1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:24:55 ID:OgnjxItw
<山>

コロ助「この山に、オークとかいう悪い魔物がいるナリね」

コロ助「さぁ、行くナリよ! 女騎士!」

女騎士「そ、そうだな……」

女騎士(ううむ、小さい。まるで子供ではないか)

女騎士(なぜ私はこのような者と、オーク退治に向かわねばならんのだ……)

引用元: コロ助「ワガハイはここまでナリ……」女騎士「くっ、コロ助!」 

 

 
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:27:37 ID:OgnjxItw
女騎士(なんでも、かつては“キテレツ”や“キテレツサイ”なる者に仕え)

女騎士(紆余曲折を経て、今では発明家となった“キテレツ”の道具とやらで)

女騎士(一人で色々な世界を旅し、武者修行してるとのことだが──)

女騎士(本当に戦えるのか? こんなに小さな剣士が……)

コロ助「どうしたナリか? さぁ、出発するナリよ!」

女騎士「う、うむ!」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:30:13 ID:OgnjxItw
女騎士「ところで、コロ助殿……」

コロ助「なんナリか?」

女騎士「失礼だが、あなたは……その……本当に戦えるのか?」

コロ助「む、ワガハイの腕を疑ってるナリか?」

女騎士「いやっ! そんなことはないのだが──」

コロ助「まぁ、見ておくナリ。武士は口ではなく、刀で証明してみせるナリ!」チャキッ

女騎士(刀って……あんなナイフのような短剣でか……?)

女騎士(あんなものがオークに通用するとは思えんが……)

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:33:20 ID:OgnjxItw
コロ助「じゃあ、聞くナリが、そっちこそ大丈夫ナリか?」

女騎士「!」ギクッ

女騎士「む、むろんだ! たかがオーク、一撃で叩き斬ってみせる!」

女騎士「団長の推薦があったから、仕方なくあなたとコンビを組むことになったが」

女騎士「本来はこんな任務、私一人で十分なのだ!」

コロ助「ふぅ~ん。それならいいナリ」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:37:12 ID:OgnjxItw
コロ助「あれが、オークとやらの住む洞窟ナリね?」

女騎士「そうだ、相当に凶悪な魔物らしい」

女騎士「時々人里に現れては、金や食料、さらには命をも奪うこともあるという」

コロ助「とんでもない奴ナリ! 許せないナリね!」

コロ助「よぉし、いざ進めやナリ!」ダッ

女騎士「えっ!? まだ心の準備が……!」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:41:08 ID:OgnjxItw
ゾロゾロ…… ゾロゾロ……

「なんだこいつら?」 「チビと女だ」 「オークさんがいってた騎士ってやつだろ」



コロ助「あれ? なんかいっぱい出てきたナリよ」

コロ助「どれがオークナリか?」

女騎士「いや……この中にオークはいない」

女騎士「どうやら、討伐のために騎士が派遣されるのを事前に察知して」

女騎士「人々から奪った金や食料で、仲間であるモンスターを集めたのだろう」

コロ助「むむ……悪知恵のはたらく奴ナリ!」

コロ助「だけど、武士として退くわけにはいかないナリ! 行くナリよ!」ダッ

女騎士「わ、分かった!」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:44:09 ID:OgnjxItw
コロ助「でいっ! だあっ! とりゃあっ!」

ドッ! ガッ! ガツッ!

ゴブリン「ぐおぉ……!」ドサッ…

リザードマン「ぐはっ!」ドザッ…

ワーム「ギャアアッ!」ドサッ…

コロ助「安心するナリ……みね打ちナリ」



コロ助「さて、女騎士は──」チラッ

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:46:03 ID:OgnjxItw
スライム「キシャアァァァッ!」

女騎士「わっ! ひっ! ──く、来るなぁっ!」ブンブンッ



コロ助「た、大変ナリ!」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:49:17 ID:OgnjxItw
コロ助「でやぁっ!」

ドカッ!

スライム「うきゅうぅぅぅ……」ガクッ



コロ助「女騎士、大丈夫ナリか!?」

女騎士「か、かたじけない……」

女騎士「あれほど大口を叩いておきながら、とんだ恥を晒してしまった……」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:53:37 ID:OgnjxItw
コロ助「女騎士、もしかして……」

女騎士「……ふっ」

女騎士「察しのとおり、私は実戦経験がほとんどないのだ……」

女騎士「こんなザマで、あなたのことを疑ったりして……申し訳ない」

女騎士「笑ってくれ……」

コロ助「…………」

コロ助「笑わないナリ!」

女騎士「え……?」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 13:57:18 ID:OgnjxItw
コロ助「ワガハイだって、昔は弱かったナリ!」

コロ助「しょっちゅうブタゴリラにいじめられて、トンガリにバカにされてたなり!」

女騎士(ブタゴリラ? トンガリ? 魔物の一種か……?)

コロ助「だけど旅をしながら修行して、これだけ強くなったナリよ」

コロ助「最初から強い奴なんていないナリ。みんな、最初は弱いナリ」

コロ助「経験がないのなら、少しずつ経験を積んでいけばいいナリ!」

コロ助「自信を持つナリよ、女騎士!」

女騎士「ありがとう……コロ助殿」

コロ助「元気を取り戻したナリね。それじゃ、洞窟に突入ナリ!」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:00:09 ID:OgnjxItw
<洞窟>

「きやがったぞ!」 「騎士だ!」 「ぶっ殺してやれ!」



女騎士(洞窟内にも、モンスターがうようよと……!)ジリ…

コロ助「女騎士、冷静になって敵の動きを見るナリよ」

コロ助「落ちつけば、そこまで怖い相手じゃないナリ!」

女騎士「う、うむ!」チャキッ

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:03:08 ID:OgnjxItw
ガーゴイル「グオオオオオッ!」シュバッ

女騎士(右へっ!)サッ

女騎士「せいっ!」

ザシュッ!

ガーゴイル「ぐわぁぁぁ……!」ドサッ…

女騎士「や、やった……!」

コロ助「その調子ナリ!」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:07:03 ID:OgnjxItw
そして──

オーク「グハハハハッ! ついにここまで来たか!」

オーク「あんだけ仲間をかき集めてたってのに、大したもんだぜ」

女騎士「オーク! 今こそ成敗してくれる!」

オーク「ふん、調子に乗るなよ……?」

オーク「女とドチビなんざに、このオレを倒せるもんかよ!」ギロッ

女騎士「ぐ……!」

女騎士(この殺気、やはり今までの魔物とはケタ違いだ……!)

コロ助「やっとオークのお出ましナリか?」

女騎士「そうだ! とてつもない怪力と格闘能力を誇る、凶悪な魔物だ!」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:13:03 ID:OgnjxItw
コロ助「ふむふむ、まるでブタゴリラみたいな奴ナリねえ」

オーク「なにい!? ブタゴリラだと!?」

コロ助「へ?」

オーク「そこまで屈辱的な表現をされたのは初めてだ! 許せねえ……!」

コロ助「そ、そんなに傷ついたナリか?」

オーク「当たり前だろうが! ブタで、しかもゴリラってひどすぎだろ!」

コロ助「だけど、ワガハイの友だちはそう呼んでも怒らないナリよ」

オーク「どんだけ心が広いんだ、そいつは!」

女騎士(ブタゴリラって友だちだったのか……!)

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:15:55 ID:OgnjxItw
オーク「ええい! クソチビ、まずはテメェから片付けてやらぁ!」ダッ

ブオンッ!

コロ助「わっと」ヒョイッ

オーク「おりゃあっ!」

ブワオンッ!

コロ助「おっと」ピョイッ

オーク「く、くそっ! ちょこまかと……すばしこい……!」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:17:24 ID:OgnjxItw
オーク「だあっ! でやあっ! どりゃあっ!」

ブンッ! ブウンッ! ブオンッ!

コロ助「うわっと! 危ないナリねぇ~」

オーク「ヤロウ……!」



女騎士(すごい……! あの速く激しい攻撃を、ヒラリヒラリとかわしている!)

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:20:44 ID:OgnjxItw
ブオンッ!

オーク「く、くそっ……! かすりもしねえ……!」ハァ…ハァ…

コロ助「今度はこっちから行くナリよ~!」

オーク「へっ、そんなちっぽけな剣で──」

コロ助「とりゃっ!」

ザンッ!

オーク「ぐおおっ……!」

コロ助「大人になったキテレツに作ってもらった、この刀をなめちゃダメナリよ」チャキッ

コロ助「ただし、めったなことじゃ、刃は使わないナリがね」

オーク「ぐ、ぐうっ……!」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:23:24 ID:OgnjxItw
オーク(くそっ! このチビ、とんでもない強さだ!)

オーク(背が低かったり、素早かったり、思ったより刀が鋭いのも厄介だが──)

オーク(なによりも場数を踏んでやがる!)

オーク(これまで数々のピンチに出会い、乗り切ってきたって感じの動きだ!)

オーク(こうなったら──)ギロッ



女騎士「え!?」ギクッ

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:25:27 ID:OgnjxItw
オーク「弱い奴からだ! まずはテメェからやってやる!」ブオンッ

女騎士「きゃああっ!」

コロ助「危ないナリッ!」バッ





ドゴォンッ!!!

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:27:42 ID:OgnjxItw
ドザァッ……





コロ助「ぐ……」

女騎士「コ……コロ助殿ォッ!」

オーク「お? こりゃあラッキーだ! グハハハハッ!」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:31:12 ID:OgnjxItw
女騎士「コロ助殿! しっかりしろ! すまないっ……!」ユサユサ…

コロ助「お、女騎士……」

コロ助「ワ、ワガハイはここまでナリ……」

女騎士「!」

コロ助「だけど……自信を持つナリ……」

コロ助「女騎士なら……きっと……やれる、ナリ……」ガクッ…

女騎士「くっ、コロ助!」

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:36:07 ID:OgnjxItw
オーク「グハハハハッ! チビはくたばったか! ざまあねえな!」

オーク「残るテメェもとっととあの世に送ってやるよ!」

女騎士「ゆ、許さん……!」

女騎士「許さんぞ、オーク!」

女騎士「これまでキサマの欲望によって傷つけられてきた人々のためにも──」

女騎士「未熟な私を助けるため、倒れたコロ助殿のためにも──」

女騎士「絶対にキサマを斬る!」

オーク「……へっ、口上はご立派だが、実力がついてこなきゃ意味がねぇなァ!」

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:39:13 ID:OgnjxItw
オーク「くたばれやぁぁぁっ!」ダッ



女騎士(き、来た……! 凄まじい迫力!)チャキッ

女騎士(だが、落ちつけ! ひるむな!)

女騎士(ヤツはコロ助殿との戦いで消耗している……倒せない相手ではない!)

女騎士(なにより、この勝負は私だけの勝負ではないのだ!)

女騎士(コロ助殿のためにも、絶対に勝ってみせる!)

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:42:52 ID:OgnjxItw
オーク「どりゃあっ!」

女騎士(相手の動きをよく見る!)キッ

ブオンッ!

オーク「なにっ!? か、かわしやがっ──」

女騎士(そして──自信を持て!)

オーク「今度こそォ!」

女騎士「だああああああっ!!!」



ザンッ……!

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:46:43 ID:OgnjxItw
オーク「が、がはっ……」

オーク「バカな……オレが、女ごと、きに……」ドサッ…



女騎士「ハァ、ハァ、ハァ……」

女騎士(た、倒した! この私が……オークを!)

女騎士(ベテランの戦士でもうかつに手を出せないという、あのオークを!)

女騎士「!」ハッ

女騎士「コロ助殿!」

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:50:38 ID:OgnjxItw
コロ助「よくやったナリ!」

女騎士「……へ?」

コロ助「ワガハイ、女騎士ならやれると信じてたナリよ!」

女騎士「あ、あれ……? オークの攻撃をまともに喰らってたのに……」

コロ助「ワガハイは武士にしてロボットナリ」

コロ助「キテレツに頑丈にしてもらってたから、あれぐらいじゃ死なないナリよ」

女騎士(ロボット……!?)

女騎士「そ、そうか、よく分からないが……よかった……」ホッ…

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 14:57:22 ID:OgnjxItw
女騎士「あっ、もしかすると──」

女騎士「あなたはわざとやられたフリをして」

女騎士「消耗したオークを私に倒させてくれたのでは……?」

女騎士「私に自信をつけさせるために……!」

コロ助「考えすぎナリよ」

女騎士「……かたじけない」

コロ助「それじゃ帰って、騎士団長さんにご褒美をもらうナリ!」

女騎士「うむ!」

32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 15:02:16 ID:OgnjxItw
<騎士団の砦>

騎士団長「よくやってくれた、コロ助殿」

騎士団長「経験の浅い女騎士を導き、オーク退治を果たしてくれるとは……」

騎士団長「あなたを雇った私の目に、狂いはなかったようだ」

コロ助「なんのなんの、これぐらいどうってことないナリよ」

騎士団長「ではさっそく、報酬の金貨を──」ジャラッ…

コロ助「ワガハイ、お金よりもコロッケが欲しいナリ」

騎士団長「えっ、そんなものでよろしいのか!?」

コロ助「そんなものとは失礼ナリ! コロッケはワガハイの大好物ナリ!」

騎士団長「こっ、これは失礼!」

騎士団長「騎士団お抱えのシェフに、すぐに作らせよう!」

コロ助「わぁ~いナリ! やったナリィ!」

女騎士(変わった人だ……)

33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 15:06:15 ID:OgnjxItw
コロ助「いやぁ~、たくさんコロッケを食べさせてもらったうえに」

コロ助「いっぱいコロッケをもらっちゃって悪いナリね~」

騎士団長「いやいや、満足していただけてなによりだよ」

コロ助「では、さらばナリ」

コロ助「女騎士、これからも修行に励むナリよ!」

女騎士「はいっ!」

騎士団長「旅のご無事を祈っているよ」

コロ助「ありがとうナリ~!」テクテク…





女騎士「……すばらしい戦士でしたね」

騎士団長「うむ、彼のような高潔な人物を、“サムライ”と呼ぶのだろうな」

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/06/27(土) 15:09:53 ID:OgnjxItw
コロ助「いっぱい食べた後だけど、また食べるナリ」モグモグ…

コロ助「うん、うまいナリ!」

コロ助「さぁて、次はどこへ行くナリかねぇ」

コロ助「ぶらりぶらりと、武士は気の向くまま、ナリ……」

ズデンッ!

コロ助「痛いナリ! ああっ、コロッケを落としてしまったナリ!」

コロ助「ひどいナリ~! こんなのあんまりナリィ~!」







おわり