1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 21:55:39.38 ID:oTqzpQtX0
最上静香「すみません、ちょっと考えます」
店員「あいよ、ごゆっくりー」
静香「ありがとうございます」
ミリP(以下、P)「そんな直ぐに決まる訳ないのにな」
店員「何か言ったかい?」
P「いいや何も」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435841729
引用元: ・店員「注文は?」最上静香「ええと……」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 21:57:04.13 ID:oTqzpQtX0
静香「何にしよう」
P「今日は豪勢に頼んだらどうだ?天ぷら色々乗っけて」
静香「それもいいと思うんですけど……」
P「お前、うどん一つですごい顔になってるぞ」
静香「うどんだからこそです。プロデューサーは決まったんですか?」
P「俺は釜揚げうどんにかしわ天とかき揚げを付けよう」
店員「かしわ天売り切れだよー」
P「ええっ! ……店変えるか」
静香「何言ってるんですか」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 21:58:02.91 ID:oTqzpQtX0
P「俺はかしわ天を食べに来たんだよ」
静香「そんな一品ないだけで子どもみたいに」
P「じゃあお前、若しこの店のうどんが無かったらどうするんだよ」
店員「その時は休むよ」
P「ですよねー」
静香「静かにしてください」
P「静香に怒られた……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 21:59:07.37 ID:oTqzpQtX0
静香「……よし。決めました」
P「決まったってー」
店員「そんな声出さなくても聞こえてるわ」
P「じゃあ俺は釜揚げにかき揚げえび天、それとさつまいも」
店員「うどんの量は」
P「いつもと一緒で」
店員「はいはい大ね。静香ちゃんは?」
静香「この明太釜玉うどんを並で、それから……いえ、やっぱりそれだけで」
店員「天ぷらはいいのかい?」
静香「はい」
店員「それじゃ、待っててね」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:00:44.88 ID:oTqzpQtX0
P「しかし静香、えっと……明太釜玉うどん、期間限定のメニューか」
静香「女性に人気と書いてあったので、つい…」
P「たまにはいいんじゃない?」
静香「そう思います」
P「静香はここのメニュー全部食べたのか?」
静香「はい、メニューにあるものは」
P「ん?」
店員「はい水」
静香「ありがとうございます」
P「どもども」
店員「アンタは知らないんだね、隠しメニューのこと」
P「え、なにそれ?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:01:39.56 ID:oTqzpQtX0
店員「あぁ、うちには一品、ひいきさんにしか出さないメニューがあるのさ」
P「ほーん」
店員「マ、出せたら出す位のもんさ」
P「ちなみに今日は?」
店員「残念、準備してない」
P「つーか何なの?」
店員「それは知ってる人だけのお楽しみさ」
P「ケチでやんの」
店員「アンタには一生出さないよ」
P「ケッ、うどん屋の隠しメニューなんてどーせ蕎麦とかだろ」
静香「あ、正解です」
P「えっ」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:02:39.30 ID:oTqzpQtX0
店員「あの人の趣味だからね」
P「へぇ珍しい。おやっさんはうどん一辺倒だとばかり思ってた」
店員「この歳になって遊び心が芽生えたんだよ、ようやく」
P「いいんじゃない?」
店員「まぁね。ラッキーだったらそのうち食べれるから、楽しみにしときな」
静香「音無さんから聞いたんですけど、うどんに引けを取らない美味しさらしいです」
P「あぁ、あの人は俺たちよりも常連だからなぁ」
静香「私たちはまだ一年しか来てないですからね」
P「一年くらいでも、長く感じるな」
静香「そうですね」
静香「私にとっては、子どもの頃からずっと、夢に見ていた、時間でした」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:03:35.34 ID:oTqzpQtX0
P「……なぁ、静香。お前の気持ちさえあれば、その時間を延ばすことだって出来る」
静香「プロデューサー」
P「まだ書類上はウチ所属のアイドルだし、それにお父さんも今の静香の実力なら」
静香「父との約束ではなく、私が、決めたことですから」
P「わーってるよ……でもな、俺はまだ見せたいんだよ。アイドルの、最上静香をさ」
P「……悪い。今する話じゃねーや。うどん食べに来たんだうどん」
静香「そう、ですね」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:04:35.38 ID:oTqzpQtX0
店員「ハイお待ち、明太釜玉うどん」
静香「ありがとうございます」
P「あっこれ美味そう。うどんに明太子とかどうかと思ったけど、これは合うわ」
店員「釜揚げはもうちょいかかるから」
P「うーっす。あ、俺待たなくてもいいぞ」
静香「待ちますよ」
P「麺が伸びるぞ?」
静香「少し伸びた位では、うどんの美味しさは変わりません」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:05:24.06 ID:oTqzpQtX0
P「そんなうずうずしてるなら、食べればいいのに」
静香「だ、大丈夫です」
店員「はい遅くなったね、釜揚げと天ぷら」
P「おお来た来た」
店員「ごゆっくりー」
P「それじゃ、いただきます」
静香「いただきます」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:06:30.79 ID:oTqzpQtX0
P「あーこの味この味。これくらい噛みごたえあるのが丁度いいんだよ」
静香「プロデューサー、固めのうどん好きですよね」
P「そうそう。柔いのはあんまうどん! って感じがしなくてな。静香は?」
静香「私も固いうどんが好みですね。勿論、やわらかいものも食べますが」
P「お前のロケついでに色々食べたけども、やっぱ何時も食べたいのはここのうどんだわ」
静香「もっと言ってあげれば、嬉しいと思いますよ」
P「おやっさんには言ってる」
静香「素直じゃないんですね」
P「あのばーさんとは気が合わないんだよ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:07:12.97 ID:oTqzpQtX0
静香「明太子と麺の相性、すごくいいです…」
P「まぁ幸せそうな顔をするなぁ」
静香「至福の一時です」
P「そりゃようござんして」
静香「プロデューサーも嬉しそうですよ」
P「うどんを食べてる静香は、真正面から見れるからな」
P「舞台裏とか袖とかからは、顔がちゃんと見えない時が多い。まぁステージを見るのが、俺の仕事じゃないからな」
P「……何か言ってくれよ」
静香「そんなこと、言われても」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:08:02.72 ID:oTqzpQtX0
P「あ、天ぷら忘れてた」
静香「何時食べるのか迷いますよね」
P「大抵最初に食べるんだけどな……うわこのかき揚げどこ掴めばいいんだよ」
静香「サービスしてくれたのかも」
P「かもな。次は絶対かしわ天を頼む」
静香「まだ言いますか」
P「食べ物の恨みは恐ろしいからな」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:09:04.97 ID:oTqzpQtX0
静香「どうして釜揚げにしたんですか?」
P「一番量ありそうだから」
静香「ふぅん」
P「外で食べる時は大盛りにしないと、損した気がするんだよ」
静香「不思議ですね」
P「自分でそう思う」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:10:57.83 ID:oTqzpQtX0
P「静香は卵、取っとかないんだな」
静香「え、最初に卵を溶かさないんですか?」
P「昔誰かが、卵を取っといて、最後に飲み込むと超旨いって言ってた」
静香「面白い食べ方ですね。プロデューサーは、したことあるんですか?」
P「いいや、思い出す前に溶いてる」
静香「私もそうしそうです」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:11:59.72 ID:oTqzpQtX0
静香「ふぅ……ごちそうさまでした。急がなくても、いいですよ」
P「悪いな。所で今日はどうする? 帰り、送るけど」
静香「いえ、大丈夫です。会う約束があるので」
P「そっか」
P「……また、食べたくなったら呼んでくれ。奢るからさ」
静香「私、一人でもこういう場所入れますよ?」
P「そう?」
静香「はい」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:13:08.41 ID:oTqzpQtX0
静香「……プロデューサー、あ、聞いていて下さい」
静香「初めてここに来たのは、私がまだ見習いの頃でしたよね」
静香「まだプロデューサーを信じることができなくて、疑ってばかりでした」
静香「私の夢の邪魔にならないで、なんて、失礼ですよね……」
静香「ごめんなさい」
P「……謝ることじゃない。それだけ、必死だったってことだ」
静香「プロデューサーは私の夢を、現実にしてくれました」
静香「私はアイドルを、最後まで全うできました」
静香「私、プロデューサーに、本当に」
P「静香」
P「……俺は、そこまでの人間じゃない」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:13:56.30 ID:oTqzpQtX0
P「ごちそうさまでしたっ。水はもういいか?」
静香「はい」
P「じゃ、出ようか」
静香「そうですね」
P「静香は先に出ていいぞ」
静香「あ、ありがとうございます……」
P「お、丁度小銭足りた」
店員「まいどありー」
P「ほんじゃ次はかしわ天か蕎麦、無かった店変えるから」
店員「はいはい。静香ちゃん、またね」
静香「ごちそうさまでした、失礼します」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:14:58.57 ID:oTqzpQtX0
P「なぁ、静香」
静香「はい」
P「もう一度…………また今度、蕎麦食べに来ような」
静香「はい」
P「それじゃあ、ここで。また事務所に来てもらう事はあるだろうが」
静香「その時は連絡、お願いしますね」
P「あぁ」
静香「……プロデューサー」
P「なんだ?」
静香「私、貴方のこと」
P「静香」
P「じゃあな」
静香「……はい」
静香「お疲れ様、でした」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:15:45.26 ID:oTqzpQtX0
店員「あぁ静香ちゃん、いらっしゃい」
静香「……こんにちは」
店員「どしたの暗い顔してー、はい水」
静香「ありがとうございます」
店員「何時ものお相手は?」
静香「プロデューサーは……ええと」
店員「マ、別に顔見たかった訳じゃないんだけど。注文は?」
静香「ええと……」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:16:21.35 ID:oTqzpQtX0
店員「いらっしゃい」
P「どうも」
店員「なんだいその辛気臭い顔は」
P「雨のせいだよ」
店員「雨はもう上がってるよ」
P「まだ降ってんだよ」
店員「……そうかい。ほれ、注文は?」
P「そうだな……」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:16:53.06 ID:oTqzpQtX0
「「そばを、ください」」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/02(木) 22:22:01.59 ID:oTqzpQtX0
以上になります。
最上静香という子が一年という短い時間で階段を駆け上って、きっと最上階の少し手前でガラスの靴を脱いだ後のお話、エピローグです。果たしてこの後静香は幸せになったか、Pとどうなったかは定かではありませんが、少なくともこの瞬間、顔を突き合わせて好きなものを食べれた時間は、幸せだったんだろうと思います。明太釜玉うどん、一度は食べてみたいものです。
それではこの良きうどんの日に、最上静香の幸せを願って。ありがとうございました。
最上静香という子が一年という短い時間で階段を駆け上って、きっと最上階の少し手前でガラスの靴を脱いだ後のお話、エピローグです。果たしてこの後静香は幸せになったか、Pとどうなったかは定かではありませんが、少なくともこの瞬間、顔を突き合わせて好きなものを食べれた時間は、幸せだったんだろうと思います。明太釜玉うどん、一度は食べてみたいものです。
それではこの良きうどんの日に、最上静香の幸せを願って。ありがとうございました。
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