1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 02:42:18.86 ID:Ab8lXI/R0
P「ん? いや、真美だけのってわけじゃないぞ」
真美「えー、なんでよーっ! 今のユニットのリーダーは真美じゃん!」
P「そんなこと言ってもな……、そのユニットのメンバーにとっても、プロデューサーは俺しかいないからさ」
真美「……兄ちゃん、もしかして勘違いしてるー?」
P「勘違い?」
真美「真美が言った、“兄ちゃん”ってのはさ、もっとこう……スペシャルで、トクベツなの!」
P「……そのふたつはほぼ一緒だと思うけど、どういうことだ? プロデューサーって意味じゃないって?」
真美「うんうん! プロデューサーとしての兄ちゃん、じゃなくて、兄ちゃんとしての兄ちゃんっ!」
P「いや、そう言われてもわけわからんな……」
真美「なんでよー! ぶーぶーっ!」
引用元: ・真美「兄ちゃんは、真美だけの兄ちゃんだよねーっ?」
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5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 02:52:17.93 ID:Ab8lXI/R0
P「ほらほら、そんなこと言ってないで、営業行くぞ」
真美「えー、まだ話は終わってないっしょ! 兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん!!」
P「だーもう、おだまりなさい! どうしたんだよ今日は、いつもと様子が違くないか?」
真美「そ、そんなことはないって! それよりどうなのさっ!」
P「……どうなのさ、って言われても……真美の言ってることの意味がわからんからなぁ」
真美「……むー」
P「……わかったよ、今日の仕事が終わったら、ちゃんと時間作るから。その時話そう?」
真美「はーい……わかったよ、兄ちゃん」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:05:05.60 ID:Ab8lXI/R0
やよい「……それでー、そのときプロデューサーが……」
美希「えー! なにそれ、やよいだけズルイって思うな! でもでも、ミキだって……」
やよい「はわわ! 美希さんすごいですー! ……って、あっ! プロデューサー!」
美希「ハニーったら来るの遅いの! 待ちくたびれちゃった」
P「すまんすまん、ちょっとトラブルがあってな」
真美「……」
やよい「とらぶるですかーっ?」
美希「どーしたの? ハッ、もしかしてナンパ!? ミキのハニーを狙うなんて許せないの!!」
P「いや、そういうわけじゃないんだが……」チラ
真美「……」チラ
やよい・美希「……?」
P「……急に腹痛になってしまって、トイレにこもってたんだよ」
真美「……ほっ」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:13:56.05 ID:Ab8lXI/R0
美希「あはっ! ハニーってば女の子の前でお下品なの! でもでも、ミキは別に気にしないよ☆」
やよい「うぅー……お腹痛いんですか? 大丈夫ですかーっ?」
P「ああ、もう大丈夫だよ。さあ、行こうか!」
真美「……」
美希「あれ、真美、どしたの? なんか元気ないってカンジ?」
やよい「何かあったの? ……はわっ! も、もしかして真美も……!」
真美「えっ! い、いやー違う違う! 真美はちゃーんと、朝おトイレでごっついのを……」
P「……お前な、仮にもアイドルが……」
真美「……ごっほん! ごめんねみんな! よーっし、今日も張り切っていこーっ!」
やよい・美希「……」
真美「ほ、ホラホラどったの! キアイ入れてかなきゃダメっしょー!」
やよい・美希「……お、おーっ!」
21: 美希リーダーじゃないのにハニー呼びなのは見逃してね 2012/05/26(土) 03:24:27.88 ID:Ab8lXI/R0
~ 営業 ~
P「よーし、今日は地方でのファン感謝イベントだ!」
P(さて、誰に対して特に注意してプロデュースするかな……)
P「……」
真美(……真美、真美、真美をえらべー! 兄ちゃん、真美しかないっしょー!)ジー
美希(ミキ! ミキを選ぶといいの! さあハニー!)ワクテカ
やよい(……真美、何かあったのかなー……うう、心配ですー)オドオド
P「……こ、ここは……」
三人「「「……」」」
P「やよいだ……!」
やよい「わ、私ですかー? うっうー! ありがとうございまーっす、頑張ります!」
真美・美希「……!」ガーン
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:33:17.36 ID:Ab8lXI/R0
P「さ、さあさあ! そうと決まったら会場に移動するぞ!」
真美・美希「「はーい(なの)……」」
P(うっ……一気にユニットの空気が悪くなったぞ……どんなハンディプレイだ)
やよい「らんたったらんたった♪ いつでも準備オッケーです!」
P「……やよい……」
やよい「どーしたんですか、プロデューサー? はやく行きましょーぅ!」
P「お前はまるで清涼剤だな」
やよい「えー? せ、せいりょー……? 洗剤みたいな感じですか?」
P「ああ、天使そのものだよ……」
やよい「えへへ……なんだかよくわかんないけど、褒められてるかもー! 嬉しいでーっす!」ピョン
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:40:28.76 ID:Ab8lXI/R0
~ イベント前 ~
やよい「……」チラ
ガヤガヤ……
チックショウ ライブチケット ハズレタ……
ザマァ…… ガヤガヤ……
やよい「はわわ! ファンの人、いっぱいいますー……」
P「やよい、緊張してるのか?」
やよい「うう……やっぱり、何度やってもこういうのは慣れなくて……」
P「やよいは持ち前の度胸もあるし、今ではちゃんと実力もあるんだから大丈夫さ」
やよい「で、でもぉ……」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:45:35.79 ID:Ab8lXI/R0
P「はは、それじゃあ、緊張がほぐれるおまじないを教えてやろう」
やよい「おまじないですかーっ?」
P「ああ。いいか、手のひらに“人”と書いて……それから……」
やよい「……なるほどなるほど……」
P「それでだな、ここからが普通と違うやり方で……」チラ
真美・美希「「……」」ポケー
P「……」
やよい「うっうー! ありがとうございまーす! プロデューサーのおかげで私、頑張れそうかもーっ!」
P「あ、ああ。それなら良かったよ!」
やよい「行ってきまーっす!」タタタ
P「……」
P(こりゃ、帰ってから本当に話合いが必要だな……)
P(特に真美……美希ならいつものことだが……、今日の真美はどこかヘンだ)
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 03:57:37.70 ID:Ab8lXI/R0
~ 765プロ事務所 ~
やよい「たっだいまー♪」
真美・美希「「ただいまー……」」
高木「お疲れさま諸君! 今週も良く頑張ったな!」
やよい「社長ー! 今日はいっぱいいーっぱい、ファンの人たち喜んでくれましたっ!」
高木「おお、やよい君! それは何よりだ!」
P「……」
高木「……ん? 君はどこか浮かない顔だが……何かあったのかね?」
P「あ、いえ! ……すみません、大丈夫です」
高木「ふむ……見たところ、美希君と真美君の様子もどこかおかしいようだが……」
P「はは……社長はなんでもお見通しですね」
高木「ハッハッハ、私だってプロデューサー業に心得はあるのだしね」
高木「……何かあったのなら、早めに相談してくれたまえよ」
P「……申し訳ないです。ですが、ユニットの問題ですので……俺がなんとかしてみせます」
高木「そうか……わかった! そういうことなら、君を信じようじゃないか」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:06:09.03 ID:Ab8lXI/R0
P(今日のファン感謝イベントだが、結果的には成功だった)
P(やよいに関しては、言うことなしのパーフェクト)
P(あのおまじないを信じてくれたおかげで、最高の笑顔をファンに届けることができた)
P(一方、真美と美希だが……こちらも、本番にはなんとかモチベーションを高めてくれた)
P(……だが、完全なものじゃない。あいつらの本気はまだまだこんなものじゃないはずだ)
P「さて、ユニットの状態は、と……」
やよい「~♪」
美希「……あふぅ」
真美「……」ソワソワ
P「……ふむ」
P「よし、みんな聞いてくれ!」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:14:46.98 ID:Ab8lXI/R0
P「まずは、今日のイベントお疲れさま。今週はレッスンも立て続けに入っていたのに、よく頑張ってくれた」
やよい「うっうー! ヘッチャラです! まだまだ頑張れますよーっ!」ピョン
P「はは、やよいは頼もしいな! ……さて、それでだが……まず、美希」
美希「っ!」
P「美希に関しては、今日はこのあと、ミーティングを行う。……理由は、なんとなくわかるか?」
美希「……はいなの。ごめんなさい……」
P「おいおい、謝らなくていいさ。まだ怒られるって決まったわけじゃないだろ」
美希「で、でも……」
P「まあそんなに身構えるなって、気楽にしていい。ミーティングと言っても、少しお喋りするだけだよ」
美希「……うん」
P「よし。そして……次に、真美だ」
真美「!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:19:09.93 ID:Ab8lXI/R0
真美「に、兄ちゃん! あの、その……真美も、ごめんなs
P「真美はこのあと、帰っていい」
真美「……え?」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:26:55.22 ID:Ab8lXI/R0
P「お前に関しては、今日のところは何も言うことはない。よくやってくれたからな」
真美「……う、ウソだよ! 真美だって、いつもみたいに出来なかったもん!」
P「そうか? 俺にはそうは見えなかったが……」
真美「そうだよっ! やよいっちに付きっ切りで、あんま見てなかったかもだけど……、こっそりサボったりさ!」
P「おいおい、そんなこと威張るなって……サボるのは勘弁だが、まぁ、今日くらいは見逃すよ」
真美「……っ!」
P「わかったか?」
真美「……うん、わかった……」
P「……」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:32:11.00 ID:Ab8lXI/R0
P「……よし。それで、やよいだが……」
やよい「……」ポー
P「やよい? どうした、大丈夫か?」
やよい「はわっ! す、すみませんプロデューサー! ちょっとボーっとしちゃって……」
P「はは、まあいいさ。えっと、やよいに関しては……」
真美「……」ガタ
美希「あれ、真美? 帰るのー?」
真美「うん……ミキミキ、ミーティング、頑張ってね」
美希「うう、やっぱり怒られちゃうのかな? ハニー、怒るとこわいの……」
真美「……おつかれさまー」
ガチャ……
真美(兄ちゃん……今日、仕事終わったら、時間作ってくれるって、言ったのに……)
真美「……うそつきじゃん。針千本の刑だよ……もう」ボソ
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:41:43.60 ID:Ab8lXI/R0
~ 会議室 ~
P「……」ポチポチ
ガチャ……
美希「お、オジャマしまーす……」
P「おお、美希。来たか」スッ
美希「うん……ハニー、何してたの?」
P「ん、ああ……メールだよ」
美希「もしかして、真美に?」
P「勘が鋭いな、その通りだよ」
美希「あは、ハニーのことならなんだってわかるよ!」
P「ははは、参ったな……さて、ミーティング始めるか」
美希「……メール、送ってからでイイよ」
P「……」
美希「ミキ、気にしないから。真美に言うこと、あったんでしょ? ミキたちの前で言えないこと」
P「……すまない、お言葉に甘えるよ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 04:52:11.01 ID:Ab8lXI/R0
P「お待たせしてすまん。メールは送ったから、今度こそ始めよう」
美希「うん。今日のミキは、えっとなんて言ったかな……シショーにお話聞くの!」
P「殊勝に、な。使い道もあってるのかどうか微妙なとこだが……まあ、いい」
P(……美希のことだから、なんて送ったのかとか、しつこく聞かれると思ったんだが……)
P「……さて」ペラ
美希「ハニー、それなに?」
P「ああ、これはアンケート結果だよ。今日のファン感謝イベントの、満足度調査」
美希「んー? つまりー……どういうこと?」
P「要するに、ファンたちがどれだけ喜んでくれたか、ってアンケートさ」
美希「ふーん……ミキの前に並んでた人、どんなこと言ってたの?」
P(……どーせみんな大満足なの☆ とか言わないんだな。美希がこういうことに興味を示すのも珍しい)
P「まあ焦るなって。まずはこれを見ながら、今日の反省をしていこうか」
美希「はいなの!」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:03:26.06 ID:Ab8lXI/R0
P「このグラフを見てくれ。三本棒が出てるだろ?」
美希「えーっと……棒が一本ピューって出てて、あとの二本は、おんなじくらいの高さだね」
P「その一本飛び出してるのが、やよいの前に並んだ人が、今日は最高だったと答えてくれた割合だ」
美希「……90パーセント、って書いてある」
P「ああ。そしてあとの二本は……美希と真美」
美希「そっか……やよいのに比べると、ちょっとだけおチビさんだね」
P「そうだな」
美希「……」
P(グラフにして持ってきたのは正解だったかもしれない)
P(見た目でわかりやすいほうが、美希の頭に入るだろうからな……しかし)
P「こいつを見て、どう思う?」
美希「……ミキ、まだまだなんだな、って思った」
P(うーむ……ちょっとばかりショックでか過ぎただろうか……)
美希「はーぁ……」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:09:47.52 ID:Ab8lXI/R0
P「ま、まあ、何も怒ってるわけじゃないさ! そんなに気を落とすな」
美希「でもぉ……」シュン
P「……ごほん! えー、なんだ……美希の数値だって、決して悪いわけじゃないんだぞ?」
P「お前たちが活動し始めた頃に比べたら、ずっとずっと良くなってるし……」
美希「……」チラ
P「そ、それにホラ! こうやって差が出てしまったのは、今日たまたまで……いつもは……」
美希「…………ぷ」
P「……美希?」
美希「ぷぷぷ……あはは!」
P「……おいおい、どうして笑ってるんだ?」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:17:51.56 ID:Ab8lXI/R0
美希「あははっ! だ、だってハニーったら……なんか、すっごい必死って感じ!」
P「……お前なあ」
美希「ひぃ、ひぃー……あふぅ」
P「まったく、さっきへこんでたのはフリだったのか?」
美希「……むー、フリかって言われると……そーでもないかも」
P「美希なりに、ちゃんと考えて欲しいと思って持ってきたんだが……」
美希「うん。ミキね、ちゃんと考えたし、感じたよ」
美希「まだまだなんだなーって思ったことはホントだし、やよいはちゃんとお仕事できててエライな、とも思った」
P「……」
美希「それにね、ハニーがちゃあんと、ミキのこと考えてくれてるんだってことも感じたの!」
美希「こんなに、わかりやすくしてくれたし……優しくしないで、ちゃんと結果を教えてくれたから」
P「俺のことはいいよ……プロデューサーとして、当然のことだ」
美希「あは☆ ハニーったら、ひょっとして照れてるーっ?」
P「照れるか、あほ!」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:27:25.98 ID:Ab8lXI/R0
P「まあ、そこまで考えてくれたなら、合格点をやろう」
美希「やった♪」
P「だがこれからは、今日みたいにやっつけ仕事をしないこと! 手を抜くんじゃないぞ!」
美希「うっ……やっぱり、バレてた?」
P「当たり前だ。こうして結果として見る前から、ばっちりわかってたさ」
美希「やよいの方ばっか向いてると思ったのにー……」
P「もう一年近い付き合いだからな、それくらい遠くからでも一目でわかる」
P「美希なら……、本気の美希ならあんなもんじゃない。もっとずっと、キラキラしていたはずだ」
美希「……」
P「それが例えステージの上じゃなくても、お前にはスターのオーラがある。今日はそれが見られなかった」
P「俺はそれが残念でな……って、美希?」
美希「ふふ、そっか……」
P「……一応、説教のつもりなんだが……なんでにやけてるんだ?」
美希「あは、ナイショなの!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:32:02.90 ID:Ab8lXI/R0
P「まあ、話すことはこれくらいだな……特に他になければ、もう帰っても問題ないぞ」
美希「うん。……ねえ、ハニー?」
P「ん? どうした、まだ何か聞きたいことでもあるのか?」
美希「聞きたいことってゆーか……言いたいこと、って感じかな。ヒトリゴトって感じかも」
P「なんだ、美希にしては歯切れが悪いな……どうしたんだ、なんでも言ってみろ」
美希「うーんとね……」
P「……」
美希「ミキ、やっぱりハニーのこと、大好きなの」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:38:22.92 ID:Ab8lXI/R0
P「……それは、」
美希「ああ、ううん! わかってるの! ハニーはミキの気持ちには応えられないんだ、って」
P「……」
美希「もう何度も言ったもんね、この言葉。大好きはーにぃ~、って」
P「美希……、俺はプロデューサーであって、お前はアイドルであってだな……」
美希「もー、だからこれはヒトリゴトなの! ハニーはちょっと、お口にチャックしといて欲しいって思うな!」
P「……」
美希「……なんでこういうこと、また言い出したかって言うとね……」
美希「ミキ、今日頭をガーンって殴られたからなんだ」
P「……はぁあ!? な、殴られたって、いつ!? イベントの時かっ!?」
美希「んー? あ、別に殴られてはないかも! あは☆」
美希「えっとね、つまりー……そう、こういうことなの!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:45:56.53 ID:Ab8lXI/R0
美希「ミキはね、ハニーのこと大好き。何回フラれたって、それは変わらないんだよ」
美希「それでね、心のどっかで、その……ハニーはきっといつか、ミキのこと、好きになってくれるって思ってたの」
P「……」
美希「いつになるか、わかんないけど……もしかしたら、ずーっとずっと先で」
美希「ミキがおばさんになって、アイドルを辞めちゃったときになるかもしれないけど!」
美希「……ハニーはいつか、きっとミキに夢中になってくれる、って信じてるの」
P「……ずいぶん自信家だな」
美希「あは! だって、ミキだよ?」
P「はは、説得力のある言葉だ」
美希「……でもね。今日でそれは、“信じてる”、じゃなくて、“信じてた”、に変わっちゃったの」
P「……」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 05:53:49.04 ID:Ab8lXI/R0
美希「今まで、ずっと自信マンマンに信じてたのはね……」
美希「ハニーを好きなのは、ミキだけ、って思ってたからなの」
P「……?」
美希「ライバルなんて、誰もいなくて……ハニーのこと、こんなに好きになるのはミキくらいだって思ってたんだ」
美希「だってハニー、そんなに超イケメンってわけじゃないもんね! そこらへんにいるフツーの人って感じ!」
P「お、おい……褒めてるのか、けなしてるのか?」
美希「んー。わかんない! でもでも、それでも、ミキがハニーのこと好きだってことは……わかるよ」
P「……」
美希「むー、反応薄いの! 好きって言いすぎちゃったかな……」
P「ははは……」
美希「うーん……なんか、自分でも何が言いたいのかわかんなくなってきちゃった。あふぅ」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 06:02:42.62 ID:Ab8lXI/R0
美希「とにかくね、ミキが言いたいことは……」
美希「この気持ちは誰にも負けない、って思ってないとダメ!」
美希「ってことなの!」
P「……いまいち、よくわからないが……」
美希「きっとそのうちわかるよ。よーするに、ハニーのことを好きなのは、ミキだけじゃないの」
P「!?」
P(……そのセリフが一番わかりやすくて、ビックリしたんだけど)
美希「それを目の前で宣言されちゃったから、ミキ的には、なんか頭をガツーンってやられたキブンになったんだ」
P「……」
美希「だからね、このヒトリゴトは……センセンフコクなの!」
美希「ミキは誰にも負けない、負けたくない。ハニーのハートをゼッタイゼッタイ、奪ってみせるって!」
P「そ、そうか……」
美希「うん! だから覚悟しといてね! それじゃ、バイバーイ、なの!」
タタタ……ガチャ!
タッタッタ……
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 06:09:27.24 ID:Ab8lXI/R0
P「……」
P(美希の言ったこと、どういう風に解釈したらいいか、わからないな……)
P「……」
P「……いや、違う……本当はわかってるはずだ」
P(美希のコンディションが変化したのは、今日の営業が始まってからだった)
P(その間に、美希が話した人物……俺がいないところで、二人で話すことができたのは)
P「……」
ピピピピ
メール着信:双海真美
ピッ
P「はは、相変わらず読解が難しいメールだ。ギャル文字ばっか使いおって」
P「さあて……俺もいい加減、真美のところに行かないと」
P「今日最後の、プロデューサーとしての仕事を、しに行かなくちゃな」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 06:39:37.64 ID:Ab8lXI/R0
~ 公園 ~
P「……真美。すまない、待ったか」
真美「あ、兄ちゃん! ううん、真美も今来たところだよっ!」
P(鼻の頭が赤い……寒くない季節とは言え、時間が時間だからな)
P「嘘つくなって、ずっと待ってたんだろ? ほら、暖かいミルクティーだ」スッ
真美「えへへ……ありがと」
プシュ……
コク、コク
真美「うん……あったかいね、おいしい」
P「……待たせて悪かった、ちょっとばかり美希とのミーティングが長引いてな」
真美「んっふっふ~、そんなに長いお説教だったのかい? 兄ちゃんも律っちゃんと一緒で鬼軍曹だね!」
P「ははは、そういうな。律子と同じで、愛を込めた長~いお説教だったのさ」
真美「ミキミキ、かわいそ~!」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 06:48:16.35 ID:Ab8lXI/R0
真美「……あのさ、ちょっとだけ、すっぽかされるかと思っちゃったよ」
P「俺から言い出したことだしな、もちろん来るよ」
真美「でもでも、今日の兄ちゃん、なんか冷房無視って感じだし!」
P「……もしかして、冷酷無比って言いたいのか?」
真美「んー? そうかも。まあ、そんな細かいことはいいのだよ、兄ちゃん」
P「……」
真美「えーっと、何から話そっか……あ、お説教でもイイよ。今日の真美はシショーに話聞くからさっ!」
P「それを言うなら、殊勝に、だな。まったく……美希といい真美といい、うろ覚えで適当なこと言いおって」
真美「……えへへ、ごめんね、兄ちゃん」
P「ん? 言葉が間違ったことに対してか? そんなの別に気にするようなことじゃないぞ」
真美「じゃなくて~! なんて言ったらいいんだろ……そうそう」
真美「ミキミキと、一緒ってことがさ」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 06:58:57.04 ID:Ab8lXI/R0
P「……」
真美「……ホントはね、全部知ってるんだ。ミーティングで、ミキミキと兄ちゃんが何のお話したかって」
P「……そうだったのか」
真美「うん。だってミキミキったらさ、さっきこんなメール送って来たんだもん!」
……………………………………
From:ミキミキ
Sub:センセンフコク!
ミキだよ→♪
今日はお疲れさま、リ→ダ→!
フッフッフ…ついに言ってやったの!
ハニーのハートを奪ってやるんダ→!って!
ミキね、真美にはゼッタイ負けないんだから。
センセンフコクしたからには、
明日からはCHO→本気モードってカンジ♪
あ、ついでに真美のキモチもハニーにバラしちゃった^-^
ごめんね!
……………………………………
P「こ、これはこれは……」
真美「ヒドすぎって感じっしょー!」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:08:45.08 ID:Ab8lXI/R0
真美「あのね、兄ちゃん」
P「……ああ」
真美「朝言ったことの意味って、こういうことだったんだよ」
P「……」
真美「兄ちゃんは、真美だけの兄ちゃんだ、って確認したかったの。だから……」
P「……」
真美「だから……あのね、その……」
P(ここまで来れば、さすがに真美の言いたいことはわかる……だが)
P「真美。俺は、真美の気持ちを尊重したいがな……」
真美「うあうあー! 兄ちゃん、ダメだよー!」
P「え?」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:12:29.76 ID:Ab8lXI/R0
真美「女の子の、一世風靡のコクハクなんだから、ちゃんと最後まで聞かなきゃダメに決まってるっしょー!」
P「もしかして、一世一代の告白って言いたいのか?」
真美「うん、そんなカンジの! それをさえぎって、何か言うのは反則~! 兄ちゃんの負け!」
P(何に負けるのかわからないが……)
P「……わかったよ、すまなかった。続き、聞かせてくれ」
真美「うー……もう。なんかそう言われると、急にやりにくくなったっぽいよ……」
P「え!?」
真美「うあうあ~……兄ちゃんのせいだよー……」
P「ちょ、そんなこと言われても……」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:22:16.20 ID:Ab8lXI/R0
真美「ま、真美はね、えっとその……うあー! もうっ!」
P「お、落ち着け! すぐパニックになるのは真美の悪い癖だぞ」
真美「ぶー……兄ちゃんはいっつもレーセーキンチャクだよねっ」
P「冷静沈着、な。でもお前たちがいつも元気にはしゃぎまわるから、一人くらいそうしないといけないだろ?」
真美「むむ、兄ちゃんが冷血なのは、真美たちが原因だったのか……ふぅ」
P「冷血って、ちょっと言いすぎだろ……落ち着いたか?」
真美「うん……ちょっとだけ、ね」
P「……」
真美「……ねえ、兄ちゃん……」
P「……なんだ?」
真美「あのさ……、やっぱり、ちょっぴり、怖いからさ。その……て、手を……」
P「手?」
真美「うん……手、握っててくんないかな……」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:31:44.05 ID:Ab8lXI/R0
P「……」
ギュッ
真美「えへへ……ありがと。兄ちゃんの手がでっかくてゴツいね」
P「真美の手は小さくて、柔らかいな」
真美「んっふっふっ、なんかそれ、兄ちゃんが言うとヘンタイっぽいよ~?」
P「うるせい」
P(……真美の手は……本当に小さくて、柔らかくて……、冷えきっていて)
P(少しでも乱暴に扱ったら、すぐに壊れてしまいそうなほど、繊細で……)
P(そして……、心の中の不安が溢れてしまっているかのように、小さく震えていた)
真美「……ま、真美はね」
P「……」
真美「兄ちゃんのこと、ね……う、うぅ……」ウルウル
P「ゆっくりでいいさ、俺は逃げないから……」
真美「う、うん……あんがと……ずび」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:36:17.90 ID:Ab8lXI/R0
真美「好きなんだよぉ……」
真美「……真美のことだけ、見ててほしいの……」
真美「み、みんなの兄ちゃんになんて、ホントは……、なってほしくないんだよぉ……」
ポロポロ……
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:42:38.68 ID:Ab8lXI/R0
P「……」
真美「う、うう……うわぁああああん!!」
P「えっ、ちょ、真美!?」
真美「あぁあ゛あ!! 兄ちゃん兄ちゃんっ! にい、ちゃん……!」
P「おい、落ち着けって……」
真美「これで落ち着いてられるわけないっしょー! うあうあー!!」
P「真美……」
真美「……うぅ……うぇええ……」
ボロボロ……
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:49:32.90 ID:Ab8lXI/R0
P「……ほら真美、ひっひっふー、だ」
真美「う、うぇえ゛え……え? ……ひ、ひ、ふー?」
P「そうだ。俺の手なんて、もう壊れるくらいに強く握ってていい」
真美「……ぐすっ」
ギュー……
P「俺は逃げないから、ちゃんと真美の気持ち聞くから……とりあえず、落ち着け」
真美「……ひっひっふー……」
P「そうだ、いいぞ……! ひ、ひ、ふー!」
真美「…………ふぅ」
P「どうだ?」
真美「……兄ちゃん、ヘンの人っぽいよ~?」
P「いやお前な……言うに事欠いて、変人ってどういうことだい」
真美「ぷぷっ! ……あー、でも……ちょっと落ち着いた、かも」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 07:57:01.59 ID:Ab8lXI/R0
真美「……」
P「……」
真美「あの、ごめんね、兄ちゃん」
P「今度はどうした?」
真美「だってその……みっともないとこ、見せちゃった」
P「……全然、みっともなくなんかないさ。真美は立派だったよ」
真美「……今度は、ちゃんと言うね。落ち着いて、兄ちゃんに告る」
P「……ああ、わかった」
真美「真美は兄ちゃんが、好き。大好き……いつも言ってるみたいな、好き、じゃなくて」
真美「彼氏になってほしい、っていう好き!」
真美「そ、それでね……」
真美「……兄ちゃんは、真美のこと、どう思ってるのか……教えてほしいんだ」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 08:25:00.87 ID:Ab8lXI/R0
P「……真美。ありがとう、そう言ってもらえて、すごく嬉しいよ」
真美「……」
P「……」
真美「あの……」
P「俺はな、真美のことがもちろん好きだ」
真美「……! そ、それじゃあ!」
P「だけど、それはきっと……、真美の思っている好き、とは違うものなんだよ」
真美「……え」
P「真美の気持ちに、応えることは出来ない……すまん」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 08:29:46.83 ID:Ab8lXI/R0
真美「……」
フラッ
P「っ!? ま、真美!?」
ヘタヘタ……
トスン!
真美「ぅあっ、いててて……うう、お尻打ったぁ~……」
P「お、おい、大丈夫か!? ケガは……」
真美「あはは、だ、だいじょぶだよ! こんくらいヘッチャだから!」
P「……」
真美「……あーあ、やっぱフラレちゃったか~」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 08:37:08.57 ID:Ab8lXI/R0
真美「……わかってたんだよね、こうなること、ってさ」
P「……真美」
真美「だってさ~、あのミキミキでさえフラレ続けてるんだよ?」
P「真美、お前……知ってたのか」
真美「んっふっふー、兄ちゃん、女子のネットワークを舐めたらダメっしょ!」
P「……」
真美「……真美だってそりゃ最近は、モテオーラばりばりのへろもんムンムンだったけどさ……」
真美「まだまだ、ミキミキには適わないもん。そんくらい、わかるもん」
P「そんなこと言うなって……美希と比べてどうこう、って基準で応えたんじゃないさ」
真美「えへへ、兄ちゃんはやっぱ優しいねっ!」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 08:48:03.91 ID:Ab8lXI/R0
真美「ねえ、兄ちゃん」
P「なんだ?」
真美「ちゃんと、真美のことだけ考えて、振ってくれた?」
P「当たり前だろ……他に誰のことを考えるって言うんだ」
真美「ホントにホント~? なんかそれ、ウソっぽいよ~?」ジトー
P「本当だって……俺はな、真美。俺は、真美の……」
真美「兄ちゃんは真美のプロデューサーで、真美はアイドル?」
P「……ああ、そうだよ」
真美「真美たち今メッチャ売れてるもんね! だから……、」
真美「あのアイドル双海真美に熱愛発覚!? とかさせるわけにはいかないってカンジ?」
P「……」
真美「ピンポンピンポーン! って顔してるね」
真美「だけどそれって……“真美自身”のことだけ考えたって、言えるのかな」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 08:59:55.39 ID:Ab8lXI/R0
P「……っ! それは……」
P(それは、どうなんだろう? 思えば俺は……美希に言い寄られた時も……)
P「……」
真美「……ごめんね、兄ちゃん。真美、今メッチャわがまま言ってるっぽいよ」
P「いや……いいさ」
真美「兄ちゃん。真美はね、兄ちゃんのこと、プロデューサーだから好きになったんじゃないんだよ」
真美「……兄ちゃんは、真美と遊んでくれるから好き。真美のわがまま、聞いてくれるから好き」
真美「真美がイタズラしたとき……ちゃんと叱ってくれるから、好き」
真美「兄ちゃんが褒めてくれるから、真美はガンバれる!」
真美「真美は、プロデューサーとしての兄ちゃんじゃなくて、兄ちゃんとしての兄ちゃんを好きになったの!」
真美「だから、フラレるならまだイイよ、しょーがないもんね。だけど……せめて」
真美「アイドルじゃない真美を見て……そんで、振ってほしいよ……」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:06:03.09 ID:Ab8lXI/R0
P(彼女の震える声を聞きながら、俺は必死に真美のことだけを考えた)
P(……アイドルじゃない、ただの双海真美……)
P(イタズラ好きで、やんちゃで……、素直で、純粋で、とても心優しい、この女の子のことを)
P「……わかった」
真美「……」
P「ここにいる真美は、アイドルとしての双海真美じゃない」
P「……そう仮定した上で、答えを出すよ」
真美「……うん」
P「真美、俺は――」
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:17:30.89 ID:Ab8lXI/R0
~ 翌週、765プロ事務所 ~
ガチャ!
真美・亜美「「おっはよーだぴょーん!」」
やよい「あ、真美、亜美っ! おはよーっ!」
亜美「んっふっふ、やよいっちは今日も朝からカワイイなぁ~」スリスリ
やよい「あうあう、やめてよぉ~……」
真美「よいではないかよいではないか! 真美たちと一緒によいではないかゴッコしようよ~!」
やよい「よ、よいでは……? それってなにー?」
亜美「んっふっふー! 亜美が手取りアシ取り教えてあ・げ・……
パコンッ!
亜美「ぐぇっ! り、律っちゃん~!?」
律子「ったく……朝っぱらから元気ね。フェスに行く前にレッスンしてあげましょーか?」
亜美「うあうあー! 鬼軍曹のお通りっぽいよー!」
真美「逃げろーっ!」スタタ
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:23:52.12 ID:Ab8lXI/R0
スタタタ……ドンッ!
真美「うあっ!」
P「うあっとと!」
亜美「おーっとここで真美選手脱落だーっ! 兄ちゃん看守に捕まってしまったー!」
P「何言ってんだ……すまん真美、ケガはないか?」
真美「う、うん……だいじょぶ」
P「余所見して走るなよ? というか、事務所内は走るな」
真美「ご、ごめんね……」モジモジ
亜美「……」
律子「……」
やよい「?」
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:30:36.09 ID:Ab8lXI/R0
亜美「ねえ、律っちゃん」
律子「……なに?」
亜美「なんか、ちがくない?」
律子「そーね」
亜美「真美と兄ちゃん、なんかあったのかな。ケンカ?」
律子「はぁ……亜美、アンタは気にしないで。はい、もう私たちは行くわよ」
亜美「えーっ! 何それ気になる気になるーっ!」
律子「いいからいいから……」グイグイ
亜美「うあうあー! オトナのおーりょーだよー!」
律子「それを言うなら横暴、でしょ。また適当なこと言って……」
律子「私たちはあずささんを拾っていかなきゃいけないんだから、ほら、さっさと行った行った」グイグイ
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:38:16.04 ID:Ab8lXI/R0
ガチャ……
美希「おはようございますなの……」ボケー
P「おはよう、美希。やっと来たか……すごい顔だな」
美希「うーん……今日はちょっとだけ、睡眠不足ってカンジ……あふぅ」
真美「ねえミキミキ、それっていつものことじゃない?」
美希「あは、そーかも……zzz」
やよい「はわわっ! み、美希さん、立ったまま寝ちゃいました! すごいかもー……!」
美希「zzz」
P「しかたないな……車までおぶっていくか」
真美「! に、兄ちゃん!」
P「ん?」
真美「ま、真美もちょっと眠いってカンジ! あふぅ」
P「ホラやよい、行くぞ」
やよい「はーい! 今日もガンバリまーっす! うっうー!」
真美「……あふぅ」
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 09:59:02.85 ID:Ab8lXI/R0
~ フェス会場 ~
P「よし、今日はこの会場でフェスだ! 相手は……わかっているな?」
三人「「「竜宮小町!!」」」
美希「相手にとって不足ナシ、なの!」シャキーン
真美「おー、ミキミキが覚醒してるっぽいよ」
やよい「わ、私も負けないように頑張りますーっ!」
P「律子たちにとってはいつぞやのリベンジらしいが……返り討ちにしてやろう」ニヤリ
美希「あは☆ ハニーったら悪い顔してるの! でもそんな顔も~……って、あれあれ?」ズルズル
真美「ほら行くよミキミキ~! やよいっちも、まだメイクすんでないっしょー?」
やよい「う、うん。待ってー!」タタタ
P「……」
P(真美も、リーダーとしての自覚が出てきたみたいだな……立派に成長したもんだ)
P「……あの夜、真美にああ言ったことは……間違いじゃなかった、ってことだよな……」
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:08:49.42 ID:Ab8lXI/R0
~ 控え室テント ~
メイクさん「……ふぅ、美希ちゃん、こんな感じかしら?」
美希「ううん、ちょっと待って……ここをこーして……ハイ、できあがりなのー!」
チラチラ……
パチッ☆
美希「……うん、バッチリ! 誰が見ても超イケイケなビジュアルのスーパーアイドルってカンジ!」
やよい「美希さんはいつもキレイですよー?」
美希「あは! ありがと、やよい♪ でもでも、今日からのミキは一味違うんだから!」
真美「ほほーう、それなら、ミキミキのお手並み拝見といきますか~」
グッグッ……
美希「……真美、さっきからストレッチばっかやってるね。メイクは?」
真美「もーとっくに終わったもーん。ミキミキと違って真美のウリはダンスだからね!」
美希「……へーえ」バチバチ
真美「なーにー?」バチバチ
やよい「うう……なんか、こわいかもー……」
153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:16:42.16 ID:Ab8lXI/R0
真美「……ぷ」
美希「……ぷぷぷ」
真美・美希「「あっはははは!」」
やよい「え、えー? なんでふたりとも笑ってるんだろー……」
真美「ミキミキ! 真美、負けないよ!」
美希「ミキだって! ファンのみんなの心と一緒に、ハニーのこともメロメロにしてやるんだから♪」
真美・美希「「ふふふ……」」ニヤリ
やよい「? でも……真美が元気になったみたいで良かったかもーっ! うっうー!」ピョン
154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:22:23.43 ID:Ab8lXI/R0
スタッフ「765プロさーん、そろそろ出番でーす」
真美「はーい! それじゃー行くよ、ふたりとも!」
美希・やよい「「うん!」」
テクテク
真美「……ミキミキ」
美希「ん、なーに? リーダー」
真美「兄ちゃんがね、こんなこと言ってくれたんだ」
美希「ふんふん……」
ゴニョゴニョ……
美希「!!」ピョコン
美希「なにそれーっ! 真美ばっかりズルイって思うな! み、ミキもーっ!」ダダッ
やよい「あー、美希さん! も、もう本番ですよっ!」
真美「そーだよん♪ さーいこいこ」
美希「あーうー……」ズルズル
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:32:51.57 ID:Ab8lXI/R0
P『アイドルじゃない真美のことは……、正直に言って想像がしづらい』
P『これまで俺たちが過ごしてきた時間のほとんど、真美はアイドルだったわけだからな』
P『……でも、一つだけ言えることがある』
P『俺がまだプロデューサーとして何も知らない頃……ほぼ一般人だった頃だ』
P『俺はな……同じように、アイドルとしての活動をまだ何もしていなかった真美を見て、こう思ったんだよ』
P『この子に、可能性を……人を惹きつける魅力を感じる、ってな』
P『……結局のところ、それは一目惚れに近いものだったんだ』
P『きっと俺は……アイドルじゃない双海真美だろうと、なんだろうと……、惹かれていたんだと思う』
P『だから、俺はきっと……アイドルじゃない真美のことは、振ることは出来ないよ』
157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:39:19.46 ID:Ab8lXI/R0
美希「ぶー……なんか、一歩先を越されたってカンジ」
真美「んっふっふー♪ 本気で行くって言ってきたのは、ミキミキの方っしょー?」
美希「いーもん! ミキも今度、おんなじ質問ハニーにしてやるんだからっ!」
真美「兄ちゃんは果たしてどー答えてくれるかなー? リーダーに選んだのも真美だったんだしねー♪」
美希「むむむ……真美、性格悪すぎーっ!」
真美「女の敵ランキング上位のミキミキに言われたくないもーん」
やよい「あうあう……ふ、ふたりとも、ケンカはよくないですよー……」
真美「やよいっち、これはケンカじゃないんだよ……」
美希「そうだね、ケンカどころじゃないの。これは戦争なのっ!」
やよい「? ケンカより悪い気がしますー……うう」
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:43:05.25 ID:Ab8lXI/R0
真美「まー、とにかく」
美希「……そーだね」
真美「今は、やることやっちゃおっか!」
美希「うんっ!」
やよい(やっぱり仲良しなのかなー? うう……わかんないかもー)
バサッ
P「おお……、来たな。準備は万端か?」
三人「「「はいっ!」」」
P「よしよし、みんな良い顔をしているな……」
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 10:47:31.20 ID:Ab8lXI/R0
P「この勝負、勝ちにいくぞ。勝ってIAのランキングレースに大手をかけるんだ!」
真美「んっふっふー♪ もちろんだよ、兄ちゃん!」
美希「ゼッタイに負けないんだからっ!」
やよい「相手が伊織ちゃんでも……私、全力300パーセントのパワーでガンバりますーっ!」
P「よし、それじゃあ後は真美……いや、リーダー。頼む」
真美「……ガッテンしょーちの助だよ、“プロデューサー”!!」
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/26(土) 11:03:15.16 ID:Ab8lXI/R0
真美「よっしゃみんなっ! 気合入れていくよーっ!」
美希・やよい「「はいっ!」」
真美(……兄ちゃんは、やっぱり真美だけの兄ちゃんじゃなかった……でも)
やよい「3!」
真美(真美と兄ちゃんを出会わせてくれた、この道で……真美だけのやり方で)
美希「2!」
真美(兄ちゃんの夢を叶えさせてあげるんだ! そしたら……そのときに、また、きっと!)
真美「1!」
「「「めざせ、トップアイドルーッ!!」」」
おわり
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