モバP「ありすといちゃいちゃしたい」 前編

499: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:41:56.94 ID:jtowk3Uko
裕子「何を言っているんですか! 私はサイキックアイドルとしてデビューしているんですよ!」

ありす「そんなの初耳……」

裕子「今日はたまたま調子が悪かっただけですね」

裕子「別の超能力の訓練をしよーっと」ガサゴソ

ありす「その本は?」

裕子「よくぞ聞いてくれました!」

裕子「とある古本屋で見つけた超能力について書かれた本、その名も……!」

ありす「『たのしいまほう』……怪しすぎませんか、これ?」

裕子「ふっふっふっ……私のカンが告げてるわ! この本は本物だと!」

引用元: モバP「ありすといちゃいちゃしたい」 

 

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500: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:42:24.69 ID:jtowk3Uko
裕子「じゃあまずはこの『物体浮遊』から試してみましょう」

裕子「ありすちゃん手伝って」

ありす「えっ、何をすれば……」

裕子「本に書いてある手順を読んで。私はその通りにやるから」

ありす「は、はい……それじゃあ」

裕子「浮かべるのは……スプーンでいっか」

ありす「いいですか?」

裕子「おっけー! いつでもいいよ」

501: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:42:54.00 ID:jtowk3Uko
ありす「まず体の力を抜く」

裕子「ふむふむ……」ダラーン

ありす「大きく息を吸う」

裕子「すうう~……」

ありす「吐く」

裕子「はぁぁ……」

ありす「浮かべたいものをじっと見つめ」

裕子「……」ジーッ

ありす「心を空っぽにし」

裕子「」

ありす「チンカラホイといいましょう」

裕子「チンカラホイ!」

502: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:43:29.06 ID:jtowk3Uko
裕子「……何も起きない」

ありす「やっぱりこんな本はインチキなんじゃ……」

裕子「そ、そんなはずないよ! そうだ、きっとスプーンじゃ重いんだね」

裕子「私はまだまだ訓練が足りないからもっと軽いもので……」

ありす「まだやるんですか……?」

裕子「浮かべるまで続けるよ! チンカラホイ!」

ありす「無駄だと思いますけれど……」

裕子「チンカラホイ!」

モバP「ありす、何しているんだ?」

ありす「あ、Pさん。いえ今裕子さんのお手伝いを……」

503: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:43:58.79 ID:jtowk3Uko
裕子「チンカラホイ!」

モバP「んっ? お、おいありす」

ありす「えっ……? きゃっ、きゃあぁっ……! スカートが……!?」

裕子「こ、これはもしかして成功したんじゃ!」

ありす「やぁっ……! なんで勝手にめくれて……!」

裕子「やったやった! チンカラホイ、チンカラホイ!」

モバP「ふむ……今日のありすの下着は……」

ありす「み、見ないで下さいPさん……! あと裕子さんも止めてぇ……!」

504: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/08(土) 01:44:26.76 ID:jtowk3Uko
裕子「……ごめんなさい」

モバP「不可抗力じゃないか……」

ありす「ぐすん……なんでまた……この前も見られたし……」

裕子「しかしっ、これで私の超能力も順調に身に付いているということ!」

裕子「こうしちゃいられません! プロデューサーに教えてこないと……それじゃー!」

モバP「裕子ちゃん行っちゃったな」

ありす「何だったんでしょう、あれ……」


ありす「ところでPさん」

モバP「は、はい」

ありす「また見ましたよね……私の……その」

モバP「……ま、まあ可愛かったぞ?」

ありす「なっ、何言ってるんですかぁ! あぅぅ……」



第四十一話 完

508: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:46:11.77 ID:Sj1xBc4oo

~第四十二話~


輿水幸子(14)

509: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:46:39.85 ID:Sj1xBc4oo
幸子P「今回のLIVEもよかったぞ幸子」

幸子「ふふん当然です! なんたってボクはカワイイですからね!」

幸子P「そうだな幸子は可愛いぞ。最近順調で頑張ってるしな」

幸子「どうやらプロデューサーさんも、だんだんと解ってきてるようですね!」

幸子「もっとボクのこと褒めてもいいんですよ?」

幸子P「ん、あれは?」

ありす「……あ、えっと」

幸子P「ありすちゃんじゃないか、どうしたんだ? あいつは一緒じゃないのか?」

ありす「あ、Pさんは今営業に行ってます。それで輿水さんにお話が……」

幸子「おや、このボクに用ですか?」

幸子「人気者は辛いですね。プロデューサーさん、ちょっといいですか?」

幸子P「ああ、構わないぞ」

510: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:47:06.45 ID:Sj1xBc4oo
幸子「それでボクに一体何の用ですか?」

ありす「えっとなんて言えばいんでしょうか……」

ありす「私、Pさんのためにもっと可愛くなりたいなぁって思ってるんです……それで……」

幸子「なるほど。このカワイイボクを参考にしようと言うことですね!」

ありす「そ、そういうことでいいです」

幸子「なかなか見る目がありますね! そういうことならお任せ下さい!」

ありす「お願いします」

511: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:47:36.76 ID:Sj1xBc4oo
~後日~

モバP「ありすおはようさん」

ありす「あっ、Pさん……」


幸子『いいですか? 自分のことをカワイイと言うのは大事なんです』

幸子『そうすれば相手は賛同してくれますから。カワイイって言ってくれますから』

幸子『もちろん、ボクみたいに元からカワイイと意味はありませんけどね!』


ありす「…………」

モバP「……どうしたありす?」

ありす「なんでもないです……おはようございますPさん」

ありす「あ、あの……私って可愛いですよ……ね……?」

モバP「えっ? ああ、可愛いぞありす」

ありす「……あ、ありがとうございます」

512: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:48:30.20 ID:Sj1xBc4oo
モバP「ふー、喉乾いた」

モバP「ありすも何か飲むか?」


幸子『いいですか? 我が儘も少しくらいなら言ってもいいんです』

幸子『言えばプロデューサーさんは構って……ごほん』

幸子『お世話をしてくれますからね! まあボクはカワイイからそうするのが当たり前ですが!』


ありす「…………」

モバP「ありす?」

ありす「ジュースが飲みたいです」

モバP「あー、ジュースは無いなぁ。お茶じゃ駄目か?」

ありす「ジュースが飲みたいんです。一緒に買いに行きましょう」

モバP「買いに行くのか? まあいいけど」

513: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:48:57.35 ID:Sj1xBc4oo
モバP「しかしどうしたんだ今日は?」

ありす「何がですか?」

モバP「いやあんな我が儘言ったの初めてな気がしたから」

ありす「……いいじゃないですかたまには」

ありす「それに……か、可愛い私と一緒に歩けていいじゃないですか」

モバP「はははっ、それもそうだな」


ありす(……こ、こんなのでいいのかな?)

ありす(Pさんどう思っているんだろう……?)

514: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:49:24.92 ID:Sj1xBc4oo
~後日~

幸子「どうでしたか? ボクのアドバイスは役に立ちましたか?」

ありす「正直……効果があったのか解りません……」

幸子「そうですか……それも仕方ないですね!」

幸子「ボクの立ち振る舞いは、やはりボクがやってこそのカワイさがありますから」

ありす「そうですね……人のを真似するのは何か違いますね」

幸子「それに貴方には貴方のカワイさがありますよ」

幸子「もちろんボクには負けますけれどね!」

ありす「くすっ……ありがとうございました、輿水さん」

幸子「いえいえお礼を言われるほどのことじゃありませんよ」

515: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:49:52.31 ID:Sj1xBc4oo
幸子P「おや、ありすちゃんと話してたのか?」

幸子「はい、ついさっきまで」

幸子「ねえプロデューサーさん」

幸子P「なんだ?」

幸子「ボクってカワイイ……ですよね?」

幸子P「当たり前だろ? 俺の中では幸子が一番可愛いよ」

幸子「ふふんっ! そうですよね! やっぱりボクが一番カワイイですよね!」

516: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/09(日) 02:50:21.28 ID:Sj1xBc4oo
ありす「あっ、Pさん」

モバP「ありすか」

ありす「えっと、私最近ちょっと変でしたよね……? ごめんなさい」

モバP「ん? ああそういやちょっと変わった感じだったな」

モバP「まああんなありすも可愛いかったぞ?」

ありす「そうですか……?」

モバP「でもやっぱりいつも通りにしてくれるほうがいいな。安心する」

ありす「そっか……そうですよね」

モバP「それにわざわざありすが言わなくても、ありすが可愛いのは解ってるからな」

ありす「ふぇっ……!? あ、ありがとうございます」

ありす「でも私はPさんの口から可愛いって言って欲しいから……」

ありす「だからこれからは……もう少し口に出してくださいね」



第四十二話 完

519: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:01:50.94 ID:Ncy+zt9co

~第四十三話~
 

520: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:02:36.10 ID:Ncy+zt9co
モバP「はい? 今なんと……」

社長「いやね、君にもう一人アイドルをプロデュースして欲しいと」

モバP「どうして俺なんですか? 誰か手が空いてる人は」

社長「ついついティンときたのでとっさにスカウトしたんだが」

社長「手の空いてるものがいないのを忘れててねぇ」

モバP「無理ですよ! ありすを担当しているだけでも手一杯なんですから!」

社長「本当にそうかね? 時々事務所で遊んでいるのを見かけるが……?」

モバP「うっ」

社長「まあ本当に無理そうだったら代わりの者も考えるが……とにかく少しはやってくれたまえ」

モバP「は、はぁ……」

521: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:03:05.86 ID:Ncy+zt9co
モバP「というわけなんだ」

ありす「そう……なんですか」

モバP「その子がいつから来るかは知らないけど、ありすばっかり見ることは出来なくなりそうだ」

ありす「仕方ないですよね。お仕事なんですから」

モバP「悪いな……もちろんありすのプロデュースを疎かにするつもりはないが……」

ありす「私なら多分大丈夫ですよ」

モバP「しかしだな……」

ありす「もう、Pさんは心配しすぎですよ」

モバP「む……そうかもしれんが」

522: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:03:35.57 ID:Ncy+zt9co
~後日~

ありす「おはようございます」

ちひろ「ありすちゃん、おはよう」

ありす「……あれ、Pさんは?」

ちひろ「ありすちゃんのプロデューサーさんなら向こうで……」


モバP「というわけで最初はボーカルレッスンを中心に……」

モバP「その後はローカルでもいいからオーディションに出場して……」


ありす「あ、そっか……新しい子が来るんでしたっけ」

ちひろ「今日から色々と活動するみたいですから、プロデューサーさんも忙しいようですね」

523: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:04:18.94 ID:Ncy+zt9co
モバP「あっ、ありす済まない。こっちはちょっと手を離せないんだ」

ありす「大丈夫です、予定を確認したら一人でお仕事に行きますから」

モバP「悪いなぁ。今色々とやることが多くて」

ありす「仕方ありませんよ。頑張ってください」

モバP「おうありがとな」

モバP「あ、ちひろさんタクシー呼んであげてください」

ちひろ「はい解りました」

モバP「帰りも気をつけろよ? 一応ありすはそこそこ有名なんだからな」

ありす「心配しなくても大丈夫です」

524: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:04:44.36 ID:Ncy+zt9co
ありす「…………」

ありす(解っていたけれど……やっぱりちょっと寂しいな)

ありす(いつもならPさんの車で行くのに……)

ありす(どれくらい……こんなのが続くのかな)


ありす「…………」

運転手「お客さん、お客さん」

ありす「は、はいっ……!?」

運転手「着きましたよ?」

ありす「あ、ごめんなさい……ありがとうございました」

525: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:05:22.10 ID:Ncy+zt9co
~翌日~

ありす「おはようございます……」

ちひろ「おはようありすちゃん」

ありす「Pさんは今日は……」

ちひろ「確かさっき営業に行くと言って出て行きましたね」

ありす「そうですか……」

ちひろ「えーっと、ありすちゃん大丈夫ですか?」

ありす「えっ……? 大丈夫ですよ……」

ありす「今日私レッスンみたいなので行ってきますね……」

ちひろ「あ、はい行ってらっしゃい」


ちひろ「……すでに大丈夫な雰囲気じゃなかったんですが」

ちひろ「二日目でこれって今後どうなっちゃうんでしょうか……」

526: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:05:58.16 ID:Ncy+zt9co
トレーナー「……ちょっと中止」

ありす「えっ?」

トレーナー「ありすちゃんどうしたの? 今日ほとんどまともにレッスン出来てないですよ?」

ありす「そう、でしょうか……」

トレーナー「ずーっと心ここにあらずって感じです」

ありす「そんなつもりは……」

トレーナー「今日はもう休んでていいですよ。他の子のを見ていてね」

ありす「あ、はい……」

ありす「…………はぁ」

527: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:06:26.76 ID:Ncy+zt9co
ありす「…………はぁ」

ありす「最近Pさんと全然会えない」

ありす「遅くまで仕事しているのか、家に行ってもいないし……」

ありす「メールや電話はするけれど……やっぱり直接会いたいです」

ありす「こうなったら勝手に家に上がって帰ってくるまで待ってて……」

ありす「でもそんなことして嫌われたら……」

ありす「…………はぁ」

ありす「私のプロデュースも疎かにしないって言ってくれたのに……」

ありす「…………はぁ」

ありす「あ、お仕事行かなきゃ……」

ありす「行ってきますねちひろさん……」

ちひろ「い、行ってらっしゃい」


ちひろ(ありすちゃんがすごいダウナーになってる……)

ちひろ(プロデューサーさんなんとかしてくださいよぉ~)

528: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:06:54.88 ID:Ncy+zt9co
ちひろ「というわけなんです」

モバP「まじですか」

ちひろ「もう覇気がないってもんじゃないです」

モバP「よくそんなんで仕事行かせましたね」

ちひろ「元々あなたのせいじゃないですか」

モバP「いやほんと最近予想以上に忙しくて……上手い具合にスケジュールも噛み合わなくて」

ちひろ「言い訳しないでなんとかしてくださいよ。見てるだけで辛そうです」

モバP「社長に言って、何とか代わりの人見つけてもらうかなぁ」

ちひろ「あ、社長には私から言っておきました。流石に可哀想で」

モバP「おおっ。で、社長はなんと?」

ちひろ「『そういえば忘れてた。しばらく待っててくれ』とのことです」

モバP「あのやろ」

529: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:07:23.59 ID:Ncy+zt9co
ありす「おはようございます……」

モバP(うわぁ……目に見えて解るテンションの低さ)

モバP「ありす、おはよう」

ありす「あっ……! Pさんっ!」

モバP「おわっ! 急に抱きつくなって」

ありす「だって、だって……すごく久しぶりに会った気がして嬉しくて……」

モバP「ごめんな。まだちょっと忙しいけど、出来るだけありすともいるようにするから」

ありす「約束ですよ……? 絶対ですよ……?」

モバP「ああ、解ってる」

530: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:07:51.36 ID:Ncy+zt9co
ありす「あの、それじゃあお願いが……」

モバP「ん、なんだ?」

ありす「次の私がお休みの日……一緒にお出かけとかしませんか?」

モバP「あーすまん……その日は他の子の仕事が入ってるから……」

ありす「そう……ですか」

ありす「いえ、いいんです。仕方ないですよね……お仕事だもん……」

モバP(ああ目に見えて落ち込んでるのが解る……)

モバP「だ、大丈夫だ。もうすぐ他の人に担当代わってもらえるみたいだから!」

モバP「そしたらまた俺はありすだけのプロデューサーだから!」

ありす「本当ですか……?」

モバP「ああ本当だ」

ありす「じゃあそれまで待ってます……」

531: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:09:11.54 ID:Ncy+zt9co
モバP「で、社長まだ見つからないんですか?」

社長「いや~、中々ティンと来る者が見つからなくて」

モバP「いちいち探してるんですか!? こっちは切羽詰まってるんですよ!」

社長「そうは言ってもだね、優秀な人材を探すにはそれなりに時間を……」

モバP「出来れば早くお願いしますよ」

社長「千川君から聞いたけど、そんなに大変なのかね?」

モバP「ええ、それはもう。ありすが仕事をこなしてるのが不思議なくらいだったことも」

社長「そんなにかね」

モバP「俺も少しずつ二人プロデュースするのに慣れてきたので、今はマシですが……」

社長「なんだ、慣れてきたのならいいじゃないか」

モバP「複数人プロデュースするならもっとベテランがいるじゃないですか」

社長「まあいい経験だと思ってくれたまえ。こっちも頑張っているんだよ」

モバP「ほんとお願いしますよ?」

532: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:09:38.47 ID:Ncy+zt9co
~後日~

モバP「ありすー!」

ありす「あ……Pさん……」

ありす「大丈夫ですよ……一人でお仕事行くのにも慣れましたから……」

モバP「そんな死にそうな目してて大丈夫なわけないだろーが!」

モバP「じゃなくて! ようやく代わりのプロデューサーが見つかったんだよ」

ありす「……えっ?」

モバP「今日からまた一緒に仕事行けるぞ!」

ありす「……ほんと?」

モバP「ほんとほんと」

ありす「…………」

モバP「ありす?」

533: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/10(月) 23:10:06.66 ID:Ncy+zt9co
ありす「ふぇっ……」

ありす「うえぇぇぇん……! ぐずっ……ふぇぇぇぇん……」

モバP「お、おい何も泣かなくても」

ありす「らってぇ……ずっとさみしかったもん……!」

ありす「ずっとこのままなんじゃないかって……ひっく……思ってたからぁ……」

ありす「うああぁぁっん……よかったぁ……Pさぁん……!」

モバP「あーよしよし。ほらまだこれから仕事行かなきゃなんだから泣き止め」

ありす「む、むりですよぉ……えぐ……」

モバP「もうこんなこと無いようにするから」

ありす「絶対ですよ……一人にしちゃ嫌ですからね……?」



第四十三話 完

538: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:23:43.55 ID:o/4vcw3Wo

~第四十四話~

三村かな子(17)

539: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:24:17.78 ID:o/4vcw3Wo
かな子「え、お菓子作り?」

ありす「はい、かな子さん得意でしたよね?」

かな子「う~ん得意かは解らないけどよく作るかな」

ありす「良かったら私に教えてくれませんか?」

かな子「もちろん構わないけど……」

かな子「もしかして誰かにプレゼントするのかな?」

ありす「はい。Pさんに作ってあげようかなって……」

ありす「お料理は時々作ったことあるけれど、お菓子は作ったことなかったですから」

かな子「そっかぁ、プロデューサーさんにあげるんだね。じゃあ頑張って美味しいの作らなきゃ」

540: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:24:46.85 ID:o/4vcw3Wo
かな子「何作ろうかな? 初めてだし簡単なほうがいいよね?」

かな子「でもお料理したことあるなら、ちょっと難しいのでも大丈夫かな?」

ありす「あ、そんな手のこんだのを作れるわけではないので……」

ありす「簡単なのでお願いします」

かな子「じゃあクッキーにしようか。型抜きのなら形も簡単に整えられるしね」

ありす「はい、それで構わないです」

かな子「うん、じゃあ材料買いに行こっか」

541: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:25:14.94 ID:o/4vcw3Wo
かな子「卵、バター、薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー、バニラエッセンス……」

かな子「うん、こんなところかな」

ありす「これだけですか?」

かな子「簡単なレシピにするからね」

かな子「あと型抜きも買わないといけないから、えっと……」

ありす「色々ありますね」

かな子「どんなのにしたいか決まってるのかな? 文字とか動物とかもあるけど……」

ありす(あ、ハートの型もあるんだ……)

542: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:25:47.76 ID:o/4vcw3Wo
かな子「それじゃあ早速作りますよー」

ありす「はい」

かな子「ありすちゃん、エプロン似合ってるね」

ありす「そ、それは別にどうでもいいですよ……」

かな子「ふふっ、じゃあ私も一緒に作るから真似してみてね」

かな子「始めに薄力粉とベーキングパウダーを合わせて振るいにかけます」

かな子「これは二、三回したほうがいいからね」

ありす「はい」

かな子「終わったかな?」

ありす「これでいいでしょうか?」

かな子「うん、大丈夫」

543: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:26:16.44 ID:o/4vcw3Wo
かな子「次はボウルを用意して、バターをいれます」

ありす「はい」

かな子「今回は買ったばかりだから、そのままでも大丈夫だけど」

かな子「冷蔵庫に入れてた場合は先に出しておいて、室温に戻しておいてね」

ありす「なるほど……」

かな子「そしたら空気をいれるために泡立て器で軽く混ぜます」

かな子「それが出来たらお砂糖もいれちゃいます」

かな子「量はお好みで変えてもいいけど大体このくらい」

ありす「結構沢山いれるんですね」

かな子「うん……お菓子ってお砂糖沢山使うから食べ過ぎないようにしないと」

かな子「今回は普通のお砂糖を使ったけど、代わりに蜂蜜とか使うとカロリーを抑えれるんだよ」

ありす「物知りですねかな子さん……」

かな子「あはは、やっぱりついつい食べちゃうから……色々と調べたりして……」

544: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:26:43.92 ID:o/4vcw3Wo
かな子「お砂糖は2回に分けていれます」

かな子「白っぽくなったら、ときほぐした卵を少しずつゆっくりと混ぜます」

かな子「一気に混ぜちゃうとだまになっちゃうから気をつけてね」

ありす「はい」

かな子「混ぜ終わったらバニラエッセンスを数滴いれまーす」

ありす「これよく聞くんですけど、なんでいれるんですか?」

かな子「香りづけみたいなものかな。無くてもいいけどやっぱりいれたほうがいいと思うな」

かな子「あとバニラエッセンスは、熱すると香りが飛んじゃうこともあるから」

かな子「レシピによってはバニラオイルを使うのもあるんだよ」

ありす「えっ? それじゃあクッキーにバニラエッセンスって駄目なんじゃないですか?」

かな子「バニラエッセンスは手に入りやすくて扱いやすいからね」

かな子「それに香りが飛んじゃうっていっても、そこまで問題にならないよ」

545: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:27:28.95 ID:o/4vcw3Wo
かな子「次はさっき振るっておいた薄力粉をいれます」

かな子「ちなみに何度も振るったのは、これもだまにならないようにするためなの」

ありす「意外と一手間かけるんですね」

かな子「そうだね。でもこれをちゃんとしないと美味しいのが作れないからね」

かな子「やっぱり美味しいのを食べて欲しいから、これくらい手間はね」

ありす「そうですね……」

かな子「あとは木べらで切るような感じで混ぜれば生地は大体完成」

ありす「これで完成ですか」

かな子「最後に冷蔵庫にいれて、30分くらい寝かせれば完成だよ」

かな子「寝かせると型抜きもしやすくなるの」

ありす「そうなんですか」

546: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:27:57.18 ID:o/4vcw3Wo
かな子「うん、もういいかな」

かな子「そしたら生地を麺棒を使って薄くのばします」

かな子「なるべく同じ厚さになるようにね」

ありす「はい……ん、しょっと」

かな子「のばし終わったらあとは好きな型で型抜きして」

かな子「オーブンで焼いて出来上がり!」

かな子「……の前に」

ありす「?」

かな子「最後におまじない」

かな子「食べてもらう人のことを思い浮かべて、美味しくなりますように……って」

ありす「おまじない、ですか」

かな子「あはは、変かな? でもこうしたほうが美味しくなる気がするの」

ありす「いえ……なんとなく解る気がします」

ありす(Pさん……美味しいって言ってくれるかな……)

547: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:28:36.12 ID:o/4vcw3Wo
~事務所~

かな子P「はっ、はっ……ふぅ……」

モバP「お前……事務所で何やってんの?」

かな子P「いや、ちょっと運動してるんだよ」

モバP「なんでまた?」

かな子P「いやかな子がよくお菓子を作ってきてくれるんだが……」

かな子P「食ってばかりいたせいでな……ちょっと腹が目立ってきて……」

モバP「食わなきゃいいんじゃないか?」

かな子P「無理言うなよ。美味いんだから」

モバP「……お前の意思が弱いだけじゃねえか」

548: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:29:08.05 ID:o/4vcw3Wo
かな子P「いやそうは言うがな?」

かな子P「隣でかな子がそれはもう、美味そうにお菓子を食べてるわけだよ」

かな子P「それを見て食うなって言う方が無理だ」

モバP「……まあかな子ちゃん、お菓子食べてる時凄い幸せそうな顔してるもんな」

かな子P「俺も最初は一口だけって思うんだが」

かな子P「ついつい釣られて一緒にバクバク食っちまうんだよ」

かな子P「そうだ、かな子のあの笑顔が悪い」

モバP「すごい酷い言い様だ」

549: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:30:06.30 ID:o/4vcw3Wo
かな子「プロデューサーさーん!」

ありす「Pさーん」

かな子P「あれ、かな子に……」

モバP「ありす?」

かな子「実はありすちゃんと一緒にクッキーを作ってきたんです」

ありす「食べてくれますか?」

かな子P「おお、もちろん!」

モバP「へぇー、このクッキーありすが作ったのか」

ありす「はい。その……かな子さんのに比べると美味しくないかもしれませんが」

モバP「別にそんなの気にしないよ。大体かな子ちゃんのはあいつが全部食うだろ」


かな子P「おおっ、今日のやつも美味いなぁ!」

かな子「ありがとうございます」

かな子「クッキー以外も作ってきてますから良かったら……」

かな子P「ったく、こんなに作ってきて一人で食えるわけないじゃないか」

かな子「えへへ……作り過ぎちゃいました。私もいただきますね」

かな子「あむ……ん~おいしぃ~♪」


ありす「本当に美味しそうに食べますよね、かな子さん」

モバP「そうだなぁ。あいつが言うことも解る気がしてきた」

550: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:30:45.44 ID:o/4vcw3Wo
モバP「つーわけで俺もいただくとするか」

ありす「あっ、はい……召し上がれ」

モバP「ぱく……もぐもぐ」

ありす「えと……どうですか……?」

モバP「うんっ美味いぞ」

ありす「ほ、ほんとですか?」

モバP「ああ本当だ、嘘ついたって仕方ないだろ」

ありす「えへへ……よかったぁ、Pさんに美味しいって言ってもらえて」

551: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/11(火) 23:31:17.76 ID:o/4vcw3Wo
ありす「あのっ、私これからもっと練習して色んなお菓子を作れるように頑張りますね……!」

モバP「おう期待してるぞ」

ありす「毎日練習してもっと美味しく作れるように……」

モバP「ま、毎日?」

ありす「えへへ……Pさん楽しみにしていてください」

モバP「お、おうっ」


モバP(こりゃ近いうちに俺も運動しないといけなくなりそうだ)

モバP(まあいいか……ありすの作る美味いお菓子が食えるなら)

モバP(ありすがこんなにも喜んでくれるのなら)



第四十四話 完

560: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:45:14.98 ID:/gcMttyho

~第四十五話~
 

561: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:45:43.78 ID:/gcMttyho
モバP「……暑い」

ありす「暑いですね……」

モバP「せっかくの休みだって言うのに、こうも暑いと何もやる気にならん」

ありす「冷房つけないんですか?」

モバP「なんかこんなに早くに頼るのは負けた気がする」

ありす「よく解らない意地張るんですね……」

モバP「とは言えやはり暑いから、扇風機くらいは出してこよう」

モバP「どこにしまったっけな……」

562: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:46:14.17 ID:/gcMttyho
モバP「あ~、まだ暑いがないよりましだな」

ありす「ううん……」

モバP「どうしたありす?」

ありす「いえ汗で服が張り付いて……」

モバP「脱いじゃえば?」

ありす「な、何言ってるんですか……!」

モバP「冗談だ。何か冷蔵庫に無かったかな……」


モバP「う~ん……」

ありす「いつものことですが、何も入ってない冷蔵庫ですね」

モバP「自炊ろくにしないしな……」

モバP「せっかくだから冷たいものでも買いに行くか」

ありす「そうしましょう」

563: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:46:47.36 ID:/gcMttyho
モバP「うおお……日差しが」

ありす「外はさらに暑いですね……」

モバP「さっさとコンビニでも行くか。店の中は涼しいだろうし」

ありす「はい……あうぅ……」

モバP「帽子でも被っておくか? そんな遠くないけど、ヘタすると日射病になるかもしれん」

ありす「すいません、お願いします」

ありす「こういう時は、髪が短いほうがいいなって思います……」

モバP「ああ、確かに暑そうだなそのロングは」

ありす「でもPさんが長いほうが好きだって言ってくれましたから、このままにするつもりですよ」

モバP「まあせっかく伸ばしたのを切るのも勿体無いよな」

モバP「ほい、麦わら帽子」

ありす「ありがとうございます。それじゃあいきましょうか」

564: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:47:16.30 ID:/gcMttyho
モバP「それにしても暑い……」

ありす「ですね……」

モバP「冷房使わずに涼しくなる方法ってないもんかね」

ありす「そうですね……冷却シートとかを首に貼ると体温を下げてくれる効果があると聞いたことがあります」

モバP「あー聞いたことあるな。一緒に買っとくか冷却シート」

ありす「他にも色々あると思いますので、帰ったら調べてみるといいかもしれませんね」

モバP「その調べるのが面倒に感じるんだよな、暑さで……」

565: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:47:43.75 ID:/gcMttyho
モバP「ああ、涼しくなる方法といえば」

ありす「何ですか?」

モバP「怪談が定番だよな」

ありす「か、かいだん……ですか」

モバP「昇り降りするやつじゃないぞ? 怖い話だ」

ありす「わ、解ってますよ……解ってますけれど……」

モバP「小梅ちゃんとか好きそうだもんなぁ。今度何人かでやってみるか?」

ありす「私は……出来れば遠慮したい、です……」

モバP「ははは、相変わらず怖いのは駄目か」

566: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:48:11.84 ID:/gcMttyho
~コンビニ~

モバP「あ~生き返る~」

ありす「涼しくて気持ちいいですね」

モバP「さーてと何を買うかな」

モバP「取り敢えず冷却シートを買って……」

ありす「Pさん、アイスとか買っていいですよね?」

モバP「おー買え買え。俺の財布が許す限り買っちまえ」

ありす「ふふっ、そんなに食べたらお腹壊しちゃいますよ」

モバP「幸い俺の家の冷蔵庫は空きまくりだからな。いくらでも入るぞ」

567: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:48:39.48 ID:/gcMttyho
ありす「あ……」

モバP「ん、なんだ?」

ありす「あ、いえ……近くにあるプールが近いうちに開放されるんですね」

モバP「ああそうみたいだな。懐かしいなぁガキの頃はよく行ってたよ」

ありす「PさんPさん、今度一緒にプール行きませんか?」

モバP「おう別にいいぞ」

ありす「そ、それでですね……出来たら一緒に水着買いに行って欲しいなぁ、って……」

モバP「そのくらい何時でも付き合ってやるって」

ありす「本当ですか? じゃあ約束ですよ?」

モバP「ああ」

568: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:49:14.94 ID:/gcMttyho
モバP「ただいまっと」

ありす「アイス冷凍庫に入れておきますね」

モバP「おー頼む。あっ、一つは今から食うから」

ありす「はい、解ってますよ」

モバP「あーやっぱ暑いな……」

モバP「冷却シート貼ってみるか」

モバP「……おっ、意外と良い感じだなこれ」

ありす「Pさんお待たせしました」

モバP「さんきゅー、早速食うか」

ありす「いただきまーす」

569: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:49:52.68 ID:/gcMttyho
ありす「ん……冷たくて美味しいです」

モバP「そういやありす」

ありす「はい、なんですか?」

モバP「お菓子作り練習してるだろ?」

ありす「もちろんです。流石に毎日はちょっと大変なので、時々ですが……」

モバP「こういうアイスクリームとかも作れるもんなのか?」

ありす「どうなんでしょう……? 作ったことないですから調べてみないと」

モバP「よし、いつかありすが作ってきてくれるのを楽しみにしてよう」

ありす「えへへ……しょうがないですね、上手く作れるか解りませんよ?」

モバP「ありすなら大丈夫だろ、楽しみだ」

570: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:50:24.49 ID:/gcMttyho
ありす「食べ終わっちゃいましたね……」

モバP「食べ終わったな」

ありす「……暑いですね」

モバP「忘れてた。ありすも貼ってみるか? 冷却シート」

ありす「あ、それじゃあ試しに……」

ありす「あっ……ひんやりして……」

モバP「思ったより効果あるぞこれ」

ありす「はぁ~……気持ちいいです~……」

571: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/13(木) 21:51:23.30 ID:/gcMttyho
ありす「あ……外結構暗くなってきましたね」

モバP「流石に夜は少し涼しくなってきたな」

ありす「Pさん、私そろそろ帰りますね」

モバP「そうか、一人じゃ危ないから送っていくぞ」

ありす「お願いします」

ありす「あと……プール楽しみにしてますね」

モバP「おう、また今度休みの日にでも行くか」

ありす「水着一緒に買いに行く約束も忘れないでくださいね……?」

モバP「解ってる解ってる」



第四十五話 完

576: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:21:49.59 ID:l/3XT8d8o

~第四十六話~
 

577: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:22:22.70 ID:l/3XT8d8o
ちひろ「ひとまずありすちゃんのはこれで全部ですかね」

モバP「ですね、助かりました」

ありす「おはようございます」

モバP「おうありす、おはよう」

ありす「何しているんですか?」

モバP「んー今までのLIVEとか出演番組の記録の整理をな」

ちひろ「うちの事務所は所属アイドルが多いですから、こまめにやらないと後で大変なんですよ」

ありす「へえ……そんなのあったんですね」

モバP「どこで必要になるか解らんからな。大抵は記録して残してあるぞ」

578: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:22:53.94 ID:l/3XT8d8o
モバP「例えばこんなのもあるぞ。ちょっと見てみるか」


ありす『論破なら簡単なんですけど』


ありす「こ、これ……」

モバP「初LIVEのときのコメントだな。いやぁ懐かしい」

ありす「今見るととっても恥ずかしいです……こんなこと言ってたんですね私」

モバP「別に恥ずかしがることないだろ?」

ありす「だって……無理して大人びようとしてたって自分でも思いますし……」

モバP「まあ思春期ってそんなものじゃないか?」

579: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:23:24.66 ID:l/3XT8d8o
モバP「でもこの頃のありすも、これはこれで可愛かったぞ」

ありす「えっ、ええ……!? そ、そんなこと……」

モバP「今は素直だけどこの頃は素直じゃなかったからなぁ」

モバP「それがそれで良かったんだが」

ありす「そういうものですか……?」

モバP「例えば、実は興味あるのに興味無さそうな態度を取ってたりしたじゃん」

ありす「そういう振る舞いをしたこともありましたね……うぅ……」

モバP「あれ実は周りから見たら、興味あるのもろ解りだぞ」

モバP「ちらちら気にしたり、なにか言いたそうにしてたりな」

ありす「私って……そんなに解りやすいですか……?」

モバP「素直になればいいのになぁ、とか思ったもんだ」

モバP「まあそこが子供っぽくて可愛いとか思ってたもんだが」

580: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:24:04.19 ID:l/3XT8d8o
ありす「あぅ……背伸びしてるつもりだったんですが、結局子供っぽいままだったんですね……」

モバP「だから思春期ってそういうものだって。見てるこっちは和やかな気持ちになるな」

ありす「ああもう……言わないでください、恥ずかしいですから……」

モバP「まだまだあるぞ?」

モバP「そうだなぁ……この頃はよく仕事を一人でやろうとしてたな」

ありす「そ、そうでしたっけ……?」

モバP「『これくらい一人で出来ます』とか言ってたじゃないか」

モバP「その後失敗しそうになるのがいつもセットだったが」

ありす「だ、だって……最初は一人で出来るって思ったんだもん……」

581: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:24:34.04 ID:l/3XT8d8o
モバP「それなのに、いつのまにか一緒にいるのが当たり前になったな」

ありす「やっぱりPさんと一緒が一番です」

ありす「Pさんと一緒にいないとなんて言うか……物足りないっていいますか……」

モバP「なんだ、寂しいのか?」

ありす「い、いつもそういう訳じゃ……」

モバP「以前少しの間担当アイドルが増えた時は、それはもう……」

ありす「うぅ……いいじゃないですか。Pさんが傍にいないだけで、ああなるなんて自分でも……」

ありす「もうあんなことはありませんよね……?」

モバP「約束したしな。仕事だから絶対とは言えんが……」

ありす「うぅ……私以外のアイドルに浮気しちゃ嫌ですよ?」

582: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:25:17.68 ID:l/3XT8d8o
モバP「そういや間違って名前で呼ぶ度に、不機嫌そうな顔してたのも懐かしいな」

ありす「もういいじゃないですか、その頃のことは……」

ありす「名前だって……変に頑なになってたと自分でも思いますから」

モバP「まあ誰にでも何かしらコンプレックスはあるもんじゃないか?」

モバP「それに初めて名前で呼んでもいいって言われた時は、嬉しかったしな!」

ありす「えへへ……」

モバP「しばらくの間、意味もなく名前で呼んで鬱陶しがられたのもいい思い出だ」

ありす「そんなことは……あったかもしれませんが」

ありす「た、多分それもただの照れ隠しだっただけで……その……」

ありす「内心嬉しかった記憶がありますから……」

モバP「もちろん解ってるぞ。口では文句言ってても、顔は嬉しそうにしてたからな」

ありす「うぅ……私ってそんなに顔に出しちゃうのかな……」

583: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:25:41.03 ID:l/3XT8d8o
モバP「おっ、これは初イベントのときか」


ありす『このお仕事の必要性が……』

ありす『大体こんなので歌や音楽のお仕事に繋がるとはとても……』


モバP「いやぁ、つっけんどんとした態度だ」

ありす「あの、もう見るの辞めませんか……?」

モバP「いやいや、なんかありすの成長記録を見てるみたいで楽しくなってきた」

ありす「わ、私は恥ずかしさでいっぱいですよぉ……」


ちひろ(見るのは勝手ですが、ここが事務所ってこと忘れてませんかねぇ?)

ちひろ(新しいイベントも始まったことですし、仕事して欲しいんですけれど)

584: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:26:20.96 ID:l/3XT8d8o
モバP「今はこんなこと言わなくなったな」

ありす「当然じゃないですか……こんな愛想が無い子、Pさんも嫌でしょう?」

ありす「それにPさんが持ってきてくれたお仕事なら」

ありす「どんなものでも、私のためになるものだって信じてますから」

モバP「そっか、ありがとな」

モバP「でも少しは疑わないと、変な仕事持ってくるかもしれないぞ?」

ありす「変なって……例えばどんなのでしょうか?」

モバP「そうだな、スカイダイビングとか?」

ありす「……Pさんがやれというのなら私は」

モバP「例えばだからな?」

585: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/14(金) 22:26:52.36 ID:l/3XT8d8o
ありす「と、とにかくもう終わりましょう、ねっ?」

モバP「ふむ、仕方ない」

モバP「ありすが恥ずかしがるのを見れたから満足するか」

ありす「もうっ……Pさんったら」

モバP「ははは、ありすも変わったなってことで」

ありす「そうですね……」

ありす「みんなPさんのおかげです。ありがとうございます」

モバP「改まって言われると照れるな」

ありす「えへへ……私もです」



第四十六話 完

588: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:06:47.19 ID:g8H/fthyo

~第四十七話~
 

589: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:07:19.46 ID:g8H/fthyo
ありす「えーっと……」

日菜子「むふ……? ありすちゃん何を見ているんですか?」

ありす「あ、日菜子さん」

ありす「ちょっとどんな水着があるか調べてるんです」

日菜子「水着ですかぁ?」

ありす「今度Pさんと一緒にプールに行くので、買いに行く約束したんです」

日菜子「むふふ、いいですねぇプール」

日菜子「日菜子も……むふ、むふふ」

日菜子「やぁん、駄目ですよプロデューサーさん……」

ありす「ひ、日菜子さん?」

590: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:07:51.07 ID:g8H/fthyo
日菜子「失礼しました、つい妄想ぱわーが……むふふ」

ありす「い、いえ」

日菜子「良かったら日菜子も一緒に行っていいでしょうか」

ありす「私は構いませんが……」

日菜子「日菜子もプロデューサーさんと一緒に行きたくなっちゃいました」

日菜子「プロデューサーさんはどんな水着を選んでくれるんでしょうねぇ……むふ」

ありす「それじゃあ……次のお休みにでも行くつもりなんですが、予定は合いますか?」

日菜子「大丈夫だと思います」

日菜子「楽しみですねぇ、日菜子の水着を見てプロデューサーさんはどんな反応を……」

日菜子「むふふ、むふ♪」

591: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:08:27.06 ID:g8H/fthyo
モバP「なんだお前も一緒なのか」

日菜子P「日菜子から、ありすちゃんと一緒だと聞いたからいると思ったぞ」

モバP「俺だっていつもありすと一緒にいるわけじゃねえよ」

日菜子P「少なくとも事務所じゃ、一緒にいるところ以外殆ど見たことないぞ」

日菜子P「まあ男が俺一人じゃなくて良かった」

モバP「なんでだ?」

日菜子P「男一人が女の水着売り場にいるなんて、なんかいたたまれないだろ」

モバP「気にしすぎだろ。日菜子ちゃんも一緒にいるんだから何もおかしくないじゃないか」

日菜子P「そうかもしれんが……変な勘違いされたら困るじゃないか」

モバP「いいじゃないか別に、勘違いされたって」

日菜子P「いや俺はいいけど、日菜子はどう思うか……」

モバP「……はあ」

日菜子P「なんだよため息なんかついて」

モバP「いや朴念仁っているんだなって思って。日菜子ちゃんも大変だろうな」

日菜子P「はい?」

592: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:09:02.80 ID:g8H/fthyo
日菜子「お待たせしましたプロデューサーさん」

ありす「すいません遅れちゃいましたか?」

モバP「いや、俺らが少し早く来ただけだ」

日菜子P「水着買いに行くんだろ? じゃあ車に乗ってくれ」

日菜子「はぁい」

日菜子「むふふ、プロデューサーさんの車の助手席は日菜子の特等席ですよぉ」

モバP「自分で運転しなくていいのは楽で助かる」

ありす「よろしくお願いします」

日菜子P「みんな乗ったか? それじゃあ出すぞー」

594: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:09:51.66 ID:g8H/fthyo
日菜子「プロデューサーさん飲み物要ります?」

日菜子P「お、さんきゅー。いつも気が利くな」

日菜子「いえいえ……これくらい当然ですよぉ」


ありす「……Pさんも運転中にああやって、さり気なく飲み物とかを渡されると嬉しいですか?」

モバP「ん? そうだなぁ、運転中でも喉は乾くしタイミングよく渡されると嬉しいかな」

ありす「なるほど……覚えておきます」

モバP「逆に変なタイミングで渡されると、邪魔だと思うかもしれんが」

ありす「……気をつけます」

モバP「そう言う意味では日菜子ちゃん、きっと慣れてるなあ」

モバP「助手席が特等席と言うだけはある」

595: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:10:34.13 ID:g8H/fthyo
日菜子P「着いたぞー」

モバP「んじゃ水着売り場に行くか」

日菜子「むふふ、どんな水着にしましょうかねぇ」

ありす「どんなのがいいか選んでくださいね、Pさん」

モバP「おう任せろ」

日菜子「プロデューサーさんも日菜子の選んでくださいね」

日菜子P「俺が選ぶ必要あるのか……? 大体どんなのがいいかとか解らんぞ」

日菜子「もちろん必要ありますよぉ」

日菜子「見せる相手がプロデューサーさんなんですから……むふふ」

日菜子P「まあいいけどな」

596: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:11:20.98 ID:g8H/fthyo
日菜子「どれにしましょうかねぇ」

ありす「Pさんはどれがいいとかありますか?」

モバP「数が多いしなぁ。ありすは何か決めてないのか?」

ありす「一応いくつか調べて来ましたので……その中から選んでもらっていいですか?」

モバP「ああ、それでいいや」

日菜子「プロデューサーさんは、日菜子に着て欲しい水着とかありますかぁ?」

日菜子P「いや特には」

日菜子「露出が多いのと少ないの、どちらが好みです? むふふ……」

日菜子P「そんな答えづらい質問は止めてくれ」

日菜子「日菜子のスタイルがもうちょっと良かったら……むふ♪」

597: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:11:55.53 ID:g8H/fthyo
ありす「Pさんこういうのはどうでしょう?」

モバP「可愛らしくていいんじゃないか?」

日菜子P「ふと思ったんだが、スクール水着じゃ駄目なのか? わざわざ買わなくてすむし」

日菜子「プロデューサーさん、そういう趣味があったんですか?」

日菜子「そうだとしたら、日菜子はスク水で行くのはやぶさかではないですが……むふふ」

ありす「……なんですか、見たいんですか」

日菜子P「いやそんなつもりで言った訳じゃ! ありすちゃんもそんな目で見たいでくれ」

日菜子P「おい、お前からもなんか言ってくれ」

モバP「んー別にスク水でもいいんじゃないか? ありすなら何でも可愛いぞきっと」

ありす「そんな……えへへ……」

日菜子P「俺と言ってること殆ど違わないのに、この反応の差」

日菜子「仕方ないですよぉ。恋は盲目、あばたもえくぼといいますし」

598: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:13:34.45 ID:g8H/fthyo
日菜子「スク水なら日菜子が着てあげますから、そんなにがっかりしないでください」

日菜子P「違うからな? 別に着なくていいから」

日菜子「日菜子のスク水姿に我慢できなくなっちゃうからですねぇ」

日菜子「そして日菜子はプロデューサーさんに……むふ、むふふ……やんっ♪」

日菜子P「妄想はいいから帰って来い」

日菜子P「んでさっさと水着選べ」

日菜子「むふふ、つれないですねえプロデューサーさんは」

日菜子P「勝手に俺を狼な扱いにされても困る」

日菜子「日菜子的には、そうなっても一向に構わないんですが……むふふ」

日菜子P「ん、すまんよく聞こえなかった」

599: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/16(日) 00:14:03.35 ID:g8H/fthyo
日菜子P「そっちは買い終わったか?」

モバP「ああそっちもか」

ありす「えへへ……プール楽しみですねPさん」

モバP「そうだな」

日菜子「日菜子たちはいつ行きましょうかねぇ?」

日菜子P「まあスケジュールの都合がついたら教える」

日菜子「楽しみです……むふふ、プロデューサーさんを悩殺しちゃいますから」

日菜子「そして日菜子の王子様に……むふふ」

モバP「日菜子ちゃん、あいつ車出すからってもう行っちゃったぞ」

日菜子「むふ? あらら、相変わらず日菜子の王子様は気づいてくれないんですね~」

日菜子「これは当日頑張らないとですね、むふふ♪」



第四十七話 完

603: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:49:11.85 ID:SrGYz8ujo

~第四十八話~


佐城雪美(10)

604: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:49:39.83 ID:SrGYz8ujo
ありす「あの」

モバP「どうしたありす?」

雪美「……?」

ありす「どうして雪美さんがそこにいるんです?」

雪美「そこ、って……?」

ありす「だから……なんでPさんの膝の上にいるんですかっ……!」

モバP「いや俺もよく解らんのだが、なぜかこうなって」

ありす「どういうことか説明してください」

雪美「……うん……解った」

605: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:50:07.80 ID:SrGYz8ujo
雪美「私……いつもはPの……膝の上にいる……けど」

ありす「雪美さんのプロデューサーですか?」

モバP「確かに雪美ちゃん、大抵はあいつの膝の上にいるな」

雪美「とっても……落ち着くから……でも……」

モバP「そういやあいつ今日いないな」

雪美「お仕事……私を置いて……行っちゃった……」

雪美「……くすん」

モバP「ああっ、ほら何か事情があるんだって!」

雪美「解ってる……離れてても……通じてるから……」

雪美「だからいい子で……待ってる……」

606: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:50:34.88 ID:SrGYz8ujo
雪美「だけど……やっぱり落ち着かない……だから……」

モバP「俺が代わりってことか?」

雪美「……うん」

ありす「別にPさんじゃなくても……大体そこは私が……」

雪美「でも……あなたのも……悪くない……」

モバP「お、それはありがたい」

ありす「む~……」

モバP「でもやっぱりあいつには負けてるのか」

雪美「だって……あの人は……特別、だから……」

607: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:51:04.76 ID:SrGYz8ujo




ありす「あの」

雪美「……なに?」

ありす「いつまでPさんの膝の上にいるつもりですか」

雪美「……Pが……帰ってくるまで……?」

モバP「あいつ、いつ帰ってくるんだろうなー」

ありす「流石にPさんもずっとだと疲れますし、どいたほうがいいと思います」

ありす「いくらなんでも長く居すぎです。私でもそんなに長い時間いたことないのに……」

雪美「……ありす、ちょっと……怖い……」

ありす「あっ……そ、その……そんなつもりは……」

608: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:51:33.23 ID:SrGYz8ujo
雪美「……んー」

雪美「ごめんなさい……やっぱり……迷惑だった、かも……」

モバP「いやまあ……あまり長時間は流石に俺も困ると言えば困るが」

モバP「少しの時間くらいなら別に……」

ありす「……私は?」

モバP「言えばいつでもしてやるぞー?」

ありす「じゃ、じゃあ……明日から私もPさんの膝の上で……えへへ……」

モバP「仕方ないなありすは。甘えん坊で」


雪美「……私……お邪魔虫、だった……?」

雪美「いこ……ペロ……」

609: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:52:02.00 ID:SrGYz8ujo
日菜子「なるほど、そんなことがあったからありすちゃんは今、プロデューサーさんの膝の上なんですねぇ」

ありす「えへへ……これから毎日こーしてくれるんですよね?」

モバP「出来たら、な」

日菜子「むふふ、いいですねぇ……こういうのも」

日菜子「日菜子もちょっと妄想しないといけませんね、むふ……」

日菜子「むふふ……素敵です。どこからどう見ても王子様とお姫様……むふふ」

ありす「日菜子さん、妄想もいいですけれど実践しないことには始まりませんよ」

日菜子「確かにそうですね。なにせ日菜子の王子様は鈍感ですからねぇ……」

日菜子「待っててくださいね、プロデューサーさん……むふふ♪」

610: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 00:52:55.82 ID:SrGYz8ujo
日菜子P「なあ……やっぱり止めないか?」

日菜子「むふ? どうしてですかぁ?」

日菜子P「いやだって……なんでわざわざ俺の膝の上に座るんだ?」

日菜子「ありすちゃんや雪美ちゃんがしてるのを見て、羨ましくなっちゃいました」

日菜子P「でもさほら、周りの目が……他のアイドルとかプロデューサーが見てるし」

日菜子「むふ、今日菜子たちってどういう風に見えてるんでしょうねぇ? むふふ……」


雪美「……Pの膝の上……やっぱり……いちばん」

雪美P「ありがとな」


ありす「Pさんの膝の上は、これから私の特等席ですからね……」

モバP「解った解った」


ちひろ(こうしてしばらくの期間、一部のアイドルの間で)

ちひろ(プロデューサーさんの膝の上に座るのが流行るのは、また別のお話)



第四十八話 完

614: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:30:12.44 ID:ZJfD4dU2o

~第四十九話~
 

615: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:30:40.82 ID:ZJfD4dU2o
モバP「あちー……」

ありす「ですね、今日もいいお天気です」

モバP「暑いけどプールへ行くなら絶好の日かもな」

ありす「早く行きましょう。きっと気持ちいいですよっ」

モバP「よしっんじゃ行くか。車に乗ってくれ」

ありす「はーい」

ありす「あっ、暑いし喉乾くと思ってちゃんと飲み物用意してますよ」

モバP「さんきゅ。気が利くな」

ありす「えへへ……そんなことないですよ」

616: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:31:21.95 ID:ZJfD4dU2o
モバP「さーて、プールに着いたわけだが」

ありす「暑くて汗だくです……陽射しがさらに強くなってる気がします……」

モバP「そうだな、早く入りたいところだ」

ありす「それじゃあ着替えて来ますね、Pさんまた後で」

モバP「おう」



モバP「ありすはまだ着替え終わってないか」

モバP「この辺で待ってたら解るだろ」

モバP「まあこういうのは、女の子のほうが時間がかかるものだろうしな」

ありす「あ、Pさん」

モバP「っと……ありすも着替え終わったか」

ありす「お待たせしました」

617: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:31:53.05 ID:ZJfD4dU2o
ありす「えっと……水着どうですか?」

モバP「うん、可愛いぞ。てか俺も選んだから大体解るぞ」

ありす「でもこうやって着て見せるのは初めてですから」

モバP「そういや、買いに行った時は試着してなかったか」

モバP「そうそうありす、ちゃんと日焼け止め塗ったか?」

ありす「えっ、いえ……」

モバP「アイドルだし日焼けキャラで売り出すわけでもないから、日焼けは厳禁だぞ」

モバP「つーわけで、ほい日焼け止め」

ありす「ありがとうございます」

ありす「あの……Pさんが塗ってくれますか?」

モバP「え、俺?」

ありす「一人じゃ全部塗るのは無理ですよ」

618: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:33:03.12 ID:ZJfD4dU2o
モバP「じゃあ、とりあえず背中を」

ありす「はい、お願いします」

モバP「……よっと」

ありす「んっ……」

モバP「力加減はこんなもんでいいか?」

ありす「はい……んっ、丁度いい、です……」

ありす「んっ……はぁ……あっ……」

モバP「変な声出すな」

ありす「ご、ごめんなさい……くすぐったいような変な感じで……」

ありす「ふぁ……」

619: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:33:30.54 ID:ZJfD4dU2o
モバP「準備体操は終わったかー?」

ありす「大丈夫です」

モバP「よし、それじゃ入るか」

ありす「はいっ」

ありす「わぁ……冷たくて気持ちいい……」

ありす「Pさんも早く、一緒に入りましょうよ」

モバP「はいはい、待ってろって」

620: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:34:01.74 ID:ZJfD4dU2o
ありす「あ、このプールってウォータースライダーがあるんですね」

モバP「色んな種類のプールもあるし、意外と充実してて楽しいんじゃないか」

ありす「Pさん、一緒に滑りませんか?」

モバP「おう、いいぞ」

ありす「ぎゅーって抱き寄せてくださいね」

モバP「あれ、一緒にってそういうこと?」

ありす「だって勢い強かったりしたら……その、怖いじゃないですか……」

モバP「ははは、まあいけど」

ありす「じゃあ行きましょう」

621: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:34:48.72 ID:ZJfD4dU2o
ありす「…………む~」

モバP「ほらありす、そんな拗ねるな」

ありす「だって……」

モバP「ウォータースライダー、楽しかったろ?」

ありす「楽しかったですけれど……」

ありす「私とPさんが……兄妹にしか見られてないなんて……」

ありす「あの監視員さんの目は節穴です……どこからどう見ても恋人同士なのに」

モバP「まあほら……年齢がな……」

ありす「うぅ……やっぱり早く大人っぽくなりたいです……」

622: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:35:15.88 ID:ZJfD4dU2o
ありす「ふう……ちょっと遊び疲れちゃいました」

モバP「そろそろ腹減ったな」

ありす「あ、お弁当作ってきてますよ」

モバP「さんきゅー。早速いただこうかな」

ありす「あとそれと……」

モバP「ん?」

ありす「以前Pさんが、私の作ったアイスクリームを食べたいと言ってくれたので」

ありす「その……作ってみました。美味しく出来てるか解りませんが……」

モバP「マジで? それは楽しみだな」

623: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:36:07.06 ID:ZJfD4dU2o
モバP「ふー、食った食った」

モバP「ありすの弁当、美味かったぞありがとな」

ありす「いえ、そんな」

モバP「んじゃデザートもらうかな」

ありす「えと、あんまり期待しないでくださいね?」

モバP「多少期待したっていいだろ?」

ありす「もし美味しくなかったらごめんなさい」

モバP「大丈夫だろ。時々持ってきてくれるお菓子、十分美味しいぞ」

ありす「ありがとうございます。それじゃあ……どうぞ」

モバP「んじゃいただきます」

624: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:36:40.79 ID:ZJfD4dU2o
モバP「……うん、甘くて冷たくて」

モバP「シンプルだけど美味いな」

ありす「流石にまだ手のこんだのは無理なので……簡単なのですが」

モバP「いや十分だよ。てかありすくらいの年齢でこんなに料理出来るのは凄いんじゃないか?」

ありす「そう……なんでしょうか? 自分ではよく解りませんが……」

モバP「少なくとも俺はそう思うぞ」

ありす「えへへ……そんなに褒められると照れますね」

ありす「でもいいお嫁さんになるには、お料理はしっかり出来ないといけないってお母さんも」

モバP「これなら俺は飯の心配はしなくて良さそうだ」

625: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:37:12.96 ID:ZJfD4dU2o
ありす「Pさん……口の周りにアイス付いてますよ?」

モバP「ん? どこだ?」

ありす「あ、じっとしててください」

モバP「ありす?」

ありす「んっ……」

ありす「ちゅ……えへへ……甘いですね」

モバP「おいおい、突然どうしたんだよ」

ありす「口に付いてるアイスを取ろうとしただけですよ」

ありす「自然と身体が動いちゃいました……」

モバP「全く仕方ないな」

626: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:37:40.15 ID:ZJfD4dU2o




ありす「あ、もうこんな時間……」

モバP「そろそろ帰るか」

ありす「そうですね……今日はとっても楽しかったです」

モバP「ああ、俺もだ」

ありす「また今度一緒に遊びに来ましょうね?」

モバP「プール以外で遊ぶのもいいな」

ありす「Pさんと一緒なら、きっとどこでも楽しいです」

627: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/17(月) 23:38:34.76 ID:ZJfD4dU2o
~車の中~

ありす「すぅ……すぅ……」

モバP「疲れて寝ちゃったか」

ありす「んぅ……Pさぁん……」

モバP「寝言か?」

モバP「どんな夢をみてるのやら」

ありす「ずっと……一緒ですぅ……ん……」



第四十九話 完

631: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:25:13.53 ID:kBdDhjj8o

~第五十話~
 

632: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:25:42.67 ID:kBdDhjj8o
日菜子「むふふ、今日はいよいよプロデューサーさんとプールに行く日です」

日菜子「楽しみですね、妄想が膨らみますねぇ……むふふ」

日菜子「ありすちゃんはかなりいい雰囲気だったようですし。意外と惚気ちゃうんですねぇ」

日菜子「日菜子もこれを機にプロデューサーさんと……むふ、むふふ」

日菜子P「おーい日菜子」

日菜子「む? プロデューサーさん」

日菜子P「いや悪い、待たせたな」

日菜子「いえいえ……日菜子待つのは得意ですから、色々と」

日菜子P「ん? とりあえず暑いだろ、さっさと行くか」

日菜子「はぁい」

633: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:26:12.22 ID:kBdDhjj8o
日菜子P「でもいいのか?」

日菜子「何がですか?」

日菜子P「せっかくのオフなのに、行く相手が俺で」

日菜子P「友達とかと一緒に行ったほうが楽しくないか?」

日菜子「いいんですよ。プロデューサーさんだから一緒に行くんですから」

日菜子P「俺だから? まあ俺といたほうがとっさに何かあったとき対応しやすいだろうが……」

日菜子「そういうことじゃないんですけどねぇ……」

日菜子「むふふ……今日は頑張って王子様に気づいてもらわないと」

634: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:26:50.22 ID:kBdDhjj8o
日菜子「むふふ、むふふふ」

日菜子P「どうしたんだよ?」

日菜子「いえ、今からプールでの出来事を妄想しておこうかと」

日菜子P「おいおい、今から実際に行くのにか?」

日菜子「むふ、例えば日菜子が溺れちゃって……」

日菜子P「縁起でもないこというなよ」

日菜子「そしたらプロデューサーさんは、日菜子のことをかっこ良く助けてくれますよね?」

日菜子P「そりゃ、な……かっこ良くかどうかは知らんが」

日菜子「そして……むふふ、日菜子に人工呼吸してくれますよね?」

日菜子P「ちょっ、流石にそれは……仮にもお前はアイドルで……」

日菜子「してくれないんですか……?」

日菜子P「うっ……まあどうしても俺がそうしないといけない状況なら……仕方ない」

日菜子「ということは、プロデューサーさんは日菜子とキスしてもいいってことですねぇ、むふ♪」

日菜子P「なぜそうなる」

635: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:27:19.67 ID:kBdDhjj8o
日菜子「眠り姫を覚ますのに、王子様のキスはお決まりですよ……むふふ」

日菜子P「もうその話題はいいだろ……ほら、そんなこと言ってるうちに着いた」

日菜子「おや、もうですか……ついつい妄想に夢中になってました」

日菜子P「早く入ろうぜ。暑くて敵わん」

日菜子「心頭滅却すれば~といいますし、プロデューサーさんも妄想してみては?」

日菜子P「妄想してる時点で、その言葉を使うのは間違ってると思うぞ」

日菜子「細かいことはいいじゃないですかぁ」

日菜子「一緒に妄想しませんか? 楽しいですよ、むふふ」

日菜子P「考えとくわ。ほら行くぞ」

日菜子「つれないですねえ」

636: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:27:46.66 ID:kBdDhjj8o
日菜子「プロデューサーさん、どうですか日菜子の水着」

日菜子「スク水ではありませんけど、むふ」

日菜子P「まだ言うか……いいんじゃないか? 可愛くて」

日菜子「そうですか、なら……むふふ」

日菜子P「お、おいっ、そんなひっつくなって!」

日菜子「いいじゃないですかぁ。日菜子可愛いんですよね?」

日菜子「じゃあ変な男の人が寄ってくるかもしれないじゃないですか」

日菜子「だからこうすれば……ばっちりですね、むふふ♪」

日菜子P「そ、そうは言うがな……そんなにくっつかれるとだな」

日菜子「むふふ、なんですかぁ?」

日菜子P「い、いや何でもない!」

637: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:28:20.15 ID:kBdDhjj8o
日菜子P「とにかくプールに入るか! 日菜子はどこに行きたいんだ?」

日菜子「そうですねぇ……」

日菜子「この流れるプールとかどうでしょうか」

日菜子P「いいぞ、行ってみるか」


日菜子「むふ……気持ちいいですねぇ」

日菜子P「浮き輪持ってたのはこのためか?」

日菜子「そうですよぉ。ゆったりできて楽ですし」

日菜子P「実は泳げないのかと思ったぞ」

日菜子「もしそうなら、プロデューサーさんが手取り足取り教えてくれますか? むふふ……」

日菜子P「教えてやるよ、普通にだけどな」

日菜子「むふ、残念です……」

638: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:28:51.03 ID:kBdDhjj8o
日菜子「プロデューサーさん」

日菜子P「ん、なん――」

日菜子「えいっ」

日菜子P「わっ!? きゅ、急に水をかけるな」

日菜子「気持ちよかったですか?」

日菜子P「くそっお返しだ!」

日菜子「きゃっ……」

日菜子P「ほれどうだ」

日菜子「むふふ……こういうのも楽しいです」

日菜子「日菜子が妄想してたことが、こうやって……むふふ」

639: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:29:21.17 ID:kBdDhjj8o
日菜子「プロデューサーさん、次はあのプールに入りませんか?」

日菜子P「波の出るプールか。構わないぞ」


日菜子「どれくらいの波が来るんでしょうねぇ」

日菜子P「言ってもそんな大きいのは……って」

日菜子「結構大きいのが来てますねぇプロデューサーさん」

日菜子P「うおっ!」

ザパーン

日菜子P「ぷはぁ、これは予想外だったな」

日菜子「ですねぇ……あ、れ……?」

日菜子P「どうした日菜子?」

日菜子「きゃぁっ!?」

640: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:29:51.91 ID:kBdDhjj8o
日菜子P「ひ、日菜子? どうしたんだよいきなり抱きついて」

日菜子「ぷ、プロデューサーさん……どうしましょう……」

日菜子「み、水着の上が……流されて……」

日菜子P「えっまじか……? どこかその辺りに無いのか?」

日菜子「見当たりません……プロデューサーさん、どうしたらぁ……」

日菜子P「じゃあ監視員の人にでも言って、タオル持ってきてもらうか」

日菜子P「ちょっと行ってくる」

日菜子「だ、駄目ですよぉ……! 日菜子一人になっちゃうじゃないですかぁ……」

日菜子P「って言ってもどうすりゃ……」

日菜子「このまま……」

日菜子P「えっ?」

日菜子「このままなら周りも解らないと思いますから……」

日菜子P(この状態で動けと? 色々ときついんだが)

641: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:30:23.37 ID:kBdDhjj8o
日菜子P「ほらこれ羽織っとけ、これで大丈夫だろ」

日菜子「……すみませんでした、少し取り乱しちゃいましたね」

日菜子P「まあ仕方ない」

日菜子「あとさっきのことは忘れていただけると嬉しいです」

日菜子「流石にあれは日菜子も恥ずかしいかったですから……」

日菜子P「ああ解った」

日菜子「でも……むふふ、予想外のハプニングでプロデューサーさんも、どきどきしちゃいました?」

日菜子P「ば、馬鹿言ってんじゃない」

日菜子P「とりあえず水着探してくるか。もしかしたら監視員が拾ってるかもしれん」

日菜子「そうですね」

642: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:30:51.46 ID:kBdDhjj8o
日菜子「むふ……水着の方もなんとかなりましたし」

日菜子「ソフトクリームでも食べませんか?」

日菜子P「お、いいな。買ってきてやるよ」


日菜子P「ほいよ」

日菜子「ありがとうございます」

日菜子「味は別々なんですね」

日菜子P「適当買ってきたんだが、日菜子はどっちがいいんだ?」

日菜子「むふふ、ここは二人で半分づつ食べるところですよ」

日菜子P「いや、なんかそれって……カップルじゃあるまいし」

日菜子「プロデューサーさん今更ですよ? 日菜子たちはきっとどこからどうみてもカップルですよぉ」

日菜子P「それはそれでまずいよなぁ……アイドルとプロデューサーで」

日菜子「なんとかなりますよぉ、むふふ」

643: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:31:19.17 ID:kBdDhjj8o




日菜子「プロデューサーさん、もうこんな時間ですね」

日菜子P「帰るか?」

日菜子「ところでプロデューサーさん、日菜子このあと何も予定が無いんですよ」

日菜子P「そうなのか」

日菜子「だからこのあとは……むふふ」

日菜子P「まあ明日かもまた仕事だし、ゆっくり休めよ」

日菜子「……むふふ、遠回りに言っても駄目なんですかねぇ」

日菜子P「ん、何がだ?」

日菜子「いえいえ、何も……」

644: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 02:31:48.98 ID:kBdDhjj8o
日菜子「プロデューサーさん、今日は楽しかったですよぉ」

日菜子P「それは良かった。俺が相手でも楽しんでくれたか」

日菜子「むしろ日菜子はプロデューサーさんとじゃないと……」

日菜子P「じゃあ帰るか、俺も楽しかったよありがとな」

日菜子「また来ましょうね」



日菜子「今回ので進展はあったんでしょうかねぇ?」

日菜子「日菜子のほうからアプローチするのもいいですけど……」

日菜子「やっぱり王子様の方から、迎えに来てくれる方が憧れちゃうなぁ」

日菜子「むふふ……気付いてくれるまで、もうちょっと頑張っちゃいますよぉ」



第五十話 完

647: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:56:32.45 ID:ExpW1CADo

~第五十一話~

小関麗奈(13)

648: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:57:01.92 ID:ExpW1CADo
麗奈「ふふふふ……! このアタシがトップアイドルになるのなんて時間の問題だけど」

麗奈「ちまちまやっていくのなんて性に合わないわ」

麗奈P「おーい麗奈ー、仕事だぞー」

麗奈「手っ取り早くライバルを蹴落としてしまえばいいのよ!」

麗奈「まず手始めに、うちの事務所の他のアイドルをターゲットにしようかしら」

麗奈P「いたずらなら仕事終わってからにしてくれー」

麗奈「このレイナサマの伝説の一ページになれることを誇りに思うことね!」

麗奈「アーッハッハッハッハッ、はうっ……ゲホッゲホッ」

麗奈P「あーほら、急に大声出すから」

麗奈「う、うるさいわね……ほら仕事あるんでしょ。さっさと連れて行きなさいよ!」

649: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:57:40.47 ID:ExpW1CADo
麗奈「フッ、人気者は辛いわね。仕事終わるのがこんな時間になるなんて」

麗奈「いたずらは明日からするとして、誰をターゲットにしようかしら」


ありす「Pさん、お疲れ様でした」

モバP「ああお疲れありす」


麗奈「アイツは……橘ありすね」

麗奈「アイツ所属したころ、アタシより年下のくせに妙に生意気だったのよね」

麗奈「ふっふっふ……決めたわ! 最初のターゲットを!」

麗奈「明日このレイナサマ自ら、アタシの怖さを思い知らせてやるわ!」

麗奈「アーッハッハッハ……ガハッ……ハァハァ……」


ありす「……なんでしょう、あれ?」

モバP「麗奈ちゃんだな。まあいつも通りじゃないか」

650: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:58:11.67 ID:ExpW1CADo
~翌日~

麗奈「くっくっく……さあてどうしてやろうかしら」


モバP「ありすー営業先でケーキを貰ったもんだがいるか?」

ありす「あ、はい。いただきます」

モバP「んじゃ一緒に食うか。ありすはどれにする?」

ありす「えっと……それじゃあ私はこれを」

モバP「ちょっと俺コーヒー淹れてくる」

ありす「あ、手伝いますよ」

モバP「さんきゅー」


麗奈「……決めたわ」

麗奈「まずは手始めにあのケーキに……」

麗奈「周りには誰もいないわね? 確か橘が食べるのはこれね……ふふふ」

651: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:58:40.05 ID:ExpW1CADo
モバP「んじゃ食うか」

ありす「いただきます」

モバP「ぱく……うん美味いな」

モバP「ありすも一口食ってみるか?」

ありす「あ、それじゃあ……あ~ん」

モバP「はいよ」

ありす「あむ……ん、おいし……えへへ」


麗奈(イライラするわね……さっさと食べなさいよ)

麗奈(どんな反応するか楽しみだわ)

652: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:59:15.38 ID:ExpW1CADo
ありす「Pさんも私の一口いりますか?」


麗奈(ちょっ! そんなことしたらいたずらがバレちゃうじゃない!)


モバP「いや俺はいいよ。ありすが全部食べていいぞ」

ありす「そうですか? じゃあそうします」


麗奈(ふっふっふ、そうよそれでいいのよ!)

麗奈(さあ早く食べなさい!)


ありす「あむ……もぐもぐ」

ありす「――っ!? ん"~~~~!?」

モバP「ありす? どうした!?」

ありす「か、から……からい……れす……! うぅ……」

653: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 22:59:41.61 ID:ExpW1CADo
麗奈「アーッハッハッハ……ゲホッゲホッ」

モバP「あ、麗奈ちゃん」

麗奈「まんまと引っかかったわね! そのケーキはアタシが細工を施した特製ケーキよ!」

ありす「れ、れいなしゃんが……げんいんれすか……はぅ……」

モバP「ほらありす、水」

ありす「ありがろうごじゃいまふ……」

麗奈「ふっふっふ、これでレイナサマの恐ろしさが解ったかしら!」

ありす「こ、こんなの子供騙しじゃないですか……」

麗奈「ふーん? その子供騙しに引っかかってひーひー言ってたのは誰かしら?」

ありす「うっ……」

麗奈「アーッハッハッハ、最高の気分だわ!」

ありす「Pさぁぁん……」

モバP「よしよし」

654: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 23:00:17.86 ID:ExpW1CADo
麗奈「くっくっく……次はどんなことしてやろうかしら」


モバP「ありすレッスン終わったか?」

ありす「あ、Pさん今は休憩中です」

モバP「喉乾いたと思ってさ、スポーツドリンク持ってきてるから」

ありす「わざわざありがとうございます。後でいただきますね」


麗奈「……決めたわ」

麗奈「次はあのドリンクを、アタシ特製のドリンクにすり替えてやるわ!」

655: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 23:01:01.48 ID:ExpW1CADo
ありす「ふう……やっと終わった」

ありす「喉乾いちゃった……Pさんからもらったドリンク飲もうかな」


麗奈(よしよし……そのまま飲みなさい、ぐーっと!)コソコソ

麗奈(今度はどんな反応するかしら、楽しみだわ!)


ありす「こくこく……」

ありす「んっ……!? げほっ……! な、なにこれ……」

ありす「えっ……なんでPさんがこんなのを私に……?」

ありす「もしかしてPさん、私のこと……」

656: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 23:01:33.05 ID:ExpW1CADo
麗奈「アーッハッハッハ……ゴホッゴホッ」

麗奈「どうかしら? アタシの特製ドリンクの味は!」

ありす「ぐすっ……」

麗奈「えっ」

ありす「Pさんなんで……ぐすん……うぇぇぇん……」

麗奈「え、ちょっと待って……泣くほどのものじゃないはずよ……」

ありす「ぐすん……ひっく……」

麗奈「ああもう、そんなぴーぴー泣かないでよ!」

ありす「ふぇ……? れいな……さん?」

657: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 23:02:02.77 ID:ExpW1CADo
麗奈「――というわけよ」

ありす「じゃあこれはPさんがくれたドリンクじゃなくて……」

麗奈「アタシが作ったものよ」

ありす「そっか……よかった、Pさんに嫌われちゃったのかと……」

麗奈「ふうん、アンタやたらとプロデューサーを慕ってるのね」

ありす「えと、その……ずっと一緒にいるって約束したし……」

麗奈「甘い、甘いわね! プロデューサーなんてただの下僕よ!」

麗奈「そんな甘っちょろい考えじゃ、アタシの敵じゃないわね」

ありす「ふぅん……」

麗奈「な、なによ……」

658: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/19(水) 23:02:39.87 ID:ExpW1CADo
ありす「下僕って言い方にしてるだけで、一緒にいたいのは私と同じなんじゃないですか?」

麗奈「なっ、違うわよ! アンタちゃんと聞いてたの!?」

麗奈「下僕よ! アイツはアタシより格下なの」

麗奈「だからアタシに仕えて当然なのよ。むしろ喜ぶべきことよ!」

ありす「そんなこと言うのも、いたずらするのも構って欲しいからなんじゃないですか?」

ありす「私もそういう気持ちになったことありますから、解りますよ」

麗奈「きーっ! なに勝手に一人で納得してるのよ!」

麗奈「フンッ……! ここは退いておいてあげるわ!」

麗奈「勘違いしないでよ? これは戦略的撤退なんだからー!」


モバP「あれ、ありすどうしたんだ?」

ありす「いえ、以前のお返しにと論破してました」

モバP「?」



第五十一話 完

663: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:41:43.59 ID:HBncpLMBo

~第五十二話~
 

664: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:42:13.38 ID:HBncpLMBo
ありす「おはようございます」

モバP「おうありす遅かったな? 時間ぎりぎりだぞ……って」

モバP「なんでランドセル背負ってるんだ?」

ありす「あ、今日は学校に遅くまで残っていて遅くなったので、そのまま事務所に来ました」

モバP「そうかそうかなるほど」

モバP「ふむ……」

ありす「……? なんですか?」

モバP「いや、ありすのランドセル姿初めて見るかもと思ってな」

ありす「そうでしたっけ?」

665: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:42:56.50 ID:HBncpLMBo
モバP「こう見るとやっぱりありすって小学生なんだなーって思うな」

ありす「どういうことですか?」

モバP「いやぁ、最近なにかと料理やお菓子作ってきてくれたり」

モバP「俺の部屋を掃除してくれたりと、世話になってるからな」

モバP「まだ小学生ってことをたまに忘れてしまうよ」

ありす「Pさんがもっとしっかりすれば、私もそんなことしなくて済むのですが」

モバP「うっ、すまん……」

ありす「冗談ですよ? 私が好きでやってることですから……」

ありす「むしろPさんのお世話が出来て嬉しいです……えへへ」

666: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:43:45.83 ID:HBncpLMBo
モバP「最近忙しくなってきたからなぁ。学校のほうに影響はないか?」

ありす「そうですね……ちょっと大変ですけれど」

ありす「Pさんが頑張ってスケジュールの調整してくれてるの知ってますから」

モバP「まあ俺に出来るのはそれくらいだしな」

モバP「あ、あと宿題くらいなら見てやるぞ」

モバP「つってもありすって勉強得意だっけか。俺の出る幕はないかもな、ははは」

ありす「あ、えっと……確かに得意ですけれど……」

ありす「どうせなら……Pさんと一緒にしたいです」

モバP「んじゃ、仕事終わったら一緒にやるか?」

ありす「はいっ」

667: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:44:12.49 ID:HBncpLMBo




ありす「もうこんな時間ですね」

モバP「ありすが学校終わった後に仕事だったからなー。終わるのが夜になるのも仕方ない」

モバP「ところで俺の家でいいのか?」

ありす「はい、お母さんにもPさんの家にお邪魔するって言ってあります」

モバP「そうか、んじゃあがってくれ」

ありす「お邪魔しますね」

668: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:44:45.40 ID:HBncpLMBo
モバP「よし早速やるか」

モバP「解らない所があったら聞いていいぞ」

ありす「はい、お願いします」

モバP「ところでありす」

ありす「何ですか?」

モバP「俺の膝の上でやるのは、やりづらくないか?」

ありす「いいえ、とても快適です」

ありす「Pさんの膝の上は私の特等席だって、以前言ったじゃないですか」

モバP「そうだけど……まあやり難くないならそれでいいけど」

669: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:45:33.09 ID:HBncpLMBo
ありす「……ん~」

モバP「どうした、解らない所でもあったのか?」

ありす「あ、はいここがちょっと……」

モバP「どれどれ……ここはだな」

ありす「…………」

モバP「ここをこうして……」

モバP「って、どうしたありす? ぼーっとして」

ありす「あ、えっと……」

ありす「Pさんが学校でも一緒にいてくれたらなぁ、って思って……」

モバP「うーん、それは流石にな」

670: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:46:23.16 ID:HBncpLMBo
モバP「あれだ、運動会とかそういう行事を見に行くのなら」

ありす「ほんとですか? 見に来てくれます?」

モバP「都合がつけばな」

ありす「あ、私の学校の行事予定表渡しますから……」

ありす「出来れば、その……都合をつけてくれると」

モバP「頑張ってみるかな。でもお父さんやお母さんも来るだろ?」

ありす「来ますけれど……お父さんやお母さんとはまた別です」

モバP「まあ……そうなるのかな」

ありす「そうです。Pさんは私にとって特別な人なんですから」

モバP「ははは、嬉しいけどなんか照れるな」

671: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/21(金) 23:46:49.76 ID:HBncpLMBo
モバP「ともかく、学校でのありすがどんなのか見れるのは少し楽しみだな」

ありす「そんな、いつもと変わらないと思いますけど」

モバP「いやぁ、人間ってちょっとしたことで印象変わるからなー」

モバP「授業参観とかで、授業を受けているありすも見てみたいものだ」

ありす「そんなの見ても面白くないですから……」

モバP「まあなんにせよ楽しみだ。出来るだけスケジュールも調整するからな」

ありす「はい」

モバP「ありすの可愛い一面がまた見れるといいなー、なんてな!」

ありす「も、もう……あんまり期待しないでくださいよぉ」



第五十二話 完

677: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:54:19.91 ID:9Y52F3Oro

~第五十三話~
 

678: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:54:50.73 ID:9Y52F3Oro
ありす「リベンジです!」

紗南「へ?」

モバP「どうしたありす?」

ありす「負けっぱなしは納得が行きません。ここは私の得意なゲームで挑みます」

紗南「ああゲームの話かー」

モバP「前負けたのがそんなに悔しかったのか?」

ありす「く、悔しくなんてありません……!」

ありす「ただ、納得いかないだけで……私だってゲーム得意なんだもん……」

紗南「まあいいけど、どんなゲームなのさー?」

ありす「今回はパズルゲームで勝負です」

679: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:55:17.77 ID:9Y52F3Oro
モバP「で、なんていうゲームなんだ?」

ありす「これです! ことばのパズルもじ◯ったん」

モバP「あーこれか。俺もやったことあるな」

紗南「あたしないかもー」

モバP「意外と面白いぞ? 結構ハマるんだよなー」

紗南「へぇー、そうなんだ」

ありす「今回はこれで勝負です」

ありす「対戦は二人用なので……まずは紗南さんから勝負です」

紗南「よーし負けないからね」

680: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:55:45.50 ID:9Y52F3Oro
紗南「で、これどーやるの?」

ありす「えっと、ここのマスに文字が置かれていますよね」

紗南「うん」

ありす「さらに横にある文字の一覧から一文字選んで、そのマスに置いて何か単語を作るんです」

ありす「一度使った文字は、もう使えなくなります」

紗南「ふんふん」

ありす「複数の単語が出来たり、長い単語が出来るほど高得点です」

ありす「以上です」

紗南「え、そんだけ?」

ありす「はい、対戦だと他に色々ルールがありますが基本はこれだけです」

紗南「へー、単純だね」

681: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:56:12.62 ID:9Y52F3Oro
ありす「では始めましょう」


紗南「んーと……ここにこれ置いて……」

紗南「わっ、思ってたのと別の単語も出来た」

ありす「そういうのもよくあります」

紗南「なんかちょっと嬉しくなっちゃうな、へへっ」


紗南「あれー、なんでこの単語無理なのさ」

ありす「作れる単語にも、色々とルールがあるんです」

ありす「紗南さんが今やっているような、他社のゲームに関係するような単語は無理ですよ」

紗南「えーっ、ゲーム関連ならいくつでも出てきそうなのになぁ、無理なんだ……」

682: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:56:40.86 ID:9Y52F3Oro
ありす「えっと、これをこうして」

紗南「ありすちゃん上手ー」

モバP「得意って言うだけはあるな」

紗南「あたしの知らない単語も、ほいほい作っちゃってる」

ありす「伊達にいつもタブレットは持ってませんから」

モバP(それ何か関係あるのかな。まあいつでも単語の意味は調べられそうだけど)

モバP「まあやってるうちに色々覚えるもんだ」

紗南「あたしも買ってみようかなー」

683: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:57:07.23 ID:9Y52F3Oro
紗南「……うー、負けちゃった」

ありす「私が本気を出したらこんなものです」

モバP「勝ててよかったなありす」

ありす「えへへ……Pさん、どうでしたか?」

モバP「ああ、色々知ってて賢いなーって思ったよ」

ありす「それほどでも、ないですよ……えへ、えへへ……」

紗南「むー……今回はあたしの負けだけど、次はこーはいかないから!」

紗南「もっと上手くなってリベンジしにくるから!」

ありす「望むところです」

684: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 00:58:05.17 ID:9Y52F3Oro
モバP「じゃあ、次は俺が相手か?」

ありす「Pさん、本気で来て下さいね」

モバP「いいのか?」

ありす「変に手を抜かれるのは嫌です」

モバP「んじゃ、本気で行くけど……」

ありす「私もPさんだからって、手は抜きませんからね……!」



ありす「…………うぅ」

モバP「いやほら、俺のほうが人生経験長いしな?」

モバP「こういう知識がものを言うゲームで負けたら、流石に恥ずかしいだろ?」

ありす「た、確かにPさんに負けるのは仕方ないですね」

ありす「私まだ小学生ですし、知識で負けちゃうのは当然ですよね……」

685: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 01:00:04.75 ID:9Y52F3Oro
ありす「でもやっぱりちょっと悔しいです」

モバP「よしよし」

ありす「もう……撫でたら機嫌が直るわけじゃないんですよ?」

モバP「じゃあ止めるか?」

ありす「今止めちゃったら、余計に機嫌悪くなっちゃいそうです」

モバP「じゃあいいじゃないか」

ありす「えへへ……」


紗南「あーPさん丁度良かった、ゲームの相手してよ相手」

紗南P「え、来て急になんだ?」

紗南「いや、やってた相手が二人の世界に行っちゃってさー」

686: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/23(日) 01:00:36.59 ID:9Y52F3Oro
日菜子「あっちは楽しそうですねぇ」

日菜子P「あーそうだな。仕事はいいのかって思うが」

日菜子「ところでプロデューサーさんは、もじぴったんのテーマ曲知ってますか?」

日菜子P「あっちのゲーム中に流れてたやつか? 歌詞はよく聞こえなかったが」

日菜子「そうですそうです。あの曲、色々と妄想を掻き立てられる曲なんですよねぇ、むふふ」

日菜子P「そうなのか?」

日菜子「プロデューサーさんも是非聞いてみてください」

日菜子「出来れば日菜子のことを考えながら……むふふ」



第五十三話 完

690: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:24:38.10 ID:HC4NeBuJo

~第五十四話~
 

691: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:25:08.75 ID:HC4NeBuJo
ありす「…………」ペラリ

モバP「おはようありす」

ありす「あ、Pさんおはようございます」

モバP「読書中だったか、邪魔だったかな」

ありす「いえそんな……Pさんが邪魔だなんてことないですよ」

モバP「趣味が読書だっけ。なんか感心するよ」

ありす「えっ、何でですか?」

モバP「いや俺がありすくらいのころは、本なんか読まずに遊んでばっかりだったからな」

ありす「そんな……好きで読んでいるだけですし」

692: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:25:36.12 ID:HC4NeBuJo
モバP「まあ流石にこの歳になったら、色々と読むようになったけど」

モバP「ありすはミステリーが好きなんだっけ」

ありす「はい、そうです」

モバP「俺そっちのジャンル全然読まないからな」

モバP「何かオススメとかあるのか?」

ありす「オススメですか?」ガタッ!

モバP「うおっ」

ありす「それならこれなんてどうでしょう!」

ありす「読みやすいし面白くて、あまり読み慣れてなくてもスラスラ読めると思います」

693: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:26:04.58 ID:HC4NeBuJo
ありす「それから他にもこれとか……」

ありす「えっと、それからそれから……」

モバP「解った、解ったから落ち着けありす」

ありす「あ、すいません……」

ありす「Pさんが興味を持ってくれたらって思うとつい……」

モバP「まあ同じ趣味のやつが身近に出来ると嬉しいもんな」

ありす「はいっ」

ありす「Pさんと本のことでお話する機会が増えたらなって……えへへ」

モバP「せっかくだから何か一冊読もうかな」

ありす「はい、是非どうぞ」

694: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:26:32.29 ID:HC4NeBuJo
モバP「……」ペラリ

ありす「……」

モバP「……ふむ」

ありす「……」ジーッ

モバP「ありす、そんなに見つめられると気になるんだが」

ありす「え、あ……ごめんなさい」

モバP「いやまあいいけどさ、どうしたんだ?」

ありす「Pさんが今どこ読んでいるのか気になっちゃって……」

モバP「気持ちは解らんでもないが……」

695: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:26:59.12 ID:HC4NeBuJo
モバP「っと、もうそろそろ仕事の時間だぞありす」

ありす「あ、そうですか……」

モバP「続きは家に帰って読むとするか」

ありす「絶対読んでくださいね? きっと面白いですから」

モバP「解った解った」

ありす「あ、他にも貸しましょうか? Pさんにも読んで欲しいのが……」

モバP「と、取り敢えず一冊でいいから、な?」

ありす「そうですか……」

ありす「もし他にも読みたくなったら言ってくださいね!」

モバP「おう」

696: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:27:35.07 ID:HC4NeBuJo
~P宅~

モバP「うげぇ……残ってた仕事終わらせてたらこんな時間か」

モバP「ありすに貸してもらった本の続きも気になるが……」

モバP「正直疲れた……寝る」



モバP「――というわけで、まだ読んでないんだ」

ありす「そう……ですか……お仕事が忙しかったのなら……仕方ないですね……」

モバP(ああ、ありすに動物の耳と尻尾がついてたら、間違いなく垂れてるくらいしょんぼりしてる)

モバP「ほんっとうにすまん」

ありす「いえ、謝らないで下さい。疲れてるのに無理するのなんて、私も嫌です」

モバP「でもありすもがっかりしてるだろ?」

ありす「そ、それは……正直そんな気持ちはありますけれど……」

697: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:28:08.30 ID:HC4NeBuJo
モバP「だろうなぁ、ありす凄い嬉しそうだったもんな」

ありす「そ、そんなにでしたか……?」

モバP「そんなにだったぞ」

ありす「うぅ……だ、だって、学校の友達じゃこういう本を読む子いませんし……」

モバP「まあ小学生でミステリー系の本読む子なんて、少ないだろうなぁとは思うな」

ありす「だからお話も出来なくて、ちょっと寂しくて……」

モバP「ちょっと時間を見つけては読むべきだったなー」

ありす「あ、あのPさんあんまり気にしないでください」

698: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/24(月) 02:28:36.22 ID:HC4NeBuJo
ありす「本ってやっぱり、読みたいときに気楽に読むものだと思いますから」

ありす「それに……いつかはちゃんと読んでくれますよね? 約束しましたから」

モバP「ああ、流石にありすとの約束を破るわけにはな」

モバP「今日にでも帰ったら絶対読んでおく」

ありす「楽しみにしてますね、Pさんと一緒にお話出来るのを」

モバP「おう任せとけ」

ありす「それとあの……」

ありす「いつか一緒に、本を選んだり読んだりしましょうね」

モバP「ああ、そういうのも楽しそうだな」

ありす「えへへ……いつかPさんとしてみたかったんです」

ありす「楽しみにしてますから……」



第五十四話 完

703: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:50:24.06 ID:dSj8KW9Eo

~第五十五話~
 

704: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:50:56.28 ID:dSj8KW9Eo
ありす「おはようございます」

モバP「おうありす、今日の仕事の予定だけど」

ありす「あ、はい」

モバP「LIVEバトルがあるから、あとで衣装合わせするぞ」

ありす「LIVEですか、解りました」

モバP「ちなみに何か衣装に希望はあるか?」

ありす「えっ? いえ、特には……」

モバP「せっかくだから前に貰ったウェディングの衣装使うか?」

モバP「結構あれ反響がよかったぞ」

705: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:51:23.38 ID:dSj8KW9Eo
ありす「あ、えっと……遠慮しておきますね」

ありす「次にあれを着る時はやっぱりPさんと……」

ありす「えへへ……ダメですか?」

モバP「いやありすがそう言うなら、そうするさ」

モバP「んじゃLIVE衣装、今から一緒に決めるか」

ありす「はい」

モバP「とびきり可愛いの選んで快勝だな」

ありす「頑張りますね」

706: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:51:51.24 ID:dSj8KW9Eo
モバP「よしここが会場だ」

ありす「お、お客さんたくさんいますね……」

モバP「ここで勝ったらまたファンが沢山増えるはずだ」

モバP「大事なバトルだ、頑張ってくれありす!」

ありす「はいもちろんです」

モバP「勝ったら何かご褒美をあげるぞー、なんてな」

ありす「ふふ、期待しています」

ありす「それじゃあ行ってきます」

モバP「おう!」

707: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:52:18.89 ID:dSj8KW9Eo
『それでは登場していただきましょう、橘ありすさんです!』

ありす「よろしくお願いしますね」


ありす(頑張って勝たなきゃ……)

ありす(勝ったらPさんも喜んでくれる……)

ありす(負けられない……!)


『さぁっ、勝敗の結果は!?』




 

708: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:52:46.50 ID:dSj8KW9Eo
ありす「…………」

ありす「負けちゃった……ぐすっ」

ありす「負けたら……Pさんに褒めて貰えないのに……負けたら……」

ガチャ

モバP「ありす、いるか……?」

ありす「あ……Pさん……」

ありす「ごめ……ごめんなさい、私……負けちゃって……ひっく」

モバP「そんな気にするな、泣くほどのことじゃない」

ありす「で、でもっ……Pさんが応援してくれて……えぐっ」

ありす「大事な試合だって、言われたのに……私……うぁぁぁ……」

709: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:53:13.79 ID:dSj8KW9Eo
モバP「あーもう、顔が涙でぐしゃぐしゃだ」

ありす「ひっく……ひっく……すいません……」

モバP「よしよし、落ち着け落ち着け」

ありす「あ……なでなでしてくれるんですか……?」

モバP「ありすは頑張ったからな」

ありす「負けちゃったのに……?」

モバP「そりゃあ勝てば一番いいけど、負けてありすに泣かれるのは一番困る」

ありす「ご、ごめんなさい」

モバP「別に責めてないって、ただ負けてもそんな気負うことはないさ」

710: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:53:41.14 ID:dSj8KW9Eo
ありす「でもやっぱり、Pさんのためにも勝ちたかったです……」

モバP「そう言ってくるのは嬉しいぞ」

モバP「ま、今回は相手が悪かったと思って、気持ちを切り替えろ」

ありす「はい……」

モバP「それにしても……」

ありす「なんですか?」

モバP「LIVEバトルに負けただけで泣いちゃうなんて、ありすは泣き虫だなぁ」

ありす「だ、だって……本当に悔しかったんだもん……」

711: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/25(火) 01:54:07.77 ID:dSj8KW9Eo
ありす「Pさん、もう大丈夫です」

モバP「お、そうか。じゃあ帰るか?」

ありす「はい、ありがとうございますPさん」

ありす「次からはもうちょっと、楽に臨もうと思います」

モバP「おう、そうしておけ」

モバP「まあ大丈夫だ。俺のありすの良さは、俺が一番知ってるからな」

ありす「えへへ……そうですね、それだけで十分です」

ありす「Pさんの一番なら、それで……」


第五十五話 完

717: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:06:54.17 ID:WVaKLITSo

~第五十六話~


大石泉(15)

718: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:07:21.89 ID:WVaKLITSo
ありす「あっ……えい……」

モバP「お、ありすゲームしてるのか?」

ありす「Pさん、今集中してますから話しかけないでくださいっ」

モバP「す、すまん……」

ありす「んっ……ここで……!」

ありす「やった……ステージクリア」

モバP「もう大丈夫か?」

ありす「あ、はい……さっきはすいません」

モバP「いや、まあいいけどな」

719: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:07:49.16 ID:WVaKLITSo
モバP「でもそんな熱中するなんて、そんな面白いゲームなのか?」

ありす「とっても面白いですよ。昨日たまたま見つけたんです」

モバP「へえ、買ったのか?」

ありす「いえフリーゲームです」

モバP「ふうん、じゃあ俺もやってみようかな。なんていうタイトルなんだ?」

ありす「えっと……」


泉「おはようございまーす」

モバP「ん、泉ちゃんかおはよう」

ありす「おはようございます泉さん」

720: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:08:29.14 ID:WVaKLITSo
泉「ん、おはようありすちゃん、それとプロデューサーさん」

泉「さくらと亜子はまだ来てないのかな」

モバP「まだ見てないな」

泉「そっか、じゃあ来るまで何か暇つぶしに……」

泉「あれ、ありすちゃんのしてるそのゲーム……」

ありす「あ、泉さんもしてみますか? とっても面白いですよ」

泉「ふふっ、ありがとう。そう言ってくれると嬉しいわ」

ありす「え?」

モバP「それってつまり?」

泉「それ作った……というかプログラムしたの私だから」

721: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:08:56.39 ID:WVaKLITSo
モバP「えっ、まじで」

ありす「そ、そうなんですか……!? 凄いですね……」

泉「そうでもないわ。結構単純なゲームだったでしょ」

泉「プログラム自体は簡単なものよ。ブロック崩しやテトリスくらいに」

モバP「俺にはそれすら作るのが大変そうに思えるんだが」

泉「あはは、プログラミングやってない人にはそうかもしれないわね」

泉「言ってしまえば、その二つはゲームプログラミングのチュートリアルみたいなものだから」

ありす「あ、あの……どうやって作ってるんですか?」

泉「ん、気になるなら見てみる?」

ありす「はい!」

722: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:09:23.49 ID:WVaKLITSo
泉「こんな感じでソースコードを書いて……」

泉「って言っても、見ただけじゃ意味は解らないと思うけど」

ありす「はい……さっぱりです」

泉「流石に書いてあること全部を説明している暇はないからね」

泉「まあゲームがどう動くかを決める設計図みたいなもの、と思ってくれたらいいわ」

ありす「わ、解りました」

泉「で、これを実際にPC上で実行すると……」

ありす「わぁ……ゲームが動いてます」

723: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:09:50.38 ID:WVaKLITSo
ありす「わ、私にも出来るんでしょうか?」

泉「もちろん。私だって最初から出来たわけじゃないもの」

泉「このくらいならすぐ出来るようになると思うわ」

モバP「でもよく出来てると思うよ。正直お金取れるんじゃないか?」

泉「流石に褒めすぎよ。私くらいのを作る人なんて沢山いるもの」

泉「確かに、亜子が売ろうとしたことあったけど……」

モバP「はははっ」

ありす「泉さん、私に色々教えてくれませんか?」

泉「構わないわ」

泉「と言っても時間もそんなに無いと思うから、あんまり教えれないと思うけど」

724: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:10:17.53 ID:WVaKLITSo
泉「……っともうこんな時間」

泉「そろそろさくらと亜子も来ると思うから、ここまでね」

ありす「あ、解りました。ありがとうございます」

泉「もし興味をもったのなら、私の持ってる参考書貸してあげるけど……」

ありす「お願いしますっ」

泉「うん解った。じゃあ今度持ってくるわね」

ありす「わざわざ済みません」

泉「ううん、こうやって興味持ってくれる人が増えてくれるのは嬉しいわ」

泉「それじゃあね」

725: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:10:45.47 ID:WVaKLITSo
モバP「ありす、どうだった?」

ありす「あ、Pさん」

モバP「結構熱心にやってたみたいだから、眺めてただけだったよ」

ありす「なんていうんでしょうか……こうパズルを解いてるみたいです」

モバP「へえ、パズル?」

ありす「正しくプログラムを動かすためにどうやればいいか試行錯誤して」

ありす「そして正解を見つければ、自分の思った通りに動く」

ありす「このあたりがパズルみたいに感じました」

モバP「なるほどね」

ありす「自分で言うのもなんですが、結構向いてるのかもしれません」

726: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/26(水) 01:11:13.53 ID:WVaKLITSo
モバP「つーことは、ありすもいつか泉ちゃんが作ったようなゲームを作るのか」

ありす「作れたらいいなーとは思いますけれど……」

ありす「さっき色々と教えてもらいましたけど、やっぱり難しいです……」

ありす「まだまだ、出来るようになるまで時間がかかりそうです」

モバP「でもありすがどんなゲーム作るか、ちょっと楽しみだな」

ありす「ふふっ、ありがとうございます」

ありす「もし何か作ったら、Pさんに一番始めにプレイしてもらおうかな?」

モバP「よし任せとけ、期待してるからなっ」

ありす「あ、あんまり期待されるのも困りますけど……頑張ってみますね」



第五十六話 完

730: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:12:03.60 ID:JpY89fjfo

~第五十七話~


佐久間まゆ(16)

731: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:12:47.48 ID:JpY89fjfo
まゆ「うふふ……あとはこうして……」

まゆ「完成♪」

ありす「まゆさんそれって……セーターですか?」

まゆ「あらありすちゃん……うふふ、そうよ」

まゆ「バレンタインのときはマフラーを渡したから、今度はセーターにしたの」

ありす「サマーセーターですか。見せてもらっていいですか」

まゆ「はい、どうぞ」

ありす「凄い上手ですね……色々と細かいところも凝ってて」

まゆ「うふふ、ありがとう」

732: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:13:18.15 ID:JpY89fjfo
ありす「あれ、もう一着あるんですか?」

まゆ「これはまゆが着る用。お揃いなの」

ありす「私は編み物なんて全然したことないから、羨ましいです……」

まゆ「大丈夫、練習すれば簡単なのはすぐ作れるわよ」

まゆ「もしかしてありすちゃん、作ってあげたい人がいるのかしら?」

ありす「あ、えっと……」

まゆ「もしかしなくてもプロデューサーさんね?」

ありす「こんな風にお揃いのを渡したら、喜んでくれるかなって思って……」

まゆ「きっと喜んでくれるわよ」

まゆ「良かったらまゆが教えてあげる」

ありす「えっ、本当ですか?」

733: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:14:05.38 ID:JpY89fjfo
~数日後~

モバP「ありすーこの後予定あるか?」

ありす「ごめんなさいPさん……この後はちょっと」

モバP「あ、予定あるのか?」

ありす「はい……」

モバP「ここ数日ずっとだな。何かしているのか?」

ありす「えっと……ごめんなさい、秘密です」

モバP「秘密か……まあ仕方ないか、そういう事もあるよな」

ありす「あの……いつかPさんにも言いますから、今は……」

モバP「解った。またな」

734: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:14:57.32 ID:JpY89fjfo
モバP「……はぁ」

モバP「とは言ったものの、ここ数日ずっとありすの付き合いが悪い……」

モバP「……はぁ」

ちひろ「目の前でため息つかないでくださいよ。正直、鬱陶しいですよ?」

モバP「いや、そうはいいますがねちひろさん」

モバP「最近、ありすのやつが俺と一緒にいることが少なくなってきて」

ちひろ「反抗期にでもなったんじゃないですか?」

モバP「まさか! あんな良い子なありすが反抗期だなんて」

モバP「も、もしかして……もしかしてもう俺のこと……はぁ」

ちひろ(あんだけデレデレだったのに、それはない)

735: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:15:24.66 ID:JpY89fjfo
~翌日~

モバP「はぁ……」

ありす「Pさん、最近元気がないですよ……?」

モバP「あ、すまんありす……」

モバP「なあありす、最近仕事終わった後なにしているんだ?」

ありす「え、えっとそれは……」

モバP「何も言わずにこうも続くと心配でな、俺にも言えないことなのか?」

ありす「Pさんにもっていうか……Pさんだから言えないんです……」

モバP「え、俺だから?」

ありす「あ、あの、とにかくPさんが心配するようなことはありません」

ありす「だからその……元気だして下さい」

モバP「ううむ、ありすがそこまで言うなら信じるが……」

モバP「やっぱり気になるなぁ」

736: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:15:52.07 ID:JpY89fjfo
モバP「ありすは今日もどこか行ったか……何してるんだろうな?」

まゆ「こんにちは、ありすちゃんのプロデューサーさん」

モバP「えっと君は……まゆちゃん?」

まゆ「はい、まゆですよ」

モバP「珍しいね、まゆちゃんが話しかけてくるのって」

まゆ「うふふ、だってありすちゃんがすごく気にしてたから」

モバP「え、ありすが?」

まゆ「プロデューサーさん、心配しないで下さい」

まゆ「ありすちゃんは今、あなたのために頑張っているんですよ」

モバP「まゆちゃんはありすが今何してるのか知ってるのか?」

まゆ「はい、もちろん言うことはできませんけれど……」

737: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:16:19.28 ID:JpY89fjfo
モバP「そっか……けどまゆちゃんも一緒っていうなら、そんなに心配することはないか」

まゆ「うふふ……信用してくれてありがとうございます」

まゆ「もう少しだけ待ってあげて下さい。きっとびっくりしますから」

モバP「そうだな。少しは余裕を持たなきゃな」

モバP「……で、こっそり内緒で教えてくれたりしない?」

まゆ「うふふ……駄目です♪」

モバP「やっぱ駄目かぁ」

まゆ「そんなことしたら、まゆがありすちゃんに怒られちゃいます」

まゆ「それじゃあまゆはこれで」

モバP「うん、ありがとう」

738: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:16:46.89 ID:JpY89fjfo
ありす「……えっと、ここはこうして」

まゆ「うん、良い感じ。これならもう少しで完成しそう」

ありす「本当ですか?」

まゆ「ありすちゃん、本当によく頑張ったわね」

ありす「そんな……まゆさんが親切に教えてくれたからです」

ありす「Pさんには随分心配かけちゃったみたいですけれど……」

まゆ「でも羨ましい……ありすちゃん、あんなに心配してもらえて」

まゆ「まゆもあんな風に心配してもらえるのかな……」

ありす「まゆさん?」

まゆ「うふふ、ごめんなさい。早く完成させちゃいましょうか」

739: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:17:15.81 ID:JpY89fjfo
~後日~

モバP「ん、お前夏なのにセーター着てんの?」

まゆP「これはサマーセーターだよ。夏に着るものなの」

モバP「なるほど、でもなんでまた?」

まゆP「いやまゆからプレゼントされてな。お揃いだって」

モバP「へー、羨ましいねえ。マフラーも貰ってただろ」

まゆP「いいだろ? やらねえぞ、まゆは俺のだからな」

モバP「あーはいはい、良かったな」


モバP(……とはいえ羨ましいのは事実)

740: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:17:44.68 ID:JpY89fjfo
ありす「あのPさんこれ……」

モバP「ん、なんだこれ?」

ありす「あ、開けてみて下さい」

モバP「っと……これはセーター?」

ありす「サマーセーターです……」

モバP「もしかして、最近付き合いが悪かったのは……」

ありす「あ、はい……これを作ってて」

ありす「教えても良かったんですけれど……どうせなら、びっくりさせたくて」

モバP「…………」

ありす「あの、Pさん……?」

モバP「ありすうううっ! ありがとなぁぁっ!」

ありす「わわっ……」

741: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:18:39.88 ID:JpY89fjfo
モバP「いやぁ、マジで嬉しい。本当にありがとう」

ありす「そ、そんなにですか……? 正直、あんまり上手くできなくて」

モバP「いやいや、そんなの関係ないって」

モバP「でもなんで赤色なんだ? ちょっと派手な気もするが」

ありす「あ、まゆさんに教えて貰ったんですけれど……まゆさんが赤の糸がいいって」

モバP「ああ、なるほど……だからあの時まゆちゃんが」

ありす「Pさん、着てみてくれますか?」

モバP「おう」


ありす「どう、ですか?」

モバP「んー少しサイズが大きいか?」

ありす「あぅ……ごめんなさい」

742: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/27(木) 02:19:08.28 ID:JpY89fjfo
モバP「まあほんの少しだし、問題はないさ」

モバP「ありがとなありす、頑張ってくれて」

ありす「えへへ……」

ありす「本当はお揃いにしたかったんですけど……流石に二着作るのは大変で」

モバP「まあいいさ。それなら今度、一緒に何かお揃いのものを買いに行くか?」

ありす「はいっ」

ありす「その時は……それ着てきてくださいね?」

モバP「おう!」



第五十七話 完

748: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:52:57.99 ID:uTkLnODFo

~第五十八話~
 

749: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:53:26.18 ID:uTkLnODFo
モバP「うーむ……」

ちひろ「どうしたんですか? さっきからずっと唸ってますが」

モバP「実はですね、最近ありすの世話になりっぱなしで」

モバP「何かお返ししないとなぁって思ってるんですけど、何にするべきか悩んでて」

モバP「ちひろさん、何かいい案あります?」

ちひろ「プロデューサーさんからのなら、ありすちゃん何でも喜ぶんじゃないんですか」

モバP「そんな適当に答えないでくださいよ」

ちひろ「割りとマジに答えたつもりなんですけど」

750: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:54:47.75 ID:uTkLnODFo
ちひろ「セーターとか貰ったんでしたっけ?」

モバP「ええ、いいでしょうこれ?」

ちひろ「あ、自慢なら結構です」

ちひろ「で、時々ご飯を作ってもらったり家の掃除をしてもらったり」

モバP「ほぼ毎日になりかけてますね、最近は」

ちひろ「最近はよくお菓子の差し入れもありますね」

モバP「いやー、どんどん美味くなっていってるんですよ、ありすったら」

ちひろ「まるで通い妻ですね」

モバP「ははは、言われてみればその通りかもしれません」

751: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:55:17.54 ID:uTkLnODFo
ちひろ「12歳の子にここまで甲斐甲斐しくされる、プロデューサーさんの駄目っぷりに驚きを隠せません」

モバP「い、いや一人でもある程度出来ますよ? 出来ますけど……」

ちひろ「何ですか?」

モバP「ありすがやってくれるからついつい……あはは」

ちひろ「はぁ……相手はまだ小学生だというのに」

モバP「だ、だからこうやって何かお返しを考えてるんですって」

ちひろ「もう本人に直接聞いたらどうですか」

モバP「改めて聞くのもなんか変じゃないですか」

ちひろ「まあそうですけど……私はありすちゃんじゃないので解りませんよ」

752: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:55:45.22 ID:uTkLnODFo
モバP「まあ……そうですよねぇ」

ちひろ「お休みに一緒にデートとかしたらどうですか」

ちひろ「大抵喜ばれると思います。ありすちゃんなら尚更」

モバP「オフの日もいつも一緒にいますから……それじゃあいつもと変わらないと思うんです」

ちひろ「あーそうですか。じゃあ知りませんよ」

モバP「ちょっとちひろさん、こっちは真剣に悩んでるんですよ?」

ちひろ「こっちにしたらただ惚気られてるようにしか聞こえません」

モバP「そんなつもりはないんですけど」


ありす「おはようございます」

モバP「お、ありすおはよう」

ちひろ「……おはようありすちゃん」

753: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:56:23.56 ID:uTkLnODFo
ありす「……? あのちひろさん、どうしたんですか?」

ありす「少し機嫌が悪いような気がするんですが……」

モバP「別にありすが気にすることじゃ……」

ちひろ「プロデューサーさんが、ありすちゃんに何かお返しがしたいっていうから相談に乗ってただけですよー」

モバP「あ、ちょっと言わないでくださいよ」

ちひろ「いーじゃないですかーべつにー」

ありす「お返し……ですか? 私に?」

モバP「色々と世話になってたからなぁ」

ありす「そんな、気にしなくてもいいんですよ?」

モバP「そうは言ってもだな……こう男の矜持に関わるというか……」

ちひろ「小学生のお世話になってる時点で、男として駄目ですよ」

モバP「ち、ちひろさん……なんだか今日は辛辣じゃないですか?」

ちひろ「そーですかー?」

754: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:56:51.02 ID:uTkLnODFo
ありす「あ、あの……Pさん」

ありす「前にも言いましたけど別に私が好きでやってることですから……」

ありす「Pさんが駄目だなんて、そんなこと絶対にないです。私が保証します」

モバP「ありすー、お前は優しいなぁ」

ありす「あ、えへへ……」

モバP「よーし、今日はずっと一緒にいてやるからなー」

モバP「あ、ちひろさん相談に乗ってくれてありがとうございました」

ちひろ「いーえ、どういたしましてー」

755: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:57:20.22 ID:uTkLnODFo
ちひろ「やっといなくなりました……ふう」

日菜子P「むむむ……」

ちひろ「と思ったら、また別のプロデューサーさんが……」

日菜子P「ああ、ちひろさんちょうどいい所に」

ちひろ「何ですか?」

日菜子P「最近、日菜子がわざわざ休日を俺に付き合ってくれることが多くて」

日菜子P「何かお返しをするべきか悩んでるんですよ」

ちひろ「……またですか」

日菜子P「何か?」

ちひろ「いえ、何も」

756: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:57:50.70 ID:uTkLnODFo
日菜子P「それでお返しって何をするべきでしょうかね?」

日菜子P「プレゼントをあげるにしても、女の子って何をあげれば喜ぶのか解らないんです」

ちひろ「あーもう、デートでも誘えばいいんじゃないですかね」

ちひろ「喜びますよ、ええ。もう間違いなく」

日菜子P「はぁっ? 何言ってるんですか、そんなので日菜子が喜ぶとは思えませんが」

ちひろ「…………」

日菜子P「え、何言ってんのこの人頭大丈夫? みたいな顔しないでください」

ちひろ「すいません、顔に出てましたか」

日菜子P「マジで思ってたんですか」

757: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 02:58:24.14 ID:uTkLnODFo
ちひろ「ちょっと聞きますが、なんで日菜子ちゃんが休日にプロデューサーさんを誘ったと思っているんですか?」

日菜子P「え、そりゃ何かあったとき俺と一緒にいたほうが何かと便利だから……」

ちひろ「何かとプロデューサーさんにアプローチかけているのは?」

日菜子P「いつか来る王子様とやらのための予行練習じゃないですか?」

ちひろ「……本気で言ってます?」

日菜子P「……それ以外にあるんですか?」

ちひろ「……うわぁ」

日菜子P「何ですか、ちょっと傷付くんですけど」

ちひろ「あ、申し訳ありません。あまりの衝撃に」

758: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 03:00:08.16 ID:uTkLnODFo
日菜子P「何ですか、なにか知ってるなら言ってくださいよ」

ちひろ「ここで私から言うのは、日菜子ちゃんに申し訳ないので」

ちひろ「プロデューサーさんはもう一度、今までの日菜子ちゃんとのやり取りをよく思い返すべきだと思いますね」

日菜子P「はぁ……?」

ちひろ「では私はこれで……」



日菜子P「むう……ちひろさんも知ってるなら言ってくれれば」

日菜子「むふふ、プロデューサーさんおはようございます」

日菜子P「あ、日菜子かおはよう」

日菜子「ちひろさんと何か話してたんですかぁ?」

日菜子P「いや何か、日菜子とのやり取りをよく思い返せって言われてな」

日菜子「むふふ……確かにそうして貰えるとありがたいですねぇ」

759: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/28(金) 03:00:36.45 ID:uTkLnODFo
日菜子P「なんだよ日菜子まで。何か日菜子に変なことしたっけ?」

日菜子「いえ、何もしてないですねぇ」

日菜子P「じゃあなんで……うーん」

日菜子「むしろしてこないからなんですけれど……むふふ」

日菜子P「えっ? なにか言ったか?」

日菜子「……これを機に気付いてくれるでしょうか、日菜子の王子様は」

日菜子「むふふ……」

日菜子P「うーん……確かに言われてみればなんだか……」



第五十八話 完

764: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:48:02.33 ID:CeL3CrPqo

~第五十九話~
 

765: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:48:30.08 ID:CeL3CrPqo
ありす「もうっ、なんでPさんは解ってくれないんですか!」

モバP「そうは言ってもだな、このままなのは……」


ちひろ「何ですか? 事務所で夫婦喧嘩しないで欲しいんですけど」

モバP「あ、ちひろさんいいところに」

ありす「そんな……夫婦だなんて、えへへ……」

モバP「ちょっとちひろさんからも、ありすに言ってあげてください」

ありす「いえ、これはPさんに非があると思います」

ちひろ「はいはい、一応聞いてあげますけど喧嘩の原因はなんですか?」

766: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:49:11.56 ID:CeL3CrPqo
モバP「実は流石に俺も、ありすに頼り過ぎだと思ったんですよ。それで……」

ありす「Pさんったら、しばらくのあいだ私にお世話しなくてもいいっていうんです」

ちひろ「はあ、それで?」

ありす「それだけです」

ちひろ「はい? どこに喧嘩する要素があるんですか」

モバP「いや、ありすが頑なにするって聞かなくて」

ありす「大体前にも言ったばかりじゃないですか」

ありす「私が好きでやってることだから、気にしなくていいって」

767: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:49:41.50 ID:CeL3CrPqo
モバP「そうは言うけどな。ちひろさんにああも不甲斐ないって言われたら」

モバP「俺だって気にする。というか男として大人として気にする」

ちひろ「まあ事実、駄目男なのは間違いないですよね」

ありす「……ちひろさんが余計なこと言うから」

ちひろ「え、私のせいですか? 私悪くないですよね? 至極真っ当な事を言っただけですが」

ありす「とにかく、Pさんのお世話をするのはもう私の生活の一部のようなものです」

ありす「いきなりするなと言われても困ります」

モバP「そう言ってくれるのはありがたいが……それに頼りきりなのはやっぱりな……」

ありす「うぅ~……Pさんは余計なことを気にしすぎですよぉ。周りなんてどうでもいいじゃないですか」

モバP「男はな、見えっ張りなんだよ」

768: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:50:34.76 ID:CeL3CrPqo
モバP「そうだ、ありすお前俺の家の合鍵渡してたよな? 今持ってるか?」

ありす「はい、もちろん持ってます」

モバP「ちょっと貸してくれ」

ありす「別にいいですけど……どうしたんですか突然?」

モバP「はい、没収」

ありす「えっ……?」

モバP「持ってたら来るなって言っても来そうだからな」

ありす「Pさん……流石にそれは酷くないですか?」

モバP「別に二度と来るなってわけじゃないぞ?」

モバP「ただありす、お前だって自分のために色々と時間を使って欲しいってのもあるんだ」

モバP「しばらくは俺のことなんか気にせずに過ごしてみろよ」

ありす「そんな……急に言われても……」

769: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:51:02.97 ID:CeL3CrPqo
モバP「俺も最近ありすに頼りすぎて、一人で生活出来るかも怪しくなったからな」

ありす「別にいいじゃないですか、私がいるんですから」

モバP「何があるか解らないだろ? 仕事で海外に行くことだってあるかもしれないんだから」

ありす「そしたら私もついていきます」

モバP「ついて行けるとは限らないだろ?」

ありす「そ、それでも……!」

モバP「そんな大げさに考えるなって。俺に使ってた時間を自分のために使えばいいんだよ」

モバP「はいはい、この話はお終いな」

ありす「あ、Pさん……!」

770: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:51:38.10 ID:CeL3CrPqo
ありす「行っちゃった……」

ちひろ「えーっとありすちゃん……」

ちひろ「一応プロデューサーさんも、ありすちゃんのためを思ってだろうし元気だして……」

ありす「うぅ~~……」

ちひろ「ありすちゃん?」

ありす「ちひろさんのばかぁぁっ……!」

ちひろ「あ、ちょっとどこに……?」

ちひろ「え、ていうか私悪くないですよね? そりゃ私の言った一言が原因みたいですが」

ちひろ「まあどうせすぐ仲直りするでしょう……」

ちひろ「フォローまでしたのに……夫婦喧嘩は犬も食わないとはよく言ったものです」

771: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:52:06.29 ID:CeL3CrPqo
~翌日~

モバP「さーって昼飯だな」

ありす「Pさんお昼のお弁当は……」

モバP「あー今日は自分で用意してきたんだよ」

ありす「えっ?」

モバP「昨日言っただろ? わざわざ作ってもらうのも大変だろうしな」

モバP「ありすももっと自分のことに時間を――」

ありす「せっかく作ったのに……要らないんですね……」

モバP「……まあ、作ってきちゃったものは仕方ないから、貰おうかな」

ありす「あ……えへへ……はいどうぞ、今日も美味しくで来てるといいんですが」

モバP(ああ、こういうところが駄目なんだろうなぁ俺……)

モバP(次こそはしっかりしないと)

772: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:52:33.86 ID:CeL3CrPqo
モバP「しっかりしないと、そう思っていたのに」

モバP「なんでありすは俺の家にいて、しかも晩飯を作っているのだろう?」

ありす「何か言いましたか?」

モバP「あ、いや美味そうな匂いがしてるなーと」

ありす「もうちょっと待っててくださいね」

モバP「おかしい。少しは一人でやっていけるように頑張るつもりだったのに」

ありす「Pさん、出来ましたよ」

モバP「おう、ありがとう。うん、美味そうだな」

ありす「えへへ、最近お母さんにも色々と教えてもらってるんです」

モバP「そうかそうかー」

773: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:53:01.26 ID:CeL3CrPqo
モバP「でも俺だって飯くらい一人で作れるし、ありすも自分のしたいことがあるのなら……」

ありす「……一人じゃ何してもつまらないです」

モバP「しかし……わざわざ俺の世話をしなくてもだな」

ありす「いいんです。これが私にとって一番幸せな時間ですから」

モバP「んな大げさな」

ありす「私は大げさでもなんでもないつもりですよ?」

ありす「こうやってPさんと一緒にいて」

ありす「こうやってPさんのために何かするのが、もう私には生き甲斐みたいなものです」

モバP「そっか。なんかすまんな」

ありす「だから、ちひろさんに言われたことなんて気にしないでください」

ありす「私は一緒にいてくれるのが、一番嬉しいです」

774: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:53:40.12 ID:CeL3CrPqo
~翌日~

モバP「ありすー」

ありす「えへへ……Pさん」


ちひろ「ったく……あの二人は事務所でいちゃいちゃと」

ちひろ「予想通りすぐ仲直りしてるし……私が一番損した気分です」

ちひろ「文句の一つでも言わなきゃ気がすみませんよ……」

モバP「ちひろさん、何か言いましたかー?」

ちひろ「いーえ、別に! ただプロデューサーさんは相変わらず甲斐性が無いと思っただけです!」

775: ◆cFFmUxF1p6 2013/06/29(土) 02:54:32.11 ID:CeL3CrPqo
モバP「いやー、もう私生活の面では諦めました」

ちひろ「は?」

モバP「ありすが好意で世話してくれるのを、無下にするのもあれですし」

モバP「俺は仕事のほうで頑張ることにしますよ」

ちひろ「はあ……そうですか」

モバP「つーわけで営業に行ってきます。ありすの仕事取ってこないと」

ありす「頑張ってきてくださいねPさん」

モバP「おう、任せとけ!」


ちひろ「……なんでしょう、このやりきれない気持ちは」



第五十九話 完

784: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:55:27.00 ID:x5ViaRZSo

~第六十話~
 

785: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:56:11.87 ID:x5ViaRZSo
モバP「ほうこれは中々」

仁奈「すげーですか?」

モバP「確かに仁奈ちゃんが言うだけはある」

仁奈「フワフワのモフモフですよ!」

モバP「なんていうか、クセになりそうな触り心地だ」

仁奈「プロデューサーが、次の仕事のために用意したのでごぜーますよ」

モバP「あいつ、キグルミ選ぶセンスあるなぁ」

仁奈「仁奈も感心するですよ」

仁奈「って、あれはありすおねーさんじゃないですか?」


モバP「ほんとだ、どーしたんだありす?」

ありす「……Pさん、何しているんですか?」

786: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:56:41.55 ID:x5ViaRZSo
モバP「いつからいたんだ? 声かけてくれればよかったのに」

ありす「だって……何か声かけづらかったから……」

モバP「ん?」

ありす「いえ……それで何をしてたんです?」

仁奈「ありすおねーさんも触ってみるですか?」

ありす「え、何を……?」

仁奈「仁奈の新しいキグルミでごぜーます!」

モバP「嬉しいのか、さっきから色んな人に触らせてるみたいだ」

ありす「な、なるほど……そういうことだったんですか」

787: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:57:08.87 ID:x5ViaRZSo
仁奈「はやくはやく♪」

ありす「じゃ、じゃちょっとだけ……」

ありす「わぁ……ふわふわしてて」

仁奈「気持ちいーですか?」

ありす「う、うん……これ凄いですね、触り心地がとてもクセになります」

モバP「だろ? 俺も驚いたよ」

仁奈「仁奈もすぐお気に入りになったですよ!」

仁奈「ありすおねーさん、着たらもーっと気持ちいーですよ?」

ありす「えっ、私が着るって……これをですか?」

788: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:57:55.70 ID:x5ViaRZSo
仁奈「嫌ですか……?」

ありす「あ、嫌っていうか、その……私じゃ仁奈ちゃんのサイズは小さくて入らないし……」

仁奈「それなら問題ねーですよ! 仁奈のプロデューサーなら色んなキグルミ持ってるですよ!」

仁奈「サイズも色々ありやがるです」

モバP「あいつ、仕事が高じてキグルミ集めが趣味にでもなったのか」

仁奈「おかげで仁奈は色んなキグルミ着れてうれしーです」

ありす「で、でも私には多分仁奈ちゃんと違って似合わないし……」

モバP「いやあ、そんなことないだろ」

ありす「Pさんまで……うぅ……」

モバP「それに俺もちょっと見てみたいしな」

ありす「み、見てみたいんですか……?」

モバP「そりゃあもちろん」

789: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:58:22.80 ID:x5ViaRZSo
ありす「じゃ、じゃあ……ちょっとだけ、なら……」

モバP「よし決まりだ!」

仁奈「さっそくプロデューサーのとこに行きやがります!」

ありす「え、あ、あのちょっとだけですよ……! やっぱりちょっと恥ずかしいんですから……」

モバP「さーてどんなのがいいかなぁ。ていうかどんなキグルミがあるんだ?」

仁奈「そりゃもういーっぱいです」

仁奈「可愛いのからカッコいいのまで何でもありやがるんです!」

モバP「ほう、そりゃ楽しみだ。ありすに似合いそうなのも沢山ありそうだ」

仁奈「きっと沢山あるですよ! ありすおねーさん、いっぱい着てみてくだせー!」

ありす「え、えっと……う、うん」

790: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:58:51.43 ID:x5ViaRZSo
仁奈P「なるほど、話は解った」

モバP「それでオッケーなのか?」

仁奈P「ああ、もちろんだとも! さあ、僕のコレクションの中から好きなのを選ぶといい!」

仁奈「ばばーん!」

モバP「こりゃまた沢山あるな、本当に」

仁奈P「ありすちゃんが着れそうなのだと、この辺だね」

ありす「あ、あのー、私が自分で選んでもいいですか?」

モバP「ダーメ、俺が選ぶ」

ありす「そんなぁ……」

モバP「というわけでありす、俺が選び終わるまでちょっと向こう行ってなさい」

ありす「はぁ~い……」

791: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 00:59:49.80 ID:x5ViaRZSo
モバP「うーむ、ありすにはやはりこういうのが……」

仁奈P「いやいや、僕はこっちのほうが似合うと思うね」

モバP「は? 何いってんだよ、こっちとかこっちに決まってるだろ」

仁奈P「これだからキグルミの初心者は。ありすちゃんみたいな子はこういうのがいいんだ」

モバP「確かにキグルミに関しちゃ初心者かもしれないが、俺はありすのことなら他の誰よりも知ってるんだよ」

モバP「間違いなくありすに合うのはこっちだ!」

仁奈P「くっ……確かに君の言うことも一理あるが、ここは譲るわけには」

ありす「あの……喧嘩は……」

モバP「ありすは黙ってるんだ!」

仁奈P「ここは退けないところなんだ!」

ありす「あぅ……なんでこんなことに」

仁奈「プロデューサーは、たまーにこうやってキグルミに関して熱くなりやがります」

792: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:00:19.97 ID:x5ViaRZSo
モバP「俺が選んだやつのほうがいい!」

仁奈P「いいや、僕のだね!」

ありす「わ、解りました! どっちも着ます、着ますから!」

ありす「だから喧嘩は止めて下さい!」

モバP「ほんとか!? じゃあ、これとか……」

仁奈P「これとかも着てくれるんだね!?」

ありす「え、えっとその……」

モバP「着てくれるよなありす?」

ありす「は、はい」

793: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:00:51.06 ID:x5ViaRZSo
モバP「よーし、決まりだ!」

仁奈P「いやー、仁奈以外の子が着てくれるのは初めてだ、どんなのか楽しみだよ!」

モバP「おい、カメラとかないのか? ビデオもあると尚いい」

仁奈P「もちろんあるに決まってるじゃないか」

モバP「撮るぞ、ばんばん撮るぞ!」

ありす「さ、流石にそれはちょっと……あの、Pさん?」

モバP「ああ大丈夫大丈夫。撮るけどそれは、俺が個人的に楽しむだけだから」

ありす「そ、それが一番困るんですけれど……」

モバP「ほらそんなことより、着替えるんだありす!」

ありす「うぅ……解りましたよぉ……」

794: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:01:24.95 ID:x5ViaRZSo
ありす「あ、あの着替え終わりましたけど……」

モバP「早くこっち来て見せてくれよ」

仁奈「わくわくするでごぜーます」

仁奈P「こっちのスタンバイはばっちしだよ!」

ありす「うぅ……わ、笑わないでくださいよ?」

ありす「え、えっと……どう、ですか? Pさんが選んだほうを着たんですが」

モバP「おお……素晴らしいぞ」

仁奈P「確かに悪くない……」

仁奈「ありすおねーさん、可愛いですよー!」

795: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:01:52.00 ID:x5ViaRZSo
ありす「や、やっぱり撮るのはちょっと……」

モバP「何言ってるんだ、ほらくるっと回ってみて」

ありす「こう……ですか?」

モバP「うんうん、可愛いぞー! やっぱりこっちのがありすに似合ってるな」

ありす「あ、あんまり褒められると……は、恥ずかしいですよ」

仁奈「ありすおねーさん、他のも着てくだせー!」

ありす「こ、これで終わりじゃだめ……?」

モバP「駄目」

仁奈P「次は僕が選んだ奴を着て欲しいね」

ありす「わ、解りました」

796: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:02:22.13 ID:x5ViaRZSo
ありす「こ、こんな感じですが……」

モバP「なるほど……これも中々」

仁奈P「うんうん、やはり僕の眼に狂いは無かったようだ」

仁奈「ありすおねーさん、今度はカッコいいですよー!」

ありす「えと……ありがとう」

モバP「確かにこういうのもありだな。いや流石だな」

仁奈P「君こそ中々のセンスだったよ。勉強になった」

ありす「じゃ、じゃあもう終わりで……」

モバP「じゃあ次はこれだな!」

仁奈P「いやいや、これだろう!」

ありす「……あぁ、まだ続くんですか?」

797: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:02:48.87 ID:x5ViaRZSo
ありす「…………」

仁奈「ありすおねーさん、疲れたです?」

ありす「うん……いっぱい着せ替えさせられたし」

仁奈「楽しく無かったですか? ありすおねーさん、いっぱいモフモフされてたですよ」

ありす「うぅ……Pさんったら新しいの着るたびに、私ごとモフモフしてくるし……」

仁奈「可愛いしょーこでごぜーます」

ありす「わ、悪い気はしなかったですけれど……恥ずかしさで……」

モバP「ありすー、そろそろ帰るかー?」

ありす「あ、Pさん……はい、もう私疲れちゃいました」

モバP「いやーすまんすまん。つい熱中してしまった」

798: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/01(月) 01:03:23.98 ID:x5ViaRZSo
仁奈P「ごめんねありすちゃん。またよかったら遊びに来てね」

ありす「はい……なんだかんだで楽しかったです」

仁奈「ありすおねーさん、プロデューサーのおにーさんに褒められてすごいうれしそーだったです」

ありす「そ、それは……やっぱりPさんに可愛いって言ってもらえると……えへへ」

モバP「全くありすは可愛いやつだなー」

仁奈「次は仁奈と一緒にキグルミを着て仕事しやがりますよ!」

モバP「お、そりゃいいな。考えておくか」

ありす「も、もうPさん……私は正直勘弁してほしいです」

ありす「どうしてもっていうなら……Pさんの前だけでお願いします……」



第六十話 完

803: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:40:45.88 ID:F+FejjGho

~第六十一話~
 

804: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:41:16.58 ID:F+FejjGho
ありす「Pさん、Pさん」

モバP「どうしたありす?」

ありす「あの、これ見て下さい」

モバP「チラシ? 何々……夏祭りのお知らせ? へぇ、お祭りか」

ありす「私の家の近くでやるんですけれど……良かったら一緒に行きませんか?」

モバP「そりゃいいな。もちろんオッケーだ」

ありす「えへへ……それじゃあ今度のお休みの時に行きましょう」

モバP「そういや浴衣あったっけなあ」

ありす「普段着でもいいんじゃないですか?」

モバP「まあ雰囲気ってのもあるしな」

805: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:41:50.21 ID:F+FejjGho
~ありす宅~

ありす「浴衣……浴衣かぁ」

ありす「お母さん、私が着れる浴衣ってある?」

ありす母「あら、突然どうしたの?」

ありす「えっと……今度お祭りに行くから、もし出来たら着て行こうかなって思って」

ありす母「お祭り? それってプロデューサーさんと行くのね?」

ありす「あ、うん……よく解ったね」

ありす母「うふふ、あなた気付いてないかもしれないけど、家で毎日プロデューサーさんのお話してるわよ?」

ありす「え、本当に?」

ありす母「あらあら、本当に無自覚だったのね」

ありす「うぅ……そんなにしてるかなぁ私?」

806: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:42:21.42 ID:F+FejjGho
ありす母「全く、聞かされるお母さんの身にもなってほしいわねえ、ふふっ」

ありす「そう言う割に、すごく嬉しそうじゃない……」

ありす母「だって、その話をするときのありすはすごく嬉しそうだもの」

ありす母「最初はアイドルなんて……って思ってたけど」

ありす母「娘がこんなにいい方向に変わってくれるなんてねえ」

ありす母「ホントあのプロデューサーさんには、感謝してもし足りないわ」

ありす「も、もう大げさなんだから」

ありす母「それにありすの可愛い姿を見れるのは、やっぱり嬉しいわねぇ」

ありす母「お父さんなんか、テレビの前で大はしゃぎよ」

ありす「恥ずかしいから止めて欲しいのに……」

807: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:42:50.32 ID:F+FejjGho
ありす母「で、実際どうなのよ?」

ありす「えと……な、何が……?」

ありす母「とぼけちゃ駄目よ。プロデューサーさんとどんな感じなのよ」

ありす母「一緒に出かけたり、お泊りだって何度もしてるんだし」

ありす母「もうラブラブだったりしちゃうわけ? やだぁ、この子ったらまだ子供なのに」

ありす「お、お母さん勝手に想像して勝手に盛り上がらないで……」

ありす母「っと、ごめんなさいね」

ありす母「でもあのプロデューサーさん、お仕事もしっかり出来るみたいだし、ありすのことをよく気遣ってくれるし」

ありす母「お母さん的には優良物件ね。きっちり捕まえておきなさい」

ありす「も、もういいから……浴衣は……」

ありす母「あら忘れてたわ」

ありす母「プロデューサーさんに気に入ってもらえるよう、可愛いのを選んでくるわねー」

ありす「はぁ……もうお母さんったら」

808: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:43:22.35 ID:F+FejjGho
ありす母「うーん、これでもないあれでもない」

ありす父「こっちのほうがいいだろう?」

ありす母「そうかしら? ありすにはまだ早いような気がするのだけれど」

ありす父「いやいや、ありすももう12歳だ。ここらで可愛さだけじゃなく色気で攻めるのもいいぞ」

ありす「……ねえお母さん、まだ決まらないの?」

ありす母「あなたに似合うのを選んであげてるんだから、待ってなさい」

ありす父「そうだぞ。プロデューサーさんに気に入ってもらいたくないのか?」

ありす「もう……お父さんまで」

809: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:43:50.92 ID:F+FejjGho
ありす父「まあ父親として、娘が離れていくのは少し寂しくもあるが……」

ありす父「ありすがこうやって明るくなったのは彼のおかげだからな」

ありす母「そうよねえ。名前のことであんなにやさぐれちゃって一時期どうなるかと……」

ありす父「全くだ……私たちも随分悩んだものだ」

ありす「そ、その頃のことは……出来たら言わないで」

ありす父「それが今や、テレビに出てアイドルだからな!」

ありす父「ものすごく可愛いありすが見れて、お父さんたちも感無量だ!」

ありす母「近所でもすっかり評判で鼻が高いわー」

ありす「あんまりはしゃがれると私が恥ずかしいんだけど……」

ありす父「これもプロデューサーさんのおかげなんだから」

ありす母「とびっきりの格好をして、メロメロにしてあげないとね、うふふっ」

ありす「べ、別にそんなことしなくても……」

810: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:44:44.14 ID:F+FejjGho




ありす「……なんてことがありまして」

日菜子「むふふ、それは大変でしたね」

ありす「全くですよ……Pさんに知られちゃったらと思うと……」

日菜子「ご両親からも公認ですか」

ありす「こ、公認……なんでしょうか? なんだか私には面白がってるようにしか……」

日菜子「それに比べて日菜子の王子様は本当に……むふ」

ありす「……何かあったんですか?」

日菜子「実はプロデューサーさんが、日菜子の両親に活動の報告に来たんです」

日菜子「それがですね……」

811: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:45:18.37 ID:F+FejjGho
~日菜子宅~

日菜子P「……といった感じになります」

日菜子父「なるほど」

日菜子P「今のところ活動も順調で、今後の展開も――」

日菜子母「あ、解りましたのでもう結構です」

日菜子P「え?」

日菜子母「それより大事な話があるんですが……」

日菜子P「えっと、なんでしょうか?」

日菜子母「うちの娘、どう思います?」

日菜子「むふふ……」

日菜子P「え、えっと、どう思うと言われましても……」

812: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:45:46.60 ID:F+FejjGho
日菜子P「そうですね、アイドルとして大変頑張っているので」

日菜子母「ああ、そうじゃありません」

日菜子母「アイドルじゃなくて、女性としてうちの娘のことどう思ってるんですか?」

日菜子P「は、はい? それはどういう……」

日菜子(むふふ……流石にプロデューサーさんもこう言われたら気付いてくれますかねぇ?)

日菜子P「そ、そうですね、とても可愛らしい素敵な子だと思います」

日菜子「照れちゃいますね……むふふ♪」

日菜子父「うちの娘はたいそう君のことが気に入ってるみたいだ」

日菜子P「そうなんですか、ありがたいことです」

日菜子P「アイドルとプロデューサーは信頼関係が大事ですからね」

日菜子「信頼……ですかぁ」

813: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:46:12.83 ID:F+FejjGho
日菜子父「ただね、アイドルなんて不安定なものじゃないか」

日菜子P「それは……仕方ありません。こちらも精一杯サポートしますから」

日菜子父「もしもとき、君は責任をとれるのかね?」

日菜子P「へ?」

日菜子父「どうなんだね?」

日菜子P「え、えーっとよく解りませんが、私に出来る限りにことはさせていただきます」

日菜子父「ふむ解った」

日菜子母「これからも娘のこと、よろしくお願いしますね」

日菜子P「は、はい」

814: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:46:40.88 ID:F+FejjGho
日菜子P「……なあ日菜子」

日菜子「なんですか?」

日菜子P「俺、何か親御さんを怒らせるようなことしたか?」

日菜子「そうですねぇ……したと言えばしたかもしれません、むふふ」

日菜子P「なんかお父さん、やたらと凄い剣幕で聞かれたから驚いた」

日菜子P「とにかく、俺は責任重大みたいだ」

日菜子P「頑張ってもっと上を目指して、トップアイドルになろうな!」

日菜子「うーん、日菜子的にはトップアイドルよりも……プロデューサーさんのお姫様に……」

日菜子P「ん、なにか言ったか?」

日菜子「……これはもうわざとなんでしょうか? むふふ、流石にちょっと悲しくなります」

815: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/02(火) 01:47:39.09 ID:F+FejjGho




日菜子「……なんてことがありましたね」

ありす「……た、大変ですね」

日菜子「むふふ、もうLIVEで告白でもしちゃおうかな」

日菜子「ちょっとロマンチックでいいかも……むふふ」

ありす「はっきり言わないと駄目なのかもしれませんね」

日菜子「ありすちゃんのプロデューサーさんが羨ましいです」

ありす「そうですか……?」

日菜子「ところで浴衣は決まったんですか?」

ありす「あ、はい。わざわざ新しいのを買ってくれるみたいで」

日菜子「むふふ、気に入ってもらえるといいですね」

ありす「うん……Pさん気に入ってくれるかな」



第六十一話 完

823: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:19:19.83 ID:lrVxF1+io

~第六十二話~
 

824: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:19:46.72 ID:lrVxF1+io
ありす「Pさーん」

モバP「お、来たかありす」

ありす「すみません、お待たせしましたか?」

モバP「いや、大丈夫だ。それより……」

ありす「はい?」

モバP「ありすも浴衣で来たんだな。可愛いぞ」

ありす「えへへ……Pさんが浴衣で来るならせっかくだから私もって思って」

ありす「それにPさんも、かっこいいですよ」

モバP「そうか?」

ありす「はい、とっても似合ってます」

825: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:20:14.86 ID:lrVxF1+io
モバP「取り敢えず行こうか、早くしないとお祭り始まっちゃうしな」

ありす「一緒にお祭り行けて嬉しいです、えへへ」

モバP「周りもお祭りでなんか雰囲気が違うように感じるな」

ありす「私たち以外に、浴衣の人が結構いますね」

モバP「思ったより人が集まるのかな? こりゃありすは迷子にならないように気をつけないとな」

ありす「むぅ……私そこまで子供じゃないですよ」

モバP「ははは、それならいいけどな」

ありす「それに……」

モバP「ん?」

ありす「こうして手を繋いでおけば迷子になる心配はないですよね?」

モバP「ああ、そうだな」

826: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:20:58.06 ID:lrVxF1+io
ありす「……わぁ」

モバP「到着したが……こりゃ意外と活気があるなぁ」

ありす「Pさん、まずどこから回りますか?」

モバP「ひとまず何か食べるか。俺腹減ってて」

モバP「ありすは何か食べたいものあるか?」

ありす「う~んと……Pさんが食べたいのものでいいですよ」

モバP「そうか、じゃあ……焼きそばでも食うかな」

ありす「そういえばソースの良い香りがしますね」

モバP「どっかで香りはかなりの客寄せになるって見たことあるが、実感してしまうな」

827: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:21:25.11 ID:lrVxF1+io
ありす「あむあむ……」

モバP「美味いかありす?」

ありす「おいしいれす……もぐ」

モバP「正直大して変わらないだろうに、こういうところで食べるのはいつもより美味く感じるな」

ありす「ごくん……やっぱりお祭りの雰囲気のせいでしょうか」

モバP「そうかもなぁ……うん、美味い」

モバP「腹ごしらえが終わったら何か遊んでみるか」

ありす「Pさん、私あれやってみたいです」

モバP「射的か? んじゃやってみるか」

828: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:22:00.78 ID:lrVxF1+io
ありす「ふふっ、実は私射的のコツを知ってるんです」

モバP「へえーじゃあ期待してみるか」

ありす「まずはコルクを入れるのにもコツがあって……空気圧を受けるように面積の広いから入れて……」

ありす「狙うのは的の上のほう……」

ありす「さらに左右どちらかを狙って、回転させると落としやすくなるんです……」

モバP「ほうほう」

ありす「角度も重要で……上から下への角度は床のとの摩擦が働くので、下から上へ持ち上げるように狙って……」

ありす「距離は出来るだけ至近距離で……」

モバP(頑張って調べたんだなぁ……)

ありす「これなら……」

829: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:22:35.93 ID:lrVxF1+io
ありす「…………」

モバP「まあ……こういうもんだって」

ありす「あのお店はインチキです。実際そういうお店もあるみたいですし」

モバP「真実はともかく……そんなに気を落とすなって」

ありす「頑張って調べてきたのに……楽しみだったのに……」

モバP「よしよし、気晴らしに金魚すくいでもするか」

ありす「はい……そうします」

830: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:23:03.47 ID:lrVxF1+io
ありす「あ……Pさん、そろそろ花火が始まる時間ですよ」

モバP「お、もうそんな時間か。ついつい遊んでしまったな」

ありす「どうします? どこかに移動しますか?」

モバP「うーん、どこかと言われても俺はこの辺りは知らないからな」

モバP「ありすはどこかいいところ知ってるのか?」

ありす「任せてください、いいところがあります」

モバP「んじゃ案内頼むよ」

ありす「解りました。じゃあ早く行きましょうPさん」

モバP「っとっと……そんなに急ぐと迷子になるぞー」

ありす「でも早くしないと始まっちゃいますよっ」

831: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:23:32.89 ID:lrVxF1+io
ありす「ここです、ここ」

モバP「ふぅ、まだ時間は大丈夫か」

モバP「ほお、中々いい景色じゃないか。花火もよく見えそうだ」

ありす「でもその分、人も多いですね……」

モバP「そうだな。迷子にならないようにしっかりくっついてろよ?」

ありす「あ、はい……えへへ」


モバP「そろそろ時間かな……」

ありす「あ、Pさん!」

モバP「おっ、始まったか」

832: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:24:12.99 ID:lrVxF1+io
ありす「わぁ~……すごい」

モバP「思ってた以上に本格的だな」

ありす「花火、Pさんと一緒にこうやって見れて嬉しいです」

モバP「誘ってくれてありがとうな、ありす」

ありす「いえ、そんな……」

ありす「でも本当に綺麗ですね……見惚れちゃいます」

モバP「ありすには負けるけどな」

ありす「えぇっ……!? い、いきなり何言うんですか……」

モバP「いや、一度でいいからこういう気障なことを言ってみたかったんだ」

モバP「それに俺にとっちゃ事実だしな!」

ありす「も、もう……Pさんったら」

833: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:24:44.46 ID:lrVxF1+io




モバP「もう終わりかな」

ありす「楽しかっただけに……終わると寂しいですね」

モバP「そうだな……じゃあ帰ろうか」

モバP「もう暗いし足元に気をつけろよありす」

ありす「大丈夫で――きゃあっ……!?」

モバP「うおっ!? 言ってるそばから……大丈夫かありす!」

ありす「あうぅ……だ、大丈夫ですけれど……ちょっと足を」

モバP「捻ったか?」

ありす「みたいです……」

834: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:25:13.10 ID:lrVxF1+io
モバP「仕方ない、ほら」

ありす「えと……?」

モバP「おんぶしてやるから」

ありす「そんな、別に歩くくらいなら……」

モバP「いいからほら」

ありす「そ、それじゃあ……し、失礼します」

モバP「よし……しっかりつかまってろよ?」

ありす「は、はい……あの、お、重かったりしませんか?」

モバP「むしろ軽いくらいだな」

835: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:25:40.94 ID:lrVxF1+io
ありす「ごめんなさいPさん……最後にこんな」

モバP「まあ気にするな。事故だし仕方ないさ」

ありす「でも……んっ……ふぁぁ……」

モバP「なんだ、眠いのか?」

ありす「そんな、こと……」

モバP「もう結構遅い時間だし、かなり遊んだもんな」

モバP「疲れたのなら寝ていいぞ」

ありす「それじゃあ……ちょっとだけ……お休みなさい……Pさん」

モバP「ああ、お休みありす」

ありす「んっ……すぅ……」



第六十二話 完

836: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 03:28:00.27 ID:lrVxF1+io
今度こそ花火のネタで
射的のコツはググっただけです

839: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:36:41.75 ID:ImYQVNfbo

~第六十三話~


速水奏(17)

840: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:37:13.38 ID:ImYQVNfbo
モバP「ただいまもどりましたー」

モバP「……って、誰もいないのか?」

奏「すぅ……んっ……」

モバP「っと、奏ちゃんが居たのか……寝てるけど」

モバP「何もソファーで寝なくても仮眠室使えばいいのに」

モバP「おーい奏ちゃん、寝るなら仮眠室で寝なさい」

奏「ふぁ……?」

奏「うふふ……おはよーPさん……」

チュッ

モバP(へ……? いきなりキスされたんだけど……?)

841: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:37:43.52 ID:ImYQVNfbo
奏「ん……あ、れ……?」

モバP「奏ちゃん、寝ぼけてる……?」

奏「ふふっ……みたい。私のプロデューサーと勘違いしちゃった」

奏「ごめんなさいね」

モバP「いや、まあいいけど……しょっちゅうしてるのこんなこと?」

奏「気になっちゃう? 私ともっとキスしたいの?」

モバP「いやいや、そういうわけじゃないけどな」

奏「あんまり深刻に考えなくてもいいよ、挨拶みたいなものだから」

842: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:38:11.56 ID:ImYQVNfbo
モバP「唇にキスするのが?」

奏「それはさっきも言ったけど……寝ぼけて私のプロデューサーと間違えたから」

モバP(つーことはあいつ、奏ちゃんとキスするのが挨拶みたいなものなのか……)

モバP(大変そうな、羨ましいような)

奏「貴方もある意味役得じゃない♪」

モバP「いやいや……こっちはびっくりしたよ本当に」

奏「ふふっ……私の唇の味、どうだったのかな……?」


ありす「…………」

ありす「む~……なんでPさんと奏さんがキスしてるんですか……」

843: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:38:39.96 ID:ImYQVNfbo
~翌日~

ありす「……」

奏「あらありすちゃん、どうしたの私の顔をじーっと見て?」

奏「私の顔に何かついてるかしら?」

ありす「昨日……私のプロデューサーとキスしませんでしたか……?」

奏「え……? ああ、そんなこともあったかも」

奏「もしかして妬いちゃってるの? ふふっ、可愛いわね」

ありす「あうぅ……だ、だって、昨日事務所に行ったら、突然Pさんとキスしてるんだもん……」

ありす「気になるに決まってますよぉ……」

奏「あれはちょっと寝ぼけてただけだから、心配するようなことはないわ」

ありす「本当ですか……?」

844: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:39:06.08 ID:ImYQVNfbo
奏「それにあれくらいは私にとっては、挨拶みたいなものだもの」

ありす「キ、キスするのがですか?」

奏「ええ。唇が軽く触れ合うようなキスなんて……貴方もそれくらいしないの?」

ありす「た、たまに……Pさんとしますけど……」

ありす「で、でもそういうのは好きな人と……」

奏「あら、恋人同士ならもっと大人のキスをするものよ?」

ありす「お、大人の……?」

奏「そう、もっと情熱的で激しいのをね……ふふっ♪」

845: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:39:34.58 ID:ImYQVNfbo
奏P「おー奏、こんなところにいたのか探したぞ」

奏「そうだ、良かったら今から見せてあげる」

ありす「えっ……?」

奏「ねえ、Pさんこの前私の誕生日だったじゃない」

奏P「え、あ……そうだったな」

奏「私まだプレゼント貰ってないんだけどなぁ?」

奏P「何か欲しいのでもあるのか?」

奏「うん……私にとって最高のもの……」

奏P「へ……? ちょ、お、おい……んぅ!?」


ありす「わー……わー……す、すごい……」

846: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:40:03.73 ID:ImYQVNfbo
ありす「……」

奏「ふふっ……どうだったかしら」

ありす「え、えと……その……」

奏「まだありすちゃんには早かったかもね」

ありす「わ、私にはあんなの……」

奏「でもしてあげたら……きっとありすちゃんのプロデューサー、喜ぶんじゃないかなぁ」

ありす「そ、そうなの……かな……?」

奏「さぁ、どうかしらね♪」

奏P「ったく……突然何かと思えば……」

奏P「あんまり子供をからかうもんじゃないぞ」

奏「あら、少しは本気で言ってるわよ?」

847: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:40:35.43 ID:ImYQVNfbo
ありす「…………」

モバP「ありすー、どうしたんださっきからぼーっとして」

ありす「あ、Pさん……」

モバP「今日はなんか変だぞ? 調子が悪いのか?」

ありす「いえ……そんなことないですけど……」

ありす「……」

モバP「ん、なんだ? 俺の顔になにかついてるか?」

ありす(私も……Pさんとあんなキスを……)

ありす(……や、やっぱり……無理だよぉあんなの……うぅ……)

モバP「ありす、顔が赤いけど熱でもあるのか?」

ありす「ふえっ……!? な、何でもないですから、ほんとに……!」

848: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:41:03.42 ID:ImYQVNfbo
モバP「まあそれならいいけど……」

ありす(奏さんは確か17歳だから……)

ありす(私もそれくらいになったら、あんな大人のキスを出来るように……)

ありす(やっぱり私ってまだ子供なんだぁ……)

モバP(今度は落ち込んでる……本当にどうしたんだろ)


奏「くすっ……あんなに悩んじゃって、可愛い♪」

奏P「まったく変なこと吹き込むから」

奏「あら、でも嘘を言ったわけじゃないわ。Pさんだって、嬉しかったでしょ?」

奏P「う……まあ、な……」

849: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/03(水) 23:41:31.89 ID:ImYQVNfbo
ありす「えっとPさん……」

モバP「ん、どうした?」

ありす「ちょっとキスしませんか?」

モバP「へ、突然どうした?」

ありす「駄目ですか……?」

モバP「駄目じゃないけどな……」

ありす「あ、ん……」

モバP「これでいいか?」

ありす「はい……えへへ」

ありす(うん……私にはまだこれでいいや)

ありす(これでも十分嬉しいし……Pさんもきっと)



第六十三話 完

853: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:29:40.70 ID:aJ1UtQpso

~第六十四話~
 

854: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:30:07.80 ID:aJ1UtQpso
ちひろ「プロデューサーさん、明日何の日か解ってますか?」

モバP「え、何かありましたっけ?」

ちひろ「忘れちゃったんですか? 明日はありすちゃんの親御さんへの定期報告ですよ」

モバP「あーあー、そういえばそうでしたね」

ちひろ「しっかりして下さいね。こっちはお子さんを預かってる身なんですから」

モバP「ありすにも言っておかないとなぁ」

ありす「どうかしたんですか?」

モバP「おっと、いたのかありす」

ありす「ついさっき事務所に着きました。それで私がどうかしたんですか?」

モバP「ああ、それがな……」

855: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:30:35.04 ID:aJ1UtQpso
ありす「え……明日ですか……!?」

モバP「ああ」

ありす「と、突然すぎませんか? 私、知りませんでしたよ!」

モバP「おかしいな。親御さんから何も聞いてないのか?」

モバP「ちひろさん、ありすの両親にちゃんと予め言ってありますよね?」

ちひろ「はい、もちろんです」

ありす「うぅ~、だったらお母さんも言ってくれれば……」

モバP「まあ別にいつものように報告をちょっとするだけじゃないか」

モバP「そんなに困ることでもないだろ?」

ありす「わ、私は困るんです!」

モバP「そうなのか?」

856: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:31:12.97 ID:aJ1UtQpso
~ありすの家~

ありす「お母さんお母さん!」

ありす母「あら、どうしたのありす?」

ありす「あしたPさんが家に来るの知ってたの!?」

ありす母「そういえばそうだったわ。うっかり忘れちゃうところだった」

ありす「どうして私に言ってくれなかったのっ」

ありす母「え? 知ってるものだとばかり」

ありす「今日初めて知ったよぉ……」

857: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:31:38.94 ID:aJ1UtQpso
ありす「もーっ、とにかくお掃除とかしないと!」

ありす母「お掃除?」

ありす「こんな散らかっている家にPさんを上げたら、恥ずかしいじゃない!」

ありす母「そんなに散らかってるかしら?」

ありす「それにPさんに出すお茶請けとかあるの?」

ありす母「えーっと確かこの辺に……無いわね」

ありす「ああもうっ……私が買ってくるから」

ありす母「あらあら元気ねぇ」

ありす「お母さんがちゃんとしてないのが悪いんでしょ!」

858: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:32:05.75 ID:aJ1UtQpso
ありす母「……みたいなことがあってねえ」

ありす父「なるほど、道理で綺麗に片付いてるわけだ」

ありす「もう……なんで二人ともそんな呑気なの……」

ありす父「見てくれだけを気にするようじゃ、まだまだだぞ」

ありす母「そうよ、大事なのは気持よ。しっかりおもてなしすればいいのよ」

ありす「お茶請けも無かったじゃない……」

ありす母「ありすが何か作ってあげればよかったのにねぇ」

ありす母「時々練習してるじゃない、お菓子を作るの」

ありす「そ、そうだけど……」

ありす父「いやぁ……最初は大変だったな、失敗するのも多くてその度に私が処理を……」

ありす「ご、ごめんなさい」

859: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:32:32.83 ID:aJ1UtQpso
~ありすの部屋~

ありす「はぁ……ほんとにお父さんもお母さんも……」

ありす「……私の部屋変なところないよね? いつも綺麗にしてるし」

ありす「Pさんが私の部屋に入るかは解らないけど……一応お掃除して」


ありす「……えへへ」

ありす「明日Pさんが家にくるんだぁ……久しぶり」

ありす「Pさんの家にはよく行くけど、Pさんは家にあんまり来てくれないし……」

ありす「どれくらい居てくれるのかなぁ、せっかくだから泊まっていってもいいのになぁ」

ありす「早く明日にならないかなぁ」

860: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:33:07.19 ID:aJ1UtQpso
~翌日~

ありす「…………」

ありす母「ありす、少しは落ち着きなさいって」

ありす「う、うん……まだ来ないね」

ありす父「彼にも予定があるのだろう、ゆっくり待ちなさい」

ピンポーン

ありす「あっ……!」

ありす母「あらあら、とっさに飛んでいっちゃったわね」

ありす父「よほど楽しみだったのだろう、お父さんとしてはちょっと複雑だが……」

ありす母「って、あら?」

ありす「…………」

ありす母「どうしたのしょんぼりして」

ありす「Pさんじゃなかった……」

ありす父「ははは、落ち着きなさいってことだ」

861: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:33:37.89 ID:aJ1UtQpso

ピンポーン

ありす「あっ……」

ありす母「また慌てて行っちゃったわね」

ありす父「落ち着きなさいと言っているのに」


モバP「おっと……ありすか」

ありす「こんにちはPさん」

モバP「親御さんはいるかな?」

ありす「はい、どうぞ上がって下さい」

モバP「お邪魔するな」

862: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:34:10.51 ID:aJ1UtQpso
モバP「えー、こんにちは。今日はいつものように活動の定期的な報告に……」

ありす父「あーそんな堅苦しいのはよしてくれ、私は苦手だ」

ありす父「それにそんなかしこまる仲でもないだろう?」

モバP「そうですか、では……」

ありす母「暑い中大変でしたでしょう、冷たいお茶とお茶請けです」

モバP「これはありがとうございます。わざわざすみません」

ありす母「いえいえ。これ、ありすが貴方のために買ってきたものですから」

モバP「え、そうなのか?」

ありす「あ……だって、何もなかったから」

ありす母「昨日ありすったら、随分張り切っちゃって……うふふ」

ありす「も、もう……それは言わなくていいじゃない」

863: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:34:36.67 ID:aJ1UtQpso
モバP「……と、以上になります」

モバP「活動の方はこのままの方向で進めていくつもりです」

モバP「何かそちらからありますか?」

ありす父「いえ、特にはありませんね」

ありす母「いつもありすの口から色々と聞かされてるからねぇ」

ありす「お、お母さん……」

ありす母「もうこの子ったら口を開けば、貴方のことばかりで……」

モバP「は、はぁ、そうなんですか」

ありす「ちょ、ちょっと……」

ありす母「いいじゃないのよぉ、お母さんだって正直愚痴りたくもなるわよ」

モバP「ありがたいことに、そちらの娘さんには大変懐かれてるようで……」

ありす母「あらあら、そんなぼかした言い方しなくても」

864: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:35:25.52 ID:aJ1UtQpso
ありす母「まだうちの娘は12歳ですけれど……」

ありす母「プロデューサーさんは待ってくれるそうですから、何も心配はありませんね♪」

モバP「よ、よくご存知で……」

ありす母「この子が嬉しそうに喋るんだもの」

ありす「わ、私そんなことまで言っちゃってたの……?」

ありす父「覚えてないのか? お父さんはあれを聞かされたとき、どんな気持ちだったか……」

モバP「えーっと、そのいいのでしょうか?」

ありす母「なにがです?」

モバP「その、娘さんを……まだ先のこととはいえ将来は……」

865: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:35:53.89 ID:aJ1UtQpso
ありす母「だってもう、この子が言っても聞きそうにないもの」

ありす「えっと……」

ありす母「貴方他の人で納得できるの?」

ありす「絶対無理……」

ありす母「でしょう?」

ありす母「親としてはしっかり幸せにしてくれたら、それで構いませんよ」

ありす父「少し寂しくもあるが、ありすの幸せのためならな」

ありす「お父さん、お母さん……」

モバP「ありがとうございます……責任をもって必ず娘さんを幸せにします」

ありす「Pさん……」

866: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:36:21.15 ID:aJ1UtQpso
ありす母「そうと決まれば! プロデューサーさん、この後お仕事とかあります?」

モバP「いえ、今日はこれだけですが……」

ありす母「じゃあ泊まって言ってくださいよ」

ありす母「ありすがプロデューサーさんの前だと、どんな感じかも気になりますし」

ありす「ふ、普通だもん」

ありす父「君は酒はイケる口かね?」

モバP「はい」

ありす父「よーし飲むか! 一緒に酒を飲み交わす相手がいるといいもんだ」

ありす「も、もうっ、二人とも……Pさんにご迷惑じゃ……」

モバP「ははは俺はいいよ。愉快なご両親じゃないか」

867: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:36:55.66 ID:aJ1UtQpso




モバP「ふう……大変だったな」

ありす「すみません、あんな両親で……」

モバP「いや、楽しかったよ」

モバP「それに……正直あんなにあっさりと認めてもらえるとは思わなかった」

ありす「お父さんもお母さんも、そしてもちろん私も」

ありす「Pさんには感謝してるんですよ?」

モバP「俺に? 何かしたっけ?」

868: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:37:22.73 ID:aJ1UtQpso
ありす「私の名前のこと……ずっと嫌だと思ってた『ありす』って名前を好きにさせてくれて……」

ありす「それがお父さんとお母さんには、なにより嬉しかったみたいです」

モバP「そっか……まあ俺が何かしたわけじゃないよ。ありすが乗り越えたんだから」

ありす「ううん……Pさんがいないと絶対に無理でした」

ありす「おかげで明るくなって……笑うようになって……」

ありす「お父さんもお母さんも、Pさんにすごく感謝してるって言ってました」

モバP「ははは……照れるな」

ありす「ほんとPさんに会えて、一緒にいれて……私とても幸せです」

モバP「ありす……」

ありす「Pさん……」

869: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:37:52.69 ID:aJ1UtQpso
ありす母「プロデューサーさーん、寝る時は向こうの部屋で……」

モバP「うおっ!?」

ありす「ふぇ……!? お、お母さん……?」

ありす母「あらあら、お邪魔だったかしら?」

モバP「あ、あはは……そんなこと……」

ありす母「そうそう、プロデューサーさん」

ありす母「いくら認めたと言っても、ありすはまだ12歳ですからね?」

ありす母「くれぐれも、そういった行為は慎んでくだいよ?」

モバP「も、もちろんです」

ありす「お母さん……恥ずかしいからやめて……」

ありす母「じゃあおじゃま虫は退散するとしますねー」


ありす「うぅ、もう……」

モバP「ははは……本当に愉快なお母さんだな」

ありす「すごく恥ずかしいですよぉ……」

870: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/06(土) 01:38:22.69 ID:aJ1UtQpso
モバP「俺の寝るところは、向こうの部屋に用意されてるみたいだし……それじゃあ……」

ありす「あ、まって……」

モバP「ん?」

ありす「一緒に寝ちゃ……駄目ですか?」

モバP「いや、さっきああ言われたばかりでそれは勘違いされそうだが……」

ありす「いいじゃないですか、一緒に寝るくらいよくしてるんですから」

ありす「Pさん、おねがいします……」

モバP「全く……そんな風にお願いされたら断れないじゃないか」

ありす「えへへ……」

ありす「ちなみにPさん」

モバP「ん?」

ありす「Pさんがもし、その……そういうことがしたいのでしたら私は……」

ありす「いつでもいいんですよ……? 覚悟はしてますから」



第六十四話 完

878: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:39:13.11 ID:NFMgKfPFo

~第六十五話~
 

879: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:39:42.31 ID:NFMgKfPFo
ありす「おはようございます」

モバP「おうありすおはよう」

ありす「事務所の前に葉竹を飾ってるんですね」

モバP「今日は七夕だしな。ちひろさんが気を利かせてくれたみたいだ」

モバP「みんな短冊に色々お願い書いたみたいだぞ。ありすもどうだ?」

ありす「そうですね……何書こうかなぁ……」

モバP「まああんまり深く考えなくてもいいんじゃないか、お遊びみたいなもんだしな」

ありす「でももし叶ったら……って思っちゃったらちょっと悩みませんか?」

モバP「どうだろうな……俺はそんな考えずに書くと思うけど」

880: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:40:13.95 ID:NFMgKfPFo
ありす「うーん……お願いごと……」

日菜子「むふふ……」

ありす「あれ、日菜子さん?」

日菜子「むふ、おはようございますありすちゃん」

ありす「あ、おはようございます」

日菜子「今日は七夕ですねぇ。何かお願いごとはしましたか?」

ありす「いえ、今考えてる最中で……」

日菜子「一年に一度ですからね、少しくらい無茶なお願いしてもばちは当たらないと思いますよぉ、むふふ」

ありす「一年に一度かぁ……」

881: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:40:41.31 ID:NFMgKfPFo
ありす「もしPさんと一年に一度しか会えなかったら……」

ありす「考えもつかないなぁ……一緒にいるのが当たり前だし」

日菜子「そうですねぇ……日菜子もいくら妄想ぱわーがあるとはいえ」

日菜子「一年も会えなかったら、流石に寂しくなっちゃいます」

日菜子「でも……むふふ、日菜子の場合は肝心の彦星は気付いてくれませんけどねぇ」

ありす「……大変ですね日菜子さんは」

日菜子「せっかくなので、今日はプロデューサーさんと星でも見に行こうかなぁ」

ありす「あ、いいですね」

882: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:41:09.29 ID:NFMgKfPFo
ありす「日菜子さんは、短冊にどんなお願いを書いたんですか?」

日菜子「むふ、これです」


『王子様が日菜子のことを気付いてくれますように』


ありす「……これは」

日菜子「これでも何度かプロデューサーさんに、告白に近いことをしているんですけどねぇ」

日菜子「どうして気付いてくれないんでしょうか」

日菜子「もしかして日菜子のこと……嫌いなのかなぁ……」

ありす「そ、そんなことないですよ……!」

883: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:41:43.21 ID:NFMgKfPFo
日菜子「むふふ……ごめんなさい、ついネガティブになっちゃいました」

ありす「いえ……好きな人に気付いて貰えないのは辛いと思います」

日菜子「もう待つにのは慣れちゃいましたから」

日菜子「妄想の中ではハッピーエンドなんですけどねぇ、むふふ」

ありす「あの……」

日菜子「むふん?」

ありす「私からも日菜子さんのプロデューサーにそれとなく言いましょうか?」

日菜子「ありがたいですけれど……やっぱりこういうのは」

ありす「そう、ですよね……ごめんなさい、余計なお世話でした」

日菜子「いえいえ……正直日菜子も、そうでもしないと気付いてくれそうにないと思っちゃいますから、むふふ」

ありす「こう言うのもなんですが、おかしいレベルですよね」

884: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:42:15.28 ID:NFMgKfPFo
日菜子P「はぁっくしゅん!」

モバP「どうした、風邪か?」

日菜子P「はー……んなことないと思うが」

モバP「んじゃ誰かが噂してるのか」

日菜子P「ははは、俺の噂なんて誰がするんだよ」

モバP「ところで日菜子ちゃんは一緒じゃないのか?」

日菜子P「別にいつも一緒にいるわけじゃないって。お前とありすちゃんじゃねえんだから」

モバP「俺だっていつも一緒にいるわけじゃねえよ。ていうかありすだって今はいないだろ」


日菜子「プロデューサーさーん」

モバP「って言ってたら、日菜子ちゃん来たぞ」

日菜子P「おう、なんだ?」

885: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:42:43.11 ID:NFMgKfPFo
日菜子「せっかくですから星空、一緒に見に行きませんか?」

日菜子P「星空?」

日菜子「天の川が見れるかもしれませんし……ね?」

日菜子P「まあ別にいいけど……」

日菜子「むふふ……じゃあ夜にまた」


モバP「デートか」

日菜子P「なんでそうなるんだよ、ったく」

モバP「お前はいつも通りだなほんと……俺もありすと一緒に行ってみるかな」

886: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:43:12.03 ID:NFMgKfPFo
~夜~

日菜子「むふふ、星空が綺麗ですね」

日菜子P「確かに……日菜子、よくこんなスポット知ってたな?」

日菜子「アーニャちゃんに教えてもらいました」

日菜子P「ああ、趣味が天体観測だっけ」

日菜子「プロデューサーさん」

日菜子P「なんだ?」

日菜子「今ここって日菜子とプロデューサーさんの二人きりです」

日菜子P「そうだな」

日菜子「日菜子いつも言ってますよねぇ、王子様が迎えに来るのを待ってるって」

日菜子P「言ってるけど、それがどうかしたのか?」

887: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:44:44.62 ID:NFMgKfPFo
日菜子「近すぎて気づかないことって、あると思うんですよぉ」

日菜子P「……? 日菜子何が言いたいんだ?」

日菜子「むふふ……もうこの人は……」

日菜子「本当に日菜子の口から言わないと解らないんですかぁ?」

日菜子P「それは……」

日菜子「日菜子は……今まで何度もプロデューサーさんにアプローチをかけてきました」

日菜子「もちろんそれは、プロデューサーさんに気付いて欲しかったからです」

日菜子「日菜子の気持ちを……」

日菜子「むふふ……流石にプロデューサーさんでも……ここまで言って解らないってことないですよねぇ?」

日菜子P「いや……でもだな、俺とお前はアイドルとプロデューサーで……」

日菜子「なんとかなりますよ……日菜子たち二人なら」

日菜子「それに他の子たちを見ると、今更な気もしますけどねぇ」

日菜子P「う……ていうか、日菜子はいいのか俺で?」

888: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:45:55.70 ID:NFMgKfPFo
日菜子「むふふ……」

日菜子「もう随分前から、日菜子の王子様は決まってるんです」

日菜子「今更違うと言われても、困っちゃいますよ……むふふ♪」

日菜子P「そう、か……」

日菜子「ほんと……女の子にここまで言わせるなんて駄目ですよ?」

日菜子P「わ、悪い……いまいちこういうことには疎くてな」

日菜子「むふふ、それで……お返事は?」

日菜子P「じゃあ……日菜子がよければ俺は」

日菜子「むふふ、日菜子は言うまでもないですよぉ」

日菜子「今ずっと妄想してたことが現実になったんです」

日菜子「本当は……王子様のほうから言って欲しかったんですけど……」

日菜子「それでも……こんなに嬉しいことは……ないですよぉ……ぐすっ」

日菜子「ずっと……ず~っと好きだったんですから……!」

889: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/07(日) 02:46:23.63 ID:NFMgKfPFo




モバP「星がキレイだなぁ」

ありす「ですね」

モバP「そう言えば結局ありすは、何をお願いしたんだ?」

ありす「えっと……『日菜子さんの恋が上手くいきますように』って」

モバP「ははは、日菜子ちゃんのこと書いたのか? 自分のことじゃなくて?」

ありす「だって……好きな人にずっと気付いて貰えないのは可哀想だと思いましたから」

ありす「もしこれで叶ってくれたら……きっと二人とも幸せになれると思います」

モバP「そうだな、そうなるといいな」



第六十五話 完

894: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:04:08.09 ID:hGKc5q9+o

~第六十六話~

ナターリア(14)

895: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:04:36.14 ID:hGKc5q9+o
日菜子「むふふ~♪」

日菜子P「お、おい日菜子……流石に事務所なのにくっつきすぎだ」

日菜子「いいじゃないですかぁ~、日菜子今までずっと待ってたんですよ?」

日菜子「これくらい許してもらっても罰はあたらないと思います、むふふっ♪」



ありす「なんか日菜子さんたち、急に仲良くなったというか……前にもまして一緒にいますね……」

ナターリア「そ~だネ~、ヒナコ凄い嬉しそうダヨ」

ありす「もしかしてプロデューサーと進展したのかな……?」

ナターリア「おー、ヒナコはプロデューサーのこと好きなんだネ」

896: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:05:04.23 ID:hGKc5q9+o
日菜子「むふ? おやぁ、見られちゃってますね、むふふ」

日菜子P「さ、流石に誰かが見てる時はどいてくれると……」

日菜子「仕方ないですねぇ……日菜子の王子様はシャイなんですから」

日菜子P「いや、済まないな……ひと目があるとどうも気になって」

日菜子「それって二人っきりなら、もーっとすごい事してもいいってことですかぁ? むふ、むふふ~」

日菜子P「待て待て、そういうことじゃない」

日菜子「日菜子は、もうプロデューサーさんと幸せに暮らすところまで妄想済みですから」

日菜子「早く現実になってほしいものです……むふ」

ナターリア「二人は結婚するんだナー」

日菜子P「うえっ!? いや、まだそういうことは早いだろっ」

897: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:05:32.62 ID:hGKc5q9+o
日菜子「むふふ……確かにゆくゆくはそうしたいところですが」

日菜子「日菜子はまだ15歳ですから……結婚するには待たないとですねぇ」

日菜子「むふ……でも、それくらいなら王子様が気づかずに、待っていたのと比べるとマシですけどね、むふふ」

日菜子P「うっ……そ、それは悪かったから」

ナターリア「そうなんダ。ブラジルだと結婚できるから知らなかったヨ~」

日菜子「むふ……?」

ありす「……えっ?」

日菜子「……その話もっと詳しく知りたいですねぇ」

ありす「ナターリアさん、よければどういうことか説明を」

ナターリア「わ、わかったヨ……だからそんなに詰め寄ってこないでもいいヨ……」

898: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:06:05.29 ID:hGKc5q9+o
ナターリア「……というコト」

日菜子「むふむふ……つまり」

ありす「女性が妊娠している場合だと、未成年でも結婚が可能だと……」

ナターリア「そだネー」

日菜子P(世界は広いな……)

日菜子「むふ……まあ日菜子は来年には出来るようになるからいいですけど……」

日菜子「赤ちゃんは……早くにほしいかなぁ……ね、プロデューサーさん?」

日菜子P「えっ……? えーっと……ま、まあほら、物事には順序ってものが……」

ありす「…………」

899: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:06:32.98 ID:hGKc5q9+o
ありす(Pさんとの赤ちゃんが出来たら、結婚できるんだ……)

ありす(でもそれにはブラジルに行かなきゃいけない……)

ありす(アイドルだって止めたくないし、Pさんもそんなの嫌だろうし……)

ありす(でも……やっぱり4年は……長いですよぉ……)

ありす(待ってくれるって言ってくれたし……Pさんのこと信じてないわけじゃないけど……)

ありす(Pさんとの赤ちゃん……出来たら嬉しい)


日菜子「ありすちゃーん?」

ありす「あ、えと……?」

ナターリア「ボーッとしてたヨ?」

ありす「すみません……ちょっと考え事を」

900: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:06:59.85 ID:hGKc5q9+o
日菜子「むふ、聞いておいてあれですけど、日菜子もそこまでするつもりはありませんし」

日菜子「ありすちゃんも、あんまり変に考えこまないほうがいいですよぉ?」

ありす「そ、そうですね」

日菜子P(ていうかあいつありすちゃんに慕われすぎだろ……)

日菜子P(まだ小学生なのに……ただ懐いてるだけだと思ってたんだがなぁ)

ありす「Pさんは待ってくれるって言ってくれたし……」

ありす「うん……もうこのことは忘れちゃおう」

ありす「あ、私そろそろお仕事ありますのでこれで」

ナターリア「またネー」

901: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:07:27.46 ID:hGKc5q9+o
ありす「でもブラジルかぁ……」

モバP「うん? 何か言ったか?」

ありす「あ、いえ……別に」

モバP「ブラジルとか聞こえたけど……もしかして行きたかったりするのか?」

ありす「……あ、その」

ありす「Pさん、もしブラジルに暮らすとしたらどうしますか?」

モバP「へ? ブラジルに?」

モバP「うーん……やっぱり住み慣れた日本を離れるのは抵抗があるなぁ」

ありす「そうですよね……」

902: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:07:54.78 ID:hGKc5q9+o
モバP「ああでも、ありすが一緒にいたら別にいいかもな」

ありす「え?」

モバP「ぶっちゃけて言えば、俺の中でのほとんどを占めてるのがありすだからな」

モバP「ありすと一緒にいれば、大抵のところでも暮らしていけるかも、ははは」

ありす「そう、ですか……えへへ」

モバP「でもそれがどうかしたか?」

ありす「いえいえ、なんでもありません」

モバP「変なありすだな」

903: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:08:22.79 ID:hGKc5q9+o




ありす(Pさんはああ言ったけど、やっぱり突然言われたら迷惑だよね……)

ありす(でも、4年も待つのは……)

ありす(そ、それに私だってそういうことに興味あるし……Pさんとの赤ちゃん作るの……)

ナターリア「アリスー?」

ありす「あれ、ナターリアさん? どうしたんですか?」

ナターリア「サイキンなんだか悩んでることが多い気がしたノ」

ナターリア「もしかして前に話したこと気にしてるのかナ?」

ありす「あ、えっとそれは……」

904: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:09:01.81 ID:hGKc5q9+o
ナターリア「あんまり早いうちから結婚するのは感心しないヨ」

ありす「え?」

ナターリア「ブラジルだって、出来るってだけで一般的じゃないんダナ」

ナターリア「若いうちから赤ちゃん作ったら、きっと大変ダヨ」

ありす「そう、ですよね……」

ナターリア「それに、結婚出来るようになるまでは愛を確かめる時間だと思ったらイイヨ♪」

ありす「愛を確かめる、ですか……」

ナターリア「ナターリアだって、まだ結婚出来ないけど、ダーリンとは結婚するつもりなんダ」

ナターリア「だから今はたーくさんイチャイチャしてるんダヨネー」

ありす「……私、いつもしてる気がします」

ナターリア「アレ、ソウナノ?」

ありす「周りからよく言われますので……」

905: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:09:35.80 ID:hGKc5q9+o
ナターリア「ふたりでイチャイチャしてたら、結婚出来るまでアッという間ダヨ」

ありす「そうかもしれませんが……」

ナターリア「それでも心配ならアレを貰えばいいネ」

ありす「アレ?」

ナターリア「指輪ダヨ、結婚を約束する指輪があれば安心だネ」

ありす「こ、婚約指輪ですか……」

ありす「確かに欲しいかも……Pさんくれたらいいなぁ」

ナターリア「ナターリアは、指輪の代わりに指切りだったけどネー♪」

ありす「……ともかくありがとうございました」

ありす「ちゃんと待ってみることにします。そう約束しましたし」

906: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/08(月) 02:10:05.69 ID:hGKc5q9+o
ありす「Pさーん」

モバP「うおっとっ……!」

ありす「えへへ……」

モバP「どうしたんだ、そんなにくっついてきて?」

ありす「確認です」

モバP「確認?」

ありす「だって……4年もあるんですから」

ありす「こうやって時々は、私がPさんのこと大好きだよって確認させないと」

ありす「Pさんが何処かに行っちゃったら嫌ですから」

モバP「そんなことないけどなぁ、信用されてないのかな?」

ありす「えへへ……ようは口実みたいなものですけど、ね……」



第六十六話 完

914: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:49:53.97 ID:lt8CIMqUo

~第六十七話~
 

915: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:50:20.64 ID:lt8CIMqUo
モバP「ふあ~……」

ちひろ「おやプロデューサーさん、そんなに大きなあくびしちゃみっともないですよ」

モバP「ああ、すいません」

モバP「最近ありすのスケジュールが過密だったんですが、明日から幾分余裕が出来ましてね」

モバP「ちょっと気が抜けちゃってたみたいです、ははは」

ちひろ「ありすちゃん、お仕事頑張ってましたねぇ」

モバP「いや全くです。少しはゆっくりして貰えるといいんですがね」

prrrr

ちひろ「あ、私が出ますね」

モバP「お願いします」

916: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:50:47.96 ID:lt8CIMqUo
ちひろ「はい、こちらCGプロダクション……」

ちひろ「あ、はい。いつもお世話になっております」

ちひろ「少々お待ちください」

ちひろ「どうやらプロデューサーさんへの電話のようです」

モバP「俺に? 誰からですか?」

ちひろ「ありすちゃんのお母さんです」

モバP「えっ、こっちに電話してくるのは珍しいな……なんでまた」

モバP「取りあえず電話かわりますね」

917: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:51:29.53 ID:lt8CIMqUo
モバP「はいもしもし、お電話かわりました」

ありす母『もしもし、プロデューサーさんですか? ありすの母です』

ありす母『いつも娘がお世話になって……』

モバP「いえいえこちらこそ……それで今日はどういったご用件で?」

ありす母『あ、それがですね……実は明日ありすの学校で授業参観があるんですよ』

モバP「へえ、そうなんですか。丁度いいですね、今ありすの予定に余裕が出来たところですから」

ありす母『ええ、それは娘から聞いております』

ありす母『でも実は……私もそして夫も、明日は都合がつかないんですよ……』

モバP「それは……」

ありす母『正直、子供にとっては来ても鬱陶しいと思うだけかもしれませんが……』

ありす母『それでも誰も来ないのは、可哀想だと思うんです』

918: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:51:56.71 ID:lt8CIMqUo
モバP「それはつまり私に……」

ありす母『ええ、良かったらプロデューサーさんが行ってあげてくれませんか?』

ありす母『あの子も、プロデューサーさんが来ればきっと喜ぶと思います』

モバP「そう言ってくれるのはありがたいですが……いいのですか?」

モバP「はっきり言ってしまえば、私は部外者になるのでは……」

ありす母『何言ってるんですか! 部外者だなんて!』

ありす母『将来的には、家族の一員になるっていうのに、もうっ!』

モバP「あ、あはは……光栄です」

モバP「解りました、では恐縮ですが私が行かせてもらいます」

ありす母『お願いしますね。要件は以上です』

ありす母『わざわざお忙しいところすみませんでした、それではこれで』

モバP「はい、それでは」

919: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:53:13.25 ID:lt8CIMqUo
モバP「ふー……」

ちひろ「一体どんなことを話したんですか? 聞いても平気ですかね?」

モバP「ああ、そんな大したことじゃありません」

モバP「ただ、明日あるありすの授業参観に出てくれって頼まれただけです」

ちひろ「へえ、プロデューサーさんに頼むなんて信頼されてるんですねぇ」

モバP「ははは、ありがたいことです」


モバP「そういえば、前にありすの学校行事の予定表を貰ったっけ……」

モバP「えーっと、どれどれ……」

モバP「確かに明日みたいだな……時間は昼から授業終了までの間か」

920: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:53:44.58 ID:lt8CIMqUo
~翌日~

ザワザワ

「お前のとこの親くるの?」

「授業見られるのってなんか緊張するー」


ありす「……」

女子A「橘さん、どうしたの?」

ありす「あ、ううんなんでもない」

女子A「そっか、ところで橘さんのところは来るのかな?」

ありす「二人とも忙しいみたいだから、来れないって」

女子A「へーいいなぁ」

ありす「うーん……でもやっぱり来てくれないのはちょっと寂しいかな……」

女子A「そういうものかー」

921: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:54:23.47 ID:lt8CIMqUo

ザワザワ

「あれ誰の親だろ?」

「すげー若くみえるよな? もしかして誰かの兄ちゃんかなにか?」


女子A「なんか騒がしいね?」

ありす「うん、どうしたんだろ……?」

モバP「っとこの教室でいいのかな?」

ありす「……えっ?」

ありす「えええっ!? なんでPさんが!?」

モバP「おーありす、よかったここでいいのか」

女子A「えっ、この人橘さんのお父さん? すっごい若くない?」

922: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:55:00.10 ID:lt8CIMqUo
ありす「あ、この人はお父さんじゃなくて、ええっと……私のプロデューサーで」

女子A「プロデューサー!? すごーい、改めて橘さんがアイドルだって実感しちゃうなぁ」

ありす「それより! なんでPさんがここに……?」

モバP「いやありすの親御さんから、来れない自分たちの代わりに行ってやってくれって頼まれてな」

ありす「で、でもだからって……」


先生「ほらほら、そろそろチャイムなるからみんな席につけー」

モバP「おっと、それじゃあ俺は後ろで見ておくからな」

ありす「あ……」

先生「今日は授業参観ってことでビシバシ当てていくからなー」

923: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:55:34.34 ID:lt8CIMqUo
ありす「…………」チラリ

ありす(うう……Pさんが見てると思うとなんだか緊張する……)

先生「よーし、じゃあこの計算問題を……橘」

ありす「は、はい!」

先生「前に出て解いてみろー」

ありす「はい、えっと……」

ありす「ここはこうなって……あれ?」

先生「んーどうした、そんなに難しい問題じゃないぞ? いつもなら出来てるじゃないか」

ありす「えとえと……こうじゃなくて、あうう……」

先生「うーん、橘席に戻りなさい」

ありす「はい……」

先生「授業参観で緊張してるのかー? 親に見られてるくらいで情けないぞー」

ありす(うぅ……私だってお父さんやお母さんに見られるくらいだったら緊張しないもん……)

924: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:56:36.60 ID:lt8CIMqUo
~休み時間~

ありす「はぁ……」

モバP「どんまいありす」

ありす「あ、Pさん……」

ありす「違うんですよ? いつもならあれくらい……」

モバP「ははは、解ってる解ってる」

モバP「って、休み時間だからって俺と喋っても仕方ないかな? 友だちと喋りたいだろうし」

モバP「次の授業も見ておくから、がんばれよ」

ありす「はい……!」

モバP「学校終わったら一緒にどこか寄り道するか」

ありす「ホントですか……?」

モバP「ああ、ありすが頑張ったらな」

ありす「頑張りますね……!」

925: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:57:16.28 ID:lt8CIMqUo
ありす「えへへ……」

女子A「橘さん、どうしたの?」

ありす「あ、ううん何でもない……」

女子B「それにしてもありすちゃんのプロデューサーさん、ちょっとかっこいいね」

ありす「そうかな……? そうだよね、えへへ」

女子B「あーあ、頼んだら私もアイドルにしてくれて、プロデュースしてくれるかな?」

ありす「そ、それは駄目っ……!」

女子A「わぁっ!? び、びっくりした」

ありす「あ、ごめんね……」

女子B「ほほう……」

926: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:59:10.83 ID:lt8CIMqUo
女子B「ねーねー、ありすちゃんどうして駄目なのかなー?」

ありす「え……? えと、だってほら……もう私の担当だし」

女子B「一人くらい増えても大丈夫でしょー」

ありす「だめだめっ……絶対に駄目っ!」

女子B「だからなんでー?」

ありす「だ、だから……Pさんは私の担当だもん……」

ありす「私だけの……プロデューサーだもん!」

ありす「私以外の子に行っちゃうなんて……そんなの嫌だもん!」

女子A「橘さんそれって……」

女子B「うふふ~、やっぱり~?」

ありす「あ、えと……い、今のは……」

928: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 01:59:38.49 ID:lt8CIMqUo
女子B「さっきのって、つまりそーいうことでいいんだよねー?」

ありす「あ、あう……」

女子A「もういいじゃん、橘さん顔真っ赤だよ」

女子B「へへへ、ごめんごめん」

女子B「でもこんなありすちゃん、見るの初めてだったから可愛くてさー」

ありす「も、もういいでしょ……! ほら休み時間終わるし……」

女子B「ちぇー……まあまた今度じっくり聞きたいところかなー?」

女子A「正直言えば私も……」

ありす「で、出来たら……忘れてほしいです……」

930: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 02:00:15.54 ID:lt8CIMqUo
先生「はい、それでは今日はここまで、各自気をつけて帰るようにー」

女子A「橘さん、一緒に帰ろっか」

ありす「あ、ごめんね今日は……」

女子B「もう鈍いなぁ。察してあげなきゃ」

女子A「あ、ああそっかそっか。そうだったねーごめんね」

ありす「う、ううん……」

女子B「明日どんな話が聞けるか楽しみだなー」

女子A「もうやめときなってば。それじゃあまた明日ね」

ありす「うんまた明日ね」

932: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/09(火) 02:00:46.86 ID:lt8CIMqUo
ありす「Pさーん」

モバP「おう、友だちとはもういいのか?」

ありす「いいんです。というか正直、早く帰りたいです」

モバP「何かあったのか?」

ありす「Pさんのせいですからね……!」

モバP「えっ、す、すまん」

ありす「許してあげません」

ありす「だから今日はずっと一緒にいないと駄目です」

モバP「はいはい」

ありす(こーなったら、明日うんざりするぐらい話しちゃうんだから!)



第六十七話 完

939: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:44:50.19 ID:3hBGaM97o

~第六十八話~
 

940: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:45:21.17 ID:3hBGaM97o
~学校~

ありす「そんな感じでこの間はPさんと……」

女子A「うわー想像以上に……なんていうかラブラブ?」

女子B「続きが気になる~、それでそれで?」

ありす「そのあとPさんの家にお邪魔して……」


先生「ほら静かにしろー、帰りのHRを始めるぞ」

先生「あーもうすぐ夏休みだが、せっかくの長い休みなんだから何か新しいことを始めるいい機会と思う」

ありす(新しいこと?)

先生「日記をつけるのなんか、手軽だし色々と身についていいと思うぞ」

ありす(日記……日記かぁ)

941: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:45:49.03 ID:3hBGaM97o
ありす「――なんて先生が言ってたんです」

モバP「へぇ、それで日記帳を買いたいって言い出したのか」

モバP「確かに日記をつけるだけでも、色々とメリットがあるって聞くな」

ありす「先生もそう言ってました」

モバP「でもタブレットあるんだからそれでいいんじゃないか? 日記帳買わなくても」

ありす「なんとなく雰囲気で……」

ありす「あと手書きのほうが漢字の練習にもなるって、先生が言ってました」

モバP「あー確かに……俺も読めるけど書けるかどうか怪しいの沢山あるな」

942: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:46:48.73 ID:3hBGaM97o

○月×日

今日から日記をつけていこうかと思います

きっかけは学校の先生の一言だったけど

つけようと決めたのは、自分の周り……特にPさんとの関係が以前とだいぶ変わったから

だからこうやって記録していって、思い出に残せたらな……なんて

ちょっと大げさに言っちゃったけど、要は個人的なことをただ書いていこうかと思います


それで今日は簡単なお仕事がひとつありました

Pさんも私の仕事を見てくれました

それは嬉しいような……でもちょっと恥ずかしくて緊張するような

お仕事に慣れても、Pさんに見られるのは今だにすこしドキドキします

943: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:47:15.67 ID:3hBGaM97o
それでもちゃんとお仕事をして、終わった後にPさんが褒めてくれるのは

とっても嬉しくてとっても幸せです

ここだけの話、それがアイドルをやってて一番嬉しいことかもしれません

もちろんファンの人も大切だけど……

Pさんは私の中では特別だから

お仕事が終わると事務所に帰って、Pさんは残ったお仕事を始めました

私はもうお仕事は無いから帰ってもよかったけど

Pさんの傍にいたかったから、お手伝いすることにしました

お手伝いと言っても、やっぱりそんなに出来ることはないので

コーヒーを淹れたり書類を整理したり、その程度だったけど

944: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:47:43.35 ID:3hBGaM97o
するとPさんは、申し訳なさそうにお礼を言ってきました

私が好きでやってることだから、気にしなくてもいいのになぁ

むしろPさんに何かしてあげれるのは、すごく嬉しい

私はまだ子供だから、Pさんに出来ることは少ないから

だからこうやって出来ることは、何でもしてあげたい尽くしてあげたい


しばらくしてPさんのお仕事が終わって、一緒に帰ることになりました

外はもう随分暗く、Pさんは送ってくれると言って、手を繋いでくれました

もう何度もPさんと手を繋いでいるけど

いつもドキドキとそしてなんともいえない幸せな気持ちになります

改めて、私はPさんのことが好きなんだ……と実感出来るのでこの時間はとても好きです

945: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:48:12.33 ID:3hBGaM97o

○月△日

今日はお休みの日でした

Pさんと一緒に出かける予定だったので、早めに寝たつもりでしたけど

遠足の前日みたいに、興奮したせいで結局起きるのは目覚まし頼りでした

……あ、別に私は遠足くらいじゃこうはなりませんからね

Pさんと出かけるのは私にとって、特別な日なんです

最近はずっと一緒にいるけど、お出かけとなると普段とは違う一面を見たり見られたりなので

わくわくやドキドキしなかったことは無いと思います

そう言えば最近はPさんと一緒にいるばかりだったので

友だちから付き合いが悪いと言われてしまいました……

友だちを蔑ろにしてはいけませんよね……注意しないと

……でもPさんと友だちどっちかだったら、やっぱりPさんを選んじゃいます

だってPさんのこと好きなんだもん

946: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:48:39.41 ID:3hBGaM97o
朝起きてPさんに電話をかけました

大丈夫だとは思ってるけど、寝坊でもされたら困っちゃいますから

ていうのは建前で本当は、Pさんの声を聞きたいだけですけどね

でもPさんも、朝から私の声が聞けて嬉しいって言ってくれて

もう……ほんとにこの人はそういうことをさらっと言っちゃうんだから

だからますますPさんのこと、好きになっちゃうんですよ

昨日より今日、今日より明日……Pさんのことをどんどん好きになっていっちゃいます

恥ずかしいから直接は言えませんけど、日記なら書いちゃってもいいよね


予定の時間が迫ってきたけど

どんな格好で行こうか、とか悩んじゃって時間が過ぎちゃうばかりでした

昨日も考えてたはずなのに、やっぱりこれでいいのかなとか思っちゃうんですよね

Pさんには、可愛いところを見て欲しいから

947: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:49:23.57 ID:3hBGaM97o

○月□日

今日はお休みだけど、残念ながら雨でした

Pさんとお出かけすることもなく家でのんびりとしてましたけど

やっぱりちょっと寂しくて、Pさんに電話を何度かしちゃいました

私、一日に一回はPさんの声を聞かないと調子が出ないようになっちゃったかも

なんて……それは大げさだったかなしれませんね


そんな感じで家で過ごしていたら、一緒にお喋りしてたお母さんに

『今日はいつもに増してプロデューサーさんのことばかりねー』

なんて言われちゃいました……

前にも私がPさんのお話ばかりするって、愚痴ってたのを思い出して

自覚はないけど、私ってそんなにPさんの話ばかりしてるのかなぁ?

948: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:50:01.04 ID:3hBGaM97o
そう思ってふと今まで書いた日記を読み返してみると

自分でも驚くほどPさんことばかり書いてました……

むしろ、Pさんのことを書いたら満足して終わっちゃってる感じです……

Pさんと一緒だと些細なことでも、私にとってはとっても印象に残るから

改めて、私ってこんなにPさんのことばかり考えてるんだ

そう自分のことを確認して、ちょっと照れくさくなっちゃいました

こうやって省みれるところも、日記のいいところかもしれません


ただもうちょっとくらいは、Pさんのこと以外も書こうと思います

……多分




 

949: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:50:29.08 ID:3hBGaM97o
~事務所~

ありす「ふう……」

ありす「今日の分はこれでいいかな」

日菜子「ありすちゃん、何してるんですか?」

ありす「わわっ……!? ひ、日菜子さん……み、見ました……?」

日菜子「むふ? いえ、ありすちゃんが何か書いてるのくらいしか」

ありす「そ、そうですか……実はこれ日記なんです」

日菜子「むふふ、なるほど……だから見られたと思って慌てたんですねぇ」

ありす「家で書けば良かったですね」

日菜子「なんで日記つけはじめたんですかぁ?」

ありす「実は……」

950: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:51:06.31 ID:3hBGaM97o
日菜子「そういうことですかぁ」

ありす「やり始めると意外と楽しくて……」

ありす「一日の終りに、今日こんなことあったなぁって振り返ったりして」

日菜子「いいですね、日菜子も始めてみようかなぁ」

日菜子「ところで……ありすちゃんの日記、どんなのか見せてもらえたりします? むふふ」

ありす「ぜ、絶対ダメです!」

日菜子「そうですよね。むふふ、まあ見なくても中身は想像つきますが」

ありす「う……なんですか、悪いんですか?」

日菜子「いえいえ、そんなこと……日菜子もきっと似たような感じになると思いますから、むふ♪」

951: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:51:40.45 ID:3hBGaM97o

○月◇日

今日から日記をつけてみることにしました

きっかけはありすちゃんだけど、大きな理由はやっぱりプロデューサーさん

七夕のあの日から、日菜子たちは徐々に変わってると思うから

こうやって日記をつけたら、きっと変化が実感できて楽しいんだろうなぁって思います


七夕と言えば、あの日は今でもちょっと残念に思ってたり

結局日菜子の方から言い出したけど、日菜子としてはプロデューサーさんから言って欲しかったなぁ

鈍感な王子様だから、これからもちょっと大変かも

それはそれで悪く無いかなぁ、って思っちゃいますけどね、むふふ♪

952: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:52:12.75 ID:3hBGaM97o
今日はお仕事があって、プロデューサーさんはずっと傍にいてくれました

プロデューサーさん、最近は出来るだけ日菜子と一緒にいてくれる気がします

王子様としての自覚が出てきたんでしょうか、いいことですねぇ

ただそれはつまり、日菜子のお仕事を見られる機会も増えたということで

ちゃんと出来てるかなぁって気になっちゃったり、それのせいで失敗することも

ちゃんとプロデューサーさんが後でフォローしてくれますが

なんだか申し訳なくなっちゃいますね……


それにしても日菜子もまだまだです

プロデューサーさんにお仕事見られるシチュエーションなんて、妄想し尽くしたつもりだったのに

あの日から妙な気恥ずかしさを感じちゃいます

プロデューサーさんのこと好きだったのは前からなのに

その気持ちが相手に伝わったのが解ると、こうも変わっちゃうんですねぇ……むふふ

953: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:52:42.59 ID:3hBGaM97o

○月☆日

今日はお仕事が終わったあとプロデューサーさんと寄り道することにしました

プロデューサーさんから誘って貰えたら良かったんですけど、誘ったのは日菜子の方から

というのも、待ってたころは妄想だけでも十分だったんだけど

最近はそれだけじゃ満足できないんですよねぇ

あれもしたい、これもしたいって思うようになっちゃいました

王子様はそういったことに疎いみたいですから……日菜子の方から言い出すことが多いんですよぉ

でもちょっとくらいはわがままでもいいですよね?

日菜子は長い間待ったんですから、それを埋め合わせるくらいのわがままは

954: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:53:21.75 ID:3hBGaM97o
したことと言えば、ちょっとぶらぶらしてお茶を飲んだくらいですが

やっぱりあの日以前と比べると違いが沢山あります

プロデューサーさんのほうから、日菜子と手を繋いでくれたり

話す内容がお互いのことだったり

プロデューサーさんが、着ていた服を可愛いと褒めてくれたのは嬉しかったなぁ

日菜子、実はそういうところ気を使ってるんですよぉ?

前まではいつもと特に変わりない時間だったのに

今では二人でいることは特別な時間になっちゃいましたねぇ、むふ♪

明日はどんなことをしよう、明後日はなにをしよう……

むふふ……やっぱり妄想もとまりませんねぇ~

955: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:53:53.68 ID:3hBGaM97o

○月▽日

今日はお仕事はお休みでした

もちろんプロデューサーさんと一緒にお出かけです

プロデューサーさんとお出かけするのは、とっても楽しいんですよねぇ

きっとこうするだろう、プロデューサーさんならこうするかな、って色々妄想するんですが

日菜子が思ってたのと微妙に違ったりするんですよね

自分で言うのもなんですけど、日菜子はプロデューサーさんのこと結構知っているつもりでした

待ってる間、プロデューサーさんのこと色々見て来ましたから

でも、そんな日菜子が思ってたのと違うプロデューサーさんを見れると

知らなかった一面を知れた気分になれて……むふふ、とっても幸せです♪

956: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:54:28.42 ID:3hBGaM97o
プロデューサーさんも、そんな気持ちになってくれてるかなぁ?

あの日から、これ以上はないって思ってたプロデューサーさんへの

好きって気持ちがますます溢れてきちゃうように

プロデューサーさんも日菜子のこと、もっと好きになってくれてるのかな?

そうだとしたら……嬉しいなぁ~♪


でも正直、不安もちょっとあります

プロデューサーさんは、日菜子が言ったから付き合ってくれたんじゃないかって

そもそも、日菜子が言うまでプロデューサーさんは何にも気づかなかったから

プロデューサーさんは優しいから断れなかったんじゃないかって

そう思うことはちょっとだけあります

957: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:54:59.86 ID:3hBGaM97o
むふふ……まあそんなこと無いとは思いますが

そう思っちゃうくらい、日菜子の王子様は鈍感でしたからね

本当に罪な人ですねぇ……自覚はないでしょうけど

それに仮にそうだとしても

今から日菜子のことを好きになってもらえればいいだけです

日菜子が、プロデューサーさんの知らない一面を知ってもっと好きになるように

プロデューサーさんにも、日菜子の色んなところを知って好きになってくれたらいいなぁ


ようやく日菜子の元に来てくれた王子様

絶対にハッピーエンドになってみせますからねぇ、むふふ♪




 

958: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/10(水) 22:55:34.42 ID:3hBGaM97o
ありす「日菜子さん、日記のほうあれからどうですか?」

日菜子「むふ、順調ですね」

日菜子「色々と変化が実感できて良い感じですぅ」

ありす「あの……やっぱり日菜子さんもプロデューサーとのことばかりですか?」

日菜子「そうですねぇ、そういうありすちゃんもでしょ?」

ありす「は、はいそうですけど……いいのかな日記ってこんなので」

日菜子「いいんじゃないですかぁ? 好きな人のことをずっと考えちゃうのは仕方ないですよぉ」

日菜子「その人のことがそれだけ好きなんですから……他のことが見えなくなっちゃうくらい、ね」

ありす「そう、ですかね」

日菜子「そしてそんな人がいる日菜子たちは、きっと幸せ者ですよ、むふふ」

ありす「……そうですね、そう思います」



第六十八話 完

964: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:10:58.91 ID:e8xcNJ+Ao

~第六十九話~
 

965: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:11:26.87 ID:e8xcNJ+Ao
~P宅~

モバP「あちーなー……何もする気が起きない」

モバP「何か負けた気がするが冷房つけるかな……」

ピンポーン

モバP「ったく暑くて動きたくねーのに……誰だ?」

モバP「はいはい、どちらさま……って」

ありす「こんにちはPさん」

モバP「ありすか? 突然きてどうしたんだ?」

モバP「それに……なんだそのでかいカバンは」

ありす「とりあえず上がっていいですか?」

モバP「ああ悪い」

966: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:11:54.11 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「あ……暑いですねPさんの部屋……」

モバP「だろ? もう嫌になるな」

ありす「エアコンあるのに点けないんですか?」

モバP「なんていうか……まだ点ける時期じゃないっていうか」

モバP「早々に点けるのは、この暑さに負けたようで……」

ありす「よ、よく解んないです」

モバP「とは言え、ありすが来てくれたんだから点けるか」

ありす「すみません」

モバP「一緒に我慢大会する必要ないしな、ていうか正直俺も点けたかった」

967: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:12:21.50 ID:e8xcNJ+Ao
モバP「ほい、冷たいお茶」

ありす「ありがとうございます。ここまで来るのに、すごく汗かいちゃって喉からからです……」

モバP「んで、何しに来たんだ? いや、別に用もなく来てくれても一向に構わないんだが」

モバP「その大荷物……何だ?」

ありす「あ、はい実はですね」

ありす「私の両親が、丁度二人揃って夏休みみたいなので旅行に行くんです」

モバP「ありすは行かないのか?」

ありす「私はまだ学校がありますし、そんなに乗り気じゃありませんから」

モバP「え、でも一人じゃ何かと大変だろ?」

ありす「そもそも両親に、Pさんのお世話になればいいじゃないと言われたので」

ありす「私も願ったり叶ったりでしたから、特に何も言わず見送りました」

モバP「えーっと、つまり……」

ありす「不束者ですがしばらくの間、よろしくお願いします」

モバP「あー、そういうことね……」

968: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:12:48.02 ID:e8xcNJ+Ao
モバP(どんだけ信頼されてるんだ俺。ありがたいことだけど)

ありす「駄目ですか……?」

モバP「まあ今まで泊まることは何度かあったしな」

モバP「でもなんでそんな大荷物なんだ?」

ありす「何日かはお世話になると思いますので」

モバP「えっ、長いな」

ありす「思いっきり羽を伸ばしてくる、ってはしゃいでました」

モバP「だからこんな大荷物なのか」

ありす「一日泊まるのと違うので……必要なものを色々と持ってきました」

ありす「家で使い慣れたもののほうがいいですから」

969: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:13:16.80 ID:e8xcNJ+Ao
~数日後 事務所~

モバP「ありすー帰るぞー」

ありす「あ、はーい」


ちひろ「プロデューサーさん」

モバP「はい?」

ちひろ「最近、出社も退社もありすちゃんと一緒じゃないですか?」

モバP「はい、そうですけど?」

ちひろ「あ、いえね? 今更どんだけいちゃつこうが勝手ですけどね?」

ちひろ「もしかしてとか思っちゃうじゃないですか?」

モバP「えーっと何が言いたいんです?」

ちひろ「プロデューサーさんもしかして……ありすちゃんと一緒に暮らしてます?」

モバP「はい」

ちひろ「そうですよね、そんなこと……って、ええええっ!?」

970: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:13:43.97 ID:e8xcNJ+Ao
モバP「うおっと……そんな急に大声出さないでくださいよ。びっくりします」

ちひろ「あ、すいません……じゃなくて」

ちひろ「え、まじですか? 同棲ですか? 犯罪ですか?」

モバP「いや、なんでそうなるんですか」

モバP「実は……かくかくしかじかで」

ちひろ「なるほど……そういう理由ですか」

ちひろ「親御さんがそんなこと許可するなんて、凄いですね」

モバP「まあそうですね……信用されてるってことだと思うのでありがたいですよ」

ちひろ「でも事情がそうってだけで同棲と変わらなくないですか?」

モバP「そう言われるとまあ……そうかもしれませんが」

ちひろ「問題は起こさないでくださいよ~?」

モバP「解ってますよ」

971: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:14:11.28 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「Pさん、ずっとお話してどうしたんですか?」

モバP「ああ、すまん。それじゃあ帰るか」

ちひろ「それにしても……ありすちゃんのご両親、どこまで寛容なんでしょうねぇ」

ちひろ「このままだとずーっと同棲しちゃいそうな勢いですよ」

ありす「…………」

モバP「いやーそれは流石に無いでしょう」

ちひろ「ですよねー、あはは」


ありす「……よし」

972: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:14:39.27 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「……あ、もしもしお母さん?」

ありす「うん、うん……こっちは大丈夫、Pさんも一緒だし何も問題ないよ」

ありす「そっちはどう? 楽しいんでる?」

ありす「そっか、良かった……それで実はちょっとお願いなんだけど……」

ありす「もうちょっと帰ってくるの遅く出来たり……しないかな?」

ありす「う……い、いいでしょ。だってPさんとずっと一緒だから」

ありす「お母さんも大事だってば……拗ねないでよ……」

ありす「え、お母さんとPさんどっちが大事かって?」

ありす「どっちか選ばなきゃだめ?」

ありす「うう~………………Pさん」

ありす「だ、だって……やっぱり好きな人が一番というか……

ありす「選べって言ったのはお母さんじゃない……」

ありす「え……? あ、うん……ありがとう」

ありす「そう言ってくれると嬉しいよ。せっかくだから楽しんできてね」

973: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:15:16.74 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「Pさん」

モバP「ん、なんだー?」

ありす「両親から連絡がありまして、帰るのが少し伸びるそうです」

モバP「そうなのか」

ありす「そんなわけで……もうしばらくお世話になります」

モバP「まあ俺としては色々としてくれて助かるから、むしろありがたいところだ」

ありす「えへへ……」

モバP「どうした?」

ありす「もうちょっと、Pさんの家でずっと一緒にいられると思うと嬉しくて」

974: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:15:44.37 ID:e8xcNJ+Ao
~後日~

モバP「なあありす?」

ありす「はい?」

モバP「まだ両親は帰ってこないのか? もう結構経ったけど……」

ありす「……? もう帰ってきてますけど?」

モバP「ちょっとまて……じゃあなんで帰らないんだ?」

ありす「え、私たち同棲しているからじゃないですか」

モバP「えっ」

ありす「えっ」

975: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:16:11.46 ID:e8xcNJ+Ao
モバP「なるほどつまり」

モバP「ちひろさんが言った『ずっと同棲出来そう』ってのを、実際出来るか試してみたと」

ありす「お母さんはいいって言ってくれましたよ?」

モバP「本当に?」

ありす「……流石に最近は帰ってきなさいって、ちょっと怒り気味かもしれません」

モバP「悪いことは言わないから帰りなさい」

ありす「はぁい……」

モバP「俺と一緒にいたいと思ってくれるのは嬉しいが、親も大切にしないとな」

ありす「ちょっとPさんとの生活で、舞い上がっちゃったかもしれません……」

モバP「まあきちんと謝れば許してくれるだろ。いいお母さんだったしな」

976: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:16:38.73 ID:e8xcNJ+Ao




モバP「……なんてことがあったんですよ」

ちひろ「なんでそれを私に言うんですか? 私が悪いって言うんですか?」

モバP「そんなつもりじゃないですけど、まあ発端はちひろさんの一言ですし」

ちひろ「だからってそこまでするとは思いませんよ~」

モバP「いやぁ、俺もびっくりでしたね」

ちひろ「ところで、プロデューサーさん」

ちひろ「そこそこ長い期間同棲してたんですよね?」

モバP「結果的にそうなっちゃいましたね」

ちひろ「何か無かったんですか? ねえねえ、どうなんです?」

モバP「ありませんよ! ていうか問題起こすなって言ったのは貴方じゃないですか!」

ちひろ「それはそれですけど、個人的にはあったほうが面白かったかな~って」

977: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:17:06.08 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「PさんPさん」

モバP「おう、なんだありす?」

ありす「もうすぐ私、夏休みですけれど」

モバP「そういやそんな時期だな」

ありす「夏休みの間は、Pさんの家でお世話になりますね」

モバP「は……?」

ありす「あ、今度はちゃんと両親を説得してますから」

ありす「夏休みが終わるまで、よろしくお願いします」

モバP「いやいやいや」

978: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:17:53.63 ID:e8xcNJ+Ao
モバP「なあありす、小学校の夏休みって結構長いよな?」

ありす「ですね」

モバP「その間ずっと俺の家にいるの?」

ありす「そのつもりですが……駄目ですか?」

モバP「いや親……は説得したんだっけ……えっとじゃあ……」

モバP「あれ、問題ないか?」

ありす「ですよねっ」

ちひろ「いやいやあるでしょう!」

ありす「それじゃあPさん、今日は帰りに買い物に付き合って下さい」

モバP「ん、何か買うのか?」

979: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 05:18:21.59 ID:e8xcNJ+Ao
ありす「この前よりも長くお世話になりますから、必要な物を買い揃えたいと思います」

モバP「そうか、そんじゃ早速行くか」

モバP「というわけでちひろさん、お疲れ様でした」

ちひろ「え、あ、はい……」


モバP「何を買うんだ?」

ありす「それは……色々です。女の子なんですから、ちょっと秘密にしたいものもあるんですよ」

モバP「よく解らんが、まあ荷物持ちくらいなら手伝うぞ」

ありす「えへへ……よろしくお願いしますね」


ちひろ「……ちっひーしってるよ。これ事実婚っていうんでしょ」

ちひろ「……もう末永く爆発しちゃえばいいんですよ!」



第六十九話 完

982: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:28:42.99 ID:jpfYAobYo

~第七十話~
 

983: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:29:38.53 ID:jpfYAobYo
ありす「Pさん、起きて下さい」

モバP「ああ……ありすか……おはよう」

ありす「はい、おはようございます。朝ごはん出来てるので食べて下さいね」

モバP「すぐ行くよ」

モバP「ふぁぁ……ありすに起こされるのも慣れてきたな」


モバP「なあありす」

ありす「何ですか? もしかして味付けおかしかったですか?」

モバP「あ、いや飯は美味いよ。そうじゃなくて」

モバP「もうすぐ誕生日だろ? 何か欲しいものはあるか?」

ありす「いえ、特には……」

モバP「まあせっかくだから、今日は出かけて何か探してみるか」

ありす「あ、はい。一緒にお出かけは嬉しいです」

984: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:30:06.93 ID:jpfYAobYo
ありす「えへへ……やっぱりPさんとお出かけするのは楽しいです」

モバP「そう言ってくれるのは嬉しいが、目的はありすのプレゼント探しだぞ?」

ありす「そう言われても、欲しいものなんて……」

モバP「全く無い訳じゃないだろ?」

ありす「そうですけれど……Pさんから貰えるものだったら、もっと特別なものが……」

モバP「まああんまり高いのは勘弁な」

ありす「そ、そういうつもりで言った訳じゃ……あっ」

モバP「どうした?」

ありす「……露店がありますね」

モバP「覗いてみるか? 何かいいものがあるかもしれないぞ」

985: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:30:33.41 ID:jpfYAobYo
モバP「へぇ、思ったより色々あるな、アクセサリーやら小物類やら」

ありす「あっ……これ……」

モバP「お、何か欲しいのあったか?」

ありす「えっと……これ欲しいかも……」

モバP「ガラスの指輪? こんな安いものでいいのか?」

ありす「いいんです。Pさんからこれを贈ってもらうことに意味があるんです」

ありす「解ってますか? 指輪ですよ指輪」

モバP「まあ……そりゃ解るけど」

モバP「だったらもう少しちゃんとしたのでも」

ありす「さ、流石にそれは……お金かかりそうで悪いかなぁって……」

ありす「それに、こういうのなら私がつけてても不自然じゃないと思いませんか?」

モバP「あ、なるほど」

986: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:31:00.98 ID:jpfYAobYo
ありす「それにちゃんとしたのは……」

ありす「4年後私が結婚出来るようになったとき……」

ありす「改めて贈ってもらえますか?」

モバP「そっか……んじゃ店主、この指輪を……」

ありす「二つで」

モバP「二つ?」

ありす「お揃いにしたいなって……駄目ですか?」

モバP「もちろん構わないぞ。てことで店主二つだ」

987: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:31:29.30 ID:jpfYAobYo
ありす「えへへ……Pさんとお揃いの指輪」

ありす「嬉しいです……最高のプレゼントです」

モバP「そう言ってくれるとこっちも嬉しくなるな」

ありす「約束ですからね、Pさん?」

ありす「この指輪に誓って……将来は私と……」

モバP「ああ解ってるさ」

ありす「えへへ……どうしよう、嬉しくすぎて泣いちゃいそうです……」

ありす「うん、綺麗……私ずーっとつけてますね」

988: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:31:58.42 ID:jpfYAobYo




日菜子「あれ、ありすちゃんの指につけてるそれは……」

ありす「あ、えへへ……実は……」

日菜子「むふふ……言わなくても解ります。ええ、解りますとも」

日菜子「いいなぁ……日菜子も欲しいですねぇ。ね、プロデューサーさーん?」

日菜子P「え、何か言ったか?」

日菜子「おおっと……そこでそうきますかぁ……最近はマシになったと思ったのになぁ~」

ありす「ふふっ……でもきっと日菜子さんも近いうちに貰えますよ」

989: ◆cFFmUxF1p6 2013/07/12(金) 22:33:55.07 ID:jpfYAobYo
ありす「気が早いかもしれませんが……Pさんと結ばれるのが楽しみです」

ありす「あ、でも私よりまずは日菜子さんの方が先ですかね?」

日菜子「そうなると嬉しいんですけれどね~、むふふ♪」

日菜子「なにはともあれ、ありすちゃんが羨ましいです」

日菜子「そういったちゃんとした証があるというのは……むふ」

ありす「えへへ……これで待つのも安心出来そうです」

ありす「早く……結婚できるようになりたいなぁ……」



第七十話 完 ~終幕~