1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 15:26:05.25 ID:/3rBqI980
まゆ「うふふ……ついに完成したんですねぇ」
晶葉「遅れてすまなかった。由里子の薔薇本の設計図の再現は、天才の頭脳をもってしても難儀だった……」
まゆ「旧時代のテクノロジーの結晶とも言える薔薇の設計図……いったいどんな時代だったのかしら」
晶葉「それの研究は、歴史政治学の専門家に任せればいい。さて、刷り込み卵の使い方を説明するぞ!」
まゆ「はい♪」
晶葉「使い方はいたってシンプル。パカっと開けて人を入れたらカチャっと閉じて、後は十分待つだけだ」
まゆ「そして直前になったらオートで開いて……」
晶葉「中に入った人は、最初に見た物が好きで好きでたまらなくなる! 雛鳥が生まれて初めて見た物を親だと思うように……。どうだ、シンプルだろう?」
まゆ「使いやすい道具っていいですよねぇ。たまごありがとうございますねぇ!」エッホッエッホッエッホ
晶葉「人の心を弄るツールだ、くれぐれも悪用しないようになーー!」
バタン
晶葉「ふー……。それにしても肩が凝った。一仕事終えるとどうもな」ゴキゴキ
晶葉「そうだ、たまには社内浴場を借りるか」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428387964
引用元: ・池袋晶葉「出来たぞ! 刷り込み卵だ!」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 15:33:35.34 ID:/3rBqI980
………………
…………
……
346プロ社内浴場周辺「いこいの広場」
こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」グワワワン
マッサージチェア「嬢ちゃん凝ってるね。仕事多いのかい?」
こずえ「そ゛う゛た゛よ゛ぉ゛ー……」グワワー
マッサージチェア「若いみそらで、アンタも大変だねぇ。まぁきっちり十分、羽を伸ばすといいぜ」
こずえ「い゛き゛か゛え゛る゛ぅ゛ー……」グワァラゴワガギーン
まゆ「えっほ、えっほ……ふぅっ」ドサッ
まゆ「はぁ……大きくて重すぎます。全部終わったらお風呂入っちゃおうかな……」
まゆ「……その時はPさんと背中の流しっこ……えへへ……」ニヘェ
まゆ(今までの記録通りであれば、あと二十分くらいでPさんは社員浴場から上がって、この『いこいの広場』に牛乳を買いに来ます。それを待ち伏せる作戦を立てられるのだから、晶葉ちゃんと一緒にいたお陰で、まゆは賢くなっちゃったみたいです)エヘン
まゆ(……あ、これじゃPさんは二度風呂になっちゃう……)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 15:41:23.46 ID:/3rBqI980
タッタッタ
光「あーいい湯だった! あ、まゆさん!」
まゆ「光ちゃん? 今あがりですかぁ?」
光「うん。レッスン終わりによく借りてるんだっ!」
まゆ「今日は何のレッスンをしたんですか?」
光「ペース配分! 自分をコントロールするのって難しいけど……ついに、成功したんだ!」
まゆ「それは良かったですねぇ」
光「ありがと、まゆさん! ……ところで、この卵は?」
まゆ(うっ……。やっぱり気になりますよね。はぐらかしましょう)
まゆ「いえ、知らないですねぇ」
光「今まゆさん嘘ついただろ?」
まゆ「つ、ついちぇないですよぉ」
まゆ(しまった、噛んじゃいまひた……)
光「声うわずった」
まゆ「事故です、ただの」
光「まぁ、なんでも、いいんだけど。へーツルツルしてるんだ」サワサワ
まゆ「わ、危ないですよ!?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 15:49:28.24 ID:/3rBqI980
光「やっぱり知ってるんだ。お、こんなところにボタンが」ポチッ
刷り込み卵「ハクセンノーウチガワニーサガッオマチクダサーイ」パカッ
まゆ「ふみゃっ!」バタッ
光「へぇ、中に入れるんだ。見た目通り結構広いな」ヨイショット
まゆ「ひ、光ちゃん! 待って!」
光「お、閉じた!」
刷り込み卵「トジマース!」バタン
まゆ「……光ちゃんが入っちゃいました。もしこのまま十分放置して、もしまゆを見ちゃったりしたら……カルガモもびっくりなくらいに、光ちゃんがまゆに……!」サーッ
まゆ「……三十六計逃げるに如かずーー!!」タッタッタッタッタ
こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」ジーッ
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 15:55:20.05 ID:/3rBqI980
………………
…………
……
九分後
テクテク
晶葉「あー疲れた……あれっ、刷り込み卵が何故ここに?」
晶葉「まゆめ。こんな所に放置して何処にいったんだ。というか使用中ランプが点いててーー」
刷り込み卵「ブシュー」パカッ
晶葉「ぬおっ!? ……えっ、光?」
光「ふぁぁ……よく寝た。あ、晶葉おはよー」
晶葉「あ、ああ、おはよう。まゆは何処に行ったか知ってるか?」
光「……知らないな」プイッ
晶葉「まぁ、当然だな……。卵の中からは外を知れないし、外からは中を見られない完全防音にしたのだから」
晶葉(……待った。私は今、光に見られた? ということは)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:00:59.98 ID:/3rBqI980
こずえ「ね゛ーね゛ー、あ゛きは゛ー……」ヴィヴィヴィヴィ
晶葉「こずえか。どうした?」
こすえ「ま゛ゆ゛は゛ね゛ー……そ゛こ゛に゛い゛る゛よ゛ー……」ヴィヴィヴィヴィ
晶葉「そこ? ……あっ!」
まゆ「ひぅんっ!?」ギクッ
こずえ「こ゛ずえ゛は゛ぜん゛ぶみ゛て゛る゛よ゛ー……か゛く゛れ゛ん゛ほ゛つ゛よ゛い゛よ゛ー……」ドヤァ
マッサージチェア「嬢ちゃんはずっと座ってたからな。お疲れさん」
こずえ「またあそぼうねー……」
マッサージチェア「おうよ。贔屓にしてくれてありがとさん」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:07:49.44 ID:/3rBqI980
晶葉「一応、卵の監視が出来る距離に隠れていたみだいだな。けれど!」ビヨーン!
まゆ「きゃあっ! マジックハンドなんてズルですよぉ!」ジタバタ
晶葉「道具は最後まで持ち主が使え!」
まゆ「無抵抗をするつもりはありません! てぇや!」ネコパンチ!
晶葉「私のマニュピレーターが! ちょびっとしか怒らないから抵抗するな!」
まゆ「いたた……結局怒るじゃないですかぁ!」
光「二人とも、どうしてプロレスしてるんだ?」
晶葉「まゆは持ち主の責任を果たさなかった! ……待て、何故光は普通なんだ?」
光「普通って?」
まゆ「そう言えば確かに変ですねぇ。卵が故障してたんでしょうか」プラーン
晶葉「私の発明に限ってそれはない! ……はずだ……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:16:06.01 ID:/3rBqI980
光「大丈夫だって。何の話かわかんないけど、晶葉は天才なんだろ?」
晶葉「……天才でも、ミスする時はミスをする……」
光「その度に直せばいいだろ。アタシの知ってる池袋博士は、何度失敗しても挫けないでリトライしてるよ」
晶葉「……ふふふふ、それもそうだな……」
光「その意気だ! そういう晶葉を、アタシはずっとずっと尊敬してたんだ!」
晶葉「ありがとう、光。ーーふふ、確かにらしくなかったな! 復活ッッ!」
マッサージチェア「嬢ちゃんタフだねぇ」
こずえ「いけいけー……ごーごー……」
晶葉「復活を記念して……まゆ! 君には実験台になってもらう!」
まゆ「な、何をするんですかぁ!?」
晶葉「決まっているだろう。再実験だ!」
まゆ「なん……ですって……」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:24:36.98 ID:/3rBqI980
晶葉「光は先に入ってくれ。私がまゆをいれるから」
光「うん、わかった! 晶葉の言うことなら何だって聞くから!」スチャッ
まゆ「光ちゃんまで入れる必要が……?」
晶葉「データは多い方が良い!」
まゆ「暴論です!?」
晶葉「まぁとにかく、卵にマシントラブルがあったかどうか、トライ&エラーで確かめようじゃないか!」
まゆ「やめてください……やめて、晶葉ちゃん!」
晶葉「誰がやめるか! さて、あと一歩でまゆが卵にーー」
光「えい」グイッ
晶葉「んえっ!?」ストン
刷り込み卵「トジマース!」バタン
まゆ「きゃあっ!(晶葉ちゃんが卵に! そして、てこの原理でまゆが宙に!)」ポイッ
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:30:39.49 ID:/3rBqI980
マッサージチェア「嬢ちゃん、怪我はないかい?」ストン
こずえ「じゃすとみーと……」パチパチ
まゆ「ふぅ、死ぬかと思いました……でも、もうこれで心配することは何もなくなって……」
マッサージチェア「まぁまぁそう言わずにだな、嬢ちゃん」ヴィンヴィン
まゆ「……えっ?」
マッサージチェア「こんな時代だ。疲れだって溜まるだろう? ーーでかい卵の目の前できっちり十分、リンパと疲れを落とすといい」
こずえ「こずえのおごりだよー……もってけー……」サムズアップ
まゆ「あ゛し゛が゛は゛ま゛っ゛て゛……う゛そ゛お゛お゛……」ジタバタ
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:42:20.14 ID:/3rBqI980
刷り込み卵内部
「……くっ。脱出口を設けておくべきだった」
「出られないのか?」
「電波も音波も、外には出せない。助けを呼べないんだ」
「つまり、この中で起きたことは、外に絶対漏れないんだな?」
「そうなるな。まぁ、十分待てばーーんぅっ!?」
「……ぷはっ。この瞬間を待ってたんだ。晶葉が天才ならさ、もうガマンしなくたっていいよね」
「な、何をする。……まさか、卵によって暴走した本能を、今の今まで理性でコントロールしてたのか!?」
「何かを考えてる時の晶葉の、輝いてる笑顔が好き。何かに悩んでる時の晶葉の、への字になった口が好き。悩んでる人を見つけたらほっとけなくて、全力で発明する晶葉の心が好き……でも、それを外で言ったら、迷惑だろ? だけどここなら……」
「待て! その気持ちは卵の産んだ幻想だ!」
「卵が先か鶏が先かって話か?」
「言葉の綾だ! 落ち着け、絶対後悔するぞ!?」
「戻れない。止まらない。最後までな……もっと晶葉の声を聞きたいんだ。それとも、背の低い女子にはダメなのか……?」
「そういう自己完結はやめてくれ! 案外まゆと似てるタイプなのか!?」
「まゆさんは関係ないだろ。まぁいいや、アタシは晶葉しか見ないから……」
「やめろ! それとも、これは人の心を弄ぶ人間に訪れる罰なのか!?」
「こうでもしないと本音の一つも言えない、臆病で弱虫なアタシを許して……嫌にはさせないから。いっぱい、名前を呼び合おうな……」
「う、ウワァァァ!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/07(火) 16:45:27.10 ID:/3rBqI980
十数分後
モバP「あー、今日もいい湯だったー……ん?」
晶葉「助けてくれ、私が悪かった、私を許してくれ……私を許せる人は君しかいない……! まゆ、助けて……!」(ハイライトOFF)
光「ふーん、晶葉はまゆさんがいいんだ。まぁまゆさんだって悪い人じゃないしな。……でも、晶葉のためなら、インプラントだってなんだってするから。アタシで沢山実験していいんだよ……?」(ハイライトOFF)
まゆ「……助けてください……」ウルウル
モバP「知らんよ」
マッサージチェア「いい加減揉み返しがくるぜ、嬢ちゃん?」
こずえ「ふ゛わ゛わ゛わ゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ー……」
おしまゆ
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