわ」
P「ふざけが過ぎるんじゃないか?」
伊織「最初はね」
P「……」
259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:46:11.72 ID:/weuc6Mno
響「……ん? なんだ、この空気……変だぞ?」
真美「そうだねー、いおりんのツヤっぽさから、ミキミキのシリアルまで……変だよねー」
亜美「兄ちゃん、なにか隠してるの?」
P「あ、当たり前だろ? 俺も……みんなに言えないことの一つや二つ」
やよい「私もありますよー。長介が赤点取ったこととか、かすみの嫌いな食べ物とかー」
小鳥「それは……やよいちゃんの言えないことじゃなくて……ね」
雪歩「言っちゃったよね……」
川田「俺にもあるさ。朝、目覚ましに起こされたけどまぶたは開かないとかな」
美希「すっごくわかるのぉ」
小鳥「深く共感をしたようです」
伊織「ごめんね、あずさ」
あずさ「どうして私に謝るのかしら?」
伊織「私が知らないと思ってるの?」
あずさ「まぁ……うふふ」
伊織「余裕ね……」
あずさ「大丈夫ですよ。きっと」
伊織「…………」
響母「ほら、さーたーあんだぎー」ドンッ
ゴリ「今出すわけ?」
響母「あんたのご飯でしょ?」
ゴリ「この親子よ、本当に!!」
260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:47:29.01 ID:/weuc6Mno
――…
伊織「そろそろホテルに戻りましょうか」
亜美真美「「 泊まっていくんじゃないの? 」」
伊織「私達は来る予定がなかったんだから。他のお客さんの邪魔になるわ」
真美「そだね……」
亜美「大人だよね……いおりんは……」
伊織「私だって……ずっとのんびりしていたいわよ。でもジャンケンに負けたからね」
亜美真美「「 はい 」」
やよい「あぅー……」
伊織「やよいは気にしないで、存分に楽しんじゃいなさい。明日のこの時間にはもう沖縄にいないんだから」
やよい「うん……」
亜美「そんじゃー、兄ちゃんとひびきん、おっかさんに挨拶してかえろー」
真美「あ、兄ちゃん達はゴリーと一緒にお話してるんだよね」
伊織「……どんな話をしてるのかしらね」
やよい「気になる?」
伊織「とってもね……」
亜美「いおりんが素直だね」
伊織「あずさは?」
やよい「縁側にいるよー」
雪歩小鳥「「 ふぅ…… 」」
あずさ「いいですね~。こう……のんびりしていて」
小鳥「本当に……。風の流れや、空気の落ち着き……いいなぁ……」
あずさ「ゆっくりのんびりまったり~」
伊織「ちょっと、お酒飲んでないでしょうね」
小鳥あずさ「「 …… 」」
伊織「否定するか、その持ってるコップを隠すかしなさいよ」
雪歩「わ、私は口にしてないよっ」
261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:50:33.43 ID:/weuc6Mno
―――― 仏間
ゴリ「あのにぃにぃも一緒に来て飲めれば良かったや」
P「いえ……あいつはまだ未成年です……」
川田「そうなのか。初めて知ったさ」
響兄「じゃあ、乾杯」
「「「「 乾杯 」」」」
ゴリ「いいね! こういうの! いいね!」
川田「嬉しそうだな」
ゴリ「いつもあいつ等がいるさ……」
P「一応アイドルなんですけど……」
ゴリ「大変だわけよ……それを差し引いたらマイナスにしかならん……」
P「そ、そうですか……複雑だ」
響「おかーがスーチカー作ってくれたぞー」
美希「おいしいの」モグモグ
P「こら……つまみ食いしてるんじゃない」
美希「だって、おいしいんだもん。ここで何をしてるの?」
ゴリ「女性禁止の聖域だから、入ってくるな」
響「ミミガーもあるぞ、プロデューサー」
P「あ、ありがとな」
ゴリ「やっぱり話聞かないね」
美希「ミキも邪魔するの」
ゴリ「短い春だったさぁ……」
川田「私が~、あなた~にぃ~惚れたの~は~♪」
響兄「十九の春ですね」
川田「乾杯」
カキン
響兄「おとーが好きな曲でした」
ゴリ「ほぉ、良い話が聞けそうだね」
響「そうだったの?」
響兄「うん。おかーとの惚気話を聞かされたさー」
美希「なんかいいね、そういうの」
P「へぇ……」
美希「どうしたの?」
P「こういう話に乗るのって珍しいと思って」
美希「そうかな……好きだよこういうの」
響兄「三線を弾きながら歌ってたんだ」
響「……」
262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:52:16.53 ID:/weuc6Mno
P「響も三線、弾けるのか?」
響「……うん…………」
P「響?」
響「最近、よく……おとーの夢を見るんだよね」
響兄「……」
ゴリ「実家に帰ってきたからじゃないか?」
響「でも、自分……そんなに思い出ないんだぞ。……だから、去年帰ってきても、夢は見なかった」
P「……」
響兄「響、ちょっと話があるから、俺の部屋に来い」
響「うん? ……待っててね、プロデューサー」
P「……うん」
美希「どうしたんだろ」モグモグ
ゴリ「えー! 俺達の肴を食べるな!」
美希「ケチ」
ゴリ「食べ物の恨みはそんな小悪魔風で誤魔化されないよ」
美希「別にそういうんじゃないよー、ぱくっ」
ゴリ「だから、食べるなってば!」
響母「はっさ、ケチンボだね、このゴリ……ラ」
ゴリ「え、一度遠慮したんだから、ちゃんと止めれ。失礼だろ」
P「仲いいですよね」
響母「そうじゃないさー。ねぇ?」
ゴリ「そうそう。飼育員とゴリラさー。この親子よー、本当にー、失礼極まりないー」ニコニコ
響母「美希がおいしそうに食べてたから追加で持ってきたさ」
美希「ありがとーなのー♪」
P「小鳥さんは?」
美希「あずさと一緒に縁側に居るよ。気になってるのはあずさでしょ、ぱくっ」
ゴリ「そうだ、プロデューサーに沖縄の文化を教えよう」
P「それは嬉しいです」
263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/03(日) 23:54:10.95 ID:/weuc6Mno
――…
P「面白いですね……」
ゴリ「沖縄の死生観だな」
亜美「ねえ、兄ちゃん」
P「?」
亜美「ひびきん知らない?」
ゴリ「さっきまで一緒に話してて……にぃにぃの部屋に行きよったけど」
真美「ひびきんの兄ちゃん? お話してるの?」
川田「そうさー」
亜美真美「「 ふーん 」」
P「どうしたんだ?」
亜美「亜美たち帰るから挨拶を――」
「アニキの馬鹿ッ!」
「なんでそんなこと言うんだ!!」
真美「ひびきん……?」
ゴリ「兄妹げんかだねー」
P「響……」
ドタドタドタ
響「最低だぞっ!! 馬鹿馬鹿! バカアニキッ!」
P「響、どうした?」
響「うぅッ! プロ…デューサー……ッ!」ジワァ
P「響……!」
響「~ッ!」
ドタドタドタ
亜美「ひびきん! どこ行くの!?」
響「散歩っ!」
ガチャ
バタン
264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:36:22.45 ID:YwnEUh4to
響母「ケンカはしょっちゅうだけど。今のは珍しいさ、余程の事があったに違いないねー」
P「お母さん……」
響母「行き先は決まってるから、大丈夫よ」
小鳥「どうしたんですか?」
あずさ「響ちゃんの声がしましたけど……」
響兄「ちょっと、喧嘩しまして」
P「行ってきます」
響母「座喜味城に行ってるよー」
P「……わかりました」
響兄「プロデューサーさんは行かない方がいいよ」
P「え……?」
あずさ「それじゃ、私が行ってきますね」
伊織「ちょ、ちょっと! あずさが行ったら迷子じゃないの!」
やよい「わ、私も」
小鳥「私とあずささんで行くから、待っててね」
やよい「……わかりました」
P「お願いします」
あずさ「はい」
ガチャ
バタン
ゴリ「プロデューサー、こっちで飲もう」
川田「やさ、スーチカーもあるよー」
真美「もぉー! のん気なこと言ってぇー!」プンスカ
雪歩「美希ちゃん……ここで寝てたんだね」
美希「うん……? なにー?」
P「……響、どうしたんだ」
265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:37:36.15 ID:YwnEUh4to
※ ― 響 ― ※
※ ― 響 ― ※
266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:39:34.05 ID:YwnEUh4to
響「二人とも……探しに来てくれてありがと……」
小鳥「ううん……」
あずさ「大丈夫ですよ、響ちゃん」
響「……うん」
カンカラカン カンカンカラ
小鳥「この音……」
響「三線の音だぞ」
あずさ「まぁ、誰が弾いているのかしら」
響「アニキ!?」
タッタッタ
ガチャ
カンカラカカカン カカカンカラカラ
響「誰が弾いて――」
ゴリ「む?」
響「ゴリ……衛門……」
ゴリ「なにか、その信じられないって顔は!?」
響「信じられないぞ」
ゴリ「失礼やっさ。俺はもう弾かん」
美希「拗ねちゃダメなの」
ゴリ「うるさい」
亜美「ふっ、まるで子供だよね」
ゴリ「何とでも言え」
川田「長髪の似合わない男」
ゴリ「えー! 気にしてるから言うな! マジでよ!」
P「響、弾いてみてくれないか?」
響「え……?」
P「上京するまで、弾いていたんだろ? 聞かせてほしい」
やよい「私も聞いてみたいですっ、響さんのサンシン!」
響「でも……ずっと弾いてないから……」
響兄「響、おまえが小さい頃、よくおとーに聞かせてもらってたんだぞ」
響「おとーの三線……?」
響兄「あぁ。今度はお前がプロデューサーさんに聞かせてあげてみ。おとーにも聞かせるようにさ」
響「……」
267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/04(月) 00:47:15.20 ID:YwnEUh4to
―――― ホテル・春香達の部屋
春香「うぅー! どうしてあの時チョキを出さなかったんだろぉ!!」ジタバタ
千早「枕に顔を埋めて……気持ちはわかるけど、そのまま表現するなんて春香らしいわ」
律子「気持ちは分かるんだ……」
pipipipipi
春香「千早ちゃんのケータイじゃない?」ジタバタ
千早「うん……。プロデューサーから……?」
律子「あ……伊織たちの事すっかり忘れてた……」
ピッ
千早「もしもし……はい。今は部屋にいます。……え? 響の三線……?」
268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:33:04.48 ID:pei3nRECo
―――― ホテル・ロビー
真「急にどうしたの?」
春香「響ちゃんの三線だって」ワクワク
貴音「さんしん……? ばったーぼっくすに響が立つのですか?」
律子「アウト決定なのね……」
千早「テレビ電話……?」
春香「そうだよー。顔を見ながらお話できるの」ワクワク
千早「科学の進歩はそこまで……」
真「千早が思っている以上に進んでるけどね……」
pipipipipi
春香「来たっ」
ピッ
春香「はい、こちら天海春香ですっ」
『みんな揃ったのか。これから、庭で演奏するから。聞いていてくれ』
千早「……はい」
『いよっ、ひびきん!』
『 パチパチパチ 』
『なんだか恥ずかしいさー。それじゃ弾くね。十九の春』
貴音「?」
千早「沖縄の民謡曲……」
律子「詳しいのね」
千早「響のお母さんに少し聞いたから」
春香「……」
真「……」
千早「なに?」
春香真「「 いえいえ 」」
律子「もう始まってるわよ」
『 カンカラカカカン 』
269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:33:57.95 ID:pei3nRECo
『 わたしが~ あなたに~ ほれたぁ~ のぉは~
ちょうど 十九の春でしたぁ~ 』
千早「え――!?」
貴音「このような唄い方……今まで……」
真「聞いたことない……」
律子「へぇ……」
春香「……」
『 もとの~ 十九に しておく~れ~ 』
『 カンカラカカカン 』
千早「……」
律子「サンシンという楽器も弾きこなして……」
貴音「……」
真「……」
春香「……」
『 主さん 主さんと 呼んだとて~
主さんにゃ 立派なかぁたがある~
いくら主さんとぉ 呼んだとてぇ
一生 忘れぬ 片想い~ 』
千早「響……」
律子「どうしたの?」
千早「いえ……なんでも……」
真「?」
貴音「……」
春香「……」
『 春がくるような~ 夢を見て
ホケキョ ホケキョと 鳴いていた~ 』
『 カカカン カン カン カン...... 』
270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:35:56.42 ID:pei3nRECo
『ブラボー! ひびきーん!』
『凄いですぅー!』
『 パチパチパチパチ! 』
春香「なんだか……圧倒されちゃった……」
律子「もったいないことしたわね……」
真「あぁ、どうしてあの時パーを出さなかったんだろう」
貴音「千早?」
千早「え、あ、うん……凄かった」
『照れるぞー!』
『凄く良かった。感動したよ、響』
『えへへ、ありがとー、プロデューサー!』
千早「……」
『響……よかったぞ』
『アニキ、おとーもこの曲をおかーに聞かせたんだよね』
『そうさ。……技術は落ちたけど、気持ちは比べ物にならないな』
『当たり前さー! 自分は完璧だからね!』
『あのさ、響……』
『うん……? どうしたプロデューサー……って、なんで携帯電話置いてるの?』
『あんたの演奏、数キロ先の千早にまで届いてるわよ』
『『 んっふっふ~ 』』
『……え?』
『ぐろーばるすたんだーど、ですよねー!』
律子「ん?」
貴音「やよいはなんと……?」
真「さ、さぁ?」
春香「響ちゃーん! 私達も聞いてたよー!」
『は、春香!?』
『テレビ電話で中継を……な』
『うぎゃーっ! 自分! 演奏ダメダメだったぞー!?』
千早「ひ、響……とても良かったから!」
『おかけになった電話番号は現在使われておりません。
ピーという発信音の後にメッセージをお願いします。ピー!』
『あらあら』
『喋っちゃダメだぞあずささん!』
律子「使われてないのに留守電に繋がってるわよ響……」
271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:37:24.93 ID:pei3nRECo
千早「あ、あのっ、あずささん」
『は~い、なんでしょう~』
千早「響を……その……抱きしめてあげてください」
『ち、千早!? なにを言って――』
『わかりました~』
『――ふぎゅ!?』
律子「千早、どういうこと?」
千早「多分、何かあったんだと思う……プロデューサーのことで……」
律子「…………え」
貴音「なんと……」
真「……」
春香「響ちゃん、顔が真っ赤だよ~! あはは」
『はるるん、さっきねー、兄ちゃんといおりんがラブラブだったんだよー』
春香「は……」ピキーン
千早「……は?」
律子「今、なんて……?」
貴音「真、貸切り自動車の手配を」
真「かし……? あぁ、タクシー…駆けつけてどうするの!?」
『ちょっと! なに言ってんのよ!?』
『うふん、兄ちゃんの目見せてぇん』
『真美、いおりんは兄ちゃんのこと兄ちゃんって呼ばないよー?』
『あ、そっか。うふん、プロデューサーさぁん、メガネを取りますわぁん』
『いおりんの目綺麗だぜ、ベイベー』
千早「プロデューサー、これは事実ですか?」
『なんで信じるんだよ!?』
『事実ですよ~』
『いや、違うでしょあずささん!?』
『でも、伊織ちゃんにメガネを取られましたよね?』
『空気が全然違いますから!』
272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:38:54.69 ID:pei3nRECo
千早「……」
春香「……」
貴音「……」
律子「……」
真「現場のプロデューサーさぁーん……ここの空気、張り詰めてまぁーす」
『ま、真は信じてくれるんだな!』
真「当たり前じゃないですか! たとえ事実でも、ボクはプロデューサーを信じてますって!」
『そうか……!』
真「それに、伊織にそんな度胸無いですからね!」
『煽りよったな』
『なんですって……!?』
真「ボクだってラブラブしたことないのに、伊織にそんな経験あるはずないでしょ」
『軽く凄いことカミングアウトしよった』
『かみんぐすーんってなに? ゴリー?』
『早く来いって意味さぁ』
『プロデューサーの一人や二人、どうってことないわよ! 私の魅力でイチコロなんだから!」
律子「伊織……その表現」
春香「楽しそうだなぁ……」
貴音「真に」
千早「……」
真「はいはい」
『むきーっ!』
『プロデューサーは一人なの、二人もいないのぉ』
『あんたは寝てなさいよ!』
『響のサンシン良かったのぉ』
『あとね、ゴリーがさーたーあんだぎー占いをしてくれたんだよ~』
『不肖、音無小鳥、来年はいい年だそうです!』
『やったね、ピヨちゃん!』
『あれ、適当だったけど』
『えぇー!?』
律子「小鳥さん……」
春香「楽しそうだなぁ……!!」
273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:40:01.13 ID:pei3nRECo
『ゴリ衛門がサーターアンダギー転がして食べただけだぞ、ピヨ子……』
『そういう占いがあってもいいじゃない……がくっ』
『プロデューサー! あずさとお喋りしてないでこっちにきなさいよ!』
真「邪魔をするなよ、伊織!」
『うるさいわよ、見てなさい真』
『そろそろ切るぞ?』
『プロデューサー……少ししゃがんで頂戴』
『……なにをする気だ』
『警戒するんじゃないの。……ほらッ』
『うぐっ!?』
千早「何を?」
律子「はぁ……なにやってんだか……」
『プロデューサー……、さっきも思ったんだけど、あなたの目……私気に入っちゃったみたいなの』
『は、離せ……』
『暴れないの……、素直にならないとご褒美あげないわよ?』
『まぁまぁ、伊織ちゃん大胆ですね~』
真「……」
貴音「……」
『うふふ、吸い込まれそうになる……素敵な瞳……』
『亜美、真美。協力してるんじゃない』
『どきどきしてきたよー』
『うぅー、伊織ちゃん、楽しそうですー』
『ほら、じっとして……私をみつめてほしいから』
『あのなぁ……』
『うふふ、まるでドラマのようですね~』
律子「……」
千早「……」
春香「えっと……なんだろう、これ?」
274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:41:10.78 ID:pei3nRECo
『教えてあげる。メガネを取ると、アンタの目、とっても可愛くなるの』
『伊織、怒るぞ』
『二度も通用しないわ。ほら……私に映るあなた……見えるでしょう?』
『……』
『息遣いまで……伝わってくる……ふふ……』
『……伊織』
『あずさがたまにやってるわよね、こうやって額を合わせて……』
『俺がやられてるみたいな言い方するな』
『それはどうかしら、いつも二人一緒だから、知らないところで……』
『おい』
『これは冗談。怒ったりしたら雰囲気が台無しよ?』
『……』
『……』
律子「お……?」
貴音「あずさの様子が……」
千早「さすがに近い」
真「……悔しいな、どきどきしてきた」
『ずっとこうしていましょうか……』
『……』
『それとも、少しだけ進んでみる?』
『伊織』
『な、なに?』
『冗談だとして、何の意味があるんだ?』
『……』
『もういいだろ』
『冗談で、こんなことできると思ってるの?』
千早律子真「「「 っ!? 」」」
275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:42:30.61 ID:pei3nRECo
『アンタも、もう亜美達が抑えていないんだから、逃げられるでしょ?』
『やっぱり……何か試しているんだな』
『さぁ……それはどうかしら』
『……』
『少なくとも私は、ドキドキしてる』
『そうか……』
『くしゅっ』
『私の胸に、手を当ててみればわかるわよ?』
『いや……』
律子「くしゃみしたの……あずささん?」
真「……」
貴音「そのようで……」
千早「……」
『くしゅっ』
『キス、してもいい?』
律子千早「「 ! 」」
真「……」
『……』
『なによ、その目は』
『俺は伊織のことを分かっているつもりでいた。だけど、これがどういう意味なのかが分からない』
『……それで?』
『それが少し悔しい』
『……』
『……』
『アンタ、私達に吐いてはいけない嘘、吐いてない?』
律子「伊織!」
千早「何を言ってるの!」
『俺は、嘘は吐いていない。みんなに隠すことはあっても、騙すことは絶対にしない』
『本当に?』
『あぁ』
『……』
『疑うなら、なにをしてくれても構わない』
『……』
276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:43:34.66 ID:pei3nRECo
『今、この場で――』
『うるさいバカッ!』
『 コンッ 』
『いてっ!?』
『あらあら、いい音が鳴りました』
『いつっ……まったく、石頭なんだから……っ、あんた達も止めなさいよね……』
『何か本気なんだなーと思ったぞ、自分』
『どうせ止まるんだろうな、と思いました』
『ごごにじゅうご、ごろくさんじゅう、ごしちさんじゅうご』
真「雪歩ー! 九九の練習してないで戻ってきてー!」
貴音「……」
律子「まったく、ギリギリでやることじゃないでしょうに。焦りすぎよ……」
千早「……ふぅ」
真「あずささん、余裕ですよね。伊織はそれも試したっぽいなぁ……」
律子「そうね。私も伊織に一杯食わされた感があるのに」
貴音「春香は……?」
千早「飲み物買ってくる、と」
律子「一番の大物は春香よね……」
277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:44:42.13 ID:pei3nRECo
―――― 我那覇邸
伊織「ごめん」
あずさ「何か考えがあってのことなのよね?」
伊織「……」
あずさ「どうでしたか?」
伊織「さっぱりよ……どうしてあそこまで冷静でいられるのかしら」
あずさ「……」
伊織「やっぱり、魅力が無いの?」
あずさ「いいえ。そうじゃないと思う。伊織ちゃんは魅力的よ」
伊織「そういう割には、あずさも余裕だったじゃない」
あずさ「なにか考えがあるのだと」
伊織「……ハァ」
あずさ「あら、どうして溜息を?」
伊織「バカは私よね……何も収穫が得られなかった……」
あずさ「……」
雪歩「……」
伊織「き、聞いてたの雪歩?」
雪歩「…………うん」
278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:46:09.08 ID:pei3nRECo
P「悪い、よく分からないことにつき合わせて」
『気にしないでください』
『響』
響「どうしたの、千早?」
『とても、胸に響いた』
響「えへへ、千早にそう言ってもらえるとすっごく嬉しいぞー!」
『ここでスペシャルゲストでーす』
『春香どこに行って……なぁっ!?』
響「どうした千早! しっかりしてよ千早! 千早ー!」
ゴリ「かしまさよ」
『よぉ』
『チャオ☆』
『こんばんはー。面白いことしてるねー』
P響「「 たちつてとうま! 」」
亜美真美「「 あまとぅー! 」」
『『 たちつてとうま! 』』
『いい加減にしろ! 俺の名前は――』
『あのねー。昼に冬馬君がお世話になったでしょー?』
『そのお礼だそうですよ、プロデューサーさん!』
『てか、おい、プロデューサー』
P「ん?」
『こいつ! 何度も俺にぶつかってくるんだが! あんたの指示か!?』
P「そんなわけないだろ」
『本当にっ、毎度毎度すいませんっ』
『だから、毎回毎回同じやりとりしてんだよっ! 飽きてんだよこっちは!』
『うぅ……』
やよい「あ、あのっ春香さんも悪気があるわけじゃないんです!」
『事故ってわけか……それじゃあしょうがねえな』
P「えっ!?」
279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:49:34.53 ID:pei3nRECo
『冬馬君が平和的解決を!?』
『土産を買ってきてもらったんだ。みんなで食ってくれ。じゃあな』
『チャオ☆』
『あ、ありがとうございましたー』
『最後に言っておくが、馴れ合いは今後一切無しだからな』
P「あぁ、わかってる。……またな」
『あぁ、またな……って、こういうのを止めるって言ってんだよ!』
P「……」
『宴もたけなわですが、これでお開きといたしましょう』
P「そうだな」
響「春香ー」
『なに、響ちゃん?』
響「もしかしたら、二人は磁石のように引かれ合うのかもしれないねー」
『え?』
亜美「おぉー! あまとぅーとはるるんがですかー!」
響「なんてね、冗談だぞー、にゃはは」
『……え』
あずさ「あの……春香ちゃん?」
『え……え……そういう……え……』
『春香? ちょっと、しっかりして!』
ゴリ「マブイが落ちたや……」
美希「まぶい……? 眩しさを失くしたの?」
ゴリ「魂のことさ……吃驚した時とかに落とす……こんな落とし方、初めて見た」
響「うわー! ごめんね、春香ーッ!」
『あ……そう……なんだ……N極とN極なら決してくっつかないよね……どうすればいいかな……千早ちゃん』
『えっと……エヌ……北極に行けばいいのかしら?』
『それしか道は無いのかと』
『N極は南極だからね。S極の北極に行くと更に引き合うからね、注意してね』
『どうしよう!』
『すいません、カメラ止めます。すぐに伊織たちを迎えに行きますから』
P「あ、それなら平気だ。お母さんから特別に泊まってもいいと――」
280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:51:52.41 ID:pei3nRECo
『なんと……!』
『くっ……!』
『ボクも行けばよかった!』
『伊織、ずるいよ!!』
伊織「沖縄最後の夜、いい夢を♪」
『い、伊織ー!!』
『お願いします、プロデューサー』
プツッ
P「さて、寝るか」
響「口は災いのなんとかだね……春香もマブイを取り戻してよかったよ」
川田「くかー」
響兄「今までで一番の演奏でしたよ」
小鳥「はい~、私も初めて聞きましたけど、なんだかせつなくなって~」
亜美「ピヨちゃんの顔赤いよ~」
真美「お酒は人を酔わせる飲み物なんだね」
美希「くぅ……すぅ……」
あずさ「プロデューサーさん、どこでお休みになるんですか?」
P「響のお父さんのところで、です」
やよい「……」
雪歩「……」
響「大変だったけど、楽しかったぁ……」
響兄「……いい経験を積んでいるんだな」
響「……うん!」
281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:52:27.10 ID:pei3nRECo
―――― 仏間
ゴリ「沖縄のお墓は大きくてよ。お墓の前にスペースがあるわけさ」
P「……」
ゴリ「そこで旧暦の三月になると清明祭が行われる」
ゴリ「親戚一同集まって、料理並べて……お墓でピクニックだな」
P「……どうしてそんな行事が?」
ゴリ「先祖を大切にする習慣があるから、そこで楽しく過ごすってことさ」
P「沖縄の文化ですね」
ゴリ「報告も兼ねてるわけよ。家族が増えましたよー、子供が内地の学校に行きましたよーって。酒も飲みながら」
P「本土とは全然違いますね……」
ゴリ「沖縄の死生観の面白いところだや」
P「……」
ゴリ「迷ってるね?」
P「……響のお兄さんにも言われましたけど、どういう意味ですか?」
ゴリ「いや、なんでもないさ。俺のやるべきことじゃないからな」
P「…………」
ゴリ「みんな寝たようだから、俺も帰って休もうやっさ」
P「……はい。今日はお疲れ様でした」
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/10(日) 23:53:00.52 ID:pei3nRECo
※ ― 小鳥 ― ※
※ ― 小鳥 ― ※
四日目終了
283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 17:27:02.11 ID:D6WlPvRyo
最終日
―――― 座喜味城跡
響「ん~! 朝の風が気持ちいいぞー!」
タッタッタ
亜美「待ってよ、ひびきーん!」
やよい「待ってくださーい!」
タッタッタ
P「こ、転ぶなよーッ!!」
「「「 はーい!! 」」」
P「や、やよいは高所恐怖症なんだから、もう少し慎重に歩いてくれないと……」ハラハラ
小鳥「城壁の上を歩くなんて……不思議ですね……」
あずさ「そうですね……おかげで景色が広がって見えますけど……」
「ここここ、怖いですーっ!」
「プロデューサー、やよいが怖がってるぞー!」
P「だから止めたのに!」
タッタッタ
あずさ「まぁまぁ」
284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 17:28:43.09 ID:D6WlPvRyo
亜美「だいじょーぶだよ、やよいっち」
やよい「きゅ、急に高くなってて……」ガクガク
P「いや、外観を見たらわかることだろ?」
やよい「ひ、響さんが……景色がいいって……風が気持ちいいって……」ブルブル
P「……朝の景色と空気だから気持ちがいいのはわかるけど」
響「プロデューサーにくっ付いていれば安心さー」
あずさ「そうですね」
やよい「お、おねがいしますプロデューサー」クイッ
P「ずうずうしいとは思うが、俺はあくまで、やよいのお兄さん的役割だからな。父親ではない」
亜美「なにゆってんの、兄ちゃん?」
雪歩「クスクス……プロデューサー、お父さんみたいですね」
真美「ほら、見てよ雪ぴょん」
雪歩「?」
真美「昨日撮った兄ちゃん達の写真だよ」
雪歩「わ、わぁ……!」
真「なになに? 見せて」
貴音「やよいを肩車したプロデューサー、その隣で微笑むあずさは一つの家族ですね」
美希「ふぅん……」
小鳥「真美ちゃん、これを私に送信してくれないかしら!!!」
春香「わ、私も!」
真美「そうは問屋がおろさないぜ!」
春香小鳥「「 どうして!? 」」
真美「あ、ごめんね。言ってみたかっただけ……」
285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:03:10.90 ID:D6WlPvRyo
律子「寝不足って顔してるけど、大丈夫、伊織?」
伊織「なんとかね……」
律子「それじゃ、遠慮なく」
ビシ コンッ
伊織「――ふぎゅぅ!?」
伊織「な、なにするのよッ!?」
律子「昨日のあれはなんなのよ……!」
伊織「チャームポイントに傷がついたらどうしてくれんのよ!?」
律子「たかがデコピンくらいで……いいから答えなさい」
伊織「た、試しただけじゃないの……」
律子「デリケートな問題なんだから……もう少し考えなさいよ。らしくないわね」
伊織「…………」
千早「でも、私も伊織の気持ちが分かる」
律子「まぁね。帰ったら帰ったで忙しくなって……またプロデューサーが目の届かないところに行くから」
伊織「……今日の夜にはもう帰るのよ?」
律子「わかってる」
千早「律子、午後のアンコールライブの出演者は昼の投票によって決まるのよね?」
律子「そうだけど……?」
千早「仮に、私達がエントリーされたら……チームごとになるの? それとも総出演でステージに?」
律子「子供、青春、大人と分かれているから、別々になるわ」
千早「一つのチームとして出演できないかしら」
伊織「千早、それって三チームが通ればの話でしょ?」
千早「……そうだけど」
伊織「お子様チー……むっ!?」ムカッ
律子「自分で言って怒るんじゃないの。……お子様チームだけが通ったらって言いたいのね?」
伊織「……そうよ」
千早「私は、一つのチームになって、みんなで歌いたい。そして、最後の観光地へみんなと行きたい」
律子「そういうことなのは分かるけど……。あのね、千早」
千早「?」
律子「あぁ、待って。話がごちゃごちゃになってきた」
律子「整理すると、三チームが通れば、千早は全員で立ちたいと」
千早「えぇ」
律子「だけど、一チームだけが通った場合、それをどうするのか、と伊織は気になるわけね」
伊織「そうよ。私のチームだけ出場して、あんた達だけで観光というのも、腑に落ちないわ」
律子「そうよね……。セットリストの問題も出てくるから……これは賭けになるわね」
律子「ステージを優先か、プロデューサーを優先か。千早の提案が両方取れるんだけど」
千早「……」
286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:04:43.44 ID:D6WlPvRyo
伊織「……」
美希「律子…さんはどのチームが出るのか予想できてるの?」
律子「私達以外の事務所もかなり手強いから……ジュピターも再起したばかりと言っても侮れないし」
美希「他はいいの。ミキ達のステージの出来が知りたいの」
律子「言ってくれるわね……。観光ばかりで碌に研究できてないけど。
お子様チームはこの後のステージをいつものように発揮出来れば確実ね」
伊織「残り二つは?」
律子「私達、大人チームも……問題は無いとみてる」
伊織「765プロの看板がいるから、順当ね」
千早「青春チームは……?」
美希「……」
律子「今日、この後のステージ、お子様チームじゃなくて青春チームが出場できていれば……確実だった」
伊織「どういうことよ」
律子「雪歩の成長にかかっていたから」
千早「……」
287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:05:27.93 ID:D6WlPvRyo
pipipipi
ピッピ
雪歩「わ、わぁ! 文明って凄いね真ちゃん!」
真「写メが初めて届いたみたいなリアクションだけど……」
雪歩「これ……すっごくいいよ真美ちゃん!」
真美「そうでしょー! 撮ったの亜美だけどね」
雪歩「待ち受けにしよう」
ピッピッピ
春香「ねぇ、雪歩」
雪歩「うぅ~! やよいちゃん可愛いし、あずささん落ち着いてて素敵だし、プロデューサーが」
真美「変な顔してる!」
雪歩「優しい表情してる!」
真「そ、そうかな? ボクも変な顔に……って、失礼だけど」
雪歩「ほ、ほら、よく見て」
小鳥「どれどれ?」
雪歩「肩車してるからの表情なんだよ、振り向きながら重心を保つために……!」
真「読みが深すぎるよ雪歩……」
小鳥「そういわれてみれば」
真美「いやいやー、ピヨちゃんはすーぐ合わせちゃうんだから……本当だ!?」
貴音「真美の流れに乗る技術はいつみても鮮やかですね」
春香「ねぇ、雪歩……いいことあったの?」
雪歩「え、うん……あったよ?」
真「ごく自然に答えたけど、なにがあったの?」
雪歩「私、頑張るって決めたの!」
春香「う、うん……それで、なにが雪歩をそうさせたの?」
雪歩「この写真かな?」
真「数分前なの!? その変化によく気付いたよね春香! ボクには分からないよ雪歩がー!!」
小鳥「ま、真ちゃん落ち着いて!」
貴音「今までの不安は取り除かれたのですか?」
雪歩「まだだけど、この写真に写った、暖かい場所を守りたいって昨日思ったんだ」
真「え……?」
雪歩「その為には、頑張らないとっ」グッ
春香「そっか……!」
288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:06:03.44 ID:D6WlPvRyo
律子「……昨日とは別人だから」
伊織「そうね……私が小鳥に捕まってる間、何かがあったのね」
千早「え?」
伊織「まぁ、隠すことじゃないから言うけど。
私と小鳥以外、プロデューサーはみんなと朝まで共にしたわ」
千早律子「「 それ、本当なの? 」」
伊織「そうでしょ、美希?」
美希「そうだよ」
千早「はぁ……呆れた……」
律子「まぁ、聖人君子のプロデューサー殿だから……信じるけど。……あぁ、もうっ!」
千早「律子、気持ちは分かるけど、過ぎたことはしょうがないわ」
律子「そ、そうね……」
美希「悪いことじゃないと思うけどな」
律子「プロデューサーだから悪くないの。それが普通だと思い込むのが悪いことなの。この違いなのよ!」
伊織「いいから、早く話を戻しなさいよ」
律子「……今の雪歩なら投票数を稼げる。三チーム同時出場も確実だった」
千早「それじゃ、律子の見込みでは……」
律子「……」
美希「でも、律子は昨日の私達のステージ、見て無いよね」
律子「えぇ……そうね」
美希「雪歩、成長してるよ?」
律子「……え?」
美希「だって……ゴリィと――」
律子「あ! そうか、ゴリさんが誰に対しても自然に接してるから見落としてた」
伊織「昨日の地底探検でも、同じく行動してたわ」
千早「それに気付かないなんて、律子も焦ってるのね」
律子「……ッ!」
伊織「デコピン、してもいいかしら?」
律子「……どうぞ」
伊織「するわけないじゃないの。早く、プロデューサーとセットリスト組んできなさいよ」
律子「……面目ない」
タッタッタ
美希「でこちゃんが優しいの……台風が来て沖縄は荒れるね」
伊織「あんた失礼よ!?」
千早「…………」
美希「どうしたの、千早さん?」
千早「……あの、ね。歌いたい曲があって――」
289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:07:01.80 ID:D6WlPvRyo
律子「プロデューサー、お話があります」
P「?」
律子「午後のアンコールライブのことで」
P「わかった。セットリストのことだな?」
律子「そうですけど……」
やよい「?」
あずさ「どうしたんですか?」
亜美「ヤッホーー!!」
シ ィ ー ン
亜美「返ってこないよ……」
響「当然だぞ、山が無いんだから」
律子「こら、これからステージなんだから、無意味に叫ばない」
P「出場するとしても、セットリストは決まったはずだけど?」
律子「それがですね。三チームが合同でステージに出るという案があります」
P「……なるほど」
律子「それを提案したのが千早です」
P「わかった。えっと、あずささん、やよいをお願いします」
あずさ「……はい」
やよい「こここ、怖いですーっ!!」クイッ
P「ひ、響」
響「なにー?」
P「やよいを頼む」
響「うん……でも、自分じゃ無理だぞ」
やよい「だ、駄目ですっ、動けないですっ!」
P「……うーん」
亜美「どったの?」
律子「うーん……」
あずさ「……」
290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:08:06.66 ID:D6WlPvRyo
「プロデューサーさーん!」
P「……ん?」
亜美「どーしたの、ピヨちゃん!」
「そろそろ戻りましょうー!」
亜美「そだねー!」
P「戻るか……お母さんにも挨拶したいからな」
律子「そうですね。その為に私達も来たわけですから」
響「亜美、競争するさー!」
亜美「上等さー!」
P「こら、走るな危ないから!」
「「 はーい 」」
P「千早が提案したなら、それでいいんだが」
律子「えっと、話を続けても?」
P「やよいも知ってるし、あずささんなら一緒に考えてくれるだろう」
やよい「?」
あずさ「?」
P「あずささん、千早にイタリアから移籍の話が来ています」
あずさ「え……」
律子「この音楽祭で何かしらの変化をアピールできれば、との条件付きですけど」
あずさ「すぐに……というお話なんですか?」
P「こっち……千早の気持ちを考えてくれてます」
P「だけど、俺としては千早自身の為にも送り出すつもりでいます」
やよい「……」
律子「プロデューサーの意向で千早には伏せてはいますが……」
あずさ「そうですね、私もその方がいいと思います」
律子「…………」
P「律子としては、三チーム合同で出場しないで、アピール効果の高い各チームでの出場が望みだよな」
律子「さっきまではそう思っていたんですけど……」
P「?」
律子「あずささんは、どう思います?」
あずさ「?」
律子「千早はみんなと一緒にステージに立って、歌いたいと提案しました」
あずさ「……」
律子「千早にこの件を伏せている以上、この判断を誤れば千早の夢を遠ざけることになります」
やよい「……」
P「……」
291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:09:23.96 ID:D6WlPvRyo
あずさ「どうして、私に?」
律子「プロデューサーと同意見だと思っているからです」
あずさ「まぁ……!」
律子「いや、喜んでいないで……意見を聞かせてください」
あずさ「うふふ。それなら、やよいちゃんに聞いてみましょう」
やよい「わ、わたしですか!?」
あずさ「そうですよ。どうですか?」
やよい「こ、この話を聞いて、私が決めちゃっていいんですかぁ!?」
P「多分、みんなと同じ判断だと思う。決めてくれやよい」
やよい「えー!?」
律子「あの、二人とも……私の台詞に恨みでもあるんですか」
Pあずさ「「 いいえ 」」
律子「あーもう! 調子狂うなぁ!! 私は千早に伏せている事に不満を持っているんです!」
律子「だから、嫌味っぽく言ったのに! それをやよいに聞かせた後で判断させるって、ずるいじゃないですか!」
P「律子の考えが正しいと思う。けど……」
律子「あー、うるさい」
P「うるさいって……」ションボリ
律子「やよいの気持ちを言ってみて?」
やよい「……私は」
やよい「私は……千早さんに行って欲しくないです」
やよい「だけど、それは私のわがままですから」
やよい「ただ……一緒に歌いたいと思います」
律子「……わかった。だけど、それはお子様チームが今まで以上のライブにしないと実現しないんだからね」
やよい「うっうー! 任せてください律子さん!」
律子「え……?」
やよい「私も、頑張りますからね!」
律子「ど、どうしたのよ、やよい」
P「城壁から降りて恐怖がなくなったか……」
あずさ「違いますよ。昨日の夜にプロデューサーさんが言ってくれたからですよ」
P「……あー、その……恥ずかしいから言わないでください」
律子「……なにがあったのよっ! もうっ! 知らないところで話が進んでてモヤモヤするっ」
やよい「律子さん! あずささん! プロデューサー!」
P「?」
あずさ「はい」スッ
律子「……はい」スッ
やよい「はい、ターッチッ!」
パン パン パァンッ
やよい「とりぷる、いぇい!」
292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:10:28.44 ID:D6WlPvRyo
―――― 我那覇邸
響兄「色々と大変だろうけど、ちばりよー」
響「……うん。自分には、みんながいるから……」
響兄「あの頃、おまえは小さかったからあまり覚えていないだろうけど」
響「…………」
響兄「真剣に聞いている響の前で、おとーはとっても楽しそうに三線を弾いてた」
響「……っ」
響兄「昨日の夜は逆だったけど、俺はそれを観てとても誇らしいと思ったよ」
響「うん……っ」
響兄「……自慢の妹さ」
響「ありがと、アニキ」
響兄「自分を信じれな、響」
響「うん! なんくるないさー!!」
「「「 お世話になりましたっ! 」」」
小鳥「お世話になりました」
響母「五日間とても楽しかったさ~、また来てね~!」
美希「ご飯おいしかったの~、またね、響のお母さん」
やよい「おいしい朝ごはんありがとうございましたー!」
あずさ「それではお元気で、またいつの日かお会いしましょう~」
響母「はいはい、元気でね~」
律子「ありがとうございました!」
P「それでは、また」
響母「あんまりみんなを心配させるんじゃないよ、本当に」
P「……は、はい」
響母「響のこと、よろしくね」
P「はい!」
響「それじゃーね、行って来るさー!」
響母「ちばりよー、響!」
293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:10:59.02 ID:D6WlPvRyo
―――― バス内
響「最後の一日ゆたしくうにげーさびらー!」
運転手「はい。責任を持ってみなさんをお運びします」
伊織「……」ウトウト
川田「はいー! 今日で最後ですよー! みなさん張り切って行きましょー!」
「「「 おーっ! 」」」
伊織「!」ビクッ
小鳥「ごめんね、伊織ちゃん」シクシク
伊織「いいの……小鳥は……悪く無いわ……」
P「北谷に着くまで少し時間があるが、寝てるか?」
伊織「そう……する…………」ウトウト
ゴリ「なんでね?」
P「それが……」
小鳥「私が私が悪いんです……ッ」シクシク
伊織「チャタン……チャンタ…………」ウトウト
ゴリ「あいえーなー」
294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:11:28.98 ID:D6WlPvRyo
―――― 残波岬
亜美「おぉぉ!!」
真美「大きいー! シーサーが大きいよ兄ちゃん!」
P「……うん、凄いな」
千早「時間は大丈夫なの?」
律子「えぇ。みんな早起きしたから、1時間の余裕があるわ」
貴音「このしぃさぁ……魔除けとしてとても心強いですね……」
……
春香「水平線が見渡せて……いい眺めだよねー」
ゴリ「崖の方に行くなよー、落ちても知らないよー」
やよい「えぇー、落ちちゃうんですかー!?」ブルブル
雪歩「や、やよいちゃんこっちに……!」
……
タンッ...タタンッ!
響「……どうかな?」
真「うん、いいよ響!」
美希「いつもより動きがいいの」
響「よぉーし、頑張りまくるぞー!」
あずさ「…………」
……
…
295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:26:14.18 ID:D6WlPvRyo
P「よし、みんな集まったな」
真美「いおりんがいないよ?」
P「伊織は寝不足でバスで寝ているから、後で直接伝える」
春香「どうしたの、伊織は?」
亜美「ピヨちゃんの抱き枕になってたからねー」
真「……それで、小鳥さんが付き添っているんだね」
P「去年出場した音楽祭での成績によって、今年はウチの事務所から全員が参加することができた」
ゴリ「はい、先生! 質問があります!」
P「ど、どうぞ」
ゴリ「去年は誰が参加したのでしょーか! 気になって夜も8時間しか眠れませんでした!」
P「律子、真、伊織、あずささんの4人です。快眠できてますね」
ゴリ「ありがとーございます! これでぐっすり眠れます!」
P「話を続けます。午前のライブが全て終わり次第、ファン投票が行われます」
ゴリ「質問です!」
P「どうぞ」
ゴリ「ファン投票は事務所毎の投票なんでしょーか! 気になってご飯が3杯しか進みません!」
P「各グループによって投票されます。その結果によって午後のライブ出場者が決定します。健康的ですね」
ゴリ「他の参加者は一日一回ずつ、つまり五日連続の出場ですね!」
P「そうです」
ゴリ「不利ではないのでしょーか! 気になってお酒が1升しか飲めません!」
P「そうですね。765プロのチームは五日間の内、三回ずつしかステージに立っていません。飲みすぎです」
ゴリ「果たして勝てるのでしょーか! 気になって鼻歌が40分しか歌えません!」
P「みなさんも感じていたとは思いますが、他の参加者は実力もあり、レベルが高いですね」
春香「はい! そう思います!」
律子「青空学校になってる……」
P「私が検討した結果、みなさんはそれでも負けていません。むしろハンデと言っていいでしょう」
ゴリ「大きく出ましたね!」
P「すいません、少し調子に乗りました。反省します」
P「負けていないという気持ちは本気です。歓声を聞いてそれは確信に変わりました」
響「やさやさ」
296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:26:58.76 ID:D6WlPvRyo
P「そこで、三チームがアンコール投票に通った場合について、如月千早君から提案があります」
千早「えっ!」
P「千早君、前へ出て発表してください」
千早「は、はいっ」
真「提案?」
貴音「はて?」
千早「え、えっと……き、如月千早ですっ」
ゴリ「知ってるさー! ねぇねぇよ、面白いやっさー!」
亜美「ゴリー! うるさいよー!」
真美「しずかにしないと、めーごーさー(拳骨)だよ!」
ゴリ「…………はい」
千早「……私が……提案したのは、三チーム合同、みんな一緒にステージに立つことです」
春香「……」
千早「各チームで参加した方が、事務所やみんなにとってメリットが大きいのは分かっています」
千早「でも、私は……みんなと一緒に歌いたい」
雪歩「…………」
千早「決して思い出作りじゃなく――」
響「じぶんも!」
雪歩「わたしも!」
響雪歩「「 あ…… 」」
律子「どうして、そう思うの?」
千早「今のみんなで歌わなければいけないと感じたから」
律子「……」
千早「だから、私はどうしてもあの曲をみんなと歌いたい」
春香「……」
P「千早」
千早「……はい」
P「午後のライブは千早の将来を左右することになるだろう」
千早「……え?」
律子「……ッ!」
P「最高の舞台にしなければ、千早の夢は――」
千早「――今は」
297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:27:31.57 ID:D6WlPvRyo
千早「私の将来より、事務所みんなの未来を優先したい」
P「……そうか」
律子「プロデューサー、後でお話が」クイッ
P「……そうか……っ」ブルッ
春香「千早ちゃん……どうして……」
千早「みんなで、歌って……ある人にそれを届けたいから」
あずさ「私も、千早ちゃんと同じです」
千早「あずささん……」
あずさ「私も、ある人に聞いて欲しい歌があります」
美希「ミキもそれが一番だって思うな」
真「そうだね! 燃えてきた!」
雪歩「わたしも!」
響「じぶんも!」
雪歩響「「 ……あ 」」
あずさ「プロデューサーさん、セットリストを私達で決めてもよろしいですか?」
P「は、はい……」
春香「よーし、私も頑張るぞっ」
貴音「わたくし達の節目となりますね」
響「伊織がいないから、自分が言うね!」
響「やよい! 亜美! 真美! 自分達もがんばるぞー!」
やよい「うぅー!」ウズウズ
亜美真美「「 あいあいさー! 」」
川田「ホットドック、美味いやっさ」モグモグ
ゴリ「……ッ!」ペシッ
298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:28:58.59 ID:D6WlPvRyo
―――― 北谷
『それじゃー、一曲目行くぞー!』
『伊織ちゃんについてきてね、みんなー!』
ワァァァアアア!!!
店員「響ちゃぁぁあん!!!!」
ゴリ「……早く行け!」
店員「ゴリさんすいません! あとお願いしますッ!」
ダダダダダッ
ゴリ「俺は765プロのスタッフか……!?」
ピッピッピ
『『『 ビジョナリー!! 』』』
ゴリ「もしもし……プロデューサー、ちょっと駐車場まで来てくれんか」
『 もしもピサの斜塔がまっすぐ建ってたなら 名前変えなきゃダメね
だったらピサの塔でいいっかな? 』
ゴリ「……今日で最後か……」
『 もしもムンクの叫びは歯が痛いからなら 名前変えなきゃダメね
だったらムンクの虫歯でいいっかな? 』
ゴリ「嬉しくてすでに達成感が沸いてきてるな……」シミジミ
P「いつもありがとうございますっ! って、何がですか?」
ゴリ「反射的に礼を言うのやめれ。これ、店員さんの……の差し入れって」
P「こ、こんなに……ッ!?」
川田「五日連続、エンダー!」
ゴリ「詳しくは後で、店員さんに聞いて」
P「は、はい。……とりあえず、控え室まで」
299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:30:25.84 ID:D6WlPvRyo
『 変えちゃうよ色んな世界 ちょっと想像するだけだよ
ほら不思議な出来事がたくさん 』
『 イクシアダーツサムロディーア… 』
ゴリ「なんの呪文か」
川田「台風来るあんに?」
ゴリ「やばいな、765プロ! あっはっは」
川田「あっはっは だからよー!」
P「実際、去年の冬に吹雪呼びましたけど……」
ゴリ川田「「 洒落にならんな765プロ 」」
『 魔法の言葉唱えましょ 』
300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:30:54.42 ID:D6WlPvRyo
―――― ライブ会場
『 チョチョチョイ チョロイよチェンジザワールド
勝手にルール作っちゃお (オー!) 』
ゴリ「お、いつも以上に張り切ってるな」
川田「ティダに負けて無いよー」
P「おかげさまで……」
『 お菓子は二千円までオッケー!
バ ナ ナ パスー! 』
ゴリ「……」
『『『『 含まれずー! 』』』』
ゴリ「なんでか、なんで俺に向かってバツサイン出したばーッ!?」
『 ホホホイ ホントの本気テンション みんながギョエ~ってドン引き (エー!)
そんなに食べちゃマジヤバイったら この世界ってば私だけ!
全部叶っちゃう 大好き! 』
P「…………」
301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:31:20.69 ID:D6WlPvRyo
―――― ライブ会場・控え室
P「……ちょっと出てます」
小鳥「は、はい……」
ゴリ「はい、差し入れー。エンダー!」
春香「あ……!」
美希「あ……」
貴音「おや」
ゴリ「嬉しそう、ガッカリ、表情読めず……深いなぁ」
『 ナナナイ 内緒のチャンスナイト 今だけ袋詰め放題 (ヤッター!)
おもちゃもお洋服もありったけ ゲットしろー! (ウォー!) 』
千早「プロデューサーと一緒では……?」
川田「あい? さっきまで一緒にいたのに」
ゴリ「観客側から観てるのかね」
真「……どうして?」
雪歩「いつもここから見守っているのに……」
あずさ「……」
302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:33:10.12 ID:D6WlPvRyo
―――― ライブ会場
『 プププイ ブットび無敵タイム 誰にも邪魔はさせないぞ! (ガオー!)
ヨヨヨイ 世の中おめでてーな この世界ってば私だけ 』
『 や~だ起きないっ!
怒られたぁ… 』
ワァァアアアッッ!!
P「…………」
『熱気が凄いさー!』
『伊織ちゃんへの声援ありがとぉ~!」
『うっうー! この調子でどんどん行きましょー!』
『続いてー…………ぁ』
『どしたのん、真美?』
P「っ!」フルフル
『……あ、えっと……次はなんだっけ?』
『これだよ~』
『そうそう、最初はL!』
『L……とな?』
『それでー、次はこれ!』
『ふむふむ……O……ですな?』
『と、来たらぁ~?』
『V.E……LOVE! ラヴ~!』
『ち、違うわよぉ~そんなタイトル知らないわぁ~』
『お、いつもクールな伊織が焦ってるぞ~!』
『こういうときこそフォローしなきゃダメじゃなぁ~い、ねっ♪』
『ねっ……といえば、 L・O・B・M ですな!』
303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:33:51.11 ID:D6WlPvRyo
『私、この曲で大好きなふれーずがあるの!』
『聞かせてもらおうぞ、やよいー』
『 みんなこの世界の中で、いがみ合わずにいたいよ、
さあ歌を歌おう、そしたらもっと優しくなれるよ。ってところ!』
『やよいらしいなー、自分、やよいのそういうとこ好きだぞ』
『えへへー』
『そうねぇ、私はぁ』
『おっと、時間切れ。さぁ歌に戻りましょう』
『ちょ、ちょっとぉ、私にも――』
~♪
『イントロ始まったよん、いおりん』
『スタッフさんも気が利いてて困っちゃうなぁ♪ さぁ、楽しんで行くわよーッ!』
『『『『 おぉー! 』』』』
オオォォォッ!!
P「……」
『 アッ!とね 言わせてみたい
いっぱい愛があふれる ウットリするような世界創ろう 』
P「ずっと……見て」ホロリ
あずさ「プロデューサーさん」
P「――ッ!」
あずさ「どうして、涙を零していたんですか」
P「少し、感動しちゃっただけですよ」
『 ガッカリするのまだだよ きっとね チャンス来るから
グッドタイミング絶対ある かけてみようよ 』
あずさ「……真美ちゃん、ステージの上から心配しています」
P「う……。少し、隠してください」
あずさ「はい」
P「……情けない」ゴシゴシ
あずさ「…………」
P「もう大丈夫です、あずささんは控え室に戻ってください」
『 サン. ニー. イチ 』
『 アイコンタクトをしようよ それで伝わることがあるハズさ
手をつないで行こうよ それで迷子にならずに進めるハズだから 』
304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:35:26.61 ID:D6WlPvRyo
あずさ「一人では迷子になります」
P「そんなハッキリと……」
あずさ「手を繋いでいれば、大丈夫ですよ」
P「幾ら変装しているからって、これだけの人がいるんですから、そういう発言は――」
ギュ
あずさ「響ちゃん達から目が離せないみたいですから、平気ですね」
P「……あずささん、本当に控えてください」
あずさ「プロデューサーさんの、不安を拭えるかと思って」
P「……さっきの千早といい……社長から聞きましたか……?」
あずさ「いいえ。まだ誰も知りません。誰かさんが話してくれませんから」
『 みんなこの世界の中で いがみ合わずにいたいよ
さあ この歌を歌おう そしたら もっと優しくなれるよ 』
P「…………」
あずさ「私の不安も無くなりますから、もう少しお願いします」ギュ
『『『 ねっ! 』』』
あずさ「ねっ?」
P「合わせないでください……」
『 さっそく始めてみよう ジッとして待っちゃダメだよ
スッと立って勇気出して声をかけよう 』
あずさ「……」
P「……なさ…け……ない…………な……」
『 たっぷりパワーたくわえ 小っちゃなこだわり捨てて
突っ走れ! 愛のために前に進もう! 』
......スタスタスタ
律子「……」
あずさ「……」
P「……」
律子「……」スッ
P「……」
あずさ「……」
律子「……」
スタスタスタ......
P「俺も一応変装しておけってことか……」ポフッ
あずさ「律子さんの帽子ですね」
305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:36:59.28 ID:D6WlPvRyo
―――― ライブ会場・控え室
『『『『『 わおーーん!! 』』』』』
ゴリ「…………」
川田「真剣な表情」
ゴリ「……ここまで来たか」
川田「彼はステージを見つめ、そう呟いた」
ゴリ「…………だが、ここで終わりじゃない。ここからやさ」
川田「右手を固く握り締め、決意を新たにする。彼の果てなき挑戦は続く」
P「ドキュメンタリー?」
真「プロデューサーごっこだそうです」
ゴリ「ごっこって言うな、こっちは真面目に撮影してるのに」
真「なにを果てなく挑戦するんですか」
ゴリ「お笑いさー」
真「ライブを見てお笑いの決意を新たにしないでください!」プンスカ
律子「……」ジー
P「……帽子ありがとな、返すよ」
律子「…………」ジィーッ
P「……えっと、お子様チームのラスト曲は……」
あずさ「すいません、律子さん」
律子「本当に、この迷コンビは……!」プンスカ
『亜美は沖縄どうだったー?』
『すんごい楽しかったよー! まさに楽園だよねー!』
『楽園といえば、響さん、ゴリさんから聞いたんですけど、ニラ炒め辛いってなんですか?』
『ニライカナイだぞ……やよい……』
『ふぅん、それはなんなの?』
『……』
『それはね……おっと、今の内に水分補給だぞ真美』
『……あいあいさー! さくっと行ってくるかんね! 先に歌っちゃやだよん!』
『ニライカナイは、桃源郷のことさー』
『トウゲンキョウですかー?』
306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:37:38.31 ID:D6WlPvRyo
あずさ「プロデューサーさん」
P「あ、はい」
真美「兄ちゃん……」
P「研究のために観客側から観ていたんだ」
真美「泣いてたよね……」
千早「――!」
律子「……」
春香「プロデューサーさん……?」
P「恥ずかしいな……。感慨深くなって、油断しただけだ。亜美には内緒――」
亜美「聞いたよん! 寂しがり屋ですな、兄ちゃんは!」
P「それを言うんじゃない!」
真美「……」
P「ほら、二人の元気を観客のみんなに渡して来い! ついでに思いっきり遊んでくるんだ」
亜美真美「「 了解! 」」
タッタッタ
『遥か東の海の底にニライカナイはあるんじゃないかって云われてるさー』
『海の底……竜宮城ですね!』
『そういう説もあるね、やよいは鋭いぞ!』
『沖縄の知識に関しては目を見張るものがあるわね……』
『おっまたっせ~!』
『エネルギーじゅーでん完了! 飛ばして行くかんね!』
『さぁ、三曲目ですよー!』
『最後、盛り上がっていこうねー!』
『『 私たちずっと…でしょう? 』』
『 本気が見たい?”Ah,an!!” 本音で今日も踊ろう
指を動かしたら…ちいさく I love you 』
ゴリ「ニライカナイ、全然関係ないや……脈絡が一切無い」
川田「だからよ……」
P「……」
307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:38:10.34 ID:D6WlPvRyo
『 上手になれる?”Ah,an!!” 上昇どんどん進もう
腕は羽みたいに…とおくへFly with you 』
小鳥「プロデューサーさん、寂しがり屋なんですか?」ヒソヒソ
美希「そうなの。昨日の夜に聞いたから間違いないの」ヒソヒソ
真「へぇ……プロデューサーが……」ヒソヒソ
春香「は、初耳です……ちょっと意外です」ヒソヒソ
あずさ「そうでもないんですよ。仕事以外の電話がかかって来ると――」
P「あずささん、あずささん、それ以上はストップですよ。解釈がズレてますから」
『 選ばれてみたい 光のステージ 努力は魅力? がんばれ私! 今!! 』
あずさ「以前、携帯電話は『楽しい事や幸せを運んでくれる窓口』だと……」
P「言ったのはあずささんです。俺ではありません。共感はしましたけど……」
あずさ「春香ちゃん達から電話が来ると嬉しそうにしてました」
P「それだけでは証明になりませんよ。ライブを見ましょう」
『 でしょう?きっと輝いて でしょう?どこまでまでも
でしょう?夢のはじまりは ふとした偶然でしょう! 』
pipipipipi
P「……なにをしているんだ、春香」
春香「証人になれるかと……」
貴音「春香、時間を置いてもう一度です」
律子「あのね、あんた達……」
『 この憧れはもっと いつまでまでまでも
希望のせて微笑みを届けに行くのでしょう! 』
308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:39:01.62 ID:D6WlPvRyo
――…
『 希望のせて微笑みを届けに行くのでしょう! 』
『 ”Ah,an!!” 』
P「……よし」
『ファンキーノートチームでしたー!』
ワァァァアアア!!
『これにて音楽祭のプログラムを終了! これからファン投票に入りまーす!』
亜美「楽しかったー!」
響「最高だったね!」
やよい「うっうー!」
真美「ずぎゃーんばごーんどかーん!!」
真「お疲れ伊織」
伊織「ストレッチに付き合ってくれたから、なんとか行けたわ。ありがと、真」
真「……」
伊織「……」
真「…………」
伊織「なによ?」
真「伊織が素直にお礼を言った……?」
伊織「……」
千早「真、伊織が少しショックを」
伊織「う、受けて無いわよ!」
『会場を大型ステージに移動し、結果発表、その後アンコールライブとなります!』
ゴリ「ほら」
響「やっぱり店員さんも来てたんだね、見間違いじゃなかったさー」
亜美「oh...ender...」
真美「真美たち……五日続けてだよね……」
やよい「……」
ゴリ「いつも喜んでいたけど、さすがに違うものが食べたいよな、うん……分かる」
やよい「これを食べちゃうと……もう……味わえなくなるんですよね……」
ゴリ「違う落ち込みだったようさぁ」
律子「どこでいただきましょうか」
響「あのビーチへ行こう!」
309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:40:13.63 ID:D6WlPvRyo
―――― アラハビーチ
店員「な、なんなんですか? ここ、どこですか?」
ゴリ「いや、知ってるだろ」
店員「そ、そうですけど……どうして私がここにいるんですか?」
P「店長さんにもお礼を伝えてください」
店員「いえ……嬉しい悲鳴を上げてるので、気にしないでくださいと……」
亜美「このオレンジが無いと沖縄に来たって気がしないよね」
真「そこまで浸透しちゃったんだ」
P「嬉しい悲鳴?」
店員「四日続けて来店されてるので、色々と噂が立ちまして……」
P「そ、そうなんですか……」
春香「今回のロケ、結構周ったよね」モグモグ
響「そうだね。もう数えて無いけど」モグモグ
貴音「ぱくぱく」
千早「周った観光地は他にもあるのよね……」
響「そうだぞ。中部のコザ、勝連城。
北部の比地大滝、辺戸岬、茅打バンタ、タナガーグムイ、安須森御嶽」
千早「あすいむぃ……?」
響「登山になるんだけど、頂上に御嶽があって見晴らしがいいんだぞ。
茅打バンタも景色が良かったさー」
ゴリ「おまえ、意外と知ってるな……」
響「自分が上京する前に、アニキがドライブに連れてってくれたからね」モグモグ
P「へぇ……」
真美「てながーぐむりはどんなとこ?」
響「タナガーグムイ。滝つぼがあって、そこで泳げるんだぞ。秘境だね」モグモグ
真美「兄ちゃん!」
P「北部か。……残念だけど、無理だ」
真美「もう一泊していけばなんとかなるよ!」
小鳥「なんとかなるけど、もう飛行機の予約取っちゃったから……」
千早「そう……」ズドーン
あずさ「…ですか……」ズドーン
真美「……ですよね」ズドーン
小鳥「悪いことしちゃったみたいで苦しいっ!」ズキズキ
律子「はい、それはまた今度。食べ終わったら戻るわよ」
真美「次はあるの、律っちゃん……」
律子「うっ……軽はずみな言動が人を傷つける……」
P「…………」
あずさ「……」
310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:40:48.29 ID:D6WlPvRyo
やよい「おいしぃですー♪」
店員「……うぅ! 友達に話しても信じて貰えないんだろうなぁ……!」
あずさ「うふふ、喜んでくれると嬉しいです~」
店員「あの、あずさ……さん……」
あずさ「はい?」
店員「響ちゃんを応援しようと思ったのは……あずささんがッ……きっかけなんです……ッ」
あずさ「……?」
店員「『9:02pm』を聴いてッ……たちまちゅファンになって……ッ……それからっ」
ゴリ「落ち着け、落ち着くんだねぇねぇ!」
店員「は、はい!」
ゴリ「ハブが一匹、ハブが二匹……数えて」
店員「……ハブが三匹……ハブが四匹……どうしてハブ?」
春香「ハブはもう嫌……!」フルフル
真「春香、いないから……。どうしてハブに心の傷を持っているんだろう……」
あずさ「私のデビュー曲ですね」
店員「は、はいッ……だから……その曲に出会えたおかげで……響ちゃんを好きになれました……!」
響「ありがとー。えへへ、なんか照れるね」
あずさ「そうですね……」
P「……」
あずさ「なんだか、懐かしいですね、プロデューサーさん」
P「はい」
あずさ「私のデビューが決まって……二人三脚で……たくさんの苦難を乗り越えてきましたね」
P「…………」
伊織「今や、765プロの看板アイドルだからね。驚きよ、ほんと」
あずさ「プロデューサーさんのおかげです」
P「……いえ、俺は幸運だっただけ――」
あずさ「これからも、よろしくお願いしますね」
P「…………」
あずさ「……」
P「最後まで、全力でプロデュースします。みんなも、俺の夢に付き合ってもらうからな!」
亜美「……」
真美「……」
やよい「……」
P「ど、どうして返事をしないんだ……恥ずかしいじゃないか……!」
春香「プロデューサーさん……どうして、最後なんて言うんですか?」
あずさ「……」
P「トップに立てるその日までって意味だ。他意は無い」
貴音「真ですか?」
P「……」
311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:41:26.90 ID:D6WlPvRyo
伊織「アンタ、そろそろ限界なんじゃないの?」
P「……なにがだ」
真「ボク達だって、あずささんのようにいつも一緒に居るわけじゃないですけど、わかりますよ」
P「……」
美希「プロデューサーがとっても大切な事を隠してるってこと」
P「…………」
千早「今はまだ、聞きません。午後の私達のライブをみていてください」
P「……」
小鳥「……」
律子「話はその後に。みんな、午後のライブに集中するわよ」
やよい「あ、あの……律子さん!」
律子「どうしたの?」
やよい「ほんとーに、私たち全員がステージに立てるのでしょうか!?」
律子「大丈夫、私とプロデューサーの分析力を信じなさい」
亜美「でも……不安だよー」
真美「……」
響「なんくるないさー」
春香「そうだね、なんとかなるよね!」
律子「そろそろ結果発表ね。みんな、戻るわよ!」
「「「 はいっ! 」」」
あずさ「プロデューサーさん、私の決心。聞いてくださいね」
P「…………わかりました」
312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:41:52.99 ID:D6WlPvRyo
響「あれ、店員さんは?」
ゴリ「先に会場に戻ったさ」
響「?」
ゴリ「あーぁ、ファンに気を遣わせてー」
川田「だからよー」
響「むぅー!」
あずさ「あの……」
ゴリ「なんね?」
あずさ「ライブ後の観光地はどこへ……?」
ゴリ「それはよ――」
響「神々が住む神秘の島。そこに行くんだぞ!」
あずさ「では、そこが最終地点ですね」
響「そうさー! 行こう、あずささん!」
あずさ「うふふ、少し緊張してきました」
スタスタスタ
ゴリ「俺に聞いたんじゃないば……」
川田「もぐもぐ」
P「…………」
313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:43:10.06 ID:D6WlPvRyo
―――― 北谷・陸上競技場
『 ハローエブリバディ! それではお待ちかね!
今回のファン投票の結果、アンコールライブの出場者五組を発表するぜ!!ヒュー! 』
『 この5日間で、みんなが最も愛した、最高にホットなアイドルは…………? 』
雪歩「ぅ……~っ」
『 765PRO ALLSTARS! ブラボー! 』
雪歩「よ、よかったぁ……」グスッ
律子「出場が決まっただけじゃない。本番はこれからよ、雪歩!」
雪歩「は、はい!」
亜美「こ、こんな大規模なんて聞いて無いよー!」
真美「真美も聞いて無いよー、知ってたけどー!」
亜美「真美知ってたの!?」
真美「だって、資料にあったよ?」
真「目を通してなかったんだね、亜美……」
伊織「まぁ、去年よりは小さいけど、悪く無いわ」
貴音「静かな闘志を燃やしていますね、千早」
千早「……はい」
やよい「うぅー! むしゃぶるいですー!」ブルブル
春香「頼もしいよやよい!」
美希「ミキもやってやるの!」
律子「それじゃ、急いで着替えるわよー」
あずさ「うふふ、行ってきますね」
P「はい……」
ゴリ「わったー観客席に行って来ようなー」
川田「後でな、プロデューサー」
P「……はい」
ゴリ「どうした?」
P「雛鳥の巣立ちを見送る親鳥のような……そんな気分です」
ゴリ「あんたも覚悟を決めないとね」
P「ゴリさん……どうして知っているんですか?」
ゴリ「いや、知らんよ。ただ、あんたがまとめに入ってるから、なんとなくさー」
P「みんなにもそれを気付かせてしまったんですね……」
ゴリ「違うだろ。俺は人生経験みたいなもん。あの子たちは……わからん」
P「……」
ゴリ「むるかんげーするな。素直に受け取ればいいだけさー」
P「…………」
314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:44:30.77 ID:D6WlPvRyo
―――― 舞台袖
P「……」
律子「一曲目はあずささん、真、響、貴音、千早。二曲目から全員ね」
伊織「無難な選曲な気がしないでもないけど……」
あずさ「素敵な曲目ですよ~」
伊織「それは分かるわよ……」
スタッフ「スタンバイお願いしまーす」
P「あ、はーい!」
真「それじゃ、あずささん、いつものアレを」
あずさ「アレ?」
春香「コレですよ!」
スッ
あずさ「はいはい~」
亜美「メラッてきたよー!」
真美「うーし、やってやろうじゃんかー」
やよい「うぅー!」
伊織「……通過点に過ぎないけど、手を抜くつもりは無いわ」
雪歩「よ、よぉし!」
真「バシッと決めてやりますよー!」
響「負けないぞー!」
千早「……ふふ」
あずさ「それでは~、765プロ~~!」
貴音「……?」
あずさ「ファイトォ~!」
あずさ「おぉ~~」
一同「……」
あずさ「あら」
真「あの、あずささん。いつもの気迫はどこへ……?」
あずさ「そうですか? いつもと同じだと思いますが……」
伊織「ちょっと! デビューした時に戻ってるじゃないの! プロデューサー!」
P「いや、俺に言われてもな……」
響「えっと、どうするんだ?」
あずさ「それでは、もう一度~、765プロ~~!」
春香「ファイトーッ!」
「「「 おーっ!! 」」」
315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:45:00.98 ID:D6WlPvRyo
P「あずささん! 真! 響! 貴音! 千早!」
「「「 はいっ! 」」」
タッタッタ
律子「ふぅ……空気読めてないのが逆に空気を読んでて……助かったかな」
春香「え……」
『みなさんこんにちは~』
『こんにちはー!』
『はいさーい!』
『……』
\ ワァァァアアア! /
『あらあら、凄い歓声……うふふ』
『あずさ……?』
『ちょ、ちょっとあずささんどこへ行くんですか!』
『舞台を通りこしちゃダメだぞー!』
P「あぁ……それをまた見るなんて……」
やよい「また、ですか?」
P「あずささんの最初のステージ、緊張しすぎて同じことしたんだ……」
亜美真美「「 あはははっ 」」
P「笑い事じゃないんだが……」
律子「さっきの掛け声といい、今のあずささん、少し変ですね……」
伊織「なにか、あるわね」キラン
美希「でこちゃんのおでこが光ったの!」
伊織「鋭い目が光ったのよ!」
『三浦あずさと申します~』
『菊池真ですッ!』
『我那覇響だぞー!』
『四条貴音』
『如月千早です』
『それでは、さっそく。一曲目ですね~』
『響、曲紹介よろしくね!』
『まかちょーけー! それじゃーみんな、行くよー!』
『 THE IDOLM@STER !! 』
316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:45:28.50 ID:D6WlPvRyo
※ ― あずさ ― ※
※ ― あずさ ― ※
317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:46:33.49 ID:D6WlPvRyo
―――― 那覇空港
「「「 ありがとうございましたっ! 」」」
運転手「私も無事に仕事を全うできて良かったと思います。お気をつけて」
響「本当に、ありがとね!」
運転手「いつも、お土産を持ってきてくれたこと、とても嬉しかったですよ」
響「えへへ、それじゃー、バイバーイ!」
P「ありがとうございました!」
運転手「はい。それでは、さようなら」
318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:48:06.19 ID:D6WlPvRyo
ダダダダッ
伊織「な、なんで私達はいつも全力疾走してるのよ……ッ!」
あずさ「私が……っ……しるみちゅに行きたいって言ったから」
やよい「で、でも、私は……た、楽しいかなーって……」
真「乗り遅れるー!」
響「楽しいけど、体が重いぞ……!」
亜美「兄ちゃんおんぶしてー!」
P「無理だー」
美希「もぅ! のんびりしたいのー!」
律子「小鳥さん発見!」
真美「ピヨちゃーん!」
小鳥「あ、あのっ、みんな落ち着いて!」
P「そうだな、落ち着いて搭乗口へ向かおう」
貴音「周りの目もあります。わたくし達はあいどるなのですから」
小鳥「そ、そういうわけじゃなくてっ」
律子「やよいストップ! 航空券を小鳥さんから受け取って!」
やよい「あ、そうでしたねー!」
亜美「はい、姉ちゃん」
検査員「はい、通ってください」
亜美「ピーッ!!」
検査員「?」
亜美「えっと、亜美は何に引っかかったのかな?」
真美「大人へのパスポートを持ってないからだよ」
亜美「それじゃ帰れないね……亜美、まだ子供でいたいもん」
検査員「えっと……」
ゴリ「検査員のねぇねぇが困ってるだろ! 早く行け!」
真美「そんなに怒んなくても……」
亜美「あれ、ゴリーは行かないの?」
川田「俺達は明日の便で帰るからな」
伊織「ここでお別れなのね」
ゴリ「残念……残念さぁ……」
伊織「心底嬉しそうねっ」ゲシッ
ゴリ「あがひゃ」
319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:49:17.86 ID:D6WlPvRyo
やよい「ゴリさん、川田さん、ありがとうございましたぁ!」ウィング
ゴリ「あんたは本当に、765プロのオアシスだね」
川田「違いない」
千早「……それでは」
ゴリ「静かなねぇねぇも、あの子を見習って、胸に秘めた小さな――」
千早「きゃっ、遠心力で荷物の自由が利かないっ」ブンッ
川田「あぶなっ!?」サッ
ドス
ゴリ「あ…がぁ……」
千早「……すいません。失礼します」
スタスタスタ
ゴリ「え、765プロぉ……」
P「ありがとうございましたゴリさんっ!」
貴音「小鳥嬢、わたくし達も急ぎましょう」
小鳥「そ、そうなんだけど」
律子「ほら、真も挨拶して」
真「あ、そうでした。ゴリさん、山下さん。お疲れ様でした!」
ゴリ「はい、お疲れ」
川田「山下って誰か……俺の変わりにその山下が視えているのか……?」
貴音「面妖なっ」
タッタッタ
『 ピーッピーッ! 』
貴音「はて?」
律子「引っかかった……。それでは、また」
ゴリ「はいはい、お元気で」
雪歩「あの、これをどうぞ」
ゴリ「……」
雪歩「ま、また仕事ができる日を楽しみにしていますっ」
ゴリ「…………」
雪歩「ゴリラちゃん」
ゴリ「このバナナ握り潰してやろうか!?」
川田「粗末にするな」モグモグ
ゴリ「食べるな!」
320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:50:34.89 ID:D6WlPvRyo
春香「ゴリさん、私……ゴリさんに教えてもらった受け身を忘れませんっ」
ゴリ「アドバイスするけど、あれを使うなよ、日常で」
春香「え……それじゃ、教えてもらった意味が」
ゴリ「だから、転ばないようにしろって言ったさ」
春香「えぇー……」
ゴリ「……俺は悪くないよ」
あずさ「あの、色々とありがとうございました」
ゴリ「なにもしてんさ。ねぇねぇも頑張ってな」
あずさ「はいはい、頑張ります~」
ゴリ「気になってたけど、なんで二回返事するば?」
あずさ「?」
P「ねぇねぇ」
あずさ「はいはい?」
P「ねぇ」
あずさ「はい?」
P「です」
ゴリ「……おっけ。謎が解けた」
響「ゴリ衛門……」
ゴリ「……なにか」
響「自分……とっても楽しかったぞ」
ゴリ「……」
響「ゴリ衛門…………本当は嫌だったの……?」
ゴリ「……なんでよ?」
響「だって……いつも困ってたから……」
ゴリ「大変だったけど、楽しかったさ」
響「……そっか……よかった」
ゴリ「早く行かないと乗り遅れるだろ」
響「じゃあ、第二弾だね」
ゴリ「……なにが第二弾よ?」
響「沖縄ロケだぞゴリ衛門!」
ゴリ「はぁ!?」
321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:51:02.76 ID:D6WlPvRyo
響「まだまだ行ってないところあるから楽しみさー! じゃあねー!」
ゴリ「ふざけ…るなー……」
小鳥「そ、それじゃ失礼しますッ!」
ゴリ「……」
川田「じゃあね~」
P「お二人には、本当にお世話になりました」
ゴリ「本当にな! 迷惑とは言わないけどよ! ……迷惑やっさ!」
川田「それしか言えん」
P「俺も、沖縄に来れて良かったです」
ゴリ「それを言ってくれたら、嬉しいさ。ちばりよー、プロデューサー」
川田「ちばりよー」
P「はい。頑張ります。なんくるないさーですよね」
ゴリ川田「「 やさ 」」
P「それでは、また」
ゴリ「おう」
川田「じゃあね」
「バイバーイ、ゴリ衛門!」
322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:51:31.04 ID:D6WlPvRyo
―――― 那覇空港・屋上
ビューン
ゴリ「あの飛行機だな……」
川田「あぁ……」
ゴリ「大変だったけど」
川田「大変だったな」
ゴリ「大変だったという思い出しか残ってない」
川田「俺達も帰るか」
323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:51:58.14 ID:D6WlPvRyo
―――― 那覇空港・カウンター
スタッフ「はい、どうぞ」
ゴリ「ありがとうねー」
スタッフ「ゴリさん嬉しそうですね」
ゴリ「あ、分かるね? 人って嬉しいと顔に出るもんだねー」
スタッフ「いいことでも?」
ゴリ「今のこの自由な時間がいいことさー。人間は自由が一番だよな。じゃあね!」
スタッフ「お気をつけて」
324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:52:49.40 ID:D6WlPvRyo
―――― 那覇空港・手荷物検査
検査員「はい、どうぞ」
ゴリ「ありがとね!」
検査員「ゴリさん、765プロの方と仲が良いんですね」
ゴリ「知らないよ。俺は765プロなんて知らないよ」
検査員「はぁ……そうですか……?」
川田「早く帰ってゆっくりしたいさぁ」
325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:54:09.36 ID:D6WlPvRyo
―――― 那覇空港・東京行き搭乗口
ゴリ「東京まで一休みするかぁ……」
川田「そうだな……疲れが溜まってる」
ゴリ「この疲れ、半端な――」
伊織「まったく……早くシャワーを浴びたいわね」
ゴリ伊織「「 …… 」」
ゴリ「キジムナー!」
伊織「なんでここにいるのよ!」
川田「……」スゥ
ゴリ「東京行きの飛行機に乗っただろ!?」
伊織「誰がキジムナー……ははぁん……あんた達、次の便で帰るのねぇ」
ゴリ「違う、ちょっと友達の見送りでよ……じゃあな」
伊織「亜美ー、真美ー、響ー! ゴリラのおもちゃがあるわよー!」
ゴリ「呼ぶな!」
響「ゴリ衛門……?」
亜美真美「「 ゴリー! 」」
ゴリ「ニテル、ヨクイワレル。ブラジルカラキタ。ハジメマシテ、サヨウナラ」
亜美「もう兄ちゃんに負担かけられないから、丁度よかったよー! ジャブ」バシッ
真美「いえーい」バシッ
ゴリ「ボウリョクイクナイ。ニンゲンコワイ」
貴音「やはり、人類では無いと……面妖な」
春香「あれ……?」
やよい「どうしてここにいるのかな?」
伊織「時間をわざとずらしたんでしょ。小鳥のドジでそれが無意味になったけど」
千早「……ふぅ」
小鳥「本当に、ごめんなさい」シクシク
律子「いえ、ホウレンソウを怠ってた私にも責任はありますし」
あずさ「プロデューサーさん、もう一度、ねぇねぇと呼んでみてください」
P「な、なぜですか……」
あずさ「新鮮でしたから、もう一度だけですよ」
P「さ、さっきも言ったじゃないですか」
店員「はい、月見ソバです!」
川田「ありがとね! いただきまーす」
雪歩「なんだか、ゴリラちゃんの顔色が……」
真「雪歩失礼だよ……でも、ゴリって名前だからいいのかな?」
美希「意味は同じだから、たいして変わらないの」
326: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/03/15(金) 18:54:37.71 ID:D6WlPvRyo
響「ゴリ衛門、大変だな」
ゴリ「お前に関わったばかりによ……」
響「酷いぞ、ゴリ衛門!」
ゴリ「765プロ……もういやだ……!」
End
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