1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:31:21.69 ID:ZY6eCxfV0
【765プロ事務所】

小鳥「……あ、やっぱり。春香ちゃん」

春香「小鳥さん、何かわかりました?」

小鳥「雪によるポイント故障の為終日運休、ですって」

春香「そうですか……。今日はここに泊っちゃおうかな」

小鳥「泊まるって、ここに? ダメよそんなの、風邪ひいちゃうわ」

P「そうそう、千早とか響とかあずささんとか、一人暮らしの所に泊めさせてもらったらどうだ?」

春香「3人とも今日は疲れてるみたいでしたし、なんだか悪い気がして。大丈夫です、私、明日オフですから」

小鳥「それなら、わたしの所に泊まったら?」

春香「小鳥さんの? そんな、迷惑じゃ……」

小鳥「大丈夫よ。明日は私もお休みだし」

律子「それに、あんまり断りすぎると逆に失礼よ?」

春香「そうですね。それじゃ小鳥さん、よろしくお願いします」

小鳥「はーい。あ、でも今日残業しなきゃいけないから、終わるまで待っててもらえる?」

春香「いいですよ。あ、そうだ。私皆さんにお茶でも淹れますね」

引用元: 春香「ある日の残業風景」 

 

THE IDOLM@STER 天海春香 卓上時計
コスパ (2014-11-29)
売り上げランキング: 12,988
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:33:34.28 ID:ZY6eCxfV0
春香「はい、どうぞ」

P「お、悪いな」

春香「はい、律子さんも」

律子「ありがとう、春香」

春香「小鳥さんも、どうぞ」

小鳥「ありがとう。ごめんね、お茶くみなんかさせちゃって」

春香「いえいえ、気にしないでください。本当はお仕事も手伝えたらいいんですけど」

律子「さすがにプロデューサー業務はね……そんなに気にしなくてもいいのよ?」

春香「3人とも残業してるのに、私だけ遊んでるのもなんだか悪い気がして」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:34:17.65 ID:ZY6eCxfV0
P「そういえば春香、雑誌のコラムは進んでるか?」

春香「あっ! えーと、締切までまだ時間あるしと思って、何も考えてなかったです」

律子「コラムって、先週話が来たお菓子雑誌のコラムですか?」

P「そうそう。あのやたら字数が多いやつな。それやってたらどうだ?」

律子「そうね、こういう環境じゃないとなかなか手を付ける気にならないわよ」

春香「確かに、家は色々誘惑が……。それじゃ、私コラム書いてますね」

小鳥「春香ちゃん、プロデューサーさんの隣の席、空いてるから使ったら?」

P「そうだな。それに、書くならパソコンの方がいいんじゃないか? 営業用のノート使っていいぞ」

春香「ありがとうございます。それじゃ、隣、失礼します」

P「なんか、この時間まで春香……というか、アイドルが残ってるのってなんだか新鮮だな」

小鳥「いつも3人だけですもんね」

春香「えへへ、残業デビュー! ですね」

律子「そんな良いもんじゃないわよ、残業って」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:35:38.26 ID:ZY6eCxfV0
P「……」カタカタカタ

律子「……」カタカタカタ

春香「んー……」カタ…カタカタ…

小鳥「……あれ、金額が合わない……」カタカタカタ

P「……」カタカタ

律子「……よし、これは終わりっと」

小鳥「……やば、これ先月からだ……」カタカタ

P「あの、音無さん。不吉な独り言はやめてもらえませんか?」カタカタカタ

律子「不吉というか、聞き捨てならない独り言だった気がするんですけど」カタカタカタ

小鳥「いえ、その……あっ、これ入れてなかったからか……よし。うん、なんでもないです」

P「律子、証拠を消される前に押さえろ」

小鳥「だ、大丈夫ですって! ただの計算ミスでしたから!」

律子「えーと……うん、嘘は言ってなさそうですね」

P「ならよし」

小鳥「うぅ、ひどいわ2人とも……」カタカタカタ

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:38:14.52 ID:ZY6eCxfV0
P「……」カタカタカタ

小鳥「……」カタカタカタ

律子「……うわ」

P「律子選手、苦悶の表情を浮かべております」カタカタ

小鳥「ディスプレイを睨んで長考に入りました」カタカタ

律子「う~ん……どうしようかな……」

小鳥「ここはプロデューサーさんのフォローが欲しい所です」カタカタ

P「どれどれ。お困りのようで、律子殿」

律子「お困りなんですプロデューサー殿。このメールですけど」

P「えーと……あぁ、昨日言ってた件、返事が来たのか。……なるほど、こういう返信になるわけだ」

律子「えぇ。それで、どう説明したものかなと。下手に返すと大事になっちゃいそうで」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:39:29.93 ID:ZY6eCxfV0
P「そうだなぁ……。ちょっと書いてみていいか?」

律子「どうぞ」

P「例えば……」カタカタカタカタ

律子「なるほど、そういう手があるか」

P「そして、一応こういう事も書いておいて」カタカタカタカタ

律子「ふんふん」

P「で、最後にこう言っておけば」カタカタカタ

律子「おぉー。ナイスですね」

P「文面は律子っぽく変えておいてくれよ。これでダメなら直接話した方がいいかもな」

律子「そうですね……ありがとうございます」

P「お礼は夕飯でいいぞ」

律子「何て現金な……まぁいいですけど」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:42:15.11 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「そういえば皆さん夕食はどうします? それとももうお仕事終わりそうですか?」

P「まだまだ、ですね。今日はコンビニ弁当でもいいかなぁ」

律子「私も。外食するとそのまま帰りたくなりそうなんで」

小鳥「春香ちゃんもコンビニのお弁当でいい?」

春香「いいですよ」

律子「しょうがない、私が全員分買ってきましょう。春香は何がいい?」

春香「あ、私も行きますよ。一人じゃ大変だろうし」

律子「そう、じゃ一緒に行きましょう。で、二人は何がいいですか?」

P「残業が捗りそうなのを」

小鳥「若さの秘訣を」

律子「こいつらは……。何買っても文句言わないで下さいよ?」

P「いってらっしゃい」

小鳥「お気をつけて~」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:43:26.30 ID:ZY6eCxfV0
【765プロ事務所前 路上】

律子「寒っ!」

春香「一気に眠気が吹っ飛んじゃいますね」

律子「あ、やっぱり眠かったんだ」

春香「えへへ、正直ちょっと」

律子「実は私も」

春香「えー?! 全然そうは見えませんでしたよ?!」

律子「そりゃ明らかに眠そうな顔なんて出来ないわよ。あの二人の前じゃ」

春香「そっか……プロデューサーさんも小鳥さんも頑張ってますもんね」

律子「そんな顔見られたら何て言って馬鹿にされるかわかったもんじゃないわ」

春香「あ、あはは……そういう事ですか……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:45:41.71 ID:ZY6eCxfV0
【コンビニ 店内】

律子「何にしようかな~。春香ー、決まった?」

春香「はい、私はリゾットにしようかなーって」

律子「カレーリゾットか、いいな……いや、私はパスタで」

春香「ボンゴレですか。そっちもおいしそう」

律子「あとは……小鳥さんはこれでいいや」

春香「お寿司って若さの秘訣なんですか?」

律子「さぁ? 肉の油よりは魚の方が若さにはいいんじゃない?」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:46:37.34 ID:ZY6eCxfV0
春香「な、なるほど。プロデューサーさんは?」

律子「これがいいかな」

春香「冬なのに冷たいお蕎麦……」

律子「頭も冷えて残業がはかどるでしょう。男の人だし、足りないといけないからおにぎりも付けてあげましょう」

春香「具なしの塩むすびなんですね」

律子「舐めたオーダーするからよ。後は何か買うものはある?」

春香「お茶とかは事務所にありますもんね。私は……あ、着替えとか買いたいんで、別に買います」

律子「了解ー。それじゃこっちはレジ済ませちゃうわね」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:47:54.99 ID:ZY6eCxfV0
【765プロ事務所】

律子「ただいまー。あー寒かった」

小鳥「おかえりなさい」

春香「ただいまー。小鳥さんもプロデューサーさんも、夕食にしましょう」

P「お疲れ―。どれどれ、律子は何を選んだのかな?」

律子「はい。残業がはかどる蕎麦です。おにぎりも付けてあげます」

P「冷たい……冬なのに……。おにぎりは具なしだし……」

律子「小鳥さんには若さの秘訣の寿司です」

小鳥「おー、お寿司なんて久しぶり」

P「えーと、この差は何?」

律子「そういう事を言うならちゃんと食べたいものをオーダーして下さい」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:49:18.77 ID:ZY6eCxfV0
春香「まぁまぁ。はい、皆さんに熱いお茶を淹れましたから」

P「うぅ、すまない春香。どこかの眼鏡とは違って愛情をたっぷり感じるよ」

律子「春香。こいつ要らないって」

P「嘘です! 寒い中買い出しありがとうございました!」

春香「あ、あははは。はい、小鳥さんも」

小鳥「ありがとう。やっぱりお寿司には熱い緑茶よね」

律子「発言が……」

P「若さの秘訣、逆効果だったんじゃ……」

小鳥「春香ちゃん。やっぱりプロデューサーさんの分のお茶は要らないみたいよ?」

P「なんで俺だけ?!」

春香「えーと、はい、律子さんも」

律子「ありがとう。さ、春香も食べましょう」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:50:43.39 ID:ZY6eCxfV0
P「音無さん、コンビニの握り寿司ってどうですか?」

小鳥「うーん……ま、こんなもんかなって感じですね。お蕎麦どうですか?」

P「冷えてて美味いです」

律子「まだ言うかこの男」

小鳥「春香ちゃんのリゾット、おいしそうね」

春香「よかったら一口どうですか?」

小鳥「いいの? それじゃ……うん、けっこういけるわね」

律子「小鳥さん、家ではリゾットとか作るんですか?」

小鳥「冷ご飯で作る簡単なのとかは結構。炊飯器セットし忘れた時には生米から作ったりしますね」

春香「生米から作れる料理って、覚えておくと便利ですよね」

P「そうなのか。今度調べてみようかな」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:51:57.45 ID:ZY6eCxfV0
春香「プロデューサーさんって家では料理作るんですか?」

P「作る、って言っていいレベルじゃないけどな。味噌汁に焼き魚、煮物とか」

律子「お、意外と和食派」

小鳥「男の人の一人暮らしだから炒飯とか貧乏パスタとか定番レシピが来ると思ってました」

P「いや、その辺も作りますけど、和食食べたくなるんで。最近はもっぱら外食とかですけど」

小鳥「だって、春香ちゃん」

春香「和食か……よし」

P「いや、気を遣わなくていいからな?」

春香「遠慮しないで下さいよ。私、プロデューサーさんの家に行ってみたいですし」

P「それはダメ。前にも言っただろ? 雑誌に変な事書かれるかもしれないからって」

春香「ちょっとだけ! 変装して行きますから!」

P「ちょっとって何だよ。春香にだけ言ってる訳じゃないから、分かってくれ」

春香「うぅー」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:53:23.58 ID:ZY6eCxfV0
律子「そういうところはきっちりしてるんですね」

P「当り前だろう。けじめがつかなくなるし、そういうの許したら俺、絶対甘えてしまうからな」

小鳥「ほぅ」

春香「プロデューサーさん、もう少し詳しく」

P「だって、可愛い女の子が俺に料理作りに来てくれるって言ってるんだぞ?」

春香「か、可愛いって……」

P「プロデューサーなんて仕事じゃなかったら即OKして部屋掃除しに帰ってるよ」

律子「一応理性はあるんですね」

P「お前は俺をなんだと思ってるんだ」

小鳥「男性じゃなくても分かりますよ。春香ちゃんにそんなこと言われて嫌な気は全然しませんから」

春香「こ、小鳥さんまで……」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:54:40.28 ID:ZY6eCxfV0
律子「ま、プロデューサーなんて仕事じゃなかったら、そんな接点ないかもしれませんけどね」

P「ですよねー」

小鳥「さ、綺麗に落ちたところでお会計済ませちゃいましょう。私のはいくらでした?」

律子「いいですよ、今日は全員分私がおごりますから」

P「いやいや、『お礼は夕飯で』って冗談だからな?」

律子「ここでお金のやり取りは面倒ですし、次はどっちかがおごってくださいね」

小鳥「そういう事なら……。律子さん、ごちそうさまでした」

春香「すみません、私まで……。ごちそうさまでした」

律子「いいのよ。いつもお菓子作ってきてくれるお菓子に比べたら安いもんよ」

P「ごちそうさま、律子。さて、ちゃっちゃと片付けて仕事するかぁ」

春香「あ、片付けは私やりますから」

律子「そう? それじゃ、ごめんね、お願いするわ」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 19:57:08.83 ID:ZY6eCxfV0
春香「そういえば、3人とも、日中とはテンションが違いますよね」

P「そうか?」カタカタ

春香「はい。日中じゃ言わなそうな冗談言ったりとか」

律子「まぁこの時間帯になると、妙なテンションになってくるのよね」カタカタ

小鳥「明日お休みだと思うとますますテンション上がりますよね」カタカタ

春香「なんだか、意外でした」

P「そうか。ま、朝から夜までずっと真面目なノリも疲れるしな」カタカタ

春香「小鳥さんがいじられポジションなんですね」

小鳥「意外なのってそこ?!」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:00:47.65 ID:ZY6eCxfV0
律子「この3人の中で誰がいじられポジションだと思ったの?」カタカタカタ

春香「う~ん、律子さんとか」

P「いや、こいつ全然隙がないぞ。ねぇ?」カタカタカタ

小鳥「ええ。3人の中で一番年下なんですけどね」カタカタカタ

律子「日中は突込み疲れてるんだから、残業中位ボケたいんですけどね」カタカタ

春香「でも、今日の残業見ちゃうと納得できるかも。大変ですね、律子さん」

律子「ま、馴れたけどね」カタカタ

P「くそっ! いつかあの眼鏡ぎゃふんと言わせてやるっ」カタカタカタ

律子「ね? こんなだもん」

春香「あー……」

P「いや、作業してるとさ、頭そっちに使うから。出てくる言葉が低レベルになるというか」カタカタカタ

律子「言い訳するし」カタカタカタ

春香「あー……」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:03:55.38 ID:ZY6eCxfV0
春香「う~……」カタ……カタ……

P「ん? どうした春香。難しいか?」カタカタ

春香「難しいというか、あんまり頭が回らなくて。集中力が続かないというか」

律子「無理もないわよ。午前中はPV収録で、午後はレッスンでしょ?」カタカタ

小鳥「それで残業ですもの、しょうがないわ」カタカタ

P「春香、あんまり無理して書かなくてもいいぞ。何ならソファで休んでたらどうだ?」カタカタ

春香「いえ、そこまでじゃないですから! それに、疲れてるのはプロデューサーさん達も一緒だし」

P「俺らは、まぁ……な?」カタカタ

律子「『な?』じゃなくて。ちゃんと答えてあげて下さい」カタカタ

小鳥「大丈夫よ。3人ともこれ位の残業には慣れちゃってるんだから」カタカタ

春香「慣れてる……ですか……」

P「ひかれた」カタカタ

律子「小鳥さんのせいだ」カタカタ

小鳥「なんで?!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:05:47.75 ID:ZY6eCxfV0
春香「いえ、引いたんじゃなくて、大変なんだなぁ、って……」

P「その顔は、ろくでもない事考えてるな」

春香「えっ?」

P「『日中は私たちに付いてるからお仕事できなんだ』とか考えてる顔だな」

律子「『レッスンとか簡単な仕事なら次から1人で行こう』とか考えてる顔ね」

小鳥「えーと、えーと」

律子「小鳥さんは無理しなくていいです」

小鳥「ひ、酷い……」

春香「な、なんで分かるんですか?!」

P「やっぱりそうか」

春香「うっ……」

律子「昨日今日の付き合いじゃないんだから分かるわよ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:08:26.51 ID:ZY6eCxfV0
春香「で、でも、私たちアイドルが極力自分で仕事とかトレーニングすれば……」

P「あのな、春香。お前たちのトレーニング見るのも、現場に付いていくのも、昼間にしかできないんだ」

春香「そ、それはそうですけど、でも」

P「言い方を変えるか。それがあって初めて他のすべての仕事が進むんだよ」

春香「どういう事ですか?」

P「アイドル達が今どれくらいの力量なのか。どういうコンディションなのか。それを知らずにプロデュースなんかできないんだよ」

律子「どういう風に売り出すか。どういうユニットにするか。歌やダンスはどうするか。全部普段を見てないと決められないのよ」

春香「律子さんも?」

律子「当り前よ。机に座って書類眺めて竜宮小町考えた訳じゃないもの」

P「営業ももちろん大切だけど、それだって普段のお前たちをちゃんと見てないと出来ないんだからな」

春香「アイドルのプロデュースって、私が思ってるよりずっと大変なお仕事なんですね」

P「まぁな。そして、事務を一手に引き受ける音無さんもな」

小鳥「あ、忘れられてなかった」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:10:18.52 ID:ZY6eCxfV0
春香「ごめんなさい! そうですよね。小鳥さんだって……」

小鳥「大変なのはアイドルも一緒でしょ? 皆自分の仕事をちゃんとこなしてるから765プロが成り立ってるの」

P「そう。俺にアイドルの代わりは出来ないからな。春香がプロデューサーってのは……将来的にはアリかもしれないけど」

律子「私という前例がありますからね」

春香「今のお話聞いてると、私には絶対無理そうかなぁ……」

P「ま、今はアイドルに専念してくれ。プロデューサーやりたいって言われたら俺が困る」

律子「プロデューサーが増えれば私たちの負担は減るけど、765プロにとっては痛手になるわね」

P「と、人気絶頂でプロデューサーに転職した元アイドルが言っております」

律子「うっ……感謝してますよ、我がまま聞いてくれた765プロには」

小鳥「今後はまたステージに立つ機会は増えそうですけどね。衣装も作っちゃいましたし」

律子「あれは代理とかイレギュラーな時だけですって!」

P「いいじゃないか、2足のわらじも」

律子「もぅ! ほら、二人とも仕事仕事!」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:12:28.99 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「よしっ、今日のお仕事終わり」

律子「私も終わりっと」

P「俺はもうちょっと……」

春香「大丈夫ですか? あまり無理しない方が……」

P「いや、切りの良い所までやっちゃいたいだけだから」

小鳥「春香ちゃんも切りの良い所でやめて帰りましょう?」

春香「は、はい。そうだ、小鳥さんの所に泊まるんだっけ……」

P「おぅ。気を付けて帰れな。音無さん、よろしくお願いします」

春香「は、はい……。あの、プロデューサーさんも……」

小鳥「……そうだ。春香ちゃん泊める為に部屋片付けなきゃ」

P「え?」

律子「人外魔境を人が住める環境に浄化する必要がある訳ですね」

春香「人外魔境……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:14:55.52 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「プロデューサーさん、30分後位に春香ちゃんをうちまで車で送ってもらえます?」

P「えーと、それまでに仕事を終わらせろと?」

小鳥「はい。住所は分かりますよね?」

P「行ったことはないですけど、ナビもあるし大丈夫だと思います」

春香「プロデューサーさん、小鳥さんの家知ってるんですか?」

P「俺が、というか、会社に社員の住所一覧あるし。緊急時とかに使うからさ」

律子「アイドル達のもちゃんとあるのよ。もちろん、厳重に管理してるけどね」

小鳥「って訳で、ごめんね春香ちゃん」

春香「いえ、全然! 私なら大丈夫ですから!」

律子「春香、サボらないように見張ってるのよ。それじゃ、お先に失礼しまーす」

小鳥「お先しまーす。春香ちゃん、またね。プロデューサーさん、お願いします」

P「はいはい、お疲れ様。2人とも気を付けて」

春香「お疲れ様でしたー」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:16:29.21 ID:ZY6eCxfV0
【路上】

律子「小鳥さん、部屋片付けなきゃって嘘ですよね」

小鳥「準備が必要っていうのは本当ですよ。物の数分でできますけど」

律子「なかなかの策士ですね。何を企んでるんですか?」

小鳥「帰ろうって言った時の春香ちゃんの表情見たらつい」

律子「あからさまにがっかりしてましたもんね」

小鳥「律子さんが話合わせてくれるとはおもいませんでしたけど?」

律子「何いやらしい顔してるんですか。私は別に何も考えてませんよ」

小鳥「いや~、敵に塩を送ることになっちゃうんじゃないかなぁ~って」

律子「敵って、私は別に。ただ……」

小鳥「ただ?」

律子「あんな『一緒の時間がもう終わっちゃうんだ……』みたいな顔されたら、そうせざるをえないでしょう」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:18:07.52 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「ふぅ~ん、なるほど」

律子「なんですか、にやにやして」

小鳥「いえ、こういう事には奥手というかヘタレだなぁって」

律子「えーと、お寿司代ですけど、買い出し代行手数料も合わせて」

小鳥「うそうそ、冗談です」

律子「もぅ。なんだか余裕綽々ですけど、そういう態度は既婚者とかがとるものなんですよ?」

小鳥「私は765プロのみんなのラブコメを見てニヤニヤ出来ればそれでいいんです」

律子「へぇ?」

小鳥「おっと、もうマンションの前だ。それじゃ、私はここで」

律子「上手く逃げましたね。それじゃ、お疲れさまでした」

小鳥「律子さんも、お疲れ様でした~」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:21:44.48 ID:ZY6eCxfV0
P「……よし、終わり! 春香、お待たせ」

春香「はい、お疲れ様でしたプロデューサーさん」

P「春香も遅くまでお疲れ様。それじゃ帰るか。忘れ物ないか?」

春香「えっと、はい、大丈夫です」

P「よし。俺も……おっと、手帳忘れてた」

春香「プロデューサーさんも明日お休みですか?」

P「俺は出社するよ。今日残った3人一緒に休めないからな」

春香「事務所にはいつも誰かいないと、って事ですか?」

P「そういう事」

春香「そっか……明日も普通にお仕事なのにこんな時間まで……」

P「別に苦にはしてないから春香が落ち込むことはないって」

春香「はい……」

P「エアコンも切ったし、電気もよし。施錠……よし、と。さ、外に出るか」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:23:14.35 ID:ZY6eCxfV0
【車内】

春香「すみません、残業終わって疲れてるのに……」

P「気にするなって。帰り道だし、言い出したのは小鳥さんだし」

春香「……あの、いつも残業中はあんな感じなんですよね?」

P「そうだな。ま、切羽詰まってる時はあんまりしゃべらないけどな」

春香「最初に残業した時もあんな感じだったんですか?」

P「ここでの最初の残業か。あの時は音無さんと2人だけだったな」

春香「2人だけ、ですか」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:25:38.24 ID:ZY6eCxfV0
P「まだみんなそんなに仕事無かったから、律子はそんなに残業してなったんだよ」

春香「そっか。まだ竜宮小町結成前でしたもんね。プロデューサーが来たのって」

P「あぁ。プロデューサーとしても駆け出して、仕事も効率悪くて、大した事してないのに残業になっちゃってな」

春香「あんまりそんな感じはしませんでしたけど」

P「それは律子のフォローがあったからさ」

春香「そういえば、しばらくは律子さんも引き継ぎって事で私たちの事も見てくれたましたもんね」

P「そう。で、初めての残業の時に音無さんから大事なことを教えてもらったんだ」

春香「大事なこと?」

P「うん。確かあの時は――」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:30:23.50 ID:ZY6eCxfV0
【?ヶ月前 765プロ事務所】

P『ただいま戻りました……』

小鳥『おかえりなさい、プロデューサーさん。今日は終わりですか?』

P『いえ、ちょっと残ってやっていきます……』

小鳥『なんだか、元気がないですね。何かありました?』

P『何かあったというか、何もできなかったというか』

小鳥『というと?』

P『いえ、なんかただの愚痴になっちゃいそうなんで』

小鳥『いいじゃないですか。たまには愚痴こぼしても。私聞きたいなー』

P『うっ……それじゃ、少しだけ』

小鳥『ありがとうございます。そうだ、お茶淹れて来ますから、ソファーで待ってて下さい』

P『すいません』

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:32:12.44 ID:ZY6eCxfV0
小鳥『はい、どうぞ』

P『ありがとうございます……はぁ』

小鳥『お仕事、上手くいってないんですか?』

P『上手くいってないというか、時間すら取れないというか』

小鳥『というと?』

P『日中はアイドル達のレッスンに付いてなきゃいじゃないですか』

小鳥『まぁ、はい』

P『残りの時間は出来るだけ営業するようにしたいし、そうなるとそれ以外の諸々をやる時間が……』

小鳥『なるほど』

P『いざやろうと思っても、どんな風に売り出そうかも決められなくて』

小鳥『……』

P『もっとも、律子は今までずっとそれをやってきた訳だし、俺がへっぽこなだけなんですけどね』

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:35:23.04 ID:ZY6eCxfV0
小鳥『プロデューサーさん。ちょっと質問いいですか?』

P『え? あ、はい……』

小鳥『今日のレッスンはどうでしたか?』

P『どう……って、えーと、まぁ先生から大きな指摘もなく……』

小鳥『プロデューサーさんとしては?』

P『俺として……うーん……』

小鳥『それじゃ別の質問。今日会ったアイドルの可愛かったエピソード、教えて下さい』

P『今日はレッスンだけで、特に変わった所は……』

小鳥『そうですか。何となく分かっちゃいました。プロデューサーさんの悩みの原因』

P『え、えぇ?』

小鳥『プロデューサーさんは、うちのアイドルのファンですか?』

P『え? いや、俺はプロデューサーで……』

小鳥『私はあの子達のファンですよ。律子さんも、社長もきっと』

P『あの、それってどういう……?』

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:38:58.70 ID:ZY6eCxfV0
小鳥『アイドルの一人目のファンって、誰か知ってます?』

P『ご両親とか?』

小鳥『残念、ハズレ。答えはそのアイドルを担当するプロデューサーです』

P『そうか、アイドルとして初めて会うのはプロデューサーか……』

小鳥『その通りです。だから、プロデューサーさんにも、あの子たちのファンになって欲しいんです』

P「ファン……それでさっきの質問だったんですね』

小鳥『えぇ。プロデューサーさんがあの子たちを嫌っているとは、もちろん思っていません』

P『嫌ってるだなんて、そんな! でも、プロデューサーとしてしか接していない事は事実です』

小鳥『必要以上に親しくなっちゃいけないとか思ってるでしょ』

P『そ、それは……。恋仲になろうがもんなら大スキャンダルですし』

小鳥『でも、今のプロデューサーさんは必要以上にあの子たちとの間に距離を置きすぎてませんか?』

P『うっ……言われてみるとそうかもしれません』

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:42:33.51 ID:ZY6eCxfV0
小鳥『アイドルと一緒にもっとおしゃべりしてあげて下さい。あの子たちの事、もっと分かると思いますよ』

P『確かに俺、あいつらの事全然知らないかもしれません』

小鳥『普段から目を向けて、あぁ、この子はここが可愛いなぁとか、こういう良い所があるなぁとか、見てあげて下さい』

P『目を向けて……ですか』

小鳥『ええ。そうやって、あの子達ののファンになれば、どういう風に売り出そうか、どういうユニットにしようか、今より悩まないはずですよ?』

P『そうですよね……アイドルの良さを分かってもらうには、まずは自分が好きにならないとダメですよね』

小鳥『はい。難しくはないでしょう? 無理しなくたって、自然に好きになっちゃうような良い子ばっかりですもの』

P『はい、それは、もう。今まで、自分で変に理性効かせてそういうの考えないようにしてました』

小鳥『好きになるって言っても限度はありますけどね。その辺は、プロデューサーさんならよく分かっているでしょうし』

P『はい。日中のアイドルと過ごす時間こそが一番重要なのに、俺、なんだか勘違いしてました』

小鳥『ふふっ、少しでもお役に立てましたか?』

P『少しだなんて、そんな! なんだか気持ちがすっきりしました。ありがとうございました』

小鳥『いーえ、私は何も。さ、私も気分転換できたし、そろそろお仕事しましょうか』

P『はいっ!』

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:44:53.95 ID:ZY6eCxfV0
【車内】

春香「そんな事があったんですね……意外でした」

P「そうか?」

春香「はい。だって、さっきはむしろ律子さんの相談にのってたじゃないですか」

P「あれは、まぁ。ほら、やっぱり得意分野は誰にでもあるからさ」

春香「それは確かにあるとは思いますけど」

P「春香が意外に思う位成長できたんだとすれば、音無さんのアドバイスや、律子のフォローと、そして春香たちアイドルのおかけだろうな」

春香「え? 私は別に、そんな……」

P「こんな俺でも、見捨てずに素直に従って付いてきてくれたから、俺も自信をもって仕事ができるんだ。ありがとうな」

春香「見捨てるだなんてそんな! こっちがお礼言わなきゃいけないのに。あの、でも、なんで私に話してくれたんですか?」

P「う~ん、なんでだろう。俺が春香を、765プロのアイドル達を好きになったきっかけを、いつか話したいと思ってたから、かな」

春香「好きに……なった……」

P「まだ他のアイドルには話したことないけどな。律子にも」

春香「そ、それじゃ私が初めてなんですか?」

P「あぁ。今の春香なら、なんていうか、大丈夫かなって。ごめんな、上手く説明できない」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:46:15.18 ID:ZY6eCxfV0
春香「大丈夫です、気持ちは十分伝わりましたから。その……ありがとうございました」

P「こっちこそ、いつも気にしてくれてありがとうな」

春香「べ、別に、そんな……あはは、なんだか凄い恥ずかしいですね」

P「うん、夜中の変なテンションのせいで、普段なら話さないような事まで話しちゃった気がする」

春香「それじゃ、これは2人だけの秘密、ですね。あ、小鳥さんも知ってるなら3人か」

P「あぁ、そうだな。音無さんは覚えてないような気もするけど。あー、思い返すとなんかすごい恥ずかしい事言ってるよな、俺……」

春香「えへへ、心配しなくても、言いふらしたりしませんから」

P「頼むぞ、本当に……。おっと、ここだ。音無さんのアパート」

春香「それじゃ、私はここで。プロデューサーさん、ありがとうございました」

P「おぅ。春香も遅くまでお疲れ様。ゆっくり休むんだぞ」

春香「はい! お疲れ様でした!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:47:51.55 ID:ZY6eCxfV0
【小鳥のアパート 室内】

小鳥「ごめんね、待たせちゃって」

春香「いえ、全然。律子さんは人外魔境とか言ってましたけど、すごいきれいじゃないですか、お部屋」

小鳥「えへへ、それほどでも。そうだ。春香ちゃん、お風呂先に入っちゃって。ちょうど今入れたところだから」

春香「そんな、申し訳ないです。私は後でもいいですから、先に小鳥さん入って下さい」

小鳥「まぁまぁそう言わずに」

春香「それじゃ、すいません、お先に」

小鳥「お、着替えの下着買ってきたのね」

春香「はい、夕食の買い出しの時にお弁当とかとは別に。あ、ボディソープとか使っても良いですか?」

小鳥「私が使ってるので良ければ好きに使ってちょうだい。合う合わないとかある?」

春香「いえ、特にないから何でも平気です。肌が丈夫なのが取り柄でして。えへへ」

小鳥「羨ましいなぁ……私も10代の頃は……」

春香「あ、その。えと、私、お風呂入ってきますね……」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:49:55.08 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「ふぅ、さっぱりした~。春香ちゃんお待たせ―」

春香「お~。お風呂上がりの小鳥さん、なんだか色っぽいですね」

小鳥「お世辞言っても何もでないわよー」

春香「お世辞じゃないですって。……でも、やっぱりお風呂上りはビールなんですね」

小鳥「当然じゃない。はい、春香ちゃんはジュースで我慢してね」

春香「わ、ありがとうございます」

小鳥「それじゃ、今日も一日お疲れ様。かんぱーい!」

春香「かんぱーい! お疲れ様でした」

小鳥「んくっ……んくっ……ぷはぁ~! これよこれ! やっぱりお風呂上がりのビール最高!」

春香「小鳥さん……それ、あんまりです……」

小鳥「あら、明日お休みだからついテンションが。失礼失礼。それより、どうだった?」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:51:14.79 ID:ZY6eCxfV0
春香「え? どうって?」

小鳥「初めての残業は」

春香「えっと、いろいろな事考えちゃって。ちょっと疲れました」

小鳥「例えば?」

春香「アイドルが帰った後も遅くまでお仕事してるんだなぁとか」

小鳥「ふんふん」

春香「後は、その、なんていうか……えーと……」

小鳥「プロデューサーさんの事?」

春香「はい……私が知らないプロデューサーさんを、小鳥さんとか律子さんは知ってるんだなぁって思って、その……」

小鳥「そうよね。好きな人の、自分が知らない一面を他の人が知ってるって嫉妬しちゃうものね」

春香「すすす、好きだなんてそんな! 私は、その、いや、嫌いな訳じゃないですけど……」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:53:10.80 ID:ZY6eCxfV0
小鳥「隠さなくたっていいのに。そっかー。春香ちゃんは恋でも正統派な乙女なんだ」

春香「こ、小鳥さん! あんまりからかわないで下さい!」

小鳥「ごめんね、反応が可愛いからついからかいたくなっちゃって」

春香「でも、よかったです。色々お話が聞けて」

小鳥「帰りの車の中でプロデューサーさんと何か話した?」

春香「えへへ、それは秘密です」

小鳥「ふぅん。結構良い事聞けたみたいね」

春香「その手には引っかかりませんよ。想像にお任せします」

小鳥「あら、中々手ごわいわね、ふふふ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:55:01.37 ID:ZY6eCxfV0
【寝室】


小鳥「歯も磨いたし、さっさと寝ちゃいましょう。春香ちゃんはそっちのお布団でね」

春香「はい、ありがとうございます」

小鳥「それじゃ、電気消すわね」

春香「はーい」

小鳥「そうだ。明日は春香ちゃん何時ころ起きる?」

春香「えっと、普段のオフの日は7時位まで寝ちゃってます」

小鳥「7時か……早いのね……」

春香「あっ! でも、小鳥さんに合わせますよ。特に予定ありませんし」

小鳥「それなら、8時位で……いや、8時半で……」

春香「いや、無理しなくても……そうだ、私先に起きて朝食作りましょうか? 小鳥さんはゆっくり寝て下さい」

小鳥「本当?」

春香「はい。泊めてもらったお礼です」

小鳥「ありがとう、それじゃお願いしちゃおうかな。冷蔵庫の中、適当に使っていいからね」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 20:58:03.10 ID:ZY6eCxfV0
春香「あっ! ご飯どうします?」

小鳥「あ、炊飯器セットするの忘れてた。……パンにしましょうか」

春香「そうですね。一回お布団に入っちゃいましたし……」

小鳥「パンは冷凍庫に入ってるから、それトースターで焼いてね」

春香「分かりました。何かリクエストあります?」

小鳥「う~ん、そうだなぁ……朝だし、軽めで」

春香「了解です」

小鳥「だんだん眠くなってきたわ……」

春香「私も……」

小鳥「それじゃ、春香ちゃん、おやすみなさい……」

春香「小鳥さんも……おやすみなさい」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 21:00:21.62 ID:ZY6eCxfV0
【小鳥のアパート 室内】

小鳥「ふわ……思ったより早く起きちゃった」

春香「あ、小鳥さん。おはようございます。もしかして起こしちゃいました?」

小鳥「ううん、なんだか自然に目が覚めちゃって。おはよう、春香ちゃん」

春香「朝食、もうちょっとかかりそうなんで待っててもらえますか?」

小鳥「はーい。ちょっと身だしなみを整えたり着替えたりしてくるわね」

春香「そうだ。コーヒーとかお茶とか飲みます?」

小鳥「コーヒーお願い。コーヒーメーカーは事務所と同じの使ってるから」

春香「了解です」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 21:02:31.26 ID:ZY6eCxfV0
春香「はい、コーヒーです」

小鳥「ありがとー」

春香「もうちょっとですから、待ってて下さいね」

小鳥「エプロン姿が似合ってるわね。う~ん、なんか新妻、って感じでグッとくるものがあるわ」

春香「小鳥さん……朝から全開ですね……」

小鳥「あら、控え目な方よ?」

春香「そうですか……はい、出来ました。簡単なので申し訳ないですけど」

小鳥「おぉ~、おいしそう。それじゃ、いただきます」

春香「どうぞ、めしあがれ。私もいただきます」

小鳥「うん、美味しい。やっぱり誰かが作ってくれるっていいわね」

春香「そういってもらえると嬉しいです」

小鳥「春香ちゃん、今日はこの後すぐお家帰っちゃう?」

春香「実は、ちょっとやりたい事があって……。小鳥さんさえよければぜひ手伝ってほしいなぁって」

小鳥「私でよければいいわよ。今日は特に予定ないし」

春香「本当ですか? それじゃ――」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 21:04:53.97 ID:ZY6eCxfV0
【765プロ事務所】

春香「お疲れ様です、プロデューサーさん!」

P「おぅ、春香、来たか。今日はどうした? メールで言われた通り、何も食べないで待ってたぞ」

春香「ありがとうございます。これ、お弁当作ってきました。一緒に食べましょう?」

P「あ! もしかして昨日残業中に言ってたのを!」

春香「はい。小鳥さんと2人で作ってみました。お家に行って作るのはダメって言うから」

P「そうか、わざわざ……。ごめんな、せっかくの休みなのに」

春香「もぅ、謝っちゃダメですよ! ごめんなさいが聞きたかった訳じゃないんですから」

P「そうだな。ありがとう、春香。それに小鳥さんも」

春香「いえ、これくらい。小鳥さん、『全部春香ちゃんが作った事にすればいいのに』って言ってましたけど」

P「そっちにも後でちゃんとお礼しないとな。すっとぼけられそうだけど」

春香「あはは、それじゃ、私お茶淹れてきますね」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2013/02/10(日) 21:06:07.34 ID:ZY6eCxfV0
P「開けていいか?」

春香「はい、どうぞ」

P「では……。おぉー、俺が好きなのばっかり!」

春香「そうなんですか? 和食の定番で攻めてみました」

P「誰かの手料理なんて久しぶりだなぁ。いただききます」

春香「はーい。それじゃ、私もいただきます」

P「うん、めちゃくちゃ美味い!」

春香「本当ですか? お世辞じゃないですよね?」

P「本当だって。自分じゃこんな美味いの作れないし」

春香「そこまで言ってもらえると作った甲斐があります」

P「今日も一日頑張れそうだよ。ありがとう、春香」

春香「どういたしまして。あの、代わりと言っては何ですけど、お願いが」

P「ん? なんだ?」

春香「私たちの事、これからも、ず~っと好きでいて下さいね!」

                                                おわり

次回 あずさ「ある日のたるき亭の風景」