1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 22:33:13.55 ID:GP5fYIXNo
肇「いま来たところですよ」
P「気遣ってくれなくていい、遅刻したのは俺だからな。すまん」
肇「ふふ、お気になさらず。待っている時間も楽しいものですよ」
P「そう言ってもらえると助かるが」
肇「それに、デートではこう言うのが作法と聞きましたから」
P「本当にすまない」
肇「いいんですよ。さぁ、行きましょうか」
P「あぁ、行こうか…………待った」
肇「どうかしましたか?」
P「デートじゃない。次の仕事用に服を見繕いに来ただけだ」
肇「……あぁ! すみません、そういう体でしたね。では改めて」
P「体じゃない」
肇「ほらっ、Pさん。これ以上遅れちゃダメですよ」
P「頼むから待ってくれ、肇」
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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 22:36:36.38 ID:GP5fYIXNo
P「待ったな、肇」
肇「はい。かれこれ二時間はアタリ無しですね」
P「釣りは待つのが醍醐味ではあるが」
肇「Pさんは」
P「ん?」
肇「こうして待つ時間は、嫌いですか?」
P「いや……」
肇「…………」
P「…………好きだ」
肇「私も、大好きです」
P「待った」
肇「どうしました?」
P「今、何か意味合いが違わなかったか」
肇「ふふ。どういう意味でしょうか?」
P「つまり…………いや」
肇「…………大好き、ですよ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 22:50:26.80 ID:GP5fYIXNo
P「なぁ、肇」
肇「はい」
P「こうして日向ぼっこしているだけでいいのか」
肇「ええ。まったりしましょう」
P「何処かへ連れて行ってやろうと思っていたんだが……まったり、か」
肇「はい。まったりです」
P「…………」
肇「…………」
P「こういうのは、俺には似合わないと思うが」
肇「いえ、ハマっていますよ」
P「…………」
肇「…………」
P「肇」
肇「はい」
P「待つのは、好きか?」
肇「大好きです」
P「そうか……俺も、好きだ」
肇「……!! そう、ですか」
P「……ああ。肇に、嘘は吐かない」
肇「……ふふっ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 22:59:34.18 ID:GP5fYIXNo
P「……待った。待ってくれ、肇」
肇「Pさん」
P「すまない。覗くつもりでは」
肇「はやく、出て行って、ください」
P「あ、ああ……」
肇「…………」
P「…………」
肇「…………お待たせしました」
P「いや、すまなかった」
肇「いえ、鍵を掛けていなかった私も悪いですから」
P「…………」
肇「…………」
P「…………」
肇「…………どうでした?」
P「はっ?」
肇「…………」
P「…………」
肇「…………」
P「いや、どれだけ待っても俺の口から感想は出てこないからな」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 23:12:17.51 ID:GP5fYIXNo
P「待った」
肇「待った無しです」
P「そこを何とかならないか」
肇「ダメです。ほら、桂馬取りですよ」
P「……仕方無い」
肇「はい。桂馬を取って龍成りです」
P「なぁ、肇。急に本気になってないか」
肇「気のせいですよ」
P「確かに勝ったら言う事を一つ聞くとは言ったが……一体何をさせるつもりなんだ」
肇「……聞きたい、ですか?」
P「…………」
肇「はい。また王手ですよ、Pさん」
P「待った」
肇「待った無しです」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 23:25:45.59 ID:GP5fYIXNo
肇「…………」
P「…………肇」
肇「はい」
P「――すまない」
肇「……っ! は、い……」
P「…………」
肇「…………」
P「…………返事は、待っていてほしい」
肇「……!!」
P「今は、まだ」
肇「……はいっ! 待っています。ずっと」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 23:41:55.27 ID:GP5fYIXNo
肇「はい、お待ちどう様でした」
P「ありがとう。事務所に寄らせて悪かったな」
肇「今日は午後からでしたし、今度の撮影の練習にもなりますから」
P「誰かに弁当を作ってもらえるなんて久しぶりだ」
肇「上手く出来ていると良いのですが」
P「肇の事だから心配無いさ。開けてみてもいいか?」
肇「はい、どうぞ」
P「さて、どんな…………肇」
肇「どうしました?」
P「この一面の桜でんぶのハートマークは何だ」
肇「あ……すみません。枠だけ引いて敷き詰めていませんでしたね」
P「そういう事じゃなくてな」
肇「少し待って頂ければ仕上げ直しますが」
P「肇」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/17(水) 23:56:44.75 ID:GP5fYIXNo
P「…………」
肇『私、待つわ。いつまでも、待つわ――』
P「…………」
アーニャ「ハラショー。とってもじょうず、ですね」
泰葉「うん。何だか肇ちゃんにも合ってる歌だね」
肇「そうですか? ふふ、ありがとうございます」
P「…………」
泰葉「プロデューサーさんも一曲、どうですか?」
P「……いや、俺はみんなの歌を聴いてるだけで」
泰葉「プロデューサーさん、耳を」
P「ん?」
泰葉「…………肇ちゃんの歌に応えてあげないと、怒りますよ」
P「…………」
アーニャ「プロデューサー、何にしますか?」
P「…………『Runner』で頼む」
肇「…………」
泰葉「あら……情熱的ですね」
P「半ばヤケだ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:02:40.46 ID:w2pYCCdto
P「はじ、め……」
肇「……すぅ」
P「……起きるまで待つか」
肇「……すぅ」
P「…………」
肇「くぅ……」
P「…………天女ってのも、あながち過言じゃないかもな」
肇「…………ふふっ」
P「肇」
肇「すぅ……」
P「起きてるよな」
肇「…………ぐぅ、ぐぅ」
P「急に寝てる感を出してきても遅いからな」
肇「…………」
P「…………」
楓「ぐぅの音も出ないとはこの事ですね」
P「どこから出て来たんですか楓さん」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:09:05.59 ID:w2pYCCdto
肇『――差し上げます。身体も、心も、魂だって、何もかも』
P「…………」
肇『……手付け金代わり、です」
P「ストップ」
肇「どうしました?」
P「ただの練習だよな、これは」
肇「はい。付き合ってくれてありがとうございます」
P「付き合っての意味合いが違うような気もしたが、まぁいい。どうしてそんなに顔を寄せるんだ」
肇「だって、ただの練習ですから」
P「それにしてはやけに近いし気迫も篭もってないか」
肇「キスシーンは何回かありますし、慣れておかないと」
P「いや慣れとかそういう…………待った」
肇「はい」
P「何回も?」
肇「ええ。台本をどうぞ」
P「…………」
肇「……Pさん?」
P「肇。ちょっと待っててくれ」
肇「はい?」
P「脚本さんと、ちょっと『相談』してくる」
肇「Pさん、やけに気迫が篭もっていませんか」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:15:49.70 ID:w2pYCCdto
P「……っ、 く……!」
肇「んっ! ひゃ、ぅ……」
P「はじ、め……」
肇「あっ……! Pさん、待って、待っ……!」
P「すまん、無理だ」
肇「ひゃうっ! ダメですっ、Pさ、」
P「肇、っ…………!」
肇「っ、いまは……んっ! だめっ、待って、だめ、待っ…………っ!! …………ぁ」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:24:35.25 ID:w2pYCCdto
P「待ったか、肇」
肇「はい。本当に、待ちくたびれてしまいました」
P「本当にすまなかった。ドレス、良く似合ってるぞ」
肇「もう。私、本当に怒っているんですからね。ぷんぷんです」
P「悪いな。どうしたら許してもらえるかな」
肇「とっても簡単ですよ。今すぐに、ここで出来てしまいますから」
P「俺は、どうすればいい?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:25:17.44 ID:w2pYCCdto
「――私を、幸せにしてください」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:34:51.39 ID:w2pYCCdto
― = ― ≡ ― = ―
「――待ったか、肇?」
「いえ、今来たところですよ」
「そりゃあそうだろう。一緒に家出て、つい二分前にいきなりここまで駆けて行ったんだから」
「古い人間なもので。デートの作法は大事にしたいんですよ」
「なら別々に家を出ればいいんじゃないか」
「ダメですよ。そうしたら腕を組んで歩けないじゃないですか」
「それも作法なのか」
「もちろん」
「難しいな、デートってのは」
「ええ。ですから私が教えて差し上げます」
「おいおい、あまり腕を引っ張らないでくれよ」
「のんびり屋のあなたに、まず一つだけ大切な事を教えましょう」
「ああ。是非とも教えてくれ」
「――待ったか、肇?」
「いえ、今来たところですよ」
「そりゃあそうだろう。一緒に家出て、つい二分前にいきなりここまで駆けて行ったんだから」
「古い人間なもので。デートの作法は大事にしたいんですよ」
「なら別々に家を出ればいいんじゃないか」
「ダメですよ。そうしたら腕を組んで歩けないじゃないですか」
「それも作法なのか」
「もちろん」
「難しいな、デートってのは」
「ええ。ですから私が教えて差し上げます」
「おいおい、あまり腕を引っ張らないでくれよ」
「のんびり屋のあなたに、まず一つだけ大切な事を教えましょう」
「ああ。是非とも教えてくれ」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/18(木) 00:35:55.41 ID:w2pYCCdto
「――あまり女を待たせてはいけませんよ、Pさん?」
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